JP2952439B2 - 新規飲食品素材 - Google Patents

新規飲食品素材

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JP2952439B2
JP2952439B2 JP3336228A JP33622891A JP2952439B2 JP 2952439 B2 JP2952439 B2 JP 2952439B2 JP 3336228 A JP3336228 A JP 3336228A JP 33622891 A JP33622891 A JP 33622891A JP 2952439 B2 JP2952439 B2 JP 2952439B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、α−ガラクトオリゴ糖
組成物を含有する食品および飲料の素材に関し、特に低
う蝕性、抗う蝕性かつ強いビフィズス菌増殖促進効果を
有する新規な飲食品素材を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】代表的な甘味料であるシュークロース
(蔗糖)は良質の甘味を有する優れた甘味料であるが、
近年、虫歯や肥満の原因となるようなマイナス面につい
て指摘されるようになった。一方、オリゴ糖とは少糖と
も言い、2〜6糖位の糖鎖と定義される。近年、ある種
のオリゴ糖がシュークロースよりカロリーが低く、人間
の健康維持に結びつくビフィズス菌増殖活性や抗う蝕性
等様々な生理機能をもつことが知られるようになった。
【0003】ビフィズス菌増殖活性をもつオリゴ糖は、
人間には消化されず大腸まで達し、大腸においてビフィ
ズス菌にのみ選択的に資化されビフィズス菌叢の増大と
安定化をおこすものである。ビフィズス菌は人間の腸内
菌叢を構成する代表的な有用菌である。腸内でビフィズ
ス菌叢が形成されると、これが乳酸や酢酸を生産し、腸
管内のpHを低下させ、大腸菌などの有害菌の増殖が抑制
され、結果として生体にとって有害な腸内腐敗産物の生
産が抑制される。さらに、乳酸などの脂肪酸が腸管を刺
激してぜん動運動が促進され、便秘、下痢が改善され
る。さらに、ビフィズス菌は人体の免疫力を高める効果
や発癌物質を分解することも報告されている。また、年
をとると腸内のビフィズス菌が減少消失することも明ら
かにされ、老化との係わりも論じられている。
【0004】虫歯の原因は、まず、口腔内細菌ストレプ
トコッカス(Streptococcus )の分泌するグルコシルト
ランスフェラーゼによって粘着性の不溶性グルカンがシ
ュークロースから合成され、次に、この下で食物カス等
の酸発酵が起り、この酸が歯のカルシウムを溶解するた
めであると考えられている。非う蝕性糖とは、それ自身
不溶性グルカンの合成原料とならない糖で、さらに抗う
蝕性糖は非う蝕性のみならずシュークロースの虫歯誘発
能をも抑制する作用をもつ糖質である。
【0005】近年、特定のオリゴ糖を合成する様々な糖
関連酵素が微生物よりスクリーニングされ、このような
微生物酵素の利用技術や合成したオリゴ糖の高度な精製
技術の進歩とあいまって、オリゴ糖を大量に低コストで
合成することが可能となった。このため、オリゴ糖が医
薬品分野ばかりでなく食品工業のような身近な分野でも
利用できるようになった。例として、フラクトオリゴ
糖、β−ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルト
オリゴ糖、パラチノース、カップリングシュガー等が知
られている。これらのオリゴ糖は、ビフィズス菌増殖活
性、あるいは、非・抗う蝕性が報告されているが、ビフ
ィズス菌増殖活性と抗う蝕性の両方の特性が報告されて
いるものはイソマルトオリゴ糖以外ほとんど知られてい
ない。
【0006】近年、メリビオース、マンニノトリオー
ス、ラフィノース、スターキオースなどの末端にα−ガ
ラクトシル基を有するオリゴ糖、すなわち、α−ガラク
トオリゴ糖が強いビフィズス菌の増殖効果をもつことが
認められ、飲食品や医薬品等、あるいは、その原料とし
て注目を浴びている。ラフィノースの供給源としては、
ビート、大豆オリゴ糖が、スタキオースの供給源として
は大豆オリゴ糖が知られている。しかしながら、上記の
大豆オリゴ糖は量的に少ないため大量供給が難しく、ま
た、価格も高い。ビート中のラフィノースも、供給時期
が10月〜3月と限定されること、および、現在のところ
価格が高いという欠点をもっている。メリビオース、マ
ンニノトリオースは大豆オリゴ糖中に少量存在し、それ
ぞれ、ラフィノースとスタキオースのフラクトース部分
が除去された構造をもっている。人為的にはラフィノー
ス、スタキオースの分解によって合成されているが、原
料ラフィノースやスタキオースが高価なため、非常に高
価である。これらのα−ガラクトオリゴ糖は、どれも、
有害な腸内細菌に利用されにくく強いビフィズス菌増殖
活性を有しているが、人体に有用と考えられるビフィズ
ス菌の一種ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifido
bacteriumbifidum)には、メリビオースが若干資化され
るのみであった。この優れたビフィズス菌増殖活性を有
するメリビオースは、構造的にフラクトシル残基を持た
ないため強い耐酸性、耐熱性を有している。さらに、制
癌効果やナチュラルキラー細胞活性化作用が報告されて
おり非常に有用なオリゴ糖であると考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように有用な特性
を持つα−ガラクトオリゴ糖、特に、メリビオースは前
述のごとく大量にかつ安価な供給がなされておらず、ビ
フィズス菌増殖活性をもつオリゴ糖としてはビフィドバ
クテリウム ビフィダムに資化されにくいという欠点を
有していた。本発明は、メリビオースと同等の耐酸性、
耐熱性を有し、溶解性とビフィドバクテリウム ビフィ
ダムに対する資化性に関してメリビオースより優れ、抗
う蝕性を合わせもつ飲食品素材を提供しようというもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため鋭意研究した結果、高濃度のガラクト
ース、あるいは、ガラクトースとグルコースの混合物、
あるいは、乳糖加水分解物に高濃度のα−ガラクトシダ
ーゼを作用させると、メリビオースと同等の耐酸性、耐
熱性を有し、溶解性とビフィドバクテリウム ビフィダ
ムに対する資化性に関してメリビオースより優れ、抗う
蝕性を合わせもつα−ガラクトオリゴ糖組成物が得られ
る事実を発見し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、このような特性を有するα−ガラクトオリゴ糖組成
物を含有する飲食品素材を提供するもので、このような
本発明の飲食品素材は、飲食品をはじめとして、飼料、
医薬品、化粧品等、広範な用途に使用できる有用な素材
である。
【0009】本発明の新規な飲食品素材は、ガラクトー
スまたはガラクトースを含む物質を原料としてα−ガラ
クトシダーゼの脱水縮合反応によって合成される、以下
の性質: 1)腸内細菌であるビフィドバクテリウム ビフィダム
(Bifidobacterium bifidum)による資化試験の結果、
終濃度 0.5%の当該オリゴ糖組成物を含むPepton-Yeast
-Fildes solution(PYF)培地のpHが 5.5以下となる
資化性強度を示す、 2)80%(W/W)の水溶液を25℃24時間以上放置して
も結晶の析出が見られない、 を有するα−ガラクトオリゴ糖組成物を含有することを
特徴するものである。
【0010】現在、オリゴ糖あるいは配糖体の合成法と
しては糖転移酵素または加水分解酵素による脱水縮合反
応や糖転移反応を利用する方法が開発されている。本発
明では、加水分解酵素であるα−ガラクトシダーゼの脱
水縮合反応を利用し、α−ガラクトオリゴ糖組成物を合
成する。この脱水縮合反応は、加水分解反応の逆反応で
あるが、反応が進むにつれ、脱水縮合反応によって合成
されたα−ガラクトオリゴ糖が再度α−ガラクトシダー
ゼによって分解され糖転移反応も平行して起こる。その
ため、糖転移反応もα−ガラクトオリゴ糖組成物の合成
に寄与している。以下に本発明について詳述する。
【0011】α−ガラクトシダーゼの脱水縮合反応に供
する原料としては、ガラクトースまたはガラクトースを
含有する物質が使用できるが通常、ガラクトースまたは
ガラクトースとグルコースの混合物を用いる。ガラクト
ースとしては、市販のガラクトースはもちろん、α−ガ
ラクトシル基あるいはβ−ガラクトシル基を含む天然の
オリゴ糖、配糖体あるいは多糖から酵素(β−ガラクタ
ナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ
など)あるいは酸を使用して加水分解することにより調
製したガラクトースが使用できる。ガラクトースとの結
合の相手となるグルコースは、市販のグルコースはもち
ろん、α−グルコシル基あるいはβ−グルコシル基を含
む天然のオリゴ糖、配糖体あるいは多糖から酵素(アミ
ラーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、α−グルコシ
ダーゼ、β−グルコシダーゼなど)あるいは酸を使用し
て加水分解することにより調製したグルコースが使用で
きる。
【0012】ガラクトースとグルコースの混合物として
は、上記のガラクトースとグルコースを適当な比率に混
合して利用できるが、安価な乳糖を酸あるいはβ−ガラ
クトシダーゼによって加水分解した乳糖加水分解物をそ
のまま利用することが望ましい。この場合、分解条件に
より未分解の乳糖が乳糖加水分解物中に残存する場合も
あるが、そのまま利用可能である。乳糖加水分解物はβ
−ガラクトシダーゼを用いた場合、β−ガラクトシダー
ゼによる転移生成物も含まれる場合もあるが、そのまま
利用できる。ガラクトースとグルコースの比率は限定さ
れずガラクトースが含まれておればよい。そこで、乳糖
加水分解物に上記のガラクトースとグルコースを添加し
たり、イオン交換クロマトグラフィーや活性炭カラム等
を用いてガラクトースとグルコースの組成比を変更して
用いてもよい。
【0013】α−ガラクトシダーゼは本来加水分解酵素
であるが、原料のガラクトース濃度を高めると加水分解
反応の逆反応として脱水縮合反応も触媒するようにな
る。従って、高濃度のガラクトース(Gal)にα−ガ
ラクトシダーゼを作用させた場合、α−1,6結合を主
体とした(Gal)n(nは通常1〜6の数を表す。)
の構造式をもつオリゴ糖を生成する。この場合、反応系
にグルコース(Glc)が存在すれば、α−1,6結合
を主体とした(Gal)nの構造式をもつオリゴ糖以外
に、ガラクトースとグルコースがα−1,6結合を主体
に結合した(Gal)n−Glc(nは通常1〜5の数
を表す。)の構造をもつオリゴ糖も合成される。この生
成した化合物のガラクトースの結合位置、結合数、ある
いは、これらの化合物の比率は、原料のガラクトースと
グルコースの組成、用いた酵素の由来や反応形式により
影響を受ける。
【0014】本発明のα−ガラクトオリゴ糖組成物を合
成するには原料のガラクトースの濃度は高い程良く、通
常5%(W/V)以上の濃度を用いる。また、溶解度の
点から反応温度は高い方が望ましい。α−ガラクトシダ
ーゼの作用条件は用いる酵素によって異なるが、pH 3.0
〜10.0、好ましくは4.0〜8.0 の範囲で、反応温度は20
〜90℃、好ましくは40〜70℃の範囲である。反応時間
は、酵素の使用量によって異なるが、通常1〜240 時間
である。しかしながら、本発明は以上の条件、あるいは
反応形態のみに限定されるものではない。
【0015】本発明で用いるα−ガラクトシダーゼは、
ガラクトースあるいはガラクトースとグルコースを含む
溶液に作用させた場合、脱水縮合反応によってα−ガラ
クトシル基を含むオリゴ糖を合成するものであれば良
い。この酵素は、起源・種類に限定されない。例えば、
ピクノポラス・シナバリヌス(Pycnoporus cinnabarin
us)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus b
ovis)、デプロコッカス・ニューモニア(Diplococcus
pneumoniae)、モルティエレラ・ビナセ(Mortierella
vinacea)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseu
domonas fluorescens)H-601 株(寄託番号 FERM P-1
1027)やキャンディダ・ギリエルモンディー(Candida
guilliermondii)H-404 株(寄託番号 FERM P-11026)
などの微生物やビシア・サティバ(Vicia sativa)、緑
色コーヒー豆(Green coffee bean)などの植物が生産
するα−ガラクトシダーゼが使用できる。
【0016】これらの微生物からα−ガラクトシダーゼ
を生産する方法は、通常液体培養もしくは固体培養が用
いられる。液体培養の場合はその培養上澄液を、固体培
養の場合はその抽出液を、そのまま酵素剤として利用で
きる。また、場合によっては菌体をそのまま酵素剤とし
て利用することも可能である。また、必要に応じて既知
の方法で精製した酵素も使用できる。これら酵素あるい
は酵素を生産する菌体は固定化してカラムに詰めたり膜
に固定化して連続式で、あるいはバッチ式で繰り返し反
応に利用することも可能である。
【0017】このようにして得られた縮合反応溶液は、
α−ガラクトオリゴ糖組成物以外に未反応の原料である
ガラクトース、あるいはガラクトースとグルコース、あ
るいは、乳糖加水分解物を含んでいるが、このまま飲食
品素材として利用できる。あるいは、活性炭カラムやイ
オン交換カラム、再結晶、酵母による資化等によってα
−ガラクトオリゴ糖組成物を単離して、あるいは、純度
を高めて利用することもできる。また、これら糖液に、
更に他の糖類あるいはそれらの還元物、もしくはその他
の天然、あるいは、合成甘味料の一種または二種以上を
併用して使用することもできる。糖類としては、グルコ
ース、ガラクトース、フラクトース、マンノース、イノ
シトール、シュークロース、ラクトース、マルトース、
マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ
糖、β−ガラクトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、パラチ
ノース、カップリングシュガー、ラクチュロース、乳果
オリゴ糖、シクロデキストリン等が、還元物の例として
は、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、ズル
シトール、エリスリトール等が、天然、あるいは、合成
甘味料として、ステビオシド、ルブソシド、グリチルリ
チン、蜂蜜、アスパルテーム等が挙げられる。また、本
飲食品素材には、必要に応じて、澱粉などの増量材や着
色料や香料等を添加することもできる。さらに、腸内で
のビフィズス菌の増殖をより活性化するために、ビフィ
ズス菌を配合することも可能である。
【0018】本発明の飲食品素材において、α−ガラク
トオリゴ糖組成物のもつビフィズス菌増殖活性、抗う蝕
性の効果を発揮させるためには、α−ガラクトオリゴ糖
組成物の本発明の飲食品素材中の含有量は少なくとも5
重量%以上、好ましくは10重量%以上含ませるのがよ
い。しかし、併用するオリゴ糖がビフィズス菌増殖活性
や抗う蝕性を有する場合は、相加、あるいは相乗効果に
より、より少量で効果を発揮することが可能である。本
飲食品素材は、使用する目的に応じて、公知の乾燥、混
合、溶解、濃縮等の操作によって、液状、水飴状、顆粒
状、粉末状に加工して利用できる。
【0019】
【発明の効果】ガラクトース、あるいは、ガラクトース
とグルコース、あるいは、乳糖加水分解物を原料にα−
ガラクトシダーゼの縮合反応によって合成された、本発
明の飲食品素材に含まれるα−ガラクトオリゴ糖組成物
は、メリビオースと同等の耐酸性、耐熱性を有し、溶解
性とビフィドバクテリウム ビフィダムに対する資化性
に関してメリビオースより優れており、抗う蝕性も有し
ている。ガラクトースとグルコースから合成されるα−
ガラクトオリゴ糖組成物はメリビオースも含むため、メ
リビオースにおいて報告されている制癌効果やナチュラ
ルキラー細胞活性化作用も期待できる。そのため、本発
明の飲食品素材は、強いビフィズス菌増殖活性と抗う蝕
性を合わせもつ優れた飲食品素材として利用できる。次
に本発明の詳細を実施例を挙げて説明するが、本発明は
これに限定されるものではない。
【0020】
【実施例】
参考例 α−ガラクトシダーゼの活性測定法 10mMパラニトロフェニル−α−ガラクトシド 0.2mlと40
mM緩衝液(pHは酵素の至適pHに準ずる) 0.2mlにα−ガ
ラクトシダーゼ溶液0.05mlを加えて40℃10分間反応させ
る。反応後、 0.2M Na2CO3 0.5mlを加えて反応を止め、
遊離してくるパラニトロフェノール量を分光光度計にて
400nmの吸光度を計ることにより測定した。酵素活性1
単位(U)は、この条件下で1分間に1μmoleのパラニ
トロフェノールを生成する酵素量と定義した。
【0021】実施例1 ガラクトースを原料に用いたα
−ガラクトオリゴ糖組成物の作成 ガラクトース50gとキャンディダ ギリエルモンディー
H-404株の生産するα−ガラクトシダーゼ2000Uを含む
pH4.5 の酢酸緩衝液 100ml(ガラクトース濃度50%(W
/V)、酵素濃度40U/g−ガラクトース)を調製し、
50℃にて60時間反応させた。反応液を活性炭カラムクロ
マトグラフィーにかけ、オリゴ糖類を吸着させた後、エ
チルアルコール0%〜30%の濃度勾配により溶出させ
た。溶出液を濃縮乾燥してα−ガラクトオリゴ糖組成物
(a)を12g得た。この組成物は、酸で加水分解すると
ガラクトースのみを生成した。このα−ガラクトオリゴ
糖組成物(a)は、高速液体クロマトグラフィーによる
分析結果から、ガラクトテトラオース以上のオリゴ糖2
%、ガラクトトリオース16%、ガラクトビオース82%か
ら構成されていた。このようにして得られたα−ガラク
トオリゴ糖組成物(a)は、さわやかな甘味を有し、ビ
フィズス菌増殖活性と抗う蝕性を合わせもつ飲食品素材
として利用可能であった。
【0022】実施例2 乳糖加水分解物を原料に用いた
α−ガラクトオリゴ糖組成物の作成 ラクトース2kgを市販のβ−ガラクトシダーゼ(ノボ社
ラクトザイム)によって加水分解し、ガラクトースとグ
ルコースの等量混合物を得た。このガラクトースとグル
コースの等量混合物とキャンディダ ギリエルモンディ
ー H-404 株の生産するα−ガラクトシダーゼ 59000U
を含むpH4.5 の酢酸緩衝液2300mlを調製し、50℃にて80
時間反応させた。反応液から活性炭カラムクロマトグラ
フィーによりα−ガラクトオリゴ糖組成物(b)を 390
g得た。この組成物は、酸で加水分解するとガラクトー
スとグルコースのみを生成し、ガラクトースとグルコー
スの組成は約7:3であった。また、このα−ガラクト
オリゴ糖組成物(b)は、高速液体クロマトグラフィー
による分析結果から、3糖以上のオリゴ糖15%、2糖85
%から構成されていた。このようにして得られたα−ガ
ラクトオリゴ糖組成物(b)は、さわやかな甘味を有
し、ビフィズス菌増殖活性と抗う蝕性を合わせもつ飲食
品素材として利用可能であった。
【0023】実施例3 ガラクトースとグルコースの混
合物を原料に用いたα−ガラクトオリゴ糖組成物の合成 ガラクトース1gとグルコース10gに市販のモルティエ
レラ・ビナセ由来のα−ガラクトシダーゼ(生化学工業
(株))30Uを含むpH5.5 の酢酸緩衝液18mlを調製し、
50℃で 140時間反応させた。活性炭カラムクロマトグラ
フィーによりα−ガラクトオリゴ糖組成物(c)を 0.3
g得た。この組成物は、酸で加水分解するとガラクトー
スとグルコースのみを生成し、ガラクトースとグルコー
スの組成は約1:1であった。また、このα−ガラクト
オリゴ糖組成物(c)は、高速液体クロマトグラフィー
による分析結果から、3糖以上のオリゴ糖10%、2糖90
%から構成されていた。このようにして得られたα−ガ
ラクトオリゴ糖組成物(c)は、さわやかな甘味を有
し、ビフィズス菌増殖活性と抗う蝕性を合わせもつ飲食
品素材として利用可能であった。
【0024】実施例4 乳糖加水分解物を原料に用いた
α−ガラクトオリゴ糖組成物を含む飲食品素材の作製 ラクトース2kgを市販のβ−ガラクトシダーゼ(ノボ
社:ラクトザイム)によって加水分解し、ガラクトース
とグルコースの等量混合物を得た。このガラクトースと
グルコースの等量混合物とキャンディダ ギリエルモン
ディー H-404 株の生産するα−ガラクトシダーゼ 590
00Uを含むpH4.5 の酢酸緩衝液2300mlを調製し、50℃に
て80時間反応させα−ガラクトオリゴ糖組成物(b)を
390g含む縮合反応溶液を得た。その後、活性炭カラ
ム、イオン交換カラムによって脱色、精製、濃縮し溶液
状の飲食品素材を得た。この飲食品素材は、さわやかな
甘味を有し、ビフィズス菌増殖活性と抗う蝕性をもつ飲
食品素材として、各種調理、製菓、製パン等に好適であ
った。
【0024】実施例5 α−ガラクトオリゴ糖組成物を
含む飲食品素材の作成 シュークロース1kgと上記実施例2のα−ガラクトオリ
ゴ糖組成物(b)の乾燥粉末60gを混合して粉末状の飲
食品素材を得た。本品は、ビフィズス菌増殖活性と抗う
蝕性を合わせもつ甘味料素材として、各種調理、製菓、
製パン等に好適であった。
【0025】
【試験例】
試験例1 In Vitro に於ける腸内細菌による資化性試
験 Pepton-Yeast-Fildes solution(PYF)培地に各種糖
質を 0.5%になるように添加した滅菌培地(pH 7.2)
1.5mlを調製し、あらかじめFildes solution加GAM
ブイヨン培地(GAMブイヨン(日水製薬製)にFildes
solution 0.4%を添加)で前培養しておいた供試菌液
0.03mlを接種し、37℃で4日間(96時間)嫌気培養後、
pHを測定し資化性を判定した。結果を下表に示す。判定
は、pHについては、−:≧ 6.0、±: 6.0〜5.5 、+:
5.5〜5.0 、++: 5.0〜4.5 、+++:<4.5 とし
た。表中の略号は、対照区(炭水化物無添加)、Glc :
グルコース、M−P:メイオリゴP(明治製菓製)、
A:α−ガラクトオリゴ糖組成物(a)、B:α−ガラ
クトオリゴ糖組成物(b)、Mlb :メリビオースを示
す。
【0026】
【表1】
【表2】
【0027】上記表中の結果からわかるように、本発明
で使用するα−ガラクトオリゴ糖組成物はpHが 5.5以下
となる資化性強度を示す。
【0028】試験例2 溶解性試験 メリビオース、実施例1のα−ガラクトオリゴ糖組成物
(a)、実施例2のα−ガラクトオリゴ糖組成物
(b)、実施例3のα−ガラクトオリゴ糖組成物(c)
に各種重量濃度になるように水を添加し、沸騰水浴中で
完全に溶解した。その後、25℃に2週間放置し、結晶の
析出を経時的に検鏡によって観察した。メリビオースは
70重量%では結晶の析出は見られなかったが、72重量%
では明瞭な結晶の析出が観察された。これに対して、α
−ガラクトオリゴ糖組成物(a)、(b)、(c)は、
いずれも70重量%の場合は勿論、82重量%の濃度におい
ても全く結晶の析出が見られなかった。
【0029】試験例3 抗う蝕性試験 10mMのシュークロース、本発明の飲食品素材、0.02%の
アジ化ナトリウムを含む0.02Mリン酸緩衝液(pH 6.8)
に、ストレプトコッカス ソブリヌス(Streptococcus
sobrinus)6715の粗グルコシルトランスフェラーゼ標品
を加え、37℃で18時間反応させた。反応終了後、反応液
を遠心分離することによって得た沈澱を水酸化ナトリウ
ムを加えて溶解し、不溶性グルカン量をフェノール硫酸
法により測定した。結果を次表に示す。表中、相対値
は、本飲食品素材を添加しなかった場合に生じる不溶性
グルカン量を 100としたときの相対値を示す。なお、A
は実施例1のα−ガラクトオリゴ糖組成物(a)を、B
は実施例2のα−ガラクトオリゴ糖組成物(b)を示
す。このように本発明の飲食品素材をシュークロースに
添加すると、シュークロースからの虫歯の原因となる不
溶性グルカンの生成が抑制された。
【0030】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 19/14 A61K 31/00 601B // A61K 31/00 601 A23L 2/00 G (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23L 1/30 - 1/307 A23L 2/00 A61K 31/715 C07H 3/06 C12P 19/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラクトースまたはガラクトースを含む
    物質を原料にα−ガラクトシダーゼの脱水縮合反応によ
    って合成される、以下の性質をもつα−ガラクトオリゴ
    糖組成物を含有する新規な飲食品素材。 1)腸内細菌であるビフィドバクテリウム ビフィダム
    (Bifidobacterium bifidum)による資化試験の結果、
    終濃度 0.5%の当該オリゴ糖組成物を含むPepton-Yeast
    -Fildes solution(PYF)培地のpHが 5.5以下となる
    資化性強度を示す。 2)80%(W/W)の水溶液を25℃24時間以上放置して
    も結晶の析出が見られない。
  2. 【請求項2】 ガラクトースを含む物質が、乳糖加水分
    解物あるいはガラクトースとグルコースの混合物である
    請求項第1項記載の新規な飲食品素材。
  3. 【請求項3】 反応条件がガラクトース濃度5%(W/
    V)以上、α−ガラクトシダーゼ濃度5U/g−ガラク
    トース以上の条件でα−ガラクトシダーゼの脱水縮合反
    応によって合成される請求項第1項に記載のα−ガラク
    トオリゴ糖組成物を含有する新規な飲食品素材。
  4. 【請求項4】 請求項第1項ないし第3項のいずれか1
    項に記載のα−ガラクトオリゴ糖組成物を5重量%以上
    含有する新規な飲食品素材。
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