JP2023027464A - 防湿化粧紙と、それを用いた防湿化粧板及び扉などの建具 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、室内扉、キッチン扉、収納扉、襖などの建具に用いられ、防湿化粧紙と、それを用いた防湿化粧板及び扉などの建具に関し、詳しくは湿度変化、温度変化等によって発生する反りを防止する機能を有するものである。【解決手段】化粧紙20は、紙基材21と、印刷柄層22と、保護樹脂層23と、をこの順で積層してなり、防湿層は、紙基材の裏面側に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31と、蒸着層32と、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層33と、をこの順で設けてなる。また、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31の厚みが、lμm以上5μm以下でもよいし、蒸着層32の厚みが、30nm以上100nm以下でもよいし、ポリオレフィンを含む層33の厚みが、2μm以上10μm以下でもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、室内扉、キッチン扉、収納扉、襖などの建具に用いられ、防湿化粧紙と、それを用いた防湿化粧板及び扉などの建具に関し、詳しくは湿度変化、温度変化等によって発生する反りを防止する機能を有するものである。
従来、室内扉、キッチン扉、収納扉などの建具において、湿度、温度の関係で使用中に徐々に反りが発生することがあった。これは、主として、室内外に湿度差や温度差が生じることで、木質建具内部の含水率分布に偏りが生じるために発生する現象である。すなわち、湿度差が生じると、木質建具表裏面における吸放湿量に差が生じ、湿度の高い側では高含水率になるために膨張し、湿度の低い側では低含水率になるために収縮することにより反りが発生する。
また、温度差が生じると、木質基材中では冷たい側に含有水分が移動するため、厚み方向に含水率の傾斜ができ、反りが発生する。通常、低温側が高湿度、高含水率になることが多く、この場合、前記2つの作用が同方向に働くことになるため、反りが最も顕著になると考えられる。
こうした木質建具の反りを抑制する方法として、扉などの建具の表裏面に、同じ材質シートを用いて、片方に反らないようにしたもの、建具の枠体に金属製の支持体を使用する等の対策が取られている。
また、透湿度が低い防湿シートを建具の部材に用いることで、部材の吸放湿量を小さくする方法が広く用いられている。
従来、合板などの板基材の表面側に、表面側から 保護樹脂層/印刷柄層/紙間強化紙/合成樹脂層/紙間強化紙の5層構造を有する防湿化粧シートを、接着剤を介して貼着するとともに、板基材の裏面側には、紙間強化紙/合成樹脂/紙間強化紙の3層構造を有する防湿裏面シートを、接着剤を介して貼着して防湿化粧板とし、この防湿化粧板をフラッシュ扉の表裏にそれぞれ接着剤を介して貼着することが提案されている(特許文献1の段落[0013]~[0016]、並びに図1~図4参照)。
この時の防湿シートの透湿度は、5~30(g/m・24hr)がよいとされている(特許文献1の[請求項2]参照)。
この構成によれば、フラッシュ扉の表裏化粧面材として使用される防湿化粧板において、板基材の表裏に貼着される防湿シート及び防湿裏面シートが、高い防湿機能を有するため、フラッシュ扉の表面側と裏面側との温度・湿度差による防湿化粧板の板基材の含水率変化が抑制され、その結果として反り防止効果を発揮するものとされている。
特許第3206408号
しかし、近年において、扉のデザイン性の観点から、高さが2mを超えるような扉が採用される事が多くなっている。扉が高くなったことにより、わずかな反り量でも、扉全体としては反りが大きくなってしまうために、より高い防湿性が求められている。高い防湿性を有するシートとして、合成樹脂基材に金属蒸着膜とコート層を有する防湿シートが提案されている。
透湿度としては、5(g/m・24hr)以下で、反り防止効果も高いとされている。
これらの防湿シートは、いずれもプラスチック材料を使用しているために、環境面を考慮した場合、プラスチック使用量の削減が望まれる。また、これらの防湿シートを貼り合せた化粧板や扉などの建具等のリサイクルにおいては、木質基材とプラスチック部分(合成樹脂層や合成樹脂基材)を分離する必要があり、リサイクルには適していない。
本発明はこの課題を解決するためになされたものであり、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、反りを防止する防湿化粧紙と、それを用いた防湿化粧板及び扉などの建具を提供することである。
さらに、プラスチック使用量を削減し、リサイクル性に優れた防湿化粧紙と、それを用いた防湿化粧板及び扉などの建具を提供することである。
本発明はこの課題を解決したものであり、本発明の一態様に係る防湿化粧紙は、化粧紙の裏面に防湿層を積層してなる防湿化粧紙であって、前記化粧紙は、紙基材と、印刷柄層と、保護樹脂層と、をこの順で積層してなり、前記防湿層は、前記紙基材の裏面側に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層と、蒸着層と、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層と、をこの順で設けてなることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る防湿化粧紙は、前記ポリビニルアルコール系樹脂を含む層の厚みが、lμm以上5μm以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る防湿化粧紙は、前記蒸着層の厚みが、30nm以上100nm以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る防湿化粧紙は、前記ポリオレフィンを含む層の厚みが、2μm以上10μm以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る防湿化粧紙は、前記紙基材の重量が、前記防湿層の全体を基準として、50質量%以上であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る防湿化粧紙は、前記防湿層の外面に、接着用プライマー層を設けてなることを特徴とする。
本発明の一態様に係る防湿化粧紙は、前記紙基材が、紙間強化紙であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る防湿化粧板は、防湿化粧紙を、合板などの板基材の一面に貼着し、透湿度が5g/m・24hr以下である裏面防湿シートを、前記板基材の他の一面に貼着したことを特徴とする。
本発明の一態様に係る前記防湿化粧板の前記裏面防湿シートは、紙基材の裏面に防湿層を積層してなり、前記防湿層は、前記紙基材の裏面側に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層と、蒸着層と、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層と、をこの順で設けてなることを特徴とする。
本発明の一態様に係る扉などの建具は、木質系の芯組部材の表裏面に、防湿化粧板をその裏面防湿シート側を内側にしてそれぞれ圧着したことを特徴とする。
本発明の一態様に係る防湿化粧紙によれば、透湿度が格段に低減でき、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、例えば扉などの建具の反りを防止できる。
さらに、本発明の一態様に係る防湿化粧紙によれば、プラスチック材料の使用量削減に寄与できる。
本発明の防湿化粧紙の一実施例の断面の形状を示す説明図である。 図1の防湿化粧紙の変形例を示し、裏面防湿シートAの一実施例の断面の形状を示す説明図である。 本発明の防湿化粧板Aの一実施例の断面形状を示す説明図である。 図3に示す防湿化粧板Aの変形例を示し、防湿化粧板Bの一実施例の断面形状を示す説明図である。 本発明の扉の防湿化粧板Aを用いた扉などの建具の一実施例の断面形状を示す説明図である。 図5に示す扉などの建具の変形例を示し、防湿化粧板Bを用いた扉などの建具の一実施例の断面形状を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図1~図6を参照しながら説明を加える。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内であって、種々の変更を加えることができる。
[図1の防湿化粧紙10]
本発明による防湿化粧紙10は、図1に示すように、大別すると、化粧紙20の裏面に防湿層30を積層してなり、2層からなる。
化粧紙20は、紙基材21と、印刷柄層22と、保護樹脂層23と、をこの順で積層してなり、3層からなる。
防湿層30は、紙基材21の裏面側に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31と、蒸着層32と、ポリオレフィンを含む層33と、をこの順で設けてなり、3層からなる。
ポリオレフィンを含む層33は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層である。
[防湿化粧紙10の透湿度]
防湿化粧紙10の透湿度は、5g/m・24hr以下が好ましく、未満がより好ましく、さらに4g/m・24hr以下、3g/m・24hr以下が好ましい。また、下限は0g/m・24hrでもよく、又、0.1g/m・24hr以上、0.3g/m・24hr以上、0.5g/m・24hr以上、1.0g/m・24hr以上でもよい。
[紙基材21]
紙基材21としては、特に限定されるものではなく、適用される防湿化粧紙10の用途に応じて適宜選択すればよい。
紙基材21の具体例として、薄葉紙、上質紙、アート紙、キャストコート紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙等が挙げられる。
好ましくは、合成樹脂を混抄させて、紙間強度を強化した薄葉紙(いわゆる紙間強化紙)や紙にラテックスや合成樹脂を含浸したものが、好ましい。
坪量としては特に限定されないが、20g/m以下の場合は柔軟すぎるため、加工時に皺の発生が起こりやすい。200g/m以上の場合は、紙層からの剥がれが発生しやすいため、20~200g/mが好ましく、20~100g/mがより好ましく、20~50g/mが更に好ましい。
さらに、これらの紙基材21については、必要に応じてコロナ処理やプラズマ処理、フレーム処理等の表面処理を行ってもよい。
紙基材21には、少なくとも後述するポリビニルアルコール系樹脂を含む層31と接する側にコート層(図示せず)を設けてあってもよい。コート層を設けることで、紙にポリビニルアルコール系樹脂を含む層31が染み込むことを防ぐことができるほか、紙の凹凸を埋める目止めの役割を果たすこともでき、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31を欠陥なく均一に製膜することができる。
コート層には、例えば、バインダー樹脂として、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、などの各種共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、パラフィン(WAX)等を用い、填料としてクレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等が含まれていてもよい。
コート層の厚みは、特に制限されるものではないが、例えば、1~10μm、又は3~8μmであってよい。
紙基材21の重量は、防湿層30を基準として、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。紙基材21の重量が防湿層30を基準として、50質量%以上であれば、プラスチック材料の使用量を十分に削減することができ、防湿化粧紙10として紙製であるということができる。
[印刷柄層22]
印刷柄層22は意匠性を付与するためのものであり、絵柄としては任意の絵柄を用いることができ、例えば木目柄、石目柄、布目柄、コルク柄、抽象柄等或いはこれらの2種類以上の組み合わせ等を用いることができる。印刷柄層22と紙基材21との間に、隠蔽性を確保するために、ベタインキ層を設けることができる。
これらの印刷方法は、特に限定されるものでは無く、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷など、公知の印刷方法を用いることができる。
印刷インキ等としては、特に制限は無く、油性、水性のいずれでも特に問題はない。従来の化粧紙において印刷柄層に使用されている印刷インキ等と同様のものを使用でき、例えば、アクリルインキを用いることができる。アクリルインキとしては、例えば、アクリルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂系インキを使用することができる。
[保護樹脂層23]
保護樹脂層23は、防湿化粧紙10の表面を保護するための層である。保護樹脂層23は、防湿化粧紙10及び防湿化粧板A100、防湿化粧板B101や扉などの建具に要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐汚染性、耐水性、耐候性等の表面物性を付与するために設けられるものである。保護樹脂層23の形成は特に限定されるものではなく、グラビアコート等の公知の塗工方法で形成することができる。
保護樹脂層23の材料としては、特に制限は無く、従来の化粧紙で保護樹脂層23に使用されている材料と同様のものを使用できる。例えば、アクリルウレタン系樹脂、電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。
アクリルウレタン系樹脂としては、例えばアクリルポリオール化合物を主剤とし、イソシアネート化合物を硬化剤とした反応生成物を採用できる。また、電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、電子線や紫外線等の電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの少なくとも何れかを主成分とする組成物を採用することができる。
保護樹脂層23は単層でも良く、2~3層の複層でもよい。複層とした場合、マット樹脂とグロス樹脂との塗り分けによって、グロスマット表現を付与することもできる。また、部分的に樹脂を盛り上げた凹凸表現を付与することもできる。さらに、抗菌剤や抗ウイルス剤等を添加することもできる。
[ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31]
ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31は、紙基材21の表面上に設けられ、紙基材21と蒸着層32との間の密着性向上のために設けられるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂とは、例えば、完全けん化のポリビニルアルコール樹脂、部分けん化のポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等である。
また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、300以上、1500以下が好ましい。重合度が300以上であれば、防湿層30のバリア性や屈曲耐性が良好になり、重合度が1500以下であれば、ポリビニルアルコール系樹脂の塗液の粘度が低くなり、塗布性が良好になる。
ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31を設ける方法としては、紙基材21上にポリビニルアルコール系樹脂及び溶媒を含む塗液を塗布し、乾燥させることで得ることができる。
塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられ、特に水と、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコールとの混合溶媒が好ましい。また、塗液には、界面活性剤や防腐剤、保存安定剤、シランカップリング剤、有機チタネート等の添加剤を含んでいても構わない。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を含む層31は、柔軟性に優れ、蒸着層32の割れを抑制することができるとともに、蒸着層32とポリビニルアルコール系樹脂を含む層31との密着性を向上させることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31の厚みは、例えば、lμm以上であってよく、2μm以上であってよく、5μm以下であってよい。厚みがlμm以上であれば、紙基材21の凹凸を効率的に埋めることができ、蒸着層32を均一に積層させることができる。また、厚みが5μm以下であれば、コストを押さえつつ蒸着層32を均一に積層させることができる。
[蒸着層32]
蒸着層32は、金属又は無機化合物を蒸着した層である。蒸着層32としては、アルミニウムを蒸着して得られたものであってもよく、酸化アルミニウム(A10x)、酸化ケイ素(SiOx)等を含むものであってもよい。
蒸着層32の厚みは、使用用途によって適宜設定すればよいが、好ましくは30nm以上、50nm以上であってよく、100nm以下、80nm以下であってよい。蒸着層32の厚みを30nm以上とすることで蒸着層32の連続性を十分なものとしやすく、100nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なガスバリア性能及び可携性を達成しやすい。
蒸着層32は、真空成膜手段によって成膜することが、バリア性能や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また、真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで制御しやすいことや、蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
[ポリオレフィンを含む層33]
ポリオレフィンを含む層33は、蒸着層32の表面上に、蒸着層32に接するように設けられるもので、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む。
このようなポリオレフィンを含む層33は、柔軟性に優れ、蒸着層32の割れを抑制することができるとともに、蒸着層32との密着性に優れる。さらに、ポリオレフィンを含むことで、水蒸気バリア性に優れる防湿層30を得ることができる。
ポリオレフィンを含む層33は、ポリオレフィンのほかに、他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール等が挙げられる。
ポリオレフィンを含む層33におけるポリオレフィンの含有量は、例えば、50質量%以上であってよく、70質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、100質量%であってよい。
ポリオレフィンを含む層33の厚みは、例えば、2μm以上であってよく、3μm以上であってよく、10μm以下であってよく、8μm以下であってよく、5μm以下であってよい。また、ポリオレフィンを含む層33の厚みが10μm以下であれば、コストを抑えつつ蒸着層32との密着性やバリア性を十分に発揮することができる。
ポリオレフィンを含む層33を設ける方法としては、蒸着層32の上にポリオレフィン及び溶媒を含む塗液を塗布し、乾燥させることで得ることができる。
塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。 これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、三種以上を併用してもよい。
これらの中でも、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また、環境の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。
[図2の裏面防湿シートA11]
裏面防湿シートA11は、図1の防湿化粧紙10の変形例であり、図2に示すように、図1の防湿化粧紙10のポリオレフィンを含む層33の表出面に、接着用プライマー層40を設けている。
裏面防湿シートA11は、大別すると、接着用プライマー層40/防湿層30/化粧紙20の順に積層し、3層からなる。
化粧紙20は、図1と同じ構造であり、紙基材21/印刷柄層22/保護樹脂層23の順で積層し、3層からなる。
防湿層30は、図1と同じ構造であり、ポリオレフィンを含む層33/蒸着層32/ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31の順で積層し、3層からなる。ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31は、化粧紙20の紙基材21と隣接する。ポリオレフィンを含む層33は、接着用プライマー層40と隣接する。
ポリオレフィンを含む層33は、図1の防湿化粧紙10と同様に、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層である。
裏面防湿シートA11は、図1の防湿化粧紙10の透湿度と同等の性能を持ち、例えば5g/m・24hr以下の透湿度が好ましい。
また、裏面防湿シートA11としては、例えば、合成樹脂基材に金属蒸着膜とコート層を有する防湿シートを使用することができる。しかし、プラスチック使用量削減という環境面においては、紙基材に防湿層を有する防湿シートが好ましい。
[接着用プライマー層40]
接着用プライマー層40は、各種の被貼着基材の表面に積層貼着する際に使用される、例えばイソシアネート硬化型ウレタン樹脂系や変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系等の各種のラミネート用接着剤との接着性を十分に確保する目的で設けられるものである。
その材質としては、例えばエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の各種のプライマー剤が知られており、これらの中からラミネート用接着剤の種類に合せたものを選んで使用する。
例えば、ラミネート用接着剤として変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤を使用する場合には、ウレタン系接着用プライマー剤で良好な接着が得られる。
なお、接着用プライマー剤に、例えばシリカ等の無機質微粉末を添加しておくと、接着用プライマー層40の表面が粗面化することにより、防湿シートの巻取り保存時のブロッキングが防止できる他、投錨効果によるラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。また、これらの接着用プライマー層40は単独ないし混合して接着組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。
[図3の防湿化粧板A100]
防湿化粧板A100は、図3に示すように、防湿化粧紙10/板基材110/裏面防湿シートA11からなり、大別すると、3層からなる。
防湿化粧紙10には、図1に示すものを使用し、裏面防湿シートA11には、図2に示すものを使用している。
防湿化粧紙10と裏面防湿シートA11とは、板基材110の表裏面に、接着剤を用いて貼着する。これにより、反り止め防止が施された防湿化粧板A100が得られる。
このとき、防湿化粧紙10は、板基材110との隣接面に、図1のポリオレフィンを含む層33を配置している。裏面防湿シートA11は、板基材110との隣接面に、図2に示す接着用プライマー層40を配置している。
[板基材110]
板基材110は、中密度繊維強化板(MDF)、合板、パーティクルボード等の木質系板基材を使用することができる。
[図4に示す防湿化粧板B101]
防湿化粧板B101は、図3に示す防湿化粧板A100の変形例であり、図4に示すように、防湿化粧紙10/板基材110/裏面防湿シートB12からなり、大別すると、3層からなる。
防湿化粧紙10と板基材110とは、図3の防湿化粧板A100と同様である。
[裏面防湿シートB12]
裏面防湿シートB12は、図1の防湿化粧紙10の他の変形例であり、紙基材21/ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31/蒸着層32/ポリオレフィンを含む層33の順に積層し、4層からなる。
裏面防湿シートB12は、印刷されていない紙基材21に、防湿化粧紙10の防湿層30と同じ構成の防湿層30と、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31と、蒸着層32と、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層33と、をこの順で積層し、防湿層30の表出面に、図示しないが、接着用プライマー層40を設けることができる。
裏面防湿シートB12は、裏面防湿シートA11と同様に、図1の防湿化粧紙10の透湿度と同等の性能を持ち、例えば5g/m・24hr以下の透湿度が好ましい。
また、裏面防湿シートB12としては、裏面防湿シートA11と同様に、例えば、合成樹脂基材に金属蒸着膜とコート層を有する防湿シートを使用することができる。しかし、プラスチック使用量削減という環境面においては、紙基材に防湿層を有する防湿シートが好ましい。
そして、裏面防湿シートB12は、板基材110の裏面に、接着剤を用いて貼着する。これにより、反り止め防止が施された防湿化粧板B101が得られる。
このとき、裏面防湿シートB12は、板基材110との隣接面に、図4のポリオレフィンを含む層33を配置している。
(図5及び図6の扉などの建具の一部)
扉などの建具の一部は、図5に示すように、防湿化粧板A100/芯組部材120/防湿化粧板A100からなり、大別すると、3層からなる。
また、他の扉などの建具の一部は、図6に示すように、防湿化粧板B101/芯組部材120/防湿化粧板B101からなり、大別すると、3層からなる。
建具の一部は、図5及び図6に示すように、扉などの防湿化粧板A100若しくは防湿化粧板B101を表裏に用いてフラッシュ加工を行ったフラッシュ扉などである。
防湿化粧板A100若しくは防湿化粧板B101は、木質系の芯組部材120の表裏面に、接着剤を用いて圧着し、反り防止が施されたフラッシュ扉などの建具としたものである。
このとき、図5の防湿化粧板A100は、裏面防湿シートA11を内側にして接着剤を用いて圧着し、図6の防湿化粧板B101は、裏面防湿シートB12を内側にして接着剤を用いて圧着する。
芯組部材120は、中密度繊維強化板(MDF)、合板、パーティクルボード等の木質系板基材を使用することができ、フラッシュ扉はハニカムパネルなどのコア材なども使用できる。
なお、本発明で用いる接着剤は、例えば、水性系接着剤、溶剤系接着剤、化学反応系接着剤、ホットメルト系接着剤等に限定されるものではなく、いずれのタイプであってもよい。これらは公知のもの、ないし、市販品を適宜選択して使用することができる。
(本発明に基づく実施形態に係る特徴点と効果)
本発明に基づく実施形態の特徴点は、次の通りである。
(第1の特徴点)
第1の特徴点の化粧紙20は、例えば図1に示すように、紙基材21と、印刷柄層22と、保護樹脂層23と、をこの順で積層してなり、防湿層30は、紙基材21の裏面側に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31と、蒸着層32と、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層33と、をこの順で設けてなる。
(第1の特徴点の効果)
第1の特徴点によれば、透湿度が格段に低減でき、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、例えば扉などの建具の反りを防止できる。
さらに、第1の特徴点によれば、プラスチック材料の使用量削減に寄与でき、木質材料と紙成分とで構成されることから、リサイクル性にも優れる。
具体的には、後述する表1及び表2に示すように、実施例と比較例とを例に挙げれば、透湿度(JIS Z 0208)が5.0g/m・24hr以下であるために、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製シートあるいは紙/ポリエチレン/紙からなる防湿シートに比べて格段に優れた防湿性能を有する。
(第2の特徴点)
第2の特徴点は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31の厚みが、lμm以上5μm以下である。
(第2の特徴点の効果)
第2の特徴点によれば、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31の厚みが、lμm以上の場合に、紙基材21の凹凸を効率的に埋めることができ、蒸着層32を均一に積層させることができる。
また、厚みが、5μm以下であれば、コストを押さえつつ蒸着層32を均一に積層させることができる。
(第3の特徴点)
第3の特徴点は、蒸着層32の厚みが、30nm以上100nm以下である。
(第3の特徴点の効果)
第3の特徴点によれば、蒸着層32の厚みを30nm以上とすることで蒸着層32の連続性を十分なものとしやすく、100nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なガスバリア性能及び可撓性を達成しやすい。
(第4の特徴点)
第4の特徴点は、ポリオレフィンを含む層33の厚みが、2μm以上10μm以下である。
(第4の特徴点の効果)
第4の特徴点によれば、ポリオレフィンを含む層33の厚みが、2μm以上10μm以下であることで、コストを抑えつつ蒸着層32との密着性やバリア性を十分に発揮することができる。
(第5の特徴点)
第5の特徴点は、紙基材21の重量が、防湿層30の全体を基準として、50質量%以上である。
(第5の特徴点の効果)
第5の特徴点によれば、50質量%以上であれば、プラスチック材料の使用量を十分に削減することができる。
すなわち、第5の特徴点によれば、プラスチック材料の使用量削減に寄与し、木質材料と紙成分とで構成されることから、リサイクル性にも優れる。
(第6の特徴点)
第6の特徴点は、防湿層30の外面に、例えば図2に示すように、接着用プライマー層40を設けてなる。
(第6の特徴点の効果)
第6の特徴点によれば、接着用プライマー層40を、各種の被貼着基材の表面に積層貼着する際に使用できる。例えばイソシアネート硬化型ウレタン樹脂系や変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系等の各種のラミネート用接着剤との接着性を十分に確保する。
また、接着用プライマー層40に、例えば無機質微粉末を添加しておくことで、接着用プライマー層40の表面が粗面化することにより、防湿化粧紙10の巻取り保存時のブロッキングが防止できる他、投錨効果によるラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
さらに、接着用プライマーに無機質微粉末を添加しておくことで、接着用プライマー層40の表面が粗面化することにより、防湿化粧紙10の巻取り保存時のブロッキングが防止できる他、投錨効果によるラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
(第7の特徴点)
第7の特徴点は、紙基材21が、紙間強化紙である。
(第7の特徴点の効果)
第7の特徴点によれば、紙間強化紙を使用することで、長期に使用された場合や、不可抗力的に外力が加わった場合など、紙層の層間からの剥離を防止することができる。
(第8の特徴点)
第8の特徴点は、防湿化粧紙10を、例えば図3及び図4に示すように、合板などの板基材110の一面に貼着し、透湿度が5g/m・24hr以下である裏面防湿シート(例えば裏面防湿シートA11、裏面防湿シートB12)を、板基材110の他の一面に貼着した。
(第8の特徴点の効果)
第8の特徴点によれば、透湿度が格段に低減でき、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、防湿化粧板(例えば防湿化粧板A100、防湿化粧板B101)の反りを防止できる。
(第9の特徴点)
第9の特徴点は、例えば図1及び図2に示すように、紙基材21の裏面に防湿層30を積層してなり、防湿層30は、紙基材21の裏面側に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層31と、蒸着層32と、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層33と、をこの順で設けてなる。
(第9の特徴点の効果)
第9の特徴点によれば、透湿度が格段に低減でき、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、例えば図3及び図4に示すように、防湿化粧板(例えば防湿化粧板A100、防湿化粧板B101)の反りを防止できる。
(第10の特徴点)
第10の特徴点は、木質系の芯組部材120の表裏面に、例えば図5及び図6に示すように、防湿化粧板(例えば防湿化粧板A100、防湿化粧板B101)をその裏面防湿シート(例えば裏面防湿シートA11、裏面防湿シートB12、例えば図3及び図4参照)側を内側にしてそれぞれ圧着した。
(第10の特徴点の効果)
第10の特徴点によれば、透湿度が格段に低減でき、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、扉などの建具の反りを防止できる。
(第11の特徴点)
第11の特徴点は、板基材110の表面に、例えば図4に示すように、防湿層30と、化粧紙20と、この順で積層して防湿化粧紙10を形成し、板基材110の裏面には、防湿層30と、印刷されていない紙基材21と、この順で積層し、紙基材21の外面に接着用プライマー層40を設けることができる。
(第11の特徴点の効果)
第11の特徴点によれば、接着用プライマー層40を使用できる。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1>
紙基材21として50g/mの紙間強化紙(天間特殊製紙(株)製)表面上に、けん化度98%、重合度500のポリビニルアルコール樹脂を水/IPA=8/2の溶液に固形分濃度10質量%で溶解した塗液をバーコーターで塗布し、オーブンで乾燥させ、ポリビニルアルコール樹脂を含む層を形成させた。層の厚みは3μmであった。
続いて、ポリビニルアルコール樹脂を含む層上に真空蒸着法にてAL蒸着を施した。AL蒸着層の厚みは50nmであった。
その後、蒸着層上にカルボキシル基の塩を含む塗液(商品名:ケミパールS500、三井化学製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、ポリオレフィンを含む層を形成させ、防湿層を得た。ポリオレフィンを含む層の厚みは3μmであった。
つぎに、紙基材の防湿層を施した反対面に、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にてベタインキ層を施した。その上には同じく、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にて絵柄インキ層を施した。
続いて、ウレタン系アクリルポリオールとイソシアネートとを用いて、グラビア印刷にて保護樹脂層を施し、実施例1の防湿化粧紙を得た。
(実施例2)
ポリビニルアルコール樹脂を含む層の厚みをlμmとした以外は、実施例1と同様の操作によって実施例2の防湿化粧紙を得た。
(実施例3)
ポリオレフィンを含む層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様の操作によって実施例3の防湿化粧紙を得た。
(実施例4)
ポリオレフィンを含む層の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様の操作によって実施例4の防湿化粧紙を得た。
(実施例5)
蒸着層をシリカとし、蒸着層の厚みを30nmとした以外は、実施例1と同様の操作によって実施例5の防湿化粧紙を得た。
(実施例6)
蒸着層をアルミナとし、蒸着層の厚みを30nmとした以外は、実施例1と同様の操作によって実施例6の防湿化粧紙を得た。
(実施例7)
紙基材として50g/mの紙間強化紙(天間特殊製紙(株)製)の片面に、けん化度98%、重合度500のポリビニルアルコール樹脂を水/IPA=8/2の溶液に固形分濃度10質量%で溶解した塗液をバーコーターで塗布し、オーブンで乾燥させ、ポリビニルアルコール樹脂を含む層を形成させた。層の厚みは3μmであった。
続いて、ポリビニルアルコール樹脂を含む層上に真空蒸着法にてAL蒸着を施した。AL蒸着層の厚みは50nmであった。
その後、蒸着層上にカルボキシル基の塩を含む塗液(商品名:ケミパールS500、三井化学製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、ポリオレフィンを含む層を形成させ、防湿層とした裏面防湿シートを得た。この時のポリオレフィンを含む層の厚みは3μmであった。
実施例1で得られた防湿化粧紙の防湿層側を接着側として、MDFの板基材(ホクシン(株)製:3mm)の表面に、裏面防湿シートの防湿層側を接着側として、板基材の裏面に、酢酸ビニル樹脂系接着剤(コニシ(株)製)を介して(5g/尺,Wet)ラミネートし、反り止め防止が施された防湿化粧板を得た。
つぎに、LVL(ファーストウッド(株)製:27mm×26mm)で芯組した4方枠の表裏に、防湿化粧板の裏面防湿シート側をそれぞれ内側にして、酢酸ビニル系樹脂接着剤(コニシ(株)製)を用いて、実施例7のフラッシュ扉(810mm×2030mm)を作成した。
(実施例8)
実施例5で得られた防湿化粧紙を使用した以外は、実施例7と同様の操作によって実施例8のフラッシュ扉を得た。
(実施例9)
実施例6で得られた防湿化粧紙を使用した以外は、実施例7と同様の操作によって実施例9のフラッシュ扉を得た。
(比較例1)
ポリビニルアルコール樹脂を含む塗液に代えて、酢酸ビニル系ポリオレフィン樹脂を含む塗液(商品名:ケミパールV300、三井化学製)を用いた以外は、実施例1と同様の操作により比較例1の防湿化粧紙を得た。
(比較例2)
蒸着層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様の操作によって比較例2の防湿化粧紙を得た。
(比較例3)
従来品の防湿シートとして、片側にコロナ処理を施した30g/mの紙間強化紙(天間特殊製紙(株)製)のコロナ処理面同士を、Tダイ押出し機より押出して溶融したポリエチレン樹脂50μmでサンドラミネートを行い、防湿シート(紙間強化紙/ポリエチレン/紙間強化紙)を作製した。
つぎに、防湿シートの表出面に、実施例1と同様に、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にてベタインキ層を施した。その上には同じく、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にて絵柄インキ層を施した。
続いて、ウレタン系アクリルポリオールとイソシアネートとを用いて、グラビア印刷にて保護樹脂層を施し、比較例3の防湿化粧シートを得た。
(比較例4)
比較例3で得られた防湿化粧シートをMDFの板基材(ホクシン(株)製:3mm)の表面に、防湿シート(紙間強化紙/ポリエチレン/紙間強化紙)を板基材の裏面に、酢酸ビニル樹脂系接着剤(コニシ(株)製)を介してラミネートし、反り止め防止が施された防湿化粧板を得た。
つぎに、LVL(ファーストウッド(株)製:27mm×26mm)で芯組した4方枠の表裏に、防湿化粧板の防湿シート側をそれぞれ内側にして、酢酸ビニル樹脂系接着剤(コニシ(株)製)を用いて、比較例4のフラッシュ扉(810mm×2030mm)を作成した。
(比較例5)
50g/mの紙間強化紙(天間特殊製紙(株)製)の片面に、実施例1と同様に、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にてベタインキ層を施した。その上には同じく、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にて絵柄インキ層を施した。
続いて、ウレタン系アクリルポリオールとイソシアネートとを用いて、グラビア印刷にて保護樹脂層を施し、比較例5の化粧紙を得た。
上記で得られた化粧紙をMDFの板基材(ホクシン(株)製:3mm)の表面に、50g/mの紙間強化紙(天間特殊製紙(株)製)を裏面に、酢酸ビニル樹脂系接着剤(コニシ(株)製)を介してラミネートし、化粧板を得た。
つぎに、LVL(ファーストウッド(株)製:27mm×26mm)で芯組した4方枠の表裏に、裏面に紙管強化紙側をそれぞれ内側にして、酢酸ビニル樹脂系接着剤(コニシ(株)製)を用いて、比較例5のフラッシュ扉(810mm×2030mm)を作成した。
<評価1>
上記で作製した実施例1~6の防湿化粧紙及び比較例1~3の防湿化粧紙及び防湿シートについて、JIS Z 0208に準拠して透湿度を算出し、それぞれ透湿度の比較を行った。
その結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023027464000002

Figure 2023027464000003
表1及び表2の結果から明らかなように、実施例1~6の防湿化粧紙は、比較例1~3の防湿化粧紙及び防湿シートと比べて、透湿度が格段に低い結果が得られた。
<評価2>
実施例7~9及び比較例4及び5で作成したフラッシュ扉について、2室1体型環境試験室にて、反り試験を行った。
試験方法として、フラッシュ扉を2室の境界に設置し、片面を高湿、他面を低湿環境下にし、扉の反り量の測定を行った。
試験方法の詳細として、高湿側を湿度90%±5%・温度20℃、低湿側を湿度50%±5%。温度20℃として8時間静置し、その後、両室とも湿度50%±5%・温度20℃の環境で16時間静置する。この24時間を1サイクルとして、5サイクルの加湿繰り返しを行った。
この時の縦方向、横方向、対角方向の最大変位量の測定を行った。
その結果を表3に示す。
Figure 2023027464000004
これにより本発明の課題である、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、反りを防止することのできる防湿化粧板及び扉などの建具を提供することが可能であることを検証することができた。
<評価結果1>
(実施例1~6と比較例1~3との比較)
表1及び表2を用いて、実施例1~6に係る防湿化粧紙と、比較例1~3に係る防湿化粧紙とについて、透湿度の上から比較した。
防湿化粧紙の透湿度は、「5g/m・24hr」以下を合格として、実施例1~6は、表1に示すように、すべて合格であった。
これに対し、比較例1~3は、表2に示すように、すべて不合格であった。
比較例1は、実施例1と比較し、「ポリビニルアルコール樹脂を含む塗液」に代えて、「酢酸ビニル系ポリオレフィン樹脂を含む塗液」(商品名:ケミパールV300、三井化学製)を用いたことが原因と推測できる。
比較例2は、実施例1と比較し、「蒸着層」が無いことが原因と推測できる。
比較例3は、実施例1と比較し、「蒸着層」が無いことに加え、「ポリビニルアルコール系樹脂を含む層」及び「ポリオレフィンを含む層」が無いことが原因と推測できる。
<評価結果2>
(実施例7~9と比較例4及び比較例5との比較)
フラッシュ扉の最大変位量は、「5.0mm」以下を合格として、実施例7~9は、表3に示すように、すべて合格であった。
これに対し、比較例4及び比較例5は、表3に示すように、すべて不合格であった。
比較例4は、実施例7と比較し、比較例3で得られた防湿化粧シートを使用していることが原因と推測できる。
比較例5は、実施例7と比較し、比較例5に用いた化粧紙に、比較例3と同様に、「蒸着層」、「ポリビニルアルコール系樹脂を含む層」及び「ポリオレフィンを含む層」が無いことが原因と推測できる。
10 防湿化粧紙
11 裏面防湿シートA
12 裏面防湿シートB
20 化粧紙
21 紙基材
22 印刷柄層
23 保護樹脂層
30 防湿層
31 ポリビニルアルコール系樹脂を含む層
32 蒸着層
33 ポリオレフィンを含む層
100 防湿化粧紙A
101 防湿化粧紙B
110 板基材
120 芯組部材

Claims (10)

  1. 化粧紙の裏面に防湿層を積層してなる防湿化粧紙であって、
    前記化粧紙は、紙基材と、印刷柄層と、保護樹脂層と、をこの順で積層してなり、
    前記防湿層は、前記紙基材の裏面側に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層と、蒸着層と、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層と、をこの順で設けてなることを特徴とする防湿化粧紙。
  2. 前記ポリビニルアルコール系樹脂を含む層の厚みが、lμm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の防湿化粧紙。
  3. 前記蒸着層の厚みが、30nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防湿化粧紙。
  4. 前記ポリオレフィンを含む層の厚みが、2μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の防湿化粧紙。
  5. 前記紙基材の重量が、前記防湿層の全体を基準として、50質量%以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の防湿化粧紙。
  6. 前記防湿層の外面に、接着用プライマー層を設けてなることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の防湿化粧紙。
  7. 前記紙基材が、紙間強化紙であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の防湿化粧紙。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の防湿化粧紙を、合板などの板基材の一面に貼着し、透湿度が5g/m・24hr以下である裏面防湿シートを、前記板基材の他の一面に貼着したことを特徴とする防湿化粧板。
  9. 前記防湿化粧板の前記裏面防湿シートは、紙基材の裏面に防湿層を積層してなり、
    前記防湿層は、前記紙基材の裏面側に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層と、蒸着層と、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層と、をこの順で設けてなることを特徴とする請求項8に記載の防湿化粧板。
  10. 木質系の芯組部材の表裏面に、請求項8又は請求項9に記載の防湿化粧板を、その裏面防湿シートの側を内側にしてそれぞれ圧着したことを特徴とする扉などの建具。
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