以下、本発明をより具体的に説明するために本発明に係る好ましい実施例を添付された図面を参照してより詳細に説明する。しかし、本発明は、ここで説明される実施例に限定されず他の形態で具体化されることもできる。
本明細書で第1、第2等の用語は、多様な構成要素を説明するのに利用されるもので、かかる構成要素は、前記用語によって限定されず、一つの構成要素を他の構成要素らと区別するために使われる。また、本発明は本明細書で説明される粒子や構成に限定するのでなく、本発明の思想に含まれるすべての変更や均等物も本発明の技術範囲に含まれるものと理解されなければならない。
本明細書で添付された図面の構成要素は、説明の便宜のため、拡大または縮小されて図示されることができる。
本明細書での符号は、符号が含まれた各図面に限定され、各々異なる図面に含まれた符号はその表記が同じであっても別の構成要素を示すことができる。
<金属ハライドペロブスカイト結晶>
前記金属ハライドペロブスカイトは、三次元的な結晶構造または二次元的な結晶構造または一次元的結晶構造または0次元的結晶構造を有する物質であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイトは、ABX3(3D)、A4BX6(0D)、AB2X5(2D)、A2BX4(2D)、A2BX6(0D)、A2B+B3+X6(3D)、A3B2X9(2D)またはAn-1BnX3n+1(qausi-2D)の構造(nは2乃至6の間の整数)を含むことができる。前記Aは、1価カチオンで、前記Bは、金属物質で、前記Xは、ハロゲン元素であり得る。前記quasi-2D構造は、ルデルスデン-ポパー(Ruddlesden-Popper)相またはジオン-ジェイコブソン(Dion-Jacobson)相であり得る。
前記1価カチオンは1価有機カチオンかアルカリ金属であり得る。例えば、前記1価有機カチオンは、有機アンモニウム(RNH3)+、有機アミジニウム誘導体(RC(=NR2)NR2)+、有機グアニジニウム誘導体(R2NC(=NR2)NR2)+、有機ジアンモニウム(CxH2x-n+4)(NH3)n
+、((CxH2x+1)nNH3)(CH3NH3)n+、(RNH3)2
+、(CnH2n+1NH3)2
+、(CF3NH3)+、(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2
+または(CnF2n+1NH3)2
+(x、nは1以上である整数、R=炭化水素誘導体、アルキル(Alkyl)、フッ化アルキル誘導体、H、F、Cl、Br、I)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記アルカリ金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
また好ましくは、前記有機カチオンは、アセトアミジニウム(acetamidinium)、アザスピロンアニウム(azaspironanium)、ベンゼンジアンモニウム(benzene diammonium)、ベンジルアンモニウム(benzylammonium)、ブタンジアンモニウム(butanediammonium)、イソブチルアンモニウム(iso-butylammonium)、n-ブチルアンモニウム(n-butylammonium)、t-ブチルアンモニウム(t-butylammonium)、シクロヘキシルアンモニウム(cyclohexylammonium)、シクロヘキシルメチルアンモニウム(cyclohexylmethylammonium)、ジアゾビシクロオクタンジニウム(diazobicyclooctanedinium)、ジエチルアンモニウム(diethylammonium)、N,N-ジエチルエタンジアンモニウム(N,N-diehtylethane diammonium、N,N-ジエチルプロパンジアンモニウム(N,N-diethylpropane diammonium)、ジメチルアンモニウム(dimethylammonium)、N,N-ジメチルエタンジアンモニウム(N,N-dimethylethane diammonium)、ジメチルプロパンジアンモニウム(dimethylpropane diammonium)、ドデシルアンモニウム(dodecylammonium)、エタンジアンモニウム(ethanediammonium)、エチルアンモニウム(ethylammoniuium)、4-フルオロ-ベンジルアンモニウム(4-fluoro-benzylammonium)、4-フルオロ-フェニルエチルアンモニウム(4-fluoro-phenylethylammonium)、4-フルオロ-フェニルアンモニウム(4-fluoro-phenylammonium)、ホルムアミジニウム(formamidinium)、グアニジニウム(guanidinium)、ヘキサンジアンモニウム(hexanediammnium)、ヘキシルアンモニウム(hexylammonium)、イミダゾリウム(imidazolium)、2-メトキシエチルアンモニウム(2-methoxyethylammonium)、4-メトキシ-フェニルエチルアンモニウム(4-methoxy-phenlylethylammonium)、4-メトキシ-フェニルアンモニウム(4-methoxy-phenylammonium)、メチルアンモニウム(methylammonium)、モルホリニウム(morpholinium)、オクチルアンモニウム(oxtylammonium)、ペンチルアンモニウム(pentylammonium)、ピペラジンジウム(piperazinediium)、ピペリジニウム(piperidinium)、プロパンジアンモニウム(propanediammonium)、イソ-プロピルアンモニウム(iso-propylammonium)、ジ-イソプロピルアンモニウム(di-iso-propylammonium)、n-プロピルアンモニウム(n-propylammonium)、ピリジニウム(pyridinium)、2-ピロリジン-1-イウム-1-イエチルアンモニウム(2-pyrrolidin-1-ium-1-yethylammonium)、ピロリジニウム(pyrrolidinium)、キンクリジンニ-1-イウム(quinclidin-1-ium)、4-トリフルオロメチル-ベンジルアンモニウム(4-trifluoromethyl-benzylammonium)、4-トリフルオロメチルアンモニウム(4-trifluoromethyl ammonium)、そしてBenzalkonium chloride、Dimethyldioctadecylammonium chloride、Trimethylglycine、Cholineのような4次アンモニウムカチオン(Quaternary ammonium cation)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
前記Bは、2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、1価金属、3価金属の組み合わせ、有機物(1価、2価、3価のカチオン)及びこれらの組み合わせであり得る。また好ましくは、前記2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属は、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Ru2+、Bi2+、Pd2+、Cd2+、Pt2+、Hg2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Se2+、Te2+、Po2+、Eu2+、No2+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記1価金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、Ag+、Hg+、Ti+及びこれらの組み合わせであり、前記3価金属は、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ru3+、Rh3+、Ir3+、Au3+、Al3+、Ga3+、In3+、Ti3+、As3+、Sb3+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+、Ac3+、Am3+、Cm3+、Bk3+、Cf3+、Es3+、Fm3+、Md3+、Lr3+及びこれらの組み合わせであり得る。
また、前記Xは、F-、Cl-、Br-、I-、At-及びこれらの組み合わせであり得る。
ペロブスカイトは、ABX3(3D)、A4BX6(0D)、AB2X5(2D)、A2BX4(2D)、A2BX6(0D)、A2B+B3+X6(3D)、A3B2X9(2D)またはAn-1BnX3n+1(qausi-2D)の構造(nは2乃至6の間の整数)を有し、前記Aは1価カチオンで、前記Bは金属物質で、前記Xはハロゲン元素である金属ハライドペロブスカイトで、トレランス係数(t)を以下の式(RA、RB、RXはそれぞれA、B、Xのイオン半径)で定義する。
前記金属ハライドペロブスカイトは、多結晶の形態を有する金属ハライドペロブスカイトバルク(bulk)薄膜形態か、溶液でもコロイド状態で分散が容易な金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態であり得る。
図1は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトバルク(Bulk)薄膜と金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の差異点を示した模式図である。
金属ハライドペロブスカイトバルク(Bulk)薄膜は、図1に示すように、透明なイオン形態の金属ハライドペロブスカイト前駆体をスピンコーティング過程で溶媒を蒸発させることによって結晶化と薄膜コーティングが同時に形成される。従って、バルク薄膜は、2種類以上の前駆体を直ちに反応をさせながら薄膜を形成して、薄膜形成工程時の温度、表面エネルギーなどの熱力学的要因(parameter)に大きく影響を受けるので、数百nm~数mmの非常に不均一で大きい3次元または2次元の多結晶(polycrystal)で構成された薄膜(film)が形成される。
しかし、ペロブスカイトナノ結晶粒子は、図1に示すように、コロイダル(colloidal)溶液中でnm大きさ領域の粒子で結晶化をまずさせた後、リガンドを使って溶液の中に安定に分散させるようにする。ナノ結晶粒子は、溶液中で結晶化が終了した状態であるため、コーティングにより薄膜を形成時結晶の追加成長がないままコーティング条件に影響を受けずに高い発光効率を維持する数nm乃至数十nm水準のナノ結晶粒子で構成された薄膜を形成することができる。
コロイド(colloidal)溶液とは、約10μm以下の大きさを有する固体粒子が互いに凝集せずに安定した混合液を成して液体の中に広がっている分散液を指し示す。コロイドを構成する構成する固体粒子は分散相(dispersed phase)に該当して、固体微粒子が分散している液体は、分散媒質(dispersion medium)と称する。コロイドと類似の概念として、エアロゾル(aerosol)とエマルション(emulsion)があり得る。しかし、エアロゾル(aerosol)は、微細な液滴(liquid droplet)や固体粒子が気体中に分散した状態を指し示し、エマルション(emulsion)は、微細な液滴(liquid droplet)が混和性のない(immiscible)別の種類の液体に均一に分散した状態であり、差がある。コロイド分散系を構成する固体粒子の大きさの限界については学者により様々な見解がある。分散される固体粒子の大きさが、1nm乃至1μmに該当する微粒子の分散液をコロイドと称し、それ以上の大きさについてはサスペンション(Suspension)と分けて称する場合もある。本明細書では、10μm以下の大きさの固体の分散液をコロイドと定義する概念に従うが、分散とサスペンションの差を経時によって、よく沈殿するか否かにより区分する方式に従う。例えば、数時間以内で沈殿ができる場合は、サスペンションであり、数時間以上、好ましくは数日以上沈殿なしに分散が可能なものを分散液と定義する。前記コロイド分散液を高分子及びセラミック材料のような分散媒質にも分散して薄膜やフィルムを形成することができる。
<金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子>
図2は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を示した模式図である。
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶は、ハライド金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(10)を取り囲む複数個の有機リガンド(20)をさらに含むことができる。この時の有機リガンド(20)は、界面活性剤で使われた物質であり、アルキルハライド(Alkyl Halide)、アルキルアンモニウムハライド(Alkyl Ammonium Halide)、アミンリガンド(Amine Ligand)と、カルボキシル酸(Carboxylic acid)またはホスホン酸(Phosphonic acid)を含むことができる。
リガンドは、配位化合物(Dative complex)で中心原子に結合することができるイオンまたは分子の総称をいう。前記リガンドは、ナノ粒子の表面と結合して、ナノ粒子の形と大きさを精度よく制御できる役割をする。リガンドに対する詳しい説明は、[Journal of the American Chemistry Society,2013,135,49,pp 18536-18548]を参考することができる。ナノ粒子の表面に結合するリガンドは、ナノ粒子の表面と結合するモードに応じて、L-typeリガンド、X-typeリガンドまたはZ-typeリガンドに該当することができる。電子二つを供与して配位結合(dative bonding)するものは、L-typeリガンド、ナノ粒子の表面のカチオン位に電子一つを供与して共有結合を形成するものは、X-typeリガンド、ナノ粒子の表面にある二つの電子の収容者はZ-typeリガンドに該当する。
界面活性剤(Surfactant)は、同じ分子内親水性(Hydrophilic)と疏水性(hydrophobic)の二つに相反する官能基を同時に有する両親媒性(amphiphatic)物質で、液体と気体、液体と液体または液体と固体との間の境界面で吸着して色々な物理的現象を表す役割をすることができる。前記界面活性剤(Surfactant)の役割は、表面張力(Surface tension)を低くしたり、乳化(emulsify)させたり、湿潤性(wettability)、起泡性(foamability)を向上させたりまたは可溶化能(Solubilization)の役割をすることができる。特に界面活性剤がナノ粒子の表面に配位結合により結合して、リガンド役割を行う時、ナノ粒子の分散性を高めることができる。界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤(Sulfate(例:ammonium lauryl sulfate、sodium lauryl sulfate、sodium dodecyl sulfate、sodium laureth sulfate、sodium myreth sulfate)、sulfonate(例:dioctyl sodium sulfosuccinate、perfluorooctanesulfonate、perfluorobutanesulfonate、linear alkylbenzne sulfates)、phosphate esters、carboxylates(例:sodium stearate、sodium lauroyl sarcosinate、perfluorononanoate、perfluorooctanoate)を含む形態)、カチオン性界面活性剤(primary、secondary、tertiary、quatenary ammonium cationを含む形態)、そしてBenzalkonium chloride、Dimethyldioctadecylammonium chloride、trimethylglycine、Cholineといった四次アンモニウムカチオン(Quaternary ammonium cation)、そしてカチオンとアニオンを同じ物質に同時に有する両性(Zwitterionicあるいはamphoteric)界面活性剤、そしてfatty alcohols cetyl alcohol、stearyl alcohol、cetostearyl alcohol(consisting predominantly of cetyl and stearyl alcohols)、oleyl alcoholなどの長鎖のアルコール(long chain alcohols)のような非イオン性界面活性剤(Nonionic Surfactant)が挙げられる。
前記アルキルハライドはalkyl-Xの構造であり得る。この時のXに該当するハロゲン元素は、Cl、BrまたはIなどを含むことができる。また、この時のalkyl構造には、CnH2n+1の構造を有する非環式アルキル(acyclic alkyl)、CnH2n+1OHなどの構造を有する一次アルコール(primary alcohol)、二次アルコール(Secondary alcohol)、三次アルコール(tertiary alcohol)、alkyl-Nの構造を有するアルキルアミン(alkylamine)(ex.Hexadecyl amine、9-Octadecenylamine1-Amino-9-octadecene(C19H37N))、p-置換されたアニリン(p-substituted aniline)、フェニルアンモニウム(phenyl ammonium)またはフルオリンアンモニウム(fluorine ammonium)を含むことができるがこれに制限されない。
前記アミンリガンドは、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(N,N-Diisopropylethylethylamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine)、メチルアミン(methylamine)、ヘキシルアミン(hexyl amine)、オレイルアミン(Oleylamine)、N,N,N,N-テトラメチレンエチレンジアミン(N,N,N,N-tetramethylenediamine)、トリエチルアミン(Triethylamine)、ジエタノールアミン(Diethanolamine)、2,2-(エチレンジオキシル)ビス-(エチルアミン)(2,2-(ethylenedioxyl)bis-(ethylamine))中で選択されるが、これに制限されない。
前記アルキルアンモニウムハライド(Alkyl Ammonium Halideあるいはalkylammonium salt)は、methylammonium chloride、dimethylammonium bromide、octylammonium bromide)を含み、場合によってはハライドでない他のsalt形態では、fluorideやacetateが代替することができる(例、ethyl dimethylammonium fluoride、tetrabenzylammonium acetate)。しかし、これに限定されない。
前記カルボキシル酸は、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(4,4’-Azobis(4-cyanovaleric acid))、酢酸(Acetic acid)、5-アミノサリチル酸(5-Aminosalicylic acid)、アクリル酸(Acrylic acid)、L-アスペン酸(L-Aspentic acid)、6-ブロモヘキサン酸(6-Bromohexanoic acid)、ブロモ酢酸(Bromoacetic acid)、ジクロロ酢酸(Dichloro acetic acid)、エチレンジアミンテトラ酢酸(Ethylenediaminetetraacetic acid)、イソ酪酸(Isobutyric acid)、イタコン酸(Itaconic acid)、マレイン酸(Maleic acid)、r-マレイミド酪酸(r-Maleimidobutyric acid)、L-リンゴ酸(L-Malic acid)、4-ニトロ安息香酸(4-Nitrobenzoic acid)、1-ピレンカルボン酸(1-pyreneCarboxylic acid)またはオレイン酸(oleic acid)を含むことができる。
前記ホスホン酸は、n-ヘキシルホスホン酸(n-hexylphosphonic acid)、n-オクチルホスホン酸(Octylphosphonic acid)、n-テシルホスホン酸(n-decylphosphonic)、n-トデシルホスホン酸(n-dodecylphosphonic acid)、n-テトラデシルホスホン酸(n=tetradecylphosphonic acid)、n-ヘクサデシルホスホン酸(n-hexadecylphosphonicacid)、n-オクタデシルホスホン酸(n-octadecylphonic acid)から選択できるが、これに制限されない。
前記有機リガンドは、フッ化された(fluorinated)形態であり得る。例えば、前記有機リガンドは、2-フルオロフェニルホウ酸(2-fluorophenylbornic acid)、3,5-ジホルミル-2-フルオロフェニルホウ酸(3、5-diformyl-2-fluorophenylboronic acid)、3-クロロ-4-フルオロフェニルホウ酸(3-chloro-4-fluorophenylboronic acid)、4-シアノ-3フロオロ安息香酸(4-cyano-3-fluprpbenzoicacid)、L-Fmoc-3-フルオロフェニルアラニン(L-Fmoc-3-fluorophenylalanine)、L-Fmoc-4-フルオロフェニルアラニン(L-Fmoc-4-fluorophenylalanine)、メチル-6-フルオロクロモン-2-カルボキシル酸(Methyl-6-fluorochromone-2-Carboxylic acid)、4-フルオロ安息香酸(4-fluorobenzoic acid)、2-フルオロ安息香酸(2-fluorobenzoic acid)、2-フルオロベンジルアミン(2-fluoro benzylamine)、2-フルオロケイ皮酸(2-fluorocinnamic acid)、2-フルオロイソチオシアネート(2-fluorophenyl isothiocyanate)、4-フルオロベンゼンスルホン酸(4-fluorobenzenesulfonic acid)、4-フルオロベンジルアミン(4-flurobenzylamine)、4-フルオロフェニルイソチオシアネート(4-fluorophenyl isothiocyanate)、4-フルオロフェニル酢酸(4-fluorophenylacetic acid)、フルオロケイ皮酸(Fluorocinnamic acid)、(3-フルオロ-4-メチルフェニル)酢酸(3-Fluoro-4-methylphenyl)acetic acid)、(3-フルオロ-5-イソプロポキシフェニル)ボロン酸((3-fluoro-5-isopropoxyphenyl)boronic acid)、(3-フルオロ-5-メトキシカボニルフェニル)ボロン酸((3-fluoro-5-methoxycarbonylphenyl)boronic acid)、(3-フルオロ-5-メチルフェニル)ボロン酸((3-fluoro-5-methylphenyl)boronic acid)、(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)オキソ酢酸((4-fluoro-2-methoxyphenyl)oxoacetic acid)、(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)酢酸((4-Fluoro-3-methoxyphenyl)acetic acid)、(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)ボロン酸((4-fluoro-3-methoxyphenyl)boronic acid)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また好ましくは、フッ化された有機化合物は、過フッ化化合物の形態であり得る。前記過フッ化化合物は、過フッ化アルキルハライド(perfluorinated Alkyl Halides)、過フッ化アリールハライド(perfluorinated aryl halide)、フルオロクロロアルケン(fluorochloroalkene)、過フッ化アルコール(perfluoroalcohol)、過フッ化アミン(perfluoamine)、過フッ化カルボキシル酸(perfluorocarboxylic acid)、過フッ化スルホン酸(perfluorosulfonic acid)またはこれらの誘導体であってもよいが、これに制限されない。
前記過フッ化アルキルハライド(perfluorinated Alkyl Halides)及び過フッ化アリールハライド(perfluorinated aryl halide)は、トリフルオロヨードメタン(trifluoroiodomethane)、ペンタフルオロエチルヨージド(pentafluoroethyl iodide)、過フッ化オクチルブロミド(perfluorooctyl bromide、perflubron)、ジクロロジフルオロメタン(dichlorodifluoromethane)及びこれらの誘導体であってもよいが、これに制限されない。
前記フルオロクロロアルケン(fluorochloroalkene)は、クロロトリフルオロエチレン(chlorotrifluoroethylene)、ジクロロジフルオロエチレン(Dichlorodifluoroethylene)及びこれらの誘導体であってもよいが、これに制限されない。
前記フルオロクロロアルケン(fluorochloroalkene)は、クロロトリフルオロエチレン(chlorotrifluoroethylene)、ジクロロジフルオロエチレン(dichlorodifluoroethylene)及びこれらの誘導体であってもよいが、これに制限されない。
前記過フッ化カルボキシル酸(perfluorocarboxylic acid)は、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)、ヘプタフルオロ酪酸(heptafluorobutryric acid)、ペンタフルオロ安息香酸(pentafluorobenzoic acid)、過フッ化オクタン酸(perfluorooctanoic acid)、過フッ化ノナン酸(perfluorononanoic acid)及びこれらの誘導体であってもよいが、これに制限されない。
前記過フッ化スルホン酸(perfluorosulfonic acid)は、トリフリック酸(triflic acid)、過フッ化ブタンスルホン酸(perfluorobuanesulfonic acid)、過フッ化ブタンスルホンアミド(perfluorobutane sulfonamide)、過フッ化オクタンスルホン酸(perfluorooctanesulfonic acid)及びこれらの誘導体であってもよいが、これに制限されない。
前記リガンドは、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO,Triocrylphosphine oxide)、トリオクチルホスフィン(TOP,Trioctylphosphine)、トリエチルホスフィンオキシド(triethylphosphine oxide)、トリブチルホスフィンオキシド(tributylphosphine oxide)及びこれらの誘導体であってもよいが、これに制限されない。
従って、上述した通り析出されるハライド金属ハライドペロブスカイトの表面を安定化するために、界面活性剤で使われたアルキルハライドがハライド金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の表面を取り囲む有機リガンドとなる。一方、アルキルハライド界面活性剤の長さが短い場合、形成されるナノ結晶の大きさが大きくなるので、100nm以上、さらには300nm以上、さらには1μmを超えて形成されることができて、大きいナノ結晶中で熱的イオン化及び電荷運搬体の非偏在化によって、エキシトンが発光に進まず自由電荷に分離されて消滅する根本的な問題があり得る。従って、一定の長さ以上のアルキルハライドを界面活性剤で使うことによって形成されるハライド金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の大きさを一定の大きさ以下(即ち、100nm以下、好ましくは30nm以下)で制御することができる。
また、従来に利用された無機量子ドットのサイズがエキシトンボーア径(exciton Bohr diameter)以下でサイズが小さくなるにつれ、量子ドットのサイズ調節が難しくて、色純度及びスペクトルがサイズ及びサイズ分布に影響を受けて、ナノ結晶表面の欠陥(defect)のため、かえって効率が減少するという短所が存在した。これを解決するために、ボーア径より大きいサイズを有するもので、量子閉じ込め効果の影響を受けず最大発光効率を出すナノ結晶粒子を提供することができる。
エキシトンボーア径を導き出す方法は、[ACS Nano,2017,11 (7),pp 6586-6593,AIP Advances,2018,8,025108]論文、サポート情報(Supporting Information)及び論文に記載されたレファレンス[特に、Nature Physics,2015,11,582;Energy & Environemental Science,2016,9,962;J.Phys.Chem.Lett.,2017,8,1851]を参考にすることができる。一例として、MAPbBr3の場合、エキシトンボーア径が約10nmであり得る。これは、物質に応じて10nmより小さいこともあり、高いこともある。このような測定で使われるパラメーターを求める時は、通常の当業者が考える範囲で求めなければならない。周波数に応じたDielectric constantに対する最近の論文[Advanced Energy Materials,2017,7,1700600;APL Materials,2019,7,010901;Advanced Materials,2019,31,1806671]による誘電定数(Dielectric constant:εr)は、高周波数(>1,000,000Hz)より高い動的誘電定数(dynamic dielectric constant)区間の値を使ってはならず、106Hz以下の静的誘電定数(ε0=static dielectric constant)を考慮して決めなければならない。高い周波数(約1015Hz)で光学的反応が起きる区間であり、この区間でε∞を定義することができる。エキシトンボーア径を計算するために使われるdielectric constantは、ε∞とε0との間の値を使わなければならない。通常有機半導体物質が3~5の誘電定数を勘案する時、イオン性ハライド金属ハライドペロブスカイト物質の場合、この値よりずっと大きく静的誘電定数が出るべきで、前記イオン性ハライド金属ハライドペロブスカイト物質の誘電定数は、常温で測定した時10以上と50以下の値を有し、さらに好ましくは室温で20以上35以下を有して、温度により異なるが、通常温度に変化によってほとんど20から100以下の値を示している。CsPbBr3材料は、温度とはほとんど関係がない誘電定数を有するが、有無機ハイブリッド金属ハライドペロブスカイトの場合は温度に応じた依存性を有する。尚リガンドがない純粋な金属ハライドペロブスカイト薄膜をもって測定すべきで、通常の常温で測定した値を数式に入れなければならない。通常の1eVからで3.5eVの範囲の金属ハライドペロブスカイト半導体で、前記金属ハライドペロブスカイトの誘電定数は、有機物の誘電定数より2倍以上大きい値を有することが合理的である。前記誘電定数は、通常のLCRmeterにより測定が可能で、インピーダンス分光装備(Impedance spectroscopy)装備で測定して等価回路でフィッティング(fitting)をして求めることができる。またNature Physics,2015,11,582;Energy & Environemental Science,2016,9,962;J.Phys.Chem.Lett.,2017,8,1851から出たようにeffective massとexciton binding energyを求めてから、以下のR*についての数式(R*=exciton binding energy、R0=atomic Rydberg constant、m0=free electronmass、μ≒reduced effective mass defined by 1/μ=1/μh+1/μe、me=effective mass of hole、me=effective mass of electron)を使って求めることができる。このような方式で求めてAIP Advances,2018,8,025108に報告したeffective dielectric constantが11.4である。この時μ=0.117m0値を使った。この時、求めたエキシトンボーア半径は5.16nmであり、エキシトンボーア径は10.32nmである。(論文ではエキシトンボーア半径が4.7nmであるため、エキシトンボーア径が9.4nmだというが計算の誤りと判断される。)
エキシトンボーア径は、金属ハライドペロブスカイトのeffective massに対する値と下記の数学式1によって得ることができる。
ここでrはエキシトンボーア半径(Bohr exciton radius)、a0は水素のボーア径(0.053nm)、εrは誘電定数(dielectric constant)、μ=me×h/(me+mh)、meはeffective electronmass及びmhはeffective hole massであり得る。ここでボーア径はボーア半径の二倍を示す。
またITO/PEDOT:PSS/ペロブスカイトフィルム/電子注入層/Cathode構造の素子を製作してImpedance Spectroscopyにより1000Hzでのペロブスカイト薄膜のCapacitance(C)値を測定する。以後、以下の式(ここでAは素子面積、dは厚さ)によりεrを測定してMAPbBr3についてはEnergy & Environemental Science,2016,9,962論文でのreduced effective mass値(μ=0.117m0)を使ってエキシトンボーア径は12.4nmと計算された。
ここで誘電定数は、常温で測定してリガンドなしに純粋な金属ハライドペロブスカイト薄膜を利用して測定すべきで、物質によって異なるが、通常7~30の値を有することができて、さらに好ましくは7~20の間の値を有するが、7より小さい値になる場合は、測定の誤りによるものである可能性があるので、注意しなければならない。MAPbBr3の場合、結晶の大きさや薄膜の質により異なると見られるが、7~20の間の値になるのが好ましい範囲である。また、薄膜の質により異なる値になると、薄膜の粒径(grain size)が最も大きく構成した時に作られた薄膜を使って測定した値に従わなければならない。
エキシトンボーア径を実験的に判断する別の方式では、ナノ粒子の大きさによって光発光ピーク波長(Photoluminescence peak wavelength)が急激に変わり始める地点の大きさが、エキシトンボーア径と非常に近い値である。あるいは光発光スペクトルの半値幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)が大きくなり始める地点の粒子サイズと見てもかまわない。前記エキシトンボーア径以下で量子閉じ込め効果が始まり、この地点以下の粒子を量子ドットという。量子ドット領域で粒子の大きさがますます小さくなって粒子の大きさの均一度が存在すると、この大きさが小さくなるにつれ光発光ピークは青色方向に移動して、大きさ変化により色が変化することになりすべての粒子の光発光スペクトルをまとめると半値幅が大きくなる。粒子の大きさは透過電子顕微鏡(Transmission Electronmicroscope)で測定することが最も好ましい。光散乱方法で測定すると、粒子の大きさの誤りが大きく現れる。粒子が集まっている場合、一つの粒子の大きさを分析するのが困難で集まっている粒子の大きさで過大評価(overestimation)するようになる。
前記量子閉じ込め効果(Quantum confinement effect)はエネルギー帯域が、粒子の原子構造変化に影響を受けた時に観察される現象をいい、エキシトンボーア径(exciton Bohr diameter)は、量子閉じ込め効果が生じる地点(半導体粒子の大きさ)を指し示す。即ち、半導体の粒子の大きさが、エキシトンボーア径(exciton Bohr diameter)以下である量子ドット(quantum dot)の場合に、粒子大きさが小さくなるにつれて量子閉じ込め効果を受けることになり、これにより‘バンドギャップ’及びこれに該当する‘発光波長(photoluminescence (PL)spectrum)’が変わるようになる。従って、前記エキシトンボーア径の実質的な数値を求めるためには、量子閉じ込め効果が始まる領域、即ち半導体粒子の‘大きさにより発光波長が変わる地点’を探さなければならない。
ところで、粒子の大きさがエキシトンボーア径より大きい場合でも、半導体内の電子-正孔(electron-hole)相互作用に変化が生じるので、半導体粒子のバンドギャップ及び発光波長が変わるようになる。しかし、この部分の変化量は極僅かであるため、通常‘Weak confinement regime’と称する。一方、量子ドット粒子の大きさによりバンドギャップが大きく変わる量子閉じ込め効果領域(Quantum confinement regime)は、‘Strong confinement regime’と称する。従って、エキシトンボーア径を求めるためには、Weak confinement regimeトStrong confinement regimeの境界を探さなければならない。従ってこのように実験的にPL peakあるいはFWHMが急激に変わる地点(急激に異なる二つの傾きを有する時その傾きに沿ってひいた接線(Assymptotic line)が会う点)を通じて求めた粒子サイズと前記数式で求めた値が、僅かな誤差範囲(約10%)内で一致する時、数式で求めたエキシトンボーア径が物理的に意味のある値といえる。
図2を参照すると、本発明に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(100)は、有機溶媒に分散が可能な金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(110)を含むことができる。この時の有機溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒であり得る。
例えば、前記極性溶媒は、酢酸(acetic acid)、アセトン(acetone)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、エタノール(ethanol)またはジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を含み、前記非極性溶媒は、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、スチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、シクロヘクセンまたはイソプロピルアルコールを含むことができるが、これに制限されない。
また、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は、当分野で一般的に使う形態であり得る。金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は、0次元、1次元乃至2次元の形態であり得る。一例として、球状(Sphere)、楕円状(ellipsoid)キューブ(cube)、中空キューブ(hollow cube)、ピラミッド状(pyramid)、円柱状(cylinder)、円錐状(cone)、楕円柱状(elliptic column)、中空球状(hollow sphere)、ヤヌス構造型(Janus particle)、多角柱型(prisim)、多重枝型(multipod)、多面体(polyhedron)、ナノチューブ(nano tube)、ナノワイヤー(nano wire)、ナノ繊維(nano fiber)またはナノ板状粒子(nanoplatelet)等の形態であり得る。
また、結晶粒子の大きさが1nm乃至10μm以下であり得る。例えば、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、7.5nm、8nm、8.5nm、9nm、9.5nm、10nm、10.5nm、11nm、11.5nm、12nm、12.5nm、13nm、13.5nm、14nm、14.5nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、5μmまたは10μmであり得る。粒子の大きさは、前記で選択された任意の2種類の数字のうち低い値を最小値、大きい値を最大値とした領域で定義することができる。好ましくは8nm以上300nm以下で、さらに好ましくは10nm以上30nm以下である。一方、この時の結晶粒子の大きさは、後述するリガンドの長さを考慮しなかった大きさ、即ちこのようなリガンドを除いた残りの部分の大きさを意味する。結晶粒子の大きさが、1μm以上である場合、大きい結晶中で熱的イオン化(thermal ionization)及び電荷運搬体の非偏在化(delocalization of charge carriers)によりエキシトンが発光に進まず自由電荷に分離して消滅する根本的な問題があり得る。また、さらに好ましくは、前述した通り前記結晶粒子の大きさは、ボーア径(Bohr diameter)以上であり得る。前記熱的イオン化及び電話運搬体の非偏在化現象は、ナノ結晶の大きさが100nmを超えると、徐々に現れることができる。300nm以上である場合、その現象がもう少し現れ、1μm以上である場合は、完全にバルク領域であるため、前記現象の支配を受けるようになる。
例えば、結晶粒子が球状である場合、結晶粒子の直径は1nm乃至10μmであり得る。例えば、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、7.5nm、8nm、8.5nm、9nm、9.5nm、10nm、10.5nm、11nm、11.5nm、12nm、12.5nm、13nm、13.5nm、14nm、14.5nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、5μmまたは10μmであり得る。
また、このようなナノ結晶粒子のバンドギャップエネルギーは、1eV乃至5eVであり得る。好ましくは、前記ナノ結晶粒子のバンドギャップエネルギーは、1eV、1.1eV、1.2eV、1.3eV、1.4eV、1.5eV、1.6eV、1.7eV、1.8eV、1.81eV、1.82eV、1.83eV、1.84eV、1.85eV、1.86eV、1.87eV、1.88eV、1.89eV、1.9eV、1.91eV、1.92eV、1.93eV、1.94eV、1.95eV、1.96eV、1.97eV、1.98eV、1.99eV、2eV、2.01eV、2.02eV、2.03eV、2.04eV、2.05eV、2.06eV、2.07eV、2.08eV、2.09eV、2.1eV、2.11eV、2.12eV、2.13eV、2.14eV、2.15eV、2.16eV、2.17eV、2.18eV、2.19eV、2.2eV、2.21eV、2.22eV、2.23eV、2.24eV、2.25eV、2.26eV、2.27eV、2.28eV、2.29eV、2.3eV、2.31eV、2.32eV、2.33eV、2.34eV、2.35eV、2.36eV、2.37eV、2.38eV、2.39eV、2.4eV、2.41eV、2.42eV、2.43eV、2.44eV、2.45eV、2.46eV、2.47eV、2.48eV、2.49eV、2.5eV、2.51eV、2.52eV、2.53eV、2.54eV、2.55eV、2.56eV、2.57eV、2.58eV、2.59eV、2.6eV、2.61eV、2.62eV、2.63eV、2.64eV、2.65eV、2.66eV、2.67eV、2.68eV、2.69eV、2.7eV、2.71eV、2.72eV、2.73eV、2.74eV、2.75eV、2.76eV、2.77eV、2.78eV、2.79eV、2.8eV、2.9eV、3eV、3.1eV、3.2eV、3.3eV、3.4eV、3.5eV、3.6eV、3.7eV、3.8eV、3.9eV、4eV、4.1eV、4.2eV、4.3eV、4.4eV、4.5eV、4.6eV、4.eV、4.8eV、4.9eV、5eV中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
従って、ナノ結晶粒子の構成物質または結晶構造によりエネルギーバンドギャップが決まるので、ナノ結晶粒子の構成物質を調節することによって、例えば200nm乃至1300nmの波長を有する光を放出することができる。また好ましくは、前記ナノ結晶粒子は、紫外線、青色、緑色、赤色、赤外線の光を放出することができる。
前記紫外線光は、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、410nm、420nm、430nm中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記青色光は、440nm、450nm、451nm、452nm、453nm、454nm、455nm、456nm、457nm、458nm、459nm、460nm、461nm、462nm、463nm、464nm、465nm、466nm、467nm、468nm、469nm、470nm、471nm、472nm、473nm、474nm、475nm、476nm、477nm、478nm、479nm、480nm、490nm中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記緑色光は、500nm、501nm、502nm、503nm、504nm、505nm、506nm、507nm、508nm、509nm、510nm、511nm、512nm、513nm、514nm、515nm、516nm、517nm、518nm、519nm、520nm、521nm、522nm、523nm、524nm、525nm、526nm、527nm、528nm、529nm、530nm、531nm、532nm、533nm、534nm、535nm、536nm、537nm、538nm、539nm、540nm、541nm、542nm、543nm、544nm、545nm、546nm、547nm、548nm、549nm、550nm、560nm、570nm、580nm中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記赤色光は、590nm、600nm、601nm、602nm、603nm、604nm、605nm、606nm、607nm、608nm、609nm、610nm、611nm、612nm、613nm、614nm、615nm、616nm、617nm、618nm、619nm、620nm、621nm、622nm、623nm、624nm、625nm、626nm、627nm、628nm、629nm、630nm、631nm、632nm、633nm、634nm、635nm、636nm、637nm、638nm、639nm、640nm、641nm、642nm、643nm、644nm、645nm、646nm、647nm、648nm、649nm、650nm、660nm、670nm、680nm、690nm、700nm中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記赤外線光は、700nm、710nm、720nm、730nm、740nm、750nm、760nm、770nm、780nm、790nm、800nm、810nm、820nm、830nm、840nm、850nm、860nm、870nm、880nm、890nm、900nm、910nm、920nm、930nm、940nm、950nm、960nm、970nm、980nm、990nm、1000nm、1010nm、1020nm、1030nm、1040nm、1050nm、1060nm、1070nm、1080nm、1090nm、1100nm、1110nm、1120nm、1130nm、1140nm、1150nm、1160nm、1170nm、1180nm、1190nm、1200nm、1210nm、1220nm、1230nm、1240nm、1250nm、1260nm、1270nm、1280、1290nm、1300nm、1350nm、1400nm、1450nm、1500nm中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
本発明に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、ハロゲン元素置換により多様なバンドギャップを有するナノ結晶粒子を提供することができる。
例えば、CH3NH3PbCl3有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は、約3.1eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。また、CH3NH3PbBr3有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は約2.3eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。また、CH3NH3PbI3有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は、約1.5eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。
また、本発明に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、有機元素置換により多様なバンドギャップを有するナノ結晶粒子を提供することができる。
例えば、(CnH2n+1NH3)2PbBr4でn=4のとき、約3.5eVのバンドギャップを有するナノ結晶粒子を提供することができる。また、n=5のとき、約3.33eVのバンドギャップを有するナノ結晶粒子を提供することができる。また、n=7のとき、約3.34eVのバンドギャップを有するナノ結晶粒子を提供することができる。また、n=12のとき、約3.52eVのバンドギャップを有するナノ結晶粒子を提供することができる。
また、本発明に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、中心金属置換により多様なバンドギャップを有するナノ結晶粒子を提供することができる。
例えば、CH3NH3PbI3有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は、約1.5eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。また、CH3NH3Sn0.3Pb0.7I有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は、約1.31eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。また、CH3NH3Sn0.5Pb0.5I3有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は、約1.28eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。また、CH3NH3Sn0.7Pb0.3I3有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は、約1.23eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。また、CH3NH3Sn0.9Pb0.1I3有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は、約1.18eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。また、CH3NH3SnI3有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は、約1.1eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。また、CH3NH3PbxSn1-xBr3有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は、1.9eV乃至2.3eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。また、CH3NH3PbxSn1-xCl3有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むナノ結晶粒子は、2.7eV乃至3.1eVのバンドギャップエネルギーを有することができる。
図3は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子製造方法を示した模式図である。
図3を参照すると、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子製造方法は、極性溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液及び非極性溶媒に界面活性剤が溶けている第2溶液を準備する段階及び前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ結晶粒子を形成する段階を含むことができる。
まず、極性(polar)溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液及び非極性(non-polar)溶媒に界面活性剤が溶けている第2溶液を準備する。
この時の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)またはN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を含むことができるが、これに制限されない。
前記金属ハライドペロブスカイトは、三次元的な結晶構造または二次元的な結晶構造または一次元的結晶構造または0次元的結晶構造を有する物質であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイトは、ABX3(3D)、A4BX6(0D)、AB2X5(2D)、A2BX4(2D)、A2BX6(0D)、A2B+B3+X6(3D)、A3B2X9(2D)またはAn-1BnX3n+1(qausi-2D)の構造(nは2乃至6の間の整数)を含むことができる。前記Aは1価カチオンで、前記Bは金属物質で、前記Xはハロゲン元素であり得る。前記金属ハライドペロブスカイトのA、B及びXの具体的な例は、前記<金属ハライドペロブスカイト結晶>で説明したのと同様である。
一方、このような金属ハライドペロブスカイトは、AX及びBX2を一定割合で組み合わせて準備することができる。即ち、第1溶液は、極性溶媒にAX及びBX2を一定割合で溶かして形成することができる。例えば、極性溶媒にAX及ビBX2を2:1の割合で溶かして金属ハライドペロブスカイト前駆体が溶けている第1溶液を準備することができる。
また、この時の非極性溶媒は、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、スチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、ヘキサン(hexane)、オクタデセン(Octadecene)、シクロヘクセンまたはイソプロピルアルコールを含むことができるが、これに制限されない。
また、界面活性剤は、アルキルハライド、アミンリガンドと、カルボキシル酸またはホスホン酸を含むことができる。
前記アルキルハライド、アミンリガンド、カルボキシル酸及びホスホン酸の具体的な説明は、前記<金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子>で説明したのと同様である。
次に、前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ結晶粒子を形成する。
前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ結晶粒子を形成する段階は、前記第2溶液に前記第1溶液を落として混ぜるのが好ましい。この時、微細な滴で落として混ぜることが好ましく、スプレーやノズルから複数滴が微細に落ちるようにして反応することが好ましい。場合によっては、ビーカーに入った第1溶液をそのまま注いで撹はんしている第2溶液に落とすことができる。また、この時の第2溶液は撹はんを行うことができる。例えば、強く撹はん中のアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液に有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)が溶けている第2溶液をゆっくり一滴ずつ添加してナノ結晶粒子を合成することができる。
この場合、第1溶液を第2溶液に落として混ぜると、溶解度の差によって第2溶液で有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)が析出(precipitation)される。そして、第2溶液で析出された有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)をアルキルハライド界面活性剤が表面を安定化しながらよく分散された有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(OIP-NC)を生成するようになる。従って、有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶及びこれを取り囲む複数個のアルキルハライド有機リガンドを含む金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を製造することができる。
一方、このような有無機金属ハライドペロブスカイト結晶粒子の大きさは、アルキルハライド界面活性剤の長さまたは形態因子(Shape factor)及び量調節により制御することができる。例えば、形態因子調節は、線状、テーパード(tapered)または逆三角形の界面活性剤(Surfactant)を介して大きさを制御することができる。
また、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、コア-シェル構造を有することができる。
以下、本発明の一実施例に係るコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を説明する。
図4は、本発明の一実施例に係るコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及びこれのエネルギーバンドダイヤグラムを示した模式図である。
図4(a)を参照すると、本発明に係るコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(100’)は、コア(115)及びコア(115)を取り囲むシェル(130)構造であることが分かる。この時、コア(115)よりもバンドギャップが大きい物質をシェル(130)物質で利用することができる。
この時、図4(b)を参照すると、コア(115)のエネルギーバンドギャップよりシェル(130)のエネルギーバンドギャップがより大きいため、エキシトンがコア金属ハライドペロブスカイトによりよく閉じ込めるようにすることができる。
図5は、本発明の一実施例に係るコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子製造方法を示した模式図である。
本発明の一実施例に係るコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子製造方法は、極性溶媒に第1金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液及び非極性溶媒にアルキルハライド、カルボキシル酸(Carboxylic acid)誘導体及びアミン(Amine)誘導体のうち選択された少なくとも一つの界面活性剤が溶けている第2溶液を準備する段階、前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜて第1金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むコアを形成する段階及び前記コアを取り囲むが、前記コアよりバンドギャップが大きい物質を含むシェルを形成する段階を含むことができる。
図5(a)を参照すると、非極性溶媒にアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液に極性溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を滴状に落として添加する。
図5(b)を参照すると、第2溶液に第1溶液を添加すると、溶解度差により第2溶液で金属ハライドペロブスカイトが析出されて、このような析出された金属ハライドペロブスカイトをアルキルハライド、カルボキシル酸(Carboxylic acid)誘導体及びアミン(Amine)誘導体のうち選択された少なくとも一つの界面活性剤が取り囲みながら表面を安定化しながらよく分散された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶コア(115)を含む金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(100)を生成するようになる。この時、ナノ結晶コア(115)は、アルキルハライド有機リガンド(120)により取り囲まれるようになる。
第2溶液を製造する際に、非極性溶媒でオクタデセンやヘキサンを使うとジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)またはN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)のような極性溶媒と混和性がなく、全く混ざらなくなる。すると、相分離が起きて反応が起きず、撹はんしても依然として反応が起きない。強く撹はんすると、牛乳色のようにぼやけた不透明一エマルション溶液が形成されてペロブスカイト自らの色は発見されない。しかし、この状態でアセトンやTert-butanolのようなアルコールを追加すると、反応が起きて粒子が形成されるようになる。この場合、アセトンやTert-butanolを介してリガンドが互いに混ざるようになり、ナノ結晶粒子を取り囲む反応が起きるようになる。この方法を逆ナノエマルション(Inverse Nano Emulsion)法という。仮にヘキサンとオクタデセンでなく一般的に極性溶媒が少しでも混ざることができる溶媒(例:トルエン)を使うと、追加的な溶媒を注入する必要なしに直ちに第1溶液を第2溶液に落とした時、ペロブスカイト粒子が形成されるようになる。この場合をリガンド補助再沈殿法(Ligand-assisted Reprecipitation method)という。仮に第1溶液を第2溶液に注入する時、常温より少なくとも50度以上の温度で注入されると高温注入法(Hot Injection method)という。通常高温注入法は、不活性気体の雰囲気で行われる。
図5(a)及び図5(b)と関連して、図4で上述したのと同様であり、詳しい説明は省略する。
図5(c)を参照すると、前記コア(115)を取り囲むが、前記コア(115)よりバンドギャップが大きい物質を含むシェル(130)を形成してコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(100’)を製造することができる。
このようなシェルを形成する方法について以下のような五つの方法を利用することができる。
最初の方法として、第2金属ハライドペロブスカイト溶液または無機物半導体物質溶液を利用してシェルを形成することができる。即ち、前記第2溶液に前記第1金属ハライドペロブスカイトよりバンドギャップが大きい第2金属ハライドペロブスカイトまたは無機物半導体物質が溶けている第3溶液を添加して前記コアを取り囲む第2金属ハライドペロブスカイトナノ結晶または無機物半導体物質または有機高分子を含むシェルを形成することができる。
例えば、前記のような逆ナノ-エマルション(Inverse Nano-emulsion)法、リガンド補助急速沈殿法(Ligand-assisted reprecipitation method)、高温注入法(hot injection method)により生成された金属ハライドペロブスカイト(MAPbBr3)溶液を強く撹はんしながら、MAPbBr3よりバンドギャップが大きい金属ハライドペロブスカイト(MAPbCl3)溶液、またはPbS、ZnSのような金属スルフィド(metal sulfide)または金属酸化物(metal oxide)のような無機半導体物質溶液またはこれの前駆体溶液、またはポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリエチレンイミン(polyethyleneimine)、ポリビニルアルコール(PVA)のような有機高分子、ポリシラザン(polysilazane)、アクリレート高分子、フルオロ化ポリビニリデン(Polyvinylidene fluoride:PVDF)系列高分子、アクリレート(acrylate)系列低分子モノマーをゆっくり一滴ずつあるいは複数滴で落として第2金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(MAPbCl3)または無機物半導体物質を含むシェルを形成することができる。この時のMAはメチルアンモニウムを意味する。
これは、コア金属ハライドペロブスカイトとシェル金属ハライドペロブスカイトが互いに混ざって合金(alloy)形態を作るかくっつく性質があるので、コア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を合成することができる。
従って、MAPbBr3/MAPbCl3コア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成することができる。
また、有機高分子ドット(polymer dot)、既存無機量子ドット(quantum dot、主にIII-V、II-IV半導体)を第2溶液に分散した後にペロブスカイト前駆体を注入しながらペロブスカイトのシェルを形成することができる。
第二の方法として、有機アンモニウムハロゲン化物溶液を利用してシェルを形成することができる。即ち、前記第2溶液に有機アンモニウムハロゲン化物溶液を多量添加した後、撹はんして前記コアを取り囲む前記コアよりバンドギャップが大きいシェルを形成することができる。
例えば、前記のような逆ナノ-エマルション(Inverse Nano-Emulsion)法、リガンド補助再沈殿法(Ligand-assisted Reprecipitation method)、高温注入法(Hot Injection method)により生成された金属ハライドペロブスカイト(MAPbBr3)溶液にMACl溶液を入れて強く撹はんして過量のMAClによって表面のMAPbBr3がMAPbBr3-xClxに変換されてシェル(Shell)が形成されることができる。
従って、MAPbBr3/MAPbBr3-xClxコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成することができる。
また、前記のような逆ナノ-エマルション(Inverse Nano-Emulsion)法、リガンド補助再沈殿法(Ligand-assisted Reprecipitation method)、高温注入法(Hot Injection method)により生成された金属ハライドペロブスカイト(MAPbI3)溶液にMABr溶液を入れて強く撹はんして過量のMABrによって表面のMAPbI3がMAPbI3-xBrxに変換されてシェル(Shell)が形成されることができる。
従って、MAPbI3/MAPbI3-xBrxコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成することができる。
また、前記のような逆ナノ-エマルション(Inverse Nano-Emulsion)法、リガンド補助再沈殿法(Ligand-assisted Reprecipitation method)、高温注入法(Hot Injection method)により生成された金属ハライドペロブスカイト(MAPbBr3)溶液にMAI溶液を入れて強く撹はんして過量のMAIによって表面のMAPbBr3がMAPbBr3-xIxに変換されてシェル(Shell)が形成されることができる。
従って、MAPbBr3/MAPbBr3-xIxコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成することができる。この場合に赤色のペロブスカイトを形成することができる。
第三の方法として、熱分解/合成方法を利用してシェルを形成することができる。即ち、前記第2溶液を熱処理して前記コアの表面を熱分解させた後、前記熱処理された第2溶液に有機アンモニウムハロゲン化物溶液を添加して再び表面を合成させて前記コアを取り囲む前記コアよりバンドギャップが大きいシェルを形成することができる。
例えば、前記のような逆ナノ-エマルション(Inverse Nano-emulsion)法により生成された金属ハライドペロブスカイト(MAPbBr3)溶液を熱処理して表面がPbBr2に変化するように熱分解させた後、MACl溶液を添加して再び表面がMAPbBr2Clになるように合成させてシェルを形成することができる。この場合、青色のペロブスカイト粒子を製造することができる。
従って、MAPbBr3/MAPbBr2Clコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成することができる。
従って、本発明により形成されたコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、コアよりバンドギャップが大きい物質でシェルを形成することによってエキシトンがコアによりよく閉じ込めるようにして、空気中に安定した金属ハライドペロブスカイトあるいは無機半導体を使ってコア金属ハライドペロブスカイトが空気中に露出しないようにしてナノ結晶の耐久性を向上させることができる。
第四の方法として、有機物半導体物質溶液を利用してシェルを形成することができる。即ち、第2溶液には金属ハライドペロブスカイトよりバンドギャップが大きい有機物半導体物質が予め溶けていて、このような第2溶液に上述した第1金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を添加して前記第1金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を含むコア及びこのようなコアを取り囲む有機物半導体物質を含むシェルを形成することができる。
これは、コア金属ハライドペロブスカイトの表面に有機半導体物質がくっつく性質があるので、コア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトを合成することができる。
従って、MAPbBr3-有機半導体コア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体を形成することができる。
第五の方法として、選択的抽出(Selective exctraction)方法を利用してシェルを形成することができる。即ち、前記第1金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を含むコアが形成された第2溶液にIPA溶媒を少量いれることによって、ナノ結晶表面でMABrを選択的に抽出して表面をPbBr2だけで形成して、前記コアを取り囲む前記コアよりバンドギャップが大きいシェルを形成することができる。
例えば、前記のような逆ナノ-エマルション(Inverse Nano-emulsion)法により生成された金属ハライドペロブスカイト(MAPbBr3)溶液にIPAを少量いれることにより、ナノ結晶表面のMABrだけ選択的に溶かして表面にPbBr2だけ残るようにして抽出してPbBr2シェルを形成することができる。
即ち、この時、選択的抽出によりAPbBr3表面のMABrが除去されることができる。
従って、MAPbBr3-PbBr2コア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体を形成することができる。
図6は、本発明の一実施例に係るグラディエント(gradient)組成構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を示した模式図である。
図6を参照すると、本発明の一実施例に係るグラディエント組成を有する構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(100’’)は、有機溶媒に分散が可能な金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(140)を含み、前記ナノ結晶構造(140)は、中心から外部方向に行くほど組成が変わるグラディエント組成構造を有する。この時の有機溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒であり得る。
この時の金属ハライドペロブスカイトは、ABX3-mX’m、A2BX4-lX’lまたはABX4-kX’kの構造で、前記Aは1価カチオンで、前記Bは金属物質で、前記XはBrで、前記X’はClか前記XはIで、前記X’はBrであり得る。なお、前記m、l及びkの値は、前記ナノ結晶構造(140)の中心から外部方向に行くほど増加することを特微とする。
従って、ナノ結晶構造(140)の中心から外部方向に行くほどエネルギーバンドギャップが増加する構造となる。
例えば、前記1価カチオンは、1価有機カチオンであるかアルカリ金属であり得る。例えば、前記1価有機カチオンは、有機アンモニウム(RNH3)+、有機アミジニウム誘導体(RC(=NR2)NR2)+、有機グアニジニウム誘導体(R2NC(=NR2)NR2)+、有機ジアンモニウム(CxH2x-n+4)(NH3)n
+、((CxH2x+1)nNH3)(CH3NH3)n
+、(RNH3)2
+、(CnH2n+1NH3)2
+、(CF3NH3)+、(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2
+または(CnF2n+1NH3)2
+(x、nは1以上である整数、R=炭化水素誘導体、アルキル(Alkyl)、フッ化アルキル誘導体、H、F、Cl、Br、I)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記アルカリ金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
また好ましくは、前記有機カチオンは、アセトアミジニウム(acetamidinium)、アザスピロンアニウム(azaspironanium)、ベンゼンジアンモニウム(benzene diammonium)、ベンジルアンモニウム(benzylammonium)、ブタンジアンモニウム(butanediammonium)、イソブチルアンモニウム(iso-butylammonium)、n-ブチルアンモニウム(n-butylammonium)、t-ブチルアンモニウム(t-butylammonium)、シクロヘキシルアンモニウム(cyclohexylammonium)、シクロヘキシルメチルアンモニウム(cyclohexylmethylammonium)、ジアゾビシクロオクタンジニウム(diazobicyclooctanedinium)、ジエチルアンモニウム(diethylammonium)、N,N-ジエチルエタンジアンモニウム(N、N-diehtylethane diammonium)、N,N-ジエチルプロパンジアンモニウム(N、N-diethylpropane diammonium)、ジメチルアンモニウム(dimethylammonium)、N,N-ジメチルエタンジアンモニウム(N、N-dimethylethane diammonium)、ジメチルプロパンジアンモニウム(dimethylpropane diammonium)、ドデシルアンモニウム(dodecylammonium)、エタンジアンモニウム(ethanediammonium)、エチルアンモニウム(ethylammoniuium)、4-フルオロ-ベンジルアンモニウム(4-fluoro-benzylammonium)、4-フルオロ-フェニルエチルアンモニウム(4-fluoro-phenylethylammonium)、4-フルオロ-フェニルアンモニウム(4-fluoro-phenylammonium)、ホルムアミジニウム(formamidinium)、グアニジニウム(guanidinium)、ヘキサンジアンモニウム(hexanediammnium)、ヘキシルアンモニウム(hexylammonium)、イミダゾリウム(imidazolium)、2-メトキシエチルアンモニウム(2-methoxyethylammonium)、4-メトキシ-フェニルエチルアンモニウム(4-methoxy-phenlylethylammonium)、4-メトキシ-フェニルアンモニウム(4-methoxy-phenylammonium)、メチルアンモニウム(methylammonium)、モルホリニウム(morpholinium)、オクチルアンモニウム(oxtylammonium)、ペンチルアンモニウム(pentylammonium)、ピペラジンジウム(piperazinediium)、ピペリジニウム(piperidinium)、プロパンジアンモニウム(propanediammonium)、イソ-プロピルアンモニウム(iso-propylammonium)、ジ-イソプロピルアンモニウム(di-iso-propylammonium)、n-プロピルアンモニウム(n-propylammonium)、ピリジニウム(pyridinium)、2-ピロリジン-1-イウム-1-イエチルアンモニウム(2-pyrrolidin-1-ium-1-yethylammonium)、ピロリジニウム(pyrrolidinium)、キヌクリジン-1-イウム(quinclidin-1-ium)、4-トリフルオロメチル-ベンジルアンモニウム(4-trifluoromethyl-benzylammonium)、4-トリフルオロメチルアンモニウム(4-trifluoromethyl ammonium)、そしてBenzalkonium chloride、Dimethyldioctadecylammonium chloride、Trimethylglycine、Cholineと同じ四次アンモニウムカチオン(Quaternary ammonium cation)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
前記Bは、2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、1価金属、3価金属の組み合わせ、有機物(1価、2価、3価のカチオン)及びこれらの組み合わせであり得る。また好ましくは、前記2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属は、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Ru2+、Pd2+、Cd2+、Pt2+、Hg2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Se2+、Te2+、Po2+、Bi2+、Eu2+、No2+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記1価金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、Ag+、Hg+、Ti+及びこれらの組み合わせであってもよく、前記3価金属は、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ru3+、Rh3+、Ir3+、Au3+、Al3+、Ga3+、In3+、Ti3+、As3+、Sb3+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+、Ac3+、Am3+、Cm3+、Bk3+、Cf3+、Es3+、Fm3+、Md3+、Lr3+及びこれらの組み合わせであり得る。
一方、前記m、l及びkの値は、前記ナノ結晶構造の中心から外部方向に行くほど徐々に増加することができる。従って、このような組成変化によりエネルギーバンドギャップを徐々に増加させることができる。
さらに別の例で、前記m、l及びkの値は、前記ナノ結晶構造の中心から外部方向に行くほど階段状に増加することができる。従って、このような組成変化によりエネルギーバンドギャップが階段状に増加することができる。
また、このような金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(140)を取り囲む複数個の有機リガンド(120)をさらに含むことができる。前記有機リガンド(120)は、アルキルハライド、アミンリガンドと、カルボキシル酸またはホスホン酸を含むことができる。前記アルキルハライド、アミンリガンド、カルボキシル酸及びホスホン酸の具体的な説明は、前記<金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子>で説明したのと同様である。
従って、ナノ結晶構造をグラディエント合金(gradient-alloy)タイプで作って、ナノ結晶構造の外部に多量に存在する金属ハライドペロブスカイトと内部に多量に存在する金属ハライドペロブスカイトの含有量を徐々に変化させることができる。このようなナノ結晶構造内の漸進的な含有量変化は、ナノ結晶構造内の含量を均一に調節して、表面酸化を減らして内部に多量に存在する金属ハライドペロブスカイトの中でのエキシトン閉じ込め(exciton confinement)を向上させて、発光効率を増加させるだけでなく耐久性-安定性も増加させることができる。
本発明の一実施例に係るグラディエント組成を有する構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子製造方法を説明する。
本発明の一実施例に係るグラディエント組成を有する構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子製造方法は、コア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を準備する段階及び前記コア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を熱処理して相互拡散によりグラディエント組成を有するように形成する段階を含む。
まず、コア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を準備する。これと関連するコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子製造方法は、図5を参照して上述したのと同様であるため、詳しい説明は省略する。
その次に、前記コア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を熱処理して相互拡散によりグラディエント組成を有するように形成することができる。
例えば、コア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイトを高温でアニーリングして固溶体(Solid solution)状態で作った後、熱処理によって相互拡散(interdiffusion)によりグラディエント(gradient)組成を有するようにする。
例えば、前記熱処理温度は100℃乃至150℃であり得る。このような熱処理温度で、アニーリングすることで相互拡散を誘導することができる。
本発明の別の実施例に係るグラディエント組成を有する構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子製造方法は、第1金属ハライドペロブスカイトナノ結晶コアを形成する段階及び前記コアを取り囲むグラディエント組成を有する第2金属ハライドペロブスカイトナノ結晶シェルを形成する段階を含む。
まず、第1金属ハライドペロブスカイトナノ結晶コアを形成する。これについては、上述したナノ結晶コアを形成する方法と同様であるため、詳しい説明は省略する。
その次に、前記コアを取り囲むグラディエント組成を有する第2金属ハライドペロブスカイトナノ結晶シェルを形成する。
前記第2金属ハライドペロブスカイトは、ABX3-mX’m、A2BX4-lX’lまたはABX4-kX’kの構造で、前記Aは有機カチオン物質で、前記Bは金属物質であり得る。前記X、X’の組み合わせは、F-、Cl-、Br-、I-、At-の中で選択されるが、X’のイオン半径がXより小さいことを特徴とする。
前記1価カチオンは、1価有機カチオンであるかアルカリ金属であり得る。例えば、前記1価有機カチオンは、有機アンモニウム(RNH3)+、有機アミジニウム誘導体(RC(=NR2)NR2)+、有機グアニジニウム誘導体(R2NC(=NR2)NR2)+、有機ジアンモニウム(CxH2x-n+4)(NH3)n
+、((CxH2x+1)nNH3)(CH3NH3)n
+、(RNH3)2
+、(CnH2n+1NH3)2
+、(CF3NH3)+、(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2
+または(CnF2n+1NH3)2
+(x、nは1以上である整数、R=炭化水素誘導体、H、F、Cl、Br、I)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記アルカリ金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
また好ましくは、前記有機カチオンは、アセトアミジニウム(acetamidinium)、アザスピロンアニウム(azaspironanium)、ベンゼンジアンモニウム(benzene diammonium)、ベンジルアンモニウム(benzylammonium)、ブタンジアンモニウム(butanediammonium)、イソブチルアンモニウム(iso-butylammonium)、n-ブチルアンモニウム(n-butylammonium)、t-ブチルアンモニウム(t-butylammonium)、シクロヘキシルアンモニウム(cyclohexylammonium)、シクロヘキシルメチルアンモニウム(cyclohexylmethylammonium)、ジアゾビシクロオクタンジニウム(diazobicyclooctanedinium)、ジエチルアンモニウム(diethylammonium)、N,N-ジエチルエタンジアンモニウム(N,N-diehtylethane diammonium)、N,N-ジエチルプロパンジアンモニウム(N,N-diethylpropane diammonium)、ジメチルアンモニウム(dimethylammonium)、N,N-ジメチルエタンジアンモニウム(N,N-dimethylethane diammonium)、ジメチルプロパンジアンモニウム(dimethylpropane diammonium)、ドデシルアンモニウム(dodecylammonium)、エタンジアンモニウム(ethanediammonium)、エチルアンモニウム(ethylammoniuium)、4-フルオロ-ベンジルアンモニウム(4-fluoro-benzylammonium)、4-フルオロ-フェニルエチルアンモニウム(4-fluoro-phenylethylammonium)、4-フルオロ-フェニルアンモニウム(4-fluoro-phenylammonium)、ホルムアミジニウム(formamidinium)、グアニジニウム(guanidinium)、ヘキサンジアンモニウム(hexanediammnium)、ヘキシルアンモニウム(hexylammonium)、イミダゾリウム(imidazolium)、2-メトキシエチルアンモニウム(2-methoxyethylammonium)、4-メトキシ-フェニルエチルアンモニウム(4-methoxy-phenlylethylammonium)、4-メトキシ-フェニルアンモニウム(4-methoxy-phenylammonium)、メチルアンモニウム(methylammonium)、モルホリニウム(morpholinium)、オクチルアンモニウム(oxtylammonium)、ペンチルアンモニウム(pentylammonium)、ピペラジンジウム(piperazinediium)、ピペリジニウム(piperidinium)、プロパンジアンモニウム(propanediammonium)、イソ-プロピルアンモニウム(iso-propylammonium)、ジ-イソプロピルアンモニウム(di-iso-propylammonium)、n-プロピルアンモニウム(n-propylammonium)、ピリジニウム(pyridinium)、2-ピロリジン-1-イウム-1-イエチルアンモニウム(2-pyrrolidin-1-ium-1-yethylammonium)、ピロリジニウム(pyrrolidinium)、キヌクリジン-1-イウム(quinclidin-1-ium)、4-トリフルオロメチル-ベンジルアンモニウム(4-trifluoromethyl-benzylammonium)、4-トリフルオロメチルアンモニウム(4-trifluoromethyl ammonium)、そしてBenzalkonium chloride、Dimethyldioctadecylammonium chloride、Trimethylglycine、Cholineのような四次アンモニウムカチオン(Quaternary ammonium cation)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
前記Bは、2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、1価金属、3価金属の組み合わせ、有機物(1価、2価、3価のカチオン)及びこれらの組み合わせであり得る。また好ましくは、前記2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属は、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Ru2+、Pd2+、Cd2+、Pt2+、Hg2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Se2+、Te2+、Po2+、Bi2+、Eu2+、No2+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記1価金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、Ag+、Hg+、Ti+及びこれらの組み合わせであってもよく、前記3価金属は、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ru3+、Rh3+、Ir3+、Au3+、Al3+、Ga3+、In3+、Ti3+、As3+、Sb3+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+、Ac3+、Am3+、Cm3+、Bk3+、Cf3+、Es3+、Fm3+、Md3+、Lr3+及びこれらの組み合わせであり得る。
従って、前記第2溶液に前記、m、lまたはkの値を増加させながら第2金属ハライドペロブスカイトが溶けている第3溶液を添加することができる。
即ち、前記ABX3-mX’m、A2BX4-lX’lまたはABX4-kX’kの組成が制御された溶液を連続的に落として、連続的に組成が変化するシェルを形成することができる。
図7は、本発明の一実施例に係るグラディエント組成を有する構造の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及びこれのエネルギーバンドダイヤグラムを示した模式図である。
図7(a)を参照すると、本発明に係るナノ結晶粒子(100’’)は、含有量が変わるグラディエント組成を有する金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(140)であることが分かる。この時、図7(b)を参照すると、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(140)の中心から外部方向に行くほど物質の組成を変化させることによってエネルギーバンドギャップが中心から外部方向に増加するように製造することができる。
一方、本発明に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、ドープされた金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子であり得る。
前記ドープされた金属ハライドペロブスカイトは、ABX3、A2BX4、ABX4またはAn-1BnX3n+1(nは2乃至6の間の整数)の構造を含み、前記Aの一部がA’で置換されたり、前記Bの一部がB’で置換されたり、前記Xの一部がX’で置換されたことを特徴とし、前記A及びA’は、1価カチオン物質で、前記B及びB’は、金属物質で、前記X及びX’は、ハロゲン元素であり得る。
前記1価カチオンは、1価有機カチオンであるかアルカリ金属であり得る。例えば、前記1価有機カチオンは、有機アンモニウム(RNH3)+、有機アミジニウム誘導体(RC(=NR2)NR2)+、有機グアニジニウム誘導体(R2NC(=NR2)NR2)+、有機ジアンモニウム(CxH2x-n+4)(NH3)n
+、((CxH2x+1)nNH3)(CH3NH3)n
+、(RNH3)2
+、(CnH2n+1NH3)2
+、(CF3NH3)+、(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2
+または(CnF2n+1NH3)2
+(x、nは1以上である整数、R=炭化水素誘導体、H、F、Cl、Br、I)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記アルカリ金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
また好ましくは、前記有機カチオンは、acetamidinium、azaspironanium、benzene diammonium、benzylammonium、butanediammonium、iso-butylammonium、n-butylammonium、t-butylammonium、cyclohexylammonium、cyclohexylmethylammonium、diazobicyclooctanedinium、diethylammonium、N、N-diehtylethane diammonium、N、N-diethylpropane diammonium、dimethylammonium、N、N-dimethylethane diammonium、dimethylpropane diammonium、dodecylammonium、ethanediammonium、ethylammoniuium、4-fluoro-benzylammonium、4-fluoro-phenylethylammonium、4-fluoro-phenylammonium、formamidinium、guanidinium、hexanediammnium、hexylammonium、imidazolium、2-methoxyethylammonium、4-methoxy-phenlylethylammonium、4-methoxy-phenylammonium、methylammonium、morpholinium、oxtylammonium、pentylammonium、piperazinediium、piperidinium、propanediammonium、iso-propylammonium、di-iso-propylammonium、n-propylammonium、pyridinium、2-pyrrolidin-1-ium-1-yethylammonium、pyrrolidinium、quinclidin-1-ium、4-trifluoromethyl-benzylammonium、4-trifluoromethyl ammonium、そしてBenzalkonium chloride、Dimethyldioctadecylammonium chloride、Trimethylglycine、Cholineのような四次アンモニウムカチオン(Quaternary ammonium cation)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
前記B及びB’は、2価の金属(例:遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、遷移後金属、ランタノイド)、1価金属、3価金属、有機物(1価、2価、3価のカチオン)及びこれらの組み合わせであり得る。また好ましくは、前記2価の金属(例:遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、遷移後金属、ランタノイド)は、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Ru2+、Pd2+、Cd2+、Pt2+、Hg2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Se2+、Te2+、Po2+、Bi2+、Eu2+、No2+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記1価金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、Ag+、Hg+、Ti+及びこれらの組み合わせであってもよく、前記3価金属は、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ru3+、Rh3+、Ir3+、Au3+、Al3+、Ga3+、In3+、Ti3+、As3+、Sb3+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+、Ac3+、Am3+、Cm3+、Bk3+、Cf3+、Es3+、Fm3+、Md3+、Lr3+及びこれらの組み合わせであり得る。またEu金属が追加でdopingされることができる。
また、前記X及びX’は、F-、Cl-、Br-、I-、At-及びこれらの組み合わせであり得る。
また、前記Aの一部がA’で置換されたり、前記Bの一部がB’で置換されたり、前記Xの一部がX’で置換された割合が0.1%乃至5%であることを特微とする。
図8は、本発明の一実施例に係るドープされた金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及びこれのエネルギーバンドダイヤグラムを示した模式図である。
図8(a)は、ドーピング元素(111)がドープされた金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(110)の部分切断した模式図である。図8(b)は、このようなドープされた金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(110)のバンドダイヤグラムである。
図8(a)及び図8(b)を参照すると、金属ハライドペロブスカイトをドーピングにより半導体クイプをn-typeかp-typeに変えることができる。例えば、MAPbI3の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶をClで一部ドープする場合、n-typeに変えて電気光学的特性を調節することができる。この時のMAはメチルアンモニウムである。
本発明の一実施例に係るドープされた金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を説明する。逆ナノ-エマルション(Inverse Nano-emulsion)法あるいはリガンド補助再沈殿法(Ligand-assisted Reprecipitation method)により製造する方法を例に挙げて説明する。
まず、非極性溶媒にアルキルハライド、カルボキシル酸及びこれの誘導体、アルキルアミン及びこれの誘導体の中から選択された少なくとも一つ以上の界面活性剤が溶けている第2溶液に極性溶媒にドープされた金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を滴状で添加する。
この時の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)またはN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を含むことができるが、これに制限されない。
この時のドープされた金属ハライドペロブスカイトは、ABX3、A2BX4、ABX4またはAn-1BnX3n+1の構造を含み、前記Aの一部がA’で置換されたり、前記Bの一部がB’で置換されたり、前記Xの一部がX’で置換されたことを特微とする。
この時のA及びA’は、1価カチオン物質で、前記B及びB’は金属物質で、前記X及びX’はハロゲン元素であり得る。
例えば、前記1価カチオンは、1価有機カチオンであるかアルカリ金属であってもよい。例えば、前記1価有機カチオンは、有機アンモニウム(RNH3)+、有機アミジニウム誘導体(RC(=NR2)NR2)+、有機グアニジニウム誘導体(R2NC(=NR2)NR2)+、有機ジアンモニウム(CxH2x-n+4)(NH3)n
+、((CxH2x+1)nNH3)(CH3NH3)n
+、(RNH3)2
+、(CnH2n+1NH3)2
+、(CF3NH3)+、(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2
+または(CnF2n+1NH3)2
+(x、nは1以上である整数、R=炭化水素誘導体、フッ化炭素誘導体(fluorocarbon derivatives)、アルキル(Alkyl)、フッ化アルキル(fluoroalkyl)、H、F、Cl、Br、I)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
前記アルカリ金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+及びこれらの組み合わせであり得る。
また好ましくは、前記有機カチオンはacetamidinium、azaspironanium、benzene diammonium、benzylammonium、butanediammonium、iso-butylammonium、n-butylammonium、t-butylammonium、cyclohexylammonium、cyclohexylmethylammonium、diazobicyclooctanedinium、diethylammonium、N、N-diehtylethane diammonium、N、N-diethylpropane diammonium、dimethylammonium、N、N-dimethylethane diammonium、dimethylpropane diammonium、dodecylammonium、ethanediammonium、ethylammoniuium、4-fluoro-benzylammonium、4-fluoro-phenylethylammonium、4-fluoro-phenylammonium、formamidinium、guanidinium、hexanediammnium、hexylammonium、imidazolium、2-methoxyethylammonium、4-methoxy-phenlylethylammonium、4-methoxy-phenylammonium、methylammonium、morpholinium、oxtylammonium、pentylammonium、piperazinediium、piperidinium、propanediammonium、iso-propylammonium、di-iso-propylammonium、n-propylammonium、pyridinium、2-pyrrolidin-1-ium-1-yethylammonium、pyrrolidinium、quinclidin-1-ium、4-trifluoromethyl-benzylammonium、4-trifluoromethyl ammonium及びこれらの誘導体、そしてこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
前記Bは、2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、1価金属、3価金属の組み合わせ及びこれらの組み合わせであり得る。また好ましくは、前記2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属は、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Ru2+、Pd2+、Cd2+、Pt2+、Hg2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Se2+、Te2+、Po2+、Bi2+、Eu2+、No2+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記1価金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、Ag+、Hg+、Ti+及びこれらの組み合わせであってもよく、前記3価金属は、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ru3+、Rh3+、Ir3+、Au3+、Al3+、Ga3+、In3+、Ti3+、As3+、Sb3+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+、Ac3+、Am3+、Cm3+、Bk3+、Cf3+、Es3+、Fm3+、Md3+、Lr3+及びこれらの組み合わせであり得る。
また、前記X及びX’は、Cl、BrまたはIであり得る。
また、この時のAとA’は互いに異なる有機物で、BとB’は互いに異なる金属で、XとX’は互いに異なるハロゲン元素である。さらに、ドープされるX’は、Xと合金(alloy)形成されない元素を利用することが好ましい。
例えば、DMF溶媒にCH3NH3I、PbI2及びPbCl2を添加して第1溶液を形成することができる。この時、CH3NH3I:PbI2及びPbCl2のモール割合を1:1割合にしてPbI2:PbCl2のモール割合を97:3に設定することができる。
一方、この時のAXの合成例として、AがCH3NH3、XがBrの場合、CH3NH2(methylamine)とHBr(hydroiodic acid)を窒素雰囲気で溶かして溶媒蒸発によりCH3NH3Brを得ることができる。
その次に、第2溶液に第1溶液を添加すると、溶解度差によって第2溶液においてドープされた金属ハライドペロブスカイトが析出されて、このような析出されたドープされた金属ハライドペロブスカイトをアルキルハライド、カルボキシル酸及びこれの誘導体(例:オレイン酸)、アミン誘導体(例:オレインアミン)中で選択された少なくとも一種類の界面活性剤が多数取り囲みながら表面を安定化しながらよく分散したドープされた金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造を含むドープされた金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(100)を生成するようになる。この時、ドープされた金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の表面は、複数個の有機リガンド(界面活性剤がリガンドの役割もする)が取り囲まれるようになる。
以後、界面活性剤が溶けている非極性溶媒に分散しているドープされた金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を含んだ極性溶媒に熱を加えて選択的に蒸発させたり、極性溶媒と非極性溶媒とともに溶けることができる共溶媒(co-solvent)を添加してナノ結晶粒子を含んだ極性溶媒を選択的に非極性溶媒から抽出してドープされた金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を得ることができる。
一方、空気中(Ambient condition)で金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を合成する場合には、空気中の湿気によって結晶粒界クリープ(creef)及び欠陥(defect)が形成されて、オストヴァルト熟成(Ostwald ripening)が起きることになって、大きさが小さいナノ結晶粒子が生成されて、これは色純度を低下させる原因になる問題があった。
そこで、より良い色純度を示す金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の合成のために、非プロトン性溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液と、プロトン性溶媒または非プロトン性溶媒に界面活性剤が溶けている第2溶液を準備する段階;及び不活性気体の雰囲気下で前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜて金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成する段階を含み、前記不活性気体の雰囲気で金属ハライドナノ結晶粒子形成時、ナノ結晶粒子間のオストヴァルト熟成発生が抑制されて結晶粒子の大きさ分布が調節されることを特徴とする金属ハライドペロブスカイト結晶粒子の大きさ分布調節方法を使うことができる。
図3を参照すると、従来金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子製造方法は、逆ナノ-エマルション(Inverse Nano-emulsion)法あるいはリガンド補助再沈殿法(Ligand-assisted Reprecipitation method)により製造する方法であって、非プロトン性溶媒に金属ハライドペロブスカイト前駆体が溶けている第1溶液と、プロトン性溶媒または非プロトン性溶媒に界面活性剤が溶けている第2溶液を準備して、空気中で(Ambient condition)前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ結晶粒子を形成する方法で実行された。逆ナノエマルションは、完全に混ざらない二つの溶媒でエマルションが形成されて、追加的にアセトンやアルコールを入れなければ粒子形成反応が形成されない。リガンド補助再沈殿法は、二つの溶媒が部分的に混ざるので追加的な溶媒なしにすぐに粒子形成反応が形成される。ただし、工程によって第1溶液にも界面活性剤が追加され、第2溶液にもペロブスカイト前駆体の一部または全部が追加されることができる。
しかし、空気中(Ambient condition)で金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を合成する場合には、空気中の湿気によって結晶粒界クリープ(creef)及び欠陥(defect)が形成されて、図9に示すように、オストヴァルト熟成(Ostwald ripening)が起きるようになる。
前記オストヴァルト熟成は、エマルション形態で溶けている粒子が成長する原理を説明した理論で、‘エマルションの粒子の大きさが多様な場合、大きさが相対的に小さい粒子は引き続き小さくなって、大きい粒子はますます大きくなる現象’を意味する。
従来空気中で合成する場合には、前記オストヴァルト熟成の発生で5nm以下の非常に小さい大きさのナノ結晶粒子が生成されて、製造された結晶粒子の大きさ分布範囲が非常に広く、これは色純度を低下させる原因になる問題があった。
仮に、ナノ結晶粒子がボーア径未満、つまり例えば10nm未満の大きさを有する場合、粒子の大きさによってバンドギャップが変わることになる。ボーア径は、物質の構造によって異なるが概して10nm以上であるため、10nm未満の場合、同じ金属ハライドペロブスカイト構造を有しても発光波長が異なる。従って、金属ハライドペロブスカイトナノ粒子の色純度を高めるためには、粒子の大きさが均一であることが好ましく、生成される結晶粒子の大きさ分布範囲を制御することが求められる。
合成の雰囲気を調節して、不活性の雰囲気下で前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ結晶粒子を形成する際に、オストヴァルト熟成が起きないので、微細なナノ結晶粒子の生成を抑制し、従って、ボーア径以上の10~30nmの大きさ分布を有するナノ結晶粒子を製造することができる。
以下、図10を参照して本発明をより具体的に説明する。
図10に示すように、本発明に係る金属ハライドペロブスカイト結晶粒子の大きさ分布調節方法は、極性溶媒(プロトン性溶媒または非プロトン性溶媒含む)に金属ハライドペロブスカイト前駆体が溶けている第1溶液と、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、あるいは無極性溶媒の中から選択された少なくとも一つの溶媒(ただし、第1溶液の溶媒と異なること)に界面活性剤が溶けている第2溶液を準備する段階;及び不活性気体の雰囲気下で前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜて金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成する段階を含む。インバスナノエマルションを形成する場合には、エマルションを破壊する(Demulsify)工程が追加的に必要である。これのためにアセトンやTert butanolのようなアルコールが使われる。
まず、非プロトン性(aprotic)溶媒に金属ハライドペロブスカイト前駆体が溶けている第1溶液と、プロトン性(protic)溶媒、非プロトン性(aprotic)または無極性溶媒から選択された少なくとも一種類の溶媒に界面活性剤が溶けている第2溶液を準備する。
この時、前記プロトン性溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert-ブタノール、カルボキシル酸、水及びギ酸の中から選択されることができて、前記非プロトン性溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ガンマブチロラクトン、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、アセトニトリル(acetonitrile)、THF(tetrahydrofuran)、アセトン(acetone)、及びHMPA(hexamethylphosphoramide)の中から選択されるが、これに制限されない。無極性溶媒は、キシレン、オクタデセン(Octadecene)、トルエン、ヘキサン、シクロヘクセン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン及びジクロロベンゼンから選択されるが、これに制限されない。
前記金属ハライドペロブスカイトは、三次元的な結晶構造または二次元的な結晶構造または一次元的結晶構造または0次元的結晶構造を有する物質であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイトは、ABX3(3D)、A4BX6(0D)、AB2X5(2D)、A2BX4(2D)、A2BX6(0D)、A2B+B3+X6(3D)、A3B2X9(2D)またはAn-1BnX3n+1(qausi-2D)の構造(nは2乃至6の間の整数)を含むことができる。前記Aは1価カチオンで、前記Bは金属物質で、前記Xはハロゲン元素であり得る。前記金属ハライドペロブスカイトのA、B及びXの具体的な例は、前記<金属ハライドペロブスカイト結晶>で説明したのと同様である。
一方、このような金属ハライドペロブスカイトは、AX及びBX2を一定割合で組み合わせて準備することができる。即ち、第1溶液は非プロトン性溶媒にAX及びBX2を一定割合で溶かして形成されることができる。例えば、非プロトン性溶媒にAX及びBX2を1:1割合で溶かしてABX3金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を準備することができる。
また、界面活性剤は、アルキルハライド、アミンリガンドと、カルボキシル酸またはホスホン酸及びこれらの誘導体を含むことができる。前記アルキルハライド、アミンリガンド、カルボキシル酸及びホスホン酸の具体的な説明は、前記<金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子>で説明したのと同様である。
次に、不活性気体の雰囲気下で前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜて金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成する。
この時、前記不活性気体は、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、またはこれらの混合気体が使えて、20ppm以下の酸素濃度を形成させることができればあらゆる不活性気体の流れも可能である。前記不活性気体の雰囲気のために、前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜる段階は、グローブボックスなどの密閉された空間中で行われることができる。
前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ結晶粒子を形成する段階は、前記第2溶液に前記第1溶液を滴状に落として混ぜることが好ましい。また、この時の第2溶液は撹はんを行うことができる。例えば、強く撹はん中のアミンリガンドと、カルボキシル酸またはホスホン酸界面活性剤が溶けている第2溶液に有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)が溶けている第2溶液をゆっくり一滴ずつあるいは多数滴で添加してナノ結晶粒子を合成することができる。
この場合、第1溶液を第2溶液に落として混ぜると、溶解度差によって第2溶液で有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)が析出(precipitation)される。第2溶液に予め混ざっているアミンリガンド(Amine-based ligand)が金属ハライドペロブスカイト結晶構造にくっついて溶解度差を減らして金属ハライドペロブスカイトの急激な析出を防ぐ。なお第2溶液で析出された有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)をカルボキシル酸界面活性剤またはホスホン酸界面活性剤がイオン結晶を介して表面にくっついてナノ結晶を安定化しながらよく分散した有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(OIP-NC)を生成するようになる。従って、有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶及びこれを取り囲む複数個の有機リガンドを含む金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を製造することができる。
ところで、第1溶液と第2溶液の混和性(miscibility)がずっと低いかない場合には、再結晶化が起きないこともあり、この場合には追加的に脱乳化剤(Demulsifier)を添加することができる。
前記脱乳化剤としては、tert-ブタノール、アセトンが使えるが、これに制限されない。
このように製造された金属ハライドペロブスカイト結晶粒子の大きさ分布は、10~30nmの範囲で調節することができる。
このように製造された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子が含まれたコロイダル(colloidal)溶液は、以後、コーティングにより薄膜を形成することができる。
本発明の方法により不活性気体の雰囲気下で製造された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と、従来の製造方法により空気中で製造された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を含んだコロイダル溶液をスピンコーティングして薄膜を形成後、光発光特性を測定した結果、従来の製造方法により空気中で製造された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜は、図11に示すように、オストヴァルト熟成発生によって非常に小さいナノ粒子が生成されて、発光波長の領域帯が分けられることが明らかになったが、本発明により不活性気体の雰囲気で製造された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜は、図12に示すように、オストヴァルト熟成が発生しなくて、一つの発光波長領域で現れることで、より高い色純度を実現することができる。
従って、本発明の一実施例に係る方法により製造された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(有機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子または無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子)は、種々の光電子素子に応用が可能である。
<金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜製造>
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を多様な光電素子に応用するためには、均一な薄膜を形成することが重要である。例えば、均一な金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜を形成するために、有機溶媒に分散した金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を準備する段階;準備した金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子が分散した有機溶媒をスピンコーティング法、スプレー法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルプリンティング法、スロット-ダイコーティング法、グラビアプリンティング法、キャスト法またはラングミュア・ブロジェット膜法(LB(Langmuir-Blodgett))等のような公知された様々な方法の中から任意に選択された方法で行って形成することができる。
前記スピンコーティング工程を行う際に、スピンコーティング速度は1000rpm乃至5000rpmであってもよく、スピンコーティング時間は15秒乃至150秒であり得る。スピンコーティング速度が1000rpm以下に低下したり、スピンコーティング時間が15秒以内と短くなると薄膜不均一になるか、溶媒が蒸発しきれないことがある。
スピンコーティングを除いたプリンティング方法により薄膜を形成時、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、結晶化がされた状態で薄膜を形成するので、コーティング途中結晶化が形成される多結晶バルク(bulk)金属ハライドペロブスカイト薄膜に比べてコーティング速度、コーティング環境及び下部基材層に結晶化度が影響を受けない。しかしこのようなプリンティング方法を利用して薄膜を製造する時、溶媒の蒸発速度が遅くナノ結晶粒子が互いに凝り固まる現象による再結晶を介して大きい結晶が形成されることができる。
従って、プリンティング工程以後に前記形成されたナノ結晶粒子薄膜を速く乾燥する方法により、均一な金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜をプリンティングプロセスを介して製造することができる。プリンティング工程以後に薄膜を速く乾燥する段階を追加的に行って前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子間の再結晶を防止することができる。
好ましくは、空気噴射によりプリンティングプロセス以後に残っている溶媒を除去することができる。
図13は、本発明の一実施例に係る空気噴射によりバーコーティングプロセス以後に残っている溶媒を除去する工程に対する模式図である。
また好ましくは、図13を参考すると、前記乾燥する段階は、高温の空気を噴射することを特徴とすることができる。前記噴射する空気の温度は、70℃乃至100℃でするのが好ましく、前記範囲からずれて噴射する空気の温度は70℃未満の場合、紙面溶媒の蒸発が遅れてナノ結晶粒子の間の再結晶が起きることができる。噴射する空気の温度は、100℃を超える場合、熱に脆弱な金属ハライドペロブスカイト結晶構造が分解され、100℃以下の乾燥温度で溶媒の蒸発をより促進させるために空気噴射を加えて速い乾燥を行うことがより好ましい。
仮に、乾燥段階で空気噴射をすることなく70℃乃至100℃の温度だけを加えて乾燥する場合、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の分散に使われる有機溶媒の沸点(例:トルエン(110.6℃)、ジメチルホルムアミド(153℃))よりも乾燥温度が低いので、乾燥速度が遅くてナノ結晶粒子の再結晶ができるが、空気噴射を加えて速い乾燥を行うことがより好ましい。
本発明のさらに別の実施例によると、均一な金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜を形成するために、前記ペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜を形成する段階は、アンカリング溶液及び前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を含む有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子溶液を準備する工程、前記基板または前記ゲート絶縁膜上に、前記アンカリング溶液をスピンコーティングしてアンカリングエージェント層を形成する工程、及び前記アンカリングエージェント層に前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子溶液をスピンコーティングしてアンカリング半導体層を形成する工程を含むことができる。
具体的に、これは、まず、アンカリング溶液及び前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を含む有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子溶液を準備することができる。
前記アンカリング溶液は、アンカリング(anchoring)効果を示す粘着性を付与する樹脂を含む溶液であり得る。前記アンカリング溶液は、例えば、3-メルカプトプロピオン酸エタノール溶液(3-mercaptopropionic acid ethanilicsolution)が使われる。前記アンカリング溶液は、7wt%乃至12wt%の濃度であり得る。
この後、前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜を形成する基板上に前記アンカリング溶液をスピンコーティングしてアンカリングエージェント層を形成することができる。前記スピンコーティング工程を行う際に、スピンコーティング速度は1000rpm乃至5000rpmであってもよく、スピンコーティング時間は15秒乃至150秒であり得る。スピンコーティング速度が1000rpm以下に低下したり、スピンコーティング時間が15秒以内と短くなると薄膜不均一になるか、溶媒が蒸発しきれないことがある。
この後、前記アンカリングエージェント層上に有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子溶液をスピンコーティングして、アンカリング金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜を形成することができる。前記アンカリング溶液を利用して前記アンカリング金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜を形成する場合、より密に(dense)ナノ結晶層を形成することができる。
この後、前記アンカリング金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子薄膜上に架橋剤層を形成することができる。架橋剤層を形成する場合、より密にコンパクトな金属ハライドペロブスカイトナノ結晶層を形成できて、リガンドの長さが短くなってナノ結晶への電荷注入がよりスムーズになって発光素子の発光効率及び輝度が増加する効果がある。
前記架橋剤は、X-R-X構造を有する架橋剤が好ましく、一例で、1、2-エタンジチオール(ethanedithiol)を使うことができる。前記架橋剤を溶解が可能な溶媒に混合して溶液を製造した後、スピンコーティングすることができる。
この時、前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子溶液をスピンコーティングする段階及び前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子溶液をスピンコーティングされた層上に架橋剤層を形成する段階を交互に繰り返して前記発光層の厚さを調節することができる。
この時、スピンコーティング速度は1000rpm乃至5000rpmであることが好ましく、スピンコーティング時間は15秒乃至150秒であってもよい。スピンコーティング速度が1000rpm以下に低下したり、スピンコーティング時間が15秒以内と短くなると薄膜不均一になるか、溶媒が蒸発しきれないことがある。
<金属ハライドペロブスカイト発光素子>
本発明の一実施例によると、前述された金属ハライドペロブスカイトは、発光素子に活用されることができる。
本明細書において、‘発光素子’は、発光ダイオード、発光トランジスター(light-emitting transistor)、レーザー(laser)、偏光(polarized)発光素子など発光が起きる素子をいずれも含むことができる。
本発明の一実施例に係る発光素子は、前述された金属ハライドペロブスカイトで発光が出ることを特微とする。
図14及び図15は、本発明の一実施例に係る発光素子を示した模式図である。
図14及び図15を参照すると、本発明に係る発光素子は陽極(20)と陰極(70)、これら二つの電極の間に配置された発光層(40)を備えることができる。また好ましくは、前記陽極(20)と前記発光層(40)との間には、正孔の注入を容易にするための正孔注入層(30)を備えることができる。また、前記発光層(40)と前記陰極(70)との間に電子の輸送のための電子輸送層(50)と電子の注入を容易にするための電子注入層(60)を備えることができる。
また、本発明に係る発光素子は、前記正孔注入層(30)と前記発光層(40)との間に正孔の輸送のための正孔輸送層をさらに含むことができる。
これに加え、発光層(40)と電子輸送層(50)との間に正孔ブロッキング層(図示せず)が配置されることができる。また、発光層(40)と正孔輸送層との間に電子ブロッキング層(図示せず)が配置されることができる。しかし、これに限定されず電子輸送層(50)が正孔ブロッキング層の役割を行うことができ、または、正孔輸送層が電子ブロッキング層の役割を行うこともできる。
前記陽極(20)は、伝導性金属酸化物、金属、金属合金、または、炭素材料であり得る。伝導性金属酸化物は、ITO、AZO(Al-doped ZnO)、GZO(Ga-doped ZnO)、IGZO(In、Ga-dpoed ZnO)、MZO(Mg-doped ZnO)、Mo-doped ZnO、Al-doped MgO、Ga-doped MgO、F-doped SnO2、Nb-dpoed TiO2またはCuAlO2またはこれらの組み合わせであり得る。陽極(20)として適した金属または金属合金は、AuとCuIであり得る。炭素材料は、黒鉛、グラフェン、または、炭素ナノチューブであり得る。
陰極(70)は、陽極(20)に比べて低い仕事関数を有する導電膜で、例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、インジウム、イットリウム、リチウム、銀、鉛、セシウムなどの金属またはこれらの2種以上の組み合わせを使って形成することができる。
陽極(20)と陰極(70)は、スパッタリング(Sputtering)法、気相蒸着法またはイオンビーム蒸着法を使って形成することができる。正孔注入層(30)、正孔輸送層、発光層(40)、正孔ブロッキング層、電子輸送層(50)、及び電子注入層(60)は、互いに関係なく蒸着法またはコーティング法、例えばスプレイン、スピンコーティング、ディッピング、プリンティング、ドクターブレーディング法を利用したり、または、電気泳動法を利用して形成することができる。
正孔注入層(30)及び/または正孔輸送層は、陽極(20)の仕事関数準位と発光層(40)のHOMO準位との間のHOMO準位を有する層であり、陽極(20)から発光層(40)への正孔の注入または輸送効率を上げる機能をする。
正孔注入層(30)または正孔輸送層は、正孔輸送物質として通常使われる材料を含むことができ、一つの層が互いに異なる正孔輸送物質層を備えることができる。正孔輸送物質は、例えば、mCP(N、Ndicarbazolyl-3、5-benzene);PEDOT:PSS(poly(3、4-ethylenedioxythiophene):polystyrenesulfonate);NPD(N、N’-di(1-naphthyl)-N、N’-diphenylbenzidine);N、N’-Bis(3-methylphenyl)-N、N’-diphenylbenzidine(TPD);DNTPD(N4、N4’-Bis[4-[bis(3-methylphenyl)amino]phenyl]-N4、N4’-diphenyl-[1、1’-biphenyl]-4、4’-diamine);N、N’-ジフェニル-N、N’-ジナフチル-4、4’-ジアミノビフェニル;N、N、N’N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル;N,N,N’N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノビフェニル;コッパー(II)1,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィリンなどのようなポルフィリン(porphyrin)化合物誘導体;TAPC(1、1-Bis[4-[N、N’-Di(p-tolyl)Amino]Phenyl]Cyclohexane);N、N,N-トリ(p-トリル)アミン、4,4’,4’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミンのようなトリアリールアミノ誘導体;N-フェニルカルバゾール及びポリビニールカルバゾールのようなカルバゾール誘導体;無金属フタロシアニン、銅フタロシアニンのようなフタロシアニン誘導体;スターバーストアミン誘導体;エンアミンスチルベン系誘導体;芳香族三級アミンとスチリルアミン化合物の誘導体;及びポリシランなどであり得る。このような正孔輸送物質は、電子ブロッキング層の役割を行うこともできる。
前記正孔注入層(30)は、さらに正孔注入性物質を含むことができる。例えば、前記正孔注入層は、金属酸化物及び正孔注入性有機物のうち1種以上を含むことができる。
前記正孔注入層(30)が、金属酸化物を含む場合、前記金属酸化物は、MoO3、WO3、V2O5、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(Coppoer(II) Oxide:CuO)、酸化銅アルミニウム(Copper Aluminium Oxide:CAO、CuAlO2)、酸化亜鉛ロジウム(Zinc Rhodium Oxide:ZRO、ZnRh2O4)、GaSnO、及び金属-黄化物(FeS、ZnSまたはCuS)でドープされたGaSnOからなる群から選択された1種以上の金属酸化物を含むことができる。
前記正孔注入層(30)が正孔注入性有機物を含む場合、前記正孔注入層(30)は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、Langmuir-Blodgett(LB)法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、リバースオフセツトコーティング法、スクリーンプリンティング法、スロット-ダイコーティング法及びノズルプリンティング法などのような公知された様々な方法で任意に選択された方法により形成することができる。
前記正孔注入性有機物は、Fullerene(C60)、HAT-CN、F16CuPC、CuPC、m-MTDATA[4、4’、4’’-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine](下記の化学式参照)、NPB[N、N’-Di(1-naphthyl)-N、N’-diphenyl-(1、1’-biphenyl)-4、4’-diamine)]、TDATA(下記の化学式参照)、2T-NATA(下記の化学式参照)、Pani/DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid:ポリアニリン/トデシルベンゼンスルホン酸)、PEDOT/PSS(Poly(3、4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate):ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート))、Pani/CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid:ポリアニリン/カンファースルホン酸)及びPANI/PSS(Polyaniline)/Poly(4-styrenesulfonate):ポリアニリン)/ポリ(4-スチレンスルホネート))からなる群から選択される少なくとも一つを含むことができる。
例えば、前記正孔注入層は、前記正孔注入性有機物マトリックスに前記金属酸化物がドープされた層であり得る。この時、ドーピング濃度は、正孔注入層総重量基準に0.1wt%乃至80wt%であることが好ましい。
前記正孔注入層の厚さは、1nm乃至1000nmであってもよい。例えば、前記正孔注入層の厚さは、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nm、101nm、102nm、103nm、104nm、105nm、106nm、107nm、108nm、109nm、110nm、111nm、112nm、113nm、114nm、115nm、116nm、117nm、118nm、119nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、165nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、195nm、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm、1000nm中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、前記正孔注入層の厚さは、10nm乃至200nmであってもよい。前記正孔注入層の厚さが上述したような範囲を満たす場合、駆動電圧が上昇されることなく高品質の有機素子を実現することができる。
また、発光層と正孔注入層との間には、正孔輸送層をさらに形成することができる。
前記正孔輸送層は、公知の正孔輸送物質を含むことができる。例えば、前記正孔輸送層に含まれることができる正孔輸送物質は、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(1、3-bis(carbazol-9-yl)benzene:MCP)、1,3,5-トリス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(1、3、5-tris(carbazol-9-yl)benzene:TCP)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリペニラミン(4、4’、4’’-tris(carbazol-9-yl)triphenylamine:TCTA)、4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル(4、4’-bis(carbazol-9-yl)biphenyl:CBP)、N,N’-ビス(ナフタリン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン(N、N’-bis(naphthalen-1-yl)-N、N’-bis(phenyl)-benzidine:NPB)、N,N’-ビス(ナフタリン-2-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン(N、N’-bis(naphthalen-2-yl)-N、N’-bis(phenyl)-benzidine:β-NPB)N,N’-ビス(ナフタリン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-2、2’-ジメチルベンジジン(N、N’-bis(naphthalen-1-yl)-N、N’-bis(phenyl)-2、2’-dimethylbenzidine:α-NPD)、ジ-[4,-(N,N-ジトリル-アミノ)-フェニル]シクロヘキサン(Di-[4-(N,N-ditolyl-amino)-phenyl]cyclohexane:TAPC)、N,N,N’,N’-テトラ-ナフタリン-2-イル-ベンジジン(N、N、N’、N’-tetra-naphthalen-2-yl-benzidine:β-TNB)及びN4、N4、N4’、N4’-tetra(biphenyl-4-yl)biphenyl-4、4’-diamine(TPD15)、poly(9、9-dioctylfluorene-co-bis-N、N’-(4-butylphenyl)-bis-N、N’-phenyl-1、4-phenylenediamine)(PFB)、poly(9、9’-dioctylfluorene-co-N-(4-butylphenyl)diphenylamine)(TFB)、poly(9、9’-dioctylfluorene-co-bis-N、N’-(4-butylphenyl)-bis-N、N’-phenylbenzidine)(BFB)poly(9、9-dioctylfluorene-co-bis-N、N’-(4-methoxyphenyl)-bis-N、N’-phenyl-1、及び4-phenylenediamine)(PFMO)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができるが、これに限定されない。
前記正孔輸送物質の化学式を下記の表1にまとめた。
前記正孔輸送層中、例えば、TCTAの場合、正孔輸送役割の外にも、発光層からエキシトンが拡散されるのを防止する役割を行うことができる。
前記正孔輸送層の厚さは、1nm乃至100nmであり得る。例えば、前記正孔輸送層の厚さは1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、前記正孔輸送層の厚さは10nm乃至60nmであり得る。前記正孔輸送層の厚さが上述するような範囲を満たす場合、有機発光ダイオードの光効率が向上して輝度が高くなる。
電子注入層(60)及び/または電子輸送層(50)は、陰極(70)の仕事関数準位と発光層(40)のLUMO準位との間のLUMO準位を有する層で、陰極(70)から発光層(40)への電子の注入または輸送効率を上げる機能をする。
電子注入層(60)は、たとえば、LiF、NaCl、NaF、CsF、Li2O、BaO、BaF2、MgF2またはLiq(リチウムキノラート)であり得る。また、電子輸送層と前記電子注入層材料を共蒸着してドープされた電子輸送層(doped electron transport layer)を形成すると電子注入層に代わることができる。
電子輸送層(50)は、キノリン誘導体、特にトリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(tris(8-hydroxyquinoline)aluminum:Alq3)、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)-4-(フェニルフェノラート)アルミニウム(Bis(2-methyl-8-quinolinolate)-4-(phenylphenolato)aluminium:Balq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)-beryllium:Bebq2)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:BCP)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:Bphen)、2,2’,2’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)-トリス(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール)((2、2’、2’’-(benzene-1,3,5-triyl)-tris(1-phenyl-1H-benzimidazole:TPBI)、3-(4-ビフェニル)-4-(フェニル-5tert-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール(3-(4-biphenyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole:TAZ)、4-(ナフタリン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール(4-(naphthalen-1-yl)-3,5-diphenyl-4H-1,2,4-triazole:NTAZ)、2,9-ビス(ナフタリン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-bis(naphthalen-2-yl)-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:NBphen)、トリス(2,4,6-トリメチル-3-(ピリジン-3-イル)フェニル)ボラン(Tris(2,4,6-trimethyl-3-(pyridin-3-yl)phenyl)borane:3TPYMB)、フェニル-ジピレニルホスフィンオキシド(Phenyl-dipyrenylphosphine oxide:POPy2)、3,3’,5,5’-テトラ[(m-ピリジル)-フェン-3-イル]ビフェニル(3,3’,5,5’-tetra[(m-pyridyl)-phen-3-yl]biphenyl:BP4mPy)、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-フェン-3-イル]ベンゼン(1,3,5-tri[(3-pyridyl)-phen-3-yl]benzene:TmPyPB)、1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン(1、3-bis[3,5-di(pyridin-3-yl)phenyl]benzene:BmPyPhB)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(Bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)beryllium:Bepq2)、ジフェニルビス(4-(ピリジン-3-イル)フェニル)シラン(Diphenylbis(4-(pyridin-3-yl)phenyl)silane:DPPS)及び1,3,5-トリ(p-ピリド-3-イル-フェニル)ベンゼン(1,3,5-tri(p-pyrid-3-yl-phenyl)benzene:TpPyPB)、1,3-ビス[2-(2,2’-ビピリジン-6-イル)-1,3,4-オキサジアゾ-5-イル]ベンゼン(1、3-bis[2-(2、2’-bipyridine-6-yl)-1、3、-oxadiazo-5-yl]benzene:Bpy-OXD)、6,6’-ビス[5-(ビフェニル-4-イル)-1,3,4-オキサジアゾ-2-イル]-2,2’-ビピリジル(6、6’-bis[5-(biphenyl-4-yl)-1,3,4-oxadiazo-2-yl]-2、2’-bipyridyl:BP-OXD-Bpy)、TSPO1(diphenylphosphine oxide-4-(triphenylsilyl)phenyl)、TPBi(1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン)、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、2,5-ジアリールシロル誘導体(PyPySPyPy)、パーフルオロリネイテッド化合物(PF-6P)、COTs(Octasubstituted cyclooctatetraene)等を含むことができる。
前記電子輸送物質の化学式を下記の表2にまとめた。
前記電子輸送層の厚さは、約5nm乃至100nmであってもよい。例えば、前記電子輸送層の厚さは、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、前記電子輸送層の厚さは、15nm乃至60nmであり得る。前記電子輸送層の厚さが、上述したような範囲を満たす場合、駆動電圧上昇なしに優秀な電子伝達特性を得ることができる。
前記電子注入層(60)は、金属酸化物を含むことができる。前記金属酸化物は、n型半導体特性を有するので、電子輸送能力が優秀で、さらに空気や水分に反応性がない物質で可視光線領域での透過度(Transparency)が優秀な半導体物質の中から選択することができる。
前記電子注入層(60)は、たとえば、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛(Aluminum doped zinc oxide;AZO)、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、CsまたはFr)がドープされたAZO、TiOx(Xは1乃至3の実数である)、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛スズ(Zinc Tin Oxide)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化タングステン(WO3)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化バナジウム(V2O5、vanadium(IV)oxide(VO2)、V4O7、V5O9、または、V2O3)、酸化モリブデン(MoO3またはMoOx)、酸化銅(Copper(II)Oxide:CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅アルミニウム(Copper Aluminium Oxide:CAO、CuAlO2)、酸化亜鉛ロジウム(Zinc Rhodium Oxide:ZRO、ZnRh2O4)、酸化鉄、酸化クロム、酸化ビズマス、IGZO(indium-Gallium Zinc Oxide)、及びZrO2の中から選択された1種以上の金属酸化物を含むことができるが、これに限定されない。一例として、前記電子注入層(60)は、金属酸化物薄膜層、金属酸化物ナノ粒子層または金属酸化物薄膜内に金属酸化物ナノ粒子が含まれた層であり得る。
前記電子注入層(60)は、ウエットプロセスまたは蒸着法を使って形成することができる。
前記電子注入層(60)をウエットプロセスの一例として、溶液法(ex.ゾル-ゲル法)にて形成する場合、金属酸化物のゾル-ゲル前駆体及びナノ粒子形態の金属酸化物中少なくとも一つ及び溶媒を含む電子注入層用混合液を前記基板(10)上に塗布した後、これを熱処理して前記電子注入層(60)を形成することができる。この時、熱処理によって溶媒が除去される又は前記電子注入層(60)が結晶化されることができる。前記電子注入層用混合液を前記基板(10)上に提供する方法は、公知のコーティング法、例えば、スピンコーティング法、キャスト法、Langmuir-Blodgett(LB)法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、リバースオフセツトコーティング法、スクリーンプリンティング法、スロット-ダイコーティング法及びノズルプリンティング法、乾燥式転写プリンティング法(dry transfer printing)中から選択されるが、これに限定されない。
前記金属酸化物のゾル-ゲル前駆体は、金属塩(例えば、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属過塩素酸塩、金属酢酸塩、金属炭酸塩など)、金属塩水和物、金属ヒドロキシ、金属アルキル、金属アルコキシド、金属カーバイド、金属アセチルアセトネート、金属酸、金属酸塩、金属酸塩水和物、硫化金属、金属アセテート、金属アルカノエート、金属フタロシアニン、金属窒化物、及び金属カーボネートからなる群から選択される少なくとも一つを含有することができる。
前記金属酸化物がZnOである場合に、ZnOゾル-ゲル前駆体は、硫酸亜鉛、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、ブローム化亜鉛、ヨード化亜鉛、過塩素酸亜鉛、水酸化亜鉛(Zn(OH)2)、酢酸亜鉛(Zn(CH3COO)2)、酢酸亜鉛水和物(Zn(CH3(COO)2nH2O)、ジエチル亜鉛(Zn(CH3CH2)2)、硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)、硝酸亜鉛水和物(Zn(NO3)2nH2O)、炭酸亜鉛(Zn(CO3))、亜鉛アセチルアセトネート(Zn(CH3COCHCOCH3)2)、及び亜鉛アセチルアセトネート水和物(Zn(CH3COCHCOCH3)2nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができるが、これに限定されない。
前記金属酸化物が酸化インジウム(In2O3)の場合に、In2O3ゾル-ゲル前駆体は、 酢酸インジウム(In(CH3COO)2)、酢酸インジウム水和物(In(CH3(COO)2nH2O)、塩化インジウム(InCl、InCl2、InCl3)、硝酸インジウム(In(NO3)3)、硝酸インジウム水和物(In(NO3)3nH2O)、インジウムアセチルアセトネート(In(CH3COCHCOCH3)2)、及びインジウムアセチルアセトネート水和物(In(CH3COCHCOCH3)2nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化スズ(SnO2)の場合に、SnO2ゾル-ゲル前駆体は、酢酸スズ(Sn(CH3COO)2)、酢酸スズ水和物(Sn(CH3(COO)2nH2O)、塩化スズ(SnCl2、SnCl4)、塩化スズ水和物(SnClnnH2O)、スズアセチルアセトネート(Sn(CH3COCHCOCH3)2)、及びスズアセチルアセトネート水和物(Sn(CH3COCHCOCH3)2nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化ガリウム(Ga2O3)の場合に、Ga2O3ゾル-ゲル前駆体は、硝酸ガリウム(Ga(NO3)3)、硝酸ガリウム水和物(Ga(NO3)3nH2O)、ガリウムアセチルアセトネート(Ga(CH3COCHCOCH3)3)、ガリウムアセチルアセトネート水和物(Ga(CH3COCHCOCH3)3nH2O)、及び塩化ガリウム(Ga2Cl4、GaCl3)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化タングステン(WO3)の場合に、WO3ゾル-ゲル前駆体は炭化タングステン(WC)、タングステン酸粉末(H2WO4)、塩化タングステン(WCl4、WCl6)、タングステンイソプロポキシド(W(OCH(CH3)2)6)、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4)、タングステン酸ナトリウム水和物(Na2WO4nH2O)、タングステン酸アンモニウム((NH4)6H2W12O40)、タングステン酸アンモニウム水和物((NH4)6H2W12O40nH2O)、及びタングステンエトキシド(W(OC2H5)6)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化アルミニウムである場合に、酸化アルミニウムゾル-ゲル前駆体は、塩化アルミニウム(AlCl3)、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)、硝酸アルミニウム水和物(Al(NO3)3nH2O)、及びアルミニウムブトキシド(Al(C2H5CH(CH3)O))からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化チタンの場合に、酸化チタンゾル-ゲル前駆体は、チタンイソプロポキシド(Ti(OCH(CH3)2)4)、塩化チタン(TiCl4)、チタンエトキシド(Ti(OC2H5)4)、及びチタンブトキシド(Ti(OC4H9)4)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化バナジウムの場合に、酸化バナジウムのゾル-ゲル前駆体は、バナジウムイソプロポキシド(VO(OC3H7)3)、バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、バナジウムアセチルアセトネート(V(CH3COCHCOCH3)3)、及びバナジウムアセチルアセトネート水和物(V(CH3COCHCOCH3)3nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化モリブデンの場合に、酸化モリブデンゾル-ゲル前駆体は、モリブデンイソプロポキシド(Mo(OC3H7)5)、塩化モリブデンイソプロポキシド(MoCl3(OC3H7)2)、モリブデン酸アンモニウム((NH4)2MoO4)、及びモリブデン酸アンモニウム水和物((NH4)2MoO4nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化銅の場合に、酸化銅ゾル-ゲル前駆体は、塩化銅(CuCl、CuCl2)、塩化銅水和物(CuCl2nH2O)、酢酸銅(Cu(CO2CH3)、Cu(CO2CH3)2)、酢酸銅水和物(Cu(CO2CH3)2nH2O)、銅アセチルアセトネート(Cu(C5H7O2)2)、硝酸銅(Cu(NO3)2)、硝酸銅水和物(Cu(NO3)2nH2O)、臭化銅(CuBr、CuBr2)、銅炭酸塩(CuCO3Cu(OH)2)、硫化銅(Cu2S、CuS)、銅フタロシアニン(C32H16N8Cu)、銅トリフルオロアセトネート(Cu(CO2CF3)2)、銅イソブチレート(C8H14CuO4)、銅エチルアセトネート(C12H18CuO6)、銅2-エチルヘキサノエート([CH3(CH2)3CH(C2H5)CO2]2Cu)、フッ化銅(CuF2)、ギ酸銅水和物((HCO2)2CuH2O)、銅グルコネート(C12H22CuO14)銅ヘキサフルオロアセチルアセトネート(Cu(C5HF6O2)2)、銅ヘキサフルオロアセチルアセトネート水和物(Cu(C5HF6O2)2nH2O)、銅メトキシド(Cu(OCH3)2)、銅ネオデカノデート(C10H19O2Cu)、過塩素酸銅水和物(Cu(ClO4)26H2O)、硫酸銅(CuSO4)、硫酸銅水和物(CuSO4nH2O)、酒石酸銅水和物([-CH(OH)CO2]2CunH2O)、銅トリフルオロアセチルアセトネート(Cu(C5H4F3O2)2)、銅トリフルオロメタンスルホネート((CF3SO3)2Cu)、及びテトラアミン銅硫酸塩水和物(Cu(NH3)4SO4H2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化ニッケルの場合に、酸化ニッケルゾル-ゲル前駆体は、塩化ニッケル(NiCl2)、塩化ニッケル水和物(NiCl2nH2O)、酢酸ニッケル水和物(Ni(OCOCH3)24H2O)、硝酸ニッケル水和物(Ni(NO3)26H2O)、ニッケルアセチルアセトネート(Ni(C5H7O2)2)、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)、ニッケルフタロシアニン(C32H16N8Ni)、及びニッケル炭酸塩水和物(NiCO32Ni(OH)2nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化鉄の場合に、酸化鉄のゾル-ゲル前駆体は、酢酸鉄(Fe(CO2CH3)2)、塩化鉄(FeCl2、FeCl3)、塩化鉄水和物(FeCl3nH2O)、鉄アセチルアセトネート(Fe(C5H7O2)3)、硝酸鉄水和物(Fe(NO3)39H2O)、鉄フタロシアニン(C32H16FeN8)、オキサレート水和物(Fe(C2O4)nH2O、及びFe2(C2O4)36H2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化クロムの場合に、酸化クロムゾル-ゲル前駆体は、塩化クロム(CrCl2、CrCl3)、塩化クロム水和物(CrCl3nH2O)、クロムカーバイド(Cr3C2)、クロムアチルアセトネート(Cr(C5H7O2)3)、硝酸クロム水和物(Cr(NO3)3nH2O)、水酸化クロム酢酸(CH3CO2)7Cr3(OH)2、及びクロム酢酸水和物([(CH3CO2)2CrH2O]2)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化ビズマスの場合に、酸化ビズマスゾル-ゲル前駆体は、塩化ビズマス(BiCl3)、硝酸ビズマス水和物(Bi(NO3)3nH2O)、ビズマス酢酸((CH3CO2)3Bi)、及びビスマスカーボネート((BiO)2CO3)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記電子注入層用混合液内に金属酸化物ナノ粒子が含まれる場合、前記金属酸化物ナノ粒子の平均粒径は10nm乃至100nmであり得る。
前記溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒であり得る。例えば、前記極性溶媒の例として、アルコール類、ケトン類などが挙げられ、前記非極性溶媒として芳香族炭化水素、指環族炭化水素、脂肪族炭化水素系有機溶媒が挙げられる。一例として、前記溶媒は、エタノール、ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコール(モノ)メチルエーテル(PGM)、イソプロピルセルロース(IPC)、エチレンカーボネート(EC)、メチルセロソルブ(MC)、エチルセロソルブ、2-メトキシエタノール及びエタノールアミンの中から選択された1種以上であってもよいが、これに限定されない。
例えば、ZnOからなる電子注入層(60)を形成する場合、前記電子注入層用混合物は、ZnOの前駆体として亜鉛アセテート無水物(Zinc acetate dehydrate)を含み、溶媒として2-メトキシエタノールとエタノールアミンの組み合わせを含むことができるが、これに限定されない。
前記熱処理条件は、選択された溶媒の種類及び含有量により異なるが、通常100℃乃至350℃及び0.1時間乃至1時間の範囲内で行うことが好ましい。前記熱処理温度と時間が、このような範囲を満たす場合、溶媒除去効果が良好でかつ素子を変形させないことができる。
前記電子注入層(60)を蒸着法を使って形成する場合、電子ビーム蒸着法(electron beam deposition)、熱蒸着法(thermal evaporation)、スパッタ蒸着法(Sputter deposition)、原子層蒸着法(atomic layer deposition)、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition)等公知の様々な方法で蒸着が可能である。蒸着条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などにより異なるが、例えば、25乃至1500℃、具体的に100乃至500℃の蒸着温度範囲、10-10乃至10-3torrの真空度範囲、0.01乃至100Å/secの蒸着速度範囲内で行われるのが好ましい。
前記電子注入層(60)の厚さは、1nm乃至100nmであってもよい。例えば、前記電子注入層の厚さは、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、前記電子注入層の厚さは15nm乃至60nmであり得る。
前記正孔注入層(30)、正孔輸送層、電子注入層(60)または電子輸送層(50)は、従来の有機発光ダイオードで使われる物質を通常適用することができる。
前記正孔注入層(30)、正孔輸送層、電子注入層(60)または電子輸送層(50)は、真空蒸着法、スピンコーティング法、スプレー法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルプリンティング法、スロット-ダイコーティング法、グラビアプリンティング法、キャスト法またはラングミュア・ブロジェット膜法(LB(Langmuir-Blodgett))等のような公知の様々な方法の中から任意に選択された方法で行って形成することができる。この時、薄膜形成時条件及びコーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などにより変わることができる。
前記基板(10)は、発光素子の支持体になるもので、透明な素材であり得る。また、前記基板(10)は、柔軟な性質の素材または硬質の素材であってもよく、好ましくは柔軟な性質の素材であり得る。
前記基板(10)の素材は、ガラス(Glass)、サファイア(Sapphire)、石英(Quartz)、シリコン(Silicon)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリ塩化ビニール(polyvinyl chloride、PVC)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)またはポリエチレン(polyethylene、PE)等であってもよいが、これに限定されない。
前記基板(10)は、陽極(20)下部に配置されてもよく、または陰極(70)上部に配置されてもよい。言い換えると、基板上に陽極(20)が陰極(70)より先に形成されてもよく、または陰極(70)が陽極(20)より先に形成されてもよい。従って、前記発光素子は、図14の正構造、及び図15の逆構造ともに可能である。
前記発光層(40)は、前記正孔注入層(30)と電子注入層(60)との間に形成されて、陽極(20)から流入した正孔(h)と陰極(70)から流入した電子(e)が結合してエキシトンを形成して、エキシトンが基底状態へと遷移しながら光が放出されることによって発光を起こす役割をする。
本発明に係る発光素子において、前記発光層(40)は前述された金属ハライドペロブスカイトを含むことを特微とする。
前記金属ハライドペロブスカイトは、三次元的な結晶構造または二次元的な結晶構造または一次元的結晶構造または0次元的結晶構造を有する物質であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイトはABX3(3D)、A4BX6(0D)、AB2X5(2D)、A2BX4(2D)、A2BX6(0D)、A2B+B3+X6(3D)、A3B2X9(2D)またはAn-1BnX3n+1(qausi-2D)の構造(nは2乃至6の間の整数)を含むことができる。前記Aは1価カチオンで、前記Bは金属物質で、前記Xはハロゲン元素であり得る。前記金属ハライドペロブスカイトのA、B及びXの具体的な例は、前記<金属ハライドペロブスカイト結晶>で説明したのと同様である。
<金属ハライドペロブスカイト発光トランジスター>
特に、前記発光素子が発光トランジスターの場合、既存の従来の有機半導体基盤発光トランジスターより高い色純度を有することができ、電界効果移動度(field-effect mobility)、及び点滅比(on/off ratio)が高まってスイッチング特性が向上でき、製造費用を節減させることができる。
前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターは、ゲート電極、半導体層、前記半導体層と前記ゲート電極との間に配置するゲート絶縁膜、及び前記半導体層と電気的に接続するソース電極及びドレーン電極を配置する発光トランジスターにおいて、金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層を有することを特徴とする。
前記基板は、実施例により、前記基板上に形成される電極、半導体層などの支持体になるもので、公知の有機発光トランジスターに使われる基板をいずれも使うことができる。前記基板は、例えば、炭素(C)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、または、ステンレススチール(SUS)等の金属基板、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリフェニルレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリアリレート(polyallylate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI)、ポリアクリレート(polyacrylate、PAR)、または、ポリカーボネート(polycarbonate)等のプラスチック基板、または、ガラス基板であってもよいが、これに限定されない。
前記ソース電極、ドレーン電極、及びゲート電極は、金属、伝導性高分子、炭素材料ドープされた半導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくともいずれかを含むことができる。例えば、金(Au)、白金(Pt)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、グラフェンまたはこれらの合金、または、酸化インジウム錫(Indium TinOxide,ITO)、または、酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide,IZO)のような無機酸化膜素材の中から選択される少なくともいずれか一つの物質で形成することもできる。
前記ゲート絶縁膜は、発光トランジスターの安定性のために前記ゲート電極及び前記半導体層の間に形成することで、カルボキシル基(-COOH)、ヒドロキシル基(-OH)、チオール基(-SH)、及びトリクロロシラン基(-SiCl3)金属からなる群から選択されるいずれかを含む自己組み立て分子、絶縁性高分子、無機酸化物、高分子電解質、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくともいずれか一つの物質からなる。
前記半導体層で使われる金属ハライドペロブスカイトは、三次元的な結晶構造または二次元的な結晶構造または一次元的結晶構造または0次元的結晶構造を有する物質であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイトは、ABX3(3D)、A4BX6(0D)、AB2X5(2D)、A2BX4(2D)、A2BX6(0D)、A2B+B3+X6(3D)、A3B2X9(2D)またはAn-1BnX3n+1(qausi-2D)の構造(nは2乃至6の間の整数)を含むことができる。前記Aは1価カチオンで、前記Bは金属物質で、前記Xはハロゲン元素であり得る。前記金属ハライドペロブスカイトのA、B及びXの具体的な例は、前記<金属ハライドペロブスカイト結晶>で説明したのと同様である。
前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターは、ボトム-ゲート/トップ-コンタクト、ボトム-ゲート/ボトム-コンタクト、トップ-ゲート/トップ-コンタクト、または、トップ-ゲート/ボトム-コンタクト構造であり得る。
図16(a)を参照すると、本発明の一実施例で、前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターは、ボトム-ゲート/トップ-コンタクト構造を有することもできる。具体的にこれは、基板(110)上に前記ゲート電極(310)及び前記ゲート絶縁膜(410)が順次配置されて、前記ゲート絶縁膜(410)上に金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(210)が配置されることができる。また、前記半導体層(210)上にはソース電極(510)及びドレーン電極(610)が前記半導体層(210)と電気的に接続して配置されることができる。
図16(b)を参照すると、本発明の別の実施例で、前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターは、ボトム-ゲート/ボトム-コンタクト構造を有することもできる。具体的にこれは、基板(120)上に前記ゲート電極(320)及び前記ゲート絶縁膜(420)が順次配置されて、前記ゲート絶縁膜(420)上にソース電極(520)及びドレーン電極(620)を配置されることができる。前記ソース電極(520)及びドレーン電極(620)と電気的に接続されるように前記ソース電極(520)及びドレーン電極(620)を覆う形態で前記ゲート絶縁膜(420)上に金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(220)が配置されることができる。
図16(c)を参照すると、本発明のさらに別の実施例で、前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターは、トップ-ゲート/トップ-コンタクト構造を有することもできる。具体的にこれは、基板(130)上に金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(230)が配置されることができて、前記半導体層(230)上にはソース電極(530)及びドレーン電極(630)が、前記半導体層(230)と電気的に接続して配置されることができる。前記前記ソース電極(530)及びドレーン電極(630)を覆う形態でゲート絶縁膜(430)が配置でき、前記ゲート絶縁膜(430)上にゲート電極(330)が配置されることができる。
図16(d)を参照すると、本発明の別の実施例で、前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターは、トップゲート/ボトム-コンタクト構造を有することもできる。具体的にこれは、基板(140)上にソース電極(540)及びドレーン電極(630)が配置されることができて、前記ソース電極(540)及びドレーン電極(630)と電気的に接続されるように前記ソース電極(540)及びドレーン電極(630)を覆う形態で金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(240)が配置されることができる。前記半導体層(240)上にはゲート絶縁膜(440)が配置でき、前記ゲート絶縁膜(440)上にはゲート電極(340)が配置されることができる。
前記の通り、本発明の金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターは、金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層を種々の構造に適用させることができる。
前記半導体層上部または下部に配置される、電子輸送層及び正孔輸送層の中で少なくともいずれか一つの層をさらに含むことができる。
図19(a)乃至図19(d)は、本発明の別の実施例に係る金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの構造を示した模式図である。
具体的に図19(a)乃至図19(d)は、本発明のボトム-ゲート/トップ-コンタクトの構造を有する金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの場合に、前記発光トランシスター内の前記半導体層上部または下部に配置される、電子輸送層及び正孔輸送層の中で少なくともいずれか一つの層をさらに含むことができる。
図19(a)を参照すると、本発明の一実施例において、前記半導体層(250)下部に電子輸送層(750)がさらに配置されることができる。具体的にこれは、前記基板(150)上にゲート電極(350)、ゲート絶縁膜(450)が順次配置されて、前記ゲート絶縁膜(450)上に前記半導体層(250)が配置される前に前記電子輸送層(750)が先に配置されて、前記電子輸送層(750)上に前記金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(250)が配置されることができる。以後、前記半導体層(250)上に前記半導体層(250)と電気的に接続されるように前記半導体層(250)の一端及び他端にソース電極(550)及びドレーン電極(650)が配置されることができる。
図19(b)を参照すると、本発明の別の実施例において、前記半導体層(260)下部に正孔輸送層(860)がさらに配置されることができる。具体的にこれは、前記基板(160)上にゲート電極(360)、ゲート絶縁膜(460)が順次配置されて、前記ゲート絶縁膜(460)上に前記半導体層(260)が配置される前に正孔輸送層(860)が先に配置されて、前記正孔輸送層(860)上に金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(260)が配置されることができる。以後、前記半導体層(260)上に前記半導体層(260)と電気的に接続されるように前記半導体層(260)の一端及び他端にソース電極(560)及びドレーン電極(660)が配置されることができる。
図19(c)を参照すると、本発明のさらに別の実施例において、前記半導体層(270)下部に電子輸送層(770)が配置されて、前記半導体層(270)上部に正孔輸送層(870)がさらに配置されることができる。具体的にこれは、前記基板(170)上にゲート電極(370)、ゲート絶縁膜(470)が順次配置されて、前記ゲート絶縁膜(470)上に電子輸送層(770)が先に配置されて、配置された前記電子輸送層(770)上に金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(270)が配置されることができる。以後、前記半導体層(270)上に正孔輸送層(870)が配置されて、前記正孔輸送層(870)の一端及び他端にソース電極(570)及びドレーン電極(670)が配置されることができる。
図19(d)を参照すると、本発明の別の実施例において、前記半導体層(280)下部に正孔輸送層(880)が配置されて、前記半導体層上部(280)に電子輸送層(780)がさらに配置されることができる。具体的にこれは、前記基板(180)上にゲート電極(380)、ゲート絶縁膜(480)が順次配置されて、前記ゲート絶縁膜(480)上に正孔輸送層(880)が先に配置されて、配置された前記正孔輸送層(880)上に金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(280)が配置されることができる。以後、前記半導体層(280)上に電子輸送層(780)が配置されて、前記電子輸送層(780)の一端及び他端にソース電極(580)及びドレーン電極(680)が配置されることができる。
実施例により、前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターが、上述したボタム-ゲート/トップ-コンタクト以外に、ボトム-ゲート/ボトム-コンタクト、トップ-ゲート/トップ-コンタクト、または、トップ-ゲート/ボトム-コンタクト構造を有する場合にも、上述した図19(a)乃至図19(d)のように、前記半導体層上部または下部に電子輸送層及び正孔輸送層の中で少なくともいずれか一つの層が配置されることができる。
前記金属ハライドペロブスカイトは、多結晶または単結晶構造を有することもできる。
図20(a)乃至図20(b)は、本発明の一実施例に係る多結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層が配置された発光トランジスターを示した模式図である。
図20(a)を参照すると、本発明の一実施例に係る多結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層をボトム-ゲート/ボトム-コンタクト構造で配置させることができる。具体的に、基板(101)上にゲート電極(301)及びゲート絶縁膜(401)を順次配置させて、前記ゲート絶縁膜(401)の一端及び他端にソース電極(501)及びドレーン電極(601)を配置させることができる。前記ソース電極(501)及びドレーン電極(601)と電気的に接続されるように前記ソース電極(501)及びドレーン電極(601)を覆う形態で前記多結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(201)が配置されることができる。
図20(b)を参照すると、本発明の別の実施例に係る多結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層をボトム-ゲート/トップ-コンタクト構造で配置させることができる。具体的に、基板(102)上にゲート電極(302)及びゲート絶縁膜(402)を順次配置させて、前記ゲート絶縁膜(402)上に前記多結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(202)が配置されることができる。以後、前記半導体層(202)と前記ソース電極(502)及びドレーン電極(602)と電気的に接続されるように前記半導体層(202)の一端及び他端にソース電極(502)及びドレーン電極(602)を配置させることができる。
図21(a)乃至図21(b)は、本発明の別の実施例に係る単結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層が配置された発光トランジスターを示した模式図である。
図21(a)を参照すると、本発明の別の実施例に係る単結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層をボトム-ゲート/ボトム-コンタクト構造で配置させることができる。具体的に、基板(103)上にゲート電極(302)及びゲート絶縁膜(403)を順次配置させて、前記ゲート絶縁膜(403)の一端及び他端にソース電極(503)及びドレーン電極(603)を配置させることができる。前記ソース電極(503)及びドレーン電極(603)と電気的に接続されるように前記ソース電極(503)及びドレーン電極(603)上に、図21(a)のような形態で前記単結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(203)が配置されることができる。
図21(b)を参照すると、本発明の別の実施例に係る単結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層をボトム-ゲート/トップ-コンタクト構造で配置させることができる。具体的に、基板(104)上にゲート電極(304)及びゲート絶縁膜(404)を順次配置させて、前記ゲート絶縁膜(404)上部中央に前記単結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層(204)が配置されることができる。以後、前記半導体層(204)と前記ソース電極(504)及びドレーン電極(604)と電気的に接続されるように前記半導体層(204)の一端及び他端領域の一部を接触する形態で前記ソース電極(504)及びドレーン電極(604)を配置させることができる。
前記の通り、単結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含む半導体層をボトム-ゲート/トップ-コンタクト構造で配置させる場合、チャネル長さ(channel length)は1um以下であり得る。
以下、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの製造方法について説明する。
前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの製造方法は、当業界で通常使われるトランジスターの製造方法において、基板または前記ゲート絶縁膜上に、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶が形成された有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をコーティングしてナノ結晶薄膜からなる半導体層を形成する段階を含む。
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶が形成された有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液は、プロトン性溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液及び非プロトン性溶媒にアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液を準備して、前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ粒子を形成するものであってもよい。
この時のプロトン性溶媒は、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)またはN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を含むことができるが、これに制限されない。
前記金属ハライドペロブスカイトは、多結晶または単結晶構造を有する物質であり得る。
一方、このような金属ハライドペロブスカイトは、AX及びBX2を一定割合で組み合わせて準備することができる。即ち、第1溶液はプロトン性溶媒にAX及びBX2を一定割合で溶かして形成されることができる。例えば、プロトン性溶媒にAX及びBX2を2:1割合で溶かしてA2BX3金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を準備することができる。
また、この時の非プロトン性溶媒は、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、スチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、シクロヘクセンまたはイソプロピルアルコールを含むことができるが、これに制限されない。
前記界面活性剤は、前述したアルキルハライド、アミンリガンド、カルボキシル酸またはホスホン酸を含むことができる。
その次に、前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ粒子を形成することができる。前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ粒子を形成するのは、前記第2溶液に前記第1溶液を一滴ずつ落として混ぜることもできる。また、この時の第2溶液は撹はんを行うことができる。例えば、強く撹はん中の界面活性剤が溶けている第2溶液に有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)が溶けている第2溶液をゆっくり一滴ずつ添加してナノ粒子を合成することができる。
この場合、第1溶液を第2溶液に落として混ぜると、溶解度差によって第2溶液で有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)が析出(precipitation)される。なお第2溶液で析出された有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)をアルキルハライド界面活性剤が表面を安定化しながらよく分散した有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(OIP-NC)を生成するようになる。従って、有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶及びこれを取り囲む複数個のアルキルハライド有機リガンドを含む有無機ハイブリッド金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を製造することができる。
一方、このような有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の大きさは、アルキルハライド界面活性剤の長さまたは形態因子(shape factor)及び量調節により制御することができる。例えば、形態因子調節は線形、テイパード(tapered)または逆三角形の界面活性剤(surfactant)を介して大きさを制御することができる。
即ち、本発明に係る金属ハライドペロブスカイトナノ粒子は、逆ナノ-エマルション(inverse nano-emulsion)法により製造することができる。
一方、この時のAXの合成例として、AがCH3NH3、XがBrの場合、CH3NH2(methylamine)とHBr(hydroiodic acid)を窒素雰囲気で溶かして溶媒蒸発によりCH3NH3Brを得ることができる。前記第2溶液に前記第1溶液を添加すると、溶解度差によって前記第2溶液で金属ハライドペロブスカイトが析出されて、このような析出された金属ハライドペロブスカイトをアルキルハライド界面活性剤が取り囲みながら表面を安定化しながらよく分散した金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を含む金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を生成することもできる。この時、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の表面は、アルキルハライドである有機リガンドによって取り囲まれる。
以後、アルキルハライド界面活性剤が溶けている非プロトン性溶媒に分散している、前記金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含んだプロトン性溶媒を熱を加えて選択的に蒸発させたり、プロトン性溶媒と非プロトン性溶媒とともに溶けることができる共溶媒(co-solvent)を添加してナノ粒子を含んだプロトン性溶媒を選択的に非プロトン性溶媒から抽出して金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を得ることができる。
本発明の別の実施例で、前記半導体層を形成する段階は、前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液に有機半導体を混合して有無機金属ハライドペロブスカイト-有機半導体溶液を製造する工程、及び前記基板または前記ゲート絶縁膜上に、前記有無機金属ハライドペロブスカイト-有機半導体溶液をスピンコーティングして半導体層を形成する工程を含むことができる。
具体的に、前記有無機金属ハライドペロブスカイト-有機半導体溶液をスピンコーティングして半導体層を形成する工程で、前記半導体層は、前記基板または前記ゲート絶縁膜上に有機;半導体層及び有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子が順次積層された形態で自己形成(self-organization)されるものであってもよい。
詳細には、まず前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液に有機半導体を混合して、有無機金属ハライドペロブスカイト-有機半導体溶液を製造することができる。前記有機半導体は、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、TAZ、TPQ1、TPQ2、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline))、BCP、BeBq2、BAlq、CBP(4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル)、9,10-ジ(ナフタリン-2-イル)アントラセン(ADN)、TCTA(4,4’,4’’-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミノ)、TPBI(1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(Nphenylbenzimidazole-2-yl)benzene))、TBADN(3-tert-ブチル-9,10-ジ(ナフト-2-イル)アントラセン)及びE3からなる群から選択された一つ以上であってもよいが、これに限定されない。
以後、前記有無機金属ハライドペロブスカイト-有機半導体溶液をスピンコーティングして半導体層を形成することができる。この時、スピンコーティング速度は、1000rpm乃至5000rpmであることが好ましく、スピンコーティング時間は15秒乃至150秒であり得る。スピンコーティング速度が1000rpm以下に低下したり、スピンコーティング時間が15秒以内と短くなると薄膜不均一になるか、溶媒が蒸発しきれないことがある。
そこで、本発明の半導体層は前記基板または前記ゲート絶縁膜上に有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を含む有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子をナノ結晶薄膜を形成することができる。
前記の通り、半導体層を形成する場合、従来の金属ハライドペロブスカイトナノ結晶層でナノ結晶が密接に位置したので発生しうるエキシトン-エキシトン消滅(exciton-exciton annihilation)を防止することができる。また、バイポーラ(bipoalr)特性を有する有機ホストやコ-ホスト(co-host)を使うことによって、電子-正孔再結合領域(recombination zone)を広げることができて、エキシトン-エキシトン消滅(exciton-exciton annihilation)を防止することができる。これにより、金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターが高い輝度で駆動する時発生するロール-オフ(roll-off)を減らすことができる。
本発明のさらに別の実施例で、前記半導体層を形成する段階は、半導体層蒸着用部材上に自己組み立て単分子膜を形成する工程、前記自己組み立て単分子膜上に前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をスピンコーティングして有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子層を形成する工程、及びスタンプを利用して前記基板または前記ゲート絶縁膜上に前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子層を形成する工程を含むことができる。
詳細には、まず、前記半導体層蒸着用部材上に自己組み立て単分子膜を形成することができる。この時、前記半導体層蒸着用部材としてはシリコン材質の部材を使うことができる。さらに詳細には、オクタデシルトリクロロシラン(octadecyltrichlorosilane、ODTS)溶液にシリコンネイティブウェハー(Si native wafer)をティッピング(dipping)したODTS treatedウェハーを使うことができる。
以後、前記自己組み立て単分子膜上に前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液をスピンコーティングして有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子層を形成することができる。その次に、スタンプを利用して前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノイプチャツンを第2半導体層蒸着用部材上に形成することができる。前記スタンプは、シリコンウェハーの上に、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)をキュアリングして製造することができる。
前記の通り半導体層を形成する場合、スタンピング過程を介して前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子層を形成するにつれ、従来ウエットプロセス(wet process)で問題になった基板敏感性(substrate sensitivity)、大面積アセンブリー(large-area assembly)及びレイヤーバイレイヤー(layer-by-layer)積層工程の困難を解決することができる。
前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターは、製造しようとするトランジスターの構造により、各々の前記基板、前記ゲート電極、前記ゲート絶縁膜、前記ソース電極及びドレーン電極を形成する段階を行う順序が変わってもよい。具体的に、本発明の実施例で具現される金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの構造は、ボトム-ゲート/トップ-コンタクト構造、ボトム-ゲート/ボトム-コンタクト構造、トップ-ゲート/トップ-コンタクト構造、または、トップ-ゲート/ボトム-コンタクト構造であり得る。
具体的に、前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの製造方法の一実施例において、前記半導体層を形成する段階以前に、基板上に前記ゲート電極、及び前記ゲート絶縁膜を順次形成する段階をさらに備え、前記半導体層を形成する段階以後に、前記半導体層の一端及び他端に前記半導体層と電気的に接続するソース電極及びドレーン電極を形成する段階をさらに含むことができる。具体的にこれは、図16(a)のように、ボトム(bottom)-ゲート(gate)/トップ(top)-コンタクト(contact)構造を有する金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの製造方法であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの製造方法の別の実施例において、前記半導体層を形成する段階以前に、基板上に前記ゲート電極、前記ゲート絶縁膜、及び前記半導体層の一端及び他端に前記半導体層と電気的に接続するソース電極及びドレーン電極を順次形成する段階をさらに含むことができる。具体的にこれは、図16(b)のように、ボトム(bottom)-ゲート(gate)/ボトム(bottom)-コンタクト(contact)構造を有する金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの製造方法であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの製造方法の別の実施例において、前記半導体層を形成する段階以前に、基板上に前記ゲート電極、前記ゲート絶縁膜、及び前記半導体層の一端及び他端に前記半導体層と電気的に接続するソース電極及びドレーン電極を順次形成する段階をさらに含むことができる。具体的にこれは、図16(b)のように、ボトム(bottom)-ゲート(gate)/ボトム(bottom)-コンタクト(contact)構造を有する金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの製造方法であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの製造方法の別の実施例において、前記半導体層を形成する段階以前に、基板上に前記半導体層の一端及び他端に前記半導体層と電気的に接続するソース電極及びドレーン電極を形成する段階をさらに備え、前記半導体層を形成する段階以後に、前記半導体層上に前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極を順次形成する段階をさらに含むことができる。具体的にこれは、図16(d)のように、トップ(top)-ゲート(gate)/ボトム(bottom)-コンタクト(contact)構造を有する有無機ハイブリッド金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターの製造方法であり得る。
上述したそれぞれの実施例で、前記ゲート電極、前記ゲート絶縁膜、前記ソース電極、及び前記ドレーン電極を形成することは、有機ナノワイヤーリソグラフィ(organic nanowire lithography)、ドロップキャスティンダ(drop casting)、スピンコーティング(Spin coating)、ディップコーティング(dip coating)、電子ビーム蒸着(e-beam evaporation)、熱蒸着(thermal evaporation)、プリンティング(printing)、ソフトリソグラフィ(Soft lithography)及びスパッタリング(Sputtering)中から選択される少なくともいずれか一つの方法を利用して行うことができる。
本発明の一実施例で、前記ゲート電極、前記ゲート絶縁膜、前記ソース電極、及び前記ドレーン電極を形成する段階は、前記有機ナノワイヤーリソグラフィ方法を利用して行うこともできる。具体的に、前記有機ナノワイヤーリソグラフィは、パターン形成用部材上に円形または楕円形の断面を有している有機ワイヤーまたは有無機ハイブリッドワイヤーマスクパターンを形成する段階、前記マスクパターン上にターゲット物質層を形成する段階、及び前記マスクパターンを除去して前記マスクパターンが形成されなかった領域の前記ターゲット物質層を残留させる工程を含むことができる。ここで、前記ターゲット物質層は形成しようとする対象であるゲート電極形成のための物質層であり得る。
図17(a)乃至図17(c)は、本発明の一実施例に係る有機ナノワイヤーリソグラフィ工程順序を示した模式図である。
まず、図17(a)のように、パターン形成用部材(101)上に円形または楕円形の断面を有している有機ワイヤーまたは有無機ハイブリッドワイヤーマスクパターン(111)を形成することができる。
以後、図17(b)を参照すると、前記マスクパターン(111)上にターゲット物質層(120)を形成することができる。前記ターゲット物質層は、図17(b)のように、前記マスクパターン(111)上部及び前記パターン形成用部材(101)上に形成されることができる。
その次に、前記マスクパターン(111)を除去すれば、図17(c)のように、前記マスクパターンが形成されなかった領域の前記ターゲット物質層(121)が残留することができる。このような方法を利用して、本発明の金属ハライドペロブスカイト発光トランジスターに含まれる、前記ゲート電極、前記ゲート絶縁膜、前記ソース電極、及び前記ドレーン電極を形成することができる。
前記円形または楕円形の断面を有している有機ワイヤーまたは有無機ハイブリッドワイヤーマスクパターンは、電場補助ロボティクノズルプリンティング、ダイレクトチップドローイング(Direct tip drawing)、メニスカスカイディッドダイレクトライティング(Meniscus-guided Direct Writing)、メルトスピニング(Melt spinning)、ウエットスピニング(Wet spinning)、ドライスピニング(Dry spinning)、ゲルスピニング(Gel spinning)、または、電気放射(Electrospinning)の中から選択される少なくともいずれか一つの方法を利用して行うこともできる。
具体的にこれは、韓国登録特許第10-1407209号公報に開示されたような、電場補助ロボティクノズルプリンタ装置を利用して行うこともできる。
図18は、電場補助ロボティクノズルプリンタに対する模式図である。
図18を参照すると、前記電場補助ロボティクノズルプリンティング装置(100)は、吐出用溶液を供給する溶液保存装置(10)、前記溶液保存装置(10)から供給された溶液を吐出するノズル(30)、前記ノズル(30)に高電圧を印加する電圧印加装置(40)、前記ノズル(30)で吐出されて形成された有機ワイヤーまたは有無機ハイブリッドワイヤーが整列する、扁平で移動可能なコレクタ(50)、前記コレクタ(50)の下に設置されて前記コレクタ(50)をx-y方向(水平方向)に動かすことができるロボットステージ(robot stage)(60)、z方向(垂直方向)に前記ノズル(30)と前記コレクタ(50)との間の距離を調節するマイクロ距離調節器、及び前記コレクタ(50)の平面図を維持して前記ロボットステージ(60)の作動中発生する振動を抑制するように前記ロボットステージ(60)の下に位置した石定盤(61)を含む電場補助ロボティクノズルプリンタ(100)を使うこともできる。
前記電場補助ロボティクノズルプリンタを利用して上述した有機ナノワイヤーリソグラフィを行うことができる。具体的にこれは、図17のように基板(101)上に有機ワイヤーまたは有無機ハイブリッドワイヤーマスクパターン(111)を形成することができる。
一方、実施例により、前記半導体層を形成する段階以前または以後に、前記半導体層上部または下部に電子輸送層、及び正孔輸送層の中で少なくとも一つ以上の層を形成する段階をさらに含むことができる。
具体的に、本発明の一実施例で、ボトム-ゲート/トップ-コンタクトの構造を有する金属ハライドペロブスカイトバルグァントランジスターの場合、図19(a)のように、前記半導体層下部に前記電子輸送層を形成する段階をさらに含むことができる。または、図19(b)のように、前記半導体層下部に正孔輸送層を形成する段階をさらに含むことができる。または、図19(c)のように、前記半導体層下部に電子輸送層を形成して、前記半導体層上部には正孔輸送層を形成する段階をさらに含むことができる。または、図19(d)のように、前記半導体層下部に正孔輸送層を形成して、前記半導体層上部には電子輸送層を形成する段階をさらに含むことができる。
詳細には、前記電子輸送層は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などのような公知の様々な方法の中から任意に選択された方法により形成されることができる。
前記電子輸送層物質としては公知の電子輸送材料を使うことができる。例えば、前記電子輸送層はキノリン誘導体、特にトリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(tris(8-hydroxyquinoline)aluminum:Alq3)、ビス(2-メチル8-キノリノラート)-4-(フェニルフェノラート)アルミニウム(Bis(2-methyl-8-quinolinolate)-4-(phenylphenolato)aluminium:Balq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)-beryllium:Bebq2)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:BCP)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:Bphen)、2,2,2(ベンゼン-1,3,5-トリイル)-トリス(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール)((2,2,2-(benzene-1,3,5-triyl)-tris(1-phenyl-1H-benzimidazole:TPBI)、3-(4-ビフェニル)-4-(フェニル-5-tert-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール(3-(4-biphenyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole:TAZ)、4-(ナフタリン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール(4-(naphthalen-1-yl)-3,5-diphenyl-4H-1,2,4-triazole:NTAZ)、2,9-ビス(ナフタリン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-bis(naphthalen-2-yl)-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:NBphen)、トリス(2,4,6-トリメチル-3-(ピリジン-3-イル)フェニル)ボラン(Tris(2,4,6-trimethyl-3-(pyridin-3-yl)phenyl)borane:3TPYMB)、フェニル-ジピレニルホスフィンオキシド(Phenyldipyrenylphosphine oxide:POPy2)、3,3’,5,5’-テトラ[(m-ピリジル)-フェン-3-イル]ビフェニル(3、3’、5、5’-tetra[(m-pyridyl)-phen-3-yl]biphenyl:BP4mPy)、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-フェン-3-イル]ベンゼン(1,3,5-tri[(3-pyridyl)-phen-3-yl]benzene:TmPyPB)、1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン(1、3-bis[3,5-di(pyridin-3-yl)phenyl]benzene:BmPyPhB)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(Bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)beryllium:Bepq2)、ジフェニルビス(4-(ピリジン-3-イル)フェニル)シラン(Diphenylbis(4-(pyridin-3-yl)phenyl)silane:DPPS)及び1,3,5-トリ(p-ピリド-3-イル-フェニル)ベンゼン(1,3,5-tri(p-pyrid-3-yl-phenyl)benzene:TpPyPB)、1,3-ビス[2-(2、2ビピリジン-6-イル)-1,3,4-オキサジアゾ-5-イル]ベンゼン(1、3-bis[2-(2、2’-bipyridine-6-yl)-1,3,4-oxadiazo-5-yl]benzene:Bpy-OXD)、6,6’-ビス[5-(ビフェニル-4-イル)-1,3,4-オキサジアゾ-2-イル]-2,2’-ビピリジル(6、6’-bis[5-(biphenyl-4-yl)-1,3,4-oxadiazo-2-yl]-2、2’-bipyridyl:BP-OXD-Bpy)等を含むことができるが、これに限定されない。
また、前記正孔輸送層は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などのような公知の様々な方法の中から任意に選択された方法により形成されることができる。この時、真空蒸着法を選択する場合、蒸着条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などにより異なるが、例えば、100℃乃至500℃の蒸着温度範囲、10-10乃至10-3torrの真空度範囲、0.01Å/sec乃至100Å/secの蒸着速度範囲内で選択することができる。一方、スピンコーティング法を選択する場合、コーティング条件は、目的化合物、目的するする層の構造及び熱的特性により異なるが、2000rpm乃至5000rpmのコーティング速度範囲、80℃乃至200℃の熱処理温度(コーティング後溶媒除去のための熱処理温度)範囲内で選択することができる。
前記正孔輸送層材料は、正孔注入よりも正孔をよりよく輸送できる材料の中から選択することができる。前記正孔輸送層は、公知の正孔輸送材料を利用して形成できるが、例えば、芳香族縮合環を有するアミン系統物質であってもよくトリフェニルアミン系統物質であり得る。
より具体的には、前記正孔輸送性物質は、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(1、3-bis(carbazol-9-yl)benzene:MCP)、1,3,5-トリス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(carbazol-9-yl)benzene:TCP)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミノ(4、4’、4’’-tris(carbazol-9-yl)triphenylamine:TCTA)、4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル(4、4’-bis(carbazol-9-yl)biphenyl:CBP)、N,N’-ビス(ナフタリン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン(N、N’-bis(naphthalen-1-yl)-N、N’-bis(phenyl)-benzidine:NPB)、N,N’-ビス(ナフタリン-2-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン(N、N’-bis(naphthalen-2-yl)-N、N’-bis(phenyl)-benzidine:β-NPB)、N,N’-ビス(ナフタリン-1-イル)-NN’-ビス(フェニル)-2,2’-ジメチルベンジジン(N、N’-bis(naphthalen-1-yl)-N、N’-bis(phenyl)-2,2’-dimethylbenzidine:αNPD)、ジ-[4-(N,N-ジトリル-アミノ)-フェニル]シクロヘキサン(Di-[4-(N、N-ditolyl-amino)-phenyl]cyclohexane:TAPC)、N,N,N’,N’-テトラ-ナフタリン-2-イル-ベンジジン(N、N、N’、N’-tetra-naphthalen-2-yl-benzidine:β-TNB)及びN4、N4、N4’、N4’-tetra(biphenyl-4-yl)biphenyl-4、4’-diamine(TPD15)、poly(9、9-dioctylfluorene-co-bis-N、N’-(4-butylphenyl)-bis-N、N’-phenyl-1、4-phenylenediamine)(PFB)、poly(9、9’-dioctylfluorene-co-N-(4-butylphenyl)diphenylamine)(TFB)、poly(9、9’-dioctylfluorene-co-bis-N、N’-(4-butylphenyl)-bis-N、N’-phenylbenzidine)(BFB)、poly(9、9-dioctylfluorene-co-bis-N、N’-(4-methoxyphenyl)-bis-N、-phenyl-1、4-phenylenediamine)(PFMO)等が挙げられるが、これに限定されない。
前記正孔輸送層の厚さは、5nm乃至100nm、例えば、10nm乃至60nmであり得る。前記正孔輸送層の厚さが上述したような範囲を満たす場合、駆動電圧の上昇なしに優秀な正孔輸送特性を得ることができる。
<パッシベーション層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子>
本発明のさらに別の実施例によると、前記発光素子は、前記金属ハライドペロブスカイト薄膜の欠陥を減少させて電荷不均衡を解消できるパッシベーション層を含むことができる。
様々な電子素子への応用が可能な、向上した特性を有する金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、非常に小さいサイズにエキシトンを閉じ込んで向上した発光効率を示す。また、非常に小さいグレーン(grain)サイズを有するバルク多結晶薄膜(bulk polycrystalline film)もエキシトン閉じ込めにより向上した発光効率を示すことができる。しかし、金属ハライドペロブスカイト発光層は、表面欠陥(defect)が依然として存在して、相対的に低い発光効率を示して、発光素子内で電荷不均衡(charge carrier imbalance)を誘発して低い発光効率を示す。これにより、前記発光素子にパッシベーション層を追加で含んで前記金属ハライドペロブスカイト薄膜の欠陥を減少させて電荷不均衡を解消することができる。
本発明に係るパッシベーション層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子は、発光層として金属ハライドペロブスカイト薄膜を含み、前記金属ハライドペロブスカイト薄膜上にパッシベーション層が形成されたことを特徴とする発光素子である。
図22は本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイト発光素子を示した模式図である。
図22を参照すると、本発明に係る金属ハライドペロブスカイト発光素子は、基板(10)、第1電極(20)、金属ハライドペロブスカイト薄膜(30)、パッシベーション層(40)及び第2電極(50)を含む。
この時、前記基板(10)、第1電極(20)、金属ハライドペロブスカイト薄膜(30)及び第2電極(50)の説明は前述したのと同様であるため、重複記載を避けるために、詳細な説明は省略する。
金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は、当分野で一般的に使う形態であり得る。金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は、0次元、1次元乃至2次元の形態であり得る。一例として、球状(Sphere)、楕円状(ellipsoid)、キューブ(cube)、中空キューブ(hollow cube)、ピラミッド状(pyramid)、円柱状(cylinder)、円錐状(cone)、楕円柱状(elliptic column)、中空球状(hollow sphere)、ヤヌス構造型(Janus particle)、多角柱型(prisim)、多重枝型(multipod)、多面体(polyhedron)、ナノチューブ(nano tube)、ナノワイヤー(nano wire)、ナノ繊維(nano fiber)またはナノ板状粒子(nanoplatelet)等の形態であり得る。
また、金属ハライドペロブスカイト結晶粒子の大きさは、1nm乃至10μm以下であり得る。例えば、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、7.5nm、8nm、8.5nm、9nm、9.5nm、10nm、10.5nm、11nm、11.5nm、12nm、12.5nm、13nm、13.5nm、14nm、14.5nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、5μmまたは10μmであり得る。粒子の大きさは、前記で選択された任意の2種類の数字のうち低い値を最小値、大きい値を最大値で一つの領域で定義することができる。好ましくは8nm以上300nm以下で、さらに好ましくは10nm以上30nm以下である。一方、この時の結晶粒子の大きさは、後述するリガンドの長さを考慮しなかった大きさ、即ち、このようなリガンドを除いた残り部分の大きさを意味する。結晶粒子の大きさが1μm以上である場合、大きい結晶中で熱的イオン化(thermal ionization)及び電荷運搬体の非偏在化(delocalization of charge carriers)によりエキシトンが発光に行けず自由電荷に分離して消滅する根本的な問題があり得る。また、さらに好ましくは、前述した通り前記結晶粒子の大きさはボーア径(Bohr diameter)以上であり得る。前記熱的イオン化及び電話運搬体の非偏在化現象は、ナノ結晶の大きさが100nmを超えると徐々に現れる。300nm以上である場合、その現象がもう少し現れて、1μm以上である場合は、完全にバルク領域であるため、前記現象の支配を受けることになる。
例えば、ナノ結晶粒子が球状である場合、ナノ結晶粒子の直径は1nm乃至10μmであり得る。好ましくは、1nm、3nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、5μmまたは10μmであり得る。
また、このようなナノ結晶粒子のバンドギャップエネルギーは1eV乃至5eVであり得る。好ましくは、前記ナノ結晶粒子のバンドギャップエネルギーは、1eV、1.1eV、1.2eV、1.3eV、1.4eV、1.5eV、1.6eV、1.7eV、1.8eV、1.81eV、1.82eV、1.83eV、1.84eV、1.85eV、1.86eV、1.87eV、1.88eV、1.89eV、1.9eV、1.91eV、1.92eV、1.93eV、1.94eV、1.95eV、1.96eV、1.97eV、1.98eV、1.99eV、2eV、2.01eV、2.02eV、2.03eV、2.04eV、2.05eV、2.06eV、2.07eV、2.08eV、2.09eV、2.1eV、2.11eV、2.12eV、2.13eV、2.14eV、2.15eV、2.16eV、2.17eV、2.18eV、2.19eV、2.2eV、2.21eV、2.22eV、2.23eV、2.24eV、2.25eV、2.26eV、2.27eV、2.28eV、2.29eV、2.3eV、2.31eV、2.32eV、2.33eV、2.34eV、2.35eV、2.36eV、2.37eV、2.38eV、2.39eV、2.4eV、2.41eV、2.42eV、2.43eV、2.44eV、2.45eV、2.46eV、2.47eV、2.48eV、2.49eV、2.5eV、2.51eV、2.52eV、2.53eV、2.54eV、2.55eV、2.56eV、2.57eV、2.58eV、2.59eV、2.6eV、2.61eV、2.62eV、2.63eV、2.64eV、2.65eV、2.66eV、2.67eV、2.68eV、2.69eV、2.7eV、2.71eV、2.72eV、2.73eV、2.74eV、2.75eV、2.76eV、2.77eV、2.78eV、2.79eV、2.8eV、2.9eV、3eV、3.1eV、3.2eV、3.3eV、3.4eV、3.5eV、3.6eV、3.7eV、3.8eV、3.9eV、4eV、4.1eV、4.2eV、4.3eV、4.4eV、4.5eV、4.6eV、4.7eV、4.8eV、4.9eV、5eVの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
従って、ナノ結晶粒子の構成物質または結晶構造によりエネルギーバンドギャップが決まるので、ナノ結晶粒子の構成物質を調節することによって、例えば200nm乃至1300nmの波長を有する光を放出することができる。また好ましくは、前記ナノ結晶粒子は、紫外線、青色、緑色、赤色、赤外線の光を放出することができる。
前記紫外線光は、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、410nm、420nm、430nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記青色光は、440nm、450nm、451nm、452nm、453nm、454nm、455nm、456nm、457nm、458nm、459nm、460nm、461nm、462nm、463nm、464nm、465nm、466nm、467nm、468nm、469nm、470nm、471nm、472nm、473nm、474nm、475nm、476nm、477nm、478nm、479nm、480nm、490nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記緑色光は、500nm、501nm、502nm、503nm、504nm、505nm、506nm、507nm、508nm、509nm、510nm、511nm、512nm、513nm、514nm、515nm、516nm、517nm、518nm、519nm、520nm、521nm、522nm、523nm、524nm、525nm、526nm、527nm、528nm、529nm、530nm、531nm、532nm、533nm、534nm、535nm、536nm、537nm、538nm、539nm、540nm、541nm、542nm、543nm、544nm、545nm、546nm、547nm、548nm、549nm、550nm、560nm、570nm、580nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記赤色光は、590nm、600nm、601nm、602nm、603nm、604nm、605nm、606nm、607nm、608nm、609nm、610nm、611nm、612nm、613nm、614nm、615nm、616nm、617nm、618nm、619nm、620nm、621nm、622nm、623nm、624nm、625nm、626nm、627nm、628nm、629nm、630nm、631nm、632nm、633nm、634nm、635nm、636nm、637nm、638nm、639nm、640nm、641nm、642nm、643nm、644nm、645nm、646nm、647nm、648nm、649nm、650nm、660nm、670nm、680nm、690nm、700nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記赤外線光は、700nm、710nm、720nm、730nm、740nm、750nm、760nm、770nm、780nm、790nm、800nm、810nm、820nm、830nm、840nm、850nm、860nm、870nm、880nm、890nm、900nm、910nm、920nm、930nm、940nm、950nm、960nm、970nm、980nm、990nm、1000nm、1010nm、1020nm、1030nm、1040nm、1050nm、1060nm、1070nm、1080nm、1090nm、1100nm、1110nm、1120nm、1130nm、1140nm、1150nm、1160nm、1170nm、1180nm、1190nm、1200nm、1210nm、1220nm、1230nm、1240nm、1250nm、1260nm、1270nm、1280、1290nm、1300nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
前記金属ハライドペロブスカイト薄膜(30)上にはパッシベーション層(40)が形成される。
前記金属ハライドペロブスカイト薄膜(30)は、表面欠陥(defect)が依然として存在して相対的に低い発光効率を示し、発光素子内で電荷不均衡(charge carrier imbalance)を誘発して低い発光効率を示す。これにより、金属ハライドペロブスカイト薄膜の欠陥をなくして発光素子内で電荷不均衡を解消することができる方法が求められる。
そこで、本発明は金属ハライドペロブスカイト薄膜を発光層で含む発光素子において、前記金属ハライドペロブスカイト薄膜上にパッシベーション層を形成することを特微とする。
本発明に係る金属ハライドペロブスカイト発光素子において、前記パッシベーション層は下記の化学式1乃至化学式4のうちの一つ以上の化合物を含むことができる。
(前記化学式1で、a1乃至a6はH、CH3またはCH2Xであり、この時、a1乃至a6のうちの3個以上はCH2Xで、Xはハロゲン元素である)
(前記化学式2で、b1乃至b5はハロゲン元素で、cは、
であり、この時、nは1乃至100の整数である)
(前記化学式3で、Xはハロゲン元素で、nは1乃至100の整数である)
前記化学式1乃至化学式4の化合物は、ハロゲンを含む有機化合物であって、金属ハライドペロブスカイト結晶内のハロゲンの欠乏を補うことによって発光層の欠陥(defect)を安定化させることができる。
好ましくは、前記パッシベーション層をなす化合物は(1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼン)、2,4,6-トリス(ブロモメチル)メシチレン(TBMM)、1,2,4,5-テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン、ヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン、ポリ(ペンタブロモフェニルメタクリレート)、ポリ(ペンタブロモベンジルメタクリレート)、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、ポリ(4-ブロモスチレン)及びポリ(4-ビニルピリジニウムトリブロミド)からなる群から選択され、さらに好ましくは2,4,6-トリス(ブロモメチル)メシチレン(TBMM)を使うことができる。
本発明の一実施例において、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光層上部に前記化学式1の化合物の中の一つであるTBMM薄膜をコーティングする前後の光発光特性を測定した結果、TBMM薄膜をコーティングした後に、光発光寿命(PL)が長くなって(図23参照)、金属ハライドペロブスカイト元素の結合エネルギーが高くなり(図24参照)、正孔と電子の電流密度が類似になることによって素子内の電荷不均衡が解消されて(図25参照)、最高電気容量が高くなり(図26参照)、発光効率及び最大輝度が向上したことを確認した(図27参照)。
従って、金属ハライドペロブスカイト薄膜上にパッシベーション層を形成すると、発光効率及び光発光と寿命などを向上させることができる。
前記パッシベーション層(40)の厚さは、1~100nmであることが好ましく、仮に、前記パッシベーション層の厚さが100nmを超えると、絶縁特性に起因して電荷注入が低下する問題がある。
前記パッシベーション層は、スピンコーティング、バーコーティング、スプレーコーティング、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、ブレイドコーティング、スクリーンプリンティング、ノズルプリンティング、インクジェットプリンティング、電気水力学的ジェットプリンティング、電気噴霧またはエレクトロスピニングを行って塗布することができる。
一方、本発明の一実施形態において、前記第1電極(20)を陽極として使用時、第2電極(50)は陰極として使って、前記第1電極(20)を陰極として使用時、第2電極(50)は陽極として使うことができる。
前記第1電極(20)または第2電極(50)は、物理的気相蒸着(PVD)、化学的気相蒸着(CVD)、スパッタリング、パルスレーザー蒸着(PLD)、蒸発法、電子ビーム蒸発法、原子層蒸着(ALD)及び分子線エピタキシー蒸着(MBE)等を利用して形成することができる。
一方、本発明の一実施形態に係る発光素子において、第1電極(20)が陽極で、第2電極(50)が陰極である場合には、図22に示すように、前記第1電極(20)と前記金属ハライドペロブスカイト薄膜(発光層)(30)との間には正孔の注入を容易にするための正孔注入層(23)及び正孔の輸送のための正孔輸送層を備えることができる。また、パッシベーション層(40)と前記第2電極(50)との間に電子の輸送のための電子輸送層(43)と電子の注入を容易にするための電子注入層を備えることができる。
これに加えて、金属ハライドペロブスカイト薄膜(発光層)(30)と電子輸送層(43)との間に正孔ブロッキング層(図示せず)が配置されることができる。また、金属ハライドペロブスカイト薄膜(発光層)(30)と正孔輸送層との間に電子ブロッキング層(図示せず)が配置されることができる。しかし、これに限定されず電子輸送層(43)が正孔ブロッキング層の役割を行うことができて、または、正孔輸送層が電子ブロッキング層の役割を行うこともできる。
正孔注入層(23)及び/または正孔輸送層は、第1電極(陽極)(20)の仕事関数準位と金属ハライドペロブスカイト薄膜(発光層)(30)のHOMO準位の間のHOMO準位を有する層で、第1電極(陽極)(20)から金属ハライドペロブスカイト薄膜(発光層)(30)への正孔の注入または輸送効率を上げる機能をする。
正孔注入層(23)または正孔輸送層は、正孔輸送物質として通常使われる材料を含むことができ、一つの層が互いに異なる正孔輸送物質層を備えることができる。正孔輸送物質は、たとえば、mCP(N、Ndicarbazolyl-3,5-benzene);PEDOT:PSS(poly(3,4-ethylenedioxythiophene):polystyrenesulfonate);NPD(N、N’-di(1-naphthyl)-N、N’-diphenylbenzidine);N、N’-ジフェニル-N、N’-ジ(3-メチルフェニル)-4、4’-ジアミノビフェニル(TPD);DNTPD(N4、N4’-Bis[4-[bis(3-methylphenyl)amino]phenyl]-N4、N4’-diphenyl-[1、1’-biphenyl]-4、4’-diamine);N、N’-ジフェニル-N、N’-ジナフチル-4、4’-ジアミノビフェニル;N、N、N’、N’-テトラ-p-トリル-4、4’-ジアミノビフェニル;N、N、N’、N’-テトラフェニル-4、4’-ジアミノビフェニル;コッパー(II)1,10,15,20-テトラフェニル-21H、23H-ポルフィリンなどのようなポルフィリン(porphyrin)化合物誘導体;TAPC(1、1-Bis[4-[N、N’-Di(p-tolyl)Amino]Phenyl]Cyclohexane);N、N,N-トリ(-トリル)アミン、4,4’,4’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミンのようなトリアリールアミノ誘導体;N-フェニルカルバゾール及びポリビニールカルバゾールのようなカルバゾール誘導体;無金属フタロシアニン、銅フタロシアニンのようなフタロシアニン誘導体;スターバーストアミン誘導体;エンアミンスチルベン系誘導体;芳香族三級アミンとスチリルアミン化合物の誘導体;及びポリシランなどであり得る。このような正孔輸送物質は、電子ブロッキング層の役割を行うこともできる。
正孔ブロッキング層は、三重項エキシトンまたは正孔が第2電極(陰極)(50)方向に拡散されるのを防止する役割をするもので、公知の正孔阻止材料の中から任意に選択することができる。例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、TSPO1(ジフェニルホスフィンオキシド-4-(トリフェニルシリル)フェニル)等を使うことができる。
電子注入層及び/または電子輸送層(43)は、第2電極(陰極)(50)の仕事関数準位と金属ハライドペロブスカイト薄膜(発光層)(30)のLUMO準位との間のLUMO準位を有する層で、第2電極(陰極)(50)から金属ハライドペロブスカイト薄膜(発光層)(30)への電子の注入または輸送効率を上げる機能をする。
電子注入層は、たとえば、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaO、BaF2、またはLiq(リチウムキノラート)であり得る。
電子輸送層(43)は、TSPO1(diphenylphosphine oxide-4-(triphenylsilyl)phenyl)、TPBi(1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン)、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、2,5-ジアリールシロル誘導体(PyPySPyPy)、パーフルオロリネイテッド化合物(PF-6P)、COTs(Octasubstituted cyclooctatetraene)、TAZ(下記の化学式参照)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline))、BCP(下記の化学式参照)、またはBAlq(下記の化学式参照)であり得る。
また、本発明は、パッシベーション層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子の製造方法を提供する。
本発明に係る金属ハライドペロブスカイト発光素子の製造方法は、基板上に第1電極を形成する段階;前記第1電極上に金属ハライドペロブスカイト薄膜を形成する段階;前記金属ハライドペロブスカイト薄膜上に前記化学式1乃至化学式4のうちの一つ以上の化合物を含むパッシベーション層を形成する段階;及び前記パッシベーション層上に第2電極を形成する段階を含む。
以下、本発明の一実施例に係るパッシベーション層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子の製造方法を図22の構造を参照して説明する。
まず、基板(10)を準備する。
次に、前記基板(10)上に第1電極(20)を形成することができる。このような第1電極は、蒸着法またはスパッタリング法を利用して形成することができる。
次に、前記第1電極(20)上に金属ハライドペロブスカイト薄膜(30)を形成することができる。前記金属ハライドペロブスカイトは、ABX3、A2BX4、A3BX5、A4BX6、ABX4またはAn-1PbnX3n+1(nは2乃至6の間の整数)の構造を有して、前記Aは有機アンモニウムイオン、有機アミジニウム(amidinium)イオン、有機ホスホニウムイオン、アルカリ金属イオンまたはこれらの誘導体を含み、前記Bは、遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、有機物、無機物、アンモニウム、これらの誘導体またはこれらの組み合わせを含み、前記Xはハロゲンイオンまたは互いに異なるハロゲンイオンの組み合わせを含むことができる。
前記金属ハライドペロブスカイト薄膜(30)は、バルク多結晶薄膜またはナノ結晶粒子からなる薄膜であってもよく、前記ナノ結晶粒子はコア-シェル構造またはグラディエント組成を有する構造を有することができる。
このような金属ハライドペロブスカイト薄膜(30)は、バーコーティング(Bar-coating)、スプレーコーティング(Spray coating)、スロットダイコーティング(Slot-die coating)、グラビアコーティング(gravure coating)、ブレイドコーティング(blade-coating)、スクリーンプリンティング(Screen printing)、ノズルプリンティング(nozzle printing)、インクジェットプリンティング(inkjet printing)、電気水力学的ジェットプリンティング(electrohydrodynamic-jet printing)、電気噴霧(electrospray)、エレクトロスピニング(electrospinning)を利用して形成することができる。
次に、前記金属ハライドペロブスカイト薄膜(30)上にパッシベーション層(40)を形成することができる。前記パッシベーション層は、前記化学式1乃至化学式4のうちの一つ以上の化合物を含むことが好ましく、具体的に前記パッシベーション層をなす化合物は、(1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼン)、2,4,6-トリス(ブロモメチル)メシチレン(TBMM)、1,2,4,5-テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン、ヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン、ポリ(ペンタブロモフェニルメタクリレート)、ポリ(ペンタブロモベンジルメタクリレート)、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、ポリ(4-ブロモスチレン)及びポリ(4-ビニルピリジニウムトリブロミド)からなる群から選択することができる。
前記パッシベーション層(40)の厚さは、1~100nmであることが好ましく、仮に、前記パッシベーション層の厚さが100nmを超えると絶縁特性に起因して電荷注入が低下する問題がある。
前記パッシベーション層(40)は、スピンコーティング、バーコーティング、スプレーコーティング、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、ブレイドコーティング、スクリーンプリンティング、ノズルプリンティング、インクジェットプリンティング、電気水力学的ジェットプリンティング、電気噴霧またはエレクトロスピニングを利用して形成することができる。
前記パッシベーション層(40)上には第2電極(50)を形成することができる。このような2電極(50)は、蒸着法またはスパッタリング法を利用して形成することができる。
また、本発明の一実施例において、前記金属ハライドペロブスカイト発光素子の製造方法は、基板上に第1電極を形成する段階;前記第1電極上に正孔注入層を形成する段階;前記正孔注入層上に発光層として金属ハライドペロブスカイト薄膜を形成する段階;前記金属ハライドペロブスカイト薄膜上に前記化学式1乃至化学式4のうちの一つ以上の化合物を含むパッシベーション層を形成する段階;前記パッシベーション層上に電子輸送層を形成する段階;及び前記電子輸送層上に第2電極を形成する段階を含むことができる。
このような正孔注入層または電子輸送層は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、熱蒸着法またはスプレー蒸着法を行って形成することができる。
このように製造された金属ハライドペロブスカイト発光素子は、化学式1乃至化学式4のうちの一つ以上の化合物から構成されたパッシベーション層が金属ハライドペロブスカイト薄膜の上部に形成されて、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の欠陥を除去して素子内での電荷不均衡を解消することによって、金属ハライドペロブスカイト薄膜を含む発光素子の最大効率及び最大輝度を向上させる。
<エキシトンバッファー層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子>
本発明の一実施例によると、前記金属ハライドペロブスカイト発光素子は、エキシトンバッファー層を含むことができる。
図28(a)乃至図28(d)は、本発明の一実施例に係るエキシトンバッファー層を含む発光素子の製造方法を示した模式図である。図28(a)乃至図28(d)では、金属ハライドペロブスカイトとして説明しているが、無機ハライド金属ハライドペロブスカイトも金属ハライドペロブスカイト説明と同様に適用されることができる。
図28(a)を参照すると、まず基板(10)上に第1電極(20)を形成する。
前記基板及び第1電極についての説明は前述したのと同様であるため、省略する。
図28(b)を参照すると、前述された第1電極(20)上に伝導性物質及び前記伝導性物質より低い表面エネルギーを有するフッ素系物質を含むエキシトンバッファー層(30)を形成する。
この時、前述されたエキシトンバッファー層(30)は、図28(b)のように前述された伝導性物質を含む導電層(31)及び前述されたフッ素系物質を含む表面バッファー層(32)が順次積層された形態であり得る。
前述された伝導性物質は、伝導性高分子、金属性炭素ナノチューブ、グラフェン、還元された酸化グラフェン、金属ナノワイヤー、半導体ナノワイヤー、金属グリッド、金属ナノドット及び伝導性酸化物からなる群から選択される少なくとも一つを含むことができる。
前述された伝導性高分子は、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロル、ポリスチレン、スルホン化されたポリスチレン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、セルフ-ドーピング伝導性高分子、これらの誘導体またはこれらの組み合わせを含むことができる。前述された誘導体は、各種スルホン酸などをさらに含む可能性があることを意味する。
例えば、前述された伝導性高分子は、Pani:DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid:ポリアニリン/トデシルベンゼンスルホン酸、下記の化学式参照)、PEDOT:PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate):ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)、下記の化学式参照)、Pani:CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid:ポリアニリン/カンファースルホン酸)及びPANI:PSS(Polyaniline)/Poly(4-styrenesulfonate):ポリアニリン)/ポリ(4-スチレンスルホネート))からなる群から選択される少なくとも一つを含むことができるが、これに限定されない。
前記RはHまたはC1-C10アルキル基であり得る。
前記セルフ-ドーピング伝導性高分子は、重合度10乃至10,000,000を有することができて、下記の化学式5で表される繰り返し単位を有することができる:
前記化学式5で、0<m<10,000,000、0<n<10,000,000、0≦a≦20、0≦b≦20であり;
R1、R2、R3、R’1、R’2、R’3及びR’4中少なくとも一つはイオン基を含み、A、B、A’、B’は、それぞれ独立して、C、Si、Ge、Sn、またはPbから選択されて;
R1、R2、R3、R’1、R’2、R’3及びR’4は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトロ基、置換または非置換されたアミノ基、シアノ基、置換または非置換されたC1-C30アルキル基、置換または非置換されたC1-C30アルコキシ基、置換または非置換されたC6-C30アリール基、置換または非置換されたC6-C30のアリールアルキル基、置換または非置換されたC6-C30のアリールオキシ基、置換または非置換されたC2-C30のへテロアリール基、置換または非置換されたC2-C30のへテロアリールアルキル基、置換または非置換されたC2-C30のへテロアリールオキシ基、置換または非置換されたC5-C30のシクロアルキル基、置換または非置換されたC5-C30のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換されたC1-C30アルキルエステル基、及び置換またはC6-C30の非置換されたアリールエステル基からなる群から選択されて、前記化学式中の炭素に、選択的に水素またはハロゲン元素が結合して;
R4は、共役系伝導性高分子鎖からなり;
X及びX’は、それぞれ独立して単純結合、O、S、置換または非置換されたC1-C30アルキレン基、置換または非置換されたC1-C30ヘテロアルキレン基、置換または非置換されたC6-C30アリーレン基、置換または非置換されたC6-C30のアリールアルキレン基、置換または非置換されたC2-C30のへテロアリーレン基、置換または非置換されたC2-C30のヘテロアリールアルキレン基、置換または非置換されたC5-C20のシクロアルキレン基、及び置換または非置換されたC5-C30のヘテロシクロアルキレン基アリールエステル基からなる群から選択されて、前記化学式中の炭素に、選択的に水素またはハロゲン元素が結合することができる。
例えば、前記イオン基が、PO3、SO3、COO、I、CH3COOからなる群から選択されたアニオン基及びNa、K、Li、Mg、Zn、Alの中から選択された金属イオン、H、NH4、CH3(-CH2-)n(nは1乃至50の自然数)の中から選択された有機イオンからなる群から選択されて、前記アニオン基と対をなすカチオン基を含むことができる。
例えば、前記化学式100のセルフ-ドーピング伝導性高分子で、R1、R2、R3、R’1、R’2、R’3及びR’4の中でそれぞれ少なくとも一つ以上は、フッ素やフッ素で置換された基であってもよいが、これに限定されない。
前記伝導性高分子の具体例は下記の通りであるが、これに限定されない。
本明細書の非置換されたアルキル基の具体的な例としては、直鎖状または分岐状としてメチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシルなどが挙げられて、前述されたアルキル基に含まれている一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、置換または非置換されたアミノ基(-NH2、-NH(R)、-N(R’)(R’’)、R’とR’’は互いに独立して炭素数1乃至10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン、または、ヒドラゾン基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、C1-C20のアルキル基、C1-C20のハロゲン化されたアルキル基、C1-C20のアルケニル基、C1-C20のアルキニル基、C1-C20のへテロアルキル基、C6-C20のアリール基、C6-C20のアリールアルキル基、C6-C20のへテロアリール基、または、C6-C20へテロアリールアルキル基で置換されることができる。
本明細書のへテロアルキル基は、前述されたアルキル基の主鎖中の炭素原子中の一つ以上、好ましくは1乃至5個の炭素原子が酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子などのようなヘテロ原子で置換されたものを意味する。
本明細書のアリール基は一つ以上の芳香族環を含むカーボサイクル芳香族システムを意味し、前述された環はペンダント方法で一緒に付着されるか又は融合(fused)される。アリール基の具体的な例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどのような芳香族グループが挙げられて、前述されたアリール基のうちの一つ以上の水素原子は、前述されたアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本明細書のへテロアリール基は、N、O、PまたはSの中から選択された1、2または3個のへテロ原子を含み、残りの環原子がCである環原子数5乃至30の環芳香族システムを意味して、前述された環はペンダント方法で一緒に付着されるが又は融合(fused)される。なお前述されたヘテロアリール基のうちの一つ以上の水素原子は、前述されたアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本明細書のアルコキシ基は、ラジカル-O-アルキルをいい、この時、アルキルは、上で定義されたのと同様である。具体的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso-アミルオキシ、ヘクシルオキシなどが挙げられて、前述のアルコキシ基の中の一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本発明で使われる置換基であるヘテロアルコキシ基は、1個以上のへテロ原子、例えば酸素、硫黄または窒素が、アルキル鎖内に存在できることを除けば、本質的に前述されたアルコキシの意味を有して、例えばCH3CH2OCH2CH2O-、C4H9OCH2CH2OCH2CH2O-及びCH3O(CH2CH2O)nHなどである。
本明細書のアリールアルキル基は、前述された定義されたようなアリール基で水素原子中一部が低級アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルなどのようなラジカルで置換されたものを意味する。例えばベンジル、フェニルエチルなどがある。前述されたアリールアルキル基の中の一つ以上の水素原子は前述されたアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本明細書のへテロアリールアルキル基は、へテロアリール基の水素原子一部が低級アルキル基で置換されたものを意味して、ヘテロアリールアルキル基中へテロアリールに対する定義は上述したのと同様である。前述されたヘテロアリールアルキル基中一つ以上の水素原子は、前述されたアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本明細書のアリールオキシ基は、ラジカル-O-アリールをいい、この時アリールは上で定義されたのと同様である。具体的な例として、フェノキシ、ナフトキシ、アントラセニルオキシ、フェナントレニルオキシ、プルオレニルオキシ、インデニルオキシなどがあり、アリールオキシ基のうちの一つ以上の水素原子は、前述されたアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本明細書のへテロアリールオキシ基は、ラジカル-O-へテロアリールをいい、この時、へテロアリールは上で定義されたのと同様である。
本明細書のへテロアリールオキシ基の具体的な例として、ベンジルオキシ、フェニルエチルオキシ基などがあり、へテロアリールオキシ基中一つ以上の水素原子は、前述されたアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本明細書のシクロアルキル基は、炭素原子数5乃至30の1価モノサイクリックシステムを意味する。前述されたサイクルでアルキル基中少なくとも一つ以上の水素原子は、前述されたアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本明細書のヘテロシクロアルキル基は、N、O、PまたはSの中から選択された1、2または3個のへテロ原子を含み、残りの環原子がCである環原子数5乃至30の1価モノサイクリックシステムを意味する。前述されたサイクルでアルキル基の中の一つ以上の水素原子は、前述されたアルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
本明細書のアルキルエステル基は、アルキル基とエステル基が結合されている官能基を意味して、この時、アルキル基は前述された定義と同様である。
本明細書のへテロアルキルエステル基は、へテロアルキル基とエステル基が結合されている官能基を意味して、前述されたヘテロアルキル基は、前述された定義と同様である。
本明細書のアリールエステル基は、アリール基とエステル基が結合されている官能基を意味して、この時、アリール基は前述された定義と同様である。
本明細書のへテロアリールエステル基は、へテロアリール基とエステル基が結合されている官能基を意味して、この時ヘテロアリール基は先述の定義と同様である。
本発明で使われるアミノ基は、-NH2、-NH(R)または-N(R’)(R’’)を意味して、R’とR’’は互いに独立して炭素数1乃至10のアルキル基である。
本明細書のハロゲンは、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、または、アスタチンであり、これらの中でフッ素が特に好ましい。
前述された金属性炭素ナノチューブは、精製された金属性炭素ナノチューブそのものの物質であるか炭素ナノチューブの内壁及び/または外壁に金属粒子(たとえば、Ag、Au、Cu、Pt粒子など)が付着している炭素ナノチューブであり得る。
前述されたグラフェンは、約0.34nmの厚さを有するグラフェン単一層、2乃至10個のグラフェン単一層が積層された構造を有する数層グラフェン(a few layer graphene)または前述された数層グラフェンよりは多数のグラフェン単一層が積層された構造を有するグラフェン多重層構造を有することができる。
前述された金属ナノワイヤー及び半導体ナノワイヤーは、たとえば、Ag、Au、Cu、Pt NiSix(NickelSilicide)ナノワイヤー及びこれらの中の2以上の複合体(composite、例えば、合金またはコア-シェル(core-shell)構造体など)ナノワイヤーの中から選択されるが、これに限定されない。
または、前述された半導体ナノワイヤーは、Si、Ge、BまたはNでドープされたSiナノワイヤー、BまたはNでドープされたGeナノワイヤー及びこれらの中の2以上の複合体(たとえば、合金またはコア-シェル構造体など)中から選択されるが、これに限定されない。
前述された金属ナノワイヤー及び半導体ナノワイヤーの直径は、5nm乃至100nm以下であってもよく、長さは500nm内自分の100μmであってもよいが、これは前述された金属ナノワイヤー及び半導体ナノワイヤーの製造方法により、多様に選択されることができる。
前述された金属グリッドは、Ag、Au、Cu、Al、Pt及びこれらの合金を利用して互いに交差する網状の金属線を形成したもので、線間幅100nm乃至100μmの線間幅を有するようにできるが、長さは制限されない。前述された金属グリッドは、第1電極上に突出するように形成できたり、第1電極の中に挿入して陥没型で形成することができる。
前述された金属ナノドットは、Ag、Au、Cu、Pt及びこれらの中から2以上の複合体(たとえば、合金またはコア-シェル構造体など)ナノドットの中から選択されるが、これに限定されない。
前述された金属ナノワイヤー、半導体ナノワイヤー及び金属ナノドット表面には、-S(Z100)及び-Si(Z101)(Z102)(Z103)と表示される少なくとも一つのモイエティ(ここで、前述されたZ100、Z101、Z102、及びZ103は互いに独立して、水素、ハロゲン原子、置換または非置換されたC1-C20アルキル基または置換または非置換されたC1-C20アルコキシ基である)が結合されている。前述された-S(Z100)及び-Si(Z101)(Z102)(Z103)と表示される少なくとも一つのモイエティは自己-組み立て(Self-assembled)モイエティであって、前述されたモイエティを介して金属ナノワイヤー、半導体ナノワイヤー及び金属ナノドットなど同士の結合または金属ナノワイヤー、半導体ナノワイヤー及び金属ナノドットと第1電極(210)との結合力などが強化できて、それにより、電気的特性及び機械的強度がより向上する効果がある。
前述された伝導性酸化物は、ITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、SnO2及びInO2のうちの一つであり得る。
前述された第1電極(20)上に前述された導電層(31)を形成する段階は、スピンコーティング法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット(LB、Langmuir-Blodgett法)、インクジェットプリンティング法(ink-jet printing)、ノズルプリンティング法(nozzle printing)、スロットダイコーティング法(Slot-die coating)、ドクターブレイドコーティング法(doctor blade coating)、スクリーンプリンティング法(Screen printing)、ディップコーティング法(dip coating)、グラビアプリンティング法(gravure printing)、リバースオフセツトプリンティング法(reverse-offset printing)、物理的転写法(physical transfer method)、スプレーコーティング法(Spray coating)、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition)、または、熱蒸着(thermal evaporationmethod)工程を使うことができる。
また、前述された伝導性物質を溶媒に混合して混合溶液を製造した後、前述された第1電極(10)上に塗布した後、熱処理して前述された溶媒を除去することによって形成することができる。この時、前述された溶媒は、極性溶媒であってもよいが、例えば、水、アルコール(メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノールなど)、ギ酸(formic acid)、ニトロメタン(nitromethane)、酢酸(acetaic acid)、エチレングリコール(ethylene glycol)、グリセロール(glycerol)、ノーマルメチルピロリドン(NMP、n-Methyl-2-Pyrrolidone)、N-ジメチルアセトアミド(N.N-dimethylacetamide)、ジメチルホルムアミド(DMF、dimethylformamide)、ジメチルスルホキシド(DMSO、dimethyl sulfoxide)、テトラヒドロフラン(THF、tetrahydrofuran)、エチルアセテート(EtAc、ethyl acetate)、アセトン(acetone)、及びアセトニトリル(MeCN、acetonitrile)からなる群から選択される少なくとも一つを含むことができる。
前述された導電層(31)が金属性炭素ナノチューブを含む場合、前述された第1電極(20)上に金属性炭素ナノチューブを成長させたり、溶媒に分散した炭素ナノチューブを溶液に基づいたプリンティング法(例:スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、リバースオフセツトコーティング法、スクリーンプリンティング法、スロット-ダイコーティング法)により形成することができる。
前述された導電層(31)が金属性グリッドを含む場合、前述された第1電極(20)上に金属を真空蒸着下で金属膜を形成した後、フォトリソグラフィで様々な網状にパターニングするか金属前駆体あるいは金属粒子を溶媒に分散させてプリンティング法(例:スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、リバースオフセツトコーティング法、スクリーンプリンティング法、スロット-ダイコーティング法)により形成することができる。
前述された導電層(31)は、前述されたエキシトンバッファー層(30)で伝導度を向上させる役割を主にしながら付加的に散乱、反射、吸収を調節して光学的抽出を向上させたり、柔軟性を付与して機械的強度を向上させる役割をする。
前述された表面バッファー層(32)はフッ素系物質を含む。この時、前述されたフッ素系物質は前述された伝導性物質より低い表面エネルギーを有するフッ素系物質であることが好ましく、30mN/m以下の表面エネルギーを有することができる。
また、前述されたフッ素系物質は、前述された伝導性高分子の疏水性より大きい疏水性を有することができる。
この時、前述された表面バッファー層(32)で前述された導電層(31)と近い第1面(32a)の前述されたフッ素系物質の濃度より前述された第1面(32a)と反対になる第2面(32b)の前述されたフッ素系物質の濃度がさらに低いこともある。
そこで、前述された表面バッファー層(32)第2面(32b)の仕事関数は5.0eV以上であり得る。一例で、前述された表面バッファー層(32)中第2面(32b)で測定された仕事関数は、5.0eV乃至6.5eVであってもよいが、これに限定されない。
前述されたフッ素系物質は、少なくとも一つのFを含む過フッ化イオノマーまたはフッ化イオノマーであってもよい。特に、前述されたフッ素系物質がフッ化イオノマーの場合、バッファー層の厚さを厚く形成できて、導電層(31)及び表面バッファー層(32)の相分離を防いでより均一なエキシトンバッファー層(30)形成を可能にする。
前述されたフッ素系物質は、下記の化学式6乃至17の構造を有するイオノマーからなる群から選択される少なくとも一つのイオノマーを含むことができる。
前述された式中、mは1乃至10,000,000の数で、x及びyはそれぞれ独立して0乃至10の数で、MはNa+、K+、Li+、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)を示す。
前述された式中、mは1乃至10,000,000の数である;
前述された式中、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyはそれぞれ独立して0乃至20の数で、MはNa+、K+、Li+、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)を示す。
前述された式中、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyはそれぞれ独立して0乃至20の数で、Na+、K+、Li+、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)を示す。
前述された式中、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyはそれぞれ独立して0乃至20の数で、MはNa+、K+、Li+、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)を示す。
前述された式中、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyはそれぞれ独立して0乃至20の数で、MはNa+、K+、Li+、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)を示す。
前述された式中、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyはそれぞれ独立して0乃至20の数で、MはNa+、K+、Li+、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)を示す。
前述された式中、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000である。
前述された式中、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyはそれぞれ独立して0乃至20の数で、MはNa+、K+、Li+、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)を示す。
前述された式中、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyはそれぞれ独立して0乃至20の数で、MはNa+、K+、Li+、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)を示す。
前述された式中、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyはそれぞれ独立して0乃至20の数で、MはNa+、K+、Li+、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)を示す。
前述された式中、m及びnは0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000であり、x及びyはそれぞれ独立して0乃至20の数で、MはNa+、K+、Li+、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)を示す。
また、前述されたフッ素系物質は、下記の化学式18乃至22の構造を有するイオノマーまたはフッ化低分子からなる群から選択される少なくとも一つのイオノマーまたはフッ化低分子を含むことができる。
R11乃至R14、R21乃至R28、R31乃至R38、R41乃至R48、R51乃至R58及びR61乃至R68は、互いに独立して、水素、-F、C1-C20アルキル基、C1-C20アルコキシ基、少なくとも一つの-Fで置換されたC1-C20アルキル基、少なくとも一つの-Fで置換されたC1-C20アルコキシ基、Q1、-O-(CF2CF(CF3)-O)n-(CF2)m-Q2(ここで、n及びmは互いに独立して、0乃至20の整数であるが、n+mは1以上)及び-(OCF2CF2)x-Q3(ここで、Xは1乃至20の整数)の中から選択されて、
前述されたQ1乃至Q3はイオン基で、前述されたイオン基は、アニオン基及びカチオン基を含み、前述されたアニオン基は、PO3
2-、SO3-、COO-、I-、CH3COO-の中から選択されて前述されたカチオンは、金属イオン及び有機イオンのうち1種以上を含み、前述された金属イオンは、Na+、K+、Li+、Mg2+、Zn2+及びAl3+の中から選択されて、前述された有機イオンは、H+、CH3(CH2)nNH3
+(nは0乃至50の整数)、NH4
+、NH2
+、NHSO2CF3
+、CHO+、C2H5OH+、CH3OH+、RCHO+(RはCH3(CH2)n
-;nは0乃至50の整数)の中から選択されて、
R11乃至R14の少なくとも一つ、R21乃至R28の少なくとも一つ、R31乃至R38の少なくとも一つ、R41乃至R48の少なくとも一つ、R51乃至R58の少なくとも一つ及びR61乃至R68の少なくとも一つは、-F、少なくとも一つの-Fで置換されたC1-C20アルキル基、少なくとも一つの-Fで置換されたC1-C20アルコキシ基、-O-(CF2CF(CF3)-O)n-(CF2)m-Q2及び-(OCF2CF2)x-Q3で選択される。
(前記化学式24中、
Xは末端基で;
Mf
nは、パ-フルオロポリエーテルアルコール、ポリイソシアネート及びイソシアネート反応性-非フッ素化モノマーの縮合反応から収得したフッ化モノマーから由来した単位を示し;
Mh
mは、非フッ素化モノマーから由来した単位を示し;
Ma
rは、-Si(Y4)(Y5)(Y6)で表示されるシリル基を有する単位を示し;
前述されたY4、Y5及びY6は、互いに独立して、置換または非置換されたC1-C20アルキル基、置換または非置換されたC6-C30アリール基または加水分解性置換基を示し、前述されたY4、Y5及びY6の少なくとも一つは、前述された加水分解性置換基で;
Gは鎖伝達剤(chain transfer agent)の残基を含んだ1価有機グループで;
nは1乃至100の数で;
mは0乃至100の数で;
rは0乃至100の数で;
n+m+rは少なくとも2である)。
前述された表面バッファー層(32)の厚さは、1nm乃至500nmであり得る。例えば、前述された表面バッファー層の厚さは1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nm、101nm、102nm、103nm、104nm、105nm、106nm、107nm、108nm、109nm、110nm、111nm、112nm、113nm、114nm、115nm、116nm、117nm118nm、119nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、165nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、195nm、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、450nm、500nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、前述された表面バッファー層の厚さは、10nm乃至200nmであり得る。前述された表面バッファー層(32)の厚さが、上述したような範囲を満たす場合、優秀な仕事関数特性、透過度及びフレキシブル特性を提供することができる。
前述された表面バッファー層(32)は、前述された導電層(31)上に前述されたフッ素系物質及び溶媒を含む混合溶液を製造した後、これを熱処理して形成することができる。
このように形成されたエキシトンバッファー層(30)は、1nm乃至500nmの厚さを有することができる.1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nm、101nm、102nm、103nm、104nm、105nm、106nm、107nm、108nm、109nm、110nm、111nm、112nm、113nm、114nm、115nm、116nm、117nm、118nm、119nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、165nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、195nm、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、450nm、500nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、前述された表面バッファー層の厚さは、10nm乃至100nmであり得る。前述されたエキシトンバッファー層の厚さが上述したような範囲を満たす場合、優秀な仕事関数特性、透過度及びフレキシブル特性を提供することができる。
前述された導電層(31)が形成されることで、伝導度を向上させて、同時に前述された表面バッファー層(32)が形成されことで、表面エネルギーを低くすることができる。これにより発光特性を最大化することができる。
前述された表面バッファー層(32)は、炭素ナノチューブ、グラフェン、還元された酸化グラフェン、金属ナノワイヤー、金属カーボンナノドット、反導体量子ドット(Semiconductor quantum dot)、半導体ナノワイヤー及び金属ナノドットからなる群から選択される、少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。前述された添加剤をさらに含むと、前述されたエキシトンバッファー層(30)の伝導性向上を最大化することができる。
また、前述された表面バッファー層(32)は、ビスフェニルアジド系(Bis(phenyl azide))物質を含む架橋剤をさらに含むことができる。前述された表面バッファー層(32)が前述された架橋剤をさらに含む場合、時間及び素子駆動に応じた組成分離を防止することができる。そこで、前述されたエキシトンバッファー層(30)の抵抗及び仕事関数を低くして、発光素子の安定性及び再現性を向上させることができる。
前述されたビスフェニルアジド系(Bis(phenyl azide))物質は、下記の化学式25のビスフェニルアジド系(Bis(phenyl azide))物質であり得る。
前述された導電層(31)上に前述された表面バッファー層(32)を形成する段階は、スピンコーティング法、キャスト法、リャンミュオ-プルロジェッ(LB、Langmuir-Blodgett法)、インクジェットプリンティング法(ink-jet printing)、ノズルプリンティング法(nozzle printing)、スロットダイコーティング法(Slot-die coating)、ドクターブレイドコーティング法(doctor blade coating)、スクリーンプリンティング法(Screen printing)、ディップコーティング法(dip coating)、グラビアプリンティング法(gravure printing)、リバースオフセツトプリンティング法(reverse-offset printing)、物理的転写法(physical transfer method)、スプレーコーティング法(Spray coating)、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition)、または、熱蒸着(thermal evaporationmethod)の工程を使うことができる。
ただし、前述されたエキシトンバッファー層(30)を形成する段階は、前述された通り前述された導電層(31)及び表面バッファー層(32)を順次蒸着することもできるが、前述された伝導性物質及び前述されたフッ素系物質を溶媒に混合して混合溶液を製造した後、前述された混合溶液を前述された第1電極上に塗布して熱処理する工程を介して形成することができる。
この場合、前述された混合溶液を熱処理することで、前述された第1電極(20)上に導電層(31)及び表面バッファー層(32)が順次自己組み立てられて形成される。これにより、工程を簡素化できる長所がある。
前述されたフッ素系物質は、極性溶媒に対して、90%以上の溶解度、例えば、95%以上の溶解度を有する物質であり得る。前述された極性溶媒の例としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノールなど)、エチレングリコール、グリセロール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトンなどが挙げられるが、これに限定されない。
前述されたエキシトンバッファー層(30)は、架橋剤をさらに含むことができる。
前述されたエキシトンバッファー層(30)に架橋剤を添加することによって時間及び素子駆動により構成物質の相分離が起きるのを防止することができる。また、前述された表面バッファー層(32)形成時、溶媒使用などによりエキシトンバッファー層(30)の効率が低下することを防ぐことができる。そこで、素子安定性及び再現性を向上させることができる。
前述された架橋剤は、アミン基(-NH2)、チオール基(-SH)、及びカルボキシル基(-COO-)からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を含むことができる。
また、前述された架橋剤は、ビスフェニルアジド系(Bis(phenyl azide))物質、ジアミノアルカン(diaminoalkane)系統物質、ジチオール基(dithiol)系統物質、ジカルボキシレート(dicarboxylate)、エチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol di(meth)acrylate)誘導体、メチレンビズアミド(methylenebisacrylamide)誘導体、及びジビニルベンゼン(divinylbenzene:DVB)からなる群から選択される少なくとも一つを含むことができる。
前述されたエキシトンバッファー層(30)上に正孔輸送層(図示せず)を形成することができる。前述された正孔輸送層は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などのような公知の様々な方法の中から任意に選択された方法により形成されることができる。この時、真空蒸着法を選択する場合、蒸着条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などにより異なるが、例えば、100乃至500の蒸着温度範囲、10-10乃至10-3torrの真空度範囲、100Å/secの蒸着速度範囲内で選択することができる。一方、スピンコーティング法を選択する場合、コーティング条件は、目的和化合物、目的とする層の構造及び熱的特性により異なるが、2000rpm乃至5000rpmのコーティング速度範囲、80乃至200℃の熱処理温度(コーティング後溶媒除去のための熱処理温度)範囲内で選択することができる。
前述されたエキシトンバッファー層(30)の表面バッファー層(32)の第1面(32a)の仕事関数値であるY1は、4.6乃至5.2、例えば、4.7乃至4.9の範囲であり得る。なお、前述されたエキシトンバッファー層(30)の表面バッファー層(32)の第2面(32b)の仕事関数値であるY2は、前述された表面バッファー層(32)に含まれたフッ素系物質の仕事関数と同じか小さいこともある。例えば、前述されたY2は5.0乃至6.5、例えば、5.3乃至6.2の範囲であってもよいが、これに限定されない。
図29は、本発明の一実施例に係るエキシトンバッファー層(30)の効果を示した模式図である。
図29を参照すると、本発明の一実施例に係るエキシトンバッファー層(30)は、正孔注入効率を向上させて、電子ブロッキング(electron blocking)役割を行って、エキシトンのクエンチングを抑制するということが分かる。
<酸度調節された伝導性高分子を含む金属ハライドペロブスカイト発光ダイオード>
本発明の一実施例によると、前記金属ハライドペロブスカイト発光素子は、フッ素系物質及び塩基性物質を含む伝導性高分子組成物を含むことができる。
また好ましくは、前記伝導性高分子組成物は、フッ素系物質及び塩基性物質を利用して仕事関数5.8eV以上でありpH4.0~10.0で中和されたものであってもよい。
また好ましくは、前記伝導性高分子組成物は、塩基性物質添加によって薄膜の表面粗さが2nm以下に減少したものであってもよい。
また好ましくは、前記伝導性高分子は、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロル、ポリスチレン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアセチレン、ポリペニルレン、ポリフェニルビニレン、ポリカルバゾール、これらの中2以上の互いに異なる繰り返し単位を含む共重合体、これらの誘導体またはこれらの中2以上のブレンドを含むことができる。
また好ましくは、前記フッ素系物質は、下記の化学式26で表示されるイオノマーであってもよい。
(前記化学式26で、
0<m≦10,000,000、0≦n<10,000,000、0≦a≦20、0≦b≦20であり;
A、B、A’及びB’はそれぞれ独立して、C、Si、Ge、Sn、及びPbからなる群から選択されて;
R1、R2、R3、R4、R1’、R2’、R3’及びR4’は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトロ基、置換または非置換されたアミノ基、シアノ基、置換または非置換されたC1-C30アルキル基、置換または非置換されたC1-C30へテロアルキル基、置換または非置換されたC1-C30アルコキシ基、置換または非置換されたC1-C30へテロアルコキシ基、置換または非置換されたC6-C30アリール基、置換または非置換されたC6-C30のアリールアルキル基、置換または非置換されたC6-C30のアリールオキシ基、置換または非置換されたC2-C30のへテロアリール基、置換または非置換されたC2-C30のへテロアリールアルキル基、置換または非置換されたC2-C30のへテロアリールオキシ基、置換または非置換されたC5-C20のシクロアルキル基、置換または非置換されたC2-30のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換されたC1-C30アルキルエステル基、置換または非置換されたC1-C30へテロアルキルエステル基、置換または非置換されたC6-C30のアリールエステル基及び、置換または非置換されたC2-C30のへテロアリールエステル基からなる群から選択されて、ただ、R1、R2、R3、及びR4の中で少なくとも一つ以上は、イオン基であるか、イオン基を含み;
X及びX’は、それぞれ独立して単純結合、O、S、置換または非置換されたC1-C30アルキレン基、置換または非置換されたC1-C30ヘテロアルキレン基、置換または非置換されたC6-C30アリーレン基、置換または非置換されたC6-C30のアリールアルキレン基、置換または非置換されたC2-C30のへテロアリーレン基、置換または非置換されたC2-C30のヘテロアリールアルキレン基、置換または非置換されたC5-C20のシクロアルキレン基、置換または非置換されたC5-C30のヘテロシクロアルキレン基、置換または非置換されたC6-C30のアリールエステル基及び、置換または非置換されたC2-C30のへテロアリールエステル基からなる群から選択されて、
ただし、nが0の場合、R1、R2、R3、及びR4の中で少なくとも一つ以上は、ハロゲン元素を含む疏水性官能基であるか、疏水性官能基を含む)。
前記塩基性物質は、pKaが4~6のアミン化合物、ピリジン化合物であってもよく、具体的に前記アミン化合物は、ナフチルアミン(2-Naphtylamine)、アリルアニリン(n-Allylaniline)、アミノビフェニル(4-Aminobiphenyl)、トルイジン(o-Toluidine)、アニリン(Aniline)、キノリン(Quinoline)、ジメチルアニリン(N、N、-Diethyl aniline)、ピリジン(Pyridine)からなる群から選択される1種以上であり得る。
図30は、伝導性高分子正孔注入層であるPEDOT:PSS:PFIに塩基性添加剤を添加した時、酸度及び仕事関数の影響を示すグラフである。
図30に示すように、PEDOT:PSS:PFIにアニリン(aniline)を添加した時、酸度(acidity)が減少(pH増加)すると共に、他の塩基性添加剤に比べて仕事関数に対する影響が少ないことが分かる。
図31は、本発明の一実施例に係る伝導性高分子正孔注入層において、PEDOT:PSS:PFIにアニリン(aniline)をITO電極上に成膜した時、バインディングエネルギー(binding energy)に応じた強度の変化を示すグラフである。
図31に示すように、PEDOT:PSS:PFI:アニリンをITOの上に成膜した時、表面で検出されるIn+、Sn+イオンの量がPEDOT:PSSより顕著に減るのを確認した。
図32は、本発明の一実施例に係る伝導性高分子正孔注入層において、PEDOT:PSS:PFIにアニリンをITO電極上に成膜した時、正孔注入層と金属ハライドペロブスカイト発光層との間の界面でのイオン強度を示すグラフである。
図32に示すように、PEDOT:PSS:PFI:アニリンをITOの上に成膜した時、表面で検出されるIn+、Sn+イオンの量が減少して、拡散が遅れることを確認した。
図33は、本発明の一実施例に係る伝導性高分子正孔注入層において、PEDOT:PSSにアニリンを添加した時、アニリン添加量に応じた、成膜された薄膜の表面粗さを示す。
図34は、本発明の一実施例に係る伝導性高分子正孔注入層において、PEDOT:PSS:PFIにアニリンを添加した時、アニリン添加量に応じた、成膜された薄膜の表面粗さを示す。
図33及び図34に示すように、PEDOT:PSSまたはPEDOT:PSS:PFIにアニリンを添加した時、薄膜の表面粗さが減少することを確認した。
図35は、本発明の一実施例に係る多結晶金属ハライドペロブスカイト層/PEDOT:PSS:PFI:アニリン/ITO電極で金属ハライドペロブスカイトの発光強度及び発光寿命を示すグラフである。
図36は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトナノパーティクル層/PEDOT:PSS:PFI:アニリン/ITO電極で金属ハライドペロブスカイトの発光強度及び発光寿命を示すグラフである。
図35及び図36に示すように、PEDOT:PSS:PFI:アニリンの上で多結晶金属ハライドペロブスカイト薄膜と金属ハライドペロブスカイトナノパーティクル薄膜の光発光(PL)が増加して、発光寿命も増加することを確認した。
図37は、本発明の一実施例に係るPEDOT:PSS:PFI:アニリン正孔注入層を使った多結晶金属ハライドペロブスカイト素子及び金属ハライドペロブスカイトナノパーティクル素子の素子効率を示すグラフである。
図37に示すように、PEDOT:PSS:PFI:アニリンを正孔注入層で使った多結晶金属ハライドペロブスカイト素子と金属ハライドペロブスカイトナノパーティクル素子の効率がPEDOT:PSSを正孔注入層で使った素子より増加したことが分かった。
従って、本発明に係るPEDOT:PSS:PFI:アニリン正孔注入層は、酸度が減少して下部電極及び上部金属ハライドペロブスカイト薄膜の安定性を向上させることができ、金属ハライドペロブスカイト発光素子の効率及び安定性を向上させることができる。
<グラフェンバリアーを含む発光素子>
本発明のさらに別の実施例によると、前記発光素子が酸に解離する電極が使われる場合、グラフェンバリア層を追加で含むことができる。
発光素子の酸化物透明電極材料として主に使用されるインジウム-スズ酸化物(Indium-tin oxide、ITO)を含んだ電極材料は、酸によって解離する特性を有する。前記インジウム-スズ酸化物電極上部には、一般的にPEDOT:PSS伝導性高分子を正孔注入層で主に使う。しかし、PEDOT:PSSは高い酸度(~pH2)を有して、酸に脆弱なITOを溶解させて、溶解して出るインジウム及びスズイオンが上層部の発光層に拡散すると励起子解離(exciton quenching)が発生して発光ダイオードの効率を減少させるようになる。特に、発光ダイオードの発光層が、金属ハライドペロブスカイトである場合、長い励起子拡散距離(exciton diffusion length)によって、金属ハライドペロブスカイト発光ダイオードの効率が大きく減少する。このような発光特性が低下する特性を計算するために、光電素子はグラフェンバリア層を含むことができる。
また好ましくは、前記グラフェンバリアーを含む光電素子は、互いに対向する第1電極及び第2電極;前記第1電極と第2電極との間に形成される発光層;及び前記第1電極と発光層との間に形成されるPEDOT:PSS正孔輸送層を含み、前記第1電極は、酸に解離する電極で、前記第1電極とPEDOT:PSS正孔輸送層との間にはグラフェンバリア層が形成された発光ダイオードであり得る。
前記第1電極(20)は正孔が注入される電極(陽極)であって、伝導性のある性質の素材で構成される。前記第1電極(20)を構成する素材は、伝導性金属酸化物、金属、金属合金、または炭素材料であり得る。伝導性金属酸化物は、インジウムスズオキシド(indium tin oxide:ITO)、フルオリンスズオキシド(fluorine tin oxide:FTO)、アンチモンスズオキシド(antimony tin oxide,ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、SnO2、ZnO、または、これらの組み合わせであり得る。陽極として適した金属または金属合金は、AuとCuIであり得る。炭素材料は、黒鉛、グラフェン、または炭素ナノチューブであり得る。
前記第1電極上にはグラフェンバリア層が位置する。
前記グラフェンバリア層(12)は、炭素原子が六角形の格子形態で2次元平面をなしている炭素同素体である。前記グラフェンは、優秀な電気的、光学的特性を示すだけでなく、非常に緻密な炭素格子構造を持って袋材料として大いに注目を集めている。
グラフェンは、酸(acid)でイオンの移動を防止させて、酸(acid)に脆弱なITOなどの電極のバリア層として酸解離を防止させることができる。
この時、前記グラフェンバリア層の厚さは、0.1nm乃至100nmであってもよいが、これに制限されない。
また、酸に解離する電極上に積層される前記グラフェンバリア層は、単一層か2層以上の複数層からなる。
以下、本発明に酸に解離する電極の上に積層されたグラフェンバリア層を含む光電素子の製造方法を提供する。
前記光電素子の製造方法は、酸に解離する電極上にグラフェンバリア層を形成する段階を含むことを特徴とし、例えば、前記光電素子がPEDOT:PSS正孔輸送層を含む発光ダイオードである場合には、酸に解離する第1電極上にグラフェンバリア層を形成する段階;前記グラフェンバリア層上にPEDOT:PSS正孔輸送層を形成する段階;前記PEDOT:PSS正孔輸送層上に発光層を形成する段階;及び前記発光層上に第2電極を形成する段階を含むことができるが、これに制限されず、光電素子の種類によって、酸に解離する電極上にグラフェンバリア層を形成する段階以後には当業界に知られた方法を使うことができる。
そこで、本発明では、酸に解離する電極上にグラフェンバリア層を形成する段階を中心に説明する。
前記酸に解離する電極上にグラフェンバリア層を形成する段階は、触媒金属層上にグラフェン層を形成する段階;前記グラフェン層上に高分子層を形成する段階;触媒金属層を除去して高分子層/グラフェン層薄膜を形成する段階及び酸に解離する電極上に前記高分子層/グラフェン層薄膜を転写して、高分子層を除去する段階を含む。
以下、段階別に詳細に説明する。
まず、触媒金属層上にグラフェン層を形成する。
この時、前記触媒金属層は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、金(Au)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Rh)、シリコン(Si)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ウラニウム、バナジウム(V)及びジルコニウム(Zr)からなる群から選択されるいずれか一つまたは2種以上の組み合わせを含む。
前記触媒金属層は、基板上に100nm乃至50μmの厚さで真空蒸着できる。
前記触媒金属層上にグラフェン層を形成する段階は、化学気相蒸着法を利用して不活性の雰囲気または真空の雰囲気下で前記触媒金属層上に炭素前駆体を200℃以上及び2000℃以下の温度範囲で1秒乃至5日の反応時間の間蒸着することによって行うことができる。
前記炭素前駆体は、気体または固体形態を有する炭素を含んだ炭化水素であり得る。
次に、前記グラフェン層上に高分子層を形成する。
前記高分子層に使われる高分子は、当業界で通常使う高分子を使うことができ、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等を使うことができるが、これに制限されない。
前記高分子層は、溶媒に溶かした高分子溶液を前記グラフェン層上にコーティングさせることによって形成することができる。前記高分子層の形成で高分子層/グラフェン層/触媒金属層薄膜が形成される。
次に、触媒金属層を除去して高分子層/グラフェン層薄膜を形成する。
前記触媒金属層の除去は、前記高分子層/グラフェン層/触媒金属層薄膜を金属式各溶液に浸漬させることによって行うことができる。
次に、酸に解離する電極上に前記高分子層/グラフェン層薄膜を転写して、高分子層を除去して酸に解離する電極上にグラフェンバリア層を形成する。
具体的に、前記金属式各溶液で形成された高分子層/グラフェン層薄膜は酸に解離する電極基板ですくい出して高分子層/グラフェン層/電極を形成させた後、アセトンなどの高分子層除去溶液内に浸漬して高分子層を除去することで酸に解離する電極上にグラフェンバリア層を形成させることができる。
この時、グラフェンバリア層の厚さは0.1nm乃至100nmであり得る。
前記グラフェンバリア層は単一層で形成することができ、前記グラフェンバリア層形成段階を繰り返すことによって、2層以上の複数層を形成することができる。
この時、前記グラフェンバリア層は、10層以内であることが好ましく、仮に、10層を超える場合には、グラフェンバリア層の絶縁体的な特性に起因して発光ダイオードの駆動電圧が上昇して発光ダイオードの効率が減少するようになる。
このように製造された光電素子は、化学的に安定したグラフェンバリア層が酸に脆弱な電極を保護することによって、酸性の環境でも電極の安定性及び耐久性が向上する。
また、酸性を有するPEDOT:PSS基盤正孔注入層を含む光電素子において、化学的に安定したグラフェンバリア層が酸に脆弱な電極を保護することによって、前記PEDOT:PSS基盤正孔注入層による前記電極の励起子解離特性が防止されて、高効率の光電素子を製作することができる。
<高効率金属ハライドペロブスカイト発光素子製作のための有機物補助ナノ結晶固定化工程>
前述された金属ハライドペロブスカイトが、多結晶バルク(bulk)金属ハライドペロブスカイトである場合、前記発光層に多結晶バルク(bulk)金属ハライドペロブスカイトを形成する時、発光層の溶媒が除去される以前に低分子有機物が有機溶媒に少量溶けている有機溶液を追加で塗布をする2段階工程を使って発光層を形成することができる。
図38は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイト発光層がコーティングされる途中、発光層の溶媒が蒸発する以前に低分子有機物溶液を落としてコーティングする方法、即ち、有機物補助ナノ結晶固定化工程を示した模式図である。
図38を参照して、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイト発光層をコーティングする間、低分子有機物溶液を落とす方式(有機物補助ナノ結晶固定化工程)でコーティングされた金属ハライドペロブスカイト発光層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子製造方法を説明する。
本明細書で、前記‘有機物補助ナノ結晶固定化工程’とは、金属ハライドペロブスカイト溶液を基板上に塗布し始めた後、溶媒が完全に蒸発される以前、即ち、結晶化によって薄膜の色が変化する以前に、好ましくは金属ハライドペロブスカイトコーティング開始後1秒乃至200秒の間に低分子有機物溶液滴を落とすかDrop-on-demand形態のジェットプリンティングを介して塗布する工程を意味して、これは塗布中の金属ハライドナノ結晶の大きさを小さく制御する効果を発揮する。
前記金属ハライドペロブスカイト発光層に本発明の核心的な特徴である低分子有機物溶液をコーティング中の発光層が乾く前に落とす方式でコーティングして金属ハライドペロブスカイト発光層(600)を形成することができる。
まず、金属ハライドペロブスカイト溶液(300)と低分子有機物溶液(400)を準備することができる。その次に、前記金属ハライドペロブスカイト溶液(300)を基板上に塗布してコーティングすることができる。この時、前記コーティング方法として、スピンコーティング(Spin-coating)、ディップコーティング(Dip coating)、せん断コーティング(Shear coating)、バーコーティング(Bar coating)、スロットダイコーティング(Slot-die coating)、インクジェットプリンティング(Inkjet printing)、ノズルプリンティング(Nozzle printing)、電気水力学的ジェットプリンティング(Electrohydrodynamic jet printing)またはスプレーコーティング(Spary coating)を使うことができる。
その次に、前記コーティングが行われる途中、前記低分子有機物溶液を少量滴に落としたり(dripping)、プリンタ機器を介して液体滴を噴射させて(jettingあるいはspraying)塗布した後、前記金属ハライドペロブスカイト結晶の大きさ調節して薄膜を形成することができる。この時、前記低分子有機物が、全体的に分布した金属ハライド金属ハライドペロブスカイトフィルムが形成されて結晶化されると前記低分子有機物が、粒界及び表面に位置する金属ハライド金属ハライドペロブスカイト発光層(600)が形成されることができる[図39(c)参照]。
前記低分子有機物溶液(400)は、前記金属ハライドペロブスカイト溶液を基板上に塗布してコーティングし始めた後溶媒が完全に蒸発される以前(即ち、結晶化によって薄膜の色が変化する以前)に行われることが好ましい。例えば、前記低分子有機物溶液(400)を金属ハライドペロブスカイトコーティング開始後1秒乃至200秒に落とすことができ、好ましくは、
前記低分子有機物溶液(400)を落とす時間を金属ハライドペロブスカイトコーティング開始後1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、11秒、12秒、13秒、14秒、15秒、16秒、17秒、18秒、19秒、20秒、21秒、22秒、23秒、24秒、25秒、26秒、27秒、28秒、29秒、30秒、31秒、32秒、33秒、34秒、35秒、36秒、37秒、38秒、39秒、40秒、41秒、42秒、43秒、44秒、45秒、46秒、47秒、48秒、49秒、50秒、51秒、52秒、53秒、54秒、55秒、56秒、57秒、58秒、59秒、60秒、61秒、62秒、63秒、64秒、65秒、66秒、67秒、68秒、69秒、70秒、71秒、72秒、73秒、74秒、75秒、76秒、77秒、78秒、79秒、80秒、85秒、90秒、95秒、100秒、110秒、120秒、130秒、140秒、150秒、160秒、170秒、180秒、190秒、200秒の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むようにすることができる。
前記金属ハライドペロブスカイトは前述したのと同様であるため、詳細な説明は省略する。
例えば、前記金属ハライドペロブスカイト溶液(300)は、AXとBX2を混合して極性有機溶媒に溶かして準備することができる。この時、前記極性有機溶媒は、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)またはジメチルホルムアミド(dimethyl formamide)であり得る。例えば、CH3NH3BrとPbBr2を1.05:1の割合で混合して、ジメチルスルホキシド(DMSO)に40wt%で溶かして前記金属ハライドペロブスカイト溶液(300)、CH3NH3PbBr3を製造することができる。
前記低分子有機物は、前記金属ハライドペロブスカイト発光層(600)の金属ハライドペロブスカイト物質がp-type特性を有する時、n-typeの低分子有機物を使うことができるが、これに限定されない。
前記低分子有機物は、電子伝達役割をすることができるn-typeの有機物であり得る。例えば、p-typeのCH3NH3PbBr3の金属ハライドペロブスカイト発光層(600)にn-typeの低分子有機物を添加することができる。前記低分子有機物はpyridine系列、-CN、-FまたはOxadizoleを含むことができる。例えば、前記低分子有機物は、TPBI(1,3,5-tris(2-N-phenylbenzimidazolyl)benzene)、TmPyPB(1,3,5-Tri(m-pyrid-3-yl-phenyl)benzene)、BmPyPB(1、3-bis(3,5-dipyrid-3-yl-phenyl)benzene)、BCP(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1、10-phenanthroline)、PBD(2-(4-biphenylyl)-5-phenyl-1,3,4-oxadiazole)、Alq3(Tris-(8-hydroxyquinoline)aluminum)、BAlq(aluminum(III)bis(2-methyl-8-quinolinato)-4-phenylphenolate)、Bebq2(bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato) beryllium)、またはOXD-7(Bis[2-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazo-5-yl]benzene)であり得る。
前記低分子有機物は分子量が10乃至1000であってもよい。
前記低分子有機物は、前述された電子伝達層(図示せず)と同じ物質であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイト発光層(600)にコーティングされた‘低分子有機物’は本発明の核心的な特徴であり、前記金属ハライドペロブスカイト結晶構造の粒界に位置して結晶間の相互作用を減らして結晶粒が大きく成長できないようにする。また、n-typeの低分子有機物が、金属ハライドペロブスカイト結晶粒界に位置して、p-typeの金属ハライドペロブスカイト発光層(600)が真性(intrinsic)特性を有するようにして、電気的性質を向上させて電子と正孔の均衡がとれるようにサポートする。従って、本発明に係る低分子有機物が金属ハライドペロブスカイト発光層(600)内部の粒界に添加されることによって、金属ハライドペロブスカイトの結晶粒の大きさを減少させて、金属ハライドペロブスカイト欠陥を安定化(passivation)して、非極性電気的特性による電子-正孔の不均衡を解消させて、金属ハライドペロブスカイト発光ダイオードの応用限界を克服できる効果を発揮する。
前記低分子有機物は、前記金属ハライドペロブスカイト発光層(600)の金属ハライドペロブスカイト物質がn-type特性を有する時、p-typeの低分子有機物を使うことができるが、これに限定されない。前記p-typeの低分子有機物は、TAPC(di-[4-(N、N-ditolyl-amino)-phenyl]cyclohexane)またはTCTA(4,4’,4’’-tri(N-carbazolyl)triphenylamine)であるが、これに制限されない。
前記低分子有機物溶液(400)は、非極性有機溶媒に低分子有機物を溶解させて製造することができる。前記非極性有機溶媒は、クロロホルム(chloroform)、クロロベンゼン(chlorobenzene)、トルエン(toluene)、ジクロロエタン(dichloroethane)、ジクロロメタン(dichloromethane)、エチルアセテート(ethyl acetate)またはキシレン(xylene)であるが、これに制限されない。
前記低分子有機物溶液(400)の濃度は、0.001wt%乃至5wt%であり得る。例えば、前記低分子有機物溶液(400)の濃度は、0.001wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、1.6wt%、1.7wt%、1.8wt%、1.9wt%、2wt%、2.05wt%、2.1wt%、2.15wt%、2.2wt%、2.25wt%、2.3wt%、2.35wt%、2.4wt%、2.45wt%、2.5wt%、2.55wt%、2.6wt%、2.65wt%、2.7wt%、2.75wt%2.8wt%、2.85wt%、2.9wt%、2.95wt%、3wt%、3.1wt%、3.2wt%、3.3wt%、3.4wt%、3.5wt%、3.6wt%、3.7wt%、3.8wt%、3.9wt%、4wt%、4.1wt%、4.2wt%、4.3wt%、4.4wt%、4.5wt%、4.6wt%、4.7wt%、4.8wt%、4.9wt%、5wt%の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
前記低分子有機物溶液の濃度が、前記範囲から外れて0.001wt%未満であると、低分子有機物質によるタラップパッシベーション、電子-正孔均衡による効果を発揮できないことがある。前記濃度が5wt%以上であると、金属ハライドペロブスカイト結晶粒界に入ることができなかった低分子有機物が表面に厚く積もって(>20nm)素子効率を低下させる。好ましくは、表面にある低分子有機物質の厚さが10nm以下であると、素子の効率が良くなる。
前記金属ハライドペロブスカイト発光層(600)の厚さは、10nm乃至900nmであり得る。
図38を参照すると、金属ハライドペロブスカイト溶液をコーティングする途中、低分子有機物溶液を落とすことができる。
図39は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイト発光層の製造時、金属ハライドペロブスカイト発光層がコーティングされる途中、低分子有機物溶液を落とす時点を示したグラフである。
例えば、前記低分子有機物溶液を金属ハライドペロブスカイトコーティング開始後1秒乃至200秒に落とすことができ、好ましくは前記低分子有機物溶液を落とす時間を金属ハライドペロブスカイトコーティング開始後1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、11秒、12秒、13秒、14秒、15秒、16秒、17秒、18秒、19秒、20秒、21秒、22秒、23秒、24秒、25秒、26秒、27秒、28秒、29秒、30秒、31秒、32秒、33秒、34秒、35秒、36秒、37秒、38秒、39秒、40秒、41秒、42秒、43秒、44秒、45秒、46、47秒、48秒、49秒、50秒、51秒、52秒、53秒、54秒、55秒、56秒、57秒、58秒、59秒、60秒、61秒、62秒、63秒、64秒、65秒、66秒、67秒、68秒、69秒、70秒、71秒、72秒、73秒、74秒、75秒、76秒、77秒、78秒、79秒、80秒、85秒、90秒、95秒、100秒、110秒、120秒、130秒、140秒、150秒、160秒、170秒、180秒、190秒、200秒の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むようにすることができる。
例えば、前記低分子有機物溶液は、前記金属ハライドペロブスカイト溶液を基板上に塗布してスピンコーティングし始めた後60秒乃至70秒の間に落とすことができる。
下記の化学式は本発明に係る低分子有機物の構造式を示したものである。
前記式を参照すると、前記低分子有機物は電子伝達役割をすることができるn-typeの有機物であり得る。例えば、p-typeのCH3NH3PbBr3の金属ハライドペロブスカイト発光層にn-typeの低分子有機物を添加することができる。前記低分子有機物はpyridine系列、-CN、-FまたはOxadizoleを含むことができる。例えば、前記低分子有機物は、TPBI(1,3,5-tris(2-N-phenylbenzimidazolyl)benzene)、TmPyPB(1,3,5-Tri(m-pyrid-3-yl-phenyl)benzene)、BmPyPB(1、3-bis(3,5-dipyrid-3-yl-phenyl)benzene)、BCP(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1、10-phenanthroline)、PBD(2-(4-biphenylyl)-5-phenyl-1,3,4-oxadiazole)、Alq3(Tris-(8-hydroxyquinoline)aluminum)、BAlq(aluminum(III)bis(2-methyl-8-quinolinato)-4-phenylphenolate)、Bebq2(bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)beryllium)、またはOXD-7(Bis[2-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazo-5-yl]benzene)であり得る。
前記低分子有機物は、分子量が10乃至1000であってもよい。
一方、前記金属ハライドペロブスカイト発光層の金属ハライドペロブスカイト物質が、n-type特性を有する時、p-typeの低分子有機物を使うことができるが、これに限定されない。例えば、前記低分子有機物は、TAPC(di-[4-(N、N-ditolyl-amino)-phenyl]cyclohexane)またはTCTA(4,4’,4’’-tri(N-carbazolyl)triphenylamine)であり得る。
一方、前記低分子有機物は陽極性の低分子有機物であり得る。前記陽極性の低分子有機物は、CBP(4,4’-N,N’-dicarbazole-biphenyl)であり得る。
一方、前記低分子有機物は10乃至1000の分子量を有して;
チオール基(-SH)を含む化合物であるか;N原子を含むベンゼン誘導体であるか;S原子を含むベンゼン誘導体であるか;N、S及びO原子で選択される二つ以上の原子を含むベンゼン誘導体の中から選択されて、
前記チオール基(-SH)を含む化合物は、R-SHまたはHS-R-SH(Rはalkyl基、aryl基、またはalkyl基とaryl基が混合された形態)で表現されるのを特徴とする。
前記N原子を含むベンゼン誘導体は、Pyridine、Quinoline、Isoquionoline、Pyrazine、Quinoxaline、Acridine、Pyrimidine、Quinazoline、Pyridazine、Cinnoline、Phthalazine、1、2、3-Triazine、1,2,4-Triazine、1,3,5-Triazine、Pyrrole、Pyrazole、Indole、Isoindole、Imidazole、Benzimidazol、Purine、AdenineまたはIndazoleを含むことができるが、これに制限されない。
前記S原子を含むベンゼン誘導体はThiophene、Benzothiopheneまたはbenzo[c]thiopheneを含むことができるが、これに制限されない。
前記O原子を含むベンゼン誘導体は、Furan、BenzofuranまたはIsobenzofuranを含むことができるが、これに制限されない。
前記N、S及び0原子から選択される二以上の原子を含むベンゼン誘導体の群は、Oxazole、Benzoxazole、Benzisoxazole、Isoxazole、Thiazole、Guanine、Hypoxanthine、Xanthine、Theobromine、Caffeine、Uric acid、Isoguanine、Cytosine、Thymine、UracilまたはBenzothiazoleを含むことができるが、これに制限されない。
また、追加的に前記有機低分子添加剤は、ベンゼン誘導体の群を含むことができる。前記ベンゼン誘導体の群は、Benzene、NaphthaleneまたはAnthraceneを含むことができる。
前記金属ハライドペロブスカイト発光層に前記有機低分子添加剤が含まれた場合、前記発光層上に金属ハライドペロブスカイト結晶粒が成長する過程で有機低分子添加剤が結晶粒界に位置するようになり、結晶粒界で発生するエキシトン消滅を防止してエキシトンを閉じ込むことができる。また、前記有機低分子添加剤は、金属ハライドペロブスカイト薄膜形成時、金属ハライドペロブスカイト結晶粒の成長を邪魔することによって、有機低分子添加剤が含まれなかった金属ハライドペロブスカイト薄膜の結晶粒に比べて小さい大きさの結晶粒成長を誘導できて、これにより金属ハライドペロブスカイト結晶粒内部に存在するエキシトンの閉じ込め力を増加させることができる。
<金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層を使う金属ハライドペロブスカイト発光素子>
また好ましくは、本発明に係る金属ハライドペロブスカイト発光素子において、前記発光層は、金属ハライドペロブスカイトと有機低分子ホストが、共蒸着された金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層であり得る。
金属ハライドペロブスカイト発光素子で使う金属ハライドペロブスカイト発光層は、主に溶液工程を介して製作されている。しかし、前記溶液工程は、形成される薄膜の均一度が低く厚さ調節が容易でなく、溶媒の特性によって混合できる物質が制限される短所がある。
金属ハライドペロブスカイト発光素子において最も大きい性能の阻害要因は不均一な薄膜である。積層された薄膜で構成された薄膜素子において、薄膜の不均一は電荷均衡を破って漏洩電流(leakage current)を発生させて、素子性能を大きく低下させる要因の中の一つである。特に、金属ハライドペロブスカイトは、薄膜形成条件及び周辺環境によりその薄膜のモルフォロジーが大きく変わるので、薄膜の均一度は金属ハライドペロブスカイト発光素子の性能において大変重要である。不均一な薄膜の例としては、CH3NH3PbBr3を形成する一般的なスピンコーティング工程が挙げられるが、追加的なナノ結晶固定化工程を使わない場合、自発的結晶化(Spontaneous crystallization)によって孤立した結晶(isolated crystal)形態で薄膜が形成される問題点がある[Science 2015,350,1222]。
しかし、ナノ結晶固定化工程を使う場合には、薄膜の膜質が実験環境により大きく左右されるため、同じ工程を使っても膜質の偏差(deviation)が大きい短所がある。また、ナノ結晶固定化ができる領域にだけ薄膜の膜質が改善されるので、大面積素子の実現において限界がある。
素子内の電子-正孔再結合区域(electron-hole recombination zone)の位置、即ち素子の発光スペクトルは発光層の厚さによって影響を受け、使われた材料のエネルギー準位により変わる。
しかし、前記金属ハライドペロブスカイトと有機低分子ホストを共蒸着させることで、均一な薄膜を形成できて、薄膜の厚さ調節が容易で、形成される金属ハライドペロブスカイト結晶の大きさが小さくなることによって、エキシトン(exciton)または電荷輸送体(charge carrier)が空間的に束縛されて発光効率を向上させることができる。また、金属ハライドペロブスカイトと有機低分子ホストの混合割合を調節してエネルギー準位を調節することによって、エネルギー遷移がなされる程度を調節して、発光波長を調節することができて、発光素子の電子-正孔再結合区域(electron-hole recombination zone)を調節して電気発光効率を向上させることができる。
図40は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層を示す断面図である。
図40を参照すると、本発明に係る金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層は、有機低分子ホスト(41)内に金属ハライドペロブスカイト(42)がゲストとして含まれている構造を有する。
金属ハライドペロブスカイト(42)と有機低分子ホスト(41)が共蒸着された発光層の場合、物質のエネルギー準位によりエネルギー遷移挙動が変わる。即ち、エネルギー遷移が金属ハライドペロブスカイトから有機低分子ホストの起きるのか、でなければ逆に起きるのかにより発光が金属ハライドペロブスカイトで起きることもあり(金属ハライドペロブスカイトがゲストとして作用する)、有機低分子で起きることもある(有機低分子がゲストとして作用する)。
従って、発光の位置を調節するために使われる物質のエネルギー準位は大変重要である。
本明細書において、エネルギー準位は、エネルギーの大きさを意味する。従って、真空準位からマイナス(-)方向にエネルギー準位が表示される場合でも、エネルギー準位は該当エネルギー値の絶対値を意味すると解釈される。例えば、有機低分子ホストのHOMOエネルギー準位とは、真空準位から最高占有分子オービタル(highest occupiedmolecular orbital)までの距離を意味する。また、有機低分子ホストのLUMOエネルギー準位とは、真空準位から最低非占有分子オービタル(lowest unoccupiedmolecular orbital)までの距離を意味する。
本明細書で金属ハライドペロブスカイトのCBM(conduction band minimum)は、物質の伝導帯最下端をいい、金属ハライドペロブスカイトのVBM(valence band maximum)は、物質の価伝導帯の最上端をいう。前記CBMとVBMの差をバンドギャップ(bandgap)という。
本明細書で有機低分子ホストのHOMOエネルギー準位及び金属ハライドペロブスカイトのVBMの測定は、薄膜表面にUVを照射して、この時飛び出してくる電子(electron)を検出して物質のイオン化電位(ionization potential)を測定するUPS(UV photoelectron spectroscopy)を利用することができる。または、HOMOエネルギー準位の測定は、測定対象物質を電解液と共に溶媒に溶かした後、電圧走査(voltage sweep)により酸化電位(oxidation potential)を測定するCV(cyclic voltammetry)を利用することができる。また、AC-3(RKI社)の機器を利用して、大気中でイオン化電位(ionization potentioal)を測定するPYSA(Photoemission Yield Spectrometer in Air)方法を利用することができる。
本明細書で有機低分子ホストのLUMOエネルギー準位及び金属ハライドペロブスカイトのCBMは、IPES(Inverse Photoelectron Spectroscopy)または電気化学的還元電位(electrochemical reduction potential)の測定により求めることができる。IPESは、電子ビーム(electron beam)を薄膜に照射して、この時出てくる光を測定してLUMOエネルギー準位を決定する方法である。また、電気化学的還元電位の測定は、測定対象物質を電解液と共に溶媒に溶かした後、電圧走査(voltage sweep)により還元電位(reduction potential)を測定することができる。または、HOMOエネルギー準位と対象物質のUV吸収程度を測定して得た一重項エネルギー準位を利用してLUMOエネルギー準位を計算することができる。
具体的に本明細書のHOMOエネルギー準位は、ITO基板上に対象物質を50nm以上の厚さで真空蒸着した後、AC-3(RKI社)測定器により測定した。また、LUMOエネルギー準位は、前記製造されたサンプルの吸収スペクトル(abs.)と光発光スペクトル(PL)を測定した後、各スペクトルエッジエネルギーを計算してその差をバンドギャップ(Eg)と見て、AC-3で測定したHOMOエネルギー準位からバンドギャップ差を差し引いた値でLUMOエネルギー準位を計算した。
本発明では、発光が金属ハライドペロブスカイト(42)で起きるのを目的とする。従って、前記金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層は、ホストとして有機低分子ホスト(41)を使って、ゲストとして金属ハライドペロブスカイト(42)を使うのを特徴とし、この時、ホストで使われる有機低分子ホスト(41)のエネルギー準位のバンドギャップは、ゲストで使われる金属ハライドペロブスカイトのバンドギャップより大きいのを使うことが好ましい。
言い換えると、図41に示すように、前記有機低分子ホストのHOMOエネルギー準位は、金属ハライドペロブスカイトのVBMより低く、前記有機低分子ホストのLUMOエネルギー準位は、金属ハライドペロブスカイトのCBMより高いのを使うことが好ましい。
このような有機低分子ホストの例を下記図42に示した。
図42は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層に使われる有機低分子ホストのエネルギー準位を示す。
図42を参照して説明すると、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトをMAPbBr3で使う場合、前記MAPbBr3のVBMは(-)5.9で、CBMは(-)3.6である。この時、TBPIはHOMOエネルギーレベルが(-)6.4と金属ハライドペロブスカイト(MAPbBr3)のVBMより低く、LUMOエネルギーレベルが(-)2.5と金属ハライドペロブスカイト(MAPbBr3)のCBMより高いので、本発明に係る金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層に使うことができる。
図42に示すように、本発明に係る金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層に使われる前記有機低分子ホストは、1,3,5-Tris(1-phenyl-1H-benzimidazol-2-yl)benzene(TPBI)、2,4,6-Tris[3-(diphenylphosphinyl)phenyl]-1,3,5-triazine(PO-T2T)、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminium(Alq3)、4、6-Bis(3,5-di(pyridin-3-yl)phenyl)-2-methylpyrimidine(B3PYMPM)、Tris(2,4,6-triMethyl-3-(pyridin-3-yl)phenyl)borane(3TPYMB)、4,4’-Bis(N-carbazolyl)-1、1’-biphenyl(CBP)、9、10-di(2-naphthyl)anthracene(ADN)、(Tris(4-carbazoyl-9-ylphenyl)amine)TCTA、(1、1-Bis[(di-4-tolylamino)phenyl]cyclohexane)TAPC、(2-tert-butyl-9、10-di(2-naphthyl)anthracene)TBAD、E3、及び(Bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)berylliumBeBq2等を使うことができるが、これに制限されない。
この時、前記金属ハライドペロブスカイトと有機低分子ホストの混合割合は、前記金属ハライドペロブスカイトと有機低分子ホストの重さの合計に対する金属ハライドペロブスカイトの質量比基準で0.01wt%乃至49.99wt%であってもよいが、これに制限されない。例えば、前記金属ハライドペロブスカイトと有機低分子ホストの重さの合計に対する金属ハライドペロブスカイトの質量比は、0.01wt%、0.2wt%、0.4wt%、0.6wt%、0.8wt%、1wt%、1.2wt%、1.4wt%、1.6wt%、1.8wt%、2wt%、2.2wt%、2.4wt%、2.6wt%、2.8wt%、3wt%、3.1wt%、3.2wt%、3.3wt%、3.4wt%、3.5wt%、3.6wt%、3.7wt%、3.8wt%、3.9wt%、4wt%、4.1wt%、4.2wt%、4.3wt%、4.4wt%、4.5wt%、4.6wt%、4.7wt%、4.8%、4.9wt%、5wt%、5.2wt%、5.4wt%、5.6wt%、5.8wt%、6wt%、6.2wt%、6.4wt%、6.6wt%、6.8wt%、7wt%、7.2wt%、7.4wt%、7.6wt%、7.8wt%、8wt%、8.2wt%、8.4wt%、8.6wt%、8.8wt%、9wt%、9.2wt%、9.4wt%、9.6wt%、9.8wt%、10wt%、10.5wt%、11wt%、11.5wt%、12wt%、12.5wt%、13wt%、13.5wt%、14wt%、14.5wt%、15wt%、15.5wt%、16wt%、16.5wt%、wt%、17.5wt%、18wt%、18.5wt%、19wt%、19.5wt%、20wt%、21wt%、22wt%、23wt%、24wt%、25wt%、26wt%、27wt%、28wt%、29wt%、30wt%、31wt%、32wt%、33wt%、34wt%、35wt%、36wt%、37wt%、38wt%、39wt%、40wt%、41wt%、42wt%、43wt%、44wt%、45wt%、46wt%、47wt%、48wt%、49wt%、49.99wt%の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むようにすることができる。
前記範囲から外れて金属ハライドペロブスカイトと有機低分子ホストの重さの合計に対する金属ハライドペロブスカイトの質量比が0.01wt%未満である場合、有機低分子ホストで金属ハライドペロブスカイトのエネルギー遷移が効果的にできなく有機低分子ホストで光ることがある。
本発明に係る金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層は、蒸着方法で形成されることが好ましい。前記蒸着方法としては、真空蒸着(evaporation)、熱蒸着(thermal deposition)、フラッシュ蒸着(flash deposition)、レーザー蒸着(laser deposition)、化学的蒸気蒸着(chemical vapor deposition)、原子層蒸着(atomic layer deposition)、物理気相蒸着(physical vapor deposition)、物理化学的球-真空蒸着(physical-chemical co-evaporation deposition)、順次蒸着(Sequential vapor deposition)、溶液工程組み合わせ蒸着(Solution process-assisted thermal deposition)等を含むことができる。
前記蒸着方法としては好ましくは真空蒸着を使うことができ、この時、真空蒸着時高真空及び低真空で行うことができる。本発明の一実施例では図43に示した真空蒸着機を使って発光層を形成した。
図43を参照して具体的に説明すると、前記真空蒸着機は、チャンバー(100)及び真空ポンプ(200)で構成されて、前記チャンバー(100)内には蒸着対象基板を載せる基板部(300)と、金属ハライドペロブスカイト前駆体材料(400)と有機低分子ホスト材料(500)を入れるルツボ、前記ルツボ下部にルツボを加熱する熱源が備えられている。真空蒸着方法は、前記真空蒸着機のチャンバー(100)内で上段に基板(300)を載せて、下段に金属ハライドペロブスカイト前駆体材料(400)と有機低分子ホスト材料(500)をローディングした後、真空状態で各材料を電子ビームなどで加熱すると、気化した材料が基板上で蒸着されつつ合成されて金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層を形成する。
本発明に係る金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層は、前記金属ハライドペロブスカイトと有機低分子ホストを共蒸着させることで、均一な薄膜を形成できて、エネルギー準位を調節することによって発光素子の電子-正孔再結合区域(electron-hole recombination zone)を調節して電気発光効率を向上させることができる。
図44は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層を含む発光素子(正構造)において、構成層のエネルギー準位を示す。
図45は、本発明の別の実施例に係る金属ハライドペロブスカイト-有機低分子ホスト混合発光層を含む発光素子(逆構造)において、構成層のエネルギー準位を示す。
図44及び図45に示すように、本発明に係る発光素子で発光層(40)のVBMのエネルギー準位は、正孔注入層のHOMOのエネルギー準位よりは低く、電子輸送層のHOMOのエネルギー準位よりは高いことが好ましい。このようなエネルギー準位を有する時、発光素子に順方向バイアスを印加すると、陽極(20)から正孔(h)が正孔注入層(30)を経て発光層(40)に流入することが容易になる。
また、本発明に係る発光素子で発光層のCBMのエネルギー準位は、正孔注入層のLUMOのエネルギー準位よりは低く、電子輸送層のLUMOのエネルギー準位よりは高いことが好ましい。このようなエネルギー準位を有する時、発光素子に順方向バイアスを印加すると、陰極(70)から電子(e)が電子注入層(60)を経て発光層(40)に流入することが容易になる。
前記金属ハライドペロブスカイトは、前述したのと同様であるため、詳細な説明は省略する。
<多次元ハイブリッド発光層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子>
本発明の別の実施例によると、前記発光層は、多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層を含むことができる。
図46は、本発明の一実施例に係る多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層を含む発光ダイオード構造の例である。
図46に示すように、前記多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層は、金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶薄膜(bulk polycrystal)と金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層が順次蒸着されるか、同時蒸着されて形成されることができる。
本発明に係る多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層は、発光層内部に金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体を共存させて、金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体でナノ結晶粒子の表面安定化(Surface passivation)を誘導し、ナノ結晶粒子内にエキシトン(exciton)を閉じ込めて素子発光効率を向上させることができる。
また、本発明に係る多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層は、金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体の上に金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層を形成させて、二層で構成された発光層を製作することができて、これにより単層発光層素子で実現しにくい多色発光素子を実現することができる。
この時、多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層(30)は、正孔注入層(25)の役割を一部行うことができる。金属ハライドペロブスカイトは、発光体でも有望な材料であるが、基本的に高いキャリア移動度(high carrier mobility)、長いキャリア拡散長さ(long carrier diffusion length)のように電荷運搬体として高い可能性を有しているので、結晶の大きさ調節を介して発光だけでなく電荷輸送までその役割を拡張することができる。また、金属ハライドペロブスカイト単位格子内ハライドイオン交換のような方法により容易にエネルギーレベルを調節できて、多様な発光層に電荷を注入する用途で活用することができる。
従って、本発明の多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層において、高い電荷移動度及び長いエキシトン拡散長さ(exciton diffusion length)の特性を有する金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体は、電荷輸送層としての役割も行うことができて、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子も電荷輸送層の役割も行うことができるので、発光層への正孔注入または電子注入を促進して素子効率を向上させることができる。
前記多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層の形成方法は、様々な方法で形成されるが、具体的な方法は以下の製造方法セクションで詳細に説明する。
(a)ドリッピング(dripping)法(図47(a))
前記多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層(30)の形成段階は、
金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体前駆物質(precursor)(1)溶液と金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を準備する段階;
前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体前駆物質(precursor)(1)溶液を第1電極(20)または正孔注入層上に塗布する段階;及び
前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体前駆物質(precursor)(1)溶液のコーティングが完了する前に、前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を落として前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)と金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)を共にコーティングする段階を含む。
まず、金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体前駆物質(precursor)(1)溶液と前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を準備する。
前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)と金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)は、同じ化学構造の物質を使ってもよく、異なる化学構造の物質を使うこともできる。
前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体前駆物質(precursor)(1)溶液は、極性(polar)溶媒に金属ハライドペロブスカイトを溶解させることによって製造することができる(第1溶液)。
この時、前記極性溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ガンマブチロラクトン、N-メチルピロリドン及びイソプロピルアルコールの中から選択されるが、これに制限されない。
前記金属ハライドペロブスカイトは、前述したのと同様であるため、詳しい説明は省略する。
一方、このような金属ハライドペロブスカイトは、AX及びBX2を一定割合で組み合わせて準備することができる。即ち、第1溶液は極性溶媒にAX及びBX2を一定割合で溶かして形成されることができる。例えば、極性溶媒にAX及びBX2を1:1割合で溶かしてABX3金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を準備することができる。
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液は、
極性溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液と、非極性溶媒または極性溶媒に界面活性剤が溶けている第2溶液を準備する段階;及び
前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜて金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成する段階を含む。
まず第1溶液を製造する方法は、前述した金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体前駆体溶液製造方法と同様であるため、詳しい説明は省略する。
第2溶液は、非極性溶媒または極性溶媒に界面活性剤を溶解させて製造する。
前記非極性溶媒は、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘクセン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、シクロヘクセン及びジクロロベンゼンの中から選択されて、前記極性溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ガンマブチロラクトン、N-メチルピロリドン及びイソプロピルアルコールの中から選択されるが、これに制限されない。
前記界面活性剤は、アミンリガンドと、有機酸、有機アンモニウムリガンドまたは無機リガンドを含むことができる。
前記アミンリガンドは、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(N、N-diisopropylethylethylamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine)、メチルアミン(methylamine)、N,N,N,N-テトラメチレンエチレンジアミン(N、N、N、N-tetramethylenediamine)、トリエチルアミン(Triethylamine)、ジエタノールアミン(Diethanolamine)、2,2-(エチレンジオキシル)ビス-(エチルアミン)(2,2-(ethylenedioxyl)bis-(ethylamine))の中から選択されるが、これに制限されない。
前記有機酸は、カルボキシル酸及びホスホン酸を含み、前記カルボキシル酸は、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸) (4,4’-Azobis(4-cyanovaleric acid))、酢酸(Acetic acid)、5-アミノサリチル酸(5-Aminosalicylic acid)、アクリル酸(Acrylic acid)、L-アスペン酸(L-Aspentic acid)、6-ブロモヘキサン酸(6-Bromohexanoic acid)、ブロモ酢酸(Bromoacetic acid)、ジクロロ酢酸(Dichloro acetic acid)、エチレンジアミンテトラ酢酸(Ethylenediaminetetraacetic acid)、イソ酪酸(Isobutyric acid)、イタコン酸(Itaconic acid)、マレイン酸(Maleic acid)、r-マレイミド酪酸(r-Maleimidobutyric acid)、L-リンゴ酸(L-Malic acid)、4-ニトロ安息香酸(4-Nitrobenzoic acid)、1-ピレンカルボン酸(1-Pyrenecarboxylic acid)、ヘキサン酸(hexanoic acid)、オクタン酸(octanoic acid)、デカン酸(decanoic acid)、ウンデカン酸(undecanoic acid)、ドデカン酸(dodecanoic acid)、ヘキサデカン酸(hexadecenoic acid)、オクタデカン酸(octadecanoic acid)及びオレイン酸(oleic acid)の中から選択されて、
前記ホスホン酸は、n-ヘキシルホスホン酸(n-hexylphosphonic acid)、n-オクチルホスホン酸(Octylphosphonic acid)、n-デシルホスホン酸(n-decylphosphonic)、n-ドデシルホスホン酸(n-dodecylphosphonic acid)、n-テトラデシルホスホン酸(n=tetradecylphosphonic acid)、n-ヘキサデシルホスホン酸(n-hexadecylphosphonic acid)、n-オクタデシルホスホン酸(n-octadecylphonic acid)の中から選択されることができる。
前記有機アンモニウムリガンドは、アルキル(alkyl)-Xの構造のリガンドで、前記アルキルは、アシルリックアルキル(CnH2n+1);1次アルコール、2次アルコール、3次アルコールを含むアルコール(CnH2n+1OH);ヘキサデシルアミン、9-オクタデセニルアミン、1-アミノ-9-オクタデセン(C19H37N)を含むアルキルアミン(alkyl-N);p-置換されたアニリン、フェニルアンモニウム及びフルオリンアンモニウムからなる群から選択されて、前記Xは、Cl、BrまたはIであり得る。
前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ結晶粒子を形成する段階は、前記第2溶液に前記第1溶液をスプレー噴霧(Spraying)、一滴ずつ精度よく落とすドリッピング(dripping)、一度に落とすドロッピング(dropping)等の方法を使って混ぜることができる。また、この時の第2溶液は撹はんを行うことができる。例えば、強く撹はん中のアミンリガンドと、有機酸(カルボキシル酸またはホスホン酸)、有機アンモニウムリガンド、または、無機リガンド界面活性剤が溶けている第2溶液に有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)が溶けている第2溶液をゆっくり一滴ずつ添加してナノ結晶粒子を合成することができる。
この場合、第1溶液を第2溶液に落として混ぜると、溶解度差によって第2溶液で有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)が析出(precipitation)される。第2溶液に予め混ざっているリガンド(Amine-based ligand)が、金属ハライドペロブスカイト結晶構造にくっついて溶解度差を減らして金属ハライドペロブスカイトの急激な析出を防ぐ。なお第2溶液で析出された有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)をカルボキシル酸界面活性剤またはホスホン酸界面活性剤がイオン結晶を介して表面にくっついてナノ結晶を安定化すると共に、よく分散した有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(OIP-NC)を生成するようになる。従って、有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶及びこれを取り囲む複数個の無機リガンドまたは有機リガンドを含む金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を製造することができる。
ところで、第1溶液と第2溶液の互換性が高い場合には、再結晶化が起きないこともあり、この場合には追加的に脱乳化剤(Demulsifier)を添加することができる。
前記脱乳化剤としては、tert-ブタノールを使うことができるが、これに制限されない。
このように製造された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子溶液は、溶媒に金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子が分散したコロイダル(colloidal)形態の溶液である。
この時、前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子溶液には、未反応物質が含まれていて、生成されたナノ結晶粒子が含まれている極性溶媒によって再び溶解することがあるので、ナノ結晶粒子の形態を維持させるために製造後、遠心分離などでナノ結晶粒子だけ分離して非極性溶媒に再分散する段階を追加で行うことができる。
また、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は、当分野で通常使う形態であり得る。金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は0次元、1次元乃至2次元の形態であり得る。一例として、球状(Sphere)、楕円状(ellipsoid)、キューブ(cube)、中空キューブ(hollow cube)、ピラミッド状(pyramid)、円柱状(cylinder)、円錐状(cone)、楕円柱状(elliptic column)、中空球状(hollow sphere)、ヤヌス構造型(Janus particle)、多角柱型(prisim)、多重枝型(multipod)、多面体(polyhedron)、ナノチューブ(nano tube)、ナノワイヤー(nano wire)、ナノ繊維(nano fiber)またはナノ板状粒子(nanoplatelet)等の形態であり得る。
また、結晶粒子の大きさが1nm乃至10μm以下であり得る。例えば、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、7.5nm、8nm、8.5nm、9nm、9.5nm、10nm、10.5nm、11nm、11.5nm、12nm、12.5nm、13nm、13.5nm、14nm、14.5nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、5μmまたは10μmであり得る。粒子の大きさは前記から選択された任意の2種類の数字のうち低い値を最小値、大きい値を最大値で一つの領域で定義することができる。好ましくは8nm以上300nm以下で、さらに好ましくは10nm以上30nm以下である。一方、この時の結晶粒子の大きさは、後述するリガンドの長さを考慮しなかった大きさ、即ち、このようなリガンドを除いた残り部分の大きさを意味する。結晶粒子の大きさが1μm以上である場合、大きい結晶中で熱的イオン化(thermal ionization)及び電荷運搬体の非偏在化(delocalization of charge carriers)によりエキシトンが発光に行けず自由電荷に分離して消滅する根本的な問題があり得る。また、さらに好ましくは、前述した通り前記結晶粒子の大きさはボーア径(Bohr diameter)以上であり得る。前記熱的イオン化及び電話運搬体の非偏在化現象は、ナノ結晶の大きさが100nmを超えると徐々に現れる。300nm以上である場合、その現象がより現れて、1μm以上の場合は完全にバルク領域なので、前記現象の支配を受けるようになる。例えば、ナノ結晶粒子が球状である場合、ナノ結晶粒子の直径は1nm乃至10μmであり得る。好ましくは、1nm、3nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、5μmまたは10μmであり得る。
また、このようなナノ結晶粒子のバンドギャップエネルギーは1eV乃至5eVであり得る。好ましくは、前記ナノ結晶粒子のバンドギャップエネルギーは、1eV、1.1eV、1.2eV、1.3eV、1.4eV、1.5eV、1.6eV、1.7eV、1.8eV、1.81eV、1.82eV、1.83eV、1.84eV、1.85eV、1.86eV、1.87eV、1.88eV、1.89eV、1.9eV、1.91eV、1.92eV、1.93eV、1.94eV、1.95eV、1.96eV、1.97eV、1.98eV、1.99eV、2eV、2.01eV、2.02eV、2.03eV、2.04eV、2.05eV、2.06eV、2.07eV、2.08eV、2.09eV、2.1eV、2.11eV、2.12eV2.13eV、2.14eV、2.15eV、2.16eV、2.17eV、2.18eV、2.19eV、2.2eV、2.21eV、2.22eV、2.23eV、2.24eV、2.25eV、2.26eV、2.27eV、2.28eV、2.29eV、2.3eV、2.31eV、2.32eV、2.33eV、2.34eV、2.35eV、2.36eV、2.37eV、2.38eV、2.39eV、2.4eV、2.41eV、2.42eV、2.43eV、2.44eV、2.45eV、2.46eV、2.47eV、2.48eV、2.49eV、2.5eV、2.51eV、2.52eV、2.53eV、2.54eV、2.55、2.56eV、2.57eV、2.58eV、2.59eV、2.6eV、2.61eV、2.62eV、2.63eV、2.64eV、2.65eV、2.66eV、2.67eV、2.68eV、2.69eV、2.7eV、2.71eV、2.72eV、2.73eV、2.74eV、2.75eV、2.76eV、2.77eV、2.78eV、2.79eV、2.8eV、2.9eV、3eV、3.1eV、3.2eV、3.3eV、3.4eV、3.5eV、3.6eV、3.7eV、3.8eV、3.9eV、4eV、4.1eV、4.2eV、4.3eV、4.4eV、4.5eV、4.6eV、4.7eV、4.8eV、4.9eV、5eVの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
従って、ナノ結晶粒子の構成物質または結晶構造によりエネルギーバンドギャップが決まるので、ナノ結晶粒子の構成物質を調節することによって、例えば200nm乃至1300nmの波長を有する光を放出することができる。また好ましくは、前記ナノ結晶粒子は、紫外線、青色、緑色、赤色、赤外線の光を放出することができる。
前記紫外線光は、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、410nm、420nm、430nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記青色光は、440nm、450nm、451nm、452nm、453nm、454nm、455nm、456nm、457nm、458nm、459nm、460nm、461nm、462nm、463nm、464nm、465nm、466nm、467nm、468nm、469nm、470nm、471nm、472nm、473nm、474nm、475nm、476nm、477nm、478nm、479nm、480nm、490nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記緑色光は、500nm、501nm、502nm、503nm、504nm、505nm、506nm、507nm、508nm、509nm、510nm、511nm、512nm、513nm、514nm、515nm、516nm、517nm、518nm、519nm、520nm、521nm、522nm、523nm、524nm、525nm、526nm、527nm、528nm、529nm、530nm、531nm、532nm、533nm、534nm、535nm、536nm、537nm、538nm、539nm、540nm、541nm、542nm、543nm、544nm、545nm、546nm、547nm、548nm、549nm、550nm、560nm、570nm、580nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記赤色光は、590nm、600nm、601nm、602nm、603nm、604nm、605nm、606nm、607nm、608nm、609nm、610nm、611nm、612nm、613nm、614nm、615nm、616nm、617nm、618nm、619nm、620nm、621nm、622nm、623nm、624nm、625nm、626nm、627nm、628nm、629nm、630nm、631nm、632nm、633nm、634nm、635nm、636nm、637nm、638nm、639nm、640nm、641nm、642nm、643nm、644nm、645nm、646nm、647nm、648nm、649nm、650nm、660nm、670nm、680nm、690nm、700nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記赤外線光は、700nm、710nm、720nm、730nm、740nm、750nm、760nm、770nm、780nm、790nm、800nm、810nm、820nm、830nm、840nm、850nm、860nm、870nm、880nm、890nm、900nm、910nm、920nm、930nm、940nm、950nm、960nm、970nm、980nm、990nm、1000nm、1010nm、1020nm、1030nm、1040nm、1050nm、1060nm、1070nm、1080nm、1090nm、1100nm、1110nm、1120nm、1130nm、1140nm、1150nm、1160nm、1170nm、1180nm、1190nm、1200nm、1210nm、1220nm、1230nm、1240nm、1250nm、1260nm、1270nm、1280、1290nm、1300nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
次に、前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液を第1電極上に塗布してコーティングさせる。
この時、前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液を、第1電極上にむらなく塗布するために前記第1電極を回転させることができる。
前記回転速度は1000rpm乃至8000rpmであることが好ましく、仮に、1000rpm未満なら均一な薄膜形成に問題があり、8000rpmを超えると溶媒の蒸発が顕著にはやくなることで均一な結晶成長に問題があり、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の注入が難しくなって、多次元金属ハライドペロブスカイト発光層を形成するのに問題がある。
本発明の一実施例では、第1電極を3000rpmで回転させながら前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液を塗布してコーティングした。
前記コーティングは、スピンコーティング、バーコーティング、ノズルプリンティング、スプレープリンティング、スロットダイコーティング、グラビアプリンティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、電気水力学的ジェットプリンティング(electrohydrodynamic jet printing)または電気噴霧(electrospray)からなる。
次に、前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液のコーティングが完了する前に、前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を注入して(dripping)前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体及び金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を共にコーティングする。
この時、前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液のコーティングが完了する時間は、前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液の溶媒が全部蒸発して、結晶化ができて薄膜の色が変わる時間にして、物質ごとに異なるが約80秒程度である。従って、前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を落とす時点は、前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体前駆物質(precursor)溶液の塗布後1秒乃至200秒以内に行うことが好ましい。
本発明の一実施例では、前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液の塗布20秒後に前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を落として共にコーティングした。
コーティング後には薄膜の緻密性を高めるために熱処理をすることができる。
前記熱処理は80~120℃で行うことができる。
本発明の一実施例では、製造されたハイブリッド薄膜を90℃で10分間熱処理した。
このように金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液と金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液が共にコーティングされたハイブリッド薄膜は、図5に示すように、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶が、結晶化シード(crystallization seed)として作用して、多くの結晶化サイト(Site)を提供して、これによって薄膜の粒状構造(granular structure)を誘導することが示された。従って、従来の一次元の物質でだけなる単一次元発光層と比べて顕著に向上した光発光強さを示すことができる。
形成された多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層の厚さは、10nm乃至10μmであり得る。
また、前記多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層の発光波長は200nm乃至1300nmであり得る。
また、前記多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層のバンドギャップエネルギーは1eV乃至5eVであり得る。
(b)オーバーコーティング(over-coating)法(図47(b))
また、前記多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層(30)の形成段階は、
金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液と金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子溶液を準備する段階;
前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液を第1電極または正孔注入層上に塗布してコーティングさせることによって、金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体薄膜を形成する段階;及び
形成された金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)薄膜上に前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を塗布してコーティングさせる段階を含む。
金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)の場合、結晶を溶かさない反溶媒(anti-solvent)に分散させて、これを薄膜化するのに使うので、既に形成された金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)薄膜の上にコーティングが可能である。
金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液と前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を準備する段階は、前述したのと同様であるため、詳しい説明は省略する。
次に、金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液を正孔注入層上に塗布してコーティングさせる。
前記オーバーコーティング法が前述したドリッピング法と異なる点は、前記ドリッピング法は高次元金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)薄膜が形成される前に低次元金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を塗布して共にコーティングさせることによって一つの薄膜を形成するか、オーバーコーティング法は、金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)薄膜を形成した後に、前記薄膜の上に金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を塗布してコーティングさせることによって薄膜を形成させるということである。
この時、前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)溶液が、第1電極(20)または正孔注入層(25)上にむらなく塗布するために前記第1電極(20)または正孔注入層(25)を回転させることができる。同様に、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を塗布する時にもむらなく塗布するために被コーティング体を回転させることができる。
前記回転速度は1000~8000rpmであることが好ましく、仮に、1000rpm未満なら均一な薄膜形成に問題があり、8000rpmを超えると溶媒の蒸発が顕著に速くなることで均一な結晶成長に問題がある。
前記コーティングは、スピンコーティング、バーコーティング、ノズルプリンティング、スプレープリンティング、スロットダイコーティング、グラビアプリンティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、電気水力学的ジェットプリンティング(electrohydrodynamic jet printing)または電気噴霧(electrospray)からなる。
また、ナノ結晶粒子(2)コーティング後にはナノ結晶粒子(2)溶液で不純物除去のための精製工程を追加で行うことができて、前記精製工程は、非極性溶媒を塗布することによって行うことができる。
本発明の一実施例では3000rpmの速度で20秒間回転させながら前記非極性溶媒を塗布して不純物を除去した。
コーティング後には薄膜の緻密性を高めるために熱処理をすることができる。
前記熱処理は80~120℃で行うことができる。
本発明の一実施例では、製造された金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)薄膜及び金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)層を90℃で10分間熱処理した。
本発明の一実施例によりオーバーコーティング法で製造された多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層は、従来の一次元の物質だけでできた次元発光層に比べて顕著に向上した光発光強さを示し、各々異なる発光波長帯を有する金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体、ナノ結晶粒子を発光層で使って発光素子を製作した場合には二つの波長帯で共に電気発光(Electroluminescence)を発生させることができる。
(c)多結晶体真空蒸着方法(図47(c))
また、前記多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層(30)の形成段階は、
金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)と金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を準備する段階;
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)溶液を第1電極(20)または正孔注入層(25)上に塗布してコーティングさせることによって、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)層を形成する段階;及び
形成された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)層上に前記金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質を真空蒸着させる段階を含むことができる。
(d)同時蒸着方法(図47(d))
また、前記多次元金属ハライドペロブスカイトハイブリッド発光層(30)の形成段階は、
金属ハライドペロブスカイトバルク多結晶体(1)前駆物質(precursor)と金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(2)を同時に真空蒸着させることで行うことができる。
前記多結晶体真空蒸着方法または同時蒸着方法において、前記蒸着方法は共蒸着、熱蒸着(thermal deposition)、フラッシュ蒸着(flash deposition)、レーザー蒸着(laser deposition)、化学的蒸気蒸着(chemical vapor deposition)、原子層蒸着(atomic layer deposition)、物理気相蒸着(physical vapor deposition)、物理化学的球-真空蒸着(physical-chemical co-evaporation deposition)、順次蒸着(Sequential vapor deposition)、溶液工程組み合わせ蒸着(Solution process-assisted thermal deposition)及びスプレー蒸着(Spray deposition)からなる群から選択することができる。
<3D/2Dコア-シェル結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイト発光層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子>
本発明の別の実施例によると、前記発光層は3D/2Dコア-シェル結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトフィルムであり得る。
図48は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトフィルムのコア/シェル構造を示す。
図48を参照すると、本発明に係る金属ハライドペロブスカイトフィルムは、3次元金属ハライドペロブスカイト結晶からなるコアと、前記コアを包む2次元金属ハライドペロブスカイトからなるシェルで形成されている。
前記コアは、ABX3またはA’2An-1BX3n+1(nは2乃至100の整数)の3次元金属ハライドペロブスカイト結晶で形成されて、前記コアを包むシェルは、下記の化学式1のフェニルアルカンアミン化合物(Y)を含むY2Am-1BX3m+1(mは1乃至100の整数)の2次元金属ハライドペロブスカイトで形成されている。
(前記化学式27で、aはC1乃至C10の非置換またはアミンで置換された直鎖または側鎖アルキルで、ZはFまたはCF3である。)
前記A及びA’は1価カチオンで、前記Bは金属物質で、前記Xはハロゲン元素であり得る。
前記1価カチオンは、1価有機カチオンであるかアルカリ金属であり得る。例えば、前記1価有機カチオンは、有機アンモニウム(RNH3)+、有機アミジニウム誘導体(RC(=NR2)NR2)+、有機グアニジニウム誘導体(R2NC(=NR2)NR2)+、有機ジアンモニウム(CxH2x-n+4)(NH3)n
+、((CxH2x+1)nNH3)(CH3NH3)n
+、(RNH3)2
+、(CnH2n+1NH3)2
+、(CF3NH3)+、(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2
+または(CnF2n+1NH3)2
+(x、nは1以上である整数、R=炭化水素誘導体、H、F、Cl、Br、I)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記アルカリ金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
また好ましくは、前記有機カチオンは、アセトアミジニウム(acetamidinium)、アザスピロンアニウム(azaspironanium)、ベンゼンジアンモニウム(benzene diammonium)、ベンジルアンモニウム(benzylammonium)、ブタンジアンモニウム(butanediammonium)、イソブチルアンモニウム(iso-butylammonium)、n-ブチルアンモニウム(n-butylammonium)、t-ブチルアンモニウム(t-butylammonium)、シクロヘキシルアンモニウム(cyclohexylammonium)、シクロヘキシルメチルアンモニウム(cyclohexylmethylammonium)、ジアゾビシクロオクタンジニウム(diazobicyclooctanedinium)、ジエチルアンモニウム(diethylammonium)、N,N-ジエチルエタンジアンモニウム(N、N-diehtylethane diammonium、N,N-ジエチルプロパンジアンモニウム(N、N-diethylpropane diammonium)、ジメチルアンモニウム(dimethylammonium)、N,N-ジメチルエタンジアンモニウム(N、N-dimethylethane diammonium)、ジメチルプロパンジアンモニウム(dimethylpropane diammonium)、ドデシルアンモニウム(dodecylammonium)、エタンジアンモニウム(ethanediammonium)、エチルアンモニウム(ethylammoniuium)、4-フルオロ-ベンジルアンモニウム(4-fluoro-benzylammonium)、4-フルオロ-フェニルエチルアンモニウム(4-fluoro-phenylethylammonium)、4-フルオロ-フェニルアンモニウム(4-fluoro-phenylammonium)、ホルムアミジニウム(formamidinium)、グアニジニウム(guanidinium)、ヘキサンジアンモニウム(hexanediammnium)、ヘキシルアンモニウム(hexylammonium)、イミダゾリウム(imidazolium)、2-メトキシエチルアンモニウム(2-methoxyethylammonium)、4-メトキシ-フェニルエチルアンモニウム(4-methoxy-phenlylethylammonium)、4-メトキシ-フェニルアンモニウム(4-methoxy-phenylammonium)、メチルアンモニウム(methylammonium)、モルホリニウム(morpholinium)、オクチルアンモニウム(oxtylammonium)、ペンチルアンモニウム(pentylammonium)、ピペラジンジウム(piperazinediium)、ピペリジニウム(piperidinium)、プロパンジアンモニウム(propanediammonium)、イソ-プロピルアンモニウム(iso-propylammonium)、ジ-イソプロピルアンモニウム(di-iso-propylammonium)、n-プロピルアンモニウム(n-propylammonium)、ピリジニウム(pyridinium)、2-pyrrole-1ユム-1-ごのエチルアンモニウム(2-pyrrolidin-1-ium-1-yethylammonium)、ピロリジニウム(pyrrolidinium)、キヌクリジン-1-イウム(quinclidin-1-ium)、4-トリフルオロメチル-ベンジルアンモニウム(4-trifluoromethyl-benzylammonium)、4-トリフルオロメチルアンモニウム(4-trifluoromethyl ammonium)、Benzalkonium chloride、Dimethyldioctadecylammonium chloride、Trimethylglycine、Cholineと同じ四次アンモニウムカチオン(Quaternary ammonium cation)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
前記Bは2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、1価金属、3価金属の組み合わせ、有機物(1価、2価、3価のカチオン)及びこれらの組み合わせであり得る。また好ましくは、前記2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属は、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Ru2+、Pd2+、Cd2+、Pt2+、Hg2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Se2+、Te2+、Po2+、Bi2+、Eu2+、No2+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記1価金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、Ag+、Hg+、Ti+及びこれらの組み合わせであってもよく、前記3価金属は、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ru3+、Rh3+、Ir3+、Au3+、Al3+、Ga3+、In3+、Ti3+、As3+、Sb3+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+、Ac3+、Am3+、Cm3+、Bk3+、Cf3+、Es3+、Fm3+、Md3+、Lr3+及びこれらの組み合わせであり得る。
また、前記XはF-、Cl-、Br-、I-、At-及びこれらの組み合わせであり得る。
前記3次元金属ハライドペロブスカイト結晶は、金属ハライドペロブスカイトであってもよく、前記金属ハライドペロブスカイトの結晶構造は、中心金属(B)を中に置いて、面心立方構造(face centered cubic;FCC)で、ハロゲン元素(X)が六面体のすべての表面に6個が位置して、体心立方構造(body centered cubic;BCC)で、AまたはA’(有機アンモニウム、有機ホスホニウムまたはアルカリ金属)が六面体のすべての頂点に8個が位置した構造を形成している。この時、六面体のすべての面が90°をなし、横の長さと縦の長さ及び高さの長さが同じ正六面体(cubic)構造だけでなく横の長さと縦の長さは同じであるが、高さの長さが異なる正方晶系(tetragonal)構造を含む。
前記化学式27のフェニルアルカンアミン化合物(Y)は、イオン移動抑制剤として作用して、溶媒内でプロトン移動反応により金属ハライドペロブスカイトイオンと反応して結晶化時自己組み立てシェルを形成する。
本発明で使われる化学式27のフェニルアルカンアミン化合物の例としては、フェニルメタンアミン、(4-フルオロフェニル)メタンアミン、(4-(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン、2-フェニルエタンアミン、1-フェニルプロパン-2-アミン、1-フェニルプロパン-1-アミン、1-フェニルエタン-1,2-ジアミン、2-(4-フルオロフェニル)エタンアミン、1-(4-フルオロフェニル)プロパン-2-アミン、1-(4-フルオロフェニル)プロパン-1-アミン、1-(4-フルオロフェニル)エタン-1,2-ジアミン、2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)エタンアミン、1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-2-アミン、1-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-1-アミン、3-フェニルプロパン-1-アミン、4-フェニルブタン-2-アミン、1-フェニルブタン-2-アミン、1-フェニルブタン-1-アミン、3-フェニルプロパン-1,2-ジアミン、3-(4-フルオロフェニル)プロパン-1-アミン、4-(4-)ブタン-2-アミン、1-(4-フルオロフェニル)ブタン-1-アミン、4-フェニルブタン-1-アミン、5-フェニルペンタン-2-アミン、1-フェニルペンタン-3-アミン、1-フェニルペンタン-1-アミン、4-(4-フルオロフェニル)ブタン-1-アミン、1-(4-フルオロフェニル)ペンタン-3-アミン、1-(4-フルオロフェニル)ペンタン-1-アミン、5-フェニルペンタン-1-アミン、1-フェニルヘキサン-1-アミン、1-フェニルヘキサン-2-アミン、1-フェニルヘキサン-3-アミン、6-フェニルヘキサン-2-アミン、1-(4-フルオロフェニル)ヘキサン-1-アミン、1-(4-フルオロフェニル)ヘキサン-3-アミン、6-フェニルヘキサン-1-アミン及び1-フェニルヘプタン-1-アミンなどが挙げられるが、これに制限されない。
前記化学式27のフェニルアルカンアミン化合物(Y)に使われることができる化合物例の化学構造式を下の表3にまとめた。
図49は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトフィルムのコア/シェル構造を形成するメカニズムを示し、図50は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトフィルムのコア及びシェル構造各々の形成原理を示す。本発明に係る金属ハライドペロブスカイトフィルムのコア-シェル構造形成原理は次のとおりである。
金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液内で有機アンモニウムがイオン状態で存在する時、フェニルアルカンアミン添加剤が前記溶液に添加されると、直ちに有機アンモニウムとフェニルアルカンアミンがそれぞれ酸及び塩基として作用して、酸-塩基反応によりプロトンが有機アンモニウムからフェニルアルカンアミン添加剤に移動するようになる。この時添加されるフェニルアルカンアミンは塩基度(pKb)7以下の、さらに好ましくは5以下の強塩基性物質で、多くの有機アンモニウムと直ちにプロトン移動反応を介してフェニルアルカンアンモニウム形態に変化して、図49のように2D金属ハライドペロブスカイト結晶形成に参加できる活性状態で存在するようになる。このようなプロトン移動反応は、図51の核磁気共鳴分光器スペクトルで化学移動位置相7.4ppmにあったメチルアンモニウムイオンのプロトンがフェニルメチルアミンを少量添加した後7.2ppmに移動したことにより確認することができる。
一方、対照例として、フェニルアルカンアミンと構造が似ているが、フェニルとアミンとの間にアルキル基がないフェニルアミノ(アニリン)の場合には、塩基度が7以上である弱塩基性を示し、金属ハライドペロブスカイト前駆体溶液の有機アンモニウムと酸-塩基反応ができなくてプロトン移動が起きない(図51参照)。これによって2D金属ハライドペロブスカイトシェル形成に参加できないので、発光効率及び寿命の向上あるいは2次元結晶構造が観察されない(図52乃至図54参照)。
従って、本発明の3D/2Dコア-シェル結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトを得るためには、金属ハライドペロブスカイト内の有機アンモニウムのプロトン移動反応が必須であり、このようなプロトン移動反応は、フェニル基とアミンとの間にアルキル基を含むことによって強い塩基性を有するフェニルアルカンアミン化合物の添加によって達成することができる。
本発明に係る金属ハライドペロブスカイトフィルム内の3D/2Dコア-シェル結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトの結晶の大きさは、10nm乃至1μmであってもよいが、これに制限されない。
本発明に係る3D/2Dコア-シェル結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトフィルムは、自己組み立てシェルによってイオン移動が抑制されて表面欠陥が除去されることによって、従来3D結晶構造を有するバルクナノ結晶金属ハライドペロブスカイトフィルムに比べて光発光強度が約6倍向上し、発光効率及び寿命も顕著に向上したことが分かった(図53及び54参照)。従って、本発明に係る3D/2Dコア-シェル結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトフィルムは、発光素子の発光層に有用に使われることができる。
また、本発明は3D/2Dコア-シェル結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトフィルムの製造方法を提供する。
本発明の3D/2Dコア-シェル結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトフィルムの製造方法は、金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液に化学式1のフェニルアルカンアミン化合物を添加して混合溶液を準備する段階(S100)及び前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液とフェニルアルカンアミン化合物の混合溶液を発光層塗布用部材上に塗布してコーティングさせて3D/2Dコア-シェル結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトフィルムを製造する段階(S200)を含む。
以下、本発明を段階別に説明する。
まず、S100段階は、金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液とフェニルアルカンアミン化合物の混合溶液を準備する段階である。
前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液は、溶媒にAX及びBX2を一定割合で溶かして形成されることができる。例えば、非プロトン性溶媒にAX及びBX2を1.06:1割合で溶かしてABX3金属ハライドペロブスカイトが溶けている金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液を準備することができる。
また、前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液は、非プロトン性溶媒にAXとA’Xの中の一つ以上と、BX2を混合して形成することができる。
前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液製造時に使われる溶媒は、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)またはジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)及びこれらの組み合わせを含むことができる。
前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液の濃度は0.01M乃至1.5Mであり得る。仮に、前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液の濃度が0.01M未満であると、低濃度によってコーティングされる基板を完全に覆うことができず、平坦度が落ちて発光素子に適用された時に漏洩電流によって素子挙動が不可能になる問題があって、1.5Mを超えると高濃度によって薄膜を形成する過程で結晶が一つになって結晶が固まって大きくなり粗い表面を有する問題がある。
前記フェニルアルカンアミン化合物に関する説明は上述したのと同様であるため、重複記載を避けるために省略する。
前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液とフェニルアルカンアミン化合物の混合溶液において、前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液に対して、フェニルアルカンアミン化合物は0.1mol.%乃至20mol.%割合で混合することができる。例えば、前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液に対してフェニルアルカンアミン化合物の混合割合は0.1mol.%、0.5mol.%、1mol.%、1.5mol.%、2mol.%、2.5mol.%、3mol.%、3.1mol.%、3.2mol.%、3.3mol.%、3.4mol.%、3.5mol.%、3.6mol.%、3.7mol.%、3.8mol.%、3.9mol.%、4mol.%、4.1mol.%、4.2mol.%、4.3mol.%、4.4mol.%、4.5mol.%、4.6mol.%、4.7mol.%、4.8mol.%、4.9mol.%、5mol.%、5.1mol.%、5.2mol.%、5.3mol.%、5.4mol.%、5.5mol.%、5.6mol.%、5.7mol.%、5.8mol.%、5.9mol.%、6mol.%、6.1mol.%、6.2mol.%、6.3mol.%、6.4mol.%、6.5mol.%、6.6mol.%、6.7mol.%、6.8mol.%、6.9mol.%、7mol.%、7.1mol.%、7.2mol.%、7.3mol.%、7.4mol.%、7.5mol.%、7.6mol.%、7.7mol.%、7.8mol.%、7.9mol.%、8mol.%、8.1mol.%、8.2mol.%、8.3mol.%、8.4mol.%、8.5mol.%、8.6mol.%、8.7mol.%、8.8mol.%、8.9mol.%、9mol.%、9.1mol.%、9.2mol.%、9.3mol.%、9.4mol.%、9.5mol.%、9.6mol.%、9.7mol.%、9.8mol.%、9.9mol.%、10mol.%、10.5mol.%、11mol.%、11.5mol.%、12mol.%、12.5mol.%、13mol.%、13.5mol.%、14mol.%、14.5mol.%、15mol.%、15.5mol.%、16mol.%、16.5mol.%、17mol.%、17.5mol.%、18mol.%、18.5mol.%、19mol.%、19.5mol.%、20mol.%の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
仮に、前記フェニルアルカンアミン化合物が0.1mol.%未満で混合されると自己組み立てシェルが形成されないことがあり、前記フェニルアルカンアミン化合物が20mol.%を超えて混合されると2D金属ハライドペロブスカイト構造の形成が支配的になるので、3D金属ハライドペロブスカイト結晶を維持しながら結晶表面だけ2D金属ハライドペロブスカイトが包むコア-シェル構造が得られない問題があり得る。また、プロトン移動反応を介してアミン状態に変化した残留有機アンモニウムの量が増加するので、発光素子で適用時電荷注入及び移動、効率的な発光性再結合を邪魔するようになる。
前記フェニルアルカンアミン化合物は、前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液内の有機アンモニウムイオンからプロトンを受けてカチオン形態に変化するようになる。
次に、S200段階は、前記金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液とフェニルアルカンアミン化合物の混合溶液を発光層塗布用部材上に塗布してコーティングさせて3D/2Dコア-シェル結晶構造を有する金属ハライドペロブスカイトフィルムを製造する段階である。
前記発光層塗布用部材は、基板、電極、または半導体層であり得る。前記基板、電極、または半導体層は、発光素子に使われることができる基板、電極、または半導体層を使うことができる。また、前記発光層塗布用部材は、基板/電極が順に積層された形態または基板/電極/半導体層が順に積層された形態であり得る。
前記基板、電極、または半導体層に対する説明は前述したのと同様であるため、詳細な内容は省略する。
この時、コーティングする方法は、スピンコーティング、バーコーティング、ノズルプリンティング、スプレーコーティング、スロットダイコーティング、グラビアプリンティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、電気水力学的ジェットプリンティング(electrohydrodynamic jet printing)、及び電気噴霧(electrospray)からなる群から選択されるが、これに制限されない。
コーティング後、結晶化時カチオン形態の前記フェニルアルカンアミン化合物は、金属ハライドペロブスカイトバルク前駆体溶液内の金属イオン及びハロゲンイオンと反応して2次元の自己組み立てシェルを形成して、これによりコア-シェル構造の金属ハライドペロブスカイト結晶が形成される。
<自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子>
本発明の別の実施例によると、前記発光層は、自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層を含むことができる。
図55は、本発明の一実施例に係る自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層の模式図である。
図55を参照すると、本発明に係る自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層(40)は、発光層塗布用部材(10)上に形成されることができ、パターンを形成する自己組み立て高分子(11)と、前記自己組み立て高分子(11)のパターン内部に形成された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層(12)を含む。
本発明に係る自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層において、前記自己組み立て高分子(11)は、二つ以上の高分子で構成されて、前記二つ以上の高分子が鎖の一端を介して共有結合で連結された特異な類型の高分子であって、前記高分子内の分子が分子間相互作用によって自発的にナノの大きさ水準でシリンダー(cylinder)形態の周期的な構造を発現することができる。前記シリンダー形態の構造で発現した自己組み立て高分子の中で特定高分子を除去することによって、周期的なパターンを形成することができ、前記パターンは、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を束縛することによって、金属ハライドペロブスカイト素材の発光効率を向上させることができて、前記金属ハライドペロブスカイト結晶の間のイオン移動現象を遮断できるので、安定性を向上させることができて、発光ダイオードの発光波長を青色側に移動(blue-shift)させることができて、プロトン発光効率及び輝度を向上させることができる。
このような自己組み立て高分子(11)としては、PEO(Polyethylene oxide)、PS(Polystyrene)、PCL(Polycaprolactone)、PAN(Polyacrylonitrile)、PMMA(Poly(methyl methacrylate))、ポリイミド(Polyimide)、PVDF(Poly(vinylidene fluoride))、PVK(Poly(n-vinylcarbazole))、PVC(Polyvinylchloride)、及びこれら各々の誘導体からなる群から選択された2種以上の高分子からなるランダム共重合体(random copolymer)、交互共重合体(alternating copolymer)、ブロック共重合体(block copolymer)またはグラフト共重合体(graft copolymer)を使うことができるが、これに制限されない。
前記自己組み立て高分子は、形成させようとする発光層の厚さにより単層または2層以上の多層で構成することができる。
本発明に係る自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層において、前記自己組み立て高分子(11)のパターンは、前述した通り、シリンダー形態の構造で発現した2種以上の高分子の共重合体で特定組成の高分子を除去することによって形成することができる。
この時、形成された前記自己組み立て高分子パターンの幅は10乃至100nmであることが好ましく、10~30nmであることがさらに好ましい。
本発明に係る自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層において、前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層(12)を構成する金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、発光層を形成する発光体として、有機溶媒に分散が可能な金属ハライドペロブスカイトまたは金属ハライドペロブスカイトのナノ結晶またはコロイダルナノ粒子を含むことができる。
前記金属ハライドペロブスカイトは前述したのと同様であるため、詳しい説明は省略する。
一方、本発明に係る発光層は図56に示すように、パターンが形成された自己組み立て高分子(11)と前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子領域(12)との間に前記自己組み立て高分子(11)を包む有機物層(13)をさらに含むことができる。
前記有機物層(13)は、自己組み立て高分子(11)のパターンの幅が広すぎる場合、前記幅を減らすために自己組み立て高分子(11)上にコーティングされることができる。
前記有機物層(13)は、自己組み立て高分子と同じ組成の高分子を使ってもよく、他の高分子を使うこともできる。一例として、前記有機物層に使われる有機物は、PEO(Polyethylene oxide)、PS(Polystyrene)、PCL(Polycaprolactone)、PAN(Polyacrylonitrile)、PMMA(Poly(methyl methacrylate))、ポリイミド(Polyimide)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロル、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、PVDF(Poly(vinylidene fluoride))、PVK(Poly(n-vinylcarbazole))、PVC(Polyvinylchloride)及びこれらの誘導体からなる群から選択されるいずれか一つ、または2種以上の混合物であってもよいが、これに制限されない。
前記有機物層(13)は、当業界で使う蒸着方法で前記自己組み立て高分子パターン上に形成することができ、一例として、前記化学気相蒸着方法(chemical vapor deposition、CVD)または熱蒸着方法(thermal deposition)を使うことができるが、これに制限されない。
前記有機物層(13)の厚さは、形成された自己組み立て高分子パターンの幅に応じて調節することができ、例えば1~20nmであってもよいが、これに制限されない。
一方、本発明に係る発光層は、図57に示すように、パターンが形成された自己組み立て高分子(11)と前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子領域(12)との間に前記自己組み立て高分子(11)を包む有機物層(13)をさらに含むことができる。
前記有機物層(13)は、自己組み立て高分子(11)のパターンの幅が広すぎる場合、前記幅を減らすために自己組み立て高分子(11)上にコーティングされることができる。
前記有機物層(13)は、自己組み立て高分子と同じ組成の高分子を使ってもよく、他の高分子を使うこともできる。一例として、前記有機物層に使われる有機物は、PEO(Polyethylene oxide)、PS(Polystyrene)、PCL(Polycaprolactone)、PAN(Polyacrylonitrile)、PMMA(Poly(methyl methacrylate))、ポリイミド(Polyimide)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロル、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、PVDF(Poly(vinylidene fluoride))、PVK(Poly(n-vinylcarbazole))、PVC(Polyvinylchloride)及びこれらの誘導体からなる群から選択されるいずれか一つ、または2種以上の混合物であってもよいが、これに制限されない。
前記有機物層(13)は、当業界で使う蒸着方法で、前記自己組み立て高分子パターン上に形成することができ、一例として、前記化学気相蒸着方法(chemical vapor deposition、CVD)または熱蒸着方法(thermal deposition)を使うことができるが、これに制限されない。
前記有機物層(13)の厚さは、形成された自己組み立て高分子パターンの幅に応じて調節することができ、例えば1~20nmであってもよいが、これに制限されない。
以下、前述された自己組み立て高分子発光層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子の製造方法を説明する。
図57は、本発明の一実施例に係る自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層の製造方法を示すフローチャートである。
図57を参照すると、本発明の自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層の製造方法は、発光層塗布用部材上に自己組み立て高分子パターンを形成する段階(S100);
製造された自己組み立て高分子パターン内に金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層を形成させて発光層を製造する段階(S200);及び
前記発光層を熱処理する段階(S300)を含む。
以下、本発明を段階別に説明する。
まず、S100段階は、発光層塗布用部材上に自己組み立て高分子パターンを形成する段階である。
前記段階では、まず発光層塗布用部材を準備する。
前記発光層塗布用部材は、基板、電極、または半導体層であり得る。前記基板、電極、または半導体層は、発光素子に使われることができる基板、電極、または半導体層を使うことができる。また、前記発光層塗布用部材は、基板/電極が順に積層された形態または基板/電極/半導体層が順に積層された形態であり得る。
前記基板、電極、または半導体層に対する説明は、前述したのと同様であるため、詳しい説明は省略する。
次に、前記発光層塗布用部材上に自己組み立て高分子パターンを形成する。
本発明で使われる自己組み立て高分子は2種以上の高分子が自己組み立て反応を介して発光層塗布用部材上にシリンダー形態で形成されるので、前記シリンダー形態で形成された高分子の中の一つを除去することによってパターンを形成することができる。
一例として、図58に示すように、基板(10)上にランダム共重合体薄膜(11a)を形成させて、前記ランダム共重合体薄膜(11a)上にシリンダー(cylinder)形態を有するPS-b-PMMAブロック共重合体薄膜(11b)を形成させた後、自己組み立てを介して得られたシリンダー形態のブロック共重合体から選択的にPMMAシリンダーの部分及びPMMAの下のランダム共重合体薄膜までエッチングしてPS部分だけ残された自己組み立て高分子パターンを形成することができる。
また、図59に示すように、前記自己組み立て高分子パターン形成後に、パターンが形成された自己組み立て高分子(11)上に有機物層(13)を形成する段階(S150)を追加で行うことができる。
前記有機物層(13)は、自己組み立て高分子(11)のパターンの幅が広すぎる場合、前記幅を減らすために図61に示すように、自己組み立て高分子(11)上にコーティングされることができる。
前記有機物層(13)は、自己組み立て高分子と同じ組成の高分子を使ってもよく、他の高分子を使うこともできる。一例として、前記有機物層に使われる有機物は、PEO(Polyethylene oxide)、PS(Polystyrene)、PCL(Polycaprolactone)、PAN(Polyacrylonitrile)、PMMA(Poly(methyl methacrylate))、ポリイミド(Polyimide)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロル、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、PVDF(Poly(vinylidene fluoride))、PVK(Poly(n-vinylcarbazole))、PVC(Polyvinylchloride)及びこれらの誘導体からなる群から選択されるいずれか一つ、または2種以上の混合物であってもよいが、これに制限されない。
前記有機物層(13)は当業界で使う蒸着方法で、前記自己組み立て高分子パターン上に形成することができ、一例として、前記化学気相蒸着方法(chemical vapor deposition、CVD)または熱蒸着方法(thermal deposition)を使うことができるが、これに制限されない。
前記有機物層(13)の厚さは、形成された自己組み立て高分子パターンの幅に応じて調節することができ、例えば1~20nmであってもよいが、これに制限されない。
次に、S200段階は、製造された自己組み立て高分子パターン内に金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層を形成させて発光層を製造する段階である。
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層を形成させる方法は、
プロトン性溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を準備する段階;及び
前記第1溶液を自己組み立て高分子パターン内に入れて金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層を形成する段階を含む。
まず、プロトン性溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を準備する。前記プロトン性溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を製造する方法は前述したのと同様であるため、詳しい説明は省略する。
次に、前記第1溶液を自己組み立て高分子パターン内に入れて金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層を形成する。
具体的に、図61に示すように、前記第1溶液をシリンダー形態で開けられている自己組み立て高分子パターン内に配置させる。配置方法としては溶液を一滴ずつ落としたり溶液工程を使うことができるが、これに制限されない。
前記溶液工程は、スピンコーティング(Spin-coating)、バーコーティング(bar coating)、スロットダイ(Slot-die coating)、グラビアプリンティング(Gravure-printing)、ノズルプリンティング(nozzle printing)、インクジェットプリンティング(ink-jet printing)、スクリーンプリンティング(Screen printing)、電気水力学的ジェットプリンティング(electrohydrodynamic jet printing)、及び電気噴霧(electrospray)からなる群から選択される少なくとも一つの工程を含むことができる。
また、逆ナノ-エマルション(Inverse nano-emulsion)法により金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を製造することができる。
具体的に、プロトン性(protic)溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液及び非プロトン性(aprotic)溶媒にアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液を準備する段階;及び
前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜて自己組み立て高分子パターン内に配置して、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶層を形成する段階を含む方法で行うことができる。
この時、前記プロトン性溶媒及び金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液の製造は前述したのと同様である。
この時、第2溶液準備時非プロトン性溶媒はジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、スチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、シクロヘクセンまたはイソプロピルアルコールを含むことができるが、これに制限されない。
また、アルキルハライド界面活性剤は、alkyl-Xの構造であり得る。この時のXに該当するハロゲン元素は、Cl、BrまたはIなどを含むことができる。また、この時のアルキル構造にはCnH2n+1の構造を有する非環式アルキル(acyclic alkyl)、CnH2n+1OHなどの構造を有する一次アルコール(primary alcohol)、二次アルコール(Secondary alcohol)、三次アルコール(tertiary alcohol)、alkyl-Nの構造を有するアルキルアミン(alkylamine) (ex.Hexadecyl amine、9-Octadecenylamine 1-Amino-9-octadecene(C19H37N))、p-置換されたアニリン(p-substituted aniline)及びフェニルアンモニウム(phenyl ammonium)及びフルオリンアンモニウム(fluorine ammonium)を含むことができるが、これに制限されない。
一方、アルキルハライド界面活性剤の代わりにカルボキシル酸(COOH)界面活性剤を使うことができる。
例えば、界面活性剤は、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(4,4’-Azobis(4-cyanovaleric acid))、酢酸(Acetic acid)、5-アミノサリチル酸(5-Aminosalicylic acid)、アクリル酸(Acrylic acid)、L-アスペン酸(L-Aspentic acid)、6-ブロモヘキサン酸(6-Bromohexanoic acid)、ブロモ酢酸(Bromoacetic acid)、ジクロロ酢酸(Dichloro acetic acid)、エチレンジアミンテトラ酢酸(Ethylenediaminetetraacetic acid)、イソ酪酸(Isobutyric acid)、イタコン酸(Itaconic acid)、マレイン酸(Maleic acid)、r-マレイミド酪酸(r-Maleimidobutyric acid)、L-リンゴ酸(L-Malic acid)、4-ニトロ安息香酸(4-Nitrobenzoic acid)、1-ピレンカルボン酸(1-Pyrenecarboxylic acid)またはオレイン酸(oleic acid)を含むことができるが、これに制限されない。
前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜて自己組み立て高分子パターン内に配置して、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶層を形成する段階は、前記第2溶液に前記第1溶液を一滴ずつ落として混ぜることが好ましい。また、この時の第2溶液は撹はんを行うことができる。例えば、強く撹はん中であるアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液に有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)が溶けている第2溶液をゆっくり一滴ずつ添加してナノ粒子を合成することができる。
この場合、第1溶液を第2溶液に落として混ぜると、溶解度差によって第2溶液で有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)が析出(precipitation)される。なお、第2溶液で析出された有無機金属ハライドペロブスカイト(OIP)をアルキルハライド界面活性剤が表面を安定化しながらよく分散した有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(OIP-NC)を生成するようになる。従って、有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶及びこれを取り囲む複数個のアルキルハライド有機リガンドを含む有無機金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液を製造することができる。
以後、前記金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を含む溶液を前述した方法を利用してシリンダー形態で開けられている自己組み立て高分子パターン内に配置させて、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶層を形成することができる。
ところで、仮に、図62に示すように、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層が、高分子パターン高さから外れて高分子パターン上に形成される場合には、図63に示すように、前記高分子パターン上に形成された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層を除去する段階(S250)を追加で行うことができる。
前記高分子パターン上に形成された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層除去は、金属ハライドペロブスカイトを溶解させる溶媒を前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層の上に落として自己組み立て高分子パターン上部に位置した金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層だけを溶かした後、スピンコーティングなどの方法で除去することで行われることができる。
次に、S300段階は、製造された発光層を熱処理する段階である。
前記熱処理は60~80℃で5~15分間行うことができる。
前記熱処理を介して、溶媒が蒸発されて、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子が高分子のパターン内に強く結合する。
本発明の一実施例では、CsBr及びPbBr2をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かして金属ハライドペロブスカイト(CsPbBr3)溶液を準備した後、自己組み立て高分子パターンが形成された基板上に前記金属ハライドペロブスカイト溶液をスピンコーティングして、70℃で10分間熱処理して自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層を製造した。
前記方法で製造された自己組み立て高分子-金属ハライドペロブスカイト発光層は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を自己組み立て高分子パターン内に束縛することによって、発光波長を青色側に移動(blue-shift)させて、金属ハライドペロブスカイト素材の発光効率を向上させることができて、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層の間に位置した自己組み立て高分子が、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子層の間のイオン移動現象を防ぐことができるので、安定性を向上させることができる。
<ナノ結晶の構造が調節された類似-2次元金属ハライドペロブスカイト発光層を含んだ金属ハライドペロブスカイト発光素子>
本発明の別の実施例によると、前記発光層が類似(Quasi)-2次元構造を有する場合、ナノ結晶の構造が調節された類似-2次元金属ハライドペロブスカイト発光層を含むことができる。前記quasi-2D構造は、ルドルスデン-ポッパー(Ruddlesden-Popper)相またはティオン-ジェイコブソン(Dion-Jacobson)相であり得る。
最近類似(Quasi)-2次元金属ハライドペロブスカイトを形成して高いバンドギャップを有する2次元金属ハライドペロブスカイトで低いバンドギャップを有する3次元金属ハライドペロブスカイトの電荷伝達及び電荷閉じ込めにより高い発光効率が報告された。しかし金属ハライドペロブスカイト結晶は、結晶の方向性と分布の傾向なしに無作為結晶化されるので、次元分布を調節するのが難しく、高効率発光素子製作のためには界面クエンチングを減らして電荷均衡を合わせるために追加的な界面処理を進めなければならない短所がある。従って、金属ハライドペロブスカイト発光層の次元数及び分布を調節して、電荷解離を防げる効果的なエネルギー構造のための新しい工程の開発が必要である。
本発明に係るナノ結晶の構造が調節された類似-2次元金属ハライドペロブスカイト発光層は、基板上に類似(Quasi)-2次元構造金属ハライドペロブスカイト溶液をコーティングして類似(Quasi)-2次元構造金属ハライドペロブスカイトフィルムを形成する段階及び前記類似(Quasi)-2次元構造金属ハライドペロブスカイトフィルム上に沸点が100℃以上である溶媒を点滴(dropping)して、前記類似(Quasi)-2次元構造金属ハライドペロブスカイト結晶の複合相(multi-phase)構造を3次元構造に調節する段階を含む結晶構造が調節された類似(Quasi)-2次元構造金属ハライドペロブスカイトフィルムの製造方法によって製作されることができる。(図63、図64参照)
また好ましくは、前記溶媒は、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、ブタノール(butanol)、ペンタンオール(pentanol)、ヘキサノール(hexanol)、ヘプタノール(heptanol)、オクタノール(octanol)、オクタン(octane)及びデカン(decane)からなる群から選択される1種以上またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また好ましくは、前記類似(Quasi-2D)-2次元金属ハライドペロブスカイトは、A’2An-1BnX3n+1の単一相構造または互いに異なるn値を有する複合相(multi-phase)構造を含むことができる。前記quasi-2D構造は、ルドルスデン-ポッパー(Ruddlesden-Popper)相またはティオン-ジェイコブソン(Dion-Jacobson)相であり得る。
また好ましくは、前記A及びA’は1価カチオンで、前記Bは金属物質で、前記Xはハロゲン元素であり得る。
前記1価カチオンは、1価有機カチオンであるかアルカリ金属であり得る。例えば、前記1価有機カチオンは、有機アンモニウム(RNH3)+、有機アミジニウム誘導体(RC(=NR2)NR2)+、有機グアニジニウム誘導体(R2NC(=NR2)NR2)+、有機ジアンモニウム(CxH2x-n+4)(NH3)n
+、((CxH2x+1)nNH3)(CH3NH3)n
+、(RNH3)2
+、(CnH2n+1NH3)2
+、(CF3NH3)+、(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2
+または(CnF2n+1NH3)2
+(x、nは1以上である整数、R=炭化水素誘導体、H、F、Cl、Br、I)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記アルカリ金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
また好ましくは、前記有機カチオンは、アセトアミジニウム(acetamidinium)、アザスピロンアニウム(azaspironanium)、ベンゼンジアンモニウム(benzene diammonium)、ベンジルアンモニウム(benzylammonium)、ブタンジアンモニウム(butanediammonium)、イソブチルアンモニウム(iso-butylammonium)、n-ブチルアンモニウム(n-butylammonium)、t-ブチルアンモニウム(t-butylammonium)、シクロヘキシルアンモニウム(cyclohexylammonium)、シクロヘキシルメチルアンモニウム(cyclohexylmethylammonium)、ジアゾビシクロオクタンジニウム(diazobicyclooctanedinium)、ジエチルアンモニウム(diethylammonium)、N,N-ジエチルエタンジアンモニウム(N、N-diehtylethane diammonium、N,N-ジエチルプロパンジアンモニウム(N、N-diethylpropane diammonium)、ジメチルアンモニウム(dimethylammonium)、N,N-ジメチルエタンジアンモニウム(N、N-dimethylethane diammonium)、ジメチルプロパンジアンモニウム(dimethylpropane diammonium)、ドデシルアンモニウム(dodecylammonium)、エタンジアンモニウム(ethanediammonium)、エチルアンモニウム(ethylammoniuium)、4-フルオロ-ベンジルアンモニウム(4-fluoro-benzylammonium)、4-フルオロ-フェニルエチルアンモニウム(4-fluoro-phenylethylammonium)、4-フルオロ-フェニルアンモニウム(4-fluoro-phenylammonium)、ホルムアミジニウム(formamidinium)、グアニジニウム(guanidinium)、ヘキサンジアンモニウム(hexanediammnium)、ヘキシルアンモニウム(hexylammonium)、イミダゾリウム(imidazolium)、2-メトキシエチルアンモニウム(2-methoxyethylammonium)、4-メトキシ-フェニルエチルアンモニウム(4-methoxy-phenlylethylammonium)、4-メトキシ-フェニルアンモニウム(4-methoxy-phenylammonium)、メチルアンモニウム(methylammonium)、モルホリニウム(morpholinium)、オクチルアンモニウム(oxtylammonium)、ペンチルアンモニウム(pentylammonium)、ピペラジンジウム(piperazinediium)、ピペリジニウム(piperidinium)、プロパンジアンモニウム(propanediammonium)、イソ-プロピルアンモニウム(iso-propylammonium)、ジ-イソプロピルアンモニウム(di-iso-propylammonium)、n-プロピルアンモニウム(n-propylammonium)、ピリジニウム(pyridinium)、2-pyrrole-1イウム-1-ごのエチルアンモニウム(2-pyrrolidin-1-ium-1-yethylammonium)、ピロリジニウム(pyrrolidinium)、キヌクリジン-1-イウム(quinclidin-1-ium)、4-トリフルオロメチル-ベンジルアンモニウム(4-trifluoromethyl-benzylammonium)、4-トリフルオロメチルアンモニウム(4-trifluoromethyl ammonium)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
前記Bは2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、1価金属、3価金属の組み合わせ、有機物(1価、2価、3価のカチオン)及びこれらの組み合わせであり得る。また好ましくは、前記2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属は、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Ru2+、Pd2+、Cd2+、Pt2+、Hg2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Se2+、Te2+、Po2+、Bi2+、Eu2+、No2+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記1価金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、Ag+、Hg+、Ti+及びこれらの組み合わせであってもよく、前記3価金属は、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ru3+、Rh3+、Ir3+、Au3+、Al3+、Ga3+、In3+、Ti3+、As3+、Sb3+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+、Ac3+、Am3+、Cm3+、Bk3+、Cf3+、Es3+、Fm3+、Md3+、Lr3+及びこれらの組み合わせであり得る。
また、前記XはF-、Cl-、Br-、I-、At-及びこれらの組み合わせであり得る。
また好ましくは、類似(Quasi)-2次元構造金属ハライドペロブスカイト溶液製造時、使われる溶媒は、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)またはジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)及びこれらの組み合わせを含むことができる。
また好ましくは、類似(Quasi)-2次元構造金属ハライドペロブスカイト溶液の濃度は、0.01M乃至0.5Mであり得る。
また好ましくは、前記コーティング方法は、スピンコーティング、バーコーティング、ノズルプリンティング、スプレーコーティング、スロットダイコーティング、グラビアプリンティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、電気水力学的ジェットプリンティング(electrohydrodynamic jet printing)及び電気噴霧(electrospray)からなる群から選択されることができる。
<高効率発光素子のための金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子のリガンド置換>
前記発光層が、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子である場合、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を取り囲んでいる有機リガンドを長さが短いリガンドで置き換えたりフェニル基あるいはフッ素基を含んでいるリガンドで置き換えて発光効率がより向上したナノ結晶粒子発光体及びこれを利用した発光素子を製作することができる。
以下、本発明の一実施例に係る有機リガンドが置換された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体製造方法を説明する。
図65は、本発明の一実施例に係る有機リガンドが置換された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体製造方法を示したフローチャートである。
図65を参照すると、本発明に係る有機リガンドが置換された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体製造方法は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体を含む溶液を準備する段階(S100)及び前記溶液に前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体の第1有機リガンドを第2有機リガンドで置き換える段階(S200)を含む。
まず、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体を含む溶液を準備(S100)する。これに対する一製造例として図66乃至図69を参照して説明する。
図66は、本発明の一実施例に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体製造方法を示したフローチャートである。
図66を参照すると、逆ナノ-エマルション(Inverse nano-emulsion)法により本発明に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体を製造することができる。
まず、プロトン性(protic)溶媒に金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液及び非プロトン性(aprotic)溶媒にアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液を準備する(S110)。
この時のプロトン性溶媒は、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)またはN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を含むことができるが、これに制限されない。
前記金属ハライドペロブスカイトは、三次元的な結晶構造または二次元的な結晶構造または一次元的結晶構造または0次元的結晶構造を有する物質であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイトは、ABX3(3D)、A4BX6(0D)、AB2X5(2D)、A2BX4(2D)、A2BX6(0D)、A2B+B3+X6(3D)、A3B2X9(2D)またはAn-1BnX3n+1(qausi-2D)の構造(nは2乃至6の間の整数)を含むことができる。前記Aは1価カチオンで、前記Bは金属物質で、前記Xはハロゲン元素であり得る。前記quasi-2D構造は、ルドルスデン-ポッパー(Ruddlesden-Popper)相またはティオン-ジェイコブソン(Dion-Jacobson)相であり得る。
前記A、B及びXの具体的な例は前述したのと同様であるため、重複記載を避けるために省略する。
このような金属ハライドペロブスカイトは、AX及びBX2を一定割合で組み合わせて準備することができる。例えば、プロトン性溶媒にAX及びBX2を2:1割合で溶かしてA2BX3金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を準備することができる。また、この時の非プロトン性溶媒は、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、スチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、シクロヘクセンまたはイソプロピルアルコールを含むことができるが、これに制限されない。
前記アルキルハライド界面活性剤はalkyl-Xの構造であり得る。この時のXに該当するハロゲン元素はCl、BrまたはIなどを含むことができる。また、この時のalkyl構造には、CnH2n+1の構造を有する非環式アルキル(acyclic alkyl)、CnH2n+1OHなどの構造を有する一次アルコール(primary alcohol)、二次アルコール(Secondary alcohol)、三次アルコール(tertiary alcohol)、alkyl-Nの構造を有するアルキルアミン(alkylamine)(ex.Hexadecyl amine、9-Octadecenylamine 1-Amino-9-octadecene(C19H37N))、p-置換されたアニリン(p-substituted aniline)、フェニルアンモニウム(phenyl ammonium)またはフルオリンアンモニウム(fluorine ammonium)を含むことができるが、これに制限されない。
このような金属ハライドペロブスカイトは、AX及びBX2を一定割合で組み合わせて準備することができる。例えば、プロトン性溶媒にAX及びBX2を2:1割合で溶かしてA2BX3金属ハライドペロブスカイトが溶けている第1溶液を準備することができる。また、この時の非プロトン性溶媒は、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、スチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、シクロヘクセンまたはイソプロピルアルコールを含むことができるが、これに制限されない。
前記アルキルハライド界面活性剤はalkyl-Xの構造であり得る。この時のXに該当するハロゲン元素はCl、BrまたはIなどを含むことができる。また、この時のalkyl構造にはCnH2n+1の構造を有する非環式アルキル(acyclic alkyl)、CnH2n+1OHなどの構造を有する一次アルコール(primary alcohol)、二次アルコール(Secondary alcohol)、三次アルコール(tertiary alcohol)、alkyl-Nの構造を有するアルキルアミン(alkylamine) (ex.Hexadecyl amine、9-Octadecenylamine 1-Amino-9-octadecene(C19H37N))、p-置換されたアニリン(p-substituted aniline)、フェニルアンモニウム(phenyl ammonium)またはフルオリンアンモニウム(fluorine ammonium)を含むことができるが、これに制限されない。
一方、アルキルハライド界面活性剤の代わりにカルボキシル酸(COOH)界面活性剤を使うことができ、前記カルボキシル酸界面活性剤の種類は前述したのと同様である。
その次に、前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ結晶粒子を形成する(S200)。
前記第1溶液を前記第2溶液に混ぜてナノ結晶粒子を形成する段階は、図67に示すように、前記第2溶液に前記第1溶液を一滴ずつ落として混ぜることが好ましい。また、この時の第2溶液は撹はんを行うことができる。例えば、強く撹はん中のアルキルハライド界面活性剤が溶けている第2溶液に金属ハライドペロブスカイト(OIP)が溶けている第2溶液をゆっくり一滴ずつ添加してナノ結晶粒子を合成することができる。
この場合、第1溶液を第2溶液に落として混ぜると、溶解度差によって第2溶液で金属ハライドペロブスカイト(OIP)が析出(precipitation)される。なお第2溶液で析出された金属ハライドペロブスカイト(OIP)をアルキルハライド界面活性剤が表面を安定化しながらよく分散した有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(OIPNC)を生成するようになる。従って、図68に示したように、有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造及びこれを取り囲む複数個のアルキルハライド有機リガンドを含む金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体を製造することができる。
次に、前記溶液で前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体の第1有機リガンドを第2有機リガンドで置き換える(S200)。
この時、前記溶液に前記第1有機リガンドより長さが短いかフェニル基またはフッ素基を含む第2有機リガンドを添加して前記第1有機リガンドを前記第2有機リガンドで置き換えることができる。この時、一定の熱を加えて置換反応を行うことができる。
この時の第2有機リガンドはアルキルハライドを含むことができる。例えば、第2有機リガンドはalkyl-X’の構造であり得る。この時のX’に該当するハロゲン元素はCl、BrまたはIなどを含むことができる。また、この時のalkyl構造にはCnH2n+1の構造を有する非環式アルキル(acyclic alkyl)、CnH2n+1OHなどの構造を有する一次アルコール(primaryalcohol)、二次アルコール(Secondary alcohol)、三次アルコール(tertiary alcohol)、alkyl-Nの構造を有するアルキルアミン(alkylamine)(ex.Hexadecyl amine、9-Octadecenylamine1-Amino-9-octadecene(C19H37N))、p-置換されたアニリン(p-substituted aniline)、フェニルアンモニウム(phenyl ammonium)またはフルオリンアンモニウム(fluorine ammonium)を含むことができるが、これに制限されない。
また、この時の第2有機リガンドは、アルキルハライドを含み、前記第2有機リガンドのハロゲン元素は、前記第1有機リガンドのハロゲン元素より前記有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造の中心金属との親和力が高い元素であることを特微とする。
例えば、第1有機リガンドがCH3(CH2)17NH3Brである場合、前記第1有機リガンドより金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造の中心金属と親和性が大きいハロゲン元素を有している長さが短いアルキルハライド界面活性剤としてCH3(CH2)8NH3Iを入れて、熱を加えて有機リガンド置換を行うことができる。従って、CH3(CH2)8NH3Iが、ナノ結晶構造を取り囲む第2有機リガンドになって、結果的にナノ結晶粒子発光体の有機リガンドの長さを減らすことができる。
本発明に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体は、上述した通り析出される金属ハライドペロブスカイトの表面を安定化するために界面活性剤で使われたアルキルハライド(第1有機リガンド)が金属ハライドペロブスカイトの表面を取り囲んでナノ結晶構造を形成するようになる。
一方、仮に、このようなアルキルハライド界面活性剤の長さが短い場合、形成される結晶粒子の大きさが大きくなるため、900nmを超えて形成されることができて、この場合大きいナノ結晶粒子中で熱的イオン化及び電荷運搬体の非偏在化によってエキシトンが発光に行けず自由電荷に分離して消滅する根本的な問題があり得る。
即ち、形成される金属ハライドペロブスカイト結晶粒子の大きさとこのようなナノ結晶粒子を形成するために使われるアルキルハライド界面活性剤の長さは反比例する。
従って、一定長さ以上のアルキルハライドを界面活性剤で使うことによって形成される金属ハライドペロブスカイト結晶粒子の大きさを一定大きさ以下に制御することができる。例えば、アルキルハライド界面活性剤でオクタデシルアンモニウムブロミド(octadecyl-ammonium bromide)を使って900nm以下の大きさを有する有無機ハイブリッド金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を形成することができる。
従って、このように一定の大きさ以下のナノ結晶粒子を形成するために一定の長さ以上のアルキルハライド(第1有機リガンド)を使って、その次にこのような第1有機リガンドを長さが短いかフェニル基あるいはフッ素基を含む第2リガンドで置き換えてナノ結晶構造中にエネルギー遷移(energy transfer)あるいは電荷注入(charge injection)をより増加させて発光効率を増加させることができる。さらに、置換された疏水性リガンドによって耐久性-安定性も増加させることができる。
このような置換段階(S200)と関連して図69を参照してさらに具体的に説明する。
図69は、本発明の一実施例に係る有機リガンドが置換された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体製造方法を示した模式図である。
図69(a)を参照すると、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(110)及びこのようなナノ結晶構造(110)を取り囲む第1有機リガンド(120)を含む有無機ハイブリ金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体(100)を準備する。このようなナノ結晶粒子発光体(100)は、溶液内に含まれた状態(溶液状態)で準備されることができる。一方、図示されるように金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(110)の中心金属はPbであることを例にする。
その次に、このようなナノ結晶粒子発光体(100)が含まれた溶液に第2有機リガンド(130)を添加する。
図69(b)を参照すると、第2有機リガンド(130)の添加によって第1有機リガンド(120)が第2有機リガンド(130)に置き換わる。このような有機リガンド置換は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(110)の中心金属とハロゲン元素間の親和力強度差を利用して行われることができる。例えば、Cl<Br<Iの順に中心金属との親和力が強い。
従って、第1有機リガンド(120)のハロゲン元素(X)がClの場合、第2有機リガンド(130)のハロゲン元素(X’)をBrまたはIで使ってリガンド置換を行うことができる。
従って、このような第1有機リガンド(120)を長さが短いかフェニル基またはフッ素基を含む第2有機リガンド(130)で置換して発光効率がより向上した有機リガンド置換された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子発光体(100’)を形成することができる。
さらに別の例で、上述した有機リガンドが置換された有無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子または有機リガンドが置換された無機金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を含む光活性層を利用して太陽電池に適用することもできる。このような太陽電池は、第1電極、第2電極、及び前記第1電極及び第2電極の間に位置し、上述した金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子を含む光活性層を含むことができる。
<積層構造を有する金属ハライドペロブスカイト発光層を含む金属ハライドペロブスカイト発光素子>
本発明の別の実施例によると、前記発光層は、積層構造を有する金属ハライドペロブスカイトを含むことができる。
本発明の一実施例に係る発光素子において、前記発光層(40)は、第1発光物質層と第2発光物質層が交互に配置されて積層構造を有するもので、第1発光物質層と第2発光物質層は互いに異なるバンドギャップを有する金属ハライドペロブスカイトを含むことができる。このような発光層は、第1発光物質層の金属ハライドペロブスカイトと第2発光物質層のペロブスカイトが共蒸着されたものであり得る。今まで、金属ハライドペロブスカイト発光素子で使う金属ハライドペロブスカイト発光層は、主に溶液工程を介して製作されている。しかし、前記溶液工程は、形成される薄膜の均一度が低く厚さ調節が容易でなく、溶媒の特性によって混合できる物質が制限される短所がある。金属ハライドペロブスカイト発光素子における最も大きい性能の阻害要因は不均一な薄膜である。積層された薄膜で構成された薄膜素子において、薄膜の不均一は電荷均衡を破って漏洩電流(leakage current)を発生させて素子性能を大きく低下させる要因の一つである。特に、金属ハライドペロブスカイトは、薄膜形成条件及び周辺環境によりその薄膜のモルフォロジーが大きく変わるので、薄膜の均一度は金属ハライドペロブスカイト発光素子の性能において大変重要である。不均一な薄膜の例としては、CH3NH3PbBr3を形成する通常のスピンコーティング工程が挙げられるが、追加的なナノ結晶固定化工程を使わない場合、自発的結晶化(Spontaneous crystallization)によって孤立した結晶(isolated crystal)形態で薄膜が形成される問題点がある[Science 2015、350、1222]。しかし、ナノ結晶固定化工程を使う場合には、薄膜の膜質が実験環境により大きく左右されるため、同じ工程を使っても膜質の偏差(deviation)が大きい短所がある。また、ナノ結晶固定化になる領域にだけ薄膜の膜質が改善されるので、大面積素子の実現において限界がある。しかし、前記金属ハライドペロブスカイト発光層を蒸着工程で製造した例は今までになかった。素子内の電子-正孔再結合区域(electron-hole recombination zone)の位置、即ち素子の発光スペクトルは、発光層の厚さによって影響を受け、使われた材料のエネルギー準位により変わる。そこで、本発明では蒸着(evaporation)方法により第1発光物質層と第2発光物質層を共蒸着させることで薄膜を製造した。前記第1発光物質層と第2発光物質層を共蒸着させることで、均一な薄膜が形成できて、薄膜の厚さ調節が容易で、形成される金属ハライドペロブスカイト結晶の大きさが小さくなることによって、エキシトン(exciton)または電荷輸送体(charge carrier)が空間的に束縛されて発光効率が向上することができる。
図70は、本発明の一実施例に係る積層構造の発光層を示す断面図である。
図70を参照すると、本発明に係る積層構造の発光層は第1発光物質層と第2発光物質層が、交互に配置されて積層構造を有することで、第1発光物質層と第2発光物質層は互いに異なるバンドギャップ(band gap)を有する金属ハライドペロブスカイトを含むことができる。
より詳細には、第1発光物質層のバンドギャップ(band gap)が第2発光物質層のバンドギャップ(band gap)より大きい。具体的に、第1発光物質層の価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位は、第2発光物質層の価電子帯最上端のエネルギー準位より低く、第1発光物質層の電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位は第2発光物質層の電子対最下端のエネルギー準位より高くなり得る。発光層の価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位は、陽極の仕事関数及び前記正孔注入層のHOMO(Highest Occupiedmolecular Orbital)エネルギー準位より低く、陰極の仕事関数及び電子輸送層のHOMOエネルギー準位より高くなり得る。発光層の電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位は、陽極の仕事関数及び前記正孔注入層のLUMO(Lowest Unoccupiedmolecular Orbital)エネルギー準位より低く、陰極の仕事関数または前記電子輸送層のLUMOエネルギー準位より高くなり得る。
即ち、互いに異なるバンドギャップを有する金属ハライドペロブスカイトが、交互に配置されて積層されている発光層の場合、物質のエネルギー準位によりエネルギー遷移挙動が変わることができる。これにより、エネルギー遷移は、バンドギャップがより大きい第1発光物質層からバンドギャップがさらに小さい第2発光物質層に起きることにより、第2発光物質層だけで発光が起きることができる。これにより、発光素子の電子-正孔再結合区域(electron-hole recombination zone)を制御することができる。従って、発光が起きる位置を制御するために使われる物質のエネルギー準位は重要である。
金属ハライドペロブスカイトが含まれた発光物質層の価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位の測定は、薄膜表面にUVを照射して、この時飛び出してくる電子(electron)を検出して物質のイオン化電位(ionization potential)を測定する方法であって、UPS(UV photoelectron spectroscopy)を利用することができる。または、測定対象物質を電解液と共に溶媒に溶かした後、電圧走査(voltage sweep)を介して酸化電位(oxidation potential)を測定するCV(cyclic voltammetry)方法を利用することができる。また、AC-3(RKI社)の機器を利用して大気中イオン化電位(ionization potentioal)を測定するPYSA(Photoemission Yield Spectrometer in Air)方法を利用することができる。また、金属ハライドペロブスカイトの電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位は、IPES(Inverse Photoelectron Spectroscopy)または電気化学的還元電位(electrochemical reduction potential)の測定により求めることができる。IPESは、電子ビーム(electron beam)を薄膜に照射して、この時出てくる光を測定して電子対最下端のエネルギー準位を決定する方法である。また、電気化学的還元電位の測定は、測定対象物質を電解液と共に溶媒に溶かした後、電圧走査(voltage sweep)を介して還元電位(reduction potential)を測定することができる。または、価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位と対象物質のUV吸収程度を測定して得た一重項エネルギー準位を利用して、電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位を計算することができる。
具体的に、本明細書の価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位は、ITO基板上に対象物質を50nm以上の厚さで真空蒸着した後、AC-3(RKI社)測定器を介して測定した。また、電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位は、前記製造されたサンプルの吸収スペクトル(abs.)と光発光スペクトル(PL)を測定した後、各スペクトルエッチエネルギーを計算して、その差をバンドギャップ(Eg)と見て、AC-3で測定した価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位からバンドギャップ差を差し引いた値で電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位を計算した。
図71は、本発明の一実施例により、第1発光物質層と第2発光物質層が、交互に配置されて積層構造を有する発光層のエネルギー準位を示したものである。
本発明では、第2発光物質層で発光が起きることができる。従って、より大きいバンドギャップを有する第1発光物質層の金属ハライドペロブスカイトとより小さいバンドギャップを有する第2発光物質層の金属ハライドペロブスカイトが、交互に配置されて積層構造を有することができる。即ち、前記第1発光物質層の価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位は、前記第2発光物質層の価電子帯最上端のエネルギー準位より低く、第1発光物質層の電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位は、前記第2発光物質層の電子対最下端のエネルギー準位より高くなり得る。
図72は、本発明の一実施例により、第1発光物質層と第2発光物質層が、交互に配置されて積層構造を有する発光層に使われる物質のエネルギー準位を示す。
図72を参照すると、前記MAPbBr3の価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位は(-)5.9で、電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位は(-)3.6である。前記MAPbBr3を第2発光物質層に含まれた金属ハライドペロブスカイトで使うことができる。この時、PEAPbBr3の場合、価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位が(-)6.4であるため、MAPbBr3の価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位より低く、電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位が(-)2.5とMAPbBr3の電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位より高い。従って、MAPbBr3が第2発光物質層に含まれた金属ハライドペロブスカイトで使われる場合、PEAPbBr3は、第1発光物質層に含まれた金属ハライドペロブスカイトで使われることができる。即ち、本発明により、PEAPbBr3を含む第1発光物質層とMAPbBr3を含む第2発光物質層が、交互に配置されて積層構造を有する発光層を製造することができる。また、MAPbBr3が第2発光物質層に含まれた金属ハライドペロブスカイトで使われる場合、第1発光物質層に含まれる金属ハライドペロブスカイトロソMAPbCl3、BAPbBr3またはEAPbBR3も利用することができるが、これに制限されない。
図73は、本発明の一実施例に係る発光層を含む発光素子(正構造)で、構成層のエネルギー準位を示したものであり、図74は、本発明の別の実施例に係る発光層を含む発光素子(逆構造)で、構成層のエネルギー準位を示したものである。
図73及び図74に示すように、本発明の一実施例に係る発光素子で発光層(40)の価電子帯最上端(VBM、Valence Band Maximum)のエネルギー準位は、正孔注入層のHOMO(highest occupiedmolecular orbital)のエネルギー準位より低く、電子輸送層のHOMO(highest occupiedmolecular orbital)のエネルギー準位より高いことが好ましい。このようなエネルギー準位を有する時、発光素子に順方向バイアスを印加すると、陽極(20)から正孔が正孔注入層(30)を経て発光層(40)に流入することが容易になる。また、本発明の一実施例に係る発光素子で発光層の電子対最下端(CBM、Conduction Band Minimum)のエネルギー準位は、正孔注入層のLUMO(lowest unoccupiedmolecular orbital)のエネルギー準位より低く、電子輸送層のLUMO(lowest unoccupiedmolecular orbital)のエネルギー準位より高いことが好ましい。このようなエネルギー準位を有する時、発光素子に順方向バイアスを印加すると、陰極(70)から電子が電子輸送層(60)を経て発光層(40)に流入することが容易になる。このようなエネルギー準位を有することによって、発光層(40)に流入した電子と正孔は結合して、エキシトンを形成して、エキシトンが基底状態に遷移しながら光が放出されることができる。
<積層型タンデム金属ハライドペロブスカイト発光ダイオード>
本発明の別の実施例によると、前述された金属ハライドペロブスカイトは積層型ハイブリッド発光ダイオードに活用されることができる。
図75を参考すると、一実施例に係るハイブリッド発光ダイオードは陽極、第1乃至第a発光単位、第1乃至第a-1電荷生成層及び陰極からなる(この時、aは2以上の整数である)。以下では便宜上、第a発光単位まで含むハイブリッド発光ダイオードをa次発光ダイオードといえる。
陽極は、ITO、FTO、グラフェン、ナノワイヤー及び高分子電極を含むことができるが、これに限定されない。陽極は、溶液工程を介して高分子電極、CNTで形成されてもよく、スパッタリング工程を介してITO及びIZOなどのような透明電極物質を含んでもよい。
電荷生成層は、電子を生成及び注入するn-型層及び正孔(hole)を生成及び注入するp-型層を含むことができ、電子と正孔を隣接した発光単位で抵抗なしに注入することができる。n-型層は、電子伝達層であってもよく、p-型層は正孔注入層であり得る。
n-型電子伝達層は、電子伝達材料である有機物単独またはn-型ドーパントが約5乃至40%含量でドープされた有機物であり得る。前記電子伝達有機物は、キノリン誘導体、特にトリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(tris(8-hydroxyquinoline) aluminum:Alq3)、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)-4-(フェニルフェノラート)アルミニウム(Bis(2-methyl-8-quinolinolate)-4-(phenylphenolato)aluminium:Balq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)-beryllium:Bebq2)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:BCP)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:Bphen)、2,2’,2’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)-トリス(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール) ((2,2’,2’’-(benzene-1,3,5-triyl)- tris(1-phenyl-1H-benzimidazole:TPBI)、3-(4-ビフェニル)-4-(フェニル--tert-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール(3-(4-biphenyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole:TAZ)、4-(ナフタリン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール(4-(naphthalen-1-yl)-3,5-diphenyl-4H-1,2,4-triazole:NTAZ)、2,9-ビス(ナフタリン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-bis(naphthalen-2-yl)-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:NBphen)、トリス(2,4,6-トリメチル-3-(ピリジン-3-イル)フェニル)ボラン(Tris(2,4,6-trimethyl-3-(pyridin-3-yl)phenyl)borane:3TPYMB)、フェニル-ジピレニルホスフィンオキシド(Phenyl-dipyrenylphosphine oxide:POPy2)、3、3’、5、5’-テトラ[(m-ピリジル)-ペン-3-イル]ビフェニル(3、3’、5、5’-tetra[(m-pyridyl)-phen--yl]biphenyl:BP4mPy)、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-ペン-3-イル]ベンゼン(1,3,5-tri[(3-pyridyl)-phen-3-yl]benzene:TmPyPB)、1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン(1、3-bis[3,5-di(pyridin-3-yl)phenyl]benzene:BmPyPhB)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(Bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)beryllium:Bepq2)、ジフェニルビス(4-(ピリジン-3-イル)フェニル)シラン(Diphenylbis(4-(pyridin-3-yl)phenyl)silane:DPPS)及び1,3,5-トリ(p-ピリド-3-イル-フェニル)ベンゼン(1,3,5-tri(p-pyrid-3-yl-phenyl)benzene:TpPyPB)、1,3-ビス[2-(2、2’-ビピリジン-6-イル)-1,3,4-オキサジアゾ-5-イル]ベンゼン(1、3-bis[2-(2、2’-bipyridine-6-yl)-1,3,4-oxadiazo5-yl]benzene:Bpy-OXD)、6,6’-ビス[5-(ビフェニル-4-イル)-1,3,4-オキサジアゾ-2-イル]-2、2’-ビピリジル(6,6’-bis[5-(biphenyl-4-yl)-1,3,4-oxadiazo-2-yl]-2、2’-bipyridyl:BP-OXD-Bpy)、TSPO1(diphenylphosphine oxide-4-(triphenylsilyl)phenyl)、TPBi(1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン)、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、2,5-ジアリールシロル誘導体(PyPySPyPy)、パーフルオリネイテッド化合物(PF-6P)、COTs(Octasubstituted cyclooctatetraene)等を含むことができるが、これに制限されない。
前記n-型ドーパントは、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属またはこれをベースにするカーボネート(carbonate)系列化合物、アジド(azide)系列化合物、ニトリド(nitride)系列化合物、ニトレート(nitrate)系列化合物、ホスフェート(phosphate)系列化合物、キノラート(quinolate)系列化合物であり得る。アルカリ金属またはアルカリ土類金属をベースとした化合物の一例示で、Li2CO3、LiNO3、RbNO3、Rb2CO3、AgNO3、Ba(NO3)2、Mn(NO3)2、Zn(NO3)2、CsNO3、Cs2CO3、CsF、CsN3、FePo4及びNaN3等が挙げられるが、これに限定されない。
n-型電子伝達層の厚さは、約5乃至50nmであり得る。
p-型正孔注入層は、正孔伝達材料である有機物単独またはこれにp-型ドーパントが約5乃至40%含有量でドープされた有機物であり得る。
具体的に前記正孔伝達有機物は、Fullerene(C60)、HAT-CN、F16CuPC、CuPC、m-MTDATA[4,4’,4’’-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine]、NPB[N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)]、TDATA、2T-NATA、Pani/DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid:ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)、PEDOT/PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate):ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート))、Pani/CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid:ポリアニリン/カンファースルホン酸)及びPANI/PSS(Polyaniline)/Poly(4-styrenesulfonate):ポリアニリン)/ポリ(4-スチレンスルホネート))、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(1、3-bis(carbazol-9-yl)benzene:MCP)、1,3,5-トリス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(carbazol-9-yl)benzene:TCP)、4、4、4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミノ(4,4’,4’’-tris(carbazol-9-yl)triphenylamine:TCTA)、4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル(4,4’-bis(carbazol-9-yl)biphenyl:CBP)、N,N’-ビス(ナフタリン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン(N,N’-bis(naphthalen-1-yl)-N,N’-bis(phenyl)-benzidine:NPB)、N,N’-ビス(ナフタリン-2-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン(N,N’-bis(naphthalen-2-yl)-N,N’-bis(phenyl)-benzidine:β-NPB)、N,N’-ビス(ナフタリン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-2,2’-ジメチルベンジジン(N,N’-bis(naphthalen-1-yl)-N,N’-bis(phenyl)-2,2’-dimethylbenzidine:α-NPD)、ティ-[4、-(N,N-ジトリル-アミノ)-フェニル]シクロヘキサン(Di-[4-(N、N-ditolyl-amino)phenyl]cyclohexane:TAPC)、N,N,N’,N’-テトラ-ナフタリン-2-イル-ベンジジン(N、N、N’、N’-tetra-naphthalen-2-yl-benzidine:β-TNB)及びN4、N4、N4’、N4’-tetra(biphenyl-4-yl)biphenyl-4,4’-diamine(TPD15)、poly(9、9-dioctylfluorene-co-bis-N,N’-(4-butylphenyl)-bis-N,N’-phenyl-1、4-phenylenediamine)(PFB)、poly(9、9’-dioctylfluorene-co-N-(4-butylphenyl)diphenylamine)(TFB)、poly(9、9’-dioctylfluorene-co-bis-N,N’-(4-butylphenyl)-bis-N,N’-phenylbenzidine)(BFB)、poly(9、9-dioctylfluorene-co-bis-N,N’-(4-methoxyphenyl)-bis-N,N’-phenyl-1、及び4-phenylenediamine)(PFMO)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができるが、これに限定されない。
前記p-型ドーパントは、F4-TCNQ、FeCl3、WO3、MoO3、ReO3、Fe3O4、MnO2、SnO2、CoO2、CuPC、金属酸化物質、または深いLUMOレベルを有する正孔注入有機物材料であり得る。
p-型正孔注入層の厚さは、約5乃至30nmであり得る。
一実施例に係る積層型ハイブリッド発光ダイオードは、少なくとも2個以上の発光単位を含む。図76では各発光単位は、正孔伝達層、発光層及び電子伝達層を含むように図示されているが、これに限定されない。
これに加えて、発光層(40)と電子輸送層(50)との間に正孔ブロッキング層(図示せず)が配置されることができる。また、発光層(40)と正孔輸送層との間に電子ブロッキング層(図示せず)が配置されることができる。しかし、これに限定されず電子輸送層(50)が正孔ブロッキング層の役割を行うことができ、さらに正孔輸送層が電子ブロッキング層の役割を行うこともできる。
前記陽極(20)は、伝導性金属酸化物、金属、金属合金、または炭素材料であり得る。伝導性金属酸化物は、ITO、AZO(Al-doped ZnO)、GZO(Ga-doped ZnO)、IGZO(In、Ga-dpoed ZnO)、MZO(Mg-doped ZnO)、Mo-doped ZnO、Al-doped MgO、Ga-doped MgO、F-doped SnO2、Nb-dpoed TiO2またはCuAlO2、またはこれらの組み合わせであり得る。陽極(20)として適した金属または金属合金は、AuとCuIであり得る。炭素材料は、黒鉛、グラフェン、または炭素ナノチューブであり得る。
陰極(70)は、陽極(20)に比べて低い仕事関数を有する導電膜として、例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、インジウム、イットリウム、リチウム、銀、鉛、セシウムなどの金属またはこれらの2種以上の組み合わせを使って形成することができる。
陽極(20)と陰極(70)は、スパッタリング(Sputtering)法、気相蒸着法またはイオンビーム蒸着法を使って形成することができる。正孔注入層(30)、正孔輸送層、発光層(40)、正孔ブロッキング層、電子輸送層(50)、及び電子注入層(60)は、互いに関係なく蒸着法またはコーティング法、例えば、スプレー、スピンコーティング、ディッピング、プリンティング、ドクターブレーディング法を利用したり、または、電気泳動法を利用して形成することができる。
正孔注入層(30)及び/または正孔輸送層は、陽極(20)の仕事関数準位と発光層(40)のHOMO準位との間のHOMO準位を有する層で、陽極(20)から発光層(40)への正孔の注入または輸送効率を上げる機能をする。
正孔注入層(30)または正孔輸送層は、正孔輸送物質として通常使われる材料を含むことができ、一つの層が互いに異なる正孔輸送物質層を備えることができる。正孔輸送物質は、例えば、mCP(N、Ndicarbazolyl-3,5-benzene);PEDOT:PSS(poly(3,4-ethylenedioxythiophene):polystyrenesulfonate);NPD(N,N’-di(1-naphthyl)-N,N’-diphenylbenzidine);N,N’-Bis(3-methylphenyl)-N,N’-diphenylbenzidine(TPD);DNTPD(N4、N4’-Bis[4-[bis(3-methylphenyl)amino]phenyl]-N4、N4’-diphenyl-[1、1’-biphenyl]-4,4’-diamine);N,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチル-4,4’-ジアミノビフェニル;N,N,N’N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル;N,N,N’N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノビフェニル;コッパー(II)1,10,15,20-テトラフェニル-21H、23H-ポルフィリンなどのようなポルフィリン(porphyrin)化合物誘導体;TAPC(1、1-Bis[4-[N,N’-Di(p-tolyl)Amino]Phenyl]Cyclohexane);N、N,N-トリ(p-トリル)アミン、4,4’,4’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミンのようなトリアリールアミノ誘導体;N-フェニルカルバゾール及びポリビニールカルバゾールのようなカルバゾール誘導体;無金属フタロシアニン、銅フタロシアニンのようなフタロシアニン誘導体;スターバーストアミン誘導体;エンアミンスチルベン系誘導体;芳香族三級アミンとスチリルアミン化合物の誘導体;及びポリシランなどであり得る。このような正孔輸送物質は、電子ブロッキング層の役割を行うこともできる。
前記正孔注入層(30)はさらに正孔注入性物質を含むことができる。例えば、前記正孔注入層は、金属酸化物及び正孔注入性有機物中1種以上を含むことができる。
前記正孔注入層(30)が、金属酸化物を含む場合、前記金属酸化物は、MoO3、WO3、V2O5、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(Coppoer(II) Oxide:CuO)、酸化銅アルミニウム(Copper Aluminium Oxide:CAO、CuAlO2)、酸化亜鉛ロジウム(Zinc Rhodium Oxide:ZRO、ZnRh2O4)、GaSnO、及び金属-硫化物(FeS、ZnSまたはCuS)でドープされたGaSnOからなる群から選択された1種以上の金属酸化物を含むことができる。
前記正孔注入層(30)が正孔注入性有機物を含む場合、前記正孔注入層(30)は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、Langmuir-Blodgett(LB)法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、リバースオフセツトコーティング法、スクリーンプリンティング法、スロット-ダイコーティング法及びノズルプリンティング法などのような公知の様々な方法の中から任意に選択された方法により形成することができる。
前記正孔注入性有機物は、Fullerene(C60)、HAT-CN、F16CuPC、CuPC、m-MTDATA[4,4’,4’’-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine](下記の化学式参照)、NPB[N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1、1’-biphenyl)-4,4’-diamine)]、TDATA(下記の化学式参照)、2T-NATA(下記の化学式参照)、Pani/DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid:ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)、PEDOT/PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate):ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート))、Pani/CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid:ポリアニリン/カンファースルホン酸)及びPANI/PSS(Polyaniline)/Poly(4-styrenesulfonate):ポリアニリン)/ポリ(4-スチレンスルホネート))からなる群から選択される少なくとも一つを含むことができる。
例えば、前記正孔注入層は、前記正孔注入性有機物マトリックスに前記金属酸化物がドープされた層であり得る。この時、ドーピング濃度は、正孔注入層総重量基準に0.1wt%乃至80wt%であることが好ましい。
前記正孔注入層の厚さは1nm乃至1000nmであってもよい。例えば前記正孔注入層の厚さは、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nm、101nm、102nm、103nm、104nm、105nm、106nm、107nm、108nm、109nm、110nm、111nm、112nm、113nm、114nm、115nm、116nm、117nm、118nm、119nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、165nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、195nm、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm、1000nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、前記正孔注入層の厚さは10nm乃至200nmであってもよい。前記正孔注入層の厚さが上述したような範囲を満たす場合、駆動電圧が上昇されず高品質の有機素子を実現することができる。
また、発光層と正孔注入層との間には正孔輸送層がさらに形成されることができる。
前記正孔輸送層は公知の正孔輸送物質を含むことができる。例えば、前記正孔輸送層に含まれることができる正孔輸送物質は、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(1、3-bis(carbazol-9-yl)benzene:MCP)、1,3,5-トリス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(carbazol-9-yl)benzene:TCP)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミノ(4,4’,4’’-tris(carbazol-9-yl)triphenylamine:TCTA)、4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル(4,4’-bis(carbazol-9-yl)biphenyl:CBP)、N,N’-ビス(ナフタリン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン(N,N’-bis(naphthalen-1-yl)-N,N’-bis(phenyl)-benzidine:NPB)、N,N’-ビス(ナフタリン-2-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン(N,N’-bis(naphthalen-2-yl)-N,N’-bis(phenyl)-benzidine:β-NPB)、N,N’-ビス(ナフタリン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-2,2’-ジメチルベンジジン(N,N’-bis(naphthalen-1-yl)-N,N’-bis(phenyl)-2,2’-dimethylbenzidine:α-NPD)、ティ-[4、-(N,N-ジトリル-アミノ)-フェニル]シクロヘキサン(Di-[4-(N、N-ditolyl-amino)-phenyl]cyclohexane:TAPC)、N,N,N’,N’-テトラ-ナフタリン-2-イル-ベンジジン(N、N、N’、N’-tetra-naphthalen-2-yl-benzidine:β-TNB)及びN4、N4、N4’、N4’-tetra(biphenyl-4-yl)biphenyl-4,4’-diamine(TPD15)、poly(9、9-dioctylfluorene-co-bis-N,N’-(4-butylphenyl)-bis-N,N’-phenyl-1、4-phenylenediamine)(PFB)、poly(9、9’-dioctylfluorene-co-N-(4-butylphenyl)diphenylamine)(TFB)、poly(9、9’-dioctylfluorene-co-bis-N,N’-(4-butylphenyl)-bis-N,N’-phenylbenzidine)(BFB)、poly(9、9-dioctylfluorene-co-bis-N,N’-(4-methoxyphenyl)-bis-N,N’-phenyl-1、及び4-phenylenediamine)(PFMO)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができるが、これに限定されない。
前記正孔輸送層中、例えば、TCTAの場合、正孔輸送役割の他にも、発光層からエキシトンが拡散されるのを防止する役割を行うことができる。
前記正孔輸送層の厚さは1nm乃至100nmであり得る。例えば前記正孔輸送層の厚さは、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、前記正孔輸送層の厚さは10nm乃至60nmであり得る。前記正孔輸送層の厚さが上述したような範囲を満たす場合、有機発光ダイオードの光効率が向上して輝度が高くなりえる。
電子注入層(60)及び/または電子輸送層(50)は、陰極(70)の仕事関数準位と発光層(40)のLUMO準位との間のLUMO準位を有する層で、陰極(70)から発光層(40)への電子の注入または輸送効率を上げる機能をする。
電子注入層(60)は、例えば、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaO、BaF2、またはLiq(リチウムキノラート)であり得る。
電子輸送層(50)は、キノリン誘導体、特にトリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(tris(8-hydroxyquinoline)aluminum:Alq3)、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)-4-(フェニルフェノラート)アルミニウム(Bis(2-methyl-8-quinolinolate)-4-(phenylphenolato)aluminium:Balq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)-beryllium:Bebq2)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:BCP)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:Bphen)、2,2’,2’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)-トリス(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール)((2,2’,2’’-(benzene-1,3,5-triyl)-tris(1-phenyl-1H-benzimidazole:TPBI)、3-(4-ビフェニル)-4-(フェニル-5--ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール(3-(4-biphenyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole:TAZ)、4-(ナフタリン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール(4-(naphthalen-1-yl)-3,5-diphenyl-4H-1,2,4-triazole:NTAZ)、2,9-ビス(ナフタリン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-bis(naphthalen-2-yl)-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline:NBphen)、トリス(2,4,6-トリメチル-3-(ピリジン-3-イル)フェニル)ボラン(Tris(2,4,6-trimethyl-3-(pyridin-3-yl)phenyl)borane:3TPYMB)、フェニル-ジピレニルホスフィンオキシド(Phenyl-dipyrenylphosphine oxide:POPy2)、3、3’、5、5’-テトラ[(m-ピリジル)-ペン-3-イル]ビフェニル(3、3’、5、5’-tetra[(m-pyridyl)-phen-3-]biphenyl:BP4mPy)、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-ペン-3-イル]ベンゼン(1,3,5-tri[(3-pyridyl)-phen-3-yl]benzene:TmPyPB)、1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン(1、3-bis[3,5-di(pyridin-3-yl)phenyl]benzene:BmPyPhB)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(Bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)beryllium:Bepq2)、ジフェニルビス(4-(ピリジン-3-イル)フェニル)シラン(Diphenylbis(4-(pyridin-3-yl)phenyl)silane:DPPS)及び1,3,5-トリ(p-ピリド-3-イル-フェニル)ベンゼン(1,3,5-tri(p-pyrid-3-yl-phenyl)benzene:TpPyPB)、1,3-ビス[2-(2、2’-ビピリジン-6-イル)-1,3,4-オキサジアゾ-5-イル]ベンゼン(1、3-bis[2-(2、2’-bipyridine-6-yl)-1,3,4-oxadiazo-5yl]benzene:Bpy-OXD)、6,6’-ビス[5-(ビフェニル-4-イル)-1,3,4-オキサジアゾ-2-イル]-2、2’-ビピリジル(6,6’-bis[5-(biphenyl-4-yl)-1,3,4-oxadiazo-2-yl]-2、2’-bipyridyl:BP-OXD-Bpy)、TSPO1(diphenylphosphine oxide-4-(triphenylsilyl)phenyl)、TPBi(1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン)、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、2,5-ジアリールシロル誘導体(PyPySPyPy)、パーフルオリネイテッド化合物(PF-6P)、COTs(Octasubstituted cyclooctatetraene)等を含むことができる。
前記電子輸送層の厚さは、約5nm乃至100nmであってもよい。例えば前記電子輸送層の厚さは、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、前記電子輸送層の厚さは15nm乃至60nmであり得る。前記電子輸送層の厚さが上述したような範囲を満たす場合、駆動電圧上昇なしに優秀な電子伝達特性を得ることができる。
前記電子注入層(60)は金属酸化物を含むことができる。前記金属酸化物は、n型半導体特性を有するので、電子輸送能力が優秀で、さらに空気や水分に反応性がない物質で可視光線領域での透過度(Transparency)が優秀な半導体物質の中から選択することができる。
前記電子注入層(60)は、例えば、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛(Aluminum doped zinc oxide;AZO)、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、CsまたはFr)がドープされたAZO、TiOx(Xは1乃至3の実数である)、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛スズ(Zinc Tin Oxide)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化タングステン(WO3)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化バナジウム(V2O5、vanadium(IV) oxide(VO2)、V4O7、V5O9、または、V2O3)、酸化モリブデン(MoO3またはMoOx)、酸化銅(Copper(II) Oxide:CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅アルミニウム(Copper Aluminium Oxide:CAO、CuAlO2)、酸化亜鉛ロジウム(Zinc Rhodium Oxide:ZRO、ZnRh2O4)、酸化鉄、酸化クロム、酸化ビズマス、IGZO(indium-Gallium Zinc Oxide)、及びZrO2の中から選択された1種以上の金属酸化物を含むことができるが、これに限定されない。一例として、前記電子注入層(60)は、金属酸化物薄膜層、金属酸化物ナノ粒子層または金属酸化物薄膜内に金属酸化物ナノ粒子が含まれた層であり得る。
前記電子注入層(60)は、ウエットプロセスまたは蒸着法を使って形成することができる。
前記電子注入層(60)をウエットプロセス一例として、溶液法(ex.ゾル-ゲル法)にて形成する場合、金属酸化物のゾル-ゲル前駆体及びナノ粒子形態の金属酸化物の少なくとも一つ及び溶媒を含む電子注入層用混合液を前記基板(10)上に塗布した後、これを熱処理して前記電子注入層(60)を形成することができる。この時、熱処理によって溶媒が除去されるか又は前記電子注入層(60)が結晶化されることができる。前記電子注入層用混合液を前記基板(10)上に提供する方法は、公知のコーティング法、例えば、スピンコーティング法、キャスト法、Langmuir-Blodgett(LB)法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、リバースオフセツトコーティング法、スクリーンプリンティング法、スロット-ダイコーティング法及びノズルプリンティング法、乾燥式転写プリンティング法(dry transfer printing)の中から選択されるが、これに限定されない。
前記金属酸化物のゾル-ゲル前駆体は、金属塩(例えば、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属過塩素酸塩、金属酢酸塩、金属炭酸塩など)、金属塩水和物、金属ヒドロキシ、金属アルキル、金属アルコキシド、金属カーバイド、金属アセチルアセトネート、金属酸、金属酸塩、金属酸塩水和物、硫化金属、金属アセテート、金属アルカノエート、金属フタロシアニン、金属窒化物、及び金属カーボネートからなる群から選択される少なくとも一つを含有することができる。
前記金属酸化物がZnOである場合に、ZnOゾル-ゲル前駆体は、硫酸亜鉛、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、ブローム化亜鉛、ヨード化亜鉛、過塩素酸亜鉛、水酸化亜鉛(Zn(OH)2)、酢酸亜鉛(Zn(CH3COO)2)、酢酸亜鉛水和物(Zn(CH3(COO)2nH2O)、ジエチル亜鉛(Zn(CH3CH2)2)、硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)、硝酸亜鉛水和物(Zn(NO3)2nH2O)、炭酸亜鉛(Zn(CO3))、亜鉛アセチルアセトネート(Zn(CH3COCHCOCH3)2)、及び亜鉛アセチルアセトネート水和物(Zn(CH3COCHCOCH3)2nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができるが、これに限定されない。
前記金属酸化物が酸化インジウム(In2O3)の場合に、In2O3ゾル-ゲル前駆体は、硝酸インジウム水和物(In(NO3)3nH2O)、酢酸インジウム(In(CH3COO)2)、酢酸インジウム水和物(In(CH3(COO)2nH2O)、塩化インジウム(InCl、InCl2、InCl3)、硝酸インジウム(In(NO3)3)、硝酸インジウム水和物(In(NO3)3nH2O)、インジウムアセチルアセトネート(In(CH3COCHCOCH3)2)、及びインジウムアセチルアセトネート水和物(In(CH3COCHCOCH3)2nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化スズ(SnO2)の場合に、SnO2ゾル-ゲル前駆体は酢酸スズ(Sn(CH3COO)2)、酢酸スズ水和物(Sn(CH3(COO)2nH2O)、塩化スズ(SnCl2、SnCl4)、塩化スズ水和物(SnClnnH2O)、スズアセチルアセトネート(Sn(CH3COCHCOCH3)2)、及びスズアセチルアセトネート水和物(Sn(CH3COCHCOCH3)2nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化ガリウム(Ga2O3)の場合に、Ga2O3ゾル-ゲル前駆体は、硝酸ガリウム(Ga(NO3)3)、硝酸ガリウム水和物(Ga(NO3)3nH2O)、ガリウムアセチルアセトネート(Ga(CH3COCHCOCH3)3)、ガリウムアセチルアセトネート水和物(Ga(CH3COCHCOCH3)3nH2O)、及び塩化ガリウム(Ga2Cl4、GaCl3)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化タングステン(WO3)の場合に、WO3ゾル-ゲル前駆体は炭化タングステン(WC)、タングステン酸粉末(H2WO4)、塩化タングステン(WCl4、WCl6)、タングステンイソプロポキシド(W(OCH(CH3)2)6)、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4)、タングステン酸ナトリウム水和物(Na2WO4nH2O)、タングステン酸アンモニウム((NH4)6H2W12O40)、タングステン酸アンモニウム水和物((NH4)6H2W12O40nH2O)、及びタングステンエトキシド(W(OC2H5)6)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化アルミニウムである場合に、酸化アルミニウムゾル-ゲル前駆体は、塩化アルミニウム(AlCl3)、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)、硝酸アルミニウム水和物(Al(NO3)3nH2O)、及びアルミニウムブトキシド(Al(C2H5CH(CH3)O))からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化チタンの場合に、酸化チタンゾル-ゲル前駆体は、チタンイソプロポキシド(Ti(OCH(CH3)2)4)、塩化チタン(TiCl4)、チタンエトキシド(Ti(OC2H5)4)、及びチタンブトキシド(Ti(OC4H9)4)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化バナジウムである場合に、酸化バナジウムのゾル-ゲル前駆体は、バナジウムイソプロポキシド(VO(OC3H7)3)、バナジウム酸アンモニウム(NH4VO3)、バナジウムアセチルアセトネート(V(CH3COCHCOCH3)3)、及びバナジウムアセチルアセトネート水和物(V(CH3COCHCOCH3)3nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化モリブデンの場合に、酸化モリブデンゾル-ゲル前駆体は、モリブデンイソプロポキシド(Mo(OC3H7)5)、塩化モリブデンイソプロポキシド(MoCl3(OC3H7)2)、モリブデン酸アンモニウム((NH4)2MoO4)、及びモリブデン酸アンモニウム水和物((NH4)2MoO4nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化銅である場合に、酸化銅ゾル-ゲル前駆体は、塩化銅(CuCl、CuCl2)、塩化銅水和物(CuCl2nH2O)、酢酸銅(Cu(CO2CH3)、Cu(CO2CH3)2)、酢酸銅水和物(Cu(CO2CH3)2nH2O)、銅アセチルアセトネート(Cu(C5H7O2)2)、硝酸銅(Cu(NO3)2)、硝酸銅水和物(Cu(NO3)2nH2O)、臭化銅(CuBr、CuBr2)、銅炭酸塩(CuCO3Cu(OH)2)、硫化銅(Cu2S、CuS)、銅フタロシアニン(C32H16N8Cu)、銅トリフルオロアセトネート(Cu(CO2CF3)2)、銅イソブチレート(C8H14CuO4)、銅エチルアセトネート(C12H18CuO6)、銅2-エチルヘキサノエート([CH3(CH2)3CH(C2H5)CO2]2Cu)、フッ化銅(CuF2)、ギ酸銅水和物((HCO2)2CuH2O)、銅グルコネート(C12H22CuO14)銅ヘキサフルオロアセチルアセトネート(Cu(C5HF6O2)2)、銅ヘキサフルオロアセチルアセトネート水和物(Cu(C5HF6O2)2nH2O)、銅メトキシド(Cu(OCH3)2)、銅ネオデカノデート(C10H19O2Cu)、過塩素酸銅水和物(Cu(ClO4)26H2O)、硫酸銅(CuSO4)、硫酸銅水和物(CuSO4nH2O)、酒石酸銅水和物([-CH(OH)CO2]2CunH2O)、銅トリフルオロアセチルアセトネート(Cu(C5H4F3O2)2)、銅トリフルオロメタンスルホネート((CF3SO3)2Cu)、及びテトラアミン銅硫酸塩水和物(Cu(NH3)4SO4H2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化ニッケルである場合に、酸化ニッケルゾル-ゲル前駆体は、塩化ニッケル(NiCl2)、塩化ニッケル水和物(NiCl2nH2O)、酢酸ニッケル水和物(Ni(OCOCH3)24H2O)、硝酸ニッケル水和物(Ni(NO3)26H2O)、ニッケルアセチルアセトネート(Ni(C5H7O2)2)、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)、ニッケルフタロシアニン(C32H16N8Ni)、及びニッケル炭酸塩水和物(NiCO32Ni(OH)2nH2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化鉄である場合に、酸化鉄のゾル-ゲル前駆体は、酢酸鉄(Fe(CO2CH3)2)、塩化鉄(FeCl2、FeCl3)、塩化鉄水和物(FeCl3nH2O)、鉄アセチルアセトネート(Fe(C5H7O2)3)、硝酸鉄水和物(Fe(NO3)39H2O)、鉄フタロシアニン(C32H16FeN8)、オキサレート水和物(Fe(C2O4)nH2O、及びFe2(C2O4)36H2O)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化クロムである場合に、酸化クロムゾル-ゲル前駆体は、塩化クロム(CrCl2、CrCl3)、塩化クロム水和物(CrCl3nH2O)、クロムカーバイド(Cr3C2)、クロムアチルアセトネート(Cr(C5H7O2)3)、硝酸クロム水和物(Cr(NO3)3nH2O)、水酸化クロム酢酸(CH3CO2)7Cr3(OH)2、及びクロム酢酸水和物([(CH3CO2)2CrH2O]2)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記金属酸化物が酸化ビズマスである場合に、酸化ビズマスゾル-ゲル前駆体は、塩化ビズマス(BiCl3)、硝酸ビズマス水和物(Bi(NO3)3nH2O)、ビズマス酢酸((CH3CO2)3Bi)、及びビスマスカーボネート((BiO)2CO3)からなる群から選択される少なくとも一つを使うことができる。
前記電子注入層用混合液内に金属酸化物ナノ粒子が含まれる場合、前記金属酸化物ナノ粒子の平均粒径は、10nm乃至100nmであり得る。
前記溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒であり得る。例えば、前記極性溶媒の例として、アルコール類、ケトン類などが挙げられて、前記非極性溶媒として芳香族炭化水素、指環族炭化水素、脂肪族炭化水素系有機溶媒が挙げられる。一例として前記溶媒は、エタノール、ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコール(モノ)メチルエーテル(PGM)、イソプロピルセルロース(IPC)、エチレンカーボネート(EC)、メチルセロソルブ(MC)、エチルセロソルブで、2-メトキシエタノール及びエタノールアミンの中から選択された1種以上であってもよいが、これに限定されない。
例えば、ZnOからなる電子注入層(60)を形成する場合、前記電子注入層用混合物は、ZnOの前駆体として亜鉛アセテート無水物(Zinc acetate dehydrate)を含み、溶媒として2-メトキシエタノールとエタノールアミンの組み合わせを含むことができるが、これに限定されない。
前記熱処理条件は、選択された溶媒の種類及び含有量により異なるが、通常100℃乃至350℃及び0.1時間乃至1時間の範囲内で行うことが好ましい。前記熱処理温度と時間がこのような範囲を満たす場合、溶媒除去効果が良好でさらに素子を変形させない。
前記電子注入層(60)を蒸着法を使って形成する場合、電子ビーム蒸着法(electron beam deposition)、熱蒸着法(thermal evaporation)、スパッタ蒸着法(Sputter deposition)、原子層蒸着法(atomic layer deposition)、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition)等公知の様々な方法で蒸着が可能である。蒸着条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などにより異なるが、例えば、25乃至1500℃、具体的に100乃至500℃の蒸着温度範囲、10-10乃至10-3torrの真空度範囲、0.01乃至100Å/secの蒸着速度範囲内で行われることが好ましい。
前記電子注入層(60)の厚さは5nm乃至100nmであってもよい。例えば前記電子注入層の厚さは、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、前記電子注入層の厚さは15nm乃至60nmであり得る。
前記正孔注入層(30)、正孔輸送層、電子注入層(60)または電子輸送層(50)は、従来の有機発光ダイオードで使われる物質が通常適用されることができる。
前記正孔注入層(30)、正孔輸送層、電子注入層(60)または電子輸送層(50)は、真空蒸着法、スピンコーティング法、スプレー法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルプリンティング法、スロット-ダイコーティング法、グラビアプリンティング法、キャスト法またはラングミュア・ブロジェット膜法(LB(Langmuir-Blodgett))等のような公知の様々な方法の中から任意に選択された方法で行って形成することができる。この時、薄膜形成時条件及びコーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などにより変わる。
前記基板(10)は発光素子の支持体になるもので、透明な素材であり得る。また、前記基板(10)は、柔軟な性質の素材または硬質の素材であってもよく、好ましくは柔軟な性質の素材であり得る。
前記基板(10)の素材は、ガラス(Glass)、サファイア(Sapphire)、石英(Quartz)、シリコン(Silicon)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリ塩化ビニール(polyvinyl chloride、PVC)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)またはポリエチレン(polyethylene、PE)等であってもよいが、これに限定されない。
前記基板(10)は陽極(20)下部に配置されてもよく、または陰極(70)上部に配置されてもよい。言い換えると、基板上に陽極(20)が陰極(70)より先に形成されてもよく、陰極(70)が陽極(20)より先に形成されてもよい。従って、前記発光素子は図76の正構造、及び図77の逆構造ともに可能である。
前記発光層(40)は、前記正孔注入層(30)と電子注入層(60)との間に形成されて、陽極(20)から流入した正孔(h)と陰極(70)から流入した電子(e)が結合してエキシトンを形成して、エキシトンが基底状態に遷移しながら光が放出されることによって発光を起こす役割をする。
一実施例に係る積層型ハイブリッド発光ダイオードは、少なくとも一つの有機物発光層及び少なくとも一つの金属ハライドペロブスカイト発光層を含む。具体的に、金属ハライドペロブスカイト発光体を含む第1発光層及び有機物発光体を含む第2発光層を含むことができる。実施例によっては、第1発光層が金属ハライドペロブスカイト発光体を含み、第2発光層が有機物発光体を含むこともできる。
一実施例は、orange-redとsky-blue発光体の組み合わせ、またはredとgreenとblue発光体の組み合わせを含むことができる。このように、一実施例に係る積層型ハイブリッド白色発光ダイオードは、互いに異なる色を発光する発光体が同時に発光して白色の光を発光することができる。
実施例によっては、可視光線領域で同じ波長の光を発光する有機物発光体及び金属ハライドペロブスカイト発光体を含むことができる。この時、一実施例に係る積層型ハイブリッド高効率発光ダイオードの電流効率は、各発光単位の電流効率の合計と同じである。
有機物発光体として、蛍光低分子有機物、燐光低分子有機物、熱活性化遅延蛍光(thermally activated delayed fluorescence;TADF)有機物及び高分子が使われるが、これに限定されない。
蛍光有機物発光体は、4-(dicyanomethylene)-2-t-butyl-6-(1、1、7、7-tetramethyljulolidyl-9-enyl)-4H-pyran(DCJTB)、(E)-2-(2-(4-(Dimethylamino)styryl)-6-methyl-4H-pyran-4-ylidene)malononitrile(DCM)、5、6-bis(4-(9、9-dimethylacridin-10(9H)-yl)phenyl)pyrazine-2、3-dicarbonitrile(Ac-CNP)の中の少なくとも一つ以上をドーパントとして含むことができる。
燐光有機物発光体は、Bt2Ir(acac)、tris(1-phenylisoquinoline)iridium(III)(Ir(piq)3)、Bis(2-(3,5-dimethylphenyl)-4-phenylpyridine)(2、2、6、6-tetramethylheptane-3,5-diketonate)iridium(III)(Ir(dmppy-ph)2tmd)、Bis(2-benzo[b]thiophen-2-yl-pyridine)(acetylacetonate)iridium(III)(Ir(btp)2(acac))、Bis[1-(9、9-dimethyl-9H-fluoren-2-yl)-isoquinoline](acetylacetonate)iridium(III)(Ir(fliq)2(acac))、Bis[2-(9、9-dimethyl-9H-fluoren-2-yl)quinoline](acetylacetonate)iridium(III)(Ir(flq)2(acac))、Bis[2-(4-n-hexylphenyl)quinoline](acetylacetonate)iridium(III)(Hex-Ir(phq)2(acac))、Tris[2-(4-n-hexylphenyl)quinoline)]iridium(III)(Hex-Ir(phq)3、Bis(2-phenylquinoline)(2-(3-methylphenyl)pyridinate)iridium(III)(Ir(phq)2tpy)の中の少なくとも一つをドーパントとして含むことができる。
熱活性化遅延蛍光(TADF)有機物発光体は、Dibenzo{[f、f’]-4、4’、7、7’-tetraphenyl}diindeno[1,2,3-cd:1’、2’、3’-lm]perylene(DBP)、2、3、5、6-Tetrakis[3、6-bis(1、1-dimethylethyl)-9H-carbazol-9-yl]benzonitrile(4CzBN)、7、10-Bis(4-(diphenylamino)phenyl)-2、3-dicyanopyrazino phenanthrene(TPA-DCPP)、2、8-Di-tert-butyl-5、11-bis(4-tert-butylphenyl)-6、12-diphenyltetracene(TBRb)、2-(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)-10,10-dioxide-9H-thioxanthen-9-one(TXO-PhCz)の中の少なくとも一つをドーパントで含むことができる。
前記金属ハライドペロブスカイトは、前述したのと同様であるため、詳しい説明は省略する。
本発明の一実施例に係るハイブリッド発光ダイオードは、有機物発光体と共に約20nm以下の半値幅(FWHM)を有するハライド金属ハライドペロブスカイト発光体を含むことによって、少なくとも第2発光単位まで溶液工程で製造して、製造費用を顕著に減少させて、高色純度の白色光を実現することができる。
<金属ハライドペロブスカイト電荷輸送層を含む発光素子>
本発明の一実施例に係る発光素子は、金属ハライドペロブスカイト電荷輸送層を含むことを特徴とする。
本明細書において、‘電荷輸送層’は、陽極または陰極から発光層に正孔または電子を移動させる、発光層に隣接した正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層または電子注入層をいう。通常前記電荷輸送層は、発光層に隣接した正孔注入層または電子注入層を意味するか、発光層と正孔注入層との間に正孔輸送層が含まれて、発光層と電子注入層との間に電子輸送層が含まれた発光素子の場合には、発光層に隣接した正孔輸送層または電子輸送層も電荷輸送層に含まれる。
図76を参照すると、本発明に係る金属ハライドペロブスカイト電荷輸送層を含む発光素子は、陽極(20)と陰極(60)、これら二つの電極の間に配置された発光層(40)を備えることができ、前記陽極(20)と前記発光層(40)との間には、正孔の注入を容易にするための正孔注入層(30)を備えることができる。また、前記発光層(40)と前記陰極(60)との間には、電子の注入を容易にするための電子注入層(50)を備えることができる。
また、本発明に係る発光素子は、前記正孔注入層(30)と前記発光層(40)との間に正孔の輸送のための正孔輸送層(35)をさらに含むことができる。
また、本発明に係る発光素子は、前記正孔注入層(30)と前記発光層(40)との間に電子の輸送のための電子輸送層(45)をさらに含むことができる。
これに加えて、発光層(40)と電子輸送層(45)との間に正孔ブロッキング層(図示せず)が配置されることができる。また、発光層(40)と正孔輸送層(35)との間に電子ブロッキング層(図示せず)が配置されることができる。しかし、これに限定されず電子輸送層(45)が正孔ブロッキング層の役割を行うことができて、または正孔輸送層(35)が電子ブロッキング層の役割を行うこともできる。
また、発光層と正孔注入層との間には正孔輸送層をさらに形成することができる。
前記正孔注入層(30)、発光層(40)、正孔輸送層、電子注入層(60)または電子輸送層(50)は、従来の有機発光ダイオードで使われる物質が通常適用されることができる。
一方、本発明の特徴は、前記発光素子において、前記正孔注入層(30)、正孔輸送層(35)、電子輸送層(45)及び電子注入層(50)からなる群から選択される一つ以上の電荷輸送層が、金属ハライドペロブスカイト薄膜を含むということである。
具体的に、本発明は、
陽極と陰極、
前記陽極と陰極との間に配置された発光層、
前記陽極と前記発光層との間に配置された、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一つの第1電荷輸送層、及び
前記発光層と前記陰極の間に配置された、電子注入層及び電子輸送層の少なくとも一つの第2電荷輸送層を含む発光素子において、
前記発光層に隣接した第1電荷輸送層または第2電荷輸送層は、金属ハライドペロブスカイト薄膜であることを特徴とする発光素子を提供する。
本発明の一実施例に係る発光素子は、第1電荷輸送層(例えば、正孔注入層(30))が金属ハライドペロブスカイト薄膜であり得る(図78及び図79参照)。
本発明の一実施例に係る発光素子は、第2電荷輸送層(例えば、電子注入層(50))が金属ハライドペロブスカイト薄膜であり得る(図80及び図81参照)。
さらに、本発明は、
陽極と陰極、前記陽極と陰極との間に配置された発光層、前記陽極と前記発光層との間に配置された、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一つの第1電荷輸送層、及び
前記発光層と前記陰極との間に配置された、電子注入層及び電子輸送層の少なくとも一つの第2電荷輸送層を含む発光素子において、前記発光層に隣接した第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層は、金属ハライドペロブスカイト薄膜であることを特徴とする発光素子を提供する。
本発明の一実施例に係る発光素子は、第1電荷輸送層(例えば、正孔注入層(30))及び第2電荷輸送層(例えば、電子注入層(50))が共に金属ハライドペロブスカイト薄膜であり得る。この時、前記第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層を構成する金属ハライドペロブスカイト薄膜は、同じであってもよく(図82及び図83参照)、異なってもよい(図84及び図85参照)。
今まで、金属ハライドペロブスカイト発光素子で使う金属ハライドペロブスカイト薄膜は、発光層にだけ利用されてきた。しかし、金属ハライドペロブスカイトは、発光素子に使われる有機半導体素材と似たようなエネルギー準位を有しながら、有機半導体よりずっと高い電荷移動度を有しているので、発光層だけでなく電荷輸送層としても非常に有望である。
この時、使われる金属ハライドペロブスカイトは、前述したのと同様であるため、詳しい説明は省略する。
<金属ハライドペロブスカイト波長変換体>
本発明のさらに別の実施例によると、前述された金属ハライドペロブスカイトは、波長変換体で活用されることができる。
発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)は、電流を光に変換させる半導体素子であって、ディスプレイ素子の光源として主に利用されている。このような発光ダイオードは、従来の光源に比べて極小型であり、消費電力が少なく、寿命が長く、反応速度が速いなど非常に優秀な特性を示す。これと共に、紫外線のような有害電磁気波を放出せず、水銀及びその他放電用ガスを使わないので、環境に優しい。発光装置は、主に蛍光体のような波長変換粒子を利用して、発光ダイオード光源との組み合わせで形成される。
このような波長変換体は、励起光源と結合された形態で発光装置に活用可能である点で通常の半導体物質の蛍光とは差がある。波長変換粒子は、発光ダイオード光源の波長を低エネルギーの波長に変換させる役割をする。従って、波長変換粒子を利用して単色発光ダイオードの波長を多数の波長で同時に発光したり、白色を発光するように誘導する機能を行うことができる。また好ましくは、優秀な色純度特性を有する波長変換粒子を使って鮮やかな色感の実現が難しい従来の発光装置の低い色再現率を効果的に改善する役割をすることができる。
波長変換層(100)は、色変換層あるいは色変換フィルムとも呼ばれ、散乱を防止するために平らな(flat)形を有することが好ましく、表面粗度(roughness)が50nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、前記表面粗度は20nm以下であり得る。
波長変換体は、外部から入射された光(入射光)が前述された金属ハライドペロブスカイト波長変換粒子に到達すると波長変換された光を発光する。従って、本発明に係る波長変換体は、金属ハライドペロブスカイトによって光の波長を変換させる機能をする。以下、入射光中前述された金属ハライドペロブスカイト波長変換粒子の発光波長より短い波長を有する光を励起光という。また、前述された励起光を発光する光源を励起光源という。
本発明の一実施例に係る波長変換体は、励起光源から発生した光の波長を特定波長に変換する波長変換立体として金属ハライドペロブスカイト及び前記金属ハライドペロブスカイトを分散させる分散媒質を含むことを特微とする。
本発明の一実施例に係るハイブリッド波長変換体において、前記分散媒質は、液体状態であってもよく、前記金属ハライドペロブスカイトを均一に分散させて、紫外線照射時硬化して前記金属ハライドペロブスカイトを固定化させる役割をすることができる。
前記分散媒質は、光重合性単量体の光重合反応によって形成された光重合性高分子であり得る。
また好ましくは、前記高分子は、金属ハライドペロブスカイトを取り囲んで酸素または水分のような外部の化学種から金属ハライドペロブスカイトを保護する役割をすることができる。また、金属ハライドペロブスカイトの電気駆動で発生し得るハライドイオンのマイグレーションを防ぐ役割をすることができる。
前記光重合性単量体は、炭素-炭素二重結合、三重結合中少なくともいずれかを含み、光により重合可能であれば特に制限されない。また好ましくは、前記光重合性単量体は、少なくとも一つのエチレン性二重結合を有するアクリル酸の一官能または多官能エステルを使うことができる。
前記炭素-炭素二重結合、三重結合中少なくともいずれかを含む光重合性単量体は、ジアクリレート(diacrylate)化合物、トリアクリレート(triacrylate)化合物、テトラアクリレート(tetraacrylate)化合物、ペンタアクリレート(pentaacrylate)化合物、ヘキサアクリレート(hexaacrylilate)化合物及びこれらの組み合わせから選択することができる。
前記炭素-炭素二重結合、三重結合中少なくともいずれかを含む光重合性単量体の具体的な例は、エチレンダリコールジアクリレート(ethylenehlycol diacrylate)、トリエチレングリコールジアクリレート(triethylenehlycol diacrylate)、ジエチルレングリコールジアクリレート(diethylenehlyc diolacrylate)、1,4-ブタンジオールジアクリレート(1,4-butanediol diacrylate)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexanediol diacrylate)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(neopentylglycol diacrylate)、ペンタエリスリトールジアクリレート(pentaerythritol diacrylate)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(pentaerythritol triacrylate)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(pentaerythritol tetraacrylate)、ジペンタエリスリトールジアクリレート(dipentaerythritol diacrylate)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(dipentaerythritol diacrylate)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(dipentaerythritol pentaacrylate)、ペンタエリトリトルヘキサアクリレート(dipentaerythritol hexaacrylate)、ビスフェノールAエポキシアクリレート(bisphenol A epoxyacrylate)、ビスフェノールAジアクリレート(bisphenol A diacrylate)、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate)、ノボラックエポキシアクリレート(Novolacepoxy acrylate)、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート(ethyleneglycolmonomethyletheracrylate)、トリスアクリロオキシエチルホスフェート(trisacryllooxyethyl phosphate)、ジエチルレングリコールジアクリレート(diethyleneglycol diacrylate)、トリエチレングリコールジアクリレート(triethyleneglycol)、プロピレングリコールジアクリレート(propyleneglycol diacrylate)であるが、これに制限されない。
前記光重合性単量体の硬化物は、炭素-炭素二重結合、三重結合中少なくともいずれかを含む光重合性単量体と少なくとも2個のチオール基を有するチオール化合物の硬化物であり得る。
また、前記光重合性単量体は、フォトレジスト物質であり得る。前記フォトレジスト物質は、シリコンまたはエポキシ物質であり得る。
前記フォトレジスト物質は、常用フォトレジストであり得る。前記常用フォトレジスト物質は、AZ Electronics Materials社のAZ 5214E PR、AZ 9260 PR、AZ AD Promoter-K(HMDS)、AZ nLOF 2000 Series、AZ LOR-28 PR、AZ 10xT PR、AZ 5206-E、AZ GXR-601、AZ 04629;MICROCHEM社のSU-8、950 PMMA、495 PMMA;micropossit社のS1800;トンジンセミケム社のDNR-L300、DSAM、DPR、DNR-H200、DPR-G;コテム社のCTPR-502であるが、これに制限されない。
前記光重合性単量体を硬化させるために、光開始剤を使うことができ、金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体に光開始剤が含まれてもよい。前記光開始剤の種類は特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、使用可能な光開始剤は、トリアジン(triazine)系統化合物、アセトフェノン(acetophenone)系化合物、ベンゾフェノン(benzophenone)系統化合物、チオキサントン(thioxanthone)系統化合物、ベンゾイン(benzoin)系統化合物、オキシム(oxime)系統化合物、カルバゾール(carbazole)系統化合物、ジケトン(diketone)類化合物、スルホニウムボレート(Sulfonium borate)系統化合物、ジアゾ(diazo)系統化合物、非イミダゾール(nonimidazolium)系統化合物またはこれらの組み合わせから選択されるが、これに制限されない。
前記トリアジン系化合物の例は、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン(2,4,6-trichloro-s-triazine)、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-phenyl-4,6-bis(trichloro methyl)、2-(3’、4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-3’、4’-dimethoxy styryl)-4,6-bis(trichloro methyl)-s-triazine)、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-(4’-methoxynaphtyl)-4,6-bis(trichloromethyl)-s-triazine)、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-(p-methoxyphenyl)-4,6-bis(trichloro methyl)-s-triazine)、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-(p-tolyl)-4,6-bis(trichloromethyl)-s-triazine)、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-biphenyl-4、6、-bis(trichloro methyl)、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン(bis(trichloro methyl)-6-styryl-s-triazine)、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-nafto-1-yl)-4,6-bis(trichloromethyl)、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-(4-methoxynafto-1-yl)-4,6-bis(trichloromethyl)-s-triazine、2,4-トリクロロメチル(ピペロニル)-6-トリアジン(2,4-trichloro methyl(piperonyl)-6-triazine)、2,4-(トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン(2,4-(trichloro methyl(4’-methoxy styryl)-6-triazine)を含むが、これに制限されない。
前記アセトフェノン系化合物の例は、2,2’-ジエトキシアセトフェノン(2,2-diethoxy acetophenone)、2,2’-ジブトキシアセトフェノン(2,2,-dibutoxy acetophenone)、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-2-methyl propiophenone)、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン(p-t-butyl trichloro acetophenone)、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン(p-t-butyl dichloro acetophenone)、4-クロロアセトフェノン(4-chloro acetophenone)、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン(2,2-dichloro-4-phenoxy acetophenone)、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(2-methyl-1-(4-(methylthio)phenyl)-2-mopholino propan-1-one)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン(2-benzyl-2-dimethyl amino-1-(4-mopholino phenyl)-butan-1-one)等を含むが、これに制限されない。
前記ベンゾフェノン系化合物の例は、ベンゾフェノン(bezophenone)、ベンゾイル安息香酸(2-benzoylbenzoate)、ベンゾイル安息香酸メチル(methyl 2-benzoylbenzoate)、4-フェニルベンゾフェノン(4-phenyl benzophenone)、ヒドロキシベンゾフェノン(hydroxybeonzophenone)、アクリル化ベンゾフェノン(benzophenone acrylate)、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4-bis(dimethylamino)benzophenone)、4,4’-ジクロロベンゾフェノン(4,4-dichlorobenzophenone)、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノン(3,3-dimethyl-2-methoxy benzophenone)等を含むが、これに制限されない。
前記チオキサントン系化合物の例は、チオキサントン(thioxantone)、2-メチルチオキサントン(2-methyl thioxantone)、イソプロピルチオキサントン(isopropyl thioxantone)、2,4-ジエチルチオキサントン(2,4-diethyl thioxantone)、2,4-ジイソプロピルチオキサントン(2,4-diiospropyl thioxantone)、2-クロロチオキサントン(2-chloro thioxantone)等を含むが、これに制限されない。
前記ベンゾイン系化合物の例は、ベンゾイン(benzoine)、ベンゾインメチルエーテル(benzoine methyl ether)、ベンゾインエチルエーテル(benzoine ethyl ether)、ベンゾインイソプロピルエーテル(benzoine isopropyl ether)、ベンゾインイソブチルエーテル(benzoine isobutyl ether)、ベンジルジメチルケタル(benzyl dimethyl ketal)等を含むが、これに制限されない。
前記オキシム系化合物の例は、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン(2-(o-benzoyloxime)-1-[4-(phenylthio)phenyl]-1、2、-octandione及び1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン(1-(o-acetyloxime)-1-[9-ethyl-6-(2-methylbenzoyl)-9H-carbazol-3-yl]ethanone)を含むが、これに制限されない。前記光重合性単量体を硬化させて得られる金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体は、前述された金属ハライドペロブスカイトの表面に高分子が取り囲む形態で形成される。
前記金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体は、好ましくは基板の上に付着したり独立的なフィルムであり得る。
本明細書で、‘金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体フィルム’は、前記金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体からなるフィルムを全て含む。
図86は、本発明の別の実施例に係る金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体フィルムを示す模式図である。
また、前記金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体を特定基板に付着したフィルム形態で製作する時、前記金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体フィルムは、高分子バインダーをさらに含むことができる。この場合、複数個の金属ハライドペロブスカイトは、前記炭素-炭素不飽和結合を含む光重合性単量体の硬化物と高分子バインダーからなる高分子に分散されている。前記高分子バインダーは、基板と金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体の接着性を向上させる役割をすることができる。
前記基板(10)は、発光素子の支持体になるもので、透明な素材であり得る。また、前記基板(10)は、柔軟な性質の素材または硬質の素材であってもよく、好ましくは柔軟な性質の素材であり得る。
前記基板(10)の素材は、ガラス(Glass)、サファイア(Sapphire)、石英(Quartz)、シリコン(Silicon)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリ塩化ビニール(polyvinyl chloride、PVC)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)またはポリエチレン(polyethylene、PE)等であってもよいが、これに限定されない。
前記高分子バインダーは、アクリル系高分子バインダー、カルド系統高分子バインダーまたはこれらの組み合わせの高分子を使うことができるが、これに制限されない。
前記アクリル系高分子バインダーは、カルボキシ基を含有する第1不飽和単量体と、これと共重合可能な第2不飽和単量体の共重合体であり得る。前記第1不飽和単量体は、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、イタコン酸、3-ブテン酸、フマル酸、安息香酸ビニールなどのカルボン酸ビニールエステル類化合物またはその組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記第2不飽和単量体は、アルケニル芳香族化合物、不飽和カルボン酸エステル類化合物、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類化合物、不飽和カルボン酸グリシジルエステル類化合物、シアン化ビニール化合物、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはその組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また好ましくは、前記第2不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニールトルエン、ビニルベンジルメチルエーテル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、2-アミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、N-フェニルマルレイミド、N-ベンジルマルレイミド、N-アルキルマルレイミド、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリロニトリル、グリシジルアクリレート、アクリルアミドなどの不飽和アミド類化合物;2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記アクリル系高分子バインダーは、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記高分子バインダーの重量平均分子量は、約1,000乃至約150,000g/molであり得る。また好ましくは、約2,000乃至約30,000g/molであり得る。前記高分子バインダーの重量平均分子量が、約2,000乃至約30,000g/molの場合、前記金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体フィルムの物理的及び化学的物性が優秀で、粘度が適切で、金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体フィルム製造時、基板との密着性が優秀である。
前記金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体フィルムは、光拡散剤をさらに含むことができる。前記光拡散剤は、金属酸化物粒子、金属粒子及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。前記光拡散剤は、組成物の屈折率を高めて組成物内に入射された光が金属ハライドペロブスカイトと会う確率を高める役割をすることができる。
前記光拡散剤は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛などの無機酸化物粒子、金、銀、銅、白金などの金属粒子などを含むことができるが、これに制限されない。この時、光拡散剤の分散性を高めるために分散剤を添加することができる。
前記波長変換層は、バリアーフィルムを追加で含むことができる。前記バリアーフィルムは、前記波長変換層上下に付着する形態で位置して、水分及び酸素の浸透を防ぐ役割を行うことができる。前記波長変換層にバリアーフィルムを付着する場合、前記バリアーフィルムは、水分及び酸素を含んだ外部の空気から前記波長変換層を保護する役割をすることができる。特に金属ハライドペロブスカイトは、水分及び酸素に対する安定性が低下するので、バリアーフィルムを含む波長変換層の安定性は大きく向上することができる。
波長変換層上下にバリアーフィルムを両側で置くことが、水分及び酸素浸透を防ぐのに有利である。究極的には、このようなバリアーフィルムの機能を波長変換層中に入れて追加的なバリアーフィルムなしに一層だけでも安定性を確保することが好ましい。このようなバリアーフィルムは、高分子あるいはセラミック材料で構成することができる。
以下、本発明の別の実施例に係る金属ハライドペロブスカイト波長変換層の製造方法を説明する。
まず、金属ハライドペロブスカイト波長変換粒子を準備する。
この後前述された波長変換粒子を分散媒質に分散させる。
前述された分散媒質には波長変換粒子が分散する。分散媒質は液体状態であり得る。分散媒質が液体状態である場合、分散媒質及び分散媒質に分散した波長変換粒子が、後述される密封部材によって密封される時、その形状の制約を受けないため、様々な形態の素子に適用が可能である。分散媒質は例えば、エポキシ樹脂またはシリコン(Silicone)であり得る。波長変換粒子は、励起光を受けて波長変換光を発光しなければならないため、分散媒質は励起光などによって変色したり変質しない材質であることが好ましい。
以後、金属ハライドペロブスカイト波長変換粒子及び分散媒質を密封部材で密封する。
図87は、本発明の一実施例に係る波長変換体の密封方法を示した断面図である。
図87(a)を参照すると、第1密封部材(10a)及び第2密封部材(10b)を積層する。
密封部材は、金属ハライドペロブスカイト波長変換粒子(20)が分散した分散媒質(30)によって腐食されない高分子またはシリコンを使うことができる。特に、高分子樹脂は、加熱して粘着が可能であるため、これを利用するとシーツ状態の高分子樹脂を熱粘着工程を利用して波長変換粒子(20)が分散した分散媒質(30)が注入されたパック形態の波長変換体を形成することができる。
図87(b)を参照すると、前述された金属ハライドペロブスカイト波長変換粒子(20)及び分散媒質(30)が、密封部材(10a、10b)から漏れないように第1密封部材(10a)及び第2密封部材(10b)の一側部(1)を加熱して熱粘着工程を使って接着することができる。しかし、前述された金属ハライドペロブスカイト波長変換粒子(20)及び分散媒質(30)が漏れないなら、熱粘着工程以外に他の接着工程の使用が可能である。
図87(c)を参照すると、前述された第1密封部材(10a)及び第2密封部材(10b)が接着されなかった他側部の第1密封部材(10a)及び第2密封部材(10b)の間に前記金属ハライドペロブスカイト波長変換粒子(20)が分散した分散媒質(30)を注入する。
図87(d)を参照すると、前述された第1密封部材(10a)及び第2密封部材(10b)の他側部(1)を熱粘着工程を使って接着して金属ハライドペロブスカイト波長変化粒子(20)が分散した分散媒質(30)を密封部材(10a、10b)で密封する。
図87(e)を参照すると、波長変化物質(20)が分散した分散媒質(30)が密封部材(10)で密封された金属ハライドペロブスカイト波長変換体(400)が形成されることが分かる。前述された金属ハライドペロブスカイト波長変換体(400)は、波長変換物質である金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を含むナノ波長変換粒子(20)を分散媒質(30)に分散させて密封することで、別途のリガンド精製工程の必要なく発光素子に適用できる長所がある。これにより、リガンド精製時に発生する波長変換粒子の酸化を防ぐことができて発光素子に適用時高い色純度及び発光効果を示す。また、工程を簡素化することができる。
図88は、本発明の一実施例に係る波長変換層を含む発光素子の断面図である。
図88を参照すると、本発明の一実施例に係る発光素子は、ベース構造物(100)、前述されたべース構造物(100)上に配置されて、所定の波長の光を放出する少なくとも一つの励起光源(200)、及び前述された励起光源(200)の光路に配置された前述された波長変換粒子(20)を含む波長変換層(400B)である。
前述されたべース構造物(100)は、パッケージフレームまたはベース基板であり得る。ベース構造物(100)がパッケージフレームである場合、パッケージフレームは前記ベース基板を含むこともできる。前記ベース基板は、サブマウント基板または発光ダイオードウェハーであり得る。前記発光ダイオードウェハーは、発光ダイオードチップ単位で分離する前の状態としてウェハー上に発光ダイオード素子が形成された状態を示す。前記ベース基板は、シリコン基板、金属基板、セラミック基板または樹脂基板であり得る。
前述されたべース構造物(100)は、パッケージリードフレームまたはパッケージプリモルド(pre-mold)フレームであり得る。ベース構造物(100)は、ボンディングパッド(図示せず)を含むことができる。ボンディングパッドは、Au、Ag、Cr、Ni、Cu、Zn、Ti、Pdなどを含有することができる。ベース構造物(100)の外側部にはボンディングパッドにそれぞれ連結された外部連結端子(図示せず)が配置されることができる。ボンディングパッド及び前記外部連結端子は、パッケージリードフレームに備わったものなどであり得る。
前述されたべース構造物(100)上に励起光源(200)を配置する。前述された励起光源(200)は、波長変換層(400B)の波長変換粒子の発光波長より短い波長を有する光を発光することが好ましい。前述された励起光源(200)は、発光ダイオード及びレーザーダイオードのいずれかであり得る。また、ベース構造物(100)が、発光ダイオードウェハーである場合、励起光源を配置する段階は省略されることができる。例えば、励起光源(200)は、青色LEDを使うことができるが、青色LEDとしては420nm乃至480nmの青色光を発するガリウム窒化物系LEDを使うことができる。
図89のように、前述された励起光源(200)を封止する封止物質が満たされて、第1封止部(300)が形成されることができる。前述された第1封止部(300)は、前述された励起光源(200)を封止する役割をすることができるだけでなく保護膜としての役割をすることもある。また、前述された波長変換層(400B)が、第1封止部(300)上に位置すると、これを保護及び固定するために第2封止部(500)をさらに形成することができる。封止物質は、エポキシ、シリコン、アクリル系高分子、ガラス、カーボネート系高分子及びこれらの混合物中少なくとも一つを含むことができる。
第1封止部(300)はコンプレッションモルディング(compressionmolding)法、トランスファーモルディング(transfermolding)法、ドッティング(dotting)法、ブレイドコーティング(blade coating)法、スクリーンプリンティング(Screen coating)法、ディップコーティング(dip coating)法、スピンコーティング(Spin coating)法、スプレー(Spray)法またはインクジェットプリンティング(inkjet printing)法などの多様な方法を使って形成することができる。しかし、前記第1封止部(300)は省略されてもよい。
本発明の一実施例では、前記発光素子を単位セルに限定して図示したが、ベース構造物がサブマウント基板または発光ダイオードウェハーである場合に、波長変換層が形成された多数個の発光ダイオードチップを配置させた後に、前記サブマウント基板または発光ダイオードウェハーを切断して、各単位セルで加工することができる。
また好ましくは、前記波長変換層は、ストレッチャブルな特性を有することができる。
本発明に係るストレッチャブル波長変換層は、前述された金属ハライドペロブスカイトを含むことを特微とする。
図90は、本発明の一実施例に係るストレッチャブル波長変換層を模式化した断面図である。
図90を参照すると、本発明に係るストレッチャブル波長変換層(100)は、色変換粒子(110)及び色変換粒子(110)が分散したストレッチャブル高分子(120)を含むことができる。
本発明の色変換粒子(110)は、ストレッチャブル高分子(120)内に分散することができる。波長変換層(100)は、ストレッチャブル高分子(120)を含むことによって、伸縮性を有することができる。
波長変換層(100)は、色変換層あるいは色変換フィルムとも呼ばれて、散乱を防止するために平らな(flat)形を有することが好ましく、表面粗度(roughness)が50nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、前記表面粗度は20nm以下であり得る。
前記ストレッチャブル高分子(120)は、polydimethylsiloxane(PDMS)、polyurethane(PU)、styrene butadiene styrene(SBS)、styrene ethylene butylene styrene(SEBS)、エコフレックス(ecoflex)、ヒドロゲル(hydrogel)、有機ゲル(organogel)、PEO(Polyethylene oxide)、PS(Polystyrene)、PCL(Polycaprolactone)、PAN(Polyacrylonitrile)、PMMA(Poly(methyl methacrylate))、ポリイミド(Polyimide)、PVDF(Poly(vinylidene fluoride))、PVK(Poly(n-vinylcarbazole))、PVC(Polyvinylchloride)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalene)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリエーテルスルホン(polyether sulfone)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリメチルフェニルシロキサン(polymethylsiloxane)、ポリジフェニルシロキサン(polydiphenylsiloxane)、ポリシロキサン(polysiloxane)、ORMOCER、それら各々の誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上を含む単一共重合体(Homo copolymer)、交互共重合体(Alternating copolymer)、ランダム共重合体(Random copolymer)、ブロック共重合体(Block copolymer)、マルチブロック共重合体(Multiblockcopolymer)またはグラフト共重合体(Graft copolymer)であり得る。
また、前記polydimethylsiloxane(PDMS)、polyurethane(PU)、styrene butadiene styrene(SBS)、styrene ethylene butylene styrene(SEBS)、エコフレックス(ecoflex)、ヒドロゲル(hydrogel)、有機ゲル(organogel)、PEO(Polyethylene oxide)、PS(Polystyrene)、PCL(Polycaprolactone)、PAN(Polyacrylonitrile)、PMMA(Poly(methyl methacrylate))、ポリイミド(Polyimide)、PVDF(Poly(vinylidene fluoride))、PVK(Poly(n-vinylcarbazole))、PVC(Polyvinylchloride)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalene)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリエーテルスルホン(polyether sulfone)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリメチルフェニルシロキサン(polymethylsiloxane)、ポリジフェニルシロキサン(polydiphenylsiloxane)、ポリシロキサン(polysiloxane)乃至ORMOCER各々の誘導体は水素結合を含むことができる。一例として、水素結合は、-H...F、O-H...N、O-H...O、N-H...N、N-H...O、OH-H...OH3
+であり得る。
前記ストレッチャブル高分子(120)は、スクラッチ(Scratch)及び損傷(damage)により自らの復元能力を有することによって自己治癒可能なものである。
前記ストレッチャブル高分子(120)の伸縮力(Stretchability)は、引張方向に沿って5%以上であり得る。好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは100%以上である。従って、ストレッチャブル波長変換層(100)は、加えられた延伸(Strain)により破断(break)されることなく5%以上引張(Stretching)できて、通常20%以上の引張がされることが好ましい。
図91は、本発明の一実施例に係るストレッチャブル発光素子の断面図である。
図91を参照すると、ストレッチャブル発光素子は、ストレッチャブル波長変換層(100)、ストレッチャブル光源(200)及び接合層(300)を含む。
前記波長変換層(100)は、励起光を波長変換して波長変換光を発生させる色変換粒子(110)と色変換粒子(110)が分散したストレッチャブル高分子(120)を含む。また、波長変換層(100)とストレッチャブル光源(200)との間には接合層(300)が形成される。前記接合層(300)は、色変換層(100)と光源(200)の延伸が起きても接合が維持されて、光源で形成された光の吸収が最小化される材質ならいずれのものでも可能である。
前記波長変換層の構成及び材質は、前記図90で説明されたのと同様である。
また、ストレッチャブル光源(200)は、発光粒子(221)及び前記発光粒子(221)が分散した分散用高分子(221)を含む。前記分散用高分子(221)も延伸力を有することが好ましい。
ストレッチャブル光源(200)から光が放出されて、放出された光はストレッチャブル波長変換層(100)に到達することができる。ストレッチャブル波長変換層(100)に到達した光(以下、励起光と称する)は、光の波長領域が変換されて、入射された波長領域とは異なる波長領域を有する光(以下、波長変換光と称する)を放出することができる。
ストレッチャブル光源(200)は、inorganic light-emitting diode(LED)、organic light-emitting didoes(OLED)、perovskite light emitting diode(PeLED)、light-emitting electrochemical cell(LEEC)、alternative-current electroluminescence(ACEL)、quantum dot light-emitting diodes(QDLEDs)、light-emitting capacITOr(LEC)またはlight-emitting transistor(LET)であり得る。例えば、ストレッチャブル光源(200)は、ストレッチャブルperovskite light-emitting diode(PeLED)であってもよく、QDLEDであってもよい。特に、QDLEDは分散用高分子(222)内に量子ドットが分散した形態で提供される。
前記ストレッチャブル光源(200)を5%、さらに好ましくは10%以上引張させる場合、素子の電気発光(electroluminescence)、外部プロトン効率(external quantum efficiency)及び電流(current efficiency)が変化ないか50%未満に低下することができる。従って、ストレッチャブル光源(200)の伸縮力(Stretchability)が引張方向(Stretching direction)に沿って5%以上であり得る。
前記ストレッチャブル光源(200)は、下部電極層(210)、発光層(220)、上部電極層(230)で構成される。前記下部電極層(210)及び上部電極層(230)は、延伸が可能な材質であり導電性を有することが好ましい。例えば、前記下部電極層(210)及び上部電極層(230)は、イオン性水和ゲルであることが好ましい。
ストレッチャブル光源は、波長変換層の色変換粒子で発光される波長より短い波長を有する光を発光することが好ましい。例えば、ストレッチャブル光源が、青色光(400-490nm)を発光する青色ストレッチャブル光源である場合、光源上に配置された波長変換層内の色変換粒子は、前記青色光を吸収して励起できる。励起された色変換粒子は、赤色または緑色に変換できる粒子であり得る。即ち、波長変換層は、吸収された青色光は赤色変換粒子によって赤色光に変換されて放出され、緑色変換粒子によって緑色光に変換されて放出されることができる。また、ストレッチャブル光源が、紫外線光を発光するUV(400nm以下)ストレッチャブル光源である場合、ストレッチャブル色変換層は、青色変換粒子、緑色変換粒子及び赤色変換粒子を共に含み、ストレッチャブル発光素子は、青色光、緑色光及び赤色光を放出することができる。
図92は、本発明の一実施例に係るストレッチャブル波長変換層の製造方法を説明するための模式図である。
本発明では、自己組み立て単分子膜で処理された基板表面に薄膜を形成させることによって基板表面の低い表面エネルギーによってポリマー薄膜を基板から容易に剥離できる長所がある。従って、色変換層であるポリマー薄膜の厚さを精度よくコントロールすることができる。
図92を参照すると、自己組み立て単分子膜(50)が準備される。前記自己組み立て単分子膜(50)は低い表面エネルギーを有する必要がある。これにより、波長変換層(100)が基板(55)から容易に剥離することができる。前記自己組み立て単分子膜(50)は、オクタデシルトリメトキシシラン(Octadecyltrimethoxysilane:OTMS)で構成されることが好ましい。
前記OTMS表面処理された基板表面を使うようになると、前記波長変換層(100)をスピンコーティングで薄く(約70μm水準)薄膜形成することができ、この薄膜の積層を介して所望の厚さに精度よくコントロールできる長所がある。この時、波長変換層(100)の厚さは、70μm以上より大きく1mm未満になるのが好ましく、70μm以上で140μmがより好ましい。さらに好ましくは80μmから130μmであってもよく、さらに好ましくは80μmから100μmであり得る。
また、オクタデシルトリメトキシシラン(Octadecyltrimethoxysilane:OTMS)表面処理しなかったSiあるいはガラス基板に前記波長変換層(100)薄膜を形成する場合には、波長変換層薄膜と基板の接着力が高くて、フィルムが基板から剥離し難いため、以後ストレッチャブル光源に積層し難い問題点がある。
また、OTMS表面処理しなかったSiあるいはガラス基板に前記波長変換層(100)薄膜を形成する場合には、金属ハライドペロブスカイトが分散したストレッチャブル高分子の粘性が高く、100μm未満の薄い厚さの色変換層形成が難しい問題がある。
前記自己組み立て単分子膜(50)上には、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶または量子ドットが分散した色変換前駆体溶液がコーティングされる。色変換前駆体溶液は、SEBS(Styrene Ethylene Butylene Styrene)を含むことが好ましい。前記SEBSは、他のストレッチャブル高分子とは異なり、追加で架橋する工程がないので、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を分散する目的において好ましい。
スピンコーティング後、フィルムで形成された波長変換層(100)は、基板(55)から容易に剥離できる。
図93は、本発明の一実施例に係るストレッチャブル波長変換層の製造方法を説明するための他の模式図である。
図93を参照すると、前記波長変換層は複数個で形成されることができる。例えば、第1基板(65)上に第1自己組み立て単分子膜(60)が形成されて、第1自己組み立て単分子膜(60)上に第1波長変換層(150)が形成される。第1波長変換層(150)とは別に第2基板(75)上に第2自己組み立て単分子膜(70)が形成されて、第2自己組み立て単分子膜(70)上に第2波長変換層(160)が形成される。
第1波長変換層(150)は、緑色光を形成して、金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を有することができる。また、第2波長変換層(160)は、赤色光を形成して、量子ドットを有することができる。形成された第1波長変換層(150)と第2波長変換層(160)は、互いに接合される。波長変換層を構成する高分子にはSEBSが含まれた状態であるため、各波長変換層は、他の接合剤の介入なしに容易に接合される。従って、接合された少なくとも2種の波長変換層は、それぞれ接合された自己組み立て単分子膜から剥離される。
図94は、本発明の一実施例に係る図91のストレッチャブル発光素子の製造方法を説明するための模式図である。
図94を参照すると、イオン性水和ゲル溶液が準備される。イオン性水和ゲル溶液は、特定の形状を有するモールド(mold)に投入されて、キュアリングされるとイオン性水和ゲルに形成される。前記イオン性水和ゲルは、図91の下部電極または上部電極として機能する。イオン性水和ゲルは、水溶性高分子が物理的または化学的な結合によって3次元の架橋を形成するネットワーク構造を有する。従って、水相環境で溶解しないで、相当量の水分を含有することができる。また、内部にイオンを有するので、印加される電界によるイオンの移動により電流の伝達が可能な特徴を有する。
また、下部の第1イオン性水和ゲルで構成された下部電極(210)が形成されると、第1イオン性水和ゲル上部に発光層(220)が形成される。前記発光層は、分散性高分子内にむらなく分散した発光粒子を有する。前記発光粒子は、量子ドットまたは図91の金属ハライドペロブスカイト粒子を含むことができる。また、前記発光層(220)を構成する分散性高分子は、PDMSのように延伸力を有する材質であることが好ましい。
前記発光層(220)上に上部電極(230)として機能する第2イオン性水和ゲルが形成される。これにより、2個のイオン性水和ゲルは発光層を中心に陽電極及び陰電極として作用する。これにより、発光層は発光動作を行うことができる。
また、第2イオン性水和ゲル上には、前記図91に説明された波長変換層(100)を接着することができる。ストレッチャブル光源(200)と波長変換層(100)の接合が容易でない場合使われる接着層(300)には、発光層(220)で形成される光の吸収が少ない材質が使われることが好ましい。接着層(300)の材質は当業者によって多様に選択することができる。
発光層(220)での延伸力を確保するために、本発明の実施例では高分子でPDMSが利用される。PDMSは不導体であるため、2層のイオン性水和ゲルの間で印加される交流電圧によって発光層(220)の発光粒子は電界によって励起状態になり、交流電圧によって励起状態と基底状態を繰り返す。これにより、発光動作が行われる。
また、発光動作の実行によって形成された光は波長変換層に入射される。仮に、光源が青色光を発光して、波長変換層が、赤色及び緑色光を形成する金属ハライドペロブスカイトナノ結晶または量子ドットを有する場合、延伸力を有する発光素子は白色光を形成する。これにより、非常に薄い厚さでも白色光源を得ることができて、多様なディスプレイ環境が使用できる。
<ハイブリッド波長変換層>
前述された波長変換層は、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットまたは非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体を追加で含むハイブリッド波長変換層であり得る。
図95は、本発明の一実施例に係るハイブリッド波長変換体を示す。
図95を参照すると、本発明の一実施例に係るハイブリッド波長変換体(400)は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(20)、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット(15)及び分散媒質(30)を含む。
外部から入射された光(入射光)が前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子に到達すると波長変換された光を発光する。従って、本発明に係るハイブリッド波長変換体(400)は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットによって光の波長を変換させる機能をする。
この時、入射光中前述された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の発光波長より短い波長を有する光を励起光という。また、前述された励起光を発光する光源を励起光源という。
本発明に係るハイブリッド波長変換体は、波長変換粒子として有機物平面と無機物平面が交互に積層されたラメラ構造を有する金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(20)と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット(15)を同時に含むことを特微とする。
また、本発明に係るハイブリッド波長変換体は、前述された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(20)と非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体を同時に含むことができる。
本発明で非金属ハライドペロブスカイト系波長変換体は、量子ドットと蛍光体に区分することができる。前記量子ドットは、数ナノメートル以下の大きさの半導体粒子であって、ボーア半径より小さい直径を有して量子閉じ込め効果を表すことを特微とする。従って、量子ドットの大きさが小さいほど大きいバンドギャップエネルギーを有して、量子ドットの大きさによって発光波長を調節することができる。一方蛍光体は、ボーア半径より大きい直径を有するので、粒子または結晶の大きさによってバンドギャップエネルギーが変化せず、結晶構造または分子構造に依存する発光をする物質をいう。
本発明に係るハイブリッド波長変換体において、以下では非金属ハライドペロブスカイト系波長変換体の一例として、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットを中心に説明するが、これに制限されず、非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体も本発明の範囲に含まれる。
前記金属ハライドペロブスカイトは前述したのと同様であるため、詳しい説明は省略する。
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶は、ハライド金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(10)を取り囲む複数個の有機リガンド(20)をさらに含むことができる。この時の有機リガンド(20)は、界面活性剤で使われた物質として、アルキルハライドを含むことができる。従って、上述した通り析出されるハライド金属ハライドペロブスカイトの表面を安定化するために界面活性剤で使われたアルキルハライドがハライド金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の表面を取り囲む有機リガンドとなる。一方、アルキルハライド界面活性剤の長さが短い場合、形成されるナノ結晶の大きさが大きくなるので、10μmを超えて形成できて、大きいナノ結晶中で熱的イオン化及び電荷運搬体の非偏在化によってエキシトンが発光に行けず自由電荷に分離されて消滅する根本的な問題があり得る。従って、一定長さ以上のアルキルハライドを界面活性剤で使うことによって形成されるハライド金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の大きさを一定大きさ以下に制御することができる。
本発明に係る金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(100)は、有機溶媒に分散が可能な金属ハライドペロブスカイトナノ結晶構造(110)を含むことができる。この時の有機溶媒は、極性溶媒または非極性溶媒であり得る。
例えば、前記極性溶媒は、酢酸(acetic acid)、アセトン(acetone)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、エタノール(ethanol)またはジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を含み、前記非極性溶媒はジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、スチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、シクロヘキセンまたはイソプロピルアルコールを含むことができるが、これに制限されない。
また、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は当分野で通常使う形態であり得る。金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は0次元、1次元乃至2次元の形態であり得る。一例として、球状(Sphere)、楕円状(ellipsoid)キューブ(cube)、中空キューブ(hollow cube)、ピラミッド状(pyramid)、円柱状(cylinder)、円錐状(cone)、楕円柱状(elliptic column)、中空球状(hollow sphere)、ヤヌス構造型(Janus particle)、多角柱型(prisim)、多重枝型(multipod)、多面体(polyhedron)、ナノチューブ(nano tube)、ナノワイヤー(nano wire)、ナノ繊維(nano fiber)またはナノ板状粒子(nanoplatelet)等の形態であり得る。
また、結晶粒子の大きさが1nm乃至10μm以下であり得る。例えば、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、7.5nm、8nm、8.5nm、9nm、9.5nm、10nm、10.5nm、11nm、11.5nm、12nm、12.5nm、13nm、13.5nm、14nm、14.5nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、5μmまたは10μmであり得る。粒子の大きさは前記で選択された任意の2種類の数字中、低い値を最小値、大きい値を最大値で一つの領域で定義することができる。好ましくは8nm以上300nm以下で、さらに好ましくは10nm以上30nm以下である。一方、この時の結晶粒子の大きさは後述するリガンドの長さを考慮しなかった大きさ、即ちこのようなリガンドを除いた残り部分の大きさを意味する。結晶粒子の大きさが1μm以上である場合、大きい結晶中で熱的イオン化(thermal ionization)及び電荷運搬体の非偏在化(delocalization of charge carriers)によりエキシトンが発光に行けず自由電荷に分離されて消滅する根本的な問題があり得る。また、さらに好ましくは前述した通り前記結晶粒子の大きさはボーア径(Bohr diameter)以上であり得る。前記熱的イオン化及び電話運搬体の非偏在化現象は、ナノ結晶の大きさが100nmを超えると徐々に現れる。300nm以上である場合、その現象がより現れて、1μm以上である場合は完全にバルク領域であるため、前記現象の支配を受けるようになる。
例えば、結晶粒子が球状である場合、結晶粒子の直径は1nm乃至10μmであり得る。好ましくは、1nm、3nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、5μm、または10μmであり得る。
また、このような結晶粒子のバンドギャップエネルギーは1eV乃至5eVであり得る。好ましくは前記ナノ結晶粒子のバンドギャップエネルギーは、1eV、1.1eV、1.2eV、1.3eV、1.4eV、1.5eV、1.6eV、1.7eV、1.8eV、1.81eV、1.82eV、1.83eV、1.84eV、1.85eV、1.86eV、1.87eV、1.88eV、1.89eV、1.9eV、1.91eV、1.92eV、1.93eV、1.94eV、1.95eV、1.96eV、1.97eV、1.98eV、1.99eV、2eV、2.01eV、2.02eV、2.03eV、2.04eV、2.05eV、2.06eV、2.07eV、2.08eV、2.09eV、2.1eV、2.11eV、2.12eV、2.13eV、2.14eV、2.15eV、2.16eV、2.17eV、2.18eV、2.19eV、2.2eV、2.21eV、2.22eV、2.23eV、2.24eV、2.25eV、2.26eV、2.27eV、2.28eV、2.29eV、2.3eV、2.31eV、2.32eV、2.33eV、2.34eV、2.35eV、2.36eV、2.37eV、2.38eV、2.39eV、2.4eV、2.41eV、2.42eV、2.43eV、2.44eV、2.45eV、2.46eV、2.47eV、2.48eV、2.49eV、2.5eV、2.51eV、2.52eV、2.53eV、2.54eV、2.55eV、2.56eV、2.57eV、2.58eV、2.59eV、2.6eV、2.61eV、2.62eV、2.63eV、2.64eV、2.65eV、2.66eV、2.67eV、2.68eV、2.69eV、2.7eV、2.71eV、2.72eV、2.73eV、2.74eV、2.75eV、2.76eV、2.77eV、2.78eV、2.79eV、2.8eV、2.9eV、3eV、3.1eV、3.2eV、3.3eV、3.4eV、3.5eV、3.6eV、3.7eV、3.8eV、3.9eV、4eV、4.1eV、4.2eV、4.3eV、4.4eV、4.5eV、4.6eV、4.eV、4.8eV、4.9eV、5eVの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
通常前記金属ハライドペロブスカイトは、X位のハライドイオンを調節することで、発光波長を調節することができる。しかし金属ハライドペロブスカイトのハライドイオンは、非常に大きい移動性を有しているので、ハライドイオンマイグレーションが発生する可能性がある。これにより互いに異なるハライドイオン組成の金属ハライドペロブスカイトナノ粒子を波長変換体に使う場合、イオンマイグレーションによって金属ハライドペロブスカイトナノ粒子の組成が変化して、波長変換体の発光波長帯が変化しやすくなる。従って、金属ハライドイオン金属ハライドペロブスカイトのみを利用した波長変換体では、安定した二個以上の波長の発光を得ることが非常に難しい。また、金属ハライドペロブスカイトの高い反応性により金属ハライドペロブスカイトナノ粒子のアグリゲーションが起きて、発光効率が減少する。
また、従来の波長変換体で使われる無機量子ドットは、色純度及び発光性能のためにカドミウム(Cd)が必須的に含まれ、前記カドミウムは、人体に非常に有害であって有害物質制限指針(Restriction of Hazardous Substances Directive、RoHS)基準によって2022年以後には100ppm未満にだけ使用可能で、カドミウムを使わない量子ドットの場合、半値幅(FWHM)が35nm以上でその色純度が非常に落ちる。また、量子ドットを構成する半導体物質は、価格が非常に高く、量子ドットの低い吸光度によって波長変換体の製作のため多量の量子ドットが必要であるため、費用増加の問題がある。
しかし、本発明に係るハイブリッド波長変換体は、従来の非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットの中の一つである無機量子ドット波長変換体の一部をカドミウムが含まれない金属ハライドペロブスカイトナノ粒子に代えながら波長変換体内のカドミウム含有量を大きく低下させることができる。これは波長変換体の有害性を低くすることができるだけでなく、波長変換体がRoHS基準を満たすようにすることができるので、商業的にも大変重要である。特に、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、前記無機量子ドットに比べて大きい吸光度を有するので、従来の無機量子ドットに比べてより少ない量の発光体だけを使って同等以上の効率特性を確保することができる。
また、本発明に係るハイブリッド波長変換体において、前記非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットはハライドイオンを含まない。従って、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットと金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子との間には、ハライドイオンマイグレーションが起きない。従って、本発明に係るハイブリッド波長変換体内で金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の組成が変化せず、そこで前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、発光波長帯の変化なしに安定した発光を得ることができる。
従って、本発明に係るハイブリッド波長変換体は、従来の非金属ハライドペロブスカイト系波長変換体や金属ハライドペロブスカイト波長変換体とは本質的に差があって、より進歩した形態の波長変換体である。
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及び前記非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットは、励起光源から発生した光を互いに異なる波長に変換することができる。具体的には、励起光源から発生した青色光に対して前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、緑色光を放出して、前記非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットは、赤色光を放出することができる。
前記緑色光は、500nm、501nm、502nm、503nm、504nm、505nm、506nm、507nm、508nm、509nm、510nm、511nm、512nm、513nm、514nm、515nm、516nm、517nm、518nm、519nm、520nm、521nm、522nm、523nm、524nm、525nm、526nm、527nm、528nm、529nm、530nm、531nm、532nm、533nm、534nm、535nm、536nm、537nm、538nm、539nm、540nm、541nm、542nm、543nm、544nm、545nm、546nm、547nm、548nm、549nm、550nm、560nm、570nm、580nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。前記赤色光は、590nm、600nm、601nm、602nm、603nm、604nm、605nm、606nm、607nm、608nm、609nm、610nm、611nm、612nm、613nm、614nm、615nm、616nm、617nm、618nm、619nm、620nm、621nm、622nm、623nm、624nm、625nm、626nm、627nm、628nm、629nm、630nm、631nm、632nm、633nm、634nm、635nm、636nm、637nm、638nm、639nm、640nm、641nm、642nm、643nm、644nm、645nm、646nm、647nm、648nm、649nm、650nm、660nm、670nm、680nm、690nm、700nmの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
金属ハライドペロブスカイトナノ結晶が緑色光を放出して、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットが赤色光を発光する場合、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の高い吸光度によって励起光を効果的に緑色光に変換することができ、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶で非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットにエネルギー遷移を誘導することができる。従って、より少量の発光体で既存の非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット波長変換体と比較した時、同等以上の効率特性確保が可能であり、金属ハライドペロブスカイトナノ粒子の自己エネルギー遷移を効果的に減少させて安定した発光を得ることができる。
本発明に係るハイブリッド波長変換体において、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットは、異種の波長変換粒子であるため、波長に応じた吸収と発光において大きい特性差を示す。また、金属ハライドペロブスカイトは非常に大きい吸光度を有する。従って、従来の量子ドット波長変換体と比較した時その混合割合を合わせるのが難しい。そこで、本発明に係るハイブリッド波長変換体は、緑色光及び赤色光の発光度が同等な水準となるように金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットの混合割合を調節することが重要である。
この時、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と量子ドットの混合割合は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と量子ドットの重さの合計に対する金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の重さ割合を基準に20wt%乃至80wt%であり得る。例えば、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と量子ドットの重さの合計に対する金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の重さ割合は、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、51wt%、52wt%、53wt%、54wt%、55wt%、56wt%、57wt%、58wt%、59wt%、60wt%、61wt%、62wt%、63wt%、64wt%、65wt%、66wt%、70wt%、75wt%、80wt%の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。また好ましくは、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と量子ドットの重さの合計に対する金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の重さ割合は、50wt%乃至66wt%であってもよく、前記範囲から外れて、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の混合割合が大きい場合、金属ハライドペロブスカイトのアグリゲーションが起きて、安定した波長変換が出来ず、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子同士で自己エネルギー遷移(Self-absorption)が起きて発光効率が大きく減少したり発光波長が変化する問題がある。
前記非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット(15)は、Si系統ナノ結晶、II-IV族系化合物半導体ナノ結晶、III-V族系化合物半導体ナノ結晶、IV-VI族系化合物半導体ナノ結晶、ボロン量子ドット、炭素量子ドット、金属量子ドット及びこれらの混合物の少なくとも一つを含むことができる。
前記II-IV族系化合物半導体ナノ結晶は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe及びHgZnSTeから構成された群から選択されたいずれか一つであるが、これに制限されない。
前記III-V族系化合物半導体ナノ結晶は、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs及びInAlPAsから構成された群から選択されたいずれか一つであるが、これに制限されない。
前記IV-VI族系化合物半導体ナノ結晶は、SbTeであってもよいが、これに制限されない。
前記炭素量子ドットは、グラフェン量子ドット、カーボン量子ドット、C3N4交互配列量子ドット、高分子量子ドットであってもよいが、これに制限されない。
前記金属量子ドットは、Au、Ag、Al、Cu、Li、Cu、Pd、Pt及びこれらの合金であってもよいが、これに制限されない。
本発明に係るハイブリッド波長変換体において、前記分散媒質は液体状態であってもよく、前記金属ハライドペロブスカイトナノ粒子及び前記非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットを均一に分散させて、紫外線照射時硬化して前記金属ハライドペロブスカイトナノ粒子及び前記非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットを固定化させる役割をする。このような分散媒質ではエポキシ樹脂、シリコン及びこれらの混合物の少なくとも一つであってもよいが、これに制限されない。
図96は、本発明の別の実施例に係るハイブリッド波長変換体を示す模式図である。
図96を参照すると、本発明の別の実施例に係るハイブリッド波長変換体(400)は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(20)、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット(15)、分散媒質(30)に前記分散媒質を密封する密封部材(10)をさらに含むことができる。
また、本発明の別の実施例に係るハイブリッド波長変換体は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子、非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体、分散媒質に前記分散媒質を密封する密封部材をさらに含むことができる。
前記密封部材(10)は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットまたは非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体が分散した分散媒質によって腐食されない種類の物質を利用することができ、好ましくはエポキシ樹脂、アクリル系高分子、ガラス、カーボネート系高分子、シリコン及びこれらの混合物の少なくとも一つであってもよいが、これに制限されない。一例として、高分子樹脂は加熱して粘着が可能であるので、これを利用するとシーツ状態の高分子樹脂を密封材料にして、熱粘着方法で金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及び非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットが分散した分散媒質が内部に位置するパックを形成することができる。このような密封部材を利用したハイブリッド波長変換体(400)の製造方法については、以下の<ハイブリッド波長変換体の製造方法>で詳しく説明する。
以下には本発明に係るハイブリッド波長変換体の製造方法を説明する。
まず、波長変換粒子として金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及び非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットを準備する。
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及び非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットに関する説明は、前述されたのと同様であるため、重複記載を避けるため省略する。
この時、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットは、当業界で通常使われる量子ドットを使うことができ、市販されているものを使ったり、当業界で通常使われる方法によって製造できる。
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、下記の方法により製造されるが、これに制限されない。
図97は、本発明の一実施例に係るハイブリッド波長変換体で波長変換粒子として使われる金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の製造方法を示す模式図である。
図97を参照すると、前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、前述された逆ナノ-エマルション(Inverse nano-emulsion)法あるいはリガンド補助再沈殿法により製造することができるが、これに制限されない。前記逆ナノ-エマルション(Inverse nano-emulsion)法とあるいはリガンド補助再沈殿法は前述したのと同様であるため、詳細な説明は省略する。
前述された金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子は、すべての有機溶媒に分散が可能である。そこで、大きさ、発光波長スペクトル、リガンド、構成元素が容易に調節可能であるため、多様な電子素子に応用が可能である。
一方、このような金属ハライドペロブスカイト結晶粒子の大きさは、アルキルハライド界面活性剤の長さまたは形要素(Shape factor)調節を介して制御することができる。例えば、形要素(Shape factor)調節は、線形、テイパード(tapered)または逆三角形の界面活性剤を介して大きさを制御することができる。
また、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は当分野で通常使う形態であり得る。金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は0次元、1次元乃至2次元の形態であり得る。一例として、球状(Sphere)、楕円状(ellipsoid)キューブ(cube)、中空キューブ(hollow cube)、ピラミッド状(pyramid)、円柱状(cylinder)、円錐状(cone)、楕円柱状(elliptic column)、中空球状(hollow sphere)、ヤヌス構造型(Janus particle)、多角柱型(prisim)、多重枝型(multipod)、多面体(polyhedron)、ナノチューブ(nano tube)、ナノワイヤー(nano wire)、ナノ繊維(nano fiber)またはナノ板状粒子(nanoplatelet)等の形態であり得る。
また、結晶粒子の大きさが1nm乃至10μm以下であり得る。例えば、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、7.5nm、8nm、8.5nm、9nm、9.5nm、10nm、10.5nm、11nm、11.5nm、12nm、12.5nm、13nm、13.5nm、14nm、14.5nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、5μmまたは10μmであり得る。粒子の大きさは前記で選択された任意の2種類の数字のうち低い値を最小値、大きい値を最大値で一つの領域で定義することができる。好ましくは8nm以上300nm以下で、さらに好ましくは10nm以上30nm以下である。一方、この時の結晶粒子の大きさは、後述するリガンドの長さを考慮しなかった大きさ、即ち、このようなリガンドを除いた残り部分の大きさを意味する。結晶粒子の大きさが、1μm以上である場合、大きい結晶の中で熱的イオン化(thermal ionization)及び電荷運搬体の非偏在化(delocalization of charge carriers)によりエキシトンが発光に行けず自由電荷に分離されて消滅する根本的な問題があり得る。また、さらに好ましくは、前述した通り前記結晶粒子の大きさは、ボーア径(Bohr diameter)以上であり得る。前記熱的イオン化及び電話運搬体の非偏在化現象は、ナノ結晶の大きさが100nmを超えると徐々に現れる。300nm以上である場合、その現象がより現れて、1μm以上である場合は、完全にバルク領域であるため、前記現象の支配を受けるようになる。
例えば、結晶粒子が球状である場合、結晶粒子の直径は1nm乃至10μmであり得る。好ましくは、1nm、3nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、5μmまたは10μmであり得る。
また、このようなナノ結晶粒子のバンドギャップエネルギーは1eV乃至5eVであり得る。好ましくは前記ナノ結晶粒子のバンドギャップエネルギーは、1eV、1.1eV、1.2eV、1.3eV、1.4eV、1.5eV、1.6eV、1.7eV、1.8eV、1.81eV、1.82eV、1.83eV、1.84eV、1.85eV、1.86eV、1.87eV、1.88eV、1.89eV、1.9eV、1.91eV、1.92eV、1.93eV、1.94eV、1.95eV、1.96eV、1.97eV、1.98eV、1.99eV、2eV、2.01eV、2.02eV、2.03eV、2.04eV、2.05eV、2.06eV、2.07eV、2.08eV、2.09eV、2.1eV、2.11eV、2.12eV、2.13eV、2.14eV、2.15eV、2.16eV、2.17eV、2.18eV、2.19eV、2.2eV、2.21eV、2.22eV、2.23eV、2.24eV、2.25eV、2.26eV、2.27eV、2.28eV、2.29eV、2.3eV、2.31eV、2.32eV、2.33eV、2.34eV、2.35eV、2.36eV、2.37eV、2.38eV、2.39eV、2.4eV、2.41eV、2.42eV、2.43eV、2.44eV、2.45eV、2.46eV、2.47eV、2.48eV、2.49eV、2.5eV、2.51eV、2.52eV、2.53eV、2.54eV、2.55eV、2.56eV、2.57eV、2.58eV、2.59eV、2.6eV、2.61eV、2.62eV、2.63eV、2.64eV、2.65eV、2.66eV、2.67eV、2.68eV、2.69eV、2.7eV、2.71eV、2.72eV、2.73eV、2.74eV、2.75eV、2.76eV、2.77eV、2.78eV、2.79eV、2.8eV、2.9eV、3eV、3.1eV、3.2eV、3.3eV、3.4eV、3.5eV、3.6eV、3.7eV、3.8eV、3.9eV、4eV、4.1eV、4.2eV、4.3eV、4.4eV、4.5eV、4.6eV、4.eV、4.8eV、4.9eV、5eVの中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
以下には具体的に本発明の一実施例に係るハイブリッド波長変換体の製造方法を説明する。
(a)分散媒質硬化法
本発明に係るハイブリッド波長変換体の製造方法において、前記分散媒質硬化法は、分散溶媒に波長変換粒子として金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットまたは非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体を分散させて、第1分散溶液を製造する段階;前記第1分散溶液に分散媒質を分散させて第2分散溶液を製造する段階;及び前記第2分散溶液を基板の上にコーティングして紫外線を照射して、前記分散媒質を重合及び硬化させてハイブリッド波長変換体を形成させる段階を含む。
まず、第1分散溶液を製造する段階では、前記分散溶媒に波長変換粒子として金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットまたは非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体を共に分散させて、コロイダル(colloidal)形態の溶液を形成する。
この時、前記分散溶媒は、波長変換粒子として金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット及び非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体の性能に影響を及ぼさない性質を有する素材であり得る。このような分散溶媒としては、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、キシレン、トルエン、ヘキサン、オクタン、シクロヘクセイン、ジクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼンの中から選択されるが、これに制限されない。
前記ハイブリッド波長変換体で金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットは、異種の波長変換粒子であるため、波長に応じた吸収と発光において大きい特性差を示す。また、金属ハライドペロブスカイトは、非常に大きい吸光度を有する。従って、既存の量子ドット波長変換体と比較した時、その混合割合を合わせるのが難しい。この時、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットの混合割合は、重量比で1:1~2:1であることが好ましく、前記範囲から外れて、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子の混合割合が大きい場合、金属ハライドペロブスカイトのアグリゲーションが起きて、安定した波長変換を出来ず、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子同士で自己エネルギー遷移(Self-absorption)が起きて発光効率が大きく減少したり発光波長が変化する問題がある。
次に、前記第1分散溶液に分散媒質を混合して第2分散溶液を製造する。前記分散媒質は液体状態であってもよく、前記金属ハライドペロブスカイトナノ粒子及び前記非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットまたはピペロスカイト系蛍光体を均一に分散させて、紫外線照射時硬化して前記金属ハライドペロブスカイトナノ粒子及び前記非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットまたは非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体を固定化させる役割をする。このような分散媒質としては、エポキシ樹脂、シリコン及びこれらの混合物の少なくとも一つであってもよいが、これに制限されない。
次に、第2分散溶液を基板の上にコーティングする。前記第2分散溶液をコーティングしながら分散溶媒は除去されて、基板の上に金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットまたは非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体が分散媒質に均一に混合された波長変換体が形成される。
この時、前記コーティングは、スピンコーティング法、スプレー法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルプリンティング法、スロット-ダイコーティング法、グラビアプリンティング法、スクリーンプリンティング法、ブラシペインティング法またはロールコーティング法などの多様な方法の中から選択することができる。
次に、分散媒質を重合及び硬化させる。前記重合及び硬化は、紫外線を照射することによって行われて、使われる紫外線は、例えば350~400nmの波長を有するものを使うことができるが、これに制限されない。
前記分散媒質が重合及び硬化しながら前記分散媒質内に金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子と非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットまたは非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体が均一に混合された状態で固定された波長変換体が製造される。
以後、必要に応じて追加的に基板を除去する段階をさらに含むことができる。
(b)in-situ金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子合成法
本発明に係るハイブリッド波長変換体の製造方法において、前記in-situ金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子合成法は、金属ハライドペロブスカイト前駆物質(precursor)を溶媒に溶解させて、金属ハライドペロブスカイト前駆物質溶液を準備する段階;前記金属ハライドペロブスカイト前駆物質溶液に非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット及び分散媒質を混合して、第3分散溶液を製造する段階;及び前記第3分散溶液を基板の上にコーティングして結晶化させて、紫外線を照射して前記分散媒質を重合及び硬化させてハイブリッド波長変換体を形成する段階を含む。
まず、金属ハライドペロブスカイト前駆物質溶液を準備する段階では、前記金属ハライドペロブスカイト前駆物質を溶媒に溶解させて行うことができる。
この時、前記溶媒は金属ハライドペロブスカイト前駆物質を溶かすことができ、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットの性能に影響を及ぼさない性質を有する素材であり得る。前記溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ガンマブチロラクトン、メチルピロリドン及びイソプロピルアルコールの中から選択されるが、これに制限されない。
第3分散溶液を製造する段階では、前記金属ハライドペロブスカイト前駆物質溶液に非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット及び分散媒質を共に分散させて、コロイダル(colloidal)形態の溶液を形成する。このように製造された第3分散溶液は、金属ハライドペロブスカイト電球物質が溶けていて、量子ドット及び高分子が分散しているコロイダル(colloidal)形態の溶液である。
以後第3分散溶液を基板の上にコーティングする。第3分散溶液をコーティングしながら分散溶媒は除去されて、基板の上に金属ハライドペロブスカイト前駆物質の結晶化が行われ、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット及び分散媒質が均一に混合された波長変換体が形成される。
この時、前記コーティングは、スピンコーティング法、スプレー法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルプリンティング法、スロット-ダイコーティング法、グラビアプリンティング法、スクリーンプリンティング法、ブラシペインティング法またはロールコーティング法などの多様な方法の中から選択されることができる。
次に、分散媒質を重合及び硬化させる。前記重合及び硬化は紫外線を照射することによって行われて、使われる紫外線は、例えば350~400nmの波長を有するものを使うことができるが、これに制限されない。
前記分散媒質が重合及び硬化しながら前記分散媒質内に金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及び非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットが均一に混合された状態で固定された波長変換体が製造される。
この時、第3分散溶液を基板の上にコーティングする段階及び紫外線を照射する段階は、順序を変えて行われてもよく、同時に進行されてもよい。
以後、必要に応じて追加的に基板を除去する段階をさらに含むことができる。
(c)分散媒質密封法
本発明に係るハイブリッド波長変換体の製造方法において、前記分散媒質密封法は、第1密封部材及び第2密封部材を積層する段階;第1密封部材及び第2密封部材の一側部を接着する段階;第1密封部材及び第2密封部材が接着されなかった他側部の第1密封部材及び第2密封部材の間で波長変換粒子として金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及び非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットが分散した分散媒質を注入する段階;及び第1密封部材及び第2密封部材の他側部を接着して、波長変換粒子として金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及び非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットが分散した分散媒質を密封部材で密封する段階を含む。
図98は、本発明の一実施例に係る密封法を利用したハイブリッド波長変換体の製造方法を示した断面図である。
以下、図98を参照して前記密封法を利用したハイブリッド波長変換体の製造方法を詳細に説明する。
図98(a)を参照すると、第1密封部材(10a)及び第2密封部材(10b)を積層する。
前記密封部材は、波長変換粒子として金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(20)及び非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット(15)が分散した分散媒質(30)によって腐食されない高分子樹脂またはシリコンを使うことができる。特に、高分子樹脂は加熱して粘着が可能であるため、これを利用するとシーツ状態の高分子樹脂を熱粘着工程を利用して波長変換粒子(15、20)が分散した分散媒質(30)が注入されたパック形態の波長変換体を形成することができる。
図98(b)を参照すると、前述された波長変換粒子(15、20)及び分散媒質(30)が密封部材(10a、10b)から漏れないように第1密封部材(10a)及び第2密封部材(10b)の一側部(1)を加熱して熱粘着工程を使って接着することができる。しかし、前述された波長変換粒子(15、20)及び分散媒質(30)が漏れないなら、熱粘着工程以外に他の接着工程の使用が可能である。
図98(c)を参照すると、前述された第1密封部材(10a)及び第2密封部材(10b)が接着されなかった他側部の第1密封部材(10a)及び第2密封部材(10b)の間に前記波長変換粒子(15、20)が分散した分散媒質(30)を注入する。
図98(d)を参照すると、前述された第1密封部材(10a)及び第2密封部材(10b)の他側部(1)を熱粘着工程を使って接着して、波長変化物質(15、20)が分散した分散媒質(30)を密封部材(10a、10b)で密封する。
図98(e)を参照すると、波長変化物質(15、20)が分散した分散媒質(30)が密封部材(10)で密封されたハイブリッド波長変換体(400)が形成されることが分かる。
前記方法で製造されたハイブリッド波長変換体(400)は、波長変換粒子である金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子(20)及び非金属ハライドペロブスカイト系量子ドット(15)を分散媒質(30)に分散させて、密封することで、別途のリガンド精製工程を必要とすることなく発光装置に適用できる長所がある。そこで、リガンド精製時に発生する波長変換粒子の酸化を防ぐことができ、発光装置に適用時、高い色純度及び発光効果を示す。また、工程を簡素化することができる。
また、前記ハイブリッド波長変換体(400)は、従来の量子ドット波長変換体の一部をカドミウムが含まれない金属ハライドペロブスカイトナノ粒子に代えてカドミウム含有量を大きく減らすことができる。特に、金属ハライドペロブスカイトナノ粒子が量子ドットに比べて大きい吸光度を有するので、既存の量子ドットに比べてより少ない量の発光体だけを使って同等以上の効率特性を確保することができる。
また、本発明は前記ハイブリッド波長変換体を含む発光装置を提供する。
図99及び図100は、本発明の一実施例に係る発光装置の断面図である。
図99及び図100を参照すると、本発明の一実施例に係る発光素子は、ベース構造物(100)、前述されたべース構造物(100)上に配置されて、所定の波長の光を放出する少なくとも一つの励起光源(200)、及び前述された励起光源(200)の光路に配置前述されたハイブリッド波長変換体(400)を含む。
前述されたべース構造物(100)は、パッケージフレームまたはベース基板であり得る。ベース構造物(100)がパッケージフレームである場合、パッケージフレームは前記ベース基板を含むこともできる。前記ベース基板は、サブマウント基板または発光ダイオードウェハーであり得る。前記発光ダイオードウェハーは、発光ダイオードチップ単位で分離する前状態としてウェハー上に発光ダイオード素子が形成された状態を示す。前記ベース基板は、シリコン基板、金属基板、セラミック基板または樹脂基板であり得る。
前述されたべース構造物(100)は、パッケージリードフレームまたはパッケージプリモールド(pre-mold)フレームであり得る。ベース構造物(100)は、ボンディングパッド(図示せず)を含むことができる。ボンディングパッドは、Au、Ag、Cr、Ni、Cu、Zn、Ti、Pdなどを含有することができる。ベース構造物(100)の外側部にはボンディングパッドにそれぞれ連結された外部連結端子(図示せず)を配置することができる。ボンディングパッド及び前記外部連結端子は、パッケージリードフレームに備わったものなどであり得る。
前述されたべース構造物(100)上に励起光源(200)を配置する。前述された励起光源(200)は、本発明に係るハイブリッド波長変換体(400)の波長変換粒子(金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子、非金属ハライドペロブスカイト系量子ドットまたは非金属ハライドペロブスカイト系蛍光体)の発光波長より短い波長を有する光を発光することが好ましい。前述された励起光源(200)は、発光ダイオード及びレーザーダイオードのいずれかであり得る。また、ベース構造物(100)が発光ダイオードウェハーである場合、励起光源を配置する段階は省略されることができる。例えば、励起光源(200)は青色LEDを使うことができるが、青色LEDでは420nm乃至480nmの青色光を発するガリウム窒化物系LEDを使うことができる。
図99及び図100のように、前述された励起光源(200)を封止する封止物質が満たされて、第1封止部(300)が形成されることができる。前述された第1封止部(300)は、前述された励起光源(200)を封止する役割をすることができるだけでなく保護膜としての役割をすることもできる。また、前述された波長変換体(400)が第1封止部(300)上に位置すると、これを保護及び固定するため第2封止部(500)をさらに形成することができる。封止物質は、エポキシ、シリコン、アクリル系高分子、ガラス、カーボネート系高分子及びこれらの混合物の少なくとも一つを含むことができる。
第1封止部(300)は、コンプレッションモルディング(compressionmolding)法、トランスファーモルディング(transfermolding)法、ドッティング(dotting)法、ブレイドコーティング(blade coating)法、スクリーンプリンティング(Screen coating)法、ディップコーティング(dip coating)法、スピンコーティング(Spin coating)法、スプレー(Spray)法またはインクジェットプリンティング(inkjet printing)法などの多様な方法を使って形成することができる。しかし、前記第1封止部(300)は省略されてもよい。
前記ハイブリッド波長変換体(400)の詳細な説明は、前述された内容と同様であるため、重複記載を避けるために省略する。
図99及び図100のように、前述された波長変換体(400)上に前述された波長変換体(400)を封止する封止物質が満たされて、第2封止部(500)が形成されることができる。第2封止部(500)は、前述された第1封止部(300)と同じ物質を使用することができて、同じ製造方法により形成することができる。
また、本発明に係る発光装置は、前記励起光源が実装される底面及び反射部が形成された側面を含む溝部、及び前記溝部を支持して前記励起光源と電気的に連結された電極部が形成された支持部をさらに含むことができる。
前述された発光装置は、発光素子だけでなく照明、バックライトユニットなどに適用することができる。
本発明の一実施例では、前記発光装置を単位セルに限定して図示したが、ベース構造物がサブマウント基板または発光ダイオードウェハーである場合に波長変換体が形成された多数個の発光ダイオードチップを配置させた後に前記サブマウント基板または発光ダイオードウェハーを切断して各単位セルで加工することができる。
一方、金属ハライドペロブスカイト波長変換体の製造において、前記金属ハライドペロブスカイトが、分散媒質に相互間の固まる現象が発生して、均一に分散することができずに固まった金属ハライドペロブスカイト結晶間の自己吸収(self-absorption)が起きて、発光効率が減少し、発光波長帯が変化する。従って、前記金属ハライドペロブスカイトが、分散媒質に均一に分散することが大変重要である。
金属ハライドペロブスカイト発光体は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を取り囲む複数個の有機リガンドをさらに備えた場合、通常有機リガンドは、疏水性の特性を有するので、これによって均一に分散したフィルムを製造できる分散媒質の種類が限定される。
一方、金属ハライドペロブスカイトは、酸素及び水分に対する安定性が非常に低い。従って、安定した金属ハライドペロブスカイト波長変換体の製造のために酸素と水分に対して透過率が低い分散媒質を使うことが好ましい。しかし、このような酸素と水分に対して透過率が低い分散媒質は通常疏水性材料との互換性が良くないため、前記金属ハライドペロブスカイトと混合した時、均一な分散を得にくい。このような問題を解決するために高温で金属ハライドペロブスカイトと分散媒質を混合する方法が使われるが、金属ハライドペロブスカイトの熱に脆弱な特性により発光効率が減少する。
このような問題を解決するため、金属ハライドペロブスカイト発光体は、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶を取り囲む複数個の有機リガンドをさらに備えた場合、好ましくは前記波長変換体はマトリックス樹脂内カプセル化樹脂によって金属ハライドペロブスカイトがカプセル化された粒子が分散した形態であり得る。
図101は、本発明の一実施例に係るカプセル化された金属ハライドペロブスカイト波長変換層フィルムの断面図である。
図101を参照すると、金属ハライドペロブスカイトが第1分散媒質によってカプセル化された構造を有して、カプセル化された金属ハライドペロブスカイトは、第2分散媒質内に分散した構造を有することができる。
また好ましくは、第1分散媒質は、有機リガンドと互換性が良く、金属ハライドペロブスカイトを均一に分散することを特徴とする。
また好ましくは、前記分散媒質は高分子であり得る。好ましくは、前記高分子は主鎖(backbone)または側鎖(Side chain)の少なくとも一つに極性基を有することを特徴とする。前記極性基は、金属ハライドペロブスカイト表面に吸着して、金属ハライドペロブスカイトの分散性を高める役割をする。
前記高分子の主鎖に極性基を有する場合、前記高分子の主鎖はポリエステル(polyester)、エチルセルロース(ethyl cellulose)、ポリビニルピリジン(polyvinylpridine)及びこれらの組み合わせを含むことを特徴とするが、これに制限されない。
前記高分子の側鎖に極性基を有する場合、前記極性基は、酸素成分を含むことを特徴とし、好ましくは前記極性基は、-OH、-COOH、-COH、-CO-、-O-及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また、前記高分子は、数平均分子量が300g/mol乃至100,000g/mol程度であることが好ましい。高分子の数平均分子量が前記範囲から外れて300g/mol未満の場合には、量子ドット-高分子ビーズ内で量子ドットの離隔が充分でなくて、発光効率が低下することができて、100,000g/molを超える場合にはビーズの大きさが大きすぎて、製膜工程で不良が発生する可能性がある。前記高分子は、熱硬化性樹脂、またはワックス系化合物であり得る。
具体的に前記熱硬化性樹脂は、シリコン系樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂、要素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ブチルゴム、イソブチレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム及びこれらの組み合わせから選ばれるが、これに制限されない。
前記シリコン系樹脂は、液状シロキサン(siloxane)高分子であり得る。前記シロキサン高分子は、ジメチルシリコンオイル(dimethyl silicone oil)、メチルフェニルシリコンオイル(methylphenyl silicone oil)、ジフェニルシリコンオイル(diphenyl silicone oil)、ポリシロキサン(polysiloxane)、ジフェニルシロキサンの共重合体(diphenyl siloxane copolymer)、メチルヒドロゲンシリコンオイル(methylhydrogen silicone oil)、メチルヒドロキシシリコンオイル(methyl hydroxyl silicone oil)、フルオロシリコンオイル(fluoro silicone oil)、ポリオキシエーテル共重合体(polyoxyether copolymer)、アミノ変性シリコンオイル(amino-modified silicone oil)、エポキシ変性シリコンオイル(epoxy-modified silicone oil)、カルボキシル変性シリコンオイル(carboxyl-modified silicone oil)、カルボニル変性シリコンオイル(carbonyl-modified silicone oil)、メタクリル変性シリコンオイル(methacryl-modified silicone oil)、メルカプト変性シリコンオイル(mercapto-modified silicone oil)、ポリエーテル変性シリコンオイル(polyether-modified silicone oil)、メチルスチリル変性シリコンオイル(methylstyryl silicone oil)、アルキル変性シリコンオイル(alkyl-modified silicone oil)またはフッ素シリコンオイル(fluoro-modified silicone oil)であるが、これに制限されない。
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA(bisphenol A)、ビスフェノールF(bisphenol F)、ビスフェノールAD(bisphenol AD)、ビスフェノールS(bisphenol S)、水素添加ビスフェノールA及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記熱硬化樹脂は、熱硬化メカニズムに従って触媒または硬化剤が追加で使われることができる。また好ましくは、前記触媒は、白金触媒を使うことができ、前記硬化剤は、有機過酸化物または常温で液状の芳香環を有するアミンであり得る。
また好ましくは、前記有機過酸化物は、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド(2,4-dichlorobenzoyl peroxide)、ベンゾイルパーオキシド(benzoyl peroxide)、ジクミルパーオキシド(dicumyl peroxide)、ジ-tert-ブチルパーベンゾエート(metyl-tert-butylperbenzoate)及び2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ベンゾエート(2,5-bis(tert-butylperoxy)benzoate)であるが、これに制限されない。
前記または常温で液状の芳香環を有するアミンは、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine)、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン(1-methyl-3,5-diethyl-2,4-diaminobenzene)、1-メチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノベンゼン(1-methyl-3,5-diethyl-2,6-diaminobenzene)、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン(1,3,5-triehyl-2,6-diaminobenzene)、3,3-ジエチル-4,4-ジアミノジフェニルメタン(3,3-diethyl-4,4-diaminodimethylphenylmethane)、3,3,5,5-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(3,3,5,5-tetramethyl-4,4-diaminodiphenylmethane)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記ワックス系化合物は、常温で固体状態であるが、40℃乃至150℃の融点を有し、100乃至100,000の分子量を有する樹脂であり得る。また好ましくは、石油ワックス、動物性天然ワックス、植物性天然ワックスまたは合成ワックスであるが、これに制限されない。
前記第2分散媒質は、カプセル化された金属ハライドペロブスカイトを分散させる役割をして、好ましくは酸素及び水分の透過性が小さい物質であり得る。
また好ましくは、前記第2分散媒質は、光硬化性重合化合物であることを特徴とする。
例えば、前記第2分散媒質はアクリル系樹脂であってもよい。
前記光硬化性重合化合物は、光重合性単量体、光重合性オリゴマー及びこれらの組み合わせであってもよい。前記光重合性単量体及び光重合性オリゴマーは、炭素-炭素二重結合、三重結合中少なくともいずれかを含み、光により重合可能なものであれば特に制限されない。
特に前記第2分散媒質が、アクリル系樹脂である場合、前記光重合性単量体及び光重合性オリゴマーは、それぞれアクリル系単量体、アクリル系オリゴマーであり得る。
前記アクリル系オリゴマーは、エポキシアクリル系樹脂であり得る。前記エポキシアクリル系樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシド(epoxide)基がアクリル基で置換された樹脂であり得る。エポキシアクリレート樹脂は、エポキシ樹脂と同様に主鎖特性により低い透湿率と透気率を有することができる。
また好ましくは、前記エポキシアクリレート樹脂は、ビスフェノール-Aグリセロレートジアクリレート(bisphenol A glycerolate diacrylate)、ビスフェノール-Aエトキシレートジアクリレート(bisphenol A ethoxylate diacrylate)、ビスフェノール-Aグリセロレートジメタクリレート(bisphenol A glycerolate dimethacrylate)、ビスフェノール-Aエトキシレートジメタクリレート(bisphenol A ethoxylate dimethacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記アクリル系単量体は、不飽和基含有アクリル系モノマー、アミノ基含有アクリル系モノマー、エポキシ基含有アクリル系モノマー、及びカルボキシル酸基含有アクリル系モノマー及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記不飽和基含有アクリル系モノマーは、メチルアクリレート(methylacrylate)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate)、エチルアクリレート(ethylacrylate)、エチルメタクリレート(ethyl methacrylate)、n-プロピルアクリレート(n-propylacrylate)、n-プロピルメタクリレート(n-propyl methacrylate)、i-プロピルアクリレート(i-propylacrylate)、i-プロピルメタクリレート(i-propyl methacrylate)、n-ブチルアクリレート(n-butylacrylate)、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)、i-ブチルアクリレート(i-butylacrylate)、i-ブチルメタクリレート(i-butyl methacrylate)、sec-ブチルアクリレート(Sec-butylacrylate)、sec-ブチルメタクリレート(Sec-butyl methacrylate)、t-ブチルアクリレート(t-butylacrylate)、t-ブチルメタクリレート(t-butyl methacrylate)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate)、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2-hydroxypropyl acrylate)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(2-hydroxypropyl methacrylate)、3-ヒドロキシプロピルアクリレート(3-hydroxypropyl acrylate)3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(3-hydroxypropyl methacrylate)、2-ヒドロキシブチルアクリレート(2-hydroxybutyl acrylate)、2-ヒドロキシブチルメタクリレート(2-hydroxy methacrylate)、3-ヒドロキシブチルアクリレート(3-hydroxybutyl acrylate)、3-ヒドロキシブチルメタクリレート(3-hydroxybutyl methacrylate)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybutyl acrylate)、4-ヒドロキシブチルメタクリレート(4-hydroxybutyl methacrylate)、アリルアクリレート(allyl acrylate)、アリルメタクリレート(allyl methacrylate)、ベンジルアクリレート(benzyl acrylate)、ベンジルメタクリレート(benzyl methacrylate)、シクロヘキシルアクリレート(cyclohexyl acrylate)、シクロヘキシルメタクリレート(cyclohexyl methacrylate)、ペニルアクリレート(phenyl acrylate)、フェニルメタクリレート(phenyl methacrylate)、2-メトキシエチルアクリレート(2-methoxyehtyl acrylate)、2-メトキシエチルメタクリレート(2-methoxyethyl methacrylate)、2-フェノキシエチルアクリレート(2-phenoxyethyl acrylate)、2-フェノキシエチルメタクリレート(2-phenoxyethyl methacrylate)、メトキシジエチレングリコールアクリレート(methoxydiethyneglycol acrylate)、メトキシジエチレングリコールメタクリレート(methoxydiethyleneglycol methacylate)、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(methoxytriethyleneglycol acrylate)、メトキシトゥエチレンダリコールメタクリレート(methoxytriethyleneglycol methacrylate)、メトキシプロピレングリコールアクリレート(methoxy propyleneglycol acrylate)、メトキシプロピレングリコールメタクリレート(methoxypropyleneglycol methacrylate)、メトキシジプロピレングリコールアクリレート(methoxydipropyleneglycol acrylate)、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート(methoxydipropyleneglycol methacrylate)、イソボルニルアクリレート(isoboronyl acrylate)、イソボルニルメタクリレート(isoboronyl methacrylate)、ジシクロペンタジエチルアクリレート(dicyclopenta acrylate)、ジシクロペンタジエチルメタクリレート(dicyclopenta methacrylate)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(2-hydroxy-3-phenoxypropyl acrylate)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート(2-hydroxy-3-phenoxypropyl methacrylate)、グリセロールモノアクリレート(glycerol monoacrylate)、グリセロールモノメタクリレート(glycerol monomethacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記アミノ基含有アクリル系モノマーは、2-アミノエチルアクリレート(2-aminoethyl acrylate)、2-アミノエチルメタクリレート(2-aminoethyl methacrylate)、2-ジメチルアミノエチルアクリレート(2-dimethylaminoethyl acrylate)、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート(2-dimethylaminoethyl methacrylate)、2-アミノプロピルアクリレート(2-aminopropyl acrylate)、2-アミノプロピルメタクリレート(2-aminopropyl methacrylate)、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート(2-dimethylaminopropyl acrylate)、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート(2-dimethylaminopropyl methacrylate)、3-アミノプロピルアクリレート(3-aminopropyl acrylate)、3-アミノプロピルメタクリレート(3-aminopropyl methacrylate)、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート(3-dimethylaminopropyl acrylate)、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレート(3-dimethylaminopropyl methacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記エポキシ基含有アクリル系モノマーは、グリシジルアクリレート(glycidyl acrylate)、グリシジルメタアクリレート(glycidyl methacrylate)、グリシジルオキシエチルアクリレート(glycidyloxyethyl acrylate)、グリシジルオキシエチルメタアクリレート(glycidyloxyethyl methacrylate)、グリシジルオキシプロピルアクリレート(glycidyloxypropyl acrylate)、グリシジルオキシプロピルメタアクリレート(glycidyloxypropyl methacrylate)、グリシジルオキシブチルアクリレート(glycidyloxybutyl acrylate)、グリシジルオキシブチルメタアクリレート(glycidyloxybutyl methacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記カルボキシル酸基含有アクリル系モノマーは、アクリル酸(acrylic acid)、メタアクリル酸(methacrylic acid)、アクリロイルオキシ酢酸(acrylo oxyacetic acid)、メタアクリロイルオキシ酢酸(methacrylo oxyacetic acid)、アクリロイルオキシプロピオン酸(acryloyl oxypropionic acid)、メタアクリロイルオキシプロピオン酸(methacryloyl oxypropionic acid)、アクリロオキシ酪酸(acrylo oxybutric acid)、メタアクリロオキシ酪酸(methacrylo oxybutric acid)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また、前記光重合性単量体はフォトレジスト物質であり得る。前記フォトレジスト物質は、シリコンまたはエポキシ物質であり得る。
前記フォトレジスト物質は、常用フォトレジストであり得る。前記常用フォトレジスト物質は、AZ Electronics Materials社のAZ 5214E PR、AZ 9260 PR、AZ AD Promoter-K(HMDS)、AZ nLOF 2000 Series、AZ LOR-28 PR、AZ 10xT PR、AZ 5206-E、AZ GXR-601、AZ 04629;MICROCHEM社のSU-8、950 PMMA、495 PMMA;micropossit社のS1800;トンジンセミケム社のDNR-L300、DSAM、DPR、DNR-H200、DPR-G;コテム社のCTPR-502であるが、これに制限されない。
また好ましくは、前記第2分散媒質は、光開始剤を追加で含むことができる。
前記光開始剤の種類は特に限定されなく、適宜選択することができる。好ましくは、前記光開始剤は、トリアジン(triazine)系統化合物、アセトフェノン(acetophenone)系化合物、ベンゾフェノン(benzophenone)系統化合物、チオキサントン(thioxanthone)系統化合物、ベンゾイン(benzoin)系統化合物、オキシム(oxime)系統化合物、カルバゾール(carbazole)系統化合物、ジケトン(diketone)類化合物、スルホニウムボレート(Sulfonium borate)系統化合物、ジアゾ(diazo)系統化合物、非イミダゾール(nonimidazolium)系統化合物またはこれらの組み合わせから選択されるが、これに制限されない。
前記トリアジン系化合物の例は、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン(2,4,6-trichloro-s-triazine)、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-phenyl-4,6-bis(trichloro methyl)、2-(3’、4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-3’、4’-dimethoxy styryl)-4,6-bis(trichloro methyl)-s-triazine)、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-(4’-methoxynaphtyl)-4,6-bis(trichloromethyl)-s-triazine)、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-(p-methoxyphenyl)-4,6-bis(trichloro methyl)-s-triazine)、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-(p-tolyl)-4,6-bis(trichloromethyl)-s-triazine)、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-biphenyl-4、6、-bis(trichloro methyl)、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン(bis(trichloro methyl)-6-styryl-s-triazine)、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-nafto-1-yl)-4,6-bis(trichloromethyl)、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン(2-(4-methoxynafto-1-yl)-4,6-bis(trichloromethyl)-s-triazine、2,4-トリクロロメチル(ピペロニル)-6-トリアジン(2,4-trichloro methyl(piperonyl)-6-triazine)、2,4-(トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン(2,4-(trichloro methyl(4’-methoxy styryl)-6-triazine)を含むが、これに制限されない。
前記アセトフェノン系化合物の例は、2,2’-ジエトキシアセトフェノン(2,2-diethoxy acetophenone)、2,2’-ジブトキシアセトフェノン(2,2,-dibutoxy acetophenone)、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-2-methyl propiophenone)、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン(p-t-butyl trichloro acetophenone)、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン(p-t-butyl dichloro acetophenone)、4-クロロアセトフェノン(4-chloro acetophenone)、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン(2,2-dichloro-4-phenoxy acetophenone)、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(2-methyl-1-(4-(methylthio)phenyl)-2-mopholino propan-1-one)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン(2-benzyl-2-dimethyl amino-1-(4-mopholino phenyl)-butan-1-one)等を含むが、これに制限されない。
前記ベンゾフェノン系化合物の例は、ベンゾフェノン(bezophenone)、ベンゾイル安息香酸(2-benzoylbenzoate)、ベンゾイル安息香酸メチル(methyl 2-benzoylbenzoate)、4-フェニルベンゾフェノン(4-phenyl benzophenone)、ヒドロキシベンゾフェノン(hydroxybeonzophenone)、アクリル化ベンゾフェノン(benzophenone acrylate)、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4-bis(dimethylamino)benzophenone)、4,4’-ジクロロベンゾフェノン(4,4-dichlorobenzophenone)、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノン(3,3-dimethyl-2-methoxy benzophenone)等を含むが、これに制限されない。
前記チオキサントン系化合物の例はチオキサントン(thioxantone)、2-メチルチオキサントン(2-methyl thioxantone)、イソプロピルチオキサントン(isopropyl thioxantone)、2,4-ジエチルチオキサントン(2,4-diethyl thioxantone)、2,4-ジイソプロピルチオキサントン(2,4-diiospropyl thioxantone)、2-クロロチオキサントン(2-chloro thioxantone)等を含むが、これに制限されない。
前記ベンゾイン系化合物の例は、ベンゾイン(benzoine)、ベンゾインメチルエーテル(benzoine methyl ether)、ベンゾインエチルエーテル(benzoine ethyl ether)、ベンゾインイソプロピルエーテル(benzoine isopropyl ether)、ベンゾインイソブチルエーテル(benzoine isobutyl ether)、ベンジルジメチルケタル(benzyl dimethyl ketal)等を含むが、これに制限されない。
前記オキシム系化合物の例は、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン(2-(o-benzoyloxime)-1-[4-(phenylthio)phenyl]-1、2、-octandione及び1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン(1-(o-acetyloxime)-1-[9-ethyl-6-(2-methylbenzoyl)-9H-carbazol-3-yl]ethanone)を含むが、これに制限されない。
一方、前記第2分散媒質は、架橋のための架橋剤を追加で含むことができる。
好ましくは前記架橋剤は、エチレンダリコールジ(メタ)アクリレート(di(metha)acrylate)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(polyethyleneglycol di(metha)acrylate)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート(trimethylolpropane di(metha)acrylate)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(trimethylolpropane tri(metha)acrylate)、ペンタエリスリトルトリ(メタ)アクリレート(pentaerythritol tri(metha)acrylate)、ペンタエリスリトルテトラ(メタ)アクリレート(pentaerythritol tetra(metha)acrylate)、2-トリスアクリロオキシメチルエチルフタル酸(2-trisacrylo oxymethylethylpthalic acid)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(propyleneglycol di(metha)acrylate)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(polypropyleneglycol di(metha)acrylate)、ジペンタエリスリトルペンタ(メタ)アクリレート(dipentaerythritol penta(metha)acrylate)及びジペンタエリスリトルヘキサ(メタ)アクリレート(dipentaerythritol hexa(metha)acrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また、前記金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体を特定基板に付着したフィルム形態で製作する時、前記第2分散媒質は、高分子バインダーをさらに含むことができる。前記高分子バインダーは、基板と金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体の接着性を向上させる役割をすることができる。
前記基板(10)は、発光素子の支持体になるもので、透明な素材であり得る。また、前記基板(10)は、柔軟な性質の素材または硬質の素材であってもよく、好ましくは柔軟な性質の素材であり得る。
前記基板(10)の素材は、ガラス(Glass)、サファイア(Sapphire)、石英(Quartz)、シリコン(Silicon)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリ塩化ビニール(polyvinyl chloride、PVC)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)またはポリエチレン(polyethylene、PE)等であってもよいが、これに限定されない。
前記高分子バインダーは、アクリル系高分子バインダー、カルド系統高分子バインダーまたはこれらの組み合わせの高分子を使うことができるが、これに制限されない。
前記アクリル系高分子バインダーは、カルボキシ基を含有する第1不飽和単量体と、これと共重合可能な第2不飽和単量体の共重合体であり得る。前記第1不飽和単量体は、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、イタコン酸、3-ブテン酸、フマル酸、安息香酸ビニールなどのカルボン酸ビニールエステル類化合物またはその組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記第2不飽和単量体は、アルケニル芳香族化合物、不飽和カルボン酸エステル類化合物、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類化合物、不飽和カルボン酸グリシジルエステル類化合物、シアン化ビニール化合物、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはその組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また好ましくは、前記第2不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニールトルエン、ビニルベンジルメチルエーテル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、2-アミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、N-フェニルマルレイミド、N-ベンジルマルレイミド、N-アルキルマルレイミド、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリロニトリル、グリシジルアクリレート、アクリルアミドなどの不飽和アミド類化合物;2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレートまたはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記アクリル系高分子バインダーは、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記金属ハライドペロブスカイト-高分子複合体フィルムは、光拡散剤をさらに含むことができる。前記光拡散剤は、金属酸化物粒子、金属粒子及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。前記光拡散剤は、組成物の屈折率を高めて組成物中に入射された光が金属ハライドペロブスカイトと会う確率を高める役割をすることができる。
前記光拡散剤は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛などの無機酸化物粒子、金、銀、銅、白金などの金属粒子などを含むことができるが、これに制限されない。この時、光拡散剤の分散性を高めるために分散剤が添加されることができる。
以下、前記マトリックス樹脂内に金属ハライドペロブスカイトがカプセル化された粒子が分散された構造を有する金属ハライドペロブスカイト波長変換体の製造方法について説明する。
前記第1分散材質及び前記第2分散材質の硬化は、順次行われることを特徴とする。
図102及び図103は、本発明の一実施例に係るカプセル化された粒子が分散された構造を有する金属ハライドペロブスカイト波長変換体の製造方法を示した模式図である。
図102及び図103を参照すると、本発明の一実施例に係るカプセル化された粒子が分散された構造を有する金属ハライドペロブスカイト波長変換体の製造方法は、硬化性エマルション(emulsion)組成物を利用することを特微とする。エマルション(emulsion)は、前述した通り微細な液滴(liquid droplet)が混和性がない(immscible)他の種類の液滴に均一に分散している状態の溶液を意味する。本明細書に限って硬化性エマルション組成物内に不連続に存在する微細な液滴を‘内部相(inner phase)’、内部相以外にエマルション組成物内に連続的に存在する組成を‘外部相(outer phase)’と定義する。
図102及び図103を参照すると、まず内部相を形成できる溶液を製造する。
図103を参照すると、前記内部相は第1分散媒質によってカプセル化された金属ハライドペロブスカイトがカプセル化された粒子を製造するためのもので、金属ハライドペロブスカイト及び高分子を含むことを特徴とする。
前記金属ハライドペロブスカイトは、三次元的な結晶構造または二次元的な結晶構造または一次元的結晶構造または0次元的結晶構造を有する物質であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイトは、ABX3(3D)、A4BX6(0D)、AB2X5(2D)、A2BX4(2D)、A2BX6(0D)、A2B+B3+X6(3D)、A3B2X9(2D)またはAn-1BnX3n+1(qausi-2D)の構造(nは2乃至6の間の整数)を含むことができる。前記Aは1価カチオンで、前記Bは金属物質で、前記Xはハロゲン元素であり得る。前記quasi-2D構造は、ルドルスデン-ポッパー(Ruddlesden-Popper)相またはティオン-ジェイコブソン(Dion-Jacobson)相であり得る。
前記1価カチオンは、1価有機カチオンであるかアルカリ金属であり得る。例えば、前記1価有機カチオンは、有機アンモニウム(RNH3)+、有機アミジニウム誘導体(RC(=NR2)NR2)+、有機グアニジニウム誘導体(R2NC(=NR2)NR2)+、有機ジアンモニウム(CxH2x-n+4)(NH3)n
+、((CxH2x+1)nNH3)(CH3NH3)n
+、(RNH3)2
+、(CnH2n+1NH3)2
+、(CF3NH3)+、(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2(CF3NH3)n
+、((CxF2x+1)nNH3)2
+または(CnF2n+1NH3)2
+(x、nは1以上である整数、R=炭化水素誘導体、H、F、Cl、Br、I)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記アルカリ金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
また好ましくは、前記有機カチオンは、アセトアミジニウム(acetamidinium)、アザスピロンアニウム(azaspironanium)、ベンゼンジアンモニウム(benzene diammonium)、ベンジルアンモニウム(benzylammonium)、ブタンジアンモニウム(butanediammonium)、イソブチルアンモニウム(iso-butylammonium)、n-ブチルアンモニウム(n-butylammonium)、t-ブチルアンモニウム(t-butylammonium)、シクロヘキシルアンモニウム(cyclohexylammonium)、シクロヘキシルメチルアンモニウム(cyclohexylmethylammonium)、ジアゾビシクロオクタンジニウム(diazobicyclooctanedinium)、ジエチルアンモニウム(diethylammonium)、N,N-ジエチルエタンジアンモニウム(N、N-diehtylethane diammonium、N,N-ジエチルプロパンジアンモニウム(N、N-diethylpropane diammonium)、ジメチルアンモニウム(dimethylammonium)、N,N-ジメチルエタンジアンモニウム(N、N-dimethylethane diammonium)、ジメチルプロパンジアンモニウム(dimethylpropane diammonium)、ドデシルアンモニウム(dodecylammonium)、エタンジアンモニウム(ethanediammonium)、エチルアンモニウム(ethylammoniuium)、4-フルオロ-ベンジルアンモニウム(4-fluoro-benzylammonium)、4-フルオロ-フェニルエチルアンモニウム(4-fluoro-phenylethylammonium)、4-フルオロ-フェニルアンモニウム(4-fluoro-phenylammonium)、ホルムアミジニウム(formamidinium)、グアニジニウム(guanidinium)、ヘキサンジアンモニウム(hexanediammnium)、ヘキシルアンモニウム(hexylammonium)、イミダゾリウム(imidazolium)、2-メトキシエチルアンモニウム(2-methoxyethylammonium)、4-メトキシ-フェニルエチルアンモニウム(4-methoxy-phenlylethylammonium)、4-メトキシ-フェニルアンモニウム(4-methoxy-phenylammonium)、メチルアンモニウム(methylammonium)、モルホリニウム(morpholinium)、オクチルアンモニウム(oxtylammonium)、ペンチルアンモニウム(pentylammonium)、ピペラジンジウム(piperazinediium)、ピペリジニウム(piperidinium)、プロパンジアンモニウム(propanediammonium)、イソ-プロピルアンモニウム(iso-propylammonium)、ジ-イソプロピルアンモニウム(di-iso-propylammonium)、n-プロピルアンモニウム(n-propylammonium)、ピリジニウム(pyridinium)、2-pyrrole-1ユム-1-ごのエチルアンモニウム(2-pyrrolidin-1-ium-1-yethylammonium)、ピロリジニウム(pyrrolidinium)、キヌクリジン-1-イウム(quinclidin-1-ium)、4-トリフルオロメチル-ベンジルアンモニウム(4-trifluoromethyl-benzylammonium)、4-トリフルオロメチルアンモニウム(4-trifluoromethyl ammonium)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
前記Bは、2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属、1価金属、3価金属の組み合わせ、有機物(1価、2価、3価のカチオン)及びこれらの組み合わせであり得る。また好ましくは、前記2価の遷移金属、希土類金属、アルカリ土類金属は、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Ru2+、Pd2+、Cd2+、Pt2+、Hg2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Se2+、Te2+、Po2+、Bi2+、Eu2+、No2+及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。前記1価金属は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、Ag+、Hg+、Ti+及びこれらの組み合わせであってもよく、前記3価金属は、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ru3+、Rh3+、Ir3+、Au3+、Al3+、Ga3+、In3+、Ti3+、As3+、Sb3+、Bi3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+、Ac3+、Am3+、Cm3+、Bk3+、Cf3+、Es3+、Fm3+、Md3+、Lr3+及びこれらの組み合わせであり得る。
また、前記Xは、F-、Cl-、Br-、I-、At-及びこれらの組み合わせであり得る。
前記金属ハライドはナノ結晶粒子の形態であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶は、ハライド金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(10)を取り囲む複数個の有機リガンド(20)をさらに含むことができる。この時の有機リガンド(20)は、界面活性剤で使われた物質として、アルキルハライド、アミンリガンドと、カルボキシル酸またはホスホン酸を含むことができる。前記アルキルハライド、アミンリガンド、カルボキシル酸及びホスホン酸の具体的な説明は前記<金属ハライドペロブスカイトナノ結晶粒子>で説明したのと同様である。
また、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は当分野で通常使う形態であり得る。金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は0次元、1次元乃至2次元の形態であり得る。一例として、球状(Sphere)、楕円状(ellipsoid)キューブ(cube)、中空キューブ(hollow cube)、ピラミッド状(pyramid)、円柱状(cylinder)、円錐状(cone)、楕円柱状(elliptic column)、中空球状(hollow sphere)、ヤヌス構造型(Janus particle)、多角柱型(prisim)、多重枝型(multipod)、多面体(polyhedron)、ナノチューブ(nano tube)、ナノワイヤー(nano wire)、ナノ繊維(nano fiber)またはナノ板状粒子(nanoplatelet)等の形態であり得る。
好ましくは、前記高分子は主鎖(backbone)または側鎖(Side chain)の少なくとも一つに極性基を有することを特徴とする。前記極性基は、金属ハライドペロブスカイト表面に吸着して金属ハライドペロブスカイトの分散性を高める役割をすることができる。
前記高分子の主鎖に極性基を有する場合、前記高分子の主鎖は、ポリエステル(polyester)、エチルセルロース(ethyl cellulose)、ポリビニルピリジン(polyvinylpridine)及びこれらの組み合わせを含むことを特徴とできるが、これに制限されない。
前記高分子の側鎖に極性基を有する場合、前記極性基は酸素成分を含むことを特徴とし、好ましくは前記極性基は-OH、-COOH、-COH、-CO-、-O-及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また、前記高分子は数平均分子量が300g/mol乃至100,000g/mol程度であることが好ましい。高分子の数平均分子量が前記範囲から外れて300g/mol未満の場合には、量子ドット-高分子ビーズ内で量子ドットの離隔が充分でなくて発光効率が低下して、100,000g/molを超える場合にはビーズの大きさが大きくなりすぎて製膜工程で不良が発生する可能性がある。
図103を参照すると、前記内部相は第1分散媒質によってカプセル化された金属ハライドペロブスカイトが、カプセル化された粒子を製造するためのもので、金属ハライドペロブスカイト及びカプセル化樹脂を含むことを特徴とする。
前記カプセル化樹脂は、複数個の金属ハライドペロブスカイトをカプセル化して、マトリックス樹脂内均一に分散をなす役割をして、疏水性特性(hydrophilic)を有して金属ハライドを均一に分散させることができる材料なら制限されない。
一方、前記カプセル化樹脂は、熱硬化性樹脂、またはワックス系化合物であり得る。
好ましくは、前記熱硬化性樹脂は常温で液体で存在する液状樹脂であり得る。また好ましくは、前記熱硬化性樹脂は、熱によって硬化が起きる熱硬化性樹脂や熱によって硬化が促進される常温硬化性樹脂を含むことができるが、これに制限されない。
また好ましくは、前記熱硬化性樹脂は、温度100℃で熱硬化が起きたり促進されることを特徴とする。熱硬化が起きたり促進される温度が、前記範囲から外れて100℃を超える場合、熱に脆弱な金属ハライドペロブスカイト結晶構造が分解される。
具体的に前記熱硬化性樹脂は、シリコン系樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂、要素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ブチルゴム、イソブチレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム及びこれらの組み合わせから選ばれるがこれに制限されない。
前記シリコン系樹脂は液状シロキサン(Siloxane)高分子であり得る。前記シロキサン高分子は、ジメチルシリコンオイル(dimethyl silicone oil)、メチルフェニルシリコンオイル(methylphenyl silicone oil)、ジフェニルシリコンオイル(diphenyl silicone oil)、ポリシロキサン(polysiloxane)、ジフェニルシロキサンの共重合体(diphenyl siloxane copolymer)、メチルヒドロゲンシリコンオイル(methylhydrogen silicone oil)、メチルヒドロキシシリコンオイル(methyl hydroxyl silicone oil)、フルオロシリコンオイル(fluoro silicone oil)、ポリオキシエーテル共重合体(polyoxyether copolymer)、アミノ変性シリコンオイル(amino-modified silicone oil)、エポキシ変性シリコンオイル(epoxy-modified silicone oil)、カルボキシル変性シリコンオイル(carboxyl-modified silicone oil)、カルボニル変性シリコンオイル(carbonyl-modified silicone oil)、メタクリル変性シリコンオイル(methacryl-modified silicone oil)、メルカプト変性シリコンオイル(mercapto-modified silicone oil)、ポリエーテル変性シリコンオイル(polyether-modified silicone oil)、メチルスチリル変性シリコンオイル(methylstyryl silicone oil)、アルキル変性シリコンオイル(alkyl-modified silicone oil)またはフッ素シリコンオイル(fluoro-modified silicone oil)であるが、これに制限されない。
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA(bisphenol A)、ビスフェノールF(bisphenol F)、ビスフェノールAD(bisphenol AD)、ビスフェノールS(bisphenol S)、水素添加ビスフェノールA及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記熱硬化樹脂は、熱硬化メカニズムに従って触媒または硬化剤が追加で使われることができる。また好ましくは、前記触媒は白金触媒を使うことができ、前記硬化剤は有機過酸化物または常温で液状の芳香環を有するアミンであり得る。
また好ましくは前記有機過酸化物は、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド(2,4-dichlorobenzoyl peroxide)、ベンゾインパーオキシド(benzoyl peroxide)、ジクミルパーオキシド(dicumyl peroxide)、ティ-tert-ブチルパーベンゾエート(metyl-tert-butylperbenzoate)及び2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ベンゾエート(2,5-bis(tert-butylperoxy)benzoate)であるが、これに制限されない。
前記または常温で液状の芳香環を有するアミンは、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine)、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン(1-methyl-3,5-diethyl-2,4-diaminobenzene)、1-メチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノベンゼン(1-methyl-3,5-diethyl-2,6-diaminobenzene)、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン(1,3,5-triehyl-2,6-diaminobenzene)、3,3-ジエチル-4,4-ジアミノジフェニルメタン(3,3-diethyl-4,4-diaminodimethylphenylmethane)、3,3,5,5-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(3,3,5,5-tetramethyl-4,4-diaminodiphenylmethane)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記ワックス系化合物は、常温で固体状態であるが、40℃乃至150℃の融点を有し、100乃至100,000の分子量を有する樹脂であり得る。また好ましくは石油ワックス、動物性天然ワックス、植物性天然ワックスまたは合成ワックスであるが、これに制限されない。
前記内部相は、金属ハライドペロブスカイト及びカプセル化樹脂を分散させるできる溶媒を含むことができる。前記溶媒は、非極性溶媒であることが好ましいが、これに制限されはしない。例えば、前記非極性溶媒はジクロロエチレン(dichloroethylene)、トリクロロエチレン(trichloroethylene)、クロロホルム(chloroform)、クロロベンゼン(chlorobenzene)、ジクロロベンゼン(dichlorobenzene)、スチレン(Styrene)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)、キシレン(xylene)、トルエン(toluene)、シクロヘキセン(cyclohexane)またはイソプロピルアルコール(isopropylalcohol)を含むことができるが、これに制限されない。
内部相溶液を形成した後、前記内部相溶液を分散剤溶液と混合して硬化性エマルション組成物を形成する。前記分散剤溶液の溶媒は、前記内部相溶液とエマルションを形成できるものなら制限されず、好ましくは極性溶媒であり得る。具体的に前記極性溶媒は、酢酸(acetic acid)、アセトン(acetone)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、エタノール(ethanol)またはジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を含むことができるが、これに制限されない。前記分散剤溶液は混合によって形成された硬化性エマルション組成物で外部相を形成する。
前記カプセル化樹脂がワックス系化合物である場合、これを硬化性エマルション組成物に適用するためには前記ワックス系化合物の融点以上で熱を印加して液状に転換することができる。ワックス系化合物の融点は、ワックス系化合物の種類によって異なるが、好ましくは前記ワックス系化合物の融点が100℃以下であるものを選択することが好ましく、前記融点が前記範囲から外れて100℃を超える場合、硬化性エマルション組成物に適用するため、前記ワックス系化合物の融点以上で熱を印加する過程で熱に脆弱な金属ハライドペロブスカイト結晶構造が分解され得る。
前記硬化性エマルション組成物は、マグネチックスターラーで撹はんしながら行われて、好ましくは前記撹はんは500rpm以上であり得る。前記撹はん速度が、前記範囲から外れて500rpm未満の場合、内部相溶液液滴どうしが凝集して内部相溶液と分散剤溶液が互いに分離することができる。
前記のような方法で硬化性エマルション組成物が形成されると、内部相の組成に応じて様々な方法で金属ハライドペロブスカイトをカプセル化することができる。得られたカプセル化された粒子は、溶媒を除去した後回収して、後続のマトリックス樹脂とカプセル化樹脂を利用したカプセル化工程をさらに含むことができる。
図102を参照すると、前記内部相が金属ハライドペロブスカイト及び高分子を含むことを特徴とする場合、内部相の溶媒を揮発させることができる。前記内部相内の溶媒を揮発させる段階は、硬化性エマルション組成物を減圧する方法を行われることができる。前記過程によって内部相の溶媒が除去される場合、金属ハライドペロブスカイトは、内部相内に含まれている高分子によってカプセル化されることができる。この時、前記第1分散媒質は前記高分子になる。
図103を参照すると、前記内部相が金属ハライドペロブスカイト及びカプセル化樹脂を含むことを特徴とする場合、カプセル化樹脂の種類に応じて様々な方法で金属ハライドペロブスカイトをカプセル化することができる。この時、前記第1分散媒質は、前記カプセル化樹脂の硬化で形成することができる。
特に前記カプセル化樹脂が熱硬化性樹脂である場合、硬化性エマルション組成物に熱を印加して、内部相内のカプセル化樹脂を熱硬化してカプセル化された粒子を製造することができる。前記熱硬化時の温度及び熱硬化性樹脂の種類によって適宜選択されるが、好ましくは前記熱硬化時の温度は100℃以下であることが好ましく、前記熱硬化時の温度が前記範囲から外れて100℃を超える場合、熱に脆弱な金属ハライドペロブスカイト結晶構造が分解されることができる。
前記カプセル化樹脂がワックス系化合物である場合、硬化性エマルション組成物の形成のために印加した熱を除去して金属ハライドペロブスカイトをカプセル化することができる。
図103を参照すると、前記のような過程によってカプセル化された金属ハライドペロブスカイト粒子を形成した後、液滴内部に存在する溶媒を除去して収集することができる。
以後、得られたカプセル化された金属ハライドペロブスカイト粒子をマトリックス樹脂と混合して金属ハライドペロブスカイト粒子-マトリックス樹脂の混合液を製造する。好ましくは、前記マトリックスは酸素及び水分の透過性が小さい物質であり得る。また好ましくは、前記マトリックス樹脂は光硬化性重合化合物であり得る。
例えば、前記光硬化性重合化合物はアクリル系樹脂であり得る。
前記光硬化性重合化合物は、光重合性単量体、光重合性オリゴマー及びこれらの組み合わせであり得る。前記光重合性単量体及び光重合性オリゴマーは、炭素-炭素二重結合、三重結合中少なくともいずれかを含み、光により重合可能なものであれば特に制限されない。
特に前記光硬化性重合化合物がアクリル系樹脂である場合、前記光重合性単量体及び光重合性オリゴマーはそれぞれアクリル系単量体、アクリル系オリゴマーであり得る。
前記アクリル系オリゴマーはエポキシアクリル系樹脂であり得る。前記エポキシアクリル系樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシド(epoxide)基がアクリル基で置換された樹脂であり得る。エポキシアクリレート樹脂は、エポキシ樹脂と同様に主鎖特性により低い透湿率と透気率を有することができる。
また好ましくは、前記エポキシアクリレート樹脂は、ビスフェノール-Aグリセロレートジアクリレート(bisphenol A glycerolate diacrylate)、ビスフェノール-Aエトキシレートジアクリレート(bisphenol A ethoxylate diacrylate)、ビスフェノール-Aグリセロレートジメタクリレート(bisphenol A glycerolate dimethacrylate)、ビスフェノール-Aエトキシレートジメタクリレート(bisphenol A ethoxylate dimethacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記アクリル系単量体は不飽和基含有アクリル系モノマー、アミノ基含有アクリル系モノマー、エポキシ基含有アクリル系モノマー、及びカルボキシル酸基含有アクリル系モノマー及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記不飽和基含有アクリル系モノマーはメチルアクリレート(methylacrylate)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate)、エチルアクリレート(ethylacrylate)、エチルメタクリレート(ethyl methacrylate)、n-プロピルアクリレート(n-propylacrylate)、n-プロピルメタクリレート(n-propyl methacrylate)、i-プロピルアクリレート(i-propylacrylate)、i-プロピルメタクリレート(i-propyl methacrylate)、n-ブチルアクリレート(n-butylacrylate)、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)、i-ブチルアクリレート(i-butylacrylate)、i-ブチルメタクリレート(i-butyl methacrylate)、sec-ブチルアクリレート(Sec-butylacrylate)、sec-ブチルメタクリレート(Sec-butyl methacrylate)、t-ブチルアクリレート(t-butylacrylate)、t-ブチルメタクリレート(t-butyl methacrylate)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate)、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2-hydroxypropyl acrylate)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(2-hydroxypropyl methacrylate)、3-ヒドロキシプロピルアクリレート(3-hydroxypropyl acrylate)3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(3-hydroxypropyl methacrylate)、2-ヒドロキシブチルアクリレート(2-hydroxybutyl acrylate)、2-ヒドロキシブチルメタクリレート(2-hydroxy methacrylate)、3-ヒドロキシブチルアクリレート(3-hydroxybutyl acrylate)、3-ヒドロキシブチルメタクリレート(3-hydroxybutyl methacrylate)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybutyl acrylate)、4-ヒドロキシブチルメタクリレート(4-hydroxybutyl methacrylate)、アリルアクリレート(allyl acrylate)、アリルメタクリレート(allyl methacrylate)、ベンジルアクリレート(benzyl acrylate)、ベンジルメタクリレート(benzyl methacrylate)、シクロヘキシルアクリレート(cyclohexyl acrylate)、シクロヘキシルメタクリレート(cyclohexyl methacrylate)、ペニルアクリレート(phenyl acrylate)、フェニルメタクリレート(phenyl methacrylate)、2-メトキシエチルアクリレート(2-methoxyehtyl acrylate)、2-メトキシエチルメタクリレート(2-methoxyethyl methacrylate)、2-フェノキシエチルアクリレート(2-phenoxyethyl acrylate)、2-フェノキシエチルメタクリレート(2-phenoxyethyl methacrylate)、メトキシジエチレングリコールアクリレート(methoxydiethyneglycol acrylate)、メトキシジエチレングリコールメタクリレート(methoxydiethyleneglycol methacylate)、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(methoxytriethyleneglycol acrylate)、メトキシトゥエチレンダリコールメタクリレート(methoxytriethyleneglycol methacrylate)、メトキシプロピレングリコールアクリレート(methoxy propyleneglycol acrylate)、メトキシプロピレングリコールメタクリレート(methoxypropyleneglycol methacrylate)、メトキシジプロピレングリコールアクリレート(methoxydipropyleneglycol acrylate)、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート(methoxydipropyleneglycol methacrylate)、イソボルニルアクリレート(isoboronyl acrylate)、イソボルニルメタクリレート(isoboronyl methacrylate)、ジシクロペンタジエチルアクリレート(dicyclopenta acrylate)、ジシクロペンタジエチルメタクリレート(dicyclopenta methacrylate)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(2-hydroxy-3-phenoxypropyl acrylate)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート(2-hydroxy-3-phenoxypropyl methacrylate)、グリセロールモノアクリレート(glycerol monoacrylate)、グリセロールモノメタクリレート(glycerol monomethacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記アミノ基含有アクリル系モノマーは、2-アミノエチルアクリレート(2-aminoethyl acrylate)、2-アミノエチルメタクリレート(2-aminoethyl methacrylate)、2-ジメチルアミノエチルアクリレート(2-dimethylaminoethyl acrylate)、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート(2-dimethylaminoethyl methacrylate)、2-アミノプロピルアクリレート(2-aminopropyl acrylate)、2-アミノプロピルメタクリレート(2-aminopropyl methacrylate)、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート(2-dimethylaminopropyl acrylate)、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート(2-dimethylaminopropyl methacrylate)、3-アミノプロピルアクリレート(3-aminopropyl acrylate)、3-アミノプロピルメタクリレート(3-aminopropyl methacrylate)、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート(3-dimethylaminopropyl acrylate)、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレート(3-dimethylaminopropyl methacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記エポキシ基含有アクリル系モノマーは、グリシジルアクリレート(glycidyl acrylate)、グリシジルメタアクリレート(glycidyl methacrylate)、グリシジルオキシエチルアクリレート(glycidyloxyethyl acrylate)、グリシジルオキシエチルメタアクリレート(glycidyloxyethyl methacrylate)、グリシジルオキシプロピルアクリレート(glycidyloxypropyl acrylate)、グリシジルオキシプロピルメタアクリレート(glycidyloxypropyl methacrylate)、グリシジルオキシブチルアクリレート(glycidyloxybutyl acrylate)、グリシジルオキシブチルメタアクリレート(glycidyloxybutyl methacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記カルボキシル酸基含有アクリル系モノマーはアクリル酸(acrylic acid)、メタアクリル酸(methacrylic acid)、アクリロイルオキシ酢酸(acrylo oxyacetic acid)、メタアクリロイルオキシ酢酸(methacrylo oxyacetic acid)、アクリロイルオキシプロピオン酸(acryloyl oxypropionic acid)、メタアクリロイルオキシプロピオン酸(methacryloyl oxypropionic acid)、アクリロオキシ酪酸(acrylo oxybutric acid)、メタアクリロオキシ酪酸(methacrylo oxybutric acid)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また、前記光重合性単量体はフォトレジスト物質であり得る。前記フォトレジスト物質はシリコンまたはエポキシ物質であり得る。
前記フォトレジスト物質は常用フォトレジストであり得る。前記常用フォトレジスト物質は、AZ Electronics Materials社のAZ 5214E PR、AZ 9260 PR、AZ AD Promoter-K(HMDS)、AZ nLOF 2000 Series、AZ LOR-28 PR、AZ 10xT PR、AZ 5206-E、AZ GXR-601、AZ 04629;MICROCHEM社のSU-8、950 PMMA、495 PMMA;micropossit社のS1800;トンジンセミケム社のDNR-L300、DSAM、DPR、DNR-H200、DPR-G;コテム社のCTPR-502であるが、これに制限されない。
前記混合物は、光硬化性重合化合物の種類によって光硬化のための光開始剤を追加で含むことができる。
前記ベンゾフェノン系化合物の例は、ベンゾフェノン(bezophenone)、ベンゾイン安息香酸(2-benzoylbenzoate)、ベンゾイン安息香酸メチル(methyl 2-benzoylbenzoate)、4-フェニルベンゾフェノン(4-phenyl benzophenone)、ヒドロキシベンゾフェノン(hydroxybeonzophenone)、アクリル化ベンゾフェノン(benzophenone acrylate)、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4-bis(dimethylamino)benzophenone)、4,4’-ジクロロベンゾフェノン(4,4-dichlorobenzophenone)、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノン(3,3-dimethyl-2-methoxy benzophenone)等を含むが、これに制限されない。
前記チオキサントン系化合物の例はチオキサントン(thioxantone)、2-メチルチオキサントン(2-methyl thioxantone)、イソプロピルチオキサントン(isopropyl thioxantone)、2,4-ジエチルチオキサントン(2,4-diethyl thioxantone)、2,4-ジイソプロピルチオキサントン(2,4-diiospropyl thioxantone)、2-クロロチオキサントン(2-chloro thioxantone)等を含むが、これに制限されない。
前記ベンゾイン系化合物の例は、ベンゾイン(benzoine)、ベンゾインメチルエーテル(benzoine methyl ether)、ベンゾインエチルエーテル(benzoine ethyl ether)、ベンゾインイソプロピルエーテル(benzoine isopropyl ether)、ベンゾインイソブチルエーテル(benzoine isobutyl ether)、ベンジルジメチルケタル(benzyl dimethyl ketal)等を含むが、これに制限されない。
前記オキシム系化合物の例は、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン(2-(o-benzoyloxime)-1-[4-(phenylthio)phenyl]-1,2,-octandione及び1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン(1-(o-acetyloxime)-1-[9-ethyl-6-(2-methylbenzoyl)-9H-carbazol-3-yl]ethanone)を含むが、これに制限されない。
一方、前記混合物は架橋のための架橋剤を追加で含むことができる。
好ましくは、前記架橋剤は、エチレンダリコールジ(メタ)アクリレート(di(metha)acrylate)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(polyethyleneglycol di(metha)acrylate)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート(trimethylolpropane di(metha)acrylate)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(trimethylolpropane tri(metha)acrylate)、ペンタエリスリトルトリ(メタ)アクリレート(pentaerythritol tri(metha)acrylate)、ペンタエリスリトルテトラ(メタ)アクリレート(pentaerythritol tetra(metha)acrylate)、2-トリスアクリロオキシメチルエチルフタル酸(2-trisacrylo oxymethylethylpthalic acid)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(propyleneglycol di(metha)acrylate)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(polypropyleneglycol di(metha)acrylate)、ジペンタエリスリトルペンタ(メタ)アクリレート(dipentaerythritol penta(metha)acrylate)及びジペンタエリスリトルヘキサ(メタ)アクリレート(dipentaerythritol hexa(metha)acrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記混合物を製造した後、前記混合液を硬化させて、前記マトリックス樹脂の硬化で形成された第2分散媒質にカプセル化された金属ハライドペロブスカイトが分散した構造を有する波長変換体を得ることができる。
図104及び図105は、本発明の別の実施例に係るカプセル化された粒子が分散された構造を有する金属ハライドペロブスカイト波長変換体の製造方法を示した模式図である。
図104及び図105を参照すると、本発明の一実施例に係るカプセル化された粒子が分散された構造を有する金属ハライドペロブスカイト波長変換体の製造方法は、硬化性エマルション(emulsion)組成物を利用することを特徴とし、外部相内に光硬化性重合化合物を含み別途のカプセル化された金属ハライドペロブスカイトを収集する過程なしに波長変換体を製作できることを特徴とする。
前記金属ハライドペロブスカイトについての説明は、前述したのと同様であるため、詳しい説明は省略する。
前記金属ハライドは、ナノ結晶粒子の形態であり得る。
前記金属ハライドペロブスカイトナノ結晶は、ハライド金属ハライドペロブスカイトナノ結晶(10)を取り囲む複数個の有機リガンド(20)をさらに含むことができる。この時の有機リガンド(20)は、界面活性剤で使われた物質であって、アルキルハライド、アミンリガンドと、カルボキシル酸またはホスホン酸を含むことができる。
この時、使用可能なアルキルハライド、アミンリガンド、カルボキシル酸またはホスホン酸の例は、前述したのと同様であるため、重複記載を避けるために省略する。
また、金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は当分野で通常使う形態であり得る。金属ハライドペロブスカイトナノ結晶の形態は0次元、1次元乃至2次元の形態であり得る。一例として、球状(Sphere)、楕円状(ellipsoid)キューブ(cube)、中空キューブ(hollow cube)、ピラミッド状(pyramid)、円柱状(cylinder)、円錐状(cone)、楕円柱状(elliptic column)、中空球状(hollow sphere)、ヤヌス構造型(Janus particle)、多角柱型(prisim)、多重枝型(multipod)、多面体(polyhedron)、ナノチューブ(nano tube)、ナノワイヤー(nano wire)、ナノ繊維(nano fiber)またはナノ板状粒子(nanoplatelet)等の形態であり得る。
図104及び図105を参照すると、まず内部相を形成できる溶液を製造する。
図104を参照すると、前記内部相は、第1分散媒質によってカプセル化された金属ハライドペロブスカイトがカプセル化された粒子を製造するためのもので、金属ハライドペロブスカイト及び高分子を含むことを特徴とする。
好ましくは、前記高分子は主鎖(backbone)または側鎖(Side chain)の少なくとも一つに極性基を有することを特徴とする。前記極性基は、金属ハライドペロブスカイト表面に吸着して金属ハライドペロブスカイトの分散性を高める役割をすることができる。
前記高分子の主鎖に極性基を有する場合、前記高分子の主鎖は、ポリエステル(polyester)、エチルセルロース(ethyl cellulose)、ポリビニルピリジン(polyvinylpridine)及びこれらの組み合わせを含むことを特徴とするが、これに制限されない。
前記高分子の側鎖に極性基を有する場合、前記極性基は酸素成分を含むことを特徴とし、好ましくは前記極性基は、-OH、-COOH、-COH、-CO-、-O-及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また、前記高分子は数平均分子量が300g/mol乃至100,000g/mol程度であることが好ましい。高分子の数平均分子量が、前記範囲から外れて300g/mol未満の場合には量子ドット-高分子ビーズ内で量子ドットの離隔が充分でなく発光効率が低下して、100,000g/molを超える場合にはビーズの大きさが大きすぎて製膜工程で不良が発生する可能性がある。
図105を参照すると、前記内部相は、第1分散媒質によってカプセル化された金属ハライドペロブスカイトがカプセル化された粒子を製造するためのもので、金属ハライドペロブスカイト及びカプセル化樹脂を含むことを特徴とする。
前記カプセル化樹脂は、複数個の金属ハライドペロブスカイトをカプセル化して、マトリックス樹脂内に均一に分散する役割をし、疏水性特性(hydrophilic)を有して金属ハライドを均一に分散させることができる材料なら制限されない。
一方、前記カプセル化樹脂は、熱硬化性樹脂、またはワックス系化合物であり得る。
好ましくは前記熱硬化性樹脂は、常温で液体で存在する液状樹脂であり得る。また好ましくは、前記熱硬化性樹脂は熱によって硬化が起きる熱硬化性樹脂や熱によって硬化が促進される常温硬化性樹脂を含むことができるが、これに制限されない。
また好ましくは、前記熱硬化性樹脂は、温度100℃で熱硬化が起きたり促進されることを特徴とする。熱硬化が起きたり促進される温度が、前記範囲から外れて100℃を超える場合、熱に脆弱な金属ハライドペロブスカイト結晶構造が分解され得る。
具体的に前記熱硬化性樹脂は、シリコン系樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂、要素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ブチルゴム、イソブチレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム及びこれらの組み合わせから選ばれるが、これに制限されない。
前記シリコン系樹脂は、液状シロキサン(Siloxane)高分子であり得る。前記シロキサン高分子は、ジメチルシリコンオイル(dimethyl silicone oil)、メチルフェニルシリコンオイル(methylphenyl silicone oil)、ジフェニルシリコンオイル(diphenyl silicone oil)、ポリシロキサン(polysiloxane)、ジフェニルシロキサンの共重合体(diphenyl siloxane copolymer)、メチルヒドロゲンシリコンオイル(methylhydrogen silicone oil)、メチルヒドロキシシリコンオイル(methyl hydroxyl silicone oil)、フルオロシリコンオイル(fluoro silicone oil)、ポリオキシエーテル共重合体(polyoxyether copolymer)、アミノ変性シリコンオイル(amino-modified silicone oil)、エポキシ変性シリコンオイル(epoxy-modified silicone oil)、カルボキシル変性シリコンオイル(carboxyl-modified silicone oil)、カルボニル変性シリコンオイル(carbonyl-modified silicone oil)、メタクリル変性シリコンオイル(methacryl-modified silicone oil)、メルカプト変性シリコンオイル(mercapto-modified silicone oil)、ポリエーテル変性シリコンオイル(polyether-modified silicone oil)、メチルスチリル変性シリコンオイル(methylstyryl silicone oil)、アルキル変性シリコンオイル(alkyl-modified silicone oil)またはフッ素シリコンオイル(fluoro-modified silicone oil)であるが、これに制限されない。
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA(bisphenol A)、ビスフェノールF(bisphenol F)、ビスフェノールAD(bisphenol AD)、ビスフェノールS(bisphenol S)、水素添加ビスフェノールA及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記熱硬化樹脂は、熱硬化メカニズムに従って触媒または硬化剤を追加で使うことができる。また好ましくは、前記触媒は白金触媒を使うことができ、前記硬化剤は有機過酸化物または常温で液状の芳香環を有するアミンであり得る。
また好ましくは、前記有機過酸化物は、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド(2,4-dichlorobenzoyl peroxide)、ベンゾインパーオキシド(benzoyl peroxide)、ジクミルパーオキシド(dicumyl peroxide)、ティ-tert-ブチルパーベンゾエート(metyl-tert-butylperbenzoate)及び2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ベンゾエート(2,5-bis(tert-butylperoxy)benzoate)であるが、これに制限されない。
前記または常温で液状の芳香環を有するアミンは、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine)、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン(1-methyl-3,5-diethyl-2,4-diaminobenzene)、1-メチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノベンゼン(1-methyl-3,5-diethyl-2,6-diaminobenzene)、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン(1,3,5-triehyl-2,6-diaminobenzene)、3,3-ジエチル-4,4-ジアミノジフェニルメタン(3,3-diethyl-4,4-diaminodimethylphenylmethane)、3,3,5,5-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(3,3,5,5-tetramethyl-4,4-diaminodiphenylmethane)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記ワックス系化合物は、常温で固体状態であるが、40℃乃至150℃の融点を有し、100乃至100,000の分子量を有する樹脂であり得る。また好ましくは、石油ワックス、動物性天然ワックス、植物性天然ワックスまたは合成ワックスであるが、これに制限されない。
前記内部相は、金属ハライドペロブスカイト及びカプセル化樹脂を分散させることができる溶媒を含むことができる。前記溶媒は、非極性溶媒が好ましいが、これに制限されない。例えば前記非極性溶媒は、ジクロロエチレン(dichloroethylene)、トリクロロエチレン(trichloroethylene)、クロロホルム(chloroform)、クロロベンゼン(chlorobenzene)、ジクロロベンゼン(dichlorobenzene)、スチレン(Styrene)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)、キシレン(xylene)、トルエン(toluene)、シクロヘキセン(cyclohexane)またはイソプロピルアルコール(isopropylalcohol)を含むことができるが、これに制限されない。
内部相溶液を形成した後、前記内部相溶液を分散剤溶液と混合して硬化性エマルション組成物を形成する。前記分散剤溶液の溶媒は、前記内部相溶液とエマルションを形成できるものなら制限されず、好ましくは極性溶媒であり得る。具体的に前記極性溶媒は、酢酸(acetic acid)、アセトン(acetone)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ガンマブチロラクトン(gamma butyrolactone)、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、エタノール(ethanol)またはジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を含むことができるが、これに制限されない。前記分散剤溶液は、混合によって形成された硬化性エマルション組成物で外部相を形成する。
前記カプセル化樹脂がワックス系化合物である場合、これを硬化性エマルション組成物に適用するためには前記ワックス系化合物の融点以上で熱を印加して液状に転換することができる。ワックス系化合物の融点は、ワックス系化合物の種類によって異なるが、好ましくは前記ワックス系化合物の融点が100℃以下であるものを選択することが好ましく、前記融点が前記範囲から外れて100℃を超える場合、硬化性エマルション組成物に適用するために前記ワックス系化合物の融点以上で熱を印加する過程で熱に脆弱な金属ハライドペロブスカイト結晶構造が分解され得る。
前記硬化性エマルション組成物は、マグネチックスターラーで撹はんしながら行われ、好ましくは前記撹はんは500rpm以上であり得る。前記撹はん速度が、前記範囲から外れて500rpm未満の場合、内部相溶液液滴どうしが凝集して内部相溶液と分散剤溶液が互いに分離され得る。
図104及び図105を参照すると、前記外部相は光硬化性化合物を含む。例えば、前記光硬化性重合化合物はアクリル系樹脂であり得る。
前記光硬化性重合化合物は、光重合性単量体、光重合性オリゴマー及びこれらの組み合わせであり得る。前記光重合性単量体及び光重合性オリゴマーは、炭素-炭素二重結合、三重結合中少なくともいずれかを含み、光により重合可能なものであれば特に制限されない。
特に前記光硬化性重合化合物がアクリル系樹脂である場合、前記光重合性単量体及び光重合性オリゴマーはそれぞれアクリル系単量体、アクリル系オリゴマーであり得る。
前記アクリル系オリゴマーはエポキシアクリル系樹脂であり得る。前記エポキシアクリル系樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシド(epoxide)基がアクリル基で置換された樹脂であり得る。エポキシアクリレート樹脂は、エポキシ樹脂と同様に主鎖特性により低い透湿率と透気率を有することができる。
また好ましくは、前記エポキシアクリレート樹脂は、ビスフェノール-Aグリセロレートジアクリレート(bisphenol A glycerolate diacrylate)、ビスフェノール-Aエトキシレートジアクリレート(bisphenol A ethoxylate diacrylate)、ビスフェノール-Aグリセロレートジメタクリレート(bisphenol A glycerolate dimethacrylate)、ビスフェノール-Aエトキシレートジメタクリレート(bisphenol A ethoxylate dimethacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記アクリル系単量体は、不飽和基含有アクリル系モノマー、アミノ基含有アクリル系モノマー、エポキシ基含有アクリル系モノマー、及びカルボキシル酸基含有アクリル系モノマー及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記不飽和基含有アクリル系モノマーは、メチルアクリレート(methylacrylate)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate)、エチルアクリレート(ethylacrylate)、エチルメタクリレート(ethyl methacrylate)、n-プロピルアクリレート(n-propylacrylate)、n-プロピルメタクリレート(n-propyl methacrylate)、i-プロピルアクリレート(i-propylacrylate)、i-プロピルメタクリレート(i-propyl methacrylate)、n-ブチルアクリレート(n-butylacrylate)、n-ブチルメタクリレート(n-butyl methacrylate)、i-ブチルアクリレート(i-butylacrylate)、i-ブチルメタクリレート(i-butyl methacrylate)、sec-ブチルアクリレート(Sec-butylacrylate)、sec-ブチルメタクリレート(Sec-butyl methacrylate)、t-ブチルアクリレート(t-butylacrylate)、t-ブチルメタクリレート(t-butyl methacrylate)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate)、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2-hydroxypropyl acrylate)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(2-hydroxypropyl methacrylate)、3-ヒドロキシプロピルアクリレート(3-hydroxypropyl acrylate)3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(3-hydroxypropyl methacrylate)、2-ヒドロキシブチルアクリレート(2-hydroxybutyl acrylate)、2-ヒドロキシブチルメタクリレート(2-hydroxy methacrylate)、3-ヒドロキシブチルアクリレート(3-hydroxybutyl acrylate)、3-ヒドロキシブチルメタクリレート(3-hydroxybutyl methacrylate)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybutyl acrylate)、4-ヒドロキシブチルメタクリレート(4-hydroxybutyl methacrylate)、アリルアクリレート(allyl acrylate)、アリルメタクリレート(allyl methacrylate)、ベンジルアクリレート(benzyl acrylate)、ベンジルメタクリレート(benzyl methacrylate)、シクロヘキシルアクリレート(cyclohexyl acrylate)、シクロヘキシルメタクリレート(cyclohexyl methacrylate)、ペニルアクリレート(phenyl acrylate)、フェニルメタクリレート(phenyl methacrylate)、2-メトキシエチルアクリレート(2-methoxyehtyl acrylate)、2-メトキシエチルメタクリレート(2-methoxyethyl methacrylate)、2-フェノキシエチルアクリレート(2-phenoxyethyl acrylate)、2-フェノキシエチルメタクリレート(2-phenoxyethyl methacrylate)、メトキシジエチレングリコールアクリレート(methoxydiethyneglycol acrylate)、メトキシジエチレングリコールメタクリレート(methoxydiethyleneglycol methacylate)、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(methoxytriethyleneglycol acrylate)、メトキシトリエチレンダリコールメタクリレート(methoxytriethyleneglycol methacrylate)、メトキシプロピレングリコールアクリレート(methoxy propyleneglycol acrylate)、メトキシプロピレングリコールメタクリレート(methoxypropyleneglycol methacrylate)、メトキシジプロピレングリコールアクリレート(methoxydipropyleneglycol acrylate)、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート(methoxydipropyleneglycol methacrylate)、イソボルニルアクリレート(isoboronyl acrylate)、イソボルニルメタクリレート(isoboronyl methacrylate)、ジシクロペンタジエチルアクリレート(dicyclopenta acrylate)、ジシクロペンタジエチルメタクリレート(dicyclopenta methacrylate)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(2-hydroxy-3-phenoxypropyl acrylate)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート(2-hydroxy-3-phenoxypropyl methacrylate)、グリセロールモノアクリレート(glycerol monoacrylate)、グリセロールモノメタクリレート(glycerol monomethacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記アミノ基含有アクリル系モノマーは、2-アミノエチルアクリレート(2-aminoethyl acrylate)、2-アミノエチルメタクリレート(2-aminoethyl methacrylate)、2-ジメチルアミノエチルアクリレート(2-dimethylaminoethyl acrylate)、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート(2-dimethylaminoethyl methacrylate)、2-アミノプロピルアクリレート(2-aminopropyl acrylate)、2-アミノプロピルメタクリレート(2-aminopropyl methacrylate)、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート(2-dimethylaminopropyl acrylate)、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート(2-dimethylaminopropyl methacrylate)、3-アミノプロピルアクリレート(3-aminopropyl acrylate)、3-アミノプロピルメタクリレート(3-aminopropyl methacrylate)、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート(3-dimethylaminopropyl acrylate)、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレート(3-dimethylaminopropyl methacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記エポキシ基含有アクリル系モノマーは、グリシジルアクリレート(glycidyl acrylate)、グリシジルメタアクリレート(glycidyl methacrylate)、グリシジルオキシエチルアクリレート(glycidyloxyethyl acrylate)、グリシジルオキシエチルメタアクリレート(glycidyloxyethyl methacrylate)、グリシジルオキシプロピルアクリレート(glycidyloxypropyl acrylate)、グリシジルオキシプロピルメタアクリレート(glycidyloxypropyl methacrylate)、グリシジルオキシブチルアクリレート(glycidyloxybutyl acrylate)、グリシジルオキシブチルメタアクリレート(glycidyloxybutyl methacrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記カルボキシル酸基含有アクリル系モノマーは、アクリル酸(acrylic acid)、メタアクリル酸(methacrylic acid)、アクリロイルオキシ酢酸(acrylo oxyacetic acid)、メタアクリロイルオキシ酢酸(methacrylo oxyacetic acid)、アクリロイルオキシプロピオン酸(acryloyl oxypropionic acid)、メタアクリロイルオキシプロピオン酸(methacryloyl oxypropionic acid)、アクリロオキシ酪酸(acrylo oxybutric acid)、メタアクリロオキシ酪酸(methacrylo oxybutric acid)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
また、前記光重合性単量体はフォトレジスト物質であり得る。前記フォトレジスト物質はシリコンまたはエポキシ物質であり得る。
前記フォトレジスト物質は常用フォトレジストであり得る。前記常用フォトレジスト物質は、AZ Electronics Materials社のAZ 5214E PR、AZ 9260 PR、AZ AD Promoter-K(HMDS)、AZ nLOF 2000 Series、AZ LOR-28 PR、AZ 10xT PR、AZ 5206-E、AZ GXR-601、AZ 04629;MICROCHEM社のSU-8、950 PMMA、495 PMMA;micropossit社のS1800;トンジンセミケム社のDNR-L300、DSAM、DPR、DNR-H200、DPR-G;コテム社のCTPR-502であるが、これに制限されない。
前記混合物は、光硬化性重合化合物の種類によって光硬化のための光開始剤を追加で含むことができる。前記光開始剤は、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、オキシム系化合物などが挙げられるが、これに制限されない。
前記ベンゾフェノン系化合物の例は、ベンゾフェノン(bezophenone)、ベンゾイル安息香酸(2-benzoylbenzoate)、ベンゾイル安息香酸メチル(methyl 2-benzoylbenzoate)、4-フェニルベンゾフェノン(4-phenyl benzophenone)、ヒドロキシベンゾフェノン(hydroxybeonzophenone)、アクリル化ベンゾフェノン(benzophenone acrylate)、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4-bis(dimethylamino)benzophenone)、4,4’-ジクロロベンゾフェノン(4,4-dichlorobenzophenone)、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノン(3,3-dimethyl-2-methoxy benzophenone)等を含むが、これに制限されない。
前記チオキサントン系化合物の例は、チオキサントン(thioxantone)、2-メチルチオキサントン(2-methyl thioxantone)、イソプロピルチオキサントン(isopropyl thioxantone)、2,4-ジエチルチオキサントン(2,4-diethyl thioxantone)、2,4-ジイソプロピルチオキサントン(2,4-diiospropyl thioxantone)、2-クロロチオキサントン(2-chloro thioxantone)等を含むが、これに制限されない。
前記ベンゾイン系化合物の例は、ベンゾイン(benzoine)、ベンゾインメチルエーテル(benzoine methyl ether)、ベンゾインエチルエーテル(benzoine ethyl ether)、ベンゾインイソプロピルエーテル(benzoine isopropyl ether)、ベンゾインイソブチルエーテル(benzoine isobutyl ether)、ベンジルジメチルケタル(benzyl dimethyl ketal)等を含むが、これに制限されない。
前記オキシム系化合物の例は、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン(2-(o-benzoyloxime)-1-[4-(phenylthio)phenyl]-1,2,-octandione及び1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン(1-(o-acetyloxime)-1-[9-ethyl-6-(2-methylbenzoyl)-9H-carbazol-3-yl]ethanone)を含むが、これに制限されない。
一方、前記混合物は架橋のための架橋剤を追加で含むことができる。
好ましくは前記架橋剤は、エチレンダリコールジ(メタ)アクリレート(di(metha)acrylate)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(polyethyleneglycol di(metha)acrylate)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート(trimethylolpropane di(metha)acrylate)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(trimethylolpropane tri(metha)acrylate)、ペンタエリスリトルトリ(メタ)アクリレート(pentaerythritol tri(metha)acrylate)、ペンタエリスリトルテトラ(メタ)アクリレート(pentaerythritol tetra(metha)acrylate)、2-トリスアクリロオキシメチルエチルフタル酸(2-trisacrylo oxymethylethylpthalic acid)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(propyleneglycol di(metha)acrylate)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(polypropyleneglycol di(metha)acrylate)、ジペンタエリスリトルペンタ(メタ)アクリレート(dipentaerythritol penta(metha)acrylate)及びジペンタエリスリトルヘキサ(メタ)アクリレート(dipentaerythritol hexa(metha)acrylate)及びこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
図104を参照すると、前記内部相が金属ハライドペロブスカイト及び高分子を含むことを特徴とする場合、内部相の溶媒を揮発させることができる。前記内部相内の溶媒を揮発させる段階は、硬化性エマルション組成物を減圧する方法を行うことができる。前記過程によって内部相の溶媒が除去される場合、金属ハライドペロブスカイトは、内部相内に含まれている高分子によってカプセル化できる。
図105を参照すると、前記内部相が金属ハライドペロブスカイト及びカプセル化樹脂を含むことを特徴とする場合、カプセル化樹脂の種類に応じて様々な方法で金属ハライドペロブスカイトをカプセル化することができる。
特に前記カプセル化樹脂が熱硬化性樹脂である場合、硬化性エマルション組成物に熱を印加して、内部相内のカプセル化樹脂を熱硬化してカプセル化された粒子を製造することができる。前記熱硬化時の温度及び熱硬化性樹脂の種類によって適宜選択されるが、好ましくは前記熱硬化時の温度は100℃以下であることが好ましく、前記熱硬化時の温度が前記範囲から外れて100℃を超える場合、熱に脆弱な金属ハライドペロブスカイト結晶構造が分解され得る。
前記カプセル化樹脂がワックス系化合物である場合、硬化性エマルション組成物の形成のために印加した熱を除去して金属ハライドペロブスカイトをカプセル化することができる。
前記カプセル化過程によってカプセル化された金属ハライドペロブスカイト粒子が分散した分散液が製造される。
図104及び図105を参照すると、以後前記硬化性エマルション組成物を基板にコーティング後乾燥して塗膜を形成する。
前記基板(10)の素材は、ガラス(Glass)、サファイア(Sapphire)、石英(Quartz)、シリコン(Silicon)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリ塩化ビニール(polyvinyl chloride、PVC)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)またはポリエチレン(polyethylene、PE)等であってもよいが、これに限定されない。
前記基板(10)上に提供する方法は、公知のコーティング法、例えば、スピンコーティング法、キャスト法、Langmuir-Blodgett(LB)法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、リバースオフセツトコーティング法、スクリーンプリンティング法、スロット-ダイコーティング法及びノズルプリンティング法、乾燥式転写プリンティング法(dry transfer printing)の中から選択されるが、これに限定されない。乾燥はこの技術分野に通常知られている公知の乾燥法、例えば熱風加熱方式、または誘導加熱方式で行うことができるが、これに制限されない。
前記コーティング及び乾燥によって形成された塗膜は、外部相組成物内の光硬化性重合化合物内にカプセル化された金属ハライドペロブスカイトが均一に分散した構造を有する。続いて、前記塗膜に光を照射して光硬化性重合化合物を硬化させて、第2分散媒質にカプセル化された金属ハライドペロブスカイトが均一に分散した構造を有する波長変換体を製造することができる。この時、第2分散媒質は、前記光硬化性重合化合物の硬化で製造されることを特微とする。
<重型有機カチオンの添加を介して欠点生成が制御されたペロブスカイトナノ粒子>
以下、本発明の最も核心となる重型有機カチオンの添加を介して欠点生成が制御されたペロブスカイトナノ粒子を提供する。
ペロブスカイトの結晶構造は、通常B金属物質とハロゲン元素がBX6八面体を形成して、形成されたBX6八面体の間にAカチオンが位置して結晶構造を形成する。従って、Aカチオンの大きさはBX6八面体の大きさに応じて制限される。この時、ペロブスカイト結晶をなすことができるA、B、Xの組み合わせは、トレランス係数(t)を計算して簡単に判断できる。前記トレランス係数は下記の式で定義される。
ペロブスカイトが3次元の結晶構造を有するためには、前記トレランス係数は約0.8以上約1.0以下の値を有することが好ましい。トレランス係数は、中心金属BとハライドアニオンXによっても変わるので、本発明のための基準点を捉えなければならない。中心金属Bは、Pb基準であり、XはBromide基準でトレランス係数の境界を定めようとして、FAPbBr3を基準とする。なぜなら、FAPbBr3は単一カチオンでトレランス係数が1に近く(約1.01)、それ自体が結晶が安定して発光効率が高いためである。従って、本発明で混同を防止するために、テーブルを直接提示する。従って、この基準(B=PbとX=Br基準)にすると、トレランス係数が1.01以上の値を有する場合、Aの半径がBX6八面体の間位に含まれず、結晶が変形(distort)される。例えば、BがPb2+、XがBr-である場合、A位のカチオンはRb+、Cs+、メチルアンモニウム(methylammonium)またはホルムアミジニウム(formamidinium)であり得る。
しかし前述した0.8以上1.01以下のトレランス係数条件を満たすA位カチオンの組み合わせだけで金属ハライドペロブスカイト発光体を形成する場合、A位粒子の小さい大きさによって結晶構造が不安定になって、これによって結晶内部の結合力が弱くなるので、必然的に金属ハライドペロブスカイト発光体の発光効率と安定性を低下させる欠陥が多くなる。この時ペロブスカイト結晶に単独で含まれた時、トレランス係数が1.01より大きく3より小さな重型有機カチオンを結晶に含ませると、ペロブスカイト発光体の欠陥を効果的に制御することができる。
そこで、本発明ではペロブスカイト結晶のA位に単独で含まれた時トレランス係数が1.01以下を作ることができる第1の1価カチオン(A1)と、トレランス係数が1.01以上であり3未満を作ることができる第2の1価有機カチオン(A2)が混合された状態で;第2の1価有機カチオン(A2)が、ペロブスカイト結晶内部及び表面に同時に含まれることを特徴とするコロイドペロブスカイト発光粒子を提供する。
トレランス係数が1.01より大きいA2有機カチオンは、BX6八面体の間の空間より大きい大きさを有しているので、金属ハライドペロブスカイト結晶に含まれることは相対的に難しい。従って、少量のA2有機カチオンは金属ハライドペロブスカイト結晶を形成できるが、結晶を形成できる量より多量のA2有機カチオンを添加した時、過量のA2有機カチオンは、ペロブスカイト結晶に含まれることができずペロブスカイトの結晶粒界またはペロブスカイトナノ粒子の表面に位置する。
表面に位置して、シェルのように粒子を取り囲みながら結合を抑制させる役割をするようになって発光効率はずっと減少せずに大きく維持することができる。また、表面にシェルのように取り囲む重イオンによって粒子のサイズが小さくなってエキシトンあるいは電荷の閉じ込め(confinement)をより良くして放射再結合(radiative recombination)を大きくすることができる。さらには重型カチオンの中でもグアニジニウム(Guanidinium)のように対称的な構造を有していれば、発光がさらに効率的で安定的に出てくることができるようになる。
純粋に一種類のカチオンだけ使った時、金属ハライドペロブスカイト材料のトレランス係数(t)は、関連文献[Nature Photonics,2015,11,582;Chemical Science,2016,7,4548;Chemical Science,2015,6,3430;Science,2016,354、206;Journal of Materials Chemistry A,2017,5,18561]を参考にする。例えば次のとおりである。
ペロブスカイトを構成する代表的なA、B、X位イオンに対してトレランス係数を計算すると下記の表の通りである。
前記A2有機カチオンは、エチルアンモニウム(ethylammonium)、グアニジニウム(guanidinium)、tert-ブチルアンモニウム(tert-butylammonium)、ジエチルアンモニウム(diethylammonium)、ジメチルアンモニウム(dimethylammonium)、エタン-1,2,-ジアンモニウム(ethane-1.2.-diammonium)、イミダゾリウム(imidazolium)、ノーマル-プロピルアンモニウム(n-propylammonium)、イソ-プロピルアンモニウム(iso-propylammonium)、ピロリジニウム(pyrrolidinium)、及びこれらの組み合わせのいずれかであることを特徴とするが、これに制限されない。
この時、結晶に含まれることができるA2有機カチオンの量は、ペロブスカイト結晶を構成するA1カチオン及び添加されるA2有機カチオンの種類によって異なり得る。前記A2粒子が結晶に含まれる時、A2の大きい大きさによるsteric hinderanceによってエンタルピー的に不安定になるが、混合によるエントロピー増加によって結晶が安定化できる。従って、前記結晶に含まれるA2有機カチオンの量は、エンタルピーエネルギー変化とエントロピーエネルギー変化を加えて前駆体対比生成エネルギーが負になる区間を抽出して知ることができる。前記エンタルピーエネルギー変化とエントロピーエネルギーの変化は、DFT計算によって求めることができる。
特に前記A1有機カチオンが、ホルムアミジニウム(Formamidinium)、A2有機カチオンがクアニジニウムであり、B位カチオンがPb2+、X位アニオンがBr-である場合、グアニジニウムがホルムアミジニウムとグアニジニウムの混合物で占める割合が、0%、12.5%、25%、50%、75%、100%に変化する時、前記エンタルピーエネルギーは、0meV、7.7meV、17.5meV、44.5meV、72.7meV、82.5meVに増加して、前記エントロピーエネルギーは、0meV、-10meV、-14.7meV、-17.9meV、-14.7meV、0meVに変化する。
前記結晶内部に含まれたA2有機カチオンは、エントロピー的効果によってペロブスカイト結晶を安定化させて、結晶内部の欠点の生成を抑制することができ、ペロブスカイト結晶内部に含まれることが出来なかった過量のA2有機カチオンは、ペロブスカイトナノ結晶粒子を取り囲む形態の構造を形成して、ペロブスカイトナノ結晶粒子の表面で生成される欠点をパッシベーションすることができる(図114参照)。
前記A位の1価カチオンのうちのA2有機カチオンが、A1カチオンとA2有機カチオンの混合物で占める割合は、ペロブスカイト結晶内部に最大で含まれることができる割合以上であり、金属ハライドペロブスカイトナノ粒子の表面を完全に取り囲んだ時の割合以下、例えば5%以上60%以下であることを特徴とする。
また好ましくは、前記割合を、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、45%、50%、55%、60%の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
A2有機カチオンの割合を前記範囲から外れて5%未満である場合、混合したA2有機カチオンが共にペロブスカイト結晶内部に含まれて、ペロブスカイトナノ粒子表面に形成される欠点を効果的に制御できなくて、60%を超える場合、ペロブスカイトナノ粒子の表面を完全に覆うことができる量より過量のA2有機カチオンがペロブスカイトナノ粒子に含まれて、ペロブスカイトナノ粒子の大きさが大きく小さくなって、それにより表面対体積比(Surface-to-volume ratio)が大きくなって、量子効率が減少して、量子閉じ込め効果(Quantum confinement effect)による発光をして色純度が落ちる問題が発生し得る。
好ましくは、前記A2有機カチオンが、グアニジニウム(Guanidinium)であり得る。前記A2イオンが、グアニジニウムの場合、結晶内部に形成され得る水素結合の個数が増えて、ペロブスカイト結晶内部を追加的に安定させる役割をすることができる。
前記A2有機カチオンは、エチルアンモニウム(ethylammonium)、グアニジニウム(guanidinium)、tert-ブチルアンモニウム(tert-butylammonium)、ジエチルアンモニウム(diethylammonium)、ジメチルアンモニウム(dimethylammonium)、エタン-1,2,-ジアンモニウム(ethane-1.2.-diammonium)、イミダゾリウム(imidazolium)、ノーマル-プロピルアンモニウム(n-propylammonium)、イソ-プロピルアンモニウム(iso-propylammonium)、ピロリジニウム(pyrrolidinium)、及びこれらの組み合わせのいずれかであることを特徴とするが、これに制限されない。
この時、結晶に含まれることができるA2有機カチオンの量は、ペロブスカイト結晶を構成するA1カチオン及び添加されるA2有機カチオンの種類によって異なり得る。前記A2粒子が結晶に含まれる時、A2の大きい大きさによるsteric hinderanceによってエンタルピー的に不安定になるが、混合によるエントロピー増加によって結晶が安定化されることができる。従って、前記結晶に含まれることができるA2有機カチオンの量は、エンタルピーエネルギー変化とエントロピーエネルギー変化を加えて、前駆体対比生成エネルギーが負になる区間を抽出して知ることが出来る。前記エンタルピーエネルギー変化とエントロピーエネルギーの変化は、DFT計算によって求めることができる。
前記結晶内部に含まれたA2有機カチオンは、エントロピー的効果によってペロブスカイト結晶を安定化させて、結晶内部の欠点の生成を抑制することができ、ペロブスカイト結晶内部に含まれることが出来なかった過量のA2有機カチオンは、ペロブスカイトナノ結晶粒子を取り囲む形態の構造を形成して、ペロブスカイトナノ結晶粒子の表面で生成される欠点をパッシベーションすることができる(図114参照)。
前記A位の1価カチオンのうちのA2有機カチオンが、A1カチオンとA2有機カチオンの混合物で占める割合は、ペロブスカイト結晶内部に最大で含まれることができる割合以上で、金属ハライドペロブスカイトナノ粒子の表面を完全に囲んだ時の割合以下、例えば5%以上60%以下であることを特徴とする。
また好ましくは、前記割合を5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、45%、50%、55%、60%の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
A2有機カチオンの割合が前記範囲から外れて5%未満である場合、混合したA2有機カチオンが共にペロブスカイト結晶内部に含まれて、ペロブスカイトナノ粒子表面に形成される欠点を効果的に制御できなく、60%を超える場合ペロブスカイトナノ粒子の表面を完全に覆うことができる量より過量のA2有機カチオンがペロブスカイトナノ粒子に含まれて、ペロブスカイトナノ粒子の大きさが大きく小さくなって、それにより、表面対体積比(Surface-to-volume ratio)が大きくなって量子効率が減少して、量子閉じ込め効果(Quantum confinement effect)による発光をして色純度が落ちる問題が発生し得る。
好ましくは、前記A2有機カチオンがグアニジニウム(Guanidinium)であり得る。前記A2イオンがグアニジニウムの場合、結晶内部に形成され得る水素結合の個数が増えてペロブスカイト結晶内部を追加的に安定させる役割をすることができる。
本発明の一実施例において、A1カチオンをホルムアミジニウム(Formamidinium、FA)、BをPb、XをBrにし、これにA2有機カチオンをグアニジニウムにすることができる。図106の模式図を参照すると、A1BX3ペロブスカイトナノ結晶粒子(図107(a))にA2を添加することにより、適正量(結晶内部に最大で含まれることができる割合以上で、金属ハライドペロブスカイトナノ粒子の表面を完全に取り囲んだ時の割合以下)添加した時、一部A2イオンだけ結晶内部に含まれて残りのA2イオンは取り囲む構造を形成して(図107(b))、A2を適正量を超えて(ペロブスカイトナノ粒子の表面を完全に覆うことができる量より過量)添加する場合、ペロブスカイトナノ結晶の大きさが減る(図107(c))。
そこで、図108及び109を参照すると、前記実施例でA2の混合割合が5%以下である場合、A2が全てペロブスカイト結晶の内部に含まれて結晶を膨張させて定流状態光発光(Steady-state photoluminescence)波長が赤色シフト(red-shift)する一方、5%以上A2を添加する場合、結晶の格子が変化しなく、定流状態光発光(Steady-state photoluminescence)波長が青色シフト(blue-shift)する。前記赤色シフト(blue-shift)は、ペロブスカイトナノ粒子の大きさの減少から起因することができる(図110)。
前記実施例でA位の1価カチオンのうちのA2有機カチオンが、A1カチオンとA2有機カチオンの混合物で占める割合は、ペロブスカイト結晶内部に最大で含まれることができる割合以上で、金属ハライドペロブスカイトナノ粒子の表面を完全に取り囲んだ時の割合以下である5%以上60%以下を添加する前後の光発光特性を測定した結果、A2有機カチオンを添加した後、光発光プロトン効率(PLQY、photoluminescence quantum yield)が増加して(図111)、発光寿命(PL)が長くなり(図112)、温度決定光発光(temperature dependent photoluminescence)によって決定される励起子結合エネルギーが上昇し(図113)、UV照射に対する安定性が向上し(図114)、熱分解に対する安定性が向上し(図115)、発光ダイオードを製作した時の発光効率が向上したことを確認した(図116)。
そこで、本発明に係るペロブスカイト物質は、ペロブスカイト結晶内部に含まれた重型の1価有機カチオン(A2)は、エントロピー的効果によってペロブスカイト結晶を安定化させて、結晶内部の欠点の生成を抑制することができ、ペロブスカイト結晶内部に含まれることが出来なかった過量のA2カチオンは、ペロブスカイトナノ結晶粒子を取り囲む形態の構造を形成してペロブスカイトナノ結晶粒子の表面で生成される欠点をパッシベーションすることで、光発光プロトン効率、発光寿命及び安定性を向上させるので、発光素子の発光層または波長変換層に有用に使うことができる。
本発明に係る重型有機カチオンの添加を介して欠点生成が制御されたペロブスカイト物質が含まれた発光素子の例は、前述された発光素子の説明と同様であるため、重複記載を避けるために詳しい説明は省略する。
<4種混合カチオン構造を介して欠点生成が制御されたペロブスカイト>
以下、本発明の核心となる4種混合カチオン構造を活用した欠点の生成が制御されたペロブスカイト発光体を提供する。
ペロブスカイトの結晶構造は、通常B金属物質とハロゲン元素はBX6八面体を形成し、形成されたBX6八面体の間にAカチオンが位置して結晶構造を形成する。従って、Aカチオンの大きさはBX6八面体の大きさによって制限される。この時、ペロブスカイト結晶をなすことができるA、B、Xの組み合わせは、トレランス係数(t)を計算して簡単に判断することができる。前記トレランス係数は下記の式で定義される。
ペロブスカイトが3次元の結晶構造を有するためには、前記トレランス係数は0.8以上1.1以下の値を有することが好ましい。トレランス係数が、前記範囲を越えて1.01以上の値を有する場合、Aの半径がBX6八面体の間位に含まれることができず結晶が変形(distort)される。例えば、BがPb2+、XがBr-である場合、A位のカチオンは、Rb+、Cs+、メチルアンモニウム(methylammonium)またはホルムアミジニウム(formamidinium)であり得る。
しかし前述した0.8以上1.01以下のトレランス係数条件を満たすA位カチオンの組み合わせだけで金属ハライドペロブスカイト発光体を形成する場合、A位粒子の小さい大きさによって結晶構造が不安定になって、これによって結晶内部の結合力が弱くなるので、必然的に金属ハライドペロブスカイト発光体の発光効率と安定性を低下させる欠陥が多くなる。この時ペロブスカイト結晶に単独で含まれた時、トレランス係数が1.01より大きく3より小さい重型有機カチオンを結晶に含ませれば、ペロブスカイト発光体の欠陥を効果的に制御することができる。
ここで追加される重型カチオンだけ使って得たAPbX3(A=重型カチオン、X=I、Br、Cl)構造のトレランス係数(t)は、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0ことである。上記数字から選択された任意の二つの数字の小さい値を下限値、大きい値を上限値として範囲を定めることができる。FAPbBr3に重型カチオン(例:グアニジニウム)を追加しようとする時、最も好ましい範囲は1.6~2.1の範囲である。
本発明では、グアニジニウムと共にt値が大きい材料を無条件にカチオンとして少なくとも一つを含み、カチオンが2種類、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類を含むようにする。
本発明の実現の例として、前記混合カチオンを含むハライドペロブスカイト多結晶薄膜及びこれを利用した素子を含む。
本発明の実現の例として、前記混合カチオンを含むハライドペロブスカイトナノ結晶粒子及びこれを利用した素子を含む。
本発明によると、ナノ粒子で形成された時は、重型イオン含み二つのカチオンでも高効率を実現可能で、多結晶薄膜で形成した時は4個以上のカチオンで高効率の実現が可能であった。
追加的に、上記トレランス係数が1.01より大きく3より小さな有機カチオンを結晶内に一定水準以上過量含ませる場合には、かえって混合カチオンペロブスカイト結晶のトレランス係数が1より大きくなって、結晶安定性が低下して、かえって発光特性が悪化する。この時、0.8以上1.01未満のトレランス係数条件を満たすA位カチオンの一部をより低いトレランス係数を有するカチオンで置き換えれば、全体混合カチオンペロブスカイト結晶のトレランス係数が減少して、トレランス係数1.01以上3未満の重型カチオンをさらに高い割合で結晶内部に含ませて欠陥制御効果を最大化することができる。
前記重型有機カチオンの含有量は、5%乃至60%であり得る。例えば、5%、6、%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、30%、40%、50%、60%であり得る。この時、最も光発光効率が良い。電気発光素子観点から外部プロトン効率の最適点を考えると、好ましくは8%乃至20%以下であり、さらに好ましくは8%乃至15%以内である。
そこで本発明では、ペロブスカイト結晶のA位に単独で含まれた時、トレランス係数を1以下に作ることができる第1の1価カチオン(A1、A3、A4)とトレランス係数が1.01以上であり3未満を作ることができる第2の1価カチオン(A2)が混合された状態で、第2の1価カチオンがペロブスカイト結晶内部及び表面に同時に含まれることを特徴とするペロブスカイト多結晶薄膜を提供する。
トレランス係数が1.01より大きいA2有機カチオンは、BX6八面体の間の空間より大きい大きさを有しているので、金属ハライドペロブスカイト結晶に含まれることが相対的に難しい。従って、少量のA2有機カチオンは、金属ハライドペロブスカイト結晶を形成できるが、結晶を形成できる量より多い量のA2有機カチオンを添加した時、過量のA2有機カチオンは、ペロブスカイト結晶に含まれることができずペロブスカイトの結晶粒界またはペロブスカイト多結晶薄膜の表面に位置する。
前記A2有機カチオンは、エチルアンモニウム(ethylammonium)、グアニジニウム(guanidinium)、tert-ブチルアンモニウム(tert-butylammonium)、ジエチルアンモニウム(diethylammonium)、ジメチルアンモニウム(dimethylammonium)、エタン-1,2,-ジアンモニウム(ethane-1.2.-diammonium)、イミダゾリウム(imidazolium)、ノーマル-プロピルアンモニウム(n-propylammonium)、イソ-プロピルアンモニウム(iso-propylammonium)、ピロリジニウム(pyrrolidinium)、及びこれらの組み合わせのずれかであることを特徴とするが、これに制限されない。
この時、結晶に含まれることができるA2有機カチオンの量は、ペロブスカイト結晶を構成するA1、A3、A4カチオン及び添加されるA2有機カチオンの種類によって異なり得る。前記A2粒子が結晶に含まれる時、A2の大きい大きさによるsteric hinderanceによってエンタルピー的に不安定になるが、混合によるエントロピー増加によって結晶が安定化されることができる。従って、前記結晶に含まれることができるA2有機カチオンの量は、エンタルピーエネルギー変化とエントロピーエネルギー変化を加えて前駆体対比生成エネルギーが負になる区間を抽出して知ることが出来る。前記エンタルピーエネルギー変化とエントロピーエネルギーの変化は、DFT計算によって求めることができる。
前記結晶内部に含まれたA2有機カチオンは、エントロピー的効果によってペロブスカイト結晶を安定化させて、結晶内部の欠点の生成を抑制することができる。
前記A位の1価カチオンのうちのA2有機カチオンが、A1、A3、A4カチオンとA2有機カチオンの混合物で占める割合は、ペロブスカイト結晶内部に含まれることができる割合以上に最大で含まれることができる割合以下、例えば5%以上60%以下であることを特徴とする。
また好ましくは、前記割合を5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、45%、50%、55%、60%の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。
A2有機カチオンの割合を前記範囲から外れて5%未満である場合、混合したA2有機カチオンが全てペロブスカイト結晶内部に含まれて、ペロブスカイト結晶表面に形成される欠点を効果的に制御できなく、60%を超える場合、ペロブスカイト結晶の表面を完全に覆うことができる量より過量のA2有機カチオンがペロブスカイト結晶の相分離を起こして、3次元のペロブスカイト結晶でない発光効率及び電気伝導特性が落ちる結晶が形成される問題が発生し得る。
好ましくは前記A2有機カチオンがグアニジニウムであり得る。前記A2イオンがグアニジニウムの場合、結晶内部に形成され得る水素結合の個数が増えて、ペロブスカイト結晶内部を追加的に安定させる役割をすることができる。
また好ましくは、前記割合を5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができる。好ましくは8%乃至30%であり得る。多結晶薄膜である場合、グアニジニウムを含むQuadrupleカチオンを使う場合、グアニジニウムの割合10%近くの区間、即ち8%~20%の区間で最も最適な素子発光効率となり、粒子及び多結晶を共に考慮した場合、10%近くの区間、即ち、8%~15%の区間で最も最適な素子発光効率となる。
A2有機カチオンの割合を前記範囲から外れて5%未満である場合、混合したA2有機カチオンが全てペロブスカイト結晶内部に含まれて、ペロブスカイト結晶表面に形成される欠点を効果的に制御できなく、30%を超える場合、ペロブスカイト結晶の表面を完全に覆うことができる量より過量のA2有機カチオンが、ペロブスカイト結晶の相分離を起こして、3次元のペロブスカイト結晶でない発光効率及び電気伝導特性が落ちる結晶が形成される問題が発生し得る。
前記A位の1価カチオンのうちのA1、A3、A4カチオンが混合物で占める割合は、前記A2有機カチオンが占める割合の残りの割合で含まれ、ペロブスカイト結晶内部でA2有機カチオンを含むことにより、トレランス係数が増加したのを1.01以下に作ることができる組み合わせであることを特徴とする。
好ましくはA1、A3はそれぞれホルムアミジニウム(Formamidinium、FA)、セシウム(Cs)であり、A4はメチルアンモニウム(Methylammonium、MA)であり、前記A3の割合は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有し、前記A4の割合は、5%、6%、7%、8%、9%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、10%、10.1%、10.2%、10.3%、10.4%、10.5%、10.6%、10.7%、10.8%、10.9%、11%、12%、13%、14%、15%の中の二つの数字の低い値が下限値で、高い値が上限値を有する範囲を含むことができ、A1の割合は前記A3、A4を除いて残った範囲に該当することができる。
本発明の一実施例において、A1、A3、A4カチオン組み合わせをそれぞれホルムアミジニウム(Formamidinium、FA)、メチルアンモニウム(MA)、セシウム(Cs)とし、BをPb、XをBrにして、これにA2有機カチオンをグアニジニウムにすることができる。
図117を参照すると、A1BX3ペロブスカイト多結晶薄膜(図117(a))にA2を添加する混合割合に応じて、約25%の割合まではA2イオンが結晶内部に含まれて、結晶の格子定数が増加して(図117(b))、適正量を超えるA2有機カチオンを添加する場合、新しい結晶が形成されて結晶構造が変わって、異なる様子を示すようになる。
前記実施例で、A位の1価カチオンのうちのA2有機カチオンが、A1、A3、A4カチオンとA2有機カチオンの混合物で占める割合は、ペロブスカイト結晶内部に最大で含まれることができる割合で、A2有機カチオンを5%以上90%以下を添加する前後の光発光特性を測定した結果、A2有機カチオンを約30%以下の割合で添加する時まで定流状態光発光強さ(Steady-state Photoluminescence)が徐々に増加して(図118参照)、発光寿命(PL)が長くなった(図118及び図119参照)。
前記実施例でA1、A2の2種混合カチオン構造は、3次元ペロブスカイト結晶を形成できる基本混合構造であり、A1、A2、A4の3種混合カチオン構造は、これに追加的にA4カチオンがペロブスカイト結晶内部に最大で含まれることができる割合を占めた割合であり、A1、A2、A3、A4の4種混合カチオン構造は、トレランス係数が1.01以下であるA3カチオンが最適な結晶安定化を有する割合で含まれている組み合わせでそれら2種、3種、4種混合カチオン構造のペロブスカイト多結晶薄膜の発光特性を測定した結果、定流状態光発光強さが2種<3種<4種混合カチオン構造順に増加して(図120参照)、これを発光層で活用したペロブスカイト発光素子の最大輝度も同じ順に増加して(図121参照)、前記発光素子の向上した電流効率と減少したroll-offを示し(図122参照)、発光素子の駆動寿命も増加した(図123参照)。
そこで、本発明に係るペロブスカイト物質は、ペロブスカイト結晶内部に含まれた重型の1価有機カチオン(A2)は、エントロピー的効果によってペロブスカイト結晶を安定化させて、結晶内部の欠点の生成を抑制することができ、ペロブスカイト結晶内部に含まれることが出来なかった過量のA2カチオンは、ペロブスカイトナノ結晶粒子を取り囲む形態の構造を形成して、ペロブスカイトナノ結晶粒子の表面で生成される欠点をパッシベーションすることで、光発光プロトン効率、発光寿命及び安定性を向上させるので、発光素子の発光層または波長変換層に有用に使われることができる。
本発明に係る重型有機カチオンの添加により欠点生成が制御されたペロブスカイト物質が含まれた発光素子の例は、前述された発光素子の説明と同様であるため、重複記載を避けるために詳しい説明は省略する。
以下、本発明を実施例及び実験例によって詳細に説明する。ただし、下記の実施例及び実験例は、本発明を例示するだけで、本発明の内容が下記の実施例及び実験例によって制限されるのではない。
<実施例1>フェニルアルキルアミンを利用した3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイトフィルムの製造
極性溶媒に有無機ハイブリッドペロブスカイトを溶かして第1溶液を準備した。この時の極性溶媒ではジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide)を使って、有無機ハイブリッドペロブスカイトでCH3NH3PbBr3を使った。この時使ったCH3NH3PbBr3は、CH3NH3BrとPbBr2の割合が1.06:1で、全体前駆体溶液対比CH3NH3PbBr3の質量が35wt.%となるように(1.2Mとなるように)混合したものを使った。
次に、約0.3mLの前記第1溶液にフェニルメタンアミンを1μL添加して第2溶液を製造した。
前記第2溶液をガラス基板上に塗布した後、ガラス基板を3000rpmの速度で回転させながらスピンコーティングを行ってペロブスカイトフィルムを製造した。
製造された薄膜を90℃で10分間熱処理した。
<実施例2~38>
添加剤としてフェニルメチルアミンの代わりに前記表3のフェニルアルキルアミン化合物を使ったことを除いては実施例1と同じ方法でペロブスカイトフィルムを製造した。
<比較例1>ペロブスカイトフィルムの製造
フェニルアルカンアミン化合物の添加なしにジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide)溶媒にCH3NH3BrとPbBr2の割合が1.06:1で全体前駆体溶液対比CH3NH3PbBr3の質量が35wt.%となるように(1.2Mとなるように)溶かして製造した溶液をガラス基板上に塗布した後、ガラス基板を3000rpmの速度で回転させながらスピンコーティングを行ってペロブスカイトフィルムを製造した。
<実験例1>フェニルアルカンアミン化合物の添加によるペロブスカイトフィルムの核磁気共鳴スペクトルの変化
本発明に係るペロブスカイトフィルムの製造において、フェニルアルカンアミン化合物の添加によるペロブスカイト構造の変化を調べるために、実施例1と比較例1で製造されたペロブスカイトフィルムの核磁気共鳴スペクトルを分析して、その結果を図51に示した。
図51に示すように、比較例1のペロブスカイトフィルムの核磁気共鳴分光器分析(NMR)スペクトルと比較する時、本発明の実施例1のペロブスカイトフィルムのNMRのピークは、メチルアンモニウムカチオンのプロトンピークが7.4ppmから7.2ppmに移動したのを確認することができる。これは、フェニルアルカンアミン化合物とペロブスカイト内の有機アンモニウムカチオン間にプロトン移動を介してメチルアンモニウムカチオンのプロトンが塩基性が強いフェニルメタンアミン(塩基性度:pKb=4.66)分子にも結合して起きた結果であることが分かる。一方、対照例として塩基性が弱いフェニルアミノ(塩基性度:pKb=9.4)分子を同様に添加した場合、メチルアンモニウムカチオンのプロトンピークは7.4ppmにそのまま維持されることからプロトン移動反応のためには強い塩基性が必要であることが分かる。
<実験例2>フェニルアルカンアミン化合物の添加によるペロブスカイトフィルムの表面構造の変化
本発明に係るペロブスカイトフィルムの製造において、フェニルアルカンアミン化合物の添加によるペロブスカイト構造の変化を調べるために、実施例1と比較例1で製造されたペロブスカイトフィルムの表面を走査顕微鏡で観察して、その結果を図52に示した。
図52に示すように、比較例1のペロブスカイトフィルムは、200nm~300nmの大きさのバルクな多結晶体で形成されているが、本発明に係る実施例1のペロブスカイトフィルムは、フェニルアルカンアミン化合物の添加により3D構造のコアに2D構造の自己組み立てシェルが形成されて、100nm以下で結晶化が終結して大きさが小さくなった結晶体からなることが示された。
<実験例3>フェニルアルカンアミン化合物の添加によるペロブスカイトフィルムの発光特性の変化
本発明に係るペロブスカイトフィルムの製造において、フェニルアルカンアミン化合物の添加によるペロブスカイトフィルムの発光特性に及ぼす影響を調べるために、実施例1と比較例1で製造されたペロブスカイトフィルムを対象に光発光特性を蛍光光度計(Spectrofluorometer)を利用して測定して、その結果を図53に示した。
図53に示すように、比較例1の従来3D結晶構造を有するペロブスカイトフィルムは、550nm波長付近で光発光強度が約50a.u.であるピークを示す一方、本発明に係るフェニルアルカンアミン化合物の添加によって3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイトフィルムは、同じ波長領域で約300a.u.の光発光強度を示すことによって、従来3Dペロブスカイトフィルムに比べて発光特性が約6倍増加したことが分かった。
一方対照例として塩基性が弱いフェニルアミン(塩基性度:pKb=9.4)分子を同様に添加した場合、ペロブスカイトフィルムは、同じ波長領域で発光特性を示さなかった。これは、フェニルアミンの場合には、塩基度が7以上である弱塩基性を示すので、ペロブスカイト前駆体溶液の有機アンモニウムと酸-塩基反応ができなくて、プロトン移動が起きなくて、2Dペロブスカイトシェル形成に参加できなかったと思われる。
このように、本発明に係る3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイトフィルムは、従来3Dペロブスカイトフィルムに比べて顕著に増加した発光特性を示すので、発光素子の発光層として有用に使われることができる。
<実験例4>フェニルアルカンアミン化合物の添加によるペロブスカイトフィルムの電荷寿命特性の変化
本発明に係るペロブスカイトフィルムの製造において、フェニルアルカンアミン化合物の添加によるペロブスカイトフィルムの電荷寿命特性に及ぼす影響を調べるために、実施例1と比較例1で製造されたペロブスカイトフィルムを対象に電荷寿命を測定して、その結果を図54に示した。
図54は、本発明の一実施例に係る自己組み立てシェル有無によるペロブスカイトフィルムの電荷寿命特性を示すグラフである。
図54に示すように、比較例1の従来3D結晶構造を有するペロブスカイトフィルムは、電荷寿命が0.5μsに及ぼす一方、本発明に係るフェニルアルカンアミン化合物の添加によって3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイトフィルムは、2.0μs以上の寿命を示すため、従来3Dペロブスカイトフィルムに比べて寿命が約4倍以上増加したことが分かった。
一方、対照例として塩基性が弱いフェニルアミノ(塩基性度:pKb=9.4)分子を同様に添加した場合、ペロブスカイトフィルムは、寿命が0.5μs未満を示すことで、かえって従来3Dペロブスカイトフィルムより性能が良くなかった。
このように、本発明に係る3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイトフィルムは、従来3Dペロブスカイトフィルムに比べて顕著に増加した寿命特性を示すので、発光素子の発光層として有用に使われることができる。
<製造例>発光ダイオード製造
まずFTO基板(FTO陽極がコーティングされたガラス基板)を準備した後、FTO陽極上に伝導性物質であるPEDOT:PSS(Heraeus社のAI4083)をスピンコーティングした後、150℃で30分間熱処理して50nm厚さの正孔注入層を形成した。
次に、実施例1で製造したペロブスカイトバルク多結晶体前駆体溶液にフェニルメタンアミンを添加した溶液を前記正孔注入層上に塗布して、3000rpmの速度で回転させながらスピンコーティングした。製造された薄膜を90℃で10分間熱処理して3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイト発光層を形成した。
以後、前記3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイト発光層上に50nm厚さの1,3,5-Tris(1-phenyl-1H-benzimidazol-2-yl)benzene(TPBI)を1X10-7Torr以下の高真空で蒸着して電子輸送層を形成して、その上に1nm厚さのLiFを蒸着して電子注入層を形成して、その上に100nm厚さのアルミニウムを蒸着して陰電極を形成してペロブスカイト発光ダイオードを製作した。
<比較例2>
ペロブスカイトバルク多結晶体前駆体溶液にフェニルメタンアミンを添加なしに従来の方法の通りペロブスカイト発光ダイオードを製作した。
<実験例5>発光ダイオードの電流効率測定
本発明に係るペロブスカイト発光ダイオードにおいて、製造例と比較例2で製造されたペロブスカイト発光ダイオードを対象に電流効率を測定して、その結果を図124に示した。
図124に示すように、比較例2の従来ペロブスカイト発光ダイオードに比べて本発明に係る3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイト発光層を含むペロブスカイト発光ダイオードの電流効率が向上することが示された。
これは、本発明に係る3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイト発光層において、形成された自己組み立てシェルが、有無機ハイブリッドペロブスカイト内のイオン移動が防止されたためと思われる。
<実験例6>発光ダイオードの駆動寿命測定
本発明に係るペロブスカイト発光ダイオードにおいて、製造例と比較例2で製造されたペロブスカイト発光ダイオードを対象に駆動寿命を測定して、その結果を図125に示した。
図125に示すように、比較例2の従来ペロブスカイト発光ダイオードの駆動寿命は、1時間を越えることはできないが、本発明に係る3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイト発光層を含むペロブスカイト発光ダイオードは、12時間以上発光したため、寿命が顕著に向上したことが分かった。これは、ペロブスカイト発光ダイオードの駆動中加えられた電場に最も移動しやすいBrアニオンの移動が2Dシェルによって防止されたためと思われる。
このように、本発明に係る3D/2Dコア-シェル結晶構造を有するペロブスカイトフィルムを発光層で含む発光素子は、従来ペロブスカイトフィルムを含む発光素子に比べて向上した電流効率及び駆動寿命を示すので、従来発光素子に代わって有用に使われることができる。
<実施例38>グラフェンバリア層が形成された酸化物電極製造
(1)単一層グラフェンフィルム形成
銅ホイル(Cu-foil)(8cm×10cm)を石英チューブ(quartz tube)内に位置させて、前記銅ホイルが入っている石英チューブをファーネス(furnace)内に位置させて、H2(15sccm)を供給しながら1060℃まで昇温させた後、30分間前記温度を維持して、前記銅ホイル上に酸化された銅を還元させて銅微粒子を生成した。以後、前記石英チューブにCH4(60sccm)及びH2(15sccm)を30分間供給させて、グラフェンフィルムを前記ホイルの上に成長させて、H2を供給しながら500℃まで10分間冷却させた後、10mtorrで室温まで120分間冷却させて、前記ホイル上に単一層グラフェンフィルム(single layer graphene)を形成した。
(2)酸化物電極表面に単一層グラフェンバリア層を形成
前記(1)で製造された単一層グラフェンフィルム上にクロロベンゼンに溶かしたポリメチルメタクリレート(PMMA)層(4.6g PMMA:100mlクロロベンゼン)をコーティングして、グラフェンと上部にPMMA高分子支持層を形成させて、PMMA/グラフェン/銅ホイル薄膜を形成させた後、前記高分子/グラフェン/銅ホイルフィルムを銅エッチング溶液であるammonium persulfate(APS)溶液に(11g APS:600ml蒸溜水)6時間以上浸漬させて、銅をエッチングさせた後、蒸溜水で残余エッチング溶液を洗浄して、PMMA/グラフェンフィルムを収得した。
続いて、前記溶液に形成されたPMMA/グラフェンフィルムをITO基板ですくい出して前記ITO基板上にPMMA/グラフェンフィルムを形成させた後、アセトン(acetone)に浸漬してPMMA層を除去することによって、ITO基板上に単一層グラフェンフィルムを形成した。
<比較例3>
グラフェンバリア層がないITO基板を使った。
<実験例7>グラフェンバリア層の酸(acid)に対するイオン透過性測定
本発明に係る実施例38で製造されたグラフェンバリア層が形成されたITO基板と比較例3のグラフェンバリア層がないITO基板を蒸溜水及び0.1Mの塩酸溶液が入っている二つの水槽の間の空間に付着して、Ag/AgCl電極を基準電極にして、二つの水槽間イオンの移動特性を測定した。
その結果、図126に示すように、従来ITO基板の場合、蒸溜水が入っている水槽で経時的にイオン濃度が増加することによって、イオン移動特性を示しているが、グラフェンバリア層が形成された本発明に係る基板は、経時によるイオン濃度変化を示さなかった。このことからグラフェンバリア層によってイオンの移動が大きく防止されることを確認することができる。
<製造例2>グラフェンバリア層を含む発光ダイオード製造
実施例38で製造されたグラフェンバリア層が形成されたITO電極の前記グラフェンバリア層上に伝導性物質であるPEDOT:PSS(pH:~2)(Heraeus社のAI4083)をスピンコーティングした後、150℃で30分間熱処理して40nm厚さの正孔注入層を形成した。
次に、MAPbBr3ペロブスカイト溶液を前記正孔注入層上にスピンコーティングして、90℃で10分間熱処理して、ペロブスカイト発光層を形成した。
以後、ペロブスカイトハイブリッド発光層上に100nm厚さのアルミニウムを蒸着して陰電極を形成して発光ダイオードを製造した。
<比較例4>グラフェンバリア層を含まない発光ダイオード製造
従来のITO電極にPEDOT:PSS(pH:~2)正孔注入層、ペロブスカイト発光層及びアルミニウム陰電極を形成して発光ダイオードを製造した。
<実験例8>飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)
本発明に係る製造例2のグラフェンバリア層が形成されたITO電極を含むペロブスカイト発光ダイオードと、従来ITO電極を含む比較例4のペロブスカイト発光ダイオードに対してTOF-SIMS分析を行って、その結果を図127に示した。
図127に示すように、グラフェンバリア層が形成されたITO電極を含むペロブスカイト発光ダイオードにおいて、グラフェンバリア層を積層時にIn+ピークが後ろに押し出されることにより、PEDOT:PSSの酸性によるITOの溶解特性を減らすことができることを確認した。
<実験例9>X線光電分析法
本発明に係る製造例2のグラフェンバリア層が形成されたITO電極上に酸性正孔注入層を蒸着した薄膜と、比較のために従来ITO電極上に酸性正孔注入層を蒸着した薄膜に対してX線光電分析を行って、その結果を図128に示した。
図128に示すように、従来のITO電極上に酸性正孔注入層を蒸着する際には、前記酸性正孔注入層上部で多くのIn+組成が検出されるのに対して、本発明によりグラフェンバリア層が形成されたITO電極上に酸性正孔注入層を蒸着する際には、前記酸性正孔注入層上部で検出されるIn+組成が急減することが示された。これにより、前記グラフェンバリア層は酸性に対するITO電極の溶解及びIn+拡散を防止することを確認することができる。
<実験例10>ペロブスカイト発光体の励起子寿命分析
本発明に係る製造例2のグラフェンバリア層が形成されたITO電極を含むペロブスカイト発光ダイオードと、従来ITO電極を含む比較例4のペロブスカイト発光ダイオードに対して発光層の励起子寿命変化を測定して、その結果を図129に示した。
図129に示すように、通常のITO電極の場合には、接触した酸性のPEDOT:PSSによって電極が一部溶解してIn+などの化学種が湧出されることで、ペロブスカイト発光層に励起子解離を起こすことによって励起子寿命が200nsと非常に短いが、本発明によりITO電極上にグラフェンバリア層を積層時には、前記グラフェンバリア層がIn+などの化学種のペロブスカイト発光層への拡散を防止して、励起子寿命が向上することが分かる。
<実験例11>ペロブスカイト発光ダイオードの電気的特性分析
本発明に係る製造例2のグラフェンバリア層が形成されたITO電極を含むペロブスカイト発光ダイオードと、従来ITO電極を含む比較例4のペロブスカイト発光ダイオードに対して発光度及び電流効率を測定して、その結果を図130に示した。
図130に示すように、本発明によりITO電極上にグラフェンバリア層を積層時には、前記グラフェンバリア層がIn+などの化学種のペロブスカイト発光層への拡散を防止して、従来ITO電極を使う時より発光度及び電流効率においてさらに高い特性を示すことを確認した。
一方、本明細書と図面に開示された本発明の実施例は、理解を助けるために特定例を示したに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。ここに開示された実施例以外にも本発明の技術的思想に基づいた他の変形例が実施可能であることは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に自明である。