以下、一実施形態を説明する。
図1に示すように、電力供給システム10は、パワーコンディショナ11、太陽電池12を備える。太陽電池12は、自然エネルギーを利用する電源の一例である。電力供給システム10は、たとえば、一般家屋に設置される。なお、電力供給システム10は、集合住宅、商業施設、工場、等に設置されてもよい。
パワーコンディショナ11は、電力線110により商用電力系統100に接続される。電力線110は、分電盤、電力量計、屋内に敷設された電力線、屋内に配設されたコンセント(アウトレット)などの図示しない電気設備を含む。また、電力線110は、パワーコンディショナ11内の接続部材を含む。接続部材は、パワーコンディショナ11の内部配線、接続端子(端子板)、等を含む。電力線110には、負荷120が接続される。負荷120は、電力線110により供給される交流電力により動作する電気機器である。負荷120としては、たとえば、照明器具、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、空気調和機、電子レンジ、空気清浄機、等が含まれる。
パワーコンディショナ11は、太陽電池12にて発電した電圧を交流電圧に変換して電力線110に出力する。この電力線110には、商用電力系統100から商用交流電力が供給される。つまり、パワーコンディショナ11は、商用電力系統100に接続される電力線110に向けて、交流電力を出力する。
太陽電池12は、自然エネルギーとして太陽光を利用して発電を行う電源である。太陽電池12は、光電変換を行う複数のセルを直列に接続して構成された太陽電池ストリング、並列に接続された複数のストリングにより構成される太陽電池アレイ、等を含む。
パワーコンディショナ11は、蓄電池(バッテリ)13を備える。蓄電池13は、充放電可能とされた電池(二次電池)である。蓄電池13は、たとえばリチウムイオン電池である。蓄電池13は、パワーコンディショナ11に内蔵され、またはパワーコンディショナ11に接続される。パワーコンディショナ11は、蓄電池13から放電される電圧を交流電圧に変換して電力線110に出力する。また、パワーコンディショナ11は、太陽電池12の電圧と、商用電力系統100の商用交流電圧を変換した直流の電圧との少なくとも一方により蓄電池13を充電する。
パワーコンディショナ11は、コンバータ21、リレー(バッテリリレー)22、インバータ23、フィルタ24、リレー25、制御回路26、電源回路27,28を有している。また、パワーコンディショナ11は、複数のセンサ31~37を有している。リレー22は第1開閉器の一例、リレー25は第2開閉器の一例である。
太陽電池12は、コンバータ21に接続される。コンバータ21は、バスライン40を介してインバータ23に接続されている。インバータ23は、フィルタ24とリレー25とを介して電力線110に接続される。蓄電池13は、リレー22を介してバスライン40に接続されている。
制御回路26は、コンバータ21、インバータ23、リレー22,25を制御する。リレー22,25は、たとえば半導体スイッチであり、制御回路26からの制御信号に応答してオンオフする。リレー22は、第1開閉器(スイッチ)の一例である。リレー25は、第2開閉器(スイッチ)の一例である。
コンバータ21は、たとえば昇圧回路である。コンバータ21は、太陽電池12から供給される電圧を所定の電圧に変換してバスライン40に出力する機能を有している。なお、コンバータ21は、降圧回路、昇降圧回路であってもよい。
蓄電池13の電圧は、オン状態のリレー22を通してバスライン40に放電される。また、バスライン40の電圧により、オン状態のリレー22を通して蓄電池13に充電のための電流が供給される。
インバータ23は、直流交流変換回路である。インバータ23は、制御回路26からの制御信号により動作する。インバータ23は、バスライン40の電圧を交流電圧に変換して出力する。また、インバータ23は、商用電力系統100から供給される交流電圧を直流電圧に変換してバスライン40に出力する。
フィルタ24は、インバータ23から出力される交流電力の高周波成分を低減する。このフィルタ24は、パワーコンディショナ11は、インバータ23の出力電圧および出力電流を正弦波に近づける。
電源回路27は、ダイオードD11を介してバスライン40に接続されている。ダイオードD11は、バスライン40から電源回路27に向けて順方向に接続されている。つまり、ダイオードD11のアノード端子は、バスライン40に接続され、ダイオードD11のカソード端子は電源回路27に接続されている。また、電源回路27は、ダイオードD12を介して電源回路28に接続されている。ダイオードD12は、電源回路28から電源回路27に向けて順方向に接続されている。つまり、ダイオードD12のアノード端子は電源回路28に接続され、ダイオードD12のカソード端子は電源回路27に接続されている。両ダイオードD11,D12は、それぞれのカソード端子が互いに接続されている。
電源回路28は、電力線110に接続されている。たとえば、電源回路28は、パワーコンディショナ11の内部の接続部材に接続されている。電源回路28は、たとえば整流回路を含み、電力線110の交流電圧から直流電圧を生成する。なお、電源回路28は、平滑回路を含んでいてもよい。28にて生成された直流電圧は、ダイオードD12を通して電源回路27に供給される。電源回路27は、バスライン40の電圧、または電源回路28にて生成された直流電圧、つまり商用交流電圧により、制御回路26の制御電源(動作電源)を生成する。制御回路26は、その制御電源により動作する。
図2は、パワーコンディショナ11の構成の一例を示す回路図である。
図2は、コンバータ21の構成の一例を示す。図2に示すコンバータ21は、昇圧回路である。このコンバータ21は、スイッチング素子21a、インダクタ21b、ダイオード21cを有している。スイッチング素子21aは、たとえばパワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子21aは、第1スイッチング素子の一例である。
インダクタ21bの第1端子は太陽電池12のプラス側端子に接続されている。インダクタ21bの第2端子は、スイッチング素子21aの第1端子(たとえばドレイン端子)とダイオード21cのアノード端子に接続されている。スイッチング素子21aの第2端子(たとえばソース端子)は太陽電池12のマイナス側端子に接続されている。バスライン40は、高圧側バスライン40aと低圧側バスライン40bとを含む。ダイオード21cのカソード端子は高圧側バスライン40aに接続されている。スイッチング素子21aの第2端子は低圧側バスライン40bに接続されている。スイッチング素子21aの制御端子(たとえばゲート端子)には、制御回路26から制御信号が供給される。
制御回路26は、スイッチング素子21aをオンオフ動作する。詳しくは、制御回路26は、スイッチング素子21aをオンオフする制御信号をスイッチング素子21aに供給する。また、制御回路26は、スイッチング素子21aに供給する制御信号のパルス幅を、たとえばパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式により調整する。制御信号の周波数は、数十kHz程度(たとえば20kHz)に設定される。これにより、コンバータ21は、太陽電池12からの電圧を所定の電圧に変換する。
センサ31は、電流センサ31aと電圧センサ31bとを含む。電流センサ31aは、太陽電池12とコンバータ21との間、詳しくは太陽電池12のプラス側端子とインダクタ21bとの間に接続されている。電流センサ31aは、太陽電池12から流れる電流、つまり発電電流Ipvを検出する。制御回路26は、電流センサ31aにより太陽電池12の発電電流Ipvを取得できる。太陽電池12から流れる電流は、コンバータ21に入力される。したがって、発電電流Ipvは、コンバータ21の入力電流ともいえる。電圧センサ31bは、第1電圧センサの一例である。
電圧センサ31bは、太陽電池12の端子間に接続されている。電圧センサ31bは、太陽電池12の端子間電圧、つまり発電電圧Vpvを検出する。発電電圧Vpvは、第1電圧に相当する。制御回路26は、電圧センサ31bにより太陽電池12の発電電圧Vpvを取得できる。そして、制御回路26は、発電電圧Vpvと発電電流Ipvとにより、太陽電池12の発電電力Ppvを取得できる。
センサ32は、電流センサ31aと電圧センサ31bとを含む。電流センサ31aは、蓄電池13とリレー22との間、詳しくは蓄電池13のプラス側端子とリレー22との間に接続されている。電流センサ31aは、蓄電池13のプラス側端子とリレー22との間に流れる電流Ibattを検出する。電流Ibattは、蓄電池13から流れる電流と蓄電池13に向かう電流と、を含み、これらは符号が異なる。たとえば、蓄電池13から流れる電流をプラスとし、蓄電池13に流れる電流をマイナスとする。したがって、制御回路26は、蓄電池13から放電される電流と、蓄電池13を充電する電流とを取得できる。
電圧センサ31bは、蓄電池13の端子間に接続されている。電圧センサ31bは、蓄電池13の端子間電圧、つまり蓄電池13の電圧Vbattを検出する。制御回路26は、電圧センサ31bにより蓄電池13の電圧Vbattを取得できる。
本実施形態のパワーコンディショナ11は、リレー22とバスライン40との間に接続されたフィルタ29を備えている。蓄電池13は、リレー22とフィルタ29とを介してバスライン40に接続されている。蓄電池13のプラス側端子はリレー22を介してフィルタ29に接続されている。蓄電池13のマイナス側端子はバスライン40の低圧側バスライン40bに接続されている。
フィルタ29は、コンデンサ29aとインダクタ29bとを有している。コンデンサ29aは、たとえばフィルムコンデンサである。コンデンサ29aの第1端子はリレー22に接続され、コンデンサ29aの第2端子はバスライン40の低圧側バスライン40bに接続されている。インダクタ29bの第1端子はリレー22に接続され、インダクタ29bの第2端子はバスライン40の高圧側バスライン40aに接続されている。なお、インダクタ29bは、コンデンサ29aとリレー22との間に接続されてもよい。
センサ33は、バスライン40に接続された電圧センサであり、高圧側バスライン40aと低圧側バスライン40bとの間に接続されている。センサ33は、バスライン40のバス電圧Vhvdcを検出する。バス電圧Vhvdcは第2電圧に相当する。制御回路26は、センサ33によりバスライン40のバス電圧Vhvdcを取得できる。センサ33は、第2電圧センサの一例である。
バスライン40には、電解コンデンサC11が接続されている。電解コンデンサC11のプラス側端子は、高圧側バスライン40aに接続され、電解コンデンサC11のマイナス側端子は低圧側バスライン40bに接続されている。電解コンデンサC11は、バスライン40の電圧を平滑化する。なお、電解コンデンサC11は、省略されてもよい。
インバータ23は、スイッチング素子23a,23b,23c,23dを有している。スイッチング素子23a~23dは、たとえばnチャネルMOSFETである。スイッチング素子23a,23cの第1端子(たとえばドレイン端子)は高圧側バスライン40aに接続されている。スイッチング素子23a,23cの第2端子(たとえばソース端子)は、スイッチング素子23b,23dの第1端子(たとえばドレイン端子)にそれぞれ接続されている。スイッチング素子23b,23dの第2端子(たとえばソース端子)は低圧側バスライン40bに接続されている。スイッチング素子23a~23dは、第2スイッチング素子の一例である。
つまり、インバータ23は、バスライン40a,40bの間に直列に接続されたスイッチング素子23a,23bからなる直列回路と、バスライン40a,40bの間に直列に接続されたスイッチング素子23c,23dからなる直列回路とを含む。スイッチング素子23a,23cは、ハイサイドスイッチング素子の一例であり、スイッチング素子23b,23dは、ローサイドスイッチング素子の一例である。スイッチング素子23a~23dの制御端子(たとえばゲート端子)には、制御回路26から制御信号がそれぞれ供給される。スイッチング素子23aとスイッチング素子23bとの間の接続点N1と、スイッチング素子23cとスイッチング素子23dとの間の接続点N2は、フィルタ24に接続される。
制御回路26は、インバータ23のスイッチング素子23a~23dをそれぞれオンオフ動作する。制御回路26は、スイッチング素子23a~23dをそれぞれオンオフする制御信号を各スイッチング素子23a~23dに供給する。制御回路26は、所定の周波数の制御信号を生成する。所定の周波数は、パワーコンディショナ11が連系する商用電力系統100の交流電圧の周波数(商用周波数:たとえば60Hz)よりも高い周波数に設定される。制御回路26は、電力線110に出力する交流電圧を正弦波に近づけるように、制御信号のパルス幅を、たとえばパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式により調整する。所定の周波数は、数十kHz程度(たとえば20kHz)に設定される。
フィルタ24は、インダクタ24a,24b,24cと、コンデンサ24dとを有している。
インダクタ24aの第1端子はインバータ23の接続点N1に接続され、インダクタ24bの第1端子はインバータ23の接続点N2に接続されている。インダクタ24aの第2端子はコンデンサ24dの第1端子とインダクタ24cの第2端子とに接続されている。インダクタ24bの第2端子は、コンデンサ24dの第2端子とリレー25とに接続されている。インダクタ24cの第2端子はリレー25に接続されている。
リレー25は、第1リレー25aと第2リレー25bとを有している。第1リレー25aと第2リレー25bは、フィルタ24と電力線110との間に接続されている。リレー25は、フィルタ24と電力線110との間を開閉する。フィルタ24はインバータ23に接続されている。電力線110は商用電力系統100に接続されている。したがって、リレー25は、インバータ23と商用電力系統100との間に接続されているといえる。そして、リレー25(第1リレー25a、第2リレー25b)は、インバータ23と商用電力系統100とを接離するといえる。
センサ34は、電流センサである。このセンサ34は、フィルタ24とリレー25との間、詳しくはフィルタ24のインダクタ24cとリレー25の第1リレー25aとの間に接続されている。センサ34は、インバータ23から出力される電流を検出する。制御回路26は、センサ34により、インバータ23の出力電流を取得できる。
商用電力系統100は、たとえば単相3線式の電力線であり、U相電力線110u、O相電力線110o、W相電力線110wとを含む。第1リレー25aは、U相電力線110uに接続され、第2リレー25bはW相電力線110wに接続されている。本実施形態のパワーコンディショナ11は、実効値200Vの交流電圧をU相電力線110uとW相電力線110wとに出力する。O相電力線110oは接地されている。
U相電力線110uとO相電力線110oとの間には負荷120aが接続される。W相電力線110wとO相電力線110oとの間には負荷120bが接続される。負荷120a,120bは、100V系の負荷である。なお、U相電力線110uとW相電力線110wとの間に、200V系の負荷が接続されてもよい。
センサ35は、電圧センサ35a,35bを含む。電圧センサ35aは、U相電力線110uとO相電力線110oとの間に接続されている。電圧センサ35bは、W相電力線110wとO相電力線110oとの間に接続されている。電圧センサ35a,35bは、電力線110により供給される商用電力系統100から供給される商用交流電圧(系統電圧)を検出する。制御回路26は、センサ35(電圧センサ35a,35b)により商用交流電圧を取得できる。なお、センサ35の電圧センサ35a,35bは、いずれか一方が省略されてもよい。センサ35(電圧センサ35a,35b)は、第3電圧センサの一例である。
図1に示すように、電力線110には、センサ36が接続されている。センサ36は、電流センサである。このセンサ36は、商用電力系統100から供給される電流(系統電流)を検出する。制御回路26は、センサ36により、系統電流を取得できる。
図1に示すように、制御回路26にはセンサ37が接続されている。センサ37は、温度センサである。制御回路26は、センサ37により、蓄電池13の温度を検出する。
制御回路26は、たとえば、MCU(Micro Controller Unit)26a、メモリ26bを有する。MCU26aは、各センサ31~37による検出値(測定値)や各種の信号を入力する入力回路、各制御信号を出力する出力回路、動作クロック信号を生成する回路、リセット回路、銅を含む。制御回路26は、MCU26aがメモリ26bに記憶されたプログラムを実行することにより、パワーコンディショナ11の各部を制御する。
図3は、制御回路26が実行する処理の概略を示す。なお、図3の各ステップS11~S14には、パワーコンディショナ11の動作状態を示している。制御回路26がステップS11~S14を実行することにより、パワーコンディショナ11は、各動作状態を取る。また、制御回路26が実行する処理によってステップS11~S14を移行することにより、パワーコンディショナ11は、各動作状態を遷移する。
ステップS11は、システム停止状態であり、制御回路26は、パワーコンディショナ11の設定処理を実行する。この設定処理は、パワーコンディショナ11の初期設定を含む。初期設定は、パワーコンディショナ11を起動したときの初期化処理、パワーコンディショナ11をリセットしたときのリセット処理、等を含む。
初期設定において、制御回路26は、パワーコンディショナ11が動作を開始するために必要な各種の制御を実行する。制御回路26は、図1、図2に示すリレー22,25をオフ状態に制御する、つまりオフ状態とするように制御信号を出力する。また、制御回路26は、図2に示すコンバータ21のスイッチング素子21aとインバータ23のスイッチング素子23a~23dをオフ状態に制御する、つまりオフ状態とするように制御信号を出力する。
たとえば、昼間のように太陽電池12が発電可能な状態であるとき、太陽電池12の発電による電圧は、コンバータ21のインダクタ21bとダイオード21cとを通してバスライン40に供給される。電源回路27は、バスライン40の電圧により動作し、バスライン40の電圧から制御電源を生成する。したがって、制御回路26は、太陽電池12の発電により動作する。
また、商用電力系統100から商用交流電圧が供給されているとき、電源回路28は、その商用交流電圧により所定の電圧を出力する。電源回路27は、電源回路28の出力電圧により動作し、電源回路28の出力電圧から制御電源を生成する。したがって、制御回路26は、商用交流電圧により動作する。
なお、バスライン40の電圧は、ダイオードD11を通して電源回路27に供給される。電源回路28の出力電圧は、ダイオードD12を通して電源回路27に供給される。したがって、電源回路27は、バスライン40の電圧と電源回路28の出力電圧とのうちの何れか高い方の電圧により動作し、その動作電圧から制御電源を生成する。
ステップS11において、制御回路26は、スタート信号がONの場合、ステップS12に移行する。スタート信号のON/OFFは、たとえば、ユーザが図示しないコントローラを操作することにより、そのコントローラから制御回路26に供給される。コントローラは、パワーコンディショナ11と無線または有線によって接続される。コントローラは、ユーザの操作によって、パワーコンディショナ11の制御回路26に対して、スタート信号をON/OFFする。スタート信号がOFFの場合、制御回路26は、図3のステップS11のシステム動作状態から、ステップS11のシステム停止状態へと移行する。
ステップS12は、スタートシーケンス状態であり、制御回路26は、スタートシーケンスを実行する。このステップS12において、制御回路26は、パワーコンディショナ11の状態を確認し、ステップS13に移行する。
図4は、スタートシーケンス状態における処理フロー、詳しくはシステム停止状態からシステム動作状態へ処理フローを示す。図4において、ステップS21は、システム停止状態に含まれる。
ステップS21において、制御回路26は、スタート信号がONか否かを判定し、ONでない場合(判定:NO)はステップS21に留まる。スタート信号がONの場合(判定:YES)、ステップS22に移行する。
ステップS22において、制御回路26は、停電状態か否かを判定する。停電状態は、商用電力系統100から商用交流電圧が供給されていない状態である。これは、図1,図2に示すセンサ35(電圧センサ35a,35b)により検出した系統電圧により判定できる。これは、ステップS25において「PVショート状態」、つまりコンバータ21のスイッチング素子21aをオン状態とする処理を行うか否かを判定するためのものである。制御回路26は、電源回路27,28により、商用電力系統100の商用交流電圧、またはバスライン40のバス電圧Vhvdcにより生成された制御電源により動作する。したがって、停電状態において、制御回路26は、バスライン40のバス電圧Vhvdcにより生成される制御電源により動作する。バスライン40と蓄電池13との間のリレー22はオフ状態であるため、コンバータ21のスイッチング素子21aをオン状態にすると、バスライン40のバス電圧Vhvdcが0Vに低下する。すると、制御電源が生成できなくなる。このため、制御電源が生成されるように、停電状態か否かを判定するものである。
制御回路26は、電圧センサ35a,35bにより検出した系統電圧により、商用電力系統100から商用交流電圧が供給されていないか否かを判定する。制御回路26は、停電状態ではない場合(判定:NO)、制御回路26は、ステップS22からステップS23に移行する。
ステップS23において、制御回路26は、図2に示す電流センサ31aによって検出した発電電流Ipvが所定電流値Ia以下か否かを判定する。所定電流値Iaは、電流センサ31a等の製造誤差や製品ばらつき、測定時におけるノイズ等による変動を含む値として設定され、実質的に0A(ゼロアンペア)である。所定電流値Iaは、判定のため、たとえば0.1Aに設定される。このステップS23では、発電電流Ipvが実質的に0A(ゼロアンペア)か否かを判定することを意図している。
図2に示すように、バスライン40は、高圧側バスライン40aと低圧側バスライン40bとを有している。高圧側バスライン40aと低圧側バスライン40bとの間において、インバータ23のスイッチング素子23a,23bが短絡故障している場合、高圧側バスライン40aから低圧側バスライン40bに向けて電流が流れる。つまり、発電電流Ipvが所定電流値Iaよりも大きくなる。インバータ23において、スイッチング素子23c,23dが短絡故障している場合にも同様である。つまり、インバータ23において、スイッチング素子23a,23bと、スイッチング素子23c,23dとの少なくとも一方が短絡故障している場合、発電電流Ipvが所定電流値Iaよりも大きくなる。
発電電流Ipvが所定電流値Ia以下の場合(判定:YES)、制御回路26はステップS25に移行する。一方、発電電流Ipvが所定電流値Iaより大きい場合(判定:NO)、制御回路26は、ステップS24に移行する。ステップS24において、制御回路26は、図2に示すインバータ23のスイッチング素子23a~23dが短絡故障している「インバータスイッチショート異常」と判定する。そして、制御回路26は、図3に示すステップS14に移行する、つまりシステム異常状態に遷移する。
ステップS25において、制御回路26は、「PVショート状態」、つまり、コンバータ21のスイッチング素子21aをオン状態とし、ステップS26に移行する。
図6に示すように、太陽電池12から流れる発電電流Ipvは、オン状態のスイッチング素子21aに流れる。
ステップS26において、制御回路26は、発電電圧Vpvが第1所定電圧値Va以下か否かを判定する。ここで、発電電圧Vpvと比較する第1所定電圧値Vaは、コンバータ21のスイッチング素子21aが短絡故障(ショート故障)しているときに、電圧センサ31bにて検出される電圧値を判定可能とするように設定される。第1所定電圧値Vaは、たとえば0Vに設定される。なお、第1所定電圧値Vaは、電圧センサ31bの製造誤差や製品ばらつきに起因する誤差、ばらつき、回路に流れる電流によって生じる電圧差、等を含むような値(たとえば、0~10Vの値)に設定されてもよい。
コンバータ21のスイッチング素子21aが正常であるときオン状態となるため、太陽電池12による発電電流Ipvは、オン状態のスイッチング素子21aを通して流れる。したがって、電圧センサ31bにより検出される発電電圧Vpvは第1所定電圧値Va以下となる。一方、スイッチング素子21aが異常であってオン状態とならないとき、スイッチング素子21aに発電電流Ipvは流れない。したがって、発電電圧Vpvは第1所定電圧値Vaより大きくなる。
発電電圧Vpvが第1所定電圧値Va以下の場合(判定:YES)、制御回路26はステップS28に移行する。一方、発電電圧Vpvが第1所定電圧値Vaより大きい場合(判定:NO)、制御回路26は、ステップS27に移行する。ステップS27において、制御回路26は、図2に示すコンバータ21のスイッチング素子21aが開放故障(オープン故障)している「PVスイッチ異常」と判定する。そして、制御回路26は、図3に示すステップS14に移行する、つまりシステム異常状態に遷移する。
ステップS28において、制御回路26は、バス電圧Vhvdcが第2所定電圧値Vb以下かか否かを判定する。ここで、バス電圧Vhvdcと比較する第2所定電圧値Vbは、リレー22が短絡故障(ショート故障)しているときに、バスライン40のセンサ33によって検出される電圧値を判定可能とするように設定される。第2所定電圧値Vbは、たとえば0Vに設定される。なお、第2所定電圧値Vbは、センサ33の製造誤差や製品ばらつきに起因する誤差、ばらつき、回路に流れる電流によって生じる電圧差、等を含むような値(たとえば、0~10Vの値)に設定されてもよい。
制御回路26は、ステップS25において、コンバータ21のスイッチング素子21aをオン状態としている。また、制御回路26は、上記のステップS11においてバスライン40と蓄電池13との間のリレー22をオフ状態に制御している。このため、リレー22が正常である場合、バス電圧Vhvdcは第2所定電圧値Vb以下となる。しかし、リレー22が短絡故障(ショート故障)している場合、バスライン40には蓄電池13の電圧Vbattが供給される。したがって、バスライン40のバス電圧Vhvdcは、第2所定電圧値Vbより大きくなる。なお、コンバータ21は、入力側つまり太陽電池12の側から、出力側つまりバスライン40に向けて順方向に接続されたダイオード21cを有している。したがって、蓄電池13からバスライン40に電圧Vbattが加わるとき、ダイオード21cによってコンバータ21の入力側の電圧、つまり電圧センサ31bにより検出される発電電圧Vpvは、蓄電池13の電圧Vbattの影響を受けない。
バス電圧Vhvdcが第2所定電圧値Vb以下の場合(判定:YES)、制御回路26はステップS30に移行する。一方、バス電圧Vhvdcが第2所定電圧値Vbより大きい場合(判定:NO)、制御回路26は、ステップS29に移行する。ステップS29において、制御回路26は、図2に示すリレー22が短絡故障(ショート故障)している「バッテリリレー異常」と判定する。そして、制御回路26は、図3に示すステップS14に移行する、つまりシステム異常状態に遷移する。
ステップS30において、制御回路26は、「バッテリリレーON状態」、つまり図1、図2に示すリレー22をオン状態とし、ステップS31に移行する。
図7に示すように、オン状態のリレー22を通して蓄電池13からバスライン40に向けて電流が流れる。
次に、ステップS31において、制御回路26は、蓄電池13の電圧Vbattとバスライン40のバス電圧Vhvdcとが等しいか否かを判定する。電圧Vbattは、図2に示す電圧センサ32bにより検出され、バス電圧Vhvdcは図2に示すセンサ33により検出される。電圧が等しいとは、電圧センサ32b等の製造誤差や製品ばらつきに起因する誤差、ばらつき、回路に流れる電流によって生じる電圧差、等を含んで電圧Vbatt,Vhvdcが同じ電圧を判断され、つまりほぼ等しいことを含む。
電圧Vbattとバス電圧Vhvdcとが等しい場合(判定:YES)、制御回路26は、システム動作状態へ遷移する。つまり制御回路26は、図3に示すステップS13に移行する。一方、電圧Vbattとバス電圧Vhvdcとが等しくない場合(判定:NO)、制御回路26は、ステップS32に移行する。ステップS32において、制御回路26は、図2に示すリレー22が開放故障(オープン故障)している「バッテリリレー異常」と判定する。そして、制御回路26は、図3に示すステップS14に移行する、つまりシステム異常状態に遷移する。
ステップS22において、制御回路26は、停電状態と判定した場合(判定:YES)、ステップS33の処理を実行した後、ステップS30の処理を実行する。そのステップS33において、制御回路26は、「PVショート状態」、つまり、コンバータ21のスイッチング素子21aをオン状態とする。そして、ステップS30において、制御回路26は、「バッテリリレーON状態」、リレー22をオン状態とする。これにより、バスライン40の電圧を、太陽電池12の電圧から蓄電池13の電圧へと切替える。ステップS33においてスイッチング素子21aをオン状態としてからステップS30においてリレー22をオン状態とする処理を一定の時間内に行うことで、制御回路26の制御電源の低下を抑制できる。そして、バスライン40のバス電圧Vhvdcと蓄電池13の電圧Vbattとの比較に対して、太陽電池12の発電による電圧の影響を低減して安定した判定を行うことができる。
図3に示すステップS13は、システム動作状態であり、コンバータ21のスイッチング素子21a、インバータ23のスイッチング素子23a~23d、リレー22を制御可能な状態である。制御回路26は、パワーコンディショナ11の各センサ31~37により検出結果により、コンバータ21のスイッチング素子21a、インバータ23のスイッチング素子23a~23d、リレー22を制御する。
たとえば、制御回路26は、リレー22をオン状態とし、コンバータ21のスイッチング素子21aとインバータ23のスイッチング素子23a~23dをオンオフ動作する。これにより、パワーコンディショナ11は、太陽電池12の発電による電圧がバスライン40に供給され、そのバスライン40の電圧を交流電圧に変換して電力線110に出力する。また、制御回路26は、リレー22をオン状態とし、コンバータ21のスイッチング素子21aをオフ状態とし、インバータ23のスイッチング素子23a~23dをオンオフ動作する。これにより、パワーコンディショナ11は、蓄電池13からバスライン40に放電される電圧を交流電圧に変換して電力線110に出力する。さらにまた、制御回路26は、蓄電池13の電圧Vbattに対してバスライン40のバス電圧Vhvdcを高くするようにコンバータ21およびインバータ23の少なくとも一方を制御する。これにより、パワーコンディショナ11は、蓄電池13を充電する。
なお、制御回路26は、システム動作状態において、コンバータ21とインバータ23の動作状態を管理する。
図5は、システム動作状態におけるコンバータ21の状態遷移とインバータ23の状態遷移とを示す説明図である。制御回路26は、コンバータ21の状態とインバータ23の状態とを独立して管理する。
制御回路26は、ステップS42において、コンバータ21を動作させる。制御回路26は、所定の条件、たとえば、図1、図2に示す太陽電池12が発電できなくなった場合、ステップS41に移行してコンバータ21を停止する。また、太陽電池12が発電可能となって出力電圧を利用する場合、ステップS42に移行してコンバータ21を動作させる。ステップS41,S42において、コンバータ21の異常を検出した場合、ステップS43に移行する。このステップS43において、制御回路26は、たとえばコンバータ21の異常をコントローラ等でユーザに通知する。ステップS43において、異常が解消された場合やリセット等の操作がなされると、制御回路26は、ステップS41に移行する。たとえば、過熱によって異常が生じた場合、停止することで温度が低下して再び動作可能な状態となり異常が解消される。
制御回路26は、ステップS52において、インバータ23を動作させる。制御回路26は、所定の条件、たとえば、図1、図2に示す負荷120に対して交流電圧を供給しない状態となった場合、ステップS51に移行してインバータ23を停止する。また、負荷120に交流電圧を供給する場合、ステップS52に移行してインバータ23を動作させる。ステップS51,S52において、インバータ23の異常を検出した場合、ステップS53に移行する。このステップS53において、制御回路26は、たとえばインバータ23の異常をコントローラ等でユーザに通知する。ステップS53において、異常が解消されたりリセット等の操作がなされると、制御回路26は、ステップS51に移行する。たとえば、過熱によって異常が生じた場合、停止することで温度が低下して再び動作可能な状態となり異常が解消される。
図3に示すステップS13において、システム異常を検出した場合、制御回路26は、ステップS14に移行し、システム異常状態となる。システム異常は、たとえば、蓄電池13の電圧異常、等のように、蓄電池13とバスライン40との間のリレー22のオン状態を維持できない異常である。このステップS14において、制御回路26は、システム異常を例えばコントローラ等でユーザに通知する。そして、制御回路26は、パワーコンディショナ11のシステム状態を監視する。システム異常が継続していない場合、スタート信号がOFFの場合、制御回路26は、ステップS11へ移行し、システム停止状態に遷移する。
(作用)
次に、本実施形態のパワーコンディショナ11の作用を説明する。
パワーコンディショナ11は、コンバータ21、蓄電池13、リレー22、バスライン40、インバータ23、制御回路26を有している。パワーコンディショナ11は、複数のセンサ31~37を有している。コンバータ21は、スイッチング素子21aとインダクタ21bとを有し、スイッチング素子21aのオンオフ動作によって太陽電池12から供給される電圧を変換する。バスライン40は、コンバータ21とインバータ23との間に接続されている。リレー22は、蓄電池13とバスライン40との間に接続されている。インバータ23は、スイッチング素子23a~23dを有し、スイッチング素子23a~23dのオンオフ動作によってバスライン40の電圧を交流電圧に変換する。制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21a、インバータ23のスイッチング素子23a~23d、およびリレー22を制御する。蓄電池13は、リレー22を介してバスライン40に接続されている。
制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21aをオンオフ動作する前にリレー22をオフ状態に制御した後、インバータ23のスイッチング素子23a~23dが短絡故障(ショート故障)しているか否かを判定する。制御回路26は、スイッチング素子23a~23dが短絡故障していない場合に、リレー22をオン状態に制御する。
制御回路26は、ステップS11のシステム停止状態から、ステップS12に移行し、スタートシーケンス状態となる。このスタートシーケンス状態において、制御回路26は、太陽電池12の発電電流Ipvが所定電流値Ia以下か否かを判定する。制御回路26は、インバータ23のスイッチング素子23a~23dが短絡故障(ショート故障)している「インバータスイッチショート異常」か否かを判定できる。これにより、起動時に意図しない電流が蓄電池13に流れることを抑制できる。意図しない電流は、蓄電池13において過放電、過充電の要因となる。したがって、意図しない電流を抑制することにより、蓄電池13の過充電や過放電を抑制できる。
詳述すると、インバータ23において、スイッチング素子23a,23bと、スイッチング素子23c,23dの少なくとも一方が短絡故障していた場合、インバータ23は、バスライン40の高圧側バスライン40aと低圧側バスライン40bとを接続する。このため、リレー22をオン状態とすると、蓄電池13から意図しない電流Ibattが流れる。したがって、インバータ23のスイッチング素子23a~23dの状態を確認することにより、蓄電池13において意図しない電流が流れることを抑制できる。
本実施形態において、コンバータ21は昇圧回路である。このコンバータ21は、インダクタ21b、スイッチング素子21a、ダイオード21cを備え、スイッチング素子21aのオンオフ動作によって、太陽電池12にて発電された電圧Vpvを電圧変換してバスライン40に出力する。インダクタ21bとダイオード21cは、太陽電池12のプラス側端子とバスライン40の高圧側バスライン40aとの間に接続されている。そして、ダイオード21cは、太陽電池12から高圧側バスライン40aに向けて順方向となるように接続されている。太陽電池12から出力される発電電流Ipvは、スイッチング素子21aがオフ状態であってもインバータ23のスイッチング素子23a~23dが短絡故障している場合に、インダクタ21bとダイオード21cとを通して高圧側バスライン40aに向けて流れる。したがって、発電電流Ipvを確認することにより、インバータ23のスイッチング素子23a~23dが短絡故障しているか否かを容易に判定できる。
また、スタートシーケンス状態において、制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21aを「ショート状態」とする。コンバータ21のスイッチング素子21aが正常な場合、スイッチング素子21aに太陽電池12から流れる発電電流Ipvが流れる。スイッチング素子21aがオフ状態、且つリレー22がオン状態であると、太陽電池12の電圧Vpvと蓄電池13の電圧Vbattとの電位差に応じて意図しない電流が流れる。この点、本実施形態では、スイッチング素子21aをオン状態とすることにより、蓄電池13に対して意図しない電流が流れることを抑制できる。
また、スタートシーケンス状態において、制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21aを「ショート状態」とし、太陽電池12の発電電圧Vpvが第1所定電圧値Va(たとえば0V)と等しいか否かを判定する。これにより、コンバータ21のスイッチング素子21aが開放故障(オープン故障)している「PVスイッチ異常」か否か容易に判定できる。
リレー22が短絡故障ではない(ステップS28における判定:YES)場合、リレー22をオン状態に制御する。そして、蓄電池13の電圧Vbattとバスライン40のバス電圧Vhvdcとを比較する。リレー22が正常な場合、蓄電池13からの放電によってバスライン40のバス電圧Vhvdcが上昇し、電圧Vbattと等しくなる。したがって、電圧Vbattとバス電圧Vhvdcとを比較することにより、リレー22をオン状態とすることができる、つまりリレー22が正常に動作することを容易に確認できる。
制御回路26は、「停電状態」つまり商用電力系統100から商用交流電圧が供給されているか否かを判定し、「停電状態」ではない場合に、コンバータ21のスイッチング素子21aをオン状態(ショート状態)とする。これにより、制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21aがオープン故障しているか否かと、リレー22がショート故障しているか否かを判定することができる。
制御回路26にはセンサ37が接続されている。センサ37は温度センサであり、制御回路26は、センサ37により、蓄電池13の温度を検出する。蓄電池13としてリチウムイオン電池を用いた場合、リチウムイオン電池は、低温時に負極の受け入れ性が低下し、負極にリチウムイオンが析出しやすくなる。制御回路26は、蓄電池13の温度に応じて、蓄電池13にむけて充電のための電流を低温時に抑制する。これにより、蓄電池13の性能低下を抑制できる。
制御回路26は、図4に示すステップS25において「PVショート状態」、つまりコンバータ21のスイッチング素子21aをオン状態とする。このとき、電流センサ31aには、太陽電池12の出力端子を短絡した状態の発電電流Ipv(短絡電流)が流れる。この発電電流Ipvにより、太陽電池12の能力、つまり発電可能な電流量を容易に判定できる。
(効果)
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)パワーコンディショナ11は、コンバータ21、蓄電池13、リレー22、バスライン40、インバータ23、制御回路26を有している。パワーコンディショナ11は、複数のセンサ31~37を有している。コンバータ21は、スイッチング素子21aとインダクタ21bとを有し、スイッチング素子21aのオンオフ動作によって太陽電池12から供給される電圧を変換する。バスライン40は、コンバータ21とインバータ23との間に接続されている。リレー22は、蓄電池13とバスライン40との間に接続されている。インバータ23は、スイッチング素子23a~23dを有し、スイッチング素子23a~23dのオンオフ動作によってバスライン40の電圧を交流電圧に変換する。制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21a、インバータ23のスイッチング素子23a~23d、およびリレー22を制御する。蓄電池13は、リレー22を介してバスライン40に接続されている。
制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21aをオンオフ動作する前にリレー22をオフ状態に制御した後、インバータ23のスイッチング素子23a~23dが短絡故障(ショート故障)しているか否かを判定する。制御回路26は、スイッチング素子23a~23dが短絡故障していない場合に、リレー22をオン状態に制御する。
制御回路26は、ステップS11のシステム停止状態から、ステップS12に移行し、スタートシーケンス状態となる。このスタートシーケンス状態において、制御回路26は、太陽電池12の発電電流Ipvが所定電流値Ia以下か否かを判定する。制御回路26は、インバータ23のスイッチング素子23a~23dが短絡故障(ショート故障)している「インバータスイッチショート異常」か否かを判定できる。これにより、起動時に意図しない電流が蓄電池13に流れることを抑制できる。意図しない電流は、蓄電池13において過放電、過充電の要因となる。したがって、意図しない電流を抑制することにより、蓄電池13の過充電や過放電を抑制できる。
(2)本実施形態において、コンバータ21は昇圧回路である。このコンバータ21は、インダクタ21b、スイッチング素子21a、ダイオード21cを備え、スイッチング素子21aのオンオフ動作によって、太陽電池12にて発電された電圧Vpvを電圧変換してバスライン40に出力する。インダクタ21bとダイオード21cは、太陽電池12のプラス側端子とバスライン40の高圧側バスライン40aとの間に接続されている。そして、ダイオード21cは、太陽電池12から高圧側バスライン40aに向けて順方向となるように接続されている。したがって、太陽電池12から出力される発電電流Ipvは、スイッチング素子21aがオフ状態であってもインバータ23のスイッチング素子23a~23dが短絡故障している場合に、コンバータ21のインダクタ21bとダイオード21cとを通して高圧側バスライン40aに向けて流れる。したがって、発電電流Ipvを確認することにより、インバータ23のスイッチング素子23a~23dが短絡故障しているか否かを容易に判定できる。
(3)スタートシーケンス状態において、制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21aを「ショート状態」とする。コンバータ21のスイッチング素子21aが正常な場合、スイッチング素子21aに太陽電池12から流れる発電電流Ipvが流れる。スイッチング素子21aがオフ状態、且つリレー22がオン状態であると、太陽電池12の電圧Vpvと蓄電池13の電圧Vbattとの電位差に応じて意図しない電流が流れる。この点、本実施形態では、スイッチング素子21aをオン状態とすることにより、蓄電池13に対して意図しない電流が流れることを抑制できる。
(4)スタートシーケンス状態において、制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21aを「ショート状態」とし、太陽電池12の発電電圧Vpvが第1所定電圧値Va(たとえば0V)と等しいか否かを判定する。これにより、コンバータ21のスイッチング素子21aが開放故障(オープン故障)している「PVスイッチ異常」か否か容易に判定できる。
(5)リレー22が短絡故障ではない(ステップS28における判定:YES)場合、リレー22をオン状態に制御する。そして、蓄電池13の電圧Vbattとバスライン40のバス電圧Vhvdcとを比較する。リレー22が正常な場合、蓄電池13からの放電によってバスライン40のバス電圧Vhvdcが上昇し、電圧Vbattと等しくなる。したがって、電圧Vbattとバス電圧Vhvdcとを比較することにより、リレー22をオン状態とすることができる、つまりリレー22が正常に動作することを容易に確認できる。
(6)制御回路26は、「停電状態」、つまり商用電力系統100から商用交流電圧が供給されているか否かを判定し、「停電状態」ではない場合に、コンバータ21のスイッチング素子21aをオン状態(ショート状態)とする。これにより、制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21aがオープン故障しているか否かと、リレー22がショート故障しているか否かを判定することができる。
(7)制御回路26にはセンサ37が接続されている。センサ37は温度センサであり、制御回路26は、センサ37により、蓄電池13の温度を検出する。蓄電池13としてリチウムイオン電池を用いた場合、リチウムイオン電池は、低温時に負極の受け入れ性が低下し、負極にリチウムイオンが析出しやすくなる。制御回路26は、蓄電池13の温度に応じて、蓄電池13にむけて充電のための電流を低温時に抑制する。これにより、蓄電池13の性能低下を抑制できる。
(8)制御回路26は、コンバータ21のスイッチング素子21aをオン状態とする。このとき、電流センサ31aには、太陽電池12の出力端子を短絡した状態の発電電流Ipv(短絡電流)が流れる。この発電電流Ipvにより、太陽電池12の能力、つまり発電可能な電流量を容易に判定できる。
(変更例)
上記実施形態は例えば以下のように変更できる。上記実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記実施形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
・コンバータ21のスイッチング素子21aとして、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等としてもよい。また、インバータ23のスイッチング素子23a~23dとして、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等としてもよい。
・リレー22,25は、機械式リレー等を用いることができる。また、リレー22,25は、直列または並列に接続された複数の半導体スイッチや機械式リレーにより構成されてもよい。また、リレー22,25は、異なる構成の開閉器(スイッチ)、たとえば半導体スイッチと機械式リレーとを組み合わせた構成であってもよい。
・制御回路26のメモリ26bは、MCU26aに接続されてもよく、MCU26aに内蔵されていてもよい。また、メモリ26bは、制御回路26に接続されていてもよい。
・上記実施形態及び変更例では、自然エネルギーを利用した電源としての太陽電池12に接続されたパワーコンディショナ11について説明した。自然エネルギーを利用した電源としては、太陽光発電装置、太陽熱発電装置、風力発電装置、ガス発電装置、地熱発電装置、等の発電装置、またはこれらを組み合わせて用いることができる。
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。