JP2022523647A - アレルゲンエキスの精製法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、半精製及び精製アレルゲンエキスの製造法ならびにアレルギーの診断及び治療に使用するための医薬組成物及びワクチンに関する。本発明の一側面において、脱色アレルゲンエキスの製造法を提供する。該方法は、a)天然アレルゲンエキスを塩基性化し;そしてb)3.5kDa未満の分子サイズを有する分子を除去し;そしてc)pHを中性に調整することにより、脱色アレルゲンエキスを製造することを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、半精製及び精製アレルゲンエキスの製造法ならびにアレルギーの診断及び治療に使用するための医薬組成物及びワクチンに関する。
アレルギーは免疫系の後天的過敏性障害で、アレルゲンとして知られる無害の環境物質への暴露が引き金となる。I型過敏反応はアレルギー反応に特徴的で、過剰な量のIgE抗体の産生をもたらし、これが炎症反応を引き起こす好塩基球及びマスト細胞を活性化する。その作用は、血管拡張、粘液分泌、神経刺激又は平滑筋収縮など全身的でアナフィラキシー反応を引き起こすこともあれば、又は例えば呼吸器系など、身体の特定領域に限定されることもある。
オオアワガエリ(Phleum pratense)
草アレルギーは、感作者が特定の季節に罹患する最もありふれた一般的なアレルギーの形態の一つである。晩春から初夏にかけての数ヶ月間、草の花粉が大気中に存在し、これがアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎及び喘息を引き起こしうる。草地に座ったり芝刈りをしたりして皮膚が草に直接触れても、皮膚の痒み、蕁麻疹性及びアトピー性皮膚炎を引き起こすことがある。草の最も代表的な種の一つはオオアワガエリ(Phleum pratense)である。少なくとも9種類の異なるアレルゲンがオオアワガエリの種で同定されている。すなわち、Phl p 1(27kDaのベータ-エクスパンシン(Beta-expansin));Phl p 2(10-12kDの草グループII/III(Grass group II/III));Phl p 4(55kDaのタンパク質)、Phl p 5(32kDa)、Phl p 6(11kDa)、Phl p 7(6kDaのカルシウム結合タンパク質)、Phl p 11(20kDaのOle e 1関連タンパク質)、Phl p 12(14kDaのプロフィリン、及びPhl p 13(55kDaのポリガラクツロナーゼ)である。
オリーブ(Olea europaea)
地中海地方ではオリーブの木の栽培が盛んなため、オリーブ花粉症が重要な健康問題である。オリーブの木は大量の花粉を大気中に飛散させる。現在、オリーブ(O. europaea)由来の12種類のアレルゲンがWHO/IUISアレルゲン命名分科委員会(Allergen Nomenclature Sub-Committee)によって記載されている。11種類は花粉由来で、1種類(タウマチン、Ole e 13としても知られる)はオリーブ果実由来の食物アレルゲンである。Ole e 1は主要アレルゲンで、70%を超えるオリーブ花粉感作患者によって認識される。その他のアレルゲンは、プロフィリン(Ole e 2)、ポルカルシン(Ole e 3及びOle e 8)、グルカナーゼ(Ole e 4及びOle e 9)、スーパーオキシドジスムターゼ(Ole e 5)、脂質転移タンパク質(Ole e 7)、グリコシルヒドロラーゼ(Ole e 10)、ペクチンメチルエステラーゼ(Ole e 11)及びOle e 6などである。
ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)
ダニは、世界中、特に湿度と温度がそれらの発生に好適な地域で主要な感作源である。現在、チリダニ科(Pyroglyphidae family)に属するイエダニ(HDM,house dust mite)が屋内に生息する最も多いダニであるので、主要な屋内アレルゲン源である。ヤケヒョウヒダニ(D. pteronyssinus)では19種類のアレルゲンがWHO/IUISアレルゲン命名分科委員会によって記載されている。そのうちの9種類はプロテアーゼで、アレルゲン性に関連する活性を有している。最も重要なアレルゲンはDer p 1(25kDaのシステインプロテアーゼ)及びDer p 2(NPC2ファミリーの14kDaタンパク質)である。
アレルギー患者は、症状を軽減し、症状のピークを制御するために薬物で治療されることもあれば又は特異的免疫療法で治療されることもある。しかしながら、特異的免疫療法は疾患の過程を変更できる能力を有する唯一の治療法である。特異的免疫療法(SIT)は、免疫寛容の誘導を目的として、アレルゲンエキスの用量を漸進的に増加させながら投与することを含む。アレルゲン免疫療法は、アレルギー反応によって誘導される症状を緩和するというより、アレルゲンに対する免疫応答を調節するので、投薬の必要性の低減、症状の重症度の軽減、又は過敏性の完全排除、のいずれかが可能となる。
免疫療法のリスクの一つは、感作患者へのアレルゲン注入がアレルギー反応又はアナフィラキシーを引き起こす可能性があることである。20世紀初頭にそれが最初に使用されて以来、アレルゲン免疫療法の安全性と有効性をさらに改良するために多くの努力がなされてきた。一つの手法はアレルゴイドの開発で、これはアレルゲン性を低減しながら免疫原性は維持するアレルゲンワクチンを使用するものである。
欧州特許EP 0 662 080(CBF LETI SA)に、アレルゲンエキスを精製し、最終的なアレルゲン/タンパク質含量を増加させるために、物質及びその他の低分子量物質を除去するための方法が開示されている。この方法は、非アレルゲン性化合物をアレルゲン活性タンパク質から引き離すような条件下で、静電気力、疎水性力、又はその他の物理的な力を分断することからなる。この方法は、pHを各アレルゲンタンパク質のpI未満に低下させることによる弱酸処理からなりうる。
アレルゲン性を低減する様々な方法の一つは、天然アレルゲンエキスを、アルデヒド、主にホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドで化学修飾して、アレルゴイドを製造することからなる。このアルデヒド処理は、アレルゲン性の一部を喪失し(すなわち、IgE反応性B細胞エピトープの減少を示す)、アレルギー性副作用の少ない反応生成物(主にポリマー)をもたらす。同時に、アレルゲンの天然の免疫原性は保持される。このアレルゲン修飾経路は、一部のアレルゲンワクチン製造業者によって選択され、この原理に基づいた市販製品が開発されている。
欧州特許第0 662 080号
しかしながら、アレルゲンの精製法を最適化して、低分子量タンパク質、刺激物及び有毒成分を確実に除去することにより、アレルギー性疾患の免疫療法に使用するための安全で有効な医薬を得るための更なる方法を見出すことには今なお関心が持たれている。
発明者らは、塩基を用いてアレルゲンエキスを脱色(depigmenting)すると、エキスのタンパク質含量が増加すると共に、主要アレルゲン含量及び生物学的効力も増大できることを見出した。
本発明の第一の側面に従って、脱色アレルゲンエキスの製造法を提供する。該方法は、
a)天然アレルゲンエキスを塩基性化し;そして
b)3.5kDa未満の分子サイズを有する分子を除去し;そして
c)pHを中性に調整する
ことを含み、それによって脱色アレルゲンエキスを製造する。
前記方法はさらに、
d)脱色アレルゲンエキスをアルデヒドと接触させ;そして
e)100kDa未満の分子サイズを有する分子を除去する
ことを含む重合工程を含むこともでき、それによって脱色重合アレルゲンエキスを製造する。
本発明の第二の側面に従って、本発明の第一の側面の方法に従って得ることができる脱色アレルゲンエキスを提供する。
本発明の第三の側面に従って、本発明の第一の側面の方法に従って得ることができる脱色重合アレルゲンエキスを提供する。
本発明の更なる側面に従って、アレルギーの治療における活性治療物質として使用するための精製アレルゲンエキスを提供する。
定義
“アレルゲン”は、IgE応答及び/又はI型アレルギー反応を誘導できる分子と定義できる。
用語“天然アレルゲンエキス”は、原料物質から抽出された後、非結合低分子量成分を除去するために処理されたアレルゲンエキスを意味する。
本明細書において参照(言及)されている用語“脱色アレルゲンエキス”は、天然アレルゲンエキスから、吸着色素を含めアレルゲンタンパク質に結合されたアレルギー的に無関係な物質を除去することによって得られた半精製アレルゲンエキスと定義できる。
本明細書において参照(言及)されている用語“脱色重合アレルゲンエキス”は、<100kDaのタンパク質バンドが非還元SDS-PAGEによって検出できない、そして脱色アレルゲンエキスを重合することによって得られる精製アレルゲンエキスと定義できる。
本発明のアレルゲンエキスは、個体にIgE媒介免疫反応を引き起こすことが知られている天然アレルゲンを含む任意の原料物質から誘導される。そのようなアレルゲンは、空中浮遊(air-borne)アレルゲン(例えば、草、樹木、薬草及び雑草由来の花粉、チリダニ、菌類及びカビ)、食物アレルゲン(例えば落花生)、昆虫アレルゲン(例えば、ゴキブリ及びノミ、ならびにハナバチ(bee)及びカリバチ(wasp)の毒由来)、及び上皮アレルゲン(獣毛及び動物の鱗屑、例えばネコ及びイヌのフケ)などを含みうる。
原料物質は、食物アレルゲン(例えば落花生)、空中浮遊アレルゲン(例えば、花粉(樹木の花粉、雑草の花粉、草の花粉、及び穀草の花粉など)、チリダニ、菌類、及びカビ)、上皮アレルゲン(獣毛及び動物の鱗屑、例えば、ネコの毛及びフケ、ならびにイヌの毛及びフケ)、及び昆虫アレルゲン(例えば、ゴキブリ及びノミ、ならびにハナバチ及びカリバチの毒由来)などを含む任意のアレルゲンでありうる。
樹木、草及び雑草由来の花粉アレルゲンは、分類学上の目のグループ、ブナ目(Fagales)(例えばハンノキ属(Alnus)及びカバノキ属(Betula))、シソ目(Lamiales)(例えばオリーブ属(Olea)及びオオバコ属(Plantago))、イネ目(Poales)(例えばオオアワガエリ(Phleum pratense))、キク目(Asterales)(例えばブタクサ属(Ambrosia)及びヨモギ属(Artemisia))、ナデシコ目(Cayophyllales)(例えばアカザ属(Chenopodium)及びオカヒジキ属(Salsola))、バラ目(Rosales)(例えばヒカゲミズ属(Parietaria))、ヤマモガシ目(Proteales)(例えばスズカケノキ属(Platanus))などから誘導される。チリダニは、コナダニ亜目(Astigmata)(例えばヒョウヒダニ属(Dermatophagoides)及びシワチリダニ属(Euroglyphus))の目グループに属する。カビ及び菌類に由来する空中浮遊アレルゲンは、プレオスポラ目(Pleosporales)(例えばアルテルナリア属(Alternaria))、カプノジウム目(Capnodiales)(例えばクラドスポリウム属 (Cladosporium))に属する。
空中浮遊アレルゲンは、樹木の花粉(ヨーロッパハンノキ(Alnus glutinosa)、シラカバ(Betula alba)、セイヨウハシバミ(Corylus avellana)、アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica)、オリーブ(Olea europaea)、スズカケノキ属(Platanus sp))、草の花粉(ギョウギシバ(Cynodon dactylon)、カモガヤ(Dactylis glomerata)、オニウシノケグサ(Festuca elatior)、シラゲガヤ(Holcus lanatus)、ホソムギ(Lolium perenne)、オオアワガエリ(Phleum pratense)、ヨシ(Phragmites communis)、ナガハグサ(Poa pratensis))、雑草の花粉(ブタクサ(Ambrosia elatior)、オウシュウヨモギ(Artemisia vulgaris)、シロザ(Chenopodium album)、カベイラクサ(Parietaria judaica)、ヘラオオバコ(Plantago lanceolata)、ノハラヒジキ(Salsola kali))及び穀草の花粉(エンバク(Avena sativa)、オオムギ(Hordeum vulgare)、ライムギ(Secale cereale)、パンコムギ(Triticum aestivum)、トウモロコシ(Zea mays))、チリダニ(コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、デルマトファゴイデス・ミクロセラス(Dermatophagoides microceras)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)、シワチリダニ(Euroglyphus maynei))、貯蔵庫ダニ (アシブトコナダニ(Acarus siro)、ネッタイタマニクダニ(Blomia tropicalis)、サヤアシニクダニ(Lepidoglyphus destructor)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、イエニクダニ(Glycyphagus domesticus)、コルトグリファス・アルクアツス(Chortoglyphus arcuatus))ならびに菌類及びカビ(アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus))の群から選ばれうる。
上皮アレルゲンは、ネコの毛及びフケ、イヌの毛及びフケ、ウマの毛及びフケ、ヒトの毛及びフケ、ウサギの毛及びフケ、ラットの毛及びフケ、マウスの毛及びフケ、モルモットの毛及びフケならびに羽毛を含む任意の動物から選ばれうる。
節足動物アレルゲンは、昆虫、例えば、アリ、ノミ、ゴキブリ、カリバチ及びハナバチの毒、又はダニ(アシブトコナダニ、ネッタイタマニクダニ、コナヒョウヒダニ、デルマトファゴイデス・ミクロセラス、ヤケヒョウヒダニ、シワチリダニ、サヤアシニクダニ、ケナガコナダニ及びコルトグリファス・アルクアツス)から選ばれうる。
花粉アレルゲンは塩基処理に特に良く応答する。花粉アレルゲンは、樹木の花粉、雑草の花粉、草の花粉及び穀草の花粉などで、分類学上の目のグループ、ブナ目(例えばハンノキ属及びカバノキ属)、シソ目(例えばオリーブ属及びオオバコ属)、イネ目(例えばオオアワガエリ)、キク目(例えばブタクサ属及びヨモギ属)、ナデシコ目(例えばアカザ属及びオカヒジキ属)、バラ目(例えばヒカゲミズ属)、ヤマモガシ目(例えばスズカケノキ属)などから誘導される。
一態様において、アレルゲンエキスは花粉である原料物質から誘導される。花粉は、オオアワガエリ、オリーブ及びシラカバ(シダレカンバ(pendula))から選ばれうる。
さらに好ましくは、原料物質は、落花生(Arachis hypogaea)、花粉(オオアワガエリ、オリーブ及びシラカバ(シダレカンバ))、ダニ(ヤケヒョウヒダニ)、及び上皮(ネコのフケ)から選ばれる。
本発明の好適な態様において、原料物質は、花粉(オオアワガエリ、オリーブ及びシラカバ(シダレカンバ))及びダニ(ヤケヒョウヒダニ)から選ばれる。
さらに詳しくは、原料物質は、オオアワガエリ、オリーブ及びシラカバ(シダレカンバ)から選ばれる。
本発明のさらに好適な態様において、原料物質はオオアワガエリである。
あるいは、原料物質はオリーブである。
あるいは、原料物質はヤケヒョウヒダニである。
天然アレルゲンエキスを製造するための一つの方法を以下に記載するが、天然アレルゲンエキスを得るための他の適切な方法は当業者には公知であり、本発明の脱色法における出発物質として使用できることは理解されるであろう。
原料物質から天然アレルゲンエキスを得るための方法は、
i)原料物質又は第一の原料物質残渣を液体アレルゲン抽出剤と接触させて、液相中に溶解されたアレルゲンと第二の原料物質残渣を含む固相との第二の混合物を製造し;
ii)第二の混合物を第二の分離工程に付して、液相中に溶解されたアレルゲンを単離し、粗アレルゲンエキスを製造し;
iii)粗アレルゲンエキスを低分子画分除去工程に付して、1~10kDa未満、好ましくは3.5kDa未満のサイズを有する分子を3~10℃で除去し;
iv)工程iii)を、3~10℃で、アレルゲンエキスが室温での測定で900μS/cm未満の導電率を有するまで実施して、天然アレルゲンエキスを得る
ことを含みうる。
原料物質は最初に、液体アレルゲン抽出剤との接触のために最大表面積を生じるように処理されてもよい。原料物質は、液体抽出のための均一スラリーを製造するために、ホモジナイズ、ブレンド、粉砕、又は粉末化することができる。
場合によっては、予備的脱脂工程が必要になることもある。その工程は、
i)アレルゲンを含む原料物質を液体脂質抽出剤と接触させて、液相中に溶解された脂質と、アレルゲン及びタンパク質を含む第一の原料物質残渣からなる固相とを含有する第一の混合物を製造し;そして
ii)第一の混合物を第一の分離工程に付して、第一の原料物質残渣を単離する
ことを含みうる。
予備的脱脂工程は、原料物質が、花粉、上皮、又は食物、例えば落花生などのナッツである場合に必要となりうる。脂質抽出、又は“脱脂”工程は、原料物質から脂質及び脂肪酸などの親油性化合物を除去する。
液体脂質抽出剤は、アセトン、エーテル、又は類似溶媒で、これらは低温でありうる。好ましくは、液体脂質抽出剤はアセトンである。脂質抽出工程は、原料物質と液体脂質抽出剤の比率が1:1の重量比、又は液体脂質抽出剤の重量が原料物質の重量を超える任意の比率、例えば、1:2、1:3、1:5、1:10で実施できる。脂質抽出工程は、好ましくは、2Lの液体脂質抽出剤に対し1kgの原料物質の比率で実施される。脂質抽出工程は、好ましくは、原料物質中の脂質が液体脂質抽出剤中に溶解するのに足る十分な時間実施され、それらは、1分を超える時間、好ましくは5分を超える時間、さらに好ましくは30分を超える時間、最も好ましくは1時間以上でありうる。液体抽出工程は、2~25℃の温度で実施できるが、好ましくは2~6℃、さらに好ましくは3~5℃の低温で実施される。脂質抽出工程中、原料物質は好ましくは液体脂質抽出剤と共に撹拌又はかき混ぜられる。
第一の分離工程は、当業者に公知の任意の適切な分離工程でよい。例えば、第一の分離工程はろ過又は任意のその他の適切な方法でありうる。
第一の分離工程後、原料物質残渣は液体脂質抽出剤で洗浄できる。任意に、第一の原料物質残渣は液体脂質抽出剤でさらに抽出された後、分離されてもよい。好ましくは、1回、2回又はそれ以上の更なる脂質抽出工程が実施される。液体抽出剤のろ過はそれが透明になるまで反復できる。当業者に公知の他の適切な分離法も使用できる。
脂質の抽出及び分離後、原料物質残渣は乾燥できる。原料物質残渣は2~25℃、好ましくは室温で乾燥できる。乾燥工程は、好ましくは、液体脂質抽出剤が原料物質残渣から除去できる十分な時間継続される。それは、1~24時間、6~18時間でありうるが、乾燥は好ましくは少なくとも12時間である。
アレルゲンは、(“脱脂された”)第一の原料物質残渣から、液体アレルゲン抽出剤による抽出で、液相中に溶解されたアレルゲンを含む粗アレルゲンエキスと“不要な”非アレルゲン性残渣からなる固相を生成することによって得ることができる。液体アレルゲン抽出剤は水溶液であり得、好ましくは緩衝剤を含む。液体アレルゲン抽出剤は、PBS及び/又はNaClを含みうる。例えば、それは、0.01MのPBS/0.15MのNaClの水溶液、又は炭酸水素アンモニウム((NH)HCO)及び/又はNaClの水溶液、例えば0.125Mの(NH)HCO/0.15MのNaClの水溶液でありうる。第一の原料物質残渣は、液体アレルゲン抽出剤の重量が第一の原料物質残渣の重量を超える任意の比率、例えば、1:2、1:3、1:5、1:10、1:20、1:50、1:80の重量比の液体アレルゲン抽出剤中に抽出されうる。好ましくは、第一の原料物質残渣は、第一の原料物質残渣:液体アレルゲン抽出剤の重量比が1:10の液体アレルゲン抽出剤中に抽出される。第一の原料物質残渣の液体アレルゲン抽出剤に対する比率は変動しうるが、第一の原料物質残渣中のアレルゲンが液体アレルゲン抽出剤に溶解できるようなものであるべきである。液体アレルゲン抽出剤による第一の原料物質残渣の抽出は、好ましくは、第一の原料物質残渣中のアレルゲンが液体アレルゲン抽出剤中に溶解するのに足る時間実施される。それは30分~12時間、好ましくは1~6時間、さらに好ましくは2~5時間、最も好ましくはおよそ4時間でありうる。アレルゲン抽出工程は2~25℃で実施できるが、好ましくは2~6℃、さらに好ましくは3~5℃の低温で実施される。アレルゲン抽出工程中、第一の原料物質残渣は好ましくは液体アレルゲン抽出剤と共に撹拌又はかき混ぜられる。
アレルゲン抽出工程後、液相中に溶解されたアレルゲンは、第二の原料物質残渣から分離されて、粗アレルゲンエキスを生成できる。分離工程は好ましくは遠心分離であるが、液体から固体を分離するための多くの技術が適用可能で、これらは当業者に周知である。好ましくは、液相中に溶解されたアレルゲンは、2~6℃、好ましくは3~5℃で、原料物質残渣がペレットとして沈降するのに足る時間、例えば、1分~1時間、又は1時間を超えて遠心分離される。粗アレルゲンエキス(すなわち溶解アレルゲンを含有する上清)は2~6℃で貯蔵できる。第二の原料物質残渣ペレットは、第一のアレルゲン抽出工程と同じ条件を用いて、好ましくはより長い抽出時間、例えば、4~8時間、8~12時間、又は12時間を超える時間、液体アレルゲン抽出剤でさらに抽出されてもよい。第二のアレルゲン抽出工程後、液相中に溶解されたアレルゲンは、第二の原料物質残渣から分離されて、粗アレルゲンエキスを生成できる。第一及び第二のアレルゲン抽出工程からの粗アレルゲンエキスは好ましくは更なる処理のためにプールされる。
粗アレルゲンエキスは、例えば孔径0.45μmを用いてろ過できる。粗アレルゲンエキスは低分子画分除去工程に付されて、塩及びその他の非アレルゲン性化合物のような低分子サイズを有する分子を除去できる。工程iii)で、1~10kDa未満、好ましくは3.5kDa未満の分子サイズを有する分子が除去できる。低分子画分除去工程は、好ましくは、3~10℃、好ましくは3~5℃で、アレルゲンエキスの導電率が900μS/cm未満、又は800μS/cm未満、又は700μS/cm未満、又は600μS/cm未満、又はさらに好ましくは500μS/cm未満(室温での測定)になるまで継続される。
得られた天然アレルゲンエキスは、例えば孔径0.45及び/又は0.22μmを用いてろ過できる。
天然アレルゲンエキスは、標準化、診断、合成及びワクチン接種目的のための医薬組成物又はワクチンの製造に使用できる。
本発明において、天然アレルゲンエキスは、本明細書中に記載される脱色法の出発物質として使用される。
本発明は、アレルゲン/タンパク質に付着している非アレルゲン性化合物を、その非アレルゲン性化合物がタンパク質に付着している原因となっている静電気力、疎水性力、又はその他の物理的な力を分断する手段を用いて除去して脱色エキスを製造するという、塩基性化処理を含む脱色法を提供する。
塩基性化処理は、
a)天然アレルゲンエキスを塩基性化し;
b)3.5kDa未満の分子サイズを有する分子を除去し;そして
c)pHを中性に調整して、脱色アレルゲンエキスを製造する
ことを含む。
塩基性化処理は、弱塩基処理又は強塩基処理のいずれかを含む。塩基処理で、アレルゲン/タンパク質のpHは、少なくともpH7、例えばpH値7~11に上昇しうる。アレルゲンタンパク質の好適なpHは、7~10、さらに好適には7~8である。11より高いpH値は、脱色アレルゲンエキスのタンパク質プロフィールを不完全なものにし、中性pH、例えばpH6は、得られる脱色アレルゲンエキス中の非アレルゲン性化合物の除去を不完全なものにしうる。
一態様において、塩基処理は、アレルゲンエキスをpH7、pH8、pH9、pH10又はpH11に塩基性化することを含む。
一態様において、塩基処理は、アレルゲンエキスをpH7~11、又はpH7~10、好ましくはpH7~8に塩基性化することを含む。
天然アレルゲンエキスのpHは、任意の適切な塩基を用いて上げることができる。塩基は強塩基でも又は弱塩基でもよい。強塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム及び水酸化カリウムなどである。弱塩基は、尿素、水酸化アンモニウム及びメチルアミンなどである。一態様において、塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、尿素、水酸化アンモニウム又はメチルアミンを含むリストから選ばれる。特に、塩基は水酸化ナトリウムである。
塩基性化されたエキスは、塩基性pHに1分~24時間、1分~4時間、1~60分、好ましくは5~30分、さらに好ましくは10~20分、最も好ましくはおよそ15分間維持されうる。
3.5kDa未満の分子サイズを有する分子は、低分子画分除去工程で除去できる。
塩基性化処理後、得られた脱色アレルゲンエキスは回収され、該エキスのpHは、適切な酸、例えばHClを用いて調整できる。pHは、タンパク質の沈殿が回避される値、例えばpH7.0~7.5、さらに詳しくはpH7.3~7.4に調整できる。
特に、塩基性化処理は、
a)天然アレルゲンエキスをpH7~11に塩基性化し、該塩基性化エキスを1分~24時間、例えば5~30分、好ましくは15分間維持し;
b)該エキスを、3.5kDa未満の分子サイズを有する分子を除去するための低分子画分除去工程に付し;そして
c)pHを7.0~7.5、特に7.3~7.4に調整して、脱色アレルゲンエキスを製造する
ことを含みうる。
塩基性化処理は天然アレルゲンエキスをpH7~10に塩基性化することを含みうる。
低分子画分除去工程は、エキスが精製水又は緩衝液のような透析液に対して透析される透析工程でありうる。低分子画分除去工程は、2~25℃で実施できるが、好ましくは2~6℃、最も好ましくは3~5℃の低温で実施される。低分子画分除去工程は12~24時間実施されうるが、その場合、溶媒、又は透析の場合は透析液が、反応を維持するために定期的に交換される。
得られた脱色アレルゲンエキスは、例えば孔径0.45μm及び/又は0.22μmを用いてろ過でき、貯蔵のために凍結又は凍結乾燥できる。
本発明の方法を用いて製造されたエキスはさらに処理することができる。該方法はさらに、
d)脱色アレルゲンエキスをアルデヒドと接触させ、そして重合後、
e)100kDa未満の分子サイズを有する分子を除去する
ことを含む重合工程を含むことができる。
アルデヒドは、任意の適切なアルデヒド、例えばグルタルアルデヒド又はホルムアルデヒドでよい。
重合工程は、
d)脱色アレルゲンエキスをグルタルアルデヒド又はホルムアルデヒドと接触させ、
e)該エキスを分子画分除去工程に付して、100kDa未満の分子サイズを有する分子を除去し、そして
f)工程e)を、アレルゲンエキスが210μS/cm未満の導電率(室温での測定)を有するまで、及び/又はエキスにグルタルアルデヒドがなくなるまで、3~15℃、好ましくは3~5℃で実施し、脱色重合アレルゲンエキスを得る
ことを含みうる。
重合用のエキスが凍結乾燥されている場合、緩衝液、例えば0.01MのPBS/0.15MのNaCl中に再構成して、最終濃度0.1~500mg/ml、好ましくは1~100mg/ml、最も好ましくは10~50mg/mlにすることができる。
重合反応は、好ましくは、非還元SDS-PAGEによって<100kDa(例えば14~25kDa)のタンパク質バンドが脱色重合アレルゲンエキス中に検出されなくなるように、完了するまで実施される。
グルタルアルデヒドの濃度を上げると、ポリマー収率の低下と、透析前の任意の遠心分離工程によって得られる残渣収率の増大をもたらしうる。およそ5mg/ml(すなわち、アレルゲンエキス1mlあたり0.009mlのグルタルアルデヒド)のグルタルアルデヒド濃度を使用する既知の重合条件に対し、最適グルタルアルデヒド濃度は、一部のアレルゲン(落花生、ネコの上皮及びブタクサ属)についての公知量のおよそ2倍であると実験的に決定された。すなわち10mg/ml(アレルゲンエキス1mlあたり0.02mlのグルタルアルデヒド)である。アルデヒドは1~20mg/mlの範囲で添加できる。既知量の最終グルタルアルデヒド濃度を使用してもアレルゲンの一部重合をもたらすことは可能であるが、最適重合を達成するためには、アルデヒドは5~10mg/mlの最終濃度で又はエキス1mlあたり0.01~0.02mlのグルタルアルデヒドという比率で添加されるのが好適である。
グルタルアルデヒドの添加速度を下げても、ポリマー収率の低下と残渣収率の増大をもたらしうる。アルデヒドはエキスに一定速度、例えば0.001~0.5ml/分(1~500μl/分又は60~3000μl/時間)で添加できる。
重合反応は、1~12時間、好ましくは7時間、室温以上で維持されうる。重合反応は、脱色重合アレルゲンエキス溶液1mlあたり40mgの割合のグリシンを用いて停止できる。停止された反応は、3~5℃で一晩、好ましくは撹拌下で維持されうる。液相中の脱色重合アレルゲンは、不溶性残渣から分離されて、脱色重合アレルゲンエキスを生成できる。分離工程は好ましくは遠心分離であるが、多くの分離技術が適用可能で、これらは当業者には周知である。好ましくは、エキスは2~6℃、好ましくは3~5℃で、不溶性残渣がペレットとして沈降するのに足る時間、例えば1分~1時間、又は1時間を超えて遠心分離される。上清(可溶性の脱色重合アレルゲンを含有する)は回収され、分子画分除去工程e)に付すことができる。
工程e)で、100kDa未満の分子サイズを有する分子は除去される。
好ましくは、分子画分除去工程は、エキスが精製水又は緩衝液などの透析液に対して3~15℃、好ましくは3~5℃で透析される透析工程である。分子画分除去工程は、3~15℃、好ましくは3~5℃で、室温で測定された導電率が300μS/cm未満、さらに好ましくは250μS/cm、最も好ましくは210μS/cm未満になるまで継続できる。
得られた脱色重合アレルゲンエキスは、例えば孔径0.45μm及び/又は0.22μmを用いてろ過でき、貯蔵のために凍結又は凍結乾燥できる。
本明細書中に記載の低分子画分除去工程、例えば工程b)又はe)のいずれも、限外ろ過工程、透析ろ過工程、透析工程、又はろ過を含みうる。
その最も簡単な形態において、本発明の方法は、天然アレルゲンエキスを製造又は入手し、該エキスを例えば弱塩基又は強塩基処理によって塩基性化して低分子サイズを有する非アレルゲン性化合物を除去することを含みうる。エキスはその後、アルデヒドを用いて重合できる。天然アレルゲンエキスは、落花生、花粉、草、上皮、カビ、菌類、昆虫又はダニアレルゲン、特に草、花粉又はダニ、さらに詳しくは花粉アレルゲンでありうる。本発明の方法は、低減されたIgE結合能力を示すが、その免疫原性能力は保持しているアレルゲンエキスをもたらす。
本発明はさらに、アレルギーの治療及びアレルギー用の診断薬を含み、どちらも本発明の方法によって製造されたアレルゲンエキスを活性成分として含む。アレルギーは、本明細書中で論じられているように、IgE媒介性アレルギー応答を引き起こす様々なアレルゲンへの暴露と関連しうる。
本発明の第二の側面に従って、本発明の第一の側面の方法に従って得ることができる脱色アレルゲンエキスを提供する。
本発明の第三の側面に従って、本発明の第一の側面の方法に従って得ることができる脱色重合アレルゲンエキスを提供する。活性治療物質として使用するための精製アレルゲンエキスも提供する。
アレルゲンエキスは、落花生(Arachis hypogaea)、花粉(オオアワガエリ(Phleum pratense)、シラカバ(Betula alba)、オリーブ(Olea europaea)、カベイラクサ(Parietaria judaica)、及びアリゾナイトスギ(Cupressus arizonica))、ダニ(ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus))、及び上皮(ネコのフケ)から選ぶことができる。特に、アレルゲンエキスは、オリーブ及びオオアワガエリから選ばれる花粉である。
アレルゲンエキスはアレルギーの治療に使用するためのものでありうる。好適な態様において、オリーブ又はオオアワガエリのアレルゲンエキスは花粉アレルギーの治療に使用するためのものでありうる。
脱色重合アレルゲンエキスは、下記の物理化学的及び生物学的特性を特徴としうる。
i.水に可溶、
ii.100kDa未満の分子量を有する非重合アレルゲン/タンパク質が存在しない(非還元条件でのSDS-PAGEによりバンドとして確認)
iii.100kDa未満の分子量を有するIgE認識バンドが存在しない(非還元条件でのイムノブロットにより確認)
iv.100kDa未満の分子量を有する重合分子が存在しない(SDS-PAGEにより決定)
v.天然アレルゲンエキスに対して生物学的効力の低下(95%)(感作個体の特定血清プールを用いたIgE ELISA阻害実験により決定)及び
vi.マウス及びモルモットにおける異常毒性なし
特に、脱色重合アレルゲンエキスは、天然アレルゲンエキスに対して生物学的効力の低下(95%)を特徴とする(感作個体の特定血清プールを用いたIgE ELISA競合実験により決定)。
本発明のアレルゲンエキスは、特定のアレルゲンに対する寛容を誘導することを目的として、アレルギー患者の治療のための医薬の活性成分として使用するためのものでありうる。
免疫学的障害の診断、好ましくはアレルギー疾患を検出するために、本発明によるアレルゲンエキスの使用を提供する。アレルギーの治療のために、又はアレルギー、例えば花粉アレルギーの治療のための医薬の製造に、本発明によるアレルゲンエキスの使用を提供する。当該使用は免疫療法のためのものでありうる。当該使用は、標準化、診断、合成及びワクチン接種目的のためのものでありうる。当該使用は、患者の療法的治療、特に免疫療法における使用でありうる。当該使用は、免疫療法中の患者のモニタリングにおける使用でありうる。
あるいは、花粉アレルギーなどのアレルギーの治療を必要とする患者を治療するための方法を提供し、該方法は、それを必要とする患者に本発明のアレルゲンエキスを投与する手順を含む。
本発明の更なる側面に従って、本発明によるアレルゲンエキスを含む医薬組成物を提供する。活性成分として薬学的に有効量の本発明によるアレルゲンエキスと、少なくとも一つの薬学的に許容可能な担体又は希釈剤とを含むアレルギーの治療のための医薬組成物を提供する。活性成分として診断学的に有効量の本発明によるアレルゲンエキスを含むアレルギー用の診断組成物を提供する。
本発明の更なる側面に従って、本発明によるアレルゲンエキスを含むワクチンを提供する。医薬組成物及びワクチンはさらに、一つ又は複数のアジュバント、希釈剤、保存剤又はそれらの混合物を含みうる。医薬組成物又はワクチンは、生理学的に許容可能な担体を含みうる。本明細書中で使用されている語句“薬学的に許容可能な”とは、好ましくは、政府の規制機関によって認可されている、又は欧州もしくは米国薬局方又は別の一般的に認められているヒト用の薬局方に掲載されていることを意味する。
そのような薬学的に許容可能な担体は水及び油などの無菌の液体でありうる。例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、植物又は合成由来のものなどである。生理食塩水やデキストロース及びグリセロールの水溶液も、特に注射用溶液のための液体担体として使用できる。適切な薬学的賦形剤は、マンニトール、ヒト血清アルブミン(HSA)、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどである。
本発明の第一の側面の方法に従って得ることができるワクチンを提供する。ワクチンは、皮下又は舌下又は経皮用でありうる。
アレルギーの治療、又はアレルギーの治療用医薬の製造における本発明によるワクチンの使用を提供する。
本発明の更なる側面に従って、アレルゲン感作を防止する方法を提供する。該方法は、個体を、有効量の本発明のアレルゲンエキス、医薬組成物又はワクチンに暴露する手順を含む。
本発明の更なる側面に従って、感作個体のアレルギーの治療法を提供する。該方法は、個体に有効量の本発明のアレルゲンエキス、医薬組成物又はワクチンを投与することを含む。アレルゲンエキス、医薬組成物又はワクチンは、皮下又は舌下投与でき、漸増用量又は一定用量として投与できる。
個体はヒト又は動物、好ましくはヒトでありうる。
図1は、異なるpH処理後に得られた凍結乾燥サンプルのオオアワガエリエキスのタンパク質含量(Lowry-Biuret法を用いて測定)を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図2は、異なる塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルのオオアワガエリエキスのタンパク質含量(Lowry-Biuret法を用いて測定)を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図3は、異なるpH処理後に得られた凍結乾燥サンプルのPhl p 5(オオアワガエリの主要アレルゲン)含量を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図4は、異なる塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルのPhl p 5(オオアワガエリの主要アレルゲン)含量を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図5は、異なるpH処理後に得られた凍結乾燥サンプルのオオアワガエリエキスの生物学的効力(ELISA競合)を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図6は、異なる塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルのオオアワガエリエキスの生物学的効力(ELISA競合)を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図7は、異なるpH処理後に得られた凍結乾燥サンプルのオオアワガエリエキスの天然エキスへのIgE結合の50%阻害を得るために必要なμg数を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図8は、異なる塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルのオオアワガエリエキスの天然エキスへのIgE結合の50%阻害を得るために必要なμg数を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図9は、異なる塩基で処理されたオオアワガエリエキスのSDSを示す。 図10は、異なる塩基で処理されたオオアワガエリエキスのウェスタンブロットを示す。 図11は、異なるpHによる処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、Lowry-Biuret法を用いて測定されたオリーブエキスのタンパク質含量を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図12は、異なる塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、Lowry-Biuret法を用いて測定されたオリーブエキスのタンパク質含量を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図13は、異なるpHによる処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、ELISA競合法を用いて測定されたオリーブエキスの生物学的効力示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図14は、異なる塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、ELISA競合法を用いて測定されたオリーブエキスの生物学的効力示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図15は、異なるpHによる処理後に得られた凍結乾燥サンプルのオリーブの天然エキスへのIgE結合の50%阻害を得るために必要なμg数を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図16は、異なる塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルのオリーブの天然エキスへのIgE結合の50%阻害を得るために必要なμg数を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図17は、異なる塩基で処理されたオリーブエキスのSDSを示す。 図18は、異なる塩基で処理されたオリーブエキスのウェスタンブロットを示す。 図19は、オリーブの薄層クロマトグラフィーを示す。A、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムで処理されたサンプル;B、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム及び尿素による処理;C、メチルアミンによる処理。全アッセイとも天然エキスと比較された。標準は、1、クロロゲン酸;2、ケルセチン;3、ルチン三水和物;4、イソクエルシトリン;5、クエルシトリン;6、ケンペロール 3-グルコシド;7、アピゲニン 7-グルコシドである。 図20は、異なるpHによる処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、Lowry-Biuret法を用いて測定されたヤケヒョウヒダニエキスのタンパク質含量を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図21は、異なる塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、Lowry-Biuret法を用いて測定されたヤケヒョウヒダニエキスのタンパク質含量を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図22は、異なるpHによる処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、Der p 1及びDer p 2のための特異的ELISAサンドイッチキット(屋内)を用いて測定されたヤケヒョウヒダニエキスの主要アレルゲン含量を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図23は、異なる酸又は塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、Der p 1及びDer p 2のための特異的ELISAサンドイッチキット(屋内)を用いて測定されたヤケヒョウヒダニエキスの主要アレルゲン含量を示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図24は、異なるpHによる処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、ELISA競合法を用いて測定されたヤケヒョウヒダニエキスの生物学的効力示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図25は、異なる塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、ELISA競合法を用いて測定されたヤケヒョウヒダニエキスの生物学的効力示す。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図26は、異なるpHによる処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、ELISA阻害法を用いて測定されたヤケヒョウヒダニエキスの生物学的効力示す(天然エキスへのIgE結合の50%阻害を得るために必要なμg数)。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図27は、異なる塩基による処理後に得られた凍結乾燥サンプルの、ELISA阻害法を用いて測定されたヤケヒョウヒダニエキスの生物学的効力示す(天然エキスへのIgE結合の50%阻害を得るために必要なμg数)。エラーバーは、異なるサンプルの平均値の標準偏差を示す。 図28は、異なる塩基で処理されたヤケヒョウヒダニエキスのSDSを示す。 図29は、異なる塩基で処理されたヤケヒョウヒダニエキスのウェスタンブロットを示す。
本発明を以下の実施例によって説明する。下記実施例において、アレルゲンを含むエキスの製造、精製及び塩基性化の方法について詳述する。
方法A~Cにおいて、アレルゲンエキスの製造に使用された方法を詳述する。
方法
A.アレルゲン原料の最適脱脂法
脱脂エキスを得た。一般に、ホモジナイズされた材料をアセトン中3~5℃で脱脂し、ろ過した。この工程をアセトンが透明になるまで繰り返した。脱脂材料を回収し、すべてのアセトンが除去されるまで室温で乾燥させた。
B.天然アレルゲンエキスの製造
乾燥脱脂材料を秤量し、0.01MのPBS/0.15MのNaCl中、1:10の割合で4時間、3~5℃で磁気撹拌下、抽出した。その後、その溶液を30分間、4℃、10,000rpmで遠心分離した。得られた上清を回収し、3~5℃で貯蔵した。ペレットは0.01MのPBS/0.15MのNaCl中に再構成し(1:10)、磁気撹拌下3~5℃で一晩抽出した。その溶液を30分間、3~5℃、10,000rpmで遠心分離し、上清を回収して前に得られた画分と混合した。合わせたエキスを孔径0.45μmを用いてろ過し、3kDaカットオフ透析膜で導電率が500μS/cm未満になるまで拡大的に透析した。次に、エキスを孔径0.22μmを用いてろ過滅菌した。
C.脱色アレルゲンエキスの製造
水溶液中3~5℃に維持されていた天然エキスを、下記手順を用いてさらに処理した。磁気撹拌下、溶液のpHを、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、尿素、水酸化アンモニウム又はメチルアミンの添加によってpH7~11に調整し、これらの条件下で15分間維持した。その後、エキスを3.5kDaカットオフ透析膜で精製水を用いておよそ17時間、10倍体積の精製水に対して3~5℃で透析した。この間、精製水を4回置換した。塩基処理後、エキスを回収し、0.1MのHClを用いてpHを7.3~7.4に調整した。最後に、エキスを0.22μmまで滅菌ろ過し、凍結及び凍結乾燥させた。
免疫学的特徴付け
タンパク質含量
天然及び脱色エキスのタンパク質含量を、Lowry Biuret法により、製造業者の説明書に従って測定した。
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)
タンパク質プロフィールは、SDS-PAGEにより、還元条件下(サンプルをβ-メルカプトエタノールとインキュベートし、95℃で10分間加熱した)、2.67%C、15%Tのアクリルアミド-アクリルアミドゲルで確認した。サンプルと低分子量標準(BioRad Laboratories社、米国カリフォルニア州ハーキュリーズ)の泳動は同じゲルで実施した。ゲルを0.1%クマシーブリリアントブルーR-250(BioRad社)で染色した。
イムノブロット
電気泳動的に分離されたタンパク質(SDS-PAGEにより)をPVDF膜(Trans-Blot(登録商標)Turbo TM Transfer Pack,BioRad社)に転写し、各アレルゲンに感作された患者の血清(Plasmalab International社、米国ワシントン州エバレット)と一晩インキュベートした(血清は0.01Mリン酸緩衝液(PBS)-0.1%Tween中に希釈されている)。Plasmalab International社は、食品医薬品局の規制に全面的に準拠している。エキスへの特異的IgE結合は、ペルオキシダーゼ結合モノクローナル抗体、抗ヒト-IgE-PO(Ingenasa社、スペイン・マドリード)で検出され、ルミノール溶液(Western Immun-StarTM Western CTM Kit,Bio-Rad社)で発現させ、化学発光によって検出した(ChemiDoc XRS,Bio-Rad社)。
主要アレルゲン定量
主要アレルゲンを、ELISAサンドイッチ法により、酵素結合免疫吸着アッセイ検出キット(Indoor Biotechnologies社、米国バージニア州)を用いて定量した。簡潔に述べると、Nunc Maxisorpプレート(Thermo Scientific社、米国マサチューセッツ州ウォルサム)を、炭酸塩/炭酸水素塩緩衝液(pH9.6)中に希釈された特異的モノクローナル抗体で被覆し、4℃で一晩インキュベートした。その後、プレートをPBS0.01M-Tween0.05%中BSA1%でブロックした。次に、サンプルと標準を、PBS0.01M-Tween0.05%中BSA1%で段階的に半分に希釈して加えた。特異的二次モノクローナル抗体(ビオチン化)を加え、最後にストレプトアビジンを使用した。硫酸で停止後、発色溶液(クロモゲン)との反応をOD450nmで測定した。標準曲線は、最小二乗法により4-パラメーターロジスティックフィットを用いて得られ、そこにサンプル濃度を補間して結果を得た。
ELISA競合(IgE)
生物学的に標準化された各所内標準物質(in-house reference preparation,IHRP)へのIgE結合を阻害する天然及び脱色エキスの能力を比較した。Nuncプレート(Thermo Scientific社)を抗IgEで被覆した。アレルゲンに感作された患者の血清プールをプレートでインキュベートした。サンプルの希釈物とIHRPをペルオキシダーゼで標識されたアレルゲンとインキュベートした。混合物を被覆プレートに加え、インキュベートした。その後、発色溶液(クロモゲン)を加え、硫酸で停止し、光学濃度(OD)を450nmで測定した。
ELISA阻害(IgE)
エキス(天然及び脱色)のインビトロアレルゲン活性をELISA阻害により試験し、天然エキスを参照として用いて50%阻害点を確立した。プラスチック製マイクロタイタープレート(Immulon 4HBX;Thermo Scientific社)を天然エキス(10μgタンパク質/ml)で一晩被覆した。天然及び脱色エキスから段階的1:2希釈物をNunc F プレート(Thermo Scientific社)に作製した。各希釈物を血清プールと室温で2時間インキュベートした。その後、エキスの希釈物を天然(エキス)被覆プレートに移し、2時間インキュベートした。洗浄後、100μlの抗ヒトIgEペルオキシダーゼを加え、室温で30分間放置した。洗浄後、プレートを30分間発色させ(クロモゲン)、硫酸(1N)で停止させた。
薄層クロマトグラフィー(TLC)
植物フラボノイドを陽性対照として使用した。対照と標準をTLCアルミニウムシートシリカゲル60F(Merck社、ドイツ・ダルムシュタット)に適用した。酢酸エチル:ギ酸:酢酸:水(100:11:11:27)を溶離液として使用し、1%メタノール性ジフェニルホウ酸-β-エチルアミノエステル、次いで5%エタノール性ポリ(エチレングリコール)-4000の溶液を用いて展開した。
実施例
実施例1:オオアワガエリ(Phleum pratense)
脱色オオアワガエリエキスを方法手順A~Cに従って得た。
タンパク質含量
最大タンパク質含量は、メチルアンモニウムpH8を用いた処理後に得られ(865μgタンパク質/mg凍結乾燥エキス)、最小含量は水酸化カリウムpH11処理に対応する(579μgタンパク質/mg凍結乾燥エキス)(表1)。全pHにわたる平均値は718μgタンパク質/mg凍結乾燥エキスであった。
最も高いタンパク質含量はpH8処理に対応し(平均値758μgタンパク質/mg凍結乾燥エキス)、最も低いのはpH9に対応していた(694μgタンパク質/mg凍結乾燥エキス)(表2)(図2)。7~11間の全pHにおけるタンパク質含量は、天然エキス及びサンプルの本来のpHであるpH6のサンプルよりも高かった(サンプルは脱色サンプルと同じに処理されたが、塩基性化のpH変化なし)。
使用された異なる塩基に関して、最も高いタンパク質含量は水酸化リチウムを用いて達成され(739μgタンパク質/mg凍結乾燥エキス)、最も低いのは尿素の場合であった(668μgタンパク質/mg凍結乾燥エキス)(表3、図2)。
主要アレルゲン定量
最低レベルはpH10の水酸化アンモニウム処理に対応していた(13.0μg Phl p 5/mg凍結乾燥エキス)(表1)。最も高いレベルは、pH8の水酸化リチウム処理、次いでpH11の水酸化アンモニウム処理に対応していた(それぞれ、41.0及び38.0μg Phl p 5/mg凍結乾燥エキス)。脱色(サンプル)の平均値は26.6μg Phl p 5/mg凍結乾燥エキスであった。
最も高い主要アレルゲン含量はpH8での処理で得られ(31.5μg Phl p 5/mg凍結乾燥エキス)、最も低いのはpH10で得られた(23.2μg Phl p 5/mg凍結乾燥エキス)(図3、表2)。しかしながら、塩基による処理はすべて、天然エキス及びpH6のサンプル(処理なし)よりも高い主要アレルゲン含量をもたらした。
最も低い主要アレルゲン含量は水酸化ナトリウムを用いた処理で得られ(24.1μg Phl p 5/mg凍結乾燥エキス)、最高は水酸化カリウムを用いて得られた(29.1μg Phl p 5/mg凍結乾燥エキス)(図4、表3)。
ELISA競合(IgE)-生物学的効力
最も高い生物学的効力は、pH7及び9のメチルアンモニウム処理サンプルに対応していた(それぞれ、3052及び2909HEPL/mg凍結乾燥エキス)(図5及び6、表1)。最も低い値は水酸化カリウムによる処理に対応しており(平均値984HEPL/mg凍結乾燥エキス)、天然エキス(952HEPL/mg)と同様である(表3)。水酸化アンモニウムとメチルアミン以外のその他の群との間には差が検出されるようである(水酸化カリウム P=0.010、テューキー(Tukey)検定;尿素 P=0.005、水酸化ナトリウム P=0.012、及び水酸化リチウム P=0.049、マン・ホイットニー(Mann-Whitney))。メチルアミンと水酸化カリウムの間にも差があった。脱色サンプルの平均値は1685HEPL/mg凍結乾燥エキスで、天然エキス及びpH6のサンプル(処理なし)で得られた結果(それぞれ、952及び1262HEPL/mg凍結乾燥エキス)よりも高かった。
ELISA阻害(IgE)
50%阻害に達するのに必要な凍結乾燥のマイクログラムμg数はHEPL/mg値と相関を示さなかった(ピアソンの積率相関(Pearson Product Moment Correlation)、P>0.050)。
pH8における50%阻害値はpH11及び10での処理よりも有意に高かった(それぞれ、P=0.030及びP=0.017、マン・ホイットニー順位和検定(Rank Sum Test))(図7、表2)。最低値は、pH11の水酸化カリウム(0.007μg)、次いでpH11の水酸化アンモニウムに対応していた(それぞれ0.020μg)(表1)。平均値は0.102μgで、天然エキス及びpH6のサンプルと同様であった(それぞれ、0.105及び0.097μg)。
使用された塩基に関して、最も高い50%阻害値は尿素による処理に対応していた(平均0.195μg)(図8、表3)。最低値はメチルアミン処理で観察された(平均値0.066μg)。尿素処理と、メチルアミン、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムとの間に差が検出された。
個別結果の表
Figure 2022523647000002
群別に分析された結果のまとめ
Figure 2022523647000003
Figure 2022523647000004
天然及び処理なしサンプルは、1個のサンプルしか分析していないので、標準偏差は表示されない。
SDS及びウェスタンブロット
SDS及びウェスタンブロットを全脱色サンプルについて実施し、天然エキス(オオアワガエリ)と比較した。
すべての電気泳動は、還元条件下、15%Tのアクリルアミドゲルで実施した。すべてのレーンに同じμg数の凍結乾燥サンプル(25μg)をロードした。ゲルをクマシーR-250で染色した。膜を、オオアワガエリ(P. pratense)に対してIgEを示す(ELISAを用いて測定)患者の血清プール(1/5希釈)とインキュベートした。その後、膜をα-IgE-POとインキュベートし、化学発光を用いて発色させた。SDSの結果を図9に示す。ウェスタンブロットは図10に示されている。
天然エキスの最も強いバンドは、11、37及び31kDaで観察された(強度順)。脱色サンプルのSDSで観察された最も重要な差異は、pHが高くなると高分子バンドの強度が低下することであった。ただし、この効果は低強度のバンドをもたらしただけで、完全に除去されたバンドはなかった。
注:一部のバンドはオオアワガエリのIHRPで配列決定されている。Phl p 5は37kDaバンド、Phl p 1は31kDaバンド、及びPhl p 2(又は3)及び6は12kDaで同定された。これらのアレルゲンは、IUISにはわずかに異なる分子量で報告されている。すなわち、Phl p 5は32kDa、Phl p 1は27kDa、Phl p 2は10~12kDa、及びPhl p 6は11kDa。IUISに記載されているその他のアレルゲンは、55kDaにPhl p 4及び13、6kDaにPhl p 7(カルシウム結合タンパク質)、20kDaにPhl p 11(Ole e 1関連)及び14kDaにPhl p 12(プロフィリン)である。
さらに、ウェスタンブロットも実施した(図10)。天然エキスの最も強いバンドは、37、31、59、15及び12kDaに対応し(強度順)、これらはそれぞれPhl p 5、Phl p 1、Phl p 4、Phl p 12及びPhl p 2と6(最後の二つは同じバンドにあった)に対応しうる。pH変化に伴うバンド強度の重要な差は観察されなかった。
まとめ
大部分の塩基性処理で(28のうち26)タンパク質含量は天然及び未処理サンプルより高く、塩基性処理が結果に貢献していることが確認された。
主要アレルゲン含量に関しては、Phl p 5レベルはpH8処理で高かった。
ELISA競合(REINA)に関しては、使用されたpH又は塩基処理に応じた明確な傾向はなかったが、水酸化アンモニウムによる処理は高い効力を示した。
ELISA阻害(IgE)に関しては、最高値(50%阻害のμg)はpH10と11に対応していた。
タンパク質プロフィール及びアレルゲンプロフィールは、異なるpH処理にも異なる塩基にも顕著に影響されなかった。
一般的結論
一般に、塩基による処理は、タンパク質濃度及び主要アレルゲン含量に関して良好な結果をもたらした。SDS-PAGEにおけるタンパク質及び主要アレルゲンプロフィールは、塩基性処理によって影響を受けなかった。
実施例2:オリーブ(Olea europaea)
脱色オリーブエキスを方法手順A~Cに従って得た。
タンパク質含量
最大タンパク質含量は、メチルアミンpH9を用いた処理後に得られ(862μgタンパク質/mg凍結乾燥エキス)、最小含量は水酸化ナトリウムpH10処理に対応する(441μgタンパク質/mg凍結乾燥エキス)。平均値は696μgタンパク質/mg凍結乾燥エキスであった(表4、図11及び12)。
ELISA競合(IgE)-生物学的効力
中央値は302HEPL/mg凍結乾燥エキスであった。最も高い値は、水酸化ナトリウムpH8で処理されたサンプルに対応し(582HEPL/mg)、最も低い値はメチルアミンpH7による処理であった(128HEPL/mg)(表4)。
最高の生物学的効力はpH8の処理で観察され(347HEPL/mg)、最低はpH9で観察された(236HEPL/mg)(表5、図13)。
ELISA阻害(IgE)
50%阻害に達するのに必要な凍結乾燥エキスの量はそのエキスの効力に反比例する。50%阻害に達するのに必要な凍結乾燥エキスのマイクログラム数はHEPL/mg値と有意な相関を示さなかった(スピアマンの順位相関(Spearman Rank Order Correlation)。最低値はpH9の尿素に対応し(0.043μg)、最大値は水酸化リチウムpH10であった(0.132μg)(表4)。脱色サンプルの平均値は0.088μgであった。
異なるpHで得られた値は非常に類似していた(表5、図15)。より大きな差は異なる塩基を用いて得られた。最も高い値は水酸化リチウムで得られ(平均値0.108μg)、最も低い値は尿素で得られた(0.057μg)(表4、図16)。
個別結果の表
Figure 2022523647000005
群別に分析された結果のまとめ
Figure 2022523647000006
Figure 2022523647000007
天然及び処理なしサンプルは、1個のサンプルしか得られなかったので、標準偏差は表示されない。
イムノブロット及びSDS-PAGE
SDS及びウェスタンブロットを全脱色サンプルについて実施し、天然エキスと比較した。
すべての電気泳動は、還元条件下、15%Tのアクリルアミドゲルで実施した。すべてのレーンに同じ量の凍結乾燥エキス(25μg)をロードした。ゲルをクマシーR-250で染色した。さらに、ウェスタンブロット膜を、オリーブ(O. europaea)に対してIgEを示す(ELISAを用いて測定)患者の血清プール(1/5希釈)とインキュベートした。その後、膜をα-IgE-POとインキュベートし、化学発光を用いて発色させた。
天然エキスのSDSで最も強いバンドは、20及び18kDaで観察された(強度順、図22)。両バンドは、IHRPでオリーブの主要アレルゲンであるOle e 1と同定されている。10.5、42、48、73及び89kDaにもバンドがあった。IUISに報告されているその他のアレルゲンは、Ole e 2(プロフィリン、15kDa)、Ole e 3(ポルカリン、9kDa)、Ole e 4(32kDa)、Ole e 5(16kDa)、Ole e 6(10kDa)、Ole e 7(nsLTP、9-10kDa)、Ole e 8(21kDa)、Ole e 9(46kDa)、Ole e 10(11kDa)及びOle e 11(39.4kDa)である。
脱色サンプルのSDSで観察された最も重要な差異は、pHがより塩基性になると、特にpH11で高分子バンドが減少することであった。しかしながら、尿素による処理の場合、それはpH9で観察された。
さらに、ウェスタンブロットも実施した(図18)。天然エキスの最も強いバンドは19及び17kDaに対応していた(Ole e 1)。他の観察されたバンドは、13、34、38、48及び74kDaであった。塩基による処理に明確な差はなかった。しかしながら、34及び13kDaのバンドは高pH(尿素でpH9、他の塩基でpH10及び11)で失われた。
薄層クロマトグラフィー
薄層クロマトグラフィーを全サンプルで実施し、結果を天然と比較した。参照標準(植物由来)も技術対照として使用した。
結果を図19に示す。最大5個の異なるフラボノイドがオリーブサンプルに観察可能であった。シグナルの強度は脱色サンプルよりも天然エキスで高かった。
まとめ
タンパク質含量及びELISA競合(REINA):群間で有意の差は観察されなかった。
ELISA阻害(IgE)に関して、pH間では差は観察されなかったが、塩基間では観察された。最も低い効力(50%阻害に達するためにより多くのμgを必要とする)は、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウム処理サンプルに対応していた。
タンパク質プロフィール及びアレルゲンプロフィールは、一般に、pHが上昇するにつれて(pH9~10)、特に尿素で処理された場合、より弱い高分子バンドを示した。
薄層クロマトグラフィーは、塩基性処理中に色素の量の減少を示した。
一般的結論
1.一般に、塩基によるオリーブエキスの処理は、天然と比べて、タンパク質含量に関して良好な結果をもたらした。
2.高pH処理で高分子量タンパク質(及びアレルゲン)の喪失があった。これは主要アレルゲン(低分子量を有する)の富化を意味する。
実施例3:ヤケヒョウヒダニ(D. pteronyssinus)
脱色ヤケヒョウヒダニエキスを方法手順A~Cに従って得た。
タンパク質含量
最大タンパク質含量は、水酸化アンモニウムpH7による処理後に得られ(710μgタンパク質/mg凍結乾燥エキス)、最小含量はpH8のCHNH処理に対応する(561.5μgタンパク質/mg凍結乾燥エキス)(表7)。脱色サンプルの平均値は5985μgタンパク質/mg凍結乾燥エキスであった(表7)。
タンパク質含量はすべての処理で天然エキスより高かった。
特定塩基の使用に関連して、最も高いタンパク質含量値は水酸化アンモニウムで得られたが、NaOH処理は最低濃度を示した(表9、図21)。
主要アレルゲン含量
Der p 1の最高レベルは天然エキスに対応し(20.3μg Der p 1/mg凍結乾燥エキス)、次いでpH7、及び9であった(それぞれ、平均17.6及び17.1μg Der p 1/mg凍結乾燥エキス)。脱色(サンプルの)平均値は16.1μg Der p 1/mg凍結乾燥エキスであった(図22、表7及び8)。
異なる塩基による処理に関しては、水酸化アンモニウム及びメチルアミンで処理されたサンプルのDer p 1レベル(それぞれ、平均18.6及び18.4μg Der p 1/mg凍結乾燥エキス)が最も高い(図23、表9)。
ELISA競合(IgE)
最も高い生物学的効力は、pH7の水酸化アンモニウムで処理されたサンプルに対応していた(707HEPL/mg凍結乾燥エキス)。最も低い値はNaOHによる処理に対応している(pH10及び11でそれぞれ185.5及び168.3HEPL/mg凍結乾燥エキス)(表7)。脱色サンプルの中央値は、356HEPL/mg凍結乾燥エキスであった(図29及び30)。
ELISA阻害(IgE)
50%阻害に達するのに必要な凍結乾燥のマイクログラム数はHEPL/mg値に反比例していた。
最も低い50%阻害値は、メチルアンモニウムpH9に対応し、次いで天然エキスであった(それぞれ、0.024及び0.030μg、表7)。
pH群間で明確な差異は観察されなかった(図26、表8)。使用された塩基に関し、最も高い50%阻害値はLiOHによる処理に対応していた(平均0.043μg)。最低値は、天然エキス、水酸化アンモニウムによる処理、及びpH6のサンプル(処理なし)で観察された(それぞれ、0.030、0.39及び平均0.04)(図27、表9)。
個別結果の表
Figure 2022523647000008
群別に分析された結果のまとめ
Figure 2022523647000009
Figure 2022523647000010
天然及び処理なしサンプルは、1個のサンプルしか得られなかったので、標準偏差は表示されない。
イムノブロット及びSDS-PAGE
SDS及びウェスタンブロットを全脱色サンプルについて実施し、天然エキスと比較した。
すべての電気泳動は、還元条件下、15%Tのアクリルアミドゲルで実施した。すべてのレーンに同じμgの凍結乾燥エキス(35μg)をロードした。ゲルをクマシーR-250で染色した。イムノブロットを実施し、タンパク質を膜に転写し、これをその後、ヤケヒョウヒダニ(D. pteronyssinus)に対してIgEを示す(ELISAを用いて測定)患者の血清プール(1/10希釈)とインキュベートした。その後、膜をα-IgE-POとインキュベートし、化学発光を用いて発色させた。
天然エキスのSDSで最も強いバンドは、31、28及び15kDaで観察された(図35)。脱色サンプルのSDSにおけるタンパク質プロフィールに重要な差異はなかった。
注:一部のバンドはヤケヒョウヒダニのIHRPで配列決定された。Der p 1及びDer p 3は31kDaバンドで同定され、Der p 10及びDer p 8は28kDaバンドで同定された。Der p 2はモノクローナル抗体α-Der p 2を用いて15kDaで同定された。
さらに、ウェスタンブロットも実施した(図29)。天然エキスの最も強いバンドは、15、28、37、46及び60kDaに対応していた。46kDaバンドは脱色エキスでより弱かった。一部の例で60kDaのバンドが消失したが(塩基性処理)、80kDaのバンドは天然エキスに比べてより強く現れた。
まとめ
タンパク質含量は処理による影響を受けなかった(群間で有意差なし)。脱色サンプルは天然エキスよりも高いタンパク質含量を示した。しかしながら、この差は有意ではなかった(1個の天然サンプルのみ)。pH6のサンプル(処理なし)でさえ天然エキスより高いタンパク質含量を示し、処理サンプルと同様の値であった。従って、天然エキスと比較したタンパク質含量の増加は、これらのサンプルのより高度な精製によるものにちがいない(5回以上透析された)。
主要アレルゲン含量に関して、Der p 1及びDer p 2レベルは、pH変化によってではなく、尿素の使用によって影響を受けた。
ELISA競合(REINA)及び阻害に関して、より悪い結果(より低いHEPL/mg及びより高い50%阻害のμg数)は尿素処理サンプルに対応していた。
タンパク質プロフィールは、脱色処理間で重要な差異を示さなかったが、アレルゲンプロフィールは示した。唯一の共通の差異は尿素処理で、バンド強度を減弱する。塩基性pHによる脱色のウェスタンブロットは、高分子量におけるバンド認識を低下させる。
一般的結論
1.タンパク質含量は、天然エキスより“脱色”エキスで高い。
2.高pH処理は、イムノブロットで高分子量タンパク質の認識を低下させた。

Claims (15)

  1. 脱色アレルゲンエキスの製造法であって、
    a)天然アレルゲンエキスをpH7~11に1分~24時間塩基性化し;次いで
    b)該エキスを第一の分子画分除去工程に付して3.5kDa未満の分子サイズを有する分子を除去し;そして
    c)pHを中性に調整して脱色アレルゲンエキスを製造する
    ことを含む方法。
  2. さらに重合を含み、該重合は、
    d)脱色アレルゲンエキスをアルデヒドと接触させ;次いで
    e)該エキスを第二の分子画分除去工程に付して100kDa未満の分子サイズを有する分子を除去し;次いで
    f)工程e)を、アレルゲンエキスが、室温での測定で210μS/cm未満の導電率を有するまで、及び/又はUVもしくは可視スキャニングによる測定でアルデヒドがなくなるまで、3~15℃、好ましくは3~5℃で実施し、脱色重合アレルゲンエキスを得る
    ことを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記天然アレルゲンエキスが少なくとも7.5、8.0、8.5又は9.0のpHに塩基性化され、そして前記天然アレルゲンエキスが11、10.5、10.0、9.5、又は9.0以下のpHに塩基性化される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  4. 工程a)が約15分間実施される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  5. 前記第一及び第二の低分子除去工程b)及びe)が、それぞれ独立に、限外ろ過工程、透析ろ過工程、透析工程、又はろ過を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  6. 工程c)のpHが、pH7.0~pH7.5、例えばpH7.3~pH7.4に調整される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  7. 請求項1及び3から5のいずれか1項に記載の方法に従って得ることができる脱色アレルゲンエキス。
  8. 請求項2から6のいずれか1項に記載の方法に従って得られたまたは得ることができる脱色重合アレルゲンエキス。
  9. 前記アレルゲンエキスが、食物アレルゲン(例えば落花生)、空中浮遊アレルゲン(例えば、花粉(樹木の花粉、雑草の花粉、草の花粉、穀草の花粉)、チリダニ、菌類、カビ)、上皮アレルゲン(獣毛、動物の鱗屑、例えば、ネコの毛及びフケ、ならびにイヌの毛及びフケ)及び昆虫アレルゲン(例えば、ゴキブリ、ノミ、ならびにハナバチ及びカリバチの毒)から選ばれる原料物質から誘導される、請求項7又は請求項8に記載のアレルゲンエキス。
  10. 前記アレルゲンエキスが、食物アレルゲン(落花生(Arachis hypogaea))、花粉(ヨーロッパハンノキ(Alnus glutinosa)、シラカバ(Betula alba)、セイヨウハシバミ(Corylus avellana)、アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica)、オリーブ(Olea europaea)、スズカケノキ属(Platanus sp)、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)、カモガヤ(Dactylis glomerata)、オニウシノケグサ(Festuca elatior)、シラゲガヤ(Holcus lanatus)、ホソムギ(Lolium perenne)、オオアワガエリ(Phleum pratense)、ヨシ(Phragmites communis)、ナガハグサ(Poa pratensis)、ブタクサ(Ambrosia elatior)、オウシュウヨモギ(Artemisia vulgaris)、シロザ(Chenopodium album)、カベイラクサ(Parietaria judaica)、ヘラオオバコ(Plantago lanceolata)、ノハラヒジキ(Salsola kali)、エンバク(Avena sativa)、オオムギ(Hordeum vulgare)、ライムギ(Secale cereale)、パンコムギ(Triticum aestivum)、トウモロコシ(Zea mays))、ダニ(アシブトコナダニ(Acarus siro)、ネッタイタマニクダニ(Blomia tropicalis)、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、デルマトファゴイデス・ミクロセラス(Dermatophagoides microceras)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)、シワチリダニ(Euroglyphus maynei)、サヤアシニクダニ(Lepidoglyphus destructor)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、イエニクダニ(Glycyphagus domesticus)、コルトグリファス・アルクアツス(Chortoglyphus arcuatus))、菌類及びカビ(アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus))、上皮アレルゲン(ネコの毛及びフケ、イヌの毛及びフケ、ウマの毛及びフケ、ヒトの毛及びフケ、ウサギの毛及びフケ、ラットの毛及びフケ、マウスの毛及びフケ、モルモットの毛及びフケ、ならびに羽毛)、昆虫アレルゲン(アリ、ノミ、ゴキブリ、カリバチの毒及びハナバチの毒)及び節足動物アレルゲン(ダニ)から選ばれる原料物質から誘導される、請求項7又は請求項8に記載のアレルゲンエキス。
  11. 前記原料物質が、花粉(オオアワガエリ、オリーブ及びシラカバ(シダレカンバ(pendula))及びダニ(ヤケヒョウヒダニ)から選ばれる、請求項7又は請求項8に記載のアレルゲンエキス。
  12. アレルギーの治療に使用するための請求項7~11のいずれか1項に定義のアレルゲンエキス。
  13. 花粉アレルギーの治療に使用するための請求項12に記載のアレルゲンエキス。
  14. 請求項7~11のいずれか1項に記載のアレルゲンエキスを含む医薬組成物。
  15. 請求項7~11のいずれか1項に定義のアレルゲンエキスを含むワクチン。
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