JP2023012120A - 操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023012120000001
【課題】操舵角と転舵角との関係を可変させる方法としてより有用な方法を提案することができる操舵制御装置を提供する。
【解決手段】操舵制御装置は、転舵部を制御対象とする転舵側制御部を有している。転舵側制御部は、目標ピニオン角θp*に基づき転舵部の動作を制御する。そして、転舵側制御部は、転舵部を動作させるための目標ピニオン角θp*を操舵角θsに関わって得られる操舵変換角θs_pに基づき演算する舵角比可変制御部62を有している。舵角比可変制御部62は、車速V、及び操舵角θsに基づいて、増速比、すなわち増速分値ΔGsirを演算する増速比演算部70と、当該増速分値ΔGsirを使用して操舵角θsを変換して操舵変換角θs_pを演算する角度情報演算部71とを有するようにしている。
【選択図】図3

Description

本発明は、操舵制御装置に関する。
車両には、例えば、車両のステアリングホイールの操舵を可能にする操舵部と、車両の転舵輪の転舵を可能にする転舵部とを有する操舵装置が搭載されている。特許文献1には、操舵部と転舵部との間の動力伝達路が分離した構造のステアバイワイヤ式の操舵装置が一例として開示されている。
上記特許文献1には、操舵部の状態として検出されるステアリングホイールが操舵される角度である操舵角を補正して得られる目標転舵角を用いて、転舵部の動作を制御することが開示されている。ここで、操舵角の補正は、転舵輪の角度である転舵角についての操舵角に対する比率を可変させるようにしている。
特開2020-192908号公報
上述の操舵角の補正では、車速に応じてマップ演算して得られる転舵率ゲインを用いて、転舵輪の角度である転舵角についての操舵角に対する比率を可変させて操舵角と転舵角との関係を可変させるようにしている。こうした操舵角と転舵角との関係を可変させる方法としては、上記転舵率ゲインを用いるに限るものではなく他にもより有用な方法の提案の余地を残している。
上記課題を解決する操舵制御装置は、車両のステアリングホイールの操舵を可能にする操舵部と、当該操舵部との間の動力伝達路が分離した構造とされ、車両の転舵輪を転舵させるべく動作する転舵部とを含む操舵装置の前記転舵部を少なくとも制御対象とする操舵制御装置であって、前記転舵部を動作させるための転舵制御量を前記ステアリングホイールが操舵される角度である操舵角に関わって得られる角度情報に基づき演算するとともに、当該転舵制御量に基づき前記転舵部の動作を制御する制御部を含み、前記制御部は、前記転舵輪の角度である転舵角についての前記操舵角の変化量に対する変化量の割合を示す増速比を、前記操舵装置、及び当該操舵装置が搭載された車両の少なくともいずれかの動作状態に応じて変化する状態変数に基づき演算する増速比演算部と、前記増速比演算部で得られた前記増速比を使用して前記操舵角を変換して前記角度情報を演算する角度情報演算部と、を含んで構成されている。
上記構成によれば、増速比は、操舵装置、及び当該操舵装置が搭載された車両の少なくともいずれかの動作状態に応じて変化する状態変数に基づいて演算されるため、当該動作状態の変化が増速比の変化として現れる。つまり、増速比は、転舵制御量を演算する際に、上記動作状態に応じた適切な転舵制御量を得るための指標にすることができる。また、例えば、転舵部の状態として、転舵角に関する情報を操舵部の制御に反映させる際には、増速比演算部で得られた増速比を逆数にする等して流用できる。この場合、転舵部の状態を操舵部の制御に反映させる際であっても、転舵舵角に関する情報を変換するための増速比演算部のような演算部を別途設ける必要がなくなる。つまり、制御部に関わって設定されるメモリの容量の増加を抑制することができる。したがって、操舵角と転舵角との関係を可変させる方法として、転舵角についての操舵角の変化量に対する変化量の割合である増速比を用いた有用な方法を提案することができる。
例えば、上記構成のように、増速比を使用する結果として増速するように操舵角を変換すると、車両の挙動であるヨーレートの応答特性については、増速する分に応じて応答性が高まるなかで過渡的に現れるピークも合わせて増大することになる。こうした過渡的に現れるピークの増大を抑制しようとすれば、増速比として使用できる範囲が狭められることになる。
そこで、上記操舵制御装置において、前記角度情報演算部は、前記増速比を使用して前記操舵角を変換する結果、前記角度情報についての車両の挙動であるヨーレートの応答特性のうちの定常特性を反映する成分である静的成分を演算する静的成分演算部と、前記静的成分の演算に関わって現れる前記ヨーレートの応答特性のうちの過渡特性を調整するべく当該静的成分を、前記増速比演算部が演算に用いる前記状態変数を少なくとも含む前記状態変数に基づき位相補償して前記角度情報を演算する補償演算部と、を含んで構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、増速比として使用できる範囲について当該範囲を狭めることなく、上記ヨーレートの応答特性について、過渡的に現れるピークの増大を抑制するように調整することができる。
また、上記操舵制御装置において、前記静的成分演算部は、前記転舵輪の角度である転舵角についての前記操舵角の変化量に対する変化量の割合が1である基準値の差分である前記増速比の増速分を使用して前記静的成分を演算し、前記補償演算部は、位相遅れ補償を実施するように伝達関数が、前記増速比演算部が演算に用いる前記状態変数を少なくとも含む前記状態変数に基づき変化する位相遅れフィルタとして構成され、前記制御部は、前記操舵角と、前記位相遅れフィルタで得られた前記角度情報とを加算することによって得られる結果に基づいて、前記転舵制御量を演算するように構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、増速比を使用する結果として増速するように操舵角を変換したとしても、その影響が当該増速比の増速分に止められる。この場合、元々、車両が有する上記ヨーレートの応答特性のうちの過渡特性を残したまま位相補償を実施したとしても、当該ヨーレートの応答特性のなかで過渡的に現れるピークの増大を好適に抑制することができる。
また、上記操舵制御装置において、前記静的成分演算部は、前記増速比を使用して前記静的成分を演算し、前記補償演算部は、位相補償を実施するように伝達関数が、前記増速比演算部が演算に用いる前記状態変数を少なくとも含む前記状態変数に基づき変化する位相補償フィルタとして構成され、前記位相補償フィルタは、前記ヨーレートの応答特性のうちの過渡特性を示す伝達関数の分母分子を入れ替えた逆関数を含んで構成されており、前記制御部は、前記位相補償フィルタで得られた前記角度情報に基づいて、前記転舵制御量を演算するように構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、増速比を使用する結果として増速するように操舵角を変換したとすると、その影響が当該増速比の値分に及ぶことになる。この場合、元々、車両が有する上記ヨーレートの応答特性のうちの過渡特性を打ち消しつつ位相補償を実施することができる。したがって、増速比を使用して操舵角を変換したとしても、上記ヨーレートの応答特性のなかで過渡的に現れるピークの増大を好適に抑制することができる。
また、上記操舵制御装置において、前記補償演算部は、前記静的成分の演算に関わって現れる前記ヨーレートの応答特性のうちの過渡特性とは異なる観点で現れるノイズを低減する位相遅れ補償を実施するように伝達関数が、前記増速比演算部が演算に用いる前記状態変数を少なくとも含む前記状態変数に基づき変化する位相遅れフィルタを更に含んで構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、上記ヨーレートの応答特性のなかで過渡的に現れるピークの増大とは異なる観点で現れるノイズを低減することができる。これは、転舵部の動作の制御上の安定性を確保するのに効果的である。
本発明の操舵制御装置によれば、操舵角と転舵角との関係を可変させる方法としてより有用な方法を提案することができる。
操舵装置の概略構成図。 操舵制御装置の機能を示すブロック図。 第1実施形態について舵角比可変制御部の機能を示すブロック図。 (a)~(c)は、第1実施形態についてヨーレート応答の特性を説明する図。 第1実施形態について舵角比逆可変制御部の機能を示すブロック図。 第2実施形態について舵角比可変制御部の機能を示すブロック図。 第2実施形態について舵角比逆可変制御部の機能を示すブロック図。
<第1実施形態>
以下、操舵制御装置の第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の操舵装置2は、ステアバイワイヤ式の車両用の操舵装置である。操舵装置2は、当該操舵装置2の作動を制御する操舵制御装置1を備えている。操舵装置2は、操舵部4と、転舵部6とを備えている。操舵部4は、車両のステアリングホイール3を介して運転者により操舵される。転舵部6は、運転者により操舵部4に入力される操舵に応じて車両の左右の転舵輪5を転舵させる。なお、本実施形態の操舵装置2は、操舵部4と、転舵部6との間の動力伝達路が機械的に常時分離した構造を有している。つまり、後述の操舵アクチュエータ12と、後述の転舵アクチュエータ31との間の動力伝達路は、機械的に常時分離した構造とされている。
操舵部4は、ステアリング軸11と、操舵アクチュエータ12とを備えている。ステアリング軸11は、ステアリングホイール3に連結されている。操舵アクチュエータ12は、駆動源である操舵側モータ13と、操舵側減速機構14とを有している。操舵側モータ13は、ステアリング軸11を介してステアリングホイール3に対して操舵に抗する力である操舵反力を付与する反力モータである。操舵側モータ13は、例えば、ウォームアンドホイールからなる操舵側減速機構14を介してステアリング軸11に連結されている。本実施形態の操舵側モータ13には、例えば、三相のブラシレスモータが採用されている。
転舵部6は、ピニオン軸21と、転舵軸としてのラック軸22と、ラックハウジング23とを備えている。ピニオン軸21とラック軸22とは、所定の交差角をもって連結されている。ピニオン軸21に形成されたピニオン歯21aとラック軸22に形成されたラック歯22aとを噛み合わせることによりラックアンドピニオン機構24が構成されている。つまり、ピニオン軸21は、転舵輪5の転舵角に換算可能な回転軸に相当する。ラックハウジング23は、ラックアンドピニオン機構24を収容している。なお、ピニオン軸21のラック軸22と連結される側と反対側の一端は、ラックハウジング23から突出している。また、ラック軸22の両端は、ラックハウジング23の軸方向の両端から突出している。そして、ラック軸22の両端には、ボールジョイントからなるラックエンド25を介してタイロッド26が連結されている。タイロッド26の先端は、それぞれ左右の転舵輪5が組み付けられた図示しないナックルに連結されている。
転舵部6は、転舵アクチュエータ31を備えている。転舵アクチュエータ31は、駆動源である転舵側モータ32と、伝達機構33と、変換機構34とを備えている。転舵側モータ32は、伝達機構33、及び変換機構34を介してラック軸22に対して転舵輪5を転舵させる転舵力を付与する。転舵側モータ32は、例えば、ベルト伝達機構からなる伝達機構33を介して変換機構34に対して回転を伝達する。伝達機構33は、例えば、ボールねじ機構からなる変換機構34を介して転舵側モータ32の回転をラック軸22の往復動に変換する。本実施形態の転舵側モータ32には、例えば、三相のブラシレスモータが採用されている。
このように構成された操舵装置2では、運転者によるステアリング操舵に応じて転舵アクチュエータ31からラック軸22にモータトルクが転舵力として付与されることで、転舵輪5の転舵角が変更される。このとき、操舵アクチュエータ12からは、運転者の操舵に抗する操舵反力がステアリングホイール3に付与される。つまり、操舵装置2では、操舵アクチュエータ12から付与されるモータトルクである操舵反力により、ステアリングホイール3の操舵に必要な操舵トルクThが変更される。
ちなみに、ピニオン軸21を設ける理由は、ピニオン軸21と共にラック軸22をラックハウジング23の内部に支持するためである。すなわち、操舵装置2に設けられる図示しない支持機構によって、ラック軸22は、その軸方向に沿って移動可能に支持されるとともに、ピニオン軸21へ向けて押圧される。これにより、ラック軸22はラックハウジング23の内部に支持される。ただし、ピニオン軸21を使用せずにラック軸22をラックハウジング23に支持する他の支持機構を設けてもよい。
<操舵装置2の電気的構成>
図1に示すように、操舵側モータ13、及び転舵側モータ32は、操舵制御装置1に接続されている。操舵制御装置1は、操舵側モータ13、及び転舵側モータ32の作動を制御する。
操舵制御装置1には、トルクセンサ41と、操舵側回転角センサ42と、転舵側回転角センサ43と、車速センサ44とが接続されている。
トルクセンサ41は、運転者のステアリング操舵によりステアリング軸11に付与されたトルクを示す値である操舵トルクThを検出する。トルクセンサ41は、ステアリング軸11における操舵側減速機構14よりもステアリングホイール3側の部分に設けられている。トルクセンサ41は、ステアリング軸11の途中に設けられたトーションバー41aの捩れに基づいて操舵トルクThを検出する。なお、操舵トルクThは、例えば右方向に操舵した場合に正の値、左方向に操舵した場合に負の値として検出する。
操舵側回転角センサ42は、操舵側モータ13の回転軸の角度である回転角θaを360度の範囲内で検出する。操舵側回転角センサ42は、操舵側モータ13に設けられている。操舵側モータ13の回転角θaは、操舵角θsの演算に使用される。操舵側モータ13と、ステアリング軸11とは、操舵側減速機構14を介して連動する。このため、操舵側モータ13の回転角θaと、ステアリング軸11の回転角、ひいてはステアリングホイール3の回転角である操舵角θsとの間には相関がある。したがって、操舵側モータ13の回転角θaに基づき操舵角θsを求めることができる。なお、回転角θaは、例えば右方向に操舵した場合に正の値、左方向に操舵した場合に負の値として検出する。本実施形態において、操舵角θsは、操舵装置2の動作状態に応じて変化する状態変数の一例である。
転舵側回転角センサ43は、転舵側モータ32の回転軸の角度である回転角θbを360度の範囲内で検出する。転舵側回転角センサ43は、転舵側モータ32に設けられている。転舵側モータ32の回転角θbは、ピニオン角θpの演算に使用される。転舵側モータ32と、ピニオン軸21とは、伝達機構33、変換機構34、及びラックアンドピニオン機構24を介して連動する。このため、転舵側モータ32の回転角θbと、ピニオン軸21の回転角度であるピニオン角θpとの間には相関がある。したがって、転舵側モータ32の回転角θbに基づきピニオン角θpを求めることができる。また、ピニオン軸21は、ラック軸22に噛合されている。このため、ピニオン角θpとラック軸22の移動量との間にも相関関係がある。すなわち、ピニオン角θpは、転舵輪5の転舵角を反映する値である。なお、回転角θbは、例えば右方向に操舵した場合に正の値、左方向に操舵した場合に負の値として検出する。
車速センサ44は、車両の走行速度を示す情報として設定される車速Vを検出する。なお、車速センサ44は、操舵制御装置1とは別の制御装置として車両に搭載される車両側制御装置に接続されていてもよい。この場合、車速Vは、図示しないCAN等の車載ネットワークを通じて上記車両側制御装置から操舵制御装置1に入力される。本実施形態において、車速Vは、車両の動作状態に応じて変化する状態変数の一例である。
<操舵制御装置1の機能>
操舵制御装置1は、図示しない中央処理装置(CPU)やメモリを備えており、所定の演算周期ごとにメモリに記憶されたプログラムをCPUが実行する。これにより、各種の処理が実行される。
図2に、操舵制御装置1が実行する処理の一部を示す。図2に示す処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することで実現される処理の一部を、実現される処理の種類毎に記載したものである。
操舵制御装置1は、操舵側モータ13に対する給電を制御する操舵側制御部50を備えている。操舵側制御部50は、操舵側電流センサ54を有している。操舵側電流センサ54は、操舵側制御部50と、操舵側モータ13の各相のモータコイルとの間の接続線を流れる操舵側モータ13の各相の電流値から得られる操舵側実電流値Iaを検出する。操舵側電流センサ54は、操舵側モータ13に対応して設けられる図示しないインバータにおいて、スイッチング素子のそれぞれのソース側に接続されたシャント抵抗の電圧降下を電流として取得する。なお、図2では、説明の便宜上、各相の接続線及び各相の電流センサをそれぞれ1つにまとめて図示している。
また、操舵制御装置1は、転舵側モータ32に対する給電を制御する転舵側制御部60を備えている。転舵側制御部60は、転舵側電流センサ65を有している。転舵側電流センサ65は、転舵側制御部60と、転舵側モータ32の各相のモータコイルとの間の接続線を流れる転舵側モータ32の各相の電流値から得られる転舵側実電流値Ibを検出する。転舵側電流センサ65は、転舵側モータ32に対応して設けられる図示しないインバータにおいて、スイッチング素子のそれぞれのソース側に接続されたシャント抵抗の電圧降下を電流として取得する。なお、図2では、説明の便宜上、各相の接続線及び各相の電流センサをそれぞれ1つにまとめて図示している。本実施形態において、転舵側制御部60は、操舵装置2の転舵部6を制御対象とする制御部の一例である。
<操舵側制御部50>
図2に示すように、操舵側制御部50には、操舵トルクTh、車速V、回転角θa、転舵側実電流値Ib、及び後述の転舵変換角θp_sが入力される。操舵側制御部50は、操舵トルクTh、車速V、回転角θa、転舵側実電流値Ib、及び転舵変換角θp_sに基づいて、操舵側モータ13に対する給電を制御する。なお、ピニオン角θpは、転舵側モータ32の回転角θbに基づき演算される。また、転舵変換角θp_sは、ピニオン角θp、すなわち回転角θb、又は後述の目標ピニオン角θp*に基づき演算される。
操舵側制御部50は、操舵角演算部51と、目標反力トルク演算部52と、通電制御部53とを有している。
操舵角演算部51には、回転角θaが入力される。操舵角演算部51は、回転角θaを、例えば、車両が直進しているときのステアリングホイール3の位置であるステアリング中立位置からの操舵側モータ13の回転数をカウントすることにより、360°を超える範囲を含む積算角に換算する。操舵角演算部51は、換算して得られた積算角に操舵側減速機構14の回転速度比に基づく換算係数を乗算することで、操舵角θsを演算する。こうして得られた操舵角θsは、目標反力トルク演算部52、及び転舵側制御部60に出力される。
目標反力トルク演算部52には、操舵トルクTh、車速V、転舵側実電流値Ib、後述の転舵変換角θp_s、及び操舵角θsが入力される。目標反力トルク演算部52は、操舵トルクTh、車速V、転舵側実電流値Ib、転舵変換角θp_s、及び操舵角θsに基づいて、目標反力トルク指令値Ts*を演算する。目標反力トルク指令値Ts*は、操舵側モータ13を通じて発生させるべくステアリングホイール3の操舵反力の目標となる反力制御量である。こうして得られた目標反力トルク指令値Ts*は、通電制御部53に出力される。
通電制御部53には、目標反力トルク指令値Ts*、回転角θa、及び操舵側実電流値Iaが入力される。通電制御部53は、目標反力トルク指令値Ts*に基づき操舵側モータ13に対する電流指令値Ia*を演算する。そして、通電制御部53は、電流指令値Ia*と、操舵側電流センサ54を通じて検出される操舵側実電流値Iaを回転角θaに基づき変換して得られるdq座標上の電流値との偏差を求め、当該偏差を無くすように操舵側モータ13に対する給電を制御する。これにより、操舵側モータ13は目標反力トルク指令値Ts*に応じたトルクを発生する。すなわち、運転者に対して路面反力に応じた適度な手応え感を与えることが可能である。
<転舵側制御部60>
図2に示すように、転舵側制御部60には、車速V、回転角θb、及び操舵角θsが入力される。転舵側制御部60は、車速V、回転角θb、及び操舵角θsに基づいて、転舵側モータ32に対する給電を制御する。
転舵側制御部60は、ピニオン角演算部61と、舵角比可変制御部62と、ピニオン角フィードバック制御部(図中「ピニオン角F/B制御部」)63と、通電制御部64と、舵角比逆可変制御部66とを有している。
ピニオン角演算部61には、回転角θbが入力される。ピニオン角演算部61は、回転角θbを、例えば、車両が直進しているときのラック軸22の位置であるラック中立位置からの転舵側モータ32の回転数をカウントすることにより、360°を超える範囲を含む積算角に換算する。ピニオン角演算部61は、換算して得られた積算角に、伝達機構33の回転速度比と、変換機構34のリードと、ラックアンドピニオン機構24の回転速度比に基づく換算係数を乗算することで、ピニオン軸21の実際の回転角であるピニオン角θpを演算する。こうして得られたピニオン角θpは、ピニオン角フィードバック制御部63、及び舵角比逆可変制御部66に出力される。
舵角比可変制御部62には、車速V、及び操舵角θsが入力される。舵角比可変制御部62は、車速V、及び操舵角θsに基づいて、転舵輪5を転舵させる結果として得られるピニオン角θpの目標となる転舵制御量としての目標ピニオン角θp*を演算する。こうして得られた目標ピニオン角θp*は、ピニオン角フィードバック制御部63、及び舵角比逆可変制御部66に出力される。
また、舵角比可変制御部62は、目標ピニオン角θp*を得る過程で、施すことになる所定の演算で用いる変数として、後述の増速比Gsirを演算する機能を有している。目標ピニオン角θp*には、所定の演算として、ピニオン角θpを基準とする状態変数となるようにスケール変換するための演算が施される。増速比Gsirについては、後で詳しく説明する。目標ピニオン角θp*を得る過程で得られた増速比Gsirは、当該増速比Gsirから基準値である「1」を減算した値である差分に相当する増速分値ΔGsirとして演算に使用される。こうして得られた増速分値ΔGsirは、舵角比逆可変制御部66に出力される。
ピニオン角フィードバック制御部63には、目標ピニオン角θp*、及びピニオン角θpが入力される。ピニオン角フィードバック制御部63は、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*に追従させるべくピニオン角θpのフィードバック制御を通じて転舵力の目標となる制御量としての転舵力指令値Tp*を演算する。こうして得られた転舵力指令値Tp*は、通電制御部64に出力される。
通電制御部64には、転舵力指令値Tp*、回転角θb、及び転舵側実電流値Ibが入力される。通電制御部64は、転舵力指令値Tp*に基づき転舵側モータ32に対する電流指令値Ib*を演算する。そして、通電制御部64は、電流指令値Ib*と、転舵側電流センサ65を通じて検出される転舵側実電流値Ibを回転角θbに基づき変換して得られるdq座標上の電流値との偏差を求め、当該偏差を無くすように転舵側モータ32に対する給電を制御する。これにより、転舵側モータ32は転舵力指令値Tp*に応じた角度だけ回転する。
舵角比逆可変制御部66には、ピニオン角θp、目標ピニオン角θp*、及び増速分値ΔGsirが入力される。舵角比逆可変制御部66は、ピニオン角θp、目標ピニオン角θp*、及び増速分値ΔGsirに基づいて、転舵変換角θp_sを演算する。転舵変換角θp_sには、所定の演算として、操舵角θsを基準とする状態変数となるようにスケール変換するための演算が施される。こうして得られた転舵変換角θp_sは、操舵側制御部50、すなわち目標反力トルク演算部52に出力される。
<舵角比可変制御部62>
図3に示すように、舵角比可変制御部62は、増速比演算部70と、角度情報演算部71とを有している。
増速比演算部70には、車速V、及び操舵角θsが入力される。増速比演算部70は、車速V、及び操舵角θsと、増速分値ΔGsirとの関係を定めた増速比マップを備えている。増速比演算部70は、車速V、及び操舵角θsを入力とし、増速分値ΔGsirをマップ演算する。増速比マップは、例えば、操舵角θsが大きくなるほど値が小さくなるとともに、車速Vが大きくなるほど値が小さくなるように設定されている。本実施形態では、操舵角θsと、ピニオン角θpとの間で、ピニオン角θpについての操舵角θsの変化量に対する変化量の割合を示す指標として、伝達比、舵角比、ギヤ比等と表されることもある増速比Gsirを規定している。つまり、増速比Gsirは、分母を操舵角θsとし、分子をピニオン角θp、すなわち目標ピニオン角θp*として得られる値に相当する。そして、増速分値ΔGsirは、ピニオン角θp、すなわち目標ピニオン角θp*についての操舵角θsの変化量に対する変化量の割合が「1」の場合を基準として、当該「1」を増速比Gsirから減算した値として規定されている。本実施形態では、増速分値ΔGsirをゼロ値以上、すなわち増速比Gsirを1以上に設定しているが、増速分値ΔGsirを負値、すなわち増速比Gsirを1未満に設定してもよい。こうして得られた増速分値ΔGsirは、角度情報演算部71に出力される。
角度情報演算部71には、車速V、操舵角θs、及び増速分値ΔGsirが入力される。角度情報演算部71は、車速V、操舵角θs、及び増速分値ΔGsirに基づいて、目標ピニオン角θp*を演算する。
具体的には、角度情報演算部71は、静的成分演算部72を有しているとともに、第1補償演算部73と第2補償演算部74とを含む補償演算部75を有している。
静的成分演算部72には、操舵角θs、及び増速分値ΔGsirが入力される。静的成分演算部72は、乗算器として構成されており、操舵角θsに対して増速分値ΔGsirを乗算することで変換加算角Δθbs_pを演算する。変換加算角Δθbs_pは、増速比Gsirを反映して増加する分の変化量である。これは、増速比Gsirを反映する結果、車両の挙動であるヨーレートの応答特性のうちの定常特性を反映する成分である静的成分である。こうして得られた変換加算角Δθbs_pは、第1補償演算部73に出力される。
第1補償演算部73には、車速V、操舵角θs、及び変換加算角Δθbs_pが入力される。第1補償演算部73は、車速V、操舵角θs、及び変換加算角Δθbs_pに基づいて、最終的な変換加算角Δθs_pを演算する。
具体的には、第1補償演算部73は、第1定数演算部73aと、第1動的成分演算部73bとを有している。
第1定数演算部73aには、車速V、及び操舵角θsが入力される。ここで入力される状態変数である車速V、及び操舵角θsは、増速比演算部70に入力されるのと同一の状態変数である。第1定数演算部73aは、車速V、及び操舵角θsと、第1定数K1との関係を定めた第1定数マップを備えている。第1定数演算部73aは、車速V、及び操舵角θsを入力とし、第1定数K1をマップ演算する。第1定数マップは、例えば、操舵角θsに対して一定値であるとともに、車速Vが大きくなるほど値が小さくなるように設定されている。第1定数K1は、位相補償として周波数特性を調整するためのフィルタ処理を実現する第1動的成分演算部73bについて、当該フィルタ処理の特性である伝達関数の定数を示す値である。つまり、第1定数K1は、フィルタ処理の際の対象とする周波数を特定するための伝達関数のカットオフ周波数であり、第1動的成分演算部73bとして離散系の制御システムを実装する際に設定するフィルタ定数に対応する。こうして得られた第1定数K1は、第1動的成分演算部73bに出力される。
第1動的成分演算部73bには、変換加算角Δθbs_p、及び第1定数K1が入力される。第1動的成分演算部73bは、変換加算角Δθbs_p、及び第1定数K1に基づいて、最終的な変換加算角Δθs_pを演算する。本実施形態において、第1動的成分演算部73bは、0次/1次、すなわち1次遅れの伝達関数を有する位相遅れフィルタ、例えば、ローパスフィルタとして構成している。そして、第1動的成分演算部73bは、第1定数K1に応じた、例えば、数ヘルツの周波数帯を通過周波数として、車両の挙動であるヨーレートの応答特性のなかで過渡的に現れるピークである、所謂、ヨーレートピークの絶対値を小さく抑えるように調整する。なお、本実施形態では、第1動的成分演算部73bとして、上記ヨーレートピークの絶対値を小さく抑える度合いに合わせて、2次遅れ等、より高次の遅れの伝達関数を有するローパスフィルタを採用してもよい。こうして得られた変換加算角Δθs_pは、加算器76に出力される。
加算器76には、操舵角θs、及び変換加算角Δθs_pが入力される。加算器76は、操舵角θsと、第1補償演算部73を通じて得られた変換加算角Δθs_pとを加算することで操舵変換角θs_pを演算する。つまり、操舵変換角θs_pは、ピニオン角θpを基準とする状態変数となるように操舵角θsをスケール変換した角度情報である。こうして得られた操舵変換角θs_pは、第2補償演算部74に出力される。
第2補償演算部74には、車速V、操舵角θs、及び操舵変換角θs_pが入力される。第2補償演算部74は、車速V、操舵角θs、及び操舵変換角θs_pに基づいて、目標ピニオン角θp*を演算する。
具体的には、第2補償演算部74は、第2定数演算部74aと、第2動的成分演算部74bとを有している。
第2定数演算部74aには、車速V、及び操舵角θsが入力される。ここで入力される状態変数である車速V、及び操舵角θsは、増速比演算部70に入力されるのと同一の状態変数である。すなわち、状態変数である車速V、及び操舵角θsは、第1定数演算部73aに入力されるのと同一の状態変数である。第2定数演算部74aは、車速V、及び操舵角θsと、第2定数K2との関係を定めた第2定数マップを備えている。第2定数演算部74aは、車速V、及び操舵角θsを入力とし、第2定数K2をマップ演算する。第2定数マップは、例えば、操舵角θsに対して一定値であるとともに、車速Vが大きくなるほど値が小さくなるように設定されている。第2定数K2は、位相補償として周波数特性を調整するためのフィルタ処理を実現する第2動的成分演算部74bについて、当該フィルタ処理の特性である伝達関数の定数を示す値である。つまり、第2定数K2は、フィルタ処理の際の対象とする周波数を特定するための伝達関数のカットオフ周波数であり、第2動的成分演算部74bとして離散系の制御システムを実装する際に設定するフィルタ定数に対応する。こうして得られた第2定数K2は、第2動的成分演算部74bに出力される。
第2動的成分演算部74bには、操舵変換角θs_p、及び第2定数K2が入力される。第2動的成分演算部74bは、操舵変換角θs_p、及び第2定数K2に基づいて、目標ピニオン角θp*を演算する。本実施形態において、第2動的成分演算部74bは、0次/1次、すなわち1次遅れの伝達関数を有する位相遅れフィルタ、例えば、ローパスフィルタとして構成している。そして、第2動的成分演算部74bは、第2定数K2に応じた、例えば、数十ヘルツの周波数帯を通過周波数として、車両の挙動であるヨーレートの応答特性のなかで現れる高周波成分である、所謂、高周波ノイズを低減するように調整する。つまり、第2動的成分演算部74bは、第1動的成分演算部73bとは異なる観点で現れるノイズを低減するフィルタ処理を実施する。なお、本実施形態では、第2動的成分演算部74bとして、上記ノイズを低減する度合いに合わせて、2次遅れ等、より高次の遅れの伝達関数を有するローパスフィルタを採用してもよい。
<角度情報演算部71の機能>
角度情報演算部71の主な機能のうち、車両の挙動であるヨーレートの応答特性を調整する機能は、静的成分演算部72と、第1補償演算部73との機能により実現される。
例えば、図4(a)に示すように、所定の車速V、及び操舵角θsにおける、元々、車両が有する上記ヨーレートの応答特性は、周波数との間で所定の関係を有している。ここで、横軸は周波数F(Hz)とし、縦軸は周波数Fに対するヨーレートの振幅比であるヨーレートゲインKγ(dB)としている。この場合、ヨーレートゲインKγの「1」の値を超えるように過渡的に現れるピークの大きさを示すピーク値は、周波数F0を共振周波数としてピーク値γ0pを示す。
そして、図4(b)に示すように、静的成分演算部72の機能を通じて操舵角θsに対して増速分値ΔGsirを反映させる結果、増速分値ΔGsirに応じた量だけヨーレートゲインKγの絶対値が大きくなるようにオフセットすることになる。つまり、ヨーレートゲインKγは、一点鎖線で示す特性から実線で示す特性へと変遷する。この場合、ヨーレートゲインKγのピーク値は、ピーク値γ0pから絶対値がより大きいピーク値γ1pへと変化する。なお、ピーク値γ1pを示す共振周波数である周波数F1は、周波数F0に対して上下変化し得る。これにより、上記ヨーレートの応答特性については、増速分値ΔGsirに応じて応答性が高まるなかで過渡的に現れるピーク値も合わせて増大することになる。
これに対して、図4(c)に示すように、第1補償演算部73の機能を通じて1次遅れの伝達関数を有するローパスフィルタによるフィルタ処理を実施する結果、ヨーレートゲインKγのピーク値γ1pをキャンセルすることになる。つまり、ヨーレートゲインKγは、二点鎖線で示す特性から実線で示す特性へと変遷する。この場合、ローパスフィルタのカットオフ周波数は、ピーク値γ1pを示す共振周波数である周波数F1を基準に設定することになる。これにより、上記ヨーレートの応答特性については、過渡的に現れるピークの増大を抑制するように調整される。
こうしたカットオフ周波数は、第1補償演算部73の第1定数演算部73aの機能を通じて第1定数K1として設定される。そして、第1定数K1は、増速分値ΔGsirを演算する際に使用するのと同一の状態変数である車速V、及び操舵角θsを使用して演算される。この場合、第1定数K1は、増速分値ΔGsirに対応する値として、増速分値ΔGsirに応じて変化するピーク値に関連付けた値に設定されることになる。例えば、第1定数K1は、ピーク値が大きいほどカットオフ周波数の範囲を狭める値として設定される。
<舵角比逆可変制御部66>
図5に示すように、舵角比逆可変制御部66は、増速比換算部80と、転舵変換角演算部81とを有している。
増速比換算部80において、加算器82には、増速分値ΔGsirが入力される。加算器82は、増速分値ΔGsirに記憶部83に記憶された「1」を加算することで増速比Gsirを演算する。こうして得られた増速比Gsirは、除算器84に出力される。なお、記憶部83は、図示しないメモリの所定の記憶領域のことである。
そして、除算器84は、記憶部85に記憶された「1」を増速比Gsirで除算することで逆増速比Hsirを演算する。逆増速比Hsirは、増速比Gsirの逆数(図5中「1/Gsir」)であり、操舵角θsについてのピニオン角θp、すなわち目標ピニオン角θp*の変化量に対する変化量の割合を示す指標である。つまり、逆増速比Hsirは、分母をピニオン角θp、すなわち目標ピニオン角θp*とし、分子を操舵角θsとして得られる値に相当する。こうして得られた逆増速比Hsirは、転舵変換角演算部81に出力される。なお、記憶部85は、図示しないメモリの所定の記憶領域のことである。
転舵変換角演算部81において、第1乗算器86には、ピニオン角θp、及び逆増速比Hsirが入力される。第1乗算器86は、ピニオン角θpに対して逆増速比Hsirを乗算してピニオン角θpについての転舵変換角θp_s(θp)を演算する。つまり、転舵変換角θp_s(θp)は、操舵角θsを基準とする状態変数となるようにピニオン角θpをスケール変換した角度情報である。こうして得られた転舵変換角θp_s(θp)は、操舵側制御部50、すなわち目標反力トルク演算部52に出力される。
また、転舵変換角演算部81において、第2乗算器87には、目標ピニオン角θp*、及び逆増速比Hsirが入力される。第2乗算器87は、目標ピニオン角θp*に対して逆増速比Hsirを乗算して目標ピニオン角θp*についての転舵変換角θp_s(θp*)を演算する。つまり、転舵変換角θp_s(θp*)は、操舵角θsを基準とする状態変数となるように目標ピニオン角θp*をスケール変換した角度情報である。こうして得られた転舵変換角θp_s(θp*)は、操舵側制御部50、すなわち目標反力トルク演算部52に出力される。
<本実施形態の作用>
図3に示すように、増速比Gsirに関わって得られる増速分値ΔGsirは、車速V、及び操舵角θsに基づいて演算されるため、車速V、及び操舵角θsの変化が増速比Gsir、すなわち増速分値ΔGsirの変化として現れる。つまり、増速比Gsir、すなわち増速分値ΔGsirは、目標ピニオン角θp*を演算する際に、車速V、及び操舵角θsに応じた適切な目標ピニオン角θp*を得るための指標にすることができる。
この場合、転舵部6の状態として、ピニオン角θp、又は目標ピニオン角θp*を操舵部4の制御に反映させる際には、増速比演算部70で得られた増速分値ΔGsirに関する増速比Gsirを逆数にして流用することができる。
具体的には、図5に示すように、舵角比逆可変制御部66の増速比換算部80では、増速分値ΔGsirの値だけを取得するようにしている。また、増速比換算部80では、取得した増速分値ΔGsirに対して、四則演算を組み合わせた容易な演算を施して逆増速比Hsirとして流用するようにしている。
これにより、ピニオン角θp、又は目標ピニオン角θp*を操舵部4の制御に反映させる際であっても、ピニオン角θp、又は目標ピニオン角θp*を変換するための増速比演算部70のようなマップ演算のための演算部を個別に設ける必要がなくなる。つまり、転舵側制御部60に関わって設定されるメモリの容量の増加を抑制することができる。これは、本実施形態のように、ピニオン角θp、及び目標ピニオン角θp*についての複数種類の転舵変換角θp_sを演算する際には顕著である。
<第1実施形態の効果>
(1-1)本実施形態において、増速比Gsir、すなわち増速分値ΔGsirは、目標ピニオン角θp*を演算する際に、車速V、及び操舵角θsに応じた適切な目標ピニオン角θp*を得るための指標にすることができる。また、増速分値ΔGsirは、転舵部6の状態として、ピニオン角θp、又は目標ピニオン角θp*を操舵部4の制御に反映させる際に逆増速比Hsirとして流用することができる。したがって、操舵角θsとピニオン角θpとの関係を可変させる方法として、ピニオン角θp、すなわち目標ピニオン角θp*についての操舵角θsの変化量に対する変化量の割合である増速比Gsirを用いた有用な方法を提案することができる。
(1-2)本実施形態において、角度情報演算部71は、静的成分演算部72と、第1補償演算部73とを含んで構成されている。
この場合、図4(a)~(c)を用いて説明したように、上記ヨーレートの応答特性について、増速分値ΔGsirに応じて応答性を高めることができるとともに、過渡的に現れるピーク値をキャンセルすることができる。したがって、増速比Gsirとして使用できる範囲について当該範囲を狭めることなく、上記ヨーレートの応答特性について、過渡的に現れるピークの増大を抑制するように調整することができる。
(1-3)本実施形態において、目標ピニオン角θp*は、操舵角θsと、変換加算角Δθbs_pに対して第1動的成分演算部73bで得られた最終的な変換加算角Δθs_pとを加算することによって得られるようにしている。そして、変換加算角Δθbs_pは、増速比Gsirから基準値である「1」を減算した値に相当する増速分値ΔGsirを使用して静的成分演算部72で得られる。
これにより、増速比Gsirを使用する結果として増速するように操舵角θsを変換したとしても、その影響が当該増速比の増速分値ΔGsirに止められる。この場合、元々、車両が有する上記ヨーレートの応答特性を残したまま第1動的成分演算部73bによるフィルタ処理を実施したとしても、当該ヨーレートの応答特性のなかで過渡的に現れるピークの増大を好適に抑制することができる。
(1-4)本実施形態において、目標ピニオン角θp*は、第2動的成分演算部74bによるフィルタ処理を実施することによって得られるようにしている。これにより、上記ヨーレートの応答特性のなかで過渡的に現れるピークの増大とは異なる観点で現れるノイズを低減することができる。これは、転舵部6の動作の制御上の安定性を確保するのに効果的である。
<第2実施形態>
以下、操舵制御装置の第2実施形態について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成等は、同一の符号を付す等して、その重複する説明を省略する。
本実施形態の舵角比可変制御部67では、増速比Gsirを使用して目標ピニオン角θp*を演算するように、上記第1実施形態の舵角比可変制御部62の機能が変更されている。これに伴って、本実施形態の舵角比逆可変制御部68では、上記第1実施形態の舵角比逆可変制御部66の機能が変更されている。
<舵角比可変制御部67>
図6に示すように、舵角比可変制御部67において、増速比演算部90には、車速V、及び操舵角θsが入力される。増速比演算部90は、車速V、及び操舵角θsと、増速比Gsirとの関係を定めた増速比マップを備えている。増速比演算部90は、車速V、及び操舵角θsを入力とし、増速比Gsirをマップ演算する。増速比マップは、例えば、操舵角θsが大きくなるほど値が小さくなるとともに、車速Vが大きくなるほど値が小さくなるように設定されている。こうして得られた増速比Gsirは、角度情報演算部91、及び舵角比逆可変制御部68に出力される。
舵角比可変制御部67において、角度情報演算部91には、車速V、操舵角θs、及び増速比Gsirが入力される。角度情報演算部91において、静的成分演算部92には、操舵角θs、及び増速比Gsirが入力される。静的成分演算部92は、乗算器として構成されており、操舵角θsに対して増速比Gsirを乗算することで静的成分として変換角θbs_pを演算する。こうして得られた変換角θbs_pは、本実施形態の補償演算部95を構成する第3補償演算部93に出力される。
第3補償演算部93において、第3定数演算部93aa、第4定数演算部93ab、及び第5定数演算部93acには、車速V、及び操舵角θsがそれぞれ入力される。ここでそれぞれ入力される状態変数である車速V、及び操舵角θsは、増速比演算部90に入力されるのと同一の状態変数である。
具体的には、各定数演算部93aa,93ab,93acは、車速V、及び操舵角θsと、各定数K3,K4,K5との関係を定めた各定数マップをそれぞれ備えている。つまり、第3定数演算部93aaは、車速V、及び操舵角θsを入力とし、第3定数K3をマップ演算する。また、第4定数演算部93abは、車速V、及び操舵角θsを入力とし、第4定数K4をマップ演算する。また、第5定数演算部93acは、車速V、及び操舵角θsを入力とし、第5定数K5をマップ演算する。各定数マップは、例えば、操舵角θsに対して一定値であるとともに、車速Vが大きくなるほど値が小さくなるように設定されている。
各定数K3,K4,K5は、位相補償として周波数特性を調整するためのフィルタ処理を実現する第3動的成分演算部93bについて、当該フィルタ処理の特性である伝達関数の定数を示す値である。つまり、各定数K3,K4,K5は、第3動的成分演算部93bとして離散系の制御システムを実装する際に設定するフィルタ定数に対応する。そして、第3定数K3は、フィルタ処理の際の対象とする周波数を特定するための伝達関数のカットオフ周波数であり、後述の式(3)の「ωf」に対応する。また、第4定数K4は、フィルタ処理の伝達関数の時定数であり、後述の式(3)の「Tf」に対応する。また、第5定数K5は、フィルタ処理の伝達関数の減衰比であり、後述の式(3)の「ζf」に対応する。こうして得られた各定数K3,K4,K5は、第3動的成分演算部93bに出力される。
第3補償演算部93において、第3動的成分演算部93bには、変換角θbs_p、及び各定数K3,K4,K5が入力される。第3動的成分演算部93bは、変換角θbs_p、及び各定数K3,K4,K5に基づいて、操舵変換角θs_pを演算する。本実施形態において、第3動的成分演算部93bは、2次/1次の伝達関数を含み、更に1次/2次の伝達関数を有する複数のフィルタをカスケード接続した多重の位相補償フィルタとして構成している。
例えば、元々、車両が有する上記ヨーレートの応答特性が、前輪の転舵角に対するヨーレートとの関係に基づき定義される下記式(1),(2)で与えられることを前提とする。
Figure 2023012120000002
上記式(1)において、「γ」はヨーレート、「Gd」は車両が有する伝達比、舵角比、ギヤ比等、「δ」は前輪の転舵角、「Qv」は伝達関数を示す。上記式(2)において、「ω」は固有周波数、「ζ」は減衰比、「T」は時定数を示す。この場合、「Gd」は定常的な静的成分であるのに対して、「Qv」は過渡的な特性を含む動的成分である。つまり、上記式(2)において、「Qv」で示すように、元々、車両が有する上記ヨーレートの応答特性は、1次/2次の伝達関数を有している。
これに対して、例えば、第3動的成分演算部93bの伝達関数「Qf」が、下記式(3)として定義されている。
Figure 2023012120000003
上記式(3)において、「ωf」は第3定数K3、「Tf」は第4定数K4、「ζf」は第5定数K5を示す。この場合、「Qf」は、分母において上記式(2)の「Qv」の1次/2次の伝達関数を含むとともに、分子において各定数演算部93aa,93ab,93acを通じて得られる各定数K3,K4,K5で定義される1次/2次の伝達関数を含んで構成されている。つまり、「Qf」は、上記式(2)の「Qv」の分母分子を入れ替えた逆関数である2次/1次の伝達関数を含んでいる。
そして、第3動的成分演算部93bは、「Qf」の分母にて、元々、車両が有する1次/2次の伝達関数である「Qv」を打ち消して、「Qf」の分子にて各定数K3,K4,K5で定義される1次/2次の伝達関数に置き換えるように機能する。この場合、第3動的成分演算部93bは、各定数K3,K4,K5で定義される1次/2次の伝達関数に置き換えることで、上記ヨーレートの応答特性のなかで過渡的に現れるヨーレートピークの絶対値を小さく抑えるように調整する。こうして得られた操舵変換角θs_pは、本実施形態の補償演算部95を構成する第4補償演算部94に出力される。
第4補償演算部94は、上記第1実施形態の第2補償演算部74に対応する機能を有している。具体的には、第4補償演算部94は、上記第1実施形態の第2補償演算部74の第2定数演算部74aに対応する機能として、第6定数演算部94aを有している。第6定数演算部94aには、上記第2定数演算部74aと同様、車速V、及び操舵角θsが入力される。そして、第6定数演算部94aは、上記第2定数演算部74aと同様、車速V、及び操舵角θsに基づいて、第2定数K2に対応する第6定数K6を演算する。こうして得られた第6定数K6は、第4動的成分演算部94bに出力される。
また、第4補償演算部94は、上記第1実施形態の第2補償演算部74の第2動的成分演算部74bに対応する機能として、第4動的成分演算部94bを有している。第4動的成分演算部94bには、上記第2動的成分演算部74bと同様、操舵変換角θs_p、及び第6定数K6が入力される。そして、第4動的成分演算部94bは、上記第2動的成分演算部74bと同様、操舵変換角θs_p、及び第6定数K6に基づいて、目標ピニオン角θp*を演算する。
<角度情報演算部91の機能>
角度情報演算部91の主な機能のうち、車両の挙動であるヨーレートの応答特性を調整する機能は、静的成分演算部72と、第1補償演算部73との機能により実現される。
上記式(1)は、静的成分演算部92の機能を通じて操舵角θsに対して増速比Gsirを反映させる結果、「Gd」が増速比Gsirに対応する値である「Gf」に置き換えて定義される下記式(4)となる。
Figure 2023012120000004
この場合、増速比Gsirに応じた量だけヨーレートゲインKγの絶対値が大きくなるようにオフセットすることは、上記第1実施形態と同様である。
これに対して、上記式(4)は、第3補償演算部93の機能を通じて上記式(3)の伝達関数を有する多重のフィルタによるフィルタ処理を実施する結果、下記式(5),(6)を経ることになる。そして、上記式(4)は、下記式(5),(6)を経る結果、「Qv」が「Qf」の分子に対応する伝達関数に置き換えて定義される下記式(7)となる。
Figure 2023012120000005
この場合、「ωf」、「ζf」、及び「Tf」は、第3補償演算部93の各定数演算部93aa,93ab,93acの機能を通じて各定数K3,K4,K5として設定される。そして、各定数K3,K4,K5は、増速比Gsirを演算する際に使用するのと同一の状態変数である車速V、及び操舵角θsを使用して演算される。この場合、各定数K3,K4,K5は、増速比Gsirに対応する値として、増速比Gsirに応じて変化するピーク値に関連付けた値に設定されることになる。これにより、上記ヨーレートの応答特性について、過渡的に現れるピークの増大を抑制するように調整することができるのは、上記第1実施形態と同様である。
<舵角比逆可変制御部68>
図7に示すように、舵角比逆可変制御部68において、増速比換算部100において、除算器102は、記憶部103に記憶された「1」を増速比Gsirで除算することで、上記第1実施形態と同様、逆増速比Hsirを演算する。こうして得られた逆増速比Hsirは、転舵変換角演算部101に出力される。なお、記憶部103は、図示しないメモリの所定の記憶領域のことである。
転舵変換角演算部101は、上記第1実施形態の転舵変換角演算部81に対応する機能を有している。具体的には、転舵変換角演算部101は、上記第1実施形態の転舵変換角演算部81の第1乗算器86に対応する機能として、第3乗算器104を有している。第3乗算器104には、上記第1乗算器86と同様、ピニオン角θp、及び逆増速比Hsirが入力される。第3乗算器104は、上記第1乗算器86と同様、ピニオン角θpに対して逆増速比Hsirを乗算してピニオン角θpについての転舵変換角θp_s(θp)を演算する。こうして得られた転舵変換角θp_s(θp)は、操舵側制御部50、すなわち目標反力トルク演算部52に出力される。
また、転舵変換角演算部101は、上記第1実施形態の転舵変換角演算部81の第2乗算器87に対応する機能として、第4乗算器105を有している。第4乗算器105には、上記第2乗算器87と同様、目標ピニオン角θp*、及び逆増速比Hsirが入力される。第4乗算器105は、上記第2乗算器87と同様、目標ピニオン角θp*に対して逆増速比Hsirを乗算して目標ピニオン角θp*についての転舵変換角θp_s(θp*)を演算する。こうして得られた転舵変換角θp_s(θp*)は、操舵側制御部50、すなわち目標反力トルク演算部52に出力される。
<第2実施形態の効果>
こうした本実施形態によれば、上記第1実施形態に準じた効果に加えて、以下の効果を奏する。
(2-1)本実施形態において、目標ピニオン角θp*は、変換角θbs_pに基づき得られるようにしている。そして、変換角θbs_pは、増速比Gsirを使用して静的成分演算部92で得られる。
これにより、増速比Gsirを使用する結果として増速するように操舵角θsを変換したとすると、その影響が当該増速比Gsirの値分に及ぶことになる。この場合、元々、車両が有する上記ヨーレートの応答特性のうちの過渡特性を打ち消しつつ第3動的成分演算部93bによるフィルタ処理を実施することができる。したがって、増速比Gsirを使用して操舵角θsを変換したとしても、上記ヨーレートの応答特性のなかで過渡的に現れるピークの増大を好適に抑制することができる。
<他の実施形態>
上記各実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・上記第1実施形態において、増速比演算部70では、操舵装置2、及び車両の少なくともいずれかの動作状態に応じて変化する状態変数を少なくとも用いていればよい。この場合、増速比演算部70では、車速V、及び操舵角θsのいずれかしか用いなくてもよいし、他の要素を組み合わせて用いるようにしてもよい。なお、操舵装置2の動作状態に応じて変化する状態変数としては、操舵部4から得られる操舵角θsの微分値である操舵速度や、転舵部6からピニオン角θp、又は目標ピニオン角θp*の微分値である転舵速度を採用することができる。これは、第2実施形態についても同様である。つまり、増速比演算部90では、操舵装置2、及び車両の少なくともいずれかの動作状態に応じて変化する状態変数を少なくとも用いていればよい。この場合、増速比演算部90では、車速V、及び操舵角θsのいずれかしか用いなくてもよいし、他の要素を組み合わせて用いるようにしてもよい。
・上記第1実施形態において、増速比演算部70の増速比マップは、例えば、操舵角θsが大きくなるほど値が小さくなる際に線形的に変化するように設定したり、操舵角θsが大きくなるほど値が大きくなるように設定したりする等、適宜変更可能である。これは、上記第2実施形態の増速比演算部90の増速比マップについても同様である。
・上記第1実施形態において、第1補償演算部73では、変換加算角Δθs_pを演算する際、車速V、及び操舵角θs、すなわち増速比演算部70に入力されるのと同一の状態変数を少なくとも含む状態変数を用いていればよい。この場合、第1補償演算部73では、車速V、及び操舵角θsと共に他の要素を組み合わせて用いるようにしてもよい。これは、第2実施形態についても同様である。つまり、第3補償演算部93では、操舵変換角θs_pを演算する際、車速V、及び操舵角θs、すなわち増速比演算部90に入力されるのと同一の状態変数を少なくとも含む状態変数を用いていればよい。
・上記第1実施形態において、第1補償演算部73では、変換加算角Δθs_pを演算する際、車速V、及び操舵角θsのいずれかのみを用いこともできるし、車速V、及び操舵角θsを用いないようにすることもできる。この場合、第1補償演算部73では、増速比演算部70に入力されるのと異なる状態変数を用いることになる。これは、第2実施形態についても同様である。つまり、第3補償演算部93では、操舵変換角θs_pを演算する際、車速V、及び操舵角θsのいずれかのみを用いこともできるし、車速V、及び操舵角θsを用いないようにすることもできる。
・上記第1実施形態において、第2補償演算部74では、目標ピニオン角θp*を演算する際、車速V、及び操舵角θs、すなわち増速比演算部70に入力されるのと同一の状態変数を少なくとも含む状態変数を用いていればよい。この場合、第2補償演算部74では、車速V、及び操舵角θsと共に他の要素を組み合わせて用いるようにしてもよい。これは、第2実施形態についても同様である。つまり、第4補償演算部94では、目標ピニオン角θp*を演算する際、車速V、及び操舵角θs、すなわち増速比演算部90に入力されるのと同一の状態変数を少なくとも含む状態変数を用いていればよい。
・上記第1実施形態において、第2補償演算部74では、目標ピニオン角θp*を演算する際、車速V、及び操舵角θsのいずれかのみを用いこともできるし、車速V、及び操舵角θsを用いないようにすることもできる。この場合、第2補償演算部74では、増速比演算部70に入力されるのと異なる状態変数を用いることになる。これは、第2実施形態についても同様である。つまり、第4補償演算部94では、目標ピニオン角θp*を演算する際、車速V、及び操舵角θsのいずれかのみを用いこともできるし、車速V、及び操舵角θsを用いないようにすることもできる。
・上記第1実施形態において、第1定数演算部73aの第1定数マップは、例えば、操舵角θsが大きくなるほど値が小さくなるように設定する等、適宜変更可能である。これは、第2定数マップや、上記第2実施形態の各定数演算部93aa,93ab,93acの各定数マップについても同様である。
・上記第1実施形態において、補償演算部75では、第2補償演算部74を削除してもよい。この場合、角度情報演算部71では、第1補償演算部73を合せて削除、すなわち補償演算部75自体を削除してもよい。その他、補償演算部75では、第1補償演算部73を削除して、第2補償演算部74を残すこともできる。これは、上記第2実施形態についても同様であり、補償演算部95の第4補償演算部94を削除してもよいし、第3補償演算部93を合せて削除、すなわち補償演算部95自体を削除してもよい。また、補償演算部95では、第3補償演算部93を削除して、第4補償演算部94を残すこともできる。
・図5に二点鎖線で示すように、上記第1実施形態において、転舵変換角演算部81には、ピニオン角θp、又は目標ピニオン角θp*の他、目標ピニオン角θp*を得る過程で得られる中間的な中間制御量θinfが入力されるようにしてもよい。こうした中間制御量θinfを演算する機能は、舵角比可変制御部62の機能として実現される。この場合、転舵変換角演算部81において、第5乗算器88は、中間制御量θinfに対して逆増速比Hsirを乗算して中間制御量θinfについての転舵変換角θp_s(θinf)を演算する。こうして得られた転舵変換角θp_s(θinf)は、操舵側制御部50、すなわち目標反力トルク演算部52に出力される。これは、図7に二点鎖線で示すように、上記第2実施形態について同様である。つまり、転舵変換角演算部101には、ピニオン角θp、又は目標ピニオン角θp*の他、中間制御量θinfが入力される。この場合、転舵変換角演算部101において、第6乗算器106は、中間制御量θinfに対して逆増速比Hsirを乗算して中間制御量θinfについての転舵変換角θp_s(θinf)を演算する。
・上記別の実施形態において、中間制御量θinfは、目標ピニオン角θp*を得る過程で得られる他、転舵側制御部60が転舵部6に関する情報として記憶している情報、例えば、転舵輪5の転舵限界を示す転舵限界情報を含んでいてもよい。転舵限界情報は、ステアリングホイール3の操舵限界に達する状況になる場合に当該状況を運転者に伝えるための反力を演算するのに用いることができる。この場合、転舵限界情報は、操舵角θsを基準とする状態変数となるようにスケール変換した角度情報として、目標反力トルク演算部52にて適切に用いられるようになる。
・上記第1実施形態において、転舵変換角演算部81を通じて得られる転舵変換角θp_sは、操舵制御装置1とは別に車両に設けられている車両用制御装置に出力されるようにしてもよい。車両用制御装置としては、例えば、車両に発生するヨーレートを変化させるように車両のブレーキ機構の制動量を制御する安定走行制御装置を想定することができる。また、車両用制御装置としては、車両の快適性をより向上させるための様々な運転支援を発揮するべく転舵部6、すなわち操舵装置2の動作を制御する運転支援制御装置を想定することができる。その他、車両用制御装置としては、車両の予想進路の案内を行うべく車室内に設けられるバックガイドモニターの表示内容を制御する進路案内制御装置を想定することができる。これは、上記第2実施形態についても同様である。つまり、転舵変換角演算部101を通じて得られる転舵変換角θp_sは、上記車両用制御装置に出力されるようにしてもよい。
・上記第1実施形態において、転舵変換角演算部81では、各乗算器86,87のいずれかを削除してもよい。これは、上記第2実施形態についても同様であり、転舵変換角演算部101の各乗算器104,105のいずれかを削除してもよい。
・上記第1実施形態において、転舵変換角演算部81では、第1乗算器86を除算器に変更して構成することもできる。この場合、除算器は、ピニオン角θpを増速比換算部80を通じて得られる増速比Gsirで除算することで転舵変換角θp_s(θp)を演算する。この場合、上記第1実施形態では、増速比換算部80の除算器84、及び記憶部85を削除することができる。これは、第2乗算器87や、上記第2実施形態の転舵変換角演算部101の各乗算器104,105についても同様である。この場合、上記第2実施形態では、増速比換算部100を削除することができる。
・上記第1実施形態では、舵角比可変制御部62、及び舵角比逆可変制御部66の少なくとも一部を操舵側制御部50の機能として実現してもよい。例えば、舵角比可変制御部62、及び舵角比逆可変制御部66のうちの舵角比可変制御部62は、操舵側制御部50の機能として実現してもよい。これは、上記第2実施形態についても同様である。つまり、舵角比可変制御部67、及び舵角比逆可変制御部68の少なくとも一部を操舵側制御部50の機能として実現してもよい。
・上記各実施形態において、目標反力トルク演算部52では、目標反力トルク指令値Ts*を演算する際、ステアリングホイール3の動作状態に応じて変化する状態変数を少なくとも用いていればよい。この場合、目標反力トルク演算部52では、車速V、又は操舵トルクThを用いなくてもよいし、他の要素を組み合わせて用いるようにしてもよい。
・上記各実施形態において、操舵側制御部50では、操舵トルクThに基づき演算される目標操舵トルクに操舵トルクThを追従させるトルクフィードバック制御の実行により演算される値を目標反力トルク指令値Ts*として演算してもよい。
・上記各実施形態において、操舵角演算部51では、操舵トルクThに応じたステアリング軸11の捩れ分を考慮し、当該捩れ分を回転角θaに対して加減算等を通じて加味することで操舵角θsを演算してもよい。
・上記各実施形態において、操舵角θsは、ステアリング軸11の回転角度を検出するべく当該ステアリング軸11に設けられるステアリングセンサの検出結果を用いてもよい。
・上記各実施形態において、転舵側モータ32は、例えば、ラック軸22の同軸上に配置するものや、ラック軸22にラックアンドピニオン機構を構成するピニオン軸に対してウォームアンドホイールを介して接続されるものを採用してもよい。
・上記各実施形態において、操舵制御装置1は、1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、3)それらの組み合わせ、を含む処理回路によって構成することができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわち非一時的なコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
・上記各実施形態は、操舵装置2を、操舵部4と転舵部6との間が機械的に常時分離したリンクレスの構造としたが、これに限らず、クラッチにより操舵部4と転舵部6との間が機械的に分離可能な構造としてもよい。また、操舵装置2は、転舵部6について、左右の転舵輪5を独立して転舵させることができる独立転舵可能な構造としてもよい。
・上記各実施形態において、転舵変換角演算部81,101を通じて得られる転舵変換角θp_sは、4輪操舵装置や、後輪操舵装置や、上記各実施形態で例示した以外の車両の他の装置等が実現する機能に対して適用してもよい。
1…操舵制御装置
2…操舵装置
3…ステアリングホイール
4…操舵部
5…転舵輪
6…転舵部
60…転舵側制御部(制御部)
62,67…舵角比可変制御部
70,90…増速比演算部
71,91…角度情報演算部
72,92…静的成分演算部
73…第1補償演算部
73b…第1動的成分演算部(位相遅れフィルタ)
74…第2補償演算部
74b…第2動的成分演算部(位相遅れフィルタ)
75,95…補償演算部
93…第3補償演算部
93b…第3動的成分演算部(位相補償フィルタ)
94…第4補償演算部
94b…第4動的成分演算部(位相遅れフィルタ)

Claims (5)

  1. 車両のステアリングホイールの操舵を可能にする操舵部と、当該操舵部との間の動力伝達路が分離した構造とされ、車両の転舵輪を転舵させるべく動作する転舵部とを含む操舵装置の前記転舵部を少なくとも制御対象とする操舵制御装置であって、
    前記転舵部を動作させるための転舵制御量を前記ステアリングホイールが操舵される角度である操舵角に関わって得られる角度情報に基づき演算するとともに、当該転舵制御量に基づき前記転舵部の動作を制御する制御部を含み、
    前記制御部は、
    前記転舵輪の角度である転舵角についての前記操舵角の変化量に対する変化量の割合を示す増速比を、前記操舵装置、及び当該操舵装置が搭載された車両の少なくともいずれかの動作状態に応じて変化する状態変数に基づき演算する増速比演算部と、
    前記増速比演算部で得られた前記増速比を使用して前記操舵角を変換して前記角度情報を演算する角度情報演算部と、を含んで構成されている操舵制御装置。
  2. 前記角度情報演算部は、
    前記増速比を使用して前記操舵角を変換する結果、前記角度情報についての車両の挙動であるヨーレートの応答特性のうちの定常特性を反映する成分である静的成分を演算する静的成分演算部と、
    前記静的成分の演算に関わって現れる前記ヨーレートの応答特性のうちの過渡特性を調整するべく当該静的成分を、前記増速比演算部が演算に用いる前記状態変数を少なくとも含む前記状態変数に基づき位相補償して前記角度情報を演算する補償演算部と、を含んで構成されている請求項1に記載の操舵制御装置。
  3. 前記静的成分演算部は、前記転舵輪の角度である転舵角についての前記操舵角の変化量に対する変化量の割合が1である基準値の差分である前記増速比の増速分を使用して前記静的成分を演算し、
    前記補償演算部は、位相遅れ補償を実施するように伝達関数が、前記増速比演算部が演算に用いる前記状態変数を少なくとも含む前記状態変数に基づき変化する位相遅れフィルタとして構成され、
    前記制御部は、前記操舵角と、前記位相遅れフィルタで得られた前記角度情報とを加算することによって得られる結果に基づいて、前記転舵制御量を演算するように構成されている請求項2に記載の操舵制御装置。
  4. 前記静的成分演算部は、前記増速比を使用して前記静的成分を演算し、
    前記補償演算部は、位相補償を実施するように伝達関数が、前記増速比演算部が演算に用いる前記状態変数を少なくとも含む前記状態変数に基づき変化する位相補償フィルタとして構成され、
    前記位相補償フィルタは、前記ヨーレートの応答特性のうちの過渡特性を示す伝達関数の分母分子を入れ替えた逆関数を含んで構成されており、
    前記制御部は、前記位相補償フィルタで得られた前記角度情報に基づいて、前記転舵制御量を演算するように構成されている請求項2に記載の操舵制御装置。
  5. 前記補償演算部は、前記静的成分の演算に関わって現れる前記ヨーレートの応答特性のうちの過渡特性とは異なる観点で現れるノイズを低減する位相遅れ補償を実施するように伝達関数が、前記増速比演算部が演算に用いる前記状態変数を少なくとも含む前記状態変数に基づき変化する位相遅れフィルタを更に含んで構成されている請求項2~請求項4のうちいずれか一項に記載の操舵制御装置。
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