JP2023027674A - 高圧水素供給システム及びその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンプレッサなどを用いることなく、必要な時に燃料電池車等へ高圧水素を供給可能なポンプレス高圧水素供給システム及びその方法の提供。【解決手段】錯体触媒を用いたギ酸の脱水素化反応によって水素及び二酸化炭素の混合ガスを得てこれから水素を分離して5MPa以上の圧力で提供する高圧水素供給システムである。脱水素化反応により5MPa以上の圧力で混合ガスを得つつ、この圧力を0.4MPa以上に維持したまま分離器でこの混合ガスを冷却することにより水素以外のガス成分を液体又は固体として相分離させて除去する。分離された水素を圧力変動吸着により純度を高めて連続的に蓄圧器に送出して70MPa以上の圧力となるように貯留する。【選択図】図2
Description
本発明は、ギ酸の脱水素反応を利用したポンプレス高圧水素供給システム及びその方法に関する。
燃料電池車の燃料となる水素を供給するための水素ステーションでは、70MPa以上の高圧の水素が必要となる。かかる高圧水素については、例えば、水素分離膜を用いた分離膜法、吸着材を用いたPSA法(Pressure Swing Absorption)やTSA法(Temperature Swing Absorption)によって分離した水素を精製した後に、圧縮機で圧縮して提供され得る。
例えば、特許文献1では、イリジウム等の脱水素触媒を用いてギ酸を水素及び二酸化炭素に分解し、7.3MPa以上の高圧混合ガスを得る方法を開示している。かかる方法によって、得られた水素も圧縮機で圧縮して水素ステーションで燃料電池車へと供給可能である。
一方、水素ステーションでは、燃料電池車に必要な、充填圧力で82MPa以上の高圧で、且つ、燃料電池車等に使用できる高純度に精製された水素(99.97%以上)が必要である。また、高圧の水素を得られてもそのまま精製できず、一旦、水素の圧力を常圧近くまで下げて精製した後に再圧縮しているが、より低コストで高いシステム効率を得るには、圧縮機を用いることなく、上記したような高圧水素を得ることが求められる。
本発明は、上記したような事情を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ギ酸の脱水素化によって得られる水素と二酸化炭素からなる混合ガス用いて、水素と二酸化炭素に分離後、分離された水素を高純度に精製、貯蔵、供給するにあたって、コンプレッサなどを用いることなく、必要な時に燃料電池車等へ高圧水素を供給可能なポンプレス高圧水素供給システム及びその方法の提供を目的とする。
本発明による高圧水素供給システムは、錯体触媒を用いたギ酸の脱水素化反応によって水素及び二酸化炭素の混合ガスを得てこれから水素を分離して5MPa以上の圧力で提供する高圧水素供給システムであって、前記脱水素化反応により5MPa以上の圧力で前記混合ガスを得つつ、この圧力を0.4MPa以上に維持したまま分離器で前記混合ガスを冷却することにより水素以外のガス成分を液体又は固体として相分離させて除去し、分離された水素を圧力変動吸着により純度を高めて連続的に蓄圧器に送出して70MPa以上の圧力となるように貯留することを特徴とする。
かかる特徴によれば、コンプレッサなどを用いないポンプレスで高いシステム効率をもって、必要な時に燃料電池車等へ高圧水素を供給可能となるのである。
上記した発明において、前記脱水素化反応後の前記混合ガスからミスト成分を除去する工程を含むことを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、ギ酸の脱水素化反応における水素及び二酸化炭素からなる高圧の混合ガス発生の際に、媒体である水とギ酸と触媒とを含むミストも一緒に発生し混合ガスに同伴されるが、ミストトラップよりこれらを回収できて高いシステム効率を得られるのである。
上記した発明において、相分離して除去された主として二酸化炭素からなるガスを断熱膨張させて得られる冷熱エネルギーで前記ミスト成分を除去された前記混合ガスを冷却した後に、前記分離器に供することを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、システム全体に必要なエネルギーを回収し、より少ないエネルギーでシステムを稼働させることができる。
上記した発明において、前記混合ガスの一部を前記反応器に戻しバブリングさせることを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、最大200MPaの高圧状態になるギ酸の脱水素化反応であっても、撹拌機等を設置することなく、攪拌をできるのである。
上記した発明において、二酸化炭素からなる前記ガスの断熱膨張によりタービンを回転させてエネルギーを取り出すことを特徴としてもよい。更に、前記圧力変動吸着により分離された低圧の水素で前記反応器を加熱することを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、システム全体に必要なエネルギーを回収し、より少ないエネルギーでシステムを稼働させることができる。
上記した発明において、前記錯体触媒は、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルト、オスミニウム、ニッケル、鉄、パラジウム、白金、金から選ばれる1種類もしくは2種類以上の遷移金属を含む有機金属錯体またはこれら錯体の塩であることを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、高圧状態になるギ酸の脱水素化反応を効率良く進め得るのである。
また、本発明による高圧水素供給方法は、錯体触媒を用いたギ酸の脱水素化反応によって水素及び二酸化炭素の混合ガスを得てこれから水素を分離して5MPa以上の圧力で提供する高圧水素供給システムであって、前記脱水素化反応により5MPa以上の圧力で前記混合ガスを得つつ、この圧力を0.4MPa以上に維持したまま分離器で前記混合ガスを冷却することにより水素以外のガス成分を液体又は固体として相分離させて除去し、分離された水素を圧力変動吸着により純度を高めて連続的に蓄圧器に送出して70MPa以上の圧力となるように貯留することを特徴とする。
かかる特徴によれば、コンプレッサなどを用いないポンプレスで高いシステム効率をもって、必要な時に燃料電池車等へ高圧水素を供給可能となるのである。
以下、本発明を実施するための一形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、水素ガスを供給するための高圧水素供給システム1は、高圧水素供給装置2及び水素供給装置3から供給される最終的な製品としての高純度に精製された水素を水素蓄圧器4で貯留しておき、必要に応じてプレクーラー5、ディスペンサー6等を介して各種の水素利用機器(利用施設)7に供給するものである。ここでは、ギ酸を水素源として1MPa以上の高圧水素を供給可能な複数(n台)の高圧水素供給装置2-1~nから水素が供給され得るが、既存の水素供給装置3-1~mから併せて水素を供給してもよい。
高圧水素の供給先としては、燃料電池を使用した発電施設及び装置、これら発電施設及び装置を使用した機械や機器類、自転車、バイク、自動車、バス、トラック、電車、航空機、ヘリコプターなどの乗り物、フォークリフト、クレーン、ショベルカー、ダンプカー、ブルドーザー等の各種重機、ドローン、水素を使用したガス配管、更に水素を用いた化学プラント、鉄鋼所などへ好適に供給することができる。また、既存の水素供給装置として、液体水素を用いた水素ステーション、高圧水素を用いた水素ステーション、MCHを用いた水素ステーション、アンモニアを用いた水素製造所からの水素ステーションとの並列した使用が出来る。
図2には、高圧水素供給装置2の詳細及びその周辺装置を示した。ギ酸を水素源とする高圧水素供給装置2は、主に、水素発生器8、発生ガス等の冷却器9、水素と二酸化炭素混合ガスの水素/二酸化炭素分離部10、高純度の水素に精製する水素精製器11を含む。また、水素/二酸化炭素分離部10で液体又は固体としてガス成分から相分離された二酸化炭素を貯める二酸化炭素貯留部12とともに、水素蓄圧器4、水素供給前のプレクーラー5、水素ステーションで燃料電池車等に高圧水素を供給するためのディスペンサー6等が組み合わせられる。なお、水素蓄圧器4、プレクーラー5、ディスペンサー6は、図1にて述べたように、ギ酸を水素源とした高圧水素供給装置2が停止した場合でも、別途並列に接続された既存の水素供給装置3により安定的に高圧水素が供給されることが好ましい。なお、水素/二酸化炭素分離部10の内部構成をはじめ、各部の詳細については後述する。
図3に示すように、水素発生器8は、反応器21、気液分離器22、切替弁23、圧縮器24などから構成され、反応器21でギ酸の脱水素化反応を行うことで高圧水素の起源となる高圧ガスを得る。
水素発生器8では、反応器21の入力IN1a及び1bからギ酸、触媒、媒体をその内部に導入し、ギ酸の脱水素化を行って高圧ガスを得る。得られた高圧ガスは、反応器21の出力OUT1aを介して気液分離器22の入力IN2からその内部に導かれ、高圧ガスに同伴されてきたミストを分離される。ミストは液体として捕集、分離され、気液分離器22の出力OUT2aを介して反応器21に戻される。捕集された液体を重力で効率良く戻すには、気液分離器22は反応器21よりも重力方向上部にあることが望ましいが、必要に応じてインラインポンプ等を用いても実施できる。一方、気液分離器22で相分離された高圧ガスは、切替弁23の出力OUT3aを介して冷却器9(図2参照)へと導かれる。
また、一部の高圧ガスは、切替弁23から出力OUT3bを介して、圧縮器24の入力IN4に導入され、圧縮されて出力OUT4から入力IN1cを介して反応器21内にガスとして導入される。ここで、反応器21の内部を温度や基質、触媒、媒体、発生ガスの濃度を均一にさせ、発生ガスの遊離を促進させるための効率的な混合を行うことが好ましい。そこで、圧縮器24から導入されたガスが液体との比重差によって上昇して液面から出るまでの間に及ぼす力によって攪拌を与えさせることが好ましい。反応器21内で最大200MPaの高圧状態になるギ酸の脱水素化反応であっても、撹拌機等を設置することなく、バブリングによる攪拌をできるのである。ここで、ウェーバー数We(液体の密度ρ×ガスの吹き込み量Q2/液体の表面張力σ×反応容器の内径D3)が10-5以上であれば、液体の攪拌に必要な力を得ることができ、攪拌翼などの攪拌機構が無くとも攪拌することができる。反応器21内へのガスの導入は、必要な攪拌力を得られるのであれば、単孔ノズルでも複孔ノズルでも用い得る。
また、図示したように、ポンプ27を設けて、反応器21内を攪拌してもよい。更に、マグネチックスターラーや、マグネットカップリングに接続された攪拌翼を備えた攪拌機を用いた撹拌、気泡による撹拌(ガス撹拌)などの撹拌方法を用いることができ、これらの撹拌方法を適宜組み合わせることで、好適に撹拌することができる。
反応器21は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法の反応器であってもよい。更に、回分式では槽型でも混合槽型でも、半連続式では連続槽型、連続混合槽型、連続完全混合槽型でも、連続式では完全混合流れ型、押し流れ型のいずれの型であってもよいが、好ましくは連続混合槽型反応器、連続完全混合槽型反応器、又は、連続式管形反応器が用いられる。その形状は、攪拌方法によって適宜、選択され得るが、耐圧を考慮して円筒型が最も好適である。例えば、連続混合槽型反応器で、ガス攪拌によって容器内の溶液を均一に保持する場合、円筒の長さをLとし、円筒の半径をDとして、0.01<D/L<1とすることが好ましく、より好適には、0.1<D/L<1である。なお、反応器21内にバッフル板を導入し混合を促進させ、又、攪拌翼などを用いた攪拌混合を用いることなども行い得るが、適宜、容器の形状を最適化し得る。
ギ酸、触媒、媒体を反応器21に導入するには、ギ酸や触媒を適当な媒体に溶解させ、あるいはギ酸や触媒や媒体をそのまま液体としてポンプ28a、28bで送液する方法が連続的に必要な分だけ供給できるので好ましい。反応器21に負荷される圧力が5MPa以上でも粘度1.57cP(26℃)の液体を安定的に送液する必要があるため、ポンプ28a、28bは、容積式ポンプ、その中でも特に往復動ポンプであることが好ましい。更には、定量性に優れたプランジャーポンプやピストンポンプを好適に用いることができ、これらポンプを単数又は複数、並列又は直列に接続して用い得る。ここで、ギ酸貯蔵タンク29a及び触媒貯蔵タンク29bからそれぞれポンプ28a及び28bにて送液される各種液体は、反応器21に導入する前に、熱交換器26a及び26bを介して所定の温度に調整してから導入することが好ましい。
反応器21は、ギ酸(0.001~26モル/リットル)と、触媒と、媒体として水を入れた状態で、耐酸性を有し、100℃以下に温度調整ができ、5MPa以上の高圧に耐えられる耐圧性が必要である。かかる観点から、容器や各種配管の材質が選択され得るが、好適にはSUS316、SUS304、SUS430等のオーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、インコネル625、インコネル601、ハステロイC276、ハステロイC22などのニッケル系合金や、これら合金とチタンの複合材料やこれら合金の内壁に樹脂、セラミックス、ガラス(シリカ)などで被覆した複合材料を用いることができる。
反応器21は、ギ酸の脱水素化によって最大225MPaまでの高圧ガスが発生する。そのため反応器21自体は、耐圧容器内にあることは当然であるが、故障や漏れ等の原因となる可動部分をなるべく含まない構造であることが好ましい。但し、故障や漏れ等の原因となることが無ければ、可動部分を設けてもよい。
反応器21の容積は、必要とされる水素量および供給施設の規模に応じて適宜決めることができる。発生圧力が5MPa以上であることから、巨大な反応器を用いることはコスト的に不利であり、最大数百リットル~数千リットル(数立米)程度までの容積であることが好ましい。
反応器21で脱水素化を行うためには、反応が吸熱反応であるため外部からの加熱が必要である。反応に必要な温度は、用いる触媒や媒体によって異なるため適宜選択できる。例えば0~300℃、好ましくは20~120℃、より好ましくは50~100℃である。なお、緊急事態が発生した場合など、冷却し反応を停止できるが、冷却温度は触媒や媒体に応じて適宜選択でき、0℃から80℃、より好ましくは0℃から50℃、更に好ましくは0℃から20℃の範囲に冷却し反応を停止させ得る。
反応器21の加熱方法は、所定の温度に加熱できれば特に限定されない。好ましくはヒーターや熱媒体や炎などで容器を加熱し、容器からの熱伝導によって反応溶液を所定温度まで加熱する方法を好適に用いることができる。更にマイクロ波や赤外線などの電磁波を用いた加熱でも、電磁誘導加熱でも、直接通電加熱でも何れの方法やこれらを組み合わせた方法でも好適に行うことができる。一方、反応器21が耐圧容器からなり、通常、金属製であることから、ヒーター、熱媒体、炎電磁誘導加熱、直接通電加熱のいずれか、あるいはこれらを組み合わせた方法が最も好適である。
ギ酸の脱水素化を反応器21の内部で行うことで高圧ガスが得られるため、加圧を必要としないが、後段の気液分離を行う上で必要な圧力を確保する必要がある。そのため、反応で得られる圧力は特に限定されないが、0.1MPa以上250MPa以下の範囲で調整することが好ましい。特にギ酸の脱水素化から得られる水素と二酸化炭素の混合ガスは超臨界流体以上であることが好ましく、1MPa以上225MPa以下とする。かかる圧力は、より好ましくは7.3MPa以上200MPa以下、更に好ましくは、10MPa以上200MPa以下、最も好適には20MPa以上160MPa以下である。なお、圧力が高くなると、より耐圧の高い容器が必要となることから、実用的には、5MPa以上100MPa以下の範囲である。一方で、反応器21内でのギ酸の脱水素化は、上記したように非常に高圧で混合ガスを得られるから、他の水素製造装置から得られた低圧の水素と組み合わせても、目的とする圧力、例えば、5MPa以上の圧力の高圧水素として蓄圧できるのである。
原料であるギ酸または/およびギ酸塩とは、ギ酸のみ、ギ酸塩のみ、またはギ酸とギ酸塩の混合物、またはギ酸もしくはギ酸塩と酸もしくは塩基の混合物である。ギ酸塩を用いる場合、例えば、陽イオンとしては、リチウムイオン、マグネシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、イットリウムイオン、スカンジウムイオン、またはランタノイドイオン等の各種金属イオンまたはアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。またこれらのカウンターイオンは、1種類でもよいが、2種類以上併存していても良い。
ギ酸濃度には、上限及び下限はなく、好ましくは0.001モル/L以上26モル/L以下で、さらに好ましくは0.01モル/L以上20モル/L以下である。ギ酸を使用する際に、反応溶液に、有機アミン、任意の無機塩を混合させることも可能であり、その量はギ酸に対して0.001モル等量以上10モル等量以下、より好ましくは0.01モル等量以上5モル等量以下、更に好ましくは0.1モル等量以上2モル等量以下であることが好ましい。
溶液のpHについては、触媒によってはpH9以下でもギ酸の脱水素化が進むため、特に限定はないが、7以下とすることが好ましい。更に好ましくは0.5~4の範囲である。また最も好ましくは、pH調整の必要のないギ酸水溶液を用いることが望ましい。最適条件で脱水素を行うために、溶液に硫酸、塩酸、硝酸、トリフルオロ酢酸などの酸あるいは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化セリウムなどの無機塩基や、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミンなどの有機塩基などの塩基を加えて、このpHの範囲外でもギ酸の脱水素化を行ってもよい。
反応溶媒は、例えば、水でも有機溶媒でもよく、1種類のみ用いても2種類以上併用してもよい。ギ酸の脱水素化反応で用いる錯体触媒とギ酸が溶解すれば、その種類は特に限定されず、発生するガスの媒体への溶解度が小さければ小さいほど好ましい。一方、発生ガスが超臨界流体になった場合、各種有機物は超臨界流体に溶解しやすくなる傾向にあるため、水に可溶な場合は、水を用いることが簡便で好ましい。また媒体の1つとして必要に応じてアミン化合物を用い得る。
具体的な、反応媒体としては、錯体触媒の溶解度等の観点から高極性溶媒であり、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール等の第1級アルコール、イソプロピルアルコール、s-ブチルアルコール、ヘキサフルオロイソプロパノール等の第2級アルコール、t-ブチルアルコール等の第3級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等のエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、酢酸エチル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン等が挙げられる。
ここで、反応器21でギ酸の脱水素化を行う反応は、
HCOOH→H2+CO2 (式1)
に示されるように、ギ酸又は/及びギ酸塩から水素と二酸化炭素が発生する反応である。この際、ギ酸の脱カルボニル化反応により、一酸化炭素と水が副生する可能性があるが、使用する触媒は、高選択且つ高効率でギ酸の脱水素化反応が進行するものであって、これにより、一酸化炭素が極力含まれず、効率良く、水素ガス及び二酸化炭素ガスを製造できる。
HCOOH→H2+CO2 (式1)
に示されるように、ギ酸又は/及びギ酸塩から水素と二酸化炭素が発生する反応である。この際、ギ酸の脱カルボニル化反応により、一酸化炭素と水が副生する可能性があるが、使用する触媒は、高選択且つ高効率でギ酸の脱水素化反応が進行するものであって、これにより、一酸化炭素が極力含まれず、効率良く、水素ガス及び二酸化炭素ガスを製造できる。
具体的に、触媒については以下を考慮できる。
図4の一般式において、nは、正の整数、0、または負の整数である。また、Mは、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルト、オスミニウム、ニッケル、鉄、パラジウム、白金または金であり、特に、イリジウムまたはルテニウムが好ましい。AおよびBは、それぞれ独立に、窒素、炭素、酸素、硫黄、リンを有する配位子であり(図4(a)参照)、好ましくは窒素を含む配位子である(図4(b)参照)。ここで、A⌒A、及び、N⌒Nで表した2座配位子は、金属Mに配位する。窒素を含む2座配位子は、任意の原子で結合され、任意の置換基や環構造を有しても良いが、その構造は限定されない。
Lは芳香族性アニオン配位子、もしくは芳香族性配位子であり、置換基を有している場合、配位子は1つでも複数でも良い。Lについて、特に好ましくは、すべてメチル基で置換されたペンタメチルシクロペンタジエニル配位子またはヘキサメチルベンゼン配位子である(図4(c)及び(d)参照)。
Zは、任意の配位子であり、水分子、水素(H)、アルコキシドイオン、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、炭酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ギ酸イオン、もしくは酢酸イオンの配位子である。アルコキシドイオンとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、またはtert-ブチルアルコール等から誘導されるアルコキシドイオンが挙げられる。特に、反応開始時に水中に簡便に溶解させるために、Zは水分子が好ましい。また、一旦水に溶解すればZは限定されない。なお、配位子を含まず、Zが存在しなくてもよい。上記した
Zで示される配位子の種類により、置換や脱離等が比較的容易になる場合がある。一例として、配位子Zは、水分子(-OH2)や各種陰イオンである。例えば、六フッ化リン酸イオン(PF6
-)、テトラフルオロほう酸イオン(BF4
-)、水酸化物イオン(OH-)、酢酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ハロゲン化物イオン[フッ化物イオン(F-)、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、ヨウ化物イオン(I-)等]、次亜ハロゲン酸イオン[例えば、次亜フッ素酸イオン、次亜塩素酸イオン、次亜臭素酸イオン、次亜ヨウ素酸イオン]、亜ハロゲン酸イオン[例えば、亜フッ素酸イオン、亜塩素酸イオン、亜臭素酸イオン、亜ヨウ素酸イオン]、ハロゲン酸イオン[例えば、フッ素酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン]、過ハロゲン酸イオン[例えば、過フッ素酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン]、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(OSO2CF3
-)、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートイオン[B(C6F5)4
-]等が挙げられる。また、脱水素化の進行中は、中間体としての活性の高いヒドリド(H-)となる。アルコール溶媒中ではアルコキシドイオンとなり、また、光や熱により脱離する場合があり得る。
N-Nの2座配位子上の置換基は、水素、メチル基などのアルキル基または任意の置換基である。任意の置換基としては、例えば、芳香族基、ヒドロキシ基(-OH)、エステル基(-COOR)、アミド基(-CONRR’)、ハロゲン(-X)、アルコキシ基(-OR)、アルキルチオ基(-SR)、アミノ基(-NRR’)、カルボン酸基(-COOH)、ニトロ基、またはスルホン酸基(-SO3H)であり、それらはN-Nの2座配位子の何れの位置に置換しても良く、また、複数置換しても良く、更に同一でも異なってもよい。
Cで示されるカウンターイオンは、1種類でも良いが、2種類以上が併存していても良い。陰イオンとして、例えば、六フッ化リン酸イオン(PF6
-)、テトラフルオロほう酸イオン(BF4
-)、水酸化物イオン(OH-)、酢酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ハロゲン化物イオン(例えばフッ化物イオン(F-)、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、ヨウ化物イオン(I-)等)、次亜ハロゲン酸イオン(例えば次亜フッ素酸イオン、次亜塩素酸イオン、次亜臭素酸イオン、次亜ヨウ素酸イオン等)、亜ハロゲン酸イオン(例えば亜フッ素酸イオン、亜塩素酸イオン、亜臭素酸イオン、亜ヨウ素酸イオン等)、ハロゲン酸イオン(例えばフッ素酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン等)、過ハロゲン酸イオン(例えば過フッ素酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン等)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(OSO2CF3
-)、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートイオン[B(C6F5)4
-]等が挙げられる。
陽イオンとしては、例えば、リチウムイオン、マグネシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、イットリウムイオン、スカンジウムイオン、ランタノイドイオン、等の各種金属イオン、水素イオン等が挙げられる。
触媒の有効成分は、図5(a)~(d)で表されるイリジウム錯体、その互変異性体、立体異性体、およびそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つ以上の化合物からなる。例えば、該有効成分の1つまたは2つ以上の複数種の化合物を触媒としてそのまま用いても良いし、これらの異性体の混合物を用いてもよい。また、他の成分を適宜(好ましくは、10wt%未満)添加して用いても良い。
←「Q」は図5(d)にあります。
図5で示される触媒において、それぞれの複素環を構成するX1~X21は、それぞれ独立して、窒素、炭素、酸素または硫黄であり、好ましくは、窒素あるいは炭素である。Y1~Y21は、それぞれ独立に、窒素または炭素であり、Qは、それぞれ独立に、酸素、硫黄、セレンである。R1~R26は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基(-OH)、アルコキシ基(-OR)、ニトロ基、ハロゲン基、スルホン基、カルボン酸基、アルキルアミノ基、もしくはフェニル基、または、隣り合ったR同士で環を形成しても良い。置換基を有している場合は、1つでも複数でも良い。但し、Xi(iが1~25)が窒素、酸素、硫黄である場合、その位置のRiは存在しない。置換基は、特に、ヒドロキシ基(-OH)、またはオキシアニオン基(-O-)であることが望ましい。配位子を形成する元素間の結合次数は単結合、あるいは二重結合であり、構成する複素環が芳香環あるいは非芳香環いずれでも良い。なお、m及びnは、正の整数、0、または負の整数である。
図5で示される触媒において、それぞれの複素環を構成するX1~X21は、それぞれ独立して、窒素、炭素、酸素または硫黄であり、好ましくは、窒素あるいは炭素である。Y1~Y21は、それぞれ独立に、窒素または炭素であり、Qは、それぞれ独立に、酸素、硫黄、セレンである。R1~R26は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基(-OH)、アルコキシ基(-OR)、ニトロ基、ハロゲン基、スルホン基、カルボン酸基、アルキルアミノ基、もしくはフェニル基、または、隣り合ったR同士で環を形成しても良い。置換基を有している場合は、1つでも複数でも良い。但し、Xi(iが1~25)が窒素、酸素、硫黄である場合、その位置のRiは存在しない。置換基は、特に、ヒドロキシ基(-OH)、またはオキシアニオン基(-O-)であることが望ましい。配位子を形成する元素間の結合次数は単結合、あるいは二重結合であり、構成する複素環が芳香環あるいは非芳香環いずれでも良い。なお、m及びnは、正の整数、0、または負の整数である。
錯体触媒は、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルト、オスミニウム、ニッケル、鉄、パラジウム、白金、金から選ばれる1種類もしくは2種類以上の遷移金属を含む有機金属錯体またはこれら錯体の塩であって、反応溶液に均一に溶解していることが好ましいが、粉末などの固体として分散している状態でもよい。あるいは、ギ酸あるいは溶媒と何ら反応しない他の物質と混合、あるいは物理的に吸着、あるいは化学的に結合させてもよい。ギ酸あるいは溶媒と何ら反応しない物質であれば、特に限定されないが、一種類のみを用いても二種類以上を併用してもよい。かかる溶媒と反応しない物質として、例えば、ガラス等を含むシリカ、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、セリア、マグネシア、カルシア、イットリア、酸化ニオブ、シリカアルミナ、シリカマグネシア、硫酸化ジルコニア、タングステン酸ジルコニア、MFIチタノシリケート、メソポーラスシリカ、グラフェン、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、活性炭またはポリマー等が挙げられる。
触媒の濃度は特に上限及び下限はなく、反応速度、反応液への錯体触媒の溶解性及び経済性などに応じて適宜選択することができる。適切な触媒濃度は、1×10-9Mから2M、より好ましくは1×10-7Mから1×10-1Mである。
触媒の劣化など、定期的に触媒の一部を交換することで常に安定した反応を行うことができる。触媒の回収量とコスト等を考慮して、好適には反応液の10容量%以上100容量%の溶液をタンク29cに回収し、より好適には10%以上70%以下の溶液をタンク29cに回収し、更に好適には10%以上40%以下の溶液をタンク29cに回収し、最も好適には10%以上30%以下の溶液をタンク29cに回収する。対応する触媒とギ酸をギ酸貯蔵タンク29aおよび触媒貯蔵タンク29bから追加することで、反応溶液に含まれる触媒の濃度を一定に保ち、安定した反応を行うことができる。
触媒としての錯体とギ酸分子の物質量比(分子数比)も特に限定されないが、例えば反応開始時、ギ酸分子:錯体触媒分子は1×102:1~1:1×108であるが、これに限定されるものではない。また、反応中にギ酸分子を追加で添加、あるいは、継続的に滴下することにより、連続的な高圧水素と高圧二酸化炭素の製造も可能である。
脱水素化によりギ酸が分解されると反応器内のギ酸の濃度が変化する。そのため、反応器81内のギ酸濃度よりも高い濃度のギ酸を供給することで、濃度を一定に保ちながら連続的に運転することができる。例えば、ギ酸及び触媒をギ酸貯蔵タンク29a及び触媒貯蔵タンク29bからポンプ28a及び28b、熱交換器26a及び26bを介して反応器21に供給するギ酸の濃度は、76%以上100%以下のギ酸水溶液を供給することでより安定的に運転することができるが、好適には76%以上99.8%以下のギ酸水溶液、更に好適には80%以上99%以下のギ酸水溶液、最も好適には88%以上99%以下のギ酸を用いることができる。
ギ酸の脱水素化の速度は、ギ酸の供給速度を調整すること、更に反応器21の温度を調整することで制御できる。ギ酸の供給速度は、特に限定されないが、200Lの反応器である場合、0kg以上1000kg/hの速度で供給することで発生速度を調整できるが、好適には0kg/h以上800kg/h、更に好適には0kg以上700kg/h以下の範囲で調整し、発生速度を調整できる。なお、0kg/hは、反応を停止させる場合である。更に停止する場合、反応器の温度を下げることで反応を抑え、あるいは停止させ、供給を遮断できる。その温度は触媒に依存し特に限定されないが、好適には0℃以上100℃以下、より好適には0℃以上50℃以下、更に好適には0℃以上室温(25℃)以下の範囲にすることで調整できる。
反応器21内で発生した高圧ガスにより気泡が発生し、これに伴ってミスト成分が発生するため、得られるガスにはミスト成分が同伴して冷却器9に導入されてしまう。かかるミスト成分は、高圧水素供給システム1を安定して運転する際の支障となり得る。そこで同伴するミストを除去するため、気液分離器22を挿入してミストを捕集し、得られた液体は反応器21に戻し、好適に反応を行わせしめ得る。なお、気液分離器22は、ミストトラップなどのように、同伴するミストを除去するフィルターが装着され、更に、水分除去機能を備わったフィルターであると、乾燥したガスが得られ、好適に高圧ガスを供給できる。
反応器21から吐出される高圧ガス(水素と二酸化炭素の混合ガス、超臨界流体)は、予め高圧(1MPa以上300MPa以下)のまま流体を冷却することで、水素/二酸化炭素分離ドラムを含む水素/二酸化炭素分離部10で安定かつ効率よく分離できる。高圧流体を冷却する方法は特に限定されず、連続式で効率よく冷却できるものであればよい。例えば、シェル&チューブ式熱交換器、プレート式熱交換器、フィンチューブ式熱交換器、フィンプレート式熱交換器、マイクロ熱交換器を含む熱交換器やプレート熱交換器などを例示できる。なお、冷却によって二酸化炭素が液化するに伴い、圧力が低下する場合はあるが1MPa以上300MPaの範囲であることが好ましい。
冷却器9に連続式冷却器を用いる場合の温度は、得られる高圧ガスの圧力によって異なるが、高圧ガスに含まれる二酸化炭素が固体となって閉塞しない温度であれば特に限定されない。例えば二酸化炭素が固体となる-51℃以上10℃以下、あるいは得られた流体の凝固点以上且つ臨界温度以下であれば連続的に冷却し、後述するように、水素/二酸化炭素分離ドラム10aに発生した高圧ガスを導入できる。
水素/二酸化炭素分離部10では、冷却器9にて冷却された高圧ガスを、圧力を例えば0.4MPa以上に維持したまま、より精密に高圧水素ガスと高圧の液体あるいは固体二酸化炭素に分離し、冷却した状態で気体と液体を分離する蒸留装置からなる。かかる装置は、比較的中規模容量から大規模容量までをカバーできる規模の分離能力を有することが好ましく、石油精製時に用いる蒸留方法を高圧および冷却下で行う装置を使用し得る。つまり、1段の単蒸留で分離する蒸留装置が最も単純であるが、棚段を設置し、更に環流弁を設置した蒸留装置や、充填材を導入した蒸留装置などいずれの装置を用いても分離することができ得る。
水素/二酸化炭素分離部10では、冷却器9で冷却された高圧ガスを更に冷却して静置し、気体と液体あるいは固体を分離するシステムが用いられ得る。その温度範囲は、特に限定されないが二酸化炭素を液体として分離する場合、冷却器9の温度条件と同様の-51℃以上10℃以下の範囲で、好適に水素と二酸化炭素を分離できる。一方、回分式で二酸化炭素を固体として分離する場合は、冷却温度の下限は特に限定されないが、-51℃以下で、二酸化炭素を固体として好適に分離できる。
水素/二酸化炭素分離部10では、水素/二酸化炭素分離ドラム10aで分離された液体二酸化炭素について弁10bを介して二酸化炭素を貯留する二酸化炭素貯留部12に送出する。この際に、冷却された高圧の液体二酸化炭素は、所定の圧力まで脱圧しタービン10cを回転させ、更に二酸化炭素の断熱膨張により冷熱回収部10dで得られる冷熱を冷媒で回収する。冷媒の冷熱は、冷却器9、水素/二酸化炭素分離ドラム10a、又、図示しないがディスペンサー6に送り、各装置の冷却に使用すると、システムのエネルギー効率を高め得る。また、タービン10cを回転させることによる電力または回転エネルギーは、各種ポンプの駆動力などに利用することで、同様にシステムのエネルギー効率を高め得る。
水素精製器11は、水素/二酸化炭素分離部10からの高圧水素をその圧力を大きく下げることなく高純度に精製する。これには、PSA装置が用いられ、特に、PSA装置を直列に接続した多段階装置が好ましい。
水素精製器11において回収されなかった水素(低圧)の一部は、パージガス燃料として熱媒加熱部13に送出し燃焼させることで、水素発生器8の反応器21でギ酸の脱水素化に必要な熱を供給でき、システムのエネルギー効率を高め得て好ましい。
ギ酸由来の水素を水素精製器11にて高純度に精製された水素は、水素蓄圧器4に導かれた後、所定の圧力に加圧され貯蔵される。水素蓄圧器4は、特に限定されず、公知の装置を用い得る。
プレクーラー5は、水素蓄圧器4で貯蔵された高圧水素を予め冷却しておく装置であり、燃料電池車等のタンクへ充填する際に発生する圧縮熱の影響を抑えて、安全な充填に寄与する。この際、プレクーラー5で高圧水素を冷却する具体的な方法は特に限定されず、公知の装置を用い得る。
ディスペンサー6は、プレクーラー5で冷却された高圧水素を燃料電池車等の水素使用施設に充填するための装置であり、特に限定されず、公知の装置を用い得る。
上記したシステムでは、得られた水素や二酸化炭素をディスペンサー6や二酸化炭素貯留部12を介して、各種機器類や施設に用いることができる。
例えば水素は、高圧水素供給システム1自体を水素ステーションとして使用し、燃料電池を使用する車、バス、フォークリフト等のモビリティーのタンク等へ充填したり、直接燃料電池に用いて発電させたりすることができる。特に、燃料電池への適応を行う場合、高圧水素供給システム1全体またはその一部が含まれるとともに、上記方法によりギ酸を脱水素化して水素を発生させる機構を用いることができる。具体的な構造は特に限定されないが、公知の燃料電池の構造等にも適宜応用することができる。
二酸化炭素については、ボンベ等へ充填し、ギ酸、メタノール、メタンなど各種化学原料に変換する化学反応装置へ利用でき、あるいはドライアイス製造装置を使ったドライアイス製造施設や、植物工場などで利用可能である。また、高圧二酸化炭素を脱圧して得られる冷熱エネルギーで、各種冷却装置に用い得るとともに、脱圧時の圧力エネルギーでタービンを回転させ、電気エネルギーを取り出すことも可能である。なお、高圧水素供給システム1で得られた水素および二酸化炭素の用途は上記に限定されず、高圧水素や高圧二酸化炭素の供給も必要とするあらゆる技術分野に用いることができる。
以下に高圧水素供給システム及び高圧水素供給方法の詳細な実施例について説明する。
図6に示すギ酸から高圧水素を製造する高圧水素供給システム1において、図7に触媒を用いて、図8の条件で、水素および二酸化炭素の製造を行った実証例について説明する。
図6に示すように、運転では、ギ酸貯蔵タンク29aからポンプ28aを介して、途中、熱交換器26aで処理温度に加温したギ酸を反応器21に導入した。触媒は、後述するイリジウム錯体を水に溶解させた水溶液からなり、この触媒溶液を触媒貯蔵タンク29bに充填し、ポンプ28bを介して、途中、熱交換器26bで所定の温度に加温してから、反応器21に導入した。反応器21では、水などの熱媒を介して加温し、ギ酸からの脱水素化により高圧ガスを発生させた。
得られた高圧ガスは、気液分離器22のミストフィルターで、ミストとガスを分離し採取されたミストは、そのまま反応器21に戻した。また、高圧ガスの10vol%以下のガスをインラインポンプ22aで発生圧力よりも0.1MPa以上高圧に圧縮し、反応器21のガス攪拌部21aに導入しバブリングし、ガス攪拌を行った。残りの高圧ガスは、冷却器9でマイクロ熱交換器を介して所定の温度に冷却され、更に水素/二酸化炭素分離部10で冷却されつつ気体と液体に分離された。分離された気体は、水素精製器11で水素純度99.97%以上に精製され、水素蓄圧器4に所定圧力(82MPa)のまま貯蔵した。ここで、70MPaの高圧水素を水素燃料電池自動車に導入する際には、プレクーラー5で-30℃程度に冷却した後、ディスペンサー6を介して所定の量を導入することになる。
一方、高圧ガスの発生を停止する場合、別途、冷媒を用いて反応器21、熱交換器26a、26bの温度を20℃以下にして、強制的に反応を停止させる。また、定常的な停止の場合は、ギ酸貯蔵タンク29a及び触媒貯蔵タンク29bからのギ酸と触媒の供給を停止しギ酸を完全に分解させて停止させるとともに、熱媒加熱部13による反応器21の加熱を停止させて、反応器21の温度を室温まで冷却する。
ここで、反応器21は、不燃性媒体、ここでは水を熱媒として80℃に加熱している。熱媒の加熱方法は、初期段階では電気ヒーターで所定の温度に加温し、反応器21を加熱した。その後は、水素精製器11で得られた未精製の余剰水素ガスを熱媒加熱部13に導き、そこで水素を燃焼させて反応器21を加熱した。
また、反応器21の中のガス攪拌ノズルは、円筒型反応器の大きさ(直径40cm×長さ160cm=約201L)に対して、内径10cmの直管を用いた。また、直管の先にセラミックフィルターを取り付け、複孔管として用いて攪拌を行っても同様の結果を示すことを確認した。
図9には、冷却器9の構造を模式的に示した。冷却器9は、外径1.6mm、内径0.5mmのSUS316製チューブからなる配管9aを7本用いたシェル&チューブ式とし、反応器21で発生した高圧ガスの熱交換を行った。冷媒には、-30℃に冷却したメタノールを用いた。入力側40MPa、30℃の高圧ガス(二酸化炭素:水素=1:1)に対して、40MPa、-30℃の高圧流体が得られた。なお、チューブが1本の場合は、-15℃程度に留まり、7本の場合は、5本の場合と同等の冷却結果であった。
図10には、水素/二酸化炭素分離部10の構造を模式的に示した。水素側バルブHvを介して水素を水素精製器11に、二酸化炭素側バルブCvを介して二酸化炭素を二酸化炭素貯留部12へ送出する。水素/二酸化炭素分離部10は、2つの水素/二酸化炭素分離ドラム10a1と10a2を並列に接続した構造を有し、それぞれ入力バルブIv1及びIv2を具備するとともに、水素側バルブHv1及びHv2、二酸化炭素側バルブCv1及びCv2をそれぞれ別個に具備することで、個々に別々の条件で分離工程を行い得る。かかる水素/二酸化炭素分離部10を利用して、分離圧力40MPa、分離温度25℃の時、ガス相の水素純度は50mol%であったが、30MPa、-15℃の時はガス相の水素純度は69mol%、30MPa、-51℃の時の水素純度は85mol%であった。更に11MPa、-78℃の条件で固気分離を行った場合、水素純度は96mol%で、固相の二酸化炭素純度は99%であった。そしてこの時の水素回収率は99mol%で、二酸化炭素の回収率は96mol%であった。
ここで、図11~17には、図7に示したイリジウム錯体以外の他の配位子を持つイリジウム錯体(一部ルテニウム、ロジウム触媒もあり)を触媒に用いた検討結果を示した。ここでは、触媒濃度を1又は0.5μmolにし、反応温度は60℃、1Mのギ酸(酸性度1.64)及び酸性度を2.34と3.5のときのギ酸イオンを1Mとして、脱水素化時の触媒回転速度(TOF,-/h)を表した。なお、同図に記載のいずれの触媒においても、本システムにて稼働できることを確認できた。
更に、高圧水素供給システム1の運転時の触媒については、触媒回収装置25aにて触媒貯蔵タンク29bに循環させるが、劣化速度を20%/100hrと想定し、触媒を補充(make-up)しながら高圧水素供給システム1を安定的に稼働させた。つまり、反応器21にて高圧ガスを発生させる際に、100時間毎に反応液100L当たり20%(20L)を抜き出し、新たに抜き出した量と同等の量で、36wt%の触媒溶液20Lをポンプ28bで、熱交換器26bにより80℃に加熱しながら反応器21に導入し、反応器21内の触媒濃度を常時一定にするようにした。また、触媒回収装置25aから触媒溶液回収装置としてのタンク29c内に抜き出した触媒を含む廃溶液は、1日あたり13時間稼働させた場合、月4回×20=80L発生するが、苛性ソーダを用いてpH=8~14の間の塩基性にして保管し、年1回約960Lの溶液をタンクローリーで回収し、水溶液に含まれる触媒、触媒に使用された金属、配位子の回収を行い再利用に用いた。なお、再利用出来なかった触媒等は焼却等で無害化して処理した。
次に、水素精製器11において、多段の圧力変動吸着装置(PSA)を用いたときの水素純度を求めた。上記した条件で得られた11MPa、-78℃で分離した純度96mol%の水素を用いて実験を行った。なお、PSA1段当たりの効率を70%、水素/二酸化炭素の分離能を100/1とした。その結果、1段目で得られた水素の純度は、99.9379%、含有二酸化炭素620PPM、2段目で得られた水素は99.9991%、二酸化炭素8.87PPM、3段目で得られた水素の純度は、100.0000%、含有二酸化炭素0.125PPMとなり、3段目で水素自動車へ供給可能な基準を満たす水素が得られた。また、パージで得られた余剰の水素と二酸化炭素は、ガス中の水素濃度は4%以上であるため、熱媒加熱器へと送って、燃焼によりギ酸分解反応器の熱媒を加温するために用いた。なお、ギ酸からの高圧液液分離を介さず水素生成を行った場合は、PSAを7段から8段かけて精製することで、基準を満たす水素を得ることができることが分かった。
また、上記した条件で得られた高圧水素を、単独型水素ステーションで得られた水素と混合し、得られた10MPaの高圧水素を用いて、圧力変動吸着装置(PSA)によって水素の精製を行い、最終的に10MPa、99.97mol%の高圧水素を得られた。なお、ステーションで得られた水素とギ酸からの水素の比は適宜とした。また、単独型水素ステーションとの併用した水素供給システムを構築するにあたって、水素製造時に発生する反応熱の一部を用いて、反応器21の熱媒の加熱を行っている。
また、上記した条件で得られた二酸化炭素貯留部12の液体二酸化炭素(圧力30MPa、-51℃、純度85wt%)を冷媒回収装置16で冷熱を回収し、その冷熱は冷却器9および水素/二酸化炭素分離ドラム10a、プレクーラー5の冷媒を冷却するために使用した。また、圧力30MPa、-30℃の液化二酸化炭素として回収された液相は、適宜回収され、別途ドライアイスやその他二酸化炭素を用いるための原料として得られた。
更に、液体二酸化炭素を膨張させドライアイスを製造する際に動力回収させて発電、又は蓄電池に充電させ、動力回収を与え得る。例えば、膨張時の圧力で動力回収して発電、蓄電池に充電して災害時の系統電力停止時にも運用可能なシステムとできるし、蓄電池の電力は通常時にステーション所要電力に利用し、蓄電容量が減少した時に充電モードとすることも可能である。また、他の水素ステーションとの併用の場合は、冷却をする際の冷熱として一部用いることもできる。
ここまで本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれらの例に限定されるものではない。また、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
1 システム
2 高圧水素供給装置
3 水素供給装置
4 水素蓄圧器
5 プレクーラー
6 ディスペンサー
7 水素利用機器(利用施設)
8 水素発生器
9 冷却器
10 水素/二酸化炭素分離部
10a 水素/二酸化炭素分離ドラム
11 水素精製器
12 二酸化炭素貯留部
21 反応器
22 気液分離器
23 切替弁
24 圧縮器
2 高圧水素供給装置
3 水素供給装置
4 水素蓄圧器
5 プレクーラー
6 ディスペンサー
7 水素利用機器(利用施設)
8 水素発生器
9 冷却器
10 水素/二酸化炭素分離部
10a 水素/二酸化炭素分離ドラム
11 水素精製器
12 二酸化炭素貯留部
21 反応器
22 気液分離器
23 切替弁
24 圧縮器
Claims (13)
- 錯体触媒を用いたギ酸の脱水素化反応によって水素及び二酸化炭素の混合ガスを得てこれから水素を分離して5MPa以上の圧力で提供する高圧水素供給システムであって、
反応器内での前記脱水素化反応により5MPa以上の圧力で前記混合ガスを得つつ、この圧力を0.4MPa以上に維持したまま分離器で前記混合ガスを冷却することにより水素以外のガス成分を液体又は固体として相分離させて除去し、分離された水素を圧力変動吸着により純度を高めて連続的に蓄圧器に送出して70MPa以上の圧力となるように貯留することを特徴とする高圧水素供給システム。 - 前記脱水素化反応の後の前記混合ガスからミスト成分を除去する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の高圧水素供給システム。
- 相分離して除去された主として二酸化炭素からなるガスを断熱膨張させて得られる冷熱エネルギーで前記ミスト成分を除去された前記混合ガスを冷却した後に、前記分離器に供することを特徴とする請求項2記載の高圧水素供給システム。
- 前記混合ガスの一部を前記反応器に戻しバブリングさせることを特徴とする請求項3記載の高圧水素供給システム。
- 二酸化炭素からなる前記ガスの断熱膨張によりタービンを回転させてエネルギーを取り出すことを特徴とする請求項4記載の高圧水素供給システム。
- 分離された水素を圧力変動吸着により純度を高めるにあたって、除去された二酸化炭素からなる前記ガスの断熱膨張によりタービンを回転させてエネルギーを取り出すことを特徴とする請求項4記載の高圧水素供給システム。
- 前記圧力変動吸着により分離された低圧の水素で前記反応器を加熱することを特徴とする請求項1乃至6のうちの1つに記載の高圧水素供給システム。
- 前記錯体触媒は、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルト、オスミニウム、ニッケル、鉄、パラジウム、白金、金から選ばれる1種類もしくは2種類以上の遷移金属を含む有機金属錯体またはこれら錯体の塩であることを特徴とする請求項1乃至7のうちの1つに記載の高圧水素供給システム。
- 錯体触媒を用いたギ酸の脱水素化反応によって水素及び二酸化炭素の混合ガスを得てこれから水素を分離して5MPa以上の圧力で提供する高圧水素供給方法であって、
反応器内での前記脱水素化反応により5MPa以上の圧力で前記混合ガスを得つつ、この圧力を0.4MPa以上に維持したまま分離器で前記混合ガスを冷却することにより水素以外のガス成分を液体又は固体として相分離させて除去し、分離された水素を圧力変動吸着により純度を高めて連続的に蓄圧器に送出して70MPa以上の圧力となるように貯留することを特徴とする高圧水素供給方法。 - 前記脱水素化反応の後の前記混合ガスからミスト成分を除去する工程を含むことを特徴とする請求項9記載の高圧水素供給方法。
- 相分離して除去された主として二酸化炭素からなるガスを断熱膨張させて得られる冷熱エネルギーで前記ミスト成分を除去された前記混合ガスを冷却した後に、前記分離器に供することを特徴とする請求項10記載の高圧水素供給方法。
- 前記混合ガスの一部を前記反応器に戻しバブリングさせることを特徴とする請求項11記載の高圧水素供給方法。
- 前記錯体触媒は、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルト、オスミニウム、ニッケル、鉄、パラジウム、白金、金から選ばれる1種類もしくは2種類以上の遷移金属を含む有機金属錯体またはこれら錯体の塩であることを特徴とする請求項9乃至12のうちの1つに記載の高圧水素供給方法。
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