JP2023036116A - 積層体および積層体の製造方法 - Google Patents

積層体および積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリオレフィン系樹脂基材を用いたバリア性の良好な積層体、および積層体の製造方法を提供する。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、水素原子を1atomic%以上30atomic%以下含む無機酸化物層を有する積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂基材を用いたバリア性の良好な積層体、および積層体の製造方法に関する。
食品、医薬品、日用品などの包装材料には、内容物の劣化防止のために酸素バリア性や、水蒸気バリア性が求められる。これらバリア性包装材料として、ポリエステル等の樹脂フィルムにアルミニウム等の金属層や、金属酸化物層、さらには保護層を積層したバリアフィルムが用いられてきた。特に、金属酸化物層を積層した場合は、透明フィルムとなるため視認性がよく、食品の包装においては電子レンジ加熱が可能になるなど利便性が高いため、広く用いられている。
一方で、プラスチック製の包装材料は、使用後埋め立てても土壌で分解されなかったり、焼却時に大きな発熱があったりするため、環境負荷が懸念されている。さらに近年では、流出したプラスチックごみによる海洋汚染も大きな問題となっており、世界的にプラスチック製材料の使用量削減、再利用の機運が高まっている。上述のバリアフィルムの基材となる樹脂フィルムは、耐熱性、透明性が高いポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂や、機械強度に優れるポリアミド系樹脂が使用されてきた。これらのフィルムには、包装材料の製袋加工等で必要なヒートシール性がないため、熱融着可能なポリプロピレン系樹脂と積層して使用されている。しかしながら、異素材の積層体はリサイクルする際の分離が難しいため、リサイクル性を高めるために包装材料を同一素材で構成するモノマテリアル化の取り組みが進められている。つまり、ヒートシール性を有するポリプロピレン系樹脂と類似のオレフィン系素材をバリアフィルムの基材として用いる試みがなされている。
しかしながらオレフィン系素材は表面の官能基が少なくぬれ性も悪いため、バリアフィルムの基材として使用するには金属層や金属酸化物層との密着が悪く、十分なバリア性を発現しづらい課題があった。そこで、オレフィン系素材と金属層や金属酸化物層との密着を向上させるために、基材上にアンカーコートを設けたり、表面処理して改質したりする技術が開示されている(特許文献1、2)。
特開2006-116731号公報 特許第4905851号公報
特許文献1では、基材フィルムへ有機樹脂のアンカーコートを設けて基材フィルムとガスバリア層との密着を向上させた、高いバリア性を有するバリア性フィルムが開示されているが、ポリオレフィン系樹脂を基材フィルムに用いた際の密着には改善の余地がある上に、アンカーコート層は極性を有し、水分を取り込みやすいため水蒸気バリア層を悪化させる要因となる。一方、特許文献2では、プラスチック材料からなる基材をリアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマを利用した前処理を施して密着を向上させたバリアフィルムを開示している。リアクティブイオンエッチングモードのプラズマは基材表面にエネルギー集中するため、基材表面付近で水素原子や低分子量成分が脱離してバリア層に取り込まれることから、良質なバリア層を得ることが困難であった。
そこで、本発明の課題はポリオレフィン系樹脂基材を用いたバリア性の良好な積層体、および積層体の製造方法を提供することにある。
本発明の好ましい一様態は、ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、水素原子を1atomic%以上30atomic%以下含む無機酸化物層を有する積層体である。
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂基材を用いたバリア性の良好な積層体、および積層体の製造方法を提供することができる。
HR-RBS/HR-RFS法で分析した元素組成分布を示す概略図である。
以下、本発明の積層体および積層体の製造方法についてさらに詳しく説明する。
本発明におけるポリオレフィン系樹脂フィルムは、オレフィン系炭化水素を主構成単位とする樹脂を主成分とするフィルムである。主構成単位とは、樹脂に含まれるモノマー単位のうち最も含有量(個数単位)の多いものをいい、主成分とは、構成するすべての成分の中で最も含有量(質量%)の多いものをいう。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレンの他プロピレンや4-メチル-1ペンテンなど側鎖にアルキル基を有するα-オレフィンの重合体およびこれらの共重合体、または、α-オレフィンとアクリル酸、C=C結合含有カルボン酸、C=C結合含有カルボン酸塩あるいはC=C結合含有カルボン酸アルキルエステル等を共重合して得られる共重合体、ノルボルネンやシクロジエンの重合体およびこれらの重合体である。これらの中でも、比較的安価であることから、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことが好ましく、耐熱性の点でポリプロピレンを含むことがより好ましく、同様の観点でポリプロピレンを主成分とすることがさらに好ましい。また、フィルムは未延伸であっても、延伸されていてもよいが、熱寸法安定性の観点から二軸延伸されていることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂フィルムは、融点が150℃以上であることが好ましい。融点を150℃以上とすることで、金属酸化物を形成したり、包装材構成に加工したりする工程の熱による熱負けを防止し、加工後の耐熱性も高くなるため、バリア性の劣化を抑制できる。なお、フィルムの融点は、DSC(示差走査熱量測定)で測定することができる。
ポリオレフィン系樹脂フィルムの厚さは、3μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましい。フィルムの厚さを3μm以上とすることで支持体としての剛性を保つことができ、100μm以下とすることで、包装材料としての柔軟性を維持し、追従性が向上するため好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂フィルムは表面が平滑であることが好ましい。表面平滑性は、JISB0601-2001で定義される算術平均粗さRaで表すことができ、Raは50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましい。表面粗さは、非接触の表面観察装置、例えば三菱ケミカルシステム株式会社製“VertScan”(登録商標)で測定することができる。表面を平滑にすることで、表面に積層する無機酸化物層の欠点を減らすことができ、良好な無機酸化物層とすることができ、バリア性を向上させることができる。
本発明の積層体の好ましい一態様は、ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、水素原子を1atomic%以上30atomic%以下含む無機酸化物層を有する積層体である。本発明において無機酸化物層とは、周期表の2族から14族(ただし炭素を除く)より選ばれる1種以上の元素と酸素を含む層である。これらの中でも加工コストやガスバリア性の観点から、前記無機酸化物層が少なくともアルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウム、及びケイ素より選ばれる1種以上を含むことが好ましく、アルミニウムを含むことがより好ましい。同様の観点から前記無機酸化物層において、周期表の2族から14族(ただし炭素を除く)の元素の総和に占めるアルミニウムの割合が50atomic%以上であることが好ましい。
前記無機酸化物層は、厚さが2nm以上10nm以下であることが好ましく、4nm以上10nm以下であることがより好ましい。厚さを2nm以上とすることで、無機酸化物層のピンホールなどの欠陥を減らすことができ、10nm以下とすることで、柔軟でクラックの起こりにくい積層体とすることができるとともに、無機酸化物層を十分に酸化させやすくなるので良質な膜となり好ましい。
水素原子を1atomic%以上30atomic%以下含む無機酸化物層とは、当該無機酸化物層を実施例に記載の高分解能ラザフォード後方散乱法および高分解能水素前方散乱法(HR-RBS/HR-RFS法)で組成分析を行った際、検出される全元素の総和に占める水素原子の含有量が、1atomic%以上30atomic%以下である無機酸化物層をいう。当該水素原子の含有量は10atomic%以上28atomic%以下であることがより好ましい。なお、無機酸化物層が複数層ある場合、無機酸化物層のうち少なくとも1つの層において、水素原子を1atomic%以上30atomic%以下含む場合は、積層体が水素原子を1atomic%以上30atomic%以下含む無機酸化物層を有する、とする。なお、1つの層とは、厚み方向に向かって、隣接する部位と区別可能な境界面を有し、かつ有限の厚みを有する部位を指す。より具体的には、実施例に記載のとおりに無機酸化物層の断面を透過型電子顕微鏡にて観察した際、不連続な境界面により区別されるものを指す。無機酸化物層の厚み方向に組成が変わっていても、その間に前述の境界面がない場合には、1つの層として取り扱う。
当該水素原子の含有量が1atomic%以上であることで、バリア性を向上することができる。これは無機酸化物層が柔軟になってクラックを抑制することができるためであると考えられる。同様の観点から、水素原子の含有量が10atomic%以上であることがより好ましく、12atomic%以上であることがさらに好ましい。一方、無機酸化物層において水素原子は主に水酸化物の形となっており、当該水酸化された箇所は酸化物層にとっては結合が途切れた場所であり、水蒸気との親和性も高いため、ガス透過経路となってバリア性が低下する原因になる。水素原子を30atomic%以下とすることで、無機酸化物の欠陥を少なくし、緻密な膜となり、バリア性を向上することができる。同様の観点から28atomic%以下であることがより好ましい。特に本発明の積層体とすることで、無機酸化物層の厚みが薄くても高いバリア性を有するようすることができる。無機酸化物層の厚みが薄いにも関わらず高いバリア性を有するため、積層体をリサイクルに供する際の不純物を減らすことができ、リサイクル性を向上することができたり、リサイクルした際のフィルムの性能や品質を優れたものとしたりすることができる。
無機酸化物層に含まれる水素原子を1atomic%以上30atomic%以下とする達成手段として、以下の方法を好ましく挙げることができる。
無機酸化物層に水素原子が含まれるのは、無機酸化物層を形成する工程で取り込んだり、無機酸化物層形成後に欠陥を安定化するため水分子から取り込んだりするためであると考えられる。特に無機酸化物層形成工程では、雰囲気中の水や、フィルム表面の付着物、分解物を巻き込んで水素原子を取り込むことがあり、膜質に大きく影響する。したがって、無機酸化物層形成工程で水素取り込みの原因となりうる水や低分子量成分を減らしたり、フィルムからの水分発生を抑制したりすることが肝要である。
無機酸化物層に含まれる水素原子を1atomic%以上30atomic%以下とするためには、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂フィルムは、炭化水素骨格で親水性の官能基を持たないため、従来使用されているポリエステル系樹脂フィルムやポリアミド系樹脂フィルムと比較して、吸水率が低い特徴があり、無機酸化物層形成工程で真空にした場合でも、フィルムから放出される水分子の量を減らすことができ、無機酸化物層の水素原子量を低減することができる。さらに、ポリオレフィン系樹脂フィルムと前記無機酸化物層は直接接することが好ましい。ポリオレフィン系樹脂フィルムと無機酸化物層の間に、異なる組成の層が存在する場合、その層が無機酸化物層に接するので、該層の吸水率や付着水分量が無機酸化物層に含まれる水素原子量に大きく影響する。したがって、ポリオレフィン系樹脂フィルムと無機酸化物層を直接接する構成とすることで、無機酸化物層に含まれる水素原子を低減することできる。ポリオレフィン系樹脂フィルムと無機酸化物層を積層する場合、ポリオレフィン系樹脂フィルムは極性官能基が非常に少ないため、層間密着を向上させるために表面処理を施すことができる。表面処理することで、包装材料としての積層工程や、使用において層間剥離したり、無機酸化物層の座屈によってバリア性が低下したりすることを防止できる。ポリオレフィン系樹脂フィルムに表面処理する方法としては、無機酸化物層に含まれる水素原子を1atomic%以上30atomic%以下とするために、真空下でのイオンビーム処理、および/または真空下でのマグネトロン方式のプラズマ処理をすることが好ましい。真空下での表面処理とすることで、処理雰囲気を制御しやすくなるとともに、無機酸化物形成工程の前段階で、フィルムに含まれる水分子を除去することができる。さらには、表面処理で生成する低分子量成分のフィルム表面への付着を防止できるので好ましい。
従来より、簡便なフィルム改質方法として、コロナ処理や、大気圧プラズマ処理が用いられてきた。しかしながら、コロナ処理は局所的なアーク放電が起こるため、処理面内の均一な処理が難しかった。また、局所的なアーク放電はその発生部分に対して局所的に強いエネルギーがかかるため、強いエネルギーによりフィルムが分解し、水溶性低分子生成物が生じ大気中の水分に溶解して表面に付着し、密着不良の原因となったり、これらの低分子生成物や水分を無機酸化物層に取り込んで無機酸化物の膜質が低下したりする課題がある。また、大気圧プラズマ処理の場合は、処理によって生成する水溶性低分子生成物が大気中の水分に溶解して表面に付着し、密着不良の原因となったり、これらの低分子生成物や水分を無機酸化物層に取り込んで無機酸化物の膜質が低下したりする課題があることがわかった。ほか、大気圧下で表面処理をする場合は、表面処理前にすでに付着していた水分や、表面処理による低分子生成物を減圧の力により飛ばしてしまうことができないので、これらの低分子生成物や水分を無機酸化物層に取り込みやすかったり、表面処理によって生成した低分子量成分が表面に付着している水分に溶け込んでフィルム表面に残存しやすくなったりして無機酸化物の膜質が低下する課題があることがわかった。また、別の表面改質の方法として、真空下で処理するEB(電子ビーム)処理やRIEプラズマ(プラズマ発生のための電極を基材側に配置して自己バイアスをかけて表面処理をする方法)などが用いられているが、これらの手法は原理的に処理表面時に強いエネルギーを与えるので、ポリオレフィン系フィルムの場合は過剰処理となって表層が脆弱化し、十分な密着力を得られなかったり、フィルム表層の耐熱性が低下することで無機酸化物層との界面に屈曲が生じてクラックが発生してバリア性が低下したりする課題があることがわかった。処理出力を弱めたとしても、原理的には局所的に強いエネルギーが与えられるため、局所的には低分子生成物も多く生成し無機酸化物層に取り込まれて無機酸化物の膜質が低下したりする課題があることがわかった。
発明者らは鋭意検討した結果、特に、真空下でのイオンビーム処理、および/または真空下でのマグネトロン方式のプラズマ処理が、無機酸化物層に含まれる水素原子を少なくし、欠陥の少ない良質な無機酸化物層を得るために適切であることを見出した。真空下でのイオンビーム処理や真空下でのマグネトロン方式のプラズマ処理は、フィルム表面に付着していた水分を除去することができ、また表面処理によって生成する低分子量成分が再付着することを抑制でき、さらに処理エネルギーがフィルムのごく表層のみに集中することを防止できるので、処理ダメージによる低分子量生成物の発生量を低く抑えることができる。
イオンビーム処理は、電極で発生させたプラズマから荷電粒子を引き出し、フィルム表面に照射することで表面を処理する手法である。本発明においては、特にフィルム幅方向に均一に処理するために、電極構造を直線状に長くしたアノードレイヤー型のイオン源を用いることが好ましい。アノードレイヤー型イオン源は、その前面に円周状あるいはレーストラック状の間隙部を備え、その内部にはスリットの間隙に磁界を形成するための磁石と、高電圧を印加できるアノードを備える構成であり、間隙幅方向に磁場を形成した上で、開口部背面に配置されたアノードに、間隙部(カソード)に対して正の電圧を印加し、間隙部磁場による電子のホール運動によりプラズマを強化するとともにイオンを加速するイオン源である。この電極を直線状に長くし、長手方向がフィルムの搬送方向と直角になるように配置すれば、フィルム全体を均一に処理することができ、好ましい。
イオンビーム処理で与えられるエネルギーは、荷電粒子のエネルギーと、荷電粒子の数に分離でき、電圧と電流がそれらの指標とできる。イオンビーム処理は比較的高い電圧で処理するため、荷電粒子自体のエネルギーは大きく、反応しやすい。そのため、反応点が増えると分子鎖切断が多くなり、フィルムが脆弱化する。したがって、反応開始点の数を制御し、分子鎖切断に伴う低分子量成分の生成および再付着を抑制するために電流値を調整する必要がある。イオンビーム処理の処理面積あたりの電流値は30mA・sec/m以上1500mA・sec/m以下が好ましく、50mA・sec/m以上600mA・sec/m以下がより好ましい。処理面積あたりの電流値は、処理中の電流値を、フィルム幅方向の電極長さとフィルムの搬送速度で除した値である。電流値が大きい、すなわち活性種の数が多い場合、分子鎖に数多くの活性種が作用し、多くの点で反応が開始される。電流値を30mA・sec/m以上にすることで、密着に寄与する官能基を増やすことができ、1500mA・sec/m以下にすることで、反応が開始する量を制限し、フィルムがダメージを受けて表層が脆弱化することを抑制できる。
フィルムをイオンビーム処理する際のチャンバーの真空度は、1×10-5Pa以上5×10-2Pa以下が好ましい。1×10-5Pa以上とすることで安定した放電を得ることができ、5×10-2Pa以下とすることでイオンビームの拡散を防止し、十分な処理効果を得ることができる。
本発明の表面改質処理に使用するガスは、Ar、N、He、Ne、O、CO、CO、空気、H、NH、C2n+2(ただしn=1~4の整数)で表される炭化水素などの各種ガスを、単独または混合して使用できる。使用するガスは、プラズマ放電のしやすさや、得られる活性種のエネルギー、導入したい官能基の種類によって選定することができる。ポリオレフィン系樹脂フィルムを使う場合は、官能基を導入するためにOやCO、CO等の酸素を含むガスや、比較的放電しやすいArやNなどの不活性ガスを好適に用いることができる。
マグネトロン方式のプラズマ処理は、電極に直流または交流の高電圧を印加して得られるグロー放電に、磁場をかけてプラズマを高密度化し、被処理体であるポリオレフィン系樹脂フィルムを曝して表面を改質する方法である。本発明においては、水蒸気の影響を減らし、活性種を調整できることから真空中にガスを導入した処理が好ましい。プラズマ処理に使用する電極は、板状や棒状など形状に制限はなく、マグネトロン電極や誘電体被覆電極など任意のものを用いることが出来るが、特に高密度のプラズマが得られるプレーナーマグネトロン電極で金属を電極として用いることが好ましい。プレーナーマグネトロン電極の場合は、イオンビーム処理よりも電圧が低く、反応には粒子密度も重要になるため、処理強度は処理電力密度(以下E値と表す場合がある)で制御することが好ましい。プレーナーマグネトロン電極を用いる場合の処理電力密度は、適切な官能基の生成と、処理によるダメージ抑制を両立させる観点で、10W・min/m以上200W・min/m以下が好ましく、25W・min/m以上100W・min/m以下がより好ましい。処理電力密度とは、放電に投入した電力と時間の積を放電面積で割った値であり、長尺フィルムの処理の場合は投入電力を放電部分の幅とフィルムの処理速度で割った値である。処理電力密度が10W・min/m未満の場合、十分な活性種の量とエネルギーを得られずに処理効果が低く、200W・min/mを超えるとフィルム表層がダメージを受けて脆弱化し、無機酸化物層の密着が低下したり、フィルムの熱安定性が悪くなったりしてバリア性が低下するおそれがある。
フィルムをプラズマ処理する場合のチャンバーの圧力は、0.1Pa以上50Pa以下が好ましく、0.1Pa以上10Pa以下がより好ましい。チャンバーの圧力を0.1Pa以上とすることで安定した放電を得ることができ、50Pa以下とすることで、活性種の平均自由行程が長くなり、処理効果の低下を抑え、効率よくフィルムを処理することができる。
表面処理において、処理電極とフィルムの距離は5mm以上150mm以下が好ましい。処理電極とフィルムの距離を5mm以上とすることで、放電に十分な距離となり、安定した放電を得やすく、搬送時にフィルムが電極に接触する可能性を低くすることができ、キズによる欠点を抑制できる。処理電極とフィルムの距離を150mm以下とすることで、処理効果を得るために十分なエネルギーをもったプラズマやイオンビームをフィルムに曝すことができる。
ポリオレフィン系樹脂フィルムの表面処理は、無機酸化物層を形成する直前に連続した工程で処理することができる。表面処理に連続した無機酸化物層形成によって、フィルム表面への水分等の不純物付着を防止することができるため、無機酸化物層への不純物取り込みが少なくなり、欠陥の少ない良質な無機酸化物層を得ることができる。また、表面汚染のないフィルム表面に無機酸化物層を積層できるので、界面密着が向上し、バリア性も向上できる。
無機酸化物層がアルミニウムを含む場合、無機酸化物層のアルミニウムと酸素の平均元素数比O/Alは1.50以上2.50以下であることが好ましく、1.70以上2.10以下であることがより好ましい。無機酸化物層は、酸化を進行させた方が欠陥が減少してバリア性が向上する。アルミニウムと酸素の平均元素数比O/Alを2.50以下とすることで、無機酸化物層の欠陥を少なくし、バリア性を向上させられる。O/Alを1.50以上とすることで、膜が剛直になることを防止し、クラックによるバリア劣化を抑制できる。
無機酸化物層に含まれる元素組成は、高分解能ラザフォード後方散乱法および高分解能水素前方散乱法(HR-RBS/HR-RFS法)によって分析できる。HR-RBS/HR-RFS法は、対象物に高速のイオンを照射し、固体中の原子核によりラザフォード後方散乱されたイオンと、弾性的な反跳により前方に散乱された水素原子のエネルギースペクトルを取得し、対象物に含まれる元素組成を得る手法である。本手法によって、深さ方向に対する組成比率のグラフを得ることができるが、表層1nmまでの領域は表面汚染の情報を含むため、表層1nmより深い位置を無機酸化物層の組成とする。また、無機酸化物層の特徴を表す領域として、表層1nmの深さの水素量からの増減が1%以内の範囲の領域の組成を平均し、無機酸化物層の組成として算出するものとする。無機酸化物層が多層構成である場合は、各層ごとに組成を算出し、水素原子が最も少ない層の値を用いるものとする。ポリオレフィン系樹脂フィルムの両面に無機酸化物層が存在する場合は、各面で分析して組成を算出し、水素原子が最も少ない層の値を用いる。無機酸化物層の上にオーバーコートされている場合は、オーバーコート層を溶解するなどして除去した後、無機酸化物層を分析する。
水素原子を1atomic%以上30atomic%以下含む無機酸化物層に含まれる水素原子比率をHatm[atomic%]とし、前記無機酸化物層の厚さをt[nm]としたとき、Hatm/tが3.3以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。無機酸化物層に含まれる水素原子が少ない場合は欠陥が少なく、バリア性が向上するが、バリア性は無機酸化物層の厚さにも依存し、膜厚が厚い場合はバリア性が良くなることが知られている。したがって同質の無機酸化物層であっても厚さを厚くすればバリア性は向上する。Hatm/tを3.3以下とすることで、無機酸化物層の膜質と厚さのバランスが良くなり、バリア性のよい積層体を得ることができる。
本発明の積層体は、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。全光線透過率が85%以上であると、包装材料の内容物を確認できるため好ましい。
本発明の積層体は、40℃90%RHの雰囲気下で測定した水蒸気バリア性が5.0g/m/day以下であることが好ましく、3.0g/m/day以下であることがより好ましく、1.0g/m/day以下であることがさらに好ましい。水蒸気バリア性を5.0g/m/day以下とすることで、内容物の劣化を防止する十分なバリア性を確保することができる。なお、単位のうちdayは24時間に相当する。また、本発明の積層体は無機酸化物層の厚さが2nm以上10nm以下であり、かつ本発明の積層体の40℃90%RHで測定した水蒸気バリア性が5.0g/m/day以下であることがより好ましい。無機酸化物層の厚みが薄いにも関わらず高いバリア性を有するため、積層体をリサイクルに供する際の不純物を減らすことができ、リサイクル性を向上することができたり、リサイクルした際のフィルムの性能や品質を優れたものとしたりすることができる。
本発明に係る積層体は、無機酸化物層の上に、オーバーコート層を有することが好ましい。オーバーコート層をさらに有することで、無機酸化物層を保護したり、欠点を被覆したりできるため、バリア性の向上が期待できる。オーバーコート層は、有機化合物または有機無機混合物で形成することができ、有機無機混合物の場合は、例えば金属アルコキシドおよび/またはその重縮合物と、水溶性高分子の混合物が好ましい一例として挙げられる。
オーバーコートに用いられる金属アルコキシドは、一般式 M(OR)で表され、式中nは自然数であり、Mは金属原子、例えば、Si、Ti、Alなどである。Rはアルキル基であり、特に炭素数1~4の低級アルキル基が好ましい。金属アルコキシドは、反応性と安定性、コストの観点から例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランを好適に用いることができ、これらは単独であっても、2種類以上の混合物であってもよい。金属アルコキシドは、ネットワークを形成するために加水分解したり、重縮合したりしていてもよい。
オーバーコートに用いられる水溶性高分子は、ビニルアルコール系樹脂や、ポリビニルピロリドン、デンプン、セルロース系樹脂などが挙げられるが、ガスバリア性に優れるビニルアルコール系樹脂が好ましい。ビニルアルコール系樹脂には、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、変性ポリビニルアルコール等があり、これらの樹脂は単独で用いても、2種類以上の混合物であってもよい。ビニルアルコール系樹脂は、一般に、ポリ酢酸ビニルやその共重合体などをけん化して得られるものであり、酢酸基の一部をけん化して得られる部分けん化であっても、完全けん化であってもよいが、けん化度が高い方が好ましい。
オーバーコート層の、ビニルアルコール系樹脂に対する金属アルコキシドの混合比率は、金属アルコキシドをSiO換算した質量比率で、ビニルアルコール系樹脂/金属アルコキシド=15/85~85/15が好ましい。なお、SiO換算した質量比率とは、金属アルコキシドに含まれるケイ素原子のモル数からSiO質量に換算したものであり、ビニルアルコール系樹脂/金属アルコキシド(質量比)で表される。
オーバーコート層を無機酸化物層上に塗工する方法としては、ダイレクトグラビア方式や、リバースグラビア方式、マイクログラビア方式、ロッドコート方式、バーコート方式、ダイコート方式、スプレーコート方式等、特に限定はなく既知の方法を用いることができる。
オーバーコート層の厚さは200nm以上600nm以下が好ましく、320nm以上500nm以下がより好ましい。厚さが200nm未満の場合、無機酸化物層のピンホールやクラックを十分に埋めることができず、十分なバリア機能を発現できない場合がある。一方、厚さが600nmを超えると、厚さによるクラックが生じたり、硬化不足によってバリア性が低下したりする場合がある。
本発明の積層体の製造方法に係る好ましい一態様は、ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面を放電雰囲気に曝露した後、無機酸化物層を気相成膜法で積層する積層体の製造方法である。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂フィルムは、基材と無機酸化物層の密着を向上させるための表面処理として、放電雰囲気に曝露することが好ましい。表面処理としては、薬液による処理や、ブラスト処理、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、イオンビーム処理、EB処理等、多くの処理が知られているが、処理後の表面への付着物による汚染を防止するため、放電雰囲気に曝露する処理が好ましく、処理時に生成する低分子量成分や水分の付着を減らすために、真空度50Pa以下でポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面を放電雰囲気に曝露することがより好ましく、真空度5.0×10-2Pa以下でポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面をイオンビーム処理すること、および/または真空度50Pa以下でポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面をマグネトロン方式のプラズマ処理することがさらに好ましい。コロナ処理では局所的なアーク放電によって表面の処理均一性が乏しく、大気圧プラズマ処理は、処理によって生成する水溶性低分子生成物が、大気中の水分に溶解して表面に付着し、これらの低分子生成物や水分を無機酸化物層に取り込んで無機酸化物の膜質が低下する課題があることがわかった。また、真空下での処理であっても、EB処理やRIEプラズマ処理は、処理表面に強いエネルギーを集中して与えるので、過剰処理となって表層が脆弱化し、無機酸化物層形成時に表層が分解して無機酸化物層に水素を取り込みやすかったり、フィルム表層の耐熱性が低下して無機酸化物層との界面に屈曲やクラックが発生してバリア性が低下したりする課題があることがわかった。真空下でのイオンビーム処理は、電流値が低い、つまり、放電中の荷電粒子の量が少ない特徴があるため、処理表面が過剰に処理されることがなく、無機酸化物層に含まれる水素の原因となる低分子量成分の付着を減らすことができ好ましい。真空下でのマグネトロン方式のプラズマ処理は、水分を排除した雰囲気を作り出し、官能基導入に適したガスを使用して、均一な放電を作り出すことができるため、処理強度を調整しやすいため好ましい。各処理の好ましい処理条件範囲は、前述の通りである。また、これらの処理をフィルムに施した後は、大気開放せずに無機酸化物層を積層することが好ましい。大気開放せずに無機酸化物層を積層することで、フィルム表面への水分付着や汚染を防止し、無機酸化物層への水素の取り込みを少なくし、フィルムと無機酸化物層の密着を得ることができ好ましい。
本発明の積層体は、ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、無機酸化物層を気相成膜法で積層することによって製造できる。無機酸化物層の成膜には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などの公知の方法を用いることができるが、特に、生産性よく高速で成膜できる点から、真空蒸着法、および/または反応性蒸着法を用いることが好ましい。反応性蒸着法とは、金属蒸着雰囲気中に酸素ガスを導入し、金属蒸気と酸素の反応により金属酸化物を形成する真空蒸着法の一種である。蒸着装置の加熱手段としては、電子線加熱方式や、抵抗加熱式、誘導加熱式が好ましい。アルミニウムを無機酸化物層に含む場合を例とすると、真空蒸着法で無機酸化物層を積層する場合は、酸化アルミニウムを蒸着材料として使用する。反応性蒸着法で積層する場合は、アルミニウムを蒸着材料として使用し、蒸発させたアルミニウム蒸気に酸素を含むガスを導入してフィルム上に無機酸化物層を形成する。導入するガスは、反応性や膜質制御のために不活性ガスなどを含んでいても構わない。ガスの導入は蒸発源とメインロール中心を結ぶ直線上から導入し、メインロール方向に向けて酸素を拡散させながら導入すると、アルミニウム蒸気と混合しやすく、均一に安定して酸化した膜を得ることができるため好ましい。蒸着のメインロールは、フィルムの熱負けを防止するために冷却することが好ましく、その温度は、好ましくは20℃以下、より好ましくは0℃以下である。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
[評価方法]
(1)積層体の全光線透過率の測定
JISK7136(2000)に従って日本電色工業株式会社製ヘイズメーターNDH4000を用いて積層体の全光線透過率を測定した。
(2)透過型電子顕微鏡観察
積層体断面を透過型電子顕微鏡で観察した。観察用試料は、FEI製Helios G4を用いて、変質回避のために-140℃でクライオFIB(Focused Ion Beam)加工して調製し、原子分解能分析電子顕微鏡(JEOL製 JEM-ARM200F)を用いて、加速電圧200kV、ビーム径0.2nmφで測定して得られた観察像から、無機酸化物層を特定し、その厚さを測定した。
(3)無機酸化物層の組成分析
無機酸化物層の組成は、高分解能ラザフォード後方散乱法および高分解能水素前方散乱法(HR-RBS/HR-RFS法)で下記条件にて分析した。
装置:株式会社神戸製鋼所製RBS分析装置 HBRS500
HR-RBS測定
入射イオン:He
入射エネルギー:450keV
入射角:60deg
散乱角:60deg
試料電流:約3nA
照射量:約31μC
HR-HFS測定
入射イオン:N
入射エネルギー:480keV
入射角:70deg
散乱角:30deg
試料電流:約0.6nA
照射量:約0.4μC
H濃度の校正には既知のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)薄膜試料をH濃度校正用の標準試料として用いた。デプスプロファイルは、シミュレーションフィッティングにより決定した。無機酸化物層の厚さは(3)で測定した値を用い、Cの比率が0から正になった位置がフィルムと無機酸化物層の界面として、無機酸化物層を定義した。なお、測定中に水素の減少が認められる場合は、初期の測定値と、照射量に対するHシグナルの強度変化から、水素脱離する前の水素量に補正した値を用いた。
(4)水蒸気バリア性の測定
水蒸気バリア性(以下、WVTRと略すこともある)は、JISK7129(2008)のB法に従い温度40℃、湿度90%RHの条件で、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(“パ-マトラン”(登録商標)W3/31)を使用して測定した。測定は2枚の試験片について2回ずつ行い、合計4つの測定値の平均値を水蒸気バリア性の値とした。
[実施例1]
厚さ12μmの二軸延伸ポリオレフィンフィルム(東レ株式会社社製ポリプロピレンフィルム、 Ra25nm)の片面に、酸素雰囲気下でアノードレイヤー型のイオン源を使用して、イオンビーム処理した。使用した電極のフィルム幅方向の長さは760mm、電極とフィルムの距離は50mmとし、真空度は3.4×10-3Pa、搬送速度を100m/min、単位面積あたりの電流値は240mA・sec/mとした。イオンビーム処理に連続して、イオンビーム処理した表面に、酸化アルミニウム層を6.8nm形成した。酸化アルミニウム層は、アルミニウムを蒸発させ、蒸着部に酸素を導入して酸化させる反応蒸着法で積層体を得た。
[実施例2]
イオンビーム処理するときの搬送速度を480m/min、単位面積あたりの電流値を62mA・sec/mとし、酸化アルミニウム層厚さを4.8nmとした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
[実施例3]
イオンビーム処理するときの搬送速度を240m/min、単位面積あたりの電流値を750mA・sec/mとし、酸化アルミニウム層厚さを8.3nmとした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
[実施例4]
イオンビーム処理をAr雰囲気下、搬送速度を240m/min、単位面積あたりの電流値を600mA・sec/mとし、酸化アルミニウム層厚さを7.5nmとした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
[実施例5]
イオンビーム処理するときの搬送速度を480m/min、単位面積あたりの電流値を40mA・sec/mとし、酸化アルミニウム層厚さを4.4nmとした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
[実施例6]
イオンビーム処理するときの搬送速度を100m/min、単位面積あたりの電流値を850mA・sec/mとし、酸化アルミニウム層厚さを8.2nmとした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
[実施例7]
イオンビーム処理するときの搬送速度を100m/min、単位面積あたりの電流値を1,040mA・sec/mとし、酸化アルミニウム層厚さを9.7nmとした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
[実施例8]
酸化アルミニウム層厚さを3.1nmとした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
[実施例9]
厚さ12μmの二軸延伸ポリオレフィンフィルムの片面に、SUS304のプレーナーマグネトロン方式の電極を使用し、酸素雰囲気下5Pa、E値98W・min/mでプラズマ処理した。その後、厚さ7.2nmの酸化アルミニウム層を実施例1と同様に蒸着し、積層体を得た。
[実施例10]
プラズマ処理するときのE値を165W・min/mとし、酸化アルミニウム層厚さを8.9nmとした以外は実施例9と同様にして積層体を得た。
[実施例11]
プラズマ処理するときの電極組成を銅にして、酸素ガスを用いて0.4Paの圧力下、E値42W・min/mで処理し、酸化アルミニウム層厚さを6.7nmとした以外は実施例9と同様にして積層体を得た。
[実施例12]
実施例1で得た積層体の表面にオーバーコートを形成した。オーバーコート層は、ポリビニルアルコールと、金属アルコキシドの混合液を乾燥厚さ400nmになるように塗工した。ポリビニルアルコール溶液は、水/イソプロピルアルコール=97/3の溶媒に固形分質量が10質量%になるように溶解し、金属アルコキシド溶液は、テトラエトキシシラン、直鎖状ポリシロキサン(コルコート株式会社製エチルシリケート40)をそれぞれメタノールと塩酸水溶液で加水分解し、SiO換算固形分の質量比が15/85になるように混合して得た。ポリビニルアルコールと、金属アルコキシドの混合液は、ポリビニルアルコールの固形分質量と、金属アルコキシド溶液のSiO換算固形分質量比が65/35になるように混合して得たものである。
[比較例1]
イオンビーム処理をせず、酸化アルミニウム層の厚さを6.2nmとしたこと以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
[比較例2]
アクリルポリオール(大成ファインケミカル株式会社製#6000)とイソシアネート(旭化成株式会社製デュラネート)を、アクリルポリオールのOH基に対してNCO基が等量となるように混合し、酢酸エチルで希釈した塗液を、乾燥後の厚さが0.1μmになるように塗工・乾燥した、厚さ12μmの二軸延伸ポリオレフィンフィルムを用い、イオンビーム処理をせず、コート表面に厚さ7.1nmの酸化アルミニウム層を形成した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
[比較例3]
厚さ12μmの二軸延伸ポリオレフィンフィルムの片面に、大気下でE値185W・min/mでコロナ処理し、その表面に厚さ5.7nmの酸化アルミニウム層を形成した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
[比較例4]
厚さ12μmの二軸延伸ポリオレフィンフィルムの片面に、アルゴンガス雰囲気下、ガス圧力2.0Paでリアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマ処理を施し、その表面に厚さ8.0nmの酸化アルミニウム層を形成した以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
Figure 2023036116000001
比較例1では、真空下での表面処理をしなかったため、付着した水分の除去が十分でないことから、Hatmが31atomic%となったと推察される。
1 無機酸化物層
2 ポリオレフィン系樹脂フィルム
3 無機酸化物層の組成算出範囲

Claims (13)

  1. ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、水素原子を1atomic%以上30atomic%以下含む無機酸化物層を有する積層体。
  2. 全光線透過率が85%以上である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記無機酸化物層の厚さが2nm以上10nm以下であり、
    積層体を40℃90%RHで測定した際の水蒸気バリア性が5.0g/m/day以下である請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂フィルムが、ポリプロピレンを含む請求項1から3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記無機酸化物層がアルミニウムを含む請求項1から4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記無機酸化物層のアルミニウムと酸素の平均元素数比O/Alが、1.50以上2.50以下である請求項5に記載の積層体。
  7. 前記無機酸化物層に含まれる水素原子比率をHatm[atomic%]とし、前記無機酸化物層の厚さをt[nm]としたとき、Hatm/t≦3.3である請求項1から6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記ポリオレフィン系樹脂フィルムと前記無機酸化物層が直接接する請求項1から7のいずれかに記載の積層体。
  9. 前記無機酸化物層の上にオーバーコート層を有する請求項1から8のいずれかに記載の積層体。
  10. 前記オーバーコート層が金属アルコキシドと水溶性高分子とを含む請求項9に記載の積層体。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面を放電雰囲気に曝露した後、無機酸化物層を気相成膜法で積層する積層体の製造方法。
  12. 請求項11に記載の積層体の製造方法であって、気相成膜法が真空蒸着法または反応性蒸着法である積層体の製造方法。
  13. 請求項11または12に記載の積層体の製造方法であって、ポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面を処理した後、大気開放せずに無機酸化物層を気相成膜法で積層する積層体の製造方法。
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