JP2023136625A - 防湿化粧紙、防湿化粧板及び建具 - Google Patents

防湿化粧紙、防湿化粧板及び建具 Download PDF

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Abstract

【課題】プラスチック使用量をより低減し、両側(表面側及び裏面側)の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、反りを防止することの可能な防湿化粧紙、それを用いた防湿化粧板、及びそれを用いた扉などの建具を提供することを目的とする。【解決手段】本実施形態に係る防湿化粧紙10は、化粧層a1と防湿層a2とを備えた防湿化粧紙であって、化粧層a1は、紙基材3と、紙基材3の一方の面上に、印刷柄層2と、保護樹脂層1とをこの順で備え、防湿層a2は、紙基材3の他方の面上に、第1の樹脂層4と、第1の蒸着層5と、第2の樹脂層6と、第2の蒸着層7と、第3の樹脂層8と、をこの順で備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、室内扉、キッチン扉、収納扉、襖などの建具に用いられる防湿化粧紙、それを用いた防湿化粧板及び扉などの建具に関し、詳しくは湿度変化、温度変化等によって発生する化粧板等の反りを防止する機能を有する防湿化粧紙と、それを用いた防湿化粧板と、それを用いた扉などの建具とに関するものである。
従来、室内扉、キッチン扉、収納扉などの建具において、湿度、温度の関係で使用中に徐々に反りが発生することがあった。これは、主として、室内外に湿度差や温度差が生じることで、木質建具内部の含水率分布に偏りが生じるために発生する現象である。すなわち、湿度差が生じると、木質建具表裏面における吸放湿量に差が生じ、湿度の高い側では高含水率になるために膨張し、湿度の低い側では低含水率になるために収縮することにより反りが発生する。また、温度差が生じると、木質基材中では冷たい側に含有水分が移動するため、厚み方向に含水率の傾斜ができ、反りが発生する。通常、低温側が高湿度、高含水率になることが多く、この場合、前記2つの作用が同方向に働くことになるため、反りが最も顕者になると考えられる。
こうした木質建具の反りを抑制する方法として、扉などの建具の表裏面に、同じ材質シートを用いることで、片方に反らないようにしたもの、また、建具の枠体に金属製の支持体を使用する等の対策が取られている。また、透湿度が低い防湿シートを建具の部材に用いることで、部材の吸放湿量を小さくする方法が広く用いられている。また、特許文献1には、合板などの板基材の表面側に、表面側から保護樹脂層/印刷柄層/紙間強化紙/合成樹脂層/紙間強化紙の5層構造を有する防湿化粧シートを、接着剤を介して貼着すると共に、該板基材の裏面側には、紙間強化紙/合成樹脂/紙間強化紙の3層構造を有する防湿裏面シートを、接着剤を介して貼着して防湿化粧板とし、この防湿化粧板をフラッシュ扉の表裏にそれぞれ接着剤を介して貼着することが提案されている。この時の防湿シートの透湿度は、5(g/m・24h)以上30(g/m・24h)以下がよいとされている。この構成によれば、フラッシュ扉の表裏化粧面材として使用される防湿化粧板において、板基材の表裏に貼着される防湿シート及び防湿裏面シートが、高い防湿機能を有する為、フラッシュ扉の表面側と裏面側との温度差・湿度差による防湿化粧板の板基材の含水率変化が抑制され、その結果として反り防止効果を発揮するものとされている。
特許第3206408号
近年において、扉のデザイン性の観点から、高さが2mを超えるような扉が採用される事が多くなっている。扉が高くなったことにより、わずかな反り量でも、扉全体としては反りが大きくなってしまう為に、扉等に用いられるシートにはより高い防湿性が求められている。高い防湿性を有するシートとして、合成樹脂基材に金属蒸着膜とコート層とを有する防湿シートが提案されている。透湿度としては、5(g/m・24h)未満で、反り防止効果も高いとされている。
しかしながら、これらの防湿シートは、いずれもプラスチック材料を使用している為、環境面を考慮した場合、プラスチック使用量の削減が望まれる。また、これらの防湿シートを貼り合せた化粧板や扉などの建具等のリサイクルにおいては、木質基材とプラスチック部分(合成樹脂層や合成樹脂基材)を分離する必要があり、リサイクルには適していない。
本発明は上記未解決の課題を解決するためになされたものであり、プラスチック使用量をより低減し、両側(表面側及び裏面側)の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、反りを防止することの可能な防湿化粧紙、それを用いた防湿化粧板、及びそれを用いた扉などの建具を提供することを目的としている。
上記目的を達成するべく、本発明の一態様によれば、化粧紙(化粧層)と防湿層とを備えた防湿化粧紙であって、化粧紙は、紙基材の一方の面に印刷柄層と保護樹脂層とがこの順に設けられてなり、防湿層は、第1の樹脂層と、第1の蒸着層と、第2の樹脂層と、第2の蒸着層と、第3の樹脂層と、をこの順で備えることを特徴とする、防湿化粧紙が提供される。つまり、本発明の一態様に係る防湿化粧紙は、化粧層と防湿層とを備えた防湿化粧紙であって、前記化粧層は、紙基材と、前記紙基材の一方の面上に、印刷柄層と、保護樹脂層とをこの順で備え、前記防湿層は、前記紙基材の他方の面上に、第1の樹脂層と、第1の蒸着層と、第2の樹脂層と、第2の蒸着層と、第3の樹脂層と、をこの順で備える。
また、本発明の他の態様によれば、上記態様の防湿化粧紙を、この防湿化粧紙の第3の樹脂層側を合板等の板基材の表面に向けて貼着し、透湿度が3(g/m・24h)以下である裏面防湿シートを、板基材の裏面に貼着した、防湿化粧板が提供される。つまり、本発明の一態様に係る防湿化粧板は、上記態様の防湿化粧紙の前記第3の樹脂層側の面が、板基材の一方の面に貼着されており、透湿度が3(g/m・24h)以下である裏面防湿シートが、前記板基材の他方の面に貼着されている。
さらに、本発明の他の態様によれば、上記態様の防湿化粧板が、この防湿化粧板の裏面防湿シート側が表裏面に接するようにして圧着された木質系の芯組部材を含む、反り防止が施された扉などの建具が提供される。つまり、本発明の一態様に係る建具は、上記態様の防湿化粧板の前記裏面防湿シート側の面が、木質系の芯組部材の表面及び裏面にそれぞれ貼着されている。
本発明の一態様によれば、プラスチックの使用量を低減しつつ、化粧板等における反りの発生をより防止することができる
本発明の一実施形態に係る防湿化粧紙の構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る防湿化粧紙の構成の他の例を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る防湿化粧板の構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る防湿化粧板の構成の他の例を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る扉の構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る扉の構成の他の例を示す概略断面図である。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各厚みの比率などは現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状などを下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<構成>
図1に示すように、本実施形態に係る防湿化粧紙10は、保護樹脂層1と、印刷柄層2と、紙基材3と、第1の樹脂層4と、第1の蒸着層5と、第2の樹脂層6と、第2の蒸着層7と、第3の樹脂層8とが、この順に積層されて形成されている。保護樹脂層1と印刷柄層2と紙基材3とが化粧紙(化粧層)a1を構成し、第1の樹脂層4と、第1の蒸着層5と、第2の樹脂層6と、第2の蒸着層7と、第3の樹脂層8とが防湿層a2を構成している。
本実施形態に係る防湿化粧紙10は、図2に示すように、防湿化粧紙10の、第3の樹脂層8の表出面、つまり、第2の蒸着層7とは反対側の面に接着用プライマー層9を設けることも可能である。
図3は、防湿化粧板21の一例を示す概略断面図である。防湿化粧板21は、板基材Sと、板基材Sの一方の面に設けられた防湿化粧紙10と、板基材Sの他方の面に設けられた裏面防湿シート11と、を備える。防湿化粧紙10は、第3の樹脂層8が、板基材Sの一方の面に接するように設けられている。裏面防湿シート11は、防湿化粧紙10の透湿度と同等の特性を持つ裏面防湿シートが適しており、透湿度が3g/m・24h以下の裏面防湿シートが好ましく、2g/m・24h以下の裏面防湿シートがより好ましい。
なお、例えば、裏面防湿シートとして、合成樹脂基材上に金属蒸着膜とコート層とを有する防湿シートを使用することができる。
しかし、プラスチック使用量削減という環境面においては、紙基材上に防湿層を有する防湿シートが好ましい。
裏面防湿シート11としては、図4の防湿化粧板22に示すように、防湿化粧紙10の防湿層a2と同等の特性を持つ防湿層を備える裏面防湿シート12を適用することもできる。すなわち、裏面防湿シート12は、紙基材3上に、第1の樹脂層4と、第1の蒸着層5と、第2の樹脂層6と、第2の蒸着層7と、第3の樹脂層8と、がこの順で積層されてなり、第3の樹脂層8が板基材Sに接して設けられている。なお、裏面防湿シート12における第3の樹脂層8の表出面、つまり第2の蒸着層7とは反対側の面に接着用プライマー層(図示せず)を設けることも可能である。
図3及び図4に示すように、防湿化粧紙10を板基材Sの表面(一方の面)に、また、裏面防湿シート11又は裏面防湿シート12を板基材Sの裏面(他方の面)側に接着剤を介して貼着することで、反り止め防止が施された防湿化粧板21、22を得ることができる。なお、本実施形態で用いる板基材Sは、中密度繊維強化板(MDF:medium-density fiberboard)、合板、パーティクルボード等の木質系板基材を使用することができる。
図5及び図6は、図3、図4に示す防湿化粧板21、22を表裏に用いてフラッシュ加工を行ったフラッシュ扉などの建具30の一部を模式的に示すものである。図5、図6に示す建具30は、木質系の芯組部材SSの表裏面に、防湿化粧板21(図5)又は防湿化粧板22(図6)の、裏面防湿シート11又は裏面防湿シート12を内側(芯組部材SS側)にして接着剤を用いて圧着し、反り防止が施されたフラッシュ扉などの建具30である。
なお、図5には一対の防湿化粧板21を用いた形態が示されており、図6には一対の防湿化粧板22を用いた形態が示されているが、本実施形態では、防湿化粧板21と防湿化粧板22とを一対の防湿化粧板として使用することもできる。
なお、本実施形態で用いる芯組部材SSは、中密度繊維強化板(MDF)、合板、パーティクルボード等の木質系板基材を使用することができ、フラッシュ扉の場合にはハニカムパネルなどのコア材なども芯組部材SSとして使用できる。
なお、本実施形態で用いる接着剤は、例えば、水性系接着剤、溶剤系接着剤、化学反応系接着剤、ホットメルト系接着剤等、限定されるものではなく、いずれのタイプであっても適用することができる。接着剤としては、公知のもの、または市販品を適宜選択して使用することができる。
次に、各層の構成について説明する。
<保護樹脂層>
表面保護層として機能する保護樹脂層1は、防湿化粧紙10の表面を保護するための層であり、防湿化粧紙10及び防湿化粧板21、22や扉などの建具30に要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐汚染性、耐水性、耐侯性等の表面物性を付与するために設けられるものである。保護樹脂層(表面保護層)1の形成は、特に限定されるものではなく、グラビアコート等の公知の塗工方法で形成することができる。
保護樹脂層(表面保護層)1の材料としては、特に制限は無く、従来の化粧紙で表面保護層として使用されている材料と同様のものを使用することができる。保護樹脂層(表面保護層)1に使用可能な材料としては、例えば、アクリルウレタン系樹脂、電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。アクリルウレタン系樹脂としては、例えば、アクリルポリオール化合物を主剤とし、イソシアネート化合物を硬化剤とした反応生成物を採用できる。また、電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、電子線や紫外線等の電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの少なくとも何れかを主成分とする組成物を採用することができる。
保護樹脂層(表面保護層)1は、単層でもよく、2又は3層の複層でもよい。保護樹脂層1を複層とした場合、マット樹脂とグロス樹脂との塗り分けによって、グロスマット表現を付与することもできる。また、部分的に樹脂を盛り上げた凹凸表現を付与することもできる。更に抗菌剤や抗ウイルス剤等を添加することもできる。
<印刷柄層>
印刷柄層2は、意匠性を付与するためのものであり、絵柄としては任意の絵柄を用いることができる。印刷柄層2の絵柄としては、例えば木目柄、石目柄、布目柄、コルク柄、抽象柄等或いはこれらの2種類以上の組み合わせ等を用いることができる。
印刷柄層2と紙基材3との間に、隠蔽性を確保するために、ベタインキ層を設けることができる。これらの印刷方法は、特に限定されるものでは無く、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷など、公知の印刷方法を用いることができる。
印刷インキ等としては、特に制限は無く、油性、水性のいずれでも特に問題はない。印刷柄層2に用いる印刷インキ等は、従来の化粧紙において印刷柄層に使用されている印刷インキ等と同様のものを使用することができ、例えば、アクリルインキを用いることができる。アクリルインキとしては、例えば、アクリルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂系インキを使用することができる。
<紙基材3>
紙基材3としては、特に限定されるものではなく、適用される防湿化粧紙10や裏面防湿シート12の用途に応じて適宜選択すればよい。
紙基材3の具体例として、薄葉紙、上質紙、アート紙、キャストコート紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙等が挙げられる。
好ましくは、紙成分(例えば、セルロース繊維)に合成樹脂を混抄させて、紙間強度を強化した薄葉紙(いわゆる紙間強化紙)や紙にラテックスや合成樹脂を含浸したものが使用される。
紙基材1の坪量としては特に限定されないが、20g/m以下の場合は柔軟すぎるため、加工時に皺の発生が起こりやすく、200g/m以上の場合は紙層からの剥がれ(所謂、層間剥離)が発生しやすいため、20g/m以上200g/m以下の範囲内が好ましく、20g/m以上100g/m以下の範囲内がより好ましく、20g/m以上50g/m以下の範囲内が更に好ましい。
さらに、これらの紙基材3については、必要に応じてコロナ処理やプラズマ処理、フレーム処理等の表面処理を行ってもよい。
<コート層>
紙基材3には、少なくとも後述する第1の樹脂層4と接する側の面にコート層(図示せず)を設けてあってもよい。コート層を設けることで、紙基材3に第1の樹脂層4が染み込むことを防ぐことができるほか、紙基材3表面の凹凸を埋める目止めの役割を果たすこともできる。そのため、表面にコート層を備えた紙基材3であれば、第1の樹脂層4を、塗工ムラ等の欠陥なく均一に製膜することができる。
コート層には、バインダー樹脂として、例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系などの各種共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、パラフィン(WAX)等が含まれていてもよく、また、填料として、例えばクレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等が含まれていてもよい。
コート層の厚みは、特に制限されるものではないが、例えば、1μm以上10μm以下の範囲内であれば好ましく、3μm以上8μm以下の範囲内であればさらに好ましい。
紙基材3の質量は、防湿層a2全体の質量を基準として、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。紙基材3の質量が防湿層a2全体の質量を基準として、50質量%以上であれば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製シート(プラスチック材料90質量%以上)あるいは紙/ポリエチレン/紙からなる防湿シート(ポリエチレンの厚みにもよるが、防湿性能を有するためには、50質量%以上がポリエチレン)等といった従来の防湿用部材に比較して、使用するプラスチックの量が少ない為、防湿化粧紙に含まれるプラスチック材料の割合を十分に削減することができる。また、50質量%以上が紙材料であることから、本実施形態に係る防湿化粧紙10や裏面防湿シート12は、紙製であるということ(「紙製」である旨の表示をすること)ができる。
<第1の樹脂層>
第1の樹脂層4は、紙基材3の表面上に設けられ、紙基材3と後述する第1の蒸着層5との間の密着性向上や、第1の蒸着層5の表面の平滑化のために設けられるものである。
第1の樹脂層4を構成する材料としては、ポリオレフィン系エマルジョン、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリイミド、メラミン、フェノール、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。これらの材料の中でも、水蒸気バリア性、及び第1の蒸着層5との密着性の点で、ポリオレフィン系エマルジョンが好ましい。つまり、第1の樹脂層4は、ポリオレフィン系エマルジョンを含んだ塗工液を塗工して形成した樹脂層であれば好ましい。
ポリオレフィン系エマルジョンは、第1の蒸着層5との密着性の観点から、例えば、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンのエマルジョンであることが好ましい。このようなポリオレフィンを含むことで、カルボキシル基の水素結合やアイオノマーの金属イオンによる凝集、あるいはポリオレフィンの結晶性に起因して、第1の樹脂層4は緻密な膜となり、バリア性に優れるものとなる。また、このような第1の樹脂層4は、柔軟性に優れ、第1の蒸着層5の割れを抑制することができる。
ポリオレフィン系エマルジョンの(平均粒径D50)は小さいほどよく、具体的には、1μm以下であれば好ましく、0.7μm以下であればより好ましく、0.5μm以下であればさらに好ましい。ポリオレフィン系エマルジョンの平均粒径(D50)の下限値は、特に限定されるものではないが、例えば1nm以上であってよい。これにより、乾燥後の塗面が平滑になるため、蒸着面が均一になり、初期バリア性が担保される。
こうして形成された塗面の表面粗さ、即ち第1の樹脂層4の表面における表面粗さは、その下限値がより小さければ好ましく、例えば、カットオフ値を0.8mmとしたときの、JIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.8)が0.30μm≦Ra0.8≦0.60μmの範囲内であれば好ましく、0.30μm≦Ra0.8≦0.40μmの範囲内であればより好ましい。
第1の樹脂層4の膜厚は、例えば1μm以上20μm以下の範囲内であってもよい。第1の樹脂層4の膜厚が1μm以上であると、紙基材3表面の凹凸が埋まり、蒸着層(第1の蒸着層5)を均一に積層させることができる。また、第1の樹脂層4の膜厚が20μm以下であると、製造コストを抑えることができる。
第1の樹脂層4を設ける方法としては、紙基材3上に上述したポリオレフィン等の第1の樹脂層4を構成する材料と、溶媒とを含む塗液を塗布し、乾燥させることで得ることができる。塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n―プロピルアルコール、n―ブチルアルコール、n―ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また環境の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。また前記塗液には、界面活性剤や防腐剤、保存安定剤、シランカップリング剤、有機チタネート、消泡剤等の添加剤を含んでいても構わない。
<第1の蒸着層>
第1の蒸着層5は、水蒸気バリア性の付与と、後述する第2の蒸着層7が割れた際の水蒸気バリア性を補完する役割を有し、金属又は無機酸化物を蒸着して形成した層である。第1の蒸着層5としては、アルミニウムを蒸着して得られたもの(アルミニウム蒸着膜)であってもよく、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ケイ素(SiOx)等を蒸着して得られたもの(酸化アルミニウム蒸着膜、酸化ケイ素蒸着膜)であってもよい。
第1の蒸着層5の厚みは、使用する物や用途によって適宜設定すればよいが、10nm以上であれば使用する上で問題ないが、30nm以上であれば好ましく、50nm以上であればより好ましい。また、第1の蒸着層5の厚みは、500nm以下であれば使用する上で問題ないが、100nm以下であれば好ましく、80nm以下であればより好ましい。第1の蒸着層5の厚みを10nm以上とすることで第1の蒸着層5の連続性を十分なものとしやすく、500nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なガスバリア性能及び可撓性を達成しやすい。また、第1の蒸着層5の厚みを30nm以上100nm以下の範囲内にすることで、ガスバリア性能及び可撓性がさらに向上する。
第1の蒸着層5は、真空成膜手段によって成膜することが、バリア性能や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで抑制しやすいことや蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
<第2の樹脂層>
第2の樹脂層6は、第1の蒸着層5と後述する第2の蒸着層7との密着性の向上と、第1の蒸着層5と第2の蒸着層7の割れ防止、或いは防湿層a2全体のバリア性の向上のために設けられる。
第2の樹脂層6を構成する材料としては、上述した第1の樹脂層4と同様の材料を用いることができる。つまり、第2の樹脂層6を構成する材料としては、ポリオレフィン系エマルジョン、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリイミド、メラミン、フェノール、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。これらの材料の中でも、水蒸気バリア性、及び第2の蒸着層7との密着性の点で、ポリオレフィン系エマルジョンが好ましい。つまり、第2の樹脂層6は、ポリオレフィン系エマルジョンを含んだ塗工液を塗工して形成した樹脂層であれば好ましい。
第2の樹脂層6を設ける方法としては、第1の蒸着層5上に上述したポリオレフィン等の第2の樹脂層6を構成する材料と、溶媒とを含む塗液を塗布し、乾燥させることで得ることができる。塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n―プロピルアルコール、n―ブチルアルコール、n―ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられ、特に水と、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコールとの混合溶媒が好ましい。また前記塗液には、界面活性剤や防腐剤、保存安定剤、シランカップリング剤、有機チタネート、消泡剤等の添加剤を含んでいても構わない。
こうして形成された塗面の表面粗さ、即ち第2の樹脂層6の表面における表面粗さは、その下限値がより小さければ好ましく、例えば、カットオフ値を0.8mmとしたときの、JIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.8)が0.30μm≦Ra0.8≦0.60μmの範囲内であれば好ましく、0.30μm≦Ra0.8≦0.40μmの範囲内であればより好ましい。
第2の樹脂層6の膜厚は、例えば、0.05μm以上10μm以下の範囲内であってもよい。第2の樹脂層6の膜厚が0.05μm以上であると、バリア性向上効果が十分に得られやすく、第2の樹脂層6の膜厚が10μm以下であると、製造コストを抑えることができるとともに、本実施形態に係る防湿化粧紙10や裏面防湿シート12の紙成分の存在比率を高めることができる。
<第2の蒸着層>
第2の蒸着層7は、水蒸気バリア性の付与と、第1の蒸着層5が割れた際の水蒸気バリア性を補完する役割を有し、金属又は無機酸化物を蒸着して形成した層である。第2の蒸着層7としては、アルミニウムを蒸着して得られたものであってもよく、また、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ケイ素(SiOx)等を蒸着して得られたものであってもよい。
第2の蒸着層7の厚みは、使用する物や用途によって適宜設定すればよいが、10nm以上であれば使用する上で問題ないが、30nm以上であれば好ましく、50nm以上であればより好ましい。また、第2の蒸着層7の厚みは、500nm以下であれば使用する上で問題ないが、100nm以下であれば好ましく、80nm以下であればより好ましい。第2の蒸着層7の厚みを10nm以上とすることで第2の蒸着層7の連続性を十分なものとしやすく、500nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なガスバリア性能及び可撓性を達成しやすい。また、第2の蒸着層7の厚みを30nm以上100nm以下の範囲内にすることで、ガスバリア性能及び可撓性がさらに向上する。
第2の蒸着層7は、真空成膜手段によって成膜することが、バリア性能や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで抑制しやすいことや蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
<第3の樹脂層>
第3の樹脂層8は、第2の蒸着層7との密着性向上と、第2の蒸着層7の割れ防止を図ることができる。
第3の樹脂層8を構成する材料としては、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層であってよい。第3の樹脂層8は水系エマルジョンであることが好ましく、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンのエマルジョンを含むことが好ましい。ポリオレフィンは柔軟性に優れ、蒸着の割れを抑制することができるとともに、ポリオレフィンの結晶性により水蒸気バリア性に優れるものとなる。このように、第3の樹脂層8を構成する材料には、上述した第1の樹脂層4を構成する材料や、第2の樹脂層6を構成する材料と同じ材料を用いることができる。
第3の樹脂層8を設ける方法としては、第2の蒸着層7上に上述したポリオレフィン等の第3の樹脂層8を構成する樹脂と、溶媒とを含む塗液を塗布し、乾燥させることで得ることができる。塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n―プロピルアルコール、n―ブチルアルコール、n―ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また環境の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。また前記塗液には、界面活性剤や防腐剤、保存安定剤、シランカップリング剤、有機チタネート、消泡剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を含んでいても構わない。
第3の樹脂層8の膜厚は、0.05μm以上20μm以下の範囲内であれば好ましく、0.5μm以上10μm以下の範囲内であればより好ましく、1μm以上5μm以下の範囲内であればさらに好ましい。
第3の樹脂層8の膜厚が0.05μm以上であると、バリア性向上効果が十分に得られやすく、第3の樹脂層8の膜厚が20μm以下であると、製造コストを抑えることができるとともに、本実施形態に係る防湿化粧紙10や裏面防湿シート12の紙成分の存在比率を高めることができる。
<接着用プライマー>
接着用プライマー層9は、各種の被貼着基材の表面に積層貼着する際に使用されるものであり、例えばイソシアネート硬化型ウレタン樹脂系や変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系等の各種のラミネート用接着剤との接着性を十分に確保する目的で設けられるものである。
その材質としては、例えばエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の各種のプライマー剤が知られており、これらの中からラミネート用接着剤の種類に合せたものを選んで使用する。
例えば、ラミネート用接着剤として変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤を使用する場合には、ウレタン系接着用プライマー剤を用いれば良好な接着が得られる。
なお、接着用プライマー層9に、例えばシリカ等の無機質微粉末を添加しておくと、接着用プライマー層9の表面が粗面化することにより、防湿化粧紙10や裏面防湿シート12の巻取り保存時のブロッキングを防止できる他、投錨効果によるラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
また、これらの接着用プライマー層9は、単独ないし混合して接着組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。
<効果>
本実施形態の防湿化粧紙10や裏面防湿シート12は、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製シートあるいは紙/ポリエチレン/紙からなる防湿シートに比べて、透湿度(JIS Z 0208)をより小さくすることができる。そのため、優れた防湿性能を有する防湿化粧紙や裏面防湿シートを得ることができる。また、この防湿化粧紙10や裏面防湿シート12を用いた防湿化粧板21、22を用いて扉等の建具30を形成することによって、扉等の建具の反り防止効果を得ることができる。具体的には、扉等の建具30に、この防湿化粧紙10や裏面防湿シート12を用いることによって、反り防止効果が高いとされる、透湿度が3(g/m・24h)以下程度の建具30を得ることができる。
また、防湿化粧紙10や裏面防湿シート12において、紙基材3の質量は、防湿層a2全体の質量を基準として50質量%以上としているため、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製シート(プラスチック材料90質量%以上)あるいは紙/ポリエチレン/紙からなる防湿シート(プラスチック材料50質量%以上)等といった従来の防湿用部材と比較して、使用するプラスチックの質量(含有率)が少ない為、防湿化粧紙や裏面防湿シートとして使用するプラスチック材料を十分に削減することができる。
そのため、この防湿化粧紙10や裏面防湿シート12を用いて防湿化粧板21、22を形成し、この防湿化粧板21、22を用いて扉等の建具30を形成することによって、プラスチック材料の使用量を削減することができる。また、この防湿化粧紙10や裏面防湿シート12を用いた防湿化粧板21、22及び扉等の建具30は、高い防湿性能を有すると共に、木質材料と紙成分とで構成されるため、リサイクル性にも優れる。
[実施例]
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<防湿化粧紙の作製>
(実施例1~11、比較例1~7)
紙基材3として坪量50g/mの紙間強化紙(天間特殊製紙株式会社製)表面上に、下記表1~表5に示す第1の樹脂層4、第1の蒸着層5、第2の樹脂層6、第2の蒸着層7、及び第3の樹脂層8を順次積層し、実施例1~11及び比較例1~7の防湿層a2を得た。用いた材料は以下のとおりである。
ケミパールS100:カルボキシル基の塩を含む溶液(三井化学製)
ケミパールS500:カルボキシル基の塩を含む溶液(三井化学製)
ケミパールV300:酢酸ビニル系ポリオレフィン樹脂を含む塗液(三井化学製)
次に、紙基材3上に積層された防湿層a2を形成した面とは反対側の面に、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にてベタインキ層を形成した。
その上には同じく、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にて絵柄インキ層(印刷柄層2)を形成した。
続いて、ウレタン系アクリルポリオールとイソシアネートとを用いて、グラビア印刷にて表面保護層(保護樹脂層1)を形成し、実施例1~11及び比較例1~7の防湿化粧紙10を得た。
<フラッシュ扉の作製>
(実施例12)
実施例1において、印刷柄層2と表面保護層(保護樹脂層1)を形成せず、紙基材3上に防湿層a2を備えた裏面防湿シート12を得た。
実施例1で得られた防湿化粧紙10の防湿層a2側を接着側として、MDFの板基材S(ホクシン株式会社製:厚み:3mm)の表面に、また、実施例12で得られた裏面防湿シート12の防湿層a2側を接着側として、板基材Sの裏面に、それぞれ酢酸ビニル樹脂系接着剤(コニシ株式会社製)(ウェット状態で5g/尺角塗布)を介してラミネートし、反り止め防止が施された防湿化粧板22を得た。
次に、LVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材、ファーストウッド株式会社製:27mm×26mm)で芯組した4方枠(芯材SS)の表裏に、防湿化粧板22の裏面防湿シート12側をそれぞれ内側(4方枠側)にして、それぞれ酢酸ビニル系樹脂接着剤(コニシ株式会社製)を用いて、フラッシュ扉(810mm×2030mm)を作製した。
<フラッシュ扉の作製>
(比較例8)
従来品の防湿シートとして、一方の面にコロナ処理を施した坪量30g/mの2枚の紙間強化紙(天間特殊製紙株式会社製)のコロナ処理面同士を、Tダイ押出し機より押出した溶融したポリエチレン樹脂50μmでサンドラミネートを行い、防湿シート(紙間強化紙/ポリエチレン/紙間強化紙)を作製した。
次に、防湿シートの表出面に、実施例1と同様の手順で、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にてベタインキ層を形成した。
その上には同じく、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にて絵柄インキ層(印刷柄層2)を形成した。
続いて、ウレタン系アクリルポリオールとイソシアネートとを用いて、グラビア印刷にて表面保護層を形成し、比較例8の防湿化粧シートを得た。
比較例8で得られた防湿化粧シートをMDFの板基材S(ホクシン株式会社製:3mm)の表面に、また、上述した工程で作製された裏面防湿シートを板基材Sの裏面に、それぞれ酢酸ビニル樹脂系接着剤(コニシ株式会社製)(ウェット状態で5g/尺塗布)を介してラミネートし、反り止め防止が施された防湿化粧板を得た。
次に、LVL(ファーストウッド株式会社製:27mm×26mm)で芯組した4方枠(芯材SS)の表裏に、防湿化粧板の裏面防湿シート側をそれぞれ内側(4方枠側)にして、それぞれ酢酸ビニル樹脂系接着剤(コニシ株式会社製)を用いて、フラッシュ扉(810mm×2030mm)を作製した。
<フラッシュ扉の作製>
(比較例9)
坪量30g/mの紙間強化紙(天間特殊製紙株式会社製)の片面に、実施例1と同様の手順で、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にてベタインキ層を形成した。
その上には実施例1と同様に、硝化綿とアクリル樹脂とをバインダーとするインキを用いて、グラビア印刷にて絵柄インキ層(印刷柄層2)を形成した。
続いて、ウレタン系アクリルポリオールとイソシアネートとを用いて、グラビア印刷にて表面保護層(保護樹脂層1)を形成し、比較例9の化粧紙を得た。
比較例9で得られた化粧紙をMDFの板基材S(ホクシン株式会社製:3mm)の表面に、また、坪量30g/mの紙間強化紙(天間特殊製紙株式会社製)をMDFの裏面に、それぞれ酢酸ビニル樹脂系接着剤(コニシ株式会社製)(ウェット状態で5g/尺角塗布)を介してラミネートし、比較例9の化粧板を得た。
次に、LVL(ファーストウッド株式会社製:27mm×26mm)で芯組した4方枠(芯材SS)の表裏に、化粧板の紙間強化紙側をそれぞれ内側(4方枠側)にして、それぞれ酢酸ビニル樹脂系接着剤(コニシ株式会社製)を用いて、フラッシュ扉(810mm×2030mm)を作製した。
[評価]
<評価1>
上記で作製した実施例1~11、及び比較例1~7の各防湿化粧紙について、JIS Z 0208に準拠して透湿度を算出し、それぞれ透湿度の比較を行った。その結果を表1~表6に示す。
Figure 2023136625000002
Figure 2023136625000003
Figure 2023136625000004
Figure 2023136625000005
Figure 2023136625000006


Figure 2023136625000007
表1~表6の結果から明らかなように、各実施例の防湿化粧紙は、各比較例の防湿化粧紙と比べて、透湿度が低い結果が得られた。本実施例の防湿化粧紙は、防湿層を設けたことにより、透湿度の性能向上が認められ、室内での温度や湿度の変化による吸湿・放湿などが原因で発生する化粧板の反りを従来品に比べて少なくする効果及びプラスチック材料の使用量を削減できる効果が期待できる。
<評価2>
実施例12及び比較例8、9で作製したフラッシュ扉について、2室1体型環境試験室にて、反り試験を行った。
試験方法として、フラッシュ扉を2室の境界に設置し、一報の面を硬質環境下、他方の面を低湿環境下にし、フラッシュ扉の反り量の測定を行った。試験方法の詳細として、高湿側を湿度90%±5%、温度20℃、低湿側を湿度50%±5%、温度20℃として8時間静置し、その後両室とも湿度50%±5%、温度20℃の環境で16時間静置する。この24時間を1サイクルとして、5サイクルの加湿繰り返しを行った。この時のフラッシュ扉の縦方向、横方向、対角線方向の最大変位量の測定を行った。その結果を表7に示す。
Figure 2023136625000008
表7の結果から、実施例12のフラッシュ扉は、高さ方向、幅方向及び対角線方向のいずれの場合も、比較例8、9の各フラッシュ扉に比較して、最大変位量がより小さいことが確認された。
表1~表7から、本発明の課題である、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、反りを防止することのできる防湿化粧板及び扉などの建具を提供することが可能であることを検証することができた。
1・・・保護樹脂層(表面保護層)
2・・・印刷柄層
3・・・紙基材
4・・・第1の樹脂層
5・・・第1の蒸着層
6・・・第2の樹脂層
7・・・第2の蒸着層
8・・・第3の樹脂層
9・・・接着用プライマー層
10・・防湿化粧紙
11・・裏面防湿シート
12・・裏面防湿シート
21・・防湿化粧板
22・・防湿化粧板
30・・建具
a1・・化粧層(化粧紙)
a2・・防湿層
S・・・板基材
SS・・芯材

Claims (10)

  1. 化粧層と防湿層とを備えた防湿化粧紙であって、
    前記化粧層は、紙基材と、前記紙基材の一方の面上に、印刷柄層と、保護樹脂層とをこの順で備え、
    前記防湿層は、前記紙基材の他方の面上に、第1の樹脂層と、第1の蒸着層と、第2の樹脂層と、第2の蒸着層と、第3の樹脂層と、をこの順で備えることを特徴とする防湿化粧紙。
  2. 前記第1の樹脂層、前記第2の樹脂層及び前記第3の樹脂層の少なくともいずれか一方が、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層であることを特徴とする請求項1に記載の防湿化粧紙。
  3. 前記第1の蒸着層及び前記第2の蒸着層の少なくともいずれか一方が、アルミニウム蒸着膜であり、且つ厚みが30nm以上100nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防湿化粧紙。
  4. 前記第1の蒸着層及び前記第2の蒸着層の少なくともいずれか一方が、酸化ケイ素蒸着膜又は酸化アルミニウム蒸着膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防湿化粧紙。
  5. 前記紙基材の質量が、前記防湿層全体の質量を基準として、50質量%以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の防湿化粧紙。
  6. 前記第3の樹脂層の、前記第2の蒸着層とは反対側の面に接着用プライマー層を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の防湿化粧紙。
  7. 前記紙基材が紙間強化紙であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の防湿化粧紙。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の防湿化粧紙の前記第3の樹脂層側の面が、板基材の一方の面に貼着されており、透湿度が3(g/m・24h)以下である裏面防湿シートが、前記板基材の他方の面に貼着されていることを特徴とする防湿化粧板。
  9. 前記裏面防湿シートが、紙基材と、第1の樹脂層と、第1の蒸着層と、第2の樹脂層と、第2の蒸着層と、第3の樹脂層と、をこの順で備え、
    前記裏面防湿シートの前記第3の樹脂層側の面が、前記板基材の前記他方の面に貼着されていることを特徴とする請求項8に記載の防湿化粧板。
  10. 請求項8又は9に記載の防湿化粧板の前記裏面防湿シート側の面が、木質系の芯組部材の表面及び裏面にそれぞれ貼着されていることを特徴とする建具。
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