JP2021183679A - 熱伝導性組成物、及びこれを用いた熱伝導性シート - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導層としたときにオイルブリードを抑制でき、圧縮率が高く、熱伝導率が良好な熱伝導性組成物の提供。【解決手段】熱伝導性組成物は、エラストマーと、(メタ)アクリルモノマーと、重合開始剤と、熱伝導フィラーと、中空樹脂粒子とを含有し、エラストマーと、(メタ)アクリルモノマーとの重量比が、2:98〜20:80であり、エラストマーが、酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有し、中空樹脂粒子の含有量が2.5〜20体積%である。【選択図】図1
Description
本技術は、熱伝導性組成物、及びこれを用いた熱伝導性シートに関する。
熱伝導性シートは、発熱部材や放熱部材との密着性を良好にするため、熱伝導性とともに、柔軟性(高圧縮性)が求められる。そのため、熱伝導性シートを構成する熱伝導層の材料(熱伝導性組成物)には、バインダー樹脂とともに、可塑剤や柔軟化剤などのオイル状の材料が用いられることがある。例えば、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂を用いた熱伝導性組成物は、可塑剤などのオイル状の成分を含有させないと、熱伝導性シートを構成する熱伝導層が硬くなってしまう傾向にある。熱伝導層が硬くなると、上述のように発熱部材や放熱部材との密着性の観点から、実使用には不適当となってしまう。そのため、熱伝導性シートは、柔軟性が良好であることが好ましく、例えば、所定の圧力がかけられたときの圧縮率が高いことが望ましい。
また、可塑剤を含有する熱伝導層を備える熱伝導性シートを長期にわたって使用すると、熱伝導層から可塑剤が染み出し、熱伝導層から染み出した可塑剤が、オイルブリードとして熱伝導性シート周辺を汚染してしまうおそれがある。
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、オイルブリードを抑制でき、圧縮率が高く、熱伝導率が良好な熱伝導性組成物、及びこれを用いた熱伝導性シートを提供する。
本件発明者が鋭意検討を行った結果、エラストマーと、(メタ)アクリルモノマーと、重合開始剤と、熱伝導フィラーと、中空樹脂粒子とを含む熱伝導性組成物において、エラストマーと(メタ)アクリルモノマーとの重量比を特定の範囲にし、エラストマーとして酢酸ビニル含有率が特定の比率以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有させ、中空樹脂粒子の含有量を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
本技術に係る熱伝導性組成物は、エラストマーと、(メタ)アクリルモノマーと、重合開始剤と、熱伝導フィラーと、中空樹脂粒子とを含有し、エラストマーと(メタ)アクリルモノマーとの重量比が、2:98〜20:80であり、エラストマーが、酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有し、中空樹脂粒子の含有量が2.5〜20体積%である。
本技術に係る熱伝導層は、上述した熱伝導性組成物の硬化物からなる。本技術に係る熱伝導性シートは、上述した熱伝導性組成物の硬化物からなる熱伝導層と、非粘着層とが積層されている。
本技術に係る熱伝導性シートの製造方法は、非粘着性樹脂層を形成する工程と、非粘着性樹脂層上に、上述した熱伝導性組成物を塗布して光硬化させ、熱伝導層を形成する工程とを有する。
本技術によれば、オイルブリードを抑制でき、圧縮率を高くすることができ、熱伝導率を良好にすることができる。
<熱伝導性組成物>
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書において、「常温」とは、JIS K 0050:2019(化学分析方法通則)に規定される15〜25℃の範囲をいう。
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書において、「常温」とは、JIS K 0050:2019(化学分析方法通則)に規定される15〜25℃の範囲をいう。
本技術に係る熱伝導性組成物は、エラストマーと、(メタ)アクリルモノマーと、熱伝導フィラーと、中空樹脂粒子と、光重合開始剤とを含有する。熱伝導性組成物は、エラストマーと(メタ)アクリルモノマーとの重量比が、2:98〜20:80である。また、熱伝導性組成物は、エラストマーが、酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有する。さらに、熱伝導性組成物は、中空樹脂粒子の含有量が2.5〜20体積%である。
このような構成を備えることにより、本技術に係る熱伝導性組成物は、エラストマーと(メタ)アクリルモノマーとを常温で相溶させることができ、硬化後(例えば紫外線照射後)の分離を抑制できるため、熱伝導性組成物のシート化やフィルム化が可能となる。
また、本技術に係る熱伝導性組成物は、熱伝導性組成物の硬化物からなる熱伝導層としたときの柔軟性を良好にすることができ、圧縮率を高くすることができ、熱伝導率を良好にすることができる。
さらに、本技術に係る熱伝導性組成物は、可塑剤を必須の成分としなくても熱伝導層としたときの柔軟性を良好にすることができるため、可塑剤がオイルブリードとして熱伝導性シート周辺を汚染してしまうことを防止できる。
以下、本技術に係る熱伝導性組成物を構成する各成分について説明する。
<エラストマー>
エラストマーは、熱伝導性組成物の硬化物からなる熱伝導層に良好な柔軟性を付与するとともに、熱伝導層の硬化収縮を抑制するために用いられる。エラストマーは、酢酸ビニル含有率(質量百分率)が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)共重合体を含有する。このように、熱伝導性組成物が、エラストマーとして、酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有することにより、熱伝導性組成物の硬化物からなる熱伝導層の柔軟性を良好にすることができ、熱伝導層の圧縮率を高くすることができる。エチレン・酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率の上限は、特に限定されず、例えば90%以下とすることができる。
エラストマーは、熱伝導性組成物の硬化物からなる熱伝導層に良好な柔軟性を付与するとともに、熱伝導層の硬化収縮を抑制するために用いられる。エラストマーは、酢酸ビニル含有率(質量百分率)が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)共重合体を含有する。このように、熱伝導性組成物が、エラストマーとして、酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有することにより、熱伝導性組成物の硬化物からなる熱伝導層の柔軟性を良好にすることができ、熱伝導層の圧縮率を高くすることができる。エチレン・酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率の上限は、特に限定されず、例えば90%以下とすることができる。
酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体の市販品としては、レバプレン800(ランクセス社製、酢酸ビニル含有率80%)、レバプレン900(ランクセス社製、酢酸ビニル含有率90%)、EVAFLEX EV40W(三井・ダウポリケミカル社製、酢酸ビニル含有率41%)、EVAFLEX EV45LX(三井・ダウポリケミカル社製、酢酸ビニル含有率46%)などが挙げられる。また、熱伝導性組成物は、エラストマーとして、酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体以外に、イソプレン、ブタジエン、アクリルゴムなどをさらに含有してもよい。
熱伝導性組成物中のエラストマーの含有量の合計の下限値は、例えば、0.1体積%以上とすることができ、1体積%以上とすることもできる。また、熱伝導性組成物中のエラストマーの含有量の合計の上限値は、例えば、10体積%以下とすることができ、5体積%以下とすることもできる。
<(メタ)アクリルモノマー>
熱伝導性組成物は、(メタ)アクリルモノマーを含有する。熱伝導性組成物の(メタ)アクリルモノマーが硬化することにより、(メタ)アクリルモノマーの硬化物(アクリル樹脂)がバインダー樹脂として機能する。これにより、例えば、熱伝導性組成物をシート状(熱伝導層)の形態で電子部品やヒートシンクの所定の場所に貼り合わせる場合、熱伝導層にタック性を持たせることができる。(メタ)アクリルモノマーは、その硬化物であるアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)が−10℃以下となるものが好ましい。
熱伝導性組成物は、(メタ)アクリルモノマーを含有する。熱伝導性組成物の(メタ)アクリルモノマーが硬化することにより、(メタ)アクリルモノマーの硬化物(アクリル樹脂)がバインダー樹脂として機能する。これにより、例えば、熱伝導性組成物をシート状(熱伝導層)の形態で電子部品やヒートシンクの所定の場所に貼り合わせる場合、熱伝導層にタック性を持たせることができる。(メタ)アクリルモノマーは、その硬化物であるアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)が−10℃以下となるものが好ましい。
(メタ)アクリルモノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリルモノマーは、単官能であってもよいし、2官能であってもよいし、多官能であってもよい。本技術に係る熱伝導性組成物では、単官能(メタ)アクリルモノマー及び2官能(メタ)アクリルモノマーの少なくとも1種を用いることが好ましく、単官能(メタ)アクリルモノマー及び2官能(メタ)アクリルモノマーを併用することがより好ましい。(メタ)アクリルモノマーの構造は、脂肪族モノマー、脂環式モノマー、芳香族モノマー、親水性モノマーなどが挙げられるが、脂肪族モノマーが特に好ましい。
(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリルモノマーの中でも、特に、2−エチルヘキシルアクリレート及びポリプロピレングリコールジアクリレートを併用することが好ましい。
熱伝導性組成物中、エラストマーと(メタ)アクリルモノマーとの重量比(エラストマー:(メタ)アクリルモノマー)は、2:98〜20:80である。熱伝導性組成物中のエラストマーの重量比をこのような範囲とすることで、熱伝導性組成物を熱伝導層としたときの柔軟性を良好にでき、熱伝導層の圧縮率を高くすることができる。
熱伝導性組成物中の(メタ)アクリルモノマーの含有量は、特に限定されない。熱伝導性組成物中の(メタ)アクリルモノマーの含有量の合計の下限値は、例えば、10体積%以上とすることができ、15体積%以上とすることもでき、20体積%以上とすることもできる。また、熱伝導性組成物中の(メタ)アクリルモノマーの含有量の合計の上限値は、例えば、40体積%以下とすることができ、35体積%以下とすることもでき、30体積%以下とすることもできる。
<重合開始剤>
熱伝導性組成物は、上述した(メタ)アクリルモノマーを硬化させるための重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、光重合用途や熱重合用途で用いられる一般的な光重合開始剤や熱重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを用いることができる。
熱伝導性組成物は、上述した(メタ)アクリルモノマーを硬化させるための重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、光重合用途や熱重合用途で用いられる一般的な光重合開始剤や熱重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを用いることができる。
<熱伝導フィラー>
熱伝導性組成物は、熱伝導性付与の目的で、熱伝導フィラーを含有する。熱伝導フィラーは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;アルミニウム、銅、銀等の金属;アルミナ、マグネシア等の金属酸化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素等の窒化物;カーボンナノチューブ等を用いることができる。これらの中でも、良好な難燃性と絶縁性を実現する観点では、水酸化アルミニウム、アルミナ、窒化アルミニウム及び酸化マグネシウムの少なくとも1種を用いることが好ましい。また、熱伝導フィラーとしては、界面強化や分散性の向上のために、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ステアリン酸などで上述した熱伝導フィラーを処理したものを用いてもよい。熱伝導フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導性組成物は、熱伝導性付与の目的で、熱伝導フィラーを含有する。熱伝導フィラーは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;アルミニウム、銅、銀等の金属;アルミナ、マグネシア等の金属酸化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素等の窒化物;カーボンナノチューブ等を用いることができる。これらの中でも、良好な難燃性と絶縁性を実現する観点では、水酸化アルミニウム、アルミナ、窒化アルミニウム及び酸化マグネシウムの少なくとも1種を用いることが好ましい。また、熱伝導フィラーとしては、界面強化や分散性の向上のために、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ステアリン酸などで上述した熱伝導フィラーを処理したものを用いてもよい。熱伝導フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導フィラーの平均粒径は、例えば、0.5〜100μmとすることができる。特に、分散性と熱伝導性の点から、熱伝導フィラーとして、平均粒径3〜20μmの小径のフィラーと、平均粒径25〜100μmの大径のフィラーとを併用することが好ましい。
熱伝導性組成物中の熱伝導フィラーの含有量は、例えば、上述した(メタ)アクリルモノマーの合計量を100重量部としたときに、100〜2000重量部とすることができ、300〜600重量部とすることもできる。熱伝導フィラーの含有量をこのような範囲とすることにより、熱伝導層の熱伝導性をより高めるとともに、熱伝導層の柔軟性をより良好にすることができる。また、平均粒径の異なる2種の熱伝導フィラーを併用する場合、小径の熱伝導フィラーと大径の熱伝導フィラーとの重量比(小径の熱伝導フィラー:大径の熱伝導フィラー)は、例えば、15:85〜90:10とすることができ、40:60〜60:40とすることもできる。
<中空樹脂粒子>
熱伝導性組成物は、硬化後の熱伝導層に柔軟性を付与する目的で、中空樹脂粒子を含有する。中空樹脂粒子としては、マイクロバルーンが挙げられ、有機系バルーンでも、無機系バルーンでもよい。有機系マイクロバルーンとしては、プラスチックマイクロバルーンが例示される。プラスチックマイクロバルーンとしては、例えば、フェノール、尿素、スチレン、サラン、塩化ビニル、アクリロニトリルなどのホモ重合体またはこれらの2種以上の共重合体からなるものが挙げられる。無機系マイクロバルーンとしては、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーンが挙げられる。
熱伝導性組成物は、硬化後の熱伝導層に柔軟性を付与する目的で、中空樹脂粒子を含有する。中空樹脂粒子としては、マイクロバルーンが挙げられ、有機系バルーンでも、無機系バルーンでもよい。有機系マイクロバルーンとしては、プラスチックマイクロバルーンが例示される。プラスチックマイクロバルーンとしては、例えば、フェノール、尿素、スチレン、サラン、塩化ビニル、アクリロニトリルなどのホモ重合体またはこれらの2種以上の共重合体からなるものが挙げられる。無機系マイクロバルーンとしては、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーンが挙げられる。
中空樹脂粒子は、有機系表面処理剤や無機系表面処理剤で、マイクロバルーンを表面処理したものであってもよい。有機系表面処理剤としては、例えば、脂肪酸、樹脂酸および脂肪酸エステルが挙げられる。無機系表面処理剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化チタン、チタン、クレー、シリカが挙げられる。特に、中空樹脂粒子としては、プラスチックマイクロバルーンが、無機系表面処理剤の微粉末で表面処理されたものが好ましく、例えば、アクリルニトリル樹脂の表面が炭酸カルシウムやタルクで被覆されたプラスチックマイクロバルーンが好ましい。このような中空樹脂粒子の市販品としては、マツモトマイクロスフェアー(登録商標)シリーズが挙げられ、具体的には、FN−80SDE、F−65DE、F−80DE(以上、松本油脂製薬社製)などが挙げられる。中空樹脂粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中空樹脂粒子の平均粒径は、特に限定されず、例えば、平均粒径の下限値が5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、30μm以上であってもよい。また、中空樹脂粒子の平均粒径の上限値は、例えば、300μm以下であってもよく、100μm以下であってもよく、80μm以下であってもよく、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。
中空樹脂粒子の比重は、特に限定されず、例えば、比重の上限値が0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよく、0.5以下であってもよく、0.3以下であってもよい。また、中空樹脂粒子の比重の下限値は、0.02以上であってもよく、0.08以上であってもよく、0.1以上であってもよい。
熱伝導性組成物中、中空樹脂粒子の含有量は、2.5〜20体積%である。熱伝導性組成物中の中空樹脂粒子の含有量をこのような範囲とすることにより、熱伝導層中に空気が含まれることを抑制でき、熱伝導率の低下を抑制できる。
<その他の成分>
本技術に係る熱伝導性組成物は、本技術の効果を損なわない範囲で、必要に応じて上述した成分以外の他の成分、例えば、酸化防止剤、熱劣化防止剤、難燃剤、着色剤などをさらに含有してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることができる。
本技術に係る熱伝導性組成物は、本技術の効果を損なわない範囲で、必要に応じて上述した成分以外の他の成分、例えば、酸化防止剤、熱劣化防止剤、難燃剤、着色剤などをさらに含有してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることができる。
本技術に係る熱伝導性組成物は、上述のように、可塑剤や柔軟化剤などの常温でオイル状の成分を含有しないことが好ましい。熱伝導性組成物がこのような常温でオイル状の成分を含有しないことにより、熱伝導性組成物の硬化物からなる熱伝導層からのオイルブリードを抑制できるため、熱伝導性シート周辺の汚染を防止することができる。常温でオイル状の成分としては、可塑剤、例えば、ブタジエン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸系化合物、セバシン酸オクチル、セバシン酸ジイソデシル等のセバシン酸系化合物、リン酸トリクレシル等のリン酸系化合物、ヒマシ油やその誘導体、ステアリン酸やオレイン酸等の高級脂肪酸および誘導体、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸系化合物、低分子量アクリルポリマー、ワックス、タッキファイアーなどが挙げられる。
特に、本技術に係る熱伝導性組成物は、常温で液状の可塑剤を実質的に含有しないことが好ましく、熱伝導性組成物中の可塑剤の含油量が1重量%以下であることが好ましく、0.5重量%であることがより好ましく、0.1重量%以下であることがさらに好ましく、0重量%であることが特に好ましい。
<熱伝導性シート>
図1は、本技術に係る熱伝導性組成物の硬化物からなる、熱伝導性シートの一例を示す斜視図である。熱伝導性シートは、上述した熱伝導組成物の硬化物からなる熱伝導層10と、非粘着性樹脂層(以下、「タックフリー層」とも称する)20とが積層されている。
図1は、本技術に係る熱伝導性組成物の硬化物からなる、熱伝導性シートの一例を示す斜視図である。熱伝導性シートは、上述した熱伝導組成物の硬化物からなる熱伝導層10と、非粘着性樹脂層(以下、「タックフリー層」とも称する)20とが積層されている。
熱伝導性シートは、上述した熱伝導性組成物を硬化させた硬化物である熱伝導層10を備えるため、熱伝導率を1.0W/m・K以上とすることができ、1.5W/m・K以上とすることもでき、1.7W/m・K以上とすることもできる。熱伝導率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
また、熱伝導性シートは、上述した熱伝導性組成物を硬化させた硬化物である熱伝導層10を備えるため柔軟性が良好であり、例えば、23℃、荷重1kgf/cm2で10分間圧力をかけたときの圧縮率(初期厚みからの変化量)を熱伝導性シートの初期厚みで除した比率を10%以上とすることができ、15%以上とすることもでき、20%以上とすることもできる。圧縮率の上限値は、特に限定されないが、例えば、25%以下とすることができる。圧縮率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
熱伝導層10の厚みは、目的に応じて適宜設定することができ、例えば、被着体の凹凸に対する追従性や生産性の観点から、500〜3000μmとすることができる。熱伝導層10は、例えば、熱伝導性組成物が光重合開始剤を含有する場合、長波長紫外線(例えば、波長320〜400nm)を光重合開始剤の開裂に必要なエネルギー分だけ熱伝導性組成物に照射することにより得ることができる。
タックフリー層20は、熱伝導性シートの取扱いを良好にするために、熱伝導層10よりもタックの小さい層(タックフリー層)として設けられる。タックフリー層20のタック性は、例えば、タックフリー層20に、温度40℃、アルミニウム製円柱状プローブを、押しつけ速度30mm/min、引き剥がし速度120mm/min、荷重196g、押しつけ時間5.0秒、引っ張り距離5mm、プローブ加熱40℃、シートステージ加熱40℃の条件で押しつけて引き剥がすことにより測定されるプローブタックが、6〜30kN/m2とすることができる。これにより、例えば、熱伝導性シートを用いて電子部品とヒートシンクとを組み立てる際に、タックフリー層20が適度に低い粘着性を発揮し、ワーク性がより向上すると共に、組み直すときのリワーク性がより向上する。
また、タックフリー層20と熱伝導層10との接着強度は、ワーク時やリワーク時の取扱性をより良好にする観点から、例えば、T型剥離で0.2N/cm以上とすることができ、0.2〜6N/cmとすることもできる。
タックフリー層20は、例えば、熱可塑性樹脂と、イソシアネートなどの硬化剤と、メラミンシアヌレート等の有機系難燃剤とを含有する組成物を用いることができる。タックフリー層20を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ガラス転移温度が60℃以上110℃以下であり、数平均分子量が10000〜500000である熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。また、タックフリー層20は、水酸化アルミニウム等の熱伝導フィラー、着色剤などをさらに含有してもよい。
タックフリー層20の厚みは、特に限定されないが、例えば、1〜25μmとすることができ、5〜20μmとすることもできる。このような範囲とすることにより、例えば熱伝導層10との相溶や、熱伝導フィラーによる擦過ダメージによる粘着性向上をより効果的に抑制でき、また、熱伝導性シートとしての熱伝導性をより良好にすることができる。
図2は、熱伝導性シートの他の例を示す斜視図である。熱伝導性シートは、熱伝導層10のタックフリー層20とは反対面に、使用時には剥離される剥離フィルム30が貼付されていてもよい。剥離フィルム30としては、例えば、シリコーンなどの剥離剤をPET(Polyethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methylpentene-1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などに塗布したものを用いることができる。熱伝導性シートは、タックフリー層20の屈曲性が良好であるため、リールに巻き回して保管することができる。また、巻き回した熱伝導性シートは、熱伝導層10側に貼付された剥離フィルム30を剥がし、電子部品とヒートシンクとの組み立てに使用することができる。
以上のように、本技術に係る熱伝導性シートは、上述した熱伝導性組成物を硬化させた熱伝導層10を備えるため、熱伝導層10からのオイルブリードを抑制でき、圧縮率を高くすることができ、熱伝導率を良好にすることができる。
<熱伝導性シートの製造方法>
次に、熱伝導性シートの製造方法の一例について説明する。例えば、熱伝導性シートの製造方法は、タックフリー層を形成する工程と、タックフリー層上に、熱伝導性組成物を塗布して光硬化させ、熱伝導層を形成する工程とを有する。
次に、熱伝導性シートの製造方法の一例について説明する。例えば、熱伝導性シートの製造方法は、タックフリー層を形成する工程と、タックフリー層上に、熱伝導性組成物を塗布して光硬化させ、熱伝導層を形成する工程とを有する。
タックフリー層を形成する工程では、タックフリー層用の組成物(塗料)を塗布してタックフリー層を形成する。例えば、タックフリー層用の塗料を作製し、このタックフリー層用の塗料が乾燥後に所定厚みとなるように、剥離処理を施した剥離フィルム上にタックフリー層用の塗料をバーコーターで塗布し、乾燥させてタックフリー層を形成する。
熱伝導層を形成する工程では、タックフリー層上に、上述した熱伝導性組成物を塗布して硬化させ、熱伝導層を形成する。例えば、タックフリー層上に、熱伝導性組成物をバーコーターで塗布し、剥離フィルムを被せ、タックフリー層と熱伝導層との合計厚みが所定値となるように塗工機のローラーのギャップを通過させる。これにより、タックフリー層の凹部分が、熱伝導性組成物によって充填され、タックフリー層の凸部分が、熱伝導性組成物によって覆われ、タックフリー層と熱伝導層との間の接着力を向上させることができる。そして、熱伝導層とタックフリー層とが積層された積層体の上面及び下面からUVランプを照射して熱伝導層を光硬化させることにより、熱伝導性シートが得られる。
本技術に係る熱伝導性シートは、例えば、発熱体と放熱体との間に配置させることにより、発熱体で生じた熱を放熱体に逃がすためにそれらの間に配された構造の電子機器(サーマルデバイス)とすることができる。電子機器は、発熱体と放熱体と熱伝導シートとを少なくとも有し、必要に応じて、その他の部材をさらに有していてもよい。
発熱体としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの集積回路素子、トランジスタ、抵抗器など、電気回路において発熱する電子部品等が挙げられる。また、発熱体には、通信機器における光トランシーバー等の光信号を受信する部品も含まれる。
放熱体としては、例えば、ヒートシンクやヒートスプレッダなど、集積回路素子やトランジスタ、光トランシーバー筐体などと組み合わされて用いられるものが挙げられる。放熱体としては、ヒートスプレッダやヒートシンク以外にも、熱源から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであればよく、例えば、放熱器、冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、金属カバー、筐体等が挙げられる。
以下、本技術の実施例について説明する。本実施例では、熱伝導性組成物を硬化させた熱伝導層(厚み約2000μm)とタックフリー層(厚み約5μm)とが積層された熱伝導性シートを作製した。そして、熱伝導性シートについて、圧縮率、オイルブリード重量及び熱伝導率を評価した。なお、本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
次のようにして、タックフリー層を作製した。ポリビニルブチラール(積水化学社製、エスレックBX−1)100重量部と、硬化剤であるイソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートHX)12重量部と、メラミンシアヌレート(堺化学工業社製、STABIACE MC−5S)12重量部とを、固形分が10%となるようにトルエン:MEK=1:1の混合溶剤に溶解させてタックフリー層用の塗料を得た。この塗料を、剥離処理を施したPETライナー上に、乾燥後の厚みが約5μmとなるようにバーコーターで塗布した。塗布した塗料を、乾燥機で、90℃で1分間乾燥させ、さらに140℃で5分間乾燥させ、タックフリー層を得た。
次のようにして、タックフリー層を作製した。ポリビニルブチラール(積水化学社製、エスレックBX−1)100重量部と、硬化剤であるイソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートHX)12重量部と、メラミンシアヌレート(堺化学工業社製、STABIACE MC−5S)12重量部とを、固形分が10%となるようにトルエン:MEK=1:1の混合溶剤に溶解させてタックフリー層用の塗料を得た。この塗料を、剥離処理を施したPETライナー上に、乾燥後の厚みが約5μmとなるようにバーコーターで塗布した。塗布した塗料を、乾燥機で、90℃で1分間乾燥させ、さらに140℃で5分間乾燥させ、タックフリー層を得た。
下記表に示す各成分からなる熱伝導性組成物を準備し、上述したタックフリー層上に、熱伝導性組成物の乾燥後の厚みが約2mmとなるようにバーコーターで熱伝導性組成物を塗布し、上面及び下面からUVランプを照射して、熱伝導層と非粘着性樹脂層とが積層された熱伝導性シートを得た。UVランプの照射条件は、波長385nmにおける照度が8mW/cm2のケミカルランプを片面5分ずつとした。すなわち、積算光量は、片面で2400mJ/cm2とした。
実施例2,3、比較例2,3では、中空樹脂粒子の含有量を変更したこと以外は、実施例1と同様に熱伝導性シートを得た。
比較例1では、中空樹脂粒子を含有させないとともに、エラストマーの代わりに等量の可塑剤を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
実施例4,比較例4〜7では、エラストマーの種類を変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。
実施例5,6,比較例8では、エラストマーと(メタ)アクリルモノマーとの重量比を変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。
表中の各成分の詳細は以下の通りである。
<(メタ)アクリルモノマー>
2−エチルヘキシルアクリレート
ポリプロピレングリコールジアクリレート
<エラストマー>
EVA1:レバプレン800(ランクセス社製、酢酸ビニル含有率80%)
EVA2:EVAFLEX EV40W(三井・ダウポリケミカル社製、酢酸ビニル含有率41%)
EVA3:EVAFLEX EV220(三井・ダウポリケミカル社製、酢酸ビニル含有率28%)
SIS:SIS 5250P(JSR社製、スチレン−イソプレンブロックコポリマ)
BR:LBR−305(クラレ社製、液状ブタジエン)
SBR:TR2003(JSR社製、スチレン−ブタジエンブロックコポリマ)
<熱伝導フィラー>
水酸化アルミニウム(平均粒径80μm:10μm=1:1混合)
<中空樹脂粒子>
アクリロニトリルバルーンフィラー(マイクロスフェアー(登録商標) FN−80SDE、平均粒径30μm、松本油脂製薬社製)
<重合開始剤>
Irgacure819(BASF社製)
<その他成分>
フェノール系酸化防止剤:アデカスタブAO−50(ADEKA社製)
可塑剤:トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(TOTM)
2−エチルヘキシルアクリレート
ポリプロピレングリコールジアクリレート
<エラストマー>
EVA1:レバプレン800(ランクセス社製、酢酸ビニル含有率80%)
EVA2:EVAFLEX EV40W(三井・ダウポリケミカル社製、酢酸ビニル含有率41%)
EVA3:EVAFLEX EV220(三井・ダウポリケミカル社製、酢酸ビニル含有率28%)
SIS:SIS 5250P(JSR社製、スチレン−イソプレンブロックコポリマ)
BR:LBR−305(クラレ社製、液状ブタジエン)
SBR:TR2003(JSR社製、スチレン−ブタジエンブロックコポリマ)
<熱伝導フィラー>
水酸化アルミニウム(平均粒径80μm:10μm=1:1混合)
<中空樹脂粒子>
アクリロニトリルバルーンフィラー(マイクロスフェアー(登録商標) FN−80SDE、平均粒径30μm、松本油脂製薬社製)
<重合開始剤>
Irgacure819(BASF社製)
<その他成分>
フェノール系酸化防止剤:アデカスタブAO−50(ADEKA社製)
可塑剤:トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(TOTM)
<評価>
実施例及び比較例で得られた熱伝導性シートの圧縮率、オイルブリード重量及び熱伝導率は、次のように評価した。
実施例及び比較例で得られた熱伝導性シートの圧縮率、オイルブリード重量及び熱伝導率は、次のように評価した。
<圧縮率>
熱伝導性シートに対して、23℃で上から1kgf/cm2で10分間圧力をかけたときの圧縮量(初期厚みからの変化量)を熱伝導性シートの初期厚みで除した比率(%)として算出した。圧縮率が大きいほど熱伝導性シートが柔らかいことを表す。圧縮率が10%以上をOKと評価し、熱伝導層の圧縮率が10%未満をNGと評価した。結果を表2〜4に示す。
熱伝導性シートに対して、23℃で上から1kgf/cm2で10分間圧力をかけたときの圧縮量(初期厚みからの変化量)を熱伝導性シートの初期厚みで除した比率(%)として算出した。圧縮率が大きいほど熱伝導性シートが柔らかいことを表す。圧縮率が10%以上をOKと評価し、熱伝導層の圧縮率が10%未満をNGと評価した。結果を表2〜4に示す。
<オイルブリード重量>
φ29mmの円盤状に抜き加工した熱伝導性シートを、上質紙(王子製紙社製、OKプリンス上質紙(厚み100μm、坪量70g/m2))の間に挟み、金属板を使って30%圧縮状態に固定して、95℃、72時間の条件でエージング処理を行った。エージング処理後に、上質紙に染み込んだオイル状成分の重量を、初期の熱伝導性シートの重量で除したオイルブリード重量比率を求めた。実用上、オイルブリード重量比率が1.0%以下であることが好ましい。結果を表2〜4に示す。
φ29mmの円盤状に抜き加工した熱伝導性シートを、上質紙(王子製紙社製、OKプリンス上質紙(厚み100μm、坪量70g/m2))の間に挟み、金属板を使って30%圧縮状態に固定して、95℃、72時間の条件でエージング処理を行った。エージング処理後に、上質紙に染み込んだオイル状成分の重量を、初期の熱伝導性シートの重量で除したオイルブリード重量比率を求めた。実用上、オイルブリード重量比率が1.0%以下であることが好ましい。結果を表2〜4に示す。
<熱伝導率>
ASTM−D5470に準拠した熱抵抗測定装置を用いて、荷重1kgf/cm2、ヒータ電力8W、冷却器温度25℃の条件で、熱伝導性シートの厚み方向の熱伝導率を測定した。実用上、熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましい。結果を表2〜4に示す。
ASTM−D5470に準拠した熱抵抗測定装置を用いて、荷重1kgf/cm2、ヒータ電力8W、冷却器温度25℃の条件で、熱伝導性シートの厚み方向の熱伝導率を測定した。実用上、熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましい。結果を表2〜4に示す。
<総合評価>
熱伝導性シートの圧縮率が10%以上であり、熱伝導性シートの熱伝導率が1W/m・K以上であり、熱伝導性シートのオイルブリード重量が1.0%以下である場合をOKと評価し、それ以外の場合をNGと評価した。結果を表2〜4に示す。
熱伝導性シートの圧縮率が10%以上であり、熱伝導性シートの熱伝導率が1W/m・K以上であり、熱伝導性シートのオイルブリード重量が1.0%以下である場合をOKと評価し、それ以外の場合をNGと評価した。結果を表2〜4に示す。
実施例1〜6のように、エラストマーと、(メタ)アクリルモノマーと、重合開始剤と、熱伝導フィラーと、中空樹脂粒子とを含有し、エラストマーと(メタ)アクリルモノマーとの重量比が2:98〜20:80であり、エラストマーとして酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有し、中空樹脂粒子を2.5〜20体積%含有する、熱伝導性組成物を用いることにより、圧縮率が高く、熱伝導率が良好であり、オイルブリードを抑制できる熱伝導性シートが得られることが分かった。
比較例1では、エラストマーとして酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体の代わりに、シートの柔軟化のための可塑剤を含有する熱伝導性組成物を用いたため、熱伝導性シートからのオイルブリードを抑制するのが困難であることが分かった。
比較例2では、中空樹脂粒子の含有量が20体積%超の熱伝導性組成物を用いたため、熱伝導性シートの熱伝導率を良好にするのが困難であることが分かった。
比較例3では、中空樹脂粒子を含有しない熱伝導性組成物を用いたため、熱伝導性シートの圧縮率を高くするのが困難であることが分かった。
比較例4では、エラストマーとして、酢酸ビニル含有率が40%未満であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を用いたため、熱伝導性組成物を塗料化することができないことが分かった。
比較例5〜7では、酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有しない熱伝導性組成物を用いたため、熱伝導性シートの圧縮率を高くするのが困難であることが分かった。
比較例8では、エラストマーと(メタ)アクリルモノマーとの重量比が2:98〜20:80を満たさない熱伝導性組成物を用いたため、熱伝導性シートの圧縮率を高くするのが困難であることが分かった。
10 熱伝導層、20 非粘着性樹脂層(タックフリー層)、30 剥離フィルム
Claims (13)
- エラストマーと、
(メタ)アクリルモノマーと、
重合開始剤と、
熱伝導フィラーと、
中空樹脂粒子とを含有し、
上記エラストマーと上記(メタ)アクリルモノマーとの重量比が、2:98〜20:80であり、
上記エラストマーが、酢酸ビニル含有率が40%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有し、
上記中空樹脂粒子を2.5〜20体積%含有する、熱伝導性組成物。 - 上記中空樹脂粒子が、プラスチックマイクロバルーンを含有する、請求項1に記載の熱伝導性組成物。
- 上記(メタ)アクリルモノマーは、硬化後のガラス転移温度が−10℃以下である、請求項1又は2記載の熱伝導性組成物。
- 上記(メタ)アクリルモノマーが、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
- 上記(メタ)アクリルモノマーが、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングルコール(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートの少なくとも1種と、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びエトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種とを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。 - 上記重合開始剤が、光重合開始剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
- 常温で液状の可塑剤を実質的に含有しない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物の硬化物からなる、熱伝導層。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物の硬化物からなる熱伝導層と、非粘着性樹脂層とが積層された、熱伝導性シート。
- 23℃、荷重1kgf/cm2で10分間圧力をかけたときの圧縮量を、当該熱伝導性シートの初期厚みで除した比率が10%以上である、請求項9に記載の熱伝導性シート。
- 熱伝導率が1.0W/m・K以上である、請求項9又は10に記載の熱伝導性シート。
- 非粘着性樹脂層を形成する工程と、
上記非粘着性樹脂層上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物を塗布して光硬化させ、熱伝導層を形成する工程とを有する、熱伝導シートの製造方法。 - 発熱体と、
放熱体と、
発熱体と放熱体との間に配置された熱伝導性シートとを備え、
上記熱伝導性シートは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物の硬化物からなる熱伝導層と、非粘着性樹脂層とが積層されてなる、電子機器。
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JP2020089763A JP2021183679A (ja) | 2020-05-22 | 2020-05-22 | 熱伝導性組成物、及びこれを用いた熱伝導性シート |
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