JP2023013104A - 電極の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】設備を大型にすることなく、集電体となる基材へ非水系電極用分散体を均一に効率良く塗工できる塗工性能、この塗工性能に優れる電極が得られるため、長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがないといった電池性能を実現することができる電極の製造方法を提供する。【解決手段】 本発明の電極の製造方法は、少なくともロールトゥロールで連続して集電体となる基材へ非水系電極用分散体から構成される塗工液を塗布する塗工工程を有する電極の製造方法であって、前記塗工工程には、塗工液を貯蔵する貯蔵部と、基材へ塗工液を塗布する塗工部と、前記貯蔵部から塗工部へ塗工液を供給する塗工液供給管とを有する塗工部周囲エリアを備え、該塗工部周囲エリアの雰囲気の水分濃度が露点温度-20℃以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの電極に用いられる電極の製造方法に関する。
従来より、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池においては、長期間の繰り返し充放電に耐えうる電池性能が求められている。そのような電池性能を確保する試みの一つとして、従来より電極の製造方法などに関する検討が行われている。
この電極の製造方法などは、一般に、図3に示すように、活物質、溶媒(バインダー溶液)、導電材の収容された各タンク1~3から所定量供給された各材料をミキサー4で均一に分散した非水系電極用分散体を調製する工程A、得られた非水系電極用分散体(塗工液)をロールトゥロールで連続して集電体となる基材へ塗布する塗工工程B、該塗工工程Bからプレス(ロール)工程C、スリッター工程Dの各工程を経てリールEに巻き取られて次の工程(積層工程)等を経てリチウムイオン二次電池などが製造されている。
電極を製造することとなる前記塗工工程Bは、通常、得られた非水系電極用分散体(塗工液)をロールトゥロールで連続して集電体となる基材へ塗布する塗工部5、塗工された基材を乾燥(溶媒を蒸発)させる乾燥炉6とを有するものであり、基材を供給(搬送)する巻き出し部7、巻き取り部8とを備えたものである。
このような電極の製造方法などとしては、例えば、
特許文献1には、露点が-20℃以下の空気中で、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極電極、リチウムイオン伝導性の電解質及びリチウム含有酸化物焼成体を含む正極電極を積層することを特徴とする二次電池の製造方法、並びに、負極電極又は正極電極の少なくとも一方が、露点が-20℃以下の空気中で作製することが開示され、
特許文献2には、正極活物質と、導電材と、結着材とを含む正極合材層が正極集電体上に形成されたリチウムイオン二次電池用正極を製造する方法であって、露点温度が-10℃以上7℃以下の大気中であって乾球温度が20℃以上30℃以下であり且つ相対湿度が5%以上45%以下の大気中において、前記正極活物質と、前記導電材と、前記結着材とを有機溶媒に分散させてペースト状の組成物を調製する工程と、前記組成物を前記正極集電体の表面に塗布して前記正極合材層を形成する工程と、を包含することを特徴とする、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法が開示され、
特許文献3には、活物質と、前記活物質の表面上に形成され、イオン伝導性酸化物を含有するコート層とを有する複合活物質の製造方法であって、前記活物質が劣化する露点温度よりも低い露点温度の雰囲気下で、イオン伝導性酸化物の原料となるアルコキシド化合物を含有するコート層用塗工液を前記活物質の表面に塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、前記塗布膜形成工程における露点温度よりも高い露点温度の雰囲気下に前記塗布膜を曝すことにより、前記アルコキシド化合物の加水分解を促進する加水分解促進工程と、前記加水分解促進工程後の塗布膜を熱処理することにより、前記コート層を形成する熱処理工程と、を有することを特徴とする複合活物質の製造方法、並びに、前記塗布膜形成工程における露点温度が、-30℃以下であることなどが開示され、
特許文献4には、電極活物質と結着材と溶媒とを混合して造粒した複数の湿潤造粒体からなる電極合材を、対向して回転する第1ロールとこれよりも周速度が速い第2ロールとの間隙に通すことによって、前記電極合材を圧縮しつつ膜状にして、膜状にした前記電極合材を前記第2ロールの表面に付着させるロール成形工程と、前記第2ロールの表面に付着している膜状の前記電極合材を、集電箔の表面上に転写する転写工程と、前記集電箔の表面上に転写した膜状の前記電極合材を乾燥させることで、前記集電箔の表面上に電極合材層を形成する電極合材層形成工程と、を備え、前記集電箔の表面上に前記電極合材層を有する電極シートを製造する電極シートの製造方法において、前記ロール成形工程では、前記電極合材が前記第1ロールと前記第2ロールとの間隙を通過するときの、前記電極合材に含まれる前記湿潤造粒体と前記第1ロールの表面との間の液架橋力の平均値F1(kPa)と、前記電極合材に含まれる前記湿潤造粒体と前記第2ロールの表面との間の液架橋力の平均値F2(kPa)とが、F1<F2の関係を満たす電極シートの製造方法などが開示されている。
しかしながら、この特許文献1~4では、電極を形成する工程を露点温度が-20℃以下などの大気中で行うことなどが開示されているが、設備が大掛かりとなり、製造コストが高くなったりし、また、電極用分散体が大気に曝露される雰囲気を均一に低露点とするための、露点温度管理が十分に機能しない場合があり、局所的に水分濃度が高い場所から選択的に急激に非水系電極用分散体水分を吸収し、基材上にうまく電極が形成されないなどの十分な塗工性能が得られないなどの課題があり、更に、作業者から発生する水分を考慮すると、水分濃度の低い水準での均一化は極めて困難であるなどの課題があるのが現状であった。
特開2001-68159号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2013-37774号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2013-243107号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2019-106311号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来の課題等について解消しようとするものであり、必要最小限の設備で、低コストで、安定した塗工性能、作製される電極の品質が優れるものであるために、長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがなく、優れた電池性能を実現する、電極の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題について鋭意検討した結果、下記の第1乃至第6発明により、上記目的の電極の製造方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本第1発明は、少なくともロールトゥロールで連続して集電体となる基材へ非水系電極用分散体から構成される塗工液を塗布する塗工工程を有する電極の製造方法であって、前記塗工工程には、塗工液を貯蔵する貯蔵部と、基材へ塗工液を塗布する塗工部と、前記貯蔵部から塗工部へ塗工液を供給する塗工液供給管とを有する塗工部周囲エリアを備え、該塗工部周囲エリアの雰囲気の水分濃度が露点温度-20℃以下であることを特徴とする。
本第2発明は、前記塗工部周囲エリアは、該塗工部周囲エリアから物理的に隔てられた外部よりも1Pa以上陽圧であることを特徴とする本第1発明に記載の電極の製造方法。
本第3発明は、前記基材が、前記塗工部周囲エリアと前記物理的に隔てられた外部が物理的に貫通している少なくとも1か所の開口部を通って塗工が行われることを特徴とする本第1発明又は本第2発明に記載の電極の製造方法。
本第4発明は、前記開口部が、前記基材が塗工部に向かい搬送されて入ってくる入口と、塗工液が基材へ塗布される塗工部から搬送され出ていく出口の2か所であることを特徴とする本第1発明又は本第2発明に記載の電極の製造方法。
本第5発明は、前記塗工部周囲エリアは、貯蔵部エリアと塗工部エリアに分割されると共に、該貯蔵部エリアと塗工部エリアの雰囲気の水分濃度がそれぞれ露点温度-20℃以下であることを特徴とする本第1発明~本第4発明の何れか一つに記載の電極の製造方法。
本第6発明は、前記塗工部周囲エリアには、露点が-25℃以下であるドライエアーが供給されることを特徴とする本第1発明~本第5発明の何れか一つに記載の電極の製造方法。
なお、本明細書において「露点温度(Dew Point Temperature:dp)」とは、水蒸気を含む空気を冷却したとき、相対湿度が100%となって飽和に達し、水蒸気の一部が凝縮して結露が始まる温度をいう。
本発明によれば、必要最小限の設備で、低コストで、安定した塗工性能、作製される電極の品質が優れるものであるために、長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがなく、優れた電池性能を実現する、電極の製造方法を提供することができる。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
本発明の電極の製造方法の実施形態の一例を説明するための説明図である。 本発明の電極の製造方法の実施形態の他例を説明するための説明図である。 従来における電極の製造方法などの各工程毎に説明する説明図である。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述する実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。また、本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識(設計事項、自明事項を含む)に基づいて実施することができる。
本発明の電極の製造方法は、少なくともロールトゥロールで連続して集電体となる基材へ非水系電極用分散体から構成される塗工液を塗布する塗工工程を有する電極の製造方法であって、前記塗工工程には、塗工液を貯蔵する貯蔵部と、基材へ塗工液を塗布する塗工部と、前記貯蔵部から塗工部へ塗工液を供給する塗工液供給管とを有する塗工部周囲エリアを備え、該塗工部周囲エリアの雰囲気の水分濃度が露点温度-20℃以下であることを特徴とするものである。
本発明にあっては、本発明の効果を発揮せしめる点から、少なくとも、塗工部周囲エリアの雰囲気の水分濃度が露点温度-20℃以下で行うものであり、前記塗工部周囲エリアの雰囲気の水分濃度が露点温度-20℃を超える温度(例えば、-19℃や-15℃など)がある場合には、非水系電極用分散体の粘弾性に影響し、塗工時の目付量が不安定となり、安定した塗工性能が得られず、作製される電極の品質が優れた状態を維持できない状態となり、本発明の効果を十分に発揮することができず、好ましくないものとなる。
より好ましくは、電極を製造するメインとなる塗工部周囲エリアの露点温度は、少なくとも-25℃以下、より好ましくは-30℃以下であることが望ましい。-25℃以下であれば、露点温度は低ければ低いほど良いが、ドライ環境を構築するためのコストの面から、露点温度は-80℃以上、-75℃以上、-70℃以上、-65℃以上、-60℃以上、-55℃以上、-50℃以上、-45℃以上であってよい。
特に、ハイニッケル系と呼ばれるリチウム-ニッケル複合酸化物(LiNiM1M2、M1およびM2は、Al、B、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属の元素のうち少なくとも1種以上の金属元素、0.8≦X≦1.0、0≦Y≦0.2、0≦Z≦0.2)を用いた電極材料においては、水分の影響をより顕著に受けることとなるので、この電極材料を用いる場合は本発明の電極の製造方法がより好ましい実施形態となる(この点については更に後述する)。
〈第1実施形態〉
図1は、本発明の電極の製造方法の第1実施形態を説明するための説明図である。
本発明の第1実施形態Yでは、図1に示すように、非水系電極用分散体から構成される塗工液Xを貯蔵する貯蔵部10と、集電体となる基材20へ塗工液Xを塗布する塗工部30と、前記貯蔵部10から塗工部30へ塗工液Xを供給する塗工液供給管25と有し、塗工部周囲エリアが貯蔵部エリア15と塗工部エリア35とに分かれている。図示符号26はバックロール、27は調整ロール、60は乾燥炉である。
貯蔵部10には、非水系電極用分散体から構成される塗工液Xが貯蔵されている。
〈塗工液(非水系電極用分散体)X〉
本発明に用いる塗工液Xは、リチウムイオン電池などの電極用に用いられている非水系分散体であれば、特に限定されずに用いることができ、少なくとも、溶媒、結着材、導電材、活物質などを含むものであり、溶媒、結着材、導電材、活物質などは、例えば、以下のものを使用できる。
(溶媒)
溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミンなどのアミン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸メチルなどのエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド系溶媒などが挙げられる。以下、N-メチル-2-ピロリドンのことを、「NMP」と称することがある。これらの溶媒は、各単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
これらの溶媒の量は、電極用分散体を塗工する際に、適切な粘性に仕上げる必要性の点から、好ましくは、活物質100質量部に対して、25~100質量部、より好ましくは、40~70質量部が望ましい。
上記各溶媒に含まれる水分量は、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、1000ppm以下、より好ましくは、900ppm以下、800ppm以下、700ppm以下、600ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、特に好ましくは、200ppm以下とすることが望ましい。2種以上を混合して用いる場合は、混合溶媒全体の水分量を前記の水準に制御することとなる。
(結着材)
結着材(バインダー)としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などを挙げることができる。これらの結着材は2種以上を混合して用いてもよい。以下、ポリフッ化ビニリデンのことを、PVdFと称することがある。
これらの結着材の量は、集電箔に対する密着性、セル化された後の電池容量や充放電特性の点から、好ましくは、活物質100質量部に対して、0.2~3.0質量部、より好ましくは、0.5~2.5質量部が望ましい。
(導電材)
導電材としては、例えば、炭素材料や金属化合物を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)、繊維状炭素材料(例えば、マルチウォールカーボンナノチューブ)などを挙げることができる。
これらの導電材の量は、セル化された後の電池容量や充放電特性の点から、好ましくは、活物質100質量部に対して、0.5~10.0質量部、より好ましくは、1.0~6.0質量部が望ましい。
(活物質)
活物質としては、正極活物質が好ましく、例えば、リチウムイオン電池の正極に使用可能な通常の正極活物質であれば、特に限定されない。例えば、リチウム-ニッケル複合酸化物、リチウム-コバルト複合酸化物、リチウム-マンガン複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト複合酸化物、リチウム-ニッケル-アルミニウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-アルミニウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム複合酸化物等のリチウムと遷移金属との複合酸化物、TiS、FeS、MoS等の遷移金属硫化物、MnO、V、V13、TiO等の遷移金属酸化物、オリビン型リチウムリン酸化物等が挙げられる。オリビン型リチウムリン酸化物は、例えば、Mn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nb、およびFeよりなる群のうちの少なくとも1種の元素と、リチウムと、リンと、酸素とを含んでいる。これらの化合物はその特性を向上させるために一部の元素を部分的に他の元素に置換したものであってもよい。
好ましい活物質としては、単位体積当たりの電気容量に優れる、高エネルギー密度の点から、上述したハイニッケル系と呼ばれるリチウム-ニッケル複合酸化物であり、更に好ましくは、該リチウム-ニッケル複合酸化物が、式:LiNiM1M2(M1およびM2は、Al、B、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属の元素のうち少なくとも1種以上の金属元素、0.8≦X≦1.0、0≦Y≦0.2、0≦Z≦0.2)で表されるリチウム-ニッケル複合酸化物が望ましい。
これらの正極などの活物質は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記溶媒、結着材、導電材、活物質の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、レベリング剤、固体電解質材などを適宜配合することができる。
上記結着材、導電材、活物質などの各平均粒子径、各配合量は好適な電極が製造されるように上記各所定の範囲で調整され、後述する好ましい電極用分散体の粒子の平均粒子径、分散体の粘度、固形分濃度となるように調整される。これらの調整などは、用いる結着材種、導電材種、活物質種、これらの粒子径及びその各量、溶媒種及びその量等、また、混合工程、分散工程の所定の処理条件などを好適に組み合わせることなどにより、調整することができる。
本発明に用いる非水系電極用分散体から構成される塗工液Xは、所定の混合工程で、大気中から粉体材料への水分吸着の回避、混合容器内における均一性の点から、前記溶媒を投入した後、前記結着材を投入し、該結着材を投入した後に、前記導電材を投入し、該導電材を投入した後に、前記活物質を投入して混合して得た非水系電極用分散体が望ましい。
用いる非水系電極用分散体の粘度は、23000mPa・s以下、好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは8000mPa・s以下、特に好ましくは4000mPa・s以下が望ましい。ここで、「粘度の測定」は、液温25℃において、E型回転粘度計を用い、剪断速度38/sにて測定した値である。
また、得られる電極用分散体中の粒子の平均粒子径は、充放電時の副反応を抑えて充放電効率の低下を抑える点から、好ましくは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、10μm以上であってよい。また、塗工性の観点(電極表面の平滑性等)から、30μm以下、25μm以下、20μm以下であってよく、15μm以下が好ましく、特に好ましくは、5μm以上15μm以下が望ましい。ここで、「平均粒子径」は、レーザー回折散乱法による粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒子径(メジアン径:D50)を意味する。
得られる非水系電極用分散体の固形分濃度は、好ましくは、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上であってよく、上限は90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下であってよい。固形分濃度が40質量%より低いと、塗工時の乾燥に時間を要し生産性を損なう。固形分濃度が90質量%を超えて高いと、均一な塗工が困難となり塗工工程の歩留り低下の原因となる。本発明において、「固形分濃度」は、ハロゲン水分計(メトラー・トレド製)を用い、200℃、30分の条件で測定した固形分を意味する。
このような特性の塗工液(非水系電極用分散体)Xを用いることにより、バインダーや活物質への化学的ダメージを抑制することができ、結着材の未溶解物や各種材料の凝集物等がないので、ゲル化することなく安定した粘度であったり、塗工時の筋の発生などを抑制したり、分散体の品質が均一であるために、本発明の電極の製造方法(製造工程)を経て得られるリチウムイオン二次電池などは長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがなく、ガスの発生による不具合がない電池性能を実現するできるものとなる。なお、本発明では、電極の製造方法(製造工程)に特徴があり、上記特性の塗工液(非水系電極用分散体)Xを用いることが最も好ましい形態であるが、用いることができる塗工液(非水系電極用分散体)Xは上記特性のものに限定されず、例えば、市販の塗工液(非水系電極用分散体)などを用いてもよいものである。
〈貯蔵部10〉
貯蔵部10には、上記特性の非水系電極用分散体(塗工液)Xが密閉状態で貯蔵されており、この塗工液Xは供給管25により塗工部周囲エリアとなる塗工部30に密閉された状態で連続的に供給される構成となっている。この貯蔵形態、供給形態により、本発明の効果を更に良好とすることができるものとなる。
また、貯蔵部10周囲の雰囲気の水分濃度が、後述するように露点温度-20℃以下、好ましくは-25℃以下、特に好ましくは-30℃以下に設定されている。
〈基材20〉
本実施形態に用いる基材20としては、電子伝導性に優れ、使用する活物質や分散体などの配合組成を勘案して、二次電池内で安定に存在する材料から構成されるものを好ましく用いることができ、また、軽量化や機械強度、加工のし易さ等を勘案して決定することができる。
例えば、リチウムイオン二次電池の正極を製造する場合には、基材は導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウム材又はアルミニウム材を主体とする合金材を用いることができる。基材の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態で開示される技術は、例えば、シート状若しくは箔状の正極集電体を用いた正極の製造に好ましく適用することができる。これらの中でも、車載用として用いられるような高容量タイプのリチウムイオン二次電池用電極では、長尺シート状(例えば、幅に対して長さが100倍以上)のものが好適である。長尺シート状の基材(集電体)を用いたリチウムイオン二次電池用電極は、インライン方式により好適に製造することができる。
〈塗工部30〉
本実施形態の塗工部30は、ロールコータの一方式である密閉系塗工方式のスロットダイコータを用いたものであり、金型の役割を担うダイ31を通過させることによって均一な塗工膜32をつくり、それを基材20に接触させることで塗工を行うものである。貯蔵部10で密閉された塗工液Xを圧力(加圧方式又はポンプ)を使って塗工液供給管25を介してダイ31に供給するため、塗工液Xは水分等に影響されずに安定した塗工処理を行うものである。
本実施形態では、更に、塗工部周囲エリアとなる貯蔵部エリア15と塗工部エリア35の雰囲気の水分濃度が露点温度-20℃以下となるようにそれぞれ調整されており、好ましくは、少なくとも-25℃以下、より好ましくは-30℃以下に調整されている。これは塗工液Xが大気に曝露される雰囲気を均一に低露点とし、局所的に水分濃度が高い場所から選択的に急激に非水系電極用分散体水分を吸収し、基材上にうまく電極が形成されないなどの課題を解消して十分な塗工性能を発揮するために、露点温度の管理を行うものであり、更に、作業者から発生する水分を考慮し、水分濃度の低い水準での均一化を図るものである。この貯蔵部エリア15は、貯蔵部10をPETなどの視認性等のシートで立体状に密封被覆し、また、塗工部エリア35は塗工部30全体をPETなどの視認性等のシートで立体状に密封被覆して、それぞれ外部と遮断された構造となっており、この貯蔵部エリア15と塗工部エリア35には、露点温度-20℃以下、少なくとも-25℃以下、より好ましくは-30℃以下、特に好ましくは-40℃以下のドライエアーが注入機16,36により各エリア内に供給されて上記所定の露点温度に自動管理されている。
前記塗工部周囲エリアとなる貯蔵部エリア15と塗工部エリア35は、該塗工部周囲エリアから物理的に隔てられた外部よりも好ましくは1Pa以上陽圧となるように設定されている。
このように貯蔵部エリア15と塗工部エリア35の各内部の圧力が陽圧になるように、例えば、露点温度-20℃以下の乾燥空気を、ドライエアーの注入機16,36により各エリア内に供給する。前記陽圧は1Pa以上、2Pa以上、3Pa以上、4Pa以上、5Pa以上、6Pa以上、7Pa以上、8Pa以上、9Pa以上、10Pa以上、15Pa以上、20Pa以上であってよく、また3000Pa以下、2000Pa以下、1000Pa以下、500Pa以下、300Pa以下、200Pa以下、100Pa以下、80Pa以下、60Pa以下、50Pa以下、40Pa以下、30Pa以下であってよい。前記陽圧が1Paより小さいと、エリア15,35内部に外部の大気が流入する恐れがあり、一方、陽圧が3000Paを超えてより大きいと、前記塗工部周囲エリアと該塗工部周囲エリアを物理的に隔てる構造物が破損するなどの悪影響が出る恐れがある。
更に、本実施形態では、前記基材20が、塗工部エリア35と物理的に隔てられた外部が物理的に貫通している少なくとも1か所の開口部33を通って塗工が行われる形態となるので、塗工液Xは空気、水分等に影響されずに安定した塗工が行われるものとなる。
図1に示す実施形態では、帯状の基材20が乾燥炉60より後段に配置される巻き取りロールや、各所に設置される中間ロールにより所定の速度で予め設定された搬送経路に沿って搬送されている。また、上記帯状の基材20が搬送されるのにあわせて、上記塗工部30となるスロットダイコータにより所定の量が所定の幅およびパターンで基材20上に連続的に供給されるようになっている。なお、塗工液Xは、基材20上にベタ塗りしてもよく、あるいは所定のパターン(例えば、縦・斜め等の縞状、波線状、ドット状等)に供給することもできる。
このようにして基材20上に所定の電極形成用の塗工液Xが塗工されることとなる。
得られた基材20上に塗布された塗工液Xは、乾燥炉60で乾燥させることにより基材20上に電極層が形成されるものとなる。この乾燥炉60までに搬送される際にも、基材20上に塗布された塗工液(層)は水分等に影響されることがないように、遮蔽シート50により覆われている。
本実施形態では、例えば、塗工液Xが塗布された基材(例えば、正極集電体)20が乾燥炉60内を通過することによって、これら塗布物を連続して同時に乾燥させることができる。このときの乾燥温度は、例えば、70℃~200℃、乾燥時間は、例えば、10秒~600秒である。上記塗工液(塗布物)から溶媒を除去することによって正極層(電極)が形成する。その後、必要に応じて圧縮(プレス)する。これにより、正極集電体と、該正極集電体上に形成された正極層とを備える電極(正極)シートを作製することができる。圧縮(プレス)方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。得られた電極(正極)を用いて、常法の工程(次工程となる積層工程等の各工程)を経てリチウムイオン二次電池などが製造されることとなる。
この第1実施形態では、必要最小限の製造設備で、低コストで、安定した塗工性能を有すると共に、塗工液調製の際、また、上記塗工液を塗布する際に、塗工液に水分等が影響することが確実に防止されており、今までにない優れた品質の電極が得られるために、長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがなく、優れた電池性能を実現することができる電極の製造方法となるものである。
〈第2実施形態〉
本発明の第2実施形態Zは、塗工部の塗工方式がナイフコーティング方式の点で、上記第1実施形態と異なるものである。なお、第1実施形態と同じ機能等を有するものは、同一図示符号を付けて、その説明を省略する。
本実施形態の塗工部40は、少なくとも、ナイフロール41、バックアップロール42、液ダム部43とから構成され、回転するバックアップロール42と固定されたナイフロール41の隙間から貯蔵部10内の塗工液Xが供給管25を介して液ダム部43に供給されており、液ダム部43内にある塗工液Xを基材20のウェブに転移(塗布)させる方式(ナイフコータ)である点、塗工部40の開口部が、前記基材20が塗工部40に向かい搬送されて入ってくる入口44と、塗工液Xが基材20へ塗布される塗工部から搬送され出ていく出口45の2か所である点で、第2実施形態と異なるものである。
本第2実施形態では、バックアップロール42の組み付け振れ精度、ナイフロール41の刃の精度、ロール隙間調整精度、また、塗工の安定性を損なう継ぎ目通過時のジャンピング、それによる液漏れの防止をするため最適の精度に調整されているので、本発明の効果を奏する電極が得られるものとなる。
この第2実施形態においても、必要最小限の製造設備で、低コストで、安定した塗工性能を有すると共に、塗工液調製の際、また、上記塗工液を塗布する際に、塗工液に水分等が影響することが確実に防止されており、今までにない優れた品質の電極が得られるために、長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがなく、優れた電池性能を実現することができる電極の製造方法となるものである。
本発明の電極の製造方法は、上記第1実施形態及び第2実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変更形態で実施することができる。
上記実施形態では、塗工形態として、スロットダイコータ、ナイフコータで塗工したが、塗工部周囲エリアとなる貯蔵部エリア15と塗工部エリア35の雰囲気の水分濃度が露点温度-20℃以下、少なくとも-25℃以下、より好ましくは-30℃以下で調整して塗工できるものであれば、例えば、グラビアコーター、コンマコーター、スリットコーター、シルク印刷機、インクジェット印刷機等の好適な塗布装置を使用することができる。
また、塗工部周囲エリアとなる貯蔵部エリア15と塗工部エリア35とを分割してそれぞれ各エリア15、35内の各雰囲気の水分濃度を露点温度-20℃以下、少なくとも-25℃以下、より好ましくは-30℃以下等に調整したが、若干設備が大きくなるが、貯蔵部エリア15と塗工部エリア35と塗工液供給管25を含む全体を塗工部周囲エリアとして、このエリア内をPETなどの視認性を有するシートで立体状に被覆して、密封構造とし、このエリア内の雰囲気の水分濃度を上記第1及び第2実施形態と同様にして、露点温度-20℃以下、少なくとも-25℃以下、より好ましくは-30℃以下に調整して本発明の効果を実現してもよいものである。
前記塗工部周囲エリアに供給されるドライエアーを、〔ドライエアーの流量(m/分)/前記塗工部周囲の容積(m)〕で表す換気回数が、1以上300回転/分以下に管理してもよいものである。これにより、前記塗工部周囲エリアに僅かに侵入してくる水分を、前記塗工部周囲エリア外に適切に排出することができ、前記塗工部周囲エリア内の水分濃度を低水準に維持することができる。
また、前記塗工部周囲エリアに供給されるドライエアーの最大風速を、 塗工前の塗液の乾燥による乾燥固化抑制、揮発による固形分濃度増加抑制、風による塗膜平滑性への悪影響の点から、20m/s以下とすることが好ましい。
前記塗工部周囲エリア35内に存在する基材20の長さが、基材20の巻き出し部から巻き取り部の距離の10%以下であることが好ましい。これにより、最低限の範囲の水分濃度のみを低露点に維持することとなり、低露点を得るための装置が小さくなり、除湿するための電気量も抑制でき、低コストで高品質な電極を実現することができる。
更に、本発明では、乾燥炉60より後段の工程(プレス工程、巻き取り工程、スリット工程等)において、塗工面への水分等の影響を抑制するため、同様の低露点周囲エリアを設けてもよいものである。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
塗工液(非水系電極用分散体)X1として、混合工程、分散工程、真空脱泡工程及び濾過工程の各工程を経て得た下記組成のものを用いた。上記各工程は外部と遮断された密閉構造で主に行ったものであり、一部開放部(混合工程の材料投入を伴う空間など)においては、混合機の材料投入を伴う空間外部の圧力に対して混合機の材料投入を伴う空間内部の圧力が陽圧になるように、露点温度-35℃以下の乾燥空気を、内部に供給して露点温度-35℃に維持した。
<混合工程>
露点温度-35℃の環境下において、混合機としてプラネタリーミキサーに、NMPを45質量部投入し、撹拌しながら、結着材としてPVdFを2質量部、導電材としてアセチレンブラック(デンカ社製)を2質量部投入し、絶対圧力5kPaまで減圧し、1時間処理した。
次に、活物質として、ハイニッケル系リチウム-ニッケル複合酸化物〔LiNi0.8Co0.1Mn0.1〕を、撹拌しながら100質量部投入し、絶対圧力5kPaまで減圧し、1時間撹拌した。このとき、使用したNMPの水分量は100ppmであり、混合後の粘度は3000mPa・sであった。溶媒の水分量の測定は、カールフィッシャー水分計を用いた。粘度の測定は、E型回転粘度計を用い、剪断速度38/sにて測定した。
上記混合工程で得られた電極用分散体を、メディアレス高速撹拌機を用い、周速15m/sの条件で5分間分散処理した。次いで、得られた電極用分散体を、ビーズミルを用い、ジルコニアビーズφ1.0mm、周速10m/sの条件で3分間分散処理した。
次に、プラネタリーミキサーに、上記分散工程で得られた電極用分散体を投入し、絶対圧力10kPaの真空度で撹拌しながら30分間処理した。
上記真空脱法工程で得られた電極用分散体を、露点温度-35℃の環境で1時間乾燥させた孔径25μmのポリプロピレン製カートリッジフィルターにて濾過を実施した。得られた電極用分散体の平均粒子径D50は10μmであり、固形分濃度は70質量%であった。
電極の製造は、図1に準拠する製造装置を用いた。
具体的には、ステンレス製貯蔵部10には、上記で得られた塗工液(非水系電極用分散体)X1が貯蔵されており、この塗工液X1は図示しないがポンプにより塗工液供給管25を介してスロットダイコータから構成される塗工部30に供給される構成となっている。
貯蔵部エリア15は、半透明ポリエチレンフィルムで覆われた状態となって、密封構造となっており、塗工部エリア35も同様な状態となって、密封構造となっている。
これらの貯蔵部エリア15内、塗工部エリア35内には、それぞれ注入機16,36により風速1.2m/sのドライエアーが注入され、外部より陽圧8Paとなっており、各エリア15,35内の各雰囲気の水分濃度が露点温度-30℃以下となっている。
この製造装置において、アルミニウム箔から構成される、幅25cm×長さ1000m ×厚み25μmの帯状の基材20が乾燥炉60より後段に配置される巻き取りロールや、各所に設置される中間ロールにより所定の速度(5m/分)で予め設定された搬送経路に沿って搬送されている。また、上記帯状の基材20が搬送されるのにあわせて、上記塗工部30となるスロットダイコータにより所定の量(WET膜厚300μm/DRY膜厚100μm)が所定の幅(20cm)および耳となる両端部の未塗工部分が2.5cmとなるパターンで基材20上に連続的に供給されるようになっている。このようにして基材20上に電極形成用の塗工液X1が塗工されることとなる。
得られた基材20上に塗布された塗工液Xは、乾燥炉60で乾燥させることにより基材20上に電極層が形成されるものとなる。この乾燥炉60までに搬送される際にも、基材20上に塗布された塗工液(層)は水分等に影響されることがないように、半透明ポリエチレンフィルムから構成される遮蔽シート50により覆われている。
所定温度(110℃、乾燥時間300秒)に調整された乾燥炉60内を通過することによって、これら塗布物を連続して同時に乾燥させ、基材20上に電極(正極)が形成され、その後、圧縮(ロールプレス)して、正極集電体と、該正極集電体上に形成された正極層とを備える電極(正極)シートが作製した。得られた電極シートは、次工程となる積層工程等の各工程を経てリチウムイオン二次電池などが製造されることとなる。
(実施例2)
塗工液(非水系電極用分散体)X2として、実施例1で用いた塗工液において、混合工程における、結着材を投入後に一度減圧(絶対圧力5kPaまで減圧)し、次いで導電材を投入後に減圧(絶対圧力5kPaまで減圧)した以外は実施例1と同様とした。混合工程における混合後の粘度は3100mPa・sであった。
得られた電極用分散体の平均粒子径D50は10μmであり、固形分濃度は70質量%であった。
電極の製造は、図2に準拠する製造装置を用いた。
図2において、図1と同様の構成はその説明を省略し、図1と相違する製造装置について説明する。
貯蔵部10には、上記で得られた塗工液(非水系電極用分散体)X2が貯蔵され、塗工液供給管25を介してナイフコータから構成される塗工部40に供給される構成となっている。
貯蔵部エリア15内、塗工部エリア35内には、それぞれ注入機16,36により風速
1.2m/sのドライエアーが注入され、外部より陽圧10Paとなっており、各エリア15,35内の各雰囲気の水分濃度が露点温度-30℃以下となっている。
この製造装置において、アルミニウム箔から構成される、幅25cm×長さ1000m ×厚み25μmの帯状の基材20が乾燥炉60より後段に配置される巻き取りロールや、各所に設置される中間ロールにより所定の速度(5m/分)で予め設定された搬送経路に沿って搬送されている。また、上記帯状の基材20が搬送されるのにあわせて、上記塗工部40となるナイフコータにより所定の量(WET膜厚300μm/DRY膜厚100μm)が所定の幅(20cm)および耳となる両端部の未塗工部分が2.5cmとなるパターンで基材20上に連続的に供給されるようになっている。このようにして基材20上に電極形成用の塗工液X2が塗工されることとなる。
得られた基材20上に塗布された塗工液Xは、乾燥炉60で乾燥させることにより基材20上に電極層が形成されるものとなる。この乾燥炉60までに搬送される際にも、基材20上に塗布された塗工液(層)は水分等に影響されることがないように、半透明ポリエチレンフィルムから構成される遮蔽シート50により覆われている。
所定温度(110℃、乾燥時間250秒)に調整された乾燥炉60内を通過することによって、これら塗布物を連続して同時に乾燥させ、基材20上に電極(正極)が形成され、その後、圧縮(ロールプレス)して、正極集電体と、該正極集電体上に形成された正極層とを備える電極(正極)シートが作製した。得られた電極シートは、次工程となる積層工程等の各工程を経てリチウムイオン二次電池などが製造されることとなる。
上記の実施例1,2で得られた電極用シートについて、以下の各評価指標(塗工性評価、100回サイクル維持率評価、品質安定性評価、ガス発生量)に基づき、評価した。なお、比較用として貯蔵部エリア15と塗工部エリア35に注入機16、36を設けず、また遮蔽シート50を設けず水分濃度の管理をしない以外は実施例1と同様にして作製した電極を用いて比較評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
(塗工性評価指標)
塗工性評価は、実施例1,2で得られた電極の乾燥膜厚をロール方向5m毎に10箇所測定し、(10箇所中の最大値-10箇所中の最小値)/狙い膜厚×100をバラつきの指標として以下の基準で評価した。各箇所の測定数(N)は10とし平均値を用いた。
評価基準:
◎:98%以上
○:95%以上
△:85%以上
×:85%未満
(100回サイクル維持率評価指標)
100回サイクル維持率評価は、実施例1,2で得られた電極を正極としてコイン二次電池を5つ作製し、初期の放電容量(A)と、充放電レート1Cにて100回の充放電を繰り返したときの100回目の放電容量(B)から、式「B/A×100」によりコイン二次電池5つの平均値を求めて以下の基準で評価した。
評価基準:
◎:98%以上
○:95%以上
△:85%以上
×:85%未満
電解液には、カーボネート系溶媒を用いた。セパレーターにはポリプロピレン製のものを用いた。負極にはチタン酸化物系の活物質、導電材、結着材、溶剤からなる電極用分散体をアルミ箔に塗布・乾燥したものを用いて作製した。
(品質安定性評価指標)
品質安定性評価は、100回サイクル維持率評価指標で得られた各条件の5つのデータの最大値と最小値の差(パーセントポイント)より以下の基準で評価した。
評価基準:
◎:1%ポイント未満
○:3%ポイント未満
△:5%ポイント未満
×:5%ポイント以上
(ガス発生量評価指標)
ガス発生量評価は、前記コイン二次電池と同様の条件で100mm×200mmサイズで5層のラミネート型セルを作製し、50℃の環境で充放電レート1Cにて100回の充放電を繰り返したときに、ラミネート型セル内に発生したガスの量により以下の基準で評価した。ガスの量は、アルキメデス法により測定した。ガス発生量が少ないほど優れることを示す。
評価基準:
◎:5cc未満
○:10cc未満
△:30cc未満
×:30cc以上
Figure 2023013104000002
上記表1の評価結果を考察すると、本発明方法により得られた実施例1~2の電極は、設備を大型にすることなく、塗工時の筋の発生などもなく集電体となる基材へ非水系電極用分散体を均一に効率良く塗工できる塗工性能、この塗工性能に優れる電極が得られるため、長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがないといった電池性能を実現することができることが確認された。これに対し、参考例の電極は、上記特性を満足することはできなかった。
電極用の製造方法に得られる電極は、リチウムイオン二次電池などの電極(正極)の製造に好適に用いることができ、長期間の繰り返し充放電に耐えうる優れた電池性能を実現することができる。

Claims (6)

  1. 少なくともロールトゥロールで連続して集電体となる基材へ非水系電極用分散体から構成される塗工液を塗布する塗工工程を有する電極の製造方法であって、
    前記塗工工程には、塗工液を貯蔵する貯蔵部と、基材へ塗工液を塗布する塗工部と、前記貯蔵部から塗工部へ塗工液を供給する塗工液供給管とを有する塗工部周囲エリアを備え、該塗工部周囲エリアの雰囲気の水分濃度が露点温度-20℃以下であることを特徴とする電極の製造方法。
  2. 前記塗工部周囲エリアは、該塗工部周囲エリアから物理的に隔てられた外部よりも1Pa以上陽圧であることを特徴とする請求項1記載の電極の製造方法。
  3. は、
    前記基材が、前記塗工部周囲エリアと前記物理的に隔てられた外部が物理的に貫通している少なくとも1か所の開口部を通って塗工が行われることを特徴とする請求項1又は2記載の電極の製造方法。
  4. 前記開口部が、前記基材が塗工部に向かい搬送されて入ってくる入口と、塗工液が基材へ塗布される塗工部から搬送され出ていく出口の2か所であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電極の製造方法。
  5. 前記塗工部周囲エリアは、貯蔵部エリアと塗工部エリアに分割されると共に、該貯蔵部エリアと塗工部エリアの雰囲気の水分濃度がそれぞれ露点温度-20℃以下であることを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の電極の製造方法。
  6. 前記塗工部周囲エリアには、露点が-25℃以下であるドライエアーが供給されることを特徴とする請求項1~5の何れか一つに記載の電極の製造方法。
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