JP2022534546A - 生体適合性メンブレン複合体 - Google Patents

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Abstract

第1層(細胞不透過性層)と、第2層(緩和層)と、第3層(血管新生層)とを含む生体適合性メンブレン複合体が提供される。緩和層は細胞不透過性層と血管新生層との間に位置決めすることができる。いくつかの実施態様では、細胞不透過性層と緩和層とは密接に結合されて、緻密/開放構造を有する複合層を形成する。生体適合性メンブレン複合体のいずれかの側、又は生体適合性メンブレン複合体内部に補強構成部分を任意に位置決めすることにより、メンブレン複合体に支持を提供し、そしてメンブレン複合体の歪みを防止することができる。生体適合性メンブレン複合体は、一例としては膵臓系列型細胞、例えば膵臓プロジェニターを含む生物学的存在物をカプセル化するためのデバイス内で使用することができ、あるいはこのようなデバイスを形成することができる。

Description

本発明は大まかに言えば、植え込み型医療デバイス、及び具体的には生体適合性メンブレン複合体及びその使用に関する。
生物学的治療は、末梢動脈疾患、動脈瘤、心臓疾患、アルツハイマー病及びパーキンソン病、自閉症、失明、糖尿病、及び他の病理を治療するますます実行可能になりつつある方法である。
一般の生物学的治療に関しては、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、細菌、タンパク質、抗体、及び他の生物活性存在物を、患者の組織床内に生物活性部分を入れる外科的方法又は介入的方法によって、患者内に導入することができる。多くの場合、生物活性存在物を先ずデバイス内に入れ、次いでこれを患者内へ挿入する。あるいは、デバイスを先ず患者内へ挿入し、後から生物活性存在物を添加することもある。デバイスは、栄養素の通過を許すが、しかしカプセル化済み細胞の通過を阻止する1つ又は2つ以上の生体適合性メンブレン又は他の生体適合性材料から形成されている。
生物活性存在物(例えば細胞)の生存可能且つ生産可能な集団を維持するために、生物活性存在物は栄養素、例えば酸素へのアクセスを維持しなければならない。これらの栄養素は宿主の血管を通して送達される。植え込まれたカプセル化済み細胞の生存能力及び生産能力を最大化するために、植え込まれたカプセル化済み細胞への酸素及び栄養素の輸送のために必要となる拡散距離及び時間が最小化されるように血管が細胞のできるだけ近くに形成されることを保証することによって、酸素及び栄養素の源へのアクセスを最大化することが必要である。
例えば細胞カプセル化デバイスのような外部デバイスを体内へ植え込むと、免疫反応が引き起こされる。免疫反応では異物巨細胞が形成され、植え込まれたデバイスを少なくとも部分的にカプセル化する。細胞不透過性界面又はその近くに異物巨細胞が存在すると、カプセル化済み細胞に近接して血管が形成されることは、不可能ではないにしても難しくなり、これにより、カプセル化済み細胞の生存能力及び健常状態を維持するために必要となる酸素及び栄養素へのアクセスが制約される。
したがって、カプセル化済み細胞が宿主の免疫細胞から十分に免疫隔離されるのを可能にする一方、異物反応を緩和又は調整し得る環境を提供することによって、細胞カプセル化デバイスの表面又は表面近くに十分な血管新生が発生するようにし、これにより、カプセル化済み細胞が生き残り、治療的に有用な物質を分泌するのを可能にする材料が技術分野において依然として必要である。
1つの態様(「態様1」)による生体適合性メンブレン複合体は、(1)MPS(最大孔サイズ)が約1ミクロン未満の第1層と、(2)第1固形フィーチャを有する第2層であって、第1固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン未満であり、前記第1固形フィーチャの大部分が約3ミクロン~約20ミクロンの代表短軸を有している、第2層と、(3)孔サイズが有効直径で約5ミクロン超であり、且つ第2固形フィーチャを有する第3層であって、前記第2固形フィーチャが、大部分が約50ミクロン超である第2固形フィーチャ間隔を有する、第3層とを含む。前記第2層は前記第1層と前記第3層との間に位置決めされている。
態様1に加えられる別の態様(「態様2」)によれば、前記第1層の単位面積当たり質量(MpA)が約5g/m未満である。
態様1又は態様2に加えられる別の態様(「態様3」)によれば、前記第1層の第1厚が約10ミクロン未満である。
態様1から3までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様4」)によれば、前記第2層の第2厚が約60ミクロン未満である。
態様1から4までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様5」)によれば、前記生体適合性メンブレン複合体の、最も弱い軸における最大引張荷重が40N/m超である。
態様1から5までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様6」)によれば、前記第1層の第1ポロシティが約50%超である。
態様1から6までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様7」)によれば、前記第2層の第2ポロシティが約60%超である。
態様1から7までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様8」)によれば、前記生体適合性メンブレン複合体の測定複合体z強度が100KPa超である。
態様1から8までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様9」)によれば、前記第2層の固形フィーチャがそれぞれ、代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さをそれぞれ有する固形フィーチャを含み、前記第2層の前記代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さのうちの少なくとも2つの大部分が約5ミクロン超である。
態様1から9までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様10」)によれば、前記第1層と接触している前記第1固形フィーチャの少なくとも一部が、結合型固形フィーチャである。
態様1から10までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様11」)によれば、前記第2層の孔サイズが有効直径で約1ミクロン~約9ミクロンである。
態様1から11までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様12」)によれば、前記固形フィーチャがフィブリルによって接続されており、前記フィブリルが変形可能である。
態様1から12までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様13」)によれば、前記第3層の第3厚が約30ミクロン~約200ミクロンである。
態様1から13までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様14」)によれば、前記第3層の第2固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン超である。
態様1から14までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様15」)によれば、前記第3層内の前記第2固形フィーチャの大部分が、約40ミクロン未満の代表短軸を有している。
態様1から15までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様16」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも2つの層が密接に結合されている。
態様1から16までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様17」)によれば、前記第1層と前記第2層とが密接に結合されている。
態様1から17までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様18」)によれば、前記第3層の第3厚が、前記第1層の第1厚と前記第2層の第2厚との和よりも大きい。
態様1から18までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様19」)によれば、前記第3層の第3厚が、前記第1層と前記第2層との複合厚の少なくとも2倍である。
態様1から19までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様20」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマー、フルオロポリマーメンブレン、非フルオロポリマーメンブレン、織布、不織布、繊維又は糸の製織又は不織収集体、繊維性マトリックス、及びこれらの組み合わせを含む。
態様1から20までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様21」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマーである。
態様21に加えられる別の態様(「態様22」)によれば、前記ポリマーが、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)メンブレン、及び改質ePTFEメンブレンから選択されたフルオロポリマーメンブレンである。
態様1から22までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様23」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンである。
態様1から23までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様24」)によれば、前記第3層がスパンボンド不織布ポリエステル材料である。
態様1から24までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様25」)によれば、前記第3層の前記第2固形フィーチャが不織布又は織布の繊維を含む。
態様1から25までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様26」)によれば、前記第3層の前記第2固形フィーチャが織布又は不織布を含み、そして第2代表短軸が、前記織布又は不織布内の繊維の直径である。
態様1から26までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様27」)によれば、補強構成部分を上に含む。
態様27に加えられる別の態様(「態様28」)によれば、前記補強構成部分の剛性が約0.01N/cm~約5N/cmである。
態様27又は態様28に加えられる別の態様(「態様29」)によれば、前記補強構成部分が織布又は不織布である。
態様1から29までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様30」)によれば、第1補強構成部分と第2補強構成部分とを含む。
態様1から30までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様31」)によれば、前記第2層の第1固形フィーチャが、熱可塑性ポリマー、ポリウレタン、シリコーン、ゴム、エポキシ、及びこれらの組み合わせから選択された員を含む。
態様1から31までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様32」)によれば、表面被膜を上に含み、前記表面被膜が、抗菌剤、抗体、医薬品、及び生物活性分子から選択された1種又は2種以上の員を含む。
態様1から32までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様33」)によれば、親水性被膜を上に含む。
態様1から33までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様34」)によれば、前記生体適合性メンブレン複合体が細胞カプセル化デバイスの形態を成している。
1つの態様(「態様35」)による生体適合性メンブレン複合体は、(1)第1層と、(2)有効直径で約1ミクロン~約9ミクロンの孔サイズ、約60ミクロン未満の第1厚さ、及び第1固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン未満である第1固形フィーチャを有する第2層であって、前記第1固形フィーチャの大部分が約3ミクロン~約20ミクロンの第1代表短軸を有している、第2層と、(3)第3層と、を含む。前記第2層が前記第1層と前記第3層との間に位置決めされている。
態様35に加えられる別の態様(「態様36」)によれば、前記第1層のMPS(最大孔サイズ)が直径約1ミクロン未満である。
態様35又は態様36に加えられる別の態様(「態様37」)によれば、前記第1層の単位面積当たり質量(MpA)が約5g/m未満である。
態様35から37までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様38」)によれば、前記第1層の第2厚が約10ミクロン未満である。
態様35から38までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様39」)によれば、前記生体適合性メンブレン複合体の、最も弱い軸における最大引張荷重が約40N/m超である。
態様35から39までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様40」)によれば、前記第1層の第1ポロシティが約50%超である。
態様35から40までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様41」)によれば、前記第2層の第2ポロシティが約60%超である。
態様35から41までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様42」)によれば、前記生体適合性メンブレン複合体の測定複合体z強度が100KPa超である。
態様35から42までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様43」)によれば、前記第2層の固形フィーチャがそれぞれ、代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さを含み、前記第2層の前記代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さのうちの少なくとも2つの大部分が約5ミクロン超である。
態様35から42までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様44」)によれば、前記第3層の孔サイズが有効直径で約9ミクロン超である。
態様35から44までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様45」)によれば、前記第1層と接触している前記第1固形フィーチャの少なくとも一部が、結合型固形フィーチャである。
態様35から45までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様46」)によれば、前記第2層の前記第1固形フィーチャがフィブリルによって接続されており、前記フィブリルが変形可能である。
態様35から46までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様47」)によれば、前記第3層の第3厚が約30ミクロン~約200ミクロンである。
態様35から47までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様48」)によれば、前記第3層が第2固形フィーチャを含み、第2固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン超である。
態様35から48までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様49」)によれば、前記第3層内の前記第2固形フィーチャの大部分が、約40ミクロン未満の代表短軸を有している。
態様48又は49に加えられる別の態様(「態様50」)によれば、前記第3層の第2固形フィーチャが不織布又は織布の繊維を含む。
態様48から50までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様51」)によれば、前記第3層の前記第2固形フィーチャが織布又は不織布を含み、そして第2代表短軸が、前記織布又は不織布内の繊維の直径である。
態様35から51までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様52」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも2つの層が密接に結合されている。
態様35から52までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様53」)によれば、前記第1層と前記第2層とが密接に結合されている。
態様35から53までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様54」)によれば、前記第3層の第3厚が、前記第1層の第2厚と前記第2層の第1厚との和よりも大きい。
態様35から54までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様55」)によれば、前記第3層の第3厚が、前記第1層の第2厚と前記第2層の第1厚との複合厚の少なくとも2倍である。
態様35から55までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様56」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマー、フルオロポリマーメンブレン、非フルオロポリマーメンブレン、織布、不織布、繊維又は糸の製織又は不織収集体、繊維性マトリックス、及びこれらの組み合わせを含む。
態様35から56までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様57」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマーである。
態様57に加えられる別の態様(「態様58」)によれば、前記ポリマーが、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)メンブレン、及び改質ePTFEメンブレンから選択されたフルオロポリマーメンブレンである。
態様35から58までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様59」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンである。
態様35から59までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様60」)によれば、前記第3層がスパンボンド不織布ポリエステル材料である。
態様35から60までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様61」)によれば、補強構成部分を含む。
態様61に加えられる別の態様(「態様62」)によれば、前記補強構成部分の剛性が約0.01N/cm~約5N/cmである。
態様35から62までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様63」)によれば、外側補強構成部分と内側補強構成部分とを含む。
態様35から63までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様64」)によれば、前記第2層の第1固形フィーチャが、熱可塑性ポリマー、ポリウレタン、シリコーン、ゴム、エポキシ、及びこれらの組み合わせから選択された員を含む。
態様35から64までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様65」)によれば、表面被膜を上に含み、前記表面被膜が、抗菌剤、抗体、医薬品、及び生物活性分子から選択される。
態様35から65までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様66」)によれば、親水性被膜を上に含む。
態様35から66までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様67」)によれば、前記生体適合性メンブレン複合体が細胞カプセル化デバイスの形態を成す。
1つの態様(「態様68」)による細胞カプセル化デバイスは、(1)当該第1生体適合性メンブレン複合体が、当該第1生体適合性メンブレン複合体と第2生体適合性メンブレン複合体との間に管腔を画定するように、前記第2生体適合性メンブレン複合体の周囲の少なくとも一部に沿ってシールされた第2生体適合性メンブレン複合体に対して、前記第1生体適合性メンブレン複合体の周囲の少なくとも一部に沿ってシールされている、第1生体適合性メンブレン複合体と、(2)前記管腔と流体連通している少なくとも1つの充填チューブと、を含み、前記第1及び第2の生体適合性メンブレンのうちの少なくとも一方が、MPS(最大孔サイズ)が約1ミクロン未満の第1層と、第1固形フィーチャを有する第2層であって、第1固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン未満であり、前記第1固形フィーチャの大部分が約3ミクロン~約20ミクロンの第1短軸を有している、第2層と、当該第3層が、有効直径で約9ミクロン超の孔サイズと、第2固形フィーチャとを有しており、前記第2固形フィーチャが、大部分が約50ミクロン超である第2固形フィーチャ間隔を有する、第3層とを含む。前記第2層が前記第1層と前記第3層との間に位置決めされている。
態様68に加えられる別の態様(「態様69」)によれば、前記第1層の単位面積当たり質量(MpA)が約5g/m未満である。
態様68から69までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様70」)によれば、前記第1層の第1厚が約10ミクロン未満である。
態様68から70までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様71」)によれば、前記第2層の第2厚が約60ミクロン未満である。
態様68から71までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様72」)によれば、前記生体適合性メンブレン複合体の、最も弱い軸における最大引張荷重が40N/m超である。
態様68から72までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様73」)によれば、前記第1層の第1ポロシティが約50%超である。
態様68から73までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様74」)によれば、前記第2層の第2ポロシティが約60%超である。
態様68から74までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様75」)によれば、前記第2層の第1固形フィーチャがそれぞれ、代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さを有しており、前記第2層の前記代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さのうちの少なくとも2つの大部分が約5ミクロン超である。
態様68から75までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様76」)によれば、前記第1固形フィーチャの少なくとも一部が、前記第1層に密接に結合された結合型固形フィーチャである。
態様76に加えられる別の態様(「態様77」)によれば、前記第2層の前記第1固形フィーチャがフィブリルによって接続されており、前記フィブリルが変形可能である。
態様68から77までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様78」)によれば、前記第2層の孔サイズが有効直径で約1ミクロン~約9ミクロンである。
態様68から78までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様79」)によれば、前記第3層の第3厚が約30ミクロン~約200ミクロンである。
態様68から79までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様80」)によれば、前記第3層の第2固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン~約90ミクロンである。
態様68から80までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様81」)によれば、前記第3層内の前記第2固形フィーチャの大部分が、約40ミクロン未満の代表短軸を有している。
態様68から81までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様82」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも2つの層が密接に結合されている。
態様68から82までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様83」)によれば、前記第3層の第3厚が、前記第1層の第1厚と前記第2層の第2厚との和よりも大きい。
態様68から83までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様84」)によれば、前記第3層の第3厚が、前記第1層の第1厚と前記第2層の第2厚との複合厚の少なくとも2倍である。
態様68から84までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様85」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマー、フルオロポリマーメンブレン、非フルオロポリマーメンブレン、織布、不織布、繊維又は糸の製織又は不織収集体、繊維性マトリックス、及びこれらの組み合わせを含む。
態様68から85までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様86」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマーである。
態様68に加えられる別の態様(「態様87」)によれば、前記ポリマーが、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)メンブレン、及び改質ePTFEメンブレンから選択されたフルオロポリマーメンブレンである。
態様68から87までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様88」)によれば、前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンである。
態様68から88までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様89」)によれば、前記第3層がスパンボンド不織布ポリエステル材料である。
態様68から89までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様90」)によれば、前記第3層の前記第2固形フィーチャが不織布又は織布の繊維を含む。
態様68から90までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様91」)によれば、前記第3層の前記第2固形フィーチャが織布又は不織布を含み、そして前記第1固形フィーチャの第2代表短軸が、織布又は不織布内の繊維の直径である。
態様68から91までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様92」)によれば、前記第2層の第1固形フィーチャが、熱可塑性ポリマー、ポリウレタン、シリコーン、ゴム、エポキシ、及びこれらの組み合わせから選択された員を含む。
態様68から92までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様93」)によれば、表面被膜を上に含み、前記表面被膜が、抗菌剤、抗体、医薬品、及び生物活性分子から選択された1種又は2種以上の員を含む。
態様68から93までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様94」)によれば、親水性被膜を上に含む。
態様68から94までに加えられる別の態様(「態様95」)によれば、前記第1生体適合性メンブレン複合体及び第2生体適合性メンブレン複合体のうちの少なくとも一方の外側に補強構成部分を含む。
態様68に加えられる別の態様(「態様96」)によれば、内側補強構成部分を含む。
態様96に加えられる別の態様(「態様97」)によれば、前記内側補強構成部分が充填チューブを含む。
態様68から97までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様98」)によれば、前記第1生体適合性メンブレン複合体及び第2生体適合性メンブレン複合体のうちの少なくとも一方が内側補強構成部分及び外側補強構成部分の両方を含む。
態様68から98までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様99」)によれば、前記補強構成部分が織布又は不織布である。
態様68から99までのいずれか1つに加えられる別の態様(「態様100」)によれば、前記細胞カプセル化デバイスが、前記第1生体適合性メンブレン複合体と前記第1生体適合性メンブレン複合体上の外側に位置決めされた第1補強構成部分との間に位置決めされた第1溶着フィルムと、前記第2生体適合性メンブレン複合体と前記第2生体適合性メンブレン複合体上の外側に位置決めされた第2補強構成部分との間に位置決めされた第2溶着フィルムとを含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様101」)によれば、哺乳類の血糖値を低下させる方法が、前の請求項のいずれかの生体適合性メンブレン複合体を含む細胞カプセル化デバイスを移植することを含み、前記細胞カプセル化デバイス内にカプセル化された細胞がPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞の集団を含み、そして前記膵臓内胚葉細胞が成長してインスリン分泌細胞になり、これにより血糖値を低下させる。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様102」)によれば、前記PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞をさらに含む細胞の混合物を含み、前記内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞がクロモグラニンA(CHGA)を発現させる。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様103」)によれば、哺乳類の血糖値を低下させる方法が、請求項1におけるような細胞カプセル化デバイスを移植することを含み、前記細胞カプセル化デバイス内にカプセル化された細胞がPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞の集団を含み、そして前記膵臓内胚葉細胞が成長してインスリン分泌細胞になり、これにより血糖値を低下させる。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様104」)によれば、前記PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞をさらに含む細胞の混合物を含み、前記内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞がクロモグラニンA(CHGA)を発現させる。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様105」)によれば、哺乳類の血糖値を低下させる方法が、細胞カプセル化デバイスを移植することを含み、前記細胞カプセル化デバイスが、MPS(最大孔サイズ)が約1ミクロン未満の第1層と、第1固形フィーチャを有する第2層であって、第1固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン未満であり、前記第1固形フィーチャの大部分が約3ミクロン~約20ミクロンの代表短軸を有している、第2層と、当該第3層が、有効直径で約5ミクロン超の孔サイズと、第2固形フィーチャとを有しており、前記第2固形フィーチャが、大部分が約50ミクロン超である第2固形フィーチャ間隔を有しており、前記第2層が前記第1層と前記第3層との間に位置決めされており、結合型フィーチャの少なくとも一部が前記第1層に密接に結合されている、第3層と、PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞を含む細胞集団と、を含み、そして前記膵臓内胚葉細胞が成長してインスリン分泌細胞になり、これにより血糖値を低下させる。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様106」)によれば、前記PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞をさらに含む細胞の混合物を含み、前記内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞がクロモグラニンA(CHGA)を発現させる。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様107」)によれば、哺乳類の血糖値を低下させる方法が、生体適合性メンブレン複合体を移植することを含み、前記生体適合性メンブレン複合体が、MPS(最大孔サイズ)が約1ミクロン未満の第1層と、第1固形フィーチャを有する第2層であって、第1固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン未満であり、前記第1固形フィーチャの大部分が約3ミクロン~約20ミクロンの代表短軸を有している、第2層と、当該第3層が、有効直径で約5ミクロン超の孔サイズと、第2固形フィーチャとを有しており、前記第2固形フィーチャが、大部分が約50ミクロン超である第2固形フィーチャ間隔を有しており、前記第2層が前記第1層と前記第3層との間に位置決めされている、第3層と、PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞を含む細胞集団と、を含み、そして前記膵臓内胚葉細胞が成長してインスリン分泌細胞になり、これにより血糖値を低下させる。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様108」)によれば、前記PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞をさらに含む細胞の混合物を含み、前記内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞がクロモグラニンA(CHGA)を発現させる。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様109」)によれば、カプセル化されたin vitro PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、PDX-1/NKX6.1を同時発現させる膵臓プロジェニター集団を少なくとも含む細胞亜集団の混合物を含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様110」)によれば、カプセル化されたin vitro PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、PDX-1/NKX6.1を同時発現させる膵臓プロジェニター集団と、PDX-1/NKX6.1及びCHGAを発現させる膵臓内分泌及び/又は内分泌プリカーサー集団とを少なくとも含む細胞亜集団の混合物を含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様111」)によれば、前記集団の少なくとも30%が、PDX-1/NKX6.1を同時発現させる膵臓プロジェニター集団を含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様112」)によれば、前記集団の少なくとも40%が、PDX-1/NKX6.1を同時発現させる膵臓プロジェニター集団を含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様113」)によれば、前記集団の少なくとも50%が、PDX-1/NKX6.1を同時発現させる膵臓プロジェニター集団を含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様114」)によれば、前記集団の少なくとも20%が、PDX-1/NKX6.1/CHGAを発現させる内分泌及び/又は内分泌プリカーサー集団を含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様115」)によれば、前記集団の少なくとも30%が、PDX-1/NKX6.1/CHGAを発現させる内分泌及び/又は内分泌プリカーサー集団を含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様116」)によれば、前記集団の少なくとも40%が、PDX-1/NKX6.1/CHGAを発現させる内分泌及び/又は内分泌プリカーサー集団を含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様117」)によれば、前記膵臓プロジェニター細胞及び/又は内分泌又は内分泌プリカーサー細胞が、成長してin vivoのインスリン分泌細胞になることができる。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様118」)によれば、インスリンをin vivoで生成する方法が、細胞カプセル化デバイスを移植することを含み、前記細胞カプセル化デバイスが、前の請求項のいずれかの生体適合性メンブレン複合体と、成長してインスリン分泌細胞になるPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞とを含み、前記インスリン分泌細胞がグルコース刺激に反応してインスリンを分泌する。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様119」)によれば、前記PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞をさらに含む細胞の混合物を含み、前記内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞がクロモグラニンA(CHGA)を発現させる。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様120」)によれば、前記集団の少なくとも約30%が、PDX-1/NKX6.1/CHGAを発現させる内分泌及び/又は内分泌プリカーサー集団である。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様121」)によれば、in vitroヒトPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞培養物が、PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞と、少なくとも形質転換増殖因子ベータ(TGF-ベータ)受容体キナーゼ阻害物質との混合物を含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様122」)によれば、さらに、骨形成タンパク質(BMP)阻害物質をさらに含む。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様123」)によれば、前記TGF-ベータ受容体キナーゼ阻害物質が、TGF-ベータ受容体1型キナーゼ阻害物質である。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様124」)によれば、前記TGF-ベータ受容体キナーゼ阻害物質がALK5iである。
先行の態様のいずれかに加えられる別の態様(「態様125」)によれば、前記BMP阻害物質がノギン(noggin)である。
添付の図面は、開示内容をさらに理解するために含まれ、本明細書の一部に組み込まれ、そして本明細書の一部を構成し、実施態様を例示し、そして記述と一緒に開示内容の原理を説明するのに役立つ。
図1Aは、本明細書中に記載された実施態様に基づく固形フィーチャ間隔の判断を示す概略図であり、3つの隣接固形フィーチャが三角形の角を表し、三角形の外接円が、付加的な固形フィーチャのない内部を有しており、固形フィーチャ間隔が、三角形を形成する固形フィーチャのうちの2つの固形フィーチャの間の直線距離である。
図1Bは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、非隣接固形フィーチャの判断を示す概略図であり、固形フィーチャが三角形の角を表し、三角形の外接円が、少なくとも1つの付加的な固形フィーチャを含有している。
図2は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、ePTFEメンブレン内の固形フィーチャ(白い形状)間の間隔(白い線)を示す走査電子顕微鏡写真である。
図3Aは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、固形フィーチャの長軸と短軸とを判断する方法を示す概略図である。
図3Bは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、固形フィーチャの深さを示す概略図である。
図4は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、孔の有効直径を示す概略図である。
図5は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、孔サイズを示す走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図6Aは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層の表面上に位置決めされた固形フィーチャの形態を成す熱可塑性ポリマーを示す概略図である。
図6Bは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層上に固形フィーチャを形成するためのサンプルジオメトリを示す概略図である。 図6Cは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層上に固形フィーチャを形成するためのサンプルジオメトリを示す概略図である。 図6Dは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層上に固形フィーチャを形成するためのサンプルジオメトリを示す概略図である。 図6Eは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層上に固形フィーチャを形成するためのサンプルジオメトリを示す概略図である。 図6Fは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層上に固形フィーチャを形成するためのサンプルジオメトリを示す概略図である。 図6Gは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層上に固形フィーチャを形成するためのサンプルジオメトリを示す概略図である。 図6Hは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層上に固形フィーチャを形成するためのサンプルジオメトリを示す概略図である。
図7は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層の表面に密接に結合された結合型固形フィーチャを有する生体適合性メンブレン複合体を示す概略図である。
図8は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、緩和層が種々異なる高さ及び幅を備えた固形フィーチャを有する、生体適合性メンブレン複合体を示す概略図である。
図9は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、ノードである固形フィーチャを含む緩和層を有する、生体適合性メンブレン複合体を示す概略図である。
図10A~10Dは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、補強構成部分の種々の位置を示す生体適合性メンブレン複合体の概略図である。 図10A~10Dは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、補強構成部分の種々の位置を示す生体適合性メンブレン複合体の概略図である。 図10A~10Dは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、補強構成部分の種々の位置を示す生体適合性メンブレン複合体の概略図である。 図10A~10Dは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、補強構成部分の種々の位置を示す生体適合性メンブレン複合体の概略図である。
図11Aは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層上に位置決めされた緩和層を示す概略断面図であり、緩和層は少なくとも固形フィーチャサイズ、固形フィーチャ間隔、固形フィーチャ深さ、及び厚さによって特徴付けられる。
図11Bは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞不透過性層上に位置決めされた緩和層を示す概略断面図であり、緩和層は少なくとも固形フィーチャサイズ、固形フィーチャ間隔、固形フィーチャ深さ、厚さ、及び孔サイズによって特徴付けられる。
図12は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、血管新生層と、緩和層と、細胞不透過性層とを含有する生体適合性メンブレン複合体を示す概略断面図であり、血管新生層は少なくとも厚さ、孔サイズ、固形フィーチャサイズ、及び固形フィーチャ間隔によって特徴付けられる。
図13Aは、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスを示す概略上面図である。
図13Bは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、図13Aの細胞カプセル化デバイスの生体適合性メンブレン複合体の層の配向、及び細胞の配置状態を示す概略断面図である。
図14は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンから形成された同等の細胞不透過性層の上面を示す走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図15は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、不織ポリエステルから形成された血管新生層の上面を示すSEMである。
図16は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、カプセル化デバイスを示す概略分解図である。
図17は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、比較例1における細胞不透過性層の表面上の異物巨細胞の存在を示す組織画像である。
図18は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、比較例2における緩和層上に不連続なフッ素化エチレンプロピレン(FEP)層を有する、緩和層の上面を示すSEMである。
図19は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、比較例2、実施例2、実施例4、及び実施例5に使用されたePTFE細胞不透過性層の上面を示すSEMである。
図20は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例2に使用されたePTFE緩和層の上面を示すSEMである。
図21は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、比較例2において形成された二層型ePTFE複合体の断面を示すSEMである。
図22は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、比較例2の細胞不透過性層上に形成される異物巨細胞の代表的な組織画像である。
図23は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例1に使用されたePTFE細胞不透過性層の上面を示すSEMである。
図24は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例1に使用されたePTFE緩和層の上面を示すSEMである。
図25は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例1で形成された二層型ePTFE複合体の断面を示すSEMである。
図26は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例1の細胞不透過性層上に異物巨細胞の形成が存在しないことを示す代表的な組織画像である。
図27は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例2における、不連続なフッ素化エチレンプロピレン(FEP)層を有するePTFE緩和層の上面を示すSEMである。
図28は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例2のePTFE緩和層の上面を示すSEMである。
図29は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例2において形成された二層型ePTFE複合体の断面を示すSEMである。
図30は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例3において形成されたePTFE細胞不透過性層の上面を示すSEMである。
図31は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例3において形成されたePTFE緩和層の上面を示すSEMである。
図32は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例3において形成された二層型ePTFE複合体の上面を示すSEMである。
図33は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例4において形成された、不連続なFEP層を備えたePTFE緩和層の上面を示すSEMである。
図34は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例4において形成されたePTFE緩和層の上面を示すSEMである。
図35は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例4において形成された二層型ePTFE複合体の断面を示すSEMである。
図36は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例4の細胞不透過性層上に異物巨細胞の形成が存在しないことを示す代表的な組織画像である。
図37は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例5における不連続なFEP層を備えたePTFE緩和層の上面を示すSEMである。
本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例5で利用されるePTFE血管新生層の上面を示すSEMである。
図39は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例5において形成された三層型複合体の断面を示すSEMである。
図40は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、挿入補強構成部分を示す概略上面図である。
図41は、本明細書中に記載された実施態様に基づく偏平デバイスを示す概略分解図である。
図42は、明細書中に記載された実施態様に基づく偏平デバイスの表面を示す上面画像である。
図43Aは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、一点結合部と管腔とを示す、図42の偏平デバイスのA-A線に沿った断面の画像である。
図43Bは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、二点結合部と管腔とを示す、図42の偏平デバイスのB-B線に沿った断面の画像である。
図44は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例6の不透過性層上に異物巨細胞の形成が存在しないことを示す代表的な組織画像である。
図45は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例2の不透過性層の表面上に異物巨細胞の形成が存在しないことを示す代表的な組織画像である。
図46は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例3の不透過性層の表面上に異物巨細胞の形成が存在しないことを示す代表的な組織画像である。
図47は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例5の不透過性層の表面上に異物巨細胞の形成が存在しないことを示す代表的な組織画像である。
図48は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例6の不透過性層の表面上に異物巨細胞の形成が存在しないことを示す代表的な組織画像である。
図49Aは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例7の構造Aにおけるin vivo細胞生存能力を示す代表的な組織画像である。
図49Bは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例7の構造Bにおけるin vivo細胞生存能力を示す代表的な組織画像である。
図49Cは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例7の構造Cにおけるin vivo細胞生存能力を示す代表的な組織画像である。
図50は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例7の構造Aにおける第3ePTFEメンブレンのノード・フィブリル構造を示す代表的なSEM画像である。
図51は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例7の構造Bにおける第3ePTFEメンブレンのノード・フィブリル構造を示す代表的なSEM画像である。
図52は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例7の構造Cにおける第3ePTFEメンブレンのノード・フィブリル構造を示す代表的なSEM画像である。
図53は、明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例7の構造Aの第3ePTFEメンブレンの断面を示すSEM画像である。
図54は、明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例7の構造Bの第3ePTFEメンブレンの断面を示すSEM画像である。
図55は、明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例7の構造Cの第3ePTFEメンブレンの断面を示すSEM画像である。
図56は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、FEPを有する構造A,B及びCの第2ePTFE層の代表的な表面マイクロ構造を示すSEM画像である。
所期機能を発揮するように構成されたあらゆる数の方法及び装置によって、本開示の種々の態様を実現し得ることは当業者には容易に明らかになる。また念のために述べるならば、本明細書中で言及される添付の図面は必ずしも原寸に比例してはおらず、本開示の種々の態様を例示するために誇張されることがあり、またこれに関して図面は限定的なものとして解釈されるべきではない。方向的な言及、例えばとりわけ「上(up)」、「下(down)」、「上(top)」、「左(left)」、「右(right)」、「前(front)」、及び「後ろ(back)」は、当該構成部分及び方向が言及されている図面において示され記された配向を意味するものとする。言うまでもなく、「生体適合性メンブレン複合体」及び「メンブレン複合体」という用語は本明細書中では互いに置き換え可能に使用される。なお、本明細書中に記載されたすべての範囲は本質的に例示的なものであり、その間のありとあらゆる値を含む。加えて、本明細書中に挙げられたすべての参考文献はこれらの全体を参照することにより援用される。
本開示は生体適合性メンブレン複合体に関する。メンブレン複合体は第1層と第2層と第3層とを含有している。各層は互いに区別可能であり、カプセル化済み細胞の生き残りのために必要な機能を発揮する。ある特定の実施態様では、第1層は細胞不透過性層として機能し、第2層は緩和層として機能し、そして第3層は血管新生層として機能する。本明細書中では便宜上、「第1層」という用語は「細胞不透過性層」と互いに置き換え可能に使用され、「第2層」という用語は「緩和層」と互いに置き換え可能に使用され、そして「第3層」という用語は「血管新生層」と互いに置き換え可能に使用される。各層は互いに区別可能であり、カプセル化済み細胞の生き残りを支援する独自の機能のために役立つ。緩和層は細胞不透過性層と血管新生層との間に位置決めされており、細胞不透過性層の表面上の異物巨細胞の形成を低減する。少なくとも1つの実施態様では、緩和層は、緩和層を形成するメンブレン内に存在する固形フィーチャ(例えばノード)を含む。他の実施態様では、緩和層は、細胞不透過性層の表面上に設けられ且つ/又は形成された固形フィーチャ(例えば印刷固形フィーチャ)を含む。いくつかの実施態様では、細胞不透過性層及び緩和層は、互いに密接に結合又は接続されることにより、緻密/開放構造を有する複合層を形成する。本明細書に使用される「密接な結合」及び「密接に結合された」は、表面上の任意の点で容易には分離又は取り外しできない生体適合性複合体の層、又は生体適合性複合体内部の固形フィーチャを意味する。生体適合性メンブレン複合体のいずれかの側(すなわち外側)、又は生体適合性メンブレン複合体内部(すなわち内側)に補強構成部分を任意に位置決めすることにより、メンブレン複合体に支持を提供し、そしてメンブレン複合体の歪みを防止することができる。本明細書中では「補強構成部分」はさらに細胞カプセル化デバイスの外側又は内側と記すことがあり、栄養素不透過性又は栄養素透過性であってよい。生体適合性メンブレン複合体は、生物学的存在物及び/又は細胞集団をカプセル化するためのデバイス内で使用することができ、あるいはこのようなデバイスを形成することができる。言うまでもなく、「約」という用語は、指定された測定単位の±10%を意味する。
生体適合性メンブレン複合体と一緒に使用するのに適した生物学的存在物の一例としては、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、遺伝子治療物質、細菌、タンパク質、多糖類、抗体、及び他の生物活性存在物が挙げられる。言うまでもなく、細胞以外の生物学的存在物がここで使用するために選択される場合、生物学的存在物の生物活性の成分又は生成物は、細胞不透過性層を通過し得ることが必要であるが、しかし存在物自体が通過することが必要なのではない。単純にするために、本明細書では生物学的存在物を細胞と呼ぶが、しかし本明細書中のいかなるものも生物学的存在物を細胞又は特定のタイプの細胞に限定することはなく、下記説明は細胞以外の生物学的存在物にも適用される。
種々のタイプの原核細胞、真核細胞、哺乳類細胞、非哺乳類細胞、及び/又は幹細胞を、本明細書中に記載された生体適合性メンブレン複合体と一緒に使用することができる。いくつかの実施態様では、細胞は治療上有用な物質を分泌する。このような治療上有用な物質はホルモン、増殖因子、栄養因子、神経伝達物質、リンホカイン、抗体、又は治療有用性をデバイスレシピエントに提供する他の細胞生成物を含む。このような治療的細胞生成物の一例としては、インスリン及び他の膵臓ホルモン、増殖因子、インターロイキン、副甲状腺ホルモン、エリスロポエチン、トランスフェリン、コラーゲン、エラスチン、トロポエラスチン、エキソソーム、ベシクル、遺伝子片、及び第VIII因子が挙げられる。適切な増殖因子の一例としては、血管内皮増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板活性化因子、形質転換増殖因子、骨形成タンパク質、アクチビン、インヒビン、線維芽細胞増殖因子、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、グリア細胞株由来神経栄養因子、増殖分化因子9、上皮増殖因子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
上述のように、生体適合性メンブレン複合体は第1層(すなわち細胞不透過性層)を含む。細胞不透過性層は微細孔質の免疫隔離バリアとして役立ち、血管内方成長を受け付けず、宿主からの細胞接触を防止する。本明細書では、細胞内方成長を可能にするのに十分に大きい開口を有していない層を「緻密(tight)」層と呼ぶことがある。細胞不透過性層の孔は、細胞栄養素、酸素、老廃物、及び治療物質の通過を許す一方で、いかなる細胞の通過も許さないほどに十分に小さい。細胞不透過性層のMPSは、血管内方成長を防止するのに十分に小さいので、細胞不透過性層の物質輸送及び拡散特性に不都合な影響を及ぼすおそれもある、細胞不透過性層のパラメータのバランスをとることが必要である。例えば、MPSが細胞侵入又は血管内方成長を防止するのに十分に小さいのに対して、細胞不透過性層は分子(すなわち栄養素及び治療分子)の通過を許すのには十分に開いている。細胞内方成長を許すのに十分に大きい開口を有する層を「開放層」と呼ぶことがある。
細胞不透過性層を薄く、多孔質に、そして低質量に保つことにより、拡散抵抗がさらに最小化される。言うまでもなく、細胞不透過性層の十分なポロシティが分子の通過を許すように維持される。ある特定の実施態様では、細胞不透過性層のポロシティは約50%超、約60%超、約70%超、又は約80%超である。加えて、ポロシティは約50%~約98%、約50%~約90%、約50%~約80%、又は約60%~約90%であってよい。また言うまでもなく、細胞不透過性層の十分な耐久性及び強度が維持されるので、この緻密層の完全性を保証することによって、所期の使用を通して免疫隔離をin vivoで提供することができる。したがって、強度及び拡散抵抗という競合する特性のトレードオフのバランスを取ることが必要である。ある特定の実施態様では、細胞不透過性層の最も弱い軸の最大引張荷重は、約40N/m超、約130N/m超、約260N/m超、約600N/m、又は約1000N/mである。加えて、最も弱い軸の最大引張荷重は、約40N/m~約2000N/m、約40N/m~約780N/m、約40N/m~約350N/m、約130N/m~約2000N/m、約130N/m~約450N/m、又は約260N/m~約2000N/mであってよい。
ある特定の実施態様では、細胞不透過性層は直交方向(D1,D2)における引張強度の組み合わせを有し、その結果もたらされる幾何平均引張強度は、幾何平均引張強度が下記等式によって定義される場合、約20MpA超、約50MpA超、約100MpA超、又は約150MpA超である。
Figure 2022534546000002
細胞不透過性層の幾何平均引張強度は、約20MPa~約180MPa、約30MPa~約150MPa、約50MPa~約150MPa、又は約100MPa~約150MPaであってよい。
いくつかの実施態様では、細胞不透過性層のMPSはポロメトリー(porometry)によって測定して、約1ミクロン未満、約0.50ミクロン未満、約0.30ミクロン未満、又は約0.10ミクロン未満である。MPSはポロメトリーによって測定して、約0.05ミクロン~約1ミクロン、約0.1ミクロン~約0.80ミクロン、約0.1ミクロン~約0.6ミクロン、約0.1ミクロン~約0.5ミクロン、又は約0.2ミクロン~約0.5ミクロンであってよい。
加えて、細胞不透過性層の厚さは約30ミクロン未満、約20ミクロン未満、約10ミクロン未満、又は約5ミクロン未満である。厚さは約1ミクロン~約30ミクロン、約1ミクロン~約20ミクロン、約1ミクロン~約10ミクロン、約5ミクロン~約10ミクロン、又は約1ミクロン~約5ミクロンであってよい。細胞不透過性層の単位面積当たり質量(MpA)は、約25g/m未満、約20g/m未満、約10g/m未満、約5g/m、又は約3g/m未満であってよい。MpAは、約3g/m~約25g/m、約0.5g/m~約20g/m、約0.5g/m~約10g/m、又は約0.5g/m~約5g/mであってよい。
前述のように、生体適合性メンブレン複合体は第2層(すなわち緩和層)を含む。第2層は、緩和層内への血管組織の成長を許すのに十分に多孔質であり、いくつかの事例では、初期血管新生層としても作用する。緩和層は、異物巨細胞の形成を最小化、低減、抑制、又は防止するのに好適な環境を形成する一方、細胞不透過性層における血管へのアクセスを可能にする。緩和層内への血管組織の内方成長は、栄養素が細胞不透過性層を通って移行するのを促進する。本明細書では、血管内方成長を許すのに十分に大きい開口を有する層を「開放」層と呼ぶことがある。植え込まれた細胞のための酸素及び栄養素の源である血管は緩和層内に形成されることが必要なので、血管は、任意のカプセル化済み細胞に対する栄養素拡散のための距離が最小化されるように、細胞不透過性層に十分に近接している。細胞不透過性層の薄さは、拡散が発生しなければならない距離を短くするのを助ける。
血管組織が緩和層を通って細胞不透過性層まで内方成長すると、細胞不透過性層を横切る栄養素移行を促進する。緩和層は、異物巨細胞の形成の代わりに、細胞不透過性層に隣接して位置決めされた緩和層内への血管の十分な形成を可能にする環境を形成する。結果として、そして実施例に示されているように、異物巨細胞が十分な血管新生を妨げるように、異物巨細胞は細胞不透過性層と緩和層との界面に形成されることはない。なお、異物巨細胞は個別に細胞不透過性層と緩和層との界面に形成されることはあるが、しかしこれらはカプセル化済み細胞の成長のために必要となる血管新生を妨害又は阻止しない。
緩和層は少なくとも部分的に、固形フィーチャ間隔を有する複数の固形フィーチャを含むことにより特徴付けられる。これについて下で詳述する。本明細書中に使用される「固形フィーチャ(solid features)」は、緩和層及び/又は血管新生層の内部の三次元成分であって、環境力、例えば細胞運動(例えば細胞移動及び内方成長、宿主血管新生/内皮血管形成)に晒されたときに概ね運動不能且つ耐変形性である三次元成分であると定義することができる。細胞不透過性層における異物巨細胞のバリアの形成を低減又は緩和するのを容易にするために、緩和層に隣接する細胞不透過性層の表面に当接する固形フィーチャは、多数のマクロファージがこの界面で多核化異物巨細胞内へ融合するのを防止するのを助ける。いくつかの実施態様では、細胞不透過性層と当接する緩和層内の固形フィーチャは、細胞不透過性層に密接に結合されており、本明細書中ではこれを「結合型固形フィーチャ」と呼ぶ。「非結合型固形フィーチャ」は、細胞不透過性層に結合(密接に結合又はその他の形で結合)されていない、緩和層内部の固形フィーチャである。緩和層内の固形フィーチャは、例えば熱可塑性ポリマー、ポリウレタン、シリコーン、ゴム、エポキシ、及びこれらの組み合わせから形成されていてよい。
いくつかの実施態様では、緩和層の固形フィーチャは、細胞不透過性層によって画定された平面から外方へ向かって突出する。このような実施態様では、細胞不透過性層から突出した緩和層の固形フィーチャは、細胞不透過性層と密接に結合し、そして間隔を置くことができ、これにより、これらの固形フィーチャはこの緻密な細胞不透過性の界面における異物巨細胞の形成に対する障害物又はバリアを提供する。いくつかの実施態様では、固形フィーチャは緩和層のフィーチャ(例えばノード)であってよく、そして例えばフィブリル又は繊維によって互いに接続されてよい。別の実施態様では、固形フィーチャは細胞不透過性層の表面上に設けられ、且つ/又は他の形式で形成されてよく(例えば印刷された固形フィーチャ)、これにより固形フィーチャは、細胞不透過性層によって画定された平面によって画定された平面から外方へ向かって突出する。
緩和層がノード・フィブリルマイクロ構造(例えばフィブリル化ポリマーから形成される)を有する実施態様では、ノードは固形フィーチャであり、フィブリルは固形フィーチャではない。実際に、いくつかの実施態様では、フィブリルは、緩和層内にノードだけを残して取り除くことができる。緩和層内部のノードが固形フィーチャである実施態様では、細胞不透過性層に結合されたノードは結合型固形フィーチャである。少なくとも1つの実施態様では、緩和層は、ノード・フィブリルマイクロ構造を有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンから形成される。
緩和層の固形フィーチャは、迅速な拡散時間的経過を必要とする用途のための生体適合性メンブレン複合体の拡散抵抗全体に不都合な影響を及ぼすことはない。緩和層の固形フィーチャはサイズが十分に小さいので、これらの固形フィーチャは細胞不透過性層を横切る拡散のために必要な孔面積の量に干渉しない。また、緩和層の厚さは、植え込み後の急性期中における間質からカプセル化済み細胞への酸素及び栄養素の物質輸送量を最大化するのに十分に薄い。固形フィーチャ間の間隔は、細胞不透過性層(すなわち緻密層)までの宿主組織の簡単且つ迅速な浸透/一体化を可能にするのに十分に開いていることにより、急性期の継続時間を短くする。「急性期」とは本明細書中では、宿主細胞/血管浸潤前の時間と定義される。
細胞不透過性層に隣接する固形フィーチャの固形フィーチャ間隔の大部分は、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約20ミクロン未満、又は約10ミクロン未満である。本明細書中に使用される「大部分」という用語は、測定されるパラメータの測定値の半分を上回る量(すなわち50%超)を表すものとする。加えて、「固形フィーチャ間隔」という表現は、本明細書中では、2つの隣接する固形フィーチャ間の直線距離と定義される。本開示において、固形フィーチャは、これらのセントロイドが三角形の角を表し、この三角形の外接円が空の内部を有する場合に隣接すると考えられる。図1Aに絵によって示されているように、指定の固形フィーチャ(P)を隣接固形フィーチャ(N)に接続することにより、三角形100が形成されている。三角形において外接円110は固形フィーチャを内部に含有しない。固形フィーチャ(X)は、隣接固形フィーチャではない固形フィーチャを指定している。このように、図1Aに示された事例では、固形フィーチャ間隔130は、指定された固形フィーチャ(P),(N)間の直線距離である。対照的に、三角形160から描かれた図1Bに示された外接円150は、固形フィーチャ(N)を含有しており、そしてこのようなものとして、緩和層(又は血管新生層)内の固形フィーチャ間隔を判断するために利用することはできない。図2は、延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンから形成された緩和層内の固形フィーチャ210(白い形状)間の測定距離、例えば白い線200を示す走査電子顕微鏡写真である。いくつかの実施態様では、固形フィーチャ間隔の大部分は、約5ミクロン~約45ミクロン、約10ミクロン~約40ミクロン、約10ミクロン~約35ミクロン、又は約15ミクロン~約35ミクロンであってよい。
固形フィーチャはまた代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さを含む。固形フィーチャの代表短軸は本明細書中では、固形フィーチャにフィットされた楕円形の短軸の長さと定義される。この楕円形は固形フィーチャと同じ面積、配向、及びセントロイドを有する。固形フィーチャの代表長軸は本明細書中では、固形フィーチャにフィットされた楕円の長軸の長さと定義される。この楕円は固形フィーチャと同じ面積、配向、及びセントロイドを有する。長軸は、長さが短軸よりも大きいか又はこれと等しい。層の代表短軸及び代表長軸は、層内のフィーチャの測定されたすべての代表短軸及び代表長軸のそれぞれの中央値である。固形フィーチャ310をフィットさせるための楕円320の短軸及び長軸は図3Aに絵によって示されている。固形フィーチャ310の代表短軸は矢印300によって示され、固形フィーチャ310の代表長軸は矢印330によって示されている。緩和層内の固形フィーチャの大部分は、約3ミクロン~約20ミクロン、約3ミクロン~約15ミクロン、又は約3ミクロン~約10ミクロンのサイズの短軸を有している。固形フィーチャ深さは、層(例えば緩和層又は血管新生層)の表面に対して垂直な軸における固形フィーチャの投影長さである。固形フィーチャ310の固形フィーチャ深さは図3Bに絵によって示されている。固形フィーチャ310の深さは線340によって示されている。少なくとも1つの実施態様では、固形フィーチャ深さは緩和層の厚さと等しいか又はこれよりも小さい。層の固形フィーチャ深さは、層内の測定されたすべての固形フィーチャ深さの中央値である。少なくとも1つの実施態様では、層内の代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さのうちの少なくとも2つの大部分が5ミクロン超である。
固形フィーチャがフィブリル又は繊維によって相互接続されている実施態様では、固形フィーチャを相互接続する境界は孔を形成する。これらの孔は、細胞内方成長及び血管新生を許し、且つ酸素及び栄養素の質量輸送に対する抵抗を形成しないほどに十分に開いている。孔有効直径は定量的画像解析(QIA)によって測定され、走査電子顕微鏡(SEM)画像上で実施される。孔の「有効直径」は、表面孔の測定面積と等しい面積を有する円の直径と定義される。この関係は以下の等式によって定義される。
Figure 2022534546000003
図4を参照すると、有効直径は円400の直径であり、表面孔は符号420によって示されている。表面の総孔面積は、その表面のすべての孔の面積の和である。層の孔サイズは、総孔面積のおよそ半分が孔サイズよりも小さな直径を有する孔から成り、且つ総孔面積の半分が孔サイズよりも大きいか又はこれに等しい直径を有する孔から成る、そのポイントを定義する孔の有効直径である。図5は孔サイズ500(白色)、より小さなサイズの孔510(薄灰色)、及びより大きなサイズの孔520(濃灰色)を示している。画像のエッジと交差する孔530は解析から除外され、黒色で示されている。
緩和層の孔サイズは、SEM画像上で実施される定量的画像解析(QIA)によって測定して、有効直径で約1ミクロン~約9ミクロン、有効直径約3ミクロン~有効直径約9ミクロン、又は有効直径約4ミクロン~約9ミクロンであってよい。また、緩和層の厚さは約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、又は約20ミクロン未満である。緩和層の厚さは、約3ミクロン~約60ミクロン、約10ミクロン~約50ミクロン、約10ミクロン~約40ミクロン、又は約15ミクロン~約35ミクロンであってよい。いくつかの実施態様では、緩和層のポロシティは約60%超である。他の実施態様では、緩和層のポロシティは約70%超、約80%超、約90%超、又は約95%超である。いくつかの実施態様では、ポロシティは約98%、又は約99%であってよい。緩和層のポロシティは、約60%~約98%、約70%~約98%、又は約80%~約98%であってよい。
前述のように、生体適合性メンブレン複合体はさらに第3層(すなわち血管新生層)を含む。血管新生層は「開放」層である。この開放層は宿主からの付加的な血管貫通を許し、そして宿主の組織内部に生体適合性メンブレン複合体を迅速に固着させ取り付けるのを許す。加えて、血管新生層はカプセル化済み細胞を供給するのに十分な量の付加的な新血管の成長を有するための多孔質マトリックスを提供する。血管新生層は、宿主への一体化及び取り付けを可能にするための固形フィーチャがあるように構成されている。血管新生層は緩和層と同じ基準を満たさないので、これら2つは別個の、互いに区別可能な層である。血管新生層の固形フィーチャは、緩和層の固形フィーチャと比較して、固形フィーチャ間の空間及び孔サイズが増大しており、これにより、血管新生層内への組織又は血管のより迅速な内方成長を促進する。いくつかの実施態様では、血管新生層内の固形フィーチャの固形フィーチャ間隔の大部分は、約50ミクロン超、約60ミクロン超、約70ミクロン超、又は約80ミクロン超である。血管新生層内の固形フィーチャの大部分の固形フィーチャ間隔は、約50ミクロン~約90ミクロン、約60ミクロン~約90ミクロン、又は約70ミクロン~約90ミクロンである。
血管新生層の孔サイズ及び全厚は、栄養素及び酸素を細胞に提供するのに必要な付加的な血管量を有するための空間を提供するのに十分なものである。血管新生層の孔サイズは、SEM画像上で実施される定量的画像解析(QIA)によって測定して、有効直径で約9ミクロン超、有効直径で約25ミクロン超、有効直径で約50ミクロン超、有効直径で約75ミクロン超、有効直径で約100ミクロン超、有効直径で約125ミクロン超、有効直径で約150ミクロン超、有効直径で約175ミクロン超、又は有効直径で約200ミクロン超であってよい。いくつかの実施態様では、血管新生層の孔サイズは、SEM画像上で実施される定量的画像解析(QIA)によって測定して、有効直径約9ミクロン~有効直径約200ミクロン、有効直径約9ミクロン~有効直径約50ミクロン、有効直径約15ミクロン~有効直径約50ミクロン、有効直径約25ミクロン~有効直径約50ミクロン、有効直径約50ミクロン~有効直径約200ミクロン、有効直径約75ミクロン~有効直径約175ミクロンであってよい。
加えて、血管新生層の厚さは、約30ミクロン超、約50ミクロン超、約75ミクロン超、約100ミクロン超、約125ミクロン超、約150ミクロン超、又は約200ミクロン超であってよい。加えて、血管新生層の厚さは、約30ミクロン~約300ミクロン、約30ミクロン~約200ミクロン、約30ミクロン~約100ミクロン、約100ミクロン~約200ミクロン、又は約100ミクロン~約150ミクロンであってよい。少なくとも1つの実施態様では、血管新生層の厚さは、細胞不透過性層と緩和層との複合厚の少なくとも2倍である。いくつかの実施態様では、血管新生層の厚さは、細胞不透過性層の厚さと緩和層の厚さとの厚さの和よりも大きい。加えて、血管新生層内の固形フィーチャの大部分の代表短軸は、50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約20ミクロン未満、約10ミクロン未満、約5ミクロン未満、又は約3ミクロン未満である。いくつかの実施態様では、血管新生層内の固形フィーチャの大部分の代表短軸は、約3ミクロン~約40ミクロン、約3ミクロン~約30ミクロン、約3ミクロン~約20ミクロン、約3ミクロン~約10ミクロン、又は約20ミクロン~約40ミクロンである。血管新生層内に存在する固形フィーチャ、例えば不織布の連続繊維はまた、短軸よりも長さが大きい長軸を有しており、長さにおいて事実上制限されなくてよい。血管新生層内の固形フィーチャはまた、血管新生層の全厚よりも小さいか又は全厚に等しい深さを有している。
いくつかの実施態様では、細胞不透過性層を含む生体適合性メンブレン複合体は不連続に配置された穴で穿孔されている。穿孔のサイズ、数、及び位置は、細胞の機能を最適化するように選択することができる。わずか1つの穿孔穴が存在していてよい。穿孔は、宿主血管組織(例えば毛細血管)が生体適合性メンブレン複合体を通過するのに十分なサイズを有することにより、例えばカプセル化された膵臓細胞型を支持する。細胞不透過性層は、不連続な穿孔の場所で細胞不透過性層の部分が除去されていることに基づき、穿孔が存在しない場所では、微細孔質の免疫隔離バリアとしてのその機能を維持する一方、細胞不透過性層はその全体としてはもはや細胞不透過性ではない。なぜならば、不連続な穿孔は生体適合性メンブレン複合体を通過するための血管内方成長及び宿主からの細胞接触を許すからである。穿孔された細胞不透過性層を含有する細胞カプセル化デバイスの実施態様が、宿主の免疫細胞の、細胞との接触を可能にするので、宿主が免疫不全であるか又は免疫抑制剤で治療されているのでない限り、細胞はもはや免疫拒絶からもはや保護されることはない。
(例えばカプセル化デバイスにおいて)細胞床厚が維持されるようにin vivoの歪みを最小化するために、生体適合性メンブレン複合体に任意の補強構成部分を設けることができる。このような付加的な任意の補強構成部分は生体適合性メンブレン複合体に、生体適合性メンブレン複合体自体よりも大きな剛性を提供することによって、機械的な支持をもたらす。このような任意の補強構成部分は事実上連続していてもよく、あるいは生体適合性メンブレン複合体上の不連続領域内に存在してもよく、例えば生体適合性メンブレン複合体の表面全体にわたってパターン化されてよく、あるいは特定の位置、例えば生体適合性メンブレン複合体の周辺を巡って配置されてもよい。メンブレン複合体の表面上の補強構成部分に適した非限定的なパターンはドット、直線、角度付き線、曲線、点線、格子などを含む。補強構成部分を形成するパターンは単独又は組み合わせで使用することができる。加えて、補強構成部分は事実上一時的なもの(生体吸収性材料から形成される)であってよく、又は事実上永久的なもの(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)メッシュ又はニチノール)であってもよい。当業者には明らかなように、構成部分の剛性の影響は、単一の構成部分の剛性にだけ依存するのではなく、最終デバイス形態における補強構成部分の位置及び拘束状態にも依存する。構成部分(例えば補強構成部分)が生体適合性メンブレンに剛性を付加するのに実際に有用であるように、補強構成部分は約0.01N/cmよりも大きい剛性を有するべきではあるものの、必要とされる剛性の最終的な判断は、完成済みの細胞カプセル化デバイスにおける位置及び拘束状態に依存する。いくつかの実施態様では、補強構成部分の剛性は、約0.01N/cm~約5N/cm、約0.05N/cm~約4N/cm、約0.1N/cm~約3N/cm、又は約0.3N/cm~約2N/cmであってよい。
少なくとも1つの実施態様では、補強構成部分を血管新生層の外面上に設けることにより、生体適合性メンブレン複合体を環境力に対して強化することができる。このような配向において、補強構成部分は、血管内方成長を許すのに十分な孔サイズを有しており、したがって「開放」層と考えられる。補強構成部分として有用な材料は、生体適合性メンブレン複合体よりも著しく高い剛性を有する材料を含む。このような材料の一例としては、開放メッシュ生体材料布地、織布、不織布(例えば繊維又は糸の収集体)、及び繊維性マトリックスが単独又は組み合わせで挙げられる。別の実施態様では、パターン化格子、スクリーン、ストランド、又はロッドを補強構成部分として使用することができる。補強構成部分は、細胞不透過性層に隣接する生体適合性メンブレンの外面上に位置決めされてよい(例えば10C参照)。このような配向において、補強構成部分と細胞不透過性層との間に細胞が位置するのに十分な間隔がある限り、補強構成部分は、細胞・栄養素不透過性の緻密層であってよい。加えて、補強構成部分は複合層内部又は複合層間の不連続領域で配向されていてよく、あるいは複合層自体が補強構成部分であってもよい(例えば図10A、10B、及び10D参照)。言うまでもなく、補強構成部分は生体適合性メンブレンの外側、内側、又は内部に配置されていてよく、あるいはこれらの組み合わせで配置されていてもよい。
少なくとも1つの実施態様では、細胞不透過性層と緩和層と血管新生層とを、1種又は2種以上の生体適合性接着剤によって互いに結合することにより、生体適合性メンブレン複合体を形成する。接着剤は、細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層のうちの1つ又は2つ以上の層の表面に、不連続又は密接な結合を形成するように被着することができる。本明細書中に使用される「不連続な結合」又は「不連続に結合された」という表現は、定義された領域の連続的な周辺を巡る点及び/又は線の意図的なパターンを成す結合又は結合部を含むものとする。好適な生体適合性接着剤の一例としては、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリカーボネートウレタン、TFE及びPAVEから成る熱可塑性フルオロポリマー、EFEP(エチレンフッ素化エチレンプロピレン)、PEBAX(ポリエーテルアミド)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、Carbosil(登録商標)(シリコーンポリカーボネートウレタン、Elasthane(登録商標)(ポリエーテルウレタン)、PurSil(登録商標)(シリコーンポリエーテルウレタン)、ポリウレタン、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレンクロロテトラフルオロエチレン(ECTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。緩和層は細胞不透過性層に密接に結合されてよい。血管新生層は緩和層に密接に又は不連続的に結合されてよい。少なくとも1つの実施態様では、緩和層は細胞不透過性層に密接に結合されている。いくつかの実施態様では、細胞不透過性層と緩和層とは複合層として同時延伸される。細胞不透過性層及び緩和層、又は細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層の実施態様では、測定された複合体Z強度は100kPaよりも大きくてよい。加えて、測定された複合体z強度は、約100kPa~約1300kPa、約100kPa~約1100kPa、約100kPa~約900kPa、約100kPa~約700kPa、約100kPa~約500kPa、約100kPa~約300kPa、又は約100kPa~約200kPaであってよい。
細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層のうちの少なくとも1つは、ポリマーメンブレン、又は繊維又は糸の製織又は不織収集体、又は繊維性マトリックスから単独又は組み合わせで形成されてよい。細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層のうちの任意の1つ又はすべてのために使用し得るポリマーの非限定的な一例としては、アルギネート、セルロースアセテート、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、パンビニル(panvinyl)ポリマー、例えばポリビニルアルコール、キトサン、ポリアクリレート、例えばポリヒドロキシエチルメタクリレート、アガロース、加水分解ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、例えばポリエチレン-コ-アクリル酸、ポリアルキレン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリウレタン、ポリエステル、及びこれらのコポリマー及び組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施態様では、細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層を形成するポリマーメンブレンを形成するポリマーはフィブリル化可能ポリマーである。本明細書中に使用されるフィブリル化可能とは、ポリマーメンブレンにフィブリルを導入する能力、一例としては固形フィーチャ部分をフィブリルへ変換させる能力を意味する。例えば、フィルビルは固形フィーチャ間のギャップを跨ぐ固形エレメントである。フィブリルは概ね、環境力への暴露時の耐変形性を有しておらず、したがって変形可能である。変形可能なフィルビルの大部分の直径は、約2ミクロン未満、約1ミクロン未満、約0.75ミクロン未満、約0.50ミクロン未満、又は約0.25ミクロン未満であってよい。いくつかの実施態様では、フィブリルの直径は、約0.25ミクロン~約2ミクロン、約0.5ミクロン~約2ミクロン、又は約0.75ミクロン~約2ミクロンであってよい。
細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層のうちの1つ又は2つ以上の層を形成するために使用することができるフィブリル化可能ポリマーの一例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)ポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、改質PTFE、TFEコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、Sbrigliaの米国特許出願公開第2016/0032069号明細書に教示されたポリ(p-キシリレン)(ePPX)、Sbrigliaの米国特許第9,926,416号明細書に教示された多孔質超高分子量ポリエチレン(eUHMWPE)、Sbrigliaの米国特許第9,932,429号明細書に教示された多孔質エチレンテトラフルオロエチレン(eETFE)、及びSbrigliaの米国特許第9,441,088号明細書に教示された多孔質フッ化ビニリデン-コ-テトラフルオロエチレン又はトリフルオロエチレン[VDF-コ-(TFE又はTrFE)]ポリマーが挙げられる。
いくつかの実施態様では、フィブリル化可能ポリマーは、フルオロポリマーメンブレン、例えば延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンである。延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン(及び他のフィブリル化ポリマー)はノード・フィブリルマイクロ構造を有している。ノード・フィブリルマイクロ構造では、ノードはフィブリルによって相互接続され、孔はメンブレン全体にわたってノード及びフィブリルの間に位置する空間である。本明細書中に使用される「ノード」という用語は、ほとんどがポリマー材料から成る固形フィーチャを意味するものとする。変形可能なフィブリルが存在する場合には、ノードは複数のフィブリルの接合部に位置する。いくつかの実施態様では、フィルビルはメンブレンから、例えばプラズマエッチングによって除去することができる。少なくとも1つの実施態様では、延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンが細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層のうちの1つ又は2つ以上の層に使用される。延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン、例えばGoreの米国特許第3,953,566号明細書、Bacino他の米国特許第7,306,729号明細書、Bacinoの米国特許第5,476,589号明細書、Bacino の国際公開第94/13469号パンフレット、Branca他の米国特許第5,814,405号明細書、又はBranca他の米国特許第5,183,545号明細書に記載された方法に基づき調製された延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンがここでは使用されてよい。
いくつかの実施態様では、細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層のうちの1つ又は2つ以上の層が、フルオロポリマーメンブレン、一例としては延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン、改質ePTFEメンブレン、テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーメンブレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)メンブレンから形成される。さらなる実施態様では、血管新生層は、織布及び不織布(例えばスパンボンド不織布、メルトブローン繊維材料、電気スパンナノ繊維など)、非フルオロポリマーメンブレン、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ナノ繊維、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリイミドを含む生体適合性布地を含んでよい。いくつかの実施態様では、血管新生層はスパンボンドポリエステル、又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンである。
いくつかの実施態様では、緩和層、血管新生層、又は補強構成部分のうちの少なくとも1つが、不織布から形成されている。多くのタイプの不織布があり、そのそれぞれはシートの織りの緻密さ及び厚さを変化させることができる。フィラメント断面は三葉状であってよい。不織布は、製織又は編成以外のプロセスによって製造される接着布地、成形布地、又はエンジニアード布地であってよい。いくつかの実施態様では、不織布は、主として又は全体的に繊維、例えばウェブ、シート、又はバットに集成されたステープルファイバーから成る多孔質のテキスタイル様材料である。不織布の構造は、典型的にはランダムに配列された、例えばステープルファイバーの配列に基づいている。加えて、テキスタイル業界において知られている種々の技術によって、不織布を形成することができる。種々の方法は、カーデッド、ウェットレイド、メルトブローン、スパンボンデッド、又はエアレイド不織布材料を形成することができる。非限定的な方法及び基材が例えばColter他の米国特許出願公開第2010/0151575号明細書に記載されている。1つの実施態様では、不織布はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。別の実施態様では、不織布はスパンボンドポリエステルである。不織布の密度は処理条件に応じて変化してよい。1つの実施態様では、不織布は、坪量が約0.40~約1.00(oz/yd)、公称厚が約127~約228ミクロン、そして繊維直径が約0.5ミクロン~約26ミクロンのスパンボンドポリエステルである。フィラメント断面は三葉状である。いくつかの実施態様では、不織布は生体吸収性である。
いくつかの実施態様では、血管新生層及び補強構成部分のうちの1つ又は2つ以上が不浸透性(例えば生分解性)であることが望ましい場合がある。このような事例では、血管新生層及び/又は補強構成部分を形成するために、生分解材料が使用されてよい。生分解性材料の好適な一例としては、ポリグリコリド:トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)、ポリアルファヒドロキシ酸、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(グリコリド)、及びポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート-コ-バレレート)、Sbrigliaの米国特許出願公開第2016/0032069号明細書で教示されている延伸ポリパラキシリレン(ePLLA)、及びこれらのコポリマー及びブレンドが挙げられる。あるいは、血管新生層を生体吸収性材料で被覆してもよく、又は生体吸収性材料を血管新生層中又は血管新生層上に粉末の形態で取り込むこともできる。被膜付き材料は感染部位低減、血管新生化、及び好ましい1型コラーゲン堆積を促進することができる。
生体適合性メンブレン複合体は少なくとも部分的に表面被膜、例えば両性イオン非ファウリング被膜、親水性被膜、又はCBAS(登録商標)/ヘパリン被膜(W.L. Gore & Associates, Inc.から商業的に入手可能)を有してよい。表面被膜はこれに加えて又はこの代わりに、抗菌薬、抗体(例えば抗CD47抗体(抗線維化))、医薬品、及び他の生物活性分子(例えば血管新生の刺激因子、例えばFGF、VEGF、エンドグリン、PDGF、アンジオポエチン、及びインテグリン、抗線維化物質、例えばTGFb阻害物質、シロリムス、CSF1R阻害物質、及び抗CD47抗体、抗炎症/免疫調節薬、例えばCXCL12、及びコルチコステロイド)、及びこれらの組み合わせを含有してもよい。
いくつかの実施態様では、緩和層及び血管新生層のうちの一方又は両方の層の固形フィーチャは、マイクロリソグラフィ、マイクロモールディング、機械加工、又はポリマー(例えば熱可塑性)を細胞不透過性層上に印刷(又はレイダウン)することによって、固形フィーチャの少なくとも一部を形成することができる。任意のコンベンショナルな印刷技術、例えば転写被覆、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、パターン化吸収(patterned imbibing)、及びナイフ塗布を利用して、熱可塑性ポリマーを細胞不透過性層上に置くことができる。図6Aは、細胞不透過性層610上に位置決めされた固形フィーチャ620の形態を成す熱可塑性ポリマーを示している(印刷が完了した後)。固形フィーチャ620はフィーチャ間隔630を有している。固形フィーチャを形成するためのジオメトリの一例としては、破線(図6B参照)、ドット及び点線(図6C、6G参照)、幾何学的形状(図6H参照)、直線(図6D参照)、角度付き線(図6F参照)、曲線、格子(図6E参照)など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
緩和層の固形フィーチャを形成するために使用される材料の一例としては、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、シリコーンポリカーボネートウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネートウレタン、シリコーンポリエーテルウレタン、ポリエステル、ポリエステルテレフタレート、溶融処理可能なフルオロポリマー、例えばフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン-(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテル(PFA)、エチレンとテトラフルオロエチレン(ETFE)との交互コポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とフッ化ビニリデン(THV)とのターポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施態様では、パターンフィーチャを形成するためにポリテトラフルオロエチレンを使用することができる。さらなる実施態様では、固形フィーチャを別々に形成し、細胞不透過性層(図示せず)の表面に付着させることができる。
図7には生体適合性メンブレン複合体700が示されている。生体適合性メンブレン複合体700は細胞不透過性層710と、緩和層720と、血管新生層730と、任意の補強層740とを含む。図示の実施態様では、固形フィーチャ750を細胞不透過性層710の表面に結合することにより、緩和層720内部に結合型フィーチャを形成している。いくつかの実施態様では、固形フィーチャ750は血管新生層730の孔内には貫通していない。固形フィーチャ750は、本質的に同じ高さ及び幅であり且つ細胞不透過性層710と血管新生層730との間に延びるものとして図7に示されてはいるものの、言うまでもなく、これは一例であり、固形フィーチャ750は高さ及び/又は幅が様々であってよい。固形フィーチャ750間の距離は固形フィーチャ間隔760である。
図8は生体適合性メンブレン複合体800である。生体適合性メンブレン複合体800は細胞不透過性層810と、緩和層820と、血管新生層830と、任意の補強層840とを含む。図示の生体適合性メンブレン複合体の場合、固形フィーチャ850,880は、高さ及び幅が異なるノードであり、そして細胞不透過性層810と血管新生層830との間の距離を延びても延びなくてもよい。固形フィーチャ850,880はフィブリル870によって接続されている。図8において、固形フィーチャ深さの大部分は、緩和層820の総厚よりも小さい。固形フィーチャ880は結合型固形フィーチャである。
図9を参照すると、細胞不透過性層910と、緩和層920と、血管新生層930と、任意の補強層940とを含む生体適合性メンブレン複合体900が示されている。この実施態様では、緩和層920内部の固形フィーチャは、ePTFEメンブレン内に形成された、緩和層920のノードである。ノード950,980はフィブリル970によって相互接続されている。ノード950,980は緩和層920内部に位置決めされている。しかしながら、ノード980は緩和層920内部にあるだけではなく、細胞不透過性層910とも接触しており、細胞不透過性層910に密接に結合されている。
上述のように、補強構成部分は複合層内部又は複合層間の不連続領域で配向されてよい。図10Aに示された1つの非限定的な実施態様では、補強構成部分1030は細胞不透過性層1000上の不連続領域として形成されており、そして生体適合性メンブレン複合体1050の緩和層1010内部に位置決めされている。血管新生層1020は参考のためだけに示されている。図10Bに示された実施態様では、補強構成部分1030は緩和層1010上に不連続領域として位置決めされており、そして生体適合性メンブレン複合体1050の血管新生層1020内部に位置決めされている。細胞不透過性層1000は参考のためだけに示されている。図10Cに示されたさらに別の非限定的な実施態様では、補強構成部分1030は、生体適合性メンブレン複合体1050の外側にある。具体的には、補強構成部分1030は細胞不透過性層1000の、緩和層1010とは反対側に位置決めされている。血管新生層1020は参考のためだけに示されている。図10Dを参照すると、補強構成部分1030は、生体適合性メンブレン複合体1050の緩和層1010と血管新生層1020との間に配置されている。細胞不透過性層1000は参考のためだけに示されている。
本明細書中に記載された実施態様において、緩和層1100は、ポリマーを(上記のような)所定のパターンで置く又は堆積することによって形成することができる。パターンは、図11Aに全体的に示されているように、以下のもの、すなわち固形フィーチャサイズ(すなわち短軸)1110、固形フィーチャ間隔1120、固形フィーチャ深さ1160、厚さ1130、フィブリルの不在、及び/又は孔サイズ(SEM画像上で実施される定量的画像解析(QIA)によって測定する)のうちの1つ又は2つ以上によって特徴付けられる。細胞不透過性層1150が参考のためだけに示されている。
図11Bは、ノード・フィブリルマイクロ構造を有するポリマーから形成された緩和層1200を示している。ノード・フィブリルマイクロ構造は、以下のもの、すなわち固形フィーチャサイズ(すなわち短軸)1210、固形フィーチャ間隔1220、固形フィーチャ深さ1270、厚さ1230、フィブリル1260の存在、及び/又は孔サイズ(SEM画像上で実施される定量的画像解析(QIA)によって測定する)1240のうちの1つ又は2つ以上によって特徴付けられる。細胞不透過性層1250が図11Bに参考のためだけに示されている。
また、本明細書中に記載された実施態様では、血管新生層1300は、図12に全体的に示されているように、以下のもの、すなわち厚さ1310、孔サイズ1320、固形フィーチャサイズ(すなわち短軸)1340、及び固形フィーチャ間隔1330のうちの1つ又は2つ以上によって特徴付けられる。細胞不透過性層1350及び緩和層1360が参考だけのために示されている。
生体適合性メンブレン複合体は、一例としてはハウジング、チャンバ、パウチ、チューブ、又はカバーを含む種々の形態に製造することができる。1実施態様では、生体適合性メンブレン複合体は、図13Aに示された細胞カプセル化デバイスを形成している。図13Aは、生体適合性メンブレン複合体の2つの層から形成された細胞カプセル化デバイス1400を示す上面図である。これらの層は、周囲1410の一部に沿ってシールされている。生体適合性メンブレン複合体1420の外層だけが図13Aに示されている。細胞カプセル化デバイス1400は、細胞を含有するための内側チャンバ(図示せず)と、内側チャンバ内へ延びて内側チャンバと流体連通しているポート1430とを含む。
図13Bは、図13Aの細胞カプセル化デバイスを示す断面図である。図示のように、第1生体適合性メンブレン複合体1450は第2生体適合性メンブレン複合体1460に隣接して位置決めされている。生体適合性メンブレン複合体1450,1460はそれぞれ細胞不透過性層1470と、緩和層1480と、血管新生層1490とを含む。任意の補強構成部分は図13Bには示されていないが、しかしこれをこの実施態様で利用することもできる。2つのメンブレン複合体1450,1460の間には、細胞(及び/又は他の生物学的存在物)の配置のためにチャンバ1435(すなわち管腔)が配置されている。
本開示を全体的に説明してきたが、下に示すある特定の実施例を参照することによってさらなる理解を得ることができる。これらの実施例は例示を目的にして提供されるにすぎず、特に断りのない限りすべて包括的又は限定的なものであるようには意図されない。
試験法
ポロシティ
層のポロシティはここでは層の総体積と比較した、孔空間から成る層体積比率と定義される。ポロシティは下記等式を用いて、固体画分の密度に対する、固体画分とボイド画分とから成る多孔質構造の嵩密度を比較することにより計算される。
Figure 2022534546000004
厚さ
複合体内の層の厚さを、断面SEM画像の定量的画像解析(QIA)によって測定した。メンブレンを接着剤に固定し、液体窒素冷却されたカミソリ刃を使用して手でフィルムをカットし、次いで接着剤を背面に有するフィルムを直立させて、断面が鉛直方向になるようにすることによって、断面SEM画像を生成した。次いで試料をEmitech K550Xスパッタコータ(Quorum Technologies Ltd, UKから商業的に入手可能)及び白金ターゲットを使用してスパッタ塗布した。次いでThermo ScientificのFEI Quanta 400走査電子顕微鏡写真を用いて、試料を画像形成した。
次いで、国立衛生研究所(NIH)のImageJ 1.51hを使用して、断面SEM画像内部の層の厚さを測定した。SEMによって提供されたスケールに関して画像スケールを設定した。フリーハンドツールを使用して、当該層を単離してクリッピングした。次いで少なくとも10本の等しい間隔を置いた線を、層厚の方向に描いた。すべての線の長さを測定して平均することにより層厚を定義した。
最大引張荷重
5500シリーズInstron(登録商標)電気機械的試験システムを使用して、材料の最大引張荷重を試験した。D412F又はD638-Vドッグボーン・ダイを使用して当該軸に配向した状態で試料をカットした。次いでInstron(登録商標)テスターグリップ内に試料を装填し、(D412F試料に対しては)一定速度20in/min又は(D683-V試料に対しては)3in/minで失敗するまで試験した。試験中に維持された最大荷重を、試験片ゲージ幅(D412F試料は6.35mm、D638-V試料は3.175mm)によって正規化することにより、最大引張荷重を定義した。
引張強度
5500シリーズInstron(登録商標)電気機械的試験システムを使用して、材料の引張強度を試験した。特に断りのない限り、被膜の被着前に材料の引張強度を試験した。D412F又はD638-Vドッグボーン・ダイを使用して試料をカットした。次いでInstron(登録商標)テスターグリップ内に試料を装填し、(D412F試料に対しては)一定速度20in/min又は(D683-V試料に対しては)3in/minで失敗するまで試験した。最大荷重を、(ゲージ幅×材料厚として定義された)試験面積によって正規化することにより、引張応力を定義した。材料を垂直方向(D1及びD2)において試験し、そして各方向の最大応力を用いて、下記等式により材料の幾何平均引張強度を計算した。
Figure 2022534546000005
複合体結合強度(Z強度)
5500シリーズInstron(登録商標)電気機械的試験システムを使用して、材料の複合体結合強度を試験した。特に断りのない限り、被膜の被着前に材料の引張強度を試験した。3M 9500PC両面テープを使用して1”x1”鋼プラテンに試料を固定し、対向する1”x1”鋼プラテンと一緒に、3M 9500PC両面テープがその表面上に位置する状態でInstron(登録商標)内へ装填した。特徴的な圧縮荷重1001Nを60秒間にわたって加えることにより、接着剤を構造に部分的に浸透させておいた。この結合後、プラテンを失敗するまで一定速度20in/minで分離した。最大荷重を試験面積(1”x1”の試験面積と定義される)によって正規化することにより複合体結合を定義した。
質量/面積
試料を(手、レーザー、又はダイによって)既知のジオメトリにカットした。特に断りのない限り、被膜の被着前に材料の引張強度を試験した。試料の寸法を測定又は検証し、面積をmで計算した。次いで較正されたスケール上で試料をグラムで秤量した。質量(グラム)を面積(m)で割り算することにより、単位面積当たり質量をg/mで計算した。
SEM試料の調製
先ず、メンブレン複合体又はメンブレン複合体層を接着剤にハンドリングのために、画像形成しようとする側とは反対の側が接着剤に面する状態で固定することにより、SEM試料を調製した。次いでフィルムをカットすることにより、画像形成のためのほぼ3mm x 3mmの面積を提供した。次いでEmitech K550Xスパッタコータ及び白金ターゲットを使用して試料をスパッタ塗布した。Thermo ScientificのFEI Quanta 400走査電子顕微鏡を使用して、ロバスト解析のための十分な数のフィーチャの可視化を可能にする一方で、解析されたそれぞれのフィーチャの最小寸法が少なくとも5画素の長さであることを保証する倍率及び解像度で画像を撮影した。
固形フィーチャ間隔
国立衛生研究所(NIH)のImageJ 1.51hにおいてSEM画像を解析することにより、固形フィーチャ間隔を割り出した。SEM画像によって提供されたスケールに基づいて画像スケールを設定した。サイズに基づく閾値化/シェーディング及び/又は手動識別の組み合わせによって、フィーチャを識別し単離した。構造が、不連続な固形フィーチャを有する構造とは異なり、連続構造、例えば不織布又はエッチングされた表面から成る事例では、固形フィーチャは、ボイドを取り囲む構造の部分として定義され、固形フィーチャの対応する間隔は、ボイドの一方の側から反対の側へ延びる。フィーチャを単離した後、ドローネ三角形分割法を実施して隣接フィーチャを識別した。画像のエッジを超えて延びる外接円を有する三角形分割は解析から度外視した。隣接フィーチャの最も近いエッジ間に線を引き、その長さを測定することにより、隣接フィーチャ間の間隔を定義した(例えば図1A参照)。測定されたすべての固形フィーチャ間隔の中央値は、測定された固形フィーチャ間隔の半分以下であり、且つ測定された固形フィーチャ間隔の半分以上である値をマークする。したがって、測定された中央値が何らかの値を上回るか又は下回る場合、測定値の大部分も同様にその値を上回るか又は下回る。このようなものとして、中央値は、固形フィーチャ間隔の大部分を表すための要約統計量として用いられる。
代表短軸及び代表長軸の測定
NIHのImageJ 1.51hにおいてメンブレン表面SEM画像を解析することにより、代表短軸を測定した。SEM画像によって提供されたスケールに基づいて画像スケールを設定した。サイズに基づく閾値化/シェーディング及び/又は手動識別の組み合わせによって、フィーチャを識別し単離した。フィーチャを単離した後、組み込まれた粒子分析能力を利用して、代表楕円の長軸及び短軸を割り出した。この楕円の短軸は測定されたフィーチャの代表短軸である。この楕円の長軸は測定されたフィーチャの代表長軸である。測定されたすべての短軸の中央値は、測定された短軸の半分以下であり、且つ測定された短軸の半分以上である値をマークする。同様に、測定されたすべての長軸の中央値は、測定された長軸の半分以下であり、且つ測定された長軸の半分以上である値をマークする。両方の事例において、測定された中央値が何らかの値を上回るか又は下回る場合、測定値の大部分も同様にその値を上回るか又は下回る。このようなものとして、中央値は、代表短軸及び代表長軸の大部分を表すための要約統計量として用いられる。
固形フィーチャ深さ
メンブレン断面のSEM画像の定量的画像解析(QIA)を用いることによって、固形フィーチャ深さを割り出した。フィルムを接着剤に固定し、液体窒素冷却されたカミソリ刃を使用して手でフィルムをカットし、次いで接着剤を背面に有するフィルムを直立させて、断面が鉛直方向になるようにすることによって、断面SEM画像を生成した。次いで試料をEmitech K550Xスパッタコータ(Quorum Technologies Ltd, UKから商業的に入手可能)及び白金ターゲットを使用してスパッタ塗布した。次いでThermo ScientificのFEI Quanta 400走査電子顕微鏡写真を用いて、試料を画像形成した。
次いで、国立衛生研究所(NIH)のImageJ 1.51hを使用して、断面SEM画像内部のフィーチャの深さを測定した。SEMによって提供されたスケールに関して画像スケールを設定した。サイズに基づく閾値化/シェーディング及び/又は手動識別の組み合わせによって、フィーチャを識別し単離した。フィーチャを単離した後、組み込まれた粒子分析能力を利用して、フェレット直径と、それぞれの固形フィーチャのフェレット直径軸及び水平平面によって定義された軸によって形成された角度とを計算する。フェレット直径は、SEM画像の平面内のフィーチャの境界上の任意の2点間の最長距離である。フェレット直径軸は、これら2点によって定義された線である。層厚の方向における各固形フィーチャのフェレット直径の投影を、下記等式によって計算した。
Figure 2022534546000006
層厚の方向における最長軸の投影は、測定されたフィーチャの固形フィーチャ深さである。測定されたすべての固形フィーチャ深さの中央値は、測定された固形フィーチャ深さの半分以下であり、且つ測定された固形フィーチャ深さの半分以上である値をマークする。したがって、測定された中央値が何らかの値を上回るか又は下回る場合、測定値の大部分も同様にその値を上回るか又は下回る。このようなものとして、中央値は、固形フィーチャ間隔の大部分を表すための要約統計量として用いられる。
ポアサイズ
NIHのImageJ 1.51hにおいてSEM画像を解析することにより、ポアサイズを割り出した。SEM画像によって提供されたスケールに基づいて画像スケールを設定した。サイズに基づく閾値化/シェーディング及び/又は手動識別の組み合わせによって、孔を識別し単離した。孔を単離した後、組み込まれた粒子分析能力を利用して、各ポアの面積を割り出した。測定されたポア面積を下記等式によって、「有効直径」に変換した。
Figure 2022534546000007
孔面積を合計することにより、孔によって定義された表面の総面積を定義する。これは表面の総孔面積である。層の孔サイズは、総孔面積のおよそ半分が孔サイズよりも小さな直径を有する孔から成り、且つ総孔面積の半分が孔サイズよりも大きいか又はこれに等しい直径を有する孔から成る、そのポイントを定義する孔の有効直径である。
MPS(最大孔サイズ)
Anton PaarのQuantachrome 3Gzhポロメーター及び湿潤溶液としてシリコーン油(20.1 dyne/cm)を使用して、ASTM F316により最大孔サイズ又はMPSを測定した。
剛性
未補強及び補強済みのプラスチック及び電気絶縁材料の曲げ特性のためのASTM D790-17規格試験に基づいて剛性試験を実施した。この方法を用いて、生体適合性メンブレン複合層及び/又は最終デバイスの剛性を割り出した。
ASTM法の手順Bに従い、これは5%超の歪みと、撓みのための1型クロスヘッド位置とを含む。16mmのスパンと1.6mmの支持体及びノーズビースの半径とを有するように、フィクスチャの寸法を調節した。用いられる試験パラメータは撓みが3.14mmであり、試験速度が96.8mm/minであった。試験幅が標準の1cmとは異なる場合には、線形比によって1cmの試料幅に対して力を正規化した。
荷重を最大撓み時にN/cmで報告した。
生体適合性メンブレン複合体のデバイス形態への一体化
in vivoの有用性を評価するために、細胞治療物質を送達するための植え込み型カプセル化デバイスに適したデバイス形態になるように、種々の生体適合性メンブレン複合体を製造した。この試験形態において、2つの同一のメンブレン複合体を周辺領域を巡ってシールすることにより、細胞のローディングを可能にするための充填チューブ又はポートによってアクセスされる開いた内部管腔空間を形成した。
溶接作業中にデバイスを巡る周辺シールを形成する結合構成部分として、熱可塑性フィルムが作用した。使用されたフィルムはポリカーボネートウレタンフィルムであった。押出チューブの外径は1.60mmであり、内径は0.889mmであった。
加えて、好適な剛性を有する補強用の機械的な支持体をカプセル化デバイスの外側に加えた。具体的には相互間隔がほぼ300ミクロンの、120ミクロン繊維を有するポリエステルモノフィラメント製織メッシュを、両複合メンブレンの外側に(すなわちデバイスの外側に)位置決めした。この層の剛性は0.097N/cmであった。
レーザー切断台を使用して、すべての層をほぼ22mm×11mmの長円外寸に切断した。フィルムを2mm幅の長円リングプロフィールに切断し、これを生体適合性メンブレン複合体の両側、並びにポリエステルメッシュ(補強構成部分)の周りに層間積み重ねパターンを成して配置した。これらの構成部分の層間積み重ねパターンは、複合層のそれぞれの層並びにメッシュの周辺位置を巡る溶融フィルム結合を可能にした。生体適合性メンブレン複合体の層を充填チューブに対向して対称的に積み重ねて、生体適合性メンブレン複合体の細胞不透過性緻密層が内部管腔へ向かって内側に面するようにした。カプセル化デバイスの分解図が図16に示されている。図16に示されているように、細胞カプセル化デバイスは、第1生体適合性メンブレン複合体1600が、第2生体適合性メンブレン複合体の周囲の一部に沿ってシールされた第2生体適合性メンブレン複合体1610に対して、前記第1生体適合性メンブレン複合体の周囲の少なくとも一部に沿ってシールされるように形成されている。2つの生体適合性メンブレン1600,1610の間には内部チャンバが、充填チューブ1630を通ってアクセスされる状態で形成されている。細胞カプセル化デバイスはさらに、少なくとも第1生体適合性メンブレン複合体1600と補強構成部分1650との間、そして第2生体適合性メンブレン複合体1610と別の補強構成部分1650との間に位置決めされた少なくとも1つの溶着フィルム1640を含んでよい。第1生体適合性メンブレン複合体を第2生体適合性メンブレン複合体に、これらの周囲で接着するために、溶着フィルム1640が使用されてもよい。
超音波溶接機(Herrmann Ultrasonics)又は熱ステーキング溶接機を使用することにより、デバイスの周りの一体的なシールを形成した。両方のプロセスによって、熱エネルギー又は振動エネルギー及び力を層状のスタックに加えることにより、熱可塑性フィルムを、その軟化温度を上回る温度で溶融して流動させ、これによりすべての層を一緒に溶着した。デバイスは2工程溶着プロセスで組み立てる。このプロセスでは、一方の側からエネルギー又は熱を加えることにより、第1複合メンブレンをデバイスの一方の側に一体化し、続いて第2複合メンブレンをデバイスの他方の側へ一体化した。試験圧力5psiのUSON Sprint iQ漏れテスターによる圧力減衰試験を用いてデバイス完全性を試験することによって、溶着の最終適合性を評価した。
宿主組織反応を評価するためのin vivoブタ研究
滅菌された空のカプセル化デバイス(すなわち細胞なし)を、ラジオ周波数(RF)溶接機を使用して充填チューブのところでシールし、そしてトロカール送達技術を用いてブタの背に皮下植え込みした。30日後、動物を安楽死させ、周囲組織を有するデバイスを組織画像形成のために回収した。
植え込まれたカプセル化デバイスを露出させるべく皮膚及び皮下組織が反映されるように、組織試料を処理した。カプセル化デバイス及び周囲組織を一括して除去する前に必要とされる場合には、デジタルラジオグラフィ(Faxitron UltraFocus System)を用いてデバイスを識別した。デバイスの配向をステープルでマーキングした。外植されたすべてのデバイス及び周囲組織を10%中性緩衝ホルマリン中に漬けた。各デバイス試験片に固有の受入番号を割り当てた。
各試験片から3つの断面を取った。各デバイスの3つの区分をパラフィン内に一緒に包埋し、5~10ミクロン厚の区分にカットし、スライド上に置き、そしてヘマトキシリン及びエオシン(H&E)及びマッソントリクロームで染色した。
Nikon DS-Fiシリーズ・カメラ及びNikon NISエレメント顕微鏡画像形成ソフトウェアを使用して、スライドの画像を捕捉した。各スライドの少なくとも3つの拡大画像を捕捉した。Nikon NISエレメント顕微鏡画像形成ソフトウェアを使用して、測定を行った。ソフトウェアは、認定顕微鏡マイクロメーターを使用して較正され、スケールバーは各画像に含まれる。
ヒトPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞及び内分泌細胞のin vitro生成
多能性幹細胞に向けられた本明細書中の分化方法は、所望の最終ステージ細胞培養物又は細胞集団(例えばPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞集団(又はPEC)、又は内分泌プリカーサー細胞集団、内分泌細胞集団、又は未熟ベータ細胞集団、又は成熟内分泌細胞集団)に応じて、少なくとも4又は5又は6又は7ステージに分けて表すことができる。
ステージ1は、多能性幹細胞からの胚体内胚葉の生成であり、これには約2~5日、好ましくは2又は3日かかる。RPMI、TGFβスーパーファミリーメンバー増殖因子、例えばアクチビンA、アクチビンB、GDF-8又はGDF-11(100ng/mL)、Wntファミリーメンバー又はWnt経路アクチベータ、例えばWnt3a(25ng/mL)、あるいはrho-キナーゼ、又はROCK阻害物質、例えばY-27632(10μM)を含む培地中に多能性幹細胞を懸濁させることにより、成長、及び/又は生存、及び/又は増殖、及び/又は細胞間接着を促進する。約24時間後、この培地を、血清、例えば0.2%のFBSを含むRPMI、及びTGFβスーパーファミリーメンバー増殖因子、例えばアクチビンA、アクチビンB、GDF-8又はGDF-11(100ng/mL)、あるいはrho-キナーゼ、又はROCK阻害物質を含む培地と、さらに24時間(第1日)~48時間(第2日)にわたって交換する。あるいは、アクチビン/Wnt3aを含む培地中に約24時間にわたって培養した後、これらの細胞を次の24時間中アクチビンだけを含む培地(すなわち培地はWnt3aを含まない)中に培養する。重要なのは、胚体内胚葉の生成が、血清含量が低く、ひいてはインスリン又はインスリン様増殖因子の含量も低い細胞培養条件を必要とすることである。McLean et al. (2007) Stem Cells 25: 29-38を参照されたい。McLean他はまた、ステージ1において0.2μg/mLという低い濃度でhES細胞とインスリンとを接触させると、胚体内胚葉の生成にとって有害であり得ることを示している。さらに他の当業者が、実質的に本明細書及びD’Amour他(2005)において、そして例えば少なくとも、Agarwal et al., Efficient Differentiation of Functional Hepatocytes from Human Embryonic Stem Cells(ヒト胚幹細胞からの機能的肝細胞の効率的な分化), Stem Cells (2008) 26:1117-1127; Borowiak et al., Small Molecules Efficiently Direct Endodermal Differentiation of Mouse and Human Embryonic Stem Cells(小分子がマウス及びヒトの胚幹細胞の内胚葉分化を効率的に指向する), (2009) Cell Stem Cell 4:348-358; Brunner et al., Distinct DNA methylation patterns characterize differentiated human embryonic stem cells and developing human fetal liver(明確なDNAメチル化パターンが、分化されたヒト胚幹細胞及び発生中のヒト胎児肝臓を特徴付ける。), (2009) Genome Res. 19:1044-1056, Rezania et al. Reversal of Diabetes with Insulin-producing Cells Derived In Vitro from Human Pluripotent Stem Cells(ヒト多能性幹細胞からin vitroで誘導されたインスリン生成細胞による糖尿病の逆転) (2014) Nat Biotech 32(11): 1121-1133 (GDF8 & GSK3beta inhibitor, e.g. CHIR99021);そしてPagliuca et al. (2014) Generation of Function Human Pancreatic B-cell In Vitro(機能ヒト膵臓B細胞のin vitroの発生), Cell 159: 428-439 (Activin A & CHIR)に記載されているように、ステージ1という多能性幹細胞から胚体内胚葉への分化を改変している。他の内胚葉系列細胞を誘導するためには、胚体内胚葉の適切な分化、仕様、特徴付け、及び識別が必要である。このステージにおける胚体内胚葉細胞は、SOX17及びHNF3β(FOXA2)を同時発現させ、そして少なくともHNF4アルファ、HNF6、PDX1、SOX6、PROX1、PTF1A、CPA、cMYC、NKX6.1、NGN3、PAX3、ARX、NKX2.2、INS、GSC、GHRL、SST、又はPPを感知可能なほどには発現させない。胚体内胚葉におけるHNF4アルファ発現の不在は、詳細には少なくともDuncan et al. (1994), Expression of transcription factor HNF-4 in the extraembryonic endoderm, gut, and nephrogenic tissue of the developing mouse embryo: HNF-4 is a marker for primary endoderm in the implanting blastocyst(発生中のマウス胚の胚体外内胚葉、消化管、及び腎性組織における転写因子HNF-4の発現:HNF-4は、着床した胚盤胞における初期内胚葉のためのマーカーである), Proc. Natl. Acad. Sci, 91:7598-7602、及びSi-Tayeb et al. (2010), Highly Efficient Generation of Human Hepatocyte-Like cells from Induced Pluripotent Stem Cells(誘発胚体内胚葉細胞からのヒト肝細胞様細胞の高効率の発生), Hepatology 51:297-305において支持され詳述されている。
ステージ2はステージ1から胚体内胚葉細胞培養物を取り、そして1:1000希釈のITS中の低血清レベルのRPMI、例えば0.2%のFBS、25ngのKGF(又はFGF7)、あるいはROCK阻害物質を含む懸濁液培養物を24時間にわたって(第2日~第3日)インキュベートすることによって、前腸内胚葉又はPDX1-陰性前腸内胚葉を生成した。24時間後(第3日~第4日)、培地を、同じ培地からTGFβ阻害物質を、あるいはさらにROCK阻害物質を差し引いたものと交換することにより、さらに24日間(第4日~第5日)~48時間(第6日)にわたって、細胞の成長、生存、及び増殖を促進する。前腸内胚葉の適切な仕様のための重要なステップが、TGFβファミリー増殖因子の除去である。したがってTGFβ阻害物質、例えば2.5μMのTGFβ阻害物質NO.4、又は5μMのSB431542、TGFβI型受容体であるアクチビン受容体様キナーゼ(ALK)の特定の阻害物質をステージ2の細胞培養物に添加することができる。ステージ2から生成された前腸内胚葉又はPDX1-陰性前腸内胚葉細胞は、SOX17、HNF1β及びHNF4alphaを発現させ、そして少なくともSOX17及びHNF3β(FOXA2)を感知可能なほどには同時発現させることはなく、またHNF6、PDX1、SOX6、PROX1、PTF1A、CPA、cMYC、NKX6.1、NGN3、PAX3、ARX、NKX2.2、INS、GSC、GHRL、SST、又はPPを感知可能なほどには同時発現させることもなかった。これらは、胚体内胚葉、PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞、又は膵臓プロジェニター細胞、又は内分泌プロジェニター/プリカーサー、並びに典型的にはポリホルモン型細胞の特質である。
PEC生成のためのステージ3(第5日~第8日)は前腸胚体内胚葉細胞培養物を取り、そして1%のB27中のDMEM又はRPMI、0.25μMのKAADシクロパミン、レチノイド、例えば0.2μMのレチノイン酸(RA)又はレチノイン酸類似体、例えば3nMのTTNPB(又はCTT3、これはKAADシクロパミンとTTNPBとの組み合わせである)、及び50ng/mLのノギン(Noggin)によって、PDX1-陽性前腸内胚葉細胞を約24時間(第7日)~48時間(第8日)にわたって生成する。具体的には、出願人はおよそ2003年以来、DMEM高グルコースを使用しており、その時点でのすべての特許及び非特許の開示は、たとえ「DMEM高グルコース」などと述べなくても、DMEM高グルコースを採用した。これは一部は、Gibcoのような製造業者がこれらのDMEM、例えばDMEM(Cat.No 11960)及びノックアウトDMEM(Cat. No 10829)をそのようなものとして命名しなかったからである。注目に値するのは、本出願の出願日時点で、Gibcoはより多くのDMEM製品を提供してはいるものの、高グルコースを含有するこれらのDMEM製品のうちのある程度の数の製品、例えばノックアウトDMEM(Cat. No 10829-018)には未だに「高グルコース」を付けていないことである。したがって、DMEMが記載されているそれぞれの事例では、これは高グルコースを有するDMEMを意味するものとする。このことは、この分野の研究開発を行う他者には明らかであった。ここでもやはりROCK阻害剤又はrho-キナーゼ阻害剤、例えばY-27632を使用して、成長、生存、増殖を促進し、及び/又は細胞間接着を促進することができる。付加的な物質及び因子の一例としては、アスコルビン酸(例えばビタミンC)、BMP阻害物質(例えばノギン、LDN、コーディン)、SHH阻害物質(例えばSANT、シクロパミン、HIP1)、及び/又はPKCアクチベータ(例えばPdBu、TBP、ILV)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。あるいはステージ3は、SHH阻害物質、例えばステージ3のシクロパミンなしで実施される。ステージ3から生成されたPDX1-陽性前腸内胚葉細胞は、PDX1及びHNF6並びにSOX及びPROXを同時発現させ、そしてステージ1及び2において上述した胚体内胚葉又は前腸内胚葉(PDX1-陰性前腸内胚葉)細胞、又はPDX1-陽性前腸内胚葉細胞を示すマーカーを感知可能なほどには発現させない。
上記ステージ3方法は、PEC集団の生成のための4つのステージのうちの1つである。下で詳述する内分泌プロジェニター/プリカーサー及び内分泌細胞を生成するために、ノギンに加えて、KAAD-シクロパミン及びレチノイド、アクチビン、Wnt及びヘレグリン、甲状腺ホルモン、TGFb受容体阻害物質、タンパク質キナーゼCアクチベータ、ビタミンC、及びROCK阻害物質を単独且つ/又は組み合わせて使用することにより、NGN3の早期発現及びCHGA陰性型細胞の増大を抑制する。
ステージ4(およそ第8日~第14日)のPEC培地生産はステージ3の培地を取り、そしてこれを、1%vol/volのB27補充物中のDMEMに加えて50ng/mLのKGF及び50ng/mLのEGFを含有し、そしてあるときには50ng/mLのNoggin及びROCK阻害物質をも含有する培地と交換し、この培地はさらにアクチビンを単独で、又はヘレグリントと組み合わせて含む。あるいは、KGF、RA、SANT、PKCアクチベータ及び/又はビタミンC又はこれらの任意の組み合わせを使用して、ステージ3の細胞をさらに分化することもできる。これらの方法は少なくともPDX1及びNKX6.1、並びにPTF1Aを同時発現させる膵臓プロジェニター細胞を生じさせる。これらの細胞は、ステージ1、2及び3において上述した胚体内胚葉又は前腸内胚葉(PDX1-陰性前腸内胚葉)細胞を示すマーカーを感知可能なほどには発現させない。
ステージ5の生産は、上記ステージ4のPEC細胞集団を取り、そしてこれらをさらに分化することによって、内分泌プロジェニター/プリカーサー又はプロジェニター型細胞及び/又は単一ホルモン型又はポリホルモン型の膵臓内分泌型細胞を、1% vol/volのB27補充物を含むDMEM、ノギンKGF、EGF、RO(ガンマセクレターゼ阻害物質)、ニコチンアミド及び/又はALK5阻害物質、又はこれらの任意の組み合わせ、例えばノギンとALK5阻害物質との組み合わせを含有する培地中で約1~6日間にわたって(好ましくは約2日間、すなわち第13~15日)生成する。あるいは、レチノイン酸(例えばRA又はその類似体)、甲状腺ホルモン(例えばT3,T4又はその類似体)、TGFb受容体阻害物質(ALK5阻害物質)、BMP阻害物質(例えばノギン、コーディン、LDN)、又はガンマセクレターゼ阻害物質(例えばXXI、XX、DAPT、XVI、L685458)、及び/又はベータセルリン、又はこれらの任意の組み合わせを使用して、ステージ4細胞をさらに分化することもできる。ステージ5から生成された内分泌プロジェニター/プリカーサーは、少なくともPDX1/NKX6.1を同時発現させ、またCHGA、NGN3及びNkx2.2をも発現させ、そしてPEC生産のためのステージ1、2、3及び4において上述した胚体内胚葉又は前腸内胚葉(PDX1-陰性前腸内胚葉)を示すマーカーを感知可能なほどには発現させない。
内分泌細胞、内分泌プリカーサー、又は未熟ベータ細胞の細胞培養集団又は適切な比を達成するために、一例としてはPDGF+SSH阻害物質(例えばSANT、シクロパミン、HIP1)、BMP阻害物質(例えばNoggin、Chordin、LDN)、ニコチンアミド、インスリン様増殖因子(例えばIGF1、IGF2)、TTNBP、ROCK阻害物質(例えばY27632)、TGFb受容体阻害物質(例えばALK5i)、甲状腺ホルモン(例えばT3、T4及びその類似体)、及び/又はガンマセクレターゼ阻害物質(XXI、XX、DAPT、XVI、L685458)又はこれらの組み合わせを含む物質又は因子の組み合わせのうちのいずれかを添加することによって、ステージ6及び7をステージ5細胞集団からさらに分化することができる。
ステージ7又は未熟ベータ細胞は内分泌細胞と考えられるが、しかし生理学的にグルコースに反応するのに十分に成熟していてもいなくてもよい。ステージ7未熟ベータ細胞はMAFBを発現させ得るのに対して、MAFA及びMAFBを発現させる細胞は、グルコースに生理学的に反応し得る完全に成熟した細胞である。
ステージ1~7の細胞集団はヒト多能性幹細胞(例えばヒト胚幹細胞、誘発多能性幹細胞、例えば現在利用可能な、又は後で開発される遺伝子編集ツール及びアプリケーションのうちのいずれかを使用した、遺伝子操作された幹細胞)に由来し、これらの正確な自然発生の対応細胞型を有していないことがある。それというのも、これらはin vitroで(すなわち人工組織培養で)発生した不死ヒト多能性幹細胞に由来し、in vivoの内細胞塊ではない(すなわちin vivoヒト発生はヒトES細胞等価物を有しない)からである。
本明細書中に意図された膵臓細胞治療代替物は、ステージ4,5,6又は7の細胞集団のいずれかを使用して、本明細書中に記載されたメンブレンから成る本明細書中に記載されたデバイス内にカプセル化することができ、マクロカプセル化デバイス内にローディングされ、完全に包含され、そして患者内に移植され、そして膵臓内胚葉系列細胞は成熟して膵臓ホルモン分泌細胞、又は膵島、例えばin vivo(「in vivo機能」とも呼ばれる)インスリン分泌ベータ細胞になり、血糖に正常に反応することができる。
膵臓内胚葉系列細胞のカプセル化、及びin vivoのインスリンの生成は、2009年11月13日付けで出願された、ENCAPSULATION OF PANCREATIC LINEAGE CELLS DERIVED FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELLSと題する米国出願第12/618,659号明細書(‘659出願)に詳述されている。‘659出願は、2008年11月14日に出願されたENCAPSULATION OF PANCREATIC PROGENITORS DERIVED FROM HES CELLSと題する仮特許出願第61/114,857号明細書、及び2008年12月9日付けで出願されたENCAPSULATION OF PANCREATIC ENDODERM CELLSと題する米国仮特許出願第61/121,084号明細書、そして今や米国特許第8,278,106号明細書及び米国特許第8,424,928号明細書の優先権を主張する。本明細書に記載された方法、組成物、及びデバイスは現在のところ、好ましい実施態様の代表であり、模範的なものであり、また本発明の範囲を制限するものとしては意図されていない。当業者には本発明の範囲に含まれ、開示の範囲によって定義される変更形及び他の使用が容易に想到される。したがって、本発明の範囲及び思想を逸脱することなしに、本明細書中に開示された本発明に様々な置換及び変更を加え得ることは、当業者には明らかである。
加えて、本明細書中に記載された実施態様は、多能性幹細胞、又はヒト多能性幹細胞のうちのいずれか1つのタイプに限定されることはなく、一例としてはヒト胚幹(hES)細胞及びヒト誘導多能性幹(iPS)細胞、又は後で開発される他の多能性幹細胞を含む。本出願の出願時点では、ヒト多能性幹を形成する方法をヒト胚の破壊なしに実施することができ、そしてこのような方法が任意のヒト多能性幹細胞の生成のために予測されることも、当業者によく知られている。
ヒト多能性幹細胞から膵臓細胞系列を生成する方法は実質的に、一例として少なくとも下記に挙げられたもの、つまり、PCT/US2007/62755(WO2007101130),PCT/US2008/80516(WO2009052505),PCT/US2008/82356(WO2010053472),PCT/US2005/28829(WO2006020919),PCT/US2014/34425(WO2015160348),PCT/US2014/60306(WO2016080943),PCT/US2016/61442(WO2018089011),PCT/US2014/15156(WO2014124172),PCT/US2014/22109(WO2014138691),PCT/US2014/22065(WO2014138671),PCT/US2005/14239(WO2005116073),PCT/US2004/43696(WO2005063971),PCT/US2005/24161(WO2006017134),PCT/US2006/42413(WO2007051038),PCT/US2007/15536(WO2008013664),PCT/US2007/05541(WO2007103282),PCT/US2008/61053(WO2009131568),PCT/US2008/65686(WO2009154606),PCT/US2014/15156(WO2014124172),PCT/US2018/41648(WO2019014351),PCT/US2014/26529(WO2014160413),PCT/US2009/64459(WO2010057039)を含む、ViaCyte, Inc.に権利譲渡された刊行物、及びd’Amour et al. 2005 Nature Biotechnology 23:1534-41; D'Amour et al. 2006 Nature Biotechnology 24(11):1392-401; McLean et al., 2007 Stem Cells 25:29-38, Kroon et al. 2008 Nature Biotechnology 26(4): 443-452, Kelly et al. 2011 Nature Biotechnology 29(8): 750-756, Schulz et al., 2012 PLos One 7(5):e37004;, and/or Agulnick et al. 2015 Stem Cells Transl. Med. 4(10):1214-22に記載されているように実施された。
ヒト多能性幹細胞から膵臓細胞系列を生成する方法は実質的に、一例として少なくとも下記に挙げられたもの、つまり、PCT/US2008/68782(WO200906399),PCT/US2008/71775(WO200948675),PCT/US2008/71782(WO200918453),PCT/US2008/84705(WO200970592),PCT/US2009/41348(WO2009132063),PCT/US2009/41356(WO2009132068),PCT/US2009/49183(WO2010002846),PCT/US2009/61635(WO2010051213),PCT/US2009/61774(WO2010051223),PCT/US2010/42390(WO2011011300),PCT/US2010/42504(WO2011011349),PCT/US2010/42393(WO2011011302),PCT/US2010/60756(WO2011079017),PCT/US2011/26443(WO2011109279),PCT/US2011/36043(WO2011143299),PCT/US2011/48127(WO2012030538),PCT/US2011/48129(WO2012030539),PCT/US2011/48131(WO2012030540),PCT/US2011/47410(WO2012021698),PCT/US2012/68439(WO2013095953),PCT/US2013/29360(WO2013134378),PCT/US2013/39940(WO2013169769),PCT/US2013/44472(WO2013184888),PCT/US2013/78191(WO2014106141),PCTU/S2014/38993(WO2015065524),PCT/US2013/75939(WO2014105543),PCT/US2013/75959(WO2014105546),PCT/US2015/29636(WO2015175307),PCT/US2015/64713(WO2016100035),PCT/US2014/41988(WO2015002724),PCT/US2017/25847(WO2017180361),PCT/US2017/37373(WO2017222879),PCT/US2017/37373(WO2017222879);PCT/US2009/049049(WO2010/002785),PCT/US2010/060770(WO2011/079018),PCT/US2014/042796,(WO2015/065537),PCT/US2008/070418(WO2009/012428)を含む、Janssenに権利譲渡された刊行物、及びBruin et al. 2013 Diabetologia. 56(9): 1987-98, Fryer et al. 2013 Curr. Opin. Endocrinol. Diabetes Obes. 20(2): 112-7, Chetty et al. 2013 Nature Methods. 10(6):553-6, Rezania et al. 2014 Nature Biotechnologyy 32(11):1121-33, Bruin et al. 2014 Stem Cell Res.12(1): 194-208, Hrvatin 2014 Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 111(8): 3038-43, Bruin et al. 2015 Stem Cell Reports. 5, 1081-1096, Bruin et al.2015 Science Transl. Med., 2015, 7, 316ps23, and/or Bruin et al. 2015 Stem Cell Reports. 14;4(4):605-20に記載されているように実施された。
1実施態様では、好ましい下記条件A及び/又はBのうちの一方にしたがって、ヒト多能性幹細胞を、膵臓プロジェニター及び内分泌プリカーサーを含むPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞に分化した。
Figure 2022534546000008
表1凡例:r0.2FBS:RPMI 1640 (Mediatech);0.2%のFBS (HyClone)、1x GlutaMAX-1 (Life Technologies)、1%v/vのペニシリン/ストレプトマイシン;db:0.5x B-27補充物(Life Technologies)で補充されたDMEM Hi グルコース (HyClone);A100,A50,A5:100ng/mLの組み換えヒトアクチビンA(R&D Systems);A5i:1μM、5μM、10μMのALK5阻害物質;TT3:3nMのTTNPB (Sigma-Aldrich);E50:50ng/mLの組み換えヒトEGF (R&D Systems);ITS:1:5000又は1:1000で希釈されたインスリン-トランスフェリン-セレニウム(Life Technologies);IV:2.5mMのTGF-b RIキナーゼ阻害物質IV(EMD Bioscience);K50,K25:50ng/mL,25ng/mLの組み換えヒトKGF(R&D Systems、又はPeprotech);N50,N100:50ng/mL又は100ng/mLの組み換えヒトノギン(R&D Systems);W50:50ng/mLの組み換えマウスWnt3A (R&D Systems)。
当業者に明らかなように、膵臓プロジェニター又は内分泌細胞及び内分泌プリカーサー細胞を含むPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞又はPDX1-陽性膵臓内胚葉系列細胞を生成するための他の方法、及び少なくともKroon et al. 2008, Rezania et al. 2014(上記参照)及び Pagliuca et al. 2014 Cell159(2):428-439(上記参照)に記載されたPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞も存在し得る。
当業者には明らかなように、PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞の生成のために本明細書中に記載された実施態様は、混合集団又は亜集団の混合から成っている。そして前後軸に沿って発生し、細胞及び組織がそれに従って命名される哺乳類のin vivo発生とは異なり、任意の培養容器内の細胞培養物は、このような指向性パターン化を欠いており、したがって具体的には、これらのマーカー発現に基づき特徴付けられている。ゆえに、任意の分化ステージにおける混合型の細胞亜集団はin vivoでは発生しない。したがってPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞培養物の一例としては、
i) 内分泌プリカーサー(例えば早期内分泌マーカー、クロモグラニンA又はCHGAによって示される)、
ii) 典型的な膵臓ホルモン、例えばインスリン(INS)、ソマトスタチン(SST)、膵臓ポリペプチド(PP)、グルカゴン(GCG)、又はガストリン、インクレチン、又はコレシストキニン、のいずれかを発現させる単一ホルモン型、ポリホルモン型の細胞、
iii) 前膵臓細胞、例えばPDX-1を発現させるが、しかしNKX6.1又はCHGAを発現させない細胞、
iv) PDX-1/NKX6.1及びCHGA(PDX-1/NKX6.1/CHGA)、又は非内分泌細胞、例えばPDX-1/NKX6.1を同時発現させるが、しかしCHGA(PDX-1+/NKX6.1+/CHA-)を発現させない内分泌細胞、
及びv) さらに、PDX-1、NKX6.1又はCHGAを発現させない細胞(例えばトリプルネガティブ細胞)
が挙げられる。
混合型の細胞亜集団を有するこのPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞集団は大抵の場合、少なくともPDX-1を発現させ、具体的にはPDX-1/NKX6.1を発現させる亜集団を有する。PDX-1/NKX6.1亜集団は「膵臓プロジェニター」、「膵臓上皮」、又は「PEC」又はPECのバージョン、例えばPEC-01とも呼ばれている。表1にはステージ4細胞集団が記載されているが、これらの種々の亜集団はステージ4に限定されるものではない。これらの亜集団のうちのあるものは、例えばステージ3という早期に、そしてステージ5,6及び7を含む後期に見出すことができる(未熟ベータ細胞)。それぞれの亜集団の比は、採用される細胞培養の培地条件に応じて変化する。例えば、Agulnick et al. 2015(上記参照)において、73~80%のPDX-1/NKX6.1細胞を使用して、概ね74~89%の内分泌細胞を含有する膵島様細胞(IC)にさらに分化し、そしてこれらの40~50%は、インスリン(INS)を発現させた。したがって、異なる細胞培養条件が、異なる比の細胞亜集団を発生させることができ、in vivo機能、ひいては血清c-ペプチドレベルに影響を与えることができる。そしてPDX1-陽性膵臓内胚葉系列細胞培養集団を形成するための修正方法がin vivo機能に影響を与えるか否かは、下で詳述するin vivo研究を用いてのみ判断することができる。さらに、ある特定の細胞型が形成されておりそして十分に特徴付けられているという理由だけで、このような方法が同じ細胞中間体を生成することを、これも良好に特徴付けられない限り想定することはできず、また想定するべきでもない。
1つの態様では、成熟ベータ細胞をin vivoで生成する方法が提供される。少なくともTGFβスーパーファミリーメンバー及び/又は少なくともTGFβスーパーファミリーメンバー及びWntファミリーメンバー、好ましくはTGFβスーパーファミリーメンバー及びWntファミリーメンバー、好ましくはアクチビンA,B又はGDF-8、GDF-11又はGDF-15及びWnt3a、好ましくはアクチビンA及びWnt3a、好ましくはGDF-8及びWnt3aを用いて、in vitroでヒト多能性幹細胞から誘導されたヒト胚体内胚葉系列細胞を形成することから成る方法。少なくともKGF、BMP阻害物質及びレチノイン酸(RA)又はRA類似体を用いて、そして好ましくはKGF、ノギン及びRAを用いてPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞を形成する方法。この方法はさらに、甲状腺ホルモン及び/又はTGFb-RI阻害物質、BMP阻害物質、KGF、EGF、甲状腺ホルモン及び/又はタンパク質キナーゼCアクチベータを用いて、好ましくはノギン、KGF及びEGFを用いて、好ましくはこれに加えてT3又はT4及びALK5阻害物質又はT3を用いて、又はT4単独で、又はALK5阻害物質単独で、又はT3又はT4、ALK5阻害物質及びPKCアクチベータ、例えばILV、TPB及びPdBuを用いて、PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞を未熟ベータ細胞又はMAFA発現細胞に分化することができる。あるいは好ましくはノギン及びALK5iを用いて、そしてPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞又はMAFA未熟ベータ細胞集団をin vivoで哺乳類宿主内へ植え込み成熟させることにより、血糖に反応し得るインスリン分泌細胞を含む細胞集団を生成する。
1つの態様では、INS及びNKX6.1を発現させ、そしてNGN3をほとんど発現させない単能性ヒト未熟ベータ細胞又はPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が提供される。1実施態様では、単能性ヒト未熟ベータ細胞は成熟ベータ細胞に成熟することができる。1実施態様では、単能性ヒト未熟ベータ細胞はさらに、in vitro及びin vivoでMAFBを発現させる。1実施態様では、未熟ベータ細胞はINS、NKX6.1及びMAFAを発現させ、そしてNGN3をほとんど発現させない。
1つの態様では、少なくともCHGA(又はCHGA+)を発現させる膵臓内胚葉系列細胞は内分泌細胞を意味し、そしてCHGA(又はCHGA-)を発現させない膵臓内胚葉細胞は非内分泌細胞を意味する。別の態様では、これらの内分泌亜集団及び非内分泌亜集団は多能性プロジェニター/プリカーサー亜集団、例えば非内分泌多能性膵臓プロジェニター亜集団又は内分泌多能性膵臓プロジェニター亜集団であってよく、あるいはこれらは単能性亜集団、例えば未熟内分泌細胞、好ましくは未熟ベータ細胞、未熟グルカゴン細胞、及びこれに類するものであってよい。
1つの態様では、膵臓内胚葉細胞集団又はPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞集団(ステージ4)の10%超、好ましくは20%、30%、40%超、そしてより好ましくは50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%超、又は100%が非内分泌(CHGA-)多能性プロジェニター亜集団であり、この亜集団は成熟インスリン分泌細胞を生じさせ、哺乳類宿主内へ植え込まれるとin vivoでグリースに反応する。
1実施態様は、in vitroの多能性幹細胞を実質的に膵臓内胚葉培養物に分化し、そしてさらに膵臓内胚葉培養物をin vitroの内分泌細胞又は内分泌プリカーサー細胞に分化するための組成物及び方法を提供する。1つの態様では、内分泌細胞又は内分泌プリカーサー細胞はCHGAを発現させる。1つの態様では、内分泌細胞はin vitroでインスリンを生成することができる。1つの態様では、in vitro内分泌インスリン分泌細胞は、グルコース刺激に反応してインスリンを生成することができる。1つの態様では、細胞集団中の細胞の10%超、好ましくは20%、30%、40%超、そしてより好ましくは50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%超、又は100%が内分泌細胞である。
本明細書中に記載された実施態様は、in vitroの多能性ヒト幹細胞を内分泌細胞に分化する組成物及び方法を提供する。1つの態様では、内分泌細胞はCHGAを発現させる。1つの態様では、内分泌細胞はin vitroでインスリンを生成することができる。1つの態様では、内分泌細胞は未熟内分泌細胞、例えば未熟ベータ細胞である。1つの態様では、in vitroインスリン生成細胞は、グルコース刺激に反応してインスリンを生成することができる。
1実施態様は哺乳類においてin vivoでインスリンを生成する方法であって、この方法が(a) 膵臓内胚葉細胞又は内分泌細胞又は内分泌プリカーサー細胞集団を植込み型半透過性デバイス内へローディングし、(b) 細胞集団を有するデバイスを哺乳類宿主内へ植え込み、そして(c)in vivoのデバイス内で細胞集団を成熟させ、内分泌細胞のうちの少なくともいくつかは、in vivoでグルコース刺激に反応してインスリンを生成するインスリン分泌細胞であり、これにより哺乳類のin vivoでインスリンを生成することを含む、方法を提供する。1つの態様では、内分泌細胞は、より高レベルの非内分泌多能性膵臓プロジェニター亜集団(CHGA-)を用いて、PECを含む細胞組成物から誘導される。別の態様では、内分泌細胞は、低減された内分泌亜集団(CHGA+)を用いて、PECを含む細胞組成物から誘導される。別の態様では、内分泌細胞は未熟内分泌細胞、好ましくは未熟ベータ細胞である。
1つの態様では、多能性幹細胞からin vitroで形成された内分泌細胞は、PDX1-陽性膵臓内胚葉集団、又はPDX1/NKX6.1陽性である非内分泌(CHGA-)亜集団と比較してより多くのPDX1及びNKX6.1を発現させる。1つの態様では、多能性幹細胞からin vitroで形成された内分泌細胞は、PEC非内分泌多能膵臓プロジェニター亜集団よりも比較的多くPDX1及びNKX6.1を発現させる。
(CHGA-). 1つの態様では、骨形態形成タンパク質(BMP)及びレチノイン酸(RA)類似体を単独又は組み合わせで細胞培養物に添加することによって、内分泌細胞を得た。内分泌細胞は、PEC非内分泌多能性膵臓プロジェニター亜集団(CHGA-)と比較してPDX1及びNKX6.1の発現を増大させる。1つの態様では、BMPは、BMP2、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8及びBMP4を含む群から選択され、より好ましくはBMP4から選択される。1つの態様では、レチノイン酸は、オールトランスレチノイン酸、及びTTNPB(4-[(E)-2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-l-プロペニル]安息香酸アロチノイド酸)、又は0.1~10μMのAM-580(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸)を含む群から選択され、より好ましくはTTNPBである。
1実施態様は、in vitroの多能性幹細胞を内分泌細胞及び未熟内分泌細胞、好ましくは未熟ベータ細胞に分化するための方法であって、凝集体を解離及び再結合することを含む方法を提供する。1つの態様では、解離及び再結合はステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4、ステージ5、ステージ6、又はステージ7、又はこれらの組み合わせで発生する。1つの態様では、胚体内胚葉、PDX1-陰性前腸内胚葉、PDX1-陽性前腸内胚葉、PEC、及び/又は内分泌及び内分泌プロジェニター/プリカーサー細胞は解離されそして再結合される。1つの態様では、ステージ7の解離・再結合された細胞凝集体は、内分泌(CHGA+)亜集団と比較して少ない非内分泌(CHGA-)亜集団から成る。1つの態様では、細胞集団中の細胞の10%超、好ましくは20%、30%、40%超、そしてより好ましくは50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%超、又は100%が内分泌(CHGA+)細胞である。
1実施態様は、ステージ4のPEC生成中に形成された内分泌細胞を除去し、これによりPDX1+及びNKX6.1+である非内分泌多能性膵臓プロジェニター(CHGA-)亜集団を富化することによって、in vitroの多能性幹細胞を内分泌細胞に分化するための方法を提供する。
1実施態様では、ステージ3及び/又はステージ4でノギンファミリーメンバーを添加しないことによって、非内分泌多能性プロジェニター亜集団(CHGA-)を富化されたPEC培養物を形成する。1実施態様では、ステージ3及び/又はステージ4でノギンファミリーメンバーを添加しないことによって、内分泌系列(CHGA+)に関わる細胞が比較的豊富なPEC培養物を形成する。1つの態様では、ノギンファミリーメンバーは、ノギン、コーディン、ホリスタチン、ホリスタチン様タンパク質、サーベラス、ココ(Coco)、ダン(Dan)、グレムリン、スクレロスチン、PRDC(ダン及びサーベラスに関連するタンパク質)を含む群から選択された化合物である。
1実施態様は、外因性高レベルグルコースを含む培地内で内分泌細胞を培養することにより、培養物中に内分泌細胞を維持するための方法であって、添加される外因性グルコースが約1mM~25mM、約1mM~20mM、約5mM~15mM、約5mM~10mM、約5mM~8mMである、方法を提供する。1つの態様では、培地はDMEM、CMRL又はRPMIを基剤とする培地である。
1実施態様は、細胞凝集体の解離及び再結合を伴って、そして伴わずにin vitroの多能性幹細胞を分化するための方法を提供する。1つの態様では、非解離の、又は解離・再結合済みの細胞凝集体をステージ6及び/又はステージ7において、内分泌細胞のin vivo機能に影響を及ぼすことなしに冷凍保存又は凍結する。1つの態様では冷凍保存された内分泌細胞培養物を解凍し、培養し、そして移植時にin vivoで機能する。
別の実施態様は、多能性幹細胞を分化するための培養システムであって、培養システムが、早期の分化ステージ中に内分泌遺伝子発現を抑制又は阻害することができる物質と、後期分化ステージ中に内分泌遺伝子発現を誘発することができる物質とを少なくとも含む、培養システムを提供する。1つの態様では、内分泌遺伝子発現を抑制又は阻害することができる物質を、膵臓PDX1陰性前腸細胞から成る培養システムに添加する。1つの態様では、PDX1-陽性膵臓内胚葉プロジェニター又はPECから成る培養システムに、内分泌遺伝子発現を誘発することができる物質を添加する。1つの態様では、内分泌遺伝子発現を抑制又は阻害することができる物質が、TGFベータ受容体ファミリーを活性化する物質であり、好ましくはこれはアクチビンであり、好ましくはこれは高レベルのアクチビン、及びこれに続く低レベルのアクチビンである。1つの態様では、内分泌遺伝子発現を誘発することができる物質は、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル(DAPT)、RO44929097、DAPT(N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル)、1-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド、WPE-III31C、S-3-[N′-(3,5-ジフルオロフェニル-アルファ-ヒドロキシアセチル)-L-アラニリル]アミノ-2,3-ジヒドロ-1-メチル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン、(N)-[(S)-2-ヒドロキシ-3-メチル-ブチリル]-1-(L-アラニニル)-(S)-1-アミノ-3-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-2H-3-ベンズアゼピン-2-オン、BMS-708163(アバガセスタット)、BMS-708163、セマガセスタット(LY450139)、セマガセスタット(LY450139)、MK-0752、MK-0752、YO-01027、YO-01027(ジベンズアゼピン、DBZ)、LY-411575、LY-411575、又はLY2811376から成る群から選択されたガンマセクレターゼ阻害物質である。1つの態様では、高レベルのアクチビンとは、40ng/mL、50ng/mL、及び75ng/mLを上回るレベルを意味する。1つの態様では、ステージ3中、又は膵臓前腸内胚葉細胞の生成前に高レベルのアクチビンを使用する。1つの態様では、低レベルのアクチビンとは、30ng/mL、20ng/mL、10ng/mL、及び5ng/mLを下回ることを意味する。1つの態様では、ステージ4中、又はPEC生成のために、低レベルのアクチビンが使用される。1つの態様では、阻害又は誘発される内分泌遺伝子はNGN3である。別の態様では、アクチビンA及びWnt3Aを単独又は組み合わせで使用して内分泌発現を阻害し、好ましくは、膵臓前腸内胚葉細胞の生成前に、又は好ましくはステージ3中にNGN3発現を阻害する。1つの態様では、ガンマセクレターゼ阻害剤、好ましくはRO44929097又はDAPTを培養システム中に使用して、PEC生成後に、又は好ましくはステージ5,6,及び/又は7中に内分泌遺伝子発現を誘発する。
内分泌細胞を含むin vitro細胞培養物であって、ヒト細胞の少なくとも5%が、インスリン(INS)、NK6ホメオボックス1(NKX6.1)、膵臓及び十二指腸ホメオボックス1(PDX1)、転写因子関連遺伝子座2(NKX2.2)、ペアードボックス4(PAX4)、神経原性分化1(NEUROD)、フォークヘッドボックスA1(FOXA1)、フォークヘッドボックスA2(FOXA2)、スネイルファミリー亜鉛フィンガー2(SNAIL2)、及び筋腱膜繊維肉腫癌遺伝子ファミリーA及びB(MAFA及びMAFB)から成る群から選択された内分泌マーカーを発現させ、そしてニューロジェニン(neurogenin)3(NGN3)、アイレット(islet)1(ISL1)、肝細胞核因子6(HNF6)、GATA結合タンパク質4(GATA4)、GATA結合タンパク質6(GATA6)、膵臓特異的転写因子1a(PTF1A)及びSRY(性決定領域Y)-9(SOX9)から成る群から選択されたマーカーを実質的に発現させることがなく、内分泌細胞が単能性であり、膵臓ベータ細胞に成熟することができる、in vitro細胞培養物。
機能的反応を評価するためのin vivoヌードラット研究
Martinson他の米国特許第8,278,106号明細書の教示内容に記載されているように、6~7x10(又は約20μL)の膵臓プロジェニター細胞を、カプセル化デバイスにex vivoでローディングした。24~96時間未満にわたって培地内に保持した後、2つのデバイスをそれぞれの雄性免疫不全無胸腺ヌードラット内に皮下植え込みした。膵臓プロジェニター細胞をin vivoで発育させ成長させておき、植え込みから16,20及び23~24週後に、グルコース刺激型インスリン分泌(GSIS)アッセイを実施することにより、グラフトの機能的性能を測定した。
ヌードラット外植組織構造
植え込み後の指示された時点で、ヌードラットを安楽死させ、そしてデバイスを外植した。余剰の組織をトリミングして除去し、そしてデバイスを中性緩衝10%ホルマリン中に6~30時間にわたって入れた。固定されたデバイスをLeica Biosystems ASP300Sティッシュプロセッサー内でパラフィン包埋のために処理した。処理されたデバイスをカットしてそれぞれほぼ5mmの4~6片にし、パラフィンブロック内に一緒に包埋した。各ブロックから複数の3~10ミクロンの断面を切断し、スライド上に置き、そしてヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。Hamamatsu Nanozoomer 2.0-HT デジタルスライドスキャナーを使用して、スライドの画像を捕捉した。
C-ペプチド分泌のGSISアッセイ及び測定
カプセル化された膵臓プロジェニター細胞を植え込まれた動物に、デバイス植え込みから12、16、20及び23-24週後に、グルコース刺激インスリン分泌アッセイを施すことにより、グラフト機能をモニタリングした。動物を4~16時間にわたって絶食させ、そして滅菌30%グルコース溶液の腹腔内注射を介して体重1kg当たり3gの投与量でグルコースを投与する前に、頸静脈穿刺を介して血液試料を採取した。グルコース投与から90、又は60及び90、又は30及び60分後に血液を再び採取した。全血から血清を分離し、次いで商業的に入手可能なELISAキット(Mercodia, カタログ#10-1141-01, スウェーデン国Uppsal)を使用して、ヒトc-ペプチドに関してアッセイした。ベータ細胞はプロインスリンから等モル比でc-ペプチドをインスリンと一緒に同時放出し、c-ペプチドは、そのより長い血中半減期に基づきインスリン分泌の代理として測定される。
比較例1
メンブレン複合体の製造
区別可能な2つの層を有する複合体を組み立てた。第1層(細胞不透過性層)は、Millipore (アイルランド国Cork)の商品名Biopore(登録商標)で販売されているMPS0.4ミクロンの、商業的に入手可能な微細孔質の親水性ePTFEメンブレンであった。この第1層は、緻密な細胞不透過性界面を提供する一方、酸素及び栄養素の第1層を通した質量輸送を未だに可能にする。細胞不透過性層を形成するePTFEメンブレンの表面の代表的な走査電子顕微鏡写真(SEM)が図14に示されている。
第2層(血管新生層)は商業的に入手可能なスパンボンドポリエステル不織布材料であった。この第2層は、組織固着をもたらし、生体適合性メンブレン複合体の十分な血管新生を可能にする開放層であった。血管新生層を形成する不織布材料の表面の代表的な画像は図15に示されている。
加熱積層プロセスを用いて、2つの層(細胞不透過性層及び血管新生層)を集成して複合体にした。不織布材料の繊維を、これらの溶融温度よりも高い温度まで加熱するので、繊維はePTFEメンブレンの表面全体にわたってePTFEメンブレンに付着した。この場所ではスパンボンド不織布の繊維がePTFEメンブレンの表面と接触した。使用されたラミネータの2つの例は、Galaxy平床ラミネータ及びHPL平床ラミネータである。十分な圧力及び温度が所与の走行速度でポリエステル繊維を加熱してePTFEメンブレン内へ溶け込むように、条件を調整した。好適な温度範囲は150℃~170℃、ニップ圧は35kPA~355kPA、そして走行速度は1~3メートル/分と特定された。
生体適合性メンブレン複合体の特徴付け
二層型複合体の各層を、各層の機能に必要な関連パラメータに関して評価し特徴付けた。層のパラメータは、これらが層の特異的な機能に関連しない場合には、「N/A」と記す。層のパラメータは、複合体の層を処理した方法の結果としてパラメータを実際には得ることができない場合には「-」と記す。関連パラメータの特徴付けのために用いられる方法は、上記「試験法」の項に記載された方法にしたがって実施した。比較例1の結果は表2に要約されている。
Figure 2022534546000009
in vivoの複合メンブレン性能の評価
上記「試験法」の項に記載されたデバイス形態への生体適合性メンブレン複合体の一体化にしたがって、生体適合性メンブレン複合体を超音波溶着することによりデバイス形態にし、in vivoで評価した。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoブタ研究に従って、宿主組織反応を評価した。デバイス界面における宿主組織反応は、宿主組織がすべてのデバイス層を通って細胞不透過性層まで貫通することを実証した。この界面では、細胞不透過性層に異物巨細胞の存在が観察され、これは新血管形成のためのバリアを形成する。図17に示されているように、異物巨細胞(矢印によって示されている)1710は細胞不透過性層1720上に位置している。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoヌードラット研究に従って、機能的反応を評価した。図3の結果は、約12,16,20及び23週目における動物内のグラフト済みデバイスのin vivo機能を示している。種々の時点のヒトC-ペプチドレベルは、デバイス内に存在するインスリン生成細胞のレベルを示している。
比較例1において、C-ペプチドのレベルは植え込みから約20週後がピークであった。その後の時点における低いC-ペプチドレベルは、デバイス内に存在するインスリン生成細胞のレベルが低いことを示す。
Figure 2022534546000010
比較例2
生体適合性メンブレン複合体の製造
互いに区別可能な3つの層を用いて複合体を組み立てた。Gore の米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって、ePTFEメンブレンから成る第1層(細胞不透過性層)を形成した。
Branca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容にしたがって、第2ePTFEメンブレン(緩和層)を調製した。初期機械方向(MD)延伸工程中、第3ePTFEメンブレンにフッ素化エチレンプロピレンフィルム(FEP)を被着した。続いて、第2ePTFEメンブレン及びFEPを機械方向(MD)延伸及び横方向(TD)延伸を通して同時処理することによって、FEPは、Bacinoの国際公開第94/13469号パンフレットに教示されているように、第2ePTFEメンブレンの表面上で不連続となった。図18は、FEP1810の不連続層を有する第2ePTFE層1800の代表的な画像である。
FEPの融点を上回る温度で材料を(FEPが2つの層の間に位置決めされた状態で)接触させることにより、不連続FEPを含む第2ePTFE層を、第1層に貼り合わせた。両ePTFE層を緊張下で保持することにより、この積層プロセス中の意図せぬ変形を防止した。続いて複合体を、Butler他の米国特許第5,902,745号明細書の教示内容により親水性にした。図19に示されたSEM画像は、第1ePTFE層(細胞不透過性層)のノード・フィブリル構造を示す代表的な画像である。図20に示されたSEM画像は、第2ePTFE層(緩和層)のノード・フィブリル構造を示す代表的な画像である。図21は、第1ePTFE層2110(細胞不透過性層)と第2ePTFE層2120(緩和層)とを含む二層型複合体2100の断面構造の代表的な画像を示すSEM画像である。
第3層(血管新生層)は商業的に利用可能なスパンボンドポリエステル不織布材料であった。第3層の代表的な表面マイクロ構造が図15のSEM画像に示されている。第3層を第2層の上面に配置し、そして上記「試験法」の項に記載されたように複合体をデバイス形態に一体化しているときに、この複合体に周辺位置でのみ不連続に溶着することにより、この第3層を第1層及び第2層を有する複合体に集成した。
生体適合性メンブレン複合体の特徴付け
生体適合性メンブレン複合体のそれぞれの個別層を、各層の機能に必要な関連パラメータに関して評価し特徴付けた。層のパラメータは、これらが層の特異的な機能に関連しない場合には、「N/A」と記す。層のパラメータは、複合体の層を処理した方法の結果としてパラメータを実際には得ることができない場合には「-」と記す。関連パラメータの特徴付けのために用いられる方法は、上記「試験法」の項に記載された方法にしたがって実施した。結果は表4に要約されている。
Figure 2022534546000011
in vivoの生体適合性メンブレン複合体の評価
上記「試験法」の項に記載された、生体適合性メンブレン複合体のデバイス形態への一体化に従って、生体適合性メンブレン複合体を熱溶着してデバイス形態にし、in vivoで評価した。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoブタ研究に従って、宿主組織反応を評価した。デバイス界面における宿主組織反応は、宿主組織がすべてのデバイス層を通って細胞不透過性ePTFE緻密層まで貫通することを実証した。この界面では、細胞不透過性層に異物巨細胞をまだ見ることができ、これは比較例1に見られるような新血管形成のためのバリアを形成する。図22は、異物巨細胞(矢印2210によって示されている)が細胞不透過性層2220に当接していることを観察する代表的な組織画像である。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoヌードラット研究にしたがって、機能的反応をin vivoで評価した。その結果を表3に示す。低レベルのC-ペプチドは、デバイス内に存在するインスリン生成細胞のレベルが低いことを示している。比較例1と比較して、機能の顕著な増大はなかった。
実施例1
生体適合性メンブレン複合体の製造
互いに区別可能な3つの層を有する生体適合性メンブレン複合体を組み立てた。先ず、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって調製された、乾燥した2軸延伸型メンブレンから成る第1ePTFE層(細胞不透過性層)と、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって調製されたペースト押出型のカレンダー処理されたテープから成る第2ePTFE層(緩和層)とを層形成し、次いで同時延伸することにより、二層型ePTFE複合体を調製した。二層型ePTFE複合体を、Butler他の米国特許第5,902,745号明細書の教示内容により二軸延伸し、次いで親水性にした。第1ePTFE層は緻密な細胞不透過性の界面を提供する一方、酸素及び栄養素の質量輸送を未だに可能にした。第1層の代表的な表面マイクロ構造が図23のSEM画像に示されている。第2ePTFEメンブレン(緩和層)は、第1ePTFE層の界面における異物巨細胞の形成を低減した。第2ePTFEメンブレンの代表的な表面マイクロ構造が図24に示されている。第1ePTFEメンブレン2510(細胞不透過性層)と第2ePTFEメンブレン2520(緩和層)とを含む複合体2500のマイクロ構造を示す代表的な断面が、図25のSEM画像に示されている。
第3層(血管新生層)は商業的に入手可能なスパンボンドポリエステル不織布材料であった。第3層の代表的な表面マイクロ構造が図15のSEM画像に示されている。スパンボンドポリエステル不織布を第2層の上面に配置し、そして上記「方法」の項に記載されたように複合体をデバイス形態に一体化しているときに、この複合体にスパンボンドポリエステル不織布を周辺位置でのみ不連続に溶着することにより、この第3層を第1層及び第2層を有する複合体に集成した。
生体適合性メンブレン複合体の特徴付け
生体適合性メンブレン複合体のそれぞれの個別層を、各層の機能に必要な関連パラメータに関して評価し特徴付けた。層のパラメータは、これらが層の特異的な機能に関連しない場合には、「N/A」と記す。層のパラメータは、複合体の層を処理した方法の結果としてパラメータを実際には得ることができない場合には「-」と記す。関連パラメータのこの特徴付けのために用いられる方法は、上記「試験法」の項に記載された方法にしたがって実施した。結果は表5に要約されている。
Figure 2022534546000012
複合メンブレン性能の評価
上記「試験法」の項に記載された、生体適合性メンブレン複合体のデバイス形態への一体化に従って、生体適合性メンブレン複合体を熱溶着してデバイス形態にし、in vivoで評価した。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoブタ研究に従って、宿主組織反応を評価した。デバイス界面における宿主組織反応は、宿主組織がポリエステル製織メッシュ補強構成部分、ポリエステル不織布血管新生層、及び開放ePTFE緩和層を通って緻密ePTFE細胞不透過性層まで貫通することを実証した。異物巨細胞がポリエステル製織メッシュ(補強構成部分)及びポリエステル不織布層(血管新生層)内部に存在する一方、緻密ePTFE層(細胞不透過性層)に沿った異物巨細胞は観察されなかった。図26に示された組織画像は、この観察の代表的な画像である。矢印2610が、生体適合性メンブレン複合体2600の各層に対する異物巨細胞の位置を示している。加えて、図26に示されているように、異物巨細胞(矢印2610によって示されている)は、細胞不透過性層2620の表面上には形成されなかった。
この実施例に記載された細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層から形成された生体適合性メンブレン複合体2600は、異物巨細胞(矢印2610によって示される)が細胞不透過性層2620の表面に形成されるのを低減すると結論付けられた。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoヌードラット研究にしたがって、機能的反応をin vivoで評価した。表3に示された結果は、比較例と比較して機能的反応の段階的変化を実証し、インスリン生成細胞の生存能力の顕著な増大を示す。植え込みから23週間後に、グルコース刺激型インスリン分泌に反応して、C-ペプチド血清濃度を測定し、これは平均して488.8pMであった。これは、緩和層が存在しない比較例1の3.9倍高い。
実施例2
生体適合性メンブレン複合体の製造
互いに区別可能な3つの層を有する生体適合性メンブレン複合体を組み立てた。Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって、第1ePTFE層(細胞不透過性層)を形成した。
Branca 他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容に従って、第2ePTFEメンブレン(緩和層)を調製した。機械方向(MD)延伸処理中、第2ePTFEメンブレンにフッ素化エチレンプロピレンフィルム(FEP)を被着した。続いて、第2ePTFEメンブレン及びFEPを機械方向(MD)延伸及び横方向(TD)延伸を通して同時処理することによって、FEPは、Bacinoの国際公開第94/13469号パンフレットに教示されているように、第2ePTFEメンブレンの表面上で不連続となった。図27に示されたSEM画像は、FEP2710の不連続層を有する第2ePTFE層2700の代表的な画像である。
FEPの融点を上回る温度で材料を(FEPが2つのePTFEメンブレンの間に位置決めされた状態で)接触させることにより、不連続FEP層を含む第2ePTFE層を、第1ePTFE層に貼り合わせた。2つのePTFE層を積層中、横方向において拘束されないままにした。次いで積層物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の融点を上回る温度で横方向に延伸することにより、積層によってネッキングが維持される前に各ePTFE層がその幅に戻されるようにした。続いて複合体を、Butler他の米国特許第5,902,745号明細書の教示内容により親水性にした。図19に示されたSEM画像は、第1ePTFEメンブレン(細胞不透過性層)のノード・フィルビル構造の代表的な画像である。図28に示されたSEM画像は、第2ePTFEメンブレン(緩和層)のノード・フィルビル構造の代表的な画像である。図29に示されたSEM画像は、二層型複合体2900(すなわち第1ePTFEメンブレン2910(細胞不透過性層)及び第2ePTFEメンブレン2920(緩和層))の断面構造の代表的な画像を示すSEM画像である。
第3層(血管新生層)は商業的に利用可能なスパンボンドポリエステル不織布材料であった。第3層の代表的な表面マイクロ構造が図15のSEM画像に示されている。スパンボンドポリエステル不織布材料を第2ePTFE層の上面に配置し、そして上記「試験法」の項に記載されたように複合体をデバイス形態に一体化しているときに、スパンボンドポリエステル材料を周辺位置で不連続に溶着することにより、この第3層を第1層及び第2層を有する複合体に集成した。
生体適合性メンブレン複合体の特徴付け
生体適合性メンブレン複合体のそれぞれの個別層を、各層の機能に必要な関連パラメータに関して評価し特徴付けた。層のパラメータは、これらが層の特異的な機能に関連しない場合には、「N/A」と記す。層のパラメータは、複合体の層を処理した方法の結果としてパラメータを実際には得ることができない場合には「-」と記す。関連パラメータの特徴付けのために用いられる方法は、上記「試験法」の項に記載された方法にしたがって実施した。結果は表6に要約されている。
Figure 2022534546000013
複合メンブレン性能の評価
上記「試験法」の項に記載された、生体適合性メンブレン複合体のデバイス形態への一体化に従って、生体適合性メンブレン複合体を熱溶着してデバイス形態にし、in vivoで評価した。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoブタ研究に従って、宿主組織反応を評価した。デバイス界面における宿主組織反応は、宿主組織がポリエステル製織メッシュ補強構成部分、ポリエステル不織布血管新生層、及び開放ePTFE緩和層を通って緻密ePTFE細胞不透過性層まで貫通することを実証した。異物巨細胞がポリエステル製織メッシュ(補強構成部分)及びポリエステル不織布層(血管新生層)内部に存在する一方、緻密ePTFE層(細胞不透過性層)に沿った異物巨細胞は観察されなかった。図45に示された組織画像は、この観察の代表的な画像である。矢印4510が、生体適合性メンブレン複合体4500の各層に対する異物巨細胞の位置を示している。加えて、図45に示されているように、異物巨細胞(矢印4510によって示されている)は、細胞不透過性層4520の表面上には形成されなかった。この実施例に記載された細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層から形成された生体適合性メンブレン複合体4500は、異物巨細胞(矢印4510によって示される)が細胞不透過性層4520の表面に形成されるのを低減すると結論付けられた。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoヌードラット研究にしたがって、機能的反応をin vivoで評価した。表3に示された結果は、比較例と比較して機能的反応の段階的変化を実証し、このことはインスリン生成細胞の生存能力の顕著な増大を示す。植え込みから24週間後に、グルコース刺激型インスリン分泌に反応して測定されたC-ペプチド血清濃度は、平均して615pMであった。これは、緩和層が存在しない比較例1よりも著しく高い。機能的反応度をこのように高めるために、緩和層は、細胞不透過性界面における異物巨細胞の形成をうまく緩和し得ると、結論付けられた。
実施例3
生体適合性メンブレン複合体の製造
互いに区別可能な3つの層を有する生体適合性メンブレン複合体を組み立てた。先ず、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって調製された、乾燥した2軸延伸型メンブレンから成る第1ePTFEメンブレン(細胞不透過性層)と、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって調製されたペースト押出型のカレンダー処理されたテープから成る第2ePTFE層(緩和層)とを層形成し、次いで同時延伸することにより、二層型ePTFE複合体を調製した。二層型ePTFE複合体を、Butler他の米国特許第5,902,745号明細書の教示内容により二軸延伸し、次いで親水性にした。第1ePTFEメンブレンは緻密な細胞不透過性の界面を提供した。この界面は酸素及び栄養素の質量輸送を未だに可能にした。第1ePTFEメンブレンの代表的な表面マイクロ構造が図30のSEM画像に示されている。第2ePTFEメンブレンの代表的な表面マイクロ構造が図31に示されている。第1ePTFEメンブレン3210(細胞不透過性層)と第2ePTFEメンブレン3220(緩和層)とを含有する二層型ePTFE複合体3200の代表的な断面が、図32のSEM画像に示されている。
第3層(血管新生層)は商業的に入手可能なスパンボンドポリエステル不織布材料であった。スパンボンドポリエステル不織布材料の代表的な表面マイクロ構造が図15のSEM画像に示されている。スパンボンドポリエステル不織布材料を二層型複合体の第2ePTFEメンブレンの上面に配置し、そして上記「試験方法」の項に記載されたように複合体をデバイス形態に一体化しているときに、周辺位置で不連続に溶着することにより、この第3層を第1層及び第2層を有する複合体に集成した。
生体適合性メンブレン複合体の特徴付け
生体適合性メンブレン複合体のそれぞれの個別層を、各層の機能に必要な関連パラメータに関して評価し特徴付けた。層のパラメータは、これらが層の特異的な機能に関連しない場合には、「N/A」と記す。層のパラメータは、複合体の層を処理した方法の結果としてパラメータを実際には得ることができない場合には「-」と記す。関連パラメータのこの特徴付けのために用いられる方法は、上記「試験法」の項に記載された方法にしたがって実施した。結果は表7に要約されている。
Figure 2022534546000014
複合メンブレン性能の評価
上記「試験法」の項に記載された、生体適合性メンブレン複合体のデバイス形態への一体化に従って、生体適合性メンブレン複合体を熱溶着してデバイス形態にし、in vivoで評価した。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoブタ研究に従って、宿主組織反応を評価した。デバイス界面における宿主組織反応は、宿主組織がポリエステル製織メッシュ補強構成部分、ポリエステル不織布血管新生層、及び開放ePTFE緩和層を通って緻密ePTFE細胞不透過性層まで貫通することを実証した。異物巨細胞がポリエステル製織メッシュ(補強構成部分)及びポリエステル不織布層(血管新生層)内部に存在する一方、緻密ePTFE層(細胞不透過性層)に沿った異物巨細胞は観察されなかった。図46に示された組織画像は、この観察の代表的な画像である。矢印4610が、生体適合性メンブレン複合体4600の各層に対する異物巨細胞の位置を示している。加えて、図46に示されているように、異物巨細胞(矢印4610によって示されている)は、細胞不透過性層4620の表面上には形成されなかった。この実施例に記載された細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層から形成された生体適合性メンブレン複合体4600は、異物巨細胞(矢印4610によって示される)が細胞不透過性層4620の表面に形成されるのを低減すると結論付けられた。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoヌードラット研究にしたがって、機能的反応をin vivoで評価した。表3に示された結果は、比較例と比較して機能的反応の段階的変化を実証し、インスリン生成細胞の生存能力の顕著な増大を示した。植え込みから24週間後に、グルコース刺激型インスリン分泌に反応して測定されたC-ペプチド血清濃度は、平均して556pMであった。これは、緩和層が存在しない比較例1の4.5倍高い。このような機能的反応度を達成するために、緩和層は、細胞不透過性界面における異物巨細胞の形成をうまく緩和し得ると、結論付けられた。
実施例4
生体適合性メンブレン複合体の製造
互いに区別可能な3つの層を有する生体適合性メンブレン複合体を組み立てた。Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって、PTFEメンブレンから成る第1層(細胞不透過性層)が形成された。
Branca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容にしたがって、第2ePTFEメンブレン(FBGC緩和層)を調製した。初期機械方向(MD)延伸工程中、第2ePTFEメンブレンにフッ素化エチレンプロピレン(FEP)フィルムを被着した。続いて、第2ePTFEメンブレン及びFEPを機械方向(MD)延伸及び横方向(TD)延伸を通して同時処理することによって、FEPは、Bacinoの国際公開第94/13469号パンフレットに教示されているように、第2ePTFEメンブレンの表面上で不連続となった。図33に示されたSEM画像は、不連続層FEP3310を有する表面又は第2ePTFE層3300の代表的な画像である。
FEPの融点を上回る温度で2つのePTFEメンブレン材料を(FEPが2つのePTFEメンブレンの間に位置決めされた状態で)接触させることにより、不連続FEPを含む第2ePTFE層を、第1ePTFE層に貼り合わせた。両ePTFE層を緊張下で保持することにより、この積層プロセス中の意図せぬ変形を防止した。続いて積層体を、Butler他の米国特許第5,902,745号明細書の教示内容により親水性にした。図19に示されたSEM画像は、第1ePTFE層(細胞不透過性層)のノード・フィブリル構造を示す代表的な画像である。図34に示されたSEM画像は、第2ePTFE層(緩和層)のノード・フィブリル構造を示す代表的な画像である。図35に示されたSEM画像は、第1ePTFEメンブレン3510(細胞不透過性層)と第2ePTFEメンブレン3520(緩和層)とを有する二層型ePTFE積層体3500の断面構造の代表的な画像である。
第3層(血管新生層)は商業的に利用可能なスパンボンドポリエステル不織布材料であった。第3層の代表的な表面マイクロ構造が図15のSEM画像に示されている。スパンボンドポリエステル不織布材料を第2ePTFEメンブレンの上面に配置し、そして上記「方法」の項に記載されたように生体適合性メンブレン複合体をデバイス形態に一体化しているときに、二層型ePTFE複合体の第2ePTFEメンブレンにポリエステル不織布材料を周辺位置で不連続に溶着することにより、この第3層とePTFE積層体とを第1層及び第2ePTFE層を有する生体適合性メンブレン複合体に集成した。
生体適合性メンブレン複合体の特徴付け
生体適合性メンブレン複合体のそれぞれの個別層を、各層の機能に必要な関連パラメータに関して評価し特徴付けた。層のパラメータは、これらが層の特異的な機能に関連しない場合には、「N/A」と記す。層のパラメータは、複合体の層を処理した方法の結果としてパラメータを実際には得ることができない場合には「-」と記す。関連パラメータのこの特徴付けのために用いられる方法は、上記「試験法」の項に記載された方法にしたがって実施した。結果は表8に要約されている。
Figure 2022534546000015
複合メンブレン性能の評価
上記「試験法」の項に記載された、生体適合性メンブレン複合体のデバイス形態への一体化に従って、生体適合性メンブレン複合体を熱溶着してデバイス形態にし、in vivoで評価した。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoブタ研究に従って、宿主組織反応を評価した。デバイス界面における宿主組織反応は、宿主組織がポリエステル製織メッシュ補強構成部分、ポリエステル不織布血管新生層、及び開放ePTFE緩和層を通って緻密ePTFE細胞不透過性層まで貫通することを実証した。異物巨細胞がポリエステル製織メッシュ(補強構成部分)及びポリエステル不織布層(血管新生層)内部に存在する一方、緻密ePTFE層(細胞不透過性層)に沿った異物巨細胞は観察されなかった。図36の組織画像は、この観察の代表的な画像である。矢印3610が、生体適合性メンブレン複合体の各層に対する異物巨細胞の位置を示している。加えて、図36に示されているように、異物巨細胞3610は、細胞不透過性層3620の表面上には形成されなかった。この実施例に記載された細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層から形成された生体適合性メンブレン複合体は、異物巨細胞が細胞不透過性層の表面に形成されるのを低減すると結論付けられた。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoヌードラット研究にしたがって、機能的反応をin vivoで評価した。表3に示された結果は、比較例と比較して機能的反応の段階的変化を実証し、インスリン生成細胞の生存能力の顕著な増大を示した。植え込みから24週間後に、グルコース刺激型インスリン分泌に反応して測定されたC-ペプチド血清濃度は、平均して208pMであった。これは、緩和層が存在しない比較例1よりも著しく高い。
実施例5
生体適合性メンブレン複合体の製造
互いに区別可能な3つの層を有する生体適合性メンブレン複合体を組み立てた。Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって、PTFEメンブレンから成る第1層(細胞不透過性層)が形成された。
第2ePTFEメンブレン(緩和層)と第3ePTFE層(血管新生層)とから成る二層型複合体を形成した。第2ePTFEメンブレン(緩和層)はBranca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容にしたがって調製した。第2ePTFE層のePTFEテープ前駆体を、融点未満(below-the-melt)MD延伸工程によって、Branca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容にしたがって処理した。第2ePTFEテープ前駆体の融点未満MD延伸工程中、FEPフィルムをBacinoの国際公開第94/13469号パンフレットの教示内容により被着した。第3ePTFE層のePTFEテープ前駆体を、非晶質ロック工程によって、Branca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容にしたがって処理した。第3ePTFEテープ前駆体の第1融点未満MD延伸工程中、FEPフィルムをBacinoの国際公開第94/13469号パンフレットの教示内容により被着した。第3ePTFEメンブレンの延伸済のePTFEテープ前駆体を第2ePTFEメンブレンの延伸済のePTFEテープ前駆体に貼り合わせ、この場合第3ePTFEテープのFEP側が第2ePTFEメンブレンのePTFEテープ前駆体のPTFE側と接触するようにした。次いでPTFEの融点を上回る温度で二層複合体を機械方向及び横方向に同時延伸した。FEP3710を有する第2ePTFE層3700の代表的な表面マイクロ構造が、図37のSEM画像に示されている。
第2ePTFEメンブレン(緩和層)と第3ePTFEメンブレン(血管新生層)とから成る二層型複合体を、第1ePTFEメンブレン(細胞不透過性層)に貼り合わせた。FEPの融点を上回る温度で二層型ePTFE複合体を第3ePTFE層と(FEPが2つの層の間に位置決めされた状態で)、ePTFEメンブレンを横方向に拘束せずに先ず接触させることにより、第2ePTFEメンブレンの、不連続FEP層を含む側を第1ePTFE層に貼り合わせた。次いで積層物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の融点を上回る温度で横方向に延伸することにより、積層によってネッキングが維持される前に各ePTFE層がその幅に戻されるようにした。続いて複合体を、Butler他の米国特許第5,902,745号明細書の教示内容により親水性にした。図19に示されたSEM画像は、第1ePTFEメンブレン(細胞不透過性層)のノード・フィルビル構造の代表的な画像である。図38に示されたSEM画像は、第3ePTFEメンブレン(血管新生層)のノード・フィルビル構造の代表的な画像である。図39に示されたSEM画像は、第1ePTFEメンブレン3910(細胞不透過性層)と第2ePTFEメンブレン3920(緩和層)と第3ePTFEメンブレン3930(血管新生層)とを含む三層型生体適合性メンブレン複合体の断面構造3900の断面構造の代表的な画像である。
生体適合性メンブレン複合体の特徴付け
生体適合性メンブレン複合体のそれぞれの個別層を、各層の機能に必要な関連パラメータに関して評価し特徴付けた。層のパラメータは、これらが層の特異的な機能に関連しない場合には、「N/A」と記す。層のパラメータは、複合体の層を処理した方法の結果としてパラメータを実際には得ることができない場合には「-」と記す。関連パラメータの特徴付けのために用いられる方法は、上記「試験法」の項に記載された方法にしたがって実施した。結果は表9に要約されている。
Figure 2022534546000016
複合メンブレン性能の評価
上記「試験法」の項に記載された、生体適合性メンブレン複合体のデバイス形態への一体化に従って、生体適合性メンブレン複合体を熱溶着してデバイス形態にし、その機能的性能をin vivoで評価した。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoブタ研究に従って、宿主組織反応を評価した。デバイス界面における宿主組織反応は、宿主組織がポリエステル製織メッシュ補強構成部分、開放ePTFE血管新生層、及び開放ePTFE緩和層を通って緻密ePTFE細胞不透過性層まで貫通することを実証した。異物巨細胞がポリエステル製織メッシュ(補強構成部分)内部に存在する一方、緻密ePTFE層(細胞不透過性層)に沿った異物巨細胞は観察されなかった。図47に示された組織画像は、この観察の代表的な画像である。矢印4710が、生体適合性メンブレン複合体4700の各層に対する異物巨細胞の位置を示している。加えて、図47に示されているように、異物巨細胞(矢印4710によって示されている)は、細胞不透過性層4720の表面上には形成されなかった。この実施例に記載された細胞不透過性層、緩和層、及び血管新生層から形成された生体適合性メンブレン複合体4700は、異物巨細胞(矢印4710によって示される)が細胞不透過性層4720の表面に形成されるのを低減すると結論付けられた。
上記「試験法」の項に記載されたin vivoヌードラット研究にしたがって、機能的反応をin vivoで評価した。表3に示された結果は、比較例と比較して機能的反応の段階的変化を実証し、このことはインスリン生成細胞の生存能力の顕著な増大を示す。植え込みから24週間後に、グルコース刺激型インスリン分泌に反応して測定されたC-ペプチド血清濃度は、平均して337pMであった。これは、緩和層が存在しない比較例1よりも2.7倍高い。機能的反応度をこのように高めるために、緩和層は、細胞不透過性界面における異物巨細胞の形成をうまく緩和し得ると、結論付けられた。
実施例6
生体適合性メンブレン複合体の製造
実施例5に記載された生体適合性メンブレン複合体を形成し、そしてこれを、全体的に図41に示された補強構成部分4130を含む偏平デバイス4100になるように形成した。この実施例において記載された偏平デバイスは、偏平デバイスが図40に示された補強構成部分に基づいている点で、前述のデバイス(すなわち実施例1~5のデバイス)とは異なる。この補強構成部分は生体適合性メンブレン複合体の細胞不透過性層に隣接して配置されている。補強構成部分は、前述の実施例において織布ポリエステルメッシュによって提供された外部補強構成部分とは異なり、偏平デバイスの管腔内部(例えば内骨格)に配置されている。補強構成部分4000は、補強構成部分4010と、補強構成部分4000の両側にアクセスするための貫流孔4030を備えた一体化充填チューブ4020とを含む。
偏平デバイス4100は全体的に図41に(分解図で)示されている。図41に示されているように、偏平デバイス4100は、第1生体適合性メンブレン複合体4110と、第2生体適合性メンブレン複合体4140と、補強構成部分4130とを含む。補強構成部分4130は、補強構成部分4120と、生体適合性メンブレン4410,4140が一体化されて最終デバイス形状になったときに補強構成部分4130の両側に形成された二重内部管腔(図示せず)にアクセスするための貫流孔4160を備えた一体化充填チューブ4150とを含む。
TFE、HFP及びVDFのフルオロ熱可塑性ターポリマーシートを型キャビティ内に入れ、そしてポリマーの軟化温度を上回る温度に設定された、加熱されたプレス(Wabash C30H-15-CPX)内でターポリマーを圧縮してこれが最終寸法及び形状に一致するようにすることにより、補強構成部分を組み立てた。結果として生じた補強構成部分は厚さがほぼ270ミクロンであり、剛性が0.7Nであった。
2つの生体適合性メンブレン複合体をカットすることによりほぼ1”x2”(2.54cm X 5.08cm)にし、そして各メンブレン複合体の細胞不透過性層が内向きに管腔及び偏平補強構成部分へ向いた状態で、補強構成部分の両側に配列した。偏平デバイス4100の個別の構成部分の分解図が図41に示されている。
偏平デバイスは図42に示されている。偏平デバイス4200を作成するために、周辺4210に沿ってインパルス溶着装置を使用して、図41に示された材料スタックを圧縮し、そして補強構成部分の熱可塑性物質がそれぞれの複合メンブレン内へ結合部を形成するのに十分なほどに軟化するように温度及び圧力を加えることによって、溶着部を形成した。サーマルヘッドで軽い手動の圧力を加えることにより各メンブレン複合体表面に補強構成部分の内部点を結合し、これにより、各側の12個所で少なくとも1.45mmの間隔を置いた、直径がほぼ1mmの内部点結合部4220を形成した。内圧5psiでイソプロピルアルコール中に沈めたときに気泡流として視覚的に検出される漏れの存在を試験することによって、溶着部の完全性を適合性に関して評価した。補強成分4310及び内部管腔4330の内部ジオメトリが図43A及び43Bに示されている。図43Aは、A-A線に沿った偏平デバイス4200の断面を示しており、単一の点結合部4320と管腔4330とを示している。図43Bは、B-B線に沿った偏平デバイス4200の断面画像であり、2つの点結合部3620と管腔3630とを示している。図42に示された完成済みの偏平デバイスに低粘度のシラスティックを充填することにより、図42A及び24Bに示された補強構成部分4210のより良好な可視化及び画像形成を可能にする。
in vivoの複合メンブレン性能の評価
上記「試験法」の項に記載された、宿主組織反応を評価するためのin vivoブタ研究において、上記の偏平デバイスに一体化された生体適合性複合メンブレンの機能的性能を評価した。宿主細胞との偏平デバイス界面における宿主組織反応は、宿主組織が開放ePTFE血管新生層及び緩和層を通って緻密ePTFE細胞不透過性層まで貫通することを実証した。メンブレン複合体内に異物巨細胞が観察される事例はほとんどなかった。図44に示された組織画像は、ePTFE血管新生層4430及びePTFE緩和層4420を通る宿主貫通がなく、そして細胞不透過性界面4410を含むメンブレン複合体内又はメンブレン複合体の周りの異物巨細胞の明らかな観察がない、代表的な観察画像である。この実施例に記載された細胞不透過性層4410と緩和層4420と血管新生層4430とから形成された生体適合性メンブレン複合体4400が、細胞不透過性層4410の表面上の異物巨細胞の形成を低減すると結論付けられた。。管腔4440も参考のために示されている。
上記「試験法」の項に記載されたヌードラット外植組織構造にしたがって、細胞をローディングされた偏平デバイス4200の機能的性能を評価した。デバイスの断面の代表的な組織画像が図48に示されている。組織画像の評価から、偏平デバイス4200の管腔内に位置決めされた内側補強構成部分を含むことにより、図48の生存細胞4810によって証明されるように、24週間目のin vivoの細胞生存を可能にすることに成功すると結論付けられた。
実施例7
生体適合性メンブレン複合体の製造
3つの層を有する3つの異なる複合メンブレンを使用して、実施例6に記載された細胞カプセル化デバイス形態を組み立てた。第1層(細胞不透過性層)及び第2層(緩和層)は3つの構造すべてにわたって同様であった。しかしながら、第3層(血管新生層)は3つの構造にわたって異なった。これらの構造をこの項では構造A、構造B、及び構造Cと呼ぶ。
3つすべての構造に関して、Gore の米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって、ePTFEメンブレンから成る第1層(細胞不透過性層)を形成した。
3つのすべての構造に関して、第2ePTFEメンブレン(緩和層)と第3ePTFE層(血管新生層)とから成る二層型複合体を形成した。第2ePTFEメンブレンはBranca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容にしたがって調製した。第2ePTFE層のePTFEテープ前駆体を、融点未満(below-the-melt)MD延伸工程によって、Branca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容にしたがって処理した。第2ePTFEテープ前駆体の融点未満MD延伸工程中、FEPフィルムをBacinoの国際公開第94/13469号パンフレットの教示内容により被着した。第3ePTFE層のePTFEテープ前駆体を、非晶質ロック工程及び融点超MD延伸(above-the-melt MD expansion)によって、Branca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容にしたがって処理した。各構造の第3層には、構造A、構造B、及び構造Cの第3層内に所望のマイクロ構造を達成するために、層形成前の処理中に異なるプロセス条件を施した。第3ePTFEテープ前駆体の第1融点未満MD延伸工程中に、Bacinoの国際公開第94/13469号パンフレットの教示内容により、FEPフィルムを被着した。第3ePTFEメンブレンの延伸済のePTFEテープ前駆体を第2ePTFEメンブレンの延伸済のePTFEテープ前駆体に貼り合わせ、この場合第3ePTFEテープのFEP側が第2ePTFEメンブレンのePTFEテープ前駆体のPTFE側と接触するようにした。次いでPTFEの融点を上回る温度で二層複合体を機械方向及び横方向に同時延伸した。FEP5620を有する構造A、構造B、及び構造Cの第2ePTFE層の代表的な表面マイクロ構造が、図56の走査電子顕微鏡写真(SEM)画像に示されている。
第2ePTFEメンブレン(緩和層)と第3ePTFEメンブレン(血管新生層)とから成る二層型複合体を、第1ePTFEメンブレン(細胞不透過性層)に貼り合わせた。FEPの融点を上回る温度で二層型ePTFE複合体を第3ePTFE層と(FEPが2つの層の間に位置決めされた状態で)、ePTFEメンブレンを横方向に拘束せずに先ず接触させることにより、第2ePTFEメンブレンの、不連続FEP層を含む側を第1ePTFE層に貼り合わせた。次いで積層物をPTFEの融点を上回る温度で横方向に延伸することにより、積層によってネッキングが維持される前に各ePTFE層がその幅に戻されるようにした。続いて複合体を、Butler他の米国特許第5,902,745号明細書の教示内容により親水性にした。図19に示されたSEM画像は、第1ePTFEメンブレン(細胞不透過性層)のノード・フィルビル構造の代表的な画像である。図50、図51、及び図52に示されたSEM画像はそれぞれ、構造A、構造B、及び構造Cのそれぞれにおける第3ePTFEメンブレン(血管新生層)のノード・フィルビル構造の代表的な画像である。図53、図54、及び図55に示されたSEM画像は、第1ePTFEメンブレン5320,5420及び5520(細胞不透過性層)と第2ePTFEメンブレン5340、5440及び5540(緩和層)と第3ePTFEメンブレン5360、5460及び5560(血管新生層)とを含む三層型生体適合性メンブレン複合体の断面構造の代表的な画像である。
生体適合性メンブレン複合体の特徴付け
それぞれの生体適合性メンブレン複合体を、各層毎の関連特性に関して評価し特徴付けた。層のパラメータは、これらが層の特異的な機能に関連しない場合には、「N/A」と記す。層のパラメータは、複合体の層を処理した方法の結果としてパラメータを実際には得ることができない場合には「-」と記す。関連特性の特徴付けのために用いられる方法は、上記「試験法」の項に記載された方法にしたがって実施した。
表10は、3つの異なる生体適合性メンブレン複合体を示している。3つすべての生体適合性メンブレン複合体は、同じ細胞不透過性層及びFBGC緩和層を有したが、しかし血管新生層は構造A(血管新生A)、構造B(血管新生B)、及び構造C(血管新生C)にわたって変化した。3つの生体適合性メンブレン複合体の成分の特性は表10に示されている。
Figure 2022534546000017
なお、これらの特性のための各構造の下に挙げた値は、第3層(血管新生層)だけではなく、それぞれの構造における3つすべての層のバルク値に対応する。
in vivoの複合メンブレン性能の評価
3つの生体適合性メンブレン複合体を、実施例6に記載された細胞カプセル化デバイスに一体化した。
上記「試験法」の項に記載されたヌードラット外植組織構造にしたがって、細胞をローディングされたデバイス(構造A、B及びC)の機能的性能を評価した。種々の血管新生層を備えた構造A、B及びCを有するデバイスの断面の代表的な組織画像がそれぞれ図49A、49B及び49Cに示されている。組織画像の評価から、細胞不透過性層上の異物巨細胞(FBGC)の形成が緩和されること、そして偏平デバイス構造A4900、構造B4910、及び構造C4930の管腔内に位置決めされた内側補強構成部分を含むことにより、図49A、49B、及び49Cの生存細胞4920,4940及び4960によって証明されるように、in vivoの細胞生存を成功裏に可能にすることを観察することができる。
本出願の発明を全般的に、そして特定の実施態様に関して説明してきた。当業者に明らかなように、開示の範囲を逸脱することなしに、種々の改変及び変更を実施態様において加えることができる。したがって、実施態様は本発明の改変形及び変更形を、これらが添付の請求項及びこれと同等のものの範囲に含まれる限りカバーするものとする。

Claims (125)

  1. 生体適合性メンブレン複合体であって、
    MPS(最大孔サイズ)が約1ミクロン未満の第1層と、
    第1固形フィーチャを有する第2層であって、第1固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン未満であり、前記第1固形フィーチャの大部分がそれぞれ約3ミクロン~約20ミクロンの代表短軸を有している、第2層と、
    孔サイズが有効直径で約5ミクロン超の第3層と、
    を含み、
    第2固形フィーチャがそれぞれ、大部分が約50ミクロン超である第2固形フィーチャ間隔を有し、かつ
    該第2層が、該第1層と該第3層との間に位置決めされている、
    生体適合性メンブレン複合体。
  2. 前記第1層の単位面積当たり質量(MpA)が約5g/m未満である、請求項1に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  3. 前記第1層の第1厚が約10ミクロン未満である、請求項1又は2に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  4. 前記第2層の第2厚が約60ミクロン未満である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  5. 前記生体適合性メンブレン複合体の、最も弱い軸における最大引張荷重が40N/m超である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  6. 前記第1層の第1ポロシティが約50%超である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  7. 前記第2層の第2ポロシティが約60%超である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  8. 前記生体適合性メンブレン複合体の測定複合体z強度が100KPa超である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  9. 前記第2層が、代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さをそれぞれ有する固形フィーチャを含み、
    前記第2層の前記代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さのうちの少なくとも2つの大部分が約5ミクロン超である、
    請求項1から8までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  10. 前記第1層と接触している前記第1固形フィーチャの少なくとも一部が、結合型固形フィーチャである、請求項1から9までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  11. 前記第2層の孔サイズが有効直径で約1ミクロン~約9ミクロンである、請求項1から10までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  12. 前記第2層の前記第1固形フィーチャがフィブリルによって接続されており、前記フィブリルが変形可能である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  13. 前記第3層の第3厚が約30ミクロン~約200ミクロンである、請求項1から12までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  14. 前記第3層の第2固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン超である、請求項1から13までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  15. 前記第3層内の前記第2固形フィーチャの大部分が、約40ミクロン未満の代表短軸を有している、請求項1から14までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  16. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも2つの層が密接に結合されている、請求項1から15までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  17. 前記第1層と前記第2層とが密接に結合されている、請求項1から16までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  18. 前記第3層の第3厚が、前記第1層の第1厚と前記第2層の第2厚との和よりも大きい、請求項1から17までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  19. 前記第3層の第3厚が、前記第1層と前記第2層との複合厚の少なくとも2倍である、請求項1から18までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  20. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマー、フルオロポリマーメンブレン、非フルオロポリマーメンブレン、織布、不織布、繊維又は糸の製織又は不織収集体、繊維性マトリックス、及びこれらの組み合わせを含む、請求項1から19までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  21. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマーである、請求項1から20までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  22. 前記ポリマーが、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)メンブレン、及び改質ePTFEメンブレンから選択されたフルオロポリマーメンブレンである、請求項20又は21に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  23. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンである、請求項1から22までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  24. 前記第3層がスパンボンド不織布ポリエステル材料である、請求項1から23までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  25. 前記第3層の前記第2固形フィーチャが不織布又は織布の繊維を含む、請求項1から24までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  26. 前記第3層の前記第2固形フィーチャが織布又は不織布を含み、そして第2代表短軸が、前記織布又は不織布内の繊維の直径である、請求項1から25までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  27. 補強構成部分を上に含む、請求項1から26までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  28. 前記補強構成部分の剛性が約0.01N/cm~約5N/cmである、請求項27に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  29. 前記補強構成部分が織布又は不織布である、請求項27又は28に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  30. 第1補強構成部分と第2補強構成部分とを含む、請求項1から29までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  31. 前記第2層の第1固形フィーチャが、熱可塑性ポリマー、ポリウレタン、シリコーン、ゴム、エポキシ、及びこれらの組み合わせから選択された員を含む、請求項1から30までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  32. 表面被膜を上に含み、前記表面被膜が、抗菌剤、抗体、医薬品、及び生物活性分子から選択された1種又は2種以上の員を含む、請求項1から31までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  33. 親水性被膜を上に含む、請求項1から32までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  34. 請求項1から33までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体を含む細胞カプセル化デバイス。
  35. 第1層、
    有効直径で約1ミクロン~約9ミクロンの孔サイズと、約60ミクロン未満の厚さと、第1固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン未満である第1固形フィーチャとを有する第2層、及び
    第3層、
    を含んでなる生体適合性メンブレン複合体であって、
    前記第1固形フィーチャの大部分が約3ミクロン~約20ミクロンの代表短軸を有し、かつ、
    前記第2層が、前記第1層と前記第3層との間に位置決めされている
    ことを特徴とする生体適合性メンブレン複合体。
  36. 前記第1層のMPS(最大孔サイズ)が直径約1ミクロン未満である、請求項35に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  37. 前記第1層の単位面積当たり質量(MpA)が約5g/m未満である、請求項35又は36に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  38. 前記第1層の第2厚が約10ミクロン未満である、請求項35から37までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  39. 前記生体適合性メンブレン複合体の、最も弱い軸における最大引張荷重が約40N/m超である、請求項35から38までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  40. 前記第1層の第1ポロシティが約50%超である、請求項35から39までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  41. 前記第2層の第2ポロシティが約60%超である、請求項35から40までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  42. 前記生体適合性メンブレン複合体の測定複合体z強度が100KPa超である、請求項35から41までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  43. 前記第2層の固形フィーチャがそれぞれ、代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さを含み、そして
    前記第2層の前記代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さのうちの少なくとも2つの大部分が約5ミクロン超である、
    請求項35から42までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  44. 前記第3層の孔サイズが有効直径で約9ミクロン超である、請求項35から43までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  45. 前記第1層と接触している前記第1固形フィーチャの少なくとも一部が、結合型固形フィーチャである、請求項35から44までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  46. 前記第2層の前記第1固形フィーチャがフィブリルによって接続されており、前記フィブリルが変形可能である、請求項35から45までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  47. 前記第3層の第3厚が約30ミクロン~約200ミクロンである、請求項35から46までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  48. 前記第3層が第2固形フィーチャを含み、第2固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン超である、請求項35から47までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  49. 前記第3層内の前記第2固形フィーチャの大部分が、約40ミクロン未満の代表短軸を有している、請求項48に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  50. 前記第3層の第2固形フィーチャが不織布又は織布の繊維を含む、請求項48又は49に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  51. 前記第3層の前記第2固形フィーチャが織布又は不織布を含み、そして第2代表短軸が、前記織布又は不織布内の繊維の直径である、請求項48から50までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  52. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも2つの層が密接に結合されている、請求項35から51までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  53. 前記第1層と前記第2層とが密接に結合されている、請求項35から52までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  54. 前記第3層の第3厚が、前記第1層の第2厚と前記第2層の第1厚との和よりも大きい、請求項35から53までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  55. 前記第3層の第3厚が、前記第1層の第2厚と前記第2層の第1厚との複合厚の少なくとも2倍である、請求項35から54までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  56. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマー、フルオロポリマーメンブレン、非フルオロポリマーメンブレン、織布、不織布、繊維又は糸の製織又は不織収集体、繊維性マトリックス、及びこれらの組み合わせを含む、請求項35から55までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  57. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマーである、請求項35から56までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  58. 前記ポリマーが、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)メンブレン、及び改質ePTFEメンブレンから選択されたフルオロポリマーメンブレンである、請求項57に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  59. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンである、請求項35から58までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  60. 前記第3層がスパンボンド不織布ポリエステル材料である、請求項35から59までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  61. 補強構成部分を含む、請求項35から60までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  62. 前記補強構成部分の剛性が約0.01N/cm~約5N/cmである、請求項61に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  63. 外側補強構成部分と内側補強構成部分とを含む、請求項35から62までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  64. 前記第2層の第1固形フィーチャが、熱可塑性ポリマー、ポリウレタン、シリコーン、ゴム、エポキシ、及びこれらの組み合わせから選択された員を含む、請求項35から63までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  65. 表面被膜を上に含み、前記表面被膜が、抗菌剤、抗体、医薬品、及び生物活性分子から選択される、請求項35から64までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  66. 親水性被膜を上に含む、請求項35から65までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体。
  67. 請求項35から66までのいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体を含む細胞カプセル化デバイス。
  68. 細胞カプセル化デバイスであって、
    当該第1生体適合性メンブレン複合体が、当該第1生体適合性メンブレン複合体と第2生体適合性メンブレン複合体との間に管腔を画定するように、前記第2生体適合性メンブレン複合体の周囲の少なくとも一部に沿ってシールされた第2生体適合性メンブレン複合体に対して、前記第1生体適合性メンブレン複合体の周囲の少なくとも一部に沿ってシールされている、第1生体適合性メンブレン複合体と、
    前記管腔と流体連通している少なくとも1つのポートと、
    を含み、
    前記第1及び第2の生体適合性メンブレンのうちの少なくとも一方が、
    MPS(最大孔サイズ)が約1ミクロン未満の第1層と、
    第1固形フィーチャを有する第2層であって、第1固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン未満であり、前記第1固形フィーチャの大部分が約3ミクロン~約20ミクロンの第1短軸を有している、第2層と、
    当該第3層が、有効直径で約9ミクロン超の孔サイズと、第2固形フィーチャとを有しており、前記第2固形フィーチャの大部分が約50ミクロン超の間隔を有している、第3層と、
    を含み、
    前記第2層が前記第1層と前記第3層との間に位置決めされている、
    細胞カプセル化デバイス。
  69. 前記第1層の単位面積当たり質量(MpA)が約5g/m未満である、請求項68に記載の細胞カプセル化デバイス。
  70. 前記第1層の第1厚が約10ミクロン未満である、請求項68又は69に記載の細胞カプセル化デバイス。
  71. 前記第2層の第2厚が約60ミクロン未満である、請求項68から70までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  72. 前記生体適合性メンブレン複合体の、最も弱い軸における最大引張荷重が40N/m超である、請求項68から71までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  73. 前記第1層の第1ポロシティが約50%超である、請求項68から72までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  74. 前記第2層の第2ポロシティが約60%超である、請求項68から73までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  75. 前記第2層の第1固形フィーチャがそれぞれ、代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さを有しており、前記第2層の前記代表短軸、代表長軸、及び固形フィーチャ深さのうちの少なくとも2つの大部分が約5ミクロン超である、請求項68から74までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  76. 前記第1固形フィーチャの少なくとも一部が、前記第1層に密接に結合された結合型固形フィーチャである、請求項68から75までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  77. 前記第2層の前記第1固形フィーチャがフィブリルによって接続されており、前記フィブリルが変形可能である、請求項76に記載の細胞カプセル化デバイス。
  78. 前記第2層の孔サイズが有効直径で約1ミクロン~約9ミクロンである、請求項68から76までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  79. 前記第3層の第3厚が約30ミクロン~約200ミクロンである、請求項68から78までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  80. 前記第3層の第2固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン~約90ミクロンである、請求項68から79までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  81. 前記第3層内の前記第2固形フィーチャの大部分が、約40ミクロン未満の代表短軸を有している、請求項68から80までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  82. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも2つの層が密接に結合されている、請求項68から81までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  83. 前記第3層の第3厚が、前記第1層の第1厚と前記第2層の第2厚との和よりも大きい、請求項68から82までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  84. 前記第3層の第3厚が、前記第1層の第1厚と前記第2層の第2厚との複合厚の少なくとも2倍である、請求項68から83までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  85. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマー、フルオロポリマーメンブレン、非フルオロポリマーメンブレン、織布、不織布、繊維又は糸の製織又は不織収集体、繊維性マトリックス、及びこれらの組み合わせを含む、請求項68から84までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  86. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、ポリマーである、請求項68から85までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  87. 前記ポリマーが、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)メンブレン、及び改質ePTFEメンブレンから選択されたフルオロポリマーメンブレンである、請求項86に記載の細胞カプセル化デバイス。
  88. 前記第1層、第2層、及び第3層のうちの少なくとも1つが、延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンである、請求項68から87までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  89. 前記第3層がスパンボンド不織布ポリエステル材料である、請求項68から88までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  90. 前記第3層の前記第2固形フィーチャが不織布又は織布の繊維を含む、請求項68から89までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  91. 前記第3層の前記第2固形フィーチャが織布又は不織布を含み、そして前記第1固形フィーチャの第2代表短軸が、織布又は不織布内の繊維の直径である、請求項68から90までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  92. 前記第2層の第1固形フィーチャが、熱可塑性ポリマー、ポリウレタン、シリコーン、ゴム、エポキシ、及びこれらの組み合わせから選択された員を含む、請求項68から91までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  93. 表面被膜を上に含み、前記表面被膜が、抗菌剤、抗体、医薬品、及び生物活性分子から選択された1種又は2種以上の員を含む、請求項68から92までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  94. 親水性被膜を上に含む、請求項68から93までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  95. 前記第1生体適合性メンブレン複合体及び第2生体適合性メンブレン複合体のうちの少なくとも一方の外側に補強構成部分を含む、請求項68から94までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  96. 内側補強構成部分を含む、請求項68から95までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  97. 前記内側補強構成部分が充填チューブを含む、請求項96に記載の細胞カプセル化デバイス。
  98. 前記第1生体適合性メンブレン複合体及び第2生体適合性メンブレン複合体のうちの少なくとも一方が内側補強構成部分及び外側補強構成部分の両方を含む、請求項68から97までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  99. 前記補強構成部分が織布又は不織布である、請求項68から98までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  100. 前記細胞カプセル化デバイスが、前記第1生体適合性メンブレン複合体と前記第1生体適合性メンブレン複合体上の外側に位置決めされた第1補強構成部分との間に位置決めされた第1溶着フィルムと、前記第2生体適合性メンブレン複合体と前記第2生体適合性メンブレン複合体上の外側に位置決めされた第2補強構成部分との間に位置決めされた第2溶着フィルムとを含む、請求項68から99までのいずれか1項に記載の細胞カプセル化デバイス。
  101. 哺乳類の血糖値を低下させる方法であって、前の請求項のいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体を含む細胞カプセル化デバイスを移植することを含み、前記細胞カプセル化デバイス内にカプセル化された細胞がPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞の集団を含み、そして前記膵臓内胚葉細胞が成長してインスリン分泌細胞になり、これにより血糖値を低下させる、哺乳類の血糖値を低下させる方法。
  102. 前記PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞をさらに含む細胞の混合物を含み、前記内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞がクロモグラニンA(CHGA)を発現させる、請求項101に記載の方法。
  103. 前記細胞カプセル化デバイス内にカプセル化された細胞がPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞の集団を含み、そして前記膵臓内胚葉細胞が成長してインスリン分泌細胞になり、これにより血糖値を低下させる、請求項1に記載の哺乳類の血糖値を低下させる方法。
  104. 前記PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞をさらに含む細胞の混合物を含み、前記内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞がクロモグラニンA(CHGA)を発現させる、請求項103に記載の方法。
  105. 細胞カプセル化デバイスを移植することを含み、前記細胞カプセル化デバイスが、MPS(最大孔サイズ)が約1ミクロン未満の第1層と、第1固形フィーチャを有する第2層であって、第1固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン未満であり、前記第1固形フィーチャの大部分が約3ミクロン~約20ミクロンの代表短軸を有している、第2層と、当該第3層が、有効直径で約5ミクロン超の孔サイズと、第2固形フィーチャとを有しており、前記第2固形フィーチャが、大部分が約50ミクロン超である第2固形フィーチャ間隔を有しており、前記第2層が前記第1層と前記第3層との間に位置決めされており、結合型フィーチャの少なくとも一部が前記第1層に密接に結合されている、第3層と、PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞を含む細胞集団と、を含み、そして前記膵臓内胚葉細胞が成長してインスリン分泌細胞になり、これにより血糖値を低下させる、前の請求項のいずれか1項に記載の哺乳類の血糖値を低下させる方法。
  106. 前記PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞をさらに含む細胞の混合物を含み、前記内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞がクロモグラニンA(CHGA)を発現させる、請求項105に記載の方法。
  107. 生体適合性メンブレン複合体を移植することを含み、前記生体適合性メンブレン複合体が、MPS(最大孔サイズ)が約1ミクロン未満の第1層と、第1固形フィーチャを有する第2層であって、第1固形フィーチャ間隔の大部分が約50ミクロン未満であり、前記第1固形フィーチャの大部分が約3ミクロン~約20ミクロンの代表短軸を有している、第2層と、当該第3層が、有効直径で約5ミクロン超の孔サイズと、第2固形フィーチャとを有しており、前記第2固形フィーチャが、大部分が約50ミクロン超である第2固形フィーチャ間隔を有しており、前記第2層が前記第1層と前記第3層との間に位置決めされている、第3層と、PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞を含む細胞集団と、を含み、そして前記膵臓内胚葉細胞が成長してインスリン分泌細胞になり、これにより血糖値を低下させる、前の請求項のいずれか1項に記載の哺乳類の血糖値を低下させる方法。
  108. 前記PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞をさらに含む細胞の混合物を含み、前記内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞がクロモグラニンA(CHGA)を発現させる、請求項107に記載の方法。
  109. カプセル化されたin vitro PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、PDX-1/NKX6.1を同時発現させる膵臓プロジェニター集団を少なくとも含む細胞亜集団の混合物を含む、請求項107又は108に記載の方法。
  110. カプセル化されたin vitro PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、PDX-1/NKX6.1を同時発現させる膵臓プロジェニター集団と、PDX-1/NKX6.1及びCHGAを発現させる膵臓内分泌及び/又は内分泌プリカーサー集団とを少なくとも含む細胞亜集団の混合物を含む、請求項107から109までのいずれか1項に記載の方法。
  111. 前記集団の少なくとも30%が、PDX-1/NKX6.1を同時発現させる膵臓プロジェニター集団を含む、請求項107から110までのいずれか1項に記載の方法。
  112. 前記集団の少なくとも40%が、PDX-1/NKX6.1を同時発現させる膵臓プロジェニター集団を含む、請求項107から111までのいずれか1項に記載の方法。
  113. 前記集団の少なくとも50%が、PDX-1/NKX6.1を同時発現させる膵臓プロジェニター集団を含む、請求項107から112までのいずれか1項に記載の方法。
  114. 前記集団の少なくとも20%が、PDX-1/NKX6.1/CHGAを発現させる内分泌及び/又は内分泌プリカーサー集団である、請求項107から113までのいずれか1項に記載の方法。
  115. 前記集団の少なくとも30%が、PDX-1/NKX6.1/CHGAを発現させる内分泌及び/又は内分泌プリカーサー集団である、請求項107から114までのいずれか1項に記載の方法。
  116. 前記集団の少なくとも40%が、PDX-1/NKX6.1/CHGAを発現させる内分泌及び/又は内分泌プリカーサー集団である、請求項107から115までのいずれか1項に記載の方法。
  117. 前記膵臓プロジェニター細胞及び/又は内分泌又は内分泌プリカーサー細胞が、成長してin vivoのインスリン分泌細胞になることができる、請求項107から115までのいずれか1項に記載の方法。
  118. 前の請求項のいずれか1項に記載のインスリンをin vivoで生成する方法であって、細胞カプセル化デバイスを移植することを含み、前記細胞カプセル化デバイスが、前の請求項のいずれか1項に記載の生体適合性メンブレン複合体と、成長してインスリン分泌細胞になるPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞とを含み、前記インスリン分泌細胞がグルコース刺激に反応してインスリンを分泌する、インスリンをin vivoで生成する方法。
  119. 前記PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞が、内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞をさらに含む細胞の混合物を含み、前記内分泌及び/又は内分泌プリカーサー細胞がクロモグラニンA(CHGA)を発現させる、請求項118に記載の方法。
  120. 前記集団の少なくとも約30%が、PDX-1/NKX6.1/CHGAを発現させる内分泌及び/又は内分泌プリカーサー集団である、請求項118又は119に記載の方法。
  121. in vitroヒトPDX1-陽性膵臓内胚葉細胞培養物が、PDX1-陽性膵臓内胚葉細胞と、少なくとも形質転換増殖因子ベータ(TGF-ベータ)受容体キナーゼ阻害物質との混合物を含む、請求項118から120までのいずれか1項に記載の方法。
  122. さらに、骨形成タンパク質(BMP)阻害物質をさらに含む、請求項118から121までのいずれか1項に記載の方法。
  123. 前記TGF-ベータ受容体キナーゼ阻害物質が、TGF-ベータ受容体1型キナーゼ阻害物質である、請求項118から122までのいずれか1項に記載の方法。
  124. 前記TGF-ベータ受容体キナーゼ阻害物質がALK5iである、請求項118から123までのいずれか1項に記載の方法。
  125. 前記BMP阻害物質がノギンである、請求項118から124までのいずれか1項に記載の方法。
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