JP2023032684A - 膜ろ過装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜ろ過装置の安定かつ連続的な運転を実現する。【解決手段】膜ろ過装置10は、被処理水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜またはナノろ過膜を有するろ過手段12と、ろ過手段12で処理される被処理水を貯留するタンク11と、タンク11からろ過手段12に被処理水を供給する被処理水ラインL1と、ろ過手段12からの透過水を流通させる処理水ラインL2と、ろ過手段12からの濃縮水を流通させる濃縮水ラインL3と、濃縮水ラインL3から分岐し、濃縮水ラインL3を流れる濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインL4と、タンク11に被処理水を供給する給水ラインL6と、給水ラインL6を流れる被処理水の流量が処理水ラインL2を流れる透過水の流量と排水ラインL4を流れる濃縮水の流量との和になるように、給水ラインL6を流れる被処理水の流量を調整する制御部20と、を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、膜ろ過装置に関する。
被処理水に含まれる不純物を除去する水処理装置として、逆浸透膜(RO膜)またはナノろ過膜(NF膜)を有する膜ろ過装置が知られている。この装置では、所定の供給圧力でRO膜またはNF膜に供給された被処理水(原水)が、RO膜またはNF膜により、透過水と濃縮水とに分離される。これにより、不純物が除去された処理水(透過水)を得ることができる。
RO膜またはNF膜を有する膜ろ過装置では、多くの場合、水の有効利用(節水)の観点から、不純物を含む濃縮水の一部を濃縮排水として外部に排出し、残りを濃縮還流水としてRO膜またはNF膜の上流側に還流させる構成が採用されている。これにより、すべての濃縮水を濃縮排水として排出する場合に比べて、回収率(透過水の流量と濃縮排水の流量との和に対する透過水の流量の割合)を向上させ、節水を実現することができる。それと同時に、このような膜ろ過装置では、水温の変化(すなわち、水の粘性の変化)による透過水の流量変化に対応するために、加圧ポンプの回転数を制御することでRO膜またはNF膜への原水の供給圧力を調整して、透過水の流量を一定に維持する流量制御が行われている。透過水の流量制御では、透過水の流量が一定になるように原水の供給圧力を調整すると、それに応じて濃縮水の流量も変化する。このような濃縮水の流量変化は、ファウリングやスケーリングによる膜の詰まりの発生や、圧力損失の増大による膜の破損につながるため、透過水の流量制御を行う場合には、濃縮水(濃縮還流水または濃縮排水)の流量制御も行うことが望ましい。例えば、特許文献1には、透過水の流量制御に加え、濃縮排水の流量を設定流量に調整する流量制御を行うことが記載されており、水温に応じて設定される回収率の目標値に基づいて濃縮排水の設定流量を算出することが記載されている。
ところで、上述した膜ろ過装置の中には、特許文献1にも記載されているように、RO膜またはNF膜に供給される原水を貯留する原水タンクを備えたものがある。そのような構成では、膜ろ過装置から外部への排水流量(透過水の流量と濃縮排水の流量)に応じて原水タンク内の水位が低下するため、必要に応じて原水タンクに原水を供給する給水制御を行う必要がある。通常は、原水タンクに設けられた水位センサの検出結果に基づいて、給水ラインに設けられた自動開閉弁を開閉することで、給水ラインから原水タンクへの原水の供給が行われる。
特開2018-176033号公報
上述した給水制御において、自動開閉弁の開放時に給水ラインを流れる原水の流量は、原水タンク内の水位が低下して膜ろ過装置の運転を停止することがないように、できるだけ大きな流量に調整されていることが好ましい。具体的には、水温に応じて回収率(目標回収率)が変化しても原水タンク内の水位が常に上昇するように、膜ろ過装置から外部への排水流量が最大になるときの流量を上回る流量に調整されていることが好ましい。しかしながら、その場合、原水タンク内の水位が頻繁に所定の上限水位に達し、それによって自動開閉弁の開閉が必要以上に行われるため、自動開閉弁の寿命が低下し、結果的に、膜ろ過装置を安定かつ連続的に運転することが困難になる懸念がある。
そこで、本発明の目的は、安定かつ連続的な運転を実現する膜ろ過装置を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明の一態様による膜ろ過装置は、被処理水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜またはナノろ過膜を有するろ過手段と、ろ過手段で処理される被処理水を貯留するタンクと、タンクからろ過手段に被処理水を供給する被処理水ラインと、ろ過手段からの透過水を流通させる処理水ラインと、ろ過手段からの濃縮水を流通させる濃縮水ラインと、濃縮水ラインから分岐し、濃縮水ラインを流れる濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインと、タンクに被処理水を供給する給水ラインと、給水ラインを流れる被処理水の流量が処理水ラインを流れる透過水の流量と排水ラインを流れる濃縮水の流量との和になるように、給水ラインを流れる被処理水の流量を調整する制御部と、を有している。
また、本発明の他の態様による膜ろ過装置は、直列に接続された複数のろ過手段であって、複数のろ過手段のうち最も上流側の第1のろ過手段と、複数のろ過手段のうち最も下流側の第2のろ過手段とを含み、それぞれが被処理水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜またはナノろ過膜を有する複数のろ過手段と、複数のろ過手段で処理される被処理水を貯留するタンクと、タンクから第1のろ過手段に被処理水を供給する被処理水ラインと、第2のろ過手段からの透過水を流通させる処理水ラインと、第1のろ過手段からの濃縮水を流通させる濃縮水ラインと、濃縮水ラインから分岐し、濃縮水ラインを流れる濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインと、タンクに被処理水を供給する給水ラインと、給水ラインを流れる被処理水の流量が処理水ラインを流れる透過水の流量と排水ラインを流れる濃縮水の流量との和になるように、給水ラインを流れる被処理水の流量を調整する制御部と、を有している。
このような膜ろ過装置によれば、処理水ラインを流れる透過水の流量と排水ラインを流れる濃縮水(濃縮排水)の流量に応じた流量でタンク(原水タンク)に原水を供給することができる。そのため、例えば、水温が変化して濃縮排水の流量が変化しても、原水タンク内の水位変動を最小限に抑えることができ、膜ろ過装置の運転を安定的に継続することができる。
以上、本発明によれば、膜ろ過装置の安定かつ連続的な運転を実現することができる。
本発明の第1の実施形態に係る膜ろ過装置の構成を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態に係る膜ろ過装置の構成を示す概略図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る膜ろ過装置の構成を示す概略図である。
膜ろ過装置10は、原水タンク11と、ろ過手段12とを有し、原水タンク11に貯留された原水(被処理水)をろ過手段12で処理することで、原水に含まれる不純物を除去して処理水を生成する装置である。ろ過手段12は、原水タンク11から供給される原水を、不純物を含む濃縮水と不純物が除去された透過水とに分離するものであり、逆浸透膜(RO膜)またはナノろ過膜(NF膜)を有している。
ろ過手段12には、原水タンク11からろ過手段12に原水を供給する原水ライン(被処理水ライン)L1と、ろ過手段12からの透過水を流通させる処理水ラインL2と、ろ過手段12からの濃縮水を流通させる濃縮水ラインL3とが接続されている。濃縮水ラインL3は、濃縮水の一部を外部に排出する排水ラインL4と、その残りを原水タンク11に還流させる還流水ラインL5の2つに分岐している。すなわち、還流水ラインL5は、濃縮水ラインL3から分岐した後、原水タンク11に接続されている。原水タンク11には、給水ラインL6が接続され、前処理システム(図示せず)で除濁や脱塩素などの前処理が施された原水が給水ラインL6を通じて供給される。
また、膜ろ過装置10は、原水ラインL1に設けられた加圧ポンプ13と、濃縮水ラインL3に設けられた定流量弁14と、処理水ラインL2に設けられた処理水流量計15と、排水ラインL4に設けられた流量調整弁CV1および排水流量計16と、還流水ラインL5に設けられた手動弁MV1と、給水ラインL6に設けられた流量調整弁CV2および給水流量計17とを有している。
加圧ポンプ13は、インバータ(図示せず)によって回転数が制御されるようになっており、原水ラインL1を流れる原水の圧力(ろ過手段11への原水の供給圧力)を調整する圧力調整手段として機能する。定流量弁14は、濃縮水ラインL3を流れる濃縮水の流量を一定に保持し、後述する2つの流量制御の干渉を抑制してハンチングを回避する機能を有している。処理水流量計15は、処理水ラインL2を流れる透過水の流量を検出する流量検出手段として機能する。流量調整弁CV1は、排水ラインL4を流れる濃縮水(以下、「濃縮排水」ともいう)の流量を調整する流量調整手段として機能し、排水流量計16は、濃縮排水の流量を検出する流量検出手段として機能する。手動弁MV1は、排水ラインL4を流れる濃縮水と還流水ラインL5を流れる濃縮水(以下、「濃縮還流水」ともいう)の圧力バランスを調整する圧力調整弁として機能する。流量調整弁CV2は、給水ラインL6を流れる原水(以下、「供給水」ともいう)の流量を調整する流量調整手段として機能し、給水流量計17は、供給水の流量を検出する流量検出手段として機能する。
さらに、膜ろ過装置10は、膜ろ過装置10の運転を制御する制御部20を有している。制御部20は、膜ろ過装置10の通常運転(膜分離処理)時に、3つの流量制御、すなわち、透過水の流量制御である第1の流量制御と、濃縮排水の流量制御である第2の流量制御と、供給水の流量制御である第3の流量制御とを並行して実行する。具体的には、第1の流量制御では、処理水ラインL2を流れる透過水の流量が設定流量になるように加圧ポンプ13が制御される。第2の流量制御では、処理水ラインL2を流れる透過水の流量から濃縮排水(排水ラインL4を流れる濃縮水)の目標流量が算出され、濃縮排水の流量がその目標流量になるように流量調整弁CV1の開度が制御される。第3の流量制御では、透過水の流量と濃縮排水の流量から供給水(給水ラインL6を流れる原水)の目標流量が算出され、供給水の流量がその目標流量になるように流量調整弁CV2の開度が制御される。以下、これら3つの流量制御の詳細について説明する。
第1の流量制御では、処理水流量計15による透過水の検出流量(検出値)が一定(予め定められた設定流量)になるように加圧ポンプ13が制御される。例えば、水温が変化すると、水の粘性が変化することで、ろ過手段12で分離される透過水の流量も変化する。この変化に応じて、制御部20は、インバータを通じて加圧ポンプ13の回転数を制御する。すなわち、水温が低くなると、水の粘性は高くなり、その結果、ろ過手段12からの透過水の流量が減少する。そのため、制御部20は、この減少分を補うように、加圧ポンプ13の回転数を上げることで、原水の供給圧力を増加させる。また、水温が高くなると、水の粘性は低くなり、その結果、ろ過手段12からの透過水の流量が増加する。そのため、制御部20は、この増加分を打ち消すように、加圧ポンプ13の回転数を下げることで、原水の供給圧力を低下させる。こうして、加圧ポンプ13の回転数、すなわち原水の供給圧力が調整されることで、処理水ラインL2を流れる透過水の流量が一定に維持される。
なお、ろ過手段12への原水の供給圧力の変化(加圧ポンプ13の回転数の変化)に応じて、ろ過手段12で分離される濃縮水の流量も変化するが、濃縮水ラインL3には、上述したように定流量弁14が設けられている。そのため、第1の流量制御により、加圧ポンプ13の回転数が変化して原水の供給圧力が変化した場合にも、濃縮水ラインL3を流れる濃縮水の流量を一定に保持することができる。その結果、第1の流量制御が排水ラインL4や還流水ラインL5を流れる濃縮水の流量に影響を及ぼすことがなくなり、後述する第2の流量制御は、第1の流量制御と干渉することなく独立して行われることになる。
ここで、定流量弁14の規定流量は、一方では、ファウリングやスケーリングによる膜の詰まりが発生しない程度であればよく、他方では、圧力損失の増大によって膜を破損させない程度であればよい。ただし、定流量弁14の規定流量を必要以上に大きくすることは、加圧ポンプ13に要求される流量が必要以上に大きくなり、結果的に加圧ポンプ13のサイズが大きくなるため、エネルギー消費の点で好ましくない。そのため、定流量弁14の規定流量は、ろ過手段12の透過流束とろ過手段12に要求される濃縮水の最低流量も考慮して設定され、例えば、ろ過手段12として直径が約20.32cm(8インチ)のRO膜を用いる場合、1~15m/hの範囲である。なお、ろ過手段12に要求される濃縮水の最低流量とは、ファウリングやスケーリングによる膜の詰まりが発生しないための濃縮水ラインL3に流すべき濃縮水の最低流量を意味する。
ところで、定流量弁14には、定流量弁14を正常に作動させるための作動差圧範囲(定流量弁の一次側と二次側の圧力差の許容範囲)が規定されている。そのため、例えば、ろ過手段12として中高圧用のRO膜を使用する場合や、水温が極端に低下した場合など、条件によっては、原水の供給圧力が著しく上昇して濃縮水の圧力が上昇し、定流量弁14の一次側と二次側の圧力差が作動差圧範囲を超えてしまうことがある。その場合、濃縮水ラインL3を流れる濃縮水の流量が一定に保持されないおそれがある。
そこで、定流量弁14の上流側の濃縮水ラインL3に、濃縮水ラインL3を流れる濃縮水の圧力を減圧する(すなわち、二次側の圧力を一次側の圧力よりも低くすることができる)減圧弁が設けられていてもよい。これにより、ろ過手段12への原水の供給圧力が著しく上昇する場合であっても、定流量弁14の一次側と二次側の圧力差を作動差圧範囲内に収めて定流量弁14を正常に作動させることができ、濃縮水ラインL3を流れる濃縮水の流量を一定に保持することができる。また、減圧弁が設けられていると、定流量弁14が正常に作動して濃縮水の流量が増加することがないため、後述する第2の流量制御によって濃縮排水の流量が目標流量に調整される際に還流水ラインL5を流れる濃縮水の流量が増加することがなく、加圧ポンプ13の吐出流量が増加することがない。そのため、加圧ポンプ13の揚程が低くなることで必要な透過水の流量が得られなくなるおそれもなくなる。さらに、減圧弁を設けることは、それよりも下流側の周辺部材(配管など)にそれほどの耐圧性能が要求されなくなるため、安全面で有利であるだけでなく、耐圧性能がそれほど高くない安価な汎用品が利用可能になることで、コスト面でも有利である。なお、減圧弁の種類は、濃縮水の圧力を定流量弁14の作動差圧範囲内に減圧することができるものであれば特に限定されるものではないが、定流量弁14の規定流量以上の流量が流れるものや、二次側の圧力が排水ラインL4や還流水ラインL5の通水差圧と排水側の背圧との合計よりも大きくなるものを選定する必要がある。
第2の流量制御では、ろ過手段12の回収率(透過水の流量と濃縮排水の流量との和に対する透過水の流量の割合)を考慮して濃縮排水の目標流量が算出され、排水流量計16による濃縮排水の検出流量(検出値)がその目標流量になるように、流量調整弁CV1の開度が調整される。このときの回収率は、水の有効利用(節水)の観点から、できるだけ高いことが好ましい。すなわち、濃縮排水の流量はできるだけ少ないことが好ましい。しかしながら、定流量弁14により濃縮水の流量が一定に保持されているため、濃縮排水の流量が少なくなると、当然のことながら、還流水ラインL5から原水タンク11に還流する濃縮水の流量が増加する。それにより、原水の不純物濃度が高まると、ろ過手段12のRO膜またはNF膜の膜面に不純物(特に、シリカまたはカルシウム)が析出するスケーリングが起こりやすくなってしまう。したがって、濃縮排水の流量は、濃縮水の不純物濃度が溶解度以上の濃度にならない範囲で回収率が最大になるように、すなわち、不純物であるシリカまたはカルシウムが析出しない範囲で回収率が最大になるように設定される。
ただし、不純物の溶解度は、水温に応じて変化する。例えば、シリカの場合、その溶解度は温度に比例して増加し、カルシウム(炭酸カルシウム)の場合、温度が上昇するにつれてその溶解度は減少する。そのため、水温が低い場合には、シリカの溶解度が相対的に低く、シリカが析出しやすい(シリカスケールが発生しやすい)が、水温が高くなると、カルシウムの溶解度が相対的に低くなるため、カルシウムが析出しやすく(カルシウムスケールが発生しやすく)なる。そこで、膜ろ過装置10には、図示していないが、原水と透過水と濃縮水とのいずれかの水温を検出する温度センサ(水温検出手段)が設けられている。この温度センサにより検出された水温に基づいて、濃縮排水の最適な目標流量が算出される。
具体的には、まず、検出された水温でシリカが析出する理論上の回収率(以下、「シリカの析出回収率」という)と、検出された水温でカルシウム(炭酸カルシウム)が析出する理論上の回収率(以下「カルシウムの析出回収率」という)が算出される。なお、シリカの析出回収率とカルシウムの析出回収率のそれぞれの算出方法については後述する。次に、シリカの析出回収率とカルシウムの析出回収率とが比較され、目標回収率として、より小さい方の析出回収率が設定される。そして、この目標回収率と、処理水流量計15による透過水の検出流量とに基づいて、以下の式(1)により、濃縮排水の目標流量が算出されて設定される。
(濃縮排水の目標流量)=
(透過水の検出流量/目標回収率)-(透過水の検出流量) (1)
スケーリングの発生を確実に抑制するという観点からは、上記式(1)で算出された目標流量を上回る流量を濃縮排水の設定流量として設定することもできるが、節水の観点からは、算出された目標流量を濃縮排水の設定流量として設定することが好ましい。なお、回収率(目標回収率)として、通常は、パーセントで表した値が用いられるが、上記式(1)では、小数で表した値が用いられることは言うまでもない。
ここで、シリカの析出回収率とカルシウムの析出回収率の算出方法についてそれぞれ説明する。
(シリカの析出回収率の算出方法)
シリカの析出回収率Yは、検出された水温でのシリカの溶解度(mg/L)をCとし、予め測定された原水のシリカ濃度(mg/L)をFとしたとき、以下の式(2)から算出される。
=(C-F)/C (2)
なお、シリカの溶解度の算出方法としては、ASTM(American Society for Testing and Materials)D4993-89などに規定された方法を用いることができる。
(カルシウムの析出回収率の算出方法)
カルシウムの析出回収率は、濃縮水のランゲリア指数を算出する方法を利用して算出される。ここで、ランゲリア指数(飽和指数)とは、カルシウム(炭酸カルシウム)の析出の可能性を示す指標であり、水の実際のpHと、理論pH(pHs:水中の炭酸カルシウムが溶解も析出もしない平衡状態にあるときのpH)との差(pH-pHs)を意味する。すなわち、ランゲリア指数が正の値で絶対値が大きいほど炭酸カルシウムが析出しやすくなり、負の値では炭酸カルシウムは析出されない。そのため、カルシウムの析出回収率は、濃縮水のランゲリア指数がゼロになるときの回収率として算出される。なお、より安全側の値として設定するために、カルシウムの析出回収率は、濃縮水のランゲリア指数が負の値になるときの回収率であってもよい。
濃縮水のランゲリア指数は、濃縮水のpHと、濃縮水の不純物濃度(カルシウム濃度、総アルカリ度、および蒸発残留物濃度)と、検出された水温とから算出される。ランゲリア指数の算出方法としては、例えば、特開平11-267687号公報(段落[0025]~[0027])などに記載された方法を用いることができる。また、濃縮水の不純物濃度(カルシウム濃度、総アルカリ度、および蒸発残留物濃度)は、予め測定された原水の不純物濃度(カルシウム濃度、総アルカリ度、および蒸発残留物濃度)と、回収率とから算出される。したがって、カルシウムの析出回収率Yは、濃縮水のランゲリア指数がゼロになるときの濃縮水の不純物濃度(mg/L)をCとし、予め測定された原水の不純物濃度(mg/L)をFとしたとき、以下の式(3)の関係で表されることになる。
=(C-F)/C (3)
なお、透過水の流量と濃縮排水の流量との和に対する透過水の流量の割合である回収率は、透過水の流量と濃縮排水の流量との和に対する濃縮水の流量の割合である許容濃縮倍率で表すことができる。すなわち、回収率Yは、許容濃縮倍率をNとしたとき、以下の式(4)で表すことができる。
Y=(N-1)/N (4)
したがって、上記式(1)~(3)は、上記式(4)を用いて、それぞれ以下のように表すことができる。
(濃縮排水の目標流量)=(透過水の検出流量)/(許容濃縮倍率-1) (1’)
=C/F (2’)
=C/F (3’)
ここで、Nは、カルシウムの析出回収率に対応する許容濃縮倍率であり、Nは、シリカの析出回収率に対応する許容濃縮倍率である。
シリカおよびカルシウムの析出回収率の算出方法や濃縮排水の目標流量の算出方法は、例えば加圧ポンプの容量や原水の流量などの装置設計上の制約によって、予め回収率や流量に制約がある場合には、上述した限りではない。また、第1の流量制御によって処理水ラインL2を流れる透過水の流量が一定に調整されるため、濃縮排水の目標流量の算出には、予め定められた透過水の設定流量を用いることもできる。ただし、この方法は、透過水の設定流量と実際の流量が一致していない場合に、実際の回収率が目標回収率からずれる可能性があるため好ましくない。すなわち、透過水の実際の流量が設定流量よりも大きい場合には、実際の回収率が目標回収率を上回ることでスケーリングが発生したり、透過水の実際の流量が設定流量よりも小さい場合には、実際の回収率が目標回収率を下回ることで節水を図ることができなくなったりする。
したがって、濃縮排水の目標流量の算出には、上述したように、処理水流量計15による透過水の検出流量を用いることが好ましい。これにより、第1の流量制御において透過水の流量制御が適切に実施されない事態が発生しても、実際の回収率が目標の回収率からずれることを抑制することができる。なお、実際の算出には、透過水の検出流量のばらつきなどによる影響を最小限に抑えるために、所定検出時間や所定検出回数における平均流量を用いることが好ましい。
ただし、装置起動時や運転再開時など、透過水の流量が安定せず、検出流量のばらつきが非常に大きい場合には、透過水の流量が安定するまでの一定期間、予め定められた透過水の設定流量を用いて、濃縮排水の目標流量を算出するようになっていてもよい。また、透過水の設定流量と実際の流量との差に応じて、濃縮排水の目標流量の算出に用いる透過水の流量を切り替えるようになっていてもよい。すなわち、その差が所定範囲内にある場合には、設定流量を用いて算出し、その差が所定範囲を外れた場合には、実際の流量を用いて算出するようになっていてもよい。
上述のように回収率制御を行う場合、流量調整弁CV1としては、電動比例制御弁を用いることが好ましい。これにより、電動比例制御弁の分解能に応じて開度調整を細かく行うことができ、電磁弁の組み合わせなどによる段階式での開度調整に比べて、回収率を滑らかに調整することができる。例えば、50~70%の範囲の回収率を5段階(50%、55%、60%、65%、70%)にしか制御できない段階式では、目標回収率が64%に設定された場合、回収率を60%にしか調整することができず、無駄な濃縮排水が発生してしまう。したがって、流量調整弁CV1として電動比例制御弁を用いることは、このような濃縮排水の無駄も削減することができるため、節水の観点からも有利である。
ただし、流量調整弁CV1として電動比例制御弁を用いる場合には、その開閉速度と、濃縮排水の目標流量の算出速度(演算速度)との関係に注意が必要である。例えば、2つの速度が大きく異なっている場合、電動比例制御弁の開閉が完了して濃縮排水の流量が安定する前にその目標流量が変更されると、ハンチングが発生する可能性がある。また、濃縮排水の目標流量が処理水流量計15による透過水の検出流量に基づいて決定されるため、濃縮排水の流量制御は、加圧ポンプ13の回転数を制御するインバータの応答速度にも影響を受ける可能性がある。したがって、濃縮排水の目標流量の演算速度を決定する際には、電動比例制御弁の開閉速度とインバータの応答速度とを考慮することが好ましい。すなわち、電動比例制御弁の開閉速度が遅い場合は、インバータの応答速度を遅くし、電動比例制御弁の開閉速度が速い場合は、インバータの応答速度を速くすることが好ましい。なお、上述したように、第2の流量制御(濃縮排水の流量制御)は、定流量弁14の設置により第1の流量制御(透過水の流量制御)と独立して行われるため、互いの流量制御が干渉することが抑制される。その結果、上述のようなハンチングの発生を極力抑制することができ、実際の回収率が目標の回収率からずれることを抑制することができる。この点からも、濃縮水ラインL3に定流量弁14が設けられていることが好ましい。
なお、本実施形態では、回収率の目標値をより高く設定して、さらなる節水を実現するために、上述の析出回収率をより高くすることを目的として、スケール防止剤を原水に添加するようになっていてもよい。この場合、定流量弁14の規定流量を小さくすることができ、結果として、より小さい容量の加圧ポンプ13を用いることで省エネルギー化を実現することもできる。スケール防止剤の添加は、薬注ポンプによって行うことができる。
スケール防止剤は、シリカやカルシウムなどのスケール成分の析出を抑制可能な物質であれば、特定のものに限定されるものではない。その種類としては、例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ニトリロトリメチルホスホン酸などのホスホン酸とその塩類などのホスホン酸系化合物;正リン酸塩、重合リン酸塩などのリン酸系化合物;ポリマレイン酸、マレイン酸共重合物などのマレイン酸系化合物;アクリル酸系ポリマーなどが挙げられ、アクリル酸系ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸、マレイン酸/(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸/スルホン酸、(メタ)アクリル酸/ノニオン基含有モノマーなどのコポリマーや、(メタ)アクリル酸/スルホン酸/ノニオン基含有モノマー、(メタ)アクリル酸/アクリルアミド-アルキルスルホン酸/置換(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸/アクリルアミド-アリールスルホン酸/置換(メタ)アクリルアミドのターポリマーなどが挙げられる。ターポリマーを構成する(メタ)アクリル酸としては、例えば、メタアクリル酸およびアクリル酸と、それらのナトリウム塩などの(メタ)アクリル酸塩などが挙げられる。ターポリマーを構成するアクリルアミド-アルキルスルホン酸としては、例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とその塩などが挙げられる。また、ターポリマーを構成する置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、t-ブチルアクリルアミド、t-オクチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
これらの中でも、ホスホン酸系化合物とアクリル酸系ポリマーのうち少なくとも1種類を含むものを用いることが好ましい。また、カルシウムとシリカに由来するスケールを同時に抑制するためには、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸と、アクリル酸と(メタ)アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸/置換(メタ)アクリルアミドのターポリマーとの混合物とからなるスケール防止剤を用いることが特に好ましい。
なお、RO膜用の市販のスケール防止剤としては、オルガノ株式会社製の「オルパージョン」シリーズ、BWA Water Additives社製の「Flocon(登録商標)」シリーズ、Nalco社製の「PermaTreat(登録商標)」シリーズ、ゼネラル・エレクトリック社製の「Hypersperse(登録商標)」シリーズ、栗田工業株式会社製の「クリバーター(登録商標)」シリーズなどが挙げられる。
上述したように、本実施形態では、定流量弁14により濃縮水の流量が一定に維持されるため、排水ラインL4および還流水ラインL5の一方を流れる濃縮水の流量を規定するだけで、他方を流れる濃縮水の流量も規定することができる。そのため、図示した実施形態では、排水ラインL4に流量制御手段としての流量調整弁CV1と排水流量計16が設けられ、還流水ラインL5に圧力バランス調整のための手動弁MV1が設けられているが、その逆であってもよい。すなわち、還流水ラインL5に、流量調整弁(比例制御弁)と流量計が設けられ、排水ラインL4に、圧力バランス調整のための手動弁が設けられていてもよい。あるいは、排水ラインL4および還流水ラインL5の両方に、流量調整弁(比例制御弁)と流量計を設けることもできる。
第3の流量制御では、まず、予め定められた透過水の設定流量と、第2の流量制御において算出された濃縮排水(排水ラインL4を流れる濃縮水)の目標流量とに基づいて、供給水(給水ラインL6を流れる原水)の目標流量が設定される。具体的には、透過水の設定流量と濃縮排水の目標流量との和が、供給水の目標流量として設定される。そして、給水流量計17による供給水の検出流量(検出値)がその目標流量になるように、流量調整弁CV2の開度が調整される。これにより、給水ラインL6を通じて、透過水の流量と濃縮排水の流量に応じた流量で原水タンク11に原水を供給することができる。そのため、水温が変化して回収率の目標値すなわち濃縮排水の目標流量が変化し、それにより濃縮排水の流量が変化しても、原水タンク11内の水位変動を最小限に抑えることができ、膜ろ過装置10の運転を安定的に継続することができる。
なお、給水ラインL6に供給される原水の流量には、その上流側に接続された前処理システム(図示せず)の装置構成に応じて予め定められた上限値(以下、「最大給水流量」ともいう)がある。そのため、例えば、水温の変化により回収率の目標値が低くなることで、上述のようにして設定された供給水の目標流量が最大給水流量を上回ってしまうと、流量調整弁CV2を全開にしても原水タンク11内の水位は低下していき、膜ろ過装置10の運転を停止せざるを得なくなる。したがって、実際には、透過水の設定流量と濃縮排水の目標流量との和がそのような最大給水流量と比較され、それを上回らない場合に、上述したように、透過水の設定流量と濃縮排水の目標流量との和が供給水の目標流量として設定される。
一方で、透過水の設定流量と濃縮排水の目標流量との和が最大給水流量を上回る場合には、その最大給水流量が供給水の目標流量として設定されるとともに、設定された供給水の目標流量に基づいて、予め定められた透過水の設定流量がより低い値に変更される。具体的には、供給水の目標流量をQINとし、目標回収率をYとすると、透過水の設定流量Qは、以下の式(5)によって与えられる。
=QIN×Y (5)
こうして、供給水の目標流量として最大給水流量が設定された場合でも、水温に基づいて算出された目標回収率を維持することができ、スケール発生のリスクを抑えることができる。なお、透過水の設定流量がより低い値に変更されると、処理水ラインL2には、電気式脱イオン水製造装置などの図示しない水処理装置が接続されているため、そうした水処理装置に必要な最低透過水流量(予め定められた下限値)を下回る可能性があり、その場合、膜ろ過装置10の運転を停止せざるを得なくなる。したがって、実際には、上記式(5)による算出値がそのような最低透過水流量を下回らない場合に、上述したように、透過水の設定流量が上記式(5)による算出値に変更される。そして、変更された透過水の設定流量と、目標回収率とに基づいて、上記式(1)と同様の算出方法により、濃縮排水の目標流量も再算出されて再設定される。
一方で、上記式(5)による算出値が最低透過水流量を下回る場合には、透過水の設定流量はその最低透過水流量に変更される。このとき、供給水の目標流量が固定値(最大給水流量)になり、透過水の設定流量も固定値(最低透過水流量)になるため、再算出される濃縮排水の目標流量(最大給水流量と最低透過水流量との差)も固定値になる。このことは、回収率も固定値になるため、スケーリング抑制という観点からは有利とはいえないが、膜ろ過装置10の運転を停止せずに継続的に実行することができる点で有利である。
上述したように、供給水の目標流量の設定には、予め定められた透過水の設定流量が用いられるため、例えば、透過水の設定流量と実際の流量が一致していない場合には、流量バランスが崩れ、原水タンク11内の水位が変動して所定の下限水位を下回ったり、所定の上限水位を上回ったりすることがある。また、給水流量計17の測定誤差によっても、そのような大幅な水位変動が発生することがある。そのため、供給水の流量が不足して原水タンク11内の水位が所定の下限水位を下回らないようにするために、最大給水流量を上回らない範囲内であれば、透過水の設定流量と濃縮排水の目標流量との和に所定値を加えた値を、供給水の目標流量として設定してもよい。また、原水タンク11内の水位が所定の上限水位を上回る可能性に備え、水位センサと自動開閉弁を用いた給水制御を併用してもよく、すなわち、原水タンク11に設けられた水位センサの検出結果に基づいて、給水ラインL6に設けられた自動開閉弁が開閉するようになっていてもよい。具体的には、原水タンク11内の水位が所定の上限水位を下回っている間、自動開閉弁が開放され、原水タンク11内の水位が所定の上限水位が達したときに、自動開閉弁が閉鎖されるようになっていてもよい。ただし、供給水の目標流量の設定には、処理水流量計15による透過水の検出流量を用いてもよい。また、供給水の流量調整手段として、流量調整弁CV2の代わりに、インバータ制御される加圧ポンプを用いてもよい。
上述した実施形態では、1つの制御部により3つの流量制御が実行されるが、それぞれの流量制御が別個に設けられた制御部によって実行されてもよい。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る膜ろ過装置の構成を示す概略図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成のみ説明する。
本実施形態は、第1の実施形態のろ過手段(第1のろ過手段)12に加えて、その下流側にさらに別のろ過手段(第2のろ過手段)18が設けられている点で、第1の実施形態と異なっている。第2のろ過手段18は、第1のろ過手段12で分離された透過水を被処理水として処理するように、第1のろ過手段12に直列に接続されている。これにより、本実施形態の膜ろ過装置10は、第1の実施形態と比べて、より良好な水質の処理水を生成することができる。以下、第1のろ過手段12で分離された透過水および濃縮水をそれぞれ「一次透過水」および「一次濃縮水」ともいい、第2のろ過手段18で分離された透過水および濃縮水をそれぞれ「二次透過水」および「二次濃縮水」ともいう。
これに伴い、本実施形態では、第1の実施形態におけるいくつかの構成が変更され、新たな構成もいくつか追加されている。すなわち、本実施形態では、処理水ラインL2が第2のろ過手段18に接続され、第2のろ過手段18からの二次透過水を流通させるようになっている。また、第1のろ過手段12と第2のろ過手段18との間には、第1のろ過手段12からの一次透過水を流通させて第2のろ過手段18に供給する透過水ラインL7が接続されている。加えて、第2のろ過手段18には、第2のろ過手段18からの二次濃縮水を流通させる二次濃縮水ラインL8が接続されている。第2のろ過手段18では、第1のろ過手段12からの一次透過水がさらに二次透過水と二次濃縮水に分離されるため、水質の観点からは、二次濃縮水を必ずしも外部に排出する必要はない。そのため、二次濃縮水ラインL8は、節水の観点から、二次濃縮水の全てを原水タンク11に返流するために原水タンク11に接続されている。ただし、場合によっては、二次濃縮水の一部または全部が外部に排出されてもよく、そのための排水ラインが二次濃縮水ラインL7に接続されていてもよい。
二次濃縮水ラインL8には、二次濃縮水ラインL8を流れる二次濃縮水の流量を調整するための手動弁MV2と濃縮水流量計19が設けられている。これにより、第2のろ過手段18の返流率(二次透過水の流量と二次濃縮水の流量との和に対する二次濃縮水の流量の割合)を任意に調整することができる。なお、返流率の手動調整の煩雑さを解消するために、手動弁MV2の代わりに、濃縮水流量計19による二次濃縮水の検出流量に基づいて開度を調整可能な比例制御弁が設けられていてもよい。あるいは、返流率を一定範囲に保持するために、手動弁MV2と濃縮水流量計19の代わりに、定流量弁が設けられていてもよい。この場合、条件によっては、定流量弁の一次側と二次側の圧力差が作動差圧範囲(定流量弁を正常に作動させるための上記圧力差の許容範囲)を超えてしまうことがあるが、それを回避するために、定流量弁の上流側に減圧弁が設けられていてもよい。なお、第2のろ過手段18には、上述したように、不純物濃度が低い第1のろ過手段12からの一次透過水が供給されるため、節水の観点から、第2のろ過手段18の返流率は低く設定されることが好ましい。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、3つの流量制御が並行して実行されるが、それぞれの流量制御は、以下に示すように、いくつかの点で第1の実施形態とは異なっている。
本実施形態では、第1の流量制御において処理水ラインL2を流れる二次透過水が予め定められた設定流量に調整されるため、処理水流量計15は処理水ラインL2に設けられている。そのため、第2の流量制御において回収率の目標値に基づいて濃縮排水の目標流量を算出するにあたり、透過水ラインL7を流れる一次透過水の流量は、透過水流量計15と濃縮水流量計19を用いて間接的に検出される。すなわち、透過水流量計15により検出された二次透過水の流量と、濃縮水流量計19により検出された二次濃縮水の流量との和として、一次透過水の検出流量が算出(取得)される。ただし、透過水ラインL7に図示しない流量計が設けられていてもよく、それにより、一次透過水の流量を直接検出するようになっていてもよい。また、上述したように、手動弁MV2と濃縮水流量計19の代わりに二次濃縮水ラインL8に定流量弁が設けられている場合には、濃縮水流量計19による検出値の代わりに、定流量弁の規定流量を用いて、一次透過水の流量を間接的に検出してもよい。あるいは、第1の流量制御によって二次透過水の流量が一定に調整され、予め定められた第2のろ過手段18の返流率の目標値に基づいて二次濃縮水の流量も一定に調整されると、一次透過水も実質的に一定に調整されるため、そのような一次透過水の実質的な目標流量を用いて、濃縮排水の目標流量を算出してもよい。
また、本実施形態の第3の流量制御では、予め定められた二次透過水の設定流量と、第2の流量制御において算出された濃縮排水の目標流量との和に基づいて、供給水の目標流量が設定されることは、第1の実施形態と同様である。すなわち、二次透過水の設定流量と濃縮排水の目標流量との和が最大給水流量を上回らない場合には、その和が供給水の目標流量として設定され、最大給水流量を上回る場合には、最大給水流量が供給水の目標流量として設定される。また、最大給水流量が供給水の目標流量として設定されるのと同時に、二次透過水の設定流量がより低い値に変更されることは、第1の実施形態と同様であるが、そのときの算出方法は、第1のろ過手段12の回収率だけでなく、第2のろ過手段18の返流率も考慮する必要がある点で第1の実施形態とは異なっている。すなわち、二次透過水の設定流量Q2pは、供給水の目標流量をQINとし、第1のろ過手段12の目標回収率をYとし、第2のろ過手段18の返流率をYとすると、以下の式(6)によって与えられる。
2p=QIN×(Y×(1-Y))/(1-(Y×Y)) (6)
なお、上記式(6)による算出値が最低透過水流量を下回らない場合に、二次透過水の設定流量が上記式(6)による算出値に変更されることは、第1の実施形態と同様である。そして、二次透過水の設定流量が変更されると、上述したように、予め定められた第2のろ過手段18の返流率から、一次透過水の実質的な目標流量が算出され、この算出値と、第1のろ過手段12の目標回収率とに基づいて、上記式(1)と同様の算出方法により、濃縮排水の目標流量も再算出されて再設定される。ただし、上述したように、第2のろ過手段18の返流率は低く設定されることが好ましいため、二次透過水の設定流量がより低い値に変更されると、それに応じて二次濃縮水の流量がさらに低くなり、その結果、二次濃縮水ラインL8を構成する配管内で細菌が発生するおそれがある。そのため、最低透過水流量を下回らない範囲内であれば、二次透過水の設定流量を上記式(6)による算出値よりもさらに低い値に変更し、それにより、二次濃縮水の流量を二次透過水の設定流量が変更される前の流量に維持してもよい。
また、上記式(6)による算出値が最低透過水流量を下回る場合に、二次透過水の設定流量がその最低透過水流量に変更されることは、第1の実施形態と同様である。そして、供給水の目標流量が固定値(最大給水流量)になり、二次透過水の設定流量も固定値(最低透過水流量)になるため、再算出される濃縮排水の目標流量(最大給水流量と最低透過水流量との差)も固定値になることも、第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、1つの加圧ポンプ13で2つのろ過手段12,18に原水を供給する必要があるため、加圧ポンプ13による第1のろ過手段12への原水の供給圧力は、第1の実施形態に比べて大きくなる。そのため、定流量弁14の規定流量は、この点も考慮して設定する必要がある。例えば、2つのろ過手段12,18としてそれぞれ直径が約20.32cm(8インチ)のRO膜を用いる場合、第1のろ過手段12の適用温度範囲が5~35℃で、原水のシリカ濃度やカルシウム濃度から回収率の制御範囲が50~85%と想定される場合、例えば、定流量弁14としては、株式会社ケイヒン製(品番:NSPW-25、設定流量:55L/min)の定流量弁を用いることができる。
上述した実施形態では、2つのろ過手段が直列に接続されているが、ろ過手段の数はこれに限定されるものではなく、3つ以上のろ過手段が直列に接続されて設けられていてもよい。その場合、3つ以上のろ過手段のうち最も上流側のろ過手段が、本発明の第1のろ過手段に相当し、最も下流側のろ過手段が、本発明の第2のろ過手段に相当する。なお、最も上流側のろ過手段からの濃縮排水の設定流量の算出には、最も下流側のろ過手段で分離された透過水ではなく、最も上流側のろ過手段で分離された透過水の流量が用いられることに留意されたい。また、ここでいう「直列に接続される」とは、被処理水が複数のろ過手段で順次処理されることを意味し、隣接する2つのろ過手段において、上流側のろ過手段で分離された透過水が下流側のろ過手段に被処理水として供給されることを意味する。また、各ろ過手段は、複数のRO膜またはNF膜から構成されていてもよい。この場合、複数のRO膜またはNF膜は、一次側(原水および濃縮水の流通側)が直列に接続されて最終的に濃縮水ラインに接続され、二次側(透過水の流通側)が並列に接続されて最終的に透過水ラインに接続されることになる。
10 膜ろ過装置
11 原水タンク
12 ろ過手段(第1のろ過手段)
13 加圧ポンプ
14 定流量弁
15 処理水流量計
16 排水流量計
17 給水流量計
18 第2のろ過手段
19 濃縮水流量計
20 制御部
L1 原水ライン
L2 処理水ライン
L3 濃縮水ライン
L4 排水ライン
L5 還流水ライン
L6 給水ライン
L7 二次濃縮水ライン
CV1,CV2 流量調整弁
MV1,MV2 手動弁

Claims (9)

  1. 被処理水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜またはナノろ過膜を有するろ過手段と、
    前記ろ過手段で処理される被処理水を貯留するタンクと、
    前記タンクから前記ろ過手段に被処理水を供給する被処理水ラインと、
    前記ろ過手段からの透過水を流通させる処理水ラインと、
    前記ろ過手段からの濃縮水を流通させる濃縮水ラインと、
    前記濃縮水ラインから分岐し、前記濃縮水ラインを流れる濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインと、
    前記タンクに被処理水を供給する給水ラインと、
    前記給水ラインを流れる被処理水の流量が前記処理水ラインを流れる透過水の流量と前記排水ラインを流れる濃縮水の流量との和になるように、前記給水ラインを流れる被処理水の流量を調整する制御部と、を有する膜ろ過装置。
  2. 直列に接続された複数のろ過手段であって、前記複数のろ過手段のうち最も上流側の第1のろ過手段と、前記複数のろ過手段のうち最も下流側の第2のろ過手段とを含み、それぞれが被処理水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜またはナノろ過膜を有する複数のろ過手段と、
    前記複数のろ過手段で処理される被処理水を貯留するタンクと、
    前記タンクから前記第1のろ過手段に被処理水を供給する被処理水ラインと、
    前記第2のろ過手段からの透過水を流通させる処理水ラインと、
    前記第1のろ過手段からの濃縮水を流通させる濃縮水ラインと、
    前記濃縮水ラインから分岐し、前記濃縮水ラインを流れる濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインと、
    前記タンクに被処理水を供給する給水ラインと、
    前記給水ラインを流れる被処理水の流量が前記処理水ラインを流れる透過水の流量と前記排水ラインを流れる濃縮水の流量との和になるように、前記給水ラインを流れる被処理水の流量を調整する制御部と、を有する膜ろ過装置。
  3. 前記濃縮水ラインから分岐し、前記濃縮水ラインを流れる濃縮水の残りを前記タンクに還流させる還流水ラインと、
    前記被処理水ラインを流れる被処理水の圧力を調整する圧力調整手段と、
    前記排水ラインを流れる濃縮水の流量を調整する第1の流量調整手段と、
    前記給水ラインを流れる被処理水の流量を調整する第2の流量調整手段と、を有し、
    前記制御部は、前記処理水ラインを流れる透過水の流量が予め定められた設定流量になるように前記圧力調整手段を制御する第1の流量制御と、前記処理水ラインを流れる透過水の流量から前記排水ラインを流れる濃縮水の目標流量である排水目標流量を算出し、前記排水ラインを流れる濃縮水の流量が前記排水目標流量になるように前記第1の流量調整手段を制御する第2の流量制御と、前記処理水ラインを流れる透過水の流量と前記排水ラインを流れる濃縮水の流量とから前記給水ラインを流れる被処理水の目標流量である給水目標流量を設定し、前記給水ラインを流れる被処理水が前記給水目標流量になるように前記第2の流量調整手段を制御する第3の流量制御と、を並行して実行する、請求項1に記載の膜ろ過装置。
  4. 前記制御部は、前記第2の流量制御において、前記処理水ラインを流れる透過水の流量と前記排水ラインを流れる濃縮水の流量との和に対する前記処理水ラインを流れる透過水の流量の割合である回収率の目標値に基づいて、前記排水目標流量を算出し、前記第3の流量制御において、前記予め定められた設定流量と前記排水目標流量とに基づいて、前記給水目標流量を設定する、請求項3に記載の膜ろ過装置。
  5. 前記制御部は、前記予め定められた設定流量と前記排水目標流量との和を予め定められた上限値と比較し、前記和が前記上限値を上回らない場合に、前記和を前記給水目標流量として設定し、前記和が前記上限値を上回る場合に、前記上限値を前記給水目標流量として設定する、請求項4に記載の膜ろ過装置。
  6. 前記制御部は、前記上限値を前記給水目標流量として設定したときに、前記給水目標流量に前記回収率の目標値を乗じた値を予め定められた下限値と比較し、前記乗じた値が前記下限値を下回らない場合に、前記予め定められた設定流量を前記乗じた値に変更し、前記乗じた値が前記下限値を下回る場合に、前記予め定められた設定流量を前記下限値に変更する、請求項5に記載の膜ろ過装置。
  7. 前記濃縮水ラインから分岐し、前記濃縮水ラインを流れる濃縮水の残りを前記タンクに還流させる還流水ラインと、
    前記第1のろ過手段からの透過水を流通させる透過水ラインと、
    前記被処理水ラインを流れる被処理水の圧力を調整する圧力調整手段と、
    前記排水ラインを流れる濃縮水の流量を調整する第1の流量調整手段と、
    前記給水ラインを流れる被処理水の流量を調整する第2の流量調整手段と、を有し、
    前記制御部は、前記処理水ラインを流れる透過水の流量が予め定められた設定流量になるように前記圧力調整手段を制御する第1の流量制御と、前記透過水ラインを流れる透過水の流量から前記排水ラインを流れる濃縮水の目標流量である排水目標流量を算出し、前記排水ラインを流れる濃縮水の流量が前記排水目標流量になるように前記第1の流量調整手段を制御する第2の流量制御と、前記処理水ラインを流れる透過水の流量と前記排水ラインを流れる濃縮水の流量とから前記給水ラインを流れる被処理水の目標流量である給水目標流量を設定し、前記給水ラインを流れる被処理水が前記給水目標流量になるように前記第2の流量調整手段を制御する第3の流量制御と、を並行して実行する、請求項2に記載の膜ろ過装置。
  8. 前記制御部は、前記第2の流量制御において、前記透過水ラインを流れる透過水の流量と前記排水ラインを流れる濃縮水の流量との和に対する前記透過水ラインを流れる透過水の流量の割合である回収率の目標値に基づいて、前記排水目標流量を算出し、前記第3の流量制御において、前記予め定められた設定流量と前記排水目標流量とに基づいて、前記給水目標流量を設定する、請求項7に記載の膜ろ過装置。
  9. 前記制御部は、前記予め定められた設定流量と前記排水目標流量との和を予め定められた上限値と比較し、前記和が前記上限値を上回らない場合に、前記和を前記給水目標流量として設定し、前記和が前記上限値を上回る場合に、前記上限値を前記給水目標流量として設定する、請求項8に記載の膜ろ過装置。
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