JP2023016550A - 波長変換モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】信頼性が高い波長変換モジュールを提供する。【解決手段】波長変換モジュール100は、基体30と、蛍光体からなる波長変換部材11と、基体30と波長変換部材11とを接合する金属21を含む接合部材20と、を含み、波長変換部材11の厚みは100μm未満である。【選択図】図3A

Description

本開示は、波長変換モジュールに関する。
近年、ヘッドランプ、各種照明機器、レーザープロジェクター等の光源として、例えば、半導体レーザーからの青色光を蛍光体によって波長変換するようにした高出力の光源が広く使用されるようになってきている。この光源において、蛍光体は波長変換に伴い発熱するので、蛍光体における発熱を効率よく排熱することが求められている。特に、半導体レーザーを用いた光源に使用される波長変換装置では、耐久性に優れた波長変換部材を用いかつ波長変換部材における発熱を効率よく排熱することが求められている。
これらの要求に応えるために、特許文献1には、波長変換部材としてセラミック蛍光体を用い、該セラミック蛍光体を放熱部材に焼結組織を有する接合部により接合した波長変換装置(波長変換モジュールともいう。)が開示されている。特許文献1によれば、銀、金及び銅の少なくとも1つを含む焼結組織を有する接合部を用いることにより、高い熱伝導性を得ることができるとされている。
特開2019-207761号公報
しかしながら、より高出力の光源が求められており、そのような光源に使用される波長変換部材を含む波長変換モジュールにもより高い信頼性が求められるようになってきている。そこで、本開示は、信頼性が高い波長変換モジュールを提供することを目的とする。
本開示に係る波長変換モジュールは、基体と、蛍光体からなる波長変換部材と、基体と波長変換部材とを接合する金属部を含む接合部材と、を含み、波長変換部材の厚みは100μm未満である。
以上のように構成された波長変換モジュールは、より高い信頼性を得ることができる。
本開示に係る波長変換モジュールの上面図である。 波長変換モジュール基体に用いられる基体の断面図である。 他の形態の基体の断面図である。 さらに他の形態の基体の断面図である。 図1に示す波長変換モジュールのA-A線についての断面図である。 図3Aの断面図の一部を拡大して示す断面図である。 波長変換モジュールの製造方法の一工程を示すフロー図である。 波長変換部材準備工程後の状態を示す模式断面図である。 第1成膜工程後の状態を示す模式断面図である。 研削研磨準備工程後の状態を示す模式断面図である。 研削研磨工程後の状態を示す模式断面図である。 第2成膜準備工程後の状態を示す模式断面図である。 第2成膜工程後の状態を示す模式断面図である。 ダイシング準備工程後の状態を示す模式断面図である。 ダイシング工程後の状態を示す模式断面図である。 波長変換モジュールの製造方法のフロー図である。 本開示に係る波長変換モジュールにおいて、上限励起入力と波長変換部材の厚みとの関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための実施形態や実施例を説明する。なお、以下に説明する波長変換モジュールは、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態や実施例に分けて示す場合があるが、異なる実施形態や実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態や実施例では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態や実施例ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
以下、本開示に係る実施形態について詳細に説明する。
セラミック蛍光体の厚みが100μm以上500μm以下である光波長変換装置が、例えば上述の特許文献1に記載されている。このセラミック蛍光体にレーザーを照射し、その反射光を取り出すと、セラミック蛍光体の表面において発熱が生じる。そして、セラミック蛍光体の厚みが厚いと、セラミック蛍光体の表面からそのセラミック蛍光体が搭載されている放熱性の高い基板までの距離が長くなり排熱がされにくい。排熱性を考慮して蛍光体の薄膜化が考えられるが、蛍光体材料として用いられるセラミックは、シリコン基板やサファイア基板等と比較して剛性が低く、薄膜化後の状態においてハンドリングが困難であるため蛍光体の薄膜化の実現が難しい。
本開示に係る発明は、上記知見に基づき鋭意検討した結果なされたものであり、蛍光体からなる波長変換部材の薄膜化を実現し、波長変換部材における発熱を効率よく排熱することができる。これにより、信頼性が高い波長変換モジュールを提供することができる。
この機能を効果的に発揮させる具体的な構成として、波長変換モジュール100は、基体30と、蛍光体からなる波長変換部材11と、基体30と波長変換部材11とを接合する金属21を含む接合部材20と、を含み、波長変換部材11の厚みは100μm未満である。このように、波長変換部材11の厚みが100μm未満であるため、波長変換部材11の発熱を効率よく排熱することができる。以下、より具体的な形態について図1~図3Bを参照しながら詳細に説明する。
-基体-
基体30は、凹部31aを有する基部31と、凹部31aの内面を含む基部31の上面に設けられた第1金属層32と、第1金属層32上に設けられた第2金属層33と、を含んでよい(図3Aおよび図3B参照)。基部31は銅、あるいは銅合金が放熱と加工性の点で好ましい。第1金属層32は、一例として、ニッケル(Ni)であり、厚みは、0.1μm以上3.0μm以下であることが好ましい。第2金属層33は、一例として、金(Au)であり、厚みは、0.02μm以上5.0μm以下であることが好ましい。さらに、第2金属層33上には、基体30と波長変換部材11との間隔を調整する第3金属層34を設けてもよい。第3金属層34の一例として、銀(Ag)を用いてよく、厚みは、基体30と波長変換部材11との間隔に応じて適宜設定可能である。例えば、0.1μm以上100μm以下であることが好ましいが、第3金属層34を設けなくてもよい。
なお、本実施形態で説明する基体は、凹部31aを形成するための環状の凸部を有するパッケージ構造について説明したが、例えば、凹部を形成するための環状の凸部に代えて基体(基板)の上面に形成された、凹部を形成するための環状の凸部より低い低背構造の環状の凸部(図2B参照)あるいは凹部(図2C参照)を形成することが好ましい。低背構造の環状の凸部あるいは凹部は、金属焼結体の厚さより低くてもよい。環状の凸部あるいは凹部があると、樹脂を形成する際に表面張力によって樹脂の広がりを止める事ができる。
-波長変換部材-
波長変換部材11は蛍光体からなる。本明細書において、波長変換部材が蛍光体からなるとは、蛍光体以外の成分が不可避的に混入することを排除しないことを意味し、蛍光体以外の成分の含有率は例えば0.05重量%以下である。波長変換部材11は、多結晶体が好適であり、例えば、下記式(I)で表される組成を有する希土類アルミン酸塩焼結体である。
(Ln1-nCe(Al1-mM112 (I)
(式(I)中、Lnは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素であり、M1は、Ga及びScから選択される少なくとも一種の元素であり、m、nは、それぞれ0≦m≦0.02、0.0017≦n≦0.0170 を満たす数である。)
好ましくはイットリウムアルミニウムガーネットの焼結体からなるYAG板、ルテチウムアルミニウムガーネットの焼結体からなるLAG板から構成することができ、使用するプロジェクターの構成によって選択される。具体的には赤色光源としてはレーザー光源等を用いて、蛍光光としては緑色のみを用いる場合はLAG板、緑色と赤色共に蛍光光を用いる場合はYAG板により構成する。波長変換部材11の厚みは、後で詳述するが100μm未満である。波長変換部材11の厚みは、95μm未満であることが好ましく、80μm未満であることがより好ましく、70μm未満であることがさらに好ましい。また、波長変換部材11の厚みは、例えば20μm以上である。また、波長変換部材11における蛍光体のCe量(mol%)は、前述したCe置換比nを用いてn×3×100/(3+5+12)で計算され、0.025mol%以上0.255mol%以下が好ましい。このようなCe量であると、高温時の発光効率の低下が抑えられるため、高出力レーザー励起用途に向いている。
希土類アルミン酸塩焼結体の相対密度は、85%以上99%以下の範囲内であり、好ましくは89%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは91%以上であり、特に好ましくは92%以上である。希土類アルミン酸塩焼結体の相対密度が85%以上99%以下の範囲内であると、希土類アルミン酸塩焼結体に入射された励起光を空隙で効率よく散乱させて、散乱させた光を結晶相で効率よく波長変換して、励起光を入射された面と同一の面から波長変換された光を出射することができる。
希土類アルミン酸塩焼結体の相対密度は、希土類アルミン酸塩焼結体の見掛け密度及び希土類アルミン酸塩焼結体の真密度から下記式(1)により算出することができる。
Figure 2023016550000002
希土類アルミン酸塩焼結体の見掛け密度は、希土類アルミン酸塩焼結体の質量を希土類アルミン酸塩焼結体の体積で除した値であり、下記式(2)により算出することができる。希土類アルミン酸塩焼結体の真密度は、希土類アルミン酸塩蛍光体の真密度を用いることができる。
Figure 2023016550000003
希土類アルミン酸塩焼結体は、空隙率が1%以上15%未満の範囲であることが好ましい。希土類アルミン酸塩焼結体の空隙率は、100%から希土類アルミン酸塩焼結体の相対密度を引いた値であり、必要であれば、下記式(3)により算出することができる。
Figure 2023016550000004
希土類アルミン酸塩焼結体は、結晶相の周囲に空隙が分散していることが好ましい。結晶相の周囲に空隙が分散していると、希土類アルミン酸塩焼結体に入射された励起光が、結晶相の周囲に分散している空隙によって散乱され、分散された光が結晶相によって効率的に波長変換されるため、励起光が入射された面と同じ面から波長変換された光を出射することができる。
-接合部材-
接合部材20は、基体30と波長変換部材11とを接合するものであり、金属21を含んでいる。金属21は、波長変換部材11に生じた熱を基体30に伝えるため、熱伝導性の良い材料が好ましい。一例として、銀(Ag)または銅(Cu)を含むことが好ましく、銀(Ag)を含むことがより好ましい。
・金属
金属21は、空隙を含む多孔質構造の金属焼結体とすることが好ましい。ここで、本開示でいう、多孔質構造の金属焼結体とは、例えば、金属粉体を含む金属ペーストを焼成して焼結させたものであり、隣接する金属粉が少なくとも一部で融着することにより複数の金属粉が連続して繋がった網目構造の金属部を含み、融着した部分を除いた隣接する金属粉間において空隙が形成されたものである。したがって、本開示でいう多孔質構造の金属焼結体は、例えば、波長変換モジュールで言えば、波長変換部材と基体(放熱部材)との間に空隙が存在する。
また、多孔質材料というと、一般に細孔が非常に多く空いている材料のことをいい、例えば、ミクロポーラス材料、メソポーラス材料、マクロポーラス材料と言われるが、本開示おける金属焼結体は、例えば、焼結前の金属粉体の粒度分布に依存して種々の大きさの空隙を含み得る。さらに、本開示における金属焼結体は、例えば、2つの部材を接合する接合部材として用いる場合には、2つの部材に挟まれた部分にも空隙は存在し、これによってより効果的に熱応力に耐えうる強度を確保できる。
金属21は基体30の凹部31aの底面に向かって広がったフィレットを有していてもよく、そのフィレットは波長変換部材11の側面の少なくとも一部を覆っていてもよい。本明細書に記載の「フィレット」とは、波長変換部材11の側面より外側にはみ出した金属21であって、波長変換部材11側から下部方向に向かって小さくなる断面視略三角形状である部分をいう。
金属21は、接合部材20の厚さを一定以上の厚さにするためのスペーサ粒子を含んでいてもよい。これにより、基体30と波長変換部材11の間の金属21、すなわち接合部材20の厚さをスペーサ粒子の粒径と同じ又は厚くできる。スペーサ粒子は、ジルコニア粒子、ガラス粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子により構成することができ、好ましくは、ジルコニア粒子により構成する。スペーサ粒子の粒径は、確保すべき基体と波長変換部材の間隔を考慮して適宜設定されるが、例えば、20μm以上500μm以下の範囲、好ましくは、50μm以上300μm以下の範囲、より好ましくは、100μm以上200μm以下の範囲に設定する。
・樹脂
好適な接合部材20として、金属21に加えて樹脂50を含んでいてよい。樹脂50は、波長変換部材11との接合面積を大きくして強固に接合可能とする。樹脂50は、金属21の外表面を覆う第1樹脂部51と、金属21を構成する金属焼結体の空隙に含浸された第2樹脂部52とを含むことが好ましい。図示例(図3B参照)において、第1樹脂部51は、さらに波長変換部材11の側面を被覆してもよい。
第1樹脂部51の厚み(金属21のフィレット表面から第1樹脂部51の表面までの最短距離)は、1μm以上であることが好ましい。第1樹脂部51の厚さが十分にあると、外気から金属21が遮断されるため、金属21の硫化や酸化から守る事ができる。なお、第1樹脂部51の厚みは、例えば断面SEM等で確認する事ができる。
第2樹脂部52は、金属21を構成する金属焼結体の空隙に含浸されるものであり、これによって熱応力の耐久性を高くすることができる。ここで、第2樹脂部52は、金属焼結体の空隙に含浸されるものである点から理解できるように、あくまで波長変換部材11と基体30との接合は、金属21によって主に接合される。言い換えると、第2樹脂部52の体積割合は、金属21の体積割合と比べて少ないことが好ましい。
樹脂50(第1樹脂部51および第2樹脂部52)の主成分は、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂が用いられる。シリコーン樹脂等でも良いが、エポキシ樹脂はガスバリア性が高く、金属焼結体への含浸後に金属焼結体を外気から遮断できるため、より好ましい。熱硬化性のエポキシ樹脂としては、塩素等のハロゲンを含まないものが好ましい。エポキシ樹脂の種類は、脂環式、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等があり、液状品として、各種エポキシ反応性希釈剤を添加してもよい。中でも脂環式エポキシ樹脂が好ましい。脂環式エポキシ樹脂は粘度が低いため充填性に優れているのでボイドが発生しにくい。また、ガラス転移温度を200℃以上まで上げることができ、必要とする耐熱温度に応じたガラス転移温度へ容易に調整できる。
・樹脂に分散された粒子
樹脂50は、分散された粒子53を含んでいてもよい。粒子53は、気泡の発生を効果的に抑える消泡剤に含有される粒子が好ましい。消泡剤として、例えば、シリコーンオイル等の媒体に親水性又は疎水性の粒子(粉末)を配合分散させたものとしてよい。ここで、媒体としては、シリコーンオイルの他、疎水性の高い界面活性剤を用いることができるが、前者は非水系、後者は水系に向いている抑泡性消泡剤である。本実施形態では、樹脂材料はほとんどが非水系に該当するためシリコーンオイルを用いることが好ましい。また、親水性又は疎水性の粒子としては、親水性シリカ、疎水性シリカ等を用いてよい。消泡剤は、泡の発生を効果的に抑えることができる抑泡性消泡剤と泡を効果的に破泡する破泡性消泡剤とが存在するが、樹脂材料の飛散等を考慮すると、抑泡性消泡剤を用いることが好ましい。
また、媒体に配合分散させる親水性又は疎水性粒子の平均粒子径は、含浸させる対象物の空隙の大きさと保管時の粒子沈降を考慮して適宜設定されるが、例えば、0.001μm以上20μm以下であり、好ましくは、0.01μm以上10μm以下であり、より好ましくは、0.05μm以上5μm以下である。親水性又は疎水性の粒子の含有量は、例えば、媒体100重量部に対して、例えば、0.001重量部以上10重量部以下、好ましくは、0.01重量部以上5重量部以下、より好ましくは、0.1重量部以上3重量部以下である。
粒子53は、第1樹脂部51および第2樹脂部52のいずれにも含まれていてよいが、第2樹脂部52は、金属21の内部においては粒子53がほとんど含まれておらず、金属21の外表面付近の樹脂に粒子53が配置されている。つまり、第2樹脂部52において、金属21の外表面付近における第2樹脂部52に含まれる粒子53の密度は、金属21の内部における第2樹脂部52に含まれる粒子53の密度よりも大きい。また、第1樹脂部51に分散された粒子53の密度は、金属21の内部における第2樹脂部52に分散された粒子53の密度より大きくなっている。
また、この分散された粒子53は、波長変換モジュール製造時において樹脂50を形成するための樹脂材料の泡が液面に到達した際に泡の表面に作用し、配列を乱す事によって泡表面を不安定化して、液面からの泡の成長を抑制する機能を有するものである。粒子53の樹脂部材における泡抑制機能は第1樹脂部51内で発揮されればよく、第2樹脂部52は、実質的に粒子53は含んでいなくてもよい。
<その他付加的な構成>
-保護膜-
好適な態様として、波長変換部材11の上面(照射面または出射面)には、波長変換部材11を保護する観点から保護膜12を備えていてよい。保護膜12は、反射防止層として作用してもよく、例えば、SiO、Nb、TiO、等の金属酸化物または、例えば、SiN、GaN、AlN等の窒化物により構成することができ、好ましくは、SiOにより構成する。また、保護膜12は、単層から構成されていてもよいが、上記材料を複数積層させて複数層としてもよい。保護膜12の厚みは反射防止層として機能する厚みが好ましい。例えばSiO単層であれば、0.05μm以上0.20μm以下の範囲であることが好ましい。
保護膜12の最表面は、酸化物であることが好ましい。酸化物は、一般的に樹脂に対する接触角が大きいため、樹脂に対する濡れ性を低くすることができる。したがって、保護膜12の最表面であって、光が照射される位置および光が出射される位置に樹脂が付着して汚染することを低減できる。保護膜12の最表面は、例えばSiOである。
保護膜12の最表面の外縁部12eには、接合部材20の樹脂50が配置されていてもよい(図1~3B参照)。例えば、本実施形態では、樹脂50のうち第1樹脂部51が波長変換部材11の側面、保護膜12の側面および保護膜12の最表面の外縁部12eを被覆している態様を示している。ここで、本明細書に記載の「外縁部」とは、波長変換部材への光の照射および波長変換部材からの光の出射を阻害しない位置を意図している。より具体的には、一般にレーザー光のスポットサイズはφ2mm前後で使用され、部材組み立て時のズレを含めると波長変換部材表面の中心からφ3mm以内には有機物が存在しない事が望ましい。つまり波長変化部材表面の中心からφ3mm以上の領域を外縁部と言える。また別の観点では、外縁部は、波長変換部材11の長さに対して、例えば、35%以下の領域を指す。このように、保護膜12の最表面の外縁部12eに接合部材20の樹脂50を配置することにより、波長変換部材11と接合部材20との間の接合面積を大きくできるため、より強固に接合することが可能である。一方で、上述したとおり、外縁部12eよりも内側の領域は、光の照射および出射がなされるため、樹脂50を配置することは好ましくない。
-接合層-
波長変換部材11の下面(基体30と対向する面)には、接合層13が設けられていてもよい。接合層13は、透明反射層13aと、透明反射層13aの下面に設けられた金属接合層13bと、を含む。透明反射層13aは、例えば、Al膜、SiO膜、Nb膜、TiO膜により構成することができ、好ましくは、Al膜により構成する。透明反射層13aとは透明な層であって、波長変換部材11からの少なくとも一部の光を界面により反射する機能を有する。透明反射層13aによる光の反射は、金属による光の反射と比較して光吸収の少ない反射になるため、効率良く光を反射する事ができる。透明反射層13aの厚みは、0.1μm以上5.0μm以下の範囲であることが好ましい。金属接合層13bは、例えば、Ag膜、Ni膜とAg膜の積層、Ag膜とAu膜の積層、Al膜とAg膜の積層、Au膜、Al膜とAu膜の積層、前記積層で光反射や密着性や加熱時のバリア層として任意の金属層を挟んだ積層等により構成することができ、好ましくは、Ag膜により構成する。金属接合層13bの厚みは、0.1μm以上100μm以下の範囲であることが好ましい。
以上のように構成された波長変換モジュール100は、波長変換部材11の厚みが100μm未満であるため、波長変換部材における発熱を効率よく排熱することができる。波長変換部材11の厚みを100μm未満としたときの排熱性に関する測定結果は、実施例で詳述する。
次に、波長変換部材11、保護膜12および接合層13を備えた波長変換モジュールの製造方法について説明する。まず、波長変換部材11に保護膜12および接合層13を形成する工程について説明する。
(波長変換部材11に保護膜12および接合層13を形成する工程)
波長変換部材11に保護膜12および接合層13を形成する工程は、図4Aに示すように、波長変換部材準備工程S10と、第1成膜工程S11と、研削研磨準備工程S12と、研削研磨工程S13と、第2成膜準備工程S14と、第2成膜工程S15と、ダイシング準備工程S16と、ダイシング工程S17と、を含む。
-波長変換部材準備工程S10(図4B参照)-
まず、蛍光体からなる波長変換部材11を準備する。上述したとおり、波長変換部材11は、多結晶体から成ることが好ましい。また、蛍光体は、YAGまたはLAGを含むことが好ましい。蛍光体からなる波長変換部材11は、シリコン基板やサファイア基板等と比較して剛性が低いため、ハンドリングのしやすさの観点から例えば、厚み200μm以上のものを準備する。波長変換部材11は少なくとも片面は#22000砥石を用いて1~10μm/分の砥石送り速度で10μm以上研磨されている事が望ましい。このような加工がされていると表面が平滑なため、第1成膜工程で均一に成膜する事ができる。
-第1成膜工程S11(図4C参照)-
次に、波長変換部材11に対して透明反射層13aを成膜する。透明反射層13aは、公知の成膜方法(例えばスパッタ成膜法)を用いて厚み0.1μm以上5.0μm以下の範囲で成膜する。透明反射層13aの成膜後に金属接合層13bを成膜する。金属接合層13bは、例えば、Ag膜、Ni膜とAg膜の積層、Ag膜とAu膜の積層、Al膜とAg膜の積層、Au膜、Al膜とAu膜の積層から選択し、公知の成膜方法(例えばスパッタ成膜)を用いて厚み0.1μm以上100μm以下の範囲で成膜する。
-研削研磨準備工程S12(図4D参照)-
接合層13(透明反射層13aおよび金属接合層13b)が成膜された波長変換部材11について、波長変換部材11側の研削研磨を行うための準備工程を行う。金属リングR1付きの粘着シートS1に接合層13を貼り合わせる。ここで、粘着シートS1は、UV光を照射することによって粘着力が落ちるシートを採用する。また、金属リングR1は、粘着シートS1を保持するためのものである。
-研削研磨工程S13(図4E参照)-
研削研磨準備工程S12後に、研削研磨工程S13が行われる。研削研磨工程S13によって波長変換部材11は、100μm未満の厚さに加工される。研削研磨に際し、蛍光体からなる波長変換部材は剛性が低いため、まず#1500砥石を用いて狙う厚みの10μm手前まで砥石送り速度30~48μm/分で研削する。ただし、100μm未満を狙う場合、研削荷重による割れ防止のため、狙い厚みによらず100μmで止める。次に、#22000砥石を用いて1~10μm/分の砥石送り速度で狙い厚みまで研磨することが好ましい。
-第2成膜準備工程S14(図4F参照)-
研削研磨工程S13後に、第2成膜準備工程S14が行われる。研削研磨工程で用いられた粘着シートS1を新たな粘着シートに代えるため、まず粘着シートS1にUV光を照射して粘着性を落とした後に、粘着性シートS1よりも粘着性が低い新たな粘着シートを研削研磨が施された面に貼り付ける。その後、上下反転させて粘着シートS1を剥がす。その後、接合層13に新たな粘着シートS2を貼り付け、研削研磨が施された面に貼り付けられた粘着シートを取り外す。ここで、粘着シートS2は、UV光を照射することによって粘着力が落ちるシートを採用する。そして、金属リングR1と干渉しないように金属リングR1よりも小径の金属リングR2を取り付け、金属リングR1側のシートを切断する。このようにして、接合層13に金属リングR2付きの粘着シートS2が貼り付けられたものを準備する。なお、粘着シートS2は、後述の第2成膜工程で用いられる成膜装置に対応させて、真空用の粘着シートを用いることが好ましい。
-第2成膜工程S15(図4G参照)-
第2成膜工程S15では、波長変換部材11側に公知の成膜装置(例えばスパッタ装置)を用いて、保護膜12を成膜する。保護膜12は、例えばSiO単層であれば、0.05μm以上0.20μm以下の範囲で成膜する。保護膜12の成膜は、単層でも複数層でもよいが、保護膜12の最表面は、上述したとおり、後述する樹脂の付着により汚染されることを低減するため、酸化物が好ましい。より好ましくは、SiOが好ましい。
-ダイシング準備工程S16(図4H参照)-
第2成膜工程S15後は、まず粘着シートS2にUV光を照射して粘着性を落とした後に、吸着台Bに粘着シートS2を載置して粘着シートS2を吸着させた状態で金属リングR2を取り外し、保護膜12に金属リングR3付きの粘着シートS3を貼り付ける。この際に、穴あきセパレータAを用いることにより粘着シートS3と粘着シートS2とが接触することを抑制できる、もしくは粘着シートS3と粘着シートS2との接着面積を減らす事ができるため、剥がす事が容易になる。その後、上下を反転させて粘着シートS2を剥がし、さらに穴あきセパレータAを剥がす事で、金属リングR3と粘着シートS3に保持された、接合層13および保護膜12を備える波長変換部材11を得ることができる。金属リングに固定された粘着シート上で薄膜化した波長変換部材を取り扱い続ける事で割れを防ぐ事ができる。
-ダイシング工程S17(図4I参照)-
ダイシング準備工程S16後に、接合層13を公知のダイシング装置に対向させて、ダイシングを行うことにより、上下面に保護膜12および接合層13が配置された波長変換部材11が製造される。この波長変換部材11の厚みは100μm未満であり、平面視における形状は例えば1辺が2mm~10mmの矩形形状である。
次に、厚みが100μm未満となった波長変換部材を用いた波長変換モジュールの製造工程について説明する。
(波長変換モジュールの製造方法)
波長変換モジュールの製造方法は、図5に示すように、基体準備工程S20と、第1塗布工程S21と、配置工程S22と、接合工程S23と、含浸工程S24を含む。
1.基体準備工程S20
基体準備工程S20では、一例として、凹部31aを有する基部31と、第1金属層32と、第2金属層33と、第3金属層34とを備えた基体30を準備する工程である。凹部の形成は、公知の加工技術を用い、第1~第3金属層は、公知の成膜方法(例えばスパッタ成膜法)を用いてよい。なお、基体30は上述の例に限定されるものではなく、凹部の代わりに凸部を設けてもよい。また、第1金属層32から第3金属層34のうちいずれか1層であってもよいし、金属層を設けなくてもよい。
2.第1塗布工程S21
まず、金属粉体を含む金属ペーストを準備する。
(1)金属ペースト準備
以下の説明では、金属粉として銀粒子を使用する場合について説明し、金属ペーストを銀ペーストと称する。
(1-1)銀粒子の準備
準備する銀粒子の形状は特に限定されるものではなく、例えば、略球状であってよく、フレーク状であってもよい。なお、本明細書において、銀粒子が「略球状である」とは、銀粒子の長径aと短径bとの比で定義されるアスペクト比(a/b)が2以下であることを意味し、銀粒子が「フレーク状である」とは、アスペクト比が2より大きいことを意味する。銀粒子の長径aおよび短径bは、SEMによる画像解析により測定することができる。
準備する銀粒子は、平均粒子径が、例えば、0.3μm以上、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは2μm以上ある。銀粒子は、平均粒径が好ましくは10μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。平均粒径が0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であると、キャッピング剤のような保護膜を銀粒子表面に形成しなくても銀粒子が凝集しないため、保護膜を熱分解する必要がなくなり、低温で焼結することができる。銀粒子の粒径が大きいことにより、銀ペーストの流動性が向上する。このため、同じ流動性(作業性)を有する場合に銀ペーストがより多くの銀粒子を含むことが可能になる。平均粒径が10μm以下であり、より好ましくは5μm以下であると、銀粒子の比表面積が大きくなることによって融点降下現象が発生し、その結果、焼結温度を低くすることができる。銀粒子の粒径は、レーザー回折法により測定することができる。本明細書において、「平均粒径」は、レーザー回折法により測定した体積基準のメジアン径(粒度分布から求めた積算体積頻度が50%の値)を意味する。
準備する銀粒子は、好ましくは、粒径が0.3μm未満の銀粒子の含有量が5質量%以下であり、より好ましくは、粒径が0.5μm以下の銀粒子の含有量が15質量%以下である。銀粒子は、粒径が小さくなるにしたがってより低い温度で焼結する傾向にある。特に、ナノサイズの銀粒子は、マイクロサイズの銀粒子よりも低温で焼結する。このため、銀ペースト中のナノサイズの銀粒子の含有量が多いと、低温で焼結が開始してしまい、銀粒子同士が十分に接触していない状態で融着が生じるおそれがある。
準備する銀粒子は、その表面に銀の酸化被膜や硫化被膜等が微量に存在していてもよい。銀は貴金属であるため、銀粒子自体は酸化されにくく、非常に安定であるが、ナノ領域で見ると空気中等の硫黄や酸素等を吸着しやすく、銀粒子の表面に薄い被膜が形成される傾向にある。銀粒子における酸化被膜や硫化被膜等の厚みは好ましくは50nm以下、より好ましくは10nm以下である。
(1-2)銀粒子と有機溶剤との混合
ここでは、準備した銀粒子と分散媒である有機溶剤とを混合する。さらに銀ペーストは、樹脂等を含んでいてもよい。混合する際の銀粒子の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。混合可能な樹脂は、後述する焼成時の加熱によって分解し、形成される接合体中に残存しないものである。樹脂は、例えば、ポリスチレン(PS)やポリメチルメタクリレート(PMMA)であってよい。銀粒子を分散媒である有機溶剤と混合することにより、銀ペーストを基体の表面に所望の厚さで塗布することが容易になる。ここで使用する有機溶剤は、例えば、1種類の有機溶剤であっても、2種類以上の有機溶剤の混合物であってもよく、例えば、ジオールとエーテルとの混合物を用いることができる。有機溶剤の沸点は、150℃以上250℃以下の範囲であることが好ましい。沸点が150℃以上であると、加熱工程までの間に乾燥してしまうことによる、銀粒子の大気による汚染やチップの脱落を防ぐことができる。沸点が250℃以下であると、加熱工程での揮発速度が速くなり、焼結を促進することができる。
銀粒子および分散媒に加えて、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、希釈溶剤等の添加剤や、スペーサ粒子等を混合してもよい。銀ペーストにおける添加剤の含有量は、添加剤の総量が銀ペーストに対して5質量%以下、例えば0.5質量%以上3質量%以下であってよい。特にスペーサ粒子を添加する事で金属ペーストの厚みを再現性良く制御できるようになり、これにより樹脂を安定して含浸できるようになるので好ましい。なお、以上の説明では、銀粒子を用いて構成した銀ペーストを例に説明したが、本実施形態は、銀ペーストに限定されるものではなく、銀粒子以外の、例えば、銅粒子等の他の金属粒子を用いて構成した金属ペーストであってもよい。
(2)準備した金属ペーストを基体上に塗布
ここでは、基体30上に金属ペーストを塗布する。具体的には、凹部31aの底面上に準備した金属ペーストを塗布する。金属ペーストの塗布方法は、例えば、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサー印刷法、グラビア印刷法、スタンピング、ディスペンス、スキ-ジ印刷、シルクスクリ-ン印刷、噴霧、刷毛塗り、コーティング法等の公知の方法を適宜採用することができる。金属ペーストの塗布厚みは用途等に応じて適宜設定することができ、例えば1μm以上1000μm以下、好ましくは5μm以上800μm以下、より好ましくは10μm以上500μm以下とすることができる。
3.配置工程S22
保護膜12および接合層13を備える波長変換部材11を凹部31aの底面上に塗布した金属ペーストの上に載置する。例えば、金属ペーストの上方から載置し、波長変換部材11を凹部31aの底面の間の金属ペーストが所定の厚さになり、好ましくは、波長変換部材11の側面の一部に金属ペーストが這い上がるように、例えば、波長変換部材11を押圧する。
4.接合工程S23
接合工程では、金属ペーストを加熱して有機溶剤を除去し、金属粉を融着させることにより金属粉体を焼結させて基体30と波長変換部材11とを空隙を含む多孔質構造の金属焼結体により接合する。ここでの加熱焼成は、必要に応じて還元雰囲気中で加熱した後、酸化雰囲気中で焼成することもできる。
(1)加熱温度
(1-1)還元雰囲気中での加熱
還元雰囲気中での加熱は、上述したように必要に応じて実施されるものであり、任意である。還元雰囲気中での加熱は、金属粉の表面に微量に存在する酸化被膜等を還元により除去するものであり、これにより、金属粉の表面に金属原子を露出させて金属粉表面における金属原子の表面拡散が促進される。そのため、後続の酸化雰囲気中での加熱において、低温で金属粒子の焼結を促進することができる。
還元雰囲気中での加熱および後述する酸化雰囲気中での加熱は、別々の装置において行ってよいが、同じ装置で行うことが好ましく、これにより、還元雰囲気中での加熱と酸化雰囲気中での加熱とを同一の装置において連続して実施することができる。還元雰囲気は、ギ酸含有雰囲気または水素含有雰囲気であることが好ましく、例えば、窒素等の不活性ガスにギ酸または水素を混合したものであることが好ましい。還元雰囲気は、より好ましくはギ酸を含み、例えば、窒素等の不活性ガスにギ酸を混合したものであることが好ましい。
還元雰囲気中での加熱は、例えば、300℃未満で行い、好ましくは280℃以下であり、より好ましくは260℃以下、更に好ましくは200℃以下である。還元雰囲気中での加熱は、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは180℃である。加熱温度が150℃以上、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは180℃以上であると、銀粒子表面に存在する酸化被膜の還元反応の反応速度を速くすることができる。還元雰囲気中での加熱を行うときの圧力は特に限定されるものではなく、例えば大気圧であってよい。
(1-2)酸化雰囲気中での焼成
ここでは、酸化雰囲気中での加熱焼成することにより、金属粒子同士を融着させて、金属焼結体を形成する。酸化雰囲気は、好ましくは酸素含有雰囲気であり、より好ましくは大気雰囲気である。酸化雰囲気が酸素含有雰囲気である場合、雰囲気中の酸素濃度は2以上21体積%以下であることが好ましい。雰囲気中の酸素濃度が高いほど、金属粒子表面において金属原子の表面拡散が促進されて、金属粒子同士を融着させやすくなる。酸素濃度が2体積%以上であると、低い加熱温度で融着させることができ、酸素濃度が21体積%以下であると、加熱装置に加圧機構が不要となり、工程コストが低減できる。
(2)焼成温度
酸化雰囲気中での焼成温度は、例えば、300℃以下で行い、好ましくは280℃以下であり、より好ましくは260℃以下、更に好ましくは200℃以下である。酸化雰囲気中での焼成の前に、還元雰囲気中での加熱を実施すると、より低温での焼成が可能になる。酸化雰囲気中での焼成は、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上である。焼成温度を150℃以上、より好ましくは160℃以上とすることにより、電気抵抗率が低くかつ熱伝導特性が良好な金属焼結体を形成することができる。酸化雰囲気中での焼成は、加圧してもよいし、例えば大気圧であってよい。
4.含浸工程S24
含浸工程S24では、まず、親水性又は疎水性の粒子を含む消泡剤を含む樹脂材料を準備する。そして、準備した樹脂材料を塗布前に減圧することにより脱泡する。例えば、シリンジに樹脂材料を充填して塗布前にシリンジごと真空脱泡器に入れて脱泡する。このように減圧して脱泡することにより、樹脂材料の調合時やシリンジへの充填時に含まれた、非常に小さく、浮力が小さいため浮上できない気泡を効率よく脱泡することができる。この脱泡時における真空度は、例えば、10Pa以上10-3Pa以下好ましくは10Pa以上10-2Pa以下より好ましくは10Pa以上10-1Pa以下の範囲に設定する。また、本製造方法で用いる樹脂材料は、消泡剤を含んでいるので、脱泡工程において減圧した場合であっても大きな泡になって脱泡されることが抑制され、例えば、シリンジからの吹きこぼれを防止できる。
次いで、脱泡した樹脂材料を金属焼結体の表面に塗布する。塗布する樹脂量は、金属焼結体の空隙全体に充填された場合の樹脂量以上になるように設定される。具体的には、例えば、塗布する樹脂量は、金属焼結体の焼結密度と金属焼結体の全体の体積に基づいて金属焼結体の空隙の体積を求め、当該空隙体積以上となるように設定する。ここで、塗布する樹脂材料は、金属焼結体の空隙に充填することを考慮すると粘度は低い方が好ましいが、粘度を低くすると、以下のような課題がある。例えば、接合部材として金属焼結体を用いる場合には、塗布する金属焼結体の表面は通常水平ではなく傾斜している。このような場合、塗布した樹脂材料は、水平方向に広がりワイヤーパッド等の樹脂材料を塗布するべきではない領域まで達するおそれがある。したがって、塗布した樹脂材料の水平方向への広がりを抑える工夫を凝らすことが好ましい。ここでは、波長変換部材11の外側の凹部31a内、すなわち凹部31aの側面とフィレットの表面の間の領域に、例えば、シリンジにより脱泡後の樹脂材料を塗布する。そして、上述したとおり、保護膜12の最表面の外縁部12eに樹脂を位置させてもよい(図1~3B参照)。このように、保護膜の最表面の外縁部12eに樹脂を設けることにより、接合面積を大きくできるため、より強固に接合することが可能である。なお、保護膜の最表面の樹脂の形態に関してこの形態に限定されるものではなく、保護膜の最表面に樹脂を位置させなくてもよい。
次いで、金属焼結体の表面(フィレットの表面)に塗布した樹脂材料を減圧して空隙内の気体を排出し、空隙に樹脂材料を含浸させる。含浸させる際の真空度は、金属焼結体における空隙の体積率及び空隙の大きさに基づき、過剰な泡立ちを抑えつつ空隙全体に樹脂材料が含浸されるように適宜調整するが、例えば、10Pa以上10-3Pa以下好ましくは10Pa以上10-2Pa以下より好ましくは10Pa以上10-1Pa以下の範囲に設定する。樹脂の塗布工程S13でチップ下に残る空気はある程度大きいため、自身の浮力で浮上していくので脱泡工程S12とは異なりある程度は常圧でもチップ下から抜けていくが、完全には抜けきらないため減圧が必要である。本製造方法において、樹脂材料に親水性又は疎水性の粒子を有する消泡剤が含まれているので、樹脂材料を塗布した後に減圧しても空隙内の気体は樹脂材料表面で大きな泡に成長することなく小さい泡として脱泡される。このように、過剰な泡立ちを抑えて空隙内の気体を除去ことが可能になり、樹脂材料の飛散若しくは樹脂材料の不必要な広がりを抑制できる。また、樹脂材料それ自身に含まれている泡は、塗布前に減圧により除去されているので、樹脂材料それ自身に含まれている泡による樹脂材料の泡立ちを抑制できる。なお、消泡剤に含まれていた親水性又は疎水性の粒子(粉末)は、粒子であることから金属焼結体の空隙の中央部には侵入しにくく、また中央部に侵入する必要もない。すなわち、樹脂材料が塗布された金属焼結体の表面近傍に留っていても、その粒子による抑泡機能または破泡機能が金属焼結体の表面近傍において発揮され、樹脂材料の過剰な泡立ちは抑制される。
最後に、空隙内に含浸させた樹脂材料を加熱により硬化させる。以上のようにして、本実施形態の波長変換モジュールは作製される。
<実施例1>
実施例1では、以下のようにして、図3Aに示す波長変換モジュール100を作製した。
(1)基体30の準備
凹部31aを有し、銅からなる基部31に、第1金属層32として、厚さ、2μmのNiメッキ層が設けられ、第2金属層33として、厚さ0.05μmのAuメッキ層が設けられた、基体30を準備した。この基体30にメタルマスクを用いて凹部31a底面に第3金属層34として厚さ0.5μmのAgをスパッタリングにより成膜した。
(2)波長変換部材11の作製
ここでは、まず、波長変換部材11として、厚さ0.20mmのYAG板を準備した。ここで、準備したYAG板の組成は、(Y0.9967Ce0.0033Al12である。
そして、YAG板の下面に接合層をAl膜(0.7μm厚)、Ag膜(0.5μm厚)の順にスパッタリングにより成膜した。
次に粘着シートS1としてUV硬化型ダイシングテープをAg膜側に貼り付けて、研削研磨工程で波長変換部材11の厚みを63.5μmまで加工した。その後、粘着シートS1にUVを照射する事で粘着を落とし、非UVタイプダイシングテープをYAG側に貼り付けてから粘着シートS1を剥がした。
次に、Ag膜側に粘着シートS2としてUV硬化型ダイシングテープを貼り付けてから非UVタイプダイシングテープを剥がした。このYAG板の上面に、SiO膜を0.11μmの厚さに粘着シートS2ごとスパッタリングにより成膜することにより複数の波長変換部材11が一体化された波長変換部材板を作製した。
次に、粘着シートS2にUVを照射する事で粘着を落とし、SiO膜側に粘着シートS3としてUV硬化型ダイシングテープを貼り付けてから粘着シートS2を剥がした。粘着シートS3に貼り付いた状態の波長変換部材板を、ダイシングで個片化して、5.5mm×5.5mm×63.5μmの波長変換部材11を作製した。
(3)金属ペースト準備、塗布、波長変換部材の配置
波長変換部材11と基体30とを接合する金属ペーストとして、銀ペーストを準備した。銀ペーストは、まず有機溶剤である2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(0.852g)とジエチレングリコールモノブチルエーテル(0.213g)および、アニオン性液状界面活性剤(0.150g)を、自転・公転ミキサーにて1分間攪拌、次いで15秒間脱泡のサイクルを1サイクル用いて攪拌し、溶剤混合物を得た。
次に、フレーク状銀粒子(13.776g)と、スペーサ粒子として粒径100μmのジルコニア粒子(0.009g)を計量して前記溶剤混合物に加えた。得られた混合物を、自転・公転ミキサーにて1分間攪拌および15秒間脱泡のサイクルを、1サイクル用いて攪拌し、樹脂を含まない銀ペーストを得た。次に、基体30の凹部31aの底面に、準備した銀ペーストを塗布した。
そして、塗布した銀ペーストの上に、波長変換部材11をダイボンダーで配置した。
(4)接合
波長変換部材を配置した基体30をオーブンに入れて焼成することにより焼成銀ペーストに含まれる銀粉体を大気中で焼結させて基体30と波長変換部材11とを接合する。焼成温度は、0.24℃/minの昇温速度で200℃まで昇温し、200℃で1時間保持して銀粉体を焼結させた。
(5)樹脂含浸
まず、含浸樹脂として、脂環式エポキシ樹脂(熱硬化型、5.000g)に抑泡型シリコーンオイルコンパウンドタイプ(シリカ粒子を含む)消泡剤(0.005g、0.1%)を添加することにより樹脂材料を作製した。
(6)樹脂材料の塗布前脱泡
準備した樹脂材料を塗布用のシリンジに充填してシリンジごと真空脱泡器で脱泡した。脱泡は、到達真空度0.67Paの油回転真空ポンプを用いて30秒の条件で行った。
(7)樹脂材料の塗布
脱泡後の樹脂材料が入ったシリンジを用いてエアーディスペンサーで樹脂材料を凹部31a内に塗布した。具体的には、凹部31aの内周壁と波長変換部材の外周側面の間に、樹脂材料を充填することにより、銀焼結体の波長変換部材の周りに形成されたフィレットの表面に樹脂材料を塗布した。
(8)樹脂材料の含浸
樹脂材料を塗布した後、波長変換部材11を接合した基体30を、真空脱泡機内で減圧し、銀焼結体の空隙のエアーを抜き、樹脂材料を含浸させた。減圧は、到達真空度0.67Paの油回転真空ポンプを用いて10分の条件で行った。
(9)樹脂硬化
波長変換部材11を接合した基体30全体を、オーブンを用いて大気中で130℃、3時間加熱し、樹脂材料を硬化させて波長変換モジュールを得た。
<実施例2>
波長変換部材11の厚みを75.5μmとした以外は実施例1と同様にして波長変換モジュールを得た。
<実施例3>
波長変換部材11の厚みを87.0μmとした以外は実施例1と同様にして波長変換モジュールを得た。
<実施例4>
波長変換部材11の厚みを90.0μmとした以外は実施例1と同様にして波長変換モジュールを得た。
<比較例1> 波長変換部材11の厚みを150.0μmとした以外は実施例1と同様にして波長変換モジュールを得た。
<比較例2>
波長変換部材11の厚みを200.0μmとした以外は実施例1と同様にして波長変換モジュールを得た。
このようなリング状ではない小型の波長変換部材は回転させず固定してレーザーを照射して用いられる(固定式)。このため同じ場所にレーザーが当たり続けるので高温になりやすく、どこまで照射するレーザーを高出力にできるのか(上限励起入力)が重要である。回転式においては入射するレーザー出力(励起入力)に対しての発生する全蛍光光量(蛍光出力)の比である蛍光効率(=蛍光出力×100/励起入力)と、発生した蛍光が2次レンズ径を通ってプロジェクター装置から取り出される光量(照明出力)の割合である照明効率(=照明出力×100/蛍光出力)の2つが重要であり、その積がトータル効率(=蛍光効率×照明効率)となる。しかし先述したように固定式では上限励起入力が加えて重要であり、プロジェクター装置から取り出される最大の光量である上限光量は蛍光効率×照明効率×上限励起入力となる。以下で各評価項目の評価方法を説明する。
-蛍光効率-
蛍光効率は各実施例及び比較例の波長変換部材に対して、波長が450nmのレーザーダイオードによるレーザー光を入射光の光径が0.25mmとなるようにダイクロイックミラーを通して10Wの強度で照射して波長変換部材に入射した。そして、レーザー光を入射した面と同一の面から出射された光の放射束をダイクロイックミラーで分離し、積分球で測定した。波長変換部材は水冷しており、劣化しないようにしている。比較例2の放射束を100%とし、比較例2の放射束に対する実施例1から4及び比較例1の各波長変換部材のサンプルを測定した放射束を蛍光効率(%)として表した。
-照明効率-
各実施例及び比較例の波長変換部材に対して、波長が455nmのレーザーダイオードによるレーザー光を照射した。この照射は、レーザー光が入射された波長変換部材の上面上で入射光の光径が直径0.6mmとなるように照射した。次に、レーザー光が入射された波長変換部材の上面と同一の面から出射された出射光を以下の方法により測定した。まず、各実施例及び比較例の波長変換部材から出射された光の発光輝度を色彩輝度計で測定し、得られた発光スペクトルにおいて最大輝度を示す位置を中心(測定中心)とし、発光スペクトルにおいて最大輝度の100分の1となる輝度(1/100輝度)となる2か所の位置の測定中心からの距離(mm)を絶対値として測定した。そして、測定中心から当該2か所の位置の距離(mm)のそれぞれの絶対値の和を計算した。この数値を1%幅(mm)と呼ぶ。この数値が小さいほど、狭いエリアで発光している事になり(点光源)、2次光学系に光が入りやすくなり照明効率が高くなる。得られた数値と一般的な実際の2次光学系で測定した照明効率(=照明出力×100/蛍光出力)とを比較すると次の式で近似できることがわかっている。
照明効率=-0.0012x+0.1243x+58.783 (x=1%幅)
この数式を用いて各波長変換部材のサンプルの1%幅を測定し、照明効率を算出した。
-上限励起入力-
各実施例及び比較例の波長変換部材の上方から所定の出力[W]のレーザーを直接照射するとともにレーザー出力を徐々に上げていき、同時に蛍光出力の一部を測定し、波長変換部材の発熱によって蛍光体の溶融が生じ、蛍光出力が低下した際のレーザー出力[W]を測定した。波長変換部材は一般的なアルミ製ヒートシンクと空冷ファンで冷却されている。なお、波長変換部材の発熱はレーザースポットサイズに依存するため、蛍光体の溶融が生じた際のレーザー出力[W]をレーザースポットの面積[mm]で除した上限励起入力[W/mm]に基づいて波長変換モジュールを評価した。ここで、実施例および比較例のレーザースポットサイズは、1.29mm×2.67mm(3.44mm)とした。
-上限光量-
上限光量は上記で測定された蛍光効率、照明効率、上限励起入力の積を各サンプルで算出し、比較例2を100%として、比較例2の上限光量に対する実施例1から4及び比較例1の各波長変換部材を上限光量(%)として表した。
-相対密度-
各波長変換部材はYAG板を準備した段階で相対密度を測定した。相対密度は各評価項目に影響がある可能性があったので確認した。相対密度は上述したように質量と体積(アルキメデス法)から算出された。
評価結果を下記の表1および図6に示す。
Figure 2023016550000005

表1および図6によれば、実施例1~4に示す波長変換部材の厚みが100μm未満の波長変換モジュールは、比較例1および2に示す波長変換部材の厚みが100μm以上の波長変換モジュールに比較して、上限励起入力の値が高い結果が得られた。つまり、励起入力が20W/mm程度であっても実施例1~4は、蛍光出力の低下が起きなかったが、比較例1および2は、蛍光体に溶融が生じ、蛍光出力が低下した。上方からレーザー光を入射しているためレーザー光が照射されている波長変換部材の上面の最表面が最も高温になる。しかし、波長変換部材自体の熱伝導率が高くないため、波長変換部材が100μm以上であると熱が下方の金属部材に伝導しにくく、波長変換部材の最表面がかなりの高温になり、場合により溶融されることもある。それに対し、波長変換部材を100μm未満、例えば、95μm以下、好ましくは90μm以下にする事で、波長変換部材におけるレーザー光が照射された部分で発生した熱を下方の金属部材に伝導する事ができるようになり、波長変換部材の溶融を抑えることができる。このように波長変換部材の厚みを所定の範囲にすることで波長変換部材における急激な温度上昇を抑制し、上限励起入力が改善したと考えられる。
一方、蛍光効率と照明効率は大きな変動はなく、厚みとの相関は薄い事がわかった。また密度についても、実施例4のみ低くなっているが、やはり影響は厚みに比べて軽微であった。
なお、今回開示した実施態様は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施態様のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
本実施形態に係る樹脂含浸方法は、半導体素子やサブマウント基板の固定などに使用することができる。また、波長変換モジュール及びその製造方法は、自動車のヘッドライト、照明器具、プロジェクターなどに利用することができる。
11 波長変換部材
12 保護膜
12e 外縁部
13 接合層
13a 透明反射層
13b 金属接合層
20 接合部材
21 金属
30 基体
31 基部
31a 凹部
32 第1金属層
33 第2金属層
34 第3金属層
50 樹脂
51 第1樹脂部
52 第2樹脂部
53 粒子
100 波長変換モジュール
S1,S2,S3 シート
R1,R2,R3 リング
A 穴あきセパレータ
B 吸着台

Claims (12)

  1. 基体と、
    蛍光体からなる波長変換部材と 、
    前記基体と前記波長変換部材とを接合する金属部を含む接合部材と、を含み、
    前記波長変換部材の厚みは100μm未満である、波長変換モジュール。
  2. 前記波長変換部材は、多結晶体からなる、請求項1に記載の波長変換モジュール。
  3. 前記接合部材は、さらに樹脂部を含む、請求項1または2に記載の波長変換モジュール。
  4. 前記接合部材の前記金属部は、空隙を含む多孔質構造の金属焼結体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の波長変換モジュール。
  5. 前記金属焼結体の外表面を覆う第1樹脂部と、前記空隙に含浸された第2樹脂部と、を含む、請求項4に記載の波長変換モジュール。
  6. 前記波長変換部材の側面に前記第1樹脂部が位置している、請求項5に記載の波長変換モジュール。
  7. 前記波長変換部材上に保護膜が配置される、請求項1~6のいずれか1項に記載の波長変換モジュール。
  8. 前記保護膜は、最表面が酸化物からなる、請求項7に記載の波長変換モジュール。
  9. 前記保護膜の最表面の外縁部に前記接合部材の樹脂部が配置される、請求項7または8に記載の波長変換モジュール。
  10. 前記波長変換部材下に接合層が配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の波長変換モジュール。
  11. 前記蛍光体は、下記式(I)で表される組成を有する希土類アルミン酸塩焼結隊である、請求項1~10のいずれか1項に記載の波長変換モジュール。
    (Ln1-nCe(Al1-m 12 (I)
    (式(I)中、Lnは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素であり、Mは、Ga及びScから選択される少なくとも一種の元素であり、m、nは、それぞれ0≦m≦0.02、0.0017≦n≦0.0170を満たす数である。)
  12. 前記蛍光体のCe量(mol%)はn×3×100/(3+5+12)で計算され、0.025mol%以上0.255mol%以下である、請求項11に記載の波長変換モジュール。
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