JP2023005028A - 熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高熱伝導率を維持しつつ、低誘電率と耐熱性を両立した熱伝導シートを提供する。【解決手段】熱伝導シート1は、(メタ)アクリレートの硬化物であるバインダ樹脂と、熱伝導性フィラーと、中空フィラーとを含み、バインダ樹脂と熱伝導性フィラーとの体積比が、30:45~30:63の範囲であり、中空フィラーが、ガラスバルーンである。【選択図】図1
Description
本技術は、熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法に関する。
電子機器の更なる高性能化に伴って、半導体素子の高密度化、高実装化が進んでいる。これに伴って、電子機器を構成する電子部品から発熱する熱をさらに効率よく放熱することが重要になっている。また、今後の5G通信やミリ波レーダには、従来から使用されている6GHz以下の周波数バンドに加えて、ミリ波領域と呼ばれる20GHz以上の新たな周波数帯での通信が必要となる。このような技術の実用化には、高い周波数帯域での通信に適した誘電特性を満たす材料の開発が求められる。
高熱伝導率と低誘電率を両立させようとする場合、絶縁性が良好で高熱伝導率のフィラーとして、例えば窒化ホウ素を用いることが好ましい。しかし、窒化ホウ素は、廉価な製品とは言い難いため、コスト面に課題がある。
特許文献1には、低誘電率の熱伝導シートにおいて窒化ホウ素の使用量を低減する技術が記載されている。特許文献1の実施例には、窒化ホウ素を使用した場合の熱伝導シートについて、熱伝導率が0.85~0.90W/m・Kであり、比誘電率が4.1~4.2であることが記載されている。このような熱伝導シートは、窒化ホウ素を使用しているため、高コストとなってしまう。また、特許文献1の実施例には、窒化ホウ素を使用しない熱伝導シートについて、熱伝導率が0.79~0.89W/m・Kであり、比誘電率が3.3~4.0であることが記載されている。特許文献1の実施例に記載された、窒化ホウ素を使用しない熱伝導シートは、比誘電率が3.5以下のものがあるが、熱伝導率が1W/m・K未満であり、高熱伝導性と低誘電率が両立できていない。
熱伝導シートの比誘電率を良好に低下させるために、中空フィラーを用いることも考えられる(例えば特許文献1を参照)。しかし、中空フィラーを用いた熱伝導シートにおいて、高熱伝導性が得られることは知られていない。また、中空フィラーとして、有機系バルーン(樹脂製バルーン)、シラスバルーンなどの中空バルーンを用いた場合には、熱伝導シートの耐熱性が劣ることが懸念される。
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、高熱伝導率を維持しつつ、低誘電率と耐熱性を両立した熱伝導シートを提供する。
本技術に係る熱伝導シートは、(メタ)アクリレートの硬化物であるバインダ樹脂と、熱伝導性フィラーと、中空フィラーとを含み、バインダ樹脂と熱伝導性フィラーとの体積比が、30:45~30:63の範囲であり、中空フィラーが、ガラスバルーンである。
本技術に係る熱伝導シートの製造方法は、(メタ)アクリレートを含むバインダ樹脂と、熱伝導性フィラーと、中空フィラーとを含む熱伝導シート形成用の組成物を塗布して硬化させる工程を含み、熱伝導シート形成用の組成物中、バインダ樹脂と熱伝導性フィラーとの体積比が、30:45~30:63の範囲であり、中空フィラーが、ガラスバルーンである。
本技術は、高熱伝導率を維持しつつ、低誘電率と耐熱性を両立した熱伝導シートを提供することができる。
本明細書において、平均粒子径(D50)とは、粒子径分布全体を100%とした場合に、粒子径分布の小粒子径側から粒子径の値の累積カーブを求めたとき、その累積値が50%となるときの粒子径をいう。なお、本明細書における粒度分布(粒子径分布)は、体積基準によって求められたものである。粒度分布の測定方法としては、例えば、レーザー回折型粒度分布測定機を用いる方法が挙げられる。
本技術に係る熱伝導シートは、(メタ)アクリレートの硬化物であるバインダ樹脂と、熱伝導性フィラーと、中空フィラーとを含み、バインダ樹脂と熱伝導性フィラーとの体積比が、30:45~30:63の範囲であり、中空フィラーが、ガラスバルーンである。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートの硬化物であるバインダ樹脂とは、少なくとも(メタ)アクリレートと重合開始剤とを含む組成物の硬化物である。熱伝導シートが、熱伝導性フィラーと、中空フィラー(ガラスバルーン)以外に、後述する重合開始剤(未反応の重合開始剤と重合開始剤の反応残渣)、酸化防止剤、可塑剤などをさらに含む場合、これらの重合開始剤、酸化防止剤及び可塑剤の体積も「(メタ)アクリレートの硬化物であるバインダ樹脂の体積」に含まれるものとする。
バインダ樹脂と熱伝導性フィラーとの体積比が30:63よりも大きくなる、すなわち、バインダ樹脂の体積に対して熱伝導性フィラーの体積が大きくなりすぎると、熱伝導シートの比誘電率を良好に低下させることが困難な傾向にある。また、バインダ樹脂と熱伝導性フィラーとの体積比が30:45よりも小さくなる、すなわち、バインダ樹脂の体積に対して熱伝導性フィラーの体積が小さくなりすぎると、高熱伝導性が得られにくい傾向にある。
また、熱伝導シートが中空フィラーとしてガラスバルーンを含むことにより、有機バルーンやシラスバルーンなどの中空バルーンを用いた場合と比べて、熱伝導シートの耐熱性が良好な傾向にある。
このように、本技術に係る熱伝導シートは、(メタ)アクリレートの硬化物であるバインダ樹脂と、熱伝導性フィラーと、中空フィラーとを含み、中空フィラーとしてガラスバルーンを含むとともに、バインダ樹脂とガラスバルーンとの体積比が所定の範囲であることにより、高熱伝導率を維持しつつ、低誘電率と耐熱性を両立させることができる。また、本技術に係る熱伝導シートは、熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素を使用しなくても、中空フィラーとしてガラスバルーンを特定量用いることで、高熱伝導率を維持しつつ、低誘電率と耐熱性を両立させることに加えて、低コスト化も実現することができる。
熱伝導シートの熱伝導率は、高熱伝導化の観点では高いほど好ましく、例えば、厚み方向のバルク熱伝導率が1.6W/m・Kを超えることが好ましく、2.0W/m・K以上であってもよく、2.2W/m・K以上であってもよく、2.5W/m・K以上であってもよく、2.6W/m・K以上であってもよく、2.7W/m・K以上であってもよく、1.9~2.7W/m・Kの範囲であってもよく、2.0~2.7W/m・Kの範囲であってもよく、2.2~2.7W/m・Kの範囲であってもよい。熱伝導シートの熱伝導率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
熱伝導シートの厚み方向の比誘電率(28GHz)は、低誘電率化の観点では、4.0未満であることが好ましく、3.6以下であってもよく、3.5以下であってもよく、3.4以下であってもよく、3.3以下であってもよく、3.3以上4.0未満であってもよく、3.3~3.6の範囲であってもよく、3.3~3.5の範囲であってもよい。熱伝導シートの比誘電率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
熱伝導シートは、例えば、厚み方向の熱伝導率が1.6W/m・Kを超え、且つ、比誘電率が3.6以下であることが好ましい。
熱伝導シートは、高温信頼性が良好であることが好ましく、例えば、125℃、72時間のエージング処理(高温試験)を行う前後で熱抵抗値の変化が小さいことが好ましい。例えば、高温試験後の熱伝導シートの熱抵抗値が、熱伝導シートの初期熱抵抗値の±50%以内であることが好ましく、±45%以内であってもよく、±40%以内であってもよく、±30%以内であってもよく、±20%以内であってもよく、±10%以内であってもよい。熱伝導シートの熱抵抗値は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
熱伝導シートは、高温高湿信頼性が良好であることが好ましく、例えば、85℃、相対湿度85%、72時間のエージング処理(高温高湿試験)を行う前後で熱抵抗値の変化が小さいことが好ましい。例えば、高温高湿試験後の熱伝導シートの熱抵抗値が、熱伝導シートの初期熱抵抗値の±50%以内であることが好ましく、±45%以内であってもよく、±40%以内であってもよく、±30%以内であってもよく、±20%以内であってもよく、±10%以内であってもよい。
図1は、熱伝導シートの供給形態の一例を示す断面図である。一例として、熱伝導シート1は、剥離フィルム2に挟持された熱伝導シートの供給形態3としてもよい。すなわち、熱伝導シートの供給形態3は、例えば、剥離フィルム2Aと熱伝導シート1と剥離フィルム2Bとをこの順に備える積層体である。
剥離フィルム2は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、グラシン紙等が挙げられる。剥離フィルム2の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5~200μmとすることができる。剥離フィルム2Aと剥離フィルム2Bは、材質が同じであってもよいし、材質が異なっていてもよい。また、剥離フィルム2Aと剥離フィルム2Bは、厚みが同じであってもよいし、厚みが異なっていてもよい。
熱伝導シート1の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート1の厚みは、0.05mm以上とすることができ、0.1mm以上とすることもできる。また、熱伝導シート1の厚みの上限値は、5mm以下とすることができ、4mm以下であってもよく、3mm以下であってもよい。熱伝導シート1は、取り扱い性の観点では、厚みが0.1~4mmであることが好ましい。熱伝導シート1の厚みは、例えば、任意の5箇所で測定し、その算術平均値から求めることができる。
<バインダ樹脂>
熱伝導シート1を構成するバインダ樹脂は、(メタ)アクリレートの硬化物である。熱伝導シート1は、このようなバインダ樹脂を含むことにより、タック性を持たせることができ、例えば、電子部品やヒートシンクの所定の場所に熱伝導シート1を貼り合わせることができる。
熱伝導シート1を構成するバインダ樹脂は、(メタ)アクリレートの硬化物である。熱伝導シート1は、このようなバインダ樹脂を含むことにより、タック性を持たせることができ、例えば、電子部品やヒートシンクの所定の場所に熱伝導シート1を貼り合わせることができる。
(メタ)アクリレートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリルモノマーであってもよいし、2官能(メタ)アクリルモノマーであってもよいし、多官能(メタ)アクリルモノマーであってもよい。例えば、単官能(メタ)アクリルモノマー及び2官能(メタ)アクリルモノマーの少なくとも1種を用いてもよいし、単官能(メタ)アクリルモノマーと2官能(メタ)アクリルモノマーを併用してもよい。タック性と耐熱性を両立する観点からは、単官能(メタ)アクリルモノマーと2官能(メタ)アクリルモノマーを併用することが好ましい。単官能(メタ)アクリルモノマーの構造は、脂肪族モノマー、脂環式モノマー、芳香族モノマー、親水性モノマーなどが挙げられ、脂肪族モノマーが好ましい。
(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリルモノマーの中でも、特に、2-エチルヘキシルアクリレート(アクリル酸2エチルヘキシル)とポリプロピレングリコールジアクリレートを併用することが好ましい。
<熱伝導性フィラー>
熱伝導シート1は、熱伝導性付与の目的で、熱伝導性フィラーを含有する。熱伝導性フィラーは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;アルミニウム、銅、銀等の金属;アルミナ、マグネシア等の金属酸化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性(高熱信頼性)を実現する観点、比重を小さくする観点、低コスト化の観点では、水酸化アルミニウムを用いることが好ましい。熱伝導性フィラーとしては、界面強化や分散性の向上を目的として、シランカップリング剤で熱伝導性フィラーを処理したものを用いてもよい。熱伝導性フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導シート1は、熱伝導性付与の目的で、熱伝導性フィラーを含有する。熱伝導性フィラーは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;アルミニウム、銅、銀等の金属;アルミナ、マグネシア等の金属酸化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性(高熱信頼性)を実現する観点、比重を小さくする観点、低コスト化の観点では、水酸化アルミニウムを用いることが好ましい。熱伝導性フィラーとしては、界面強化や分散性の向上を目的として、シランカップリング剤で熱伝導性フィラーを処理したものを用いてもよい。熱伝導性フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導性フィラーの平均粒子径は、例えば、0.5~100μmの範囲とすることができる。熱伝導性フィラーの充填量の高充填(最密充填)化を狙うとともに、熱伝導シートの熱伝導率をより向上させる観点では、平均粒子径が異なる2種以上の熱伝導性フィラーを用いることが好ましい。単一の熱伝導性フィラーを用いた場合には、粒子と粒子の間に隙間(樹脂の隙間)ができやすいが、平均粒子径が異なる2種以上の熱伝導性フィラーを用いることで、粒子と粒子の間の隙間を埋めやすくなり、その結果、熱伝導シートをより高熱伝導化させることができる。例えば、分散性と高熱伝導性の観点では、熱伝導性フィラーとして、平均粒子径3~20μmの小径のフィラーと、平均粒子径25~100μmの大径のフィラーを併用することが好ましい。特に、本技術に係る熱伝導シート1では、耐熱性(高熱信頼性)も実現する観点で、平均粒子径3~20μm(より好ましくは平均粒子径4~10μm)の水酸化アルミニウムと、平均粒子径25~100μm(より好ましくは平均粒子径50~90μm)の水酸化アルミニウムを併用することが好ましい。
例えば、平均粒子径の異なる2種の熱伝導性フィラーを併用する場合、相対的に小径の熱伝導性フィラーと、相対的に大径の熱伝導性フィラーとの体積比(小径の熱伝導性フィラー:大径の熱伝導性フィラー)は、例えば、15:85~90:10の範囲とすることができ、40:60~60:40の範囲とすることもできる。
熱伝導シート1中の熱伝導性フィラーの含有量は、高熱伝導率を維持しつつ、低誘電率と耐熱性を両立させる観点では、例えば、35体積%超59体積%未満とすることが好ましく、39~54体積%の範囲であってもよく、44~49体積%の範囲であってもよい。
<中空フィラー>
熱伝導シート1は、中空フィラーとしてガラスバルーンを含有する。中空フィラーは、内部が気体であるため、熱伝導シート1の比誘電率を低くすることに寄与する。本技術に係る熱伝導シート1は、低誘電率と耐熱性を両立させる観点から、中空フィラーとしてガラスバルーンを用いる。ガラスバルーンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導シート1は、中空フィラーとしてガラスバルーンを含有する。中空フィラーは、内部が気体であるため、熱伝導シート1の比誘電率を低くすることに寄与する。本技術に係る熱伝導シート1は、低誘電率と耐熱性を両立させる観点から、中空フィラーとしてガラスバルーンを用いる。ガラスバルーンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダ樹脂と中空フィラー(ガラスバルーン)との体積比は、30:23~30:41の範囲であることが好ましく、
ガラスバルーンは、嵩密度が0.1~0.3g/cm3の範囲であることが好ましく、0.1~0.2g/cm3の範囲であってもよい。ガラスバルーンの嵩密度が0.1g/cm3以上であることにより、熱伝導シート1の比誘電率をより効果的に低下させることができる。また、ガラスバルーンの嵩密度が0.3g/cm3以下であることにより、ガラスバルーンの内部の空気量が減少し、熱伝導シート1の比誘電率の低下に寄与しやすい傾向にある。また、ガラスバルーンの嵩密度が0.3g/cm3以下であることにより、ガラスバルーンの外形状が熱伝導シート1に現れることを抑制できるため、発熱体や放熱体に対する熱伝導シート1の密着性の低下を抑制でき、その結果、熱伝導シート1の性能をより確実に発揮させることができる。
ガラスバルーンの平均粒子径は、特に限定されず、例えば、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、30μm以上であってもよい。また、ガラスバルーンの平均粒径の上限値は、例えば、300μm以下であってもよく、100μm以下であってもよく、80μm以下であってもよく、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。
熱伝導シート1中、中空フィラーの含有量は、15体積%超40体積%未満が好ましく、20~35体積%の範囲であってもよく、20~30体積%の範囲であってあってもよく、25~35体積%の範囲であってもよく、25~30体積%の範囲であってもよい。特に、熱伝導シート1中のガラスバルーンの含有量が、上述した熱伝導シート1中の中空フィラーの含有量の範囲を満たすことが好ましい。
また、熱伝導シート1は、耐熱性(高熱信頼性)の観点から、中空フィラーとして、ガラスバルーン以外の中空フィラーを実質的に含まないことが好ましい。具体的には、熱伝導シート1は、中空フィラーとして、有機バルーン及びシラスバルーンを実質的に含まないことが好ましい。有機バルーンは、内部に揮発性溶剤を含むため、高温環境下(特に125℃以上の環境下)では、その揮発性溶剤がバルーン内で気化し、膨張して割れ、熱伝導シートの高熱信頼性を損なうおそれがある。また、シラスバルーンは、ガラスバルーンと比較してせん断力に対して弱いため、例えば樹脂と混合したときに壊れやすい傾向にある。また、シラスバルーンは、ガラスバルーンと比較して透水性が高いため、高湿環境下では水分とより反応しやすい傾向にある。シラスバルーンが水分と反応すると、シラスバルーンの殻が壊れて内包されていた空気が出てしまい、結果的に熱伝導シートの比誘電率を上昇させてしまうおそれがある。なお、熱伝導シート1は、本技術の効果、例えば低誘電率や耐熱性を損なわない範囲で、有機バルーン及びシラスバルーンを含んでもよい。熱伝導シート1中の有機バルーン及びシラスバルーンの含有量は、例えば、10体積%以下とすることができ、5体積%以下であってもよく、3体積%以下であってもよく、1体積%以下であってもよく、0.1体積%以下であってもよく、0体積%であってもよい。
<その他の成分>
本技術に係る熱伝導シート1は、本技術の効果を損なわない範囲で、必要に応じて上述した成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、カップリング剤、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、溶剤などが挙げられる。熱伝導シート1は、例えば、酸化防止剤として、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などを含んでもよく、これらを併用してもよい。
本技術に係る熱伝導シート1は、本技術の効果を損なわない範囲で、必要に応じて上述した成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、カップリング剤、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、溶剤などが挙げられる。熱伝導シート1は、例えば、酸化防止剤として、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などを含んでもよく、これらを併用してもよい。
<熱伝導シートの製造方法>
次に、熱伝導シートの製造方法の一例について説明する。熱伝導シートの製造方法は、例えば、熱伝導シート成形用の組成物、すなわち、(メタ)アクリレートを含むバインダ樹脂と、熱伝導性フィラーと、中空フィラーとを含む熱伝導シート成形用の組成物を塗布して硬化させる。
次に、熱伝導シートの製造方法の一例について説明する。熱伝導シートの製造方法は、例えば、熱伝導シート成形用の組成物、すなわち、(メタ)アクリレートを含むバインダ樹脂と、熱伝導性フィラーと、中空フィラーとを含む熱伝導シート成形用の組成物を塗布して硬化させる。
熱伝導シート成形用の組成物は、上述した(メタ)アクリレートを硬化させるための重合開始剤をさらに含む。重合開始剤としては、光重合用途や熱重合用途で用いられる一般的な光重合開始剤や熱重合開始剤を用いることができる。硬化時間や製造コストの観点では、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンや、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを用いることができる。熱伝導シート成形用の組成物は、上述した他の成分、例えば、酸化防止剤をさらに含んでもよい。
熱伝導シート成形用の組成物の塗布方法としては、例えば、基材(例えば上述した剥離フィルム)上に熱伝導シート成形用の組成物をバーコーターで塗布する方法が挙げられる。
熱伝導シート成形用の組成物の硬化方法としては、例えば、熱伝導シート成形用の組成物が光重合開始剤を含有する場合、塗布した熱伝導シート成形用の組成物の上面及び下面からUVランプを照射して光硬化させる方法が挙げられる。UVランプの照射条件については、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。一例として、光重合開始剤の開裂に必要なエネルギー分だけ、塗布した熱伝導シート成形用の組成物に長波長紫外線(例えば、波長320~400nm)を照射する方法が挙げられる。
<電子機器>
熱伝導シート1は、例えば、発熱体と放熱体との間に配置させることにより、発熱体で生じた熱を放熱体に逃がすためにそれらの間に配された構造の電子機器(サーマルデバイス)とすることができる。電子機器は、発熱体と放熱体と熱伝導シート1とを少なくとも有し、必要に応じて、その他の部材をさらに有していてもよい。
熱伝導シート1は、例えば、発熱体と放熱体との間に配置させることにより、発熱体で生じた熱を放熱体に逃がすためにそれらの間に配された構造の電子機器(サーマルデバイス)とすることができる。電子機器は、発熱体と放熱体と熱伝導シート1とを少なくとも有し、必要に応じて、その他の部材をさらに有していてもよい。
発熱体としては、特に限定されず、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの集積回路素子、トランジスタ、抵抗器など、電気回路において発熱する電子部品等が挙げられる。また、発熱体には、通信機器における光トランシーバ等の光信号を受信する部品も含まれる。
放熱体としては、特に限定されず、例えば、ヒートシンクやヒートスプレッダなど、集積回路素子やトランジスタ、光トランシーバ筐体などと組み合わされて用いられるものが挙げられる。ヒートシンクやヒートスプレッダの材質としては、例えば、銅、アルミニウムなどが挙げられる。放熱体としては、ヒートスプレッダやヒートシンク以外にも、熱源から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであればよく、例えば、放熱器、冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、ベーパーチャンバー、金属カバー、筐体等が挙げられる。ヒートパイプは、例えば、円筒状、略円筒状又は扁平筒状の中空構造体である。
図2は、熱伝導シートを適用した半導体装置の一例を示す断面図である。例えば、熱伝導シート1は、図2に示すように、各種電子機器に内蔵される半導体装置50に実装され、発熱体と放熱体との間に挟持される。図2に示す半導体装置50は、電子部品51と、ヒートスプレッダ52と、熱伝導シート1とを備え、熱伝導シート1がヒートスプレッダ52と電子部品51との間に挟持される。熱伝導シート1が、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に挟持されることにより、ヒートスプレッダ52とともに、電子部品51の熱を放熱する放熱部材を構成する。熱伝導シート1の実装場所は、ヒートスプレッダ52と電子部品51との間や、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に限らず、電子機器や半導体装置の構成に応じて、適宜選択できる。ヒートスプレッダ52は、例えば方形板状に形成され、電子部品51と対峙する主面52aと、主面52aの外周に沿って立設された側壁52bとを有する。ヒートスプレッダ52は、側壁52bに囲まれた主面52aに熱伝導シート1が設けられ、主面52aと反対側の他面52cに熱伝導シート1を介してヒートシンク53が設けられる。
以下、本技術の実施例について説明する。なお、本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
本実施例では、以下の化合物を用いた。
[バインダ樹脂]
ポリプロピレングリコールジアクリレート(製品名:M-270、東亞合成社製)
ひまし油誘導脂肪酸エステル(製品名:GR301)
アクリル酸2エチルヘキシル
ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:スミライザーAO-50、ADEKA社製)
リン系酸化防止剤(商品名:スミライザーGP、住友化学社製)
フェノール系酸化防止剤(商品名:スミライザーGS、住友化学社製)
光重合開始剤(商品名:Omnirad 184、IGM社製)
光重合開始剤(商品名:Omnirad 819、IGM社製)
ポリプロピレングリコールジアクリレート(製品名:M-270、東亞合成社製)
ひまし油誘導脂肪酸エステル(製品名:GR301)
アクリル酸2エチルヘキシル
ヒンダートフェノール系酸化防止剤(商品名:スミライザーAO-50、ADEKA社製)
リン系酸化防止剤(商品名:スミライザーGP、住友化学社製)
フェノール系酸化防止剤(商品名:スミライザーGS、住友化学社製)
光重合開始剤(商品名:Omnirad 184、IGM社製)
光重合開始剤(商品名:Omnirad 819、IGM社製)
[熱伝導性フィラー]
水酸化アルミニウムA(商品名:BX053T、平均粒子径:約6~8μm、日本軽金属社製)
水酸化アルミニウムB(商品名:SB73、平均粒子径:約65~85μm、日本軽金属社製)
水酸化アルミニウムA(商品名:BX053T、平均粒子径:約6~8μm、日本軽金属社製)
水酸化アルミニウムB(商品名:SB73、平均粒子径:約65~85μm、日本軽金属社製)
[中空フィラー]
中空フィラーA;中空ガラスバルーン(商品名:Sphericel 25P45、平均粒子径:45μm、嵩密度:0.14g/cm3、ポッターズ・バロティーニ社製)
中空フィラーB;無機中空フィラー(商品名:ハードライトb-04、主成分:シラス/ガラスバルーン、平均粒子径:100~300μm、嵩密度:0.3~0.4g/cm3、吸水率:25~35wt%、昭和化学工業社製)
中空フィラーC;シラスバルーン(商品名:マールライトEA-15、平均粒子径:約40μm、嵩密度:0.15~0.2g/cm3、丸中白土社製)
中空フィラーD;有機バルーン(商品名:マツモトマイクロスフェアF-65DE、平均粒径:約40~60μm、嵩密度:約0.03g/cm3、松本油脂製薬社製)
中空フィラーE;有機バルーン(商品名:エクスパンセル 920DE80D30、平均粒子径:約60~90μm、嵩密度:約0.03g/cm3、日本フィライト社製)
中空フィラーA;中空ガラスバルーン(商品名:Sphericel 25P45、平均粒子径:45μm、嵩密度:0.14g/cm3、ポッターズ・バロティーニ社製)
中空フィラーB;無機中空フィラー(商品名:ハードライトb-04、主成分:シラス/ガラスバルーン、平均粒子径:100~300μm、嵩密度:0.3~0.4g/cm3、吸水率:25~35wt%、昭和化学工業社製)
中空フィラーC;シラスバルーン(商品名:マールライトEA-15、平均粒子径:約40μm、嵩密度:0.15~0.2g/cm3、丸中白土社製)
中空フィラーD;有機バルーン(商品名:マツモトマイクロスフェアF-65DE、平均粒径:約40~60μm、嵩密度:約0.03g/cm3、松本油脂製薬社製)
中空フィラーE;有機バルーン(商品名:エクスパンセル 920DE80D30、平均粒子径:約60~90μm、嵩密度:約0.03g/cm3、日本フィライト社製)
<実施例1>
バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを20vol%と、水酸化アルミニウムAを27vol%と、水酸化アルミニウムBを27vol%とからなる組成物を調製した。なお、バインダ樹脂とは、表1中の各成分((メタ)アクリレートと、可塑剤(ひまし油誘導脂肪酸エステル)と、光重合開始剤と、酸化防止剤をそれぞれ表1に記載の体積比率(vol%)で混合したものである。調製した組成物の乾燥後の厚みが約1mmとなるようにバーコーターで組成物を塗布し、上面及び下面からUVランプを照射して熱伝導シートを得た。UVランプの照射条件は、波長385nmにおける照度が8mW/cm2のケミカルランプを片面6分ずつ照射した。すなわち、積算光量は、片面で2880mJ/cm2とした。
バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを20vol%と、水酸化アルミニウムAを27vol%と、水酸化アルミニウムBを27vol%とからなる組成物を調製した。なお、バインダ樹脂とは、表1中の各成分((メタ)アクリレートと、可塑剤(ひまし油誘導脂肪酸エステル)と、光重合開始剤と、酸化防止剤をそれぞれ表1に記載の体積比率(vol%)で混合したものである。調製した組成物の乾燥後の厚みが約1mmとなるようにバーコーターで組成物を塗布し、上面及び下面からUVランプを照射して熱伝導シートを得た。UVランプの照射条件は、波長385nmにおける照度が8mW/cm2のケミカルランプを片面6分ずつ照射した。すなわち、積算光量は、片面で2880mJ/cm2とした。
<実施例2>
実施例2では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを25vol%と、水酸化アルミニウムAを24.5vol%と、水酸化アルミニウムBを24.5vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
実施例2では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを25vol%と、水酸化アルミニウムAを24.5vol%と、水酸化アルミニウムBを24.5vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
<実施例3>
実施例3では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを30vol%と、水酸化アルミニウムAを22vol%と、水酸化アルミニウムBを22vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
実施例3では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを30vol%と、水酸化アルミニウムAを22vol%と、水酸化アルミニウムBを22vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
<実施例4>
実施例4では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを35vol%と、水酸化アルミニウムAを19.5vol%と、水酸化アルミニウムBを19.5vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
実施例4では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを35vol%と、水酸化アルミニウムAを19.5vol%と、水酸化アルミニウムBを19.5vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
<比較例1>
比較例1では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを15vol%と、水酸化アルミニウムAを29.5vol%と、水酸化アルミニウムBを29.5vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
比較例1では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを15vol%と、水酸化アルミニウムAを29.5vol%と、水酸化アルミニウムBを29.5vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
<比較例2>
比較例2では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを40vol%と、水酸化アルミニウムAを17vol%と、水酸化アルミニウムBを17vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
比較例2では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーAを40vol%と、水酸化アルミニウムAを17vol%と、水酸化アルミニウムBを17vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
<比較例3>
比較例3では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーBを20vol%と、水酸化アルミニウムAを27vol%と、水酸化アルミニウムBを27vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
比較例3では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーBを20vol%と、水酸化アルミニウムAを27vol%と、水酸化アルミニウムBを27vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
<比較例4>
比較例4では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーCを20vol%と、水酸化アルミニウムAを27vol%と、水酸化アルミニウムBを27vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
比較例4では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーCを20vol%と、水酸化アルミニウムAを27vol%と、水酸化アルミニウムBを27vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
<比較例5>
比較例5では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーDを20vol%と、水酸化アルミニウムAを27vol%と、水酸化アルミニウムBを27vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
比較例5では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーDを20vol%と、水酸化アルミニウムAを27vol%と、水酸化アルミニウムBを27vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
<比較例6>
比較例6では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーEを20vol%と、水酸化アルミニウムAを27vol%と、水酸化アルミニウムBを27vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
比較例6では、バインダ樹脂26vol%と、中空フィラーEを20vol%と、水酸化アルミニウムAを27vol%と、水酸化アルミニウムBを27vol%とからなる組成物を調製したこと以外は実施例1と同様に熱伝導シートを得た。
<バルク熱伝導率>
バルク熱伝導率は、ASTM-D5470に準拠した方法で各熱伝導シートの熱抵抗を測定し、横軸に測定時の熱伝導シートの厚み(mm)、縦軸に熱伝導シートの熱抵抗(℃・cm2/W)をプロットし、そのプロットの傾きから熱伝導シートのバルク熱伝導率(W/m・K)を算出した。熱伝導シートの熱抵抗は、厚みの異なる熱伝導シートを3種類用意して、それぞれの厚みの熱伝導シートについて測定した。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートのバルク熱伝導率が2.0W/m・K以上であったときを○(良)と評価し、熱伝導シートのバルク熱伝導率が1.9W/m・K以上2.0W/m・K未満であったときを△(可)と評価し、熱伝導シートのバルク熱伝導率が1.9W/m・K未満であった時を×(不可)と評価した。
バルク熱伝導率は、ASTM-D5470に準拠した方法で各熱伝導シートの熱抵抗を測定し、横軸に測定時の熱伝導シートの厚み(mm)、縦軸に熱伝導シートの熱抵抗(℃・cm2/W)をプロットし、そのプロットの傾きから熱伝導シートのバルク熱伝導率(W/m・K)を算出した。熱伝導シートの熱抵抗は、厚みの異なる熱伝導シートを3種類用意して、それぞれの厚みの熱伝導シートについて測定した。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートのバルク熱伝導率が2.0W/m・K以上であったときを○(良)と評価し、熱伝導シートのバルク熱伝導率が1.9W/m・K以上2.0W/m・K未満であったときを△(可)と評価し、熱伝導シートのバルク熱伝導率が1.9W/m・K未満であった時を×(不可)と評価した。
<比誘電率>
JIS K6911に準じた方法で、熱伝導シートの厚み方向の比誘電率(28GHz)を測定した。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの比誘電率が3.5以下であったときを○(良)と評価し、熱伝導シートの比誘電率が3.6以下3.5超であったときを△(可)と評価し、熱伝導シートの比誘電率が3.6超であったときを×(不可)と評価した。
JIS K6911に準じた方法で、熱伝導シートの厚み方向の比誘電率(28GHz)を測定した。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの比誘電率が3.5以下であったときを○(良)と評価し、熱伝導シートの比誘電率が3.6以下3.5超であったときを△(可)と評価し、熱伝導シートの比誘電率が3.6超であったときを×(不可)と評価した。
<高温信頼性(125℃)>
熱伝導シートに対して、125℃、72時間のエージング処理を行ったときの熱抵抗値の変化を測定した。具体的には、高温試験後の熱伝導シートの熱抵抗値が、初期熱抵抗値の±50%以内であったときを〇(可)と評価し、初期熱抵抗値の±50%超であったときを×(不可)と評価した。結果を表1に示す。
熱伝導シートに対して、125℃、72時間のエージング処理を行ったときの熱抵抗値の変化を測定した。具体的には、高温試験後の熱伝導シートの熱抵抗値が、初期熱抵抗値の±50%以内であったときを〇(可)と評価し、初期熱抵抗値の±50%超であったときを×(不可)と評価した。結果を表1に示す。
<高温高湿信頼性(85℃/85%)>
熱伝導シートに対して、85℃、相対湿度85%、72時間のエージング処理を行ったときの熱抵抗値の変化を測定した。具体的には、高温高湿試験後の熱伝導シートの熱抵抗値が、初期熱抵抗値の±50%以内であったときを〇(可)と評価し、初期熱抵抗値の±50%超であったときを×(不可)と評価した。結果を表1に示す。
熱伝導シートに対して、85℃、相対湿度85%、72時間のエージング処理を行ったときの熱抵抗値の変化を測定した。具体的には、高温高湿試験後の熱伝導シートの熱抵抗値が、初期熱抵抗値の±50%以内であったときを〇(可)と評価し、初期熱抵抗値の±50%超であったときを×(不可)と評価した。結果を表1に示す。
<総合評価>
熱伝導シートを以下の基準で総合評価した。結果を表1に示す。
○(優):バルク熱伝導率、比誘電率、高温信頼性及び高温高湿信頼性の評価が全て○であったとき。
△(可):バルク熱伝導率、比誘電率、高温信頼性及び高温高湿信頼性の評価に△が1つ以上あったとき。
×(不可):バルク熱伝導率、比誘電率、高温信頼性及び高温高湿信頼性の評価に×が1つ以上あったとき。
熱伝導シートを以下の基準で総合評価した。結果を表1に示す。
○(優):バルク熱伝導率、比誘電率、高温信頼性及び高温高湿信頼性の評価が全て○であったとき。
△(可):バルク熱伝導率、比誘電率、高温信頼性及び高温高湿信頼性の評価に△が1つ以上あったとき。
×(不可):バルク熱伝導率、比誘電率、高温信頼性及び高温高湿信頼性の評価に×が1つ以上あったとき。
実施例1~4で得られた熱伝導シートは、(メタ)アクリレートの硬化物であるバインダ樹脂と、熱伝導性フィラーと、中空フィラーとを含む組成物からなり、バインダ樹脂と熱伝導性フィラーとの体積比が30:45~30:63の範囲であり、中空フィラーがガラスバルーンである。このような実施例1~4で得られた熱伝導シートは、高熱伝導率を維持しつつ、低誘電率と耐熱性を両立できることが分かった。
比較例1では、熱伝導シートの比誘電率を低くすることができないことが分かった。比較例1で得られた熱伝導シートは、バインダ樹脂と熱伝導性フィラーとの体積比が、30:45~30:63の範囲を満たさなかった(熱伝導性フィラーが多すぎた)ためと考えられる。
比較例2では、熱伝導シートの熱伝導率を高くすることができないことが分かった。比較例2で得られた熱伝導シートは、バインダ樹脂と熱伝導性フィラーとの体積比が、30:45~30:63の範囲を満たさなかった(熱伝導性フィラーが少なすぎた)ためと考えられる。
比較例3では、熱伝導シートの比誘電率を低くすることができず、高温高湿耐熱性も良好ではないことが分かった。比較例3で得られた熱伝導シートは、中空フィラーとしてガラスバルーンを用いなかった、すなわち、中空フィラーとしてシラスバルーンを含んだためと考えられる。
比較例4では、熱伝導シートの比誘電率を低くすることができず、また、熱伝導率を高くすることもできず、さらに、熱伝導シートの高温高湿耐熱性も良好ではないことが分かった。比較例4で得られた熱伝導シートは、中空フィラーとしてガラスバルーンを用いなかった、すなわち、中空フィラーとしてシラスバルーンを用いたためと考えられる。
比較例5,6では、熱伝導シートの高温耐熱性が良好ではないことが分かった。比較例5,6で得られた熱伝導シートは、中空フィラーとしてガラスバルーンを用いなかった、すなわち、中空フィラーとして有機バルーンを用いたためと考えられる。
1 熱伝導シート、2 剥離フィルム、3 熱伝導シートの供給形態、50 半導体装置、51 電子部品、52 ヒートスプレッダ、53 ヒートシンク、52a 主面、52b 側壁
バインダ樹脂と中空フィラー(ガラスバルーン)との体積比は、30:23~30:41の範囲であることが好ましい。
Claims (8)
- (メタ)アクリレートの硬化物であるバインダ樹脂と、熱伝導性フィラーと、中空フィラーとを含み、
上記バインダ樹脂と上記熱伝導性フィラーとの体積比が、30:45~30:63の範囲であり、
上記中空フィラーが、ガラスバルーンである、熱伝導シート。 - 上記バインダ樹脂と上記中空フィラーとの体積比が、30:23~30:41の範囲である、請求項1に記載の熱伝導シート。
- 当該熱伝導シートの熱伝導率が1.6W/m・Kを超え、且つ、
当該熱伝導シートの比誘電率が3.6以下である、請求項1又は2に記載の熱伝導シート。 - 上記ガラスバルーンの嵩密度が0.1~0.3g/cm3の範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
- 上記熱伝導性フィラーが水酸化アルミニウムである、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
- 上記中空フィラーが、有機バルーン及びシラスバルーンの少なくとも1種を実質的に含まない、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
- (メタ)アクリレートを含むバインダ樹脂と、熱伝導性フィラーと、中空フィラーとを含む熱伝導シート形成用の組成物を塗布して硬化させる工程を含み、
上記熱伝導シート形成用の組成物中、上記バインダ樹脂と上記熱伝導性フィラーとの体積比が、30:45~30:63の範囲であり、
上記中空フィラーが、ガラスバルーンである、熱伝導シートの製造方法。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導シートを備える、電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021106695A JP2023005028A (ja) | 2021-06-28 | 2021-06-28 | 熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2021106695A JP2023005028A (ja) | 2021-06-28 | 2021-06-28 | 熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法 |
Publications (1)
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JP2023005028A true JP2023005028A (ja) | 2023-01-18 |
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JP2021106695A Pending JP2023005028A (ja) | 2021-06-28 | 2021-06-28 | 熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法 |
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2021
- 2021-06-28 JP JP2021106695A patent/JP2023005028A/ja active Pending
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