JP2022528807A - 宿主細胞タンパク質の同定 - Google Patents

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Abstract

試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法が提供される。本方法は、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離することと、解離した宿主細胞タンパク質を分子量カットオフフィルタを使用して濾過することと、好ましくは質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質を同定することとを含む。【選択図】図1

Description

分野
本発明は、一般に、宿主細胞タンパク質を同定するための方法に関する。
背景
タンパク質ベースのバイオ医薬品は、がん、自己免疫疾患、感染症、及び心血管代謝性疾患の治療に重要な医薬品として登場しており、医薬品業界で最も成長している製品分野の一つとなっている。タンパク質ベースのバイオ医薬品は、非常に高い純度基準を満たす必要がある。したがって、薬物の開発、製造、保管、及び取り扱いの様々な段階で、このようなバイオ医薬品の不純物を監視することが重要となり得る。
例えば、宿主細胞タンパク質(HCP)は、細胞ベースのシステムを使用して開発されたタンパク質ベースのバイオ医薬品に存在する可能性がある。医薬品中のHCPの存在は監視する必要があり、特定の量を超えると許容できない場合がある。HCPの特性評価のためのアッセイの分析方法は、十分な精度及び分解能を示す必要がある。直接分析では、アッセイに十分な量の生成物を単離する必要があるが、これは望ましくなく、一部の場合にのみ可能であった。したがって、圧倒的に高濃度の活性薬物と混合した場合の試料中のHCPを特性決定するためのワークフロー及び分析試験を決定することは困難な作業である。前述のことから、試料中のHCPを特性決定するための改善された方法の必要性が存在することが理解されるであろう。
概要
バイオ医薬品を開発する際の重要な基準は、製品中の不純物を監視することである。このような不純物が発生した場合、それらの同定及び定量化はバイオプロセスの重要なステップを構成する。
本明細書に開示される例示的な実施形態は、宿主細胞タンパク質(複数可)を同定するための方法を提供することにより、前述の要求を満たす。
1つの例示的な実施形態では、目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離することと、分子量カットオフフィルタを使用して解離した宿主細胞タンパク質を濾過することと、を含み得る。本実施形態の一態様では、タンパク質解離は、タンパク質解離剤を使用して実施することができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質解離剤は、デオキシコール酸ナトリウムを含むことができる。本実施形態の別の特定の態様では、タンパク質解離剤は、N-ラウロイルサルコシンを含むことができる。本実施形態の更に別の特定の態様では、タンパク質解離剤は、デオキシコール酸ナトリウム及びN-ラウロイルサルコシンを含むことができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質解離剤は、本質的に分解性であり得る。本実施形態の一態様では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約100KDaのカットオフを有することができる。本実施形態の一態様では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約50KDaのカットオフを有することができる。本実施形態の一態様では、本方法は、少なくとも約1ppmの濃度である宿主細胞タンパク質を検出するように構成することができる。本実施形態の一態様では、濾過ステップは、解離した宿主細胞タンパク質を少なくとも約50倍濃縮する。本実施形態の一態様では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、任意選択で、濾過された宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることを含むことができる。本実施形態の別の態様では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、任意選択で、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質を同定することを含むことができる。
1つの例示的な実施形態では、目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離することと、解離した宿主細胞タンパク質を分子量カットオフフィルタを使用して濾過することと、濾過した宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることと、を含むことができる。本実施形態の一態様では、タンパク質解離は、タンパク質解離剤を使用して実施することができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質解離剤は、デオキシコール酸ナトリウムを含むことができる。本実施形態の別の特定の態様では、タンパク質解離剤は、N-ラウロイルサルコシンを含むことができる。本実施形態の更に別の特定の態様では、タンパク質解離剤は、デオキシコール酸ナトリウム及びN-ラウロイルサルコシンを含むことができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質解離剤は、本質的に分解性であり得る。本実施形態の一態様では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約100KDaのカットオフを有することができる。本実施形態の一態様では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約50KDaのカットオフを有することができる。本実施形態の一態様では、本方法は、本方法の検出限界の濃度にある宿主細胞タンパク質のみを検出するように構成することができ、少なくとも約1ppmであり得る。本実施形態の一態様では、濾過ステップは、解離した宿主細胞タンパク質を少なくとも約50倍濃縮する。本実施形態の一態様では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、任意選択で、濾過された宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることを含むことができる。本実施形態の別の態様では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、任意選択で、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質を同定することを含むことができる。本実施形態の一態様では、加水分解剤はトリプシンであり得る。本実施形態の一態様では、本方法は、濾過された宿主細胞タンパク質をタンパク質還元剤に接触させることを更に含むことができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質還元剤はTCEPであり得る。本実施形態の一態様では、本方法は、濾過された宿主細胞タンパク質をタンパク質アルキル化剤に接触させることを更に含むことができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質アルキル化剤はCAAであり得る。本実施形態の更に別の態様では、本方法は、濾過された宿主細胞タンパク質を遠心分離することを更に含むことができる。
1つの例示的な実施形態では、目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離することと、分子量カットオフフィルタを使用して解離した宿主細胞タンパク質を濾過することと、宿主細胞タンパク質を同定することと、を含み得る。本実施形態の一態様では、タンパク質解離は、タンパク質解離剤を使用して実施することができる。本実施形態の一態様では、タンパク質解離は、タンパク質解離剤を使用して実施することができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質解離剤は、デオキシコール酸ナトリウムを含むことができる。本実施形態の別の特定の態様では、タンパク質解離剤は、N-ラウロイルサルコシンを含むことができる。本実施形態の更に別の特定の態様では、タンパク質解離剤は、デオキシコール酸ナトリウム及びN-ラウロイルサルコシンを含むことができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質解離剤は、本質的に分解性であり得る。本実施形態の一態様では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約100KDaのカットオフを有することができる。本実施形態の一態様では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約50KDaのカットオフを有することができる。本実施形態の一態様では、宿主細胞タンパク質の同定は、質量分析計を使用して実施することができる。本実施形態の特定の態様では、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムに結合することができる。本実施形態の別の特定の態様では、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。本実施形態の別の特定の態様では、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。本実施形態の一態様では、本方法は、少なくとも約1ppmの濃度である宿主細胞タンパク質を検出するように構成することができる。本実施形態の一態様では、濾過ステップは、解離した宿主細胞タンパク質を少なくとも約50倍濃縮する。本実施形態の一態様では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、任意選択で、濾過された宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることを含むことができる。
1つの例示的な実施形態では、目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離することと、解離した宿主細胞タンパク質を分子量カットオフフィルタを使用して濾過することと、濾過した宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることと、宿主細胞タンパク質を同定することと、を含むことができる。本実施形態の一態様では、タンパク質解離は、タンパク質解離剤を使用して実施することができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質解離剤は、デオキシコール酸ナトリウムを含むことができる。本実施形態の別の特定の態様では、タンパク質解離剤は、N-ラウロイルサルコシンを含むことができる。本実施形態の更に別の特定の態様では、タンパク質解離剤は、デオキシコール酸ナトリウム及びN-ラウロイルサルコシンを含むことができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質解離剤は、本質的に分解性であり得る。本実施形態の一態様では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約100KDaのカットオフを有することができる。本実施形態の一態様では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約50KDaのカットオフを有することができる。本実施形態の一態様では、加水分解剤はトリプシンであり得る。本実施形態の一態様では、本方法は、少なくとも約1ppmの濃度である宿主細胞タンパク質を検出するように構成することができる。本実施形態の一態様では、濾過ステップは、解離した宿主細胞タンパク質を少なくとも約50倍濃縮する。本実施形態の一態様では、宿主細胞タンパク質の同定は、質量分析計を使用して実施することができる。本実施形態の特定の態様では、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムに結合することができる。本実施形態の別の特定の態様では、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。本実施形態の別の特定の態様では、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。本実施形態の一態様では、本方法は、濾過された宿主細胞タンパク質をタンパク質還元剤に接触させることを更に含むことができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質還元剤はTCEPであり得る。本実施形態の別の態様では、本方法は、濾過された宿主細胞タンパク質をタンパク質アルキル化剤に接触させることを更に含むことができる。本実施形態の特定の態様では、タンパク質アルキル化剤はCAAであり得る。本実施形態の更に別の態様では、本方法は、濾過された宿主細胞タンパク質を遠心分離することを更に含むことができる。
本特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面(複数可)を含む本特許または特許出願公開の複写は、要請かつ必要な料金の支払により特許庁より提供される。
例示的な実施形態による、分子量カットオフ濾過を使用するHCP(宿主細胞タンパク質)同定の実験ワークフローを示す。 NIST標準の直接分解から得られたトータルイオンクロマトグラフィーグラフを示す。 例示的な実施形態による、HCP同定法で処理されたNIST標準から得られたトータルイオンクロマトグラフィーグラフを示す。 例示的な実施形態による、HCP同定法を使用しない場合及び使用する場合の、m/z 546.603+を有する1つのペプチドのXICを示す。 例示的な実施形態による、HCP同定法の前後の、NIST標準におけるストレス誘発性リンタンパク質1からのペプチドLAYINPADLAEEKの標的定量(PRM)を示す。 例示的な実施形態に従って実施されたHCP同定法の重複した実行間で重なったタンパク質及びペプチドを同定するベン図を示す。 例示的な実施形態に従って実施されたHCP同定法の2つの個別の重複した実行におけるタンパク質及びペプチド強度の比較を示す。 例示的な実施形態に従って実施されたHCP同定法、限定分解法、及び2D LC-MS/MS法間の同定比較のベン図を示す。
詳細な説明
最初の治療用モノクローナル抗体(mAb)であるムロモナブCD3(muromona-CD3)は、急性拒絶反応のある臓器移植患者を治療するために1992年にFDAによって承認され、80を超える治療用mAbが臨床使用に承認されて大きな成功を収めている。これらの治療用タンパク質を細胞ベースで製造する際、最終的なタンパク質ベース医薬品が、臨床使用前に細胞からの不純物が許容可能な低レベルであるように高度に精製しなければならない。不純物、特に哺乳類の発現系に由来する宿主細胞タンパク質(HCP)(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞など)は、監視する必要がある。最終原薬中のHCPレベルの一般的なガイドラインは100ppm未満である(John H.Chon&Gregory Zarbis-Papastoitsis,Advances in the production and downstream processing of antibodies,28 New Biotechnology 458-463(2011))。しかしながら、HCPの総不純物が原薬中に低レベルで存在する場合であっても、注射後に毒性または生物学的に活性であり、免疫応答を引き起こす可能性のある特定のHCPについては微量のHCPが許容されない場合がある(J.R.Bierich,Treatment of Pituitary Dwarfism with Biosynthetic Growth Hormone,75 Acta Paediatrica13-18(1986);T.Romer et al.,Efficacy and safety of a new ready-to-use recombinant human growth hormone solution,30Journal of Endocrinological Investigation578-589 (2007);Daniel G.Bracewell,Richard Francis&C.Mark Smales,The future of host cell protein(HCP)identification during process development and manufacturing linked to a risk-based management for their control,112Biotechnology and Bioengineering1727-1737(2015);Saloumeh Kadkhodayan Fischer et al.,Specific Immune Response to Phospholipase B-Like 2 Protein,a Host Cell Impurity in Lebrikizumab Clinical Material,19The AAPS Journal254-263(2016))。また、HCPが、抗体を分解したり、または抗体結合能を変化させたりする能力に関係する場合も、容認できない可能性がある(Nitin Dixit et al.,Residual Host Cell Protein Promotes Polysorbate 20 Degradation in a Sulfatase Drug Product Leading to Free Fatty Acid Particles,105Journal of Pharmaceutical Sciences16571-666(2016);Troii Hall et al.,Polysorbates 20 and 80 Degradation by Group XV Lysosomal Phospholipase A2 Isomer X1 in Monoclonal Antibody Formulations.,105Journal of Pharmaceutical Sciences1633-1642))。したがって、全てのHCPコンポーネントを個別に監視できる方法があることが望ましい場合がある。
従来、ポリクローナル抗HCP抗体を用いた酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)は、HCPの全体的な存在量を定量化するために使用されてきた(Denise C.Krawitz et al.,Proteomic studies support the use of multi-product immunoassays to monitor host cell protein impurities,6Proteomics94-110(2006);Catherine Em Hogwood,Daniel G Bracewell&C Mark Smales,Host cell protein dynamics in recombinant CHO cells,4Bioengineered288-291(2013))。個々のHCPコンポーネントの測定に対する需要をふまえると、ELISAはHCPのレベルを評価するための最終的な解決策ではない可能性がある。更に、一部の弱い、または非免疫原性HCPは、ELISA検出用の抗体を生成しない可能性があるため、これらのHCPは検出できない。
1D/2D-PAGE及び質量分析ベースの分析技術など、HCPを監視するために多くの補完的分析手法が採用されている(Julita K.Grzeskowiak et al.,Two-dimensional fluorescence difference gel electrophoresis for comparison of affinity and non-affinity based downstream processing of recombinant monoclonal antibody,1216Journal of Chromatography A4902-4912(2009);Catalin Doneanu et al.,Analysis of host-cell proteins in biotherapeutic proteins by comprehensive online two-dimensional liquid chromatography/mass spectrometry,4mAbs24-44(2012);Mi Jin et al.,Profiling of host cell proteins by two-dimensional difference gel electrophoresis(2D-DIGE):Implications for downstream process development,105Biotechnology and Bioengineering306-316(2010))。液体クロマトグラフィー結合タンデム質量分析(LC-MS/MS)は、HCP不純物の同定及び定量の両方の手段を同時に提供することもでき、ELISAアッセイを補完する主要なオルトゴナル法として関心が高まってきた。しかしながら、質量分析ベースの方法の主な課題は、質量分析計自体が、圧倒的に高濃度の抗体原薬と混合した際に低濃度のHCPを検出する能力を欠くことであり得る。低ppmレベルのHCPと多量の治療用抗体との間の広いダイナミックレンジ(6桁以上)という問題を克服するために、1つの戦略は、分離効率を高めるために、データ依存型取得またはデータ非依存型取得に加えて、2D-LC及びイオン移動度などの別次元の分離を加えることにより、質量分析の前に共溶出ペプチドを分解することである。ある研究では、Eckerらは、LC-MS/MSを用いて、1桁ppmレベルのHCPの同定を報告し、null株由来のHCPの質量、保持時間、及びフラグメントイオンを含むライブラリを構築した。本方法は感度が高いが、本方法では、特定の生成物とのみ共発現するHCPが失われる可能性がある(Dawn M Ecker,Susan Dana Jones&Howard L Levine,The therapeutic monoclonal antibody market,7mAbs9-14(2014))。別の研究では、イオン移動度を備えた2D-HPLCを使用して10~50ppmのHCPを特定できることが示された(Catalin Doneanu et al.,Analysis of host-cell proteins in biotherapeutic proteins by comprehensive online two-dimensional liquid chromatography/mass spectrometry,4 mAbs 24-44(2012))。しかしながら、2D-LCのサイクル時間は非常に長く、本方法では低レベルのHCP(10ppm未満)分析には十分な感度がない。他の戦略は、アフィニティー精製、限定分解で試料中の抗体を除去したり、またはポリクローナル抗体を用いてHCPを捕捉することによって、HCPを濃縮するための試料調製に焦点を当てている(Lihua Huang et al.,A Novel Sample Preparation for Shotgun Proteomics Characterization of HCPs in Antibodies,89Analytical Chemistry5436-5444(2017);Jenny Heidbrink Thompson et al.,Improved detection of host cell proteins(HCPs)in a mammalian cell-derived antibody drug using liquid chromatography/mass spectrometry in conjunction with an HCP-enrichment strategy,28Rapid Communications in Mass Spectrometry855-860(2014);James A Madsen et al.,Toward the complete characterization of host cell proteins in biotherapeutics via affinity depletions,LC-MS/MS,and multivariate analysis,7mAbs1128-1137(2015))。
既存の方法では、試料中の低濃度のHCP(例えば、0.01~10ppm)を検出する能力がなく、HCPと薬物間のダイナミックレンジが広い(5~8桁)ため、HCP信号が分析でマスクされてしまうことが大きな課題の1つであり得る。
既存の方法の限界を考慮して、HCPを同定するための効果的かつ効率的な方法が開発された。
別段記載されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法及び材料は、実施または試験では使用され得るが、これより特定の方法及び材料が記載される。言及される全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
用語「a」は、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきであり、用語「約」及び「およそ」は、当業者によって理解されるであろう標準的な変動を許容すると理解されるべきであり、範囲が提供される場合、終点が含まれる。
いくつかの例示的な実施形態では、開示されるのは、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定するための方法である。
本明細書で使用される場合、「宿主細胞タンパク質」という用語は、宿主細胞に由来するタンパク質を含み、目的の所望のタンパク質とは無関係であり得る。宿主細胞タンパク質は、製造プロセスから誘導できるプロセス関連の不純物である可能性があり、細胞基質由来、細胞培養由来、及びダウンストリーム由来の3つの主要なカテゴリーを含むことができる。細胞基質由来の不純物には、宿主生物及び核酸(宿主細胞のゲノム、ベクター、または全DNA)に由来するタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。細胞培養由来の不純物には、誘導物質、抗生物質、血清、及び他の培地成分が含まれるが、これらに限定されない。ダウンストリーム由来の不純物としては、酵素、化学的・生化学的処理試薬(例えば、臭化シアノゲン、グアニジン、酸化剤、及び還元剤など)、無機塩類(例えば、重金属、ヒ素、非金属イオンなど)、溶媒、担体、リガンド(例えば、モノクローナル抗体など)、及び他の浸出物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
細胞ベースシステムを使用してタンパク質を製造する際、製品自体を使用前に細胞ベースの不純物から許容レベルまで精製する必要がある。発現システムに由来し得る不純物、発現システムでは、採取のために収集された細胞培養液中に目的のタンパク質が分泌されるだけでなく、宿主細胞タンパク質(複数可)(HCP)、核酸、脂質、及び製品の不純物とともに培地中に放出される可能性がある他の細胞物質もまた分泌される(上記のBracewell参照)。特に、HCPを監視する必要があり、最終製品では、リスクまたは製品劣化の観点から特定のHCPには受け入れられない可能性があり、そうでなければ製品の免疫原性形態の発達につながるおそれがある。ダウンストリーム処理では、分離を使用して、HCPの多様なスペクトルから目的のタンパク質を分離することができる。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックスは、目的のタンパク質を含むことができる。
本明細書で使用される場合、「目的のタンパク質」という用語は、共有結合したアミド結合を有する任意のアミノ酸ポリマーを含む。タンパク質は、当技術分野で「ポリペプチド」として一般に知られている1つまたは複数のアミノ酸ポリマー鎖を含む。「ポリペプチド」は、アミノ酸残基、関連する天然に存在する構造変異体、及びペプチド結合を介して連結されたそれらの合成の天然に存在しない類似体、関連する天然に存在する構造変異体、及びそれらの合成の天然に存在しない類似体から構成されるポリマーを指す。「合成ペプチドまたはポリペプチド」とは、天然に存在しないペプチドまたはポリペプチドを指す。合成ペプチドまたはポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成装置を使用して合成することができる。様々な固相ペプチド合成法が当業者に知られている。タンパク質は、単一の機能する生体分子を形成するために、1つまたは複数のポリペプチドを含み得る。タンパク質には、生物学的療法タンパク質、研究または治療で使用される組換えタンパク質、トラップタンパク質及び他のキメラ受容体Fc融合タンパク質、キメラタンパク質、抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、及び二重特異性抗体のいずれかが含まれ得る。別の例示的な態様では、タンパク質は、抗体フラグメント、ナノボディ、組換え抗体キメラ、サイトカイン、ケモカイン、ペプチドホルモンなどを含むことができる。タンパク質は、昆虫バキュロウイルスシステム、酵母システム(例えば、Pichia種)、哺乳動物システム(例えば、CHO細胞、及びCHO-K1細胞のようなCHO誘導体)などの組換え細胞ベースの産生システムを使用して産生され得る。生物学的療法タンパク質及びその産生について論じているレビューについては、Ghaderi et al.,”Production platforms for biotherapeutic glycoproteins. Occurrence,impact,and challenges of non-human sialylation,”(BIOTECHNOL.GENET.ENG.REV.147-175(2012))を参照のこと。いくつかの例示的な実施形態では、タンパク質は、修飾、付加物、及び他の共有結合された部分を含む。これらの修飾、付加物、及び部分には、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、グリカン(例えば、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、ノイラミン酸、N-アセチルグルコサミン、フコース、マンノース、及び他の単糖)、PEG、ポリヒスチジン、FLAGtag、マルトース結合タンパク質(MBP)、キチン結合タンパク質(CBP)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)myc-エピトープ、蛍光標識、及び他の染料などが含まれる。タンパク質は、組成及び溶解度に基づいて分類でき、したがって、球状タンパク質及び繊維状タンパク質などの単純なタンパク質、核タンパク質、糖タンパク質、ムコタンパク質、色素タンパク質、リンタンパク質、金属タンパク質、及びリポタンパク質などのコンジュゲートタンパク質、ならびに一次誘導タンパク質及び二次誘導タンパク質などの誘導タンパク質を含むことができる。
いくつかの例示的な実施形態では、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体フラグメント、モノクローナル抗体、宿主細胞タンパク質、またはそれらの組み合わせであり得る。
用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、4つのポリペプチド鎖、すなわち、ジスルフィド結合によって相互接続された2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖、ならびにその多量体(例えば、IgM)を含む免疫グロブリン分子を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書でHCVRまたはVと略記される)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメインC1、C2、及びC3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書でLCVRまたはVと略記される)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(C.sub.L1)を含む。V及びV領域は、相補性決定領域(CDR)と称する超可変性の領域に更に細分され得るが、それらは、フレームワーク領域(FR)と称するより保存的な領域内に散在する。各V及びVは、アミノ末端からカルボキシ末端まで次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列された3つのCDR及び4つのFRから構成される。異なる例示的な実施形態では、抗big-ET-1抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であり得るか、または天然もしくは人工的に改変され得る。アミノ酸コンセンサス配列は、2つ以上のCDRの並列分析に基づいて定義することができる。本明細書で使用される「抗体」という用語はまた、完全な抗体分子の抗原結合フラグメントを含む。
本明細書で使用される、抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合フラグメント」などの用語は、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然に存在する、酵素的に得られる、合成の、または遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合フラグメントは、例えば、抗体の可変ドメイン及び任意選択で定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を伴うタンパク質分解または組換え遺伝子操作技術などの任意の適切な標準技術を用いて、完全な抗体分子から誘導され得る。そのようなDNAは、既知であり、及び/または、例えば、商業的供給源、DNAライブラリ(例えば、ファージ抗体ライブラリを含む)から容易に入手可能であるか、または合成することができる。DNAは、化学的に、または分子生物学技術を使用して、例えば、1つもしくは複数の可変及び/または定常ドメインを適切な構成に配置するため、またはコドンを導入するため、システイン残基を作成するため、アミノ酸を修飾、追加、もしくは欠失するなどのために配列決定及び操作することができる。
本明細書で使用する場合、「抗体フラグメント」は、例えば、抗体の抗原-結合または可変領域などのインタクトな抗体の一部を含む。抗体フラグメントの例には、これらに限定されないが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fcフラグメント、scFvフラグメント、Fvフラグメント、dsFvダイアボディ、dAbフラグメント、Fd’フラグメント、Fdフラグメント、及び単離された相補性決定領域(CDR)領域、ならびにトリアボディ、テトラボディ、線状抗体、単鎖抗体分子、及び抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。Fvフラグメントは、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変領域の組み合わせであり、ScFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖の可変領域がペプチドリンカーによって接続されている組換え単鎖ポリペプチド分子である。抗体フラグメントは、様々な手段によって産生され得る。例えば、抗体フラグメントは、インタクトな抗体の断片化によって酵素的または化学的に産生され得、及び/またはそれは、部分的な抗体配列をコードする遺伝子から組換え産生され得る。あるいは、または更に、抗体フラグメントは、全体的または部分的に合成的に産生され得る。抗体フラグメントは、任意選択で、単鎖抗体フラグメントを含み得る。あるいは、または更に、抗体フラグメントは、例えば、ジスルフィド結合によって一緒に連結された複数の鎖を含み得る。抗体フラグメントは、任意選択で多分子複合体を含み得る。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって産生される抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、当技術分野で利用可能または既知の任意の手段によって、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一のクローンから誘導することができる。本開示に有用なモノクローナル抗体は、ハイブリドーマの使用、組み換え、及びファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせを含む、当技術分野で公知の多様な技術を用いて調製することができる。
特定の態様では、目的のタンパク質は、アフリベルセプト、組換えMini-Trap(その例は米国特許第7,279,159号に開示されている)、scFv、及び他の抗VEGFタンパク質からなる群から選択される。好ましい態様では、目的の組換えタンパク質はアフリベルセプトである。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックスは、任意選択で、生成物関連不純物を含むことができる。
本明細書で使用される場合、「生成物関連不純物」(例えば、前駆体、特定の分解生成物)とは、製造及び/または保存中に生じ、活性、有効性、及び安全性に関して所望の産物のものと同等の特性を持たない分子変異体であり得る。このような変異体は、改変(複数可)の種類を同定するために、単離及び特性評価にかなりの労力を必要とする場合がある。生成物関連不純物には、短縮型、修飾型、及びアグリゲートが含まれる。短縮型は、ペプチド結合の切断を触媒する加水分解酵素または化学物質によって形成される。修飾型には、脱アミド化、異性化、ミスマッチのS-S結合、酸化、または改変されたコンジュゲート形態(例えば、グリコシル化、リン酸化)が含まれるが、これらに限定されない。修飾型は、任意の翻訳後修飾型を含んでもよい。アグリゲートには、目的物質の二量体及び高次多量体(multiple)が含まれる。(Q6B Specifications:Test Procedures and Acceptance Criteria for Biotechnological/Biological Products,ICH August 1999,U.S.Dept.of Health and Humans Services)。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックスは、タンパク質製剤であり得る。
本明細書で使用される場合、「タンパク質製剤」という用語は、1つまたは複数の薬学的に許容されるビヒクルと一緒に製剤化される治療用タンパク質を指す。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、治療レジメンでの投与に適切な単位投与量で存在する。いくつかの例示的な実施形態では、製剤は、緩衝剤、増量剤、等張化剤(tonicity modifier)、界面活性剤、可溶化剤、及び保存剤を含むがこれらに限定されない賦形剤を更に含み得る。他の追加の賦形剤も機能に基づいて選択することができ、製剤との適合性は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる Loyd V.Allen,Remington:the science and practice of pharmacy(19版.1995)、John E Hoover、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1975)、及びLyod Allen、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(10版)に見出すことができる。
いくつかの例示的な実施形態では、目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離させることを含み得る。目的のタンパク質からの宿主細胞タンパク質の解離は、タンパク質解離剤を使用して実施することができる。タンパク質解離剤の非限定的な例には、熱、高もしくは低pH、またはカオトロピック剤への曝露が含まれる。タンパク質解離剤として、いくつかのカオトロピック剤を使用することができる。カオトロピック溶質は、水素結合、ファンデルワールス力、及び疎水性効果などの非共有結合力によって媒介される分子内相互作用を妨害することにより、システムのエントロピーを増加させる。カオトロピック剤の非限定的な例には、ブタノール、エタノール、塩化グアニジニウム、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、塩化マグネシウム、フェノール、プロパノール、ドデシル硫酸ナトリウム、チオ尿素、N-ラウロイルサルコシン、尿素、及びそれらの塩が含まれる。一態様では、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離させることは、目的のタンパク質を変性させることを含み得る。別の態様では、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離させることは、宿主細胞タンパク質を変性させることを含み得る。本明細書で使用される場合、「変性」という用語は、分子の三次元形状が、ペプチド結合を破壊することなくその天然状態から変化するプロセスを指す。
いくつかの例示的な実施形態では、目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、分子量カットオフフィルタを使用して解離した宿主細胞タンパク質を濾過することを含み得る。
本明細書で使用される場合、「分子量カットオフフィルタ」という用語は、少なくとも約90%の溶質または既知の分子量(KDa)のタンパク質を保持する能力を有することができるフィルタまたは膜または濾過方法を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約30KDaのカットオフを有することができる。いくつかの他の例示的な実施形態では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約50KDaのカットオフを有することができる。いくつかの更なる例示的な実施形態では、分子量カットオフフィルタは、少なくとも約100KDaのカットオフを有することができる。分子量カットオフフィルタは、例えば、Microcon、Millipore、Centrisart、Sartorius、Amicon Ultra、Millipore、Vivaspin、及びSartoriusなどのいくつかの商業サプライヤから入手できる。分子量カットオフフィルタは、必要とされる分子量カットオフ、動作条件、濾過試料の濃度、または濾過試料の組成に基づいて選択することができる。いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることを含み得る。
いくつかの例示的な実施形態では、目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離することと、解離した宿主細胞タンパク質を分子量カットオフフィルタを使用して濾過することと、濾過した宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることと、を含むことができる。
本明細書で使用される場合、「加水分解剤」という用語は、タンパク質の分解を実行することができる多数の異なる薬剤の任意の1つまたは組み合わせを指す。酵素分解を行うことができる加水分解剤の非限定的な例としては、トリプシン、エンドプロテイナーゼArg-C、エンドプロテイナーゼAsp-N、エンドプロテイナーゼGlu-C、外膜プロテアーゼT(OmpT)、Streptococcus pyogenesの免疫グロブリン分解酵素(IdeS)、キモトリプシン、ペプシン、サーモライシン、パパイン、プロナーゼ、及びAspergillus Saitoi由来のプロテアーゼが挙げられる。非酵素的分解を行うことができる加水分解剤の非限定的な例としては、高温、マイクロ波、超音波、高圧、赤外線、溶媒(非限定的な例としてはエタノール及びアセトニトリル)、固定化酵素分解(IMER)、磁性粒子固定化酵素、及びオンチップ固定化酵素の使用が挙げられる。タンパク質分解に利用可能な技術について論じている最近のレビューについては、Switazar et al.,“Protein Digestion:An Overview of the Available Techniques and Recent Developments”(Linda Switzar,Martin Giera&Wilfried M.A.Niessen,Protein Digestion:An Overview of the Available Techniques and Recent Developments,12Journal of Proteome Research1067-1077(2013))を参照のこと。加水分解剤の1つまたは組み合わせは、配列特異的な方法でタンパク質またはポリペプチドのペプチド結合を切断し、より短いペプチドの予測可能なコレクションを生成することができる。
タンパク質の分解を達成するために、加水分解剤対タンパク質の期間比率、ならびに分解に必要な時間を適切に選択することができる。酵素と基質の比率が不適切に高い場合、それに対応する高い分解率により、ペプチドを質量分析計で分析するのに十分な時間が与えられず、シーケンスカバレッジが損なわれる。一方、E/S比が低いと、分解が長くなり、データ取得時間が長くなる。酵素と基質の比率は、約1:0.5~約1:200の範囲である可能性がある。本明細書で使用される場合、「分解」という用語は、タンパク質の1つまたは複数のペプチド結合の加水分解を指す。適切な加水分解剤を使用して試料中のタンパク質の分解を実行するには、例えば、酵素分解または非酵素分解など、いくつかのアプローチがある。
試料中のタンパク質を分解するために広く受け入れられている方法の1つは、プロテアーゼの使用を伴う。多くのプロテアーゼが利用可能であり、それらのそれぞれは、特異性、効率性、及び最適な分解条件の点で独自の特徴を持っている。プロテアーゼは、ペプチド内の非末端または末端アミノ酸で切断するプロテアーゼの能力に基づいて分類されるように、エンドペプチダーゼ及びエキソペプチダーゼの両方を指す。あるいは、プロテアーゼはまた、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、及びメタロプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、及びスレオニンプロテアーゼの6つの異なるクラスを指し、触媒作用のメカニズムによって分類される。「プロテアーゼ」及び「ペプチダーゼ」という用語は、ペプチド結合を加水分解する酵素を指すために互換的に使用される。
宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることとは別に、本方法は、任意選択で、宿主細胞タンパク質を還元する、宿主細胞タンパク質をアルキル化する、宿主細胞タンパク質を緩衝する、及び/または試料マトリックスを脱塩するためのステップを含むことができる。これらのステップは、必要に応じて任意の適切な方法で実行できる。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、宿主細胞タンパク質をタンパク質還元剤に接触させることを含み得る。
本明細書で使用される場合、「タンパク質還元剤」という用語は、タンパク質中のジスルフィド架橋の還元に使用される薬剤を指す。タンパク質を還元するために使用されるタンパク質還元剤の非限定的な例としては、ジチオスレイトール(DTT)、β-メルカプトエタノール、エルマン試薬、ヒドロキシルアミン塩酸塩、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP-HCl)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質の同定方法は、任意選択的に、宿主細胞タンパク質をタンパク質アルキル化剤に接触させることを含み得る。
本明細書で使用される場合、「タンパク質アルキル化剤」という用語は、タンパク質中の特定の遊離アミノ酸残基をアルキル化するために使用される薬剤を指す。タンパク質アルキル化剤の非限定的な例としては、ヨードアセトアミド(IOA)、クロロアセトアミド(CAA)、アクリルアミド(AA)、N-エチルマレイミド(NEM)、メチルメタンチオスルホネート(MMTS)、及び4-ビニルピリジン、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの例示的な実施形態では、目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離することと、分子量カットオフフィルタを使用して解離した宿主細胞タンパク質を濾過することと、ボトムアップまたはショットガンプロテオミクスアプローチを使用して宿主細胞タンパク質を同定することと、を含み得る。
従来のボトムアップアプローチ実験では、タンパク質を小さなポリペプチドに分解して特性決定することができる。次に、ペプチド混合物を質量分析にかけることができる。ペプチドの同定は、ポリペプチドの断片化に由来する質量スペクトルを、タンパク質のin silico分解から生成された理論上の質量スペクトルと比較することによって更に実行することができる。次に、タンパク質にペプチド配列を割り当てることにより、タンパク質推定が行われる。
一般的なペプチドマッピングワークフローは、タンパク質の変性、システイン残基の還元及びアルキル化、タンパク質分解、ならびにタンデム質量分析(LC-MS/MS)と組み合わせた液体クロマトグラフィーのステップで構成され得る。(Pavel V.Bondarenko et al.,Mass measurement and top-down HPLC/MS analysis of intact monoclonal antibodies on a hybrid linear quadrupole ion trap-orbitrap mass spectrometer,20Journal of the American Society for Mass Spectrometry1415-1424(2009);James H.Bourell et al.,Electrospray Ionization Mass Spectrometry of Recombinantly Engineered Antibody Fragments,66Analytical Chemistry2088-2095(1994);Wei Zhang et al.,Complete disulfide bond assignment of a recombinant immunoglobulin G4 monoclonal antibody,311Analytical Biochemistry1-9(2002);Daniel J.Kroon et al.,Rapid profiling of carbohydrate glycoforms in monoclonal antibodies using MALDI/TOF mass spectrometry,13Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis1049-1054(1995);B.W.Gibson&K.Biemann,Strategy for the mass spectrometric verification and correction of the primary structures of proteins deduced from their DNA sequences.,81Proceedings of the National Academy of Sciences1956-1960(1984);Dirk Chelius,Douglas S.Rehder&Pavel V.Bondarenko,Identification and Characterization of Deamidation Sites in the Conserved Regions of Human Immunoglobulin Gamma Antibodies,77Analytical Chemistry6004-6011(2005);Neil Kelleher,Top-down proteomics;76ANALYTICAL CHEMISTRY197A-203A(2004);Yuan Mao et al.,Top-Down Structural Analysis of an Intact Monoclonal Antibody by Electron Capture Dissociation-Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance-Mass Spectrometry,85Analytical Chemistry4239-4246(2013);Yury O.Tsybin et al.,Structural Analysis of Intact Monoclonal Antibodies by Electron Transfer Dissociation Mass Spectrometry,83Analytical Chemistry8919-8927(2011);Luca Fornelli et al.,Analysis of Intact Monoclonal Antibody IgG1 by Electron Transfer Dissociation Orbitrap FTMS,11Molecular&Cellular Proteomics1758-1767(2012);Catherine A.Srebalus Barnes&Amareth Lim,Applications of mass spectrometry for the structural characterization of recombinant protein pharmaceuticals,26Mass Spectrometry Reviews370-388(2007))。液体クロマトグラフィーと質量分析装置の急速な進歩により、このペプチドマッピング法は、現在、ほぼ完全なシーケンスカバレッジを日常的に生成することができ、したがってモノクローナル抗体の同一性を確認するための効果的なアプローチになっている。
いくつかの例示的な実施形態では、目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離することと、分子量カットオフフィルタを使用して解離した宿主細胞タンパク質を濾過することと、質量分析計を使用して宿主細胞を同定することと、を含み得る。
本明細書で使用される場合、「質量分析計」という用語は、特定の分子種を同定し、それらの正確な質量を測定することができる装置を含む。この用語は、ポリペプチドまたはペプチドが検出及び/または特性決定のために溶出され得る任意の分子検出器を含むことを意味する。質量分析計は、イオン源、質量分析器、及び検出器の3つの主要部分を含むことができる。イオン源の役割は、気相イオンを生成することである。分析対象原子、分子、またはクラスターは、気相に移動し、同時に(エレクトロスプレーイオン化の場合のように)または別々のプロセスでイオン化できる。イオン源の選択は、アプリケーションに大きく依存する。
いくつかの例示的な実施形態では、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。
本明細書で使用される場合、「タンデム質量分析」という用語は、質量選択及び質量分離の複数の段階を使用することによって試料分子に関する構造情報が得られる技術を含む。前提条件は、試料分子を気相に移動してインタクトでイオン化できることと、最初の質量選択ステップの後に、予測可能かつ制御可能な方法で試料分子が崩壊するように誘導できることである。マルチステージMS/MS、またはMSは、意味のある情報を取得できるか、またはフラグメントイオン信号が検出可能である限り、まずプリカーサーイオン(MS)を選択して単離し、それをフラグメント化し、一次フラグメントイオン(MS)を単離し、それをフラグメント化し、二次フラグメント(MS)を単離するなどして実行できる。タンデムMSは、様々な分析器の組み合わせで正常に実行されている。特定のアプリケーションのために組み合わせる分析器は、感度、選択性、及び速度などの様々な要因だけでなく、サイズ、コスト、及び可用性によっても決定することができる。タンデムMSメソッドの2つの主要なカテゴリーは、タンデムインスペースとタンデムインタイムであるが、タンデムインタイム分析器がインスペースで、またはタンデムインスペース分析器と結合されているハイブリッドもある。タンデムインスペース質量分析計は、イオン源、プリカーサーイオン活性化デバイス、及び少なくとも2つの非トラップ型質量分析器で構成される。特定のm/z分離関数は、機器の1つのセクションでイオンが選択され、中間領域で解離され、生成物イオンがm/z分離とデータ取得のために別の分析器に送信されるように設計できる。タンデムインタイムでは、イオン源で生成された質量分析計イオンを、同じ物理デバイス内でトラップ、単離、フラグメント化、及びm/z分離することができる。
質量分析計によって同定されたペプチドは、インタクトなタンパク質及びそれらの翻訳後修飾の代理として使用できる。それらは、実験的及び理論的なMS/MSデータを相関させることにより、タンパク質の特性評価に使用することができ、後者は、タンパク質配列データベース内の可能なペプチドから生成される。特性評価には、タンパク質フラグメントのアミノ酸のシークエンシング、タンパク質シークエンシングの決定、タンパク質de novoシークエンシングの決定、翻訳後修飾の特定、または翻訳後修飾の同定、または比較可能性分析、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「データベース」という用語は、データベース(複数可)内の全ての可能な配列に対して未解釈のMS-MSスペクトルを検索する可能性を提供するバイオインフォマティクスツールを指す。このようなツールの非限定的な例は、Mascot(http://www.matrixscience.com)、Spectrum Mill(http://www.chem.agilent.com)、PLGS(http://www.waters.com)、PEAKS(http://www.bioinformaticssolutions.com)、Proteinpilot(http://download.appliedbiosystems.com//proteinpilot)、Phenyx(http://www.phenyx-ms.com)、Sorcerer(http:// www.sagenresearch.com)、OMSSA(http://www.pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/omssa/)、X!Tandem(http://www.thegpm.org/TANDEM/)、Protein Prospector(http://www.http://prospector.ucsf.edu/prospector/mshome.htm)、Byonic(https://www.proteinmetrics.com/products/byonic)、またはSequest(http://fields.scripps.edu/sequest)である。
いくつかの例示的な実施形態では、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムに結合することができる。
本明細書で使用される場合、「クロマトグラフィー」という用語は、液体または気体によって運ばれる化学的混合物が、静止した液相または固相の周りまたは上を流れるときに、化学物質の異なる分布の結果として成分に分離され得るプロセスを指す。クロマトグラフィーの非限定的な例には、従来の逆相(RP)、イオン交換(IEX)、及び順相クロマトグラフィー(NP)が挙げられる。疎水性相互作用、親水性相互作用、及びイオン相互作用がそれぞれ主要な相互作用モードであるRP、NP、及びIEXクロマトグラフィーとは異なり、混合モードクロマトグラフィーでは、これらの相互作用モードを2つ以上組み合わせて使用できる。高速液体クロマトグラフィー(RRLC)、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)、超高速液体クロマトグラフィー(UFLC)、及びナノ液体クロマトグラフィー(nLC)など、いくつかのタイプの液体クロマトグラフィーを質量分析計で使用できる。クロマトグラフィーの方法及び原理の更なる詳細については、Colin et al.(Colin F.Poole et al.,Liquid chromatography fundamentals and instrumentation(2017))を参照のこと。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、トップダウンプロテオミクスアプローチを使用して宿主細胞タンパク質を同定することを含み得る。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定する方法は、ネイティブMSを使用して宿主細胞タンパク質を同定することを含み得る。
トップダウンプロテオミクスアプローチでは、インタクトなタンパク質を分析できる。トップダウンMSでは、全ての種類のPTM(例えば、リン酸化、タンパク質分解、アセチル化など)及び配列変異体(例えば、変異、多型、代替スプライシングアイソフォームなど)を、先験的な知識がなくても1つのスペクトル(「鳥瞰図」)で同時に検出することで、タンパク質全体の包括的な配列情報を提供することができる(Neil L.Kelleher et al.,Top Down versus Bottom Up Protein Characterization by Tandem High-Resolution Mass Spectrometry,121Journal of the American Chemical Society806-812(1999);B.T.Chait,CHEMISTRY:Mass Spectrometry:Bottom-Up or Top-Down?,314Science65-66(2006);Zachery R.Gregorich&Ying Ge,Top-down proteomics in health and disease:Challenges and opportunities,14Proteomics1195-1210(2014))。
いくつかの例示的な実施形態では、宿主細胞タンパク質は、約4.5~約9.0の範囲のpIを有することができる。一つの例示的な特定の実施形態では、pIは、約4.5、約5.0、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、または約9.0であり得る。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質の種類は、少なくとも2つであり得る。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質の濃度は、約0.05ppmよりも低くすることができる。いくつかの特定の例示的な実施形態では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質の濃度は、約0.05ppm未満、約1ppm未満、約2ppm未満、約3ppm未満、約4ppm未満、約5ppm未満、約10ppm未満、約20ppm未満、約30ppm未満、約40ppm未満、約50ppm未満、約60ppm未満、約70ppm未満、約80ppm未満、約90ppm未満、約100ppm未満、約150ppm未満、約200ppm未満、約250ppm未満、約300ppm未満、約350ppm未満、約200ppm未満、約250ppm未満、約300ppm未満、約350ppm未満、約400ppm未満、約450ppm未満、約500ppm未満、約550ppm未満、約600ppm未満、約650ppm未満、約700ppm未満、約750ppm未満、約800ppm未満、約850ppm未満、約900ppm未満、約950ppm未満、または約1000ppm未満であり得る。
別の例示的な実施形態では、試料マトリックスは、培養細胞培養液(CCF)、採取細胞培養液(HCCF)、プロセス性能適格性評価(PPQ)、ダウンストリーム処理中の任意のステップ、薬液(DS)、または最終的に製剤化された製品を構成する医薬品(DP)などのバイオプロセスの任意のステップから得ることができる。いくつかの他の特定の例示的な実施形態では、試料は、清澄化、クロマトグラフィー精製、ウイルス不活化、または濾過のダウンストリーム処理の任意のステップから選択することができる。いくつかの特定の例示的な実施形態では、医薬品は、診療所、輸送、保管、または取り扱いでは製造された医薬品から選択することができる。
いくつかの例示的な実施形態では、目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質(複数可)を同定するための方法は、適切な温度でN-ラウロイルサルコシンまたはデオキシコール酸ナトリウムまたはその両方を使用して、目的のタンパク質から宿主細胞タンパク質を解離することを含み得る。
いくつかの例示的な実施形態では、宿主細胞タンパク質は、宿主細胞タンパク質を酸性または塩基性のpHに曝露することによって解離させることができる。いくつかの例示的な実施形態では、宿主細胞タンパク質は、宿主細胞タンパク質を酸性のpH、例えば、約0、または約0.5、または約1、または約1.5、または約2、または約2.5、または約3、または約3.5、または約4、または約4.5、または約5、または約5.5、または約6のpHで解離させることができる。1つの例示的な実施形態では 、宿主細胞タンパク質は、例えば、約8、または約8.5、または約9、または約9.5、または約10、または約10.5、または約11、または約11.5、または約12、または約12.5、または約13、または約13.5、または約14のpHで、宿主細胞タンパク質を塩基性pHに曝露することによって解離され得る。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質(複数可)を同定するための方法は、宿主細胞タンパク質をアルキル化することを含み得る。
いくつかの例示的な実施形態では 、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質(複数可)を同定するための方法は、任意選択で、宿主細胞タンパク質を有する溶液を脱塩するステップを含み得る。脱塩は、透析、限外濾過、脱塩クロマトグラフィーカラム、ゲル濾過カラム、遠心限外濾過、またはそれらの組み合わせを使用することによって実施することができる。
いくつかの例示的な実施形態では、本方法は、解離条件下で試料を分解することを更に含むことができる。いくつかの特定の例示的な実施形態では、試料は、加水分解剤を用いて分解することができ、該加水分解剤は、Aspergillus Saitoi由来のプロテアーゼ、エラスターゼ、サブチリシン、プロテアーゼXIII、ペプシン、トリプシン、Tryp-N、キモトリプシン、アスペルギロペプシンI、LysNプロテアーゼ(Lys-N)、LysCエンドプロテイナーゼ(Lys-C)、エンドプロテイナーゼAsp-N(Asp-N)、エンドプロテイナーゼArg-C(Arg-C)、エンドプロテイナーゼGlu-C(Glu-C)、または外膜タンパク質T(OmpT)、Streptococcus pyogenesの免疫グロブリン分解酵素(IdeS)、サーモライシン、パパイン、プロナーゼ、V8プロテアーゼ、またはそれらの生物学的に活性なフラグメントもしくはホモログ、またはそれらの組み合わせから選択することができる。いくつかの例示的な実施形態では、加水分解剤を含む溶液の濃度は、約0.1μg/μL~約100μg/μLであり得る。一実施形態では、溶液の濃度は、約0.1μg/μL、または約0.2μg/μL、または0.5μg/μL、または約1μg/μL、または約2μg/μL、または約3μg/μL、または約4μg/μL、または約5μg/μL、または約10μg/μL、または約15μg/μL、または約20μg/μL、または約25μg/μL、または約30μg/μL、または約35μg/μL、または約40μg/μL、または約45μg/μL、または約50μg/μL、または約60μg/μL、または約70μg/μL、または約80μg/μL、または約90μg/μL、または約100μg/μLであり得る。試料中のタンパク質の濃度は、約0.1μg/μL~約100μg/μLの範囲であり得る。いくつかの例示的な実施形態では、加水分解剤対宿主細胞タンパク質の重量比は、約1:0.1~約1:50の範囲であり得る。例えば、加水分解剤対宿主細胞タンパク質の比率(w/w)は、約1:0.5、または約1:1、または約1:2、または約1:3、または約1:4、または約1:5、または約1:10、または約1:15、または約1:20、または約1:25、または約1:30、または約1:35、または約1:40、または約1:45、または約1:50であり得る。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックスに宿主細胞タンパク質(複数可)を同定するための方法は、分子量カットオフフィルタを使用して宿主細胞タンパク質を濾過することを含み得る。いくつかの特定の例示的な実施形態では、濾過された宿主細胞タンパク質は、解離して濾過され得る。いくつかの他の特定の例示的な実施形態では、濾過された宿主細胞タンパク質は、解離せずに濾過され得る。
いくつかの例示的な実施形態では、分子量カットオフフィルタの分子量フィルタは、約30KDaより大きくなり得る。いくつかの特定の例示的な実施形態では、分子量カットオフフィルタの分子量フィルタは、約30KDa超、約35KDa超、約40KDa超、約45KDa超、約50KDa超、約55KDa超、約60KDa超、約65KDa超、約70KDa超、約75KDa超、約80KDa超、約85KDa超、約90KDa超、約95KDa超、約100KDa超、約110KDa超、約120KDa超、約130KDa超、約140KDa超、約150KDa超、約160KDa超、約170KDa超、約180KDa超、約190KDa超、約200KDa超であり得る。
いくつかの例示的な実施形態では、分子量カットオフフィルタを用いて宿主細胞タンパク質を濾過すると、宿主細胞タンパク質が少なくとも約5倍濃縮される。いくつかの特定の例示的な実施形態では、宿主細胞タンパク質の濃縮は、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約55倍、少なくとも約60倍、少なくとも約65倍、少なくとも約70倍、少なくとも約75倍、少なくとも約80倍、少なくとも約85倍、少なくとも約90倍、少なくとも約95倍、少なくとも約100倍、少なくとも約105倍、少なくとも約110倍、少なくとも約115倍、少なくとも約120倍、少なくとも約125倍、少なくとも約130倍、少なくとも約135倍、少なくとも約140倍、少なくとも約145倍、少なくとも約150倍、少なくとも約155倍、少なくとも約160倍、少なくとも約165倍、少なくとも約170倍、少なくとも約175倍、少なくとも約180倍、少なくとも約185倍、少なくとも約190倍、少なくとも約195倍、または少なくとも約200倍である。
いくつかの例示的な実施形態では、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質(複数可)を同定する方法は、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質を同定することを含み得る。
いくつかの例示的な実施形態では、質量分析計のためのイオン源は、エレクトロスプレー注入セットアップであり得る。他のいくつかの例示的な実施形態では、質量分析器用の質量分析器は、飛行時間(TOF)、磁気/電気セクター、四重極質量フィルタ(Q)、四重極イオントラップ(QIT)、オービトラップ、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)、加速器質量分析(AMS)、またはそれらの組み合わせから選択することができる。一つの例示的な実施形態では、エレクトロスプレー注入セットアップは、質量分析計とオンラインにすることができる。エレクトロスプレー注入セットアップは、エレクトロスプレーエミッター、噴霧ガス、及び/またはESI電源を含み得る。エレクトロスプレーエミッターは、炭素被覆注入チップを持つことができる。ESI電源は、質量分析計の試料オリフィスが0kVのままの状態で、エレクトロスプレーエミッターの炭素被覆注入チップに正/負の電圧を印加することができ、エミッタ内の最終試料と質量分析計の接地オリフィスとの間に強い静電界を発生させ、エレクトロスプレーを発生させる。一つの例示的な実施形態では、正の電圧を、エレクトロスプレーエミッターの炭素被覆注入チップに印加することができる。エレクトロスプレーエミッターの炭素被覆注入チップに印加される正の電圧は、約0.5kV、約1kV、約1.4kV、約2kV、約3kV、または約4kVから選択できる。
いくつかの例示的な実施形態では、質量分析計は、液体クロマトグラフィーに結合することができる。いくつかの特定の例示的な実施形態では、質量分析計は、ナノ液体クロマトグラフィーに結合することができる。いくつかの例示的な実施形態では、液体クロマトグラフィーではタンパク質を溶出するために使用される移動相は、質量分析計と適合性があり得る移動相であり得る。いくつかの特定の例示的な実施形態では、移動相は、酢酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、またはギ酸アンモニウム、またはそれらの組み合わせであり得る。
別の例示的な実施形態では、質量分析計は、ナノスプレーを含むことができる。
いくつかの例示的な実施形態では、質量分析計は、タンパク質を特性決定するためのタンデム質量分析計であり得る。
いくつかの例示的な実施形態では、本方法の検出限界は、少なくとも約0.5ppmであり得る。いくつかの特定の例示的な実施形態では、検出限界は、少なくとも約0.5ppm未満、少なくとも約1ppm未満、少なくとも約2ppm未満、少なくとも約3ppm未満、少なくとも約4ppm未満、少なくとも約5ppm未満、少なくとも約10ppm未満、少なくとも約20ppm未満、少なくとも約30ppm未満、少なくとも約40ppm未満、少なくとも約50ppm未満、少なくとも約60ppm未満、少なくとも約70ppm未満、少なくとも約80ppm未満、少なくとも約90ppm未満、少なくとも約100ppm未満、少なくとも約150ppm未満、少なくとも約200ppm未満、少なくとも約250ppm未満、少なくとも約300ppm未満、少なくとも約350ppm未満、少なくとも約400ppm未満、少なくとも約450ppm未満、少なくとも約500ppm未満、少なくとも約550ppm未満、少なくとも約600ppm未満、少なくとも約650ppm未満、少なくとも約700ppm未満、少なくとも約750ppm未満、少なくとも約800ppm未満、少なくとも約850ppm未満、少なくとも約900ppm未満、少なくとも約950ppm未満、または少なくとも約1000ppm未満であり得る。
いくつかの例示的な実施形態では、分子量カットオフフィルタを使用して宿主細胞タンパク質を濾過するためのステップを含む方法は、分子量カットオフフィルタを使用して宿主細胞タンパク質を濾過するためのステップを含まない方法よりも少なくとも約5倍高い検出限界を有することができる。いくつかの特定の例示的な実施形態では、検出限界は、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約55倍、少なくとも約60倍、少なくとも約65倍、少なくとも約70倍、少なくとも約75倍、少なくとも約80倍、少なくとも約85倍、少なくとも約90倍、少なくとも約95倍、少なくとも約100倍、少なくとも約105倍、少なくとも約110倍、少なくとも約115倍、少なくとも約120倍、少なくとも約125倍、少なくとも約130倍、少なくとも約135倍、少なくとも約140倍、少なくとも約145倍、少なくとも約150倍、少なくとも約155倍、少なくとも約160倍、少なくとも約165倍、少なくとも約170倍、少なくとも約175倍、少なくとも約180倍、少なくとも約185倍、少なくとも約190倍、少なくとも約195倍、または少なくとも約200倍高くなり得る。
本発明が前述の宿主細胞タンパク質(複数可)、加水分解剤(複数可)、タンパク質解離剤(複数可)、タンパク質アルキル化剤(複数可)、同定に使用される機器(複数可)、及び分子量カットオフフィルタ(複数可)、及び任意の宿主細胞タンパク質(複数可)のいずれにも限定されないこと、ならびに任意の宿主細胞タンパク質(複数可)、加水分解剤(複数可)、タンパク質解離剤(複数可)、タンパク質アルキル化剤(複数可)、同定に使用される機器(複数可)、及び分子量カットオフフィルタ(複数可)が任意の好適な手段によって選択され得ること、が理解される。
本明細書に記載されている方法ステップを数字及び/または文字で連続的に表記することは、本方法またはその任意の実施形態を特定の表示された順序に限定することを意味するものではない。
特許、特許出願、公開特許出願、登録番号、技術論文、及び学術論文を含む様々な刊行物を、本明細書全体では引用する。これらの引用文献は、本明細書において、参照により、その全体が、あらゆる目的で援用される。
本開示は、以下の実施例を参照することにより十分に理解され、これらは、本開示をより詳細に説明するために提供される。これらは説明を目的としており、開示の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
材料。全ての化学物質は高純度のものであり、商業的供給源から入手した。LC-MSグレードのクロマトグラフィー溶媒は、Thermo Fisher Scientificから購入した。モノクローナル抗体(以下、mAb1)及びCHOタンパク質をスパイクしたものは、Regeneron(Tarrytown、NY)によって製造された。デオキシコール酸ナトリウム(SDC)、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム(SLS)、及びクロロアセトアミド(CAA)は、Sigma-Aldrich社(St.Louis MO)から購入した。トリス-(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)は、Thermo Fisher Scientificから購入した。NISTモノクローナル抗体標準RM8670は、米国国立標準技術研究所から入手した。
試料前処理とタンパク質分解。治療用抗体は、100mM Tris-HCl、pH8.0に12mMのSDC及び12mMのSLSを含む100μlの変性バッファーに溶解した。変性タンパク質をAmicon ultra-0.5、50KDaフィルタ(Millipore sigma)にローディングし、13,000rpmで8分間遠心分離し、コレクションチューブから抗体枯渇試料を得た。抗体枯渇試料を、10mMのTCEP及び40mMのCAAで、95℃で5分間、還元し、アルキル化した。アルキル化タンパク質を100mMのTris-HCl、pH8.0で5倍に希釈し、酵素とタンパク質の比率を1:20(w/w)で37℃で一晩分解した。分解されたペプチドは、トリフルオロ酢酸(TFA)で最終濃度が1%TFAになるように酸性化し、500μlの酢酸エチルを500μlの分解溶液に添加した。混合物を2分間振盪し、次に13,200rpmで2分間遠心分離して、水相及び有機相を得た。水相を収集し、speedvacによって乾燥させた。乾燥したペプチド混合物を0.1%TFAで再懸濁し、GL-Tip(商標)SDB脱塩チップ(GL science,日本)を使用して脱塩した。
NIST標準直接分解。100μgのNIST標準をspeedvacで乾燥させた後、8M尿素及び10mM DTTを含む20μlの変性/還元バッファーで再構成した。タンパク質を変性し、37℃で30分間還元した後、6μlの50mg/mlヨードアセトアミドと共に暗所で30分間インキュベートした。アルキル化タンパク質を100μlの0.1ug/μlのトリプシンで37℃で一晩分解した。ペプチド混合物を5μlの10%TFAで酸性化した。試料を0.4ug/μlに希釈し、LC-MS/MS分析のために2μlを注入した。
LC-MS/MS分析。ペプチド混合物を10μlの0.1%ギ酸(FA)に溶解し、8μlをultimate nano LC(Thermo Fisher Scientific)に注入した。ペプチドは、25cmカラム(0.075mm)C18カラム(2.0um、100Å)(Thermo Fisher Scientific)で分離した。移動相バッファーは、超純水中の0.1%FA(バッファーA)と、80%ACN中の0.1%FA(バッファーB)で構成され、300nl/分の流速でバッファーBの2%~25%の100分間の直線グラジエントで実施した。ultimate 3000 nanoLCは、Q-Exactive HFX質量分析計(Thermo Fisher Scientific)と接続した。質量分析計は、データ依存モードで動作させ、MSのフルスキャン(m/z 375-1500、分解能120,000)ではAGC 3e6、最大注入時間60msで、MS/MSイベント(m/z 200-2000、分解能30,000)ではAGC 1e5、最大注入時間60msで、最も強い10個のイオンを正規化衝突エネルギー(NCE)27%の高エネルギー衝突解離(HCD)断片化を行った。
PRM分析。試料を8μLの0.1%ギ酸に溶解し、0.5~1ugの試料をultimate 3000 nanoLCシステムに注入した。25cmカラム(0.075mm)C18カラム(2.0um、100Å)を使用して、溶離液を質量分析計に導入した。移動相バッファーは、水中の0.1%ギ酸と、80%ACN(バッファーB)中の0.1%ギ酸(バッファーA)の溶出バッファーで構成されている。LC流速は300nl/分であった。グラジエントは、2~25%バッファーBの100分間の線形グラジエントとして設定した。試料は、Q Exactive HFX(Thermo, Germany)で取得した。各試料は、2m/zの分離ウィンドウで並列反応モニタリング(PRM)の下で分析した。全ての実験では、m/z 200に対して120,000の分解能でのフルマススペクトル(AGCターゲット1e6、最大注入時間60ms、m/z 350~2000)の後に、30,000の分解能でタイムスケジュールされたPRMスキャン(AGCターゲット1e5、最大注入時間100ミリ秒)を行った。高エネルギー衝突解離(HCD)は、27eVの正規化衝突エネルギーで使用した。
治療用抗体は、HCPと比較して比較的大きな分子であり、分子量は約150KDaを有し、ポリペプチド鎖の2つの部分から構成されている。例示的な実施形態による分離スキームが図1に示されている。デオキシコール酸ナトリウムとサルコシン酸ラウロイルカクテルバッファーは、膜タンパク質への溶解性が高いため、もともとは主に膜タンパク質の分解に使用されていた。(Takeshi Masuda,Masaru Tomita&Yasushi Ishihama,Phase Transfer Surfactant-Aided Trypsin Digestion for Membrane Proteome Analysis,7Journal of Proteome Research731-740(2008))。この変性バッファーは、強力な変性剤であるだけでなく、MS分析前に簡単に除去できるため、このメソッドで採用された。ただし、他の変性剤も使用できる。変性後に濾過を適用する場合、抗体の大部分は濾過膜を通過しないが、HCPのほとんどはサイズが小さいため膜を自由に通過する。したがって、変性抗体及びそれに関連するHCPは、それらの分子サイズに基づいて分離された。
実施例1
選択した変性剤の濾過効率を、最も一般的に使用される変性条件である5%酢酸中の尿素で比較した。濾過の前後に、総タンパク質量をNanodrop(Thermo Fisher Scientific)で測定した。1.5mgの抗体試料を5%酢酸中の8M尿素で100K MWカットオフフィルタに通したところ、最終的なペプチド量は150μgと測定され、総タンパク質の改善はほとんど見られなかった。尿素を変性剤として使用した場合、タンパク質を90%除去するだけで、試料の複雑さは大幅に軽減されなかった。総HCPが100ppm未満であったことを考えると、相対抗体レベルは依然として総HCPより少なくとも3桁高かった。対照的に、変性剤であるSDC+SLSカクテルは、濾過効率を大幅に向上させた。SDC+SLSを利用した濾過後、試料量は4μgまで減少し、同定されたタンパク質の数は26に増加した(表1)。全ての抗体を濾過によって除去できると仮定すると、残っているタンパク質はHCPのみであり、その量は約0.15μgとなる。この結果は、この特定の抗体については、100K MWカットオフ膜から逃げるmAbがまだ十分にあることを示唆しており、したがって、mAbのバイパスを更に最小限に抑えるために最適化が必要であった。
Figure 2022528807000002
実施例2
フィルタからのmAbの漏れを制限するために、MWカットオフサイズが50Kのフィルタを評価した。更に、濾過分離に対する遠心分離速度(13,000、7,000rpm)の影響も評価した。合計4つの条件でのこれら2つの要因の影響の結果を表2に示す。速度が13,000rpmの場合は8分が適用され、7000rpmの場合は15分を使用したため、試料の最終的な溶液は同じ量に達した。試料の総量は、4つの条件全てで濾過後に1.5mgから16μg未満に大幅に減少し、このことは濾過による試料除去の約100倍を示す。使用した抗体mAb1の場合、100Kフィルタと比較して、50Kフィルタは1μg未満の最終ペプチド量でかなり多くの抗体をブロックした。50Kフィルタを13,000rpmで8分間が最良の条件であり、高い信頼性で最高の総タンパク質の同定が得られた(表2)。
Figure 2022528807000003
50Kフィルタを使用して13,000rpmで8分間実施される濾過の場合、図2及び図3は、それぞれ濾過前後の試料のトータルイオンクロマトグラフィーを示している。濾過後の試料注入量が同量の場合、濾過された試料のマススペクトルは濾過前のものよりもはるかにクリーンであり(図2及び3)、試料が大幅に減少したことを示している。試料の減少は、個々の抗体ピークのXICプロファイルからも確認できる。例えば、濾過によって処理した試料と比較した場合、濾過なしでm/zが546.603+のピークのXICは、典型的な右側「シャークピン」形状で頂点の保持力が大幅に低下しており、このことは試料の著しい過剰ローディングを示す(図4)。なお、全体の注入量はほぼ同じであるため、濾過法により試料中の抗体が大幅に減少し、抗体は比較的少なく、HCPは多い試料となっている。したがって、HCPの同定が大幅に改善された。
実施例3
濾過プロセスで発生する試料還元または逆HCP濃縮の正確な量を評価するために、並列反応モニタリング(PRM)をターゲットMSアプローチで実行し、濾過法によってHCP濃縮係数を計算した。濾過前後の個々のHCPペプチドと抗体ペプチド(mAb1の場合)の相対量を比較することにより、HCP濃縮係数を計算できる。図5は、1つのHCPペプチド、LAYINPDLAEEKのPRMシグナル変化を示す。シグナルの100倍を超える増加が観察され、抗体をフィルタで除去することにより、相対存在量が14ppmから1628ppmに増加した(図5)。フィルタで抗体の大部分を除去することにより、濾過された溶液の濃度範囲が大幅に減少し、HCPの相対濃度がはるかに高くなり、後続のMS分析で確認できる。
実施例4
HCP同定法の検出限界を評価するために、スパイクイン実験を実施した。0.1~200ppmの範囲の様々な濃度の、11個のCHOタンパク質と1個のヒトタンパク質を含む12個のタンパク質を、非常に低レベルのHCPを持つ1つの精製モノクローナル抗体(mAb1)にスパイクした。MWカットオフフィルタのサイズ影響の評価が行われたため、12個の選択されたタンパク質は、濃度だけでなく、分子量/サイズも、14.6KDaから86.5KDaの範囲で様々であった(表3)。結果は、MWカットオフ濾過が適用されたときにサイズが重要であったことを示した。PLBD2及びヒトPCSK9は、それぞれ65.5KDaと74.3KDaのサイズのタンパク質であり、50KDaのカットオフをはるかに上回っている。50KDaのカットオフ濾過後、両方のタンパク質は検出されなかった。ただし、グルタチオン-S-トランスフェラーゼMu6(86.5KDa)などのより大きな分子の量が非常に多い場合、MWカットオフ分子量よりも高いにもかかわらずタンパク質がフィルタを通過する可能性がある。これはまた、抗体が常にフィルタ遮断に耐えることができる理由を説明することができる。低レベルのスパイクインタンパク質では4つの固有のペプチドを含む0.5ppmの酸性セラミダーゼに対して、1ppmのトランスサイレチンでは1つの固有のペプチドのみが検出された。通常、ショットガンプロテオミクス分析では、小さいサイズのタンパク質は大きいタンパク質よりもはるかに少ないペプチドを生成するため、小さいサイズのタンパク質は検出される可能性が低くなる。このような高い信頼性の同定のもう1つの理由は、酸性セラミダーゼからのいくつかの特定のトリプシンペプチドの高いイオン化効率に寄与し得る。それにもかかわらず、HCP同定法は、濾過法の検出限界が0.5~1ppmの範囲にあることを示している。
Figure 2022528807000004
実施例4
このメソッドの再現性を評価するために、NIST標準を使用した重複実験を実施した。合計で、タンパク質の97%に相当する326個のタンパク質及び94%のペプチドに相当する1118個のペプチドが、両方の実行でそれぞれ同定された(図6)。再現性の高い結果は、HCP研究で重要なタンパク質同定の信頼性が高いことも示している。両方の実行で各ペプチドの相対量を定量化するために、ラベルフリー定量を実施した。本方法を表す0.97を超えるピアソン相関は、ほとんど変動せずに再現性が高くなっている(図7)。
実施例5
他の研究者が利用できない特定のバイオ医薬品のHCPを特性決定するために、多くの強力な質量分析ベースのアプローチが公開されているため、様々な方法で結果を直接比較することはほとんど不可能である。最近、Doneanu et al.(上記)及びHuang et al.(上記)の両方は、NIST抗体標準RM 8670にメソッドを適用し、それぞれ14と59の高信頼性HCPを同定した。直接比較を容易にするために、NIST RM 8670標準でHCPを特性決定するHCP同定法を実施した。164のマウスタンパク質が高い信頼性で同定され(2つ以上のペプチド)、偽陽性率は0.01以下であった。図8に示すように、Doneanu et al.(上記)及びHuang et al.(上記)によってそれぞれ検出された14HCPのうち13、及び59HCPのうち45が同定された。これらのメソッドにより同定されていないタンパク質は、分子量が50KDa超のものか、または曖昧な存在量の少ない標的である(表4)。要約すると、HCP同定法によって同定されたNIST抗体標準の119個のマウスHCPは、以前の2つの研究では報告されていない。その中で、119個のタンパク質のうち38個には、5個を超える固有のペプチドが含まれ、3個以上のペプチドには90個が含まれている。
Figure 2022528807000005
実施例6
NISTでの既知及び新規のHCPの検証は、並列反応モニタリングによって実行された。
HCP同定法によって見出されたターゲットを検証するために、27個の同定されたNIST HCPがランダムに選択され、PRM分析の対象となった。濾過処理の前後でこれらのHCPのペプチドシグナルを比較することにより、これらのタンパク質の検証が提供され、このメソッドの効率が向上した。選択した全てのターゲットは、HCP同定法により2~120倍濃縮されていることが分かった(表5及び6)。表5に、他の2つの研究により同定されたターゲットを列挙する。選択されたターゲットの70%は、直接分解試料で1ppmを超えると測定され、Huang et al.(上記)の結果と一致しており、ターゲットの80%超えが1ppm以上であることが判明した。表6に、HCP同定法のみで検出された新規ターゲットを示す。結果は明らかに劇的に改善された効力を示した。測定されたタンパク質のほとんどは、濾過処理前は0.5ppm未満であった。しかし、濾過後、タンパク質の相対濃度が増加したため、簡単に検出できた。これらの低存在量のタンパク質の有効性の改善は顕著であり、ほとんどが100倍を超え、一部は1000倍の改善が見られる。存在量の少ないターゲットがより多く同定された事実は、本方法の重要な要素であるダイナミックレンジの減少の重要性を示唆している。抗体とそれに関連するHCPによって構成されるダイナミックレンジは、3桁減少し、約8桁から5桁に減少したため、HCP信号が拡大される。
上記の例は、分子量カットオフ濾過の1つのステップと、それに続くショットガンプロテオミクスなどの基本的なプロテオミクスアプローチを適用することにより、目的のタンパク質を有する試料マトリックス内のHCPを特定する簡単かつ強力な方法を示している。この手順は、試料マトリックス内の目的のタンパク質の大部分を除去するために正常に使用できるため、試料マトリックス内のダイナミックレンジが劇的に減少し、存在量の少ないHCPの検出が大幅に向上する。
Figure 2022528807000006
Figure 2022528807000007

Claims (33)

  1. 目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定するための方法であって、
    前記目的のタンパク質から前記宿主細胞タンパク質を解離させることと、
    前記解離した宿主細胞タンパク質を、分子量カットオフフィルタを使用して濾過することと、
    前記濾過された宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることと、
    前記宿主細胞タンパク質を同定することと
    を含む、方法。
  2. 前記タンパク質解離が、タンパク質解離剤を使用して実施される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記濾過された宿主細胞タンパク質をタンパク質還元剤に接触させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記濾過された宿主細胞タンパク質をタンパク質アルキル化剤に接触させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記濾過された宿主細胞タンパク質を遠心分離することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記宿主細胞タンパク質を約13000rpmで約8分間遠心分離することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記目的のタンパク質が抗体である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記目的のタンパク質が治療用抗体である、請求項1に記載の方法。
  9. ステップ(c)の前記宿主細胞タンパク質の同定が、質量分析計を使用して実施される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記質量分析計が、液体クロマトグラフィーシステムに結合されている、請求項9に記載の方法。
  11. 前記液体クロマトグラフィーシステムが、ナノ液体クロマトグラフィーシステムである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記質量分析計がタンデム質量分析計である、請求項9に記載の方法。
  13. 前記タンパク質解離剤がデオキシコール酸ナトリウムを含む、請求項2に記載の方法。
  14. 前記タンパク質解離剤がN-ラウロイルサルコシンを含む、請求項2に記載の方法。
  15. 前記タンパク質加水分解剤がトリプシンである、請求項1に記載の方法。
  16. 前記タンパク質還元剤がTCEPである、請求項3に記載の方法。
  17. 前記タンパク質アルキル化剤がCAAである、請求項4に記載の方法。
  18. 前記分子量カットオフフィルタが約100KDaのカットオフを有する、請求項1に記載の方法。
  19. 前記分子量カットオフフィルタが約50KDaのカットオフを有する、請求項1に記載の方法。
  20. 前記タンパク質解離剤が分解性である、請求項1に記載の方法。
  21. 前記宿主細胞タンパク質の検出限界が少なくとも約1ppmである、請求項1に記載の方法。
  22. 前記濾過ステップが、前記解離した宿主細胞タンパク質を少なくとも約50倍濃縮する、請求項1に記載の方法。
  23. 宿主細胞タンパク質の検出限界が、分子量カットオフフィルタを使用して前記解離した宿主細胞タンパク質を濾過するためのステップを含まない別の方法の検出限界よりも少なくとも約5倍優れている、請求項1に記載の方法。
  24. 目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定するための方法であって、
    前記目的のタンパク質から前記宿主細胞タンパク質を解離させることと、
    前記解離した宿主細胞タンパク質を、分子量カットオフフィルタを使用して濾過することと、
    前記宿主細胞タンパク質を同定することと
    を含む、方法。
  25. 前記濾過ステップが、前記解離した宿主細胞タンパク質を少なくとも約50倍濃縮する、請求項25に記載の方法。
  26. 前記宿主細胞タンパク質の同定が、質量分析計を使用して実施される、請求項25に記載の方法。
  27. 目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定するための方法であって、
    前記目的のタンパク質から前記宿主細胞タンパク質を、タンパク質解離剤を使用して解離させることと、
    前記解離した宿主細胞タンパク質を、分子量カットオフフィルタを使用して濾過することと、
    前記宿主細胞タンパク質を同定することと
    を含む、方法。
  28. 目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定するための方法であって、
    前記目的のタンパク質から前記宿主細胞タンパク質を、タンパク質解離剤を使用して解離させることと、
    前記解離した宿主細胞タンパク質を、分子量カットオフフィルタを使用して濾過することと、
    前記宿主細胞タンパク質を質量分析計を使用して同定することと
    を含む、方法。
  29. 目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定するための方法であって、
    前記目的のタンパク質から前記宿主細胞タンパク質を、タンパク質解離剤を使用して解離させることと、
    前記解離した宿主細胞タンパク質を分子量カットオフフィルタを使用して濾過することであって、前記濾過が、前記解離した宿主細胞タンパク質を少なくとも約50倍濃縮する、前記濾過することと、
    前記宿主細胞タンパク質を同定することと
    を含む、方法。
  30. 目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定するための方法であって、
    前記目的のタンパク質から前記宿主細胞タンパク質を、タンパク質解離剤を使用して解離させることと、
    前記解離した宿主細胞タンパク質を分子量カットオフフィルタを使用して濾過することであって、前記濾過が、前記解離した宿主細胞タンパク質を少なくとも約50倍濃縮する、前記濾過することと、
    前記宿主細胞タンパク質を質量分析計を使用して同定することと
    を含む、方法。
  31. 目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定するための方法であって、
    前記目的のタンパク質から前記宿主細胞タンパク質を、タンパク質解離剤を使用して解離させることと、
    前記解離した宿主細胞タンパク質を分子量カットオフフィルタを使用して濾過することであって、前記濾過が、前記解離した宿主細胞タンパク質を少なくとも約50倍濃縮する、前記濾過することと、
    前記濾過された宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることと、
    前記宿主細胞タンパク質を質量分析計を使用して同定することと
    を含む、方法。
  32. 試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定するための方法であって、
    前記宿主細胞タンパク質を有する前記試料マトリックスをタンパク質解離剤に接触させることと、
    前記解離した宿主細胞タンパク質を、分子量カットオフフィルタを使用して濾過することと、
    前記濾過された宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることと、
    前記宿主細胞タンパク質を同定することと
    を含む、方法。
  33. 試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を同定するための方法であって、
    前記宿主細胞タンパク質及び目的のタンパク質を有する前記試料マトリックスをタンパク質解離剤に接触させることであって、前記タンパク質解離剤が、前記目的のタンパク質を変性させる、前記接触させることと、
    前記宿主細胞タンパク質を、分子量カットオフフィルタを使用して濾過することと、
    前記濾過された宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させることと、
    前記宿主細胞タンパク質を同定することと
    を含む、方法。
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