JP2023008518A - シリコン基板の研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一態様において、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立できるシリコン基板の研磨方法を提供する。【解決手段】本開示は、一態様において、シリカ粒子(成分A)、アミノ基含有水溶性高分子(成分B)及びノニオン性水溶性高分子(成分C)を含有し、pHが8.5超14以下である研磨液組成物を供給し、研磨パッド表面に被研磨シリコン基板を接触させて研磨する工程を含み、前記研磨液組成物に接触した研磨パッドの表面ゼータ電位が-30mV以上0mV未満である、シリコン基板の研磨方法に関する。【選択図】なし
Description
本開示は、シリコン基板の研磨方法及び半導体基板の製造方法に関する。
一般にシリコン基板等の研磨においては、粒子を含む研磨液組成物を供給しながら、研磨パッド表面に被研磨シリコン基板を接触させて研磨することが知られている。特に仕上げ研磨にはスエードパッドが使用されている。この種の研磨パッドにおいては、研磨パッドとシリコンウェーハとの過度な接触によるヘイズの発生が問題になっている(例えば、特許文献1参照)。さらに、この種の研磨液組成物においては、シリカ粒子の凝集に起因するシリコン基板の表面欠陥(LPD:Light point defects)の発生や、凝集物を除去するために研磨液組成物をろ過する場合のフィルタ目詰まりが問題となっている(例えば、特許文献2参照)。また、研磨速度を向上させる目的で、水溶性高分子化合物を含む研磨液組成物が知られている(特許文献3参照)。
特許文献1では、エチレンオキサイド付加モル数6のポリオキシエチレンオクチルエーテルなどの界面活性剤を含む研磨液を研磨パッドとシリコン基板との間に供給してシリコン基板を研磨する方法が提案されている。
特許文献2では、シリカ粒子と、含窒素塩基性化合物と、水酸基由来の酸素原子数とポリオキシアルキレン由来の酸素原子数の比が0.8~10の水溶性高分子と、を含有する研磨液組成物が提案されている。
特許文献3では、砥粒、塩基性化合物、及び2種以上の水溶性高分子を含み、前記水溶性高分子は、窒素含有基を含むカチオン性水溶性高分子を含む、半導体研磨用組成物が提案されている。同文献の実施例には、コロイダルシリカ、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、重量平均分子量80万のヒドロキシエチルセルロース、及びポリエチレンイミンを含む半導体研磨用組成物が記載されている。
特許文献2では、シリカ粒子と、含窒素塩基性化合物と、水酸基由来の酸素原子数とポリオキシアルキレン由来の酸素原子数の比が0.8~10の水溶性高分子と、を含有する研磨液組成物が提案されている。
特許文献3では、砥粒、塩基性化合物、及び2種以上の水溶性高分子を含み、前記水溶性高分子は、窒素含有基を含むカチオン性水溶性高分子を含む、半導体研磨用組成物が提案されている。同文献の実施例には、コロイダルシリカ、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、重量平均分子量80万のヒドロキシエチルセルロース、及びポリエチレンイミンを含む半導体研磨用組成物が記載されている。
近年、半導体需要の高まりによるシリコンウェーハ等のシリコン基板の生産性向上と表面品質に対する要求はますます厳しくなっており、研磨速度の向上とともに、シリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)の低減が可能な研磨方法が求められている。しかし、特許文献1及び2では、研磨速度の向上効果が不十分であるという課題があった。特許文献3ではヘイズ低減効果が不十分であるという課題があった。
本開示は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立できるシリコン基板の研磨方法及び半導体基板の製造方法を提供する。
本開示は、一態様において、シリカ粒子(成分A)、アミノ基含有水溶性高分子(成分B)及びノニオン性水溶性高分子(成分C)を含有し、pHが8.5超14以下である研磨液組成物を供給し、研磨パッド表面に被研磨シリコン基板を接触させて研磨する工程を含み、前記研磨液組成物に接触した研磨パッドの表面ゼータ電位が-30mV以上0mV未満である、シリコン基板の研磨方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示の研磨方法を用いて被研磨シリコン基板を研磨する工程と、研磨されたシリコン基板を洗浄する工程と、を含む、半導体基板の製造方法に関する。
本開示によれば、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立できるシリコン基板の研磨方法、並びに半導体基板の製造方法を提供できる。
本開示は、シリカ粒子、アミノ基含有水溶性高分子及びノニオン性水溶性高分子を含有し、pHが8.5超14以下の研磨液組成物を用いることにより、研磨パッドの表面ゼータ電位を所定の値とすることで、シリコン基板を高速研磨でき、シリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)を低減できるという知見に基づく。
すなわち、本開示は、一態様において、シリカ粒子(成分A)、アミノ基含有水溶性高分子(成分B)及びノニオン性水溶性高分子(成分C)を含有し、pHが8.5超14以下である研磨液組成物を供給し、研磨パッド表面に被研磨シリコン基板を接触させて研磨する工程を含み、前記研磨液組成物に接触した研磨パッドの表面ゼータ電位が-30mV以上0mV未満である、シリコン基板の研磨方法(以下、「本開示の研磨方法」ともいう)に関する。
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立できる。
本開示の効果発現機構の詳細は明らかではないが、以下のように推察される。
研磨は、研磨パッドと被研磨基板が接触する界面に砥粒が濃縮されることで進行する。pHが8.5超14以下であるアルカリ性の研磨条件においては、研磨パッドは大きな負電荷を有しており、シリカ粒子等の砥粒との静電反発力によって研磨パッドへの砥粒の保持が十分ではないと考えられる。
本開示では、アミノ基含有水溶性高分子(成分B)及びノニオン性水溶性高分子(成分C)によって研磨パッドのゼータ電位を-30mV以上0mV未満にすることで、シリカ粒子(成分A)と研磨パッドとの静電反発力が抑制され、研磨パッドへの砥粒の保持性が向上すると考えられる。その結果、シリカ粒子(成分A)が研磨パッドと被研磨基板との界面にムラなく濃縮され、研磨パッドの被研磨基板への接触がほぼ均一に起こることで、ヘイズレベルを改善しながら研磨速度が向上することができると考えられる。また、研磨パッドの表面に砥粒が保持されることから、研磨パッドの表面粗さが低いほど、高研磨速度と低ヘイズレベルが期待できる。
ただし、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
研磨は、研磨パッドと被研磨基板が接触する界面に砥粒が濃縮されることで進行する。pHが8.5超14以下であるアルカリ性の研磨条件においては、研磨パッドは大きな負電荷を有しており、シリカ粒子等の砥粒との静電反発力によって研磨パッドへの砥粒の保持が十分ではないと考えられる。
本開示では、アミノ基含有水溶性高分子(成分B)及びノニオン性水溶性高分子(成分C)によって研磨パッドのゼータ電位を-30mV以上0mV未満にすることで、シリカ粒子(成分A)と研磨パッドとの静電反発力が抑制され、研磨パッドへの砥粒の保持性が向上すると考えられる。その結果、シリカ粒子(成分A)が研磨パッドと被研磨基板との界面にムラなく濃縮され、研磨パッドの被研磨基板への接触がほぼ均一に起こることで、ヘイズレベルを改善しながら研磨速度が向上することができると考えられる。また、研磨パッドの表面に砥粒が保持されることから、研磨パッドの表面粗さが低いほど、高研磨速度と低ヘイズレベルが期待できる。
ただし、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
[研磨工程]
本開示の研磨方法は、シリカ粒子(成分A)、アミノ基含有水溶性高分子(成分B)及びノニオン性水溶性高分子(成分C)を含有し、pHが8.5超14以下である研磨液組成物(以下、「本開示の研磨液組成物」ともいう)を供給し、研磨パッド表面に被研磨シリコン基板を接触させて研磨する工程(以下、「本開示の研磨工程」ともいう)を含む。
本開示の研磨方法は、シリカ粒子(成分A)、アミノ基含有水溶性高分子(成分B)及びノニオン性水溶性高分子(成分C)を含有し、pHが8.5超14以下である研磨液組成物(以下、「本開示の研磨液組成物」ともいう)を供給し、研磨パッド表面に被研磨シリコン基板を接触させて研磨する工程(以下、「本開示の研磨工程」ともいう)を含む。
研磨工程が多段階で行われる場合は、本開示の研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程又は仕上げ研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨シリコン基板を洗浄することが好ましい。さらに、使用した研磨液を再利用する循環研磨においても、本開示の研磨液組成物は使用できる。研磨機としては、特に限定されず、基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
本開示の研磨工程における研磨圧力は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、好ましくは20g/cm2以上、より好ましくは50g/cm2以上、更に好ましくは80g/cm2以上であり、そして、研磨速度と表面粗さ(ヘイズ)の観点から、好ましくは500g/cm2以下、より好ましくは300g/cm2以下、更に好ましくは200g/cm2以下である。本開示において研磨圧力とは、研磨時に被研磨シリコン基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、研磨圧力の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
本開示の研磨工程における本開示の研磨液組成物の供給速度は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05~5mL/分、より好ましくは0.1~3mL/分、更に好ましくは0.2~2mL/分、更に好ましくは0.3~0.1mL/分である。
本開示の研磨工程における、研磨液組成物の温度及び研磨パッド表面温度は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、好ましくは15℃以上であり、好ましくは60℃以下である。
本開示の研磨液組成物を供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。本開示において「供給」とは、研磨液組成物を研磨機へ供給すること、研磨パッドと被研磨基板との間に供給すること、研磨パッドの表面に供給すること、被研磨基板の表面に供給すること、を含む。研磨液組成物を供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本開示の研磨液組成物となる。
[研磨パッド]
本開示の研磨方法で使用される研磨パッドとしては、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、ベース層と発泡したポリウレタンエラストマーからなる表面層(以下、「発泡層」ともいう)とを有するスエードタイプの研磨パッドであり、前記表面層の表面粗さRaが15μm以下であるものが好ましい。
本開示の研磨方法で使用される研磨パッドとしては、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、ベース層と発泡したポリウレタンエラストマーからなる表面層(以下、「発泡層」ともいう)とを有するスエードタイプの研磨パッドであり、前記表面層の表面粗さRaが15μm以下であるものが好ましい。
前記研磨パッドの表面層である発泡層としては、一又は複数の実施形態において、独立発泡タイプと連続発泡タイプのものが使用できるが、研磨屑の排出性の観点から、連続発泡タイプのものが好ましく使用される。連続発泡タイプの研磨パッドとしては、例えば、「CMP技術基礎実例講座シリーズ第2回メカノケミカルポリシング(CMP)の基礎と実例(ポリシングパッド編)1998年5月27日資料 グローバルネット株式会社編」、或いは「CMPのサイエンス 柏木正広編 株式会社サイエンスフォーラム 第4章」に記載されたような研磨パッドが使用できる。ここでスエードタイプとは、一又は複数の実施形態において、特開平11-335979号公報に記載されているような、ベース層とベース層に対して垂直な紡錘状気孔を有する発泡層とを有する構造のことをいう。
前記スエードタイプの研磨パッドは、一又は複数の実施形態において、以下の方法により製造される。ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるベース層上に、ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶剤にポリウレタンエラストマーを溶解させた溶液を塗布し、これを水或いは水とポリウレタンエラストマー溶液の溶剤との混合溶液中に浸漬して湿式凝固を行い、脱溶剤のための水洗、乾燥を行なう。これにより、ベース層に対して垂直な紡錘状気孔を有する発泡層がベース層上に形成される。そして、得られた発泡層の表面をサンドペーパー等で研磨することによって、表面に気孔部を有し、かつ、ベース層に対して垂直な紡錘状気孔を有する発泡層を備えたスエードタイプ研磨パッドが得られる。
前記研磨パッドのベース層の材質としては、一又は複数の実施形態において、綿等の天然繊維や合成繊維からなる不織布、スチレンブタジエンゴム等のゴム状物質を充填して得られるベース層等が挙げられ、微小うねりの低減、及び高硬度な樹脂フィルムが得られる観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリエステルフィルムが好ましく、PETフィルムがより好ましい。研磨パッドの発泡層(表面層)の材質としては、一又は複数の実施形態において、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられるが、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、ポリウレタンエラストマーが好ましい。
前記研磨パッドの発泡層(表面層)の圧縮率は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、好ましくは1%以上であり、より好ましくは3%以上であり、そして、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下、より更に好ましくは15%以下、より更に好ましくは10%以下、より更に好ましくは5%以下である。
本開示において、研磨パッドの圧縮率は、日本工業規格(JIS) L1096記載の圧縮率測定方法に基づき、圧縮試験機により測定することができる。研磨パッドの圧縮率は、例えば、発泡層の厚みや発泡層のベース層側の気孔径サイズ、あるいはベース層の材質等によって制御できる。
本開示において、研磨パッドの圧縮率は、日本工業規格(JIS) L1096記載の圧縮率測定方法に基づき、圧縮試験機により測定することができる。研磨パッドの圧縮率は、例えば、発泡層の厚みや発泡層のベース層側の気孔径サイズ、あるいはベース層の材質等によって制御できる。
前記研磨パッドの発泡層(表面層)の表面粗さRaは、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは7μm以下であり、そして、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上である。
本開示において、研磨パッドの表面粗さRaは、実施例に記載の方法により測定することができる。研磨パッドの表面粗さRaは、例えば、発泡層の表層側の気孔径サイズや発泡層の表面を研磨するパッドドレッサーの粗さにより制御できる。
本開示において、研磨パッドの表面粗さRaは、実施例に記載の方法により測定することができる。研磨パッドの表面粗さRaは、例えば、発泡層の表層側の気孔径サイズや発泡層の表面を研磨するパッドドレッサーの粗さにより制御できる。
前記研磨パッドの表面の気孔部の平均気孔径は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは15μm以上80μm以下、更に好ましくは20μm以上60μm以下、更に好ましくは25μm以上55μm以下である。
前記研磨パッドの表面の気孔部の平均気孔径は、ポリウレタンエラストマー原料に対し、カーボンブラック等の顔料や、発泡を促進させる親水性活性剤、あるいはポリウレタンエラストマーの湿式凝固を安定化させる疎水性活性剤等の添加剤を添加することにより制御できる。本開示において、平均気孔径は、以下の方法で求めることができる。
先ず、研磨パッド表面を走査型電子顕微鏡で観察(好適には100~300倍)して、画像をパーソナルコンピュータ(PC)に取り込む。そして、取り込んだ画像についてPCにて画像解析ソフトにより解析を行い、気孔部の円相当径の平均径として平均気孔径を求めることが出来る。上記画像解析ソフトとしては、例えばWinROOF(三谷商事)を用いることが出来る。
先ず、研磨パッド表面を走査型電子顕微鏡で観察(好適には100~300倍)して、画像をパーソナルコンピュータ(PC)に取り込む。そして、取り込んだ画像についてPCにて画像解析ソフトにより解析を行い、気孔部の円相当径の平均径として平均気孔径を求めることが出来る。上記画像解析ソフトとしては、例えばWinROOF(三谷商事)を用いることが出来る。
前記研磨パッドの厚みは、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、好ましくは0.7mm以上2.5mm以下、より好ましくは0.8mm以上2.0mm以下、更に好ましくは0.8mm以上1.7mm以下、更に好ましくは0.9mm以上1.5mm以下である。
(研磨パッドの表面ゼータ電位)
本開示において、「研磨パッドの表面ゼータ電位」とは、特に言及しない場合、本開示の研磨液組成物に接触した研磨パッドの表面のゼータ電位をいう。本開示における研磨パッドの表面ゼータ電位は、一又は複数の実施形態において、研磨パッドのポリウレタンエラストマーからなる表面層をダイヤドレッサーで研磨することで得られる平均粒子径が0.3μm~1μmのパッド微粉(以下、「研磨パッドモデル微粒子」ともいう)と成分Aを除く研磨液組成物とを混合した研磨パッドモデル微粒子分散液の表面ゼータ電位である。
前記研磨パッドの表面ゼータ電位は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、-30mV以上であって、好ましくは-25mV以上、より好ましくは-20mV以上、更に好ましくは-15mV以上であり、そして、0mV未満であって、好ましくは-2mV以下、より好ましくは-5mV以下である。
前記研磨パッドモデル微粒子は、一又は複数の実施形態において、研磨パッドのポリウレタンエラストマーからなる表面層をダイヤドレッサー等を用いて研磨して得られるパッド微粉(微粒子)のことを示す。得られる微粒子は、ほぼ均一な粒度分布を有すると考えられ、微粒子の粒径はダイヤドレッサーの番手や研磨荷重によって調整できる。微粒子の粒径としては、例えば0.3μm~1μmが挙げられる。ダイヤドレッサーとしては、例えば、CMPパッドコンディショナー等を用いることができる。前記研磨パッドモデル微粒子のゼータ電位は、一又は複数の実施形態において、研磨パッドの表面を測定したものではない。
本開示において、研磨パッドの表面ゼータ電位は、電気泳動光散乱法によるゼータ電位測定装置により測定できる。具体的には実施例に記載の方法を用いて測定できる。
本開示において、「研磨パッドの表面ゼータ電位」とは、特に言及しない場合、本開示の研磨液組成物に接触した研磨パッドの表面のゼータ電位をいう。本開示における研磨パッドの表面ゼータ電位は、一又は複数の実施形態において、研磨パッドのポリウレタンエラストマーからなる表面層をダイヤドレッサーで研磨することで得られる平均粒子径が0.3μm~1μmのパッド微粉(以下、「研磨パッドモデル微粒子」ともいう)と成分Aを除く研磨液組成物とを混合した研磨パッドモデル微粒子分散液の表面ゼータ電位である。
前記研磨パッドの表面ゼータ電位は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、-30mV以上であって、好ましくは-25mV以上、より好ましくは-20mV以上、更に好ましくは-15mV以上であり、そして、0mV未満であって、好ましくは-2mV以下、より好ましくは-5mV以下である。
前記研磨パッドモデル微粒子は、一又は複数の実施形態において、研磨パッドのポリウレタンエラストマーからなる表面層をダイヤドレッサー等を用いて研磨して得られるパッド微粉(微粒子)のことを示す。得られる微粒子は、ほぼ均一な粒度分布を有すると考えられ、微粒子の粒径はダイヤドレッサーの番手や研磨荷重によって調整できる。微粒子の粒径としては、例えば0.3μm~1μmが挙げられる。ダイヤドレッサーとしては、例えば、CMPパッドコンディショナー等を用いることができる。前記研磨パッドモデル微粒子のゼータ電位は、一又は複数の実施形態において、研磨パッドの表面を測定したものではない。
本開示において、研磨パッドの表面ゼータ電位は、電気泳動光散乱法によるゼータ電位測定装置により測定できる。具体的には実施例に記載の方法を用いて測定できる。
[被研磨シリコン基板]
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、シリコン基板用研磨組成物であり、例えば、半導体基板の製造方法における被研磨シリコン基板を研磨する研磨工程や、シリコン基板の研磨方法における被研磨シリコン基板を研磨する研磨工程に用いられうる。本開示の研磨液組成物を用いて研磨される被研磨シリコン基板としては、一又は複数の実施形態において、シリコンウェーハ、シリコン基板等が挙げられ、一又は複数の実施形態において、単結晶シリコン基板、ポリシリコン基板、ポリシリコン膜を有する基板、SiN基板等が挙げられる。本開示の研磨液組成物の効果が発揮される観点から、被研磨シリコン基板としては、単結晶シリコン基板又はポリシリコン基板が好ましく、単結晶シリコン基板がより好ましい。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、シリコン基板用研磨組成物であり、例えば、半導体基板の製造方法における被研磨シリコン基板を研磨する研磨工程や、シリコン基板の研磨方法における被研磨シリコン基板を研磨する研磨工程に用いられうる。本開示の研磨液組成物を用いて研磨される被研磨シリコン基板としては、一又は複数の実施形態において、シリコンウェーハ、シリコン基板等が挙げられ、一又は複数の実施形態において、単結晶シリコン基板、ポリシリコン基板、ポリシリコン膜を有する基板、SiN基板等が挙げられる。本開示の研磨液組成物の効果が発揮される観点から、被研磨シリコン基板としては、単結晶シリコン基板又はポリシリコン基板が好ましく、単結晶シリコン基板がより好ましい。
[研磨液組成物]
<シリカ粒子(成分A)>
本開示の研磨液組成物は、研磨材としてシリカ粒子(以下、「成分A」ともいう)を含有する。成分Aとしては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、粉砕シリカ、又はそれらを表面修飾したシリカ等が挙げられ、研磨速度の向上と保存安定性とを両立する観点、及び、表面粗さ(ヘイズ)、表面欠陥及びスクラッチの低減等の表面品質の向上する観点から、コロイダルシリカが好ましい。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
<シリカ粒子(成分A)>
本開示の研磨液組成物は、研磨材としてシリカ粒子(以下、「成分A」ともいう)を含有する。成分Aとしては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、粉砕シリカ、又はそれらを表面修飾したシリカ等が挙げられ、研磨速度の向上と保存安定性とを両立する観点、及び、表面粗さ(ヘイズ)、表面欠陥及びスクラッチの低減等の表面品質の向上する観点から、コロイダルシリカが好ましい。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Aの使用形態としては、操作性の観点から、スラリー状が好ましい。本開示の研磨液組成物に含まれる成分Aがコロイダルシリカである場合、アルカリ金属やアルカリ土類金属等によるシリコン基板の汚染を防止する観点から、コロイダルシリカは、アルコキシシランの加水分解物から得たものであることが好ましい。アルコキシシランの加水分解物から得られるシリカ粒子は、従来から公知の方法によって作製できる。
成分Aの平均一次粒子径は、研磨速度を維持する観点から、10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上が更に好ましく、そして、表面粗さ(ヘイズ)、表面欠陥及びスクラッチの低減等の表面品質を向上する観点から、50nm以下が好ましく、45nm以下がより好ましく、40nm以下が更に好ましく、30nm以下が更に好ましい。同様の観点から、成分Aの平均一次粒子径は、10nm以上50nm以下が好ましく、15nm以上45nm以下がより好ましく、20nm以上40nm以下が更に好ましく、20nm以上30nm以下が好ましい。
本開示において、成分Aの平均一次粒子径は、窒素吸着法(BET法)によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて算出される。平均一次粒子径の値は、実施例に記載する方法で測定される値である。
本開示において、成分Aの平均一次粒子径は、窒素吸着法(BET法)によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて算出される。平均一次粒子径の値は、実施例に記載する方法で測定される値である。
成分Aの平均二次粒子径は、研磨速度を維持する観点から、20nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、40nm以上が更に好ましく、表面粗さ(ヘイズ)、表面欠陥及びスクラッチの低減等の表面品質を向上する観点から、100nm以下が好ましく、90nm以下がより好ましく、80nm以下が更に好ましく、70nm以下が更に好ましく、60nm以下が更に好ましい。同様の観点から、成分Aの平均二次粒子径は、20nm以上100nm以下が好ましく、30nm以上90nm以下がより好ましく、30nm以上80nm以下が更に好ましく、30nm以上70nm以下が更に好ましく、40nm以上60nm以下が更に好ましい。
本開示において、平均二次粒子径は、動的光散乱(DLS)法によって測定される値であり、実施例に記載する方法で測定される値である。
本開示において、平均二次粒子径は、動的光散乱(DLS)法によって測定される値であり、実施例に記載する方法で測定される値である。
成分Aの会合度は、表面粗さ(ヘイズ)、表面欠陥及びスクラッチの低減等の表面品質を向上する観点から、3以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.3以下が更に好ましく、そして、研磨速度向上の観点から、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、1.8以上が更に好ましい。
本開示において、成分Aの会合度とは、シリカ粒子の形状を表す係数であり、下記式により算出される。
会合度=平均二次粒子径/平均一次粒子径
本開示において、成分Aの会合度とは、シリカ粒子の形状を表す係数であり、下記式により算出される。
会合度=平均二次粒子径/平均一次粒子径
成分Aの会合度の調整方法としては、例えば、特開平6-254383号公報、特開平11-214338号公報、特開平11-60232号公報、特開2005-060217号公報、特開2005-060219号公報等に記載の方法を採用することができる。
成分Aの形状は、研磨速度の向上と保存安定性とを両立する観点、及び表面品質を向上する観点から、いわゆる球型及び/又はいわゆるマユ型であることが好ましい。
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、研磨速度向上の観点から、SiO2換算で、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.07質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、保存安定性を向上する観点、及び表面品質を向上する観点から、2.5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、0.3質量%以下が更に好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、0.01質量%以上2.5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.07質量%以上0.8質量%以下が更に好ましく、0.07質量%以上0.5質量%以下が更に好ましく、0.07質量%以上0.3質量%以下が更に好ましく、0.07質量%以上0.2質量%以下が更に好ましい。成分Aが2種以上の組合せの場合、成分Aの含有量はそれらの合計含有量をいう。
<アミノ基含有水溶性高分子(成分B)>
本開示の研磨液組成物は、アミノ基含有水溶性高分子(以下、「成分B」ともいう)を含有する。本開示において、「水溶性」とは、水(20℃)に対して0.5g/100mL以上の溶解度、好ましくは2g/100mL以上の溶解度を有することをいう。
本開示の研磨液組成物は、アミノ基含有水溶性高分子(以下、「成分B」ともいう)を含有する。本開示において、「水溶性」とは、水(20℃)に対して0.5g/100mL以上の溶解度、好ましくは2g/100mL以上の溶解度を有することをいう。
本開示において、成分Bは、一又は複数の実施形態において、研磨パッドの表面ゼータ電位を-30mV以上0mV未満にすることができる水溶性高分子である。
成分Bは、一又は複数の実施形態において、研磨パッドの表面ゼータ電位を正に帯電させるアミノ基含有水溶性高分子(例えば、ポリエチレンイミン)を含まない。
成分Bは、一又は複数の実施形態において、研磨パッドの表面ゼータ電位を正に帯電させるアミノ基含有水溶性高分子(例えば、ポリエチレンイミン)を含まない。
成分Bとしては、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、アリルアミン及びジアリルアミンから選ばれる1種以上のモノマー由来の構成単位を含むことが好ましい。成分Bは、入手性の観点から、一又は複数の実施形態において、アリルアミン由来の構成単位を含むアミノ基含有水溶性高分子(以下、「成分B1」ともいう)であることが好ましく、一又は複数の実施形態において、ジアリルアミン由来の構成単位を含むアミノ基が含有水溶性高分子(以下、「成分B2」ともいう)であることが好ましい。
(成分B1:アリルアミン由来の構成単位を含むアミノ基含有水溶性高分子)
アリルアミン由来の構成単位中のアミノ基の少なくとも一部は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点、及び、入手性の観点から、立体遮蔽基を有することが好ましい。本開示において、立体遮蔽基とは、成分Bのアミノ基の窒素原子を遮蔽してカチオン化を抑制できる、すなわちpKaを低くする立体的な(嵩高い)置換基のことをいう。前記立体遮蔽基を有するアミノ基は、同様の観点から、水酸基を有する炭素数3以上11以下の炭化水素基を含む第2級アミノ基又は第3級アミノ基であることが好ましい。前記炭化水素基の炭素数は、アミノ基の遮蔽性を向上する(アミノ基の窒素原子のカチオン化を抑制する)観点、及び、研研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、3以上が好ましく、そして、水溶性を向上する観点、及び入手性の観点から、11以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下が更に好ましく、4以下が更に好ましい。
アリルアミン由来の構成単位中のアミノ基の少なくとも一部は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点、及び、入手性の観点から、立体遮蔽基を有することが好ましい。本開示において、立体遮蔽基とは、成分Bのアミノ基の窒素原子を遮蔽してカチオン化を抑制できる、すなわちpKaを低くする立体的な(嵩高い)置換基のことをいう。前記立体遮蔽基を有するアミノ基は、同様の観点から、水酸基を有する炭素数3以上11以下の炭化水素基を含む第2級アミノ基又は第3級アミノ基であることが好ましい。前記炭化水素基の炭素数は、アミノ基の遮蔽性を向上する(アミノ基の窒素原子のカチオン化を抑制する)観点、及び、研研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、3以上が好ましく、そして、水溶性を向上する観点、及び入手性の観点から、11以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下が更に好ましく、4以下が更に好ましい。
前記立体遮蔽基を有するアミノ基は、一又は複数の実施形態において、アミノ基に対するグリシドール誘導体による修飾基であり、一又は複数の実施形態において、アリルアミン由来の構成単位中のアミノ基とグリシドール誘導体とが反応して形成される基である。成分B1の全アミノ基のうちの少なくとも一部のアミノ基がグリシドール誘導体によって変性され、立体遮蔽基を有するアミノ基となる。アリルアミン由来の構成単位中のアミノ基数(1当量)に対するグリシドール誘導体の当量(以下、「グリシドール変性率」ともいう)は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上が更に好ましく、1以上が更に好ましく、1.1超が好ましく、1.2以上が更に好ましく、1.3以上が更に好ましく、1.4以上が更に好ましく、1.5以上が更に好ましく、そして、研磨速度を向上する観点から、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましく、2以下が更に好ましく、1.9以下が更に好ましく、1.6以下が更に好ましい。
本開示において、グリシドール変性率は、13C-NMRを用いて実施例に記載の方法により測定される値である。ただし、グリシドール変性率は、以下の方法(1)又は(2)によっても測定できる。
(1)反応原料に用いたアリルアミン重合体のアミノ基当量とグリシドール誘導体のモル数から求めることができる。
(2)グリシドール誘導体とアリルアミン重合体との反応物の窒素含有量N(質量%)を測定し、下記式から求めることができる。
グリシドール変性率=A/B
ここで、A=(100-N×アリルアミン単量体の分子量/14)/グリシドール誘導体分子量であり、B=N/14である。
(1)反応原料に用いたアリルアミン重合体のアミノ基当量とグリシドール誘導体のモル数から求めることができる。
(2)グリシドール誘導体とアリルアミン重合体との反応物の窒素含有量N(質量%)を測定し、下記式から求めることができる。
グリシドール変性率=A/B
ここで、A=(100-N×アリルアミン単量体の分子量/14)/グリシドール誘導体分子量であり、B=N/14である。
前記グリシドール誘導体としては、例えば、グリシドール、アルキルグリシジルエーテル等が挙げられ、入手性の観点、及び、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、グリシドールが好ましい。前記アルキルグリシジルエーテルのアルキル基は、入手性の観点から、炭素数1~8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。前記アルキルグリシジルエーテルとしては、メチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
成分B1としては、一又は複数の実施形態において、少なくとも一部のアミノ基が立体遮蔽基を有するポリアリルアミンが挙げられ、一又は複数の実施形態において、ポリアリルアミンとグリシドール誘導体との反応物が挙げられる。
式(I)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子又は立体遮蔽基である。立体遮蔽基としては、グリシドール誘導体由来の修飾基が挙げられ、一又は複数の実施形態において、グリシドールの1モル付加体又は2モル付加体が挙げられ、一又は複数の実施形態において、-CH2CH(OH)CH2(OH)、-CH2CH(OH)CH2O-CH2CH(OH)CH2(OH)等が挙げられる。
(成分B2:ジアリルアミン由来の構成単位を含むアミノ基含有水溶性高分子)
ジアリルアミン由来の構成単位中のアミノ基の少なくとも一部は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、アミノ基のβ位又はγ位に電子吸引基を有することが好ましい。電子吸引基としては、下記式(II)で表される基等が挙げられる。
ジアリルアミン由来の構成単位中のアミノ基の少なくとも一部は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、アミノ基のβ位又はγ位に電子吸引基を有することが好ましい。電子吸引基としては、下記式(II)で表される基等が挙げられる。
式(III)中、R3は、水酸基を有してもよい炭素数1~3のアルキル基である。入手性及び経済性の観点の観点から、R3はメチル基が好ましい。また、n+m=1であり、n、mは0又は1である。同様の観点から、m=1且つn=0の化合物が好ましい。なお、m=1且つn=0の化合物とm=0且つn=1の化合物の混合物でも良い。
成分Bの重量平均分子量は、研磨速度を向上する観点から、800以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、1,500以上が更に好ましく、2,000以上が更に好ましく、そして、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましく、20,000以下が更に好ましく、15,000以下が更に好ましく、12,000以下が更に好ましい。本開示における成分Bの重量平均分子量は、例えば、実施例に記載する方法により測定できる。
成分Bが成分B1である場合、成分Bの重量平均分子量は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、800以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、1,500以上が更に好ましく、2,000以上が更に好ましく、3,000以上が更に好ましく、5,000以上が更に好ましく、6,000以上が更に好ましく、7,000以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましく、20,000以下が更に好ましく、15,000以下が更に好ましく、12,000以下が更に好ましい。
成分Bが成分B2である場合、成分Bの重量平均分子量は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、800以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、1,500以上が更に好ましく、2,000以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましく、20,000以下が更に好ましく、15,000以下が更に好ましく、12,000以下が更に好ましく、10,000以下が更に好ましく、7,000以下が更に好ましく、5,000以下が更に好ましく、4,000以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物中の成分Bの含有量は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.002質量%以上がより好ましく、0.004質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、0.05質量%以下が好ましく、0.03質量%以下がより好ましく、0.02質量%以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物中における成分Aの含有量に対する成分Bの含有量の比(質量比B/A)は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.04以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下が更に好ましい。
<ノニオン性水溶性高分子(成分C)>
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、ノニオン性水溶性高分子(以下、「成分C」ともいう)を含有する。成分Cは、一又は複数の実施形態において、研磨パッドの表面ゼータ電位を-30mV以上0mV未満にすることができるノニオン性水溶性高分子である。成分Cは、同様の観点から、分子内にアルキレンオキサイド基、水酸基、又はアミド基を有するノニオン性水溶性高分子であることが好ましい。前記アルキレンオキサイド基としては、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基等が挙げられる。成分Cは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、ノニオン性水溶性高分子(以下、「成分C」ともいう)を含有する。成分Cは、一又は複数の実施形態において、研磨パッドの表面ゼータ電位を-30mV以上0mV未満にすることができるノニオン性水溶性高分子である。成分Cは、同様の観点から、分子内にアルキレンオキサイド基、水酸基、又はアミド基を有するノニオン性水溶性高分子であることが好ましい。前記アルキレンオキサイド基としては、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基等が挙げられる。成分Cは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Cとしては、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、ポリグリセリン、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリンアルキルエステル、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリヒドロキシエチルアクリルアミド、重量平均分子量が300以上1,000以下のポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記ポリグリセリンアルキルエーテルのアルキル基は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点、及び、研磨液の泡立ち抑制の観点から、炭素数3以上22以下のアルキル基が好ましく、炭素数5以上16以下のアルキル基がより好ましく、炭素数7以上12以下のアルキル基が更に好ましい。前記アルキル基は、直鎖アルキル基でもよいし、分岐鎖アルキル基でもよい。前記ポリグリセリンアルキルエーテルのグリセリン単位の平均重合度は、濡れ性向上の観点から、5以上であり、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、18以上が更に好ましく、そして、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、100以下であり、60以下が好ましく、45以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。前記ポリグリセリンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリグリセリンラウリルエーテル、ポリグリセリンデシルエーテル、ポリグリセリンミリスチルエーテル等が挙げられる。
前記ポリグリセリンアルキルエステルのアルキル基は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点、及び、研磨液の泡立ち抑制の観点から、炭素数3以上22以下のアルキル基が好ましく、炭素数5以上16以下のアルキル基がより好ましく、炭素数7以上12以下のアルキル基が更に好ましい。前記アルキル基は、直鎖アルキル基でもよいし、分岐鎖アルキル基でもよい。前記ポリグリセリンアルキルエステルのグリセリン単位の平均重合度は、濡れ性向上の観点から、5以上であり、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、18以上が更に好ましく、そして、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、100以下であり、60以下が好ましく、45以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。前記ポリグリセリンアルキルエステルとしては、例えば、ポリグリセリンラウリルエステル、ポリグリセリンデシルエステル、ポリグリセリンミリスチルエステル等が挙げられる。
前記ヒドロキシアルキルセルロースは、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシブチルセルロースから選ばれる少なくとも1種が好ましく、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)がより好ましい。
これらの中でも、成分Cは、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、ポリグリセリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、重量平均分子量が300以上1,000以下のポリエチレングリコール(PEG)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリグリセリン又はヒドロキシエチルセルロースが好ましく、ポリグリセリンがより好ましい。
前記ポリグリセリンアルキルエーテルのアルキル基は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点、及び、研磨液の泡立ち抑制の観点から、炭素数3以上22以下のアルキル基が好ましく、炭素数5以上16以下のアルキル基がより好ましく、炭素数7以上12以下のアルキル基が更に好ましい。前記アルキル基は、直鎖アルキル基でもよいし、分岐鎖アルキル基でもよい。前記ポリグリセリンアルキルエーテルのグリセリン単位の平均重合度は、濡れ性向上の観点から、5以上であり、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、18以上が更に好ましく、そして、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、100以下であり、60以下が好ましく、45以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。前記ポリグリセリンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリグリセリンラウリルエーテル、ポリグリセリンデシルエーテル、ポリグリセリンミリスチルエーテル等が挙げられる。
前記ポリグリセリンアルキルエステルのアルキル基は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点、及び、研磨液の泡立ち抑制の観点から、炭素数3以上22以下のアルキル基が好ましく、炭素数5以上16以下のアルキル基がより好ましく、炭素数7以上12以下のアルキル基が更に好ましい。前記アルキル基は、直鎖アルキル基でもよいし、分岐鎖アルキル基でもよい。前記ポリグリセリンアルキルエステルのグリセリン単位の平均重合度は、濡れ性向上の観点から、5以上であり、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、18以上が更に好ましく、そして、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、100以下であり、60以下が好ましく、45以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。前記ポリグリセリンアルキルエステルとしては、例えば、ポリグリセリンラウリルエステル、ポリグリセリンデシルエステル、ポリグリセリンミリスチルエステル等が挙げられる。
前記ヒドロキシアルキルセルロースは、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシブチルセルロースから選ばれる少なくとも1種が好ましく、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)がより好ましい。
これらの中でも、成分Cは、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、ポリグリセリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、重量平均分子量が300以上1,000以下のポリエチレングリコール(PEG)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリグリセリン又はヒドロキシエチルセルロースが好ましく、ポリグリセリンがより好ましい。
成分Cの重量平均分子量は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、300以上が好ましく、500以上が好ましく、1,000以上が好ましく、1,500以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましく、そして、同様の観点、及び研磨液の濾過性の観点から、50万未満が好ましく、40万以下がより好ましく、30万以下が更に好ましい。
成分Cがポリグリセリンである場合、成分Cの重量平均分子量は、同様の観点から、1,000以上が好ましく、1,500以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましく、そして、10,000以下が好ましく、8,000以下がより好ましく、6,000以下が更に好ましい。
成分Cがポリビニルアルコール(PVA)である場合、成分Cの重量平均分子量は、同様の観点から、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、20,000以上が更に好ましく、そして、15万以下が好ましく、12万以下がより好ましく、10万以下が更に好ましい。
成分Cがポリビニルピロリドン(PVP)である場合、成分Cの重量平均分子量は、同様の観点から、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、2,0000以上が更に好ましく、そして、15万以下が好ましく、12万以下がより好ましく、10万以下が更に好ましい。
成分Cがヒドロキシエチルセルロース(HEC)である場合、成分Cの重量平均分子量は、同様の観点から、5万以上が好ましく、10万以上がより好ましく、15万以上が更に好ましく、そして、50万以下が好ましく、40万以下がより好ましく、30万以下が更に好ましい。
成分Cが重量平均分子量300以上1,000以下のポリエチレングリコール(PEG)である場合、成分Cの重量平均分子量は、同様の観点から、500以上が好ましく、そして、900以下が好ましく、800以下がより好ましい。
成分Cの重量平均分子量は後の実施例に記載の方法により測定できる。
成分Cがポリグリセリンである場合、成分Cの重量平均分子量は、同様の観点から、1,000以上が好ましく、1,500以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましく、そして、10,000以下が好ましく、8,000以下がより好ましく、6,000以下が更に好ましい。
成分Cがポリビニルアルコール(PVA)である場合、成分Cの重量平均分子量は、同様の観点から、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、20,000以上が更に好ましく、そして、15万以下が好ましく、12万以下がより好ましく、10万以下が更に好ましい。
成分Cがポリビニルピロリドン(PVP)である場合、成分Cの重量平均分子量は、同様の観点から、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、2,0000以上が更に好ましく、そして、15万以下が好ましく、12万以下がより好ましく、10万以下が更に好ましい。
成分Cがヒドロキシエチルセルロース(HEC)である場合、成分Cの重量平均分子量は、同様の観点から、5万以上が好ましく、10万以上がより好ましく、15万以上が更に好ましく、そして、50万以下が好ましく、40万以下がより好ましく、30万以下が更に好ましい。
成分Cが重量平均分子量300以上1,000以下のポリエチレングリコール(PEG)である場合、成分Cの重量平均分子量は、同様の観点から、500以上が好ましく、そして、900以下が好ましく、800以下がより好ましい。
成分Cの重量平均分子量は後の実施例に記載の方法により測定できる。
本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、0.0005質量%以上が好ましく、0.0020質量%以上がより好ましく、0.0050質量%以上が更に好ましく、そして、0.05質量%以下が好ましく、0.02質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、0.0005質量%以上0.05質量%以下が好ましく、0.00020質量%以上0.02質量%以下がより好ましく、0.0050質量%以上0.01質量%以下が更に好ましい。成分Cが2種以上の組合せの場合、成分Cの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示の研磨液組成物中における、成分Aの含有量に対する成分Cの含有量の比C/A(質量比C/A)は、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、0.001以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.01以上が更に好ましく、0.015以上が更に好ましく、0.02以上が更に好ましく、そして、1以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.4以下が更に好ましく、0.2以下が更に好ましく、0.1以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物中における質量比C/Aは、0.015以上0.2以下が好ましく、0.02以上0.1以下がより好ましい。
<水>
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、水を含んでいてもよい。水としては、例えば、イオン交換水や超純水等の水が挙げられる。本開示の研磨液組成物中の水の含有量は、例えば、成分A、成分B、成分C及び後述する任意成分の残余とすることができる。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、水を含んでいてもよい。水としては、例えば、イオン交換水や超純水等の水が挙げられる。本開示の研磨液組成物中の水の含有量は、例えば、成分A、成分B、成分C及び後述する任意成分の残余とすることができる。
<含窒素塩基性化合物(成分D)>
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、pHを調整する観点から、含窒素塩基性化合物(以下、「成分D」ともいう)をさらに含有することが好ましい。成分Dは、一又は複数の実施形態において、研磨パッドの表面ゼータ電位を-30mV以上0mV未満にすることができる含窒素塩基性化合物である。成分Dとしては、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、水溶性の含窒素塩基性化合物であることが好ましい。本開示において、「水溶性」とは、水(20℃)に対して0.5g/100mL以上の溶解度、好ましくは2g/100mL以上の溶解度を有することをいう。本開示において、「水溶性の含窒素塩基性」とは、水に溶解したときに塩基性を示す含窒素化合物をいう。成分Dは、一又は複数の実施形態において、アミノ基含有水溶性高分子(成分B)を含まない。成分Dは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、pHを調整する観点から、含窒素塩基性化合物(以下、「成分D」ともいう)をさらに含有することが好ましい。成分Dは、一又は複数の実施形態において、研磨パッドの表面ゼータ電位を-30mV以上0mV未満にすることができる含窒素塩基性化合物である。成分Dとしては、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、水溶性の含窒素塩基性化合物であることが好ましい。本開示において、「水溶性」とは、水(20℃)に対して0.5g/100mL以上の溶解度、好ましくは2g/100mL以上の溶解度を有することをいう。本開示において、「水溶性の含窒素塩基性」とは、水に溶解したときに塩基性を示す含窒素化合物をいう。成分Dは、一又は複数の実施形態において、アミノ基含有水溶性高分子(成分B)を含まない。成分Dは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Dとしては、一又は複数の実施形態において、アミン化合物及びアンモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。成分Dとしては、例えば、アンモニア、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N一メチルエタノールアミン、N-メチル-N,N一ジエタノ-ルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノ-ルアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン・六水和物、無水ピペラジン、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルピペラジン、ジエチレントリアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、及びヒドロキシアミンから選ばれる1種又は2種以上の組合せが挙げられる。なかでも、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、成分Dとしては、アンモニア、又は、アンモニアとヒドロキシアミンの混合物が好ましく、アンモニアがより好ましい。
本開示の研磨液組成物が成分Dを含む場合、本開示の研磨液組成物中の成分Dの含有量は、研磨速度の向上と研磨液組成物の安定性とを両立する観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.002質量%以上がより好ましく、0.003質量%以上が更に好ましく、シリコン基板の腐食を抑制する観点から、0.08質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。同様の観点から、成分Dの含有量は、0.001質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.002質量%以上0.3質量%以下がより好ましく、0.003質量%以上0.3質量%以下が更に好ましい。成分Dが2種以上の組合せの場合、成分Dの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示の研磨液組成物が成分Dを含む場合、本開示の研磨液組成物中における成分Aの含有量に対する成分Dの含有量の比D/A(質量比D/A)は、研磨速度の向上と研磨液組成物の安定性とを両立する観点から、0.002以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.015以上が更に好ましく、0.025以上が更に好ましく、そして、シリコン基板の腐食を抑制する観点から、1以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.1以下が更に好ましく、0.08以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物中における質量比D/Aは、0.002以上1以下が好ましく、0.01以上0.5以下がより好ましく、0.015以上0.1以下が更に好ましく、0.025以上0.08以下が更に好ましい。
<その他の成分>
本開示の研磨液組成物は、本開示の効果が妨げられない範囲で、その他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分としては、一又は複数の実施形態において、成分B及び成分C以外の水溶性高分子、成分D以外のpH調整剤、防腐剤、アルコール類、キレート剤、及び酸化剤等が挙げられる。
本開示の研磨液組成物は、本開示の効果が妨げられない範囲で、その他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分としては、一又は複数の実施形態において、成分B及び成分C以外の水溶性高分子、成分D以外のpH調整剤、防腐剤、アルコール類、キレート剤、及び酸化剤等が挙げられる。
<pH>
本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、8.5超であり、9以上が好ましく、9.5以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、14以下であり、13以下が好ましく、12.5以下がより好ましく、12以下が更に好ましく、11.5以下が更に好ましく、11以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物のpHは、8.5超以上14以下であり、9以上13以下が好ましく、9以上12.5以下がより好ましく、9以上12以下が更に好ましく、9.5以上11.5以下が更に好ましく、10以上11.5以下が更に好ましく、10以上11以下が更に好ましい。本開示の研磨液組成物のpHは、成分Dや公知のpH調整剤を用いて調整できる。本開示において、上記pHは、実施例に記載する方法で測定した値である。
本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立する観点から、8.5超であり、9以上が好ましく、9.5以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、14以下であり、13以下が好ましく、12.5以下がより好ましく、12以下が更に好ましく、11.5以下が更に好ましく、11以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物のpHは、8.5超以上14以下であり、9以上13以下が好ましく、9以上12.5以下がより好ましく、9以上12以下が更に好ましく、9.5以上11.5以下が更に好ましく、10以上11.5以下が更に好ましく、10以上11以下が更に好ましい。本開示の研磨液組成物のpHは、成分Dや公知のpH調整剤を用いて調整できる。本開示において、上記pHは、実施例に記載する方法で測定した値である。
本開示の研磨液組成物は、例えば、成分A、成分B及び成分Cと、さらに所望により、水、成分D及びその他の成分とを公知の方法で配合することにより製造できる。すなわち、本開示の研磨液組成物は、例えば、少なくとも成分Aと成分Bと成分Cとを配合することにより製造できる。したがって、本開示は、その他の態様において、少なくとも成分A、成分B及び成分Cを配合する工程を含む、研磨液組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A、成分B、成分C、並びに、必要に応じて水、成分D及びその他の成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、湿式ボールミル、又はビーズミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。上記本開示の研磨液組成物の製造方法における各成分の好ましい配合量は、上述した本開示の研磨液組成物中の各成分の好ましい含有量と同じとすることができる。
本開示において、「研磨液組成物中の各成分の含有量」は、使用時、すなわち、研磨液組成物の研磨への使用を開始する時点における各成分の含有量をいう。
本開示の研磨液組成物は、貯蔵及び輸送の観点から、濃縮物として製造され、使用時に希釈されてもよい。希釈倍率としては、製造及び輸送コストの観点から、好ましくは2倍以上、より好ましくは10倍以上、更に好ましくは30倍以上、更に好ましくは50倍以上であり、保存安定性の観点から、好ましくは180倍以下、より好ましくは140倍以下、更に好ましくは100倍以下、更に好ましくは70倍以下である。本開示の研磨液組成物の濃縮物は、使用時に各成分の含有量が、上述した含有量(すなわち、使用時の含有量)となるように水で希釈して使用することができる。本開示において研磨液組成物の濃縮物の「使用時」とは、研磨液組成物の濃縮物が希釈された状態をいう。
[半導体基板の製造方法]
本開示は、一態様において、本開示の研磨方法を用いて被研磨シリコン基板を研磨する工程(以下、「研磨工程」ともいう)と、研磨されたシリコン基板を洗浄する工程(以下、「洗浄工程」ともいう)と、を含む、半導体基板の製造方法(以下、「本開示の半導体基板製造方法」ともいう)に関する。本開示の半導体基板製造方法によれば、本開示の研磨方法を用いることで、研磨速度向上と表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立できるため、高品質の半導体基板を高収率で、生産性よく、安価に製造できる。
本開示は、一態様において、本開示の研磨方法を用いて被研磨シリコン基板を研磨する工程(以下、「研磨工程」ともいう)と、研磨されたシリコン基板を洗浄する工程(以下、「洗浄工程」ともいう)と、を含む、半導体基板の製造方法(以下、「本開示の半導体基板製造方法」ともいう)に関する。本開示の半導体基板製造方法によれば、本開示の研磨方法を用いることで、研磨速度向上と表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立できるため、高品質の半導体基板を高収率で、生産性よく、安価に製造できる。
本開示の半導体基板製造方法における研磨工程は、例えば、単結晶シリコンインゴットを薄円板状にスライスすることにより得られた単結晶シリコン基板を平面化するラッピング(粗研磨)工程と、ラッピング単結晶されたシリコン基板をエッチングした後、単結晶シリコン基板表面を鏡面化する仕上げ研磨工程とを含むことができる。本開示の研磨液組成物は、研磨速度の向上と表面品質の向上とを両立する観点から、上記仕上げ研磨工程で用いられるとより好ましい。
本開示の半導体基板製造方法における研磨工程は、例えば、二酸化ケイ素膜及び窒化ケイ素膜を有するシリコン基板の上に化学蒸着(CVD)法によりポリシリコン膜を製膜した基板をポリシリコン膜の凹凸を除去して平坦化する工程と、直下の二酸化ケイ素膜および窒化ケイ素膜とポリシリコン膜とを同時に研磨し平坦化する工程とを含むことができる。本開示の研磨液組成物は、研磨速度の向上と表面品質の向上とを両立する観点から、上記ポリシリコン膜の凹凸を除去して平坦化する工程で用いられるとより好ましい。
本開示の半導体基板製造方法における研磨工程は、上述した本開示の研磨方法における研磨工程と同様の条件で研磨を行うことができる。
本開示の半導体基板製造方法は、一又は複数の実施形態において、前記研磨工程の前に、本開示の研磨液組成物の濃縮物を希釈する希釈工程を含んでいてもよい。希釈媒には、例えば、水を用いることができる。
本開示の半導体基板製造方法における洗浄工程では、シリコン基板表面上の残留物低減の観点から、無機物洗浄を行うことが好ましい。無機物洗浄で用いる洗浄剤としては、例えば、過酸化水素、アンモニア、塩酸、硫酸、フッ酸及びオゾン水から選ばれる少なくとも1種を含む無機物洗浄剤が挙げられる。
本開示の半導体基板製造方法は、一又は複数の実施形態において、前記洗浄工程の後に、洗浄後のシリコン基板を水でリンスし、乾燥する工程を更に含むことができる。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
1.研磨液組成物の調製
表1に示すシリカ粒子(成分A)、表1に示すアミノ基含有水溶性高分子(成分B)、表1に示すノニオン性水溶性高分子(成分C)、アンモニア(成分D)、及び超純水を撹拌混合して、実施例1~4及び比較例1の研磨液組成物を得た。表1中の各成分の含有量は、研磨液組成物の使用時における各成分の含有量(質量%、有効分)である。超純水の含有量は、成分Aと成分Bと成分Cと成分Dとを除いた残余である。各研磨液組成物の25℃におけるpHを表1に示した。
表1に示すシリカ粒子(成分A)、表1に示すアミノ基含有水溶性高分子(成分B)、表1に示すノニオン性水溶性高分子(成分C)、アンモニア(成分D)、及び超純水を撹拌混合して、実施例1~4及び比較例1の研磨液組成物を得た。表1中の各成分の含有量は、研磨液組成物の使用時における各成分の含有量(質量%、有効分)である。超純水の含有量は、成分Aと成分Bと成分Cと成分Dとを除いた残余である。各研磨液組成物の25℃におけるpHを表1に示した。
各研磨液組成物の調製に用いた成分A、成分B、成分C、及び成分Dには下記のものを用いた。
(成分A)
コロイダルシリカ[平均一次粒子径25nm、平均二次粒子径49nm、会合度2.0](成分B)
メチルジアリルアミン・二酸化硫黄共重合体[ニットーボーメディカル社製、重量平均分子量3,000]
グリシドール変性ポリアリルアミン(変性率2.0)[ニットーボーメディカル社製、重量平均分子量11,000]
(成分C)
ポリグリセリン[ダイセル社製の「XPW」、重合度40、重量平均分子量2,980]
(成分D)
アンモニア[28質量%アンモニア水、キシダ化学社製、試薬特級]
(成分A)
コロイダルシリカ[平均一次粒子径25nm、平均二次粒子径49nm、会合度2.0](成分B)
メチルジアリルアミン・二酸化硫黄共重合体[ニットーボーメディカル社製、重量平均分子量3,000]
グリシドール変性ポリアリルアミン(変性率2.0)[ニットーボーメディカル社製、重量平均分子量11,000]
(成分C)
ポリグリセリン[ダイセル社製の「XPW」、重合度40、重量平均分子量2,980]
(成分D)
アンモニア[28質量%アンモニア水、キシダ化学社製、試薬特級]
2.各種パラメータの測定方法
(1)シリカ粒子(成分A)の平均一次粒子径の測定
成分Aの平均一次粒子径(nm)は、BET(窒素吸着)法によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて下記式で算出した。
平均一次粒子径(nm)=2727/S
(1)シリカ粒子(成分A)の平均一次粒子径の測定
成分Aの平均一次粒子径(nm)は、BET(窒素吸着)法によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて下記式で算出した。
平均一次粒子径(nm)=2727/S
成分Aの比表面積Sは、下記の[前処理]をした後、測定サンプル約0.1gを測定セルに小数点以下4桁まで精量し、比表面積の測定直前に110℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、比表面積測定装置(マイクロメリティック自動比表面積測定装置「フローソーブIII2305」、島津製作所製)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。
[前処理]
(a)スラリー状の成分Aを硝酸水溶液でpH2.5±0.1に調整する。
(b)pH2.5±0.1に調整されたスラリー状の成分Aをシャーレにとり150℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させる。
(c)乾燥後、得られた試料をメノウ乳鉢で細かく粉砕する。
(d)粉砕された試料を40℃のイオン交換水に懸濁させ、孔径1μmのメンブランフィルタで濾過する。
(e)フィルタ上の濾過物を20gのイオン交換水(40℃)で5回洗浄する。
(f)濾過物が付着したフィルタをシャーレにとり、110℃の雰囲気下で4時間乾燥させる。
(g)乾燥した濾過物(成分A)をフィルタ屑が混入しないようにとり、乳鉢で細かく粉砕して測定サンプルを得た。
[前処理]
(a)スラリー状の成分Aを硝酸水溶液でpH2.5±0.1に調整する。
(b)pH2.5±0.1に調整されたスラリー状の成分Aをシャーレにとり150℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させる。
(c)乾燥後、得られた試料をメノウ乳鉢で細かく粉砕する。
(d)粉砕された試料を40℃のイオン交換水に懸濁させ、孔径1μmのメンブランフィルタで濾過する。
(e)フィルタ上の濾過物を20gのイオン交換水(40℃)で5回洗浄する。
(f)濾過物が付着したフィルタをシャーレにとり、110℃の雰囲気下で4時間乾燥させる。
(g)乾燥した濾過物(成分A)をフィルタ屑が混入しないようにとり、乳鉢で細かく粉砕して測定サンプルを得た。
(2)シリカ粒子(成分A)の平均二次粒子径
成分Aの平均二次粒子径(nm)は、成分Aの濃度が0.25質量%となるように研磨材をイオン交換水に添加した後、得られた水分散液をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製 10mmセル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、シスメックス社製)を用いて測定した。
成分Aの平均二次粒子径(nm)は、成分Aの濃度が0.25質量%となるように研磨材をイオン交換水に添加した後、得られた水分散液をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製 10mmセル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、シスメックス社製)を用いて測定した。
(3)水溶性高分子(成分B、成分C)の重量平均分子量の測定
水溶性高分子(成分B、成分C)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を下記の条件で適用して得たクロマトグラム中のピークに基づき算出した。
<アミノ基含有水溶性高分子(成分B)>
装置:HLC-8320 GPC(東ソー社製、検出器一体型)
カラム:α-M+α-M
溶離液:0.15mol/L Na2SO4,1%CH3COOH/水
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:ショーデックスRI SE-61示差屈折率検出器
標準物質:分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
<ノニオン性水溶性高分子(成分C)>
装置:HLC-8320 GPC(東ソー社製、検出器一体型)
カラム:GMPWXL+GMPWXL(アニオン)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1
流量:0.5mL/min
カラム温度:40℃
検出器:ショーデックスRI SE-61示差屈折率検出器
標準物質:分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
水溶性高分子(成分B、成分C)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を下記の条件で適用して得たクロマトグラム中のピークに基づき算出した。
<アミノ基含有水溶性高分子(成分B)>
装置:HLC-8320 GPC(東ソー社製、検出器一体型)
カラム:α-M+α-M
溶離液:0.15mol/L Na2SO4,1%CH3COOH/水
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:ショーデックスRI SE-61示差屈折率検出器
標準物質:分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
<ノニオン性水溶性高分子(成分C)>
装置:HLC-8320 GPC(東ソー社製、検出器一体型)
カラム:GMPWXL+GMPWXL(アニオン)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1
流量:0.5mL/min
カラム温度:40℃
検出器:ショーデックスRI SE-61示差屈折率検出器
標準物質:分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
(4)グリシドール変性率
グリシドール変性率は、13C-NMRを用いて求めた。
<測定条件>
試料:グリシドール変性ポリアリルアミン 200mgを重水0.6mLに溶解
使用装置: 400MHz 13C-NMR(アジレント・テクノロジー株式会社製「Agilent 400-MR DD2」)
測定条件:13C-NMR測定、パルス間隔時間5秒、テトラメチルシランを標準ピーク(σ:0.0ppm)として測定
積算回数:5000回
積分に用いる各ピーク範囲:
A:71.0~72.3ppm(アミノ基と反応したグリシドールの2級水酸基が結合したCのピークの積分値)
B:32.0~41.0ppm(アリルアミンの主鎖Cのピークの積分値)
<グリシドール変性率>
グリシドール変性率(アミノ基の当量に対するグリシドールの当量比)は以下の式で求める。
グリシドール変性率(当量比)= 2A/B
グリシドール変性率は、13C-NMRを用いて求めた。
<測定条件>
試料:グリシドール変性ポリアリルアミン 200mgを重水0.6mLに溶解
使用装置: 400MHz 13C-NMR(アジレント・テクノロジー株式会社製「Agilent 400-MR DD2」)
測定条件:13C-NMR測定、パルス間隔時間5秒、テトラメチルシランを標準ピーク(σ:0.0ppm)として測定
積算回数:5000回
積分に用いる各ピーク範囲:
A:71.0~72.3ppm(アミノ基と反応したグリシドールの2級水酸基が結合したCのピークの積分値)
B:32.0~41.0ppm(アリルアミンの主鎖Cのピークの積分値)
<グリシドール変性率>
グリシドール変性率(アミノ基の当量に対するグリシドールの当量比)は以下の式で求める。
グリシドール変性率(当量比)= 2A/B
(5)研磨パッドの表面ゼータ電位
<研磨パッドモデル微粒子の作製方法>
下記条件で研磨パッドをダイヤモンドドレッサーでコンディショニングする要領で、純水をかけ流し供給しながら、排出口から研磨パッドモデル微粒子水分散液として得た。
<作製条件>
研磨機:両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム社製)、下記研磨評価試験で使用した研磨機とは別の研磨機
研磨パッド:スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー)、厚み1.45mm、平均気孔径50μm(Filwel社製)
ダイヤモンドドレッサー:直径95mm、厚み2mmの円盤状の基板の両面にダイアモンド砥粒(粒度#600)を接着したもの (アライドマテリアル社製)
枚数:キャリアに各2枚ずつ計6枚
定盤回転数:40rpm
研磨荷重:30g/cm2
純水供給量:1L/分
粒度分布・ゼータ電位測定装置(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、マルバーン社製)により粒径を測定したところ、研磨パッド微粒子の個数平均粒径が555mmであった。
<研磨パッドの表面ゼータ電位の測定方法>
研磨パッドモデル微粒子水分散液に表1に示すアミノ基含有水溶性高分子(成分B)、表1に示すノニオン性水溶性高分子(成分C)、アンモニア(成分D)及び超純水を撹拌混合して、成分B,C,Dが表1に示す各実施例及び比較例の含有量となり、研磨パッドモデル微粒子の含有量(固形分)が0.05質量%となるゼータ電位測定用の分散液を調製した。そして、25℃で各分散液のゼータ電位を粒度分布・ゼータ電位測定装置(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、マルバーン社製)を用いて測定し、測定結果を研磨パッドの表面ゼータ電位として得た。
<研磨パッドモデル微粒子の作製方法>
下記条件で研磨パッドをダイヤモンドドレッサーでコンディショニングする要領で、純水をかけ流し供給しながら、排出口から研磨パッドモデル微粒子水分散液として得た。
<作製条件>
研磨機:両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム社製)、下記研磨評価試験で使用した研磨機とは別の研磨機
研磨パッド:スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー)、厚み1.45mm、平均気孔径50μm(Filwel社製)
ダイヤモンドドレッサー:直径95mm、厚み2mmの円盤状の基板の両面にダイアモンド砥粒(粒度#600)を接着したもの (アライドマテリアル社製)
枚数:キャリアに各2枚ずつ計6枚
定盤回転数:40rpm
研磨荷重:30g/cm2
純水供給量:1L/分
粒度分布・ゼータ電位測定装置(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、マルバーン社製)により粒径を測定したところ、研磨パッド微粒子の個数平均粒径が555mmであった。
<研磨パッドの表面ゼータ電位の測定方法>
研磨パッドモデル微粒子水分散液に表1に示すアミノ基含有水溶性高分子(成分B)、表1に示すノニオン性水溶性高分子(成分C)、アンモニア(成分D)及び超純水を撹拌混合して、成分B,C,Dが表1に示す各実施例及び比較例の含有量となり、研磨パッドモデル微粒子の含有量(固形分)が0.05質量%となるゼータ電位測定用の分散液を調製した。そして、25℃で各分散液のゼータ電位を粒度分布・ゼータ電位測定装置(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、マルバーン社製)を用いて測定し、測定結果を研磨パッドの表面ゼータ電位として得た。
(6)研磨パッドの表面粗さ
[研磨パットの表面粗さの評価方法]
使用前研磨パッドの表面粗さ(Ra)を触診式の表面粗さ計(商品名:SURFTEST SJ-210、ミツトヨ社製)を用いて測定した。
<測定条件>
粗さ規格:ISO1997
測定速度:0.5mm/s
カットオフ値:0.8mm
[研磨パットの表面粗さの評価方法]
使用前研磨パッドの表面粗さ(Ra)を触診式の表面粗さ計(商品名:SURFTEST SJ-210、ミツトヨ社製)を用いて測定した。
<測定条件>
粗さ規格:ISO1997
測定速度:0.5mm/s
カットオフ値:0.8mm
(7)研磨液組成物のpH
研磨液組成物の25℃におけるpHは、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM-30G)を用いて測定した値であり、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して1分後の数値である。
研磨液組成物の25℃におけるpHは、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM-30G)を用いて測定した値であり、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して1分後の数値である。
3.実施例1~4及び比較例1の研磨液組成物の評価
(1)研磨方法等
各研磨液組成物について、それぞれ研磨直前にフィルタ(コンパクトカートリッジフィルタ「MCP-LX-C10S」、アドバンテック社製)にてろ過を行い、下記の研磨条件で下記の被研磨シリコン基板に対して仕上げ研磨及び洗浄を行った。
<被研磨シリコン基板>
単結晶シリコン基板[直径200mmのシリコン片面鏡面基板、伝導型:P、結晶方位:100、抵抗率:0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満]
上記単結晶シリコン基板を市販の研磨液組成物(フジミインコーポレーテッド製、GLANZOX 1302)を用いて予め粗研磨を実施した。粗研磨を終了し仕上げ研磨に供した単結晶シリコン基板のヘイズ(DNN)は、2~3ppmであった。
(1)研磨方法等
各研磨液組成物について、それぞれ研磨直前にフィルタ(コンパクトカートリッジフィルタ「MCP-LX-C10S」、アドバンテック社製)にてろ過を行い、下記の研磨条件で下記の被研磨シリコン基板に対して仕上げ研磨及び洗浄を行った。
<被研磨シリコン基板>
単結晶シリコン基板[直径200mmのシリコン片面鏡面基板、伝導型:P、結晶方位:100、抵抗率:0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満]
上記単結晶シリコン基板を市販の研磨液組成物(フジミインコーポレーテッド製、GLANZOX 1302)を用いて予め粗研磨を実施した。粗研磨を終了し仕上げ研磨に供した単結晶シリコン基板のヘイズ(DNN)は、2~3ppmであった。
<仕上げ研磨条件>
研磨機:片面8インチ研磨機「GRIND-X SPP600s」(岡本工作製)
研磨パッド:スエードパッド(FILWEL社製、アスカー硬度:66、厚さ:1.45mm、ナップ長:500μm、平均気孔径:50μm、表面層の材質:ポリウレタンエラストマー、表面層の圧縮率:4%)
研磨圧力:100g/cm2
定盤回転速度60rpm
研磨時間5分
研磨液組成物の供給速度:100mL/min(被研磨基板1cm2当たり0.32mL/分)
研磨液組成物の温度:23℃
キャリア回転速度:62rpm
研磨機:片面8インチ研磨機「GRIND-X SPP600s」(岡本工作製)
研磨パッド:スエードパッド(FILWEL社製、アスカー硬度:66、厚さ:1.45mm、ナップ長:500μm、平均気孔径:50μm、表面層の材質:ポリウレタンエラストマー、表面層の圧縮率:4%)
研磨圧力:100g/cm2
定盤回転速度60rpm
研磨時間5分
研磨液組成物の供給速度:100mL/min(被研磨基板1cm2当たり0.32mL/分)
研磨液組成物の温度:23℃
キャリア回転速度:62rpm
<洗浄方法>
仕上げ研磨後、シリコン基板に対して、オゾン洗浄と希フッ酸洗浄を下記のとおり行った。オゾン洗浄では、20ppmのオゾンを含んだ水溶液をノズルから流速1L/min、600rpmで回転するシリコン基板の中央に向かって3分間噴射した。このときオゾン水の温度は常温とした。次に希フッ酸洗浄を行った。希フッ酸洗浄では、0.5質量%のフッ化水素アンモニウム(特級、ナカライテクス株式会社)を含んだ水溶液をノズルから流速1L/min、600rpmで回転するシリコン基板の中央に向かって6秒間噴射した。上記オゾン洗浄と希フッ酸洗浄を1セットとして計2セット行い、最後にスピン乾燥を行った。スピン乾燥では1,500rpmでシリコン基板を回転させた。
仕上げ研磨後、シリコン基板に対して、オゾン洗浄と希フッ酸洗浄を下記のとおり行った。オゾン洗浄では、20ppmのオゾンを含んだ水溶液をノズルから流速1L/min、600rpmで回転するシリコン基板の中央に向かって3分間噴射した。このときオゾン水の温度は常温とした。次に希フッ酸洗浄を行った。希フッ酸洗浄では、0.5質量%のフッ化水素アンモニウム(特級、ナカライテクス株式会社)を含んだ水溶液をノズルから流速1L/min、600rpmで回転するシリコン基板の中央に向かって6秒間噴射した。上記オゾン洗浄と希フッ酸洗浄を1セットとして計2セット行い、最後にスピン乾燥を行った。スピン乾燥では1,500rpmでシリコン基板を回転させた。
(2)研磨速度の評価
研磨前後の各シリコン基板の重さを精密天秤(Sartorius社製「BP-210S」)を用いて測定し、得られた重量差をシリコン基板の密度、面積および研磨時間で除して、単位時間当たりの片面研磨速度を求めた。実施例1の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度を100とした相対値を表1に示す。なお、研磨後のシリコン基板の重さとは、上記仕上げ研磨及び洗浄を行った後のシリコン基板の重さである。
研磨前後の各シリコン基板の重さを精密天秤(Sartorius社製「BP-210S」)を用いて測定し、得られた重量差をシリコン基板の密度、面積および研磨時間で除して、単位時間当たりの片面研磨速度を求めた。実施例1の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度を100とした相対値を表1に示す。なお、研磨後のシリコン基板の重さとは、上記仕上げ研磨及び洗浄を行った後のシリコン基板の重さである。
(3)表面粗さ(ヘイズ)の評価
シリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)は、DWOヘイズよりも高感度のDNNヘイズを測定し、表面粗さ(ヘイズ)を評価した。DNNヘイズは、表面粗さ測定装置「Surfscan SP1-DLS」(KLA Tencor社製)を用い、測定モード[暗視野垂直入射、垂直検出チャンネル(DNN)での値]により測定される値である。結果を表1に示す。DNNヘイズの数値は小さいほど、表面の平滑性が高いことを示す。
シリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)は、DWOヘイズよりも高感度のDNNヘイズを測定し、表面粗さ(ヘイズ)を評価した。DNNヘイズは、表面粗さ測定装置「Surfscan SP1-DLS」(KLA Tencor社製)を用い、測定モード[暗視野垂直入射、垂直検出チャンネル(DNN)での値]により測定される値である。結果を表1に示す。DNNヘイズの数値は小さいほど、表面の平滑性が高いことを示す。
表1に示されるように、実施例1~4の研磨液組成物は、比較例1の研磨液組成物に比べて、研磨速度の向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立できていることが分かった。
本開示の研磨方法を用いれば、研磨速度向上とシリコン基板の表面粗さ(ヘイズ)低減とを両立できる。よって、本開示の研磨方法は、様々な半導体基板の製造過程で用いられる研磨方法として有用であり、なかでも、シリコン基板の仕上げ研磨方法として有用である。
Claims (11)
- シリカ粒子(成分A)、アミノ基含有水溶性高分子(成分B)及びノニオン性水溶性高分子(成分C)を含有し、pHが8.5超14以下である研磨液組成物を供給し、研磨パッド表面に被研磨シリコン基板を接触させて研磨する工程を含み、
前記研磨液組成物に接触した研磨パッドの表面ゼータ電位が-30mV以上0mV未満である、シリコン基板の研磨方法。 - 前記研磨パッドは、ベース層と発泡したポリウレタンエラストマーからなる表面層とを有するスエードタイプの研磨パッドであり、前記表面層の表面粗さRaが15μm以下である、請求項1に記載の研磨方法。
- 成分Bは、アリルアミン及びジアリルアミンから選ばれる1種以上のモノマー由来の構成単位を含む、請求項1又は2に記載の研磨方法。
- 前記アリルアミン由来の構成単位中のアミノ基の少なくとも一部は、立体遮蔽基を有する、請求項3に記載の研磨方法。
- 前記アリルアミン由来の構成単位中のアミノ基の少なくとも一部は、水酸基を有する炭素数3以上11以下の炭化水素基を含む第2級アミノ基又は第3級アミノ基である、請求項3又は4に記載の研磨方法。
- 成分Bは、ポリアリルアミンとグリシドール誘導体との反応物である、請求項1から5のいずれかに記載の研磨方法。
- 前記ジアリルアミン由来の構成単位中のアミノ基の少なくとも一部は、β位又はγ位に電子吸引基を有する、請求項3に記載の研磨方法。
- 成分Cは、分子内にアルキレンオキサイド基、水酸基、又はアミド基を有する水溶性高分子である、請求項1から8のいずれかに記載の研磨方法。
- 成分Cは、ポリグリセリン、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリンアルキルエステル、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルアクリルアミド、重量平均分子量が300以上1,000以下のポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である、請求項1から9のいずれかに記載の研磨方法。
- 請求項1から10のいずれかに記載の研磨方法を用いて被研磨シリコン基板を研磨する工程と、
研磨されたシリコン基板を洗浄する工程と、を含む、半導体基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021112147A JP2023008518A (ja) | 2021-07-06 | 2021-07-06 | シリコン基板の研磨方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2021112147A JP2023008518A (ja) | 2021-07-06 | 2021-07-06 | シリコン基板の研磨方法 |
Publications (1)
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JP2023008518A true JP2023008518A (ja) | 2023-01-19 |
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JP2021112147A Pending JP2023008518A (ja) | 2021-07-06 | 2021-07-06 | シリコン基板の研磨方法 |
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- 2021-07-06 JP JP2021112147A patent/JP2023008518A/ja active Pending
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