JP2023041254A - 樹脂組成物、硬化物、及び電子部品 - Google Patents

樹脂組成物、硬化物、及び電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2023041254A
JP2023041254A JP2021148514A JP2021148514A JP2023041254A JP 2023041254 A JP2023041254 A JP 2023041254A JP 2021148514 A JP2021148514 A JP 2021148514A JP 2021148514 A JP2021148514 A JP 2021148514A JP 2023041254 A JP2023041254 A JP 2023041254A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
meth
resin composition
acrylate
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021148514A
Other languages
English (en)
Inventor
春樹 田中
Haruki Tanaka
勇貴 新井
Yuki Arai
俊輔 高木
Shunsuke Takagi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Resonac Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Resonac Holdings Corp filed Critical Resonac Holdings Corp
Priority to JP2021148514A priority Critical patent/JP2023041254A/ja
Publication of JP2023041254A publication Critical patent/JP2023041254A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】優れた保存安定性を有する樹脂組成物を提供する。【解決手段】樹脂、アルコキシシリル基(A)を有するシランカップリング剤、及び加水分解性基(B)を有する化合物を含有し、前記アルコキシシリル基(A)が水と反応するときのGibbs自由エネルギー変化ΔGaと、前記加水分解性基(B)が水と反応するときのGibbs自由エネルギー変化ΔGbとが、ΔGa-ΔGb>0kJ/molを満たす、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、樹脂組成物、硬化物、及び電子部品に関する。
実装回路板、ハイブリッドIC(integrated circuit)等の電子部品では、ガラスエポキシ、紙フェノール、アルミナセラミック等の基板に配線が設けられ、マイコン、抵抗体、コンデンサなどの各種部品が搭載されている。配線、電極等を湿気、ほこり等から保護する目的で、基板上に防湿絶縁性の保護膜が形成されることがある。保護膜の形成には、光硬化性樹脂組成物が広く採用されている。
特許文献1には、(A)数平均分子量が300~10,000で、水素添加率が90%以上である光硬化性末端アクリロキシポリブタジエンまたは末端メタクリロキシポリブタジエン、(B)光重合開始剤及び(C)γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランを含有してなる光硬化性防湿絶縁塗料が開示されている。
特開2001-302946号公報
一般的に、光硬化性樹脂組成物にシランカップリング剤を添加すると、保護膜と基板との接着力が高くなり、絶縁信頼性が向上する傾向がある。しかし、保管による経時後の光硬化性樹脂組成物を用いて形成した保護膜は、基板との接着力が低くなり、十分な絶縁信頼性が得られない場合があった。
そこで、本発明の実施形態は、優れた保存安定性を有する樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明の他の実施形態は、優れた接着性を有する硬化物を提供することを目的とする。また、本発明の他の実施形態は、優れた信頼性を有する電子部品を提供することを目的とする。
本発明には様々な実施形態が含まれる。実施形態の例を以下に列挙する。本発明は以下の実施形態に限定されない。
(1)樹脂、アルコキシシリル基(A)を有するシランカップリング剤、及び加水分解性基(B)を有する化合物を含有し、
前記アルコキシシリル基(A)が水と反応するときのGibbs自由エネルギー変化ΔGaと、前記加水分解性基(B)が水と反応するときのGibbs自由エネルギー変化ΔGbとが、ΔGa-ΔGb>0kJ/molを満たす、
樹脂組成物。
(2)前記シランカップリング剤が、(メタ)アクリロイル基を更に有する、上記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記アルコキシシリル基が、トリメトキシシリル基を含む、上記(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記加水分解性基(B)が、イソシアネート基を含む、上記(1)~(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)前記加水分解性基(B)が、アルコキシシリル基を含む、上記(1)~(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)前記樹脂が、重合性不飽和基を有する樹脂を含む、上記(1)~(5)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(7)重合性不飽和基を有する単量体を更に含有する、上記(1)~(6)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(8)前記重合性不飽和基が、(メタ)アクリロイル基を含む、上記(7)に記載の樹脂組成物。
(9)光硬化性樹脂組成物である、上記(1)~(8)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(10)塗料である、上記(1)~(9)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(11)上記(1)~(10)のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて得られる、硬化物。
(12)上記(11)に記載の硬化物を有する、電子部品。
本発明の実施形態によれば、優れた保存安定性を有する樹脂組成物を提供することが可能である。また、本発明の他の実施形態によれば、優れた接着性を有する硬化物を提供することが可能である。また、本発明の他の実施形態によれば、優れた信頼性を有する電子部品を提供することが可能である。
図1は、実施例において、特定の条件下で保存された後の樹脂組成物の29SiNMRスペクトルである。 図2は、実施例で使用したITOクシ型電極基板の模式図である。 図3は、実施例において、評価に使用した試験片の模式図である。
本発明の実施形態について説明する。本発明は以下の実施形態に限定されない。
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において「膜」の語には、当該膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
<樹脂組成物>
本発明の実施形態によれば、樹脂組成物は、樹脂、アルコキシシリル基(A)を有するシランカップリング剤、及び加水分解性基(B)を有する化合物を含有する。樹脂組成物は、重合性不飽和基を有する単量体等の任意の成分を更に含有してよい。
[樹脂]
樹脂組成物は、樹脂を含有する。樹脂の例として、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリロニトリル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン、共役ジエンポリマー、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。樹脂は、水素化ポリブタジエン、又はウレタンオリゴマーを含むことが好ましく、水素化ポリブタジエンを含むことがより好ましい。
樹脂は、重合性官能基を有していてもよい。重合性官能基は、重合性不飽和基であってよく、例えば、ビニル基(エテニル基)、エチニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等の炭素-炭素二重結合を有する基が挙げられる。樹脂は、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び「メタクリル」の総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する水素化ポリブタジエン、(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマー等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する水素化ポリブタジエン(「水添ポリブタジエン」ともいう。)は、少なくとも1つの末端に(メタ)アクリロイル基を有する。好ましくは、導入が容易であるという観点から、(メタ)アクリロイル基を有する水素化ポリブタジエンは、少なくとも1つの末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する。(メタ)アクリロイル基を有する水素化ポリブタジエンは、1種を単独で、又は、2種以上を組み合せて使用できる。
(メタ)アクリロイル基を有する水素化ポリブタジエンの数平均分子量は、硬化速度、粘度、及び硬化物の可とう等の点から、例えば、900~10,000、900~5,000、又は900~3,000であってよい。本開示において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値である。
(メタ)アクリロイル基は、ウレタン結合を介して水素化ポリブタジエン分子内に導入されていてもよい。水素化ポリブタジエンは、例えば、次の方法により得ることができる。ヒドロキシ末端水素化ポリブタジエンと、ジイソシアネート化合物とを公知の方法により反応させ、末端にイソシアネート基を有する反応物(末端にイソシアネート基を有する重合体)を得る。得られた反応物に、β位にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを公知の方法により反応させ、水素化ポリブタジエンを得る。上記ジイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。β位にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水素化ポリブタジエンの市販品としては、日本曹達株式会社製のTEシリーズ/末端アクリル基導入ポリブタジエンウレタン結合型「TEAI-1000」等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマーは、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物(ただし、前述の水素化ポリブタジエンは除く。)である。製本用接着剤が(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマーを含有する場合、硬化物の機械特性のコントロールが容易となる傾向がある。(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマーは、1種を単独で、又は、2種以上を組み合せて使用できる。
(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマーの重量平均分子量は、硬化速度、粘度、及び硬化物の可とう等の点から、例えば、800~10,000、3,000~9,000、又は5,000~8,000であってよい。本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値である。
ウレタンオリゴマーの例として、エステル系ウレタンオリゴマー、エーテル系ウレタンオリゴマー、カーボネート系ウレタンオリゴマー等が挙げられる。ウレタンオリゴマーは、例えば、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、ポリオール、及びジイソシアネートを含有する単量体の付加反応物であってよい。
ウレタンオリゴマーの市販品として、例えば、根上工業株式会社製の「アートレジン UN-904」、「アートレジン UN-6060S」等が挙げられる。
樹脂の含有量は、粘度特性、ハンドリング性、硬化後の硬度等の観点から、例えば、樹脂組成物の質量を基準として、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、65質量%以上、又は、80質量%以上であってよい。樹脂の含有量は、保存安定性、接着性等の観点から、100質量%未満、95質量%以下、90質量%以下、70質量%以下、又は、50質量%以下であってよい。
樹脂組成物が後述する重合性不飽和基を有する単量体を含有する場合、樹脂の含有量は、粘度特性、ハンドリング性、硬化後の硬度等の観点から、例えば、樹脂及び重合性不飽和基を有する単量体の合計の質量を基準として、10~80質量%、20~70質量%、30~60質量%、又は、40~50質量%であってよい。
[アルコキシシリル基(A)を有するシランカップリング剤]
樹脂組成物は、アルコキシシリル基(A)を有するシランカップリング剤(本明細書において、シランカップリング剤(a)という場合がある。)を含有する。アルコキシシリル基(A)は、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、又はトリアルコキシシリル基であってよく、好ましくはジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基であり、より好ましくはトリアルコキシシリル基である。アルコキシシリル基(A)におけるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、及びプロポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種を含み、好ましくは、メトキシ基を含む。アルコキシシリル基(A)の具体例として、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
シランカップリング剤(a)は、反応性官能基を更に有してよい。反応性官能基として、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、メルカプト基、イソシアネート基等が挙げられる。反応性官能基は、樹脂と反応して結合を形成し得る基であることが好ましい。シランカップリング剤(a)は、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する。
シランカップリング剤(a)として、具体的には、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤(a)の含有量は、接着性の観点から、樹脂組成物の質量を基準として、例えば、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は、1質量%以上であってよい。シランカップリング剤(a)の含有量は、接着性の観点から、樹脂組成物の質量を基準として、例えば、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、又は、1質量%以下であってよい。
[加水分解性基(B)を有する化合物]
樹脂組成物は、加水分解性基(B)を有する化合物(本明細書において、化合物(b)という場合がある。)を含有する。加水分解性基(B)の例として、アルコキシシリル基、イソシアネート基、エポキシ基、ウレタン基(ウレタン結合(-NH-C(O)-O-)を含む基)、カーボネート基(カーボネート結合(-O-C(O)-O-)を含む基)、カルボン酸無水物基(-C(O)-O-C(O)-)、エーテル基(エーテル結合を含む基)、イミド基(イミド結合(-C(O)-N(-)-C(O)-)を含む基)、イミダート基(イミド酸エステル結合(-C(NR)-O-)を含む基)、カルボン酸アミド基(アミド結合(-C(O)-NR-)を含む基)、カルボニル基(カルボニル結合(-C(O)-)を含む基)、エステル基(エステル結合(-C(O)-O-)を含む基)等が挙げられる(Rは、1価又は2価の基である。)。アルコキシシリル基は、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、又はトリアルコキシシリル基であってよく、好ましくはジアルコキシシリル基であり、より好ましくはトリアルコキシシリル基である。アルコキシシリル基におけるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、及びプロポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種を含み、好ましくは、エトキシ基及びプロポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種を含む。アルコキシシリル基の具体例として、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基等が挙げられる。
例えば、化合物(b)は、加水分解性基としてアルコキシシリル基とアルコキシシリル基以外の加水分解性基とを有してよい。アルコキシシリル基とアルコキシシリル基以外の加水分解性基とを有する化合物(b)は、シランカップリング剤として機能し得る化合物であってよい。アルコキシシリル基とアルコキシシリル基以外の加水分解性基とを有する化合物(b)の例として、アルコキシシリル基とイソシアネート基とを有する化合物、アルコキシシリル基とカルボン酸無水物基とを有する化合物等が挙げられる。具体的には、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリプロポキシシシラン、3-イソシアネートプロピルプロピルジプロポキシシラン、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリプロポキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられる。
例えば、化合物(b)は、加水分解性基としてアルコキシシリル基以外の加水分解性基のみを有してよい。アルコキシシリル基以外の加水分解性基のみを有する化合物(b)の例として、イソシアネート基を有する化合物、イソシアネート基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物、エポキシ基を有する化合物、ウレタン基を有する化合物、カーボネート基を有する化合物、カルボン酸無水物基を有する化合物、エーテル基を有する化合物、イミド基を有する化合物、イミダート基を有する化合物、カルボン酸アミド基を有する化合物、カルボニル基を有する化合物、エステル基を有する化合物等が挙げられる。化合物(b)が、加水分解性基としてアルコキシシリル基以外の加水分解性基のみを有する場合、アルコキシシリル基以外の加水分解性基は、樹脂及び基材の少なくとも一方と反応して結合を形成し得る基であることが好ましい。具体的には、2-(2-(メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアナート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、N-メチルウレタン、ジメチルカーボネート、後述するΔGの例示において挙げた化合物等が挙げられる。
化合物(b)の含有量は、保存安定性の観点から、樹脂組成物の質量を基準として、例えば、0.01質量%以上、0.1質量%以上、1質量%以上、又は、5質量%以上であってよい。シランカップリング剤(a)の含有量は、接着性の観点から、樹脂組成物の質量を基準として、例えば、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、又は、1質量%以下であってよい。
[ΔGa-ΔGb>0kJ/mol]
樹脂組成物において、シランカップリング剤(a)が有するアルコキシシリル基(A)が水と反応するときのGibbs自由エネルギー変化ΔGaと、化合物(b)が有する加水分解性基(B)が水と反応するときのGibbs自由エネルギー変化ΔGbとは、ΔGa-ΔGb>0kJ/molを満たす。好ましくはΔGa-ΔGb>20kJ/mol、より好ましくはΔGa-ΔGb>50kJ/molである。アルコキシシリル基(A)が、ジアルコキシシリル基((RO)(RO)(H)Si-)又はトリアルコキシシリル基((RO)(RO)(RO)Si-)である場合(R~Rは、それぞれ独立に、アルキル基である。)、最も大きいΔGを示すRO-Si結合(nは、1~3の整数)を含むアルコキシシリル基を、アルコキシシリル基(A)とすればよい。化合物(b)が複数の加水分解性基を有する場合、複数の加水分解性基のΔGを求め、その中で最も小さいΔGをΔGbとし、当該ΔGbを示す加水分解性基を加水分解性基(B)とすればよい。
加水分解性基のΔGとして、下記の計算ソフト及び条件により求めた値を採用することができる。
計算ソフト:Gaussian社製Gaussian09TM Revision E. 01
描画ソフト:Gauss view ver5.0.9
条件:APFD/6-31G(d,p)
Temperature:298.150 Kelvin.
Pressure:1.00000 Atm.
コマンド:opt freq (構造最適化及び振動数計算)
いくつかの化合物が持つ加水分解性基について、上記の計算ソフト及び条件により求めたΔGを以下に示す。
・エトキシシリル基(3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン) -18kJ/mol
・イソシアネート基(3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン) -94kJ/mol
・アクリロイロオキシ基(3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン) 206kJ/mol
・メトキシシリル基(3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン) -3kJ/mol
・ウレタン基(カルバミン酸エチル) -47kJ/mol
・ウレタン基(N-メチルカルバミン酸エチル) -1kJ/mol
・カーボネート基(ジメチルカーボネート) -75kJ/mol
・カーボネート基(エチルメチルカーボネート) -23kJ/mol
・エーテル基(エチルメチルカーボネート) -11kJ/mol
・エーテル基(ジエチルエーテル) 14kJ/mol
・フタルイミド基(N-メチルフタルイミド) 63kJ/mol
・フタルイミド基(フタルイミド) 31kJ/mol
・イミダート基(N-ヒドロキシアセトイミド酸エチル) 2kJ/mol
・イミダート基(N-シアノアセトイミド酸エチル) 8kJ/mol
・カルボン酸アミド基(N-メチルアセトアミド) 29kJ/mol
・カルボン酸アミド基(N,N-ジメチルアセトアミド) 35kJ/mol
・カルボン酸無水物基(無水酢酸) -31kJ/mol
・カルボン酸無水物基(無水コハク酸) 28kJ/mol
・カルボニル基(アセトアルデヒド) -1kJ/mol
・カルボニル基(アセトン) 35kJ/mol
・イソシアネート基(2-(アクリロイルオキシ)エチルイソシアナート) -81kJ/mol
・イソシアネート基(1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート) -77kJ/mol
・エポキシ基(プロピレンオキシド) -49kJ/mol
・エポキシ基(イソブチレンオキシド) -45kJ/mol
・エステル基(酢酸メチル) 38kJ/mol
・エステル基(酢酸エチル) 37kJ/mol
アルコキシシリル基(A)と加水分解性基(B)の組み合わせの例として、メトキシシリル基(A)とイソシアネート基(B)、エトキシシリル基(A)とイソシアネート基(B)等が挙げられる。
樹脂組成物は、ΔGa-ΔGb>0kJ/molを満たすシランカップリング剤(a)と化合物(b)とを含有することにより、優れた保存安定性を示す。その理由は、例えば、次のように推測される。ただし、本発明は以下によって限定されるものではない。
一般的に、シランカップリング剤は、加水分解性シリル基が加水分解してシラノールとなり、それが基材と結合することで接着力が発現する。ところが、樹脂組成物が経時保管中に吸湿し、加水分解性シリル基の加水分解が進行してしまうと、シラノール同士が反応して自己重合し、基材との接着に寄与するシラノールが無くなってしまう。
本発明の実施形態では、樹脂組成物に、加水分解性シリル基よりも水との反応性が高い官能基(すなわち、反応ギブズエネルギー変化ΔGが小さい官能基)を有する化合物を添加することで、保管中に加水分解性シリル基が加水分解することを抑制する。すなわち、本発明の実施形態において、接着力の向上に寄与するシランカップリング剤(a)に加えて、水との反応性が高い官能基を有する化合物(b)を含有することで、シランカップリング剤(a)の劣化が防止され、樹脂組成物は優れた保存安定性を示す。
また、シランカップリング剤(a)と化合物(b)とを含有する樹脂組成物を用いて形成された硬化物は、樹脂組成物が優れた保存安定性を示すために、樹脂組成物を経時保管により吸湿した場合であっても、高い接着力を有する。このような硬化物を保護膜として備えた電子部品は、信頼性に優れたものとなる。
樹脂組成物は、ΔGa-ΔGb>0kJ/molを満たす、1種のシランカップリング剤(a)と1種の化合物(b)とを含有する組成物であってよい。例えば、樹脂組成物がアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤を2種類以上含有する場合、最も大きいΔGを示すアルコキシシリル基をアルコキシシリル基(A)とし、当該アルコキシシリル基(A)を有するシランカップリング剤をシランカップリング剤(a)とすることができる。例えば、樹脂組成物が加水分解性基を有する化合物を2種類以上含有する場合、最も小さいΔGを示す加水分解性基を加水分解性基(B)とし、当該加水分解性基(B)を有する化合物を化合物(b)とすることができる。
シランカップリング剤(a)と化合物(b)の組み合わせとして、例えば、トリメトキシシリル基を有するシランカップリング剤(a)とイソシアネート基とアルコキシシリル基とを有する化合物(b)、トリメトキシシリル基を有するシランカップリング剤(a)とイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(b)等が挙げられる。より具体的には、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤(a))と3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(化合物(b))、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤(a))と2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナート(化合物(b))等が挙げられる。
[重合性不飽和基を有する単量体]
樹脂組成物は、重合性不飽和基を有する単量体を更に含有してよい。重合性不飽和基として、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基等の炭素-炭素二重結合を有する基が挙げられる。重合性不飽和基を有する単量体は、シランカップリング剤(a)に該当しない化合物、すなわち、アルコキシシリル基を有しない化合物である。また、重合性不飽和基を有する単量体は、ΔGa-ΔGb>0kJ/molを満たす加水分解性基(B)を有しない化合物である。
重合性不飽和基を有する単量体の例として、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。重合性不飽和基を有する単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを含む。重合性不飽和基を有する単量体(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、1~6官能であってよい。
1官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)スクシネート、(メタ)アクリル酸とグリシジルエステル(例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の「カージュラーE-10」)との反応物等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロフタレート等の脂環式(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
2官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2-メチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
重合性不飽和基を有する単量体は、例えば、1官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、2官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、又はこれらの両方を含む。1官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、脂肪族(メタ)アクリレート、脂環式(メタ)アクリレート、又はこれらの両方を含んでよい。
樹脂組成物が重合性不飽和基を有する単量体を含有する場合、重合性不飽和基を有する単量体の含有量は、硬化速度、塗料の粘度、塗膜の耐湿性、可とう性等の観点から、例えば、樹脂及び重合性不飽和基を有する単量体の合計の質量を基準として、20~90質量%、30~80質量%、40~70質量%、又は、50~60質量%であってよい。
重合性不飽和基を有する単量体が、1官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体と2官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを含む場合、2官能の(メタ)アクリル酸エステル系単量体の含有量は、重合性不飽和基を有する単量体の質量を基準として、1~35質量%、3~25質量%、又は、5~15質量%であってよい。
重合性不飽和基を有する単量体が、脂環式(メタ)アクリレートを含む場合、脂環式(メタ)アクリレートの含有量は、重合性不飽和基を有する単量体の質量を基準として、40~90質量%、50~85質量%、又は、60~80質量%であってよい。脂環式(メタ)アクリレートの含有量が40質量%以上である場合、硬化物の弾性率を高くすることができ、硬化物の強度を確保できる傾向がある。脂環式(メタ)アクリレートの含有量が80質量%以下である場合、硬化物の弾性率が高くなりすぎることを防止できる傾向がある。
[リン酸化合物]
樹脂組成物は、リン酸化合物を更に含有してよい。リン酸化合物は、リン酸基及びリン酸エステル基から選択されるいずれか少なくとも1種と、少なくとも1種の重合性不飽和基とを有する化合物である。リン酸化合物が有する重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基(エテニル基)、エチニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基等の炭素-炭素二重結合を有する基が挙げられる。リン酸化合物は、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基を有する。
リン酸化合物は、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート及び/又はプロピレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレートであることが好ましく、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
リン酸化合物の例として、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシブチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシペンチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート等の下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023041254000001
式中、Rは水素又はメチル基を、Rは直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を、nは1以上の数を、mは1~3の数を表す。アルキル基の炭素数は、好ましくは1~12、より好ましくは1~9、更に好ましくは1~6である。nは、好ましくは1~12、より好ましくは1~6、更に好ましくは1~3である。mは、好ましくは1~2であり、より好ましくは1である。
また、リン酸化合物の例として、3-クロロ-2-アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-3-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、アリルアルコールアシッドホスフェート等が挙げられる。(C)リン酸化合物は、これらのモノメタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の塩であってもよい。
樹脂組成物がリン酸化合物を含有する場合、リン酸化合物の含有量は、基材への良好な密着性を得る観点から、樹脂及び重合性不飽和基を有する単量体の合計の質量を基準として、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましい。リン酸化合物の含有量は、樹脂組成物の安定性を保つ観点から、樹脂及び重合性不飽和基を有する単量体の合計の質量を基準として、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
[光重合開始剤]
樹脂組成物は、光硬化性樹脂組成物であってよい。光硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有してよい。光重合開始剤には、増感剤と呼ばれるものも包含される。光重合開始剤の具体例としては、アクリジン;分子内に少なくとも1つのアクリジニル基を有するアクリジン系化合物;ベンゾフェノン;N,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N-テトラアルキル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパノン-1、(1-ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノン等の芳香族ケトン;アルキルアントラキノン等のキノン類;ベンゾイルアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン;アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;N-フェニルグリシン;N-フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物;オニウム塩などが挙げられる。樹脂組成物の深部硬化性と表面硬化性のバランスの観点から、芳香族ケトンが好ましく用いられる。光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤の含有量は、光硬化性樹脂組成物の表面を十分に硬化させ、硬化物のタックを抑える観点から、樹脂の質量を基準として、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましい。光重合開始剤の含有量は、深部までの十分な硬化性、密着性等を得る観点から、樹脂の質量を基準として、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
[添加剤]
樹脂組成物は、必要に応じて様々な添加剤を含有してもよい。添加剤として、例えば、着色剤、重合禁止剤、光安定剤、消泡剤、フィラー、酸化防止剤、連鎖移動剤、チキソトロピー付与剤、可塑剤、難燃剤、離型剤、界面活性剤、滑剤、帯電防止剤などが挙げられる。これらの添加剤として、公知の添加剤を使用できる。添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[製造方法]
樹脂組成物は、樹脂、シランカップリング剤(a)、及び化合物(b)、並びに、必要に応じて重合性不飽和基を有する単量体、リン酸化合物、光重合開始剤、及び/又は添加剤を、撹拌により混合することによって製造できる。撹拌は、撹拌子、撹拌羽根等を用いた公知の方法により行えばよい。撹拌時の温度は、例えば、60~90℃とできる。
<塗料>
樹脂組成物は、例えば、塗料として使用できる。塗料は、少なくとも樹脂、シランカップリング剤(a)、及び化合物(b)を含有し、必要に応じて重合性不飽和基を有する単量体、リン酸化合物、光重合開始剤、及び/又は添加剤を含有してもよい。
<硬化物>
本発明の実施形態によれば、硬化物は、上述の樹脂組成物を用いて得ることができる。硬化物は、膜の形状であってよい。膜の形状の硬化物は、保護膜として使用できる。例えば、硬化物は、樹脂組成物を塗布すること、及び、塗布した樹脂組成物を光照射により硬化させることを含む製造方法によって得ることができる。塗布方法としては、ポッティング法、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法、ディスペンス法、印刷法等の方法が挙げられる。硬化方法としては、LEDランプ、水銀ランプ(低圧、高圧、超高圧等)、メタルハライドランプ、エキシマランプ、キセノンランプ等を光源として紫外線を照射する方法が挙げられる。
<電子部品>
本発明の実施形態によれば、上述の硬化物を有する電子部品を得ることができる。電子部品として、例えば、マイクロコンピュータ、トランジスタ、コンデンサ、抵抗、リレー、トランス等、及びこれらを搭載した実装回路板、さらにこれら電子部品に接合されるリード線、ハーネス、フィルム基板等が挙げられる。
本発明の実施形態について実施例により具体的に説明する。本発明の実施形態は以下の実施例に限定されない。
<樹脂組成物の作製>
[実施例1]
下記の樹脂45質量部;重合性不飽和基を有する単量体として、イソボルニルアクリレート40質量部と、ドデシルアクリレート(ラウリルアクリレート)10質量部と、1,10-デカンジオールジアクリラート5質量部;下記の重合開始剤1.5部;シランカップリング剤(a)として、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン3質量部;及び、化合物(b)として、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン7質量部を、60℃で加熱しながら撹拌し、樹脂組成物を得た。
樹脂
Figure 2023041254000002
重合開始剤
Figure 2023041254000003
3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランが有するメトキシシリル基(シランカップリング剤(a)が有するアルコキシシリル基(A))と、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランが有するエトキシシリル基及びイソシアネート基(化合物(b)が有する加水分解性基(B))のΔGは、それぞれ、-3kJ/mol、-18kJ/mol、及び-94kJ/molである。
[比較例1]
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランを使用しない以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
[比較例2]
3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランを使用しない以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
<樹脂組成物の保存安定性の評価>
[保存後の樹脂組成物の29SiNMRスペクトル]
経時劣化を加速させるため、作製した樹脂組成物に、化合物(a)に対して1.4倍モル当量の水を添加し、樹脂組成物を60℃で60時間にわたり保存した。保存後の実施例1及び比較例1の樹脂組成物について、29SiNMRスペクトル測定を行った。
図1に、29SiNMRスペクトルを示す。比較例1の樹脂組成物では、保存後に3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤(a))の重合物のピーク(T1、T2、及びT3のピーク)が検出されたのに対し、実施例1の樹脂組成物では、重合物のピークは検出されず、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤(a))と3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(化合物(b))のピークが検出された。
以上の結果から、化合物(b)を含有することによって、シランカップリング剤(a)の加水分解が抑制されることがわかる。
[硬化物の接着性]
作製後の比較例1及び比較例2の樹脂組成物と、保存後の実施例1及び比較例1の樹脂組成物を用いて以下の方法により硬化物を作製し、接着性を評価した。
(硬化物の作製)
樹脂組成物を、ノードソンEFD製ジェットディスペンサE4を用いてガラス基板上に塗布し、紫外線を照射し(積算光量:300mJ/cm)、膜厚0.18mm、幅1.0~1.4mmの硬化物を作製した。
(剥離強度の測定)
接着性は、90度剥離試験により評価した。剥離強度は、株式会社島津製作所製オートグラフEZ-Sを使用し、試験速度50mm/min、データ処理範囲20~40mmにて測定した。
(評価結果)
作製後の樹脂組成物を用いて作製した硬化物の剥離強度は、比較例1が225N/mであり、比較例2が67N/mであった。シランカップリング剤(a)を含有する樹脂組成物は、シランカップリング剤(a)を含有しない樹脂組成物に比べ、剥離強度が約3.4倍に向上した。
保存後の樹脂組成物を用いて作製した硬化物の剥離強度は、実施例1が135N/mであり、比較例1が39N/mであった。シランカップリング剤(a)と化合物(b)とを含有する樹脂組成物は、シランカップリング剤(a)を含有し、化合物(b)を含有しない樹脂組成物に比べ、剥離強度が約3.5倍に向上した。
シランカップリング剤(a)を含有し、化合物(b)を含有しない樹脂組成物は、作製直後には接着強度が向上するものの、経時により接着強度が低下し、保存安定性が不十分であることがわかる。これに対し、シランカップリング剤(a)と化合物(b)とを含有する樹脂組成物は、経時後にも接着強度の向上効果が得られ、保存安定性に優れていることがわかる。
[電子部品の信頼性]
作製後の比較例1及び比較例2の樹脂組成物と、保存後の実施例1及び比較例1の樹脂組成物を用い、以下の方法により配線板上の電極を保護するための保護膜を形成し、加速劣化後の電極を観察し、腐食の有無を評価した。(保護膜の形成)
ITOクシ型電極基板(L/S=35μm/15μm、15mm×130mm×0.7mm、コーニング社製コーニングE-XG 0.7t)を用意した。図2に、ITOクシ型電極基板の模式図を示す。樹脂組成物を、ITOクシ型電極基板上に塗布し、パナソニック株式会社製UD40 Curing Systemを用いて紫外線(光源:LED365nm、積算光量:300mJ/cm)を照射して樹脂組成物を硬化させ、膜厚50μmの保護膜を形成した。
(通電後の電極の観察)
ITOクシ型電極基板に形成した保護膜上に、洗浄剤を入れたチップを接着剤で接着することで、保護膜内部に洗浄剤が浸漬する試験片を作製した。図3に、試験片の模式外観図、模式俯瞰図、及び模式断面図を示す。Espec製SH-661を使用し、室温で168時間にわたり、試験片にDC10Vで通電を行った。通電後の電極を目視で観察した。
(評価結果)
作製後の樹脂組成物を用いて作製した保護膜を設けた電極は、比較例1では通電後に腐食が抑制されていたが、比較例2では通電後に電極が全体的に腐食していた。シランカップリング剤(a)を含有する樹脂組成物を用いることにより、基板の信頼性を向上させることができた。
保存後の樹脂組成物を用いて作製した保護膜を設けた電極は、実施例1では通電後に腐食が抑制されていたが、比較例1では通電後に電極が全体的に腐食していた。シランカップリング剤(a)と化合物(b)とを含有する樹脂組成物を用いることにより、樹脂組成物を保存した後であっても基板の信頼性を向上させることができた。
シランカップリング剤(a)を含有し、化合物(b)を含有しない樹脂組成物は、作製直後には電子部品の信頼性を向上させることができるものの、経時により信頼性向上の効果が得られなくなり、保存安定性が不十分であることがわかる。これに対し、シランカップリング剤(a)と化合物(b)とを含有する樹脂組成物は、経時後にも電子部品の信頼性向上の効果が得られ、保存安定性に優れていることがわかる。

Claims (12)

  1. 樹脂、アルコキシシリル基(A)を有するシランカップリング剤、及び加水分解性基(B)を有する化合物を含有し、
    前記アルコキシシリル基(A)が水と反応するときのGibbs自由エネルギー変化ΔGaと、前記加水分解性基(B)が水と反応するときのGibbs自由エネルギー変化ΔGbとが、ΔGa-ΔGb>0kJ/molを満たす、
    樹脂組成物。
  2. 前記シランカップリング剤が、(メタ)アクリロイル基を更に有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記アルコキシシリル基が、トリメトキシシリル基を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記加水分解性基(B)が、イソシアネート基を含む、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記加水分解性基(B)が、アルコキシシリル基を含む、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂が、重合性不飽和基を有する樹脂を含む、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 重合性不飽和基を有する単量体を更に含有する、請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記重合性不飽和基が、(メタ)アクリロイル基を含む、請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 光硬化性樹脂組成物である、請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 塗料である、請求項1~9のいずれかに記載の樹脂組成物。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて得られる、硬化物。
  12. 請求項11に記載の硬化物を有する、電子部品。
JP2021148514A 2021-09-13 2021-09-13 樹脂組成物、硬化物、及び電子部品 Pending JP2023041254A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021148514A JP2023041254A (ja) 2021-09-13 2021-09-13 樹脂組成物、硬化物、及び電子部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021148514A JP2023041254A (ja) 2021-09-13 2021-09-13 樹脂組成物、硬化物、及び電子部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023041254A true JP2023041254A (ja) 2023-03-24

Family

ID=85641529

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021148514A Pending JP2023041254A (ja) 2021-09-13 2021-09-13 樹脂組成物、硬化物、及び電子部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023041254A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5409994B2 (ja) 硬化性組成物
JP2006342222A (ja) 光硬化性樹脂組成物
TWI845582B (zh) 濕氣硬化型熱熔接著劑及其製造方法
JP2015091975A (ja) 実装回路板用光硬化性防湿絶縁塗料および電子部品
JP6156607B1 (ja) 光硬化性粘着剤を用いる接着方法
JP2008291114A (ja) 光硬化性樹脂組成物、実装回路板用の光硬化性防湿絶縁塗料、電子部品及びその製造方法
KR20190035597A (ko) 접착제 조성물, 경화체, 전자 부품 및 조립 부품
JP2011202070A (ja) 硬化性樹脂組成物及びその硬化物
WO2019073978A1 (ja) 接着方法、及び光硬化性粘着剤組成物
KR20170017862A (ko) 광 습기 경화형 수지 조성물, 전자 부품용 접착제 및 표시 소자용 접착제
JP7266881B2 (ja) 光硬化性および熱硬化性を有する樹脂組成物およびその硬化物、接着剤、半導体装置、ならびに電子部品
JP2015193820A (ja) 硬化性樹脂組成物及び基板端部保護剤
WO2019073979A1 (ja) 光硬化性粘着剤組成物、及び接着方法
JP2023041254A (ja) 樹脂組成物、硬化物、及び電子部品
JP2018030989A (ja) 光硬化性組成物、硬化組成物含有製品、貼り合せ方法、及び製品の製造方法
JP2015010113A (ja) 防湿絶縁塗料、該塗料を用いた封止絶縁処理方法、および電子部品
JP2011026492A (ja) 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびその硬化物
JP7485928B2 (ja) 湿気硬化性樹脂組成物および硬化物
JPWO2019073980A1 (ja) 光硬化性粘着剤組成物、及び接着方法
TW201905016A (zh) 聚合性樹脂組合物和其固化物
TW202200745A (zh) 濕氣硬化型熱熔接著劑
KR20180089280A (ko) 광/습기 경화형 수지 조성물, 전자 부품용 접착제, 및, 표시 소자용 접착제
JP6259657B2 (ja) 液晶表示素子用シール剤
JP7249645B2 (ja) 封止用組成物
JP7187725B1 (ja) 硬化性組成物および電気部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240801