JP2023028085A - 化粧板用裏面防湿紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】両面側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、反りを防止することの可能な化粧板用裏面防湿紙を提供する。【解決手段】紙基材1と防湿層20とが積層された化粧板用裏面防湿紙10であって、防湿層20は、アンカーコート層2と蒸着層4とオーバーコート層5と、が紙基材1側からこの順に積層されてなり、アンカーコート層2は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有する第1のポリオレフィンを含み、オーバーコート層5は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有する第2のポリオレフィンを含み、さらに、紙基材1とアンカーコート層2との間又はアンカーコート層2と蒸着層4との間に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層3を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、化粧板用裏面防湿紙に関する。
従来、室内のドアパネルなどに用いる化粧板としては、合板、中密度繊維板(MDF:medium-density fiberboard)、ベニア板、ボード材、その他の多層構造の木質系基材の表面に、隠蔽性を与えるためのべ夕印刷層や意匠性を向上させるための絵柄摸様層を印刷した化粧シートを貼り合わせたものが、一般的に知られている。このような化粧板は、室内での温度や湿度の変化による吸湿・放湿などが原因で反りが発生する。つまり、木質系基材は、その含水率が外気条件において、木質系基材の平衡含水率より小さい場合は、化粧板の化粧シートを貼り合せていない面から吸湿して面が膨張し、木質系基材の平衡含水率より大きい場合には、放湿して収縮が起こる。これに対して、化粧板の化粧シートを貼り合せた面は、吸放湿がほとんどない為、化粧板に変形(反り、寸法変化)が生じる。
この変形を防止するために、表面に化粧シートを貼り合せた化粧板の裏面に塗料を塗布する方法や、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂シートを貼り合せる方法や、或いは、紙/ポリエチレン/紙からなる防湿シートを貼り合せる方法等が知られている。
しかしながら、上記方法においては、防湿性が不十分である為、両面の温湿度環境に大きな差があるドアや、引き戸、間仕切り等に長期間使用された場合には、両面の伸縮の度合いが異なり、反りが発生する場合がある。
本発明は、上記未解決の課題を解決するためになされたものであり、両面側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、化粧板の反りを防止することの可能な、化粧板用裏面防湿紙を提供することを目的としている。
上記目的を達成するべく、本発明の一態様によれば、紙基材と防湿層とが積層された化粧板用裏面防湿紙であって、防湿層は、アンカーコート層と蒸着層とオーバーコート層とが前記紙基材側からこの順に積層されてなり、アンカーコート層は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有する第1のポリオレフィンを含み、オーバーコート層は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有する第2のポリオレフィンを含み、さらに、紙基材とアンカーコート層との間又はアンカーコート層と蒸着層との間に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層を備える、化粧板用裏面防湿紙が提供される。
本発明の一態様によれば、従来の塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製シートあるいは紙/ポリエチレン/紙からなる防湿シートに比べて格段に優れた防湿性能を有する化粧板用裏面防湿紙を実現することができる。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各厚みの比率などは現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状などを下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<化粧板用裏面防湿紙>
<化粧板用裏面防湿紙>
図1は、本発明に係る化粧板用裏面防湿紙の構成の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、化粧板用裏面防湿紙10は、紙基材1と、アンカーコート層2と、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層3と、蒸着層4と、オーバーコート層5と、がこの順に積層されてなる。アンカーコート層2と、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層3と、蒸着層4と、オーバーコート層5とからなる積層体が、防湿層20を形成している。
アンカーコート層2は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有する第1のポリオレフィンを含む。
同様に、オーバーコート層5は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有する第2のポリオレフィンを含む。
なお、化粧板用裏面防湿紙10は、図2に示すように、オーバーコート層5の、蒸着層4とは逆側の面に、接着用プライマー層6を備えていてもよい。
次に、各層の構成について説明する。
<紙基材>
<紙基材>
紙基材1は、特に限定されるものではなく、適用される化粧板用裏面防湿紙10の用途に応じて適宜選択すればよい。紙基材1の具体例として、薄葉紙、上質紙、アート紙、キャストコート紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙等が挙げられる。紙基材1として、好ましくは合成樹脂を混抄させて紙間強度を強化した薄葉紙(いわゆる紙間強化紙)や、紙にラテックスや合成樹脂を含浸したものが好ましく使用される。紙基材1の坪量としては特に限定されないが、20g/m2以下の場合は柔軟すぎるため、紙基材1に加工時に皺の発生が起こりやすい。紙基材1の秤量が、200g/m2以上の場合は、紙基材1の層間での剥がれが発生する等、紙基材1を基点として剥がれ等の不具合が生じやすいため、紙基材1の秤量は、20g/m2以上200g/m2以下が好ましく、より好ましくは20g/m2以上100g/m2以下が好ましく、さらに20g/m2以上50g/m2以下がより好ましい。
さらに、これらの紙基材1については、必要に応じてコロナ処理やプラズマ処理、フレーム処理等の表面処理を行っても良い。
また、紙基材1には、少なくともアンカーコート層2と接する側にコート層を設けてあってもよい。コート層を設けることで、紙基材1にアンカーコート層2が染み込むことを防ぐことができるほか、紙の凹凸を埋める目止めの役割を果たすこともでき、アンカーコート層2を欠陥なく均―に製膜することができる。コート層には、バインダー樹脂として、例えば、スチレン・ブタジェン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系などの各種共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、パラフィン(WAX)等を用い、填料として、例えばクレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等が含まれていてもよい。
コート層の厚みは、特に制限されるものではないが、例えば、1μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上8μm以下がより好ましい。
紙基材1の重量は、防湿層20全体の重量を基準として、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。紙基材1の重量が防湿層20全体の重量を基準として、50質量%以上であれば、従来の、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製シートあるいは紙/ポリエチレン/紙からなる防湿シートに比較してプラスチック材料の使用量を十分に削減することができ、化粧板用裏面防湿紙10として紙製であるということができる。
<アンカーコート層>
<アンカーコート層>
アンカーコート層2は、紙基材1の表面上に設けられ、紙基材1とポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層3との間の密着性向上のために設けられるものである。アンカーコート層2には、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有する第1のポリオレフィンを含む。このようなアンカーコート層2は、柔軟性に優れることから、蒸着層4の割れを抑制することができるとともに、アンカーコート層2とポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層3との密着性を向上させることができる。さらに、上述したポリオレフィンを含むことで、カルボキシル基等による緻密な膜を形成することが可能となり、水蒸気バリア性に優れる積層体を得ることができる。
アンカーコート層2には、上記第1のポリオレフィンのほかに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、上記第1のポリオレフィン以外のポリオレフィン、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリイミド、メラミン、フェノール等が挙げられる。
アンカーコート層2における第1のポリオレフィンの含有量は、例えば、50質量%以上であってよく、70質量%以上が好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、さらには100質量%であることがより好ましい。
アンカーコート層2の厚みは、例えば、1μm以上であってよく、2μm以上であることがより好ましく、また、5μm以下であることが好ましい。アンカーコート層2の厚みが1μm以上であれば、上述した紙基材1の凹凸を効率的に埋めることができ、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層3及び蒸着層4を均―に積層させることができる。また、アンカーコート層2の厚みは、5μmより大きくても防湿に関しては問題ないが、アンカーコート層2の厚みが5μm以下であれば、コストを抑えつつ上記の各層を均―に積層させることができる。
アンカーコート層2を設ける方法としては、紙基材1上に上述したポリオレフィン及び溶媒を含む塗液を塗布し、乾燥させることで得ることができる。塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また環境の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。
<ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層>
<ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層>
ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層3は、アンカーコート層2の紙基材1とは逆側の面に設けられ、アンカーコート層2と蒸着層4との間の密着性向上のために設けられるものである。ポリビニルアルコール系樹脂とは、例えば完全けん化のポリビニルアルコール樹脂、部分けん化のポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、エチレンービニルアルコール共重合樹脂等である。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、300以上、1500以下が好ましい。重合度が300以上であれば、防湿層のバリア性や屈曲耐性が良好になり、重合度が1500以下であれば、後述するポリビニルアルコール系樹脂の塗液の粘度が低くなり、塗布性が良好になる。
樹脂層3を設ける方法としては、アンカーコート層2の紙基材1とは逆側の面上に上述したポリビニルアルコール系樹脂及び溶媒を含む塗液を塗布し、乾燥させることで得ることができる。塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられ、特に水と、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコールとの混合溶媒が好ましい。また前記塗液には、界面活性剤や防腐剤、保存安定剤、シランカップリング剤、有機チタネート等の添加剤を含んでいても構わない。
このような樹脂層3は、柔軟性に優れ、蒸着層4の割れを抑制することができるとともに、蒸着層4と樹脂層3との密着性を向上させることができる。
樹脂層3の厚みは、例えば、1μm以上であってよく、2μm以上5μm以下であることが好ましい。樹脂層3の厚みが1μm以上であれば、蒸着層4を均―に積層させることができる。また、樹脂層3の厚みは、5μmより大きくても防湿に関しては問題ないが、樹脂層3の厚みが5μm以下であれば、コストを抑えつつ蒸着層4を均一に積層させることができる。
<蒸着層>
<蒸着層>
蒸着層4は、金属又は無機化合物を蒸着した層である。蒸着層4としては、アルミニウムを蒸着して得られたものであってもよく、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ケイ素(SiOx)等を含むものであってもよい。
蒸着層4の厚みは、使用用途によって適宜設定すればよいが、30nm以上100nm以下であってよく、好ましくは50nm以上80nm以下である。蒸着層4の厚みを30nm以上とすることで蒸着層4の連続性を十分なものとしやすく、100nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分な防湿性能を達成しやすい。
蒸着層4は、真空成膜手段によって成膜することが、膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで抑制しやすいことや蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
<オーバーコート層>
<オーバーコート層>
オーバーコート層5は、蒸着層4の樹脂層3とは逆側の面上に、蒸着層4に接するように設けられるもので、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有する第2のポリオレフィンを含む。
このようなオーバーコート層5は柔軟性に優れ、蒸着層4の割れを抑制することができるとともに、蒸着層4との密着性に優れる。さらに、上述した第2のポリオレフィンを含むことで、水蒸気バリア性に優れる積層体を得ることができる。
オーバーコート層5には、上記第2のポリオレフィンのほかに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール等が挙げられる。
オーバーコート層5における第2のポリオレフィンの含有量は、例えば、50質量%以上であってよく、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、さらに100質量%であることが好ましい。
オーバーコート層5の厚みは、例えば、2μm以上であってよく、3μm以上であることが好ましい。また、オーバーコート層5の厚みは、10μm以下であってよく、8μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。オーバーコート層5の厚みが10μmより大きくても防湿に関しては問題ないが、オーバーコート層5の厚みが10μm以下であれば、コストを抑えつつ蒸着層4との密着性やバリア性を十分に発揮することができる。
オーバーコート層5を設ける方法としては、蒸着層4の、樹脂層3とは逆側の面上に上述したポリオレフィン及び溶媒を含む塗液を塗布し、乾燥させることで得ることができる。塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また環境の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。
アンカーコート層2及びオーバーコート層5にそれぞれ含まれる第1のポリオレフィン及び第2のポリオレフィンは、それぞれ同種のものであっても異種のものであってもよいが、製造の容易性等を考慮すれば、それぞれ同種のものであることが好ましい。
<接着用プライマー層>
<接着用プライマー層>
接着用プライマー層6は、各種の被貼着基材の表面に積層貼着する際に使用される、例えばイソシアネート硬化型ウレタン樹脂系や変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系等の各種のラミネート用接着剤との接着性を十分に確保する目的で設けられるものである。その材質としては、例えばエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の各種のプライマー剤が知られており、これらの中からラミネート用接着剤の種類に合せたものを選んで使用する。例えば、ラミネート用接着剤として変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤を使用する場合には、ウレタン系接着用プライマー剤からなる接着用プライマー層6を設けることで良好な接着が得られる。
なお、接着用プライマーに例えばシリカ等の無機質微粉末を添加しておくと、接着用プライマー層6の表面が粗面化することにより、防湿シートの巻取り保存時のブロッキングが防止できる他、投錨効果によるラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。また、接着用プライマー層6は、単独ないし混合して接着組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。
以上、本実施形態に係る化粧板用裏面防湿紙10の一実施形態について説明したが、本発明はこれ以外の層を含んでいてもよい。また、例えば、図1では、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層3は、アンカーコート層2と蒸着層4との間に配置されているが、紙基材1とアンカーコート層2との間に配置されていてもよい。すなわち、樹脂層3は、紙基材1とアンカーコート層2との間又はアンカーコート層2と蒸着層4との間に配置されていてもよい。樹脂層3を、アンカーコート層2と蒸着層4との間に設けることによって、アンカーコート層2と蒸着層4との間の密着性を向上させることができ、樹脂層3を、紙基材1とアンカーコート層2との間に設けることによって、紙基材1とアンカーコート層2との間の密着性を向上させることができる。
<効果>
<効果>
本発明に係る化粧板用裏面防湿紙は、従来の、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製シートあるいは紙/ポリエチレン/紙からなる防湿シートに比べて、透湿度(JIS Z 0208)をより小さくすることができ。透湿度(JIS Z 0208)を5.Og/m2・24hr以下とすることができる。そのため、優れた防湿性能を有する化粧板用裏面防湿紙を得ることができ、両面側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても反りを防止することの可能な、化粧板用裏面防湿紙を得ることができる。
なお、透湿度は、0g/m2・24hr以上5.0g/m2・24hr以下或いは未満が好ましく、0.1g/m2・24hr以上4.0g/m2・24hr以下がより好ましく、さらには0.5g/m2・24hr以上3.0g/m2・24hr以下がより好ましい。
なお、透湿度は、0g/m2・24hr以上5.0g/m2・24hr以下或いは未満が好ましく、0.1g/m2・24hr以上4.0g/m2・24hr以下がより好ましく、さらには0.5g/m2・24hr以上3.0g/m2・24hr以下がより好ましい。
また、この化粧板用裏面防湿紙は、紙基材1を用いているため、従来のプラスチック材料を用いた防湿紙に比較して、プラスチック材料の使用量を削減することができ、従来よりも透湿度性が高く且つ、プラスチック材料の使用量を削減することの可能な化粧板用裏面防湿紙を実現することができる。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(実施例1)
紙基材として坪量50g/m2の紙間強化紙(天間特殊製紙株式会社製)を用い、その表面上に、カルボキシル基の塩を含む塗液(商品名:ケミパールS500、三井化学株式会社製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、アンカーコート層を形成させた。アンカーコート層の厚みは3μmであった。
続いて、アンカーコート層上に、けん化度98%、重合度500のポリビニルアルコール樹脂を水/IPA=8/2の溶液に固形分濃度10質量%で溶解したポリビニルアルコール樹脂を含む塗液をバーコーターで塗布し、オーブンで乾燥させ、ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層を形成させた。ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層の厚みは1μmであった。
続いて、ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層上にAL蒸着を施した。AL蒸着層の厚みは50nmであった。その後、蒸着層上にカルボキシル基の塩を含む塗液(商品名:ケミパールS500、三井化学株式会社製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、オーバーコート層を形成させ、防湿層を得た。ポリオレフィンを含むオーバーコート層の厚みは3μmであった。これにより、紙基材の上に防湿層が積層された化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例2)
アンカーコート層の厚みを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例3)
オーバーコート層の厚みを2μmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例4)
オーバーコート層の厚みを10μmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例5)
蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例6)
蒸着層の厚みを100nmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例7)
アンカーコート層の厚みを1μmとし、ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層の厚みを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例8)
蒸着層としてシリカを用い、蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例9)
蒸着層としてアルミナを用い、蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例10)
紙基材として坪量50g/m2の紙間強化紙(天間特殊製紙株式会社製)を用い、その表面上に、けん化度98%、重合度500のポリビニルアルコール樹脂を水/IPA=8/2の溶液に固形分濃度10質量%で溶解したポリビニルアルコール樹脂を含む塗液をバーコーターで塗布し、オーブンで乾燥させ、ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層を形成させた。ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層の厚みは1μmであった。
続いて、ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層上に、カルボキシル基の塩を含む塗液(商品名:ケミパールS500、三井化学株式会社製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、アンカーコート層を形成させた。アンカーコート層の厚みは3μmであった。
続いて、アンカーコート層上にAL蒸着を施した。AL蒸着層の厚みは50nmであった。その後、蒸着層上にカルボキシル基の塩を含む塗液(商品名:ケミパールS500、三井化学株式会社製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、オーバーコート層を形成させ、防湿層を得た。ポリオレフィンを含むオーバーコート層の厚みは3μmであった。これにより、紙基材の上に防湿層が積層された化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例11)
アンカーコート層の厚みを5μmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例12)
オーバーコート層の厚みを2μmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例13)
オーバーコート層の厚みを10μmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例14)
蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例15)
蒸着層の厚みを100nmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例16)
ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層の厚みを5μmとし、アンカーコート層の厚みを1μmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例17)
蒸着層としてシリカを用い、蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例18)
蒸着層としてアルミナを用い、蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(比較例1)
(実施例2)
アンカーコート層の厚みを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例3)
オーバーコート層の厚みを2μmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例4)
オーバーコート層の厚みを10μmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例5)
蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例6)
蒸着層の厚みを100nmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例7)
アンカーコート層の厚みを1μmとし、ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層の厚みを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例8)
蒸着層としてシリカを用い、蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例9)
蒸着層としてアルミナを用い、蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例10)
紙基材として坪量50g/m2の紙間強化紙(天間特殊製紙株式会社製)を用い、その表面上に、けん化度98%、重合度500のポリビニルアルコール樹脂を水/IPA=8/2の溶液に固形分濃度10質量%で溶解したポリビニルアルコール樹脂を含む塗液をバーコーターで塗布し、オーブンで乾燥させ、ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層を形成させた。ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層の厚みは1μmであった。
続いて、ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層上に、カルボキシル基の塩を含む塗液(商品名:ケミパールS500、三井化学株式会社製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、アンカーコート層を形成させた。アンカーコート層の厚みは3μmであった。
続いて、アンカーコート層上にAL蒸着を施した。AL蒸着層の厚みは50nmであった。その後、蒸着層上にカルボキシル基の塩を含む塗液(商品名:ケミパールS500、三井化学株式会社製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、オーバーコート層を形成させ、防湿層を得た。ポリオレフィンを含むオーバーコート層の厚みは3μmであった。これにより、紙基材の上に防湿層が積層された化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例11)
アンカーコート層の厚みを5μmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例12)
オーバーコート層の厚みを2μmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例13)
オーバーコート層の厚みを10μmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例14)
蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例15)
蒸着層の厚みを100nmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例16)
ポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂層の厚みを5μmとし、アンカーコート層の厚みを1μmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例17)
蒸着層としてシリカを用い、蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(実施例18)
蒸着層としてアルミナを用い、蒸着層の厚みを30nmとしたこと以外は、実施例10と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(比較例1)
蒸着層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で化粧板用裏面防湿紙を得た。
(比較例2)
(比較例2)
紙基材として50g/m2の紙問強化紙(天間特殊製紙株式会社製)表面上に、酢酸ビニル系ポリオレフィン樹脂を含む塗液をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、酢酸ビニル系ポリオレフィン樹脂を含む層を形成させた。酢酸ビニル系ポリオレフィン樹脂を含む層の厚みは3μmであった。続いて、酢酸ビニル系ポリオレフィン樹脂を含む層上にAL蒸着を施した。AL蒸着層の厚みは50nmであった。その後、蒸着層上にカルボキシル基の塩を含む塗液(商品名:ケミパールS500、三井化学株式会社製)をバーコーターで塗工し、オーブンで乾燥させ、ポリオレフィンを含む層を形成させ、防湿層を得た。ポリオレフィンを含む層の厚みは3μmであった。これにより、紙基材の上に防湿層が積層された化粧板用裏面防湿紙を得た。
(比較例3)
(比較例3)
従来品の防湿シートとして、片側にコロナ処理を施した30g/m2の紙間強化紙(天間特殊製紙株式会社製)のコロナ処理面同士を、Tダイ押出し機より押出して溶融したポリエチレン樹脂50μmでサンドラミネートを行い、防湿シート(紙間強化紙/ポリエチレン/紙間強化紙)を作製した。
<評価>
<評価>
上記で作製した実施例及び比較例の化粧板用裏面防湿紙及び防湿シートについて、JIS Z 0208に準拠して透湿度を算出した。その結果を表1~表3に示す。
また、上記実施例及び比較例の化粧用裏板用裏面防湿紙及び防湿シートについて、蒸着層4の膜均一性を評価した。この評価は、透湿度を元に間接的に評価した。透湿度が4g/m2・24hrより小さい場合を「○」、透湿度が4g/m2・24hr以上の場合を「×」とした。その結果を表1~表3に示す。
このように、表1~表3から、本発明の課題である、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で用いても、反りを防止することのできる化粧板用裏面防湿紙を提供することが可能であることを検証することができた。
1・・・紙基材
2・・・アンカーコート層
3・・・ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層
4・・・蒸着層
5・・・オーバーコート層
6・・・接着用プライマー層
10・・・化粧板用裏面防湿紙
20・・・防湿層
2・・・アンカーコート層
3・・・ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層
4・・・蒸着層
5・・・オーバーコート層
6・・・接着用プライマー層
10・・・化粧板用裏面防湿紙
20・・・防湿層
Claims (8)
- 紙基材と防湿層とが積層された化粧板用裏面防湿紙であって、
前記防湿層は、アンカーコート層と蒸着層とオーバーコート層とが前記紙基材側からこの順に積層されてなり、
前記アンカーコート層は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有する第1のポリオレフィンを含み、
前記オーバーコート層は、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、カルボン酸無水物基及びカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも1種を有する第2のポリオレフィンを含み、
さらに、前記紙基材と前記アンカーコート層との間又は前記アンカーコート層と前記蒸着層との間に、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層を備えることを特徴とする化粧板用裏面防湿紙。 - 前記アンカーコート層の厚みが1μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧板用裏面防湿紙。
- 前記ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層の厚みが1μm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧板用裏面防湿紙。
- 前記蒸着層の厚みが30μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の化粧板用裏面防湿紙。
- 前記オーバーコート層の厚みが2μm以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の化粧板用裏面防湿紙。
- 前記紙基材の重量が、前記防湿層全体を基準として、50質量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の化粧板用裏面防湿紙。
- 前記オーバーコート層の前記蒸着層とは逆側の面に、接着用プライマー層を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の化粧板用裏面防湿紙。
- 前記紙基材が紙間強化紙であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の化粧板用裏面防湿紙。
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JP2021133565A JP2023028085A (ja) | 2021-08-18 | 2021-08-18 | 化粧板用裏面防湿紙 |
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- 2021-08-18 JP JP2021133565A patent/JP2023028085A/ja active Pending
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