JP2022180161A - 光応答性化合物 - Google Patents

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豊子 芝田
Toyoko Shibata
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宏二 須釜
Koji Sugama
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Abstract

【課題】光照射により流動化し、着色の少ない化合物を提供する。【解決手段】光照射により流動化する、下記一般式(1)で表される化合物である:JPEG2022180161000021.jpg13166式中、R1は、置換もしくは非置換の環状の炭化水素基または置換もしくは非置換の複素環基であり、R2は、前記一般式(1)の窒素原子に結合する窒素原子を含む置換または非置換の複素環基である。【選択図】なし

Description

本発明は、光照射により流動化する、光応答性化合物に関する。
光照射により流動性が変化する材料として光応答性材料が知られている。例えば、特許文献1または2に記載のアゾベンゼン化合物(アゾベンゼン誘導体)は、光照射による異性化反応に伴って相変化を起こす。これによる分子構造変化が固体状態から流動性状態への相転移を誘起すると考えられている。
特開2011-256155号公報 特開2011-256291号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載されているアゾベンゼン誘導体は、いずれも黄色~橙色の着色が有り、トナーや接着剤など工業製品に応用する際に所望の色を再現できないという問題があった。さらに、本発明者らの検討によれば、アゾベンゼン誘導体の置換基を変化させることにより、黄色~橙色の着色につき、多少色を調整することはできても、根本的に無色もしくは無色に近い状態にすることは不可能であることも分かった。
そこで本発明は、光照射により流動化し、着色の少ない化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を積み重ねた。その結果、C=N結合の両端にそれぞれ環構造を有するアゾメチン化合物において、C=N結合の窒素原子に直接窒素原子が結合する構造とすることで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、光照射により流動化する、下記一般式(1)で表される化合物である:
Figure 2022180161000001
式中、
は、置換もしくは非置換の環状の炭化水素基または置換もしくは非置換の複素環基であり、
は、前記一般式(1)の窒素原子に結合する窒素原子を含む置換または非置換の複素環基である。
本発明によれば、光照射により流動化し、着色の少ない化合物が提供される。
本発明の一実施形態による画像形成方法で用いられる画像形成装置100を示す概略構成図である。 画像形成装置100における照射部40の概略構成図である。 実施例の光応答剥離試験で用いた装置の概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
<光応答性化合物>
本発明の一実施形態は、光照射により流動化する、下記一般式(1)で表される化合物である:
Figure 2022180161000002
式中、
は、置換もしくは非置換の環状の炭化水素基または置換もしくは非置換の複素環基であり、
は、前記一般式(1)の窒素原子に結合する窒素原子を含む置換または非置換の複素環基である。本実施形態の化合物は、光照射により流動化するという光応答性に優れ、着色が少ない。
本明細書中、光照射により流動化するとは、光照射によって非流動状態から流動状態へと変化することを指す。すなわち、本発明の化合物は、常温、常圧下、光照射されていないときに非流動性の固体状態であり、光照射により軟化して流動状態に変化する。本明細書中、流動状態とは、少ない外力で変形する状態をいう。
かような技術的効果を奏するメカニズムは以下のとおりと推測される。ただし本発明の技術的範囲はかかるメカニズムに限定されない。すなわち、アゾベンゼン化合物は、光を吸収し固体状態から軟化(光相転移)する材料であり、その光相転移は、シス-トランス異性化により結晶構造が崩れることで生じていると考えられる。特許文献1または2に記載のアゾベンゼン化合物は、光照射による異性化反応に伴って相変化を起こすが、これらの化合物は、可視光領域にn-π遷移に由来する強い吸収を示し、橙色に着色しているため、工業製品に適用する際に所望の色を再現しにくいという点で問題があることが知見された。
本発明では、所定のアゾメチン化合物を用いることで、光照射により流動化し、かつ着色の少ない化合物を提供することを実現した。アゾベンゼン部位に代わりアゾメチン部位(C=Nの部分)を導入することで、アゾベンゼン化合物における強いn-π吸収を弱めることができるため、着色の少ない化合物を実現できる。
また、光異性化に伴い流動化する化合物は、非流動性のトランス体が光照射され、シス体へ異性化するとき、多くのトランス体がシス体へと変化することで規則構造が崩れ相転移変化、すなわち流動化現象を誘起できると考えられる。したがって、流動化現象を誘起するためには、多くのトランス体がシス体へ異性化する必要があると考えられる。しかしながら、一般的にアゾメチン化合物は、アゾベンゼン化合物に比べてシス体からトランス体への異性化の速度が速いことが知られており、C=N結合の両端にそれぞれ非置換のベンゼン環を導入したアゾメチン化合物では流動化現象を誘起するには不利になることが予想された。
そこで本発明では、C=N結合の両端に環構造を有するアゾメチン化合物において、C=N結合に直接窒素原子が結合する化合物とすることにより、光異性化反応に伴う流動化を効果的に誘起することができた。これは、シス体が安定化され、より多くのシス体が生成したことによるものと考えられる。
以下、一般式(1)で表される化合物についてさらに説明する。
一般式(1)において、Rは、置換もしくは非置換の環状の炭化水素基または置換もしくは非置換の複素環基である。
環状の炭化水素基としては、芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基が挙げられる。トランス体において分子間ππスタックが強く形成され、非流動状態が確保される(融点が確保される)とともに、シス体に変化したときの規則構造の大きな崩れが誘起されることから、芳香族炭化水素基であることが好ましい。
芳香族炭化水素基としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。本発明の好ましい実施形態において、前記Rは、置換もしくは非置換のフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、またはビフェニル基である。このような化合物であれば、流動化が効果的に生じうる。なかでも、分子間のパッキングが発現しやすく、かつトランス-シス異性化した際には高い熱運動性を示し、流動化現象を誘起しやすくなる観点からRは、置換もしくは非置換のフェニル基、ナフチル基、またはフェナントレニル基が好ましい。
脂環式炭化水素基としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数3~30の飽和または不飽和の脂環式炭化水素基である。本発明の好ましい実施形態において、前記Rは、置換もしくは非置換のシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、またはシクロペンテニル基であり、より好ましくはシクロヘキシル基である。
を構成する複素環基としては、芳香族複素環基または非芳香族複素環基のいずれも用いられうる。本実施形態においては、トランス体において分子間ππスタックが強く形成され、非流動状態が確保される(融点が確保される)とともに、シス体に変化したときの規則構造の大きな崩れが誘起されることから、芳香族複素環基であることが好ましい。
を構成する芳香族複素環基としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数2~30の芳香族複素環基である。前記芳香族複素環基は、電子供与性の高いものが好ましい。本発明の好ましい実施形態において、前記Rは、置換もしくは非置換のチエニル基、フラニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、トリアジニル基、ベンゾチエニル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ナフチリジニル基、アクリジニル基、カルバゾリル基、またはジベンゾチエニル基でありうる。このような化合物であれば、流動化が効果的に生じうる。
を構成する非芳香族複素環基としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数3~30の飽和または不飽和の非芳香族複素環基である。本発明の好ましい実施形態において、前記Rはピロリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロチオピラン環、ジオキサン環、モルホリン環、ジオキソラン環から誘導される基などが挙げられる。
一般式(1)において、Rは、前記一般式(1)の窒素原子に結合する窒素原子を含む置換または非置換の複素環基である。
を構成する複素環基としては、前記一般式(1)の窒素原子に結合する窒素原子を有するものであれば特に制限されず、芳香族複素環基または非芳香族複素環基のいずれも用いられうる。本実施形態においては、トランス体において分子間ππスタックが強く形成され、非流動状態が確保される(融点が確保される)とともに、シス体に変化したときの規則構造の大きな崩れが誘起されることから、芳香族複素環基であることが好ましい。
を構成する芳香族複素環基としては、特に制限されないが、好ましくは置換または非置換の炭素数2~30の芳香族複素環基である。前記芳香族炭化水素構造は、電子供与性の高いものが好ましい。本発明の好ましい実施形態において、前記Rは、前記一般式(1)の窒素原子にその窒素原子の1つが結合する、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、テトラゾリル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、アクリジニル基、カルバゾリル基でありうる。これらは置換基を有していてもよい。このような化合物であれば、流動化が効果的に生じうる。
を構成する非芳香族複素環基としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数3~30の飽和または不飽和の非芳香族複素環基である。本発明の好ましい実施形態において、前記Rはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、トリアゾリジン環、テトラゾリジン環、ピロリン環などから誘導される基であって、その窒素原子の1つが前記一般式(1)の窒素原子に結合する基などが挙げられる。
本発明の好ましい実施形態において、前記Rは、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の芳香族複素環基であり、前記Rは、前記一般式(1)の窒素原子に結合する窒素原子を含む芳香族複素環基である。RおよびRが芳香族性を有することで、トランス体において分子間ππスタックが強く形成され、非流動状態が確保される(融点が確保される)とともに、シス体に変化したときの規則構造の大きな崩れが誘起される。その結果、より効果的に流動化が生じうる。
上記のRを構成する環状の炭化水素基または複素環基、およびRを構成する複素環基は、それぞれ、置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限されないが、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~10のジアルキルアミノ基、炭素数2~19のアシル基、および炭素数2~19のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数2~10のジアルキルアミノ基、炭素数2~19のアシル基、または炭素数2~19のアルコキシカルボニル基からなる群から選択される置換基である。
上記のように、アゾメチン化合物の光相転移はアゾベンゼン化合物と同様、シス-トランス異性化により結晶構造が崩れることで生じていると考えられる。一般的にアゾメチン化合物は分子間のπ-π相互作用が強いため、光相転移は結晶構造の極最表面でしか生じない。ここで、上記一般式(1)のRまたはRでそれぞれ表される環状の炭化水素基または複素環基が置換基を有すると、本発明のアゾメチン化合物は、π-π相互作用が支配的な周期構造中に、これらの置換基の熱運動によって等方的に乱れた構造が共存する特異的な結晶構造を形成する。そのため、局所的にシス-トランス異性化反応が進行しアゾメチン部位のπ-π相互作用が低減すると、系全体で連鎖的に等方的な融解を生じる。そのため、シス-トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなると考えられる。
特に、一般式(1)において、前記Rが、前記一般式(1)の炭素原子に対してパラ位に、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数2~10のジアルキルアミノ基、炭素数2~19のアシル基および炭素数2~19のアルコキシカルボニル基からなる群から選択される置換基を有するフェニル基であることが好ましい。このような構造とすることで、シス-トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π-π相互作用の低減等が生じる。ゆえに、シス-トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなると考えられる。特にベンゼン環のパラ位にこれらの置換基を導入することで結晶が崩れやすく、光溶融性がよくなり、トナーに用いたときに定着性がより高くなり、画像安定性がより向上しうる。このうち、熱運動性がより高いことから、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数2~10のジアルキルアミノ基であることがさらに好ましい。
上記パラ位の置換基の炭素数としては、より好ましくは、上記アルキル基は、炭素数1~12のアルキル基であり、さらに好ましくは、炭素数4~12のアルキル基である。また、より好ましくは、上記アルコキシ基は、炭素数1~12のアルコキシ基であり、さらに好ましくは炭素数4~12のアルコキシ基である。また、より好ましくは、上記ジアルキルアミノ基は、炭素数2~8のジアルキルアミノ基であり、さらに好ましくは炭素数4~6のジアルキルアミノ基である。より好ましくは、上記アシル基は、炭素数2~13のアシル基であり、さらに好ましくは炭素数5~13のアシル基である。また、より好ましくは、上記アルコキシカルボニル基は、炭素数2~13のアルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは炭素数5~13のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。長鎖の置換基を導入することで結晶が崩れやすく、光溶融性がよくなり、トナーに用いた場合に定着性および画像安定性がさらに向上しうる。なお、アルキル基、アルコキシ基は直鎖状であっても分岐していてもよいが、流動化がより効果的に発現しうることから、直鎖状であることが好ましい。
炭素数1~18のアルキル基の例としては、特に制限されるものではなく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、1-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルヘキシル基、t-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチル-4-ヘプチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、1-メチルデシル基、1-ヘキシルヘプチル基などの分岐状のアルキル基が挙げられる。
炭素数1~18のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基などの直鎖状のアルコキシ基:1-メチルペンチルオキシ基、4-メチル-2-ペンチルオキシ基、3,3-ジメチルブチルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、1-メチルヘキシルオキシ基、t-オクチルオキシ基、1-メチルヘプチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、2-プロピルペンチルオキシ基、2,2-ジメチルヘプチルオキシ基、2,6-ジメチル-4-ヘプチルオキシ基、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ基、1-メチルデシルオキシ基、1-ヘキシルヘプチルオキシ基などの分枝状のアルコキシ基が挙げられる。
炭素数1~10のアルキルアミノ基の例としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基などが挙げられる。
炭素数2~10のジアルキルアミノ基の例としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジ-イソブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基などが挙げられる。
炭素数2~19のアシル基の例としては、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であり、例えば、アセチル基、プロパノイル基(プロピオニル基)、ブタノイル基(ブチリル基)、イソブタノイル基(イソブチリル基)、ペンタノイル基(バレリル基)、イソペンタノイル基(イソバレリル基)、sec-ペンタノイル基(2-メチルブチリル基)、t-ペンタノイル基(ピバロイル基)、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、t-オクタノイル基(2,2-ジメチルヘキサノイル基)、2-エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、イソノナノイル基、デカノイル基、イソデカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、ウンデシレノイル基およびオレオイル基等が挙げられる。
炭素数2~19のアルコキシカルボニル基の例としては、直鎖状若しくは分岐状であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、n-ウンデシルオキシカルボニル基、n-ドデシルオキシカルボニル基、n-トリデシルオキシカルボニル基、n-テトラデシルオキシカルボニル基、n-ペンタデシルオキシカルボニル基、n-ヘキサデシルオキシカルボニル基などの直鎖状のアルコキシカルボニル基:1-メチルペンチルオキシカルボニル基、4-メチル-2-ペンチルオキシカルボニル基、3,3-ジメチルブチルオキシカルボニル基、2-エチルブチルオキシカルボニル基、1-メチルヘキシルオキシカルボニル基、t-オクチルオキシカルボニル基、1-メチルヘプチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基、2-プロピルペンチルオキシカルボニル基、2,2-ジメチルヘプチルオキシカルボニル基、2,6-ジメチル-4-ヘプチルオキシカルボニル基、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシカルボニル基、1-メチルデシルオキシカルボニル基、1-ヘキシルヘプチルオキシカルボニル基などの分岐状のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
本発明の好ましい実施形態において、前記Rは、前記一般式(1)の炭素原子に対する2つのオルト位の少なくとも一方が非置換であるか、または、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、もしくはハロゲン原子で置換されたベンゼン環を含む。このような構成とすることで、化合物のシス→トランス反応速度が低下し、さらにシス体が安定化され、より多くのシス体が生成しうる。これにより、流動化がより誘起されやすくなるものと考えられる。この際、2つのオルト位の両方が上記の非置換であるか、または、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、もしくはハロゲン原子で置換されている、という要件を満たすと、上記効果がより一層顕著に得られるためより好ましい。
炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、t-ブチル基などが挙げられる。炭素数1~5のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
<光応答性化合物の製造方法>
本発明の一般式(1)で表される化合物(アゾメチン化合物)の合成方法は、特に制限されない。例えば、一般式(1)において、Rが2,5-ジメチル-4-ヘキシルオキシフェニル基であり、Rがトリアゾリル基である化合物を例にとれば、下記スキームにより合成できる。
エタノール(EtOH)中、4-ヘキシルオキシ-2,5-ジメチルベンズアルデヒドと4-アミノ-1,2,4-トリアゾールとを加熱攪拌して反応させ、反応液をろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄し、メタノール/エタノールで再結晶すれば、目的物のアゾメチン化合物を得ることができる。
Figure 2022180161000003
上記以外のアゾメチン化合物についても、上記スキームを参照し、適宜原料を変更することで同様の方法で合成することができる。
本発明のアゾメチン化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
なお、本発明の上記一般式(1)で表される化合物の分子量は特に制限されないが、重合体ではない場合、100以上1000未満であることが好ましく、100以上800以下であることがより好ましい。本明細書中、重合体ではない化合物とは、繰り返し単位を含まずに構成されている化合物をいう。好ましい実施形態において、重合体ではない化合物は、重合性基を含むモノマーを重合して得られるものではない。
<光応答性重合体>
本発明の一実施形態は、下記一般式(1’)で表される構造単位を含み、光照射により流動化する、重合体である:
Figure 2022180161000004
式中、
は、置換もしくは非置換の環状の炭化水素基または置換もしくは非置換の複素環基であり、
は、前記一般式(1’)の窒素原子に結合する窒素原子を含む置換または非置換の複素環基であり、
前記RおよびRの少なくとも一方は、重合性基に由来する構造を含む基に結合している。
上記の一般式(1’)で表される構造単位を含む重合体とすることで、光照射により流動化し、着色の少ない重合体が得られうる。さらに、重合体とすることで、材料としての靭性が向上しうる。
本発明の一実施形態において、前記重合体は、前記一般式(1’)で表される構造単位におけるRまたはRの少なくとも一方に、重合性基に由来する構造を含む基を有する。すなわち、重合性基に由来する構造を含む基に結合している箇所を少なくとも1つ有する。重合性基に由来する構造としては、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造、オレフィン由来の構造またはビニルエステル由来の構造が挙げられる。本発明の一実施形態において、前記光応答性重合体が、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造を含む。かかる実施形態であることによって、重合が容易であるとの技術的効果がある。
一般式(1’)におけるRおよびRの具体的な形態は、RまたはRの少なくとも一方に、重合性基に由来する構造を含む基を有することを除いては、上述の一般式(1)におけるRおよびRと同様である。
本発明の一実施形態において、前記重合体は、下記一般式(2)で表される構造単位を含む:
Figure 2022180161000005
前記一般式(2)中、
は、水素原子またはメチル基であり、
Aは、下記一般式(1-1)~(1-4):
Figure 2022180161000006
のいずれかで表され、ここで、*は、結合点を表し、Gは2価の基であり、RおよびRは、前記一般式(1’)における定義と同様(ただし、重合性基に由来する構造を含む基に相当する部分を除く)である。
前記Gは2価の基であれば特に制限はないが、好ましくは炭素数1~18のアルキレン基または炭素数1~18のオキシアルキレン基である。かかる実施形態であることによって本発明の重合体は、熱運動性が高く、光溶融性に優れる。本発明の一実施形態において、前記Gは、炭素数2~16のアルキレン基、炭素数3~14のアルキレン基、あるいは、炭素数4~12のアルキレン基である。本発明の一実施形態において、オキシアルキレン基は、-(E-O)-で表され、Eが、炭素数1~18(炭素数2~16、炭素数3~14、あるいは炭素数4~12)のアルキレン基であり、nは、1~3であり、好ましくは1である。好ましくは酸素原子の側が上記一般式(1-2)、(1-4)の結合点になる。
炭素数1~18のアルキレン基の例としては、炭素数1~18のアルキル基の例として説明した基から水素原子を1つ取り除いた基が好適である。
本発明の好ましい実施形態において、前記Aが、前記一般式(1-1)または前記一般式(1-2)で示される構造を有する。環状の炭化水素基の側に重合性部位をもつほうが光照射による流動化が生じやすい傾向にあるため好ましい。
<光応答性重合体の製造方法>
本発明の光応答性重合体の製造方法は特に制限されないが、例えば、本発明の光応答性重合体は、重合性基を有し、所定の構造を有するアゾメチン誘導体モノマーを調製し、それを従来公知の方法で重合することによって得ることができる。
(重合性基を有するアゾメチン誘導体に由来する構造単位)
重合性基を有するアゾメチン誘導体の調製は、一般式(1)で表される化合物(アゾメチン誘導体)を準備し、それに重合性基を導入することで行うことができる。
一般式(1)で表されるアゾメチン誘導体の合成方法は上述した通りである。例えば、下記式のように、メタノール、エタノール等の溶媒中、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-ベンズアルデヒドと4-アミノ-1,2,4-トリアゾールとを処理し(加熱還流して反応させ)、反応液をろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄し、メタノール/エタノールで再結晶すれば、目的物を得ることができる。
Figure 2022180161000007
その後、第2段階として、上記中間体Aに対して重合性基を導入する。重合性基を導入する方法も特に制限されない。例えば、上記中間体Aに対して、はじめにリンカーである-O-C1022-を導入する場合は、ハロゲン化アルコール化合物として、例えばCl-C1020-OHを作用させて下記の中間体Bを得る。
反応条件としては特に制限されないが、例えばジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒中、炭酸カリウムおよびヨウ化カリウムの存在下、好ましくは10℃以上150℃以下の範囲内、より好ましくは50℃以上140℃以下の範囲内、さらに好ましくは、80℃以上130℃以下の範囲内で反応させることが好ましい。なお、炭酸カリウムおよびヨウ化カリウムの添加順番は、炭酸カリウムが先であることが好適であり、炭酸カリウムを添加し、ヨウ化カリウムを添加する前に、好ましくは0℃以上100℃以下の範囲内、より好ましくは0℃以上60℃以下の範囲内、さらに好ましくは、0℃以上40℃以下の範囲内で攪拌を行う。
Figure 2022180161000008
その後、第3段階として、中間体Bに、重合性基を構成するための化合物、例えば、アクリル酸ハロゲン化物(ハロゲン化アクリロイル)またはメタクリル酸ハロゲン化物(ハロゲン化メタクリロイル)を反応させる。これによって光応答性重合体が(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を含むことになる。この際、反応条件は特に限定されない。例えば公知の有機溶媒中で、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの三級アミン類の存在下で反応を行うことが好ましい。好ましくは、上記中間体B、三級アミン類、および溶媒を含む混合液を0~10℃に保ちながら、この混合液にアクリル酸ハロゲン化物またはメタクリル酸ハロゲン化物などの重合性基を構成するための化合物を滴下して混合する。その後、混合液を例えば室温で5~10時間程度反応させて、重合性基を有するアゾメチン誘導体を得ることができる。
Figure 2022180161000009
なお、上記の第1段階において、使用する原料を他の化合物に変更することで、所望のアゾメチン誘導体を得ることができる。
また、第2段階、第3段階で添加する化合物を変化させることで異なる構造の重合性基を有する基を導入することができる。当業者であれば、上記変更を適宜行い、適当な反応条件を選択することで、所望の重合性基を有するアゾメチン誘導体を合成することができる。
また、上記の第1段階において、使用する原料を適当に選択することで第2段階を行わずに中間体Aに重合性基を導入することもできる。
(他の構造単位)
本発明の一実施形態において、前記光応答性重合体は、前記一般式(1’)で表される構造単位以外の構造単位(他の構造単位)を含んでもよい。他の構造単位を含む共重合体である場合、共重合体の繰り返し単位の配列形態も特に制限されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
上記他の構造単位としては、一般式(1’)で表される構造単位を含まないものが好ましく、加熱により軟化する熱可塑性樹脂を構成する構造単位であることがさらに好ましい。
上記他の構造単位としては、共重合体の合成が容易であることから、ビニル系重合性基を有するものであることが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態において、前記光応答性重合体が、ビニル系重合性基を有するモノマー由来の他の構造単位をさらに含む。具体的には、例えば、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、オレフィン誘導体、ビニルエステル誘導体、ビニルエーテル誘導体、ビニルケトン誘導体等が用いられ、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、またはオレフィン誘導体に由来する構造単位であることが好ましい。
スチレン誘導体としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
オレフィン誘導体としては、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、n-ペンテン、3-メチル-1-ペンテンなどが挙げられる。オレフィン誘導体は、直鎖状であっても分岐鎖であってもよく、炭素鎖数も特に限定されない。
ビニルエステル誘導体としては、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられる。ビニルエーテル誘導体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられる。ビニルケトン誘導体としては、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどが挙げられる。
重合体における上記他の構造単位の含有量は特に制限されず、適宜選択されうるが、重合体を構成する全構造単位の合計量100質量%に対して、70質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。本発明の一実施形態において、重合体における上記他の構造単位の含有量は、5質量%以上、あるいは15質量%以上でありうる。
本発明の一実施形態において、前記重合体の数平均分子量Mnは、特に制限されないが、例えば、1000以上であり、好ましくは、3000以上、3500以上、4000以上、5000以上、あるいは、10000以上である。本発明の一実施形態において、前記重合体の数平均分子量Mnは、特に制限されないが、例えば、100000以下、70000以下、50000以下、40000以下、あるいは、30000以下である。重合体の数平均分子量が3000以上であれば、靱性に優れ、トナーとして用いた場合に定着性に優れるトナー像がより容易に得られるため好ましい。また、数平均分子量が100000以下であれば異性化および軟化溶融の効率が高くなるため好ましい。
本発明の重合体の数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
(重合体の調製方法)
本発明の重合体の合成方法は特に制限されず、アニオン重合、カチオン重合、リビングラジカル重合など、公知の重合開始剤を使用して、重合性基を有する一般式(1)で表される化合物を単量体として重合する方法が用いられうる。必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用してもよい。
重合開始剤としては、たとえば、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤が用いられる。
アゾ系またはジアゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。
過酸化物系重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2-ビス-(4,4-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス-(t-ブチルパーオキシ)トリアジンなどが挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、ジチオ安息香酸ベンジル、1-フェニルエチルジチオ安息香酸塩、2-フェニルプロプ-2-イルジチオ安息香酸塩、1-アセトキシルエチルジチオ安息香酸塩、ヘキサキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4-ビス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4-ビス-(2-(チオベンゾイルチオ)プロプ-2-イル)ベンゼン、1-(4-メトキシフェニル)エチルジチオ安息香酸塩、ジチオ酢酸ベンジル;エトキシカルボニルメチルジチオアセタート、2-(エトキシカルボニル)プロプ-2-イルジチオベンゾアート、2-シアノプロプ-2-イルジチオベンゾアート、t-ブチルジチオベンゾアート、2,4,4-トリメチルペント-2-イルジチオベンゾアート、2-(4-クロロフェニル)プロプ-2-イルジチオベンゾアート、3-および4-ビニルベンジルジチオベンゾアート、S-ベンジルジエトキシホスフィニルジチオフォルマート、t-ブチルトリチオペルベンゾアート、2-フェニルプロプ-2-イル4-クロロジチオベンゾアート、2-フェニルプロプ-2-イル1-ジチオナフタラート、4-シアノペンタン酸ジチオベンゾアート、ジベンジルテトラチオテレフタラート、ジベンジルトリチオカーボネート、カルボキシメチルジチオベンゾアートなどが挙げられる。
重合温度は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、50~100℃であることが好ましく、55~90℃であることがより好ましい。また、重合時間は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、たとえば2~60時間であることが好ましい。
なお、上記一般式(1’)で表される構造単位以外の構造単位(他の構造単位)を含む共重合体についても、その調製方法は特に制限されない。
例えば、ランダム共重合体を調製する場合は、原料となる単量体として、一般式(1’)で表される構造単位を構成するための単量体に加えて、上記他の構造単位を構成するための単量体を、連鎖移動剤、重合開始剤などと混合し、重合反応を行うことで所望の共重合体を得ることができる。他の構造単位を構成するための単量体の具体的な形態は上述した通りである。
本発明の一実施形態において、前記重合体が、
下記一般式(3):
Figure 2022180161000010
で表され、
αは、それぞれ独立して、前記一般式(2)で表される構造単位を含む重合体ブロックであり、
βは、それぞれ独立して、前記一般式(2)で表される構造単位以外の構造単位を含む重合体ブロックである。かかる実施形態であることによって、アゾメチン誘導体が重合体内でドメインを形成しやすく軟化・溶融を効率的に誘起できるとともに、前記一般式(2)で表される構造単位以外の構造単位を有することで靭性の高い重合体が得られうる。
本発明の重合体は高分子化することでアゾメチン構造の部分が光吸収して、光励起・失活過程で放出される熱エネルギーが、結合する繰り返しユニット(構造単位)に伝わること(光熱変換)により溶融または軟化が進行しうる。また、ブロック共重合体を形成することで、アゾメチン構造の部分が重合体内でドメインを形成しやすくなり、軟化・溶融を効率的に誘起すると考えられる。そのため、本発明の効果がより一層顕著に得られうる。
重合体ブロックαを構成する、前記一般式(2)で表される構造単位の具体的な形態は上記の通りである。
重合体ブロックβを構成する構造単位は、前記一般式(1’)におけるアゾメチン構造(R-CH=N-R)を含まないものである。具体的には、上記の他の構造単位として説明した形態が好ましく用いられうる。特には、ATRP法、ARGET-ATRP法またはRAFT法などのリビングラジカル重合法によるブロック共重合体の合成に適用する観点から、ビニル系重合性基を有するものであることが好ましい。具体的には、例えば、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、オレフィン誘導体、ビニルエステル誘導体、ビニルエーテル誘導体、ビニルケトン誘導体等が用いられ、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、またはオレフィン誘導体であることが好ましい。
一般式(3)で表される重合体に含まれる重合体ブロックαの数平均分子量(合計の数平均分子量)は、特に制限されないが、好ましくは1000以上であり、より好ましくは1000~100000であり、さらに好ましくは1000~70000であり、さらにより好ましくは1000~50000であり、特に好ましくは3000~50000である。重合体ブロックαの合計の数平均分子量が1000以上であれば、トナーとして用いたときに定着性に優れるトナー像がより容易に得られるため好ましい。また、重合体ブロックαの合計の数平均分子量が100000以下であれば軟化溶融の効率が高くなるため好ましい。ここで、重合体ブロックαの合計の数平均分子量は、一般式(3)で表される重合体が単一の重合体ブロックαを含む場合は当該重合体ブロックαの数平均分子量を指し、複数の重合体ブロックαを含む場合、各重合体ブロックαの数平均分子量の総和を意味する。
一般式(3)で表される重合体に含まれる重合体ブロックβの数平均分子量(合計の数平均分子量)は、特に制限されないが、好ましくは1000以上であり、より好ましくは1100~100000であり、さらに好ましくは1500~70000であり、さらにより好ましくは2000~50000であり、特に好ましくは3000~40000である。重合体ブロックβの合計の数平均分子量が1000以上であれば、トナーとして用いたときに定着性に優れるトナー像がより容易に得られるため好ましい。また、重合体ブロックβの合計の数平均分子量が100000以下であれば軟化溶融の効率が高くなるため好ましい。ここで、重合体ブロックβの合計の数平均分子量は、一般式(3)で表される重合体が単一の重合体ブロックβを含む場合は当該重合体ブロックβの数平均分子量を指し、複数の重合体ブロックβを含む場合、各重合体ブロックβの数平均分子量の総和を意味する。
また、一般式(3)で表される重合体の全数平均分子量Mnは、好ましくは3000以上であり、より好ましくは3200~100000であり、さらに好ましくは3300~70000であり、さらにより好ましくは3400~50000であり、特に好ましくは3450~50000である。一般式(3)で表される重合体の全数平均分子量が3000以上であれば、トナーとして用いたときに定着性に優れるトナー像がより容易に得られるため好ましい。また、全数平均分子量が100000以下であれば軟化溶融の効率が高くなるため好ましい。
すなわち、本発明の一実施形態において、光応答性重合体が、前記αの数平均分子量が、1000以上であり、前記βの数平均分子量が、1000以上であり、全数平均分子量が3000以上である。
一般式(3)で表される重合体において、重合体ブロックαの合計の数平均分子量と重合体ブロックβの合計の数平均分子量との比は特に制限されないが、軟化溶融のしやすさおよび画像強度の観点から、重合体ブロックαの合計の数平均分子量:重合体ブロックβの合計の数平均分子量の比は、1:20~20:1であることが好ましく、1:15~15:1であることがより好ましい。
一般式(3)で表される重合体の全数平均分子量、重合体ブロックαおよびβの合計の数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
一般式(3)で表されるブロック共重合体の合成方法は特に制限されず、アニオン重合、カチオン重合、リビングラジカル重合などの公知の方法が用いられうる。中でも、簡便な合成方法として原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、ARGET-ATRP法またはRAFT法といったリビングラジカル重合法が好適に用いられうる。
ATRP法を例にとれば、開始剤として、1官能、2官能、3官能、または4官能のハロゲン元素を含む化合物を出発物質にして、重合体ブロックαまたはβの構造単位となるモノマーを触媒下で重合させる、等の方法により行うことができる。
モノマーを重合する段階においては、例えば、開始剤、触媒および配位子の存在下で重合体ブロックαまたはβのいずれか一方(ブロック共重合体のコア部分となるブロック)の構造単位となるモノマーを重合してマクロ開始剤を製造する。
前記開始剤としては、例えば、2-ブロモイソ酪酸ブチル、2-ブロモイソ酪酸エチル、エチレンビス(2-ブロモイソブチレート)、1,1,1-トリス(2-ブロモイソブチリルオキシメチル)エタン、ペンタエリスリトールテトラキス(2-ブロモイソブチレート)、α,α’-ジブロモ-p-キシレン、ブロモ酢酸エチル、2-ブロモイソブチリルブロミドまたはこれらの混合物などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
触媒としては銅(I)触媒、鉄(II)触媒などがあり、例えば、Cu(I)Cl、Cu(I)Br、Fe(II)Cl、Fe(II)Brまたはこれらの混合物などを例示することができる。
配位子としては公知のものを使用することができるが、2,2’-ビピリジル、4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジル、4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジル、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、シクラム(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン)、1,4,8,11-テトラメチルシクラム(1,4,8,11-テトラメチル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン)、トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミンなどからなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。
上記触媒および配位子の使用量は特に制限されず、従来公知の知見を参照して適宜決定することができる。
次に、上記重合により得られたマクロ開始剤を単離して開始剤として用い、再び触媒および配位子の存在下で、重合体ブロックαまたはβの構造単位となるモノマーのうち、マクロ開始剤の合成で使用していない方のモノマーの重合を行う。もしくは、マクロ開始剤の合成でモノマーをほぼすべて消費した段階で、マクロ開始剤を単離せずそのまま、マクロ開始剤の合成で使用していない方のモノマーを追加して、重合を続けてもよい。これらの操作により目的とするブロック共重合体を得ることができる。
上記の各反応は、窒素、またはアルゴン等の希ガス類など不活性雰囲気で行うことが好ましい。上記の各反応は、例えば、25~160℃、好ましくは35~130℃の温度で実行することができる。また、上記の各反応は、溶媒を用いずに行ってもよく、アニソール等の有機溶媒などの溶媒中で行ってもよい。
なお、重合体ブロックαまたはβのいずれか一方の構造単位となるモノマーを重合してマクロ開始剤を得る反応と、該マクロ開始剤を他方の重合体ブロックの構造単位となるモノマーと反応させてブロック共重合体を得る反応において、使用する触媒や配位子の種類や使用量、反応時の温度などの条件は同一であっても異なるものであってもよい。
<光照射による流動化>
光照射により本発明の化合物または重合体が流動化する際の照射光の波長は、好ましくは280nm以上480nm以下の範囲、より好ましくは300nm以上420nm以下の範囲内、さらに好ましくは330nm以上420nm以下の範囲内である。上記範囲であれば結晶が崩れやすく(光溶融性が良く)なり、定着性がよくなる。また、流動化させる際には、光照射に加え、熱や圧力を加えて流動化を促進させてもよい。上記波長の照射光を照射することにより、熱や圧力を加える場合であっても、より少ない熱や圧力で流動化させることができる。
なお、上記波長範囲には、可視光の一部が含まれる。そのため、本発明の化合物または重合体は、太陽光(自然光)や蛍光灯などの照明による光を受けただけでは流動化せず、かつ出来るだけ照射量及び照射時間を抑えた低コスト条件でより流動化するのが望ましい。かかる観点から、上記化合物が流動化する際の照射光の照射条件としては、照射光量は、好ましくは0.1~200J/cm、より好ましくは0.1~100J/cm、さらに好ましくは、0.1~50J/cmである。
化合物を流動化させる際に、光照射とともに、化合物を加熱してもよい。これにより、より低い照射量で流動化させることができる。この際の加熱温度としては、例えば、20℃以上200℃以下の範囲内であり、好ましくは20℃以上150℃以下の範囲内である。
本実施形態の化合物は、特に限定されないが、波長400nmでのモル吸光係数が、例えば6000以下の範囲内であり、好ましくは4500以下の範囲内であり、さらに好ましくは2000以下の範囲内である。このような構成であれば、着色がより低減され、工業製品により好適に適用されうるため好ましい。
[トナー]
本発明の一実施形態は、本発明の化合物または重合体を含む、トナーである。本発明の化合物または重合体をトナーに導入することで、光照射により定着可能であり、定着性に優れ、色再現性の高いトナーを得ることができる。なお、トナーとは、トナー母体粒子またはトナー粒子の集合体をいう。トナー粒子とは、トナー母体粒子に外添剤を添加したものであることが好ましいが、トナー母体粒子をそのままトナー粒子として用いることもできる。なお、本発明において、トナー母体粒子、トナー粒子およびトナーを特に区別する必要がない場合、単に「トナー」ともいう。
(結着樹脂)
本発明のトナーは、本発明の化合物または重合体に加え、さらに結着樹脂を含んでもよい。結着樹脂は、一般にトナーを構成する結着樹脂として用いられている樹脂を制限なく用いることができる。結着樹脂としては、たとえば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、アミド樹脂、およびエポキシ樹脂などが用いられうる。これら結着樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
これらの中でも、溶融すると低粘度になり、かつ高いシャープメルト性を有するという観点から、結着樹脂は、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、スチレンアクリル樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。かかる実施形態であることによって画像強度を高めることができる。
(スチレンアクリル樹脂)
本発明でいうスチレンアクリル樹脂とは、少なくとも、スチレン単量体に由来する構造単位と、(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構造単位とを含む重合体である。ここで、スチレン単量体とは、CH=CH-Cの構造式で表されるスチレンの他、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものも含まれる。
スチレン単量体としては、たとえば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンなどが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、エステル結合を有する官能基を側鎖に有するものである。具体的には、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル単量体の他、CH=C(CH)COOR(Rはアルキル基)で表されるメタクリル酸エステル単量体などのビニル系エステル化合物が含まれる。なお、(メタ)アクリル酸エステル単量体における(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
スチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
スチレンアクリル樹脂におけるスチレン単量体に由来する構造単位および(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構造単位の含有量は、特に限定されず、結着樹脂の軟化点やガラス転移温度を制御する観点から適宜調整されうる。具体的には、スチレン単量体に由来する構造単位の含有量は、スチレンアクリル樹脂を構成する全構造単位に対して40~95質量%であることが好ましく、50~90質量%であることがより好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構造単位の含有量は、全構造単位に対して5~60質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましい。
スチレンアクリル樹脂は、必要に応じて、スチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の他の単量体に由来する構造単位をさらに含んでもよい。他の単量体の例としては、ビニル単量体が挙げられる。以下に、本発明でいうスチレンアクリル共重合体を形成する際に併用可能なビニル単量体を例示するが、併用可能なビニル単量体は以下に示すものに限定されるものではない。
(1)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレンなど
(2)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなど
(3)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど
(4)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど
(5)N-ビニル化合物類
N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドンなど
(6)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体など。
また、多官能性ビニル単量体を使用して、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。さらに、側鎖にイオン性解離基を有するビニル単量体を使用することも可能である。イオン性解離基の具体例としては、たとえば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。このうち、カルボキシル基を有するビニル単量体の具体例としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。
スチレンアクリル樹脂の調製方法は、特に制限されず、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。必要に応じてたとえば、n-オクチルメルカプタンなどの公知の連鎖移動剤を使用してもよい。油溶性の重合開始剤としては、たとえば、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤が用いられる。
アゾ系またはジアゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。
過酸化物系重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2-ビス-(4,4-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス-(t-ブチルパーオキシ)トリアジンなどが挙げられる。
また、乳化重合法でスチレンアクリル樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素などが挙げられる。
重合温度は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、50~120℃であることが好ましく、60~110℃であることがより好ましい。また、重合時間は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、たとえば2~12時間であることが好ましい。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸成分)と、2価以上のアルコール(多価アルコール成分)との重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂である。なお、ポリエステル樹脂は、非晶性であってもよいし、結晶性であってもよい。ポリエステル樹脂の具体的な形態は特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。
本発明のトナーが結着樹脂を含む場合、本実施形態の化合物または重合体の含有量は、化合物種や樹脂種によるが、定着性と色再現性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、例えば5~95質量部、好ましくは10~90質量部、より好ましくは20~80質量部、さらに好ましくは30~70質量部である。この範囲であれば、前記アゾメチン部位を有する化合物または重合体の光相転移が生じやすく、トナーの光照射による軟化速度が十分なものとなる。なお、2種類以上の化合物または重合体を用いる場合はその合計量が上記範囲となることが好ましい。2種類以上の結着樹脂を用いる場合はその合計量が上記範囲となることが好ましい。
<着色剤>
本発明のトナーは、着色剤をさらに含んでいてもよい。本発明の化合物は着色が少ないため、着色剤の色再現性の高いトナーを得ることができる。着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラックなどが挙げられ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックが含まれる。また、磁性体としてはフェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
イエローのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162などの染料;C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などの顔料が挙げられる。
マゼンタのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122などの染料;C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などの顔料が挙げられる。
シアンのトナーを得るための着色剤としては、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などの染料;C.I.ピグメントブルー1、同7、同15、同15:3、同60、同62、同66、同76などの顔料が挙げられる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有量は、外添剤の添加前のトナー粒子(トナー母体粒子)中0.5~20質量%であることが好ましく、2~10質量%であることがより好ましい。
<離型剤>
本発明に係るトナーは、離型剤をさらに含んでもよい。使用される離型剤は、特に限定されるものではなく、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、または酸化型の低分子量ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、パラフィンワックス、合成エステルワックスなどが挙げられる。中でも、トナーの保存安定性を向上させる観点から、パラフィンワックスを用いることが好ましい。
離型剤の含有量は、トナー母体粒子中1~30質量%であることが好ましく、3~15
質量%であることがより好ましい。
<荷電制御剤>
本発明に係るトナーは、荷電制御剤を含有してもよい。使用される荷電制御剤は、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ無色のものであれば特に限定されず、公知の種々の正帯電性の荷電制御剤および負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、トナー母体粒子中0.01~30質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましい。
なお、トナー中の本発明の化合物または重合体は、特に制限されないが、効率的な流動化および画像強度の観点から、トナーを構成する結着樹脂、着色剤、離型剤、本発明の化合物または重合体の総量に対して、例えば5~95質量%の範囲である。
<光重合性化合物および光重合開始剤>
本発明の化合物または重合体を含むトナーを光溶融させた後、非流動化(再固化)する際には、室温(25±15℃の範囲)で放置(自然環境下)してもよいが、トナーに光重合性化合物および光重合開始剤を導入し、光重合により硬化を促進させることもできる。光重合性化合物としては、光の照射により硬化する化合物であって、後述する光重合開始剤および本発明の化合物および重合体のいずれにも該当しないものをいう。
光重合性化合物としては特に制限されず、従来公知のものが使用できるが、重合性基を有する化合物であることが好ましい。重合性基を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基(CH=CHCO-)またはメタクリロイル基(CH=CCHCO-))を含む化合物が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
また、光重合性化合物は、トナーの結着樹脂などの高分子化合物に、重合性基を導入したものであってもよい。重合性基を導入する方法も特に限定されず、従来公知の方法が適宜参照されうる。例えばTHFなどの公知の有機溶媒中、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの三級アミン類の存在下で、上記高分子化合物にハロゲン化アクリロイルまたはハロゲン化メタクリロイルなどの重合性基を導入するための化合物を反応させる方法が挙げられる。具体的には、前記有機溶媒、前記三級アミン類、前記高分子化合物を含む混合液に、前記重合性基を導入するための化合物を滴下し、20~60℃で1~10時間程度反応させることで、上記高分子化合物に重合性基を導入することができる。
本実施形態のトナーにおいては、結着樹脂に重合性基を導入して光重合性化合物として用いることが好ましい。
光重合開始剤は特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。光重合開始剤は、280~480nmに吸収波長領域を有することが好ましく、330~430nmに吸収波長領域を有することがより好ましい。
光重合開始剤としては、分子内開裂型光重合開始剤および水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられ、いずれも好適に使用できる。
分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,2-ジエトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン系化合物;1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシム系化合物;3,6-ビス(2-メチル-2-モルフォリノプロパノニル)-9-ブチルカルバゾール等のカルバゾール系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン等のアミノアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。また、光重合開始剤は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。光重合開始剤の使用量も特に制限されず、従来公知の知見が適宜採用されうる。
この際、光照射は、光重合性化合物の重合反応のための光照射と、本発明の化合物または重合体の軟化のための光照射とを兼ねるものであってもよい。光重合開始剤の感光波長域と、本発明の化合物または重合体の吸収波長域が重なる場合、同一の光源からの光照射により光重合性化合物の重合反応と本発明の化合物または重合体の軟化との両方を同時に行うことができる。そのため、トナーに用いたときに、トナーの軟化と定着を効果的に行うことができ、装置が簡便化できる。
または、光重合開始剤の感光波長域と、本発明の化合物または重合体の吸収波長域が重ならない場合、光重合開始剤の感光波長域を照射する光源と、本発明の化合物または重合体の吸収波長域とを照射する光源との2つの光源を用いて、順次あるいは同時に光照射を行ってもよい。このようにすることで、光量や照射順、時間を個別に制御し、例えばトナーに用いる場合、印刷条件に応じてより綿密にトナーの粘性を制御することができ、定着性を効果的に向上することができる。
<外添剤>
トナーの流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するために、トナー母体粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤を添加して本発明に係るトナーを構成してもよい。
外添剤としては、たとえば、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子などの無機酸化物粒子、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子などの無機ステアリン酸化合物粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸亜鉛粒子などの無機チタン酸化合物粒子などの無機粒子が挙げられる。必要に応じてこれらの無機粒子は疎水化処理されていてもよい。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
これらの中でも、外添剤としては、例えば、ゾルゲルシリカ粒子や、表面を疎水化処理したシリカ粒子(疎水性シリカ粒子)または酸化チタン粒子(疎水性酸化チタン粒子)が好ましく、これらのうち少なくとも2種以上の外添剤を使用することがより好ましい。
本発明の一実施形態において、これら外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量%に対して、05~5質量%であることが好ましく、0.1~3質量%であることがより好ましい。
<トナーの平均粒径>
トナーの平均粒径(およびトナー母体粒子の平均粒径)は、体積基準のメジアン径(D50)で4~20μmであることが好ましく、5~15μmであることがより好ましい。体積基準のメジアン径(D50)が上記範囲にあると、転写効率が高くなり、ハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
体積基準のメジアン径(D50)は、「コールターカウンター3」(ベックマン・コールター株式会社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター株式会社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出することができる。
具体的には、測定試料(トナー、またはトナー母体粒子)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、たとえば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、分散液を調製する。この分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター株式会社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。
ここで、表示濃度を上記範囲にすることで、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1~30μmの範囲を256分割して頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径を体積基準のメジアン径(D50)とする。
[トナーの製造方法]
本発明のトナーの製造方法は特に制限されない。例えば、トナー原料を混合して溶融混錬し、混錬物を冷却し、冷却物を粉砕して樹脂粒子を得る方法が挙げられる。具体的には、はじめに、本発明の化合物または重合体、必要に応じて結着樹脂、着色剤、離型剤などを含む原料を混合する。混合装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(登録商標)(日本コークス工業株式会社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー(登録商標)、タービュライザー、サイクロミックス(登録商標)(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサ(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)などが挙げられる。
次いで、混合した原料を溶融混練する。混練装置の一例としては、TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(株式会社池貝製);ニーデックス(三井鉱山社製)などが挙げられる。溶融混練後、混錬物を水冷などで冷却することが好ましい。
次に、上記で得られた冷却物を所望の粒径にまで粉砕する。粉砕工程では、特に制限されないが、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどで粗粉砕し、機械式粉砕機などで微粉砕して、樹脂粒子を得ることができる。得られた樹脂粒子は、分級工程にて、所望の粒径を有する樹脂粒子に分級してもよい。使用する分級機や運転条件も特に制限されない。
上記のように得られた樹脂粒子について、熱処理工程をさらに実施することが好ましい。熱処理としては、特に制限されないが、例えば、特開2017-293864号公報に記載の方法などが適宜参照されうる。当該方法によれば、樹脂粒子を旋回させながら同方向に旋回する熱風により熱処理を行うことにより、樹脂粒子の分散性を向上させ、合一粒子の少ない、形状の揃った樹脂粒子をトナー母体粒子として得ることができる。使用する熱処理装置や運転条件も特に制限されず、適宜調整されうる。
また、本発明の化合物または重合体、必要に応じて結着樹脂、着色剤、離型剤などを含むトナーは、粒子径および形状の制御が容易な乳化凝集法を利用した製造方法により製造することが好ましい。乳化凝集法を利用したトナーの製造方法としては、公知の手法が適宜採用されうる。
[現像剤]
本発明に係るトナーは、たとえば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
上記磁性体としては、たとえば、マグネタイト、γ-ヘマタイト、または各種フェライトなどを使用することができる。
二成分現像剤に含まれるキャリアとしては、鉄、鋼、ニッケル、コバルト、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。
キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリアであってもよいし、バインダー樹脂中に磁性体粉末を分散させた樹脂分散型キャリアであってもよい。被覆用の樹脂としては、特に限定はないが、たとえば、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂またはフッ素樹脂などが用いられる。また、樹脂分散型キャリア粒子を構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、たとえば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
キャリアの体積平均粒径は、20~100μmであることが好ましく、25~80μmであることがより好ましい。キャリアの体積平均粒径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパテック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
トナーの混合量は、トナーとキャリアとの合計質量を100質量%として、2~10質量%であることが好ましい。
[画像形成方法]
本発明のトナーは、電子写真方式の公知の種々の画像形成方法において用いることができる。たとえば、モノクロの画像形成方法やフルカラーの画像形成方法に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、1つの感光体とにより構成される4サイクル方式の画像形成方法や、各色に係るカラー現像装置および感光体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成方法など、いずれの画像形成方法にも適用することができる。
すなわち、本発明の一実施形態による画像形成方法は、1)記録媒体上に本発明のトナーからなるトナー像を形成する工程と、2)前記トナー像に光を照射して、前記トナー像を軟化させる工程とを含む。かかる実施形態であることによって定着性に優れ、さらに高画質となる。
1)の工程について
本工程では、本発明のトナーからなるトナー像を、記録媒体上に形成する。
(記録媒体)
記録媒体は、トナー画像を保持するための部材である。記録媒体の例としては、普通紙、上質紙、アート紙、コート紙などの塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用または包装材用の樹脂フィルム、および布などが挙げられる。
記録媒体は、所定の大きさを有するシート状(枚葉状)であってもよいし、トナー像が定着された後にロール状に巻き取られる長尺状であってもよい。
トナー像の形成は、後述するように、例えば感光体上のトナー像を記録媒体上に転写することにより行うことができる。
2)の工程について
本工程では、形成されたトナー像に光を照射してトナー像を軟化させる。これにより記録媒体上にトナー像を接着させることができる。
照射する光の波長は、トナー中の前記化合物による光熱変換などにより、トナー像を十分に軟化させうる程度であれば特に制限されないが、好ましくは280nm以上480nm以下である。上記範囲であればトナー像をより効率的に軟化させることができる。また、光の照射量は、同様の観点から、好ましくは0.1~200J/cm、より好ましくは0.1~100J/cm、さらに好ましくは0.1~50J/cmである。
光の照射は、後述するように、例えば発光ダイオード(LED)やレーザー光源などの光源を用いて行うことができる。また、後述のように、光照射とともに加熱をさらに行ってもよい。
2)の工程の後、必要に応じて、3)軟化させたトナー像を加圧する工程をさらに行ってもよい。かかる実施形態であることによって定着性が向上する。
3)の工程について
本工程では、軟化させたトナー像を加圧する。
記録媒体上のトナー像を加圧する際の圧力は、特に限定されないが、0.01~5.0MPaであることが好ましく、0.05~1.0MPaであることがより好ましい。圧力を0.01MPa以上とすることで、トナー像の変形量を大きくしうるため、トナー像と記録用紙Sとの接触面積が増加し、画像の定着性をさらに高めやすい。また、圧力を5.0MPa以下とすることで、加圧時のショックノイズを抑制できる。
当該加圧工程は、光照射し、トナー像を軟化させる工程(前述の2)の工程)の前または同時に行ってもよいが、光照射した後に行うほうが、あらかじめ軟化した状態のトナー像に加圧することができ、この結果、画像の定着性がより向上するため好ましい。
また、加圧する工程において、軟化させたトナー像をさらに加熱してもよい。すなわち、加圧工程は、トナー像を加熱しながら行ってもよい。その際の温度(例えば、加圧部材の温度)は、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、20℃超がさらに好ましく、30℃以上がよりさらに好ましく、40℃以上がよりさらに好ましい。かかる実施形態であることによって定着性が顕著に向上する。上限としては特に制限はないが、例えば、200℃以下、150℃以下、あるいは、100℃以下である。
トナー像の加熱温度(加熱時のトナー像の表面温度)は、トナーのガラス転移温度をTgとしたとき、(Tg+20)~(Tg+100)℃であることが好ましく、(Tg+25)~(Tg+80)℃であることがより好ましい。トナー像の表面温度が(Tg+20)℃以上であれば、加圧によってトナー像を変形させやすく、(Tg+100)℃以下であれば、ホットオフセットを抑制しやすい。なお、ホットオフセットとは、定着工程において、ローラーなどの加圧部材にトナーの一部が転移してしまい、トナー層が分断してしまう現象をいう。
また、2)の工程の前に、必要に応じて4)予めトナー像を加熱する工程をさらに行ってもよい。このように、2)の工程の前に4)予めトナー像を加熱する工程をさらに行うことで、本発明の化合物の光に対する感受性をより高めることができる。それにより、高分子であっても光に対する感受性は損なわれにくいため、光照射によるトナー像の溶融または軟化を促進しやすい。
図1は、本発明の一実施形態による画像形成方法で用いられる画像形成装置100を示す概略構成図である。ただし、本発明に用いられる画像形成装置としては、下記の形態および図示例に限定されるものではない。図1には、モノクロの画像形成装置100の例を示すが、カラーの画像形成装置にも本発明を適用することができる。
画像形成装置100は、記録媒体としての記録用紙Sに画像を形成する装置であって、画像読取装置71および自動原稿送り装置72を備え、用紙搬送系7により搬送される記録用紙Sに対し画像形成部10、照射部40、および圧着部9により画像形成を行う。
また、記録媒体として、画像形成装置100では記録用紙Sを用いているが、画像形成を行う対象とされる媒体は、用紙以外でもよい。
自動原稿送り装置72の原稿台上に載置された原稿dは、画像読取装置71の走査露光装置の光学系により走査露光されてイメージセンサーCCDに読み込まれる。イメージセンサーCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部20において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、画像形成部10の露光器3に入力される。
用紙搬送系7は、複数のトレイ16、複数の給紙部11、搬送ローラー12、搬送ベルト13等を備えている。トレイ16は、決められたサイズの記録用紙Sをそれぞれ収容しており、制御部90からの指示に応じて定められたトレイ16の給紙部11を作動させ、記録用紙Sを供給する。搬送ローラー12は、給紙部11によってトレイ16から送り出された記録用紙Sまたは手差し給紙部15から搬入された記録用紙Sを画像形成部10へ搬送する。
画像形成部10は、感光体1の周りに、感光体1の回転方向に沿って、帯電器2、露光器3、現像部4、転写部5およびクリーニング部8がこの順番に配置されて構成されている。
像担持体である感光体1は、表面に光導電層の形成された像担持体であり、図示しない駆動装置により図1中の矢印方向に回転可能に構成されている。感光体1の近傍には、画像形成装置100内の温度や湿度を検知する温湿度計17が設けられている。
帯電器2は、感光体1の表面に均一に電荷を与え、感光体1の表面を一様に帯電させる。露光器3は、レーザーダイオード等のビーム発光源を備え、帯電された感光体1の表面にビーム光を照射することで照射部分の電荷を消失させ、感光体1上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像部4は、内部に収容されるトナーを感光体1に供給して、感光体1表面上に静電潜像に基づくトナー像を作像する。
転写部5は、記録用紙Sを介して感光体1と対向し、トナー像を記録用紙Sに転写する。クリーニング部8は、ブレード85を備える。ブレード85により、感光体1表面をクリーニングして感光体1の表面に残留した現像剤を除去する。
トナー像が転写された記録用紙Sは、搬送ベルト13により圧着部9へ搬送される。圧着部9は、任意に設置されるものであり、トナー像が転写された記録用紙Sに対し、加圧部材91および92によって圧力のみまたは熱および圧力を加えて定着処理を施し、これにより記録用紙S上に画像を定着させる。画像が定着された記録用紙Sは、搬送ローラーによって排紙部14に搬送され、排紙部14から機外へ排出される。
また、画像形成装置100は用紙反転部24を備えており、加熱定着処理がなされた記録用紙Sを排紙部14の手前で用紙反転部24に搬送し、表裏を反転して排出するか、または表裏を反転した記録用紙Sを再度画像形成部10に搬送し記録用紙Sの両面に画像形成を行うことを可能としている。
<照射部>
図2は、画像形成装置100における照射部40の概略構成図である。
本発明の一実施形態による画像形成装置100は、照射部40を備える。照射部40は、光源41と加熱部材93とを備える。光源41を構成する装置の例としては、発光ダイオード(LED)、レーザー光源などが挙げられる。
光源41は、記録媒体上に形成されたトナー像に光を照射して、トナー像を軟化させる。光照射の条件は、現像剤のトナーに含まれる本発明の化合物を溶融、流動化させるものであれば特に制限されない。トナー像に照射する光の波長は、前記化合物を十分に流動化させうる程度であればよく、好ましくは280nm以上480nm以下の範囲内、より好ましくは300nm以上420nm以下の範囲内、さらに好ましくは330nm以上420nm以下の範囲内である。光源41における光の照射量も、十分に流動化させうる程度であればよく、例えば0.1J/cm以上200J/cm以下の範囲内、好ましくは0.1J/cm以上100J/cm以下の範囲内、より好ましくは、0.1J/cm以上50J/cm以下の範囲内である。
光源41によりトナー像に光を照射してトナー像を軟化させる際に、光照射とともに、加熱部材93によりトナー像を加熱してもよい。これにより、より効率的にトナー像の軟化、溶融が進行しうる。この際の加熱温度としては、例えば、20℃以上200℃以下の範囲内であり、好ましくは20℃以上150℃以下の範囲内である。
軟化した前記トナー像に対して、室温(25±15℃の範囲)で放置する、加熱する、または可視光照射することで、前記トナー像を固化させ記録媒体に定着させることができる。または、光重合性化合物および光重合開始剤を導入したトナーを用いた場合は、光重合開始剤の吸収波長領域の光を照射することで光重合により硬化を促進させることもできる。なお、後述のように、定着させる工程においては、軟化した前記トナー像を加圧する工程をさらに含むことが好ましい。前記加圧する工程では、軟化した前記トナー像をさらに加熱することが好ましい。
光源41はトナー像を保持する記録用紙Sにおける感光体側の第1面に向かって光を照射するものであり、感光体1と転写部である転写ローラー5とにニップされた記録用紙S面に対して感光体側に配置されている。そして、記録用紙S面に対して、光源41と反対側に加熱部材93が配置されている。また、記録用紙Sの搬送方向(用紙搬送方向)に沿って、光源41および加熱部材93が配置されている。
光源41および加熱部材93は、感光体1と転写ローラー5とのニップ位置に対して、用紙搬送方向下流側、かつ圧着部9に対して用紙搬送方向上流側に配置されている。
本発明の一実施形態による画像形成方法によれば、帯電器2により感光体1に一様な電位を付与して帯電させた後、原画像データに基づいて露光器3により照射した光束で感光体1上を走査し、静電潜像を形成する。次に現像部4により本発明のトナーを含む現像剤を感光体1上に供給する。
感光体1の表面に担持されたトナー像が、感光体1の回転によって転写部5の位置に至るタイミングに合わせて、トレイ16から記録用紙Sを画像形成部10に搬送すると、転写部5に印加される転写バイアスにより、感光体1上のトナー像が、転写部5と感光体1とにニップされた記録用紙S上に転写される。
また、転写部5は、加圧部材を兼ねており、感光体1から記録用紙Sにトナー像を転写させることができながら、トナー像に含まれる前記化合物を確実に記録用紙Sに密着させることができる。
トナー像が記録用紙Sに転写された後に、クリーニング部8のブレード85は、感光体1表面に残留する現像剤を除去する。
トナー像が転写された記録用紙Sが搬送ベルト13により圧着部9に搬送される過程において、光源41は、記録用紙S上に転写されたトナー像に対して光を照射する。光源41により記録用紙Sの第1面上のトナー像に向かって光を照射することにより、トナー像をより確実に溶融させることができ、トナー像の記録用紙Sに対する定着性を向上させることができる。
トナー像が保持された記録用紙Sが、搬送ベルト13により圧着部9に至ると、加圧部材91および92が、トナー像を記録用紙Sの第1面に圧着する。圧着部9により定着処理が施される前に、トナー像が光源41による光照射により軟化するため、記録用紙Sに対する画像圧着の省エネルギー化を図ることができる。さらに、トナー像を固化させ記録媒体に定着させる工程において、トナー像を加圧部材91、92により加圧することで、トナー像の記録用紙Sへの定着性がより向上する。
トナー像を加圧する際の圧力は、前述の通りである。なお、該加圧工程は、光を照射して、トナー像を軟化させる工程の前または同時に行ってもよく、後に行ってもよい。あらかじめ軟化した状態のトナー像に加圧することができ、画像強度を高めやすい観点では、加圧工程は、光照射後に行うほうが好ましい。
また、加圧部材91は、記録用紙Sが加圧部材91および92の間を通過する際に、記録用紙S上のトナー像を加熱することができる。光照射によって軟化したトナー像は、この加熱によりさらに軟化され、その結果、トナー像の記録用紙Sへの定着性がより向上する。
トナー像の加熱温度は、前述の通りである。トナー像の加熱温度(トナー像の表面温度)は、非接触温度センサーにて測定することができる。具体的には、たとえば、加圧部材から記録媒体が排出される位置に非接触温度センサーを設置して、記録媒体上のトナー像の表面温度を測定すればよい。
加圧部材91および92によって圧着されたトナー像は、固化されて記録用紙S上に定着される。
本発明の一実施形態において、定着装置は、加圧部材を備える圧着部を有する。本発明の一実施形態において、前記加圧部材は加熱手段を有する。本発明の一実施形態において、前記加圧部材の温度は、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、20℃超がさらに好ましく、30℃以上がよりさらに好ましく、40℃以上がよりさらに好ましい。上限としては特に制限はないが、例えば、200℃以下、150℃以下、あるいは、100℃以下である。
<光応答性剥離剤>
本発明の化合物または重合体は光照射により流動化するため、本発明の化合物または重合体を用いて光応答性剥離剤を作製することができる。例えば、光照射による粘度(摩擦係数)の変化により光脱着可能な光応答性剥離剤として各種の技術に応用することが可能である。すなわち、本発明の一実施形態は、本発明の化合物または重合体を含む、光応答性剥離剤である。
本発明の光応答性剥離剤は、仮止めに使えるほか、リサイクル利用にも適しているが、これらに何ら制限されるものではない。
<光応答性材料>
本発明の化合物または重合体は光照射により流動化するため、本発明の化合物または重合体を用いて光応答性材料を作製することができる。例えば、光異性化に伴う色や極性の変化、物質移動、配向の変化、粘度の変化、表面張力の変化を利用して光応答性材料を作製することができる。例えば、液晶材料などにおいて、光異性化に伴う分子の配向の変化に対応して、繰り返しの書き換えが可能なパターニング描画に応用することが可能である。また、例えば、光照射に伴う表面張力の変化やこれによる物質移動を利用して、高分子膜の表面の微細加工やパターニング形成を行うことができる。また、光異性化に伴うゾル-ゲル変化を利用して、キズの修復ができる自己修復材料として応用できる。また、異性化に伴う複屈折変化を利用して、光の透過を制御する調光フィルムやスマートガラスへの応用が期待できる。すなわち、本発明の一実施形態は、本発明の化合物または重合体を含む、光応答性材料である。
本発明の光応答性材料は、着色が少ないことから多様な工業製品に適用されうる。特に、液晶ディスプレイ材料や、高分子膜の表面加工に好適に使用できるが、これらに何ら制限されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1:化合物1の合成>
冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mlの4頭フラスコに、4-ヘキシルオキシ-2,5-ジメチルベンズアルデヒド(7mmol)と4-アミノ-1,2,4-トリアゾール(7mmol)とエタノール5ml、酢酸5mlを投入し、加熱攪拌した。反応液を吸引ろ過し、得られた粉末をヘプタン/エタノールで再結晶を行い、目的物である化合物1を収率86%で得た。
Figure 2022180161000011
H-NMRで化合物1の生成を確認した。H-NMR(400MHz、CDCl);9.25ppm(s,2H,triazol)、9.12ppm(s,1H,CH=N)、7.69ppm(s,1H,aryl)、6.90ppm(s,1H,aryl)、4.11ppm(t,2H,methylene)、2.25ppm(s,3H,methyl)、2.18ppm(s,3H,methyl)、1.81ppm(m,2H,methylene)、1.39ppm(m,6H,methylene),0.90ppm(t,3H,methyl)。
<実施例2~14:化合物2~14、比較例1>
化合物2~14、比較例1の化合物の合成は、化合物1の合成において、4-ヘキシルオキシ-2,5-ジメチルベンズアルデヒドと4-アミノ-1,2,4-トリアゾールとをそれぞれ対応する下記の原料に変えて同様の方法で合成を行い、目的物を得た。また、同様にH-NMRでそれぞれの化合物の生成を確認した。
化合物2の合成:4-ドデシルオキシ-2,6-ジメチルベンズアルデヒド、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール;
化合物3の合成:4-ヘキシルオキシ-2,6-ジメチルベンズアルデヒド、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール;
化合物4の合成:4-オクチルオキシ-2,6-ジメチルベンズアルデヒド、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール;
化合物5の合成:4-ドデシルオキシベンズアルデヒド、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール;
化合物6の合成:4-オクチルオキシ-2,6-ジメチルベンズアルデヒド、1H-ピロール-1-アミン;
化合物7の合成:4-オクチルオキシ-2,5-ジメチルベンズアルデヒド、1H-ピラゾール-1-アミン;
化合物8の合成:4-ヘキシルオキシベンズアルデヒド、1H-イミダゾール-1-アミン;
化合物9の合成:4-オクチル-2,5-ジメチルベンズアルデヒド、1H-1,2,3-トリアゾール-1-アミン:
化合物10の合成:4-ヘキシルオキシベンズアルデヒド、1-アミノ-1,2,4-トリアゾール;
化合物11の合成:4-ヘキシルベンズアルデヒド、2H-テトラゾール-2-アミン;
化合物12の合成:4-ピリジンカルボキシアルデヒド、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール;
化合物13の合成:5-ヘキシル-2-チオフェンカルボキシアルデヒド、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール;
化合物14の合成:4-プロピルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール;
比較化合物1(比較1)の合成:4-ヘキシルオキシベンズアルデヒド、1-メチル-1H-ピロール-3-アミン。
<比較例2>
比較化合物2(比較2)の合成
特開2014-191078号公報の段落0217~0227に記載の方法で、以下の比較化合物2(数平均分子量Mn:2870)を得た。
Figure 2022180161000012
<実施例15A:重合体15Aの合成>
(アゾメチン誘導体モノマー15の合成)
100mlの4頭フラスコに、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンズアルデヒド(0.05mol)と4-アミノ-1,2,4-トリアゾール(0.05mol)とエタノール100mlとを投入し、加熱攪拌した。反応液を吸引ろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄した。さらに、メタノール/エタノールで再結晶を行い、目的物1を得た。
Figure 2022180161000013
次いで、200mlの4頭フラスコにおいて、上記で得られた目的物1(0.023mol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)25mlに溶解させた。これに、炭酸カリウム(0.035mol)を加え、30℃に保ちながら攪拌した。これに、ヨウ化カリウム(0.06mmol)、10-クロロ-1-デカノール(0.026mol)を添加し、110℃で反応させた。これを、室温まで冷却し、650gの氷に添加した後、ろ過した。結晶を水400mlに分散させ、一晩攪拌して洗浄し、ろ過して乾燥させた。さらに、エタノールにて再結晶を行い、目的物2を得た。
Figure 2022180161000014
次に、100mlの4頭フラスコに、上記で得られた目的物2(0.01mol)、トリエチルアミン(0.01mol)およびジクロロメタン30mlを投入した。この時、原料は分散状態であった。内温を0℃に保ちながら、アクリル酸クロライド(0.011mol)をジクロロメタン10mlに溶かした溶液を、内温を0~5℃を保ちながら滴下した。滴下していくと、原料は溶解した。
滴下終了後、反応液を室温に戻して攪拌を行った。反応終了後、ジクロロメタンを濃縮して除去し、酢酸エチルに溶解して、希塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、濃縮した。得られたオレンジ色の結晶をシリカゲルカラム(酢酸エチル/へプタン=1/5)にて精製し、アゾメチン誘導体モノマー15を得た。
Figure 2022180161000015
(重合体15Aの合成)
100mlの4頭フラスコにおいて、上記で得られたアゾメチン誘導体モノマー15を4.21mmоl(1.8g)、4-シアノペンタン酸ジチオベンゾアートを0.023mmоlおよびAIBNを0.006mmоl、アニソール4mlに溶解させた。
そして、凍結脱気によりアルゴンガス雰囲気にした後、75℃に昇温し、8時間攪拌することで重合させた。得られたポリマー溶液に、メタノール40mlを徐々に滴下した後、THFを加えて、未反応のアゾメチン誘導体モノマー15を除去した。分取したポリマー溶液は、40℃の真空乾燥炉内にて24時間乾燥させて、重合体15Aを得た。得られた重合体15Aの数平均分子量MnをGPC法で測定したところ16000であった。
なお、GPCによる分子量分布の測定は、以下のように行った。装置「HLC-8220」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM-M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、測定試料を室温(25℃)において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒とともに装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出した。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、10点の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。また、検出器には屈折率検出器を用いた。数平均分子量Mnは、上記のとおりにGPCによって測定した分子量分布を示すクロマトグラムより算出した。
<実施例15B:重合体15Bの合成>
重合体15Aの合成において、アゾメチン誘導体モノマー15を1.2g、スチレン/エチルアクリレートを0.3g/0.3gとする以外は同様にして、重合体15Bを得た。得られた重合体15Bの数平均分子量MnをGPC法で測定したところ10000であった。
<実施例15C:重合体15Cの合成>
・マクロ開始剤15Cの合成
100mlのナスフラスコにおいて、2,2’-ビピリジル(1.47mmol)を入れ、窒素雰囲気下のグローブボックス内でさらにCu(I)Br(0.66mmol)、スチレン(144mmol)、2-ブロモイソ酪酸エチル(0.18mmol)を加えて密閉した。これを100℃のオイルバスで加熱攪拌した。その後、テトラヒドロフランを適量加え、中性アルミナカラムに通した。これをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製し、マクロ開始剤15Cを得た。得られたマクロ開始剤15Cの数平均分子量(β Mn)をGPC法で測定したところ6000であった。
・重合体15Cの合成
100mlのナスフラスコにおいて、上記で得られたアゾメチン誘導体モノマー15(47mmol)、および上記のマクロ開始剤15C(0.18mmol)を入れ、窒素雰囲気下のグローブボックス内でさらにCu(I)Cl(0.29mmol)、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(0.59mmol)、溶媒としてのアニソール(41.1mmol)を加えて密閉した。そして、80℃のオイルバスで加熱攪拌した。その後、クロロホルムを適量加え、塩基性アルミナカラムに通した。これをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製し、重合体15Cを得た。得られた重合体15Cの全数平均分子量MnをGPC法で測定したところ17000であった。これより、アゾメチン誘導体に由来する構造単位の数平均分子量(α Mn)を11000と求められる。
<実施例16、17:重合体16、17の合成>
(アゾメチン誘導体モノマー16の合成)
上記のアゾメチン誘導体モノマー15の合成において、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンズアルデヒドを4-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンズアルデヒドに変更し、アゾメチン誘導体モノマー16を合成した。
(アゾメチン誘導体モノマー19の合成)
上記のアゾメチン誘導体モノマー15の合成において、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンズアルデヒドを4-ヒドロキシベンズアルデヒドに、10-クロロ-1-デカノールを6-クロロ-1-ヘキサノールに変更し、アゾメチン誘導体モノマー17を合成した。
(重合体16、17の合成)
上記の重合体15Aの合成において、アゾメチン誘導体モノマー15をそれぞれアゾメチン誘導体モノマー16、17に変更し、重合体16、17を合成した。重合体16、17の数平均分子量MnをGPC法で測定したところ、それぞれ、14000、20000であった。
表1に、化合物1~14、比較化合物1、2の構造、および重合体15A~15C、16、17を構成する繰り返し単位の構造を示す。
[評価:光応答剥離試験]
上記で調製した化合物1~14、比較化合物1、2、および重合体15A~15C、16、17の光照射に伴う接着性の変化を図3に示す装置を用いて、以下の光応答剥離試験で評価した。図3に示すように、18mm角のカバーガラス1に試料2mgをガラス中心から半径6mm内に載せ、同サイズのカバーガラス2を、カバーガラス1に対して平行方向に約4mmずらした位置で、試料をすべて覆いかぶせるように被せた。これを加熱し、試料を溶融させ、カバーガラス1とカバーガラス2とを接着させた。
次いで、図3に示す(A)部分を台にセロハンテープで固定し、(C)部分には80gのおもりを装着した長さ30cmのビニール紐をセロハンテープで固定した。(B)部分に334nmの光を照射量20J/cmで照射し、カバーガラス2がカバーガラス1から剥がれるかを確認し、下記の評価基準に従って判定した。◎、〇を合格とした。結果を下記表2に示す:
◎:カバーガラス2がカバーガラス1から完全に剥がれた
〇:カバーガラス2がずれた
×:カバーガラス2は動かなかった。
[トナーの作製]
<スチレンアクリル樹脂の調製>
温度計及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、THF300質量部を入れ、窒素置換した。その後、スチレン80.0質量部、アクリル酸ブチル10.0質量部、ヒドロキシエチルアクリレート10.0質量部を加えた後、AIBN7.0質量部を加えて、100℃で7時間重合した。その後室温まで冷却して、スチレンアクリル系重合体溶液を得た。さらに、トリエチルアミン20.0質量部を追加後、塩化アクリロイル11.0質量部を加え、5分かけて滴下した。その後、50℃で3時間攪拌した。混合液をエタノールで再沈殿し、ろ過後、スチレンアクリル樹脂を得た。得られたスチレンアクリル樹脂の重量平均分子量は13000であった。
<トナー1の調製>
・スチレンアクリル樹脂 100.0質量部
・化合物1 30.0質量部
・パラフィンワックス「HNP-11」」(日本精蝋株式会社製) 6質量部
・銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)8質量部
・Omnirad(登録商標)651(IGM Resins B.V.社製) 22.0質量部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(荷電制御剤) 0.3質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(登録商標)(FM-75型、日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF-300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、樹脂粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
得られた樹脂粒子1を、熱処理装置を用いて熱処理を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、フィード量を5kg/hr、熱風温度を150℃、熱風流量を6m/min、冷風温度を-5℃、冷風流量を4m/min、ブロワー風量を20m/min、インジェクションエア流量を1m/minとした。
100質量部のトナー粒子1、ヘキサメチルジシラザンで表面処理した疎水性シリカ1.0質量部、およびイソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン粒子1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(FM-75型、日本コークス工業株式会社製)で回転数30s-1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。得られたトナー1の平均円形度は0.968であった。
なお、トナーの平均円形度は「FPIA-2100」(Sysmex社製)を用いて測定した。具体的には、トナーを界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA-2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数4000個の適正濃度で測定を行った。円形度は下記式で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均
値である。
<トナー2~21、比較例1、2のトナーの調製>
トナー1の調製において、化合物/重合体の種類および比率を、下記表3のように変更したことを除いては同様の操作を行って、トナー2~21、比較例1、2のトナーを得た。なお、下記表1~3中の「化合物/重合体」は、各実施例、比較例の化合物または重合体を指す。下記表3中、化合物/重合体の比率は、それぞれ、トナー中の結着樹脂100質量%に対する上記化合物または重合体の比率(質量%)である。
(現像剤の作製)
上記で作製したトナー1~21、および比較例1、2のトナーについて、シクロヘキサンメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体樹脂(モノマー質量比1:1)で被覆した体積平均粒径が30μmのフェライトキャリア粒子を、トナー粒子濃度が6質量%となるように混合し、現像剤1~21および比較例1、2の現像剤を得た。混合は、V型混合機を用いて30分間行った。
[評価:定着性試験]
定着性試験は、上記で得られた現像剤1~21、比較例1、2の現像剤を用いて、常温常湿環境下(温度20℃、相対湿度50%RH)で行った。一方に現像剤、他方に記録媒体としてのCFペーパー(坪量:80g/m)を設置した一対の平行平板(アルミ)電極間に、現像剤を磁力によって摺動させながら配置し、電極間ギャップが0.5mm、DCバイアスとACバイアスとはトナー付着量6g/mとなる条件でトナーを現像させ、上記記録媒体の表面にトナー層を形成し、定着装置で定着させて、印刷物を得た(画像形成)。
この印刷物の1cm角のトナー画像を、「JKワイパー(登録商標)」(日本製紙クレシア株式会社製)で50kPaの圧力をかけて10回こすり、画像の定着率で評価した。定着率60%以上を合格とした。結果を下記表3に示す。なお、画像の定着率とは、印刷後の画像およびこすった後の画像の濃度を反射濃度計「RD-918」(サカタインクスエンジニアリング株式会社製)で測定し、こすった後のベタ画像の反射濃度を、印刷後のベタ画像の反射濃度で除した値を百分率で表した数値である。
定着装置は、図2に示す装置を適宜改変して構成された下記の定着装置を用いた:
定着装置1:図2の圧着部9がなく、加熱部材93の温度が20℃であり、光源41から照射される紫外光の波長は334nmであり、照射量は15J/cmである。
-定着性の評価基準-
◎:定着率が85%以上
○:定着率が75%以上85%未満
△:定着率が60%以上75%未満
×:定着率が60%未満。
[評価:色再現性評価]
上記で得られた実施例、比較例の画像について色再現性を、15名のモニターによる目視評価により下記評価基準に従って評価した。具体的には、評価比較用サンプルとして、各実施例、比較例のトナーに対して、光応答性化合物または重合体を除いたトナーを作製した。これを用いて上記と同様に現像剤を作製し、上記の定着性試験における画像形成と同様に現像し、下記の定着装置No.2にて定着を行った:
定着装置No.2:加熱部材93の温度が20℃であり、加圧部材91の温度は150℃であり、加圧時の圧力は0.2MPaであり、光照射は実施しない。
15名のモニターに対して、前記評価比較用サンプルと実施例記載のサンプルを順番に見せ、2つの画像の色が明らかに異なるか質問した。下記色再現性の評価基準による判定結果を下記表3に示す:
◎:2名以下が明らかに異なると答えた
○:3~4名が明らかに異なると答えた
△:5~7名が明らかに異なると答えた
×:8名以上が明らかに異なると答えた。
Figure 2022180161000016
Figure 2022180161000017
Figure 2022180161000018
上記表2から明らかなように、本発明の化合物および重合体は、いずれも光照射により流動化することがわかった。これに対して、C=N結合の窒素原子に複素環基の窒素原子が直接結合していない比較例1の化合物では、各実施例の化合物および重合体と比較すると、流動化は生じにくいことがわかった。
上記表3から明らかなように、各実施例のトナーはいずれも、高い定着性と優れた色再現性とを示した。一方、C=N結合の窒素原子に複素環基の窒素原子が直接結合していない化合物を用いた比較例1のトナーでは光照射による十分な定着性が得られない。また、アゾベンゼン化合物を用いた比較例2のトナーは、定着性が十分ではなく、色再現性が低いことがわかった。
1 感光体、
2 帯電器、
3 露光器、
4 現像部、
5 転写部、
7 用紙搬送系、
8 クリーニング部、
9 圧着部、
10 画像形成部、
11 給紙部、
12 搬送ローラー、
13 搬送ベルト、
14 排紙部、
15 手差し給紙部、
16 トレイ、
17 温湿度計、
20 画像処理部、
24 用紙反転部、
40 照射部、
41 光源、
71 画像読取装置、
72 自動原稿送り装置、
85 ブレード、
90 制御部、
91、92 加圧部材、
93 加熱部材、
100 画像形成装置、
d 原稿、
S 記録用紙。

Claims (11)

  1. 光照射により流動化する、下記一般式(1)で表される化合物:
    Figure 2022180161000019

    式中、
    は、置換もしくは非置換の環状の炭化水素基または置換もしくは非置換の複素環基であり、
    は、前記一般式(1)の窒素原子に結合する窒素原子を含む置換または非置換の複素環基である。
  2. 前記Rは、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の芳香族複素環基であり、
    前記Rは、前記一般式(1)の窒素原子に結合する窒素原子を含む芳香族複素環基である、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記Rは、前記一般式(1)の炭素原子に対してパラ位に炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数2~10のジアルキルアミノ基、炭素数2~19のアシル基および炭素数2~19のアルコキシカルボニル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有するベンゼン環を含む、請求項1または2に記載の化合物。
  4. 前記Rは、前記一般式(1)の炭素原子に対する2つのオルト位の少なくとも一方が非置換であるか、または、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、もしくはハロゲン原子で置換されたベンゼン環を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. 前記光照射における光の波長が、280nm以上480nm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. 下記一般式(1’)で表される構造単位を含み、光照射により流動化する、重合体:
    Figure 2022180161000020

    式中、
    は、置換もしくは非置換の環状の炭化水素基または置換もしくは非置換の複素環基であり、
    は、前記一般式(1’)の窒素原子に結合する窒素原子を含む置換または非置換の複素環基であり、
    前記RおよびRの少なくとも一方は、重合性基に由来する構造を含む基に結合している。
  7. 前記光照射における光の波長が、280nm以上480nm以下である、請求項6に記載の重合体。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、または請求項6もしくは7に記載の重合体を含む、光応答性剥離剤。
  9. 請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、または請求項6もしくは7に記載の重合体を含む、トナー。
  10. 請求項9に記載のトナーからなるトナー像を記録媒体上に形成する工程と、
    前記トナー像に光を照射して、前記トナー像を軟化させる工程と、を含む、画像形成方法。
  11. 請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、または請求項6もしくは7に記載の重合体を含む、光応答性材料。
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