JP2022184732A - 積層体、透明導電層付き基材、パターン形成方法 - Google Patents

積層体、透明導電層付き基材、パターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、露光かぶり抑制性に優れ、解像性の優れるパターンを得られる積層体を提供することを課題とする。また、本発明は、透明導電層付き基材及びパターン形成方法を提供することも課題とする。【解決手段】第1組成物層と、第1透明導電層と、基材と、第2透明導電層と、第2組成物層とをこの順に有する積層体であって、第1組成物層が、第1感光性層を有し、第2組成物層が、第2感光性層を有し、要件1~要件3の少なくとも1つを満たす、積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体、透明導電層付き基材及びパターン形成方法に関する。
基材の両面に被エッチング層を有する積層体を用いてフォトエッチング法によりパターン加工するパターン形成方法が知られている。近年、基材の両面に形成された被エッチング層を、それぞれ独立なパターンとしてパターン加工する場合がある。
例えば、タッチパネルの分野においては、タッチセンサ用配線の製造のために、基材の両面で異なる形状のパターンを形成する方法が用いられている。
例えば、上記パターン形成方法に用いられる積層体として特許文献1には、基材の両面に被エッチング層を有する積層体が開示されている。
国際公開第2019/022090号
本発明者は、特許文献1に記載の積層体について検討したところ、透明基材の対向する2つの表面に、透明基材側から順に透明導電層及び組成物層(感光性層を含む層)を各々有する積層体に対して両面を同時に又は逐次に露光をした際に、得られるパターンの解像性が劣ることを知見した。
また、上記以外の従来の積層体に対して両面を同時に又は逐次に露光した際には、一方の感光性層の露光光によって他方の感光性層も感光してしまう現象(以下、「露光かぶり(fogging)」ともいう。)が発生する場合があることも知見した。
つまり、従来の積層体に対して両面を同時に又は逐次に露光をした際に、露光かぶり抑制性及び得られるパターンの解像性の両立が困難であった。
そこで、本発明は、露光かぶり抑制性に優れ、解像性にも優れるパターンを得られる積層体を提供することを課題とする。また、本発明は、透明導電層付き基材及びパターン形成方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕
第1組成物層と、第1透明導電層と、基材と、第2透明導電層と、第2組成物層とをこの順に有する積層体であって、
上記第1組成物層が、第1感光性層を有し、
上記第2組成物層が、第2感光性層を有し、
要件1~要件3の少なくとも1つを満たす、積層体。
要件1:上記基材が、波長200~450nmの範囲に極大吸収波長を有する光吸収剤を含む光吸収基材である。
要件2:上記基材が透明基材であり、上記積層体が上記第1感光性層と上記第2感光性層との間に、更に上記光吸収剤を含む層を有する。
要件3:上記基材の波長350~450nmにおける最低透過率が70%以上であり、上記積層体が上記第1感光性層と上記第2感光性層との間に、更に上記光吸収剤を含む層を有する。
〔2〕
上記第1透明導電層及び上記第2透明導電層の少なくとも一方が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つを含む、〔1〕に記載の積層体。
〔3〕
上記要件2及び上記要件3の少なくとも1つを満たし、
上記光吸収剤を含む層が、上記第1感光性層と上記第1透明導電層との間、又は、上記第2感光性層と上記第2透明導電層との間に配置される、〔1〕又は〔2〕に記載の積層体。
〔4〕
上記要件2及び上記要件3の少なくとも1つを満たし、
上記光吸収剤を含む層が、上記第1透明導電層と上記透明基材との間、又は、上記第2透明導電層と上記透明基材との間に配置される、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の積層体。
〔5〕
上記要件1を満たす、〔1〕又は〔2〕に記載の積層体。
〔6〕
上記第1組成物層及び上記第2組成物層の少なくとも一方が、中間層及び熱可塑性樹脂層からなる群から選択される少なくとも1つを有する、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の積層体。
〔7〕
上記第1感光性層及び上記第2感光性層が、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含む、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の積層体。
〔8〕
上記第1感光性層及び上記第2感光性層が、複素環化合物を含む、〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の積層体。
〔9〕
上記光吸収剤の分子量が、20000以下である、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の積層体。
〔10〕
第1透明導電層と、基材と、第2透明導電層とをこの順で有する透明導電層付き基材であって、
上記基材の波長550nmの透過率が、70%以上であり、
上記基材の波長365nm、波長405nm及び波長436nmのうち少なくとも1つの透過率が、20%以下である、透明導電層付き基材。
〔11〕
上記第1透明導電層及び上記第2透明導電層の少なくとも一方が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つを含む、〔10〕に記載の透明導電層付き基材。
〔12〕
上記基材が、波長200~450nmの範囲に極大吸収波長を有する光吸収剤を含む光吸収基材である、〔10〕又は〔11〕に記載の透明導電層付き基材。
〔13〕
上記光吸収剤の分子量が、20000以下である、〔12〕に記載の透明導電層付き基材。
〔14〕
〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の積層体中の上記第1感光性層及び上記第2感光性層に対して露光処理及び現像処理を実施して、パターンを形成する方法であって、
上記第1感光性層を露光する工程と、
上記第2感光性層を露光する工程と、
露光された第1感光性層及び露光された第2感光性層を現像して、パターンを形成する現像工程と含む、パターン形成方法。
〔15〕
上記第1感光性層を露光する工程と、上記第2感光性層を露光する工程とが、同時又は逐次に行われる、〔14〕に記載のパターン形成方法。
本発明によれば、露光かぶり抑制性に優れ、解像性にも優れるパターンを得られる積層体を提供できる。また、本発明によれば、透明導電層付き基材及びパターン形成方法も提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書における以下の各表記の意味を示す。
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限及び上限として含む範囲を意味する。
段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限又は下限は、他の段階的な記載の数値範囲の上限又は下限に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限又は下限は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
「工程」とは、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
色相は、特段の断りがない限り、色差計(CR-221、ミノルタ社製)を用いて測定した値である。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特段の断りがない限り、カラムとして、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー社製の商品名)、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)、検出器として示差屈折計及び標準物質としてポリスチレンを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により測定した標準物質のポリスチレンを用いて換算した値である。
分子量分布がある化合物の分子量は、特段の断りがない限り、重量平均分子量(Mw)である。
金属元素の含有量は、特段の断りがない限り、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分光分析装置を用いて測定した値である。
「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロキシ基」とは、アクリロキシ基及びメタアクリロキシ基の両方を包含する概念である。
「アルカリ可溶性」とは、22℃において炭酸ナトリウムの1質量%水溶液100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。つまり、「アルカリ可溶性樹脂」とは、上記溶解度を満たす樹脂を意味する。
「水溶性」とは、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。つまり、「水溶性樹脂」とは、上記溶解度を満たす樹脂を意味する。
組成物の「固形分」とは、組成物を用いて形成される組成物層(例えば、感光性層、中間層及び熱可塑性樹脂層)を形成する成分を意味し、組成物が溶剤(例えば、有機溶剤及び水等)を含む場合、溶剤を除いた全ての成分を意味する。また、組成物層を形成する成分であれば、液体状の成分も固形分とみなす。
本明細書において、「露光波長」とは、感光性層(第1感光性層及び第2感光性層)を露光する際に照射される光の波長であって、感光性層に到達する光の波長を意味する。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して感光性層を露光する場合、上記フィルターを通過する前の光の波長は、露光波長に該当しない。なお、「波長選択性」とは、特定の波長範囲の光を透過する性質を意味する。本明細書において、光の波長及び光の強度は、公知の分光器(例えば、RPS900-R、International Light Technologies社製)を用いて測定する。
本明細書において、「主波長」とは、感光性層(第1感光性層及び第2感光性層)に到達する光の波長(すなわち露光波長)のうち強度が最も大きい光の波長を意味する。例えば、感光性層に到達する光が波長365nmと波長436nmとを有し、波長365nmの強度が波長436nmの強度よりも大きい露光光である場合、上記露光光の主波長は、365nmとなる。本明細書において、「露光光」とは、感光性層を露光するために使用される光を意味する。
本明細書において、「透明」とは、特段の断りがない限り、露光波長のうち、主波長における透過率が30%以上であることを意味する。上記透過率としては、50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。上限は、100%未満の場合が多い。透過率は、公知の透過率測定器(例えば、日本分光社製V-700series等)を用いて測定する。
本明細書において、「極大吸収波長」は、特段の断りがない限り、紫外可視分光光度計UV-1800(島津製作所社製)を用いて、波長領域200~800nmの範囲の吸光度を測定し、得られた吸収スペクトルから算出できる。
[積層体]
本発明の積層体は、
第1組成物層と、第1透明導電層と、基材と、第2透明導電層と、第2組成物層とをこの順に有する積層体であって、
第1組成物層が、第1感光性層を有し、
第2組成物層が、第2感光性層を有し、
要件1~要件3の少なくとも1つを満たす、積層体。
要件1:基材が、波長200~450nmの範囲に極大吸収波長を有する光吸収剤を含む光吸収基材である。
要件2:基材が透明基材であり、積層体が第1感光性層と第2感光性層との間に、更に上記光吸収剤を含む層(以下、「光吸収層」ともいう。)を有する。
要件3:基材の波長350~450nmにおける最低透過率が70%以上であり、積層体が第1感光性層と第2感光性層との間に、更に光吸収剤を含む層を有する。
以下、第1組成物層及び第2組成物層を総称して「組成物層」ともいう。第1感光性層及び第2感光性層を総称して「感光性層」ともいう。第1透明導電層及び第2透明導電層を総称して「透明導電層」ともいう。また、波長350~450nmにおける最低透過率が70%以上である基材を、「特定基材」ともいう。
本発明の積層体が所望の効果を奏する作用機序の詳細は明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
本発明の積層体の特徴点としては、要件1~要件3の少なくとも1つを満たす点が挙げられる。例えば、要件1を満たす積層体に対して、第1組成物層の光吸収基材とは反対側の面から第1露光光を照射した際に、第1組成物中の第1感光層は感光する。一方で、上記第1組成物層に対向する第2組成物層中の第2感光性層は、光吸収基材により第1露光光の一部又は全部が吸収されるため、第1露光光による感光がしにくくなり、露光かぶりを抑制できると推測される。要件2及び要件3の少なくとも1つを満たす積層体においても同様の作用機序により露光かぶり抑制性に優れると推測される。また、要件1~要件3の少なくとも1つを満たす本発明の積層体は、解像性にも優れる。
以下、露光かぶり抑制性及び解像性の少なくとも一方の効果がより優れることを、本発明の効果がより優れるともいう。
以下、本発明の積層体を構成する各部材について詳述する。
なお、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
〔要件1~要件3〕
積層体は、要件1~要件3の少なくとも1つを満たす。
要件1:基材が、波長200~450nmの範囲に極大吸収波長を有する光吸収剤を含む光吸収基材である。
要件2:基材が透明基材であり、積層体が第1感光性層と第2感光性層との間に、更に光吸収層を有する。
要件3:基材の波長350~450nmにおける最低透過率が70%以上であり、積層体が第1感光性層と第2感光性層との間に、更に光吸収剤を含む層を有する。
積層体が要件1を満たす場合、積層体は、光吸収層を第1感光性層と第2感光性層との間に、更に有していてもよい。
要件1に満たす積層体における光吸収層の好適態様は、要件2における透明基材を光吸収基材と読替えた態様と同じである。例えば、「光吸収層が第1透明導電層と透明基材との間に配置されることが好ましい。」の表記は、「光吸収層が第1透明導電層と光吸収基材との間に配置されることが好ましい。」と読替える。
積層体が要件2及び要件3の少なくとも1つを満たす場合、光吸収層が、第1感光性層と第1透明導電層との間、又は、第2感光性層と第2透明導電層との間に配置されることが好ましい。また、光吸収層が、第1透明導電層と透明基材若しくは特定基材との間、又は、第2透明導電層と透明基材若しくは特定基材との間に配置されることも好ましい。
積層体は、光吸収層を1つ又は2つ以上有していてもよい。
2つ以上の光吸収層を有する場合、上記光吸収層の全てが第1感光性層と透明基材又は特定基材との間に配置されていてもよく、第2感光性層と透明基材又は特定基材との間に配置されていてもよく、上記光吸収層の一方が第1感光性層と透明基材又は特定基材との間に配置され、他方が第2感光性層と透明基材又は特定基材との間に配置されていてもよい。
〔基材〕
積層体は、基材を有する。
積層体が要件1を満たす場合、基材は光吸収基材である。また、積層体が要件2を満たす場合、基材は透明基材である。また、積層体が要件3を満たす場合、基材は特定基材である。
光吸収基材は、後述する光吸収剤を含む基材であれば、特に制限されない。
透明基材は、上述した所定の主波長における透過率を有する基材であれば、特に制限されない。
特定基材は、波長350~450nmにおける最低透過率が70%以上であれば、特に制限されない。特定基材は、波長350~450nmの範囲における各波長の透過率のうち、最も低い透過率が、70%以上の基材である。換言すると、特定基材は、波長350~450nmの範囲におけるいずれの波長においても透過率が、70%以上である。
上記最低透過率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。上限、100%未満の場合が多い。透過率は、公知の透過率測定器(例えば、日本分光社製V-700series等)を用いて測定できる。
光吸収基材、透明基材及び特定基材を構成する主な材料は特に制限されず、例えば、樹脂及びガラスが挙げられる。光吸収基材、透明基材及び特定基材としては、例えば、樹脂フィルム等の樹脂基材及びガラス基材が挙げられる。
樹脂基材の材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂及びポリカーボネート樹脂が挙げられる。
透明基材及び特定基材としては、樹脂フィルムが好ましく、ポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム又はポリカーボネートフィルムがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムが更に好ましい。
なお、光吸収基材が樹脂フィルムから構成される場合、上記光吸収基材は、所定の光吸収剤を含む樹脂フィルムであることを意味する。
光吸収基材、透明基材及び特定基材の平均厚みとしては、10~200μmが好ましく、20~120μmがより好ましく、20~100μmが更に好ましい。
上記光吸収基材、透明基材及び特定基材等の基材の平均厚みは、以下の方法によって測定できる。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、基材(光吸収基材、透明基材及び特定基材)の主面に対して垂直な方向(厚み方向)の断面の任意10箇所を観察する。得られた観察画像に基づいて、それぞれの基材の厚みを測定し、測定値を算術平均することで、基材(光吸収基材、透明基材及び特定基材)の平均厚みを測定できる。
基材(光吸収基材、透明基材及び特定基材)の波長550nmの透過率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。上限は、100%未満の場合が多い。
基材が光吸収基材である場合、光吸収基材の波長365nm、波長405nm及び波長436nmの少なくとも1つの透過率は、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。下限は、0%超の場合が多い。また、波長365nm及び波長436nmの少なくとも一方が、上記透過率の好適態様であることも好ましい。
<光吸収剤>
光吸収剤は、波長200~450nmの範囲に極大吸収波長を有する光吸収剤である。
光吸収剤は、光吸収基材及び光吸収層以外の層には含まれないことが好ましい。換言すると、第1組成物層、第2組成物層、第1透明導電層及び第2透明導電層は、光吸収剤を含まないことが好ましい。
光吸収剤の極大吸収波長は、波長200~450nmの範囲であり、波長300~450nmの範囲が好ましく、波長350~450nmの範囲がより好ましく、波長365nm、波長405nm又は波長436nmが更に好ましく、波長365nm又は波長436nmが特に好ましい。
なお、光吸収剤が、波長200~450nmの範囲に複数の極大吸収波長を有する場合、複数の極大吸収波長のうち、最大吸収波長における極大吸収波長が、上記好適態様であることが好ましい。
光吸収剤としては、有機化合物が挙げられ、例えば、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾエート化合物、サリシレート化合物、トリアジン化合物、シアノアクリルレート化合物、カーボンブラック、サリチル酸エステル化合物及びベンゾオキサジン化合物が挙げられ、ベンゾトリアゾール化合物及びトリアジン化合物からなる群から選択される少なくとも1つが好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール及びその誘導体(置換基を有するベンゾトリアゾール)が挙げられる。より具体的には、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール及び2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、並びに、これらの混合物、変性物、重合物及び誘導体が挙げられる。
トリアジン化合物としては、例えば、トリアジン及びその誘導体(置換基を有するトリアジン)が挙げられる。より具体的には、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソオクチルオキシフェニル)-s-トリアジン、並びに、これらの混合物、変性物、重合物及び誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン及びその誘導体(置換基を有するベンゾフェノン)が挙げられる。
サリシレート化合物としては、例えば、アルキルサリチル酸の金属塩及びその誘導体(置換基を有するアルキルサリチル酸の金属塩)が挙げられる。
シアノアクリルレート化合物としては、例えば、シアノアクリレート及びその誘導体(置換基を有するシアノアクリレート)が挙げられる。
サリチル酸エステル化合物としては、例えば、サリチル酸エステル結合を有する化合物が挙げられる。
ベンゾオキサジン化合物としては、例えば、ベンゾオキサジン及びその誘導体(置換基を有するベンゾオキサジン)が挙げられる。
光吸収剤は、低分子化合物であることが好ましい。具体的には、光吸収剤の分子量は、20000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、1000以下が更に好ましい。下限は、50以上の場合が多い。
光吸収剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
光吸収剤の含有量は、光吸収基材の全質量に対して、0.01~20.0質量%が好ましく、0.1~10.0質量%がより好ましく、0.5~5.0質量%が更に好ましい。
光吸収剤の含有量は、光吸収層の全質量に対して、0.01~20.0質量%が好ましく、0.1~10.0質量%がより好ましく、1.0~5.0質量%が更に好ましい。
〔光吸収層〕
積層体は、要件2及び要件3の少なくとも1つを満たす場合に光吸収層を有する。
なお、積層体が要件1を満たす場合は、更に光吸収層を有していてもよい。
光吸収層は、光吸収剤を含む層であれば、特に制限されない。
光吸収剤は、上記光吸収基材が含み得る光吸収剤と同じであり、好適態様も同じである。
光吸収層が含む成分としては、例えば、後述する第1熱可塑性樹脂層及び後述する第2熱可塑性樹脂層に含まれ得る成分が挙げられる。
光吸収層は、光吸収剤、樹脂、重合性化合物、光により酸、塩基又はラジカルを発生する化合物及びその他添加剤からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。樹脂、重合性化合物、光により酸、塩基又はラジカルを発生する化合物、及びその他添加剤は、後述する第1熱可塑性樹脂層及び後述する第2熱可塑性樹脂層に含まれ得る各成分と同じであり、好適態様も同じである。
光吸収層の平均厚み(層厚)は、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。上限は、現像性及び解像性の点から、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下が更に好ましい。
上記平均厚みの測定方法としては、上記基材の平均厚みの測定方法が挙げられる。
〔組成物層〕
積層体は、第1組成物層及び第2組成物層を有する。
組成物層の構成としては、例えば、(1)~(3)で示される構成が好ましく、(3)で示される構成がより好ましい。
第1組成物層及び第2組成物層は、同一構成又は異なる構成のいずれであってもよく、同一構成が好ましい。
第1組成物層及び第2組成物層が同一構成であるとは、例えば、第1組成物層及び第2組成物層が、いずれも(1)で示される層構成であることを意味する。また、第1組成物層及び第2組成物層が異なっているとは、例えば、第1組成物層が(1)で示される層構成であり、第2組成物層が(3)で示される層構成であることを意味する。
(1)(透明導電層側)/感光性層
(2)(透明導電層側)/感光性層/熱可塑性樹脂層
(3)(透明導電層側)/感光性層/中間層/熱可塑性樹脂層
上記各構成(1)~(3)中の感光性層は、第1感光性層及び第2感光性層のいずれであってもよい。上記透明導電層側とは、上記感光性層が第1感光性層である場合は第1透明導電層であり、上記感光性層が第2感光性層である場合は第2透明導電層である。
また、上記(3)の組成物層は、中間層が2層で形成されていてもよい。具体的には「感光性層/中間層A/中間層B/熱可塑性樹脂層」の構成であってもよい。中間層A及び中間層Bは、同一であっても、異なっていてもよい。
組成物層は、エッチングレジスト用であってもよく、配線保護膜用であってもよい。なお、組成物層がエッチングレジスト用である場合、組成物層の構成としては、例えば、上記(1)~(3)の構成であることが好ましい。組成物層が配線保護膜用である場合、組成物層の構成としては、例えば、上記(1)の構成であることが好ましい。
組成物層としては、例えば、第1実施態様及び第2実施態様が挙げられ、第1実施態様が好ましい。第1実施態様はエッチング用途に適し、第2実施態様は配線保護膜用に適する。
また、第1組成物層及び第2組成物層の少なくとも一方が、中間層及び熱可塑性樹脂層からなる群から選択される少なくとも1つを有することも好ましい。
<<第1実施態様>>
<感光性層>
第1実施態様の組成物層は、第1感光性層及び第2感光性層を有する。
なお、第1感光性層及び第2感光性層は、光吸収剤を含まないことが好ましい。
第1感光性層及び第2感光性層は、同一構成又は異なる構成のいずれであってもよく、同一構成が好ましい。第1感光性層及び第2感光性層が同一構成であるとは、例えば、第1感光性層及び第2感光性層が、同一の成分を含み、その含有量も同じであることを意味する。
感光性層は、後述する樹脂及び後述する重合性化合物を含むことが好ましく、後述する樹脂、後述する重合性化合物及び後述する重合開始剤を含むことがより好ましい。また、上記樹脂は、アルカリ可溶性樹脂を含むことも好ましい。
第1感光性層は、第1感光性層の全質量に対して、樹脂を10.0~90.0質量%、重合性化合物を5.0~70.0質量%及び重合開始剤を0.01~20.0質量%含むことが好ましい。
第2感光性層は、第2感光性層の全質量に対して、樹脂を10.0~90.0質量%、重合性化合物を5.0~70.0質量%及び重合開始剤を0.01~20.0質量%含むことが好ましい。
以下、感光性層が含み得る各成分について説明する。
(樹脂)
感光性層は、樹脂を含んでいてもよい。
樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。
樹脂としては、後述する熱可塑性樹脂層に含まれるアルカリ可溶性樹脂を用いてもよい。
露光時の焦点位置にずれが生じたときの線幅太り及び解像度の悪化を抑制する点で、樹脂は、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基及び置換基を有していてもよいアラルキル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましく、30.0質量%以上が更に好ましい。上限は、樹脂の全質量に対して、80.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましく、55.0質量%以下が更に好ましい。感光性層が複数の樹脂を含む場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位の含有量の質量平均値が、上記範囲内であることが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体としては、例えば、アラルキル基を有する単量体、スチレン及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー及びスチレントリマー等)が挙げられ、アラルキル基を有する単量体又はスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体がスチレンである場合、スチレンに由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、10.0~80.0質量%が好ましく、20.0~60.0質量%がより好ましく、30.0~55.0質量%が更に好ましい。感光性層が複数の樹脂を含む場合、芳香族炭化水素基を有する構成単位の含有量の質量平均値が、上記範囲内であることが好ましい。
アラルキル基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニルアルキル基(ただし、ベンジル基を除く)及び置換基を有していてもよいベンジル基が挙げられ、置換基を有していてもよいベンジル基が好ましい。
フェニルアルキル基を有する単量体としては、例えば、フェニルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ベンジル基を有する単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等のベンジル基を有する(メタ)アクリレート;ビニルベンジルクロライド及びビニルベンジルアルコール等のベンジル基を有するビニルモノマーが挙げられ、ベンジル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体がベンジル(メタ)アクリレートである場合、ベンジル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、10.0~90.0質量%が好ましく、20.0~85.0質量%がより好ましく、30.0~85.0質量%が更に好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含む樹脂は、芳香族炭化水素基を有する単量体と、後述する第1単量体を少なくとも1つ及び/又は後述する第2単量体を少なくとも1つと、を重合することにより得られることが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含まない樹脂は、後述する第1単量体の少なくとも1つを重合することにより得られることが好ましく、第1単量体の少なくとも1つと後述する第2単量体の少なくとも1つとを重合することにより得られることがより好ましい。
第1単量体は、分子中にカルボキシ基を有する単量体である。
第1単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸、マレイン酸無水物及びマレイン酸半エステルが挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
第1単量体に由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、5.0~50.0質量%が好ましく、10.0~40.0質量%がより好ましく、10.0~30.0質量%が更に好ましい。
上記含有量が5.0質量%以上である場合、優れる現像性及びエッジフューズ性の制御等を実現できる。上記含有量が50.0質量%以下である場合、レジストパターンの高解像性、スソ形状の制御及びレジストパターンの高耐薬品性を実現できる。
第2単量体は、非酸性(酸性基を有さない)であり、かつ、分子中に重合性基を有する単量体である。
重合性基は、後述する重合性化合物が有する重合性基と同義であり、好適態様も同じである。
第2単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
第2単量体に由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、1.0~80.0質量%が好ましく、1.0~60.0質量%がより好ましく、10.0~50.0質量%が更に好ましい。
樹脂は、側鎖に、直鎖構造、分岐構造及び脂環構造のいずれかを有していてもよい。
側鎖に分岐構造を有する基を含む単量体又は側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体を使用することによって、樹脂の側鎖に分岐構造又は脂環構造を導入することができる。脂環構造を有する基は、単環及び多環のいずれであってもよい。
「側鎖」とは、主鎖から枝分かれした原子団を意味する。「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を意味する。
側鎖に分岐構造を有する基を含む単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸tert-アミル、(メタ)アクリル酸sec-アミル、(メタ)アクリル酸2-オクチル、(メタ)アクリル酸3-オクチル及び(メタ)アクリル酸tert-オクチルが挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル又はメタクリル酸tert-ブチルが好ましく、メタクリル酸イソプロピル又はメタクリル酸tert-ブチルがより好ましい。
側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体としては、例えば、単環の脂肪族炭化水素基を有する単量体及び多環の脂肪族炭化水素基を有する単量体が挙げられる。また、炭素数5~20の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
具体的には、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1〕ヘプチル-2)、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-5-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5,8-トリエチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-8-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-5-イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-1-イルメチル、(メタ)アクリル酸-1-メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸-3,7,7-トリメチル-4-ヒドロキシ-ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸-2,2,5-トリメチルシクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸1-メンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンがより好ましい。
樹脂は、本発明の効果がより優れる点で、重合性基を有することが好ましく、重合性基を有する構成単位を含むことがより好ましく、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を含むことが更に好ましい。
上記重合性基としては、後述する重合性化合物が有する重合性基が挙げられ、エチレン性不飽和基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
また、上記重合性基は、重合性化合物の重合性基と重合反応し得る重合性基も好ましい。
重合性基を有する構成単位を含む樹脂は、第1単量体に由来する構成単位を含む樹脂と、第3の単量体とを反応することにより得られることが好ましい。
第3の単量体は、分子中に2つ以上の重合性基を有する単量体であり、分子中に2つの重合性基を有する単量体であることが好ましい。
上記重合性基としては、例えば、後述する重合性化合物が有する重合性基が挙げられる。なかでも、第3の単量体は、2種の重合性基を有することが好ましく、エチレン性不飽和基とカチオン性重合性基とを有することがより好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基とエポキシ基とを有することが更に好ましい。
第3の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。
樹脂が重合性基を有する構成単位を含む場合、重合性基を有する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、5.0~70.0質量%が好ましく、10.0~50.0質量%がより好ましく、15.0~40.0質量%が更に好ましく、20.0~40.0質量%が特に好ましい。
重合性基を樹脂に導入する方法としては、例えば、樹脂が有する、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第1級アミノ基、第2級アミノ基、アセトアセチル基及びスルホ基等の基に、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物及びカルボン酸無水物を反応させる方法が挙げられる。
重合性基を樹脂に導入する方法の好適態様としては、例えば、第1単量体を重合反応により合成した後、得られた樹脂の第1単量体に由来する構成単位のカルボキシ基の一部に第3の単量体(好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート)を高分子反応させて、樹脂に重合性基(好ましくは、(メタ)アクリロキシ基)を導入する方法が挙げられる。上記高分子反応の反応温度は、80~110℃が好ましい。上記高分子反応は、触媒を用いることが好ましく、アンモニウム塩(テトラエチルアンモニウムブロミド)を用いることがより好ましい。
上記重合反応の反応温度は、70~100℃が好ましく、80~90℃がより好ましい。上記重合反応は、重合開始剤を用いることが好ましく、重合開始剤としてアゾ系開始剤を用いることがより好ましく、重合開始剤としてV-601(富士フイルム和光純薬社製)又はV-65(富士フイルム和光純薬社製)が更に好ましい。
樹脂としては、メタクリル酸に由来する構成単位とメチルメタクリレートに由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位又はベンジルメタクリレートに由来する構成単位とを含む樹脂及びメタクリル酸に由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位とを含む樹脂が好ましく、更に重合性基を有する構成単位を含む樹脂がより好ましい。
上記において、各構成単位の含有量を、上述したそれぞれの好適態様にすることも好ましい。
樹脂のTgは、60~135℃が好ましく、70~115℃がより好ましく、75~105℃が更に好ましく、80~100℃が特に好ましい。
樹脂の酸価は、220mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g未満がより好ましく、170mgKOH/g未満が更に好ましい。下限は、10mgKOH/g以上が好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。
「酸価(mgKOH/g)」とは、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(mg)を意味する。酸価は、例えば、JIS K0070:1992に準拠して求めることができる。
樹脂の酸価は、樹脂が有する構成単位の種類及び/又は酸基を含む構成単位の含有量によって調整できる。
樹脂の重量平均分子量としては、5,000~500,000が好ましく、10,000~100,000がより好ましく、20,000~60,000が更に好ましい。
重量平均分子量が500,000以下である場合、解像性及び現像性を向上できる。重量平均分子量が5,000以上である場合、現像凝集物の性状、並びに、転写フィルムのエッジフューズ性及びカットチップ性等の未露光膜の性状を制御できる。「エッジフューズ性」とは、転写フィルムをロール状に巻き取った場合に、ロールの端面からの、感光性層のはみ出し易さの程度を意味する。「カットチップ性」とは、未露光膜をカッターで切断した場合に、チップの飛び易さの程度を意味する。このチップが転写フィルムの上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して不良品の原因となる。
樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.0~6.0が好ましく、1.0~4.0がより好ましく、1.0~3.0が更に好ましい。
感光性層は、上記樹脂以外に、その他樹脂を含んでいてもよい。
その他樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
樹脂は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
樹脂の含有量は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、10.0~90.0質量%が好ましく、20.0~80.0質量%がより好ましく、30.0~70.0質量%が更に好ましい。樹脂の含有量が、感光性層の全質量に対して、90.0質量%以下である場合、現像時間を制御できる。また、樹脂の含有量が、感光性層の全質量に対して、10.0質量%以上である場合、耐エッジフューズ性を向上できる。
樹脂の合成方法としては、例えば、上述した単量体を、アセトン、メチルエチルケトン及びイソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル及びアゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱撹拌する方法が挙げられる。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成してもよい。また、反応終了後、更に溶剤を加えて、所望の濃度に調整してもよい。
樹脂の合成方法としては、上記以外に、例えば、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合が挙げられる。
(重合性化合物)
感光性層は、重合性基を有する重合性化合物を含んでいてもよい。
「重合性化合物」とは、後述する重合開始剤の作用で重合する化合物であって、上記樹脂とは異なる化合物を意味する。
重合性化合物が有する重合性基としては、重合反応に関与する基であればよく、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及びマレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基;エポキシ基及びオキセタン基等のカチオン性重合性基を有する基が挙げられる。
重合性基としては、エチレン性不飽和基を有する基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
重合性化合物としては、感光性層の感光性がより優れる点で、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)が好ましく、分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「多官能エチレン性不飽和化合物」ともいう。)がより好ましい。
また、解像性及び剥離性がより優れる点で、エチレン性不飽和化合物が分子中に有するエチレン性不飽和基の数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、2~3が更に好ましく、3が特に好ましい。
重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有していてもよい。
上記アルキレン基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。重合性化合物に付加するアルキレンオキシ基の付加数は、1分子当たり2~30が好ましく、2~20がより好ましい。
感光性層の感光性と解像性及び剥離性とのバランスがより優れる点から、重合性化合物は、分子中に2又は3つのエチレン性不飽和基を有する2官能又は3官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、1分子中に3つのエチレン性不飽和基を有する3官能エチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。
2官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、剥離性に優れる点で、20.0質量%以上が好ましく、40.0質量%以上がより好ましく、55.0質量%以上が更に好ましい。上限は、100.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましい。つまり、感光性層に含まれる全ての重合性化合物が2官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
3官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましい。上限は、100.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましく、50.0質量%以下が更に好ましい。つまり、感光性層に含まれる全ての重合性化合物が3官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
また、エチレン性不飽和化合物としては、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
-重合性化合物B1-
感光性層は、芳香環及び2つのエチレン性不飽和基を有する重合性化合物B1を含むことも好ましい。
重合性化合物B1は、上記重合性化合物のうち、分子中に1つ以上の芳香環を有する2官能エチレン性不飽和化合物である。
重合性化合物B1が有する芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環等の芳香族炭化水素環;チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環及びピリジン環等の芳香族複素環;これらの縮合環が挙げられ、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。上記芳香環は、置換基を有してもよい。
重合性化合物B1は、1つ又は2つ以上の芳香環を有していてもよい。
重合性化合物B1は、現像液による感光性層の膨潤を抑制することにより、解像性が向上する点から、ビスフェノール構造を有することが好ましい。
ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)に由来するビスフェノールA構造、ビスフェノールF(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)に由来するビスフェノールF構造及びビスフェノールB(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン)に由来するビスフェノールB構造が挙げられ、ビスフェノールA構造が好ましい。
ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1としては、例えば、ビスフェノール構造と、そのビスフェノール構造の両端に結合した2つの重合性基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)とを有する化合物が挙げられる。
ビスフェノール構造の両端と2つの重合性基とは、直接結合してもいてもよく、1つ以上のアルキレンオキシ基を介して結合してもよい。ビスフェノール構造の両端に付加するアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。ビスフェノール構造に付加するアルキレンオキシ基(好ましくは、エチレンオキシ基)の付加数は、1分子当たり2~30が好ましく、2~20がより好ましい。
ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1としては、例えば、特開2016-224162号公報の段落[0072]~[0080]が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
重合性化合物B1としては、ビスフェノールA構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンがより好ましい。
2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(FA-324M、日立化成社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン等のエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(BPEシリーズ、新中村化学工業社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシドデカエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン(FA-3200MY、日立化成社製)、並びに、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート(NKエステルA-BPE-10、新中村化学工業社製)が挙げられる。
重合性化合物B1としては、式(B1)で表される化合物も好ましい。
Figure 2022184732000001
式(B1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Aはエチレン基を表す。Bはプロピレン基を表す。n1及びn3は、それぞれ独立に、1~39の整数を表す。n1+n3は、2~40の整数を表す。n2及びn4は、それぞれ独立に、0~29の整数を表す。n2+n4は、0~30の整数を表す。
-(A-O)-及び-(B-O)-の構成単位の配列は、ランダム及びブロックのいずれであってもよい。ブロックである場合、-(A-O)-及び-(B-O)-のいずれがビスフェニル基側であってもよい。
n1+n2+n3+n4としては、2~20が好ましく、2~16がより好ましく、4~12が更に好ましい。また、n2+n4は、0~10が好ましく、0~4がより好ましく、0~2が更に好ましく、0が特に好ましい。
重合性化合物B1の含有量は、解像性がより優れる点から、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましく、25.0質量%以上が更に好ましい。上限は、転写性及びエッジフュージョン(転写部材の端部から感光性組成物が滲み出す現象)の点から、70.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましい。
重合性化合物B1の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、解像性がより優れる点から、40.0質量%以上が好ましく、50.0質量%以上がより好ましく、55.0質量%以上が更に好ましい。上限は、重合性化合物の全質量に対して、剥離性の点から、100.0質量%以下が好ましく、99.0質量%以下がより好ましく、95.0質量%以下が更に好ましい。
-その他重合性化合物-
感光性層は、上記以外に、その他重合性化合物を含んでいてもよい。
その他重合性化合物としては、例えば、公知の重合性化合物が挙げられる。
具体的には、分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(単官能エチレン性不飽和化合物)、芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンジアクリレートが挙げられる。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業社製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業社製)、エチレングリコールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。また、ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル社製)、UA-32P(新中村化学工業社製)及びUA-1100H(新中村化学工業社製)が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート及びこれらのアルキレンオキサイド変性物が挙げられる。
「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」とは、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念である。また、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」とは、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性物としては、例えば、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬社製KAYARAD(登録商標)DPCA-20及び新中村化学工業社製A-9300-1CL等)、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬社製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業社製ATM-35E及びA-9300、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製A-GLY-9E等)、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成社製)、アロニックスM-520(東亞合成社製)及びアロニックスM-510(東亞合成社製)が挙げられる。
重合性化合物は、酸基(例えば、カルボキシ基等)を有する重合性化合物であってもよい。上記酸基は、酸無水物基を形成していてもよい。
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、アロニックス(登録商標)(例えば、TO-2349、M-520及びM-510等、東亞合成社製)が挙げられる。
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、特開2004-239942号公報の段落[0025]~[0030]に記載の酸基を有する重合性化合物が挙げられる。
重合性化合物の分子量は、200~3000が好ましく、280~2200がより好ましく、300~2200が更に好ましい。
重合性化合物の25℃における粘度は、1~10000mPa・sが好ましく、5~3000mPa・sがより好ましく、10~1500mPa・sが更に好ましい。
重合性化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
重合性化合物の含有量は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、10.0~70.0質量%が好ましく、15.0~70.0質量%がより好ましく、30.0~70.0質量%が更に好ましい。
(重合開始剤)
感光性層は、重合開始剤を含んでいてもよい。
重合開始剤としては、例えば、重合反応の形式に応じて公知の重合開始剤が挙げられる。具体的には、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤は、ラジカル重合開始剤及びカチオン重合開始剤のいずれであってもよい。
本明細書において、重合開始機能を有する化合物は、重合開始剤に分類する。つまり、重合開始剤は、光吸収剤とは異なる化合物である。
感光性層は、光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤は、紫外線、可視光線及びX線等の活性光線を受けて、重合性化合物の重合を開始する化合物である。
光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤及びN-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、感光性、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の点で、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。なお、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾール構造は、同一であっても異なっていてもよい。
2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体の誘導体としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体及び2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、特開2011-095716号公報の段落[0031]~[0042]及び特開2015-014783号公報の段落[0064]~[0081]に記載される光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル(DBE)、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’-ジメトキシベンジル)、TAZ-110(みどり化学社製)、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、TAZ-111(みどり化学社製)、1-[4-(フェニルチオ)]フェニル-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE-02、BASF社製)、IRGACURE OXE-03(BASF社製)、IRGACURE OXE-04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン(Omnirad 379EG、IGM Resins B.V.社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(Omnirad 907、IGM Resins B.V.社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(Omnirad 127、IGM Resins B.V.社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(Omnirad 369、IGM Resins B.V.社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(Omnirad 1173、IGM Resins B.V.社製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184、IGM Resins B.V.社製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Omnirad 651、IGM Resins B.V.社製)、2,4,6-トリメチルベンゾリル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad TPO H、IGM Resins B.V.社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad 819、IGM Resins B.V.社製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(Lunar 6、DKSHジャパン社製)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(B-CIM、Hampford社製)、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(BCTB、東京化成工業社製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)及び3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)が挙げられる。
光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)は、活性光線を受けて酸を発生する化合物である。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、イオン性光カチオン重合開始剤及び非イオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
イオン性光カチオン重合開始剤として、例えば、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、並びに、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。また、イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0114]~[0133]に記載のイオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
非イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。
ジアゾメタン化合物及びイミドスルホネート化合物としては、例えば、特開2011-221494号公報の段落[0083]~[0088]に記載の化合物が挙げられる。
オキシムスルホネート化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落[0084]~[0088]に記載された化合物が挙げられる。
重合開始剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
重合開始剤(好ましくは光重合開始剤)の含有量は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
(色素)
感光性層は、露光部及び非露光部の視認性、並びに、現像後のパターン視認性及び解像性の点から、発色時の波長範囲400~780nmにおける最大吸収波長が450nm超であり、かつ、酸、塩基又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素(以下、「色素N」ともいう。)を含んでいてもよい。
色素Nを含む場合、詳細なメカニズムは不明であるが、隣接する層(例えば、中間層等)との密着性が向上して解像性により優れる。
色素が「酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が酸、塩基又はラジカルにより消色する態様、消色状態にある色素が酸、塩基又はラジカルにより発色する態様及び発色状態にある色素が他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を意味してもよい。
具体的には、色素Nは、露光により消色状態から変化して発色する化合物及び露光により発色状態から変化して消色する化合物のいずれであってもよい。上記である場合、露光により酸、塩基又はラジカルが感光性層内において発生し作用することにより、発色又は消色の状態が変化する色素であってもよく、酸、塩基又はラジカルにより感光性層内の状態(例えば、pH等)が変化することで発色又は消色の状態が変化する色素であってもよい。また、露光を介さずに、酸、塩基又はラジカルを刺激として直接受けて発色又は消色の状態が変化する色素であってもよい。
なかでも、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の点から、色素Nは、酸又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素が好ましく、ラジカルにより最大吸収波長が変化する色素がより好ましい。
感光性層は、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の点から、色素Nとしてラジカルにより最大吸収波長が変化する色素及び光ラジカル重合開始剤の両者を含むことが好ましい。また、露光部及び非露光部の視認性の点から、色素Nは、酸、塩基又はラジカルにより発色する色素であることが好ましい。
色素Nの発色機構としては、例えば、感光性層に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)又は光塩基発生剤を添加して、露光後に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤又は光塩基発生剤から発生するラジカル、酸又は塩基によって、ラジカル反応性色素、酸反応性色素又は塩基反応性色素(例えば、ロイコ色素)が発色する態様が挙げられる。
露光部及び非露光部の視認性の点で、色素Nの発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長としては、550nm以上が好ましく、550~700nmがより好ましく、550~650nmが更に好ましい。
また、色素Nは、発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長を1つ又は2つ以上有していてもよい。色素Nが発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長を2つ以上有する場合、2つ以上の極大吸収波長のうち吸光度が最も高い極大吸収波長が450nm超であればよい。
色素Nの極大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100(島津製作所社製)を用いて、400~780nmの範囲で色素Nを含む溶液(液温25℃)の透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を検出することによって測定できる。
露光により発色又は消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。
露光により消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジアリールメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素及びアントラキノン系色素が挙げられる。
色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性の点から、ロイコ化合物が好ましい。
ロイコ化合物としては、例えば、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(トリアリールメタン系色素)、スピロピラン骨格を有するロイコ化合物(スピロピラン系色素)、フルオラン骨格を有するロイコ化合物(フルオラン系色素)、ジアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(ジアリールメタン系色素)、ローダミンラクタム骨格を有するロイコ化合物(ローダミンラクタム系色素)、インドリルフタリド骨格を有するロイコ化合物(インドリルフタリド系色素)及びロイコオーラミン骨格を有するロイコ化合物(ロイコオーラミン系色素)が挙げられる。
なかでも、トリアリールメタン系色素又はフルオラン系色素が好ましく、トリフェニルメタン骨格を有するロイコ化合物(トリフェニルメタン系色素)又はフルオラン系色素がより好ましい。
ロイコ化合物は、露光部及び非露光部の視認性の点で、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有することが好ましい。これにより、ロイコ化合物が有するラクトン環、スルチン環又はスルトン環を、光ラジカル重合開始剤から発生するラジカル又は光カチオン重合開始剤から発生する酸と反応させて、ロイコ化合物を閉環状態に変化させて消色させるか又はロイコ化合物を開環状態に変化させて発色させることができる。ロイコ化合物としては、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有し、ラジカル又は酸により、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環が開環して発色する化合物が好ましく、ラクトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環が開環して発色する化合物がより好ましい。
色素Nとしては、例えば、染料及びロイコ化合物が挙げられる。
染料としては、例えば、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業社製)、オイルブルー#603(オリヱント化学工業社製)、オイルピンク#312(オリヱント化学工業社製)、オイルレッド5B(オリヱント化学工業社製)、オイルスカーレット#308(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドOG(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドRR(オリヱント化学工業社製)、オイルグリーン#502(オリヱント化学工業社製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土谷化学工業社製)、m-クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシアニリノ-4-p-ジエチアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシステアリルアミノ-4-p-N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ-フェニルイミノナフトキノン、1-フェニル-3-メチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロン及び1-β-ナフチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロンが挙げられる。
ロイコ化合物としては、例えば、p,p’,p’’-ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メトキシ-7-アミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-ベンジルアミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7,8-ベンゾフロオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-ザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド及び3’,6’-ビス(ジフェニルアミノ)スピロイソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン-3-オンが挙げられる。
色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性及び解像性が優れる点から、ラジカルにより最大吸収波長が変化する色素が好ましく、ラジカルにより発色する色素がより好ましい。
色素Nとしては、ロイコクリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットラクトン、ブリリアントグリーン又はビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩が好ましい。
色素Nは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
色素Nの含有量は、露光部及び非露光部の視認性、並びに、現像後のパターン視認性及び解像性が優れる点から、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.1~5質量%が更に好ましい。
色素Nの含有量は、感光性層の全質量中に含まれる色素Nの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Nの含有量の定量方法を説明する。
メチルエチルケトン100mLに、色素N(0.001g)を溶かした溶液及び色素N(0.01g)を溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤(Irgacure OXE01、BASFジャパン社製)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素Nを発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、島津製作所社製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
次に、色素Nに代えて第1感光性層又は第2感光性層(3g)をメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた感光性層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて感光性層に含まれる色素Nの含有量を算出する。
(熱架橋性化合物)
感光性層は、得られる硬化膜の強度及び得られる未硬化膜の粘着性の点で、熱架橋性化合物を含んでいてもよい。
エチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、重合性化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
熱架橋性化合物としては、例えば、メチロール化合物及びブロックイソシアネート化合物が挙げられ、得られる硬化膜の強度及び得られる未硬化膜の粘着性の点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、樹脂及び/又は重合性化合物がヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合、形成される膜の親水性が下がり、感光性層を硬化した膜を保護膜として使用する場合の機能が強化される傾向がある。
「ブロックイソシアネート化合物」とは、イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護した構造を有する化合物を意味する。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度としては、100~160℃が好ましく、130~150℃がより好ましい。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度の測定方法としては、例えば、示差走査熱量計(例えば、DSC6200、セイコーインスツルメンツ社製)を用いてDSC(Differential scanning calorimetry)分析にて、ブロックイソシアネート化合物の脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度を解離度とする測定する方法が挙げられる。
解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、例えば、マロン酸ジエステル等の活性メチレン化合物及びオキシム化合物が挙げられる。
マロン酸ジエステルとしては、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル及びマロン酸ジ2-エチルヘキシルが挙げられる。
オキシム化合物としては、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム及びシクロヘキサノンオキシム等の分子中に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物が挙げられる。
なかでも、解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、保存安定性の点から、オキシム化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、膜の脆性改良及び被転写体との密着力向上の点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
なかでも、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲に調整しやすく、かつ、現像残渣を低減できる点から、イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物としては、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、例えば、上記重合性化合物が有する重合性基と同義であり、好適態様も同じである。
ブロックイソシアネート化合物としては、例えば、AOI-BM、MOI-BM及びMOI-BP等カレンズシリーズ(登録商標)(昭和電工社製);TPA-B80E及びWT32-B75P等ブロック型のデュラネートシリーズ(登録商標)(旭化成ケミカルズ社製)が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物として、下記の化合物が好ましい。
Figure 2022184732000002
熱架橋性化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
熱架橋性化合物の含有量は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、1~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
(顔料)
感光性層は、顔料を含んでいてもよい。
感光性層が顔料を含む場合、着色樹脂層に該当する。
近年の電子機器が有する液晶表示窓には、液晶表示窓を保護するために、透明なガラス基材等の裏面周縁部に黒色の枠状遮光層が形成されたカバーガラスが取り付けられている場合がある。このような遮光層を形成するために着色樹脂層が使用され得る。
顔料としては、所望とする色相に合わせて適宜選択すればよく、例えば、黒色顔料、白色顔料、並びに、黒色及び白色以外の有彩色の顔料が挙げられ、黒色系のパターンを形成する場合、顔料としては、黒色顔料が好ましい。
(黒色顔料)
黒色顔料としては、例えば、公知の黒色顔料(例えば、有機顔料及び無機顔料等)が挙げられる。
なかでも、光学濃度の点から、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、チタンカーバイド、酸化鉄、酸化チタン又は黒鉛が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。カーボンブラックとしては、表面抵抗の点から、表面の少なくとも一部が樹脂で被覆された表面修飾カーボンブラックが好ましい。
黒色顔料の粒径(数平均粒径)は、分散安定性の点から、0.001~0.1μmが好ましく、0.01~0.08μmがより好ましい。
「粒径」とは、電子顕微鏡で撮影した顔料粒子の写真像から顔料粒子の面積を求め、顔料粒子の面積と同面積の円を考えた場合の円の直径を意味する。また、「数平均粒径」とは、任意の100個の粒子について上記粒径を求め、求められた100個の粒径を平均して得られる平均値を意味する。
白色顔料としては、例えば、無機顔料、特開2005-007765号公報の段落[0015]及び[0114]に記載の白色顔料が挙げられる。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム又は硫酸バリウムが好ましく、酸化チタン又は酸化亜鉛がより好ましく、酸化チタンが更に好ましく、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが特に好ましく、ルチル型の酸化チタンが最も好ましい。
また、酸化チタンの表面は、シリカ処理、アルミナ処理、チタニア処理、ジルコニア処理又は有機物処理が施されていてもよく、これらの2つ以上の処理が施されてもよい。これにより、酸化チタンの触媒活性が抑制され、耐熱性及び褪光性が改善できる。
加熱後の感光性層の厚みを薄くする点から、酸化チタンの表面への表面処理としては、アルミナ処理及びジルコニア処理の少なくとも一方を施すことが好ましく、アルミナ処理及びジルコニア処理の両方を施すことがより好ましい。
感光性層が着色樹脂層である場合、転写性の点から、感光性層は、黒色顔料及び白色顔料以外の有彩色の顔料を含むことも好ましい。
有彩色の顔料の粒径(数平均粒径)としては、分散性がより優れる点で、0.1μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。下限は、0.01μm以上が好ましい。
有彩色の顔料としては、例えば、ビクトリア・ピュアーブルーBO(Color Index(以下、「C.I.」ともいう。)42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)、モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)及びカーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64及びC.I.ピグメント・バイオレット23が挙げられ、C.I.ピグメント・レッド177が好ましい。
顔料は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
顔料の含有量は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、3質量%超40質量%以下が好ましく、3質量%超35質量%以下がより好ましく、5質量%超35質量%以下が更に好ましい。
感光性層が黒色顔料以外の顔料(例えば、白色顔料及び有彩色の顔料等)を含む場合、黒色顔料以外の顔料の含有量は、黒色顔料の全質量に対して、30質量%以下が好ましく、1~20質量%がより好ましく、3~15質量%が更に好ましい。
感光性層が黒色顔料を含む場合、黒色顔料(好ましくはカーボンブラック)は、顔料分散液の形態で感光性組成物に導入されることが好ましい。
分散液は、黒色顔料と顔料分散剤とを事前に混合して得られる混合物を、有機溶剤(又はビヒクル)に加えて分散機で分散させることによって調製されるものであってもよい。顔料分散剤は、顔料及び溶剤に応じて選択すればよく、例えば、市販の分散剤を使用することができる。
「ビヒクル」とは、顔料分散液とした場合に顔料を分散させている媒質の部分を意味する。上記ビヒクルは、液状であり、黒色顔料を分散状態で保持するバインダー成分と、バインダー成分を溶解及び希釈する溶剤成分(有機溶剤)とを含む。
分散機としては、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライター、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー及びサンドミル等の公知の分散機が挙げられる。
また、機械的摩砕により摩擦力を利用して微粉砕してもよい。分散機及び微粉砕としては、例えば、「顔料の事典」(朝倉邦造著、第一版、朝倉書店、2000年、438頁、310頁)の記載が挙げられる。
(複素環化合物)
感光性層は、複素環化合物を含んでいてもよい。
複素環化合物は、上記各成分とは異なる化合物であることが好ましい。
複素環化合物としては、カルボキシベンゾトリアゾール類が好ましい。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール及びN-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾールが挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、具体的に、CBT-1(城北化学工業社製)が挙げられる。
複素環化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
複素環化合物は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、0.001~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.02~2.0質量%が更に好ましい。
(その他添加剤)
感光性層は、上記成分以外に、必要に応じてその他添加剤を含んでいてもよい。
その他添加剤としては、例えば、ラジカル重合禁止剤、増感剤、界面活性剤、可塑剤、ヘテロ環状化合物、ピリジン類(例えば、イソニコチンアミド等)及びプリン塩基(例えば、アデニン等)が挙げられる。
また、その他添加剤としては、例えば、金属酸化物粒子、連鎖移動剤、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、増粘剤、架橋剤、有機又は無機の沈殿防止剤及び特開2014-085643号公報の段落[0165]~[0184]が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
その他添加剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
-ラジカル重合禁止剤-
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0018]に記載された熱重合防止剤が挙げられ、フェノチアジン、フェノキサジン又は4-メトキシフェノールが好ましい。
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、ナフチルアミン、塩化第一銅、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩及びジフェニルニトロソアミンが挙げられ、感光性層の感度を損なわない点から、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩が好ましい。
ラジカル重合禁止剤の含有量は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、0.001~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.02~2.0質量%が更に好ましい。
ラジカル重合禁止剤の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、0.005~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.01~1.0質量%が更に好ましい。
-増感剤-
増感剤としては、例えば、公知の増感剤、染料及び顔料が挙げられる。
増感剤としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、アクリドン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
増感剤の含有量は、光源に対する感度の向上及び重合速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の点から、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。
-界面活性剤-
界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0017]及び特開2009-237362号公報の段落[0060]~[0071]に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファック F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、MFS-578、MFS-579、MFS-586、MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94及びDS-21(以上、DIC社製);フロラード FC430、FC431及びFC171(以上、住友スリーエム社製);サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393及びKH-40(以上、AGC社製);PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520及びPF7002(以上、OMNOVA社製);フタージェント 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681及び683(以上、NEOS社製)が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含む官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含む官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好ましい。
このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC社製のメガファック DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)及び日経産業新聞(2016年2月23日))が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との共重合体を用いることも好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましい。
また、フッ素系界面活性剤としては、例えば、側鎖にエチレン性不飽和基を有する含フッ素重合体も挙げられ、メガファック RS-101、RS-102、RS-718K及びRS-72-K(以上、DIC社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の点で、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤が好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、それらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート及びグリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、並びに、ソルビタン脂肪酸エステル;プルロニック(登録商標) L10、L31、L61、L62、10R5、17R2及び25R2(以上、BASF社製);テトロニック 304、701、704、901、904及び150R1(以上、BASF社製);ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール社製);NCW-101、NCW-1001及びNCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬社製);パイオニン D-6112、D-6112-W及びD-6315(以上、竹本油脂社製);オルフィンE1010、サーフィノール104、400及び440(以上、日信化学工業社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、並びに、側鎖及び/又は末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA及びトーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング社製);X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001及びKF-6002(以上、信越シリコーン社製);F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460及びTSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製);BYK307、BYK323及びBYK330(以上、ビックケミー社製)が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、0.01~3.0質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましく、0.05~0.8質量%が更に好ましい。
可塑剤及びヘテロ環状化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落[0097]~[0103]及び段落[0111]~[0118]に記載された化合物が挙げられる。
(不純物)
感光性層は、不純物を含む場合がある。
不純物としては、例えば、金属不純物又はそのイオン、ハロゲン化物イオン、残存有機溶剤、残存モノマー及び水が挙げられる。
-金属不純物及びハロゲン化物イオン-
金属不純物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ及びこれらのイオン、並びに、ハロゲン化物イオンが挙げられる。
なかでも、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びハロゲン化物イオンは、混入し易い点から、下記の含有量にすることが好ましい。
金属不純物は、転写フィルムに含まれ得る上記粒子(例えば、金属酸化物粒子)とは異なる化合物である。
金属不純物の含有量は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、80質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましく、2質量ppm以下が更に好ましい。下限は、感光性層の全質量に対して、1質量ppb以上が好ましく、0.1質量ppm以上がより好ましい。
不純物の含有量を調整する方法としては、例えば、感光性層の原料として不純物の含有量が少ないものを選択する方法、並びに、感光性層の形成時に不純物の混入を防ぐ方法及び洗浄して除去する方法が挙げられる。
不純物の含有量は、例えば、ICP発光分光分析法、原子吸光分光法及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法により定量できる。
-残存有機溶剤-
残存有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びヘキサンが挙げられる。
残存有機溶剤の含有量は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、4質量ppm以下が更に好ましい。下限は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、10質量ppb以上が好ましく、100質量ppb以上がより好ましい。
残存有機溶剤の含有量を調整する方法としては、後述する転写フィルムの製造方法における乾燥処理条件を調整する方法が挙げられる。また、残存有機溶剤の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー分析等の公知の方法により定量できる。
-残存単量体-
感光性層は、上記樹脂の各構成単位の残存単量体を含む場合がある。
残存単量体の含有量は、パターニング性及び信頼性の点で、樹脂の全質量に対して、5000質量ppm以下が好ましく、2000質量ppm以下がより好ましく、500質量ppm以下が更に好ましい。下限は、樹脂の全質量に対して、1質量ppm以上が好ましく、10質量ppm以上がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の各構成単位の残存単量体は、パターニング性及び信頼性の点で、感光性層の全質量に対して、3000質量ppm以下が好ましく、600質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が更に好ましい。下限は、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、0.1質量ppm以上が好ましく、1質量ppm以上がより好ましい。
高分子反応でアルカリ可溶性樹脂を合成する際の単量体の残存量も、上記範囲とすることが好ましい。例えば、カルボン酸側鎖にアクリル酸グリシジルを反応させてアルカリ可溶性樹脂を合成する場合、アクリル酸グリシジルの含有量を上記範囲にすることが好ましい。
残存単量体の含有量を調整する方法としては、例えば、上記不純物の含有量を調整する方法が挙げられる。
残存単量体の含有量は、液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー等の公知の方法で測定できる。
第1感光性層又は第2感光性層における水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる点から、0.01~1.0質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(感光性層の特性)
感光性層の平均厚みとしては、0.1~300μmの場合が多く、0.2~100μmが好ましく、0.5~50μmがより好ましく、1~20μmが更に好ましい。これにより、感光性層の現像性が向上し、解像性も向上できる。
上記平均厚みの測定方法としては、上記基材の平均厚みの測定方法が挙げられる。
<第1中間層及び第2中間層>
第1組成物層は、第1熱可塑性樹脂層と、第1感光性層との間に第1中間層を有していてもよい。また、第2組成物層は、第2熱可塑性樹脂層と、第2感光性層との間に第2中間層を有していてもよい。第1中間層及び第2中間層は、同一構成又は異なる構成のいずれであってもよく、同一構成が好ましい。第1中間層及び第2中間層が同一構成であるとは、例えば、第1中間層及び第2中間層が、同一の成分を含み、その含有量も同じであることを意味する。第1中間層及び第2中間層を総称して「中間層」ともいう。
第1中間層は、第1熱可塑性樹脂層を有さない場合は第1感光性層の基材とは反対側の面に、又は、第1熱可塑性樹脂層を有する場合は第1熱可塑性樹脂層と第1感光性層との間に配置されることが好ましい。第2中間層は、第2熱可塑性樹脂層を有さない場合は第2感光性層の基材とは反対側の面、又は、第2熱可塑性樹脂層を有する場合は第2熱可塑性樹脂層と第2感光性層との間に配置されることが好ましい。
中間層としては、例えば、水溶性樹脂層及び特開平5-072724号公報に「分離層」として記載される酸素遮断機能のある酸素遮断層が挙げられる。
中間層としては、露光時の感度が向上して露光機の時間負荷が低減して生産性が向上する点から、酸素遮断層が好ましく、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液(22℃の炭酸ナトリウムの1質量%水溶液)に分散又は溶解する酸素遮断層がより好ましい。
以下、中間層が含み得る各成分について説明する。
(水溶性樹脂)
中間層は、水溶性樹脂を含んでいてもよい。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ゼラチン及びポリアミド樹脂が挙げられる。
セルロース系樹脂としては、例えば、水溶性セルロース誘導体が挙げられる。
水溶性セルロース誘導体としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びエチルセルロースが挙げられる。
ポリエーテル系樹脂としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらのアルキレンオキシサイド付加物、並びに、ビニルエーテル系樹脂が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、アクリルアミド系樹脂、ビニルアミド系樹脂及びアリルアミド系樹脂が挙げられる。
水溶性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体も挙げられ、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アリルとの共重合体が好ましく、メタクリル酸とメタクリル酸アリルと共重合体がより好ましい。
水溶性樹脂が(メタ)アクリル酸とビニル化合物との共重合体である場合、各組成比((メタ)アクリル酸のmol%/ビニル化合物のmol%)としては、90/10~20/80が好ましく、80/20~30/70がより好ましい。
水溶性樹脂の重量平均分子量としては、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。上限は、200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
水溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。
水溶性樹脂は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
水溶性樹脂の含有量は、第1中間層又は第2中間層の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。上限は、第1中間層又は第2中間層の全質量に対して、100質量%以下が好ましく、99.9質量%以下がより好ましく、99.8質量%以下が更に好ましく、99質量%以下が特に好ましい。
(その他成分)
中間層は、上記樹脂以外に、その他成分を含んでいてもよい。
その他成分としては、多価アルコール類、多価アルコール類のアルキレンオキサイド付加物、フェノール誘導体又はアミド化合物が好ましく、多価アルコール類、フェノール誘導体又はアミド化合物がより好ましい。
多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン及びジエチレングリコールが挙げられる。
多価アルコール類が有するヒドロキシ基の数としては、2~10が好ましい。
多価アルコール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、上記多価アルコール類にエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基等を付加した化合物が挙げられる。
アルキレンオキシ基の平均付加数は、1~100が好ましく、2~50が好ましく、2~20がより好ましい。
フェノール誘導体としては、例えば、ビスフェノールA及びビスフェノールSが挙げられる。
アミド化合物としては、例えば、N-メチルピロリドンが挙げられる。
中間層は、水溶性セルロース誘導体、多価アルコール類、多価アルコール類のオキサイド付加物、ポリエーテル系樹脂、フェノール誘導体及びアミド化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
その他成分の分子量は、5,000未満が好ましく、4,000以下がより好ましく、3,000以下が更に好ましく、2,000以下が特に好ましく、1,500以下が最も好ましい。下限は、60以上が好ましい。
その他成分は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
その他成分の含有量は、第1中間層又は第2中間層の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、第1中間層又は第2中間層の全質量に対して、30質量%未満が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
(不純物)
中間層は、不純物を含んでいてもよい。
不純物としては、例えば、上記感光性層に含まれる不純物が挙げられる。
中間層の厚みは、3.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましい。下限は、1.0μm以上が好ましい。
<第1熱可塑性樹脂層及び第2熱可塑性樹脂層>
第1組成物層は、第1熱可塑性樹脂層を有していてもよい。また、第2組成物層は、第2熱可塑性樹脂層を有していてもよい。第1熱可塑性樹脂層及び第2熱可塑性樹脂層は、同一構成又は異なる構成のいずれであってもよく、同一構成が好ましい。第1熱可塑性樹脂層及び第2熱可塑性樹脂層が同一構成であるとは、例えば、第1熱可塑性樹脂層及び第2熱可塑性樹脂層が、同一の成分を含み、その含有量も同じであることを意味する。以下、第1熱可塑性樹脂層及び第2熱可塑性樹脂層を総称して「熱可塑性樹脂層」ともいう。
第1熱可塑性樹脂層は、第1中間層を有さない場合は第1感光性層の基材とは反対側の面に、第1中間層を有する場合は第1中間層の第1感光性とは反対側の面に配置されることが好ましい。第2熱可塑性樹脂層は、第2中間層を有さない場合は第2感光性層の基材とは反対側の面に、第2中間層を有する場合は第2中間層の第2感光性とは反対側の面に配置されることが好ましい。
熱可塑性樹脂層としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0189]~[0193]が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
以下、熱可塑性樹脂層が含み得る各成分について説明する。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、上述した感光性層に含まれるアルカリ可溶性樹脂を用いてもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の点から、アクリル樹脂が好ましい。
「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位からなる群から選択される少なくとも1つの構成単位を含む樹脂を意味する。
アクリル樹脂において、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位の合計含有量は、アクリル樹脂の全質量に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。上限は、アクリル樹脂の全質量に対して、100質量%以下が好ましい。
なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計含有量が、アクリル樹脂の全質量に対して、30~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、酸基を有する樹脂が好ましい。
酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基及びホスホン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂としては、酸基を有する構成単位を含むことが好ましく、カルボキシ基を有する構成単位を含むことがより好ましく、現像性及び隣接する層との密着性の点から、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有するアクリル樹脂が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては、現像性の点から、60mgKOH/g以上が好ましい。上限は、300mgKOH/g以下が好ましく、250mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましい。
なかでも、アルカリ可溶性樹脂としては、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂が好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有するアクリル樹脂がより好ましい。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有するアクリル樹脂としては、例えば、公知の樹脂から適宜選択して使用できる。
具体的には、特開2011-095716号公報の段落[0025]、特開2010-237589号公報の段落[0033]~[0052]及び特開2016-224162号公報の段落[0053]~[0068]が挙げられる。
カルボキシ基を有する構成単位の含有量は、アクリル樹脂の全質量に対して、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、12~30質量%が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、重合反応に関与する基であればよく、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及びマレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基;エポキシ基及びオキセタン基等のカチオン性重合性基を有する基が挙げられる。
なかでも、重合性基としては、エチレン性不飽和基を有する基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、10,000~100,000より好ましく、20,000~50,000が更に好ましい。
熱可塑性樹脂は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
熱可塑性樹脂の含有量は、現像性及び隣接する層との密着性の点で、第1熱可塑性樹脂層又は第2熱可塑性樹脂層の全質量に対して、10~99質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましく、40~80質量%が更に好ましい。
(色素)
熱可塑性樹脂層は、発色時の波長範囲400~780nmにおける最大吸収波長が450nm超であり、酸、塩基又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素(以下、単に「色素B」ともいう。)を含んでいてもよい。
色素Bの好適態様は、後述する点以外は、上記色素Nと同義であり、好適態様も同じである。
色素Bとしては、露光部及び非露光部の視認性、並びに、解像性の点から、酸又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素が好ましく、酸により最大吸収波長が変化する色素がより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、露光部及び非露光部の視認性、並びに、解像性の点から、色素Bとしての酸により最大吸収波長が変化する色素及び後述する光により酸を発生する化合物の両者を含むことが好ましい。
色素Bは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
色素Bの含有量は、露光部及び非露光部の視認性の点で、第1熱可塑性樹脂層又は第2熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.2質量%以上が好ましく、0.2~6.0質量%がより好ましく、0.2~5.0質量%が更に好ましい。
「色素Bの含有量」とは、熱可塑性樹脂層に含まれる色素Bの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Bの含有量の定量方法を説明する。
メチルエチルケトン100mLに、色素B(0.001g)を溶かした溶液及び色素B(0.01g)を溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤(Irgacure OXE01、BASFジャパン社製)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素Bを発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、島津製作所社製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
次に、色素Bに代えて熱可塑性樹脂層(3g)をメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた熱可塑性樹脂層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて熱可塑性樹脂層に含まれる色素Bの量を算出する。
(光により酸、塩基又はラジカルを発生する化合物)
熱可塑性樹脂層は、光により酸、塩基又はラジカルを発生する化合物(以下、単に「化合物C」ともいう。)を含んでいてもよい。
化合物Cとしては、紫外線及び可視光線等の活性光線を受けて、酸、塩基又はラジカルを発生する化合物が好ましい。
化合物Cとしては、例えば、公知の、光酸発生剤、光塩基発生剤及び光ラジカル重合開始剤(光ラジカル発生剤)が挙げられる。
-光酸発生剤-
熱可塑性樹脂層は、解像性の点から、光酸発生剤を含んでいてもよい。
光酸発生剤としては、例えば、上記感光性層に含まれ得る光カチオン重合開始剤が挙げられ、後述する点以外は、好適態様も同じである。
光酸発生剤としては、感度及び解像性の点から、オニウム塩化合物及びオキシムスルホネート化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むことが好ましく、感度、解像性及び密着性の点から、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
光酸発生剤としては、以下の構造を有する光酸発生剤も好ましい。
Figure 2022184732000003
-光ラジカル重合開始剤-
熱可塑性樹脂層は、光ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、上記感光性層に含まれ得る光ラジカル重合開始剤が挙げられ、好適態様も同じである。
-光塩基発生剤-
熱可塑性樹脂組成物は、光塩基発生剤を含んでいてもよい。
光塩基発生剤としては、例えば、公知の光塩基発生剤が挙げられる。
具体的には、2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O-カルバモイルヒドロキシルアミド、O-カルバモイルオキシム、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6-ジアミン、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタン、(4-モルホリノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミノプロパン、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン及び2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2,4-ジニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジンが挙げられる。
化合物Cは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
化合物Cの含有量は、露光部及び非露光部の視認性、並びに、解像性の点から、第1熱可塑性樹脂層又は第2熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
(可塑剤)
熱可塑性樹脂層は、解像性、隣接する層との密着性及び現像性の点から、可塑剤を含んでいてもよい。
可塑剤は、熱可塑性樹脂(好ましくは、アルカリ可溶性樹脂)よりも分子量(オリゴマー又はポリマーであり分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が小さいことが好ましい。具体的には、可塑剤の分子量(重量平均分子量)は、200~2,000が好ましい。
可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に制限されない。
可塑剤は、可塑性付与の点から、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましく、ポリエチレンオキシ構造又はポリプロピレンオキシ構造を有することがより好ましい。
可塑剤としては、ポリアルキレングリコール化合物が好ましい。
可塑剤は、解像性及び保存安定性の点から、(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。相溶性、解像性及び隣接する層との密着性の点から、アルカリ可溶性樹脂がアクリル樹脂であり、かつ、可塑剤が(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。
(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、上記感光性層に含まれ得る重合性化合物としての(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
熱可塑性樹脂層が可塑剤として(メタ)アクリレート化合物を含む場合、熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の点から、露光後の露光部においても(メタ)アクリレート化合物が重合しないことが好ましい。
また、(メタ)アクリレート化合物としては、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性及び現像性の点から、1分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
更に、(メタ)アクリレート化合物としては、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物又はウレタン(メタ)アクリレート化合物も好ましい。
可塑剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性及び現像性の点から、第1熱可塑性樹脂層又は第2熱可塑性樹脂層の全質量に対して、1~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、20~50質量%が更に好ましい。
(増感剤)
熱可塑性樹脂層は、増感剤を含んでいてもよい。
増感剤としては、上記感光性層に含まれ得る増感剤が挙げられる。
増感剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
増感剤の含有量は、光源に対する感度の向上、並びに、露光部及び非露光部の視認性の点から、第1熱可塑性樹脂層又は第2熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。
(複素環化合物)
熱可塑性樹脂層は、複素環化合物を含んでいてもよい。
複素環化合物としては、上記感光性層に含まれ得る複素環化合物と同じであり、好適態様も同じである。
(その他添加剤)
熱可塑性樹脂層は、上記成分以外に、その他添加剤を含んでいてもよい。
その他添加剤としては、例えば、上記感光性層に含まれ得るその他添加剤が挙げられる。
(不純物)
熱可塑性樹脂層は、不純物を含んでいてもよい。
不純物としては、例えば、上記感光性層に含まれる不純物が挙げられる。
熱可塑性樹脂層の平均厚み(層厚)は、隣接する層との密着性の点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。上限は、現像性及び解像性の点から、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下が更に好ましい。
上記平均厚みの測定方法としては、上記基材の平均厚みの測定方法が挙げられる。
〔透明導電層〕
積層体は、第1透明導電層及び第2透明導電層を有する。
第1透明導電層及び第2透明導電層は、同一構成又は異なる構成のいずれであってもよく、同一構成が好ましい。第1組成物層及び第2組成物層が同一構成であるとは、例えば、第1透明導電層及び第2透明導電層が、同一の金属種を含み、その含有量も同じであることを意味する。
透明導電層の体積抵抗率は、1×10Ωcm未満が好ましく、1×10Ωcm未満がより好ましい。下限は特に制限されないが、1×10-6Ωcm以上の場合が多く、1×10-3以上が好ましい。体積抵抗率は、公知の抵抗率計(例えば、抵抗測定器EC-80P、ナプソン社製等)を用いて測定できる。
透明導電層は、導電性がより優れる点で、金属を含むことが好ましい。
金属としては、例えば、銅、銀、スズ、パラジウム、金、ニッケル、クロム、白金、鉄、ガリウム及びインジウムが挙げられる。金属は、単体の金属及び合金のいずれであってもよい。合金としては、例えば、銅合金及び銀合金が挙げられる。
透明導電層は、導電性がより優れる点で、銅、銀、スズ及びインジウムからなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、銀を含むことがより好ましい。
透明導電層としては、例えば、金属酸化物を含む層、金属ナノワイヤを含む層及び金属ナノ粒子を含む層が挙げられ、第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一方が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、第1透明導電層及び第2透明導電層が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つを含むことがより好ましい。
金属酸化物としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、及びIGZO(登録商標;インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)及び酸素(O)を含む酸化物半導体)が挙げられ、透明性がより優れる点で、ITOが好ましい。
金属ナノワイヤとしては、例えば、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、金ナノワイヤ及び白金ナノワイヤが挙げられ、銀ナノワイヤが好ましい。
金属ナノ粒子としては、例えば、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子、金ナノ粒子及び白金ナノ粒子等の金属ナノ粒子が挙げられ、銀ナノ粒子が好ましい。
透明導電層の平均厚さは、導電性及び製膜性がより優れる点で、0.001~1000μmが好ましく、0.005~15μmがより好ましく、0.01~10μmが更に好ましい。透明導電層の平均厚さは、上記基材の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定できる。
第1透明導電層及び第2透明導電層は、基材の全体に配置されていてもよいし、又は基材の一部に配置されていてもよい。
〔その他層〕
積層体は、上記部材以外に、その他層を有していてもよい。
その他層としては、例えば、仮支持体及び保護フィルムが挙げられる。
仮支持体及び保護フィルムとしては、それぞれ後述する転写フィルムが有する仮支持体及び保護フィルムと同じであり、好適態様も同じである。その他層が仮支持体及び保護フィルムである場合、積層体は、第1組成物層の基材とは反対側の面に、又は、第2組成物層の基材とは反対側の面に、その他層を有することが好ましい。
また、その他層としては、例えば、有機物を含む層、無機物を含む層、有機物中に無機物が分散した層、及び無機物中に有機物が分散した層も挙げられる。その他層が有機物を含む層、無機物を含む層、有機物中に無機物が分散した層及び無機物中に有機物が分散した層である場合、透明導電層の保護、電気特性制御、第1透明導電層及び第1感光性層との間の密着性制御、並びに、第2透明導電層及び第2感光性層との間の密着性制御の点で、積層体は、第1透明導電層と第1感光性層の間及び/又は第2透明導電層と第2感光性層の間にその他層を有することが好ましい。
<<第2実施態様>>
<感光性層>
第2実施態様の組成物層は、感光性層を有する。
感光性層を被転写体上に転写した後、露光及び現像を行うことにより、被転写体上にパターンを形成できる。
感光性層としては、ネガ型感光性層であるのが好ましい。なお、ネガ型感光性層とは、露光により露光部が現像液に対する溶解性が低下する感光性層である。感光性層がネガ型感光性層である場合、形成されるパターンは硬化層に該当する。
以下、感光性層に含まれ得る成分について詳述する。
(バインダーポリマー)
感光性層は、バインダーポリマーを含んでいてもよい。
バインダーポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、及び、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物との反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂が挙げられる。
バインダーポリマーの好適態様の一つとして、アルカリ現像性及びフィルム形成性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位を有する樹脂を意味する。(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位のみで構成されていてもよく、(メタ)アクリル化合物以外の重合性単量体に由来する構成単位を有していてもよい。すなわち、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量の上限は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、100質量%以下である。
(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、及び、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、及び、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミドが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有していても良い。具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、及び、(メタ)アクリル酸ドデシル等の炭素数が1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸エチルがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位以外の構成単位を有していてもよい。
上記構成単位を形成する重合性単量体としては、(メタ)アクリル化合物と共重合可能な(メタ)アクリル化合物以外の化合物であれば特に制限されず、例えば、スチレン、ビニルトルエン、及び、α-メチルスチレン等のα位又は芳香族環に置換基を有してもよい。
スチレン化合物、アクリロニトリル及びビニル-n-ブチルエーテル等のビニルアルコールエステル、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、及び、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、並びに、クロトン酸が挙げられる。
これらの重合性単量体は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、アルカリ現像性をより良好にする点から、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及び、ホスホン酸基が挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル樹脂は、カルボキシ基を有する構成単位を有することがより好ましく、上記の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有することが更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂における酸基を有する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸に由来する構成単位)の含有量は、現像性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂の全質量に対して、10質量%以上が好ましい。また、上限値は特に制限されないが、アルカリ耐性に優れる点で、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有することがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、50~90質量%が好ましく、60~90質量%がより好ましく、65~90質量%が更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の両者を有する樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位のみで構成されている樹脂がより好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂としては、メタクリル酸に由来する構成単位、メタクリル酸メチルに由来する構成単位、及び、アクリル酸エチルに由来する構成単位を有するアクリル樹脂も好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を有することが好ましく、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の両者を有することが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂におけるメタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されず、100質量%以下であってもよく、80質量%以下が好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種と、アクリル酸に由来する構成単位及びアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種とを有することも好ましい。
メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量は、アクリル酸に由来する構成単位及びアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量に対して、質量比で60/40~80/20が好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、転写後の感光性層の現像性に優れる点で、末端にエステル基を有することが好ましい。
なお、(メタ)アクリル樹脂の末端部は、合成に用いた重合開始剤に由来する部位により構成される。末端にエステル基を有する(メタ)アクリル樹脂は、エステル基を有するラジカルを発生する重合開始剤を用いることにより合成できる。
また、バインダーポリマーの別の好適態様としては、アルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
バインダーポリマーは、例えば、現像性の点から、酸価60mgKOH/g以上のバインダーポリマーであることが好ましい。
また、バインダーポリマーは、例えば、加熱により架橋成分と熱架橋し、強固な膜を形成しやすいという点から、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する樹脂(いわゆる、カルボキシ基含有樹脂)であることがより好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂(いわゆる、カルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂)であることが更に好ましい。
バインダーポリマーがカルボキシ基を有する樹脂であると、例えば、ブロックイソシアネート化合物等の熱架橋性化合物を添加して熱架橋することで、3次元架橋密度を高めることができる。また、カルボキシ基を有する樹脂のカルボキシ基が無水化され、疎水化すると、湿熱耐性が改善し得る。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂としては、上記酸価の条件を満たす限りにおいて、特に制限はなく、公知の(メタ)アクリル樹脂から適宜選択できる。
例えば、特開2011-095716号公報の段落[0025]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、特開2010-237589号公報の段落[0033]~[0052]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂等を好ましく使用できる。
バインダーポリマーの他の好適態様としてはスチレン-アクリル共重合体が挙げられる。
なお、本明細書において、スチレン-アクリル共重合体とは、スチレン化合物に由来する構成単位と、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位とを有する樹脂を指し、上記スチレン化合物に由来する構成単位、及び、上記(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の合計含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。上限は、100質量%以下の場合が多い。
また、スチレン化合物に由来する構成単位の含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、5~80質量%が更に好ましい。
また、上記(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20~95質量%が更に好ましい。
バインダーポリマーは、芳香環構造を有することが好ましく、芳香環構造を有する構成単位を有することがより好ましい。
芳香環構造を有する構成単位を形成するモノマーとしては、アラルキル基を有するモノマー、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、及びスチレントリマー等)が挙げられる。なかでも、アラルキル基を有するモノマー、又はスチレンが好ましい。
アラルキル基としては、置換又は非置換のフェニルアルキル基(ベンジル基を除く)、及び置換又は非置換のベンジル基等が挙げられ、置換又は非置換のベンジル基が好ましい。
フェニルアルキル基を有する単量体としては、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ベンジル基を有する単量体としては、ベンジル基を有する(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等;ベンジル基を有するビニルモノマー、例えば、ビニルベンジルクロライド、及びビニルベンジルアルコール等が挙げられる。なかでも、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、バインダーポリマーは、下記式(S)で表される構成単位(スチレンに由来する構成単位)を有することがより好ましい。
Figure 2022184732000004
バインダーポリマーが芳香環構造を有する構成単位を有する場合、芳香環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~70質量%より好ましく、20~60質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける芳香環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(S)で表される構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましく、20~50モル%が特に好ましい。
なお、本明細書において、「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、上記「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。また、本明細書において、上記「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。以下においても同様である。
バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有することが好ましい。つまり、バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有することが好ましい。脂肪族炭化水素環構造としては単環でも多環でも良い。なかでも、バインダーポリマーは、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造を有することがより好ましい。
脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位における脂肪族炭化水素環構造を構成する環としては、トリシクロデカン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ノルボルナン環、及び、イソホロン環が挙げられる。
なかでも、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環が好ましく、テトラヒドロジシクロペンタジエン環(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環)がより好ましい。
脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を形成するモノマーとしては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、バインダーポリマーは、下記式(Cy)で表される構成単位を有することがより好ましく、上記式(S)で表される構成単位、及び、下記式(Cy)で表される構成単位を有することがより好ましい。
Figure 2022184732000005
式(Cy)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、RCyは脂肪族炭化水素環構造を有する一価の基を表す。
式(Cy)におけるRは、メチル基であることが好ましい。
式(Cy)におけるRCyは、炭素数5~20の脂肪族炭化水素環構造を有する1価の基であることが好ましく、炭素数6~16の脂肪族炭化水素環構造を有する1価の基であることがより好ましく、炭素数8~14の脂肪族炭化水素環構造を有する1価の基であることが更に好ましい。
また、式(Cy)のRCyにおける脂肪族炭化水素環構造は、シクロペンタン環構造、シクロヘキサン環構造、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造、ノルボルナン環構造、又は、イソホロン環構造であることが好ましく、シクロヘキサン環構造、又は、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造であることがより好ましく、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造であることが更に好ましい。
更に、式(Cy)のRCyにおける脂肪族炭化水素環構造は、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造であることが好ましく、2~4環の脂肪族炭化水素環が縮環した環であることがより好ましい。
更に、式(Cy)におけるRCyは、式(Cy)における-C(=O)O-の酸素原子と脂肪族炭化水素環構造とが直接結合する基、すなわち、脂肪族炭化水素環基であることが好ましく、シクロヘキシル基、又は、ジシクロペンタニル基であることがより好ましく、ジシクロペンタニル基であることが更に好ましい。
バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有する場合、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、20~70質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(Cy)で表される構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーが芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有する場合、芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の総含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、40~75質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の総含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましく、40~60モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(S)で表される構成単位及び上記式(Cy)で表される構成単位の総含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましく、40~60モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーは、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、及び、リン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
上記酸基を有する構成単位としては、下記に示す、(メタ)アクリル酸由来の構成単位が好ましく、メタクリル酸由来の構成単位がより好ましい。
Figure 2022184732000006
バインダーポリマーは、酸基を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが酸基を有する構成単位を有する場合、酸基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける酸基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける(メタ)アクリル酸由来の構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーは、反応性基を有することが好ましく、反応性基を有する構成単位を有することがより好ましい。
反応性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、エチレン性不飽和基がより好ましい。また、バインダーポリマーがエチレン性不飽和基を有している場合、バインダーポリマーは、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を有することが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは、主鎖から枝分かれしている原子団を表す。
エチレン性不飽和基としては、アリル基又は(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
反応性基を有する構成単位の一例としては、下記に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2022184732000007
バインダーポリマーは、反応性基を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが反応性基を有する構成単位を有する場合、反応性基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、20~40質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける反応性基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
反応性基をバインダーポリマーに導入する手段としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、アセトアセチル基、及び、スルホ基等の官能基に、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、及び、カルボン酸無水物等の化合物を反応させる方法が挙げられる。
反応性基をバインダーポリマーに導入する手段の好ましい例としては、カルボキシ基を有するポリマーを重合反応により合成した後、高分子反応により、得られたポリマーのカルボキシ基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて、(メタ)アクリロキシ基をポリマーに導入する手段が挙げられる。この手段により、側鎖に(メタ)アクリロキシ基を有するバインダーポリマーを得ることができる。
上記重合反応は、70~100℃の温度条件で行うことが好ましく、80~90℃の温度条件で行うことがより好ましい。上記重合反応に用いる重合開始剤としては、アゾ系開始剤が好ましく、例えば、富士フイルム和光純薬(株)製のV-601(商品名)又はV-65(商品名)がより好ましい。上記高分子反応は、80~110℃の温度条件で行うことが好ましい。上記高分子反応においては、アンモニウム塩等の触媒を用いることが好ましい。
バインダーポリマーとしては、以下に示すポリマーX1~X4が好ましい。なお、以下に示す各構成単位の含有比率(a~d)及び重量平均分子量Mw等は目的に応じて適宜変更できるが、本発明の効果がより優れる点で、なかでも、以下の構成であるのが好ましい。
(ポリマーX1) a:20~60質量%、b:10~50質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX2) a:20~60質量%、b:10~50質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX3) a:30~65質量%、b:1.0~20質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX4) a:1.0~20質量%、b:20~60質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
Figure 2022184732000008

Figure 2022184732000009
Figure 2022184732000010

Figure 2022184732000011
また、バインダーポリマーは、カルボン酸無水物構造を有する構成単位を有する重合体(以下、「重合体X」ともいう。)を含んでいてもよい。
カルボン酸無水物構造は、鎖状カルボン酸無水物構造、及び、環状カルボン酸無水物構造のいずれであってもよいが、環状カルボン酸無水物構造であることが好ましい。
環状カルボン酸無水物構造の環としては、5~7員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましく、5員環が更に好ましい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、下記式P-1で表される化合物から水素原子を2つ除いた2価の基を主鎖中に含む構成単位、又は、下記式P-1で表される化合物から水素原子を1つ除いた1価の基が主鎖に対して直接又は2価の連結基を介して結合している構成単位であることが好ましい。
Figure 2022184732000012
式P-1中、RA1aは、置換基を表し、n1a個のRA1aは、同一でも異なっていてもよく、Z1aは、-C(=O)-O-C(=O)-を含む環を形成する2価の基を表し、n1aは、0以上の整数を表す。
A1aで表される置換基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。
1aとしては、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、炭素数2のアルキレン基が更に好ましい。
1aは、0以上の整数を表す。Z1aが炭素数2~4のアルキレン基を表す場合、n1aは、0~4の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
1aが2以上の整数を表す場合、複数存在するRA1aは、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在するRA1aは、互いに結合して環を形成してもよいが、互いに結合して環を形成していないことが好ましい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位としては、不飽和カルボン酸無水物に由来する構成単位が好ましく、不飽和環式カルボン酸無水物に由来する構成単位がより好ましく、不飽和脂肪族環式カルボン酸無水物に由来する構成単位が更に好ましく、無水マレイン酸又は無水イタコン酸に由来する構成単位が特に好ましく、無水マレイン酸に由来する構成単位が最も好ましい。
以下、カルボン酸無水物構造を有する構成単位の具体例を挙げるが、カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、これらの具体例に限定されるものではない。下記の構成単位中、Rxは、水素原子、メチル基、CHOH基、又は、CF基を表し、Meは、メチル基を表す。
Figure 2022184732000013
Figure 2022184732000014
重合体Xにおけるカルボン酸無水物構造を有する構成単位は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位の総含有量は、重合体Xの全構成単位に対して、0~60モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましく、10~35モル%が更に好ましい。
感光性層は、重合体Xを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
感光性層が重合体Xを含む場合、重合体Xの含有量は、感光性層全質量に対して、0.1~30質量%が好ましく、0.2~20質量%がより好ましく、0.5~20質量%が更に好ましく、1~20質量%が更に好ましい。
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、10,000~50,000が更に好ましく、20,000~30,000が特に好ましい。
バインダーポリマーの酸価は、10~200mgKOH/gが好ましく、60mg~200mgKOH/gがより好ましく、60~150mgKOH/gが更に好ましく、70~125mgKOH/gが特に好ましい。
なお、バインダーポリマーの酸価は、JIS K0070:1992に記載の方法に従
って、測定される値である。
バインダーポリマーの分散度は、現像性の観点から、1.0~6.0が好ましく、1.0~5.0がより好ましく、1.0~4.0が更に好ましく、1.0~3.0が特に好ましい。
感光性層は、バインダーポリマーを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
バインダーポリマーの含有量は、感光性層全質量に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、30~70質量%が更に好ましい。
(重合性化合物)
感光性層は、重合性化合物を含んでいてもよい。
重合性化合物は、重合性基を有する化合物である。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、及び、カチオン重合性基が挙げられ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性化合物は、エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物(以下、単に「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)を含むことが好ましい。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロキシ基が好ましい。
なお、本明細書におけるエチレン性不飽和化合物は、上記バインダーポリマー以外の化合物であり、分子量5,000未満であることが好ましい。
重合性化合物の好適態様の一つとして、下記式(M)で表される化合物(単に、「化合物M」ともいう。)が挙げられる。
-R-Q 式(M)
式(M)中、Q及びQはそれぞれ独立に、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、Rは鎖状構造を有する二価の連結基を表す。
式(M)におけるQ及びQは、合成容易性の点から、Q及びQは同じ基であることが好ましい。
また、式(M)におけるQ及びQは、反応性の点から、アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
式(M)におけるRとしては、アルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基(-L-O-L-)、又は、ポリアルキレンオキシアルキレン基(-(L-O)-L-)が好ましく、炭素数2~20の炭化水素基、又は、ポリアルキレンオキシアルキレン基がより好ましく、炭素数4~20のアルキレン基が更に好ましく、炭素数6~18の直鎖アルキレン基が特に好ましい。
上記炭化水素基は、少なくとも一部に鎖状構造を有していればよく、上記鎖状構造以外の部分としては、特に制限はなく、例えば、分岐鎖状、環状、又は、炭素数1~5の直鎖状アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、及び、それらの組み合わせのいずれであってもよく、アルキレン基、又は、2以上のアルキレン基と1以上のアリーレン基とを組み合わせた基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、直鎖アルキレン基が更に好ましい。
なお、上記Lは、それぞれ独立に、アルキレン基を表し、エチレン基、プロピレン基、又は、ブチレン基が好ましく、エチレン基又は1,2-プロピレン基がより好ましい。pは2以上の整数を表し、2~10の整数であることが好ましい。
また、化合物MにおけるQとQとの間を連結する最短の連結鎖の原子数は、3~50個が好ましく、4~40個がより好ましく、6~20個が更に好ましく、8~12個が特に好ましい。
本明細書において、「QとQの間を連結する最短の連結鎖の原子数」とは、Qに連結するRにおける原子からQに連結するRにおける原子までを連結する最短の原子数である。
化合物Mの具体例としては、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、及び、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。上記エステルモノマーは混合物としても使用できる。
上記化合物のなかでも、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが更に好ましい。
また、重合性化合物の好適態様の一つとして、2官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
本明細書において、「2官能以上のエチレン性不飽和化合物」とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を意味する。
エチレン性不飽和化合物におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、公知の化合物の中から適宜選択できる。
上記化合物M以外の2官能のエチレン性不飽和化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、及び、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
2官能のエチレン性不飽和化合物の市販品としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:NKエステル A-DCP、新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(商品名:NKエステル DCP、新中村化学工業(株)製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-NOD-N、新中村化学工業(株)製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-HD-N、新中村化学工業(株)製)が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、公知の化合物の中から適宜選択できる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、及び、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及び、ヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標) DPCA-20、新中村化学工業(株)製A-9300-1CL等)、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標) RP-1040、新中村化学工業(株)製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス社のEBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステル A-GLY-9E等)も挙げられる。
重合性化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられ、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートも挙げられる。官能基数の下限としては、6官能以上がより好ましく、8官能以上が更に好ましい。なお、官能基数の上限としては、20官能以下が好ましい。3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル(株)製)、UA-32P(新中村化学工業(株)製)、U-15HA(新中村化学工業(株)製)、UA-1100H(新中村化学工業(株)製)、共栄社化学(株)製のAH-600(商品名)、並びに、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、及びUX-5000(いずれも日本化薬(株)製)等が挙げられる。
重合性化合物の好適態様の一つとして、酸基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
酸基としては、リン酸基、スルホ基、及び、カルボキシ基が挙げられる。
これらのなかでも、酸基としては、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、酸基を有する3~4官能のエチレン性不飽和化合物〔ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価:80~120mgKOH/g)〕、酸基を有する5~6官能のエチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)骨格にカルボキシ基を導入したもの〔酸価:25~70mgKOH/g)〕等が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、必要に応じ、酸基を有する2官能のエチレン性不飽和化合物と併用してもよい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物が、カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種であると、現像性及び膜強度がより高まる。
カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。
カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成(株)製)、アロニックス(登録商標)M-520(東亞合成(株)製)、アロニックス(登録商標)M-510(東亞合成(株)製)が挙げられる。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、特開2004-239942号公報の段落[0025]~[0030]に記載の酸基を有する重合性化合物が好ましく、この公報に記載の内容は、本明細書に組み込まれる。
重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、及び、β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート等のフタル酸系化合物、並びに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルも挙げられる。
これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、及び、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、エチレンオキサイド基の数が2~14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が2~14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が2~14であり、かつ、プロピレンオキサイド基の数が2~14であるポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、並びに、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
なかでも、テトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物が好ましく、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又は、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレートがより好ましい。
重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物のカプロラクトン変性化合物(例えば、日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)DPCA-20、新中村化学工業(株)製A-9300-1CL等)、エチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(例えば、日本化薬(株)製KAYARADRP-1040、新中村化学工業(株)製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標)135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製A-GLY-9E等)等も挙げられる。
重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)としては、転写後の感光性層の現像性に優れる点で、なかでも、エステル結合を含むものも好ましい。
エステル結合を含むエチレン性不飽和化合物としては、分子内にエステル結合を含むものであれば特に制限されないが、本発明の効果が優れる点で、テトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物が好ましく、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又は、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレートがより好ましい。
信頼性付与の点からは、エチレン性不飽和化合物としては、炭素数6~20の脂肪族基を有するエチレン性不飽和化合物と、上記のテトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物と、を含むことが好ましい。
炭素数6以上の脂肪族構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合性化合物の好適態様の一つとしては、脂肪族炭化水素環構造を有する重合性化合物(好ましくは、2官能エチレン性不飽和化合物)が挙げられる。
上記重合性化合物としては、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造(好ましくは、トリシクロデカン構造及びトリシクロデセン構造からなる群から選択される構造)を有する重合性化合物が好ましく、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物がより好ましく、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが更に好ましい。
上記脂肪族炭化水素環構造としては、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、トリシクロデカン構造、トリシクロデセン構造、ノルボルナン構造、又は、イソホロン構造が好ましい。
重合性化合物の分子量は、200~3,000が好ましく、250~2,600がより好ましく、280~2,200が更に好ましく、300~2,200が特に好ましい。
感光性層に含まれる重合性化合物のうち、分子量300以下の重合性化合物の含有量の割合は、感光性層に含まれる全ての重合性化合物の含有量に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むのが好ましく、3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むのがより好ましく、3官能又は4官能のエチレン性不飽和化合物を含むのが更に好ましい。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物と、脂肪族炭化水素環を有する構成単位を有するバインダーポリマーとを含むことが好ましい。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、式(M)で表される化合物と、酸基を有するエチレン性不飽和化合物とを含むことが好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレートと、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物とを含むことがより好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレートと、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸変性体とを含むことが更に好ましい。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、式(M)で表される化合物と、酸基を有するエチレン性不飽和化合物と、後述する熱架橋性化合物とを含むことが好ましく、式(M)で表される化合物と、酸基を有するエチレン性不飽和化合物と、後述するブロックイソシアネート化合物とを含むことがより好ましい。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、現像残渣抑制性、及び、防錆性の点から、2官能のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、2官能の(メタ)アクリレート化合物)と、3官能以上のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物)と、を含むこと好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物と、3官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量の質量比は10:90~90:10が好ましく、30:70~70:30がより好ましい。
全てのエチレン性不飽和化合物の合計量に対する、2官能のエチレン性不飽和化合物の含有量は、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。
感光性層における2官能のエチレン性不飽和化合物は、10~60質量%が好ましく、15~40質量%がより好ましい。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、防錆性の点から、化合物M、及び、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、基板密着性、現像残渣抑制性、及び、防錆性の点から、化合物M、及び、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、化合物M、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物、及び、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましく、化合物M、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物、3官能以上のエチレン性不飽和化合物、及び、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが更に好ましく、化合物M、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物、3官能以上のエチレン性不飽和化合物、酸基を有するエチレン性不飽和化合物、及び、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むことが特に好ましい。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、感光性層は、基板密着性、現像残渣抑制性、及び、防錆性の点から、1,9-ノナンジオールジアクリレート、及び、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、及び、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、カルボン酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが更に好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、カルボン酸基を有するエチレン性不飽和化合物、及び、ウレタンアクリレート化合物を含むことが特に好ましい。
感光性層は、エチレン性不飽和化合物として、単官能エチレン性不飽和化合物を含んでいてもよい。
上記エチレン性不飽和化合物における2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、感光性層に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物の総含有量に対し、60~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。
重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層における重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)の含有量は、感光性層全質量に対して、1~70質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましく、5~60質量%が更に好ましく、5~50質量%が特に好ましい。
(重合開始剤)
感光性層は、重合開始剤を含んでいてもよい。
重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては特に制限はなく、公知の光重合開始剤を使用できる。
光重合開始剤としては、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)、及び、N-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N-フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)等が挙げられる。
光重合開始剤は、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
また、光重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落[0031]~[0042]、及び、特開2015-014783号公報の段落[0064]~[0081]に記載された重合開始剤を用いてもよい。
光重合開始剤の市販品としては、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製〕、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-02、BASF社製〕、IRGACURE(登録商標)OXE03(BASF社製)、IRGACURE(登録商標)OXE04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン〔商品名:Omnirad(登録商標)379EG、IGM Resins B.V社製〕、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)907、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)127、IGM Resins B.V社製〕、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1〔商品名:Omnirad(登録商標)369、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)1173、IGM Resins B.V社製〕、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔商品名:Omnirad(登録商標)184、IGM Resins B.V社製〕、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)651、IGM Resins B.V社製〕等、オキシムエステル系の〔商品名:Lunar(登録商標) 6、DKSHジャパン(株)製〕、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)、APi-307(1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、Shenzhen UV-ChemTech Ltd.製)等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用することもできる。
2種以上を併用する場合は、オキシム系光重合開始剤と、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤及びα-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種と、を使用することが好ましい。
感光性層が光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤の含有量は、感光性層全質量に対して、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上であるのがより好ましく、1.0質量%以上であるのが更に好ましい。また、その上限値としては、感光性組成物層全質量に対して、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるがより好ましい。
(複素環化合物)
感光性層は、複素環化合物を含んでいてもよい。
複素環化合物が有する複素環は、単環及び多環のいずれの複素環でもよい。
複素環化合物が有するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子が挙げられる。複素環化合物は、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有することが好ましく、窒素原子を有することがより好ましい。
複素環化合物としては、例えば、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、トリアジン化合物、ローダニン化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、及び、ピリミジン化合物が挙げられる。
上記のなかでも、複素環化合物としては、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、トリアジン化合物、ローダニン化合物、チアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、及び、ベンゾオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、及び、ベンゾオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましい。
複素環化合物の好ましい具体例を以下に示す。トリアゾール化合物及びベンゾトリアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022184732000015
Figure 2022184732000016
テトラゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022184732000017
Figure 2022184732000018
チアジアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022184732000019
トリアジン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022184732000020
ローダニン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022184732000021
チアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022184732000022
ベンゾチアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022184732000023
ベンゾイミダゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022184732000024
Figure 2022184732000025
ベンゾオキサゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022184732000026
複素環化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が複素環化合物を含む場合、複素環化合物の含有量は、感光性層全質量に対して、0.01~20.0質量%が好ましく、0.10~10.0質量%がより好ましく、0.30~8.0質量%が更に好ましく、0.50~5.0質量%が特に好ましい。
(脂肪族チオール化合物)
感光性層は、脂肪族チオール化合物を含んでいてもよい。
感光性層が脂肪族チオール化合物を含むことで、脂肪族チオール化合物がエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物との間でエン-チオール反応することで、形成される膜の硬化収縮が抑えられ、応力が緩和される。
脂肪族チオール化合物としては、単官能の脂肪族チオール化合物、又は、多官能の脂肪族チオール化合物(すなわち、2官能以上の脂肪族チオール化合物)が好ましい。
上記のなかでも、脂肪族チオール化合物としては、形成されるパターンの密着性(特に、露光後における密着性)の点から、多官能の脂肪族チオール化合物が好ましい。
本明細書において、「多官能の脂肪族チオール化合物」とは、チオール基(「メルカプト基」ともいう。)を分子内に2個以上有する脂肪族化合物を意味する。
多官能の脂肪族チオール化合物としては、分子量が100以上の低分子化合物が好ましい。具体的には、多官能の脂肪族チオール化合物の分子量は、100~1,500がより好ましく、150~1,000が更に好ましい。
多官能の脂肪族チオール化合物の官能基数としては、例えば、形成されるパターンの密着性の点から、2~10官能が好ましく、2~8官能がより好ましく、2~6官能が更に好ましい。
多官能の脂肪族チオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオプロピオネート、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,6-ヘキサメチレンジチオール、2,2’-(エチレンジチオ)ジエタンチオール、meso-2,3-ジメルカプトコハク酸、及び、ジ(メルカプトエチル)エーテルが挙げられる。
上記のなかでも、多官能の脂肪族チオール化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、及び、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
単官能の脂肪族チオール化合物としては、例えば、1-オクタンチオール、1-ドデカンチオール、β-メルカプトプロピオン酸、メチル-3-メルカプトプロピオネート、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、及び、ステアリル-3-メルカプトプロピオネートが挙げられる。
感光性層は、1種単独の脂肪族チオール化合物を含んでいてもよく、2種以上の脂肪族チオール化合物を含んでいてもよい。
感光性層が脂肪族チオール化合物を含む場合、脂肪族チオール化合物の含有量は、感光性層全質量に対して、5質量%以上が好ましく、5~50質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましく、8~20質量%が特に好ましい。
(熱架橋性化合物)
感光性層は、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の点から、熱架橋性化合物を含むことが好ましい。なお、本明細書においては、エチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、エチレン性不飽和化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
熱架橋性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール化合物、及び、ブロックイソシアネート化合物が挙げられる。なかでも、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、バインダーポリマー及びエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物の少なくとも一方が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、保護膜としての機能が強化される傾向がある。
なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(いわゆる、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、100~160℃が好ましく、130~150℃がより好ましい。
ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。
示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に使用できる。但し、示差走査熱量計は、これに限定されない。
解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、活性メチレン化合物〔マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル等)〕、オキシム化合物(ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、及び、シクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物)が挙げられる。
これらのなかでも、解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、例えば、保存安定性の点から、オキシム化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写体との密着力向上等の点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物のなかでも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、かつ、現像残渣を少なくしやすいという点から好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、及び、スチリル基等のエチレン性不飽和基、並びに、グリシジル基等のエポキシ基を有する基が挙げられる。
なかでも、重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
ブロックイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。
ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BP等(以上、昭和電工(株)製)、ブロック型のデュラネートシリーズ(例えば、デュラネート(登録商標) TPA-B80E、デュラネート(登録商標) WT32-B75P等、旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
熱架橋性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が熱架橋性化合物を含む場合、熱架橋性化合物の含有量は、感光性組成物層全質量に対して、1~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
(水素供与性化合物)
感光性層は、水素供与性化合物を含んでいてもよい。
水素供与性化合物は、光重合開始剤の活性光線に対する感度を一層向上させる、及び、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
水素供与性化合物としては、例えば、アミン類、及び、アミノ酸化合物が挙げられる。
アミン類としては、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44-020189号公報、特開昭51-082102号公報、特開昭52-134692号公報、特開昭59-138205号公報、特開昭60-084305号公報、特開昭62-018537号公報、特開昭64-033104号公報、及び、Research Disclosure 33825号等に記載の化合物が挙げられる。より具体的には、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン(別名:ロイコクリスタルバイオレット)、トリエタノールアミン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p-ホルミルジメチルアニリン、及び、p-メチルチオジメチルアニリンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、アミン類としては、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、及び、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アミノ酸化合物としては、例えば、N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン、N-エチル-N-フェニルグリシンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、アミノ酸化合物としては、N-フェニルグリシンが好ましい。
また、水素供与性化合物としては、例えば、特公昭48-042965号公報に記載の有機金属化合物(トリブチル錫アセテート等)、特公昭55-034414号公報に記載の水素供与体、及び、特開平6-308727号公報に記載のイオウ化合物(トリチアン等)も挙げられる。
水素供与性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が水素供与性化合物を含む場合、水素供与性化合物の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスとによる硬化速度の向上の点から、感光性層全質量に対して、0.01~10.0質量%が好ましく、0.01~8.0質量%がより好ましく、0.03~5.0質量%が更に好ましい。
(その他添加剤)
感光性層は、上記以外のその他添加剤を含んでいてもよい。
その他添加剤としては、第1実施態様の組成物層における感光性層が有するその他添加剤と同じであり、好適態様も同じである。
(不純物)
感光性層は、不純物を含む場合がある。
不純物としては、第1実施態様の組成物層における感光性層が有する不純物と同じであり、好適態様も同じである。
(その他の成分)
感光性層は、既述の成分以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、及び、粒子(例えば、金属酸化物粒子)が挙げられる。また、他の成分としては、特開2000-310706号公報の段落[0058]~[0071]に記載のその他の添加剤も挙げられる。
-粒子-
粒子としては、金属酸化物粒子が好ましい。
金属酸化物粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、及び、Te等の半金属も含まれる。
粒子の平均一次粒子径は、例えば、硬化膜の透明性の点から、1~200nmが好ましく、3~80nmがより好ましい。
粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。なお、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
-着色剤-
感光性層は、微量の着色剤(顔料、染料等)を含んでいてもよいが、例えば、透明性の点からは、着色剤を実質的に含まないことが好ましい。
感光性層が着色剤を含む場合、着色剤の含有量は、感光性層全質量に対して、1質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましい。
-酸化防止剤-
酸化防止剤としては、例えば、1-フェニル-3-ピラゾリドン(別名:フェニドン)、1-フェニル-4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン、及び、1-フェニル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリドン等の3-ピラゾリドン類;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、及び、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類;パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、及び、パラフェニレンジアミンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、酸化防止剤としては、3-ピラゾリドン類が好ましく、1-フェニル-3-ピラゾリドンがより好ましい。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法としては、例えば、公知の製造方法が挙げられる。
具体的には、第1組成物層、第1透明導電層、基材、第2透明導電層、第2組成物の順になるように同時又は逐次、各層を形成する製造方法が挙げられる。
〔透明導電層の形成方法〕
第1透明導電層及び第2透明導電層の形成方法としては、例えば、公知の方法が挙げられる。
具体的には、塗布方法、真空蒸着法、スパッタリング法及びめっき法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法及びダイコート法(スリットコート法)が挙げられる。
また、透明導電層に含まれ得る成分と、溶剤と、樹脂とを混合して、透明導電層形成用組成物を用いて塗布する方法が好ましい。
〔組成物層の形成方法〕
第1組成物層及び第2組成物層の形成方法としては、例えば、塗布法及び後述する転写フィルムを用いる方法が挙げられる。
第1組成物層及び第2組成物層の形成方法は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
第1組成物層及び第2組成物層の形成方法としては、第1感光性層及び第2感光性層のいずれも転写フィルムを用いる形成方法が好ましい。
転写フィルムを用いる形成方法としては、例えば、第1透明導電層と第2透明導電層が形成された基材(以下、「透明導電層付き基材」ともいう。)と、転写フィルムとを貼合する方法が挙げられる。
透明導電層付き基材としては、上記基材と、上記第1透明導電層と、上記第2透明導電層とを有する基材であれば特に制限されない。基材及び透明導電層の好適態様については、上述したとおりである。
透明導電層付き基材と転写フィルムとの貼合する方法は、ロール等を用いて、加圧及び加熱しながら実施されることが好ましい。上記加圧時の圧力は、線圧1000~10000N/mの場合が多い。上記加熱時の温度は、40~130℃の場合が多い。
透明導電層付き基材と転写フィルムとの貼合する方法は、例えば、ラミネーター、真空ラミネーター及びオートカットラミネーターを用いてもよい。また、透明導電層付き基材と転写フィルムとの貼合する方法は、透明導電層付き基材の材料に応じて、ロールツーロールで実施してもよい。
透明導電層付き基材に対する第1組成物層の転写及び透明導電層付き基材に対する第2感光性層の転写は、同時でも別々に実施してもよい。
〔光吸収層の形成方法〕
光吸収層の形成方法としては、例えば、塗布法及び後述する転写フィルムを用いる方法が挙げられる。
転写フィルムを用いる方法である場合、例えば、上記した組成物層を有する転写フィルムであって、組成物層上に、更に、光吸収層を形成し、組成物層及び光吸収層を有する転写フィルムを用いることが好ましい。
また、組成物層を有し、光吸収層を有さない転写フィルムを透明導電層付き基材に転写した後に、組成物層上に、更に光吸収層を形成する方法であってもよい。
〔その他層の形成方法〕
その他層の形成方法としては、例えば、塗布、真空蒸着、スパッタリング及びラミネート等の公知の方法が挙げられる。
[積層体の用途]
本発明の積層体は、種々の装置に適用することができる。上記積層体を備えた装置としては、例えば、入力装置が挙げられ、タッチパネルが好ましく、静電容量型タッチパネルがより好ましい。上記入力装置は、例えば、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)表示装置及び液晶表示装置等の表示装置に適用できる。
また、本発明の積層体の製造方法は、例えば、透明ヒーター、透明アンテナ、電磁波シールド材、及び、調光フィルム等の導電膜の製造;プリント配線板及び半導体パッケージの製造;半導体チップ及びパッケージ間のインターコネクト用のピラー及びピンの製造;メタルマスクの製造;COF(Chip on Film)及びTAB(Tape Automated Bonding)等のテープ基材の製造;に適用できる。
[パターン形成方法]
パターン形成方法は、積層体中の第1感光性層及び第2感光性層に対して露光処理及び現像処理を実施して、パターンを形成する方法であって、
第1感光性層を露光する工程と、
第2感光性層を露光する工程と、
露光された第1感光性層及び露光された第2感光性層を現像して、第1パターン及び第2パターンを形成する現像工程と含む。
〔露光工程〕
パターン形成方法は、露光工程として、第1感光性層を露光する工程と、第2感光性層を露光する工程とを含む。つまり、パターン形成方法は、第1感光性層の基材とは反対側の面、及び、第2感光性層の基材とは反対側の面の双方から露光する工程を含む。第1感光性層を露光する工程と、第2感光性層を露光する工程とは、逐次に実施してもよく、同時に実施してもよい。換言すると、第1感光性層を第1感光性層の基材とは反対側の面から露光した後に、第2感光性層を第2感光性層の基材とは反対側の面から露光してもよく、第2感光性層を第2感光性層の基材とは反対側の面から露光した後に、第1感光性層を第1感光性層の基材とは反対側の面から露光してもよい。
また、第1感光性層を第1感光性層の基材とは反対側の面と、第2感光性層を第2感光性層の基材とは反対側の面とから同時に露光してもよい。
露光工程により露光された感光性層は、露光部と未露光部との間で、現像液に対する溶解性が変化する。例えば、感光性層がポジ型感光性層である場合、感光性層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が増大する。一方で、例えば、感光性層がネガ型感光性層である場合、感光性層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が低下する。
露光する方法としては、例えば、公知の方法が挙げられる。
具体的には、フォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、第1感光性層と露光光源との間にフォトマスクを配置することで、フォトマスクを介して第1感光性層をパターン露光できる。第1感光性層をパターン露光することで、第1感光性層において露光部及び未露光部を形成できる。
露光工程においては、解像性がより優れる点で、組成物層又は仮支持体とフォトマスクとを接触させて露光(以下、「コンタクト露光」ともいう。)することが好ましい。
露光工程においては、上記コンタクト露光以外に、プロキシミティ露光、レンズ系又はミラー系プロジェクション露光方式及び露光レーザー等を用いたダイレクト露光方式を用いてもよい。
レンズ系プロジェクション露光方式は、解像力及び焦点深度に応じて、適当なレンズの開口数(NA)を有する露光機を使用できる。ダイレクト露光方式は、直接感光性層に描画を行ってもよいし、レンズを介して感光性層に縮小投影露光をしてもよい。また、露光は大気下、減圧又は真空下で露光してもよく、露光光源と感光性層の間に水等の液体を介在させて露光してもよい。
組成物層上に仮支持体が配置されている場合、仮支持体を介して感光性層を露光してもよく、感光性層から仮支持体を剥離した後に感光性層を露光してもよい。コンタクト露光によって感光性層を露光する場合、フォトマスクの汚染及びフォトマスクに付着した異物による露光への影響を避ける点で、仮支持体を介して感光性層を露光することが好ましい。仮支持体を介して感光性層を露光した場合、仮支持体を剥離した後に、後述する第1現像工程を実施することが好ましい。
仮支持体を介して感光性層を露光する場合に用いられる仮支持体は、露光の際に照射される光を透過可能なフィルムであることが好ましい。また、上記仮支持体としては、転写フィルムが有する仮支持体も好ましい。
露光工程において、第1感光性層の基材とは反対側の面に対する露光波長の主波長λと、第2感光性層の基材とは反対側の面に対する露光波長の主波長λとは、同一又は異なっていてもよい。
主波長λ及び主波長λは、10~450nmの場合が多く、300~450nmが好ましく、350~450nmがより好ましく、365nm又は436nmが更に好ましい。
露光量は、5~1000mJ/cmが好ましく、10~500mJ/cmがより好ましく、10~200mJ/cmが更に好ましい。露光量は、光源照度及び露光時間により決定される。また、露光量は、公知の光量計を用いて測定してもよい。
露光光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
露光工程においては、フォトマスクを用いずに、感光性層を露光してもよい。
フォトマスクを用いずに感光性層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」ともいう。)、例えば、直接描画装置を用いて感光性層を露光できる。
直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことができる装置である。
マスクレス露光における露光光源としては、例えば、波長350~410nmの光を照射可能な、レーザ(例えば、半導体レーザ、ガスレーザ及び固体レーザ等)及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯等)が挙げられる。マスクレス露光における露光波長の主波長λと、第2感光性層露光工程における露光波長の主波長λとは、同じであっても、異なっていてもよい。
露光波長は、上述のとおりである。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定できる。描画パターンは、コンピュータによって制御できる。
〔第1現像工程及び第2現像工程〕
第1現像工程は、露光された第1感光性層を現像して第1パターンを形成する工程であり、第2現像工程は、露光された第2感光性層を現像して第2パターンを形成する工程である。第1現像工程及び第2現像工程は、逐次に実施してもよく、同時に実施してもよい。換言すると、第1現像工程後に、第2現像工程を実施してもよく、第2現像工程後に、第1現像工程を実施してもよい。また、第1現像工程と第2現像工程とを同時に実施してもよい。
現像方法としては、例えば、公知の方法を利用できる。
具体期的には、現像液を用いる方法が挙げられる。
現像液としては、例えば、特開平5-072724号公報及び国際公開第2015/093271号の段落[0194]に記載された現像液が挙げられる。
現像液は、pKaが7~13の化合物を含むアルカリ水溶液系の現像液であることが好ましい。上記アルカリ水溶液系の現像液において、pKaが7~13の化合物の濃度は、0.05~5mol/Lが好ましい。
現像液は、上記以外の成分に、例えば、水と混和性を有する有機溶剤(水溶性有機溶剤)及び界面活性剤を含んでいてもよい。
現像液の温度は、20~40℃が好ましい。
現像方式としては、例えば、公知の方法を利用できる。現像方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー、スピン現像及びディップ現像が挙げられる。
パターン形成方法の好適な一実施形態としては、第1感光性層を露光する工程及び第2感光性層を露光する工程が同時に行われ、且つ、第1現像工程及び第2現像工程が同時に行われる実施形態が挙げられる。上記実施形態によれば、露光後から現像開始までの時間及び環境を同一にできるため、製品品質を安定にすることが容易となるほか、工程長を短くでき、プロセスコストを削減できる。
また、パターン形成方法の好適な他の実施形態としては、第1感光性層を露光する工程及び第2感光性層を露光する工程が別々に行われ、又は、第1現像工程及び第2現像工程が別々に行われるのが好ましい。例えば、第1感光性層及び第2感光性層に関して露光後の反応進行速度が大幅に異なる場合、又は、異なる露光光源を感光性層から離して配置する必要がある場合、第1感光性層を露光する工程及び第2感光性層を露光する工程は別々に行われるのが好ましい。また、例えば、第1感光性層の現像に使用される現像液と第2感光性層の現像に使用される現像液とが異なる場合には、第1現像工程及び第2現像工程は別々に行われるのが好ましい。
〔エッチング工程〕
パターン形成方法は、第1現像工程及び第2現像工程後に、エッチング工程を有することも好ましい。
エッチング工程は、第1パターンをマスクとして用いて第1透明導電層をエッチングする工程及び第2パターンをマスクとして用いて第2透明導電層をエッチングする工程の少なくとも一方を実施する工程である。
エッチング工程を実施することで基材上に、第1透明導電層のパターン及び/又は第2透明導電層のパターンを形成できる。
エッチングとしては、例えば、ドライエッチング及びウェットエッチングが挙げられる。エッチングは、真空プロセスが不要であり、プロセスが簡便である点で、ウェットエッチングが好ましい。エッチングとしては、例えば、特開2010-152155号公報の段落[0048]~[0054]に記載された方法も挙げられる。
ウェットエッチングにおいて用いられるエッチング液としては、例えば、酸性エッチング液及びアルカリ性エッチング液が挙げられる。
酸性エッチング液としては、例えば、酸性成分(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸及びリン酸)を含む水溶液、及び、酸性成分と塩(例えば、塩化第二鉄、フッ化アンモニウム、硝酸鉄及び過マンガン酸カリウム)とを含む水溶液が挙げられる。
酸性エッチング液は、酸性成分が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。また、酸性エッチング液は、塩が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
アルカリ性エッチング液としては、例えば、アルカリ成分〔例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン及び有機アミンの塩(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等〕等を含む水溶液及びアルカリ成分と塩(例えば、過マンガン酸カリウム)とを含む水溶液が挙げられる。
アルカリ性エッチング液は、アルカリ成分が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。また、アルカリ性エッチング液は、塩が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
エッチング液は、エッチングレートの制御の点で、防錆剤を含んでいてもよい。防錆剤としては、例えば、含窒素含有化合物(例えば、トリアゾール系化合物、イミダゾール系化合物及びテトラゾール系化合物等)が挙げられる。
エッチング液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。下限は、0℃以上の場合が多い。
本発明のパターン形成方法において、マスクとして用いられる第1パターン及びマスクとして用いられる第2パターンは、エッチング耐性がより優れる点で、60℃以下のエッチング液に対する耐性が優れていることが好ましい。
エッチング工程において、第1透明導電層及び第2透明導電層のエッチング処理は、同時に又は逐次に実施されてもよい。生産性がより向上する点で、第1透明導電層及び第2透明導電層のエッチング処理は、同時に行われるのが好ましい。
〔洗浄工程及び乾燥工程〕
本発明のパターン形成方法は、工程ラインの汚染を防ぐ点で、上記エッチング工程後に、必要に応じて、洗浄工程及び乾燥工程を含んでいてもよい。
洗浄工程としては、例えば、常温(例えば、25℃等)で純水を使用して、積層体を洗浄する方法が挙げられる。洗浄時間は、10~300秒の場合が多い。
乾燥工程としては、エアブローを使用して積層体を乾燥する方法が挙げられる。エアブロー圧は、0.1~5kg/cmが好ましい。
〔全面露光工程〕
本発明のパターン形成方法は、第1パターン及び第2パターンの少なくとも一方を全面露光する工程(以下、「全面露光工程」ともいう。)を含んでいてもよい。
全面露光工程は、後述する除去工程の前に実施されることが好ましい。本発明のパターン形成方法が全面露光工程を含むことで、現像後に残存したパターンの反応度を更に向上できる、及び/又は、後述する除去工程におけるパターンの除去性を向上できる効果を有する。
例えば、ポジ型感光性層により形成されたパターンは、全面露光工程によって、後述する除去工程における除去性が更に向上する。一方で、ネガ型感光性層により形成された樹脂パターンは、全面露光工程によって、硬化が更に進みプロセスに対する樹脂パターンの耐性が向上する。
なお、「全面露光」とは、基材上の第1パターン及び第2パターンが配置された領域を露光することを意図する。基材上の第1パターンが配置されていない領域及び基材上の第2パターンが配置されていない領域は、露光されてもよいし、露光されなくてもよい。簡便性がより優れる点で、基材上の全面が露光されるのが好ましい。
上記全面露光における露光光源としては、特に制限されず、公知の光源を利用できる。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
全面露光における露光波長は、上記両面露光工程における露光波長と同じであり、好適態様も同じである。
全面露光における露光量は、除去性の点で、5~1000mJ/cmが好ましく、10~800mJ/cmがより好ましく、100~500mJ/cmが更に好ましい。
全面露光における露光量は、除去性の点で、上記両面露光工程における露光量以上であることが好ましい。
全面露光における露光照度は、5~25000mW/cmが好ましく、20~20000mW/cmがより好ましく、30~15000mW/cmが更に好ましい。照度を大きくすることで全面露光に要する時間が短縮される。
〔加熱工程〕
本発明のパターン形成方法は、全面露光工程の間、全面露光工程の実施前、及び、後述する除去工程の実施前の少なくとも一方において、第1パターン及び第2パターンの少なくとも一方を加熱する工程(以下、「加熱工程」ともいう。)を含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法が加熱工程を含むことで、第1パターン及び第2パターンの除去を容易に行うことができる。例えば、ポジ型感光性層により形成されたパターンにおいては、光酸発生剤の反応速度、及び、発生酸とポジ型感光性組成物との反応速度を向上できるため、除去性能を向上できる。
加熱装置としては、特に制限されず、公知の加熱装置を利用できる。加熱装置としては、例えば、赤外線ヒーター、ホットブロワー及びコンベクションオーブンが挙げられる。
加熱温度は、除去性の点で、30~100℃が好ましく、30~80℃がより好ましく、30~60℃が更に好ましい。
加熱時間は、除去性の点で、1~600秒が好ましく、1~120秒がより好ましく、5~60秒が更に好ましい。ここで、「加熱時間」とは、基材表面が設定温度に到達した時から起算した時間を意味し、昇温中の時間は含まない。
加熱雰囲気は、空気(相対湿度:10~90%RH)であるのが好ましい。加熱雰囲気は、不活性ガス(例えば、窒素及びアルゴン)であってもよい。気圧は、常圧が好ましい。
基材上に多量の水が付着しているような場合、上記加熱工程の前及び加熱工程中の少なくとも一方において、加熱効率を高める観点から、エアナイフ等で余分な水を吹き飛ばす工程を組み合わせてもよい。
〔除去工程〕
本発明のパターン形成方法は、第1パターン及び第2パターンの少なくとも一方を除去する工程(以下、「除去工程」ともいう。)を含んでいてもよい。
第1パターン及び第2パターンを除去する方法としては、例えば、除去液等の薬品を使用する方法が挙げられ、具体的な一例として、積層体を除去液に浸漬する方法が挙げられる。
除去液としては、第1パターン及び第2パターンを溶解又は分散可能なものが好ましい。
除去液の温度は、30~80℃であるのが好ましく、50~80℃であるのがより好ましい。
除去液への浸漬時間は、1~30分間であるのが好ましい。
除去液は、除去性がより向上する点で、水を含むのが好ましい。
除去液中の水の含有量が、30質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上であるのがより好ましく、70質量%以上であるのが更に好ましい。
除去液としては、無機アルカリ成分又は有機アルカリ成分を含むのが好ましい。
無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。有機アルカリ成分としては、例えば、第1級~第3級のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
除去液としては、除去性がより向上する点で、有機アルカリ成分を含むのが好ましい。除去液中の有機アルカリ成分の含有量としては、除去性がより優れる点で、除去液の全質量に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。
除去液は、除去性の観点から、界面活性剤を含むのが好ましい。界面活性剤としては、特に制限されず、公知の界面活性剤を利用できる。
界面活性剤の含有量は、除去性の観点から、除去液の全質量に対して、0.1~10質量%であるのが好ましい。
除去液は、水溶性有機溶剤を含むのも好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、低級アルコール、グリコールエーテル、及びN-メチルピロリドンが挙げられる。
除去工程において除去液と樹脂パターンとを接触させる方法としては、例えば、スプレー法、シャワー法、及びパドル法が挙げられる。
除去液としては、特開平11-021483号公報、特開2002-129067号公報、特開平07-028254号公報、特開2001-188363号公報、特開平04-048633号公報、及び特許第5318773号公報に記載された剥離液を適用することもできる。
第1樹脂パターンの除去及び第2樹脂パターンの除去は、同時に行われても別々に行われてもよい。第1樹脂パターンの除去、及び第2樹脂パターンの除去は、生産性の観点から、同時に行われるのが好ましい。
〔ロールツーロール方式〕
本発明のパターン形成方法は、ロールツーロール方式により実施されるのが好ましい。
ロールツーロール方式としては、特に制限されず、公知のロールツーロール方式を利用できる。例えば、本発明のパターン形成方法において、少なくとも1つの工程の前後に、少なくとも積層体を巻き出す工程及び少なくとも積層体を巻き取る工程をそれぞれ設けることで、積層体を搬送しながら加工できる。
〔他の工程〕
本発明のパターン形成方法は、上記以外の工程を含んでいてもよい。
上記以外の工程としては、例えば、以下の工程が挙げられる。
<可視光線反射率を低下させる工程>
本発明のパターン形成方法は、第1透明導電層及び第2透明導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含んでいてもよい。
可視光線反射率を低下させる処理としては、例えば、酸化処理が挙げられる。例えば、第1透明導電層及び第2透明導電層が銅を含む場合、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、第1透明導電層及び第2透明導電層の可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理としては、例えば、特開2014-150118号公報の段落[0017]~[0025]、特開2013-206315号公報の段落[0041]、[0042]、[0048]及び[0058]に記載が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[転写フィルム]
積層体中の組成物層は、転写フィルムを用いて形成されることが好ましい。
転写フィルムは、仮支持体と、組成物層とを有する。転写フィルムは、更にその他部材(例えば、保護フィルム等)を有していてもよく、光吸収層を有していてもよい。
組成物層は、上述した第1組成物層及び第2組成物層と同じであり、好適態様も同じである。また、光吸収層は上述した光吸収層と同じであり、好適態様も同じである。
〔仮支持体〕
転写フィルムは、仮支持体を有する。
仮支持体は、感光性層を支持する部材であり、最終的には剥離処理により除去される。
仮支持体は、単層構造及び多層構造のいずれであってもよい。
仮支持体としては、フィルムが好ましく、樹脂フィルムがより好ましい。また、仮支持体としては、可撓性を有し、かつ、加圧下又は加圧下及び加熱下において、著しい変形、収縮又は伸びを生じないフィルムも好ましく、シワ等の変形及び傷がないフィルムも好ましい。
フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム及びポリカーボネートフィルムが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
仮支持体の厚みは、5~200μmが好ましく、取り扱いやすさ及び汎用性の点から、5~150μmがより好ましく、5~50μmが更に好ましく、5~25μmが特に好ましい。
仮支持体の厚みは、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出される。
仮支持体としては、例えば、厚み16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム及び厚み9μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
また、仮支持体としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0017]~[0018]、特開2016-027363号公報の段落[0019]~[0026]、国際公開第2012/081680号の段落[0041]~[0057]及び国際公開第2018/179370号の段落[0029]~[0040]も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
仮支持体の市販品としては、例えば、登録商標ルミラー16KS40及び登録商標ルミラー16FB40(以上、東レ社製);コスモシャインA4100、コスモシャインA4300及びコスモシャインA8300(以上、東洋紡社製)が挙げられる。
〔その他部材〕
転写フィルムは、上記部材以外に、その他部材を有していてもよい。
その他部材としては、例えば、保護フィルムが挙げられる。転写フィルムは、組成物層の仮支持体とは反対側の面に保護フィルムを有することが好ましい。
保護フィルムとしては、例えば、耐熱性及び耐溶剤性を有する樹脂フィルムが挙げられる。具体的には、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、並びに、ポリスチレンフィルムが挙げられる。また、保護フィルムとしては、上記仮支持体と同じ材料で構成された樹脂フィルムを用いてもよい。
なかでも、保護フィルムとしては、ポリオレフィンフィルムが好ましく、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムがより好ましい。
保護フィルムの平均厚みは、1~100μmが好ましく、5~50μmがより好ましく、5~40μmが更に好ましく、15~30μmが特に好ましい。
保護フィルムの厚みは、機械的強度に優れる点から、1μm以上が好ましく、比較的安価である点から、100μm以下が好ましい。
上記平均厚みの測定方法としては、上記基材の平均厚みの測定方法が挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。よって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
また、以下の実施例において、樹脂の重量平均分子量は、上記ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で求めた重量平均分子量(Mw)である。
[転写フィルム]
以下の各組成物を調製して、得られた各組成物を用いて以下の手順で転写フィルムを作製した。
〔感光性組成物〕
下記表1に示す成分及び配合で各感光性組成物を調製した。
表1中、各成分欄に記載の数値は、各成分の含有量(質量部)を表す。
<樹脂>
樹脂A1:スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル=32/28/40(質量%)の共重合体(Mw=40,000)
樹脂A2:スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル=50/28/22(質量%)の共重合体(Mw=60,000)
樹脂A3:メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸=81/19(質量%)の共重合体(Mw=40,000)
樹脂A4:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=80/20(質量%)の共重合体、(Mw=30,000)
<重合性化合物>
BPE-500:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、新中村化学工業社製
BPE-200:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、新中村化学工業社製
ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均15molのエチレンオキサイドと平均2molのプロピレンオキサイドとを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート
M-270:アロニックスM-270(ポリプロピレングリコールジアクリレート、東亞合成社製)
A-TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学工業社製
SR-454:エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、アルケマ社製
SR-502:エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、アルケマ社製
A-9300-1CL:カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、新中村化学工業社製
A-HD-N:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、新中村化学工業社製
8UX-015A:多官能ウレタンアクリレート化合物(大成ファインケミカル社製)
<重合開始剤>
B-CIM:2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(黒金化成社製)
1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]
<光吸収剤>
TINUVIN391:ベンゾトリアゾール化合物(極大吸収波長355nm、BASF社製)
<添加剤>
SB-PI 701:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(三洋貿易社製)
3-アセチル-7-(ジエチルアミノ)クマリン(富士フイルム和光純薬社製)
ロイコクリスタルバイオレット(東京化成工業社製)
N-フェニルグリシン(東京化成工業社製)
ブリリアントグリーン(東京化成工業社製)
CBT-1:カルボキシベンゾトリアゾール(城北化学工業社製)
1-(2-ジ-n-ブチルアミノメチル)-5-カルボキシルベンゾトリアゾールと1-(2-ジ-n-ブチルアミノメチル)-6-カルボキシルベンゾトリアゾールとの1:1(質量比)混合物
TDP-G:フェノチアジン(川口化学工業社製)
Irganox 245(BASF社製)
N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(富士フイルム和光純薬社製)
フェノチアジン(富士フイルム和光純薬社製)
フェニドン(東京化成工業社製)
メガファックF-552:フッ素系界面活性剤(DIC社製)
<溶剤>
メチルエチルケトン(三協化学社製、60質量部)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(昭和電工社製、40質量部)を含む混合溶剤を調製した。各感光性組成物の固形分濃度が13質量%となるように、得られた混合溶剤を使用した。
Figure 2022184732000027
〔中間層形成用組成物〕
下記の各成分を混合することにより中間層形成用組成物1を調製した。
イオン交換水:38.12質量部
メタノール(三菱ガス化学社製):57.17質量部
クラレポバール 4-88LA(ポリビニルアルコール、クラレ社製):3.22質量部
ポリビニルピロリドンK-30(日本触媒社製):1.49質量部
メガファックF-444(フッ素系界面活性剤、DIC社製):0.0035質量部
〔熱可塑性樹脂層形成用組成物〕
下記表に示す各成分を混合することにより熱可塑性樹脂層形成用組成物1を調製した。
<樹脂>
樹脂A5:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/アクリル酸共重合体=75/10/15(質量%)、重量平均分子量:30,000、ガラス転移温度:75℃、酸価:186mgKOH/g)
<色素>
B-1:下記の化合物
Figure 2022184732000028
<光酸発生剤>
C-1:下記の化合物(特開2013-047765号公報の段落[0227]に記載の化合物)
Figure 2022184732000029
<重合性化合物>
NKエステルA-DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業社製)
8UX-015A:多官能ウレタンアクリレート化合物(大成ファインケミカル社製)
アロニックスTO-2349:カルボキシ基を有する多官能アクリレート化合物(東亞合成社製)
<添加剤>
メガファックF-552:フッ素系界面活性剤(DIC社製)
フェノチアジン(富士フイルム和光純薬社製)
CBT-1:カルボキシベンゾトリアゾール(城北化学工業社製)
<溶剤>
MEK:メチルエチルケトン
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
表中の各成分の含有量の数値は、質量部である。
Figure 2022184732000030
〔仮支持体〕
仮支持体1は、以下の方法により作製された。
<粒子含有層形成用組成物>
下記に示す配合で、各成分を混合し、粒子含有層形成用組成物1を得た。粒子含有層用形成組成物1を調製後、6μmフィルター(F20、マーレフィルターシステムズ社製)にてろ過し、続いて、2×6ラジアルフロースーパーフォビック(ポリポア社製)を用いて、膜脱気した。
アクリルポリマー(AS-563A、ダイセルファインケム社製、固形分27.5質量%):167質量部
ノニオン系界面活性剤(ナロアクティーCL95、三洋化成工業社製、固形分100質量%):0.7質量部
アニオン系界面活性剤(ラピゾールA-90、日油社製、固形分1質量%に水で希釈):114.4質量部
カルナバワックス分散物(セロゾール524、中京油脂社製、固形分30質量%):7質量部
カルボジイミド化合物(カルボジライトV-02-L2、日清紡ケミカル社製、固形分10質量%に水で希釈):20.9質量部
マット剤(スノーテックスXL、日産化学株式会社製、固形分40質量%、平均粒子径50nm):2.8質量部
水:690.2質量部
<仮支持体の作製>
以下の手順で、仮支持体1を作製した。
(押出成形)
クエン酸キレート有機チタン錯体(特許第5575671号公報)を重合触媒として得られたポリエチレンテレフタレートのペレットを、含水率50ppm以下に乾燥させた後、直径30mmの1軸混練押出し機のホッパーに投入し、280℃で溶融して押出した。この溶融体(メルト)を、ろ過器(孔径2μm)を通した後、ダイから25℃の冷却ロールに押出し、未延伸フィルムを得た。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用いて冷却ロールに密着させた。
(延伸及び塗布)
固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、厚み16μmのポリエステルフィルムと厚み40nmの粒子含有層とを含む仮支持体を得た。
(a)縦延伸
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を75℃、延伸温度を90℃、延伸倍率を3.4倍、延伸速度を1300%/秒として実施した。
(b)塗布
縦延伸したフィルムの片面に、粒子含有層形成用組成物1を、製膜後40nmの厚みとなるように、バーコーターで塗布した。
(c)横延伸
上記縦延伸と塗布を行ったフィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
予熱温度:110℃
延伸温度:120℃
延伸倍率:4.2倍
延伸速度:50%/秒
(d)熱固定及び熱緩和
縦延伸及び横延伸を終えた後の2軸延伸フィルムを下記条件で熱固定した。
熱固定温度:227℃
熱固定時間:6秒
熱固定した後、テンター幅を縮め、下記条件で熱緩和した。
熱緩和温度:190℃
熱緩和率:4%
(e)巻き取り
熱固定及び熱緩和の後、両端をトリミングし、端部に幅10mmで押出し加工(ナーリング)した後、張力40kg/mで巻き取った。なお、幅は1.5m、巻長は6300mであった。得られたフィルムロールを仮支持体1とした。仮支持体1のヘイズは0.2%であった。なお、ヘイズはヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)を用いて全光ヘイズとして測定した。また、150℃、30分加熱による熱収縮率は、MD(搬送方向、Machine Direction)側で1.0%であり、TD(フィルムの面上において搬送方向と直交する方向、Transverse Direction)側で0.2%であった。また、粒子含有層の厚みは断面TEM写真から測定し、40nmであった。粒子含有層に含まれる粒子の平均粒径を、HT-7700型透過型電子顕微鏡(TEM、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、上述の方法で測定したところ、50nmであった。
〔転写フィルムの作製〕
得られた仮支持体1の上に、スリット状ノズルを用いて塗布幅が25cm、かつ、熱可塑性樹脂層1の膜厚3.0μmとなるように熱可塑性樹脂層形成用組成物1を塗布した。得られた塗膜を80℃で40秒間かけて乾燥し、仮支持体1上に、熱可塑性樹脂層1を形成した。
形成された熱可塑性樹脂層1の仮支持体とは反対側の表面上に、スリット状ノズルを用いて塗布幅が25cm、かつ、中間層1の膜厚が1.0μmとなるように中間層形成用組成物1を塗布した。得られた塗膜を80℃で40秒間かけて乾燥し、熱可塑性樹脂層1上に、中間層1を形成した。
更に、形成された中間層1の熱可塑性樹脂層1とは反対側の表面上に、スリット状ノズルを用いて塗布幅が25cm、かつ、感光性組成物層1の膜厚が4.0μmとなるように、感光性組成物1を塗布し、100℃で2分間乾燥して感光性組成物層1を形成した。得られた感光性樹脂層1の中間層1とは反対側の表面上に保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、厚さ:12μm)を貼り合わせて転写フィルム1(実施例1で用いた転写フィルム)を作製した。
<光吸収層>
積層体が光吸収層を有する場合、以下の手順で光吸収層1を形成した。
まず、下記表に従って、光吸収層形成用組成物1を調製した。
上記で得られた転写フィルムの保護フィルムを剥離し、露出した感光性組成物層の表面上に、スリット状ノズルを用いて、塗布幅が25cm、かつ、光吸収層1の膜厚が2μmとなるように光吸収層形成用組成物1を塗布した。得られた塗膜を80℃で40秒間かけて乾燥し、感光性組成物層1上に、光吸収層1を形成した。得られた光吸収層1の感光性組成物層1とは反対側の表面上に保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、厚さ:12μm)を貼り合わせて転写フィルム2(実施例9で用いた転写フィルム)を作製した。
(樹脂)
樹脂A5:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/アクリル酸共重合体=75/10/15(質量%)、重量平均分子量:30,000、ガラス転移温度:75℃、酸価:186mgKOH/g)
(重合性化合物)
NKエステルA-DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業社製)
8UX-015A:多官能ウレタンアクリレート化合物(大成ファインケミカル社製)
アロニックスTO-2349:カルボキシ基を有する多官能アクリレート化合物(東亞合成社製)
<光吸収剤>
TINUVIN391:ベンゾトリアゾール化合物(極大吸収波長355nm、BASF社製)
TINUVIN1577ED:トリアジン化合物(極大吸収波長274nm及び341nm、BASF社製)
TINUVIN400:トリアジン化合物(極大吸収波長336nm、BASF社製)
TINUVIN384-2:ベンゾトリアゾール化合物(極大吸収波長345nm、BASF社製)
UVINEL 3049:ベンゾフェノン化合物(極大吸収波長280nm及び348nm、BASF社製)
UVINEL 3039:シアノアクリレート化合物(極大吸収波長305nm、BASF社製)
サリチル酸2-エチルヘキシル:サリチル酸エステル化合物(極大吸収波長307nm)
KEMISORB 500:ベンゾオキサジン化合物(極大吸収波長315nm、338nm及び348nm、ケミプロ化成社製)
<添加剤>
メガファックF-552:フッ素系界面活性剤(DIC社製)
フェノチアジン(富士フイルム和光純薬社製)
CBT-1:カルボキシベンゾトリアゾール(城北化学工業社製)
<溶剤>
MEK:メチルエチルケトン
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
表中の各成分の含有量の数値は、質量部である。
Figure 2022184732000031
上記転写フィルム1及び上記転写フィルム2の作製手順を参考にして、後述する表4に示す積層体になるように、各種層形成用組成物を用いて各転写フィルムを作製した。例えば、実施例28では光吸収層形成用組成物1のかわりに光吸収層形成用組成物2を用いて得られた転写フィルムを用いて、積層体が形成されている。
また、実施例26、27、38及び39においては、熱可塑性樹脂層及び中間層を設けることなく、仮支持体1上に各種感光性組成物層を設けた転写フィルムを用いて、積層体が形成されている。
[透明導電層付き基材1]
基材1(ポリエステルフィルム、ルミラー(登録商標)#100-U34、東レ社製)上に、銀ナノ粒子及び樹脂を含むインク(DNS-0163I、ダイセル社製)をインクジェット法により塗布幅25cm、乾燥後の膜厚が1.0μmとなるよう塗布し、120℃で30分間焼成を行い、透明導電層付き基材1を形成した。なお、透明導電層付き基材1は、表5に示すように、透明導電層1と、基材1と、透明導電層1とをこの順で有する態様に該当する。
[透明導電層付き基材2]
基材1(ポリエステルフィルム、ルミラー(登録商標)#100-U34、東レ社製)の一方の表面上に、光吸収層2の膜厚が2μmとなるように光吸収層形成用組成物2を塗布した。得られた塗膜を80℃で40秒間かけて乾燥し、基材1上に、光吸収層2を形成した。次に、光吸収層2の表面上に、銀ナノ粒子及び樹脂を含むインク(DNS-0163I、ダイセル社製)をインクジェット法により塗布幅25cm、乾燥後の膜厚が1.0μmとなるよう塗布し、120℃で30分間焼成を行い、光吸収層2の表面上に透明導電層1を形成した。更に、基材1の他方の表面上にも同様の手順で透明導電層1を形成して、基材1の両面に透明導電層1を有する透明導電層付き基材2を得た。
[透明導電層付き光吸収基材]
基材1(ポリエステルフィルム、ルミラー(登録商標)#100-U34、東レ社製)をトルエンに溶解させ、樹脂を含む溶液を調製した。得られた溶液に、光吸収剤として下記化合物(TINUVIN1577ED)を上記樹脂の全質量に対して1質量%を添加した後、100μmの厚みになるように製膜して、基材2を得た。
Figure 2022184732000032
次に、銀ナノ粒子及び樹脂を含むインク(DNS-0163I、ダイセル社製)をインクジェット法により塗布幅25cm、乾燥後の膜厚が1.0μmとなるよう塗布し、120℃で30分焼成を行い、透明導電層付き光吸収基材2を形成した。なお、透明導電層付き光吸収基材2は、表4に示すように、透明導電層1と、基材2(又は基材2-1~2-8のいずれかの基材)と、透明導電層1とをこの順で有する態様に該当する。
下記に示す光吸収剤の種類及び樹脂に対する含有量に変更した以外は、上記透明導電層付き光吸収基材と同様の手順で、基材2-1~2-8のそれぞれの両面に透明導電層1を有する透明導電層付き光吸収基材を得た。
基材2-1:TINUVIN1577ED:トリアジン化合物(極大吸収波長274nm及び341nm、BASF社製)、2質量%
基材2-2:TINUVIN1577ED:トリアジン化合物(極大吸収波長274nm及び341nm、BASF社製)、0.4質量%
基材2-3:TINUVIN400:トリアジン化合物(極大吸収波長336nm、BASF社製)、1質量%
基材2-4:TINUVIN384-2:ベンゾトリアゾール化合物(極大吸収波長345nm、BASF社製)、1質量%
基材2-5:UVINEL 3049:ベンゾフェノン化合物(極大吸収波長280nm及び348nm、BASF社製)、1質量%
基材2-6:UVINEL 3039:シアノアクリレート化合物(極大吸収波長305nm、BASF社製)、1質量%
基材2-7:サリチル酸2-エチルヘキシル:サリチル酸エステル化合物(極大吸収波長307nm)、1質量%
基材2-8:KEMISORB 500:ベンゾオキサジン化合物(極大吸収波長315nm、338nm及び348nm、ケミプロ化成社製)、1質量%
[積層体]
下記表に示すとおりに、それぞれ、透明導電層を有する基材に対して、各転写フィルムから保護フィルムを剥がした後、ロール温度100℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/分のラミネート条件で、それぞれ、透明導電層を有する基材の両面に各転写フィルムを貼合させ、各積層体を作製した。
なお、比較例1~2、及び、実施例1~8、17~27においては、後述する表4に示す種類の光吸収層を含む各種透明導電層付き光吸収基材に対して、光吸収層を有さない転写フィルムを貼合させて積層体を作製した。
また、実施例9~16、及び、実施例28~39においては、透明導電層付き基材1に対して、後述する表5に示す種類の光吸収層を含む転写フィルムを貼合させて積層体を作製した。
また、実施例40においては、透明導電層付き基材2に対して、後述する表5に示す光吸収層を含む転写フィルムを貼合させて積層体を作製した。
[測定及び評価]
〔露光かぶり〕
上記で得られた各積層体において、仮支持体を剥離せずに、線幅20μmのラインアンドスペース(L/S=1/1)のフォトマスクを介して超高圧水銀灯を用いて、下記表に示す主波長及び入射露光量で第1組成物層及び第2組成物層を両面露光した。両面露光の際に、ラインアンドスペースのフォトマスクのパターンがお互いに重ならないように配置した。つまり、一方のフォトマスクのスペースから通過した光は第1組成物層及び第2組成物層を通過し、他方のフォトマスクで遮光される。もう一方側も同様に、どちらか片方だけの光で露光されるようにした。露光後、1時間放置した後に仮支持体を剥離して、両面を同時に現像した。
現像は、28℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用いてシャワー現像を30秒間行った。
なお、主波長436nmで露光する場合、露光光源とフォトマスクとの間にバンドパスフィルター(HB0436、朝日分光社製)を配置して、バンドパスフィルターを介して第1組成物層又は第2組成物層を露光した。
なお、転写フィルムが、第1組成物層のうち第1感光性層のみ、及び、第2組成物層のうち第2感光性層のみを有する場合、露光対象は、第1感光性層及び第2感光性層である。
得られた両面のパターンを観察して、露光かぶりを以下のように評価した。
A:倍率50倍の光学顕微鏡で観察しても、肉眼で観察しても、残渣が確認できない。
B:倍率50倍の光学顕微鏡で観察すると僅かに残渣が確認され、肉眼で観察すると残が確認できない。
C:倍率50倍の光学顕微鏡で観察しても、肉眼で観察しても、残渣が確認できる。
〔解像性〕
線幅が3~10μmのうち、1μmずつ変更したラインアンドスペース(L/S=1/1)のフォトマスクを用意した。
上記フォトマスクを用いて、下記表に示す主波長及び入射露光量で第1組成物層又は第2組成物層を両面露光した後、1時間放置した後に仮支持体を剥離して、両面を同時に現像した。現像は、28℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用いてシャワー現像を30秒間行い、パターンを得た。得られた両面のパターンを観察して、パターン間に光学顕微鏡で残渣がなくパターンが得られる最小線幅を求め、以下の基準に従って解像性を評価した。
なお、転写フィルムが、第1組成物層のうち第1感光性層のみ、及び、第2組成物層のうち第2感光性層のみを有する場合、露光対象は、第1感光性層及び第2感光性層である。
A:最小線幅が、3~6μm
B:最小線幅が、7~10μm
C:線幅10μmで残渣が確認された(最小線幅が、10μm超)。
表4及び5に評価結果を示す。
表4及び5中、各記載は以下を示す。
「積層体の構成」欄は、各積層体の層構成を示す。
「積層体の構成」欄が「1」である場合:第1熱可塑性樹脂層、第1中間層及び第1感光性層(第1組成物層)/第1透明導電層/基材/第2透明導電層/第2感光性層、第2中間層及び第2熱可塑性樹脂層(第2組成物層)をこの順で有する積層体である。
「積層体の構成」欄が「1-1」である場合:第1感光性層/第1透明導電層/基材/第2透明導電層/第2感光性層をこの順で有する積層体である。
「積層体の構成」欄が「2」である場合:第1熱可塑性樹脂層、第1中間層及び第1感光性層(第1組成物層)/光吸収層/第1透明導電層/基材/第2透明導電層/第2感光性層、第2中間層及び第2熱可塑性樹脂層(第2組成物層)をこの順で有する積層体である。
「積層体の構成」欄が「2-1」である場合:第1感光性層/光吸収層/第1透明導電層/基材/第2透明導電層/第2感光性層をこの順で有する積層体である。
「積層体の構成」欄が「3」である場合:第1熱可塑性樹脂層、第1中間層及び第1感光性層(第1組成物層)/第1透明導電層/光吸収層/基材/第2透明導電層/第2感光性層、第2中間層及び第2熱可塑性樹脂層(第2組成物層)をこの順で有する積層体である。
「特定波長透過率」欄が「A」である場合:基材の波長365nm、波長405nm及び波長436nmのうち少なくとも1つにおける透過率が20%以下であることを示す。
「特定波長透過率」欄が「B」である場合:基材の波長365nm、波長405nm及び波長436nmにおける透過率がいずれも20%超であることを示す。
「特定基材」欄が「A」である場合:基材の波長350~450nmにおける最低透過率が70%以上であることを示す。
「特定基材」欄が「B」である場合:基材の波長350~450nmにおける最低透過率が70%未満であることを示す。
各層の欄における数値は、各層を形成するために用いた各組成物の種類を示す。具体的には、「第1熱可塑性樹脂層」の欄が「1」である場合、熱可塑性樹脂層形成用組成物1を用いたことを意味し、「第1感光性組成物層」の欄が「3」である場合、感光性組成物3を用いたことを意味し、「光吸収層」の欄が「1」である場合、光吸収層形成用組成物1を用いたことを意味する。
Figure 2022184732000033
Figure 2022184732000034
表4及び5の結果から、本発明の積層体によれば、本発明の所望の効果が得られることが確認された。
光吸収剤の含有量が、光吸収基材の全質量に対して、0.5~5.0質量%である場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例1、17及び18)。
光吸収剤の含有量が、光吸収層の全質量に対して、1.0~5.0質量%である場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例28~30)。
光吸収剤が、ベンゾトリアゾール化合物及びトリアジン化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例1、17及び19~24、並びに、9、28、29及び31~36)。

Claims (15)

  1. 第1組成物層と、第1透明導電層と、基材と、第2透明導電層と、第2組成物層とをこの順に有する積層体であって、
    前記第1組成物層が、第1感光性層を有し、
    前記第2組成物層が、第2感光性層を有し、
    要件1~要件3の少なくとも1つを満たす、積層体。
    要件1:前記基材が、波長200~450nmの範囲に極大吸収波長を有する光吸収剤を含む光吸収基材である。
    要件2:前記基材が透明基材であり、前記積層体が前記第1感光性層と前記第2感光性層との間に、更に前記光吸収剤を含む層を有する。
    要件3:前記基材の波長350~450nmにおける最低透過率が70%以上であり、前記積層体が前記第1感光性層と前記第2感光性層との間に、更に前記光吸収剤を含む層を有する。
  2. 前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層の少なくとも一方が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記要件2及び前記要件3の少なくとも1つを満たし、
    前記光吸収剤を含む層が、前記第1感光性層と前記第1透明導電層との間、又は、前記第2感光性層と前記第2透明導電層との間に配置される、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記要件2及び前記要件3の少なくとも1つを満たし、
    前記光吸収剤を含む層が、前記第1透明導電層と前記透明基材との間、又は、前記第2透明導電層と前記透明基材との間に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記要件1を満たす、請求項1又は2に記載の積層体。
  6. 前記第1組成物層及び前記第2組成物層の少なくとも一方が、中間層及び熱可塑性樹脂層からなる群から選択される少なくとも1つを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記第1感光性層及び前記第2感光性層が、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記第1感光性層及び前記第2感光性層が、複素環化合物を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記光吸収剤の分子量が、20000以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 第1透明導電層と、基材と、第2透明導電層とをこの順で有する透明導電層付き基材であって、
    前記基材の波長550nmの透過率が、70%以上であり、
    前記基材の波長365nm、波長405nm及び波長436nmのうち少なくとも1つの透過率が、20%以下である、透明導電層付き基材。
  11. 前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層の少なくとも一方が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項10に記載の透明導電層付き基材。
  12. 前記基材が、波長200~450nmの範囲に極大吸収波長を有する光吸収剤を含む光吸収基材である、請求項10又は11に記載の透明導電層付き基材。
  13. 前記光吸収剤の分子量が、20000以下である、請求項12に記載の透明導電層付き基材。
  14. 請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体中の前記第1感光性層及び前記第2感光性層に対して露光処理及び現像処理を実施して、パターンを形成する方法であって、
    前記第1感光性層を露光する工程と、
    前記第2感光性層を露光する工程と、
    露光された第1感光性層及び露光された第2感光性層を現像して、パターンを形成する現像工程と含む、パターン形成方法。
  15. 前記第1感光性層を露光する工程と、前記第2感光性層を露光する工程とが、同時又は逐次に行われる、請求項14に記載のパターン形成方法。
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