JP6418941B2 - シリコンウェーハ用研磨液組成物 - Google Patents
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Description
本発明の研磨液組成物には、研磨材としてシリカ粒子が含まれる。シリカ粒子の具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ等が挙げられるが、シリコンウェーハの表面平滑性を向上させる観点から、コロイダルシリカがより好ましい。
会合度=平均二次粒子径/平均一次粒子径
本発明の研磨液組成物は、研磨液組成物の保存安定性の向上、高研磨速度の確保、及び表面粗さ及び表面欠陥(LPD)の低減の観点から、水溶性の塩基性化合物を含有する。水溶性の塩基性化合物としては、アミン化合物及びアンモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種類以上の含窒素塩基性化合物である。ここで、「水溶性」とは、水(20℃)に対して2g/100ml以上の溶解度を有することをいい、「水溶性の塩基性化合物」とは、水に溶解したとき、塩基性を示す化合物をいう。
本発明の研磨液組成物は、研磨液組成物の保存安定性の向上、高研磨速度の確保、及びシリコンウェーハの表面粗さ及び表面欠陥の低減の観点から、下記一般式(1)で表される構成単位Iと下記一般式(2)で表される構成単位IIとを含む水溶性高分子化合物(成分C)を含有する。尚、本発明において、水溶性高分子化合物の「水溶性」とは、水(20℃)に対して2g/100ml以上の溶解度を有することをいう。
本発明の研磨液組成物に含まれる水系媒体(成分D)としては、イオン交換水や超純水等の水、又は水と溶媒との混合媒体等が挙げられ、上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が好ましい。水系媒体としては、なかでも、イオン交換水又は超純水がより好ましく、超純水がさらに好ましい。本発明の成分Dが、水と溶媒との混合媒体である場合、成分Dである混合媒体全体に対する水の割合は、特に限定されるわけではないが、経済性の観点から、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%がさらに好ましい。
本発明の研磨液組成物には、本発明の効果が妨げられない範囲で、更に、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(成分E)、成分C以外の水溶性高分子化合物、pH調整剤、防腐剤、アルコール類、キレート剤及び非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の任意成分が含まれてもよい。
本発明の研磨液組成物は、更に多価アルコールのアルキレンオキシド付加物を含んでいてもよい。成分Eは、被研磨シリコンウェーハに吸着する。その為、成分Eは、塩基性化合物によるウェーハ表面の腐食を抑制しつつ、ウェーハ表面に濡れ性を付与することにより、ウェーハ表面の乾燥により生じると考えられるウェーハ表面へのパーティクルの付着を抑制するよう作用する。また、研磨されたシリコンウェーハの洗浄工程において、成分Eが、シリカ粒子とシリコンウェーハとの間におこる相互作用を弱める。したがって、成分Eは、水溶性高分子化合物(成分C)と相まって、表面粗さ(ヘイズ)と表面欠陥(LPD)の低減を増進するものと考えられる。
〈測定条件〉
装置:HLC-8320 GPC(東ソー株式会社、検出器一体型)
カラム:GMPWXL+GMPWXL(アニオン)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1
流量:0.5ml/min
カラム温度:40℃
検出器:RI 検出器
標準物質:分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
防腐剤としては、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、(5−クロロ−)2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、過酸化水素、又は次亜塩素酸塩等が挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、2−メチル−2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。アルコール類の含有量は、前記研磨液組成物の濃縮液を希釈して得られる希釈液において、0.1〜5質量%であると好ましい。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウム等が挙げられる。キレート剤の含有量は、前記研磨液組成物の濃縮液を希釈して得られる希釈液において、0.01〜1質量%であると好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリエチレングリコール型と、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型及び脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
(HEAA/AAc=95/5)
温度計及び5cm三日月形テフロン(登録商標)製撹拌翼を備えた500mlセパラブルフラスコに、ヒドロキシエチルアクリルアミド9.5g(0.083mol KJケミカルズ製)と、アクリル酸0.5g(6.95mmol 和光純薬製)と、2,2’-アゾビス(2‐メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド0.024g(重合開始剤、V-50 0.45mmol 和光純薬製)と、水390gを投入し、これらを窒素雰囲気下100rpm(周速0.5m/s)で撹拌し混合して、溶解させた。次いで、セパラブルフラスコ内の溶液の温度を80℃まで昇温し当該混合溶液を80℃で6時間撹拌し、無色透明の2.5質量%HEAA/AAc=95/5水溶液を得た。
温度計及び5cm三日月形テフロン(登録商標)製撹拌翼を備えた500mlセパラブルフラスコに、ヒドロキシエチルアクリルアミド9.9g(0.086mol KJケミカルズ製)と、アクリル酸0.1g(1.39mmol 和光純薬製)と、2,2’-アゾビス(2‐メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド0.024g(重合開始剤、V-50 0.45mmol 和光純薬製)と、水390gを投入し、これらを窒素雰囲気下100rpm(周速0.5m/s)で撹拌し混合して、溶解させた。次いで、セパラブルフラスコ内の溶液の温度を80℃まで昇温し当該混合溶液を80℃で6時間撹拌し、無色透明の2.5質量%HEAA/AAc=99/1水溶液を得た。
温度計及び5cm三日月形テフロン(登録商標)製撹拌翼を備えた500mlセパラブルフラスコに、ヒドロキシエチルアクリルアミド10.0g(0.086mol KJケミカルズ製)と、2,2’-アゾビス(2‐メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド0.024g(重合開始剤、V-50 0.45mmol 和光純薬製)と、水390gとを投入し、これらを窒素雰囲気下100rpm(周速0.5m/s)で撹拌し混合して、溶解させた。次いで、セパラブルフラスコ内の溶液の温度を80℃まで昇温し当該混合溶液を80℃で6時間撹拌し、無色透明の2.5質量%HEAA/AAc=100/0水溶液を得た。
水溶性高分子化合物としてポリアクリル酸(重量平均分子量1,000,000、和光純薬工業製)を用意した。
(1)水溶性高分子化合物の重合平均分子量
水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を下記の条件で適用して得たクロマトグラム中のピークに基づいて算出した。
装置:HLC-8320 GPC(東ソー株式会社、検出器一体型)
カラム:TSKgel α−M+TSKgel α−M(カチオン、東ソー株式会社製)
溶離液:エタノール/水(=3/7)に対して、LiBr (50mmol/L(0.43質量%))、CH3COOH(166.7mmol/L(1.0質量%))を添加
流量:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI 検出器
標準物質:分子量既知の単分散ポリエチレングリコール
研磨材の平均一次粒子径(nm)は、BET(窒素吸着)法によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて下記式で算出した。
平均一次粒子径(nm)=2727/S
(a)スラリー状の研磨材を硝酸水溶液でpH2.5±0.1に調整する。
(b)pH2.5±0.1に調整されたスラリー状の研磨材をシャーレにとり150℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させる。
(c)乾燥後、得られた試料をメノウ乳鉢で細かく粉砕する。
(d)粉砕された試料を40℃のイオン交換水に懸濁させ、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過する。
(e)フィルター上の濾過物を20gのイオン交換水(40℃)で5回洗浄する。
(f)濾過物が付着したフィルターをシャーレにとり、110℃の雰囲気下で4時間乾燥させる。
(g)乾燥した濾過物(砥粒)をフィルター屑が混入しないようにとり、乳鉢で細かく粉砕して測定サンプルを得た。
研磨材の平均二次粒子径(nm)は、研磨材の濃度が0.25質量%となるように研磨材をイオン交換水に添加した後、得られた水溶液をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製 10mmセル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法(装置名:ゼータサイザーNano ZS、シスメックス(株)製)を用いて測定した。
シリカ粒子(コロイダルシリカ、平均一次粒子径35nm、平均二次粒子径70nm、会合度2)、水溶性高分子化合物、ポリエチレングリコール(EO平均付加モル数=25、Mw1000(カタログ値)、和光純薬(株))、含窒素塩基性化合物、及び超純水を攪拌混合して、実施例1、参考例1〜2及び比較例1、2の研磨液組成物(いずれも濃縮液)を得た。シリカ粒子、水溶性高分子化合物、ポリエチレングリコール、含窒素塩基性化合物を除いた残余は超純水である。含窒素塩基性化合物としては、28質量%アンモニア水(キシダ化学(株)試薬特級)単独、又は28質量%アンモニア水(キシダ化学(株)試薬特級)と2−アミノエタノール(和光純薬(株)試薬特級)の両方を用いた。
上記の研磨液組成物の濃縮液を40℃で1ヶ月間静置保存し、保存後の研磨液組成物の濃縮液をイオン交換水で40倍に希釈して得た研磨液組成物(pH10.6±0.1(25℃))について、研磨直前にフィルター(コンパクトカートリッジフィルター MCP−LX−C10S アドバンテック株式会社)にてろ過を行い、下記の研磨条件で下記のシリコンウェーハ(直径200mmのシリコン片面鏡面ウェーハ(伝導型:P、結晶方位:100、抵抗率0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満))に対して仕上げ研磨を行った。当該仕上げ研磨に先立ってシリコンウェーハに対して市販の研磨液組成物を用いてあらかじめ粗研磨を実施した。粗研磨を終了し仕上げ研磨に供したシリコンウェーハの表面粗さ(ヘイズ)は、2.680(ppm)であった。表面粗さ(ヘイズ)は、KLA Tencor社製のSurfscan SP1−DLS(商品名)を用いて測定される暗視野ワイド斜入射チャンネル(DWO)での値である。
研磨機:片面8インチ研磨機GRIND-X SPP600s(岡本工作製)
研磨パッド:スエードパッド(東レ コーテックス社製 アスカー硬度64 厚さ 1.37mm ナップ長450um 開口径60um)
シリコンウェーハ研磨圧力:100g/cm2
定盤回転速度:60rpm
研磨時間:5分
研磨液組成物の供給速度:150g/cm2
研磨液組成物の温度:23℃
キャリア回転速度:60rpm
洗浄後のシリコンウェーハ表面の表面粗さ(ヘイズ)(ppm)の評価には、KLA Tencor社製のSurfscan SP1−DLS(商品名)を用いて測定される、暗視野ワイド斜入射チャンネル(DWO)での値を用いた。また、表面欠陥(LPD)(個)は、Haze測定時に同時に測定され、シリコンウェーハ表面の粒子径が45nm以上のパーティクル数を測定することによって評価した。Hazeの数値は小さいほど表面の平坦性が高いことを示す。また、LPDの数値(パーティクル数)が小さいほど表面欠陥が少ないことを示す。表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の結果を表1に示した。表面粗さ(ヘイズ)及び表面欠陥(LPD)の測定は、各々2枚のシリコンウェーハに対して行い、各々平均値を表1に示した。
研磨液組成物の濃縮液を40℃で1ヶ月間静置保存した。40℃1ヶ月間保存前後の研磨液組成物の濃縮液を40倍に希釈して得た各研磨液組成物について研磨速度を求め、下記式より保存前後の研磨速度比(%)を算出した。各研磨速度は、下記の<研磨速度の評価>に従って測定した。
研磨速度比(%)=(保存後の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度/保存前の研磨液組成物を用いた場合の研磨速度)×100
研磨速度は以下の方法で評価した。研磨前後の各シリコンウェーハの重さを精密天秤(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、得られた重量差をシリコンウェーハの密度、面積及び研磨時間で除して、単位時間当たりの片面研磨速度を求めた。
仕上げ研磨直後のシリコンウェーハ(直径200mm)鏡面の親水化部(濡れている部分)の面積を目視により観察し、下記の評価基準に従って濡れ性を評価し、その結果を表1に示した。
(評価基準)
○:濡れ部分面積の割合が60%以上
△:濡れ部分面積の割合が40%以上60%未満
×:濡れ部分面積の割合が40%未満
Claims (7)
- 前記水溶性高分子化合物(成分C)の重量平均分子量が、5万以上200万以下である、請求項1に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物。
- 前記シリコンウェーハ用研磨液組成物中における前記水溶性高分子化合物(成分C)の含有量が、0.002質量%以上0.050質量%以下である、請求項1又は2に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物。
- 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が5nm以上50nm以下である、請求項1〜3のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物。
- さらに、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物を含有する、請求項1〜4のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物。
- 請求項1〜5のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する工程を含む、被研磨シリコンウェーハの研磨方法。
- 請求項1〜5のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する工程を含む、半導体基板の製造方法。
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