JP5044717B1 - 新規異性体蔗糖、その製造方法及び用途 - Google Patents

新規異性体蔗糖、その製造方法及び用途 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な構造を持つオリゴ糖、並びに製造方法の提供。
【解決手段】式(1)で表されるβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシド。
Figure 0005044717

【選択図】なし

Description

本発明は、新規オリゴ糖、その製造方法及び用途に関し、詳しくはスクロースのグルコース部分がβ−グルコースで2←→1結合している新規異性体蔗糖であるβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)β−D−グルコピラノシドに関する。
また本発明は、グルコースとフルクトースの共存下において、酵素反応を利用することなく加熱条件下で反応させて、新規異性体蔗糖であるβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)β−D−グルコピラノシドを製造する方法に関する。
また本発明は、新規異性体蔗糖であるβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)β−D−グルコピラノシドの用途に関する。
フルクトースとグルコースが2←→1結合している非還元性のオリゴ糖としてスクロース(蔗糖)が知られている。スクロースは、β−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−α−D−グルコピラノシドと表されるが(非特許文献1)、スクロースのα−D−グルコース部分が、β−D−グルコースとなった異性体蔗糖、即ち、β−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドについては知られておらず、またその製造方法も知られていない。
一方、スクロースのβ−D−フルクトフラノシル部分が、α−D−フルクトフラノースとなった異性体蔗糖、即ち、α−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−α−D−グルコピラノシドは、特許第4684361号により知られている。該α−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−α−D−グルコピラノシドの製造方法は、特許第4684361号によれば、D−グルコースおよびD−フルクトースの混合物に対して水を添加することなく固相で加熱して反応させ、次いで反応物に水を添加し溶解させて、α−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−α−D−グルコピラノシドを含有する水溶液とし、該水溶液からα−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−α−D−グルコピラノシドを取得している。該特許第4684361号のα−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−α−D−グルコピラノシドは、前記β−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドとは異性体であるが、異なる化合物である。
前記特許第4684361号によれば、D−グルコースおよびD−フルクトースの反応物からα−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−α−D−グルコピラノシドを採取する方法は、反応物の糖混合溶液を活性炭カラムにかけて、5%エタノールで溶出した画分を、「HPLC条件−A」と規定する分析条件を行い、5%エタノールで溶出させた場合に、32分頃にピークとなった部分をα−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−α−D−グルコピラノシドのピークとして採取し、その後、精製してα−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−α−D−グルコピラノシドのピークとするものである。
特許第4684361号
「生化学辞典」(第2版)686頁、1992年2月5日 株式会社東京化学同人発行
本発明は、新規な構造を持つオリゴ糖を提供すること、並びに新規なオリゴ糖を製造する方法を提供すること、並びに該オリゴ糖の用途を開発することを課題とする。
本発明は、糖質材料としてD−グルコースとD−フルクトースを用い、酵素反応を利用することなく、加熱して反応させて、反応物中の新規オリゴ糖について検索し、分離し、TOF−MS分析およびNMR分析した結果、いかなる標品とも一致しない未知のオリゴ糖を検出した。
本発明の新規オリゴ糖は、次式(1)で表されるβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシド(略語として「β−Ff2←→1βG」又は「本発明の糖」又は「本発明の糖1」と呼ぶことがある。)である。
Figure 0005044717
本発明の糖の製造方法は、D−グルコースとD−フルクトースを用い、酵素が存在しない条件下で、100℃以上200℃以下で加熱して反応させて前記式(1)で表されるβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを生成させ、反応物中からβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを取得することを特徴とする。
さらに一つの具体的な本発明の糖の製造方法は、前記のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドの製造方法において、D−グルコースとD−フルクトースの混合物に対して水を添加することなく固相で100℃以上200℃以下で加熱して反応させ、次いで反応物に水を添加し、溶解させて、β−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを含有する水溶液とし、該水溶液からβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを取得することを特徴とする。
本発明の前記式(1)で表されるβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドは、新規化合物として有用である。
本発明のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドの製造方法は、新規化合物の製造方法として有用である。
本発明のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドは、難消化性の糖として有用である。
本発明のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドは、甘味剤として有用である。
本発明のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドは、飲食品に添加して用いることができる。
本発明のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドは、飼料に添加して用いることができる。
本発明の糖1について加熱処理済糖混合溶液を活性炭カラムにかけて、水で溶出した画分を調製用カラム(ODS−80Ts:商品名、東ソー株式会社製)に供したチャートを示す図である。 本発明の糖1についてHPAECの結果のチャートを示す図である。 本発明の糖1についてMALDI−TOFMSの結果のチャートを示す図である。 本発明の糖1について1次元プロトンNMRの結果のチャートを示す図である。 本発明の糖1について1次元カーボンNMRの結果のチャートを示す図である。 本発明の糖1について2次元NMRとしてCOSYの結果のチャートを示す図である。 本発明の糖1について2次元NMRとしてE−HSQCの結果のチャートを示す図である。 本発明の糖1について2次元NMRとしてHMBCの結果のチャートを示す図である。 本発明の糖1について各温度により合成した量を定量した結果のチャートを示す図である。 本発明の糖1 について各反応時間により合成した量を定量した結果のチャートを示す図である。 本発明の糖1について各pHの緩衝液に溶解させ100℃で加熱した時の安定性の結果のチャートを示す。 β−フルクトフラノシダーゼによる本発明の糖1の分解性についての結果のチャートを示す図である。 α−グルコシダーゼによる本発明の糖1の分解性についての結果のチャートを示す図である。 β−グルコシダーゼによる本発明の糖1の分解性についての結果のチャートを示す図である。 ラット小腸アセトン粉末による本発明の糖1の分解性の結果のチャートを示す。 人工胃液による本発明の糖1の分解性の結果のチャートを示す図である。
本発明の糖の製造に用いるD−グルコースには、β−D−グルコース、無水のD−グルコース、1水和物のD−グルコース、アノマー混合のD−グルコースの何れでもよい。D−グルコース、D−フルクトースには市販のものが好適に利用できる。また、本発明で利用可能なD−グルコース、D−フルクトースの形態は、粉末状或いは顆粒の状態でもよい。
本発明において使用する水には、反応条件を厳密にする目的で精製水を用いることが好ましい。精製水には、Milli−Q水、蒸留水或いはイオン交換水を用いることができる。
本発明の糖を含有する水溶液の製造の好ましい実施の態様として、次の方法を示す。
(本発明の糖を含有する水溶液の製造方法)
粉末状または顆粒状のD−グルコースとD−フルクトースを三角フラスコにとり混合し、酵素が存在しない状態で且つ水を添加しない状態で、120℃以上200℃以下、好ましくは140℃以上190℃以下、最も好ましくは150℃以上170℃以下に加熱する。加熱反応時の温度が120℃未満であると本発明の糖の十分な製造はされず、また200℃を超えるとカラメル化は進み、本発明の糖の製造効率が落ちるため好ましくない。
加熱時間は好ましくは15分から180分間、さらに好ましくは15分から120分間、最も好ましくは30分から60分間である。加熱後、精製水を添加後溶解し、濾過して本発明の糖を生成した糖溶液を得ることができる。濾過は、ディスポーサブル0. 45μmあるいは0. 22μmフィルター(例えば孔経0. 45μmあるいは0. 22μmのDISMIC−25cs Cellulose Acetate)で濾過して本発明の糖含有糖溶液とすることができる。この本発明の糖含有糖溶液は、−4℃以下(好ましくは−80℃以下)のフリーザーで凍結させることにより保存できる。
前記のようにして調製した糖含有糖溶液を活性炭カラムにかけて、水で溶出した画分を調製用カラム(ODS−80Ts:商品名、東ソー株式会社製)に供して、水で溶出して34分頃にピークとなった部分をβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシド(「β−Ff2←→1βG」:略語)として本発明の糖を取得した。
本発明の糖の甘味度は、スクロースの甘味度を100とした場合に、約40度程度である。また甘味の質は、スクロースの甘さに比べて、さっぱりとした甘味である。本発明の糖を単独で、又は補助成分と混合して甘味剤として用いることができる。
本発明の糖は、β−フルクトフラノシダーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ラット小腸由来酵素、人工胃液により殆ど分解されないので、難消化性糖である。
本発明の糖はpH安定性はスクロースとほぼ同等の性質を有するので、甘味剤としての利用可能性がある。
本発明の糖の利用形態は、糖の含有液を液状で、また、濃縮してシラップ状で、更に、乾燥し固形状、粉末状、顆粒状で用いることができる。さらに、精製工程を経て、夾雑糖類等を除去して糖の高含有画分を採取したもの、或いは、更に精製し、液状のまま、シラップ状、結晶化したもの、或いは、粉末状、顆粒状、球状、短棒状、板状、立方体、錠剤など各種形状に成型して固形化したものを用いることができる。
固形化したものは、必要に応じて補助成分として一般的に使用されている、増量剤、賦形剤、結合剤、他の糖類、甘味料、呈味剤、安定剤、乳化剤などと混合しても使用することもできる。
本発明の糖は、難消化性であるのでカロリー制限を目的とした飲食物、飼料に添加して用いることができる。また、各種酵素に対しても分解を受けないことから酵素の分解を考慮した医薬品素材として医薬品等に添加、混合して用いることができる。
[実施例1]
(糖サンプル溶液の製造)
D−グルコース30gとD−フルクトース30gを300mLの三角フラスコに入れ混合し、アルミホイルで蓋をし、酵素を存在させることなく且つ水を添加することなく予め150℃に温めておいた電気炉で1時間加熱した。加熱後、反応物にMilli−Q水を加えて総量が300mLとなるように溶解させることにより糖サンプル溶液を得た。
(未知の糖1の分離)
前記糖サンプル溶液の製造工程で得られた糖サンプル溶液を活性炭セライトカラムクロマトグラフィー(4. 8×35cm)に添加し、水約4400mLで溶出させることにより、画分I(600mL)、画分II(2300mL)の順で各サンプルを得た。各画分のサンプルは、それぞれ減圧濃縮装置を用いて濃縮した。
それぞれ濃縮したサンプルについてHPLC装置(デュアルポンプ;DP−8020(商品名:東ソー株式会社製)、検出器;RI−8020(商品名、東ソー株式会社製))、インテグレータ(Chromatocorder21(商品名、東ソー株式会社製))、カラム(ODS−80Ts column(20mm×25cm、商品名、東ソー株式会社製))、溶出(H2 O、3. 0mL/min)、カラム温度(35℃)、注入量(150μl)の分析条件で分析を行った。以後この分析条件を「HPLC条件−A」とする。その結果、水で溶出させた画分のII中に、末同定ピークが(34分頃)検出していることが認められたため、この目的のピークを糖1とした。図1にクロマトグラフィーのチャートを示す。
目的の糖1について、HPLC条件−Aを行い100回分取した。ただし、得られた画分について単一になっていない場合は、HPLC装置(デュアルポンプ;DP−8020(商品名:東ソー株式会社製)、検出器;RI−8020(商品名、東ソー株式会社製))、インテグレータ(Chromatocorder21(商品名、東ソー株式会社製))、カラム(ODS−100V column(4. 6mm×25cm×3、商品名、東ソー株式会社製))、溶出(H2 O、0. 4mL/min)、カラム温度(25℃)、注入量(100μl)による精製を行った。得られた分取液を凍結濃縮乾燥し、35mgの凍結乾燥物を得た。これを糖1の凍結乾燥物と称する。
HPLC条件−Aで得られた糖1の凍結乾燥物が単一の物質であることを確認するために次の条件のHPAEC分析を行った。
カラム(Dionex,CarboPac PA1(4. 0×250mm、商品名、ダイオネックス株式会社製))、ガードカラム(Dionex,CarboPac PAI Guard(商品名、ダイオネックス株式会社製))、移動層A(150mM NaOH)、移動層B(500mM sodium acetate in 150mM NaOH)、グラジエント条件(0→1分;25mM、1→2分;25−50mM、2→20分;50−200mM、20→22分;500mM、22→30分;25mM)、カラム温度(室温)、注入量(25μl)、測定電位((El);0. 1V(500ms))、酸化電位((E2);0. 6V(100ms))、還元電位((E3);−0. 6V(50ms))。
糖1のHPAECの結果を図2に示す。この結果、前記HPLC条件−Aで得られた糖1の凍結乾燥物は3. 9分頃に検出され、単一化合物である事が認められた。
(糖1の化学構造の決定)
前記工程において分離、精製した糖1について、以下の機器分析を行い、その化学構造を以下のように決定した。分離した糖1のTOF MS分析の結果、得られたピークは365の(M+Na)イオンピークを与えた(糖1のMALDI−TOF MSの結果のチャートを図3に示す)。
次に、糖1について1次元プロトンNMR、1次元カーボンNMR、並びに2次元NMRとしてCOSY、E−HSQCおよびHMBCを行った。それらのチャートを図4〜図8に示す。また、糖1のケミカルシフトを表1に示す。
Figure 0005044717
以上の結果から糖1は、前記式(1)で表される新規化合物であるβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドと決定した。
[実施例2]
(各温度における加熱処理による本発明の糖1の合成)
ガラス試験管にD−グルコース100mgとD−フルクトース100mgをはかり、水を加えないで、温度を130℃から190℃までの10℃刻みに温めておいたサーモバスヒーターで、それぞれ60分間加熱した。
それぞれ加熱したサンプルは、室温まで冷ました後にMilli−Q水lmLを加え溶解させた。溶解させた本発明の糖1含有サンプル溶液は、HPLC装置(デュアルポンプ;DP−8020(商品名、東ソー株式会社製)、検出器;RI−8020(商品名、東ソー株式会社製)、インテグレータ(Chromatocorder21(商品名、東ソー株式会社製))、カラム(ODS−100V column(4. 6mm×25cm×2、商品名、東ソー株式会社製))、溶出(H2 O、0.4mL/min)、カラム温度(室温)、注入量(20μl )による分析条件で分析を行い、本発明の糖1の合成量を定量した。以後この分析条件を「HPLC条件−B」とする。図9に、本発明の糖1について各温度により合成した量を定量した結果のチャートを示す。合成量の単位は、最大合成量が得られた温度160℃のときの合成量を100%とした場合の相対合成量%で示す。
図9によれば、サンプルの加熱温度は120℃以上200℃以下が好ましく、更に好ましくは140℃以上190℃以下、最も好ましくは150℃以上170℃、最大相対合成量(100%)が160℃であることが分かる。
[実施例3]
(各反応時間における加熱処理による本発明の糖1の合成)
前記実施例2の加熱処理による本発明の糖1の合成において、140℃、150℃、160℃および170℃での加熱反応時間を0、15、30、45、60、90、120、180分間とした以外は、前記実施例2と同様に行って、本発明の糖1の含有水溶液(糖サンプル)を得た。
前記工程で得られた本発明の糖1の含有水溶液(糖サンプル)について、前記実施例2のHPLC条件−Bを行った。本発明の糖1が最も製造される反応時間を相対合成量100%とし、各反応時間における本発明の糖1の濃度(相対合成量%)のグラフを図10に示す。図10によれば、加熱時間は、好ましくは15分から180分、さらに好ましくは15分から120分、一番好ましくは30分から60分であることが分かる。
[実施例4]
(本発明の糖1のpH安定性)
Britton-Robinson緩衝液(pH3.0、5.0、7.0および9 .0 )による本発明の糖1のpH安定性について下記のように試験した。
Britton-Robinson緩衝液による安定性は、20mMの本発明の糖1の100uLと各pHの緩衝液100uLを加えて、100℃で0、15、30、45および60分加熱後、HPLC分析(デュアルポンプ;DP4020(商品名、東ソー株式会社製)、検出器;RI−8020(商品名、東ソー株式会社製))、インテグレータ(Chromatocorder21(商品名、東ソー株式会社製))、カラム(ODS−100V column(4. 6mm×25cm、商品名、東ソー株式会社製))、溶出(H2 O、0.4mL/min)、カラム温度(25℃)、注入量(20μL)により本発明の糖1を定量した。また、対照サンプルとして同モル濃度のスクロースを用いた。
Britton-Robinson緩衝液(pH3.0、5.0、7.0および9 .0 )による本発明の糖1のpH安定性の結果を図11に示す。
図11によれば、pHが3.0もしくは9.0の時にスクロースと比べて若干不安定であるが、ほぼ近似した性質である。中性付近のpHにおいては、スクロースに近い安定性が認められた。
[実施例5]
〈本発明の糖1の分解性〉
(β−フルクトフラノシダーゼによる分解性)
パン酵母由来のインベルターゼ(β−フルクトフラノシダーゼ)、酵母由来のα−グルコシダーゼ、アーモンド由来のβ−グルコシダーゼ、ラット小腸由来酵素および人工胃液による本発明の糖1の分解性は下記の方法により測定した。
β−フルクトフラノシダーゼによる本発明糖1の分解性は、20mMの本発明の糖1の100uLとMcIIvain緩衝液(pH5.5)に溶解させたβ−フルクトフラノシダーゼ2U/mLの100uLを加えて、37℃のウォーターバスで0、15、30、45および60分の反応後、100℃、5 分にて反応を止めた。その後、室温まで冷却し上記したHPLC条件−Bにより本発明の糖1を定量した。また、対照サンプルとして同モル濃度のスクロースを用いた。
β−フルクトフラノシダーゼによる本発明の糖1の分解性の結果を図12に示す。
図12によれば、スクロースと比較して本発明の糖1はβ−フルクトフラノシダーゼによる分解の影響を受けなかったことが分かる。
(α−グルコシダーゼによる分解性)
α−グルコシダーゼによる本発明の糖1の分解性は、20mMの本発明の糖1の100uLとMcIIvain緩衝液(pH5.5)に溶解させたα−グルコシダーゼ4U/mLの100uLを加えて、37℃のウォーターバスで0、15、30、45および60分の反応後、100℃、5分にて反応を止めた。その後、室温まで冷却し上記したHPLC条件−Bにより本発明の糖1を定量した。また、対照サンプルとして同モル濃度のマルトースおよびスクロースを用いた。
α−グルコシダーゼによる本発明の糖1の分解性の結果を図13に示す。
図13によれば、マルトースおよびスクロースと比較して本発明の糖1はα−グルコシダーゼによる分解の影響を受けなかったことが分かる。
(β−グルコシダーゼによる分解性)
β−グルコシダーゼによる本発明の糖1の分解性は、20mMの本発明の糖1の100uLとMcIIvain緩衝液(pH5.5)に溶解させたβ−グルコシダーゼ15U/mLの100uLを加えて、37℃のウォーターバスで0、15、30、45および60分の反応後、100℃、5分にて反応を止めた。その後、室温まで冷却し上記したHPLC条件−Bにより本発明の糖1を定量した。また、対照サンプルとして同モル濃度のセロビオースおよびスクロースを用いた。
β−グルコシダーゼによる本発明の糖1の分解性の結果を図14に示す。
図14によれば、セロビオースおよびスクロースと比較して本発明の糖1はスクロースと同様にβ−グルコシダーゼによる分解の影響を受けなかったことが分かる。
(ラット小腸由来酵素による分解性)
ラット小腸アセトン粉末による本発明の糖1の分解性について下記のように試験した。ラット小腸アセトン粉末の調製は、ラット小腸アセトン粉末(sigma 社製)300mgに10mMリン酸緩衝液(pH6.8)2.7mLを加えてガラスホモジナイザーを用いてホモジナイズし、10,000×g、15分間、4℃で遠心分離し、得られた上澄みを酵素液とした。酵素液100uL、20mMの本発明の糖1 100uLを加えて、37℃のウォーターバスで0、60および120分の反応後、100℃、5分にて反応を止めた。その後、室温まで冷却し上記したHPLC条件−Bにより本発明の糖1を定量した。また、対照サンプルとして同モル濃度のマルトースおよびスクロースを用いた。
ラット小腸アセトン粉末による本発明の糖1の分解性の結果を図15に示す。
図15によれば、マルトースおよびスクロースと比較して本発明の糖1はラット小腸由来酵素による分解の影響を受けなかったことが分かる。
(人工胃液による分解性)
人工胃液による本発明の糖1の分解性について下記のように試験した。
20mMの本発明の糖150uL、50mMHCl・KCl緩衝液(pH2.0)25uLを加えて、37℃のウォーターバスで0、15、30、60および120分の反応後、10mMNaOH 25uLを加え液を中和することにより反応を止めた。その後、上記したHPLC条件−Bにより本発明の糖1を定量した。また、対照サンプルとして同モル濃度のスクロースを用いた。
人工胃液による本発明の糖1の分解性の結果を図16に示す。
図16によれば、本発明の糖1は人工胃液に対して37℃で120分までにスクロースと同程度の分解性であり、殆ど分解されていないことが分かる。
上記試験の結果、本発明の糖1はβ−フルクトフラノシダーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ラット小腸由来酵素および人工胃液により殆ど分解されなかった。よって、本発明の糖1は難消化性糖だということが分かる。
[実施例6]
(本発明の糖1 の甘味度と甘さの質)
本発明の糖1の5%溶液と1%から5%のスクロース溶液を調製し、6人の被験者により甘味度と甘さの質を判定した。その結果、スクロースの甘味度を100とした場合、本発明の糖1の甘味度は約40であった。また、スクロースの甘さに比べさっぱりとした甘みであった。
本発明のオリゴ糖は、甘味剤、食品素材、飼料素材、医薬品素材の用途としての利用が期待できる。

Claims (7)

  1. 次式(1)で表されるβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシド。
    Figure 0005044717
  2. D−グルコースとD−フルクトースを用い、酵素が存在しない条件下で、100℃以上200℃以下で加熱して反応させて次式(1)で表されるβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを生成させ、反応物中からβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを取得することを特徴とするβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドの製造方法。
    Figure 0005044717
  3. 請求項2に記載のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドの製造方法において、
    D−グルコースおよびD−フルクトースの混合物に対して水を添加することなく固相で100℃以上200℃以下で加熱して反応させ、次いで反応物に水を添加し溶解させて、β−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを含有する水溶液とし、該水溶液からβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを取得することを特徴とするβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドの製造方法。
  4. 前記D−グルコースおよびD−フルクトースが粉末状または顆粒状である請求項2乃至3のいずれか1項に記載のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドの製造方法。
  5. 請求項1に記載のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを有効成分として含有する甘味剤。
  6. 請求項1に記載のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを添加してなる飲食品。
  7. 請求項1に記載のβ−D−フルクトフラノシル−(2←→1)−β−D−グルコピラノシドを添加してなる飼料。
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