JP2023022857A - オーブン調理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼成炉内で蒸気を発生させるようにしても、焼成炉内の温度が低下しすぎたり、焼成路内の圧力が高くなりすぎないようにする。【解決手段】オーブン調理装置10は、被調理物を焼成するための焼成炉20と、焼成炉20内の上部に配設されて焼成炉20内を加熱するヒータ42と、焼成炉20内の上部にてヒータ42の上側に配設されて焼成炉20内にて蒸気を発生させる蒸気発生部50と、蒸気発生部50の作動を制御する制御装置70とを備え、蒸気発生部50は、ヒータ42の上側に配置された蒸気発生皿51と、蒸気発生皿51に水を供給する給水部53とを備え、制御装置70は、ヒータ42により加熱された蒸気発生皿51に給水部53から水を供給させるように制御して蒸気を発生させる蒸気発生処理を備え、この蒸気発生処理を実行するときに、給水部53による給水を制限可能とする給水制限処理を備えた。【選択図】図17
Description
特許文献1には、パン生地を焼成するデッキオーブン(オーブン調理装置)が開示されている。このデッキオーブンは、本体枠内に3段の炉ユニットを備え、各炉ユニットの前面側には炉の開閉を行うための扉が設けられている。各炉ユニットの炉(焼成炉)内の下部には下火ヒータが配設され、下火ヒータの上側に被調理物を載せたトレイ等を載置できるようにした炉床が配設されている。また、炉内の上部には上火ヒータが配設されており、上火ヒータの上側には蒸気発生槽が配設されている。
蒸気発生槽は、下側に配置される上火ヒータによって加熱されて水を気化させて蒸気を発生させるものであり、長方形の薄い皿状の蒸気発生枠と、蒸気発生枠内に設けた蓄熱インゴットと、内部に蒸気発生空間が画定されるように蒸気発生槽枠の上側を覆う蒸気発生槽蓋と、蒸気発生槽内に水を供給する水供給接続管を備えている。加湿焼成したいタイミングで水供給接続管から蒸気発生槽の内部へ水を供給すると、蒸気発生槽の内部に供給された水は蓄熱インゴットに触れて直ちに蒸気化され、蒸気発生槽の内部で発生した蒸気は蒸気発生槽蓋の中央部に設けられた蒸気吹き出し部のパンチング孔を通して蒸気発生槽と炉の天井壁との間に吹き出される。吹き出された蒸気は炉の天井壁に当たって四方へ放散され、蒸気発生槽の周縁と炉内の四方の周囲壁戸の隙間を通って炉床に向かって流れる。
上述した特許文献1のデッキオーブンにおいては、蒸気発生槽内に水供給接続管から水を供給し、蒸気発生槽の内部で蒸気を発生させると、焼成路内は水が蒸発するときに失われる熱によって温度が低下する。蒸気発生槽から炉内に短時間で蒸気を頻繁に発生させると、炉内の温度が著しく低下し、炉内に入れたパン生地等の被調理物を十分に焼成できないおそれがある。また、蒸気発生槽に一時的に多くの水を供給すると、炉内の温度が著しく低下するだけでなく、パン生地等を搬入出する焼成炉の前面開口部から蒸気が漏出したり、前面開口部を開閉する扉付近に結露が生じたりするおそれがある。本発明は、焼成炉内で蒸気を発生させるようにしても、焼成炉内の温度が低下しすぎたり、焼成炉の圧力が高くなりすぎないようにすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、被調理物を焼成するための焼成炉と、焼成炉内の上部に配設されて焼成炉内を加熱するヒータと、焼成炉内の上部にてヒータの上側に配設されて焼成炉内にて蒸気を発生させる蒸気発生部と、蒸気発生部の作動を制御する制御装置とを備え、蒸気発生部は、ヒータの上側に配置された蒸気発生皿と、蒸気発生皿に水を供給する給水部とを備え、制御装置は、ヒータにより加熱された蒸気発生皿に給水部から水を供給させるように制御して蒸気を発生させる蒸気発生処理を備えたオーブン調理装置であって、制御装置は、蒸気発生処理を実行するときに、給水部による給水を制限可能とする給水制限処理を備えたことを特徴とするオーブン調理装置を提供するものである。
上記のように構成したオーブン調理装置においては、制御装置は、蒸気発生処理を実行するときに、給水部による給水を制限可能とする給水制限処理を備えている。蒸気発生皿に給水部から水を短時間で頻繁に供給して蒸気を発生させようとしても、制御装置は、給水制限処理により給水部による給水を制限可能としている。これにより、過剰な給水によって焼成炉内の温度が著しく低下するのを防ぐことができ、また、過剰な給水による多量の蒸気の発生によって焼成炉内の圧力が高くなるのを防ぐことができる。
上記のように構成したオーブン調理装置においては、給水制限処理は、所定の設定時間内の給水部による給水積算量が給水を制限する給水制限量以上であるときに給水部による給水を実行しないように制御するのが好ましい。この場合において、給水積算量は、所定の設定時間内の給水部による給水積算時間から算出される水の量としてもよい。また、給水積算量は、所定の設定時間内の給水部による給水回数から算出される水の量としもてよい。
上記のように構成したオーブン調理装置においては、給水制限量は、焼成炉内が被調理物の焼成に適さない温度に低下するのを防止するのに求められた水の量とするのが好ましい。このようにしたときには、給水制限処理によって、焼成路内が被調理物の焼成に適さない温度に低下するの確実に防ぐことができ、焼成路内の被調理物が適切に焼成されないのを防ぐことができる。
上記のように構成したオーブン調理装置においては 給水制限量は、焼成炉内から蒸気が漏出するのを防止するのに求められた水の量とするのが好ましい。このようにしたときには、給水制限処理によって、焼成路内から蒸気が漏出しないようにすることができる。
上記のように構成したオーブン調理装置においては、タイマにより給水部による給水を自動で実行するように制御したものであり、タイマにより給水部による給水を実行するタイミングであっても、給水制限処理により給水部による給水を実行しないように制御するようにしてもよい。同様に、給水部は、蒸気発生皿に水を供給する給水管と、給水管に介装されて通過する水の流量を検出する流量センサと、給水管に介装されて通過する水の流量を調節可能に開閉する流量調節弁とを備え、制御装置は、流量センサの検出流量に基づき流量調節弁の開度を調節するように制御するようにしてもよい。
以下に、本発明のオーブン調理装置の一実施形態を添付図面を参照して説明する。図1及び図2に示したように、本発明のオーブン調理装置10は、パン生地や焼き菓子の生地(被調理物)を自然対流式の焼成炉20内で加熱して焼成するものであり、焼成炉20の前面部に設けた扉21を開放することによって、前面開口部20aから焼成炉20内に被焼成物を搬入出可能としている。オーブン調理装置10は、店舗や工房等にてテーブル、カウンターまたはドウコンディショナー等の機器の上側に設置され、必要に応じて上下に多段状に設置される。
図1~図3に示したように、オーブン調理装置10は、略直方体形状のケーシング11を備え、ケーシング11内の右側部を機械室12とし、ケーシング11内の残る部分に焼成炉20を配設している。ケーシング11は、底壁に相当するベースプレート13と、ベースプレート13の上側を略直方体形状に区画するように設けられた枠体14と、枠体14により区画形成された前後左右面及び上面を覆うパネル15とを備えている。
図4に示したように、ベースプレート13の前後及び左右よりなる四方の縁部には下方に屈曲させた下端をさらに内側に屈曲させた脚部13aが設けられており、脚部13aはベースプレート13の下面を設置面から離間させている。ベースプレート13の下面には左右方向の中央部に前後方向に延びる補強部材13bが設けられている。補強部材13bは、長手方向と直交する方向の断面形状がL字形に屈曲させた板金部材を用いたものであり、ベースプレート13の左右方向の中央部が下方に沈み込むのを防ぐ機能を有している。
ベースプレート13の脚部13aの4つの角部には直角三角形状のコーナープレート13cが設けられており、コーナープレート13cは脚部13aを設定面から離間させる機能を有している。このように、ベースプレート13の左右方向の中央部は補強部材13bによって下方に沈み込まないようになり、焼成炉20の熱がベースプレート13を介して設置面に伝わりにくくしているのに加え、ベースプレート13の脚部13aは4つの角部のコーナープレート13cによって設置面に対する接触面積が減らされているので、焼成炉20内の熱はベースプレート13の脚部13aを介して設置面に伝わりにくくなっている。
図3に示したように、枠体14は、ベースプレート13の前後に設けた前側及び後側枠部材14a,14bと、前側及び後側枠部材14a,14bの左右両側部を連結する梁部材14cとを備えている。前側及び後側枠部材14a,14bの各々は、ベースプレート13の左右両側部に立設する支柱部と、左右の支柱部の上部を桁部によって連結した下側が開いたコ字形をしている。左右両側の梁部材14cは、前側及び後側枠部材14a,14bの各支柱部の上端部に固定され、前側及び後側枠部材14a,14bの左右両側部を連結している。
図5及び図6に示したように、ケーシング11内の焼成炉20の前側には前面パネル15aが設けられ、後側枠部材14bの後側には後面パネル15dが設けられている。前側枠部材14aと後側枠部材14bとの間の左側部には左面パネル15eが設けられ、前側枠部材14aと後側枠部材14bとの間の右側部には右面パネル15fが設けられている。前側及び後側枠部材14a,14bと左右の梁部材14cの上側には上面パネル15gが設けられている。
図5に示したように、前面パネル15aは、焼成炉20の前面の下部のみを覆う前面下部パネル15bと、焼成炉20の前面の下部より上側を覆う前面メインパネル15cとを備えている。前面下部パネル15bは、焼成炉20の前面開口部20aに被調理物を搬入出可能とするように、焼成炉20の前面開口部20aの下側ヒータ41が配置される下部を覆っている。前面下部パネル15bには扉21を支持する左右一対のブラケット16が固定されている。焼成炉20の前面開口部20aに被調理物を搬入出可能とするように、前面メインパネル15cは、正面視にて下側が開いた略コ字形をしており、上側ヒータ42と蒸気発生部50が配置される焼成炉20の前面開口部20aの上部を覆っている。
上述したように、前面パネル15aは、扉21を支持するブラケット16が固定された前面下部パネル15bと、焼成炉20内の上部に配置される上側ヒータ42や蒸気発生部50を覆う前面メインパネル15cとを分離可能に備えている。焼成炉20内の上部の上側ヒータ42や蒸気発生部50を保守点検するときに、前面下部パネル15bからブラケット16と扉21を取り外した状態または前面下部パネル15bにブラケット16と扉21を取り付けた状態で前面下部パネル15bを取り外すことなく、前面メインパネル15cを取り外すことができるので、ブラケット16や扉21を取り外すことを必須要件とせずに、焼成炉20内の上部に配置される上側ヒータ42や蒸気発生部50を保守点検することができる。
図6に示したように、上面パネル15gは、天板部15hと、天板部15hの周縁部を下側に垂下させた周壁部15iとを備えた下側が開いた浅い箱形形状をしている。上面パネル15gは、前側及び後側枠部材14a,14bと左右の梁部材14cの上側に嵌合されている。上面パネル15gの天板部15hの下面周縁部にはシリコン材よりなる断熱材15jが貼着されており、断熱材15jは焼成炉20から前側及び後側枠部材14a,14bと左右の梁部材14cを介して上面パネル15gに熱が伝わりにくくしている。断熱材15jは上面パネル15gの天板部15hの下面周縁部に貼着されているが、これに限られるものでなく、前側及び後側枠部材14a,14bと左右の梁部材14cの上面に貼着してもよい。
図6に示したように、ケーシング11の後壁上縁部の左側部には排気開口部11aが形成されている。この実施形態では、上面パネル15gの後側の周壁部15iの左側部に切欠部15i1と、後側枠部材14bの桁部の左側部に開口14b1が形成されており、切欠部15i1と開口14b1とによって排気開口部11aが形成されている。排気開口部11aは、後述する焼成炉20内の空気を排出する排気通路31(特に排気ガイド33の内部空間による通路)に接続されている。
図3に示したように、ケーシング11内の機械室12には後述する下側及び上側ヒータ41,42、蒸気発生部50の給水弁55等の制御をする電装部品(制御部品)を収納する電装箱17が設けられている。電装箱17は内部に電装部品が収納される略直方体形状をしており、電装箱17の下部には前部と後部に脚部17aが設けられている。脚部17aは、電装箱17の下面をベースプレート13の上面から離間させており、焼成炉20からベースプレート13に伝わる熱を電装箱17の内部に伝わりにくくしている。これによって、電装箱17内の電装部品は、焼成炉20からベースプレート13に伝わる熱による影響を受けにくくなる。
図2及び図7に示したように、焼成炉20はパン生地や菓子の生地等の被調理物を焼成するものであり、前面に被調理物を搬入出する前面開口部20aが形成された略直方体形状をしている。図3及び図7に示したように、焼成炉20の外周面にはガラスウールを用いた断熱材22が設けられており、断熱材22の外周面にはさらにステンレスの板金部材よりなる外板23が設けられている。焼成炉20内の熱は断熱材22によってケーシング11及び機械室12を含めた周囲に伝わりにくくなっている。図3及び図6に示したように、焼成炉20の上側を覆う断熱材22の上面左側部には前後に延びる溝部22aが形成されており、この溝部22aには後述する焼成炉20の排気機構30の各種部品が配設されている。
焼成炉20の機械室12側となる右側面には上下及び前後の略中央部に照明窓(図示省略)が設けられており、焼成炉20の機械室12側となる右側外周面を覆う断熱材22には照明窓と対向する位置に凹部(図示省略)が形成されている。図3、図7及び図8に示したように、断熱材22の凹部には焼成炉20内を照らすLED照明を用いた炉内用ランプ24がブラケット25を用いて取り付けられている。図8に示したように、ブラケット25は、凹部の下面に配置されるベース板部25aと、ベース板部25aの上側にて炉内用ランプ24の上側を覆う下側が開いた略コ字形のカバー部25bとから構成されて、ベース板部25aの上側に炉内用ランプ24が取り付けられている。ブラケット25のベース板部25aとカバー部25bは光沢のあるステンレス材(SUS304 2B材)が用いられ、炉内用ランプ24の光は直接、照明窓から焼成炉20内に照射されるだけでなく、炉内用ランプ24から拡散されて照射される光は光沢のある材質を用いたブラケット25によって照明窓に向けて反射されて焼成炉20内に照射される。
図9に示したように、焼成炉20内の機械室12側となる右側面の上部には後述する上側ヒータ42が取り付けられている。焼成炉20の機械室12側を覆う断熱材22の上部には上側ヒータ42が取り付けられている位置に凹部22bが形成されており、断熱材22の凹部22bには着脱式断熱材26が着脱可能に取り付けられている。着脱式断熱材26は、上側ヒータ42の各ヒータ素子42a~42dのメンテナンスを容易にするために、上側ヒータ42の各ヒータ素子42a~42dをメンテナンスするときに断熱材22の凹部22bから取り外される。図10(a)に示したように、着脱式断熱材26は前後方向に細長く延びる略直方体形状のブロック形をし、左右方向に貫通する貫通孔26aが前後方向に沿って8箇所に形成されている。焼成炉20の右側面に取り付けられた上側ヒータ42のU字形をした4つのヒータ素子42a~42dの長手方向の両端部は着脱式断熱材26の各貫通孔26aに挿通され、各ヒータ素子42a~42dの長手方向の端部に設けた端子は機械室12内に配置されて給電用の電気配線(図示省略)に接続されている。
断熱材22の外側を覆う外板23は、着脱式断熱材26を覆う位置に着脱式外板23aを備えている。上側ヒータ42をメンテナンスするときには、着脱式外板23aを取り外した後で、ヒータ素子42a~42dとともに着脱式断熱材26を取り外すことで、断熱材22を焼成炉20の右側外周面から取り外すことなく上側ヒータ42の各ヒータ素子42a~42dを取り外すことができる。また、図10(b)に示したように、U字形をしたヒータ素子42a~42dの長手方向の両端部を挿通する貫通孔26aの上側に切欠部26bを形成したときには、ヒータ素子42a~42dの長手方向の両端部またはヒータ素子42a~42dの端子に接続した電気配線を切欠部26bを通すことで、着脱式断熱材26からヒータ素子42a~42dを容易に取り外すことができる。なお、焼成炉20の機械室12側となる右側面の下部にも下側ヒータ41の各ヒータ素子41a~41cをメンテナンスするための着脱式断熱材(図示省略)と着脱式外板(図示省略)が設けられており、上述した、着脱式断熱材26と着脱式外板23aと実質的に同様の構成あるので、詳細な説明は省略する。
図1及び図2に示したように、焼成炉20の前側には扉21が開閉自在に設けられており、扉21は前面パネル15aの下部に設けたブラケット16に水平軸線回りに回動可能に支持されている。図2、図5及び図7に示したように、焼成炉20の下部にはセラミック製の炉床板27が設けられており、被調理物を入れたトレイは焼成炉20内にて炉床板27の上側に載置可能となっている。炉床板27の左右両縁部には前後方向に沿って延びる左右のガイド28と、炉床板27の後縁部には左右方向に沿って延びるガイド29が設けられている。被調理物を入れたトレイは、左右のガイド28によって焼成炉20内にて左右方向に偏って収容されないようになり、後側のガイド29によって後側に偏って収容されないようになる。左右のガイド28の前部には前面開口部20a側に向けて間隔が拡がるようにしたテーパ部28aが設けられており、テーパ部28aは被調理物を入れたトレイを左右のガイド28の間に差し込みやすくしている。
図7及び図11に示したように、焼成炉20の後面上部の左側部には排気口20bが形成されており、焼成炉20内の空気は排気口20bから排気機構30によってケーシング11外に排出可能となっている。排気機構30は、排気口20bに接続された排気通路31と、排気通路31を開閉する開閉機構34とを備えている。排気通路31は、排気口20bに接続された排気管32と、排気管32の上側にて排気管32を通って送られる排気をケーシング11の排気開口部11aに案内する排気ガイド33とを備えている。
図11に示したように、排気管32は焼成炉20の排気口20bから後方に延出した後端を上方に延出するようにしたL字形の管部材を用いており、排気管32の上端部は断熱材22の上面左側部の溝部22aの底壁上面より上側に突出している。排気ガイド33は、断熱材22の溝部22aの上面にて排気管32の上端開口の周囲をケーシング11の排気開口部11aまで覆うようにして、排気管32の上端開口からケーシング11の排気開口部11aまで空気の通路を形成している。
図6、図11及び図12に示したように、排気ガイド33は、上方と後方が開いた下側箱体33aと、下側箱体33aの上側を覆って下方と後方が開いた上側蓋体33bとを備えており、下側箱体33aの上側を上側蓋体33bにより覆って形成される空間によって排気管32の上端開口からケーシング11の排気開口部11aまで空気の通路を形成している。下側箱体33aの底壁後部には貫通孔33a1が形成されており、排気管32の上端部はこの貫通孔33a1から排気ガイド33内に配置されている。排気管32の上端開口は上側蓋体33bの上壁下面から離間しており、排気管32の上端開口は下側箱体33aと上側蓋体33bとにより形成される排気ガイド33の内部空間に開放されている。また、下側箱体33aと上側蓋体33bとにより形成される排気ガイド33の内部空間はケーシング11の排気開口部11aによって外側に開放されている。焼成炉20内の空気は排気口20bから排気管32を通って排気ガイド33の内部空間に排出され、排気ガイド33の内部空間に排出された空気は排気開口部11aからケーシング11の後側に向けて排出される。
図11及び図12に示したように、ケーシング11内の上部にて焼成炉20の上側には排気通路31を開閉する開閉機構34が設けられている。開閉機構34は、排気管32の上端開口の上側にて前後に移動可能に設けられた排気シャッタ35と、断熱材22の溝部22a内に設けられて排気シャッタ35を前後に移動させる操作バー36と、ケーシング11の前側にて操作バー36の前端部に設けた操作摘まみ37とを備えている。排気シャッタ35は板状を呈して排気管32の上端開口を開度調節可能に覆うものである。図11及び図12に示した位置に排気シャッタ35を配置したときには、排気管32の上端開口は完全に塞がれた状態となっている。この位置から排気シャッタ35を前側(図11の左側、図12の紙面手前側)に少しずつ移動させると、排気管32の上端開口が少しずつ開放される。
図11及び図12に示したように、操作バー36は、排気シャッタ35を前後に移動させるものであり、断熱材22の溝部22a内に前後に移動可能に設けられている。操作バー36の後端部は排気ガイド33の下側箱体33aの前壁に形成された貫通孔に挿通され、操作バー36の後端は排気シャッタ35に固定されている。操作バー36の前端部は前側枠部材14aの桁部に形成した貫通孔及び上面パネル15gの前側の周壁部15iに形成した貫通孔に挿通され、操作バー36の前端にはケーシング11の前側にて操作摘まみ37が取り付けられている。操作摘まみ37を摘まんで操作バー36を前側に移動させると、排気シャッタ35が前側に移動して排気管32の上端開口が開放される。この状態から、操作摘まみを37を摘まんで操作バー36を後側に移動させると、排気シャッタ35が後側に移動して排気管32の上端開口が閉塞される。
図9、図11及び図13に示したように、焼成炉20内にはヒータ40が設けられており、この実施形態では、焼成炉20の下部にて炉床板27の下側に下側ヒータ41が設けられており(図11及び図13に示した)、焼成炉20内の上部に上側ヒータ42が設けられている(図9及び図11に示した)。下側及び上側ヒータ41,42は右側が開いた略U字形のシーズヒータよりなるヒータ素子を用いたものであり、下側ヒータ41は3つのヒータ素子を前後に並べて配置し、上側ヒータ42は4つのヒータ素子を前後に並べて配置している。被焼成物の上面に焼き色を付与しやすくするとともに、下側ヒータ41の上側に蓄熱性の高い炉床板27を配置しているので、上側ヒータ42は下側ヒータ41よりもヒータ素子の数を多くしている。
焼成炉20の前部には前面開口部20aが設けられており、この前面開口部20aは扉21により開閉自在に塞がれている。焼成炉20内の熱は扉21を開放したときに前面開口部20aから外側に放出され、焼成炉20内は前部の温度が低下しやすい。このため、下側ヒータ41の最も前側に配置されるヒータ素子41aは、前後方向の中間部に配置されるヒータ素子41bよりも出力可能な最大出力値が大きなものが用いられている。同様に、上側ヒータ42の最も前側に配置されるヒータ素子42aは、前後方向の中間部に配置されるヒータ素子42b,42cよりも出力可能な最大出力値が大きなものが用いられている。
焼成炉20の後壁後面には断熱材22が設けられているものの、焼成炉20内の後部は後壁から放出される熱によって前後方向の中間部よりも温度が低下しやすい。このため、上側ヒータ42の最も後側に配置されるヒータ素子42dは、前後方向の中間部に配置されるヒータ素子42b,42cよりも出力可能な最大出力値が大きなものが用いられている。
この実施形態では、下側ヒータ41の前側に配置されるヒータ素子41aの出力可能な最大出力値(最大電力値)は515Wとなっており、前後方向の中間部と後部に配置されるヒータ素子41b,41cの出力可能な最大出力値(最大電力値)は290Wとなっている。また、上側ヒータ42の最も前側と最も後側に配置されるヒータ素子42a,42dの出力可能な最大出力値(最大電力値)は515Wとなっており、前後方向の中間部に配置されるヒータ素子42b,42cの出力可能な最大出力値(最大電力値)は290Wとなっている。
図9及び図13に示したように、下側及び上側ヒータ41,42の各ヒータ素子41a~41c,42a~42dには、焼成炉20の右側面に近接する位置に絶縁部材よりなる碍子部41a1~41c1,42a1~42d1が設けられている。碍子部41a1~41c1,42a1~42d1は、ヒータ素子の出力可能な最大出力値(最大電力値)に応じて色分けされている。碍子部41a1~41c1,42a1~42d1がヒータ素子の出力可能な最大出力値(最大電力値)に応じて色分けされているので、下側及び上側ヒータ41,42の各ヒータ素子41a~41c,42a~42dをメンテナンス等で取り外したり交換するときに、最大出力値の異なるヒータ素子を間違えて取り付けないようにすることができる。なお、上側ヒータ42の直ぐ下側に多数の孔部が形成されたパンチングプレートが配設されているが、図9ではパンチングプレートの孔部の表示を省略している。
図7及び図13に示したように、焼成炉20内の右側面下部には下側温度センサ43が設けられ、焼成炉20内の右側面上部には上側温度センサ44が設けられている。下側温度センサ43は、下側ヒータ41の最も前側のヒータ素子41aと前側から2番目のヒータ素子41bの間に配設されており、下側ヒータ41の制御をするのに用いられている。また、上側温度センサ44は、上側ヒータ42より下側で前側から2番目のヒータ素子42bと前側から3番目のヒータ素子42cとの間の位置に配設されており、上側ヒータ42の制御をするのに用いられている。焼成炉20の右側面上部には上側温度センサ44の前側にガード部材45が設けられており、ガード部材45は前面開口部20aから焼成炉20内に搬入するトレイ等が上側温度センサ44に衝突するのを防いでいる。
図11及び図14に示したように、焼成炉20内の上部には蒸気発生部50が設けられており、蒸気発生部50は焼成炉20内にて上側ヒータ42の上側に配置されて、焼成炉20内にて蒸気を発生させるものである。蒸気発生部50は、上側ヒータ42の上側に配設される蒸気発生皿51と、蒸気発生皿51の上面前部に設けた蓄熱板52と、蒸気発生皿51の上側に水を供給する給水部53と、蒸気発生皿51の上側に蒸気発生空間が形成されるように覆う蒸気発生蓋56とを備えている。
蒸気発生皿51は、長方形状の板金部材の前後左右の四方の縁部を上方に少し立ち上げて少しの水を溜めることができる浅い皿形をしている。蒸気発生皿51の左右の両側部には前部及び後部に外側に突出する係止アーム51aが設けられており、係止アーム51aは焼成炉20の左右の内側面上部に設けた前後に延びる支持ブラケット20cに係止されている。蒸気発生皿51が係止アーム51aによって焼成炉20内の支持ブラケット20cに係止された状態で、蒸気発生皿51は焼成炉20の内側面(前後及び左右の側面)との間に蒸気の通路51bが形成されている。蒸気の通路51bは焼成炉20内の上部にて蒸気発生皿51の上側で発生した蒸気を焼成炉20の下部に送出させる。蒸気発生皿51の後部には排水管51cが接続されており、排水管51cの導出端部はケーシング11の後側まで延出している。
蒸気発生皿51の上面前部には左右方向に延びる帯板状の蓄熱板52が設けられており、蓄熱板52は蒸気発生皿51の前部で蒸気を発生させるための熱を蓄熱可能としている。給水部53は、蒸気発生皿51の上側に水を供給するものであり、給水源から導出された給水管54と、給水管54に介装された給水弁55とを備えている。給水管54は、ケーシング11の外側から機械室12を通って焼成炉20内に延び、給水管54の給水口部は蒸気発生皿51の前部の蓄熱板52の上側に導出している。給水管54には機械室12内で給水弁55が介装されており、給水源の水は給水弁55を開放したときに給水管54を通って蓄熱板52の上側に送出される。
蒸気発生皿51の上側には蒸気を発生させる蒸気発生空間が形成されるように覆う蒸気発生蓋56が設けられており、蒸気発生蓋56には前部から後部の全体に蒸気を上方に通過させる多数の蒸気通過孔56aが形成されている。蒸気発生蓋56は、蒸気発生皿51の上側の蒸気発生空間で発生させた蒸気を、蒸気通過孔56aが形成されている部分以外の部分により覆うことで上方への流れを抑制し、蒸気発生空間の主として前部で発生させた蒸気を後部まで行き渡らせるようにしている。この実施形態では、蒸気発生蓋56は、蒸気発生皿51の上側を覆う大きさをして、前部から後部の全体に多数の蒸気通過孔56aが形成されたステンレス製のパンチング板が用いられている。
蒸気発生皿51の主として前部の蓄熱板52で発生させた蒸気は蒸気発生蓋56の蒸気通過孔56a以外の部分によって上方への流れが抑制されて、上方への流れが抑制された蒸気は前部から後部に流れる過程で多数の蒸気通過孔56aから蒸気発生蓋56の上側に放出される。蒸気発生蓋56の上側に放出された蒸気は、焼成炉20の天井面に当たってから蒸気発生皿51と焼成炉20の内側面との間の通路51bを通って焼成炉20の下部に流れ落ちる。このように、蒸気発生部50で発生させた蒸気は、焼成炉20の前部を主としつつ後部を含めた全体にも流れ落ちるようになる。
図15に示したように、ケーシング11の前面右側には操作パネル60が設けられており、操作パネル60は表示部61と操作部62とブザー(図示省略)とを備えている。表示部61は、この実施形態では液晶パネル(LCDパネル)が用いられ、オーブン調理装置10の運転処理等の各種設定や、焼成炉20内の検出温度等を表示可能としている。操作部62は、この実施形態では、6つの操作ボタン62a~62fと、1つのジョグダイヤル62gが用いられ、焼成炉20を加熱する運転処理の温度設定や下側及び上側ヒータ41,42の出力設定、調理時間の設定等の各種設定、蒸気供給操作等の操作内容を入力可能としている。ブザーは、焼成炉20を加熱する運転処理の終了、調理時間の終了、エラー情報をブザー音等の音を出力することに報知可能としている。
図16に示したように、オーブン調理装置10は制御装置70を備えており、制御装置70は、下側ヒータ41(ヒータ素子41a~41c)、上側ヒータ42(ヒータ素子42a~42d)、下側温度センサ43、上側温度センサ44、給水弁55、操作パネル60に接続されている。制御装置70はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
制御装置70は、ROMに、焼成炉20内の温度を設定温度となるように下側及び上側ヒータ41,42の作動を制御する運転処理を備え、この運転処理を実行するときに、下側及び上側ヒータ41,42の設定出力を0%~100%で6段階に変更可能としている。運転処理は、焼成炉20内の温度と下側及び上側ヒータ41,42の出力を設定可能とするマニュアル運転と、焼成炉20内の温度と下側及び上側ヒータ41,42の出力が予め設定されているプログラム運転とを備え、マニュアル運転とプログラム運転とを選択可能としている。
また、制御装置70は、運転処理を実行しているときに、被調理物を焼成調理する設定調理時間が終了するのをタイマによって計時するための計時処理を備えている。制御装置70は、計時処理を実行したときに、被調理物を焼成調理する設定調理時間が終了すると、表示部61とブザーに設定調理時間が終了した情報を出力させる。
また、制御装置70は、運転処理を実行しているときに、焼成炉20内で蒸気発生部50によって蒸気を発生させる蒸気発生処理を実行可能としている。制御装置70は、蒸気発生処理を実行すると、給水弁55を予め設定した設定時間(1秒~5秒)で開放させて、給水管54から蒸気発生皿51の蓄熱板52の上側に水を供給し、蓄熱板52と蒸気発生皿51の上面に接触させて水を蒸発させて蒸気を発生させる。蒸気発生皿51の上側に発生した蒸気は蒸気通過孔56aを通って蒸気発生蓋56の上側に放出され、蒸気発生蓋56の上側に放出された蒸気は蒸気発生皿51と焼成炉20の内側面との間の通路51bを通って焼成炉20の下部に流れ落ちる。このように、蒸気発生処理を実行することによって、焼成炉20内で焼成調理をしている被調理物に一時的に蒸気を付与することができる。なお、給水弁55を開放させる設定時間(給水時間)は1秒から5秒の間の時間で設定可能となっている。
次に、焼成炉20内の被調理物の焼成調理について説明する。操作パネル60の操作部62を操作してマニュアル運転またはプログラム運転よりなる運転処理の操作信号が入力されると、制御装置70は、下側温度センサ43の検出温度に基づき下側ヒータ41の通電(作動)を制御し、上側温度センサ44の検出温度に基づき上側ヒータ42の通電(作動)を制御して、焼成炉20内は設定温度となるように加熱制御される。焼成炉20内の下部は通電制御された下側ヒータ41の各ヒータ素子41a~41cが発熱することで加熱され、また、下側ヒータ41の各ヒータ素子41a~41cによって加熱されている上側の炉床板27から発生する輻射熱によって加熱される。また、焼成炉20内の上部は通電制御された上側ヒータ42の各ヒータ素子42a~42dが発熱することで加熱され、焼成炉20内の下部から自然対流によって上昇する熱によっても加熱される。
扉21を開放して前面開口部20aから焼成炉20内にパン生地等の被調理物を入れたトレイを搬入し、前面開口部20aを扉21により閉じてから、操作パネル60の操作部62を操作して設定調理時間の計時を開始させる操作信号が入力されると、制御装置70は、設定調理時間が終了するまで計時処理を開始する。トレイに入れた被調理物は上述した運転処理により通電制御される下側及び上側ヒータ41,42によって焼成炉20内で加熱される。
また、運転処理を実行しているときに、操作部62を操作して焼成炉20内で蒸気を発生させる蒸気発生処理を実行する操作信号が入力されると、制御装置70は、給水弁55を設定時間で開放させる。給水源から供給される水は、給水管54から蒸気発生皿51の蓄熱板52の上側に送出され、送出された水のほとんどが蓄熱板52に接触するときに気化して蒸気となり、一部の水は蓄熱板52から蒸気発生皿51に流れて気化して蒸気となる。蒸気発生皿51の主として前部の蓄熱板52で発生させた蒸気は蒸気発生蓋56の蒸気通過孔56a以外の部分によって上方への流れが抑制されて、上方への流れが抑制された蒸気は前部から後部に流れる過程で多数の蒸気通過孔56aから上側に放出され、焼成炉20の内周面との間の通路51bを通って焼成炉20の前部を主としつつ後部を含めた下部全体にも流れ落ちるようになる。焼成炉20内の被調理物は焼成炉20内の上部から流れ落ちる蒸気によって一時的に蒸気が付与される。
この蒸気発生処理を実行するときに、給水部53による給水を制限可能とする給水制限処理を実行している。この給水制限処理は、主として、焼成炉20内がパン生地等の被焼成物の焼成に適さない温度に低下するのを防ぐことを目的とし、焼成路20内の圧力が蒸気を発生させたときに急激に高くなって、前面開口部20aから焼成炉20内の蒸気が漏出したり、前面開口部20aと扉21と間で結露が生じにくくすることを目的としている。
給水制限処理は、所定の設定時間として30秒内の給水部53による給水積算量が給水を制限する給水制限量以上であるときに給水部53による給水を実行しないように制御している。この実施形態では、給水制限量は、焼成路20内がパン生地等の被焼成物の焼成に適さない温度に低下するのを防止するときには300mlと設定され、焼成炉20内から蒸気が漏出するのを防止するときには400mlと設定されている。また、給水部53は1秒間に60mlの水を供給するものであり、給水積算量は給水部53の給水積算時間、給水弁55の開放積算時間から算出することができる。焼成路20内がパン生地等の被焼成物の焼成に適さない温度に低下するのを防止することを目的としたときには、30秒以内の給水部53の給水積算量が給水制限量である300mlを換算した給水積算時間として5秒間(給水弁55の開放積算時間が5秒間)となると、給水制限処理によって給水部53から給水を実行しないように制御する。また、焼成炉20内から蒸気が漏出するのを防止することを目的としたときには、30秒以内の給水部53の給水積算量が給水制限量である400mlを換算した給水積算時間として6.7秒間(この実施形態では給水部53による給水は1秒毎であるので7秒間とする。給水弁55の開放積算時間が7秒間)となると、給水制限処理によって給水部53から給水を実行しないように制御する。
蒸気発生処理を実行するとき、焼成炉20内のパン生地等の被焼成物の焼成に適さない温度に低下するのを防止することを目的とした給水制限処理の制御について説明する。また、この給水制限処理では、所定の設定時間として30秒以内の給水部53による給水積算時間、すなわち、給水弁55の開放積算時間に基づいて給水積算量となったかを判定している。図17に示したように、蒸気発生処理を実行するときに、制御装置70は、ステップ101から始まる処理を繰り返し実行しており、ステップ101にて、操作部62を操作して蒸気発生処理を実行する操作信号が入力されたか否かを判定する。蒸気発生処理を実行する操作信号が入力されなければ、制御装置70は、ステップ101にてNOと判定して蒸気発生処理を実行せずに終了する。操作部62を操作して焼成炉20内で蒸気を発生させる蒸気発生処理を実行する操作信号が入力されると、制御装置70はステップ101にて、YESと判定してステップ102に進める。
制御装置70は、ステップ102にて、操作部62から蒸気発生処理を実行する操作信号が入力される30秒前に、内蔵するカウンタに記録されている給水部53による給水時間を積算した給水積算時間として、給水弁55の開放時間を積算した開放積算時間が5秒より短いか否かを判定する。操作信号が入力される30秒前に給水弁55の開放積算時間が5秒より短ければ、給水積算量が300ml以上となってなく、給水部53によって蒸気発生皿51に給水をしても、焼成炉20内の温度がパン生地等の被調理物の焼成に適さない温度に低下するおそれが低いので、制御装置70は、ステップ102にてYESと判定してステップ103に進める。制御装置70は、ステップ103にて、給水弁55を設定時間で開放するように制御する。上述したように、蒸気発生皿51の上側にて発生した蒸気は焼成炉20の下部に流れ落ち、焼成炉20内の被調理物は焼成炉20内の上部から流れ落ちる蒸気によって一時的に蒸気が付与される。制御装置70は、ステップ104にて、給水弁55の開放時間を内蔵するカウンタに記録する。
これに対し、操作信号が入力される30秒前にカウンタに記録されている給水弁55の開放積算時間が5秒以上であれば、給水積算量が300ml以上となっており、給水部53によって蒸気発生皿51に給水をすると、焼成炉20内の温度が焼成に適さない温度に低下するおそれが高いので、制御装置70は、ステップ102にてNOと判定してステップ105に進める。制御装置70は、ステップ105にて、給水制限処理として給水弁55を開放せずに給水部53から蒸気発生皿51の上側に給水をしないように制御し、表示部51またはブザーに焼成炉20内の温度が焼成に適さない温度に低下するおそれが高い給水制限状態である情報を出力する。このように、焼成炉20内の温度が焼成に適さない温度に低下するおそれが高いときには、給水制限処理により給水部53による給水が制限されるので、焼成炉20内が蒸気を発生させるための給水によって温度が低下しないようにすることができる。
また、運転処理を実行しているときに、焼成炉20内の空気を排出させるときには、ユーザは操作摘まみ37を摘まんで操作バー36を前側に移動させる。排気シャッタ35は操作バー36を前側に移動させることによって前側に移動し、排気管32の先端開口が排気シャッタ35の移動に応じた開度で開放される。焼成炉20内の空気(熱気)は排気口20bから排気管32を通って上端開口から排気ガイド33の内部空間に送出され、排気ガイド33の内部空間に送出された空気は排気開口部11aからケーシング11の後側に向けて排出される。このように、焼成炉20内の空気(熱気)は開閉機構34の排気シャッタ35を開放させることによってケーシング11の排気開口部11aから後側に向けて排出される。
計時処理を開始してから設定調理時間となると、制御装置70は、設定調理時間が経過して焼成調理が終了した情報を操作パネル60の表示部61とブザーに出力すると、表示部61には設定調理時間が経過して焼成調理が終了した情報が表示され、ブザーから焼成調理が終了した情報が例えばブザー音によって発出される。
上記のように構成したオーブン調理装置10は、パン生地等の被調理物を焼成するための焼成炉20と、焼成炉20内の上部に配設されて焼成炉20内を加熱する上側ヒータ(ヒータ)42と、焼成炉20内の上部にて上側ヒータ42の上側に配設されて焼成炉20内にて蒸気を発生させる蒸気発生部50と、蒸気発生部50の給水部53を構成する給水弁55の作動を制御する制御装置70とを備えている。蒸気発生部50は、上側ヒータ42の上側に配置された蒸気発生皿51と、蒸気発生皿51に水を供給する給水部53とを備え、上側ヒータ42により加熱された蒸気発生皿51に給水部53から水を供給して蒸気を発生させるようにしている。また、この実施形態の給水部53は、給水源の水を蒸気発生皿51の上側(この実施形態では、蒸気発生皿51の上面に設けた蓄熱板52の上側)に供給する給水管54と、給水管54に介装された給水弁55とを備え、給水弁55を開放することによって給水源の水を給水管54を通して蒸気発生皿51の上側に送出するようにしている。
オーブン調理装置10においては、制御装置70は、運転処理を実行して焼成炉20内を加熱している状態で、蒸気発生処理を実行するときに、給水部53による給水を制限可能とする給水制限処理を備えている。蒸気発生皿51に給水部53から水を短時間で頻繁に供給して蒸気を発生させようとしても、制御装置70は、給水制限処理により給水部53による給水を制限可能としている。これにより、過剰な給水によって焼成炉20内の温度が著しく低下するのを防ぐことができ、また、過剰な給水による多量の蒸気の発生によって焼成炉20内の圧力が高くなるのを防ぐことができる。
また、給水制限処理は、所定の設定時間として30秒以内の給水部53による給水積算量が給水を制限する給水制限量以上であるときに給水部53による給水を実行しないように制御している。この実施形態では、焼成炉20内が被調理物の焼成に適さない温度に低下するのを防止することを目的としているときには、給水制限処理は、所定の設定時間として30秒以内の給水部53による給水積算量が給水を制限する給水制限量として300ml以上であるときに給水部53による給水を実行しないように制御している。また、前面開口部20aから焼成炉20内の蒸気が漏出するのを防止することを目的としているときには、給水制限処理は、所定の設定時間として30秒以内の給水部53による給水積算量が給水を制限する給水制限量として400ml以上であるときに給水部53による給水を実行しないように制御している。
この実施形態では、給水制限処理は、所定の設定時間として30秒以内の給水積算量を、給水部53による給水積算時間、すなわち、給水弁55の開放積算時間に基づいて算出し、給水部53による給水積算時間、すなわち、給水弁55の開放積算時間が開放制限時間(給水制限時間)として5秒以上であるときに給水部53による給水を実行しないように制御している。蒸気発生皿51に給水部53から水を短時間で頻繁に供給して蒸気を発生させようとしても(例えば、30秒以内に給水弁55を開放積算時間が5秒以上であるとき等)、制御装置70は、給水制限処理により給水部53による給水を制限するので、焼成炉20内が蒸気を発生させるための給水によって被調理物の焼成に適さない温度に低下しないようにできる。
焼成炉20内から蒸気が漏出するのを防ぐときには、所定の設定時間として30秒以内の給水積算量を、給水部53による給水積算時間、すなわち、給水弁55の開放積算時間に基づいて算出し、給水部53による給水積算時間、すなわち、給水弁55の開放積算時間が開放制限時間(給水制限時間)として7秒以上であるときに給水部53による給水を実行しないように制御している。このようしたときには、前面開口部20aから焼成炉20内の蒸気が漏出したり、前面開口部20aと扉21と間で結露が生じにくくすることができる。
この実施形態の給水制限処理においては、給水積算量は所定の設定時間内の給水部53による給水積算時間から算出されているが。これに限られるものでなく、給水積算量は所定の設定時間内の給水部53による給水回数、すなわち、給水弁55の開放回数から算出することもできる。図18に示したように(図18は図17のフローチャートのステップ102をステップ102Aに変更したものである。)、給水弁55を1回開放させたときに、給水弁55が1秒間開放するように設定されているときには、給水制限処理は、所定の設定時間として例えば30秒以内の給水部53による給水回数として、給水弁55を開放させた開放回数が給水を制限する給水制限回数として設定された5回以上であるときに給水部53による給水を実行しないように制御している。この場合において、給水弁55の1回当たりの開放時間を長く設定しているときには、給水制限処理が実行される給水制限回数が当然に少なくなる(例えば、給水弁55の開放時間が2秒に設定されているときには、設定時間として30秒位内の給水制限回数が300mlを超えない2回となる。)。
なお、焼成炉20内から蒸気が漏出するのを防ぐことを目的としたときには、給水弁55を開放させた開放回数が給水を制限する給水制限回数として設定された6回以上であるときに給水部53による給水を実行しないように制御している。また、給水弁55の開放時間が2秒に設定されているときには、設定時間として30秒位内の給水制限回数が400mlを超えない3回となる。
また、給水弁55を開放したときの単位時間当たりの給水量はある程度一定(1秒間に60ml)となっているものの、給水源の給水圧によって給水弁55を開放したときの流量が変わるおそれがある。この場合には、給水弁55の水の下流側に流量センサ(図示省略)を介装し、流量センサの検出流量に応じて給水弁55を開放するように制御すると、所定の設定時間内に供給される水の給水積算量を超える前に確実に給水弁55を閉止させることができるようになる。
また、このオーブン調理装置10においては、焼成炉20内の温度と下側及び上側ヒータ41,42の出力を予め設定したプログラム運転による運転処理を実行するときに、蒸気発生処理をタイマにより所望の時間に自動で実行するように制御してもよい。すなわち、プログラム運転中に、操作部62を操作して蒸気発生処理を実行させたときに、タイマにより自動で実行する蒸気発生処理を含めて、給水制限処理によって焼成炉20内に過剰に水が供給されないようにすることができる。
また、このオーブン調理装置10においては、設置場所の水道等の給水源の給水圧によって、給水弁55を開放した時間当たりの給水量(給水流量)が異なることがあり、蒸気発生処理を実行したときの給水弁55を1回開放したときの給水量が変わることになって、焼成炉20の温度の低下具合が変わるおそれがある。このため、給水弁55には通過する水の流量を調節可能とする流量調節弁を採用するとともに、給水弁55の水の下流側に流量センサ(図示省略)を介装する。流量センサの検出流量に基づいて流量調節弁よりなる給水弁の開度を調節するように制御すれば、給水制限処理によって焼成炉20内が焼成に適さない温度とならないようにする精度を高くすることができる。
この実施形態のオーブン調理装置10においては、給水部53は、給水管54と、給水管54に介装された給水弁55とを備え、給水弁55を開放したときに給水源から供給される水圧によって給水管54から蒸気発生皿51に水を送出するようにしているが、これに限られるものでなく、送水ポンプによって給水管54から蒸気発生皿51に水を送出するようにしたものであってもよい。
この実施形態のオーブン調理装置10においては、給水管54には水の温度を検出する水温センサを介装し、水温センサの検出温度に基づいて給水制限処理の給水制限量を増減させるようにしてもよい。水温センサの検出温度が通常の水温として設定されている設定温度の上限温度以上であるときには、焼成炉20内が被調理物の焼成に適さない温度に低下しにくくなるので、給水制限量を多くし(例えば305ml)、水温センサの検出温度が設定温度の下限温度以下であるときには、焼成炉20内が被調理物の焼成に適さない温度に低下しやすくなるので、給水制限量を少なくする(例えば295ml)。このようにしたときには、焼成炉20内が被調理物の焼成に適さない温度に低下しにくくなる精度を高くすることができる。
この実施形態のオーブン調理装置10においては、給水制限処理は、所定の設定時間として30秒以内の給水部53による給水積算量が給水制限量として設定した300mlまたは400ml以上であるときに給水部53による給水を実行しないように制御している。本発明はこれに限られるものでなく、設定時間を30秒以外の時間とし、給水制限量を300mlまたは400ml以外の量としてもよい。なお、給水制限時間及び給水制限回数は、給水部53の単位時間当たりの水量と給水制限量に応じて定められるものであるので、上記の実施形態での給水制限回数及び給水制限回数もこれらに限られものでない。
10…オーブン調理装置、20…焼成炉、42…ヒータ(上側ヒータ)、50…蒸気発生部、51…蒸気発生皿、53…給水部、70…制御装置。
Claims (8)
- 被調理物を焼成するための焼成炉と、
前記焼成炉内の上部に配設されて前記焼成炉内を加熱するヒータと、
前記焼成炉内の上部にて前記ヒータの上側に配設されて前記焼成炉内にて蒸気を発生させる蒸気発生部と、
前記蒸気発生部の作動を制御する制御装置とを備え、
前記蒸気発生部は、前記ヒータの上側に配置された蒸気発生皿と、前記蒸気発生皿に水を供給する給水部とを備え、
前記制御装置は、前記ヒータにより加熱された前記蒸気発生皿に前記給水部から水を供給させるように制御して蒸気を発生させる蒸気発生処理を備えたオーブン調理装置であって、
前記制御装置は、前記蒸気発生処理を実行するときに、前記給水部による給水を制限可能とする給水制限処理を備えたことを特徴とするオーブン調理装置。 - 請求項1に記載のオーブン調理装置において、
前記給水制限処理は、所定の設定時間内の前記給水部による給水積算量が給水を制限する給水制限量以上であるときに前記給水部による給水を実行しないように制御することを特徴とするオーブン調理装置。 - 請求項2に記載のオーブン調理装置において、
前記給水積算量は、所定の設定時間内の前記給水部による給水積算時間から算出される水の量であることを特徴とするオーブン調理装置。 - 請求項2に記載のオーブン調理装置において、
前記給水積算量は、所定の設定時間内の前記給水部による給水回数から算出される水の量であることを特徴とするオーブン調理装置。 - 請求項2~4の何れか1項に記載のオーブン調理装置において、
前記給水制限量は、前記焼成炉内が前記被調理物の焼成に適さない温度に低下するのを防止するのに求められた水の量であることを特徴とするオーブン調理装置。 - 請求項2~4の何れか1項に記載のオーブン調理装置において、
前記給水制限量は、前記焼成炉内から蒸気が漏出するのを防止するのに求められた水の量であることを特徴とするオーブン調理装置。 - 請求項1~6の何れか1項に記載のオーブン調理装置において、
前記制御装置は、タイマにより前記給水部による給水を自動で実行するように制御したものであり、前記タイマにより前記給水部による給水を実行するタイミングであっても、前記給水制限処理により前記給水部による給水を実行しないように制御したことを特徴とするオーブン調理装置。 - 請求項1~7の何れか1項に記載のオーブン調理装置において、
前記給水部は、前記蒸気発生皿に水を供給する給水管と、前記給水管に介装されて通過する水の流量を検出する流量センサと、前記給水管に介装されて通過する水の流量を調節可能に開閉する流量調節弁とを備え、
前記制御装置は、前記流量センサの検出流量に基づき前記流量調節弁の開度を調節するように制御したことを特徴とするオーブン調理装置。
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- 2021-08-04 JP JP2021127884A patent/JP2023022857A/ja active Pending
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