JP2023004432A - 液体吐出装置及び濃度補正情報の生成方法 - Google Patents

Abstract

【課題】液体吐出装置の濃度キャリブレーション処理を少ない工数で完了させる。【解決手段】基準印刷条件で印刷されたパッチパターンの測定結果となる基準測定情報に基づいて、基準印刷条件に対応する濃度補正情報を生成して画像濃度を制御する。この際、記憶部に、基準印刷条件とは異なる一つ又は複数の印刷条件の測定情報と基準測定情報との差分となる差分情報を、予め記憶させておく。濃度補正情報生成部は、基準測定情報に基づいて基準印刷条件に対応する濃度補正情報を生成する。また、基準測定情報、及び、記憶部に記憶されている差分情報に基づいて、基準印刷条件とは異なる一つ又は複数の印刷条件に対応する濃度補正情報を生成する。これにより、パッチパターンの印刷及び測定を１回行うだけで、後は、差分情報に基づく演算で他の印刷条件に対応する濃度補正情報を算出でき、濃度キャリブレーション処理の工数を大幅に削減できる。【選択図】図１０

Description

本発明は、液体吐出装置及び濃度補正情報の生成方法に関する。

今日において、いわゆるインクジェット方式等の画像形成装置が知られている。このような画像形成装置においては、入力画像情報に基づき、所望のインク濃度で画像を出力するのが好ましい。

このようなことから、特許文献１（特開平０１－０４１３７５号公報）に開示されているカラー画像処理方法では、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの色毎に所定のパターンを印刷し、そのパターンをスキャナ、測色計又は濃度計等で読み取る。そして、読み取り値(測色値)と期待値とのずれを検出し、検出したずれ量に基づいて、出力画像の濃度補正を行う（濃度キャリブレーション処理）。これにより、入力画像情報に基づいた、所望のインク濃度の出力画像を得ることができる。

しかし、特許文献１のカラー画像処理方法の場合、異なる印刷条件で印刷を行う毎に、所定のパターンを印刷し、印刷したパターンを測色し、この測色結果に基づいて出力画像の濃度補正を行う濃度キャリブレーション処理を行う必要があった。

すなわち、例えば記録媒体に対して印刷滲み防止用の滲み抑制剤の塗布等の前処理を行う場合と行わない場合等のように、印刷条件が変更となる毎に、上述の濃度キャリブレーション処理を行う必要があった。同様に、異なる解像度で印刷を行う場合、異なる印刷速度で印刷を行う場合、異なる用紙で印刷を行う場合、及び、異なるインクで印刷を行う場合等のように、印刷条件が変更となる毎に、上述の濃度キャリブレーション処理を行う必要があった。

このため、印刷条件毎に濃度キャリブレーション処理を繰り返し実行することで、例えば画像形成装置の設置時の濃度キャリブレーション処理等で工数が多くなる問題があった。

本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、印刷条件毎の濃度キャリブレーション処理を少ない工数で完了させることを可能とした液体吐出装置及び濃度補正情報の生成方法の提供を目的とする。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、基準となる基準印刷条件で印刷された所定のパッチパターンの測定結果となる基準測定情報に基づいて、基準印刷条件に対応する濃度補正情報を生成して画像濃度を制御する液体吐出装置であって、基準印刷条件とは異なる一つ又は複数の印刷条件の測定情報と基準測定情報との差分となる差分情報を記憶する記憶部と、基準測定情報に基づいて基準印刷条件に対応する濃度補正情報を生成し、基準測定情報、及び、記憶部に記憶されている差分情報に基づいて、基準印刷条件とは異なる一つ又は複数の印刷条件に対応する濃度補正情報を生成する濃度補正情報生成部と、を有する。

本発明によれば、印刷条件毎の濃度キャリブレーション処理を少ない工数で完了させることができるという効果を奏する。

図１は、ラインエンジンプリンタシステムのシステム構成を示す図である。 図２は、表面印字装置の要部のハードウェア構成を示すブロック図である。 図３は、制御部が印刷制御プログラムを実行することで実現される各機能の機能ブロック図である。 図４は、表面印字装置の制御部が印刷制御プログラムに基づいて行う印刷動作を示すフローチャートである。 図５は、印刷制御プログラムに基づいて実現される階調調整部の詳細な機能ブロック図である。 図６は、濃度キャリブレーション処理の流れを示すフローチャートである。 図７は、濃度キャリブレーション用のパッチパターンの一例を示す図である。 図８は、ＯＤカーブの一例を示す図である。 図９は、補正カーブの一例を示す図である。 図１０は、異なる印刷条件のＯＤカーブを示す図である。 図１１は、第１の印刷条件で記録媒体にパッチパターンを印刷して測定することで得たＯＤカーブと、第２の印刷条件に対応する階調－濃度差分情報に基づいて算出したＯＤカーブを示す図である。 図１２は、異なる印刷条件の補正カーブの一例を示す図である。

以下、添付図面を参照して、実施の形態となるラインエンジンプリンタシステムの説明をする。

（システム構成）
図１は、ラインエンジンプリンタシステムのシステム構成を示す図である。この図１に示すように、ラインエンジンプリンタシステムは、巻き出し装置１０、前処理装置２０、表面印字装置３０、スキャナ装置３１、表裏反転装置４０、裏面印字装置５０、スキャナ装置５１及び巻取り装置６０を備えている。

このようなラインエンジンプリンタシステムにおいては、ロール状の記録媒体１が、巻き出し装置１０の巻き出し部１１に巻回されている。この記録媒体１は、巻き出し部１１から巻き出され、バッファ部１２を介して前処理装置２０に供給される。

前処理装置２０に供給された記録媒体１は、記録媒体１の裏面に前処理液を塗布する塗布装置２２及び表面に前処理液を塗布する塗布装置２１を順に通過する。これにより、記録媒体１の表面及び裏面に、それぞれ印刷滲み防止用の滲み抑制剤を塗布する前処理が記録媒体１に施される。

このような前処理が施された記録媒体１は、表面印字装置３０に供給される。表面印字装置３０は、いわゆるインクジェットプリンタ装置となっている。表面印字装置３０は、印字ヘッドから記録媒体１の表面にインクを吐出することで、所望の文字、画像等を印刷する。そして、表面印字装置３０は、印刷した記録媒体１を乾燥器で乾燥させた後に表裏反転装置４０に供給する。スキャナ装置３１は、表面印字装置３０から表裏反転装置４０に記録媒体１が供給される間に、記録媒体１の表面を光学的に読み取る。スキャナ装置３１により読み取られた画像は、表面の画像検査に用いられる。

表裏反転装置４０は、記録媒体１の表裏を反転させ、裏面印字装置５０に供給する。裏面印字装置５０も、表面印字装置３０と同じくインクジェットプリンタ装置となっている。裏面印字装置５０は、印字ヘッドから記録媒体１の裏面にインクを吐出することで、所望の文字、画像等を印刷する。そして、裏面印字装置５０は、印刷した記録媒体１を乾燥器で乾燥させた後に巻取り装置６０に供給する。スキャナ装置５１は、裏面印字装置５０から巻取り装置６０に記録媒体１が供給される間に、記録媒体１の裏面を光学的に読み取る。スキャナ装置５１により読み取られた画像は、裏面の画像検査に用いられる。巻取り装置６０は、表面及び裏面の印刷が行われた記録媒体１を、バッファ部６２を介して巻取り部６１により巻き取る。

（表面印字装置の要部のハードウェア構成）
図２は、表面印字装置３０の要部のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、裏面印字装置５０も、この図２と同様のハードウェア構成を有している。この図２に示すように、表面印字装置３０は、制御部８０、メモリ８１、搬送モータ駆動部８２及び印字ヘッド駆動部８３を有している。メモリ８１には、印刷制御プログラム及び階調－濃度差分情報が記憶されている。制御部８０は、印刷制御プログラムに基づいて動作することで、搬送モータ駆動部８２を介して記録媒体１を搬送制御しながら、印字ヘッド駆動部８３を介して印字ヘッドを駆動して、記録媒体１に対してインクを吐出して、画像及び文字等の印刷を行う。

階調－濃度差分情報は、一方の印刷条件での階調－濃度特性値と、他方の印刷条件での階調－濃度特性値との差分値である。具体的には、例えば記録媒体１に対して印刷滲み防止用の滲み抑制剤の塗布等の前処理を行う場合の階調－濃度特性値と、行わない場合の階調－濃度特性値との差分値が、階調－濃度差分情報としてメモリ８１に記憶されている。同様に、解像度が例えば６００ｄｐｉ（dots per inch）の場合の階調－濃度特性値と、解像度が３００ｄｐｉの場合の階調－濃度特性値との差分値等のように、異なる解像度間の階調－濃度特性値の差分値が、階調－濃度差分情報としてメモリ８１に記憶されている。

同様に、印刷速度が例えば高速の場合の階調－濃度特性値と、印刷速度が低速の場合の階調－濃度特性値との差分値等のように、異なる印刷速度間の階調－濃度特性値の差分値が、階調－濃度差分情報としてメモリ８１に記憶されている。同様に、記録媒体１が例えば普通紙の場合の階調－濃度特性値と、記録媒体１がコート紙の場合の階調－濃度特性値との差分値等のように、異なる用紙間の階調－濃度特性値の差分値が、階調－濃度差分情報としてメモリ８１に記憶されている。同様に、印刷に用いるインクが例えば水性インクの場合の階調－濃度特性値と、紫外線硬化インクの場合の階調－濃度特性値との差分値等のように、異なるインク間の階調－濃度特性値の差分値が、階調－濃度差分情報としてメモリ８１に記憶されている。

後に詳しく説明するが、制御部８０は、濃度キャリブレーション処理時に、一方の印刷条件で所定パターンの印刷及び測色を行うことで階調－濃度特性値を検出すると、メモリ８１に記憶されている階調－濃度差分情報を参照して、他方の印刷条件の階調－濃度特性値を演算処理で算出する。これにより、必要とする所定パターンの印刷工程及び測色工程を大幅に削減可能としている。

（印刷処理機能）
図３は、制御部８０が印刷制御プログラムを実行することで実現される各機能の機能ブロック図である。この図３に示すように、制御部８０は印刷制御プログラムを実行することで、画像取得部８５、インク組み合わせ置換処理部８６、階調調整部８７、上限量設定部８８、ドット変換処理部８９及びインク吐出制御部９０の各機能を実現する。

画像取得部８５は、表面印字装置３０に接続された例えばパーソナルコンピュータ装置又はＵＳＢ（Universal Serial Bus）メモリ等の外部メモリから、印刷を行う画像等の画像情報を取得する。インク組み合わせ置換処理部８６は、取得された画像情報に基づいて、表面印字装置３０で使用可能なインク色の組み合わせを決定する。階調調整部８７は、決定されたインク色における所望の濃度を得るために、インプット階調に対するアウトプット階調を決定する。上限量設定部８８は、表面印字装置３０におけるインクの乾燥能力を超えないように、印刷を行う用紙に対するインクの付着量の上限量を決定する。ドット変換処理部８９は、印刷を行う画像の画像情報を、表面印字装置３０が表現可能なドット情報に変換処理する。インク吐出制御部９０は、変換処理により得られたドット情報に基づいて、印字ヘッドを吐出制御する。

（印刷動作）
図４は、表面印字装置３０の制御部８０が印刷制御プログラムに基づいて行う印刷動作を示すフローチャートである。この図４のフローチャートにおいて、まず、ステップＳ１では、画像取得部８５が、表面印字装置３０に接続された例えばパーソナルコンピュータ装置又はＵＳＢメモリ等の外部メモリから、印刷を行う画像等の画像情報を取得する。

ステップＳ２では、インク組み合わせ置換処理部８６が、取得した画像情報に基づいて、表面印字装置３０で使用可能なインク色の組み合わせを決定する。ステップＳ３では、階調調整部８７が、各インクの色を所望の画像濃度とするためのインプット階調に対するアウトプット階調を決定する。

ステップＳ４では、上限量設定部８８が、表面印字装置３０におけるインクの乾燥能力を超えないように、印刷を行う用紙に対するインクの付着量の上限量を決定する。ステップＳ５では、ドット変換処理部８９が、印刷を行う画像の画像情報を、表面印字装置３０が表現可能なドット情報に変換処理する。ステップＳ６では、インク吐出制御部９０が、変換処理により得られたドット情報に基づいて、吐出ノズル及び吐出滴を決定する。そして、インク吐出制御部９０は、ステップＳ７において、決定した吐出ノズルから、決定した吐出滴が吐出されるように、印字ヘッドを吐出制御する。これにより、記録媒体１の表面に対して、ステップＳ１で取得された画像情報に対応する画像又は文字等が印刷される。

なお、裏面印字装置５０の印刷動作も、このような表面印字装置３０の印刷動作と同様である。上述の説明を参照されたい。

（階調調整部の詳細な機能）
次に、図４のフローチャートのステップＳ３で説明したインプット階調に対するアウトプット階調を決定する処理は、ラインエンジンプリンタシステムのマシンインストール時の初期調整項目の一つである、濃度キャリブレーション処理として実行される。

図５は、印刷制御プログラムに基づいて実現される階調調整部８７の詳細な機能ブロック図である。この図５に示すように、階調調整部８７は、印刷制御部９５、濃度測定結果取得部９６、近似曲線算出部９７、目標光学濃度カーブ算出部９８、光学濃度補正カーブ算出部９９及び補正カーブ設定部１００を有している。濃度測定結果取得部９６～光学濃度補正カーブ算出部９９は、濃度補正情報生成部の一例である。

印刷制御部９５は、濃度キャリブレーション用のパッチパターンを印字するように印字ヘッド駆動部８３を制御する。濃度測定結果取得部９６は、スキャナ装置３１により測色されたパッチパターンの測色結果（基準測定情報）を取得する。近似曲線算出部９７は、パッチパターンの測色結果に基づいて、各階調に対する画像濃度を示す特性値である階調－画像濃度特性値を算出する。また、近似曲線算出部９７は、算出した各階調－画像濃度特性値の近似曲線であるＯＤ（ＯＤ：Opitical Densitiy）カーブを算出する。

目標光学濃度カーブ算出部９８は、ＯＤカーブに基づいて、目標となる画像濃度にターゲットＯＤを設定すると共に、このターゲットＯＤまでリニアに変化する階調－画像濃度特性値を示す目標ＯＤカーブを算出する。光学濃度補正カーブ算出部９９は、ＯＤカーブ１及び目標ＯＤカーブに基づいて、画像濃度がリニアな中間階調を得るための補正カーブを算出する。補正カーブ設定部１００は、算出された補正カーブをインク吐出制御部９０に設定する。これにより、インク吐出制御部９０が、補正カーブに基づいて印字ヘッドの各ノズルの吐出量等を制御し、所望の画像濃度の出力画像を得ることができる。

（濃度キャリブレーション処理）
図６は、濃度キャリブレーション処理の流れを示すフローチャートである。ステップＳ１１では、未調整の状態で濃度キャリブレーションを実行する必要があるため、印刷制御部９５が、上述の補正カーブがインク吐出制御部９０に設定されていないことを確認するか、又は、未設定にする。

ステップＳ１２では、印刷制御部９５が、印字ヘッド駆動部８３を介して、濃度キャリブレーション用のパッチパターンを印刷制御する。図７は、濃度キャリブレーション用のパッチパターンの一例である。この図７に示すように、印刷制御部９５は、ブラック（Ｋ）、シアン（Ｃ）、マゼンタ（Ｍ）及びイエロー（Ｙ）の各単色の色毎に、各階調からなるパッチパターンを印刷する。このパッチパターンは、スキャナ装置３１で読み取られる。

ステップＳ１３では、濃度測定結果取得部９６が、スキャナ装置３１で読み取られたパッチパターンに基づいて、画像濃度を測定する。ステップＳ１４及びステップＳ１５では、近似曲線算出部９７が、画像濃度の測定結果に基づいて、上述のＯＤカーブを算出する。

図８は、ＯＤカーブの一例を示す図である。この図８は、横軸が階調で、縦軸が画像濃度の階調－画像濃度特性値を示すグラフとなっている。黒丸の各点は、パッチパターンの測定結果となる測色値を示している。近似曲線算出部９７は、図８中、実線のグラフで示すように、各測色値の近似曲線となるＯＤカーブ（測定情報の一例）を算出する。

次にステップＳ１６では、目標光学濃度カーブ算出部９８が、図８に示すように、ＯＤカーブに基づいて、目標となる画像濃度にターゲットＯＤを設定すると共に、このターゲットＯＤまでリニアに変化する階調－画像濃度特性値を示す目標ＯＤカーブを算出する。そして、光学濃度補正カーブ算出部９９が、ＯＤカーブ及び目標ＯＤカーブに基づいて、図９に示すような、画像濃度がリニアな中間階調を得るための補正カーブを算出する。

ステップＳ１７では、補正カーブ設定部１００が、算出された補正カーブに対応する出力補正情報をメモリ８１に記憶する。インク吐出制御部９０は、印刷時となると、メモリ８１から読み出した出力補正情報に基づいて、印字ヘッドの各ノズルの吐出量等を制御する。これにより、補正カーブに対応するインクの吐出制御を行うことができ、所望の画像濃度の出力画像を得ることができる。

なお、ステップＳ１３におけるパッチパターンの計測は、印刷及び乾燥がされた後のパッチパターンの画像であれば、任意のタイミングで実行してもよい。また、スキャナ装置３１及びスキャナ装置５１で、パッチパターンの画像に基づく画像濃度の測定を行ってもよい。

また、ステップＳ１３におけるパッチパターンの計測は、表面印字装置３０内（又は裏面印字装置５０内）に設けられたスキャナ装置で行ってもよい。

（濃度キャリブレーション処理に要する工数の削減）
図１０は、異なる印刷条件のＯＤカーブを、それぞれ示す図である。印刷条件は、一例として、記録媒体１に対して印刷滲み防止用の滲み抑制剤の塗布等の前処理を行う場合（基準印刷条件の一例）と、行わない場合（他の印刷条件の一例）、又は、解像度が例えば６００ｄｐｉ（dots per inch）の場合と、解像度が３００ｄｐｉの場合である。または、印刷条件は、印刷速度が高速の場合と低速の場合、又は、記録媒体１として用いる用紙が例えば普通紙の場合とコート紙の場合、又は、印刷に用いるインクが例えば水性インクの場合と紫外線硬化インクの場合等である。

印刷条件が、例えば記録媒体１に対して印刷滲み防止用の滲み抑制剤の塗布等の前処理を行う場合と、行わない場合であることとして説明を進めると、図１０に実線で示す第１の印刷条件のＯＤカーブが、例えば前処理を行う場合のＯＤカーブを示し、点線で示す第２の印刷条件のＯＤカーブが、例えば前処理を行わない場合のＯＤカーブを示している。

このような各印刷条件に対応するＯＤカーブを得るためには、前処理を施した記録媒体１にパッチパターンの画像を印刷して測定する工程、及び、前処理を施さない記録媒体１にパッチパターンの画像を印刷して測定する工程が必要となる。

ここで、図１０に示すように、第１の印刷条件のＯＤカーブと第２の印刷条件のＯＤカーブとの差分（階調－画像濃度特性値の差分）が予め分かっていれば、例えば第１の印刷条件のＯＤカーブを算出するだけで、この差分から第２の印刷条件のＯＤカーブを算出できる。反対の演算も可能であり、第２の印刷条件のＯＤカーブを算出するだけで、この差分から第１の印刷条件のＯＤカーブを算出することもできる。

このようなことから、実施の形態のラインエンジンプリンタシステムは、図２に示した表面印字装置３０（及び裏面印字装置５０）のメモリ８１（記憶部の一例）に、第１の印刷条件のＯＤカーブと第２の印刷条件のＯＤカーブとの差分を示す階調－濃度差分情報（差分情報の一例）を予め計測して記憶している。このため、近似曲線算出部９７は、ステップＳ１４及びステップＳ１５において、第１の印刷条件のＯＤカーブを算出すると、メモリ８１に記憶されている階調－濃度差分情報に基づいて、第２のＯＤカーブを算出する。

図１１は、第１の印刷条件で記録媒体１にパッチパターンを印刷して測定することで得たＯＤカーブと、第２の印刷条件に対応する階調－濃度差分情報に基づいて算出したＯＤカーブを示す図である。実線で示すＯＤカーブが、パッチパターンを印刷して測定することで得た第１の印刷条件のＯＤカーブである。これに対して、点線で示すＯＤカーブが、階調－濃度差分情報に基づいて算出した第２の印刷条件のＯＤカーブである。一例として、第１の印刷条件は、記録媒体１に前処理を施さない場合であり、第２の印刷条件は、記録媒体１に前処理を施す場合である。

反対に、第１の印刷条件を、記録媒体１に前処理を施す場合とし、第２の印刷条件を、記録媒体１に前処理を施さない場合としてもよい。この場合、近似曲線算出部９７は、前処理を施した記録媒体１にパッチパターンを印刷して測定することで、記録媒体１に前処理を施した場合に対応するＯＤカーブを算出する。また、近似曲線算出部９７は、前処理を施さない記録媒体１に対応する階調－濃度差分情報に基づいて、記録媒体１に前処理を施さない場合に対応するＯＤカーブを算出する。

このように、メモリ８１に階調－濃度差分情報を予め記憶しておくことで、１回のパッチパターンの印刷及び測定で、異なる印刷条件に対応した２つのＯＤカーブを得ることができる。

なお、この例では、第１の印刷条件のＯＤカーブと第２の印刷条件のＯＤカーブとの差分を示す階調－濃度差分情報に基づいて、１回のパッチパターンの印刷及び測定で、異なる印刷条件に対応した２つのＯＤカーブを得ることとした。しかし、これは最低限の例であり、第１の印刷条件のＯＤカーブと第２の印刷条件のＯＤカーブとの差分を示す階調－濃度差分情報の他、第１の印刷条件のＯＤカーブと第３の印刷条件のＯＤカーブとの差分を示す階調－濃度差分情報、及び、第１の印刷条件のＯＤカーブと第４の印刷条件のＯＤカーブとの差分を示す階調－濃度差分情報をメモリ８１に記憶しておく。これにより、第１の印刷条件でパッチパターンの印刷及び測定を１回行っただけで、第２の印刷条件のＯＤカーブ、第３の印刷条件のＯＤカーブ及び第４の印刷条件のＯＤカーブを算出できる。

次に、ステップＳ１６において、目標光学濃度カーブ算出部９８は、図１１に示す第１の印刷条件のＯＤカーブ及び第２の印刷条件のＯＤカーブに基づいて、目標となる画像濃度にターゲットＯＤを設定する。また、目標光学濃度カーブ算出部９８は、このターゲットＯＤまでリニアに変化する階調－画像濃度特性値を示す、第１の印刷条件のＯＤカーブに対応する第１の目標ＯＤカーブ、及び、第２の印刷条件のＯＤカーブに対応する第２の目標ＯＤカーブを、それぞれ算出する。図１１中、一点鎖線の直線のグラフが、第２の目標ＯＤカーブであり、二点鎖線の直線のグラフが、第２の目標ＯＤカーブである。

次に、光学濃度補正カーブ算出部９９は、第１の印刷条件のＯＤカーブ及び第１の目標ＯＤカーブに基づいて、図１２に点線のグラフで示すような、画像濃度がリニアな中間階調を得るための第１の印刷条件用の補正カーブ（第１の補正カーブ）を算出する。また、光学濃度補正カーブ算出部９９は、第２の印刷条件のＯＤカーブ及び第２の目標ＯＤカーブに基づいて、図１２に実線のグラフで示すような、画像濃度がリニアな中間階調を得るための第２の印刷条件用の補正カーブ（第２の補正カーブ）を算出する。

ステップＳ１７では、補正カーブ設定部１００が、算出された補正カーブに対応する出力補正情報をメモリ８１に記憶する。インク吐出制御部９０は、印刷時となると、例えば上述の前処置の有無、解像度、又は、印刷速度等の印刷条件に対応する出力補正情報をメモリ８１から読み出す。そして、インク吐出制御部９０は、読み出した出力補正情報に基づいて、印字ヘッドの各ノズルの吐出量等を制御する。これにより、各印刷条件に合致した補正カーブを用いて、入出力画像の画像濃度を調整してインクの吐出制御を行うことができ、所望の画像濃度の出力画像を得ることができる。

なお、裏面印字装置５０の動作に、このような表面印字装置３０と同様の動作となる。このため、裏面印字装置５０の動作は、上述の表面印字装置３０の動作の説明を参照されたい。

（実施の形態の効果）
以上の説明から明らかなように、実施の形態のラインエンジンプリンタシステムは、基準となる印刷条件と他の印刷条件との階調－濃度差分情報をメモリ８１に記憶しておく。そして、所定のパッチパターンを印刷して測色した測色結果に基づいて、各階調に対する画像濃度を示す特性値である階調－画像濃度特性値を算出する。また、算出した各階調－画像濃度特性値の近似曲線であるＯＤカーブ及び補正ＯＤカーブ（濃度補正情報の一例）を算出する。

また、このように一方の印刷条件の階調－画像濃度特性値、ＯＤカーブ及び補正ＯＤカーブを算出すると、メモリ８１に記憶されている階調－濃度差分情報に基づいて一方の印刷条件の階調－画像濃度特性値との差分となる他方の印刷条件の階調－画像濃度特性値を算出すると共に、ＯＤカーブ及び補正ＯＤカーブを算出する。

これにより、パッチパターンの印刷工程及び測色工程をそれぞれ１回行えば、一方の印刷条件の補正ＯＤカーブ及び他方の印刷条件の補正ＯＤカーブの両方を算出できる。従って、必要とする印刷工程及び測色工程を１回とすることができるため、印刷条件毎の濃度キャリブレーション処理を少ない工数で完了させることができる。そして、ラインエンジンプリンタシステムの設置に要する時間の短縮化を図ることができる。

また、記録媒体１に前処理を施すことで、高精度なＯＤカーブを算出できる。このため、記録媒体１に前処理を施して算出したＯＤカーブを基準測定情報とすることで、前処理を施さない場合のＯＤカーブとの差分となる高精度な階調－濃度差分情報を算出でき、高精度な濃度キャリブレーション処理を行うことができる。

最後に、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

１ 記録媒体
１０ 巻き出し装置
１１ 巻き出し部
１２ バッファ部
２０ 前処理装置
２１ 塗布装置
２２ 塗布装置
３０ 表面印字装置
３１ スキャナ装置
４０ 表裏反転装置
５０ 裏面印字装置
５１ スキャナ装置
６０ 巻取装置
６１ 巻き取り部
６２ バッファ部
８０ 制御部
８１ メモリ
８２ 搬送モータ駆動部
８３ 印字ヘッド駆動部
８５ 画像取得部
８６ インク組み合わせ置換処理部
８７ 階調調整部
８８ 上限量設定部
８９ ドット変換処理部
９０ インク吐出制御部
９５ 印刷制御部
９６ 濃度測定結果取得部
９７ 近似曲線算出部
９８ 目標光学濃度カーブ算出部
９９ 光学濃度補正カーブ算出部
１００ 補正カーブ設定部

特開平０１－０４１３７５号公報

Claims (6)

1. 基準となる基準印刷条件で印刷された所定のパッチパターンの測定結果となる基準測定情報に基づいて、前記基準印刷条件に対応する濃度補正情報を生成して画像濃度を制御する液体吐出装置であって、
   前記基準印刷条件とは異なる一つ又は複数の印刷条件の測定情報と前記基準測定情報との差分となる差分情報を記憶する記憶部と、
   前記基準測定情報に基づいて前記基準印刷条件に対応する濃度補正情報を生成し、前記基準測定情報、及び、前記記憶部に記憶されている前記差分情報に基づいて、前記基準印刷条件とは異なる一つ又は複数の印刷条件に対応する濃度補正情報を生成する濃度補正情報生成部と、
   を有することを特徴とする液体吐出装置。
2. 前記基準印刷条件は、記録媒体に対して少なくとも印刷滲み防止用の滲み抑制剤を塗布する前処理を行わない場合の印刷条件であり、
   前記基準印刷条件とは異なる印刷条件は、前記記録媒体に前記前処理を行う場合の印刷条件であること
   を特徴とする請求項１に記載の液体吐出装置。
3. 前記基準印刷条件は、記録媒体に対して少なくとも印刷滲み防止用の滲み抑制剤を塗布する前処理を行う場合の印刷条件であり、
   前記基準印刷条件とは異なる印刷条件は、前記記録媒体に前記前処理を行わない場合の印刷条件であること
   を特徴とする請求項１に記載の液体吐出装置。
4. 前記基準印刷条件は、所定の解像度で印刷を行う場合の印刷条件であり、前記基準印刷条件とは異なる印刷条件は、所定の前記解像度とは異なる解像度で印刷を行う場合の印刷条件であり、又は、前記基準印刷条件は、所定の印刷速度で印刷を行う場合の印刷条件であり、前記基準印刷条件とは異なる印刷条件は、所定の前記印刷速度とは異なる印刷速度で印刷を行う場合の印刷条件であること
   を特徴とする請求項１に記載の液体吐出装置。
5. 前記基準印刷条件は、所定の種類の用紙に印刷を行う場合の印刷条件であり、前記基準印刷条件とは異なる印刷条件は、所定の種類の前記用紙とは異なる種類の用紙に印刷を行う場合の印刷条件であり、又は、前記基準印刷条件は、所定の種類のインクを用いて印刷を行う場合の印刷条件であり、前記基準印刷条件とは異なる印刷条件は、所定の種類の前記インクとは異なる種類のインクを用いて印刷を行う場合の印刷条件であること
   を特徴とする請求項１に記載の液体吐出装置。
6. 基準となる基準印刷条件で印刷された所定のパッチパターンの測定結果となる基準測定情報に基づいて、前記基準印刷条件に対応する濃度補正情報を生成して画像濃度を制御する液体吐出装置の濃度補正情報の生成方法であって、
   濃度補正情報生成部が、前記基準測定情報に基づいて、前記基準印刷条件に対応する濃度補正情報を生成する第１の濃度補正情報生成ステップと、
   前記基準測定情報、及び、記憶部に記憶されている前記基準印刷条件とは異なる一つ又は複数の印刷条件の測定情報と前記基準測定情報との差分となる差分情報に基づいて、濃度補正情報生成部が、前記基準印刷条件とは異なる一つ又は複数の印刷条件に対応する濃度補正情報を生成する第２の濃度補正情報生成ステップと、
   を有することを特徴とする濃度補正情報の生成方法。

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