JP6956163B2 - 独立気泡樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、防水性等のシール性が良好となる独立気泡発泡体を提供することを課題とする。
課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。本発明は、以下の[1]〜[9]を提供する。
[1]独立気泡を有し、表面のJIS K7125により測定されるSUS板に対する静摩擦係数が0.30〜0.70である独立気泡樹脂発泡体。
[2]独立気泡発泡体を構成する樹脂がポリオレフィン樹脂を含む上記[1]に記載の独立気泡樹脂発泡体。
[3]前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂である上記[2]に記載の独立気泡樹脂発泡体。
[4]発泡倍率が1.8〜20倍である上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の独立気泡樹脂発泡体。
[5]平均気泡径が、MDにおいて30〜350μm、TDにおいて30〜400μm、ZDにおいて10〜150μmである上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の独立気泡樹脂発泡体。
[6]ZDにおける平均気泡径に対するMDにおける平均気泡径の比が1.5〜8であるとともに、ZDにおける平均気泡径に対するTDにおける平均気泡径の比が1.5〜9である上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の独立気泡樹脂発泡体。
[7]前記独立気泡樹脂発泡体が架橋されたものであり、その架橋度が15〜60質量%である上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の独立気泡樹脂発泡体。
[8]厚さが0.02〜1mmである上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の独立気泡樹脂発泡体。
[9]上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載される独立気泡樹脂発泡体の製造方法であって、樹脂及び熱分解型発泡剤を含む発泡性組成物を発泡させて発泡中間体を得て、前記発泡中間体表面の発泡に起因して生じた凹凸が平滑化されるように、前記発泡中間体を延伸させる、独立気泡樹脂発泡体の製造方法。
[独立気泡樹脂発泡体]
本発明の独立気泡樹脂発泡体(以下、発泡体ともいう)は、独立気泡を有し、かつ表面のJIS K7125により測定されるSUS板に対する静摩擦係数が0.30〜0.70となるものである。
独立気泡樹脂発泡体においては、静摩擦係数が0.30未満となると、発泡体の表面の平滑性が良好とならず、防水性等のシール性を良好にすることができない。また、0.70より大きくなると、ポリオレフィン樹脂等の各種樹脂により発泡体を製造することが難しくなる。静摩擦係数を良好にしつつ、発泡体を容易に製造することができるようにするためには、上記静摩擦係数は、0.35〜0.65が好ましく、0.40〜0.65がさらに好ましい。
まず、発泡体から一辺が5cmの平面正方形状の試験片を切り出す。そして、試験片の厚さを測定して試験片の見掛け体積V1を算出すると共に、試験片の重量W1を測定する。
次に、気泡の占める体積V2を下記式に基づいて算出する。なお、試験片を構成している樹脂の密度はρ(g/cm3)とする。
気泡の占める体積V2=V1−W1/ρ
続いて、試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。その後、水中で加圧から解放し、1分間静置した後、試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去して試験片の重量W2を測定し、下記式に基づいて連続気泡率F1及び独立気泡率F2を算出する。
連続気泡率F1(%)=100×(W2−W1)/V2
独立気泡率F2(%)=100−F1
発泡体は、その厚さが好ましくは0.02〜1mm、より好ましくは0.05〜0.8mm、さらに好ましくは0.08〜0.7mmである。発泡体は、このように薄くすると、各種の電子機器、例えばスペース上の制約が多い携帯機器内部においても好適に使用することが可能である。
発泡体の平均気泡径は、好ましくはMDにおいて30〜350μm、TDにおいて30〜400μm、ZDにおいて10〜150μmとなるものである。また、発泡体における気泡の平均気泡径は、より好ましくは、MDにおいて60〜300μm、TDにおいて60〜300μm、ZDにおいて15〜70μmとなるものである。
また、気泡のZDの平均気泡径に対するMDの平均気泡径の比(以下、“MD/ZD”ともいう)が1.5〜8であるとともに、ZDの平均気泡径に対するTDの平均気泡径の比(以下、“TD/ZD”ともいう)が1.5〜9であることが好ましい。さらには、MD/ZDが2〜7、TD/ZDが2〜7であることがより好ましい。
平均気泡径及び平均気泡径の比を上記範囲内とすると、発泡体の柔軟性等が良好となり、防水シール材として好適に使用可能である。
なお、MDは、Machine directionを意味し、押出方向等と一致する方向であるとともに、TDは、Transverse directionを意味し、MDに直交する方向であり、シート状の発泡体(発泡シート)においてはシート面に平行な方向である。また、ZDは、発泡体の厚さ方向であり、MD及びTDのいずれにも垂直な方向である。
発泡体の発泡倍率は、1.8〜20倍であることが好ましく、2.5〜15倍がより好ましい。発泡体は、発泡倍率を上記範囲内とすることで、発泡体の柔軟性、機械強度等を適切にし、発泡体のシール性も良好にしやすくなる。また、後述する製造方法により、発泡体表面を平滑にしやすくなる。
なお、発泡体の発泡倍率とは、発泡前のもの(発泡性組成物)と発泡後のもの(発泡体)の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものをいう。
また、発泡体の見かけ密度は、0.05〜0.5g/cm3であることが好ましく、0.08〜0.30g/cm3であることがより好ましい。発泡体は、見かけ密度を上記範囲内とすることで、発泡体の柔軟性、機械強度等を適切にし、発泡体のシール性も良好にしやすくなる。なお、発泡体の見かけ密度とは、JIS K7222に準拠して測定したものである。
発泡体の25%圧縮強度は、10〜2000kPaであることが好ましい。10kPa以上とすることで機械強度が良好となり、2000kPa以下とすることで発泡体の柔軟性等が良好になる。また、25%圧縮強度は、機械強度及び柔軟性をバランスよく向上させ、かつ防水性等のシール性を良好にする観点から30〜200kPaであることがより好ましい。なお、発泡体の25%圧縮強度はJIS K6767の方法に従って測定したものである。
発泡体は、通常、架橋されたものである。発泡体の架橋度は、好ましくは15〜60質量%である。架橋度を15質量%以上とすることで、発泡体を延伸する際に発泡体の表面近傍部の気泡が破泡して表面荒れが生じることが防止される。また、架橋度が60質量%以下であると、樹脂材料を、加熱発泡の際に、所望の発泡倍率に調整しやすくなる。このような観点から、架橋度は20〜50質量%がより好ましい。
発泡体を構成する樹脂は、発泡体に従来使用される樹脂、ゴムが使用可能であるが、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの中ではポリエチレン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂、特にポリエチレン樹脂を使用することで、発泡体の静摩擦係数を上記範囲内に調整しやすくなる。また、圧縮強度等の各種物性を上記範囲内に調整しやすくなり、防水シール材として好適に使用することが可能である。
ポリエチレン樹脂としては、チーグラー・ナッタ化合物、メタロセン化合物、酸化クロム化合物等の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂が挙げられ、好ましくは、メタロセン化合物の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂が用いられる。
直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン(例えば、全モノマー量に対して75質量%以上、好ましくは90質量%以上)と必要に応じて少量のα−オレフィンとを共重合することにより得られる直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。
α−オレフィンとして、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテン等が挙げられる。なかでも、炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましい。
ポリエチレン樹脂、例えば上記した直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.870〜0.910g/cm3が好ましく、0.875〜0.907g/cm3がより好ましく、0.880〜0.905g/cm3が更に好ましい。ポリエチレン樹脂としては、複数のポリエチレン樹脂を用いることもでき、また、上記した密度範囲以外のポリエチレン樹脂を加えてもよい。
メタロセン化合物としては、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造を有するビス(シクロペンタジエニル)金属錯体等の化合物を挙げることができる。より具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、及び白金等の四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物を挙げることができる。
メタロセン化合物は、活性点の性質が均一であり各活性点が同じ活性度を備えている。メタロセン化合物を用いて合成した重合体は、分子量、分子量分布、組成、組成分布等の均一性が高いため、メタロセン化合物を用いて合成した重合体を含むシートを架橋した場合には、架橋が均一に進行する。そのため、均一に延伸できるため、発泡体の厚さを均一にでき、防水性等のシール性が良好になる。
また、環式化合物をオリゴマーとして重合したものをリガンドとして用いてもよい。
更に、π電子系の不飽和化合物以外にも、塩素や臭素等の一価のアニオンリガンド又は二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホスフィド等を用いてもよい。
メタロセン化合物は、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィンの重合の際に触媒としての作用を発揮する。具体的な共触媒としては、メチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物等が挙げられる。なお、メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、10〜100万モル倍が好ましく、50〜5,000モル倍がより好ましい。
また、ポリプロピレン樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレンを50質量%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げることができ、これらの中では、炭素数6〜12のα−オレフィンが好ましい。
他のポリオレフィン樹脂を含有する場合、直鎖状低密度ポリエチレンと他のポリオレフィン樹脂との合計量に対する直鎖状低密度ポリエチレンの割合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。また、他のポリオレフィン樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体であることが好ましい。
発泡体に使用するポリオレフィン樹脂以外の樹脂としては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)、オレフィン系エラストマー等のポリオレフィン樹脂以外のゴム成分、樹脂成分が挙げられる。
本発明の発泡体は、上記樹脂に加えて、熱分解型発泡剤を含む発泡性組成物を発泡したものであることが好ましい。熱分解型発泡剤としては、例えば、樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するものを使用し、例えば、分解温度が140〜270℃の有機系又は無機系の化学発泡剤を用いる。
有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物、ニトロソ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンがより好ましく、アゾジカルボンアミドが更に好ましい。
これらの熱分解型発泡剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用する。
熱分解型発泡剤の添加量は、樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂)100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、1.5〜5質量部がより好ましく、1.5〜3質量部が更に好ましい。
発泡性組成物は、必要に応じて、上記以外にも、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材等の発泡体に一般的に使用する添加剤を含有していてもよい。
なお、粘着剤層の厚さは、5〜200μm、より好ましくは7〜150μmである。粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いる。
本発明の発泡体は、例えば、樹脂及び熱分解型発泡剤を含む発泡性組成物を発泡させて発泡中間体を得て、発泡に起因して生じた発泡中間体表面の凹凸が平滑化されるように、発泡中間体を延伸させることで得るものである。その製造方法は、より具体的には、以下の工程を含む。
工程(1):樹脂、熱分解型発泡剤等の添加剤を混合して発泡性組成物を樹脂シートに成形する工程
工程(2):工程(1)で得られた発泡性組成物を架橋する工程
工程(3):架橋させた発泡性組成物を加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させ、発泡中間体を得る工程
工程(4):発泡に起因して生じた発泡中間体表面の凹凸が平滑化されるように、発泡中間体を延伸する工程
工程(2)において発泡性組成物を架橋する方法としては、樹脂シートに電離性放射線を照射する方法が挙げられる。また、発泡性組成物に予め有機過酸化物、又は硫黄などの硫黄系化合物を配合しておき、発泡性組成物を加熱して、有機過酸化物を分解させ又は硫黄系化合物により加硫する方法等により架橋を行ってもよい。これらの中では、電離性放射線により架橋を行うことが好ましい。
電離性放射線としては、α線、β線、γ線、電子線等が挙げられるが、電子線がより好ましい。樹脂シートに対する電離性放射線の照射量は、1〜10Mradが好ましく、1.5〜8Mradがより好ましい。
また、発泡性組成物は、工程(3)において発泡させながら延伸させてもよい。この場合、例えば、MD又はTDに延伸させるとよいが、工程(4)において延伸させる方向と直交する方向に延伸させることが好ましい。例えば、工程(4)においてTDに延伸させる場合には、MDに延伸させるとよい。
なお、本製造方法では、工程(3)及び後述する工程(4)にて延伸を行うことで、平均気泡径及び平均気泡径の比を上記した所望の範囲に調整しやすくなる。
また、発泡体表面を平滑化するために必要とされる引張弾性率は、後述するように、発泡体の発泡倍率によって異なり、発泡体の発泡倍率が高くなるほど小さくなる。発泡倍率が高いほど、発泡中間体の柔軟性も高いため、小さな引張力で表面が平滑化され、それに伴い、必要とされる引張弾性率も小さくなるためと考えられる。
具体的には、延伸時の中間発泡体の温度は、特に限定されないが、例えば80〜150℃、好ましくは90〜130℃である。また、中間発泡体は、伸び率が、例えば30〜300%、好ましくは40〜250%となるように引っ張るとよい。なお、伸び率とは、伸び量(歪み)の元の中間発泡体の長さに対する割合である。
なお、延伸時における引張弾性率は、同じ歪み(伸び率)及び温度条件にて、発泡中間体を、引張試験機を用いて引っ張ることにより確認することが可能である。
以上の製造方法によれば、例えば表面を研摩したり、発泡体をカットしたりしなくても、高い静摩擦係数を有する発泡体を提供できる。
なお、各種物性、評価方法は、以下のとおりである。
<見かけ密度>
JIS K7222の方法に従って測定した。
<発泡倍率>
発泡性組成物と発泡体の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡体の比容積/発泡性組成物の比容積によって算出した。
<架橋度>
発泡体から約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出する。
架橋度(質量%)=100×(B/A)
<圧縮強度>
JIS K6767の方法に従って測定した。
<独立気泡率>
発泡体の独立気泡率は、明細書記載の方法で測定したものである。
<平均気泡径>
発泡体は50mm四方にカットし、液体窒素に1分間浸した後にMD及びTDそれぞれに沿って厚さ方向に切断して、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、製品名VHX-900)を用いて200倍の拡大写真を撮り、MD、TDそれぞれにおける長さ2mm分の切断面に存在する全ての気泡についてMD,ZDの気泡径、及びTD,ZDの気泡径を測定し、その操作を5回繰り返した。そして、全ての気泡のMD、TDそれぞれの気泡径の平均値をMD、TDの平均気泡径とするとともに、以上の操作によって測定された全てのZDの気泡径の平均値をZDの平均気泡径とした。
<静摩擦係数>
JIS K7125に規定される方法に従って、SUS板(SUS304)の上に発泡体を置き、その上に底面がフェルトのすべり板と更にその上に200gの錘を載せた後、接触界面に平行な方向に発泡体を引っ張り、発泡体が動き始める時の静摩擦係数を測定した。
<引張弾性率>
中間発泡体を、各実施例、比較例の延伸時の条件で引張試験機(製品名.テンシロンRTFシリーズ、ヤマト科学(株)社製)を用いて引っ張ることで、延伸時の引張弾性率を測定した。引張弾性率の測定は、JIS K6767に準拠して行った。
<防水試験>
各実施例、比較例の発泡体を用いて、防水評価用サンプルを作成した。防水評価用サンプルは、厚み10mmでタテと横の寸法がそれぞれ100mmの2枚のアクリル板の間に、各実施例、比較例の発泡体を挟み込み、元厚みの30%圧縮したものである。発泡体の寸法は外形がタテ60mm、横40mmであり、その中心にタテ58mm、横38mmの大きさに発泡体をくり貫いた額縁状のものである。2枚のアクリル板のうち、一方のアクリル板の中心に直径8mmの穴が空いており、そこから水圧を掛けられる構造になっている。また、発泡体は、一方の面に発泡体と同形状の額縁状にくり貫いた両面粘着テープ(厚さ0.048mm、TESA社製、「tesa4972」)が貼られ、その両面粘着テープにより他方のアクリル板に貼着させた。
額縁状の発泡体の中心に水を満たした後、該直径8mmの穴から水圧を掛けて、JISC0920 IPX5に準拠し、防水性を評価した。水圧を掛けてから3分間経っても水漏れがしないものを防水性が優れるとして“A”、1分間以上、3分間未満水が漏れなかったものを防水性が良好であるとして“B”、1分間未満で水漏れが起こったものを防水性が不十分であるとして“C”と評価した。
メタロセン化合物を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン[エクソン・ケミカル社製、商品名.EXACT3027]100質量部と、熱分解型発泡剤としてのアゾジカルボンアミド5質量部と、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02質量部と、酸化亜鉛0.2質量部とを押出機に供給して135℃で溶融混練し、その後、厚さ約0.6mmの樹脂シートとして押出した。
次に、樹脂シートを、その両面に加速電圧500kVの電子線を5Mrad照射して架橋した後、熱風及び赤外線ヒーターにより210℃に保持された発泡炉内に、連続的に送り込み、樹脂シートをMDに延伸させながら加熱して発泡させて、発泡中間体を得た。その後、発泡中間体を、MDに送り出しかつ110℃に加熱しながら、伸び率90%で引張弾性率が1.3MPaとなるようにTDに延伸させて、厚さ0.5mmの発泡シートを得た。得られた発泡シートの評価結果を表1に示す。
発泡体中間体を延伸させる際の伸び率を40%に変更し、引張弾性率1.3MPaとしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例3]
熱分解型発泡剤を2.5質量部に変更し、発泡体中間体を延伸させる際の伸び率を60%に変更し、引張弾性率を2.1MPaとしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例4]
熱分解型発泡剤を2.5質量部に変更し、電子線を8Mradに変更し、発泡体中間体を延伸させる際の伸び率を60%に変更し、引張弾性率を2.5MPaとしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
発泡中間体の延伸を75℃、伸び率90%で行い、引張弾性率4.2MPaとした以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例2]
発泡中間体の延伸を155℃、伸び率90%で行い、引張弾性率0.3MPaとした以外は、実施例1と同様に実施した。
Claims (6)
- 独立気泡を有する独立気泡樹脂発泡シートであって、
表面のJIS K7125により測定されるSUS板に対する静摩擦係数が0.30〜0.70であり、
前記独立気泡樹脂発泡シートが架橋されたものであり、その架橋度が15〜60質量%であり、
前記独立気泡樹脂発泡シートを構成する樹脂がポリエチレン樹脂を含む独立気泡樹脂発泡シート。 - 発泡倍率が1.8〜20倍である請求項1に記載の独立気泡樹脂発泡シート。
- 平均気泡径が、MDにおいて30〜350μm、TDにおいて30〜400μm、ZDにおいて10〜150μmである請求項1又は2に記載の独立気泡樹脂発泡シート。
- ZDにおける平均気泡径に対するMDにおける平均気泡径の比が1.5〜8であるとともに、ZDにおける平均気泡径に対するTDにおける平均気泡径の比が1.5〜9である請求項1〜3のいずれか1項に記載の独立気泡樹脂発泡シート。
- 厚さが0.02〜1mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の独立気泡樹脂発泡シート。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載される独立気泡樹脂発泡シートの製造方法であって、樹脂及び熱分解型発泡剤を含む発泡性組成物を発泡させて発泡中間体を得て、前記発泡中間体表面の発泡に起因して生じた凹凸が平滑化されるように、前記発泡中間体を延伸させる、独立気泡樹脂発泡シートの製造方法。
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