JP2023036395A - 乳化剤の結晶化抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】油脂組成物に添加された乳化剤の結晶化を抑制することができる乳化剤の結晶化抑制剤を提供する。【解決手段】ジグリセリンオレイン酸エステルを有効成分とする、油脂組成物中のジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤の結晶化抑制剤。ジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤を含有する油脂組成物にジグリセリンオレイン酸エステルを添加する、油脂組成物中の乳化剤の結晶化抑制方法。ジグリセリンオレイン酸エステルは、ジグリセリンとオレイン酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応等自体公知の方法で製造される。【選択図】 なし
Description
本発明は、乳化剤の結晶化抑制剤に関する。
油脂組成物は、その保存中に油脂成分又はその他の添加成分が結晶化して析出することがある。このとき、油脂組成物の外観が悪化するだけでなく、油脂組成物の成分が不均一となり、その品質が低下するといった問題が生じる。
このような問題に対し、油脂組成物中における油脂の結晶化を抑制する方法としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステルからなる油脂用結晶化抑制剤であって、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸にエルカ酸及びステアリン酸を有していることを特徴とする油脂用結晶化抑制剤が知られている(特許文献1)。また、油脂組成物に添加した植物ステロールの結晶化を抑制する方法としては、例えば、構成脂肪酸が炭素数8~22の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸より2種以上選ばれ、且つ少なくとも1種以上が不飽和脂肪酸より選ばれたものであるポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることを特徴とする植物ステロールの結晶化抑制剤が知られている(特許文献2)。
上記の方法では、油脂及びその他添加成分の結晶化を抑制するために乳化剤を油脂組成物に添加しているが、油脂組成物に添加した乳化剤が結晶化することもあるため、これらに代わり得る新規な方法が求められていた。
本発明は、油脂組成物に添加された乳化剤の結晶化を抑制することができる乳化剤の結晶化抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、ジグリセリンオレイン酸エステルを用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、下記の(1)及び(2)からなっている。
(1)ジグリセリンオレイン酸エステルを有効成分とする、油脂組成物中のジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤の結晶化抑制剤。
(2)ジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤を含有する油脂組成物にジグリセリンオレイン酸エステルを添加する、油脂組成物中の乳化剤の結晶化抑制方法。
(1)ジグリセリンオレイン酸エステルを有効成分とする、油脂組成物中のジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤の結晶化抑制剤。
(2)ジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤を含有する油脂組成物にジグリセリンオレイン酸エステルを添加する、油脂組成物中の乳化剤の結晶化抑制方法。
本発明の乳化剤の結晶化抑制剤を油脂組成物に添加することにより、油脂組成物中の乳化剤の結晶化を抑制できる。
本発明で用いられるジグリセリンオレイン酸エステルは、ジグリセリンとオレイン酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応等自体公知の方法で製造される。
ジグリセリンオレイン酸エステルを構成するジグリセリンとしては、通常グリセリンに少量の酸又はアルカリを触媒として添加し、窒素又は二酸化炭素等の任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば180℃以上の温度で加熱し、重縮合反応させて得られるグリセリンの平均重合度が1.5~2.4、好ましくは平均重合度が2.0のジグリセリン混合物が挙げられる。また、ジグリセリンはグリシドール又はエピクロロヒドリン等を原料として得られるものであっても良い。反応終了後、必要であれば中和、脱塩、脱色等の処理を行っても良い。
本発明においては、上記ジグリセリン混合物を、例えば蒸留又はカラムクロマトグラフィー等自体公知の方法を用いて精製し、グリセリン2分子からなるジグリセリンを50質量%以上、好ましくは85質量%以上に高濃度化した高純度ジグリセリンが、好ましく用いられる。
本発明で用いられるジグリセリンオレイン酸エステルの好ましい製造方法の概略は次のとおりである。例えば、撹拌機、加熱用のジャケット、邪魔板等を備えた通常の反応容器に、ジグリセリンとオレイン酸とをモル比で約1:0.8~1:1.6、好ましくは約1:1で仕込み、触媒として水酸化ナトリウムを加えて撹拌混合し、窒素ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で加熱する。反応温度は通常、180~260℃の範囲、好ましくは200~250℃の範囲である。また、反応圧力条件は減圧下又は常圧下で、反応時間は0.5~15時間、好ましくは1~3時間である。反応の終点は、通常反応混合物の酸価を測定し、酸価12以下を目安に決められる。
得られた反応液は、未反応の脂肪酸、未反応のジグリセリン、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、ジグリセリンジオレイン酸エステル、ジグリセリントリオレイン酸エステル、ジグリセリンテトラオレイン酸エステル等を含む混合物である。反応終了後、得られた反応液を120℃以上180℃未満、好ましくは130~150℃に冷却し、次いで酸を加えて触媒を中和し、好ましくは15分間~1時間放置し、未反応のジグリセリンを含むポリオールが下層に分離した場合はそれを除去し、ジグリセリンオレイン酸エステルが得られる。
得られた反応液は、未反応の脂肪酸、未反応のジグリセリン、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、ジグリセリンジオレイン酸エステル、ジグリセリントリオレイン酸エステル、ジグリセリンテトラオレイン酸エステル等を含む混合物である。反応終了後、得られた反応液を120℃以上180℃未満、好ましくは130~150℃に冷却し、次いで酸を加えて触媒を中和し、好ましくは15分間~1時間放置し、未反応のジグリセリンを含むポリオールが下層に分離した場合はそれを除去し、ジグリセリンオレイン酸エステルが得られる。
該ジグリセリンオレイン酸エステルは、モノエステル体の含有量が通常30質量%以上50質量%未満のものであるが、該ジグリセリンオレイン酸エステルを、例えば流下薄膜式分子蒸留装置又は遠心式分子蒸留装置等を用いて分子蒸留するか、又はカラムクロマトグラフィー若しくは液液抽出等自体公知の方法を用いて精製することにより、ジグリセリンモノオレイン酸エステルを得ることが好ましい。
ジグリセリンオレイン酸エステルとしては、例えば、ポエムDO-100V(商品名;ジグリセリンモノオレイン酸エステル;理研ビタミン社製)等が商業的に製造及び販売されており、本発明ではこれを用いることができる。
本発明の乳化剤の結晶化抑制剤は、ジグリセリンオレイン酸エステルを有効成分とし、ジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤を含有する油脂組成物に添加して使用される。これにより、該油脂組成物中のジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤の結晶化を抑制できる。
本発明の乳化剤の結晶化抑制剤は、上記ジグリセリンオレイン酸エステルをそのまま用いても良いし、本発明の目的・効果を阻害しない範囲で該エステルと他の任意の成分とを混合し、製剤化して用いても良い。
上記油脂組成物は、例えば、食用油脂、ジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤及び本発明の乳化剤の結晶化抑制剤を混合し、例えば60~90℃に加熱及び溶解し、室温まで冷却することにより製造することができる。
上記食用油脂は、食用に適した動物性、植物性の油脂およびそれらのエステル交換油、分別油等であって、常温(15~25℃)で液状の食用油脂であることが好ましい。そのような油脂としては、例えばサフラワー油、大豆油、綿実油、コメ油、菜種油、オリーブ油等が挙げられる他、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、グリセリン脂肪酸ジエステルおよびプロピレングリコール脂肪酸ジエステルもこれらに含まれる。これら食用油脂は、1種類で用いても良いし、2種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。
上記ジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤は、食用油脂に溶解して油脂組成物を調製した後、該油脂組成物中における経時的な結晶化が比較的発生し易いものが好ましい。このような乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(但し、ジグリセリンオレイン酸エステルを除く)、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記油脂組成物100質量%中の食用油脂、ジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤及び本発明の乳化剤の結晶化抑制剤の含有量に特に制限はないが、例えば食用油脂の含有量が60~98.9質量%、好ましくは70~97.8質量%であり、ジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤の含有量が0.1~20質量%、好ましくは0.2~15質量%であり、本発明の乳化剤の結晶化抑制剤の含有量が1.0~20質量%、好ましくは2.0~15質量%である。
上記油脂組成物の用途に特に制限はないが、例えば、麺、米飯、惣菜、スープ類等の食品の食感改良、調味、静菌性付与等が挙げられ、これら食品の静菌性付与が特に好ましい。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[油脂組成物の調製及び評価]
(1)原材料
1)菜種油(ボーソー油脂社製)
2)グリセリンモノステアリン酸エステル(商品名:エマルジーMS;理研ビタミン社製)
3)グリセリンモノラウリン酸エステル(商品名:ポエムM-300;理研ビタミン社製)
4)グリセリンモノリノール酸エステル(商品名:エマルジーMU;理研ビタミン社製)
5)ジグリセリンモノラウリン酸エステル(商品名:ポエムDL-100;理研ビタミン社製)
6)トリグリセリンモノパルミチン酸エステル(商品名:ポエムTRP-97RF;理研ビタミン社製)
7)デカグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムJ-0381V;理研ビタミン社製)
8)ソルビタンモノステアリン酸エステル(商品名:ポエムS-60V;理研ビタミン社製)
9)ジグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO-100V;理研ビタミン社製)
(1)原材料
1)菜種油(ボーソー油脂社製)
2)グリセリンモノステアリン酸エステル(商品名:エマルジーMS;理研ビタミン社製)
3)グリセリンモノラウリン酸エステル(商品名:ポエムM-300;理研ビタミン社製)
4)グリセリンモノリノール酸エステル(商品名:エマルジーMU;理研ビタミン社製)
5)ジグリセリンモノラウリン酸エステル(商品名:ポエムDL-100;理研ビタミン社製)
6)トリグリセリンモノパルミチン酸エステル(商品名:ポエムTRP-97RF;理研ビタミン社製)
7)デカグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムJ-0381V;理研ビタミン社製)
8)ソルビタンモノステアリン酸エステル(商品名:ポエムS-60V;理研ビタミン社製)
9)ジグリセリンモノオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO-100V;理研ビタミン社製)
(2)油脂組成物の調製
60℃まで加温した菜種油に対して、表1及び2に示した配合割合に従って乳化剤を入れ、手で1分間薬さじを用いて均一に撹拌し、油脂組成物1~14を各100g得た。そのうち、油脂組成物1~7の調製は本発明に係る実施例であり、油脂組成物8~14の調製はそれらに対する比較例である。
60℃まで加温した菜種油に対して、表1及び2に示した配合割合に従って乳化剤を入れ、手で1分間薬さじを用いて均一に撹拌し、油脂組成物1~14を各100g得た。そのうち、油脂組成物1~7の調製は本発明に係る実施例であり、油脂組成物8~14の調製はそれらに対する比較例である。
(3)乳化剤の結晶化抑制効果の確認試験
(2)で得た油脂組成物1~14を各々透明なガラス容器に入れ、これを容器ごと20℃の恒温槽にて2週間保管した後に、乳化剤の結晶化による析出物や濁りの有無を確認した。乳化剤の結晶化が無く、清澄な状態を保っているものを良好「〇」とし、乳化剤の結晶化が生じているものは不良「×」とした。結果を表3に示す。
(2)で得た油脂組成物1~14を各々透明なガラス容器に入れ、これを容器ごと20℃の恒温槽にて2週間保管した後に、乳化剤の結晶化による析出物や濁りの有無を確認した。乳化剤の結晶化が無く、清澄な状態を保っているものを良好「〇」とし、乳化剤の結晶化が生じているものは不良「×」とした。結果を表3に示す。
表3の結果から明らかなように、ジグリセリンオレイン酸エステルを添加して得た油脂組成物1~7は、「○」の結果であり、乳化剤の結晶化が抑制されていた。これに対し、ジグリセリンオレイン酸エステルを添加していない油脂組成物8~14は、「×」の結果であり、乳化剤の結晶化を抑制できなかった。
Claims (2)
- ジグリセリンオレイン酸エステルを有効成分とする、油脂組成物中のジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤の結晶化抑制剤。
- ジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤を含有する油脂組成物にジグリセリンオレイン酸エステルを添加する、油脂組成物中の乳化剤の結晶化抑制方法。
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