JP2023015568A - 樹脂膜の製造方法、樹脂膜フィルタ - Google Patents

樹脂膜の製造方法、樹脂膜フィルタ Download PDF

Info

Publication number
JP2023015568A
JP2023015568A JP2021119430A JP2021119430A JP2023015568A JP 2023015568 A JP2023015568 A JP 2023015568A JP 2021119430 A JP2021119430 A JP 2021119430A JP 2021119430 A JP2021119430 A JP 2021119430A JP 2023015568 A JP2023015568 A JP 2023015568A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photosensitive composition
composition layer
resin film
meth
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021119430A
Other languages
English (en)
Inventor
裕之 米澤
Hiroyuki Yonezawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2021119430A priority Critical patent/JP2023015568A/ja
Publication of JP2023015568A publication Critical patent/JP2023015568A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、分離精度に優れる樹脂膜が得られる樹脂膜の製造方法、及び、樹脂膜フィルタを提供することを課題とする。【解決手段】第1主面と第2主面とを有し、かつ、第1主面から第2主面まで貫通している貫通孔を複数有する樹脂膜の製造方法であって、仮支持体及び感光性組成物層を有する積層体を準備する工程P1と、感光性組成物層をパターン露光する工程P2と、工程P3-a又は工程P3-bと、をこの順に有し、工程P3-aが、露光された感光性組成物層を現像し、樹脂膜を形成する工程P3-a1、及び、仮支持体と樹脂膜とを剥離する工程P3-a2をこの順に有し、工程P3-bが、仮支持体と露光された感光性組成物層とを剥離する工程P3-b1、及び、仮支持体が剥離された感光性組成物層を現像し、樹脂膜を形成する工程P3-b2をこの順に有する、樹脂膜の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂膜の製造方法及び樹脂膜フィルタに関する。
バイオサイエンスの分野において、血液ろ過、細胞分離及び培養基材等の用途で用いられる多孔膜部材が知られている。近年では、従来の不織布からなる多孔膜部材と比較して対象物の選択的な透過又は捕捉を容易にする部材として、樹脂製の多孔膜部材が検討されている。
例えば、特許文献1には、一方の主面に開口を有する有底の凹部と、凹部の表面と他方の主面とを連通する第1の貫通孔と、を有する樹脂フィルムを備え、1つの凹部に対して2以上の第1の貫通孔が連通している、防水通気フィルタが開示されている。
特開2019-166509号公報
特許文献1には、フィルタが備える樹脂フィルムにおける凹部及び貫通孔の形成方法として、原フィルムに対するイオンビーム照射による手法と、原フィルムに対するレーザ照射による手法とが記載されている。
本発明者は、特許文献1の記載を参照して、貫通孔を複数有する樹脂膜について検討したところ、上記のイオンビーム照射又はレーザ照射により貫通孔が形成された樹脂膜では、分離精度が劣る場合があることを知見した。
本発明は、上記の点を鑑みて、分離精度に優れる樹脂膜が得られる樹脂膜の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、樹脂膜フィルタを提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕
第1主面と第2主面とを有し、かつ、上記第1主面から上記第2主面まで貫通している貫通孔を複数有する樹脂膜の製造方法であって、
仮支持体及び感光性組成物層を有する積層体を準備する工程P1と、
上記感光性組成物層をパターン露光する工程P2と、
工程P3-a又は工程P3-bと、をこの順に有し、
上記工程P3-aが、露光された上記感光性組成物層を現像し、上記樹脂膜を形成する工程P3-a1、及び、上記仮支持体と上記樹脂膜とを剥離する工程P3-a2をこの順に有し、
上記工程P3-bが、上記仮支持体と露光された上記感光性組成物層とを剥離する工程P3-b1、及び、上記仮支持体が剥離された上記感光性組成物層を現像し、上記樹脂膜を形成する工程P3-b2をこの順に有する、樹脂膜の製造方法。
〔2〕
上記工程P3-a2が、上記仮支持体と上記樹脂膜とを物理的に剥離する工程であり、
上記工程P3-b1が、上記仮支持体と露光された上記感光性組成物層とを物理的に剥離する工程である、〔1〕に記載の樹脂膜の製造方法。
〔3〕
上記積層体中の上記仮支持体と上記感光性組成物層とが、直接接する、〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂膜の製造方法。
〔4〕
上記工程P2が、フォトマスクを介してパターン露光する工程である、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の樹脂膜の製造方法。
〔5〕
上記工程P2が、フォトマスク及び光散乱板を介してパターン露光する工程である、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の樹脂膜の製造方法。
〔6〕
上記工程P2が、上記感光性組成物層と上記フォトマスクとを接触させてパターン露光する工程である、〔4〕又は〔5〕に記載の樹脂膜の製造方法。
〔7〕
上記フォトマスクが、円形状の遮光部を複数有し、
上記遮光部の全面積が、上記フォトマスクの全面積に対して、20%以下である、〔4〕~〔6〕のいずれか1つに記載の樹脂膜の製造方法。
〔8〕
上記フォトマスクが、円形状の遮光部を複数有し、
上記遮光部の全面積が、上記フォトマスクの全面積に対して、10%以下である、〔4〕~〔7〕のいずれか1つに記載の樹脂膜の製造方法。
〔9〕
上記工程P3-a1が、露光された上記感光性組成物層をアルカリ性水溶液で現像し、上記樹脂膜を形成する工程であり、
上記工程P3-b2が、上記仮支持体が剥離された上記感光性組成物層をアルカリ性水溶液で現像し、上記樹脂膜を形成する工程である、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の樹脂膜の製造方法。
〔10〕
上記感光性組成物層の厚みが、10μm以上である、〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の樹脂膜の製造方法。
〔11〕
〔1〕~〔10〕のいずれか1つに記載の樹脂膜の製造方法によって製造された樹脂膜から構成される樹脂膜フィルタ。
〔12〕
細胞分離用である、〔11〕に記載の樹脂膜フィルタ。
本発明によれば、分離精度に優れる樹脂膜を得られる樹脂膜の製造方法を提供できる。
また、本発明によれば、樹脂膜フィルタを提供できる。
本発明の樹脂膜の構成の一例を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本明細書において、「透明」とは、波長400~700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることを意味し、90%以上であることが好ましい。
本明細書において、透過率は、分光光度計を用いて測定される値であり、例えば、日立製作所社製の分光光度計U-3310を用いて測定できる。
本明細書において、特段の断りのない限り、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、カラムとして、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、又は、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー社製の商品名)、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)、検出器として示差屈折計、及び、標準物質としてポリスチレンを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により測定した標準物質のポリスチレンを用いて換算した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、高分子(例えば、バインダーポリマー等)の構成単位の比は質量比である。
本明細書において、特段の断りがない限り、分子量分布がある化合物の分子量は、重量平均分子量(Mw)である。
本明細書において、特段の断りがない限り、金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分光分析装置を用いて測定した値である。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロキシ基」は、アクリロキシ基及びメタアクリロキシ基の両方を包含する概念である。
なお、本明細書において、「アルカリ可溶性」とは、22℃において炭酸ナトリウムの1質量%水溶液100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
本明細書において「水溶性」とは、特段の断りがない限り、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。例えば、水溶性樹脂とは、上述した溶解度条件を満たす樹脂を意味する。
本明細書において、感光性組成物の「固形分」とは、感光性組成物を用いて形成される感光性組成物層を形成する成分を意味し、感光性組成物が溶剤(例えば、有機溶剤及び水等)を含む場合、溶剤を除いた全ての成分を意味する。また、感光性組成物層を形成する成分であれば、液体状の成分も固形分とみなす。
[樹脂膜の製造方法]
本発明の樹脂膜の製造方法は、
第1主面と第2主面とを有し、かつ、第1主面から第2主面まで貫通している貫通孔を複数有する樹脂膜(以下、単に「樹脂膜」ともいう。)の製造方法であって、
仮支持体及び感光性組成物層を有する積層体を準備する工程P1と、
感光性組成物層をパターン露光する工程P2と、
工程P3-a又は工程P3-bと、をこの順に有し、
工程P3-aが、露光された感光性組成物層を現像し、上記樹脂膜を形成する工程P3-a1、及び、仮支持体と上記樹脂膜とを剥離する工程P3-a2をこの順に有し、
工程P3-bが、仮支持体と露光された感光性組成物層とを剥離する工程P3-b1、及び、仮支持体が剥離された感光性組成物層を現像し、上記樹脂膜を形成する工程P3-b2をこの順に有する。
本発明の樹脂膜の製造方法であれば、本発明の課題が解決されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推察している。
従来のイオンビームの照射又はレーザの照射により貫通孔を形成して得られる樹脂膜では、要求される分離精度が得られない場合があることを、本発明者は知見した。具体的には、イオンビームの照射により貫通孔を形成する場合は、イオンビームの照射方向及び/又は照射位置にばらつきがあるため、イオンビームの重なりにより孔径が大きい貫通孔が一定の確率で形成されてしまい、分離精度の低下を引き起こしていることが予測された。また、レーザの照射により貫通孔を形成する場合は、レーザが照射された領域付近の温度が上昇し、樹脂膜を構成する樹脂が溶融してしまう。その結果、貫通孔の孔径が拡大し、分離精度の低下を引き起こしていることが予測された。
それに対して、本発明者は鋭意検討の結果、本発明の樹脂膜の製造方法であれば、上記貫通孔の孔径の拡大を抑制し、目的とする孔径で貫通孔を形成できるため、分離精度に優れると推測される。
以下、分離精度がより優れることを、「本発明の効果がより優れる」ともいう。
本発明により製造される樹脂膜について説明する。
図1は、本発明に係る樹脂膜の構成の一例を示す概略図(斜視図)である。
樹脂膜10には、第1主面11から第2主面12まで貫通している貫通孔20が複数形成されている。また、図1には、複数の貫通孔20が配列している面内方向と、樹脂膜10の厚み方向とを含む平面で樹脂膜10を切断することにより得られる切断面13が表示されている。
以下、樹脂膜の製造方法における各工程について説明する。
〔工程P1〕
工程P1は、仮支持体及び感光性組成物層を有する積層体を準備する工程である。
積層体の「準備」とは、積層体を作製する行為を含み、また、購入等によって積層体を調達する行為をも含む概念を意味する。
工程P1としては、例えば、仮支持体上に感光性組成物層を形成することにより上記積層体を作製する方法、及び、仮支持体と感光性組成物層とを貼り合わせて上記積層体を作製する方法が挙げられる。
上記積層体は、仮支持体及び感光性組成物層からなる積層体であってもよく、仮支持体及び感光性組成物層以外の他の層を有する積層体であってもよい。
また、積層体中の仮支持体と感光性組成物層とは、直接接することが好ましい。換言すると、積層体中の仮支持体と感光性組成物層との間には、他の層がないことが好ましい。
<感光性組成物層を形成する方法>
仮支持体上に感光性組成物層を形成する方法(以下、単に「感光性組成物層の形成方法」ともいう。)について説明する。
感光性組成物層の形成方法としては、後述する樹脂膜を構成する成分(例えば、バインダーポリマー、重合性化合物及び重合開始剤等)と、溶剤とを含む感光性組成物を使用して、塗布法により形成する方法が好ましい。具体的には、仮支持体上に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に所定温度にて乾燥処理を施して仮支持体上に感光性組成物層を形成する方法が挙げられる。
(仮支持体)
感光性組成物層の形成方法に使用する仮支持体は、特に制限されず、形成された感光性組成物層を支持する機能を有する部材が使用できる。
仮支持体は、単層構造であっても、複層構造であってもよい。
仮支持体としては、フィルムが好ましく、樹脂フィルムがより好ましい。仮支持体としては、可撓性を有し、かつ、加圧下、又は、加圧及び加熱下において、著しい変形、収縮、又は、伸びを生じないフィルムも好ましい。
上記フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム及びポリカーボネートフィルムが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
上記フィルムは、延伸処理が施されていてもよく、2軸延伸処理が施されていることが好ましい。
また、仮支持体として使用するフィルムには、シワ等の変形、及び、傷等がないことが好ましい。
仮支持体を介してパターン露光を行う場合、仮支持体の透明性は、高いことが好ましい。具体的には、仮支持体の波長365nmの透過率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、100%未満の場合が多い。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の点から、仮支持体のヘイズ値は小さい方が好ましい。具体的には、仮支持体のヘイズ値は、2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.1%以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、0%超の場合が多い。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の点から、仮支持体に含まれる微粒子、異物及び欠陥の合計数は少ない方が好ましい。具体的には、仮支持体中の直径1μm以上の微粒子、異物及び欠陥の合計数は、50個/10mm以下が好ましく、10個/10mm以下がより好ましく、3個/10mm以下が更に好ましく、0個/10mmが特に好ましい。
仮支持体の厚みは特に制限されないが、5~200μmが好ましく、取り扱いやすさ及び汎用性の点から、5~150μmがより好ましく、5~100μmが更に好ましい。
仮支持体の厚みは、走査型電子顕微鏡による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
仮支持体と感光性組成物層との密着性を向上させる点から、仮支持体の感光性組成物層と接する面が、UV照射、コロナ放電及び/又はプラズマ等により表面改質されていてもよい。
仮支持体がUV照射により表面改質される場合、UV照射量は、10~2000mJ/cmが好ましく、50~1000mJ/cmがより好ましい。
UV照射の光源としては、150~450nmの波長帯域の光を発する低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
仮支持体としては、例えば、膜厚50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、膜厚75μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び、膜厚100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
仮支持体の好ましい形態としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0017]~[0018]、特開2016-027363号公報の段落[0019]~[0026]、国際公開第2012/081680号の段落[0041]~[0057]及び国際公開第2018/179370号の段落[0029]~[0040]に記載された形態が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
ハンドリング性を付与する点で、仮支持体は、仮支持体の表面に微小な粒子を含む層(滑剤層)を有していてもよい。滑剤層は、仮支持体の片面及び両面のいずれに有していてもよい。滑剤層に含まれる粒子の直径は、0.05~0.8μmが好ましい。滑剤層の膜厚は、0.05~1.0μmが好ましい。
仮支持体の市販品としては、例えば、ルミラー#50-T60、ルミラー16KS40及びルミラー16FB40(以上、東レ社製)、並びに、コスモシャインA4100、コスモシャインA4300及びコスモシャインA8300(以上、東洋紡社製)が挙げられる。
(感光性組成物)
感光性組成物層の形成に用いる感光性組成物は、目的とする樹脂膜を構成し得る成分と、溶剤とを含むことが好ましい。
感光性組成物層に含まれる成分、及び、樹脂膜を構成し得る成分は、後段で詳述する。
溶剤としては、有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名:1-メトキシ-2-プロピルアセテート)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム、n-プロパノール及び2-プロパノールが挙げられる。
また、溶剤としては、沸点が180~250℃である有機溶剤(高沸点溶剤)を用いてもよい。
溶剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物の全固形分は、感光性組成物の全質量に対して、5~80質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましい。
感光性組成物中の溶剤の含有量は、感光性組成物の全質量に対して、20~95質量%が好ましく、60~95質量%がより好ましく、70~95質量%が更に好ましい。
感光性組成物の塗布方法としては、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法及びダイコート法(スリットコート法)が挙げられる。
感光性組成物の塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥及び減圧乾燥が好ましい。なお、本明細書において、「乾燥」とは、感光性組成物に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去することを意味する。乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥及び減圧乾燥が挙げられる。上記した乾燥方法を単独で又は複数組み合わせて適用できる。
乾燥温度は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、130℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。乾燥温度を連続的に変化させて乾燥させてもよい。
乾燥時間は、20秒以上が好ましく、40秒以上がより好ましく、60秒以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、600秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。
工程P1は、仮支持体、水溶性樹脂層及び感光性組成物層をこの順に有する積層体を準備する工程であってもよい。
上記工程としては、例えば、水溶性樹脂層を有する仮支持体であって、水溶性樹脂層の仮支持体とは反対側の表面に、上記感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥処理を施して感光性組成物層を形成することにより、仮支持体、水溶性樹脂層及び感光性組成物層をこの順に有する積層体を作製する方法が挙げられる。
本明細書において、「水溶性樹脂層」とは、水溶性樹脂を含む層を意味する。つまり、水溶性樹脂層を構成する樹脂の一部又は全部は、水溶性樹脂である。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂及びこれらの共重合体等の樹脂が挙げられる。
また、水溶性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体も挙げられる。(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体としては、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アリルの共重合体が好ましく、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合体がより好ましい。(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体の組成比(モル%)は、90/10~20/80が好ましく、80/20~30/70がより好ましい。
水溶性樹脂の重量平均分子量は、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
水溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
水溶性樹脂層は、水溶性樹脂としてポリビニルアルコールを含むことが好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンの両方を含むことがより好ましい。
水溶性樹脂は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
水溶性樹脂の含有量は特に制限されないが、水溶性樹脂層の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、99.9質量%以下が好ましく、99.8質量%以下がより好ましい。
水溶性樹脂層は、必要に応じて界面活性剤等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
水溶性樹脂層の厚みは、特に制限されないが、水溶性樹脂層(中間層)除去時間、及び、フィルタ平滑性の点から、0.1~5μmが好ましく、0.5~3μmがより好ましい。
後述する水溶性樹脂層の除去(溶解)が容易になる点から、水溶性樹脂層の液温80℃の水(温水)に対する溶解速度が0.5μm/秒以上であることが好ましく、1μm/秒以上であることがより好ましく、2μm/秒以上であることが更に好ましい。上限は特に制限されないが、10μm/秒以下が好ましく、8μm/秒以下がより好ましく、5μm/秒以下が更に好ましい。
温水に対する水溶性樹脂層の単位時間あたりの溶解速度は、後述する感光性組成物層の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に対する溶解速度の測定方法に準じて、測定するものとする。
水溶性樹脂層を有する仮支持体(仮支持体と水溶性樹脂層とを有する積層体)を準備する方法は、特に制限されないが、水溶性樹脂層を構成する水溶性樹脂等の成分と、溶剤とを含む組成物(水溶性樹脂層形成用組成物)を使用して、塗布法により形成する方法が好ましい。具体的には、仮支持体上に上記組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に所定温度にて乾燥処理を施して水溶性樹脂層を形成することにより、水溶性樹脂層を有する仮支持体を作製する方法が挙げられる。
上記組成物に含まれる溶剤としては、例えば、上記の感光性組成物に含まれる溶剤が挙げられる。また、上記組成物の塗布方法、及び、上記塗膜の乾燥方法は、上記の感光性組成物層の形成方法に準じて行うことができる。
工程P1は、水溶性仮支持体と感光性組成物層とをこの順に有する積層体を準備する工程であってもよい。即ち、感光性組成物層の形成方法に使用する仮支持体は、水溶性仮支持体であってもよい。
本明細書において、「水溶性仮支持体」とは、水溶性樹脂を含む仮支持体を意味する。即ち、水溶性仮支持体を構成する樹脂の一部又は全部は、水溶性樹脂である。
上記工程としては、仮支持体として水溶性仮支持体を使用すること以外は上記の感光性組成物層の形成方法に従って、水溶性仮支持体と感光性組成物層とをこの順に有する積層体を作製することが好ましい。即ち、水溶性仮支持体上に上記感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に所定温度にて乾燥処理を施して感光性組成物層を形成することにより、上記積層体を作製する工程が好ましい。
水溶性仮支持体に含まれる水溶性樹脂としては、好ましい態様(例えば、水溶性樹脂の種類及びその含有量等)も含めて、上記の水溶性樹脂層に含まれる水溶性樹脂として説明した樹脂が挙げられる。
水溶性仮支持体は、水溶性樹脂としてポリビニルアルコールを含むことが好ましい。
後述する水溶性仮支持体の溶解除去が容易になる点から、水溶性仮支持体の液温80℃の水(温水)に対する溶解速度が0.5μm/秒以上であることが好ましく、1μm/秒以上であることがより好ましく、2μm/秒以上であることが更に好ましい。上限は特に制限されないが、10μm/秒以下が好ましく、8μm/秒以下がより好ましく、5μm/秒以下が更に好ましい。
温水に対する水溶性仮支持体の単位時間あたりの溶解速度は、後述する感光性組成物層の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に対する溶解速度の測定方法に準じて、測定するものとする。
水溶性仮支持体は、公知の方法で作製してもよく、市販品を入手してもよい。水溶性仮支持体の市販品としては、例えば、ソルブロン(登録商標)EF(アイセロ社製、PVAフィルム)、ハイセロン(登録商標)(三菱ケミカル(株)製、PVAフィルム)、クラリア(登録商標)((株)クラレ製、PVAフィルム)等が挙げられる。
また、工程P1は、上記の感光性組成物層の形成方法に制限されず、仮支持体と感光性組成物層とを貼り合わせて、仮支持体と感光性組成物層とを有する積層体を作製する貼り合わせ工程であってもよい。
上記貼り合わせ工程は、例えば、仮支持体と感光性組成物層の表面とが接触するように圧着させることにより、行う。このときの圧着の方法としては特に制限はなく、公知の転写方法及びラミネート方法が挙げられる。なかでも、感光性組成物層の表面を、仮支持体に重ね、ロール等による加圧及び加熱を行うことが好ましい。
貼り合わせには、真空ラミネーター及びオートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用できる。ラミネート温度は、特に制限されないが、70~130℃の場合が多い。
<カバーフィルム>
工程P1により準備される仮支持体及び感光性組成物層を有する積層体は、更に、カバーフィルムを有していてもよい。上記積層体が更にカバーフィルムを有する場合、積層体は、仮支持体、感光性組成物層及びカバーフィルムをこの順に有することが好ましい。感光性組成物層を仮支持体とカバーフィルムとの間に配置することにより、露光前の感光性組成物層を両面側から保護できる。
カバーフィルムとしては、例えば、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、並びに、ポリスチレンフィルムが挙げられる。
また、カバーフィルムとして上述した仮支持体と同じ材料で構成された樹脂フィルムを用いてもよい。
なかでも、カバーフィルムとしては、ポリオレフィンフィルムが好ましく、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムがより好ましく、ポリプロピレンフィルムが更に好ましい。
カバーフィルムの厚みは、機械的強度に優れる点及び比較的安価となる点で、1~100μmが好ましく、5~50μmがより好ましく、5~40μmが更に好ましく、15~30μmが特に好ましい。
仮支持体及び感光性組成物層を有する積層体に、更にカバーフィルムを積層する方法としては特に制限されず、例えば、カバーフィルムを上記積層体の感光性組成物層の仮支持体とは反対側の表面に貼り合わせる方法が挙げられる。
上記貼り合わせる方法は特に制限されず、真空ラミネーター及びオートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用して、カバーフィルムと上記積層体とを貼り合わせる方法が挙げられる。
〔工程P2〕
工程P2は、工程P1により準備された積層体が有する感光性組成物層をパターン露光する工程である。
本明細書において、「パターン露光」とは、パターン状に露光する形態、即ち、露光部と未露光部とが存在する形態の露光を意味する。
パターン露光における露光領域及び未露光領域の位置、並びに、形状及び面積は、目的とする樹脂膜において形成する貫通孔の位置、形状及び面積に従って、適宜調整される。
積層体がカバーフィルムを有する場合、カバーフィルムを剥離してから工程P2を実施してもよく、カバーフィルムを剥離せずに工程P2を実施してもよく、カバーフィルムを剥離してから工程P2を実施することが好ましい。
上記工程P1で準備された仮支持体と感光性組成物層とを有する積層体に対してパターン露光を行う場合、上記積層体の感光性組成物層の仮支持体とは反対側の表面から露光光を照射してもよく、上記積層体の仮支持体の感光性組成物層とは反対側の表面から露光光を照射してもよい。
工程P2における露光方式としては、例えば、フォトマスクを用いて露光する方式及びフォトマスクを使用しないプロジェクション露光方式が挙げられる。
フォトマスクを用いて露光する方式としては、例えば、フォトマスクと感光性組成物層とを接触させて露光するコンタクト露光方式及びフォトマスクと感光性組成物層と接触させずに露光するプロキシミティ露光が挙げられる。
工程P2は、フォトマスクを介してパターン露光する工程であることが好ましく、感光性組成物層とフォトマスクとを接触させてパターン露光する工程であることがより好ましい。パターン露光におけるフォトマスクの配置は、露光光の光源と積層体との間であれば特に制限されない。
感光性組成物層とフォトマスクとを接触させる方法は、圧着方法であってもよい。
圧着方法としては、例えば、感光性組成物層とフォトマスクとの間を真空排気する方法、積層体の両側に補助板を配置して上記補助板間を真空排気する方法、積層体の片側又は両側から気体を吹き付ける方法、積層体の片側又は両側に補助板を配置して積層体の片側又は両側から気体を吹き付ける方法及びこれらを組み合わせた方法が挙げられる。
樹脂膜の製造方法は、工程P2と、工程P3-a又は工程P3-bとの間に、フォトマスクを剥離する工程を有することが好ましい。フォトマスクを剥離する方法としては、例えば、公知の剥離方法が挙げられ、後述する仮支持体を剥離する方法であってもよい。
パターン露光に使用されるフォトマスクは、目的とする樹脂膜において形成する貫通孔の位置、形状及び面積に対応するパターン構造を有することが好ましい。
フォトマスクは、遮光部と開口部とを有する。
遮光部の形状としては、例えば、円形状及び多角形状(好ましくは正多角形又は略正多角形)が挙げられる。「円形状」とは、真円又は略円を意味し、より具体的には、遮光部に内接する内接円の直径D1に対する、遮光部に外接する外接円の直径D2との比(D2/D1)が1.2以下である場合を、その形状が円形状であるとする。
フォトマスクは、遮光部が規則的に配置されていてもよく、遮光部が不規則に配置されていてもよい。
フォトマスクとしては、円形状又は正方形状の遮光部を複数有するフォトマスクが好ましく、円形状の遮光部を複数有するフォトマスクがより好ましい。遮光部の配置状態としては、例えば、60°千鳥格子状、45°千鳥格子状及び正方格子状が挙げられる。
遮光部の形状が円形状である場合、上記遮光部の長径は、0.05~20μmが好ましく、1~10μmがより好ましく、1~5μmが更に好ましい。
遮光部の形状が多角形状である場合、上記遮光部の多角形の1辺は、0.05~20μmが好ましく、1~10μmがより好ましく、1~5μmが更に好ましい。なお、多角形のうち最も長い1辺が、上記範囲内であることが好ましい。
上記遮光部のピッチ(遮光部と遮光部との間隔)は、0.05~20μmが好ましく、1~10μmがより好ましく、1~5μmが更に好ましい。
複数の遮光部(例えば、円形状の遮光部等)を有するフォトマスク中の遮光部の全面積は、フォトマスクの全面積に対して、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。下限は、5%以上が好ましい。
遮光部の面積の測定方法としては、例えば、光学顕微鏡の透過像を観察してその面積から算出する方法が挙げられる。
工程P2は、フォトマスク及び光散乱板を介してパターン露光する工程であることも好ましい。
工程P2において、フォトマスク及び光散乱板を介してパターン露光する場合に使用する光散乱板(拡散板)としては、光源から射出された露光光を通過させることにより、所定角度幅の範囲で均一に散乱する機能を有する公知の散乱板が使用できる。
光散乱板は、透明である必要があり、紫外線透過率が高いことが好ましい。紫外線透過率が高いと、少ない露光量でパターン作製を行うことができ、スループットが向上する。紫外線を透過する材質としては、石英ガラス、無アルカリガラス、アクリル樹脂、紫外線透過アクリル樹脂、PET、及び、ポリカーボネート等が挙げられる。
光散乱板の散乱特性は特に制限されず、目的の貫通孔の形状に応じて適切な散乱特性を有する散乱板が選択される。
光散乱板としては、例えば、少なくとも一方の表面に露光光の波長に対応する大きさの凹凸形状が形成された光散乱板、光散乱板を構成する母材中に露光光の波長に対応する大きさを有する分散材を含有する光散乱板、並びに、少なくとも一方の表面に上記凹凸形状が形成され、かつ、上記分散材を含有する光散乱板が挙げられる。
光散乱板の厚みは、例えば50~500μmであり、50~150μmが好ましい。
市販の光散乱板としては、例えば、(株)オプティカルソリューションズ製、レンズ拡散板(登録商標)、商品名:(以下、同じ)LSD5ACUVT10、LSD10ACUVT10、LSD20ACUVT10、LSD30ACUVT10、LSD40ACUVT10、LSD60ACUVT10、LSD80ACUVT10(以上、紫外線透過アクリル樹脂製)、レンズ拡散板(登録商標):LSD5AC10、LSD10AC10、LSD20AC10、LSD30AC10、LSD40AC10、LSD60AC10、LSD80AC10(以上、アクリル樹脂製)、レンズ拡散板(登録商標):LSD5PC10、LSD10PC10、LSD20PC10、LSD30PC10、LSD40PC10、LSD60PC10、LSD80PC10、LSD60×10PC10、LSD60×1PC10、LSD40×1PC10、LSD30×5PC10(以上、ポリカーボネート製)、レンズ拡散板(登録商標):LSD5U3PS(以上、石英ガラス製)等が挙げられる。
その他の光散乱板としては、日本特殊光学樹脂(株)製のフライアイレンズFE10、(有)フィット製のDiffuser、サンテックオプト(株)製のSDXK-1FS、SDXK-AFS、SDXK-2FS、フィルプラス(株)製の光拡散フィルムMX、(株)渋谷光学製のアクリル拡散板ADF901、ADF852、ADF803、ADF754、ADF705、ADF656、ADF607、ADF558、ADF509、ADF451、王子エフテックス(株)製のナノバックリング(登録商標)、リンテック(株)製の光拡散フィルムHDA060、HAA120、GBA110、DCB200、FCB200、IKA130、EDB200、スリーエムジャパン(株)製のスコッチカル(登録商標)光拡散ディフューザーフィルム3635-30、3635-70、(株)きもと製のライトアップ(登録商標)SDW,EKW,K2S,LDS,PBU,GM7,SXE,MXE、SP6F、オプトセーバー(登録商標)L-9、L-11、L-19、L-20、L-35、L-52、L-57、STC3、STE3、ケミカルマット(登録商標)75PWX、125PW、75PBA、75BLB、75PBB、恵和(株)製のオパルス(登録商標)PBS-689G、PBS-680G、PBS-689HF、PBS-680HG、PBS-670G、UDD-147D2、UDD-148D2、SHBS-227C1、SHBS-228C2、UDD-247D2、PBS-630L、PBS-630A、PBS-632A、BS-539、BS-530、BS-531、BS-910、BS-911、BS-912、(株)クラレ製のレジェンダ(登録商標)PC、CL、HC、OC、TR、MC、SQ、EL、OE、(株)ツジデン製のD120P、D121UPZ、D121UP、D261SIIIJ1、D261IVJ1、D263SIII、S263SIV、D171、D171S、D174S等が挙げられる。
また、工程P2において感光性組成物層に対して露光光を照射する方向は、特に制限されないが、樹脂膜の第1主面に対してより垂直な方向に延在する貫通孔を形成できる点で、感光性組成物層に対する露光光の照射方向と、感光性組成物層の表面の法線方向とのなす角度が、10°以内であることが好ましく、5°以内であることがより好ましい。下限は特に制限されず、0°であってもよい。
露光光としては、例えば、感光性組成物層を硬化し得る波長を有する光(例えば、波長365nm及び波長405nm等)が挙げられる。露光光の主波長は、波長365nmが好ましい。「主波長」とは、最も強度が大きい波長を意味する。
露光光としては、散乱光も好ましい。散乱光により露光する方法としては、例えば、上記光散乱板を介して露光する方法が挙げられる。
工程P2における露光光の照射量(露光量)は、特に制限されず、樹脂膜に所望のパターン構造が形成されるように、感光性組成物層の組成及び厚さ、フォトマスクの周期パターン、並びに、露光光の波長等の条件に応じて、適宜選択される。具体的には、露光量は、5~200mJ/cmが好ましく、10~200mJ/cmがより好ましい。
露光光の光源としては、例えば、各種レーザ、発光ダイオード(LED)、超高圧水銀灯、高圧水銀灯及びメタルハライドランプが挙げられる。また、必要に応じて、長波長カットフィルタ、短波長カットフィルタ及びバンドパスフィルタ等の分光フィルタを通して照射光の波長を調整してもよい。
露光光の光源、露光量及び露光方法としては、例えば、国際公開第2018/155193号の段落[0146]~[0147]の記載が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
〔工程P3-a〕
工程P3-aは、露光された感光性組成物層を現像し、所定の貫通孔を有する樹脂膜を形成する工程P3-a1、及び、仮支持体と上記樹脂膜とを剥離する工程P3-a2をこの順に有する工程である。
<工程P3-a1>
工程P3-a1は、露光された感光性組成物層を現像し、所定の貫通孔を有する樹脂膜を形成する工程である。
工程P3-a1は、露光された感光性組成物層をアルカリ性水溶液で現像し、所定の貫通孔を有する樹脂膜を形成する工程であることが好ましい。
現像としては、現像液を用いる方法が好ましい。
現像液としては、アルカリ性水溶液が好ましい。アルカリ性水溶液に含まれ得るアルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、コリン(2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)が挙げられる。
アルカリ性水溶液の25℃におけるpHは、8~13が好ましく、9~12がより好ましい。なお、pHは、公知のpHメーターを用いて、JIS Z8802-1984に準拠した方法により測定できる。
アルカリ性水溶液中におけるアルカリ性化合物の含有量は、特に制限されないが、アルカリ性水溶液の全質量に対して、0.1~5質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましい。
アルカリ性水溶液は、アルカリ性化合物以外に水を含むことが好ましい。アルカリ性水溶液は、有機溶剤及び/又は公知の界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、スピン現像及びディップ現像が挙げられる。
好適に用いられる現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落[0194]に記載の現像液が挙げられ、また好適に用いられる現像方法としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落[0195]に記載の現像方法が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<工程P3-a2>
工程P3-a2は、仮支持体と所定の貫通孔を有する樹脂膜とを剥離する工程である。
工程P3-a2は、仮支持体と所定の貫通孔を有する樹脂膜とを物理的に剥離する工程であることが好ましい。
剥離する工程としては、例えば、公知の方法が挙げられる。剥離する工程は、化学的又は物理的に剥離する工程であってもよく、物理的に剥離する工程であることが好ましい。
物理的に剥離する工程としては、例えば、貫通孔が形成された感光性組成物層から仮支持体を引き剥がす方法が挙げられる。剥離する角度は、特に制限されないが、感光性組成物層の主面に対して、10~190°が好ましく、85~185°がより好ましい。
物理的に剥離する方法としては、例えば、特開2010-072589号公報の段落[0161]~[0162]に記載の剥離する方法も挙げられる。
積層体が、仮支持体、水溶性樹脂層及び感光性組成物層をこの順に有する場合、工程P3-a2は、水溶性樹脂層を溶解させることにより、水溶性樹脂層を除去し、感光性組成物層を仮支持体から剥離する工程であってもよい。また、積層体が水溶性仮支持体及び感光性組成物層を有する場合、工程P3-a2は、水溶性仮支持体を溶解させることにより、水溶性仮支持体を除去し、感光性組成物層を得る工程であってもよい。
また、上記積層体が水溶性樹脂層又は水溶性仮支持体を有する場合、露光された感光性組成物層をアルカリ性水溶液で現像することにより、上記工程P3-a2と、所定の貫通孔を有する樹脂膜を形成する工程P3-a1とを同時に行ってもよい。
〔工程P3-b〕
工程P3-bが、仮支持体と露光された感光性組成物層とを剥離する工程P3-b1、及び、剥離された感光性組成物層を現像し、所定の貫通孔を有する樹脂膜を形成する工程P3-b2をこの順に有する工程である。
工程P3-b1における剥離する方法としては、例えば、上記工程P3-a2における剥離する方法が挙げられる。工程P3-b1は、仮支持体と露光された感光性組成物層とを物理的に剥離する工程であることが好ましい。
工程P3-b2における現像する方法としては、例えば、上記工程P3-a1における現像する方法が挙げられる。工程P3-b2は、仮支持体が剥離された感光性組成物層をアルカリ性水溶液で現像し、所定の貫通孔を有する樹脂膜を形成する工程であることが好ましい。
〔その他工程〕
樹脂膜の製造方法は、上記工程以外に、その他工程を有していてもよい。
その他工程としては、例えば、ポスト露光工程及びポストベーク工程が挙げられる。
ポスト露光工程は、工程P3-a1又は工程P3-b2後に、更に露光する工程である。ポスト露光工程における露光条件は、適宜調整できる。ポスト露光工程における露光量は、100~5000mJ/cmが好ましく、200~3000mJ/cmがより好ましい。
ポストベーク工程は、工程P3-a1又は工程P3-b2後に、更に加熱する工程である。ポストベーク工程における加熱条件は、適宜調整できる。ポストベーク工程における加熱温度は、80~250℃が好ましく、90~160℃がより好ましい。ポストベーク工程における加熱時間は、1~180分が好ましく、10~60分がより好ましい。
樹脂膜の製造方法がポスト露光工程及びポストベーク工程の両方を含む場合、ポスト露光工程後に、ポストベーク工程を実施することが好ましい。
[樹脂膜]
樹脂膜は、感光性組成物層を用いて上述した樹脂膜の製造方法により製造される膜である。また、樹脂膜は、第1主面と第2主面とを有し、かつ、上記第1主面から上記第2主面まで貫通している貫通孔を複数有する。
樹脂膜は、ネガ型感光性組成物層から形成されてもよく、ポジ型感光性組成物層から形成されてもよい。なかでも、フィルタの強靭性がより優れる点で、ネガ型感光性組成物層から形成されることが好ましい。
樹脂膜がネガ型感光性組成物層から形成される場合、樹脂膜はネガ型感光性組成物層に含まれる成分、及び、ネガ型感光性組成物層に由来する変性物(例えば、分解物及び硬化物等)を含んでいてもよい。
樹脂膜がポジ型感光性組成物層から形成される場合、樹脂膜はポジ型感光性組成物層に含まれる成分、及び、ポジ型感光性組成物層に由来する変性物(例えば、分解物及び硬化物等)を含んでいてもよい。
〔貫通孔〕
図1に示す、樹脂膜10には、複数の貫通孔20が周期的に配置されている。具体的には、複数の貫通孔20は、樹脂膜10の面内方向において等間隔に配置され、角度60°の千鳥格子状に配列されている。即ち、樹脂膜10の第1主面11(及び第2主面12)には、3つの隣接する貫通孔20によって、角度60°の正三角形からなる格子単位が形成され、形成された格子単位によって千鳥格子状に配置されている。このように複数の貫通孔が等間隔に配置されることにより、樹脂膜10に対する液体の通過抵抗を低減できるとともに、複数の貫通孔の重複による開口面積が拡大した貫通孔の形成を抑制できる。
なお、樹脂膜に形成される複数の貫通孔は、角度60°の千鳥格子状に配列されているものに制限されず、他の千鳥格子状の配列、正方形の格子配列、及び、長方形の格子配列等の配列で周期的に配置されていてもよい。また、複数の貫通孔は、周期的に配置されているものに制限されず、周期的に配置されていなくてもよい。
複数の貫通孔は、樹脂膜の面内方向において、千鳥格子状又は正方格子状に配列されていることが好ましく、60°の千鳥格子状に配列されていることがより好ましい。
樹脂膜における複数の貫通孔の配置は、貫通孔の形状、並びに、樹脂膜の対象物の性状(例えば、大きさ、形態、性質及び弾性等)に応じて適宜設計される。
例えば、図1に示すように複数の貫通孔が面内方向において周期的に等間隔に配置されている場合、貫通孔の周期配列のピッチは、1~30μmが好ましく、3~15μmがより好ましい。
なお、本明細書において「ピッチ」とは、周期パターンが有する周期構造の周期を意味する。複数の貫通孔が樹脂膜の面内方向において周期的に配列されている場合、ピッチは、貫通孔が周期的に配列している方向(以下、「配列方向」ともいう。)に沿った直線上の、貫通孔の孔径と貫通孔間の距離との合計を意味する。
樹脂膜において形成される貫通孔の個数は、貫通孔の形状及び配置、並びに、樹脂膜の対象物の性状に応じて適宜設計される。
樹脂膜の面積当たりの貫通孔の個数は、1×10個/cm以上であることが多く、1×10個/cm以上が好ましく、1×10個/cm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、1×1010個/cm以下であることが多く、1×10個/cm以下が好ましく、1×10個/cm以下がより好ましい。
次いで、樹脂膜が有する貫通孔の形状について詳述する。
図1に示す貫通孔20の開口部の形状は円形状であるが、貫通孔の開口部の形状は、円形状に制限されず、楕円形状、並びに、正方形及び六角形等の多角形状であってもよい。樹脂膜が有する貫通孔の開口部の形状は、機械的強度がより優れる点で、円形状又は楕円形状が好ましく、分離精度が向上する点で円形状がより好ましい。
なお、本明細書において、樹脂膜に形成された貫通孔について「開口部の形状」という場合、樹脂膜の主面又は主面に平行な平面で貫通孔を切断して得られる切断面を、上記主面の法線方向から見たときの形状を意味する。
また、図1に示す貫通孔20は、樹脂膜10の第1主面11及び第2主面12の法線方向に沿って延在しているが、貫通孔が延在する方向はこの方向に制限されない。
樹脂膜が有する複数の貫通孔のうち、貫通孔が延在する方向と樹脂膜の厚み方向とのなす角度が5°以内である貫通孔の個数比Rtは、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、99.0%以上が更に好ましい。上限は特に制限されず、100%であってもよい。
貫通孔の平均孔径は特に制限されず、樹脂膜の対象物の性状(例えば、大きさ、形態、性質及び弾性等)に応じて適宜選択される。貫通孔の平均孔径は、例えば、20μm以下の場合が多く、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0.05μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
また、樹脂膜が有する複数の貫通孔のうち、貫通孔の平均孔径の0.9~1.1倍の孔径を有する貫通孔の個数比Rrは、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、99%以上が更に好ましい。上限は特に制限されず、100%であってもよい。
更に、樹脂膜において、貫通孔の平均孔径に対する貫通孔の孔径の標準偏差の比率は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましい。下限値は特に制限されず、0%であってよい。
なお、本明細書において、貫通孔の「孔径」とは、樹脂膜の主面に平行であり、かつ、上記第1主面から樹脂膜フィルタの厚みの10%の距離にある位置を通る平面で貫通孔を切断して得られる開口断面の孔径を意味する。開口断面の形状が円形状である場合、貫通孔の孔径はその円形状の開口断面の直径であり、開口断面の形状が円形状以外である場合、貫通孔の孔径はその開口断面の円相当径である。
樹脂膜が有する貫通孔は、第1主面側及び第2主面側の少なくとも一方の端部において、開口端に近づくに従って貫通孔の孔径が広くなる湾曲部が形成されていることが好ましい。
湾曲部は、貫通孔が延在する方向と樹脂膜の厚み方向とを含む切断面における曲率半径が、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、3μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。
また、後述する工程P2において、フォトマスク及び光散乱板を介してパターン露光する場合、貫通孔は、第1主面11側から第2主面12側にわたり、開口部の断面の面積及び孔径が拡大してなる円錐台状の形状(ただし、開口端に近い両端部を除く。)を有することができる。
〔樹脂膜の物性〕
樹脂膜の厚みは特に制限されないが、強靭性がより優れる点で、5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、分離精度がより優れる点で、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。
樹脂膜の厚みは、走査型電子顕微鏡による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
樹脂膜において、第1主面及び第2主面の少なくとも一方の水に対する接触角は、10~90°であることが多く、分離精度及びろ過速度がより優れる点で、10~70°が好ましく、10~50°がより好ましい。
樹脂膜の第1主面及び第2主面の水に対する接触角は、接触角計自動接触角計 DMo-602、協和界面科学社製)を用いて、水に対する静的接触角(°)を液滴法により測定することにより、得られる。
樹脂膜の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に対する膨潤率は、貫通孔の形成性向上の点から、100%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。樹脂膜の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に対する膨潤率は、以下の方法で測定するものとする。
ガラス基板に形成した、溶剤を十分に除去した感光性組成物層(膜厚1.0~10μmの範囲内)に対し、超高圧水銀灯で500mJ/cm(i線測定)で露光する。25℃でガラス基板ごとに、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬し、30秒経過時点での膜厚を測定する。そして、浸漬後の膜厚が浸漬前の膜厚に対して増加した割合を計算する。具体的には、4%、13%及び25%が挙げられる。
〔感光性組成物層〕
感光性組成物層は、ネガ型感光性組成物により形成された層であってもよく、ポジ型感光性組成物により形成された層であってもよい。
ネガ型感光性組成物層とは、露光された領域(露光部)において現像液に対する溶解性が低下する感光性組成物層である。
ポジ型感光性組成物層とは、露光された領域(露光部)において現像液に対する溶解性が上昇する感光性組成物層である。
感光性組成物層は、バインダーポリマーとして後述する(メタ)アクリル樹脂及びアルカリ可溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種と、後述する重合性化合物とを含むことが好ましい。
また、樹脂膜は、後述する酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する樹脂と、後述する光酸発生剤とを含むことも好ましい。
以下、感光性組成物層に含まれる各成分について、説明する。
<バインダーポリマー>
感光性組成物層は、バインダーポリマーを含んでいてもよい。
バインダーポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、及び、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物との反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂が挙げられる。
バインダーポリマーの好適態様としては、例えば、アルカリ現像性及びフィルム形成性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位を有する樹脂を意味する。(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、30質量%以上であってよく、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位のみで構成されていてもよく、(メタ)アクリル化合物以外の重合性単量体に由来する構成単位を有していてもよい。即ち、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量の上限は特に制限されないが、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、100質量%以下である。
(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート及び2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミドが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有していてもよい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル及び(メタ)アクリル酸ドデシル等の炭素数が1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸エチルがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位以外の他の構成単位を有していてもよい。
上記他の構成単位を形成する重合性単量体としては、(メタ)アクリル化合物と共重合可能な(メタ)アクリル化合物以外の化合物であれば特に制限されず、例えば、スチレン、ビニルトルエン及びα-メチルスチレン等のα位又は芳香族環に置換基を有してもよいスチレン化合物、アクリロニトリル及びビニル-n-ブチルエーテル等のビニルアルコールエステル、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル及びマレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、並びに、クロトン酸が挙げられる。
これらの重合性単量体は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、アルカリ現像性をより良好にする点から、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基及びホスホン酸基が挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル樹脂は、カルボキシ基を有する構成単位を有することが好ましく、上記の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有することがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂における酸基を有する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸に由来する構成単位)の含有量は、現像性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂の全質量に対して、10質量%以上が好ましい。上限は特に制限されないが、アルカリ耐性に優れる点で、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有することがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有する場合、(メタ)アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、1~90質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、1~30質量%が更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の両者を有する樹脂が好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂としては、メタクリル酸に由来する構成単位、メタクリル酸メチルに由来する構成単位及びアクリル酸エチルに由来する構成単位を有するアクリル樹脂も好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましく、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の両者を有することが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂におけるメタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されず、100質量%以下であってもよく、80質量%以下が好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群から選択される少なくとも1種と、アクリル酸に由来する構成単位及びアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群から選択される少なくとも1種とを有することも好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、樹脂膜を製造する際の感光性組成物層の現像性に優れる点で、末端にエステル基を有することが好ましい。
なお、(メタ)アクリル樹脂の末端部は、合成に用いた重合開始剤に由来する部位により構成される。末端にエステル基を有する(メタ)アクリル樹脂は、エステル基を有するラジカルを発生する重合開始剤を用いることにより合成できる。
バインダーポリマーの他の好適態様としては、アルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
バインダーポリマーは、現像性の点から、60mgKOH/g以上の酸価を有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、加熱により架橋成分と熱架橋し、強固な膜を形成しやすい点から、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する樹脂(いわゆる、カルボキシ基含有樹脂)であることがより好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂(いわゆる、カルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂)であることが更に好ましい。
バインダーポリマーがカルボキシ基を有する樹脂である場合、例えば、ブロックイソシアネート化合物等の熱架橋性化合物を添加して熱架橋することで、3次元架橋密度を高めることができる。また、カルボキシ基を有する樹脂のカルボキシ基が無水化され、疎水化すると、湿熱耐性が改善し得る。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂としては、上記酸価の条件を満たす限り、特に制限はなく、公知の(メタ)アクリル樹脂から適宜選択できる。
例えば、特開2011-095716号公報の段落[0025]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、特開2010-237589号公報の段落[0033]~[0052]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂等を好ましく使用できる。
アルカリ可溶性樹脂の他の好適態様としては、スチレン-アクリル共重合体が挙げられる。
なお、本明細書において、「スチレン-アクリル共重合体」とは、スチレン化合物に由来する構成単位と、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位とを有する樹脂を意味する。上記スチレン化合物に由来する構成単位、及び、上記(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の合計含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
また、スチレン化合物に由来する構成単位の含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、5~80質量%が更に好ましい。
また、上記(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20~95質量%が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性を有する樹脂である限り、上記の態様に制限されない。アルカリ可溶性樹脂の他の好適態様としては、アルカリ可溶性ウレタン樹脂(例えば、大成ファインケミカル株式会社製「PH-9001」等)、ポリエステルウレタン樹脂(例えば、東洋紡株式会社製「バイロン UR-3500」等)」、及び、有機無機ハイブリッド樹脂(荒川化学工業株式会社社製「コンポセラン SQ109」等)が挙げられる。
バインダーポリマーの他の好適態様としては、芳香環構造を有するポリマーが挙げられ、芳香環構造を有する構成単位を有するポリマーがより好ましい。
芳香環構造を有する構成単位を形成するモノマーとしては、例えば、アラルキル基を有するモノマー、スチレン及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、及びスチレントリマー等)が挙げられる。なかでも、アラルキル基を有するモノマー又はスチレンが好ましい。アラルキル基としては、例えば、置換又は非置換のフェニルアルキル基(ベンジル基を除く)及び置換又は非置換のベンジル基が挙げられ、置換又は非置換のベンジル基が好ましい。
フェニルアルキル基を有する単量体としては、例えば、フェニルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ベンジル基を有する単量体としては、ベンジル基を有する(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等;ベンジル基を有するビニルモノマー、例えば、ビニルベンジルクロライド、及びビニルベンジルアルコールが挙げられる。なかでも、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
バインダーポリマーが芳香環構造を有する構成単位を有する場合、芳香環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~70質量%より好ましく、20~60質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける芳香環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましい。
なお、本明細書において、「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、上記「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。また、本明細書において、上記「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。以下においても同様である。
バインダーポリマーの他の好適態様としては、脂肪族炭化水素環構造を有するポリマーが挙げられる。つまり、バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有することが好ましい。脂肪族炭化水素環構造としては単環でも多環でもよい。なかでも、バインダーポリマーは、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造を有することがより好ましい。
脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位における脂肪族炭化水素環構造を構成する環としては、トリシクロデカン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ノルボルナン環及びイソボロン環が挙げられる。
なかでも、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環が好ましく、テトラヒドロジシクロペンタジエン環(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環)がより好ましい。
脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を形成するモノマーとしては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
バインダーポリマーが脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有する場合、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、20~70質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーが芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有する場合、芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の総含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、40~75質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の合計含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましく、40~60モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーは、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基及びリン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
上記酸基を有する構成単位としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位が好ましく、メタクリル酸に由来する構成単位がより好ましい。
バインダーポリマーが酸基を有する構成単位を有する場合、酸基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける酸基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーは、反応性基を有することが好ましく、反応性基を有する構成単位を有することがより好ましい。
反応性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、エチレン性不飽和基がより好ましい。また、バインダーポリマーがエチレン性不飽和基を有する場合、バインダーポリマーは、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を有することが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を意味し、「側鎖」とは、主鎖から枝分かれしている原子団を意味する。
エチレン性不飽和基としては、アリル基又は(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
反応性基を有する構成単位の一例としては、下記に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2023015568000001
バインダーポリマーが反応性基を有する構成単位を有する場合、反応性基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、20~40質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける反応性基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
反応性基をバインダーポリマーに導入する手段としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第1級アミノ基、第2級アミノ基、アセトアセチル基及びスルホ基等の官能基に、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物及びカルボン酸無水物等の化合物を反応させる方法が挙げられる。
反応性基をバインダーポリマーに導入する手段の好ましい例としては、カルボキシ基を有するポリマーを重合反応により合成した後、高分子反応により、得られたポリマーのカルボキシ基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて、(メタ)アクリロキシ基をポリマーに導入する手段が挙げられる。この手段により、側鎖に(メタ)アクリロキシ基を有するバインダーポリマーを得ることができる。
上記重合反応は、70~100℃の温度条件で行うことが好ましく、80~90℃の温度条件で行うことがより好ましい。上記重合反応に用いる重合開始剤としては、アゾ系開始剤が好ましく、例えば、富士フイルム和光純薬社製のV-601(商品名)又はV-65(商品名)がより好ましい。上記高分子反応は、80~110℃の温度条件で行うことが好ましい。上記高分子反応においては、アンモニウム塩等の触媒を用いることが好ましい。
バインダーポリマーの他の好適態様としては、2個以上の熱架橋性基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、分子内に2個以上のエポキシ基またはオキセタニル基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及び、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
(酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する樹脂)
樹脂膜がポジ型感光性組成物層から形成される場合、ポジ型感光性組成物層は、酸分解性基で保護された酸基を有する樹脂を含むことが好ましい。
上記酸分解性基で保護された酸基を有する樹脂は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(以下、「構成単位A」ともいう。)を有する重合体(以下、「重合体A」ともいう。)であることが好ましい。
また、樹脂膜は、重合体Aに加え、他の重合体を含んでいてもよい。本明細書においては、重合体A及び他の重合体を合わせて「重合体成分」ともいう。
上記重合体Aは、露光により生じる触媒量の酸性物質の作用により、重合体A中の酸分解性基が脱保護して、酸基が露出してアルカリ現像液に対する溶解性が向上する。
上記重合体成分に含まれる重合体は、いずれも、後述する酸基を有する構成単位を有することが好ましい。本明細書における上記重合体成分は、特に制限されず、必要に応じて添加される他の重合体を含めたものを意味する。
重合体Aとしては、付加重合型の重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体がより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位は、例えば、スチレンに由来する構成単位及びビニル化合物に由来する構成単位を有していてもよい。
-構成単位A-
構成単位Aは、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位である。
酸分解性基で保護された酸基としては、公知の酸基及び公知の酸分解性基が挙げられる。
酸基としては、例えば、カルボキシ基及びフェノール性水酸基が挙げられる。また、酸分解性基で保護された酸基としては、例えば、酸により比較的分解し易い基(例えば、テトラヒドロピラニルエステル基及びテトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基等)、酸により比較的分解し難い基(例えば、tert-ブチルエステル基等の第三級アルキル基、並びに、tert-ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基等)が挙げられる。
なかでも、上記酸分解性基としては、アセタール系官能基で保護された構造を有する基であることが好ましい。
構成単位Aの含有量は、重合体Aの全質量に対して、20質量%以上が好ましく、20~90質量%がより好ましく、30~70質量%が更に好ましい。
-構成単位B-
重合体Aは、酸基を有する構成単位Bを含んでいてもよい。
構成単位Bは、例えば、酸分解性基で保護されていない酸基、即ち、保護基を有さない酸基を含む構成単位である。重合体Aが構成単位Bを含むことで、パターン露光後の現像工程においてアルカリ現像液に溶けやすくなり、現像時間の短縮化を図ることができる。
構成単位Bとしては、上述したアルカリ可溶性樹脂が有する構成単位が挙げられる。
構成単位Bの含有量は、重合体Aの全質量に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~10質量%が更に好ましい。
-その他の構成単位-
重合体Aは、上述した構成単位A及びB以外に、他の構成単位(以下、「構成単位C」ともいう。)を含んでいてもよい。
構成単位Cを形成するモノマーとしては、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、脂肪族環式骨格を有する基及びその他不飽和化合物が挙げられる。
構成単位Cとしては、芳香環を有する構成単位、又は、脂肪族環式骨格を有する構成単位が好ましい。
また、構成単位Cを形成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルも好ましく、炭素数4~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。
構成単位Cの含有量は、重合体Aの全質量に対して、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
重合体Aが、構成単位Cとして、上記構成単位Bにおける酸基のエステルを有する構成単位を含むことも、現像液に対する溶解性、及び、上記感光性組成物層の物理物性を最適化する点から好ましい。
重合体Aの製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いてもよい。
例えば、構成単位A1を形成するためのモノマーと、構成単位Bを形成するためのモノマーと、構成単位Cを形成するためのモノマーとを含む有機溶剤中で、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は、樹脂膜の強靭性がより優れる点から、10,000以上が好ましく、30,000以上がより好ましく、30,000~100,000が更に好ましい。
バインダーポリマーの酸価は、10~200mgKOH/gが好ましく、60~200mgKOH/gがより好ましく、100~200mgKOH/gが更に好ましい。
なお、バインダーポリマーの酸価は、JIS K0070:1992に記載の方法に従って、測定される値である。
バインダーポリマーの分散度は、現像性の点から、1.0~6.0が好ましく、1.0~5.0がより好ましく、1.0~4.0が更に好ましく、1.0~3.0が特に好ましい。
バインダーポリマーは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
バインダーポリマーの含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、30~80質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーが重合体Aを含む場合、重合体Aの含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、50~99質量%が好ましく、70~98質量%がより好ましい。
<重合性化合物>
感光性組成物層は、重合性化合物を含んでいてもよい。
重合性化合物は、重合性基を有する化合物である。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基が挙げられ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性化合物は、エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物(以下、単に「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)を含むことが好ましい。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロキシ基が好ましい。
なお、本明細書におけるエチレン性不飽和化合物は、上記バインダーポリマー以外の化合物であり、分子量5,000未満であることが好ましい。
重合性化合物の好適態様としては、式(M)で表される化合物(以下、「化合物M」ともいう。)が挙げられる。
-R-Q 式(M)
式(M)中、Q及びQは、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイルオキシ基を表す。Rは、鎖状構造を有する2価の連結基を表す。
及びQは、同一であっても異なっていてもよいが、合成容易性の点から、Q及びQは、同じ基であることが好ましい。
としては、炭化水素基、及び、炭化水素基のアルキレンオキサイド(-L-O-)付加物が挙げられ、炭素数6~20の炭化水素基、又は、炭化水素基のアルキレンオキサイド(-L-O-)付加物が好ましい。
上記炭化水素基は、少なくとも一部に鎖状構造を有していればよく、上記鎖状構造以外の部分としては、例えば、分岐鎖状、環状、又は、炭素数1~20の直鎖状アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、及び、それらの組み合わせのいずれであってもよく、アルキレン基、又は、2以上のアルキレン基と1以上のアリーレン基とを組み合わせた基が好ましい。
炭化水素基のアルキレンオキサイド付加物としては、アルキレンオキシアルキレン基(-L-O-L-)、ポリアルキレンオキシアルキレン基(-(L-O)-L-)、及び、ポリアルキレンオキシアルキレン基以外の炭化水素基のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
なお、上記Lは、それぞれ独立に、アルキレン基を表し、エチレン基、プロピレン基、又は、ブチレン基が好ましく、エチレン基又は1,2-プロピレン基がより好ましい。pは2以上の整数を表し、10~30の整数であることが好ましい。
また、化合物MにおけるQとQとの間を連結する最短の連結鎖の原子数は、20~150個が好ましく、30~120個がより好ましく、40~90個が更に好ましい。
本明細書において、「QとQの間を連結する最短の連結鎖の原子数」とは、Qに連結するRにおける原子からQに連結するRにおける原子までを連結する最短の原子数である。
化合物Mとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA又は水添ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート及びそのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールF又は水添ビスフェノールFのジ(メタ)アクリレート及びそのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、並びに、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。上記エステルモノマーは混合物としても使用できる。
重合性化合物の他の好適態様としては、2官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
本明細書において、「2官能以上のエチレン性不飽和化合物」とは、1分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を意味する。
エチレン性不飽和化合物におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。つまり、エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
上記化合物M以外の2官能のエチレン性不飽和化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、及び、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
2官能のエチレン性不飽和化合物の市販品としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:NKエステル A-DCP、新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(商品名:NKエステル DCP、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-NOD-N、新中村化学工業社製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-HD-N、新中村化学工業社製)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(商品名:NKエステル BPE-500及び900、新中村化学工業社製)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:NKエステル 23G 新中村化学工業社製)、並びに、ジオキサングリコールジアクリレート(日本化薬社製KAYARAD R-604)が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、及び、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及び、ヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
重合性化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられ、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートも挙げられる。3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル社製)、NKオリゴ UA-32P、U-15HA、UA-122P、UA-160TM、UA-1100H(いずれも新中村化学工業社製)、AH-600(共栄社化学社製)、並びに、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、及びUX-5000(いずれも日本化薬社製)が挙げられる。
重合性化合物の他の好適態様としては、酸基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
酸基としては、リン酸基、スルホ基、及び、カルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、酸基を有する3~4官能のエチレン性不飽和化合物〔ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価:80~120mgKOH/g)〕、及び、酸基を有する5~6官能のエチレン性不飽和化合物〔ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価:25~70mgKOH/g)〕が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、必要に応じ、酸基を有する2官能のエチレン性不飽和化合物と組み合わせて使用してもよい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、特開2004-239942号公報の段落[0025]~[0030]に記載の酸基を有する重合性化合物が好ましく、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、及び、β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート等のフタル酸系化合物、並びに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルも挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物のカプロラクトン変性化合物(例えば、日本化薬社製KAYARAD(登録商標)DPCA-20、新中村化学工業社製A-9300-1CL等)、エチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(例えば、日本化薬社製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業社製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標)135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製A-GLY-9E等)も挙げられる。
重合性化合物(特にエチレン性不飽和化合物)としては、樹脂膜を製造する際の感光性組成物層の現像性に優れる点で、エステル結合を含むものも好ましい。
エステル結合を含むエチレン性不飽和化合物としては、分子内にエステル結合を含むものであれば特に制限されないが、テトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物が好ましく、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又は、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレートがより好ましい。
信頼性付与の点から、エチレン性不飽和化合物としては、炭素数6~20の脂肪族基を有するエチレン性不飽和化合物と、上記のテトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物と、を含むことが好ましい。
炭素数6以上の脂肪族構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合性化合物の分子量は、200~3,000が好ましく、250~2,600がより好ましく、280~2,200が更に好ましく、300~2,200が特に好ましい。
感光性組成物層に含まれる重合性化合物のうち、分子量300以下の重合性化合物の含有量は、感光性組成物層に含まれる全ての重合性化合物の合計含有量に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。下限は、0質量%以上の場合が多い。
感光性組成物層は、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、2官能のエチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。
また、感光性組成物層は、式(M)で表される化合物と、後述するブロックイソシアネート化合物とを含むことがより好ましい。
感光性組成物層は、エチレン性不飽和化合物として単官能エチレン性不飽和化合物を含んでいてもよい。
上記エチレン性不飽和化合物における2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、感光性組成物層に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物の合計含有量に対して、60~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。
重合性化合物(特にエチレン性不飽和化合物)は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
重合性化合物(特にエチレン性不飽和化合物)の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、1~70質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましく、5~60質量%が更に好ましく、5~50質量%が特に好ましい。
貫通孔のサイズがより均一になり、分離精度がより向上する点から、感光性組成物層において、バインダーポリマーの含有量に対する重合性化合物の含有量の質量比(100×重合性化合物の含有量/バインダーポリマーの含有量)は、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、樹脂膜の柔軟性がより向上し、強靭性がより優れる点から、150%以下が好ましく、120%以下がより好ましく、100%以下が更に好ましい。
<重合開始剤>
感光性組成物層は、重合開始剤を含んでいてもよい。
重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては特に制限はなく、公知の光重合開始剤を使用できる。
光重合開始剤としては、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)、及び、N-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N-フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)が挙げられる。
光重合開始剤は、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
また、光重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落[0031]~[0042]、及び、特開2015-014783号公報の段落[0064]~[0081]に記載された重合開始剤を用いてもよい。
光重合開始剤の市販品としては、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製〕、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-02、BASF社製〕、IRGACURE(登録商標)OXE03(BASF社製)、IRGACURE(登録商標)OXE04(BASF社製)、IRGACURE(登録商標)307(BASF社製)、IRGACURE(登録商標)379(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン〔商品名:Omnirad(登録商標)379EG、IGM Resins B.V社製〕、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)907、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)127、IGM Resins B.V社製〕、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1〔商品名:Omnirad(登録商標)369、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)1173、IGM Resins B.V社製〕、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔商品名:Omnirad(登録商標)184、IGM Resins B.V社製〕、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)651、IGM Resins B.V社製〕等、オキシムエステル系の〔商品名:Lunar(登録商標) 6、DKSHジャパン社製〕、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)、APi-307(1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、Shenzhen UV-ChemTech Ltd.社製)、及び、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール(HABI)が挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。2種以上を使用する場合は、オキシム系光重合開始剤と、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤及びα-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種と、を使用することが好ましい。
感光性組成物層が光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、感光性組成物層の全質量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
<光酸発生剤>
感光性組成物層は、光酸発生剤を含んでいてもよい。
感光性組成物層が上記の酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する樹脂を含む場合、感光性組成物層は光酸発生剤を含むことが好ましい。
光酸発生剤(光カチオン重合開始剤)は、活性光線を受けて酸を発生する化合物である。光酸発生剤としては、波長300nm以上(好ましくは波長300~450nm)の活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は特に制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて用いることができる。
光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤が更に好ましい。下限は特に制限されないが、-10.0以上が好ましい。
光酸発生剤としては、イオン性光酸発生剤及び非イオン性光酸発生剤が挙げられる。
イオン性光酸発生剤としては、例えば、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、並びに、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。また、イオン性光酸発生剤としては、特開2014-085643号公報の段落[0114]~[0133]に記載のイオン性光酸発生剤を用いてもよい。
非イオン性光酸発生剤としては、例えば、トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物及びイミドスルホネート化合物としては、特開2011-221494号公報の段落[0083]~[0088]に記載の化合物を用いてもよい。また、オキシムスルホネート化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落[0084]~[0088]に記載された化合物を用いてもよい。
光酸発生剤としては、感度及び解像性の点から、オニウム塩化合物、及び、オキシムスルホネート化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことも好ましく、感度、解像性及び密着性の点から、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
光酸発生剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物層が光酸発生剤を含む場合、光酸発生剤の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0.1~30質量%が好ましく、0.1~20質量%がより好ましく、0.5~15質量%が更に好ましい。
<熱架橋性化合物>
感光性組成物層は、得られる樹脂膜の強度、及び、得られる未樹脂膜の粘着性の点から、熱架橋性化合物を含むことが好ましい。なお、本明細書においては、後述するエチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、エチレン性不飽和化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
熱架橋性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール化合物及びブロックイソシアネート化合物が挙げられる。なかでも、得られる樹脂膜の強度及び得られる感光性組成物層の粘着性の点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、バインダーポリマー及びエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物の少なくとも一方が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、樹脂膜としての機能が強化される傾向がある。
なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(いわゆる、マスク)した構造を有する化合物」を意味する。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、90~160℃が好ましく、100~150℃がより好ましい。
ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。
示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に使用できる。ただし、示差走査熱量計は、これに限定されない。
解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、活性メチレン化合物〔マロン酸ジエステル(例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル等)〕、オキシム化合物(例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム及びシクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物等)が挙げられる。なかでも、解離温度が90~160℃であるブロック剤としては、保存安定性の点から、オキシム化合物及びピラゾール化合物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、膜の脆性改良、及び、被転写体との密着力向上等の点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
なかでも、イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物としては、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、かつ、現像残渣を少なくしやすいという点から好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、及び、スチリル基等のエチレン性不飽和基、並びに、グリシジル基等のエポキシ基を有する基が挙げられる。
なかでも、重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
ブロックイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。
ブロックイソシアネート化合物の市販品としては、例えば、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BP等(以上、昭和電工社製)、ブロック型のデュラネートシリーズ(例えば、デュラネート(登録商標) TPA-B80E、デュラネート(登録商標)SBN-70D、デュラネート(登録商標) WT32-B75P等、旭化成ケミカルズ社製)が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物のNCO価は、4.5mmol/g以上が好ましく、5.0mmol/g以上がより好ましく、5.3mmol/g以上が更に好ましい。ブロックイソシアネート化合物のNCO価の上限は特に制限されないが、8.0mmol/g以下が好ましく、6.0mmol/g以下がより好ましく、5.8mmol/g未満が更に好ましく、5.7mmol/g以下が特に好ましい。
ブロックイソシアネート化合物のNCO価は、ブロックイソシアネート化合物1g当たりに含まれるイソシアネート基のモル数を意味し、ブロックイソシアネート化合物の構造式から計算される値である。
熱架橋性化合物としては、親水性及び柔軟性の点から、エポキシ系熱架橋性化合物を使用することも好ましい。エポキシ系熱架橋性化合物としては、例えば、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ系熱架橋性化合物としては、市販品を使用できる。
エポキシ系熱架橋性化合物の市販品としては、例えば、JER152、JER157S70、JER157S65、JER806、JER828、及び、JER1007((株)三菱ケミカルホールディングス製)、特開2011-221494号公報の段落番号0189に記載の市販品、デナコール(登録商標)EXシリーズ、デナコール(登録商標)DLCシリーズ(以上ナガセケムテック製)、並びに、YH-300、YH-301、YH-302、YH-315、YH-324、YH-325(以上新日鐵化学製)が挙げられる。
熱架橋性化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物層が熱架橋性化合物を含む場合、熱架橋性化合物の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、1~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
<界面活性剤>
感光性組成物層は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0017]及び特開2009-237362号公報の段落[0060]~[0071]に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP.MFS-330、EXP.MFS-578、EXP.MFS-579、EXP.MFS-586、EXP.MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC社製)、フロラード FC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC社製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681、683(以上、NEOS社製)が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC社製のメガファック DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えば、メガファック DS-21が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。
また、フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体も使用できる。具体的には、メガファック RS-101、RS-102、RS-718K及びRS-72-K(以上、DIC社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の点から、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック L10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(以上、BASF社製)、テトロニック 304、701、704、901、904、150R1(以上、BASF社製)、ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール社製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬社製)、パイオニン D-6112、D-6112-W、D-6315(以上、竹本油脂社製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(以上、日信化学工業社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、及び、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング社製)並びに、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン社製)、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物層が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0.01~3.0質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましく、0.05~0.80質量%が更に好ましい。
<重合禁止剤>
感光性組成物層は、重合禁止剤を含んでいてもよい。
重合禁止剤とは、重合反応を遅延又は禁止させる機能を有する化合物を意味する。重合禁止剤としては、例えば、重合禁止剤として用いられる公知の化合物を使用できる。
樹脂膜に形成される貫通孔の開口面積がより均一になり、樹脂膜の分離精度がより向上する点で、樹脂膜は、重合禁止剤を含むことが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、フェノチアジン、ビス-(1-ジメチルベンジル)フェノチアジン及び3,7-ジオクチルフェノチアジン等のフェノチアジン化合物;ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン及びペンタエリスリトールテトラキス3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール化合物;4-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン及びN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物又はその塩;メチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン及び4-ベンゾキノン等のキノン化合物;4-メトキシフェノール、4-メトキシ-1-ナフトール及びt-ブチルカテコール等のフェノール化合物;ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン及びジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の金属塩化合物が挙げられる。
重合禁止剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物層が重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0.001~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.02~2.0質量%が更に好ましい。重合禁止剤の含有量は、重合性化合物の全質量に対しては、0.005~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.01~1.0質量%が更に好ましい。
<水素供与性化合物>
感光性組成物層は、水素供与性化合物を含んでいてもよい。
水素供与性化合物は、光重合開始剤の活性光線に対する感度を一層向上させる、及び、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
水素供与性化合物としては、例えば、アミン類及びアミノ酸化合物が挙げられる。
アミン類としては、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44-020189号公報、特開昭51-082102号公報、特開昭52-134692号公報、特開昭59-138205号公報、特開昭60-084305号公報、特開昭62-018537号公報、特開昭64-033104号公報及びResearch Disclosure 33825号等に記載の化合物が挙げられる。具体的には、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB-F)、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン(別名:ロイコクリスタルバイオレット)、トリエタノールアミン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p-ホルミルジメチルアニリン、及び、p-メチルチオジメチルアニリンが挙げられる。
なかでも、アミン類としては、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、及び、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
アミノ酸化合物としては、例えば、N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン及びN-エチル-N-フェニルグリシンが挙げられる。
水素供与性化合物としては、例えば、特公昭48-042965号公報に記載の有機金属化合物(例えば、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55-034414号公報に記載の水素供与体、及び、特開平6-308727号公報に記載の硫黄化合物(例えば、トリチアン等)も挙げられる。
水素供与性化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物層が水素供与性化合物を含む場合、水素供与性化合物の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスとによる硬化速度の向上の点から、感光性組成物層の全質量に対して、0.01~10.0質量%が好ましく、0.01~8.0質量%がより好ましく、0.03~5.0質量%が更に好ましい。
<不純物等>
感光性組成物層は、所定量の不純物を含んでいてもよい。
不純物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、ハロゲン及びこれらのイオンが挙げられる。なかでも、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン等)、ナトリウムイオン及びカリウムイオンは、不純物として混入し易いため、下記の含有量であることが好ましい。
不純物の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、80質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましく、2質量ppm以下が更に好ましい。下限は、感光性組成物層の全質量に対して、1質量ppb以上が好ましく、0.1質量ppm以上がより好ましい。具体的には、上記で挙げた不純物の合計含有量が、感光性組成物層の全質量に対して、0.6質量ppm以下である態様が挙げられる。
不純物を上記範囲にする方法としては、感光性組成物層の原料として不純物の含有量が少ないものを選択すること、並びに、感光性組成物層及び樹脂膜の形成時に、不純物の混入を防ぐこと及び洗浄して除去することが挙げられる。
不純物の含有量の測定方法は、例えば、ICP発光分光分析法、原子吸光分光法及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法が挙げられる。
感光性組成物層中の、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びヘキサンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物Xの含有量は、少ないことが好ましい。具体的には、感光性組成物層の全質量に対して、100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、4質量ppm以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、感光性組成物層の全質量に対して、10質量ppb以上の場合が多く、100質量ppb以上が好ましい。
化合物Xの含有量の調整方法としては、例えば、上記不純物の含有量の調整方法が挙げられる。化合物Xの含有量の測定方法としては、例えば、公知の測定方法が挙げられる。
感光性組成物層中の水の含有量は、少ない方が好ましい。具体的には、水の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0.01~1.0質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
<他の成分>
感光性組成物層は、上述した成分以外の他の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、着色剤、酸化防止剤及び特開2000-310706号公報の段落[0058]~[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。
感光性組成物層が粒子を含む場合、金属種及び大きさ等の異なる粒子を2種以上含んでいてもよい。
感光性組成物層は粒子を含まないか、又は、感光性組成物層が粒子を含む場合、粒子の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0質量%超35質量%以下が好ましく、感光性組成物層は粒子を含まないか、又は、感光性組成物層が粒子を含む場合、粒子の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0質量%超10質量%以下がより好ましく、感光性組成物層は粒子を含まないか、又は、感光性組成物層が粒子を含む場合、粒子の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0質量%超5質量%以下が更に好ましく、感光性組成物層は粒子を含まないか、又は、感光性組成物層が粒子を含む場合、粒子の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0質量%超1質量%以下が特に好ましく、感光性組成物層は粒子を含まないことが最も好ましい。
-着色剤-
感光性組成物層は、微量の着色剤(例えば、顔料及び染料等)を含んでいてもよく、着色剤を実質的に含まなくてもよい。
感光性組成物層が着色剤を含む場合、着色剤の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、1質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましい。
-酸化防止剤-
酸化防止剤としては、例えば、1-フェニル-3-ピラゾリドン(別名:フェニドン)、1-フェニル-4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン及び1-フェニル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリドン等の3-ピラゾリドン類;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン及びクロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類;パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン及びパラフェニレンジアミンが挙げられる。
感光性組成物層が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の含有量は、感光性組成物層の全質量に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、1質量%以下が好ましい。
<感光性組成物層の特性>
(溶解速度)
現像時の残渣抑制の点から、感光性組成物層(膜厚1.0~10μmの範囲内)の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に対する溶解速度は、0.01μm/秒以上が好ましく、0.10μm/秒以上がより好ましく、0.20μm/秒以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、5.0μm/秒以下が好ましく、4.0μm/秒以下がより好ましく、3.0μm/秒以下が更に好ましい。具体的には、1.8μm/秒、1.0μm/秒、0.7μm/秒が挙げられる。
感光性組成物層の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に対する溶解速度は、以下の方法で測定するものとする。
ガラス基板に形成した、溶剤を十分に除去した感光性組成物層(膜厚:1.0~10μmの範囲内)に対し、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて25℃で、感光性組成物層が全て溶けるまでシャワー現像を行う(ただし、最長で2分間までとする)。
感光性組成物層の膜厚を、感光性組成物層が全て溶けるまでに要した時間で割り算することで求める。なお、2分間で全てが溶けない場合は、それまでの膜厚変化量から同様に計算する。
(異物の含有量)
感光性組成物層中の直径1.0μm以上の異物の数は、貫通孔形成の点から、10個/mm以下が好ましく、5個/mm以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0個/mmの場合が多い。
異物の数は、以下の方法で測定するものとする。感光性組成物層の表面の法線方向から、感光性組成物層の面上の任意の5か所の領域(1mm×1mm)を、光学顕微鏡を用いて目視にて観察して、各領域中の直径1.0μm以上の異物の数を測定して、それらを算術平均して異物の数として算出する。具体的には、0個/mm、1個/mm、4個/mm及び8個/mmが挙げられる。
[樹脂膜の用途]
本発明に係る樹脂膜は、種々の用途に適用できる。
樹脂膜の用途としては、例えば、樹脂膜、細胞分離、選択透過膜、マイクロセンサ、薬物送達フィルム、及び、細胞培養基材が挙げられる。なかでも、本発明に係る樹脂膜は、細胞分離用樹脂フィルタとして用いることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[原料]
実施例及び比較例において、樹脂膜の製造に使用した原料を以下に示す。
〔バインダーポリマー〕
・B1:St/MMA/MAA=52/19/29(質量比)の共重合体(酸価189mgKOH/g、Mw=70000)
・B2:St/MMA/MAA=52/19/29(質量比)の共重合体(酸価189mgKOH/g、Mw=100000)
・B3:St/MMA/MAA=52/19/29(質量比)の共重合体(酸価189mgKOH/g、Mw=30000)
・B4:St/MMA/MAA/MAA-GMA=47/2/19/32(質量比)の共重合体(酸価124mgKOH/g、Mw=42000)
・B5:DCPMA/MMA/MAA=52/19/29(質量比)の共重合体(酸価189mgKOH/g、Mw=70000)
・B6:BnMA/MMA/MAA=52/19/29(質量比)の共重合体(酸価189mgKOH/g、Mw=70000)
・B7:St/MMA/MAA/HEMA=52/19/19/10(質量比)の共重合体(酸価124mgKOH/g、Mw=70000)
・B8:St/MMA/MAA/2EHA=42/19/29/10(質量比)の共重合体(酸価189mgKOH/g、Mw=70000)
・B9:St/MMA/MAA/AM-90G=42/19/29/10(質量比)の共重合体(酸価189mgKOH/g、Mw=70000)
・上記樹脂中の各表記は以下を示す。
・St:スチレン
・MAA:メタクリル酸
・MMA:メタクリル酸メチル
・MMA-GMA:メタクリル酸にグリシジルメタクリレートを付加させた化合物
・DCPMA:メタクリル酸ジシクロペンタニル
・BnMA:メタクリル酸ベンジル
・HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
・2EHA:メタクリル酸2-エチルヘキシル
・AM-90G:メトキシポリエチレングリコールアクリレート
〔重合性化合物〕
・「BPE-500」:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(NKエステル BPE-500、新中村化学工業(株)製)
・「BPE-900」:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(NKエステル BPE-900、新中村化学工業(株)製)
・「23G」:ポリエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル 23G、新中村化学工業(株)製)
・「UA-160TM」:ウレタン(メタ)アクリレート(NKオリゴ UA-160TM、新中村化学工業(株)製)
・「UA-122P」:ウレタン(メタ)アクリレート(NKオリゴ UA-122P、新中村化学工業(株)製)
・「A-NOD-N」:1,9-ノナンジオールジアクリレート(NKエステル A-NOD-N、新中村化学工業(株)製)
・「A-DPH」:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(NKエステル A-DPH、新中村化学工業(株)製)
・「AM-30G」:メトキシポリエチレングリコールアクリレート(NKエステル AM-30G、新中村化学工業(株)製)
〔重合開始剤〕
・「HABI」:2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール
・「EAB-F」:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成工業社製)
・「Irgacure OXE-02」:BASF社製
・「Irgacure379」:BASF社製
〔重合禁止剤〕
・フェノチアジン
〔添加剤〕
・「デュラネート(登録商標)SBN-70D」:旭化成ケミカルズ社製(ブロックイソシアネート系熱架橋性化合物)
・「JER828」:(株)三菱ケミカルホールディングス製(エポキシ系熱架橋性化合物)
〔界面活性剤〕
・「F-551A」:メガファック(登録商標)F-551A、DIC株式会社製、フッ素系界面活性剤
〔溶剤〕
・1-メトキシ-2-プロピルアセテート
・メチルエチルケトン
・プロピレングリコールモノメチルエーテル
[感光性組成物の準備]
表1及び2に記載の各原材料を混合撹拌することにより、表1及び2に示す組成を有する感光性組成物をそれぞれ調製した。下記表中、各成分欄に記載の数値は、各成分の含有量(質量部)を示す。なお、バインダーポリマーの含有量の値は、いずれも各バインダーポリマーを単独で含む溶液(固形分濃度30質量%)の添加量である。
Figure 2023015568000002
Figure 2023015568000003
[水溶性層形成用組成物の調製]
下記に示す成分及び配合で水溶性層形成用組成物1を調製した。
クラレポバールPVA-205(クラレ社製):227質量部
ポリビニルピロリドンK-30(日本触媒社製):105質量部
メガファックF-444(DIC社製):0.1質量部
イオン交換水:401質量部
メタノール:267質量部
[実施例1、5~28]
〔積層体の作製〕
仮支持体であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm、ルミラー#50-T60、東レ社製)上に、感光性組成物N1を用いて塗膜を形成し、乾燥して感光性組成物層(厚み15μm)を作製した。更に、得られた感光性組成物層の仮支持体とは反対側の面にカバーフィルム(厚み25μm、トレファン#25A-KW37(ポリプロピレンフィルム)、東レ社製)を重ね、実施例1に用いる積層体を作製した。
〔樹脂膜の作製〕
角度60°の千鳥格子状に配置された、円形状の遮光部を複数有する(遮光部の直径3μm、遮光部のピッチ20μm、60°千鳥格子状)フォトマスクを用意した。積層体の感光性組成物層とカバーフィルムとの間でカバーフィルムを剥離し、露出した感光性組成物層とフォトマスクとを接触させた状態で、超高圧水銀灯プロキシミティ露光機を用いて露光量100mJ/cm(i線換算)紫外線でパターン露光した。なお、露光角度は、感光性組成物層に対して90°であった。また、上記フォトマスクでは、3つの隣接する遮光部によって、1辺20μm、角度60°の正三角形からなる格子単位が形成され、形成された格子単位によって千鳥格子が構成されていた。
露光した感光性組成物層を、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に、25℃、60秒間の条件で浸漬し、その後、純水で25℃、60秒間の条件で洗浄した。更に、仮支持体から、得られた樹脂膜の端部の一部をテープ剥離した。テンシロン万能材料試験機RTF-2430(エーアンドディー社製)を用いて、剥離して露出した樹脂膜の端部を固定した状態で、仮支持体との剥離角度180°、剥離速度1m/minの条件で樹脂膜から仮支持体を剥離して、実施例1の樹脂膜を得た。
上記作製手順を参考にして、実施例5~28の樹脂膜を作製した。
[実施例2]
角度60°の千鳥格子状に配置された、正方形状の遮光部を複数有する(遮光部の1辺3μm、遮光部のピッチ20μm、60°千鳥格子状)を有するフォトマスクを用いた以外は、上記[実施例1、5~28]と同様の手順で、実施例2の樹脂膜を作製した。なお、フォトマスクでは、3つの隣接する遮光部によって、1辺20μm、角度60°の正三角形からなる格子単位が形成され、形成された格子単位によって千鳥格子が構成されていた。
[実施例3]
仮支持体と感光性組成物層との間に、水溶性層形成用組成物1を用いて水溶性層(厚み1μm)を形成し、更に仮支持体を剥離する際にテープ剥離に代えて、80℃の水に浸漬させることで、仮支持体を剥離した(化学的に剥離した)。それ以外は、上記[実施例1、5~28]と同様の手順で、実施例3の樹脂膜を作製した。
[実施例4]
感光性組成物層の厚みを9μmに変更した以外は、上記[実施例1、5~28]と同様の手順で、実施例4の樹脂膜を作製した。
いずれの実施例における樹脂膜が有する貫通孔の平均孔径は3μmであり、孔密度は1.3×10個/cmであった。
[比較例1]
PETフィルム(厚み15μm)を、AVFサイクロトロンに接続されたビームラインの下流に位置する照射チャンバーに収容し、照射チャンバー内の圧力を1.0×10-4Paに減圧した。次に、キセノンイオンビーム(エネルギー350MeV)を上記PETフィルムに照射した。キセノンイオンビームの照射は、上記PETフィルムの主面に垂直な方向に、照射密度3×10個/cmで実施した。次に、上記PETフィルムを照射チャンバーから取り出した後に化学エッチングした。そして、キセノンイオンのイオントラックに対応する貫通孔を有する樹脂膜(平均孔径3.0μm、孔密度は1.3×10個/cm)を得た。化学エッチングは、水酸化ナトリウム水溶液(濃度1.0M、温度60℃)にキセノンイオンビームが照射されたPETフィルムを30分浸漬した。
[評価]
〔分離精度〕
各実施例及び各比較例において製造された樹脂膜を切断して、直径47mmの円形のサンプルを作製した。得られたサンプルの表面に、粒子径1~20μmのシリカ粒子が分散した分散液を通過させた。通過前の分散液及び通過後のろ液のそれぞれに含まれるシリカ粒子の粒度分布を、島津製作所社製のレーザ回折式粒子分布測定装置「SALD-2300」を用いて測定した。また、樹脂膜に由来する残留物の有無も確認した。
〔強靭性〕
各実施例及び各比較例において製造された樹脂膜を切断して、直径47mmの円形のサンプルを作製した。このサンプルに対して、圧力150mmHgで一定量の純水を通過させた。通過処理を行った後、サンプルの表面に対して、目視での観察と光学顕微鏡を用いる観察とを行い、サンプルの破れの有無を確認した。光学顕微鏡を用いる観察では、サンプルの表面における面積1mmの領域を観察した。
Figure 2023015568000004
Figure 2023015568000005
Figure 2023015568000006
Figure 2023015568000007
本発明の貫通孔を有する樹脂膜の製造方法は、所望の効果が得られることが確認された。
工程P3-a2及び工程P3-b1が物理的に剥離する工程を含むである場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例1~3の比較等)。また、同様の比較から、積層体中の仮支持体と感光性組成物層とが直接接する場合、本発明の効果がより優れることが確認された。
感光性組成物層の厚みが10μm以上である場合、強靭性がより優れることが確認された(実施例1、2及び4の比較等)。
フォトマスクが円形状の遮光部を有する場合、分離精度がより優れることが確認された(実施例1及び2の比較等)。
10 樹脂膜
11 第1主面
12 第2主面
13 断面
20 貫通孔

Claims (12)

  1. 第1主面と第2主面とを有し、かつ、前記第1主面から前記第2主面まで貫通している貫通孔を複数有する樹脂膜の製造方法であって、
    仮支持体及び感光性組成物層を有する積層体を準備する工程P1と、
    前記感光性組成物層をパターン露光する工程P2と、
    工程P3-a又は工程P3-bと、をこの順に有し、
    前記工程P3-aが、露光された前記感光性組成物層を現像し、前記樹脂膜を形成する工程P3-a1、及び、前記仮支持体と前記樹脂膜とを剥離する工程P3-a2をこの順に有し、
    前記工程P3-bが、前記仮支持体と露光された前記感光性組成物層とを剥離する工程P3-b1、及び、前記仮支持体が剥離された前記感光性組成物層を現像し、前記樹脂膜を形成する工程P3-b2をこの順に有する、樹脂膜の製造方法。
  2. 前記工程P3-a2が、前記仮支持体と前記樹脂膜とを物理的に剥離する工程であり、
    前記工程P3-b1が、前記仮支持体と露光された前記感光性組成物層とを物理的に剥離する工程である、請求項1に記載の樹脂膜の製造方法。
  3. 前記積層体中の前記仮支持体と前記感光性組成物層とが、直接接する、請求項1又は2に記載の樹脂膜の製造方法。
  4. 前記工程P2が、フォトマスクを介してパターン露光する工程である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂膜の製造方法。
  5. 前記工程P2が、フォトマスク及び光散乱板を介してパターン露光する工程である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂膜の製造方法。
  6. 前記工程P2が、前記感光性組成物層と前記フォトマスクとを接触させてパターン露光する工程である、請求項4又は5に記載の樹脂膜の製造方法。
  7. 前記フォトマスクが、円形状の遮光部を複数有し、
    前記遮光部の全面積が、前記フォトマスクの全面積に対して、20%以下である、請求項4~6のいずれか1項に記載の樹脂膜の製造方法。
  8. 前記フォトマスクが、円形状の遮光部を複数有し、
    前記遮光部の全面積が、前記フォトマスクの全面積に対して、10%以下である、請求項4~7のいずれか1項に記載の樹脂膜の製造方法。
  9. 前記工程P3-a1が、露光された前記感光性組成物層をアルカリ性水溶液で現像し、前記樹脂膜を形成する工程であり、
    前記工程P3-b2が、前記仮支持体が剥離された前記感光性組成物層をアルカリ性水溶液で現像し、前記樹脂膜を形成する工程である、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂膜の製造方法。
  10. 前記感光性組成物層の厚みが、10μm以上である、請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂膜の製造方法。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂膜の製造方法によって製造された樹脂膜から構成される樹脂膜フィルタ。
  12. 細胞分離用である、請求項11に記載の樹脂膜フィルタ。
JP2021119430A 2021-07-20 2021-07-20 樹脂膜の製造方法、樹脂膜フィルタ Pending JP2023015568A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021119430A JP2023015568A (ja) 2021-07-20 2021-07-20 樹脂膜の製造方法、樹脂膜フィルタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021119430A JP2023015568A (ja) 2021-07-20 2021-07-20 樹脂膜の製造方法、樹脂膜フィルタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023015568A true JP2023015568A (ja) 2023-02-01

Family

ID=85131115

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021119430A Pending JP2023015568A (ja) 2021-07-20 2021-07-20 樹脂膜の製造方法、樹脂膜フィルタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023015568A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2023127889A1 (ja) 転写フィルム、積層体の製造方法、積層体、マイクロled表示素子
JP7514305B2 (ja) 転写フィルム、積層体の製造方法
WO2023002841A1 (ja) 樹脂膜フィルタ、樹脂膜フィルタの製造方法
WO2023002840A1 (ja) 樹脂膜フィルタ、樹脂膜フィルタの製造方法
JP2023015568A (ja) 樹脂膜の製造方法、樹脂膜フィルタ
JP7213981B2 (ja) 転写フィルム、積層体の製造方法およびタッチパネルの製造方法
CN115519871A (zh) 转印膜、层叠体、音响扬声器、层叠体的制造方法
WO2021199542A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、及び回路配線の製造方法
CN115136073A (zh) 转印薄膜、层叠体的制造方法
JP7438366B2 (ja) 金属パターンの形成方法、及び、蒸着用メタルマスクの製造方法
WO2022196537A1 (ja) 積層体及びその製造方法
WO2022209307A1 (ja) 積層体及び積層体の製造方法
WO2021246251A1 (ja) 転写フィルム、積層体の製造方法
WO2024004430A1 (ja) 転写フィルム、パターンの形成方法、及び回路配線の製造方法
WO2022138577A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、積層体の製造方法、回路配線の製造方法、及び、電子デバイスの製造方法
WO2023100553A1 (ja) 転写フィルム、導体パターンを有する積層体及び導体パターンを有する積層体の製造方法、転写フィルムの製造方法
WO2022138578A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、積層体の製造方法、回路配線の製造方法、及び、電子デバイスの製造方法
WO2021225162A1 (ja) 転写フィルム、積層体の製造方法、タッチセンサー、プリント配線基板の製造方法
KR20230019042A (ko) 터치 패널 센서, 및, 터치 패널 센서의 제조 방법
JP2023076385A (ja) 樹脂パターンの製造方法、導電性パターンの製造方法及び積層体
CN115826352A (zh) 感光性组合物、转印膜及具有导体图案的层叠体的制造方法
CN115729045A (zh) 具有导体图案的层叠体的制造方法、转印膜
JP2023076242A (ja) 樹脂パターンの製造方法、導電性パターンの製造方法及び積層体
TW202413096A (zh) 感光性轉印材料及其製造方法、樹脂圖案之製造方法、以及電路配線之製造方法
CN115729044A (zh) 具有导体图案的层叠体的制造方法及转印膜

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240404