JP6418941B2 - シリコンウェーハ用研磨液組成物 - Google Patents

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本発明はシリコンウェーハ用研磨液組成物及びこれを用いた半導体基板の製造方法並びに被研磨シリコンウェーハの研磨方法に関する。
近年、半導体メモリの高記録容量化に対する要求の高まりから半導体装置のデザインルールは微細化が進んでいる。このため半導体装置の製造過程で行われるフォトリソグラフィーにおいて焦点深度は浅くなり、シリコンウェーハ(ベアウェーハ)の欠陥低減や平滑性に対する要求はますます厳しくなっている。
シリコンウェーハの品質を向上する目的で、シリコンウェーハの研磨は多段階で行われている。特に研磨の最終段階で行われる仕上げ研磨は、表面粗さ(ヘイズ)の抑制と研磨後のシリコンウェーハ表面のぬれ性向上(親水化)によるパーティクルやスクラッチ、ピット等の表面欠陥(LPD:Light point defects)の抑制とを目的として行われている。
シリコンウェーハの研磨に用いられる研磨液組成物として、良好な生産性が確保される研磨速度の担保、及び表面欠陥(LPD)と表面粗さ(ヘイズ)の低減を目的とし、シリカ粒子と、含窒素塩基性化合物と、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)等のアクリルアミド誘導体に由来する構成単位を含む水溶性高分子化合物を含むシリコンウェーハの研磨液組成物が開示されている(特許文献1)。また、水溶性高分子化合物として、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)等のアクリルアミド誘導体に由来する構成単位を含む水溶性高分子化合物に加えて、更にアクリルアミドとアクリル酸の共重合体を含む研磨液組成物が開示されている(特許文献2)。
特開2013―222863号公報 特開2014―90100号公報
特許文献1、2に記載の研磨液組成物は、室温(例えば、25℃)では、長期間(例えば、1ヶ月)保存しても、シリコンウェーハの低表面粗さ(ヘイズ)、低表面欠陥(LPD)と高研磨速度とを発現するが、高温(例えば、40℃)で長時間(例えば、1ヶ月)静置保存した場合、研磨速度変化が大きく生産の再現性が損なわれ、品質のバラツキに影響する。シリコンウェーハの表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の低減と、良好な生産性が確保される研磨速度(以下「高研磨速度」と略称する場合もある。)の担保が求められる。
そこで、本発明では、高温雰囲気下での長期保存(以下「高温下長期保存」と略称する場合もある。)を経ても、シリコンウェーハの表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の低減と高研磨速度とを両立できる、シリコンウェーハ用研磨液組成物、及び当該シリコンウェーハ用研磨液組成物を用いた半導体基板の製造方法、並びに被研磨シリコンウェーハの研磨方法を提供する。
本発明のシリコンウェーハ用研磨液組成物は、シリカ粒子(成分A)と、含窒素塩基性化合物(成分B)と、下記一般式(1)で表される構成単位Iと下記一般式(2)で表される構成単位IIとを含む水溶性高分子化合物(成分C)とを含有する。
Figure 0006418941
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ただし、上記一般式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数が1〜8のアルキル基、又は炭素数が1〜2のヒドロキシアルキル基を示し、R1、R2の両方が水素であることはない。
本発明の被研磨シリコンウェーハの研磨方法は、本発明のシリコンウェーハ用研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する研磨工程を含む。
本発明の半導体基板の製造方法は、本発明のシリコンウェーハ用研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する研磨工程を含む。
本発明によれば、高温下長期保存を経ても、シリコンウェーハの、表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の低減と高研磨速度とを両立できる、シリコンウェーハ用研磨液組成物、及び当該シリコンウェーハ用研磨液組成物を用いたシリコンウェーハの研磨方法、並びに半導体基板の製造方法を提供できる。
本発明は、下記一般式(1)で表される構成単位Iと下記一般式(2)で表される構成単位IIとを含む水溶性高分子化合物(成分C)がシリコンウェーハ用研磨液組成物(以下「研磨液組成物」と略称する場合もある。)に含まれることにより、表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の低減と高研磨速度とを両立できるという知見に基づく。
Figure 0006418941
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ただし、上記一般式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数が1〜8のアルキル基、又は炭素数が1〜2のヒドロキシアルキル基を示し、R1、R2の両方が水素であることはない。
本発明の効果発現機構の詳細は明らかではないが、以下のように推定している。本発明の研磨液組成物に含まれる水溶性高分子化合物(成分C)は、構成単位I中に、シリカ粒子と相互作用する親水性を呈する部位であるアミド基と、シリコンウェーハと相互作用する疎水性を呈する部位であるアルキル基或いはヒドロキシル基の両方を含む。更に、水溶性高分子化合物(成分C)は、化学的安定性の優れた構成単位IIを含んでいるため、分子構造安定性に優れている。そのため、本発明の研磨液組成物を高温雰囲気下で長期保存しても、水溶性高分子化合物(成分C)がシリコンウェーハ表面に適度に吸着して含窒素塩基性化合物による腐食を抑制することで、良好な表面粗さ(ヘイズ)を達成するとともに、良好なぬれ性を発現し、シリコンウェーハ表面の乾燥によるパーティクルの付着を抑制して表面欠陥(LPD)の低減を可能としている。
また、一般的には、アルカリ条件ではシリカ粒子とシリコンウェーハの表面電荷はともに負に帯電しており、その電荷反発によってシリカ粒子がシリコンウェーハに接近できず、研磨速度が十分に発現できない。しかし、研磨液組成物中に分子構造安定性に優れた水溶性高分子化合物(成分C)を存在させることにより、高温雰囲気下での長期保存後でも、水溶性高分子化合物(成分C)が、シリカ粒子とシリコンウェーハの両方の表面に吸着することからバインダー効果を発現する。その結果、シリカ粒子とシリコンウェーハとの相互作用が強くなり、シリカ粒子による研磨が効率的に進行するため、水溶性高分子化合物(成分C)は、高温雰囲気下での長期保存による研磨速度の低下の抑制に寄与しているものと考えられる。
[シリカ粒子(成分A)]
本発明の研磨液組成物には、研磨材としてシリカ粒子が含まれる。シリカ粒子の具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ等が挙げられるが、シリコンウェーハの表面平滑性を向上させる観点から、コロイダルシリカがより好ましい。
シリカ粒子の使用形態としては、操作性の観点からスラリー状が好ましい。本発明の研磨液組成物に含まれる研磨材がコロイダルシリカである場合、アルカリ金属やアルカリ土類金属等によるシリコンウェーハの汚染を防止する観点から、コロイダルシリカは、アルコキシシランの加水分解物から得たものであることが好ましい。アルコキシシランの加水分解物から得られるシリカ粒子は、従来から公知の方法によって作製できる。
本発明の研磨液組成物に含まれるシリカ粒子の平均一次粒子径は、高研磨速度の確保の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは15nm以上であり、更により好ましくは30nm以上である。また、表面粗さ及び表面欠陥(LPD)の低減と高研磨速度の両立の観点から、好ましくは50nm以下、より好ましくは45nm以下、更に好ましくは40nm以下である。
特に、シリカ粒子としてコロイダルシリカを用いた場合には、表面粗さ及び表面欠陥(LPD)の低減と高研磨速度の両立の観点から、平均一次粒子径は、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは10nm以上45nm以下、更に好ましくは15nm以上40nm以下、更により好ましくは30nm以上40nm以下である。
シリカ粒子の平均一次粒子径は、BET(窒素吸着)法によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて算出される。比表面積は、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。
シリカ粒子の会合度は、表面粗さ及び表面欠陥(LPD)の低減と高研磨速度の両立の観点、3.0以下が好ましく、1.1以上3.0以下がより好ましく、1.8以上2.5以下が更に好ましく、2.0以上2.3以下が更により好ましい。シリカ粒子の形状はいわゆる球型といわゆるマユ型であることが好ましい。シリカ粒子がコロイダルシリカである場合、その会合度は、高研磨速度の確保、及び表面粗さ及び表面欠陥の低減の観点から、3.0以下が好ましく、1.1以上3.0以下がより好ましく、1.8以上2.5以下が更に好ましく、2.0以上2.3以下が更により好ましい。
シリカ粒子の会合度とは、シリカ粒子の形状を表す係数であり、下記式により算出される。平均二次粒子径は、動的光散乱法によって測定される値であり、例えば、実施例に記載の装置を用いて測定できる。
会合度=平均二次粒子径/平均一次粒子径
シリカ粒子の会合度の調整方法としては、特に限定されないが、例えば、特開平6−254383号公報、特開平11−214338号公報、特開平11−60232号公報、特開2005−060217号公報、特開2005−060219号公報等に記載の方法を採用することができる。
本発明の研磨液組成物に含まれるシリカ粒子の含有量は、高研磨速度の確保の観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましい。また、経済性、及び研磨液組成物におけるシリカ粒子の凝集抑制及び分散安定性向上の観点から10質量%以下が好ましく、7.5質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が更により好ましく、0.5質量%以下が更により好ましい。
[含窒素塩基性化合物(成分B)]
本発明の研磨液組成物は、研磨液組成物の保存安定性の向上、高研磨速度の確保、及び表面粗さ及び表面欠陥(LPD)の低減の観点から、水溶性の塩基性化合物を含有する。水溶性の塩基性化合物としては、アミン化合物及びアンモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種類以上の含窒素塩基性化合物である。ここで、「水溶性」とは、水(20℃)に対して2g/100ml以上の溶解度を有することをいい、「水溶性の塩基性化合物」とは、水に溶解したとき、塩基性を示す化合物をいう。
アミン化合物及びアンモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種類以上の含窒素塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N一メチルエタノールアミン、N−メチル−N,N一ジエタノ−ルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノ−ルアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン・六水和物、無水ピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、ジエチレントリアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、及びヒドロキシアミンが挙げられる。ヒドロキシアミンとしては、高研磨速度の確保、及び表面粗さ及び表面欠陥(LPD)の低減の観点から、好ましくは鎖状ヒドロキシアミンであり、より好ましくはモノヒロドロキシモノアミンであり、更に好ましくは2-アミノエタノールである。これらの含窒素塩基性化合物は2種以上を混合して用いてもよい。本発明の研磨液組成物に含まれ得る含窒素塩基性化合物としては、表面粗さ及び表面欠陥(LPD)の低減、研磨液組成物の保存安定性の向上、及び高研磨速度の確保の観点からアンモニア、アンモニアとヒドロキシアミンの混合物が好ましく、アンモニア、アンモニアと2−アミノエタノールの混合物がより好ましい。
本発明の研磨液組成物に含まれる含窒素塩基性化合物の含有量は、シリコンウェーハの表面粗さ及び表面欠陥の低減、研磨液組成物の保存安定性の向上、及び高研磨速度の確保の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.007質量%以上が更に好ましく、0.010質量%以上が更により好ましい。また、シリコンウェーハの表面粗さ及び表面欠陥の低減の観点から1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、0.050質量%以下が更により好ましく、0.025質量%以下が更により好ましく、0.018質量%以下が更により好ましく、0.014質量%以下が更により好ましい。
本発明の研磨液組成物中のヒドロキシアミンの含有量は、シリコンウェーハの表面粗さ及び表面欠陥の低減の観点から、好ましくは0質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、更により好ましくは0.001質量%以下である。
[水溶性高分子化合物(成分C)]
本発明の研磨液組成物は、研磨液組成物の保存安定性の向上、高研磨速度の確保、及びシリコンウェーハの表面粗さ及び表面欠陥の低減の観点から、下記一般式(1)で表される構成単位Iと下記一般式(2)で表される構成単位IIとを含む水溶性高分子化合物(成分C)を含有する。尚、本発明において、水溶性高分子化合物の「水溶性」とは、水(20℃)に対して2g/100ml以上の溶解度を有することをいう。
Figure 0006418941
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研磨液組成物の保存安定性の向上、高研磨速度の確保、及びシリコンウェーハの表面粗さ及び表面欠陥の低減の観点から、上記一般式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数が1〜8のアルキル基、又は炭素数が1〜2のヒドロキシアルキル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基、又は炭素数が1〜2のヒドロキシアルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基である。ただし、R1、R2の両方が水素であることはない。
構成単位Iは、研磨液組成物の保存安定性の向上、高研磨速度の確保、及びシリコンウェーハの表面粗さ及び表面欠陥の低減の観点から、一般式(1)における、R1、R2が共に炭素数が1〜4のアルキル基である構成単位I―I、R1が水素原子でありR2が炭素数が1〜8のアルキル基である構成単位I―II、R1が水素原子でありR2が炭素数が1〜2のヒドロキシアルキル基である構成単位I―IIIからなる群から選ばれる少なくとも1種であると好ましく、研磨速度の確保と、表面欠陥の低減の観点から、構成単位I―IIIであるとより好ましく、構成単位I―IIIのR2がヒドロキシエチル基であると更に好ましい。
一般式(1)で表される構成単位Iの供給源である単量体としては、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、N−ブチルアクリルアミド、N−イソブチルアクリルアミド、N−ターシャリブチルアクリルアミド、N−ヘプチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−ターシャリオクチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、N,N−ジエチルアクリルアミド(DEAA)、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N,N−ジイソブチルアクリルアミド、N,N−ジヘプチルアクリルアミド、N,N−ジオクチルアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド等が例示できる。これらは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの単量体のなかでも、表面粗さの低減と研磨速度の確保の観点から、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドが好ましく、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドがより好ましく、更に、表面欠陥の低減の観点から、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドが更に好ましい。
一般式(2)で表される構成単位IIの供給源である単量体としては、例えば、アクリル酸等が挙げられる。
水溶性高分子化合物(成分C)における、上記一般式(1)で表される構成単位Iと一般式(2)で表される構成単位IIの質量比(構成単位I/構成単位II)は、高研磨速度の確保の観点から、好ましくは50/50以上、より好ましくは70/30以上、更に好ましくは80/20以上、更により好ましくは90/10以上であり、表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の低減の観点から、好ましくは99.9/0.1以下、より好ましくは99/1以下、更に好ましくは98/2以下である。
水溶性高分子化合物(成分C)における、上記一般式(1)で表される構成単位Iと一般式(2)で表される構成単位IIの配列は、ブロックでもランダムでもよい。
水溶性高分子化合物(成分C)の重量平均分子量は、シリコンウェーハの表面粗さ及び表面欠陥の低減の観点から、好ましくは5万以上、より好ましくは10万以上、更に好ましくは20万以上、更により好ましくは50万以上であり、研磨速度の確保の観点から、好ましくは200万以下、より好ましくは100万以下、更に好ましくは90万以下、更により好ましくは80万以下である。尚、水溶性高分子化合物(成分C)の重量平均分子量は後の実施例に記載の方法により測定される。
本発明の研磨液組成物に含まれる水溶性高分子化合物(成分C)の含有量は、シリコンウェーハの表面粗さの低減の観点から、好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、更に好ましくは0.005質量%以上、更により好ましくは0.008質量%以上であり、研磨液組成物の保存安定性の向上の観点から、好ましくは0.050質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下、更に好ましくは0.02質量%以下、更により好ましくは0.012質量%以下である。
[水系媒体(成分D)]
本発明の研磨液組成物に含まれる水系媒体(成分D)としては、イオン交換水や超純水等の水、又は水と溶媒との混合媒体等が挙げられ、上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が好ましい。水系媒体としては、なかでも、イオン交換水又は超純水がより好ましく、超純水がさらに好ましい。本発明の成分Dが、水と溶媒との混合媒体である場合、成分Dである混合媒体全体に対する水の割合は、特に限定されるわけではないが、経済性の観点から、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%がさらに好ましい。
本発明の研磨液組成物における水系媒体の含有量は、特に限定されるわけではなく、成分A〜成分C、及び、後述する任意成分の残余であってよい。
本発明の研磨液組成物の25℃におけるpHは、研磨速度の確保の観点から、好ましくは8.0以上、より好ましくは9.0以上、更に好ましくは9.5以上であり、安全性の観点から、好ましくは12.0以下、より好ましくは11.5以下、更に好ましくは11.0以下である。pHの調整は、含窒素塩基性化合物(成分B)及び/又は後述するpH調整剤を適宜添加して行うことができる。ここで、25℃におけるpHは、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定でき、電極の研磨液組成物への浸漬後1分後の数値である。
[任意成分]
本発明の研磨液組成物には、本発明の効果が妨げられない範囲で、更に、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(成分E)、成分C以外の水溶性高分子化合物、pH調整剤、防腐剤、アルコール類、キレート剤及び非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の任意成分が含まれてもよい。
〈多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(成分E)〉
本発明の研磨液組成物は、更に多価アルコールのアルキレンオキシド付加物を含んでいてもよい。成分Eは、被研磨シリコンウェーハに吸着する。その為、成分Eは、塩基性化合物によるウェーハ表面の腐食を抑制しつつ、ウェーハ表面に濡れ性を付与することにより、ウェーハ表面の乾燥により生じると考えられるウェーハ表面へのパーティクルの付着を抑制するよう作用する。また、研磨されたシリコンウェーハの洗浄工程において、成分Eが、シリカ粒子とシリコンウェーハとの間におこる相互作用を弱める。したがって、成分Eは、水溶性高分子化合物(成分C)と相まって、表面粗さ(ヘイズ)と表面欠陥(LPD)の低減を増進するものと考えられる。
成分Eは、多価アルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加重合させて得られる多価アルコール誘導体である。成分Eは、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種のアルキレンオキシ基を含む。
成分Eの元(原料)となる多価アルコールの水酸基数は、シリコンウェーハ表面への成分Eの吸着強度を高める観点、シリコンウェーハの表面欠陥(LPD)及び表面粗さ(ヘイズ)の低減の観点から、2個以上が好ましく、研磨速度の確保の観点から、10個以下が好ましく、8個以下がより好ましく、6個以下が更に好ましく、4個以下が更により好ましい。
成分Eは、具体的には、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール等のアルキレングリコールアルキレンオキシド付加物、グリセリンアルキレンオキシド付加物、ペンタエリスリトールアルキレンオキシド付加物等が挙げられるが、これらの中でも、エチレングリコールアルキレンオキシド付加物が好ましい。
成分Eは、エチレンオキシ基(EO)及びプロピレンオキシ基(PO)からなる群から選ばれる少なくとも1種のアルキレンオキシ基を含むが、シリコンウェーハの表面欠陥(LPD)及び表面粗さ(ヘイズ)の低減の観点から、成分Eに含まれるアルキレンオキシ基は、EO及びPOからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルキレンオキシ基からなると好ましく、EOからなるとより好ましい。成分Eが、EOとPOの両方を含む場合、EOとPOの配列はブロックでもランダムでもよい。
成分Eの重量平均分子量は、成分Eの被研磨シリコンウェーハへの吸着量を増大させて、表面粗さ(ヘイズ)を低減する観点から、500以上が好ましく、700以上がより好ましく、900以上が更に好ましく、成分Eの被研磨シリコンウェーハへの吸着量を増大させて、表面粗さ(ヘイズ)を低減する観点から、25万以下が好ましく、10万以下がより好ましく、2万以下が更に好ましく、1万以下が更により好ましい。成分Eの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を下記の条件で適用して得たクロマトグラム中のピークに基づき算出できる。
〈測定条件〉
装置:HLC-8320 GPC(東ソー株式会社、検出器一体型)
カラム:GMPWXL+GMPWXL(アニオン)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1
流量:0.5ml/min
カラム温度:40℃
検出器:RI 検出器
標準物質:分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
前記研磨液組成物に含まれる成分Eの含有量は、表面粗さ(ヘイズ)と表面欠陥(LPD)の低減の観点から、好ましくは0.00001質量%以上、より好ましくは0.0001質量%以上であり、好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下である。
前記研磨液組成物に含まれる成分Eとシリカ粒子(成分A)の質量比(多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の質量/シリカ粒子の質量)は、シリコンウェーハの表面欠陥(LPD)及び表面粗さ(ヘイズ)の低減の観点から、0.00004以上が好ましく、0.0001以上がより好ましく、0.0005以上が更に好ましく、また、0.02以下が好ましく、0.005以下がより好ましく、0.002以下が更に好ましい。
前記研磨液組成物の濃縮液に含まれる水溶性高分子化合物(成分C)と多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(成分E)の質量比(水溶性高分子化合物(成分C)の質量/多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の質量)は、シリコンウェーハの表面欠陥(LPD)及び表面粗さ(ヘイズ)の低減の観点から、1以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上が更に好ましく、また、500以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下が更に好ましい。
〈防腐剤〉
防腐剤としては、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、(5−クロロ−)2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、過酸化水素、又は次亜塩素酸塩等が挙げられる。
〈アルコール類〉
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、2−メチル−2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。アルコール類の含有量は、前記研磨液組成物の濃縮液を希釈して得られる希釈液において、0.1〜5質量%であると好ましい。
〈キレート剤〉
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウム等が挙げられる。キレート剤の含有量は、前記研磨液組成物の濃縮液を希釈して得られる希釈液において、0.01〜1質量%であると好ましい。
〈非イオン性界面活性剤〉
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリエチレングリコール型と、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型及び脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
なお、上記において説明した各成分の含有量は、使用時における含有量であるが、本発明の研磨液組成物は、その保存安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存及び供給されてもよい。この場合、製造及び輸送コストをさらに低くできる点で好ましい。濃縮液は、必要に応じて前述の水系媒体で適宜希釈して使用すればよい。
次に、前記研磨液組成物の濃縮液の調製方法の一例について説明する。
前記研磨液組成物の濃縮液の調製方法は、何ら制限されず、前記研磨液組成物の濃縮液は、例えば、水溶性高分子化合物(成分C)と含窒素塩基性化合物(成分B)とシリカ粒子(成分A)と水系媒体と、必要に応じて任意成分とを混合することによって調製できる。
シリカ粒子(成分A)の水系媒体への分散は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、湿式ボールミル、又はビーズミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。シリカ粒子の凝集等により生じた粗大粒子が水系媒体中に含まれる場合、遠心分離やフィルターを用いたろ過等により、当該粗大粒子を除去すると好ましい。シリカ粒子(成分A)の水系媒体への分散は、水溶性高分子化合物(成分C)の存在下で行うと好ましい。
本発明の研磨液組成物は、例えば、半導体基板の製造方法における、シリコンウェーハを研磨する研磨工程や、シリコンウェーハを研磨する研磨工程を含む被研磨シリコンウェーハの研磨方法に用いられる。
前記シリコンウェーハを研磨する研磨工程には、シリコン単結晶インゴットを薄円板状にスライスすることにより得られたシリコンウェーハを平面化するラッピング(粗研磨)工程と、ラッピングされたシリコンウェーハをエッチングした後、シリコンウェーハ表面を鏡面化する仕上げ研磨工程とがある。本発明の研磨液組成物は、上記仕上げ研磨工程で用いられるとより好ましい。
本発明の半導体基板の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と略称する場合もある。)及び本発明の被研磨シリコンウェーハの研磨方法(以下、「本発明の研磨方法」と略称する場合もある。)は、シリコンウェーハを研磨する研磨工程の前に、本発明の研磨液組成物(濃縮液)を希釈する希釈工程を含んでいてもよい。希釈媒には、水系媒体を用いればよい。希釈倍率は、希釈した後の研磨時の濃度を確保できれば、特に限定するものではないが、製造及び輸送コストをさらに低くできる観点から、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上、更に好ましくは10倍以上、更により好ましくは20倍以上であり、保存安定性の観点から好ましくは100倍以下、より好ましくは90倍以下、更に好ましくは80倍以下、更により好ましくは60倍以下である。
前記希釈工程で希釈される濃縮液は、製造及び輸送コスト低減、保存安定性の向上の観点から、例えば、成分Aを1〜20質量%、成分Bを0.1〜5質量%、成分Cを0.1〜10量%含んでいると好ましい。
前記被研磨シリコンウェーハを研磨する工程では、例えば、研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨シリコンウェーハを挟み込み、3〜20kPaの研磨圧力で被研磨シリコンウェーハを研磨する。
上記研磨圧力とは、研磨時に被研磨シリコンウェーハの被研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。研磨圧力は、研磨速度を向上させ経済的に研磨を行う観点から、3kPa以上が好ましく、4kPa以上がより好ましく、5kPa以上が更に好ましく、5.5kPa以上が更により好ましい。また、表面品質を向上させ、且つ研磨されたシリコンウェーハにおける残留応力を緩和する観点から、研磨圧力は、20kPa以下が好ましく、より好ましくは18kPa以下、更に好ましくは16kPa以下である。
本発明の製造方法及び本発明の研磨方法は、前記研磨液組成物(希釈液)を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する工程の後に、研磨された被研磨シリコンウェーハを洗浄する工程を更に含む。
下記の実施例1、参考例1〜2及び比較例1、2の研磨液組成物の調製に用いた表1中の水溶性高分子化合物の詳細は下記のとおりである。
<水溶性高分子化合物の合成>
(HEAA/AAc=95/5)
温度計及び5cm三日月形テフロン(登録商標)製撹拌翼を備えた500mlセパラブルフラスコに、ヒドロキシエチルアクリルアミド9.5g(0.083mol KJケミカルズ製)と、アクリル酸0.5g(6.95mmol 和光純薬製)と、2,2’-アゾビス(2‐メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド0.024g(重合開始剤、V-50 0.45mmol 和光純薬製)と、水390gを投入し、これらを窒素雰囲気下100rpm(周速0.5m/s)で撹拌し混合して、溶解させた。次いで、セパラブルフラスコ内の溶液の温度を80℃まで昇温し当該混合溶液を80℃で6時間撹拌し、無色透明の2.5質量%HEAA/AAc=95/5水溶液を得た。
(HEAA/AAc=99/1)
温度計及び5cm三日月形テフロン(登録商標)製撹拌翼を備えた500mlセパラブルフラスコに、ヒドロキシエチルアクリルアミド9.9g(0.086mol KJケミカルズ製)と、アクリル酸0.1g(1.39mmol 和光純薬製)と、2,2’-アゾビス(2‐メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド0.024g(重合開始剤、V-50 0.45mmol 和光純薬製)と、水390gを投入し、これらを窒素雰囲気下100rpm(周速0.5m/s)で撹拌し混合して、溶解させた。次いで、セパラブルフラスコ内の溶液の温度を80℃まで昇温し当該混合溶液を80℃で6時間撹拌し、無色透明の2.5質量%HEAA/AAc=99/1水溶液を得た。
(HEAA/AAc=100/0)
温度計及び5cm三日月形テフロン(登録商標)製撹拌翼を備えた500mlセパラブルフラスコに、ヒドロキシエチルアクリルアミド10.0g(0.086mol KJケミカルズ製)と、2,2’-アゾビス(2‐メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド0.024g(重合開始剤、V-50 0.45mmol 和光純薬製)と、水390gとを投入し、これらを窒素雰囲気下100rpm(周速0.5m/s)で撹拌し混合して、溶解させた。次いで、セパラブルフラスコ内の溶液の温度を80℃まで昇温し当該混合溶液を80℃で6時間撹拌し、無色透明の2.5質量%HEAA/AAc=100/0水溶液を得た。
(HEAA/AAc=0/100)
水溶性高分子化合物としてポリアクリル酸(重量平均分子量1,000,000、和光純薬工業製)を用意した。
<重量平均分子量の測定>
(1)水溶性高分子化合物の重合平均分子量
水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を下記の条件で適用して得たクロマトグラム中のピークに基づいて算出した。
装置:HLC-8320 GPC(東ソー株式会社、検出器一体型)
カラム:TSKgel α−M+TSKgel α−M(カチオン、東ソー株式会社製)
溶離液:エタノール/水(=3/7)に対して、LiBr (50mmol/L(0.43質量%))、CH3COOH(166.7mmol/L(1.0質量%))を添加
流量:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI 検出器
標準物質:分子量既知の単分散ポリエチレングリコール
<研磨材(シリカ粒子)の平均一次粒子径>
研磨材の平均一次粒子径(nm)は、BET(窒素吸着)法によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて下記式で算出した。
平均一次粒子径(nm)=2727/S
研磨材の比表面積は、下記の[前処理]をした後、測定サンプル約0.1gを測定セルに小数点以下4桁まで精量し、比表面積の測定直前に110℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、比表面積測定装置(マイクロメリティック自動比表面積測定装置 フローソーブIII2305、島津製作所製)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。
[前処理]
(a)スラリー状の研磨材を硝酸水溶液でpH2.5±0.1に調整する。
(b)pH2.5±0.1に調整されたスラリー状の研磨材をシャーレにとり150℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させる。
(c)乾燥後、得られた試料をメノウ乳鉢で細かく粉砕する。
(d)粉砕された試料を40℃のイオン交換水に懸濁させ、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過する。
(e)フィルター上の濾過物を20gのイオン交換水(40℃)で5回洗浄する。
(f)濾過物が付着したフィルターをシャーレにとり、110℃の雰囲気下で4時間乾燥させる。
(g)乾燥した濾過物(砥粒)をフィルター屑が混入しないようにとり、乳鉢で細かく粉砕して測定サンプルを得た。
<研磨材(シリカ粒子)の平均二次粒子径>
研磨材の平均二次粒子径(nm)は、研磨材の濃度が0.25質量%となるように研磨材をイオン交換水に添加した後、得られた水溶液をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製 10mmセル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法(装置名:ゼータサイザーNano ZS、シスメックス(株)製)を用いて測定した。
<研磨液組成物の調製>
シリカ粒子(コロイダルシリカ、平均一次粒子径35nm、平均二次粒子径70nm、会合度2)、水溶性高分子化合物、ポリエチレングリコール(EO平均付加モル数=25、Mw1000(カタログ値)、和光純薬(株))、含窒素塩基性化合物、及び超純水を攪拌混合して、実施例1、参考例1〜2及び比較例1、2の研磨液組成物(いずれも濃縮液)を得た。シリカ粒子、水溶性高分子化合物、ポリエチレングリコール、含窒素塩基性化合物を除いた残余は超純水である。含窒素塩基性化合物としては、28質量%アンモニア水(キシダ化学(株)試薬特級)単独、又は28質量%アンモニア水(キシダ化学(株)試薬特級)と2−アミノエタノール(和光純薬(株)試薬特級)の両方を用いた。
表1における含窒素塩基性化合物の含有量は、濃縮液を40倍に希釈して得た研磨液組成物についての値である。また、希釈された実施例1、参考例1〜2及び比較例1、2の研磨液組成物中、シリカ粒子の含有量(SiO2換算濃度)は0.25質量%、水溶性高分子化合物の含有量は0.01質量%、ポリエチレングリコールの含有量は0.0002質量%である。
<研磨方法>
上記の研磨液組成物の濃縮液を40℃で1ヶ月間静置保存し、保存後の研磨液組成物の濃縮液をイオン交換水で40倍に希釈して得た研磨液組成物(pH10.6±0.1(25℃))について、研磨直前にフィルター(コンパクトカートリッジフィルター MCP−LX−C10S アドバンテック株式会社)にてろ過を行い、下記の研磨条件で下記のシリコンウェーハ(直径200mmのシリコン片面鏡面ウェーハ(伝導型:P、結晶方位:100、抵抗率0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満))に対して仕上げ研磨を行った。当該仕上げ研磨に先立ってシリコンウェーハに対して市販の研磨液組成物を用いてあらかじめ粗研磨を実施した。粗研磨を終了し仕上げ研磨に供したシリコンウェーハの表面粗さ(ヘイズ)は、2.680(ppm)であった。表面粗さ(ヘイズ)は、KLA Tencor社製のSurfscan SP1−DLS(商品名)を用いて測定される暗視野ワイド斜入射チャンネル(DWO)での値である。
<仕上げ研磨条件>
研磨機:片面8インチ研磨機GRIND-X SPP600s(岡本工作製)
研磨パッド:スエードパッド(東レ コーテックス社製 アスカー硬度64 厚さ 1.37mm ナップ長450um 開口径60um)
シリコンウェーハ研磨圧力:100g/cm2
定盤回転速度:60rpm
研磨時間:5分
研磨液組成物の供給速度:150g/cm2
研磨液組成物の温度:23℃
キャリア回転速度:60rpm
仕上げ研磨後、シリコンウェーハに対して、オゾン洗浄と希フッ酸洗浄を下記のとおり行った。オゾン洗浄では、20ppmのオゾンを含んだ水溶液をノズルから流速1L/minで600rpmで回転するシリコンウェーハの中央に向かって3分間噴射した。このときオゾン水の温度は常温とした。次に希フッ酸洗浄を行った。希フッ酸洗浄では、0.5質量%のフッ化水素アンモニウム(特級:ナカライテクス株式会社)を含んだ水溶液をノズルから流速1L/minで600rpmで回転するシリコンウェーハの中央に向かって6秒間噴射した。上記オゾン洗浄と希フッ酸洗浄を1セットとして計2セット行い、最後にスピン乾燥を行った。スピン乾燥では1500rpmでシリコンウェーハを回転させた。
<シリコンウェーハの表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の評価>
洗浄後のシリコンウェーハ表面の表面粗さ(ヘイズ)(ppm)の評価には、KLA Tencor社製のSurfscan SP1−DLS(商品名)を用いて測定される、暗視野ワイド斜入射チャンネル(DWO)での値を用いた。また、表面欠陥(LPD)(個)は、Haze測定時に同時に測定され、シリコンウェーハ表面の粒子径が45nm以上のパーティクル数を測定することによって評価した。Hazeの数値は小さいほど表面の平坦性が高いことを示す。また、LPDの数値(パーティクル数)が小さいほど表面欠陥が少ないことを示す。表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の結果を表1に示した。表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の測定は、各々2枚のシリコンウェーハに対して行い、各々平均値を表1に示した。
<40℃1ヶ月間保存前後の研磨速度比(%)>
研磨液組成物の濃縮液を40℃で1ヶ月間静置保存した。40℃1ヶ月間保存前後の研磨液組成物の濃縮液を40倍に希釈して得た各研磨液組成物について研磨速度を求め、下記式より保存前後の研磨速度比(%)を算出した。各研磨速度は、下記の<研磨速度の評価>に従って測定した。
研磨速度比(%)=(保存後の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度/保存前の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度)×100
<研磨速度の評価>
研磨速度は以下の方法で評価した。研磨前後の各シリコンウェーハの重さを精密天秤(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、得られた重量差をシリコンウェーハの密度、面積及び研磨時間で除して、単位時間当たりの片面研磨速度を求めた。
<濡れ性の評価>
仕上げ研磨直後のシリコンウェーハ(直径200mm)鏡面の親水化部(濡れている部分)の面積を目視により観察し、下記の評価基準に従って濡れ性を評価し、その結果を表1に示した。
(評価基準)
○:濡れ部分面積の割合が60%以上
△:濡れ部分面積の割合が40%以上60%未満
×:濡れ部分面積の割合が40%未満
Figure 0006418941
表1に示されるように、実施例1の研磨液組成物を用いる場合は、比較例1、2の研磨液組成物を用いる場合に比べて、表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の低減と高研磨速度との両立が良好である。
本発明の研磨液組成物を用いれば、高温下長期保存を経ても、シリコンウェーハの、表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の低減と高研磨速度とを両立できる。よって、本発明の研磨液組成物は、様々な半導体基板の製造過程で用いられる研磨液組成物として有用であり、なかでも、シリコンウェーハの仕上げ研磨用の研磨液組成物として有用である。

Claims (7)

  1. シリカ粒子(成分A)と、含窒素塩基性化合物(成分B)と、下記一般式(1)で表される構成単位Iと下記一般式(2)で表される構成単位IIとを含む水溶性高分子化合物(成分C)とを含有し、
    前記水溶性高分子化合物(成分C)において、上記一般式(1)で表される構成単位Iと上記一般式(2)で表される構成単位IIの質量比が90/10以上98/2以下である、
    するシリコンウェーハ用研磨液組成物。
    Figure 0006418941
    Figure 0006418941
    ただし、上記一般式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数が1〜8のアルキル基、又は炭素数が1〜2のヒドロキシアルキル基を示し、R1、R2の両方が水素であることはない。
  2. 前記水溶性高分子化合物(成分C)の重量平均分子量が、5万以上200万以下である、請求項1に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物。
  3. 前記シリコンウェーハ用研磨液組成物中における前記水溶性高分子化合物(成分C)の含有量が、0.002質量%以上0.050質量%以下である、請求項1又は2に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物。
  4. 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が5nm以上50nm以下である、請求項1〜のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物。
  5. さらに、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物を含有する、請求項1〜のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する工程を含む、被研磨シリコンウェーハの研磨方法。
  7. 請求項1〜のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する工程を含む、半導体基板の製造方法。
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