JP2022512746A - インターロイキン-10ポリペプチド複合体、その二量体、およびそれらの使用 - Google Patents

インターロイキン-10ポリペプチド複合体、その二量体、およびそれらの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、インターロイキン-10受容体発現細胞を標的化するための方法、特に、インターロイキン-10受容体を発現する細胞に影響を及ぼす生物学的に活性な分子に結合されたインターロイキン-10(IL-10)変異体を使用することによって、このような細胞の成長を阻害するための方法を提供する。

Description

発明の詳細な説明
〔関連出願の参照〕
本出願はそれぞれが、2018年10月19日、2018年10月30日および2019年3月22日に出願された「インターロイキン-10ポリペプチド複合体、その二量体およびそれらの使用」という名称の、米国仮出願第62/748,221号、第62/752,952号および第62/822,727号の利益を主張するものであり、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
〔配列表〕
本出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで提出され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2019年10月18日に作成されたASCIIコピーの名称は、AMBX_0229_PCT_ST25.txtであり、64,023バイトである。
本発明は、インターロイキン-10(IL-10)の生物学的活性を調節し、特に、IL-10タンパク質のアミノ酸配列のインターロイキン-10受容体と相互作用する位置においてポリマーと複合体を形成するインターロイキン-10変異体を使用することによる、特定の受容体の相互作用を調節するための方法を提供する。
〔背景技術〕
癌は、最も重大な健康症状のひとつである。アメリカ合衆国では、癌は心臓病に次ぐ2番目の死亡者数であり、死亡者の4分の1を占めている。癌の発生は、アメリカの人口が高齢化するにつれて増加すると広く予期されており、この症状の影響を増している。現在の癌の治療計画は1970年代および1980年代に作られて以来、劇的には変化していない。化学療法、放射線および新標的療法を含む他の物理療法などのこれらの治療法は、最も進行した段階の一般的な癌に使用された場合には限られた全体生存利益が示されている。なぜなら、これらの治療法は、ほかのことより先行して、第一に腫瘍の塊を標的とするからである。
より具体的には、今日までの従来の癌診断や治療法は、大部分が増殖の速い新生物細胞(すなわち、腫瘍塊を形成する細胞)を選択的に検出し根絶することを試みてきた。標準的な腫瘍学の投薬計画は、放射線照射または化学療法薬の服薬を過度な毒性を避けて最大投与するように、しばしば大部分が設計されており、すなわち、しばしば「最大耐量(MTD)」または「無有害作用量(NOAEL)」と呼ばれる。多くの従来の癌化学療法(たとえば、シクロフォスファミドのようなアルキル化剤、5-フルオロウラシルのような代謝拮抗物質、ならびにビンクリスチンのような植物アルカロイド)および従来の放射線療法は、大部分が細胞増殖およびDNA複製に関与する細胞機構に干渉することで癌細胞への毒性効果を大きく及ぼす。化学療法のプロトコールではまた、治療の効果を高める狙いで、しばしば化学療法薬の組合せの投与を伴う。多種多様な化学療法薬が利用可能であるにもかかわらず、これらの療法は多くの欠点をもつ。例えば、化学療法薬は、正常または悪性にかかわらず増殖の速い細胞に対する非特異的な副作用のために有名な毒性をもつ;たとえば化学療法薬は、骨髄の衰弱、免疫反応の抑制、および胃腸炎などを含む重大な、そしてしばしば危険な、副作用を起こす。
〔癌幹細胞〕
癌幹細胞は、腫瘍の独特な亜集団(しばしば約0.1~10%)を構成し、それは腫瘍の残りの約90%(すなわち、腫瘍塊)に比べて、比較的より遅成長または静止性で、しばしば腫瘍塊よりも比較的化学療法抵抗的である。従来の療法および投薬計画による方法では、大部分では、増殖の速い細胞(すなわち腫瘍塊を構成する癌細胞)を攻撃するよう設計されているため、しばしば遅成長である癌幹細胞は、早成長の腫瘍塊よりも従来の療法および投薬計画に対して比較的高い抵抗性を示すかもしれない。癌幹細胞は、多剤耐性や抗アポトーシス経路のように、それらを比較的化学療法抵抗的にするような他の特徴を示し得る。前述のことは、標準的な腫瘍治療計画がほとんどの進行期癌患者において長期的な利益を保証するのに失敗する、すなわち癌幹細胞を適切に標的化し、根絶することに失敗する重要な理由となるのであろう。いくつかの例において、癌幹細胞は腫瘍の創始細胞である(すなわち、腫瘍塊を構成する癌細胞の前駆細胞である)。
免疫学的機能の抑制は、多くの異なる背景において有用性を見出されている。例えば、Paul(1995編)Fundamental Immunology 3d ed、Raven Press、NYを参照のこと。特に、同種免疫は大部分がその驚異的な強さから、移植の状況において重要である。臓器および組織の移植が医学的状況においてより一般的になるにつれて、組織拒絶からの問題を最小限にする能力は、より大きな経済的利点を示す。さらに、自己免疫症状を最小限にし、微粒子抗原(例えば、細菌および寄生虫)に対する特定の応答をブロックし、そして特定の可溶性抗原(タンパク質およびアレルゲンの両方)に対する反応を最小限にするための方法は、有意義な治療的進歩を示す。組織拒絶、移植片対宿主病、または他の免疫学的応答を最小化または排除するための完全に有効な治療薬がないことは、多くの問題につながる。本発明はこれらの問題の多くに対処し、解決策を提供する。
インターロイキン-10は、もともとそのTh1サイトカインの産生を抑制する活性によって特徴付けられたサイトカインである。例えば、de Vries and de Waal Malefyt(1995編)Interleukin-10 Landes Co、Austin、TXなどを参照されたい。インターロイキン-10(IL-10)は抗炎症性であり、免疫監視からの腫瘍逃避を有利にする免疫抑制性サイトカインであると一般的にみなされているが、IL-10はまた何らかの免疫刺激特性を有するというエビデンスが蓄積されつつある。実際、IL-10は、異なる実験モデルにおいて、自然免疫および適応免疫の機能に正および負に影響を及ぼす多面的能力を有する。IL-10は体内での血清半減期が比較的短い。例えば、in vitroバイオアッセイによって、または敗血症性ショックモデル系における効力によって測定されるマウスにおける半減期(Smithら、Cellular Immunology173:207 214(1996)を参照のこと)は、約2~6時間である。
PEG部分がタンパク質に著しく大きな流体力学的半径を付加するので、タンパク質のPEG化は、腎クリアランスを遅らせることによって、その血清半減期を延長させることができる。しかしながら、従来のPEG化方法は、単量体タンパク質およびより大きなジスルフィド結合錯体、例えばモノクローナル抗体を対象とする。IL-10のPEG化は、IL-10二量体が非共有結合相互作用によって一緒に維持されるので、本技術分野で公知の他のPEG化タンパク質では遭遇しない問題を提示する。PEG化の間に増強され得るIL-10の解離は、PEG化されたIL-10単量体(PEG-IL-10単量体)を結果としてもたらし得る。PEG-IL-10単量体は、IL-10の生物学的活性を保持しない。また、di-PEG-IL-10、すなわちIL-10の2つのアミノ酸残基に対するPEG化は、in vitroでの有意な生物学的活性を保持していないことにも注目されたい。生物学的活性を保持しているか、または増強されたもしくは調節された生物学的活性さえも提供する治療に使用するための1つ以上のIL-10ポリペプチドを有することは有利であろう。本発明は、本技術分野におけるこの必要性および他の関連する必要性に対処する。
癌および腫瘍は、免疫系によって制御または根絶することができる。免疫系はいくつかのタイプのリンパ系および骨髄系細胞、例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞(DC)、好酸球、T細胞、B細胞、および好中球を含む。これらのリンパ系および骨髄系細胞は、サイトカインとして知られる分泌性シグナル伝達タンパク質を産生する。サイトカインには、例えば、インターロイキン-10(IL-10)、インターフェロン-γ(IFNγ)、IL-12、およびIL-23が含まれる。免疫応答には、炎症、すなわち、全身的または身体の特定の位置における免疫細胞の蓄積が含まれる。感染性物質または異物に応答して、免疫細胞はサイトカインを分泌し、それが次に免疫細胞の増殖、成長、分化、または遊走を調節する。過剰な免疫応答は自己免疫疾患などの病理学的結果をもたらす可能性がある一方で、免疫応答の障害は癌を結果としてもたらす可能性がある。免疫系による抗腫瘍応答は、例えば、マクロファージ、NK細胞、および好中球によって媒介されるような先天性免疫ならびに、例えば、抗原提示細胞(APC)、T細胞、およびB細胞によって媒介されるような適応免疫を含む(例えば、Abbasら(編)(2000)Cellular and Molecular Immunology、W.B.Saunders Co、Philadelphia,Pa;OppenheimおよびFeldmann(編)(2001)Cytokine Reference、Academic Press、San Diego、Calif;von AndrianおよびMackay(2000)New Engl.J.Med.343:1020-1034;DavidsonとDiamond(2001)New Engl.J.Med.345:340-350を参照のこと)。
免疫応答を調節する方法は癌、例えば黒色腫の治療において使用されている。これらの方法はIL-10、IL-2、IL-12、腫瘍壊死因子-アルファ(TNFアルファ)、IFNγ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、および形質転換成長因子(TGF)などのサイトカイン、またはサイトカインアンタゴニスト(例えば、抗体)による治療のいずれかを含む。インターロイキン-10は最初、サイトカイン合成阻害因子(CSIF;例えば、Fiorentinoら、(1989)JExp.Med.170:2081-2095を参照のこと)として特徴付けられた。IL-10はT細胞、B細胞、単球によって産生される多面的サイトカインであり、免疫抑制剤および免疫刺激剤の両方として機能し得る(例えば、Grouxら、(1998)J.Immunol.160:3188-3193;Hagenbaughら、(1997)J.Exp.Med.185:2101-2110を参照のこと)。
PEGと略される親水性ポリマーポリ(エチレングリコール)の共有結合化は、水溶性、生体利用性を増加させ、血清半減期を延長させ、治療半減期を延長させ、免疫原性を調節し、生物学的活性を調節し、または、タンパク質、ペプチド、および著しく疎水性の分子を含む多くの生物学的に活性な分子の循環時間を延長する方法である。PEGは、薬品、人工インプラント、ならびに生体適合性、毒性の欠如、および免疫原性の欠如が重要である他の用途において広く使用されている。
PEG誘導体は頻繁に、リジン、システインおよびヒスチジン残基、N末端および炭水化物部分などの反応性化学機能性基を介して生物学的に活性な分子に連結されている。タンパク質および他の分子はしばしば、ポリマー付着に利用可能な反応部位の数が限られている。しばしば、ポリマー付着を介する修飾に最も適した部位は受容体結合において重要な役割を果たし、分子の生物学的活性の保持に必要である。その結果、生物学的に活性な分子上のこのような反応性部位へのポリマー鎖の無差別の付着はしばしば、ポリマー修飾分子の生物学的活性の著しい減少またはさらには全損失をもたらす(例えば、Clarkら、(1996)、J.Biol.Chem.、271:21969-21977を参照のこと)。標的分子に所望の利点を付与するのに十分なポリマー分子量を有する複合体を形成するために、先行技術のアプローチは典型的には分子へ多数のポリマーアームのランダムな付着を含み、それによって、親分子の生物活性の低下またはさらには全損失のリスクが増大する。
PEG誘導体のタンパク質への付着のための位置を形成する反応性部位は、タンパク質の構造によって決定される。酵素を含むタンパク質は、HN--CHR--COOHを一般的構造として有するアルファ-アミノ酸の種々の配列から構成される。1つのアミノ酸のアルファアミノ部分(HN--)は隣のアミノ酸のカルボキシル部分(--COOH)に結合してアミド結合を形成し、これは--(NH--CHR--CO)--として表され得、ここで、下付き文字「n」は数百または数千と同等であり得る。Rによって表される断片は、タンパク質生物学的活性およびPEG誘導体の付着のための反応性部位を含み得る。
例えば、アミノ酸リジンの場合では、アルファ位置と同様にイプシロン位置に--NH部分が存在する。イプシロンの--NHは塩基性の条件下で反応するように遊離している。PEGによるタンパク質誘導体化の分野における多くの技術は、タンパク質中に存在するリジン残基のイプシロン--NH部分への付着のためのPEG誘導体の開発に向けられてきた。“Polyethylene Glycol and Derivatives for Advanced PEGylation”、Nektar Molecular Engineering Catalog、2003、pp.1-17。しかしながら、これらのPEG誘導体は全て、タンパク質の表面にしばしば多数存在するリジン残基の中から選択的に導入することができないという共通の制限を有する。これは、リジン残基が例えば酵素活性部位に存在するようにタンパク質活性に重要である場合、または受容体結合部位の場合のように、リジン残基がタンパク質と他の生物学的分子との相互作用を媒介する役割を果たす場合に、重大な制限となり得る。
タンパク質PEG化のための既存の方法の第2におよび同等に重要な問題は、PEG誘導体が所望されるもの以外の残基との望ましくない副反応をし得ることである。ヒスチジンは--N(H)--として構造的に表される反応性イミノ部分を含むが、イプシロン--NHと反応する多くの化学反応性種は--N(H)--とも反応し得る。同様に、アミノ酸システインの側鎖は、-SHとして構造的に表される遊離スルフヒドリル基を有する。場合によっては、リジンのイプシロン--NH基に向けられたPEG誘導体は、システイン、ヒスチジンまたは他の残基とも反応する。これは、PEG誘導体化された生物活性分子の複雑で不均一な混合物を作り出し、標的とされる生物活性分子の活性を破壊する危険性がある。化学機能性基がタンパク質内の単一部位に導入されることを可能にし、次いで、1つ以上のPEGポリマーが、タンパク質表面上の明確かつ予測可能な特異的な部位で生物活性分子に選択的に結合することを可能にするPEG誘導体を開発することが望ましい。
リジン残基に加えて、システイン、ヒスチジンおよびN末端を含む他のアミノ酸側鎖を標的とする活性化PEG試薬の開発に、本技術分野においてかなりの努力が向けられてきた。例えば、本明細書中に参照によって援用される米国特許No.6,610,281、および「Polyethylene Glycol and Derivatives for Advanced PEGylation」、Nektar Molecular Engineering Catalog,2003、pp.1-17を参照されたい。システイン残基は、部位特異的な突然変異の誘発および本技術分野で公知の他の技術を使用してタンパク質の構造に部位選択的に導入され得、そして得られる遊離スルフヒドリル部分はチオール反応性機能性基を有するPEG誘導体と反応され得る。しかしながら、このアプローチは、遊離スルフヒドリル基の導入が、得られるタンパク質の発現、折り畳みおよび安定性を複雑にし得るという点で困難である。したがって、1つ以上のPEGポリマーのタンパク質への選択的カップリングを可能にする一方で、同時に、タンパク質中に典型的に見出されるスルフヒドリルおよび他の化学機能性基と適合性である(すなわち、望ましくない副反応に関与しない)生体活性分子中に化学機能性基を導入する手段を有することが望ましい。
本技術分野の試料から分かるように、タンパク質の側鎖、特にリジンアミノ酸側鎖上の--NH部分およびシステイン側鎖上の--SH部分への付着のために開発されたこれらの誘導体の多くは、それらの合成および使用において問題があることが証明されている。いくつかはタンパク質と不安定な結合を形成するが、これらは加水分解を受け、したがって分解、減成する、または血流中などの水性環境中で不安定である。いくつかはより安定な結合を形成するが、結合が形成される前に加水分解を受ける。これはタンパク質が結合し得る前に、PEG誘導体上の反応基が不活性化され得ることを意味する。いくつかは、いくらか毒性であり、従って、in vivoでの使用にあまり適していない。反応が遅すぎて実用的でないものもある。いくつかは、タンパク質の活性に関与する部位に付着することによって、タンパク質活性の損失を生じる。いくつかは、それらが付着する部位に特異的ではなく、これはまた、期待される活動の損失および結果の再現性の欠如を生じ得る。タンパク質をポリ(エチレングリコール)部分で修飾することに関連する課題を克服するために、より安定である(例えば、米国特許第6,602,498号、これは本明細書中に参照によって援用される)、または分子および表面上のチオール部分と選択的に反応する(例えば、米国特許第6,610,281号、これは本明細書中に参照によって援用される)PEG誘導体が開発されてきた。
遺伝的にコードされていないアミノ酸をタンパク質に組み込む能力は、例えばリジンのイプシロン-NH、システインのスルフヒドリル-SH、ヒスチジンのイミノ基など、天然に存在する機能性基に対する貴重な代替物を提供することができる化学機能性基の導入を可能とする。特定の化学機能性基は20個の共通の、遺伝的にコードされたアミノ酸に見出される機能性基に対して不活性であるが、綺麗かつ効率的に反応して安定な結合を形成することが知られている。例えば、アジド基およびアセチレン基は、触媒量の銅の存在下、水溶液状態でヒュスゲン[3+2]環化付加反応を受けることが本技術分野で公知である。例えば、Tornoeら、(2002)J.Org.Chem.67:3057-3064;およびRostovtsevら、(2002)Angew.Chem.Int.Ed.41:2596-2599を参照のこと。アジド部分をタンパク質構造に導入することによって、例えば、アミン、スルフヒドリル、カルボン酸、タンパク質中に見出されるヒドロキシル基に対して化学的に不活性であるが、アセチレン部分と円滑かつ効率的に反応して環化付加生成物を形成する機能性基を組み込むことができる。重要なことに、アセチレン部分の不在下では、アジドは他のタンパク質側鎖の存在下および生理学的条件下で、化学的に不活性かつ非反応性のままである。
本発明はとりわけ、IL-10ポリペプチド複合体およびIL10の安定化された二量体の活動および産生に関連する問題に対処し、また、改善された生物学的または薬理学的特性、例えば、腫瘍に対する活動の増強および/または改善された複合体化および/または改善された治療半減期、を有するIL-10ポリペプチドの産生に対処する。
[発明の概要]
本発明は、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を有するインターロイキン-10(IL-10)ポリペプチドに関する。本発明は、さらに、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸とのIL-10ポリペプチド複合体に関する。本発明は、さらに、水溶性ポリマーと複合体を形成した、および/または安定化された二量体または多量体を形成する、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を有するIL-10ポリペプチドに関する。本発明は、さらに、PEGなどの1つ以上の水溶性ポリマーが、IL-10またはその変異体内の1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を介してIL-10ポリペプチドまたは変異体と複合体を形成する、IL-10ポリペプチド、その変異体およびその複合体に関する。
本発明は、腫瘍を本発明のIL-10ポリペプチドの有効量と接触させることを含む、腫瘍、または癌、または関連する(related)/関係する(associated)疾患、障害もしくは症状の成長を阻害または低減させる方法を提供する。本発明は、腫瘍を本発明のPEG化IL-10(PEG-IL-10)ポリペプチド、またはIL-10の安定化された二量体もしくは多量体の有効量と接触させることを含む、腫瘍または癌の成長を阻害または低減させる方法を提供する。一実施形態では、安定化された二量体は本開示のIL-10ポリペプチドまたは変異体の共有結合二量体である。一実施形態では、PEG-IL-10はモノPEG化されている。一実施形態では、PEG-IL-10はジペギル化されている。一実施形態では、PEG-IL-10は、それに付着した2個以上の(2)ポリ(エチレングリコール)グリコール分子を有する。
本発明の別の実施形態は、CD8+T細胞を調節するため、および/または腫瘍細胞に対するCD8+T細胞応答を調節するために、本発明のPEG-IL-10ポリペプチドを使用する方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、免疫系の細胞の活性を調節するためにPEG-IL-10ポリペプチドを使用する方法を提供する。別の実施形態では、本発明のIL-10および/またはPEG-IL-10ポリペプチドがIFNガンマ、IL-4、IL-6、IL-10、およびRANK-リガンド(RANK-L)からなる群から選択することができる少なくとも1つの炎症性サイトカインの発現を調節する。特定の実施形態では、PEG-IL-10、または安定化された二量体もしくは多量体は化学療法剤、免疫療法剤、または癌原遺伝子薬を含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの組み合わせ治療剤と同時投与される。化学療法剤は、テモゾロミド、ゲミクタビン、ドキソルビシン、IFN-αからなる群から選択することができる。
本発明の別の実施形態において、PEG-IL-10は、少なくとも1つの化学療法剤と同時投与される。他の実施形態において、PEG-IL-10、または安定化された二量体もしくは多量体は、モノクローナル抗体、免疫チェックポイント阻害剤、癌ワクチン、または他の非特異的免疫療法剤を含むがこれらに限定されない少なくとも1つの免疫療法剤と同時投与される。別の実施形態ではPEG-IL-10、または安定化された二量体もしくは多量体はPD-1、PD-L1、またはCTLA-4を含むがこれらに限定されないチェックポイントタンパク質を標的とする少なくとも1つの薬剤と同時投与される。本発明の一実施形態では、PEG-IL-10は、以下のうちの1つと同時投与される:テモゾロミド(投与量5mg~250mg)、ゲムシタビン(200mg~1g)、ドキソルビシン(1mg/m~50mg/m)、インターフェロン-アルファ(1μg/kg~300μk/kg)。本発明の別の実施形態において、PEG-IL-10は、以下のうちの1つと同時投与される:ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、イピリムマブ。ある実施形態では、腫瘍または癌は結腸癌、卵巣癌、乳癌、黒色腫、肺癌、膠芽腫、および白血病からなる群より選択される。
いくつかの実施形態において、本発明は癌を治療するために、操作された形態のIL-10、例えば、PEG化IL-10または安定化されたIL-10二量体または多量体、を使用する方法を提供する。本発明の別の実施形態において、前期PEG化IL-10ポリペプチドは、非PEG化IL-10ポリペプチドよりも長い血清半減期を有する。別の実施形態において、本発明の前記IL-10ポリペプチドは、腫瘍殺傷活動を増加させる。本発明の別の実施形態において、本発明の前記IL-10ポリペプチドは、非PEG化と比較した場合、腫瘍部位におけるCD8+T細胞の数を増加させる。本発明の別の実施形態において、本発明の前記IL-10ポリペプチドは、野生型IL-10と比較した場合、腫瘍部位におけるCD8+T細胞の数を増加させる。動物モデルはIL-10がNK-細胞の活性化を誘導し、用量依存的に標的細胞破壊を促進し得ることを示唆する(例えば、Zhengら(1996)JExp.Med.184:579-584;Kunduら(1996)JNatl.Cancer Inst.88:536-541を参照のこと)。さらなる試験は、腫瘍微小環境におけるIL-10の存在は、より良好な患者生存と相関することを示す(例えば、Luら(2004)J.ClinOncol.22:4575-4583を参照のこと)。
本発明はまた、治療有効量の本発明のIL-10ポリペプチドを哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における急性白血病を治療するための方法に関する。本発明はまた、急性白血病に罹患している哺乳動物に治療有効量の本発明のIL-10を投与することを含む、急性白血病芽細胞の増殖を阻害する方法を提供する。本発明はまた、哺乳動物に本発明のIL-10の治療有効量を投与することを含み、IL-10がインターロイキン-10の投与が停止された後に持続する、急性白血病芽細胞に対する抗増殖効果を有する、哺乳動物における急性白血病を治療するための方法を提供する。。本発明の方法に応じると、治療される急性白血病は、急性骨髄性白血病(AML)のような骨髄性細胞白血病、または急性リンパ性白血病(ALL)のようなB細胞白血病であり得る。本発明のこの実施形態または任意の実施形態では、PEG-IL-10はPEGポリマーに連結された、全長の成熟した(シグナルペプチドを欠く)ヒトインターロイキン-10を含み得る。本発明のこの実施形態または任意の実施形態では、PEG-IL-10は共有結合によってPEGポリマーまたは他の生物学的に活性な分子に連結された、全長の成熟した(シグナルペプチドを欠く)ヒトインターロイキン-10を含み得る。いくつかの実施形態において、生物学的に活性な分子は、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を含み得る。
PEG-IL10複合体において、PEGまたは他の水溶性ポリマーは、IL-10タンパク質もしくは生物学的に活性な分子に直接結合され得るか、またはリンカーを介して結合され得る。適切なリンカーには、例えば、切断可能および切断不可能なリンカーが含まれる。
本発明の1つの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を有するIL-10ポリペプチドは、細胞毒性剤と複合体を形成する。具体的には、適切な細胞毒性剤は例えば、オーリスタチン、DNA副溝結合剤、DNA副溝アルキル化剤、エンジイン、レキシトロプシン、デュオカルマイシン、タキサン、ピューロマイシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、およびビンカアルカロイドであり得る。特定の実施形態では、細胞毒性剤は、AFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVB、オーリスタチンE、パクリタキセル、ドセタキセル、CC-1065、SN-38、トポテカン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、ドラスタチン-10、エキノマイシン、コンブレタスタチン、チャリケアマイシン、マイタンシン、DM-1、またはネトロプシンである。他の適切な細胞毒性剤としては、抗チューブリン剤、例えば、オーリスタチン、ビンカアルカロイド、ポドフィロトキシン、タキサン、バカチン誘導体、クリプトフィシン、メイタンシノイド、コンブレタスタチン、またはドラスタチンを含む。特定の実施形態では、抗チューブリン剤はAFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVB、オーリスタチンE、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP-16、カンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロンA、エポチロンB、ノコダゾール、コルヒチン、コルシミド、エストラムスチン、セマドチン、ディスコデルモリド、マイタンシン、DM-1、またはエレウテロビンである。細胞毒性剤と複合体を形成したIL-10または細胞毒性剤と複合体を形成したPEG-IL-10は、直接複合体を形成し得る。細胞毒性剤と複合体を形成したIL-10、または細胞毒性剤と複合体を形成したPEG-IL-10は、IL-10ポリペプチド中の天然にコードされていないアミノ酸の少なくとも1つを介して直接複合体を形成し得る。細胞毒性剤と複合体を形成したIL-10または細胞毒性剤と複合体を形成したPEG-IL-10は、リンカーを介して間接的に複合体を形成し得る。細胞毒性剤と複合体を形成したIL-10または細胞毒性剤と複合体を形成したPEG-IL-10は、切断可能なリンカーを介して間接的に複合体と形成し得る。細胞毒性剤と複合体を形成したIL-10または細胞毒性剤と複合体を形成したPEG-IL-10は、切断不可能なリンカーを介して間接的に複合体を形成し得る。切断可能なリンカーは、典型的には細胞内条件下で切断されやすい。適切な切断可能なリンカーとしては、例えば、リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼのような細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチドリンカーが含まれる。例示的な実施形態では、リンカーはバリン-シトルリン(val-cit)またはフェニルアラニン-リジン(phe-lys)リンカーなどのジペプチドリンカーであり得る。他の適切なリンカーとしては、5.5未満のpHで加水分解可能なリンカー、例えばヒドラゾンリンカーが含まれる。さらなる適切な切断可能なリンカーとしては、ジスルフィドリンカーが含まれる。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、腫瘍浸潤T-細胞などの腫瘍微小環境で切断されたリンカーを含み得る。
本発明は、IL-10が、養子免疫療法において現在遭遇している有害な副作用の多くの原因であると考えられるサイトカインの産生を予防または減少させることができるという発見に部分的に基づいている。本明細書中で使用される場合、用語「養子免疫療法」は、機能的な癌と闘う免疫細胞の患者への移転を含む治療を意味する。好ましくは、癌と闘う免疫細胞が患者に直接由来する腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。概して、本発明の方法は、(i)IL-2およびIL-10の存在下でTILを培養する工程、(ii)培養されたTILを患者に投与する工程、および(iii)TILの投与後にIL-2およびIL-10を患者に投与する工程を含む。これらの化学および方法は米国特許第7,807,619号;第8,431,558号;第9,260,371号;および第10,434,111号に記載されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、哺乳動物における癌および/または癌関連疾患、障害および症状を、本発明のIL-10の有効量を投与することによって、治療するための方法を提供する。例えば、当該哺乳動物は、以下の症状のうちの1つ以上を有する哺乳動物を含むが、これに限定されない:結腸癌、卵巣癌、乳癌、黒色腫、肺癌、胃腸癌、神経膠芽腫、および白血病のうちの1つ以上を有するものを含むがこれらに限定されない他の実施形態において、本発明は、本明細書中に開示されるIL-10ポリペプチドの有効量を投与することによる、免疫および/または炎症関連の疾患、障害ならびに症状の治療のための方法を提供する。
本明細書中で使用される場合、インターロイキン10またはIL-10は、(a)本出願の配列番号1~5に開示される成熟(すなわち、分泌リーダー配列を欠く)IL-10の既知の配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、および(b)天然IL-10に共通の少なくとも1つの生物学的活性を有するタンパク質として定義される。いくつかの実施形態において、IL-10は、(a)成熟(すなわち、分泌リーダー配列を欠く)IL-10の既知の配列と実質的に同一であり、および本出願の配列番号5に開示されるようなN末端メチオニンを含むアミノ酸配列を有し、ならびに(b)天然IL-10に共通の少なくとも1つの生物学的活性を有するタンパク質として定義される。さらなる実施形態において、IL-10は、(a)成熟(すなわち、分泌リーダー配列を欠く)IL-10の既知の配列と実質的に同一であり、N末端メチオニンおよびC末端Hisタグを含むアミノ酸配列を含み、および(b)天然IL-10に共通の少なくとも1つの生物学的活性を有するタンパク質として定義される。本発明の目的のために、グリコシル化(例えば、酵母またはCHO細胞のような真核細胞において産生される)および非グリコシル化(例えば、化学的に合成されるか、またはE.coliにおいて産生される)IL-10の両方は同等であり、そして交換可能に使用され得る。また、IL-10の生物学的活性を保持する、ウイルスIL-10を含む、突然変異体および他のアナログが含まれる。
本発明のこの実施形態または任意の実施形態において、IL-10ポリペプチドは、PEGポリマーに連結された、全長の成熟した(シグナルペプチドを欠く)ヒトインターロイキン-10を含むことができる。本発明のこの実施形態または任意の実施形態では、IL-10は共有結合によってPEGポリマーまたは他の生物学的に活性な分子に連結された全長の成熟した(シグナルペプチドを欠く)、ヒトインターロイキン-10を含み得る。いくつかの実施形態において、生物学的に活性な分子は、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を含み得る。本発明のPEG化IL-10複合体は、IL-10タンパク質もしくは生物学的に活性な分子と直接、またはリンカーを介して、複合体を形成し得る。適切なリンカーには、例えば、切断可能および切断不可能なリンカーが含まれる。
好ましくは、本発明のIL-10はアミノ酸配列:配列番号1および3によって定義されるオープンリーディングフレームの成熟ポリペプチドからなる群から選択される。ここで、標準的な3文字の略語はN末端から始まるLアミノ酸を示すために使用される。IL-10のこれらの2つの形態は時に、それぞれ、ヒトIL-10(またはヒトサイトカイン合成阻害因子(「CSIF」)およびウイルスIL-10(またはBCRF1)と呼ばれる。例えば、Mooreら、Science248:1230-1234(1990);Vieiraら、Proc.Natl.Acad.Sci.88:1172-1176(1991);Fiorentinoら、J.Exp.Med.170:2081-2095(1989);およびHsuら、Science250:830-832(1990)。ホモログはまた、ウマヘルペスウイルス2タイプ(Roeら、Virus Genes7:111-116(1993))および様々な種由来の多数の対応物に記載されている。本発明の方法において使用される成熟IL-10は、配列番号2、4および5からなる群より選択される。
いくつかの実施形態では、IL-10ポリペプチドは1つ以上の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチドは、リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子に連結されている。いくつかの実施形態では、IL-10二量体が形成される。いくつかの実施形態では、IL-10単量体は均質である。いくつかの実施形態では、IL-10二量体は均質である。いくつかの実施形態では、IL-10二量体は共有結合二量体である。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチドまたはその変異体は、1つの水溶性ポリマーと複合体を形成する。。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチドまたはその変異体は、2つの水溶性ポリマーと複合体を形成する。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチドまたはその変異体は、3つの水溶性ポリマーと複合体を形成する。いくつかの実施形態では、IL-10ポリペプチドまたはその変異体は3つより多くの水溶性ポリマーと複合体を形成する。いくつかの実施形態において、IL-10多量体は、1つの水溶性ポリマーと複合体を形成する。いくつかの実施形態において、IL-10多量体は、2つの水溶性ポリマーと複合体を形成する。いくつかの実施形態において、IL-10多量体は、3つの水溶性ポリマーと複合体を形成する。いくつかの実施形態では、IL-10多量体が3つより多くの水溶性ポリマーと複合体を形成する。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチドはホモ二量体の形成を可能にするために、所定の長さのリンカーに連結されている。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチドはホモテトラマーの形成を可能にするために、予め選択された長さのリンカーに連結されている。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチドは、多量体の形成を可能にするためにリンカーに連結されている。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチドは、二官能性ポリマー、二機能性リンカー、または少なくとも1つのさらなるIL-10ポリペプチドに連結されている。いくつかの実施形態では、IL-10ポリペプチドが1つ以上の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチドは、リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子に連結されている。
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーがポリ(エチレングリコール)(PEG)部分を含む。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、リンカーを用いて水溶性ポリマーに連結されているか、または水溶性ポリマーに結合されている。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は二官能性ポリマーである。いくつかの実施形態において、二官能性ポリマーは、第2のポリペプチドに連結されている。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドはIL-10である。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体がポリ(エチレングリコール)部分を含む水溶性ポリマーに連結された少なくとも2つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸が天然にコードされていないアミノ酸である。
いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は以下のIL-10またはその変異体中の1つ以上の位置:位置1の前(すなわちN末端)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178の位置に組み込まれているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、およびそれらの任意の組合せ(配列番号1、または配列番号2、3、4または5中の対応するアミノ酸)である。
いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、1つ以上の、以下の領域のいずれかの位置に組み込まれ、以下の領域はIL-10またはその変異体中の二次構造に以下の通りに対応する:ヘリックスのL側;疎水性相互作用の部位;最初の43個のN末端アミノ酸内;リーダー配列の後および位置19の前(すなわち、リーダー配列を欠くタンパク質の位置1の前);配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5のアミノ酸位置44~160内。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸はIL-10またはその変異体の1つ以上の以下の位置:位置1の前(すなわちN末端)、1、19、32、36、54、57、58、63、68、72、75、77、81、85、88、92、97、100、101、102、104、106、108、110、111、114、117、121、125、126、127、128の位置に組み込まれているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、および配列番号1、または配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5のそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、成熟IL-10タンパク質またはその変異体の以下の1つ以上の位置:位置1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109、110に組み込まれているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、および配列番号2もしくは配列番号5のそれらの任意の組合せである。
いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体におけるこれらの位置のうちの1つ以上の天然に生じないアミノ酸は、以下を含むが、これに限定されない位置:位置1の前(すなわちN末端)、1、19、32、36、54、57、58、63、68、72、75、77、81、85、88、92、97、100、101、102、104、106、108、110、111、114、117、121、125、126、127、128で水溶性ポリマーに連結されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加された位置、および配列番号1、配列番号3、配列番号4、もしくは配列番号5のそれらの任意の組合せである。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体のこれらの位置のうちの1つ以上の天然に生じないアミノ酸は以下の位置を含むが、これに限定されない位置:位置1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109、110で水溶性ポリマーに連結されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、および配列番号2または配列番号5のそれらの任意の組み合わせである。
いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体のこれらの位置のうちの1つ以上の天然に生じないアミノ酸は、以下の位置を含むが、これに限定されない位置:位置1の前(すなわちN末端)、1、19、32、36、54、57、58、63、68、72、75、77、81、85、88、92、97、100、101、102、104、106、108、110、111、114、117、121、125、126、127、128でIL-10タンパク質のホモ二量体または多量体の形成を可能にするリンカーに連結されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、および配列番号1、配列番号3、配列番号4、または配列番号5のそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体のこれらの位置のうちの1つ以上の天然に生じないアミノ酸は、以下の位置を含むが、これに限定されない位置:位置1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109、110でIL-10タンパク質のホモ二量体または多量体の形成を可能にするリンカーに連結されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、および配列番号2または配列番号5のそれらの任意の組み合わせ。
いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置:位置1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109、110のうちの1つ以上に組み込まれており、およびそれらの任意の組合せ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4の対応するアミノ酸位置)。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上に組み込まれる:位置21、28、31、36、63、66、70、74、87、90、または93、およびそれらの任意の組合せ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4の対応するアミノ酸位置)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上に組み込まれる:位置21、28、70、87、または90、およびそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸位置)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上に組み込まれる:位置66、74、または93、およびそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸位置)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上に組み込まれる:位置31、36、または63、およびそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸位置)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上に組み込まれる:位置63、66、70、または74、およびそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸位置)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上に組み込まれる:位置35、37、42、45、59、61または66、およびそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸位置)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上に組み込まれる:位置45、61、および66、ならびにそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸位置)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上に組み込まれる:位置45および66、ならびにそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸位置)。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置1に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置14に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置18に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置21に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置28に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置31に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置36に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置39に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置40に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置45に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置50に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置54に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置57に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置59に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置63に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置66に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置67に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置70に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置74に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置79に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置82に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置83に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置84に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置86に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置87に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置88に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置90に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置92に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置93に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置96に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置99に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置103に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置107に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置109に組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸が本発明のIL-10またはその変異体の位置110に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体、またはその任意の組合せ(配列番号2もしくは配列番号5、または配列番号3もしくは4の対応するアミノ酸位置の)の任意の位置に組み込まれる。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、に組み込まれるか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、およびそれらの任意の組み合わせ(配列番号1、または配列番号2、3、4、もしくは5の対応するアミノ酸)である。
いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体の1つ以上のそれらの位置の天然に生じないアミノ酸は、以下の位置を含むが、それらに限定されない位置:位置1の前(すなわちN末端)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178で薬物または他の生物学的に活性な分子に連結されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、およびそれらの任意の組合せである(配列番号1、または配列番号2、3、4、もしくは5中の対応するアミノ酸)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置に組み込まれ、薬物もしくは他の生物学的に活性な分子に連結されている。位置は、以下の位置を含むが、これらに限定されない:位置1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109および110、ならびにそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4の対応するアミノ酸位置)。
いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体の1つ以上のこれらの位置における天然に生じないアミノ酸は、以下の位置を含むが、これらに限定されない位置で:位置1の前(すなわちN末端)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178でリンカーに連結されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、およびそれらの任意の組合せである(配列番号1、または配列番号2、3、4、もしくは5中の対応するアミノ酸)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸はIL-10またはその変異体の以下のうちの1つ以上の位置に組み込まれ、リンカーに連結されている。位置は以下の位置を含むが、これらに限定されない:位置1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109および110、ならびにそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4中の対応するアミノ酸位置)。
いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体のこれらの1つ以上の位置における天然に生じないアミノ酸は、以下の位置を含むが、これらに限定されない位置:位置1の前(すなわちN末端)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178の位置でリンカーに連結され、水溶性ポリマーまたは生物学的に活性な分子にさらに連結されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、およびそれらの任意の組合せである(配列番号1、または配列番号2、3、4、もしくは5中の対応するアミノ酸)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸はIL-10またはその変異体中の以下のうちの1つ以上の位置に組み込まれ、水溶性ポリマーまたは生物学的に活性な分子にさらに連結されているリンカーに連結されている。以下の位置を含むが、これらに限定されない:1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109および110、ならびにそれらの任意の組み合わせである(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4の対応するアミノ酸位置)。
いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体中のこれらの1つ以上の位置における天然に生じないアミノ酸は、以下の位置を含むがこれに限定されない位置:位置1の前(すなわちN末端)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178で水溶性ポリマーまたは生物学的に活性な分子に連結されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、およびそれらの任意の組合せである(配列番号1、または配列番号2、3、4、または5中の対応するアミノ酸)。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体中の以下のうちの1つ以上の位置に組み込まれ、水溶性ポリマーまたは生物活性分子へのリンカーに連結されている。以下の位置を含むが、これらに限定されない:位置1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109および110、ならびにそれらの任意の組み合わせである(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4中の対応するアミノ酸位置)。
本発明のいくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体は、別のIL-10またはその変異体に対するIL-10の親和性を調節する置換、付加または欠失を含む。いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体は、IL-10受容体もしくは受容体サブユニット、または、タンパク質、ポリペプチド、脂質、脂肪酸、小分子、もしくは核酸を含むがこれらに限定されない結合パートナーに対するIL-10またはその変異体の親和性を調節する置換、付加または欠失を含む。いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体は、置換、付加または欠失のない対応するIL-10の安定性と比較した場合に、IL-10の安定性を調節する置換、付加または欠失を含む。安定性および/または溶解性は、当業者に公知の多数の異なるアッセイを使用して測定され得る。このようなアッセイにはSE-HPLCおよびRP-HPLCが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、IL-10は、置換、付加、または欠失のない対応するIL-10の免疫原性と比較した場合に、IL-10の免疫原性を調節する置換、付加、または欠失を含む。いくつかの実施形態では、IL-10は、置換、付加、または欠失のない対応するIL-10の血清半減期または循環時間と比較した場合に、IL-10の血清半減期または循環時間を調節する置換、付加、または欠失を含む。
いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体は、置換、付加、または欠失のない対応するIL-10またはその変異体の水溶解性と比較した場合に、IL-10の水溶解性を増加させる置換、付加、または欠失を含む。いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体は、対応する置換、付加、または欠失のないIL-10またはその変異体の溶解性と比較した場合に、宿主細胞において産生されるIL-10またはその変異体の溶解性を増加させる置換、付加、または欠失を含む。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体は、置換、付加、または欠失のない対応するIL-10またはその変異体の宿主細胞での発現またはin vitroでの合成と比較した場合に、宿主細胞でのIL-10の発現を増加させるか、またはin vitroでの合成を増加させる置換、付加、または欠失を含む。この置換を含むIL-10またはその変異体はアゴニスト活性を保持し、宿主細胞における発現レベルを保持または改善する。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体は、置換、付加、または欠失のない対応するIL-10またはその変異体のプロテアーゼ耐性と比較して、IL-10またはその変異体のプロテアーゼ耐性を増加させる置換、付加、または欠失を含む。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体は、置換、付加、または欠失のない対応するIL-10またはその変異体との相互作用時における受容体の活性と比較した場合に、IL-10受容体のシグナル伝達活性を調節する置換、付加、または欠失を含む。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体は、置換、付加、または欠失のない対応するIL-10の結合と比較した場合に、受容体または受容体サブユニットなどの別の分子へのその結合を調節する置換、付加、または欠失を含む。
一実施形態では、本発明のIL-10またはPEG-IL-10は免疫調節剤などの治療薬に連結されている。免疫調節剤は、IL-10、PEG-IL-10またはIL-10変異体との複合体化のための治療薬として使用され得る、免疫細胞に対して治療効果を発揮する任意の薬剤であり得る。
本発明は、増殖性症状または障害、例えば子宮、子宮頸部、乳房、前立腺、精巣、陰茎、胃腸管、例えば食道、口腔咽頭、胃または小腸、大腸、結腸、もしくは直腸、腎臓、腎臓細胞、膀胱、骨、骨髄、皮膚、頭部または頸部、皮膚、肝臓、胆のう、心臓、肺、膵臓、唾液腺、副腎、甲状腺、脳、例えば神経膠腫、神経節、中枢神経系(CNS)および末梢神経系(PNS)、ならびに免疫系、例えば脾臓もしくは胸腺の癌を治療する方法を提供する。本発明は例えば、免疫原性腫瘍、非免疫原性腫瘍、休眠腫瘍、ウイルス誘発癌、例えば上皮細胞癌、内皮細胞癌、扁平上皮細胞癌、パピローマウイルス、腺癌、リンパ腫、癌腫、黒色腫、白血病、骨髄腫、肉腫、奇形癌、化学的に誘発された癌、転移、および血管新生を治療する方法を提供する。本発明はまた、例えば、調節T細胞(Treg)および/またはCD8T細胞の活性を調節することによって、腫瘍細胞抗原または癌細胞抗原に対する耐性を減少させることを意図する(例えば、Ramirez-Montagutら、(2003)Oncogene 22:3180-3187;Sawayaら、(2003) New Engl. J. Med. 349:1501-1509;Farrarら、(1999) J. Immunol. 162:2842-2849;Leら、(2001) J. Immunol. 167:6765-6772;CannistraおよびNiloff(1996) New Engl. J. Med. 334:1030-1038; Osborne(1998) New Engl. J. Med. 339:1609-1618;LynchおよびChapelle(2003) New Engl. J. Med.348:919-932;EnzingerおよびMayer(2003) New Engl. J. Med.349:2241-2252;Forastiereら、(2001) New Engl. J. Med.345:1890-1900;Izbickiら、(1997)New Engl.J.Med.337:1188-1194を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本発明はPEG-IL-10および少なくとも1つの追加の治療薬または診断薬を用いて、増殖症状、癌、腫瘍、または、異形成などの前癌症状を治療するための方法を提供する。追加の治療薬は例えば、IL-12、インターフェロン-アルファ、などのサイトカインもしくはサイトカインアンタゴニスト、または抗上皮成長因子受容体、ドキソルビシン、エピルビシン、抗-葉酸、例えば、メソトレキセートもしくはフルオロウラシル、イリノテカン、シクロフォスファミド、ラジオセラピー、ホルモンまたは抗-ホルモン療法、例えば、アンドロゲン、エストロゲン、抗エストロゲン、フルタミド、もしくはジエチルスチルベストロール、手術、タモキシフェン、イフォスファミド、ミトラクトール、アルキル化剤、例えば、メルファランもしくはシス-プラチン、エトポシド、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンデシン、グルココルチコイド、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、血管新生阻害剤、放射線、放射線増感剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、タキサン、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル、細胞周期インヒビター、例えば、サイクリン依存キナーゼインヒビター、別の腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体、モノクローナル抗体および毒素の複合体、T細胞アジュバント、チェックポイント阻害剤またはPD-1、PD-L1もしくはCTLA-4などのチェックポイントタンパク質を標的とする薬物、骨髄移植、または抗原提示細胞、例えば、樹状細胞療法、であってもよい。ワクチンは例えば、可溶性タンパク質として、またはタンパク質をコードする核酸として提供され得る(例えば、Leら、前出;GrecoおよびZellefsky(編)(2000)Radiotherapy of Prostate Cancer、Harwood Academic、Amsterdam;ShapiroおよびRecht(2001)New Engl. J. Med.344:1997-2008;Hortobagyi(1998)New Engl. J. Med.339:974-984;Catalona(1994)New Engl. J. Med.331:996-1004;NaylorおよびHadden(2003)Int. Immunopharmacol. 3:1205-1215;The Int. Adjuvant Lung Cancer Trial Collaborative Group(2004)New Engl. J. Med.350:351-360;Slamonら(2001)New Engl. J. Med.344:783-792;Kudelkaら(1998)New Engl. J. Med.338:991-992;van Nettenら(1996)New Engl. J. Med.334:920-921を参照のこと)。
本発明のいくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体は、置換、付加、または欠失のない対応する野生型IL-10の相溶性と比較した場合に、IL-10またはその変異体と医薬防腐剤(例えば、m-クレゾール、フェノール、ベンジルアルコール)との相溶性を増加させる置換、付加、または欠失を含む。この増大した相溶性は、貯蔵中のタンパク質の生理化学的特性および生物学的活性を維持する保存された医薬製剤の調製を可能にする。
いくつかの実施形態において、1つ以上の操作された結合は、1つ以上の天然ではないアミノ酸を用いて作製される。分子内結合は、適切な条件下でのタンパク質中の2つのアミノ酸間の反応(一方または両方のアミノ酸は天然ではないアミノ酸であってもよい);適切な条件下でのリンカー、ポリマー、または他の分子と、それぞれは天然にコードされていても天然にコードされていなくてもよい2つのアミノ酸との反応を含むが、これらに限定されない、多くの方法で生成され得る。
いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体の1つ以上のアミノ酸置換は、1つ以上の天然に生じるまたは天然に生じないアミノ酸によるものであり得る。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体のアミノ酸置換は、少なくとも1つの置換が天然にコードされていないアミノ酸によるものであれば、天然に生じるアミノ酸または天然に生じないアミノ酸によるものであり得る。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体の1つ以上のアミノ酸置換は1つ以上の天然に生じるアミノ酸によるものであってもよく、さらに、少なくとも1つの置換は天然にコードされていないアミノ酸によるものである。
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、カルボニル基、アセチル基、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含む。
いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸はカルボニル基を含む。いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸は以下の構成を有する:
Figure 2022512746000001
ここで、nは0~10であり;Rはアルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり;RはH、アルキル、アリール、置換アルキル、および置換アリールであり;RはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、RはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である。
いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸はアミノオキシ基を含む。いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸はヒドラジド基を含む。いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸はヒドラジン基を含む。いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸残基はセミカルバジド基を含む。
いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸残基はアジド基を含む。いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸は以下の構成を有する:
Figure 2022512746000002
ここで、nは0~10であり;Rはアルキル、アリール、置換アルキル、置換アリールまたは非存在であり;XはO、N、Sまたは非存在であり;mは0~10であり;RはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり;RはH、アミノ酸、ポリペプチドまたはカルボキシ末端修飾基である。
いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸はアルキン基を含む。いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸は以下の構成を有する:
Figure 2022512746000003
式中、nは0~10であり;Rはアルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり;XはO、N、Sまたは非存在であり;mは0~10であり、RはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、RはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドはIL-10アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、または逆アゴニストである。いくつかの実施形態では、IL-10アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、または逆アゴニストは水溶性ポリマーに連結された天然にコードされていないアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)部分を含む。いくつかの実施形態では、IL-10アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、または逆アゴニストは天然にコードされていないアミノ酸、および1つ以上の翻訳後修飾、リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子を含む。
本発明はまた、配列番号1、2、3、4、5のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸を提供する。そして、本発明は厳格な条件下で配列番号1、2、3、4、5のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む単離された核酸を提供する。本発明はまた、配列番号1、2、3、4、または5として示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸を提供し、ここで、ポリヌクレオチドは少なくとも1つのセレクターコドンを含む。本発明はまた、配列番号1、2、3、4、5として示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸を提供し、ここで、ポリヌクレオチドは1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を有する。多数の異なるポリヌクレオチドが本発明の任意のポリペプチドをコードし得ることは、当業者にとって容易に明らかである。IL-10ポリペプチドをコードする哺乳動物細胞における発現のためのコドン最適化ポリヌクレオチドもまた、本発明において配列番号6、7、8、9として提供される。配列番号1のIL-10ポリペプチドをコードする哺乳動物細胞における発現のためのコドン最適化ポリヌクレオチドもまた、本発明において配列番号9として提供される。
いくつかの実施形態では、セレクターコドンはアンバーコドン、オカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、希少コドン、5塩基コドン、および4塩基コドンからなる群から選択される。
本発明はまた、水溶性ポリマーに連結されているか、または1つ以上のIL-10ポリペプチドに連結されてホモ二量体もしくはホモ多量体を形成する、IL-10またはその変異体を作製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記方法は、天然にコードされていないアミノ酸を含む、単離されたIL-10またはその変異体と、水溶性ポリマーまたは天然にコードされていないアミノ酸と反応する部分を含むリンカーとを接触させることを含む。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体に組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸は、そうでなければ20個の共通アミノ酸のいずれかに対して非反応性である水溶性ポリマーまたはリンカーに対して反応性である。いくつかの実施形態では、IL-10に組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸は、そうでなければ20個の共通アミノ酸のいずれかに対して非反応性であるリンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子に対して反応性である。
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーまたはリンカーに連結されたIL-10またはその変異体は、カルボニル含有アミノ酸を含むIL-10またはその変異体を、ポリ(エチレングリコール)分子またはアミノオキシ、ヒドラジン、ヒドラジドもしくはセミカルバジド基を含むリンカーと反応させることによって作製される。いくつかの実施形態において、前記アミノオキシ、ヒドラジン、ヒドラジドまたはセミカルバジド基は、アミド結合を介してポリ(エチレングリコール)分子またはリンカーに連結されている。いくつかの実施形態において、前記アミノオキシ、ヒドラジン、ヒドラジドまたはセミカルバジド基は、カルバメート結合を介してポリ(エチレングリコール)分子またはリンカーに連結されている。
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーに連結されたIL-10またはその変異体は、ポリ(エチレングリコール)分子またはカルボニル基を含むリンカーを、アミノオキシ、ヒドラジン、ヒドラジドまたはセミカルバジド基を含む天然にコードされていないアミノ酸を含むポリペプチドと反応させることによって作製される。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーまたはリンカーに連結されたIL-10またはその変異体は、アルキン含有アミノ酸を含むIL-10またはその変異体を、アジド部分を含むポリ(エチレングリコール)分子と反応させることによって作製される。いくつかの実施形態において、アジドまたはアルキン基は、アミド結合を介してポリ(エチレングリコール)分子またはリンカーに連結されている。
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーまたはリンカーに連結されたIL-10またはその変異体は、アジド含有アミノ酸を含むIL-10またはその変異体を、アルキン部分を含むポリ(エチレングリコール)分子と反応させることによって作製される。いくつかの実施形態において、アジドまたはアルキン基は、アミド結合を介してポリ(エチレングリコール)分子またはリンカーに連結されている。
いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子またはリンカーは約0.1kDa~約100kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子またはリンカーは0.1kDa~50kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子またはリンカーは分岐ポリマーまたはリンカーである。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分岐ポリマーまたはリンカーの各分岐は、1kDa~100kDa、または1kDa~50kDaの分子量を有する。
いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は約0.1kDa~約100kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は0.1kDa~50kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)は1kDa~25kDa、または2~22kDa、または5kDa~20kDaの分子量を有する。例えば、ポリ(エチレングリコール)ポリマーの分子量は、約5kDa、または約10kDa、または約20kDa、または約30kDaであり得る。例えば、ポリ(エチレングリコール)ポリマーの分子量は、5kDaまたは10kDaまたは20kDa、または30kDaであり得る。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は分岐PEGである。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は分岐5K PEGである。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は分岐10K PEGである。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は分岐20K PEGである。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は直鎖状PEGである。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は直鎖状5K PEGである。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は直鎖状10K PEGである。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は直鎖状20K PEGである。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は直鎖状30K PEGである。いくつかの実施形態では、ポリ(エチレングリコール)ポリマーの分子量は平均分子量である。特定の実施形態では、平均分子量は数平均分子量(Mn)である。平均分子量は、GPCまたはSEC、SDS/PAGE分析、RP-HPLC、質量分析、またはキャピラリー電気泳動を使用して決定または測定され得る。
いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の1つ以上の位置に組み込まれる:位置1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109および110、ならびにそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸位置)、そしてIL-10またはその変異体は直鎖状ポリ(エチレングリコール)分子に連結されている。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の1つ以上の位置に組み込まれる:位置1、21、28、36、59、83、87、90、または93、およびそれらの任意の組み合わせ(配列番号2もしくは配列番号5の、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸位置)、そしてIL-10またはその変異体は直鎖状ポリ(エチレングリコール)分子に連結されている。直鎖状ポリ(エチレングリコール)分子は、5K、10K、20Kまたはそれ以上である。
いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体に連結された水溶性ポリマーはポリアルキレングリコール部分を含む。いくつかの実施形態では、IL-10に組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸残基は、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジド基、ヒドラジン、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含む。いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体に組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸残基はカルボニル部分を含み、水溶性ポリマーは、アミノオキシ、ヒドラジド、ヒドラジン、またはセミカルバジド部分を含む。いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体に組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸残基はアルキン部分を含み、水溶性ポリマーは、アジド部分を含む。いくつかの実施形態において、IL-10またはその変異体に組み込まれた天然にコードされていないアミノ酸残基はアジド部分を含み、水溶性ポリマーは、アルキン部分を含む。
本発明はまた、天然にコードされていないアミノ酸および薬学的に許容される担体を含む、IL-10またはその変異体を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、の天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されている。
本発明はまた、セレクターコドンを含むIL-10またはそのIL-10変異体をコードするポリヌクレオチドを含む細胞を提供する。いくつかの実施形態では、細胞は、天然にコードされていないアミノ酸をIL-10に置換または組み込むための直交RNA合成酵素および/または直交tRNAを含む。
本発明はまた、天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10またはその任意の変異体を作製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、IL-10またはその変異体の発現を可能にする条件下で、ポリヌクレオチド、またはIL-10直交RNA合成酵素および/または直交tRNAをコードするポリヌクレオチドを含む細胞を培養すること;ならびに細胞および/または培養培地からIL-10またはその変異体を精製することを含む。
本発明はまた、IL-10またはその変異体の治療半減期、血清半減期または循環時間を延長させる方法を提供する。本発明はまた、IL-10またはその変異体の免疫原性を調節する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、天然に生じるIL-10またはその変異体中の任意の1つ以上のアミノ酸を天然にコードされていないアミノ酸で置換すること、および/またはIL-10またはその変異体をリンカー、ポリマー、水溶性ポリマー、または生物学的に活性な分子に連結することを含む。本発明の一実施形態では、リンカーは、柔軟性を可能にし、二量体形成を可能にするのに十分に長い。本発明の一実施形態では、リンカーは、二量体形成を可能にするように、長さが少なくとも3アミノ酸、または18原子である。
本発明はまた、このような治療を必要とする患者を、本発明のIL-10またはIL-10変異体分子の有効量で治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、天然にコードされていないアミノ酸および薬学的に許容される担体を含むIL-10またはIL-10変異体分子を含む医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されている。本発明のIL-10ポリペプチドまたは変異体は、腫瘍成長、または腫瘍増殖、または癌、または免疫もしくは炎症の疾患、障害または症状を治療するための薬剤の製造における使用のためのものである。本発明のIL-10ポリペプチドまたは変異体は、癌または遺伝性疾患に関連する疾患を含むがこれらに限定されない疾患を治療するための薬剤の製造における使用のためのものである。
本発明はまた、少なくとも1つのアミノ酸が天然にコードされていないアミノ酸によって置換されたことを除いて、配列番号1、2、3、4、5または任意の他のIL-10配列に示される配列を含むIL-10またはその変異体を提供する。いくつかの実施形態において、の天然にコードされていないアミノ酸は、水溶性ポリマーまたはリンカーに連結されている。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)部分を含む。いくつかの実施形態において、の天然にコードされていないアミノ酸は、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジド基、ヒドラジン基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含む。
本発明はまた、薬学的に許容される担体と、配列番号1、2、3、4、5、または任意の他のIL-10配列に示される配列を含むIL-10またはその天然変異体とを含む医薬組成物を提供し、ここで、少なくとも1つのアミノ酸は、天然にコードされていないアミノ酸によって置換される。本発明はまた、薬学的に許容される担体と、配列番号1、2、3、4、5に示される配列を含むIL-10またはその天然変異体とを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、の天然にコードされていないアミノ酸は糖部分を含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは糖部分を介してIL-10またはその天然変異体に連結されている。いくつかの実施形態において、リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子は、糖部分を介してIL-10またはその天然変異体に連結されている。
本発明はまた、水溶性ポリマー、または単一アミノ酸でIL-10またはその変異体に共有結合によって連結されたリンカーを含むIL-10またはその天然変異体を提供する。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)部分を含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーまたはリンカーに共有結合したアミノ酸は、ポリペプチド中に存在する天然にコードされていないアミノ酸である。
本発明は、少なくとも1つのリンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子を含むIL-10またはその変異体を提供する。ここで、リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子は、ポリペプチドにリボソーム的に組み込まれた、天然にコードされていないアミノ酸の機能性基を介してポリペプチドに付着する。IL-10複合体において、PEGまたは他の水溶性ポリマー、別のIL-10ポリペプチド、または生物学的に活性な分子は、リンカーを介してIL-10タンパク質と直接複合体を形成され得る。適切なリンカーには、例えば、切断可能および切断不可能なリンカーが含まれる。いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体はモノPEG化されている。本発明はまた、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸に付着するリンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子を含むIL-10またはその変異体を提供する。ここで天然にコードされていないアミノ酸は予め選択された部位でポリペプチドにリボソーム的に組み込まれる。
本発明の範囲内に含まれるのは、IL-10またはその変異体のリーダーまたはIL-10コード領域に結合されたシグナル配列、ならびにIL-10コード領域に結合された異種シグナル配列である。選ばれた異種リーダーまたはシグナル配列は、例えば宿主細胞分泌系によって分泌するために、そしておそらくシグナルペプチダーゼによって切断されるために、宿主細胞によって認識され、プロセシングされるものでなければならない。本発明のIL-10を用いて症状または障害を治療する方法は、シグナルまたはリーダーペプチドを供しまたは供さず、IL-10またはその変異体を用いて治療すること含蓄することを意味する。
本発明の別の実施形態では、PEGを含むがこれに限定されない1つ以上の天然に生じないアミノ酸を含むIL-10またはその変異体の他の分子とのの複合体化は、天然に生じないアミノ酸との複合体化に利用されるユニークな化学反応のために、実質的に精製されたIL-10を提供する。IL-10の、または他の分子に1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を含むその変異体の、例えばPEGまたは別のIL-10ポリペプチドの別の分子との複合体化は、、実質的に純粋なIL-10またはその変異体を提供するために、複合体化工程の前または後に実施される、当業者に公知の他の精製技術を用いて実施され得る。
いくつかの実施形態において、本発明のIL-10化合物は、本明細書の実施例に記載されるスキームに従って開示される構造を有する。本発明の範囲内に含まれるのは、IL-10またはその変異体の細胞毒性活性を検出または分析する方法である。
〔図面の簡単な説明〕
図1は、非天然アミノ酸を遺伝的に組み込むように選択されたIL-10上の表面接近可能部位を示す。
図2は、E.coliにおける成熟ヒトIL10-Hisタンパク質の発現のためのプラスミドマップを示す。
図3は、E.coli振盪フラスコ培養由来の、4つのヒトIL-10溶解物、3つのE.coliコドンを最適化した配列および天然のコード配列の、ウェスタンブロットを示す。
図4は、二量体のIL-10(左ピーク)および単量体のIL-10の残留量(右ピーク)を示すpAF IL-10変異体のA280クロマトグラムを示す。
図5は、精製されたIL-10(左ピーク)およびPEG化IL-10変異体(右ピーク)の分析サイズ排除プロファイルを示す。
図6は、CHO細胞から産生された非天然アミノ酸を含むIL-10ポリペプチドの発現レベルを示す。
図7A~7Bは、精製されたIL-10pAMF変異体(図7A)および複合体化されたIL-10二量体変異体(図7B)のSDS-PAGE分析を示す。
図8は、IL-10野生型のIL-10Rαへの結合動態センサーグラムおよびモデルフィッティングラインを、結合動態測定と共に示す。
図9A~9Dは、IL-10Rα、IL-10-Q63二量体(図9A)、IL-10-S66二量体(図9B)、IL-10-Q70二量体(図9C)、およびIL-10-E74二量体(図9D)に対するIL-10共有結合二量体変異体の結合動態センサーグラムを示す。
図10A~10Fは、IL-10Rα、IL-10-N21-EPG10K(図10A)、IL-10-D28-PEG10K(図10B)、IL-10-F36-PEG10K(図10C)、IL-10-I87-PEG10K(図10D)、IL-10-H90-PEG10K(図10E)、およびIL-10-S93-PEG10K(図10F)に対するIL-10PEG化変異体の結合動態センサーグラムを示す。
図11A~11Fは、in vitroでのIL-10野生型、変異体、二量体およびPEG化化合物の生物学的活性を示す。IL-10活動に対する、N端末PEG化(図11A)、pAF置換(図11B)、部位特異的PEG化およびpAF置換(図11C)、PEG化およびpAmF置換(図11Dおよび図11E)、ならびに共有二量体変異体(図11F)。
図12A~12Bは、p-STAT3アッセイを用いて、CD4+T細胞(図12A)およびCD8+T細胞(図12B)における共有結合IL-10二量体変異体のin vitroでの活性を示す。
図13A~13Dは、p-STAT3アッセイを用いて、CD4+T細胞(図13Aおよび図13C、それぞれpH7.5およびpH6.0で)およびCD8+T細胞(図13Bおよび図13D、それぞれpH7.5およびpH6.0で)における共有結合IL-10二量体変異体に対するpH環境の影響を示す。
〔定義〕
本発明は、本明細書中に記載される特定の方法論、プロトコール、細胞株、構築物、および試薬に限定されず、そして変化し得るものであることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないこと、すなわち添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されたい。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は文脈が明確に他を示さない限り、複数形を含む。したがって、例えば、「IL-10」、「PEG-IL-10」、「PEG-IL-10複合体」、ならびに様々な大文字、ハイフン化形および非ハイフン化形への言及は1つ以上のそのようなタンパク質としての表現であり、当業者に公知のそれらの等価物などを含む。
本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は別の定義がない限り、本発明が属する技術分野における当業者が通常理解するのと同じ意味を持つ。本明細書で説明されるものと類似または同等である、任意の方法、装置、および材料を、本発明の実施または試験で使用し得るが、好ましい方法、装置、および材料をここで説明する。
言及される全ての刊行物および特許は、説明および開示の目的で本明細書中に参照によって援用される。例えば、刊行物に記載される構築物および方法論は、記載される発明に関連して使用され得る。ここで述べる刊行物は、本出願の出願日以前にそれらの開示が単に提供されている。本明細書中のいかなるものも、何らかの理由によって先行するそのような開示によって発明者が権利を有さないという自認として解釈されるべきではない。
用語「実質的に精製された」は、組換え的に産生されたIL-10の場合には、その天然に生じる環境、すなわち天然細胞または宿主細胞において見出されるようなタンパク質に通常付随するかまたはそれと相互作用する成分を実質的にまたは本質的に含まなくてもよいIL-10またはその変異体を指す。細胞物質を実質的に含まなくてよいIL-10は、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満(乾燥重量において)の汚染タンパク質を有するタンパク質の調製物を含む。IL-10またはその変異体が宿主細胞によって組換え的に産生される場合、タンパク質は、細胞の乾燥重量の約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%以下で存在し得る。IL-10またはその変異体が宿主細胞によって組換え的に産生される場合、タンパク質は、細胞の乾燥重量の約5g/L、約4g/L、約3g/L、約2g/L、約1g/L、約750mg/L、約500mg/L、約250mg/L、約100mg/L、約50mg/L、約10mg/L、または約1mg/L以下で培養培地中に存在し得る。したがって、本発明の方法によって生成される「実質的に精製された」IL-10は、SDS/PAGE分析、RP-HPLC、SEC、およびキャピラリー電気泳動などの適当な方法によって決定されるものとして、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、具体的には少なくとも約75%、80%、85%、および更に具体的には少なくとも約90%の純度レベル、少なくとも約95%の純度レベル、少なくとも約99%以上の純度レベルを有し得る。
「組換え宿主細胞」または「宿主細胞」は、挿入のために使用される方法、例えば、直接取り込み、形質導入、f接合、または組換え宿主細胞を作製するための本技術分野で公知の他の方法にかかわらず、外因性ポリヌクレオチドを含む細胞を指す。外因性ポリヌクレオチドは、組み込まれていないベクター、例えばプラスミドとして維持され得るか、または代わりに、宿主ゲノムに組み込まれ得る。
本明細書で使用される場合、用語「培地」または「媒体」は、任意の宿主細胞を支持または含有し得る、任意の培養培地、溶液、固体、半固体、または硬質支持体を含む。任意の宿主細胞は、細菌宿主細胞、酵母宿主細胞、昆虫宿主細胞、植物宿主細胞、真核宿主細胞、哺乳動物宿主細胞、CHO細胞、原核宿主細胞、E.coli、またはシュードモナス宿主細胞、および細胞内容物を含む。従って、この用語は宿主細胞が増殖した培地、例えば、増殖工程の前または後のいずれかの培地を含む、IL-10が分泌された培地を包含し得る。この用語はまた、宿主細胞溶解物を含む緩衝液または試薬、例えば、IL-10が細胞内で産生され、そして宿主細胞が溶解または破壊されてIL-10を放出する場合を包含し得る。
「還元剤」は、タンパク質リフォールディングに関して本明細書中で使用される場合、スルフヒドリル基を還元状態に維持し、そして分子内または分子間ジスルフィド結合を還元する任意の化合物または材料として定義される。適切な還元剤としては、ジチオトレイトール(DTT)、2-メルカプトエタノール、ジチオエリスリトール、システイン、システアミン(2-アミノエタンチオール)、および還元型グルタチオンが含まれるが、これらに限定されない。多種多様な還元剤が本発明の方法および組成物における使用に適切であることは、当業者らにとっては容易に明らかである。
「酸化剤」は、タンパク質リフォールディングに関して本明細書中で使用される場合、酸化された化合物から電子を除去することができる任意の化合物または材料として定義される。適切な酸化剤には、酸化型グルタチオン、シスチン、シスタミン、酸化型ジチオトレイトール、酸化型エリスレイトール、および酸素が含まれるが、これらに限定されない。多種多様な酸化剤が本発明の方法における使用に適切であることは、当業者らにとっては容易に明らかである。
本明細書で使用される場合、「変性薬剤」または「変性剤」は、タンパク質の可逆的アンフォールディングを引き起こす任意の化合物または材料として定義される。変性薬剤または変性剤の強度は、特定の変性薬剤または変性剤の特性および濃度の両方によって決定される。適切な変性薬剤または変性剤は、カオトロープ、界面活性剤、有機溶媒、水混和性溶媒、リン脂質、または2つ以上のこのような薬剤の組み合わせであり得る。適切なカオトロープとしては尿素、グアニジン、およびチオシアン酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。有用な洗浄剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、もしくはポリオキシエチレンエーテル(例えば、ツイーンまたはトリトン洗浄剤)などの強力な洗浄剤、サルコシル、穏和な非イオン性洗浄剤(例えば、ジギトニン)、N->2,3-(ジオレイオキシ)-プロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムなどの穏和なカチオン性洗浄剤、穏和なイオン性洗浄剤(例えば、コール酸ナトリウムまたはデオキシコール酸ナトリウム)、または、スルホベタイン(Zwittergent)、3-(3-クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ-1-プロパン硫酸(CHAPS)、および3-(3-クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ-2-ヒドロキシ-1-プロパン硫酸(CHAPSO)を含むが、これらに限定されない双性イオン性洗浄剤が含まれるが、これらに限定されない。アセトニトリル、低級アルカノール(特にエタノールまたはイソプロパノールなどのC-Cアルカノール)、または低級アルカンジオール(特にエチレングリコールなどのC-Cアルカンジオール)などの有機水混和性溶媒を変性剤として使用することができる。本発明において有用なリン脂質は、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルイノシトールのような天然に生じるリン脂質、またはジヘキサノイルホスファチジルコリンもしくはジヘプタノイルホスファチジルコリンのような合成リン脂質誘導体または変異体であり得る。
「リフォールディング(Refolding)」は本明細書で使用される場合、ジスルフィド結合含有ポリペプチドを、不適切に折り畳まれた、または展開された状態から、ジスルフィド結合に関して天然の、または適切に折り畳まれた立体配座に変換する任意のプロセス、反応、または方法を説明する。
「共折り畳み(Cofolding)」とは、本明細書で使用される場合、特に、互いに相互作用し、少なくとも2つのポリペプチドを使用するリフォールディングプロセス、反応、または方法を指す。これは、展開されたまたは不適切に折り畳まれたポリペプチドを天然の適切に折り畳まれたポリペプチドへの変換を結果としてもたらす。
本明細書中で使用される場合、「インターロイキン-10」、「IL-10」およびそのハイフン化形および非ハイフン化形は、IL-10の少なくとも1つの生物学的活性を有するポリペプチドおよびタンパク質を含み、同様にそのIL-10アナログ、IL-10突然変異体、IL-10変異体、IL-10アイソフォーム、IL-10模倣体、IL-10断片、ハイブリッドIL-10タンパク質、融合タンパク質、オリゴマーおよび多量体、ホモログ、グリコシル化パターン変異体、変異体、スプライシング変異体、および突然変異体、それらのものが、生物学的活性が同じであるかに関わらず、およびさらにそれらの合成または製造の方法にも関わらず、含まれる。それらの合成または製造は、組換え(cDNA、ゲノムDNA、合成DNAまたは他の形態の核酸から産生されるかどうかにかかわらず)、in vitro、in vivo、核酸分子のマイクロインジェクション、合成、トランスジェニック、および遺伝子活性化方法を含むが、これらに限定されない。用語「インターロイキンIL-10」、「IL-10」、「IL-10変異体」、および「IL-10ポリペプチド」は、1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失を含むIL-10を包含する。
リーダー配列を欠くIL-10の配列については、本明細書中の配列番号2~5または10~44を参照のこと。リーダー配列を有するIL-10の配列については、配列番号1を参照のこと。いくつかの実施形態では、本発明のIL-10またはその変異体は、配列番号1、2、5、またはIL-10の任意の他の配列と実質的に同一である。変異体IL-10および他の変異体を含むIL-10をコードする核酸分子、ならびにこれらのポリペプチドを発現および精製するための方法は、本技術分野で周知である。
用語「IL-10」はまた、薬学的に受容可能な塩およびプロドラッグ、ならびにそれらの塩のプロドラッグ、多形体、水和物、溶媒和物、生物学的に活性な断片、天然に存在するIL-10の生物学的に活性な変異体および立体異性体、ならびにアゴニスト、模倣体および天然に存在するIL-10のアンタゴニスト変異体、ならびにそれらのポリペプチド融合体を含む。
種々の参考文献は、ポリマー複合体化またはグリコシル化によるポリペプチドの修飾を開示している。用語「IL-10」はPEGなどのポリマーと複合体を形成したポリペプチドを含み、システイン、リジン、または他の残基の1つ以上のさらなる誘導体から構成され得る。加えて、IL-10はリンカーまたはポリマーを含み得、ここで、リンカーまたはポリマーと複合体を形成したアミノ酸は、本発明に従う天然ではないアミノ酸であり得るか、またはリジンまたはシステインへのカップリングなどの本技術分野で公知の技術を利用して、天然にコードされたアミノ酸と複合体を形成し得る。
用語「IL-10ポリペプチド」はまた、例えば、任意のアミノ酸位置でグリコシル化されたポリペプチド、ポリペプチドのN結合型またはO結合型のグリコシル化形態などであるが、これに限定されない、グリコシル化されたIL-10を含む。単一ヌクレオチド変化を含む変異体もまた、IL-10ポリペプチドの生物学的に活性な変異体と考えられる。さらに、スプライシング変異体も含まれる。
用語「IL-10」はまた、任意の1つ以上のIL-10または任意の他のポリペプチド、タンパク質、炭水化物、ポリマー、小分子、リンカー、リガンド、または他の生物学的に活性な任意の種類の分子であるIL-10ヘテロ二量体、ホモ二量体、ヘテロ多量体、またはホモ多量体を含む。これらは化学的手段によって連結された、または、たとえば特異的欠失または他の修飾を含有しても、生物学的活性を維持する融合タンパク質およびポリペプチドアナログ、として発現される。
「インターロイキン-10」または「IL-10」は、本明細書で使用される場合、生物学的に活性な分子と複合体を形成しているか、ポリエチレングリコールと複合体を形成しているか、または非複合体形態であるかにかかわらず、ホモ二量体を形成するために非共有的に結合された2つのサブユニットを含むタンパク質である。本明細書で使用される「インターロイキン-10」および「IL-10」は、「hIL-10」または「mIL-10」とも呼ばれるヒトまたはマウスIL-10を指し得る。
「PEG化IL-10(pegylated IL-10)」、「PEG化IL-10(PEGylated IL-10)」または「PEG-IL-10」という用語は、リンカーを介してIL-10タンパク質の1つ以上のアミノ酸残基に共有的に付着する1つ以上のポリエチレングリコール分子を有するIL-10分子であり、その付着は安定している。「モノPEG化IL-10」および「モノPEG-IL-10」という用語は、1つのポリエチレングリコール分子がリンカーを介してIL-10二量体の1つのサブユニット上の単一アミノ酸残基に共有的に付着することを意味する。PEG部分の平均分子量は、好ましくは約5,000~約50,000ダルトンである。IL-10へのPEG付着の方法または部位は重要ではないが、好ましくはPEG化が生物学的に活性な分子の活性を変化させないか、または最小限にしか変化させない。好ましくは、半減期の延長が生物学的活性のいかなる減少よりも大きい。
本明細書に記載されるIL-10におけるアミノ酸位置への全ての参照は、特に明記(すなわち、比較が配列番号2または5の他のIL-10に基づくと記載される場合)しない限り、配列番号1における位置に基づく。当業者にとって、配列番号1における位置に対応するアミノ酸位置が配列番号2、3、4、5または10~44のような任意の他のIL-10において容易に同定され得ることは明らかである。当業者にとって、配列番号1、2、3、4、5、または任意の他のIL-10配列における位置に対応するアミノ酸位置が、IL-10融合体、変異体、断片などのような任意の他のIL-10分子において容易に同定され得ることは明らかである。例えば、BLASTのような配列アラインメントプログラムを使用して、配列番号1、2、3、4、5、または他のIL-10配列中の位置に対応するタンパク質中の特定の位置を整列および同定し得る。配列番号1、2、3、4、5、または他のIL-10配列を参照して本明細書中に記載されるアミノ酸の置換、欠失、または付加はまた、本明細書中に記載されるか、または本技術分野で公知である、IL-10融合物、変異体、断片などにおける対応する位置における置換、欠失、あるいは付加を指し、そして本発明によって明示的に包含される。
本技術分野で公知の任意の形態のIL-10は、本明細書中に記載される組成物において使用され得る。実験的研究のためには、マウス形態のIL-10が有用であり得る。当業者は、IL-10におけるアミノ酸残基のいくつかが、その活性に影響を及ぼすことなく変化し得ること、およびIL-10のこれらの改変形態もまた、担体に連結され得、そして本明細書中に記載される方法において使用され得ることを認識する。用語「インターロイキンIL-10」または「IL-10」は、1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失を含むIL-10を包含する。本発明のIL-10は、1つ以上の天然ではないアミノ酸修飾と組み合わせた1つ以上の天然アミノ酸による修飾から構成され得る。天然に生じるIL-10ポリペプチドにおける多種多様なアミノ酸位置での例示的な置換が記載されており、これには、医薬安定性を調節する置換、IL-10ポリペプチドの生物学的活性の1つ以上を調節する置換が含まれるが、これらに限定されない。当該例示的な置換は、例えば、アゴニスト活性の増加させる、ポリペプチドの溶解性の増加させる、プロテアーゼ感受性の減少させる、ポリペプチドのアンタゴニストへの変換させる、などものであるが、これらに限定されない。そして当該例示的な置換は、用語「IL-10ポリペプチド」に包含される。いくつかの実施形態では、IL-10アゴニストまたはアンタゴニストは、受容体結合領域またはIL-10分子のホモ二量体もしくはホモ多量体を形成するのに好ましい位置に存在する、水溶性ポリマーまたはリンカーに連結された、天然にコードされていないアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態では、IL-10またはその変異体は、IL-10または変異体ポリペプチドの生物学的活性を調節する付加、置換または欠失をさらに含む。いくつかの実施形態では、IL-10または変異体は、癌の1つ以上の症状における治療または緩和などの研究を通じて知られ、実証されたIL-10の形質を調節する付加、置換または欠失をさらに含む。付加、置換または欠失は、IL-10または変異体の1つ以上の特性または活性を調節し得る。例えば、付加、置換または欠失は、受容体の1つ以上のサブユニットに対するIL-10受容体への親和性を調節し、循環半減期を調節し、治療半減期を調節し、ポリペプチドの安定性を調節し、プロテアーゼによる切断を調節し、用量を調節し、放出もしくは生物学的利用能を調節し、精製を容易にし、または特定の投与経路を改善もしくは変更し得る。同様に、IL-10または変異体は、プロテアーゼ切断配列、反応性基、抗体結合ドメイン(FLAGまたはポリHisを含むがこれらに限定されない)、または他の親和性に基づく配列(FLAG、ポリHis、GSTなどを含むがこれらに限定されない)、またはポリペプチドの検出(GFPを含むがこれらに限定されない)、精製もしくは他の形質を改善する結合分子(ビオチンを含むがこれらに限定されない)を含み得る。
用語「IL-10ポリペプチド」はまた、天然にコードされていないアミノ酸側鎖を介して、同じもしくは異なる天然にコードされていないアミノ酸側鎖に対して、天然にコードされているアミノ酸側鎖に対して、直接連結されたもの、またはリンカーを介して間接的に連結されたものを含むが、これらに限定されない、連結したホモ二量体、ヘテロ二量体、ホモ多量体、およびヘテロ多量体を包含する。例示的なリンカーは小有機化合物、ポリ(エチレングリコール)もしくはポリデキストランなどの様々な長さの水溶性ポリマー、または様々な長さのポリペプチドを含むが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、用語「本発明の複合体」、「IL-10-生物学的に活性な分子複合体」または「PEG-IL-10」は、生物学的に活性な分子、その一部またはアナログに共役したインターロイキン-10受容体もしくはそのサブユニットに結合するインターロイキン-10またはその一部、アナログもしくは誘導体を指す。特に明記しない限り、用語「本発明の化合物」および「本発明の組成物」は、用語「本発明の複合体」の代替物として使用される。
本明細書で使用される用語「細胞毒性剤」は、IL-10、PEG-IL-10またはIL-10変異体と併用するための治療剤として使用することができる、癌細胞または活性化免疫細胞に対して治療効果を発揮する任意の薬剤であり得る(例えば、国際公開第2004/010957号参照)。本発明で使用するための細胞毒性剤または免疫抑制剤の部類には、例えば、抗チューブリン剤、オーリスタチン、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、シス-プラチン、モノ(白金)、ビス(白金)および三核白金錯体などの白金錯体ならびにカルボプラチン)、アントラサイクリン、抗生物質、抗葉酸塩、抗代謝物質、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プレフォーミング化合物、プリン抗代謝物質、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、チェックポイント阻害剤、ビンカアルカロイドまたは類似のものが含まれる。
個々の細胞毒性剤または免疫抑制剤には、例えば、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザサイチジン、アザシチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC-1065、クロラムブチル、シスプラチン、コルヒチン、シクロフォスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イフォスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、ミトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プロカルビジン、ストレプトゾトシン、テノポシド、6-チオグアニン、チオTEPA、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、VP-16およびVM-26、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、イピリムマブが含まれる。
いくつかの典型的な実施形態では、治療薬は細胞毒性剤である。適切な細胞毒性剤としては、例えば、ドラスタチン(例えば、オーリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE)、DNA副溝結合剤(例えば、エンジインおよびレキシトロプシン)、デュオカルマイシン、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、ピューロマイシン、ビンカアルカロイド、CC-1065、SN-38、トポテカン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、エキノマイシン、コンブレタスタチン、ネトロプシン、エポチロンAおよびB、エストラムスチン、クリプトフィジン、セマドチン、マイタンシノイド、ディスコデルモリド、エリューテロビン、ならびにミトキサントロンが含まれる。
「天然にコードされていないアミノ酸」とは、20種類の通常アミノ酸、またはピロリジンもしくはセレノシステインのうちの1種類ではないアミノ酸を表す。用語「天然にコードされていないアミノ酸(non-naturally encoded amino acid)」と同義的として用いられうる用語には、「天然ではないアミノ酸(non-natural amino acid)」、「非天然アミノ酸(unnatural amino acid)」「天然には生じないアミノ酸non-naturally-occurring amino acid)」、ならびにそれらにハイフンを付した、およびハイフンを付さない形態がある。用語「天然にコードされていないアミノ酸」には、天然にコードされているアミノ酸(20種類の通常アミノ酸またはピロリシンおよびセレノシステインなどであるが、これらには限定されない)の修飾(例えば翻訳後修飾)により生じるが、それ自体としては、翻訳複合体によって伸長するポリペプチド鎖に天然に組み込まれることがないアミノ酸も含まれるが、これらに限定されない。このような天然に生じないアミノ酸の例としては、N-アセチルグルコサミニル-L-セリン、N-アセチルグルコサミニル-L-トレオニンおよびO-ホスホチロシンが含まれるが、これらに限定されない。
「アミノ末端修飾基」とは、ポリペプチドのアミノ末端に付着させることのできる、任意の分子を指す。同様に、「カルボキシ末端修飾基」とは、ポリペプチドのカルボキシ末端に付着させることのできる、任意の分子を表す。末端修飾基としては、種々の水溶性ポリマー、ペプチドもしくは血清アルブミンなどのタンパク質、またはペプチドの血清半減期を延長させる他の部分が含まれるが、これらに限定されない。
用語「機能性基」「活性部位」「活性化基」「脱離基」「反応部位」「化学反応基」および「化学反応部位」は、本技術分野および本明細書において、分子中の区別可能かつ定義可能な部分またはユニットを表すために用いられる。これらの用語は、化学の技術分野においては、概ね同じ意味を有している。また、本明細書においては、何らかの機能または活性を有したり、他の分子と反応したりする分子の部分を示すために用いる。
本明細書において、用語「結合(linkage)」または「リンカー」とは、化学反応の結果として通常は形成され、典型的には共有結合である、基または結合を表すために用いる。「加水分解に対して安定な結合」とは、当該結合が水中で実質的に安定であり、実用的なpH値において水と反応しないことを意味する。これには、例えば、生理的条件下において長期間、場合によってはいつまでも反応しないことが含まれるが、これらには限定されない。「加水分解に対して不安定な結合」または「加水分解に対して分解性の結合」とは、当該結合が水中または水溶液中、例えば血液中、において分解性であることを意味する。「酵素に対して不安定な結合」または「酵素に対して分解性の結合」とは、当該結合が1種類以上の酵素によって分解されうることを意味する。本技術分野において知られているように、PEGおよび関連ポリマーは、(i)ポリマー骨格中、または(ii)ポリマー骨格と当該ポリマー分子の末端機能性基の1つ以上との間にあるリンカー基中に、分解性の結合を有していてもよい。例えば、PEGカルボン酸または活性化PEGカルボン酸と、生物学的に活性な薬剤のアルコール基との反応によって形成されるエステル結合は、通常、生理的条件下において加水分解して、上記薬剤を放出する。他の加水分解に対して分解性の結合としては、(i)カーボネート結合、(ii)アミンとアルデヒドとの反応から生じるイミン結合、(iii)アルコールとリン酸基との反応により形成されるリン酸エステル結合、(iv)ヒドラジドとアルデヒドとの反応産物であるヒドラゾン結合、(v)アルデヒドとアルコールとの反応産物であるアセタール結合、(vi)蟻酸塩とアルコールとの反応産物であるオルトエステル結合、(vii)例えば、PEGなどのポリマー末端にあるが、これには限定されないアミン基と、ペプチドのカルボキシ基によって形成されるペプチド結合、(viii)例えば、ポリマーの末端にあるが、これに限定されないホスホラミダイト基と、オリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基とによって形成されるオリゴヌクレオチド結合、が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において用いるとき、用語「生物学的に活性な分子」「生物学的に活性な部分」または「生物学的に活性な薬剤」とは、生体システム、伝達経路、分子、または生物に関連する相互作用、何らかの物理的特性または生化学的特性に対して、影響を与えることができる任意の物質を意味する。上記生物は、例えば、ウイルス、細菌、バクテリオファージ、トランスポゾン、プリオン、昆虫、真菌、植物、動物およびヒトを含むが、これらには限定されない。具体的には、本明細書において用いるとき、「生物学的に活性な分子」には、(i)ヒトまたは他の動物の疾患の診断、治療、緩和、治療または予防を目的とする任意の物質、あるいは、(ii)ヒトまたは動物の肉体的または精神的福祉を改善することを目的とする任意の物質、が含まれるが、これらに限定されない。生物学的に活性な分子の例には、ペプチド、タンパク質、酵素、低分子薬物、ワクチン、免疫原、硬質薬物、軟質薬物、炭水化物、無機原子または分子、染料、脂質、ヌクレオシド、放射性核種、オリゴヌクレオチド、トキソイド、生物学的に活性な分子、原核細胞および真核細胞、ウイルス、多糖類、核酸、ならびに、ウイルス、細菌、昆虫、動物または任意の他の細胞または細胞型、リポソーム、微粒子およびミセルから得られるかまたは誘導されるそれらの部分が含まれるが、これらに限定されない。本発明での使用に適した生物学的に活性な薬剤の部類は、薬物、プロドラッグ、放射性核種、造影剤、ポリマー、抗生物質、殺菌剤、胆汁酸樹脂、ナイアシン、および/またはスタチン、抗炎症剤、抗腫瘍剤、心臓血管剤、抗不安剤、ホルモン、成長因子、ステロイド剤、チェックポイントタンパク質阻害剤、シグナル伝達経路阻害剤、微生物由来の生物学的に活性な分子などを含むが、これらに限定されない。生物学的に活性な薬剤には、米国特許出願公開番号20080221112に記載されているようなアミド化合物も含まれ、それは本発明のIL-10ポリペプチドの前、後、および/または同時に投与することができる。
「二官能性ポリマー」または「二官能性リンカー」とは、2つの別々の機能性基を有しているポリマーを指す。この機能性基は、他の部分(例えばアミノ酸の側の基があるが、これには限定されない)と特異的に反応して、共有結合または非共有結合を形成することができる。(i)特定の生物学的に活性な成分が有する基と反応できる一方の機能性基と、(ii)第2の生物学的成分が有する基と反応できる他方の基と、を有している二官能性リンカーを、第1の生物学的に活性な成分、二官能性リンカーおよび第2の生物学的に活性な成分を含んでいる複合体の形成に使用してもよい。種々の化合物のペプチドへの付着のための、多くの手法およびリンカー分子が知られている。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、欧州特許出願第188,256号、米国特許第4,671,958号、同第4,659,839号、同第4,414,148号、同第4,699,784号、同第4,680,338号、および同第4,569,789号を参照のこと。「多機能性ポリマー」とは、2つ以上の別々の機能性基を有しているポリマーを指す。この機能性基は、他の部分(例えばアミノ酸の側の基を含むが、これには限定されない)と特異的に反応して、共有結合または非共有結合を形成することができる。二官能性ポリマーまたは多機能性ポリマーは、任意の所望の長さまたは分子量であり得、IL-10に連結された1つ以上の分子とその受容体またはIL-10との間に特定の所望の間隔または立体配座を提供するように選択され得る。
置換基が左から右に書かれたそれらの従来の化学式によって特定される場合、それらは、構造を右から左に書くことから生じる化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、構造-CHO-は構造-OCH-と等価である。用語「置換基」は「非干渉置換基」を含むが、これに限定されない。「非干渉置換基」は安定な化合物を生じる基である。適当な非干渉置換剤または基にはハロ、C-C10アルキル、C-C10アルケニル、C-C10アルキニル、C-C10アルコキシ、C-C12アラルキル、C-C12アルカリル、C-C12シクロアルキル、C-C12シクロアルケニル、フェニル、置換されたフェニル、トルオイル、キシレニル、ビフェニール、C-C12アルコキシアルキル、C-C12アルコキシアリール、C-C12アリ-ルオキシアルキル、C-C12オキシアリール、C-Cアルキルスルフィニール、C-C10アルキルスルフォニール、--(CH--O--(C-C10アルキル)ここでmは1~8、アリール、置換されたアリール、置換されたアルコキシ、フルオロアルキル、ヘテロサイクリックラジカル、置換されたヘテロサイクリックラジカル、ニトロアルキル、--NO、--CN、--NRC(O)--(C-C10アルキル)、--C(O)--(C-C10アルキル)、C-C10アルキルチオアルキル、--C(O)O--(C-C10アルキル)、--OH、--SO、=S、--COOH、--NR、カルボニル、--C(O)--(C-C10アルキル)-CF3、--C(O)-CF3、--C(O)NR2、--(C-C10アリール)-S--(C-C10アリール)、--C(O)--(C-C10アリール)、--(CH--O--(--(CH--O--(C-C10アルキル)ここでmはそれぞれ1~8、--C(O)NR、--C(S)NR、--SONR、--NRC(O)NR、--NRC(S)NR、それらの塩などが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される各Rは、H、アルキルもしくは置換アルキル、アリールもしくは置換アリール、アラルキルまたはアルカリルである。
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、ヨウ素、および臭素を含む。
「アルキル」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、完全に飽和、一価または多価不飽和であってもよく、指定された炭素原子数(すなわち、C-C10は1~10個の炭素を意味する)を有する二価および多価ラジカルを含むことができる、直鎖状もしくは分岐状、または環状炭化水素ラジカル、またはそれらの組合せを意味する。飽和炭化水素ラジカルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、それらの同族体および異性体、例えばn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの基を含むが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニルおよび3-プロピニル、3-ブチニル、ならびにより高級の同族体および異性体を含むが、これらに限定されない。用語「アルキル」は特に断らない限り、以下でより詳細に定義されるアルキルの誘導体、例えば「ヘテロアルキル」を含むことも意味する。炭化水素基に限定されるアルキル基は、「ホモアルキル」と称される。
「アルキレン」という用語はそれ自体または別の置換基の一部として、構造-CHCH-および-CHCHCHCH-によって例示されるがこれらに限定されないアルカンから誘導される二価のラジカルを意味し、さらに「ヘテロアルキレン」として以下に記載される基を含む。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は1~24個の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有する基は本明細書に記載される方法および組成物の特定の実施形態である。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般に8個以下の炭素原子を有する、より短鎖のアルキルまたはアルキレン基である。
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)は、それらの従来の意味で使用され、それぞれ酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残りに付着するアルキル基を指す。
用語「ヘテロアルキル」は単独で、または別の用語と組み合わせて、別段の記載がない限り、記載された数の炭素原子と、O、N、SiおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子とからなり、安定な直鎖状もしくは分岐状、または環状炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味し、ここで窒素および硫黄原子が任意に酸化され得、窒素ヘテロ原子が任意に四級化され得る。ヘテロ原子O、NおよびSおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、またはアルキル基が分子の残りの部分に付着した位置に配置され得る。例えば、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH,-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、および-CH=CH-N(CH)-CHがあるが、これらに限定されない。例えば、-CH-NH-OCHおよび-CH-O-Si(CHのように、最大2つのヘテロ原子が連続し得る。同様に、「ヘテロアルキレン」という語は単独で、または別の置換基の一部として、-CH-CH-S-CH-CH-および-CH-S-CH-CH-NH-CH-によって例示されるが、これらに限定されない、ヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基については、同じまたは異なるヘテロ原子もまた、鎖末端の一方または両方を占め得る(アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ、アミノオキシアルキレンなどを含むが、これらに限定されない)。なおさらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基については、その連結基の式が書かれる方向はその連結基の配向を含意しない。例えば、式-C(O)R’-は、-C(O)R’-および-R’C(O)-の両方を表す。
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、単独もしくは他の用語と組合せて、特記しない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状バージョンを表す。したがって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルには、飽和、部分不飽和および完全不飽和環結合が含まれる。さらに、ヘテロシクロアルキルについて、ヘテロ原子は、複素環が分子の残りに付着する位置を占め得る。シクロアルキルの例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルを含むが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどを含むが、これらに限定されない。加えて、用語は、二環構造および三環構造を包含する。同様に、用語「ヘテロシクロアルキレン」はそれ自体または別の置換基の一部として、ヘテロシクロアルキルから誘導される二価の基を意味し、用語「シクロアルキレン」は、それ自体または別の置換基の一部として、シクロアルキルから誘導される二価のラジカルを意味する。
本明細書において用いるとき、用語「水溶性ポリマー」とは、水性溶媒に溶解させられる任意のポリマーを指す。水溶性ポリマーのIL-10への結合は、非修飾形態と比較して延長もしくは調節された血清半減期、または非修飾形態と比較して延長もしくは調節された治療半減期、調節された免疫原性、調節された物理的な会合特性、例えば凝集および多量体形成、変更した受容体結合、1つ以上の結合パートナーへの変更した結合、ならびに変更した受容体二量体化または多量体化を含むが、これらに限定されない変更を結果としてもたらし得る。水溶性ポリマーは、それ自体は生物学的活性を有していても有していなくてもよく、IL-10を1つ以上のIL-10、または1つ以上の生物学的活性分子を含むがこれらに限定されない他の物質に付着させるためのリンカーとして利用することができる。適切なポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、モノC1~C10アルコキシまたはそのアリールオキシ誘導体(本明細書中で参照によって援用される米国特許第5,252,714号に記載されている)、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ジビニルエーテル無水マレイン酸、N-(2-ヒドロキシプロピル)-メタクリルアミド、デキストラン、デキストラン硫酸を含むデキストラン誘導体、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチレン化ポリオール、ヘパリン、ヘパリンフラグメント、多糖類、オリゴ糖、糖鎖、セルロースならびにメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースを含むが、これらに限定されないセルロース誘導体、デンプンおよびデンプン誘導体、ポリペプチド、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体の共重合体、ポリビニルエチルエーテル、ならびにα-β-ポリ[(2-ヒドロキシエチル)-DL-アスパルタミドなど、ならびにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。このような水溶性ポリマーの例としては、ポリエチレングリコールおよび血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において用いるとき、用語「ポリアルキレングリコール(“polyalkylene glycol、”」「ポリ(アルケングリコール)“poly(alkene glycol)”)」とは、ポリエチレングリコール(ポリ(エチレングリコール))、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、およびこれらの誘導体を指す。用語「ポリアルキレングリコール」には、直鎖状ポリマーも分岐ポリマーも含まれる。ポリアルキレングリコールの平均分子量は、0.1kDa~100kDaである。例えば、Shearwater Corporationのカタログ“Polyethylene Glycol and Derivatives for Biomedical Applications”(2001)などの商業的製造業者のカタログには、他の例示的実施形態がまとめられている。
「アリール」という用語は特に断らない限り、共にに縮合または共有結合された単一環または複数環(1~3環を含むが、これらに限定されない)であり得る多価不飽和芳香族炭化水素置換基を意味する。「ヘテロアリール」という用語はN、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指し、ここで、窒素および硫黄原子は任意に酸化され、窒素原子は任意に4級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残りに付着されていてもよい。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例には、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニール、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルが含まれる。上記のアリールおよびヘテロアリール環系のそれぞれの置換基は、以下に記述した許容される置換基群から選択される。
簡潔にするために、用語「アリール」は他の用語(アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキルを含むが、これらに限定されない)と組み合わせて使用される場合、上記で定義されるアリールおよびヘテロアリール環の両方を含む。したがって、用語「アリールアルキル」は、炭素原子(メチレン基を含むが、これらに限定されない)が、例えば酸素原子によって置換されたアルキル基などを含む、アルキル基(ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなどを含むが、これらに限定されない)にアリール基が付着したラジカル(フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなどを含むが、これらに限定されない)を含むことを意味する。
上記の用語(「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」を含むが、これらに限定されない)のそれぞれは、示された基の置換型および非置換型の両方を含むことを意味する。各タイプの基の例示的な置換基を以下に示す。
アルキル基およびヘテロアルキル基の置換基(しばしばアルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと呼ばれる基を含む)は、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CN及び-NOから選択される1つまたは複数の多様な基であり得るが、これに限定されず、0から(2m’+1)の範囲の数であり、ここで、m’はこれらのラジカルに含まれる炭素原子の総数である。R’、R’、R’’’およびR’’’’は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリールを指し、これらは1-3ハロゲンで置換されたアリール、置換もしくは非置換のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を含むが、これらに限定されない。本発明の化合物が2つ以上のR基を含むとき、たとえばそれぞれ、R’、R’、R’’’およびR’’’’基のうちの1つ以上が存在するとき、R基のぞれぞれはこれらの基であるように独立して選択される。R’とR’’が同じ窒素原子に付着すると、窒素原子と結合して5員、6員、7員環を形成し得る。例えば、-NR’R’’は1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意味するが、これらに限定されない。置換基についての上記の議論から、「アルキル」という用語はハロアルキル(-CFおよび-CHCFを含むがこれらに限定されない)、およびアシル(-C(O)CH、-C(O)CF、-C(O)CHOCHなどを含むがこれらに限定されない)などの水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を含むことを意味することを当業者は理解するであろう。
アルキルラジカルについて記載された置換基と同様に、アリール基およびヘテロアリール基の置換基は様々であり、以下から選択されるが、これらに限定されない:ハロゲン、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CNおよび-NO、-R’、-N、-CH(Ph)、フルオロ(C-C)アルコキシ、およびフルオロ(C-C)アルキル、0から芳香環系上の全開原子価の総数までの範囲の数であり;ここで、R’、R’’、R’’’およびR’’’’は独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が複数のR基を含む場合、たとえば、R基のそれぞれは、R’、R’’、R’’’およびR’’’’基のうちの1つ以上が存在する場合、R基のそれぞれはこれらの基であるように独立して選択される。
本明細書において用いるとき、用語「調節された血清半減期」は、修飾されたIL-10を非修飾形態のものと比較したときの、循環半減期における正または負の変化を意味する。血清半減期は、IL-10の投与後の種々の時点において血液サンプルを採取し、それぞれのサンプル中の当該分子の濃度を決定することによって測定する。血清濃度と時間とは相関関係にあるので、血清半減期を計算することができる。血清半減期の延長は約2倍以上が望ましいが、例えば充分な投与計画を与えたり毒性効果を防止したりする場合には、より小さな結成半減期の延長も有用であり得る。いくつかの実施形態において、血清半減期の延長は、約3倍以上、約5倍以上、または約10倍以上である。
本明細書で使用される「調節された治療半減期」という用語は、その非修飾形態と比較して、治療有効量のIL-10の半減期の正または負の変化を意味する。治療半減期は、投与後の種々の時点での分子の薬物動態学的および/または薬力学的特性を測定することによって測定される。延長した治療半減期は望ましくは特定の有益な投与計画、特定の有益な総投与量を可能にし、または望ましくない効果を回避する。いくつかの実施形態では、治療半減期の延長は、効能の増加、その標的に対する修飾分子の接合の増加もしくは減少、プロテアーゼなどの酵素による分子の分解の増加もしくは減少、または非修飾分子の別のパラメーターもしくは作用メカニズムの増加もしくは減少、または分子の受容体媒介クリアランスの増加もしくは減少に起因する。
用語「単離/単離された」とは、核酸またはタンパク質に使用する場合、当該核酸またはタンパク質が天然の状態では伴っている他の細胞成分を、実質的に含んでいないこと、または核酸またはタンパク質がそれらのin vivoまたはin vitroにおいて産生される濃度よりも遥かに濃縮されていることを意味する。これは、均質な状態でありうる。単離された物質は、完全な乾燥状態であってもよいし、半乾燥状態であってもよいし、溶液中であってもよい。溶液には、例えば水溶液があるが、これには限定されない。それらは、さらなる薬学的に許容な担体および/または賦形剤を含む医薬組成物の成分となり得る。典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィなどの分析科学の技術を用いて、純度および均質性を決定する。調製物中に存在する種類のうち趨勢を占めているタンパク質は、実質的に精製される。具体的には、単離された遺伝子は、当該遺伝子の隣に位置しており、当該目的遺伝子のもの以外のタンパク質をコードしているオープンリーディングフレームからは分離される。用語「精製/精製された」とは、核酸またはタンパク質が、電気泳動ゲル中で実質的に1本のバンドとして現れることを意味する。具体的には、「精製された」とは、核酸またはタンパク質の純度が85%以上、90%以上、95%以上、99%以上、またはそれを超えることを意味する。
用語「核酸」とは、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシドまたはリボヌクレオチド、およびこれらの重合体を表す。「核酸」は、一本鎖の形態であっても二本鎖の形態であってもよい。具体的に限定されない限り、この用語には、天然ヌクレオチドの公知のアナログを含んでいる核酸も含まれる。このアナログは、比較対象の核酸と同等の結合特性を有しており、天然に生じるヌクレオチドと同様の様式で代謝される。別途具体的に限定されない限り、この用語は、PNA(ペプチド核酸)、アンチセンス技術に用いられるDNAアナログ(チオリン酸、アミドリン酸など)、を含むオリゴヌクレオチドアナログも表す。別途示さない限り、特定の核酸配列は、明示的に示されている配列に加えて、(i)保存的に改変された変異体自体(縮重しているコドンによる置換を含むが、これに限定されない)、および(ii)相補的配列を、実質的に含む。具体的には、縮重しているコドンによる置換は、1つ以上の(または全ての)選択されたコドンの3番目の位置を、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換した配列を生成することによって達成してもよい(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605-2608(1985);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91-98(1994))。
本明細書において、用語「ポリペプチド」「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基の重合体を指すために、互いに可換に使用される。つまり、ポリペプチドに関する説明は、ペプチドに関する記載およびタンパク質に関する記載に対しても、同様に適用され、逆もまた同様である。この用語は、天然に生じるアミノ酸重合体にも、1つ以上のアミノ酸残基が天然にコードされていないアミノ酸であるアミノ酸重合体にも適用できる。本明細書中で使用される場合、この用語は、アミノ酸残基が共有ペプチド結合によって連結されている、全長タンパク質を含む、任意の長さのアミノ酸鎖を包含する。
用語「アミノ酸」は、天然に生じるアミノ酸および天然に生じないアミノ酸、ならびに天然に生じるアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣物をいう。天然にコードされるアミノ酸は、20の共通アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)およびピロリジンおよびセレノシステインである。アミノ酸アナログは、天然に生じるアミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、すなわち、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムなどの、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合するα炭素を指す。このようなアナログは修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に生じるアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸への言及は、例えば、天然に生じるプロテオジェニックL-アミノ酸;D-アミノ酸、例えばアミノ酸変異体および誘導体のような化学的に修飾されたアミノ酸、;例えばβ-アラニン、オルニチンなどのような、天然に生じる非プロテオジェニックアミノ酸、;およびアミノ酸の特徴であることが本技術分野で公知の特性を有する化学的に合成された化合物を含む。天然に生じないアミノ酸の例としては、α-メチルアミノ酸(例えば、α-メチルアラニン)、D-アミノ酸、ヒスチジン様アミノ酸(例えば、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンおよびα-メチル-ヒスチジン)、側鎖に余分なメチレンを有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸)、および側鎖のカルボン酸機能性基がスルホン酸基(例えば、システイン酸)で置換されたアミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。合成非天然アミノ酸、置換アミノ酸、または1つ以上のD-アミノ酸を含む天然ではないアミノ酸の、本発明のタンパク質への組み込みは、多くの異なる方法において有利であり得る。D-アミノ酸含有ペプチドなどは、L-アミノ酸含有対応物と比較して、in vitroまたはin vivoで増加した安定性を示す。従って、D-アミノ酸を組み込むペプチドなどの構築は、より大きな細胞内安定性が期待されるかまたは必要とされる場合、特に有用であり得る。このように、組み込まれたD-アミノ酸などのペプチド構築物は、高い細胞内安定性が望まれているまたは要求されている際に、特に有用であり得る。より具体的には、D-ペプチドなどは内因性のペプチダーゼおよびプロテアーゼに対して耐性であり、それによって、これらのような特性が所望される場合、分子の改善された生体利用性、およびin vivoでの延長された寿命を提供する。さらに、D-ペプチド等は、ヘルパーT細胞への主要組織適合性複合体クラスII-制限提示のために効率的に処理されることができず、従って、生物体全体において体液性免疫応答を誘導する可能性が低い。
アミノ酸は、本明細書において、それらの一般に知られている3文字記号、またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字記号のいずれかによって表され得る。ヌクレオチドは、それらの一般に受け入れられている一文字コードによって表され得る。
「保存的に改変された変異体(conservatively modified variants)」は、アミノ酸配列および核酸配列のいずれにも適用される。特定の核酸配列について、「保存的に改変された変異体」とは、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードしている核酸を指す。核酸がアミノ酸配列をコードしていない場合は、本質的に同一の配列を表す。遺伝暗号の縮重のため、任意の所与のタンパク質をコードしている、機能上同一の核酸が多数ある。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUは全て、アミノ酸のアラニンをコードしている。したがって、あるコドンによってアラニンが特定される場所ならばどこでも、コードされているポリペプチドを変化させることなく、当該コドンを任意の上記の対応するコドンと変更することができる。このような核酸の変異が「サイレント変異」であり、保存的に改変された変異の一種である。本明細書においては、ポリペプチドをコードしている全ての核酸配列によって、当該核酸の全ての可能なサイレント変異も記載されているものとする。核酸中の各コドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG、および通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)を改変して、機能上同一の分子を得られることを、当業者ならば理解するであろう。したがって、ポリペプチドをコードしている核酸のそれぞれのサイレント変異は、記載されている各配列に実質的に含まれる。
アミノ酸配列について、核酸配列、ペプチド配列、ポリペプチド配列またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加によって、コードされる配列における1個または小さな割合のアミノ酸が変更、追加または削除される場合、変化の結果もたらされる欠失されたアミノ酸、付加されたアミノ酸、または置換されたアミノ酸は、化学的に類似しているアミノ酸であり、「保存的に改変された変異体」であることを当業者は理解するであろう)。機能的に類似しているアミノ酸を与える、保存的置換の一覧は、本技術分野の当業者にとっては周知であるこのような保存的に改変された変異体は、本発明の多形変異体、種間ホモログおよびアレルが加わり、除外されない。
機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当業者に公知である。下記の8群には、それぞれ、互いに保存的置換されるアミノ酸が記載されている:
(1)アラニン(A)、グリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
(7)セリン(S)、トレオニン(T);
(8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、[Creighton、Proteins:Structures and Molecular Properties(W H Freeman&Co.;2nd edition(December 1993)]を参照)。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、用語「同一」または「同一性」は同一の2つ以上の配列または部分配列を指す。配列は、比較窓、または以下の配列比較アルゴリズム(または当業者に利用可能な他のアルゴリズム)の1つを使用して、または手動アラインメントおよび目視検査によって測定されるような指定領域にわたって最大対応について比較およびアラインメントされる場合に、同一であるアミノ酸残基またはヌクレオチドの割合(すなわち、特定の領域にわたって、約60%の同一性、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の同一性)を有する場合、「実質的に同一」である。この定義はまた、試験配列の相補を指す。同一性は、少なくとも約50アミノ酸もしくはヌクレオチド長である領域にわたって、または75~100アミノ酸もしくはヌクレオチド長である領域にわたって、または特定されない場合、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの全配列にわたって存在し得る。ヒト以外の種由来のホモログを含む本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチド配列またはその断片を有する標識プローブを用いて厳格なハイブリダイゼーション条件下でライブラリーをスクリーニングする工程と、ポリヌクレオチド配列を含む全長cDNAおよびゲノムクローンを単離する工程とを含むプロセスによって得られ得る。このようなハイブリダイゼーション技術は、当業者に周知である。
語句「選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする」は、この配列が複合混合物(全細胞またはライブラリーDNAまたはRNAを含むが、これらに限定されない)中に存在する場合、厳格なハイブリダイゼーション条件下での特定のヌクレオチド配列のみへの分子の結合、二重化、またはハイブリダイゼーションをいう。
「厳格なハイブリダイゼーション条件」という語句は、本技術分野で公知のように、低イオン強度および高温の条件下での、DNA、RNA、PNA、または他の核酸模倣物、またはそれらの組み合わせの配列のハイブリダイゼーションをい指す。典型的には、厳格な条件下で、プローブは核酸の錯体混合物(全細胞またはライブラリーDNAまたはRNAを含むが、これらに限定されない)中のその標的部分配列にハイブリダイズするが、錯体混合物中の他の配列にはハイブリダイズしない。厳格な条件は配列依存性であり、異なる環境下では異なるであろう。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。
本明細書中で使用される場合、用語「真核生物」は、系統発生ドメインEucaryaに属する生物、例えば、動物(哺乳類、昆虫、は虫類、鳥類などを含むが、これらに限定されない)、繊毛虫、植物(単子葉植物、双子葉植物、藻類などを含むが、これらに限定されない)、真菌、酵母、べん毛虫、ミクロスポリジア、原生生物などを指す。
本明細書中で使用される場合、用語「非真核生物」は、非真核の生物を指す。例えば、非真核の生物は真正細菌(これらに限定されないが、Escherichia coli、Thermus thermophilus、Bacillus stearothermophilus、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas putidaなどを含む)系統発生ドメイン、または古細菌(これらに限定されないが、Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum、Haloferax volcaniiおよびHalobacterium種NRC-1のようなHalobacterium、Archaeoglobus fulgidus、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus horikoshii、Aeuropyrum pernixなどを含む)系統発生ドメインに属する。
本明細書で使用される「対象」という用語は、治療、観察または実験の対象である動物、いくつかの実施形態では哺乳類、および他の実施形態ではヒトを指す。動物は愛玩動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、または実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)であり得る。
本明細書で使用される「有効量」という用語は、治療される疾患、症状または障害の症状の1つ以上をある程度軽減する、投与される修飾天然ではないアミノ酸ポリペプチドの量を指す。本明細書中に記載される改変天然ではないアミノ酸ポリペプチドを含む組成物は、予防的処置、増強処置、および/または治療的処置のために投与され得る。
用語「増強する」または「増強」とは効力または持続時間のいずれかにおいて所望の効果を増大または延長させることを意味する。従って、治療薬の効果を増大させることに関して、用語「増強」とは効力または持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療薬の効果を増大または延長させる能力をいう。ここで使用される「増強に有効な量」とは、所望の系における他の治療薬の効果を増大させるのに十分な量をいう。患者に使用する場合、この使用に有効な量は、疾患、障害または症状の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する反応、ならびに治療処置医の判断によって決まる。
本明細書において用いるとき、用語「修飾/修飾された」とは、得られたポリペプチドに加えられた、いずれかの変化を指すこのような変化には、ポリペプチドの長さ、アミノ酸配列、化学構造、翻訳時修飾、またはポリペプチドの翻訳後修飾などの変化がある。「(修飾された)」という用語の形式は、議論されているポリペプチドが、任意に修飾されていることを意味する。つまり、議論されているポリペプチドは、修飾されていてもよいし、修飾されていなくてもよい。
用語「翻訳後修飾された」および「修飾された」とは、アミノ酸がポリペプチド鎖中に組み込まれた後に生じる、天然アミノ酸または天然ではないアミノ酸の任意の修飾を表す。この用語には、単なる例示にすぎないが、翻訳時におけるin vivoでの修飾、翻訳時におけるiv vitro(細胞フリーの転写系など)での修飾、翻訳後におけるin vivoでの修飾、および翻訳後におけるin vitroでの修飾、が含まれる。
予防的適用において、IL-10を含有する組成物は、特定の疾患、障害または症状に感受性であるか、またはその危険性がある患者に投与される。このような量は「予防的に有効な量」と定義される。この使用においては、正確な量が患者の健康状態、体重などにも依存する。通常の実験(例えば、用量漸増臨床試験)によって、このような予防的に有効な量を決定することは、十分に当業者の技術の範囲内であると考えられる。
治療への応用において、改変天然ではないアミノ酸ポリペプチドを含む組成物は、疾患、障害または状態の症状を治癒するか、または少なくとも部分的に停止するのに充分な量で、疾患、症状または障害に既に罹患している患者に投与される。このような量は「治療有効量」と定義され、疾患、障害または症状の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する応答、ならびに治療する医師の判断に依存する。通常の実験(例えば、用量漸増臨床試験)によってこのような治療有効量を決定することは、当業者に十分に考慮される。用語「治療する」は予防的および/または治療的処置のいずれかを指すために使用される。
本明細書中に提示される天然にコードされていないアミノ酸ポリペプチドは、天然で通常見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置換された1つ以上の原子を有する同位体標識化合物を含み得る。本化合物に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素および塩素の同位体、例えばH、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clがそれぞれ含まれる。本明細書中に記載される特定の同位体標識化合物、例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれる化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用であり得る。さらに、重水素、すなわち、Hなどの同位体での置換は、より大きな代謝安定性、例えば、in vivo半減期の延長または必要用量の減少に起因する特定の治療上の利点を提供し得る。
ジアステレオマー、鏡像異性体、およびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない全ての異性体は、本明細書に記載の組成物の一部とみなされる。追加のまたはさらなる実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸ポリペプチドは、所望の治療効果を含む所望の効果を産生するために使用される代謝産物を産生するために必要な生物への投与時に代謝される。さらなるまたは追加の実施形態は、天然にコードされていないアミノ酸ポリペプチドの活性代謝産物である。
いくつかの状況において、天然にコードされていないアミノ酸ポリペプチドは互変異性体として存在し得る。さらに、本明細書に記載される天然にコードされていないアミノ酸ポリペプチドは、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との非溶媒和および溶媒和形態で存在し得る。溶媒和形態もまた、本明細書中に開示されると考えられる。当業者は本明細書中の化合物のいくつかが、いくつかの互変異性体形態で存在し得、そして本明細書中に記載される組成物の一部として考慮されることを認識するだろう。
特に示さない限り、本技術分野の技術の範囲内で、質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組み換えDNA技術および薬理学の従来の方法が使用される。
〔詳細な説明〕
(I.はじめに)
少なくとも1つの非天然アミノ酸を含むIL-10分子が、本発明において提供される。本発明の特定の実施形態において、少なくとも1つの非天然アミノ酸を有するIL-10は、少なくとも1つの翻訳後修飾を含む。1つの実施形態において、少なくとも1つの翻訳後修飾は、標識、染料、リンカー、別のIL-10ポリペプチド、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋剤、放射性核種、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、樹脂、第2のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチドアナログ、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、コファアクター、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、糖、シクロデキストリン、阻害性リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピン標識、フルオロフォア、金属含有部分、放射性部分、新規機能性基、他の分子と共有または非共有相互作用する基、光ケージ化部分、化学線励起部分、光異性化可能な部分、ビオチン、ビオチンの誘導体、ビオチンアナログ、重原子を組み込む部分、化学的に切断可能な基、光切断可能な基、細長い側鎖、炭素結合糖、酸化還元活性剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体的に標識された部分、生物物理的プローブ、リン光基、化学発光基、電子密度基、磁気基、挿入基、発色団、エネルギー移動剤、生物活性剤、検出可能な標識、小分子、量子ドット、ナノトランスミッター、放射性ヌクレオチド、放射性トランスミッター、中性子捕捉剤、または上記の任意の組み合わせ、もしくは特定の反応基に適していることが当業者に公知である化学的方法論を利用して、第1の反応基を含む少なくとも1つの非天然アミノ酸に対する第2の反応基を含む任意の他の所望の化合物もしくは物質、の付着を含むが、これらに限定されない分子の付着を含む。例えば、第1の反応性基はアルキニル部分(非天然アミノ酸p-プロパルギルオキシフェニルアラニン、を含むが、これに限定されず、ここで、プロパルギル基は時にアセチレン部分とも呼ばれる)であり、第2の反応性基はアジド部分であり、[3+2]環状付加化学方法論が利用される。別の例では、第1の反応基がアジド部分(非天然アミノ酸p-アジド-L-フェニルアラニンまたは本明細書ではpAZと時々呼ばれるものを含むが、これに限定されない)であり、第2の反応基はアルキニル部分である。本発明の修飾IL-10の特定の実施形態では、少なくとも1つの翻訳後修飾を含む少なくとも1つの非天然アミノ酸(ケト機能性基を含有する非天然アミノ酸を含むが、これに限定されない)が使用され、ここで少なくとも1つの翻訳後修飾は糖部分を含む。特定の実施形態では、翻訳後修飾が真核細胞または非真核細胞においてin vivoで行われる。リンカー、ポリマー、水溶性ポリマー、または他の分子が、この分子をこのポリペプチドに付着させ得る。さらなる実施形態では、IL-10に複合体を形成したリンカーは二量体の形成を可能にするのに十分な長さである。この分子はまた、ポリペプチドに直接連結され得る。
特定の実施形態において、IL-10タンパク質は1つの宿主細胞によってin vivoで作製される少なくとも1つの翻訳後修飾を含み、翻訳後修飾は、通常、別の宿主細胞型によっては作製されない。特定の実施形態では、タンパク質は真核細胞によってin vivoで作製される少なくとも1つの翻訳後修飾を含み、翻訳後修飾は通常、非真核細胞によって作製されない。翻訳後修飾の例には、グリコシル化、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、糖脂質結合修飾などが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、IL-10はポリペプチドのグリコシル化、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、または糖脂質結合修飾のための1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、IL-10がポリペプチドのグリコシル化のための1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、IL-10がポリペプチドのグリコシル化、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、または糖脂質結合修飾のための1つ以上の天然にコードされるアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、IL-10は、ポリペプチドのグリコシル化のための1つ以上の天然にコードされるアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態では、IL-10がポリペプチドのグリコシル化を増強する1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸付加および/または置換を含む。いくつかの実施形態では、IL-10がポリペプチドのグリコシル化を増強する1つ以上の欠失を含む。いくつかの実施形態において、IL-10は、ポリペプチド中の異なるアミノ酸におけるグリコシル化を増強する1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸付加および/または置換を含む。いくつかの実施形態では、IL-10がポリペプチド中の異なるアミノ酸でのグリコシル化を増強する1つ以上の欠失を含む。いくつかの実施形態では、IL-10はポリペプチド中の天然にコードされていないアミノ酸でのグリコシル化を増強する1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸付加および/または置換を含む。いくつかの実施形態では、IL-10はポリペプチド中の天然にコードされているアミノ酸におけるグリコシル化を増強する、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸の付加および/または置換を含む。いくつかの実施形態では、IL-10はポリペプチド中の異なるアミノ酸でのグリコシル化を増強する1つ以上の天然にコードされたアミノ酸付加および/または置換を含む。いくつかの実施形態では、IL-10はポリペプチド中の天然にコードされているアミノ酸におけるグリコシル化を増強する、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸の付加および/または置換を含む。いくつかの実施形態では、IL-10はポリペプチド中の天然にコードされていないアミノ酸でのグリコシル化を増強する1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸付加および/または置換を含む。
1つの実施形態では、翻訳後修飾がGlcNAc-アスパラギン結合によるオリゴ糖のアスパラギンへの付着を含む(オリゴ糖が(GlcNAc-Man)-Man-GlcNAc-GlcNAcなどを構成することを含むが、これらに限定されない)。別の実施形態では、翻訳後修飾がGalNAc-セリン、GalNAc-トレオニン、GlcNAc-セリン、またはGlcNAc-トレオニン結合による、セリンまたはトレオニンへのオリゴ糖(Gal-GalNAc、Gal-GlcNAcなどを含むが、これらに限定されない)の付着を含む。特定の実施形態では、本発明のタンパク質またはポリペプチドが分泌または局在化配列、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、GST融合体などを含むことができる。分泌シグナル配列の例は、原核生物分泌シグナル配列、真核生物分泌シグナル配列、細菌発現のために5’-最適化された真核生物分泌シグナル配列、新規分泌シグナル配列、ペクチン酸リアーゼ分泌シグナル配列、Omp A分泌シグナル配列、およびファージ分泌シグナル配列が含まれるが、これらに限定されない。分泌シグナル配列の例としては、STII(原核生物)、Fd GIIIおよびM13(ファージ)、Bgl2(酵母)、およびトランスポゾンに由来するシグナル配列blaを含むが、これらに限定されない。任意のこのような配列はポリペプチドを用いて所望の結果を提供するように改変され得、これには1つのシグナル配列を異なるシグナル配列で置換すること、リーダー配列を異なるリーダー配列で置換することなどが挙げられるが、これらに限定されない。
目的のタンパク質またはポリペプチドは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または10個以上の非天然アミノ酸を含み得る。非天然アミノ酸は同一であっても異なっていてもよく、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の異なる非天然アミノ酸を含むタンパク質中に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の異なる部位が存在していてもよい。特定の実施形態では、タンパク質の天然に生じるバージョンに存在する特定のアミノ酸の少なくとも1つが、ただし全てより少ないアミノ酸が非天然アミノ酸で置換されている。
本発明は、少なくとも1つの天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10に基づく方法および組成物を提供する。少なくとも1つの天然にコードされていないアミノ酸のIL-10への導入は、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を含むが、これらに限定されない特定の化学反応を含むが、通常存在する20のアミノ酸と反応しない結合化学の適用を可能にし得る。いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10は、天然にコードされていないアミノ酸の側鎖を介して、ポリエチレングリコール(PEG)などの水溶性ポリマー、またはリンカーに連結されている。本発明は、遺伝的にコードされていないアミノ酸(ケトン、アジドまたはアセチレン部分を含むがこれらに限定されない、20の天然に組み込まれたアミノ酸に見出されない機能性基または置換基、を持つアミノ酸を含むがこれらに限定されない)を、セレクターコドンに応答してタンパク質に選択的に組み込み、その後、これらのアミノ酸を適切に反応性のPEG誘導体で修飾することを含む、PEG誘導体によるタンパク質の選択的修飾のための非常に効率的な方法を提供する。いったん取り込まれると、アミノ酸側鎖は、次いで、天然にコードされていないアミノ酸に存在する特定の機能性基または置換基に適切であることが当業者に公知の化学的方法論を利用することによって改変され得る。広範な種類の公知の化学的方法論は、水溶性ポリマーをタンパク質に組み込むために、本発明における使用に適している。そのような方法論は、限定されるものではないが、ヒュスゲン[3+2]環状付加反応(例えば、Padwa、A.in Comprehensive Organic Synthesis、Vol.4,(1991)Ed.Trost、B.M.、Pergamon、Oxford、p.1069-1109;および、Huisgen、R.in1,3-Dipolar Cycloaddition Chemistry、(1984)Ed.Padwa、A.、Wiley、New York、p.1-176を参照のこと)を含む。このとき、これらに限定されるわけではないが、アセチレンまたはアジド誘導体をそれぞれ含む。
ヒュスゲン[3+2]環状付加法は求核置換反応よりもむしろ環状付加を含むので、タンパク質は極めて高い選択性で修飾され得る。反応は、反応混合物に触媒量のCu(I)塩を添加することにより、優れた位置選択性(1,4>1,5)を有する水溶液状態、室温で行うことができる。例えば、Tornoeら、(2002)J.Org.Chem.67:3057-3064;および、Rostovtsevら、(2002)Angew.Chem.Int.Ed.41:2596-2599;およびWO03/101972を参照のこと。[3+2]環状付加によって本発明のタンパク質に付加され得る分子は、アジドまたはアセチレン誘導体を含むがこれらに限定されない、適切な機能性基または置換基を有する実質的に任意の分子を含む。これらの分子は、p-プロパルギルオキシフェニルアラニンを含むがこれらに限定されないアセチレン基、またはp-アジド-フェニルアラニンを含むがこれらに限定されないアジド基、をそれぞれ有する非天然アミノ酸に付加することができる。
ヒュスゲン[3+2]環状付加から生じる5員環は、一般的に還元性環境において可逆的ではなく、水性環境において長期間加水分解に対して安定である。その結果、多種多様な物質の物理的および化学的特性を、本発明の活性PEG誘導体を用いて、要求される水溶液状態で修飾することができる。さらにより重要なことには、アジド部分およびアセチレン部分はそれぞれに対して特異的である(そして、例えば、20の共通の遺伝的にコードされたアミノ酸のいずれとも反応しない)ので、タンパク質は極めて高い選択性で1つ以上の特異的な部位において改変され得る。
本発明はまた、PEG誘導体の水溶性および加水分解的に安定な誘導体、ならびに1つ以上のアセチレンまたはアジド部分を有する関連する親水性ポリマーを提供する。アセチレン部分を含有するPEGポリマー誘導体は、セレクターコドンに応答してタンパク質に選択的に導入されたアジド部分とのカップリングに対して高度に選択的である。同様に、アジド部分を含有するPEGポリマー誘導体は、セレクターコドンに応答してタンパク質に選択的に導入されたアセチレン部分とのカップリングに対して非常に選択的である。より具体的には、アジド部分がアルキルアジド、アリールアジド、およびこれらのアジドの誘導体を含むが、これらに限定されない。アルキルおよびアリールアジドの誘導体は、アセチレン特異的反応性が維持される限り、他の置換基を含むことができる。アセチレン部分は、アルキルおよびアリールアセチレンならびにそれぞれの誘導体を含む。アルキルおよびアリールアセチレンの誘導体は、アジド特異的反応性が維持される限り、他の置換基を含むことができる。
本発明は、他の物質とともに、多種多様な機能性基、置換基または部分を有する物質の複合体を提供する。他の物質は以下を含むが、これに限定されない:標識;色素;ポリマー;水溶性ポリマー;ポリエチレングリコールの誘導体;光架橋剤;放射性核種;細胞毒性化合物;薬物;親和性標識;光親和性標識;反応性化合物;樹脂;第2のタンパク質またはポリペプチドまたはポリペプチドアナログ;抗体または抗体断片;金属キレーター;補助因子;脂肪酸;炭水化物;ポリヌクレオチド;DNA;RNA;アンチセンスポリヌクレオチド;糖類;水溶性デンドリマー;シクロデキストリン;阻害性リボ核酸;生体材料;ナノ粒子;スピン標識;フルオロフォア;金属含有部分;放射性基;新規機能性基;他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用する基;光ケージ化部分;化学線励起可能部分;光異性化可能部分;ビオチン;ビオチンの誘導体;ビオチンアナログ;重原子を組み込む部分;化学的に切断可能な基;光切断可能な基;伸長した側鎖;炭素結合糖;レドックス活性剤;アミノチオ酸;毒性部分;同位体標識された部分;生物物理的プローブ;リン光基;化学発光基;電子密度基;磁気基;挿入基;発色団;エネルギー移動剤;生物活性剤;検出可能な標識;小分子;量子ドット;ナノトランスミッター;放射性ヌクレオチド;放射性トランスミッター;中性子捕捉剤;または上記の任意の組み合わせ、または任意の他の所望の化合物もしくは物質。本発明はまた、アジドまたはアセチレン部分を有する物質と、対応するアセチレンまたはアジド部分を有するPEGポリマー誘導体との複合体を含む。例えば、アジド部分を含有するPEGポリマーは、アセチレン機能を有する遺伝的にコードされていないアミノ酸を含有するタンパク質中の位置で、生物学的に活性な分子に結合され得る。PEGおよび生物学的に活性な分子が結合される結合にはヒュスゲン[3+2]環状付加生成物が含まれるが、これに限定されない。
PEGを用いて生体材料の表面を修飾することができることは、本技術分野で十分に確立されている(例えば、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第6,610,281号;Mehvar、J.Pharm Pharm Sci.、3(1):125-136(2000)を参照されたい)。本発明はまた、1つ以上の反応性アジドまたはアセチレン部位を有する表面と、ヒュスゲン[3+2]環状付加結合を介して表面に結合した本発明のアジド含有ポリマーまたはアセチレン含有ポリマーの1つ以上とを含む生体材料を含む。生体材料および他の物質はまた、アジドまたはアセチレン結合以外の結合を介して、例えばカルボン酸、アミン、アルコールまたはチオール部分を含む結合を介して、アジド活性化ポリマー誘導体またはアセチレン活性化ポリマー誘導体に結合され得、アジドまたはアセチレン部分を後続の反応に利用可能なままにする。
本発明は、本発明のアジドおよびアセチレン含有ポリマーを合成する方法を含む。アジド含有PEG誘導体の場合、アジドは、ポリマーの炭素原子に直接結合することができる。あるいは、アジド含有PEG誘導体は、得られるポリマーがその末端にアジド部分を有するように、1つの末端にアジド部分を有する架橋剤を従来の活性化ポリマーに付着させることによって調製することができる。アセチレン含有PEG誘導体の場合、アセチレンは、ポリマーの炭素原子に直接結合することができる。あるいは、アセチレン含有PEG誘導体は、得られるポリマーがその末端にアセチレン部分を有するように、1つの末端にアセチレン部分を有する架橋剤を従来の活性化ポリマーに付着させることによって調製することができる。
より具体的には、アジド含有PEG誘導体の場合、少なくとも1つの活性ヒドロキシル部分を有する水溶性ポリマーはその上にメシレート、トレシレート、トシレートまたはハロゲン脱離基などの、より反応性の部分を有する置換ポリマーを生成するための反応を受ける。スルホニル酸ハロゲン化物、ハロゲン原子および他の脱離基を含有するPEG誘導体の調製および使用は、当業者に公知である。次いで、得られた置換ポリマーは、ポリマーの末端のアジド部分をより反応性の部分で置換する反応を受ける。あるいは、少なくとも1つの活性求核性または求電子性部分を有する水溶性ポリマーが、PEGポリマーと架橋剤との間に共有結合が形成され、アジド部分がポリマーの末端に配置されるように、1つの末端にアジドを有する架橋剤との反応を受ける。アミン、チオール、ヒドラジド、ヒドラジン、アルコール、カルボン酸塩、アルデヒド、ケトン、チオエステルなどを含む求核性および求電子性部分は、当業者に公知である。
より具体的には、アセチレン含有PEG誘導体の場合、少なくとも1つの活性ヒドロキシル部分を有する水溶性ポリマーは、アセチレン部分を含有する前駆体からハロゲンまたは他の活性化脱離基を置換する反応を受ける。あるいは、少なくとも1つの活性求核性または求電子性部分を有する水溶性ポリマーが、PEGポリマーと架橋剤との間に共有結合が形成され、アセチレン部分がポリマーの末端に配置されるように、1つの末端にアセチレンを有する架橋剤との反応を受ける。有機合成の文脈におけるハロゲン部分、活性化脱離基、求核および求電子部分の使用、ならびにPEG誘導体の調製および使用は、当業者に十分に確立されている。
本発明はまた、アジドまたはアセチレン部分を含有する、PEGおよびPEG誘導体、リンカー、または別のIL-10ポリペプチドなどの水溶性ポリマーを含むがこれらに限定されない、他の物質を修飾タンパク質に付加するためのタンパク質の選択的修飾のための方法を提供する。アジドおよびアセチレン含有PEG誘導体は生体適合性、安定性、溶解性、および免疫原性の欠如が重要である表面および分子の特性を改変するために使用され得、同時に、本技術分野で以前に公知であったよりも、タンパク質にPEG誘導体を付着させる、より選択的な方法を提供する。
(II.本発明で使用するための一般的な組換え核酸方法)
本発明の多数の実施形態において、目的のIL-10をコードする核酸は、組換え方法を使用して単離され、クローニングされ、そしてしばしば改変される。このような実施形態は、タンパク質発現のために、または変異体、誘導体、発現カセット、またはIL-10に由来する他の配列の生成の間に使用されるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドをコードする配列は、異種プロモーターに作動可能に連結されている。
野生型および成熟ヒトIL-10タンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号1および2として表1に示す。配列番号2はリーダーまたはシグナル配列を欠き、N末端メチオニン残基を有さない。いくつかの実施形態において、本発明は配列番号3および4として表1に開示されるウイルスIL-10(BCRF1)タンパク質を提供する。配列番号4はリーダーまたはシグナル配列を欠いている。
Figure 2022512746000004
Figure 2022512746000005
天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10をコードするヌクレオチド配列は、親ポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて合成され得、これには配列番号1に示されるアミノ酸配列を有すること、次いで、関連するアミノ酸残基の導入(すなわち、組み込みまたは置換)または除去(すなわち、欠失または置換)をもたらすようにヌクレオチド配列を変化させることが含まれるが、これらに限定されない。ヌクレオチド配列は、従来の方法に従って部位特異的突然変異誘発によって都合よく修飾することができる。あるいは、オリゴヌクレオチドは所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて設計されるオリゴヌクレオチド合成装置を使用すること、および好ましくは組換えポリペプチドが産生される宿主細胞において好ましいコドンを選択することを含むが、これらに限定されない化学合成によって、ヌクレオチド配列を調製することができる。例えば、所望のポリペプチドの部分をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドをPCR、ライゲーションまたはライゲーション連鎖反応によって合成し、組み立てることができる。例えば、Baranyら、Proc.Natl.Acad.Sci.88:189-193(1991);米国特許第6,521,427号を参照のこと(これらは、本明細書中に参照によって援用される)。
表2は、E.coliにおける発現最適化のために試験された合成ヒトIL-10遺伝子のヒトIL-10(hIL-10)Hisタグ化アミノ酸配列およびDNA配列を示す。配列番号6、7、8、9に代表されるDNA配列を発現プラスミドにクローン化した。発現プラスミドにクローニングされた例示的なDNA配列(例えば、図2を参照のこと)を、以下に配列番号9として示す。
Figure 2022512746000006
Figure 2022512746000007
本発明は、組換え遺伝学の分野における通常の技術を利用する。本発明における一般的な使用方法を開示する基本的なテキストは、Sambrookら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(第3版、2001);Kriegler、Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、1994))を含む。
本発明はまた、直交tRNA/RS対を介した非天然アミノ酸のin vivo取り込みのための真核生物宿主細胞、非真核生物宿主細胞、および生物に関する。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明のポリヌクレオチドを含む構築物(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクターなどの本発明のベクターであり得るが、これに限定されない)を用いて遺伝子操作される(形質転換される、形質導入される、またはトランスフェクトされることを含むが、これらに限定されない)。
標的核酸を細胞に導入するいくつかの周知の方法が利用可能であり、そのいずれも本発明において使用することができる。これらは、DNAを含む細菌プロトプラストとのレシピエント細胞の融合、エレクトロポレーション、発射体衝撃、およびウイルスベクター(以下でさらに議論される)による感染などを含む。細菌細胞は、本発明のDNA構築物を含むプラスミドの数を増幅するために使用され得る。細菌を対数増殖期まで増殖させ、細菌内のプラスミドを、本技術分野で公知の種々の方法によって単離し得る(例えば、Sambrookを参照のこと)。さらに、細菌からプラスミドを精製するためのキットが購入できる、(例えば、EasyPrep(登録商標)、FlexiPrep(登録商標)、両方ともPharmacia Biotech社製;Stratagene社製StrataClean(登録商標)、およびQiagen社製QIAPrep(登録商標)参照)。次いで、単離および精製されたプラスミドをさらに操作して、他のプラスミドを産生し、細胞をトランスフェクトするために使用するか、または関連するベクターに組み込んで、生物を感染させる。典型的なベクターは、転写および翻訳ターミネーター、転写および翻訳開始配列、ならびに特定の標的核酸の発現の調節に有用なプロモーターを含む。ベクターは任意に、少なくとも1つの独立したターミネーター配列、真核生物もしくは原核生物、またはその両方(シャトルベクターを含むが、これらに限定されない)におけるカセットの複製を可能にする配列、および原核生物系および真核生物系の両方のための選択マーカーを含む一般的な発現カセットを含む。ベクターは、原核生物、真核生物、またはその両方における複製および組込みに適している。GillamおよびSmith、Gene8:81(1979);Robertsら、Nature、328:731(1987);Schneider、E.ら、Protein Expr.Purif.6(1):10-14(1995);Ausubel、Sambrook、Berger(全て上記)を参照されたい。クローニングに有用な細菌およびバクテリオファージのカタログは、例えば、ATCC、例えばATCCによって公開されたThe ATCC Catalogue of Bacteria and Bacteriophage(1992)Ghernaら(編)によって提供される。配列決定、クローニング、および分子生物学の他の態様のためのさらなる基本的な手順および基礎となる理論的考察もまた、Watsonら(1992)Recombinant DNA Second Edition Scientific American Books、NYに見出される。加えて、本質的に、任意の核酸(および実質的に任意の標識核酸、標準であるか非標準であるかを問わず)は、Midland Certified Regent Company(Midland、TX、World Wide Webでmcrc.comで入手可能)、The Great American Gene Company(Ramona、CA、genco.comでWorld Wide Webで入手可能)、ExpressGen Inc.(Chicago、IL、expressgen.comでWorld Wide Webで入手可能)、Operon Technologies Inc.(カリフォルニア州Alameda)、および様々なその他のものなどの、商業的供給源のいずれかの慣習的にまたは標準的に注文できる。
〔セレクターコドン〕
本発明のセレクターコドンは、タンパク質生合成機構の遺伝子コドンフレームワークを拡張する。例えば、セレクターコドンは、限定されるわけではないが、ユニークな3塩基コドン、もしくは、アンバーコドン(UAG)、オカーコドン、またはオパールコドン(UGA)を含むがこれらに限定されない終止コドンのようなナンセンスコドン、非天然コドン、4以上の塩基コドン、希少コドンなどを含む。IL-10の少なくとも一部をコードする単一のポリヌクレオチドにおいて、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4、5、6、7、8、9、10つ以上を含むがこれらに限定されない、所望の遺伝子またはポリヌクレオチドに導入され得るセレクターコドンの数に広い範囲があることは、当業者に容易に明らかである。
1つの実施形態において、この方法は、in vivoでの1つ以上の非天然アミノ酸の組み込みのための終止コドンであるセレクターコドンの使用を含む。例えば、これらに限定されないが、UAGを含む終止コドンを認識し、所望の非天然アミノ酸を有するO-RSによってアミノアシル化されるO-tRNAが産生される。このO-tRNAは、自然界に生じる宿主のアミノアシルtRNA合成酵素によって認識されない。従来の部位特異的突然変異誘発を用いて、タグを含むがこれに限定されない終止コドンを、目的のポリペプチド中の目的の部位に導入することができる。例えば、Sayers、J.R.ら(1988)、5’-3’Exonucleases in phosphorothioate-based oligonucleotide-directed mutagenesis.Nucleic Acids Res、16:791-802を参照されたい。O-RS、O-tRNAおよび目的のポリペプチドをコードする核酸をin vivoで組み合わせる場合、UAGコドンに応答して非天然アミノ酸が取り込まれ、特定の位置に非天然アミノ酸を含むポリペプチドが得られる。
in vivoでの非天然アミノ酸の取り込みは、真核生物宿主細胞の有意な摂動なしに行うことができる。例えば、UAGコドンに対する抑制効率は限定されるわけではないが、アンバーサプレッサーtRNAを含むO-tRNAと真核生物放出因子(限定されるわけではないが、eRFを含む)(これは終止コドンに結合し、成長するペプチドのリボソームからの放出を開始する)との間の競合に依存するので、によって抑制効率は調節される。例えば、O-tRNA、および/またはサプレッサーtRNAの発現レベルの増加することによって抑制効率は調節されるが、これに限定されない。
非天然アミノ酸は、希少コドンでコードすることもできる。例えば、in vitroタンパク質合成反応におけるアルギニン濃度が減少する場合、希少アルギニンコドン、AGGは、アラニンでアシル化された合成tRNAによるAlaの挿入に有効であることが証明されている。例えば、Maら、Biochemistry、32:7939(1993)を参照のこと。この場合、合成tRNAは、Escherichia coli中に少数の種として存在する天然に生じるtRNAArgと競合する。生物によっては、すべてのトリプレットコドンを使わないものもある。Micrococcus luteusにおける未割り当てコドンAGAは、in vitro転写/翻訳抽出物におけるアミノ酸の挿入に利用されている。例えば、KowalおよびOliver、Nucl.Acid.Res.,25:4685(1997)を参照のこと。本発明の成分は、これらの希少コドンをin vivoで使用するために生成され得る。
セレクターコドンはまた、4つ以上の塩基コドン、例えば、4、5、6またはそれ以上の塩基コドンを含むが、これらに限定されない、伸長コドンを含む。4塩基コドンの例としてはAGGA、CUAG、UAGA、CCCUなどを含むが、これらに限定されない。5塩基コドンの例としてはAGGAC、CCCCU、CCCUC、CUAGA、CUACU、UAGGCなどを含むが、これらに限定されない。本発明の特徴は、フレームシフト抑制に基づく拡張コドンの使用を含む。1つまたは複数の非天然アミノ酸を含むが、これらに限定されない、4つ以上の塩基コドンが、同じタンパク質に挿入され得る。例えば、アンチコドンループ、例えば、少なくとも8~10ntアンチコドンループ、を有する、特殊フレームシフトサプレッサーtRNAを含むが、これらに限定されない、変異O-tRNAの存在下で、4つ以上の塩基コドンは単一のアミノ酸として読み取られる。他の実施形態では少なくとも4塩基コドン、少なくとも5塩基コドン、または少なくとも6塩基コドン以上を含むが、これらに限定されない、、アンチコドンループを解読することができる。256の4塩基コドンが存在しうるので、複数の非天然アミノ酸が、4つ以上の塩基コドンを使用して同じ細胞中にコードされ得る。Andersonら、Exploring the Limits of Codon and Anticodon Size、Chemistry and Biology、9:237-244、(2002);Magliery、Expanding the Genetic Code:Selection of Efficient Suppressors of Four-base Codons and Identification of “Shifty” Four-base Codons with a Library Approach in Escherichia coli、J.Mol.Biol.307:755-769,(2001)を参照のこと。
例えば、4塩基コドンは、in vitro生合成法を使用して、タンパク質に非天然アミノ酸を組み込むために使用されている。例えば、Maら、(1993)Biochemistry,32:7939;およびHohsakaら、(1999)J.Am.Chem.Soc.、121(51)、pp12194-12195を参照のこと。CGGGおよびAGGUを使用して、2つの化学的にアシル化されたフレームシフトサプレッサーtRNAを用いて、2-ナフチルアラニンおよびリジンのNBD誘導体をin vitroでストレプトアビジンに同時に組み込んだ。(例えば、Hohsakaら、前出を参照のこと)。in vivo研究において、Mooreらは、NCUAアンチコドンを有するtRNALeu誘導体がUAGNコドン(NがU、A、G、またはCであり得る)を抑制する能力を試験し、そして四重項UAGAが、0または-1フレームにおいてほとんど解読せずに、13~26%の効率でUCUAアンチコドンを有するtRNALeuによって解読され得ることを見出した。Mooreら、(2000)J.Mol.Biol.、298:195を参照のこと。1つの実施形態では、希少コドンまたはナンセンスコドンに基づく伸長コドンを本発明で使用することができ、これは他の望ましくない部位でのミスセンスリードスルーおよびフレームシフト抑制を低減することができる。
所定のシステムについて、セレクターコドンはまた、天然の3塩基コドンの1つを含むことができ、ここで、内在のシステムは天然の塩基コドンを使用しない(または稀に使用する)。例えば、これには、天然の3塩基コドンを認識するtRNAを欠いているシステム、および/または3塩基コドンが希少コドンであるシステムが含まれる。
セレクターコドンは任意に、非天然塩基対を含む。これらの非天然塩基対は、既存の遺伝子アルファベットをさらに拡大する。1つ余分な塩基対があると、トリプレットコドンの数は64から125に増加する。第3の塩基対の性質には、安定かつ選択的な塩基対形成、ポリメラーゼによる高い正確性のDNAへの効率的な酵素的取り込み、および発生期の非天然塩基対の合成後の効率的な連続プライマー伸長が含まれる。方法および組成物に適合され得る非天然塩基対の説明には、例えば、Hiraoら、An unnatural base pair for incorporating amino acid analogues into protein、Nature Biotechnology、20:177-182、(2002)が含まれる。Wu、Y.ら、J.Am.Chem.Soc.124:14626-14630,(2002)も参照されたい。他の関連刊行物を以下に列挙する。
in vivoで使用する場合、非天然ヌクレオシドは膜透過性であり、リン酸化されて対応する三リン酸を形成する。さらに、増加した遺伝情報は安定であり、細胞の酵素によって破壊されない。Bennerらによる以前の努力は、標準的なワトソン-クリック対におけるものとは異なる水素結合パターンを利用し、その最も注目すべき例は、iso-C:iso-G対である。例えば、Switzerら、J.Am.Chem.Soc.、111:8322,(1989);およびPiccirilliら、Nature,343:33,(1990);Kool、Curr.Opin.Chem.Biol.、4:602,(2000)を参照のこと。これらの塩基は一般に、天然の塩基とある程度誤対合し、酵素的に複製することができない。Koolらは、塩基間の疎水性パッキング相互作用が水素結合を置換して塩基対の形成を促すことを実証した。Kool、Curr.Opin.Chem.Biol.、4:602,(2000);ならびにGuckianおよびKool、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、36、2825、(1998)を参照されたい。上記の要件のすべてを満たす非天然塩基対を開発するための努力に、Schultz、Romesbergおよび共同研究者らは一連の非天然疎水性塩基を系統的に合成し、研究した。PICS:PICS自己対は天然の塩基対よりも安定であり、EscherichiacoliDNAポリメラーゼIのクレノウ断片(KF)によってDNAに効率的に取り込まれることがわかった。例えば、McMinnら、J.Am.Chem.Soc.、121:11585-6,(1999);およびOgawaら、J.Am.Chem.Soc.、122:3274,(2000)を参照のこと。3MN:3MN自己対は、生物学的機能に十分な効率および選択性を有するKFによって合成することができる。例えば、Ogawaら、J.Am.Chem.Soc.,122:8803,(2000)を参照のこと。しかし、どちらの塩基もさらなる複製のための鎖ターミネーターとして振る舞う。PICS自己対の複製に使える突然変異DNAポリメラーゼが最近進化した。さらに、7AI自己対は複製することができる。例えば、Taeら、J.Am.Chem.Soc.,123:7439,(2001)を参照のこと。Cu(II)と結合すると安定な対を形成する新規な金属塩基対、Dipic:Pyも開発された。Meggersら、J.Am.Chem.Soc.,122:10714,(2000)を参照のこと。拡張コドンおよび非天然コドンは本質的に天然コドンに直交しているので、本発明の方法は、この特性の利点を生かしてして、それらのための直交tRNAを生成することができる。
翻訳バイパス系はまた、所望のポリペプチドに非天然アミノ酸を組み込むために使用され得る。翻訳バイパス系では、大きな配列が遺伝子に取り込まれるが、タンパク質に翻訳されない。この配列には、リボソームが塩基配列を乗り越えて、挿入の下流で翻訳を再開するように誘導する手がかりとなる構造が含まれている。
IL-10のような目的のタンパク質をコードする核酸分子は、ポリペプチドの任意の所望の位置にシステインを導入するために容易に変異され得る。システインは、反応性分子、水溶性ポリマー、タンパク質、または多種多様な他の分子を目的のタンパク質上に導入するために広く使用される。システインをポリペプチドの所望の位置に組み込むのに適した方法は、本明細書中に参照によって援用される米国特許第6,608,183号に記載されているもの、および標準的な突然変異誘発技術など、当業者に公知である。
(III.天然にコードされていないアミノ酸)
非常に多種多様な天然にコードされていないアミノ酸が、本発明における使用に適切である。任意の数の天然にコードされていないアミノ酸をIL-10に導入することができる。一般に、導入された天然にコードされていないアミノ酸は、20の共通した遺伝的にコードされたアミノ酸(すなわち、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)に対して実質的に化学的に不活性である。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、20個の共通のアミノ酸に見出されない機能性基(アジド、ケトン、アルデヒドおよびアミノオキシ基を含むが、これらに限定されない)と効率的かつ選択的に反応して安定な複合体を形成する側鎖機能性基を含む。例えば、アジド機能性基を含む天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10は、ポリマー(ポリ(エチレングリコール)、または代わりにアルキン部分を含む第2のポリペプチドを含むが、これらに限定されない)と反応して、アジドおよびアルキン機能性基の選択的反応のために得られる安定な複合体を形成し、ヒュスゲン[3+2]環状付加生成物を形成することができる。
α-アミノ酸の一般構造は、以下のように例示される(式I):
Figure 2022512746000008
天然にコードされていないアミノ酸は、典型的にはR基が20個の天然アミノ酸に使用されるもの以外の任意の置換基である上記式を有する任意の構造であり、本発明における使用に適し得る。本発明の天然にコードされていないアミノ酸は典型的には側鎖の構造においてのみ天然アミノ酸と異なるので、天然にコードされていないアミノ酸は、天然に存在するポリペプチドにおいて形成されるのと同じ様式で、天然にコードされているかまたは天然にコードされていないアミノ酸を含むが、これらに限定されない、他のアミノ酸とアミド結合を形成する。しかし、天然にコードされていないアミノ酸は、それらを天然のアミノ酸と区別する側鎖基を有する。例えば、Rは、必要に応じて、アルキル-、アリール-、アシル-、ケト-、アジド-、ヒドロキシル-、ヒドラジン、シアノ-、ハロ-、ヒドラジド、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、セレノ-、スルホニル-、ボレート、ボロネート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環式、エノン、イミン、アルデヒド、エステル、チオ酸、ヒドロキシルアミン、アミノ基など、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本発明での使用に適する他の天然に生じないアミノ酸としては、光活性化可能な架橋を含むアミノ酸、スピンラベルされたアミノ酸、蛍光アミノ酸、金属結合アミノ酸、金属含有アミノ酸、放射性アミノ酸、新規な機能性基を有するアミノ酸、他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用するアミノ酸、光保持性および/または光異性化可能なアミノ酸、ビオチンまたはビオチンアナログを含むアミノ酸、糖置換セリンなどのグリコシル化アミノ酸、他の炭水化物修飾アミノ酸、ケト含有アミノ酸、ポリエチレングリコールまたはポリエーテルを含むアミノ酸、重原子置換アミノ酸、化学的に開裂可能および/または光開裂可能なアミノ酸、ポリエーテルまたは長鎖炭化水素(5以上、または10以上の炭素のものを含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない、天然アミノ酸と比較して長い側鎖をもつアミノ酸、炭素結合糖含有アミノ酸、還元活性アミノ酸、アミノチオ酸含有アミノ酸、および1つ以上の毒性部分を含むアミノ酸を含む。
本発明での使用に適し得て、水溶性ポリマーとの反応に有用な例示的な天然にコードされていないアミノ酸は、カルボニル、アミノオキシ、ヒドラジン、ヒドラジド、セミカルバジド、アジドおよびアルキン反応性基を有するものを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、天然にコードされていないアミノ酸は糖部分を含有する。そのようなアミノ酸の例には、N-アセチル-L-グルコサミニル-L-セリン、N-アセチル-L-ガラクトサミニル-L-セリン、N-アセチル-L-グルコサミニル-L-トレオニン、N-アセチル-L-グルコサミニル-L-アスパラギンおよびO-マンノサミニル-L-セリンが含まれる。そのようなアミノ酸の例はまた、アミノ酸と糖との間の天然に生じるNまたはO結合が、天然に一般に見出されない共有結合(アルケン、オキシム、チオエーテル、アミドなどを含むが、これらに限定されない)によって置換されている例を含む。そのようなアミノ酸の例には、2-デオキシ-グルコース、2-デオキシガラクトースなどのような、天然に存在するタンパク質には一般に見出されない糖類も含まれる。
本明細書中に提供される天然にコードされていないアミノ酸の多くは、例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis、MO、USA)、Novabiochem(a division of EMD Biosciences、Darmstadt、Germany)、またはPeptech(Burlington、MA、USA)から購入できる。購入できないものは、本明細書中に提供されるように、または当業者に公知の標準的な方法を使用して、任意に合成される。有機合成技術については、例えば、FessendonおよびFessendonによるOrganic Chemistry(1982、第2版、Willard Grant Press、Boston Mass.);MarchによるAdvanced Organic Chemistry(第3版、1985、Wiley and Sons、New York);ならびにCareyおよびSundbergによるAdvanced Organic Chemistry(第3版、Parts A and B、1990、Plenum Press、New York)を参照のこと。米国特許番号7,045,337および7,083,970も参照されたい(これらは、本明細書中に参照によって援用される)。新規な側鎖を含む非天然アミノ酸に加えて、本発明での使用に適し得る非天然アミノ酸は、式IIおよびIIIの構造によって例示されるような(これらに限定されない)、修飾された骨格構造も任意に含む:
Figure 2022512746000009
Figure 2022512746000010
ここで、Zは典型的にはOH、NH、SH、NH-R’、またはS-R’を含み;XおよびYは同じであっても異なっていてもよく、典型的にはSまたはOを含み、そして、RおよびR’は任意で同じであっても異なっていてもよく、典型的には式Iを有する非天然アミノ酸ならびに水素について上述したR基の構成要素の同じ一覧から選択される。例えば、本発明の非天然アミノ酸は、式IIおよびIIIによって例示されるように、アミノ基またはカルボキシル基における置換を任意に含む。このタイプの非天然アミノ酸には、α-ヒドロキシ酸、α-チオ酸、α-アミノチオカルボン酸(これらに限定されないが、一般的な20の天然アミノ酸または非天然側鎖に対応する側鎖を含む)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、α-炭素での置換には、D-グルタミン酸、D-アラニン、D-メチル-O-チロシン、アミノ酪酸などのL、D、またはα-α-二置換アミノ酸が任意に含まれるが、これらに限定されない。他の構造的代替物には、プロリンアナログならびに3、4、6、7、8、および9員環プロリンアナログのような環状アミノ酸、置換β-アラニンおよびγ-アミノ酪酸のようなβおよびγアミノ酸が含まれる。
多くの非天然アミノ酸は天然アミノ酸、例えばチロシン、グルタミン、フェニルアラニンなどに基づき、そして本発明における使用に適切である。チロシンアナログとしては、パラ置換チロシン、オルト置換チロシン、およびメタ置換チロシンが含まれ、ここで置換チロシンはケト基(アセチル基を含むが、これらに限定されない)、ベンゾイル基、アミノ基、ヒドラジン、ヒドロキシアミン、チオール基、カルボキシ基、イソプロピル基、メチル基、C-C20直鎖状または分岐炭化水素、飽和または不飽和炭化水素、O-メチル基、ポリエーテル基、ニトロ基、アルキニル基などを含むが、これらに限定されない。さらに、多重置換アリール環も意図される。本発明での使用に適し得るグルタミンアナログには、α-ヒドロキシ誘導体、γ-置換誘導体、環状誘導体、およびアミド置換グルタミン誘導体が含まれるが、これらに限定されない。本発明での使用に適切であり得る例のフェニルアラニンアナログとしては、パラ置換フェニルアラニン、オルト置換フェニルアラニン、およびメタ置換フェニルアラニンが含まれ、ここで、置換基はヒドロキシ基、メトキシ基、メチル基、アリール基、アルデヒド、アジド、ヨード、ブロモ、ケト基(アセチル基を含むがこれらに限定されない)、ベンゾイル、アルキニル基などを含むが、これらに限定されない。本発明での使用に適し得る非天然アミノ酸の具体例としては、p-アセチル-L-フェニルアラニン、O-メチル-L-チロシン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、3-メチル-フェニルアラニン、O-4-アリール-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcβ-セリン、L-ドーパ、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p-ヨード-フェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、およびp-プロパルギルオキシ-フェニルアラニンなどが含まれるが、これらに限定されない。本発明での使用に適し得る種々の非天然アミノ酸の構造の例は、例えば、「非天然アミノ酸のin vivo取り込み」と題するWO2002/085923に提供されている。Kiickら、(2002)Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by the Staudinger ligation、PNAS99:19-24も、追加のメチオニンアナログについて、参照により本明細書に組み込まれるため、参照のこと。本明細書に参照により援用される「非天然アミノ酸およびポリペプチドを含む組成物、方法、および使用」と題する国際出願第PCT/US06/47822号には、p-アミノ-フェニルアラニンおよび還元アミノ化を含むがこれらに限定されない芳香族アミン部分の還元アルキル化が記載されている。
本発明の別の実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を有するIL-10ポリペプチドは、共有結合的に改変される。生物学的系の多様な機能性に直交する選択的化学反応は、化学生物学における重要なツールとして認識されている。合成化学のレパートリーの相対的な新規参入者として、これらの生体直交反応は、化合物ライブラリー合成、タンパク質工学、機能的プロテオミクス、および細胞表面の化学的リモデリングのための新しい戦略を刺激した。アジドは、バイオコンジュゲーションのためのユニークな化学的ハンドルとして顕著な役割を確保している。Staudingerライゲーションは、細胞糖複合体に代謝的に導入されたアジド糖にタグを付けるために、ホスフィンと共に使用されてきた。Staudingerライゲーションは、生理学的有害性なしに生きている動物において実施することができるが、それにもかかわらず、Staudinger反応は負債なしではない。必要なホスフィンは空気酸化を受けやすく、改善された水溶性および増加した反応速度のためのそれらの最適化は合成的に困難であることが証明されている。
アジド基は、生物直交反応度の代替モード:ヒュスゲンによって記載されたアルキンとの[3+2]環状付加を有する。その古典的な形態では、この反応が妥当な反応速度のために高い温度(または圧力)を要件とするために、生物学的系における適用性が制限されている。シャープレスと共同研究者らは、「クリックケミストリー」と呼ばれる銅(I)触媒バージョンの開発でこの障害を克服した。このバージョンは生理的温度および豊富に機能化された生物学的環境において容易に進行する。この発見は、複雑な組織溶解物からのウイルス粒子、核酸、およびタンパク質の選択的修飾を可能にした。残念ながら、強制的な銅触媒は細菌細胞および哺乳類細胞の両方に対して毒性であり、したがって、細胞が生存可能なままでなければならない場合の適用を排除する。電子吸引置換基によって活性化されたアルキンの触媒不含ヒュスゲン環化は、周囲温度で起こることが報告されている。しかし、これらの化合物は、生物学的求核試薬とマイケル反応を起こす。
1つの実施形態では、非天然アミノ酸(p-(プロパルギルオキシ)-フェニアラニンなど)を含むIL-10の組成物が提供される。p-(プロパルギルオキシ)-フェニアラニンを含み、限定されるものではないが、タンパク質および/または細胞を含む種々の組成物も提供される。一態様では、p-(プロパルギルオキシ)-フェニアラニン非天然アミノ酸を含む組成物が、直交tRNAをさらに含む。非天然アミノ酸は、アミノ-アシル結合を介して直交tRNAに共有結合すること、直交tRNAの末端リボース糖の3’OHまたは2’OHに共有結合することなどを含むが、これらに限定されない、直交tRNAに結合する(共有結合を含むが、これらに限定されない)ことができる。
タンパク質に組み込まれ得る非天然アミノ酸を介する化学部分は、タンパク質の種々の利点および操作を提供する。例えば、ケト機能性基のユニークな反応度は、in vitroおよびin vivoでの多数のヒドラジンまたはヒドロキシルアミン含有試薬のいずれかによるタンパク質の選択的修飾を可能にする。重原子の非天然アミノ酸は例えば、X線構造データをフェージングするために有用であり得る。非天然アミノ酸を用いた重原子の部位特異的導入はまた、重原子の位置を選択する際の選択性および柔軟性を提供する。光反応性非天然アミノ酸(ベンゾフェノンおよびアリールアジド(フェニルアジド)を含むが、これに限定されない)側鎖を有するアミノ酸を含むが、これらに限定されない)は例えば、タンパク質の効率的なin vivoおよびin vitro光架橋を可能にする。光反応性非天然アミノ酸の例としては、p-アジド-フェニルアラニンおよびp-ベンゾイル-フェニルアラニンが含まれるが、これらに限定されない。次に、光反応性の非天然アミノ酸を有するタンパク質は、光反応性基の励起によって随意に架橋され得、時間的制御を提供する。一例において、非天然アミノ酸アミノのメチル基は、核磁気共鳴および振動分光法の使用を含むがこれらに限定されない、局所構造および動力学のプローブとして、メチル基を含むがこれらに限定されない同位体標識で置換され得る。例えば、アルキニルまたはアジド機能性基は、[3+2]環状付加反応による分子によるタンパク質の選択的修飾を可能にする。
アミノ末端のポリペプチドに組み込まれる天然ではないアミノ酸は、20個の天然アミノ酸に使用される置換基以外の任意の置換基であるR基と、α-アミノ酸に通常存在するNH基とは別の2nd反応性基とから構成することができる(式I参照)。類似の天然ではないアミノ酸は、α-アミノ酸に通常存在するCOOH基とは異なる2ndの反応性基を有するC末端に組み込むことができる(式I参照)。
本発明の天然ではないアミノ酸は、20個の天然アミノ酸では利用できない追加の特徴を提供するように選択または設計することができる。例えば、天然ではないアミノ酸は例えば、それらが組み込まれるタンパク質の生物学的特性を改変するように任意に設計または選択され得る。例えば、以下の特性:毒性、生体分布、溶解度、安定性(例えば、熱、加水分解、酸化、酵素分解に対する抵抗性など)、精製および処理の容易さ、構造特性、分光特性、化学的および/または光化学的特性、触媒活性、酸化還元電位、半減期、他の分子と反応する能力(例えば、共有結合的または非共有結合的)などは、任意に、タンパク質への非天然アミノ酸の包含によって改変され得る。
いくつかの実施形態では、本発明がオキシム結合によって水溶性ポリマー、例えばPEGに連結されたIL-10を提供する。多くのタイプの天然にコードされていないアミノ酸が、オキシム結合の形成に適している。これらにはカルボニル基、ジカルボニル基、またはヒドロキシルアミン基を含有する、天然にコードされていないアミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。このようなアミノ酸は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2006/0194256号,第2006/0217532号,第2006/0217532号、および第2006/0217289号ならびにタイトルが「Compositions containing, methods involving, and uses of non-natural amino acids and polypeptide」であるWO2006/069246、に記載されている。天然にコードされていないアミノ酸はまた、米国特許第7,083,970号および米国特許第7,045,337号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明のいくつかの実施形態は、パラ-アセチルフェニルアラニンアミノ酸で1つ以上の位置が置換されたIL-10ポリペプチドを利用する。p-アセチル-(+/-)-フェニルアラニンおよびm-アセチル-(+/-)-フェニルアラニンの合成は、Zhangら、Biochemistry42:6735-6746(2003)(参照として援用される)に記載される。他のカルボニル-またはジカルボニル-含有アミノ酸は、当業者によって同様に調製され得る。さらに、本明細書に含まれる非天然アミノ酸の非限定的な例示的合成は、米国特許第7,083,970号の図4、24~34および36~39に提示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
求電子反応性基を有するアミノ酸は、とりわけ求核付加反応を介して分子を連結するための様々な反応を可能にする。このような求電子性反応性基には、カルボニル基(ケト基およびジカルボニル基を含む)、カルボニル様基(カルボニル基(ケト基およびジカルボニル基を含む)に類似した反応性を有し、カルボニル基に構造的に類似している)、マスクされたカルボニル基(カルボニル基(ケト基およびジカルボニル基を含む)に容易に変換され得る)、または保護されたカルボニル基(脱保護の際にカルボニル基(ケト基およびジカルボニル基を含む)に類似した反応性を有する)が含まれる。このようなアミノ酸には、式(IV)の構造を有するアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000011

ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S(O)-ここでkは1、2、または3であり、-S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)-N(R’)-N(R’)-、からなる群から選択されるリンカーであり、ここでそれぞれのR’は独立してH、アルキル、または置換アルキルであり;
Jは、
Figure 2022512746000012
であり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
R’’のぞれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、もしくは保護基であり、または2個以上のR’’基が存在する場合、2個のR’’は、任意にヘテロシクロアルキルを形成し;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換された低級アルキル、またはRおよびRもしくは2つのR基は任意にシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成し;
または-A-B-J-R基は共に二環式または三環式シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成し(i)ジカルボニル基を含むカルボニル基、(ii)保護されたジカルボニル基を含む保護されたカルボニル基、または(iii)マスクされたジカルボニル基を含むマスクされたカルボニル基、の少なくとも1つをを含む、;
または-J-R基は共に単環式または二環式のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成すし、(i)ジカルボニル基を含むカルボニル基、(ii)保護されたジカルボニル基を含む保護されたカルボニル基、または(iii)マスクされたジカルボニル基を含むマスクされたカルボニル基、の少なくとも1つを含む、;
ただし、Aがフェニレンであり、それぞれのRがHの場合、Bが存在し;Aが-(CH-であり、それぞれのRがHの場合、Bは-NHC(O)(CHCH)-ではなく;AとBが非存在であり、それぞれのRがHの場合、Rはメチルではない。
また、式(V)の構造を有するものも含まれる:
Figure 2022512746000013

ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S(O)-ここでkは1、2、または3であり、-S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)-N(R’)-N(R’)-、からなる群から選択されるリンカーでありここでそれぞれのR’は独立してH、アルキル、または置換アルキルであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
ただし、Aがフェニレンの場合、Bが存在し;およびAが-(CH-の場合、Bは-NHC(O)(CHCH)-ではなく;AとBが非存在である場合、Rはメチルではない。
さらに、式(VI)の構造を有するアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000014

ここで、Bは低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S(O)-ここでkは1、2、または3であり、-S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)-N(R’)-N(R’)-、からなる群から選択されるリンカーであり、ここでそれぞれのR’は独立してH、アルキル、または置換アルキルであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
それぞれのRは、H、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、-N(R’)、-C(O)R’からなる群から独立に選択される。ここで、kは1、2、または3であり、-C(O)N(R’)、-OR’、および-S(O)R’であり、ここで、それぞれのR’は、独立にH、アルキル、または置換されたアルキルである。
さらに、以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000015
式中、そのような化合物は、任意にアミノ保護基、カルボキシル保護基またはその塩である。さらに、以下の天然ではないアミノ酸のいずれかが、天然ではないアミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(VII)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000016
ここで、Bは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S(O)-ここでkは1、2、または3であり、-S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群から選択されるリンカーであり、ここで、それぞれのR’は独立してH、アルキル、または置換アルキルであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
それぞれのRはH、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’ここで、kは1、2、または3であり、-C(O)N(R’)、-OR’、および-S(O)R’からなる群から独立に選択され、ここで、それぞれのR’は独立にH、アルキル、または置換アルキルであり;nは0~8であり;
ただし、Aが-(CH-の場合、Bは-NHC(O)(CH CH)-ではない。
さらに、以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000017
ここで、このような化合物は任意でアミノ保護され、任意でカルボキシル保護され、任意でアミノ保護およびカルボキシル保護された化合物、またはその塩である。さらに、これらの天然ではないアミノ酸および以下の天然ではないアミノ酸のいずれも、天然ではないアミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(VIII)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000018
ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S(O)-ここでkは1、2、または3であり、-S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)-N(R’)-N(R’)-、からなる群から選択されるリンカーであり、ここでそれぞれのR’は独立してH、アルキル、または置換アルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;そして
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである。
さらに、式(IX)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000019

Bは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S(O)-ここでkは1、2、または3であり、-S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)-N(R’)-N(R’)-、からなる群から選択されるリンカーであり、ここでそれぞれのR’は独立してH、アルキル、または置換アルキルであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;そして
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
ここで、それぞれのRはH、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、-N(R’)、-C(O)R’ここでkは1、2、または3であり、-C(O)N(R’)、-OR’、および-S(O)R’からなる群から独立に選択され、ここで、それぞれのR’は、独立にH、アルキル、または置換されたアルキルである。
さらに、以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000020
ここで、このような化合物は任意でアミノ保護され、任意でカルボキシル保護され、任意でアミノ保護およびカルボキシル保護された化合物、またはその塩である。さらに、これらの天然ではないアミノ酸および以下の天然ではないアミノ酸のいずれも、天然ではないアミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(X)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000021

ここで、Bは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S(O)-ここでkは1、2、または3であり、-S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群から選択されるリンカーであり、ここでそれぞれR’は独立してH、アルキル、または置換アルキルであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;そして
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
それぞれのRはH、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、-N(R’)、-C(O)R’ここでkは1、2、または3であり、-C(O)N(R’)、-OR’、および-S(O)R’からなる群から独立に選択され、ここで、それぞれのR’は独立にH、アルキル、または置換されたアルキルであり;nは0から8である。
さらに、以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000022

ここで、このような化合物は任意でアミノ保護され、任意でカルボキシル保護され、任意でアミノ保護およびカルボキシル保護されている化合物、またはその塩である。さらに、これらの天然ではないアミノ酸および以下の天然ではないアミノ酸のいずれも、天然ではないアミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
モノカルボニル構造に加えて、本明細書中に記載される天然ではないアミノ酸は、ジカルボニル、ジカルボニル様、マスクされたジカルボニルおよび保護されたジカルボニル基などの基を含み得る。
例えば、式(XI)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000023

ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S(O)-ここでkは1、2、または3であり、-S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、CSN(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)-N(R’)-N(R’)-、からなる群から選択されるリンカーであり、ここでそれぞれのR’は独立してH、アルキル、または置換アルキルであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;そして
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである。
さらに、式(XII)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000024

Bは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S(O)-ここでkは1、2、または3であり、-S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)-N(R’)-N(R’)-、からなる群から選択されるリンカーであり、ここでそれぞれのR’は独立してH、アルキル、または置換アルキルであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
ここで、それぞれのRはH、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、-N(R’)、-C(O)R’ここでkは1、2、または3であり、-C(O)N(R’)、-OR’、および-S(O)R’からなる群から独立に選択され、ここで、それぞれのR’は、独立にH、アルキル、または置換されたアルキルである。
さらに、以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000025

ここで、このような化合物は、任意にアミノ保護され、任意にカルボキシル保護され、任意にアミノ保護およびカルボキシル保護された化合物、またはその塩である。さらに、これらの天然ではないアミノ酸および以下の天然ではないアミノ酸のいずれも、天然ではないアミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(XIII)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000026

ここで、Bは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-S(O)-ここでkは1、2、または3であり、-S(O)(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、CSN(R’)-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレンまたは置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群から選択されるリンカーであり、ここでそれぞれのR’は独立してH、アルキル、または置換アルキルであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
それぞれのRはH、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、-N(R’)、-C(O)R’ここでkは1、2、または3であり、-C(O)N(R’)、-OR’、および-S(O)R’からなる群から独立に選択され、ここで、それぞれのR’は独立にH、アルキル、または置換されたアルキルであり、nは0から8である。
さらに、以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000027

ここで、このような化合物は、任意でアミノ保護され、任意でカルボキシル保護され、任意でアミノ保護およびカルボキシル保護された化合物、またはその塩である。さらに、これらの天然ではないアミノ酸および以下の天然ではないアミノ酸のいずれも、天然ではないアミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(XIV)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000028

ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
はC、SまたはS(O)であり;Lはアルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)であり、ここでR’はH、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルである。
さらに、式(XIV-A)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000029
ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lはアルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)であり、ここでR’はH、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルである。
さらに、式(XIV-B)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000030
ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;そして
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lはアルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)であり、ここでR’はH、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルである。
さらに、式(XV)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000031

ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;そして
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
はC、S、またはS(O)であり;および、nは0、1、2、3、4、または5であり;および、それぞれのCR基のそれぞれのRおよびRはH、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、アリールからなる群から独立して選択され、またはいずれの基のRおよびRは共に=Oまたはシクロアルキルを形成することができ、または、いずれかの隣接するR基と共にシクロアルキルを形成することができる。
さらに、式(XV-A)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000032
ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;そして
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
nは0、1、2、3、4、または5であり;それぞれのCR基のそれぞれのRおよびRはH、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、アリールからなる群から独立して選択され、または任意のRおよびRは共に=Oまたはシクロアルキルを形成することができ、または、いずれかの隣接するR基は共にシクロアルキルを形成することができる。
さらに、式(XV-B)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000033
ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
nは0、1、2、3、4、または5であり;それぞれのCR基のそれぞれのRおよびRはH、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、アリールからなる群から独立して選択され、または任意のRおよびRは共に=Oまたはシクロアルキルを形成することができ、または、いずれかの隣接するR基は共にシクロアルキルを形成することができる。
さらに、式(XVI)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000034

ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;そして
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
はC、SまたはS(O)であり;Lはアルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)であり、ここでR’はH、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルである。
さらに、式(XVI-A)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000035
ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lはアルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)であり、ここでR’はH、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルである。
さらに、式(XVI-B)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000036
ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンである;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;そして
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lはアルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)であり、ここでR’はH、アルキル、置換アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルである。
さらに、式(XVII)の構造を有するアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000037

ここで、Aは任意であり、存在する場合、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Mは
Figure 2022512746000038
であり、
ここで(a)はA基への結合を示し、および(b)はそれぞれのカルボニル基への結合を示し、RおよびRはH、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、または置換されたシクロアルキルから独立して選択され、またはRおよびR、または2つのR基、または2つのR基は、任意にシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成し;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は結合、C(R)(R)、O、またはSであり、RはH、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである。
さらに、式(XVIII)の構造を有するアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000039
ここで:Mは
Figure 2022512746000040
であり、
ここで(a)はA基への結合を示し、(b)はそれぞれのカルボニル基への結合を示し、RおよびRはH、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、または置換されたシクロアルキルから独立して選択され、またはRおよびR、または2つのR基、または2つのR基は任意にシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成し;
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は結合、C(R)(R)、O、またはSであり、RはH、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は任意であり、存在する場合、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;および
は任意であり、存在する場合、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
それぞれのRはH、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、-N(R’)、-C(O)R’ここでkは1、2、または3であり、-C(O)N(R’)、-OR’、および-S(O)R’、からなる群から独立に選択され、ここで、それぞれのR’は、独立にH、アルキル、または置換されたアルキルである。
さらに、式(XIX)の構造を有するアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000041

ここで、Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;TはO、またはSである。
さらに、式(XX)の構造を有するアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000042

ここで、Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである。
さらに、式(XXI)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる:
Figure 2022512746000043
いくつかの実施形態において、天然ではないアミノ酸を含むポリペプチドは、化学的に修飾されて、反応性カルボニルまたはジカルボニル機能性基を生成する。例えば、共役反応に有用なアルデヒド機能性基は、隣接するアミノ基およびヒドロキシル基を有する機能性基から生成され得る。生物学的に活性な分子がポリペプチドである場合、例えば、N末端セリンまたはトレオニン(これは、通常存在し得るか、または化学的もしくは酵素的消化を介して曝露され得る)を使用して、過ヨウ素酸塩を使用する穏やかな酸化的切断状態でアルデヒド機能性基を生成し得る。例えば、Gaertnerら、Bioconjug.Chem.3:262-268(1992);Geogheganら、J.、Bioconjug.Chem.3:138-146(1992);Gaertnerら、J.Biol.Chem.269:7224-7230(1994)を参照のこと。しかし、本技術分野で公知の方法は、ペプチドまたはタンパク質のN末端のアミノ酸に限定される。
本発明において、隣接するヒドロキシル基およびアミノ基を有する天然ではないアミノ酸は、「マスクされた」アルデヒド機能性基としてポリペプチドに組み込まれ得る。例えば、5-ヒドロキシリジンは、イプシロンアミンに隣接してヒドロキシル基を有する。アルデヒドを生成するための反応条件は、典型的には穏和な条件下でモル過剰のメタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加を含み、ポリペプチド内の他の部位での酸化を回避する。酸化反応のpHは、典型的には約7.0である。典型的な反応は、約1.5モル過剰のメタ過ヨウ素酸ナトリウムをポリペプチドの緩衝溶液に添加し、続いて暗所で約10分間インキュベートすることを含む。例えば、米国特許第6,423,685号を参照のこと。
カルボニルまたはジカルボニル機能性基は、水溶液中の穏やかな条件下でヒドロキシルアミン含有試薬と選択的に反応させて、生理学的状態下で安定な、対応するオキシム結合を形成することができる。例えば、Jencks、W.P.、J.Am.Chem.Soc.81,475-481(1959);Shao、J.およびTam、J.P.、J.Am.Chem.Soc.117:3893-3899(1995)を参照のこと。さらに、カルボニル基またはジカルボニル基のユニークな反応性は、他のアミノ酸側鎖の存在下での選択的修飾を可能にする。例えば、Cornish、V.W.ら、J.Am.Chem.Soc.118:8150-8151(1996);Geoghegan、K.F.&Stroh、J.G.、Bioconjug.Chem.3:138-146(1992);Mahal、L.K.ら、Science 276:1125-1128(1997)を参照のこと。
(A.カルボニル反応性基)
カルボニル反応性基を有するアミノ酸は、とりわけ求核付加またはアルドール縮合反応を介して分子(PEGまたは他の水溶性の分子を含むが、これらに限定されない)を連結するための種々の反応を可能にする。
例示的なカルボニル基含有アミノ酸は、以下のように表すことができる:
Figure 2022512746000044
ここで、nは0~10であり;Rはアルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり;RはH、アルキル、アリール、置換アルキル、および置換アリールであり;およびRはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、およびRはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である。いくつかの実施形態では、nは1であり、Rはフェニルであり、およびRは単純なアルキル(すなわち、メチル、エチル、またはプロピル)であり、ケトン部分はアルキル側鎖に対してパラ位に位置する。いくつかの実施形態では、nは1であり、Rはフェニルであり、Rは単純なアルキル(すなわち、メチル、エチル、またはプロピル)であり、ケトン部分はアルキル側鎖に対してメタ位に位置する。
p-アセチル-(+/-)-フェニルアラニンおよびm-アセチル-(+/-)-フェニルアラニンの合成は、参照により本明細書中に援用されるZhang、Z.ら、Biochemistry42:6735-6746(2003)に記載される。他のカルボニル基含有アミノ酸は、当業者によって同様に調製され得る。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸を含むポリペプチドは、化学的に修飾されて、反応性カルボニル機能性基を生成する。例えば、共役反応に有用なアルデヒド機能性基は、隣接するアミノ基およびヒドロキシル基を有する機能性基から生成され得る。生物学的に活性な分子がポリペプチドである場合、例えば、N末端セリンまたはトレオニン(これは、通常存在し得るか、または化学的もしくは酵素的消化を介して曝露され得る)を使用して、過ヨウ素酸塩を使用する穏やかな酸化的切断条件下でアルデヒド機能性基を生成し得る。例えば、Gaertnerら、Bioconjug.Chem.3:262-268(1992);Geoghegan、K.ら、Bioconjug.Chem.3:138-146(1992);Gaertnerら、J.Biol.Chem.269:7224-7230(1994)。しかしながら、本技術分野で公知の方法は、ペプチドまたはタンパク質のN末端のアミノ酸に限定される。
本発明において、隣接するヒドロキシル基およびアミノ基を有する天然にコードされていないアミノ酸は、「マスクされた」アルデヒド機能性基としてポリペプチドに組み込まれ得る。例えば、5-ヒドロキシリジンは、イプシロンアミンに隣接してヒドロキシル基を有する。アルデヒドを生成するための反応条件は、典型的には穏やかな条件下でモル過剰のメタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加を含み、ポリペプチド内の他の部位での酸化を回避する。酸化反応のpHは、典型的には約7.0である。典型的な反応は、約1.5モル過剰のメタ過ヨウ素酸ナトリウムをポリペプチドの緩衝溶液に添加し、続いて暗所で約10分間インキュベートすることを含む。例えば、本明細書中に参照によって援用される米国特許第6,423,685号を参照のこと。
カルボニル機能性基は、水溶液中で穏やかな条件下でヒドラジン-、ヒドラジド-、ヒドロキシルアミン-、またはセミカルバジド-含有試薬と選択的に反応させて、生理学的状態安定な対応するヒドラゾン、オキシム、またはセミカルバゾン結合をそれぞれ形成することができる。例えば、Jencks、J.Am.Chem.Soc.81,475-481(1959);Shaoら、J.Am.Chem.Soc.117:3893-3899(1995)を参照のこと。さらに、カルボニル基のユニークな反応性は、他のアミノ酸側鎖の存在下での選択的修飾を可能にする。例えば、Cornishら、J.Am.Chem.Soc.118:8150-8151(1996);Geogheganら、Bioconjug.Chem.3:138-146(1992);Mahalら、Science 276:1125-1128(1997)を参照のこと。
(B.ヒドラジン、ヒドラジドまたはセミカルバジド反応性基)
ヒドラジン、ヒドラジドまたはセミカルバジドなどの求核基を含有する天然にコードされていないアミノ酸は、種々の求電子性基との反応を可能にして、複合体(PEGまたは他の水溶性ポリマーを含むが、これらに限定されないものとの)を形成する。
例示的なヒドラジン、ヒドラジドまたはセミカルバジド含有アミノ酸は、以下のように表すことができる:
Figure 2022512746000045
ここで、nは0~10であり;Rはアルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり、または非存在である;XはO、N、またはSであり、または非存在である;RはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、RはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である。
いくつかの実施形態において、nは4であり、Rは非存在であり、XはNである。いくつかの実施形態において、nは2であり、Rは非存在であり、Xは非存在である。いくつかの実施形態では、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、酸素原子はアリール環上の脂肪族基のパラ位に位置する。
ヒドラジド-、ヒドラジン-、およびセミカルバジド-含有アミノ酸は、商業的供給源から入手可能である。例えば、L-グルタミン酸-γ-ヒドラジドは、Sigma Chemical社(StLouis、MO)から入手可能である。購入できない他のアミノ酸は、当業者によって調製され得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,281,211号を参照されたい。
ヒドラジド、ヒドラジンまたはセミカルバジド機能性基を有する天然にコードされていないアミノ酸を含有するポリペプチドは、アルデヒドまたは同様の化学反応性を有する他の機能性基を含有する様々な分子と効率的かつ選択的に反応させることができる。例えば、Shaoら、J.Am.Chem.Soc.117:3893-3899(1995)を参照のこと。ヒドラジド、ヒドラジンおよびセミカルバジド機能性基のユニークな反応性は、それらを、20個の共通アミノ酸上に存在する求核基(セリンもしくはトレオニンのヒドロキシル基またはリジンのアミノ基およびN末端を含むが、これらに限定されない)と比較して、アルデヒド、ケトンおよび他の求電子性に対してより顕著に反応的にする。
(C.アミノオキシ含有アミノ酸類)
アミノオキシ(ヒドロキシルアミンとも呼ばれる)基を含有する天然にコードされていないアミノ酸は、種々の求電子性基との反応を可能にして、複合体(PEGまたは他の水溶性ポリマーを含むが、これらに限定されないものとの)を形成する。ヒドラジン、ヒドラジドおよびセミカルバジドと同様に、アミノオキシ基の増強された求核性は、アミノオキシ基がアルデヒドまたは類似の化学反応性を有する他の機能性基を含有する種々の分子と効率的かつ選択的に反応することを可能にする。例えば、Shaoら、J.Am.Chem.Soc.117:3893-3899(1995);Hangら、Acc.Chem.Res.34:727-736(2001)を参照のこと。しかしながら、ヒドラジン基との反応の結果は対応するヒドラゾンであるが、オキシムは一般に、アミノオキシ基とケトンのようなカルボニル含有基との反応から生じる。
アミノオキシ基を含有する例示的なアミノ酸は、以下のように表すことができる:
Figure 2022512746000046
ここで、nは0~10であり;Rはアルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり、または非存在であり;XはO、N、S、または非存在であり;mは0~10であり;Y=C(O)または非存在であり;RはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、およびRはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である。いくつかの実施形態では、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、mは1であり、Yは存在する。いくつかの実施形態では、nは2であり、RおよびXは非存在であり、mは0であり、Yは非存在である。
アミノオキシ含有アミノ酸は、容易に利用可能なアミノ酸前駆体(ホモセリン、セリンおよびトレオニン)から調製され得る。例えば、Carrascoら、J.Org.Chem.68:8853-8858(2003)を参照のこと。特定のアミノオキシ含有アミノ酸、例えばL-2-アミノ-4-(アミノオキシ)酪酸)は、天然供給源から単離されている(Rosenthal、Life Sci.60:1635-1641(1997)。他のアミノオキシ含有アミノ酸は、当業者によって調製され得る。
(D.アジドおよびアルキン反応性基)
アジドおよびアルキン機能性基のユニークな反応性は、それらをポリペプチドおよび他の生物学的分子の選択的修飾に極めて有用にする。有機アジド、特に脂肪族アジド、およびアルキンは一般に、共通反応性化学状態に対して安定である。特に、アジドおよびアルキン機能性基の両方は、天然に生じるポリペプチドに見出される20個の共通アミノ酸の側鎖(すなわち、R基)に対して不活性である。しかし、近接させると、アジド基およびアルキン基の「バネ負荷」性質が明らかになり、それらは、ヒュスゲン[3+2]環状付加反応を介して選択的かつ効率的に反応して、対応するトリアゾールを生成する。例えば、Chinら、Science 301:964-7(2003);Wangら、J.Am.Chem.Soc.125,3192-3193(2003);Chinら、J.Am.Chem.Soc.124:9026-9027(2002)を参照のこと。
ヒュスゲン環状付加反応は求核置換ではなく、選択的環状付加反応(例えば、Padwa、A.、in COMPREHENSIVE ORGANIC SYNTHESIS、Vol.4、(ed.Trost、B.M.、1991)、p.1069-1109;Huisgen、R.in 1,3-DIPOLAR CYCLOADDITION CHEMISTRY、(ed.Padwa、A.、1984)、p.1-176を参照)を含むので、アジドおよびアルキン含有側鎖を有する天然にコードされていないアミノ酸を取り込むことにより、結果として得られたポリペプチドを天然にコードされていないアミノ酸の位置で選択的に修飾することを可能にする。アジドまたはアルキン含有IL-10を含む環状付加反応は、Cu(II)をin situで、触媒量でCu(I)に還元するための還元剤の存在下で、Cu(II)(触媒量のCuSOの形を含むが、これに限定されない)を加えることによって、水溶液の条件で、室温で実施することができる。例えば、Wangら、J.Am.Chem.Soc.125,3192-3193(2003);Tornoeら、J.Org.Chem.67:3057-3064(2002);Rostovtsevら、Angew.Chem.Int.Ed.41:2596-2599(2002)を参照のこと。例示的な還元剤としては、アスコルビン酸塩、金属銅、キニン、ヒドロキノン、ビタミンK、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+、および印加電位が含まれるが、これらに限定されない。
アジドとアルキンとの間のヒュスゲン[3+2]環状付加反応が所望される場合には、IL-10がアルキン部分を含む天然にコードされていないアミノ酸を含み、アミノ酸に付着する水溶性ポリマーはアジド部分を含む。あるいは、逆の反応(すなわち、アミノ酸上のアジド部分および水溶性ポリマー上に存在するアルキン部分との反応)もまた、実施され得る。
アジド機能性基はまた、アリールエステルを含有する水溶性ポリマーと選択的に反応させ、アリールホスフィン部分で適切に官能化して、アミド結合を生成することもできる。アリールホスフィン基はin situでアジドを還元し、次いで、結果として得られたアミンは、近位エステル結合と効率的に反応して、対応するアミドを生成する。例えば、Saxonら、Science 287,2007-2010(2000)を参照のこと。アジド含有アミノ酸は、アルキルアジド(2-アミノ-6-アジド-1-ヘキサン酸を含むが、これらに限定されない)またはアリールアジド(p-アジド-フェニルアラニン)のいずれかであり得る。
アリールエステルおよびホスフィン部分を含有する例示的な水溶性ポリマーは、以下のように表すことができる:
Figure 2022512746000047
ここで、XはO、N、Sまたは非存在であり得、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーであり、RはH、アルキル、アリール、置換アルキルおよび置換アリール基であり得る。例示的なR基としては、-CH、-C(CH、-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-C(O)R’、-CONR’R’’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-CNおよび-NOが含まれるがこれらに限定されない。R’、R’’、R’’’およびR’’’’はそれぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、1-3個のハロゲンで置換されたアリールを含むがこれに限定されない置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が複数のR基を含む場合、例えば、R基のそれぞれは、これらの基のうちの1つ以上が存在する場合、それぞれ独立して、R’、R’’’およびR’’’’基として選択される。R’およびR’’が同一の窒素原子に付着される場合、それらは窒素原子と結合して5、6、または7員環を形成し得る。例えば、-NR’R’’は1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意味するが、これらに限定されない。置換基についての上述の議論から、「アルキル」という語はハロアルキル(-CFおよび-CHCFを含むがこれらに限定されない)およびアシル(-C(O)CH、-C(O)CF、-C(O)CHOCHなどを含むがこれらに限定されない)などの、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を含むことを意味することを当業者は理解するであろう。
アジド機能性基はまた、チオエステルを含有する水溶性ポリマーと選択的に反応させ、アリールホスフィン部分で適切に官能化して、アミド結合を生成することもできる。アリールホスフィン基はin situでアジドを還元し、次いで、結果として得られたアミンは、チオエステル結合と効率的に反応して、対応するアミドを生成する。チオエステルおよびホスフィン部分を含有する例示的な水溶性ポリマーは、以下のように表すことができる:
Figure 2022512746000048
ここで、nは1~10であり;XはO、N、Sまたは存在しなくてもよく、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーである。
例示的なアルキン含有アミノ酸は、以下のように表すことができる:
Figure 2022512746000049
ここで、nは0~10であり;Rはアルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり、または非存在である;XはO、N、S、または非存在である;mは0~10であり、RはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、およびRはH、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である。いくつかの実施形態では、nは1であり、Rはフェニルであり、Xは非存在であり、mは0であり、アセチレン部分はアルキル側鎖に対してパラ位に位置する。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、mは1であり、プロパルギルオキシ基はアルキル側鎖に対してパラ位に位置する(すなわち、O-プロパルギルチロシン)。いくつかの実施形態では、nは1であり、RおよびXは非存在であり、mは0である(すなわち、プロパリルグリシン)。
アルキン含有アミノ酸は購入できる。例えば、プロパルギルグリシンは、Peptech社(Burlington、MA)から購入できる。あるいは、アルキン含有アミノ酸は標準的な方法に従って調製され得る。例えば、p-プロパルギルオキシフェニルアラニンは例えば、Deitersら、J.Am.Chem.Soc.125:11782-11783(2003)に記載されるように合成され得、4-アルキニル-L-フェニルアラニンはKayserら、Tetrahedron 53 (7):2475-2484(1997)に記載されるように合成され得る。他のアルキン含有アミノ酸は、当業者によって調製され得る。
例示的なアジド含有アミノ酸は、以下のように表すことができる:
Figure 2022512746000050
ここで、nは0~10であり;Rはアルキル、アリール、置換アルキル、置換アリールまたは非存在であり;XはO、N、Sまたは非存在であり;mは0~10であり;RはH、アミノ酸、ポリペプチドまたはアミノ末端修飾基であり、およびRはH、アミノ酸、ポリペプチドまたはカルボキシ末端修飾基である。いくつかの実施形態では、nは1であり、Rはフェニルであり、Xは非存在であり、mは0であり、アジド部分はアルキル側鎖のパラ位に位置する。いくつかの実施形態において、nは0~4であり、RおよびXは非存在であり、m=0である。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、mは2であり、β-アジドエトキシ部分はアルキル側鎖に対してパラ位に位置する。
アジド含有アミノ酸は、商業的供給源から入手可能である。例えば、4-アジドフェニルアラニンは、Chem-Impex International、Inc.(Wood Dale、IL)から得ることができる。購入できないアジド含有アミノ酸については、当業者に公知の標準的な方法を使用して、比較的容易に調製され得る。アジド基は、適切な脱離基(ハロゲン化物、メシレート、トシレートを含むが、これらに限定されない)の変位を介すること、または適切に保護されたラクトンの開放を介することを含むが、これらに限定されない。例えば、Advanced Organic Chemistry by March(Third Edition、1985、Wiley and Sons、New York)を参照のこと。
(E.アミノチオール反応性基)
ベータ置換アミノチオール機能性基のユニークな反応性は、チアゾリジンの形成を介してアルデヒド基を含有するポリペプチドおよび他の生物学的分子の選択的修飾にそれらを極めて有用にする。例えば、Shaoら、J.Am.Chem.Soc.1995,117(14)3893-3899を参照のこと。いくつかの実施形態において、ベータ置換アミノチオールアミノ酸は、IL-10ポリペプチドに組み込まれ得、次いで、アルデヒド機能性基を含む水溶性ポリマーと反応され得る。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマー、薬物複合体または他のペイロードは、チアゾリジンの形成を介して、ベータ置換アミノチオールアミノ酸を含むIL-10に結合され得る。
(F.追加の反応性基)
本発明のIL-10ポリペプチドに組み込むことができる、追加の反応性基および天然にコードされていないアミノ酸(パラアミノフェニルアラニンを含むがこれに限定されない)は、以下の特許出願に記載されており、これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:米国特許公開第2006/0194256号、米国特許公開第2006/0217532号、米国特許公開第2006/0217289号、米国仮特許第60/755,338号、米国仮特許第60/755,711号、米国仮特許第60/755,018号、国際特許出願第PCT/US06/49397号、国際特許出願第WO2006/069246号、米国仮特許第60/743,041号、米国仮特許第60/743,040号、国際特許出願第PCT/US06/47822号、米国仮特許第60/882,819号、米国仮特許第60/882,500号、および米国仮特許第60/870,594号。これらの出願はまた、PEGまたは他のポリマー上に存在し得る反応性基(共役ためのヒドロキシルアミン(アミノオキシ)基を含むが、これに限定されない)を議論する。
(非天然アミノ酸を有するポリペプチド)
非天然アミノ酸の組み込みは、タンパク質とその受容体またはその受容体の1つ以上のサブユニットとの相互作用を調節すること、タンパク質構造および/または機能の変化を調整すること、サイズの変化、酸性度、求核性、水素結合、疎水性、プロテアーゼ標的部位への接近性、部分(タンパク質アレイを含むが、これらに限定されない)への標的化、生物活性分子の添加、ポリマーの付着、放射性核種の付着、血清半減期の調節、組織浸透(例えば、腫瘍)の調節、活性輸送の調節、組織、または細胞の器官特異性または分布の調節、免疫原性の調節、プロテアーゼ耐性の調節などを含むが、これらに限定されない種々の目的のために行うことができる。非天然アミノ酸を含むタンパク質は、増強された、または全く新しい触媒的または生物物理学的特性を有し得る。例えば、以下の特性はタンパク質への非天然アミノ酸の包含によって任意に改変される:受容体結合、毒性、生体分布、構造特性、分光特性、化学的および/または光化学的特性、触媒能力、半減期(血清半減期を含むが、これに限定されない)、共有結合または非共有結合を含むが、これらに限定されない他の分子と反応する能力などである。少なくとも1つの非天然アミノ酸を含むタンパク質を含む組成物は、新規な治療薬、診断薬、触媒酵素、工業用酵素、結合タンパク質(抗体を含むが、これに限定されない)、タンパク質構造および機能の研究を含むがこれらに限定されない、として有用である。例えば、Dougherty、(2000)Unnatural Amino Acids as Probes of Protein Structure and Function、Current Opinion in Chemical Biology,4:645-652を参照のこと。
本発明の1つの態様において、組成物は、少なくとも1個の非天然アミノ酸を有する少なくとも1個を有する少なくとも1つのタンパク質を含む。当該少なくとも1個の非天然アミノ酸は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個以上の非天然アミノ酸を含むがこれらに限定されない。非天然アミノ酸は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上の異なる非天然アミノ酸を含む、タンパク質中に1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上の異なる部位が存在し得るが、これらに限定されない、同一または異なるものであり得る。別の態様では、組成物は、タンパク質中に存在する特定のアミノ酸の少なくとも1つ、ただし全てより少ないものが、非天然アミノ酸で置換されたタンパク質を含む。2つ以上の非天然アミノ酸を有する所与のタンパク質について、非天然アミノ酸は同一であっても異なっていてもよい(タンパク質が2つ以上の異なる型の非天然アミノ酸を含み得るか、または2つの同じ非天然アミノ酸を含み得るが、これらに限定されない)。3つ以上の非天然アミノ酸を有する所与のタンパク質について、非天然アミノ酸は、同じ、異なる、または同じ種類の複数の非天然アミノ酸と少なくとも1つの異なる非天然アミノ酸との組み合わせであり得る。
少なくとも1つの非天然アミノ酸を有する目的のタンパク質またはポリペプチドは、本発明の特徴である。本発明はまた、本発明の組成物および方法を用いて産生された少なくとも1つの非天然アミノ酸を有するポリペプチドまたはタンパク質を含む。賦形剤(薬学的に受容可能な賦形剤を含むが、これに限定されない)もまた、タンパク質と共に存在し得る。真核細胞において少なくとも1つの非天然アミノ酸を有する目的のタンパク質またはポリペプチドを産生することによって、タンパク質またはポリペプチドは、典型的には真核生物の翻訳後修飾を含む。特定の実施形態では、タンパク質が少なくとも1つの非天然アミノ酸と、真核細胞によってin vivoで作製される少なくとも1つの翻訳後修飾とを含み、翻訳後修飾は原核細胞によっては行われない。例えば、翻訳後修飾にはアセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、糖脂質結合修飾、グリコシル化などが含まれるが、これらに限定されないものを含む。
非天然アミノ酸の1つの利点は、それが、追加の分子を付加するために使用され得る追加の化学的部分を提示することである。これらの修飾は、真核細胞または非真核細胞においてin vivoで、またはin vitroで行うことができる。従って、特定の実施形態において、翻訳後修飾は、非天然アミノ酸を介する。例えば、翻訳後修飾は、求核性-求電子反応によるものであり得る。タンパク質の選択的修飾のために現在使用されているほとんどの反応は、α-ハロケトンとヒスチジンまたはシステイン側鎖との反応を含むが、これらに限定されない、求核反応パートナーと求電子反応パートナーとの間の共有結合形成を含む。これらの場合の選択性は、タンパク質中の求核性残基の数および接近性によって決定される。本発明のタンパク質において、他のより選択的な反応、例えば、非天然のケトアミノ酸とヒドラジドまたはアミノオキシ化合物との反応、が、in vitroおよびin vivoで使用され得る。例えば、Cornishら、J.Am.Chem.Soc.、118:8150-8151、(1996);Mahalら、Science、276:1125-1128、(1997);Wangら、Science 292:498-500、(2001);Chinら、J.Am.Chem.Soc.124:9026-9027,(2002);;Chinら、Proc.Natl.Acad.Sci.、99:11020-11024、(2002);Wangら、Proc.Natl.Acad.Sci.、100:56-61、(2003);Zhangら、Biochemistry、42:6735-6746、(2003);およびChinら、Science、301:964-7、(2003)(これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。これは、フルオロフォア、架橋剤、糖誘導体および細胞毒性分子を含む多数の試薬を用いて、実質的に任意のタンパク質を選択的に標識することを可能にする。「Glycoprotein synthesis」と題する米国特許第6,927,042号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。アジドアミノ酸を介するものを含むがこれに限定されない翻訳後修飾は、Staudingerライゲーション(トリアリールホスフィン試薬を含むがこれに限定されない)を介して行うこともできる。例えば、Kiickら、Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by Staudinger ligation、PNAS99:19-24(2002)を参照のこと。
(IV.天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10のin vivo生成)
本発明のIL-10ポリペプチドは、天然に生じるシステムにおいてコードされないアミノ酸に付加するか、またはそれを置換するために、改変されたtRNAおよびtRNA合成酵素を使用して、in vivoで生成され得る。天然に生じるシステムにおいてコードされないアミノ酸を使用するtRNAおよびtRNA合成酵素を生成するための方法は、例えば、本明細書中に参照によって援用される米国特許第7,045,337号および第7,083,970号に記載される。これらの方法は、翻訳系に内因性の合成酵素およびtRNAとは独立して機能する翻訳機構を生成することを含む(したがって、「直交」と呼ばれることもある)。典型的には、翻訳系が直交tRNA(O-tRNA)および直交アミノアシルtRNA合成酵素(O-RS)を含む。典型的には、O-RSが翻訳系において少なくとも1つの天然には生じないアミノ酸を有するO-tRNAを優先的にアミノアシル化し、O-tRNAはシステムにおいて他のtRNAによって認識されない少なくとも1つのセレクターコドンを認識する。従って、翻訳系はコードされたセレクターコドンに応答して、天然にコードされていないアミノ酸をシステムにおいて産生されるタンパク質に挿入し、それによって、コードされたポリペプチド中の位置にアミノ酸を「置換」する。
多種多様な直交tRNAおよびアミノアシルtRNA合成酵素が特定の合成アミノ酸をポリペプチドに挿入するために本技術分野で記載されており、そして一般に、本発明における使用に適切である。例えば、ケト特定O-tRNA/アミノアシル-tRNA合成酵素は、Wangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:56-61(2003)およびZhangら、Biochem.42(22):6735-6746(2003)に記載されている。例示的なO-RS、またはその部分は、ポリヌクレオチド配列によってコードされ、それぞれ、本明細書中に参照によって援用される米国特許第7,045,337号および第7,083,970号に開示されるアミノ酸配列を含む。O-RSと共に使用するための対応するO-tRNA分子もまた、これらは、本明細書中に参照によって援用される米国特許第7,045,337号および第7,083,970号に記載されている。O-tRNA/アミノアシル-tRNA合成酵素対のさらなる例は、WO2005/007870、WO2005/007624;およびWO2005/019415に記載されている。
アジド特定O-tRNA/アミノアシル-tRNA合成酵素システムの例は、Chinら、J.Am.Chem.Soc.124:9026-9027(2002)に記載されている。p-アジド-L-Pheのための例示的なO-RS配列には、本明細書中に参照によって援用される米国特許第7,083,970号に開示されるように、ヌクレオチド配列14~16および29~32、およびアミノ酸配列46~48および61~64が含まれるが、これらに限定されない。本発明における使用に適切な例示的なO-tRNA配列は、米国特許第7,083,970号(これは本明細書中に参照によって援用される)に開示されるように、ヌクレオチド配列1~3を含むが、これらに限定されない。特定の天然にコードされていないアミノ酸に特異的なO-tRNA/アミノアシル-tRNA合成酵素対の他の例は、本明細書中に参照によって援用される米国特許第7,045,337号に記載されている。S.cerevisiaeにおいてケト含有アミノ酸およびアジド含有アミノ酸の両方を組み込むO-RSおよびO-tRNAは、Chinら、Science 301:964-967(2003)に記載される。
いくつかの他の直交対が報告されている。S.cerevisiae tRNAおよび合成酵素に由来するグルタミニル(例えば、Liuら、(1999)PNAS 96:4780-4785を参照のこと)、アスパルチル(例えば、Pastrnakら、(2000)Helv.Chim.Acta 83:2277-2286を参照のこと)、およびチロシル(例えば、Ohnoら、(1998)J.Biochem(Tokyo、Jpn.)124:1065-1068;およびKowalら、(2001)PNAS 98:2268-2273を参照のこと)のシステムは、E.coliにおける非天然アミノ酸の潜在的な取り込みについて記載されている。E.coliグルタミニル(例えば、Kowalら、(2001)PNAS 98:2268-2273を参照のこと)およびチロシル(例えば、Edwardsら、(1990)Mol.Cell.Biol.10:1633-1641を参照のこと)の合成酵素に由来するシステムは、S.cerevisiaeにおける使用について記載されている。E.coliのチロシル系は、哺乳動物細胞におけるin vivoでの3-ヨード-L-チロシンの取り込みに用いられている。Sakamotoら、(2002)Nucleic Acids Res.30:4692-4699を参照のこと。
O-tRNA/アミノアシルtRNA合成酵素の使用は、天然にコードされていないアミノ酸(セレクターコドン)をコードする特異的コドンの選択を含む。任意のコドンを使用することができるが、一般的には、O-tRNA/アミノアシル-tRNA合成酵素が発現されている細胞においてほとんどまたは決して使用されないコドンを選択することが望ましい。例えば、例示的なコドンには、終止コドン(アンバー、オカー、およびオパール)、4つ以上の塩基コドン、およびまれにしか使用されないかまたは使用されない他の天然の3塩基コドンなどのナンセンスコドンが含まれる。特異的セレクターコドンは、本技術分野で公知の突然変異誘発法(部位特異的突然変異誘発、カセット突然変異誘発、制限選択突然変異誘発などを含むが、これらに限定されない)を使用して、IL-10コード配列中の適切な位置に導入することができる。
(V.IL-10中の天然に生じないアミノ酸の位置)
本発明は、1つ以上の天然に生じないアミノ酸のIL-10への組み込みを意図する。1つ以上の天然に生じないアミノ酸は、ポリペプチドの活性を破壊するか、または破壊しないか、またはIL-10の二量体化を可能にする、特定の位置に組み込まれ得る。これは、「保存的」置換を作製することによって達成され得る。「保存的」置換は、疎水性アミノ酸を疎水性アミノ酸で置換すること、分厚いアミノ酸を分厚いアミノ酸で置換すること、親水性アミノ酸を親水性アミノ酸で置換すること、および/または活性に必要とされない位置に天然に生じないアミノ酸を挿入することを含むが、これらに限定されない。
種々の生化学的および構造的アプローチを用いて、IL-10内の天然にコードされていないアミノ酸での置換のための所望の部位を選択し得る。ポリペプチド鎖の任意の位置が、天然にコードされていないアミノ酸を組み込むための選択に適切であり、そして選択が合理的な設計に基づくか、または任意の所望されるもしくは特定の所望されない目的のためのランダムな選択に基づき得ることは、当業者に容易に明らかである。所望の部位の選択は、任意の所望の特性または活性を有するIL-10分子を産生するためであり得る。任意の所望の特性または活性にはその受容体、アゴニスト、スーパーアゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト、受容体結合モジュレーター、受容体活性モジュレーター、二量体もしくは多量体形成体、の1つ以上のサブユニットへの結合または受容体結合の調節、天然分子と比較して活性または特性の変化なし、またはポリペプチドの例えば、溶解性、凝集性、または安定性の任意の物理的または化学的特性の操作が含まれるが、これらに限定されない。例えば、IL-10の生物学的活性に必要とされるポリペプチド中の位置は、点突然変異分析、アラニンスキャニング、飽和突然変異誘発および生物学的活性についてのスクリーニング、または本技術分野で公知のホモログスキャニング方法を使用して同定され得る。IL-10の改変のための残基を同定するために使用され得る他の方法は、以下の方法が含まれるが、これらに限定されない:配列プロファイリング(BowieおよびEisenberg、Science 253(5016):164-70、(1991));ロタマーライブラリー選択(DahiyatおよびMayo、Protein Sci 5(5):895-903(1996);DahiyatおよびMayo、Science 278(5335):82-7(1997);DesjarlaisおよびHandel、Protein Science 4:2006-2018(1995);Harburyら、PNAS USA 92(18):8408-8412(1995);Konoら、Proteins:Structure、Function and Genetics19:244-255(1994);HellingaおよびRichards、PNAS USA 91:5803-5807(1994));ならびに残基対ポテンシャル(Jones、Protein Science 3:567-574,(1994))、およびProtein Design Automation(登録商標)テクノロジーを用いた合理的なデザイン。(参照により本明細書に援用される、米国特許第6,188,965号;同第6,269,312号;同第6,403,312号;WO98/47089を参照されたい)。アラニンまたはホモログ走査突然変異誘発によって生物学的活性に重要であると同定された残基以外の残基は、ポリペプチドについて求められる所望の活性によって、天然にコードされていないアミノ酸での置換のための良好な候補であり得る。あるいは、生物学的活性に重要であると同定された部位もまた、ポリペプチドについて求められる所望の活性によって、天然にコードされていないアミノ酸での置換のための良好な候補であり得る。別の代替法は、ポリペプチド鎖上の各位置において、天然にコードされていないアミノ酸での連続置換を単に行い、そしてポリペプチドの活性に対する効果を観察することである。天然ではないアミノ酸による任意のポリペプチドへの置換のための位置を選択するための任意の手段、技術、または方法が本発明における使用に適切であることは、当業者に容易に明らかである。
欠失を含むIL-10ポリペプチドの変異体の構造および活性はまた、天然にコードされていないアミノ酸との置換に寛容である可能性が高いタンパク質の領域を決定するために試験され得る。同様の方法で、プロテアーゼ消化およびモノクローナル抗体を使用して、IL-10受容体の結合に関与するIL-10の領域を同定し得る。天然にコードされていないアミノ酸での置換に対して不耐性である可能性がある残基が除去されたら、残りの位置のそれぞれにおける提案された置換の影響を調べることができる。従って、当業者は、天然にコードされていないアミノ酸で置換され得るアミノ酸位置を容易に同定し得る。
当業者は、IL-10のこのような分析が、タンパク質の三次構造内に埋もれているアミノ酸残基と比較して、どのアミノ酸残基が表面露出しているかの決定を可能にすることを認識する。したがって、天然にコードされていないアミノ酸で、表面露出残基であるアミノ酸を置き換えることは、本発明の実施形態である。
いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10の以下の位置のうちの1つ以上の位置:位置1の前(すなわちN末端)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、に組み込まているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、およびそれらの任意の組合せである(配列番号1、または配列番号2、3、4、もしくは5中の対応するアミノ酸)。
いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、IL-10またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上の位置:位置1の前(すなわちN末端)、1、19、32、36、54、57、58、63、68、72、75、77、81、85、88、92、97、100、101、102、104、106、108、110、111、114、117、121、125、126、127、128において組み込まれているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、および配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5のそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は、成熟IL-10タンパク質またはその変異体の以下の位置のうちの1つ以上の位置:位置1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109、110に組み込まれており、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、および配列番号2、または配列番号5のそれらの任意の組合せである。
いくつかの実施形態において、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸は以下に示すように、IL-10またはその変異体中の二次構造または特定のアミノ酸に対応する以下の領域のうちの1つ以上の任意の位置に組み込まれる:ヘリックスのL側;疎水性相互作用の部位;最初の43N末端アミノ酸内;リーダー配列の後および位置19の前(すなわち、リーダー配列を欠くタンパク質の位置1の前);アミノ酸位置44~160内;配列番号1、または配列番号2、配列番号3、配列番号4、もしくは配列番号5中の対応するアミノ酸位置のそれぞれ。
いくつかの態様において、天然にコードされていないアミノ酸置換は、IL-10ポリペプチドの他の生物学的形質に影響を与えるために、IL-10内の他の付加、置換または欠失と組み合わされる。いくつかの態様において、他の付加、置換または欠失は、IL-10の安定性(タンパク質分解に対する耐性を含むが、これらに限定されない)を増加させ得るか、またはその受容体に対するIL-10の親和性を増加させ得る。いくつかの態様において、他の付加、置換または欠失は、IL-10の医薬安定性を増加させ得る。いくつかの態様において、他の付加、置換または欠失は、腫瘍阻害および/または腫瘍減少のためのIL-10の活性を増強し得る。いくつかの態様において、他の付加、置換または欠失は、IL-10または変異体の溶解度(E.coliまたは他の宿主細胞において発現される場合を含むが、これらに限定されない)を増加させ得る。いくつかの実施形態において、付加、置換または欠失は、E.coliまたは他の組換え宿主細胞における発現後に、IL-10溶解度を増加させ得る。いくつかの実施形態において、部位は、E.coliまたは他の組換え宿主細胞における発現後にポリペプチド溶解度を結果として増加させる天然ではないアミノ酸の組み込みのための別の部位に加えて、天然にコードされるかまたは天然ではないアミノ酸での置換のために選択される。いくつかの実施形態では、IL-10ポリペプチドは、別の付加、置換または欠失を含む。当該別の付加、置換または欠失は、IL-10受容体、結合タンパク質もしくは関連するリガンドに対する親和性を調節し、IL-10受容体への結合後のシグナル伝達を調節し、循環半減期を調節し、放出もしくは生物学的利用能を調節し、精製を容易にし、または特定の投与経路を改善もしくは変更するいくつかの実施形態では、IL-10ポリペプチドは、その受容体に対するIL-10変異体の親和性を増加させる付加、置換または欠失を含む。いくつかの実施形態において、IL-10は、IL-10-R1および/またはIL-10-R2に対するIL-10変異体の親和性を増加させる付加、置換または欠失を含む。同様に、IL-10ポリペプチドは、化学的または酵素の切断配列、プロテアーゼ切断配列、反応性基、抗体結合ドメイン(FLAGまたはポリHisを含むが、これらに限定されない)もしくは他の親和性に基づく配列(FLAG、ポリHis、GSTなどを含むが、これらに限定されない)、または、結合分子(ビオチンを含むが、これに限定されない)を含むことができる。結合分子は、検出(GFPを含むが、これに限定されない)、精製、組織もしくは細胞膜を通した輸送、プロドラッグ放出もしくは活性化、IL-10サイズ減少、もしくはポリペプチドの他の形質を改善する
いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸の置換は、IL-10アンタゴニストを生成する。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、受容体結合に関与する領域において置換または付加される。いくつかの実施形態では、IL-10アンタゴニストは、IL-10をアンタゴニストとして作用させる少なくとも1つの置換を含む。いくつかの実施形態では、IL-10アンタゴニストは、IL-10分子の受容体結合領域に存在する水溶性ポリマーに連結された、天然にコードされていないアミノ酸を含む。
場合によっては、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のアミノ酸が1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸で置換されている。いくつかの場合において、IL-10は、天然に生じるアミノ酸に対する1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の置換をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態において、IL-10中の1つ以上の残基は、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸で置換されている。いくつかの場合において、1つ以上の天然にコードされていない残基は、1つ以上のより低い分子量の直鎖状または分岐PEGに連結され、それによって、単一のより高い分子量のPEGに付着した種と比較して、結合親和性および匹敵する血清半減期を増強する。
(VI.非真核生物と真核生物における発現)
クローニングされたIL-10ポリヌクレオチドの高レベルな発現を得るために、本発明のIL-10ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、転写を指示する強力なプロモーター、転写/翻訳ターミネーター、およびタンパク質をコードする核酸の場合には翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクターに、典型的にサブクローニングする。適切な細菌プロモーターは当業者らに公知であり、そして例えば、SambrookらおよびAusubelらに記載される。
本発明のIL-10を発現するための細菌発現系は、E.coli、Bacillus sp.、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas putida、およびSalmonella(Palvaら、Gene 22:229-235(1983);Mosbachら、Nature 302:543-545(1983))において利用可能であるが、これらに限定されない。このような発現系のためのキットは、購入できる。哺乳動物細胞、酵母、および昆虫細胞のための真核生物発現系は当業者らに公知であり、そしてまた、購入可能である。直交tRNAおよびアミノアシルtRNAシンテターゼ(上述)が本発明のIL-10ポリペプチドを発現するために使用される場合、発現のための宿主細胞は、直交成分を使用するそれらの能力に基づいて選択される。例示的な宿主細胞は、グラム陽性細菌(B.brevis、B.subtilis、またはStreptomycesを含むがこれらに限定されない)およびグラム陰性細菌(E.coli、Pseudomonas fluorecens、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas putida)、ならびに酵母および他の真核細胞を含む。O-tRNA/O-RS対を含む細胞は、本明細書中に記載されるように使用され得る。
本発明の真核生物宿主細胞または非真核生物宿主細胞は、大量の有用な量の非天然アミノ酸を含むタンパク質を合成する能力を提供する。1つの態様において、組成物は、非天然アミノ酸を含むタンパク質の少なくとも10マイクログラム、少なくとも50マイクログラム、少なくとも75マイクログラム、少なくとも100マイクログラム、少なくとも200マイクログラム、少なくとも250マイクログラム、少なくとも500マイクログラム、少なくとも1ミリグラム、少なくとも10ミリグラム、少なくとも100ミリグラム、少なくとも1グラム、もしくはそれ以上、またはin vivoタンパク質産生方法で達成され得る量を任意に含むが、これらに限定されない(組み換えタンパク質の産生および精製の詳細は本明細書中に提供される)。別の態様では、タンパク質は、組成物中に、限定されないが、リットル当たり少なくとも10マイクログラムのタンパク質、リットル当たり少なくとも50マイクログラムのタンパク質、リットル当たり少なくとも75マイクログラムのタンパク質、リットル当たり少なくとも100マイクログラムのタンパク質、リットル当たり少なくとも200マイクログラムのタンパク質、リットル当たり少なくとも250マイクログラムのタンパク質、リットル当たり少なくとも500マイクログラムのタンパク質、リットル当たり少なくとも1ミリグラムのタンパク質、またはリットル当たり少なくとも10ミリグラム以上のタンパク質を含む濃度で、任意に存在する。に限定されないがこれらを含む濃度で任意に存在する。当該タンパク質は、限定されないが、細胞溶解物、緩衝液、医薬緩衝液、または他の液体懸濁液を含むものに存在する(容積として、限定されないが、約1nl~約100Lのもの、またはそれ以上のものを含む)。少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む真核細胞におけるタンパク質の大量な産生(限定されるものではないが、in vitro翻訳を含むが、これに限定されない他の方法で典型的に可能なタンパク質の量より多いものを含む)は本発明の特徴である。
IL-10またはその変異体をコードするヌクレオチド配列はまた、シグナルペプチドをコードする配列を含んでも含まなくてもよい。シグナルペプチドは、ポリペプチドが発現される細胞から分泌される場合に存在する。このようなシグナルペプチドは、任意の配列であり得る。シグナルペプチドは、原核であっても真核であってもよい。Coloma、J.Imm.Methods、152、1992、pp.89 104)は、哺乳動物細胞において使用するためのシグナルペプチド(マウスIgカッパL鎖シグナルペプチド)を記載する。他のシグナルペプチドとしては、S.cerevisiae由来のα因子シグナルペプチド(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,870,008号)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(Hagenbuchleら、Nature 289、1981、pp.643-646)、修飾カルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(Vallsら、Cell 48、1987、pp.887-897)、酵母BAR1シグナルペプチド(WO87/02670、参照により本明細書に組み込まれる)、および酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド(Egel-Mitaniら、Yeast 6、1990、pp.127-137を参照のこと)を含むが、これらに限定されない。
適切な哺乳動物宿主細胞の例は、当業者に公知である。このような宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO-K1;ATCC CCL-61)、グリーンサル細胞(COS)(例えば、COS1(ATCC CRL-1650)、COS7(ATCC CRL-1651));マウス細胞(例えば、NS/O)、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株(例えば、ATCC CRL-1632またはATCC CCL-10)、およびヒト細胞(例えば、HEK293(ATCC CRL-1573))、ならびに組織培養中の植物細胞であり得る。これらの細胞株および他の細胞株は、American Type Culture Collection、Rockville、Mdなどの公的寄託機関から入手可能である。IL-10ポリペプチドの改善されたグリコシル化を提供するために、哺乳動物宿主細胞は、例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,047,335号に記載されるように、シアリルトランスフェラーゼ、例えば、1,6-シアリルトランスフェラーゼを発現するように改変され得る。
哺乳動物宿主細胞への外因性DNAの導入のための方法は、カルシウムホスファレ媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、ウイルスベクター、およびLife Technologies Ltd、Paisley、UKによって記載される、Lipofectamin2000を用いるトランスフェクション方法およびRoche Diagnostics Corporation、Indianapolis、USAに記載されるFuGENE6を用いるトランスフェクション方法を含むが、これらに限定されない。これらの方法は本技術分野で周知であり、Ausbelら(編)、1996、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、New York、USAによって記載されている。哺乳類細胞の培養は、例えば(Animal Cell Biotechnology、Methods and Protocols、Edited by Nigel Jenkins、1999、Human Press Inc.Totowa、NJ、USA およびHarrison Mass.ならびにRae IF、General Techniques of Cell Culture、Cambridge University Press 1997)に開示されるように、確立された手法に従って実施され得る。
(I.E.coli、Pseudomonas種、および他の原核生物)
細菌発現技術は、当業者に公知である。多種多様なベクターが、細菌宿主における使用のために利用可能である。ベクターは、単一コピーまたは低もしくは高い多コピーベクターであり得る。ベクターは、クローニングおよび/または発現のために役立つことができる。ベクターに関する十分な文献、多くのベクターの商業的利用、ならびにベクターおよびそれらの制限地図および特性を記載するマニュアルさえも考慮すると、ここでは広範な議論は必要とされない。周知のように、ベクターは通常、選択を可能にするマーカーを含み、このマーカーは、細胞毒性剤耐性、原栄養性または免疫性を提供し得る。しばしば、異なる特性を提供する複数のマーカーが存在する。
細菌のプロモーターは、細菌のRNAポリメラーゼに結合し、mRNAへのコード配列(たとえば構造遺伝子)の下流(3’)の転写を開始することができるあらゆるDNA配列である。プロモーターは、通常コード配列の5’末端の近位に配置される転写開始領域を有するであろう。この転写開始領域は、典型的にはRNAポリメラーゼ結合部位および転写開始部位を含む。細菌のプロモーターは、オペレーターとよばれる第二のドメインを有していてもよい。第二のドメインは、RNA合成が始まる隣接するRNAポリメラーゼ結合部位と重複してもよい。遺伝子リプレッサータンパク質がオペレーターに結合し、それによって特定の遺伝子の転写を阻害することがあるので、オペレーターは負の調節(誘導)を受ける転写を可能にしている。構成的発現は、オペレーターのような負の調節エレメントの非存在下で生じ得る。さらに、正の調節は、遺伝子アクチベータータンパク質結合配列によって達成され得るが、これは存在する場合には通常、RNAポリメラーゼ結合配列の近位(5’)に存在する。遺伝子アクチベータータンパク質の例は、カタボライトアクチベータータンパク質(CAP)であり、これは、Escherichia coli(E.coli)におけるlacオペロンの転写開始を助ける(Raibaudら、ANNU.REV.GENET.(1984)18:173)。したがって、調節された発現は正または負のいずれかであり、それによって転写を増強または減少させることができる。
用語「細菌宿主」または「細菌宿主細胞」は、組換えベクターまたは他の転写DNAのレシピエントとして使用され得るか、または使用された細菌を指す。この用語は、トランスフェクトされた元の細菌宿主細胞の子孫を含む。偶発的または意図的な突然変異のために、単一の親細胞の子孫は、形態学的に、またはゲノムまたは全DNA補体において、必ずしも元の親と完全に同一ではない可能性があることが理解される。IL-10ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の存在のような、関連する特性によって特徴付けられるように親に十分に類似している親細胞の子孫は、この定義によって意図される子孫に含まれる。
IL-10ポリペプチドの発現のための適当な宿主細菌の選択は、当業者に公知である。発現のための細菌宿主の選択において、適当な宿主は、とりわけ、良好な封入体形成能力、低いタンパク質分解活性、および全体的な堅牢性を有することが示された宿主を含み得る。細菌宿主は一般に、以下に限定されないが、Bacterial Genetic Stock Center、Department of Biophysics and Medical Physics、University of California(Berkeley、CA);およびAmerican Type Culture Collection(「ATCC」)(Manassas、VA)を含む種々の供給源から入手可能である。工業的/医薬発酵は一般に、K株(例えば、W3110)に由来する細菌、またはB株(例えば、BL21)に由来する細菌を使用する。これらの株は、それらの成長パラメーターが非常によく知られており、そして頑強であるので、特に有用である。さらに、これらの株は非病原性であり、これは安全性および環境上の理由から商業的に重要である。適切なE.coli宿主の他の例としては、BL21、DH10B、またはそれらの誘導体の株を含むが、これらに限定されない。本発明の方法の別の実施形態において、E.coli宿主は、OMP-およびLON-を含むが、これらに限定されないプロテアーゼマイナス株である。宿主細胞株は、限定されないが、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosa、およびPseudomonas putidaを含む、シュードモナス(Pseudomonas)の種であり得る。MB101株と命名されたPseudomonas fluorescens biovar1は、組換え産生に有用であることが知られており、治療用タンパク質産生処理に利用可能である。シュードモナス発現系の例には、宿主株としてThe Dow Chemical Companyから利用可能な系(Midland、MI、インターネットのdow.comで入手可能)が含まれる。
一旦、組換え宿主細胞株が確立されると(すなわち、発現構築物が宿主細胞に導入され、そして適切な発現構築物を有する宿主細胞が単離されると)、組換え宿主細胞株は、IL-10ポリペプチドの産生に適切な条件下で培養される。当業者に明らかであるように、組換え宿主細胞株の培養方法は、利用される発現構築物の性質および宿主細胞の同一性に依存する。組換え宿主株は、通常、当業者に公知の方法を用いて培養される。組換え宿主細胞は、典型的には炭素、窒素、および無機塩の同化可能な供給源を含有し、場合により、ビタミン、アミノ酸、成長因子、および当業者に公知の他のタンパク質性培養補助剤を含有する液体培地中で培養される。宿主細胞の培養のための液体培地は、所望されない微生物および/または化合物の成長を防ぐために、抗生物質または抗真菌剤(を任意に含み得る。抗生物質または抗真菌剤は、発現ベクターを含む宿主細胞について選択するための抗生物質を含むが、これらに限定されない。
組換え宿主細胞は、バッチまたは連続フォーマットで培養され得、細胞採取(IL-10ポリペプチドが細胞内に蓄積する場合)またはバッチもしくは連続フォーマットのいずれかでの培養上清の採取のいずれかである。原核生物宿主細胞における産生のためには、バッチ培養および細胞採取が好ましい。
本発明のIL-10ポリペプチドは、通常、組換え系における発現後に精製される。IL-10ポリペプチドは、本技術分野で公知の種々の方法によって宿主細胞または培養培地から精製され得る。細菌宿主細胞中で産生されるIL-10ポリペプチドは、難溶性または不溶性で(封入体の形態で)あり得る。本発明の一実施形態では、本明細書に開示された方法、ならびに本技術分野で公知の方法を利用して、組換え産生されたタンパク質の溶解度を増加させる目的で選択されるIL-10ポリペプチドにおいて、アミノ酸置換を容易に行うことができる。不溶性タンパク質の場合、タンパク質は遠心分離によって宿主細胞溶解物から収集され得、そしてさらに、細胞の均質化が続き得る。難溶性タンパク質の場合、ポリエチレンイミン(PEI)を含むがこれに限定されない化合物を添加して、部分的に可溶性のタンパク質の沈殿を誘導することができる。次いで、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって好的に収集され得る。組換え宿主細胞は、当業者に公知の種々の方法を使用して、細胞内から封入体を放出するために破壊または均質化され得る。宿主細胞破壊または均質化は、酵素的細胞破壊、超音波処理、ドゥンス均質化、または高圧放出破壊を含むがこれらに限定されない周知の技術を使用して実施され得る。本発明の方法の1つの実施形態において、高圧放出技術は、IL-10ポリペプチドの封入体を放出するためにE.coli宿主細胞を破壊するために使用される。IL-10ポリペプチドの封入体を取り扱う場合、可溶化、機械的剪断またはタンパク質分解などの要因による損失なしに封入体の収率を最大にするために、均質化時間の繰り返しを最小にすることが有利であり得る。
次いで、不溶性または沈殿したIL-10ポリペプチドは、本技術分野で公知の任意の数の適切な可溶化剤を使用して可溶化され得る。IL-10ポリエチドは、尿素または塩酸グアニジンで可溶化され得る。可溶化されたIL-10ポリペプチドの体積は、便利に扱いやすいバッチサイズを用いて大きなバッチを製造することができるように、最小限にすべきである。この因子は、組換え宿主が数千リットルの体積のバッチで増殖され得る大規模な商業的設定において有意義であり得る。さらに、特にヒトの医薬用途のために、大規模な商業的設定においてIL-10ポリペプチドを製造する場合、機械および容器、またはタンパク質産物自体を損傷し得る過酷な化学物質の回避は、可能であれば、回避されるべきである。本発明の方法において、より穏和な変性剤尿素を使用して、過酷な変性剤グアニジン塩酸塩の代わりにIL-10ポリペプチド封入体を可溶化することができることが示された。尿素の使用は、IL-10ポリペプチド封入体を効率的に可溶化しながら、IL-10ポリペプチドの製造および精製プロセスにおいて利用されるステンレス鋼装置に対する損傷のリスクを大いに減少させる。
水溶性IL-10タンパク質の場合、IL-10は、ペリプラズム空間に、または培養培地中に分泌され得る。さらに、水溶性IL-10は宿主細胞の細胞質に存在している可能性がある。精製工程を行う前に水溶性IL-10を濃縮することが望ましい場合がある。当業者に公知の標準的な技術を使用して、例えば、細胞溶解物または培養培地から水溶性IL-10を濃縮し得る。さらに、当業者に公知の標準的な技術を使用して、宿主細胞を破壊し、そして宿主細胞の細胞質またはペリプラズム空間から水溶性IL-10を放出し得る。
一般に、発現されたポリペプチドを変性および減少させ、次いで、ポリペプチドを好ましい立体配座にリフォールディングさせることが時折望ましい。例えば、グアニジン、尿素、DTT、DTE、および/またはシャペロニンを、目的の翻訳産物に添加し得る。タンパク質を減少させ、変性させ、そして再生させる方法は、当業者に公知である(上記の参考文献、ならびにDebinskiら(1993)J.Biol.Chem.、268:14065-14070;KreitmanおよびPastan(1993)Bioconjug.Chem.,4:581-585;ならびにBuchnerら、(1992)Anal.Biochem.、205:263-270を参照のこと)。例えば、Debinskiらは、グアニジン-DTEにおける封入体タンパク質の変性および還元を記載している。このタンパク質は、酸化型グルタチオンおよびL-アルギニンを含むがこれらに限定されない酸化還元緩衝液中でリフォールディングされ得る。リフォールディング試薬は、1つ以上のポリペプチドまたは他の発現産物と接触するように流され得るか、もしくはそうでなければ移動させられ得るか、またはその逆であり得る。
IL-10ポリペプチドの原核生物産生の場合、このように産生されたIL-10ポリペプチドは、誤って折り畳まれ得る。従って、当該IL-10ポリペプチドは、生物学的活性を欠くか、または減少した生物学的活性を有する。タンパク質の生物活性は、「リフォールディング」によって回復させることができる。一般に、誤って折り畳まれたIL-10ポリペプチドは、可溶化(IL-10ポリペプチドも不溶性である)し、例えば、1つ以上のカオトロピック剤(例えば、尿素および/またはグアニジン)およびジスルフィド結合を還元し得る還元剤(例えば、ジチオトレイトール、DTTまたは2-メルカプトエタノール、2-ME)を使用して、ポリペプチド鎖を展開および還元することによってリフォールディングされる。適度な濃度のカオトロープで、酸化剤(例えば、酸素、シスチンまたはシスタミン)を次に添加し、これによりジスルフィド結合の再形成が可能になる。IL-10ポリペプチドは、本技術分野で公知の標準的な方法、例えば、本明細書中に参照によって援用される、米国特許第4,511,502号;第4,511,503号;および第4,512,922号に記載される方法を使用してリフォールディングされ得る。IL-10ポリペプチドはまた、他のタンパク質と共折り畳みされて、ヘテロ二量体またはヘテロ多量体を形成し得る。
リフォールディング後、IL-10をさらに精製することができる。IL-10の精製は、疎水性相互作用クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、逆相高速液体クロマトグラフィ、アフィニティークロマトグラフィなど、またはこれらの任意の組み合わせを含む、当業者に公知の様々な技術を使用して達成され得る。さらなる精製はまた、精製されたタンパク質の乾燥または沈殿の工程を含み得る。
精製後、IL-10は異なる緩衝液中に交換され得、そして/またはダイアフィルトレーションおよび透析を含むがこれらに限定されない、本技術分野で公知の種々の方法のいずれかによって濃縮され得る。単一の精製タンパク質として提供されるIL-10は、凝集および沈殿に供され得る。精製されたIL-10は、(逆相高速液体クロマトグラフィ、RP-HPLC、またはドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、SDS-PAGEによって測定したときに)少なくとも90%純粋、または少なくとも95%純粋、または少なくとも96%純粋、または少なくとも97%純粋、または少なくとも98%純粋、または少なくとも99%以上純粋であり得る。IL-10の純度の正確な数値にかかわらず、IL-10は医薬製品としての使用のために、またはさらなる処理、例えばPEGのような水溶性ポリマーとの複合体化(Conjugation)のために、十分に純粋である。特定のIL-10分子は、他の活性成分またはタンパク質(賦形剤、担体、および安定剤、血清アルブミンなど以外)の非存在下で治療薬として使用され得るか、またはそれらは別のタンパク質またはポリマーと複合体化され得る。
以前に、所望のアンバーナンセンス突然変異を含む遺伝子でプログラムされたタンパク質合成反応に、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを添加することによって、非天然アミノ酸をin vitroでタンパク質に部位特異的に組み込むことができることが示されている。これらのアプローチを使用して、特定のアミノ酸に対して栄養要求性の株を使用して、いくつかの共通の20アミノ酸を、近似した構造ホモログ例えば、フェニルアラニンの代わりに、フルオロフェニルアラニン、で置換し得る。例えば、Norenら、A general method for site-specific incorporation of unnatural amino acids into proteins、Science、244:182-188(1989);Nowakら、Science 268:439-42(1995);Bainら、Biosynthetic site-specific Incorporation of a non-natural amino acid into a polypeptide、J.Am Chem Soc、111:8013-8014(1989);Budisaら、FASEB J.13:41-51(1999);Ellmanら、Biosynthetic method for introducing unnatural amino acids site-specifically into proteins、Methods in Enz.、vol.202,301-336(1992);およびMendelら、Site-Directed Mutagenesis with an Expanded Genetic Code、Annu Rev Biophys.Biomol Struct.24,435-62(1995)を参照されたい。
例えば、終止コドンUAGを認識し、非天然アミノ酸で化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを調製した。従来の部位特異的突然変異誘発を用いて、タンパク質遺伝子の関心部位に、終止コドンTAGを導入した。例えば、Sayersら、5’-3’Exonucleases in phosphorothioate-based olignoucleotide-directed mutagensis、Nucleic Acids Res、16(3):791-802(1988)を参照のこと。アシル化サプレッサーtRNAと変異遺伝子をin vitro転写/翻訳系で組み合わせると、非天然アミノ酸は特定の位置にそのアミノ酸を含むタンパク質を与えたUAGコドンに応答して取り込まれた。[H]-Pheを用いた実験およびα-ヒドロキシ酸を用いた実験は、所望のアミノ酸のみがUAGコドンによって特定される位置に組み込まれ、このアミノ酸はタンパク質中の他の部位に組み込まれないことを実証した。例えば、Norenら、前出;Kobayashiら、Nature Structural Biology 10(6):425-432、(2003);およびEllmanら、Site-specific incorporation of novel backbone structures into proteins、Science、255(5041):197-200(1992)を参照のこと。
tRNAは、化学的または酵素的アミノアシル化を含むがこれらに限定されない任意の方法または技術によって、所望のアミノ酸でアミノアシル化され得る。アミノアシル化はアミノアシルtRNA合成酵素によって、またはリボザイムを含むが、これに限定されない他の酵素分子によって達成され得る。用語「リボザイム」は「触媒RNA」と交換可能である。Cechおよび共同研究者(Cech、Science、236:1532-1539,(1987);McCorkleら、Concepts Biochem.64:221-226,(1987))は、触媒として作用し得る天然に生じるRNA(リボザイム)の存在を実証した。しかし、これらの天然RNA触媒は開裂およびスプライシングのためにリボ核酸基質に作用することのみが示されているが、リボザイムの人工的進化の最近の開発は、触媒作用のレパートリーを種々の化学反応に拡張した。研究により、それ自身の(2’)3’-末端上のアミノアシル-RNA結合を触媒することができるRNA分子(Illangakekareら、Science 267:643-647、(1995))、および1つのRNA分子から別のRNA分子へアミノ酸を移動させることができるRNA分子が同定された(Lohseら、1996、Nature 381:442-444)。
米国特許出願公開第2003/0228593号(これは、本明細書中で参照によって援用される)は、リボザイムを構築するための方法、および天然にコードされるアミノ酸および天然にコードされていないアミノ酸を用いたtRNAのアミノアシル化におけるそれらの使用を記載する。リボザイムを含むがこれに限定されない、tRNAをアミノアシル化することができる酵素分子の基質固定化形態は、アミノアシル化製品の効率的な親和性精製を可能にし得る。適当な基質の例には、アガロース、セファロースおよび磁気ビーズが含まれる。アミノアシル化のための基質固定化形態のリボザイムの産生および使用は、Chemistry and Biology,10:1077-1084、(2003)および米国特許出願公開第2003/0228593号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
アミノアシル化における合成酵素の使用を避けるための化学的アミノアシル化方法には、それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる、Hechtおよび共同研究者(Hecht、Acc.Chem.Res.25,545,(1992);Hecklerら、Biochemistry,27,7254,(1988);Hechtら、Biol.Chem.、253、4517、(1978))および(Cornishら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、34、621、(1995);Robertsonら、J.Am.Chem.Soc.、113、2722、(1991);Norenら、Science、244、182、(1989);Bainら、J.Am.Chem.Soc.,111,8013,(1989);Bainら.Nature,356,537,(1992);Gallivanら、Chem.Biol.,4,740,(1997);TurcattiらJ.Biol.Chem.271,19991,(1996);Nowakら Science,268,439,(1995);Saksら J.Biol.Chem.,271,23169,(1996);Hohsakaら J.Am.Chem.Soc.、121(51)、pp12194-12195、(1999))によって発表されたものが含まれるが、これらに限定されない。このような方法または他の化学的アミノアシル化方法を使用して、tRNA分子をアミノアシル化し得る。
触媒RNAを生成するための方法は、ランダム化リボザイム配列の別々のプールを生成すること、プール上で指向性進化を実施すること、所望のアミノアシル化活性についてプールをスクリーニングすること、および所望のアミノアシル化活性を示すリボザイムの配列を選択することを含み得る。
再構成された翻訳系も使用することができる。精製された翻訳因子の混合物はまた、mRNAをタンパク質に翻訳するために、ならびに開始因子-1(IF-1)、IF-2、IF-3(αまたはβ)、伸長因子T(EF-Tu)、または終結因子のような精製された翻訳因子を補充した溶解物、または溶解物の組み合わせに首尾よく使用されている。無細胞系はまた、DNAが系に導入され、mRNAに転写され、そしてmRNAが、参照により本明細書に特に組み込まれる、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編集者、Wiley Interscience、1993)に記載されるように、翻訳される転写/翻訳系と連結されてもよい。真核生物転写系において転写されるRNAは、ヘテロ核RNA(hnRNA)または5’末端キャップ(7-メチルグアノシン)および3’末端ポリAテール成熟mRNAの形態であり得、これは特定の翻訳系において有利であり得る。例えば、キャップされたmRNAは、網状赤血球溶解物系において高い効率で翻訳される。
(IX.IL-10ポリペプチドに結合した高分子ポリマー)
本明細書中に記載される天然ではないアミノ酸ポリペプチドに対する種々の修飾は、本明細書中に記載される組成物、方法、技術および戦略を使用して達成され得る。これらの修飾には、標識;色素;ポリマー;水溶性ポリマー;ポリエチレングリコールの誘導体;光架橋剤;放射性核種;細胞毒性化合物;薬物;親和性標識;光親和性標識;反応性化合物;樹脂;第2のタンパク質またはポリペプチドまたはポリペプチドアナログ;抗体または抗体断片;金属キレート;補助因子;脂肪酸;炭水化物;ポリヌクレオチド;DNA;RNA;アンチセンスポリヌクレオチド;糖類;水溶性デンドリマー;シクロデキストリン;阻害性リボ核酸;生体材料;ナノ粒子;スピン標識;フルオロフォア;金属含有部分;放射性基;新規機能性基;他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用する基;光ケージ化部分;化学線励起可能部分;光異性化可能部分;ビオチン;ビオチンの誘導体;ビオチンアナログ;重原子を内包する部分;化学的に切断可能な基;光切断可能な基;伸長した側鎖;炭素結合糖;レドックス活性剤;アミノチオ酸;毒性部分;同位体的に標識された部分;生物物理的プローブ;リン光基;化学発光基;電子密度基;磁気基;挿入基;発色団;エネルギー移動剤;生物活性剤;検出可能な標識;小分子;量子ドット;ナノトランスミッター;放射性ヌクレオチド;放射性トランスミッター;中性子捕獲剤;または上記の任意の組み合わせ、または任意の他の所望の化合物もしくは物質を含むが、これらに限定されない、ポリペプチドの天然ではないアミノ酸成分へのさらなる機能性基の組み込みが含まれる。本明細書中に記載される組成物、方法、技術、および戦略の例示的な非限定的な例として、以下の記載は天然ではないアミノ酸ポリペプチドへの高分子ポリマーの添加に焦点を当て、そのために記載される組成物、方法、技術、および戦略はまた、上記に列挙されるものを含むがそれらに限定されない他の機能性基の添加にも適用可能である(必要であれば、当業者が本明細書中の開示を用いて行うことができる、適切な改変を伴う)ことが理解される。
多種多様な高分子ポリマーおよび他の分子を本発明のIL-10ポリペプチドに連結して、IL-10ポリペプチドの生物学的特性を調節し、および/またはIL-10分子に新しい生物学的特性を提供することができる。これらの高分子ポリマーは、天然にコードされるアミノ酸を介して、天然にコードされないアミノ酸を介して、または天然もしくは天然ではないアミノ酸の任意の機能的置換基を介して、または天然もしくは天然ではないアミノ酸に付加される任意の置換基もしくは機能性基を介して、IL-10ポリペプチドに連結され得る。ポリマーの分子量は、約100Da~約100,000Daまたはそれ以上を含むが、これらに限定されない、広い範囲であってよい。ポリマーの分子量は、約100Da~約100,000Daであり得、これは、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量が約100Da~約50,000Daである。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量が約100Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量が約1,000Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量が約5,000Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量が約10,000Da~約40,000Daである。
本発明は、ポリマー:タンパク質複合体の実質的に均質な調製物を提供する。「実質的に均質」とは、本明細書中で使用される場合、ポリマー:タンパク質複合体分子が全タンパク質の半分よりも多いことが観察されることを意味する。ポリマー:タンパク質複合体は生物学的活性を有し、そして本明細書中に記載の本発明の「実質的に均質である」PEG化IL-10ポリペプチド調製物は、均質な調製物の利点、例えば、ロット間の薬物動態の予測可能性における臨床適用の容易さを示すのに十分に均質であるものである。
ポリマー:タンパク質複合体分子の混合物を調製することを選択することもでき、本明細書で提供される利点は、混合物中に含めるモノポリマー:タンパク質複合体の割合を選択することができることである。従って、所望であれば、種々の数のポリマー部分が結合した(すなわち、ジ-、トリ-、テトラ-など)種々のタンパク質の混合物を調製し得、そしてこの複合体を、本発明の方法を使用して調製されたモノポリマー:タンパク質複合体と組み合わせ得、そして所定の割合のモノポリマー:タンパク質複合体との混合物を有し得る。
選択されるポリマーは、それが付着するタンパク質が生理学的環境などの水性環境中で沈殿しないように、水溶性であってもよい。ポリマーは、分岐状であっても非分岐状であってもよい。最終生成調製物の治療的使用のために、ポリマーは、薬学的に許容されるものであり得る。ポリマーの例としては、ポリアルキルエーテルおよびそのアルコキシキャップアナログ(例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレン/プロピレングリコール、およびメトキシまたはそのエトキシキャップアナログ、特にポリオキシエチレングリコール、後者はポリエチレングリコールまたはPEGとしても知られる);ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルキルエーテル;ポリオキサゾリン、ポリアルキルオキサゾリンおよびポリヒドロキシアルキルオキサゾリン;ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド、およびポリヒドロキシアルキルアクリルアミド(例えば、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドおよびその誘導体);ポリヒドロキシアルキルアクリレート;ポリシアル酸およびその類似物;親水性ペプチド配列;多糖類およびその誘導体であり、デキストランおよびデキストラン誘導体、例えばカルボキシメチルデキストラン、デキストラン硫酸、アミノデキストランなどを含むが、これらに限定されない;セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース;キチンおよびその誘導体、例えば、キトサン、スクシニルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン;ヒウロン酸およびその誘導体;でん粉;アルギン酸塩;コンドロイチン硫酸;アルブミン;プルランおよびカルボキシメチルプルラン;ポリアミノ酸およびその誘導体、例えば、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリアスパラギン酸、ポリアスパラアミド;無水マレイン酸スチレン共重合体、例えば:無水スチレンマレイン酸共重合体、無水ジビニルエーテルマレイン酸共重合体;ポリビニルアルコール;これらの共重合体;これらの重合体;これらの混合体;ならびにこれらの誘導体などが含まれるがこれらに限定されない。
タンパク質分子に対するポリエチレングリコール分子の割合は、反応混合物中のそれらの濃度と同様に変化する。一般に、最適比(最小限の過剰の未反応タンパク質またはポリマーが存在するという点での反応効率に関する)は、選択されたポリエチレングリコールの分子量および利用可能な反応性基の数によって決定され得る。分子量に関するように、典型的には、ポリマーの分子量が高いほど、タンパク質に結合し得るポリマー分子の数は少なくなる。同様に、ポリマーの分岐も、これらのパラメーターを最適化する場合に考慮に入れなくてはならない。一般に、分子量が高いほど(または分岐が多いほど)、ポリマー:タンパク質の比は高くなる。
本明細書中で使用される場合、そしてPEG:IL-10ポリペプチド複合体を意図する場合、用語「治療有効量」は、患者に所望の利益を与える量を指す。この量は個人(個体)ごとに異なり、患者の全体的な身体症状および治療される症状の根本的な原因を含む、多くの因子に依存する。治療のために使用されるIL-10ポリペプチドの量は、許容される変化速度を与え、そして有益なレベルで所望の応答を維持する。本発明の組成物の治療有効量は、公的に入手可能な材料および手順を使用して、当業者によって容易に確認され得る。
水溶性ポリマーは、直鎖状、二又状または分岐状を含むがこれらに限定されない任意の構造形態であってよい。典型的には、水溶性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)などのポリ(アルキレングリコール)であるが、他の水溶性ポリマーも使用することができる。例として、PEGは、本発明の特定の実施形態を記載するために使用される。
PEGは周知の水溶性ポリマーであり、購入できるか、または当業者に公知の方法(SandlerおよびKaro、Polymer Synthesis、Academic Press、New York、Vol.3、138-161ページ)に従ってエチレングリコールの開環重合によって調製することができる。用語「PEG」は、PEGのサイズまたは末端での修飾に関係なく、任意のポリエチレングリコール分子を包含するために広く使用され、次式によってIL-10ポリペプチドに連結されているように表すことができる:
XO-(CHCHO)-CHCH-Y
ここで、nは2から10,000であり、XはHまたは、末端の修飾である。末端の修飾は、限定されないが、C1-4アルキル、保護基、もしくは末端の機能基を含む。
いくつかの場合において、本発明において使用されるPEGは、ヒドロキシまたはメトキシで一方の末端で終結する。すなわち、Xは、HまたはCH(「メトキシPEG」)である。あるいは、PEGは反応性基で終端することができ、それによって二官能性ポリマーを形成することができる。典型的な反応性基は、20の共通アミノ酸に見られる機能性基(マレイミド基、活性炭酸塩(p-ニトロフェニルエステルを含むが、これらに限定されない)、活性化エステル(N-ヒドロキシスクシンイミド、p-ニトロフェニルエステルを含むが、これらに限定されない)およびアルデヒドを含むが、これらに限定されない)と、20の共通アミノ酸に対して不活性であるが、天然にコードされていないアミノ酸に存在する相補的機能性基(アジド基、アルキン基を含むが、これらに限定されない)と特異的に反応する機能性基と、に反応するために一般に使用される反応性基を含み得る。上記式においてYで示されるPEGの他端は、天然に生じるまたは天然にコードされていないアミノ酸を介してIL-10ポリペプチドに直接的または間接的に付着することに留意されたい。例えば、Yはポリペプチドのアミン基(リジンのεアミンまたはN末端を含むが、これらに限定されない)へのアミド、カルバメートまたは尿素結合であり得る。あるいは、Yはチオール基(システインのチオール基を含むが、これに限定されない)へのマレイミド結合であってもよい。あるいは、Yは20個の共通のアミノ酸を介して一般的に接近可能でない残基への連結であり得る。例えば、PEG上のアジド基をIL-10ポリペプチド上のアルキン基と反応させて、ヒュスゲン[3+2]環状付加生成物を形成することができる。あるいは、PEG上のアルキン基を、天然にコードされていないアミノ酸中に存在するアジド基と反応させて、類似の産物を形成することができる。いくつかの実施形態では、強い求核試薬(ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、セミカルバジドを含むが、これらに限定されない)を、天然にコードされていないアミノ酸中に存在するアルデヒドまたはケトン基と反応させて、ヒドラゾン、オキシム、またはセミカルバゾンを形成することができ、適用することができる。場合によっては適切な還元剤での処置によってさらに還元することができる。あるいは、強力な求核試薬が天然にコードされていないアミノ酸を介してIL-10ポリペプチドに組み込まれ得、水溶性ポリマー中に存在するケトンまたはアルデヒド基と優先的に反応するために使用され得る。
PEGのための任意の分子量は、限定されるものではないが、約100ダルトン(Da)~100,000Daまたは所望の場合はそれ以上(限定されるものではないが、時には0.1~50kDaまたは10~40kDaを含む)を含み、実際に所望されるように使用することができる。PEGの分子量は、約100Da~約100,000Da、またはそれ以上を含むが、これらに限定されない、広範囲であってよい。PEGは、約100Da~約100,000Da、であり得、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、PEGが約100Da~約50,000Daである。いくつかの実施形態では、PEGが約100Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、PEGが約1,000Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、PEGが約5,000Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態において、PEGは約10,000Da~約40,000Daの間である。1~100kDa(1~50kDaまたは5~20kDaを含むが、これらに限定されない)の範囲のMWを有する各鎖を有するPEG分子を含むがこれらに限定されない、分岐鎖PEGを使用することもできる。分岐鎖PEGの各鎖の分子量は、約1,000Da~約100,000Da、またはそれ以上を含むが、これらに限定されない。分岐鎖PEGの各鎖の分子量は、約1,000Da~約100,000Daであり得、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、および1,000Daを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、分岐鎖PEGの各鎖の分子量は、約1,000Da~約50,000Daである。いくつかの実施形態では、分岐鎖PEGの各鎖の分子量は、約1,000Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、分岐鎖PEGの各鎖の分子量は、約5,000Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、分岐鎖PEGの各鎖の分子量は、約5,000Da~約20,000Daである。広範囲のPEG分子が記載されており、これには、限定されないが、、本明細書中に参照によって援用されるShearwater Polymers、Inc.カタログ、Nektar Therapeuticsカタログが含まれる。
一般に、PEG分子の少なくとも1つの末端は、天然にコードされていないアミノ酸との反応に利用可能である。例えば、アミノ酸側鎖との反応のためのアルキンおよびアジド部分を有するPEG誘導体を使用して、本明細書中に記載されるように、PEGを天然にコードされていないアミノ酸に付着させることができる。天然にコードされていないアミノ酸がアジドを含む場合、PEGは典型的には[3+2]環状付加生成物の形成をもたらすアルキン部分、またはアミド結合の形成をもたらすホスフィン基を含有する活性化PEG種(すなわち、エステル、カーボネート)のいずれかを含有する。あるいは、天然にコードされていないアミノ酸がアルキンを含む場合、PEGは典型的には[3+2]ヒュスゲン環状付加生成物の形成をもたらすアジド部分を含有する。天然にコードされていないアミノ酸がカルボニル基を含む場合、PEGは典型的には、対応するヒドラゾン、オキシム、およびセミカルバゾン結合の形成をそれぞれもたらすために、強力な求核試薬(ヒドラジド、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、またはセミカルバジド機能性基を含むが、これらに限定されない)を含む。他の代替において、上記の反応基の方位の逆を使用することができ、すなわち、天然にコードされていないアミノ酸中のアジド部分を、アルキンを含有するPEG誘導体と反応させることができる。
いくつかの実施形態では、PEG誘導体を有するIL-10ポリペプチド変異体は、天然にコードされていないアミノ酸の側鎖上に存在する化学機能性基と反応性である化学機能性基を含有する。
本発明は、いくつかの実施形態において、約800Da~約100,000Daの平均分子量を有する水溶性ポリマー骨格を含むアジド-およびアセチレン-含有ポリマー誘導体を提供する。水溶性ポリマーのポリマー骨格は、ポリ(エチレングリコール)であり得る。しかし、ポリ(エチレン)グリコールと、ポリ(デキストラン)およびポリ(プロピレングリコール)を含む他の関連ポリマーと、を含むがこれらに限定されない広範な水溶性ポリマーもまた、本発明の実施における使用に適しており、用語PEGまたはポリ(エチレングリコール)の使用はこのような分子すべてを包含し、包括することが意図されることを理解されたい。PEGという用語は、二官能性PEG、多分岐PEG、誘導体化PEG、二又状PEG、分岐PEG、ペンダントPEG(すなわち、ポリマー骨格にぶら下がった1つ以上の機能性基を有するPEGまたは関連ポリマー)、または分解可能な結合を有するPEGを含むが、これらに限定されない、その所望の形態のポリ(エチレングリコール)を含む。
PEGは、典型的には透明で、無色で、無臭で、水に水溶性で、熱に対して安定で、多くの化学薬品に対して不活性で、加水分解や劣化せず、一般に非毒性である。ポリ(エチレングリコール)は生体適合性であると考えられ、すなわち、PEGは、害を引き起こすことなく、生きている組織または生物と共存することができる。より具体的には、PEGは実質的に非免疫原性であり、すなわちPEGは体内で免疫応答を生じない傾向がある。生物学的に活性な薬剤のような、体内で何らかの望ましい機能を有する分子に付着した場合、PEGは薬剤をマスクする傾向があり、生物が薬剤の存在に耐えることができるように、任意の免疫応答を低減または排除することができる。PEG複合体は、実質的な免疫応答を生じないか、または凝固もしくは他の望ましくない効果を引き起こさない傾向がある。式--CHCHO--(CHCHO)--CHCH--、を有しており、nが約3から約4000、典型的には約20から約2000であるPEGは、本発明における使用に適している。約800Da~約100,000Daの分子量を有するPEGは、本発明のいくつかの実施形態において、ポリマー骨格として特に有用である。PEGの分子量は、約100Da~約100,000Daまたはそれ以上を含むがこれらに限定されない広範囲であってよい。PEGの分子量は約100Da~約100,000Daであり得、これは、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、PEGの分子量が約100Da~約50,000Daである。いくつかの実施形態では、PEGの分子量が約100Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、PEGの分子量が約1,000Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、PEGの分子量が約5,000Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、PEGの分子量が約10,000Da~約40,000Daである。
ポリマー骨格は、直鎖状または分岐状であり得る。分岐ポリマー骨格は、本技術技術分野において一般に知られている。典型的には、分岐ポリマーは、中央分岐コア部分と、中央分岐コアに連結された複数の直鎖状ポリマー鎖とを有する。PEGは、グリセロール、グリセロールオリゴマー、ペンタエリスリトールおよびソルビトールのような種々のポリオールへのエチレンオキシドの付加によって調製することができる分岐形態で一般に使用される。中央分岐部分はまた、いくつかのアミノ酸、例えばリジンに由来し得る。分岐ポリ(エチレングリコール)はR(-PEG-OH)として一般的な形態で表すことができ、ここで、Rはグリセロール、グリセロールオリゴマー、またはペンタエリスリトールなどのコア部分に由来し、mは、アームの数を表す。米国特許第5,932,462号;第5,643,575号;第5,229,490号;第4,289,872号;米国特許Appl.2003/0143596;WO96/21469;およびWO93/21259(そのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような多分岐PEG分子もまた、ポリマー骨格として使用され得る。
分岐PEGはPEG(--YCHZによって表される二又状PEGの形式でもよく、ここで、Yは連結基であり、Zは、定義された長さの原子の連鎖によってCHに連結された活性化された端末基である。さらに別の分岐形態であるペンダントPEGは、PEG鎖の末端ではなく、PEG骨格に沿ってカルボキシルなどの反応性基を有する。これらの形態のPEGに加えて、ポリマーはまた、骨格中に弱いまたは分解可能な結合を有するように調製することができる。例えば、PEGは、加水分解を受けるポリマー骨格中にエステル結合を有するように調製することができる。以下に示すように、この加水分解は、ポリマーの低分子量の断片への開裂をもたらす:-PEG-CO-PEG-+HO→PEG-COH+HO-PEG-
ポリ(エチレングリコール)またはPEGという用語は、本明細書に開示されているものを含むがこれに限定されない、全ての既知の形態を示すまたは含むことが当業者には理解される。
多くの他のポリマーもまた、本発明における使用に適している。ある実施形態において、2~約300末端を有する、水溶性であるポリマー骨格は、本発明において特に有用である。適切なポリマーの例には、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)などの他のポリ(アルキレングリコール)、それらの共重合体(エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体を含むが、これらに限定されない)、それらの三元重合体、それらの混合物などが含まれるが、これらに限定されない。ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は変化し得るが、典型的には約800Da~約100,000Da、しばしば約6,000Da~約80,000Daの範囲である。ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約100Da~約100,000Daであり得、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Daおよび100Daを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量が約100Da~約50,000Daである。いくつかの実施形態では、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量が約100Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量が約1,000Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量が約5,000Da~約40,000Daである。いくつかの実施形態では、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量が約10,000Da~約40,000Daである。
当業者は、実質的に水溶性の骨格についての上記のリストは、手段を網羅するものではなく、単に例示的なものであり、上記の品質を有するすべてのポリマー材料が、本願での使用に適していると考えられることを認識するであろう。本発明のいくつかの実施形態では、ポリマー誘導体は「多機能性」であり、これはポリマー骨格が機能性基で官能化または活性化された、少なくとも2つの末端、およびおそらくは約300もの末端を有することを意味する。多機能性ポリマー誘導体には2つの末端を有する直鎖ポリマーが含まれるが、これらに限定されず、それぞれ末端は同じであっても異なっていてもよい機能性基に結合している。
「保護された」という用語は、特定の反応条件下で化学反応性機能性基の反応を妨げる保護基または部分の存在を指す。保護基は、保護される化学反応性基のタイプに依存して変化する。例えば、化学反応性基がアミンまたはヒドラジドである場合、保護基は、tert-ブチルオキシカルボニル(t-Boc)および9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)の基から選択することができる。化学反応性基がチオールである場合、保護基はオルトピリジルジスルフィドであり得る。化学反応性基がブタン酸もしくはプロピオン酸などのカルボン酸、またはヒドロキシル基である場合、保護基は、ベンジルまたはメチル、エチル、もしくはtert-ブチルなどのアルキル基であり得る。本技術分野で公知の他の保護基もまた、本発明において使用され得る。
文献中の末端機能性基の具体例としては、N-スクシンイミジルカーボネート(例えば、米国特許第5,281,698号、第5,468,478号を参照のこと)、アミン(例えば、Buckmannら、Makromol.Chem.182:1379(1981)、Zalipskyら Eur.Polym.J.19:1177(1983)を参照のこと)、ヒドラジド(例えば、Andreszら Makromol.Chem.179:301(1978))、スクシンイミジルプロピオネートおよびスクシンイミジルブタノエート(例えば、Olsonら in Poly(ethylene glycol)Chemistry&Biological Applications、pp170-181、HarrisおよびZalipsky編、ACS、Washington、D.C.,1997を参照のこと;米国特許第5,672,662号もまた参照のこと)、スクシンイミジルスクシネート(例:Abuchowskiら、Cancer Biochem.Biophys.7:175(1984)およびJoppichら、Makromol.Chem.180:1381(1979)を参照のこと)、スクシンイミジルエステル(例えば、米国特許第4,670,417号を参照のこと)、ベンゾトリアゾールカーボネート(例えば、米国特許第5,650,234号を参照のこと)、グリシジルエーテル(例えば、Pithaら Eur.J Biochem.94:11(1979)、Ellingら、Biotech.Appl.Biochem.13:354(1991)を参照のこと、オキシカルボニルイミダゾール(例えば、Beauchampら、Anal.Biochem.131:25(1983)、Tondelliら J.Controlled Release1:251(1985)を参照のこと)、p-ニトロフェニルカーボネート(例えば、Veroneseら、Appl.Biochem.Biotech.,11:141(1985);およびSartoreら、Appl.Biochem.Biotech.、27:45(1991)を参照のこと)、アルデヒド(例えば、Harrisら J.Polym.Sci.Chem.Ed.22:341(1984)、米国特許第5,824,784号、米国特許第5,252,714号を参照)、マレイミド(例えば、Goodsonら Biotechnology(NY)8:343(1990)、Romaniら in Chemistry of Peptides and Proteins2:29(1984)、およびKogan、Synthetic Comm.22:2417(1992)を参照のこと)、オルトピリジル-ジスルフィド(例えば、Woghirenら Bioconj.Chem.4:314(1993)を参照のこと)、アクリロール(例えば、Sawhneyら、Macromolecules,26:581(1993)を参照のこと)、ビニルスルホン(例えば、米国特許第5,900,461号を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。上記の参考文献および特許の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
p-アジド-L-フェニルアラニンなどの、天然にコードされていないアミノ酸を含有するIL-10ポリペプチドのPEG化(すなわち、任意の水溶性ポリマーの付加)は、任意の簡便な方法によって実施される。例えば、IL-10ポリペプチドは、アルキン末端mPEG誘導体でPEG化される。簡単に述べると、過剰な固体mPEG(5000)-O-CH-C≡CHを、撹拌しながら、室温でp-アジド-L-Phe含有IL-10ポリペプチドの水溶液に添加する。典型的には、水溶液は反応が行われるpH付近(一般に約pH4~10)のpKを有する緩衝液で緩衝される。pH7.5でのPEG化のための適切な緩衝液の例としては例えば、HEPES、リン酸塩、ホウ酸塩、TRIS-HCl、EPPS、およびTESが含まれるが、これらに限定されない。pHを連続的にモニターし、必要に応じて調整する。反応は、典型的には約1~48時間継続させる。
続いて、反応生成物を疎水性相互作用クロマトグラフィにかけて、PEG化IL-10ポリペプチド変異体を、遊離mPEG(5000)-O-CH-C≡CHおよび、ブロックされていないPEGが分子の両端で活性化される場合に形成され得るPEG化IL-10ポリペプチドの任意の高分子量複合体から分離し、それによって、IL-10ポリペプチド変異体分子を架橋する。疎水性相互作用クロマトグラフィの間の状態は、遊離mPEG(5000)-O-CH-C≡CHがカラムを通って流れるが、架橋されたPEG化IL-10ポリペプチド変異錯体は1つ以上のPEG基に複合体化された1つのIL-10ポリペプチド変異分子を含む所望の形態の後に溶出するような状態である。適切な条件は、所望の複合体に対する架橋錯体の相対的なサイズに依存して変化し、当業者によって容易に決定される。所望の複合体を含有する溶出液を限外濾過により濃縮し、ダイアフィルトレーションにより脱塩する。
実質的に精製されたPEG-IL-10は、生成されたPEG-IL-10少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%の純度レベル、具体的には少なくとも約75%、80%、85%の純度レベル、より具体的には少なくとも約90%の純度レベル、少なくとも約95%の純度レベル、少なくとも約99%以上の純度レベル、またはそれ以上の純度レベルを有するように、上記に概説された溶出方法を使用して生成され得る。純度レベルは、SDS/PAGE分析、RP-HPLC、SEC、およびキャピラリー電気泳動のような適当な方法によって決定されるものである。必要であれば、疎水性クロマトグラフィから得られるPEG化IL-10ポリペプチドは、当業者に公知の1つ以上の手順によってさらに精製され得る。当該当業者に公知の手順としては、アフィニティークロマトグラフィ;アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィ(DEAE SEPHAROSEを含むが、これに限定されないを使用);シリカクロマトグラフィ;逆相HPLCクロマトグラフィ;ゲル濾過(SEPHADEX G-75を含むがこれに限定されないを使用);疎水性相互作用クロマトグラフィ;サイズ排除クロマトグラフィ、金属キレートクロマトグラフィ;限外濾過/ダイアフィルトレーション;エタノール沈殿;硫酸アンモニウム沈殿;クロマトフォーカシング;置換クロマトグラフィ;電気泳動手順(分取等電点電気泳動を含むがこれに限定されない);示差溶解度(硫酸アンモニウム沈殿を含むがこれに限定されない);または抽出を含むが、これらに限定されない。見かけの分子量は、球状タンパク質標準(Preneta、in PROTEIN PURIFICATION METHODS、A PRACTICAL APPROACH(HarrisおよびAngal、編)IRL Press1989、293-306)との比較によってGPCによって推定することができる。IL-10-PEG複合体の純度は、タンパク質分解(トリプシン切断を含むが、これに限定されない)とそれに続く質量分析によって評価することができる。Pepinskyら、J.Pharmcol.&Exp.Ther.297(3):1059-66(2001)。
本発明のIL-10ポリペプチドのアミノ酸に連結された水溶性ポリマーは、限定されることなく、さらに誘導体化または置換され得る。
〔アジド含有PEG誘導体〕
本発明の別の実施形態において、IL-10ポリペプチドは、天然にコードされていないアミノ酸の側鎖上に存在するアルキン部分と反応するアジド部分を含むPEG誘導体で修飾される。一般に、PEG誘導体は、1~100kDa、いくつかの実施形態では10~40kDaの範囲の平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、アジド端末PEG誘導体が以下の構造を有する:
RO-(CHCHO)-O-(CH-N
ここで、Rは簡単なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2~10で、nは100~1,000である(すなわち、平均分子量は5~40kDa)。
別の実施形態では、アジド端末PEG誘導体が以下の構造を有する:
RO-(CHCHO)-O-(CH-NH-C(O)-(CH-N
ここで、Rは簡単なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2~10、pは2~10、nは100~1,000である(すなわち、平均分子量は5~40kDa)。
本発明の別の実施形態では、アルキン含有アミノ酸を含むIL-10ポリペプチドは、末端アジド部分を含有する分岐PEG誘導体で修飾され、分岐PEGの各鎖は10~40kDaの範囲のMWを有し、5~20kDaであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、アジド端末PEG誘導体は、以下の構造を有する:
[RO-(CHCHO)-O-(CH-NH-C(O)]CH(CH-X-(CH
ここで、Rは簡単なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2~10、pは2~10、nは100~1,000であり、Xは任意でO、N、S、またはカルボニル基(C=O)であり、それぞれの場合で存在することも存在しないこともある。
〔アルキン含有PEG誘導体〕
本発明の別の実施形態において、IL-10ポリペプチドは、天然にコードされていないアミノ酸の側鎖上に存在するアジド部分と反応するアルキン部分を含むPEG誘導体で修飾される。
いくつかの実施形態では、アルキン端末PEG誘導体が以下の構造を有する:
RO-(CHCHO)-O-(CH-C≡CH
ここで、Rは簡単なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2~10であり、nは100~1,000である(すなわち、平均分子量は5~40kDa)。
別の実施形態において、アルキン含有天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10ポリペプチドは、アミド結合の手段によってPEG骨格に連結されている末端アジドまたは末端アルキン部分を含むPEG誘導体で修飾される。
いくつかの実施形態では、アルキン端末PEG誘導体が以下の構造を有する:
RO-(CHCHO)-O-(CH-NH-C(O)-(CH-C≡CH
ここでRは簡単なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2~10、pは2~10であり、nは100~1,000である。
本発明の別の実施形態では、アジド含有アミノ酸を含むIL-10ポリペプチドは、末端アルキン部分を含有する分岐PEG誘導体で修飾され、分岐PEGのそれぞれの鎖は10~40kDaの範囲のMWを有し、5~20kDaであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、アルキン端末PEG誘導体は、以下の構造を有する:
[RO-(CHCHO)-O-(CH-NH-C(O)]CH(CH-X-(CHC≡CH
ここで、Rは簡単なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)、mは2~10、pは2~10、nは100~1,000であり、X任意でO、N、S、またはカルボニル基(C=O)であるか、非存在であるかのいずれかである。
〔ホスフィン含有PEG誘導体〕
本発明の別の実施形態において、IL-10ポリペプチドは、天然にコードされていないアミノ酸の側鎖上に存在するアジド部分と反応するアリールホスフィン基をさらに含む活性化機能性基(エステル、カーボネートを含むが、これらに限定されない)を含むPEG誘導体で修飾される。一般に、PEG誘導体は、1~100kDa、いくつかの実施形態では10~40kDaの範囲の平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、PEG誘導体が以下の構造を有する:
Figure 2022512746000051
ここで、nは1~10であり、XはO、N、Sであってもよく、または、非存在であってもよく、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーである。
いくつかの実施形態では、PEG誘導体が以下の構造を有する:
Figure 2022512746000052
ここで、XはO、N、Sであってもよく、または非存在であってもよく、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーであり、RはH、アルキル、アリール、置換アルキルおよび置換アリール基であってもよい。例示的なR基としては、-CH、-C(CH、-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-C(O)R’、-CONR’R’’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-CNおよび-NOが含まれるがこれらに限定されない。R’、R’’、R’’’およびR’’’’はそれぞれ独立して、1-3個のハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基で置換されたアリールを含むが、これらに限定されない、水素、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリールを表す。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、R’、R’’、R’’’およびR’’’’基のうちの2つ以上が存在する場合、R基のそれぞれはそれぞれ独立して、R’、R’’、R’’’およびR’’’’基として選択される。R’およびR’’が同一の窒素原子に付着される場合、それらは窒素原子と共に5-、6-、または7員環を形成し得る。例えば、-NR’R’’は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意味するが、これらに限定されない。置換基についての上記の議論から、「アルキル」という語はハロアルキル(-CFおよび-CHCFを含むがこれらに限定されない)およびアシル(-C(O)CH、-C(O)CF、-C(O)CHOCH,などを含むがこれらに限定されない)などの、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を含むことを意味することを当業者は理解するであろう。
〔他のPEG誘導体および一般的なPEG化技術〕
IL-10ポリペプチドに連結され得る他の例示的なPEG分子、ならびにPEG化の方法は、例えば、米国特許公開第2004/0001838号;第2002/0052009号;第2003/0162949号;第2004/0013637号、;第2003/0228274号;第2003/0220447号;第2003/0158333号;第2003/0143596号;第2003/0114647号;第2003/0105275号;第2003/0105224号;第2003/0023023号;第2002/0156047号;第2002/0099133号;第2002/0086939号;第2002/0082345号;第2002/0072573号;第2002/0052430号;第2002/0040076号;第2002/0037949号;第2002/0002250号;第2001/0056171号;第2001/0044526号;第2001/0021763号;米国特許第6,646,110号;第5,824,778号;第5,476,653号;第5,219,564号;第5,629,384号;第5,736,625号;第4,902,502号;第5,281,698号;第5,122,614号;第5,473,034号;第5,516,673号;第5,382,657号;第6,552,167号;第6,610,281号;第6,515,100号;第6,461,603号;第6,436,386号;第6,214,966号、第5,990,237号、第5,900,461号、第5,739,208号;第5,672,662号;第5,446,090号;第5,808,096号;第5,612,460号;第5,324,844号;第5,252,714号;第6,420,339号;第6,201,072号;第6,451,346号;第6,306,821号;第5,559,213号;第5,747,646号;第5,834,594号;第5,849,860号;第5,980,948号;第6,004,573号;第6,129,912号;WIPO公開番号:WO97/32607、WO92/16555、WO94/04193、WO94/14758、WO94/17039、WO94/18247、WO94/28024、WO95/00162、WO95/11924、WO95/13090、WO95/33490、WO96/00080、WO97/18832、WO98/41562、WO98/48837、WO99/32134、WO99/32139、WO99/32140、WO96/40791、WO98/32466、WO95/06058、WO97/03106、WO96/21469、WO95/13312、WO98/05363、WO96/41813、WO96/07670;欧州公開番号:EP809996、EP921131、EP439508、EP229108、EP402378、EP605963、EP510356、EP400472、EP183503およびEP154316に記載されるものを含むが、これらに限定されない(これらは参照により本明細書に組み込まれる)。本明細書に記載されるPEG分子のいずれも、一本鎖、分岐鎖、多分岐(multiarm)鎖、単機能性、二官能性、マルチ機能性、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない任意の形態で使用され得る。
ヒドロキシルアミン(アミノオキシ)PEG誘導体を含むが、これらに限定されない追加のポリマーおよびPEG誘導体は、以下の特許出願に記載されており、これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:米国特許公開第2006/0194256号、米国特許公開第2006/0217532号、米国特許公開第2006/0217289号、米国仮特許第60/755,338号、米国仮特許第60/755,711号、米国仮特許第60/755,018号、国際特許出願第PCT/US06/49397号、国際特許公開第2006/069246号、米国仮特許第60/743,041号、米国仮特許第60/743,040号、国際特許出願第PCT/US06/47822号、米国仮特許第60/882,819号、米国仮特許第60/882,500号、および米国仮特許第60/870,594号。
X.IL-10ポリペプチドのグリコシル化
グリコシル化は、タンパク質、脂質または他の有機分子にグリカンを付着させる酵素プロセスを広く指す。これは、1つ以上の炭水化物部分の付加もしくは欠失(存在するグリコシル化部位の除去によるか、または化学的および/または酵素的手段によるグリコシル化の欠失によるかのいずれか)、および/または天然配列中に存在しても存在しなくてもよい1つ以上のグリコシル化部位の付加を含み得る。さらに、これは、存在する種々の炭水化物部分の性質および割合の変化を含む、天然タンパク質のグリコシル化における定性的変化を含み得る。
グリコシル化はIL-10などのポリペプチドの物理的特性(例えば、溶解度)に劇的に影響を及ぼすことができ、タンパク質の安定性、分泌、および細胞内局在化においても重要であり得る。グリコシル化ポリペプチドはまた、増強された安定性を示し得るか、または1つ以上の薬物動態学的特性(例えば、半減期)を改善し得る。さらに、溶解度の改善は、例えば、非グリコシル化ポリペプチドを含む製剤よりも医薬投与により適した製剤の生成を可能にし得る。
グリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を改変することによって達成され得る。ポリペプチドに対する改変は例えば、1つ以上のセリンもしくはトレオニン残基(O-結合グリコシル化部位について)またはアスパラギン残基(N-結合グリコシル化部位について)の付加または置換によってなされ得る。N-結合およびO-結合オリゴ糖の構造、および各タイプに見られる糖残基は異なっていてもよい。両者に共通に見られる糖の1つのタイプは、N-アセチルノイラミン酸またはシアル酸である。シアル酸は通常、N-結合およびO-結合オリゴ糖の両方の末端残基であり、その負電荷のために、糖タンパク質に酸性特性を付与することができる。本開示のIL-10ポリペプチドは、グリコシル化を含み得る。
本発明は、糖残基を有する1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を組み込むIL-10ポリペプチドを含む。糖残基は、天然(N-アセチルグルコサミンを含むがこれに限定されない)または天然ではないもの(3-フルオロガラクトースを含むがこれに限定されない)のいずれであってもよい。糖類は、N結合もしくはO結合グリコシド結合(N-アセチルガラクトース-L-セリンを含むが、これに限定されない)また非天然ではない結合(オキシムまたは対応するC結合もしくはS結合グリコシドを含むが、これらに限定されない)のいずれかによって、天然にコードされていないアミノ酸に連結され得る。
糖(グリコシルを含むが、これに限定されない)部分は、in vivoまたはin vitroのいずれでもIL-10ポリペプチドに付加され得る。本発明のいくつかの実施形態において、カルボニルを含有する天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10ポリペプチドは、アミノオキシ基で誘導体化された糖で修飾されて、オキシム結合を介して連結された対応するグリコシル化ポリペプチドを生成する。天然にコードされていないアミノ酸に付着したら、糖類は、グリコシルトランスフェラーゼおよび他の酵素で処理して、IL-10ポリペプチドに結合したオリゴ糖を生成することによって、さらに合成され得る。例えば、Liuら、J.Am.Chem.Soc.125:1702-1703(2003)を参照のこと。
本発明のいくつかの実施形態では、カルボニル基を含有する天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10ポリペプチドは、アミノオキシ誘導体として調製された、定義された構造を有するグリカンで直接修飾される。当業者は、アジド、アルキン、ヒドラジド、ヒドラジン、およびセミカルバジドを含む他の機能性基が、糖を天然にコードされていないアミノ酸に連結するために使用され得ることを認識する。
本発明のいくつかの実施形態において、アジドまたはアルキニルを含有する天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10ポリペプチドは次いで、限定されるものではないが、それぞれアルキニルまたはアジド誘導体を含む、ヒュスゲン[3+2]環状付加反応に限定されないがこれを含む方法によって修飾され得る。この方法は、タンパク質が極めて高い選択性で修飾されることを可能にする。
(XI.IL-10二量体および多量体)
本発明はまた、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ホモ多量体、またはヘテロ多量体(すなわち、トリマー、テトラマーなど)のようなIL-10およびIL-10アナログの組み合わせを提供し、ここで、1つ以上の天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10は別のIL-10変異体、またはそのIL-10変異体ではない任意の他のポリペプチドに、ポリペプチド骨格に直接的に、またはリンカーを介して結合されている。このような新規IL-10分子の例は、本明細書の例に記載されるスキームに開示される。モノマーと比較してその増加した分子量のために、IL-10二量体または多量体複合体はモノマーIL-10と比較して、異なる薬理学的、薬物動態学的、薬力学的、調節された治療半減期、または調節された血漿半減期を含むが、これらに限定されない、新規または望ましい特性を示し得る。いくつかの実施形態において、本発明のIL-10二量体は、IL-10受容体のシグナル伝達を調節する。他の実施形態において、本発明のIL-10二量体または多量体は、IL-10受容体アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターとして作用する。
いくつかの実施形態において、IL-10含有二量体または多量体中に存在するIL-10分子の1つ以上は、水溶性ポリマーに連結された天然にコードされていないアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチドは、Asn-Lysアミド結合またはCys-Cysジスルフィド結合を介することを含むが、これらに限定されずに、直接連結されている。いくつかの実施形態において、IL-10ポリペプチド、および/または連結された非IL-10分子は異なる天然にコードされていないアミノ酸を含むことで二量体化を容易にし、これには第1のIL-10ポリペプチドの1つの天然にコードされていないアミノ酸中のアルキン、および第2の分子の第2の天然にコードされていないアミノ酸中のアジドがヒュスゲン[3+2]環状付加を介して結合されることが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、IL-10、および/または、ケトン含有非天然コードアミノ酸を含む連結非IL-10分子は、ヒドロキシルアミンを含有する天然にコードされていないアミノ酸を含む第2のポリペプチドに結合され得、そしてポリペプチドは対応するオキシムの形成を介して反応される。
あるいは、2つのIL-10ポリペプチド、および/または連結された非IL-10分子はリンカーを介して連結されている。任意のヘテロもしくはホモ二官能性リンカーを使用して、同じもしくは異なる一次配列を有することができる2つの分子、および/または連結された非IL-10分子を連結することができる。いくつかの場合において、IL-10および/または連結された非IL-10分子を一緒につなぐために使用されるリンカーは、二官能性PEG試薬であり得る。リンカーは、広範囲の分子量または分子長を有し得る。より大きなまたはより小さな分子量のリンカーを使用して、IL-10と連結された構成との間、またはIL-10とその受容体との間、または連結された構成とその結合パートナーとの間に、もしあれば、所望の空間的関係または立体配座を提供することができる。より長いまたはより短い分子長を有するリンカーはまた、IL-10と連結された構成との間、または連結された構成とその結合パートナーとの間(存在する場合)に所望の空間または柔軟性を提供するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、本発明はa)ポリマー主鎖の少なくとも第1の末端上にアジド、アルキン、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、またはカルボニル含有部分;およびb)ポリマー主鎖の第2の末端上に少なくとも第2の機能性基を含むダンベル構造を有する水溶性の二官能性リンカーを提供する。第2の機能性基は、第1の機能性基と同じであっても異なっていてもよい。第2の機能性基は、いくつかの実施形態では第1の機能性基と反応しない。本発明は、いくつかの実施形態において、分岐分子構造の少なくとも1つのアームを含む水溶性化合物を提供する。例えば、分岐分子構造は樹枝状であり得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の構造を有する水溶性活性化ポリマーとの反応によって形成される、1つ以上のIL-10ポリペプチドを含む多量体を提供する:
R-(CHCHO)-O-(CH-X
ここでnが約5~3,000であり、mが2~10であり、Xがアジド、アルキン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノオキシ基、ヒドロキシルアミン、アセチル、またはカルボニルを含む部分であり、Rがキャッピング基、機能性基、またはXと同じでも異なっていてもよい脱離基である。Rは例えば、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アルコキシル、N-ヒドロキシサクシニミジルエステル、1-ベンゾトリアゾリルエステル、N-ヒドロキシサクシニミジルカーボネート、1-ベンゾトリアゾリルカーボネート、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性スルホン、アミン、アミノオキシ、保護されたアミン、ヒドラジド、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボキシル酸、保護されたカルボキシル酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシラート、トシラート、トレシラート、アルケン、およびケトンからなる群から選択される機能性基であり得る。
(XII.IL-10ポリペプチド活性およびIL-10受容体に対するIL-10ポリペプチドの親和性の測定)
IL-10ポリペプチド活性は、標準的または公知のin vitroまたはin vivoアッセイを使用して決定され得る。PEG-IL-10は、当該分野で公知の適切な方法によって、生物学的活性について分析され得る。このようなアッセイには、IL-10応答性遺伝子の活性化、受容体結合アッセイ、抗ウイルス活性アッセイ、細胞変性効果阻害アッセイ、抗増殖性アッセイ、免疫調節剤アッセイおよびMHC分子の誘導をモニターするアッセイが含まれるが、これらに限定されない。
PEG-IL-10ポリペプチドは、IL-10感受性シグナル伝達経路を活性化するそれらの能力について分析され得る。一例は、インターフェロン刺激応答エレメント(ISRE)アッセイである。IL-10受容体を恒常的に発現する細胞を、ISRE-ルシフェラーゼベクター(pISRE-luc、Clontech)で一過性にトランスフェクトする。トランスフェクション後、細胞をIL-10ポリペプチドで処理する。多数のタンパク質濃度、例えば0.0001~10ng/mLを試験して、投与-応答曲線を生成する。IL-10ポリペプチドが結合してIL-10受容体を活性化すると、得られたシグナル伝達カスケードはルシフェラーゼ発現を誘導する。ルミネセンスは、例えばTopCount(商標)またはFusion(商標)マイクロプレートリーダーとSteady-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)などを使用して、さまざまな方法で測定できる。
IL-10ポリペプチドは、IL-10受容体に結合する能力について分析され得る。天然ではないアミノ酸を含む非PEG化またはPEG化IL-10ポリペプチドについて、その受容体に対するIL-10の親和性は、BIAcore(商標)バイオセンサー(Pharmacia)を使用することによって測定され得る。適切な結合アッセイには、BIAcoreアッセイ(Pearceら、Biochemistry 38:81-89(1999))およびAlphaScreen(商標)アッセイ(PerkinElmer)が含まれるが、これらに限定されない。
IL-10ポリペプチドを作製するためにどの方法が使用されるかにかかわらず、IL-10ポリペプチドは、生物学的活性についてのアッセイに供される。一般に、生物学的活性の試験は、生物学的活性の増加または減少(改変IL-10と比較して)、異なる生物学的活性(改変IL-10と比較して)、受容体または結合パートナー親和性分析、IL-10自体またはその受容体の立体配座または構造変化(改変IL-10と比較して)、または血清半減期分析などの所望の結果についての分析を提供すべきである。
(XIII.力価、機能的in vivo半減期、および薬物動態学的パラメーターの測定)
本発明の重要な態様は、水溶性ポリマー部分とポリペプチドとの複合体の形成の有無にかかわらず、IL-10ポリペプチドの構築によって得られる延長された生物学的半減期である。IL-10ポリペプチド血清濃度の急速な投与後の減少は、複合体を形成したおよび複合体を形成していないIL-10ポリペプチドおよびその変異体での治療に対する生物学的応答を評価することを重要にしている。本発明の複合体を形成したおよび複合体を形成していないIL-10ポリペプチドならびにその変異体は、投与(例えば、皮下または静脈内投与による投与)後にも、延長された血清半減期を有しいてもよく、例えば、ELISA法または一次スクリーニングアッセイによる測定が可能である。Invitrogen(Carlsbad、CA)などの市販のELISAまたはRIAキットを使用してもよい。in vivo生物学的半減期の測定は、本明細書中に記載されるように行われる。
天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10ポリペプチドの効力および機能的in vivo半減期は、当業者に公知のプロトコールに従って決定され得る。
天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10ポリペプチドの薬物動態学的パラメーターは、正常なSprague-Dawley雄ラット(処置群あたりN=5匹)において評価することができる。動物は25ug/ラット静脈内または50ug/ラット皮下のいずれかの単回用量を受け、約5~7の血液サンプルが予め規定された時間経過に従って採取され、一般に、水溶性ポリマーに結合されていない天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10ポリペプチドについては約6時間、天然にコードされていないアミノ酸を含み、水溶性ポリマーに結合されているIL-10ポリペプチドについては約4日間カバーする。天然にコードされていないアミノ酸を含まないIL-10についての薬物動態学的データを、天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10ポリペプチドについて得られたデータと直接比較することができる。
(XIV.投与及び医薬組成物)
本発明のポリペプチドまたはタンパク質(IL-10、合成酵素、1つ以上の非天然アミノ酸を含むタンパク質などを含むが、これらに限定されない)は場合により、適切な医薬担体との組み合わせを含むがこれらに限定されない、治療用途のために使用される。このような組成物は例えば、治療有効量の化合物、および薬学的に許容されるされる担体または賦形剤を含む。そのような担体または賦形剤には、生理食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、および/またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。製剤は、投与の形態に適合するように作製される。一般に、タンパク質を投与する方法は当業者に公知であり、本発明のポリペプチドの投与に適用することができる。組成物は、薬学的に許容される塩として存在するような水溶性形態であってもよく、これは酸および塩基付加塩の両方を含むことを意味する。
本発明の1つ以上のポリペプチドを含む治療用組成物は、当業者に公知の方法に従って、疾患の1つ以上の適切なin vitroおよび/またはin vivo動物モデルにおいて任意に試験され、効能、組織代謝を確認し、そして投薬量が推定される。特に、投与量は最初に、天然アミノ酸ホモログに対する本明細書中の非天然アミノ酸の活性、安定性、または他の適切な尺度(1つ以上の非天然アミノ酸を含むように改変されたIL-10ポリペプチドと天然アミノ酸IL-10ポリペプチドとの比較、および1つ以上の非天然アミノ酸を含むように改変されたIL-10ポリペプチドとこれまでに利用可能なIL-10処置との比較を含むが、これらに限定されない)によって、すなわち、関連するアッセイにおいて決定され得る。
投与は、血液または組織細胞と最終的に接触するように分子を導入するために通常使用される経路のいずれかによる。本発明の非天然アミノ酸ポリペプチドは、任意の適切な様式で、必要に応じて、1つ以上の薬学的に許容される担体とともに投与される。本発明の文脈において、このようなポリペプチドを患者に投与する適切な方法が利用可能であり、そして2つ以上の経路が特定の組成物を投与するために使用され得るが、特定の経路はしばしば、別の経路よりもより迅速かつより有効な作用または反応を提供し得る。
薬学的に許容される担体は、部分的には投与される特定の組成物によって、ならびに組成物を投与するために使用される特定の方法によって決定される。従って、本発明の医薬組成物の広範な適切な製剤が存在する。
本発明のIL-10ポリペプチドは、非経口(例えば、皮下もしくは静脈内、または任意の他の形態の注射もしくは注入を含むがこれらに限定されない注射)を含むがこれらに限定されない、タンパク質またはペプチドに適切な任意の従来の経路によって投与され得る。ポリペプチド組成物は、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、経皮、皮下、局所、舌下、または直腸手段を含むがこれらに限定されない多くの経路によって投与することができる。修飾または非修飾の非天然アミノ酸ポリペプチドを含む組成物はまた、リポソームを介して投与され得る。このような投与経路および適切な製剤は、当業者に一般的に知られている。本発明のIL-10ポリペプチドは単独で、または他の適切な成分、例えば医薬担体と組み合わせて使用され得る。IL-10ポリペプチドは、PD-1、PD-L1、CTLA-4、BTK、RAF、PARP、HER2、BRCA、BRAF、ALK、EGFRなどを標的とする薬剤を含む他の薬剤または治療薬と組み合わせて使用することができる。
天然ではないアミノ酸を単独で、または他の適切な成分と組み合わせて含むIL-10ポリペプチドはまた、吸入によって投与されるエアロゾル製剤に作製され得る(すなわち、それらは「噴霧化」され得る)。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などのような加圧された許容されるな噴射剤に入れることができる。
例えば、関節内(関節の中)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、および皮下経路などによる非経口投与に適した製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性および非水性の等張無菌注射溶液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含み得る水性および非水性の無菌懸濁液が含まれる。IL-10の製剤は、アンプルおよびバイアルなどの単位用量または複数用量密封容器中に提示することができる。
非経口投与および静脈内投与が好ましい投与方法である。特に、天然アミノ酸ホモログ治療に既に使用されている投与経路(EPO、GH、G-CSF、GM-CSF、IFN、例えばIL-10、インターロイキン、抗体、FGF、および/または任意の他の薬学的に送達されるタンパク質に典型的に使用されるものを含むが、これらに限定されない)は現在使用されている製剤と共に、本発明のポリペプチドのための好ましい投与経路および製剤を提供する。
本発明の文脈において、患者に投与される用量は、適用に依存して、経時的な患者における有益な治療応答、または他の適当な活性を有するのに十分である。用量は、特定のベクターまたは製剤の効力、使用される非天然アミノ酸ポリペプチドの活性、安定性または血清半減期、患者の症状、および治療される患者の体重または表面積によって決定される。用量の大きさはまた、特定の患者における特定のベクター、製剤などの投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によって決定される。
疾患(これらに限定されないが、好中球減少症、再生不良性貧血、周期性好中球減少症、特発性好中球減少症、Chdiak-Higashi症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、白血病、骨髄異形成症候群および骨髄線維症など)の治療または予防において投与されるベクターまたは製剤の有効量を決定する際に、医師は循環血漿レベル、製剤毒性、疾患の進行、および/または関連する場合は抗非天然アミノ酸ポリペプチド抗体の産生を評価する。
例えば、70キログラムの患者に投与される用量は、典型的には現在使用されている治療用タンパク質の用量と同等の範囲であり、関連する組成物の変化した活性または血清半減期について調整される。本発明のベクターまたは医薬製剤は、抗体投与、ワクチン投与、細胞毒性剤の投与、天然アミノ酸ポリペプチド、核酸、ヌクレオチドアナログ、生物学的応答修飾因子などを含む、任意の公知の従来の治療によって、処置状態を補うことができる。
投与においては、本発明の製剤は、関連する製剤のLD-50またはED-50によって決定される速度で、および/または非天然アミノ酸ポリペプチドの任意の副作用の観察によって、種々の濃度で投与され、これには患者の質量および全体的な健康に適用されるものが含まれるが、これらに限定されない。投与は、単回用量または分割用量を介して達成され得る。
製剤の注入を受けている患者が発熱、悪寒、または筋肉痛を発現した場合、適切な用量のアスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、または他の疼痛/発熱制御薬が投与される。発熱、筋肉痛、悪寒などの注入に対する反応を経験する患者には、アスピリン、アセトアミノフェン、またはジフェンヒドラミンを含むが、これらに限定されない、いずれかを将来の注入の30分前に前投薬する。メペリジンは、解熱薬および抗ヒスタミン剤にすぐに反応しない、より重度の悪寒や筋肉痛に用いられる。細胞注入は、反応の重篤度に依存して、遅くされるか、または中断される。
本発明のヒトIL-10ポリペプチドは、哺乳動物被験体に直接投与され得る。投与は、IL-10ポリペプチドを対象に導入するために通常使用される経路のいずれかによる。本発明の実施形態によるIL-10ポリペプチド組成物は、経口、直腸、局所、吸入(エアロゾルを介するものを含むが、これに限定されない)、口腔(舌下を含むが、これに限定されない)、膣、非経口(皮下、筋肉内、皮内、関節内、胸膜内、腹腔内、脳内、動脈内、または静脈内を含むが、これらに限定されない)、局所(すなわち、気道表面を含む皮膚および粘膜の両方の表面)、肺、眼内、鼻腔内、および経皮投与を含むが、任意の所与の場合における最も適切な経路は治療される症状の性質および重篤度に依存する。投与は、局所または全身のいずれかであり得る。化合物の製剤は、アンプルおよびバイアルなどの単位用量または複数用量が密封された容器中に提供することができる。本発明のIL-10ポリペプチドは、薬学的に許容される担体との単位用量が注射可能な形態(溶液、懸濁液、またはエマルジョンを含むが、これらに限定されない)の混合物において調製され得る。本発明のIL-10ポリペプチドはまた、持続注入(浸透圧ポンプのようなミニポンプを含むが、これに限定されない、の使用)、単一ボーラスまたは徐放性デポー製剤によって投与され得る。
投与に適した製剤には、水性および非水性溶液、等張性滅菌溶液が含まれ、これらは抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および、製剤を等張にする溶質を含有することができ、また、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含むことができる水性および非水性無菌懸濁液が含まれる。溶液および懸濁液は、以前に記載された種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。
凍結乾燥は、目的のタンパク質調製物から水を除去するのに役立つタンパク質を提示するために一般に使用される技術である。フリーズドライまたは凍結乾燥は、乾燥される材料が最初に凍結され、次いで氷または凍結溶媒が真空環境中での昇華によって除去されるプロセスである。凍結乾燥プロセス中の安定性を高めるため、および/または貯蔵時の凍結乾燥製品の安定性を改善するために、予め凍結乾燥された製剤に賦形剤を含めることができる。Pikal、M.Biopharm.3(9)26-30(1990)およびArakawaら Pharm.Res.8(3):285-291(1991)。
医薬の噴霧乾燥もまた、当業者に公知である。例えば、Broadhead、J.ら、“The Spray Drying of Pharmaceuticals”、in Drug Dev.Ind.Pharm,18(11および12),1169-1206(1992)を参照されたい。小分子薬学的に加えて、種々の生物学的物質が噴霧乾燥されており、これらには、酵素、血清、血漿、微生物および酵母が含まれる。噴霧乾燥は、液体医薬調製物を、1工程プロセスで、微細な、粉塵のない、または凝集した粉末に変換することができるので、有用な技術である。基本的な技術は、以下の4つの工程:a)噴霧への供給溶液の霧化;b)噴霧-空気接触;c)噴霧の乾燥;およびd)乾燥した生成物の乾燥空気からの分離を含む。本明細書中に参考として援用される米国特許第6,235,710号および第6,001,800号は、噴霧乾燥による組換えエリスロポエチンの調製を記載する。
本発明の医薬組成物および製剤は、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含み得る。薬学的に許容される担体は、部分的には投与される特定の組成物によって、ならびに組成物を投与するために使用される特定の方法によって決定される。従って、本発明の医薬組成物(任意の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含む)の広範な種々の好適な製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、17thed.1985を参照のこと)。
適切な担体には、コハク酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、HEPES、クエン酸塩、ヒスチジン、イミダゾール、酢酸塩、重炭酸塩、および他の有機酸を含む緩衝液;アスコルビン酸を含むがこれらに限定されない抗酸化剤;約10残基以下のものを含むがそれに限定されない低分子量ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンを含むがこれらに限定されないタンパク質;ポリビニルピロリドンを含むがこれに限定されない親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジンもしくはヒスチジン誘導体、メチオニン、グルタミン酸塩、またはリジンを含むがこれらに限定されないアミノ酸;単糖類、二糖類、およびトレハロース、スクロース、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含むがこれらに限定されない他の炭水化物;EDTAおよびエデンテート二ナトリウムを含むがこれらに限定されないキレート剤;亜鉛、コバルトまたは銅を含むがこれらに限定されない二価金属イオン;マンニトールまたはソルビトールを含むがこれらに限定されない糖アルコール;ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含むがこれらに限定されない塩形成対イオン;微晶質セルロース、ラクトース、トウモロコシおよび他のデンプンのような充填剤;結合剤;甘味料および他の香味料;着色剤;および/または非イオン性界面活性剤(Tween(商標)(Tween80(ポリソルベート80)およびTween20(ポリソルベート20)を含むがこれらに限定されない)、Pluronics(商標)および他のプルロニック酸(プルロニック酸F68(ポロキサマー188)を含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない)、またはPEGを含むがこれらに限定されない。適切な界面活性剤には例えば、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)、すなわち(PEO-PPO-PEO)、またはポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)、すなわち(PPO-PEO-PPO)、またはそれらの組み合わせに基づくポリエーテルが含まれるが、これらに限定されない。PEO-PPO-PEOおよびPPO-PEO-PPOはPluronics(商標)、R-Pluronics(商標)、Tetronics(商標)およびR-Tetronics(商標)(BASF Wyandotte Corp.、Wyandotte、Mich.)という商品名で市販されており、さらに米国特許第4,820,352号に記載されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。他のエチレン/ポリプロピレンブロックポリマーは適切な界面活性剤であり得る。界面活性剤または界面活性剤の組み合わせを使用して、攪拌から生じるストレスを含むがこれに限定されない1つ以上のストレスに対してPEG化IL-10を安定化させることができる。上記のいくつかを「増量剤」と呼ぶことができる。いくつかは「等張性調整剤」とも呼ぶことができる。抗菌防腐剤はまた、製品の安定性および抗菌有効性のために適用することができる;適切な防腐剤としては、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、メタクレゾール、メチル/プロピルパラベン、クレゾール、およびフェノール、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第7,144,574号(これは、本明細書中に参考として援用される)が本発明の医薬組成物および製剤ならびに追加の送達調製物において適切であり得るさらなる材料を記載する。
本発明のIL-10ポリペプチド(PEGのような水溶性ポリマーに連結されたものを含む)はまた、持続放出系によって、またはその一部として投与され得る。徐放性組成物には、フィルムまたはマイクロカプセルを含むがこれらに限定されない、成形品の形態の半透過性ポリマーマトリックスが含まれるが、これらに限定されない。持続放出マトリックスには、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langerら、J.Biomed.Mater.Res.,15:267-277(1981);Langer、Chem.Tech.,12:98-105(1982))、エチレン酢酸ビニル(Langerら、上記)またはポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP133988)、ポリラクチド(ポリ乳酸)(米国特許第3,773,919号;EP58481)、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリラクチド共グリコリド(乳酸とグリコール酸の共重合体)ポリ無水物、L-グルタミン酸とガンマ-エチル-L-グルタミン酸塩の共重合体(Sidmanら、Biopolymers,22,547-556(1983)、ポリ(オルト)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、多糖類、核酸、ポリアミノ酸、アミノ酸(例えばフェニルアラニン、チロシン、イソロイシン)、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドンおよびシリコーンなどの生体適合性材料が含まれる。徐放性組成物はまた、リポソームに捕捉された化合物を含む。化合物を含有するリポソームは、それ自体公知の方法:DE3218121;Eppsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、82:3688-3692(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、77:4030-4034(1980);EP52322;EP36676;米国特許第4,619,794号;EP143949;米国特許第5,021,234号;日本特許公開番号83-118008;米国特許第4,485,045号および第4,544,545号;ならびにEP102324によって調製される。引用された全ての参考文献および特許は、本明細書中に参考として援用される。
リポソームに捕捉されたIL-10ポリペプチドは、例えば、DE3218121;Eppsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、82:3688-3692(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、77:4030-4034(1980);EP52322;EP36676;米国特許第4,619,794号;EP143949;米国特許第5,021,234号;日本特許公開番号83-118008;米国特許第4,485,045号および第4,544,545号;ならびにEP102324に記載される方法によって調製され得る。リポソームの組成およびサイズは、周知であるか、または当業者によって経験的に容易に決定され得る。リポソームのいくつかの例は、例えば、Parkら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:1327-1331(1995);Lasic DおよびPapahadjopoulos D(編):Medical Applications of Liposomes(1998);Drummondら、Liposomal drug delivery systems for cancer therapy、in Teicher B(編):Cancer Drug Discovery and Development(2002);Parkら、Clin.Cancer Res.8:1172-1181(2002);Nielsenら、Biochim.Biophys.Acta 1591(1-3):109-118(2002);Mamotら、Cancer Res.63:3154-3161(2003)に記載される。引用された全ての参考文献および特許は、本明細書中に参考として援用される。
本発明の文脈において患者に投与される用量は、経時的に対象に有益な応答を引き起こすのに十分であるべきである。一般に、用量当たり非経口的に投与される本発明のIL-10ポリペプチドの総医薬有効な量は、患者体重の約0.01μg/kg/日~約100μg/kg、または約0.05mg/kg~約1mg/kgの範囲であるが、これは治療の自由裁量に従う。この実施形態の特定の態様において、複合体は、4μg/kg/日超~約20μg/kg/日の範囲の用量で投与され得る。さらに他の態様では、複合体は、4μg/kg/日超~約9μg/kg/日の範囲の用量で投与され得る。さらに他の態様において、複合体は、約4μg/kg/日~約12.5μg/kg/日の範囲の用量で投与され得る。特定の態様では、複合体は過度の毒性なしに許容される最大用量である用量以下で投与することができる。さらに、複合体は週に少なくとも2回投与することができ、または複合体は、週に少なくとも3回、週に少なくとも4回、週に少なくとも5回、週に少なくとも6回、または週に7回投与することができる。複合体が2回以上投与される特定の態様では、複合体は毎回4μg/kg/日を超える用量で投与することができる。特に、複合体は、2週間以上の期間にわたって投与することができる。特定の態様において、インターロイキン-10受容体発現細胞の成長は、参照サンプル(すなわち、本発明の複合体と接触していない細胞のサンプル)と比較して、少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%阻害され得る。この実施形態の特定の態様において、複合体は、約5.3μg/kg/日の用量で、または約7.1μg/kg/日の用量で、または約9.4μg/kg/日の用量で、または約12.5μg/kg/日の用量で投与され得る。投薬の頻度はまた、治療的裁量の対象であり、そしてヒトにおける使用のために認可された市販のIL-10ポリペプチド産物よりも頻繁であり得るか、または頻度が低くあり得る。一般に、本発明のIL-10ポリペプチド、PEG化IL-10ポリペプチド、複合体を形成したIL-10ポリペプチド、または複合体を形成したPEG化IL-10ポリペプチドは、上記の投与経路のいずれかによって投与することができる。
XV.本発明のPEG化IL-10ポリペプチドの治療的使用
本発明のIL-10ポリペプチドは、広範囲の障害を治療するために有用である。その多面的活性のために、IL-10は、炎症症状、免疫関連障害、線維性障害、代謝障害および癌を含む広範囲の疾患、障害および症状に関連している。従って、本発明のIL-10ポリペプチドは、炎症症状、免疫関連障害、線維性障害、代謝障害および癌を含む広範囲の疾患、障害および症状を治療するために有用である。本発明は、腫瘍を有効な量の本開示のIL-10ポリペプチドと接触させることを含む、腫瘍もしくは癌の成長または関連疾患を阻害または低減させるための方法を提供する。本明細書中に開示されるIL-10ポリペプチドは、免疫応答を調節するために使用され得る。免疫応答の調節は、免疫応答を刺激すること、活性化すること、増加させること、増強すること、またはアップレギュレートすることを含み得る。免疫応答の調節は、免疫応答を抑制すること、阻害すること、予防すること、減少させること、またはダウンレギュレートすることを含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明のIL-10ポリペプチドは、癌に直接的または間接的に関連する症状(例えば、血管新生および異形成のような前癌症状)を含む、癌関連疾患、障害および症状を治療または予防する際に使用され得る。いくつかの実施形態では、腫瘍は液体または固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、治療される症状は癌である。癌は、乳癌、脳癌、膵臓癌、皮膚癌、肺癌、肝臓癌、胆のう癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮癌、骨癌、および血液癌(白血病)癌、またはこれらの癌のいずれかに関連する癌または疾患または症状であり得るが、これらに限定されない。悪性腫瘍は、身体の表面を覆い、ホルモンを産生し、腺を構成する細胞である上皮細胞から発生する癌である。非限定的な例として、悪性腫瘍としては、乳癌、膵癌、肺癌、結腸癌、結腸直腸癌、直腸癌、腎癌、膀胱癌、胃癌、前立腺癌、肝癌、卵巣癌、脳癌、膣癌、外陰癌、子宮癌、口腔癌、陰茎癌、精巣癌、食道癌、皮膚癌、卵管癌、頭頸部癌、胃腸間質癌、腺癌、皮膚または眼内黒色腫、肛門領域癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、尿道癌、腎盂癌、尿管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、下垂体癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脳幹神経膠腫、および脊髄軸腫瘍が挙げられる。場合によっては、基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫、非黒色腫、または紫外線角膜炎(日光角化症)などの皮膚癌である。
他の実施形態では、本明細書に開示されているIL-10ポリペプチドは、関節炎(例えば、関節リウマチ)、腎不全、ループス、喘息、乾癬、大腸炎、膵炎、アレルギー、線維症、外科的合併症(例えば、炎症性サイトカインが治癒を妨げる場合)、貧血、および線維筋痛症を含むがこれらに限定されない、免疫および/または炎症関連疾患、障害および症状を治療または予防するために使用することができる。慢性炎症と関連し得る他の疾患および障害には、アルツハイマー病、うっ血性心不全、脳卒中、大動脈弁狭窄、動脈硬化、骨粗鬆症、パーキンソン病、感染症、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、アレルギー性接触皮膚炎および他の湿疹、全身性硬化症、移植ならびに多発性硬化症が含まれる。免疫および/または炎症関連疾患、障害および症状はまた、限定されるわけではないが、病理学的炎症および自己免疫疾患;感染(急性および慢性)、腫瘍、および免疫系による根絶に抵抗する癌を含む、癌、腫瘍、および血管新生などの増殖症状を含む。
本発明は、治療有効量の本発明のIL-10ポリペプチドまたは本発明に開示のIL-10ポリペプチドを含む組成物を患者に投与することによって癌を治療する方法を提供する。
本発明はまた、IL-10、CD8+T細胞刺激、および/またはIL-10製剤に応答性のある癌の危険性がある、当該癌を有する、および/または当該癌を有している哺乳動物を治療する方法を含む。IL-10ポリペプチドの投与は、短期効果、すなわち観察されるいくつかの臨床パラメーターに対する即座の有益な効果を結果としてもたらし得て、これはまた、投与から12または24時間後であってもよく、一方で、長期効果、腫瘍増殖の進行の有益な遅延、腫瘍の大きさの減少、および/または循環CD8+T細胞レベルの増加を結果としてもたらし得て、そして本発明のIL-10ポリペプチドは当業者に公知の任意の手段によって投与され得、そして有益には、注入(例えば、所望の薬理学的効果を得るために充分な投薬量で、動脈、腹腔内または静脈内注射および/または注入)を介して投与され得る。
IL-10ポリペプチド投与量は、治療当たり体重1kg当たり10~200ug、または40~80、または10~200mg、または40~80mgのIL-10ポリペプチドの範囲であり得る。例えば、投与されるIL-10ポリペプチドの投薬量は、ボーラス注射として、および/または臨床的に必要な期間(例えば、数分~数時間(例えば、24時間まで))の注入として与えられる、体重1kgあたり約20~100mgのIL-10ポリペプチドであり得る。必要であれば、IL-10ポリペプチド投与を1回または数回繰り返してもよい。IL-10ポリペプチドの投与は、化学療法剤などの他の医薬品の投与と組み合わせることができる。さらに、本発明は、それを必要とする対象に有効な量のIL-10ポリペプチドを投与することを含む、癌の予防および/または治療のための方法に関する。
IL-10の平均量は様々であってよく、特に、資格のある医師の推奨および処方箋に基づくべきである。IL-10の正確な量は、治療される症状の正確な種類、治療される患者の症状、ならびに組成物中の他の成分のような因子に従う優先事項である。本発明はまた、治療有効量の別の活性剤の投与を提供する。与えられるべき量は、IL-10による治療に基づいて当業者によって容易に決定され得る。
いくつかの実施形態において、本発明のIL-10ポリペプチドは、CAR-T細胞治療、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤、ステロイド、組織因子(TF)アンタゴニスト(例えば、REMICADEおよびENBREL)、インターフェロン-pia(AVO EX)、インターフェロン-plb(BETASERON)、および免疫チェックポイント阻害剤(例えば、YERVOY)を含むがこれらに限定されない他の治療と組み合わせて使用され得る。
〔実施例〕
以下の実施例は説明のために供されているのであって、特許請求の範囲に係る発明を制限するものではない。
(実施例1)
天然ではないアミノ酸を組み込むための、アンバー終止コドンに変異させるべきIL-10中の残基位置の決定。
(アンバーコドン含有突然変異タンパク質の生成)
ヒトIL-10二量体とIL-10-受容体(IL-10R1)との複合体の結晶構造に基づいて、天然ではないアミノ酸(例えば、パラアセチルフェニルアラニン(pAF))を遺伝的に組み込むために35の異なるIL-10表面接近可能部位を選択し、それらの部位のいくつかの例を図1に示す。これらの部位はIL-10二量体化および受容体結合に重要ではない。次いで、選択された部位の各遺伝コドンを、部位特異的突然変異誘発を介してアンバーコドン(TAG)に突然変異させて、そのヒトIL-10突然変異タンパク質のための発現プラスミドを生成した。プライマーは、IDT(San Diego、CA)から購入した。全ての部位特異的突然変異誘発実験は、提供された説明書(NEB、Ipswich、MA)に従ってQ5部位特異的突然変異誘発キットを用いて実施した。突然変異タンパク質の発現プラスミドをE.coli中で増殖させ、DNA配列決定サービス(Eton Biosciences、San Diego、CA)によって確認した。表3は、本発明である、特定の部位のアンバー突然変異を含むヒトIL-10タンパク質配列の代表的なリストを提供する。
Figure 2022512746000053
Figure 2022512746000054
Figure 2022512746000055
Figure 2022512746000056
以下の実施例は、天然ではないアミノ酸を含むIL-10ポリペプチドに使用される発現方法を記載する。宿主細胞を、直交tRNA、直交アミノアシルtRNA合成酵素、および配列番号6、7、8および9のようなIL-10ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはセレクターコドンを含む配列番号1、2、3、4および5に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドのための構築物で形質転換する。本明細書において、アミノ酸配列の番号付けは、成熟ヒトWT IL-10配列に基づくことに留意されたい。E.coliにおいて発現されるIL-10について、最終産物はIL-10アミノ酸配列の位置1(1番目)にさらなるN末端メチオニンを含み得ることが、本明細書中でさらに注目される。このN末端メチオニンの存在または非存在は、IL-10の精製、PEG化、二量体化、または生物学的活性に影響を及ぼさない。
表2、配列番号5に示すように、C末端Hisタグを添加して、E.coli(大腸菌)またはCHO細胞におけるIL-10の精製を容易にすることができる。
(実施例2)
E.coli発現系および発現ベクター構築および配列の検証。
本実施例は、E.coliにおける、天然にコードされていないアミノ酸を含むかまたは組み込んだヒトIL-10(hIL-10)のクローニングおよび発現を詳述する。全てのヒトIL-10発現プラスミドは、以下に記載されるように、Gibson Assembly kit(NEB)を使用する組換えベースのクローニング方法によって、またはE.coliNEB5αクローニング株(NEB)においてQuikChange突然変異誘発キット(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)を使用することによって構築される。E.coli発現プラスミドを図2に示す。
(Gibson Assembly)
ドナー断片を含む様々な目的遺伝子(GOI)を増幅するためのプライマーは、相同組換えのためのアクセプターベクター配列と5’末端で約18~24塩基対(bp)の重複配列を有し、Integrated DNA Technologies(IDT;)で合成された。PCR断片を、高忠実度DNAポリメラーゼミックス、Pfu Ultra II Hotstart PCR Master Mix(カタログ番号600852、Agilent Technologies)を使用して増幅する。PCR産物は、プラスミドバックグラウンドを取り除くために、37℃で、2時間Dpn1制限酵素(NEB#R0176L)で消化され、その後、Qiagen PCRカラム精製キット(Qiagen、Valencia、CA、#28104)を用いてカラム精製を行い、Nanodrop社(ThermoFisher、Carlsbad、CA)により定量化される。アクセプターベクターは、供給者によって推奨される温度で3~5時間ベクター内でユニークな制限酵素(NEB)で消化することによって線状化され、PCRカラムは精製され、定量される。ドナー挿入物および適切に調製されたアクセプターベクターを、3:1のモル比で混合し、Gibson Assemblyキット(NEB#E2611S)を使用して50℃で15分間インキュベートし、次いでE.coliNEB5α株(NEB#2987)への形質転換に使用する。
組換え体は、適切な抗生物質を含有するLB寒天プレート上にGibson Assemblyミックスをプレーティングすることによって回収される。翌日、4~6個のウェル単離された単一コロニーを、5mLのLB+50μg/mLの硫酸カナマイシン(Sigma cat#K0254)培地に接種し、37℃で一晩増殖させる。QiagenプラスミドDNAミニprepキット(Qiagen#27104)を用いて組換えプラスミドを単離し、DNA配列決定(Eton Biosciences)によって検証する。完全なGOI領域+100bp上流配列および100bp下流配列を、遺伝子特異的配列決定プライマーを用いることにより検証する。
(QuickChange突然変異誘発(QCM))
TAG終止コドンを含む全てのアンバー変異体を、QuickChange Lightning部位特異的突然変異誘発キット(Agilent Technologies#201519)を使用することによって作製する。全てのQCMオリゴヌクレオチドは、QuickChange Web Portal(Agilent Technologies Inc.)を使用して設計され、IDTから注文される。QCM PCRミックスは、5μlの10x緩衝液、2.5μlのdNTPミックス、1μl(100ng)のプラスミド鋳型、1μlのオリゴミックス(各濃度10uM)、1μlのQuickChange Lightning酵素、2.5μlのQuick溶液、および37μlの蒸留水(DW)を含有した。DNAを、キットによって推奨されるPCRプログラムを用いて18サイクルのみ増幅する。
PCR反応の完了後、混合物を、キット(Agilent Technologies)に付属のDpnI酵素で、37℃で2~3時間消化し、ゲル上で泳動して、増幅されたPCR産物の存在をチェックする。その後、2.5~5μlのPCR産物をE.coliNEB5α株に形質転換する。次いで、4~6コロニーの組換えプラスミドを単離し、そしてGibson Assemblyについて上記したように配列を確認する。
(実施例3)
E.coli発現株(AXID)の構築および検証。
AXID産生株を調製するために、化学的に有能なE.coliW3110B60宿主細胞を、配列が確認されたプラスミドDNA(50ng)で形質転換し、組換え細胞を、50μg/mLの硫酸カナマイシン(Sigma cat#K0254)を含有する2×YT+1%グルコース寒天プレート上で選択し、37℃で一晩インキュベートする。次いで、新鮮な形質転換プレートからの単一コロニーを、50μg/mL硫酸カナマイシンを含有する2×YT+1%グルコース寒天プレート上で、連続した3回の面線接種(streaking)および37℃で一晩インキュベートすることによって3倍増殖させる。最後に、3回目に面線接種したプレートからの単一のコロニーを、50μg/mLの硫酸カナマイシン(Sigma cat#K0254)を含む20mLのスーパーブロス(Fisher-Optigrow(商標)、#BP1432-10B1、Hampton、NH)に接種し、37℃および250rpmで一晩インキュベートする。次いで、一晩培養した培養物をグリセロールで希釈して、最終グリセロール濃度を20%(w/v)にする(KIC、Ref#67790-GL99UK)。次いで、この細胞懸濁液を、1mlのアリコートに分注して、いくつかのクライオバイアルに入れ、そしてAXID産生株バイアルとして-80℃で凍結させる。
上記のようにAXID産生株のグリセロールバイアルを作製した後、それらをDNA配列決定および抗生物質耐性マーカーの表現型特性決定によってさらに検証する。AXID産生株バイアルが産生宿主において正しいプラスミドを有することを確認するために、プラスミド配列を検証する。50μg/mLのkカナマイシン硫酸塩を含む20mLのLBに、AXIDクローンのグリセロールバイアルからのスタブ(stab)を接種し、37℃、250rpmで一晩増殖させる。Qiagen Miniprep Kit(Qiagen#27104)を用いてプラスミドDNAを単離し、単離したプラスミド中の完全なGOI ORFの存在をDNA配列決定(Eton Biosciences)によって確認する。
AXID産生株の株遺伝子型をさらに検証するために、同じバイアルからの細胞を、LBの4つの別個のプレート:50ug/mLの硫酸カナマイシンを含有するLB、15ug/mLのテトラサイクリンを含有するLB、34ug/mLのクロラムフェニコールを含有するLB、および75ug/mLのトリメトプリムを含有するLB上に面線接種する。次に、プレートは、W3110B60産生宿主株の株遺伝子型で予想されるように、陽性増殖についてチェックされた。
(実施例4)
本実施例は、リーダー配列またはシグナル配列なしで、hIL-10をコードするアミノ酸およびE.coliコドン最適化DNA配列を得るための詳細を提供する。
(発現系)
hIL-10をコードするアミノ酸およびE.coliコドン最適化DNA配列を表2に示す。図2に示すように、直交tRNA(O-tRNA)と直交アミノアシルtRNA合成酵素(O-RS)とを含む導入翻訳系を用いて、天然にコードされていないアミノ酸を含むhIL-10を発現させる(プラスミドマップpKG322参照)。O-RSは、天然にコードされていないアミノ酸でO-tRNAを優先的にアミノアシル化する。次に、翻訳系は、コードされたセレクターコドンに応答して、天然にコードされていないアミノ酸をIL-10またはIL-10変異体に挿入する。適切なO-RSおよびO-tRNA配列は「Compositions of Aminoacyl-tRNA Synthetase and Uses Thereof」と題されたWO2006/068802、および「Compositions of tRNA and Uses Thereof」と題されたWO2007/021297に記載されており、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
修飾されたIL-10変異体ポリヌクレオチド配列および直交アミノアシルtRNA合成酵素/tRNA対(所望の天然にコードされていないアミノ酸に特異的)を含むプラスミドでのE.coliの形質転換は、IL-10ポリペプチドへの天然にコードされていないアミノ酸の部位特異的組み込みを可能にする。IL-10変異体ポリペプチドの発現はT7プロモーターの制御下にあり、そして培地中へのアラビノースの添加によって誘導される(プラスミドマップpKG322を参照のこと)。これは図2に示される。
(パラ-アセチル-フェニルアラニン(pAF)またはパラ-アジドメチル-フェニルアラニン(pAmF)による抑制)
発現IL-10ポリペプチドのためのプラスミドをW3110B60E.coli細胞に形質転換する。例えば、パラ-アセチル-フェニルアラニン(pAF)またはパラ-アジドメチル-フェニルアラニン(pAmF)を細胞に添加し、アラビノースの添加によってタンパク質発現を誘導する。IL-10ポリペプチドの発現のSDS-PAGE分析を行い、IL-10ポリペプチドを観察する。レーンを、元の野生型IL-10ポリペプチド間の比較のために;そしてpAFまたはpAmF置換IL-10ポリペプチドについて、例えば、特定のアミノ酸残基で作製されたpAFまたはpAmF置換を有するIL-10を走らせる。T7ポリメラーゼの発現は、アラビノース誘導性T7バクテリオファージプロモーターの制御下にある。天然ではないアミノ酸(例えば、pAFまたはpAmF)を細胞に添加し、アラビノース(最終0.2%)の添加によってタンパク質発現を誘導する。培養物を37℃で数時間(3~5時間)インキュベートする。
(E.coliにおけるhIL-10発現を増加させるためのさらなる構築物)
E.coliにおけるhIL-10の産生を増加させるために、以下の発現パラメーターを、本明細書中に開示されるE.coliコドン使用に基づくDNA配列最適化に加えてさらに最適化する。これには、アラビノースB(araB)、pTrcおよびバクテリオファージT5プロモーターなどのT7バクテリオファージプロモーター以外の異なるプロモーターの試験;hIL-10mRNAの安定化;基準W3110B60株以外の異なるE.coli宿主株のスクリーニング;温度、培養培地、インデューサー濃度などの産生プロセスパラメータ最適化;開始および停止コドン、リボソーム結合部位(RBS)、転写ターミネーターなどの転写および翻訳制御要素最適化;プラスミドコピー数およびプラスミド安定性最適化;ならびに翻訳開始領域(TIR)最適化などが含まれる。
(実施例5)
本実施例は、E.coli振盪フラスコ発現試験および高細胞密度発酵に関する詳細を提供する。
(振盪フラスコ発現試験)
上記のAXID産生株を用いて、振盪フラスコ実験におけるhIL-10発現について試験する。簡単に述べると、AXIDグリセロールバイアルからの接種物を、50μg/mLの硫酸カナマイシン(Sigma)を含む5mLのスーパーブロス(Fisher-Optigrow(商標)、#BP1432-10B1)培地に入れ、振盪しながら37℃で一晩増殖させる。一晩培養物を、50μg/mLの硫酸カナマイシン(Sigma)を含むスーパーブロス(Fisher-Optigrow(商標)、#BP1432-10B1)培地中で1:100に希釈し、振盪しながら37℃で増殖させる。培養密度が0.6~0.8のOD600に達したとき、0.2%アラビノースおよび天然にコードされていないアミノ酸(例えば、pAFまたはpAmF)が添加されて誘導され、続いて数時間(通常3~5時間)の産生後に回収した。回収した細胞からアリコートを採取し、SDS-PAGEによって分析する。hIL-10の最適な発現は、温度、誘導の持続時間およびインデューサー濃度を変化させることによって標準化される。hIL-10に対する標準モノクローナル抗体を用いた粗抽出物のイムノブロットは、hIL-10の発現をさらにはっきりさせた、(データは示さない)。回収した細胞ペレットを5のOD600nmに標準化し、リゾチーム(100μg/ml)およびDNase1(1U/ml)を含む、製造業者によって提供される、計算量のB-PER溶液(ThermoFisher)に溶解した。高速で2~5分間ボルテックスし、混合物を37℃、250rpmでインキュベートすることによって、ペレットを混合した。サンプルを、最終濃度を1×に調整することによって、製造業者によって提供されるサンプル緩衝液(4×)およびサンプル還元剤(10×)と混合した。合計20μlの各サンプルを、hIL10標準物(R&D Systems、Minneapolis、MN)と共に既製ポリアクリルアミドゲル(ThermoFisher)上にロードし、電気泳動分離を1×MES緩衝液(ThermoFisher)中で行った。iBlot装置およびゲル転写スタックを用いて、タンパク質サンプルをニトロセルロース膜上に転写した。hIL10をヤギ抗ヒトIL-10抗原(R&D Systems)によって捕捉し、opti4CN比色基質(Bio-Rad、Hercules、CA)を用いてHRP結合抗ヤギIgG二次抗体(R&D Systems)によって検出した。
表2および図3に示すように、天然cDNA配列とともに3つの異なるE.coliコドン最適化DNA配列を、E.coli振盪フラスコ培養における発現最適化について試験した。E.coli振盪フラスコ培養からのヒトIL-10溶解物を、SDS-PAGE(データは示さず)およびウェスタンブロット、(図3)によってタンパク質発現レベルについて分析した。データは、3つ全てのE.coliコドンが最適化された配列がタンパク質を発現したが、(図3のレーン4~9)、最高のタンパク質発現が天然のcDNA配列で観察されたことを示す(図3のレーン10~11)。従って、天然のcDNA配列を、種々のアンバー突然変異タンパク質を操作するための骨格プラスミドとして選択した。
(高細胞密度発酵)
hIL-10の産生のための発酵プロセスは、2つの段階:(i)接種物調製および(ii)発酵槽産生からなる。接種材料を単一のグリセロールバイアルから開始し、解凍し、250mLバッフル付き三角フラスコ中の50mLの規定種培地中に1:1000(v/v)に希釈し、37℃および250rpmでインキュベートする。使用前に、発酵槽を洗浄し、オートクレーブ処理する。特定量の基礎培地を発酵槽に添加し、蒸気滅菌する。特定量の硫酸カナマイシン溶液、供給培地体およびP2000消泡剤を、接種前に基礎培地に添加する。オートクレーブ処理後に発酵槽に添加された全ての溶液は、0.2μm濾過されるか、または無菌添加の前にオートクレーブ処理される。
発酵槽を、炭素源としてグリセロールを利用する4Lの化学的に規定された培地でバッチ処理する。種培養を、0.05の初期OD600nmまで発酵槽に添加する。溶解した酸素を、480~1200rpmの撹拌ならびに6psigのヘッド圧および5slpmの空気流での酸素富化を使用して、30%空気飽和に維持する。温度およびpHは、それぞれ37℃および7.0に制御される。培養物が35±5のOD600nmに達すると、0.25mL/L/分間の速度で供給を開始する。その結果、L-Ala-pAcFジペプチド(L-Ala-pAFとも呼ばれる)、またはpAmFアミノ酸が0.4g/Lで添加される。ジペプチドの添加の15分後、培養物を、2g/Lの最終濃度でL-アラビノースで誘導する。誘導の6時間後に培養物を回収する。
SDS-PAGEによるヒトIL-10アンバー変異体発現分析を、天然ではないアミノ酸、例えばpAmFを使用する高細胞密度発酵において試験した。さらなる分析を、高細胞密度発酵から行った。高細胞密度E.coli発酵からの11のhIL-10アンバー変異体の結果を表4に示す。種々のアンバー変異体間の発現レベルをSDS-PAGE分析により検出し、表4に要約した。SDS-PAGE分析に基づいて、表4、アンバー変異体F36、Q63およびS31は低いhIL-10発現を示し;アンバー変異体S93、E74およびS66は中程度のhIL-10発現を示し;アンバー変異体Q70、H90、N21、D28およびI87は高いhIL-10発現を示した。11のアンバー変異体の封入体(IB)およびIBパーセンテージ収率は、それぞれ5.8g/L~11g/Lおよび2.5%~6.8%の範囲であった、(表4)。サンプル1リットル当たりの湿重量(g/L)として細胞密度を定量化するために使用した湿細胞重量(WCW)は、143.7g/L~234.4g/Lの範囲であった。
Figure 2022512746000057
(実施例6)
本実施例は、IL-10封入体調製、リフォールディング、および精製に関する詳細を提供する。
(E.coli発現系からのIL-10の精製)
高細胞密度発酵から回収した細胞ペーストを、4℃封入体(IB)緩衝液I(50mM Tris pH8.0;100mM NaCl;1mM EDTA;1%Triton X-100;4℃)中で最終10%固体に混合することによって再懸濁する。細胞は、再懸濁された材料をマイクロフルイダイザーに合計2回通すことによって溶解される。次いで、サンプルを遠心分離し(14,000g;15分;4℃)、上清をデカントする。封入体ペレットを、追加容量のIB緩衝液I(50mM Tris pH8.0;100mM NaCl;1mM EDTA;1%Triton X-100;4℃)に再懸濁することによって洗浄し、再懸濁された材料を、マイクロフルイダイザーに合計2回通す。次いで、サンプルを遠心分離し(14,000g;15分;4℃)、上清をデカントする。封入体ペレットをそれぞれ、1容量の緩衝液II(50mM Tris pH8.0;100mM NaCl;1mM EDTA;4℃)に再懸濁する。サンプルを遠心分離し(14,000g;15分;4℃)、上清をデカントする。封入体ペレットを半減(1/2)容量の緩衝液II(50mM Tris pH8.0;100mM NaCl;1mM EDTA;4℃)に再懸濁する。次いで、封入体を適切な容器に等分する。サンプルを遠心分離し(14,000g;15分;4℃)、上清をデカントする。封入体は、さらなる使用まで可溶化されるか、または-80℃で保存される。
封入体から抽出されたタンパク質を精製するために、封入体を、可溶化緩衝液(50mM Tris、7Mグアニジン、4mM DTT pH8.0)の9:1体積対重量比で、急速撹拌下、例えば、350rpm、室温で3~20時間、可溶化する。室温で、15,000gで15分間遠心分離することにより不溶性物質を除去し、可溶化したIL-10を4~5mg/mLに希釈する。IL-10をリフォールディングするために、可溶化封入体をリフォールディング緩衝液(50mM Tris、0.1Mアルギニン、20%スクロース、1mMシステイン、pH8.0)中に14:1(v:v)リフォールディング緩衝液:可溶化封入体の割合で希釈する。IL-10リフォールディングを24~48時間インキュベートし、室温で空気酸化に曝す。リフォールディングが完了した後、30mMイミダゾールの最終濃度をリフォールディングに添加し、0.22μm濾過する。調整した物質、(濃度30mMイミダゾール)を、20mM Trisおよび30mMイミダゾールの溶液中で、pH8.0で平衡化したNi FF(GE Life Sciences、Pittsburgh、PA)カラム上に入れる。カラムを、20mM Trisおよび30mMイミダゾールの溶液、pH8.0で洗浄し、そして20mM Trisおよび500mMイミダゾールの5CVの溶液、pH8.0で溶出する。Ni FFプールを、10kDa MWCO限外濾過装置を用いて5~10mg/mLまで濃縮し、0.22μm濾過する。次いで、濃縮したNi FFプールを、20mMリン酸ナトリウム;100mM塩化ナトリウム;100mMグリシン;および2.5%トレハロース、pH7.5の溶液中で平衡化したSephacryl S-100HRカラム上に入れる。図4は、描かれた一次二量体IL-10種および残留量の単量体IL-10を有するpAF IL-10変異体の典型的なサイズ排除A280クロマトグラムを示す。分析した変異体のそれぞれについての二量体IL-10をそれぞれプールし、0.22μM濾過し、さらなる使用まで-80℃で保存した。
(実施例7)
本実施例は、部位特異的PEG化およびPEG化IL-10変異体の精製に関する詳細を提供する。
(オキシム共役化学反応およびPEG-IL-10精製による部位特異的PEG化)
E.coliについて、天然ではないアミノ酸(nnAA)、例えば、パラアセチルフェニルアラニンを含有するIL-10変異体を、共役緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、5%DMSO、pH4.0)に緩衝液交換し、1~5mg/mLに濃縮した。最終の100mM酢酸ヒドラジドを反応物に添加し、続いて10モル過剰のアミノオキシ官能化PEGを添加した。共役反応物を25~30℃で16~48時間インキュベートした。共役後、PEG化IL-10を20mM Tris(pH7.5)に緩衝液交換し、20mM Tris、pH7.5で平衡化したSuperdex200カラムにロードした。PEG化IL-10二量体を含有する画分を回収し、10mMリン酸カリウム、100mM塩化ナトリウム、2.5%トレハロース、pH7.0に緩衝液交換した。PEG化IL-10を1mg/mLに濃縮し、0.22μM濾過し、さらなる使用まで-80℃で保存した。
(クリック共役ケミストリーおよびPEG-IL-10精製による部位特異的PEG化)
E.coliについて、天然ではないアミノ酸(nnAA)を含有するIL-10変異体、例えば、パラ-アジド-メチルフェニルアラニンを20mM Tris、pH7.5に緩衝液交換し、1~5mg/mLに濃縮した。オクチン/DBCO官能化PEGの5モル過剰を反応に加えた。共役反応物を25~30℃で16~20時間インキュベートした。共役後、PEG化IL-10を、20mM Tris、pH7.5中で平衡化したSuperdex200カラム上にロードした。各変異体についてPEG化IL-10二量体を含有する画分をそれぞれ回収し、10mMリン酸カリウム、100mM塩化ナトリウム、2.5%トレハロース、pH7.0に緩衝液交換した。PEG化IL-10を1mg/mLに濃縮し、0.22μM濾過し、さらなる使用まで-80℃で保存した。図5は、IL-10および例示的なPEG化IL-10変異体、PEG化IL-10-Q83-PEG10Kの典型的な分析サイズ排除プロファイルを示す。IL-10変異体内に位置する非天然アミノ酸位置でのPEGとの複合体形成のために、保持時間はIL-10-Q83-PEG10Kについて描写されるように、より早く生じることが予想される。
(実施例8)
本実施例は、哺乳動物細胞における天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10のクローニングおよび発現を詳述する。本実施例はまた、改変IL-10の生物学的活性を評価するための方法を記載する。
(哺乳動物細胞におけるIL-10変異体の調製)
野生型IL-10および本明細書中に記載されるように設計された種々のIL-10突然変異タンパク質、(表1および3)は、CHO細胞において産生され得る。CHO細胞コドン最適化ヒトインターロイキン-10(hIL-10)cDNAを市販DNA合成サービス(IDT)から得た。簡単に述べると、合成したDNA断片をHind IIIおよびEcoR I(両方ともNEB由来)で消化し、PCR精製キット(Qiagen)によって精製した。次いで、消化されたIL-10DNA断片を、クイックライゲーションキット(NEB)を介して発現ベクターに結紮して、野生型hIL-10の発現のための構築物を得た。
所望の位置に天然ではないアミノ酸を含むIL-10突然変異タンパク質を産生するために、各突然変異タンパク質は、改変した直交tRNA/tRNA合成酵素対(Tianら、Proc Natl Acad Sci U S A,111(5):pp:1766-71(2014))およびPCT/2018US/035764:それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を含むトランスフェクトされたプラットフォーム細胞株に由来する安定なプールまたは安定な細胞株のいずれかで産生される。簡単に述べると、天然ではないアミノ酸、例えば、pAFまたはパラアジドフェニルアラニンまたは任意の他の天然ではないアミノ酸を、例えば、CHO細胞中のIL-10のような治療用タンパク質に効率的に組み込むために、ユニークな直交tRNA合成酵素(O-RS)およびその同族のアンバー抑制tRNA(O-tRNA)を安定に発現するプラットフォーム細胞株であるようにCHOK1細胞を改変した。次いで、プラットフォーム細胞株を、バイオリアクターへの急速な進行のために懸濁液成長に予め適合させた。プラットフォーム細胞株は、改善された天然ではないアミノ酸取り込み効率およびクローン選択効率で十分に特徴付けられ、進化した。プラットフォーム細胞株を親細胞として用いて、初期段階の研究用途のために、100mg/Lを超える力価を有する迅速かつ効率的な一過性発現によって、天然ではないアミノ酸組み込み治療タンパク質を産生する。候補分子の発現を評価し、リード分子を同定するための機能的アッセイのための材料を提供するために、一過性のトランスフェクションおよび安定なプール生成を行う。GS発現系における目的の遺伝子を含むアンバーナンセンスコドンをプラットフォーム細胞株にトランスフェクトすることによって、非天然アミノ酸組み込みIL-10タンパク質を産生するために、産生細胞系を作製する。プラットフォーム細胞株を親細胞として用いて、3~4ヶ月で5~10PCDを有し、6ヶ月で20~30PCDを有する産生細胞系を得るために、安定な細胞系開発戦略を実施する。
本発明では、天然シグナルペプチド配列を有するヒトIL-10cDNAを合成し、GS選択マーカーを含有する哺乳動物発現ベクターにクローニングする。クローン化された野生型ヒトIL-10cDNAは、各アミノ酸の元のDNA配列を突然変異なしに保持している。対照的に、IL-10変異体(表1および3)の生成の間、突然変異タンパク質のそれぞれはアンバー終止コドン(TAG)に突然変異したユニークな位置を有し、これは、nnAA含有タンパク質を産生するように改変された細胞において抑制および発現され得る。
(IL-10変異体発現に使用されるように改変されたCHO細胞の樹立)
改変されたCHO細胞は、以前に樹立されたユニークなプラットフォーム細胞の遺伝子ノックアウトに由来した。例えば、Fengら、(2013)、A general approach to site-specific antibody drug conjugates、PNAS111(5):1766-1771;USPN7,083,970;およびPCT/US2018/035764を参照されたい。これらは全体が参照により本明細書中に組み込まれる。簡単に述べると、ウェブベースの標的発見ツール、CRISPyを用いて、好ましくはCHO-K1細胞中のゼロオフ標的を有する初期エキソン中のgRNA標的配列を迅速に同定した。gRNAを、CHOコドン最適化版のCas9と共発現する哺乳動物発現ベクターpGNCVにクローン化した。産生細胞株にタンパク質発現ベクターをトランスフェクトして細胞プールを作成した後、クローニングを行い、遺伝子ノックアウトした単細胞分離株を同定した。複数のプロジェクトの複合結果からのindel(挿入/欠失)頻度は、細胞および単細胞分離株のプールでそれぞれ30~90%および50~80%であった。CRISPRを用いてCHO細胞の標的遺伝子をノックアウトした。次いで、得られた細胞株を使用して、IL-10変異体を一過性に発現させた。具体的には、CRISPR技術を用いてBax/Bak遺伝子ノックアウトを行った。192クローニングをスクリーニングした後、Bax/Bak-KO細胞株を選択し、Bax/Bakノックアウトを有することを配列決定によって検証した(例えば、PCT/US2018/035764を参照のこと、全体が参照により本明細書中に組み込まれる)。次いで、得られたBax/Bak-KO細胞株を用いて、本発明のIL-10変異体を一過性に発現させた。
(改変されたCHO細胞におけるIL-10の一過性発現)
プラットフォーム細胞株301-14を、3mM L-グルタミン(ThermoFisher-Gibco)および3mM GlutaMAX(ThermoFisher-Gibco)を補充したEX-Cell302(Sigma)中で維持する。細胞を3~4日毎に継代し、1ml当たり0.4百万細胞の密度で播種した。トランスフェクションの1日前に、細胞を0.6百万細胞/mlで播種した。0日目に、MaxCyteエレクトロポレーションプラットフォームを使用して、取扱説明書に従って、細胞をヒトIL-10発現プラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を空の125ml振盪フラスコ中に静置し、37℃の静置インキュベーター中で30分間インキュベートした。次いで、トランスフェクトした細胞を、振盪フラスコ中で3×10/mlの密度で基礎発現培地(50%Dynamis-50%ExCell302に50μM MSXを補充)に接種した。トランスフェクトした細胞を、140rpmに設定したオービタルシェーカー上で37℃、5%COでインキュベートした。1日目に、1mM pAFを、7g/LのCell Boost5(GE healthcare)、120μg/LのLong R3IGF-1(Sigma)および2mM GlutaMAXと共に培養物に添加する。インキュベーター内の温度を37℃から32℃に変える。別の7g/LのCell Boost5および2mM GlutaMAXを3日目に添加し、上清を5日目に収集した。グルコース量を、グルコースメーターを使用してモニターし、そしてグルコース量が培養培地中で2g/L未満であった場合に、さらなるグルコースを培養物に添加した。生細胞数および生存率を、Vi-Cell器具によって測定した。産生性はヒトIL-10Quantikine ELISAアッセイ(R&Dシステム)で測定され、図6に示している。変異体S1、E72およびQ101は図6に示されているように、一過性発現中に分析された30種類の変異体の中で最も高い発現レベルを示した。変異体F54、K58。K75、Y77、Q81、E85、E92、Q97とS111は分析した30の変異体の中で中程度の発現レベルを示し、H32、N36、M57、N63、E68、Q88、N100、D102、D104、K106、H108、,E114、K117、L121、R125、H127とR128は最少の発現を示した。図6において、IL-10変異体の番号付けは、IL-10ポリペプチドのリーダー配列またはシグナル伝達配列に対応する最初の18アミノ酸の包含に相関することが注目される。表1、2および3に提供されるIL-10アミノ酸配列は、最初の18アミノ酸を含まないことにも留意されたい。
(安定なバルクプール生成)
Pvu I(NEB)消化を6時間用いて発現プラスミドを線状化(直鎖状に)した。線状化後、DNAを、フェノール抽出を用いて精製し、2.5μg/μlの濃度でエンドトキシンを含まない水に溶解した。プラットフォーム細胞株BB-117を、3mMのL-グルタミンおよび3mMのGlutaMAXを補充したEX-Cell302中で維持した。細胞を、0.4×10/mlの濃度で播種して、3~4日毎に継代した。トランスフェクションの1日前に、細胞を0.6×10/mlで播種した。0日目に、MaxCyteエレクトロポレーションプラットフォームを使用して、取扱説明書に従って、細胞を線状化ヒトIL-10発現プラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を空の125ml振盪フラスコに移し、37℃の静的インキュベーター中で30分間インキュベートした。30mlのリカバリー培地(3mMグルタミンおよび3mMGlutaタMAXを補充した50%Ex-302-50%CD-CHO)をフラスコに添加し、一晩振盪した。1日目に、トランスフェクトした細胞を計数し、スピンダウンし、洗浄し、そして安定なバルク池生成のために選択培地(50%Ex-302-50%CD-CHOに50-100μM MSXを補充)に再懸濁した。生存細胞数および生存率をモニターし、安定なバルクプールの生存率が90%になるまで、培地を3~4日ごとに交換した。選択相の終わりに、凍結細胞ストックを作製し、得られた安定なバルクプールを使用して、流加発現のための材料を生成した。
(流加発現)
前もって作製したヒトIL-10安定バルクプールを、0日目に振盪フラスコ中で0.5×10/mlの密度で基礎発現培地(50%ダイナミス-50%ExCell302に50μM MSXを補充)に接種した。トランスフェクトした細胞を、140rpmに設定したオービタルシェーカー上で37℃、5%COでインキュベートした。0.5mMのpAFを、10g/LのCell Boost4(GE Healthcare)および0.52g/LのCell Boost7b(GE Healthcare)と共に、3日目に培養物に添加した。5日目に、120μg/LのLong R3IGF-1を培養物に添加した。グルコース量を、グルコースメーターを使用してモニターし、そしてグルコース量が培養培地中で2g/L未満であった場合に、さらなるグルコースを培養物に添加した。生細胞数および生存率を、Vi-Cell器具によって測定した。7日目に精製のために上清を回収した。産生性は、ヒトIL-10QuantikineELISAアッセイによって測定した(データは示さず)。
(哺乳動物発現系からのIL-10の精製)
Hisタグ化IL-10を含有する細胞培養培地を、水酸化ナトリウムでpH8.0に調整し、20mM Tris、pH8.0で平衡化したNi Excelカラム(GE Healthcare)上にロードした。ロード後、カラムを緩衝液A(20mM Tris、pH8.0)で洗浄し、続いて洗浄緩衝液B(20mM Tris、1.0M塩化ナトリウム、30mMイミダゾール、pH8.0)で洗浄して、宿主細胞汚染物質を除去した。溶出緩衝液(20mM Tris、300mMイミダゾール)でカラムからIL-10を溶出し、IL-10を含有する画分をプールした。IL-10プール材料を最終濃度5mMリン酸ナトリウムで調整し、20mM Tris、5mMリン酸ナトリウム、pH7.5中で平衡化したセラミックヒドロキシアパタイトカラム(BioRad)上にロードした。IL-10を、100%緩衝液B(20mM Tris、150mMリン酸ナトリウム、pH7.5)への直線勾配でカラムから溶出し、二量体IL-10を含有する画分をプールした。プールしたIL-10を濃縮し、20mMリン酸ナトリウム;100mM塩化ナトリウム;100mMグリシン;2.5%トレハロース、pH7.5で平衡化したSephacryl S-100HRカラム(GE Healthcare)にロードした。二量体IL-10をプールし、0.22μM濾過し、さらなる使用まで-80℃で保存した。
(部位特異的結合およびPEG-IL-10精製)
哺乳動物系について、nnAA、例えばパラアセチルフェニルアラニン(pAF)を含有するIL-10変異体を、共役緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、pH4.0)に緩衝液交換し、1~10mg/mLに濃縮した。最終の100mM酢酸ヒドラジドを反応物に添加し、続いて10モル過剰のアミノオキシ官能化PEGを添加した。共役反応物を25~30℃で18~20時間インキュベートした。共役後、PEG化IL-10を20mM酢酸ナトリウム、pH6.0で1:10に希釈し、Capto SP Impresカラムにロードした。ロード後、カラムを緩衝液A(20mM酢酸ナトリウム、pH6.0)で洗浄し、そしてPEG化IL-10を、20カラム容量にわたって100%緩衝液B(20mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、pH6.0)への直線勾配を使用してカラムから溶出した。PEG化IL-10を含有する画分を回収し、10mMリン酸カリウム、100mM塩化ナトリウム、2.5%トレハロース、pH7.0に緩衝液交換した。PEG化IL-10を1~2mg/mLに濃縮し、0.22μM濾過し、さらなる使用まで-80℃で保存した。
(実施例9)
本実施例は、安定な共有結合IL-10二量体の生成のためのスキームを詳述する。
(IL-10の二量体化)
天然ではないアミノ酸を含有するIL-10ポリペプチドの安定な共有結合した二量体を、以下に記載するようにリンカーと複合体を形成させることによって調製する:
Figure 2022512746000058
Figure 2022512746000059
(クリック共役ケミストリーおよびIL-10共有結合二量体精製による部位特異的共有結合二量体化)
nnAAパラ-アジド-メチルフェニルアラニンを含有するIL-10変異体を、共役緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、10%DMSO、pH6.0)に緩衝液交換し、1~5mg/mLに濃縮した。二官能性オクチンリンカーを、リンカー対タンパク質のモル比0.75:1でIL-10反応物に添加した。共役反応物を25~30℃で8~20時間インキュベートした。共役後、共有結合二量体化IL-10を、100mMリン酸カリウム、100mM塩化ナトリウム、10%IPA、pH6.5中で平衡化したSuperdex200カラム上にロードした。共有結合二量体化IL-10を含有する画分を回収し、10mMリン酸カリウム、100mM塩化ナトリウム、2.5%トレハロース、pH7.0に緩衝液交換した。共有結合二量体化IL-10を1mg/mLに濃縮し、0.22μM濾過し、さらなる使用まで-80℃で保存した。図7Aは、組み込まれた天然ではないアミノ酸、pAmFを有する精製された単量体IL-10変異体のSDS-PAGE分析を示す。図7Bは、天然ではないアミノ酸、pAmFが組み込まれた、精製された共役IL-10二量体変異体のSDS-PAGE分析を示す。レーン2、3、4、および5は、以下の各IL-10変異体を表す:IL-10-Q63pAmF、IL-10-S66pAmF、IL-10-Q70pAmF、およびIL-10-E74pAmF。
(実施例10)
本実施例は、IL-10活性を決定するためのアッセイを提供する。
(バイオレイヤー干渉(Bio-Layer Interferometery)によるIL-10/IL-10 Rα結合アッセイ)
IL-10/IL-10Rαマルチ濃度結合動態実験を、Octet RED96(PALL/ForteBio)装置で、30℃で行った。ストレプトアビジン被覆バイオセンサー(PALL/ForteBio、カタログ番号18-5019)に、1×HBS-P+緩衝液(GE Healthcare、カタログ番号BR-1008-27)中の精製されたビオチン化ヒトIL-10Rαをロードした。0.5nm~0.7nmの固定化レベルに達した。ロードしたバイオセンサーを1×HBS-P+緩衝液で洗浄して、結合していないタンパク質を除去した後、会合および解離動態を測定した。会合相モニタリングのために、IL-10検体サンプルを1×HBS-P+緩衝液で希釈し、固体ブラック96ウェルプレート(Greiner Bio-One、Monroe、NC;カタログ番号655209)に移した。IL-10サンプルをIL-10Rαロードバイオセンサーに240秒間結合させた。解離相を、1×HBS-P+緩衝液を含有する固体ブラック96ウェルプレートのウェル中で600秒間記録した。並列緩衝液ブランク減算を用いてデータを参照し、ベースラインをy軸に整列させ、Octetデータ分析ソフトウェアバージョン10.0(PALL/ForteBio)のSavitzky-Golayフィルターによって平滑化した。1:1の結合化学量論を描写するLangmuirモデルを用いて、処理された動態センサーグラムを全体的にフィットさせた。図8は、結合動態センサーグラムならびにIL-10野生型についてのモデルフィッティングラインおよび計算された測定値を示す。選択された変異体Q63、S66、Q70およびE74の分析は、本明細書に記載されるように、in vitro bndingアッセイ、バイオレイヤー干渉(BLI)アッセイを用いて行った。図9A~9Dに示すように、それぞれのIL-10共有結合二量体化変異体:IL-10-Q63二量体(図9A)、IL-10-S66二量体(図9B)、IL-10-Q70二量体(図9C)、およびIL-10-E74二量体(図9D)の結合動態センサーグラムは、IL-10野生型と比較して有意な結合差を示さなかった。表5は、共有結合二量体化変異体のそれぞれについて測定された結合動態を示す。上記のように、IL-10野生型と共有結合二量体化変異体との間に有意な結合差は観察されず、構造がインタクトであり、その活性が保存されていることが示された。
Figure 2022512746000060
(選択されたPEG化IL-10変異体)
N21、D28、F36、I87、H90およびS93の分析を、本明細書中に記載されるように、in vitro結合アッセイ、バイオレイヤー干渉アッセイを使用して行った。変異体のそれぞれを、それぞれの特異的な部位で10K PEGと結合させた。次いで、PEG化変異体を、実施例の他の箇所に記載されるBLI(バイオレイヤー干渉)アッセイによって分析した。図10A~10Fは、IL-10Rαへのそれらの結合についてのそれぞれのIL-10PEG化変異体の結合動態センサーグラムを示す。野生型IL-10と比較して、IL-10-N21-PEG10K(図10A)、IL-10-D28-PEG10K(図10B)、IL-10-F36-PEG10K(図10C)、IL-10-I87-PEG10K(図10D)、IL-10-H90-PEG10K(図10E)、およびIL-10-S93-PEG10K(図10F)では、IL-10-Rα結合親和性の3~6倍の低下が観察される。表6は、図10A~10Fに示されるIL-10-PEG化変異体について測定された結合動態を示す
Figure 2022512746000061
(実施例12) MC/9増殖アッセイ
内因性IL-10受容体を発現し、IL-4およびIL-10との共刺激に応答して増殖するマウス肥満細胞株であるMC/9を用いた増殖アッセイの適用により、hIL-10野生型、そのpAFまたはpAmF変異体およびPEG化または二量体化型の生物学的活性を評価した。
MC/9細胞(ATCC、Manassas、VA;#CRL-8306)を、DMEM+10%FBS+50μMのβ-メルカプトエタノール+1×ラットT-STIM中、ConA(BD、San Diego、CA)と共に、5%COインキュベーター中、37℃で増殖させた。アッセイにおいて細胞を使用する前に、それらをラットT-STIMを含まない増殖培地中で洗浄し、次いで10pg/mlのIL-4(R&Dシステム)を含む新しい培地中に再懸濁した。細胞を96ウェルプレートにウェル当たり約5000細胞で播種した。次いで、種々の量の精製されたIL-10タンパク質を、このプレートに添加し、そして細胞を、5%CO中、37℃で72時間増殖させた。増殖はCell Titer Glo(Promega、Madison、WI)により、マニュアル指示に従って測定した。添加したサンプルの生物学的活性をEC50値によって測定した(図11A~E)。
IL-10活性に対するN末端PEG化の影響を評価するために、上記のMC/9増殖アッセイを、PEG化の存在下および非存在下で野生型IL-10を用いて行った。図11Aおよび表7に示すように、5K-PEG-IL-10(EC50 4.76ng/ml)および10K-PEG-IL-10(EC50 21.8ng/ml)の両方が、WT IL-10と比較して活性を低下させた。データはまた、PEGサイズの増加(10K対5K)がPEG化IL-10の効力を減少させたことを示す。
Figure 2022512746000062
IL-10活性に対する部位特異的天然ではないアミノ酸の影響を評価するために、選択されたIL-10変異体を、上記のようにMC/9増殖アッセイによって評価した。3つのIL-10変異体S1、F36、およびY59を例として使用して、IL-10活性に対する天然ではないアミノ酸、例えばpAFの影響を評価した。図11Bおよび表8に示すように、全てのpAF変異体は、WT IL-10と比較して同様の活性を示した。これはIL-10の特定の表面位置への天然ではないアミノ酸、例えばpAFの部位特異的組み込みが、その活性に影響を及ぼさないことを示唆する。天然にコードされていないアミノ酸が組み込まれたPEG化S1、F36およびY59変異体についても同様の研究を行った。図11Cおよび表8に示すように、部位特異的PEG化IL-10pAF変異体は、N末端PEG化IL-10と同様の活性の低下を示し(図11A)、WT IL-10と比較した。
Figure 2022512746000063
上記のようなさらなる研究を行って、IL-10活性に対する天然ではないアミノ酸、pAmFの取り込みまたは置換の影響を評価した。図11Dは、IL-10pAmF突然変異体およびそれらのPEG化変異体の活性を示す。IL-10変異体Y59pAmFおよびQ83pAmFを例として提供する。図11Dおよび表9に示すように、IL-10-Yp59F AmpPEG化変異体はその非PEG化変異体(IL-10-Yp59AmF)と比較してかなりの程度の活性を失ったが、IL-10-Q83pAmF-PEG化変異体はその非PEG化pAmF変異体(IL-10-Q83pAmF)と比較して非常に類似した活性を示し、この部位での部位特異的PEG化がIL-10活性のほとんどを保存したことを示した。
Figure 2022512746000064
IL-10活性に対するPEG化pAmF変異体の影響を調べるために、さらなる研究を行った。図11Eおよび表10は、IL-10活性に対するPEG化pAmF変異体の影響を示す。選択されたIL-10変異体、H90、I87、D28、N21、S93およびF36は、例として提供される。図11Eおよび表10に示すように、PEG化D28pAmF変異体は、WT IL-10と比較してある程度の活性を保持する。データはまた、PEG化F36pAmFおよびI87pAmF変異体がそれらの活性の大部分を失ったことを示す。
Figure 2022512746000065
図11Fおよび表11は、IL-10活性に対する共有結合二量体化の影響を示す。選択されたIL-10変異体、Y59、Q63、S66、Q70およびE74は、共有結合IL-10二量体変異体の例として提供される。共有結合二量体変異体について示された各アミノ酸部位は、共有結合二量体化部位を示す。図11Fおよび表11に示すように、WT IL-10と比較して、異なる共有結合二量体変異体は、異なる活性を示した。例えば、IL-10-Y59-二量体、IL-10-Q70-二量体、およびIL-10-E74-二量体はWT IL-10と比較して同様の活性を示したが、IL-10-Q63-二量体およびIL-10-S66-二量体変異体はWT IL-10と比較して活性の低下を示した。
Figure 2022512746000066
(実施例13)
本実施例は、p-STAT3アッセイを用いた、改変したcovlaent IL-10二量体変異体のin vitro活性測定の詳細を提供する
活性化ヒトCD4およびCD8T細胞(1×10細胞/ml)を、5%CO2インキュベーターで30分間、連続希釈したIL-10変異体と共にインキュベートした。インキュベーション後、T細胞を固定し、透過性にし、リン酸化STAT3特異的抗体で染色した。染色されたT細胞を、フローサイトメトリー分析によって、リン酸化STAT3の平均蛍光強度(MFI)値について測定した。それぞれのIL-10変異体についてのEC50(ng/ml)および最高値(Emax;MFI)を、統計ソフトウエア(GraphPad Prism)によって計算した。
選択された共有結合IL-10二量体変異体Y59、Q63、S66、およびE74を例として使用して、p-STAT3アッセイを実施して、改変した共有結合IL-10二量体変異体のin vitro活性/機能を試験した。図12A~12Bおよび表12~13に示すように、IL-10-E74共有結合二量体変異体は、評価したIL-10変異体の中でSTAT3のリン酸化の誘導において最も活性を示した。IL-10-E74共有結合二量体変異体のEC50は、野生型IL-10と比較してSTAT3のリン酸化を誘導することにおいて同様の効力を示し、CD4+T細胞については0.99ng/ml対0.3ng/ml;およびCD8+T細胞については1.2ng/ml対0.4ng/mlを示した(表12および13)。
Figure 2022512746000067
Figure 2022512746000068
腫瘍微小環境では、pHレベルは約6.0~6.5である。IL-10活性に対する低pH環境の影響を調べるために、p-STAT3アッセイを2つのpH状態で行った。この実験では、IL-10-E74共有結合二量体および野生型をpH6.0で一晩インキュベートした。抗CD3/28で活性化したヒトCD4およびCD8T細胞(1×10細胞/ml)を、IL-10-E74共有結合二量体およびIL-10野生型を添加する直前に酸性培地(pH6.0)に入れた。続いて、ヒトT細胞を、5%CO2インキュベーターで30分間、IL-10変異体(IL-10-E74共有結合二量体)および連続希釈(4:1比率)を伴う野生型と共にインキュベートした。インキュベーション後、T細胞を固定し、透過性にし、リン酸化STAT3特異的抗体で染色した。染色されたT細胞を、フローサイトメトリー分析によって、リン酸化STAT3の平均蛍光強度(MFI)値について測定した。IL-10-E74共有結合二量体およびIL-10野生型のEC50を、統計ソフトウエア(GraphPad Prism)によって計算した。図13A~13Bおよび表14は、IL-10-E74共有結合二量体が野生型IL-10と比較して、低pH環境に対してより抵抗性であることを実証する。IL-10E74共有結合二量体は、正常pH7.5で野生型IL-10と比較して、STAT3のリン酸化を誘導する際に、CD4T細胞について0.99ng/ml対0.3ng/ml、CD8T細胞について1.2ng/ml対0.4ng/mlのEC50で同様の効力を有する(表14)。しかしながら、pH6.0の酸性条件では、IL-10-E74共有結合二量体は、CD8T細胞についての10.7ng/mlに対して0.8ng/mlのEC50を有するIL-10野生型と比較して、ヒトCD8T細胞においてSTAT3のリン酸化を誘導することにおいてより強力である(図13C~13Dおよび表14)。
Figure 2022512746000069
本明細書に記載された実施例および実施形態は、例示の目的のためだけのものであり、それらに照らして様々な修正または変更が当業者に示唆され、添付の特許請求の範囲の本出願の精神および範囲内に含まれることが暗黙のうちに理解される。本出願において引用される全ての刊行物、特許、特許出願、および/または他の文献は、あたかも各個々の刊行物、特許、特許出願、および/または他の文献が全ての目的のために参照により組み込まれるように個々に示されたかのように、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
本発明は、以下の番号付けされた実施形態によってさらに説明される:

天然にコードされていないアミノ酸をそれぞれ1つ以上含む2つのIL-10ポリペプチドのIL-10ポリペプチドホモ二量体であって、前記IL-10ポリペプチドが、それぞれのIL-10ポリペプチドの前記天然ではないアミノ酸に共有結合したリンカーを介して連結されている、IL-10ポリペプチドホモ二量体。
2.前記IL-10ポリペプチドが配列番号1または2と90%相同である、実施形態1記載のIL-10。
3.前記IL-10ポリペプチドが配列番号2と少なくとも95%相同である、実施形態1記載のIL-10。
4.前記IL-10ポリペプチドが配列番号2と少なくとも98%相同である、実施形態1記載のIL-10。
5.IL-10ポリペプチドが配列番号1または2と少なくとも99%相同である、実施形態1記載のIL-10。
6.前記IL-10が、1つ以上の水溶性ポリマーと複合体を形成している、実施形態1に記載のIL-10。
7.少なくとも1つの前記水溶性ポリマーが、少なくとも1つの前記天然にコードされていないアミノ酸に連結されている、実施形態6に記載のIL-10。

8.水溶性ポリマーがPEGで実施形態7記載のIL-10。
9.PEGが10~50の分子量を有する、実施形態8記載のIL-10。
10.天然にコードされていないアミノ酸が、位置1の前(すなわちN末端)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178
の残基からなる群から選択される位置において置換されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、およびこれらの任意の組合せ、およびこれらの任意の組合せである、実施形態1に記載のIL-10。
11.前記IL-10が、野生型IL-10と比較して、前記IL-10ポリペプチドのそれ自体の受容体サブユニットに対する親和性を調節する1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失を含む、実施形態10に記載のIL-10。
12.前記IL-10が、前記IL-10の安定性または溶解性を増加させる1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失を含む、実施形態10に記載のIL-10。
13.IL-10が、組換え宿主細胞における、またはin vitroで合成される前記IL-10ポリペプチドの発現を増加させる、1以上のアミノ酸置換、付加または欠失を含む、実施形態10に記載のIL-10。
14.前記天然にコードされていないアミノ酸が、位置1の前(すなわちN末端で)、19、32、36、54、57、58、63、68、72、75、77、81、85、88、92、97、100、101、102、104、106、108、110、111、114、117、121、125、126、127、128の残基からなる群からなる位置選択される位置において置換されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、および配列番号1のそれらの任意の組合せである、実施形態10に記載のIL-10。
15.前記天然にコードされていないアミノ酸が、ポリペプチド中の20個の一般のアミノ酸のいずれかに対しては反応性がないリンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子に対して反応性がある、実施形態10に記載のIL-10。
16.前記天然にコードされていないアミノ酸が、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含む、実施形態10記載のIL-10。
17.前記天然にコードされていないアミノ酸がカルボニル基を含む、実施形態16記載のIL-10。
18.前記IL-10が、生物学的に活性な分子、細胞毒性剤、水溶性ポリマー、または免疫賦活剤に連結されている、実施形態10に記載のIL-10。
19.前記天然にコードされていないアミノ酸が、位置1(すなわちN-末端で)、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109、110、またはタンパク質のカルボキシル末端、および配列番号7のそれらの任意の組合せに組み込まれた、実施形態10記載のIL-10。
非天然アミノ酸を遺伝的に組み込むように選択されたIL-10上の表面接近可能部位を示す。 E.coliにおける成熟ヒトIL10-Hisタンパク質の発現のためのプラスミドマップを示す。 E.coli振盪フラスコ培養由来の、4つのヒトIL-10溶解物、3つのE.coliコドンを最適化した配列および天然のコード配列の、ウェスタンブロットを示す。 二量体IL-10(左ピーク)および単量体IL-10の残留量(右ピーク)を示すpAF IL-10変異体のA280クロマトグラムを示す。 精製されたIL-10(左ピーク)およびPEG化IL-10変異体(右ピーク)の分析サイズ排除プロファイルを示す。 CHO細胞から産生された非天然アミノ酸を含むIL-10ポリペプチドの発現レベルを示す。 (図7A)精製されたIL-10pAMF変異体のSDS-PAGE分析を示す。(図7B)結合されたIL-10二量体変異体のSDS-PAGE分析を示す。 IL-10野生型のIL-10Rαへの結合動態センサーグラムおよびモデルフィッティングラインを、結合動態測定と共に示す。 IL-10Rα、IL-10-Q63二量体に対するIL-10共有結合二量体変異体の結合動態センサーグラムを示す。 IL-10Rα、IL-10-S66二量体に対するIL-10共有結合二量体変異体の結合動態センサーグラムを示す。 IL-10Rα、IL-10-Q70二量体に対するIL-10共有結合二量体変異体の結合動態センサーグラムを示す。 IL-10Rα、IL-10-E74二量体に対するIL-10共有結合二量体変異体の結合動態センサーグラムを示す。 IL-10Rα、IL-10-N21-EPG10Kに対するIL-10PEG化変異体の結合動態センサーグラムを示す。 IL-10Rα、IL-10-D28-PEG10Kに対するIL-10PEG化変異体の結合動態センサーグラムを示す。 IL-10Rα、IL-10-F36-PEG10Kに対するIL-10PEG化変異体の結合動態センサーグラムを示す。 IL-10Rα、IL-10-I87-PEG10Kに対するIL-10PEG化変異体の結合動態センサーグラムを示す。 IL-10Rα、IL-10-H90-PEG10Kに対するIL-10PEG化変異体の結合動態センサーグラムを示す。 IL-10Rα、IL-10-S93-PEG10Kに対するIL-10PEG化変異体の結合動態センサーグラムを示す。 in vitroでのIL-10野生型、変異体、二量体およびPEG化化合物の生物学的活性を示す。IL-10活性に対する、N端末PEG化。 in vitroでのIL-10野生型、変異体、二量体およびPEG化化合物の生物学的活性を示す。IL-10活性に対する、pAF置換。 in vitroでのIL-10野生型、変異体、二量体およびPEG化化合物の生物学的活性を示す。IL-10活性に対する、部位特異的PEG化およびpAF置換。 in vitroでのIL-10野生型、変異体、二量体およびPEG化化合物の生物学的活性を示す。IL-10活性に対する、PEG化およびpAmF置換。 in vitroでのIL-10野生型、変異体、二量体およびPEG化化合物の生物学的活性を示す。IL-10活性に対する、PEG化およびpAmF置換。 in vitroでのIL-10野生型、変異体、二量体およびPEG化化合物の生物学的活性を示す。IL-10活性に対する、共有二量体変異体。 p-STAT3アッセイを用いて、CD4+T細胞における共有結合IL-10二量体変異体のin vitroでの活性を示す。 p-STAT3アッセイを用いて、CD8+T細胞における共有結合IL-10二量体変異体のin vitroでの活性を示す。 図13A~13Dは、p-STAT3アッセイを用いて、CD4+T細胞(図13Aおよび図13C、それぞれpH7.5およびpH6.0で)およびCD8+T細胞(図13Bおよび図13D、それぞれpH7.5およびpH6.0で)における共有結合IL-10二量体変異体に対するpH環境の影響を示す。 図13-1の続き。

Claims (45)

  1. 天然にコードされていないアミノ酸をそれぞれ1つ以上含む2つのIL-10ポリペプチドのIL-10ポリペプチドホモ二量体であって、前記IL-10ポリペプチドが、それぞれのIL-10ポリペプチドの前記天然ではないアミノ酸に共有結合したリンカーを介して連結されている、IL-10ポリペプチドホモ二量体。
  2. 前記IL-10ポリペプチドが、配列番号1、配列番号2または配列番号5と90%相同である、請求項1に記載のIL-10。
  3. 前記IL-10ポリペプチドが、配列番号2と少なくとも95%相同である、請求項1に記載のIL-10。
  4. 前記IL-10ポリペプチドが、配列番号2と少なくとも98%相同である、請求項1に記載のIL-10。
  5. 前記IL-10ポリペプチドが、配列番号2と少なくとも99%相同である、請求項1に記載のIL-10。
  6. 前記IL-10が、1つ以上の水溶性ポリマーと複合体を形成している、請求項1に記載のIL-10。
  7. 少なくとも1つの前記水溶性ポリマーが、少なくとも1つの前記天然にコードされていないアミノ酸に連結されている、請求項6に記載のIL-10。
  8. 前記水溶性ポリマーがPEGである、請求項7に記載のIL-10。
  9. 前記PEGが0.1kDa~100kDaの分子量を有する、請求項8に記載のIL-10。
  10. 前記PEGが0.1kDa~50kDaの分子量を有する、請求項8に記載のIL-10。
  11. 前記天然にコードされていないアミノ酸が、位置1の前(すなわち、N末端)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178の残基からなる群から選択される位置において置換されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、およびこれらの任意の組合せ、およびこれらの任意の組合せである、請求項1に記載のIL-10。
  12. 前記天然にコードされていないアミノ酸が、位置1の前(すなわち、N末端)、19、32、36、54、57、58、63、68、72、75、77、81、85、88、92、97、100、101、102、104、106、108、110、111、114、117、121、125、126、127、128の残基からなる群から選択される位置において置換されているか、またはタンパク質のカルボキシル末端に付加されており、およびこれらの任意の組み合わせである、請求項11に記載のIL-10。
  13. 前記天然にコードされていないアミノ酸が、配列番号2の位置1、14、18、21、28、31、36、39、40、45、50、54、57、59、63、66、67、70、74、79、82、83、84、86、87、88、90、92、93、96、99、103、107、109、110から選択される1つ以上の位置において置換された、請求項1に記載のIL-10。
  14. 前記天然にコードされていないアミノ酸が、配列番号2の位置21、28、31、36、63、66、70、74、87、90または93から選択される1つ以上の位置において置換されている、請求項13に記載のIL-10。
  15. 前記天然にコードされていないアミノ酸が、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、アジド基またはアルキン基を含む、請求項11~14のいずれか1項に記載のIL-10。
  16. 前記天然にコードされていないアミノ酸が、パラアセチルフェニルアラニン、p-ニトロフェニルアラニン、p-スルホチロシン、p-カルボキシフェニルアラニン、o-ニトロフェニルアラニン、m-ニトロフェニルアラニン、p-ボロニルフェニルアラニン、o-ボロニルフェニルアラニン、m-ボロニルフェニルアラニン、p-アミノフェニルアラニン、o-アミノフェニルアラニン、m-アミノフェニルアラニン、p-アシルフェニルアラニン、o-アシルフェニルアラニン、m-アシルフェニルアラニン、p-OMeフェニルアラニン、o-OMeフェニルアラニン、m-OMeフェニルアラニン、p-スルホフェニルアラニン、o-スルホフェニルアラニン、m-スルホフェニルアラニン、5-ニトロHis、3-ニトロTyr、2-ニトロTyr、二トロ置換Leu、ニトロ置換His、ニトロ置換De、ニトロ置換Trp、2-ニトロTrp、4-ニトロTrp、5-ニトロTrp、6-ニトロTrp、7-ニトロTrp、3-アミノチロシン、2-アミノチロシン、O-スルホチロシン、2-スルホオキシフェニルアラニン、3-スルホオキシフェニルアラニン、o-カルボキシフェニルアラニン、m-カルボキシフェニルアラニン、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、O-メチル-L-チロシン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、3-メチル-フェニルアラニン、O-4-アリール-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcβ-セリン、L-ド-パ、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p-ヨード-フェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、およびp-プロパルギルオキシ-L-フェニルアラニンである、請求項15に記載のIL-10。
  17. 前記天然ではないアミノ酸が、パラ-アセチル-フェニルアラニンまたはパラ-アジドメチル-フェニルアラニンである、請求項16に記載のIL-10。
  18. 前記天然にコードされていないアミノ酸が、ポリペプチド中の20個の一般のアミノ酸のいずれかに対しては反応性がないリンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子に対して反応性がある、請求項11~17のいずれか1項に記載のIL-10。
  19. 前記IL-10ポリペプチドが、前記天然にコードされていないアミノ酸を介して前記ポリペプチドに連結されたリンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子をさらに含む、請求項1に記載のIL-10。
  20. 前記IL-10が、生物学的に活性な分子、細胞毒性剤、水溶性ポリマーまたは免疫刺激剤に連結されている、請求項19に記載のIL-10。
  21. 前記水溶性ポリマーは、リンカーによって前記IL-10に連結されている、請求項20に記載のIL-10。
  22. 前記リンカーは、切断可能なリンカーまたは切断不可能なリンカーである、請求項21に記載のIL-10。
  23. 前記リンカーは、二官能性オクチンリンカーである、請求項18~22のいずれか1項に記載のIL-10。
  24. PEGは直鎖状、または分岐状である、請求項8に記載のIL-10。
  25. 前記IL-10が、野生型IL-10と比較して、前記IL-10ポリペプチドのそれ自体の受容体サブユニットに対する親和性を調節する1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失を含む、請求項11~14のいずれか1項に記載のIL-10。
  26. 前記IL-10が、前記IL-10の安定性または溶解性を増加させる1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失を含む、請求項11~14のいずれか1項に記載のIL-10。
  27. 前記IL-10が、組換え宿主細胞内におけるまたはin vitroで合成される前記IL-10ポリペプチドの発現を増加させる、1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失を含む、請求項11~14のいずれか1項に記載のIL-10。
  28. 請求項1に記載のIL-10を作製する方法であって、天然にコードされていないアミノ酸を1つ以上含むIL-10の第1の単離されたポリペプチドホモ二量体と、天然にコードされていないアミノ酸を1つ以上含むIL-10の第2の単離されたポリペプチドホモ二量体とを接触させること、および、それぞれのIL-10ポリペプチドの前記天然ではないアミノ酸に共有結合したリンカーを介して第1および第2のIL-10ポリペプチドを連結することを含む、方法。
  29. 前記天然にコードされていないアミノ酸と反応する部分を含むポリマーまたは生物学的に活性な分子を接触させることをさらに含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記ポリマーが、水溶性ポリマーおよびポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される部分を含む、請求項29に記載の方法。
  31. 請求項1~27のいずれか1項に記載のIL-10を含む組成物、または請求項28~30のいずれか1項に記載の方法、および薬学的に許容される担体。
  32. 前記天然にコードされていないアミノ酸が水溶性ポリマーに連結されている、請求項31に記載の組成物。
  33. 天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10を作製する方法であって、ポリヌクレオチドか、セレクターコドン、直交RNA合成酵素および直交tRNAを含むIL-10ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドかを含む細胞を、天然にコードされていないアミノ酸を含むIL-10ポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養すること、および前記ポリペプチドを精製することを含む、方法。
  34. 疾患または症状を有する対象または患者を治療する方法であって、請求項1~27および31~32のいずれか1項に記載のIL-10の治療有効量を前記対象または患者に投与することを含む、方法。
  35. 癌を有する患者を治療する方法であって、請求項1~27および31~32のいずれか1項に記載のIL-10の治療有効量を前記患者に投与することを含む、方法。
  36. 前記請求項のいずれか1項に記載のIL-10の治療有効量、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、IL-10医薬組成物。
  37. 医薬品の製造における、前記請求項のいずれか1項に記載のIL-10の使用。
  38. 請求項1に記載のIL-10の、PEG化IL-10。
  39. 腫瘍または癌の成長の阻害または低減のためのPEG化IL-10であって、当該阻害または低減が前記腫瘍をPEG化IL-10の有効量と接触することを含む、請求項38に記載のPEG化IL-10。
  40. 癌を有する患者を治療するためのPEG化IL-10であって、当該治療がPEG化IL-10の治療有効量を当該患者に投与することを含む、請求項38に記載のPEG化IL-10。
  41. 免疫または炎症性の疾患、障害または症状を有する、治療が必要なpatientinを治療するためのPEG化IL-10であって、当該治療がPEG化IL-10の治療有効量を当該患者に投与することを含む、請求項38に記載のPEG化IL-10。
  42. 請求項38に記載のPEG化IL-10の治療有効量、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、IL-10医薬組成物。
  43. 化学療法剤または免疫療法剤をさらに含む、請求項42に記載のIL-10医薬組成物。
  44. 天然ではないアミノ酸を含む、配列番号10~44のIL-10ポリペプチド。
  45. 配列番号1~44のいずれかを含む、ベクター。

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