JP2023012701A - プロピレン系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(1)が1~10g/10minであり、溶融張力(1)が23~35mNであり、直径100~200μmのフィッシュアイが600cm2当たり30個以下であるプロピレン系樹脂組成物。【効果】本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ゲルの生成を抑制することができ、フィッシュアイの発生が少ないのでフィルム物性等の物性に優れる。【選択図】なし
Description
本発明は、プロピレン系樹脂組成物およびその製造方法に関し、詳しくは、フィッシュアイのプロピレン系樹脂組成物およびその製造方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂は、電気特性、耐溶剤性、成形加工性等の諸特性が優れることに加えて、比重が低いこと、安価であること等の特徴を備えていることから、多様な用途に利用されている。例えば、ハイブリット車の蓄電器として用いられるキャパシタフィルムに利用されている。
ポリプロピレン系樹脂には、その物性をさらに向上させるために種々の改質が試みられている。
ポリプロピレン系樹脂は、その成形時にゲルが生成され、フィッシュアイと呼ばれる現象が現れる場合があり、ポリプロピレン系樹脂の性状が悪化することがある。例えば、ポリプロピレン系樹脂をキャパシタフィルムに利用する場合、ポリプロピレン系樹脂にフィッシュアイが存在すると、キャパシタフィルムのフィルム物性が悪化する。このため、フィッシュアイの発生の少ないポリプロピレン系樹脂の開発が望まれている。
ポリプロピレン系樹脂は、その成形時にゲルが生成され、フィッシュアイと呼ばれる現象が現れる場合があり、ポリプロピレン系樹脂の性状が悪化することがある。例えば、ポリプロピレン系樹脂をキャパシタフィルムに利用する場合、ポリプロピレン系樹脂にフィッシュアイが存在すると、キャパシタフィルムのフィルム物性が悪化する。このため、フィッシュアイの発生の少ないポリプロピレン系樹脂の開発が望まれている。
特許文献1には、ポリプロピレン樹脂の溶融張力が向上して加工性が改良されたポリプロピレン樹脂およびその製造法が開示されている。特許文献2には、メルトテンションが高く、適度な流動性を持つ安価なポリプロピレン系樹脂組成物、及びこの樹脂を原料とする発泡シートの二次加工性が優れ、外観美麗な、耐熱性に優れた発泡体が開示されている。特許文献3には、高い溶融張力を有し、かつ、ゲルが少ないポリプロピレン系樹脂組成物およびその製造方法が開示されている。
有機過酸化物を用いたプロピレン系樹脂の改質においては、分解および架橋の両方が相対的な割合で生じる。このため、従来のポリプロピレン系樹脂の改質技術では、高い溶融張力を保持しながらゲルの発生を十分に抑えることはできず、例えばキャパシタフィルムにおいて、更なる物性向上を図ることは困難であった。
本発明は、高い溶融張力を保持しながら、ゲルの生成を抑制し、フィッシュアイの発生の少ないプロピレン系樹脂組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、例えば下記の[1]~[3]に関する。
[1] 230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(1)が1~10g/10minであり、溶融張力(1)が23~35mNであり、直径100~200μmのフィッシュアイが600cm2当たり30個以下であるプロピレン系樹脂組成物。
[2] 230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(2)が1~10g/10min、溶融張力(2)が15~30mNであるプロピレン系樹脂100質量部と1分間半減期温度が100℃以下である有機過酸化物0.001-2質量部とを、スクリュー全体のL/Dに対し、混練部用エレメントの占める割合が20%以上、30%以下であるスクリューを備える押出機により、樹脂温度200~240℃で溶融混練する[1]に記載のプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
[3] MFR(1)>MFR(2)、溶融張力(1)>溶融張力(2)である[2]に記載のプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
[1] 230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(1)が1~10g/10minであり、溶融張力(1)が23~35mNであり、直径100~200μmのフィッシュアイが600cm2当たり30個以下であるプロピレン系樹脂組成物。
[2] 230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(2)が1~10g/10min、溶融張力(2)が15~30mNであるプロピレン系樹脂100質量部と1分間半減期温度が100℃以下である有機過酸化物0.001-2質量部とを、スクリュー全体のL/Dに対し、混練部用エレメントの占める割合が20%以上、30%以下であるスクリューを備える押出機により、樹脂温度200~240℃で溶融混練する[1]に記載のプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
[3] MFR(1)>MFR(2)、溶融張力(1)>溶融張力(2)である[2]に記載のプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、高い溶融張力を保持しながら、ゲルの生成を抑制することができ、フィッシュアイの発生が少ないのでフィルム物性等の物性に優れる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(1)が1~10g/10minであり、溶融張力(1)が23~35mNであり、直径100~200μmのフィッシュアイが600cm2当たり30個以下である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ASTMD 1238に準拠した230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(メルトフローレート)(1)は1~10g/10minであり、好ましくは2~8g/10minであり、より好ましくは3~6g/10minである。MFR(1)が1g/10分より低い場合はゲルが生成し易い。MFR(1)が10g/10分より高い場合はフィルム成形性が悪化する。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力(1)が23~35mNであり、好ましくは23~32mNであり、より好ましくは25~30mNである。溶融張力(1)が23mNより低いと、フィルム成形性が悪化する場合があり、35mNより高いと、フィッシュアイが増加してしまう場合がある。溶融張力(1)の測定方法は、実施例において詳説する。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、直径100~200μmのフィッシュアイが600cm2当たり30個以下であり、好ましくは25個以下であり、存在しないことが最も好ましい。前記フィッシュアイが600cm2当たり30個以下であると、プロピレン系樹脂組成物の性能が良好となり、例えば、ポリプロピレン系樹脂をキャパシタフィルムに利用した場合、フィルム物性が良好なキャパシタフィルムが得られる。また、美麗な外観が得られる。なお、直径200μmを超えるフィッシュアイは通常生成することはなく、直径100μm未満のフィッシュアイは存在しても実質的に弊害を生じさせることはない。
前記フィッシュアイの個数の測定方法は、実施例において詳説する。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、例えば、230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(2)が1~10g/10min、溶融張力(2)が15~30mNであるプロピレン系樹脂100質量部と1分間半減期温度が100℃以下である有機過酸化物0.001~2質量部とを樹脂温度200~240℃で溶融混練することにより製造することができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、例えば、230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(2)が1~10g/10min、溶融張力(2)が15~30mNであるプロピレン系樹脂100質量部と1分間半減期温度が100℃以下である有機過酸化物0.001~2質量部とを樹脂温度200~240℃で溶融混練することにより製造することができる。
前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、またはプロピレンとエチレンもしくは炭素数4~20のα-オレフィンとの共重合体である。ここで、炭素原子数が4~20のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられ、エチレンまたは炭素数4~10のα-オレフィンが好ましい。これらのα-オレフィンは、プロピレンとランダム共重合体を形成してもよく、また、ブロック共重合体を形成してもよい。これらのα-オレフィンから導かれる構成単位は、ポリプロピレン中に5質量% 以下、好ましくは2質量%以下の割合で含んでいてもよい。
前記ポリプロピレン系樹脂のASTMD 1238に準拠した230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(2)は1~10g/10minであり、好ましくは2~8g/10min、より好ましくは3~6g/10minである。MFR(2)が1g/10分より低い場合はゲルが生成し易い。MFR(2)が10g/10分より高い場合はフィルム成形性が悪化する。
前記ポリプロピレン系樹脂の溶融張力(2)は15~30mNであり、好ましくは18~25mNである。溶融張力(2)が前記範囲内であると、過酸化物による改質効果を効率的に得られる。溶融張力(2)の測定方法は、実施例において詳説する。
前記製造方法においては、必要に応じて、前記ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂またはゴムを、本発明の効果を損なわない範囲内で用いてもよい。前記樹脂またはゴムとしては、たとえばポリエチレン;ポリブテン-1、ポリイソブテン、ポリペンテン-1、ポリメチルペンテン-1などのポリα-オレフィン;プロピレン含有量が75質量%未満のエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン-1共重合体、プロピレン含有量が75質量%未満のプロピレン/ブテン-1共重合体などのエチレンまたはα-オレフィン/α-オレフィン共重合体;プロピレン含有量が75質量%未満のエチレン/プロピレン/5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体などのエチレンまたはα-オレフィン/α-オレフィン/ジエン系単量体共重合体;エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、エチレン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/メタクリロニトリル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリルアミド共重合体、エチレン/メタクリルアミド共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸金属塩共重合体、エチレン/スチレン共重合体、エチレン/メチルスチレン共重合体、エチレン/ジビニルベンゼン共重合体などのエチレンまたはα-オレフィン/ビニル単量体共重合体;ポリイソブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン系共重合体;スチレン/ブタジエンランダム共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体ランダム共重合体; スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体ブロック共重合体;水素化(スチレン/ブタジエンランダム共重合体)などの水素化(ビニル単量体/ジエン系単量体ランダム共重合体);水素化(スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体)などの水素化(ビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体ブロック共重合体);アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体グラフト共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチルなどのビニル重合体;塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体などのビニル系共重合体などが挙げられる。
前記ポリプロピレン系樹脂に対するこれらの樹脂またはゴムの添加量は、この樹脂の種類またはゴムの種類により異なり、前記のように本発明の効果を損なわない範囲であれば制限はないが、通常25質量%程度以下であることが好ましい。
さらに、前記ポリプロピレン系樹脂のほかに、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属石鹸、塩酸吸収剤などの安定剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化剤、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で使用してもよい。
高溶融張力化の目的で、前記ポリプロピレン系樹脂にビニル単量体を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することは可能であるが、5~25質量%程度であることが好ましい。
本発明でいうビニル単量体としては、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシルなどのメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
前記製造方法で用いられる有機過酸化物は、1分間半減期温度が100℃以下である。1分間半減期温度が100℃より高いと、樹脂の分解が促進されるので好ましくない。また、これらの有機過酸化物は分解してラジカルを発生した後、ポリプロピレン系樹脂からプロトンを引き抜く作用があることが好ましい。
前記有機過酸化物としては、好ましくはペルオキシジカーボネートが挙げられる。本発明におけるペルオキシカーボネートとは、一般式R1-OC(O)OOC(O)O-R2で表される化合物である。 ここで、R1およびR2は、CH3、2-i-C3H7O-C6H4、C2H5CH(CH3)、4-CH3-C6H4、Cl3CC(CH3)2、C7H15、c-C6H11CH2、3-t-C4H9-C6H5、Cl3Si(CH2)3、C6H5、CH3CH(OCH3)CH2CH2、C6H5OCH2H2、C6H5CH2、Z-C8H17CH=CH(CH2)8、2-CH3-C6H4、(CH3)2CHCH2CH(CH3)、3,4-ジ-CH3-C6H3、Cl3C、CHCH(Cl)、ClCH2、[C2H5OC(O)] 2CH(CH3)、3,5-ジ-CH3-C6H3、C8H17、C2H5、C18H37、2-オキソ-1,3-ジオキサン-4-CH2、C2H5CH(Cl)CH2、4-CH3O-C6H4、i-C4H9、CH3SO2CH2CH2、C12H25、C6H5CH(Cl)CH2、H2C=CHCH2、2-Clc-C6H10、H2C=C(CH3)CH2、c-CH6H11、ClCH2CH2、4-[C6H5-N=N]-C6H4CH2、ステアリル、1-ナフチル、4-t-C4H9-C6H10、2,4,5-トリ-Cl-C6H2、Cl(CH2)2、C14H29、9-フロレニル、4-NO2-C6H4CH2、2-i-C3H7-C6H4、CH3OCH2CH2、H2C=C(CH3)、3-CH3-C6H4、BrCH2CH2、3-CH3-5-i-C3H7-C6H3、Br3CCH2、C2H5OCH2CH2、HC2=CH、i-C3H7、2-C2H5CH(CH3)-c6H4、Cl3CCH2、C5H11、c-C12H23、4-t-C4H9-C6H4、C6H13、C3H7、CH3OCH2CH2、C6H13CH(CH3)、CH3OC(CH3)2CH2CH2、C3H7OCH2CH2、CH3OCH2CH(CH3)、2-i-C3H7-5-CH3-c-C6H9、C4H9OCH2CH2、t-C4H9、(CH3)3CCH2等である。ここで、iはアイソを、tはターシャリーを、zはシスを、cはサイクリックを意味する。
これらの化合物のうち好ましい化合物としては、ジセチルペルオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ-n-ブチルペルオキシジカーボネート、およびビス(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート等を挙げることができる。
前記製造方法において、有機過酸化物の使用量は、前記プロピレン系樹脂100質量部に対して0.001~2質量部であり、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.1~0.8質量部である。有機過酸化物の使用量が前記範囲内であると、プロピレン系樹脂を好適に改質でき、フィッシュアイの少ないプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。前記の範囲より少ない場合、改質効果を充分に得られない傾向があり、一方前記の範囲より多い場合、ゲル成分が生成し、発泡性が低下したり、有機過酸化物の分解物により改質プロピレン系樹脂の食品衛生性が低下したり、臭気を生じたりする可能性がある。
前記製造方法において、前記プロピレン系樹脂と有機過酸化物とを樹脂温度180~300℃、好ましくは200~240℃、で溶融混練する。溶融混練時の最適な樹脂温度は220℃程度である。溶融混練温度が前記範囲内であると、プロピレン系樹脂が充分に溶融し、かつ有機過酸化物が完全に分解して得られる組成物が成形時に更に性状を変化させることがないため好ましい。また溶融混練の時間は、一般に10秒~5分間、好ましくは30~60秒間である。
溶融混練に使用する装置としては、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型かく攪拌機またはダブルヘリカルリボン攪拌機などの縦型攪拌機などを採用することができる。これらのうち、十分な混練が可能でかつ生産性に優れる点から押出機が特に好ましい。
押出機に備えられるスクリューは、順ニーディングピース、逆ニーディングピース、順フライトピース、逆フライトピースなどを多数個組合せて構成されている。
前記溶融混練は、スクリュー全体のL/Dに対し、順ニーディングピース、逆ニーディングピースなどから構成される混練部用エレメントの占める割合が20%以上、30%以下であるスクリューを備える押出機により行うことが好ましく、より好ましくは前記割合が20%以上、25%以下のスクリューである。このようなスクリューを備える押出機により溶融混練を行うと、溶融張力を増加させながら、フィッシュアイ、ゲルが少ないプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。前記割合が30%を超えると、発熱し過ぎとなり、所望の溶融張力が得られ難くなる。
前記溶融混練は、スクリュー全体のL/Dに対し、順ニーディングピース、逆ニーディングピースなどから構成される混練部用エレメントの占める割合が20%以上、30%以下であるスクリューを備える押出機により行うことが好ましく、より好ましくは前記割合が20%以上、25%以下のスクリューである。このようなスクリューを備える押出機により溶融混練を行うと、溶融張力を増加させながら、フィッシュアイ、ゲルが少ないプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。前記割合が30%を超えると、発熱し過ぎとなり、所望の溶融張力が得られ難くなる。
図1および図2に、押出機が備えるスクリューの具体例の側面図を示す。図1に示されるスクリュー構成Aは、スクリュー全体のL/Dに対し、混練部用エレメントの占める割合が22%である。図2に示されるスクリュー構成Bは、スクリュー全体のL/Dに対し、混練部用エレメントの占める割合が16%である。
前記製造方法は、MFR(1)>MFR(2)、溶融張力(1)>溶融張力(2)となる条件下で行われると、成形性とフィッシュアイ低減が両立するので好ましい。前記の条件は、混練時の樹脂温度を調整することにより得ることができる。
上記操作により、プロピレン系樹脂、有機過酸化物および必要に応じて添加されるそのほかの添加材料を溶融混練することにより、プロピレン系樹脂組成物を得ることができる。
有機過酸化物を用いたプロピレン系樹脂の改質においては、分解および架橋の両方が相対的な割合で生じる。架橋の割合が多くなると溶融張力の向上は見込めるものの、ゲルの発生割合が多くなってしまう。前記製造方法では、特定の混練条件に限定することで、分解、架橋の発生割合を制御し、溶融張力が増加しながらもゲルが少ないプロピレン樹脂組成物が得られると考えられる。
本発明のプロピレン樹脂組成物は、ゲルの生成が少なく、フィッシュアイが少ないことから、様々な用途に利用可能であり、特にキャパシタフィルムに好適に利用することができる。
以下の実施例および比較例において、各物性は、以下の方法により測定あるいは評価した。
[MFR]
MFRは、ASTMD1238に準拠して、230℃、荷重2.16kgで測定した。
MFRは、ASTMD1238に準拠して、230℃、荷重2.16kgで測定した。
[溶融張力(メルトテンション)]
メルトテンション測定装置(東洋精機製作所(株)製)を用いて、オリフィス(長さL 8.00mm、径D 2.095mm)、設定温度:200℃、ピストン降下速度15mm/min、巻取り速度15mm/minの条件で、ロードセル検出付きプーリーの巻取り荷重を測定し、この測定値を溶融張力とした。
メルトテンション測定装置(東洋精機製作所(株)製)を用いて、オリフィス(長さL 8.00mm、径D 2.095mm)、設定温度:200℃、ピストン降下速度15mm/min、巻取り速度15mm/minの条件で、ロードセル検出付きプーリーの巻取り荷重を測定し、この測定値を溶融張力とした。
[フィッシュアイ]
プロピレン樹脂組成物から20mmφキャスト成形機を用いて30μmのキャストフィルムを作製し、フィルム600cm2当たりに存在する直径100~200μmのフィッシュアイの個数を顕微鏡観察により計測した。
プロピレン樹脂組成物から20mmφキャスト成形機を用いて30μmのキャストフィルムを作製し、フィルム600cm2当たりに存在する直径100~200μmのフィッシュアイの個数を顕微鏡観察により計測した。
[実施例1]
プロピレン単独重合体((株)プライムポリマーF133PT、MFR:5g/10min、溶融張力:20mN)100質量部に、有機過酸化物(ラジカル重合開始剤)としてジセチルペルオキシジカーボネート(化薬アクゾ(株)製、パーカドックス24、1分間半減期温度:92℃)を0.3質量部、酸化防止剤としてIrg1010(BASFジャパン(株)製)を0.3質量部、その他中和剤としてステアリン酸カルシウム 0.005部を添加して、同方向完全噛合型二軸押出機(JSW製、TEX44、スクリュー径47mm、L/D 53.5)を用いて、図1に示すスクリュー構成Aにより、混練温度220℃、スクリュー回転数500rpmで溶融混練した。本溶融押出により、プロピレン系樹脂ペレットのペレットを得た。スクリュー構成Aにおいて、スクリュー全体のL/Dに占める混練部用エレメントの割合は22%であった。
プロピレン単独重合体((株)プライムポリマーF133PT、MFR:5g/10min、溶融張力:20mN)100質量部に、有機過酸化物(ラジカル重合開始剤)としてジセチルペルオキシジカーボネート(化薬アクゾ(株)製、パーカドックス24、1分間半減期温度:92℃)を0.3質量部、酸化防止剤としてIrg1010(BASFジャパン(株)製)を0.3質量部、その他中和剤としてステアリン酸カルシウム 0.005部を添加して、同方向完全噛合型二軸押出機(JSW製、TEX44、スクリュー径47mm、L/D 53.5)を用いて、図1に示すスクリュー構成Aにより、混練温度220℃、スクリュー回転数500rpmで溶融混練した。本溶融押出により、プロピレン系樹脂ペレットのペレットを得た。スクリュー構成Aにおいて、スクリュー全体のL/Dに占める混練部用エレメントの割合は22%であった。
前記のペレットを用いて、MFR、溶融張力を前記方法により測定した。
次に、このプロピレン系樹脂のペレットを、先端に80mmφのサーキュラダイ及び190mmφのマンドレルが設けられた65mm単軸押出機(L/D=28)を用いて、厚さ0.8mmのシートを成形した。このシートのフィッシュアイの個数を前記方法により測定した。
結果を表1に示す。
次に、このプロピレン系樹脂のペレットを、先端に80mmφのサーキュラダイ及び190mmφのマンドレルが設けられた65mm単軸押出機(L/D=28)を用いて、厚さ0.8mmのシートを成形した。このシートのフィッシュアイの個数を前記方法により測定した。
結果を表1に示す。
[比較例1]
有機過酸化物(ラジカル重合開始剤)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に行い、プロピレン系樹脂ペレットのペレットおよびシートを製造した。MFR、溶融張力、フィッシュアイの測定を実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
有機過酸化物(ラジカル重合開始剤)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に行い、プロピレン系樹脂ペレットのペレットおよびシートを製造した。MFR、溶融張力、フィッシュアイの測定を実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
[比較例2]
溶融混練時の樹脂温度を270℃としたこと以外は実施例1と同様に行い、プロピレン系樹脂ペレットのペレットおよびシートを製造した。溶融張力、フィッシュアイ測定を実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
溶融混練時の樹脂温度を270℃としたこと以外は実施例1と同様に行い、プロピレン系樹脂ペレットのペレットおよびシートを製造した。溶融張力、フィッシュアイ測定を実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
[比較例3]
スクリュー構成Aに代えて、図2に示すスクリュウ構成Bを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、プロピレン系樹脂ペレットのペレットおよびシートを製造した。スクリュー構成Bにおいて、スクリュー全体のL/Dに占める混練部用エレメントの割合は16%であった。MFR、溶融張力、フィッシュアイの測定を実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
スクリュー構成Aに代えて、図2に示すスクリュウ構成Bを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、プロピレン系樹脂ペレットのペレットおよびシートを製造した。スクリュー構成Bにおいて、スクリュー全体のL/Dに占める混練部用エレメントの割合は16%であった。MFR、溶融張力、フィッシュアイの測定を実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
実施例1の場合、過酸化物が添加されていない比較例1と同程度のフィッシュアイ生成数であり、かつ溶融張力が増大している。すなわち、過酸化物による改質を行っても、フィッシュアイの生成が抑制されている。
一方で、混練温度が270℃である比較例2はフィッシュアイが増大しており、フィルム外観が悪化してしまい、フィルム製品の欠陥となってしまう。
また、実施例3は混練時のスクリューの影響により、フィッシュアイの生成が増大している。比較例2と同様にフィルム外観が悪化し、製品上の欠陥となってしまう。
また、実施例3は混練時のスクリューの影響により、フィッシュアイの生成が増大している。比較例2と同様にフィルム外観が悪化し、製品上の欠陥となってしまう。
Claims (3)
- 230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(1)が1~10g/10minであり、溶融張力(1)が23~35mNであり、直径100~200μmのフィッシュアイが600cm2当たり30個以下であるプロピレン系樹脂組成物。
- 230℃、荷重2.16kgにおいて測定されたMFR(2)が1~10g/10min、溶融張力(2)が15~30mNであるプロピレン系樹脂100質量部と1分間半減期温度が100℃以下である有機過酸化物0.001~2質量部とを、スクリュー全体のL/Dに対し、混練部用エレメントの占める割合が20%以上、30%以下であるスクリューを備える押出機により、樹脂温度200~240℃で溶融混練する請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
- MFR(1)>MFR(2)、溶融張力(1)>溶融張力(2)である請求項2に記載のプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
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