JP2023047296A - 粘着剤組成物、粘着剤層、粘着シート、光学部材、及びタッチパネル - Google Patents

粘着剤組成物、粘着剤層、粘着シート、光学部材、及びタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】低圧条件下でも表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を形成できる粘着剤組成物、粘着剤層、粘着シート、光学部材、タッチパネルを提供すること。【解決手段】本発明の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)と、水添ポリオレフィン系樹脂(B)とを含有する。アクリル系ポリマー(A)は、構成するモノマー成分として炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む。水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、水添ポリオレフィンを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物、粘着剤層、粘着シート、光学部材、及びタッチパネルに関する。
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、このような表示装置と組み合わせて用いられるタッチパネルなどの入力装置が広く用いられるようになってきている。これらの表示装置や入力装置等においては、光学部材を貼り合わせる用途に、粘着剤層を有する粘着シートが使用されている。例えば、タッチパネルと各種表示部材や光学部材の貼り合わせには、透明な粘着シートが使用されている(例えば、特許文献1~3参照)。
中でも、静電容量方式のタッチパネルの製造等の用途においては、ITO(酸化インジウムスズ)フィルムなどの金属薄膜や金属酸化物薄膜(以下、金属薄膜と金属酸化物薄膜を「金属薄膜」と総称する場合がある)に直接粘着シートを貼り付けて用いる場合がある。
近年、静電容量方式のタッチパネルの製造等の用途においては、金属薄膜として、従来のITOフィルムに代わって、銀や銅などの金属をメッシュ状に加工した金属メッシュ配線を有するフィルム(金属メッシュフィルム)や銀ナノワイヤー層(AgNW層)を有するフィルム(銀ナノワイヤーフィルム)が用いられるものが増えてきている。金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルムを使用した静電容量型タッチパネルは、低抵抗である金属配線の特性を活かし、高感度で、小型から大型サイズのディスプレイまで幅広く対応することが可能な入力デバイスである。
金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルムのような金属配線を有する光学部材を粘着シートを介して貼り合わせると、金属配線周辺の粘着剤に付加される応力歪等に起因して、画像表示パネルの周縁部に表示ムラが発生しやすいという問題がある。従って、金属配線を有する光学部材を貼合する粘着シートの粘着剤層には、表示ムラを防止するために、金属配線との応力を緩和する柔軟性が求められる。
特開2003-238915号公報 特開2003-342542号公報 特開2004-231723号公報
しかしながら、表示ムラを防止するために、柔軟性が高い粘着シートを使用して貼り合わせた光学部材を備える表示装置や入力装置は、例えば、製造工程、旅客航空機の貨物室や高地などにおける低圧条件下で外観性が低下するという問題があった。
従って、本発明の目的は、低圧条件下でも表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を形成できる粘着剤組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、低圧条件下でも表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を提供することである。
また、本発明の他の目的は、低圧条件下でも表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を有する粘着シートを提供することである。
また、本発明の他の目的は、当該粘着シートを備え、低圧条件下でも、外観性が低下しにくい高性能の光学部材、タッチパネルを提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、粘着剤層を構成するベースポリマーとして、特定のアクリル系ポリマーを用い、特定構成のポリオレフィン系樹脂を配合した粘着剤組成物を使用することにより、低圧条件下でも表示装置や入力装置の外観性が低下しにくく、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルムの貼り合わせに適する粘着剤層が形成できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の側面は、アクリル系ポリマー(A)と、水添ポリオレフィン系樹脂(B)とを含有する粘着剤組成物を提供する。
また、本発明の第2側面は、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又はアクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物の部分重合物と、水添ポリオレフィン系樹脂(B)とを含有する粘着剤組成物を提供する。
なお、本明細書においては、本発明の第1及び第2の側面の粘着剤組成物をまとめて、「本発明の粘着剤組成物」と総称する場合がある。
また、本明細書において「アクリル系ポリマー(A)」というときは、特に断らない限り、「アクリル系ポリマー(A)」及び「アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又はアクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物の部分重合物」を含むものとする。
本発明の粘着剤組成物において、アクリル系ポリマー(A)は、構成するモノマー成分として、炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む。本願明細書において、「炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル」を「(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)」と称する場合がある。本発明の粘着剤組成物において、アクリル系ポリマー(A)が、構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)を含むという構成は、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、水添ポリオレフィンを含有する。本発明の粘着剤組成物は、水添ポリオレフィン系樹脂(B)として、水添ポリオレフィンを含むという構成は、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現できる点で、好適である。
本発明の粘着剤組成物において、前記アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分100重量部に対して、前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)を1重量部以上含むことが好ましい。この構成は、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現できる点で、好適である。
本発明の粘着剤組成物において、前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、さらに、水添ポリオレフィンポリオールを含有することが好ましい。この構成は、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現できる点で、好適である。
本発明の粘着剤組成物において、前記水添ポリオレフィンは、水添ポリブタジエンを含むことが好ましい。この構成は、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現できる点で、好適である。
本発明の粘着剤組成物において、前記水添ポリオレフィンポリオールは、水添ポリブタジエンポリオールを含むことが好ましい。この構成は、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現できる点で、好適である。
本発明の粘着剤組成物において、前記水添ポリオレフィンと前記水添ポリオレフィンポリオールの割合(水添ポリオレフィン/水添ポリオレフィンポリオール)は、5/95~90/10であることが好ましい。この構成は、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現できる点で、好適である。
本発明の粘着剤組成物において、前記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数8以上の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。この構成は、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、前記炭素数8以上の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数8又は9の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。この構成は、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、前記炭素数8以上の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、さらに、炭素数10~24の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。この構成は、低誘電率の粘着剤層を実現し、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、タッチ操作の誤作動を防止することができる点で、好ましい。
本発明の第3の側面は、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層を提供する。本明細書において、本発明の第3の側面の粘着剤層を、「本発明の粘着剤層」と称する場合がある。本発明の粘着剤層は、本発明の粘着剤組成物により形成されるため、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい点で、好適である。また、柔軟性が高く、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点でも、好ましい。
本発明の粘着剤層のゲル分率は50%以上であることが好ましい。この構成は、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい点で、好適である。
本発明の粘着剤層の300%引張残留応力は5N/cm2以下であることが好ましい。この構成は、柔軟性が高く、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、好適である。
本発明の第4の側面は、本発明の粘着剤層を有する粘着シートを提供する。本明細書において、本発明の第4の側面の粘着シートを、「本発明の粘着シート」と称する場合がある。本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層を有するため、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい点で、好適である。また、柔軟性が高く、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点でも、好ましい。
本発明の粘着シートの厚みは、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができ、優れた外観を保持しやすくなるという観点から、12~350μmであることが好ましい。
本発明の第5の側面は、本発明の粘着シート及び基板を少なくとも有する光学部材であって、前記基板は少なくとも片面に金属配線を備え、前記基板の前記金属配線を有する側の面上に前記粘着シートが貼着されている光学部材を提供する。本明細書においては、本発明の第5の側面の光学部材を、「本発明の光学部材」と称する場合がある。
また、本発明の第6の側面は、本発明の粘着シート及び基板を少なくとも有するタッチパネルであって、前記基板は少なくとも片面に金属配線を備え、前記基板の前記金属配線を有する側の面上に前記粘着シートが貼着されているタッチパネルを提供する。本明細書においては、本発明の第6の側面のタッチパネルを、「本発明のタッチパネル」と称する場合がある。
本発明の光学部材、及び本発明のタッチパネルにおいて、前記金属配線は、金属メッシュ配線又は銀ナノワイヤーであることが好ましい。
本発明の光学部材、及び本発明のタッチパネルは、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくく、柔軟性に優れる粘着シートによって金属メッシュ配線又は銀ナノワイヤーなどの金属配線が貼着されているため、表示ムラが生じにくい。
本発明の粘着剤組成物は、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を形成することができる。また、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる。従って、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層を有する粘着シートを用いて、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルムを貼り合わせることにより、低圧条件下においても、外観性が低下しにくく、表示ムラが生じにくい高性能のタッチパネル等の光学部材を効率的に製造することができる。
このため、本発明の粘着剤組成物は、金属メッシュ配線、銀ナノワイヤー層を有する光学部材、特に、金属メッシュフィルム、銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線層が形成された透明導電性フィルム上に貼付する用途等に好ましく用いることができる。
図1は、本発明の光学部材の好ましい態様の具体例を示す模式図である。 図2は、本発明のタッチパネルの好ましい態様の具体例を示す模式図である。
[1.粘着剤組成物及び粘着剤層]
本発明の第1の側面の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)と、水添ポリオレフィン系樹脂(B)とを含有する。
また、本発明の第2の側面の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又はアクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物の部分重合物と、水添ポリオレフィン系樹脂(B)とを含有する。
本発明の粘着剤組成物(本発明の第1及び第2の側面の粘着剤組成物)は、上記以外に、後述の多官能(メタ)アクリレート、シランカップリング剤や、その他の添加剤を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、上記の「モノマー成分の混合物」は、単一モノマー成分で構成される場合と2以上のモノマー成分で構成される場合を含むものとする。また、上記の「モノマー成分の混合物の部分重合物」とは、上記の「モノマー成分の混合物」の構成モノマー成分のうち1又は2以上のモノマー成分が部分的に重合している組成物を意味する。
本発明の粘着剤組成物は、いずれの形態を有していてもよく、例えば、エマルジョン型、熱溶融型(ホットメルト型)、無溶剤型(活性エネルギー線硬化型、例えば、モノマー混合物、又はモノマー混合物とその部分重合物など)等が挙げられる。特に、本発明の粘着剤組成物は、溶剤型ではないことが好ましい。溶剤型の粘着剤組成物により粘着剤層を得ようとする場合、ゆず肌等の外観の不具合が発生しやすいためである。なお、「ゆず肌」とは、柑橘類の一種である「ゆず」の皮のような凹凸が生じる現象をいう。また、本発明の粘着剤組成物は、外観性の優れた粘着剤層を得る点からは、活性エネルギー線硬化型であることが好ましい。本明細書において、粘着剤組成物は、粘着剤層を形成するために用いる組成物を意味し、粘着剤を形成するために用いる組成物の意味を含むものとする。
本発明の粘着剤組成物は、上記の通り、溶剤型ではないことが好ましく、すなわち、有機溶剤を含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。
上記有機溶剤としては、溶媒として用いられる有機化合物である限り特に限定されないが、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。なお、上記有機溶剤は、2種以上の有機溶剤を含む混合溶剤であってもよい。
本発明の粘着剤組成物において、有機溶剤を「実質的に含有しない」とは、有機溶剤が不可避的に混入する場合を除いて、有機溶剤を能動的に配合はしないことをいう。具体的には、粘着剤組成物中の有機溶剤の含有量が粘着剤組成物の全量(全重量、100重量%)に対して1.0重量%以下(好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下)であるものは、実質的に含有しないということができる。
本発明の粘着剤組成物を構成するベースポリマーとして、透明性、耐候性、接着信頼性、及びモノマーの種類が豊富なことから粘着剤層の機能設計が行いやすい等の点より、アクリル系ポリマーを含む。つまり、本発明の粘着剤組成物は、後述のアクリル系ポリマー(A)をベースポリマーとして含有するアクリル系粘着剤組成物である。なお、アクリル系ポリマー(A)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着剤組成物における上記ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマー(A)の含有量は、特に限定されないが、74重量%以上(例えば74~99.9重量%)であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上(例えば80~99.9重量%)である。
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分として、カルボキシル基含有モノマーを含有しない又は実質的に含有しないことがより好ましい。このため、上記粘着剤層は、金属メッシュ配線、銀ナノワイヤーなどの金属配線に対する腐食防止効果を得ることができる。カルボキシル基含有モノマーの含有量は、上記粘着剤組成物全量に対して、0.05重量%以下(例えば、0~0.05重量%)が好ましく、より好ましくは0.01重量%以下(例えば、0~0.01重量%)、さらに好ましくは0.001重量%以下(例えば、0~0.001重量%)であるものは、実質的に含有しないということができる。
本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層(本発明の粘着剤層)は、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい。低圧条件下で表示装置や入力装置の外観性が低下する原因は、粘着剤層に微細な気泡が発生するためと考えられる。低圧条件下における外観性の低下は、以下の低圧試験で評価することができる。
<低圧試験>
サンプルとして、ガラス板/偏光板/粘着剤層/ガラス板の積層構造の5cm×10cmの表示パネルを準備する。ガラス板の厚みは700μm、偏光板の厚みは115(偏光板95+偏光板糊20)μm、粘着剤層の厚みは150μmである。該表示パネルを23800Pa、65℃の加温減圧条件で、8時間静置し、常圧室温下30分後に、目視で空隙部の直径の大きさと数を計測する。
本発明の粘着剤層は、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点で、上記低圧試験における空隙部の最大直径は、600μm以下が好ましく、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは250μm以下であり、200μm以下、150μm以下、又は100μm以下であってもよい。
本発明の粘着剤層は、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点で、上記低圧試験における直径300μm以上の空隙部の個数は10個未満が好ましく、より好ましくは8個以下、さらに好ましくは6個以下であり、5個以下、又は4個以下であってもよい。上記低圧試験における直径300μm以上の空隙部の個数の下限は、特に限定はなく、0個が最も好ましい。
本発明の粘着剤層は、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点で、上記低圧試験における直径50以上300μm未満の空隙部の個数は50個以下が好ましく、より好ましくは40個以下、さらに好ましくは30個以下であり、20個以下、又は10個以下であってもよい。上記低圧試験における直径50以上300μm未満の空隙部の個数の下限は、特に限定はなく、0個が最も好ましいが、1個程度であってもよい。
本発明の粘着剤層は、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点で、上記低圧試験における直径50μm以下の空隙部の個数は、特に限定されない。すなわち、直径50μm以下の空隙部は、外観性に及ぼす影響は小さいが、100個以下であってもよい。
本発明の粘着剤層の上記低圧試験における空隙部の直径やその個数は、具体的には、後掲の実施例における低圧試験により測定されるものであり、アクリル系ポリマー(A)のモノマー組成、架橋剤の種類や配合量、水添ポリオレフィン系樹脂(B)の種類、アクリル系ポリマー(A)と水添ポリオレフィン系樹脂(B)の配合比などを調整することにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層のゲル分率(溶剤不溶成分の割合)は、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点で、50%以上が好ましく、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上であり、65%以上であってもよい。また、本発明の粘着剤層のゲル分率は、粘着剤層に柔軟性を付与し、表示ムラを防止できる観点から、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下であってもよい。
上記ゲル分率(溶剤不溶成分の割合)は、具体的には、例えば、以下の「ゲル分率の測定方法」により算出される値である。
粘着シートから粘着剤層:約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工株式会社製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。なお、該浸漬前重量は、粘着剤層(上記で採取した粘着剤層)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
次に、粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置する。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。
そして、下記の式からゲル分率を算出する。
ゲル分率[%(重量%)]=(X-Y)/(Z-Y)×100
上記ゲル分率は、例えば、アクリル系ポリマー(A)のモノマー組成、重量平均分子量、架橋剤の種類や使用量(添加量)等により制御することができる。また、本発明の粘着剤組成物を紫外線照射により硬化する際に、水添ポリオレフィン系樹脂(B)の炭素-炭素二重結合が低減されているため、重合阻害を生じにくくなり、ゲル分率の低下を防止することができる。
本発明の粘着剤層の300%引張残留応力は、特に限定されないが、柔軟性に優れ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、5N/cm2以下が好ましく、より好ましくは4.5N/cm2以下、さらに好ましくは4N/cm2以下であり、3.5N/cm2以下、又は3N/cm2以下であってもよい。また、本発明の粘着剤層の300%引張残留応力は、特に限定されないが、接着信頼性の観点から、0.5N/cm2以上、又は1N/cm2以上であってもよい。
上記300%引張残留応力は、23℃の環境下、粘着剤層を、長さ方向に、伸び(歪み)300%まで引っ張り、その伸びを保持し、引っ張り終了より300秒経過後における粘着剤層に加えられた引張応力(N)を求め、該引張応力を粘着剤層の初期の断面積(引っ張る前の断面積)で除した値(N/cm2)である。なお、粘着剤層の初期の伸びは100%である。
本発明の粘着剤層の300%引張残留応力は、具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定されるものであり、アクリル系ポリマー(A)のモノマー組成、架橋剤の種類や配合量、水添ポリオレフィン系樹脂(B)の種類、アクリル系ポリマー(A)と水添ポリオレフィン系樹脂(B)の配合比などを調整することにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層は、特に限定されないが、当該粘着剤層を有するタッチパネル等の光学部材の誤作動を防止する観点から、誘電率が低く制御されていることが好ましい。本発明の粘着剤層は、周波数1MHzにおける誘電率は3.5以下であるのが好ましく、より好ましくは3.4以下、さらに好ましくは3.3以下である。周波数1MHzにおける誘電率の下限値は、特に限定されないが、2.3以上であるのが好ましく、より好ましくは2.4以上、さらに好ましくは2.5以上である。
また、周波数100kHzにおける誘電率は4.0以下であるのが好ましく、より好ましくは3.9以下、さらに好ましくは3.8以下である。周波数100kHzにおける誘電率の下限値は、特に限定されないが、2.3以上であるのが好ましく、より好ましくは2.4以上、さらに好ましくは2.5以上である。
本発明の粘着剤層の誘電率は、アクリル系ポリマー(A)のモノマー組成、水添ポリオレフィン系樹脂(B)の種類、アクリル系ポリマー(A)と水添ポリオレフィン系樹脂(B)の配合比などを調整することにより、調整することができる。
本発明の粘着剤層は、本発明のアクリル系ポリマー(A)と水添ポリオレフィン系樹脂(B)との相溶性に優れているため、優れた透明性を有している。このため、上記粘着剤層を介しての視認性や外観性に優れる。このように、本発明の粘着剤層は、光学用に好適に用いられる。
本発明の粘着剤層のヘイズは、(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.0%以下が好ましく、より好ましくは0.8%以下である。ヘイズが1.0%以下であると、優れた透明性や優れた外観が得られ、好ましい。ヘイズの下限値は、特に限定されないが、理論的には0%であり、実用上、0.01%超であってもよい。なお、上記ヘイズは、例えば、粘着剤層(厚み:100μm)とし、これを常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、スライドガラス(例えば、全光線透過率92%、ヘイズ0.2%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150N」)またはその相当品を用いて測定することができる。
本発明の粘着剤層の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、90%以上が好ましく、より好ましくは91%以上、さらに好ましくは92%以上である。全光線透過率が90%以上であると、優れた透明性や優れた外観が得られ、好ましい。全光線透過率の上限値は、特に限定されないが、理論的には、100%から空気界面で生じる反射による光損失(フレネルロス)を除いた値となり、実用上、95%以下であってもよい。なお、上記全光線透過率は、例えば、粘着剤層(厚み:100μm)とし、これを常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを有する場合にはこれを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率92%、ヘイズ0.2%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150N」)またはその相当品を用いて測定することができる。
本発明の粘着剤層の作製方法としては、特に限定されない。例えば、本発明の粘着剤組成物(前駆体組成物)を作製し、必要に応じて、活性エネルギー線の照射、加熱乾燥等を行うことにより作製できる。具体的には、モノマー成分の混合物又はその部分重合物に、水添ポリオレフィン系樹脂(B)、その他の添加剤等を必要に応じて添加して、混合することを経て、作製されることなどが挙げられる。
[1-1.アクリル系ポリマー(A)]
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)を主成分とするアクリル系粘着剤組成物である。アクリル系ポリマー(A)の具体的な含有量は、特に限定されないが、本発明の粘着剤組成物全量(全重量、100重量%)に対して74重量%以上(例えば74~99.9重量%)であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上(例えば80~99.9重量%)である。
アクリル系ポリマー(A)を主成分として含有する粘着剤層を形成する本発明の粘着剤組成物としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー(A)を必須成分とする組成物;アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物(「モノマー混合物」と称する場合がある)又はその部分重合物を必須成分とする組成物等が挙げられる。特に限定されないが、前者としては、例えば、いわゆる水分散型組成物(エマルジョン型組成物)等が挙げられ、後者としては、例えば、いわゆる活性エネルギー線硬化型組成物等が挙げられる。なお、上記粘着剤組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含んでいてもよい。
上記「モノマー混合物」とは、単一のモノマー成分で構成される場合、2以上のモノマー成分で構成される場合を含むものとする。また、上記「部分重合物」とは、上記モノマー混合物の構成成分のうち1又は2以上の成分が部分的に重合している組成物を意味する。なかでも、上記粘着剤組成物は、モノマー混合物又はその部分重合物を必須成分とする組成物が好ましい。
アクリル系ポリマー(A)は、必須のモノマー単位(単量体単位、モノマー構成単位)としてアクリル系モノマー(アクリル系単量体)を含むポリマー(重合体)である。いいかえれば、アクリル系ポリマー(A)は、構成単位としてアクリル系モノマーに由来する構成単位を含むポリマーである。つまり、アクリル系ポリマー(A)は、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分として構成(形成)された重合体である。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のうち、何れか一方又は両方を表し、他も同様である。アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、特に限定されないが、100000~5000000であることが好ましい。
アクリル系ポリマー(A)は、必須のモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)(炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)を含むポリマーである。すなわち、本発明のアクリル系ポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)のような中鎖~長鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有するモノマー成分を重合することにより得られるものである。アクリル系ポリマー(A)は、前記中鎖~長鎖のアルキル基の作用により、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)としては、例えば、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等のアルキル基の炭素数が8以上(好ましくは炭素数8~24)の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)としては、アクリル酸アルキルエステルの方が、メタクリル酸アルキルエステルよりも、アクリル系ポリマー(A)の重合時間を短縮して生産性を向上できる点で好ましい。特に、本発明のアクリル系ポリマー(A)を放射線重合により硬化させる場合には、アクリル酸アルキルエステルが好適である。
なかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)としては、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、炭素数8以上の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましく、炭素数8又は9の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましく、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルであり、特に好ましくはアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)である。上記分岐鎖状のアルキル基の側鎖アルキル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)が好ましい。「側鎖アルキル基」は、炭素数が最も長い炭素鎖の側鎖に置換するアルキル基である。
アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量)における上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)の含有量(割合)は、特に限定されないが、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、30~95重量部が好ましく、より好ましくは35~90重量部、さらに好ましくは40~85重量部である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)が、炭素数8又は9の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、本明細書において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A1)と称する場合がある)を含む場合、さらに、炭素数10~24の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、本明細書において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)と称する場合がある)を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A1)に加えて、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)を含む場合、長鎖の分岐鎖状のアルキル基の作用により、本発明の粘着剤層の誘電率を低減させることができ、金属メッシュ配線、銀ナノワイヤーなどの金属配線層が形成された透明導電性フィルム上に貼付する場合においても、粘着剤層が低誘電率のため、誤作動を防止することができる点で、好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)のホモポリマーのTgは、-80~0℃であることが好ましく、さらには-70~-10℃であることが好ましい。ホモポリマーのTgが、-80℃以下では、粘着剤層の常温での弾性率が下がりすぎる場合があり好ましくなく、0℃を超える場合には接着力が低下する場合があり好ましくない。ホモポリマーのTgは、示差走査熱量計(DSC)により、測定した値である。また、炭素数10~24の分岐鎖状のアルキル基は、適度の低誘電率と弾性率を満足できる点から、炭素数10~24であるが、(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法によって、適宜に好ましいアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを選択することができる。例えば、溶液重合等により(メタ)アクリル系ポリマーを製造する場合には、前記アルキル基は、さらには炭素数10~18が好ましく、さらには炭素数10~16が好ましく、さらには炭素数10~14であるのが好ましい。放射線重合等により、アクリル系ポリマー(A)を製造する場合には、前記アルキル基は、さらには炭素数12~18が好ましく、さらには炭素数14~18であるのが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)としては、例えば、イソデシルアクリレート(炭素数10,ホモポリマーのTg=-60℃,以下、単にTgと略す)、イソデシルメタクリレート(炭素数10,Tg=-41℃)、イソミスチリルアクリレート(炭素数14,Tg=-56℃)、イソステアリルアクリレート(炭素数18,Tg=-18℃)、2-プロピルヘプチルアクリレート、イソウンデシルアクリレート、イソドデシルアクリレート、イソトリデシルアクリレート、イソペンタデシルアクリレート、イソヘキサデシルアクリレート、イソヘプタデシルアクリレート、および前記例示のメタクリレート系モノマーを例示できる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記炭素数10~24の分岐鎖状のアルキル基のなかでも、t-ブチル基などの分岐鎖状のアルキル基をエステル基の末端に有するものは、特に、モル体積が増加し、双極子モーメントが下がって、双方のバランスを有する粘着剤層が得られると考えられる点で好ましい。また、本発明のアクリル系ポリマー(A)と水添ポリオレフィン系樹脂(B)と相溶性に優れる点においても好ましい。エステル基の末端に有する分岐鎖状のアルキル基としては、t-ブチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基などの炭素数4~6の分岐鎖状のアルキル基が好ましく、特にt-ブチル基が好ましい。t-ブチル基をエステル基の末端に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)の好ましい例としては、下記式で表わされる、イソステアリルアクリレートが挙げられる。
Figure 2023047296000001
アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量)における上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A1)の含有量(割合)は、特に限定されないが、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、30重量部以上が好ましく、より好ましくは45重量部以上、さらに好ましくは50重量部以上であり、55重量部以上であってもよい。また、上記含有量は、粘着剤層を低誘電率化して誤作動を防止する観点から、70重量部以下が好ましく、より好ましくは65重量部以下、さらに好ましくは60重量部以下である。
アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量100重量部)における上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)の含有量(割合)は、特に限定されないが、粘着剤層を低誘電率化して誤作動を防止する観点から、10重量部以上が好ましく、より好ましくは15重量部以上、さらに好ましくは20重量部以上である。また、上記含有量は、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、50重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましく、さらに好ましくは35重量部以下、特に好ましくは30重量部以下である。
アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量)における上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A1)の含有量に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)の含有量の割合((メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)の含有量/(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A1)の含有量)は、特に限定されないが、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、1.1以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、さらに好ましくは0.55以下、特に好ましくは0.5以下であり、0.45以下であってもよい。また。上記割合は、粘着剤層を低誘電率化して誤作動を防止する観点から、0.2以上が好ましく、より好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.3以上であり、0.35以上であってもよい。
本発明のアクリル系ポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)」と称する場合がある)をモノマー成分として含んでいてもよい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)としては、炭素数が1~7の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル((メタ)アクリル酸n-ブチル)、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量)における上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)の含有量(割合)は、特に限定されないが、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、10重量部以下が好ましく、より好ましくは5重量部以下である。
アクリル系ポリマー(A)は、モノマー単位として上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)の他にも、共重合が可能なモノマー(共重合性モノマー)を含んでいてもよい。つまり、アクリル系ポリマー(A)は、構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含んでいてもよい。なお、共重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
上記共重合性モノマーとしては、水酸基含有モノマーが好ましく挙げられる。アクリル系ポリマー(A)がモノマー単位として水酸基含有モノマーを含んでいると、構成するモノマー成分を重合させる際に重合させやすくなり、また、良好な凝集力を得やすくなる。このため、強接着性を得やすくなり、また、ゲル分率を大きくして、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現でき、また、優れた耐発泡剥がれ性を得やすくなる。さらに、高湿環境下で生じることのある粘着シートの白化を抑制しやすくなる。
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対する上記水酸基含有モノマーの含有量(割合)は、特に限定されない。水酸基含有モノマーの量が一定以上であると、凝集力の点で、接着性、耐発泡剥がれ性等の接着信頼性を得やすくなる。上記水酸基含有モノマーの含有量の下限は、0.1重量部以上であることが好ましく、より好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは3重量部以上である。また、上記水酸基含有モノマーの含有量の上限は、水添ポリオレフィン系樹脂(B)との相溶性が得られやすくなる点より、25重量部以下であること好ましく、20重量部以下であることがより好ましく、15重量部以下であることがさらに好ましい。
さらに、上記共重合性モノマーとしては、窒素原子含有モノマーが好ましく挙げられる。アクリル系ポリマー(A)がモノマー単位として窒素原子含有モノマーを含んでいると、適度な凝集力が得やすくなる。このため、ガラス板に対する180°(度)引き剥がし接着力及びアクリル板に対する180°引き剥がし接着力を大きくして、強接着性を得やすくなり、また、ゲル分率を大きくして、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現でき、また、優れた耐発泡剥がれ性を得やすくなる。さらに、粘着剤層で適度な柔軟性を得やすくなり、300%引張残留応力を特定の範囲内に調整し、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる。
上記アクリル系ポリマー(A)が、ポリマーを構成するモノマー成分として上記窒素原子含有モノマーを含有する場合、上記アクリル系ポリマー(A)を構成する全モノマー成分(100重量部)中の、上記窒素原子含有モノマーの割合は、特に限定されないが、1重量部以上が好ましく、より好ましくは3重量部以上であり、さらに好ましくは5重量部以上である。上記割合が1重量部以上であると、良好な凝集力を得やすくなり、高温での接着信頼性を得やすくなるという観点から、好ましい。さらに、高湿環境下での白濁化の抑制と耐久性がより向上し、金属メッシュ配線や銀ナノワイヤー層に対するより高い接着信頼性を得ることができ、好ましい。また、上記窒素原子含有モノマーの割合の上限は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得て、表示ムラを防止する点、透明性に優れる粘着剤層を得る点より、30重量部以下が好ましく、より好ましくは25重量部以下であり、さらに好ましくは20重量部以下である。
アクリル系ポリマー(A)に含まれる水酸基含有モノマー及び窒素原子含有モノマーの割合(水酸基含有モノマー/窒素原子含有モノマー)は、特に限定されず、例えば95/5~5/95、好ましくは90/10~10/90、より好ましくは70/30~30/70、さらに好ましくは60/40~40/60、特に好ましくは50/50~35/65の範囲から適宜選択することができる。
さらに、上記共重合性モノマーとしては、脂環構造含有モノマーが好ましく挙げられる。アクリル系ポリマー(A)がモノマー単位として窒素原子含有モノマーを含んでいると、適度な凝集力が得やすくなる。このため、ガラス板に対する180°(度)引き剥がし接着力及びアクリル板に対する180°引き剥がし接着力を大きくして、強接着性を得やすくなり、また、ゲル分率を大きくして、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現でき、また、優れた耐発泡剥がれ性を得やすくなる。さらに、粘着剤層で適度な柔軟性を得やすくなり、300%引張残留応力を特定の範囲内に調整し、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる。
上記アクリル系ポリマー(A)が、ポリマーを構成するモノマー成分として上記脂環構造含有モノマーを含有する場合、上記アクリル系ポリマー(A)を構成する全モノマー成分(100重量部)中の、上記脂環構造含有モノマーの割合は、特に限定されないが、耐久性向上、金属メッシュ配線、銀ナノワイヤー層に対するより高い接着信頼性を得る点より、3重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましい。また、上記脂環構造含有モノマーの割合の上限は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得て、表示ムラを防止する点より、50重量部以下が好ましく、より好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは30重量部以下である。
上記アクリル系ポリマー(A)は、上記モノマー単位(モノマー成分)を公知乃至慣用の重合方法により重合することにより、得ることができる。上記アクリル系ポリマー(A)の重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)等が挙げられる。なかでも、粘着剤層の透明性、耐水性、コスト等の点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましく、より好ましくは活性エネルギー線重合方法である。
上記活性エネルギー線重合(光重合)に際して照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線や、紫外線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法等は特に限定されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
上記アクリル系ポリマー(A)の重合に際しては、各種の一般的な溶剤が用いられてもよい。このような溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等の有機溶剤が挙げられる。なお、溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
また、上記アクリル系ポリマー(A)の重合に際しては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)等の重合開始剤が用いられてもよい。なお、重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。なお、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。上記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。上記α-ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。上記光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等が挙げられる。上記ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン等が挙げられる。上記ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジル等が挙げられる。上記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。上記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。上記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。
上記光重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量)100重量部に対して、0.001~1重量部が好ましく、より好ましくは0.01~0.50重量部である。
また、上記熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルマレエート等)、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。なかでも、特開2002-69411号公報に開示されたアゾ系重合開始剤が好ましい。上記アゾ系重合開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と称する場合がある)、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(以下、「AMBN」と称する場合がある)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリアン酸等が挙げられる。
上記熱重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、上記アゾ系重合開始剤の場合、アクリル系ポリマー(A)の全モノマー単位(アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量)100重量部に対して、0.05~0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.1~0.3重量部である。
[1-2.カルボキシル基含有モノマー等]
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分として、カルボキシル基含有モノマーを実質的に含有しないことが好ましい。なお、「実質的に含有しない」とは、不可避的に混入する場合を除いて能動的に配合はしないことをいう。また、カルボキシル基含有モノマーとは、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有するモノマーを意味する。より優れた腐食防止効果が得られるという観点から、具体的には、カルボキシル基含有モノマーの含有量が、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、0.05重量部以下(例えば、0~0.05重量部)が好ましく、より好ましくは0.01重量部以下(例えば、0~0.01重量部)、さらに好ましくは0.001重量部以下(例えば、0~0.001重量部)であるものは、実質的に含有しないということができる。なお、上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる、また、上記カルボキシル基含有モノマーには、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマーも含まれるものとする。
さらに、より優れた腐食防止効果が得られるという観点から、本発明の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分として、カルボキシル基含有モノマーを実質的に含有しないのみならず、カルボキシル基以外の酸性基(スルホ基、リン酸基等)を有するモノマーについても、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分として、実質的に含有しないことが好ましい。すなわち、アクリル系ポリマー(A)は、好ましくは、構成するモノマー成分として、カルボキシル基含有モノマーとその他の酸性基を有するモノマーとを何れも実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分としてのカルボキシル基含有モノマー及びその他の酸性基を有するモノマーの総量が、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、0.05重量部以下(例えば、0~0.05重量部)が好ましく、より好ましくは0.01重量部以下(例えば、0~0.01重量部)、さらに好ましくは0.001重量部以下(例えば、0~0.001重量部)であるものは、実質的に含有しないということができる。
また、本発明の粘着剤組成物は、同様の観点から、アクリル系ポリマー(A)以外のポリマーを構成するモノマー成分としても、酸性基含有モノマーを含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。例えば、カルボキシル基含有モノマーを実質的に含有しないことが好ましい。なお、「実質的に含有しない」の意味、好ましい程度、及びカルボキシル基以外の酸性基を有するモノマー等については、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分である場合と同様であるものとする。
[1-3.塩基性基含有モノマー]
なお、本発明の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分として、塩基性基含有モノマーを含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。また、アクリル系ポリマー(A)以外のポリマーを構成するモノマー成分としても、塩基性基含有モノマーを実質的に含有しないことが好ましく、各種ポリマーを構成するモノマー成分でない場合であっても、上記粘着剤層中に塩基性基含有モノマーを実質的に含有しないことが好ましい点は、カルボキシル基含有モノマーの場合と同様である。また、「実質的に含有しない」の意味、好ましい程度等についても、同様であるものとする。
[1-4.水酸基含有モノマー]
水酸基含有モノマーとは、分子内に水酸基を少なくとも1つ有するモノマーを意味する。また、分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、且つ、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有するモノマーはカルボキシル基含有モノマーであり、水酸基含有モノマーではないものとする。上記水酸基含有モノマーとしては、特に限定されないが、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;ビニルアルコール、アリルアルコール等が挙げられる。なかでも、上記水酸基含有モノマーとしては、良好な凝集力を得やすくなり、高温での接着信頼性を得やすくなるという観点から、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、より好ましくはアクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル(HPA)、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)である。なお、水酸基含有モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
[1-5.窒素原子含有モノマー]
窒素原子含有モノマーとは、分子内(1分子内)に窒素原子を少なくとも1つ有するモノマーを意味する。ただし、上記水酸基含有モノマーには、上記窒素原子含有モノマーは含まれないものとする。すなわち、本明細書において、分子内に水酸基及び窒素原子を有するモノマーは、窒素原子含有モノマーに含まれるものとする。また、分子内に窒素原子を少なくとも1つ有し、且つ、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有するモノマーはカルボキシル基含有モノマーであり、窒素原子含有モノマーではないものとする。
上記窒素原子含有モノマーとしては、耐発泡剥がれ性を向上させる観点から、N-ビニル環状アミド、(メタ)アクリルアミド類等が好ましい。なお、窒素原子含有モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
上記N-ビニル環状アミドとしては、良好な凝集力を得やすくなり、高温での接着信頼性を得やすくなるという観点から、下記式(1)で表されるN-ビニル環状アミドが好ましい。
Figure 2023047296000002
(式(1)中、R1は2価の有機基を示す)
上記式(1)におけるR1は2価の有機基であり、好ましくは2価の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基であり、より好ましくは2価の飽和炭化水素基(例えば、炭素数3~5のアルキレン基等)である。
上記式(1)で表されるN-ビニル環状アミドとしては、さらに耐発泡剥がれ性を向上させる観点から、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン等が好ましく、より好ましくはN-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-カプロラクタムであり、さらに好ましくはN-ビニル-2-ピロリドンである。
上記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。上記N-アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド等が挙げられる。さらに、上記N-アルキル(メタ)アクリルアミドには、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、上記N-ビニル環状アミド、上記(メタ)アクリルアミド類以外の窒素原子含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有モノマー;(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルピラジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニルピラゾール、ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルオキサゾール、ビニルイソオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルイソチアゾール、ビニルピリダジン、(メタ)アクリロイルピロリドン、(メタ)アクリロイルピロリジン、(メタ)アクリロイルピペリジン、N-メチルビニルピロリドン等の複素環含有モノマー;N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルヘキシルイタコンイミド、N-ラウリルイタコンイミド、N-シクロヘキシルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー等のイミド基含有モノマー;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー等が挙げられる。
[1-6.脂環構造含有モノマー]
脂環構造含有モノマーとは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ脂環構造を有するモノマーを意味する。例えば、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、上記脂環構造含有モノマーに含まれる。ただし、分子内に脂環構造を少なくとも1つ有し、且つ、分子内にカルボキシル基を少なくとも1つ有するモノマーはカルボキシル基含有モノマーであり、脂環構造含有モノマーではないものとする。なお、脂環構造含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記脂環構造含有モノマーにおける脂環構造は、環状の炭化水素構造であり、炭素数5以上であることが好ましく、炭素数6~24がより好ましく、炭素数6~15がさらに好ましく、炭素数6~10が特に好ましい。
上記脂環構造含有モノマーとしては、例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、下記式(2)で表されるHPMPA、下記式(3)で表されるTMA-2、下記式(4)で表されるHCPAなどの(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。なお、下記式(4)において、線でつないだシクロヘキシル環と括弧内の構造式との結合場所は特に限定されない。これらの中でも、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 2023047296000003
Figure 2023047296000004
Figure 2023047296000005
[1-7.その他の共重合性モノマー]
アクリル系ポリマー(A)における共重合性モノマーとしては、上記の窒素原子含有モノマー、水酸基含有モノマー、脂環構造含有モノマーの他に、例えば、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチル等];エポキシ基含有モノマー[例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等];スルホン酸基含有モノマー[例えば、ビニルスルホン酸ナトリウム等];リン酸基含有モノマー;芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等];ビニルエステル類[例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等];芳香族ビニル化合物[例えば、スチレン、ビニルトルエン等];オレフィン類又はジエン類[例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等];ビニルエーテル類[例えば、ビニルアルキルエーテル等];塩化ビニル等が挙げられる。
[1-8.水添ポリオレフィン系樹脂(B)]
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)を主成分とし、水添ポリオレフィン系樹脂(B)が配合されたアクリル系粘着剤組成物である。本発明の粘着剤組成物が、アクリル系ポリマー(A)に加えて、水添ポリオレフィン系樹脂(B)を含むことにより、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点で、好ましい。また、水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、誘電率が低い材料であり、本発明のアクリル系ポリマー(A)に配合することにより、誘電率を上昇させることなく、アクリル系ポリマー(A)の低分子量化を要することなく、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、好ましい。また、水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、アクリル系ポリマー(A)との相溶性にも優れるため、本発明の粘着剤組成物の透明性をより高度に維持できる点で好ましい。水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、25℃で液状の流動性を示すものであることが好ましい。水添ポリオレフィン系樹脂(B)が25℃で液状の流動性を示すとは25℃で測定したB型粘度計による粘度が10,000mPa・s以下であることを言う。
水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、ポリオレフィン系樹脂に含まれる炭素-炭素二重結合を水素添加反応により還元して得られるものである。水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、分子内の炭素-炭素二重結合が低減されているため、例えば、本発明の粘着剤組成物を紫外線照射により硬化する際に重合阻害を生じにくく、重合率の低下、低分子量化を生じにくいため、本発明の粘着剤組成物の高温での接着信頼性を高度に維持することができる。
水添ポリオレフィン系樹脂(B)の水素添加率は、重合阻害を生じにくくし、高温での接着信頼性の観点から、90%以上が好ましく、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上である。水素添加率の上限値は、特に限定されないが、理論的には100%であり、実用上、99.9%以下であっても、99.8%以下であってもよい。なお、水添ポリオレフィン系樹脂(B)の水素添加率は、1H-NMR測定により、水添ポリオレフィン系樹脂(B)中の残存した二重結合量を定量すること等によって求めることができる。
水添ポリオレフィン系樹脂(B)のヨウ素価(Ig/100g)は、重合阻害を生じにくくし、高温での接着信頼性の観点から、30以下が好ましく、より好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下である。ヨウ素価の下限値は、特に限定されないが、0.1以上であっても、0.2以上であってもよい。なお、ヨウ素価は、JIS K 0070-1992に準拠して測定される値である。
水添ポリオレフィン系樹脂(B)の数平均分子量(Mn)は、粘着剤層に適度な応力緩和性、流動性を付与し、且つアクリル系ポリマー(A)との相溶性を向上させる点で、1000~5000が好ましい。当該数平均分子量(Mn)は、粘着剤組成物に適度な応力緩和性、流動性を付与できるという点で、1000以上が好ましく、より好ましくは1500以上、さらに好ましくは1800以上である。当該数平均分子量(Mn)は、アクリル系ポリマー(A)との相溶性を向上させ、本発明の粘着剤組成物の透明性をより高度に維持することができる点で5000以下が好ましく、より好ましくは4800以下、さらに好ましくは4600以下である。
水添ポリオレフィン系樹脂(B)の多分散度(Mw/Mn)は、粘着剤層に適度な応力緩和性、流動性を付与し、アクリル系ポリマー(A)との相溶性を向上させ、高度な透明性を維持し、ヘイズを抑制できる点で2.0以下が好ましく、1.8以下がより好ましい。多分散度の下限値は、特に限定されないが、実用上1.0であっても、1.1以上であってもよい。
水添ポリオレフィン系樹脂(B)の数平均分子量(Mn)及び多分散度(Mw/Mn)は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求める値である。
前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、水添ポリオレフィンを含む。本発明の粘着剤組成物は、水添ポリオレフィン系樹脂(B)として、水添ポリオレフィンを含むことにより、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現できる点で、好適である。
上記水添ポリオレフィンは、オレフィンに由来する構成単位を有するポリマー(ポリオレフィン)の水素添加物である。水添ポリオレフィンには、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、1-ヘキセン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物;スチレン等の芳香族ビニル化合物等の単独重合体及び共重合体の水素添加物が含まれる。水添ポリオレフィンとしては、ジエン化合物の単独重合体又は共重合体の水素添加物が好ましく、例えば、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等が挙げられる。水添ポリオレフィンは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現できる点で、水添ポリオレフィンに加えて、さらに、水添ポリオレフィンポリオールを含むことが好ましい。
上記水添ポリオレフィンポリオールは、上記水添ポリオレフィンの末端が水酸基で変性された化合物である。水添ポリオレフィンポリオールとしては、ジエン化合物の単独重合体又は共重合体の水素添加物の水酸基変性物が好ましく、例えば、水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。水添ポリオレフィンポリオールは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記水添ポリオレフィン、水添ポリオレフィンポリオールとしては、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点、粘着剤層に適度な応力緩和性、流動性を付与し、且つアクリル系ポリマー(A)との相溶性を向上させる点で、それぞれ、水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオールが好ましい。
水添ポリブタジエンとしては、下記式(5)で表されるものが好ましく、水添ポリブタジエンポリオールとしては、下記式(6)で表されるものが好ましい。
Figure 2023047296000006
上記式中、mは、水添ポリブタジエンの重合度を示す。
水添ポリオレフィン、水添ポリオレフィンポリオールとしては、市販品を使用することができる。水添ポリオレフィンの市販品としては、商品名「BI-2000」、「BI-3000」(以上、日本曹達(株)製)等が挙げられる。水添ポリオレフィンポリオールの市販品としては、商品名「GI-1000」、「GI-2000」、「GI-3000」(以上、日本曹達(株)製)、商品名「EPOL」(出光興産(株)製)等が挙げられる。
上記粘着剤組成物における水添ポリオレフィン系樹脂(B)の含有量としては、特に限定されないが、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点で、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、より好ましくは3重量部以上、さらに好ましくは5重量部以上であり、8重量部以上であってもよい。一方、ヘイズの上昇を抑制し、より高い透明性を確保する観点、高温での接着力、接着信頼性を高度に維持することができる観点から、水添ポリオレフィン系樹脂(B)の含有量は、35重量部以下が好ましく、より好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは25重量部以下である。
上記粘着剤組成物における水添ポリオレフィンの含有量としては、特に限定されないが、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点で、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、0.5重量部以上が好ましく、より好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは1.5重量部以上、特に好ましくは2重量部以上である。一方、ヘイズの上昇を抑制し、より高い透明性を確保する観点、高温での接着力、接着信頼性を高度に維持することができる観点から、水添ポリオレフィンの含有量は、20重量部以下が好ましく、より好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは12重量部以下であり、10重量部以下、又は5重量部以下であってもよい。
上記粘着剤組成物における水添ポリオレフィンポリオールの含有量としては、特に限定されないが、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点で、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、0.5重量部以上が好ましく、より好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは3重量部以上であり、5重量部以上、又は10重量部以上であってもよい。一方、ヘイズの上昇を抑制し、より高い透明性を確保する観点、高温での接着力、接着信頼性を高度に維持することができる観点から、水添ポリオレフィンポリオールの含有量は、30重量部以下が好ましく、より好ましくは25重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下、特に好ましくは15重量部以下である。
上記粘着剤組成物における水添ポリオレフィンの含有量と水添ポリオレフィンポリオールの含有量の割合(水添ポリオレフィン/水添ポリオレフィンポリオール)としては、特に限定されないが、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくいという観点で、5/95以上が好ましく、より好ましくは12/88以上であり、15/85以上、又は18/88以上であってもよい。また、ヘイズの上昇を抑制し、より高い透明性を確保する観点、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくく、且つ、透明性を確保するという観点で、上記割合は、90/10以下が好ましく、より好ましくは80/20以下であり、さらに好ましくは70/30以下であり、55/45以下、45/55以下、又は30/70以下であってもよい。
[1-9.多官能(メタ)アクリレート]
本発明の粘着剤組成物は、さらに、多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。多官能(メタ)アクリレートは、架橋成分として作用し、粘着剤組成物が適度な凝集力を有し、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくくなる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。なお、多官能(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられていてもよい。
多官能(メタ)アクリレートの含有量(割合)は、特に限定されないが、粘着剤層が適度な凝集力を有し、低圧条件下においても、表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい粘着剤層を実現できる点で、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、0.001重量部以上が好ましく、より好ましくは0.002重量部以上、さらに好ましくは0.005重量部以上であり、0.01重量部以上であってもよい。また、多官能(メタ)アクリレートの含有量(割合)は、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、0.5重量部以下が好ましく、より好ましくは0.35重量部以下、さらに好ましくは0.2重量部以下であり、0.1重量部以下であってもよい。
[1-10.シランカップリング剤]
本発明の粘着剤組成物は、さらに、シランカップリング剤を含有することが好ましい。粘着剤組成物に、シランカップリング剤が含まれていると、ガラスに対する優れた接着性(特に、高温高湿でのガラスに対する優れた接着信頼性)が得やすくなる点で好ましい。
上記シランカップリング剤としては、特に限定されないが、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。さらに、上記シランカップリング剤としては、例えば、商品名「KBM-403」(信越化学工業(株)製)等の市販品も挙げられる。なお、シランカップリング剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、ガラスに対する接着信頼性向上の点から、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、0.01~1重量部が好ましく、より好ましくは0.03~0.5重量部である。
[1-11.架橋剤]
本発明の粘着剤組成物は、上記の通り、溶剤型ではないことが好ましく、すなわち、架橋剤を含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。
上記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。特に、本発明の粘着剤組成物は、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤及び/又はエポキシ系架橋剤を含有しない又は実質的に含有しないことが好ましく、イソシアネート系架橋剤含有しない又は実質的に含有しないことが好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。また、上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物[三井化学(株)製、商品名「タケネートD-110N」]等の市販品も挙げられる。
上記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N′,N′-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。また、上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、三菱ガス化学(株)製、商品名「テトラッドC」等の市販品も挙げられる。
本発明の粘着剤組成物において、架橋剤を「実質的に含有しない」とは、架橋剤が不可避的に混入する場合を除いて、架橋剤を能動的に配合はしないことをいう。具体的には、粘着剤組成物中の架橋剤の含有量が粘着剤組成物の全量(全重量、100重量%)に対して1.0重量%以下(好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下)であるものは、実質的に含有しないということができる。また、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、0.05重量部以下(例えば、0~0.05重量部)が好ましく、より好ましくは0.01重量部以下(例えば、0~0.01重量部)、さらに好ましくは0.001重量部以下(例えば、0~0.001重量部)であるものも、実質的に含有しないということができる。
[1-12.添加剤]
本発明の粘着剤組成物には、必要に応じて、架橋促進剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール等)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料等)、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤、防錆剤、酸化防止剤等の公知の添加剤が、本発明の特性を損なわない範囲で含まれていてもよい。本発明の粘着剤層のヘイズの上昇を抑制する観点から、本発明の粘着剤組成物は、防錆剤、酸化防止剤を実施的に含まないことが好ましい。なお、このような添加剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
本発明の粘着剤層のヘイズの上昇を抑制する観点から、本発明の粘着剤組成物は、防錆剤、酸化防止剤を実施的に含まないことが好ましい。防錆剤、酸化防止剤を「実質的に含有しない」とは、防錆剤、酸化防止剤が不可避的に混入する場合を除いて、防錆剤、酸化防止剤を能動的に配合はしないことをいう。具体的には、粘着剤組成物中の防錆剤、及び/又は酸化防止剤の含有量が粘着剤組成物の全量(全重量、100重量%)に対して1.0重量%以下(好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下)であるものは、実質的に含有しないということができる。また、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、例えば0.5重量部以下(例えば、0~0.5重量部)、0.05重量部以下(例えば、0~0.05重量部)が好ましく、より好ましくは0.01重量部以下(例えば、0~0.01重量部)、さらに好ましくは0.001重量部以下(例えば、0~0.001重量部)であるものも、実質的に含有しないということができる。
[1-13.粘着剤組成物の調製]
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)、水添ポリオレフィン系樹脂(B)、必要に応じて、多官能(メタ)アクリレート、シランカップリング剤、その他の添加剤を混合し、均一に攪拌することにより、調製することができる。その際、均一に調製する観点から、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分を希釈剤として配合してもよい。例えば、水添ポリオレフィン系樹脂(B)をモノマー成分で希釈して添加してもよい。アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分を希釈剤として使用する場合、粘着剤層の上記特性を維持するため、希釈剤として使用したモノマー成分を除いたモノマー混合物でアクリル系ポリマー(A)を調製することが好ましい。希釈剤として使用するモノマー成分としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A1)(炭素数8又は9の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)が好ましい。希釈剤として使用するモノマー成分の使用量は、特に限定はなく、粘着剤組成物が均一に混合できるように適宜設定すればよい。
[2.粘着シート]
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)を有していれば良く、その他の点では特に限定されない。
本発明の粘着シートは、両面がともに粘着剤層表面となっている両面粘着シートであってもよいし、片面のみが粘着剤層表面となっている片面粘着シートであってもよい。なかでも、2つの部材同士を貼り合わせる観点からは、両面粘着シートであることが好ましい。なお、本明細書において「粘着シート」という場合には、テープ状のもの、すなわち、「粘着テープ」も含まれるものとする。また、本明細書においては、粘着剤層表面を「粘着面」と称する場合がある。
本発明の粘着シートは、使用時までは粘着面にはく離ライナーが設けられていてもよい。
本発明の粘着シートは、基材(基材層)を有しない、いわゆる「基材レスタイプ」の粘着シート(以下、「基材レス粘着シート」と称する場合がある)であってもよいし、基材を有するタイプの粘着シート(以下、「基材付き粘着シート」と称する場合がある)であってもよい。上記基材レス粘着シートとしては、例えば、上記粘着剤層のみからなる両面粘着シートや、上記粘着剤層と上記粘着剤層以外の粘着剤層(「他の粘着剤層」と称する場合がある)とからなる両面粘着シート等が挙げられる。一方、基材付き粘着シートとしては、基材の少なくとも片面側に上記粘着剤層を有する粘着シート等が挙げられる。なかでも、基材レス粘着シート(基材レス両面粘着シート)が好ましく、より好ましくは上記粘着剤層のみからなる基材レス両面粘着シートである。なお、上記「基材(基材層)」には、粘着シートの使用(貼付)時に剥離されるはく離ライナーは含まない。
[2-1.粘着シートの各種物性]
本発明の粘着シートのガラス板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力(特に、上記粘着剤層(本発明の粘着剤層)により提供される粘着面のガラス板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力)は、特に限定されないが、接着力が高ければ、金属メッシュ配線、銀ナノワイヤー等の金属表面への十分な密着性が得られ腐食防止効果も向上するという観点から、10N/20mm以上であることが好ましく、より好ましくは12N/20mm以上、さらに好ましくは14N/20mm以上、さらにより好ましくは16N/20mm以上である。本発明の粘着シートの、ガラス板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力が一定の値以上であれば、ガラスへの接着性、段差における浮きの抑止性に一層優れる。なお、本発明の粘着シートのガラス板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力の上限値は、特に限定されないが、例えば、60N/20mm以下が好ましく、より好ましくは40N/20mm以下である。
本発明の粘着シートのガラス板に対する65℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力(特に、上記粘着剤層(本発明の粘着剤層)により提供される粘着面のガラス板に対する65℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力)は、特に限定されないが、高温での接着信頼性が向上するという観点から、6N/20mm以上であることが好ましく、より好ましくは6.5N/20mm以上、さらに好ましくは7N/20mm以上、さらにより好ましくは7.5N/20mm以上である。本発明の粘着シートの、ガラス板に対する65℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力が一定の値以上であれば、ガラスへの高温における接着性、段差における浮きの抑止性に一層優れる。なお、本発明の粘着シートのガラス板に対する65℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力の上限値は、特に限定されないが、例えば、60N/20mm以下が好ましく、より好ましくは40N/20mm以下である。
本発明の粘着シートのガラス板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力に対するガラス板に対する65℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力の割合(ガラス板に対する65℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力/ガラス板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力×100)は、特に限定されないが、高温での接着力、接着信頼性が向上するという観点から、30以上が好ましく、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上、さらにより好ましくは45以上である。高温においては粘着剤層の弾性率が下がるので、一般に上記割合は小さくなるが、本発明の粘着シートの上記割合が一定の値以上であれば、ガラスへの高温における接着力、接着信頼性、段差における浮きの抑止性に一層優れる。上記割合の上限値は、特に限定されないが、実用上、100以下であってもよく、90以下であってもよい。
ガラス板に対する25℃及び65℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力は、下記の180°引き剥がし接着力の測定方法により求められる。上記ガラス板としては、特に限定されないが、例えば、商品名「ソーダライムガラス ♯0050」(松浪硝子工業株式会社製)が挙げられる。また、無アルカリガラスや化学強化ガラス等も挙げられる。
本発明の粘着シートのアクリル板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力(特に、上記粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)により提供される粘着面のアクリル板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力)は、特に限定されないが、接着力が高ければ、金属表面への十分な密着が得られ腐食防止効果も向上するという観点から、10N/20mm以上であることが好ましく、より好ましくは12N/20mm以上、さらに好ましくは14N/20mm以上である。本発明の粘着シートは、アクリル板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力が10N/20mmであると、アクリル板への良好な接着性や良好な段差における浮きの抑止性が得やすくなり、好ましい。なお、本発明の粘着シートのアクリル板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力の上限値は、特に限定されないが、例えば、40N/20mmであり、より好ましくは60N/20mmである。アクリル板に対する25℃における引張速度300mm/分での180°引き剥がし接着力は、下記の180°引き剥がし接着力の測定方法より求められる。
上記アクリル板としては、特に限定されないが、例えば、PMMA板(商品名「アクリライト」、三菱レイヨン株式会社製)等が挙げられる。
本発明の粘着シートの上記接着力、接着力の割合は、アクリル系ポリマー(A)のモノマー組成、水添ポリオレフィン系樹脂(B)の種類、アクリル系ポリマー(A)と水添ポリオレフィン系樹脂(B)の配合比などを調整することにより、調整することができる。
(A-1.180°引き剥がし接着力の測定方法)
粘着シートの粘着面を被着体に貼り合わせ、2kgローラー、1往復の圧着条件で圧着し、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間エージングする。エージング後、JIS Z 0237に準拠して、25℃又は65℃、50%RHの雰囲気下、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、被着体から粘着シートを引きはがし、180°引き剥がし接着力(N/20mm)を測定する。
(B.厚み)
本発明の粘着シートの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、12~350μmが好ましく、より好ましくは12~300μmである。厚みが一定以上であると、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができ、好ましい。また、厚みが一定以下であると、製造時やロール保管時に優れた外観を保持しやすくなり、切断加工時に糊汚れが生じにくい点で好ましい。なお、本発明の粘着シートの厚みには、はく離ライナーの厚みは含めないものとする。
(C.ヘイズ)
本発明の粘着シートのヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.0%以下が好ましく、より好ましくは0.8%以下である。ヘイズが1.0%以下であると、優れた透明性や優れた外観が得られ、好ましい。ヘイズの下限値は、特に限定されないが、理論的には0%であり、実用上、0.01%超であってもよい。なお、上記ヘイズは、例えば、粘着シートを常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを有する場合にはこれを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率92%、ヘイズ0.2%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150N」)またはその相当品を用いて測定することができる。
(D.全光線透過率)
本発明の粘着シートの可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、90%以上が好ましく、より好ましくは91%以上、さらに好ましくは92%以上である。全光線透過率が90%以上であると、優れた透明性や優れた外観が得られ、好ましい。全光線透過率の上限値は、特に限定されないが、理論的には、100%から空気界面で生じる反射による光損失(フレネルロス)を除いた値となり、実用上、95%以下であってもよい。なお、上記全光線透過率は、例えば、粘着シートを常態(23℃、50%RH)に少なくとも24時間静置した後、はく離ライナーを有する場合にはこれを剥離し、スライドガラス(例えば、全光線透過率92%、ヘイズ0.2%のもの)に貼り合わせたものを試料とし、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150N」)またはその相当品を用いて測定することができる。
[2-2.粘着シートの製造方法]
本発明の粘着シートは、特に限定されないが、公知乃至慣用の製造方法に従って製造されることが好ましい。例えば、本発明の粘着シートが基材レス粘着シートである場合には、はく離ライナー上に上記の方法により上記粘着剤層を形成することにより得られる。また、本発明の粘着シートが基材付き粘着シートである場合には、上記粘着剤層を基材の表面に直接形成することにより得てもよいし(直写法)、いったんはく離ライナー上に上記粘着剤層を形成した後、基材に転写する(貼り合わせる)ことにより、基材上に上記粘着剤層を設けることにより得てもよい(転写法)。
[2-3.粘着シートの粘着剤層]
(25℃における貯蔵弾性率)
本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)の25℃における貯蔵弾性率は、特に限定されないが、好ましくは0.01MPa以上であり、より好ましくは0.05MPa以上、さらに好ましくは0.1MPa以上である。上記貯蔵弾性率が0.01MPa以上であると、良好な接着信頼性が得やすくなり、好ましい。また、柔軟性の高い粘着剤層を実現することができ、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、上記粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率は、好ましくは0.5MPa以下、より好ましくは0.4MPa以下である。粘着剤層の貯蔵弾性率は、動的粘弾性により測定されるものである。
本発明の粘着剤層の貯蔵弾性率は、アクリル系ポリマー(A)のモノマー組成、水添ポリオレフィン系樹脂(B)の種類、アクリル系ポリマー(A)と水添ポリオレフィン系樹脂(B)の配合比などを調整することにより、調整することができる。
(厚み)
上記粘着剤層(特に、本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)の厚みは、特に限定されないが、12~350μmが好ましく、より好ましくは12~300μmである。厚みが一定以上であると、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる点で、好ましい。また、厚みが一定以下であると、取扱い性や製造性に特に優れ、好ましい。
(製造方法)
上記粘着剤層の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記粘着剤組成物を基材又は剥離ライナー上に塗布(塗工)し、必要に応じて、乾燥、硬化、又は乾燥及び硬化させることが挙げられる。
なお、上記粘着剤組成物の塗布(塗工)には、公知のコーティング法が用いられてもよい。例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター等のコーターが用いられてもよい。
[2-4.粘着シートの他の層]
本発明の粘着シートは、上記粘着剤層の他に、他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、他の粘着剤層(上記粘着剤層以外の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層以外の粘着剤層))、中間層、下塗り層等が挙げられる。なお、本発明の粘着シートは、他の層を2層以上有していてもよい。
[2-5.粘着シートの基材]
本発明の粘着シートが基材付き粘着シートである場合の基材としては、特に限定されないが、例えば、プラスチックフィルム、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板等の各種光学フィルムが挙げられる。上記プラスチックフィルム等の素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、商品名「アートン(環状オレフィン系ポリマー、JSR株式会社製)」、商品名「ゼオノア(環状オレフィン系ポリマー、日本ゼオン株式会社製)」等の環状オレフィン系ポリマー等のプラスチック材料が挙げられる。なお、これらのプラスチック材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。また、上記の「基材」とは、粘着シートを被着体に貼付する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分である。粘着シートの使用時(貼付時)に剥離されるはく離ライナーは「基材」には含まない。
上記基材は、透明であることが好ましい。上記基材の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361-1に準じる)は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。また、上記基材のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.0%以下が好ましく、より好ましくは0.8%以下である。このような透明な基材としては、例えば、PETフィルムや、商品名「アートン」、商品名「ゼオノア」等の無配向フィルム等が挙げられる。
上記基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、12~500μmが好ましい。なお、上記基材は単層及び複層のいずれの形態を有していてもよい。また、上記基材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理等の公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
[2-6.粘着シートのはく離ライナー]
本発明の粘着シートは、使用時までは粘着面にはく離ライナーが設けられていてもよい。なお、本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合、各粘着面は、2枚のはく離ライナーによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているはく離ライナー1枚により、ロール状に巻回される形態で保護されていてもよい。はく離ライナーは粘着剤層の保護材として用いられ、被着体に貼付する際に剥がされる。また、本発明の粘着シートが基材レス粘着シートの場合、はく離ライナーは粘着剤層の支持体としての役割も担う。なお、はく離ライナーは必ずしも設けられなくてもよい。
上記はく離ライナーとしては、特に限定されないが、例えば、はく離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層(剥離処理層)を有するはく離ライナー、フッ素系ポリマーからなる低接着性のはく離ライナー、無極性ポリマーからなる低接着性のはく離ライナーなどが挙げられる。上記フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂などが挙げられる。中でも、はく離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有するはく離ライナーを使用することが好ましい。
上記はく離ライナー基材としては、特に限定されないが、プラスチックフィルム等が挙げられる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα-オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などから構成されるプラスチックフィルムが挙げられる。中でも、加工性、入手性、作業性、防塵性、コスト等の観点から、ポリエステル系樹脂から形成されるプラスチックフィルムが好ましく、さらに好ましくはPETフィルムである。
上記剥離層を構成する剥離処理剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、硫化モリブデンなどの剥離処理剤が挙げられる。中でも、剥離コントロール、経時安定性の観点から、シリコーン系剥離処理剤が好ましい。なお、剥離処理剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記剥離層は単層であってもよいし、本発明の特性を損なわない範囲においては、2層以上が積層された積層構造であってもよい。
中でも、上記はく離ライナーの好ましい具体的構成の一例としては、PETフィルムをはく離ライナー基材として用い、該はく離ライナー基材の少なくとも一方の表面に、シリコーン系剥離処理剤による剥離層が設けられた構成が挙げられる。なお、上記はく離ライナーの両表面のうち、粘着剤層と接する側とは反対側の剥離層が設けられていない表面のことを、はく離ライナーの「背面」と称する場合がある。
上記はく離ライナーは、打ち抜き加工性・ハンドリング性の確保や、屈曲性を保持しつつ厚手化する観点から、背面にキャリア材が積層されていてもよい。このようなキャリア材は、特に限定されないが、例えば、PETフィルム基材を粘着剤層を介して2層積層した構成、COPフィルム基材とPETフィルム基材を粘着剤層を介して2層積層した構成などが挙げられる。なお、上記はく離ライナーは、キャリア材を有していなくてもよい。
また、上記はく離ライナーは、搬送する際やはく離ライナーを剥離する際に生じる帯電を抑制し、異物の付着・混入を低減する観点から、剥離層及び/又は背面に導電処理層を有していてもよい。このような導電処理層は、特に限定されないが、例えば、導電性ポリマーとしてポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の複合物を主成分とするコーティング処理層などが挙げられる。なお、上記はく離ライナーは、導電処理層を有していなくてもよい。
上記はく離ライナーは、公知慣用の方法により製造することができる。上記キャリア材、導電処理層は、公知の方法により、はく離ライナーの剥離層及び/又は背面に積層させることにより調製することができる。また、本発明の上記はく離ライナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
上記はく離ライナーの厚さは、特に限定されないが、例えば、コスト面や貼り合わせ作業における粘着シートのハンドリング性等の観点より、12~200μmが好ましく、より好ましくは25~150μm、さらに好ましくは38~125μmである。
また、本発明の粘着シートがダブルはく離ライナータイプの両面粘着シートである場合、一方の粘着面にははく離ライナーが設けられ、他方の粘着面にもはく離ライナーが設けられる。このような場合、両方のはく離ライナーは、それぞれ一方のみの表面が剥離層となっているはく離ライナー(特にプラスチック基材の一方の表面がシリコーン系剥離剤からなる剥離層を有するはく離ライナー)であることが好ましい。また、はく離ライナーは、剥離層が粘着面と接触するようにして設けられる。
さらに、本発明の粘着シートがダブルはく離ライナータイプの両面粘着シートである場合、2枚のはく離ライナー剥離力に差が設けられていることが好ましい。例えば、本発明の粘着シートがダブルはく離ライナータイプの両面粘着シートである場合、一方のはく離ライナーが先に使用(貼付)される粘着面(「1面側」ともいう)に対して用いられ、他方のはく離ライナーが後に使用(貼付)される粘着面(「2面側」ともいう)に対して用いられることが好ましい。従って、一方のはく離ライナーはより小さな力(剥離力)で剥離が可能な「軽剥離側」のはく離ライナーとして使用され、他方のはく離ライナーは粘着剤層から剥離するのにより大きな力(剥離力)を要する「重剥離側」のはく離ライナーとして使用されることが好ましい。なお、本明細書において、上記の軽剥離側のはく離ライナーを「軽はく離ライナー」と称する場合があり、上記の重剥離面側のはく離ライナーを「重はく離ライナー」と称する場合がある。
なお、本発明の粘着シートがシングルはく離ライナータイプの両面粘着シートである場合、一方の粘着面にはく離ライナーが設けられ、これを巻回することによって粘着体の他方の粘着面も該はく離ライナーによって保護される。本発明の粘着シートがシングルはく離ライナータイプである場合には、はく離ライナーの表面はどちらも剥離層(剥離処理層)となっていることが好ましい。また、上記はく離ライナーの両剥離層のうち、巻回することによって粘着面と接触する側の剥離層のことを、特に「背面剥離層」と称する場合がある。通常、はく離ライナーの背面剥離層側の方が、両面粘着シートの「1面側」に対して用いられる。
本発明の粘着シートは、アクリル系ポリマーの分子量を低下させることなく応力緩和性が付与されているため、はく離ライナー剥離時の粘着剤層の糊面の荒れや変形、スティックスリップの発生を抑制し、粘着シートを安定して使用できるようにする点で好ましい。なお、スティックスリップとは、剥離面で発生する震動現象であり、被着体にダメージを与えて破損したり,被着体に部分的に糊残りを生じたりする。
本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合、はく離ライナー剥離時の粘着剤層の糊面の荒れや変形、スティックスリップの発生を抑制し、粘着シートを安定して使用できるようにする点より、上記はく離ライナーの1面側(軽剥離側)における粘着剤層に対する剥離力(はく離ライナー剥離力)は0.01~0.5N/50mm、好ましくは0.05~0.25N/50mmであり、上記はく離ライナーの2面側(重剥離側)における粘着剤層(例えば、上記アクリル系粘着剤層、上記ゴム系粘着剤層など)に対する剥離力(はく離ライナー剥離力)は0.1~1.00N/50mm、好ましくは0.2~0.85N/50mmであって、常に重剥離面側のはく離ライナー剥離力が軽剥離面側のはく離ライナー剥離力より大きく、且つ1.1~10.0倍程度の剥離差があることが好ましい。
特に、本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合、所謂泣き分かれ現象、はく離ライナー剥離時の粘着剤層の糊面の荒れや変形、スティックスリップの発生を抑制し、粘着シートを安定して使用できるようにする点より、重はく離ライナーの粘着剤層に対する剥離力(はく離ライナー剥離力)と軽はく離ライナーの粘着剤層に対する剥離力(はく離ライナー剥離力)との差が0.01N/50mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.02N/50mm以上、さらに好ましくは0.05N/50mm以上、特に好ましくは0.06N/50mm以上である。
なお、上記はく離ライナー剥離力とは、180°剥離試験によって測定される、粘着剤層に対するはく離ライナーの180°引き剥がし粘着力を意味する。なお、引張速度は300mm/分である。
[2-7.粘着シートの用途等]
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)を有するので、低圧条件下において表示装置や入力装置の外観性が低下しにくい。また、柔軟性に優れ、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、表示装置や入力装置の表示ムラを防止できる。さらに、接着性及び耐発泡剥がれ性、段差追従性に優れる。このため、本発明の粘着シートを有する光学部材は、低圧条件下において外観性が低下しにくく、柔軟性が高く、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができ、また、接着信頼性、特に高温時の接着信頼性に優れる。
このため、本発明の粘着シートは、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせに有用に用いられる。また、本発明の粘着シートは、高温時に界面での発泡の生じやすい被着体に対しても有用に用いられる。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)は、未反応モノマーを含むことがあり、高温時に異物による発泡が生じやすい。また、ポリカーボネート(PC)は、高温時に水と二酸化炭素のアウトガスを生じやすい。本発明の粘着シートは、耐発泡剥がれ性に優れるので、このような樹脂を含むプラスチック被着体に対しても有用に用いられる。
また、本発明の粘着シートは、線膨張係数の小さい被着体に加えて、線膨張係数の大きい被着体に対しても、有用に用いられる。なお、上記線膨張係数の小さい被着体としては、特に限定されないが、例えば、ガラス板(線膨張係数:0.3×10-5~0.8×10-5/℃)、ポリエチレンテレフタレート基材(PETフィルム、線膨張係数:1.5×10-5~2×10-5/℃)等が挙げられる。また、上記線膨張係数の大きい被着体としては、特に限定されないが、例えば、線膨張係数の大きい樹脂基材が挙げられ、より具体的には、ポリカーボネート樹脂基材(PC、線膨張係数:7×10-5~8×10-5/℃)、ポリメタクリル酸メチル樹脂基材(PMMA、線膨張係数:7×10-5~8×10-5/℃)、シクロオレフィンポリマー基材(COP、線膨張係数:6×10-5~7×10-5/℃)、商品名「ゼオノア」(日本ゼオン株式会社製)、商品名「アートン」(JSR株式会社製)等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、線膨張係数の小さい被着体と線膨張係数の大きい被着体との貼り合わせに有用に用いられる。具体的には、本発明の粘着シートは、ガラス被着体(例えば、ガラス板、化学強化ガラス、ガラスレンズ等)と上記の線膨張係数の大きい樹脂基材との貼り合わせに好ましく用いられる。
このように、本発明の粘着シートは、様々な素材の被着体同士の貼り合わせに有用であり、特にガラス被着体とプラスチック被着体との貼り合わせに有用に用いられる。なお、プラスチック被着体は、表面に金属メッシュ配線や銀ナノワイヤー等を有するプラスチックフィルムのような光学フィルムであってもよい。
さらに、本発明の粘着シートは、表面が平滑な被着体に加えて、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムなどの、表面に段差を有する被着体に対しても、有用に用いられる。特に、本発明の粘着シートは、ガラス被着体及び上記の線膨張係数の大きい樹脂基材のうち少なくとも一方が表面に段差を有していても、ガラス被着体と上記の線膨張係数の大きい樹脂基材との貼り合わせに有用に用いられる。
本発明の粘着シートは、携帯電子機器の製造用途に好ましく用いられる。上記携帯電子機器としては、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン、タブレット(タブレット型コンピューター)、モバイルコンピューター(モバイルPC)、携帯情報端末(PDA)、電子手帳、携帯型テレビや携帯型ラジオ等の携帯型放送受信機 、携帯型ゲーム機、ポータブルオーディオプレーヤー、ポータブルDVDプレーヤー、デジタルカメラ等のカメラ、カムコーダ型のビデオカメラ等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、例えば、携帯電子機器を構成する部材やモジュール同士の貼り付けや、携帯電子機器を構成する部材やモジュールの筐体への固定等に好ましく用いられる。より具体的には、カバーガラスやレンズ(特にガラスレンズ)とタッチパネルやタッチセンサー(特に、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルム)との貼り合わせ、偏光板とタッチパネルやタッチセンサーとの貼り合わせ、ディスプレイパネルとタッチパネルやタッチセンサーとの貼り合わせ、カバーガラスやレンズ(特にガラスレンズ)の筐体への固定、ディスプレイパネルの筐体への固定、シート状キーボードやタッチパネル等の入力装置の筐体への固定、情報表示部の保護パネルと筐体との貼り合わせ、筐体同士の貼り合わせ、筐体と装飾用シートとの貼り合わせ、携帯電子機器を構成する各種部材やモジュールの固定や貼り合わせ等が挙げられる。なお、本明細書において、ディスプレイパネルとは、レンズ(特にガラスレンズ)及びタッチパネルにより少なくとも構成される構造物をいう。また、本明細書におけるレンズは、光の屈折作用を示す透明体及び光の屈折作用のない透明体の両方を含む概念である。つまり、本明細書におけるレンズには、屈折作用がない単なる窓パネルも含まれる。
さらに、本発明の粘着シートは、光学用途に好ましく用いられる。すなわち、本発明の粘着シートは、光学用途に用いられる光学用粘着シートであることが好ましい。より具体的には、例えば、光学部材を貼り合わせる用途(光学部材貼り合わせ用)や上記光学部材が用いられた製品(光学製品)の製造用途等に用いられることが好ましい。
[3.光学部材]
本発明の光学部材は、上記粘着シート及び基板を少なくとも有する光学部材であって、上記基板は少なくとも片面に金属配線(例えば金属メッシュ配線、銀ナノワイヤー等のなど)を備え、上記基板の上記金属配線を有する側の面上に本発明の粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)が貼着されていれていれば良く、その他の点では特に限定されない。なお、本発明の粘着シートは、使用時までは粘着面にはく離ライナーが設けられていてもよいが、本発明の光学部材における上記粘着シートは使用時の粘着シートであるため、はく離ライナーは有しない。
さらに優良な腐食防止効果を得るという観点から、上記光学部材は、上記基板の上記金属配線を有する側とは反対側に上記粘着剤層を有することが好ましく、上記基板の上記金属配線を有する側とは反対側の面上に上記粘着剤層が貼着されていることがさらに好ましい。
上記金属配線を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、チタン、ケイ素、ニオブ、インジウム、亜鉛、スズ、金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、ニッケル、鉛、鉄、パラジウム、白金、タングステン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウムなどの金属が挙げられる。さらには、これらの金属を2種以上含有するものや、これらの金属を主成分とする合金も挙げられる。中でも、導電性の点より、金、銀、銅が好ましく、導電性及びコストの点より、銀、銅がより好ましい。つまり、上記金属配線は、銀配線及び/又は銅配線、特に銅メッシュ配線、銀メッシュ配線、銀ナノワイヤーであることが好ましい。また、金属配線上により高度な防錆を目的として、酸化物膜や金属被覆膜が設けられていてもよい。なお、後述のタッチパネルの金属配線を構成する材料も、同様である。
光学部材とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性等)を有する部材をいう。上記光学部材を構成する基板としては、特に限定されないが、例えば、表示装置(画像表示装置)、入力装置等の機器(光学機器)を構成する基板又はこれらの機器に用いられる基板が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、ハードコートフィルム(PETフィルム等のプラスチックフィルムの少なくとも片面にハードコート処理が施されたフィルム)、透明導電フィルム(例えば、表面にITO層を有するプラスチックフィルム(好ましくは、PET-ITO、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等のITOフィルム)等)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板(ガラスセンサー、ガラス製表示パネル(LCD等)、透明電極付きガラス板等のガラス基板等)や、さらにはこれらが積層されている基板(これらを総称して「機能性フィルム」と称する場合がある)等が挙げられる。また、これらのフィルムは、金属ナノワイヤ層や導電性高分子層等を有していても良い。また、これらのフィルムには、金属細線がメッシュ印刷されていても良い。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態を含むものとし、例えば、「偏光フィルム」は、「偏光板」及び「偏光シート」等を含むものとする。また、「フィルム」はフィルムセンサー等を含むものとする。
特に、本発明の粘着シートは、上記金属配線が金属メッシュ配線又は銀ナノワイヤーである透明導電フィルム(金属メッシュフィルム、銀ナノワイヤーフィルム)、特に、金属メッシュフィルムを有する光学部材に好適に使用することができる。金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルムのような金属配線を有する光学部材を粘着シートを介して貼り合わせると、金属配線周辺の粘着剤に付加される応力歪等に起因して、画像表示パネルの周縁部に表示ムラが発生しやすいという問題がある。従って、金属配線を有する光学部材を貼合する粘着シートの粘着剤層には、表示ムラを防止するために、金属配線との応力を緩和する柔軟性が求められる。しかしながら、表示ムラを防止するために、柔軟性が高い粘着シートを使用して貼り合わせた光学部材を備える表示装置や入力装置は、例えば、製造工程、旅客航空機の貨物室や高地などにおける低圧条件下で外観性が低下する問題がある。
本発明の粘着シートにおいて、本発明の粘着剤層は柔軟性が高く、金属メッシュフィルムや銀ナノワイヤーフィルム等の金属配線を有するフィルムの貼り合わせた場合にも、金属配線との応力を充分に緩和して、表示ムラを防止することができる。また、本発明の粘着シートを有する表示装置や入力装置は、低圧条件下においても外観性が低下しにくい。なお、後述のタッチパネルを構成する金属メッシュフィルム、銀ナノワイヤーフィルムについても、同様である。
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等が挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネル等が挙げられる。
上記光学部材を構成する基板としては、特に限定されないが、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、金属薄膜等からなる基板(例えば、シート状やフィルム状、板状の基板等)等が挙げられる。なお、本発明における「光学部材」には、上記の通り、表示装置や入力装置の視認性を保ちながら加飾や保護の役割を担う部材(意匠フィルム、装飾フィルムや表面保護フィルム等)も含むものとする。
本発明の粘着シートが基材付き粘着シートであり、且つ、上記粘着シートが光学的特性を有する部材を構成すれば、上記基材は上記基板と同視でき、上記粘着シートは本発明の光学部材でもあると言える。
本発明の粘着シートが基材付き粘着シートであり、上記基材として上記機能性フィルムを用いた場合には、本発明の粘着シートを、機能性フィルムの少なくとも片面側に上記粘着剤層を有する「粘着型機能性フィルム」として使用することもできる。
次に、図1の模式図を参照して、本発明の光学部材の特に好ましい態様の具体例について説明する。
図1には、粘着シート10及び金属メッシュフィルム11である基板を少なくとも有する光学部材であって、金属メッシュフィルム11は片面に金属メッシュ配線3を備え、粘着シート10が、金属メッシュフィルム11の金属メッシュ配線3を有する側の面上に貼着されている光学部材1が記載されている。
[4.タッチパネル]
本発明のタッチパネルは、上記粘着シート及び基板を少なくとも有するタッチパネルであって、上記基板は片面に金属配線(例えば、金属メッシュ配線、銀ナノワイヤーなど)を備え、上記基板の上記金属配線を有する側の面上に上記粘着剤層が貼着されていれていれば良く、その他の点では特に限定されない。なお、本発明のタッチパネルにおける上記粘着シートは使用時の粘着シートであるため、はく離ライナーは有しない。
上記タッチパネルとしては、本発明の光学部材を、別の光学部材(必ずしも上記粘着シートを有していても良く、有していなくても良いが、有していることが、さらに優良な腐食防止効果を得るという観点から好ましい。)と貼り合わせて構成されている態様が好ましい。また、上記別の光学部材は、単数であっても、複数であっても良い。
上記態様の場合の本発明の光学部材と上記別の光学部材との貼り合わせの態様としては、特に限定されないが、例えば、(1)本発明の粘着シートを介して本発明の光学部材と上記別の光学部材とを貼り合わせる態様、(2)光学部材を含む又は構成する本発明の粘着シートを、上記別の光学部材に貼り合わせる態様、(3)本発明の粘着シートを介して光学部材を光学部材以外の部材に貼り合わせる態様、(4)光学部材を含む又は構成する本発明の粘着シートを、光学部材以外の部材に貼り合わせる態様等が挙げられる。なお、上記(2)の態様においては、本発明の粘着シートは、基材が光学部材(例えば、光学フィルム等)である両面粘着シートであることが好ましい。
次に、図2の模式図を参照して、本発明のタッチパネルの特に好ましい態様の具体例について説明する。
図2(A)には、透明基板12a、粘着シート10a、金属メッシュフィルム11a、粘着シート10b、及び透明基板12bをこの順番で互いに接する状態で有するタッチパネル2Aが記載されている。金属メッシュフィルム11aは、粘着シート10b側の面に金属メッシュ配線3を備えており、粘着シート10bは、金属メッシュフィルム11aの金属メッシュ配線3を有する側の面上に貼着されている。透明基板12a及び透明基板12bはガラスであることが好ましく、金属メッシュフィルム11aの基板はPETであることが好ましい。粘着シート10aは本発明の粘着シートであっても良く、本発明の粘着シートでなくても良いが、本発明の粘着シートであることが好ましい。
図2(B)には、透明基板12a、粘着シート10a、金属メッシュフィルム13a、粘着シート10b、偏光板14、及び透明基板12bをこの順番で互いに接する状態で有するタッチパネル2Bが記載されている。金属メッシュフィルム13aは、粘着シート10b側の面に金属メッシュ配線3を備えており、粘着シート10bは、金属メッシュフィルム13aの金属メッシュ配線3を有する側の面上に貼着されている。透明基板12aはガラスであることが好ましく、透明基板12bはLCD等のガラス製表示パネル等であることが好ましい。粘着シート10aは上記粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)で構成されていても良く、構成されていなくても良いが、上記粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)で構成されていることが好ましい。
図2(C)には、透明基板12a、粘着シート10a、金属メッシュフィルム11b、粘着シート10b、及び透明基板12bをこの順番で互いに接する状態で有するタッチパネル2Cが記載されている。金属メッシュフィルム11bは、両面に金属メッシュ配線3a、3bをそれぞれ備えており、粘着シート10aは、金属メッシュフィルム11bの金属メッシュ配線3aを有する側の面上に貼着されており、粘着シート10bは、金属メッシュフィルム11bの金属メッシュ配線3bを有する側の面上に貼着されている。透明基板12a及び透明基板12bはガラスであることが好ましく、金属メッシュフィルム11bの基板はPETであることが好ましい。粘着シート10aと粘着シート10bの少なくとも一方が本発明の粘着シートであればよいが、粘着シート10aと粘着シート10bの両方が本発明の粘着シートであることが好ましい。
図2(D)には、透明基板12a、粘着シート10a、金属メッシュフィルム13b、粘着シート10b、偏光板14、及び透明基板12bをこの順番で互いに接する状態で有するタッチパネル2Dが記載されている。金属メッシュフィルム13bは、両面に金属メッシュ配線3a、3bをそれぞれ備えており、粘着シート10aは、金属メッシュフィルム13bの金属メッシュ配線3aを有する側の面上に貼着されており、粘着シート10bは、金属メッシュフィルム13bの金属メッシュ配線3bを有する側の面上に貼着されている。透明基板12aはガラスであることが好ましく、透明基板12bはLCD等のガラス製表示パネル等であることが好ましい。粘着シート10aと粘着シート10bの少なくとも一方が上記粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)で構成されていれば良いが、粘着シート10aと粘着シート10bの両方が上記粘着剤層(本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層)で構成されていることが好ましい。
金属メッシュフィルム上の金属メッシュ配線の形成方法は、特に限定されないが、あらかじめ設けておいた金属層をエッチング等により除去する方法や、印刷法などが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、配合部数(重量部)は、全て、記載の各成分の配合部数を示す。
[製造例1:プレポリマー組成物Aの調製]
アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)40.5重量部、アクリル酸イソステアリル(ISTA)40.5重量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)18重量部、及びアクリル酸4-ヒドロキシブチル(4-HBA)1重量部から構成されるモノマー混合物に、光重合開始剤(商品名「Omnirad184」、IGM Resins B.V.製)0.05重量部、及び光重合開始剤(商品名「Omnirad651」、IGM Resins B.V.製)0.05重量部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで紫外線を照射して、上記モノマー成分の一部が重合したプレポリマー組成物Aを得た。
[製造例2:プレポリマー組成物Bの調製]
アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)56重量部、アクリル酸イソステアリル(ISTA)24重量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)14重量部、及びアクリル酸4-ヒドロキシブチル(4-HBA)6重量部から構成されるモノマー混合物に、光重合開始剤(商品名「Omnirad184」、IGM Resins B.V.製)0.035重量部、及び光重合開始剤(商品名「Omnirad651」、IGM Resins B.V.製)0.035重量部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで紫外線を照射して、上記モノマー成分の一部が重合したプレポリマー組成物Bを得た。
[製造例3:プレポリマー組成物Cの調製]
アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)56重量部、アクリル酸イソステアリル(ISTA)24重量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)19重量部、及びアクリル酸4-ヒドロキシブチル(4-HBA)1重量部から構成されるモノマー混合物に、光重合開始剤(商品名「Omnirad184」、IGM Resins B.V.製)0.035重量部、及び光重合開始剤(商品名「Omnirad651」、IGM Resins B.V.製)0.035重量部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで紫外線を照射して、上記モノマー成分の一部が重合したプレポリマー組成物Cを得た。
[実施例1]
製造例1で得られたプレポリマー組成物A100重量部に、水添1,2-ポリブタジエン(商品名「BI-3000」、数平均分子量(Mn):4750(実測値)、重量平均分子量(Mw):6150(実測値)、多分散度(Mw/Mn):1.30(実測値)、水素添加率:97%以上(カタログ値)、ヨウ素価:21以下(カタログ値)、日本曹達(株)社製)3重量部、水添1,2-ポリブタジエングリコール(商品名「GI-2000」、数平均分子量(Mn):3110(実測値)、重量平均分子量(Mw):5090(実測値)、多分散度(Mw/Mn):1.64(実測値)、水素添加率:93%以上(カタログ値)、ヨウ素価:21以下(カタログ値)、日本曹達(株)社製)12重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)0.040重量部、及びシランカップリング剤(商品名「KBM-403」、信越化学工業株式会社製)0.3重量部を添加して、混合し、粘着剤組成物(硬化前組成物)を得た。
上記粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)はく離ライナー(重はく離ライナー、商品名「MRF75」、三菱樹脂株式会社製)上に最終的な厚み(粘着剤層の厚み)が150μmとなるように塗布し、塗布層(粘着剤組成物層)を形成した。次いで、上記塗布層上に、PETはく離ライナー(軽はく離ライナー、商品名「MRE75」、三菱樹脂株式会社製)を設け、塗布層を被覆して酸素を遮断した。そして、MRF75/塗布層(粘着剤組成物層)/MRE75の積層体を得た。
次に、この積層体に対して、積層体の上面(MRF38側)から、ブラックライト(株式会社東芝製)にて、照度5mW/cm2の紫外線を300秒間照射した。さらに90℃の乾燥機で2分間乾燥処理を行い、残存モノマーを揮発させた。そして、粘着剤層のみからなり、粘着剤層の両面がはく離ライナーで保護されている基材レス両面粘着シートを得た。
[実施例2~10、比較例1~3]
表1に示される粘着剤組成物の組成、粘着剤層の厚みとしたこと以外は、実施例1と同様にして、基材レス両面粘着シートを得た。
Figure 2023047296000007
表1に示される成分の詳細は、以下の通りである。
(プレポリマー組成物)
A:製造例1で製造されたプレポリマー組成物A
B:製造例2で製造されたプレポリマー組成物B
C:製造例3で製造されたプレポリマー組成物C
(水添ポリオレフィン)
BI-2000:商品名「BI-2000」、水添1,2-ポリブタジエン、数平均分子量(Mn):2930(実測値)、重量平均分子量(Mw):4050(実測値)、多分散度(Mw/Mn):1.38(実測値)、水素添加率:97%以上(カタログ値)、ヨウ素価:21以下(カタログ値)、日本曹達(株)社製
GI-2000:商品名「GI-2000」、水添1,2-ポリブタジエングリコール、数平均分子量(Mn):3110(実測値)、重量平均分子量(Mw):5090(実測値)、多分散度(Mw/Mn):1.64(実測値)、水素添加率:97%以上(カタログ値)、ヨウ素価:21以下(カタログ値)、日本曹達(株)社製
(多官能アクリレート)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
(連鎖移動剤)
α-チオグリセロール
(シランカップリング剤)
KBM-403:商品名「KBM-403」、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製
上記水添ポリオレフィン、非水添ポリオレフィンの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び多分散度(Mw/Mn)の実測値は、以下の条件のGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン 換算により算出された値から求められたものである。
分析装置:GPC:HLC-8320GPC(東ソー)
測定条件:
カラム:TSKgel SuperHZM-H/HZ4000/HZ3000/HZ2000
カラムサイズ:6.0mmI.D.×150mm
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折計(RI)
カラム温度:40℃
注入量:20μL
分子量はポリスチレン換算で算出した。
[特性評価]
実施例及び比較例の基材レス両面粘着シートについて、下記の測定又は評価を行った。評価結果は表2に示した。
(1)300%引張残留応力
実施例及び比較例の基材レス両面粘着シートを4cm×4cmのサイズにカットし、中央部に気泡を噛みこまないように2回折り畳み、幅1cm、長さ4cm、厚さ600μmのサンプル(粘着剤層)を得た。
23℃の環境下、得られたサンプルを、長さ方向に、チャック間20mm、引張速度200mm/分で、伸び(歪み)300%(60mm)まで引っ張り(引っ張り後のチャック間は80mm)、その伸びを保持し、引っ張り終了より300秒経過後におけるサンプルに加えられた引張応力(N)を求め、該引張応力をサンプルの初期の断面積(引っ張る前の断面積)で除した値(N/cm2)を300%引張残留応力とした。なお、サンプルの初期の伸びは100%である。
(2)ゲル分率
両面粘着シートから粘着剤層:約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工株式会社製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とした。なお、該浸漬前重量は、粘着剤層(上記で採取した粘着剤層)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
次に、粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置した。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とした。
そして、下記の式からゲル分率を算出した」。
ゲル分率[%(重量%)]=(X-Y)/(Z-Y)×100
(3)低圧試験
真空プレスにて100Pa以下、圧力0.2~0.5MPa、5秒プレスして貼り合わせ、その後オートクレーブ(50℃×0.5Mpa×15min)投入により、サンプルとして、ガラス板/偏光板/粘着剤層/ガラス板の積層構造の5cm×10cmの表示パネルを準備した。ガラス板の厚みは700μm、偏光板の厚みは115(偏光板95+偏光板糊20)μm、粘着剤層の厚みは150μmである。該表示パネルを23800Pa、65℃の加温減圧条件の恒温槽で8時間静置した。表示パネルを恒温槽から取り出し、常圧室温下30分間静置した後に、目視で空隙部の直径の大きさと数を計測し、以下の基準で評価した。

◎・・・直径300μm以上の空隙部の個数が0かつ直径50以上300μm未満の空隙部の個数が0
○・・・直径300μm以上の空隙部の個数が0かつ直径50以上300μm未満の空隙部の個数が1以上10未満
△・・・直径300μm以上の空隙部の個数が1以上10未満もしくは直径50以上300μm未満の空隙部の個数が10以上20未満
×・・・直径300μm以上の空隙部の個数が10以上もしくは直径50以上300μm未満の空隙部の個数が20以上
Figure 2023047296000008
本発明のバリエーションを以下に付記する。
〔付記1〕アクリル系ポリマー(A)と、
水添ポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、
前記アクリル系ポリマー(A)は、構成するモノマー成分として炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、
前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、水添ポリオレフィンを含有する、粘着剤組成物。
〔付記2〕アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又はアクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物の部分重合物と、
水添ポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、
前記モノマー成分として炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、
前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、水添ポリオレフィンを含有する、粘着剤組成物。
〔付記3〕前記アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分100重量部に対して、前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)を1重量部以上含む、付記1又は2に記載の粘着剤組成物。
〔付記4〕前記水添ポリオレフィンは、水添ポリブタジエンを含む、付記1~3の何れか1つに記載の粘着剤組成物。
〔付記5〕前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、さらに、水添ポリオレフィンポリオールを含有する、付記1~4の何れか1つに記載の粘着剤組成物。
〔付記6〕前記水添ポリオレフィンポリオールは、水添ポリブタジエンポリオールを含む、付記5に記載の粘着剤組成物。
〔付記7〕前記水添ポリオレフィンと前記水添ポリオレフィンポリオールの割合(水添ポリオレフィン/水添ポリオレフィンポリオール)は、5/95~90/10である、付記5又は6に記載の粘着剤組成物。
〔付記8〕前記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数8以上の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む、付記1~7の何れか1つに記載の粘着剤組成物。
〔付記9〕前記炭素数8以上の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数8又は9の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む、付記8に記載の粘着剤組成物。
〔付記10〕前記炭素数8以上の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、さらに、炭素数10~24の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む、付記9に記載の粘着剤組成物。
〔付記11〕付記1~10の何れか1つに記載の粘着剤組成物により形成される粘着剤層。
〔付記12〕ゲル分率は50%以上である、付記11に記載の粘着剤層。
〔付記13〕300%引張残留応力は5N/cm2以下である、付記11又は12記載の粘着剤層。
〔付記14〕付記11~13の何れか1つに記載の粘着剤層を有する粘着シート。
〔付記15〕厚みは12~350μmである、付記14に記載の粘着シート。
〔付記16〕付記14又は15に記載の粘着シート及び基板を少なくとも有する光学部材であって、前記基板は少なくとも片面に金属配線を備え、前記基板の前記金属配線を有する側の面上に前記粘着シートが貼着されている光学部材。
〔付記17〕前記金属配線は、金属メッシュ配線又は銀ナノワイヤーである、付記16に記載の光学部材。
〔付記18〕付記14又は15に記載の粘着シート及び基板を少なくとも有するタッチパネルであって、前記基板は少なくとも片面に金属配線を備え、前記基板の前記金属配線を有する側の面上に前記粘着シートが貼着されているタッチパネル。
〔付記19〕前記金属配線は、金属メッシュ配線又は銀ナノワイヤーである、付記18に記載のタッチパネル。
1 光学部材
2A~2D タッチパネル
3、3a、3b 金属メッシュ配線
10a、10b 粘着シート
11a、11b 金属メッシュフィルム
12a、12b 透明基板
13a、13b 金属メッシュフィルム
14 偏光板

Claims (20)

  1. アクリル系ポリマー(A)と、
    水添ポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、
    前記アクリル系ポリマー(A)は、構成するモノマー成分として炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、
    前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、水添ポリオレフィンを含有する、粘着剤組成物。
  2. アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物又はアクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分の混合物の部分重合物と、
    水添ポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、
    前記モノマー成分として炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、
    前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、水添ポリオレフィンを含有する、粘着剤組成物。
  3. 前記アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分100重量部に対して、前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)を1重量部以上含む、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記水添ポリオレフィンは、水添ポリブタジエンを含む、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  5. 前記水添ポリオレフィン系樹脂(B)は、さらに、水添ポリオレフィンポリオールを含有する、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  6. 前記水添ポリオレフィンポリオールは、水添ポリブタジエンポリオールを含む、請求項5に記載の粘着剤組成物。
  7. 前記水添ポリオレフィンと前記水添ポリオレフィンポリオールの割合(水添ポリオレフィン/水添ポリオレフィンポリオール)は、5/95~90/10である、請求項5に記載の粘着剤組成物。
  8. 前記水添ポリオレフィンと前記水添ポリオレフィンポリオールの割合(水添ポリオレフィン/水添ポリオレフィンポリオール)は、5/95~90/10である、請求項6に記載の粘着剤組成物。
  9. 前記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数8以上の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  10. 前記炭素数8以上の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数8又は9の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む、請求項9に記載の粘着剤組成物。
  11. 前記炭素数8以上の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、さらに、炭素数10~24の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む、請求項10に記載の粘着剤組成物。
  12. 請求項1又は2に記載の粘着剤組成物により形成される粘着剤層。
  13. ゲル分率は50%以上である、請求項12に記載の粘着剤層。
  14. 300%引張残留応力は5N/cm2以下である、請求項12記載の粘着剤層。
  15. 請求項12に記載の粘着剤層を有する粘着シート。
  16. 厚みは12~350μmである、請求項15に記載の粘着シート。
  17. 請求項15に記載の粘着シート及び基板を少なくとも有する光学部材であって、前記基板は少なくとも片面に金属配線を備え、前記基板の前記金属配線を有する側の面上に前記粘着シートが貼着されている光学部材。
  18. 前記金属配線は、金属メッシュ配線又は銀ナノワイヤーである、請求項17に記載の光学部材。
  19. 請求項15に記載の粘着シート及び基板を少なくとも有するタッチパネルであって、前記基板は少なくとも片面に金属配線を備え、前記基板の前記金属配線を有する側の面上に前記粘着シートが貼着されているタッチパネル。
  20. 前記金属配線は、金属メッシュ配線又は銀ナノワイヤーである、請求項19に記載のタッチパネル。
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