JP2023004079A - 貴金属回収方法 - Google Patents

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Akihiro Higami
康裕 小西
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範三 齋藤
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Abstract

【課題】貴金属の含有材料から、低いエネルギーコストで高収率に貴金属を分離、回収して、得られた貴金属を簡易な工程でナノ粒子化することが可能な貴金属回収方法を提供する。【解決手段】貴金属の含有材料を酸に浸漬して、前記貴金属を溶出させた貴金属溶出液を生成する貴金属溶解工程と、前記貴金属溶出液に酵母を加えて、前記酵母に前記貴金属を吸着させる貴金属吸着工程と、貴金属が吸着された前記酵母に還元剤を加えて、貴金属ナノ粒子を生成するナノ粒子化工程と、を有し、ナノ粒子化工程では、pHを7以上に調整することを特徴とする。【選択図】図1

Description

この発明は、貴金属の含有材料から貴金属を回収してナノ粒子を生成する貴金属回収方法に関する。
貴金属(Au,Ag,Pt,Pd,Rh,Ir,Ru,Os)を含む廃棄物から貴金属を回収する貴金属のリサイクルが行われている。例えば、廃棄されたスマートホンやパソコンの回路基板には、配線などに金や銀などの貴金属が用いられており、これらの単位重量当たりの含有量は、天然鉱石に含まれる含有量よりも多いこともある。近年、貴金属価格の高騰により、こうした貴金属を含む廃棄物から貴金属を効率的に取り出す方法が複数提案されている。
例えば、特許文献1や特許文献2には、貴金属を含む廃棄物を加熱により数百度の高熱で融解し、貴金属を分離して取り出す方法が開示されている。
また、特許文献3には、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含む抽出液を用いて、廃棄物に含まれる金を溶解し、更に電気分解を行うことによって金を回収する方法が開示されている。
一方、貴金属をナノサイズの粒子状にした貴金属ナノ粒子は、触媒、バイオセンサー、メモリ、医療材料、抗菌材料なとの分野での利用が増大しつつある。こうした貴金属ナノ粒子の安定した供給源として、貴金属を含む廃棄物が着目されている。
例えば、特許文献4には、ヨウ化金酸イオンを含む水溶液に水酸化アルカリを加え、ヨウ化金を分解する過程で、反応溶液中にアニオン系界面活性剤を添加することにより単分散した金微粒子を得ることが開示されている。
また、特許文献5や特許文献6には、130℃以上の高温で金属金と塩化金酸水溶液を接触反応させて、得られた塩化第1金酸水溶液を100℃以下に冷却することによって単分散した金微粒子を得ることが開示されている。
特許第5761258号公報 特許第6604515号公報 特許第2571591号公報 特開昭64-211号公報 特開平02-118004号公報 特開平06-93315号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2に開示された方法は、廃棄物である回路基板の加熱によって生じる樹脂成分および重金属成分が、貴金属を分離する際に悪影響を及ぼし、貴金属の収率を低下させる懸念があった。また、廃棄物を高熱で融解するために必要な熱エネルギーのコストが大きく、更に、融解時にCOが多く発生するため、環境への負荷が大きいという課題もあった。
一方、特許文献3に開示された方法は、抽出液の成分がヨウ素およびヨウ化カリウムだけでは、廃棄物に含まれる貴金属の溶解が不十分であった。廃棄物を抽出液に浸漬するだけで貴金属を十分に溶解させるには、抽出液に有機溶媒を加える必要があるが、この場合、特許文献3に開示されたように、pHを12以上に調整することによって金を沈殿させる方法は適用できないという課題があった。
また、特許文献4、特許文献5、特許文献6に開示された方法は、固体の金を溶解させ、錯イオンを形成させ、その後還元反応により貴金属をナノ粒子化させ、更に透析などの分離工程を複数回行う必要があり、工程が複雑で処理コストが大きいという課題があった。また、原料となる金は不純物が少ないものが必要であり、貴金属を含む廃棄物を原料として用いることは困難である。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、貴金属の含有材料から、低いエネルギーコストで高収率に貴金属を分離、回収して、得られた貴金属を簡易な工程でナノ粒子化することが可能な貴金属回収方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明の貴金属回収方法は、貴金属の含有材料を酸に浸漬して、前記貴金属を溶出させた貴金属溶出液を生成する貴金属溶解工程と、前記貴金属溶出液に酵母を加えて、前記酵母に前記貴金属を吸着させる貴金属吸着工程と、貴金属が吸着された前記酵母に還元剤を加えて、貴金属ナノ粒子を生成するナノ粒子化工程と、を有し、ナノ粒子化工程では、pHを7以上に調整することを特徴とする。
本発明によれば、貴金属を吸着させた酵母に還元剤を加えて、pHを7以上に調整することにより、エネルギーコストや環境負荷の低い湿式工程によって、貴金属の含有材料、例えば廃棄物である回路基板から貴金属のリサイクルが可能となり、貴金属ナノ粒子の作製に至るまで一貫した工程で行えるため、低コストで貴金属ナノ粒子を製造することができる。
また、酵母による貴金属イオンの吸着(貴金属吸着工程)、および還元剤による貴金属ナノ粒子の生成(ナノ粒子化工程)は、いずれも分単位で完了させることができるため、従来の乾式製錬によるリサイクルを利用した貴金属ナノ粒子の製造方法と比較して、大幅な生産性の向上を図ることができる。そして、貴金属イオンの吸着に用いる酵母は、食品発酵に用いる汎用性の高いものを用いることができるので、貴金属ナノ粒子を低コストに製造することができる。
また、本発明では、前記酵母は、サッカロマイセス属、ジゴサッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、デバリオマイセス属のうち、いずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。
また、本発明では、前記還元剤は、ヒドラジン及びその塩、水素化ホウ素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、酒石酸塩、ホスフィン酸及びその塩、ギ酸及びその塩、酢酸及びその塩、プロピオン酸及びその塩、シュウ酸及びその塩、アスコルビン酸及びその塩、リン酸及びその塩、次亜リン酸及びその塩、クエン酸及びその塩、遷移金属塩、グリシン、ジメチルアミンボラン、ホルムアルデヒドのうち、いずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。
また、本発明では、前記貴金属は、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムのうち、いずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。
また、本発明では、前記酸は、塩化ニトロシルを含む溶液であってもよい。
また、本発明では、前記貴金属ナノ粒子は、平均粒子径が1nm以上、100nm以下の範囲であってもよい。
また、本発明では、前記貴金属の含有材料は、回路基板であってもよい。
本発明によれば、貴金属の含有材料から、低いエネルギーコストで高収率に貴金属を分離、回収して、得られた貴金属を簡易な工程でナノ粒子化することが可能な貴金属回収方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る貴金属回収方法を段階的に示したフローチャートである。 検証例2の結果を示すグラフである。 検証例3の結果を示すグラフである。 検証例4の結果を示すグラフである。 検証例5の結果を示すTEM写真である。 検証例6の結果を示すHAADF-STEM像およびグラフである。
以下、本発明を適用した一実施形態である貴金属回収方法について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る貴金属回収方法を段階的に示したフローチャートである。
本実施形態の貴金属回収方法では、例えば電子機器の回路基板(貴金属の含有材料)から貴金属を分離させて回収し、回収した貴金属をナノ粒子化する一連の手順を説明する。
電子機器の回路基板は、例えば、はんだ付け箇所や配線にAu、Agなどの貴金属が含まれている。なお、本実施形態での貴金属とは、Au,Ag,Pt,Pd,Rh,Ir,Ru,Osの8元素をいう。
まず、貴金属を溶解可能な抽出液(酸)を作製する。本実施形態の抽出液としては、塩化ニトロシルを含む溶液、例えば濃塩酸と濃硝酸とを3:1の体積比で混合した王水を用いる。濃塩酸と濃硝酸とを混合することによって、貴金属を酸化させる塩化ニトロシルが生じる。
次に、この王水に、貴金属の含有材料である回路基板を浸漬して攪拌する。これにより、回路基板に含まれる貴金属が王水に溶出し、貴金属溶出液が生成される(貴金属溶解工程S1)。
この、貴金属溶解工程S1では、王水の液温を、例えば60~80℃程度に保てばよい。また、攪拌時間は、例えば1~3時間程度であればよい。
次に、貴金属溶解工程S1で得られた貴金属溶出液に対して、酵母を加えて攪拌し、貴金属溶出液に含まれる貴金属を酵母に吸着させる(貴金属吸着工程S2)。この貴金属吸着工程S2では、貴金属溶出液に含まれる貴金属イオンと酵母とが接触することにより、酵母に貴金属イオンが吸着される。
貴金属吸着工程S2で用いられる酵母は、貴金属イオンを吸着できる酵母であればいずれの酵母でもよい。本実施形態で適用可能な酵母は、例えば、サッカロマイセス属(Saccharomyces)やカンジダ属(Candida)、トルロプシス属(Torulopsis)、ジゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、ピチア属(Pichia)、ヤロウィア属(Yarrowia)、ハンセヌラ属(Hansenula)、クルイウェロマイセス属(Kluyveromyces)、デバリオマイセス属(Debaryomyces)、ゲオトリクム属(Geotrichum)、ウィッケルハミア属(Wickerhamia)、フェロマイセス属(Fellomyces)、スポロボロマイセス属(Sporobolomyces)の酵母であり、この中でも特にサッカロマイセス属、ジゴサッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属やデバリオマイセス属に属する酵母が好ましい。
サッカロマイセス属の酵母は出芽酵母の代表的な酵母であって、例えば、S. bayanusであり、S. boulardiiであり、S. bulderiであり、S. cariocanusであり、S. cariocusであり、S. cerevisiaeであり、S. chevalieriであり、S. dairenensisであり、S. ellipsoideusであり、S. florentinusであり、S. kluyveriであり、S. martiniaeであり、S. monacensisであり、S. norbensisであり、S. paradoxusであり、S. pastorianusであり、S. spencerorumであり、S. turicensisであり、S. unisporusであり、S. uvarumであり、S. zonatusであり得る。
ジゴサッカロマイセス属は耐塩性の酵母であって、味噌や醤油などから分離される酵母であり、例えばZ. rouxiiであり得る。シゾサッカロマイセス属の酵母は分裂酵母であり、例えばS. cryophilusであり、S. japonicusであり、S. octosporusであり、S. pombeであり得る。また、好ましい酵母として受託番号NITE BP-01780(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室 独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター)で寄託されたデバリオマイセス属の酵母(Debaryomyces hansenii)も例示できる。
貴金属イオンと酵母との接触は貴金属溶出液中で行われる。酵母は生菌でもよく、また吸着機能が発揮される限り死菌であってもよい。貴金属溶出液に酵母を加えた液体は酵母の機能が発揮される環境であればよい。
貴金属溶出液に酵母を加えた液体のpHや温度は特に限定されるものではない。例えば、pHは7~2程度の中性~酸性であればよい。また、温度は好ましくは10℃~45℃、好ましくは20~35℃である。貴金属溶出液に酵母を加えて、反応、処理、操作を行う時間は、酵母の菌体密度や貴金属イオンの濃度によっても異なるが、例えば10分から48時間程度であればよい。このような時間、貴金属イオンと酵母とを接触させることで、貴金属イオンは酵母に吸着される。
また、貴金属溶出液に酵母を加えた液体は、更に攪拌することも好ましい。撹拌によって、貴金属イオンが酵母表面に拡散する速度を高めることができる。
貴金属溶出液に酵母を加えた液体に含まれる貴金属イオンの濃度は、適宜設定することができる。貴金属溶出液中の貴金属イオン濃度は、酵母の菌体濃度によっても異なるが、例えば、0.01~100mmol/lであり、好ましくは0.1~10mmol/lであればよい。こうした貴金属イオン濃度は、貴金属溶出液に酵母を加える際に、例えばイオン交換水を加えることによって調整することができる。
また、貴金属溶出液に酵母を加えた液体に含まれる酵母の濃度は、適宜設定することができる。貴金属溶出液中の酵母濃度は、貴金属イオン濃度によっても異なるが、例えば、1×1014~50×1014cells/m程度であればよい。
次に、貴金属吸着工程S2で得られた、貴金属が吸着された酵母を含む液体から、貴金属が吸着された酵母を分離する(酵母分離工程S3)。この酵母分離工程S3では、例えば遠心分離によって、貴金属が吸着された酵母を沈殿させて、濾別することによって貴金属が吸着された酵母だけを分離すればよい。この後、分離した貴金属が吸着された酵母を更に水洗することが好ましい。
次に、貴金属が吸着された酵母に水を加えて分散させてから、還元剤を添加して貴金属ナノ粒子を生成する(ナノ粒子化工程S4)。このナノ粒子化工程S4では、溶液のpHが7以上になるように調整する。例えば、貴金属が吸着された酵母の分散液に還元剤を添加した後の溶液のpHは、7以上、14以下であればよい。また、この溶液の液温は、10℃~90℃程度であればよい。
貴金属をナノ粒子化させる還元剤は、例えば、ヒドラジン及びその塩、水素化ホウ素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、酒石酸塩、ホスフィン酸及びその塩、ギ酸及びその塩、酢酸及びその塩、プロピオン酸及びその塩、シュウ酸及びその塩、アスコルビン酸及びその塩、リン酸及びその塩、次亜リン酸及びその塩、クエン酸及びその塩、遷移金属塩、グリシン、ジメチルアミンボラン、ホルムアルデヒドのうち、いずれか1種または2種以上を含むものを用いることができる。
ナノ粒子化工程S4において、貴金属が吸着された酵母に還元剤を加えて、pH7以上にすることによって、貴金属の還元過程で平均粒子径がナノサイズ(1nm~100nm)の貴金属ナノ粒子が形成される。この時、pH7未満の酸性では、還元剤による貴金属の還元能力が低下し、貴金属ナノ粒子の形成が阻害される。pH7以上の中性、アルカリ性にすることによって、還元剤による貴金属の還元能力が発揮され、貴金属ナノ粒子を形成することができる。
この後、例えば、超音波を照射することによって、酵母と、生成した貴金属ナノ粒子とを分離することができる。また、アルカリ添加により酵母細胞を破砕して貴金属ナノ粒子を分離し、酵母やその断片を濾過などで取り除き、貴金属ナノ粒子の分散液とすることもできる。さらに貴金属ナノ粒子のペーストとして用いる場合は、貴金属ナノ粒子を酵母から分離することなく、酵母に担持したまま貴金属ナノ粒子ペーストとして用いることができる。
以上のように、本実施形態の貴金属回収方法によれば、エネルギーコストや環境負荷の低い湿式工程によって、貴金属の含有材料、例えば廃棄物である回路基板から貴金属のリサイクルが可能となり、貴金属ナノ粒子の作製まで一貫した工程で行えるため、低コストで貴金属ナノ粒子を製造することができる。
また、酵母による貴金属イオンの吸着(貴金属吸着工程)、および還元剤による貴金属ナノ粒子の生成(ナノ粒子化工程)は、いずれも分単位で完了させることができるため、従来の乾式製錬によるリサイクルを利用した貴金属ナノ粒子の製造方法と比較して、大幅な生産性の向上を図ることができる。そして、貴金属イオンの吸着に用いる酵母は、食品発酵に用いる汎用性の高いものを用いることができるので、貴金属ナノ粒子を低コストに製造することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、こうした実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明の効果を検証するために、以下の検証例1~7を行った。
[検証例1]
Au溶解液として、Auが含まれている廃回路基板を粉砕し、濃度が50容量%の王水(濃塩酸と濃硝酸とを3:1の体積比で混合し、水で2倍に希釈)に浸漬し、70℃で2時間保持した後、室温(約25℃)で4時間保持したAu溶解液を調整した。
次に、得られたAu溶解液にイオン交換水と酵母を投入し、酵母の濃度が10.0×1014cells/mとなるように調整した。酵母は、Saccharomyces cerevisiaeを用いた(オリエンタル酵母工業株式会社製、食用酵母)。酵母は再水化せずに、乾燥酵母のまま用いた。そして、酵母を投入して10分間攪拌し、その間、液温を10℃に保持した(貴金属吸着工程)。その後、遠心分離機で遠心分離を行い、酵母をAu溶解液の残液から分離した。そして、分離回収した酵母を更に、純水による洗浄と遠心分離機での分離を3回繰り返した。こうして得られた酵母は、Au溶解液に含まれていたAuイオンが酵母の表面にバイオ吸着されていることが確認できた。
[検証例2]
上述した検証例1と同様の手順で、貴金属吸着工程における酵母の濃度を4段階に変化させて、Auイオンの吸着率を調べた。なお、液温は10℃、液性はpH0とした。その結果を図2に示す。
図2に示す結果によれば、いずれの酵母濃度でも3分程度で吸着は完了し、吸着率は酵母濃度が高いほど上昇している。酵母濃度が10.0×1014cells/mでは、Auイオンの吸着率は95%程度と、高い吸着率が得られることが確認できた。
[検証例3]
上述した検証例1と同様の手順で、貴金属吸着工程における液温を10℃、および34℃にした場合のAuイオンの吸着率を調べた。酵母濃度は5.0×1014cells/m、液性はpH0とした。その結果を図3に示す。
図3に示す結果によれば、吸着率はいずれも3分程度で最大に達し、液温が低い(10℃)ほうが高い吸着率になることが確認できた。
[検証例4]
上述した検証例1と同様の手順で、貴金属吸着工程におけるpHを4段階に変化させて、Auイオンの吸着率を調べた。なお、液温は10℃、酵母濃度は2.5×1014cells/mとした。その結果を図4に示す。
図4に示す結果によれば、いずれのpHでも3分程度で吸着は完了し、吸着率はpHが高いほど上昇している。pHが1.6では、Auイオンの吸着率は70%程度と、高い吸着率が得られることが確認できた。
[検証例5]
上述した検証例1でAuを還元させた後の酵母、および生成したAuナノ粒子の様子を透過電子顕微鏡(TEM)によって観察した。これらの結果を図5に示す。
図5に示すTEM写真によれば、酵母表面には還元剤によって生成した、粒径が20nmよりも小さいAuナノ粒子が黒色の斑点として映っている。酵母表面にAuナノ粒子が生成できることが確認された。
[検証例6]
上述した検証例1でAuを還元させた後の酵母、および生成したAuナノ粒子の様子を高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡法 (HAADF-STEM法)によって観察した。HAADF-STEM像と、Auの特性X線強度とを図6に示す。
図6によれば、酵母にAuナノ粒子が生成されることが確認できた。
[検証例7]
以下の実施例1~7(本発明例)および比較例1~4(従来例)について、Auナノ粒子の生成の有無(プラズモン吸収)を確認した。
(実施例1)
まず、塩化金酸の水溶液(濃度約200ppm)を用意し、Au溶解液として用いた。これを温度34℃で保持しながら、酵母(オリエンタル酵母工業株式会社製、食用酵母))を用いてAuイオンを吸着させた。
そして、酵母に吸着しているAu濃度が酵母懸濁溶液において100ppm程度になるようにイオン交換水を加え、Au吸着酵母溶液を調整した。次に還元剤として濃度50mMの水素化ホウ素ナトリウムの水溶液を調整した。
Au吸着酵母溶液と水素化ホウ素ナトリウム水溶液とを等容量混合し、水酸化ナトリウム水溶液によって還元時のpHを11とした。すると、酵母懸濁溶液の色は紫色~赤紫色に変色した(ナノ粒子化工程)。こうした呈色はAuナノ粒子の生成によるプラズモン吸収の影響を反映している。金属ナノ粒子ではプラズモンが表面に局在し、可視-近赤外域の光電場とプラズモンがカップリングして光吸収が起こり、鮮やかな色調を呈する。よって、Auナノ粒子の生成が確認された。
この後、未還元Auイオンは塩酸(5M)で洗浄し、酵母上に残ったAu粒子を王水で溶解し、純水による洗浄と遠心分離機で酵母を回収した後、酵母上で還元されたAuナノ粒子を王水にて再度溶解させ、濃度測定を行ったところ、酵母に吸着していたAuイオンのうち、81%が還元されていた。以上のように、廃棄物から選択的にAuを回収し、酵母表面を反応場としてAuナノ粒子を生成することによって、Auを含む廃棄物から高付加価値化されたAuナノ粒子を得ることができた。
(実施例2)
酵母に吸着されたAuイオンをナノ粒子化させるための還元剤として、水素化ホウ素ナトリウムのエタノール溶液を用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。実施例2においても酵母懸濁溶液の色は紫色~赤紫色に変色し、Auナノ粒子の生成によるプラズモン吸収が見られ、Auナノ粒子の生成が確認された。
(実施例3)
酵母に吸収されたAuイオンをナノ粒子化させるための還元剤として、ギ酸ナトリウムを用い、水酸化ナトリウム水溶液によって還元時のpHを7にして、液温を80℃にしたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。実施例3においても酵母懸濁溶液の色は紫色~赤紫色に変色し、Auナノ粒子の生成によるプラズモン吸収が見られ、Auナノ粒子の生成が確認された。また、酵母に吸着していたAuイオンのうち、92%が還元されていた。
(実施例4)
酵母に吸収されたAuイオンをナノ粒子化させるための還元剤として、ヒドラジン1塩酸塩の水溶液を用い、水酸化ナトリウム水溶液によって還元時のpHを12にして、液温を80℃にしたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。実施例4においても酵母懸濁溶液の色は紫色~赤紫色に変色し、Auナノ粒子の生成によるプラズモン吸収が見られ、Auナノ粒子の生成が確認された。
(実施例5)
検証例1と同様にAu溶解液として廃回路基板の王水溶解液を用いたこと、及び酵母に吸収されたAuイオンをナノ粒子化させるための還元剤として、チオ硫酸ナトリウム水和物の水溶液を用い、水酸化ナトリウム水溶液によって還元時のpHを13にしたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。実施例4においても酵母懸濁溶液の色は紫色~赤紫色に変色し、Auナノ粒子の生成によるプラズモン吸収が見られ、Auナノ粒子の生成が確認された。
(実施例6)
検証例1同様にAu溶解液として廃回路基板の王水溶解液を用いたこと、及び酵母に吸収されたAuイオンをナノ粒子化させるための還元剤として、酒石酸カリウムナトリウム水和物の水溶液を用い、水酸化ナトリウム水溶液によって還元時のpHを13にしたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。実施例6においても酵母懸濁溶液の色は紫色~赤紫色に変色し、Auナノ粒子の生成によるプラズモン吸収が見られ、Auナノ粒子の生成が確認された。
(実施例7)
検証例1同様にAu溶解液として廃回路基板の王水溶解液を用いたこと、及び酵母に吸収されたAuイオンをナノ粒子化させるための還元剤として、ホスフィン酸ナトリウム水和物の水溶液を用い、水酸化ナトリウム水溶液によって還元時のpHを13にしたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。実施例7においても溶液の色は酵母懸濁溶液の色は紫色~赤紫色に変色し、Auナノ粒子の生成によるプラズモン吸収が見られ、Auナノ粒子の生成が確認された。
(比較例1)
検証例1同様にAu溶解液として廃回路基板の王水溶解液を用いたこと、及び酵母に吸収されたAuイオンをナノ粒子化させるための還元剤として、チオ硫酸ナトリウム水和物の水溶液を用い、還元時のpH調整を行わず、pHを3のままにしたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。比較例1では、溶液の色は変化せず、プラズモン吸収が見られず、Auナノ粒子の生成は確認できなかった。
(比較例2)
検証例1同様にAu溶解液として廃回路基板の王水溶解液を用いたこと、及び酵母に吸収されたAuイオンをナノ粒子化させるための還元剤として、酒石酸カリウムナトリウム水和物の水溶液を用い、還元時のpH調整を行わず、pHを2のままにしたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。比較例2では、溶液の色は変化せず、プラズモン吸収が見られず、Auナノ粒子の生成は確認できなかった。
(比較例3)
検証例1同様にAu溶解液として廃回路基板の王水溶解液を用いたこと、及び酵母に吸収されたAuイオンをナノ粒子化させるための還元剤として、ホスフィン酸ナトリウム水和物の水溶液を用い、還元時のpH調整を行わず、pHを2のままにしたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。比較例3では、溶液の色は変化せず、プラズモン吸収が見られず、Auナノ粒子の生成は確認できなかった。
(比較例4)
酵母に吸収されたAuイオンをナノ粒子化させるための還元剤として、乳酸ナトリウムの水溶液を用い、還元時のpH調整を行わず、pHを3のままにしたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。比較例4では、溶液の色は変化せず、プラズモン吸収が見られず、Auナノ粒子の生成は確認できなかった。
以上の検証例1の結果を表1に纏めて示す。なお、還元率は実施例1および実施例3だけ算出した。
Figure 2023004079000002
表1に示す結果によれば、Au溶出液に酵母を加えて、Auを吸着させた酵母に還元剤を加えるナノ粒子化工程において、液性をpH7以上の中性~アルカリ性の範囲に調整することによって、Auナノ粒子を生成できることが確認された。

Claims (7)

  1. 貴金属の含有材料を酸に浸漬して、前記貴金属を溶出させた貴金属溶出液を生成する貴金属溶解工程と、
    前記貴金属溶出液に酵母を加えて、前記酵母に前記貴金属を吸着させる貴金属吸着工程と、
    貴金属が吸着された前記酵母に還元剤を加えて、貴金属ナノ粒子を生成するナノ粒子化工程と、を有し、
    ナノ粒子化工程では、pHを7以上に調整することを特徴とする貴金属回収方法。
  2. 前記酵母は、サッカロマイセス属、ジゴサッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、デバリオマイセス属のうち、いずれか1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の貴金属回収方法。
  3. 前記還元剤は、ヒドラジン及びその塩、水素化ホウ素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、酒石酸塩、ホスフィン酸及びその塩、ギ酸及びその塩、酢酸及びその塩、プロピオン酸及びその塩、シュウ酸及びその塩、アスコルビン酸及びその塩、リン酸及びその塩、次亜リン酸及びその塩、クエン酸及びその塩、遷移金属塩、グリシン、ジメチルアミンボラン、ホルムアルデヒドのうち、いずれか1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の貴金属回収方法。
  4. 前記貴金属は、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムのうち、いずれか1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の貴金属回収方法。
  5. 前記酸は、塩化ニトロシルを含む溶液であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の貴金属回収方法。
  6. 前記貴金属ナノ粒子は、平均粒子径が1nm以上、100nm以下の範囲であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の貴金属回収方法。
  7. 前記貴金属の含有材料は、回路基板であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の貴金属回収方法。
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WO2023243702A1 (ja) * 2022-06-16 2023-12-21 三菱マテリアル株式会社 貴金属の製造方法

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