JP2023025935A - 作業機の油圧システム、作業機 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業機の走行状態に応じて自動減速を適切に作動させること。【解決手段】作業機の油圧システムは、作業機に設けられた走行装置に動力を出力可能な走行モータと、作業機の走行状態に応じて変化する物理量を所定の周期で検出する第1検出装置と、前記走行モータの回転数が第2速度段であるときに、前記走行モータの回転数を前記第2速度段より低速な第1速度段に自動的に減速する自動減速を実行する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1検出装置により所定の周期で検出された複数の前記物理量に基づいて、当該物理量の変化の傾向又は度合いを判断する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、スキッドステアローダ、コンパクトトラックローダ、バックホーなどの作業機及び作業機の油圧システムに関するものである。
従来、作業機において減速を行う技術として、特許文献1に開示された技術がある。特許文献1に開示された作業機の油圧システムは、原動機と、原動機の動力により作動し且つ作動油を吐出する油圧ポンプと、作動油の圧力に応じて第1速度と、第1速度よりも高速である第2速度とに速度が変更可能な走行装置(走行油圧装置)と、走行装置に作用する作動油の圧力を変更可能な作動弁と、作動油の圧力を検出可能な測定装置と、を備え、作動弁は、測定装置により検出された作動油の圧力が、第2速度に対応する圧力より所定値以下に低下したときに、走行装置に作用する作動油の圧力を減圧して、走行装置を第1速度に減速する。
特開2017-179923号公報
特許文献1に開示された作業機の油圧システムでは、測定装置により検出された作動油の圧力と所定の閾値との比較結果に基づいて、自動減速を行っている。しかしながら、作業機1の停止状態からの発進時及び低速走行状態からの増速時などのような、加速が必要なときに、作動油の圧力が一時的に上下に変動して、意図せず自動減速が作動してしまうおそれがある。
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、作業機の走行状態に応じて自動減速を適切に作動させることを目的とする。
技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下の通りである。
本発明に係る作業機の油圧システムは、作業機に設けられた走行装置に動力を出力可能な走行モータと、作業機の走行状態に応じて変化する物理量を所定の周期で検出する第1検出装置と、前記走行モータの回転数が第2速度段であるときに、前記走行モータの回転数を前記第2速度段より低速な第1速度段に自動的に減速する自動減速を実行する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1検出装置により所定の周期で検出された複数の前記物理量に基づいて、当該物理量の変化の傾向又は度合いを判断する。
本発明に係る作業機は、機体を走行可能に支持する走行装置と、前記作業機の油圧システムと、を備える。
本発明の一態様では、前記制御装置は、前記複数の物理量の時間的な変化量を算出し、当該変化量に基づいて前記物理量の変化の傾向又は度合いを判断し、当該判断結果に基づいて前記自動減速を実行する。
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記物理量を2以上の所定数保持し、前記第1検出装置により新しい前記物理量が検出されると、前記保持している物理量のうちの最古の物理量に代えて、前記新しい物理量を保持し、且つ前記保持している物理量の平均値を算出して、当該平均値を2以上の所定数保持し、前記保持している平均値のうちの最新の平均値と最古の平均値との差分を、前記物理量の時間的な変化量として算出する。
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記物理量の変化が作業機の走行速度の増速に相当する傾向にあると判断すると、当該物理量の変化の度合いが大きくなるに連れて、前記自動減速を作動し難く抑制する。
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記物理量の変化の傾向又は度合いに基づいて、前記自動減速を実行するか否かを判断するための減速閾値を設定する。
また、本発明の一態様では、前記作業機の油圧システムは、前記走行モータに作動油を
供給して前記走行モータを駆動させる走行ポンプと、前記走行ポンプと前記走行モータとに接続された循環油路と、前記循環油路に接続されたリリーフ弁と、前記走行ポンプの動力源である原動機と、前記原動機の回転数を検出する第2検出装置と、を備え、前記制御装置は、前記物理量の変化の傾向又は度合いと、前記第2検出装置により検出された前記原動機に対応する前記リリーフ弁の有効リリーフ圧と、前記第2検出装置により検出された前記原動機の回転数に対応する第1係数と、前記複数の物理量から算出した前記物理量の時間的な変化量に対応する第2係数とに基づいて、前記減速閾値を設定する。
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、0より大きくて1より小さい値を前記第1係数に設定し、1以上の値を前記第2係数に設定し、前記物理量の変化が作業機の走行速度の増速に相当する傾向にあるときは、1より大きい値を前記第2係数に設定し、前記有効リリーフ圧と前記第1係数と前記第2係数とを乗算することにより、前記減速閾値を設定する。
また、本発明の一態様では、前記作業機の油圧システムは、前記走行モータに作動油を供給して前記走行モータを駆動させる走行ポンプと、前記走行ポンプと前記走行モータとに接続された循環油路と、前記走行モータの回転時に前記循環油路に作用する作動油の圧力である走行圧を検出する第3検出装置と、を備え、前記制御装置は、前記走行モータの回転数が前記第2速度段であるときに、前記第3検出装置により検出された前記走行圧と前記減速閾値とに基づいて、前記自動減速を実行する。
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、作業機が直進走行し且つ前記走行モータの回転数が前記第2速度段であるときに、前記走行圧と前記減速閾値とに基づいて、前記自動減速を実行する。
また、本発明の一態様では、前記作業機の油圧システムは、前記走行ポンプの駆動を操作する走行操作部材を備え、前記制御装置は、前記走行操作部材の操作状態に基づいて、作業機が直進走行していることを判断する。
また、本発明の一態様では、前記走行圧に基づいて算出した有効走行圧が前記減速閾値以上であれば、前記自動減速を実行する。
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記有効走行圧が前記減速閾値以上である状態が所定の判定時間継続すると、前記自動減速を実行し、前記複数の物理量から算出した前記物理量の変化量に基づいて、前記判定時間を設定する。
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記物理量の変化が作業機の走行速度の増速に相当する傾向にあると判断すると、前記自動減速を禁止する。
また、本発明の一態様では、前記作業機の油圧システムは、前記走行モータに作動油を供給して前記走行モータを駆動させる走行ポンプと、前記走行ポンプの動力源である原動機と、前記原動機の回転数を検出する第2検出装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数の物理量の平均値と、前記第2検出装置により検出された前記原動機の回転数に基づいて、前記物理量の変化の度合いを判断する。
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記物理量の平均値が前記原動機の回転数に対応する判断基準値より大きければ、前記物理量の変化の度合いが大きいと判断して、前記自動減速を禁止する。
また、本発明の一態様では、前記作業機の油圧システムは、作動油を供給して前記走行モータを駆動させる走行ポンプと、前記走行ポンプの駆動を操作する走行操作部材と、を備え、前記制御装置は、作業機が走行している方向と反対に対応する方向に前記走行操作部材が操作されたことを検出すると、前記自動減速を禁止する。
また、本発明の一態様では、前記作業機の油圧システムは、作動油を供給して前記走行モータを駆動させる走行ポンプと、前記走行ポンプの駆動を操作する走行操作部材と、を備え、前記制御装置は、作業機の直進に対応する方向に前記走行操作部材が操作されたことを検出すると、前記複数の物理量に基づいて待機時間を設定し、当該待機時間が経過すると、前記物理量の変化の傾向及び度合いの判断を行う。
さらに、本発明の一態様では、前記第1検出装置は、前記物理量として前記走行モータの回転数を所定の周期で検出し、前記制御装置は、前記第1検出装置により所定の周期で
検出された前記走行モータの複数の回転数に基づいて、当該回転数の変化の傾向又は度合いを判断する。
本発明によれば、作業機の走行状態に応じて自動減速を適切に作動させることができる。
実施形態の作業機の油圧システムを示す図である。 実施形態の走行操作部材の操作方向を示す図である。 実施形態の左走行モータの回転数のデータを示す図である。 実施形態の右走行モータの回転数のデータを示す図である。 実施形態の原動機の回転数と有効リリーフ圧との相関関係の一例をグラフで示す図である。 第1実施形態の直進走行時の自動減速判定処理を示すフローチャートである。 第1実施形態の直進走行時の自動減速判定処理を示すフローチャートである。 第2実施形態の直進走行時の自動減速判定処理の一部を示すフローチャートである。 実施形態の走行モータの回転数の変化量と待機時間との相関関係の一例をグラフで示す図である。 実施形態の原動機の回転数と判断基準値との相関関係の一例をグラフで示す図である。 実施形態の原動機の回転数と基本補正係数との相関関係の一例をグラフで示す図である。 実施形態の走行モータの回転数の変化量と補助補正係数との相関関係の一例をグラフで示す図である。 他の実施形態の作業機の油圧システムを示す図である。 他の実施形態の作業機の油圧システムを示す図である。 実施形態の作業機の側面図である。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
図12は、本実施形態の作業機1の側面図を示している。図12では、作業機1の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
図12に示すように、作業機1は、機体2、キャビン3、作業装置4、及び一対の走行装置5L、5Rを備えている。キャビン3は、機体2に搭載されている。キャビン3には運転席8が設けられている。
本発明の実施形態において、作業機1の運転席8に着座した運転者の前側(図12の左側)を前方、運転者の後側(図12の右側)を後方、運転者の左側(図12の手前側)を左方、運転者の右側(図12の奥側)を右方として説明する。また、前後方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方と反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
作業装置4は機体2に装着されている。一対の走行装置5L、5Rは、機体2の外側に設けられ、機体2を走行可能に支持している。機体2内の後部には、原動機32が搭載されている。
作業装置4は、ブーム10、作業具11、リフトリンク12、制御リンク13、ブームシリンダ14、及びバケットシリンダ15を有している。
ブーム10は、キャビン3の右側及び左側に上下揺動自在に設けられている。作業具11は、例えばバケットから成る。バケット11は、ブーム10の先端部(前端部)に上下揺動自在に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10が上下揺動自在となるように、ブーム10の基部(後部)を支持している。ブームシリンダ14は、伸縮することによりブーム10を昇降させる。バケットシリンダ15は、伸縮することによりバケット11を揺動させる。
機体2の左側と右側とに設けられた各ブーム10の前部同士は、異形の連結パイプで連結されている。各ブーム10の基部(後部)同士は、円形の連結パイプで連結されている。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、左側と右側の各ブーム10に対応して機体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。
リフトリンク12は、各ブーム10の基部の後部に、縦向きに設けられている。このリフトリンク12の上部(一端側)は、各ブーム10の基部の後部寄りに枢支軸16(第1枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。また、リフトリンク12の下部(他端側)は、機体2の後部寄りに枢支軸17(第2枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第2枢支軸17は、第1枢支軸16の下方に設けられている。
ブームシリンダ14の上部は、枢支軸18(第3枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第3枢支軸18は、各ブーム10の基部であって、当該基部の前部に設けられている。ブームシリンダ14の下部は、枢支軸19(第4枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第4枢支軸19は、機体2の後部の下部寄りであって第3枢支軸18の下方に設けられている。
制御リンク13は、リフトリンク12の前方に設けられている。この制御リンク13の一端は、枢支軸20(第5枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第5枢支軸20は、機体2であって、リフトリンク12の前方に対応する位置に設けられている。制御リンク13の他端は、枢支軸21(第6枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第6枢支軸21は、ブーム10であって、第2枢支軸17の前方で且つ第2枢支軸17の上方に設けられている。
ブームシリンダ14を伸縮することにより、リフトリンク12及び制御リンク13によって各ブーム10の基部が支持されながら、各ブーム10が第1枢支軸16回りに上下揺動し、各ブーム10の先端部が昇降する。制御リンク13は、各ブーム10の上下揺動に伴って第5枢支軸20回りに上下揺動する。リフトリンク12は、制御リンク13の上下揺動に伴って第2枢支軸17回りに前後揺動する。
ブーム10の前部には、バケット11の代わりに別の作業具が装着可能とされている。別の作業具としては、例えば、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等のアタッチメント(予備アタッチメント)である。
左側のブーム10の前部には、接続部材50が設けられている。接続部材50は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム10に設けられたパイプ等の第1管材とを接続する装置である。具体的には、接続部材50の一端には、第1管材が接続可能で、他端には、予備アタッチメントの油圧機器に接続された第2管材が接続可能である。これにより、第1管材を流れる作動油は、第2管材を通過して油圧機器に供給される。
バケットシリンダ15は、各ブーム10の前部寄りにそれぞれ配置されている。バケットシリンダ15を伸縮することで、バケット11が揺動される。
一対の走行装置5L、5Rのうち、走行装置5Lは機体2の左側に設けられ、走行装置5Rは機体2の右側に設けられている。一対の走行装置5L、5Rは、本実施形態ではクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置が採用されている。なお、前輪及び後輪を有する装輪型の走行装置、又は車輪とクローラとを有する走行装置を採用してもよい。以下、説明の便宜上、走行装置5Lのことを左走行装置5L、走行装置5Rのことを右走行装置5Rということがある。
原動機32は、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関、又は電動モータ
などから成る。本実施形態では、原動機32として、ディーゼルエンジンを用いているが、これに限定するものではない。
図1は、作業機1に搭載された走行系の油圧システム(油圧回路)100を示す図である。油圧システム100には、第1油圧ポンプP1と第2油圧ポンプP2とが備わっている。第1油圧ポンプP1は、原動機32の動力によって駆動するポンプであって、例えば定容量型のギヤポンプから成る。第1油圧ポンプP1は、タンク22に貯留された作動油を吐出可能である。特に、第1油圧ポンプP1は、主に作業機1に備わる油圧機器の制御に用いる作動油を吐出する。説明の便宜上、第1油圧ポンプP1から吐出した作動油のうち、制御用として用いられる作動油のことをパイロット油と言い、またパイロット油の圧力のことをパイロット圧と言う。
第2油圧ポンプP2は、原動機32の動力によって駆動するポンプであって、例えば定容量型のギヤポンプから成る。第2油圧ポンプP2は、タンク22に貯留された作動油を吐出可能であって、例えば、作業系の油路に作動油を供給する。例えば、第2油圧ポンプP2は、ブーム10を作動させるブームシリンダ14、バケットを作動させるバケットシリンダ15、予備油圧アクチュエータを作動させる予備油圧アクチュエータを制御する制御弁(流量制御弁)に作動油を供給する。
また、作業機1の油圧システム100は、一対の走行モータ36L、36Rと、一対の走行ポンプ53L、53Rとを備えている。一対の走行モータ36L、36Rは、一対の走行装置5L、5Rに動力を伝達する油圧モータである。一対の走行モータ36L、36Rのうち、走行モータ36Lは、左走行装置5Lに回転の動力を出力し、走行モータ36Rは、右走行装置5Rに回転の動力を出力する。
走行ポンプ53L及び走行ポンプ53Rは、原動機32の動力によって駆動する油圧ポンプであって、例えば斜板形可変容量アキシャルポンプから成る。走行ポンプ53Lは、回転駆動することによって、走行モータ36Lに作動油を供給する。走行ポンプ53Rは、回転駆動することによって、走行モータ36Rに作動油を供給する。
以下、説明の便宜上、走行ポンプ53Lのことを左走行ポンプ53L、走行ポンプ53Rのことを右走行ポンプ53R、走行モータ36Lのことを左走行モータ36L、走行モータ36Rのことを右走行モータ36Rと言う。また、走行ポンプ53Lと走行ポンプ53Rとをまとめて、走行ポンプ53L、53Rと言う。また、走行モータ36Lと走行モータ36Rとをまとめて、走行モータ36L、36Rと言う。
走行ポンプ53L、53Rは、第1油圧ポンプP1からの吐出されたパイロット油のパイロット圧が作用する受圧部53aと受圧部53bとを有している、受圧部53a、53bに作用するパイロット圧によって、走行ポンプ53L、53Rに備わる斜板の角度が変更される。当該斜板の角度を変更することによって、走行ポンプ53L、53Rの出力(作動油の吐出量)と作動油の吐出方向とを変えることができる。
左走行ポンプ53Lは、正転時に作動油を吐出する第1ポート82aと、逆転時に作動油を吐出する第2ポート82bとを有している。右走行ポンプ53Rは、正転時に作動油を吐出する第3ポート82cと、逆転時に作動油を吐出する第4ポート82dとを有している。
左走行ポンプ53Lの第1ポート82a及び第2ポート82bと、左走行モータ36Lとは、第1循環油路57hによって接続されている。左走行ポンプ53Lが吐出した作動油は、第1循環油路57hを流れて、左走行モータ36Lに供給される。右走行ポンプ53Rの第3ポート82c及び第4ポート82dと、右走行モータ36Rとは、第2循環油路57iによって接続されている。右走行ポンプ53Rが吐出した作動油は、第2循環油路57iを流れて、右走行モータ36Rに供給される。
左走行ポンプ53Lの第1ポート82a側にある第1循環油路57hの一部分には、第1リリーフ弁81aが接続されている。左走行ポンプ53Lの第2ポート82b側にある第1循環油路57hの別の一部分には、第2リリーフ弁81bが接続されている。例えば、左走行ポンプ53Lが正転駆動することにより、第1循環油路57hに作用する作動油の圧力が大きくなったときに、第1リリーフ弁81aは作動し易い。また、左走行ポンプ53Lが逆転駆動することにより、第1循環油路57hに作用する作動油の圧力が大きくなったときに、第2リリーフ弁81bは作動し易い。
右走行ポンプ53Rの第3ポート82c側にある第2循環油路57iの一部分には、第3リリーフ弁81cが接続されている。右走行ポンプ53Rの第4ポート82d側にある第2循環油路57iの別の一部分には、第4リリーフ弁81dが接続されている。例えば、右走行ポンプ53Rが正転駆動することにより、第2循環油路57iに作用する作動油の圧力が大きくなったときに、第3リリーフ弁81cは作動し易い。また、右走行ポンプ53Rが逆転駆動することにより、第2循環油路57iに作用する作動油の圧力が大きくなったときに、第4リリーフ弁81dは作動し易い。
左走行モータ36Lは、左走行ポンプ53Lから吐出された作動油により回転駆動する。左走行ポンプ53Lから第1循環油路57hを介して左走行モータ36Lに供給される作動油の方向が切り換わることで、左走行モータ36Lが正転駆動したり逆転駆動したりする。また、左走行ポンプ53Lから第1循環油路57hを介して左走行モータ36L供給される作動油の流量が変わることで、左走行モータ36Lの回転数が変化する。
左走行モータ36Lには、斜板切換シリンダ37Lが接続されている。斜板切換シリンダ37Lを伸縮させることによっても、左走行モータ36Lの回転数が変化する。詳しくは、斜板切換シリンダ37Lが収縮すると、左走行モータ36Lの回転数が低速(第1速度段)に設定される。斜板切換シリンダ37Lが伸長すると、左走行モータ36Lの回転数が高速(第1速度段より速い第2速度段)に設定される。つまり、左走行モータ36Lの回転数は、低速な第1速度段と、高速な第2速度段とに変更可能である。
右走行モータ36Rは、右走行ポンプ53Rから吐出された作動油により回転駆動する。右走行ポンプ53Rから第2循環油路57iを介して右走行モータ36Rに供給される作動油の方向が切り換わることで、右走行モータ36Rが正転駆動したり逆転駆動したりする。また、右走行ポンプ53Rから第2循環油路57iを介して右走行モータ36Rに供給される作動油の流量が変わることで、右走行モータ36Rの回転数が変化する。
右走行モータ36Rには、斜板切換シリンダ37Rが接続されている。斜板切換シリンダ37Rを伸縮させることによっても、右走行モータ36Rの回転数が変化する。詳しくは、斜板切換シリンダ37Rが収縮すると、右走行モータ36Rの回転数が低速(第1速度段)に設定される。斜板切換シリンダ37Rが伸長すると、右走行モータ36Rの回転数が高速(第2速度段)に設定される。つまり、右走行モータ36Rの回転数は、低速な第1速度段と、高速な第2速度段とに変更可能である。
循環油路57h、57iには、複数の第1圧力検出装置80a~80dが接続されている。そのうち、圧力検出装置80aは、第1循環油路57hにおいて、左走行モータ36Lの第1ポートP11側に設けられ、第1ポートP11側の作動油の圧力を第1走行圧LFとして検出する。圧力検出装置80bは、第1循環油路57hにおいて、左走行モータ36Lの第2ポートP12側に設けられ、第2ポートP12側の作動油の圧力を第2走行圧LBとして検出する。圧力検出装置80cは、第2循環油路57iにおいて、右走行モータ36Rの第3ポートP13側に設けられ、第3ポートP13側の作動油の圧力を第3走行圧RFとして検出する。圧力検出装置80dは、第2循環油路57iにおいて、右走行モータ36Rの第4ポートP14側に設けられ、第4ポートP14側の作動油の圧力を第4走行圧RBとして検出する。第1圧力検出装置80a~80dは、上記のように第1~4走行圧LF、LB、RF、RBを所定の周期で検出する。
図1に示すように、油圧システム100には走行切換弁34が備わっている。走行切換弁34は、第1切換弁71L、71Rと、第2切換弁72とを有している。切換弁71L、71R、72は、走行モータ36L、36Rの回転数を第1速度段にする第1状態と、第2速度段にする第2状態とに切換可能である。
第1切換弁71Lは、左走行モータ36Lの斜板切換シリンダ37Lに油路を介して接続されている。第1切換弁71Lは、第1位置71L1と第2位置71L2とに切り換え可能な二位置切換弁から成る。第1切換弁71Lが第1位置71L1であるときに、斜板切換シリンダ37Lが収縮する。第1切換弁71Lが第2位置71L2であるときに、斜
板切換シリンダ37Lが伸長する。
第1切換弁71Rは、右走行モータ36Rの斜板切換シリンダ37Rに油路を介して接続されている。第1切換弁71Rは、第1位置71R1と第2位置71R2とに切り換え可能な二位置切換弁から成る。第1切換弁71Rが第1位置71R1であるときに、斜板切換シリンダ37Rが収縮する。第1切換弁71Rが第2位置71R2であるときに、斜板切換シリンダ37Rが伸長する。
第2切換弁72は、第1切換弁71L、71Rを切り換え可能な電磁弁から成る。詳しくは、第2切換弁72は、第1位置72aと第2位置72bとに切り換わり可能な電磁式二位置切換弁から成る。第2切換弁72は、制御装置60により位置を切り換えられる。
油路41は3つに分岐している。そのうち、油路40の第1端部は、第2切換弁72に接続されている。油路40の第2端部は、第1切換弁71Lに接続されている。油路40の第3端部は、第1切換弁71Rに接続されている。
第2切換弁72に備わるソレノイドが消磁されると、第2切換弁72は第1位置72aに切り換わって、第1切換弁71L、71Rを第1位置71L1、71R1に切り換える。第2切換弁72に備わるソレノイドが励磁されると、第2切換弁72は第2位置72bに切り換わって、第1切換弁71L、71Rを第2位置71L2、71R2に切り換える。
第2切換弁72が第1位置72a、第1切換弁71Lが第1位置71L1、及び第1切換弁71Rが第1位置71R1であるときに、走行切換弁34は第1状態になって、走行モータ36L、36Rの回転数を低速な第1速度段にする。また、第2切換弁72が第2位置72b、第1切換弁71Lが第2位置71L2、及び第1切換弁71Rが第2位置71R2であるときに、走行切換弁34は第2状態になって、走行モータ36L、36Rの回転数を高速な第2速度段にする。即ち、走行切換弁34の位置を切り換えることで、走行モータ36L、36Rを低速な第1速度段と、高速な第2速度段とに切り換えることができる。
走行操作装置54は、走行操作部材59(操作部材)と、操作弁55(55A~55D)とを含んでいる。走行操作装置54は、走行操作部材59が操作されたときに、走行ポンプ53L、53Rの受圧部53a、53bに作動油を作用させて、走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度を変更する。
走行操作部材59は、レバー型の操作部材であって、操作弁55A~55Dに支持されている。走行操作部材59は、中立位置Nを基準とすると、中立位置Nから左右方向(機体幅方向)に揺動操作可能であると共に、中立位置Nから前後方向に揺動操作可能である。言い換えれば、走行操作部材59は、中立位置Nを基準に少なくとも4方向に揺動することが可能である。
複数の操作弁55A~55Dは、共通、即ち、1本(即ち共通)の走行操作部材59によって操作される。操作弁55A~55Dは、走行操作部材59の揺動に基づいて作動する。各操作弁55A~55Dは、吐出油路40に接続されている。吐出油路40には、アンチストール比例弁90も接続されている。
アンチストール比例弁90は電磁比例弁から成る。原動機32の回転数のドロップ量(低下量)に応じて、アンチストール比例弁90の開度を変化させることで、第1油圧ポンプP1から吐出油路40へ吐出されたパイロット油の圧力であるパイロット圧を変化させて、原動機32のストール、即ちエンジンストールを防止することが可能である。第1油圧ポンプP1から吐出油路40へ吐出されたパイロット油は、アンチストール比例弁90を経由して、各操作弁55A~55Dに供給される。
前後方向(第1方向)のうち、前方に走行操作部材59を揺動操作することで、当該操作量に応じて、操作弁55Aから出力される作動油の圧力が変化する。後方に走行操作部材59を揺動操作することで、当該操作量に応じて、操作弁55Bから出力される作動油の圧力が変化する。左右方向(第2方向)のうち、右方に走行操作部材59を揺動操作することで、当該操作量に応じて、操作弁55Cから出力される作動油の圧力が変化する。左方に走行操作部材59を揺動操作することで、当該操作量に応じて、操作弁55Dから
出力される作動油の圧力が変化する。
複数の操作弁55A~55Dと、走行ポンプ53L、53Rとは、走行油路45a~45dによって接続されている。走行ポンプ53L、53Rは、操作弁55A~55Dから出力された作動油によって作動する。
走行油路45a~45dは、第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45d、及び第5走行油路45eを有している。第1走行油路45aは、左走行ポンプ53Lの受圧部(第1受圧部)53aに接続されている。走行操作部材59を操作したときに、第1走行油路45aは、左走行ポンプ53Lの受圧部53aに作用する作動油を通過させる。第2走行油路45bは、左走行ポンプ53Lの受圧部(第2受圧部)53bに接続されている。走行操作部材59を操作したときに、第2走行油路45bは、受圧部53bに作用する作動油を通過させる。
第3走行油路45cは、右走行ポンプ53Rの受圧部(第3受圧部)53aに接続されている。走行操作部材59を操作したときに、第3走行油路45cは、右走行ポンプ53Rの受圧部53aに作用する作動油を通過させる。第4走行油路45dは、右走行ポンプ53Rの受圧部(第4受圧部)53bに接続されている。走行操作部材59を操作したときに、第4走行油路45dは、右走行ポンプ53Rの受圧部53bに作用する作動油を通過させる。第5走行油路45eは、各操作弁55A~55Dと各走行油路45a~45dとを接続している。
図2は、走行操作部材59の操作方向を示す図である。
走行操作部材59を前方(図1、図2では矢印A1方向)に揺動させると、操作弁55Aが操作されて、当該操作弁55Aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、第1走行油路45aを介して左走行ポンプ53Lの受圧部53aに作用すると共に、第3走行油路45cを介して右走行ポンプ53Rの受圧部53aに作用する。これにより、走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度が変更されて、走行モータ36L、36Rが正転(前進回転)駆動し、作業機1が前方に直進(前進走行)する。
また、走行操作部材59を後方(図1、図2では矢示A2方向)に揺動させると、操作弁55Bが操作されて、当該操作弁55Bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、第2走行油路45bを介して左走行ポンプ53Lの受圧部53bに作用すると共に、第4走行油路45dを介して右走行ポンプ53Rの受圧部53bに作用する。これにより、走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度が変更されて、走行モータ36L、36Rが逆転(後進回転)駆動し、作業機1が後方に直進(後進走行)する。
また、走行操作部材59を右方(図1、図2では矢示A3方向)に揺動させると、操作弁55Cが操作されて、当該操作弁55Cからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、第1走行油路45aを介して左走行ポンプ53Lの受圧部53aに作用すると共に、第4走行油路45dを介して右走行ポンプ53Rの受圧部53bに作用する。これにより、走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度が変更されて、左走行モータ36Lが正転駆動し、右走行モータ36Rが逆転駆動し、作業機1が右方にスピンターン(超信地旋回)する。
また、走行操作部材59を左方(図1、図2では矢示A4方向)に揺動させると、操作弁55Dが操作されて、当該操作弁55Dからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は第3走行油路45cを介して右走行ポンプ53Rの受圧部53aに作用すると共に、第2走行油路45bを介して左走行ポンプ53Lの受圧部53bに作用する。これにより、走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度が変更されて、左走行モータ36Lが逆転駆動し、右走行モータ36Rが正転駆動し、作業機1が左方にスピンターン(超信地旋回)する。
走行操作部材59は、右前斜め方向、左前斜め方向、右後ろ斜め方向、及び左後ろ斜め方向のうちのいずれかの斜め方向にも、揺動操作可能になっている。走行操作部材59を斜め方向(図2では矢示A5方向のいずれか)に揺動させると、受圧部53aと受圧部53bとに作用するパイロット圧の差圧によって、走行モータ36L、36Rの回転方向と回転数とが定まり、作業機1が前進又は後進しながら右方又は左方へ信地旋回する。
即ち、走行操作部材59を左斜め前方に揺動操作すると、当該走行操作部材59の揺動角度に対応した速度で、作業機1が前進しながら左方へ信地旋回する。また、走行操作部材59を右斜め前方に揺動操作すると、当該走行操作部材59の揺動角度に対応した速度で、作業機1が前進しながら右方へ信地旋回する。また、走行操作部材59を左斜め後方に揺動操作すると、当該走行操作部材59の揺動角度に対応した速度で、作業機1が後進しながら左方へ信地旋回する。さらに、走行操作部材59を右斜め後方に揺動操作すると、当該走行操作部材59の揺動角度に対応した速度で、作業機1が後進しながら右方へ信地旋回する。
走行油路45a~45dには、第2圧力検出装置83a~83dがそれぞれ接続されている。詳しくは、圧力検出装置83aは、前進操作弁55A又は右旋回操作弁55Cから左走行ポンプ53Lの受圧部53aに作動油を供給する第1走行油路45aに接続されている。圧力検出装置83aは、第1走行油路45aを流れるパイロット油の圧力である第1操作圧を検出する。圧力検出装置83cは、前進操作弁55A又は左旋回操作弁55Dから右走行ポンプ53Rの受圧部53aに作動油を供給するための第3走行油路45cに接続されている。圧力検出装置83cは、第3走行油路45cを流れるパイロット油の圧力である第3操作圧を検出する。
圧力検出装置83dは、後進操作弁55B又は右旋回操作弁55Cから右走行ポンプ53Rの受圧部53bに作動油を供給するための第4走行油路45dに接続されている。圧力検出装置83dは、第4走行油路45dを流れるパイロット油の圧力である第4操作圧を検出する。圧力検出装置83bは、後進操作弁55B又は左旋回操作弁55Dから左走行ポンプ53Lの受圧部53bに作動油を供給するための第2走行油路45bに接続されている。圧力検出装置83bは、第2走行油路45bを流れるパイロット油の圧力である第2操作圧を検出する。
走行油路45a~45dの圧力検出装置83a~83dより下流側には、絞り部84a~84dがそれぞれ設けられている。詳しくは、絞り部84aは、第1走行油路45aにおける圧力検出装置83aの接続点より下流側(左走行ポンプ53L側)に設けられている。絞り部84bは、第2走行油路45bにおける圧力検出装置83bの接続点より下流側(右走行ポンプ53R側)に設けられている。絞り部84cは、第3走行油路45cにおける圧力検出装置83cの接続点より下流側(右走行ポンプ53R側)に設けられている。絞り部84dは、第4走行油路45dにおける圧力検出装置83dの接続点より下流側(左走行ポンプ53L側)に設けられている。言い換えれば、圧力検出装置83a~83dは、絞り部84a~84dの上流側(操作弁55A~55D側)に位置している。
図1に示すように、作業機1は制御装置60を備えている。制御装置60は、CPU、MPU、及びメモリなどの半導体と、電気電子回路などから構成されている。制御装置60は、作業機1の様々な制御を行うECUである。制御装置60には、アクセル部材65、モードスイッチ66、速度切換スイッチ67、及び回転数検出装置68a、68b、68cが接続されている。アクセル部材65、モードスイッチ66、速度切換スイッチ67、及び前述した走行操作部材59などの操作部材は、運転席8に着座した運転者(オペレータ)が操作可能な位置に設置されている。
アクセル部材65は、レバー型、ペダル型、ダイヤル型、又はスライド型の操作部材であって、原動機32の目標回転数を設定するために操作される。モードスイッチ66は、走行モータ36L、36Rの回転数を第2速度段から第1速度段に自動的に減速する自動減速を、有効又は無効に切り換えるためのスイッチである。モードスイッチ66がオン操作されると、自動減速が制御装置60によって有効に切り換えられる。モードスイッチ66がオフ操作されると、自動減速が制御装置60によって無効に切り換えられる。
速度切換スイッチ67は、走行モータ36L、36Rの回転数を第1速度段と第2速度段のいずれかに手動で切り換えるためのスイッチである。速度切換スイッチ67は、例えばシーソスイッチから成る。走行モータ36L、36Rの回転数を第1速度段から第2速度段に切り換える増速操作と、第2速度段から第1速度段に切り換える減速操作とを、速度切換スイッチ67により行うことが可能である。
回転数検出装置68a、68b、68cはそれぞれ回転数を検出するセンサなどから成る。そのうち、第1回転数検出装置68a、68bは、走行モータ36L、36Rの実際の回転数を検出する。詳しくは、第1回転数検出装置68aは、左走行モータ36Lの実際の回転数を所定の周期で検出する。第1回転数検出装置68bは、右走行モータ36Rの実際の回転数を所定の周期で検出する。
制御装置60は、第1回転数検出装置68a、68bにより所定の周期で検出された走行モータ36L、36の回転数を、CPUに設けられたバッファに記憶させることにより、2以上の所定数だけ保持可能である。
図3Aは、制御装置60が保持可能な左走行モータ36Lの回転数のデータDLを示す図である。図3Bは、制御装置60が保持可能な右走行モータ36Rの回転数のデータDRを示す図である。第1回転数検出装置68a、68bは、走行モータ36L、36の回転数を所定の周期T1(図3に示す例では50msec)で検出して、当該回転数を示すデータDL、DRを所定の周期T1で制御装置60に入力する。
制御装置60のバッファには、図3Aに示すように、左走行モータ36Lの回転数のデータDLを、新しいデータDLから古いデータDLの順(DL(n)、DL(n-1)、・・・、DL(n-9)の順)で2以上の所定数(図3Aに示す例では10個)記憶可能である。また、制御装置60のバッファには、図3Bに示すように、且つ右走行モータ36Rの回転数のデータDRを、新しいデータDRから古いデータDRの順(DR(n)、DR(n-1)、・・・、DR(n-9)の順)で2以上の所定数(図3Bに示す例では10個)記憶可能である。即ち、制御装置60は、左走行モータ36Lの複数の回転数と、右走行モータ36Rの複数の回転数とを、バッファにより別々に保持可能である。
第1回転数検出装置68aにより左走行モータ36Lの新しい回転数が検出されて、当該回転数のデータDL(new)が入力されると、制御装置60は、図3Aに示すようにバッファに記憶している左走行モータ36Lの複数の回転数のデータDL(n)、DL(n-1)、・・・、DL(n-9)のうち、最古の回転数のデータDL(n-9)に、左走行モータ36Lの新しい回転数のデータDL(new)を上書きする。また、第1回転数検出装置68bにより右走行モータ36Rの新しい回転数が検出されて、当該回転数のデータDR(new)が入力されると、制御装置60は、図3Bに示すようにバッファに記憶している右走行モータ36Rの複数の回転数のデータDR(n)、DR(n-1)、・・・、DR(n-9)のうち、最古の回転数のデータDR(n-9)に、右走行モータ36Rの新しい回転数のデータDR(new)を上書きする。
即ち、制御装置60は、第1回転数検出装置68a、68bにより走行モータ36L、36Rの新しい回転数がそれぞれ検出されると、バッファにより保持している走行モータ36L、36Rの複数の回転数のうちの最古の回転数に代えて、走行モータ36L、36Rの新しい回転数をバッファにより保持する。
なお、走行モータ36L、36Rが正転駆動しているときの回転数と、走行モータ36L、36Rが逆転駆動しているときの回転数とのうち、一方の回転数を正の値(+値)にし、他方の回転数を負の値(-値)にしている場合は、制御装置60が、当該回転数の絶対値をバッファにより保持する。
また、制御装置60は、バッファに保持(記憶)している左走行モータ36Lの複数の回転数のデータに基づいて、当該複数の回転数の平均値を算出して、当該平均値のデータをバッファに記憶する。また、制御装置60は、バッファに保持している右走行モータ36Rの複数の回転数のデータに基づいて、当該複数の回転数の平均値を算出して、当該平均値のデータをバッファに記憶する。
走行モータ36L、36Rの回転数の平均値のデータもそれぞれ、2以上の所定数(本例では10個ずつ)だけバッファに記憶可能である。このため、制御装置60は、左走行モータ36Lの新しい回転数の平均値を算出すると、バッファに保持している左走行モータ36Lの複数の回転数の平均値のデータのうちの最古の回転数の平均値のデータに、左走行モータ36Lの新しい回転数の平均値のデータを上書きする。また、制御装置60は、右走行モータ36Rの新しい回転数の平均値を算出すると、バッファに保持している右走行モータ36Rの複数の回転数の平均値のデータのうちの最古の回転数の平均値のデータに、右走行モータ36Rの新しい回転数の平均値のデータを上書きする。
即ち、制御装置60は、バッファに保持している走行モータ36L、36Rの回転数の平均値をそれぞれ算出すると、バッファに保持している走行モータ36L、36Rの複数の平均値のうちの最古の平均値に代えて、走行モータ36L、36Rの新しい平均値を保持する。
第2回転数検出装置68c(図1)は、原動機32の実際の回転数を所定の周期で検出する。制御装置60は、第2回転数検出装置68cにより検出された原動機32の実際の回転数が、アクセル部材65により設定された目標回転数と一致するように、原動機32の駆動を制御する。
制御装置60は自動減速部61を備えている。自動減速部61は、例えば制御装置60に設けられた電気電子回路、又は制御装置60に格納されたソフトウェアプログラムなどから成る。作業機1が走行装置5R、5Lにより走行する走行モードにあり且つ自動減速が有効であるときに、自動減速部61は自動減速制御を行う。また、作業機1が走行モードにあり且つ自動減速が無効であるときに、自動減速部61は自動減速制御を行わない(自動減速制御停止)。さらに、作業機1が後述の取得モードにあるときにも、自動減速部61は自動減速制御を行わない。
自動減速制御では、走行モータ36L、36Rの回転数が第2速度段であるときに、所定の自動減速条件が満たされると、制御装置60が、走行モータ36L、36Rの回転数を第2速度段から第1速度段に自動的に減速する(切り換える)。具体的には、制御装置60は、第2切換弁72のソレノイドを消磁して、第2切換弁72を第2位置72bから第1位置72aに切り換えることで、走行モータ36L、36Rの回転数を第2速度段から第1速度段に減速する。つまり、制御装置60は、自動減速を行う際は、左走行モータ36Lと右走行モータ36Rの両方の回転数を、第2速度段から第1速度段に減速する。
なお、上記のように走行モータ36L、36Rの回転数の自動減速が行われた後、所定の復帰条件が満たされると、自動減速部61は、第2切換弁72のソレノイドを励磁して、第2切換弁72を第1位置72aから第2位置72bに切り換えることで、走行モータ36L、36Rの回転数を第1速度段から第2速度段に増速(復帰)させる。即ち、走行モータ36L、36Rの回転数を高速な第2速度段に復帰させる。つまり、第2速度段への復帰の際は、左走行モータ36Lと右走行モータ36Rの両方の回転数を、第1速度段から第2速度段に増速する。
上記の復帰条件として、例えば、走行モータ36L、36Rの回転数が作業機1の走行速度の増速に相当する増速傾向にあること、走行モータ36L、36Rの回転数が増速傾向にあって当該回転数の変化量が所定値以上であること、走行圧LF、LB、RF、RB若しくは走行圧LF、LB、RF、RBに基づいて算出した有効走行圧a~d(後述する式(5)参照)が復帰閾値以下であること、のうちの少なくともいずれか1つを採用してもよい。即ち、走行モータ36L、36Rの回転数及び走行圧LF、LB、RF、RBのような、作業機1の走行状態に応じて変化する物理量の変化の傾向又は度合いに基づいて、復帰閾値を設定してもよい。なお、当該物理量は、回転数検出装置、圧力検出装置、角度センサ、流量検出装置、速度センサ、加速度センサ、又はGPSなどを用いて検出可能である。また、復帰閾値は、減速閾値より小さい値に設定される。
自動減速が無効であるときに、制御装置60は、速度切換スイッチ67の操作に応じて、走行モータ36L、36Rの回転数を第1速度段と第2速度段のうちのいずれかに切り換える手動切換制御を行う。具体的には、速度切換スイッチ67が減速操作されると、制御装置60は、第2切換弁72のソレノイドを消磁して、第2切換弁72を第2位置72bから第1位置72aに切り換えることで、走行モータ36L、36Rの回転数を第2速度段から第1速度段に減速する。また、速度切換スイッチ67が増速操作されると、制御装置60は、第2切換弁72のソレノイドを励磁して、第2切換弁72を第1位置72aから第2位置72bに切り換えることで、走行モータ36L、36Rの回転数を第1速度段から第2速度段に増速する。なお、自動減速の有効と無効とに関わらず、制御装置60
が速度切換スイッチ67の操作に応じて、走行モータ36L、36Rの回転数を第1速度段と第2速度段のいずれかに切り換えるようにしてもよい。
制御装置60には、測定装置69が接続されている。測定装置69は、圧力センサなどから成る。測定装置69は、リリーフ弁81a~81dにそれぞれ作用する作動油の圧力である走行リリーフ圧w1~w4を測定する。なお、走行リリーフ圧w1~w4とは、リリーフ弁81a~81dが作動し始めたときに当該リリーフ弁81a~81dに作用していた作動油の圧力、又はリリーフ弁81a~81dが作動して循環油路57h、57iに作用する作動油の圧力が安定したときの当該作動油の圧力などである。
例えば、作業機1において所定の操作が行われると、制御装置60は、各リリーフ弁81a~81dの有効リリーフ圧u1~u4を取得する取得モードに移行する。このときの所定の操作には、取得モードの選択操作と、リリーフ弁81a~81dにリリーフ圧を作用させるための走行操作部材59の前方又は後方への最大限の揺動操作とが含まれている。
取得モードにおいて、制御装置60は、原動機32の回転数を所定回数変更し、各回転数のときに、リリーフ弁81a~81dに作用する走行リリーフ圧w1~w4を測定装置69により測定し、循環油路57h、57iに作用する走行圧LF、LB、RF、RBを圧力検出装置80a~80dにより検出して、走行リリーフ圧w1~w4と走行圧LF、LB、RF、RBとに基づいて、有効リリーフ圧u1~u4を取得する。
詳しくは、制御装置60は、原動機32の駆動を制御して、第2回転数検出装置68cにより検出された原動機32の実際の回転数が所定の回転数(0より大きい所定値)になると、左走行ポンプ53Lの第1ポート82a側にある第1リリーフ弁81aに作用する第1走行リリーフ圧w1を測定装置69により測定し、当該測定時に、左走行モータ36Lの第2ポートP12側に作用する第2走行圧LBを圧力検出装置80bにより検出する。また、制御装置60は、左走行ポンプ53Lの第2ポート82b側にある第2リリーフ弁81bに作用する第2走行リリーフ圧w2を測定装置69により測定し、当該測定時に、左走行モータ36Lの第1ポートP11側に作用する第1走行圧LFを圧力検出装置80aにより検出する。
また、制御装置60は、右走行ポンプ53Rの第3ポート82c側にある第3リリーフ弁81cに作用する第3走行リリーフ圧w3を測定装置69により測定し、当該測定時に、右走行モータ36Rの第4ポートP14側に作用する第4走行圧RBを圧力検出装置80dにより検出する。さらに、制御装置60は、右走行ポンプ53Rの第4ポート82d側にある第4リリーフ弁81dに作用する4走行リリーフ圧w4を測定装置69により測定し、当該測定時に、右走行モータ36Rの第3ポートP13側に作用する第3走行圧RFを圧力検出装置80cにより検出する。
そして、制御装置60は、上記のように測定又は検出した走行リリーフ圧w1~w4と、走行圧LF、LB、RF、RBと、下記の式(1)とに基づいて、有効リリーフ圧u1~u4を算出する。
Figure 2023025935000002
即ち、制御装置60は、式(1)に示すように、第1走行リリーフ圧w1から、当該第1走行リリーフ圧w1の測定時の第2走行圧を減算することにより、第1有効リリーフ圧u1を求める。また、制御装置60は、第2走行リリーフ圧w2から、当該第2走行リリーフ圧w2の測定時の第1走行圧を減算することにより、第2有効リリーフ圧u2を求める。また、制御装置60は、第3走行リリーフ圧w3から、当該第3走行リリーフ圧w3の測定時の第4走行圧を減算することにより、第3有効リリーフ圧u3を求める。さらに、制御装置60は、第4走行リリーフ圧w4から、当該第4走行リリーフ圧w4の測定時の第3走行圧を減算することにより、第4有効リリーフ圧u4を求める。
なお、式(1)において、走行リリーフ圧w1~w4及び有効リリーフ圧u1~u4の直後に付している表記(rpm)は、走行リリーフ圧w1~w4及び有効リリーフ圧u1~u4の単位(圧力の単位は[MPa])ではなく、走行リリーフ圧w1~w4及び有効リリーフ圧u1~u4が走行モータ36L、36R又は原動機32の回転数(回転数の単位は[rpm])の変化に応じた変数であることを示している。また、走行圧LF、LB、RF、RBの直後に付している表記(t,rpm)は、走行圧LF、LB、RF、RBの単位ではなく、走行圧LF、LB、RF、RBが時間[t]と走行モータ36L、36R又は原動機32の回転数(回転数の単位は[rpm])の変化に応じた変数であることを示している。後述する式(2)~(6)に示す係数、閾値、及び圧力の直後に付している表記(rpm)、(t,rpm)も同様である。
有効リリーフ圧u1~u4を取得すると、制御装置60は、当該有効リリーフ圧u1~u4を原動機32の所定の回転数と関連付けて、内部に有するメモリ(不揮発性のメモリなど、以下「内部メモリ」という。)に記憶させる。
制御装置60は、上記のような原動機32の回転数に対応した有効リリーフ圧u1~u4を取得する動作を所定回数繰り返し実行した後、内部メモリの記憶内容に基づいて、原動機32の回転数と有効リリーフ圧u1~u4との相関関係を表す制御データを導出する。
図4は、原動機32の回転数と有効リリーフ圧u1~u4との相関関係の一例をグラフで示す図である。制御装置60は、例えば図4に示すような、原動機32の回転数と有効リリーフ圧u1~u4との相関関係を表す制御データL1を導出すると、当該制御データを内部メモリに記憶させて、取得モードを終了する。制御データL1では、原動機32の回転数が大きくなるに連れて、有効リリーフ圧u1~u4が大きくなっている。なお、原動機32の回転数と有効リリーフ圧u1~u4との相関関係は、図4に示すような制御データL1に限定するものではない。
図5A及び図5Bは、第1実施形態の直進走行時の自動減速判定処理を示すフローチャートである。本自動減速判定処理は、作業機1が通常モードにあるときに、制御装置60により所定の周期で繰り返し実行される。
例えば制御装置60は、第1回転数検出装置68a、68bにより検出された走行モータ36L、36Rの回転方向と回転数などに基づいて、作業機1(機体2及び走行装置5L、5R)が前方又は後方に直進走行していることを確認する(S1)。
また、制御装置60は、走行切換弁34(第2切換弁72)の切り換え位置、又は第1回転数検出装置68a、68bにより検出された走行モータ36L、36の回転数などに基づいて、走行モータ36L、36の回転数が第2速度段にあることを確認する(S2)。
また、制御装置60は、モードスイッチ66の操作状態に基づいて、自動減速が有効に設定されていることを確認する(S3)。
そして、制御装置60は、第2圧力検出装置83a~83dにより検出された第1~4走行油路45a~45dの第1~4操作圧に基づいて、走行操作部材59の操作状態を判断する(S4)。例えば、第2圧力検出装置83a~83dにより検出された第1~4走行油路45a~45dの第1~4操作圧のいずれかが所定値未満であれば、制御装置60は、走行操作部材59が中立状態にあると判断する。
また、第1走行油路45aの第1操作圧及び第3走行油路45cの第3操作圧が所定値以上であって、第2走行油路45bの第2操作圧及び第4走行油路45dの第4操作圧より高ければ、制御装置60は、走行操作部材59が前方へ揺動操作(前進操作)されたと判断する。また、第2走行油路45bの第2操作圧及び第4走行油路45dの第4操作圧が所定値以上であって、第1走行油路45aの第1操作圧及び第3走行油路45cの第3操作圧より高ければ、制御装置60は、走行操作部材59が後方へ揺動操作(後進操作)
されたと判断する。
また、第1走行油路45aの第1操作圧及び第4走行油路45dの第4操作圧が所定値以上であって、第2走行油路45bの第2操作圧及び第3走行油路45cの第3操作圧より高ければ、制御装置60は、走行操作部材59が右方へ揺動操作(右旋回操作)されたと判断する。また、第2走行油路45bの第2操作圧及び第3走行油路45cの第3操作圧が所定値以上であって、第1走行油路45aの第1操作圧及び第4走行油路45dの第4操作圧より高ければ、制御装置60は、走行操作部材59が左方へ揺動操作(左旋回操作)されたと判断する。
上述した走行操作部材59の操作状態の判断方法は一例であって、これに限定するものではない。
制御装置60は、走行操作部材59が中立状態にあると判断したり、走行操作部材59が左方又は右方に揺動操作されたと判断したりすると(S5:No)、自動減速を禁止し(S6)、自動減速判定処理を終了する。例えば制御装置60は、内部メモリの所定領域に設けられた自動減速禁止フラグをオンすることによって、自動減速を禁止する。これにより、作業機1の直進走行時の自動減速が実行されなくなる。しばらくすると、制御装置60は自動減速判定処理を再度開始する。
また、制御装置60は、走行操作部材59が前方又は後方に揺動操作されたと判断すると(S5:Yes)、当該操作方向が作業機1の直進走行方向に対して逆方向であるか否かを確認する。このとき、走行操作部材59の操作方向(前方又は後方)が作業機1の直進走行方向に対して逆方向であれば(S7:Yes)、制御装置60は自動減速を禁止し(S6)、自動減速判定処理を終了する。
また、走行操作部材59の操作方向が前方又は後方であって(S5:Yes)、作業機1の直進走行方向に対して逆方向でなければ(S7:No)、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量をそれぞれ算出する(S8)。このとき、例えば制御装置60は、バッファにより保持している左走行モータ36Lの回転数の複数の平均値のうち、最新の平均値と最古の平均値との差分(=最新の平均値-最古の平均値)を、左走行モータ36Lの回転数の変化量として算出する。また、制御装置60は、バッファにより保持している右走行モータ36Rの回転数の複数の平均値のうち、最新の平均値と最古の平均値との差分(=最新の平均値-最古の平均値)を、右走行モータ36Rの回転数の変化量として算出する。
また、他の例として、制御装置60は、バッファにより保持している左走行モータ36Lの複数の回転数のうち、最新の回転数と最古の回転数との差分(=最新の回転数-最古の回転数)を、左走行モータ36Lの回転数の変化量として算出してもよい。また、制御装置60は、当該左走行モータ36Lの回転数の変化量と同様に、右走行モータ36Rの回転数の変化量を算出してもよい。
また、他の例として、制御装置60は、バッファにより保持している左走行モータ36Lの複数の回転数のうち、最大の回転数と最小の回転数とを除いて、その他の回転数の平均値を左走行モータ36Lの回転数の変化量としてもよいし、又はその他の回転数のうちの最新の回転数と最古の回転数との差分を、左走行モータ36Lの回転数の変化量としてもよい。また、制御装置60は、当該左走行モータ36Lの回転数の変化量と同様に、右走行モータ36Rの回転数の変化量を算出してもよい。
走行操作部材59が中立状態から前方又は後方に揺動操作された直後に、走行モータ36L、36Rの回転数が一時的に小さくなったり、第1~4走行圧LF、LB、RF、RBが一時的に大きくなったりする。このように一時的に変動した走行モータ36L、36Rの回転数又は第1~4走行圧LF、LB、RF、RBが安定するのを待つために、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量に基づいて待機時間を設定する(S9)。この待機時間には、0以上の時間が設定される。
図6は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量と待機時間との相関関係の一例をグラフで示す図である。図6に示す、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量と待機時間との相関関係を表す制御データL2は、予め設計、実験、又はシミュレーションなど
により取得されて、制御装置60の内部メモリに記憶されている。制御データL2では、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が大きくなるに連れて、待機時間が長くなっている。より詳しくは、制御データL2では、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が正の値であれば、当該変化量の絶対値が大きくなるに連れて、待機時間が長くなっていて、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が負の値であれば、当該変化量の絶対値が大きくなるに連れて、待機時間が短くなっている。
例えば制御装置60は、図6の制御データL2に基づいて、左走行モータ36Lの回転数の変化量に応じた待機時間を求め、右走行モータ36Rの回転数の変化量に応じた待機時間を求める。そして、制御装置60は、当該2つの待機時間のうち、長い方又は短い方のいずれかの待機時間を採用する。或いは、制御装置60は、図6の制御データL2に基づいて設定した左走行モータ36Lの回転数の変化量に応じた待機時間と、右走行モータ36Rの回転数の変化量に応じた待機時間との平均値を算出し、当該平均値を待機時間として採用する。なお、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量と待機時間との相関関係は、図6に示すような制御データL2に限定するものではない。
他の例として、制御装置60は、バッファにより保持している走行モータ36L、36Rの最新の回転数(現在値)に基づいて、待機時間を設定してもよい。或いは、制御装置60は、バッファにより保持している走行モータ36L、36Rの回転数の平均値のうち、最新又は最大の平均値に基づいて、待機時間を設定してもよい。
待機時間を設定すると、制御装置60は、内部メモリ(揮発性のメモリなど)によって計時し、待機時間が経過すると(図5AのS10:Yes)、第2回転数検出装置68cにより検出された原動機32の現在の回転数に基づいて、走行モータ36L、36Rの回転数の変化の度合いを判断するための判断基準値を設定する(S11)。この判断基準値には、0以上の回転数が設定される。
図7は、原動機32の回転数と判断基準値との相関関係の一例をグラフで示す図である。図7に示す原動機32の回転数と判断基準値との相関関係を表す制御データL3は、予め設計、実験、又はシミュレーションなどにより取得されて、制御装置60の内部メモリに記憶されている。制御データL3では、原動機32の回転数が大きくなるに連れて、判断基準値が大きくなっている。制御装置60は、図7の制御データL3に基づいて、第2回転数検出装置68cにより検出された原動機32の現在の回転数に応じた判断基準値を設定する(図5AのS10)。なお、原動機32の回転数と判断基準値との相関関係は、図7示すような制御データL3に限定するものではない。
作業機1の走行速度及び走行モータ36L、36Rの回転数は、原動機32の回転数以外に、走行操作装置54から出力されるパイロット圧である第1~4操作圧と、走行装置5L、5Rにかかる走行負荷(第1~4リリーフ弁81a~81dからの作動油の排出流量)によっても変化する。このため、他の例として、制御装置60は、第2圧力検出装置83a~83dにより検出された第1~4操作圧に基づいて、判断基準値を設定してもよい。或いは、制御装置60は、測定装置69により第1~4リリーフ弁81a~81dの第1~第4走行リリーフ圧w1~w4を測定し、当該第1~第4走行リリーフ圧w1~w4に基づいて第1~4リリーフ弁81a~81dからの作動油の排出流量を算出し、当該排出流量に基づいて判断基準値を設定してもよい。
判断基準値を設定すると、例えば制御装置60は、バッファにより保持している左走行モータ36Lの回転数の平均値のうち、最新の平均値と判断基準値とを比較する。また、制御装置60は、バッファにより保持している右走行モータ36Rの回転数の平均値のうち、最新の平均値と判断基準値とを比較する。そして、走行モータ36L、36Rの回転数の最新の平均値のうち、少なくとも一方の平均値が判断基準値より大きければ(図4のS12:Yes)、制御装置60は、当該平均値に対応する走行モータ36L、36Rの回転数の変化の度合いが大きいと判断し(S13)、自動減速制御を禁止し(S6)、自動減速判定処理を終了する。
対して、走行モータ36L、36Rの回転数の最新の平均値のうちのいずれもが判断基準値以下であれば(S12:No)、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転
数の変化の度合いが小さいと判断し(S14)、自動減速を許可する(図5BのS15)。このとき、例えば制御装置60は自動減速禁止フラグをオフする。
他の例として、制御装置60は、バッファにより保持している走行モータ36L、36Rの複数の平均値のうち、最新の平均値と最古の平均値との差分である走行モータ36L、36Rの回転数の変化量を、対応する判断基準値と比較して、当該比較結果に基づいて走行モータ36L、36Rの回転数の変化の度合いの大小を判断してもよい。
また、他の例として、制御装置60は、バッファにより保持している走行モータ36L、36Rの回転数の他の変化量(走行モータ36L、36Rの最新の回転数と最古の回転数との差分、最大の回転数と最小の回転数とを除いたその他の回転数のうちの最新の回転数と最古の回転数との差分など)を、対応する判断基準値と比較して、当該比較結果に基づいて走行モータ36L、36Rの回転数の変化の度合いの大小を判断してもよい。
また、他の例として、制御装置60は、バッファにより保持している走行モータ36L、36Rの最新の回転数若しくはその他の回転数を、対応する判断基準値と比較して、当該比較結果に基づいて走行モータ36L、36Rの回転数の変化の度合いの大小を判断してもよい。
次に、制御装置60は、第2回転数検出装置68cにより検出された原動機32の現在の回転数に基づいて、基本係数(第1係数)η5a~η5dを設定する(S16)。下記の式(2)に示すように、基本係数η5a~η5dには、第1基本係数η5a、第2基本係数η5b、第3基本係数η5c、及び第4基本係数η5dが含まれている。
Figure 2023025935000003
図8は、原動機32の回転数と基本係数η5a~η5dとの相関関係の一例をグラフで示す図である。図8に示す原動機32の回転数と基本係数η5a~η5dとの相関関係を表す制御データL4は、予め設計、実験、又はシミュレーションなどにより取得されて、制御装置60の内部メモリに記憶されている。制御データL4では、原動機32の回転数が大きくなるに連れて、基本係数η5a~η5dが大きくなっている。また、基本係数η5a~η5dには、0より大きくて1より小さい数値が設定される。
制御装置60は、右走行モータ36Rの正転時(作業機1の前進に対応する方向への回転駆動時)に、図8の制御データL4に基づいて、第2回転数検出装置68cにより検出された原動機32の現在の回転数に応じた第1基本係数η5aを設定する。また、制御装置60は、左走行モータ36Lの正転時に、制御データL3に基づいて、原動機32の現在の回転数に応じた第2基本係数η5bを設定する。また、制御装置60は、右走行モータ36Rの逆転時(作業機1の後進に対応する方向への回転駆動時)に、制御データL3に基づいて、原動機32の現在の回転数に応じた第3基本係数η5cを設定する。さらに、制御装置60は、左走行モータ36Lの逆転時に、制御データL3に基づいて、原動機32の現在の回転数に応じた第4基本係数η5dを設定する。なお、原動機32の回転数と基本係数η5a~η5dとの相関関係は、図8示すような制御データL4に限定するものではない。
また、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量に基づいて、走行モータ36L、36Rの回転数の変化の傾向をそれぞれ判断し、補助係数(第2係数)η6a~η6dを設定する(S17)。このとき、例えば制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が正の値(+値)であれば、走行モータ36L、36Rの回転数が増速(加速)傾向にあると判断する。また、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が負の値(-値)であれば、走行モータ36L、36Rの回転数
が減速傾向にあると判断する。また、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が0値であれば、走行モータ36L、36Rの回転数が一定であると判断する。
このような走行モータ36L、36Rの回転数の変化の傾向と、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量とに基づいて、制御装置60は、補助係数η6a~η6dを設定する。下記の式(3)に示すように、補助係数η6a~η6dには、第1補助係数η6a、第2補助係数η6b、第3補助係数η6c、及び第4補助係数η6dが含まれている。
Figure 2023025935000004
図9は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量と補助係数η6a~η6dとの相関関係の一例をグラフで示す図である。図9に示す走行モータ36L、36Rの回転数の変化量と補助係数η6a~η6dとの相関関係を表す制御データL5は、予め設計、実験、又はシミュレーションなどにより取得されて、制御装置60の内部メモリに記憶されている。制御データL5では、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量(=バッファにより保持している回転数の最新の平均値-最古の平均値)が0以下の負の値(-値)であって、走行モータ36L、36Rの回転数が減速傾向又は等速度状態にあるときは、補助係数η6a~η6dは「1.0」である。また、制御データL5では、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が0より大きい正の値(+値)であって、走行モータ36L、36Rの回転数が増速傾向にあるときは、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が大きくなるに連れて、補助係数η6a~η6dが大きくなる(η6a~η6d>1.0)。
制御装置60は、右走行モータ36Rの正転時に、制御データL4に基づいて、走行モータ36L、36Rの回転数の変化の傾向及び回転数の変化量に応じた第1補助係数η6aを設定する。また、制御装置60は、左走行モータ36Lの正転時に、制御データL4に基づいて、走行モータ36L、36Rの回転数の変化の傾向及び回転数の変化量に応じた第2補助係数η6bを設定する。また、制御装置60は、右走行モータ36Rの逆転時に、制御データL4に基づいて、走行モータ36L、36Rの回転数の変化の傾向及び回転数の変化量に応じた第3補助係数η6cを設定する。さらに、制御装置60は、左走行モータ36Lの逆転時に、制御データL4に基づいて、走行モータ36L、36Rの回転数の変化の傾向及び回転数の変化量に応じた第1補助係数η6aを設定する。なお、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量と補助係数η6a~η6dとの相関関係は、図9に示すような制御データL5に限定するものではない。
また、制御装置60は、第2回転数検出装置68cにより検出された原動機32の回転数と、図4に示した制御データL1とに基づいて、当該原動機32の回転数に対応する第1~4リリーフ弁81a~81dの有効リリーフ圧u1~u4を算出する(図5BのS18)。そして、制御装置60は、有効リリーフ圧u1~u4、基本係数η5a~η5d、補助係数η6a~η6d、及び下記の式(4)に基づいて、直進走行時の減速閾値STを算出する(S19)。
Figure 2023025935000005
詳しくは、制御装置60は、有効リリーフ圧u1~u4に基本係数η5a~η5dと補助係数η6a~η6dとを乗算して、直進走行時の減速閾値STを算出する。基本係数η5a~η5dは0より大きくて、1より小さい値であるため、有効リリーフ圧u1~u4に基本係数η5a~η5dを乗算することで、減速閾値STは小さくなる。即ち、基本係数η5a~η5dは、直進走行時の自動減速を実行し易くする係数である。補助係数η6a~η6dは1以上の値であるため、有効リリーフ圧u1~u4に補助係数η6a~η6dを乗算することで、減速閾値STは大きくなる。即ち、補助係数η6a~η6dは、直進走行時の自動減速を実行し難くする係数である。
上述したように、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数が増速傾向にあるときに、当該回転数の変化量(走行モータ36L、36Rの回転数の変化の度合い)が大きくなるに連れて、補助係数η6a~η6dを1以上で大きく設定することにより、減速閾値STも大きく設定して、自動減速を作動し難く抑制する。また、制御装置60は、原動機32の回転数が大きくなるに連れて、基本係数η5a~η5dを0~1の範囲で大きく設定することにより、減速閾値STも大きく設定して、自動減速を作動し難く抑制するが、当該抑制度合いは、上述した補助係数η6a~η6dによる抑制度合いより小さい。
次に、制御装置60は、第1圧力検出装置80a~80dにより第1~4走行圧LF、LB、RF、RBを検出し(S20)、当該第1~4走行圧LF、LB、RF、RBに基づいて有効走行圧a~dを算出する(S21)。このとき、制御装置60は、走行圧LF、LB、RF、RBと、下記の式(5)とに基づいて、有効走行圧a~dを算出する。
Figure 2023025935000006
詳しくは、制御装置60は、第1走行圧LFから第2走行圧LBを減算することにより、第1有効走行圧bを算出する。また、制御装置60は、第2走行圧LBから第1走行圧LFを減算することにより、第2有効走行圧dを算出する。また、制御装置60は、第3走行圧RFから第4走行圧RBを減算することにより、第3有効走行圧aを算出する。さらに、制御装置60は、第4走行圧RBから第3走行圧RFを減算することにより、第4有効走行圧cを算出する。
第3有効走行圧aは、右走行モータ36Rの正転時における有効走行圧を示している。第1有効走行圧bは、左走行モータ36Lの正転時における有効走行圧を示している。第4有効走行圧cは、右走行モータ36Rの逆転時における有効走行圧を示している。第2有効走行圧dは、左走行モータ36Lの逆転時における有効走行圧を示している。
そして、下記の式(6)に示すように、有効走行圧a~dのうちの少なくともいずれか1つが、直進走行時の減速閾値ST以上であれば(図4のS22:Yes)、制御装置60の自動減速部61が、走行モータ36L、36Rの回転数を第2速度段から第1速度段に自動的に減速する自動減速を実行する(S23)。
Figure 2023025935000007
上記のように直進走行時の自動減速を実行した後、制御装置60は自動減速判定処理を終了する。そして、制御装置60は、しばらくしてから自動減速判定処理を再度開始する。
上述した第1実施形態の自動減速判定処理では、走行モータ36L、36Rの回転数が増速傾向にあるときに、制御装置60が、補助係数η6a~η6dを1以上の値に設定して(図8)、減速閾値を高く設定(図4のS19、式(4))したが、これに代えて、例えば図5Cに示すように、自動減速を禁止してもよい。
図5Cは、第2実施形態の直進走行時の自動減速判定処理の一部を示すフローチャートである。図5Cに示す各処理は、図5Bに示した各処理に代えて、制御装置60により実行される。
第2実施形態では、制御装置60は、自動減速を許可(図5CのS15)した後、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量に基づいて、走行モータ36L、36Rの回転数の変化の傾向をそれぞれ判断する。ここで、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化が増速傾向(作業機1及び走行装置5L、5Rの増速(加速)に相当する傾向)にあると判断すると(S24:YES)、自動減速を禁止して(S25)、自動減速判定処理を終了する。
図5Bに示した第1実施形態では、制御装置60は、有効走行圧a~dが減速閾値ST以上であることを確認すると(図5BのS22:Yes)、直ぐに自動減速部61により自動減速を実行した(S23)が、これに代えて、例えば図5Cに示す第2実施形態のように、有効走行圧a~dが減速閾値ST以上になっている時間を考慮して、自動減速を実行してもよい。
詳しくは、制御装置60は、直進走行時の減速閾値STを算出した(図5CのS19)後、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量に基づいて、自動減速を実行するか否かを判定するための判定時間を設定する(S26)。
このとき、例えば制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が負の値であって、当該変化量の絶対値が所定値より大きければ、即ち走行モータ36L、36Rの回転数が急減速していれば、判定時間として所定の第1時間(固定値)を設定する。また、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が正の値であって、当が変化量の絶対値が所定値より大きければ、即ち走行モータ36L、36Rの回転数が急増速(急加速)していれば、判定時間として第1時間より速い所定の第2時間(固定値)を設定する。これら以外のときは、制御装置60は、判定時間として第1時間より速くて第2時間より短い所定の第3時間(固定値、標準時間)を設定する。
判定時間の設定後に、制御装置60は、走行圧LF、LB、RF、RBを検出し(S20)、有効走行圧a~dを算出した(S21)後、有効走行圧a~dが直進走行時の減速閾値ST以上であることを確認すると、内部メモリにより計時する。そして、有効走行圧a~dのうちの少なくともいずれか1つが減速閾値ST以上である状態が判定時間継続すると(S27:Yes)、制御装置60は、自動減速部61により自動減速を実行する(S23)。
上述した実施形態では、走行ポンプ53L、ポンプ53Rに作用するパイロット圧を、操作弁55A~55Dによって変更可能な油圧式の走行操作装置54用いたが、これに代えて、例えば図10に示すような、電気的に作動する走行操作装置54Aを用いてもよい。
図10に示す例では、走行操作装置54Aは、電磁比例弁から構成された操作弁55a、55b、55c、55dを備えている。制御装置60には、操作検出センサ161が接続されている。操作検出センサ161は、走行操作部材59Aの操作量及び操作方向を検出する。走行操作部材59Aは、左右方向(機体幅方向)又は前後方向に揺動可能である。制御装置60は、操作検出センサ161が検出した操作部材59Aの操作量及び操作方向に基づいて、操作弁55a、55b、55c、55dの作動を制御する。
制御装置60は、操作部材59Aが前方に操作されると、操作弁55a及び操作弁55
cに制御信号を出力して、走行ポンプ53L、53Rの斜板を正転(前進)の方向に揺動させる。これにより、走行ポンプ53L、53Rから吐出される作動油によって走行モータ36L、36Rが正転駆動し、走行装置5L、5Rも正転駆動し、作業機1が前進可能となる。
また 制御装置60は、操作部材59が後方に操作されると、操作弁55b及び操作弁55dに制御信号を出力して、第1走行ポンプ53L及び第2走行ポンプ53Rの斜板を逆転(後進)の方向に揺動させる。これにより、走行ポンプ53L、53Rから吐出される作動油によって走行モータ36L、36Rが逆転駆動し、走行装置5L、5Rも逆転駆動し、作業機1が後進可能となる。
また、制御装置60は、操作部材59が右方に操作されると、操作弁55a及び操作弁55dに制御信号を出力して、第1走行ポンプ53Lの斜板を正転の方向に揺動させ、第2走行ポンプ53Rの斜板を逆転の方向に揺動させる。これにより、走行ポンプ53L、53Rから吐出される作動油によって、左走行モータ36Lが正転駆動し、右走行モータ36Rが逆転駆動し、左走行装置5Lが正転駆動し、右走行装置5Rが逆転駆動し、作業機1が左旋回可能となる。
さらに、制御装置60は、操作部材59が左方に操作されると、操作弁55b及び操作弁55cに制御信号を出力して、第1走行ポンプ53Lの斜板を逆転の方向に揺動させ、第2走行ポンプ53Rの斜板を正転の方向に揺動させる。これにより、走行ポンプ53L、53Rから吐出される作動油によって、左走行モータ36Lが逆転駆動し、右走行モータ36Rが正転駆動し、左走行装置5Lが逆転駆動し、右走行装置5Rが正転駆動し、作業機1が右旋回可能となる。
また、作業機1の油圧システム100の一部を、図11に示すような油圧回路に変更してもよい。図11に示す油圧回路では、操作弁155L、155Rと油圧レギュレータ156L、156Rにより、各走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度が変更される。
油圧レギュレータ156L、156Rは、作動油が供給可能な供給室157と、供給室157に設けられたピストンロッド158を有している。油圧レギュレータ156Lのピストンロッド158は、第1走行ポンプ53Lの斜板に連結されている。油圧レギュレータ156Rのピストンロッド158は、第2走行ポンプ53Rの斜板に連結されている。各油圧レギュレータ156L、156rのピストンロッド158の作動(直進移動)によって、各走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度が変更される。
操作弁155Lは、油圧レギュレータ156Lを操作する電磁比例弁であって、第1位置159aと第2位置159bと中立位置159cとに切り換え可能である。操作弁155Lのスプールが制御装置60から出力された制御信号に基づいて移動することで、操作弁155Lの位置が変更される。操作弁155Lの第1ポートと油圧レギュレータ156Lの供給室157とは、第1走行油路145aにより接続されている。操作弁155Lの第2ポートと油圧レギュレータ156Lの供給室157とは、第2走行油路145bにより接続されている。
操作弁155Rは、油圧レギュレータ156Rを操作する電磁比例弁であって、第1位置159aと第2位置159bと中立位置159cとに切り換え可能である。操作弁155Rのスプールが制御装置60から出力された制御信号に基づいて移動することで、操作弁155Rの位置が変更される。操作弁155Rの第1ポートと油圧レギュレータ156Rの供給室157とは、第3走行油路145cにより接続されている。操作弁155Rの第2ポートと油圧レギュレータ156Rの供給室157とは、第4走行油路145dにより接続されている。
制御装置60が操作弁155L及び操作弁155Rに制御信号を出力して、操作弁155L及び操作弁155Rを第1位置159aに切り換える。これにより、第1走行ポンプ53L及び第2走行ポンプ53Rの斜板が正転の方向に揺動し、第1走行ポンプ53L及び第2走行ポンプ53Rが正転可能となる。
また、制御装置60が操作弁155L及び操作弁155Rに制御信号を出力して、操作弁155L及び操作弁155Rを第2位置159bに切り換える。これにより、、第1走
行ポンプ53L及び第2走行ポンプ53Rの斜板が逆転の方向に揺動し、第1走行ポンプ53L及び第2走行ポンプ53Rが逆転可能となる。
また、制御装置60が操作弁155L及び操作弁155Rに制御信号を出力して、操作弁155Lを第1位置159aに切り換え、且つ操作弁155Rを第2位置159bに切り換える。これにより、第1走行ポンプ53Lの斜板が正転の方向に揺動して、第1走行ポンプ53Lが正転可能となり、且つ第2走行ポンプ53Rの斜板が逆転の方向に揺動して、第2走行ポンプ53Rが逆転可能となる。
さらに、制御装置60が操作弁155L及び操作弁155Rに制御信号を出力して、操作弁155Lを第2位置159bに切り換え、且つ操作弁155Rを第1位置159aに切り換える。これにより、第1走行ポンプ53Lの斜板が逆転の方向に揺動して、第1走行ポンプ53Lが逆転可能となり、且つ第2走行ポンプ53Rの斜板が正転の方向に揺動して、第2走行ポンプ53Rが正転可能となる。
上述した電磁比例弁55a~55d、155L、155Rのような電動アクチュエータを用いても、走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度を変更して、走行モータ36L、36Rの回転方向と回転数とを変更することが可能である。
本実施形態の作業機の油圧システム100と作業機1は、以下の構成を有し、効果を奏する。
本実施形態の作業機の油圧システム100は、作業機1に設けられた走行装置5L、5Rに動力を出力可能な走行モータ36L、36Rと、作業機1の走行状態に応じて変化する物理量(走行モータ36L、36Rの回転数)を所定の周期で検出する第1検出装置(第1回転数検出装置)68a、68bと、走行モータ36L、36Rの回転数が第2速度段であるときに、走行モータ36L、36Rの回転数を第2速度段より低速な第1速度段に自動的に減速する自動減速を実行する制御装置60と、を備え、制御装置60は、第1検出装置68a、68bにより所定の周期で検出された複数の物理量に基づいて、当該物理量の変化の傾向又は度合いを判断する。
また、本実施形態の作業機1は、機体2を走行可能に支持する走行装置5L、5Rと、前記作業機の油圧システム100と、を備える。
上記構成によれば、制御装置60は、作業機1の走行状態に応じて変化する物理量の変化の傾向又は度合いに基づいて、自動減速を実行することができるので、作業機1の走行状態に応じて自動減速を適切に作動させることが可能となる。
また、本実施形態では、制御装置60は、複数の物理量の時間的な変化量を算出し、当該変化量に基づいて物理量の変化の傾向又は度合いを判断し、当該判断結果に基づいて自動減速を実行する。これにより、作業機1の停止状態からの発進時、低速走行状態からの増速時、又は段差への接触時などに、物理量が瞬間的に変動しても、当該変動の影響を抑制して、制御装置60が、作業機1の走行状態に応じて変化する物理量の変化の傾向又は度合いを容易且つ適正に判断することができる。このため、作業機1の走行状態に応じて自動減速をより適切に作動させることが可能となる。
また、本実施形態では、制御装置60は、物理量を2以上の所定数保持し、第1検出装置68a、68bにより新しい物理量が検出されると、保持している物理量のうちの最古の物理量に代えて、新しい物理量を保持し、且つ保持している物理量の平均値を算出して、当該平均値を2以上の所定数保持し、保持している平均値のうちの最新の平均値と最古の平均値との差分を、物理量の時間的な変化量として算出する。これにより、作業機1の停止状態からの発進時、低速走行状態からの増速時、又は段差への接触時などに、物理量が瞬間的に変動しても、制御装置60は、当該変動の影響を受けずに、物理量の変化の傾向又は度合いをより適正に判断することができる。また、第1検出装置68a、68bにより検出された物理量の検出値にノイズが含まれていたり、上記のようなイレギュラーな作業機1の走行状態に応じて、物理量の検出値が瞬間的に変動していたりしても、制御装置60は、物理量の変化の傾向又は度合いを適正に判断することができる。このため、作業機1の走行状態に応じて自動減速をより適切に作動させることが可能となる。
また、本実施形態では、制御装置60は、前記物理量の変化が作業機1の走行速度の増
速に相当する傾向にあると判断すると、当該物理量の変化の度合いが大きくなるに連れて、自動減速を作動し難く抑制する。これにより、作業機1で増速(加速が必要なときに、意図せず自動減速が作動するのを防止することができる。
また、本実施形態では、制御装置60は、物理量の変化の傾向又は度合いに基づいて、自動減速を実行するか否かを判断するための減速閾値STを設定する。これにより、制御装置60は、作業機1の走行状態に応じた減速閾値を設定することができ、作業機1の走行状態に応じて自動減速をより適切に作動させることが可能となる。
また、本実施形態の作業機の油圧システム100は、走行モータ36L、36Rに作動油を供給して走行モータ36L、36Rを駆動させる走行ポンプ53L、53Rと、走行ポンプ53L、53Rと走行モータ36L、36Rとに接続された循環油路57h、57iと、循環油路57h、57iに接続されたリリーフ弁81a~81dと、走行ポンプ53L、53Rの動力源である原動機32と、原動機32の回転数を検出する第2検出装置(第2回転数検出装置)68cと、をさらに備え、制御装置60は、物理量の変化の傾向又は度合いと、第2検出装置68cにより検出された原動機32の所定の回転数に対応するリリーフ弁81a~81dの有効リリーフ圧と、第2検出装置68cにより検出された原動機32の回転数に対応する第1係数(基本係数)η5a~η5dと、複数の物理量から算出した物理量の時間的な変化量に対応する第2係数(補助係数)η6a~η6dとに基づいて、減速閾値STを設定する。
上記により、制御装置60は、作業機1の走行状態に応じた減速閾値STを適切に設定することができ、作業機1の走行状態に応じて自動減速をより適切に作動させることが可能となる。具体的には、物理量が作業機1の走行速度の減速に相当する傾向にあるときに、減速閾値STを小さくして、自動減速を作動し易く促進したり、物理量が作業機1の走行速度の増速に相当する傾向にあるときに、減速閾値STを大きく設定して、自動減速を作動し難く抑制したりすることができる。
また、本実施形態では、制御装置60は、0より大きくて1より小さい値を第1係数η5a~η5dに設定し、1以上の値を第2係数η6a~η6dに設定し、物理量の変化が作業機1の走行速度の増速に相当する傾向にあるときは、1より大きい値を第2係数η6a~η6dに設定し、有効リリーフ圧u1~u4と第1係数η5a~η5dと第2係数η6a~η6dとを乗算することにより、減速閾値STを設定する。これにより、制御装置60は、第1係数η5a~η5dを変更することで、減速閾値STの下げ幅を調整して、自動減速の作動し易さを容易に制御することができる。また、制御装置60は、第2係数η6a~η6dを変更することで、減速閾値STの上げ幅を調整して、自動減速の作動し難さを容易に制御することができる。特に、作業機1の走行速度の増速中(加速中)に、自動減速が無用に作動するのを防止することができる。
また、本実施形態の作業機の油圧システム100は、走行モータ36L、36Rの回転時に循環油路57h、57iに作用する作動油の圧力である走行圧LF、LB、RF、RBを検出する第3検出装置(圧力検出装置)80a~80dをさらに備え、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数が第2速度段であるときに、第3検出装置80a~80dにより検出された走行圧LF、LB、RF、RBと減速閾値STとに基づいて、自動減速を実行する。これにより、制御装置60は、作業機1の走行状態に応じて変化する走行圧LF、LB、RF、RBと減速閾値STに基づいて、自動減速を適切に作動させることが可能となる。
また、本実施形態では、制御装置60は、作業機1が直進走行し且つ走行モータ36L、36Rの回転数が第2速度段であるときに、走行圧LF、LB、RF、RBと減速閾値STとに基づいて、自動減速を実行する。これにより、制御装置60は、作業機1の直進走行中に、作業機1の走行状態に応じて変化する走行圧LF、LB、RF、RBと減速閾値STに基づいて、自動減速を適切に作動させることが可能となる。
また、本実施形態では、作業機の油圧システム100は、走行ポンプ53L、53Rの駆動を操作する走行操作部材59(59A)を備え、制御装置60は、走行操作部材59(59A)の操作状態に基づいて、作業機1が直進走行していることを判断する。これに
より、運転者が走行操作部材59(59A)を操作して、作業機1を直進走行させているときに、自動減速を作動させて、作業機1を効率良く走行させることができる。
また、本実施形態では、制御装置60は、走行圧LF、LB、RF、RBに基づいて算出した有効走行圧a、b、c、dが減速閾値ST以上であれば、自動減速を実行する。これにより、制御装置60は、作業機1の走行状態に応じた減速閾値STと有効走行圧a、b、c、dを比較して、作業機1の走行状態に応じて自動減速を適切に作動させることが可能となる。
また、本実施形態では、制御装置60は、有効走行圧a、b、c、dが減速閾値ST以上である状態が所定の判定時間継続すると、自動減速を実行し、複数の物理量から算出した物理量の変化量に基づいて、判定時間を設定する。これにより、作業機1の停止状態からの発進時、低速走行状態からの増速時、又は段差への接触時などに、物理量が瞬間的に変動しても、自動減速が無用に作動するのを防止することができる。
また、本実施形態では、制御装置60は、物理量の変化が作業機1の走行速度の増速に相当する傾向にあると判断すると、自動減速を禁止する。これにより、作業機の走行速度の増速時(加速時)に、自動減速が無用に作動するのを防止することができる。
また、本実施形態では、制御装置60は、複数の物理量の平均値と、第2検出装置68cにより検出された原動機32の回転数とに基づいて、物理量の変化の度合いの大小を判断する。これにより、原動機32の回転数の変化に応じて、物理量が変動しても、制御装置60が物理量の変化の度合いを判断することができ、自動減速を適切に作動させることが可能となる。
また、本実施形態では、制御装置60は、物理量の平均値が原動機32の回転数に対応する判断基準値より大きければ、物理量の変化の度合いが大きいと判断して、自動減速を禁止する。これにより、作業機の走行速度の増速(加速)などにより、物理量の変化が大きくなっているときに、自動減速が無用に作動するのを防止することができる。
また、本実施形態では、走行ポンプ53L、53Rの駆動を操作する走行操作部材59(59A)をさらに備え、制御装置60は、作業機1が走行している方向と反対に対応する方向に走行操作部材59(59A)が操作されたことを検出すると、自動減速を禁止する。これにより、作業機1が走行している方向と反対に対応する方向に走行操作部材59(59A)が操作(即ち、逆操作)されることで、物理量が一時的に変動しても、自動減速が無用に作動するのを防止することができる。
また、本実施形態では、制御装置60は、作業機1の直進に対応する方向(前方又は後方)に走行操作部材59(59A)が操作されたことを検出すると、複数の物理量に基づいて待機時間を設定し、当該待機時間が経過すると、物理量の変化の傾向及び度合いの判断を行う。これにより、走行操作部材59(59A)が操作された直後に、物理量が一時的に変動しても、自動減速が無用に作動するのを防止することができる。特に、制御装置60が、記憶された複数の物理量から物理量の時間的な変化量を算出し、当該変化量に基づいて待機時間を設定することで、走行操作部材59(59A)の操作直後の無用な自動減速の作動をより防止することができる。
さらに、本実施形態では、第1検出装置68a、68bは、物理量として走行モータ36L、36Rの回転数を所定の周期で検出し、制御装置60は、第1検出装置68a、68bにより所定の周期で検出された走行モータ36L、36Rの複数の回転数に基づいて、当該回転数の変化の傾向又は度合いを判断する。これにより、制御装置60は、作業機1の走行状態に応じて変化する走行モータ36L、36Rの回転数の時系列データに基づいて、当該回転数の変化の傾向又は度合いを適正に判断することができる。そして、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の変化の傾向又は度合いに基づいて、自動減速を実行することができる。この結果、作業機1の走行状態に応じて自動減速を適切に作動させることが可能となる。
上述した実施形態では、走行モータ36L、36Rの回転数が切り換わる速度段として、第1速度段と第2速度段の2つを示したが、走行モータ36L、36Rの回転数の変速段数は2段に限定するものではなく、3段以上であってもよい。この場合、走行モータ3
6L、36Rの回転数に設定されている速度段を第1速度段とし、当該第1速度段から変更される当該第1速度段より高速な速度段を第2速度段とすればよい。
上述した実施形態では、走行ポンプ53L、53Rとしてアキシャルポンプを用いたが、これに限定するものではなく、例えばラジアルピストンポンプなどの他のポンプを走行ポンプ53L、53Rとして用いてもよい。また、走行モータ36L、36Rとして、アキシャルピストンモータ又はラジアルピストンモータなどを用いてもよい。
上述した実施形態では、制御装置60が、有効リリーフ圧u1~u4と基本係数η5a~η5dと補助係数η6a~η6dとに基づいて、減速閾値STを算出したが、これに限定するわけではない。有効リリーフ圧u1~u4に代えて、例えば原動機32の回転数、アンチストール比例弁90に作用するパイロット圧(若しくは開度)、走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度、走行油路45a~45d、145a~145dに作用するパイロット圧、又は走行負荷(リリーフ弁81a~81dからの作動油の排出流量)などの他の物理量を用いて、減速閾値を算出してもよい。
上述した実施形態では、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数が増速傾向にあるときに、当該回転数の変化量(走行モータ36L、36Rの回転数の変化の度合い)が大きくなるに連れて、補助係数η6a~η6dを大きく設定することで、減速閾値STも大きく設定して、自動減速を作動し難く抑制したが、これに限定するわけではない。これ以外に、例えば制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の増速傾向の度合い(走行モータ36L、36Rの回転数の変化量が正の値であるときの当該変化量の大きさ)が大きくなるに連れて、有効リリーフ圧u1~u4が大きくなるように当該リリーフ圧u1~u4を補正することで、減速閾値STを大きく設定して、自動減速を作動し難く抑制してもよい。或いは、制御装置60は、走行モータ36L、36Rの回転数の増速傾向の度合いが大きくなるに連れて、有効走行圧a~dが小さくなるように当該有効走行圧a~dを補正することで、有効走行圧a~dが減速閾値ST以上になり難くして、自動減速を作動し難く抑制してもよい。
上述した実施形態では、制御装置60は、走行圧LF、LB、RF、RBに基づいて算出した有効走行圧a、b、c、dが減速閾値ST以上であるときに、自動減速を実行したが、これに限定するわけではない。これ以外に、例えば制御装置60は、走行圧LF、LB、RF、RBとこれに対応する減速閾値とを比較し、走行圧LF、LB、RF、RBのいずれかが減速閾値以上であるときに、自動減速を実行してもよい。又は、制御装置60は、走行圧LF、LB、RF、RBに基づいて算出した算出値と、減速閾値との比較結果に基づいて、自動減速を実行してもよい。
上述した実施形態では、回転数検出装置68a、68bにより走行モータ36L、36Rの回転数と回転方向とを検出したが、これに代えて、例えばセンサなどにより走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度を検出し、当該斜板の角度に基づいて、走行モータ36L、36Rの回転数と回転方向とを検出してもよい。
上述した実施形態では、制御装置60が、走行モータ36L、36Rの回転数の時系列データに基づいて、当該回転数の変化の傾向と度合いを判断し、当該判断結果に基づいて自動減速を実行又は禁止したり、減速閾値及び復帰閾値を設定したりしたが、これに限定するわけではない。これに代えて、例えば原動機32の回転数、アンチストール比例弁90若しくは走行油路45a~45d、145a~145dに作用するパイロット圧、走行負荷、走行ポンプ53L、53Rの斜板の角度、走行装置5L、5Rの走行速度、又は作業機1の位置若しくは走行速度などのような、他の物理量を用いてもよい。
即ち、制御装置60は、上記のような作業機1の走行状態(走行速度)に応じて変化する物理量の時系列データに基づいて、当該物理量の変化の傾向と度合いを判断し、当該判断結果に基づいて自動減速を実行又は禁止したり、減速閾値を設定したりしてもよい。なお、上記で列挙した物理量は、回転数検出装置、圧力検出装置、角度センサ、流量検出装置、速度センサ、加速度センサ、又はGPSなどを用いて検出可能である。
また、作業機1が直進走行しているときだけでなく、作業機1がやや曲がりながら走行しているとき又は旋回しているときなどにも、制御装置60が、上述の物理量の変化の傾
向と度合いを判断し、当該判断結果に基づいて自動減速を実行又は禁止したり、減速閾値を設定したりしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 作業機
2 機体
5L 左走行装置
5R 右走行装置
32 原動機
36L 左走行モータ
36R 右走行モータ
45a~45b、145a~145b 走行油路
53L 左走行ポンプ
53R 右走行ポンプ
57h 第1循環油路
57i 第2循環油路
59、59A 走行操作部材
60 制御装置
68a、68b 第1回転数検出装置(第1検出装置)
68c 第2回転数検出装置(第2検出装置)
80a~80d 圧力検出装置(第3検出装置)
81a~81d リリーフ弁
100 作業機の油圧システム
a、b、c、d 有効走行圧
LF、LB、RF、RB 走行圧
ST 減速閾値
u1、u2、u3、u4 有効リリーフ圧
η5a、η5b、η5c、η5d 基本係数(第1係数)
η6a、η6b、η6c、η6d 補助係数(第2係数)

Claims (19)

  1. 作業機に設けられた走行装置に動力を出力可能な走行モータと、
    作業機の走行状態に応じて変化する物理量を所定の周期で検出する第1検出装置と、
    前記走行モータの回転数が第2速度段であるときに、前記走行モータの回転数を前記第2速度段より低速な第1速度段に自動的に減速する自動減速を実行する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記第1検出装置により所定の周期で検出された複数の前記物理量に基づいて、当該物理量の変化の傾向又は度合いを判断する作業機の油圧システム。
  2. 前記制御装置は、前記複数の物理量の時間的な変化量を算出し、当該変化量に基づいて前記物理量の変化の傾向又は度合いを判断し、当該判断結果に基づいて前記自動減速を実行する請求項1に記載の作業機の油圧システム。
  3. 前記制御装置は、前記物理量を2以上の所定数保持し、
    前記第1検出装置により新しい前記物理量が検出されると、前記保持している物理量のうちの最古の物理量に代えて、前記新しい物理量を保持し、且つ前記保持している物理量の平均値を算出して、当該平均値を2以上の所定数保持し、
    前記保持している平均値のうちの最新の平均値と最古の平均値との差分を、前記物理量の時間的な変化量として算出する請求項2に記載の作業機の油圧システム。
  4. 前記制御装置は、前記物理量の変化が作業機の走行速度の増速に相当する傾向にあると判断すると、当該物理量の変化の度合いが大きくなるに連れて、前記自動減速を作動し難く抑制する請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機の油圧システム。
  5. 前記制御装置は、前記物理量の変化の傾向又は度合いに基づいて、前記自動減速を実行するか否かを判断するための減速閾値を設定する請求項1~4のいずれか1項に記載の作業機の油圧システム。
  6. 前記走行モータに作動油を供給して前記走行モータを駆動させる走行ポンプと、
    前記走行ポンプと前記走行モータとに接続された循環油路と、
    前記循環油路に接続されたリリーフ弁と、
    前記走行ポンプの動力源である原動機と、
    前記原動機の回転数を検出する第2検出装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記物理量の変化の傾向又は度合いと、前記第2検出装置により検出された前記原動機の回転数に対応する前記リリーフ弁の有効リリーフ圧と、前記第2検出装置により検出された前記原動機の回転数に対応する第1係数と、前記複数の物理量から算出した前記物理量の時間的な変化量に対応する第2係数とに基づいて、前記減速閾値を設定する請求項5に記載の作業機の油圧システム。
  7. 前記制御装置は、
    0より大きくて1より小さい値を前記第1係数に設定し、
    1以上の値を前記第2係数に設定し、
    前記物理量の変化が作業機の走行速度の増速に相当する傾向にあるときは、1より大きい値を前記第2係数に設定し、
    前記有効リリーフ圧と前記第1係数と前記第2係数とを乗算することにより、前記減速閾値を設定する請求項6に記載の作業機の油圧システム。
  8. 前記走行モータに作動油を供給して前記走行モータを駆動させる走行ポンプと、
    前記走行ポンプと前記走行モータとに接続された循環油路と、
    前記走行モータの回転時に前記循環油路に作用する作動油の圧力である走行圧を検出する第3検出装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記走行モータの回転数が前記第2速度段であるときに、前記第3検出装置により検出された前記走行圧と前記減速閾値とに基づいて、前記自動減速を実行する請求項5~7のいずれか1項に記載の作業機の油圧システム。
  9. 前記制御装置は、作業機が直進走行し且つ前記走行モータの回転数が前記第2速度段であるときに、前記走行圧と前記減速閾値とに基づいて、前記自動減速を実行する請求項8に記載の作業機の油圧システム。
  10. 前記走行ポンプの駆動を操作する走行操作部材を備え、
    前記制御装置は、前記走行操作部材の操作状態に基づいて、作業機が直進走行していることを判断する請求項9に記載の作業機の油圧システム。
  11. 前記制御装置は、前記走行圧に基づいて算出した有効走行圧が前記減速閾値以上であれば、前記自動減速を実行する請求項8~10のいずれか1項に記載の作業機の油圧システム。
  12. 前記制御装置は、前記有効走行圧が前記減速閾値以上である状態が所定の判定時間継続すると、前記自動減速を実行し、
    前記複数の物理量から算出した前記物理量の変化量に基づいて、前記判定時間を設定する請求項11に記載の作業機の油圧システム。
  13. 前記制御装置は、前記物理量の変化が作業機の走行速度の増速に相当する傾向にあると判断すると、前記自動減速を禁止する請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機の油圧システム。
  14. 前記走行モータに作動油を供給して前記走行モータを駆動させる走行ポンプと、
    前記走行ポンプの動力源である原動機と、
    前記原動機の回転数を検出する第2検出装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記複数の物理量の平均値と、前記第2検出装置により検出された前記原動機の回転数とに基づいて、前記物理量の変化の度合いを判断する請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機の油圧システム。
  15. 前記制御装置は、前記物理量の平均値が前記原動機の回転数に対応する判断基準値より大きければ、前記物理量の変化の度合いが大きいと判断して、前記自動減速を禁止する請求項14に記載の作業機の油圧システム。
  16. 作動油を供給して前記走行モータを駆動させる走行ポンプと、
    前記走行ポンプの駆動を操作する走行操作部材と、を備え、
    前記制御装置は、作業機が走行している方向と反対に対応する方向に前記走行操作部材が操作されたことを検出すると、前記自動減速を禁止する請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機の油圧システム。
  17. 作動油を供給して前記走行モータを駆動させる走行ポンプと、
    前記走行ポンプの駆動を操作する走行操作部材と、を備え、
    前記制御装置は、作業機の直進に対応する方向に前記走行操作部材が操作されたことを検出すると、前記複数の物理量に基づいて待機時間を設定し、当該待機時間が経過すると、前記物理量の変化の傾向及び度合いの判断を行う請求項1~16のいずれか1項に記載
    の作業機の油圧システム。
  18. 前記第1検出装置は、前記物理量として前記走行モータの回転数を所定の周期で検出し、
    前記制御装置は、前記第1検出装置により所定の周期で検出された前記走行モータの複数の回転数に基づいて、当該回転数の変化の傾向又は度合いを判断する請求項1~17のいずれか1項に記載の作業機の油圧システム。
  19. 機体を走行可能に支持する走行装置と、
    請求項1~18のいずれか1項に記載の作業機の油圧システムと、を備えた作業機。
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