JP2022187365A - 水素精製システム - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示は、電極が反応の過程で生じる物質によって劣化することを抑制する水素精製システムを提供する。【解決手段】本開示における水素精製システムは、電解質膜と、電解質膜を挟んで一方の面に配置されるアノードと、他方の面に配置されるカソードとを有する電気化学デバイスと、アノードに一酸化炭素と酸素とを含む水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給部と、アノードから電解質膜を介してカソードに電流を供給する電源と、電気化学デバイスのアノードに供給されるまでは液体であり、アノードでは気体になる希釈物質を供給する希釈物質供給部と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、水素精製システムに関する。
特許文献1は、高純度の水素を精製する水素精製システムを開示し、前記水素精製システムにおいて、アノードに、一酸化炭素を含む水素含有ガスを供給する場合には、酸素を水素含有ガスに混入させることによって、一酸化炭素による触媒被毒を抑制して水素を精製する方法を開示する。この水素精製システムは、電解質膜を挟んで配置されるアノードとカソードとを設けた積層セル(本開示では、電気化学デバイスと記載、以下同じ)と、アノードに、一酸化炭素と酸素とを含む水素含有ガスを供給するガス供給装置と、アノードとカソードとの間に直流電流を流す電源と、を備える。
特開2014-11739号公報
本開示は、一酸化炭素を含む水素含有ガスに酸素を混入させた場合にもアノードに供給する水素含有ガスの酸素濃度の上昇を抑制することが可能であり、経時的な水素純度の低下を抑制できる水素精製システムを提供する。
本開示における水素精製システムは、電解質膜と、電解質膜を挟んで一方の面に配置されるアノードと、他方の面に配置されるカソードとを有する電気化学デバイスと、アノードに一酸化炭素と酸素とを含む水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給部と、アノードから電解質膜を介してカソードに電流を供給する電源と、電気化学デバイスのアノードに供給されるまでは液体であり、アノードでは気体になる希釈物質を供給する希釈物質供給部と、を備える。
本開示における水素精製システムは、アノードガス流路に供給する水素含有ガスに加えて、アノードガス流路外では液体、アノードガス流路内では気体になるガスを供給する。これによりアノードガス中の酸素濃度を低下させることが可能になり、電解質膜が薄膜化して劣化することを抑制する。
実施の形態1における水素精製システムの構成図 アノードに供給される水素含有ガス中の酸素濃度とフッ素溶出量の関係を示すグラフ 実施の形態1における水素精製システムの構成図
(本開示の基礎となった知見等)
本発明を想到するに至った当時、一酸化炭素を含む水素含有ガスをアノードに供給しアノードとカソードとの間に電流を流し、カソードから純度の高い水素を取り出す電気化学デバイスは、カソードから排出される水素の純度を高く保つことが求められていた。
そのため、当概業界では、アノードに供給するガスに一酸化炭素が含まれる場合、アノード触媒へのCO被毒が起こり、電気化学反応において熱力学的に求められる反応の理論電位(平衡電極電位)と、実際に反応が進行するときの電極の電位との差である過電圧が上昇してしまうことを課題とし、一酸化炭素と反応させて二酸化炭素を生成するための酸素をアノードへ同時に供給するという製品設計をすることが一般的であった。
そうした状況下において、水素含有ガスに一酸化炭素と酸素が含まれる場合に、一酸化炭素と酸素を含む水素含有ガスをアノードに供給しアノードとカソードとの間に電流を流し、カソードから純度の高い水素を取り出す電気化学デバイスの水素純度が長期運転時に低下するという課題があった。発明者らが鋭意検討した結果、アノードに供給する酸素ガスにより膜が劣化されていること、薄膜化した部分から水素以外の不純物ガスがカソードへ多く混入し、水素純度を低下させていることがわかった。そこで、膜の劣化を防ぐことにより不純物ガスの透過量を減らし、水素純度の低下を防ぐという着想を得た。そして発明者らは、その着想を実現するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示はアノードガス流路に供給する酸素含有ガスに加えて、酸素を含まない希釈ガスをアノードガス流路に供給する電気化学デバイスを備える水素精製システムを提供する。ここで、希釈ガスは、アノードに供給されるまでは液体であり、前記アノード内では気体になるガスである。
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1において、水素精製システム1は、電解質膜5と、電解質膜5を挟んで一方の面に配置されるアノード3と、他方の面に配置されるカソード7と、を含む電解質膜-電極接合体を備える。言い換えれば、水素精製システム1は、電解質膜5と、電解質膜5を挟んで一方の面に配置されるアノード3と、他方の面に配置されるカソード7とを有する電気化学デバイス10を備える。また水素精製システム1は、アノード3に一酸化炭素と酸素とを含む水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給部30と、アノード3から電解質膜5を介してカソード7に電流を供給する直流電源25と、電気化学デバイス10のアノード3に供給されるまでは液体であり、アノードでは気体になる希釈物質を供給する希釈物質供給部35とを備える。
具体的には水素含有ガス供給部30とアノードガス流路15は、水素含有ガス供給配管43によって接続され、希釈物質供給部35とアノードガス流路15は希釈物質供給配管45によって接続される。水素含有ガス供給配管43と希釈物質供給配管45はアノードガス入口19よりも上流側で接続され、アノードガス入口開閉弁51を介してアノードガス流路15に接続される。
ここで希釈物質は、沸点が摂氏30度以上且つ摂氏50度以下である所定の温度以上の物質である。所定の温度は、例えば摂氏42度である。希釈物質は例えばアルコールである。
アノードガス流路15は、アノードガス入口19とアノードオフガス出口23の間にあって、アノード3に対向して設けられ、アノード3へ水素含有ガスが供給されるように形成される。具体的にアノードガス流路15は、アノード側セパレータ11とアノード3によって形成される。水素含有ガスは電気化学デバイス10で精製され、余ったアノードオフガスはアノードオフガス出口23から排出される。具体的にはアノードオフガス出口開閉弁53を介してアノードオフガス配管47を通じて水素精製システム1の外へと排出される。
電解質膜5のカソード7側には、精製水素が流れるカソードガス流路17が設けられる。具体的にカソードガス流路17はカソードオフガス出口21の上流側であって、カソード7に対向して設けられ、カソード7からカソードオフガスとして精製水素ガスを排出するように形成される。具体的には精製水素ガスは電気化学デバイス10で精製されて、カソードオフガス出口21からカソードオフガス出口開閉弁55を介して精製水素ガス配管49へと排出される。なおカソードガス流路17はカソード7とカソード側セパレータ13によって形成される。
アノード3とカソード7には、アノード3から電解質膜5を介してカソード7へ電流を流すための電源が接続されている。電源には、直流電源25を用いる。
なお水素精製システム1は、水素精製システム1における水素含有ガスの供給等の制御をおこなう制御部40をさらに備えることが望ましい。
なお本開示における制御部40は、本開示における装置を制御できるものであればよい。発明の主題を表現する際に、本開示の装置を制御するものとして、制御部40の他にも制御手段または制御部またはそれらに類似する文言で表記する場合がある。制御部40は様々な態様で実現可能である。例えば、制御部40としてプロセッサを用いてもよい。制御部40としてプロセッサを用いれば、プログラムを格納している記憶媒体からプログラムをプロセッサに読み込ませ、プロセッサによりプログラムを実行することで、各種処理を実行することが可能となる。このため、記憶媒体に格納されたプログラムを変更することで処理内容を変更できるので、制御内容の変更の自由度を高めることができる。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、及び、MPU(Micro-Processing Unit)などがある。記憶媒体としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、及び、光ディスクなどがある。また、制御部40としてプログラムの書き換えが不可能なワイヤードロジックを用いてもよい。制御部40としてワイヤードロジックを用いれば、処理速度の向上に有効である。ワイヤードロジックとしては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などがある。また、制御部40として、プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて実現してもよい。制御部40を、プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて実現すれば、ソフトウェア設計の自由度を高めつつ、処理速度を向上することができる。また、制御部40と、制御部40と別の機能を有する回路とを、1つの半導体素子で構成してもよい。別の機能を有する回路としては、例えば、A/D・D/A変換回路などがある。また、制御部40は、1つの半導体素子で構成してもよいし、複数の半導体素子で構成してもよい。複数の半導体素子で構成する場合、特許請求の範囲に記載の各制御を、互いに異なる半導体素子で実現してもよい。さらに、半導体素子と抵抗またはコンデンサなどの受動部品とを含む構成によって制御部40を構成してもよい。
アノード3とカソード7とには、白金を担持したカーボン粒子とアイオノマーとを混合して、炭素繊維からなるカーボンペーパーに塗布形成したものを用いる。ここで白金を担持したカーボン粒子は、水素を水素イオンと電子とに解離する酸化反応を起こし、一酸化炭素と酸素を反応させて二酸化炭素を生成し、さらに、水素と酸素を反応させて過酸化水素を発生させる。
ここでアイオノマーとは、金属イオンによる凝集力を利用し高分子を凝集体とした合成樹脂のことであり、本実施の形態に係る水素精製システム1におけるアイオノマーとしては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子電解質を用いてよい。
アノード側セパレータ11とカソード側セパレータ13は、例えば導電性部材である圧縮カーボンを含む。水素含有ガス供給部30は、例えば都市ガスから改質反応を利用して加湿された水素と二酸化炭素と一酸化炭素とからなる水素含有ガスを生成し供給する燃料改質器と、酸素含有ガスを供給する装置を含む。希釈物質供給部35は、常温で液体である希釈成分が気体になるように加熱する加熱部と、流量を制御する流量制御部を含む。
電解質膜5としては、例えばスルホン酸基を有するフッ素系電解質樹脂を用いてよい。電解質膜5は、水素イオンを選択的に透過させる。
[1-2.動作]
上記のように構成された水素精製システム1について、以下図1と図2を用いてその動作、作用を説明する。まず、電気化学デバイス10の温度を摂氏60度に設定し、水素含有ガス供給部30から水素80%、二酸化炭素18.5%、一酸化炭素10ppm、酸素0.3%、窒素1.2%の濃度の水素含有ガスを100cc/minの流量で供給する。また、希釈物質としてメタノールを希釈物質供給部35から50cc/minの流量で供給する。水素含有ガスと、希釈物質が気化した希釈ガスの混合ガスはアノードガス入口19からアノード3へ供給される。ここで直流電源25がアノード3から電解質膜5を介してカソード7に15Aの電流を流す。
このとき、摂氏60度のアノードガス流路15内において、沸点が摂氏64.7度のメタノールの分圧は、メタノール蒸気圧線図より80kPaとなる。また、水蒸気分圧は、20kPa、大気圧は101kPa、アノードガス入口19でのガスの圧力が40kPaであった。このとき、水素含有ガスの水蒸気とメタノールガスを除いたガス成分の分圧は、(大気圧)+(アノード圧力)―(水蒸気圧)―(メタノール蒸気圧)=101+40-20-80=41kPaとなり、その中の酸素分圧は、(メタノールと水以外のガス成分の分圧)×(酸素分率)=41×0.003=0.123kPaである。酸素濃度は、(酸素分圧)/(全圧)×100=0.123/(101+40)×100=0.087%となる。
一方で、メタノールの希釈ガスを流さない場合について考えると、水素含有ガスの水蒸気を除いたガス成分の分圧は、(大気圧)+(アノード圧力)―(水蒸気圧)=101+8-20=89kPaとなり、その中の酸素分圧は、(メタノールと水以外のガス成分の分圧)×(酸素分率)=89×0.003=0.267kPaとなる。酸素濃度は、(酸素分圧)/(全圧)×100=0.267/(101+8)×100=0.25%となる。
したがってメタノールを希釈ガスとして流す場合は、流さない場合と比べた酸素濃度の希釈倍率は、(希釈ガスなしの酸素濃度)/(希釈ガスありの酸素濃度)=0.25/0.087=2.9倍であることがわかる。
次に、電気化学デバイス10内での物質の反応と膜劣化との関係について図2を用いて説明する。アノード3では、(化1)に示す、水素が水素イオン(H+)と電子に解離する酸化反応が起こり、カソード7では、(化2)に示す、水素イオン(H+)と電子が結びついて水素が生成される還元反応が起こる。
Figure 2022187365000002
Figure 2022187365000003
(化1)と(化2)に示す電気化学反応により、アノード3に供給された水素含有ガスから、カソード7において水素を精製することができる。このとき水素含有ガス中の水素のみがアノード3側からカソード7側へ移動するため、カソード7側で高純度の水素を得ることができる。
(化1)と(化2)の反応と並行して、アノード3では、(化3)に示す、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素が酸素と反応して二酸化炭素ができる酸化反応が起こる。
Figure 2022187365000004
(化3)の反応によって消費されなかった一酸化炭素は、アノード触媒に吸着し、(化1)の水素反応が起こる触媒の反応面積を減少させる。水素反応の反応面積の減少が進むと、過電圧が上昇して水素精製のために必要な電力が多く必要となるので、一酸化炭素のアノード触媒への吸着が起こらないように運転条件を設定する必要がある。
(化3)で一酸化炭素と反応しなかった残りの酸素は、(化4)で示す4電子反応、および(化5)で示す2電子反応に従って還元される。
Figure 2022187365000005
Figure 2022187365000006
(化5)で生成する過酸化水素(H)とそこから発生するラジカルは、電解質膜5を劣化させることが知られている。電解質膜5が劣化すると排出水に分解物であるF(フッ素)イオンが溶解する。排出水のFイオンを分析することにより、電解質膜5の分解量を知ることができる。(化5)より過酸化水素を生成する物質の中で、水素イオンと電子はアノードでは酸素と比べると大量に供給されることより、酸素が過酸化水素を生成する反応の律速になっているのではないかと予測し、酸素に対する電解質膜5の分解量を調べた。
一酸化炭素がアノード触媒へ吸着することを防ぐため、一酸化炭素を確実に酸化させる必要があり、酸素の量を減少させることはできない。そこで一酸化炭素に対する酸素の供給総量は必要十分の量のままで、膜劣化を抑制することができないかと考え、酸素の量を一定にして酸素濃度を変化させたときの膜の劣化量の変化を調べた。条件1(水素99.9cc/cm2と酸素0.1cc/min)、または条件2(水素49.9cc/cm2と酸素0.1cc/min)の組成のガスをアノードガス入口19に流し、電気化学デバイス10の温度を60度に設定し、直流電源25でアノード3から電解質膜5を介してカソード7に15Aの電流を流し、100hr(時間)運転中のアノード3とカソード7との排出水中のFイオン溶出量を分析し、時間当たりのFイオン溶出量の結果を図2に示した。
供給酸素濃度が0.1%から0.2%へと2倍増加するとFイオン溶出量は0.1μg/hrから0.16μg/hrと1.6倍増加した。酸素の供給量が一定でも酸素濃度が増加することによりFイオン溶出量が増加した。ここで図2の点線はガイドラインである。したがって、酸素供給量が一定でも酸素濃度の増加により膜劣化が促進することがわかり、言い換えると、膜劣化抑制方法として酸素濃度を減少させることが効果的であると言える。
このことから、メタノール希釈ガスによって酸素濃度が2.9倍希釈されて薄くなることにより、膜劣化が抑制されることがわかる。
酸素による電解質膜5の劣化により膜が薄くなると、不純物が電解質膜5を透過して、カソード7側の水素濃度が減少する。電解質膜5の膜厚とガスの透過量との関係は、フィックの第1法則 Q=D・λ・Δp/Lにより説明できる。ここで、Q:単位時間、面積当たりのガスの透過量、D:拡散係数、λ:溶解度、Δp:差圧、L:膜厚である。
これより、膜厚とガスの透過量との関係は、反比例関係にあるので、電解質膜が薄くなればなるほどガスの透過量は大きくなり、水素純度が低下することがわかる。
このように、メタノールを希釈物質としてアノード3に供給することにより、アノードガス中の酸素濃度を減少させ、それにより電解質膜5の薄膜化、すなわち劣化を抑制することができる。そのため水素以外の不純物ガスの透過量が経時的に増大し難くなることで、精製水素ガスの純度を高く保つことが可能となる。
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態のように水素精製システム1は、電解質膜5と、電解質膜5を挟んで一方の面に配置されるアノード3と、他方の面に配置されるカソード7とを有する電気化学デバイス10と、アノード3に一酸化炭素と酸素とを含む水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給部30と、アノード3から電解質膜5を介してカソードに電流を供給する直流電源25と、電気化学デバイス10のアノード3に供給されるまでは液体であり、アノード3では気体になる希釈物質を供給する希釈物質供給部35と、を備える。
これにより、アノードに供給される酸素の絶対量を減少させることなく、水素含有ガスにおける酸素分圧を低下させることができる。このため電解質膜の劣化を抑制することが可能になる。そのため水素以外の不純物ガスの透過量が経時的に増大し難くなることで、精製水素ガスの純度を高く保つことが可能となるという優れた効果を奏し得る。
また本実施の形態において、希釈物質は、沸点が摂氏30度以上且つ摂氏50度以下である所定の温度以上の物質である。なお上記の所定の温度は42度であってよい。希釈物質の沸点は、水素精製システム1を設置する場所の最高気温よりも高い温度であることがよい。
これにより、アノード3で反応に利用されなかった水素含有ガスがアノードオフガス出口23から排出されたのち、外気温と同じ温度にすればエネルギーを加えることなく希釈物質が凝縮し液体になる。そのため、希釈物質とガス成分を低電力で容易に分離することができる。
また、本実施の形態において、希釈物質はアルコールである。
これにより、安価な物質で水素精製システムを運用することができる。そのため、水素精製システムのランニングコストを下げることができるという効果を奏し得る。
(実施の形態2)
以下、図3を用いて、実施の形態2を説明する。
[2-1.構成]
本実施の形態2に係る水素精製システム1は、カソード7から精製後のガスである精製水素ガスを排出する精製水素ガス排出経路50内、または、アノード3から排出されるガスであるアノードオフガスを排出するアノードオフガス排出経路54内、の少なくとも一方に設けられて、精製水素ガス、または、アノードオフガスから、希釈物質を分離するカソードオフガス気液分離装置65、または/およびアノードオフガス気液分離装置60を備える。その他の構成は、実施の形態1と同様なので記載を省略する。
[2-2.動作]
以上のように構成された水素精製システム1について、以下図3を用いてその動作、作用を説明する。まず、電気化学デバイス10の温度を摂氏60度に設定し、水素含有ガス供給部30から水素80%、二酸化炭素18.5%、一酸化炭素10ppm、酸素0.3%、窒素1.2%の濃度の水素含有ガスを100cc/minの流量で供給する。また、希釈物質としてエタノールを希釈物質供給部35から50cc/minの流量で供給する。水素含有ガスと、希釈物質が気化した希釈ガスの混合ガスは、アノードガス入口19に供給され、直流電源25でアノード3から電解質膜5を介してカソード7に15Aの電流を流す。
このとき、60度のアノードガス流路15内において、沸点78.3度のエタノールの分圧は、エタノール蒸気圧線図より350mmhg=46kPaとなる。また、水蒸気分圧は、20kPa、大気圧は101kPa、アノードガス入口でのガスの圧力が30kPaであった。このとき、水素含有ガスの水蒸気とエタノールガスを除いたガス成分の分圧は、(大気圧)+(アノード圧力)―(水蒸気圧)―(エタノール蒸気圧)=101+30-20-46=65kPaとなり、その中の酸素の分圧は、(エタノールと水以外のガス成分の分圧)×(酸素分率)=65×0.003=0.195kPaである。酸素濃度は、0.195/(101+30)×100=0.15%
一方で、エタノールの希釈ガスを流さない場合について考えると、水素含有ガスの水蒸気を除いたガス成分の分圧は、101+8-20=89kPaとなり、その中の酸素の分圧は、89×0.003=0.267kPaとなる。酸素濃度は、(酸素分圧)/(全圧)×100=0.267/(101+8)×100=0.25%
エタノールを希釈ガスとして流す場合は、流さない場合と比べて酸素濃度が0.25/0.15=1.7倍希釈されたことがわかる。
このように、エタノールを希釈物質としてアノード3に供給することにより、アノードガス中の酸素濃度を減少させ、それにより電解質膜5の薄膜化、すなわち劣化を抑制することができる。そのため水素以外の不純物ガスの透過量が経時的に増大し難くなることで、精製水素ガスの純度を高く保つことが可能となる。
次に、排出ガスからの希釈成分の分離について説明する。アノードオフガス出口23から排出されるガスであるアノードオフガスの成分は、水素は精製により消費されて減少し、その他の成分はわずかに減少すると考えられる。具体的にアノードオフガスの流量は、水素20cc/min、二酸化炭素17.5cc/min、窒素1.2cc/min、エタノール45cc/minとなると考えられる。アノードオフガス気液分離装置60により、アノード3からのオフガスは摂氏20度まで温度を下げることができるとすると、エタノールの飽和蒸気圧5.8kPa以外のガス成分は凝縮し液体になる。水蒸気も摂氏20度で凝縮し液体になるので、水の飽和蒸気圧2.3kPa以外のガス成分は凝縮し液体になる。エタノールと水の混合液体として希釈成分を分離することができる。
カソードオフガス出口21から排出されるガスであるカソードオフガスの成分は、水素80cc/min、二酸化炭素1cc/min、エタノール5cc/minとなる。カソードオフガス気液分離装置65において摂氏3度まで温度を下げるとすると、エタノールの飽和蒸気圧0.74kPa、水の飽和蒸気圧0.76kPa以外のガス成分は凝縮し液体になる。エタノールと水の混合液体として希釈成分を分離することができ、水素純度99.7%を得ることができた。
このように、アノード3に希釈物質として供給したエタノールはアノードオフガスから分離して再利用が可能となる。また、カソードオフガスから希釈ガス成分を分離することが可能であり、希釈ガスを添加することでアノードガス中の酸素濃度を減少させ、それにより電解質膜5の薄膜化、すなわち劣化を抑制することができる。そのため水素以外の不純物ガスの透過量が経時的に増大し難くなることで、精製水素ガスの純度を高く保つことが可能となる。
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、水素精製システム1は、カソード7から精製後のガスである精製水素ガスを排出する精製水素ガス排出経路50内、または、アノード3から排出されるガスであるアノードオフガスを排出するアノードオフガス排出経路54内、の少なくとも一方に設けられて、精製水素ガス、または、アノードオフガスから、希釈物質を分離する分離装置を備える。
これにより、アノードガス流路15に供給される水素含有ガスの酸素濃度を低下させることができる。アノードオフガス排出経路54内に分離装置を設けた場合には、アノード3へ供給した希釈物質を分離し、回収することができる。また精製水素ガス排出経路50内に分離装置を設けた場合には、カソード7へ透過した希釈ガスを分離でき、精製水素の水素純度を低下させることがない。そのため、精製水素の水素純度を低下させることなく、また、希釈物質を分離回収しながら、電解質膜5の薄膜化を抑制し、経時的な水素純度の低下を抑制することができるという優れた効果を奏し得る。
また本実施の形態において、分離装置は、気液2相流を気体と液体に分離する気液分離装置である、。
これにより精製水素ガスまたはアノードオフガスから希釈物質を気液分離により小さな消費電力で分離することができる。そのため、希釈物質とガス成分を低電力で容易に分離することができるという効果を奏し得る。
また本実施形態において分離装置は、希釈物質を冷却して液化させ分離する分離装置である。
これにより希釈物質の蒸気圧が低い温度までアノードオフガスまたは精製水素ガスを冷却することができるので、希釈物質を容易に分離回収して再利用することができるという優れた効果を奏し得る。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
本開示は、電解質膜が薄膜化することを抑制する水素精製システムに適用可能である。具体的には、一酸化炭素を含む水素含有ガスから純度の高い水素を製造する水素精製システム等に、本開示は適用可能である。
1 水素精製システム
3 アノード
5 電解質膜
7 カソード
10 電気化学デバイス
11 アノード側セパレータ
13 カソード側セパレータ
15 アノードガス流路
17 カソードガス流路
19 アノードガス入口
21 カソードオフガス出口
23 アノードオフガス出口
25 直流電源
30 水素含有ガス供給部
35 希釈物質供給部
40 制御部
43 水素含有ガス供給配管
45 希釈物質供給配管
47 アノードオフガス配管
49 精製水素ガス配管
50 精製水素ガス排出経路
51 アノードガス入口開閉弁
53 アノードオフガス出口開閉弁
54 アノードオフガス排出経路
55 カソードオフガス出口開閉弁
60 アノードオフガス気液分離装置
65 カソードオフガス気液分離装置

Claims (6)

  1. 電解質膜と、電解質膜を挟んで一方の面に配置されるアノードと、他方の面に配置されるカソードとを有する電気化学デバイスと、
    アノードに一酸化炭素と酸素とを含む水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給部と、
    アノードから電解質膜を介してカソードに電流を供給する電源と、
    電気化学デバイスのアノードに供給されるまでは液体であり、アノードでは気体になる希釈物質を供給する希釈物質供給部と、
    を備える水素精製システム。
  2. 希釈物質は、沸点が摂氏30度以上且つ摂氏50度以下である所定の温度以上の物質である、請求項1に記載の水素精製システム。
  3. 希釈物質はアルコールである、請求項2に記載の水素精製システム。
  4. カソードから精製後のガスである精製水素ガスを排出する精製水素ガス排出経路内、
    または、
    アノードから排出されるガスであるアノードオフガスを排出するアノードオフガス排出経路内、
    の少なくとも一方に設けられて、前記精製水素ガス、または、前記アノードオフガスから、希釈物質を分離する分離装置を備える請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の水素精製システム。
  5. 前記分離装置は、気液2相流を気体と液体に分離する気液分離装置である、請求項4に記載の水素精製システム。
  6. 前記分離装置は、希釈物質を冷却して液化させ分離する分離装置である、請求項4または請求項5に記載の水素精製システム。
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