JP2006316119A - 熱伝導性シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な熱伝導性を示し、かつ片面又は両面を所望の粘着性とすることができる熱伝導性シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】熱伝導性フィラーと、バインダー成分とを含む熱伝導性シートであって、前記バインダー成分がマレイミド基を有する化合物を含む熱伝導性シートを提供する。更に、熱伝導性フィラーと、重合性モノマーと、マレイミド基を有する化合物と、熱重合開始剤とを含むシート状の重合性組成物を熱重合する工程と、前記重合性組成物又は熱重合された重合性組成物にエネルギー線を照射する工程とを含む熱伝導性シートの製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子機器等の放熱構造において好適に用いることができる熱伝導性シート及びその製造方法に関する。特に、表面の粘着性や硬度が制御された熱伝導性シート及びその製造方法に関する。
マレイミド基を含む組成物として、塗料やコーティング剤などに好適に用いられるエネルギー線架橋型の水性組成物が開示されている(例えば特許文献1参照)。また、マレイミド基を含むポリエステルからなるホットメルト接着剤が開示されている(特許文献2参照)。
一方、集積回路(IC)をはじめとする電子機器・電子部品等の発熱部品の放熱のために、ヒートシンク等の放熱体を用いた放熱構造が形成される。この放熱構造において、熱伝導性シートが一般に用いられている。例えば発熱部品から発せられる熱を効率的に放熱体へ伝達するために、発熱体と放熱体との間に熱伝導性シートが配設される。
このような熱伝導性シートにおいて、表面が粘着性を有することが求められる場合もあるが、実使用上の取り扱い性の問題から表面を低粘着性又は非粘着性とすることを求められる場合もある。また、一方の面を粘着性とし他方の面を低粘着性又は非粘着性とする等、各面に異なる粘着性を持たせることを求められる場合もある。また、熱伝導性シートにはクッション性が要求される場合がある。この要求に対して、熱伝導性シートにクッション性を持たせようとすると、表面が柔らかくなりすぎたり表面の粘着性が高くなりすぎるという問題もある。
このような問題に対応するため、シートの表面のみを硬化させて粘着性を低減させた熱伝導性シートが開示されている(例えば、特許文献3〜5参照)。このような熱伝導性シートは、例えば表層のみを硬化させるため、硬化剤を塗布したフィルムを使用し、シートと貼り合わせた後、硬化剤のシート表面への移行により表面のみの硬化反応を行いフィルムを剥離することで得られる。このような方法では硬化の均一性が問題となる上、工程が煩雑となる。
また、表面にビーズが分散された熱伝導性シートが開示されている(例えば、特許文献6参照)。このシートの場合、被着体との接触が悪くなり熱伝導性の低下を招く。また、熱伝導性フィラーの充填割合が厚み方向で異なる熱伝導性シートが開示されている(例えば特許文献7参照)。このシートの場合、フィラーが多く存在する面の粘着性は低下するが、反対面付近ではフィラーの割合が低いため熱伝導性が低下する。更に、シートの片面又は両面に粘着層又は非粘着層を設けた熱伝導性シートも市販されているが、このシートは、粘着層や非粘着層に熱伝導性がないため、その面での熱伝導性が低下する。
特開2001−294605号公報 特開2001−220567号公報 特許第3434186号公報 特許第3425521号公報 特開2001−110963公報 特開2003−133769号公報 特開2003−183500号公報
本発明は、良好な熱伝導性を示し、かつ片面又は両面が低減した粘着性を示すことができる熱伝導性シート及びその製造方法を提供することを特徴とする。
本発明者は、熱伝導性フィラーと、バインダー成分とを含む熱伝導性シートにおいてバインダー成分中にマレイミド基を有する化合物を含ませて、エネルギー線を照射することにより、上記課題に対応し得ることを見出した。本発明は、この知見に基づきなされたものである。即ち、本発明は以下の熱伝導性シート及びその製造方法を提供するものである。
[1]:熱伝導性フィラーと、バインダー成分とを含む熱伝導性シートであって、前記バインダー成分がマレイミド基を有する化合物を含む熱伝導性シート。
[2]:前記マレイミド基を有する化合物を全バインダー成分に対して5〜90質量%含む上記[1]に記載の熱伝導性シート。
[3]:前記バインダー成分が(メタ)アクリル系ポリマーを含む上記[1]又は[2]に記載の熱伝導性シート。
[4]: 前記熱伝導性フィラーを熱伝導性シートに対して10〜90体積%含む上記[1]〜[3]の何れかに記載の熱伝導性シート。
[5]:熱伝導性フィラーと、重合性モノマーと、マレイミド基を有する化合物と、熱重合開始剤とを含むシート状の重合性組成物を熱重合する工程、及び前記重合性組成物又は熱重合された重合性組成物にエネルギー線を照射する工程により形成される上記[1]〜[4]の何れかに記載の熱伝導性シート。
[6]:少なくとも一方の表面の硬度が内部の硬度よりも高い上記[1]〜[5]の何れかに記載の熱伝導性シート。
[7]:熱伝導性フィラーと、重合性モノマーと、マレイミド基を有する化合物と、熱重合開始剤とを含むシート状の重合性組成物を熱重合する工程と、前記重合性組成物又は熱重合された重合性組成物にエネルギー線を照射する工程とを含む熱伝導性シートの製造方法。
本発明の熱伝導性シートは、熱伝導性フィラーとバインダー成分とを含み、バインダー成分がマレイミド基を有する化合物を含むため、良好な熱伝導性を示し、かつ片面又は両面の硬度が高く粘着性が低いシートとなり得る。また、本発明の熱伝導性シートの製造方法は、このような熱伝導性シートを好適に製造することができる。
以下、本発明の熱伝導性シート及びその製造方法を具体的な実施の形態に基づいて説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本発明の熱伝導性フィラーは、(1)熱伝導性フィラーと、(2)重合性モノマーと、(3)マレイミド基を有する化合物と、(4)熱重合開始剤と、任意的に(5)その他の添加剤とを含む重合性組成物をシート状に成形し、これを熱重合した後エネルギー線を照射するか、又はエネルギー線を照射した後熱重合することによって得ることができる。以下、その詳細について説明する。
(1)熱伝導性フィラー
熱伝導性フィラーとしては、セラミックス、金属酸化物、金属水酸化物(水和物)、炭素材料、金属などを使用できる。具体的には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ケイ素、ホウ素化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、ドウソナイト、ハイドロタルサイト、ホウ酸亜鉛、アルミン酸カルシウム、酸化ジルコニウム水和物、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、金、銀などが挙げられる。結晶形は、六方晶や立方晶など、それぞれの化学種がとることができるいかなる結晶形のものも用いることができる。これらの中の1種以上を熱伝導性フィラーとして用いることが好ましい。
また、熱伝導性フィラーとして、電磁波吸収能を有するフィラーを用いることも好ましい。このようなフィラーとしては、Ni−Znフェライト、Mg−Znフェライト、Mn−Znフェライトなどのソフトフェライト化合物、カルボニル鉄、Fe−Si−Al合金(センダスト)などの軟磁性金属などが挙げられる。これらの1種以上を用いることも好ましく、これらの1種以上を上述のセラミックスなどの熱伝導性フィラーと組み合わせて用いることも好ましい。
熱伝導性フィラーは、その平均粒子径が10〜200μmである比較的大きな粒子径群と、その平均粒子径が10μm未満である比較的小さな粒子径群とを組み合わせて用いることが、熱伝導性フィラーの添加量(充填量)を高めることができるために好ましい。更に、シラン、チタネート、又は脂肪酸等で表面処理を施した熱伝導性フィラーを用いることが、熱伝導性組成物を成形加工して得られる熱伝導性シートの内部強度を向上させることができるために好ましい。
熱伝導性フィラーの量は、10〜90体積%であることが好ましく、20〜80体積%であることが更に好ましい。熱伝導性フィラーの量が10体積%未満であると、得られる熱伝導性組成物の熱伝導性が低く、十分な熱伝導性が発揮され難くなる傾向にある。一方、熱伝導性フィラーの量が90体積%超であると、熱伝導性組成物を成形加工して得られる熱伝導性シートの内部強度及び柔軟性が低下する傾向にある。また、熱伝導性フィラーを含むことにより、後述するようにエネルギー線を照射してマレイミド基の反応を起こさせる際にエネルギー線をシートの表面及びその近傍で吸収又は反射することができ、表面及びその近傍のみにおいて選択的にマレイミド基の反応を起こさせることができる。
(2)重合性モノマー
重合性モノマーとしては、一般的なポリマーを形成できるモノマーであれば特に限定はない。好ましいモノマーとしては、シリコーン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー、ウレタン系モノマー、エポキシ系モノマーなどが挙げられ、この中の少なくとも1種を用いることが好ましい。これらのモノマーを用いた重合性組成物又は形成される熱伝導性シートは成形加工に優れ、熱伝導性を有効に利用することができる。この中でも、特に(メタ)アクリル系モノマーが、モノマーの低い粘度に由来する易配合性、高い重合速度、及びモノマー選択性の点で好ましい。
好ましい(メタ)アクリル系モノマーとしては、炭素数が20以下のアルキル基をエステル基として有する単官能(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。具体的には、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの少なくとも1種を用いることが好ましい。また、得られる熱伝導性シートの凝集力を高めるために、ホモポリマーのガラス転移温度が20℃以上となるモノマーを上述のモノマーと併用することも好ましい。このようなモノマーとしては、アクリル酸及びそのエステル、メタクリル酸及びそのエステル、イタコン酸及びそのエステル、マレイン酸及びそのエステル等の不飽和モノカルボン酸、不飽和ポリカルボン酸及び対応するエステルが挙げられる。また、ホモポリマーのガラス転移温度が20℃以上となるモノマーの他の例としては、シアノアルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、置換アクリルアミド(例えばN,N’−ジメチルアクリルアミド)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピペリジン、アクリロニトリルなどの極性基を有する含窒素化合物が挙げられる。ホモポリマーのガラス転移温度が20℃以上となるモノマーを上述のアクリル系モノマーと併用する場合には、アクリル系モノマー100質量部に対して、100質量部以下の量で用いることが好ましい。なお、重合性モノマーとしては、トリデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、塩化ビニルなども挙げることができる。
更に、重合性モノマーとして多官能モノマーを上述の単官能モノマーと併用することも好ましい。多官能性モノマーが架橋剤として作用し、熱伝導性シートの強度を向上させることができる。多官能モノマーとしては、アクリルオキシ基及びメタクリルオキシ基からなる群より選択される官能基を2個以上含む化合物が好ましい。具体的な好適例としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリイソプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート等のジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート等のトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート等のテトラアクリレート、ジペンタエリトリトール(モノヒドロキシ)ペンタアクリレート等のペンタアクリレートが挙げられる。また、架橋剤として炭素数1〜4のアルコキシレート化アミノホルムアルデヒド縮合物、ヘキサメトキシメラミン、テトラメトキシメチル尿素及びテトラブトキシメチル尿素などを重合性モノマーが含んでもよい。このような多官能性モノマー又は架橋剤を単官能モノマーと併用する場合には、単官能モノマー100質量部に対して0.001〜5質量部の量を用いることが好ましい。
(3)マレイミド基を有する化合物
マレイミド基を有する化合物(以下、マレイミド化合物という)の好ましい例としては、下記一般式(1)で示される基を有する化合物が挙げられる。
Figure 2006316119
〔式(1)中R1及びR2は、各々独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、あるいはR1及びR2が互いに結合し炭素数2〜4の環を形成する基である。〕
このようなマレイミド化合物は、熱重合し難い一方、光などのエネルギー線の照射によりマレイミド基同士が結合しやすい性質を持つ。従って、上述した所定量の熱伝導性フィラーと重合性モノマーとマレイミド化合物とを含む重合性組成物を熱重合した後又は熱重合する前にこの重合性組成物の表面にエネルギー線を照射することにより、表面付近に存在するマレイミド化合物同士が結合し、形成されるシートの表面の硬度を向上させて、粘着性を低減させることができる。
マレイミド化合物は、ポリマーであることが、マレイミド基の結合により効果的に硬度を向上させ、粘着性を低減させることができる点で好ましい。具体的な好ましいポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリエーテルなどが挙げられ、上記一般式(1)で表される基を有するこれらのポリマーが好ましい。この中でも特に上記一般式(1)で表される基を有するポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
マレイミド基を有するポリ(メタ)アクリレートは例えば、重合性の不飽和基(例えばアクリロイル基)と上記一般式(1)で表される基とを有する化合物を(メタ)アクリレートモノマーと共重合することにより得ることができる。
マレイミド化合物中のマレイミド基の含有量は上述の効果が得られる程度の量であれば特に制限はない。この基のマレイミド化合物中の含有量は通常は1〜70質量%であり、5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましい。
また、マレイミド化合物の重合性組成物中の含有量も上述の効果が得られる程度の量であれば特に制限はなく、通常は、重合性モノマーとマレイミド化合物の合計に対して5〜90質量%であり、5〜70質量%であることが好ましく、10〜65質量%であることが更に好ましく、15〜60質量%であることが特に好ましい。
(4)熱重合開始剤
熱重合開始剤に特に制限はなく、一般に用いられるものを用いることができる。例えば、ジアシルパーオキシド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキシド類、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類等の有機過酸化物を挙げることができる。より具体的には、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルヒドロパーオキシド等を挙げることができる。なお、パースルフェートとビスルファイトを組み合わせたものを用いてもよい。熱重合開始剤は、重合性モノマー100質量部に対して、通常0.001〜5質量部の量で用いられる。
(5)その他の添加剤
重合性モノマーを重合してバインダー成分を形成する際に得られる重合体の分子量を調整するために、重合性組成物が連鎖移動剤を含むことも好ましい。連鎖移動剤としては、メルカプタン類、ジサルファイド類、四臭化炭素、四塩化炭素などが挙げられる。連鎖移動剤を用いる場合は、重合性モノマー100質量部に対して、通常0.01〜1.0質量部の範囲で用いられる。
また、熱伝導性シートに難燃性を付与するために、難燃剤を添加することもできる。この場合には、実質的にハロゲンを含有しない難燃剤(以下、「非ハロゲン難燃剤」と記す)を用いることが好ましい。非ハロゲン難燃剤としては、例えば有機リン化合物、膨張黒鉛、ポリフェニレンエーテル、又はトリアジン骨格含有化合物を挙げることができる。これらのうち、難燃性の効果を発現する上で最も好ましいものは、有機リン化合物である。なお、これらの難燃剤を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
有機リン化合物は、重合性モノマーと共重合可能なもの、又は実質的に共重合されないもののいずれであってもよい。重合性モノマーが(メタ)アクリル系モノマーである場合、(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能な有機リン化合物としては、具体的にはリン酸エステル含有(メタ)アクリルモノマーが好適である。
より具体的には、リン酸ジメチル−(メタ)アクリロイルオキシメチル、リン酸ジエチル−(メタ)アクリロイルオキシメチル、リン酸ジフェニル−(メタ)アクリロイルオキシメチル、リン酸ジメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジエチル−
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジメチル−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル、リン酸ジエチル−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル、リン酸ジフェニル−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル等を挙げることができる。これらのリン酸エステル含有(メタ)アクリルモノマーを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
リン酸エステル含有(メタ)アクリルモノマーを用いる場合の量は、重合性モノマー及びマレイミド化合物の合計100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることが更に好ましい。1質量部未満であると難燃効果が低くなる場合があり、30質量部超であると得られる熱伝導性シートの柔軟性が低下する場合がある。
重合性モノマーと実質的に共重合されない有機リン化合物としては、リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム類等を挙げることができる。
リン酸エステル類の具体例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等を挙げることができる。ポリリン酸アンモニウム類の具体例としては、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、被覆ポリリン酸アンモニウム等を挙げることができる。なお、被覆ポリリン酸アンモニウムとは、ポリリン酸アンモニウムを樹脂で被覆し、又はマイクロカプセル化して耐水性を向上させたものである。
重合性モノマーと実質的に共重合されない有機リン化合物を用いる際の量は、重合性モノマー及びマレイミド化合物の合計100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることが更に好ましい。5質量部未満であると難燃効果が低くなる場合があり、50質量部超であると、この熱伝導性組成物を用いて得られる熱伝導性シート等の凝集力が低下したり、ブリードが発生したりする場合がある。
その他、粘着付与剤、酸化防止剤、可塑剤、沈降防止剤、アクリルゴム,エピクロルヒドリンゴムなどの増粘剤、超微粉シリカなどのチクソトロピー剤、界面活性剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、有機微粒子、セラミックスバブルなどの添加剤を重合性組成物が含むことができる。
また、重合性組成物の粘度を調整するために、上述の重合性モノマーを予め部分重合させた部分重合体を重合性組成物が含むことも好ましい。部分重合を行う際には、重合性モノマーに重合開始剤、連鎖移動剤などを加え、所定の分子量に重合する。この重合は、光重合でも熱重合でもよい。この際用いる好ましい連鎖移動剤は上述と同様のものが挙げられる。好ましい重合開始剤としては、上述した熱重合開始剤の他に、光重合開始剤も挙げることができる。光重合開始剤としては、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル類、アニソインエチルエーテル、アニソインイソプロピルエーテル、ミヒラーケトン(4,4’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(例えば、商品名:KB−1(サルトマー社製)、商品名:イルガキュア651(Irgacure651)(チバスペシャルティケミカルズ社製))、2,2−ジエトキシアセトフェノン等の置換アセトフェノン類を挙げることができる。その他、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン等の置換α−ケトール類、2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド類、1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム化合物等を挙げることができる。なお、熱重合開始剤と光重合開始剤とを任意に組み合わせて用いることもできる。部分重合を行う重合性モノマー100質量部に対して重合開始剤は0.001〜5質量部用いることが好ましい。更に、連鎖移動剤は0.01〜1質量部程度用いてもよい。このようにして得られる部分重合体を、重合性組成物の粘度が100〜10000mPa・s程度となるように、重合性組成物が含むことが好ましい。
上述した各成分をプラネタリーミキサーなどを用いて脱気混合して熱重合性組成物を得ることができる。得られる熱重合性組成物をライナーなどの支持体表面上に塗布又はコーティングし、カレンダー成形やプレス成形によりシート状に成形する。この際、フィルム、織布、不織布、金属箔などを一方の面又はシートの内部に配設し、フィルムなどを備えたシート状の成形体としてもよい。その後、50〜200℃程度に加熱し熱重合する。熱重合は、酸素による重合阻害を起こさせないように、窒素などの不活性雰囲気下で行うことも好ましい。
次に、得られたシート状の重合体の一方又は両方の表面にエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、紫外線、γ線、電子線、イオン化線などが挙げられる。エネルギー線の照射量は照射面が所望の硬度となるように適宜設定できる。
なお、シートを成形した後、熱重合する前にエネルギー線を照射してから、加熱して熱重合を行っても良く、熱重合とエネルギー線の照射を同時に行ってもよい。
このようにして得られる熱伝導性シートは、熱伝導性フィラーと、重合性モノマー及びマレイミド化合物から主として形成されるバインダー成分とを含む。その配合比率は、上述した重合性組成物における配合比率によって決定される。また、このようにして得られる熱伝導性シートは、エネルギー線が照射された面の硬度がシート内部の硬度よりも高くなり、その面の粘着性がエネルギー線の照射前に比べて低減されたものとなる。なお、マレイミド化合物は、エネルギー線の照射により照射面近傍においてマレイミド基同士が結合するため、その化学構造が変化するが、本明細書においては、このようなマレイミド化合物の誘導体(例えばマレイミド基が二量化した化合物)もマレイミド化合物に含まれるものとする。
上述してきたような熱伝導性シートは、電子部品、特にパワートランジスタ、グラフィック集積回路(IC)、チップセット、メモリセット、中央処理装置(CPU)等の半導体・電子部品と、ヒートシンクや放熱器等の間に配設され、これらの間で熱を伝達するために好適に用いることができる。熱伝導性シートの厚みに特に制限はないが、実質的な製造可能性や取り扱い性等の観点からは、0.1mm以上であればよい。また、このような用とにおけるシートの厚さは、通常5mm以下であるが、5mmを超えるシートが要求される場合もあり、10mm以下の厚さであることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
UVA3100(マレイミド基を有するポリアクリレート、東亞合成社製)を40質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル(2−EHA)を60質量部、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を0.2質量部、Irganox1076(酸化防止剤、チバスペシャルティケミカルズ社製)を0.3質量部、熱重合開始剤として1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシロキサン(TMCH)を0.55質量部混合し、バインダー成分を形成する混合物を得た。この混合物を40体積%、熱伝導性フィラーである炭化ケイ素(平均粒径80μm)及びB703T(チタネート系カップリング剤処理水酸化アルミニウム、平均粒径2μm、日本軽金属社製)を各々40体積%及び20体積%配合し、ミキサーで脱気混練して重合性組成物を得た。この重合性組成物をライナーで挿み、厚み1mmのシート状にカレンダー成形した。成形後、シート状の重合性組成物を140℃のオーブンで15分間加熱して熱重合反応を行い、厚さ1mmの熱伝導性シートを得た。得られた熱伝導性シートの片面に対し、紫外線照射装置(ユニキュアシステムUVA−402/1HNSC9−XK01、ウシオ電機社製)を用いて120Wで紫外線(UV)照射を行った。その際、光源と照射面との距離を30cmとし、3分間照射を行った。
(比較例1)
UVA3100を用いず、2−EHAを100質量部とした以外は、実施例1と同様にしてバインダーを形成する混合物を得て、実施例1と同様にして、成形及び熱重合を行い、厚さ1mmの熱伝導性シートを得た。得られ熱伝導性シートに対してUV照射は行わず、シートの片面に6μmの厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをラミネートして、その面を非粘着面とした。
(実施例2:マレイミド化合物の量を振った実施例)
表1に示した配合で、実施例1と同様の方法により厚さ1mmの熱伝導性シートを得た。更に、得られた熱伝導性シートの片面に対し、実施例1と同様のUV照射を行った。
(粘着性の評価)
実施例1及び2で得られた熱伝導性シートについて、UV照射の有無での粘着性の変化を調べた。UV照射面と未照射面に対し、各々厚み25μm、幅25mmのPETフィルムを貼り、その上を2kgのローラーで1往復させて圧着した直後に、PETフィルムを速度300mm/minで180°方向に剥離し、その際の剥離力を測定し、この剥離力を粘着性の指標とした。その結果を表1に示す。表1より、実施例1及び2で得られた熱伝導性シートは、いずれもUVの照射により粘着性が低下した。実施例1は特に粘着力の低下が大きく、良好な結果を示した。
Figure 2006316119
(熱伝導性の評価)
実施例1におけるUV照射前後の熱伝導性シート及び比較例1におけるPETフィルムをラミネートする前後の熱伝導性シートについて、以下の方法で熱抵抗を測定した。10mm×11mmにカットした試料を発熱体と冷却板との間に挿み、7.6N/cm2の一定荷重をかけて、11.4Wの電力を発熱体に加えた時の発熱体と冷却板との温度差を測定し次式より熱抵抗を求めた。
熱抵抗(℃・cm2/W)=温度差(℃)×試料面積(cm2)/電力(W)
結果を表2に示す。表2より、実施例におけるUV照射前後の熱伝導性シートには、熱抵抗の差が見られず、UV照射によって粘着性を低減させても、熱伝導性の低下は起こらなかった。一方、比較例1において、非粘着面を得るためにPETフィルムをラミネートしたことにより、熱抵抗の上昇が見られた。これは、厚み6μmのPETフィルムが界面での熱伝導性を低下させたためと考えられる。
Figure 2006316119
(実施例3及び4:フィラーの量を振った実施例)
表3に示した配合で、実施例1と同様の方法により厚さ1mmの熱伝導性シートを得た。更に、得られた熱伝導性シートの片面に対し、実施例1と同様のUV照射を行った。
Figure 2006316119
(硬度の評価)
実施例3及び4におけるUV照射後の熱伝導性シートについて、以下の方法で硬度を測定した。作製した1mm厚みの熱伝導性シートを10枚積層し、JIS K6253に基づきシートの硬度を測定した。結果を表3に示す。表3より、UV照射前後でシートの硬度にほとんど変化がなかった。UV照射によるマレイミドの架橋反応は表面に限定され、内部では架橋反応が起こっていないことが考えられる。
本発明の熱伝導性シートは、マレイミド化合物及び熱伝導性フィラーを含有するため、良好な熱伝導性を保持しつつ、一方又は両方の面の粘着性を低減させることができる。更に、内部に十分な柔軟性を持たせつつ、表面を適度な硬度及び粘着性とすることができる。従って、電子部品、特にパワートランジスタ、グラフィック集積回路(IC)、チップセット、メモリセット、中央処理装置(CPU)等の半導体・電子部品と、ヒートシンクや放熱器等の間に配設され、これらの間で熱を伝達するために好適に用いることができる。また、本発明の熱伝導性シートの製造方法は、このような熱伝導性シートを好適に製造することができる。

Claims (7)

  1. 熱伝導性フィラーと、バインダー成分とを含む熱伝導性シートであって、前記バインダー成分がマレイミド基を有する化合物を含む熱伝導性シート。
  2. 前記マレイミド基を有する化合物を全バインダー成分に対して5〜90質量%含む請求項1に記載の熱伝導性シート。
  3. 前記バインダー成分が(メタ)アクリル系ポリマーを含む請求項1又は2に記載の熱伝導性シート。
  4. 前記熱伝導性フィラーを熱伝導性シートに対して10〜90体積%含む請求項1〜3の何れかに記載の熱伝導性シート。
  5. 熱伝導性フィラーと、重合性モノマーと、マレイミド基を有する化合物と、熱重合開始剤とを含むシート状の重合性組成物を熱重合する工程、及び前記重合性組成物又は熱重合された重合性組成物にエネルギー線を照射する工程により形成される請求項1〜4の何れかに記載の熱伝導性シート。
  6. 少なくとも一方の表面の硬度が内部の硬度よりも高い請求項1〜5の何れかに記載の熱伝導性シート。
  7. 熱伝導性フィラーと、重合性モノマーと、マレイミド基を有する化合物と、熱重合開始剤とを含むシート状の重合性組成物を熱重合する工程と、前記重合性組成物又は熱重合された重合性組成物にエネルギー線を照射する工程とを含む熱伝導性シートの製造方法。
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