JP2022184346A - 鋼塊管理システム、鋼塊管理方法及び鋼塊割当計画装置 - Google Patents

鋼塊管理システム、鋼塊管理方法及び鋼塊割当計画装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の保温炉を備える鋼塊の中間仕掛りに関し、保温炉の燃料コストと鋼塊の移動コストからなるトータルの仕掛管理コストを低減する。【解決手段】本発明の鋼塊の仕掛在庫管理を行う鋼塊管理システムは、鋼塊を保管する保温炉103と、保温炉を温度維持するための単位時間当たりの燃料コストと、鋼塊を保温炉に投入する際と鋼塊を保温炉から払い出す際と鋼塊を保温炉間で移動する際の単位距離当たりの移動コストと、を記憶する記憶部106と、記憶部を参照し保温炉の総燃料コストと鋼塊の総移動コストとから求まる仕掛管理コストが最小となる鋼塊の保温炉への割当パターンを計画する割当計画部108と、を有する鋼塊割当計画装置104と、前記鋼塊割当計画装置で計画した鋼塊の割当パターンに従って、鋼塊の保温炉への投入と鋼塊の保温炉からの払出と鋼塊の保温炉間の移動を行う搬送装置102と、を備えるようにした。【選択図】 図1

Description

本発明は、保温炉により鋼塊を中間仕掛りとして在庫管理する鋼塊管理システム、鋼塊管理方法及び鋼塊割当計画装置に関する。
多品種混流生産方式で鋼製品を製造する場合に、溶鋼炉にて所望の成分に調整した溶鋼を鋳造し、鋼塊と呼ばれる中間製品を複数量一括で製造し、その後、一定量の鋼塊をまとめて保温炉に投入して一括で均熱処理を施し、鍛造・圧延等の処理により所望の形状の製品に加工する生産方式がある。この生産方式では、一括で製造される鋼塊群の構成内容と、一括で均熱処理可能な鋼塊群の構成内容が異なるため、鋳造工程と均熱工程の間で鋼塊の中間仕掛在庫を持つ必要がある。
特許文献1には、この中間仕掛在庫を管理する技術として、「どのスラブをどの将来山に割り当てるか決める山分け工程と、スラブをどのようなロットに分割するか決めるロット分け工程と、該ロット分け工程で決めたロットをどういう順番で生成するかを決めるロット生成順決定工程と、該ロット生成順決定工程で決めたロット生成順を実行するためのハンドリング装置の作業指示を生成する作業指示生成工程と、対象スラブを掘り出す際の邪魔なスラブをどこに退避させるか決める空き地番決定工程を有する。」ことが開示されている。
また、特許文献2には、「ヤード管理装置100は、搬送順変数x(s,s')、仮山割当変数p(iα,t)、及び仮山有無変数q(t)を決定変数として、移動鋼材の仮置きが必要になる条件を定めた仮置発生制約式と、移動鋼材を同一の仮山に配置することができる条件を定めた同一仮置場配置可能制約式を含む制約式を満足する範囲で、仮置きされる移動鋼材の数と、仮山の数とを評価指標として含む目的関数Jの値が最小になるときの決定変数を導出する。」ことが開示されている。
特開2007-084201号公報 特開2020-106922号公報
上記の先行技術によれば、中間仕掛在庫における鋼塊の移動コストを低減することができるが、中間仕掛在庫する鋼塊を温度管理する場合に生じる保温炉の燃料コストについては考慮されていない。
例えば、特許文献1の技術に基づいて、鋼塊の移動コストを低減する一方で、異なる種類の鋼塊同士が積み重ならないよう山を複数に分割して配置するため、鋼塊を収容する保温炉の数が増えて、保温炉の運用する燃料コストの増大を引き起こす問題がある。
また、特許文献2の技術によれば、限られた保温炉に多くの鋼塊を詰込むことが可能になるが、稼働している保温炉の数が同じ限り、燃料コストを低減できないため、移動コストと燃料コストとから成るトータルの仕掛管理コストの最適化が図られているとは限らない問題がある。
本発明の目的は、複数の保温炉を備える鋼塊の中間仕掛りに関し、保温炉の燃料コストと鋼塊の移動コストからなるトータルの仕掛管理コストを低減する、鋼塊管理システム、鋼塊管理方法及び鋼塊割当計画装置を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明の鋼塊の仕掛在庫管理を行う鋼塊管理システムは、鋼塊を保管する保温炉と、前記保温炉を温度維持するための単位時間当たりの燃料コストと、鋼塊を前記保温炉に投入する際と鋼塊を前記保温炉から払い出す際と鋼塊を前記保温炉間で移動する際の単位距離当たりの移動コストと、を記憶する記憶部と、前記記憶部を参照し前記保温炉の総燃料コストと前記鋼塊の総移動コストとから求まる仕掛管理コストが最小となる鋼塊の前記保温炉への割当パターンを計画する割当計画部と、を有する鋼塊割当計画装置と、前記鋼塊割当計画装置で計画した鋼塊の割当パターンに従って、鋼塊の保温炉への投入と鋼塊の保温炉からの払出と鋼塊の保温炉間の移動を行う搬送装置と、を備えるようにした。
また、本発明の鋼塊を保温炉に保管して鋼塊の仕掛在庫管理を行う鋼塊管理システムの鋼塊管理方法は、前記鋼塊を前記保温炉に割当てる複数の割当パターンを生成するステップと、前記割当パターンのそれぞれで、前記保温炉の温度維持するための総燃料コストと、鋼塊を前記保温炉に投入する際と鋼塊を前記保温炉から払い出す際と鋼塊を前記保温炉間で移動する際の総移動コストと、の重み付き線形和を評価指標として算出するステップと、前記評価指標が最小の割当パターンを抽出するステップと、抽出した前記割当パターンに従って、搬送装置により鋼塊の保温炉への投入、鋼塊の保温炉からの払出と鋼塊の保温炉間の移動を行うステップと、を有するようにした。
本発明によれば、複数の保温炉を備える鋼塊の中間仕掛りに関し、保温炉の燃料コストと鋼塊の移動コストからなるトータルの仕掛管理コストを低減することができる。
鋼塊の中間仕掛在庫を行うシステムの構成を示す図である。 鋼塊割当計画装置を実現する情報処理装置の構成を示す図である。 計画担当者が鋼塊割当計画装置を直接操作する場合を説明する図である。 保温炉情報の構成を説明する図である。 鋼塊情報の構成を説明する図である。 投入情報・払出情報の構成を説明する図である。 保温炉に保管される鋼塊a、b、c、d、eの占有状態を示すイメージ図である。 鋼塊の負荷A、B、C、D、Eに対し、当該負荷以外の負荷の投入・払出日時を分割点として、時間軸方向に分割すること説明する図である。 鋼塊a、b、c、d、eの炉Aと炉Bの保温炉への割当状態の一例を示すイメージ図である。 炉Aにおいて、鋼塊bを払出した際に鋼塊dを炉Aから炉Bに移動する様子を示す図である。 計画情報の構成の一例を示す図である。 計画情報が表示され、可視化される計画結果表示画面の一例である。 鋼塊割当計画装置の処理フロー図である。 鋼塊a、bが保温炉内に平たく保管された状態(平置状態)を示す図である。 鋼塊a、bがそれぞれ保温炉内に炉の高さ方向に保管された状態(縦積状態)を示す図である。 鋼塊aが鋼塊bより先より払出され、鋼塊aと鋼塊bとで干渉が生じた(退避元の)保温炉と鋼塊の退避先候補の保温炉の負荷の状態を示す図である。 鋼塊bの退避後の、保温炉の負荷の状態を示す図である。 鋼塊の干渉を考慮して鋼塊の保温炉への炉内配置計画を追加した鋼塊割当計画装置の構成図である。 保温炉情報の他の構成を説明する図である。 鋼塊情報の他の構成を説明する図である。 退避先情報の構成を説明する図である。 鋼塊割当計画装置の他の処理フロー図である。 干渉する鋼塊の退避先を計画する処理の詳細フローである。 計画情報の他の構成の一例を示す図である。 保温炉内の鋼塊配置表示画面の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態の鋼塊管理システムが適用される鋳造工程と均熱工程の間で鋼塊の中間仕掛在庫を行うシステムの構成を示す図である。
仕掛在庫置場101は、鋳造工程(上工程)で製造された鋼塊を、温度を一定に保持したまま保管する複数の保温炉103と、鋼塊を鋳造工程から所定の保温炉103に投入すると共に、保温炉103から鋼塊を取り出して均熱工程(下工程)に払い出しする複数の搬送装置102を備える。
鋼塊割当計画装置104は、実施形態の鋼塊管理システム(鋼塊管理方法)に係る仕掛在庫置場101の鋼塊の投入・払出の計画を行う制御装置である。
鋼塊割当計画装置104は、ネットワーク112を介して仕掛在庫置場101に接続され、搬送装置102と保温炉103とが、鋼塊割当計画装置104の計画に基づいて、保温炉の燃料コストと鋼塊の移動コストからなるトータルの仕掛管理コストを低減するように鋼塊管理を計画する。
鋼塊割当計画装置104は、後述する保温炉情報40と鋼塊情報50と投入情報・払出情報60の鋼塊の割当計画のための入力情報を記憶する記憶部106と、記憶部106の入力情報に基づいて、仕掛管理コストが最適になるように鋼塊の保温炉の割当と鋼塊の搬送を計画し、計画結果を計画情報70として記憶する割当計画部108と、計画結果を可視化する計画結果表示部109と、を備える。
作業実績収集装置110は、ネットワーク112を介して仕掛在庫置場101に接続し、保温炉103の動作状態や搬送装置102の動作状態を監視・収集する端末装置である。
作業指示装置111は、ネットワーク112を介して鋼塊割当計画装置104と仕掛在庫置場101に接続し、作業者が、保温炉情報40、鋼塊情報50と投入情報・払出情報60の設定を行うと共に、保温炉103と搬送装置102の動作を直接指示する端末装置である。
鋼塊割当計画装置104と作業実績収集装置110と作業指示装置111とは、図2に示す情報処理装置201により構成する。
情報処理装置201は、具体的には、キーボードやマウス等の入力装置202と、ディスプレイ等の出力装置203と、HDD等の補助記憶装置204と、中央演算処理装置(以下、CPU)206とROMやRAM等の主記憶装置207とから成る演算装置205と、ネットワーク112に接続するインターフェイス208と、を備えて構成される。
図1の鋼塊割当計画装置104は、補助記憶装置204に記憶されたプログラムを演算装置205が実行して、割当計画部108と計画結果表示部109の機能を実現する。また、保温炉情報40、鋼塊情報50と投入情報・払出情報60は、補助記憶装置204に記憶する。
なお、実施形態の鋼塊割当計画装置104の機能は、プログラムを実行して実現するだけでなく、ハードワイヤードロジックを含むハードウェアや、前記ハードウェアと、予めプログラムされた汎用情報処理装置により実現してもよい。
また、図1の鋼塊割当計画装置104では、図3に示すように、計画担当者301が鋼塊割当計画装置104を実現する情報処理装置201に、保温炉情報40と鋼塊情報50と投入情報・払出情報60の鋼塊割当計画に関する入力情報を入力(302)し、計画情報を得る(303)ようにしてもよい。
つぎに、図4により、保温炉情報40の構成を説明する。
保温炉情報40は、鋼塊の投入・払出の計画における、仕掛在庫置場101に設置されている保温炉103毎の燃料コストを算出するための情報である。保温炉情報40は、保温炉103の識別情報である保温炉名401と、保温炉名401で識別される保温炉103毎の、保温炉103の設置座標である設置位置402と、保温炉103の容量403と、保温炉103の単位燃料コスト404の情報から構成する。
単位燃料コスト404は、例えば、保温炉103を1時間稼働させる場合に必要な燃料費i円であり、当該保温炉をn時間稼働する場合の燃料コストをn×i円といったように算出する。
鋼塊割当計画装置104は、鋼塊の保管温度に応じて設定された複数の保温炉103について、保管温度毎に、鋼塊の保温炉103への投入・払い出しを計画する。図4の保温炉情報40は、ひとつの保管温度に係る情報を示しており、鋼塊割当計画装置104は、保管温度毎に、保温炉情報40を記憶部106に記憶する。以下の説明は、鋼塊と保温炉103の、ひとつの保管温度についての情報と処理を説明している。
図5に示す鋼塊情報50は、所定の保管温度の鋼塊の投入・払出の計画における投入元から保温炉103までの搬送、保温炉103から払出先までの搬送、及び保温炉103の間の移動に係る鋼塊毎の移動コストを算出するため情報である。鋼塊情報50は、鋼塊の識別情報である鋼塊名501と、鋼塊名501で識別される鋼塊毎の、鋼塊のサイズ(容積)を示す情報であるサイズ502と鋼塊の単位移動コスト503の情報から構成する。
サイズ502と保温炉情報40の容量403(図4参照)とは、同一基準の数値情報である。例えば、サイズ502が2で、容量403が50の場合には、保温炉103に鋼塊が25個投入可能であることを意味している。
単位移動コスト503は、例えば、鋼塊を1メートル移動させる場合に必要な移動費j円であり、投入元から保温炉103までの距離、保温炉103から払出先までの距離、または保温炉103の間の距離と、乗算することで、鋼塊の移動コストを求める。
図6に示す投入情報・払出情報60は、所定の保管温度の鋼塊の投入・払出の計画における入力情報であり、鋼塊の識別情報である鋼塊名601と、鋼塊名601で識別される鋼塊毎の、投入・払出する鋼塊の個数602と、鋳造工程から仕掛在庫置場101(保温炉103)に鋼塊を投入する投入日時603と、搬送装置102により搬送を開始する投入元位置604と、仕掛在庫置場101(保温炉103)から均熱工程に鋼塊を払い出す払出日時605と、搬送装置102により搬送する先の払出先位置606の情報から構成する。
投入元位置604は、鋼塊を保温炉103に投入する移動コストを算出する際に参照され、保温炉情報40の設置位置402(図4参照)と投入元位置604とから鋼塊を保温炉103に搬送する距離を求め、鋼塊情報50の単位移動コスト503(図5参照)を乗じて、移動コストを算出する。
払出先位置606も、同様に、鋼塊を保温炉103から払出する移動コストを算出する際に参照され、保温炉情報40の設置位置402と払出先位置606とから鋼塊を払出先に搬送する距離を求め、鋼塊情報50の単位移動コスト503を乗じて、移動コストを算出する。
後述するが、鋼塊を仕掛在庫置場101内の保温炉103間で移動する場合にも、保温炉情報40の設置位置402(図4参照)を参照して、鋼塊の移動距離を求め、鋼塊情報50の単位移動コスト503を乗じて、移動コストを算出する。
つぎに、所定期間における鋼塊割当計画装置104の鋼塊の保温炉103の割当と鋼塊の搬送を計画する処理の概要を図7A、図7B、図8A、図8Bにより説明する。
まず、割当計画部108(図1参照)は、投入情報・払出情報60を参照して、所定期間に保温炉103に投入・払出する鋼塊(鋼塊a、b、c、d、e)を特定し、鋼塊a、b、c、d、e毎に、投入情報・払出情報60(図6参照)の個数602と鋼塊情報50(図5参照)のサイズ502を乗じて、保温炉103に占めるサイズを算出する。さらに、そして、割当計画部108は、鋼塊a、b、c、d、e毎に、投入情報・払出情報60の投入日時603と払出日時605を参照して、鋼塊a、b、c、d、e毎に、鋼塊が保温炉103に占める日時幅を求める。
図7Aは、割当計画部108が求めた、保温炉103に保管される鋼塊a、b、c、d、eの占有状態を示すイメージ図である。図7Aは、横軸を時間、縦軸をサイズにし、鋼塊a、b、c、d、eを、上述の保温炉103に占めるサイズと占有する日時幅に対応する矩形図形で表現している。以下の説明では、鋼塊a、b、c、d、eの矩形図形を、鋼塊が保温炉103を占有する負荷と称する。
つぎに、割当計画部108は、図7Bに示すように、鋼塊の負荷A、B、C、D、Eのそれぞれについて、当該負荷以外の負荷の投入・払出日時を分割点として、時間軸方向に分割する。この分割点が、鋼塊の割当状態が変わるタイミングとなる。
鋼塊割当計画装置104は、この分割点を区切りに、鋼塊a、b、c、d、eの保温炉103への割当を計画する。
図8Aは、鋼塊a、b、c、d、eの炉Aと炉Bの保温炉103への割当状態の一例を示すイメージ図である。炉Aと炉Bの縦軸で示される炉の容量内に、鋼塊の負荷A、B、C、D、Eを配置して、鋼塊の割当状態を示している。なお、図8A等は工程管理に一般的に用いられるガントチャートをアレンジしたものである。
図8Aの横軸(時間)方向において、負荷A、B、C、D、Eが配置されている時間幅が、保温炉103が稼働している時間となり、少なくともこの期間で燃料コストが発生する。このため、鋼塊が投入されてから、保管する全ての鋼塊が払出されるまで鋼塊の保管時間(炉の稼働時間)、炉A、炉Bのそれぞれで燃料コストが発生する。
ここで、図8Bに示すように、炉Aにおいて、鋼塊bを払出した際に鋼塊dを炉Aから炉Bに移動することを考える。即ち、図8Aの炉Aにおいて、鋼塊Bを炉Aから払い出した後は、炉Aに残る鋼塊は鋼塊Dのみであることが図8Aから理解されるが、この炉Aに残る鋼塊Dを炉Bに移動する場合を考える(図8Bにおいて炉Aから炉Bに向けて下方に伸びる矢印参照)。
この場合には、炉Aは全ての鋼塊が払出された状態となるので、炉Aを稼働停止でき、これによって、炉Aの燃料コストを低減できる。これに対して、炉Bにおいては、鋼塊dの投入(移動)により、炉Bの稼働時間が増加することで、燃料コストが増加する。さらに、鋼塊dを炉Aから炉Bに移動する移動コスト(前記した下方に伸びる矢印の「移動コスト」との記載参照)が発生する。
割当計画部108は、図8Bにおける、炉Aの燃料コストの低減量が、炉Bの燃料コストの増加量と発生する移動コストの和より大きければ、図8Bの鋼塊a、b、c、d、eの炉Aと炉Bの保温炉103への割当状態を、鋼塊の保温炉103への割当計画と鋼塊の移動計画とする。
割当計画部108は、上記のように、保温炉103に保管している鋼塊の移動を含めて、保温炉103への鋼塊の割当パターンの全てを求め、それぞれの割当パターンにおける燃料コストと移動コストの総和を算出し、総和が最小となる割当パターンを求めて、鋼塊の割当計画とする。
すなわち、割当計画部108は、保温炉iの燃料コストti、移動jに係る移動コストsj、燃料コストの重み係数W、移動コストの重み係数Wとしたときの、鋼塊の割当パターンの評価指標Fを、次式の重み付き線形和とする。
Figure 2022184346000002
そして、割当計画部108は、全ての鋼塊の割当パターンの評価指標Fを算出して、評価指標Fが最小となる鋼塊の割当パターンを求めて、鋼塊の割当計画とする。
ここで、保温炉iの燃料コストtiは、保温炉iに鋼塊が保管されている時間と、保温炉情報40(図4参照)の単位燃料コスト404との積により算出する。
移動コストsjは、鋼塊の投入・搬出の移動距離または保温炉間の移動距離と、鋼塊情報50(図5参照)の単位移動コスト503との積により算出する。
燃料コストの重み係数Wと移動コストの重み係数Wは、燃料コストと移動コストの低減の優先度を示す係数である。例えば、保温炉103を稼働するための燃料供給に滞りが生じやすい場合に、燃料コストの重み係数Wを大きくして、移動コストを増加させてでも燃料コストを低減する。
割当計画部108は、数理計画法に基づいて、評価指標Fにより、保温炉の燃料コストと鋼塊の移動コストからなるトータルの仕掛管理コストが最小となる鋼塊の割当パターンを求める。具体的には、同一時間帯に同一保温炉に割り付けられた負荷のサイズの合計が、当該保温炉の容量を超えない限りにおいて、考えられる全ての割当パターンを全て調べ上げることで実現してもよいし、発見的手法などの公知のアルゴリズムにより実現してもよい。
割当計画部108が、鋼塊の保温炉103への割当を計画中に、いずれの割当パターンにおいても、負荷のサイズが炉の容量以内になる割当パターンが無い場合には、保温炉103の保管能力を超える入力のため、割当処理を中断する。そして、鋼塊割当計画装置104は、計画結果表示部109に、保温炉103の保管能力を超える入力のため、割当処理を中断する旨を表示し、投入情報・払出情報60(図6参照)の再入力を促す。
図9は、割当計画部108が、鋼塊の投入・払出日時を入力情報にして評価指標Fに基づいて求めた鋼塊の割当パターンの計画結果である計画情報70の構成の一例を示す図である。
計画情報70は、鋼塊の投入・払出日時701毎に、保温炉名702で示される保温炉103のそれぞれについて、保温炉103に保管される割当鋼塊703と、保温炉130の燃料コスト704と、鋼塊の移動コスト705と、投入・払出日時701における保温炉全体の仕掛管理コスト706を記憶する。
割当鋼塊703には、保温炉103に保管される鋼塊の鋼塊名と個数が記録されている。
計画情報70は、計画結果表示部109により、例えば、図10の計画結果表示画面1001のように指定された計画表示期間(例えば、2020/1/1~2020/1/10)の計画情報70が表示され、可視化される。
割当結果表示部1002は、計画情報70の投入・払出日時701が計画表示期間内の保温炉名702の保温炉毎に、割当鋼塊を合わせて表示する。
割当詳細表示部1003は、指定された保温炉の計画表示期間における鋼塊の時系列の保管状態を表示する。ここで、計画表示期間において他の保温炉に移動する鋼塊については、その移動先の保温炉を表示する。
コスト情報表示部1004は、計画表示期間における全ての保温炉130の燃料コスト704の合算値と移動コストの合算値と仕掛管理コスト706の合算値を表示する。
上記の説明では、ひとつの保管温度で鋼塊を保温炉に保管する場合について説明したが、複数の保管温度で鋼塊を保温炉に保管する場合には、保管温度毎に、上記の鋼塊割当計画を行えばよい。
つぎに、図11により、鋼塊割当計画装置104の処理フローを説明する。
ステップS101で、割当計画部108が、記憶部106の保温炉情報40と鋼塊情報50を読み込む。この処理は、鋼塊割当計画のたびに行う必要はなく、例えば仕掛在庫置場101に新たな保温炉103が新設された、あるいは保温炉103が故障した等の、情報に変更があったときに実行すればよい。
ステップS102で、割当計画部108が、割当計画の入力情報である記憶部106の鋼塊の投入情報・払出情報60を読み込む。
ステップS103で、割当計画部108は、図7Aで説明したように、投入情報・払出情報60の各鋼塊のサイズと個数を乗じて求めて保温炉103を占有する負荷を生成する。
ステップS104で、割当計画部108は、図7Bで説明したように、鋼塊の投入・払出日時を区切りに負荷を分割する。
ステップS105で、割当計画部108は、鋼塊の投入・払出日時を区切りに、保温炉103の間の移動を含め、保温炉10に負荷(鋼塊)を割当る全ての割当パターンを生成する。
ステップS106で、割当計画部108は、割当パターン毎に、評価指標を算出する。
ステップS107で、割当計画部108は、評価指標が最小の割当パターンを抽出して、保温炉103に鋼塊を割当る割当パターンとする。そして、これを計画情報70に記録し、割当計画処理を終了する。
上記では、全ての割当パターンの評価指標を算出する方法(S105~S107)を説明したが、割当計画処理の要求時間に応じて、数理計画問題の他の解法を適用してもよいし、発見的解法を適用してもよい。
上記のようにして、鋼塊の仕掛在庫管理を行う鋼塊管理システムは、鋼塊を保管する保温炉103と、保温炉103の単位燃料コスト404と、鋼塊を保温炉に投入する際と鋼塊を保温炉103から払い出す際と鋼塊を保温炉間で移動する際の単位距離当たりの単位移動コスト503と、を記憶する記憶部106と、記憶部106を参照して保温炉103の総燃料コストと鋼塊の総移動コストとの和から成る仕掛管理コストが最小となる鋼塊の保温炉103への割当パターンを計画する割当計画部108と、を有する鋼塊割当計画装置104と、鋼塊割当計画装置104で計画した鋼塊の割当パターンに従って、鋼塊の保温炉103への投入、鋼塊の保温炉103からの払出と鋼塊の保温炉間の移動を行う搬送装置102と、を備え、保温炉103の燃料コストと鋼塊の移動コストからなるトータルの仕掛管理コストを低減することができる。
つぎに、鋼塊の割当計画を行う際に、鋼塊の払出状態を考慮して割当計画する例について説明する。
図12A、図12Bは、2個の鋼塊a(鋼塊a1、a2)と2個の鋼塊b(鋼塊b1、b2)とを保温炉103に保管する際の保管状態を示す図である。保温炉103では、炉の上下方向(紙面の上下方向)から、鋼塊の投入・払出が行われる。
図12Aは、鋼塊a、bのそれぞれが保温炉103内に横並びに保管された状態(平置状態)を示し、図12Bは、鋼塊a、bがそれぞれ保温炉103内に炉の高さ方向に保管された状態(縦積状態)を示している。
鋼塊bより先に鋼塊aを払出する場合、図12Aの平置状態では、鋼塊b(鋼塊b1、b2)の退避が必要となり、移動コストが生じるため、図12Bの縦積状態で、鋼塊a、bが保温炉103内に保管することが望ましい。以後、図12Aのように、払出の際に鋼塊の退避が必要な状態を、鋼塊の干渉と称する。
詳細は後述するが、鋼塊割当計画装置104は、図11の処理フローで説明した割当計画処理で求めた鋼塊の割当パターンにおいて、鋼塊の干渉をチェックする。
つぎに、鋼塊が干渉している場合の処理について説明する。
図13Aと図13Bは、図8A等と同様に、保温炉103の負荷の状態を示す図である。
図13Aで、鋼塊aが鋼塊bより先に払出される予定で、鋼塊aと鋼塊bとで干渉が生じている(退避元の)保温炉103と鋼塊bの退避先候補の保温炉103の負荷の状態を示している。なお、図13Aと図13Bでは、鋼塊の干渉状態までは図示していない。
鋼塊割当計画装置104は、退避先の保温炉103に鋼塊bのサイズに相当する空き容量があることと、退避により鋼塊の干渉が生じないこと(鋼塊同士が非干渉)と、を退避条件に、干渉している鋼塊bの退避先候補保温炉への退避(移動)を計画する。この退避条件により、退避先の保温炉103で新たに干渉状態が生じないようにする。
図13Bは、鋼塊bの退避後の、保温炉103の負荷の状態を示す図である。退避先の保温炉103では、鋼塊bの退避による干渉は生じないが、鋼塊cの払出により保温炉103を停止する計画であった場合には、鋼塊bの退避により保温炉103の停止が延長され、燃料コストが生じる。
このように、鋼塊bの退避(移動)により、移動コストが生じると共に、退避先の保温炉103の燃料コストが増加することがあるので、計画した鋼塊の割当パターンを修正すると共に、割当計画により算出したトータルの仕掛管理コストを修正する。
なお、複数の保温炉103で退避条件を満たす場合には、移動コストと燃料コスト増加の和が小さい保温炉103を退避先に選択する。
ところで、鋼塊bの退避にあたり、鋼塊bの保管温度範囲が大きい場合には、短時間であれば鋼塊bの温度変化が許容されるので、保温炉103以外の場所に一時退避するようにする。この場合には、鋼塊aの払出後、鋼塊bを元の保温炉103に復帰(一時退避場から元の保温炉103に移動)すると共に、退避と復帰の往復(退避距離と復帰距離)の移動コストが生じるよう計画する。
上記では、退避先が稼働中の保温炉103の場合には、鋼塊の退避により、計画した鋼塊の割当パターンと仕掛管理コストを修正することを説明したが、稼働中の保温炉103に、鋼塊を一時退避するようにしてもよい。
図14は、上記の鋼塊の干渉を考慮して鋼塊の保温炉への炉内配置計画を追加した鋼塊割当計画装置104の構成を示す図である。
鋼塊割当計画装置104は、割当計画部108が、図11で説明した仕掛管理コストが最小となる鋼塊の保温炉の割当パターンを計画する割当保温炉計画機能71と、鋼塊の払出順序を考慮して鋼塊の保温炉内の配置を計画する炉内配置計画機能72とを有し、記憶部106が、鋼塊の退避先の候補を示す退避先情報80を有することが、図1の鋼塊割当計画装置104と異なる。
また、保温炉情報40は、図15に示すように、図4で説明した保温炉情報40に、保温炉103の容積を直方体と見做した、X方向の長さ4051とY方向の長さ4052とZ方向の長さ4053とから成る保温炉103の内部の容量情報405を保温炉名401で識別される保温炉103毎に追加して構成する。
さらに、鋼塊情報50は、図16に示すように、図5で説明した鋼塊情報50に、鋼塊を直方体と見做した、X方向の長さ5041とY方向の長さ5042とZ方向の長さ5043とから成る鋼塊の体積情報504を鋼塊名501で識別される鋼塊毎に追加して構成する。
割当計画部108は、保温炉103の容量情報405と鋼塊の体積情報504とにより、保温炉103における鋼塊の割当位置を計画する。
図17は、記憶部106に記憶され、保温炉103から鋼塊を一時退避(移動)する際の退避先候補の一覧を示す退避先情報80の構成図である。
退避先情報80の退避先801は、退避先を識別する名称を示す。退避先は、退避する鋼塊分の空き容量を有する保温炉103、または保温炉以外の一時退避場所である。なお、一時退避場所として、未稼働の保温炉103を使用してもよい。
位置情報802は、退避先801で特定される退避先の、仕掛在庫置場101における座標位置を示す情報である。
退避可否情報803は、退避先801で特定される退避先に、退避が可能または不可能であるかを判定する情報である。詳細には、退避先801が保温炉以外の場所の場合には、使用中/未使用の退避可否の2値の情報である。退避先801が保温炉103の場合には、鋼塊の保温炉割当計画により生じる保温炉103の空き容量の情報である。詳細には、計画期間に応じた空き容量の情報、または、計画期間における最小の空き容量の情報である。退避先の使用状況の変更に応じて更新することで、任意の時刻において退避先が使用可能であるかを取得できる。
割当計画部108は、詳細は後述するが、保温炉103の鋼塊を退避する際に、退避可否情報803を参照して鋼塊を退避可能か否かを判定して退避先801を退避先候補とし、保温炉情報40(図15参照)の設置位置402と位置情報802から鋼塊の移動距離を算出し、鋼塊情報50(図16参照)の単位移動コスト503を乗じて、退避及び復帰の移動コストを求める。
つぎに、図18により、鋼塊割当計画装置104の処理フローを説明する。
ステップS201で、割当計画部108は、図11で説明した割当保温炉計画機能71により鋼塊の保温炉103への割当を計画する。
ステップS202で、割当計画部108は、保温炉103における鋼塊の炉内配置を計画するために、保温炉情報40(図15参照)の容量情報405と、鋼塊情報50(図16参照)の体積情報504と、退避先情報80(図17参照)の追加情報を読み込む。
ステップS203で、割当計画部108は、保温炉103毎に、ステップS204からS207の炉内配置計画機能72の処理を繰り返す。
ステップS204で、炉内配置計画機能72は、割当保温炉計画機能71の計画結果である計画情報70(図9参照)から、鋼塊の配置計画を行う保温炉103の鋼塊の計画期間における割当パターンを読み込む。つまり、鋼塊の配置計画を行う保温炉103に保管される鋼塊とそれらの鋼塊の投入日時と払出日時を取得する。
ステップS205で、炉内配置計画機能72は、ステップS202で読み込んだ、保温炉情報40の容量情報405と鋼塊情報50の体積情報504とを参照し、鋼塊の干渉が少なくなるように、割当パターンに従って保温炉103に保管する鋼塊の立体的な配置を計画する。
鋼塊の配置計画は、考えられる全ての配置パターンを全て求め、干渉の数を指標に配置を求めることで実現してもよいし、発見的手法などの公知のアルゴリズムにより実現してもよい。
ステップS206で、炉内配置計画機能72は、ステップS205で、鋼塊の干渉しない配置を計画できたか否かを判定する。干渉しない配置を計画できた場合(S206のYes)には、ステップS208に移り、次の保温炉103の鋼塊の炉内配置計画を行う。
ステップS206で計画した配置に干渉が含まれる場合(S206のNo)には、ステップS207で、炉内配置計画機能72は、詳細を後述する干渉する鋼塊の退避先を計画する。
ステップS208で、炉内配置計画機能72は、全て保温炉の鋼塊の炉内配置計画が終了するまで、ステップS204からS207を繰り返して、処理を終了する。
図19は、図18の炉内配置計画機能72の処理フローにおけるステップS207の干渉する鋼塊の退避先を計画する処理の詳細フローである。複数の鋼塊が干渉する場合には、それぞれの鋼塊について処理を行う。
ステップS210で、炉内配置計画機能72は、図17で説明した退避先情報80を読み込み、退避可否情報803を参照して、干渉する鋼塊が退避可能な退避先候補を取得する。詳しくは、退避先801が保温炉以外の場所であれば、退避可否情報803が未使用の場合に退避先候補とする。また、退避先801が保温炉103であれば、干渉する鋼塊による負荷が空き容量以下の場合に退避先候補とする。
ステップS211で、炉内配置計画機能72は、退避先候補毎に、ステップS212からS219の処理を繰り返し、退避先候補毎の鋼塊を退避した際の移動コストと燃料コストの和を退避コストとして算出する。
ステップS212で、炉内配置計画機能72は、退避先候補(以下、退避先と記すことがある)が、鋼塊を退避可能な保温炉103であるか否かを判定し、保温炉103であれば(S211のYes)、ステップS215に進む。退避先が、保温炉103でない場合、つまり、保温炉103でない場所の場合には、ステップS213に進む。
ステップS213で、炉内配置計画機能72は、鋼塊の退避のために退避先まで鋼塊を移動する距離を算出する。この際の距離は、保温炉情報40(図15参照)の設置位置402と退避先情報80の位置情報802とから算出する。
ステップS214で、炉内配置計画機能72は、ステップS213で算出した退避先までの距離と、鋼塊情報50(図16参照)の単位移動コスト503とから、鋼塊の退避のための移動コストを求め退避コストとして算出し、ステップS220に進む。この際に求める移動コストは、干渉している鋼塊の払出の後に、退避した鋼塊を退避先から退避前の保温炉103に戻すため、退避先までの距離の2倍の距離に相当する退避距離+復帰距離の移動コスト(退避コスト)が生じる。
ステップS215で、炉内配置計画機能72は、鋼塊を退避した際に退避先の保温炉103に干渉が生じるか否かを判定する。換言すれば、退避する鋼塊を、干渉が生じないように退避先の保温炉103に配置できるか否かを判定する。
ステップS215で、干渉が生じる場合(S215のYes)には、鋼塊を退避できないので、ステップS220に進み、次の退避先候補の処理を行う。
ステップS215で、干渉が生じない場合(S215のNo)には、ステップS216に進み、鋼塊を退避先に移動して、鋼塊の割当パターンを変更する。
ステップS216で、炉内配置計画機能72は、鋼塊の退避のために退避先まで鋼塊を移動する距離を算出する。この際の距離は、保温炉情報40(図15参照)の設置位置402と退避先情報80の位置情報802とから算出する。
ステップS217で、炉内配置計画機能72は、ステップS213で算出した退避先までの距離と鋼塊情報50(図16参照)の単位移動コスト503とから、鋼塊の移動コストを求め退避コストとして算出する。
ステップS218で、炉内配置計画機能72は、退避先の保温炉103の燃料コストの増分を算出する。これは、図13Bで説明したように、鋼塊の移動による保温炉103の運転延長に伴う費用であり、他に鋼塊を保管していて保温炉103を連続運転する場合には、発生しない。
ステップS219で、炉内配置計画機能72は、ステップS217で算出した移動コストと、ステップS218で算出した燃料コスト増分との和を退避コストとして算出し、ステップS220に進む。
ステップS220で、炉内配置計画機能72は、全て退避先候補の鋼塊の退避コストの算出が終了するまで、ステップS212からS19を繰り返して、ステップS221に進む。
ステップS221で、炉内配置計画機能72は、退避先毎に求めた退避コストから退避コストが最小の退避先を抽出して、鋼塊の退避先とし、干渉する鋼塊の退避先を計画の処理を終了する。
図20は、割当計画部108が、評価指標Fに基づいて求めた鋼塊の投入・払出日時で変わる割当パターンの計画(割当保温炉計画機能71)と、退避コストが最小となる鋼塊の保温炉内の配置の計画(炉内配置計画機能72)との計画結果である計画情報70の構成の一例を示す図である。
図20の計画情報70は、図9の計画情報70に対して、割当鋼塊の炉内配置位置707と割当鋼塊に発生する退避コスト708が追加されて構成され、仕掛管理コスト706には、燃料コスト704と移動コスト705と退避コスト708の和が設定される。
なお、図19で説明した鋼塊の割当パターンを変更して退避を行うようにした場合には、移動先に応じて計画情報70を更新する。
図21は、保温炉内の鋼塊配置表示画面の一例を示す図である。計画結果表示部109が、計画情報70の割当鋼塊703と炉内配置位置707を参照して、例えば、2020/1/1~2020/1/3の保温炉A内の鋼塊の鋼塊配置表示画面2001を表示して、鋼塊の配置状状態を可視化する。
上記の鋼塊割当計画装置104によれば、鋼塊の払出の際に炉内の他の鋼塊の退避が少なくなるように炉内配置を計画するので、鋼塊の干渉による退避コストを低減でき、トータルの仕掛管理コストを低減することができる。
上記の鋼塊割当計画装置104では、割当保温炉計画機能71により鋼塊の保温炉103への割当の計画した後に、炉内配置計画機能72により保温炉103の鋼塊の配置計画を行うことを説明した。しかし、2段階の計画を行わずに、割当計画部108が、投入情報・払出情報60(図6参照)を入力情報として、図15の保温炉情報40と図16の鋼塊情報50と図17の退避先情報80とを参照し、鋼塊の移動コストと退避コストと保温炉103の燃料コストの重み付き線形和で示される評価指標が最小となる鋼塊の保温炉103への割当パターンと保温炉103における配置位置を数理計画法により求めるようにしてもよい。
図8Bで、全ての鋼塊を移動した炉Aを稼働停止し、保温炉103の燃料コストを低減することを説明したが、稼働停止した保温炉103を再立ち上げする場合には、保温炉103の温度維持のための燃料コストより大きな燃料コスト(立ち上げコスト)が必要となる。このため、割当計画部108は、保温炉103の稼働中断期間に相当する燃料コストの和と、再稼働に伴う加熱コスト(立ち上げコスト)を比較して、保温炉103の稼働中断、再稼働を計画する。
また、割当計画部108は、稼働中断した保温炉103を、別の保管温度の鋼塊の保温炉103に転用することもできるが、この際にも、再加熱コスト(立ち上げコスト)、または保管温度を下げるための冷却コスト(立ち下げコスト)を考慮して、転用の可否を計画する。
詳しくは、割当計画部108は、燃料コストの削減量が再加熱コストより大きい場合に、再稼働または転用を行うことを制約条件として、鋼塊の割当パターンと配置位置を計画する。
他に、鋼塊割当計画装置104は、割当計画部108における鋼塊の割当パターンと配置位置の計画に係り、仕掛在庫置場101の作業者のスケジュールや、搬送装置102や保温炉103の設備の保守スケジュールを計画の制約条件としてもよい。
詳しくは、割当計画部108は、計画期間中の作業者の人員数情報を参照し、鋼塊の投入・払出と鋼塊の保温炉103間の移動作業の実施タイミングで、作業数が人員数を超えないことを制約条件として、鋼塊の割当パターンと配置位置を計画する。
また、割当計画部108は、計画期間中の搬送装置102や保温炉103の設備の保守スケジュールを参照し、保温炉103の保守日時に鋼塊が保管されていないことを制約条件とする。さらに、鋼塊の投入、払出、移動の単位時間当りの回数または搬送量が、搬送装置102の搬送能力の超えないことを制約条件として、鋼塊の割当パターンと配置位置を計画する。
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明で分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
40 保温炉情報
50 鋼塊情報
60 投入情報・払出情報
70 計画情報
71 割当保温炉計画機能
72 炉内配置計画機能
80 退避先情報
101 仕掛在庫置場
102 搬送装置
103 保温炉
104 鋼塊割当計画装置
106 記憶部
108 割当計画部
109 計画結果表示部
110 作業実績収集装置
111 作業指示装置
112 ネットワーク

Claims (14)

  1. 鋼塊の仕掛在庫管理を行う鋼塊管理システムであって、
    鋼塊を保管する保温炉と、
    前記保温炉を温度維持するための単位時間当たりの燃料コストと、鋼塊を前記保温炉に投入する際と鋼塊を前記保温炉から払い出す際と鋼塊を前記保温炉間で移動する際の単位距離当たりの移動コストと、を記憶する記憶部と、前記記憶部を参照し前記保温炉の総燃料コストと前記鋼塊の総移動コストとから求まる仕掛管理コストが最小となる鋼塊の前記保温炉への割当パターンを計画する割当計画部と、を有する鋼塊割当計画装置と、
    前記鋼塊割当計画装置で計画した鋼塊の割当パターンに従って、鋼塊の保温炉への投入と鋼塊の保温炉からの払出と鋼塊の保温炉間の移動を行う搬送装置と、
    を備えたことを特徴とする鋼塊管理システム。
  2. 請求項1に記載の鋼塊管理システムにおいて、
    前記割当計画部は、
    総燃料コストと総移動コストの重み付き線形和を評価指標として、鋼塊の保温炉への割当パターンを計画する
    ことを特徴とする鋼塊管理システム。
  3. 請求項1または2に記載の鋼塊管理システムにおいて、
    前記割当計画部は、
    前記割当パターンに従って鋼塊を割当てた保温炉毎に、鋼塊の払出の際に他の鋼塊の移動が必要な干渉状態があるか否かを判定し、保温炉から退避先に鋼塊を移動して干渉を解消する退避コストが最小となる鋼塊の炉内配置を計画する
    ことを特徴とする鋼塊管理システム。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の鋼塊管理システムにおいて、
    前記割当計画部は、
    鋼塊を保管していない保温炉について、保温炉の稼働中断期間に相当する燃料コストの和が、前記保温炉の立ち下げ・立ち上げコストより大きい場合に、前記保温炉の稼働中止を計画する
    ことを特徴とする鋼塊管理システム。
  5. 請求項1から3のいずれか一項に記載の鋼塊管理システムにおいて、
    前記割当計画部は、
    鋼塊の移動作業数が作業人員数を超えないこと、または、鋼塊の移動回数・搬送量が前記搬送装置の搬送能力を超えないこと、または、保温炉の保守日時に鋼塊が保管されていないことを制約条件に、鋼塊の保温炉への割当パターンを計画する
    ことを特徴とする鋼塊管理システム。
  6. 鋼塊を保温炉に保管して鋼塊の仕掛在庫管理を行う鋼塊管理システムの鋼塊管理方法であって、
    前記鋼塊を前記保温炉に割当てる複数の割当パターンを生成するステップと、
    前記割当パターンのそれぞれで、前記保温炉の温度維持するための総燃料コストと、鋼塊を前記保温炉に投入する際と鋼塊を前記保温炉から払い出す際と鋼塊を前記保温炉間で移動する際の総移動コストと、の重み付き線形和を評価指標として算出するステップと、
    前記評価指標が最小の割当パターンを抽出するステップと、
    抽出した前記割当パターンに従って、搬送装置により鋼塊の保温炉への投入、鋼塊の保温炉からの払出と鋼塊の保温炉間の移動を行うステップと、
    を有することを特徴とする鋼塊管理方法。
  7. 請求項6に記載の鋼塊管理方法において、
    抽出した前記割当パターンに従って、鋼塊を割当てた保温炉毎に、鋼塊の払出の際に他の鋼塊の移動が必要な干渉状態があるか否かを判定し、保温炉から退避先に鋼塊を移動して干渉を解消する退避コストが最小となる鋼塊の炉内配置を計画するステップと、
    鋼塊の前記割当パターンと前記炉内配置に従って、鋼塊の保温炉への投入、鋼塊の保温炉からの払出と鋼塊の保温炉間の移動を行うステップと、
    を有することを特徴とする鋼塊管理方法。
  8. 請求項6または7に記載の鋼塊管理方法において、
    鋼塊を保管していない保温炉について、保温炉の稼働中断期間に相当する燃料コストの和が、前記保温炉の立ち下げ・立ち上げコストより大きい場合に、前記保温炉の稼働中止を計画するステップ
    を有することを特徴とする鋼塊管理方法。
  9. 請求項6または7に記載の鋼塊管理方法において、
    鋼塊の移動作業数が作業人員数を超えないこと、または、鋼塊の移動回数・搬送量が前記搬送装置の搬送能力を超えないこと、または、保温炉の保守日時に鋼塊が保管されていないことを制約条件に、鋼塊の保温炉への割当パターンを計画するステップ
    を有することを特徴とする鋼塊管理方法。
  10. 鋼塊を保温炉に保管して鋼塊の仕掛在庫管理を行う鋼塊管理システムの鋼塊割当計画装置であって、
    前記保温炉を温度維持するための単位時間当たりの燃料コストと、鋼塊の移動を行う搬送装置が鋼塊を前記保温炉に投入する際と鋼塊を前記保温炉から払い出す際と鋼塊を前記保温炉間で移動する際の単位距離当たりの移動コストと、を記憶する記憶部と、
    前記記憶部を参照して求め前記保温炉の総燃料コストと前記鋼塊の総移動コストとから求まる仕掛管理コストが最小となる鋼塊の前記保温炉への割当パターンを計画する割当計画部と、
    を備えたことを特徴とする鋼塊割当計画装置。
  11. 請求項10に記載の鋼塊割当計画装置において、
    前記割当計画部は、
    総燃料コストと総移動コストの重み付き線形和を評価指標として、鋼塊の保温炉への割当パターンを計画する
    ことを特徴とする鋼塊割当計画装置。
  12. 請求項10または11に記載の鋼塊割当計画装置において、
    前記割当計画部は、
    前記割当パターンに従って鋼塊を割当てた保温炉毎に、鋼塊の払出の際に他の鋼塊の移動が必要な干渉状態があるか否かを判定し、保温炉から退避先に鋼塊を移動して干渉を解消する退避コストが最小となる鋼塊の炉内配置を計画する
    ことを特徴とする鋼塊割当計画装置。
  13. 請求項10から12のいずれか一項に記載の鋼塊割当計画装置において、
    前記割当計画部は、
    鋼塊を保管していない保温炉について、保温炉の稼働中断期間に相当する燃料コストの和が、前記保温炉の立ち下げ・立ち上げコストより大きい場合に、前記保温炉の稼働中止を計画する
    ことを特徴とする鋼塊割当計画装置。
  14. 請求項10から12のいずれか一項に記載の鋼塊割当計画装置において、
    前記割当計画部は、
    鋼塊の移動作業数が作業人員数を超えないこと、または、鋼塊の移動回数・搬送量が前記搬送装置の搬送能力を超えないこと、または、保温炉の保守日時に鋼塊が保管されていないことを制約条件に、鋼塊の保温炉への割当パターンを計画する
    ことを特徴とする鋼塊割当計画装置。
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