JP2023040958A - 発泡体シート - Google Patents

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晶啓 浜田
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昌也 石田
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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れ、かつ筐体などの被着体に対して十分な接着面積を担保できる実使用上の高い柔軟性を備える発泡体シートを提供することを課題とする。【解決手段】損失正接(tanδ)のピーク値が0.25以上であり、発泡体シートを積層して測定した25%圧縮強度を25%圧縮強度Aと、単層で測定した25%圧縮強度を25%圧縮強度Bとした場合に、下記式で求められる圧縮強度変化率が70%以下である、発泡体シート。圧縮強度変化率(%)=[(25%圧縮強度B-25%圧縮強度A)/25%圧縮強度A]×100【選択図】なし

Description

本発明は、発泡体シートに関し、例えば、表示装置用クッション材などに使用される発泡体シートに関する。
ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯電子機器において、表示装置は、破損や故障の防止のために、背面側にクッション材が配置されることがある。クッション材は、高い柔軟性が求められており、従来、発泡体シートが広く使用されている。また、クッション材は、発泡体シートに粘着層などを設け、かつ筐体と表示パネルの間に例えば枠状に配置されることで、筐体と表示装置を接着させるフォームテープとして使用されることがある。
近年、電子機器の高機能化が進むと共に、その筐体も大型化が進んでいる。また、電子機器は、持ち歩きながら使用するスマートフォンやタブレットなどのように、落下させてしまうリスクが高まっており、表示パネルと筐体間での破壊リスクも高まっている。そのため、破壊が起きにくいパネルと筐体間の固定方法が探索されており、例えばフォームテープに使用される発泡体シートに高い耐衝撃性が求められている。耐衝撃性の高い発泡体としては、従来アクリルフォームが提案されている(特許文献1参照)。
特表2012-519750号
スマートフォンなどの電子機器は、画面サイズの大型化やデザイン性の向上に伴い、表示パネルと、筐体の接着面積が小さくなってきている。例えば、筐体の外寸法はそのままで画面サイズが大きくなったり、筐体側面に曲面を設けたりすることで、クッション材として上記したフォームテープを使用する場合、フォームテープの幅が狭まって接着面積も少なくなるため、接着力不足が問題となる場合が多い。
そこで、本発明は、耐衝撃性に優れ、かつ筐体などの被着体に対して十分な接着面積を担保できる実使用上の高い柔軟性を備える発泡体シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、損失正接(tanδ)のピーク値が一定以上であり、かつ積層して測定した25%圧縮強度と、単層で測定した25%圧縮強度とから求められる圧縮強度変化率が一定以下である発泡体シートにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の[1]~[12]である。
[1]損失正接(tanδ)のピーク値が0.25以上であり、発泡体シートを積層して測定した25%圧縮強度を25%圧縮強度Aと、単層で測定した25%圧縮強度を25%圧縮強度Bとした場合に、下記式で求められる圧縮強度変化率が70%以下である、発泡体シート。
圧縮強度変化率(%)=[(25%圧縮強度B-25%圧縮強度A)/25%圧縮強度A]×100
[2]前記圧縮強度A及び圧縮強度Bがそれぞれ1000kPa以下である上記[1]に記載の発泡体シート。
[3]発泡体シートに含まれる気泡がシェル構造を有さない上記[1]又は[2]に記載の発泡体シート。
[4]独立気泡率が80%以上である上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の発泡体シート。
[5]損失正接(tanδ)のピーク値が-60~20℃の温度範囲に少なくとも1つ存在する上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の発泡体シート。
[6]厚みが0.03~1mmである上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の発泡体シート。
[7]貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の発泡体シート。
[8]破断点強度が2.0N/10mm以上である上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の発泡体シート。
[9]平均気泡径が20~400μmである上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の発泡体シート。
[10]エラストマー(A)及びポリオレフィン樹脂(B)を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比が90:10~30:70である上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の発泡体シート。
[11]ゲル分率が30~80質量%である上記[1]~[10]のいずれか1項に記載の発泡体シート。
[12]上記[1]~[11]のいずれか1項に記載の発泡体シートと、該発泡体シートの少なくとも一方の面に設けられる粘着材とを備える、粘着テープ。
本発明によれば、耐衝撃性に優れ、かつ高い柔軟性を備える発泡体シートを提供すること提供することができる。
スマートフォンの画面、筐体及びフォームテープを示す概念図である。
本発明の発泡体シートは、損失正接(tanδ)のピーク値が0.25以上であり、発泡体シートを積層して測定した25%圧縮強度を25%圧縮強度Aと、単層で測定した25%圧縮強度を25%圧縮強度Bとした場合に、下記式で求められる圧縮強度変化率が70%以下である。
圧縮強度変化率(%)=[(25%圧縮強度B-25%圧縮強度A)/25%圧縮強度A]×100
[損失正接]
本発明の発泡体シートは、損失正接(tanδ)のピーク値が0.25以上である。tanδは、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の比(G’’/G’)であり、材料が変形する際に材料がどのくらいエネルギーを吸収するか(熱に変わるか)を示す。損失正接(tanδ)のピーク値が0.25未満であると、発泡体シートの耐衝撃性が低下する。耐衝撃性を高める観点から、発泡体シートの損失正接(tanδ)のピーク値は0.40以上であることが好ましく、0.50以上であることがより好ましい。なお、発泡体シートの損失正接(tanδ)は、耐衝撃性向上の観点から大きい値ほど好ましく、上限値は限定されないが、実用的には損失正接(tanδ)のピーク値は例えば6以下であり、4以下であってもよい。
損失正接(tanδ)のピークが複数確認される場合は、そのうちの少なくとも1つのピーク値が上記範囲であればよい。
損失正接(tanδ)のピーク値は、-60~20℃の温度範囲に少なくとも1つ存在することが好ましく、-55~15℃の温度範囲に少なくとも1つ存在することがより好ましく、-50~10℃の温度範囲に少なくとも1つ存在することがさらに好ましい。
損失正接(tanδ)のピーク値は、上記した特定温度範囲以外の温度範囲にも存在してもよいが、上記した特定温度範囲にのみ存在することが好ましい。
なお、本明細書において、損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度(ピークトップ温度)をガラス転移温度(Tg)ともいう。
損失正接(tanδ)のピーク値は、発泡体シートを構成する樹脂の種類及び量、並びに発泡体シートの製造条件などにより調整することができる。
損失正接(tanδ)のピーク値は、測定周波数10Hzでの動的粘弾性測定により測定され、詳細は実施例に記載の方法で測定される。
[25%圧縮強度]
本発明の発泡体シートは、積層して測定した25%圧縮強度を25%圧縮強度Aと、単層で測定した25%圧縮強度を25%圧縮強度Bとした場合に、下記式で求められる圧縮強度変化率が70%以下である。
圧縮強度変化率(%)=[(25%圧縮強度B-25%圧縮強度A)/25%圧縮強度A]×100
上記圧縮強度変化率が70%超であると、発泡体シートの実使用上の柔軟性が低下する。発泡体シートの実使用上の柔軟性を向上させる観点から、上記圧縮強度変化率は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下であり、そして好ましくは-20%以上である。
上記25%圧縮強度Aは、JIS K6767に準拠して測定され、発泡体シートを厚さが10mm以上となるまで積層して測定する。一方、上記25%圧縮強度Bは、発泡体シートを積層しないで単層で測定し、それ以外はJIS K6767に準拠して測定される。また、25%圧縮強度A及び25%圧縮強度Bは23℃で測定された値とする。
25%圧縮強度は、JIS K6767には、発泡体シートの厚みが薄い場合は、厚みが10mm以上になるように積層して測定する旨記載されている。一方で、実使用の場合は、発泡体シートを積層せずに単層で使用する場合が多い。また、発泡体シートの構造にも依存するが、一般には単層の方が、25%圧縮強度が高くなる傾向がある。そのため、実使用上の柔軟性を確保する観点から、単層の状態と積層の状態とで25%圧縮強度の差を小さくする必要があり、そのため圧縮強度変化率を上記範囲に調整している。
圧縮強度A及び圧縮強度Bはそれぞれ1000kPa以下であることが好ましい。圧縮強度を1000kPa以下とすることで、柔軟性が向上することにより追従性に優れ、テープ基材等として使用する場合に、接着時の接着力が向上する。以上の観点から、25%圧縮強度A及び圧縮強度Bは、それぞれ600kPa以下がより好ましく、500kPa以下がさらに好ましい。
下限値については、特に制限はないが、通常10kPa程度であり、20kPa以上であることが好ましい。
[独立気泡率]
本発明の発泡体シートは、独立気泡率が80%以上であることが好ましい。独立気泡率が80%以上であることで、圧縮強度変化率を上記した所望の範囲に調整しやすくなり、発泡体シートの柔軟性を良好にすることができる。また、独立気泡率が80%以上であることで、耐衝撃性が担保できる。以上の観点から、発泡体シートの独立気泡率は、90%以上であることがさらに好ましい。独立気泡率は、高ければ高いほどよく、100%以下であればよい。
なお、独立気泡率は、実施例に記載の方法により測定した。
[平均気泡径]
本発明の発泡体シートは、平均気泡径が20~400μmであることが好ましい。平均気泡径が上記範囲であると、耐衝撃性が良好となる。耐衝撃性をより良好にする観点から、発泡体シートの平均気泡径は30~300μmであることがより好ましく、30~200μmであることがさらに好ましく、30~150μmであることがさらに好ましい。平均気泡径が、これら上限値以下と小さい場合は、発泡体シートを細幅とした場合であっても、耐衝撃性を優れたものとすることができる。
なお、本発明における平均気泡径は、機械方向(MD:Machine Direction)の気泡径の平均値と、MDに垂直な方向(TD:Transverse Direction)の気泡径の平均値のうち、大きい方の値である。
また、平均気泡径の測定は、実施例に記載の方法により行った。
発泡体シートに含まれる気泡はシェル構造を有さないことが好ましい。気泡がシェル構造を有さないことで、発泡体シートの圧縮強度変化率を上記した所望の範囲に調整しやすくなる。ここで、気泡がシェル構造を有するとは、気泡が外殻に内包されて存在することを意味する。シェル構造は、発泡体シートの製造過程において、発泡剤として中空粒子や熱膨張性マイクロカプセルなどを使用した場合に形成される。なお、熱膨張性マイクロカプセルとは、外殻樹脂の内部に低沸点溶剤等の揮発性物質が内包されたものである。これに対して、後述するように発泡剤として、アゾジカルボンアミドなどの熱分解型発泡剤を用いると、発泡体シートに含まれる気泡はシェル構造を有さない気泡となる。
[破断点強度]
本発明の発泡体シートの破断点強度は、2.0N/10mm以上であることが好ましい。破断点強度が2.0N/10mm以上であると、良好な耐衝撃性が得られる。以上の観点から、破断点強度は、2.5N/10mm以上であることがより好ましく、4.0N/10mm以上であることがさらに好ましい。
破断点強度の上限値については、特に制限はないが、通常50N/10mm程度であり、40N/10mm以下が好ましい。
なお、破断点強度は23℃における破断点強度であり、実施例に記載の方法により測定した値である。
[貯蔵弾性率]
本発明の発泡体シートは、貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上であることが好ましい。貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上であることで、耐衝撃性を向上させることができる。以上の観点から、貯蔵弾性率は、1.0×10Pa以上であることが好ましく、1.0×10Pa以上であることがさらに好ましい。
破断点強度は、上限値については特に制限はないが、通常1.0×1012Pa以下程度であり、柔軟性の観点から1.0×1010Pa以下であることが好ましい。
なお、貯蔵弾性率は、23℃における貯蔵弾性率であり、実施例に記載の方法により測定した値である。
(見掛け密度)
本発明の発泡体シートの見掛け密度は、0.05~0.70g/cmであることが好ましく、0.08~0.65g/cmであることがより好ましく、0.12~0.60g/cmであることがさらに好ましい。
見掛け密度を上記範囲内とすると、発泡体シートの柔軟性、クッション性などを良好にしやすくなる。また、発泡体シートに一定の機械強度を付与し、耐衝撃性なども良好にしやすくなる。
[架橋度(ゲル分率)]
本発明の発泡体シートは、架橋されることが好ましく、架橋度(ゲル分率)が30~80質量%であることが好ましい。架橋度を当該範囲内とすることで、発泡体シートにおいて、一定の柔軟性、クッション性を確保しつつ、耐衝撃性が良好となりやすくなる。以上の観点から、ゲル分率は35~80質量%であることがより好ましく、40~70質量%であることがさらに好ましい。
なお、ゲル分率の測定方法は、実施例に記載の方法により測定した値である。
[厚み]
本発明の発泡体シートの厚みは、0.03~1.0mmであることが好ましい。厚みを0.03mm以上とすると、発泡体シートのクッション性などの確保が容易になり、さらに耐衝撃性も向上する。また、厚みを1.0mm以下とすると、薄型化が可能になり、スマートフォン、タブレットなどの薄型電子機器に好適に使用できる。
これらの観点から、発泡体シートの厚みは、0.05~1.0mmであることがより好ましく、0.1~0.7mmであることがさらに好ましい。
なお、厚みはダイヤルゲージにより測定される。
本発明の発泡体シートは樹脂を含む発泡体であり、発泡体の種類は特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系発泡体、ポリウレタン系発泡体、アクリル系発泡体などが挙げられ、これらの中でも、耐衝撃性及び柔軟性を向上させる観点から、ポリオレフィン系発泡体が好ましい。中でもポリオレフィン系発泡体は、エラストマー(A)及びポリオレフィン樹脂(B)を含有することが好ましい。
上記したように、本発明の発泡体シートは、エラストマー(A)及びポリオレフィン樹脂(B)を含有することが好ましい。エラストマー及びポリオレフィン樹脂を使用することで、発泡性等を良好にしつつ、柔軟性及び耐衝撃性等が確保しやすくなる。
[エラストマー(A)]
エラストマー(A)としては、熱可塑性エラストマー、エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。エラストマー(A)は、これら成分を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムが好ましく、スチレン系熱可塑性エラストマー、エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムがより好ましく、スチレン系熱可塑性エラストマーがさらに好ましい。
(オレフィン系熱可塑性エラストマー)
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、一般的には、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンをハードセグメントとし、ブチルゴム、ハロブチルゴム、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)、EPM(エチレン-プロピレンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、天然ゴム等のゴム成分をソフトセグメントとするものである。オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)としては、ブレンド型、動的架橋型、重合型のいずれも使用可能である。
ゴム成分の好適な具体例としては、上述のEPM、EPDMが挙げられ、EPDMが特に好ましい。なお、EPDMとしては、エチレン-プロピレン-5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエン共重合ゴムが挙げられ、これらの中でも、エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエン共重合ゴムが好ましい。
また、オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ブロックコポリマータイプも挙げられる。ブロックコポリマータイプとしては、結晶性ブロックと、ソフトセグメントブロックとを有するものが挙げられ、より具体的には、結晶性オレフィンブロック-エチレン・ブチレン共重合体-結晶性オレフィンブロックコポリマー(CEBC)が例示される。CEBCにおいて、結晶性オレフィンブロックは、結晶性エチレンブロックであることが好ましく、そのようなCEBCの市販品としては、JSR株式会社製の「DYNARON 6200P」等が挙げられる。
(スチレン系熱可塑性エラストマー)
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレンの重合体又は共重合体ブロックと、共役ジエン化合物の重合体又は共重合体ブロックとを有するブロックコポリマーなどが挙げられる。共役ジエン化合物としては、イソプレン、ブタジエンなどが挙げられる。
本発明に用いるスチレン系熱可塑性エラストマーは、水素添加していてもよいし、していなくてもよいが、水素添加することが好ましい。水素添加する場合、水素添加は公知の方法で行うことができる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、通常ブロック共重合体であり、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SI)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン/エチレン/プロピレン―スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレン-エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン-エチレン/ブチレン-結晶性オレフィンブロック共重合体(SEBC)などが挙げられる。上記したスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ブロック共重合体が好ましく、中でもSIS、SEBS、SEPS、SEEPS、SEBCがより好ましく、SEEPS、SEBSがさらに好ましい。
なお、SISとしては、株式会社クラレ製、商品名「ハイブラー(登録商標)5125」(スチレン含有量20質量%、Tg=-13℃)が挙げられ、また、SEPSの市販品としては、株式会社クラレ製、商品名「ハイブラー(登録商標)7125F」(スチレン含有量20質量%、Tg=-15℃)が挙げられる。SEEPSの市販品としては、株式会社クラレ製、商品名「ハイブラー(登録商標)7311F」(スチレン含有量12質量%、Tg=-32℃)が挙げられる。
また、SEBSの市販品としては、旭化成株式会社製のタフテック(登録商標)シリーズ、クレイトン社製MD6951(スチレン含量34質量%、Tg=9℃)が挙げられる。
本発明に係るスチレン系熱可塑性エラストマーは、動的粘弾性測定によるtanδの最大ピーク温度が-60~25℃であるものが好ましい。このようにtanδの最大ピーク温度が比較的低温となると、衝撃破壊のような高速変形領域の熱損失が大きくなり、発泡シートの破壊強度が向上しやすくなる。スチレン系熱可塑性エラストマーのtanδの最大ピーク温度は、-35~10℃であることがより好ましく、-35~0℃であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、「tanδの最大ピーク温度」とは、動的粘弾性測定装置により、引張りモード、昇温速度10℃/分、周波数10Hzで測定した値のことを指す。測定に使用することができる動的粘弾性測定装置としては、(株)オリエンテック製「レオバイブロンDDV-III」等が挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン由来の構成単位を有することで、発泡シートの耐衝撃性を良好にすることが可能になる。スチレン系熱可塑性エラストマーにおけるスチレン含有量は、5~50質量%であることが好ましい。スチレン含有量を当該範囲とすることで、優れた耐衝撃性が得られる。また、上記上限値以下とすることで、後に詳述するポリオレフィン樹脂(B)との相溶性が良好になり、架橋性及び発泡性が良好になりやすくなる。これらの観点から、スチレン系熱可塑性エラストマー中のスチレン含有量は、7~40質量%がより好ましく、7~30質量%がさらに好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は特に限定されないが、破壊強度、及び加工性の観点から30,000~800,000が好ましく、120,000~180,000がより好ましい。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されたポチスチレン換算値である。
[エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム]
エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムに使用されるα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、2-メチルプロピレン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等の炭素数3~15、好ましくは炭素数3~10のα-オレフィンの1種又は2種以上が挙げられる。これらの中ではプロピレン及び1-ブテンが好ましく、1-ブテンがより好ましい。
なお、ここで用いるエチレン-α-オレフィン系共重合ゴムは、2種以上のオレフィン系モノマーが実質的にランダムに共重合した非晶質又は低結晶性のゴム状物質である。
エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムは、エチレン単位及びα-オレフィン単位に加え、他のモノマー単位を有していてもよい。
前記他のモノマー単位を形成するモノマーとしては、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等の炭素数4~8の共役ジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ジシクロオクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン等の炭素数5~15の非共役ジエン、酢酸ビニル等のビニルエステル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では炭素数5~15の非共役ジエンが好ましく、入手容易性の観点から、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)がより好ましい。
エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムのエチレン単位の含有量は、通常30~85質量%、好ましくは40~80質量%、より好ましくは45~75質量%であり、プロピレン等の炭素数3~15、好ましくは3~10のα-オレフィン単位の含有量は、通常10~60質量%、好ましくは15~50質量である。エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムの非共役ジエン等のその他の単量体単位の含有量は、通常0~20質量%、好ましくは1~10質量%である。
エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムとしては、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)や、EBDM(エチレン-ブテン-1-ジエンゴム)等の三元共重合体が好ましい。エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムとしては、三井化学株式会社製の「EBT K-9330」などが挙げられる。
[ポリオレフィン樹脂(B)]
ポリオレフィン樹脂は、熱可塑性樹脂であり、その具体例としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの中ではポリエチレン樹脂が好ましい。
また、ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましく、さらには直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)がより好ましい。
さらに、ポリエチレン樹脂としては、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、酸化クロム化合物等の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂が挙げられ、メタロセン触媒で重合されたポリエチレン樹脂が好適に用いられる。
(メタロセン触媒)
メタロセン触媒としては、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造を有するビス(シクロペンタジエニル)金属錯体等の化合物を挙げることができる。より具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、及び白金等の四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物を挙げることができる。
このようなメタロセン触媒は、活性点の性質が均一であり各活性点が同じ活性度を備えている。メタロセン触媒を用いて合成した重合体は、分子量、分子量分布、組成、組成分布等の均一性が高いため、メタロセン触媒を用いて合成した重合体を含むシートを架橋した場合には、架橋が均一に進行する。均一に架橋されたシートは、均一に発泡されるため、物性を安定させやすくなる。また、均一に延伸できるため、発泡体の厚みを均一にできる。
リガンドとしては、例えば、シクロペンタジエニル環、インデニル環等を挙げることができる。これらの環式化合物は、炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素-置換メタロイド基により置換されていてもよい。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種アミル基、各種ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種セチル基、フェニル基等が挙げられる。なお、「各種」とは、n-、sec-、tert-、iso-を含む各種異性体を意味する。
また、環式化合物をオリゴマーとして重合したものをリガンドとして用いてもよい。
さらに、π電子系の不飽和化合物以外にも、塩素や臭素等の一価のアニオンリガンド又は二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、ホスフィド、アリールホスフィド等を用いてもよい。
四価の遷移金属やリガンドを含むメタロセン触媒としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル-t-ブチルアミドジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
メタロセン触媒は、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィンの重合の際に触媒としての作用を発揮する。具体的な共触媒としては、メチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物等が挙げられる。なお、メタロセン触媒に対する共触媒の使用割合は、10~100万モル倍が好ましく、50~5,000モル倍がより好ましい。
また、ポリエチレン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン(例えば、全モノマー量に対して75質量%以上、好ましくは90質量%以上)と必要に応じて少量のα-オレフィンとを共重合することにより得られる直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。α-オレフィンとして、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、及び1-オクテン等が挙げられる。なかでも、炭素数4~10のα-オレフィンが好ましい。
ポリエチレン樹脂、例えば上記した直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、柔軟性の観点から、0.870~0.925g/cmが好ましく、0.890~0.925g/cmがより好ましく、0.910~0.925g/cmが更に好ましい。ポリエチレン樹脂としては、複数のポリエチレン樹脂を用いることもでき、また、上記した密度範囲以外のポリエチレン樹脂を加えてもよい。
ポリオレフィン系樹脂として使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体は、例えば、エチレンを50質量%以上含有するエチレン-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
また、ポリプロピレン樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレンを50質量%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。プロピレン-α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等を挙げることができ、これらの中では、炭素数6~12のα-オレフィンが好ましい。
ポリブテン樹脂としては、例えば、ブテン-1の単独重合体、エチレン又はプロピレンとの共重合体などを挙げることができる。
[エラストマー(A)とポリオレフィン樹脂(B)の質量比]
エラストマー(A)とポリオレフィン樹脂(B)の質量比は、90:10~30:70であることが好ましい。この範囲であると、本発明の効果を奏する発泡体シートの製造が容易にできる。さらに効果の高い発泡体シートが得られるとの観点から、(A)成分と(B)成分の質量比は、85:15~35:65の範囲であることがより好ましく、80:20~40:60がさらに好ましい。
[添加剤]
本発明の発泡体シートは、好ましくは、樹脂と、発泡剤とを含む発泡性組成物を発泡することで得られる。樹脂としては、例えば、上記したエラストマー(A)及びポリオレフィン樹脂(B)が好ましい。発泡剤としては、熱分解型発泡剤が好ましい。
熱分解型発泡剤としては、有機発泡剤、無機発泡剤が使用可能である。有機発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物:N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物:ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体:トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミドがより好ましい。
熱分解型発泡剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡性組成物における発泡剤の配合量は、樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、1.5質量部以上15質量部以下がより好ましく、3質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。発泡剤の配合量を1質量部以上にすることで、発泡性シートは適度に発泡され、適度な柔軟性と衝撃吸収性を発泡体シートに付与することが可能になる。また、発泡剤の配合量を20質量部以下にすることで、発泡体シートが必要以上に発泡することが防止され、発泡体シートの機械強度などを良好にすることができる。
発泡性組成物には、分解温度調整剤が配合されていることが好ましい。分解温度調整剤は、熱分解型発泡剤の分解温度を低くしたり、分解速度を速めるなどの、調節機能を有するものとして配合される。分解温度調整剤としては、例えば亜鉛化合物、窒素原子含有化合物などが挙げられ、中でも平均気泡径を小さくし、耐衝撃性を向上させる観点から、窒素原子含有化合物が好ましい。上記亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。上記窒素原子含有化合物としては、例えば、尿素、アミノ基含有化合物などが挙げられ、中でも平均気泡径を小さくし、耐衝撃性を向上させる観点から、アミノ基含有化合物が好ましい。アミノ基含有化合物としては、芳香族アミノ基含有化合物が好ましく、中でも3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾールが好ましい。
分解温度調整剤の含有量は、樹脂100質量部に対して好ましくは0.01~5質量部であり、より好ましくは0.05~3質量部であり、さらに好ましくは0.1~1質量部である。
発泡性組成物には、酸化防止剤が配合されていてもよい。酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等のフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、例えば樹脂100質量部に対して0.01~5質量部配合される。
発泡性組成物には、これら以外にも、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材等の発泡体に一般的に使用する添加剤が配合されてもよい。
発泡体シートにおいて、エラストマー(A)及びポリオレフィン樹脂(B)が主成分であって、(A)成分と(B)成分の合計含有量は、発泡体シート全量基準で、例えば70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
[発泡体シートの製造方法]
本発明の発泡体シートは、特に制限はないが、少なくとも樹脂および熱分解型発泡剤を含む発泡性組成物からなる発泡性シートを加熱して熱分解型発泡剤を発泡させることで製造できる。また、好ましくは発泡性シートを架橋し、架橋した発泡性シートを加熱して発泡させる。
発泡体シートの製造方法は、より具体的には、以下の工程(1)~(3)を含むことが好ましい。
工程(1):少なくとも樹脂および熱分解型発泡剤を含む発泡性組成物からなる発泡性シートを成形する工程
工程(2):発泡性シートに電離性放射線を照射して発泡性シートを架橋させる工程
工程(3):架橋させた発泡性シートを加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させて、発泡体シートを得る工程
工程(1)において、発泡性シートを成形する方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂及び添加剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機から発泡性組成物をシート状に押出すことによって成形すればよい。また、発泡性シートは、発泡性組成物をプレスなどすることにより成形してもよい。発泡性シートの成形温度(すなわち、押出し時の温度、又はプレス時の温度)は、50℃以上250℃以下が好ましく、80℃以上180℃以下がより好ましい。
工程(2)において発泡性組成物を架橋する方法としては、発泡性シートに電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法を用いる。上記電離放射線の照射量は、得られる発泡体シートの架橋度が上記した所望の範囲となるように調整すればよいが、1~12Mradであることが好ましく、1.5~10Mradであることがより好ましい。
工程(3)において、発泡性シートを加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させるときの加熱温度は、熱分解型発泡剤の発泡温度以上であればよいが、好ましくは200~300℃、より好ましくは220~280℃である。工程(3)においては、発泡性組成物は発泡されて気泡が形成されて発泡体シートとなる。
また、本製造方法において、発泡体シートは、圧延や延伸などの方法により、薄厚化してもよい。
ただし、本製造方法は、上記に限定されずに、上記以外の方法により、発泡体シートを得てもよい。例えば、電離性放射線を照射する代わりに、発泡性組成物に予め有機過酸化物を配合しておき、発泡性シートを加熱して有機過酸化物を分解させる方法等により架橋を行ってもよい。
また、架橋が必要ではない場合には、工程(2)が省略されてもよく、その場合、工程(3)では、未架橋の発泡性シートを加熱して発泡させるとよい。
[粘着テープ]
本発明の発泡体シートは、発泡体シートを基材とする粘着テープに使用してもよい。粘着テープ(フォームテープともいう)は、例えば、発泡体シートと、発泡体シートの少なくともいずれか一方の面に設けた粘着材とを備えるものである。粘着テープは、粘着材を介して支持部材などの他の部材に接着することが可能になる。粘着テープは、発泡体シートの両面に粘着材を設けたものでもよいし、片面に粘着材を設けたものでもよい。
また、粘着材は、少なくとも粘着剤層を備えるものであればよく、発泡体シートの表面に積層された粘着剤層単体であってもよいし、発泡体シートの表面に貼付された両面粘着シートであってもよいが、粘着剤層単体であることが好ましい。なお、両面粘着シートは、基材と、基材の両面に設けられた粘着剤層とを備えるものである。両面粘着シートは、一方の粘着剤層を発泡体シートに接着させるとともに、他方の粘着剤層を他の部材に接着させるために使用する。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を用いることができる。また、粘着材の上には、さらに離型紙等の剥離シートが貼り合わされてもよい。
粘着剤層の厚みは、5~200μmであることが好ましく、より好ましくは7~150μmであり、更に好ましくは10~100μmである。
[発泡体シートの用途]
発泡体シートの用途は、特に限定されないが、電子機器用途で使用することが好ましい。電子機器としては、スマートフォン等の携帯電話、ゲーム機器、電子手帳、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピューターなどの携帯電子機器が挙げられる。発泡体シートは、電子機器内部において、緩衝材として使用可能であり、好ましくは表示装置用クッション材として使用される。また、電子機器内部において、部品間の隙間などを埋めるシール材として使用されてもよい。
発泡体シートは、いかなる形状で使用されてもよいが、細幅であることが好ましく、細長矩形状、四角枠などの枠状、L字状、コの字状等とするとよい。これらの幅としては、例えば、5mm以下、好ましくは3mm以下、より好ましくは1mm以下であり、また、例えば0.1mm以上である。
表示装置用クッション材として使用される発泡体シートは、例えば、各種電子機器に設けられるディスプレイパネルの背面側に配置され、ディスプレイパネルに作用される衝撃を緩衝するように使用されるとよい。この場合、発泡体シートは、ディスプレイパネルの背面側に配置される支持部材上に配置されるとよい。支持部材は、例えば、各種電子装置の筺体等の一部を構成するものである。
電子機器に使用される発泡体シートは、上記したように粘着材が設けられたものであってもよく、粘着材によってディスプレイパネル、支持部材などに貼り合わされるとよい。
表示装置用クッション材としての枠状の発泡体シートが、粘着テープにされてスマートフォンに適用された例を図1に示す。図1に示すとおり、四角枠状の粘着テープ2は、例えば、スマートフォンの表示パネル1と筐体3の四角枠状の支持部材の間に配置され、これにより、表示パネル1が、粘着テープ2を介して筐体3に接着される。ただし、図1は、表示装置用クッション材の一例であり、この構成に特に限定されない。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各物性の測定方法、及び発泡体シートの評価方法は以下のとおりである。
(1)ガラス転移温度(Tg)、損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率
アィティー計測制御株式会社製、商品名「DVA-200/L2」の引張貯蔵弾性率測定装置を用いて、以下の測定条件により、Tg、tanδのピーク値及び貯蔵弾性率を求めた。なお、表1にはTgとして、tanδの値の最大値を示す温度を記載した。
(測定条件)
標線間長さ:2.5cm
サンプル幅:0.5cm
サンプル厚み:発泡体シートの厚み
変形モード:引張
静/動応力比:1.5
設定歪:1.0%
設定昇温速度:10℃/min
測定周波数10Hz
温度範囲:-150℃~100℃
(2)25%圧縮強度
発泡体シートを積層して測定する25%圧縮強度Aは、JIS K6767に準拠して測定した。すなわち、発泡体シートの厚みが10mm以上となるまで積層して25%圧縮強度を測定した。
発泡体シートを単層で測定する25%圧縮強度Bは、単層で測定する、測定サンプルのサイズを30mm角に調整する点以外はJIS K6767に準拠して測定した。なお、発泡体シートを単層で測定する場合は、事前に測定サンプルなしの状態での応力-歪み曲線を得て、その結果により応力に対する測定装置自体の歪みの影響を確認した。そして、発泡体シートを単層で測定する際に、応力に対する測定装置自体の歪みの影響を差し引いて、25%圧縮強度Bを求めた。
25%圧縮強度A及びBは、測定温度23℃で測定した。
(3)破断点強度
各実施例及び比較例にて作製した発泡体シートを、JIS K6251 4.1に規定されるダンベル状1号形にカットした。これを試料として用い、引張試験機(製品名:テンシロンRTF235、エー・アンド・デイ社製)により、測定温度23℃で、速度500mm/minにて引張を実施し、測定した。
(4)見掛け密度及び発泡倍率
発泡体シートについて、JIS K 7222に準拠して見掛け密度を測定し、その逆数を発泡倍率とした。
(5)架橋度(ゲル分率)
発泡体シートから約100mgの試験片を採取し、試験片の質量A(mg)を精秤した。次に、この試験片を115℃のキシレン30cm3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の質量B(mg)を精秤した。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出した。
ゲル分率(質量%)=100×(B/A)
(6)独立気泡率
発泡体シートから一辺が5cmの平面正方形状の試験片を切り出した。そして、試験片の厚みを測定して試験片の見掛け体積V1を算出すると共に、試験片の質量W1を測定する。次に、気泡の占める体積V2を下記式に基づいて算出した。なお、試験片の密度をρ(g/cm)とする。
気泡の占める体積V2=V1-W1/ρ
続いて、試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加えた。しかる後、試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去して試験片の質量W2を測定し、下記式に基づいて独立気泡率F1を算出した。
独立気泡率F1(%)=100-100×(W2-W1)/V2
(7)平均気泡径
発泡体シートをMD及びTDそれぞれに沿って厚み方向に切断して、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、製品名「VHX-900」)を用いて200倍の拡大写真を撮影した。撮影した拡大写真において、MD、TDそれぞれにおける長さ2mm分の切断面に存在する全ての気泡についてMDの気泡径、及びTDの気泡径を測定し、その操作を5回繰り返した。そして、全ての気泡のMD、TDそれぞれの気泡径の平均値をMD、TDの平均気泡径とした。そして、MDの平均気泡径とTDの平均気泡径のうち、大きい方の値を平均気泡径とした。
なお、MDは、Machine directionを意味し、押出方向等と一致する方向である。TDは、Transverse directionを意味し、MDに直交しかつ発泡体シートに平行な方向である。
[評価]
(8)耐衝撃性試験(タンブリング試験)
各実施例及び比較例にて製造した発泡体シートを、縦0.15cm×横7cmの大きさで2枚切り出して試験片を作製した(厚み:表1に記載)。該試験片2枚を5cm間隔で配置し、2枚のアクリル製の板(縦:9.5cm、横7cm)を縦方向に1.5cmずらす形で挟み、接着剤にて固定し、タンブリング用の試験片とした。
市販の一斗缶(天板、地板の一片の長さ:約24cm、高さ:約35cm)に、上記タンブリング用の試験片を入れ、500回転させることで、1000回の連続落下を行った。その後、試験片を取り出して、発泡体シートの層間での破壊を目視にて観察した。評価基準は以下の通りである。
〇:発泡体シートの層間で破壊は見られなかった。
×:発泡体シートの層間で破壊が見られた。
(9)剥離試験
各実施例及び比較例にて製造した発泡体シートの一方の面にアクリルテープ(アクリル系粘着剤からなる厚み50μmの単層の粘着テープ)を貼り付けた。次いで、1.5mm×60mmにカットして、粘着テープを作製した。該粘着テープを材質がSUSの金属板に100Nで10秒間接着させた。接着後、剥離させた際に、容易に剥離できるものを「×」、剥離が困難なものを「〇」と評価した。
実施例及び比較例で使用した材料は以下の通りである。
エラストマー(A):ハイブラー(登録商標)7311F(株式会社クラレ製、水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン含有量12質量%)
エラストマー(A):K-9330M(三井化学株式会社製、エチレン/ブテン/非共役ジエン3元共重合体(EBDM))
エラストマー(A):MD6951(クレイトン社製、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS))
ポリオレフィン樹脂(B):カーネル(登録商標)KF283(日本ポリエチレン株式会社製、メタロセン触媒で重合されたエチレン/α-オレフィン共重合体(LLDPE))
熱分解型発泡剤:アゾジカルボンアミド
分解温度調整剤:3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4トリアゾール、(株)ADEKA製、商品名「アデカスタブ CDA-1」
分解温度調整剤:ステアリン酸亜鉛、大日化学工業株式会社製「ダイワックスZF SALD-2000A」
フェノール系酸化防止剤:2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール
[実施例1]
表1に記載のエラストマー(A)80質量部、ポリオレフィン樹脂(B)20質量部と、熱分解型発泡剤5質量部と、分解温度調整剤0.4質量部と、フェノール系酸化防止剤0.5質量部とを原料として用意した。これらの材料を溶融混練後、プレスすることにより厚み0.1mmの発泡性シートを得た。得られた発泡性シートの両面に加速電圧500keVにて電子線を8Mrad照射させて、発泡性シートを架橋させた。次に、架橋した発泡性シートを250℃に加熱することによって発泡させ、密度0.56g/cm、厚み0.10mmの発泡体シートを得た。
なお、得られた発泡体シートの断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、気泡はシェル構造を有していなかった。
[実施例2~13、比較例1~2]
配合及び製造条件を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして発泡体シートを得た。
なお、得られた各発泡体シートの断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、気泡はシェル構造を有していなかった。
Figure 2023040958000001
本発明の要件を満足する発泡体シートは、耐衝撃性試験の結果が良好であり、耐衝撃性に優れていた。また剥離試験の結果も良好であることから柔軟性にも優れていた。
一方、比較例の発泡体シートは、tanδのピーク値が0.25未満であるため、実施例と比較して耐衝撃性に劣るものであった。
1 表示パネル
2 粘着テープ
3 筐体

Claims (12)

  1. 損失正接(tanδ)のピーク値が0.25以上であり、発泡体シートを積層して測定した25%圧縮強度を25%圧縮強度Aと、単層で測定した25%圧縮強度を25%圧縮強度Bとした場合に、下記式で求められる圧縮強度変化率が70%以下である、発泡体シート。
    圧縮強度変化率(%)=[(25%圧縮強度B-25%圧縮強度A)/25%圧縮強度A]×100
  2. 前記25%圧縮強度A及び25%圧縮強度Bがそれぞれ1000kPa以下である請求項1に記載の発泡体シート。
  3. 発泡体シートに含まれる気泡がシェル構造を有さない請求項1又は2に記載の発泡体シート。
  4. 独立気泡率が80%以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡体シート。
  5. 損失正接(tanδ)のピーク値が-60~20℃の温度範囲に少なくとも1つ存在する請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡体シート。
  6. 厚みが0.03~1mmである請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡体シート。
  7. 貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上である請求項1~6のいずれか1項に記載の発泡体シート。
  8. 破断点強度が2.0N/10mm以上である請求項1~7のいずれか1項に記載の発泡体シート。
  9. 平均気泡径が20~400μmである請求項1~8のいずれか1項に記載の発泡体シート。
  10. エラストマー(A)及びポリオレフィン樹脂(B)を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比が90:10~30:70である請求項1~9のいずれか1項に記載の発泡体シート。
  11. ゲル分率が30~80質量%である請求項1~10のいずれか1項に記載の発泡体シート。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の発泡体シートと、該発泡体シートの少なくとも一方の面に設けられる粘着材とを備える、粘着テープ。
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