JP2023011961A - 含フッ素重合体、硬化性組成物、硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐湿性と透明性に優れた硬化物を提供できる含フッ素重合体および硬化性組成物、ならびに透明性と耐湿性に優れた硬化物を提供する。
【解決手段】式(1)で示されるフルオロカーボンからなる主鎖と、-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合を含有する2以上の側鎖とを有する、含フッ素重合体。
Figure 2023011961000038

[上記式中、Rf1は、炭素数1以上のペルフルオロアルキレン基または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のペルフルオロアルキレン基である。Zは-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合を含有する1価の有機基である。]
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素重合体、硬化性組成物、硬化物に関する。
含フッ素重合体の硬化物は、耐熱性、耐薬品性、低表面エネルギー、低屈折率、低誘電率等の優れた性質を有することを利用して各種の工業用材料として利用されている。特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、ポリ(テトラフルオロエチレン-ペルフルオロアルキルビニルエーテル)(PFA)に代表される含フッ素重合体は上記の特性に関しては有機、無機を問わず他の材料にない特徴的な物性値を有する。
このような含フッ素重合体が有する特徴を活かして、特許文献1には、白色LEDやUVLEDなどの高出力LEDの封止のための耐熱性と耐光性の高い透光性樹脂として、カルボン酸アルキルエステル基、例えばCOOCH基を有する硬化性含フッ素重合体が提案されている。この硬化性含フッ素重合体は、活性エネルギー線の照射により硬化して、安定性、紫外光透過性に優れた硬化物が得られる。しかし、一般にLEDの透光封止は溶媒を使用せずに液状の樹脂をLED素子上にディスペンスしてから加熱硬化させる方法により行われる。
特許文献2には、ヒドラジド基を含有し、活性エネルギー線の照射のみならず加熱でも硬化が可能な含フッ素重合体が提案されている。更に、特許文献3には、溶媒を用いずに加熱ディスペンス可能な熱硬化性組成物が提案されている。
国際公開第2015/098773号 国際公開第2017/038718号 国際公開第2019/159900号
しかしながら、本発明者の研究によれば特許文献2および3に記載の含フッ素重合体の加熱硬化物は耐湿性に問題があることが分かった。耐湿性を改善するためには250℃以上の加熱が必要である。この場合、硬化物の着色により光透過性が低下するため、耐湿性と透明性を両立させることが困難である。
本発明は、150℃以下の温度で熱硬化が可能であり、耐湿性と透明性に優れた硬化物を提供できる含フッ素重合体および硬化性組成物を提供することを目的とする。さらに、透明性と耐湿性に優れた硬化物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する含フッ素重合体、硬化性組成物および硬化物に関する。
〔1〕 フルオロカーボンからなる主鎖と、-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合を含有する2以上の側鎖とを有する、含フッ素重合体。
〔2〕 下記式(1)で表される単位を2以上有する、〔1〕に記載の含フッ素重合体。
Figure 2023011961000001
[上記式中、Rf1は、炭素数1以上のペルフルオロアルキレン基または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のペルフルオロアルキレン基である。Zは-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合を含有する1価の有機基である。]
〔3〕 前記付加反応性二重結合が-CR=CR構造または-CR=CR-構造である、〔1〕または〔2〕に記載の含フッ素重合体。
ここで、R、R、R、R、Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基である。
〔4〕 前記Zが下記式(i)で表される構造で表される構造である、〔2〕または〔3〕に記載の含フッ素重合体。
-Y-Z11 (i)
は単結合または2価以上の有機基である。
11は-CR=CR構造を有する1価有機基、または、-CR=CR-構造を環内に有する1価脂環式基である。
、R、R、R、Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基である。
〔5〕 前記含フッ素重合体が、下記式(2)で表される単位をさらに有する含フッ素共重合体である、〔2〕~〔4〕のいずれか1に記載の含フッ素重合体。
Figure 2023011961000002
〔6〕 前記含フッ素重合体が、下記式(3)で表される単位をさらに有する含フッ素共重合体である、〔2〕~〔5〕のいずれか1に記載の含フッ素重合体。
Figure 2023011961000003
[上記式において、X、X、Xは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。Xは、水素原子、炭素数1以上の含フッ素アルキル基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上の含フッ素アルキル基、炭素数1以上の含フッ素アルコキシ基、または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上の含フッ素アルコキシ基である。]
〔7〕(A)〔1〕~〔6〕のいずれか1に記載の含フッ素重合体、
(B)1分子中に2以上の-SiH基を有するケイ素化合物、および
(C)金属触媒
を含む、硬化性組成物。
〔8〕(D)下記含フッ素化合物(D1)および含フッ素化合物(D2)の少なくとも一方をさらに含む、〔7〕に記載の硬化性組成物。
(D1)下記式(D1A)で表される構造および下記式(D1B)で表される構造の少なくとも一方と、
-(Rf71O)h1(Rf72h2- (D1A)
F-(Rf81O)i1(Rf82i2- (D1B)
-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合とを有する含フッ素化合物。
(D2)下記式(D2A)で表される構造および下記式(D2B)で表される構造の少なくとも一方と、
-Rf9- (D2A)
F-Rf10- (D2B)
-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合とを有する含フッ素化合物。
[上記式中、Rf71、Rf72、Rf81、Rf82は、それぞれ独立して炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり、
f9、Rf10は、それぞれ独立して炭素数1~10のペルフルオロアルキレン基であり、
h1、i1は、それぞれ独立して2~200の整数であり
h2、i2は、それぞれ独立して0~6の整数である。]
〔9〕 〔7〕または〔8〕に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
〔10〕 下記式(4A)で表される構造および式(4B)で表される構造の少なくとも一方を有する硬化物。
Figure 2023011961000004
[上記式(A4)において、R、R、Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基である。Y41、Y42は各々独立に2価有機基である。*は結合手である。]
Figure 2023011961000005
[上記式(4B)において、R、Rは各々独立に、水素原子またはメチル基である。Y41、Y42は各々独立に2価有機基である。Cy1は炭素数4~8の脂環式基である。*は結合手である。]
本発明によれば、150℃以下の温度で熱硬化が可能で、透明性と耐湿性に優れた硬化物を得られる硬化性組成物の提供が可能である。
図1は、例4-1の硬化物の分光透過率曲線である。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は下記説明に限定して解釈されるものではない。
[本明細書における用語の意味]
式(a)で表される化合物を化合物(a)と記す場合がある。式(a)で表される単位を単位(a)と記す場合がある。式(a)で表される構造を構造(a)と記す場合がある。他の式で表される化合物、単位、構造もそれぞれ同様に記す。
重合体における「単位」とは、単量体1分子が重合することによって形成される原子団と、該原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。
「フルオロカーボン」は、炭素原子と結合する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基をいう。
「フルオロアルキル基」は、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基をいう。フルオロアルキレン基、フルオロアルコキシ基についても同様である。
(フルオロ)アルキル基、(フルオロ)アルキレン基、(フルオロ)アルコキシ基等の炭素原子鎖を有する基は、特に言及しない限り、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
「硬化」とは、特に言及しない限り、架橋により硬化することを意味する。
[含フッ素重合体]
本発明の含フッ素重合体は、フルオロカーボンからなる主鎖と、-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合(以下「付加反応性二重結合」とも記す。)を含有する2以上の側鎖とを有する。
主鎖がフルオロカーボンからなることで、硬化した際に透明性、熱安定性を付与できる。フルオロカーボンはペルフルオロカーボンであることがより好ましい。
また、側鎖は付加反応性二重結合を含有する。付加反応性二重結合が-SiH基と付加反応により架橋することで重合体が硬化される。また、架橋点が付加反応性二重結合であることで、硬化物の耐湿性を高められる。
<単位(1)>
本発明の含フッ素重合体は、下記式(1)で表される単位を2以上有することが好ましい。
Figure 2023011961000006
上記式中、Rf1は、炭素数1以上のペルフルオロアルキレン基または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のペルフルオロアルキレン基である。
は-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合を含有する1価の有機基である。
上記単位(1)では、主鎖がペルフルオロエチレン構造であるため、透明性、熱安定性の高い硬化物を得られる。
また、側鎖における連結基Rf1もペルフルオロ基であるため、透明性、熱安定性の高い硬化物を得られる。
f1において、ペルフルオロアルキレン基の炭素数は好ましくは1~6、より好ましくは1~4である。炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基の炭素数は好ましくは2~10、より好ましくは2~6である。
f1としては例えば下記構造が挙げられる。
-(CF- (n=1~6)
-(CFO(CF- (k=1~6、l=1~6)
-CFCF(CF)O(CF- (m=1~7)
f1としてはより好ましくは下記構造が挙げられる。
-(CF
-(CF
-(CF
-(CFO(CF
-(CFO(CF
-CFCF(CF)O(CF
-CFCF(CF)O(CF
-CFCF(CF)O(CF
-CFCF(CF)O(CF
-CFCF(CF)O(CF
単位(1)において付加反応性二重結合はZに1以上含まれていればよく、2以上含まれる場合その構造は異なってもよい。
の炭素数は好ましくは2~15であり、より好ましくは2~10であり、特に好ましくは2~4である。
付加反応性二重結合はヒドロシランの付加反応性を有する基であれば限定されないが、-CR=CR構造または-CR=CR-構造であることが好ましい。すなわち、末端二重結合でもよく、内部(環内)二重結合でもよい。ここで、R、R、R、R、Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基であり、ヒドロシランとの反応性の観点から、R、R、R、Rは水素原子であることが好ましく、R、R、R、R、Rは水素原子であることがより好ましい。
は下記式(i)で表される構造であることが好ましい。
-Y-Z11 (i)
は連結基であり、単結合または2価以上の有機基である。2価以上の有機基は、炭素数1~5のアルキレン基、-O-、カルボニル基、フェニレン基、-CONR-、-SO-基、-SO-基から選ばれる1以上の構造を有することが好ましい。Rは水素原子、メチル基またはフェニル基である。
は、例えば下記に示す2価の基または3価の基が挙げられる。なお、下記構造において、Rは水素原子、メチル基またはフェニル基である。pは1~3の整数である。qは0または1の整数である。また、*はZ11と結合する結合手である。
<2価の基>
-(CH-*
-(CH-O-*
-CHO(CH-*
Figure 2023011961000007
<3価の基>
Figure 2023011961000008
11は-CR=CR構造を有する1価有機基、または、-CR=CR-構造を環内に有する1価脂環式基である。
-CR=CR構造を有する1価有機基の炭素数は、2~10が好ましく、2~7がより好ましく、2または3が特に好ましい。
-CR=CR構造を有する1価有機基としては、例えば、-CH=CH、-CHCH=CH、-C(CH)=CH、などが挙げられる。
-CR=CR-構造を環内に有する1価脂環式基の炭素数は、4~8が好ましく、5~7がより好ましい。
-CR=CR-構造を環内に有する1価脂環式基としては、シクロアルケンを有する炭素数4~8の1価脂環式基が特に好ましい。
例えば、-シクロヘキセン、-ノルボルネン、-CH-シクロヘキセン、-CH-ノルボルネン、などが挙げられる。
-Y-Z11で表される構造(i)として好ましくは、重合体の硬化性および硬化物の耐湿性、耐熱性が良好である点から、下記構造が挙げられる。
-CONHCHCH=CH
-CON(CHCH=CH
-CHN(CHCH=CH
-C(OH)(CHCH=CH
-CHOCHCH=CH
-C(CH)=CH
-SONHCHCH=CH
-CHO-シクロヘキセン
-COO-シクロヘキセン
-COOCH-シクロヘキセン
-CHOCO-シクロヘキセン
-CHNHCO-シクロヘキセン
-CONH-シクロヘキセン
-CONHCH-シクロヘキセン
-CONHCHCH-シクロヘキセン
-CONHCH-ノルボルネン
-CONHCHCH-ノルボルネン
Figure 2023011961000009
上記例示構造において、シクロヘキセン、ノルボルネンの結合位置は、二重結合構成炭素以外であれば限定されないが、シクロヘキセン、ノルボルネンを含む構造(i)としては、下記構造が特に好ましい。
Figure 2023011961000010
含フッ素重合体は、単位(1)を1種単独で含んでいてもよく、2種以上の単位(1)を組み合わせて含んでいてもよい。
含フッ素重合体における単位(1)の割合は、含フッ素重合体の質量に対して、硬化物の強度、耐湿性、硬化速度の観点から好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは0.2mmol/g以上であり、透明性、耐熱性の観点から好ましくは2mmol/g以下、より好ましくは1mmol/g以下である。
<単位(2)>
本発明のフッ素重合体は、下記式(2)で表される単位をさらに有することが好ましい。フッ素重合体がかかる単位を有することで得られる硬化物が高強度となり好ましい。
Figure 2023011961000011
含フッ素重合体における単位(2)の割合は、含フッ素重合体の質量に対して、耐熱性、加熱流動性の観点から好ましくは30mol%以上、より好ましくは50mol%以上であり、UV透過性、溶媒可溶性の観点から好ましくは80mol%以下、より好ましくは70mol%以下である。
<単位(3)>
本発明の含フッ素重合体は、下記式(3)で表される単位をさらに有することが好ましい。単位(3)を有することで硬化物の透明性、流動性が良好となる。
Figure 2023011961000012
上記式において、X、X、Xは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。耐熱性、耐薬品性の観点から、好ましくはフッ素原子である。
は、水素原子、炭素数1以上の含フッ素アルキル基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上の含フッ素アルキル基、炭素数1以上の含フッ素アルコキシ基、または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上の含フッ素アルコキシ基である。
がエーテル性酸素原子を有する場合、硬化物の透明性および流動性は特に良好となる。
炭素数1以上の含フッ素アルキル基の炭素数としては1~15であることが好ましく、1~6が特に好ましい。熱安定性に優れる点から、含フッ素アルキル基はペルフルオロアルキル基であることが好ましい。炭素数1以上の含フッ素アルキル基としては、炭素数1~6のペルフルオロアルキル基がより好ましく、-CFが特に好ましい。
炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上の含フッ素アルキル基の炭素数としては2~15が好ましく、2~6が特に好ましい。熱安定性に優れる点から、含フッ素アルキル基はペルフルオロアルキル基が好ましい。炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上の含フッ素アルキル基としては炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2~6のペルフルオロアルキル基が特に好ましく、具体的には-CFOCF、-CFOCFCF、-CFOCFCFCF、-CFOCFCFOCFCF等が挙げられる。
炭素数1以上の含フッ素アルコキシ基の炭素数としては1~15であることが好ましく、1~6が特に好ましい。熱安定性に優れる点から、含フッ素アルコキシ基はペルフルオロアルコキシ基であることが好ましい。炭素数1以上の含フッ素アルコキシ基としては、炭素数1~6のペルフルオロアルコキシ基であることが好ましく、具体的には-OCF、-OCFCF、-O(CFCF、-O(CFCFが挙げられる。
炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上の含フッ素アルコキシ基の炭素数としては2~15が好ましく、2~6が特に好ましい。熱安定性に優れる点から、含フッ素アルコキシ基はペルフルオロアルコキシ基が好ましい。炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上の含フッ素アルコキシ基としては、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2~6のペルフルオロアルコキシ基が特に好ましく、具体的には-OCFCF(CF)O(CFCF、-(OCFCFF(mは2~5)、-OCFCF(OCFF(nは2~5)等が挙げられる。
単位(3)の具体例としては、下記単位が挙げられる。
-[CF-CHF]-、-[CFCl-CF]-、-[CF-CH]-、
-[CH-CH]-、-[CF-CF(CF)]-、-[CH-CF(CF)]-、-[CF-CF(OCF)]-、-[CF-CF(OCFCF)]-、-[CF-CF(O(CFCF)]-、-[CF-CF(O(CFCF)]-、-[CF-CF(OCFCF(CF)O(CFCF)]-。
耐熱性、流動性、モノマー入手性の観点から、単位(3)としては特に-[CF-CF(OCF)]-、-[CF-CF(OCFCF)]-、-[CF-CF(O(CFCF)]-が好ましい。
含フッ素重合体は、単位(3)を1種単独で含んでいてもよく、2種以上の単位(3)を組み合わせて含んでいてもよい。
含フッ素重合体における単位(3)の割合は、含フッ素重合体の質量に対して、透明性、流動性の観点から好ましくは5mol%以上、より好ましくは10mol%以上であり、硬度、耐湿性の観点から好ましくは50mol%以下、より好ましくは30mol%以下である。
本発明の含フッ素重合体の質量平均分子量は、耐熱性、強度の観点から好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上であり、流動性、成型性およびヒドロシランとの相溶性の観点から好ましくは50,000以下、より好ましくは20,000以下である。
[含フッ素重合体の製造方法]
本発明の含フッ素重合体の製造方法について、単位(1)を2以上有する含フッ素重合体の製造方法を例に説明するが、本発明の含フッ素重合体の製造方法はこれに限定されない。
単位(1)を2以上有する含フッ素重合体は、下記式(10)で表される単位を2以上含む含フッ素重合体前駆体におけるZ10をZに変換することで得られる。
Figure 2023011961000013
式(10)におけるRf1は式(1)におけるRf1と同様である。
10はZの前駆体である。Z10としては、-COOCH、-CHOH、-SOCl等が挙げられる。
10からZへの変換は公知の反応により行うことができ、例えば下記反応により行うことができる。
(a)-COOCH + CH=CHCHNH
→ -CONHCHCH=CH
(b)-COOCH + ノルボルネン-CHNH
→ -CONHCH-ノルボルネン
(c)-COOCH + CH=CHCHMgBr
→ -C(OH)(CHCH=CH
(d)-CHOH + CH=CHCHCl → -CHOCHCH=CH
(e)-SOCl + CH=CHCHNH → -SONHCHCH=CH
(f)-COOCH + HN(CHCH=CH
→ -CON(CHCH=CH
(g)-CON(CHCH=CH+還元剤 → -CHN(CHCH=CH
還元剤:LiAlH、NaBH-AlClなど
(h)-COOCH + CHMgBr →-C(OH)(CH +脱水剤
→ -C(CH)=CH
脱水剤:P、濃硫酸など
Figure 2023011961000014
上記Z10からZへの変換反応の条件や反応終了の確認方法も、公知の条件から適宜選択できる。
例えば、上記反応(a)および反応(b)においては、反応温度0~50℃、反応時間15分~1時間、溶媒として含フッ素重合体が溶解可能な含フッ素溶媒とアミンが溶解する補助溶媒としてメタノール、エタノール、イソプロパノールなどを用いて反応を行い、反応終了はIR測定により-COOCH基のC=Oに基づく1795cm-1付近の吸収の消失で確認できる。
また、国際公開第2017/153203号、特開2017-043685号公報等に記載される反応に基づいて行うことができる。
単位(10)を2以上含む含フッ素重合体前駆体は、下記式(11)で表される化合物を単量体として重合することにより製造できる。
CF=CF(ORf110) (11)
(式(11)中、Rf1は式(1)で定義されたとおりであり、例示も好ましい範囲も同様である。Z10は、式(10)で定義されたとおりであり、例示も好ましい範囲も同様である。)
化合物(11)の重合反応は周知の方法により行うことが可能であり、過酸化物やアゾ系重合開始剤を用いたバルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などから適宜選ばれる。反応温度も0~100℃の範囲で適宜選ばれる。含フッ素重合体の溶融流動性を確保するためには分子量を5,000~20,000程度に抑えることが好ましい。
式(11)で表される化合物は、例えば「フッ素化学入門」フッ素化学第155委員会編(2004)に記載の方法により製造できる。
単位(10)を2以上含む含フッ素重合体前駆体は、単位(10)の他に、単位(2)および単位(3)の少なくとも一方を有してもよい。
単位(2)を有する含フッ素重合体前駆体は、単位(2)を形成する単量体として、テトラフルオロエチレン(CF=CF)と単位(10)とを公知の方法で共重合することにより製造できる。
単位(3)を有する含フッ素重合体前駆体は、単位(3)を形成する単量体として、下記化合物(31)と単位(10)とを公知の方法で共重合することにより製造できる。
CX=CX (31)
(式(31)中、X、X、X、Xは、式(3)で定義されたとおりであり、例示も好ましい範囲も同様である。)
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、上記本発明の含フッ素重合体、1分子中に2以上の-SiH基を有するケイ素化合物、および金属触媒を含む。
(A)含フッ素重合体
本発明の硬化性組成物は、上記本発明の含フッ素重合体(以下、含フッ素重合体(A)とも記載する。)を含む。硬化性組成物における含フッ素重合体(A)の含有量は硬化物の硬度、耐熱性の観点から好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
(B)ケイ素化合物
本発明の硬化性組成物は、1分子中に2以上の-SiH基を有するケイ素化合物(以下、ケイ素化合物(B)とも記載する。)を含む。ケイ素化合物(B)における-SiH基と、含フッ素重合体(A)における付加反応性二重結合が反応することにより架橋し、重合体が硬化される。
ケイ素化合物(B)としては1分子中に2以上の-SiH基を有するケイ素化合物であれば架橋反応に供せられるため特に限定されないが、1分子中に2以上の-SiH基を有するオルガノシロキサンが好ましい。また、ケイ素化合物(B)の構造は、鎖状、環状、三次元網目状およびこれらの組み合わせでもよい。
ケイ素化合物(B)は、含フッ素重合体(A)との相溶性を発現しやすい観点から、フルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基等のフッ素含有基を有することが好ましい。
また、ケイ素化合物(B)の分子量は、含フッ素重合体(A)との相溶性を発現しやすい観点から200~1,000であることが好ましい。
ケイ素化合物(B)としては、公知の化合物が使用でき、具体的に下記化合物が挙げられる。
Figure 2023011961000015
フッ素含有基を有するケイ素化合物(B)としては、例えば特開2011-168768号公報に記載の化合物が例示され、原料入手が容易な点から以下の化合物が好ましい。
Figure 2023011961000016
硬化性組成物におけるケイ素化合物(B)の含有量は1~20質量%が好ましく、より好ましくは3~10質量%である。この範囲であれば架橋が十分進み、また、硬化物の強度や耐熱性も十分得られる。
(C)金属触媒
金属触媒(C)は、含フッ素重合体(A)における二重結合と、ケイ素化合物(B)のヒドロシリル基との付加反応を促進するヒドロシリル化反応触媒であれば特に限定されない。
金属触媒(C)としては、例えば、白金系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒、パラジウム系触媒等の公知のヒドロシリル化反応用触媒が例示され、具体的には、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金のオレフィン錯体、白金-カルボニルビニルメチル錯体などの白金のカルボニル錯体、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体や白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体などの白金ビニルメチルシロキサン錯体、白金-ホスフィン錯体、白金-ホスファイト錯体等の白金系触媒、ならびに、ペンタメチルシクロペンタジエニル-ルテニウム錯体、ビスシクオロオクタジエン-ロジウム錯体、ノルボルナジエン-ロジウム錯体などが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、白金ビニルメチルシロキサン錯体が、反応速度が良好であり、硬化物の光透過性への影響が少ないことから好ましい。
硬化性組成物における金属触媒(C)の含有量はヒドロシリル化反応触媒としての有効量でよく、所望の硬化速度に応じて適宜増減できる。硬化速度と硬化物の透明性の観点から、(A)成分100質量部に対し好ましくは0.1~2000ppm、より好ましくは1~500ppmである。この範囲であれば、硬化性が十分であり、また、組成物の保存安定性や硬化物の透明性も良好である。
(D)その他の含フッ素化合物
本発明の硬化性組成物は、その他の含フッ素化合物(D)をさらに含むことが好ましい。
その他の含フッ素化合物(D)は、下記含フッ素化合物(D1)および含フッ素化合物(D2)の少なくとも一方を含むことが好ましい。含フッ素化合物(D1)を含むことにより、硬化物の柔軟性を向上できる。含フッ素化合物(D2)を含むことにより、含フッ素重合体(A)とケイ素化合物(B)、特にフルオロアルキル基を含有しないケイ素化合物(B)との相溶性を高めることにより架橋を促進して硬化物の強度を向上できる。
(D1)下記式(D1A)で表される構造および下記式(D1B)で表される構造の少なくとも一方と、-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合とを有する含フッ素化合物。
-(Rf71O)h1(Rf72h2- (D1A)
F-(Rf81O)i1(Rf82i2- (D1B)
上記式中、Rf71、Rf72、Rf81、Rf82は、それぞれ独立して炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基である。
ペルフルオロアルキレン基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、本発明の効果がより優れる点から、直鎖状が好ましい。
h1、i1は、それぞれ独立して2~200の整数であり、5~150の整数が好ましく、5~100の整数がより好ましく、10~50の整数が特に好ましい。
h2、i2は、それぞれ独立して0~6の整数であり、0~3の整数が好ましい。
(Rf71O)h1は(Rf71O)で表される単位(以下「単位D1A-1」とも記す。)がh1個結合してなる。(Rf81O)i1は(Rf81O)で表される単位(以下「単位D1B-1」とも記す。)がi1個結合してなる。
f71OおよびRf81Oとしては、-CFO-、-CFCFO-、-(CF)CFO-、-CFCFCFO-、-(CF)CFCFO-、-CFCF(CF)O-、-CFCFCFCFO-、-(CF)CFCFCFO-、-CF(CF)CFCFO-、-CFCFCF(CF)O-、-CFCFCFCFCFO-、-CFCFCFCFCFCFO-が挙げられる。
(Rf71O)h1は、1種のみの単位D1A-1を含んでいても2種以上の単位D1A-1を含んでいてもよい。2種以上の単位D1A-1としては、例えば、炭素数の異なる2種以上の単位D1A-1、炭素数が同じであっても側鎖の有無や側鎖の種類が異なる2種以上の単位D1A-1が挙げられる。2種以上の単位D1A-1のそれぞれのh1は同一であっても異なっていてもよい。例えば(CFO)と(CFCFO)を有する場合に(CFO)に対する(CFCFO)の比率は0.1~10が好ましく、0.2~5がより好ましく、0.2~2がさらに好ましく、0.2~1.5が特に好ましく、0.2~0.85が最も好ましい。なお、2種以上の単位D1A-1の結合順序は限定されず、ランダム、交互、ブロックに配置されてもよい。
(Rf81O)i1、(Rf72h2、(Rf82i2においても同様である。
(D2)下記式(D2A)で表される構造および下記式(D2B)で表される構造の少なくとも一方と、-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合とを有する含フッ素化合物。
-Rf9- (D2A)
F-Rf10- (D2B)
上記式中、Rf9、Rf10は、それぞれ独立して炭素数1~10のペルフルオロアルキレン基であり、好ましくは炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基である。
ペルフルオロアルキレン基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、本発明の効果がより優れる点から、直鎖状が好ましい。
含フッ素化合物(D1)および(D2)において、付加反応性二重結合は-CR=CR構造または-CR=CR-構造であることが好ましい。すなわち、末端二重結合でもよく、内部(環内)二重結合でもよい。ここで、R、R、R、R、Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基であり、-SiH基との反応性の観点から、R、R、R、Rは水素原子であることが好ましく、R、R、R、R、Rは水素原子であることがより好ましい。また、-SiH基と反応して架橋しやすくなる観点から、含フッ素化合物(D1)および(D2)における付加反応性二重結合は2以上であることが好ましい。
含フッ素化合物(D1)は、下記式(D1-1)で表される化合物または式(D1-2)で表される化合物が好ましい。
D7D7-(Rf71O)h1(Rf72h2-YD7D7 (D1-1)
F-(Rf81O)i1(Rf82i2-YD8D8 (D1-2)
含フッ素化合物(D2)は、下記式(D2-1)で表される化合物または式(D2-2)で表される化合物が好ましい。
D9D9-Rf9-YD9D9 (D2-1)
F-Rf10-YD10D10 (D2-2)
D7、ZD8、ZD9、ZD10はそれぞれ独立に、-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合を有する基である。式(D1-1)、式(D2-1)において同一化合物中の左右のZD7、ZD9は同一でも異なっていてもよい。
D7、YD8、YD9、YD10は連結基であり、それぞれ独立に、単結合または2価以上の有機基である。2価以上の有機基は、炭素数1~5のアルキレン基、-O-、カルボニル基、フェニレン基、-CONR-、-SO-基、-SO-基から選ばれる1以上の構造を有することが好ましい。Rは水素原子、メチル基またはフェニル基である。式(D1-1)、式(D2-1)において同一化合物中の左右のYD7およびYD9は同一でも異なっていてもよい。
D7、ZD8、ZD9、ZD10は、それぞれ独立に、-CR=CR構造を有する1価有機基、または-CR=CR-構造を環内に有する1価脂環式基であることが好ましい。R、R、R、R、Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基であり、-SiH基との反応性の観点から、R、R、R、Rは水素原子であることが好ましく、R、R、R、R、Rは水素原子であることがより好ましい。
-CR=CR構造を有する1価有機基の炭素数は、2~10が好ましく、2~7がより好ましく、2または3が特に好ましい。
-CR=CR-構造を環内に有する1価脂環式基の炭素数は、4~8が好ましく、5~7がより好ましい。
D7、ZD8、ZD9、ZD10としては、上記単位(1)における構造(i)中のZ11と同様の基が好ましい。
D7、YD8、YD9、YD10としては、上記単位(1)における構造(i)中のYと同様の基、または下記に示す基(nは1~3の整数である。*はZD7、ZD8、ZD9、またはZD10と結合する結合手である)、
Figure 2023011961000017
下記シアヌレート環を有する基(Ra1、Ra2は各々独立に、単結合、水素原子、または炭素数1~10のアルキル基であり、少なくとも一方は単結合である。)、
Figure 2023011961000018
下記グリコールウリル骨格を有する基(Ra3、Ra4、Ra5は各々独立に、単結合、水素原子、または炭素数1~10のアルキル基であり、少なくとも一つは単結合である。)、
Figure 2023011961000019
下記ケイ素を含有する基(Ra6は水素原子または炭素数1~3のアルキル基である。Ra7、Ra8、Ra9、Ra10は各々独立に、単結合、水素原子、または炭素数1~3のアルキル基である。nは1~3の整数である。*はZD7、ZD8、ZD9、またはZD10と結合する結合手である。)が好ましい。
Figure 2023011961000020
-YD7D7、-YD8D8としては、例えば下記構造が挙げられる。
-CONHCHCH=CH
-CON(CHCH=CH
-CHN(CHCH=CH
-C(OH)(CHCH=CH
-CHOCHCH=CH
-C(CH)=CH
-CHO-シクロヘキセン
-CHCH-シクロヘキセン
-COO-シクロヘキセン
-COOCH-シクロヘキセン
-CHOCO-シクロヘキセン
-CHNHCO-シクロヘキセン
-CONH-シクロヘキセン
-CONHCH-シクロヘキセン
-CONHCHCH-シクロヘキセン
-CH-ノルボルネン
-CONHCH-ノルボルネン
-CONHCHCH-ノルボルネン
Figure 2023011961000021
上記例示構造において、シクロヘキセン、ノルボルネンの結合位置は、二重結合構成炭素以外であれば限定されないが、シクロヘキセンまたはノルボルネンを含む-YD7D7、-YD8D8としては、下記構造が特に好ましい。
Figure 2023011961000022
-YD9D9、-YD10D10としては、好ましくは、上記-YD7D7、-YD8D8に例示した構造、および下記構造が挙げられる。
-(CHCH=CH
mは0または1である。
Figure 2023011961000023
含フッ素化合物(D1-1)としては例えば下記化合物が挙げられる。
以下、n+m=10~100、p=2~10である。
Figure 2023011961000024
Figure 2023011961000025
含フッ素化合物(D1-2)としては例えば下記化合物が挙げられる。
以下、n+m=10~100、p=2~10である。
Figure 2023011961000026
含フッ素化合物(D2-1)としては、
CH=CH(CH-(CFi1-(CHCH=CH
が好ましい。mは0または1である。i1は2~10の整数である。
含フッ素化合物(D2-1)としては例えば下記化合物が挙げられる。
CH=CH(CFCH=CH
CH=CH(CFCH=CH
CH=CHCH(CFCHCH=CH
CH=CHCH(CFCHCH=CH
含フッ素化合物(D2-2)としては例えば下記化合物が挙げられる。
nCCH=CH
nCCHCH=CH
nC13CH=CH
nC13CHCH=CH
含フッ素化合物(D1)の質量平均分子量は、加熱硬化時の揮発しにくさの観点から好ましくは200以上、より好ましくは1,000以上であり、相溶性、流動性の観点から好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下である。
含フッ素化合物(D2)の質量平均分子量は、加熱硬化時の揮発しにくさの観点から好ましくは200以上、より好ましくは300以上であり、含フッ素化合物(A)とケイ素化合物(B)とを混和させる観点から好ましくは2,000以下、より好ましくは1,000以下である。
硬化性組成物における含フッ素化合物(D1)の含有量は含フッ素重合体(A)と含フッ素化合物(D1)の合計に対して0~90質量%、好ましくは20~70質量%である。含有量が多いほど加熱硬化前の流動性の観点から好ましいが、耐熱性は含有量が少ないほど良いため、硬化物の目的に応じて適宜調整が可能である。
硬化性組成物における含フッ素化合物(D2)の含有量は、含フッ素重合体(A)とケイ素化合物(B)とを混和させる観点から、含フッ素化合物(D2)/ケイ素化合物(B)の質量比で0.1以上、好ましくは0.5以上、硬化物の熱安定性の観点から好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下である。
含フッ素化合物(D1)および含フッ素化合物(D2)は、例えば、目的化合物に対応するフルオロアルキルアイオダイドまたはフルオロアルキレンジアイオダイドにエチレンまたは酢酸アリルを付加したのち脱ヨウ化水素化すること等により製造できる。
-I + CH=CH → RCHCHI → RCH=CH
-I + CHCOOCHCH=CH
→ RCHCHICHOOCH → RCHCH=CH
(E)その他任意成分
本発明の硬化性組成物は、上記(A)~(D)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲でその他任意成分として各種添加剤を必要に応じて含有してもよい。たとえば接着性を高めるために、アルコキシシラン、エポキシシランなどのシランカップリング剤の添加が挙げられる。また、熱伝導性を高めるためにアルミナ、BN、AlNなどの熱伝導性無機粒子を添加してもよい。さらに、光反射率を高めるためにシリカ、アルミナ、チタニアなどを添加してもよい。熱膨張率を低下させるためにガラスファーバー、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、各種セラミックナノファイバーの添加も可能である。その他、可塑剤、粘度調整剤、接着促進剤、無機充填剤等の各種添加剤を任意に含んでもよい。
本発明の硬化性組成物は、用途に応じて全成分を一つの組成物として取り扱う、いわゆる1液型としてもよく、また、使用時に混合する2液型としてもよい。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上記本発明の硬化性組成物を熱硬化することにより得られる。
硬化条件としては、加熱温度が20~150℃が好ましく、50~120℃がより好ましい。本発明の硬化性組成物であれば、150℃以下の加熱温度でも耐湿性に優れた硬化物を得られる。
また、硬化時間は、架橋反応が完了する時間に応じて適宜設定でき、通常、10分~3時間が好ましく、30分~2時間がより好ましい。
得られた硬化物は付加反応性二重結合とSi-H基との付加反応による架橋構造を2以上有する。
付加反応性二重結合が末端二重結合すなわち-CR=CR構造である場合、硬化物は下記構造(4A)を有する。
Figure 2023011961000027
上記式において、R、R、Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基である。Y41、Y42は各々独立に2価有機基である。*は結合手である。構造(A4)中の2つのR、R、R、Y41は、互いに同一でも異なっていてもよい。
付加反応性二重結合が内部(環内)二重結合すなわち-CR=CR-構造である場合、硬化物は下記構造(4B)を有する。
Figure 2023011961000028
上記式において、R、Rは各々独立に、水素原子またはメチル基である。Y41、Y42は各々独立に2価有機基である。Cy1は炭素数4~8の脂環式基である。*は結合手である。構造(4B)中の2つのR、R、Y41、Cy1は、互いに同一でも異なっていてもよい。
41は、含フッ素重合体(A)の単位(1)におけるRf1基と、Z基から付加反応性二重結合を除いた構造とを含む2価有機基であり、好ましくは炭素数3~20の2価有機基である。
42は、ケイ素化合物(B)から2つの-SiH基を除いた残余の構造を含む2価有機基であり、-OSiO-結合もしくは-SiC-結合を含有する炭素数2~20の2価有機基である。
Cy1は含フッ素重合体(A)の単位(1)における-CR=CR-構造を環内に有する1価脂環式基と-SiH基との開環付加反応によって形成される脂環構造である。
本発明の硬化性組成物の硬化物からなる成形体は、硬化性組成物を所望の形状に成形した後に加熱硬化させて製造できる。発光素子(LED)を封止する場合は溶媒を使用せず硬化性組成物のみを加熱式ディスペンサー等により、LED上にディスペンスした後、加熱硬化させることができる。薄膜状の成形体や基材と一体化した薄膜状成形体を製造する際には、硬化が始まる温度以下で加熱溶融させながら、基材上に塗布した後に加熱硬化させる方法がある。硬化性組成物のみで成形体を製造する方法としては、硬化性組成物を加熱することにより流動させて、型に流し込み加熱して所定の形状とする方法、硬化性組成物を型の表面にキャストし加熱してシート状やフィルム状の成形体とする方法、押出成形、トランスファー成形等により硬化性組成物を所定の形状に成形する方法、成形されたシートやフィルムを所定の形状に切断する、折り曲げる等の二次加工する方法が挙げられる。
また、本発明の硬化性組成物は加熱流動性が良好であるので、溶媒を使用せずに硬化性組成物のみでも上記した用途や方法に適用できるが、必要に応じて溶媒を用いてもよい。この場合、硬化性組成物および溶媒を含むコーティング組成物を使用して、所望の粘度に調整したうえで、上記同様に使用できる。
本発明の硬化物は、フルオロカーボンが主成分であるため、紫外~可視~近赤外の広い波長領域の光に対して透明性に優れるため、LED、LD等の発光素子やフォトダイオード等の受光素子の封止材として有用である。
本発明の硬化物は、発泡がなく、400nm以上の可視光の透過性が高くかつ光劣化が無いため高出力LEDの封止材やレンズとして有用である。また、連結基YとしてC=O、SO、フェニレンなど波長300~400nmにおいて吸収がない構造を選択することにより、発光波長365、380、405nmの紫外LEDの透光封止材やレンズとしても有用である。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
なお、例1-1、1-2、3-1、4-1、5-1、5-2は実施例であり、例2-1、2-2は比較例である。
<質量平均分子量>
含フッ素重合体の質量平均分子量はCFClCFCHClF(AGC社製、商品名:AK-225cb)を溶媒として用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりPMMA(ポリメチルメタクリレート)換算分子量として算出した。
<含フッ素重合体中の-COOCH基含有量>
含フッ素重合体中の-COOCH基含有量は、19F-NMRから求めた。
<耐湿性>
硬化物を80℃の温水中に72時間浸漬したのち形態観察および重量変化を測定した。
[製造例1:単位(a0)、単位(b1)、単位(c1)を有する含フッ素重合体P1前駆体の製造]
内容積が0.2Lの撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、重合開始剤としてV601(和光純薬社製)の1.2gを仕込み減圧脱気した後、CF=CFOCFCFCFCOOCH(25.4g)、CF=CFOCFCFCF(以下、「PPVE」とも記す。)(35.0g)、nC13(AGC社製、商品名:AC-6000)(150g)を仕込んだ。撹拌しながらTFE(6.3g)を圧入した後、内温を70℃まで昇温して4時間重合を行った。この間に圧力を0.3MPaに維持しながらTFE(14.0g)を逐次添加した。
オートクレーブを冷却した後、内容物を500mLのガラスビーカに移して、撹拌しながらメタノールを添加した。静置して上層を除去した後、再びメタノールを注いで激しく攪拌した。このメタノールによる洗浄操作を3回繰り返したのち、下層にヘキサンを攪拌しながら添加すると高粘度液状のポリマーが分離した。これを減圧加熱することにより残留する溶媒を留去し、含フッ素重合体P1の前駆体(9.5g)を得た。P1の前駆体はAK225cbおよびnC13H(AGC社製、商品名:AC-2000)に可溶であり、組成は単位(a0):単位(b1):単位(c1)=7:25:68(モル比)であった。また、質量平均分子量は8,500、数平均分子量は5,500であった。
Figure 2023011961000029
[例1-1:単位(a1)、単位(b1)、および単位(c1)を有する含フッ素重合体P1の製造]
次に、P1の前駆体(2.0g)をAC-6000(4.5g)に溶解した後、アリルアミン(東京化成社製)を脱水イソプロパノールで5倍に希釈した溶液(0.21g)を添加して室温で1時間撹拌したのち、反応溶液をメタノールで3回洗浄したのち、90℃、減圧により溶媒を留去して単位(a1)を有する含フッ素重合体P1を1.95g得た。生成物の赤外吸収(IR)を測定したところ単位(a0)中の-COOCH基のC=Oに基づく1,794cm-1の吸収が消失し、単位(a1)中の-CONH基のC=Oに基づく1,720cm-1付近の吸収が新たに生成した。このことから、単位(a0)が単位(a1)に変換したことを確認した。
Figure 2023011961000030
[例1-2:硬化性組成物、硬化物]
例1-1で得られた単位(a1)、単位(b1)および単位(c1)を有する含フッ素重合体P1(1.0g)を密閉ガラス容器に秤量して、AC-2000(3g)に溶解して均一な溶液としたのち、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(0.04g)および1-エチニルシクロヘキサノールをIPAで10倍に希釈した溶液(0.01g)を加えた。さらに、硬化触媒として1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体(白金として0.3%含む)のイソプロパノール溶液(0.02g)を激しく攪拌しながら滴下したのち、ホットスターラー上、90℃で1時間攪拌して透明均一な溶液を得た。
当該溶液を、FEPフィルムを折って作成した箱に流し込み、熱風オーブン中で90℃、30分加熱して溶媒を揮発させたのち、120℃、2時間加熱することにより1.5cm角、厚さ1.5mmの透明な硬化物を得た。
このような硬化物を4枚作成して積み重ねてデュロメーターゴム硬度計で硬度を測定したところA40であった。
硬化物をガラス容器中でイオン交換水に浸漬し、80℃、72時間加熱したのち重量変化から含水量を測定したところ0.1%以下であり、目視で膨潤などの形態の変化は見られず透明な状態を維持していた。
[例2-1:単位(a2)、単位(b1)および単位(c1)を有する含フッ素重合体P2の製造]
製造例1で得られたP1前駆体を用いて、国際公開第2017/038718号の実施例に記載された方法で、-COOCH基を-CONHNH基に変換して下記の単位(a2)と、単位(b1)および単位(c1)を有する半固体状の含フッ素重合体P2を得た。
Figure 2023011961000031
[例2-2:硬化物]
例2-1で得られた単位(a2)、単位(b1)および単位(c1)を有する含フッ素重合体P2をAC-2000に溶解して、FEPフィルムを折って作成した箱に流し込み、熱風オーブン中で90℃、30分加熱して溶媒を揮発させた。さらに、真空オーブン中で120℃、30分加熱して脱泡したのち、熱風オーブン中で170℃、1時間、さらに190℃、1時間、ついで230℃、2時間加熱することにより透明な硬化物を得た。
硬化物の硬度をデュロメーターゴム硬度計で測定したところA40であった。
当該硬化物をガラス容器中でイオン交換水に浸漬し、80℃、24時間加熱したのち重量変化を測定したところ2.6%の重量増加であった。さらに72時間まで加熱したところ表面が膨潤により柔らかくなっており、重量増加も10%以上であった。
含フッ素重合体P2の硬化物を上記の加熱条件に加えてさらにN雰囲気中で270℃、3時間加熱したところ、硬化物は黄色に着色したが、80℃、72時間温水中浸漬後、重量変化は0.3%であり形状に大きな変化は見られなかった。
例1-2と例2-2の結果から、単位(a2)を有する含フッ素重合体P2から、透明性を維持したまま耐湿性を有する硬化物を得ることは非常に困難であった。これに対して、単位(a1)を含有する含フッ素重合体P1とヒドロシリル化合物を架橋剤として用いて、微量の白金触媒存在下、150℃以下で加熱硬化させて得られた硬化物は透明でかつ耐湿性に優れていることがわかる。
[製造例2:末端にアリル基を有するポリフルオロアルキレンエーテルの製造]
ポリフルオロアルキレンエーテル(ソルベイ社製:フォンブリンZDEAL2000)(20g)をAC-6000(20g)に溶解した後、アリルアミン(東京化成社製)を脱水イソプロパノールで3倍に希釈した溶液(4.6g)を添加して室温で1時間撹拌した。さらに当該溶液をメタノールで3回洗浄したのち、90℃、減圧により溶媒を留去して末端アリル基変性ポリフルオロアルキレンエーテルD1を得た。生成物の赤外吸収(IR)を測定したところ末端の-COOCHCH基のC=Oに基づく1,799cm-1の吸収が消失し、-CONH基のC=Oに基づく1,712cm-1の吸収が新たに生成した。このことから、末端が-COOCHCH基から-CONH基に変性されたことを確認した。
[例3-1:硬化性組成物、硬化物]
例1-1で得られた含フッ素重合体P1(0.5g)および製造例2で得られた末端アリル基変性ポリフルオロアルキレンエーテルD1(0.5g)を密閉ガラス容器に秤量して、AC-2000(2g)に溶解して均一な溶液としたのち、CH=CHC12CH=CH(0.08g)、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(0.08g)および1-エチニルシクロヘキサノールをIPAで10倍に希釈した溶液(0.01g)を加えた。さらに、硬化触媒として1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体を0.3%含むイソプロパノール溶液(0.02g)を激しく攪拌しながら滴下したのち、ホットスターラー上、90℃で1時間攪拌して透明均一な溶液を得た。さらに90℃で溶媒を留去して、室温で液状、高粘度の硬化性組成物を得た。
当該組成物を50℃に加熱してFEPフィルムで作成した箱に流し込み、熱風オーブン中で90℃、30分加熱して脱泡させたのち、120℃、2時間加熱することにより1.5cm角、厚さ2mmの透明な硬化物を得た。硬化物の硬度をデュロメーターゴム硬度計で測定したところA30であった。
硬化物をガラス容器中でイオン交換水に浸漬し、80℃、72時間加熱したのち重量変化から含水量を測定したところ0.1%以下であり、目視で膨潤などの形態の変化は見られず透明な状態を維持していた。
[例4-1:硬化性組成物、硬化物]
例1-1で得られた含フッ素重合体P1(0.3g)および製造例2で得られた末端アリル基変性ポリフルオロアルキレンエーテルD1(0.7g)を密閉ガラス容器に秤量して、AC2000(2g)に溶解して均一な溶液としたのち、CH=CHC12CH=CH(0.09g)、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(0.09g)および1-エチニルシクロヘキサノールをIPAで10倍に希釈した溶液(0.01g)を加えた。さらに、硬化触媒として1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体を0.3%含むイソプロパノール溶液(0.02g)を激しく攪拌しながら滴下したのち、ホットスターラー上で90℃、1時間攪拌して透明均一な溶液を得た。さらに90℃で溶媒を留去して、室温で液状、粘稠な硬化性組成物を得た。
当該組成物をFEPフィルムで作成した箱に流し込み、熱風オーブン中で90℃、10分加熱して脱泡させたのち、120℃、2時間加熱することにより1.5cm角、厚さ2mmの透明な硬化物を得た。硬化物の硬度をデュロメーターゴム硬度計で測定したところA20であった。
硬化物をガラス容器中でイオン交換水に浸漬し、80℃、72時間加熱したのち重量変化を測定したところ0.1%以下の重量増加であった。目視で膨潤などの形態の変化は見られず透明な状態を維持していた。
また、図1に、例4-1で得られた硬化物の分光透過率曲線を示す。
以上の[例3-1]および[例4-1]は、[例1-2]よりも硬度が低下したことから、含フッ素重合体P1に末端アリル基変性ポリフルオロアルキレンエーテルD1を混合することにより硬化性組成物の流動性を向上させることが可能であり、かつ加熱硬化物は無色透明で耐湿性にも優れていることがわかる。
[例5-1:単位(a3)、単位(b1)および単位(c1)を有する含フッ素重合体P2の製造]
製造例1で得たP1の前駆体(3.0g)をAC-6000(6.0g)に溶解した後、5-ノルボルネン-2-メチルアミン(東京化成社製)を脱水イソプロパノールで5倍に希釈した溶液(0.9g)を添加して室温で1時間撹拌したのち、反応溶液をメタノール(20mL)で3回洗浄、更にヘキサン(10mL)で2回洗浄したのち、90℃、減圧により溶媒を留去して単位(a3)を有する含フッ素重合体P3(2.8g)を得た。
生成物の赤外吸収(IR)を測定したところ単位(a0)中の-COOCH基のC=Oに基づく1,794cm-1の吸収が消失し、単位(a3)中の-CONH基のC=Oに基づく1,702cm-1付近の吸収が新たに生成した。このことから、単位(a0)が単位(a3)に変換したことを確認した。
Figure 2023011961000032
[例5-2:硬化性組成物、硬化物]
例5-1で得られた含フッ素重合体P3(1.0g)を密閉ガラス容器に秤量して、AC-2000(3g)およびトルエン(0.2g)に溶解して均一な溶液としたのち、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(0.025g)および硬化触媒として1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体(白金として0.3%含む)のイソプロパノール溶液(0.007g)を攪拌しながら滴下したのち、ホットスターラー上、90℃で30分攪拌して透明均一な溶液を得た。さらに1-エチニルシクロヘキサノールをIPAで20倍に希釈した溶液(0.007g)を加えて加熱により溶媒を留去した。
当該溶液を、FEPフィルムを折って作成した箱に流し込み、熱風オーブン中で90℃、30分加熱して溶媒を揮発させたのち、120℃、2時間加熱することにより1.5cm角、厚さ1.5mmの透明な硬化物を得た。
このような硬化物を4枚作成して積み重ねてデュロメーターゴム硬度計で硬度を測定したところA40であった。
硬化物をガラス容器中でイオン交換水に浸漬し、80℃、72時間加熱したのち重量変化から含水量を測定したところ0.1%以下であり、目視で膨潤などの形態の変化は見られず透明な状態を維持していた。
例5-2の結果から、単位(a3)を含有する含フッ素重合体P3からも、含フッ素重合体P1と同様に、透明でかつ耐湿性に優れた硬化物が得られたことがわかる。
本発明によれば、150℃以下での熱硬化が可能で、透明性と耐湿性に優れた硬化物を得られる硬化性組成物の提供が可能である。
本発明の硬化性組成物は、LED用透光封止材として有用であり、また、各種の光学材料、素子用封止材、光導波路用材料、耐熱・耐薬品性のシーリング材、各種の光学・電子部品用接着剤、コーティング材としても用いられる。また、誘電率が低く電気絶縁性が高いため、高周波回路基板材料などの電子機器・部品の絶縁材料としても用いられる。

Claims (10)

  1. フルオロカーボンからなる主鎖と、-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合を含有する2以上の側鎖とを有する、含フッ素重合体。
  2. 下記式(1)で表される単位を2以上有する、請求項1に記載の含フッ素重合体。
    Figure 2023011961000033
    [上記式中、Rf1は、炭素数1以上のペルフルオロアルキレン基または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のペルフルオロアルキレン基である。Zは-SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合を含有する1価の有機基である。]
  3. 前記付加反応性二重結合が-CR=CR構造または-CR=CR-構造である、請求項1または2に記載の含フッ素重合体。
    ここで、R、R、R、R、Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基である。
  4. 前記Zが下記式(i)で表される構造で表される構造である、請求項2または3に記載の含フッ素重合体。
    -Y-Z11 (i)
    は単結合または2価以上の有機基である。
    11は-CR=CR構造を有する1価有機基、または、-CR=CR-構造を環内に有する1価脂環式基である。
    、R、R、R、Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基である。
  5. 前記含フッ素重合体が、下記式(2)で表される単位をさらに有する含フッ素共重合体である、請求項2~4のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。
    Figure 2023011961000034
  6. 前記含フッ素重合体が、下記式(3)で表される単位をさらに有する含フッ素共重合体である、請求項2~5のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。
    Figure 2023011961000035
    [上記式において、X、X、Xは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。Xは、水素原子、炭素数1以上の含フッ素アルキル基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上の含フッ素アルキル基、炭素数1以上の含フッ素アルコキシ基、または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上の含フッ素アルコキシ基である。]
  7. (A)請求項1~6のいずれか1項に記載の含フッ素重合体、
    (B)1分子中に2以上の-SiH基を有するケイ素化合物、および
    (C)金属触媒
    を含む、硬化性組成物。
  8. (D)下記含フッ素化合物(D1)および含フッ素化合物(D2)の少なくとも一方をさらに含む、請求項7に記載の硬化性組成物。
    (D1)下記式(D1A)で表される構造および下記式(D1B)で表される構造の少なくとも一方と、
    -(Rf71O)h1(Rf72h2- (D1A)
    F-(Rf81O)i1(Rf82i2- (D1B)
    -SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合とを有する含フッ素化合物。
    (D2)下記式(D2A)で表される構造および下記式(D2B)で表される構造の少なくとも一方と、
    -Rf9- (D2A)
    F-Rf10- (D2B)
    -SiH基と付加反応しうる付加反応性二重結合とを有する含フッ素化合物。
    [上記式中、Rf71、Rf72、Rf81、Rf82は、それぞれ独立して炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり、
    f9、Rf10は、それぞれ独立して炭素数1~10のペルフルオロアルキレン基であり、
    h1、i1は、それぞれ独立して2~200の整数であり
    h2、i2は、それぞれ独立して0~6の整数である。]
  9. 請求項7または8に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
  10. 下記式(4A)で表される構造および式(4B)で表される構造の少なくとも一方を有する硬化物。
    Figure 2023011961000036
    [上記式(A4)において、R、R、Rは、各々独立に、水素原子またはメチル基である。Y41、Y42は各々独立に2価有機基である。*は結合手である。]
    Figure 2023011961000037
    [上記式(4B)において、R、Rは各々独立に、水素原子またはメチル基である。Y41、Y42は各々独立に2価有機基である。Cy1は炭素数4~8の脂環式基である。*は結合手である。]
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