JP2022518440A - 非晶質シアル化オリゴ糖 - Google Patents

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Abstract

i)向上した化学的安定性および/または物性を有する、非晶質炭水化物、ii)向上した化学的安定性および/または物質を有する、非晶質炭水化物を製造するための方法、並びにiii)非晶質炭水化物の化学的安定性および/または物性を向上させる方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、非晶質、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥されたシアル化オリゴ糖、有利にはヒトミルクオリゴ糖、並びに非晶質シアル化オリゴ糖の安定性を向上させる方法に関する。
近年、天然に分泌されるオリゴ糖などの複雑な炭水化物の製造および販売は、生きている生物で発生する多くの生物学的プロセスにおけるそれらの役割に起因して、著しく増加している。ヒトミルクオリゴ糖(HMO)などの分泌型オリゴ糖は、近年大きな関心を集めている炭水化物であり、栄養および治療の産業の重要な商業的ターゲットとなっている。特に、これらのHMOの合成は、ヒトにおいて生じる様々な生物学的プロセスにおけるHMOの役割に起因して、著しく増加している。HMOの非常に重要なことは、抗菌、抗ウイルス、免疫および認知発達促進機能などの、独自の生物学的機能に直接関連していることである。ヒトミルクオリゴ糖は、ヒトの腸システムにおいてプレバイオティクスとして機能し、腸内フローラの発達および維持を助けることがわかっている。さらに、これらはまた抗炎症性であることが示されており、そのため、これらの化合物は、合成によって構成される、および天然に存在する化合物、並びにその塩の両方として、例えば、乳児用調合乳、乳児用シリアル、臨床用乳児栄養製品、幼児用調合乳の製造に関して、あるいは子供、成人、高齢者、または授乳中の女性のための栄養補助食品もしくは健康機能食品として、栄養産業において魅力的な成分である。同様に、当該化合物はまた、免疫調整剤として予測的使用のために、治療薬の製造のための医薬品業界においても関心が高い。現在までに、140を超えるHMOの構造が決定されており(Urashima et al.: Milk Oligosaccharides, Nova Biomedical Books, New York, 2011; Chen Adv. Carbohydr. Chem. Biochem. 72, 113 (2015)を参照されたい)、おそらく母乳にはさらに多くのHMOが存在する。シアル化HMOは、病原体に対する耐性、腸の成熟、免疫機能、および認知発達を補助する役割に起因して、新生児に対して有意な健康上の利点があると考えられている(ten Bruggencate et al. Nutr. Rev. 72, 377 (2014))。
シアル化ヒトミルクオリゴ糖は、主に単離された形態で非晶質固体として生じ、例えば、Fierfort et al. J. Biotechnol. 134, 261 (2008)、Drouillard et al. Carbohydr. Res. 345, 1394 (2010)、WO 2017/152918、またはUS 2018/0002363を参照されたい。6’-シアリルラクトース(6’-SL)のいくつかの塩、および3’-シアリルラクトース(3’-SL)のナトリウム塩のみが、結晶物質として記載されている(WO 2010/116317、EP-A-3378868、WO 2017/195743を参照されたい)。
結晶および非晶質物質の性質は異なる。物質の非晶質形態は、一般に、より優れた溶解度およびバイオアベイラビリティを示すことが期待されているが、その結晶対応物は、化学的および物理的にさらに安定であり、吸湿性が低い(Bauer J. Valid. Technol. 63 (Summer 2009))。
WO2013/185780は、6’-SLの安定性を向上させる方法を開示し、それによって6’-SLの水溶液を噴霧乾燥させ、84℃のガラス転移点(T)を有する6’-SLを提供する。
それでもなお、その有益な性質を維持しながら、非晶質シアル化オリゴ糖、好ましくはシアル化HMOの化学的安定性および/または物性を向上させる必要がある。
本発明の目的は、i)向上した化学的安定性および/または物性を有する、非晶質シアル化オリゴ糖、ii)向上した化学的安定性および/または物性を有する、シアル化オリゴ糖を製造するための方法、並びにiii)シアル化オリゴ糖の化学的安定性および/または物性を向上させる方法を提供することである。
そのため、本発明のある局面は、5w/w%水溶液中で測定した場合、シアル化オリゴ糖のpHが約3.9~6.0であり、好ましくは3.9~5.3である、非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩に関する。また好ましくは、非晶質シアル化オリゴ糖は噴霧乾燥または凍結乾燥された物質である。
本発明の別の局面は、以下のステップ:
a)前記シアル化オリゴ糖の水溶液を調製すること、
b)必要に応じて、pHが5.6以下である、好ましくは5.0未満となるように、ステップa)において得られた水溶液に酸性または塩基性非炭水化物成分を添加すること、次いで
c)ステップa)において得られた水溶液を固体化すること、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥すること、あるいはステップb)において得られた溶液のpHを調整することによって、非晶質シアル化オリゴ糖を得ること
を含む、非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩の製造方法に関し、ここで、前記シアル化オリゴ糖のpHは、5w/w%水溶液中で測定した場合、約6.0以下であり、好ましくは約5.3以下である。
本発明の別の局面は、非晶質シアル化オリゴ糖の化学的安定性および/または物性を向上させる方法であって、シアル化オリゴ糖またはその塩の水溶液を固体化すること、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥することを含む方法に関し、当該水溶液のpHは3.6以上かつ5.6以下であり、好ましくは5.0未満である。上記方法は、非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩を提供し、そのpHは、5w/w%水溶液中で測定した場合、約3.9~6.0であり、好ましくは約3.9~5.3であり、向上した化学的安定性および/または物性を示す。
本発明の別の局面は、非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩の、アルドースからケトースへの異性化を防止する、または軽減する方法であって、シアル化オリゴ糖水溶液を噴霧乾燥または凍結乾燥することを含む方法であり、当該水溶液のpHは5.6未満であり、好ましくは5.0未満である。上記方法は、非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩を提供し、そのpHは、5w/w%水溶液中で測定した場合、約6.0以下であり、好ましくは約5.3以下であり、軽減されたアルドース-ケトース異性化を示す。
本発明の別の局面は、以下のステップ:
a)前記シアル化オリゴ糖水溶液を調製すること、
b)必要に応じて、pHが5.6以下、好ましくは5.0未満となるように、ステップa)において得られた水溶液に酸性または塩基性非炭水化物成分を添加すること、次いで
c)ステップa)において得られた水溶液を固体化すること、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥すること、あるいはステップb)において得られた溶液のpHを調整することによって、非晶質シアル化オリゴ糖を得ること
を含む方法によって得られた、または得ることのできる、非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩であり、ここで、前記シアル化オリゴ糖のpHが、5w/w%水溶液中で測定した場合、約6.0以下、好ましくは約5.3未満である。
好ましくは、pHは、3.6以上かつ5.6以下、好ましくは3.6以上かつ5.0以下となるように、ステップb)において調整する。
本発明は、加速熱安定性試験中に様々なpHを有する、凍結乾燥した6’-SLサンプルにおいて形成された6’-シアリルラクツロースの量を示す、添付の図1を参照することによって、以下でさらに詳細に記載される。
本発明の詳細な説明
用語および定義
用語「シアル化オリゴ糖」は、少なくとも2つ、好ましくは3~8個、さらに好ましくは3~6個の単糖単位から成り、その少なくとも1つがシアル酸(N-アセチルノイラミン酸、Neu5Ac)である、糖重合体を意味する。シアル化における、シアル酸以外の単糖単位は、アルドース(例えば、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-リボース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-キシロースなど)、ケトース(例えば、D-フルクトース、D-ソルボース、D-タガトースなど)、デオキシ糖(例えば、L-ラムノース、L-フコースなど)、デオキシ-アミノ糖(例えば、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルマンノサミン、N-アセチルガラクトサミンなど)、ウロン酸、ケトアルドン酸(例えば、シアル酸)、または遊離アミノ基を有するデオキシアミノ糖(例えば、グルコサミン)である、5~9個の炭素原子の糖であり、ただし、シアル化オリゴ糖の還元末端における単糖単位はアルドースである。三糖以上のオリゴ糖は、グリコキシド間結合によって互いに結合された単糖単位を含む、直鎖または分岐鎖構造を有しうる。
用語「シアル化ヒトミルクオリゴ糖」、「シアル化HMO」、または「酸性HMO」は、ヒト母乳において見られる、シアル酸を含む複雑な炭水化物(Urashima et al.: Milk Oligosaccharides, Nova Medical Books, NY, 2011; Chen Adv. Carbohydr. Chem. Biochem. 72, 113 (2015))を意味する。HMOは、1つ以上のβ-N-アセチル-ラクトサミニルおよび/または1つ以上のβ-ラクト-N-ビオシル単位によって伸長された還元末端において、ラクトース単位であるコア構造を有し、そのコア構造はα-シアリル基および適宜α-L-フコピラノシルによって置換されている。シアル化HMOにおいて、シアリル基は、α2,3-またはα2,6-結合によって末端ガラクトースに結合するか、α2,6-結合によってN-アセチルグルコサミンに結合する:
Figure 2022518440000001
酸性HMOの例としては、3’-シアリルラクトース(3’-SL)、6’-シアリルラクトース(6’-SL)、3-フコシル-3’-シアリルラクトース(FSL)、LST a(NeuAcα2-3Galβ1-3GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、フコシル-LST a(FLST a、NeuAcα2-3Galβ1-3[Fucα1-4]GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、LST b(Galβ1-3[NeuAcα2-6]GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、フコシル-LST b(FLST b、Fucα1-2Galβ1-3[NeuAcα2-6]GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、LST c(NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、フコシル-LST c(FLST c、NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4[Fucα1-3]Glc)、シアリル-ラクト-N-ヘキサオース(SLNH、Galβ1-3GlcNAcβ1-3[NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-6]Galβ1-4Glc)、シアリル-ラクト-N-ネオヘキサオース I(SLNnH-I、Galβ1-4GlcNAcβ1-3[NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-6]Galβ1-4Glc)、シアリル-ラクト-N-ネオヘキサオース II(SLNnH-II、NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-3[Galβ1-4GlcNAcβ1-6]Galβ1-4Glc)、およびジシアリル-ラクト-N-テトラオース(DS-LNT、NeuAcα2-3Galβ1-3[NeuAcα2-6]GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)が挙げられる。
用語「シアル化オリゴ糖の酸付加塩」、「シアル化HMOの酸付加塩」、「シアル化オリゴ糖の塩」、または「シアル化HMOの塩」は、任意の化学量論比のシアル化オリゴ糖またはHMOの負に帯電した酸残基とカチオンから成る、関連するイオン対を意味する。カチオンは一般に、無機(金属)カチオンである。シアル化オリゴ糖の酸付加塩において、好ましくはシアル化HMOであり、さらに好ましくは3’-SLまたは6’-SLであり、塩形成カチオンは、ある実施態様において、アルカリ金属イオン(M)、アルカリ土類金属イオン(M2+)、またはそれらの混合物、例えばNa、K、またはCa2+、好ましくはNaである。
用語「約」は、ある実施態様において、示される値から±10%の偏差を意味し、あるいは別の実施態様において、±5%の偏差を意味する。
pH値に言及する場合、従来のpH測定器で測定する。
向上した特性を有する非晶質シアル化オリゴ糖
非晶質化合物、特に親水性化合物は、一般に、より優れた水溶性、より高い溶解速度、およびより優れたバイオアベイラビリティを示し、これは医薬および食品業界における製品開発の重要な特徴であるが、その保存可能期間は、対応する結晶形態よりも短くなることが予想される。非晶質化合物は、結晶形態よりも化学分解/変換を受ける傾向が高く、それらの外観は、例えば凝集によって、不利に変化する可能性がある。本発明者らは、アルドース還元末端を有する非晶質(噴霧乾燥または凍結乾燥)シアル化オリゴ糖の特定のサンプルにおいて、長期保存時に、新たな炭水化物の種類の副生成物が出現し、サンプル中のその量は時間の関数として増加することに気付いた。
慎重に分析した結果、この夾雑物は、還元性アルドースオリゴ糖の転移型ケトース誘導体であることが判明し、この転移はアルドヘキソース上で以下のように説明することができる:
Figure 2022518440000002
本発明者らは、驚くべきことに、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥した、非晶質シアル化オリゴ糖が、pHを注意深く調整した水溶液から調製した場合、シアル化オリゴ糖の非晶質形態において、上記の転移は生じないか、少なくとも著しく低くまたは低下した程度において生じることを発見した。これに関して、噴霧乾燥または凍結乾燥した物質の化学的安定性を実質的に向上させることができる。
したがって、本発明の第1の局面は、5w/w%水溶液中で測定した場合、前記非晶質シアル化オリゴ糖のpHが、6以下である、好ましくは約3.9~6.0、さらに好ましくは5.3以下、より好ましくは3.9~5.3である、非晶質シアル化オリゴ糖を提供することである。
ある実施態様において、非晶質シアル化オリゴ糖は、噴霧乾燥物質であり、他の実施態様において、凍結乾燥物質である。
好ましくは、ある実施態様において、シアル化オリゴ糖の還元末端における単糖単位はグルコースであり、より好ましくは、ガラクトース単位は、ラクトース部分を形成するβ1-4グリコシド間結合によって、前記グルコースに結合している。
好ましい実施態様において、シアル化オリゴ糖は、3個以上のオリゴ糖であり、有利には、還元末端にラクトース基を有する。
特に、還元末端においてラクトース部分を含む3糖以上のシアル化オリゴ糖は、シアル化ヒトミルクオリゴ糖(HMO)である。シアル化HMOは、好ましくは3~8糖のHMOであり、さらに好ましくは3、4、5、または6糖のHMOである。さらに好ましくは、3糖シアル化HMOは、3’-シアリルラクトース(3’-SL)および6’-シアリルラクトース(6’-SL)から成る群から選択することができ;4糖シアル化HMOは、3-フコシル-3’-シアリルラクトース(FSL)であり;5糖シアル化HMOは、LST a(NeuAcα2-3Galβ1-3GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、LST b(Galβ1-3[NeuAcα2-6]GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、およびLST c(NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)から成る群から選択することができ;6糖シアル化HMOは、フコシル-LST a(FLST a、NeuAcα2-3Galβ1-3[Fucα1-4]GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、フコシル-LST b(FLST b、Fucα1-2Galβ1-3[NeuAcα2-6]GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)、フコシル-LST c(FLST c、NeuAcα2-6Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4[Fucα1-3]Glc)、およびジシアリル-ラクト-N-テトラオース(DS-LNT、NeuAcα2-3Galβ1-3[NeuAcα2-6]GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)から成る群から選択することができる。
ある実施態様において、非晶質、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥した、本発明に記載のシアル化オリゴ糖は、1つより多いシアル化オリゴ糖またはHMO、例えば、2、3、4、または5個のシアル化オリゴ糖またはHMOを含みうる。
別の実施態様において、非晶質、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥した、本発明に記載のシアル化オリゴ糖は、1つ以上の非シアル化中性オリゴ糖を含んでもよく;好ましくは、非晶質、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥した、本発明に記載のシアル化HMOは、1つ以上の非シアル化中性HMO、例えば1つ以上の2’-FL、3-FL、DFL、LNT、およびLNnTなどを含んでもよい。好ましい実施態様において、非晶質、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥した、本発明に記載のシアル化オリゴ糖は、1または2個のシアル化オリゴ糖から成る、または実質的に成り;さらに好ましくは、噴霧乾燥または凍結乾燥した、本発明のシアル化HMOは、1または2個のシアル化HMOから成る、または実質的に成る。
高温における強制安定性比較試験は、シアル化オリゴ糖、好ましくはシアル化HMOの水溶液のpHを注意深く調整することによって、非晶質物質に固体化する前に、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥によって、固体(非晶質)状態において転位したウロースの形成が著しく減少することを示した。5w/w%水溶液中の、特許請求の範囲に記載される非晶質、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥した、シアル化オリゴ糖またはHMOのpHは、約6.0以下であるべきである。これより高いpHは中性領域に非常に近く、比較試験によると、その領域においてアルドース-ケトース転位がさらに簡単に生じうる。そのため、前記シアル化オリゴ糖が生成されて、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥によって固体化したシアル化オリゴ糖が、5w/w%水溶液中で6.0以下のpHを有する場合、例えば、約4.5、5.1、または5.6以下など、例えば、約3.5~6、3.5~5.6、3.5~5.1、3.5~4.5、3.9~6、3.9~5.6、3.9~5.1、3.9~4.5、4.2~5.6、4.5~5.6、4.5~6.0、4.2~5.1、4.5~5.1、5.1~6.0、5.1~5.6、または5.6~6.0の間である場合、非晶質シアル化オリゴ糖におけるアルドース-ケトース異性化は減少するか、最小化されるか、あるいは防止することができる。好ましくは、5w/w%水溶液中の、特許請求の範囲に記載される非晶質、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥した、シアル化オリゴ糖またはHMOのpHは、約5.3以下であるべきであり、例えば、約4.5または5.1以下など、例えば、約3.5~5.1、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~5.1、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.1、4.2~4.8、4.2~4.5、4.5~5.1、または4.5~4.8の間である。さらに好ましくは、5w/w%水溶液中の、特許請求の範囲に記載される非晶質、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥した、シアル化オリゴ糖またはHMOのpHは、約5.1以下であるべきであり、例えば、約4.5または4.8以下など、例えば、約3.5~5.1、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~5.1、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.1、4.2~4.8、4.2~4.5、4.5~5.1、または4.5~4.8の間である。さらにより好ましくは、5w/w%水溶液中の、特許請求の範囲に記載される非晶質、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥した、シアル化オリゴ糖またはHMOのpHは、約4.8以下であるべきであり、例えば、約4.5以下など、例えば、約3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~4.8、4.2~4.5、または4.5~4.8の間である。
さらに、高温における強制安定性比較試験は、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液のpHが低いほど、固体(非晶質)状態における構造からシアリル基が除かれる可能性が高いことを示した。これに関して、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥によって非晶質物質に固体化する前に、シアル化オリゴ糖の水溶液のpHを注意深く調節することによって、前記シアル化オリゴ糖またはHMOの固体(例えば噴霧乾燥または凍結乾燥した、非晶質)状態において、全体的に副生成物(すなわち、転位ウロースおよび加水分解生成物)の生成が最小化される。したがって、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥した非晶質のシアル化オリゴ糖またはHMOのpHは、5w/w%水溶液中で測定した場合、約3.9より以上であることが望ましい。固体状態であっても、pHが約3.9未満であると、少なくとも1つのグリコシド間結合、好ましくはシアロシド結合が加水分解されることによって、オリゴ糖の酸触媒による分解が開始すると考えられる。そのため、例えば、長期保存下で非晶質シアル化オリゴ糖中の分解(例えば、加水分解)および/または変換(例えば、ウロース転位などの転位)副生成物の含有量を減少または最小化することによって、前記非晶質シアル化オリゴ糖の化学的安定性および/または物性を向上させるために、非晶質物質に固体化した後のシアル化オリゴ糖の5w/w%溶液のpHは、約3.9~6.0の間、例えば、3.9~5.6、3.9~5.1、4.2~5.6、4.5~5.6、4.5~6.0、4.2~5.1、4.5~5.1、5.1~6.0、5.1~5.6、または5.6~6.0の間など、さらに好ましくは、約3.9~5.3の間、例えば、3.9~5.1、4.2~5.1、4.5~5.1、4.8~5.1、4.2~5.3、4.5~5.3、4.8~5.3、3.9~4.8、4.2~4.8、4.5~4.8、3.9~4.5、4.2~4.5、または3.9~4.2の間など、よりさらにより好ましくは、約3.9~5.1の間、例えば、4.2~5.1、4.5~5.1、4.8~5.1、3.9~4.8、4.2~4.8、4.5~4.8、3.9~4.5、4.2~4.5、または3.9~4.2の間など、特に約3.9~4.8の間、例えば、4.2~4.8、4.5~4.8、3.9~4.5、4.2~4.5、または3.9~4.2の間などであることが好ましい。
本発明の第二の局面は、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOの製造方法であって、好ましくは、第一の局面に記載されるように、以下のステップ:
a)前記シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液を調製すること、
b)必要に応じて、pHが5.6以下、好ましくは5.0未満となるように、ステップa)において得られた水溶液に酸性または塩基性非炭水化物成分を添加すること、次いで
c)ステップa)において得られた水溶液を固体化すること、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥すること、あるいはステップb)において得られた溶液のpHを調整すること
によって、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOを得ること
を含む、製造方法に関し、ここで、前記シアル化オリゴ糖またはHMOのpHは、5w/w%水溶液中で測定した場合、約6.0以下であり、好ましくは約5.3以下である。
ステップb)において、語句「必要に応じて」は、ステップa)において得られた溶液のpHが5.6より高く、酸成分を添加することによって、pHを5.6以下に下げなければならない状況をいい;好ましくは、pHが5.0以上である場合は、pHは5.0未満に下げなければならない。さらに、ステップa)において得られた溶液が酸性すぎる場合、塩基の添加が必要でありうる。したがって、ステップa)において得られた溶液のpHが5.6よりも高い場合、ステップb)は必須であり、ステップc)はステップb)の後に得られた溶液を固体化し、それ以外の場合はステップb)は任意であり;好ましくは、ステップa)において得られた溶液のpHが5.0以上である場合、ステップb)は必須であり、ステップc)はステップb)の後で得られた溶液を固体化し、それ以外の場合はステップb)は任意である。ステップa)において得られた溶液のpHが5.6以下、好ましくは5.0未満である場合、ステップb)は飛ばしてもよく、ステップc)はステップa)において得られた溶液を固体化する。
この点に関して、第二の局面に記載される方法は、以下のステップ:
i)シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液を調製すること、
ii)ステップi)において得られた溶液のpHを確認すること、
iiia)前記pHが5.6よりも高い場合、酸性非炭水化物成分を加えて、pHを5.6以下に下げ、好ましくは前記pHが5.0以上である場合、酸性非炭水化物成分を加えて、pHを5.0以下に下げること、
iiib)前記pHが5.6以下である場合、酸性または塩基性非炭水化物成分を適宜加えて、pHを5.6以下に維持してもよく;好ましくは、前記pHが5.0未満である場合、酸性または塩基性非炭水化物成分を適宜加えて、pHを5.0未満に維持してもよく、
iv)ステップiiia)またはステップiiib)で得られた水溶液を固体化すること、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥すること
を含む。
ある実施態様において、第一の局面に記載される非晶質シアル化オリゴ糖を製造することができ、ここで
-ステップb)において必要に応じて、pHが3.6以上かつ5.6以下、好ましくは5.0未満となるように、酸性または塩基性非炭水化物成分をステップa)で得られた水溶液に加える、
-ステップiiia)において、酸性非炭水化物成分を加えて、pHを3.6から5.6の間、好ましくは3.6から5.0未満の間に設定する、あるいは
-ステップiiib)において、酸性または塩基性非炭水化物成分を適宜加えて、pHを3.6から5.6の間、好ましくは3.6から5.0未満の間に維持または設定してもよい。
当該方法のステップa)またはステップi)において、シアル化オリゴ糖の水溶液は従来の方法で合成される。溶液が透明で、シアル化オリゴ糖が完全に溶解しているのが好ましい。水を添加する/または水に添加する前に、シアル化オリゴ糖は、任意の固体形態(例えば、結晶、非晶質[沈殿、凍結乾燥、噴霧乾燥]、またはそれらの混合物)、シロップ状、または水溶液であってもよい。シアル化オリゴ糖は、ステップa)またはステップi)を行う前に、いくらかのまたは残留量の(揮発性)有機溶媒を含んでもよく、なぜなら、これらの溶媒は、当該方法のステップc)またはステップiv)において実質的に除去されるか、あるいは除去することができ、最終的に得られる非晶質物質には含まれないためである。ステップa)またはステップi)において得られたシアル化オリゴ糖水溶液の濃度は重要ではなく、pHが酸性の場合、広い濃度間隔の範囲になりうる。水溶液中のシアル化オリゴ糖またはHMOの濃度は、測定したpHには実際に影響しないが、pHの濃度依存性は、約±0.3pH単位範囲内であり、シアル化オリゴ糖のpK値に近づくほど、予想される変化は小さくなる。使用するのに便利な濃度範囲は、希釈しすぎず、濃縮しすぎない範囲であり、例えば、1~60w/w%である。
当該方法のステップb)またはステップiiib)において、ステップa)またはステップi)において得られた溶液のpH調整が、それぞれ必要でありうる。シアル化オリゴ糖自体は酸性化合物であり、そのため、その水溶液は実際には7未満のpHを有し、より正確には、溶液中の酸性および相補的な塩基性(塩)形態の比によって変化する。そのため、化合物の元のpHから逸脱したい場合は、酸性物質、好ましくは酸性非炭水化物成分、または塩基性物質、好ましくは塩基性非炭水化物成分のいずれかを添加して、必要なpHに設定することができる。
ステップb)、iiia)、またはiiib)のいずれかの場合において、好ましくは撹拌しながら、酸性または塩基性物質をシアル化オリゴ糖水溶液にゆっくりと加え、pHを、例えばpHメーターによって連続的に確認する。必要なpHに達したら、酸または塩基の添加を終了する。pH調節が行われる場合、水溶液中のシアル化オリゴ糖の濃度は、実用的な理由から、好ましくは1~60w/w%の間である。
ステップiiia)において添加される、またはステップb)またはiiib)において適宜添加される、酸性非炭水化物成分は一般に、無機酸、または炭水化物とは異なり、酸性の性質を有する有機化合物である。好ましくは、適切な無機酸および有機酸は、製薬および食品業界において用いられる場合、安全性の懸念がないことが既知であるもの、例えば、一般に、塩基性を有する活性な医薬成分の薬学的に許容可能な酸付加塩を製造するために用いられるものである。無機酸は、例えば硫酸およびそのモノタール(monotal)(硫酸一ナトリウムなど)、HCl、HBr、硝酸、リン酸およびそのモノおよびジ塩(リン酸一ナトリウムまたはリン酸二ナトリウムなど)、または過塩素酸から選択することができる。また好ましくは、適切な有機酸は、ギ酸、酢酸、またはプロピオン酸などのアルカノン酸、シュウ酸、マロン酸、またはコハク酸などのアルカノン二酸、酒石酸、乳酸またはリンゴ酸などのヒドロキシ酸、クエン酸などのトリカルボン酸である。
ステップb)またはiiib)において任意に添加される塩基性非炭水化物成分は、一般に、金属(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属)、ヒドロキシド、炭酸塩または重炭酸塩、有利には、ヒドロキシド、例えばNaOH、KOH、またはCa(OH)、好ましくはNaOHなどの無機塩基である。
ステップa)またはi)において得られる水溶液、またはステップb)、iiia)、またはiiib)において調製される水溶液のpHは、上記ステップc)またはiv)によって固体化した後の非晶質シアル化オリゴ糖の5w/w%水溶液中で測定されうるpH値と必ずしも同じでなくてもよく、最大で約+0.2~0.5pH単位で異なっていてもよく、約0.2~0.5pH単位で高くてもよい。考えられる原因としては、pH電極の順番を間違えたことを除いて、固体化の条件下でサンプルの組成がわずかに変化すること(例えば、揮発性酸成分の蒸発、後のpHに影響を与えるわずかな分解など)、および/または緩衝容量がわずかに変化することが考えられる。経験的に、ステップa)またはi)において得られた水溶液、またはステップb)、iiia)、またはiiib)において調製した水溶液のpHは3.1~5.6の間であると測定された場合、ステップc)またはiv)において固体化した結果として得られた非晶質シアル化オリゴ糖のpHは、5w/w%水溶液中で測定した場合、約3.4~6.0である。
ステップc)において、ステップa)またはb)において得られた水溶液を、いずれの場合においても、従来の方法:例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、または沈殿によって、非晶質物質に固体化する。同様に、ステップiv)において、ステップiiia)またはiiib)において得られた水溶液を、いずれの場合においても、従来の方法:例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、または沈殿によって、非晶質物質に固体化する。
本発明の第3の局面は、第二の局面に記載された方法によって得られる、または得ることができる、非晶質シアル化オリゴ糖に関する。
非晶質シアル化オリゴ糖の化学的安定性および/または物性を向上させるための方法
本発明の第四の局面は、アルドースからケトースへの非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOの異性化を防止する、または軽減するための方法であって、シアル化オリゴ糖の水溶液を噴霧乾燥または凍結乾燥させることを含む方法であり、そのpHは5.6以下、好ましくは5.0未満である。上記方法は、5w/w%水溶液中で測定した場合のpHが、約6.0以下、好ましくは5.3である、非晶質シアル化オリゴ糖を提供し、これは軽減されたアルドース-ケトース異性化を示す。
本発明者らは、驚くべきことに、非晶質状態において、非晶質、例えば噴霧乾燥または凍結乾燥された、シアル化オリゴ糖またはHMOが、pHを注意深く調整した水溶液から調製された場合に、上記転位は起こらない、または少なくとも著しく低い、または軽減された程度で起こることが分かった。これに関して、噴霧乾燥または凍結乾燥した物質の化学的安定性を、実質的に向上させることができる。これは、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOが前記シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液から製造される場合に達成され、当該水溶液のpHは5.6以下、例えば、4.1、5.1、または5.6以下など、例えば、3.1~5.6、3.1~5.1、3.1~4.6、3.1~4.1、3.6~5.6、3.6~5.1、3.6~4.6、3.6~4.1、3.9~5.1、4.1~5.1、4.1~5.6、3.9~4.6、4.1~4.6、4.6~5.6、4.6~5.1、または5.1~5.6の間である。そのように製造された非晶質シアル化オリゴ糖は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約6.0以下、例えば、約4.5、5.1、または5.6以下など、例えば、約3.5~6、3.5~5.6、3.5~5.1、3.5~4.5、3.9~6、3.9~5.6、3.9~5.1、3.9~4.5、4.2~5.6、4.5~5.6、4.5~6.0、4.2~5.1、4.5~5.1、5.1~6.0、5.1~5.6、または5.6~6.0の間のpHを有する。
好ましくは、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOは、前記シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液から製造され、当該水溶液のpHは5.0未満、例えば、4.1または4.8以下など、例えば、3.1~4.8、3.1~4.5、3.1~4.1、3.1~3.9、3.1~3.6、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.0、4.2~4.8、または4.2~4.5の間である。
そのように製造された非晶質シアル化オリゴ糖は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約5.3以下、例えば、約4.5または5.1以下など、例えば、約3.5~5.3、3.5~5.1、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~5.3、3.9~5.1、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.3、4.2~5.1、4.2~4.8、4.2~4.5、4.5~5.3、4.5~5.1、または4.5~4.8の間のpHを有する。
さらに好ましくは、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOは、前記シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液から製造され、水溶液のpHは4.8以下、例えば、3.1~4.8、3.1~4.5、3.1~4.1、3.1~3.9、3.1~3.6、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~4.8、または4.2~4.5の間である。そのように製造された非晶質シアル化オリゴ糖は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約5.1以下、例えば、約4.5または4.8以下など、例えば、約3.5~5.1、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~5.1、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.1、4.2~4.8、4.2~4.5、4.5~5.1、または4.5~4.8の間のpHを有する。
さらにより好ましくは、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOは、前記シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液から製造され、当該水溶液のpHは、4.5以下、例えば、3.1~4.5、3.1~4.1、3.1~3.9、3.1~3.6、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.5、3.9~4.2、または4.2~4.5の間である。そのように製造された非晶質シアル化オリゴ糖は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約4.8以下、例えば、約4.5以下など、例えば、約3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~4.8、4.2~4.5、または4.5~4.8の間のpHを有する。
ある実施態様において、シアル化オリゴ糖は、3’-SL、その塩、好ましくはナトリウム塩、またはそれらの混合物である。非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物はその水溶液から製造され、そのpHは5.6以下、例えば、4.1、5.1、または5.6以下など、例えば、3.2~5.6、3.2~5.1、3.2~4.6、3.2~4.1、3.6~5.6、3.6~5.1、3.6~4.6、3.6~4.1、3.9~5.1、4.1~5.1、4.1~5.6、3.9~4.6、4.1~4.6、4.6~5.6、4.6~5.1、または5.1~5.6の間である。そのように製造した非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約6.0以下、例えば、約4.5、5.1、または5.6以下など、例えば、約3.9~6、3.9~5.6、3.9~5.1、3.9~4.5、4.2~5.6、4.5~5.6、4.5~6.0、4.2~5.1、4.5~5.1、5.1~6.0、5.1~5.6、または5.6~6.0の間のpHを有する。好ましくは、非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは5.0未満、例えば、4.1または4.8以下など、例えば、3.1~4.8、3.1~4.5、3.1~4.1、3.1~3.9、3.1~3.6、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.0、4.2~4.8、または4.2~4.5の間である。そのように製造される非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約5.3以下、例えば、約4.5または5.1以下など、例えば、約3.5~5.3、3.5~5.1、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~5.3、3.9~5.1、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.3、4.2~5.1、4.2~4.8、4.2~4.5、4.5~5.3、4.5~5.1、または4.5~4.8の間のpHを有する。さらに好ましくは、非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは4.8以下、例えば、3.1~4.8、3.1~4.5、3.1~4.1、3.1~3.9、3.1~3.6、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~4.8、または4.2~4.5の間である。そのように製造される非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約5.1以下、例えば、約4.5または4.8以下など、例えば、約3.5~5.1、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~5.1、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.1、4.2~4.8、4.2~4.5、4.5~5.1、または4.5~4.8の間のpHを有する。さらにより好ましくは、非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは4.5以下、例えば、3.1~4.5、3.1~4.1、3.1~3.9、3.1~3.6、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.5、3.9~4.2、または4.2~4.5の間である。そのように製造される非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約4.8以下、例えば、約4.5以下など、例えば、約3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~4.8、4.2~4.5、または4.5~4.8の間のpHを有する。別の実施態様において、シアル化オリゴ糖は、6’-SL、その塩、好ましくはナトリウム塩、またはそれらの混合物である。非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは5.2以下、例えば、4.0または4.8以下など、例えば、3.1~5.2、3.1~4.8、3.1~4.0、3.6~5.2、3.6~4.8、3.6~4.0、4.0~5.2、4.0~4.8、または4.8~5.2の間である。そのように製造された非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約5.6以下、例えば、約4.3または5.1以下など、例えば、約3.4~4.3、3.4~5.1、3.4~5.6、3.9~5.6、3.9~5.1、3.9~4.3、4.3~5.6、4.3~5.1、または5.1~5.6の間のpHを有する。好ましくは、非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは5.0未満であり、例えば、4.1または4.8以下など、例えば、3.1~4.8、3.1~4.5、3.1~4.1、3.1~3.9、3.1~3.6、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.0、4.2~4.8、または4.2~4.5の間である。そのように製造される非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約5.3以下、例えば、約4.5または5.1以下など、例えば、約3.5~5.3、3.5~5.1、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~5.3、3.9~5.1、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.3、4.2~5.1、4.2~4.8、4.2~4.5、4.5~5.3、4.5~5.1、または4.5~4.8の間のpHを有する。さらに好ましくは、非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは4.8以下、例えば、3.1~4.8、3.1~4.5、3.1~4.1、3.1~3.9、3.1~3.6、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~4.8、または4.2~4.5の間である。そのように製造される非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約5.1以下、例えば、約4.5または4.8以下など、例えば、約3.5~5.1、3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~5.1、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.1、4.2~4.8、4.2~4.5、4.5~5.1、または4.5~4.8の間のpHを有する。さらにより好ましくは、非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは4.5以下、例えば、3.1~4.5、3.1~4.1、3.1~3.9、3.1~3.6、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.5、3.9~4.2、または4.2~4.5の間である。そのように製造された非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約4.8以下、例えば、約4.5以下など、例えば、約3.5~4.8、3.5~4.5、3.5~4.2、3.5~3.9、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~4.8、4.2~4.5、または4.5~4.8の間のpHを有する。
本発明の第五の局面は、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOの化学的安定性および/または物性を向上させるための方法であって、pHが3.6以上、例えば3.9などであり、5.6以下、5.0未満である、シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液を固体化すること、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥することを含む方法に関する。上記方法は、向上した化学的安定性および/または物性を示す、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOを提供し、そのpHは、5w/w%水溶液中で測定した場合、3.9以上であり、約6.0以下である、好ましくは5.3である。
用語「非晶質シアル化オリゴ糖の向上した化学的安定性」は、好ましくは、非晶質シアル化オリゴ糖が製造される水溶液のpHが上記範囲である場合、上記に開示される範囲外のpHの水溶液から製造される非晶質シアル化オリゴ糖と比べて、非晶質シアル化オリゴ糖の化学的分解または転位反応が生じにくいことを意味する。したがって、物質の保存可能期間に影響する化学的安定性が改善される。化学的分解の例は、少なくとも1つのグリコシド間結合、一般にはシアル酸結合の破壊による加水分解であり;化学的転位の例は、アルドースからケトースへの転位である。
用語「非晶質シアル化オリゴ糖の物性の向上」は、好ましくは、非晶質シアル化オリゴ糖が製造される水溶液のpHが上記範囲内である場合、上記に開示される範囲外のpHの水溶液から製造される非晶質シアル化オリゴ糖と比べて、非晶質シアル化オリゴ糖がより良好な物性を示すことを意味する。改善された物性の例は、相変化(例えば、ガラス化、結晶化)の傾向の低下、または凝集度の低下である。
本発明者らは、驚くべきことに、前記シアル化オリゴ糖の固体(例えば噴霧乾燥または凍結乾燥された、非晶質)状態において、全体的な副生成物(すなわち、転位したウロースおよび加水分解生成物)の生成が最小化されうることを発見した。これは、非晶質シアル化オリゴ糖が前記シアル化オリゴ糖の水溶液から製造され、そのpHが3.6以上かつ5.6以下、例えば、3.6~5.1、3.6~4.6、3.9~5.1、4.1~5.1、4.1~5.6、3.9~4.6、4.1~5.6、4.6~5.6、4.6~5.1、または5.1~5.6などである場合に達成される。そのように製造される非晶質シアル化オリゴ糖は、5w/w%水溶液中で測定した場合、3.9以上かつ6.0以下、例えば、3.9~5.6、3.9~5.1、4.2~5.6、4.5~5.6、4.5~6.0、4.2~5.1、4.5~5.1、5.1~6.0、5.1~5.6、または5.6~6.0などのpHを有する。
好ましくは、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOは、水溶液のpHが3.6以上かつ5.0未満、例えば、3.6~4.6、3.6~4.2、3.6~3.9、3.9~4.6、3.9~4.2、または4.1~4.6の間である、前記シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液から製造される。そのように製造される非晶質シアル化オリゴ糖は、5w/w%水溶液中で測定した場合、3.9以上かつ約5.3以下、例えば、約3.9~5.3、3.9~5.1、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.2、4.2~5.3、4.2~5.1、4.2~4.8、4.2~4.5、4.5~5.3、4.5~5.1、または4.5~4.8の間のpHを有する。
さらに好ましくは、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOは、水溶液のpHが3.9以上かつ5.0未満、例えば、3.9~4.6、3.9~4.2、または4.1~4.6の間である、前記シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液から製造される。そのように製造される非晶質シアル化オリゴ糖は、5w/w%水溶液中で測定した場合、4.2以下かつ約5.3以下、例えば、約4.2~5.1、4.2~4.8、4.2~4.5、4.5~5.3、4.5~5.1、または4.5~4.8の間のpHを有する。
さらにより好ましくは、非晶質シアル化オリゴ糖またはHMOは、前記シアル化オリゴ糖またはHMOの水溶液から製造され、その水溶液のpHは3.9以上かつ4.5以下、例えば3.9~4.2の間である。そのように製造される非晶質シアル化オリゴ糖は、5w/w%水溶液中で測定した場合、4.2以上かつ約4.8以下、例えば約4.2~4.5または4.5~4.8の間のpHを有する。
ある実施態様において、シアル化オリゴ糖は、3’-SL、その塩、好ましくはナトリウム塩、またはそれらの混合物である。非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物はその水溶液から製造され、そのpHは3.9以上かつ5.6以下、例えば、3.6~5.6、3.6~5.1、3.6~4.6、3.6~4.1、3.9~5.1、4.1~5.1、4.1~5.6、3.9~4.6、4.1~4.6、4.6~5.6、4.6~5.1、または5.1~5.6などである。そのように製造される非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約4.2~6.0、例えば、約4.2~5.6、4.5~5.6、4.5~6.0、4.2~5.1、4.5~5.1、5.1~6.0、5.1~5.6、または5.6~6.0のpHを有する。好ましくは、非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは3.9以上かつ5.0未満であり、例えば、3.9~4.6、3.9~4.1、または4.1~4.6の間である。そのように製造される非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、4.2以上かつ約5.3以下、例えば、約4.2~4.9、4.2~4.5、4.5~5.3、または4.5~4.9の間のpHを有する。さらに好ましくは、非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは3.9以上かつ4.6以下、例えば、3.9~4.1または4.1~4.6の間である。そのように製造される非晶質3’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、4.2以上かつ約4.9以下、例えば、約4.2~4.5または4.5~4.9の間のpHを有する。
別の実施態様において、シアル化オリゴ糖は、6’-SL、その塩、好ましくはナトリウム塩、またはそれらの混合物である。非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは3.6以上かつ5.2以下、例えば、3.6~5.2、3.6~4.8、3.6~4.0、4.0~5.2、4.0~4.8、または4.8~5.2の間などである。そのように製造された非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約3.9~5.6、例えば、約3.9~5.1、3.9~4.3、4.3~5.6、4.3~5.1、または5.1~5.6の間のpHを有する。好ましくは、非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは3.6以上かつ4.8以下、例えば、4.0または4.4以下など、例えば、3.6~4.4、3.6~4.0、4.0~4.8、4.0~4.4、または4.4~4.8の間である。そのように製造される非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約3.9~5.1、3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.3、4.3~5.1、4.3~4.8、または4.3~4.5のpHを有する。さらに好ましくは、非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、その水溶液から製造され、そのpHは3.6以上かつ4.4未満、例えば、4.0以下など、例えば、3.6~4.0または4.0~4.4の間である。そのように製造される非晶質6’-SL、その塩、またはそれらの混合物は、5w/w%水溶液中で測定した場合、約3.9~4.8、3.9~4.5、3.9~4.3、4.3~4.8、または4.3~4.5のpHを有する。
上記に開示される全ての局面に関して、ある実施態様において、シアル化オリゴ糖は、シアル化HMO、その酸付加塩、またはそれらの混合物である。好ましい実施態様において、シアル化HMOは3’-SL、その酸付加塩、またはそれらの混合物、好ましくはナトリウム塩である。別の好ましい実施態様において、シアル化HMOは6’-SL、その酸付加塩、またはそれらの混合物、好ましくはナトリウム塩である。
実施例1
3’-SL Na塩は細菌発酵によって製造し、例えば、WO2017/152918に従って単離した。濃度が5.3g/100g、pH:4.8である、ストック水溶液を作成した。
シリーズA:1M HCl溶液の添加によって、上記ストック水溶液の一部をpH3.6に調整した。そのように得られた溶液を凍結乾燥させて、白色の非晶質粉末を得た。5w/w%溶液のpHは3.9であった。
シリーズB:1M NaOH溶液の添加によって、上記ストック水溶液の一部をpH5.1に調整した。そのように得られた溶液を凍結乾燥させて、白色の非晶質粉末を得た。5w/w%溶液のpHは5.6であった。
シリーズC:1M NaOH溶液の添加によって、上記ストック水溶液の一部をpH6.8に調整した。そのように得られた溶液を凍結乾燥させて、白色の非晶質粉末を得た。5w/w%溶液のpHは6.7であった。
各シリーズから7x1グラムを別々に、4mlのガラスバイアルに入れ、テフロンインライナーを含むスクリュー蓋で閉じた(合計21サンプル)。各シリーズの3つのサンプルを60℃のオーブンに入れ、各シリーズの他の3つのサンプルを80℃のオーブンに入れた。各シリーズの1つのサンプルは、以下に示す時間の後、オーブンから取り出し、解析まで冷凍庫で保管した。t=0サンプル(各シリーズから1つのサンプル)は、全試験の期間、冷凍庫で保管した。
サンプルは、目視検査に基づく調査の間、相変化を示さなかった。
定組成75mM NaOH+37.5mM NaOAc溶出液を用いて、Carbopac PA-200(3x250mm)カラムにおけるHPAEC-PADによって、最長のインキュベーションが完了した後、サンプルを一緒に解析した。
以下の表は、サンプル中の3’-O-シアリル-ラクツロース、3’-SLのケトース転位誘導体の含有量を示す(面積%、量に比例)。
Figure 2022518440000003

データは、pHが高いほど、強制条件下で転位した副生成物の量が増えることを示す。これは、固体サンプルにおいて、環境温度で保管した場合に、有意な量の3’-O-シアリル-ラクツロースの生成を防止/減少させるために、非晶質3’-SLのpHが、5w/w%水溶液中で測定した場合、約6以下でなければならないことを示唆する。
さらに、同じ研究により、pHが低いほど、強制条件下で加水分解された副生成物(ラクトースおよびシアル酸)の量が増えることが明らかになった(データは示されていない)。この点について、シリーズBからのサンプルには、副生成物(転位ケトース+加水分解生成物)の総量が最小で含まれていた。これは、環境温度で保管した場合に、非晶質サンプルにおいて有意な総量の配位および加水分解副生成物の生成を最小化するために、非晶質3’-SLのpHは、5w/w%水溶液中で測定した場合、約6以下かつ約4.2以上であるべきであることを示唆している。
実施例2
6’-SL Na塩は細菌発酵によって製造し、例えば、US2018/0002363に従って単離した。濃度が9.1g/100gであり、pH:5.4である、ストック水溶液を作成した。
シリーズA:1M HCl溶液の添加によって、上記ストック水溶液の一部をpH3.1に調整した。そのように得られた溶液を凍結乾燥させて、白色の非晶質粉末を得た。5w/w%溶液のpHは3.5であった。
シリーズB:1M HCl溶液の添加によって、上記ストック水溶液の一部をpH4.0に調整した。そのように得られた溶液を凍結乾燥させて、白色の非晶質粉末を得た。5w/w%溶液のpHは4.3であった。
シリーズC:1M HCl溶液の添加によって、上記ストック水溶液の一部をpH4.8に調整した。そのように得られた溶液を凍結乾燥させて、白色の非晶質粉末を得た。5w/w%溶液のpHは5.1であった。
シリーズD:1M NaOH溶液の添加によって、上記ストック水溶液の一部をpH6.8に調整した。そのように得られた溶液を凍結乾燥させて、白色の非晶質粉末を得た。5w/w%溶液のpHは6.2であった。
各シリーズから4x1グラムを別々に、4mlのガラスバイアルに入れ、テフロンインライナーを含むスクリュー蓋で閉じた(合計16サンプル)。各シリーズの3つのサンプルを80℃のオーブンに入れた。1週間後、2週間後、および4週間後にそれぞれ、各シリーズから1つのサンプルをオーブンから取り出し、解析まで冷凍庫で保管した。t=0サンプルは、安定性試験の全期間、冷凍庫で保管した。
サンプルは、目視検査に基づく検査の間、相変化を示さなかった。
定組成75mM NaOH+37.5mM NaOAc溶出液を用いて、Carbopac PA-200(3x250mm)カラムにおけるHPAEC-PADによって、最長のインキュベーションが完了した後、サンプルを一緒に解析した。
図1は、サンプル中の6’-シアリル-ラクツロース、6’-SLのケトース転位誘導体の含有量、およびその生成傾向を示す(面積%、量に比例)。
データは、pHが高いほど、強制条件下で転位した副生成物の量が増えることを示す。これは、固体サンプルにおいて、環境温度で保管した場合に、有意な量の6’-O-シアリル-ラクツロースの生成を防止/減少させるために、非晶質6’-SLのpHが、5w/w%水溶液中で測定した場合、約5.5以下でなければならないことを示唆する。
さらに、同じ研究により、pHが低いほど、強制条件下で加水分解された副生成物(ラクトースおよびシアル酸)の量が増えることが明らかになった(データは示されていない)。この点について、シリーズBおよびCからのサンプルには、副生成物(転位ケトース+加水分解生成物)の総量が最小で含まれていた。これは、環境温度で保管した場合に、非晶質サンプルにおいて有意な総量の転位および加水分解副生成物の生成を最小化するために、非晶質6’-SLのpHは、5w/w%水溶液中で測定した場合、約5.5以下かつ約3.9以上であるべきことを示唆している。

Claims (15)

  1. 非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩の、アルドースからケトースへの異性化を防止する、または軽減する方法であって、シアル化オリゴ糖水溶液を固体化すること、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥することを含む方法であって、前記水溶液のpHが5.0未満である、方法。
  2. 水溶液のpHが4.8以下である、請求項1に記載の方法。
  3. 水溶液のpHが4.5以下である、請求項2に記載の方法。
  4. シアル化オリゴ糖が、シアル化ヒトミルクオリゴ糖(HMO)、好ましくは3’-SLまたは6’-SLである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩の化学的安定性および/または物性を向上させる方法であって、シアル化オリゴ糖水溶液を固体化すること、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥することを含む方法であって、前記水溶液のpHが3.6以上かつ5.0未満である、方法。
  6. 化学的安定性の向上によって、アルドースからケトースへの異性化および加水分解が防止または軽減される、請求項5に記載の方法。
  7. 水溶液のpHが3.9以上かつ5.0未満である、請求項5または6に記載の方法。
  8. 水溶液のpHが3.9以上かつ4.5以下である、請求項7に記載の方法。
  9. シアル化オリゴ糖がシアル化ヒトミルクオリゴ糖(HMO)である、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. シアル化HMOが、
    -3’-SLまたはその塩であり、水溶液のpHが3.9以上である、または
    -6’-SLまたはその塩であり、水溶液のpHが3.6以上である、
    請求項9に記載の方法。
  11. 非晶質シアル化オリゴ糖のpHが、5w/w%の水溶液中で測定した場合、約3.9~5.3である、非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩。
  12. シアル化ヒトミルクオリゴ糖(HMO)、好ましくは3’-SLまたは6’-SLである、請求項11に記載の非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩。
  13. 以下:
    a)前記シアル化オリゴ糖水溶液を調製すること、
    b)必要に応じて、pHが3.6以上かつ5.0未満となるように、ステップa)において得られた水溶液に酸性または塩基性非炭水化物成分を添加すること、次いで
    c)ステップa)において得られた水溶液を固体化すること、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥すること、あるいはステップb)において得られた溶液のpHを調整すること
    によって、非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩を得る方法によって得られる、または得ることができる、非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩であって、前記シアル化オリゴ糖のpHが、5w/w%水溶液中で測定した場合、約3.9~5.3未満である、非晶質シアル化オリゴ糖またはその塩。
  14. 以下のステップ:
    a)前記シアル化オリゴ糖水溶液を調製すること、
    b)必要に応じて、pHが3.6以上かつ5.0未満となるように、ステップa)において得られた水溶液に酸性または塩基性非炭水化物成分を添加すること、次いで
    c)ステップa)において得られた水溶液を固体化すること、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥すること、あるいはステップb)において得られた溶液のpHを調整すること
    を含む、請求項11に記載の非晶質シアル化オリゴ糖の製造方法。
  15. シアル化オリゴ糖が、シアル化ヒトミルクオリゴ糖(HMO)、好ましくは3’-SLまたは6’-SLである、請求項14に記載の方法。
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