JP2023016029A - ポリアミド樹脂組成物及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリアミド樹脂中にセルロース繊維が凝集することなく均一に分散され、機械的特性や耐熱性や耐摩耗性が向上したポリアミド樹脂組成物及びその製造法を提供する。【解決手段】ポリアミド樹脂100質量部に対して、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維0.01~50質量部を含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物、および、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うことにより得られたものである前記ポリアミド樹脂組成物、および、前記に記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造法。【選択図】なし
Description
本発明は、機械的特性、耐熱性、耐摩耗性が向上したポリアミド樹脂組成物及びその製造法に関するものである。
ポリアミド樹脂をガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレイなどの無機充填剤で強化した樹脂組成物は広く知られている。しかしこれらの強化材は、多量に配合しないと機械的特性や耐熱性や耐摩耗性が改善しないという問題点や、比重が高いために、得られる樹脂組成物の質量が大きくなるという問題点があった。
また、強化材としてガラス繊維、炭素繊維等を用いた場合は、得られた樹脂組成物からなる成形体は、そりが大きくなるという問題点があった。また、強化材としてタルク、クレイ等を用いた場合は、得られた樹脂組成物を廃棄する際、これら強化材は、焼却残渣として残存するため、土中に埋設処理され、半永久的に地中に残留するという問題点があった。
近年、樹脂材料の強化材としてセルロースが用いられている。セルロースには、樹木から得られるものや、稲、綿、ケナフ、麻などの非木材資源から得られるものや、微生物が生産するバクテリアセルロースなどがあり、セルロースは地球上に非常に多量に存在する。セルロースは機械的特性に優れており、これを樹脂中に含有させることにより、樹脂組成物の特性を向上させる効果が期待される。
熱可塑性樹脂中にセルロースを含有させる方法としては、樹脂とセルロースとを溶融混合する方法が一般的である。しかしながら、この方法ではセルロースが凝集した状態のまま樹脂中に混合され、セルロースが均一に分散された樹脂組成物を得ることはできない。このため、樹脂組成物の特性を十分に向上させることができない。
例えば、特許文献1には、熱可塑性プラスチック内にセルロースパルプ繊維を含む複合材が開示されており、熱可塑性プラスチックとしてポリアミド樹脂も記載されている。この発明においては、セルロースパルプ繊維をポリマー材料と混合しやすくするために、回転ナイフカッター等を用いて粒状とすることも記載されている。しかしながら、特許文献1には、粒状とすることにより繊維長が短くなると、セルロースパルプ繊維を添加することによる強化力は低下すると記載され、セルロースパルプ繊維の平均長は0.1~6mmが好ましいことが記載されている。
さらに、引用文献1記載の発明では、セルロースパルプ繊維を熱可塑性プラスチック中に多量に混合しており、実施例においてはセルロースパルプ繊維を30質量%もの多量に添加している。
そして、引用文献1記載の発明では、セルロースパルプ繊維をポリマー材料と混合する際には、セルロースパルプ繊維を乾燥させた後、溶融混合を行っている。
以上のことから、引用文献1記載の発明では、セルロースパルプ繊維の凝集の問題は解決されておらず、また、セルロースパルプ繊維の添加量が多量のため、射出成形時において230~240℃の温度となると、セルロースの分解による着色の問題も生じていた。
さらに、引用文献1記載の発明では、セルロースパルプ繊維を熱可塑性プラスチック中に多量に混合しており、実施例においてはセルロースパルプ繊維を30質量%もの多量に添加している。
そして、引用文献1記載の発明では、セルロースパルプ繊維をポリマー材料と混合する際には、セルロースパルプ繊維を乾燥させた後、溶融混合を行っている。
以上のことから、引用文献1記載の発明では、セルロースパルプ繊維の凝集の問題は解決されておらず、また、セルロースパルプ繊維の添加量が多量のため、射出成形時において230~240℃の温度となると、セルロースの分解による着色の問題も生じていた。
また、特許文献2には、プラスチック100重量部にセルロース繊維0.01~20重量部を含有する熱可塑性プラスチックが記載されている。そしてセルロース繊維は、ビスコース繊維であり、50μm~5mmの繊維長さ又は1~500μmの繊維直径を有するものが好ましいことが記載されている。特許文献2記載の発明においては、特許文献1記載の発明よりもセルロース繊維の含有量が少量ではあるが、セルロース繊維の繊維長や繊維直径は大きいものであり、また、セルロース繊維を含有させる方法として、溶融混合する方法が示されているのみである。
したがって、特許文献2記載の発明においても、上記したようなセルロース繊維の凝集の問題は解決されていなかった。
したがって、特許文献2記載の発明においても、上記したようなセルロース繊維の凝集の問題は解決されていなかった。
本発明は、上記の問題点を解決するものであり、ポリアミド樹脂中にセルロース繊維が凝集することなく均一に分散され、機械的特性や耐熱性や耐摩耗性が向上したポリアミド樹脂組成物及びその製造法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂100質量部に対して、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維0.01~50質量部を含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うことにより得られたものである、(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド樹脂がナイロン11又はナイロン12である、(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)ポリアミド樹脂がナイロン6又はナイロン66である、(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造法。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂100質量部に対して、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維0.01~50質量部を含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うことにより得られたものである、(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド樹脂がナイロン11又はナイロン12である、(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)ポリアミド樹脂がナイロン6又はナイロン66である、(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造法。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を含有し、樹脂組成物中に該セルロース繊維が凝集することなく均一に分散されているため、強度、線膨張係数等の機械的特性や耐熱性が向上したものである。このため、本発明のポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、発泡成形等の成形法により各種の成形体を得ることが可能となり、様々な用途に使用することが可能となる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造法により、セルロース繊維が凝集状態のままポリアミド樹脂中に含有されることがないため、セルロース繊維が均一に分散された本発明のポリアミド樹脂組成物を得ることができる。このため、セルロース繊維の含有量が比較的少量であっても、ポリアミド樹脂組成物の機械的特性や耐熱性や耐摩耗性を向上させることが可能となる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造法により、セルロース繊維が凝集状態のままポリアミド樹脂中に含有されることがないため、セルロース繊維が均一に分散された本発明のポリアミド樹脂組成物を得ることができる。このため、セルロース繊維の含有量が比較的少量であっても、ポリアミド樹脂組成物の機械的特性や耐熱性や耐摩耗性を向上させることが可能となる。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸とから形成されるアミド結合を有する重合体をいうものである。
このようなポリアミド樹脂を形成するモノマーの例として、アミノ酸としては、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などが挙げられる。
ラクタムとしては、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタムなどが挙げられる。
ラクタムとしては、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタムなどが挙げられる。
ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、デカンメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどが挙げられる。
ジカルボン酸としてはアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジグリコール酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としてはアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジグリコール酸などが挙げられる。
より具体的には、本発明で用いるポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ナイロン6T/6I)、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))が挙げられ、これらの共重合体や混合物であってもよい。中でも特に好ましいポリアミド樹脂は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、およびこれらの共重合体や混合物である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記したようなポリアミド樹脂とセルロース繊維を含有するものである。本発明で用いられるセルロース繊維としては、木材、稲、綿、麻、ケナフなどに由来するものの他にバクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロースなど生物由来のものも含まれる。また、再生セルロース、セルロース誘導体なども含まれる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維を含有することによって、強度、線膨張係数等の機械的特性や耐熱性や耐摩耗性が向上したものとなる。樹脂組成物の機械的特性や耐熱性や耐摩耗性を十分に向上させるには、セルロース繊維を凝集させることなく、樹脂中に均一に分散させることが必要である。そのためにはポリアミド樹脂に対するセルロース繊維の分散性や、ポリアミド樹脂とセルロース繊維の親和性が重要である。また、セルロース繊維が有する水酸基などの性質をできるだけ発揮させるためには、セルロース繊維の表面積を増やすことが重要である。このため、できるだけ微細化されたセルロース繊維を使用することが必要となる。
したがって、本発明においては、セルロース繊維として、平均繊維径が10μm以下のものを用いることが必要であり、中でも平均繊維径は500nm以下であることが好ましく、さらには、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下である。平均繊維径が10μmを超えるセルロース繊維では、セルロース繊維の表面積を増やすことができず、ポリアミド樹脂や、ポリアミド樹脂を形成するモノマーに対する分散性や親和性を向上させることが困難となる。平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、セルロース繊維の生産性を考慮すると4nm以上とすることが好ましい。
このような平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維(以下、セルロース繊維(A)と称することがある)としては、セルロース繊維を引き裂くことによってミクロフィブリル化したものが好ましい。ミクロフィブリル化する手段としては、ボールミル、石臼粉砕機、高圧ホモジナイザー、ミキサーなど各種粉砕装置を使用することができる。セルロース繊維(A)としては、市販されているものとして、例えば、ダイセルミライズ社製の「セリッシュ」を用いることができる。
また、セルロース繊維(A)として、セルロース繊維を使用した繊維製品の製造工程において、屑糸として出されたセルロース繊維の集合体を使用することもできる。繊維製品の製造工程とは紡績時、織布時、不織布製造時、そのほか繊維製品の加工時などが挙げられる。これらのセルロース繊維の集合体は、セルロース繊維がこれらの工程を経た後に屑糸となったものであるため、セルロース繊維が微細化したものとなっている。
また、セルロース繊維(A)として、バクテリアが産出するバクテリアセルロースを使用することもでき、例えば、アセトバクター族の酢酸菌を生産菌として産出されたものを使用することができる。植物のセルロースは、セルロースの分子鎖が収束したもので、非常に細いミクロフィブリルが束になって形成されているものであるのに対し、酢酸菌より産出されたセルロースはもともと幅20~50nmのリボン状であり、植物のセルロースと比較すると極めて細い網目状を形成している。
また、セルロース繊維(A)として、N-オキシル化合物の存在下にセルロース繊維を酸化させた後に、水洗、物理的解繊工程を経ることにより得られる、微細化されたセルロース繊維を使用してもよい。
N-オキシル化合物としては各種あるが、たとえばCellulose(1998)5,153-164に示されているような2,2,6,6-Tetramethylpiperidine-1-oxyl radical(以下TEMPOと記す)などが好ましい。このような化合物を触媒量の範囲で反応水溶液に添加する。
この水溶液に共酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸ナトリウムを加え、臭化アルカリ金属を加えることにより反応を進行させる。水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性の化合物を添加してpHを10付近に保持し、pHの変化が見られなくなるまで反応を継続する。反応温度は室温で構わない。反応後、系内に残存するN-オキシル化合物を除去することが好ましい。洗浄はろ過、遠心分離など各種方法を採用することができる。
その後、上記したような各種粉砕装置を用い、物理的な解繊工程を経ることで微細化されたセルロース繊維(A)を得ることができる。
N-オキシル化合物としては各種あるが、たとえばCellulose(1998)5,153-164に示されているような2,2,6,6-Tetramethylpiperidine-1-oxyl radical(以下TEMPOと記す)などが好ましい。このような化合物を触媒量の範囲で反応水溶液に添加する。
この水溶液に共酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸ナトリウムを加え、臭化アルカリ金属を加えることにより反応を進行させる。水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性の化合物を添加してpHを10付近に保持し、pHの変化が見られなくなるまで反応を継続する。反応温度は室温で構わない。反応後、系内に残存するN-オキシル化合物を除去することが好ましい。洗浄はろ過、遠心分離など各種方法を採用することができる。
その後、上記したような各種粉砕装置を用い、物理的な解繊工程を経ることで微細化されたセルロース繊維(A)を得ることができる。
本発明において、樹脂組成物中に含有されているセルロース繊維の平均繊維径の測定方法は以下のとおりである。凍結ウルトラミクロトームを用いて樹脂組成物(または樹脂組成物からなる成形体)から厚さ100nmの切片を採取し、OsO4(四酸化オスミウム)で切片染色を実施後、透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM-1230)を用いて観察を行う。電子顕微鏡画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さを測定する。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とする。同様にして10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径とする。
なお、セルロース繊維の繊維径が大きいものについては、ミクロトームにて10μmの切片を切り出したものか、樹脂組成物(または樹脂組成物からなる成形体)をそのままの状態で、実体顕微鏡(OLYMPUS SZ-40)を用いて観察を行い、得られた画像から上記と同様にして繊維径を測定し、平均繊維径を求める。
なお、セルロース繊維の繊維径が大きいものについては、ミクロトームにて10μmの切片を切り出したものか、樹脂組成物(または樹脂組成物からなる成形体)をそのままの状態で、実体顕微鏡(OLYMPUS SZ-40)を用いて観察を行い、得られた画像から上記と同様にして繊維径を測定し、平均繊維径を求める。
また、本発明における樹脂組成物中に含有されているセルロース繊維の長さは、上記のようにして平均繊維径を測定する際に求めることができ、電子顕微鏡画像におけるセルロース繊維(単繊維)の長手方向の長さをいう。そして、繊維径と同様に、10本のセルロース繊維(単繊維)の長さを測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維長とする。
本発明におけるセルロース繊維は、上記した平均繊維径と平均繊維長との比であるアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)が10以上であることが好ましく、中でも50以上、さらには100以上であることが好ましい。アスペクト比が10以上であることにより、ポリアミド樹脂組成物の機械的特性が向上しやすく、より強度が高く、線膨張係数が低いものとすることができる。
なお、本発明のポリアミド樹脂組成物は、後述するような本発明の製造法により得ることにより、セルロース繊維(A)がアスペクト比100以上のものであっても、樹脂中に均一に分散させることが可能となる。
本発明におけるセルロース繊維は、上記した平均繊維径と平均繊維長との比であるアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)が10以上であることが好ましく、中でも50以上、さらには100以上であることが好ましい。アスペクト比が10以上であることにより、ポリアミド樹脂組成物の機械的特性が向上しやすく、より強度が高く、線膨張係数が低いものとすることができる。
なお、本発明のポリアミド樹脂組成物は、後述するような本発明の製造法により得ることにより、セルロース繊維(A)がアスペクト比100以上のものであっても、樹脂中に均一に分散させることが可能となる。
そして、本発明のポリアミド樹脂組成物中のセルロース繊維(A)の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.01~50質量部であることが必要であり、中でも0.05~30質量部であることが好ましく、さらには0.1~20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~10質量部である。セルロース繊維(A)の含有量がポリアミド樹脂100質量部に対して0.01質量部未満である場合は、上記したようなセルロース繊維(A)を含有する効果、すなわち機械的特性や耐熱性や耐摩耗性を向上する効果を奏することができない。一方、セルロース繊維(A)の含有量がポリアミド樹脂100質量部に対して50質量部を超える場合は、セルロース繊維(A)を樹脂組成物中に含有させることが困難となったり、得られた樹脂組成物を射出成形等の成形時に高温で熱処理すると変色が生じることとなる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を、後述するような本発明の製造法で得ることにより、セルロース繊維(A)の含有量が少量であっても、それがポリアミド樹脂中に均一に分散されるので、ポリアミド樹脂組成物には、十分な機械的特性や耐熱性や耐摩耗性の向上効果が得られる。つまり、セルロース繊維(A)の含有量が、ポリアミド樹脂100質量部に対して0.01~10質量部の範囲のものであっても、ポリアミド樹脂組成物は、強度が高く、線膨張係数が低く、機械的特性に優れるとともに耐熱性にも優れたものとなる。
以上のようなポリアミド樹脂とセルロース繊維(A)を含有する本発明のポリアミド樹脂組成物は、数平均分子量が1万~10万であることが好ましい。数平均分子量が1万未満である場合には、樹脂組成物の機械的特性が低くなるので好ましくない。一方、数平均分子量が10万を超える場合には、樹脂組成物の成形性が急速に低下するので好ましくない。なお、数平均分子量は、示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置を用い、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶出液として40℃でPMMA換算にて求める値である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、融点が160℃以上であることが好ましく、ガラス転移温度は30℃以上であることが好ましい。融点が160℃未満である場合やガラス転移温度が30℃未満である場合には、樹脂組成物の耐熱性が低くなるので好ましくない。なお、融点とガラス転移温度は、十分に乾燥した樹脂組成物のペレットを削り、その削り屑10mgを、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC-7を用いて、窒素雰囲気下、下記の条件で測定して求めた値である。
(測定条件)
昇温速度20℃/分で250℃まで昇温(1st scan)し、250℃ で5分間保持し、降温速度20℃/分で0℃まで降温し、25℃で5分間保持した。再び昇温速度20℃/分で昇温(2nd scan)する。
1st scanの昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とし、2nd scanの吸熱ピークのトップを融点とする。
(測定条件)
昇温速度20℃/分で250℃まで昇温(1st scan)し、250℃ で5分間保持し、降温速度20℃/分で0℃まで降温し、25℃で5分間保持した。再び昇温速度20℃/分で昇温(2nd scan)する。
1st scanの昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とし、2nd scanの吸熱ピークのトップを融点とする。
セルロース繊維は水との親和性が非常に高く、平均繊維径が小さいほど水に対して良好な分散状態を保つことができる。また、水を失うと水素結合により強固にセルロース繊維同士が凝集し、一旦凝集すると凝集前と同様の分散状態をとることが困難となる。特にセルロース繊維の平均繊維径が小さくなるほどこの傾向が顕著となる。
したがって、セルロース繊維は水を含んだ状態でポリアミド樹脂と複合化することが好ましい。
そこで、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造法としては、ポリアミド樹脂を重合反応により得る際に、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、セルロース繊維(A)の水分散液とを混合し、重合反応を行う方法を採用することが好ましい。つまり、本発明の製造法は、ポリアミド樹脂の重合時に、水を含んだ状態のセルロース繊維を存在させ、重合反応を行うことにより、セルロース繊維(A)を含有する樹脂組成物を得る方法である。
このような本発明の製造法により、セルロース繊維(A)が凝集することなく均一に分散したポリアミド樹脂組成物を得ることが可能となり、特に機械的特性と耐熱性が向上した樹脂組成物とすることができる。
したがって、セルロース繊維は水を含んだ状態でポリアミド樹脂と複合化することが好ましい。
そこで、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造法としては、ポリアミド樹脂を重合反応により得る際に、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、セルロース繊維(A)の水分散液とを混合し、重合反応を行う方法を採用することが好ましい。つまり、本発明の製造法は、ポリアミド樹脂の重合時に、水を含んだ状態のセルロース繊維を存在させ、重合反応を行うことにより、セルロース繊維(A)を含有する樹脂組成物を得る方法である。
このような本発明の製造法により、セルロース繊維(A)が凝集することなく均一に分散したポリアミド樹脂組成物を得ることが可能となり、特に機械的特性と耐熱性が向上した樹脂組成物とすることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は耐熱性に優れる。耐熱性を示す指標として、熱変形温度がある。本発明のポリアミド樹脂組成物は、荷重1.8MPa時の熱変形温度が50℃以上であることが好ましく、中でも60℃以上、さらには70℃以上であることが好ましい。荷重1.8MPa時の熱変形温度が50℃未満であると、十分な耐熱性を有しておらず、様々な用途に使用することが困難となる。
荷重1.8MPa時の熱変形温度は、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、65℃以上であることが好ましく、中でも70℃以上で、さらには80℃以上であることが好ましい。また、ナイロン11やナイロン12を用いた場合は、50℃以上であることが好ましく、中でも55℃以上であることが好ましい。
荷重1.8MPa時の熱変形温度は、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、65℃以上であることが好ましく、中でも70℃以上で、さらには80℃以上であることが好ましい。また、ナイロン11やナイロン12を用いた場合は、50℃以上であることが好ましく、中でも55℃以上であることが好ましい。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、荷重0.45MPa時の熱変形温度が148℃以上であることが好ましく、中でも155℃以上、さらには180℃以上であることが好ましい。荷重0.45MPa時の熱変形温度が148℃未満であると、十分な耐熱性を有しておらず、様々な用途に使用することが困難となる。
荷重0.45MPa時の熱変形温度は、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、180℃以上であることが好ましく、中でも190℃以上であることが好ましい。また、ナイロン11やナイロン12を用いた場合は、148℃以上であることが好ましく、中でも150℃以上であることが好ましい。
荷重0.45MPa時の熱変形温度は、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、180℃以上であることが好ましく、中でも190℃以上であることが好ましい。また、ナイロン11やナイロン12を用いた場合は、148℃以上であることが好ましく、中でも150℃以上であることが好ましい。
なお、本発明における熱変形温度は、後述する曲げ強度、曲げ弾性率を測定する際に作製する試験片と同様のものを用い、ASTM D648に基づいて測定するものである。このとき、荷重は1.8MPaと0.45MPaで測定する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は機械的特性にも優れる。機械的特性を示す指標として、線膨張係数や強度がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、MD方向における線膨張係数が、120×10-6(1/℃)以下であることが好ましく、中でも100×10-6(1/℃)以下であることが好ましく、さらには80×10-6(1/℃)以下であることが好ましい。MD方向における線膨張係数が、120×10-6(1/℃)を超えると、寸法安定性に劣るものとなりやすく、様々な用途に用いることが困難となる。
MD方向における線膨張係数は、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、80×10-6(1/℃)以下であることが好ましく、中でも70×10-6(1/℃)以下であることが好ましく、さらには50×10-6(1/℃)以下であることが好ましい。ポリアミド樹脂としてナイロン11やナイロン12を用いた場合は、MD方向における線膨張係数は120×10-6(1/℃)以下であることが好ましく、中でも110×10-6(1/℃)以下であることが好ましい。
なお、本発明における線膨張係数は、後述する曲げ強度、曲げ弾性率を測定する際に作製する試験片と同様のものを用い、JIS K 7197に基づいて測定するものであり、20~150℃の領域での平均値を算出する。また、成形時の樹脂の流れ方向をMD方向、流れと垂直な方向をTD方向とする。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、曲げ強度が65MPa以上であることが好ましく、中でも70MPa以上、さらには100MPa以上であることが好ましい。また、引張降伏強度が40MPa以上であることが好ましく、中でも45MPa以上、さらには70MPa以上であることが好ましい。
曲げ強度が65MPa未満であったり、引張降伏強度が40MPa未満であると、十分な強度を有しておらず、様々な用途に使用することが困難となる。
曲げ強度が65MPa未満であったり、引張降伏強度が40MPa未満であると、十分な強度を有しておらず、様々な用途に使用することが困難となる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、曲げ強度は120MPa以上であることが好ましく、中でも130MPa以上であることが好ましく、さらには140MPa以上であることが好ましい。引張降伏強度は、70MPa以上であることが好ましく、中でも75MPa以上であることが好ましく、さらには80MPa以上であることが好ましい。
ポリアミド樹脂としてナイロン11やナイロン12を用いた場合は、曲げ強度は65MPa以上であることが好ましく、中でも70MPa以上であることが好ましい。引張降伏強度は40MPa以上であることが好ましく、中でも45MPa以上であることが好ましい。
ポリアミド樹脂としてナイロン11やナイロン12を用いた場合は、曲げ強度は65MPa以上であることが好ましく、中でも70MPa以上であることが好ましい。引張降伏強度は40MPa以上であることが好ましく、中でも45MPa以上であることが好ましい。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物は、曲げ弾性率が1.8GPa以上であることが好ましく、中でも2.5GPa以上であることが好ましく、さらには3.0GPa以上であることが好ましい。そして、引張り弾性率が1.4GPa以上であることが好ましく、中でも2.0GPa以上であることが好ましく、さらには2.2GPa以上であることが好ましい。
曲げ弾性率が1.8GPa未満であったり、引張り弾性率が1.4GPa未満であると、柔軟性に乏しく、剛性が強くなりすぎるため、曲げ強度や引張降伏強度が上記の範囲内のものであったとしても、汎用性に乏しく、実用上好ましくない。
曲げ弾性率が1.8GPa未満であったり、引張り弾性率が1.4GPa未満であると、柔軟性に乏しく、剛性が強くなりすぎるため、曲げ強度や引張降伏強度が上記の範囲内のものであったとしても、汎用性に乏しく、実用上好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、曲げ弾性率は2.5GPa以上であることが好ましく、中でも3.0GPa以上であることが好ましく、さらには3.3GPa以上であることが好ましい。引張り弾性率は、2.0GPa以上であることが好ましく、中でも2.2GPa以上であることが好ましく、さらには2.4GPa以上であることが好ましい。
ポリアミド樹脂としてナイロン11やナイロン12を用いた場合は、曲げ弾性率は1.8GPa以上であることが好ましく、中でも2.0GPa以上であることが好ましい。引張り弾性率は、1.4GPa以上であることが好ましく、さらには1.5GPa以上であることが好ましい。
ポリアミド樹脂としてナイロン11やナイロン12を用いた場合は、曲げ弾性率は1.8GPa以上であることが好ましく、中でも2.0GPa以上であることが好ましい。引張り弾性率は、1.4GPa以上であることが好ましく、さらには1.5GPa以上であることが好ましい。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物は、アイゾット衝撃強度が20J/m以上であることが好ましく、中でも35J/m以上、さらには40J/m以上であることが好ましい。
アイゾット衝撃強度が20J/m未満であると、十分な強度を有しておらず、様々な用途に使用することが困難となる。
アイゾット衝撃強度が20J/m未満であると、十分な強度を有しておらず、様々な用途に使用することが困難となる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、アイゾット衝撃強度が20J/m以上であることが好ましく、中でも35J/m以上、さらには40J/m以上であることが好ましい。
ポリアミド樹脂としてナイロン11やナイロン12を用いた場合は、アイゾット衝撃強度が30J/m以上であることが好ましく、中でも35J/m以上、さらには40J/m以上であることが好ましい。
ポリアミド樹脂としてナイロン11やナイロン12を用いた場合は、アイゾット衝撃強度が30J/m以上であることが好ましく、中でも35J/m以上、さらには40J/m以上であることが好ましい。
なお、本発明における曲げ強度、引張降伏強度、曲げ弾性率、引張り弾性率は、以下のような射出成形条件によって得た試験片を用い、ASTM D790に基づき、23℃で測定を行うものである。
(射出成形条件)
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製、IS-80G型)を用い、ASTM規格の1/8インチ3点曲げ試験片用金型を用いて、シリンダ温度(融点+15℃)、金型温度(融点-190℃)の条件で成形を行い、長さ×幅×厚さ=127mm(5インチ)×12.7mm(1/2インチ)×3.2mm(1/8インチ)の試験片を得る。
(射出成形条件)
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製、IS-80G型)を用い、ASTM規格の1/8インチ3点曲げ試験片用金型を用いて、シリンダ温度(融点+15℃)、金型温度(融点-190℃)の条件で成形を行い、長さ×幅×厚さ=127mm(5インチ)×12.7mm(1/2インチ)×3.2mm(1/8インチ)の試験片を得る。
また、本発明におけるアイゾット衝撃強度は、上記のような射出成形条件によって得た試験片を長さ方向に2つに切断し、さらにノッチを付け、ASTM D256に基づき、23℃で測定を行うことにより算出する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は耐摩耗性にも優れる。耐摩耗性を示す指標として、比摩耗量がある。本発明のポリアミド樹脂組成物は、比摩耗量が40mm3/(km・kN)以下であることが好ましく、中でも30mm3/(km・kN)以下、さらには20mm3/(km・kN)以下であることが好ましい。比摩耗量が40mm3/(km・kN)を超えると、十分な耐摩耗性を有しておらず、様々な用途に使用することが困難となる。
比摩耗量は、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、25mm3/(km・kN)以下であることが好ましく、中でも20mm3/(km・kN)以下、さらには15mm3/(km・kN)以下であることが好ましい。また、ナイロン11やナイロン12を用いた場合は、30mm3/(km・kN)以下であることが好ましく、中でも25mm3/(km・kN)以下、さらには20mm3/(km・kN)以下であることが好ましい。
比摩耗量は、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、25mm3/(km・kN)以下であることが好ましく、中でも20mm3/(km・kN)以下、さらには15mm3/(km・kN)以下であることが好ましい。また、ナイロン11やナイロン12を用いた場合は、30mm3/(km・kN)以下であることが好ましく、中でも25mm3/(km・kN)以下、さらには20mm3/(km・kN)以下であることが好ましい。
なお、本発明における比摩耗量は、TOYO BALDEIN社製鈴木式摩擦摩耗試験装置EMF-III-E型で、以下のような射出成形条件によって得たあと、絶乾状態で保管した中空円筒試験片を用いて、JIS K 7218に基づき、23℃50%RHで行うことにより算出するものである。相手材は金属S45C製の中空円筒試験片(樹脂組成物の中空円筒試験片と同形状)、荷重は5kgf、すべり速度は0.5m/s、すべり距離は5.4kmとする。比摩耗量は、摩耗試験終了後、中空円筒試験片を120℃で4時間乾燥して水分を除去し、摩耗試験前後の中空円筒試験片の質量から算出する。
(射出成形条件)
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、ファナック社製射出成形機(S-2000i)を用いて、シリンダ温度(融点+15℃)、金型温度(融点-190℃)の条件で、JIS K 7218に規定される中空円筒試験片を作製する。
得られた中空円筒試験片は、試験開始まで絶乾状態に保管する。
(射出成形条件)
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、ファナック社製射出成形機(S-2000i)を用いて、シリンダ温度(融点+15℃)、金型温度(融点-190℃)の条件で、JIS K 7218に規定される中空円筒試験片を作製する。
得られた中空円筒試験片は、試験開始まで絶乾状態に保管する。
次に、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造法について説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造法は、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うものである。そして、本発明の製造法におけるセルロース繊維の水分散液は、このような平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を水に分散させたものであり、水分散液中のセルロース繊維の含有量は0.01~50質量%とすることが好ましい。このような水分散液は、精製水とセルロース繊維とをミキサー等で攪拌することにより得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造法は、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うものである。そして、本発明の製造法におけるセルロース繊維の水分散液は、このような平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を水に分散させたものであり、水分散液中のセルロース繊維の含有量は0.01~50質量%とすることが好ましい。このような水分散液は、精製水とセルロース繊維とをミキサー等で攪拌することにより得ることができる。
そして、セルロース繊維の水分散液と、ポリアミド樹脂を構成するモノマーとを混合し、ミキサー等で攪拌することにより均一な分散液とする。その後、分散液を加熱し、150~270℃まで昇温させて攪拌することにより重合反応させる。このとき、分散液を加熱する際に徐々に水蒸気を排出することにより、セルロース繊維の水分散液中の水分を排出することができる。なお、上記ポリアミド重合時においては、必要に応じてリン酸や亜リン酸などの触媒を添加してもよい。そして、重合反応終了後は、得られた樹脂組成物を払い出した後、切断してペレットとすることが好ましい。
また、セルロース繊維としてバクテリアセルロースを用いる場合においては、セルロース繊維の水分散液として、バクテリアセルロースを精製水に浸して溶媒置換したものを使用してもよい。バクテリアセルロースの溶媒置換したものを用いる際には、溶媒置換後、所定の濃度に調整した後、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと混合し、上記と同様に重合反応を進行させることが好ましい。
このように、本発明の製造法では、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を用い、かつセルロース繊維を水分散液のまま重合反応に供することで、分散性が良好な状態で重合反応に供されることとなる。さらに、重合反応に供されたセルロース繊維は、重合反応中のモノマーや水との相互作用により、また上記のような温度条件で攪拌することにより、分散性が向上し、繊維同士が凝集することがなく、平均繊維径が小さいセルロース繊維が良好に分散した樹脂組成物を得ることが可能となる。このように、本発明の製造法によれば、セルロース繊維の分散性が向上するため、重合反応前に添加したセルロース繊維の平均繊維径よりも、重合反応終了後に樹脂組成物中に含有されているセルロース繊維のほうが、平均繊維径や繊維長が小さいものとなることもある。
また、本発明の製造法では、セルロース繊維を乾燥させる工程が不要となり、微細なセルロース繊維の飛散が生じる工程を経ずに製造が可能であるため、操業性よくポリアミド樹脂組成物を得ることが可能となる。またモノマーとセルロースを均一に分散させる目的として水を有機溶媒に置換する必要がないため、ハンドリングに優れるとともに製造工程中において化学物質の排出を抑制することが可能となる。
また、本発明の製造法では、セルロース繊維を乾燥させる工程が不要となり、微細なセルロース繊維の飛散が生じる工程を経ずに製造が可能であるため、操業性よくポリアミド樹脂組成物を得ることが可能となる。またモノマーとセルロースを均一に分散させる目的として水を有機溶媒に置換する必要がないため、ハンドリングに優れるとともに製造工程中において化学物質の排出を抑制することが可能となる。
なお、本発明の製造法に用いられる、重合反応前のセルロース繊維の平均繊維径の測定方法は以下のとおりである。まず、必要に応じて凍結乾燥したセルロース繊維を電界放射型走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S-4000)を用いて観察する。電子顕微鏡(SEM)画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さを測定する。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とする。同様にして10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径とする。
本発明のポリアミド樹脂組成物中には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃剤、難燃剤、相溶化剤などが含有されていてもよい。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物中には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、ポリアミド樹脂以外の他の重合体が含有されていてもよい。他の重合体としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)共重合体、液晶ポリマー、ポリアセタールなどが挙げられる。
なお、本発明のポリアミド樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、発泡成形等の成形方法により、各種成形体とすることができる。すなわち、射出成形してなる成形体、あるいは、押出し成形してなるフィルム、シート、および、これらフィルム、シートから加工してなる成形体、あるいは、ブロー成形してなる中空体、および、この中空体から加工してなる成形体、溶融紡糸して得られる繊維などとすることができる。
これらの成形体の具体例としては、パソコン、携帯電話、スマートフォン、VR機器、AR機器、その他OA機器の筐体部品および筐体、コネクター類、基板、プロジェクター、バッテリー、電動工具等の電化製品用樹脂部品;バンパー、インストルメントパネル、コンソールボックス、ガーニッシュ、ドアトリム、ドアパネル、天井、フロア、エンジン周りのパネル、レバー、ドアミラー、ドアミラーステイ、インテークマニホールド、ハンドル、ラッチ、スイッチ、コンパクトスピンドルドライブ、ギヤ、サンルーフスライドドア等の自動車用樹脂部品;コンテナー、栽培容器等の農業資材や農業機械用樹脂部品;浮きや水産加工品容器等の水産業務用樹脂部品;皿、コップ、スプーン等の食器や食品容器;注射器や点滴容器等の医療用樹脂部品;ドレーン材、フェンス、収納箱、工事用配電盤等の住宅・土木・建築材用樹脂部品;花壇用レンガ、植木鉢等の緑化材用樹脂部品;クーラーボックス、団扇、玩具等のレジャー・雑貨用樹脂部品;ボールペン、定規、クリップ、筆記具、文具等の文房具用樹脂部品;ガラスホルダー、ケーブルベア(登録商標)、バイク、スクーター、ドローン関連部品、船のカウル、ケーブルグランド、イス、フレーム、デスクアジャスター、車輪、照明器具、織編物、不織布等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値の測定法は以下のとおりである。
〔セルロース繊維の平均繊維径〕
得られたポリアミド樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径や、重合反応に供した重合反応前のセルロース繊維の平均繊維径は、前記の方法により測定し、算出した。
〔熱変形温度〕
得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔線膨張係数〕
得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔曲げ強度、引張降伏強度、曲げ弾性率、引張弾性率、アイゾッド衝撃強度〕
得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔セルロース繊維の平均繊維径〕
得られたポリアミド樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径や、重合反応に供した重合反応前のセルロース繊維の平均繊維径は、前記の方法により測定し、算出した。
〔熱変形温度〕
得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔線膨張係数〕
得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔曲げ強度、引張降伏強度、曲げ弾性率、引張弾性率、アイゾッド衝撃強度〕
得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔数平均分子量、融点、ガラス転移温度〕
得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔比摩耗量〕
得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔体積固有抵抗値〕
得られた樹脂組成物のペレットを十分に乾燥した後、ファナック社製射出成形機(S-2000i)を用いて、シリンダ温度(融点+15℃)、金型温度(融点-190℃)の条件で射出成形を行い、直径φ100mm,厚み3.175mmの円板試験片を作製した。
得られた円板試験片を用いて、23℃で50%RH環境下に120時間静置後、同環境下においてJIS K 6911に基づいて、エレクトロメーター(アドバンテスト社製R 8340)およびレジスティビティ・チャンバ(アドバンテスト社製R12704A)を用いて体積固有抵抗値を測定した。
得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔比摩耗量〕
得られたポリアミド樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔体積固有抵抗値〕
得られた樹脂組成物のペレットを十分に乾燥した後、ファナック社製射出成形機(S-2000i)を用いて、シリンダ温度(融点+15℃)、金型温度(融点-190℃)の条件で射出成形を行い、直径φ100mm,厚み3.175mmの円板試験片を作製した。
得られた円板試験片を用いて、23℃で50%RH環境下に120時間静置後、同環境下においてJIS K 6911に基づいて、エレクトロメーター(アドバンテスト社製R 8340)およびレジスティビティ・チャンバ(アドバンテスト社製R12704A)を用いて体積固有抵抗値を測定した。
〔耐薬品性〕
得られた樹脂組成物のペレットを十分に乾燥した後、東芝機械社製射出成形機EC100を用いて、シリンダ温度(融点+15℃)、金型温度(融点-190℃)の条件で射出成形を行い、20mm×20mm×2mmの成形試験片を作製した。
得られた成形試験片を用いて、以下の薬品に23℃で7日間浸漬後、試験片を取り出し、以下の評価基準に従い、試験片の表面を目視にて観察した。
1.ガソリン
2.メタノール
3.硫酸水(40質量%)
4.水酸化ナトリウム水溶液(40質量%)
5.塩化カルシウム水溶液(50質量%)
<評価基準>
◎:完全に溶解せず、形状が保持された。
○:完全に溶解しなかったが、変形した。
×:完全に溶解した。
得られた樹脂組成物のペレットを十分に乾燥した後、東芝機械社製射出成形機EC100を用いて、シリンダ温度(融点+15℃)、金型温度(融点-190℃)の条件で射出成形を行い、20mm×20mm×2mmの成形試験片を作製した。
得られた成形試験片を用いて、以下の薬品に23℃で7日間浸漬後、試験片を取り出し、以下の評価基準に従い、試験片の表面を目視にて観察した。
1.ガソリン
2.メタノール
3.硫酸水(40質量%)
4.水酸化ナトリウム水溶液(40質量%)
5.塩化カルシウム水溶液(50質量%)
<評価基準>
◎:完全に溶解せず、形状が保持された。
○:完全に溶解しなかったが、変形した。
×:完全に溶解した。
〔結晶化度〕
リガク社製X線回折装置RINT-TTR III(CBO)を用いて、WAXD粉末反射法で測定を行い、得られた回折パターンから多重ピーク分離法により結晶部面積と非晶部面積を計算した。
その後、下記式から、結晶部面積比率を求め、結晶化度とした。
(結晶部面積比率)=(結晶部面積)/((結晶部面積)+(非晶部面積))×100
リガク社製X線回折装置RINT-TTR III(CBO)を用いて、WAXD粉末反射法で測定を行い、得られた回折パターンから多重ピーク分離法により結晶部面積と非晶部面積を計算した。
その後、下記式から、結晶部面積比率を求め、結晶化度とした。
(結晶部面積比率)=(結晶部面積)/((結晶部面積)+(非晶部面積))×100
〔メルトフローレート(MFR)〕
ポリアミド樹脂組成物ペレットを十分に乾燥した後、東洋精機製 メルトインデクサーF-B01を用いて、240℃、2.16kgfの荷重で測定した。
ポリアミド樹脂組成物ペレットを十分に乾燥した後、東洋精機製 メルトインデクサーF-B01を用いて、240℃、2.16kgfの荷重で測定した。
〔溶融粘度〕
ポリアミド樹脂組成物ペレットを十分に乾燥した後、島津製作所社製フローテスターCFT-500Dを用いて、(融点+30℃)の温度に加熱したシリンダに試料を入れ、2分間予熱した後、直径1mm、長さ1mmのダイより押出した。
上記の測定を種々の荷重で行い、せん断速度と溶融粘度との両対数プロットにおいて、5以上の測定点から得られる直線を用いて、せん断速度1000s-1での溶融粘度を算出した。
ポリアミド樹脂組成物ペレットを十分に乾燥した後、島津製作所社製フローテスターCFT-500Dを用いて、(融点+30℃)の温度に加熱したシリンダに試料を入れ、2分間予熱した後、直径1mm、長さ1mmのダイより押出した。
上記の測定を種々の荷重で行い、せん断速度と溶融粘度との両対数プロットにおいて、5以上の測定点から得られる直線を用いて、せん断速度1000s-1での溶融粘度を算出した。
[セルロース繊維の繊維配向度]
日本電子株式会社社製透過電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した画像から基準方向に対する繊維の傾角を20点測定し、(傾角±15度以上の繊維の本数/測定した全体の本数)×100として算出した。
日本電子株式会社社製透過電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した画像から基準方向に対する繊維の傾角を20点測定し、(傾角±15度以上の繊維の本数/測定した全体の本数)×100として算出した。
実施例1
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100G(ダイセルミライズ
社製):平均繊維径が125nmのセルロース繊維が10質量%含有されたもの)を使用し、これに精製水を加えてミキサーで攪拌し、セルロース繊維の含有量が3質量%の水分散液を調整し、このセルロース繊維の水分散液70質量部と、ε-カプロラクタム100質量部とを、均一な溶液となるまでさらにミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度260℃、金型温度80℃とした。
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100G(ダイセルミライズ
社製):平均繊維径が125nmのセルロース繊維が10質量%含有されたもの)を使用し、これに精製水を加えてミキサーで攪拌し、セルロース繊維の含有量が3質量%の水分散液を調整し、このセルロース繊維の水分散液70質量部と、ε-カプロラクタム100質量部とを、均一な溶液となるまでさらにミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度260℃、金型温度80℃とした。
実施例2
実施例1と同様にしてセルロース繊維の含有量が3質量%の水分散液を調整し、このセルロース繊維の水分散液70質量部と、ナイロン66塩100質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を230℃で攪拌しながら、内圧が15kgf/cm2になるまで加熱した。その圧力に到達後、徐々に水蒸気を放出しつつ、加熱を続けてその圧力を保持した。280℃に達した時点で、常圧まで放圧し、さらに1時間重合を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度290℃、金型温度80℃とした。
実施例1と同様にしてセルロース繊維の含有量が3質量%の水分散液を調整し、このセルロース繊維の水分散液70質量部と、ナイロン66塩100質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を230℃で攪拌しながら、内圧が15kgf/cm2になるまで加熱した。その圧力に到達後、徐々に水蒸気を放出しつつ、加熱を続けてその圧力を保持した。280℃に達した時点で、常圧まで放圧し、さらに1時間重合を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度290℃、金型温度80℃とした。
実施例3
実施例1と同様にしてセルロース繊維の含有量が1.3質量%の水分散液を調整した。このセルロース繊維の水分散液210質量部と、アミノウンデカン酸140質量部と、亜リン酸0.14質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、200℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットをそのまま試験片の成形に供した。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度210℃、金型温度80℃とした。
実施例1と同様にしてセルロース繊維の含有量が1.3質量%の水分散液を調整した。このセルロース繊維の水分散液210質量部と、アミノウンデカン酸140質量部と、亜リン酸0.14質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、200℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットをそのまま試験片の成形に供した。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度210℃、金型温度80℃とした。
実施例4
実施例1と同様にしてセルロース繊維の含有量が3質量%の水分散液を調整し、このセルロース繊維の水分散液70質量部と、12-アミノドデカン酸100質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、200℃まで温度を上げ、230℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットをそのまま試験片の成形に供した。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度210℃、金型温度80℃とした。
実施例1と同様にしてセルロース繊維の含有量が3質量%の水分散液を調整し、このセルロース繊維の水分散液70質量部と、12-アミノドデカン酸100質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、200℃まで温度を上げ、230℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットをそのまま試験片の成形に供した。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度210℃、金型温度80℃とした。
実施例5
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100S(ダイセルミライズ社製:平均繊維径が140nmのセルロース繊維が25質量%含有されたもの)を使用した。このセルロース繊維の水分散液100質量部と、ε-カプロラクタム250質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100S(ダイセルミライズ社製:平均繊維径が140nmのセルロース繊維が25質量%含有されたもの)を使用した。このセルロース繊維の水分散液100質量部と、ε-カプロラクタム250質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
実施例6
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100S(ダイセルミライズ社製:平均繊維径が140nmのセルロース繊維が25質量%含有されたもの)を使用した。このセルロース繊維の水分散液160質量部と、ε-カプロラクタム200質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100S(ダイセルミライズ社製:平均繊維径が140nmのセルロース繊維が25質量%含有されたもの)を使用した。このセルロース繊維の水分散液160質量部と、ε-カプロラクタム200質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
製造例1:バクテリアセルロースの製造
0.5質量%グルコース、0.5質量%ポリペプトン、0.5質量%酵母エキス、0.1質量%硫酸マグネシウム7水和物からなる組成の培地50mlを、200ml容三角フラスコに分注し、オートクレーブで120℃、20分間蒸気滅菌した。これに試験管斜面寒天培地で生育させたGluconacetobacter xylinus (NBRC 16670)を1白金耳接種し、30℃で7日間静置培養した。7日後、培養液の上層に白色のゲル膜状のバクテリアセルロースが生成した。
0.5質量%グルコース、0.5質量%ポリペプトン、0.5質量%酵母エキス、0.1質量%硫酸マグネシウム7水和物からなる組成の培地50mlを、200ml容三角フラスコに分注し、オートクレーブで120℃、20分間蒸気滅菌した。これに試験管斜面寒天培地で生育させたGluconacetobacter xylinus (NBRC 16670)を1白金耳接種し、30℃で7日間静置培養した。7日後、培養液の上層に白色のゲル膜状のバクテリアセルロースが生成した。
実施例7
セルロース繊維として製造例1で得られたバクテリアセルロースを使用した。バクテリアセルロースをミキサーで破砕後、水で浸漬、洗浄を繰り返すことにより、水置換を行った。水置換後のバクテリアセルロースの水分散液(平均繊維径が60nmのバクテリアセルロースが4.1質量%含有されたもの)31質量部と、ε-カプロラクタム254質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
セルロース繊維として製造例1で得られたバクテリアセルロースを使用した。バクテリアセルロースをミキサーで破砕後、水で浸漬、洗浄を繰り返すことにより、水置換を行った。水置換後のバクテリアセルロースの水分散液(平均繊維径が60nmのバクテリアセルロースが4.1質量%含有されたもの)31質量部と、ε-カプロラクタム254質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
実施例8
実施例7と同様にして得た水置換後のバクテリアセルロースの水分散液(平均繊維径が60nmのバクテリアセルロースが6.5質量%含有されたもの)35質量部と、ε-カプロラクタム228質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
実施例7と同様にして得た水置換後のバクテリアセルロースの水分散液(平均繊維径が60nmのバクテリアセルロースが6.5質量%含有されたもの)35質量部と、ε-カプロラクタム228質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
実施例9
実施例7と同様にして得た水置換後のバクテリアセルロースの水分散液(平均繊維径が60nmのバクテリアセルロースが4.1質量%含有されたもの)71質量部と、ε-カプロラクタム194質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
実施例7と同様にして得た水置換後のバクテリアセルロースの水分散液(平均繊維径が60nmのバクテリアセルロースが4.1質量%含有されたもの)71質量部と、ε-カプロラクタム194質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
実施例10
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、平均繊維径が120nmのセルロース繊維が3質量%含有された水分散液を調整した。
このセルロース繊維の水分散液170質量部と、ε-カプロラクタム255質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、平均繊維径が120nmのセルロース繊維が3質量%含有された水分散液を調整した。
このセルロース繊維の水分散液170質量部と、ε-カプロラクタム255質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
実施例11
実施例10と同様のセルロース繊維が3質量%含有された水分散液を用い、このセルロース繊維の水分散液85質量部と、ε-カプロラクタム255質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
実施例10と同様のセルロース繊維が3質量%含有された水分散液を用い、このセルロース繊維の水分散液85質量部と、ε-カプロラクタム255質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
製造例2:微細化セルロースの製造
セルロース(定性ろ紙No.1)2gを、0.025gの2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル(TEMPO)と0.25gの臭化ナトリウムとを溶解した水100mlに分散させた。その後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が4.3mmolとなるように加えた。pHスタットでpHが10.5になるように水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHが変化しなくなるところで反応を停止した。内容物を遠心分離法により水で4回洗浄し、家庭用ミキサーで30分間解繊を行った。得られたセルロース繊維の平均繊維径は110nmであった。
セルロース(定性ろ紙No.1)2gを、0.025gの2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル(TEMPO)と0.25gの臭化ナトリウムとを溶解した水100mlに分散させた。その後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が4.3mmolとなるように加えた。pHスタットでpHが10.5になるように水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHが変化しなくなるところで反応を停止した。内容物を遠心分離法により水で4回洗浄し、家庭用ミキサーで30分間解繊を行った。得られたセルロース繊維の平均繊維径は110nmであった。
実施例12
製造例2で得られたセルロース繊維が1.6質量%含有された水分散液を用い、このセルロース繊維の水分散液95質量部と、ε-カプロラクタム152質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
製造例2で得られたセルロース繊維が1.6質量%含有された水分散液を用い、このセルロース繊維の水分散液95質量部と、ε-カプロラクタム152質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合溶液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させた。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
実施例13
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、平均繊維径が3240nmのセルロース繊維が6質量%含有された水分散液を調整した。
このセルロース繊維の水分散液を使用した以外は、実施例10と同様にして重合反応を行い、ペレットを得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、平均繊維径が3240nmのセルロース繊維が6質量%含有された水分散液を調整した。
このセルロース繊維の水分散液を使用した以外は、実施例10と同様にして重合反応を行い、ペレットを得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
実施例14
実施例13と同様のセルロース繊維が6質量%含有された水分散液を用いた以外は、実施例2と同様にして重合反応を行い、ペレットを得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例2と同様であった。
実施例13と同様のセルロース繊維が6質量%含有された水分散液を用いた以外は、実施例2と同様にして重合反応を行い、ペレットを得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例2と同様であった。
実施例15
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、平均繊維径が3240nmのセルロース繊維が2.6質量%含有された水分散液を調整した。
このセルロース繊維の水分散液を使用した以外は、実施例3と同様にして重合反応を行い、ペレットを得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例3と同様であった。
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、平均繊維径が3240nmのセルロース繊維が2.6質量%含有された水分散液を調整した。
このセルロース繊維の水分散液を使用した以外は、実施例3と同様にして重合反応を行い、ペレットを得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例3と同様であった。
実施例16
実施例13と同様のセルロース繊維が6質量%含有された水分散液を用いた以外は、実施例4と同様にして重合反応を行い、ペレットを得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例4と同様であった。
実施例13と同様のセルロース繊維が6質量%含有された水分散液を用いた以外は、実施例4と同様にして重合反応を行い、ペレットを得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例4と同様であった。
比較例1
セルロース繊維の水分散液を加えなかった以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
セルロース繊維の水分散液を加えなかった以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
比較例2
セルロース繊維の水分散液を加えなかった以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例2と同様であった。
セルロース繊維の水分散液を加えなかった以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例2と同様であった。
比較例3
セルロース繊維の水分散液を加えなかった以外は実施例3と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例3と同様であった。
セルロース繊維の水分散液を加えなかった以外は実施例3と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例3と同様であった。
比較例4
セルロース繊維の水分散液を加えなかった以外は実施例4と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例4と同様であった。
セルロース繊維の水分散液を加えなかった以外は実施例4と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例4と同様であった。
比較例5
セルロース繊維としてコットンの短繊維(平均繊維径16μm)を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
セルロース繊維としてコットンの短繊維(平均繊維径16μm)を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
比較例6
セルロース繊維として、比較例5と同様のコットンの短繊維(平均繊維径16μm)を使用した以外は、実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例2と同様であった。
セルロース繊維として、比較例5と同様のコットンの短繊維(平均繊維径16μm)を使用した以外は、実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例2と同様であった。
比較例7
セルロース繊維として、比較例5と同様のコットンの短繊維(平均繊維径16μm)を使用した以外は、実施例3と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例3と同様であった。
セルロース繊維として、比較例5と同様のコットンの短繊維(平均繊維径16μm)を使用した以外は、実施例3と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例3と同様であった。
比較例8
セルロース繊維として、比較例5と同様のコットンの短繊維(平均繊維径16μm)を使用した以外は、実施例4と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例4と同様であった。
セルロース繊維として、比較例5と同様のコットンの短繊維(平均繊維径16μm)を使用した以外は、実施例4と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例4と同様であった。
比較例9
セルロース繊維の水分散液の量を588質量部に変更した以外は、実施例5と同様にして重合反応を行ったところ、攪拌できず、重合が困難であった。
セルロース繊維の水分散液の量を588質量部に変更した以外は、実施例5と同様にして重合反応を行ったところ、攪拌できず、重合が困難であった。
比較例10
セルロース繊維として、セリッシュKY100G(ダイセルミライズ社製:平均繊維径が125nmのセルロース繊維が10質量%含有されたもの)を凍結乾燥後、粉砕処理を施し、粉末状セルロースとしたものを使用した。
ナイロン6(ユニチカ社製BRL 数平均分子量17000)100質量部に対して、得られた粉末状セルロース2質量部をブレンドし、スクリュー径が30mm、平均溝深さが2.5mmの二軸押出機(池貝社製PCM-30)に供給し、バレル温度240℃、スクリュー回転数120rpm、滞留時間2.7分にて溶融混練した。溶融混練で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットをそのまま成形し、各種物性測定を行った。なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
セルロース繊維として、セリッシュKY100G(ダイセルミライズ社製:平均繊維径が125nmのセルロース繊維が10質量%含有されたもの)を凍結乾燥後、粉砕処理を施し、粉末状セルロースとしたものを使用した。
ナイロン6(ユニチカ社製BRL 数平均分子量17000)100質量部に対して、得られた粉末状セルロース2質量部をブレンドし、スクリュー径が30mm、平均溝深さが2.5mmの二軸押出機(池貝社製PCM-30)に供給し、バレル温度240℃、スクリュー回転数120rpm、滞留時間2.7分にて溶融混練した。溶融混練で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットをそのまま成形し、各種物性測定を行った。なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、実施例1と同様であった。
比較例11
ナイロン6に代えて、ナイロン66(ユニチカ社製マラニールA125 数平均分子量18000)を用いた以外は、比較例10と同様にして溶融混練を行って樹脂組成物を得、ペレットとした。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度270℃、金型温度80℃とした。
ナイロン6に代えて、ナイロン66(ユニチカ社製マラニールA125 数平均分子量18000)を用いた以外は、比較例10と同様にして溶融混練を行って樹脂組成物を得、ペレットとした。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度270℃、金型温度80℃とした。
比較例12
ナイロン6に代えて、ナイロン11(アルケマ社RILSAN BMN 数平均分子量15000)を用いた以外は、比較例10と同様にして溶融混練を行って樹脂組成物を得、ペレットとした。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度210℃、金型温度80℃とした。
ナイロン6に代えて、ナイロン11(アルケマ社RILSAN BMN 数平均分子量15000)を用いた以外は、比較例10と同様にして溶融混練を行って樹脂組成物を得、ペレットとした。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度210℃、金型温度80℃とした。
比較例13
ナイロン6に代えて、ナイロン12(アルケマ社RILSAN AMN 数平均分子量15000)を用いた以外は、比較例10と同様にして溶融混練を行って樹脂組成物を得、ペレットとした。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度200℃、金型温度80℃とした。
ナイロン6に代えて、ナイロン12(アルケマ社RILSAN AMN 数平均分子量15000)を用いた以外は、比較例10と同様にして溶融混練を行って樹脂組成物を得、ペレットとした。
なお、曲げ強度等の測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度200℃、金型温度80℃とした。
実施例1~16、比較例1~13で得られたポリアミド樹脂組成物の特性値を測定した結果を表1、2に示す。
表1から明らかなように、実施例1~16で得られたポリアミド樹脂組成物は、繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とポリアミド樹脂を構成するモノマーを混合し、重合反応を行うことにより得られたものであったため、ポリアミド樹脂中に微細なセルロース繊維が凝集することなく均一に分散されたものであった。
このため、実施例1~16で得られたポリアミド樹脂組成物は、熱変形温度、曲げ強度、引張降伏強度、曲げ弾性率、引張り弾性率、アイゾット衝撃強度はいずれも高く、さらに、MD方向の線膨張係数は低く、機械的特性に優れたものであった。さらには、熱変形温度が高く耐熱性にも優れ、比摩耗量が少なく耐摩耗性にも優れていた。
このため、実施例1~16で得られたポリアミド樹脂組成物は、熱変形温度、曲げ強度、引張降伏強度、曲げ弾性率、引張り弾性率、アイゾット衝撃強度はいずれも高く、さらに、MD方向の線膨張係数は低く、機械的特性に優れたものであった。さらには、熱変形温度が高く耐熱性にも優れ、比摩耗量が少なく耐摩耗性にも優れていた。
一方、比較例1~4で得られたポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維を含有していないものであったため、実施例1~4のポリアミド樹脂組成物と比較して、熱変形温度、曲げ強度、引張降伏強度、曲げ弾性率、引張り弾性率はいずれも低く、線膨張係数、比摩耗量は高い値を示しており、機械的特性、耐熱性、耐摩耗性はいずれも劣るものであった。比較例5~8で得られたポリアミド樹脂組成物は、繊維径が10μmを超えるセルロース繊維を用いて重合反応を行ったものであり、得られたポリアミド樹脂組成物は、平均繊維径が10μmを超えるセルロース繊維が含有されたものであったため、実施例1~4のポリアミド樹脂組成物と比較して、熱変形温度、曲げ強度、引張降伏強度、曲げ弾性率、引張り弾性率はいずれも低く、線膨張係数、比摩耗量は高い値を示しており、機械的特性、耐熱性、耐摩耗性はいずれも劣るものであった。比較例9では、セルロース繊維の含有量が多すぎたため、重合反応時に攪拌が困難となり、樹脂組成物を得ることができなかった。比較例10~13で得られたポリアミド樹脂組成物は、本発明の製造法ではない溶融混練法で得られたものであったため、溶融混練する工程において、セルロース繊維の分散性が悪く、セルロース繊維の凝集が生じた。このため、比較例10~13で得られたポリアミド樹脂組成物は、平均繊維径が大きいセルロース繊維が含有されたものとなり、実施例1~4で得られた樹脂組成物(セルロース繊維を同量含有するもの)と比較して、熱変形温度、曲げ強度、引張降伏強度、曲げ弾性率、引張り弾性率はいずれも低く、線膨張係数、比摩耗量は高い値を示しており、機械的特性、耐熱性、耐摩耗性はいずれも劣るものであった。
Claims (5)
- ポリアミド樹脂100質量部に対して、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維0.01~50質量部を含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うことにより得られたものである、請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂がナイロン11又はナイロン12である、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂がナイロン6又はナイロン66である、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造法。
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JP2022114811A Pending JP2023016029A (ja) | 2021-07-20 | 2022-07-19 | ポリアミド樹脂組成物及びその製造法 |
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2022
- 2022-07-19 JP JP2022114811A patent/JP2023016029A/ja active Pending
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