JP2022516432A - カソードアーク点火装置 - Google Patents

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Abstract

基板上へのターゲット材料のカソードアーク堆積のためのアーク点火装置であって、接触位置と静止位置との間で移動可能に配置されたトリガフィンガを備え、接触位置において、隣接するターゲットの側面はトリガフィンガに物理的に接触することができ、静止位置において、隣接するターゲットはトリガフィンガに接触することはできず、ターゲット材料のカソードアーク堆積の間において、トリガフィンガは、接触位置と静止位置との間で移動可能に配置され、このようにしてターゲット材料のカソードアーク堆積の間における堆積されたターゲット材料によるトリガフィンガの汚染が最小化され得る、アーク点火装置。

Description

本発明は、概して、物理蒸着のための機器に関し、より具体的には、コーティングチャンバにおけるカソードアーク堆積のためのアーク点火装置、アセンブリおよび方法に関する。
先行技術
カソードアーク堆積は、既知の物理蒸着法である。カソードアーク堆積法の実施のためには、通常、アーク蒸発器に配置されるターゲット材料(以下、アーク蒸発源、アーク源またはスパーク源とも呼ばれる)の蒸発を生じさせるための高電流放電を点火するための手段が用いられ、アーク蒸発器はコーティング機器の真空チャンバ内に配置される。アーク蒸発器は、通常、アーク蒸発中にカソードとして動作可能なターゲット材料を含む。アーク蒸発器は、アーク蒸発中にアノードとして動作可能な少なくとも1つの電極も含み得る。アーク蒸発器が統合されたアノードを含まない場合、真空チャンバ内に配置される他の電極がアノードとしても動作し得る。ある場合において、真空チャンバの壁がアノードとして動作することも知られている。
カソードアーク堆積プロセスを開始するためには、蒸発されるとともにカソードとして動作するターゲット材料の表面において電気アークを点火する必要がある。
アーク堆積プロセスの間、基板(たとえば、構成部品または器具などの加工対象物)が、高真空下において、特にプラズマエッチングまたはプラズマコーティング(たとえば、カソードアーク物理蒸着法によるコーティング)などのプラズマ処理を基板に施すために、処理される。
別の種類のアーク蒸発源用の点火装置が既に知られており、たとえば出願番号US2011/0220495A1の米国出願に記載されている。そこには、点火装置の種類が本質的に以下の3つの群に分類されることが説明されている:a)カソードとアノードとの間の接触の機械的な開閉のための装置;b)電気スパークオーバによるアーク放電の点火のための装置;c)導電性ブリッジによる点火のための装置。
コーティング堆積に先立ち、アーク堆積法においては、コーティング対象となる基板はコーティングチャンバに配置され、コーティング室は排気される。上述したように、電気アークは、ターゲットの表面から材料を蒸発させるために用いられ、これによりコーティング堆積のためのコーティング材料を供給する。カソードアーク蒸発プロセスは、高電流・低電圧の電気アークをカソードとして機能するターゲットの表面上に加えることにより始まり、アノードに向かうターゲット(カソードとして動作される)の表面からの電子の放出をもたらす。
上述したように、電気アークの点火は、蒸発されることとなるターゲット表面と接触する必要がある点火フィンガを用いることによって達成され得る。このような点火フィンガは、一般に、トリガフィンガとも呼ばれる。従来、電気アークの点火の間および時には電気アークの点火の後であっても、点火フィンガはターゲット表面から蒸発される材料に曝される。この暴露は、点火フィンガ上におけるコーティング膜(たとえば、窒化物膜などの金属膜もしくはセラミック膜、または酸化膜、または別の種類の膜)の蓄積をもたらす。このような蓄積は、点火フィンガがその機能を発揮する能力(たとえば、電気的接触および続く電気アークの点火を保証すること)を低下させる可能性がある。このように、望ましくないコーティングを除去するために定期メンテナンスが必要とされる。しかしながら、頻繁なメンテナンスは動作時間を低減させ、結果としてコーティング製造プロセスの全体の効率を低減させる。一方で、メンテナンスが十分な頻度で実施されない場合、最初の点火を実行するという点火フィンガの能力だけでなく、必要な再励起に関するスピードおよび信頼性も低減され得る。これは、同様に、コーティング製造プロセスの効率を低減させることにつながり、さらにはコーティングの品質を下げることになり得る。動作において、カソードスポットは、先行するカソードスポット近くの新たな領域において自己消火および自己再点火する前に、短時間、活性を有するのみである。この挙動は、電気アークの見かけ上の作動を生じさせる。カソードスポットが完全に消失し、上述した新たな領域において自己再点火できないとき、電気アークはプロセスの間、消失することとなる(すなわち、ブラックアウト期間が生じる)。このような場合、点火フィンガは、ターゲット表面の新たな電気アークを点火するために、再び再励起のために用いられなければならない。点火フィンガを有する従来の点火装置を用いることによるこの新たな電気アークの再点火は、従来、50msより長くかかる。時には、たとえば、点火フィンガの接触面が点火フィンガ上における望ましくないコーティング材料によって電気アークを開始するための電気的接触を保証するのにもはや適さない場合、またはいくつかの他の理由のために点火システムがメンテナンスを必要とする場合、メンテナンスが点火フィンガ上で行われることが可能なように全プロセスがシャットダウンされなければならないことさえある。そのため、既知のフィンガ点火システム(すなわち、アークカソード蒸発器内でターゲット表面において電気アークを点火するための点火システム)を備える既知のトリガ装置は、電気アークの高速の再点火を達成するためのトリガフィンガの十分に速い再トリガを可能にすることはない。残念ながら、既知のシステムは、プロセスの実行の間に電気アークの望まない消失に基づいて蒸発プロセスを中断する(50msより長いブラックアウト期間をもたらす)。
本発明の目的
本発明の目的は、先行技術に関する1つ以上の困難を軽減するまたは克服することである。特に、本発明の目的は、高速で高品質で信頼性があり、低メンテナンスのカソードアーク堆積を提供する、単純かつ安価なアーク開始装置およびカソードアーク堆積アセンブリを提供するための、アーク点火装置およびカソードアーク堆積のためのアセンブリを提供することである。
本発明の簡単な説明
これらの課題を克服するために、独立請求項1に係るアーク点火装置、独立請求項11に係るカソードアーク堆積のためのアセンブリ、および独立請求項20に係るカソードアーク堆積のためのアークをスパークする方法が発明された。本発明は、特に、真空コーティングシステム(真空コーティングシステムは、以下、真空コーティング機器とも呼ばれる)においてアーク蒸発器の高電流放電を点火するための点火装置(以下、点火機器とも呼ばれる)に関する。
本発明によって提供される点火機器は、特に、点火機器の点火フィンガ上におけるコーティング膜の蓄積によって要求されるメンテナンスを低減するまたはなくすことを可能にする。さらに、本発明に係る点火機器は、意図せず消失した電気アークの高速の再生成を可能にすることにより、ブラックアウト期間をなくす。この文脈において、「電気アークの高速の再生成」は、50ms以下、好ましくは20ms~50msの間の期間内における電気アークの再点火を意味する。本発明の第1の局面において、基板上へのターゲット材料のカソードアーク堆積のためのアーク点火装置であって、接触位置と静止位置との間で移動可能に配置されたトリガフィンガを備え、接触位置において、隣接するターゲットの側面はトリガフィンガに物理的に接触することができ、静止位置において、隣接するターゲットはトリガフィンガに接触することはできず、ターゲット材料のカソードアーク堆積の間、トリガフィンガは接触位置と静止位置との間で移動可能に配置され、このようにしてターゲット材料のカソードアーク堆積の間における堆積されたターゲット材料によるトリガフィンガの汚染が最小化され得る、点火装置が開示される。本発明の文脈において、トリガフィンガは、好ましくは、基本的に細長い、特にロッド形状のリリースユニットであると理解される。本発明にしたがうトリガフィンガの汚染の最小化は、特に、本発明にしたがうトリガフィンガの特別な配置ならびに接触位置と静止位置との間のトリガフィンガの移動のタイプおよびスピードによって達成される。
本発明に係るアーク点火装置は、真空チャンバ内部、特に真空チャンバの壁に設置されることができ、真空チャンバは、好ましくは、コーティング対象となる1つ以上の基板を受容するための場所を有する。真空チャンバは、好ましくは、大気圧未満の所定の圧力に排気され得る(たとえば、10Pa未満-物理蒸着法を達成するために調整される総圧力は、通常、0.01Pa~8Paの間の範囲にあるが、この範囲は本発明の限定として理解されるべきではない-真空品質圧範囲は、通常、以下の真空タイプに分類される:低:760~0Torr、中:0~10-3Torr、高:10-3~10-8Torr、超高:10-8~10-12Torr、極高:<10-12、宇宙空間:~10-16Torr)。
第1の局面の例において、アーク点火装置は、それが少なくとも部分的に内部に配置される筐体を備え、筐体は調整可能に配置可能な真空チャンバの外側に設けられ得る。筐体は、真空が筐体内に存在する、または少なくとも筐体の一部に存在するように、チャンバの内部に流体接続され得る。特に、筐体は、汚染に対して保護するように機能し、電気的絶縁を提供し得る。加えて、アーク点火装置は、筐体によって、単純かつ融通性のある方法で、真空コーティングチャンバの圧力レベルに維持され得る。
第1の局面の別の例において、点火装置は、トリガフィンガを接触位置と静止位置との間で移動させるためのアクチュエータを備え、トリガフィンガは、50ms未満で、好ましくは50ms~20msの間に、より好ましくは20ms~10msの間に、アクチュエータによって接触位置と静止位置との間で動かされ得る。このような高速移動は、特にアークの高速の点火および再点火を可能にする。堆積ターゲット材料による汚染を効率的に回避する観点から、アクチュエータは、トリガフィンガが最大200μs後、好ましくは最大150μs後、特には最大150μs~100μsの間後、接触位置から離れ得るように設計され得る。アクチュエータは、さらに好ましくは、上記トリガフィンガの軸方向において、トリガフィンガを直線的に移動させるために提供され得る。
第1の局面の別の例において、アクチュエータは、電磁気アクチュエータである。このような場合、電磁気アクチュエータは、電磁場がばねを予め決められた延長(伸張)長さまで伸張させるために生成されて、トリガフィンガを静止位置から接触位置まで動かし得る。電磁場が解除されるとき、トリガフィンガがその静止位置まで戻るように、ばねはその自由長または予圧長に戻り得る。トリガフィンガとターゲットの側面との十分な接触を保証するために、本発明の発明者らは、その静止位置からその接触位置まで動かされるときにトリガフィンガの先端が横切る実際の距離よりも長い距離に対応するばね伸張をもたらす磁場を生成することを提案する。たとえば、トリガフィンガの先端が移動しなければならない実際の距離(静止位置と接触位置との間)が3mmである場合、予想されるばね伸張および3mmよりも大きい対応する伸張距離をもたらす力が提供されるべきである。これは、接触位置においてトリガフィンガの先端の移動エンベロープにターゲットが配置されない場合、力がたとえば4mmの伸張距離を提供するように選択されるべきであることを意味する。言い換えれば、上述した予め決められた延長(伸張)長さは、予め選択された力が圧縮ばねに作用しばねの伸張を妨げる障害物が間に設けられない場合、その自由長または予圧長からその延長(伸張)長さまで圧縮ばねによって動かされる総距離であり得る、計算されたまたは予め決められたばね伸張に対応する。上記は、たとえば、電磁場力が圧縮ばねに作用し、その間に障害物が設けられない場合のケースである。
第1の局面の別の例において、アーク点火装置は、接触段階における電流を5A未満の値、好ましくは2A~5Aの間の値に制限するための電流制限要素を備える。電流制限装置は、ここでは、特にアークの材料供給点火および再点火に関して用いられ得る。
第1の局面の別の例において、アーク点火装置は、第1端部と反対側の第2端部とを有するロッドを備え、好ましくは、第1端部は調整可能に配置可能なチャンバ内に配置され、第2端部は筐体内に配置される。
第1の局面の別の例において、アーク点火装置は、トリガフィンガを静止位置へ移動させるばね(たとえば、引張ばね)をさらに備える。トリガフィンガを移動させることは、好ましくは、ばねが伸張されトリガフィンガが接触位置にあったときに生成されたばねの引張応力を緩和することによって達成され得る。特に、ばねの使用は、トリガフィンガの高速かつ正確に決定可能な移動のための単純設計の選択肢を提供する。
第1の局面の別の例において、トリガフィンガは、少なくとも部分的にタングステンで構成される。トリガフィンガは、また、タングステンとは異なる導電性材料で作製されてもよいが、タングステンで作製された、または以下に述べるような他の材料とのタングステン合金で作製されたトリガ先端を備える。タングステンまたはタングステン許可材料は、トリガフィンガとして、またはターゲット表面で燃焼し得る電極アークを生成する(点火する)ために必要とされる電流を伝えるための接触材料(非消耗電極)として作用するためのトリガフィンガの先端として用いられる。純タングステン電極は費用効果が高いが耐熱性に劣るため、別種の合金元素、たとえばセリウム、ランタンまたはトリウムがタングステンの性能に影響を及ぼすために用いられてもよい。タングステン合金材料は、TIG溶接法で用いられることが知られており、通常、2%以下の濃度で上述の合金元素を含む。このような種類のタングステン合金材料は、本発明に係るトリガフィンガの製造のために用いられることができる。
本発明の第2の局面において、基板上への材料のカソードアーク堆積のためのアセンブリであって、アセンブリは、先述のアーク点火装置と、コーティング対象となる基板を受容するためのチャンバであって、大気圧未満の所定の圧力に排気されるチャンバと、チャンバ内に設けられるカソードバックサポートと、カソードバックサポートプレートに隣接して位置するターゲットであって、カソードバックサポートから離れて面する第1表面と、第1表面から離間されるとともにカソードバックサポートに面する第2表面と、第1表面および第2表面に接続する側面とを有し、第1表面からプラズマ材料が放出されることとなる、ターゲットと、を備るアセンブリが開示される。
第2の局面の例において、アノードが、チャンバ内に設けられるとともにターゲットから離間され得る。同様に、アノードはターゲットの第1表面から外方向にかつ離れて離間されることも可能である。
第2の局面の別の例において、接触位置においてアーク点火装置のトリガフィンガはターゲットの側面に物理的に接触し、静止位置においてトリガフィンガはターゲットに接触しない。
第2の局面の別の例において、特に、堆積されたターゲット材料によるトリガフィンガの汚染に対する信頼性のある保護に関して、アセンブリは、堆積された材料によって汚染されることからのトリガフィンガの保護のための閉込め部材をさらに備えてもよい。閉込め部材は、チャンバ内に配置され得、その表面上に形成される溝を有し得る。好ましくは、接触位置において、トリガフィンガの第1端部はターゲットに物理的に接触し、静止位置において、トリガフィンガの第1端部はターゲットに接触せず閉込め部材の溝内に位置して第1端部が堆積された材料に曝されることを抑制する。これにより、閉込め部材は、ターゲットの側面に隣接して位置し、好ましくはカソードバックサポートとアノードとの間に配置され得る。たとえば、閉込め部材は、内側壁によって規定される中央開口部を有するリング形状であり、溝は閉込め部材の径方向において、閉込め部材の外側壁から内側壁まで延在する。これにより、中央開口部は、閉込め部材がターゲットの周りに設けられるように、ターゲットの幅よりも大きい直径を有し得る。
本発明の第3の局面において、特に先述のアセンブリを用いることによって材料のカソードアーク堆積のためのアークをスパークする方法であって、方法は、排気されたチャンバ内にアノードおよびターゲットを提供するステップと、チャンバ内に配置された第1端部とチャンバの外側に配置された第2端部とを有するトリガフィンガを提供するステップと、トリガフィンガの第1端部が、第1端部がプラズマ材料から隠されるように、閉込め部材内に収容される、トリガフィンガの静止位置への移動をもたらすステップと、トリガフィンガの第1端部が閉込め部材内には配置されず、第1端部がターゲットの側面に物理的に接触する、トリガフィンガを静止位置から接触位置へ移動させるステップと、トリガフィンガを接触位置から静止位置へ戻すステップと、を含む方法が開示される。
第3の局面の例において、特にトリガフィンガの高速かつ厳密に規定可能な移動を保証する構造的に単純な可能性に関して、トリガフィンガの静止位置への移動をもたらすステップは、ばねを介して達成されて得る。トリガフィンガを接触位置から静止位置へ戻すステップは、ばねがその自由長に戻る力を介して達成され得る。
トリガフィンガの位置決めを可能な限り厳密に調整するために、トリガフィンガを静止位置から接触位置へ移動させるステップは、チャンバの外側に配置されるアクチュエータを介して達成され得る。
第3の局面の別の例において、特にアークの高速の点火および再点火の可能性に関して、トリガフィンガが接触位置にとどまる時間の合計は、250μs未満、好ましくは200μs未満、より好ましくは150μs~100μsの間である。24。アーク堆積の間における堆積されたターゲット材料によるトリガフィンガの汚染の最小化に関して、トリガフィンガが静止位置から接触位置まで移動するのにかかる時間の合計は、50msを超えないものであり得、好ましくは20ms~50msの間の時間、より好ましくは20ms~10msの間の時間がかかり得る。さらに、たとえば、移動時間を20msに調整することにより、トリガ反復(再トリガ)は50Hzの周波数に対応し得る。
本発明の第4の局面において、パルス型カソードアーク堆積法における先述のアーク点火装置の使用が開示される。
本発明の第5の局面において、パルス型カソードアーク堆積法における先述のアセンブリの使用が開示される。パルスプロセスへの本発明に係るアーク点火装置または本発明に係る配置の使用は、トリガフィンガの汚染が少ないことにより所望のとおりに頻繁にかつ迅速に実用的に達成可能である再点火のために、特に好適である。
詳細な説明
アーク点火装置を有するカソードアーク堆積のためのアセンブリの概略的側面断面図であって、アーク点火装置のトリガフィンガが静止位置で示される図である。 図1に示される閉込め部材の概略的上面図である。 図1に示される閉込め部材の概略的等角図である。 図1のアセンブリの概略側面断面図であって、トリガフィンガが接触位置で示される図である。 カソードアーク堆積アセンブリの1つの実施形態の電気的挙動のダイアグラムである。
ここで図面を参照すると、図1は、コーティング対象となる1つ以上の基板S上にコーティング(すなわち、材料)を堆積するためのカソードアーク堆積アセンブリ100を示す。カソードアーク堆積アセンブリ100は、外側シェル104によって画定されるチャンバ102を含む。少なくともカソードアーク堆積アセンブリ100の動作の間、チャンバ102は、真空状態で提供される。すなわち、チャンバ102は、大気圧未満の所定の圧力に排気される(たとえば、10Pa未満-物理蒸着法を達成するために調整される総圧力は、通常、0.01Pa~8Paの間の範囲にあるが、この範囲は本発明の限定として理解されるべきではない-真空品質圧力範囲は、通常、以下の真空タイプに分類される:低:760~0Torr、中:0~10-3Torr、高:10-3~10-8Torr、超高:10-8~10-12Torr、極高:<10-12、宇宙空間:~10-16Torr)。これは、チャンバ102との流体接続において提供される真空ポンプ(図示せず)によって達成される。
さらに示されるように、チャンバ102内にはカソードバックサポート106が設けられる。ターゲット108(すなわち、カソード)は、カソードバックサポート106に隣接して位置し、第1表面108aと、第1表面108aから離間された第2表面108bと、第1表面108aおよび第2表面108bに接続する側面108cとを含む。ターゲット108は、第2表面108bがカソードバックサポート106に面するとともに、第1表面108aがカソードバックサポート106から離れて面するように配置される。特に、ターゲット108の第2表面108bは、ターゲット108がその上に静止するように、カソードバックサポート106に物理的に接触する。
ターゲット108から離間された位置において、アノード110がチャンバ102内に配置される。特に、アノード110がターゲット108の垂直方向上方に設けられるように、アノード110は、ターゲット108の第1表面108aから外方向にかつ離れて離間される。本願における開示は、カソードアーク堆積アセンブリの概略的描写に関してなされたものであり、上記開示はそれに限定されないことを理解されたい。たとえば、図1における概略的描写および本願においてそれに関連する開示は鉛直の方向付けに関してなされたものであるが(すなわち、ターゲット108はカソードバックプレート106の頂部上に位置し、アノード110はターゲット108の鉛直方向上方に離間される)、他の方向付け(たとえば、水平方向)が可能であることが考えられる。
ターゲット材料(図示せず)は、ターゲット108の第1表面108aから蒸発されることとなり、蒸発された材料からプラズマが形成され、そこから材料がコーティング対象となる基板S上へ堆積されてコーティングを形成する。これは、カソードアーク堆積アセンブリ100の電気アークを生成および維持する動力供給部112を提供することによって達成される。特に、動力供給部112の陽端子はアノード110に動作的に接続され、動力供給部112の陰端子はカソードバックサポート106を介してターゲット108に動作的に接続される。動力供給部112は、40V~200Vの範囲内のアイドル電圧を供給する。
電気アークを生成するために、ターゲット108は、打撃手段(striking means)(すなわち、トリガフィンガ、以下でさらに説明される)によって打ち付けられ、そうすることによって動力供給部112からターゲット108を介しておよび打撃手段を介して閉じた電気回路を作り出す。打撃手段がターゲット108から解放されるとき、打撃手段とターゲット108との間の電気回路経路は切断され、電気アークが打撃手段とターゲット108との間の隙間を飛び越えることにより、ターゲット108上に電気アークを発生させる。電気アークの発生の際、アーク経路は、ターゲット108とアノード110との間に直ちに延び、その後、動力供給部112によって維持される。
動作中におけるターゲット108を通過する高電流レベルによって、ターゲット108は極端に熱くなる。このように、カソードアーク堆積アセンブリ100は、ターゲット108を冷却するように構成された冷却手段(図示せず)を含んでもよい。この冷却手段は、カソードバックサポート106と一体的に形成されてもよく、または分離された別個の構成であってもよい。
図1にさらに示されるように、カソードアーク堆積アセンブリ100は、電気アークを生成するように構成されたアーク点火装置114を含む。アーク点火装置114は、チャンバ102の外側に設けられた筐体116と、トリガフィンガ118とを含み、トリガフィンガ118はトリガフィンガ118の軸方向Xにおける直線移動のために設けられる。筐体116は、そこに形成された開口部の位置において、チャンバ102の外側シェル104に取り付けられる。特に、封止材が外側シェル104と筐体116との間に設けられ、前者を後者に対して密封するように係合させる。封止材は、外側シェル104および筐体116をそれぞれ物理的に接触させる、第1封止リング120aおよび第2封止リング120bを含む。さらに示されるように、第1封止リング120aと第2封止リング120bとの間には電気絶縁体122が設けられ、電気絶縁体122はチャンバ102とアーク点火装置114とを電気的に絶縁するために提供される。
他のアクチュエータ(たとえば、電気機械的アクチュエータの他の形態)が用いられてもよいが、電磁気アクチュエータが好ましい。なぜなら、電磁気アクチュエータは、アクチュエータの移動部分が真空にあり(封止されているとともに、アーク蒸発源に取り付けられている)、かつ刺激電気コイルが大気中にありながら、トリガフィンガが移動することを可能にするためである。したがって、非常に小型の設計を有するアーク点火装置の構成が可能となる。
アーク点火装置114は、筐体116内に設けられたアクチュエータ124をさらに含む。アクチュエータ124は、以下で説明されるように、静止位置と接触位置との間でトリガフィンガ118を動かす(すなわち、移動させる)。さらに、アクチュエータ124は、機械的アクチュエータであってもよいが、好ましくは電磁気アクチュエータ(たとえば、リニアサーボモータ、ソレノイドなど)である。特に、アクチュエータ124は、電磁気アクチュエータの形態であってもよく、電磁気アクチュエータはコイルの電気刺激の後に機械的な運動をもたらす。コイルの電気刺激は、コンデンサ(図示せず)の放電によってもたらされ得る。アクチュエータ124は、パルスの形態で活性化されてもよく、アーク点火装置114に一定のインパルス運動を与え、最大50Hzの繰返し周波数が達成される。
カソードアーク堆積アセンブリ100は、チャンバ102内に配置される閉込め部材126をさらに含む。図2Aおよび図2Bに示されるように、閉込め部材126は、好ましくは、リング形状である。しかしながら、他の構成も考えられる。たとえば、閉込め部材126は、四角形状または長方形状であってもよい。
図2Bに示されるように、閉込め部材126の外周表面は、上側面取り縁部127aと下側面取り縁部127bとを含むように仕上処理されてもよい。別の例では、閉込め部材126の外周表面は、丸みを帯びた角部(たとえば、半径角部)を含むように仕上処理されてもよい。代替的には、外周表面は仕上処理されなくてもよい(たとえば、90°の四角形角部)。
図2Aおよび図2Bを参照すると、閉込め部材126は、ノッチまたは溝128を備える。溝128は、閉込め部材126内に形成され、トリガフィンガ118がそこを通って延在することを可能にするように構成される。特に、閉込め部材126は、ターゲット108の側面108cに隣接して(好ましくは取り囲むが、直接的に接触することはなく)位置し、鉛直方向においてカソードバックサポート106とアノード110との間に配置される。閉込め部材とターゲットとの間の横方向の距離は、好ましくは、1.5mm以下である(径方向の距離を考慮する)。すなわち、閉込め部材126は、カソードバックサポート106の上方、アノード110の下方に位置する。閉込め部材126は、一般に、鋼鉄(磁性または非磁性)からなる。
図2Aおよび図2Bに関して、閉込め部材126の概略上面図(図2A)および概略等角図(図2B)が示される。閉込め部材126は、内側壁126aと外側壁126bとを有するリング形状である。閉込め部材の外側壁126bは、凹状周方向チャネルを規定するように形成されてもよい。しかしながら、外側壁126bは、外側壁126bの周囲に沿って延在する凸状突出部を有するように仕上処理されてもよい。代替的には、外側壁126bは、周方向チャネルを含まなくてもよい。別の局面においては、外側壁126bは、閉込め部材126の周方向表面に沿って延在する外方向に延在する隆起部またはフランジ(たとえば、保持部材)を含むように形成されてもよい。
閉込め部材126の溝128は、閉込め部材126の径方向において、内側壁126aから外側壁126bまで延在する。閉込め部材は、トリガフィンガがその中を移動するようにトリガフィンガの非閉塞通路を提供する寸法の溝128を有して設計されなければならない。同時に、溝は、プラズマがその中で燃焼することを防止する、特に溝の内面上におけるコーティング材料の堆積を回避できるほどに狭くなければならない。これは、たとえば、2mmの直径を有するトリガロッドが用いられる場合、図2bに概略的に示されるように、溝128の軸寸法は3mmであり得ることを意味する。さらに、内側壁126aは、直径dを有する閉込め部材126における中央開口部を規定する。中央開口部の直径dは、閉込め部材126がターゲット108の周りに設けられるように、ターゲット108の幅Wよりも大きい。言い換えれば、閉込め部材126はターゲット108を周方向に取り囲み、閉込め部材126の内側壁126aはターゲット108の側面108cに面する。
図1に戻ると、トリガフィンガ118は、第1端部118aと反対側の第2端部118bとを有するロッドである。トリガフィンガ118、特にトリガフィンガの第1端部(トリガフィンガの先端とも呼ばれる)は、タングステンで構成され得る。代替的には、トリガフィンガ118は、既に上述したように、他の材料で構成されてもよい。トリガフィンガは、閉込め部材126の溝128の中へ延在し、ターゲット108の側面108cを打撃するように配置される。示されるように、トリガフィンガの第2端部118bは、アーク点火装置114の筐体116内に設けられる。
図1に示されるように、トリガフィンガ118は静止位置において示されている。特に、トリガフィンガ118の第1端部118aは、閉込め部材126の溝128内に位置する。この態様において、閉込め部材126は、トリガフィンガ118の第1端部118aがチャンバ102内に設けられた(たとえば、電気アークの点火からの)プラズマ材料に対して曝されることを抑制する。さらに示されるように、筐体116内にはばね130が設けられており、ばね130はトリガフィンガ118の静止位置への移動をもたらすように構成される。ばね130は、らせん状の圧縮ばねとして示されており、他のタイプのばね(たとえば、引張ばね、円錐ばね、ディスクばねなど)がさらに考えられ、ばねの方向付けがトリガフィンガ118の静止位置への移動をもたらすために用いられ得る。
図3に移ると、トリガフィンガ118が接触位置において示されている。特に、上述されるように、アクチュエータ124はトリガフィンガ118を静止位置(すなわち、トリガフィンガ118の第1端部118aが溝128内に位置する)から接触位置まで直線的に移動させ、トリガフィンガ118の第1端部118aはターゲット108の側面108cに物理的に接触する。すなわち、トリガフィンガ118は、ターゲット108の側面108cを打撃する(すなわち、接触する)ように(たとえば、側面108cが位置する想像上の平面に垂直な方向において)移動可能である。この方向付けおよび配置は、ターゲット108の第1表面108aまたは第2表面108bを打撃するのとは対照的に、小さなトリガフィンガの移動をもたらす。トリガフィンガ118が静止位置と接触位置との間で移動する総距離はたとえば3mmであり得るが、この距離は本発明の限定として理解されるべきではない。静止位置から接触位置までのおよびその逆の移動の間におけるトリガフィンガによってカバーされなければならない距離が短いほど、再トリガによって消費される時間は短くなる。同様に、トリガフィンガの移動のための距離がより短く選択される場合、効率はより高くなり、システムの複雑性は低減されることができる。本発明に係るトリガ装置(アーク点火装置)を用いることに関わるさらなる利点は、たとえば、以下の点である:a)本発明を用いることによっては側面108cの浸食は起こらないため、安定したトリガ構造が保証される、b)トリガフィンガの静止位置への移動がトリガフィンガを点火装置の筐体内または閉込め部材の溝内に概ね隠すため、トリガフィンガ(トリガフィンガの第1端部またはトリガフィンガの先端を意味する)上におけるコーティング膜の堆積がないまたは相当に低減される、c)アクチュエータと、電気隔離および真空封止を含むトリガ機能のための部品とを備えるコンパクトな設計。
トリガフィンガ118が接触位置にあるとき、閉じた電気回路が動力供給部112からターゲット108を通って、およびアーク点火装置114を通って(すなわち、トリガフィンガ118を介して)作り出される。示されるように、カソードアーク堆積アセンブリ100は、トリガフィンガ118に電気的に接続される抵抗器132をさらに含む。抵抗器132は、接触位置の間、電流を5A以下、好ましくは2A~5Aの範囲に制限する。
ここで、カソードアーク堆積アセンブリ100の動作が説明される。初めに、動力供給部112が活性化されることにより、40V~200Vのアイドル電圧を送達する。このとき、トリガフィンガ118は、ばね130を介して静止位置に動かされる。電気アークを生成するために、アクチュエータ124が活性化され(たとえば、コンデンサに放電することを介してコイルを刺激する)、アクチュエータ124は、その自由長または予圧長(弛緩長またはばねの弛緩位置とも呼ばれる)に維持するためのばね130の自身の力に打ち勝つのに十分な大きさのトリガフィンガ118上の力をもたらす。そうすることにおいて、トリガフィンガ118は、静止位置から接触位置まで直線的に移動し、トリガフィンガ118の第1端部118aはターゲット108の側面108cに物理的に接触する。
注目すべきは、トリガフィンガ118を静止位置から接触位置まで移動させるのにかかる時間の合計は、50msを超えず、好ましくは10ms~50msの間である。トリガフィンガ118の第1端部118aがターゲット108の側面108cを打撃するとき、閉じた電気回路が形成され、2A~5Aの電流が送達される。その後、アクチュエータ124が活性解除される。そして、トリガフィンガ118へ力を供給しなくなる。このように、トリガフィンガ118は、その自由長に戻るためのばね130の自身の力の下、静止位置まで戻るように移動する。トリガフィンガ118が接触位置にとどまる(すなわち、トリガフィンガ118の第1端部118aがターゲット108の側面108cと接触している)時間の合計は、100μs以下、好ましくは50μs未満である。
この電気回路が切断されたとき、電気アーク(すなわち、プラズマ材料)がターゲット108から放出される。このプラズマ材料は、その後、(たとえば、磁気を介して)基板に案内されて基板Sをコーティングする。この態様においては、トリガフィンガ118がアクチュエータ124の活性解除後、直ちに静止位置まで戻るため(すなわち、それ自体の弛緩をもたらすための、ばね130の自身の力によって)、およびトリガフィンガ118の第1端部118aが静止位置において閉込め部材126の溝128内に配置されるため、トリガフィンガ118はプラズマ材料から隠される。言い換えれば、トリガフィンガ118は、アクチュエータ124が活性化しない限り、常に静止位置にある(すなわち、プラズマ材料から隠される)。このように、トリガフィンガ118はプラズマ材料に曝されることがないため、トリガフィンガ118上における膜の蓄積は起こり得ない。
図4に関して、カソードアーク堆積アセンブリ100の1つの実施形態の電気的挙動のダイアグラムが示される。ダイアグラムは、第1時間間隔Tと、第2時間間隔Tと、第3時間間隔Tとに分けられる。第1時間間隔Tは、動力供給部112が活性化された後、電気アークの生成前のカソードアーク堆積アセンブリ100を表す。すなわち、第1時間間隔Tにおいて、トリガフィンガ118は静止位置にある。第2時間間隔Tは、接触位置における(すなわち、図3に示されるような)トリガフィンガ118を表す。特に、第2時間間隔Tは、50μsの期間にわたって起こる。すなわち、トリガフィンガ118の第1端部118aがターゲット108の側面108cに接触する時間の合計は、50μsに等しい、または50μs未満である。第3時間間隔Tは、トリガフィンガ118の第1端部118aがターゲット108の側面108cから解放されるときに起こる、電気アークの生成を表す。すなわち、トリガフィンガ118は、第3時間間隔T3の間、再び静止位置にある。
示されるように、3つの線(すなわち、線「A」、「B」および「C」)がダイアグラム上に配置され、各時間間隔(すなわち、T~T)の間におけるカソードアーク堆積アセンブリ100の電気的挙動を表す。第1線「A」は、電気アーク放電電流を(すなわち、アンペアで)表す。線「A」は、第1時間間隔T~第2時間間隔Tの間、実質的に一定のままであり、電気アーク放電電流は0Aに等しい。しかしながら、第3時間間隔Tの間、電気アーク放電電流は200Aまで上昇する。
第2線「B」は、トリガフィンガ118における電流の量を(アンペアで)表す。示されるように、トリガフィンガ118は、第1時間間隔Tの間、電流を経験しない(すなわち、0A)。第2時間間隔Tの間、トリガフィンガ118は3Aの電流を経験する。トリガ電流(すなわち、線「B」)は、第3時間間隔Tの間、実質的に低減されるが、ゼロ(すなわち、0A)になることはない。
最後に、第3線「C」は、カソードアーク堆積アセンブリ100の電圧を(すなわち、ボルトで)表す。第1時間間隔Tの間、電圧は、比較的一定のままであり、140Vにほぼ等しい。この電圧は、動力供給部112によって供給される。電気アークの生成後(すなわち、第2時間間隔Tの後)、電圧は20V~40Vの範囲まで低減される。
上述された例示の実施形態を参照して本発明が説明された。この明細書を読み、理解して、修正および代替が生じるであろう。本発明の1つ以上の局面を包含する例示の実施形態は、添付の請求項の範囲内にある限りにおいて、すべてのこのような修正および代替を含むことを意図される。

Claims (26)

  1. 基板上へのターゲット材料のカソードアーク堆積のためのアーク点火装置であって、前記アーク点火装置は、
    接触位置と静止位置との間で移動可能に配置されたトリガフィンガを備え、前記接触位置において、隣接するターゲットの側面は前記トリガフィンガに物理的に接触することができ、前記静止位置において、前記隣接するターゲットは前記トリガフィンガに接触することはできず、ターゲット材料のカソードアーク堆積の間、前記トリガフィンガは前記接触位置と前記静止位置との間で移動可能に配置され、このようにして前記ターゲット材料の前記カソードアーク堆積の間における堆積されたターゲット材料による前記トリガフィンガの汚染が最小化され得る、アーク点火装置。
  2. 前記アーク点火装置は、
    それが少なくとも部分的に内部に配置される筐体を備え、前記筐体は、調整可能に配置可能な真空チャンバの外側に設けられ得る、請求項1に記載のアーク点火装置。
  3. 前記アーク点火装置は、
    前記トリガフィンガを前記接触位置と前記静止位置との間で移動させるためのアクチュエータを備え、前記トリガフィンガは、50ms未満で、好ましくは50ms~20msの間に、より好ましくは20ms~10msの間に、前記アクチュエータによって、前記接触位置と前記静止位置との間で動かされ得る、請求項1または請求項2に記載のアーク点火装置。
  4. 前記アクチュエータは、前記トリガフィンガが最大200μs後、好ましくは最大150μs後、特には最大150μs~100μsの間後、前記接触位置から離れ得るように設計される、先行する請求項の一項に記載のアーク点火装置。
  5. 前記アーク点火装置は、接触段階における電流を5A未満の値、好ましくは2A~5Aの間の値に制限するための電流制限要素を備える、先行する請求項の一項に記載のアーク点火装置。
  6. 前記アーク点火装置は、第1端部と反対側の第2端部とを有するロッドを備え、好ましくは、前記第1端部は前記調整可能に配置可能なチャンバ内に配置され、前記第2端部は前記筐体内に配置される、先行する請求項の一項に記載のアーク点火装置。
  7. 前記アクチュエータは、前記トリガフィンガの軸方向において、前記トリガフィンガを直線的に移動させるために提供される、先行する請求項の一項に記載のアーク点火装置。
  8. 前記アーク点火装置は、前記トリガフィンガを前記静止位置へ移動させるばねをさらに備える、先行する請求項の一項に記載のアーク点火装置。
  9. 前記アクチュエータは、電磁気アクチュエータである、先行する請求項の一項に記載のアーク点火装置。
  10. 前記トリガフィンガは、少なくとも部分的にタングステンで構成される、先行する請求項の一項に記載のアーク点火装置。
  11. 基板上への材料のカソードアーク堆積のためのアセンブリであって、前記アセンブリは、
    先行する請求項の一項に記載のアーク点火装置と、
    コーティング対象となる基板を受容するためのチャンバであって、大気圧未満の所定の圧力に排気されるチャンバと、
    前記チャンバ内に設けられるカソードバックサポートと、
    前記カソードバックサポートプレートに隣接して位置するターゲットであって、前記カソードバックサポートから離れて面する第1表面と、前記第1表面から離間されるとともに前記カソードバックサポートに面する第2表面と、前記第1表面および前記第2表面に接続する側面とを有し、前記第1表面からプラズマ材料が放出されることとなる、ターゲットと、
    前記チャンバ内に設けられるとともに前記ターゲットから離間されるアノードと、を備え、
    前記接触位置において、前記アーク点火装置の前記トリガフィンガは前記ターゲットの前記側面に物理的に接触し、前記静止位置において、前記トリガフィンガは前記ターゲットに接触しない、アセンブリ。
  12. 前記アノードは、前記ターゲットの前記第1表面から外方向にかつ離れて離間される、請求項11に記載のアセンブリ。
  13. 前記アセンブリは、堆積された材料によって汚染されることからの前記トリガフィンガの保護のための閉込め部材をさらに備える、請求項11または請求項12に記載の基板上への材料のカソードアーク堆積のためのアセンブリ。
  14. 前記閉込め部材は、前記チャンバ内に配置され、その中に形成される溝を有する、請求項13に記載の基板上への材料のカソードアーク堆積のためのアセンブリ。
  15. 前記接触位置において、前記トリガフィンガの第1端部は前記ターゲットに物理的に接触し、前記静止位置において、前記トリガフィンガの前記第1端部は前記ターゲットに接触せず前記閉込め部材の前記溝内に位置して前記第1端部が堆積された材料に曝されることを抑制する、請求項13または請求項14に記載の基板上への材料のカソードアーク堆積のためのアセンブリ。
  16. 前記閉込め部材は、前記ターゲットの前記側面に隣接して位置し、好ましくは前記カソードバックサポートと前記アノードとの間に配置される、請求項11から請求項15の一項に記載のアセンブリ。
  17. 前記閉込め部材は、内側壁によって規定される中央開口部を有するリング形状であり、前記溝は、前記閉込め部材の径方向において、前記閉込め部材の外側壁から前記内側壁まで延在する、請求項11から請求項16の一項に記載のアセンブリ。
  18. 前記中央開口部は、前記閉込め部材が前記ターゲットの周りに設けられるように、前記ターゲットの幅よりも大きい直径を有する、請求項17に記載のアセンブリ。
  19. 前記アーク点火装置は、前記チャンバの外側に設けられた筐体を備える、請求項11から請求項18の一項に記載のアセンブリ。
  20. 特に請求項11から請求項19の一項に記載のアセンブリを用いることによって材料のカソードアーク堆積のためのアークをスパークするための方法であって、前記方法は、
    排気されたチャンバ内にアノードおよびターゲットを提供するステップと、
    前記チャンバ内に配置された第1端部と前記チャンバの外側に配置された第2端部とを有するトリガフィンガを提供するステップと、
    前記トリガフィンガの静止位置への移動をもたらすステップと、を含み、前記トリガフィンガの前記第1端部は、前記第1端部がプラズマ材料から隠されるように、閉込め部材内に収容され、前記方法はさらに、
    前記トリガフィンガを前記静止位置から接触位置へ移動させるステップを含み、前記トリガフィンガの前記第1端部は、前記閉込め部材内には配置されず、前記第1端部は、前記ターゲットの側面に物理的に接触し、前記方法はさらに、
    前記トリガフィンガを前記接触位置から前記静止位置へ戻すステップを含む、方法。
  21. 前記トリガフィンガの前記静止位置への移動をもたらすステップは、ばねを介して達成され、前記トリガフィンガを前記接触位置から前記静止位置へ戻すことは、前記ばねがその自由長へ戻る力を介して達成される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記トリガフィンガを前記静止位置から前記接触位置へ移動させるステップは、前記チャンバの外側に配置されるアクチュエータを介して達成される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記トリガフィンガが前記接触位置にとどまる時間の合計は、250μs未満、好ましくは200μs未満、より好ましくは150μs~100μsの間である、請求項20から請求項22の一項に記載の方法。
  24. 前記トリガフィンガが前記静止位置から前記接触位置まで移動するのにかかる時間の合計は、50msを超えず、好ましくは20ms~50msの間の時間、より好ましくは20ms~10msの間の時間がかかる、請求項20から請求項22の一項に記載の方法。
  25. パルス型カソードアーク堆積法における、請求項1から請求項10の一項に記載のアーク点火装置の使用。
  26. パルス型カソードアーク堆積法における、請求項11から請求項19の一項に記載のアセンブリの使用。
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