JP2023016419A - 粘着剤組成物、粘着剤層、及び粘着シート - Google Patents

粘着剤組成物、粘着剤層、及び粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】高周波数帯において誘電率及び誘電損失が低く、誘電特性について水分の影響を受けにくく、ミリ波アンテナを構成する部材の貼り合わせに適する粘着剤層を形成できる粘着剤組成物及び粘着シートを提供する。【解決手段】本発明の第1の側面の粘着剤組成物は、周波数28GHzにおける誘電率が2.0~5.0であり、周波数28GHzにおける誘電損失が0.0001~0.05であり、65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が2.8%以下であり、下記式により計算される誘電損失の変化量が0.006以下である。誘電損失の変化量=Dfmax-Dfmin【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物、粘着剤層、及び粘着シートに関する。より詳細には、ミリ波アンテナの構成部材の貼り合わせに適する粘着剤組成物、粘着剤層、及び粘着シートに関する。
近年、スマートフォン等携帯用通信機器における通信の高速度化、大容量化は年々進歩しており、次世代の超高速データ通信規格である第五世代(5G)においては、第四世代(4G)よりも100倍の超高速・大容量通信、1/10の低遅延、10倍以上の多数同時接続が可能になると期待されている。
5Gにおける上記のような超高速・大容量通信、低遅延、多数同時接続を可能にするために、ミリ波と呼ばれる周波数が24GHzを超える高周波帯の電磁波が使用され、波長がミリメートルオーダーに短くなることによって、一度に大量のデータを送ることが可能となる。
一方、ミリ波は、4Gに使用されている周波数帯に比べて、雨や空気中の酸素、水分子との共鳴吸収等により減衰しやすく、直進性が強く、反射しやすいという性質があり、ミリ波通信に使用されるアンテナ(以下、「ミリ波アンテナ」と称する場合がある)には、従来の4G通信以上に高いアンテナ利得が求められる。
特許文献1には、スマートフォン等の携帯用通信機器に搭載されるミリ波アンテナとして、アンテナ素子を設けた基材にカバー部材が積層される構成が開示されており、これらの基材とカバー部材の貼り合わせに粘着剤が使用されている。
このような粘着剤として、例えば、特許文献2に、2-エチルヘキシルアクリレートと、特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、水酸基含有モノマーとを含むモノマー混合物を重合してなる重合体を含有し、周波数100kHzにおける誘電率が3.5以下である粘着剤層を形成可能な粘着剤が開示されている。
また、特許文献3には、特定のアクリル系ポリマーと、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニルモノマーと、光重合開始剤と、架橋剤とを含有し、周波数1MHzにおける比誘電率が3.5以下である粘着剤層が開示されている。
特開2019-186942号公報 特開2015-183178号公報 特開2020-007570号公報
ミリ波アンテナを構成する部材には、その素材の持つ誘電損失によりミリ波が低減することが知られており、アンテナ利得を下げないためにも、ミリ波の高周波数帯における低誘電率、特に低誘電損失の特性が求められる。ミリ波アンテナを構成する部材の貼り合わせに使用される粘着剤にも高周波数帯における低誘電率、低誘電損失の特性が求められる。また、水が前述のように高周波帯域のミリ波を吸収・阻害しやすいため、誘電特性について水分の影響を受けにくいことが求められる。
特許文献2の粘着剤は、低周波数(100kHz)において低誘電率であるものの、高周波帯における誘電損失が十分に低くなく、同様に、特許文献3の粘着剤層も、低周波数(1MHz)において低比誘電率であるものの、高周波帯における誘電損失が十分に低くなかった。また、低周波数帯における誘電率に関する記述のみであり、高周波数帯における誘電損失に関する情報は開示されておらず、本出願が対象とする課題の解決策を与えうるものではなかった。
本発明は、以上のような事情のもとで考え出されたものであって、本発明の目的は、高周波数帯において誘電率及び誘電損失が低く、誘電特性について水分の影響を受けにくく、ミリ波アンテナを構成する部材の貼り合わせに適する粘着剤層を形成できる粘着剤組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高周波数帯において誘電率及び誘電損失が低く、誘電特性について水分の影響を受けにくく、ミリ波アンテナを構成する部材の貼り合わせに適する粘着剤層を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高周波数帯において誘電率及び誘電損失が低く、誘電特性について水分の影響を受けにくく、ミリ波アンテナを構成する部材の貼り合わせに適する粘着剤層を有する粘着シートを提供することにある。
すなわち、本発明は、周波数28GHzにおける誘電率が2.0~5.0であり、周波数28GHzにおける誘電損失が0.0001~0.05であり、65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が2.8%以下であり、下記式により計算される誘電損失の変化量が0.006以下である、粘着剤組成物を提供する。
誘電損失の変化量=Dfmax-Dfmin
fmax:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数28GHzにおける誘電損失が示す最大値
fmin:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数28GHzにおける誘電損失が示す最小値
上記粘着剤組成物において、周波数28GHzでの誘電率が2.0~5.0であるという構成は、上記粘着剤組成物を用いて構成部材が貼り合わされたミリ波アンテナのアンテナ利得を向上できる。
上記粘着剤組成物において、周波数28GHzでの誘電損失が0.0001~0.05であるという構成は、上記粘着剤組成物を用いて構成部材が貼り合わされたミリ波アンテナのアンテナ利得を向上できる。
上記粘着剤組成物において、65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が2.8%以下であるという構成は、室温付近におけるミリ波アンテナ等に粘着剤層等として適用した際の耐水性に優れ、ミリ波の放射損失を抑制することができる。
上記粘着剤組成物において、周波数28GHzでの誘電損失の変化量が0.006以下であるという構成は、吸湿による誘電損失の変化量が低く制御され、ミリ波の放射損失を抑制することができる。つまり、誘電損失の変化量0.006以下において耐水性に優れミリ波の放射損失を抑制できる粘着剤組成物が得ることができる。
上記粘着剤組成物において、周波数60GHzでの誘電率は2.0~5.0であることが好ましい。当該構成は、上記粘着剤組成物を用いて構成部材が貼り合わされたミリ波アンテナのアンテナ利得を向上できる点で好ましい。
本発明は、また、周波数60GHzにおける誘電率が2.0~5.0であり、周波数60GHzにおける誘電損失が0.0001~0.05であり、65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が2.8%以下であり、下記式により計算される誘電損失の変化量が0.003以下である、粘着剤組成物を提供する。
誘電損失の変化量=Dfmax-Dfmin
fmax:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数60GHzにおける誘電損失が示す最大値
fmin:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数60GHzにおける誘電損失が示す最小値
上記粘着剤組成物において、周波数60GHzでの誘電率が2.0~5.0であるという構成は、上記粘着剤組成物を用いて構成部材が貼り合わされたミリ波アンテナのアンテナ利得を向上できる。
上記粘着剤組成物において、周波数60GHzでの誘電損失が0.0001~0.05であるという構成は、上記粘着剤組成物を用いて構成部材が貼り合わされたミリ波アンテナのアンテナ利得を向上できる。
上記粘着剤組成物において、65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が2.8%以下であるという構成は、室温付近におけるミリ波アンテナ等に粘着剤層等として適用した際の耐水性に優れ、ミリ波の放射損失を抑制することができる。
上記粘着剤組成物において、周波数60GHzでの誘電損失の変化量が0.003以下であるという構成は、吸湿による誘電損失の変化量が低く制御され、ミリ波の放射損失を抑制することができる。つまり、誘電損失の変化量0.003以下において耐水性に優れミリ波の放射損失を抑制できる粘着剤組成物が得ることができる。
上記粘着剤組成物は、厚み25μmの粘着剤層について測定した全光透過率が85%以上であることが好ましい。
上記粘着剤組成物は、厚み25μmの粘着剤層について測定したヘイズが1.0%以下であることが好ましい。
本発明は、また、上記粘着剤組成物により形成される粘着剤層を提供する。
本発明は、また、上記粘着剤層を有する粘着シートを提供する。
本発明は、また上記粘着シート及び基板を少なくとも有するミリ波アンテナであって、上記基板は少なくとも片面にアンテナ素子を備え、上記基板の上記アンテナ素子を有する側の面上に上記粘着シートが貼着されているミリ波アンテナを提供する。
本発明の粘着剤組成物、粘着剤層は、ミリ波の高周波数帯において低い誘電率、誘電損失を示し、ミリ波の放射損失を低く抑えることができる。従って、本発明の粘着シートを用いて、ミリ波アンテナの構成部材を貼り合わせることにより、高いアンテナ利得を示すミリ波アンテナを効率的に製造することができる。また、本発明の粘着剤組成物は、誘電特性について水分の影響を受けにくい。従って、本発明の粘着シートを用いたミリ波アンテナは、水分の影響を受けにくく、安定してミリ波の放射損失を低く抑えることができる。
図1は、本発明のミリ波アンテナの一実施形態を示す模式図(断面図)である。 図2は、本発明のミリ波アンテナの一実施形態を示す模式図(断面図)である。 図3は、本発明のミリ波アンテナの一実施形態を示す模式図(断面図)である。 図4は、送受信特性評価で用いたアンテナ積層体を示す模式図(断面図)である。図4(a)は側方断面図、図4(b)は上方投影図である。
[粘着剤組成物]
本発明の第1の側面の粘着剤組成物は、周波数28GHzにおける誘電率が2.0~5.0であり、周波数28GHzにおける誘電損失が0.0001~0.05であり、65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が2.8%以下であり、下記式により計算される誘電損失の変化量が0.006以下である。
誘電損失の変化量=Dfmax-Dfmin
fmax:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数28GHzにおける誘電損失が示す最大値
fmin:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数28GHzにおける誘電損失が示す最小値
本発明の第2の側面の粘着剤組成物は、周波数60GHzにおける誘電率が2.0~5.0であり、周波数60GHzにおける誘電損失が0.0001~0.05であり、65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が2.8%以下であり、下記式により計算される誘電損失の変化量が0.003以下である。
誘電損失の変化量=Dfmax-Dfmin
fmax:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数60GHzにおける誘電損失が示す最大値
fmin:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数60GHzにおける誘電損失が示す最小値
本発明の粘着剤組成物は、いずれの形態を有していてもよく、例えば、溶剤型、エマルジョン型、熱溶融型(ホットメルト型)、無溶剤型(活性エネルギー線硬化型、例えば、モノマー混合物、又はモノマー混合物とその部分重合物等)等が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、上記の通り、溶剤型であってもよく、すなわち、有機溶剤を含有していてもよい。
上記有機溶剤としては、溶媒として用いられる有機化合物であればよく、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。上記有機溶剤は、2種以上の有機溶剤を含む混合溶剤であってもよい。
本発明の第1の側面の粘着剤組成物は、28GHzにおける誘電率が低く制御されており、ミリ波の放射損失を抑制することができる。本発明の第1の側面の粘着剤組成物の周波数28GHzにおける誘電率は5.0以下であり、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.5以下、さらにより好ましくは3.4以下、特に好ましくは3.3以下、最も好ましくは3.2以下、3.1以下、3.0以下又は2.9以下である。下限値は、特に限定されないが、2.0以上が好ましく、2.1以上又は2.2以上であってもよい。また、第2の側面の粘着剤組成物は、周波数28GHzにおける誘電率が上記範囲内であることが好ましい。
本明細書において、誘電率は、後掲の実施例に記載の方法により、測定されるものである。なお、「比誘電率」は「誘電率」を「真空の誘電率」で割った値であるが、「真空の誘電率」は1であるため、本明細書において、「誘電率」と「比誘電率」は同義として扱うものとする。また、本発明の第1の側面の粘着剤組成物及び本発明の第2の側面の粘着剤組成物を総称して「本発明の粘着剤組成物」と称する場合がある。
本発明の第1の側面の粘着剤組成物は、28GHzにおける誘電損失が低く制御されており、ミリ波の放射損失を抑制することができる。本発明の第1の側面の粘着剤組成物の周波数28GHzにおける誘電損失は0.050以下であり、好ましくは0.045以下、より好ましくは0.040以下、さらに好ましくは0.035以下、さらにより好ましくは0.030以下、特に好ましくは0.025以下、最も好ましくは0.020以下である。下限値は、0.0001以上が好ましく、0.0005以上又は0.0010以上であってもよい。また、本発明の第2の側面の粘着剤組成物は、周波数28GHzにおける誘電損失が上記範囲内であることが好ましい。
本発明の第2の側面の粘着剤組成物は、60GHzにおける誘電率が低く制御されており、ミリ波の放射損失を抑制することができる。本発明の第2の側面の粘着剤組成物の周波数60GHzにおける誘電率は5.0以下であり、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.5以下、さらにより好ましくは3.4以下、特に好ましくは3.3以下、最も好ましくは3.2以下、3.1以下、3.0以下又は2.9以下である。下限値は、特に限定されないが、2.0以上が好ましく、2.1以上又は2.2以上であってもよい。また、本発明の第1の側面の粘着剤組成物は、周波数60GHzにおける誘電率が上記範囲内であることが好ましい。
本発明の第2の側面の粘着剤組成物は、60GHzにおける誘電損失が低く制御されており、ミリ波の放射損失を抑制することができる。本発明の第2の側面の粘着剤組成物の周波数60GHzにおける誘電損失は、0.050以下であり、好ましくは0.045以下、より好ましくは0.040以下、さらに好ましくは0.035以下、さらにより好ましくは0.030以下、特に好ましくは0.025以下、最も好ましくは0.020以下、0.019以下、0.018以下、0.017以下、0.016以下、0.015以下、0.014以下、0.013以下又は0.012以下である。周波数60GHzにおける誘電損失の下限値は、0.0001以上であり、0.0005以上又は0.0010以上であってもよい。また、本発明の第1の側面の粘着剤組成物は、周波数60GHzにおける誘電損失が上記範囲内であることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、飽和吸湿率が低く制御されるので、ミリ波の放射損失を抑制することができる。本発明の粘着剤組成物の25℃、90%R.H.における飽和吸湿率は、2.8%以下が好ましく、より好ましくは2.7%以下、さらに好ましくは2.6%以下、さらにより好ましくは2.5%以下、特に好ましくは2.4%以下、最も好ましくは2.3%以下、2.2%以下、2.1%以下、2.0%以下、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、1.2%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下又は0.6%以下である。上記飽和吸湿率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.3%以上であってよく、0.4%以上又は0.5%以上であってもよい。
本発明の粘着剤組成物の65℃、90%R.H.における飽和吸湿率は、2.8%以下であり、好ましくは2.6%以下、より好ましくは2.4%以下、さらに好ましくは2.3%以下、さらにより好ましくは2.2%以下、特に好ましくは2.1%以下、最も好ましくは2.0%以下、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、1.2%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.9%以下、0.8%以下又は0.7%以下である。上記飽和吸湿率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.4%以上であってよく、0.5%又は0.6%以上であってもよい。65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が低いと、粘着剤層等を適用した状態において高温環境下に付された場合であってもミリ波の放射損失を抑制することができる。
本発明の粘着剤組成物の85℃、85%R.H.における飽和吸湿率は、5.0%以下が好ましく、より好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは3.5%以下、さらにより好ましくは3.0%以下、特に好ましくは2.8%以下、最も好ましくは2.6%以下、2.4%以下、2.2%以下、2.0%以下、1.8%以下、1.6%以下、1.4%以下、1.2%以下、1.0%以下又は0.8%以下である。上記飽和吸湿率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.4%以上であってよく、0.5%以上又は0.6%以上であってもよい。85℃、85%R.H.における飽和吸湿率が低いと、粘着剤層等を適用した状態において高温環境下に付された場合であってもミリ波の放射損失を抑制することができる。
各温度及び湿度環境下における上記飽和吸湿率は、例えば、乾燥状態のサンプル重量(w1)、及び、当該サンプルを65℃、90%R.H.の雰囲気中に放置して重量変化がなくなった時点(吸湿率が飽和したとき)の重量(w2)から、下記式によって求めることができる。25℃、90%R.H.、及び85℃、85%R.H.の条件においても、それぞれ求めることができる。なお、w1及びw2の値は、同一の温度及び湿度において測定されたものとする。
飽和吸湿率(%)={(w2-w1)/w1}×100
本発明の粘着剤組成物は、吸湿による誘電損失の変化量が低く制御されるので、ミリ波の放射損失及びその経時変化を抑制することができる。本発明の第1の側面の粘着剤組成物の周波数28GHzにおける誘電損失の吸湿による変化量は、0.006以下であり、好ましくは0.005以下、より好ましくは0.004以下である。周波数28GHzにおける誘電損失の吸湿による変化量の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.0001以上であってよく、0.0002以上又は0.0003以上であってもよい。誘電損失の変化量が上記範囲内であると、粘着剤層等を適用した状態において、常温~高温の環境下において安定してミリ波の放射損失を抑制することができる。また、本発明の第2の側面の粘着剤組成物は、吸湿による周波数28GHzにおける誘電損失の変化量が上記範囲内であることが好ましい。
本発明の第2の側面の粘着剤組成物の周波数60GHzにおける誘電損失の吸湿による変化量は、0.003以下であり、好ましくは0.002以下、より好ましくは0.001以下である。飽和吸湿率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.0001以上であってよく、0.0002以上、0.0003以上、0.0004以上、0.0005以上、0.0006以上、0.0007以上、0.0008以上又は0.0009以上であってもよい。上記変化量が上記範囲内であると、粘着剤層等を適用した状態において、常温~高温の環境下において安定してミリ波の放射損失を抑制することができる。また、本発明の第1の側面の粘着剤組成物は、吸湿による周波数60GHzにおける誘電損失の変化量が上記範囲内であることが好ましい。
上記周波数28GHz及び60GHzにおける誘電損失の変化量は、65℃、90%R.H.の雰囲気中で5日以上保持した後、23±1℃、52±1%R.H.の条件下に戻し(経過時間=0分)、4分経過してから180分まで10分経過ごとに各周波数における誘電損失を測定し、それらのうち最大の値(Dfmax)及び最小の値(Dfmin)から、下記式によって求めることができる。
誘電損失の変化量=Dfmax-Dfmin
本発明の粘着剤組成物は、水蒸気透過度が低く制御されるので、粘着剤組成物中における水分子の移動が抑制でき、ミリ波の放射損失の変動を抑制することができる。本発明の粘着剤組成物の40℃、92%R.H.における水蒸気透過度が430g/m2/day以下であることが好ましく、より好ましくは300g/m2/day以下、さらに好ましくは250g/m2/day以下、さらにより好ましくは200g/m2/day以下、特に好ましくは150g/m2/day以下、最も好ましくは100g/m2/day以下、50g/m2/day以下又は30g/m2/day以下である。水蒸気透過度の下限値は、特に限定されないが、例えば、10g/m2/day以上であってよく、20g/m2/day以上又は25g/m2/day以上であってもよい。
上記水蒸気透過度(Water Vapor Transmission Rate;WVTR)は、カップ法に基づき測定される値である。粘着剤層で外部と隔離された塩化カルシウムの乾燥状態の重量(w1)、及び、当該サンプルを40℃、92%R.H.の雰囲気中に放置して所定の時間経過した時点(吸湿率が飽和したとき)の重量(w2)を測定し、重量変化量を単位時間(1日)、粘着剤層の単位面積(1m2)に換算することによって求めることができる。
本発明の粘着剤組成物の28GHz又は60GHzにおける誘電率又は誘電損失、飽和吸湿率、水蒸気透過度、及び吸湿による誘電損失の変化量は、モノマー組成、添加剤の種類や含有量等を調整することにより、調整することができる。本明細書において、28GHz又は60GHzにおける誘電率又は誘電損失、飽和吸湿率、水蒸気透過度、及び吸湿による誘電損失の変化量は、後掲の実施例に記載の方法により、測定されるものである。
なお、本発明の粘着剤組成物の誘電率、誘電損失、飽和吸湿率及び水蒸気透過度は、本発明の粘着剤組成物によって形成される粘着剤層における誘電率、誘電損失及び飽和吸湿率及び水蒸気透過度のことをいうものとする。
本発明の粘着剤組成物を構成するベースポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するアクリル系ポリマー、ゴム系粘着剤組成物(天然ゴム系粘着剤組成物や合成ゴム系粘着剤組成物など)がベースポリマーとして含有するゴム系ポリマー、シリコーン系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するシリコーン系ポリマー、ポリエステル系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するポリエステル系ポリマー、ウレタン系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するウレタン系ポリマー、ポリアミド系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するポリアミド系ポリマー、エポキシ系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するエポキシ系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するビニルアルキルエーテル系ポリマー、フッ素系粘着剤組成物がベースポリマーとして含有するフッ素系ポリマーなどが挙げられる。中でも、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマーが好ましい。なお、ベースポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記ゴム系ポリマーとしては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレン(PIP)、ポリイソブチレン(PIB)、ブテン系ポリマー(ブテン(1-ブテン、及びcis-若しくはtrans-2-ブテン)及び/又は2-メチルプロペン(イソブチレン)を主モノマーとする)、A-B-A型ブロック共重合体ゴム及びその水素化物、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体ゴム(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SIS)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SIBS)、スチレン-ビニル・イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SVIS)、SBSの水素化物であるスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)、SISの水素化物であるスチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEPS)等が挙げられ、中でも、ポリイソブチレンが好ましい。これらゴム系ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系ポリマーにおいては、メタクリレート化合物及び(メタ)アクリレート化合物の、混合物、その部分重合物又は共重合体を含むことにより、高周波数帯における誘電率、誘電損失を低く制御し、誘電損失の悪化原因である吸湿を抑制できる。ひいては、吸湿による誘電損失の変化率を抑制することができる。なお、上記のメタクリレート化合物及び(メタ)アクリレート化合物の「混合物、その部分重合物又は共重合体」を、メタクリル系共重合体と称することがある。また、「メタクリレート化合物」とは、「メタクリロイル基」を有する化合物であり、「(メタ)アクリレート化合物」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の少なくとも何れか一方を有する化合物である。また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のうち、何れか一方又は両方を表す。
上記部分重合物は、上記混合物を構成するモノマー成分のうち1又は2以上のモノマー成分が部分的に重合している組成物を意味する。
本明細書において、「ベースポリマー」とは、粘着剤組成物に含まれるポリマー成分のなかの主成分(配合割合の最も大きい成分。以下同じ。)を指し、典型的には上記ポリマー成分の50質量%よりも大きい割合を占める成分をいう。また、本明細書において、「ベースポリマー」というときは、「ベースポリマーを構成するモノマー成分の混合物又はベースポリマーを構成するモノマー成分の混合物の部分重合物」の包含するものとする。本明細書において、上記の「モノマー成分の混合物」は、単一モノマー成分で構成される場合と2以上のモノマー成分で構成される場合を含むものとする。また、上記の「モノマー成分の混合物の部分重合物」とは、上記の「モノマー成分の混合物」の構成モノマー成分のうち1又は2以上のモノマー成分が部分的に重合している組成物を意味する。
本発明の粘着剤組成物における上記ベースポリマーの含有量は、特に限定されないが、75質量%以上(例えば75~99.9質量%)であることが好ましく、より好ましくは85質量%以上(例えば85~99.9質量%)である。
本発明の粘着剤組成物における上記メタクリル系共重合体の含有量は、特に限定されないが、75質量%以上(例えば75~99.9質量%)が好ましく、より好ましくは85質量%以上(例えば85~99.9質量%)である。
[混合物、その部分重合物又は共重合体(メタクリル系共重合体)]
本発明の粘着剤組成物は、混合物、その部分重合物又は共重合体(メタクリル系共重合体)をベースポリマーとするメタクリル系粘着剤組成物である。上記メタクリル系共重合体の含有量は、本発明の粘着剤組成物全量100質量%に対して、特に限定されないが、75質量%以上(例えば75~99.9質量%)であることが好ましく、好ましくは85質量%以上(例えば85~99.9質量%)である。
本発明の粘着剤組成物としては、例えば、上記共重合体を必須成分とする水分散型組成物(エマルジョン型組成物)等や、上記混合物又はその部分重合物を必須成分とする活性エネルギー線硬化型組成物等が挙げられ、中でも、混合物又はその部分重合物を必須成分とする組成物が好ましい。
本発明に係るメタクリル系共重合体は、炭素数6以上の炭化水素基を有するメタクリレート化合物、及び、架橋性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物を構成モノマーとして含む。
<炭素数6以上の炭化水素基を有するメタクリレート化合物>
上記メタクリル系共重合体に使用するメタクリレート化合物は、炭素数6以上の炭化水素基を含有する。上記メタクリレート化合物に係る炭素数6以上の炭化水素基は、脂肪族基、脂環含有基又は芳香環含有基を有することが好ましい。これら炭化水素基を有するメタクリレート化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記メタクリル系共重合は、主構成単位がメタクリレート化合物由来でありα-メチル基を有するため、アクリレート化合物由来の場合よりも、主鎖付近の分極が軽減され、その結果、誘電損失が低減されると考えられる。また、メタクリロイル基は、アクリロイル基よりも疎水性が高く、吸湿が抑制されるので、吸湿に起因する高周波数帯での誘電損失の悪化、及びその変化量を抑制することができる。
上記メタクリレート化合物が脂環式基又は芳香族基を有すると、メタクリル系共重合体において適度な凝集力が得やすくなり、強接着性を得やすくなる。また、ゲル分率を大きくして、優れた耐発泡剥がれ性を得やすくなる。さらに、粘着剤層において適度な柔軟性を得やすくなり、優れた応力緩和性及び優れた段差追従性を得やすくなる。
上記炭素数6以上の炭化水素基が脂肪族基である場合の上記炭化水素基における炭素数は、8以上が好ましく、より好ましくは9以上、さらに好ましくは10以上である。上記炭化水素基における炭素数は、22以下が好ましく、より好ましくは20以下、さらに好ましくは16以下である。
上記炭素数6以上の炭化水素基が脂肪族基であるメタクリレート化合物としては、例えば、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸テトラデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸イソステアリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ノナデシル、メタクリル酸エイコシル等が挙げられる。中でも、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸イソデシルが好ましい。
本発明に係るメタクリル系共重合体中の、上記炭素数6以上の炭化水素基が脂肪族基であるメタクリレート化合物の含有量は、特に限定されないが、全構成単位100質量%に対して、25質量%以上が好ましく、より好ましくは25.0~99.5質量%、さらに好ましくは30.0~99.3質量%、さらにより好ましくは40.0~99.0質量%である。25質量%以上を用いることは高周波数帯における低誘電率化、低誘電損失化の点から好ましい。
上記炭素数6以上の炭化水素基が脂環含有基である場合の上記炭化水素基における炭素数は、6以上が好ましく、より好ましくは8以上である。上記炭化水素基における炭素数は、22以下が好ましく、より好ましくは16以下である。
上記炭素数6以上の炭化水素基が脂環含有基であるメタクリレート化合物としては、例えば、シクロアルカン環(シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等)を有するメタクリル酸シクロアルキルエステル、二環式炭化水素環(ピナン、ピネン、ボルナン、ノルボルナン、ノルボルネン等)を有するメタクリル酸エステル、及び、三環以上の脂肪族炭化水素環(ジシクロペンタン環、ジシクロペンテン環、アダマンタン環、トリシクロペンタン環、トリシクロペンテン環等)を有するメタクリル酸エステル等が挙げられる。
上記メタクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロオクチル等が挙げられる。
上記二環式炭化水素環を有するメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
上記三環以上の炭化水素環を有するメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、メタクリル酸トリシクロペンタニル、メタクリル酸1-アダマンチル、メタクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、メタクリル酸2-エチル-2-アダマンチル等が挙げられる。
上記炭素数6以上の炭化水素基が芳香環含有基である場合の上記炭化水素基における炭素数は、6~14が好ましく、より好ましくは6~10である。
上記炭素数6以上の炭化水素基が芳香環含有基であるメタクリレート化合物としては、例えば、芳香族性炭素環(例えば、ベンゼン環等の単環炭素環や、ナフタレン環等の縮合炭素環等)を有する化合物が挙げられ、具体例としては、例えば、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸6-(1,1’-ビフェニル-4-イルオキシ)ヘキシル等が挙げられる。
本発明に係るメタクリル系共重合体中の、上記炭素数6以上の炭化水素基が脂環含有基又は芳香環含有基であるメタクリレート化合物の合計の含有量は、特に限定されないが、全構成単位100質量%に対して、好ましくは1.0~60.0質量%、より好ましくは5.0~55.0質量%、さらに好ましくは10.0~50.0質量%である。
上記メタクリレート化合物は(ポリ)オキシアルキレン鎖を有していてもよい。(ポリ)オキシアルキレン鎖を有する場合、上記炭素数6以上の炭化水素基は、上記メタクリレート化合物におけるエステル部の末端に有することが好ましい。上記(ポリ)オキシアルキレン鎖における酸素原子数(すなわち、オキシアルキレン基の繰り返し数)は、1~10が好ましく、より好ましくは1~3である。上記末端に有する炭素数6以上の炭化水素基は、脂肪族基、脂環式基、芳香族基の何れであってもよいが、脂環式基又は芳香族基であることが好ましく、特に芳香族基が好ましい。
上記(ポリ)オキシアルキレン鎖を有するメタクリレート化合物の内、末端に芳香族基を有する場合、繰り返し単位全体における分極率が低減されるため、高周波数帯における誘電損失の低減に有効である。
本発明に係るメタクリル系共重合体中の、上記(ポリ)オキシアルキレン鎖を有するメタクリレート化合物の含有量は、特に限定されないが、全構成単位100質量%に対して1.0~30.0質量%が好ましく、より好ましくは5.0~25.0質量%、さらに好ましくは10.0~20.0質量%である。
上記メタクリル系共重合体中の、上記炭素数6以上の炭化水素基を有するメタクリレート化合物の合計の含有量は、全構成単位100質量%に対して、25質量%以上が好ましく、より好ましくは25.0~99.5質量%、さらに好ましくは30.0~99.3質量%、特に好ましくは40.0~99.0質量%である。25.0質量%以上を用いることは高周波数帯における低誘電率化、低誘電損失化の点から好ましい。
<架橋性官能基含有(メタ)アクリレート化合物>
上記メタクリル系共重合体は、エステル部に架橋性官能基を有する架橋性官能基含有(メタ)アクリレート化合物を含有するので、架橋剤の使用の場合には架橋されてゲル分率を大きくし、優れた耐発泡剥がれ性を得やすくなる。また、良好な凝集力を得やすくなるので、強接着性を得やすくなる。さらに、高湿環境下で生じる粘着シートの白化を抑制しやすくなる。
上記架橋性官能基含有(メタ)アクリレート化合物が有する架橋性官能基としては、ゲル分率の調整が容易である点から、例えば、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、グリシジル基等のエポキシ基含有基、イソシアネート基、アジリジル基等が挙げられる。なかでも、ゲル分率の調整が容易である点から、水酸基が好ましい。上記架橋性官能基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記水酸基を有する架橋性官能基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル等が挙げられる。中でも、良好な凝集力を得やすくなり、高温での接着信頼性を得やすくなるという点から、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが好ましい。
本発明に係るメタクリル系共重合体中の、上記架橋性官能基含有(メタ)アクリレート化合物の含有量は、全構成単位100質量%に対して、0.1~30.0質量%が好ましく、より好ましくは0.2~20.0質量%、さらに好ましくは0.3~10.0質量%、特に好ましくは0.5~5.0質量%である。0.1質量%以上を用いることはゲル分率の調整の点から好ましく、30.0質量%以下を用いることは高周波数帯における低誘電率化、低誘電損失化の点から好ましい。
<共重合性モノマー>
上記メタクリル系共重合体は、上記炭素数6以上の炭化水素基を有するメタクリレート化合物、架橋性官能基含有(メタ)アクリレート化合物の他にも、共重合性モノマーを含有していてもよい。共重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記共重合性モノマーとしては、例えば、炭素数1~24の炭化水素基を有するアクリレート化合物、炭素数1~5の炭化水素基を有するメタクリレート化合物、主鎖の繰り返し単位の全ての炭素が側鎖を有する置換メチレン化合物、ヘテロ環含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、炭素数が5以下のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、芳香族ビニル化合物(スチレン、ビニルトルエン等)、オレフィン類又はジエン類(エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等)、ビニルエーテル類(ビニルアルキルエーテル等)、塩化ビニル、ビニルアルコール、重量平均分子量30000以下のマクロモノマー、2以上の重合性官能基を有する多官能性モノマー等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明の粘着剤組成物は、酸性基含有モノマー(例えば、カルボキシル基含有モノマー、スルホ基含有モノマー、リン酸基含有モノマーなど)を、含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。この構成は、アンテナ素子又は配線に対する優れた腐食防止効果を得ることができる点で好ましい。なお、酸性基含有モノマーの含有量は、上記粘着剤組成物全量に対して、0.05重量%以下(例えば、0~0.05重量%)が好ましく、より好ましくは0.01重量%以下(例えば、0~0.01重量%)、さらに好ましくは0.001重量%以下(例えば、0~0.001重量%)であるものは、実質的に含有しないということができる。
上記共重合性モノマーの中でも、ヘテロ環含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマーが、粘着剤層について適度な凝集力が得られやすく、ガラス板やアクリル板に対する180°引き剥がし接着力を大きくなって強接着性が得られやすくなる点で好ましく、金属の腐食防止の点から、ヘテロ環含有モノマーがより好ましい。
上記炭素数1~5の炭化水素基を有するメタクリレート化合物としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸s-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸イソペンチル等が挙げられる。
上記炭素数1~24の炭化水素基を有するアクリレート化合物としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸テトラデシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸イソステアリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ノナデシル、アクリル酸エイコシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸シクロオクチル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、アクリル酸トリシクロペンタニル、アクリル酸1-アダマンチル、アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸6-(1,1’-ビフェニル-4-イルオキシ)ヘキシル等が挙げられる。
上記ヘテロ環含有モノマーは、ヘテロ原子として窒素原子のみを有するヘテロ環(ピロリジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピペリジン、ピリジン、ピリミジン、ピロリン、ピペラジン、ピラジン等)、窒素原子及び酸素原子を有するヘテロ環(ピロリドン、オキサゾール、イソオキサゾール、モルホリン、モルホリノン、ピペリドン、ラクタム、オキサジン、モルホリンジオン、スクシンイミド、イタコンイミド等)、窒素原子及び硫黄原子を有するヘテロ環(チアゾール、イソチアゾール、チアジン)、酸素原子を有するヘテロ環(ラクトン、テトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、等)、硫黄原子を有するヘテロ環(テトラヒドロチオフェン、チオフェン、テトラヒドロチオピラン、チオピラン等)等のヘテロ環を有する共重合性モノマーである。
本発明に係るメタクリル系共重合体が、ヘテロ環含有モノマーを含有していると、粘着剤層において適度な柔軟性が得られ、優れた応力緩和性及び優れた段差追従性が得られやすくなる。
上記ヘテロ原子として窒素原子のみを有するヘテロ環を有するヘテロ環含有モノマーとしては、例えば、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-ビニルピラゾール等が挙げられる。
上記ヘテロ原子として窒素原子及び酸素原子を有するヘテロ環を有するヘテロ環含有モノマーとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-(メタ)アクリロイル-2-ピロリドン、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルイソオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルへキシルイタコンイミド、N-シクロへキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド等が挙げられる。
上記ヘテロ原子として窒素原子及び硫黄原子を含有するヘテロ環を有するヘテロ環含有モノマーとしては、例えば、N-ビニルチアゾール、N-ビニルイソチアゾール等が挙げられる。
これらの中でも、特にN-ビニル-2-ピロリドンが好ましい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる。また、上記カルボキシル基含有モノマーには、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマーも含まれるものとする。また、例えばイタコン酸等とエステル結合させた、誘導体であってもよい。
上記ニトリル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
上記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-イソシアナートエチル等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N-ビニルアセトアミド等のN-ビニルカルボン酸アミド類;水酸基とアミド基とを有するモノマー、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;アルコキシ基とアミド基とを有するモノマー、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド;その他、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれ、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記炭素数が5以下のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチル等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、ビニルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記マクロモノマーは、上記モノマー成分が複数重合した高分子量モノマーである。マクロモノマーを用いた場合、ベースポリマーの中で、マクロモノマーを構成するモノマー成分に由来する構成単位がある程度連続して存在することとなる。このため、マクロモノマーを用いることで、ベースポリマー中にマクロモノマーに由来する高次構造を導入することができ、粘着剤として求められる特性(接着力や凝集力、段差追従性など)を容易に調整することができる。上記マクロモノマーの重量平均分子量は、好ましくは3000~35000、より好ましくは4000~30000、さらに好ましくは5000~25000、さらにより好ましくは6000~20000である。
上記2以上の重合性官能基を有する多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。多官能性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係るメタクリル系共重合体中の、上記多官能性モノマーの含有量は、特に限定されないが、全構成単位100質量%に対して、0.5質量%以下(例えば0~0.5質量%)が好ましく、より好ましくは0~0.35質量%、さらに好ましくは0~0.2質量%である。上記多官能性モノマーの含有量が0.5質量%以下であると、粘着剤層が適度な凝集力を有し、粘着力や段差吸収性が向上しやすく、好ましい。なお、架橋剤を使用する場合には多官能性モノマーを使用しなくてもよいが、架橋剤を使用しない場合の多官能性モノマーの含有量は、0.001~0.5質量%が好ましく、より好ましくは0.001~0.35質量%、さらに好ましくは0.002~0.2質量%である。
上記メタクリル系共重合体中の、上記共重合性モノマーの合計の含有量は、特に限定されないが、全構成単位100質量%に対して、30.0質量%以下が好ましく、より好ましくは15.0質量%以下である。
上記メタクリル系共重合体は、上記の、炭素数6以上の炭化水素基を有するメタクリレート化合物、架橋性官能基含有(メタ)アクリレート化合物及び共重合性モノマーを、混合、あるいは公知乃至慣用の重合方法により重合することにより得ることができる。上記重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)等が挙げられる。中でも、粘着剤層の透明性、耐水性、コスト等の点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましく、より好ましくは活性エネルギー線重合方法である。
上記活性エネルギー線重合(光重合)に際して照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線や、紫外線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法等は特に限定されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
上記メタクリル系共重合体の重合に際しては、各種の一般的な溶剤が用いられてもよい。このような溶剤としては、例えば、エステル類(酢酸エチル、酢酸n-ブチル等)、芳香族炭化水素類(トルエン、ベンゼン等)、脂肪族炭化水素類(n-ヘキサン、n-ヘプタン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)等の有機溶剤が挙げられる。溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記メタクリル系共重合体の重合に際しては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)等の重合開始剤が用いられてもよい。重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。上記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。上記α-ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。上記光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等が挙げられる。上記ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン等が挙げられる。上記ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジル等が挙げられる。上記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。上記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。上記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。
上記光重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、上記メタクリル系共重合体の全構成単位100質量部に対して、0.001~10.0質量部が好ましく、より好ましくは0.01~5.0質量部である。
また、上記熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルマレエート等)、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。中でも、特開2002-69411号公報に開示されたアゾ系重合開始剤が好ましい。上記アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(AMBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸等が挙げられる。
上記熱重合開始剤の使用量は、例えば、上記アゾ系重合開始剤の場合、上記メタクリル系共重合体の全構成単位100質量部に対して、0.05~0.5質量部が好ましく、より好ましくは0.1~0.3質量部である。
本発明の粘着剤層を形成する共重合体の重量平均分子量(Mw)は、100000~5000000が好ましく、より好ましくは200000~4000000、さらに好ましくは300000~3000000である。重量平均分子量が100000以上であるという構成は、粘着力や保持特性が向上し、耐発泡剥がれ性が向上する点で好ましい。重量平均分子量が5000000以下であるという構成は、粘着力を高くしやすく、耐発泡剥がれ性が向上する点で好ましい。
上記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC法によりポリスチレン換算して求めることができる。例えば、高速GPC装置(製品名「HPLC-8120GPC」、東ソー(株)製)を用いて、下記の条件により測定することができる。
・カラム:TSKgel SuperHZM-H/HZ4000/HZ3000/HZ2000
・溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:0.6ml/分
上記共重合体のガラス転移温度(Tg)は、-70~100℃が好ましく、より好ましくは-65~50℃、さらに好ましくは-60~10℃である。上記メタクリル系共重合体のガラス転移温度が-70℃以上であると、凝集力が向上し、耐発泡剥がれ性が向上しやすく、好ましい。また、上記ガラス転移温度が100℃以下であると、粘着剤組成物が適度な柔軟性を有し、良好な粘着力や良好な段差吸収性が得やすくなり、優れた接着信頼性を得やすくなるので、好ましい。
上記共重合体のガラス転移温度(Tg)は、下記FOXの式で表されるガラス転移温度(理論値)である。下記式中、Tgは上記共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Tgiはモノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(単位:K)、Wiはモノマーiのモノマー成分全量中の質量分率を表す(i=1、2、・・・・n)。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
上記共重合体を構成するモノマーのホモポリマーのTgとしては、下記の値を採用できる。
・メタクリル酸ラウリル -65℃
・メタクリル酸2-エチルヘキシル -10℃
・アクリル酸ラウリル 0℃
・アクリル酸2-エチルヘキシル -70℃
・メタクリル酸イソデシル -41℃
・メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 55℃
・メタクリル酸メチル 105℃
・メタクリル酸シクロヘキシル 66℃
・メタクリル酸イソボルニル 173℃
・メタクリル酸ジシクロペンタニル 175℃
・メタクリル酸 228℃
・N-ビニルピロリドン 86℃
・メタクリル酸2-フェノキシエチル 5℃
・メタクリル酸ベンジル 54℃
・メタクリル酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル -3℃
また、上記に記載のないモノマーのホモポリマーのTgとしては、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons,Inc、1989年)に記載の数値を採用できる。さらに、上記文献にも記載されていないモノマーのホモポリマーのTgとしては、上述の測定方法により得られる値(粘弾性試験によるtanδのピークトップ温度)を採用できる。
上記メタクリル系共重合体の重合に際しては、分子量を調整するために、連鎖移動剤を使用してもよい。上記連鎖移動剤としては、例えば、2-メルカプトエタノール、α-チオグリセロール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、オクチルメルカプタン、t-ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン(ラウリルメルカプタン)、t-ドデシルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t-ブチル、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステル、α-メチルスチレンダイマー等が挙げられる。中でも、加湿による粘着シートの白化を抑制する点から、α-チオグリセロール、チオグリコール酸メチルが好ましく、α-チオグリセロールが特に好ましい。連鎖移動剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記連鎖移動剤の含有量は、上記メタクリル系共重合体の全構成単位100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、より好ましくは0.2~15質量部、さらに好ましくは0.3~10質量部である。連鎖移動剤の含有量(使用量)を上記範囲とすることにより、重量平均分子量が1000~30000に制御されたメタクリル系共重合体を容易に得ることができる。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。粘着剤組成物に架橋剤が含まれていると、ベースポリマーが架橋してゲル分率を大きくし、耐発泡剥がれ性を向上させやすくする。上記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。中でも、耐発泡剥がれ性向上の点で、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましく、より好ましくはイソシアネート系架橋剤である。架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。また、上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業(株)製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートHL、日本ポリウレタン工業(株)製」、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物(商品名「タケネートD-110N」、三井化学(株)製)等の市販品も挙げられる。
上記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。また、上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学(株)製)等の市販品も挙げられる。
上記粘着剤組成物における架橋剤の含有量としては、例えば、上記メタクリル系共重合体100質量部に対して、0.001~10質量部が好ましく、より好ましくは0.01~5質量部である。架橋剤の含有量が0.001質量部以上であると、耐発泡剥がれ性が向上しやすくなり、好ましい。一方、架橋剤の含有量が10質量部以下であると、粘着剤層が適度な柔軟性を有し、粘着力が向上しやすくなるので、好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、更なる高周波数帯における低誘電率化、低誘電損失化の点から、上記のベースポリマーに加えて、無機微粒子、有機微粒子、ベースポリマー以外のポリマー材料を含んでいてもよい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の無機微粒子、有機微粒子としては、高周波数帯における低誘電率化、低誘電損失化の点から、絶縁性を示すもの(絶縁性フィラー)が好ましい。
(無機微粒子)
本発明の粘着剤組成物に配合できる無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物;ホウ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム等の金属塩、マイカ等の鉱物、中空ナノシリカ等の中空構造を有する無機微粒子等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記無機微粒子は、ベースポリマー中の分散性の点から、表面処理が施されたものであってもよい。表面処理剤としては、公知乃至慣用のものを制限なく使用することができ、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等が挙げられ、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ビニル-トリス(2-メトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシ-プロピルメチルジメトキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、メチルジエトキシフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン等が挙げられる。
上記無機微粒子の粒径(D50)は、粘着剤組成物の高周波数帯における低誘電率化、低誘電損失化、透明性の点から、1~100nmが好ましく、より好ましくは5~80nm、さらに好ましくは10~50nmである。上記中心粒径は、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布における積算値50%における粒径(メディアン径)を意味する。
本発明の粘着剤組成物が無機微粒子を含む場合、その含有量は、粘着剤組成物の高周波数帯における低誘電率化、低誘電損失化、透明性の点から、上記ベースポリマー100質量部に対して、0.01~30質量部が好ましく、より好ましくは0.05~25質量部、さらに好ましくは0.10~20質量部、さらにより好ましくは0.15~10質量部、特に好ましくは0.2~5質量部である。
(有機微粒子)
本発明の粘着剤組成物に配合できる有機微粒子としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン-共役ジエン系樹脂、アクリル-共役ジエン系樹脂、オレフィン系樹脂、フッ素系樹脂等のポリマー、又はこれらポリマーの架橋体により構成された微粒子、さらにはこれらのポリマー・ポリマー架橋体により中空構造を有するよう構成された微粒子等が挙げられる。これららは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記有機微粒子の粒径(D50)は、粘着剤組成物の高周波数帯における低誘電率化、低誘電損失化、透明性の点から、1~100nmが好ましく、より好ましくは5~80nm、さらに好ましくは10~50nmである。上記中心粒径は、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布における積算値50%での粒径(メディアン径)を意味する。
本発明の粘着剤組成物が有機微粒子を含む場合、その含有量は、粘着剤組成物の高周波数帯における低誘電率化、低誘電損失化、透明性の点から、上記ベースポリマー100質量部に対して、通常、0.01~30質量部であり、好ましくは0.05~25質量部、より好ましくは0.1~20質量部、さらに好ましくは0.15~10質量部、特に好ましくは0.2~5質量部である。
(ポリマー材料)
本発明の粘着剤組成物に配合できるポリマー材料としては、誘電率、誘電損失が低く、ベースポリマーと相溶性を有するものが好ましく、例えば、フッ素樹脂、フッ素ゴム、含フッ素官能基(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂又はオレフィン類との付加共重合型樹脂、ポリフェニレンエーテル、ビスマレイミド・トリアジン・レジン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、ゴム・エラストマー、水添ポリオレフィン樹脂、テルペン、イソプレン、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びそれらの水添樹脂等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着剤組成物がポリマー材料を含む場合、その含有量は、特に限定されないが、粘着剤組成物の高周波数帯における低誘電率化、低誘電損失化、透明性の点から、上記ベースポリマー100質量部に対して、通常、0.01~50質量部であり、好ましくは0.05~40質量部、より好ましくは0.1~30質量部である。
(防錆剤)
本発明の粘着剤組成物は、さらに、防錆剤を含有してもよい。粘着剤組成物に防錆剤が含まれていると、アンテナ素子、金属配線に対する優れた腐食防止効果を得ることができる点で好ましい。
防錆剤は、金属の錆(さび)や腐食を防ぐ化合物である。防錆剤としては、例えば、アミン化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、亜硝酸塩類等が挙げられる。他にも、安息香酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ジシクロヘキシルアミン安息香酸塩、尿素、ウロトロピン、チオ尿素、カルバミン酸フェニル、シクロヘキシルアンモニウム-N-シクロヘキシルカルバメート(CHC)等が挙げられる。防錆剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アミン化合物としては、例えば2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、アンモニアやアンモニア水等のヒドロキシ基含有アミン化合物;モルホリン等の環状アミン;シクロヘキシルアミン等の環状アルキルアミン化合物;3-メトキシプロピルアミン等の直鎖状アルキルアミン等が挙げられる。また、亜硝酸塩類としては、例えば、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト(DICHAN)、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト(DIPAN)、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム等が挙げられる。
上記防錆剤の含有量は、上記ベースポリマー100質量部に対して、0.02~15質量部含むことが好ましい。上記含有量が0.02質量部以上であると、良好な腐食防止性能が得やすくなり、好ましい。一方、上記含有量が15質量部以下であると、透明性を確保しやすくなり、また、耐発泡剥がれ性等の接着信頼性が確保しやすくなり、好ましい。
中でも、上記防錆剤は、上記ベースポリマーに対する接着信頼性、透明性及び腐食防止性の特性を、バランスよく、高いレベルで得ることができ、優れた外観性を得ることができる点から、ベンゾトリアゾール系化合物であることが好ましい。
上記ベンゾトリアゾール系化合物としては、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物であれば、特に限定されないが、下記式(1)で表される構造を有することが、より優れた腐食防止効果が得られるという観点から好ましい。
Figure 2023016419000001
(但し、上記式(1)において、R1及びR2は同一又は異なって、R1はベンゼン環上の置換基であって、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数6~14のアリール基、アミノ基、モノ又はジC1-10アルキルアミノ基、アミノ-C1-6アルキル基、モノ又はジC1-10アルキルアミノ-C1-6アルキル基、メルカプト基、炭素数1~6のアルコキシカルボニル基、又は炭素数1~6のアルコキシ基等の置換基を示し、nは0~4の整数であって、nが2以上である場合は、n個のR1は同一であっても、異なっていてもよく、R2は、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数6~14のアリール基、アミノ基、モノ又はジC1-10アルキルアミノ基、アミノ-C1-6アルキル基、モノ又はジC1-10アルキルアミノ-C1-6アルキル基、メルカプト基、炭素数1~12のアルコキシカルボニル基、又は炭素数1~12のアルコキシ基等の置換基を示す。)
より優れた腐食防止効果が得られるという観点から、R1としては、炭素数1~3のアルキル基、アルコキシカルボニル基等が好ましく、メチル基等がより好ましい。また、nは0又は1が好ましい。
同様の観点から、R2としては、水素原子、モノ又はジC1-10アルキルアミノ-C1-6アルキル基等が好ましく、水素原子、ジC1-8アルキルアミノC1-4アルキル基等がより好ましい。
上記ベンゾトリアゾール系化合物の含有量は、上記ベースポリマー100質量部に対して、0.02~3質量部が好ましく、より好ましくは0.02~2.5質量部、さらに好ましくは0.02~2質量部である。ベンゾトリアゾール系化合物の量が一定範囲内であると、耐発泡剥がれ性等の接着信頼性が確実に確保でき、かつ粘着シートのヘイズの上昇も確実に防止できる。
(シランカップリング剤)
本発明の粘着剤組成物は、さらに、シランカップリング剤を含有してもよい。粘着剤組成物に、シランカップリング剤が含まれていると、ガラスに対する優れた接着性(特に、高温高湿でのガラスに対する優れた接着信頼性)が得やすくなる点で好ましい。
上記シランカップリング剤としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でも、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。上記シランカップリング剤としては、例えば、商品名「KBM-403」(信越化学工業(株)製)等の市販品も挙げられる。シランカップリング剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記シランカップリング剤の含有量は、ガラスに対する接着信頼性向上の点から、上記ベースポリマー100質量部に対して、0.01~1質量部が好ましく、より好ましくは0.03~0.5質量部である。
(その他の添加剤)
本発明の粘着剤組成物には、必要に応じて、本発明の特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、架橋促進剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール等)、老化防止剤、着色剤(顔料や染料等)、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着剤組成物が粘着付与剤を含む場合、その含有量は、適度な粘着性を付与する点から、上記ベースポリマー100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上である。また、剥離強度が高くなりすぎることを避ける点から、50質量部以下が好ましく、より好ましくは40質量部以下である。
[粘着剤層]
本発明の粘着剤層は、本発明の粘着剤組成物により形成されているため、高周波数帯(28~60GHz)のミリ波において、低誘電率、低誘電損失を示す。すなわち、本発明の粘着剤層は、ミリ波の放射損失を抑制することができる。
本発明の粘着剤層は、28GHzにおける誘電率が低く、ミリ波の放射損失を抑制することができる点で好ましい。本発明の粘着剤層の周波数28GHzにおける誘電率は2.0~5.0が好ましく、より好ましくは2.05~4.5、さらに好ましくは2.1~4.0、さらにより好ましくは2.15~3.5、特に好ましくは2.2~3.4、最も好ましくは2.2~3.3、2.2~3.2、2.2~3.1、2.2~3.0又は2.2~2.9である。
本発明の粘着剤層における28GHzでの誘電率は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を構成するベースポリマーの種類、モノマー組成、添加剤の種類や含有量などを調整することにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層は、28GHzにおける誘電損失が低く制御されており、ミリ波の放射損失を抑制することができる点で好ましい。本発明の粘着剤層の周波数28GHzにおける誘電損失は0.050以下が好ましく、より好ましくは0.045以下、さらに好ましくは0.040以下、さらにより好ましくは0.035以下、特に好ましくは0.030以下、最も好ましくは0.025以下又は0.020以下である。下限値は、特に限定されないが、0.0001以上が好ましく、0.0005以上又は0.0010以上であってもよい。
本発明の粘着剤層における28GHzでの誘電損失は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を構成するベースポリマーの種類、モノマー組成、添加剤の種類や含有量などを調整することにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層は、60GHzにおける誘電率が低く、ミリ波の放射損失を抑制することができる点で好ましい。本発明の粘着剤層の周波数60GHzにおける誘電率は、2.0~5.0が好ましく、より好ましくは2.1~4.5、さらに好ましくは2.2~4.0、さらにより好ましくは2.2~3.5、特に好ましくは2.2~3.4、最も好ましくは2.2~3.3、2.2~3.2、2.2~3.1、2.2~3.0又は2.2~2.9である。
本発明の粘着剤層における60GHzでの誘電率は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を構成するベースポリマーの種類、モノマー組成、添加剤の種類や含有量などを調整することにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層は、60GHzにおける誘電損失が低く制御されていることが好ましく、ミリ波の放射損失を抑制することができる点で好ましい。本発明の粘着剤層の周波数60GHzにおける誘電損失は、0.050以下が好ましく、より好ましくは0.045以下、さらに好ましくは0.040以下、さらにより好ましくは0.035以下、特に好ましくは0.030以下、最も好ましくは0.025以下又は0.020以下である。周波数60GHzにおける誘電損失の下限値は、0.0001以上が好ましく、0.0005以上又は0.0010以上であってもよい。
本発明の粘着剤層における60GHzでの誘電損失は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を構成するベースポリマーの種類、モノマー組成、添加剤の種類や含有量などを調整することにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層は、透明であり、又は、透明性を有している。このため、上記粘着剤組成物を介しての視認性や外観性に優れる。このように、本発明の粘着剤層は、光学用に好適に用いられる。
本発明の粘着剤層のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.2%以下が好ましく、より好ましくは1.1%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらにより好ましくは0.9%以下、特に0.8%以下である。ヘイズが例えば1.2%以下であると、優れた透明性や優れた外観が得られやすい。上記ヘイズは、例えば、粘着剤層厚み25μmとし、これを常態(23℃、50%R.H.)に少なくとも24時間静置した後、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(製品名「HM-150」、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定することができる。
本発明の粘着剤層の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは89%以上、さらにより好ましく90%以上、特に好ましくは91%以上、最も好ましくは92%以上である。全光線透過率が85%以上であると、優れた透明性や優れた外観が得られやすい。上記全光線透過率は、例えば、粘着剤層厚み25μmとし、これを常態(23℃、50%R.H.)に少なくとも24時間静置した後、セパレータを有する場合にはこれを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(製品名「HM-150」、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定することができる。
本発明の粘着剤層のヘイズ、全光線透過率は、モノマー組成、添加剤の種類や含有量等を調整することにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層のゲル分率(不溶成分の割合)は、30~95%が好ましく、より好ましくは35~90%、さらに好ましくは40~85%、さらにより好ましくは45~80%、特に好ましくは50~75%である。ゲル分率が30%以上であると、上記粘着剤層の凝集力が向上し、取り扱いの際に打痕が発生しにくく、また、高温環境下での被着体との界面における発泡や剥がれが抑制され、優れた耐発泡剥がれ性が得やすくなり好ましい。ゲル分率が95%以下であると、適度な柔軟性が得られ、より接着性、段差追従性が向上し、また、異物を吸収しにくくなり、好ましい。
上記ゲル分率(溶剤不溶成分の割合)は、例えば、以下のようにして算出することができる。
粘着剤層から約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工(株)製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の質量を測定し、該質量を浸漬前質量(Z)とする。該浸漬前質量は、粘着剤層と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総質量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計質量も測定しておき、該質量を包袋質量(Y)とする。次に、粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルあるいはトルエンで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置する。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルあるいはトルエンを除去した後、質量を測定し、該質量を浸漬後質量(X)とする。そして、下記の式からゲル分率を算出する。
ゲル分率(%)={(X-Y)/(Z-Y)}×100
本発明の粘着剤層のゲル分率は、例えば、モノマー組成、重量平均分子量、架橋剤の使用量、その他の添加剤の種類や使用量等により制御することができる。
本発明の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率は、0.01MPa以上が好ましく、より好ましくは0.02MPa以上、さらに好ましくは0.03MPa以上、さらにより好ましくは0.04MPa以上、特に好ましくは0.05MPa以上、最も好ましくは0.10MPa以上である。上記貯蔵弾性率が0.01MPa以上であると、取り扱いの際に打痕が発生しにくく、また、良好な接着信頼性が得やすくなるため、好ましい。また、段差追従性、異物吸収性の観点から、上記粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率は、好ましくは5MPa以下、より好ましくは4.5MPa以下、さらに好ましくは4.0MPa以下、さらにより好ましく3.5MPa以下、特に好ましくは3.0MPa以下、最も好ましくは2.5MPa以下又は2.0MPa以下である。粘着剤層の貯蔵弾性率は、動的粘弾性を周波数1Hzにおいて実施した時に測定されるものである。上記の貯蔵弾性率は複素数で表されるせん断弾性率の実部であり、引張弾性率などとはサンプルのポアソン比を考慮して換算できる。
本発明の粘着剤層の貯蔵弾性率は、モノマー組成、重量平均分子量、架橋剤の使用量(添加量)、その他の添加剤の種類や使用量等により制御することができる。
本発明の粘着剤層の300%引張残留応力は、特に限定されないが、2~24N/cm2であることが好ましく、より好ましくは2.5~20N/cm2、さらに好ましくは3~16N/cm2である。上記300%引張残留応力が2N/cm2以上であると、良好な耐発泡剥がれ性が得やすくなり、24N/cm2以下であると、良好な応力緩和性が得られ、良好な段差追従性が得やすくなり、好ましい。
本発明の粘着剤層は、上記300%引張残留応力が上記範囲内であると、優れた応力緩和性が得やすくなり、優れた段差追従性を発揮しやすくなり、例えば、大きい段差(45μm程度、例えば、20~50μmの高さ)に対しても良好に追従できる。
上記300%引張残留応力は、23℃、50%R.H.の環境下、粘着剤層を、長さ方向に、伸び(歪み)300%まで引っ張り、その伸びを保持し、引っ張り終了より300秒経過後における粘着剤層に加えられた引張荷重を求め、該引張荷重を粘着剤層の初期の断面積(引っ張る前の断面積)で除した値(N/cm2)である。なお、粘着剤層の初期の伸びは100%である。
本発明の粘着剤層の300%引張残留応力は、ベースポリマーのモノマー組成、重量平均分子量、架橋剤の使用量(添加量)、その他の添加剤の種類や使用量等により制御することができる。
本発明の粘着剤層は、飽和吸湿率が低く制御されるので、ミリ波の放射損失を抑制することができる。本発明の粘着剤層の25℃、90%R.H.における飽和吸湿率は、2.8%以下が好ましく、より好ましくは2.7%以下、さらに好ましくは2.6%以下、さらにより好ましく2.5%以下、特に好ましくは2.4%以下、最も好ましくは2.3%以下、2.2%以下、2.1%以下、2.0%以下、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、1.2%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下又は0.6%以下である。25℃、90%R.H.における飽和吸湿率が低いと、室温付近におけるミリ波の放射損失を抑制することができる。飽和吸湿率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.3%以上であってよく、0.4%以上又は0.5%以上であってもよい。
本発明の粘着剤層の65℃、90%R.H.における飽和吸湿率は、2.8%以下が好ましく、より好ましくは2.6%以下、さらに好ましくは2.4%以下、さらにより好ましく2.3%以下、特に好ましくは2.2%以下、最も好ましくは2.1%以下、2.0%以下、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、1.2%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.9%以下、0.8%以下又は0.7%以下である。飽和吸湿率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.4%以上であってよく、0.5%以上又は0.6%以上であってもよい。65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が低いと、高温環境下に付された場合であってもミリ波の放射損失を抑制することができる。
本発明の粘着剤層の85℃、85%R.H.における飽和吸湿率は、5.0%以下が好ましく、より好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは3.5%以下、さらにより好ましく3.0%以下、特に好ましくは2.8%以下、最も好ましくは2.6%以下、2.4%以下、2.2%以下、2.0%以下、1.8%以下、1.6%以下、1.4%以下、1.2%以下、1.0%以下又は0.8%以下である。飽和吸湿率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.4%以上であってよく、0.5%以上又は0.6%以上であってもよい。85℃、85%R.H.における飽和吸湿率が低いと、高温環境下に付された場合であってもミリ波の放射損失を抑制することができる。
各温度及び湿度環境下における上記飽和吸湿率は、例えば、乾燥状態のサンプル重量(w1)、及び、当該サンプルを65℃、90%R.H.の雰囲気中に放置して重量変化がなくなった時点(吸湿率が飽和したとき)の重量(w2)から下記式によって求めることができる。25℃、90%R.H.、及び85℃、85%R.H.の条件においても、それぞれ求めることができる。なお、w1及びw2の値は、同一の温度及び湿度において測定されたものとする。
飽和吸湿率(%)={(w2-w1)/w1}×100
本発明の粘着剤層は、吸湿による誘電損失の変化量が低く制御されるので、ミリ波の放射損失を抑制することができる。本発明の粘着剤層の周波数28GHzにおける誘電損失の吸湿による変化量は、0.006以下が好ましく、より好ましくは0.005以下、さらに好ましくは0.004以下である。飽和吸湿率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.0001以上であってよく、0.0002以上又は0.0003以上であってもよい。
本発明の粘着剤層の周波数60GHzにおける誘電損失の吸湿による変化量は、0.003以下が好ましく、より好ましくは0.002以下、さらに好ましくは0.001以下である。飽和吸湿率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.0001以上であってよく、0.0002以上、0.0003以上、0.0004以上、0.0005以上、0.0006以上、0.0007以上、0.0008以上又は0.0009以上であってもよい。
上記周波数28GHz及び60GHzにおける誘電損失の変化量は、65℃、90%R.H.の雰囲気中で5日以上保持した後、23±1℃、52±1%R.H.の条件下に戻し(経過時間=0分)、4分経過してから180分まで10分経過ごとに各周波数における誘電損失を測定し、それらのうち最大の値(Dfmax)及び最小の値(Dfmin)から、下記式によって求めることができる。
誘電損失の変化量=Dfmax-Dfmin
本発明の粘着剤層は、水蒸気透過度が低く制御されるので、ミリ波の放射損失を抑制することができる。本発明の粘着剤層の40℃、92%R.H.における水蒸気透過度が430g/m2/day以下が好ましく、より好ましくは300g/m2/day以下、さらに好ましくは250g/m2/day以下、さらにより好ましくは200g/m2/day以下、特に好ましくは150g/m2/day以下、最も好ましくは100g/m2/day以下、50g/m2/day以下又は30g/m2/day以下である。40℃、92%R.H.における水蒸気透過度が低いと、粘着剤層の耐水性が向上し、該粘着剤層中におけるミリ波の放射損失を抑制することができる。水蒸気透過度の下限値は、特に限定されないが、例えば、10g/m2/day以上であってよく、20g/m2/day以上又は25g/m2/day以上であってもよい。
上記水蒸気透過度(Water Vapor Transmission Rate;WVTR)は、カップ法に基づき測定される値である。粘着剤層で外部と隔離された塩化カルシウムの乾燥状態の重量(w1)、及び、当該サンプルを40℃、92%R.H.の雰囲気中に放置して所定の時間経過した時点(吸湿率が飽和したとき)の重量(w2)を測定し、重量変化量を単位時間(1日)、単位面積(1m2)に換算することによって求めることができる。
本発明の粘着剤層の28GHz又は60GHzにおける誘電率又は誘電損失、飽和吸湿率、水蒸気透過度、及び吸湿による誘電損失の変化量は、モノマー組成、添加剤の種類や含有量等を調整することにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、10~500μmが好ましく、より好ましくは11~400μm、さらに好ましくは12~350μm、12~300μmである。厚みが一定以上であると段差追従性や接着信頼性が向上しやすい。また、厚みが一定以下であると、取り扱いの際に異物が吸収されにくくなり、また、製造性に優れる傾向がある。
上記粘着剤層の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記粘着剤組成物を基材又は剥離ライナー上に塗布(塗工)し、必要に応じて、乾燥、硬化、又は乾燥及び硬化させることが挙げられる。硬化は、活性エネルギー線の照射、加熱乾燥等により行うことができる。
なお、上記粘着剤組成物の塗布(塗工)には、公知のコーティング法が用いられてもよい。例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター等のコーターが用いられてもよい。
[粘着シート]
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層を有していればよく、その他の点では特に限定されない。
本発明の粘着シートは、両面がともに粘着剤層表面となっている両面粘着シートであってもよいし、片面のみが粘着剤層表面となっている片面粘着シートであってもよい。中でも、2つの部材同士を貼り合わせる点からは、両面粘着シートであることが好ましい。なお、本明細書において「粘着シート」という場合には、テープ状のもの、すなわち、「粘着テープ」も含まれるものとする。また、本明細書においては、粘着剤層表面を「粘着面」と称する場合がある。
本発明の粘着シートは、使用時までは粘着面にセパレータ(剥離ライナー)が設けられていてもよい。
本発明の粘着シートは、基材(基材層)を有しない、いわゆる「基材レスタイプ」の粘着シート(以下、「基材レス粘着シート」と称する場合がある)であってもよいし、基材を有するタイプの粘着シート(以下、「基材付き粘着シート」と称する場合がある)であってもよい。上記基材レス粘着シートとしては、例えば、上記粘着剤層のみからなる両面粘着シートや、上記粘着剤層と上記粘着剤層以外の粘着剤層(「他の粘着剤層」と称する場合がある)とからなる両面粘着シート等が挙げられる。一方、基材付き粘着シートとしては、基材の少なくとも片面側に上記粘着剤層を有する粘着シート等が挙げられる。中でも、基材レス粘着シート(基材レス両面粘着シート)が好ましく、より好ましくは上記粘着剤層のみからなる基材レス両面粘着シートである。また、基材の両面に上記粘着剤層を有する粘着シート(基材付き両面粘着シート)も好ましい。上記基材付き両面粘着シートにおける両面の粘着剤層は、いずれも本発明の粘着剤層であってもよいし、一方が本発明の粘着剤層であり他方が他の粘着剤層であってもよい。なお、上記「基材(基材層)」には、粘着シートの使用(貼付)時に剥離されるセパレータは含まない。
本発明の粘着シートは、基材によるミリ波の放射損失が避けるため、基材レス粘着シートであることが好ましい。ただし、基材が低誘電率、低誘電損失の材料で構成される場合、基材付き粘着シートであってもよい。基材はミリ波の偏光状態にかかわらず使用できることが望ましいため、無延伸のもの、特に等方性のものが好ましい。
本発明の粘着シートのガラス板に対する引張速度300mm/分における180°引き剥がし接着力(特に、本発明の粘着剤層により提供される粘着面のガラス板に対する180°引き剥がし接着力)は、特に限定されないが、接着力が高ければ、アンテナ素子への十分な密着が得られるという点から、3N/20mm以上が好ましく、より好ましく3.5N/20mm以上、さらに好ましくは4N/20mm以上、さらにより好ましくは5N/20mm、特に好ましくは6N/20mm以上、最も好ましくは7N/20mm以上、8N/20mm以上、9N/20mm以上又は10N/20mm以上である。上記引き剥がし接着力が一定の値以上であれば、ガラスへの接着性、段差における浮きの抑止性に一層優れる。なお、本発明の粘着シートのガラス板に対する引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力の上限値は、特に限定されないが、例えば、30N/20mm以下が好ましく、より好ましくは25N/20mm以下、さらに好ましくは22N/20mm以下、さらにより好ましくは20N/20mm以下、特に好ましくは19N/20mm以下、最も好ましくは18N/20mm以下、17N/20mm以下、16N/20mm以下、15N/20mm以下、14N/20mm以下、13N/20mm以下、12N/20mm以下又は11N/20mm以下である。ガラス板に対する引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力は、下記の180°引き剥がし接着力の測定方法により求められる。
上記ガラス板としては、例えば、商品名「ソーダライムガラス ♯0050」(松浪硝子工業(株)製)が挙げられる。また、無アルカリガラスや化学強化ガラス等も挙げられる。
ガラス板に対する引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力は、下記の測定方法により求められる。粘着シートの粘着面を被着体に貼り合わせ、2kgローラー、1往復の圧着条件で圧着し、23℃、50%R.H.の雰囲気下で30分間エージングした後、JIS Z0237に準拠して、23℃、50%R.H.の雰囲気下、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、被着体から粘着シートを引きはがして、180°引き剥がし接着力(N/20mm)を測定する。
本発明の粘着シートの180°引き剥がし接着力は、ベースポリマー(アクリル系ポリマー)のモノマー組成、重量平均分子量、架橋剤の使用量(添加量)、その他の添加剤の種類や使用量等により制御することができる。
本発明の粘着シートの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、10~500が好ましく、より好ましくは11~400μm、さらに好ましくは12~350μm、さらにより好ましく12~300μmである。厚みが一定以上であると、段差部位での剥がれが生じにくくなる。また、厚みが一定以下であると、製造時に優れた外観を保持しやすくなる。なお、本発明の粘着シートの厚みには、セパレータの厚みは含めないものとする。
本発明の粘着シートのヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.2%以下が好ましく、より好ましくは1.1%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらにより好ましくは0.9%以下、特に好ましくは0.8%以下である。ヘイズが1.2%以下であると、優れた透明性や優れた外観が得られやすい。上記ヘイズは、例えば、粘着剤層厚み25μmとし、これを常態(23℃、50%R.H.)に少なくとも24時間静置した後、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(製品名「HM-150」、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定することができる。
本発明の粘着シートの可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは89%以上、さらにより好ましくは90%以上、特に好ましくは91%以上、最も好ましくは92%以上である。全光線透過率が85%以上であると、優れた透明性や優れた外観が得られやすい。上記全光線透過率は、例えば、粘着剤層厚み25μmとし、これを常態(23℃、50%R.H.)に少なくとも24時間静置した後、セパレータを有する場合にはこれを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(製品名「HM-150」、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定することができる。
本発明の粘着剤層のヘイズ、全光線透過率は、モノマー組成、添加剤の種類や含有量等を調整することにより、調整することができる。
本発明の粘着シートは、特に限定されないが、公知乃至慣用の製造方法に従って製造されることが好ましい。例えば、本発明の粘着シートが基材レス粘着シートである場合には、セパレータ上に上記の方法により上記粘着剤層を形成することにより得られる。また、本発明の粘着シートが基材付き粘着シートである場合には、上記粘着剤層を基材の表面に直接形成することにより得てもよいし(直写法)、いったんセパレータ上に上記粘着剤層を形成した後、基材に転写する(貼り合わせる)ことにより、基材上に上記粘着剤層を設けることにより得てもよい(転写法)。
本発明の粘着シートは、上記粘着剤層の他に、他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、他の粘着剤層(上記粘着剤層以外の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層以外の粘着剤層))、中間層、下塗り層等が挙げられる。なお、本発明の粘着シートは、他の層を2層以上有していてもよい。
本発明の粘着シートが基材付き粘着シートである場合の基材としては、例えば、プラスチックフィルム、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板等の各種光学フィルムが挙げられる。上記プラスチックフィルム等の素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、商品名「アートン(環状オレフィン系ポリマー、JSR(株)製)」、商品名「ゼオノア(環状オレフィン系ポリマー、日本ゼオン(株)製)」等の環状オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー等のプラスチック材料が挙げられる。なお、これらのプラスチック材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記の「基材」とは、粘着シートを被着体に貼付する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分である。粘着シートの使用時(貼付時)に剥離されるセパレータ(剥離ライナー)は「基材」には含まない。
上記基材は、透明であることが好ましい。上記基材の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは89%以上、さらにより好ましくは90%以上、特に好ましくは91%以上、最も好ましくは92%以上である。また、上記基材のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、1.0%以下が好ましく、より好ましくは0.8%以下である。このような透明な基材としては、例えば、PETフィルムや、商品名「アートン」、商品名「ゼオノア」等の無配向フィルム等が挙げられる。特に、無配向フィルムはその特性がミリ波の電場の方向に依存しないため好ましい。
上記基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、12~500μmが好ましい。なお、上記基材は単層及び複層のいずれの形態を有していてもよい。また、上記基材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理等の公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
本発明の粘着シートは、使用時までは粘着面にセパレータ(剥離ライナー)が設けられていてもよい。なお、本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合、各粘着面は、2枚のセパレータによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているセパレータ1枚により、ロール状に巻回される形態で保護されていてもよい。セパレータは粘着剤層の保護材として用いられ、被着体に貼付する際に剥がされる。また、本発明の粘着シートが基材レス粘着シートの場合、セパレータは粘着剤層の支持体としての役割も担う。なお、セパレータは必ずしも設けられなくてもよい。
上記セパレータとしては、慣用の剥離紙等を使用でき、特に限定されない。例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素ポリマーからなる低接着性基材や無極性ポリマーからなる低接着性基材等が挙げられる。上記剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。上記フッ素ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)等が挙げられ、ポリエステル系基材(ポリエチレンテレフタレート系基材、ポリエチレンナフタレート系基材、ポリブチレンテレフタレート系基材等)等も用いられる。なお、セパレータは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、セパレータの厚み等も特に限定されない。
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層を有するので、接着性及び耐発泡剥がれ性に優れ、さらに、応力緩和性に優れ、段差追従性に優れる。このため、接着信頼性、特に高温時の接着信頼性に優れる。また、外観性に優れる。
このため、本発明の粘着シートは、高温時に界面での発泡の生じやすい部材の貼り合わせ有用に用いられる。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)は、未反応モノマーを含むことがあり、高温時に異物による発泡が生じやすい。また、ポリカーボネート(PC)は、高温時に水と二酸化炭素のアウトガスを生じやすい。本発明の粘着シートは、耐発泡剥がれ性に優れるので、このような樹脂を含むプラスチック被着体に対しても有用に用いられる。
また、本発明の粘着シートは、線膨張係数の小さい被着体に加えて、線膨張係数の大きい被着体に対しても、有用に用いられる。なお、上記線膨張係数の小さい被着体としては、例えば、ガラス板(線膨張係数0.3×10-5~0.8×10-5/℃)、ポリエチレンテレフタレート基材(PETフィルム、線膨張係数1.5×10-5~2×10-5/℃)等が挙げられる。また、上記線膨張係数の大きい被着体としては、例えば、線膨張係数の大きい樹脂基材が挙げられ、より具体的には、ポリカーボネート樹脂基材(PC、線膨張係数7×10-5~8×10-5/℃)、ポリメタクリル酸メチル樹脂基材(PMMA、線膨張係数7×10-5~8×10-5/℃)、シクロオレフィンポリマー基材(COP、線膨張係数6×10-5~7×10-5/℃)、商品名「ゼオノア」(日本ゼオン(株)製)、商品名「アートン」(JSR(株)製)等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、線膨張係数の小さい被着体と線膨張係数の大きい被着体との貼り合わせに有用に用いられる。具体的には、本発明の粘着シートは、ガラス被着体(例えば、ガラス板、化学強化ガラス、ガラスレンズ等)と上記の線膨張係数の大きい樹脂基材との貼り合わせに好ましく用いられる。
このように、本発明の粘着シートは、様々な素材の被着体同士の貼り合わせに有用であり、特にガラス被着体とプラスチック被着体との貼り合わせに有用に用いられる。なお、プラスチック被着体は、表面にITO(インジウムとすずの酸化物)層を有するプラスチックフィルムのような光学フィルムであってもよい。
さらに、本発明の粘着シートは、表面が平滑な被着体に加えて、表面に段差を有する被着体に対しても、有用に用いられる。特に、本発明の粘着シートは、ガラス被着体及び上記の線膨張係数の大きい樹脂基材のうち少なくとも一方が表面に段差を有していても、ガラス被着体と上記の線膨張係数の大きい樹脂基材との貼り合わせに有用に用いられる。
本発明の粘着シートは、携帯電子機器の製造用途に好ましく用いられる。上記携帯電子機器としては、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン、タブレット(タブレット型コンピューター)、モバイルコンピューター(モバイルPC)、携帯情報端末(PDA)、電子手帳、携帯型テレビや携帯型ラジオ等の携帯型放送受信機 、携帯型ゲーム機、ポータブルオーディオプレーヤー、ポータブルDVDプレーヤー、デジタルカメラ等のカメラ、カムコーダ型のビデオカメラ等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、例えば、携帯電子機器を構成する部材やモジュール同士の貼り付けや、携帯電子機器を構成する部材やモジュールの筐体への固定等に好ましく用いられる。より具体的には、カバーガラスやレンズ(特にガラスレンズ)とタッチパネルやタッチセンサー、アンテナモジュールとの貼り合わせ、カバーガラスやレンズ(特にガラスレンズ)の筐体への固定、ディスプレイパネルの筐体への固定、アンテナモジュールの筐体への固定、シート状キーボードやタッチパネル等の入力装置の筐体への固定、情報表示部の保護パネルと筐体との貼り合わせ、筐体同士の貼り合わせ、筐体と装飾用シートとの貼り合わせ、携帯電子機器を構成する各種部材やモジュールの固定や貼り合わせ等が挙げられる。なお、本明細書において、ディスプレイパネルとは、レンズ(特にガラスレンズ)及びタッチパネルにより少なくとも構成される構造物をいう。また、本明細書におけるレンズは、光の屈折作用を示す透明体及び光の屈折作用のない透明体の両方を含む概念である。つまり、本明細書におけるレンズには、屈折作用がない単なる窓パネルも含まれる。
さらに、本発明の粘着シートは、光学用途に好ましく用いられる。すなわち、本発明の粘着シートは、光学用途に用いられる光学用粘着シートであることが好ましい。より具体的には、例えば、光学部材を貼り合わせる用途(光学部材貼り合わせ用)や上記光学部材が用いられた製品(光学製品)の製造用途等に用いられることが好ましい。
光学部材としては、上記粘着シート及び基板を少なくとも有する光学部材であって、上記基板は少なくとも片面に金属電極及び配線(例えば銅、銀、ITO配線等)を備え、上記基板の上記金属電極及び配線を有する側の面上に本発明の粘着剤層が貼着されていれているものが挙げられる。なお、上記粘着シートは、使用時までは粘着面にセパレータが設けられていてもよいが、本発明の光学部材における上記粘着シートは使用時の粘着シートであるため、セパレータは有しない。
さらに、上記光学部材は、上記基板の上記金属電極及び配線を有する側とは反対側に上記粘着剤層を有することが好ましく、上記基板の上記金属電極及び配線を有する側とは反対側の面上に上記粘着剤層が貼着されていることがさらに好ましい。
上記金属電極及び配線を構成する材料としては、例えば、チタン、ケイ素、ニオブ、インジウム、亜鉛、スズ、金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、ニッケル、鉛、鉄、パラジウム、白金、タングステン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム等の金属、ITO(インジウムとスズの酸化物)、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物が挙げられる。さらには、これらの金属、金属酸化物を2種以上含有するものや、これらの金属を主成分とする合金も挙げられる。中でも、導電性の点より、金、銀、銅、ITOが好ましく、導電性及びコストの点より、銀、銅、ITOがより好ましく、透明性の点よりITOがさらに好ましい。つまり、上記金属電極及び配線は、銀、銅又はITO配線であることが好ましく、ITO配線であることが特に好ましい。なお、後述のミリ波アンテナ素子を構成する材料も、同様である。上記金属電極及び配線は、金属の反射による視認性の低下を防止するために電極及び/又は配線を隠蔽する目的で、該金属の窒化物、酸化物、硫化物等の皮膜を形成することで黒化処理を施してあってもよい。
光学部材とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性、電磁波透過性等)を有する部材をいう。上記光学部材を構成する基板としては、例えば、表示装置(画像表示装置)、入力装置等の機器(光学機器)、アンテナモジュールを構成する基板又はこれらの機器に用いられる基板が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、アンテナ基板、ハードコートフィルム(PETフィルム等のプラスチックフィルムの少なくとも片面にハードコート処理が施されたフィルム)、透明導電フィルム(例えば、表面にITO層を有するプラスチックフィルム(好ましくは、PET-ITO、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等のITOフィルム)等)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板(ガラスセンサー、ガラス製表示パネル(LCD等)、透明電極付きガラス板等のガラス基板等)や、さらにはこれらが積層されている基板(これらを総称して「機能性フィルム」と称する場合がある)等が挙げられる。また、これらのフィルムは、金属ナノワイヤ層や導電性高分子層等を有していてもよい。また、これらのフィルムには、金属細線がメッシュ印刷されていてもよい。また、これらのフィルムには、アンテナ素子を有していてもよい。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態を含むものとし、例えば、「偏光フィルム」は、「偏光板」及び「偏光シート」等を含むものとする。また、「フィルム」はフィルムセンサー等を含むものとする。
上記金属細線は、金属の反射による視認性の低下を防止するために隠蔽する目的で、該金属の窒化物、酸化物、硫化物等の皮膜を形成することで黒化処理を施してあってもよい。
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等が挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネル等が挙げられる。また、アンテナモジュールとしては、後掲のミリ波アンテナ等が挙げられる。
上記光学部材を構成する基板としては、例えば、ガラス、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、金属薄膜等からなる基板(例えば、シート状やフィルム状、板状の基板等)等が挙げられる。なお、本発明における「光学部材」には、上記の通り、表示装置や入力装置の視認性を保ちながら加飾や保護の役割を担う部材(意匠フィルム、装飾フィルムや表面保護フィルム等)も含むものとする。
本発明の粘着シートが基材付き粘着シートであり、且つ、上記粘着シートが光学的特性を有する部材を構成すれば、上記基材は上記基板と同視でき、上記粘着シートは本発明の光学部材でもあると言える。
本発明の粘着シートが基材付き粘着シートであり、上記基材として上記機能性フィルムを用いた場合には、本発明の粘着シートを、機能性フィルムの少なくとも片面側に上記粘着剤層を有する「粘着型機能性フィルム」として使用することもできる。
[ミリ波アンテナ]
本発明の粘着シートは、ミリ波等の高周波数帯における誘電率、誘電損失が低い粘着剤層(本発明の粘着剤層)を有するので、ミリ波の放射損失を抑制することができる。このため、本発明の粘着シートは、ミリ波通信に使用されるアンテナ(ミリ波アンテナ)を構成する部材を貼り合わせる用途に有用である。
本明細書において、「ミリ波通信」とは、20GHz~300GHzの周波数帯における通信を意味する。
ミリ波アンテナを構成する部材としては、少なくとも片面にミリ波を送受信するためのアンテナ素子(以下、「ミリ波アンテナ素子」と称する場合がある)を備える基板(以下、「ミリ波アンテナ基板」と称する場合がある)が挙げられる。
ミリ波アンテナ基板としては、上記粘着シートの基材で使用されるプラスチックフィルムが例示され、ミリ波の放射損失を抑制できる点から、低誘電率、低誘電損失の素材が好ましく、特に、商品名「アートン」(JSR(株)製)、商品名「ゼオノア」(日本ゼオン(株)製)等の環状オレフィン系ポリマーが好ましい。
ミリ波アンテナ基板の28GHz及び又は60GHzにおける誘電率は、ミリ波の放射損失を抑制する点から、2.0~5.0が好ましく、より好ましくは2.1~4.5、さらに好ましくは2.2~4.0、さらにより好ましくは2.2~3.5、特に好ましくは2.2~3.4、最も好ましくは2.2~3.3、2.2~3.2、2.2~3.1又は2.2~3.0である。また、ミリ波アンテナ基板の28GHz及び又は60GHzにおける誘電損失は、ミリ波の放射損失を抑制する点から、0.0001~0.05が好ましく、より好ましくは0.001~0.029、さらに好ましくは0.002~0.028、さらにより好ましくは0.003~0.027、特に好ましくは0.004~0.026、最も好ましくは0.005~0.025、0.006~0.024、0.007~0.023、0.008~0.022、0.009~0.021、0.010~0.020、0.011~0.019、0.012~0.018、0.013~0.017、0.014~0.016又は0.014~0.015である。
ミリ波アンテナ基板は、透明であることが好ましい。ミリ波アンテナ基板の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは89%以上、さらにより好ましくは90%以上、特に好ましくは91%以上、最も好ましくは92%以上である。また、ミリ波アンテナ基板のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.2%以下が好ましく、より好ましくは1.1%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらにより好ましくは0.9%以下、特に好ましくは0.8%以下である。
ミリ波アンテナ基板の厚みは、ミリ波アンテナ素子を実装しつつ、ミリ波の放射損失を抑制する点から、5~250μmが好ましい。なお、ミリ波アンテナ基板は単層及び複層のいずれの形態を有していてもよい。また、ミリ波アンテナ基板の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理、ハードコーティング等のコーティング層等の公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
ミリ波アンテナ基板が備えるミリ波アンテナ素子としては、ミリ波を送受信できる限り特に限定されないが、スマートフォン等の携帯通信機器でミリ波を効率的に受信する点から、フェーズドアレイアンテナを好ましく使用することができる。フェーズドアレイアンテナは、複数のアンテナ素子をアレイ状に配列し、それぞれのアンテナ素子の位相を制御することにより、所望の方向に送受信を可能とするアンテナである。すなわち、フェーズドアレイアンテナは、アンテナの方向に関わらず、電子的に各アンテナ素子の位相をコントロールすること(ビームステアリング)により、所望の方向に電波を送信したり、電波を受信したりすることが可能となる。
ミリ波アンテナ素子としては、公知のアンテナを特に限定なく使用することができ、例えば、ループアンテナ構造体、パッチアンテナ構造体、スタック型パッチアンテナ構造体、寄生素子を有するパッチアンテナ構造体、逆Fアンテナ構造体、スロットアンテナ構造体、平板逆Fアンテナ構造体、モノポール、ダイポール、ヘリカルアンテナ構造体、八木(八木・宇田)アンテナ構造体、表面集積導波路構造体、これらの設計のハブリッド等から形成される共振素子を有するアンテナ素子が挙げられる。異なる周波数帯域の組み合わせに対して、異なる種類のミリ波アンテナ素子が使用されてもよい。スマートフォン等の携帯通信機器でミリ波を効率的に受信する点から、パッチアンテナ素子をアレイ状に配列したフェーズドアレイアンテナが好ましい。
ミリ波アンテナ素子を構成する素材も、特に限定されず、例えば、チタン、ケイ素、ニオブ、インジウム、亜鉛、スズ、金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、ニッケル、鉛、鉄、パラジウム、白金、タングステン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム等の金属、ITO(インジウムとスズの酸化物)、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物が挙げられる。さらには、これらの金属や金属酸化物を2種以上含有するものや、これらの金属を主成分とする合金も挙げられる。中でも、導電性の観点より、銀、銅、ITOが好ましく、透明性、視認性の点より、ITOがより好ましい。つまり、上記ミリ波アンテナ素子は、特にITOで構成されることが好ましい。
また、アンテナ素子が銀、銅等の金属で構成される場合、金属の反射による視認性の低下を防止するためにアンテナ素子を隠蔽する目的で、該金属の窒化物、酸化物、硫化物等の皮膜を形成することで黒化処理を施してあってもよい。
また、ミリ波アンテナ基板は、ミリ波アンテナ素子が送受信する信号を送受信機回路に転送するための伝送線経路を備えていてもよい。伝送線経路は、同軸ケーブル経路、マイクロストリップ伝送線、ストリップライン伝送線、エッジ結合マイクロストリップ伝送線、エッジ結合ストリップライン伝送線、ミリ波周波数帯で信号を伝達するための導波路構造体(例えば、共面導波路又は接地された共面導波路)、これらの種類の伝送線の組み合わせから形成される伝送線等を含むことができる。伝送線経路を構成する素材も、特に限定されず、ミリ波アンテナ素子を構成する素材を使用することができる。
ミリ波アンテナを構成する部材としては、ミリ波アンテナ基板上に配列されたミリ波アンテナ素子を保護するためにミリ波アンテナ基板に積層するカバー部材が挙げられる。カバー部材としては、例えば、ガラスやプラスチックフィルム等の光学フィルムが使用できる。
プラスチックフィルム等の素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート;トリアセチルセルロース(TAC);ポリサルフォン;ポリアリレート;ポリイミド;透明ポリイミド;ポリ塩化ビニル;ポリ酢酸ビニル;フッ素系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;商品名「アートン」(JSR(株)製)、商品名「ゼオノア」(日本ゼオン(株)製)等の環状オレフィン系ポリマー等のプラスチック材料が挙げられる。これらのプラスチック材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カバー部材の28GHz及び又は60GHzにおける誘電率は、ミリ波の放射損失を抑制する点から、2.0~5.0が好ましく、より好ましくは2.1~4.5、さらに好ましくは2.2~4.0、さらにより好ましくは2.2~3.5、特に好ましくは2.2~3.4、最も好ましくは2.2~3.3、2.2~3.2、2.2~3.1又は2.2~3.0である。また、カバー部材の28GHz及び又は60GHzにおける誘電損失は、ミリ波の放射損失を抑制する点からは、0.0001~0.050が好ましく、より好ましくは0.001~0.02、さらに好ましくは0.002~0.019、さらにより好ましくは0.003~0.018、特に好ましくは0.004~0.017、最も好ましくは0.005~0.016、0.006~0.015、0.007~0.014、0.008~0.013、0.009~0.012又は0.010~0.011である。
上記カバー部材は、透明であることが好ましい。カバー部材の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは89%以上、さらにより好ましくは90%以上、特に好ましくは91%以上、最も好ましくは92%以上である。また、カバー部材のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、1.2%以下が好ましく、より好ましくは1.1%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらにより好ましくは0.9%以下、特に好ましくは0.8%以下である。
カバー部材の厚みは、ミリ波の放射損失を抑制する点から、0.025~1.5mmが好ましい。なお、カバー部材は単層及び複層のいずれの形態を有していてもよい。また、カバー部材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理、ハードコーティング等のコーティング層等の公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
本発明の粘着シートは、携帯通信機器に用いられるミリ波アンテナの製造用途に好ましく用いられる。上記携帯通信機器としては、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン、タブレット(タブレット型コンピューター)、モバイルコンピューター(モバイルPC)、携帯情報端末(PDA)等が挙げられる。
ミリ波アンテナは、上記のミリ波アンテナ基板、カバー部材、粘着シート以外の部材を有していてもよく、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、ハードコートフィルム、透明導電フィルム、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板や、画像表示パネル(例、液晶表示パネル、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネル等)等を有していてもよい。画像表示パネルは、タッチセンサーを有するものであってもよい。
ミリ波アンテナは、携帯通信機器の如何なる位置に配置されていてもよく、具体的には、携帯通信機器の前面、裏面、側面に配置されていてもよい。なお、携帯通信機器の前面とは、使用者が携帯通信機器を使用するときに、使用者に対向する面であり、例えば、ディスプレイパネルを有する面が該当し、裏面、側面は筐体が該当する。なお、ディスプレイパネルとは、レンズ(特にガラスレンズ)及びタッチパネルにより少なくとも構成される構造物をいう。
ミリ波アンテナの大きさ(広さ)も限定されず、携帯通信機器の各面の全面に形成されていてもよく、一部に配置されていてもよい。また、ミリ波アンテナの形状も特に限定されず、例えば、四角、丸、配線状であってもよい。また、額縁状に配置されていてもよい。さらに、携帯通信機器に配置されるミリ波アンテナの数も限定されず、1つでもよく、複数が任意の位置に配置されていてもよい。複数のミリ波アンテナが配置される場合、大きさ(広さ)は同一であっても異なっていてもよい。携帯通信機器のミリ波アンテナが配置されていない箇所には、視認性を向上するため、ミリ波アンテナを備えないダミーパターンを配置してもよい。
本発明のミリ波アンテナは、上記粘着シート及び基板を少なくとも有するミリ波アンテナであって、上記基板は片面にアンテナ素子(ミリ波アンテナ素子)を備え、上記基板(ミリ波アンテナ基板)の上記アンテナ素子を有する側の面上に上記粘着シートが貼着されていれていればよく、その他の点では特に限定されない。なお、本発明のミリ波アンテナにおける上記粘着シートは使用時の粘着シートであるため、セパレータは有しない。
上記ミリ波アンテナとしては、ミリ波アンテナ基板を、別の光学部材(必ずしも上記粘着シートを有していてもよく、有していなくてもよいが、有していることが、さらにミリ波の放射損失を抑制するという点から好ましい。)と貼り合わせて構成されている態様が好ましい。また、上記別の光学部材は、単数であっても、複数であってもよい。
上記態様の場合の本発明のミリ波アンテナと上記別の光学部材との貼り合わせの態様としては、例えば、(1)本発明の粘着シートを介して本発明のミリ波アンテナ基板と上記別の光学部材とを貼り合わせる態様、(2)ミリ波アンテナ基板を含む又は構成する本発明の粘着シートを、上記別の光学部材に貼り合わせる態様、(3)本発明の粘着テープを介してミリ波アンテナ基板をミリ波アンテナ基板以外の部材に貼り合わせる態様、(4)ミリ波アンテナ基板を含む又は構成する本発明の粘着テープを、ミリ波アンテナ基板以外の部材に貼り合わせる態様等が挙げられる。なお、上記(2)の態様においては、本発明の粘着シートは、基材がミリ波アンテナ基板である両面粘着シートであることが好ましい。
次に、図面を参照して、本発明のミリ波アンテナの好ましい実施形態について説明する。
図1には、粘着シート10及びミリ波アンテナ基板11である基板を少なくとも有するミリ波アンテナであって、ミリ波アンテナ基板11は片面にミリ波アンテナ素子2を備え、粘着シート10が、ミリ波アンテナ基板11のミリ波アンテナ素子2を有する側の面上に貼着されているミリ波アンテナ1Aが記載されている。
図2には、カバー部材12、粘着シート10、及びミリ波アンテナ基板11をこの順番で互いに接する状態で有するミリ波アンテナ1Bが記載されている。ミリ波アンテナ基板11は、粘着シート10側の面にミリ波アンテナ素子2を備えており、粘着シート10は、ミリ波アンテナ基板11のミリ波アンテナ素子2を有する側の面上に貼着されている。カバー部材12はガラスであることが好ましく、ミリ波アンテナ基板11は、低誘電率、低誘電損失の点から、COPであることが好ましく、ミリ波アンテナ素子2は銅、銀、又はITOであることが好ましい。
図3には、カバー部材12、粘着シート10a、ミリ波アンテナ基板11、粘着シート10b、及び画像表示パネル13をこの順番で互いに接する状態で有するミリ波アンテナ1Cが記載されている。ミリ波アンテナ基板11は、粘着シート10a側の面にミリ波アンテナ素子2を備えており、粘着シート10aは、ミリ波アンテナ基板11のミリ波アンテナ素子2を有する側の面上に貼着されている。カバー部材12はガラスであることが好ましく、ミリ波アンテナ基板11は、低誘電率、低誘電損失の点から、COPであることが好ましく、ミリ波アンテナ素子2は、透明性、視認性の点から、ITO、又は窒化物、酸化物、硫化物等の皮膜で黒化処理された銀又は銅であることが好ましい。粘着シート10bは本発明の粘着シートであってもよく、本発明の粘着シートでなくてもよいが、本発明の粘着シートであることが好ましい。画像表示パネル13は、タッチセンサーを有していてもよい(図示略)。
図1~3のミリ波アンテナ1A~1Cにおいて、粘着シート10、10a、及び好ましくは粘着シート10bは高周波数帯における誘電率、誘電損失が低い本発明の粘着剤層で構成されているため、ミリ波の放射損失が抑制されており、ミリ波通信を効率的に行うことができる。また、ミリ波通信を効率的に行うことができるため、アンテナ面積を小型化することができ、アンテナを微細化することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ポリイソブチレン(商品名「OPPANOL N80」、Mw:1050000、Mn:440000、Mw/Mn:2.4、BASF社製)100質量部と、粘着付与剤として完全水添テルペンフェノール(軟化点:135℃、水酸基価:160)22質量部をトルエン中で配合し、固形分が13質量%である粘着剤組成物(溶液)を調製した。得られた粘着剤組成物(溶液)を、PETセパレータ(商品名「MRF50」、三菱ケミカル(株)製)上に最終的な厚み(粘着剤層の厚み)が75μmとなるように塗布し、塗布層(粘着剤組成物層)を形成した。次いで、塗布層を130℃で5分乾燥させて、粘着剤層を形成し、粘着剤層の厚みが75μmの粘着シートを作製した。また、粘着シートの粘着面には、PETセパレータ(商品名「MRF38」、三菱ケミカル(株)製)を、剥離処理面と上記粘着剤層が接するように貼り合せた。粘着剤層の両面がセパレータで保護されている基材レス両面粘着シートを得た。
(実施例2)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、メタクリル酸ラウリル(LMA)99質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)1質量部の混合物、熱重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部、重合溶媒として酢酸エチルをモノマー成分が70質量%になるように投入し、窒素ガスを流し、撹拌しながら約1時間の窒素置換を行った。その後、反応容器を70℃に加熱し、6時間反応させた。更に、反応容器を80℃に加熱し、3時間反応させて重量平均分子量(Mw)40万の(メタ)アクリル系ポリマーを得た。この(メタ)アクリル系ポリマーの溶液(固形分100質量部)に、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートHX」、東ソー(株)製、固形分濃度100%)を固形分基準で0.1質量部、架橋促進剤としてジオクチルスズジラウレート(商品名「エンビライザーOL-1」、東京ファインケミカル(株)製)0.01質量部、架橋遅延剤としてアセチルアセトン5質量部を加え、均一に混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。
上記粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)セパレータ(商品名「MRF38」、三菱ケミカル(株)製)上に最終的な厚み(粘着剤層の厚み)が25μmとなるように塗布し、塗布層(粘着剤組成物層)を形成した。次いで、130℃の乾燥機で120分間乾燥処理を行い、残存モノマーを揮発させた。更に、上記塗布層上に、PETセパレータ(商品名「MRE38」、三菱ケミカル(株)製)を設け、粘着剤層のみからなり、粘着剤層の両面がセパレータで保護されている基材レス両面粘着シートを得た。
(実施例3)
メタクリル酸ラウリル(LMA)80質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)20質量部から構成されるモノマー混合物を用いたこと以外は、実施例2と同様にして基材レス両面粘着シートを得た。
(比較例1)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル(BA)100質量部、アクリル酸(AA)5質量部、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4-HBA)を1質量部仕込むことによってモノマー混合物を得た。さらに、モノマー混合物全体100質量部に対して、熱重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部、重合溶媒として酢酸エチルをモノマー成分が40質量%になるように投入し、フラスコ内に窒素ガスを流し、緩やかに撹拌しながら窒素置換した。その後、反応容器を60℃に加熱し、8時間反応させて重量平均分子量(Mw)180万のアクリル系ポリマーを得た。このアクリル系ポリマーの溶液(固形分100質量部)に、エポキシ系架橋剤として(商品名「テトラッドC」、三菱ガス化学(株)製、固形分濃度100%)を固形分基準で0.25質量部加え、均一に混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。
上記粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)セパレータ(商品名「MRF38」、三菱ケミカル(株)製)上に最終的な厚み(粘着剤層の厚み)が25μmとなるように塗布し、塗布層(粘着剤組成物層)を形成した。次いで、130℃の乾燥機で120分間乾燥処理を行い、残存モノマーを揮発させた。更に、上記塗布層上に、PETセパレータ(商品名「MRE38」、三菱ケミカル(株)製)を設け、粘着剤層のみからなり、粘着剤層の両面がセパレータで保護されている基材レス両面粘着シートを得た。
[特性評価]
実施例及び比較例の基材レス両面粘着シートについて、下記の測定又は評価を行った。評価結果は表1に示した。
(1)誘電率、誘電損失の評価
実施例又は比較例で得られた粘着剤層単体(両面粘着シートからシリコーン処理を施したPETセパレータを剥離したもの)を、以下の装置により、周波数28GHz及び60GHzにおける誘電率及び誘電損失を測定した。測定は28GHzの場合は直径8cmの円の領域に対して実施し、60GHzの場合は直径4cmの円の領域に対して実施した。各検体で少なくとも3サンプル作製し、それらの3サンプルの測定値の最大最小の値を除いた後、平均の値を各周波数における誘電率、誘電損失とした。
・測定方法:開放型共振器法 JIS R1660-2
・装置:キーコム(株)製、干渉型共振器法誘電率測定システム
・測定環境:23±1℃、52±1%R.H.
(2)飽和吸湿率
実施例又は比較例で得られた粘着剤層からサンプルとして10mg採取した。当該サンプルを、加湿機能付きの微量熱重量測定装置(IGA Sorp:型式IG-SA-116、ハイデン社製)に投入し、0.001mgオーダの測定が可能な検出器を用いて、重量変化が観測されなくなるまで130℃で加熱し続けた。次に、同装置内を65℃、0%R.H.の環境下とし、少なくとも1時間保持した後、サンプルの重量変化が観測されなくなった時点(乾燥状態)においてその重量(w1)を測定した。さらに、同装置内を65℃、90%R.H.の雰囲気にし、少なくとも10時間以上、重量変化を追跡した。サンプルの重量変化がなくなった時点(吸湿率が飽和したとき)においてその重量(w2)を測定した。上記結果から、下記式により、飽和吸湿率を求めた。
飽和吸湿率(%)={(w2-w1)/w1}×100
(3)誘電損失の変化量
実施例又は比較例で得られた各粘着剤層単体(両面粘着シートからシリコーン処理を施したPETセパレータを剥離したもの)について、65℃、90%R.H.の雰囲気中において少なくとも5日間以上加湿した。各サンプルについて、23±1℃、52±1%R.H.の条件下に戻し(経過時間=0分)、4分経過してから180分まで10分経過ごとに周波数28GHz及び60GHzにおける誘電率及び誘電損失を、上記の開放型共振器法(JIS R1660-2)に準じて、干渉型共振器法誘電率測定システム(キーコム(株)製)を用いて測定した。各サンプルの誘電損失は、3検体の平均値として得た。
加湿後の各粘着剤層(経過時間=4~180分)に対して得られた誘電損失のうち、最大の値(Dfmax)及び最小の値(Dfmin)を用いて、下記式に従って、誘電損失の変化量を計算した。
誘電損失の変化量=Dfmax-Dfmin
(4)全光線透過率及びヘイズ
実施例又は比較例で得られた両面粘着シートから一方のセパレータを剥離して、該両面粘着シートをスライドガラス(松浪硝子工業(株)製、「白研磨 No.1」、厚み0.8~1.0mm、全光線透過率92%、ヘイズ0.2%)に貼り合わせ、さらに他方のセパレータを剥離して、両面粘着シート(粘着剤層)/スライドガラスの層構成を有する試験片を作製した。上記試験片の可視光領域における全光線透過率及びヘイズを、ヘイズメーター(製品名「HM-150」、(株)村上色彩研究所製)を用いて23±1℃、52±1%RHの環境下において測定した。各検体で3サンプル作製し、それらの3サンプルの測定値の平均を可視光領域における全光線透過率及びヘイズとした。なお、試験片の厚みが大きいほど、全光透過率の値は小さくなり、ヘイズの値は大きくなる。
(5)水蒸気透過度(WVTR)
実施例又は比較例で得られた粘着剤層の水蒸気透過度は、カップ法に基づき評価した。粘着剤層で外部と隔離された塩化カルシウムの乾燥状態の重量(w1)、及び、当該サンプルを40℃、92%R.H.の雰囲気中に放置して所定の時間経過した時点(吸湿率が飽和したとき)の重量(w2)を測定し、重量変化量を単位時間(1日)、単位面積(1m2)に換算することによって水蒸気透過度(g/m2/day)とした。w2の測定は、加湿開始から24時間~48時間経過後の値で算出した。
(6)送受信特性
実施例又は比較例で得られた粘着剤層(両面粘着シートからシリコーン処理を施したPETセパレータを剥離したもの)の送受信特性は図4に示される方形マイクロストリップアンテナ(電子通信情報学会4群2編5章「平面アンテナ」、URL:http://www.ieice hbkb.org/files/04/04gun_02hen_05.pdfを参照)により評価した。具体的には、アンテナ基板44として厚み100μmのCOP基材(商品名「ゼオノア」、日本ゼオン(株)製)の表面に図4に示す形状のミリ波用パッチアンテナ43、裏面に1μm厚の銅グラウンド層45が形成された、アンテナフィルム46を作製した。ミリ波用パッチアンテナ43のサイズは、各実施例・比較例の粘着剤と積層した際に最良となるよう調整した(縦A:2.8~3.2mm、横B:4.13mm)。上記アンテナフィルム46のパッチアンテナ43側に各実施例・比較例の粘着剤層42を気泡や異物が入らないように貼り付け、続いてカバーガラス41として厚み0.7mmの化学強化ガラス(コーニング社製)に貼り合わせ、カバーガラス41/粘着剤層42/アンテナフィルム46のアンテナ積層体4を作製した。各種アンテナ積層体4のミリ波用パッチアンテナ43に接続されたマイクロストリップ線路43aより給電し、30GHzの周波数帯における送受信特性を評価し、粘着剤層を用いない場合(カバーガラス41にアンテナフィルム46を近接配置したもの)の利得(5.7dB)より向上したものを〇、低下(悪化)したものを×とした。
Figure 2023016419000002
1A、1B、1C ミリ波アンテナ
10、10a、10b 粘着シート
11 ミリ波アンテナ基板
12 カバー部材
2 ミリ波アンテナ素子
13 画像表示パネル
4 アンテナ積層体
41 カバーガラス
42 粘着剤層
43 ミリ波用パッチアンテナ
43a マイクロストリップ線路
44 アンテナ基板
45 銅グラウンド層
46 アンテナフィルム

Claims (8)

  1. 周波数28GHzにおける誘電率が2.0~5.0であり、
    周波数28GHzにおける誘電損失が0.0001~0.05であり、
    65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が2.8%以下であり、
    下記式により計算される誘電損失の変化量が0.006以下である、粘着剤組成物。
    誘電損失の変化量=Dfmax-Dfmin
    fmax:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数28GHzにおける誘電損失が示す最大値
    fmin:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数28GHzにおける誘電損失が示す最小値
  2. 周波数60GHzにおける誘電率が2.0~5.0である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 周波数60GHzにおける誘電率が2.0~5.0であり、
    周波数60GHzにおける誘電損失が0.0001~0.05であり、
    65℃、90%R.H.における飽和吸湿率が2.8%以下であり、
    下記式により計算される誘電損失の変化量が0.003以下である、粘着剤組成物。
    誘電損失の変化量=Dfmax-Dfmin
    fmax:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数60GHzにおける誘電損失が示す最大値
    fmin:65℃、90%R.H.において飽和状態まで加湿した後、23℃±1℃、52±1%R.H.において誘電損失の経時変化を追跡する間に、周波数60GHzにおける誘電損失が示す最小値
  4. 厚み25μmの粘着剤層について測定した全光透過率が85%以上である、請求項1~3の何れか1項に記載の粘着剤組成物。
  5. 厚み25μmの粘着剤層について測定したヘイズが1.0%以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の粘着剤組成物。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載の粘着剤組成物により形成される粘着剤層。
  7. 請求項6に記載の粘着剤層を有する粘着シート。
  8. 請求項7に記載の粘着シート及び基板を少なくとも有するミリ波アンテナであって、前記基板は少なくとも片面にアンテナ素子を備え、前記基板の前記アンテナ素子を有する側の面上に前記粘着シートが貼着されているミリ波アンテナ。
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