JP6432524B2 - 含フッ素架橋体の製造方法およびその使用 - Google Patents
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Description
[1]下式(1)で表される単位を有する含フッ素重合体に、波長150〜300nmの活性エネルギー線を照射することを特徴とする含フッ素架橋体の製造方法。
X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、
Rf1は、フルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキレン基であり、
Q1は、単結合またはエーテル性酸素原子であり、
Z1は、OH、OR1、またはNR2R3であり、
R1は、アルキル基であり、
R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基である。)
[3]前記含フッ素重合体が、さらに、主鎖に脂肪族環構造を有する単位(2)を含む、[1]または[2]の含フッ素架橋体の製造方法。
[4]前記単位(2)が、下式(2−1)〜(2−4)で表される単位からなる群より選ばれる1種以上の単位からなる、[3]の含フッ素架橋体の製造方法。
Q2は、エーテル性酸素原子を有していてもよく、フッ素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5のペルフルオロアルキレン基である。)
[6]前記フルオロエチレンがテトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレンまたはクロロフルオロエチレンである、[5]の含フッ素架橋体の製造方法。
[7]前記含フッ素重合体が、さらに、下式(4)で表される単位を含む、[1]〜[6]のいずれかの含フッ素架橋体の製造方法。
−[CX3X4−CY1Y2]−・・・(4)
(式(4)中、
X3およびX4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または塩素原子であり、
Y1は、水素原子、フッ素原子、または塩素原子であり、
Y2は、水素原子、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいフルオロアルキル基、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいフルオロアルコキシ基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいフルオロアルケニル基である。)
[8]前記式(4)で表される単位がペルフルオロメチルビニルエーテル由来の単位、ペルフルオロプロピルビニルエーテル由来の単位、ヘキサフルオロプロペン由来の単位またはエチレン由来の単位である、[7]の含フッ素架橋体の製造方法。
[10]前記含フッ素重合体の質量平均分子量が、20,000〜200,000である、[1]〜[8]のいずれかの含フッ素架橋体の製造方法。
[11]前記含フッ素重合体が前記式(1)中の−COZ1を0.1〜4mmol/g有する、[1]〜[10]のいずれかの含フッ素架橋体の製造方法。
[12]前記含フッ素架橋体における波長365nmの透過率が、厚さ0.5mmのフィルムにおいて70%以上である、[1]〜[11]のいずれかの含フッ素架橋体の製造方法。
[14]UV−LEDである、[13]の発光素子。
本明細書において、「透光封止」とは光を透過させる機能と封止機能を併有する封止であることを意味する。
本明細書において、重合体における「単位」とは、単量体が重合することによって形成する該単量体に由来する単位を意味する。
本明細書において、フルオロアルキル基、フルオロアルキレン基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルケニル基等の炭素原子鎖を有する基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
本明細書において、「フルオロアルキル基」は、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基をいう。フルオロアルキル基中のフッ素原子の割合は、(フルオロアルキル基中のフッ素原子数)/(フルオロアルキル基に対応する同一炭素原子数のアルキル基中の水素原子数)×100(%)で表現した場合に50%以上であるのが好ましく、100%すなわちペルフルオロアルキル基が特に好ましい。フルオロアルキレン基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルケニル基についても同様であり、ペルフルオロアルキレン基、ペルフルオロアルコキシ基、ペルフルオロアルケニル基であるのが好ましい。
本明細書において、「硬化」とは、特に言及しない限り、架橋により硬化することを意味する。
本発明における含フッ素架橋体は、下式(1)で表される単位(以下、「単位(1)」とも記す。)を有する含フッ素重合体に、波長150〜300nmの活性エネルギー線を照射することによって製造される。
X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、
Rf1は、フルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキレン基であり、
Q1は、単結合またはエーテル性酸素原子であり、
Z1は、OH、OR1、またはNR2R3であり、
R1は、アルキル基であり、
R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基である。)
本発明に使用される含フッ素重合体は、単位(1)を有する。本発明に使用される含フッ素重合体は、さらに、主鎖に脂肪族環構造を有する単位(以下、「単位(2)」とも記す。)、フルオロエチレン由来の単位(以下、「単位(3)」とも記す。)、後述する式(4)で表される単位(以下、「単位(4)」とも記す。)、その他の単位(以下、「単位(5)」とも記す。)を有していてもよい。
単位(1)中、Rf1がフルオロアルキレン基である場合、その炭素数は1〜6が好ましく、1〜4が特に好ましい。炭素数が3以上の場合には、熱安定性の点から直鎖構造が好ましい。フルオロアルキレン基は、熱安定性に優れる点からペルフルオロアルキレン基が好ましい。すなわち、Rf1としては、炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のペルフルオロアルキレン基が特に好ましい。
単位(1)中、Rf1が、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキレン基である場合、炭素数は2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。炭素数が3以上の場合には、熱安定性の点から直鎖構造が好ましい。フルオロアルキレン基は、熱安定性に優れる点からペルフルオロアルキレン基が好ましい。すなわち、Rf1としては、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜10のペルフルオロアルキレン基が好ましく、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜6のペルフルオロアルキレン基が特に好ましい。
単位(1)中、Q1は、エーテル性酸素原子が好ましい。
単位(1)中、Z1は、含フッ素重合体の加熱時の流動性に優れる点で、OR1が好ましい。R1としては、含フッ素重合体の加熱時の流動性に優れる点で、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1または2のアルキル基が特に好ましい。なお、R2およびR3としては、含フッ素重合体の加熱時の流動性に優れる点で、水素原子か炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子か炭素数1または2のアルキル基が特に好ましい。
−[CF2−CF(O(CF2)2COOCH3)]−、
−[CF2−CF(O(CF2)3COOCH3)]−、
−[CF2−CF(O(CF2)4COOCH3)]−、
−[CF2−CF(O(CF2)5COOCH3)]−、
−[CF2−CF(OCF2CF(CF3)O(CF2)2COOCH3)]−、
−[CF2−CF(OCF2CF(CF3)O(CF2)3COOCH3)]−、
−[CF2−CF(O(CF2)3O(CF2)2COOCH3)]−、
−[CF2−CF(O(CF2)2O(CF2)2COOCH3)]−、
−[CH2−CF(CF2OCF(CF3)COOCH3)]−、
−[CH2−CF(CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH3)]−。
これらのうち、入手容易の点から、−[CF2−CF(O(CF2)3COOCH3)]−と−[CF2−CF(OCF2CF(CF3)O(CF2)3COOCH3)]−とが好ましい。
CX1X2=CF−Q1−Rf1−COZ1・・・(11)
(式(11)中、X1、X2、Q1、Rf1およびZ1は、式(1)中のそれらと同一のものを意味し、例示も好ましい範囲もまた式(1)中のそれらと同様である。)
本発明において、重合体中の「脂肪族環構造」とは、炭素原子のみまたは炭素原子と他の原子からなる環状構造を有し、非局在化した不飽和二重結合を有しない環構造をいう。前記他の原子としては、特に限定されないが、酸素原子および窒素原子が挙げられ、酸素原子が好ましい。1つの環を構成する原子の数は4〜8が挙げられ、5〜7が好ましい。
単位(2)は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
また、主鎖に脂肪族環構造を有する単位はペルフルオロの単位であることが好ましい。
X5、X6、X7、X8、Y3およびY4におけるペルフルオロアルコキシ基としては、前記ペルフルオロアルキル基に酸素原子(−O−)が結合したものが挙げられ、−OCF3が特に好ましい。
前記ペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルコキシ基の炭素数が2以上である場合、該ペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルコキシ基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子(−O−)を有していてもよい。
式(21)中、X6は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、または炭素数1〜4のペルフルオロアルコキシ基であることが好ましく、フッ素原子または−OCF3が特に好ましい。
式(21)中、X7およびX8は、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子または−CF3が特に好ましい。
式(21)中、X7およびX8は、相互に結合して含フッ素脂肪族環を形成してもよい。この含フッ素脂肪族環の環を構成する原子の一部は酸素原子であってもよく、この含フッ素脂肪族環はペルフルオロアルキル基等の置換基を有していてもよい。また、この含フッ素脂肪族環は、重合性二重結合を有しないことが好ましい。X7およびX8によって形成される含フッ素脂肪族環の環骨格を構成する原子の数は、4〜7であることが好ましく、5〜6が特に好ましい。
化合物(21)の好ましい具体例として、下記化合物(21−1)〜(21−5)が挙げられる。
化合物(22)の好ましい具体例として、下記化合物(22−1)〜(22−2)が挙げられる。
ジエン系含フッ素単量体としては、特に限定されないが、下式(23)で表される化合物(以下、「化合物(23)」とも記す。)が好ましい。
CF2=CF−Q2−CF=CF2 ・・・(23)。
式(23)中、Q2は、エーテル性酸素原子を有していてもよく、フッ素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5、好ましくは1〜3のペルフルオロアルキレン基である。該フッ素以外のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Q2は、エーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。その場合、該ペルフルオロアルキレン基におけるエーテル性酸素原子は、該基の一方の末端に存在していてもよく、該基の両末端に存在していてもよく、該基の炭素原子間に存在していてもよい。環化重合性の点から、該基の一方の末端に存在していることが好ましい。
CF2=CFOCF2CF=CF2、CF2=CFOCF(CF3)CF=CF2、CF2=CFOCF2CF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2、CF2=CFOCF(CF3)CF2CF=CF2、CF2=CFOCFClCF2CF=CF2、CF2=CFOCCl2CF2CF=CF2、CF2=CFOCF2OCF=CF2、CF2=CFOC(CF3)2OCF=CF2、CF2=CFOCF2CF(−OCF3)CF=CF2、CF2=CFCF2OCF2CF=CF2。
本発明において、「フルオロエチレン」とは、テトラフルオロエチレン(CF2=CF2)の0〜3個のフッ素原子が水素原子またはフッ素以外のハロゲン原子に置換された化合物をいう。単位(3)は、特に限定されないが、テトラフルオロエチレン(CF2=CF2)、トリフルオロエチレン(CF2=CHF)、クロロトリフルオロエチレン(CFCl=CF2)、ビニリデンフルオリド(CF2=CH2)等に由来する単位が挙げられる。耐光性に優れる点から、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロフルオロエチレンが好ましく、熱安定性の点からテトラフルオロエチレンに由来する単位が特に好ましい。
単位(3)は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
単位(4)は下式(4)で表される単位である。
−[CX3X4−CY1Y2]−・・・(4)
(式(4)中、
X3およびX4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または塩素原子であり、
Y1は、水素原子、フッ素原子、または塩素原子であり、
Y2は、水素原子、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいフルオロアルキル基、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいフルオロアルコキシ基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいフルオロアルケニル基である。)
炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいフルオロアルコキシ基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜6が特に好ましい。また、熱安定性の点からは、フルオロアルコキシ基はペルフルオロアルコキシ基であることが好ましい。炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいフルオロアルコキシ基としては、エーテル性酸素原子を有しない炭素数1〜6のペルフルオロアルコキシ基がより好ましく、たとえば、−OCF3、−OCF2CF3、−O(CF2)2CF3、−O(CF2)3CF3が挙げられる。
−[CH2−CH2]−、−[CF2−CF(CF3)]−、−[CH2−CF(CF3)]−、−[CF2−CF(OCF3)]−、−[CF2−CF(OCF2CF3)]−、−[CF2−CF(O(CF2)2CF3)]−、−[CF2−CF(O(CF2)3CF3)]−、−[CF2−CF((CF2)4CF=CF2)]−、−[CF2−CF((CF2)5CF=CF2)]−、−[CF2−CF((CF2)6CF=CF2)]−。
ガラス転移温度を低下させて流動性を高めて成形しやすくなり、また、UV架橋させる際に運動性が高く分子間の架橋反応が進行しやすくなる点から、ペルフルオロメチルビニルエーテル由来の単位、ペルフルオロプロピルビニルエーテル由来の単位、ヘキサフルオロプロペン由来の単位またはエチレン由来の単位が好ましい。
単位(4)は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
CX3X4=CY1Y2・・・(41)
(式(41)中、X3、X4、Y1およびY2は、式(4)中のそれらと同一のものを意味し、例示も好ましい範囲もまた式(4)中のそれらと同様である。)
本発明に使用する含フッ素重合体の全単位中、単位(1)の割合は3〜100mol%であることが好ましく、3〜50mol%がより好ましく、5〜15mol%が特に好ましい。単位(1)の割合が前記範囲の上限値以下であれば、表面のみが硬化することなく、かつ架橋体における泡の発生が抑えられる傾向がある。
(A)単位(1)および単位(2)を含む含フッ素重合体。本発明に使用する含フッ素重合体の全単位中、単位(1)の割合が99〜3mol%であり、単位(2)の割合が1〜97mol%である。
(B)単位(1)、単位(2)および単位(3)を含む含フッ素重合体。本発明に使用する含フッ素重合体の全単位中、単位(1)の割合が98〜3mol%であり、単位(2)の割合が1〜96mol%であり、単位(3)の割合が1〜70mol%である。
(C)単位(1)、単位(2)および単位(4)を含む含フッ素重合体。本発明に使用する含フッ素重合体の全単位中、単位(1)の割合が98〜3mol%であり、単位(2)の割合が1〜96mol%であり、単位(4)の割合が1〜96mol%である。
(D)単位(1)、単位(2)、単位(3)および単位(4)を含む含フッ素重合体。本発明に使用する含フッ素重合体の全単位中、単位(1)の割合が97〜3mol%であり、単位(2)の割合が1〜95mol%であり、単位(3)の割合が1〜95mol%であり、単位(4)の割合が1〜95mol%である。
含フッ素重合体の質量平均分子量は、3,000〜200,000が好ましい。このうち、含フッ素重合体の質量平均分子量が10,000以下の場合には粘度が1〜10,000Pa・sで、25〜100℃加熱により10Pa・s以下となり自重で流動する。質量平均分子量が10,000を超えると25℃では10,000Pa・s以上の高粘度となり、流動させるためには100〜150℃の加熱が必要となる。さらに20,000を超えると0.1〜10MPaの加圧により流動させる必要がある。
注型等で含フッ素重合体を成形する場合には、含フッ素重合体の質量平均分子量は3,000〜20,000が好ましく、5,000〜15,000が特に好ましい。含フッ素重合体の質量平均分子量がこの範囲の下限値以上であれば架橋硬化物の機械的強度や耐熱性に優れる傾向があり、この範囲の上限値以下であれば成形時に流動性が確保される傾向がある。特に、SMDタイプ(カップ状リフレクタ付きのLEDモジュール)の封止の際には、流動性が重要となることより、この範囲の質量平均分子量を有する含フッ素重合体が好ましい。
含フッ素重合体のシート等の成形体を加工して使用する場合には、含フッ素重合体の質量平均分子量は20,000〜200,000が好ましく、30,000〜100,000が特に好ましい。たとえば、COBタイプ(リフレクタの無いもの。複数の素子を封止樹脂で一括封止する。)の封止の際には、シート状の封止樹脂を用いて加熱封止を行う場合がある。この場合、LED素子が実装された基板にシート状含フッ素重合体を重ね合わせ、100〜150℃に加熱流動させて素子に含フッ素重合体を被せ、UV架橋させことにより封止できる。この際に隙間や泡を残さずに封止するためにはシートを加圧しながら被せることが好ましい。質量平均分子量が20,000以上であれば、室温で流動せず形状を維持し、かつ粘着性が無いためハンドリングが容易で、加圧加熱により流動させてLED素子を封止することができる。質量平均分子量が200,000以下であれば、流動化に要する温度が高くなりすぎず、素子等への好ましくない影響を避けられる。
質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、PMMA(ポリメチルメタクリレート)換算分子量として求めることができる。
含フッ素重合体は、前記した単位を形成する単量体を公知の方法で重合させることにより得られる。重合方法としては、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等の公知の重合方法が挙げられる。分子量を所定の大きさに制御することが容易な点で、溶液重合が好ましい。
本発明における含フッ素架橋体は、前記含フッ素重合体のみを使用して製造することができ、また、前記含フッ素重合体を含む架橋性組成物や、含フッ素重合体のみにさらに溶媒を加えたコーティング組成物、該架橋性組成物にさらに溶媒を加えたコーティング組成物から製造することもできる。
本発明における架橋性組成物は、必須成分である含フッ素重合体以外の成分として、シランカップリング剤等を含むことができる。
テトラエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、へプタデカフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、CH2=CHC4F8CH2CH2Si(OC2H5)3、CH2=CHC6F12CH2CH2Si(OC2H5)3、CH2=CHC4F8CH2CH2Si(OCH3)3、CH2=CHC6F12CH2CH2Si(OCH3)3、CH2=CHCH2C4F8CH2CH2CH2Si(OC2H5)3、CH2=CHCH2C6F12CH2CH2CH2Si(OC2H5)3、CH2=CHCH2C4F8CH2CH2CH2Si(OCH3)3、CH2=CHCH2C6F12CH2CH2CH2Si(OCH3)3、(C2H5O)3SiCH2CH2C4F8CH2CH2Si(OC2H5)3、(C2H5O)3SiCH2CH2C6F12CH2CH2Si(OC2H5)3、(CH3O)3SiCH2CH2C4F8CH2CH2Si(OCH3)3、(CH3O)3SiCH2CH2C6F12CH2CH2Si(OCH3)3、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2C4F8CH2CH2CH2Si(OC2H5)3、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2C6F12CH2CH2CH2Si(OC2H5)3、(CH3O)3SiCH2CH2CH2C4F8CH2CH2CH2Si(OCH3)3、(CH3O)3SiCH2CH2CH2C6F12CH2CH2CH2Si(OCH3)3。
−[CmF2mO]−・・・(6)
(式中、mは、1〜6の整数である。)
本発明における架橋性組成物がフルオロポリエーテル化合物を有することで、フルオロポリエーテル化合物が安定な分散および混合状態を保つことができ、優れた機械的強度を有する含フッ素架橋体が得られる傾向がある。
含フッ素架橋体は、好ましくは、含フッ素重合体からなる成形体または含フッ素重合体を含む架橋性組成物からなる成形体を製造し、次いで該成形体に活性エネルギー線を照射することにより製造される。架橋反応を活性エネルギー線を照射することで行うため、架橋反応を加熱することで行う方法に対して、より低温で含フッ素架橋体を得ることができる。また、基材の上で架橋反応を行う際等において、基材の種類、特に基材の耐熱性が制限されない点で好ましい。
成形体の製造方法としては、溶媒を用いずに成形体を得る方法と溶媒を用いて成形体を得る方法とがある。
溶媒を用いずに成形体を製造する方法としては、たとえば、溶媒を含まない含フッ素重合体や溶媒を含まない架橋性組成物を、必要に応じて加熱することにより流動させて、型に流し込み所定の形状とする方法や型の表面にキャストしてシート状やフィルム状の成形体する方法がある。また、押出成形、トランスファー成形等により所定の形状に成形することもできる。さらに、成形されたシートやフィルムを所定の形状に切断する、折り曲げる等の二次加工を行うこともできる。基材と一体化した含フッ素架橋体を製造する場合には、上記型として基材を使用して成形を行い、基材から成形体を分離することなく成形体を架橋させる方法で基材と一体化した含フッ素架橋体を製造することができる。また、成形されたシートやフィルムを基材に重ねてプレスして積層体とする方法等の二次加工により、基材と一体化した含フッ素架橋体を製造することもできる。
活性エネルギー線の波長は、150〜300nmであり、200〜260nmが好ましい。活性エネルギー線の発生源としては、250〜300nmにはメタルハライドランプ、185、254nmには低圧水銀ランプ、172nm、222nmにはエキシマランプ、248nmにはKrFエキシマレーザー、193nmにはArFエキシマレーザー、157nmにはF2レーザーが挙げられる。
本発明の含フッ素架橋体の製造方法において、単位(1)中の−Q1−Rf1−COZ1は、波長150〜300nmの光の照射により、下記の反応式[1]で表されるように、脱COZ1反応が生じ、−Q1−Rf1・ラジカルが生じ、分子間の2つの−Q1−Rf1・ラジカルが反応して、架橋部分(−Q1−Rf1−Rf1−Q1−)が形成される。これにより、含フッ素重合体または架橋性組成物は架橋して硬化する。なお、反応式[1]で形成される架橋部分(−Q1−Rf1−Rf1−Q1−)は、本発明の含フッ素架橋体の製造方法より得た含フッ素架橋体における架橋部分に相当する。
−Q1−Rf1−COZ1 → −Q1−Rf1・+・COZ1
−Q1−Rf1・+・Rf1−Q1− → −Q1−Rf1−Rf1−Q1−
フルオロポリエーテル化合物として、−COZ1が末端に1個、もう一方の末端にCF3基を有する化合物を用いた場合には、本発明の含フッ素架橋体の表面の撥水撥油性あるいは非粘着性を高めることが可能である。
−Q1−Rf1−OO・はさらに分解して−COFを発生させる原因となり、これが空気中の水分で加水分解して、本発明の目的であるHFの発生量の低減に悪影響を及ぼす。また、同時に生成する−COOH基により表面の汚れ付着防止効果も低下する。
本発明の含フッ素架橋体は、単位(1)を有する含フッ素重合体に、波長150〜300nmの光を照射することにより得られる。本発明の含フッ素架橋体は、該架橋体を200℃で1時間加熱することにより発生するHFガスの量が、含フッ素架橋体の質量に対して3mg/g以下であることが好ましく、0.5mg/g以下がより好ましく、0.3mg/g以下が特に好ましい。HFガスの発生量は、該架橋体を200℃で1時間加熱することにより揮発する成分を1mMのNaOH水溶液中に導入して、1mMのNaOH水溶液中のFイオン濃度を測定することにより求められる。ここで、Fイオン濃度は、イオンクロマトグラフィで測定することにより算出できる。HFガスの発生量が、含フッ素架橋体の質量に対して3mg/g以下であれば、発光素子を透光封止した後においても、HF発生による金属腐食が低減される。
本発明の含フッ素架橋体は、UV架橋部位として300nm以下に吸収を有し、分解・架橋反応に寄与する−COZ1のみを含有し、それ以外は官能基が存在しないため300〜400nmの紫外光の吸収がなく透過性を高くできる。したがって、313、365、405nm等の発光波長を有する高圧水銀ランプに替わるUV−LEDの透光封止材として有用である。一般にUV−LEDの封止厚さは0.5mm程度であるため、0.5mm厚さのシートの365nmにおける透過率は70%以上必要であり、80%以上が好ましく、90%以上が特に好ましい。
透過率が100%に満たない原因として、フルオロエチレン単位(3)の結晶性または組成分布に基づく光散乱成分が考えられる。特に、単位(3)としてテトラフルオロエチレン(TFE)を用いた場合には、組み合わせる単量体の重合性が乏しいと、TFE単位の連続的なつながりによる結晶が原因で光散乱性が生じたり、組成分布による光散乱を生じることがある。この場合には、TFEの含有量を減らす必要がある。TFEの含有量としては70モル%以下、好ましくは65モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下にする必要がある。トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンの場合は、TFEほど結晶性が高くないため、光散乱は生じにくいため透明性が高い。さらに、主鎖に脂肪族環構造を有する単位(2)ではフルオロエチレン単位(3)の結晶性をくずす効果が高いため透明性が高い。
本発明の含フッ素架橋体は、安定性が高く、HFの発生量が少ない。加えて、含フッ素共重合体中のフルオロエチレン単位の連続性に基づく結晶性や組成分布による光散乱がない場合には300〜400nmの紫外光の透過性を高くできる。
本発明の含フッ素架橋体を用いたフィルムは、架橋構造を有することから強度に優れ、また、−COZ1で表される基が存在する場合には、加水分解することにより、イオン交換膜における交換基としてのカルボン酸基(−COOH基)を有することができる。本発明の含フッ素架橋体を用いたフィルムは、食塩電解や燃料電池材料として用いられるフッ素系イオン交換膜として有用である。
本発明の含フッ素架橋体は、従来の含フッ素重合体に比べて透明性に優れる。したがって、本発明の含フッ素架橋体は光学材料として有用である。
前記被膜としては、半導体素子、太陽電池素子、発光素子(たとえば、LED、レーザーダイオード(LD)、エレクトロルミネッセンス素子等)等を透光封止する素子用の封止材料が好ましく、透光性、耐光性の点から、短波長光発光素子を透光封止する封止材料が特に好ましい。短波長光発光素子としては、UV−LEDおよび白色LEDが挙げられる。特に、315〜400nmのUVA領域において高圧水銀ランプの代替として使用されるUV−LED用の透光封止材として有用である。
(含フッ素重合体の質量平均分子量)
含フッ素重合体の質量平均分子量は、CF2ClCF2CHClF(旭硝子社製、商品名:AK−225cb)を溶媒として用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりPMMA(ポリメチルメタクリレート)換算分子量として算出した。
(含フッ素重合体中のCOOCH3基含量)
含フッ素重合体中のCOOCH3基含量は、19F−NMRから求めた。
フィルムを200℃、1時間加熱することにより揮発する成分をアルカリ液(1mM NaOH)中に導入して、アルカリ液中のFイオン濃度をイオンクロマトグラフィ(DIONEX社製DX320型システム、カラム:IONPacAS4A−SC、移動相:3mmol/L NaHCO3)を用いて測定することにより、加熱発生するHF発生量を定量した。
CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3の26.2g、CF2=CFOCF2CF2CF=CF2(以下、「BVE」とも記す。)の23.8gと、重合開始剤としてジイソプロピルペルオキシジカーボネート75%のCF2ClCF2CHClF溶液の0.62gを、50mL耐圧ガラス製容器に仕込み、系内を窒素により置換した。内温が40℃になるように加熱しながら撹拌して、24時間重合反応を行った。重合反応終了後、冷却してメタノールの2gを添加して30分攪拌した後、未反応のCF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3、BVEおよびCF2ClCF2CHClFを減圧留去して、含フッ素重合体P1の37gを得た。含フッ素重合体P1の単位組成は、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3由来の単位(p1−1)が47mol%で、BVE由来の単位(p1−2)が53mol%であり、質量平均分子量は4,900であった。
CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3の12.0g、BVEの24.0g、とCF2=CFOCF2CF2CF3(以下、「PPVE」とも記す。)の6.0g、重合開始剤としてジイソプロピルペルオキシジカーボネート75%のCF2ClCF2CHClF溶液の1.6gを、50mL耐圧ガラス製容器に仕込み、系内を窒素により置換した。内温が40℃になるように加熱しながら撹拌して、24時間重合反応を行った。重合反応終了後、冷却してメタノールの20gを添加して30分攪拌した後、上澄み液を除去した。さらに、メタノールの40gを加えて撹拌すると白色沈殿が得られた。上澄み液を除去し、メタノールおよび未反応のCF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3、BVEおよびPPVEを減圧留去して、含フッ素重合体P2の22gを得た。含フッ素重合体P2の単位組成は、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3由来の単位(p2−1)が24mol%で、BVE由来の単位(p2−2)が64mol%、PPVE由来の単位(p2−3)が12mol%であり、質量平均分子量は16,400であった。
内容積が200mLの撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、重合開始剤としてV601(和光純薬社製)の0.70gを仕込み減圧脱気したのち、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3の14.0g、PPVEの32.0g、C6F13Hの32.0gを仕込んだ。撹拌しながらテトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)の6.6gを圧入したのち、内温を80℃まで昇温して重合を開始した。内圧を0.5MPaに保ちながらTFEを逐次添加して8.5時間重合を行った。TFEの添加量は11.0gであった。
オートクレーブを冷却した後、内容物を500mLのガラスビーカーに移した後、撹拌しながらメタノールの200gを添加して共重合体を析出させた。上澄み液を除去したのちC6F13Hに溶解し、メタノールを添加することにより再沈殿させ、乾燥することにより含フッ素重合体P3の23gを得た。含フッ素重合体P3の単位組成は、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3由来の単位(p3−1)が10mol%で、TFE由来の単位(p3−2)が70mol%、PPVE由来の単位(p3−3)が20mol%であり、質量平均分子量は17,200であった。
内容積が200mLの撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、重合開始剤としてパーロイルTCP(日油社製)の1.4gを仕込み減圧脱気したのち、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3の11.3g、PPVEの30.0g、AK−225(旭硝子社製)の120gを仕込んだ。撹拌しながらテトラフルオロエチレン(TFE)の13.0gを圧入したのち、内温を55℃まで昇温して重合を開始し、6時間重合を行ったところ内圧は0.5MPaから0.15MPaまで低下した。
オートクレーブを冷却した後、内容物を500mLのガラスビーカーに移した後、撹拌しながらメタノールの200gを添加して共重合体を析出させた。上澄み液を除去したのち、乾燥することにより含フッ素重合体P4の20gを得た。含フッ素重合体P4の単位組成は、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3由来の単位(p4−1)が7mol%で、TFE由来の単位(p4−2)が72mol%、PPVE由来の単位(p4−3)が21mol%であり、質量平均分子量は14,700であった。
特許文献2(国際公開第2009/096342号)の合成例2に従い、CF2=CFO−基を含有する、テトラフルオロエチレン(TFE)/ペルフルオロテトラメチレンジビニルエーテル(以下、「C4DVE」とも記す。)/PPVE共重合体である含フッ素重合体P5の65gを得た。また、19F−NMRにより含フッ素重合体P5の組成およびペルフルオロビニル基含有量を測定したところ、含フッ素重合体P5中のTFE由来の単位(p5−1)とC4DVE由来の単位(p5−2)とPPVE由来(p5−3)の単位とのモル比は61/12/27であり、含フッ素重合体P5のペルフルオロビニル基含量は0.6mmol/gであり、質量平均分子量は7,600であった。
製造例1〜5で得た各含フッ素重合体をガラス板上に100℃で流延させて、室温まで冷却した。次いで、窒素雰囲気下で40W低圧水銀ランプ(セン特殊光源社製)を用いて、波長254nmの紫外線(UV)を8mW/cm2で例1〜4において4時間照射し、例5においては2時間照射し、表面に粘着性のないフィルムを得た。
得られたフィルムをAK−225(製品名、旭硝子社製)に浸漬し、架橋反応の有無を確認した。架橋反応が有る場合は、膨潤するが形状は保持され、架橋反応が無い場合は、溶解して形状が崩れる。ここで、例1〜5いずれも架橋して形状は保持されていた。
含フッ素重合体中のCOOCH3基含量および得られたフィルムのHF量を定量した結果を表1に示す。
青色LED(波長460nm)チップを実装したカップ型アルミナリフレクタからなるLED素子の凹部に含フッ素重合体P2またはP5を注入して、前記の条件でUV照射して含フッ素重合体P2またはP5を硬化させて、LED素子を封止した。
製造例2で得た含フッ素重合体を用いて封止したLED素子に3.5V、350mAの電流を通電したところ、2か月後においても電流量は変化せず封止樹脂の透明性を維持していた。一方、製造例5で得た含フッ素重合体を用いて封止したLED素子に3.5V、350mAの電流を通電したところ、1か月後には封止樹脂の透明性は維持していたものの、3.5Vにおける電流量が170mAに低下していた。
一方、例5で得たフィルムは、含フッ素重合体が紫外線の照射により形成する架橋と同時に分解する成分からHF発生が多く発生するため安定性が不充分であった。
内容積が200mLの撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、重合開始剤としてV601(和光純薬社製)の0.13gを仕込み減圧脱気したのち、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3の21.4g、PPVEの18.6g、AC−2000(旭硝子社製)の219gを仕込んだ。撹拌しながらトリフルオロエチレン(以下、「TrFE」とも記す。)の18.6gを圧入したのち、内温を70℃まで昇温して重合を開始し、4時間重合を行ったところ内圧は1.26MPaから1.17MPaまで低下した。
オートクレーブを冷却した後、内容物を500mLのガラスビーカーに移した後、撹拌しながらヘキサンの500gを添加して共重合体を析出させた。上澄み液を除去したのち、乾燥することにより含フッ素重合体P6の10.4gを得た。含フッ素重合体P6の単位組成は、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3由来の単位が11.3mol%で、TrFE由来の単位が84mol%、PPVE由来の単位が4.7mol%であり、質量平均分子量は67,000であった。
内容積が200mLの撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、超純水の130g、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(東京化成社製)の0.27g、分散剤としてペルフルオロオクタン酸アンモニウムの0.5g、緩衝剤としてリン酸一水素ナトリウムの0.3g、リン酸二水素ナトリウムの0.18g、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3の17.4gを仕込み、気相部を窒素置換した。次に、撹拌しながらヘキサフルオロプロピレン(HFP)の8.5g、TrFEの6.7gを圧入したのち、内温を70℃まで昇温して重合を開始し、5時間重合を行ったところ内圧は1.57MPaから1.19MPaまで低下した。
オートクレーブを冷却した後、スラリーを凍結してポリマーを析出させたのち内容物をガラスフィルターで分離した。その後、ポリマーをイオン交換水で洗浄したのちガラスフィルターで分離する操作を3回繰り返し、これを乾燥することにより含フッ素重合体P7の11.7gを得た。含フッ素重合体P7の単位組成は、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3由来の単位が36.5mol%で、TrFE由来の単位が57.5mol%、HFP由来の単位が6mol%であり、質量平均分子量は13,000であった。
含フッ素重合体P7をさらにエチレングリコールジメチルエーテルに溶解し、孔径0.2μのPTFE製フィルターでろ過した。次に、純水を添加してポリマーを沈殿させたのち、上澄み液を除去して含フッ素重合体P7を乾燥させて、精製した。
製造例4と同様な方法で、PPVEの替わりにBVEを用いて含フッ素重合体P8を合成した。
含フッ素重合体P8の単位組成は、CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3由来の単位が5mol%で、BVE由来の単位が32mol%、TFE由来の単位が63mol%であり、質量平均分子量は16,400であった。
含フッ素重合体P6、P7、P8から形成した含フッ素架橋体の紫外光透過率(波長365nmにおける透過率)を以下の方法で測定した。結果を表2に示す。
含フッ素重合体をガラス板上に100〜110℃で加熱プレスして、厚さ0.5mmのシートを作成した。低圧水銀ランプによりUV照射したのち、ガラス板からシートを剥離し、厚さ0.5mmのシート状の含フッ素架橋体を得た。該含フッ素架橋体において、紫外可視分光光度計UV3100(島津製作所社製)で波長365nmにおける透過率(%)を測定した
製造例6で得た含フッ素重合体P6を用いてLED素子を封止した。
青色LED(波長460nm)チップを実装したカップ型アルミナリフレクタからなるLED素子の凹部(直径約3mm)に含フッ素重合体P6から形成したシート(厚さ0.5mm。含フッ素重合体P6をガラス板上に100〜110℃で加熱プレスして作成した。)を直径3mmのポンチで打ち抜き、LED素子の凹部にはめ込んだ。次に、離型フィルムを被せて、おもりを載せて荷重をかけながら、真空オーブン中で110℃加熱することによりLED素子の凹部の細部にまで含フッ素重合体P6を流延させた。このように封止したLED素子を冷却して離型フィルムを剥離したのち、低圧水銀ランプでUV照射して含フッ素重合体P6から形成される含フッ素架橋体を得た。
封止したLED素子に3.5V、350mAの電流を通電したところ、2か月後においても電流量は変化せず、含フッ素重合体P6から形成される含フッ素架橋体は透明性を維持していた。
本発明の含フッ素架橋体は、光学材料として有用であり、特にレンズ用材料、素子用封止材(特に発光素子(白色LED等の短波長発光素子)や有機EL素子の封止材、太陽電池セル封止材など)、無機EL蛍光体分散材、光導波路用材料として有用である。
本発明の含フッ素架橋体は、特に300nm以上の光に対して安定なため、365nmあるいはそれ以上の波長を有するUV−LEDの封止材として有用である。
また、本発明の含フッ素架橋体を形成するために使用される含フッ素重合体および架橋性組成物は、耐熱・耐薬品性のシーリング材、接着剤、コーティング材としても有用である。また、本発明の含フッ素架橋体は高絶縁性・低誘電率であるため、含フッ素重合体および架橋性組成物は、ガラスクロスに含浸させて硬化させて回路基板とするための樹脂材料としても使用される。含フッ素重合体および架橋性組成物は、室温で硬化が可能であり半硬化状態で粘着性を残すことが可能なため、LCD、色素増感太陽電池、有機太陽電池などの封止用材料、サイドシール用材料、接着剤に用いられる。
さらには、本発明の含フッ素架橋体を形成するために使用される含フッ素重合体および架橋性組成物は、各種のパターニング用材料、フレキシブルディスプレイ等の反射防止用材料、汚れ付着防止コーティング用材料としても用いられる。
含フッ素重合体と溶媒等を含むコーティング組成物は、コーティングが可能であり、表面非粘着性であるため、離型剤、防汚コート用材料、耐薬品保護コート用材料等にも有用である。また、複写機のトナー付着防止や各種の食品用製造装置の付着防止コート用材料、自動車、建築用ガラスの撥水コート剤としても用いられる。
また、含フッ素重合体は、食塩電解や燃料電池材料として用いられるフッ素系イオン交換膜の架橋ポリマー成分としても有用である。
なお、2013年12月26日に出願された日本特許出願2013−270102号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (13)
- 下式(1)で表される単位を有し、−COZ 1 を0.1〜4mmol/g有し、−COZ 1 以外に架橋反応に寄与する官能基が存在しない含フッ素重合体に、波長150〜300nmの活性エネルギー線を照射することを特徴とする含フッ素架橋体の製造方法。
X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、
Rf1は、フルオロアルキレン基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキレン基であり、
Q1は、単結合またはエーテル性酸素原子であり、
Z1は、OH、OR1、またはNR2R3であり、
R1は、アルキル基であり、
R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基である。) - 前記式(1)で表される単位が、−[CF2−CF(O(CF2)3COOCH3)]−または−[CF2−CF(OCF2CF(CF3)O(CF2)3COOCH3)]−である、請求項1に記載の含フッ素架橋体の製造方法。
- 前記含フッ素重合体が、さらに、主鎖に脂肪族環構造を有する単位(2)を含む、請求項1または2に記載の含フッ素架橋体の製造方法。
- 前記含フッ素重合体が、さらに、フルオロエチレン由来の単位を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素架橋体の製造方法。
- 前記フルオロエチレンがテトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレンまたはクロロフルオロエチレンである、請求項5に記載の含フッ素架橋体の製造方法。
- 前記含フッ素重合体が、さらに、下式(4)で表される単位を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の含フッ素架橋体の製造方法。
−[CX3X4−CY1Y2]−・・・(4)
(式(4)中、
X3およびX4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または塩素原子であり、
Y1は、水素原子、フッ素原子、または塩素原子であり、
Y2は、水素原子、炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいフルオロアルキル基、または炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいフルオロアルコキシ基である。) - 前記式(4)で表される単位がペルフルオロメチルビニルエーテル由来の単位、ペルフルオロプロピルビニルエーテル由来の単位、ヘキサフルオロプロペン由来の単位またはエチレン由来の単位である、請求項7に記載の含フッ素架橋体の製造方法。
- 前記含フッ素重合体の質量平均分子量が、3,000〜20,000である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の含フッ素架橋体の製造方法。
- 前記含フッ素重合体の質量平均分子量が、20,000〜200,000である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の含フッ素架橋体の製造方法。
- 前記含フッ素架橋体における波長365nmの透過率が、厚さ0.5mmのフィルムにおいて70%以上である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の含フッ素架橋体の製造方法。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法で得た含フッ素架橋体により透光封止された、発光素子。
- UV−LEDである、請求項12に記載の発光素子。
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