以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る純水製造装置の概略構成図である。図2は、本実施形態の純水製造装置を構成する電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。
純水製造装置1は、原水タンク2と、膜ろ過装置10と、電気式脱イオン水製造装置(以下、「EDI装置」ともいう)20とを有し、被処理水(原水)を順次処理して純水を製造し、その純水をユースポイント3に供給するものである。さらに、純水製造装置1は、膜ろ過装置10とEDI装置20の運転を制御する制御部4を有している。
膜ろ過装置10は、原水タンク2から供給される原水中の不純物を除去して透過水を生成する装置であり、直列に接続された2つのろ過手段11,12を有している。各ろ過手段11,12は、原水を、不純物を含む濃縮水と、不純物が除去された透過水とに分離する逆浸透膜(RO膜)またはナノろ過膜(NF膜)を有している。なお、ここでいう「直列に接続される」とは、被処理水が複数のろ過手段で順次処理されることを意味し、隣接する2つのろ過手段において、上流側のろ過手段で分離された透過水が下流側のろ過手段に被処理水として供給されることを意味する。したがって、2つのろ過手段11,12は、上流側の第1のろ過手段11で分離された透過水が下流側の第2のろ過手段12に被処理水として供給されるようになっている。以下、第1のろ過手段11で分離された透過水および濃縮水をそれぞれ「一次透過水」および「一次濃縮水」ともいい、第2のろ過手段12で分離された透過水および濃縮水をそれぞれ「二次透過水」および「二次濃縮水」ともいう。
また、膜ろ過装置10は、第1のろ過手段11にそれぞれ接続された複数のライン、すなわち、第1のろ過手段11に原水を供給する供給ラインL1と、第1のろ過手段11からの一次透過水を流通させる一次透過水ラインL2と、第1のろ過手段11からの一次濃縮水を流通させる一次濃縮水ラインL3とを有している。加えて、膜ろ過装置10は、一次濃縮水ラインL3から分岐した2つのライン、すなわち、一次濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の一部を外部へ排出する排水ラインL4と、その残りを原水タンク2に還流させる還流水ラインL5とを有している。さらに、膜ろ過装置10は、第2のろ過手段12にそれぞれ接続された複数のライン、すなわち、第2のろ過手段12からの二次透過水を流通させる二次透過水ラインL6と、第2のろ過手段12からの二次濃縮水を流通させる二次濃縮水ラインL7とを有している。第2のろ過手段12では、第1のろ過手段11からの一次透過水がさらに二次透過水と二次濃縮水に分離されるため、水質の観点からは、二次濃縮水を必ずしも外部に排出する必要はない。したがって、節水の観点から、二次濃縮水ラインL7は、二次濃縮水の全てを原水タンク2に返流するために原水タンク2に接続されている。以下、二次濃縮水ラインを「濃縮返流ライン」ともいい、一次濃縮水ラインを単に「濃縮水ライン」ともいう。
供給ラインL1は、原水タンク2に接続され、二次透過水ラインL6は、EDI装置20に接続されている。二次透過水ラインL6には、三方弁TV1を介して透過水返流ラインL8が接続され、透過水返流ラインL8は、その下流側で原水タンク2に接続されている。原水タンク2には、原水供給ラインL9ラインが接続され、必要に応じて原水が供給される。なお、原水タンク2は必ずしも設けられている必要はなく、還流水ラインL5、濃縮返流ラインL7、および透過水返流ラインL8は、供給ラインL1に直接接続されていてもよい。
また、膜ろ過装置10は、供給ラインL1に設けられた加圧ポンプ13と、濃縮水ラインL3に設けられた定流量弁14と、排水ラインL4に設けられた流量調整弁CV1および排水流量計15と、還流水ラインL5に設けられた手動弁MV1と、二次透過水ラインL6に設けられた透過水流量計16と、濃縮返流ラインL7に設けられた流量調整弁CV2および濃縮水流量計17とを有している。
加圧ポンプ13は、インバータ(図示せず)によって回転数が制御されるようになっており、供給ラインL1を流れる原水の圧力(第1のろ過手段11への原水の供給圧力)を調整する圧力調整手段として機能する。定流量弁14は、濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の流量を一定に保持し、後述する2つの流量制御の干渉を抑制してハンチングを回避する機能を有している。流量調整弁CV1は、排水ラインL4を流れる一次濃縮水(以下、「濃縮排水」ともいう)の流量を調整する流量調整手段として機能し、排水流量計15は、濃縮排水の流量を検出する流量検出手段として機能する。手動弁MV1は、排水ラインL4を流れる一次濃縮水と還流水ラインL5を流れる一次濃縮水の圧力バランスを調整する圧力調整弁として機能する。透過水流量計16は、二次透過水ラインL6を流れる二次透過水の流量を検出する流量検出手段として機能する。流量調整弁CV2は、濃縮返流ラインL7を流れる二次濃縮水(以下、「濃縮返流水」ともいう)の流量を調整する流量調整手段として機能し、濃縮水流量計17は、濃縮返流水の流量を検出する流量検出手段として機能する。
EDI装置20は、電気泳動と電気透析とを組み合わせた装置であり、イオン交換体による被処理水の脱イオン化(脱塩)処理と、イオン交換体の再生処理とを同時に行う装置である。EDI装置20は、二次透過水ラインL6を介して膜ろ過装置10に接続され、膜ろ過装置10からの二次透過水が被処理水として供給されるようになっている。また、EDI装置20は、製造される処理水(脱イオン水)を流通させてユースポイント3に供給する処理水ラインL10を有している。なお、処理水ラインL10には、三方弁TV2を介して処理水返流ラインL11が接続され、処理水返流ラインL11は、その下流側で原水タンク2に接続されている。これにより、例えば、装置起動時や運転再開時、ユースポイント3で処理水(純水)の需要がないときなど、EDI装置20で製造される処理水を原水タンク2に還流させて循環運転を行うこともできる。原水タンク2が設けられていない場合、処理水返流ラインL11は供給ラインL1に直接接続されている。
図2を参照すると、EDI装置20は、陽極21を備えた陽極室E1と、陰極22を備えた陰極室E2と、陽極室E1と陰極室E2との間に設けられた脱塩室Dと、脱塩室Dの両側に配置された一対の濃縮室C1,C2とを有している。一対の濃縮室C1,C2は、脱塩室Dの陽極21側でアニオン交換膜a1を介して脱塩室Dと隣接する陽極側濃縮室C1と、脱塩室Dの陰極22側でカチオン交換膜c1を介して脱塩室Dと隣接する陰極側濃縮室C2とを含んでいる。陽極側濃縮室C1は、カチオン交換膜c2を介して陽極室E1と隣接し、陰極側濃縮室C2は、アニオン交換膜a2を介して陰極室E2と隣接している。
脱塩室Dには、カチオン交換体とアニオン交換体との少なくとも一方が充填され、好ましくは、カチオン交換体とアニオン交換体との混合物が充填されている。すなわち、カチオン交換体とアニオン交換体とがいわゆる混床形態で充填されていることが好ましい。カチオン交換体としては、カチオン交換樹脂、カチオン交換繊維、モノリス状多孔質カチオン交換体等が挙げられ、最も汎用的なカチオン交換樹脂が好適に用いられる。カチオン交換体の種類としては、弱酸性カチオン交換体、強酸性カチオン交換体等が挙げられる。アニオン交換体としては、アニオン交換樹脂、アニオン交換繊維、モノリス状多孔質アニオン交換体等が挙げられ、最も汎用的なアニオン交換樹脂が好適に用いられる。アニオン交換体の種類としては、弱塩基性アニオン交換体、強塩基性アニオン交換体等が挙げられる。
陽極側濃縮室C1および陰極側濃縮室C2は、脱塩室Dから排出されるアニオン成分およびカチオン成分をそれぞれ取り込み、それらを濃縮水によって外部に排出するために設けられている。各濃縮室C1,C2には、EDI装置20の電気抵抗を抑えるために、イオン交換体が充填されていることが好ましい。また、陽極室E1および陰極室E2にも、EDI装置20の電気抵抗を抑えるために、それぞれイオン交換体などの導電性物質が充填されていることが好ましい。陽極室E1内に収容された陽極21は、金属の網状体あるいは板状体からなり、陰極室E2内に収容された陰極22も、金属の網状体あるいは板状体からなる。
膜ろ過装置10からの二次透過水ラインL6は3つに分岐して、それぞれ脱塩室D、陽極側濃縮室C1、および陰極室E2に接続され、膜ろ過装置10からの二次透過水を被処理水、濃縮水、および電極水として供給するようになっている。すなわち、第1の分岐ラインL21は、脱塩室Dに接続され、第2の分岐ラインL22は、陽極側濃縮室C1に接続され、第3の分岐ラインL23は、陰極室E2に接続されている。陽極側濃縮室C1は、陰極側濃縮室C2と直列流路を形成し、陽極側濃縮室C1を流出した濃縮水が陰極側濃縮室C2に流入するようになっている。陰極側濃縮室C2には、濃縮水を外部に排出するための濃縮水排出ラインL24が接続されている。陰極室E2は、陽極室E1と直列流路を形成し、陰極室E2を流出した電極水が陽極室E1に流入するようになっている。陽極室E1には、電極水を外部に排出するための電極水排出ラインL25が接続されている。脱塩室Dの下流側には、処理水ラインL10に接続されている。
EDI装置20の運転は、以下のように行われる。まず、陽極21、陰極22間には、両極21,22間に流れる電流値が所定の値になるように直流電圧が印加され、脱塩室Dには、膜ろ過装置10からの二次透過水(被処理水)が供給される。このとき、陽極側濃縮室C1および陰極側濃縮室C2には、被処理水の一部が濃縮水として供給され、同様に、陽極室E1および陰極室E2には、被処理水の一部が電極水として供給されている。被処理水中のカチオン成分およびアニオン成分は、被処理水が脱塩室Dを通過する際に、脱塩室Dに充填されたカチオン交換体およびアニオン交換体にそれぞれ吸着されて除去される。こうして、カチオン成分およびアニオン成分が除去された被処理水は、処理水(脱イオン水)として、処理室Dから処理水ラインL10を通じてユースポイント3に供給される。
脱塩室Dのカチオン交換体から遊離したカチオン成分は、両極21,22間の電位差によって、陰極22側に引き寄せられ、カチオン交換膜c1を通過して陰極側濃縮室C2に移動する。脱塩室Dのアニオン交換体から遊離したアニオン成分は、両極21,22間の電位差によって、陽極21側に引き寄せられ、アニオン交換膜a1を通過して陽極側濃縮室C1に移動する。こうして濃縮室C1,C2に移動したイオン成分は、濃縮室C1,C2に供給される濃縮水に取り込まれ、濃縮水排出ラインL24を通じて外部に排出される。ただし、濃縮水の水質によっては、その一部または全部を原水タンク2に還流させてもよい。一方で、脱塩室Dでは、水解離反応(水が水素イオンと水酸化物イオンとに解離する反応)が連続的に進行している。水素イオンは、カチオン交換体に吸着したカチオン成分と交換され、水酸化物イオンは、アニオン交換体に吸着したアニオン成分と交換される。こうして、脱塩室Dに充填されたカチオン交換体およびアニオン交換体がそれぞれ再生される。
なお、第1の分岐ラインL21には、手動弁MV2と、脱塩室Dに流入する二次透過水の圧力を検出する圧力計(図示せず)とが設けられている。第2の分岐ラインL22には、手動弁MV3と、第2の分岐ラインL22を流れる濃縮水の流量および圧力をそれぞれ検出する流量計および圧力計(共に図示せず)とが設けられている。第3の分岐ラインL23には、手動弁MV4と、第3の分岐ラインL23を流れる電極水の流量および圧力をそれぞれ検出する流量計および圧力計(共に図示せず)とが設けられている。また、処理水ラインL10には、処理水流量計23と、手動弁MV5と、処理水ラインL10を流れる処理水の圧力を検出する圧力計(図示せず)とが設けられている。濃縮水排出ラインL24には、手動弁MV6と、濃縮水排出ラインL24を流れる濃縮水の圧力を検出する圧力計(図示せず)とが設けられている。電極水排出ラインL25には、手動弁MV7が設けられている。
このような構成により、EDI装置20内を流れる処理水、濃縮水、および電極水の流量バランス(流量比)と圧力バランスとを調整することができる。すなわち、供給側に設けられた3つの手動弁MV2~MV4がそれぞれ流量調整手段として機能することで、処理水、濃縮水、および電極水のそれぞれの流量を調整して、それらの流量バランス(流量比)を調整することができる。また、排出側に設けられた3つの手動弁MV5~MV7がそれぞれ圧力調整手段として機能することで、処理水、濃縮水、および電極水のそれぞれの圧力を調整して、それらの圧力バランスを調整することができる。
なお、後述するように、本実施形態では、処理水ラインL10を流れる処理水の流量が一定に保持されるため、膜ろ過装置10から供給される二次透過水の流量も一定に保持される。そのため、流量バランスの調整は、供給側に設けられた3つの手動MV2~MV4のうち2つがあれば可能であり、例えば、第1の分岐ラインL21の手動弁MV2を省略することもできる。また、この場合、流量バランスの手動調整の煩雑さを解消するために、第2の分岐ラインL22の手動弁MV3と流量計(図示せず)の代わりに定流量弁が設けられ、第3の分岐ラインL23の手動弁MV4と流量計(図示せず)の代わりに定流量弁が設けられていてもよい。このような設計変更は、後述するように、電極水として処理水の一部を用いる場合にも同様に可能である。すなわち、二次透過水ラインL6が第1の分岐ラインL21と第2の分岐ラインL22の2つに分岐し、第3の分岐ラインL23が処理水流量計23の上流側の処理水ラインL10に接続されている場合にも、手動弁MV2を省略したり、手動弁MV3,MV4をそれぞれ定流量弁に置き換えたりすることが可能である。
EDI装置20の上述した構成は、あくまで一例であって、各室の構成(数、配置など)や流路構成を変更したり、バルブや計測器などを追加したりするなど、装置の使用目的や用途、要求性能に応じて適宜変更可能であることは言うまでもない。例えば、脱塩室は2つ以上設けられていてもよい。この場合、脱塩室と濃縮室とは、カチオン交換膜またはアニオン交換膜を介して交互に設けられ、最も陽極側に位置する濃縮室が陽極室と隣接し、最も陰極側に位置する濃縮室が陰極室と隣接することになる。その際、濃縮室と電極室(陽極室または陰極室)との間のイオン交換膜を省略したり、電極室に隣接する濃縮室を省略したりすることで、電極室が濃縮室を兼ねるようにすることもできる。電極室に隣接する濃縮室を省略した場合、電極室に隣接する脱塩室は、一対の濃縮室の間に配置される脱塩室と構造が異なることもあり、電極室と脱塩室との間に配置されるイオン交換膜も適宜変更することがある。
また、流路構成に関しては、濃縮水を陰極側濃縮室に先に流入させてもよく、電極水を陽極室に先に流入させてもよい。あるいは、一対の濃縮室は並列流路を形成していてもよく、電極室も並列流路を形成していてよい。さらには、上述したように、処理水の一部が電極水として用いられてもよい。また、脱塩室が、アニオン交換膜とカチオン交換体との間に配置された中間イオン交換膜によって、直列流路を形成する2つの小脱塩室に区画されている場合、被処理水を一方の小脱塩室に通水して得られた中間処理水の一部が電極水として用いられてもよい。なお、中間処理水の一部を電極水として用いることは、被処理水が通水される小脱塩室にカチオン交換体が充填されている場合、中間処理水が酸性となるため、陰極表面での炭酸カルシウムスケールの発生を抑制できる点で有利である。
制御部4は、純水製造装置1の通常運転(純水製造)時に、3つの流量制御、すなわち、処理水の流量制御である第1の流量制御と、濃縮排水の流量制御である第2の流量制御と、濃縮返流水の流量制御である第3の流量制御とを並行して実行する。具体的には、第1の流量制御では、処理水ラインL10を流れる処理水の流量が設定流量になるように加圧ポンプ13が制御される。第2の流量制御では、一次透過水ライン(第1の透過水ライン)L2を流れる一次透過水の流量から濃縮排水(排水ラインL4を流れる一次濃縮水)の目標流量が算出され、濃縮排水の流量がその目標流量になるように流量調整弁CV1の開度が制御される。第3の流量制御では、二次透過水ライン(第2の透過水ライン)L6を流れる二次透過水の流量から濃縮返流水(濃縮返流ラインL7を流れる二次濃縮水)の目標流量が算出され、濃縮返流水の流量がその目標流量になるように流量調整弁CV2の開度が制御される。以下、これら3つの流量制御の詳細について説明する。
第1の流量制御では、EDI装置20の処理水流量計23による処理水の検出流量(検出値)が一定(予め設定された目標流量)になるように、膜ろ過装置10の加圧ポンプ13が制御される。例えば、水温が変化すると、水の粘性の変化により、ろ過手段11,12で分離される透過水の流量が変化し、その結果、EDI装置20で製造される処理水の流量も変化する。この変化に応じて、制御部4は、インバータを通じて加圧ポンプ13の回転数を制御する。すなわち、水温が低くなると、水の粘性は高くなり、その結果、膜ろ過装置10からの二次透過水の流量が減少して、EDI装置20で製造される処理水の流量も減少する。そのため、制御部4は、この減少分を補うように、加圧ポンプ13の回転数を上げることで、原水の供給圧力を増加させる。また、水温が高くなると、水の粘性は低くなり、その結果、膜ろ過装置10からの二次透過水の流量が増加して、EDI装置20で製造される処理水の流量も増加する。そのため、制御部4は、この増加分を打ち消すように、加圧ポンプ13の回転数を下げることで、原水の供給圧力を低下させる。
このように、第1の流量制御によって、加圧ポンプ13の回転数、すなわち原水の供給圧力が調整され、処理水ラインL10を流れる処理水の流量が一定に保持されることで、純水製造装置1で製造される純水の流量変動を抑制することができる。
なお、第1のろ過手段11への原水の供給圧力の変化(加圧ポンプ13の回転数の変化)に応じて、第1のろ過手段11のRO膜またはNF膜で分離される濃縮水の流量も変化するが、濃縮水ラインL3には、上述したように定流量弁14が設けられている。そのため、第1の流量制御により、加圧ポンプ13の回転数が変化して原水の供給圧力が変化した場合にも、濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の流量を一定に保持することができる。その結果、第1の流量制御が排水ラインL4や還流水ラインL5を流れる一次濃縮水の流量に影響を及ぼすことがなくなり、後述する第2の流量制御は、第1の流量制御と干渉することなく独立して行われることになる。
ここで、定流量弁14の規定流量は、一方では、ファウリングやスケーリングによる膜の詰まりが発生しない程度であればよく、他方では、圧力損失の増大によって膜を破損させない程度であればよい。ただし、定流量弁14の規定流量を必要以上に大きくすることは、加圧ポンプ13に要求される流量が必要以上に大きくなり、結果的に加圧ポンプ13のサイズが大きくなるため、エネルギー消費の点で好ましくない。そのため、定流量弁14の規定流量は、第1のろ過手段11の透過流束と第1のろ過手段11に要求される濃縮水の最低流量も考慮して設定され、例えば、第1のろ過手段11として直径が約20.32cm(8インチ)のRO膜を用いる場合、1~15m3/hの範囲である。なお、第1のろ過手段11に要求される濃縮水の最低流量とは、ファウリングやスケーリングによる膜の詰まりが発生しないための濃縮水ラインL3に流すべき濃縮水の最低流量を意味する。一方で、本実施形態の膜ろ過装置10では、1つの加圧ポンプ13で2つのろ過手段11,12に原水を供給する必要があるため、加圧ポンプ13による第1のろ過手段11への原水の供給圧力は比較的大きくなる。そのため、定流量弁14の規定流量は、この点も考慮して設定する必要がある。例えば、2つのろ過手段11,12としてそれぞれ直径が約20.32cm(8インチ)のRO膜を用いる場合、第1のろ過手段11の適用温度範囲が5~35℃のとき、例えば、定流量弁14としては、株式会社ケイヒン製の定流量弁(品番:NSPW-25、設定流量:55L/min)を用いることができる。
ところで、定流量弁14には、定流量弁14を正常に作動させるための作動差圧範囲(定流量弁の一次側と二次側の圧力差の許容範囲)が規定されている。そのため、例えば、第1のろ過手段11として中高圧用のRO膜を使用する場合や、水温が極端に低下した場合など、条件によっては、原水の供給圧力が著しく上昇して濃縮水の圧力が上昇し、定流量弁14の一次側と二次側の圧力差が作動差圧範囲を超えてしまうことがある。その場合、濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の流量が一定に保持されないおそれがある。
そこで、定流量弁14の上流側の濃縮水ラインL3に、濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の圧力を減圧する(すなわち、二次側の圧力を一次側の圧力よりも低くすることができる)減圧弁が設けられていてもよい。これにより、第1のろ過手段11への原水の供給圧力が著しく上昇する場合であっても、定流量弁14の一次側と二次側の圧力差を作動差圧範囲内に収めて定流量弁14を正常に作動させることができ、濃縮水ラインL3を流れる一次濃縮水の流量を一定に保持することができる。また、減圧弁が設けられていると、定流量弁14が正常に作動して濃縮水の流量が増加することがないため、後述する第2の流量制御によって濃縮排水の流量が目標流量に調整される際に還流水ラインL5を流れる一次濃縮水の流量が増加することがなく、加圧ポンプ13の吐出流量が増加することがない。そのため、加圧ポンプ13の揚程が低くなることで必要な透過水の流量が得られなくなるおそれもなくなる。さらに、減圧弁を設けることは、それよりも下流側の周辺部材(配管など)にそれほどの耐圧性能が要求されなくなるため、安全面で有利であるだけでなく、耐圧性能がそれほど高くない安価な汎用品が利用可能になることで、コスト面でも有利である。なお、減圧弁の種類は、濃縮水の圧力を定流量弁14の作動差圧範囲内に減圧することができるものであれば特に限定されるものではないが、定流量弁14の規定流量以上の流量が流れるものや、二次側の圧力が排水ラインL4や還流水ラインL5の通水差圧と排水側の背圧との合計よりも大きくなるものを選定する必要がある。
なお、上述したように、EDI装置20内では、手動弁MV2~MV4による流量バランスの調整が行われるが、それにより、処理水ラインL10を流れる処理水の流量が一定に保持されると、二次透過水ラインL6を通じてEDI装置20に供給される二次透過水の流量も一定に保持される。換言すると、二次透過水ラインL6を流れる二次透過水の流量を一定に保持することができれば、処理水ラインL10を流れる処理水の流量も一定に保持することができる。したがって、第1の流量制御では、制御部4は、透過水流量計16で検出された二次透過水の流量が設定流量になるように加圧ポンプ13を制御するようになっていてもよい。
また、例えば、装置起動時や運転再開時などには、膜ろ過装置10からの透過水(二次透過水)の水質が一定以上の水質になるまで、膜ろ過装置10からEDI装置20への透過水の供給を停止して膜ろ過装置10内で透過水の循環運転を行うことができる。具体的には、三方弁TV1を切り替えることで、第2のろ過手段12からの二次透過水を、透過水返流ラインL8を通じて原水タンク2に返流して供給ラインL1に還流させることができる。このような循環運転時には、処理水ラインL10を処理水が流れないため、制御部4は、処理水の流量に応じた加圧ポンプ13の制御を行うことができない。したがって、この場合にも、制御部4は、循環する透過水の流量、すなわち、透過水流量計16で検出された二次透過水の流量が設定流量になるように加圧ポンプ13を制御するようになっていてもよい。あるいは、制御部4は、膜ろ過装置10の循環運転を行う場合、加圧ポンプ13の回転数を一定にすることもできる。
第2の流量制御では、膜ろ過装置10の第1のろ過手段11の回収率(一次透過水の流量と濃縮排水の流量との和に対する一次透過水の流量の割合)を考慮して濃縮排水の目標流量が算出され、排水流量計15による濃縮排水の検出流量(検出値)がその目標流量になるように、流量調整弁CV1の開度が調整される。このときの回収率は、水の有効利用(節水)の観点から、できるだけ高いことが好ましい。すなわち、濃縮排水の流量はできるだけ少ないことが好ましい。しかしながら、定流量弁14により一次濃縮水の流量が一定に保持されているため、濃縮排水の流量が少なくなると、当然のことながら、還流水ラインL5から供給ラインL1に還流する一次濃縮水の流量が増加する。それにより、原水の不純物濃度が高まると、第1のろ過手段11のRO膜またはNF膜の膜面に不純物(特に、シリカまたはカルシウム)が析出するスケーリングが起こりやすくなってしまう。したがって、濃縮排水の流量は、一次濃縮水の不純物濃度が溶解度以上の濃度にならない範囲で回収率が最大になるように、すなわち、不純物であるシリカまたはカルシウムが析出しない範囲で回収率が最大になるように設定される。
ただし、不純物の溶解度は、水温に応じて変化する。例えば、シリカの場合、その溶解度は温度に比例して増加し、カルシウム(炭酸カルシウム)の場合、温度が上昇するにつれてその溶解度は減少する。そのため、水温が低い場合には、シリカの溶解度が相対的に低く、シリカが析出しやすい(シリカスケールが発生しやすい)が、水温が高くなると、カルシウムの溶解度が相対的に低くなるため、カルシウムが析出しやすく(カルシウムスケールが発生しやすく)なる。そこで、膜ろ過装置10には、図示していないが、原水と一次透過水と一次濃縮水とのいずれかの水温を検出する温度センサ(水温検出手段)が設けられている。この温度センサにより検出された水温に基づいて、濃縮排水の最適な目標流量が算出される。
具体的には、まず、検出された水温でシリカが析出する理論上の回収率(以下、「シリカの析出回収率」という)と、検出された水温でカルシウム(炭酸カルシウム)が析出する理論上の回収率(以下「カルシウムの析出回収率」という)が算出される。なお、シリカの析出回収率とカルシウムの析出回収率のそれぞれの算出方法については後述する。次に、シリカの析出回収率とカルシウムの析出回収率とが比較され、目標回収率として、より小さい方の析出回収率が設定される。そして、この目標回収率と、制御部4により間接的に検出された一次透過水の流量とに基づいて、以下の式(1)により、濃縮排水の目標流量が算出されて設定される。
(濃縮排水の目標流量)=
(一次透過水の検出流量/目標回収率)-(一次透過水の検出流量) (1)
なお、一次透過水の流量の間接的な検出は、透過水流量計16と濃縮水流量計17を用いて行うことができる。すなわち、一次透過水の検出流量は、透過水流量計16により検出された二次透過水の流量と、濃縮水流量計17により検出された二次濃縮水の流量との和として算出(取得)することができる。ただし、一次透過水ラインL2に図示しない流量計が設けられていてもよく、それにより、一次透過水の流量を直接検出するようになっていてもよい。
スケーリングの発生を確実に抑制するという観点からは、上記式(1)で算出された目標流量を上回る流量を濃縮排水の設定流量として設定することもできるが、節水の観点からは、算出された目標流量を濃縮排水の設定流量として設定することが好ましい。なお、回収率(目標回収率)として、通常は、パーセントで表した値が用いられるが、上記式(1)では、小数で表した値が用いられることは言うまでもない。
ここで、シリカの析出回収率とカルシウムの析出回収率の算出方法についてそれぞれ説明する。
(シリカの析出回収率の算出方法)
シリカの析出回収率YSは、検出された水温でのシリカの溶解度(mg/L)をCSとし、予め測定された原水のシリカ濃度(mg/L)をFSとしたとき、以下の式(2)から算出される。
YS=(CS-FS)/CS (2)
なお、シリカの溶解度の算出方法としては、ASTM(American Society for Testing and Materials)D4993-89などに規定された方法を用いることができる。
(カルシウムの析出回収率の算出方法)
カルシウムの析出回収率は、濃縮水のランゲリア指数を算出する方法を利用して算出される。ここで、ランゲリア指数(飽和指数)とは、カルシウム(炭酸カルシウム)の析出の可能性を示す指標であり、水の実際のpHと、理論pH(pHs:水中の炭酸カルシウムが溶解も析出もしない平衡状態にあるときのpH)との差(pH-pHs)を意味する。すなわち、ランゲリア指数が正の値で絶対値が大きいほど炭酸カルシウムが析出しやすくなり、負の値では炭酸カルシウムは析出されない。そのため、カルシウムの析出回収率は、濃縮水のランゲリア指数がゼロになるときの回収率として算出される。なお、より安全側の値として設定するために、カルシウムの析出回収率は、濃縮水のランゲリア指数が負の値になるときの回収率であってもよい。
濃縮水のランゲリア指数は、濃縮水のpHと、濃縮水の不純物濃度(カルシウム濃度、総アルカリ度、および蒸発残留物濃度)と、検出された水温とから算出される。ランゲリア指数の算出方法としては、例えば、特開平11-267687号公報(段落[0025]~[0027])などに記載された方法を用いることができる。また、濃縮水の不純物濃度(カルシウム濃度、総アルカリ度、および蒸発残留物濃度)は、予め測定された原水の不純物濃度(カルシウム濃度、総アルカリ度、および蒸発残留物濃度)と、回収率とから算出される。したがって、カルシウムの析出回収率YCは、濃縮水のランゲリア指数がゼロになるときの濃縮水の不純物濃度(mg/L)をCCとし、予め測定された原水の不純物濃度(mg/L)をFCとしたとき、以下の式(3)の関係で表されることになる。
YC=(CC-FC)/CC (3)
なお、シリカおよびカルシウムの析出回収率の算出方法や濃縮排水の設定流量の算出方法は、例えば加圧ポンプの容量や原水の流量などの装置設計上の制約によって、予め回収率や流量に制約がある場合には、上述した限りではない。また、第1の流量制御によって二次透過水ラインL6を流れる二次透過水の流量が実質的に一定に調整され、後述する第3の流量制御によって濃縮返流ラインL7を流れる二次濃縮水の流量が一定に調整されるため、一次透過水ラインL2を流れる一次透過水も実質的に一定に調整される。そのため、濃縮排水の設定流量の算出には、そのような一次透過水の実質的な目標流量を用いることもできる。ただし、この方法は、一次透過水の実質的な目標流量と実際の流量が一致していない場合に、実際の回収率が目標回収率からずれる可能性があるため好ましくない。すなわち、一次透過水の実際の流量が目標流量よりも大きい場合には、実際の回収率が目標回収率を上回ることでスケーリングが発生したり、一次透過水の実際の流量が目標流量よりも小さい場合には、実際の回収率が目標回収率を下回ることで節水を図ることができなくなったりする。
したがって、濃縮排水の設定流量の算出には、上述したように、透過水流量計16による検出値と濃縮水流量計17による検出値とから間接的に検出される一次透過水の流量を用いることが好ましい。これにより、第1の流量制御において処理水の流量制御が適切に実施されず、それにより、二次透過水の流量が実質的に一定に調整されない事態が発生しても、実際の回収率が目標の回収率からずれることを抑制することができる。なお、実際の算出には、二次透過水や二次濃縮水の検出流量のばらつきなどによる影響を最小限に抑えるために、所定検出時間や所定検出回数における平均流量を用いることが好ましい。
ただし、装置起動時や運転再開時など、二次透過水や二次濃縮水の流量が安定せず、検出流量のばらつきが非常に大きい場合には、二次透過水や二次濃縮水の流量が安定するまでの一定期間、上述した一次透過水の実質的な目標流量を用いて、濃縮排水の設定流量を算出するようになっていてもよい。また、一次透過水の実質的な目標流量と実際の流量との差に応じて、濃縮排水の設定流量の算出に用いる一次透過水の流量を切り替えるようになっていてもよい。すなわち、その差が所定範囲内にある場合には、目標流量を用いて算出し、その差が所定範囲を外れた場合には、実際の流量を用いて算出するようになっていてもよい。
上述のように回収率制御を行う場合、流量調整弁CV1としては、電動比例制御弁を用いることが好ましい。これにより、電動比例制御弁の分解能に応じて開度調整を細かく行うことができ、電磁弁の組み合わせなどによる段階式での開度調整に比べて、回収率を滑らかに調整することができる。例えば、50~70%の範囲の回収率を5段階(50%、55%、60%、65%、70%)にしか制御できない段階式では、目標回収率が64%に設定された場合、回収率を60%にしか調整することができず、無駄な濃縮排水が発生してしまう。したがって、流量調整弁CV1として電動比例制御弁を用いることは、このような濃縮排水の無駄も削減することができるため、節水の観点からも有利である。
ただし、流量調整弁CV1として電動比例制御弁を用いる場合には、その開閉速度と、濃縮排水の設定流量の算出速度(演算速度)との関係に注意が必要である。例えば、2つの速度が大きく異なっている場合、電動比例制御弁の開閉が完了して濃縮排水の流量が安定する前にその設定流量が変更されると、ハンチングが発生する可能性がある。また、濃縮排水の設定流量が一次透過水の検出流量(透過水流量計16による二次透過水の検出流量と濃縮水流量計17による二次濃縮水の検出流量との和)に基づいて決定されるため、濃縮排水の流量制御は、加圧ポンプ13の回転数を制御するインバータの応答速度にも影響を受ける可能性がある。したがって、濃縮排水の設定流量の演算速度を決定する際には、電動比例制御弁の開閉速度とインバータの応答速度とを考慮することが好ましい。すなわち、電動比例制御弁の開閉速度が遅い場合は、インバータの応答速度を遅くし、電動比例制御弁の開閉速度が速い場合は、インバータの応答速度を速くすることが好ましい。なお、上述したように、第2の流量制御(一次濃縮水の流量制御)は、定流量弁14の設置により第1の流量制御(二次透過水または処理水の流量制御)と独立して行われるため、互いの流量制御が干渉することが抑制される。その結果、上述のようなハンチングの発生を極力抑制することができ、実際の回収率が目標の回収率からずれることを抑制することができる。この点からも、濃縮水ラインL3に定流量弁14が設けられていることが好ましい。
なお、本実施形態では、回収率の目標値をより高く設定して、さらなる節水を実現するために、上述の析出回収率をより高くすることを目的として、スケール防止剤を原水に添加するようになっていてもよい。この場合、定流量弁14の規定流量を小さくすることができ、結果として、より小さい容量の加圧ポンプ13を用いることで省エネルギー化を実現することもできる。スケール防止剤の添加は、薬注ポンプによって行うことができる。
スケール防止剤は、シリカやカルシウムなどのスケール成分の析出を抑制可能な物質であれば、特定のものに限定されるものではない。その種類としては、例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ニトリロトリメチルホスホン酸などのホスホン酸とその塩類などのホスホン酸系化合物;正リン酸塩、重合リン酸塩などのリン酸系化合物;ポリマレイン酸、マレイン酸共重合物などのマレイン酸系化合物;アクリル酸系ポリマーなどが挙げられ、アクリル酸系ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸、マレイン酸/(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸/スルホン酸、(メタ)アクリル酸/ノニオン基含有モノマーなどのコポリマーや、(メタ)アクリル酸/スルホン酸/ノニオン基含有モノマー、(メタ)アクリル酸/アクリルアミド-アルキルスルホン酸/置換(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸/アクリルアミド-アリールスルホン酸/置換(メタ)アクリルアミドのターポリマーなどが挙げられる。ターポリマーを構成する(メタ)アクリル酸としては、例えば、メタアクリル酸およびアクリル酸と、それらのナトリウム塩などの(メタ)アクリル酸塩などが挙げられる。ターポリマーを構成するアクリルアミド-アルキルスルホン酸としては、例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とその塩などが挙げられる。また、ターポリマーを構成する置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、t-ブチルアクリルアミド、t-オクチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
これらの中でも、ホスホン酸系化合物とアクリル酸系ポリマーのうち少なくとも1種類を含むものを用いることが好ましい。また、カルシウムとシリカに由来するスケールを同時に抑制するためには、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸と、アクリル酸と(メタ)アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸/置換(メタ)アクリルアミドのターポリマーとの混合物とからなるスケール防止剤を用いることが特に好ましい。
なお、RO膜用の市販のスケール防止剤としては、オルガノ株式会社製の「オルパージョン」シリーズ、BWA Water Additives社製の「Flocon(登録商標)」シリーズ、Nalco社製の「PermaTreat(登録商標)」シリーズ、ゼネラル・エレクトリック社製の「Hypersperse(登録商標)」シリーズ、栗田工業株式会社製の「クリバーター(登録商標)」シリーズなどが挙げられる。
上述したように、本実施形態では、定流量弁14により一次濃縮水の流量が一定に維持されるため、排水ラインL4および還流水ラインL5の一方を流れる一次濃縮水の流量を規定するだけで、他方を流れる一次濃縮水の流量も規定することができる。そのため、図示した実施形態では、排水ラインL4に流量制御手段としての流量調整弁CV1と排水流量計15が設けられ、還流水ラインL5に圧力バランス調整のための手動弁MV1が設けられているが、その逆であってもよい。すなわち、還流水ラインL5に、流量調整弁(比例制御弁)と流量計が設けられ、排水ラインL4に、圧力バランス調整のための手動弁が設けられていてもよい。あるいは、排水ラインL4および還流水ラインL5の両方に、流量調整弁(比例制御弁)と流量計を設けることもできる。
第3の流量制御では、膜ろ過装置10の第2のろ過手段12の返流率(二次透過水の流量と濃縮返流水の流量との和に対する濃縮返流水の流量の割合)を考慮して濃縮返流水(濃縮返流ラインL7を流れる二次濃縮水)の目標流量が算出され、濃縮水流量計17による濃縮返流水の検出流量(検出値)がその目標流量になるように、流量調整弁CV2の開度が調整される。第2のろ過手段12には、不純物濃度が低い第1のろ過手段11からの一次透過水が供給されるため、節水の観点から、第2のろ過手段12の返流率は低く設定されることが好ましい。すなわち、濃縮返流水の流量はできるだけ少ないことが好ましく、具体的には、第2のろ過手段12からの二次透過水の流量に対して1/20~1/5倍の範囲に設定されることが好ましい。
濃縮返流水の目標流量(設定流量)は、返流率の目標値(目標返流率)と、透過水流量計16による二次透過水の検出流量とに基づいて算出することが好ましい。これにより、第1の流量制御において処理水の流量制御が適切に実施されず、それにより、二次透過水の流量が実質的に一定に調整されない事態が発生しても、実際の返流率が目標の返流率からずれることを抑制することができる。なお、実際の算出には、二次透過水の検出流量のばらつきなどによる影響を最小限に抑えるために、所定検出時間や所定検出回数における平均流量を用いることが好ましい。
ただし、装置起動時や運転再開時など、二次透過水の流量が安定せず、検出流量のばらつきが非常に大きい場合には、二次透過水の流量が安定するまでの一定期間、上述した二次透過水の実質的な目標流量を用いて、濃縮返流水の設定流量を算出するようになっていてもよい。また、二次透過水の実質的な目標流量と実際の流量との差に応じて、濃縮返流水の設定流量の算出に用いる二次透過水の流量を切り替えるようになっていてもよい。すなわち、その差が所定範囲内にある場合には、目標流量を用いて算出し、その差が所定範囲を外れた場合には、実際の流量を用いて算出するようになっていてもよい。
上述のように返流率制御を行う場合、流量調整弁CV2として電動比例制御弁を用いることが好ましく、これにより、電動比例制御弁の分解能に応じて開度調整を細かく行うことができる。ただし、流量調整弁CV2として電動比例制御弁を用いる場合には、その開閉速度と、濃縮返流水の設定流量の算出速度(演算速度)との関係に注意が必要である。例えば、2つの速度が大きく異なっている場合、電動比例制御弁の開閉が完了して濃縮返流水の流量が安定する前にその設定流量が変更されると、ハンチングが発生する可能性がある。また、濃縮返流水の設定流量が透過水流量計16による二次透過水の検出流量に基づいて決定される場合、濃縮返流水の流量制御は、加圧ポンプ13の回転数を制御するインバータの応答速度にも影響を受ける可能性がある。したがって、濃縮返流水の設定流量の演算速度を決定する際には、電動比例制御弁の開閉速度とインバータの応答速度とを考慮することが好ましい。すなわち、電動比例制御弁の開閉速度が遅い場合は、インバータの応答速度を遅くし、電動比例制御弁の開閉速度が速い場合は、インバータの応答速度を速くすることが好ましい。ただし、本実施形態では、濃縮返流ラインL7には定流量弁が設置されないため、第3の流量制御(濃縮返流水の流量制御)は、第1の流量制御(二次透過水または処理水の流量制御)と独立に行われない。そのため、互いの流量制御が干渉することを抑制するためにも、電動比例制御弁の開閉速度は遅く設定されることが好ましい。これにより、上述のようなハンチングの発生を極力抑制することができ、実際の回収率が目標の回収率からずれることを抑制することができる。
ところで、原水の水質悪化やろ過手段11,12(RO膜またはNF膜)の劣化などが発生すると、膜ろ過装置10からの透過水(二次透過水)の水質が低下して、EDI装置20に対する給水の水質基準を満たさなくなることがある。その場合、EDI装置20では、処理水質が低下したり、運転電圧(陽極21と陰極22との間に印加される直流電圧)が上昇したりするなど、処理性能の低下が発生するおそれがある。このような性能低下が発生した場合、それを短期間で解消することが望ましく、そのためには、膜ろ過装置10からの二次透過水の水質を短期間で回復させることが望ましい。そこで、本実施形態の純水製造装置1では、制御部4が、二次透過水ラインL6を流れる二次透過水の水質が低下しているか否かを判断し、水質が低下していると判断した場合に、二次透過水の水質を回復させるための運転制御を実行する。実際には、制御部4は、EDI装置20の処理性能が低下しているか否かを判定し、処理性能が低下していると判定された場合に、二次透過水の水質が低下していると判断する。以下、EDI装置20の性能低下を判定する方法と、膜ろ過装置10からの二次透過水の水質を回復させる方法について説明する。
EDI装置20の処理性能の低下は、上述したように、処理水質の低下、すなわち、処理水ラインL10を流れる処理水の比抵抗の低下や導電率の上昇として現れる。したがって、処理水ラインL10に設けられた比抵抗計または導電率計(いずれも図示せず)により、処理水の比抵抗または導電率が検出され、検出された比抵抗が所定値以下になるか、または、検出された導電率が所定値以上になった場合に、EDI装置20の処理性能が低下していると判定される。一方で、EDI装置20の処理性能の低下は、シリカなどのイオン成分の蓄積や内部部材の劣化などにより、上述したように、運転電圧(陽極21と陰極22との間に印加される直流電圧)の上昇としても現れる。そのため、制御部4によりEDI装置20の運転電圧が取得され、取得した電圧値が所定値以上になった場合にも、EDI装置20の処理性能が低下していると判定される。なお、いずれの場合も、所定値は、一般的な純水製造装置において設定される警報値と同じ基準で設定されていてもよいが、水質回復のための運転制御をより迅速に実行するために、この警報値よりも厳しい基準で設定されていることが好ましい。
一方で、以下に示すように、EDI装置20の処理水質の経時変化または運転電圧の経時変化を詳細に解析することで、EDI装置20に性能低下の予兆があるか否かを判定することもできる。これにより、EDI装置20の性能低下が発生する場合でも、それを可能な限り初期の段階で検知することができ、水質回復のための運転制御をさらに迅速に実行することが可能になる。なお、以下では、処理水質の経時変化として比抵抗の場合のみを例示するが、導電率は比抵抗の逆数で表されるため、比抵抗に関する以下の説明は、導電率に対しても同様に適用可能である。
EDI装置20の性能低下の予兆判定を行うには、まず、処理水ラインL10を流れる処理水の比抵抗が連続的または周期的に検出され、こうして検出された値が比抵抗の経時変化を示すデータ(時系列データ)として収集される。同様に、EDI装置20の運転電圧が連続的または周期的に取得され、こうして取得された値が運転電圧の経時変化を示すデータ(時系列データ)として収集される。なお、時系列データの収集は、純水製造装置1の運転開始(起動)直後に開始してもよいが、EDI装置20の起動直後には、起動前に拡散したイオンによって処理水の比抵抗が時間と共に変化する。そのため、時系列データの収集は、装置起動直後から一定期間経過して性能が安定した時点で開始することが好ましい。また、EDI装置20の性能低下は、通常、急激に起こるわけではないため、収集する時系列データの各要素は、所定期間における移動平均値であってもよく、移動平均を算出する期間は数時間から数日であってよい。
そして、時系列データの収集と並行して、時系列データに対して回帰分析(線形回帰)が行われ、算出される回帰直線の傾きに基づいて、EDI装置20に性能低下の予兆があるか否かが判定される。EDI装置20に性能低下がない場合、処理水の比抵抗やEDI装置20の運転電圧に変化はなく、回帰直線の傾きもそれぞれゼロになる。それに対し、EDI装置20の性能低下が発生すると、処理水の比抵抗は低下するため、その回帰直線(以下、単に「比抵抗回帰直線」ともいう)の傾きはゼロより小さくなり、EDI装置20の運転電圧は上昇するため、その回帰直線(以下、単に「電圧回帰直線」ともいう)の傾きはゼロより大きくなる。したがって、この予兆判定では、比抵抗回帰直線の傾きがゼロより小さい所定値以下であるか否かが判定され、かつ電圧回帰直線の傾きがゼロより大きい所定値以上であるか否かが判定される。その結果、比抵抗回帰直線の傾きがゼロより小さい所定値以上になるか、電圧回帰直線の傾きがゼロより大きい所定値以上になった場合に、EDI装置20に性能低下の予兆があると判定される。ここで、所定値は、いずれの場合も、実際の装置構成に応じて適宜設定されるものであり、実験的な検証に基づいて予め決定することができる。一例として、比抵抗回帰直線の傾きに関する所定値は-0.001~-1.0の範囲に設定され、電圧回帰直線の傾きに対する所定値は+0.001~+1.0の範囲に設定される。
なお、回帰分析は、時系列データの収集を開始した時点から現時点までの全期間の時系列データに対して実施されてもよいが、ある一定期間の時系列データに対して実施されることが好ましく、例えば、現時点を含む直近の5~120日分の時系列データに対して実施されることが好ましい。あるいは、このような長期間と短期間の2種類の時系列データに対して回帰分析が実施されてもよい。このような場合にも、それぞれの回帰直線の傾きに基づいて、上述したのと同様の基準でEDI装置20の性能低下の有無を判定することができる。
制御部4によりEDI装置20の処理性能が低下していると判定された場合、上述したように、膜ろ過装置10からの二次透過水の水質を回復させるための運転制御が実行される。具体的には、まず、第1の水質回復方法が実行され、それでも水質が回復しない場合、第2の水質回復方法が実行され、それでも水質が回復しない場合、第3の水質回復方法が実行される。
第1の水質回復方法(第1の変更処理)では、制御部4は、第2のろ過手段12の目標返流率を当初の第1の目標値からそれを上回る第2の目標値に変更し、濃縮返流水の目標流量をより高い値に変更する。ただし、この第2のろ過手段12の目標返流率の変更(濃縮返流水の目標流量の増加)は、第1のろ過手段11に規定される最大透過水流量を超えない範囲、あるいは、加圧ポンプ13の能力を超えない範囲で行われる。これにより、濃縮返流ラインL7を実際に流れる濃縮返流水の流量を増加させ、膜ろ過装置10からの二次透過水の水質を回復させることができる。以下、このような第1の水質回復方法の効果を確認するために行った実験について説明する。
本発明者らは、図1に示す純水製造装置を用いて、384時間の運転を行い、第2のろ過手段の目標返流率を10%(第1の目標値)から50%(第2の目標値)に上昇させたときに、二次透過水の導電率と処理水の比抵抗がどのように変化するかを測定した。原水として水道水を模擬した水を用い、第1および第2のろ過手段として、いずれもダウケミカル社製のRO膜(品番:XLE-4040)を用いた。第1のろ過手段の目標回収率を75%に設定した。EDI装置として、オルガノ株式会社製の電気式脱イオン水製造装置(品番:EDI-HF-0500)を用い、EDI装置の処理流量(脱塩室に流入させる二次透過水の流量)を500L/hとし、濃縮倍率(処理流量と濃縮水流量との和を濃縮水流量で除した値)を11倍とした。なお、実際の測定(384時間の運転)は、第2のろ過手段の目標返流率を50%とした運転を行い、EDI装置からの処理水の水質を安定させた後、処理水の水質を意図的に悪化させるために第2のろ過手段の目標返流率を10%(第1の目標値)に変更した後で開始した。
図3は、上述した測定結果(二次透過水の導電率および処理水の比抵抗の時間変化)を示すグラフである。図3に示す測定結果から、運転開始後185時間の時点で第2のろ過手段の目標返流率を50%に上昇させたところ、二次透過水の導電率では急激な低下が見られ、処理水の比抵抗は徐々に上昇し、約100時間かけて水質が低下する前の水準にまで回復していることが確認された。すなわち、第2のろ過手段の返流率を上昇させることで二次透過水の水質が向上し、それに伴い、EDI装置からの処理水の水質が回復していることが確認された。一般に、返流率を上昇させることは、回収率を低下させることと同義であり、回収率を低下させることは濃縮水の塩濃度低下につながり、透過水の水質向上につながるため、ここでも、そのような要因により二次透過水の水質が向上したと考えられる。さらに、二次透過水の水質向上には、濃縮返流水による原水の希釈効果の影響もあると考えられる。すなわち、濃縮返流ラインL7を通じて原水タンク2中の原水に合流される二次濃縮水(濃縮返流水)は、原水よりも十分に清澄であるため、その流量(濃縮返流ラインを流れる濃縮返流水の流量)を増加させることで第1のろ過手段への供給水の水質が向上し、その結果、二次透過水の水質が向上したものと考えられる。
なお、目標返流率の変更後の濃縮返流水の流量は、特に限定されないが、例えば、通常運転時に二次透過水の流量に対して1/20~1/5倍の範囲に設定されている場合、目標返流率の変更後には、二次透過水の流量に対して1/5倍以上となるように設定されていることが好ましい。
第2の水質回復方法(第2の変更処理)では、制御部4は、第1のろ過手段11の目標回収率を当初の第1の目標値からそれを下回る第2の目標値に変更する。そして、第3の水質回復方法(第3の変更処理)では、制御部4は、二次透過水ラインL6を流れる透過水または処理水ラインL10を流れる処理水の目標流量(設定流量)を当初の第1の目標値からそれを下回る第2の目標値に変更するとともに、第2のろ過手段12の目標返流率を第1の水質回復方法で設定した第2の目標値からそれを上回る第3の目標値に変更することで、濃縮返流水の目標流量をより高い値に変更する。なお、透過水または処理水の目標流量をより低い値に変更する理由は、上述した第1のろ過手段11に規定される最大透過水流量や加圧ポンプ13の能力の制約のために、透過水または処理水の目標流量が当初の第1の目標値のままでは、濃縮返流水の目標流量を増加させるのに限度があるためである。以下、このような第2および第3の水質回復方法の効果を確認するために行った実験について説明する。
本発明者らは、図1に示す純水製造装置のうちEDI装置を除いた部分を用いて、第1のろ過手段の回収率と第2のろ過手段の返流率の目標値が異なる4つの条件においてそれぞれ24時間連続運転を行い、運転後の二次透過水の水質(導電率およびナトリウム濃度)を測定した。原水として水道水を用い、第1および第2のろ過手段として、いずれもダウケミカル社製のRO膜(品番:XLE-4040)を用いた。二次透過水ラインを流れる二次透過水の目標流量を、条件1から条件3では570L/hに設定し、条件4では320L/hに設定した。各条件における第1のろ過手段の回収率と第2のろ過手段の返流率のそれぞれの目標値は、以下の通りである。
条件1 第1のろ過手段:75%、第2のろ過手段:10%
条件2 第1のろ過手段:75%、第2のろ過手段:30%
条件3 第1のろ過手段:65%、第2のろ過手段:30%
条件4 第1のろ過手段:65%、第2のろ過手段:60%
したがって、条件1から条件2への変更は、第2のろ過手段の目標返流率が第1の目標値(10%)から第2の目標値(30%)に変更される第1の水質回復方法に対応する。また、条件2から条件3への変更は、第1のろ過手段の目標回収率が第1の目標値(75%)から第2の目標値(65%)に変更される第2の水質回復方法に対応する。また、条件3から条件4への変更は、第2のろ過手段の返流率が第2の目標値(30%)から第3の目標値(60%)に変更される第3の水質回復方法に対応する。なお、条件3から条件4への変更では、二次透過水の目標流量が第1の目標値(570L/h)から第2の目標値(320L/h)に変更されることに伴い、その変更分(減少分)だけ濃縮返流水の流量が増加するように濃縮返流ラインに設けられた流量調整弁の開度が調整されることで、第2のろ過手段の返流率が上記のように変更される。
表1に、条件1~4における二次透過水の導電率およびナトリウム濃度の測定値を示す。なお、表1には、参考のために、システム全体の回収率(システムに供給される原水の流量に対する二次透過水の流量の割合)の目標値も示している。
表1に示す測定結果から、二次透過水の水質は、導電率およびナトリウム濃度のいずれの場合でも、条件1~4の順に徐々に良好になることが確認された。このことは、第1の水質回復方法(条件1→条件2)を実行しても二次透過水の水質が回復しない場合、第2の水質回復方法(条件2→条件3)を実行することが有効であり、それでも二次透過水の水質が回復しない場合、第3の水質回復方法(条件3→条件4)を実行することが有効であることを示している。一方で、システム全体の目標回収率は、第1のろ過手段の目標回収率に連動して変化することから、節水を考慮すると、第1の水質回復方法(条件1→条件2)のみ実施し、第2の水質回復方法(条件2→条件3)と第3の水質回復方法(条件3→条件4)は実施しないことが好ましい。
上述した第1から第3の水質回復方法は順次実施されなくてもよく、例えば、第3の水質回復方法のみ実施されてもよい。なお、第3の水質回復方法は、処理水ラインL10を流れる処理水の流量を減少させることになるため、ユースポイント3で処理水の需要がない場合や、ユースポイント3で処理水の需要が少なく、その供給量を減少させても支障がない場合に実施されることが好ましい。このとき、三方弁TV2を切り替え、EDI装置20からの処理水を、処理水返流ラインL11を通じて原水タンク2に返流することで、より効果的な水質回復を実現することができる。
上述した実施形態では、1つの制御部により3つの流量制御が実行されるが、それぞれの流量制御が別個に設けられた制御部によって実行されてもよい。また、本実施形態では、2つのろ過手段が直列に接続されているが、ろ過手段の数はこれに限定されるものではなく、3つ以上のろ過手段が直列に接続されて設けられていてもよい。その場合、3つ以上のろ過手段のうち最も上流側のろ過手段が、本発明の第1のろ過手段に相当し、残りのろ過手段の少なくとも1つが、本発明の第2のろ過手段に相当する。また、3つ以上のろ過手段のうち最も下流側のろ過手段に接続された透過水ラインが、本発明の最終透過水ラインに相当する。なお、2つのろ過手段11,12が設けられた本実施形態では、第2のろ過手段12に接続された二次透過水ラインL6が、本発明の第2の透過水ラインに相当するだけでなく最終透過水ラインにも相当する。