JP2022185928A - 除草剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水で希釈して使用するタイプのペラルゴン酸除草剤において、販売時の状態と使用時の状態のいずれの状態であっても安定しており、しかも、ユーザーが水で容易に希釈可能にして使い易くする。【解決手段】 水で希釈される除草剤組成物において、除草活性成分のペラルゴン酸と、モノアルキル型カチオン性界面活性剤とジアルキル型カチオン性界面活性剤の中から選ばれた任意の1種又は2種以上の陽イオン性界面活性剤と、水とを含有している。水で希釈される前の粘度が20Pa・sである。【選択図】なし

Description

本発明は、除草剤組成物に関し、特にペラルゴン酸を含有させる技術分野に属する。より具体的には、水により希釈して使用する除草剤組成物に関するものである。
炭素数が6から12の脂肪酸、特に炭素数が9のペラルゴン酸(一般名 Pelargonic acid、IUPAC名 Nonanoic acid)は、安全かつ速効的な除草活性を有する化合物であり、世界中で広く使用されている(例えば特許文献1参照)。
またペラルゴン酸は食品添加物としても使われているところ、安全なイメージの除草活性成分として着目されており、ペラルゴン酸を用いた除草剤のニーズが高まっている。
ペラルゴン酸は水に対する溶解度が32ppm(30℃)と疎水的な物質であり、ペラルゴン酸を用いた除草剤の開発においてはペラルゴン酸の可溶化ないし乳化の技術が必要となる。
例えば特許文献1には、主溶剤を水とし、陰イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤を併用することによってベラルゴン酸を酸として水中に安定に存在させる製剤技術が開示されている。
また、特許文献2には、界面活性剤として第四アンモニウム塩を使用してペラルゴン酸をエマルジョン化する技術が開示されている。
一方、特許文献3,4には、ペラルゴン酸を有機塩基によって中和することにより水溶解性を向上させた製剤が開示されている。
特開2016-190832号公報 特表平5-502216号公報 特開2013-216643号公報 特開2014-91739号公報
上記のとおり、従来の技術としては、ペラルゴン酸の水中における存在形態が酸であり界面活性剤によって乳化ないし可溶化した製剤(特許文献1,2)と、ペラルゴン酸を塩基性物質により中和することにより水溶解性を向上させた製剤とが知られている(特許文献3,4)。ペラルゴン酸が酸として存在している前者は、後者に対してより速効的な除草効果を示すことが知られており、ユーザーが除草効果を実感しやすいという点からより望ましい。しかしながら、界面活性剤によって乳化・可溶化した従来のペラルゴン酸除草剤は、高温環境下における長期の保管などの過酷な条件によってはペラルゴン酸が分離してしまうことがあった。このように、従来のペラルゴン酸除草剤においては、安定性および即効性を両立して実現することは未だ達成できていない。
ところで、除草剤の分野においては、ユーザーが使用時に水で希釈して使う希釈タイプのものがある。この希釈タイプの除草剤は、実際に使用される濃度よりも高濃度の状態で販売されるので、販売時の重量および体積が小さくて済み、経済性および持ち運び性で優れる。
そこで、ペラルゴン酸の除草剤においても、希釈タイプの除草剤が求められる。その場合、実用的には、販売時の状態、即ち高濃度の状態で安定していること、水で希釈した後にも安定していて液の分離などが生じないこと、そして、希釈しやすいこと、などが要求される。
しかしながら、そもそもペラルゴン酸除草剤は通常の濃度でも安定して乳化・可溶化することが技術的に難しいところ、希釈タイプで上記のような実用性を兼ね備えたものはいまだ知られていない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水で希釈して使用するタイプのペラルゴン酸除草剤において、販売時の状態と使用時の状態のいずれの状態であっても安定しており、しかも、ユーザーが水で容易に希釈可能にして使い易くすることにある。
上記目的を達成するために、本開示の第1の側面では、水で希釈される液状の除草剤組成物を前提とすることができる。除草剤組成物は、除草活性成分のペラルゴン酸と、モノアルキル型カチオン性界面活性剤とジアルキル型カチオン性界面活性剤の中から選ばれた任意の1種又は2種以上の陽イオン性界面活性剤と、水とを含有している。そして、除草剤組成物は、前記ペラルゴン酸の濃度をa、前記陽イオン性界面活性剤の濃度をbとした時、濃度比R=b/aが0.83以上2.50以下であり、前記水で希釈される前の前記ペラルゴン酸の濃度が38質量%以下であり、水で希釈される前の粘度が20Pa・s(パスカル秒)以下に設定されているものである。
この構成によれば、ペラルゴン酸と、特定の陽イオン性界面活性剤とを組み合わせることにより、水で希釈する前の高濃度の状態であっても、水で希釈した後の使用時の濃度の状態であっても安定した除草剤組成物となる。また、水で希釈する前の粘度を20Pa・s以下とすることでユーザーが水で希釈しやすく、実用性に優れる。また、例えば雑草等に散布すると、除草活性成分であるペラルゴン酸による除草効果が素早く現れる。
本開示の第2の側面では、前記水で希釈された後の水中に、前記ペラルゴン酸と前記陽イオン性界面活性剤とによる混合ベシクルが形成されるものである。
この構成によれば、水で希釈した後も安定してペラルゴン酸の分散状態を保つことができるとともに、除草即効性に優れる。
ここで、ペラルゴン酸を除草活性成分として含有した除草剤においては、これを散布したときに、ペラルゴン酸が雑草表面に付着しなければ十分な除草効果が得られないと考えられる。これに対し、上記混合ベシクル化されたペラルゴン酸は陽イオン性界面活性剤と相互作用することにより自己会合体内に含まれているところ、これを雑草に散布した際に当該ペラルゴン酸が雑草表面に付着し得るか否かについてこれまで検討されたことは無かった。本願発明者らの検討により、混合ベシクル化されたペラルゴン酸除草剤組成物によって高い除草効果が初めて確認された。
つまり、モノアルキル型カチオン性界面活性剤と、ジアルキル型カチオン性界面活性剤とによって構成された群の中から任意の1種又は任意の2種以上の陽イオン性界面活性剤を含んでいることで、水中においてペラルゴン酸が混合ベシクルの自己会合体として均一分散・溶解しており、散布時においては混合ベシクルを構成していたペラルゴン酸が雑草表面に付着する。これにより、水で希釈された後に低温や高温条件下で放置されても、経日安定性に優れ、高い除草効果が得られる。
本開示の第3の側面では、前記水による希釈倍率が5倍以上である除草剤組成物とすることができる。この構成によれば、販売時の重量および体積を小さくしておきながら、使用時の容量を十分に確保することが可能になる。
本開示の第4の側面では、前記水による希釈倍率の上限が25倍以下である除草剤組成物とすることができる。この構成によれば、ペラルゴン酸の分散状態を保ちながら、除草即効性に優れた組成物とすることができる。
本開示の第5の側面では、前記水で希釈された後の前記ペラルゴン酸の濃度が1.5質量%以上5.0質量%以下である。
この構成によれば、水で希釈した後のペラルゴン酸がこの範囲であれば、希釈後のベシクル形成が安定するとともに、十分な除草効果も得られる。
本開示の第6の側面では、前記水で希釈される前の前記ペラルゴン酸の濃度が10質量%以上である。
本開示の第7の側面では、前記水で希釈される前の前記ペラルゴン酸の濃度が20質量%以上30質量%以下である。
この構成によれば、ペラルゴン酸による除草効果がより一層高まる。
本開示の第8の側面では、前記濃度比R=b/aが1.00以上2.00以下である。
すなわち、ペラルゴン酸に対して陽イオン性界面活性剤の量を上記の範囲とすることにより、希釈前、希釈後ともに安定させることができる。
本開示の第9の側面では、炭素数が2以上6以下の一価または多価アルコールを含有しており、前記水で希釈される前の前記一価または多価アルコールの濃度が10質量%以上である。
本開示の第10の側面では、前記水で希釈される前の前記一価または多価アルコールの濃度が20質量%以上である。前記アルコールは、ヒドロキシ基の数が1以上6以下のものを使用することができる。
この構成によれば、アルコールを含有することで、希釈前の粘度が高くなりすぎることを防ぐとともに、希釈後に混合ベシクルが安定して形成されやすくなる。
以上説明したように、除草剤組成物が販売時の状態と使用時の状態のいずれの状態であっても安定しており、しかも、ユーザーが水で容易に希釈可能にして使い易くすることができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本発明の実施形態に係る除草剤組成物は、水で希釈される液状の除草剤組成物である。水で希釈する除草剤組成物を希釈タイプの除草剤組成物と呼ぶこともできる。除草剤組成物は、除草活性成分のペラルゴン酸と、特定の陽イオン性界面活性剤と、水とを含有している。除草剤組成物は、後述するように特定のアルコールをさらに含有していてもよい。
除草剤組成物は、例えば各種容器に収容して保管することができる。除草剤組成物を容器に収容することで、除草に用いられる製品が構成される。この希釈タイプの除草剤組成物は、ユーザーが水で希釈した後に雑草へ散布して使用するものである。従って、少なくともユーザーの手に渡るまでは、除草活性成分が使用時に比べて高濃度で水中に存在することになる。ここで仮に、ユーザーの手に渡ったときに除草剤組成物に分離などが生じていると、ユーザーは、水で希釈する際に計量や撹拌等の作業を適切に行うことが困難となる。従って、店頭や倉庫などにおいて、除草剤組成物を、長期間にわたって均一な状態で保管できることが重要となる。
この点、後述のとおり、本発明の構成によれば、水で希釈する前の除草剤組成物を、分離等の性状変化なく均一な状態で長期間にわたって安定して保管できる。
この除草剤組成物をユーザーが使用する時には、当該除草剤組成物を必要量測り取るとともに、ペラルゴン酸が所定の濃度となるように、水を加えて希釈することによって当該ペラルゴン酸の濃度が調整される。加える水の量、即ち希釈倍率は、予め設定されており、例えば容器等に記載しておくことができる。希釈倍率とは、原液の何倍の量の液を得るかということであり、例えば希釈倍率が2倍であれば、原液の2倍の量となるように水を加える。希釈倍率は整数倍でなくてもよい。
除草剤組成物の水による希釈倍率は5倍以上とすることができ、また水による希釈倍率が10倍以上であってもよいし、15倍以上であってもよい。希釈倍率が5倍より小さいと、濃縮タイプにするメリットが小さくなるという点で好ましくない。除草剤組成物の水による希釈倍率の上限は25倍以下とすることができ、また水による希釈倍率の上限が20倍以下であってもよいし、15倍以下であってもよい。希釈倍率が高すぎると、希釈前の状態における除草活性成分の濃度を極めて高くせざるを得ないので、希釈前の除草剤組成物が不安定となるとともに、粘度が高くなりすぎて希釈作業が行いにくくなる。
除草剤組成物を水で希釈する際には、例えば別の希釈用容器を用意し、その希釈用容器に所定量の除草剤組成物と水とを入れることにより、希釈後の除草剤組成物を得ることができる。希釈用容器には、除草剤組成物を先に入れてもよいし、水を先にいれてもよい。前述のように、希釈前の除草剤組成物は均一な状態となっているので、ユーザーは、水で希釈する際に計量や撹拌等の作業を適切に行うことができる。
希釈後の除草剤組成物は、希釈用容器から雑草へ直接かけて使用することができる他、希釈用容器とは別の散布用容器に移し替えて雑草へかけることもできる。希釈後の除草剤組成物を収容する容器には、多数の開口を備えたシャワーノズルが設けられていてもよい。また、希釈後の除草剤組成物を収容する容器には、ポンプ機構を備えた噴霧器が設けられていてもよい。また、希釈後の除草剤組成物を収容する容器は、バルブおよびノズルを備えたエアゾール容器であってもよく、この場合、本発明に係る除草剤組成物は噴射剤とともにエアゾール容器に充填されてエアゾール製品を構成することになる。
ところで、仮に、水で希釈した後の除草剤組成物がすぐに分離してしまうと、雑草へかけるたびに撹拌しなければならず、極めて使い勝手の悪い除草剤となってしまう。この点、後述のように、本発明の構成によれば、水で希釈した後の除草剤組成物は、分離等が生じることなく均一状態を長期間にわたって安定して維持できる。従って、水で希釈したあと時間が経った除草剤組成物であってもそのまま雑草へかけて使用することができ、極めて実用性の高い除草剤を実現できる。
(除草活性成分のペラルゴン酸)
本実施形態に係る除草活性成分のペラルゴン酸は、単独で用いられるか、又は他の脂肪酸を含む混合物の主要成分(例えば90%以上)として用いられる。他の脂肪酸を含む場合、除草活性成分は、ペラルゴン酸を含む炭素数8~12の炭化水素鎖を有するカルボキル脂肪酸の1種又は混合物とすることができる。
除草剤組成物を水で希釈した後の水中には、ペラルゴン酸と陽イオン性界面活性剤とによる混合ベシクルが形成される。ペラルゴン酸は、除草剤組成物を水で希釈した後の水中で陽イオン性界面活性剤と相互作用することにより、混合ベシクルを形成して存在している。すなわち、混合ベシクルは、水中で疎水性と親水性の両方を持つ両親媒性分子が球殻状または袋状をなすように隙間なく並んだ自己集合体であり、自己会合体の層が複数相になるために、ペラルゴン酸が均一に含まれていることで、水中でペラルゴン酸を長期安定化させることができる。
除草剤組成物を水で希釈した後の液中のペラルゴン酸の濃度範囲の下限は、1.5質量%以上であり、2.0質量%以上がより好ましい。除草剤組成物を水で希釈した後の液中のペラルゴン酸の濃度範囲の上限は、5.0質量%以下であり、4.5質量%以下がより好ましい。除草剤組成物を水で希釈した後の液中のペラルゴン酸の濃度範囲が上記上限を超えると、上述した混合ベシクルが形成されにくくなり、形成された混合ベシクルが壊れやすくなる。また、ペラルゴン酸の濃度範囲が上記下限を下回ると、除草効果が不十分になるとともに、混合ベシクルも形成されにくくなる。
水で希釈される前の除草剤組成物中のペラルゴン酸の濃度範囲の下限は、10質量%以上であり、20質量%以上がより好ましい。水で希釈される前の除草剤組成物中のペラルゴン酸の濃度範囲の上限は、38質量%以下であり、30質量%以下がより好ましい。水で希釈される前の除草剤組成物中のペラルゴン酸の濃度範囲が上記上限を超えると、保存時の安定性が悪化し、水で希釈した後に混合ベシクルが形成されにくくなる。また、ペラルゴン酸の濃度範囲が上記下限を下回ると、希釈倍率を例えば5倍や10倍としたときの除草効果が不十分になる。
(陽イオン性界面活性剤)
除草剤組成物を水で希釈した後の水中に上記混合ベシクルを形成するためには、上記特定の陽イオン性界面活性剤が必要になる。特定の陽イオン性界面活性剤は、モノアルキル型カチオン性界面活性剤に分類される複数の界面活性剤と、ジアルキル型カチオン性界面活性剤に分類される複数の界面活性剤とで構成される界面活性剤の群の中から選ばれた任意の1種又は任意の2種以上の陽イオン性界面活性剤である。特定の陽イオン性界面活性剤としては、モノアルキル型カチオン性界面活性剤のみであってもよいし、ジアルキル型カチオン性界面活性剤のみであってもよい。また、特定の陽イオン性界面活性剤としては、モノアルキル型カチオン性界面活性剤と、ジアルキル型カチオン性界面活性剤とを含有していてもよく、この場合、モノアルキル型カチオン性界面活性剤を1種、ジアルキル型カチオン性界面活性剤を2種以上含有していてもよいし、モノアルキル型カチオン性界面活性剤を2種以上、ジアルキル型カチオン性界面活性剤を1種含有していてもよい。
モノアルキル型カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(C12-C16)トリメチルアンモニウム、塩化アルキル(C16-C18)トリメチルアンモニウム、などを挙げることができる。
ジアルキル型カチオン性界面活性剤としては、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C12-C18)ジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C16-18)ジメチルアンモニウム、などを挙げることができる。
希釈後における上記特定の陽イオン性界面活性剤の濃度範囲の下限は、1.8質量%以上であり、2.5質量%以上がより好ましい。希釈後における陽イオン性界面活性剤の濃度範囲の上限は、18.0質量%以下であり、16.0質量%以下がより好ましい。希釈前における特定の陽イオン性界面活性剤の濃度範囲が上記範囲を外れると、混合ベシクルが形成されにくくなる。
希釈前における上記特定の陽イオン性界面活性剤の濃度範囲の上限は50.0質量%、下限は10.0質量%とすることができる。これにより、希釈後の水中に混合ベシクルが形成される。希釈前の除草剤組成物を濃縮除草剤組成物と呼ぶこともできる。
(ペラルゴン酸と陽イオン性界面活性剤の濃度比R=b/a)
また、ペラルゴン酸の濃度をa、上記特定の陽イオン性界面活性剤の濃度をbとした時のペラルゴン酸に対する特定の陽イオン性界面活性剤の濃度比Rは以下の式1で表すことができる。
R=b/a 式1
Rの下限は0.83以上であり、1.00以上がより好ましい。また、Rの上限は、2.50以下であり、2.00以下がより好ましい。Rの値が上記範囲を外れると、除草剤組成物を水で希釈した後の水中で混合ベシクルが形成されにくくなる。尚、Rは、ペラルゴン酸と陽イオン性界面活性剤の濃度比であることから、除草剤組成物を水で希釈する前と、水で希釈した後とで同じ値になる。
ところで、水で希釈される前の状態に除草剤組成物においては、ペラルゴン酸と陽イオン性界面活性剤とによる混合ベシクルが形成されない場合がある。これは、水で希釈する前は、ペラルゴン酸と陽イオン性界面活性剤が高濃度であり、混合ベシクルを形成するのに適さない場合があるためである。この場合であっても、ペラルゴン酸および陽イオン性界面活性剤の濃度を上記範囲とすることにより、水で希釈される前の除草剤組成物は、その全体が透明または半透明の均一層を形成することができる。この状態は、高濃度の陽イオン性界面活性剤によってペラルゴン酸が可溶化状態またはそれに近い状態となっていると考えられ、熱力学的に安定な状態である。これにより、水で希釈される前の除草剤組成物を、長期間にわたって分離等が生じず、均一な状態で安定して保管できる。
(一価又は多価アルコール)
除草剤組成物を水で希釈した後の水中で上記混合ベシクルの形成をより確実なものにするためには、除草剤組成物が特定のアルコールを含有しているのが好ましい。特定のアルコールは、一価または多価アルコールであり、炭素数が2以上6以下で、ヒドロキシ基の数が1以上6以下のアルコールが好ましい。このようなアルコールとしては、例えばエチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1,3ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどを挙げることができる。
上記特定のアルコールを用いることで、希釈後の水中における混合ベシクルの形成がより確実になる。水で希釈する前のアルコールの濃度範囲の下限は、10質量%以上であり、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。水で希釈する前のアルコールの濃度範囲の上限は、35質量%以下であり、30質量%以下がより好ましい。アルコールの濃度範囲が上記範囲を外れると、希釈後の水中で混合ベシクルが形成されにくくなったり、形成された混合ベシクルが壊れやすくなり、安定性が低下する。
(他の成分)
希釈前の除草剤組成物に含有されている水は精製水、イオン交換水を用いることができる。また、希釈前の除草剤組成物は、例えば防腐剤を含有していてもよい。防腐剤としては、例えばイソチアゾリノン誘導体などを挙げることができるが、これに限られるものではない。
また、希釈前の除草剤組成物は、害虫駆除成分(殺虫剤成分)を含有していてもよい。害虫駆除成分は、ピレスロイド系殺虫剤、ネオニコチノイド系殺虫剤、ジアミド系殺虫剤などを挙げることができるが、これに限られるものではない。ピレスロイド系殺虫剤として、トランスフルトリン、ピレトリン、アレスリン、フタルスリン、テトラメトリン、プラレトリン、フェノトリン、トラロメトリン、シフルトリン、レスメトリン、ペルメトリン、エンペントリン、シフェノトリン、イミプロトリン、フェンプロパトリン、フェンバレレート、エトフェンプロックス、シラフルオフェンなどを挙げることができる。ネオニコチノイド系殺虫剤として、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、ジノテフランなどを挙げることができる。ジアミド系殺虫剤としては、フルベンジアミド、クロラントラニリプロール、シアントラニリプロールなどが挙げられる。これらのうち、1種または2種以上を混合して使用できる。希釈後の害虫駆除成分の濃度は、0.01質量%以上0.10質量%以下とすることができる。
(除草剤組成物の粘度)
水で希釈される前の除草剤組成物の粘度は、20Pa・s以下に設定されている。水で希釈される前の除草剤組成物の粘度は18Pa・sまたは15Pa・s以下に設定することもできる。水で希釈される前の除草剤組成物の粘度の下限は、10.0mPa・s以上に設定することができる。除草剤組成物の粘度は、ペラルゴン酸の濃度、陽イオン性界面活性剤の濃度、上記特定のアルコールの濃度等によって調整することができる。水で希釈される前の除草剤組成物の粘度を20Pa・s以下に設定することで、ユーザーが水で希釈する際に水と混ざりやすく、希釈作業が容易になる。
なお、以下で説明する実施例における除草剤組成物の粘度は、単一円筒形回転粘度計(東機産業株式会社 TVB-10)で測定した。単一円筒形回転粘度計による粘度の測定方法は、JIS Z8803に規格として定められている。
(除草剤組成物の製造方法)
除草剤組成物の製造方法の一例について説明する。まず、70℃まで加熱した精製水を用意する。この精製水に、上記特定の陽イオン性界面活性剤、ペラルゴン酸、アルコールを溶解させる。害虫駆除成分を含有する場合には、害虫駆除成分も溶解させる。その後、室温まで冷却した後、防腐剤を加える。得られた除草剤組成物は、高濃度のペラルゴン酸を含有しているが、そのまま容器に収容する。使用方法については上述したとおりである。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるものではない。
Figure 2022185928000001
表1は、本発明の実施例1~11に係る除草剤組成物の組成を示している。実施例1~11の除草剤組成物の希釈前のペラルゴン酸の濃度は、10質量%以上38質量%以下である。実施例1~11の除草剤組成物の希釈前のモノアルキル型カチオン性界面活性剤の濃度は、5質量%以上25質量%以下である。実施例1~11の除草剤組成物の希釈前のジアルキル型カチオン性界面活性剤の濃度は、5質量%以上50質量%以下である。実施例1~11の除草剤組成物の希釈前のアルコールの濃度は、10質量%以上20質量%以下である。実施例1~11の除草剤組成物の希釈前の防腐剤の濃度は、0.02質量%である。実施例1~11の除草剤組成物の希釈前の粘度は、10.0mPa・s以上12.9Pa・s以下である。残余(バランス)は精製水である。尚、防腐剤は、除草効果や粘度には殆ど影響しない。
実施例1~11の除草剤組成物において、除草剤有効成分の濃度aに対するカチオン性界面活性剤の濃度bの濃度比Rの範囲は、0.83以上2.50以下に設定している。
(外観の評価)
実施例1~11の除草剤組成物のサンプルを作成後、すぐに100mlガラス瓶に入れ、室温(RT)で外観を目視評価した。なお、後述の比較例についても同様に評価した。
透明 :透明な液体
白濁 :白濁した液体
分離 :成分が分離した液体
実施例1~11の全てで外観は透明であった。害虫駆除成分を混合していても同様である。
(安定性評価)
次に、安定性試験を行った結果について説明する。安定性試験は、実施例1~11の除草剤組成物のサンプルを100mlガラス瓶に入れ、室温(RT)、5℃、50℃の恒温室でそれぞれ1ヵ月保存した。1ヵ月保存後の除草剤組成物の状態(外観)を目視評価し、以下の基準で安定性を評価した。なお、後述の比較例についても同様に評価した。
〇:分離なし(均一1相)。
×:2相に完全に分離している。
表1に示すように、実施例1~11の除草剤組成物は、「RT」、「5℃」及び「50℃」の全てで「○」であり、均一1相が保たれていた。すなわち、水で希釈する前の状態の除草剤組成物を、長期間にわたって安定して保管できる。害虫駆除成分を混合していても同様である。
(希釈後の評価)
実施例1~11の除草剤組成物をそれぞれ5倍希釈、10倍希釈、15倍希釈、20倍希釈、25倍希釈した場合について説明する。表1の「希釈後のペラルゴン酸濃度」の欄において、「〇」は、水で希釈された後の水中に混合ベシクルが安定して形成されている例であり、「×」は、水で希釈された後の水中に混合ベシクルが安定して形成されていない例であり、「△」は、水で希釈された後にペラルゴン酸の濃度が低すぎて除草剤として不適となる例である。
混合ベシクルが形成されているか否かは、次にようにして判定できる。すなわち、実施例1~11の除草剤組成物のサンプルを作成後、100mlガラス瓶(サンプル瓶)に入れ、室温(RT)にて、直交する偏光板(クロスニコル)を有するボックスにガラス瓶を入れる。偏光板ボックスの外からサンプル瓶に対して光を当て、偏光板越しにサンプル瓶を通過した光の様子を目視観察することで混合ベシクルが形成されているか否かを判定できる。なお、後述の比較例についても同様に評価した。
また、希釈後の除草剤組成物の安定性を確認するため、上記安定性試験と同様な試験を、希釈後の除草剤組成物に実施した。この結果、混合ベシクルが形成された例、すなわち、「○」が付された例では、5℃~50℃という極めて広い温度範囲で、しかも1ヶ月という極めて長い期間保管しても、分離や性状の変化は観察されなかった。一方、混合ベシクルが形成されなかった例、すなわち、「×」が付された例では、分離などの性状の変化が観察された。以上のことから、希釈後に混合ベシクルが形成されることにより、当該希釈後の除草剤組成物が極めて安定であることが分かる。尚、防腐剤が含まれていなくても同様な結果となる。また、害虫駆除成分を混合していても同様である。
次に、比較例1~5について説明する。
Figure 2022185928000002
比較例1~3は、水で希釈された後の水中に上記混合ベシクルが形成されなかった例である。また、比較例4は、外観の評価で白濁していた。また、比較例5は、外観の評価で分離していた。
(除草試験)
次に、除草試験について説明する。表3に比較例6の処方を示す。
Figure 2022185928000003
比較例6は、ペラルゴン酸とトリエタノールアミンとを含有している例であり、ペラルゴン酸の含有量は3.0質量%である。
除草試験方法は次の通りである。まず、試験用の雑草として、カタバミ、メヒシバ、エノコログサを用意した。各雑草をポットに移植し、吐出量が1mlのハンドスプレーを用いて実施例9(10倍希釈したもの)及び比較例6の除草剤を各雑草に満遍なく散布した。実施例9の10倍希釈は、ペラルゴン酸の含有量が3.0質量%になる。
その後、ポットを人工気象器内(温度25℃、湿度60%)内に収容し、雑草の様子をカメラのインターバル撮影機能を利用して記録した。結果を表4に示す。
Figure 2022185928000004
実施例9では、比較例6に比べてカタバミ、メヒシバ、エノコログサの全てについて、枯れ始めるまでの時間が大幅に短い。また、枯れるまでの時間も実施例9の方が大幅に短い。特に、比較例6ではメヒシバを完全に枯らすことができなかったが、実施例9ではメヒシバを完全に枯らすことができた。尚、実施例9以外の他の実施例の処方でも多少の時間の長短はあるが、同様な除草効果を得ることができる。
(実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、ペラルゴン酸と、特定の陽イオン性界面活性剤とを組み合わせることにより、水で希釈する前の高濃度の状態であっても、水で希釈した後の使用時の濃度の状態であっても長期間安定した除草剤組成物となる。また、水で希釈する前の粘度を20Pa・s以下とすることでユーザーが水で希釈しやすく、実用性に優れる。また、例えば雑草等に散布すると、除草活性成分であるペラルゴン酸による除草効果が素早く現れる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係る除草剤組成物は、例えばカタバミ、メヒシバ、エノコログサ等の雑草に対して使用することができる。

Claims (10)

  1. 水で希釈される液状の除草剤組成物において、
    除草活性成分のペラルゴン酸と、
    モノアルキル型カチオン性界面活性剤とジアルキル型カチオン性界面活性剤の中から選ばれた任意の1種又は2種以上の陽イオン性界面活性剤と、
    水とを含有し、
    前記ペラルゴン酸の濃度をa、前記陽イオン性界面活性剤の濃度をbとした時、濃度比R=b/aが0.83以上2.50以下であり、
    前記水で希釈される前の前記ペラルゴン酸の濃度が38質量%以下であり、
    前記水で希釈される前の粘度が20Pa・s以下である除草剤組成物。
  2. 請求項1に記載の除草剤組成物において、
    前記水で希釈された後の水中に、前記ペラルゴン酸と前記陽イオン性界面活性剤とによる混合ベシクルが形成される除草剤組成物。
  3. 請求項1または2に記載の除草剤組成物において、
    前記水による希釈倍率が5倍以上である除草剤組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の除草剤組成物において、
    前記水による希釈倍率の上限が25倍以下である除草剤組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の除草剤組成物において、
    前記水で希釈された後の前記ペラルゴン酸の濃度が1.5質量%以上5.0質量%以下である除草剤組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の除草剤組成物において、
    前記水で希釈される前の前記ペラルゴン酸の濃度が10質量%以上である除草剤組成物。
  7. 請求項6に記載の除草剤組成物において、
    前記水で希釈される前の前記ペラルゴン酸の濃度が20質量%以上30質量%以下である除草剤組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の除草剤組成物において、
    前記濃度比R=b/aが1.00以上2.00以下である除草剤組成物。
  9. 請求項1から8のいずれか1つに記載の除草剤組成物において、
    炭素数が2以上6以下の一価または多価アルコールを含有しており、
    前記水で希釈される前の前記一価または多価アルコールの濃度が10質量%以上である除草剤組成物。
  10. 請求項9に記載の除草剤組成物において、
    前記水で希釈される前の前記一価または多価アルコールの濃度が20質量%以上である除草剤組成物。
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