JP2014105234A - ポリ乳酸系樹脂組成物 - Google Patents

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圭助 木村
Yoshio Nakai
美穂 中井
Yusuke Okita
祐介 沖田
Yutaka Takeya
豊 竹谷
Shigeaki Ishii
成明 石井
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Abstract

【課題】ポリ乳酸樹脂とポリアミド樹脂とを主成分とする樹脂組成物において、曲げ強度等の機械的特性に優れ、かつ実使用で重要とされる1.8MPaの大荷重での耐熱性も向上した環境配慮型のポリ乳酸系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと水を含んだ状態のセルロース繊維を存在させ、重合反応を行うことにより得られたポリアミド樹脂(B)とを含有してなる樹脂組成物であって、樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との合計含有量が90質量%以上であり、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との質量比〔(A)/(B)〕が5/5〜9/1であり、樹脂組成物中のセルロース繊維の含有量が0.01〜10質量%であって、かつ樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径が10μm以下であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂とポリアミド樹脂を用い、機械的特性、耐熱性が向上した環境配慮型の熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
近年、環境保全の見地から植物由来の熱可塑性樹脂として脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸系樹脂が注目されている。ポリ乳酸樹脂は、大量生産可能なためコストも安く、有用性が高いうえに、原料となるトウモロコシやサツマイモ等の植物を原料として製造可能で、石油等の枯渇資源の節約に貢献できる。
しかしながら、ポリ乳酸樹脂は、他のエンジニアリングプラスチックと比較するとガラス転移温度が低いため耐熱性に劣るという問題がある。耐熱性を付与するための方法としては、結晶性を制御することにより結晶化度を向上させる方法が挙げられるが、そのためには、射出成形の際に金型温度や成形サイクル時間などの操業時間を限定しなければならない場合がある。また、0.45MPaの小荷重での耐熱性向上は結晶化させることで比較的効果は見られるものの、実使用で重要とされる1.8MPaの大荷重での耐熱性向上には効果はなかった。さらに、ポリ乳酸樹脂は硬くて脆いうえ、曲げ強度などの機械的強度や耐衝撃性についても、ポリオレフィン系樹脂などの他の樹脂と比較して劣るなど改善すべき点が多く見受けられる。
上記のように、ポリ乳酸樹脂は、成形用材料として使用する場合には機械的強度不足や耐熱性不足、生産面の制約を受けるため、該ポリ乳酸樹脂を単独で使用することは一般的に困難であるという問題点がある。
上記のようなポリ乳酸樹脂の問題点を解決するため、ポリ乳酸樹脂と、耐熱性を有し、機械的強度や耐衝撃性に優れた各種エンジニアリングプラスチックとのポリマーアロイが提案されているが、主要構成成分がポリ乳酸樹脂である場合、実使用で重要とされる1.8MPaの大荷重での耐熱性向上は未だ達成できていない。
また、ポリ乳酸樹脂とのポリマーアロイに用いられる樹脂は加工温度がポリ乳酸樹脂と比較的近いものが用いられる。中でもポリメチル(メタ)アクリレート樹脂などはポリ乳酸との相溶性も良く広く行われている。しかし、ポリアミド樹脂はポリ乳酸樹脂との相溶性が悪いため、ポリ乳酸樹脂とともに用いられることはなかった。用いる場合も相溶化剤が必須であり、物性向上までには至らなかった。
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸樹脂などの脂肪族ポリエステルにポリアミド樹脂を配合した樹脂組成物について開示されている。このように、島成分のドメインサイズを小さくすることで繊維として巻き取りできるようになったが、機械的強度、耐熱性ともにまだ不十分であり、樹脂組成物を得るために手間暇がかかり、コストもかかるという問題があった。
また、特許文献2では、植物由来成分であるポリ乳酸樹脂とポリアミド樹脂とリグノフェノール誘導体を複合化して、自然崩壊性を持つプラスチック成形品を得たことが記載されている。しかしながら、得られた成形品は太陽光、雨水の作用による自然崩壊性を重要視したものであって、機械的物性や耐熱性などの物性面では実使用レベルには至らないものであった。
特開2003−238775号公報 特開2003−268222号公報
本発明は、上記の問題点を解決するものであって、ポリ乳酸樹脂とポリアミド樹脂とを主成分とする樹脂組成物において、曲げ強度等の機械的特性に優れ、かつ実使用で重要とされる1.8MPaの大荷重での耐熱性も向上した環境配慮型のポリ乳酸系樹脂組成物を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと水を含んだ状態のセルロース繊維を存在させ、重合反応を行うことにより得られたポリアミド樹脂(B)とを含有してなる樹脂組成物であって、樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との合計含有量が90質量%以上であり、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との質量比〔(A)/(B)〕が5/5〜9/1であり、樹脂組成物中のセルロース繊維の含有量が0.01〜10質量%であって、かつ樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径が10μm以下であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(2)120℃、120分間熱処理した時の荷重1.8MPa時の熱変形温度(DTUL)が60℃以上である、(1)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
本発明によれば、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと水を含んだ状態のセルロース繊維を存在させ、重合反応を行うことにより得られたポリアミド樹脂(B)を用いているため、ポリアミド樹脂(B)中にセルロース繊維が凝集することなく均一に分散されており、該ポリアミド樹脂とポリ乳酸樹脂を用いた樹脂組成物とすることにより、セルロース繊維がポリアミド樹脂の中に存在するだけでなく、ポリ乳酸樹脂とポリアミド樹脂との界面にも存在し、ポリ乳酸樹脂とポリアミド樹脂との相溶性が向上する。この結果、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、曲げ強度等の機械的特性が向上し、さらには、今まで主要構成成分がポリ乳酸樹脂では向上させるのが難しいとされてきた、実使用で重要とされる1.8MPaの大荷重での耐熱性が向上する。さらに、該ポリアミド樹脂を用いると、セルロース繊維の含有量が比較的少量であっても、得られるポリ乳酸系樹脂組成物の機械的特性や耐熱性を向上させることが可能となる。
このため、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、射出成形、押出成形、発泡成形等の成形法により各種の成形体を得ることが可能となり、様々な用途に使用することが可能となり、植物由来成分を用いていることから環境への負荷も小さく、産業上の利用価値は極めて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いるポリ乳酸樹脂(A)は、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、および、これらの混合物または共重合体を用いることが望ましい。生分解性の観点からは、ポリ(L−乳酸)を主体とすることが好ましい。
ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸の融点は、光学純度によってその融点が異なるが、本発明においては、成形体の機械的特性や耐熱性を考慮すると、融点を160℃以上とすることが好ましい。ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸樹脂において、融点を160℃以上とするためには、D−乳酸成分の割合を約3モル%未満とすればよい。
また、ポリ乳酸樹脂(B)の結晶性を向上させるためには、D−乳酸成分の割合を2.モル%以下とすることが好ましく、中でも1.0〜0.1モル%とすることが好ましい。
ポリ乳酸樹脂(A)の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレートは、0.2〜20g/10分であることが好ましく、中でも0.5〜15g/10分であることが好ましい。メルトフローレートが20g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて成形物の機械的特性や耐熱性が劣るものとなりやすい。メルトフローレートが0.2g/10分未満の場合は、成形加工時の負荷が高くなりすぎ操業性が低下する場合がある。
ポリ乳酸樹脂(A)は公知の溶融重合法、あるいは、さらに固相重合法を追加して製造することができる。また、ポリ乳酸樹脂(A)のメルトフローレートを所定の範囲に調節する方法として、メルトフローレートが大きすぎる場合は、少量の鎖長延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ビスオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を用いて樹脂の分子量を増大させる方法が挙げられる。逆に、メルトフローレートが小さすぎる場合はメルトフローレートの大きなポリ乳酸系樹脂や低分子量化合物と混合する方法が挙げられる。
本発明で用いるポリアミド樹脂(B)は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸とから形成されるアミド結合を有する重合体をいうものである。
このようなポリアミド樹脂(B)を形成するモノマーの例として、アミノ酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などが挙げられる。
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられる。
ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、デカンメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどが挙げられる。
ジカルボン酸としてはアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジグリコール酸などが挙げられる。
より具体的には、本発明で用いるポリアミド樹脂(B)としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ナイロン6T/6I)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))が挙げられ、これらの共重合体や混合物であってもよい。中でも特に好ましいポリアミド樹脂(B)は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、およびこれらの共重合体や混合物である。
そして、本発明におけるポリアミド樹脂(B)は、上記したようなポリアミド樹脂を構成するモノマーと水を含んだ状態のセルロース繊維を存在させ、重合反応を行うことにより得られたものである。中でも、ポリアミド樹脂を構成するモノマーとセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うことにより得られたものであることが好ましい。
本発明で用いられるセルロース繊維としては、木材、稲、綿、ケナフ、バガス、アバカ、麻などに由来するものの他にバクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロースなど生物由来のものも含まれる。また、再生セルロース、セルロース誘導体なども含まれる。
セルロース繊維は水との親和性が非常に高く、平均繊維径が小さいほど水に対して良好な分散状態を保つことができる。また、水を失うと水素結合により強固にセルロース繊維同士が凝集し、一旦凝集すると凝集前と同様の分散状態をとることが困難となる。特にセルロース繊維の平均繊維径が小さくなるほどこの傾向が顕著となる。
したがって、セルロース繊維は水を含んだ状態でポリアミド樹脂と複合化することが好ましい。このような方法により、セルロース繊維が凝集することなく均一に分散したポリアミド樹脂(B)を得ることが可能となる。
上記のような重合反応を行うことによりセルロース繊維を含有させたポリアミド樹脂(B)を用いることにより、ポリアミド樹脂(B)は、セルロース繊維がポリアミド樹脂中に均一に分散し、曲げ強度等の機械的特性や耐熱性が向上したものとなる。そして、このようなポリアミド樹脂(B)とポリ乳酸樹脂(A)とを混合させると、セルロース繊維がポリアミド樹脂(B)中に存在するだけでなく、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の界面にも存在する。このため、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)がよく混ざり、曲げ強度等の機械的特性や実使用で重要とされる1.8MPaの大荷重での耐熱性が向上した樹脂組成物を得ることが可能となる。
本発明において、セルロース繊維を凝集させることなく、ポリアミド樹脂中に均一に分散させるためには、ポリアミド樹脂に対するセルロース繊維の分散性や、ポリアミド樹脂とセルロース繊維の親和性が重要である。そして、セルロース繊維が有する水酸基などの性質をできるだけ発揮させるためには、セルロース繊維の表面積を増やすことが重要である。このため、できるだけ微細化されたセルロース繊維を使用することが必要となる。
したがって、本発明においては、セルロース繊維として、平均繊維径が10μm以下のものを用いることが必要であり、中でも平均繊維径は500nm以下であることが好ましく、さらには、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下である。平均繊維径が10μmを超えるセルロース繊維では、セルロース繊維の表面積を増やすことができず、ポリアミド樹脂や、ポリアミド樹脂を形成するモノマーに対する分散性や親和性を向上させることが困難となる。平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、セルロース繊維の生産性を考慮すると4nm以上とすることが好ましい。
このような平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維(以下、セルロース繊維(C)と称することがある)としては、バクテリアが産出するバクテリアセルロースを使用することが最も好ましい。例えば、アセトバクター属の酢酸菌を生産菌として産出されたものを使用することができる。植物のセルロースは、セルロースの分子鎖が収束したもので、非常に細いミクロフィブリルが束になって形成されているものであるのに対し、酢酸菌より産出されたセルロースはもともと幅20〜50nmのリボン状であり、植物のセルロースと比較すると極めて細い網目状を形成している。また、バクテリアセルロースは植物のセルロースと比較しても不純物が極めて少ない。
また、セルロース繊維(C)として、セルロース繊維を引き裂くことによってミクロフィブリル化したものが好ましい。ミクロフィブリル化する手段としては、離解機、ボールミル、石臼粉砕機、高圧ホモジナイザー、ミキサーなど各種粉砕装置を使用することができる。セルロース繊維(C)としては、市販されているものとして、例えば、ダイセルファインケム社製の「セリッシュ」やスギノマシン社製の「BiNFi−s(ビンフィス)」を用いることができる。
また、セルロース繊維(C)として、セルロース繊維を使用した繊維製品の製造工程において、屑糸として出されたセルロース繊維の集合体を使用することもできる。繊維製品の製造工程とは紡績時、織布時、不織布製造時、そのほか繊維製品の加工時などが挙げられる。これらのセルロース繊維の集合体は、セルロース繊維がこれらの工程を経た後に屑糸となったものであるため、セルロース繊維が微細化したものとなっている。
また、セルロース繊維(C)として、N−オキシル化合物の存在下にセルロース繊維を酸化させた後に、水洗、物理的解繊工程を経ることにより得られる、微細化されたセルロース繊維を使用してもよい。
N−オキシル化合物としては各種あるが、たとえばCellulose(1998)5,153−164に示されているような2,2,6,6−Tetramethylpiperidine−1−oxyl radical(以下TEMPOと記す)などが好ましい。このような化合物を触媒量の範囲で反応水溶液に添加する。
この水溶液に共酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸ナトリウムを加え、臭化アルカリ金属を加えることにより反応を進行させる。水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性の化合物を添加してpHを10付近に保持し、pHの変化が見られなくなるまで反応を継続する。反応温度は室温で構わない。反応後、系内に残存するN−オキシル化合物を除去することが好ましい。洗浄はろ過、遠心分離など各種方法を採用することができる。その後、上記したような各種粉砕装置を用い、物理的な解繊工程を経ることで微細化されたセルロース繊維(C)を得ることができる。
本発明において、樹脂組成物中に含有されているセルロース繊維の平均繊維径の測定方法は以下のとおりである。凍結ウルトラミクロトームを用いて樹脂組成物(または樹脂組成物からなる成形体)から厚さ100nmの切片を採取し、OsO4(四酸化オスミウム)で切片染色を実施後、透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM−1230)を用いて観察を行う。電子顕微鏡画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さを測定する。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とする。同様にして10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径とする。
なお、セルロース繊維の繊維径が大きいものについては、ミクロトームにて10μmの切片を切り出したものか、樹脂組成物(または樹脂組成物からなる成形体)をそのままの状態で、実体顕微鏡(OLYMPUS SZ−40)を用いて観察を行い、得られた画像から上記と同様にして繊維径を測定し、平均繊維径を求める。
また、本発明における樹脂組成物中に含有されているセルロース繊維の長さは、上記のようにして平均繊維径を測定する際に求めることができ、電子顕微鏡画像におけるセルロース繊維(単繊維)の長手方向の長さをいう。そして、繊維径と同様に、10本のセルロース繊維(単繊維)の長さを測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維長とする。
本発明におけるセルロース繊維は、上記した平均繊維径と平均繊維長との比であるアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)が10以上であることが好ましく、中でも50以上、さらには100以上であることが好ましい。アスペクト比が10以上であることにより、樹脂組成物の機械的特性が向上しやすく、特に強度が高く、さらに1.8MPaの大荷重での耐熱性を向上させることができる。
なお、本発明の樹脂組成物においては、上述したようなポリアミド樹脂(B)を用いることにより、セルロース繊維(C)がアスペクト比100以上のものであっても、ポリアミド樹脂中に均一に分散させることが可能となる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中のセルロース繊維(C)の含有量は、0.01〜10質量%であることが必要であり、中でも0.05〜5質量%であることが好ましく、さらには0.1〜5質量%であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂組成物中のセルロース繊維(C)の含有量が0.01質量%未満である場合は、上記したようなセルロース繊維(C)を含有する効果、すなわち機械的特性や耐熱性を向上する効果を奏することができない。一方、樹脂組成物中のセルロース繊維(C)の含有量が10質量%を超える場合は、ポリアミド樹脂(B)中にセルロース繊維(C)を多量に含有させることが困難となったり、得られたポリ乳酸系樹脂組成物を射出成形等の成形時に高温で熱処理すると変色が生じる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、前述したように、平均繊維径10μm以下のセルロース繊維が凝集することなく均一に分散されているポリアミド樹脂(B)を用いているため、ポリアミド樹脂(B)そのものの機械的特性や耐熱性が向上しており、さらに、ポリ乳酸樹脂(A)と混合すると、セルロース繊維がポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の界面にも存在することによって、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の相溶性が向上する。このため、得られる樹脂組成物は、機械的特性や1.8MPaの大荷重での耐熱性が十分に向上したものとなる。そして、ポリ乳酸樹脂組成物中のセルロース繊維(C)の含有量が、0.01〜10質量%の範囲のものであっても、上記の効果は十分に向上する。
また、以上のようなセルロース繊維(C)を含有する本発明のポリアミド樹脂(B)は、数平均分子量が8千〜5万であることが好ましい。数平均分子量が8千未満である場合には、樹脂組成物の機械的特性が低くなるので好ましくない。一方、数平均分子量が5万を超える場合には、樹脂組成物の成形性が急速に低下するので好ましくない。なお、数平均分子量は、後述する実施例にて記載の方法にて測定するものである。
そして、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、後述するように、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)を溶融混合することにより得ることが好ましいものであるが、ポリアミド樹脂(B)が上記のように重合反応を行うことにより得られたものであるため、ポリ乳酸樹脂(A)とともに溶融混合する際に、セルロース繊維(C)が再凝集することはほとんどない。
しかしながら、ポリアミド樹脂として、セルロース繊維を溶融混合により含有させたものを用いると、ポリアミド樹脂中でセルロース繊維が凝集し、均一に分散していない樹脂となるため、曲げ強度等の機械的特性や耐熱性が向上したものとならない。また、このようなポリアミド樹脂とポリ乳酸樹脂とを混合させても、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の界面に存在するセルロース繊維が少ないため、両者の相溶性も向上せず、機械的特性や耐熱性が向上した樹脂組成物を得ることができない。
また、セルロース繊維を含有しないポリアミド樹脂とポリ乳酸樹脂を用い、これらを溶融混合する際にセルロース繊維(C)を添加すると、セルロース繊維の凝集が生じ、セルロース繊維が均一に分散した樹脂組成物を得ることはできない。また、このような方法では、セルロース繊維がポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の界面に存在する確率は非常に低くなり、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の相溶性も向上しない。
よって、機械的特性や耐熱性が向上した樹脂組成物を得ることができない。
次に、本発明のポリアミド樹脂(B)の製造法について説明する。
本発明のポリアミド樹脂(B)は、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと水を含んだ状態のセルロース繊維を存在させ、重合反応を行うことにより得られるものであるが、具体的には、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応を行うものであることが好ましい。セルロース繊維の水分散液は、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を水に分散させたものであり、水分散液中のセルロース繊維の含有量は0.01〜20質量%とすることが好ましい。このような水分散液は、精製水とセルロース繊維とをミキサー等で攪拌することにより得ることができる。
そして、セルロース繊維の水分散液と、ポリアミド樹脂を構成するモノマーとを混合し、ミキサー等で攪拌することにより均一な分散液とする。その後、分散液を加熱し、150〜270℃まで昇温させて攪拌することにより重合反応させる。このとき、分散液を加熱する際に徐々に水蒸気を排出することにより、セルロース繊維の水分散液中の水分を排出することができる。
そして、重合反応終了後は、得られた樹脂組成物を払い出した後、切断してペレットとすることが好ましい。
また、セルロース繊維としてバクテリアセルロースを用いる場合においては、セルロース繊維の水分散液として、バクテリアセルロースを精製水に浸して溶媒置換したものを使用してもよい。バクテリアセルロースの溶媒置換したものを用いる際には、溶媒置換後、所定の濃度に調整した後、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと混合し、上記と同様に重合反応を進行させることが好ましい。
このように、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を用い、かつセルロース繊維を水分散液のまま重合反応に供することで、分散性が良好な状態で重合反応に供されることとなる。さらに、重合反応に供されたセルロース繊維は、重合反応中のモノマーや水との相互作用により、また上記のような温度条件で攪拌することにより、分散性が向上し、繊維同士が凝集することがなく、平均繊維径が小さいセルロース繊維が良好に分散したポリアミド樹脂(B)を得ることが可能となる。このような製造法によれば、セルロース繊維の分散性が向上するため、重合反応前に添加したセルロース繊維の平均繊維径よりも、重合反応終了後に樹脂組成物中に含有されているセルロース繊維のほうが、平均繊維径や繊維長が小さいものとなることもある。
また、このような製造法では、セルロース繊維を乾燥させる工程が不要となり、微細なセルロース繊維の飛散が生じる工程を経ずに製造が可能であるため、操業性よくポリアミド樹脂(B)を得ることが可能となる。またモノマーとセルロースを均一に分散させる目的として水を有機溶媒に置換する必要がないため、ハンドリングに優れるとともに製造工程中において化学物質の排出を抑制することが可能となる。
なお、重合反応前のセルロース繊維の平均繊維径の測定方法は以下のとおりである。まず、必要に応じて凍結乾燥したセルロース繊維は電界放射型走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−4000)を用いて観察する。電子顕微鏡(SEM)画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さを測定する。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とする。同様にして10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径とする。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物において、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との合計含有量は90質量%以上であることが必要であり、中でも92質量%以上であることが好ましく、さらには95質量%以上であることが好ましい。樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との合計含有量が90質量%未満であると、機械的特性、耐熱性が向上した環境配慮型の樹脂組成物とすることが困難となる。
なお、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)以外の他の重合体が含有されていてもよい。他の重合体としては、例えば、ポリオレフィン、芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)共重合体、ポリアセタールなどが挙げられる。
また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物において、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との質量比〔(A)/(B)〕は、5/5〜9/1であることが必要である。ポリ乳酸樹脂(A)の質量比が上記範囲より少ないと、環境配慮型の樹脂組成物とすることが困難となる。一方、ポリ乳酸樹脂(A)の質量比が上記範囲より多いと、ポリアミド樹脂(B)の割合が少なくなりすぎ、機械的特性、耐熱性が向上した樹脂組成物とすることが困難となる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は耐熱性に優れている。耐熱性を示す指標として、熱変形温度(DTUL)がある。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、荷重1.8MPa時の熱変形温度が60℃以上であることが好ましく、中でも65℃以上、さらには70℃以上であることが好ましい。また、ナイロン11やナイロン12を用いた場合は、55℃以上であることが好ましく、中でも60℃以上であることが好ましい。荷重1.8MPa時の熱変形温度が55℃未満であると、十分な耐熱性を有しておらず、様々な用途に使用することが困難となる。
なお、本発明における熱変形温度(DTUL)は、ISO 75−1、2に記載の方法により測定した。このとき、荷重は1.8MPaで測定する。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は機械的特性にも優れる。機械的特性を示す指標として、曲げ弾性率、曲げ強度がある。曲げ弾性率、曲げ強度については、ISO 178に記載の方法により、変形速度2mm/分で荷重をかけて測定した。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、曲げ強度は85MPa以上であることが好ましく、中でも90MPa以上であることが好ましく、さらには95MPa以上であることが好ましい。また、ナイロン11やナイロン12を用いた場合は、曲げ強度は70MPa以上であることが好ましく、中でも75MPa以上であることが好ましい。曲げ強度が70MPa未満であると、十分な強度を有しておらず、様々な用途に使用することが困難となる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリアミド樹脂としてナイロン6やナイロン66を用いた場合は、曲げ弾性率は2.5GPa以上であることが好ましく、中でも3.0GPa以上であることが好ましく、さらには3.3GPa以上であることが好ましい。また、ナイロン11やナイロン12を用いた場合は、曲げ弾性率が3.0GPa以上であることが好ましく、中でも3.3GPa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が3.0GPa未満であると、剛性に乏しく、曲げ強度が上記の範囲内のものであったとしても、汎用性に乏しく、実用上好ましくない。
なお、本発明における熱変形温度(DTUL)、曲げ強度、曲げ弾性率は、射出成形機(日精樹脂社製、NEX−110型)を用い、シリンダ温度160〜240℃、金型温度100℃に設定してISO準拠の一般物性測定用試験片(60×10×4mm)を作製して測定したものである。
さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、有機結晶核剤(D)を含有することが好ましい。有機結晶核剤(D)を含有させることにより、主にポリ乳酸樹脂(A)の結晶化速度を促進させ、本発明の樹脂組成物の耐熱性をさらに向上させることができる。
有機結晶核剤(D)の具体例としては、ソルビトール化合物、安息香酸およびその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物の他に、アミド化合物としてエチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスアクリル酸アミド、エチレンビスアクリル酸アミド、ヘキサメチレンビス−9、10−ジヒドロキシステアリン酸ビスアミド、p−キシリレンビス−9、10ジヒドロキシステアリン酸アミド、デカンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、ヘキサンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアニリド、N,N′,N″−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアニリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、N,N′−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N′−ジシクロヘキサンカルボニル−1,5−ジアミノナフタレン、エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、オクタンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、スルホイソフタル酸カリウムジメチル、および/または、スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル等が挙げられる。なかでも、ポリ乳酸樹脂の結晶化を著しく促進させるには、結晶核剤としてスルホイソフタル酸カリウムジメチル、および/または、スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル、エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、オクタンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、トリシクロヘキシルトリメシン酸アミドが好ましい。
なお、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物に有機結晶核剤(D)を混合する方法は特に限定されない。有機結晶核剤(D)の配合量は、ポリ乳酸系樹脂組成物中に0.1〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがさらに好ましい。有機結晶核剤(D)の配合量が0.1質量%未満であると、配合効果が乏しく、10質量%を超えると結晶核剤としての効果が飽和し、経済的に不利であるだけでなく、生分解後の残渣分が増大するため、環境面でも好ましくない。
また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物にはその特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃剤、難燃剤、充填材等を添加することができる。熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物などが例示される。無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、カオリン、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ、グラファイト、炭素繊維等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。無機結晶核剤としては、タルク、カオリン等が挙げられる。なお、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法について説明する。上記のような方法で得られたセルロース繊維を含有するポリアミド樹脂(B)を用い、ポリ乳酸樹脂(A)と二軸押出機で溶融混練を行う。なお、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との質量比〔(A)/(B)〕は、5/5〜9/1となるように行う。二軸押出機のシリンダ温度は170〜230℃で行った。溶融混練後のポリ乳酸系樹脂組成物はペレタイズしてペレット化後、真空乾燥で十分に乾燥する。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、発泡成形、インフレーション成形、および、シート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の成形方法により、各種成形体とすることができる。とりわけ、射出成形法とすることが好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。本発明の樹脂組成物に適した射出成形条件の一例を挙げれば、シリンダ温度をポリ乳酸の融点または流動開始温度以上、好ましくは190〜250℃、最適には190〜230℃の範囲とし、また、金型温度は樹脂組成物の(融点−20℃)以下とするのが適当である。成形温度が低すぎると成形品に充填不良が発生するなど操業性が不安定になったり、過負荷に陥りやすい。逆に成形温度が高すぎるとセルロースや樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度低下、着色する等の問題が発生しやすい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、結晶化を促進させることにより、その耐熱性をより高めることができる。このための方法としては、例えば、射出成形時の金型内での冷却条件を工夫することによって結晶化を促進させることができ、その場合には、金型温度をポリ乳酸の(ガラス転移温度+20℃)以上、(融点−20℃)以下で所定時間保った後、ガラス転移温度以下に冷却することが好ましい。また、成形後に結晶化を促進させる方法としては、直接ガラス転移温度以下に冷却した後、再度Tg以上、(融点−20℃)以下で熱処理することが好ましい。具体的には120℃、120分間の熱処理を行った。
これらの成形体の具体例としては、パソコン筐体部品および筐体、携帯電話筐体部品および筐体、その他OA機器筐体部品、コネクター類等の電化製品用樹脂部品;バンパー、インストルメントパネル、コンソールボックス、ガーニッシュ、ドアトリム、天井、フロア、エンジン周りのパネル等の自動車用樹脂部品をはじめ、コンテナーや栽培容器等の農業資材や農業機械用樹脂部品;浮きや水産加工品容器等の水産業務用樹脂部品;皿、コップ、スプーン等の食器や食品容器;注射器や点滴容器等の医療用樹脂部品;ドレーン材、フェンス、収納箱、工事用配電盤等の住宅・土木・建築材用樹脂部品;花壇用レンガ、植木鉢等の緑化材用樹脂部品;クーラーボックス、団扇、玩具等のレジャー・雑貨用樹脂部品;ボールペン、定規、クリップ等の文房具用樹脂部品;繊維を製編織して得られる織編物や不織布等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値の測定法は以下のとおりである。
〔樹脂組成物中セルロース繊維の含有量〕
熱可塑性樹脂組成物中に存在するセルロースの凍結乾燥を行い、水200μL、5%フェノール水溶液200μL入れた試験管に、予めセルロースを濃硫酸1000μLで溶解させ、濃硫酸で段階希釈したものを液面めがけて一気に添加して分光光度計490nmの吸光度を測定したものを検量線とした。本発明の熱可塑性樹脂組成物も予め凍結粉砕した適量の試料を濃硫酸1000μLで溶解させ上記同様に、水200μL、5%フェノール水溶液200μL入れた試験管に液面めがけて一気に添加して分光光度計490nmの吸光度を測定した。測定はそれぞれn=2で行った。
〔曲げ弾性率、曲げ強度〕
得られたポリ乳酸系樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔熱変形温度(DTUL)〕
得られたポリ乳酸系樹脂組成物(ペレット)を用い、前記の方法により測定した。
〔セルロース繊維の平均繊維径〕
得られたポリ乳酸系樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径や、重合反応に供した重合反応前のセルロース繊維の平均繊維径は、前記の方法により測定し、算出した。
実施例・比較例で用いたポリ乳酸樹脂(A)は以下のとおりである。
ポリ乳酸樹脂(A−1):ネイチャーワークス社製3001D
ポリ乳酸樹脂(A−2):トヨタ社製S−12
実施例・比較例で用いたセルロース繊維(C)は以下のとおりである。
セルロース繊維(C−1):バクテリアセルロースで平均繊維径が約60nmのもの
セルロース繊維(C−2):平均繊維径が125nmのもの(ダイセルファインケム社製セリッシュKY100G中に含有されている)
セルロース繊維(C−3):平均繊維径が180nmのもの(ダイセルファインケム社製セリッシュKY100S中に含有されている)で
セルロース繊維(C−4):不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体で平均繊維径が約120nmのもの
セルロース繊維(C−5):不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体で平均繊維径が約3240nmのもの
セルロース繊維(C−6):コットンの短繊維で平均繊維径が約16μmのもの
製造例1:バクテリアセルロース(C−1)の製造
0.5質量%グルコース、0.5質量%ポリペプトン、0.5質量%酵母エキス、0.1質量%硫酸マグネシウム7水和物からなる組成の培地50mlを、200ml容三角フラスコに分注し、オートクレーブで120℃、20分間蒸気滅菌した。これに試験管斜面寒天培地で生育させたGluconacetobacter xylinus (NBRC 16670)を1白金耳接種し、30℃で7日間静置培養した。7日後、培養液の上層に白色のゲル膜状のセルロース繊維(C−1)が生成した。
製造例2−1:ポリアミド樹脂(B−1)の製造
セルロース繊維として製造例1で得られたセルロース繊維(C−1)を使用した。セルロース繊維(C−1)をミキサーで破砕後、水で浸漬、洗浄を繰り返すことにより、水置換を行った。水置換後のバクテリアセルロースの水分散液(セルロース繊維(C−1)が6.5質量%含有されたもの)35質量部と、ε−カプロラクタム194質量部と、アミノカプロン酸40質量部と、精製水90質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−1)を得た。
製造例2−2:ポリアミド樹脂(B−2)の製造
製造例2−1と同様にして得た水置換後のバクテリアセルロースの水分散液(セルロース繊維(C−1)が4.1質量%含有されたもの)31質量部と、ε−カプロラクタム216質量部と、アミノカプロン酸44質量部と、精製水50質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−2)を得た。
製造例2−3:ポリアミド樹脂(B−3)の製造
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100G(ダイセルファインケム社製:セルロース繊維(C−2)が10質量%含有されたもの)を使用した。
このセルロース繊維の水分散液124質量部と、精製水30質量部と、ε−カプロラクタム210質量部と、アミノカプロン酸43質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−3)を得た。
製造例2−4:ポリアミド樹脂(B−4)の製造
製造例2−3と同様に、セリッシュKY100Gを50質量部と、精製水50質量部と、ε−カプロラクタム100質量部とを、均一になるまでさらにミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0kgf/cm2から7kgf/cm2の圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−4)を得た。
製造例2−5:ポリアミド樹脂(B−5)の製造
製造例2−3と同様に、セリッシュKY100Gを50質量部と、ナイロン66塩100質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を230℃で攪拌しながら、内圧が15kgf/cm2になるまで加熱した。その圧力に到達後、徐々に水蒸気を放出しつつ、加熱を続けてその圧力を保持した。280℃に達した時点で、常圧まで放圧し、さらに1時間重合を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−5)を得た。
製造例2−6:ポリアミド樹脂(B−6)の製造
製造例2−3と同様に、セリッシュKY100Gを70質量部と、アミノウンデカン酸140質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、200℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−6)を得た。
製造例2−7:ポリアミド樹脂(B−7)の製造
製造例2−3と同様に、セリッシュKY100Gを50質量部と、12−アミノドデカン酸100質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、200℃まで温度を上げ、230℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−7)を得た。
製造例2−8:ポリアミド樹脂(B−8)の製造
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100S(ダイセルファインケム社製:セルロース繊維(C−3)が25質量%含有されたもの)を使用した。このセルロース繊維の水分散液105質量部と、ε−カプロラクタム216質量部と、アミノカプロン酸44質量部と、精製水157質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−8)を得た。
製造例2−9:ポリアミド樹脂(B−9)の製造
製造例2−8と同様に、セルロース繊維の水分散液としてセリッシュKY100Sを160質量部と、ε−カプロラクタム170質量部と、アミノカプロン酸30質量部と、精製水150質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−9)を得た。
製造例2−10:ポリアミド樹脂(B−10)の製造
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、セルロース繊維(C−4)が5質量%含有された水分散液を調整した。このセルロース繊維の水分散液260質量部と、ε−カプロラクタム108質量部と、アミノカプロン酸22質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−10)を得た。
製造例2−11:ポリアミド樹脂(B−11)の製造
製造例2−1と同様にして得た水置換後のバクテリアセルロースの水分散液(セルロース繊維(C−1)が4.1質量%含有されたもの)15.5質量部と、ε−カプロラクタム216質量部と、アミノカプロン酸44質量部と、精製水90質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−11)を得た。
製造例2−12:ポリアミド樹脂(B−12)の製造
製造例2−3と同様に、セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100Gを
6.2質量部と、精製水90質量部と、ε−カプロラクタム210質量部と、アミノカプロン酸43質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−12)を得た。
製造例2−13:ポリアミド樹脂(B−13)の製造
製造例2−3と同様に、セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100Gを25質量部と、精製水80質量部と、ε−カプロラクタム210質量部と、アミノカプロン酸43質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−13)を得た。
製造例2−14:ポリアミド樹脂(B−14)の製造
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、セルロース繊維(C−5)が6質量%含有された水分散液を調整した。
このセルロース繊維の水分散液127質量部と、ε−カプロラクタム216質量部と、アミノカプロン酸44質量部とを、均一になるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−14)を得た。
製造例2−15:ポリアミド樹脂(B−15)の製造
製造例2−14と同様のセルロース繊維(C−5)が6質量%含有された水分散液を用いた以外は、製造例2−5と同様にして重合反応を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−15)を得た。
製造例2−16:ポリアミド樹脂(B−16)の製造
製造例2−14と同様のセルロース繊維(C−5)が6質量%含有された水分散液を用いた以外は、製造例2−6と同様にして重合反応を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−16)を得た。
製造例2−17:ポリアミド樹脂(B−17)の製造
製造例2−14と同様のセルロース繊維(C−5)が6質量%含有された水分散液用いた以外は、製造例2−7と同様にして重合反応を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−17)を得た。
製造例2−18:ポリアミド樹脂(B−18)の製造
セルロース繊維(C−6)を使用し、このセルロース繊維12質量部と、精製水90質量部と、ε−カプロラクタム200質量部と、アミノカプロン酸40質量部とをミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合水分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥させてセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−18)を得た。
製造例2−1〜2−18で得られたポリアミド樹脂(B−1)〜(B−18)について表1にまとめて記載する。
実施例1
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−1)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−1)〕=80/20でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、230℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例2
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−1)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−1)〕=50/50でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例3
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−2)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−2)〕=60/40でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例4
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−3)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−3)〕=80/20でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例5
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−4)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−4)〕=60/40でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例6
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−5)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−5)〕=80/20でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、260℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度260℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例7
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−6)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−6)〕=80/20でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、200℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度200℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例8
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−7)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−7)〕=80/20でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、200℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度200℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例9
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−8)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−8)〕=90/10でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例10
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−9)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−9)〕=50/50でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例11
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−10)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−10)〕=50/50でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例12
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−11)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−11)〕=80/20でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例13
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−12)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−12)〕=80/20でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例14
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−13)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−13)〕=80/20でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例15
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−14)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−14)〕=50/50でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例16
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−15)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−15)〕=50/50でドライブレンドした以外は、実施例6と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度260℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例17
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−16)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−16)〕=50/50でドライブレンドした以外は、実施例7と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度200℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例18
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−17)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−17)〕=50/50でドライブレンドした以外は、実施例8と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度200℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例19
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−1)とポリ乳酸樹脂(A−2)を質量比〔(A−2)/(B−1)〕=80/20でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例20
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−1)とポリ乳酸樹脂(A−2)を質量比〔(A−2)/(B−1)〕=90/10でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例21
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−4)とポリ乳酸樹脂(A−2)を質量比〔(A−2)/(B−4)〕=60/40でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例22
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−8)とポリ乳酸樹脂(A−2)を質量比〔(A−2)/(B−8)〕=80/20でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例1
ポリ乳酸樹脂(A−1)を池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、200℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度200℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例2
セルロース繊維を含有しないポリアミド6樹脂ペレット(ユニチカ社製A1030BRL)を池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、240℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度240℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例3
セルロース繊維を含有しないポリアミド6樹脂ペレット(ユニチカ社製A1030BRL)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(PA6)〕=50/50でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、230℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例4
ポリアミド6樹脂ペレット(ユニチカ社製A1030BRL)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(PA6)〕=80/20でドライブレンドした以外は、比較例3と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例5
セルロース繊維を含有しないポリアミド66樹脂ペレット(ユニチカ社製マラニールA125)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(PA66)〕=80/20でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、260℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度260℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例6
セルロース繊維を含有しないポリアミド11樹脂ペレット(アルケマ社製RILSAN BMN)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(PA11)〕=80/20でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、200℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度200℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例7
セルロース繊維を含有しないポリアミド12樹脂ペレット(アルケマ社製RILSAN AMN)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(PA12)〕=80/20でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、200℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度200℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例8
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−3)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−3)〕=40/60でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、230℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例9
セルロース繊維として、セリッシュKY100G(ダイセルファインケム社製:平均繊維径が125nmのセルロース繊維が10質量%含有されたもの)を凍結乾燥後、粉砕処理を施し、粉末状セルロースとしたものを使用した。
ポリアミド6樹脂ペレット(ユニチカ社製A1030BRL)とポリ乳酸樹脂(A−1)と得られた粉末状セルロースを質量比〔(A−1)/(PA6)/(C−2)〕=80/19/1でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、230℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例10
ポリアミド6樹脂ペレット(ユニチカ社製A1030BRL)とポリ乳酸樹脂(A−1)と比較例9で得られた粉末状セルロース(C−2)を質量比〔(A−1)/(PA6)/(C−2)〕=60/38/2でドライブレンドした以外は、比較例9と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例11
セルロース繊維として、セリッシュKY100G(ダイセルファインケム社製:平均繊維径が125nmのセルロース繊維が10質量%含有されたもの)を凍結乾燥後、粉砕処理を施し、粉末状セルロースとしたものを使用した。
ポリアミド6樹脂ペレット(ユニチカ社製A1030BRL)と得られた粉末状セルロースを質量比〔(PA6)/(C−2)〕=95/5でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、240℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリアミド系樹脂組成物のペレットを得た。
このポリアミド系樹脂組成物のペレットとポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(ポリアミド系樹脂組成物ペレット)〕=80/20でドライブレンドして、池貝社製PCM−30型二軸押出機(スクリュー径L/D=25、平均溝深さ2.5mm)を用いて、230℃、スクリュー回転数120rpm/分、吐出量100g/分で溶融混練を行った。そして、押出し、ペレット状に加工し、乾燥させて、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例12
比較例11で得られたポリアミド系樹脂組成物のペレットとポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(ポリアミド系樹脂組成物ペレット)〕=60/40でドライブレンドした以外は、比較例11と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
比較例13
得られたセルロース繊維含有ポリアミド樹脂ペレット(B−18)とポリ乳酸樹脂(A−1)を質量比〔(A−1)/(B−18)〕=80/20でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを得た。
なお、物性測定に使用する試験片を得る際の射出成形条件は、シリンダ温度230℃、金型温度20℃とした。そして、得られた成形片は120℃、120分間の熱処理を行った。
実施例1〜22、比較例1〜13で得られた樹脂組成物の組成、特性値を表2に示す。
表2より明らかなように、実施例1〜22で得られたポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと水を含んだ状態のセルロース繊維を存在させ、重合反応を行うことにより得られたポリアミド樹脂(B)を用いているため、ポリアミド樹脂(B)中にセルロース繊維が凝集することなく均一に分散されており、セルロース繊維がポリアミド樹脂の中に存在するだけでなく、ポリ乳酸樹脂とポリアミド樹脂との界面にも存在していたため、ポリ乳酸樹脂とポリアミド樹脂との相溶性が向上していた。この結果、実施例で得られたポリ乳酸系樹脂組成物は、セルロース繊維の含有量が少量であっても、曲げ強度等の機械的特性が向上し、1.8MPaの大荷重での耐熱性が向上した。
一方、比較例1は、ポリ乳酸樹脂のみであったため、比較例2はポリアミド樹脂のみであったため、ともに曲げ強度、耐熱性ともに低い値のものであった。
比較例3〜7の樹脂組成物は、セルロース繊維を含有しないものであったため、いずれもセルロース繊維を含有している同様の組成を有する実施例の樹脂組成物と比較して、曲げ強度、耐熱性に劣るものであった。比較例8の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)の割合が少なすぎたため、環境配慮型の樹脂組成物とはいえないものであった。比較例9、10の樹脂組成物は、セルロース繊維をポリ乳酸樹脂とポリアミド樹脂の溶融混練時に添加したものであったため、樹脂組成物中でセルロース繊維の凝集が生じ、平均繊維径が大きいものとなった。このため、実施例4、5と比較して、曲げ強度、耐熱性ともに劣るものであった。比較例11、12では、セルロース繊維をポリアミド樹脂中に溶融混練にて含有させたため、ポリアミド樹脂中でセルロース繊維の凝集が生じ、平均繊維径が大きいものとなった。このため、このようなポリアミド樹脂を用いた樹脂組成物は、実施例4、5と比較して、曲げ強度、耐熱性ともに劣るものであった。比較例13では、ポリアミド樹脂中のセルロース繊維の繊維径が大きいものであったため、得られた樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径も大きいものとなり、曲げ強度、耐熱性ともに劣るものであった。

Claims (2)

  1. ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと水を含んだ状態のセルロース繊維を存在させ、重合反応を行うことにより得られたポリアミド樹脂(B)とを含有してなる樹脂組成物であって、樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との合計含有量が90質量%以上であり、ポリ乳酸樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との質量比〔(A)/(B)〕が5/5〜9/1であり、樹脂組成物中のセルロース繊維の含有量が0.01〜10質量%であって、かつ樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径が10μm以下であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. 120℃、120分間熱処理した時の荷重1.8MPa時の熱変形温度(DTUL)が60℃以上である、請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
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