JP2023036290A - 研削装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリープフィード研削において、研削水により摩擦熱の冷却や研削屑の洗い流しを適切に行いつつも、研削水の消費量を低減する。【解決手段】被加工物にクリープフィード研削を施す研削装置であって、保持面を有するチャックテーブルと、スピンドルの下端部に研削ホイールが装着されるスピンドルを有する研削ユニットと、チャックテーブルと研削ユニットとを保持面に平行な第1方向に沿って相対的に移動させる第1方向移動ユニットと、研削ユニットを保持面に垂直な第2方向に沿って移動させる第2方向移動ユニットと、研削ユニットよりも下方に配置され、研削ホイールに設けられた研削砥石に研削水を供給可能な研削水供給ユニットと、を備え、研削水供給ユニットは、チャックテーブルに対して位置が固定され、保持面の外周部のうち少なくとも一方側に露出しており研削水を噴出する露出面を有する噴出ブロックを有する研削装置を提供する。【選択図】図3
Description
本発明は、被加工物にクリープフィード研削を施す研削装置に関する。
被加工物にクリープフィード研削を施す研削装置は、被加工物を吸引保持するチャックテーブルを備え、チャックテーブルの上方には、円環状の研削ホイールが装着されたスピンドルを含む研削ユニットが配置されている。
被加工物にクリープフィード研削を施す際には、チャックテーブルの保持面で吸引保持された被加工物の上面よりも、研削ホイールの研削砥石の下面を下方に位置付けた状態で、保持面と平行な所定方向に沿ってチャックテーブルを移動させる(例えば、特許文献1参照)。
研削時には、研削砥石と被加工物との接触領域に純水等の研削水が供給される。接触領域に供給される研削水は、研削時に発生する摩擦熱を冷却すると共に、研削時に発生する研削屑を洗い流す機能を有する。
研削水は、例えば、研削ホイールのホイール基台に形成された複数の研削水供給口から供給される(例えば、特許文献2参照)。複数の研削水供給口は、ホイール基台の周方向に沿ってホイール基台の下面側に配置された複数の研削砥石よりもホイール基台の径方向で内側に位置し、且つ、ホイール基台の周方向に沿って所定の間隔で配置されている。
しかし、各研削水供給口から一様に研削水を供給すると、被加工物との接触領域に位置する研削砥石以外の研削砥石にも、常に研削水が供給される。それゆえ、一部の研削水供給口から供給される研削水のみが摩擦熱の冷却や研削屑の洗い流しに寄与し、残り全ての研削水供給口から供給される研削水は、摩擦熱の冷却や研削屑の洗い流しに寄与しない。
そこで、単位時間当たりの研削水の供給量を一様に減らすことも考えられるが、この場合、摩擦熱の冷却や研削屑の洗い流しを適切に実行できない恐れがある。一方で、研削水の消費量が増えると、製品の製造コストが上昇するので、製造コスト低減のためには、やはり、研削水の消費量を低減する方が好ましい。
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、クリープフィード研削において、研削水により摩擦熱の冷却や研削屑の洗い流しを適切に行いつつも、研削水の消費量を低減することを目的とする。
本発明の一態様によれば、被加工物にクリープフィード研削を施す研削装置であって、該被加工物を吸引保持する保持面を有するチャックテーブルと、スピンドルを有し、該スピンドルの下端部に装着された研削ホイールを該スピンドルの周りで回転させながら、該保持面で吸引保持された該被加工物を該研削ホイールで研削する研削ユニットと、該チャックテーブルと該研削ユニットとを該保持面に平行な第1方向に沿って相対的に移動させる第1方向移動ユニットと、該研削ユニットを該保持面に垂直な第2方向に沿って移動させる第2方向移動ユニットと、該研削ユニットよりも下方に配置され、該研削ホイールに設けられた研削砥石に研削水を供給可能な研削水供給ユニットと、を備え、該研削水供給ユニットは、該チャックテーブルに対して位置が固定された噴出ブロックであって、該研削ホイールが回転して該第1方向及び該第2方向と直交する第3方向の一方側から、該保持面で吸引保持された該被加工物の上面側に該研削砥石が進入する場合に、該チャックテーブルの該保持面の外周部のうち少なくとも該一方側に露出している露出面を有し、該露出面から該研削水を噴出する該噴出ブロックと、該噴出ブロックに接続され、該噴出ブロックへ該研削水を供給するための管部と、該管部に設けられたバルブと、を有する研削装置が提供される。
好ましくは、該噴出ブロックは、多孔質材で形成されている。
また、好ましくは、該研削水は、空気と液体とが混合された気液混合流体である。
また、好ましくは、該噴出ブロックの該露出面は、該保持面の外周部を囲む様に露出している。
また、好ましくは、該噴出ブロックは、該露出面の面積に応じた流量で該研削水を噴出し、該第3方向の該一方側における該露出面の該第3方向の幅は、該第3方向の他方側における該露出面の該第3方向の幅よりも大きい。
また、好ましくは、該保持面は、該第1方向に沿って長辺が配置された矩形状であり、長辺と短辺とを有する矩形板状の該被加工物は、該第1方向に該被加工物の該長辺が沿う様に、該被加工物の一面側が該保持面で吸引保持される。
本発明の一態様に係る研削装置は、研削ユニットよりも下方に配置され、研削ホイールに設けられた研削砥石に研削水を供給可能な研削水供給ユニットを備える。研削水供給ユニットは、チャックテーブルに対して位置が固定された噴出ブロックを有する。
噴出ブロックは、研削ホイールが回転して第3方向の一方側から保持面で吸引保持された被加工物の上面側に研削砥石が進入する場合に、チャックテーブルの保持面の外周部のうち少なくとも第3方向の一方側に露出している露出面を有し、この露出面から研削水を噴出する。
保持面の外周部のうち少なくとも第3方向の一方側に露出している噴出ブロックの露出面から研削水を噴出することにより、クリープフィード研削を行う際に、被加工物の近傍から研削砥石に研削水を供給できる。それゆえ、研削水で摩擦熱の冷却や研削屑の洗い流しを適切に行うことができる。
更に、噴出ブロックの露出面が、保持面の外周部のうち少なくとも第3方向の一方側に露出しているので、噴出ブロックは、被加工物の近傍から研削砥石に研削水を供給できる。
従って、ホイール基台の周方向に所定の間隔で配置された複数の研削水供給口から一様に研削水を供給する場合に比べて、研削水の消費量(特に、研削水として使用される純水の消費量)を低減できる。つまり、研削砥石に効率的に研削水を供給できる。
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る研削装置2の斜視図である。なお、図1に示す、X軸方向(第3方向)、Y軸方向(第1方向、加工送り方向)、及び、Z軸方向(第2方向)は互いに直交する。
例えば、X‐Y平面は、水平方向と略平行であり、Z軸方向は、鉛直方向と略平行である。+X方向と、-X方向とは、互いに逆向きであり、X軸方向と平行である。また、+Y方向と、-Y方向とは、互いに逆向きであり、Y軸方向と平行である。
同様に、+Z方向と、-Z方向とは、互いに逆向きであり、Z軸方向と平行である。なお、本明細書では、+Y方向を後方、-Y方向を前方、+Z方向を上方、-Z方向を下方と、称することがある。
研削装置2は、研削装置2の構成要素を支持する略直方体状の基台4を有する。基台4の上面には、長手部がY軸方向に沿って配置された矩形状の開口4aが形成されている。開口4aの一部には、矩形状のテーブルカバー6が配置されている。
テーブルカバー6の前方及び後方には、Y軸方向に沿って伸縮可能な蛇腹状カバー8が設けられている。また、テーブルカバー6の上には、円板状のチャックテーブル10が設けられている。ここで、図2及び図3を参照してチャックテーブル10の構造について説明する。
図2は、チャックテーブル10の拡大上面図である。チャックテーブル10は、非多孔質のセラミックスで形成された円板状の枠体12を有する。枠体12の外周部には、上方に突出する態様で所定幅の円環状の凸部12aが形成されている。
凸部12aの上面は、後述する保持面10aと略同じ高さ位置に設定されている。例えば、凸部12aは、保持面10aの高さ位置の測定に利用される。枠体12の径方向において、凸部12aの内側には、外周が円環状の凹部12bが形成されている。
凹部12bを設けることで、チャックテーブル10の保持面10aの形状を研削により修正する際に(即ち、セルフグラインドを行う際に)、凹部12bを設けない場合に比べて、枠体12を研削する体積を低減できる。
枠体12の径方向において凹部12bの中央部には、非多孔質セラミックスで形成され、長手部がY軸方向に沿って配置された矩形環状の第1枠部14が設けられている。本例の第1枠部14は、枠体12と同じ材料で、枠体12と一体的に形成されている。
第1枠部14の内側(即ち、チャックテーブル10)には、矩形板状の噴出ブロック16が固定されている。この様に、噴出ブロック16は、チャックテーブル10に対して位置が固定されている。
噴出ブロック16は、多孔質セラミックス(多孔質材)で形成されている。多孔質セラミックスの気孔のサイズは、#及び数値を組み合わせで示される番手で表示される。番手の表示では、#に続く数値が大きいほど、多孔質セラミックスの気孔のサイズが小さいことを意味する。
本実施形態では、番手が#80から#100の多孔質セラミックスで形成された噴出ブロック16が使用される。一例において、#100の多孔質セラミックスでは、気孔のサイズの平均値が130μmであり、気孔率が45%以上50%以下である。
噴出ブロック16の上面側には、矩形板状の凹部が形成されている。当該凹部は、噴出ブロック16を上面視した場合に、噴出ブロック16のうち上方に突出している矩形環状の突出部に囲まれている。矩形環状の突出部の上面は、第1枠部14の上面と略同じ高さ位置にあり、上方に露出する露出面16aとなる。
図3に示す様に、噴出ブロック16は、管部18を介して、研削水供給源22に接続されている。なお、図3では、一部の構成要素を機能ブロック、記号、線で示す。管部18は、例えば、金属、樹脂等で形成されたフレキシブルチューブを有する。
本実施形態の研削水供給源22は、例えば、圧縮エア供給源(不図示)を有する。圧縮エア供給源は、例えば、エア(空気)を圧縮するコンプレッサ、圧縮されたエアを貯留するタンクを有する。圧縮エア供給源には、エア供給管(不図示)の一端部が接続されている。
エア供給管には、圧縮エア供給源から所定の圧力のエアが供給される。エア供給管の他端部は、管部18に接続されている。また、エア供給管の一端部と他端部との間には、純水供給管(不図示)の一端部が接続されている。
純水供給管の他端部は、純水供給源(不図示)に接続されている。純水供給源は、例えば、定温水供給装置である。定温水供給装置は、純水を貯めるタンクと、タンクから純水を汲み上げるポンプと、純水を冷却するクーラと、純水を加熱するヒータと、を含む。
なお、純水供給源は、定温水供給装置に限定されず、研削装置2で使用された使用済の水をリサイクルする純水リサイクル装置や、水道管を介して供給される市水から純水を製造する純水製造装置であってもよい。
例えば、エア供給管には、圧縮エア供給源から0.5MPaの圧力で流量50L/minのエアが供給され、純水供給管には、純水供給源から0.3MPaの圧力で流量0.8L/minの純水が供給される。
エア供給管において純水(液体)とエアとが混合されることで、気液混合流体が形成される。管部18には電磁弁(バルブ)24が設けられており、電磁弁24を開状態にすると、研削水供給源22から管部18を介して噴出ブロック16へ研削水20(気液混合流体)が供給され、露出面16aから研削水20が噴出する。
露出面16aに達したエアは、減圧環境下(例えば、約0.1MPaの大気圧環境下)で膨張し、泡を形成する。上述の圧力及び流量の場合、研削水20は、例えば、露出面16aから約10mmの高さの泡を形成する。
噴出ブロック16、管部18、電磁弁24等は、研削水供給ユニット26として機能する。噴出ブロック16の凹部の内周側面及び底面は、非多孔質セラミックスで形成された第2枠部28で覆われている。本例の第2枠部28は、枠体12と同じ材料で形成されている。
第2枠部28の上面側には、凹部が形成されており、この凹部には、多孔質セラミックスで形成された矩形板状の保持板30が固定されている。本例の保持板30は、噴出ブロック16と同じ材料で形成されている。
図2に破線で示す様に、第2枠部28の底部には、上面視で矩形環状の溝部28aが形成されている。更に、矩形環状の溝部28aに囲まれる様に、十字状の溝部28bが形成されている。十字状の溝部28bの交差部には、中央溝部28cが形成されている。
中央溝部28cは、第2枠部28の底部を貫通しており、中央溝部28cには、噴出ブロック16を貫通する態様で、管部32(図3参照)の一端部が接続されている。但し、図3では、矩形環状の溝部28a、十字状の溝部28b及び中央溝部28cが省略されている。
管部32は、例えば、金属、樹脂等で形成されたフレキシブルチューブを有する。図3に示す様に、管部32の他端部には、エジェクタ、真空ポンプ等の吸引源34が接続されている。なお、吸引源34がエジェクタである場合、研削水供給源22の圧縮エア供給源が、吸引源34にエアを供給してもよい。
管部32には、電磁弁36が設けられている。電磁弁36を開状態にすると、保持板30の上面に負圧が伝達される。保持板30及び第2枠部28の上面は、略面一に形成されており、X‐Y平面と平行に配置されている。保持板30及び第2枠部28の上面は、被加工物11を吸引保持するための保持面10aとして機能する。
また、保持面10aは、保持面10aの外周部を囲む露出面16aと、第1枠部14の上面と、略面一に形成されており、X‐Y平面方向で保持面10aから離れている凸部12aの上面と略同じ高さ位置にある。
図1及び図2に示す様に、保持面10aは、Y軸方向に沿って配置された長辺と、X軸方向に沿って配置された短辺と、を含む矩形状を有する。図1に示す様に、保持面10aには、矩形板状の被加工物11の一面11a側が吸引保持される。
被加工物11の一面11aの面積は、保持面10aと略同じであるか、又は、保持面10aよりも僅かに大きい。被加工物11は、長辺と短辺とを有する正方形ではない矩形の板形状を有し、保持面10aに載置されると保持板30の上面を覆う。
被加工物11は、例えば、複数のデバイスチップ(不図示)がモールド樹脂(不図示)で封止されたストリップ(短冊形基板)である。但し、被加工物11の材料は、特に限定されず、シリコン等の他の材料で形成されてもよい。
チャックテーブル10の下方には、Y軸方向移動ユニット(第1方向移動ユニット)40が設けられている。Y軸方向移動ユニット40は、Y軸方向に沿って配置された一対のガイドレール42を有する。
一対のガイドレール42は、矩形板状の第1移動板44をY軸方向にスライド可能に支持している。第1移動板44の下面側には、ナット部(不図示)が設けられている。ナット部には、Y軸方向に沿って一対のガイドレール42の間に配置されたボールねじ46が回転可能に連結されている。
ボールねじ46の一端部には、ステッピングモータ等の第1駆動源48が連結されている。第1駆動源48を動作させれば、第1移動板44はY軸方向に沿って移動する。第1移動板44の上面には、支持部50を介して上述のチャックテーブル10の底部が固定されている。
例えば、チャックテーブル10に研削前の被加工物11を搬入するとき、及び、チャックテーブル10から研削後の被加工物11を搬出するときには、開口4aの前方側に位置する搬入搬出領域A1にチャックテーブル10を配置する。
また、保持面10aで吸引保持された被加工物11に対してクリープフィード研削を施す際には、開口4aの後方側に位置する加工領域A2で、チャックテーブル10をY軸方向に沿って往復移動させる。
開口4aの後方には、直方体状の柱部52が設けられている。柱部52の前方の一面には、Z軸方向移動ユニット(第2方向移動ユニット)54が設けられている。Z軸方向移動ユニット54は、X‐Y平面に対して垂直なZ軸方向に沿って配置された一対のガイドレール56を有する。
一対のガイドレール56には、Z軸方向に沿ってスライド可能に第2移動板58が取り付けられている。第2移動板58の後方の一面には、ナット部(不図示)が設けられている。ナット部には、Z軸方向に沿って一対のガイドレール56の間に配置されたボールねじ60が回転可能に連結されている。
ボールねじ60の上端部には、ステッピングモータ等の第2駆動源62が設けられている。第2駆動源62を動作させると、第2移動板58は、Z軸方向に沿って移動する。第2移動板58の前方の一面には、保持部材64を介して研削ユニット66が固定されている。
研削ユニット66は、チャックテーブル10よりも上方に配置されている。Z軸方向移動ユニット54がZ軸方向に沿って研削ユニット66を移動させることにより、研削ユニット66の下端(例えば、研削砥石76bの下面)のZ軸方向の位置が調整される。
研削ユニット66は、その高さ方向がZ軸方向に沿って配置された円筒状のスピンドルハウジング68を有する。スピンドルハウジング68内には、円柱状のスピンドル70の一部が回転可能に収容されている。
スピンドル70の上端部には、モータ等の回転駆動源72が設けられている。スピンドル70の下端部には、円板状のマウント74を介して、円環状の研削ホイール76が装着されている。
研削ホイール76は、アルミニウム合金等の金属で形成された円環状のホイール基台76aを有する。ホイール基台76aの下面側には、ホイール基台76aの周方向に沿って複数の研削砥石76bが略等間隔に配置されている。
研削砥石76bは、例えば、金属、セラミックス、樹脂等の結合材に、ダイヤモンド、cBN(cubic boron nitride)等の砥粒を混合した後、成型、焼成等を経て形成される。
ところで、上述の電磁弁24、36、研削水供給源22、吸引源34、Y軸方向移動ユニット40、Z軸方向移動ユニット54、研削ユニット66等の動作は、制御ユニット(不図示)により制御される。
制御ユニットは、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニットの機能が実現される。
次に、研削装置2を用いて被加工物11に対してクリープフィード研削を施す手順を説明する。図3は、クリープフィード研削時のチャックテーブル10等の一部断面側面図である。
まず、搬入搬出領域A1に配置されたチャックテーブル10の保持面10aに被加工物11を配置する。このとき、被加工物11の長辺がY軸方向に沿い、被加工物11の短辺がX軸方向に沿い、且つ、被加工物11が保持板30の上面全体を覆う様に、被加工物11を配置する(配置工程)。
次いで、電磁弁36を開状態とし、被加工物11の一面11a側を保持面10aで吸引保持する(吸引保持工程)。吸引保持工程後、クリープフィード研削により、被加工物11の他面(上面)11b側を研削する(研削工程)。
研削工程では、研削ホイール76をスピンドル70の周りで回転させると共に、Z軸方向移動ユニット54で研削砥石76bの下面の高さ位置を被加工物11の他面11bよりも所定の距離だけ下方に位置付ける。
次いで、電磁弁24を開状態として噴出ブロック16から研削水20を噴射させた状態で、チャックテーブル10と研削ユニット66とをY軸方向移動ユニット40でY軸方向に沿って相対的に移動させる。
この様にして、露出面16aから研削砥石76bに研削水20を供給しながら他面11b側を研削する。他面11b側には、研削砥石76bの移動の軌跡(図4(A)の破線矢印参照)に応じて、ソーマーク(不図示)が形成される。
被加工物11が後方へ進み、研削ホイール76の内側に対応するY軸方向の所定領域に移動したら、チャックテーブル10の移動を一旦停止して、研削ユニット66を上昇させる。そして、チャックテーブル10を、研削ユニット66よりも前方に位置する加工領域A2の所定位置まで戻す(1回目の研削終了)。
続く2回目の研削では、研削砥石76bの下面の高さ位置を、1回目の研削後の他面11bよりも更に下方に位置付ける。そして、再び、チャックテーブル10と研削ユニット66とをY軸方向に沿って相対的に移動させる。以降、説明の詳細は省略するが、同様にして、複数回の研削を経て、被加工物11を所定の厚さに薄化する。
本実施形態では、保持面10aを囲む様に露出している露出面16aから研削水20を噴出することにより、クリープフィード研削を行う際に、被加工物11の近傍から研削砥石76bに研削水20を供給できる。
それゆえ、研削水20で摩擦熱の冷却や研削屑の洗い流しを適切に行うことができる。更に、露出面16aが保持面10aを囲む様に露出しているので、噴出ブロック16は、被加工物11の近傍から研削砥石76bに研削水20を供給できる。
従って、ホイール基台76aの周方向に所定の間隔で配置された複数の研削水供給口から一様に研削水20を供給する場合に比べて、研削水20の消費量(特に、研削水20として使用される純水の消費量)を低減できる。
一般的に、ホイール基台76aの周方向に所定の間隔で配置された複数の研削水供給口から一様に研削水20を供給する場合、エアが混合されていない純水を流量3.0L/minで供給する。これに対して、本実施形態では、研削水20として使用する純水の消費量を低減できるので、研削砥石76bに効率的に研削水20を供給できる。
なお、本実施形態では、研削水20として、エアが混合されていない純水を使用してもよい。例えば、管部18には、純水供給源から0.3MPaの圧力で流量1.9L/minの純水が供給される。このとき、研削水20は、例えば、露出面16aから約4mmの高さまで上昇する。
本実施形態においてエアが混合されていない純水を研削水20として使用する場合であっても、露出面16aの配置に起因して、複数の研削水供給口から一様に純水を供給する一般的な手法に比べて、研削水20の消費量を低減できる。つまり、研削砥石76bに効率的に研削水20を供給できる。
しかし、研削水20として気液混合流体を使用する場合、純水の供給圧力に加えて、エアの供給圧力が付加されるので、純水の実質的な供給圧力を比較的高くできる。加えて、泡が弾ける現象により、純水のみを使用する場合に比べて高い洗浄効果が得られる。
それゆえ、研削水20として気液混合流体を使用する場合、研削水20として純水のみを使用する場合に比べて、より少ない純水の流量で、摩擦熱の冷却や研削屑の洗い流しを適切に行うことができる。
つまり、研削水20として気液混合流体を使用する場合、研削水20として純水のみを使用する場合に比べて、同等以上の冷却及び洗浄効果を得つつも、純水の消費量を低減できるという利点がある。
ところで、本実施形態では、図4(A)に示す様に、被加工物11及び保持面10aの長辺をY軸方向と平行に配置している。図4(A)は、本実施形態の保持面10aで吸引保持された被加工物11の上面図である。
これに対して、図4(B)に示す比較例では、被加工物11及び保持面10aの長辺をX軸方向と平行に配置している。図4(B)は、比較例の保持面10aで吸引保持された被加工物11の上面図である。
1つの研削砥石76bの移動に着目すると、研削時に、研削砥石76bは、Y軸方向に略平行に配置された一辺の位置B1(図4(A)及び図4(B)参照)から、他面11b側に食い込む。
研削ホイール76の回転速度は、チャックテーブル10の加工送り速度に比べて十分に早いので、研削砥石76bは、円弧状の軌跡を描いて移動し、一辺とは反対側の他辺の位置B2で被加工物11の外へ出る。
位置B1から位置B2までの曲線の長さは、加工長と呼ばれる。図4(A)及び図4(B)から明らかな様に、クリープフィード研削では、被加工物11の長辺をY軸方向に沿って配置する図4(A)の方が、被加工物11の長辺をX軸方向に沿って配置する図4(B)の場合よりも、加工長が短くなる。
保持面10aの周囲から研削水20を供給する場合には、加工長が短い方が、研削砥石76bと他面11b側との接触領域に、研削水20が供給されやすくなる。
本実施形態では、保持面10a及び被加工物11の各長辺をY軸方向に沿って配置するので(図4(A)参照)、保持面10a及び被加工物11の各長辺をX軸方向に沿って配置する場合(図4(B)参照)に比べて、摩擦熱の冷却や研削屑の洗い流しの効果が高くなる。
ところで、図2から明らかな様に、露出面16aは保持面10aの四方を囲んでいるので、クリープフィード研削時には、保持面10aの移動方向の前方側及び後方側においても、研削水20が噴出する。
被加工物11の前方側が、回転移動する研削砥石76bの直下に進入するときに、前方側の露出面16aから噴出される研削水20は、研削砥石76bの冷却や研削屑の洗い流しに寄与し得る。
また、被加工物11の後方側が、回転移動する研削砥石76bの直下から研削ホイール76の内側に抜けた直後に、後方側の露出面16aから噴出される研削水20は、研削砥石76bの冷却や研削屑の洗い流しに寄与し得る。
次に、第2の実施形態について説明する。図5は、第2の実施形態に係るチャックテーブル10等の拡大上面図である。第2の実施形態では、チャックテーブル10の構造が第1の実施形態と異なる。
具体的には、枠体12に対する保持面10a及び第2枠部28の位置は、第1の実施形態と同じであるが、枠体12に対する第1枠部14の位置が、第1の実施形態に比べて、+X方向にスライドしている。
これにより、X軸方向に沿うチャックテーブル10の径方向において、第1枠部14の+X方向側の縁から凸部12aの内周縁までの最短距離C1が、第1枠部14の-X方向側の縁から凸部12aの内周縁までの最短距離C2よりも、短くなっている。
この様な第1枠部14の配置に伴い、露出面16aのX軸方向の幅は、+X方向(一方)側の幅16bが、-X方向(他方)側の幅16cよりも大きくなっている。噴出ブロック16は、露出面16aの単位面積当たり一定の流量で研削水20(気液混合流体又は純水)を噴出する。
それゆえ、露出面16aの面積に応じた流量で研削水20が噴出すると、+X方向側の露出面16aの面積が-X方向側の露出面16aの面積よりも大きい本例では、+X方向側の流量が、-X方向側の流量に比べて、高くなる。
図6に示す様に、研削ホイール76が回転すると、各研削砥石76bは、+X方向側から被加工物11の他面11b側に進入する。それゆえ、露出面16aの+X方向側の研削水20の流量を、露出面16aの-X方向側に比べて多くする方が、研削砥石76bと被加工物11との接触領域に、より効率的に研削水20を供給できる。
図6は、第2の実施形態でのクリープフィード研削時におけるチャックテーブル10等の一部断面側面図である。なお、図6では、流量が多いほど矢印の数を多くしている。図6は、図3に類似しているが、図6では、Y‐Z平面ではなくX‐Z平面に平行な面でのチャックテーブル10の断面を示す。
第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、クリープフィード研削を行う際に、研削水20で摩擦熱の冷却や研削屑の洗い流しを適切に行うことができ、更に、研削水20の消費量(特に、研削水20として使用される純水の消費量)を低減できる。
次に、第3の実施形態について説明する。図7は、第3の実施形態に係るチャックテーブル10等の拡大上面図である。第3の実施形態では、Y軸方向に長手部を有する矩形状の露出面16aが、保持面10aの外周部のうち+X方向側の一辺に近接して配置されており、他の三辺の近傍には配置されていない。
図7に示す露出面16aの配置は、保持面10aで吸引保持された被加工物11の上面側に、研削砥石76bが+X方向側から進入する場合を想定した配置である。研削砥石76bが-X方向側から進入する場合には、矩形状の露出面16aは、-X方向側に配置される。
なお、図7では、第1枠部14と第2枠部28との境界を便宜的に破線で示すが、第1枠部14と第2枠部28とが一体的に形成されている場合、この境界は無くてもよい。その他、上述の実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
例えば、噴出ブロック16は、必ずしも一続きの多孔質セラミックスでなくてもよく、各々分離された複数の多孔質体を有してもよい。この場合、分離されている各多孔質体に、管部18が接続される。
なお、上述の実施形態の保持面10aは、長手方向がY軸方向に沿って配置された矩形状であるが、保持面10aは、円形であってもよい。この場合、露出面16aは、保持面10aの外周部のうち+X方向側の半円状領域に設けられてよく、保持面10aの外周部を囲む様に環状に設けられてもよい。
また、上述の実施形態では、一面11aを保持面10aで直接吸引保持するが、被加工物11の種類によっては樹脂製の保護テープ(不図示)を介して一面11a側を保持面10aで吸引保持してもよい。
ところで、インフィード研削では、チャックテーブル10を回転させた状態で被加工物11の研削を行うので、露出面16aから研削水20を噴出させると、遠心力によりチャックテーブル10の径方向の外側に研削水20が飛散する。それゆえ、上述の研削水供給ユニット26は、インフィード研削を行う研削装置には適用できない。
2:研削装置、4:基台、4a:開口、6:テーブルカバー、8:蛇腹状カバー
10:チャックテーブル、10a:保持面
11:被加工物、11a:一面(下面)、11b:他面(上面)
12:枠体、12a:凸部、12b:凹部、14:第1枠部
16:噴出ブロック、16a:露出面、16b,16c:幅、18:管部、20:研削水
22:研削水供給源、24:電磁弁(バルブ)、26:研削水供給ユニット
28:第2枠部、28a,28b:溝部、28c:中央溝部、30:保持板
32:管部、34:吸引源、36:電磁弁
40:Y軸方向移動ユニット(第1方向移動ユニット)、42:ガイドレール
44:第1移動板、46:ボールねじ、48:第1駆動源、50:支持部
52:柱部、54:Z軸方向移動ユニット(第2方向移動ユニット)
56:ガイドレール、58:第2移動板、60:ボールねじ、62:第2駆動源
64:保持部材、66:研削ユニット、68:スピンドルハウジング
70:スピンドル、72:回転駆動源、74:マウント
76:研削ホイール、76a:ホイール基台、76b:研削砥石
A1:搬入搬出領域、A2:加工領域、B1,B2:位置、C1,C2:距離
10:チャックテーブル、10a:保持面
11:被加工物、11a:一面(下面)、11b:他面(上面)
12:枠体、12a:凸部、12b:凹部、14:第1枠部
16:噴出ブロック、16a:露出面、16b,16c:幅、18:管部、20:研削水
22:研削水供給源、24:電磁弁(バルブ)、26:研削水供給ユニット
28:第2枠部、28a,28b:溝部、28c:中央溝部、30:保持板
32:管部、34:吸引源、36:電磁弁
40:Y軸方向移動ユニット(第1方向移動ユニット)、42:ガイドレール
44:第1移動板、46:ボールねじ、48:第1駆動源、50:支持部
52:柱部、54:Z軸方向移動ユニット(第2方向移動ユニット)
56:ガイドレール、58:第2移動板、60:ボールねじ、62:第2駆動源
64:保持部材、66:研削ユニット、68:スピンドルハウジング
70:スピンドル、72:回転駆動源、74:マウント
76:研削ホイール、76a:ホイール基台、76b:研削砥石
A1:搬入搬出領域、A2:加工領域、B1,B2:位置、C1,C2:距離
Claims (6)
- 被加工物にクリープフィード研削を施す研削装置であって、
該被加工物を吸引保持する保持面を有するチャックテーブルと、
スピンドルを有し、該スピンドルの下端部に装着された研削ホイールを該スピンドルの周りで回転させながら、該保持面で吸引保持された該被加工物を該研削ホイールで研削する研削ユニットと、
該チャックテーブルと該研削ユニットとを該保持面に平行な第1方向に沿って相対的に移動させる第1方向移動ユニットと、
該研削ユニットを該保持面に垂直な第2方向に沿って移動させる第2方向移動ユニットと、
該研削ユニットよりも下方に配置され、該研削ホイールに設けられた研削砥石に研削水を供給可能な研削水供給ユニットと、
を備え、
該研削水供給ユニットは、
該チャックテーブルに対して位置が固定された噴出ブロックであって、該研削ホイールが回転して該第1方向及び該第2方向と直交する第3方向の一方側から、該保持面で吸引保持された該被加工物の上面側に該研削砥石が進入する場合に、該チャックテーブルの該保持面の外周部のうち少なくとも該一方側に露出している露出面を有し、該露出面から該研削水を噴出する該噴出ブロックと、
該噴出ブロックに接続され、該噴出ブロックへ該研削水を供給するための管部と、
該管部に設けられたバルブと、を有することを特徴とする研削装置。 - 該噴出ブロックは、多孔質材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の研削装置。
- 該研削水は、空気と液体とが混合された気液混合流体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の研削装置。
- 該噴出ブロックの該露出面は、該保持面の外周部を囲む様に露出していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の研削装置。
- 該噴出ブロックは、該露出面の面積に応じた流量で該研削水を噴出し、
該第3方向の該一方側における該露出面の該第3方向の幅は、該第3方向の他方側における該露出面の該第3方向の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の研削装置。 - 該保持面は、該第1方向に沿って長辺が配置された矩形状であり、
長辺と短辺とを有する矩形板状の該被加工物は、該第1方向に該被加工物の該長辺が沿う様に、該被加工物の一面側が該保持面で吸引保持されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の研削装置。
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