JP2015119016A - 熱拡散材および電子部品 - Google Patents

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昭 平尾
香 三木
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Abstract

【課題】筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる熱拡散材を提供する。また、そのような熱拡散材を有する、放熱性や組み立て作業性に優れた電子部品を提供する。【解決手段】本発明の熱拡散材は、熱伝導抑制層と高熱伝導層とを有し、該熱伝導抑制層は、中空部分と表面層を含む中空微粒子を含み、該表面層が樹脂成分を主成分として含み、定常法によって測定される熱伝導率が0.07W/m・K以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱拡散材および電子部品に関する。
近年、パーソナルコンピューター、タブレットPC、PDA、携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器の小型化、薄型化および高性能化に伴い、それらの電子機器の内部に配置されたCPU、LSI、通信チップ等の電子部品の高密度化および高集積化、および、当該電子部品のプリント配線基板への高密度実装化が進んでいる。当該電子機器の薄型化により、電子部品と筐体との距離が非常に小さくなり、その結果、電子部品から筐体へ放射される熱により、筐体表面にホットスポット(部分的に温度が高いエリア)が発生するという問題、および、筐体表面の温度上昇に伴って使用者が低温火傷を起こすという問題が生じる。さらに、上記電子部品の高密度化および高集積化に伴い、当該電子部品の発熱量が大きくなっており、冷却を効率よく行わなければ、電子機器が熱暴走により誤動作してしまうという問題が生じる。
従来、電子部品から発生した熱を外部に効率よく放出する手段として、熱伝導性充填剤を充填したシリコーングリースやシリコーンゴムを、電子部品とヒートシンク(代表的には、アルミニウム、銅、それらの合金等から構成される)との間に設置することにより、接触熱抵抗を小さくして、熱伝導によって熱をヒートシンクに導き、ヒートシンクから空気中に放熱する手段がある。また、ヒートシンクの代わりに合金製のヒートパイプを設置し、ヒートパイプ内の熱伝導によって熱を冷却ファンに導き、当該冷却ファンから筐体外部に放熱する手段がある。これらの手段に用いられるヒートシンクおよびヒートパイプはいずれも、熱伝導率の高い物質を用いて形成されている。したがって、ヒートシンクまたはヒートパイプの筐体内における放熱により、電子部品周辺の筐体表面温度が上昇する。すなわち、これらの手段によっては、上記のホットスポットの問題および使用者の低温火傷の問題は十分に解決されない。
上記のような問題を解決するために、装置内部の発熱部と筐体との間に放熱板と真空断熱材とを重ねて配置した放熱構造が提案されている(特許文献1参照)。また、断熱シートと電子部品に密着可能な柔軟な材料で形成された熱伝導シートとを有する複合シートを、熱伝導シートが電子部品側となり、かつ、電子部品と筐体内面の両方に接触した状態で配置した放熱構造が提案されている(特許文献2参照)。電子部品と対向するよう筐体内面上に配置された押当部材と、当該押当部材を介して一部が電子部品に押し当てられ、かつ、他の部分が筐体内面に固着された熱拡散シートとを有する冷却構造が提案されている(特許文献3参照)。しかし、上記特許文献に記載のいずれの技術によっても、筐体表面温度の上昇およびホットスポットの問題を十分に解決することはできない。
特許第3590758号公報 特許第4104887号公報 特開平10−229287号公報
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる熱拡散材を提供することにある。また、そのような熱拡散材を有する、放熱性や組み立て作業性に優れた電子部品を提供することにある。
本発明の熱拡散材は、
熱伝導抑制層と高熱伝導層とを有し、
該熱伝導抑制層は、中空部分と表面層を含む中空微粒子を含み、
該表面層が樹脂成分を主成分として含み、
定常法によって測定される熱伝導率が0.07W/m・K以下である。
好ましい実施形態としては、上記中空微粒子の平均粒子径が50μm未満である。
好ましい実施形態としては、上記中空微粒子に含まれる表面層がスチレン系共重合体またはアクリロニトリル系共重合体を主成分とする。
好ましい実施形態としては、上記熱伝導抑制層のステンレス板に対する180度引き剥がし接着力が5N/20mm以上である。
好ましい実施形態としては、上記熱伝導抑制層が、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種を含む。
好ましい実施形態としては、上記高熱伝導層が金属箔を含む。
好ましい実施形態としては、本発明の熱拡散材は、内部に発熱体を有する筐体に固定して用いられ、該発熱体の放熱面と対峙する位置で前記熱伝導抑制層側が該筐体に固定される。
好ましい実施形態としては、上記発熱体に密着することなく該発熱体の放熱面と対峙する位置で前記熱伝導抑制層側が前記筐体に固定される。
本発明の電子部品は、
内部に発熱体を有する電子部品であって、
該発熱体の放熱面と対峙する位置に、本発明の熱拡散材の熱伝導抑制層側が固定されている。
好ましい実施形態としては、上記発熱体に密着することなく該発熱体の放熱面と対峙する位置に上記熱伝導抑制層側が固定されている。
好ましい実施形態としては、上記熱拡散材が有する高熱伝導層が、上記発熱体の放熱面の面積に対して4倍以上の面積を有する。
本発明によれば、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる熱拡散材を提供することができる。
また、内部に発熱体を有する電子部品において、本発明の熱拡散材の熱伝導抑制層側を該発熱体の放熱面と対峙する位置に固定することにより、発熱体からの輻射熱を該高熱伝導層で効率良く反射するとともに、対流によって該高熱伝導層に伝達した熱を、該高熱伝導層の面方向に効率良く熱拡散し、かつ、該熱伝導抑制層を通じて熱拡散材の厚さ方向に徐々に伝導しながら、筐体に放熱することが可能となる。したがって、小型電子機器のような非常に狭小な空間内であっても、発熱体からの熱を非常に効率的に放熱することができ、結果として、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を良好に抑制することができる。したがって、放熱性に非常に優れた電子部品を提供することもできる。
また、本発明によれば、高熱伝導層を発熱体に接触させる必要が必ずしもないので、高熱伝導層の輻射熱反射機能を有効に利用することができる。その結果、発熱体の発熱量が同等である場合には、発熱体と接触させて熱拡散のみで放熱する場合に比べて、高熱伝導層から熱伝導抑制層へ伝導される熱量を少なくすることができるので、熱伝導抑制層から筐体に放熱される熱量もまた少なくすることができ、筐体表面の過大な温度上昇を回避することができる。さらに、熱拡散材を発熱体と非接触で用いることにより、該熱拡散材を発熱体の形状に追従させる必要がない。その結果、発熱体の高さにバラツキがあっても、熱拡散材を発熱体の形状に合わせて変形させて密着させる必要がないので、発熱体(あるいは、それを含む電子部品)の公差による寸法バラツキを吸収することができ、製造効率およびコストにおいても有利である。
さらに、本発明によれば、熱拡散材の熱伝導抑制層が十分な粘着力を有するので、粘着剤や接着剤を用いることなく、熱伝導抑制層を介して筐体に取り付けることができ、また、筐体への取り付け作業がきわめて容易である。
本発明の1つの実施形態による熱拡散材の概略断面図である。 本発明の別の実施形態による熱拡散材の概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による熱拡散材の概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による熱拡散材の概略断面図である。 本発明の1つの実施形態による電子部品の概略断面図である。 本発明に関連する熱伝導率測定の概略図である。 本発明に関連する熱対策効果の測定の概略図である。
A.熱拡散材の概略
本発明の熱拡散材は、熱伝導抑制層と高熱伝導層とを有する。
本発明の熱拡散材の代表的な構造としては、大きさが実質的に等しい熱伝導抑制層2と高熱伝導層3からなる熱拡散材10(図1)が挙げられる。なお、大きさが異なる熱伝導抑制層2と高熱伝導層3からなる熱拡散材としても良い。また、本発明の熱拡散材は、粘着剤層および/または接着剤層を有していても良い。そのような構成の代表例としては、熱伝導抑制層2と高熱伝導層3との間に接着剤層4を有する熱拡散材11(図2)が挙げられる。さらに、本発明の熱拡散材は、発熱体との短絡防止等を目的として、絶縁層を有していても良い。そのような構成の代表例としては、熱伝導抑制層2と高熱伝導層3とが積層され、さらに高熱伝導層3の外側に絶縁層5を有する熱拡散材12(図3)が挙げられる。さらに、本発明の熱拡散材は、図1に示すような熱伝導抑制層2と高熱伝導層3からなる熱拡散材が複数重なった構造であってもよい。そのような構成の代表例としては、熱伝導抑制層2と高熱伝導層3からなる部材が2つ重なった熱拡散材13(図4)が挙げられる。
本発明の熱拡散材は、熱伝導抑制層が、後述するように、十分な粘着力を有するので、粘着剤や接着剤を用いることなく、熱伝導抑制層を介して筐体に取り付けることができる。このため、本発明の熱拡散材は、熱伝導抑制層が最外層に位置していることが好ましい。
なお、図1〜図4において例示した熱拡散材の代表的な形態は、適宜組み合わせても良く、変更を加えても良い。例えば、本発明の熱拡散材における熱伝導抑制層は、後述するように、その特異な構造によって、十分な粘着力を有するので、粘着剤や接着剤を用いることなく、熱伝導抑制層を介して筐体に取り付けることができるが、より確実な固定のために、熱伝導抑制層の外側面にさらに粘着剤層および/または接着剤層を有していても良い。
本発明の熱拡散材は、任意の適切な形状を採り得る。本発明の熱拡散材における、厚さ、長辺および短辺等の長さは、任意の適切な値を採り得る。
B.熱伝導抑制層
本発明の熱拡散材においては、熱伝導抑制層の熱伝導率を小さくすることで、発熱体から対流によって高熱伝導層に伝達した熱を、該高熱伝導層の面方向に効率良く拡散することができる。その結果、高熱伝導層に伝達した熱を、熱伝導抑制層を通じて熱拡散材の厚さ方向に徐々に伝導しながら、筐体に放熱することができる。このような熱伝導抑制層は、高熱伝導層が等方的な熱伝導率を有する(方向によって熱伝導率に差が見られない)場合に、特に有効である。
定常法により測定される熱伝導抑制層の熱伝導率は0.07W/m・K以下であり、好ましくは0.065W/m・K以下であり、より好ましくは0.06W/m・K以下であり、さらに好ましくは0.055W/m・K以下であり、特に好ましくは0.05W/m・K以下である。熱伝導抑制層の定常法により測定される熱伝導率が0.07W/m・Kより大きいと、発熱体から対流によって高熱伝導層に伝達した熱が、高熱伝導層の厚さ方向に直ちに伝導するので、筐体表面の温度上昇の抑制効果およびホットスポット抑制効果が低下するおそれがある。
熱伝導抑制層は、中空部分と表面層を含む中空微粒子を含む。具体的には、本発明における中空微粒子の形状は、中空部分が表面層(シェル層ともいうことがある)によって覆われた形状であり、コアシェル形状のコア部分が中空になっている形状である。熱伝導抑制層がこのような中空微粒子を含むことにより、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる熱拡散材を提供することができる。
中空微粒子の表面層は、樹脂成分を主成分として含む。中空微粒子の表面層中の樹脂成分の含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60重量%以上であり、さらに好ましくは70重量%であり、さらに好ましくは80重量%以上であり、特に好ましくは90重量%以上であり、最も好ましくは実質的に100重量%である。中空微粒子の表面層が樹脂成分を主成分として含むことにより、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる熱拡散材を提供することができる。
中空微粒子の表面層に含まれる樹脂成分としては、本発明の効果が発現できる範囲内で、任意の適切な樹脂成分を採用し得る。このような樹脂成分としては、例えば、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体などが挙げられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体が好ましい。すなわち、中空微粒子に含まれる表面層がスチレン系共重合体またはアクリロニトリル系共重合体を主成分とすることが好ましい。中空微粒子に含まれる表面層がスチレン系共重合体またはアクリロニトリル系共重合体を主成分とすることにより、耐熱性に優れ、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を一層抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる熱拡散材を提供することができる。
中空微粒子の平均粒子径は、好ましくは50μm未満であり、より好ましくは45μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下であり、特に好ましくは35μm以下であり、最も好ましくは30μm以下である。中空微粒子の平均粒子径を上記範囲内に調整することにより、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を一層抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる熱拡散材を提供することができる。
中空微粒子の比重は、好ましくは0.01g/cm〜0.8g/cmであり、より好ましくは0.01g/cm〜0.7g/cmであり、さらに好ましくは0.01g/cm〜0.6g/cmであり、特に好ましくは0.01g/cm〜0.5g/cmである。中空微粒子の比重を上記範囲内に調整することにより、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を一層抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる熱拡散材を提供することができる。中空微粒子の比重が0.01g/cmよりも小さいと、中空微粒子を熱伝導抑制層の構成母材(後述する)中に配合して混合や保存を行う際に、中空微粒子の浮き上がりが大きくなってしまい、均一に分散することが困難になるおそれや、分散状態を維持することが困難になるおそれがある。また、中空微粒子の比重が0.8g/cmよりも大きいと、目的の熱伝導率を達成するために必要な添加量が増加してしまい、コストが高くなってしまうおそれや、中空微粒子を熱伝導抑制層の構成母材(後述する)中に配合して混合や保存を行う際に高粘度となって均一に分散できなくなるおそれがある。
中空微粒子の表面層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な大きさの貫通孔を有していても良い。
熱伝導抑制層中における中空微粒子の含有割合は、体積占有率として、好ましくは20体積%以上であり、より好ましくは30体積%以上であり、さらに好ましくは40体積%以上であり、特に好ましくは50体積%以上である。熱伝導抑制層中における中空微粒子の含有割合の上限値は、好ましくは80体積%以下であり、より好ましくは70体積%以下である。熱伝導抑制層中における中空微粒子の含有割合を上記範囲内に調整することにより、筐体表面の温度上昇およびホットスポットの発生を一層抑制することができ、さらに、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる熱拡散材を提供することができる。
熱伝導抑制層は、構成母材として、好ましくは、粘着剤を含む。粘着剤としては、好ましくは、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種を含む。
このような粘着剤の構成としては、当業界で通常用いられている構成を採用することができる。このような粘着剤としては、より好ましくは、アクリル系粘着剤である。
以下、粘着剤がアクリル系粘着剤である場合を代表例として、熱伝導抑制層の製造方法について説明する。
熱伝導抑制層は、任意の適切な方法で製造され得る。このような製造方法としては、例えば、構成母材としての粘着剤の原料と中空微粒子を含む粘着剤組成物を賦形および重合することによって製造され得る。好ましくは、構成母材としての粘着剤の原料と中空微粒子を含む活性エネルギー線重合型粘着剤組成物を賦形および重合することによって製造され得る。より詳細には、熱伝導抑制層は、上記のような活性エネルギー線重合型粘着剤組成物(モノマー組成物)を基材の一面に塗工した後に、活性エネルギー線重合により該モノマー組成物を重合することにより形成される。活性エネルギー線重合を用いることにより、用いる活性エネルギー線の照射強度や照射時間等を制御することで、所望の特性を有する熱伝導抑制層を形成することができ、かつ、初期にゲル化率が飽和するため、架橋のための養生時間を必要としないので、製造効率上も有利である。さらに、モノマー以外は、有機溶剤などの環境負荷物質を使用しなくても良いので、環境面からも好ましい方法である。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、紫外線、可視光線であり、より好ましくは、波長が200nm〜800nmの可視光線〜紫外線であり、さらに好ましくは紫外線である。
このような重合方法においては、例えば、モノマー成分と中空微粒子と光重合開始剤と架橋剤とを含む紫外線重合型粘着剤組成物を基材の一面に直接塗工し、不活性ガス雰囲気下あるいはシリコーン等の剥離剤をコートした紫外線透過性フィルムによる被覆で酸素が遮断された状態で紫外線を照射することにより、熱伝導抑制層を得ることができる。
モノマー成分は、好ましくは、エチレン性不飽和モノマーを含む。エチレン性不飽和モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーであれば、任意の適切なモノマーを採用することができる。1つの実施形態においては、モノマー成分の実質的にすべてが、エチレン性不飽和モノマーで構成され得る。エチレン性不飽和モノマーは、1種のみでも良く、2種以上でも良い。
エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは(メタ)アクリル酸エステルを含む。エチレン性不飽和モノマー中の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合は、好ましくは80重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上である。(メタ)アクリル酸エステルの含有割合の上限値は、好ましくは、100重量%以下であり、より好ましくは98重量%以下である。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみでも良く、2種以上でも良い。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、好ましくは、炭素数が1個〜20個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。上記アルキル基の炭素数は、より好ましくは1個〜18個であり、さらに好ましくは4個〜18個であり、特に好ましくは4個〜14個である。なお、本明細書において、アルキル基という概念には、通常のアルキル基以外に、シクロアルキル基、アルキル(シクロアルキル)基、(シクロアルキル)アルキル基をも含む。また、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルの意味であり、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートの意味である。
炭素数が1個〜20個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な極性モノマーをさらに含む。当該極性モノマーを含むことにより、本発明の効果がより顕著となる粘着剤層を得ることができる。エチレン性不飽和モノマー中の極性モノマーの含有割合は、好ましくは0重量%を超えており、より好ましくは1重量%以上であり、さらに好ましくは2重量%以上である。極性モノマーの含有割合の上限値は、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下である。極性モノマーは、1種のみでも良く、2種以上でも良い。
極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;などが挙げられる。
活性エネルギー線重合型粘着剤組成物には、好ましくは、光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(例として、BASF製、商品名;ダロキュア−2959)、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン(例として、BASF製、商品名;ダロキュア−1173)、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(例として、BASF製、商品名;イルガキュア−651)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(例として、BASF製、商品名;イルガキュア−184)などのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系光重合開始剤;その他のハロゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキサイド(例として、BASF製、商品名;イルガキュア−819);などを挙げることができる。光重合開始剤は、1種のみでも良く、2種以上でも良い。
光重合開始剤の含有割合は、活性エネルギー線重合型粘着剤組成物全体に対し、好ましくは0.05重量%以上であり、より好ましくは0.1重量%以上である。光重合開始剤の含有割合の上限値は、好ましくは5.0重量%以下であり、より好ましくは1.0重量%以下である。光重合開始剤の含有割合が0.05重量%未満の場合には、未反応のモノマー成分が多くなり、得られる熱伝導抑制層の残存モノマー量が増加するおそれがある。重合開始剤の含有割合が5.0重量%を超える場合には、得られる熱伝導抑制層のゲル分率が低下するおそれがある。
なお、光重合開始剤によるラジカル発生量は、照射する光の種類、強度、照射時間、モノマー混合物中の溶存酸素量などによって変化し得る。また、溶存酸素が多い場合には、光重合開始剤によるラジカル発生量が抑制され、重合が十分に進行せず、未反応物が多くなることがある。したがって、光照射の前に、反応系中に窒素等の不活性ガスを吹き込み、酸素を不活性ガスで置換、または、減圧処理によって脱気しておくことが好ましい。
活性エネルギー線重合型粘着剤組成物には、好ましくは、架橋剤が含まれる。架橋剤は、代表的には、ポリマー鎖同士を連結して三次元的な分子構造を構築するために用いられる。架橋剤の種類と含有量の選択は、得られる熱伝導抑制層に所望される構造的特性、機械的特性、および流体処理特性に応じて決定され得る。架橋剤の具体的な種類および含有量の選択は、熱伝導抑制層の構造的特性、機械的特性、および流体処理特性の望ましい組み合わせを実現する上で重要となる。架橋剤は、1種のみでも良く、2種以上でも良い。
熱伝導抑制層の形成においては、好ましくは、架橋剤として、多官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上が使用され得る。ここで、多官能(メタ)アクリレートとは、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレートであり、多官能(メタ)アクリルアミドとは、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリルアミドである。
架橋剤として、重量平均分子量の異なる少なくとも2種類の架橋剤を用いても良い。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジアクリレート類、トリアクリレート類、テトラアクリレート類、ジメタクリレート類、トリメタクリレート類、テトラメタクリレート類などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートは、例えば、ジオール類、トリオール類、テトラオール類、ビスフェノールA類などから誘導できる。具体的には、例えば、1,10−デカンジオール、1,8−オクタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ブタン−2−エンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性物などから誘導できる。
多官能(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジアクリルアミド類、トリアクリルアミド類、テトラアクリルアミド類、ジメタクリルアミド類、トリメタクリルアミド類、テトラメタクリルアミド類などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリルアミドは、例えば、対応するジアミン類、トリアミン類、テトラアミン類などから誘導できる。
架橋剤の使用量は、活性エネルギー線重合型粘着剤組成物中のエチレン性不飽和モノマーの合計量100重量部に対して、好ましくは0.05重量部以上であり、より好ましくは0.08重量部以上である。架橋剤の使用量の上限値は、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは1.5重量部以下である。架橋剤の使用量が、活性エネルギー線重合型粘着剤組成物中のエチレン性不飽和モノマーの合計量100重量部に対して0.05重量部未満の場合、耐熱性が低下してしまうおそれがある。架橋剤の使用量が、活性エネルギー線重合型粘着剤組成物中のエチレン性不飽和モノマーの合計量100重量部に対して2重量部を超える場合、得られる熱伝導抑制層の粘着力が低下してしまうおそれがある。
活性エネルギー線重合型粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれ得る。このような添加剤としては、例えば、粘着付与樹脂;タルク;炭酸カルシウム、ケイ酸やその塩類、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、水酸化アルミニウム、クレー、雲母粉、亜鉛華、ベントナイン、カーボンブラック、シリカ、アセチレンブラックなどの充填剤;顔料;染料;などが挙げられる。このような添加剤は、1種のみであっても良く、2種以上であっても良い。
活性エネルギー線重合型粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分が含まれ得る。このようなその他の成分としては、代表的には、酸化防止剤、光安定剤などが挙げられる。その他の成分は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。酸化防止剤は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
活性エネルギー線の照射による重合を用いた熱伝導抑制層の製造方法においては、上記のとおり、活性エネルギー線は、好ましくは波長が200nm〜800nmの可視光線〜紫外線であり、より好ましくは紫外線である。200nm〜800nmの波長で活性化できる光重合開始剤は入手しやすく、光源も入手しやすい。活性エネルギー線の波長は、より好ましくは300nm以上である。活性エネルギー線の波長の上限値は、より好ましくは450nm以下である。
活性エネルギー線の照射に用いられる代表的な装置としては、例えば、紫外線照射を行うことができる紫外線ランプとして、波長300nm〜400nm領域にスペクトル分布を持つ装置が挙げられ、その例としては、ケミカルランプ、ブラックライト(東芝ライテック(株)製)、メタルハライドランプ、LEDランプなどが挙げられる。
活性エネルギー線の照射を行う際の照度は、照射装置から被照射物までの距離や電圧の調節によって、任意の適切な照度に設定され得る。例えば、特開2003−13015号公報に開示された方法によって、各工程における紫外線照射をそれぞれ複数段階に分割して行い、それにより重合反応を精密に調節することができる。
紫外線照射は、重合禁止作用のある酸素が及ぼす悪影響を防ぐために、例えば、熱可塑性樹脂フィルム等の基材の一面に活性エネルギー線重合型粘着剤組成物を塗工して賦形した後に不活性ガス雰囲気下で行うことや、熱可塑性樹脂フィルム等の基材の一面に活性エネルギー線重合型粘着剤組成物を塗工して賦形した後にシリコーン等の剥離剤をコートしたポリエチレンテレフタレート等の紫外線は通過するが酸素を遮断するフィルムを被覆させて行うことが好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、一面に活性エネルギー線重合型粘着剤組成物を塗工して賦形できるものであれば、任意の適切な熱可塑性樹脂フィルムを採用し得る。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムやシートが挙げられる。また、該フィルムは、一方またはその両面に剥離処理されていてもよい。
不活性ガス雰囲気とは、光照射ゾーン中の酸素を不活性ガスにより置換した雰囲気をいう。したがって、不活性ガス雰囲気においては、できるだけ酸素が存在しないことが好ましく、酸素濃度で5000ppm以下であることが好ましい。
熱伝導抑制層は、ステンレス板に対する180度引き剥がし接着力が、好ましくは5N/20mm以上であり、より好ましくは5.5N/20mm以上であり、さらに好ましくは6.0N/20mm以上であり、特に好ましくは6.5N/20mm以上であり、最も好ましくは7.0N/20mm以上である。上記接着力の上限値は、現実的には、好ましくは100N/20mm以下であり、より好ましくは50N/20mm以下であり、さらに好ましくは30N/20mm以下であり、特に好ましくは20N/20mm以下である。熱伝導抑制層のステンレス板に対する180度引き剥がし接着力を上記範囲内に調整することにより、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる熱拡散材を提供することができる。
熱伝導抑制層の厚みは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採用し得る。本発明の熱拡散材を電子部品の内部に固定して用いることを考慮する場合、熱伝導抑制層の厚みは、例えば、好ましくは1μm〜1000μmであり、より好ましくは5μm〜500μmであり、さらに好ましくは10μm〜100μmである。
C.高熱伝導層
高熱伝導層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な高い熱伝導を発現できる層を採用し得る。このような高熱伝導層としては、好ましくは、金属箔が挙げられる。金属箔は、1枚のみでも良いし、2枚以上の積層体でも良い。
金属箔の材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅が挙げられる。高い遠赤外線反射率を有し、かつ、プロセスコストの安価な、アルミニウム箔、銅箔が好ましい。
高熱伝導層の遠赤外線吸収率は、FT−IRを用いて測定した波長7μm〜10μmにおける透過率と反射率から、式1を用いて算出される。波長7μm〜10μmにおける高熱伝導層の遠赤外線吸収率は、好ましくは0.6以下であり、より好ましくは0.4以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。波長7μm〜10μmにおける熱伝導層の遠赤外線吸収率が0.6より大きいと、発熱体から放出される遠赤外線を高熱伝導層でも吸収し、変換した熱を直ちに周囲へ固体熱伝導するため、筐体表面にホットスポットが発生するおそれがある。また、発熱体から放出される遠赤外線を高熱伝導層が透過することにより、透過した遠赤外線を筐体が吸収し、筐体表面の温度が上昇するおそれがある。
遠赤外線吸収率=1−(透過率+反射率)/100 ・・・式1
高熱伝導層の波長7μm〜10μmにおける遠赤外線反射率は、好ましくは0.4以上であり、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは0.7以上である。高熱伝導層の遠赤外線反射率が0.4より小さいと、高熱伝導層での遠赤外線の反射が十分に起きず、遠赤外線の吸収または透過により筐体表面の温度が上昇するおそれがある。なお、高熱伝導層の遠赤外線反射率は、FT−IRを用いた反射率測定により求めることができる。
定常法から測定される高熱伝導層の熱伝導率は、好ましくは200W/m・K以上であり、より好ましくは300W/m・K以上であり、さらに好ましくは400W/m・K以上である。定常法から測定される高熱伝導層の熱伝導率が200W/m・Kより小さいと、熱伝導抑制層からの固体熱伝導性が低下するため、発熱体から放出される遠赤外線を熱伝導抑制層が効率よく吸収することができなくなり、発熱体の温度上昇を抑制することができなくなるおそれがある。なお、定常法から測定される高熱伝導層の熱伝導率の実用的な上限値は、好ましくは1500W/m・K以下である。
高熱伝導層の厚みは、目的に応じて、任意の適切な厚みに調整し得る。高熱伝導層の厚みは、好ましくは0.03mm以上であり、より好ましくは0.05mm以上であり、さらに好ましくは0.1mm以上であり、特に好ましくは0.15mm以上である。高熱伝導層の厚みの上限値は、現実的には、好ましくは10mm以下である。高熱伝導層の厚みが0.03mmより小さい場合には、高熱伝導層内での面方向の熱拡散性が低下しやすくなり、筐体表面のホットスポット発生の抑制効果が低下するおそれがある。
高熱伝導層の面積は、目的に応じて、任意の適切な面積に調整し得る。本発明の熱拡散材が、内部に発熱体を有する筐体に固定して用いられ、該発熱体の放熱面と対峙する位置で熱伝導抑制層側が該筐体に固定される場合、高熱伝導層の面積は、当該発熱体の放熱面の面積に対して、4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、8倍以上であることがさらに好ましく、10倍以上であることが特に好ましい。上記面積倍率の上限は、筐体のサイズによって任意の適切な値を採り得るが、現実的には、好ましくは100倍以下であり、より好ましくは50倍以下であり、さらに好ましくは30倍以下である。このような構成であれば、発熱体で生じた熱を、高熱伝導層を介して面方向に効率的に拡散することができ、高熱伝導層で拡散された熱が熱伝導抑制層を介して筐体表面に徐々に伝導するので、筐体表面の局所的な温度上昇を防ぐことが可能となる。一方、高熱伝導層の面積が発熱体の放熱面の面積に対して4倍より小さい場合には、高熱伝導層内での面方向の熱拡散性が不十分となり、筐体表面のホットスポット発生の抑制効果が不十分となるおそれがある。
本発明の熱拡散材が、このような高熱伝導層を有することにより、発熱体からの輻射伝熱を抑制することができ、かつ、発熱体からの対流による熱伝達に起因する発熱体の温度上昇を抑制することができるとともに、高熱伝導層内での面方向の熱拡散によって、筐体表面の温度上昇およびホットスポットを抑制することが可能になる。また、本発明の熱拡散材においては、高熱伝導層を発熱体に接触させる必要が必ずしもないので、高熱伝導層の輻射熱反射機能を有効に利用することができる。その結果、発熱体の発熱量が同等である場合には、発熱体と接触させて熱拡散のみで放熱する場合に比べて、高熱伝導層から熱伝導抑制層へ伝導される熱量を少なくすることができるので、熱伝導抑制層から筐体に放熱される熱量もまた少なくすることができ、筐体表面の過大な温度上昇を回避することができる。
D.粘着剤層
粘着剤層としては、任意の適切な粘着剤で形成された粘着剤層を採用することができる。用いられる粘着剤の具体例としては、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤が挙げられる。
粘着剤層の厚みは、好ましくは0.01mm〜0.05mmであり、より好ましくは0.01mm〜0.03mmである。粘着剤層の厚みが0.01mmより小さいと、粘着面に対する追従性に劣り、これによって剥離が生じた場合には、固体熱伝導性が低下する場合が多い。一方、粘着剤層の厚みが0.1mmを超えると、薄型化が進む電子機器に対し、非接触条件での熱拡散材の導入が困難となるおそれがある。
E.接着剤層
接着剤層としては、任意の適切な接着剤で形成された粘着剤層を採用することができる。用いられる粘着剤の具体例としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤が挙げられる。
接着剤層の厚みは、好ましくは0.01mm〜0.05mmであり、より好ましくは0.01mm〜0.03mmである。粘着剤層の厚みが0.01mmより小さいと、接着面に対する追従性に劣り、これによって剥離が生じた場合には、固体熱伝導性が低下する場合が多い。一方、粘着剤層の厚さが0.1mmを超えると、薄型化が進む電子機器に対し、非接触条件での熱拡散材の導入が困難となるおそれがある。
F.絶縁層
絶縁層としては、任意の適切な絶縁性材料によって形成された絶縁層を採用することができる。用いられる絶縁層の具体例としては、例えば、ポリエステル層などの絶縁性樹脂の層が挙げられる。
G.熱拡散材の用途
本発明の熱拡散材は、内部に発熱体を有する筐体に固定して用いられ、高熱伝導層が該発熱体の放熱面と対峙する位置で熱伝導抑制層側が該筐体に固定される。このようにして得られる熱拡散材付筐体は、発熱体の温度上昇が抑制され、筐体表面にホットスポットが発生し難く、筐体表面の温度上昇も抑制される。さらに、本発明の熱拡散材は、熱伝導抑制層が非常に優れた粘着性を有するので、筐体への取り付け作業がきわめて容易で、かつ、筐体への密着性に優れる。
H.電子部品
本発明の電子部品は、内部に発熱体を有する電子部品であって、該発熱体の放熱面と対峙する位置に、本発明の熱拡散材の熱伝導抑制層側が固定されている。
図5は、本発明の電子部品の1つの実施形態を示した概略断面図である。図5に示す電子部品は、内部に発熱体20が配置された筐体30を有し、熱伝導抑制層2と高熱伝導層3からなる熱拡散材10が、発熱体20の放熱面と対峙する位置で熱伝導抑制層2側が筐体30に固定されている。
図5に示すように、本発明の電子部品においては、好ましくは、熱伝導抑制層2が筐体30に直接に固定される。これは、熱伝導抑制層2が、その特異な構造によって、十分な粘着力を有するので、粘着剤や接着剤を用いることなく、直接に筐体30に取り付けることができるからである。
図5に示すように、本発明の電子部品においては、好ましくは、熱拡散材10が発熱体20に密着することなく、発熱体20の放熱面と対峙する位置で熱伝導抑制層2が筐体30に固定されている。しかしながら、電子部品のサイズによっては、熱拡散材10と発熱体20とが密着する状態でそれぞれが筐体30に固定されざるをえない場合もあり得る。このような場合には、例えば、熱拡散材10と発熱体20との間に絶縁層を存在させ、短絡を防止することが好ましい。この絶縁層は、好ましくは、熱拡散材10の熱伝導抑制層2における発熱体20の放熱面と対峙する側に設けられる。
本発明の電子部品においては、図5に示すように、熱拡散材10の発熱体20の放熱面と対峙する側の面の面積が、発熱体10の放熱面の面積の4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、8倍以上であることがさらに好ましく、10倍以上であることが特に好ましい。上記面積倍率の上限は、電子部品のサイズによって任意の適切な値を採り得るが、現実的には、好ましくは100倍以下であり、より好ましくは50倍以下であり、さらに好ましくは30倍以下である。熱拡散材10の発熱体20の放熱面と対峙する側の面の面積が、発熱体10の放熱面の面積の4倍以上であることにより、放熱性に非常に優れた電子部品を提供することができる。このような構成であれば、発熱体で生じた熱を、高熱伝導層を介して面方向に効率的に拡散することができ、高熱伝導層で拡散された熱が熱伝導抑制層を介して筐体表面に徐々に伝導するので、筐体表面の局所的な温度上昇を防ぐことが可能となる。熱拡散材10の発熱体20の放熱面と対峙する側の面の面積が、発熱体10の放熱面の面積の4倍未満の場合には、高熱伝導層内での面方向の熱拡散性が不十分となり、筐体表面のホットスポット発生の抑制効果が不十分となるおそれがある。
〔分子量の測定〕
GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により重量平均分子量を求めた。
装置:東ソー(株)製「HLC−8020」
カラム:東ソー(株)製「TSKgel GMHHR−H(20)」
溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:ポリスチレン
〔熱伝導抑制層中の中空微粒子の体積占有率の算出〕
各種中空微粒子の比重(または密度)を、カタログ値等を参考にして把握し、熱伝導抑制層を構成する粘着剤組成物の比重を1として、熱伝導抑制層中の中空微粒子の体積占有率を下記式に従って算出した。
熱伝導抑制層中の中空微粒子の体積占有率
=[(中空微粒子の重量×中空微粒子の比重)×100]/[(中空微粒子の重量×中空微粒子の比重)+粘着剤組成物の重量]
〔熱伝導抑制層のステンレス板に対する180度引き剥がし接着力の測定〕
熱伝導抑制層をポリエステル粘着テープ(商品名「No.31B」、日東電工(株)製、厚み50μm)にハンドローラーを使用して裏打ちし、基材付きの熱伝導抑制シートを得た。これを90mm×20mmの試験片サイズにカットした。被着体として30mm×100mm×厚さ2mmのステンレス板(SUS304)を使用した。被着体に試験片を2kgローラーで1往復して貼り合せ、23℃で30分放置後、ステンレス板に対する180度引き剥がし接着力を測定した。引張速度は300mm/minとした。
〔熱伝導率の測定〕
熱伝導率は、図6に示す測定装置によって測定した。
(i)測定装置の構成
1辺が20mmの立方体となるように形成されたアルミニウム製(A5052、熱伝導率:140W/m・K)の一対のロッドL間に、試験片(20mm×20mm)を挟み込む。次いで、一対のロッドが上下となるように発熱体(ヒーターブロック)Hと放熱体(冷却水が内部を循環するように構成された冷却ベース板)Cとの間に配置する。より具体的には、上側のロッドL上に発熱体Hを配置し、下側にロッドLの下に放熱体Cを配置する。
ここで、一対のロッドLは、発熱体および放熱体を貫通する一対の圧力調整用ネジTの間に位置している。なお、圧力調整用ネジTと発熱体Hとの間にはロードセルRが配置されており、圧力調整用ネジTを締めこんだ際の圧力が測定されるように構成されており、かかる圧力を試験片に加わる圧力とする。
さらに、下側のロッドLおよび試験片を放熱体C側から貫通するように接触式変位計の3本のプローブP(直径1mm)を設置する。この際、プローブPの上端部は、上側のロッドLの下面に接触した状態になっており、上下のロッドL間の間隔(試験片の厚み)を測定可能に構成されている。
発熱体Hおよび上下のロッドLには温度センサーDを取り付ける。具体的には、発熱体Hの1箇所、各ロッドLの上下方向に5mm間隔で5箇所、温度センサーDを取り付ける。
(ii)測定
測定は、まず初めに、圧力調整用ネジTを締めこんで、試験片に圧力を加え、発熱体Hの温度を80℃に設定するともに、放熱体Cに20℃の冷却水を循環させた。
次いで、発熱体Hおよび上下のロッドLの温度が安定した後、上下のロッドLの温度を各温度センサーDで測定し、上下のロッドLの熱伝導率と温度勾配から試験片を通過する熱流束を算出するとともに、上下のロッドLの試験片との界面の温度を算出した。これらを用いて当該圧縮率における熱伝導率(W/m・K)を算出した。
〔熱対策効果の評価〕
図7に示すように、厚さ2mmのポリカーボネート(PC)板より形成したステージに熱電対を備えたセラミックヒーター(25mm角)を設置し、電力量を1.24Wとした。実施例・比較例で得られた熱拡散材を70mm角に切断して伝熱試験片とし、高熱伝導層を発熱部品に密着させることなく、発熱部品の放熱面と向かいあう位置になるよう、筐体とするPC板(160mm×160mm×2mm)に熱伝導抑制層側を固定し、上記ステージに組み付けた。
セラミックヒーターの温度を熱電対で測定し、筐体表面温度をサーモグラフィー(NEC Avio Intrared Technologied Co.,Ltd.製 TYOE H2640)で測定し、両者の温度が定常状態になったときの各温度を発熱体温度および筐体表面温度とした。
熱対策効果の評価の指標は、上記伝熱試験片を実装しない状態で測定した発熱体温度との差ΔThを発熱体の除熱効果の指標とし、上記伝熱試験片を実装しない状態で測定した筐体表面温度との差ΔTsをホットスポット抑制効果の指標とした。
〔製造例1〕:シロップ1の調製
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)94重量部と極性基を有するビニルモノマーとしてのアクリル酸(AA)6重量部とからなる混合モノマーに、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF製、商品名「IRGACURE651」)0.05重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシル フェニル ケトン(BASF製、商品名「IRGACURE184」)0.05重量部を加えた溶液を4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下、紫外線に曝露して部分的に光重合(重合率7%)させることによって、Mwが約500万のプレポリマーを含むシロップ1を得た。
〔製造例2〕:シロップ2の調製
製造例1において得られたシロップ1の100重量部に対し、2EHAを70.5重量部、AAを4.5重量部追加し、攪拌機にて十分攪拌することによって、プレポリマー濃度が4%のシロップ2を得た。シロップ2中の2EHAとAAとの重量比率は、94:6であった。
〔実施例1〕
製造例2で得られたシロップ2を100重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名「NKエステルA−HD−N」)を0.08重量部、IRGACURE651を0.05重量部、IRGACURE184を0.05重量部加えて均一に混合した混合シロップの100重量部に対し、中空微粒子としてマツモトマイクロスフェアー(松本油脂製薬(株)製、商品名「FN−80SDE」、既膨張ドライタイプ、真比重0.025)を3重量部加え、攪拌機にて均一混合し、脱泡処理を行い、紫外線重合型粘着剤組成物を調製した。
得られた紫外線重合型粘着剤組成物を光照射後の厚さが所定の厚みとなるように、剥離処理された基材上に塗布し、さらにその上に厚さ38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを被せた。このシートに、ブラックライト(15W/cm)を用いて光照度5mW/cm(ピーク感度最大波350nmのトプコンUVR−T1で測定)の紫外線を、重合率98.9%に達するまでに必要な時間だけ照射し、厚みが44μm、中空微粒子の体積占有率が54.5%の熱伝導抑制層1を得た。得られた熱伝導抑制層1の厚さ方向の熱伝導率は0.054W/m・Kであった。
次に、得られた熱伝導抑制層1と高熱伝導層としてアルミニウム箔(住軽アルミ箔(株)製、アルミニウムはく100μm、厚み:100μm)とを直接積層し、総厚が約0.15mmの熱拡散材1を得た。得られた熱拡散材1の熱源温度の低減効果、およびホットスポット抑制効果の評価を行い、筐体表面温度の最大値と発熱体の最大値を観察した。結果を表1に示した。
〔実施例2〕
実施例1において、高熱伝導層として、アルミニウム箔(住軽アルミ箔(株)製、アルミニウムはく100μm、厚み;約100μm)の代わりに、厚さ100μmの銅箔(JX日鉱金属(株)製、圧延銅箔)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、厚さ約0.15mmの熱拡散材2を得た。得られた熱拡散材2の熱源温度の低減効果、およびホットスポット抑制効果の評価を行い、筐体表面温度の最大値と発熱体の最大値を観察した。結果を表1に示した。
〔実施例3〕
実施例1において、混合シロップの100重量部に対し、中空微粒子としてマツモトマイクロスフェアー(松本油脂製薬(株)製、商品名「FN−80SDE」、既膨張ドライタイプ、真比重0.025)の配合量を4重量部とした以外は、実施例1と同様に行い、厚みが49μm、中空微粒子の体積占有率が61.5%の熱伝導抑制層2を得た。得られた熱伝導抑制層1の厚さ方向の熱伝導率は0.054W/m・Kであった。
次に、実施例1と同様の操作によって、得られた熱伝導抑制層2と高熱伝導層としてアルミニウム箔(住軽アルミ箔(株)製、アルミニウムはく100μm、厚み:100μm)とを直接積層し、厚さ約0.15mmの熱拡散材3を得た。得られた熱拡散材3の熱源温度の低減効果、およびホットスポット抑制効果の評価を行い、筐体表面温度の最大値と発熱体の最大値を観察した。結果を表1に示した。
〔比較例1〕
製造例1で得られたシロップ1を100重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名「NKエステルA−HD−N」)を0.08重量部、IRGACURE651を0.05重量部、IRGACURE184を0.05重量部加えて均一に混合した混合シロップを攪拌機にて均一混合し、脱泡処理を行い、紫外線重合型粘着剤組成物を調製した。
得られた紫外線重合型粘着剤組成物を光照射後の厚さが所定の厚みとなるように、剥離処理された基材上に塗布し、さらにその上に厚さ38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを被せた。このシートに、ブラックライト(15W/cm)を用いて光照度5mW/cm(ピーク感度最大波350nmのトプコンUVR−T1で測定)の紫外線を、重合率99.2%に達するまでに必要な時間だけ照射し、厚みが50μmの熱伝導抑制層C1を得た。得られた熱伝導抑制層C1の厚さ方向の熱伝導率は0.100W/m・Kであった。
次に、実施例1と同様に、得られた熱伝導抑制層C1と高熱伝導層としてアルミニウム箔(住軽アルミ箔(株)製、アルミニウムはく100μm、厚み:約100μm)とを直接積層し、総厚が約0.15mmの熱拡散材C1を得た。得られた熱拡散材C1の熱源温度の低減効果、およびホットスポット抑制効果の評価を行い、筐体表面温度の最大値と発熱体の最大値を観察した。結果を表1に示した。
〔比較例2〕
比較例1において、高熱伝導層として、アルミニウム箔(住軽アルミ箔(株)製、アルミニウムはく100μm、厚み:約100μm)の代わりに、厚さ100μmの銅箔(JX日鉱金属(株)製、圧延銅箔)を用いた以外は、比較例1と同様に行い、厚さ約0.15mmの熱拡散材C2を得た。得られた熱拡散材C2の熱源温度の低減効果、およびホットスポット抑制効果の評価を行い、筐体表面温度の最大値と発熱体の最大値を観察した。結果を表1に示した。
〔比較例3〕
製造例2で得られたシロップ2と同組成のモノマー混合物を用い、このモノマー混合物を100重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名「NKエステルA−HD−N」)を0.08重量部、IRGACURE651を0.05重量部、IRGACURE184を0.05重量部加えて均一に混合した混合物の100重量部に対し、中空ガラスビーズ(ポッターズ社製、Sherical、商品名「110P8」、比重1.1)140重量部を加え、攪拌機にて均一混合し、脱泡処理を行い、紫外線重合型粘着剤組成物を調製した。
得られた紫外線重合型粘着剤組成物を光照射後の厚さが所定の厚みとなるように、剥離処理された基材上に塗布し、さらにその上に厚さ38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを被せた。このシートに、ブラックライト(15W/cm)を用いて光照度5mW/cm(ピーク感度最大波350nmのトプコンUVR−T1で測定)の紫外線を、重合率98.1%に達するまでに必要な時間だけ照射し、厚みが62μm、中空ガラスビーズの体積占有率が56%の熱伝導抑制層C3を得た。得られた熱伝導抑制層C3の厚さ方向の熱伝導率は0.126W/m・Kであった。
次に、得られた熱伝導抑制層C3と高熱伝導層としてアルミニウム箔(住軽アルミ箔(株)製、アルミニウムはく100μm、厚み:100μm)とを直接積層し、総厚が約0.15mmの熱拡散材C3を得た。得られた熱拡散材C3の熱源温度の低減効果、およびホットスポット抑制効果の評価を行い、筐体表面温度の最大値と発熱体の最大値を観察した。結果を表1に示した。
Figure 2015119016
本発明の熱拡散材は、例えば、電子機器等に搭載される電子部品等の発熱体を囲う製品筐体等に接着して用いることができる。取り付け箇所の例としては、パーソナルコンピューター、タブレットPC、PDA、携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器や、印字印刷装置、複写機、プロジェクター等の情報機器、ジャーポットや電子レンジ、給湯器などの調理家電等の遮熱が必要な部位が挙げられる。
2 熱伝導抑制層
3 高熱伝導層
4 接着剤層
5 絶縁層
10、11、12、13 熱拡散材

Claims (11)

  1. 熱伝導抑制層と高熱伝導層とを有し、
    該熱伝導抑制層は、中空部分と表面層を含む中空微粒子を含み、
    該表面層が樹脂成分を主成分として含み、
    定常法によって測定される熱伝導率が0.07W/m・K以下である、
    熱拡散材。
  2. 前記中空微粒子の平均粒子径が50μm未満である、請求項1に記載の熱拡散材。
  3. 前記中空微粒子に含まれる表面層がスチレン系共重合体またはアクリロニトリル系共重合体を主成分とする、請求項1または2に記載の熱拡散材。
  4. 前記熱伝導抑制層のステンレス板に対する180度引き剥がし接着力が5N/20mm以上である、請求項1から3までのいずれかに記載の熱拡散材。
  5. 前記熱伝導抑制層が、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1から4までのいずれかに記載の熱拡散材。
  6. 前記高熱伝導層が金属箔を含む、請求項1から5までのいずれかに記載の熱拡散材。
  7. 内部に発熱体を有する筐体に固定して用いられ、該発熱体の放熱面と対峙する位置で前記熱伝導抑制層側が該筐体に固定される、請求項1から6までのいずれかに記載の熱拡散材。
  8. 前記発熱体に密着することなく該発熱体の放熱面と対峙する位置で前記熱伝導抑制層側が前記筐体に固定される、請求項7に記載の熱拡散材。
  9. 内部に発熱体を有する電子部品であって、
    該発熱体の放熱面と対峙する位置に、請求項1から8までのいずれかに記載の熱拡散材の熱伝導抑制層側が固定されている、
    電子部品。
  10. 前記発熱体に密着することなく該発熱体の放熱面と対峙する位置に前記熱伝導抑制層側が固定されている、請求項9に記載の電子部品。
  11. 前記熱拡散材が有する高熱伝導層が、前記発熱体の放熱面の面積に対して4倍以上の面積を有する、請求項9または10に記載の電子部品。
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