JP2022186080A - 液晶性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶性樹脂と、塩基性無機充填剤とを併用した場合であっても、分子量の大きな低下を招くことなく、かつ、高流動性及び耐加水分解性を有する液晶性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)液晶性樹脂と、(B)酸と、(C)塩基性無機充填剤とを含み、(B)酸は、水に溶解し、濃度10g/Lの水溶液とした場合におけるpHが2~5であり、沸点が210℃以上であり、水への溶解度が10g/L以上であり、(B)酸の含有量が、(A)液晶性樹脂100質量部に対して、0.1~3.0質量部である液晶性樹脂組成物である。【選択図】なし
Description
本発明は、液晶性樹脂組成物及びその液晶性樹脂組成物を成形してなる成形品に関する。
液晶性樹脂は、優れた流動性、機械強度、耐熱性、耐薬品性、電気的性質等をバランス良く有するため、高機能エンジニアリングプラスチックスとして広く利用されている。また、液晶性樹脂は、種々の熱可塑性樹脂の中でも成形時の流動性が高い樹脂である。近年、成形品の小型化や形状複雑化等に伴い、液晶性樹脂には、溶融時の流動性の更なる向上が求められている。溶融時に高い流動性を得るための方法の1つとして、低分子量の液晶性樹脂を用いることが挙げられる。
一方、液晶性樹脂は、上記のような優れた性能を更に向上させたり、短所を補ったりするため、一般に、種々の添加物を添加して樹脂組成物として用いられる。例えば、機械強度及び低そり性の向上等を目的として、液晶性樹脂に対して、タルク等の無機充填剤が添加される(特許文献1、2参照)。
しかしながら、液晶性樹脂を含む樹脂組成物において、タルク等の塩基性無機充填剤を添加すると、その表面で加水分解が進行し、液晶性樹脂の分子量が大きく低下する。そのような液晶性樹脂の加水分解による分子量の低下は、液晶性樹脂と塩基性無機充填剤とを溶融混練する際にも水分が僅かでも存在すれば起こり得るし、特に、樹脂組成物を調製した後において、高温高湿度環境下における加水分解は顕著である。すなわち、溶融時の流動性を向上させるために低分子量の液晶性樹脂を用い、かつ、塩基性無機充填剤を併用すると、機械強度及び低そり性が向上し、かつ、溶融時の流動性を向上させることはできるが、その後、高温高湿度環境下においては加水分解により分子量が著しく低下して破壊のリスクが高まる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その課題は、液晶性樹脂と、塩基性無機充填剤とを併用した場合であっても、高流動性及び耐加水分解性を有する液晶性樹脂組成物及び成形品を提供することにある。
前記課題を解決する本発明の一態様は以下の通りである。
(1)(A)液晶性樹脂と、(B)酸と、(C)塩基性無機充填剤とを含み、
前記(B)酸は、水に溶解し、濃度10g/Lの水溶液とした場合におけるpHが2~5であり、沸点が210℃以上であり、水への溶解度が10g/L以上であり、
前記(B)酸の含有量が、前記(A)液晶性樹脂100質量部に対して、0.1~3.0質量部である、液晶性樹脂組成物。
(1)(A)液晶性樹脂と、(B)酸と、(C)塩基性無機充填剤とを含み、
前記(B)酸は、水に溶解し、濃度10g/Lの水溶液とした場合におけるpHが2~5であり、沸点が210℃以上であり、水への溶解度が10g/L以上であり、
前記(B)酸の含有量が、前記(A)液晶性樹脂100質量部に対して、0.1~3.0質量部である、液晶性樹脂組成物。
(2)前記(C)塩基性無機充填剤の含有量が、(A)液晶性樹脂100質量部に対して、5~100質量部である、前記(1)に記載の液晶性樹脂組成物。
(3)前記(B)酸が、ホウ酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸からなる群より選ばれる1種以上である、前記(1)又は(2)に記載の液晶性樹脂組成物。
(4)前記(C)塩基性無機充填剤が、タルク、マイカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、及びチタン酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上である、前記(1)~(3)のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物。
(5)前記(A)液晶性樹脂が、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し単位を構成成分として有する芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドである、前記(1)~(4)のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物。
(6)前記(1)~(5)のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明によれば、液晶性樹脂と、塩基性無機充填剤とを併用した場合であっても、分子量の大きな低下を招くことなく、かつ、高流動性及び耐加水分解性を有する液晶性樹脂組成物及び成形品を提供することができる。
本実施形態の液晶性樹脂組成物は、(A)液晶性樹脂と、(B)酸と、(C)塩基性無機充填剤とを含む。そして、(B)酸は、水に溶解し、濃度10g/Lの水溶液とした場合におけるpHが2~5であり、沸点が210℃以上であり、水への溶解度が10g/L以上である。また、(B)酸の含有量が、(A)液晶性樹脂100質量部に対して、0.1~3.0質量部である。
本実施形態の液晶性樹脂組成物は、上記のような特定の(B)酸を含むことで、液晶性樹脂の流動性を向上させることができるとともに、高温高湿度環境下における加水分解を抑え、分子量の大きな低下を抑えることができる。より具体的には、溶融混練時は、(B)酸によって(A)液晶性樹脂の加水分解が促進されて分子量がある程度は低下するが、その後、高温高湿度環境下に曝露されても、(C)塩基性無機充填剤近傍の存在するアルカリ性の水分が、溶融混錬によって液晶性樹脂組成物中に分散された(B)酸によって中和され、加水分解が抑制される。ひいては、溶融時は流動性に富むため成形しやすく、成形後は高温高湿度環境下に暴露されても加水分解が抑えられ、分子量の大きな低下を招くことがなく、物性の低下を抑えることができる。
ここで、酸は、溶融混練時には加水分解を促進し、その後の高温高湿度環境下では加水分解を抑制するという、溶融混練時と高温高湿度環境下とで相反する働きを示す。そのような働きの違いは、分散状態の違いによるものと推察される。すなわち、溶融混練時は分散が不十分であるためアルカリ性の水分を十分に中和することができず、逆に、溶融混練後は良好な分散状態となり、アルカリ性の水分を十分に中和することができ加水分解が抑制されることから上記のような挙動を示すと推察される。
なお、高温高湿度環境下とは、雰囲気温度:50~200℃、湿度70~100%RHの環境を意味する。
以下に、本実施形態の液晶性樹脂組成物の各成分について詳述する。
ここで、酸は、溶融混練時には加水分解を促進し、その後の高温高湿度環境下では加水分解を抑制するという、溶融混練時と高温高湿度環境下とで相反する働きを示す。そのような働きの違いは、分散状態の違いによるものと推察される。すなわち、溶融混練時は分散が不十分であるためアルカリ性の水分を十分に中和することができず、逆に、溶融混練後は良好な分散状態となり、アルカリ性の水分を十分に中和することができ加水分解が抑制されることから上記のような挙動を示すと推察される。
なお、高温高湿度環境下とは、雰囲気温度:50~200℃、湿度70~100%RHの環境を意味する。
以下に、本実施形態の液晶性樹脂組成物の各成分について詳述する。
[(A)液晶性樹脂]
本実施形態で使用する(A)液晶性樹脂とは、光学異方性溶融相を形成し得る性質を有する溶融加工性ポリマーを指す。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。本実施形態に適用できる液晶性ポリマーは直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
本実施形態で使用する(A)液晶性樹脂とは、光学異方性溶融相を形成し得る性質を有する溶融加工性ポリマーを指す。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。本実施形態に適用できる液晶性ポリマーは直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
上記のような(A)液晶性樹脂の種類としては特に限定されず、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し単位を構成成分として有する芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることが好ましい。また、芳香族ポリエステル及び/又は芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステルもその範囲内である。(A)液晶性樹脂としては、60℃でペンタフルオロフェノールに濃度0.1質量%で溶解したときに、好ましくは少なくとも約2.0dl/g、更に好ましくは2.0~10.0dl/gの対数粘度(I.V.)を有するものが好ましく使用される。
本実施形態において使用し得る(A)液晶性樹脂としての芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドは、特に好ましくは、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位を構成成分として有する芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドである。
より具体的には、
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位からなるポリエステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体の少なくとも1種又は2種以上に由来する構成単位、とからなるポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位、とからなるポリエステルアミド;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体の少なくとも1種又は2種以上に由来する構成単位、とからなるポリエステルアミド等が挙げられる。更に上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位からなるポリエステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体の少なくとも1種又は2種以上に由来する構成単位、とからなるポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位、とからなるポリエステルアミド;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する構成単位と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体の少なくとも1種又は2種以上に由来する構成単位、とからなるポリエステルアミド等が挙げられる。更に上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
本実施形態において使用し得る(A)液晶性樹脂を構成する具体的化合物の好ましい例としては、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般式(I)で表される化合物、及び下記一般式(II)で表される化合物等の芳香族ジオール;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、及び下記一般式(III)で表される化合物等の芳香族ジカルボン酸;4-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、N-アセチル-p-アミノフェノール等の芳香族アミン類が挙げられる。
本実施形態に用いられる(A)液晶性樹脂の調製は、上記のモノマー化合物(又はモノマーの混合物)から直接重合法やエステル交換法を用いて公知の方法で行うことができ、通常は溶融重合法やスラリー重合法等が用いられる。エステル形成能を有する上記化合物類はそのままの形で重合に用いてもよく、また、重合の前段階で前駆体から該エステル形成能を有する誘導体に変性されたものでもよい。これらの重合に際しては種々の触媒の使用が可能であり、代表的なものとしては、ジアルキル錫酸化物、ジアリール錫酸化物、2酸化チタン、アルコキシチタンけい酸塩類、チタンアルコラート類、カルボン酸のアルカリ及びアルカリ土類金属塩類、BF3の如きルイス酸塩等があげられる。触媒の使用量は一般にはモノマーの全質量に対して約0.001~1質量%、特に約0.01~0.2質量%が好ましい。これらの重合方法により製造されたポリマーは更に必要があれば、減圧又は不活性ガス中で加熱する固相重合により分子量の増加を図ることができる。
上記のような方法で得られる(A)液晶性樹脂の溶融粘度は特に限定されない。一般には成形温度での溶融粘度が剪断速度1000sec-1で10MPa以上600MPa以下のものが使用可能である。しかし、それ自体あまり高粘度のものは流動性が非常に悪化
するため好ましくない。なお、上記(A)液晶性樹脂は2種以上の液晶性樹脂の混合物であってもよい。
するため好ましくない。なお、上記(A)液晶性樹脂は2種以上の液晶性樹脂の混合物であってもよい。
本実施形態において、(A)液晶性樹脂の重量平均分子量は、160000~220000が好ましく、170000~200000がより好ましい。(A)液晶性樹脂の重量平均分子量が160000未満であると、液晶性樹脂組成物の分子量が著しく低下して機械強度が不足することがあり、220000を超えると、液晶性樹脂組成物の溶融時の流動性が悪化することがある。
[(B)酸]
本実施形態において、(B)酸は、上述の通り、(C)塩基性無機充填剤近傍の水分を中和し、液晶性樹脂の加水分解を防止するために用いられる。(B)酸としては、水に溶解し、濃度10g/Lの水溶液とした場合におけるpHが2~5であり、沸点が210℃以上であり、水への溶解度が10g/L以上であるものを用いる。ここで、本明細書において、(B)酸のpHは25℃における値を示し、(B)酸の沸点は1気圧における沸点を示し、(B)酸の水への溶解度は、室温(20~25℃)における溶解度を示す。なお、(B)酸としては、沸点が210℃以上であれば、常温で液体であるか気体であるかは問わない。
本実施形態において、(B)酸は、上述の通り、(C)塩基性無機充填剤近傍の水分を中和し、液晶性樹脂の加水分解を防止するために用いられる。(B)酸としては、水に溶解し、濃度10g/Lの水溶液とした場合におけるpHが2~5であり、沸点が210℃以上であり、水への溶解度が10g/L以上であるものを用いる。ここで、本明細書において、(B)酸のpHは25℃における値を示し、(B)酸の沸点は1気圧における沸点を示し、(B)酸の水への溶解度は、室温(20~25℃)における溶解度を示す。なお、(B)酸としては、沸点が210℃以上であれば、常温で液体であるか気体であるかは問わない。
(B)酸のpHが2未満であると、液晶性樹脂の加水分解が進行しすぎて押出作業が困難となり、pHが5を超えると、高流動性、耐加水分解性の効果が得られない。(B)酸のpHは3~5が好ましい。
また、(B)酸の沸点が210℃未満であると、溶融混練時に揮散するため酸としての機能を発揮できない。(B)酸の沸点は220~400℃が好ましい。
さらに、(B)酸の水への溶解度が10g/L未満であると、高温高湿度環境下において水分への溶解が不十分となるため、(C)塩基性無機充填剤を中和する効果が低下する。(B)酸の水への溶解度は12~100g/Lが好ましい。
また、(B)酸の沸点が210℃未満であると、溶融混練時に揮散するため酸としての機能を発揮できない。(B)酸の沸点は220~400℃が好ましい。
さらに、(B)酸の水への溶解度が10g/L未満であると、高温高湿度環境下において水分への溶解が不十分となるため、(C)塩基性無機充填剤を中和する効果が低下する。(B)酸の水への溶解度は12~100g/Lが好ましい。
上記条件を満たす(B)酸としては、ホウ酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸等が挙げられ、中でも、ホウ酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本実施形態において、(B)酸の含有量は、(A)液晶性樹脂100質量部に対して、0.1~3.0質量部であり、0.25~2.5質量部であることが好ましく、0.5~2.0質量部であることがさらに好ましい。(B)酸の含有量が0.1質量部未満であると、(C)塩基性無機充填剤近傍の水分に対する中和効果が不十分となる。また、(B)酸の含有量が3.0質量部を超えると、液晶性樹脂の加水分解が進行しすぎて押出作業が困難となる。
[(C)塩基性無機充填剤]
本実施形態において、(C)塩基性無機充填剤は、機械強度及び低そり性等の向上を目的として用いる。(C)塩基性無機充填剤としては、塩基性の金属水酸化物、タルク、マイカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム等の塩基性の金属炭酸塩、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム等が挙げられ、中でも、タルク、マイカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、及びチタン酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
なお、塩基性無機充填剤のpHは8~10が好ましい。
本実施形態において、(C)塩基性無機充填剤は、機械強度及び低そり性等の向上を目的として用いる。(C)塩基性無機充填剤としては、塩基性の金属水酸化物、タルク、マイカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム等の塩基性の金属炭酸塩、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム等が挙げられ、中でも、タルク、マイカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、及びチタン酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
なお、塩基性無機充填剤のpHは8~10が好ましい。
(C)塩基性無機充填剤の含有量は、(A)液晶性樹脂100質量部に対して、5~100質量部であることが好ましく、10~80質量部であることがより好ましい。(C)塩基性無機充填剤の当該含有量が5~100質量部であることで、液晶性樹脂組成物の機械強度及び低そり性等を十分に向上することができる。
[他の成分]
本実施形態の液晶性樹脂組成物には、その効果を害さない範囲で、その他の重合体、塩基性充填剤以外の充填剤、一般に合成樹脂に添加される公知の物質、即ち、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤等も要求性能に応じ適宜添加することができる。
本実施形態の液晶性樹脂組成物には、その効果を害さない範囲で、その他の重合体、塩基性充填剤以外の充填剤、一般に合成樹脂に添加される公知の物質、即ち、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤等も要求性能に応じ適宜添加することができる。
本実施形態の液晶性樹脂組成物を用いて成形品を得る方法としては特に限定はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、本実施形態の液晶性樹脂組成物を押出機に投入して溶融混練してペレット化し、このペレットを所定の金型を装備した射出成形機に投入し、射出成形することで成形品を得ることができる。
ペレット化する際の溶融温度としては、250~400℃とすることが好ましく、300~380℃とすることがより好ましい。
ペレット化する際の溶融温度としては、250~400℃とすることが好ましく、300~380℃とすることがより好ましい。
<成形品>
本実施形態の成形品は、以上の本実施形態の液晶性樹脂組成物を成形してなる。成形方法としては、特に限定されず一般的な成形方法を採用することができる。一般的な成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、発泡成形、回転成形、ガスインジェクション成形、インフレーション成形等の方法を例示することができる。
本実施形態の成形品は、以上の本実施形態の液晶性樹脂組成物を成形してなる。成形方法としては、特に限定されず一般的な成形方法を採用することができる。一般的な成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、発泡成形、回転成形、ガスインジェクション成形、インフレーション成形等の方法を例示することができる。
以上のような性質を有する本実施形態の成形品の好ましい用途としては、コネクター、CPUソケット、リレースイッチ部品、ボビン、アクチュエータ、ノイズ低減フィルターケース等が挙げられ、中でも、コネクター、モーターインシュレーター、CPUソケット又はリレースイッチ部品が好ましい。
以下に、本実施形態について、実施例によりさらに具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1~6、比較例1~12]
各実施例・比較例において、表1に示す各原料成分を表1に示す割合で二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α型)を用いて、シリンダー温度350℃にて溶融混錬し、液晶性樹脂組成物ペレットを得た。なお、(A)液晶性樹脂と(B)酸はドライブレンドした後、メインフィード口から供給し、(C)塩基性無機充填剤はサイドフィード口から供給した。
使用した各原料成分の詳細を以下に示す。
各実施例・比較例において、表1に示す各原料成分を表1に示す割合で二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α型)を用いて、シリンダー温度350℃にて溶融混錬し、液晶性樹脂組成物ペレットを得た。なお、(A)液晶性樹脂と(B)酸はドライブレンドした後、メインフィード口から供給し、(C)塩基性無機充填剤はサイドフィード口から供給した。
使用した各原料成分の詳細を以下に示す。
(A)液晶性樹脂
・液晶性樹脂1(LCP1)
重合容器に下記の原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレットを得た。得られたペレットについて、窒素気流下、300℃で2時間の熱処理を行って、目的のポリマーを得た。得られた液晶性樹脂の重量平均分子量は、後述するPCT処理前後における重量平均分子量の測定と同様にして測定した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸(HBA);1380g(60モル%)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA);157g(5モル%)
(III)テレフタル酸(TA);484g(17.5モル%)
(IV)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP);388g(12.5モル%)
(V)N-アセチル-p-アミノフェノール(APAP);126g(5モル%)
金属触媒(酢酸カリウム触媒);110mg
アシル化剤(無水酢酸);1659g
・液晶性樹脂1(LCP1)
重合容器に下記の原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレットを得た。得られたペレットについて、窒素気流下、300℃で2時間の熱処理を行って、目的のポリマーを得た。得られた液晶性樹脂の重量平均分子量は、後述するPCT処理前後における重量平均分子量の測定と同様にして測定した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸(HBA);1380g(60モル%)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA);157g(5モル%)
(III)テレフタル酸(TA);484g(17.5モル%)
(IV)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP);388g(12.5モル%)
(V)N-アセチル-p-アミノフェノール(APAP);126g(5モル%)
金属触媒(酢酸カリウム触媒);110mg
アシル化剤(無水酢酸);1659g
・液晶性樹脂2(LCP2)
重合容器に下記の原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレットを得た。得られた液晶性樹脂の重量平均分子量は、後述するPCT処理前後における重量平均分子量の測定と同様にして測定した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸(HBA);1380g(60モル%)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA);157g(5モル%)
(III)テレフタル酸(TA);484g(17.5モル%)
(IV)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP);388g(12.5モル%)
(V)N-アセチル-p-アミノフェノール(APAP);126g(5モル%)
金属触媒(酢酸カリウム触媒);110mg
アシル化剤(無水酢酸);1659g
重合容器に下記の原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレットを得た。得られた液晶性樹脂の重量平均分子量は、後述するPCT処理前後における重量平均分子量の測定と同様にして測定した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸(HBA);1380g(60モル%)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA);157g(5モル%)
(III)テレフタル酸(TA);484g(17.5モル%)
(IV)4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP);388g(12.5モル%)
(V)N-アセチル-p-アミノフェノール(APAP);126g(5モル%)
金属触媒(酢酸カリウム触媒);110mg
アシル化剤(無水酢酸);1659g
(B)酸
・ホウ酸;pH:5、沸点:300℃、水への溶解度:57g/L
・アジピン酸;pH:3、沸点:338℃、水への溶解度:14g/L
・コハク酸;pH:3、沸点:235℃、水への溶解度:80g/L
・ピメリン酸;pH:3、沸点:223℃、水への溶解度:25g/L
・スベリン酸;pH:3、沸点:279℃、水への溶解度:2.5g/L
・ブタン酸;pH:3、沸点:164℃、水への溶解度:56g/L
・ヘキサン酸;pH:4、沸点:205℃、水への溶解度:9g/L
・オクタン酸;pH:4、沸点:237℃、水への溶解度:0.68g/L
・安息香酸;pH:3、沸点:249℃、水への溶解度:3g/L
・シュウ酸;pH:1、沸点:190℃、水への溶解度:130g/L
・4-ヒドロキシ安息香酸;pH:4、沸点:275℃、水への溶解度:5g/L
・テレフタル酸;pH:-、沸点:300℃(昇華)、水への溶解度:0.02g/L
・ホウ酸;pH:5、沸点:300℃、水への溶解度:57g/L
・アジピン酸;pH:3、沸点:338℃、水への溶解度:14g/L
・コハク酸;pH:3、沸点:235℃、水への溶解度:80g/L
・ピメリン酸;pH:3、沸点:223℃、水への溶解度:25g/L
・スベリン酸;pH:3、沸点:279℃、水への溶解度:2.5g/L
・ブタン酸;pH:3、沸点:164℃、水への溶解度:56g/L
・ヘキサン酸;pH:4、沸点:205℃、水への溶解度:9g/L
・オクタン酸;pH:4、沸点:237℃、水への溶解度:0.68g/L
・安息香酸;pH:3、沸点:249℃、水への溶解度:3g/L
・シュウ酸;pH:1、沸点:190℃、水への溶解度:130g/L
・4-ヒドロキシ安息香酸;pH:4、沸点:275℃、水への溶解度:5g/L
・テレフタル酸;pH:-、沸点:300℃(昇華)、水への溶解度:0.02g/L
(C)塩基性無機充填剤
・タルク:クラウンタルクPP(松村産業(株)製、タルク)
・タルク:クラウンタルクPP(松村産業(株)製、タルク)
[評価]
(1)重量平均分子量の測定
各実施例・比較例において得られた液晶性樹脂組成物ペレットを、溶媒としてビストリフルオロメチルフェノールを使用して常温で6時間攪拌して溶解させた。ゲル浸透クロマトグラフ法(東ソー(株)製、「HLC-8320GPC」、示差屈折計検出器)を行い、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量を算出した。算出した重量平均分子量(PCT処理前)を表1及び表2に示す。
(1)重量平均分子量の測定
各実施例・比較例において得られた液晶性樹脂組成物ペレットを、溶媒としてビストリフルオロメチルフェノールを使用して常温で6時間攪拌して溶解させた。ゲル浸透クロマトグラフ法(東ソー(株)製、「HLC-8320GPC」、示差屈折計検出器)を行い、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量を算出した。算出した重量平均分子量(PCT処理前)を表1及び表2に示す。
(2)プレッシャークッカーテスト(PCT)
各実施例・比較例において得られた液晶性樹脂組成物ペレットに対し、プレッシャークッカーテスト(PCT)装置を用いて、121℃、2atm、100%RH下で72時間処理した。PCT処理後における重量平均分子量を上記と同様にして算出した。算出した重量平均分子量(PCT処理後)を表1及び表2に示す。
各実施例・比較例において得られた液晶性樹脂組成物ペレットに対し、プレッシャークッカーテスト(PCT)装置を用いて、121℃、2atm、100%RH下で72時間処理した。PCT処理後における重量平均分子量を上記と同様にして算出した。算出した重量平均分子量(PCT処理後)を表1及び表2に示す。
(3)重量平均分子量の保持率
各実施例・比較例において、上記のようにして算出した重量平均分子量(PCT処理後)を、重量平均分子量(PCT処理前)で除し、さらに100を乗じた値を重量平均分子量の保持率(%)とした。算出した重量平均分子量の保持率を表1及び表2に示す。
各実施例・比較例において、上記のようにして算出した重量平均分子量(PCT処理後)を、重量平均分子量(PCT処理前)で除し、さらに100を乗じた値を重量平均分子量の保持率(%)とした。算出した重量平均分子量の保持率を表1及び表2に示す。
(4)高流動性
各実施例・比較例において算出した重量平均分子量(PCT処理前)に基づき流動性について評価した。具体的には、重量平均分子量(PCT処理前)が130000以下の場合を「〇」とし、130000超の場合を「×」として評価した。すなわち、評価結果が「〇」の場合、高流動性であることを示す。評価結果を表1及び表2に示す。
各実施例・比較例において算出した重量平均分子量(PCT処理前)に基づき流動性について評価した。具体的には、重量平均分子量(PCT処理前)が130000以下の場合を「〇」とし、130000超の場合を「×」として評価した。すなわち、評価結果が「〇」の場合、高流動性であることを示す。評価結果を表1及び表2に示す。
(5)耐加水分解性
各実施例・比較例において算出した重量平均分子量の保持率に基づき評価した。すなわち、重量平均分子量が70%以上の場合を「〇」とし、70%未満の場合を「×」として評価した。すなわち、評価結果が「〇」の場合、耐加水分解性に優れることを示す。評価結果を表1及び表2に示す。
各実施例・比較例において算出した重量平均分子量の保持率に基づき評価した。すなわち、重量平均分子量が70%以上の場合を「〇」とし、70%未満の場合を「×」として評価した。すなわち、評価結果が「〇」の場合、耐加水分解性に優れることを示す。評価結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2より、実施例1~6においては、PCT処理前の重量平均分子量が130000以下であり、高流動性において良好な結果が得られたことが分かる。また、実施例1~6においては、重量平均分子量の保持率が全比較例よりも大きく、耐加水分解性において良好な結果が得られたことが分かる。すなわち、実施例1~6においては、重量平均分子量の大きな低下を招くことなく、かつ、高流動性及び耐加水分解性を有することが示された。
一方、酸を含有していない比較例1は、低分子量の液晶性樹脂を用いたため高流動性については良好であったが耐加水分解性に劣っていた。また、実施例1~6と同じ液晶性樹脂を用いた比較例2は酸を含有していないため、高流動性及び耐加水分解性のいずれの評価も不良であった。さらに、所定の条件を満たす酸の含有量が過小の比較例3は、高流動性の評価が不良であった。
また、所定の条件を満たさない酸を用いた比較例5~12は、高流動性及び耐加水分解性の双方ともに良好な評価をすることができなかった。特に、テレフタル酸は水への溶解度が低いため、耐加水分解性の効果が得られない。
なお、所定の条件を満たす酸の含有量が過多の比較例4及び酸のpHが過小の比較例10は、押出作業が困難を極め、ペレットの作製すらできなかった。
一方、酸を含有していない比較例1は、低分子量の液晶性樹脂を用いたため高流動性については良好であったが耐加水分解性に劣っていた。また、実施例1~6と同じ液晶性樹脂を用いた比較例2は酸を含有していないため、高流動性及び耐加水分解性のいずれの評価も不良であった。さらに、所定の条件を満たす酸の含有量が過小の比較例3は、高流動性の評価が不良であった。
また、所定の条件を満たさない酸を用いた比較例5~12は、高流動性及び耐加水分解性の双方ともに良好な評価をすることができなかった。特に、テレフタル酸は水への溶解度が低いため、耐加水分解性の効果が得られない。
なお、所定の条件を満たす酸の含有量が過多の比較例4及び酸のpHが過小の比較例10は、押出作業が困難を極め、ペレットの作製すらできなかった。
Claims (6)
- (A)液晶性樹脂と、(B)酸と、(C)塩基性無機充填剤とを含み、
前記(B)酸は、水に溶解し、濃度10g/Lの水溶液とした場合におけるpHが2~5であり、沸点が210℃以上であり、水への溶解度が10g/L以上であり、
前記(B)酸の含有量が、前記(A)液晶性樹脂100質量部に対して、0.1~3.0質量部である、液晶性樹脂組成物。 - 前記(C)塩基性無機充填剤の含有量が、(A)液晶性樹脂100質量部に対して、5~100質量部である、請求項1に記載の液晶性樹脂組成物。
- 前記(B)酸が、ホウ酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の液晶性樹脂組成物。
- 前記(C)塩基性無機充填剤が、タルク、マイカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、及びチタン酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の液晶性樹脂組成物。
- 前記(A)液晶性樹脂が、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し単位を構成成分として有する芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドである、請求項1~4のいずれか1項に記載の液晶性樹脂組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の液晶性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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---|---|---|---|
JP2021094123A JP2022186080A (ja) | 2021-06-04 | 2021-06-04 | 液晶性樹脂組成物及び成形品 |
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