JP2021128253A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明によれば、記録媒体が透明であるか否かを問わず使用でき、かつ、画像の定着性に優れ、濃度ムラの発生を抑制する、光定着を採用した画像形成方法・画像形成装置が提供される。【解決手段】本発明は、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部と、前記トナー像を記録媒体上に転写する転写部と、前記転写部にて前記記録媒体上に転写された後の前記トナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行い、前記トナー像を前記記録媒体上に定着させる定着部と、を含み、前記トナーは、光を吸収することで固液相転移する化合物を含む、画像形成装置に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関する。
従来、感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、形成されたトナー像を用紙に転写し、転写されたトナー像を加熱定着することで、用紙上に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置が知られている。このような画像形成装置において、加熱定着によりトナー像を用紙に定着させるには、トナーを高温に加熱して一旦溶融させる必要がある。このため、省エネルギー化を図るには、限度があった。
近年、電子写真プロセスにおいて、Warming−Up Timeの短縮や省エネルギー化、記録媒体種の拡大等のため、光を利用した定着システムが提案されている。
光を利用した定着システムとしては、特許文献1には、光吸収によりシス−トランス異性化反応し相転移する化合物を含む現像剤を用いる画像形成装置が開示されている。特許文献1には、かような画像形成装置の一例として、感光体から透明記録シートへトナー像を転写する転写部において、感光体と、転写ローラーとによって搬送ベルトが挟まれる位置(ニップ位置)に向かって、透明記録シートのトナー像が形成された面とは反対側の面の外側から透明記録シートを透過してトナー像に入射するよう、光を照射する露光装置を備えた画像形成装置が開示されている。当該画像形成装置では、転写部にて透明記録シート上に転写されたトナー像は、その後、加熱ローラーと加圧ローラーとの間を通過する際に加圧され透明記録シート上に密着されることで、定着がなされる。
特開2014−191077号公報
しかしながら、特許文献1に係る定着システムは、より正確には、定着のみではなく、転写部と、定着部とを含む、転写および定着システムといえるものである。当該システムは、転写部での透明記録シートへのトナー像の転写の際には光を利用しているものの、その後、透明記録シート上にトナー像を密着させる定着部では従来と同様に加熱定着を行っている。このようなシステムを用いた画像形成装置・画像形成方法は、光を利用したトナー像の透明記録シートへの転写を可能にするが、当該転写のみで十分な定着性を実現するものではない。また、かようなシステムでは、転写性が低下し、画像品質が低下する問題が生じる場合もあった。これより、光を利用したトナー像の透明記録シートへの定着を行った際に、十分な定着性を得ることができ、かつ、濃度ムラを十分に抑制することができる画像形成方法・画像形成装置の実現が望まれていた。
また、特許文献1に係る定着システムにおいては、記録媒体が透明記録シートでない場合には記録媒体を透過する光量が非常に少ないことから、感光体と、転写ローラーとによって搬送ベルトが挟まれる位置(ニップ位置)に向かってトナー像に入射するよう光を照射することは困難であった。これより、記録媒体が透明であるか否かに関わらず、光を利用したトナー像の記録媒体の定着(以下、単に「光定着」とも称する)を行うことができる画像形成方法・画像形成装置の実現が望まれていた。
そこで、本発明は、記録媒体が透明であるか否かを問わず使用でき、かつ、画像の定着性に優れ、濃度ムラの発生を抑制する、光定着を採用した画像形成方法・画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決されうる:
静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部と、
前記トナー像を記録媒体上に転写する転写部と、
前記転写部にて前記記録媒体上に転写された後の前記トナー像に対して、加圧および光照射を同時に行い、前記トナー像を前記記録媒体上に定着させる定着部と、
を含み、
前記トナーは、光を吸収することで固液相転移する化合物を含む、画像形成装置。
また、本発明の上記課題は、以下の手段によっても解決されうる:
静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記転写工程の後に、前記記録媒体上に転写された前記トナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行い、前記トナー像を記録媒体上に定着させる定着工程と、
を有し、
前記トナーは、光を吸収することで固液相転移する化合物を含む、画像形成方法。
本発明によれば、記録媒体が透明であるか否かを問わず使用でき、かつ、画像の定着性に優れ、濃度ムラの発生を抑制する、光定着を採用した画像形成方法・画像形成装置が提供されうる。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法で用いられる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。なお、図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図であるとも言える。 本発明の一実施形態に係る画像形成方法で用いられる画像形成装置に含まれる定着部の一例を示す概略構成図である。なお、図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置に含まれる定着部の一例を示す概略構成図であるとも言える。 本発明の一実施形態に係る画像形成方法で用いられる画像形成装置に含まれる定着部の他の一例を示す概略構成図である。なお、図3は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置に含まれる定着部の他の一例を示す概略構成図であるとも言える。 本発明の一実施形態に係る画像形成方法で用いられる画像形成装置に含まれる定着部のその他の一例を示す概略構成図である。なお、図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置に含まれる定着部のその他の一例を示す概略構成図であるとも言える。 比較例に係る画像形成方法で用いられる画像形成装置に含まれる定着部およびその周辺部を示す概略構成図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。(メタ)アクリル酸等の(メタ)を含む化合物等も同様に、名称中に「メタ」を有する化合物と「メタ」を有さない化合物の総称である。
<画像形成方法および画像形成装置>
本発明の一形態は、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、前記転写工程の後に、前記記録媒体上に転写された前記トナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行い、前記トナー像を記録媒体上に定着させる定着工程と、を有し、前記トナーは、光を吸収することで固液相転移する化合物を含む、画像形成方法に関する。
また、本発明の他の一形態は、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部と、前記トナー像を記録媒体上に転写する転写部と、前記転写部にて前記記録媒体上に転写された後の前記トナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行い、前記トナー像を前記記録媒体上に定着させる定着部と、を含み、前記トナーは、光を吸収することで固液相転移する化合物を含む、画像形成装置に関する。当該形態は、上記本発明の一形態に係る画像形成方法において用いることができる画像形成装置に関するとも言える。
本発明は、トナーとして、光を吸収することで固体から液体へ相転移する化合物(以下、単に「光相転移化合物」とも称する)を含有するものを使用することを特徴の一つとする。このような光相転移化合物を含むトナーの軟化のメカニズムは、十分に明らかになっていないが、本発明者らは、上記構成によって課題が解決されるメカニズムを以下のように推定している。
光定着時に、光相転移化合物を含むトナー粒子に光が照射されると、光相転移化合物は、光を吸収することでシス−トランス異性化反応が生じて軟化する。そして、その作用によって、またはそのトナー粒子を構成する他の成分(例えば、結着樹脂)に波及することによって、トナー粒子全体が低粘度化し、定着性が発現する。ここで、シス−トランス異性化反応は、光相転移化合物特有の現象であり、トランス体の規則構造中に光異性化により生じたシス体が一定量混在することで軟化が生じることとなる。
本発明では、記録媒体上のトナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行うことを含む方法によって定着が行われる。かような定着では、光照射のみでの定着や、光照射後に上記の圧力によって加圧する定着と比較して、トナー粒子中の光相転移化合物の規則構造の崩れがより生じ易くなる。そして、その崩れがより広い範囲に伝播し、光相転移化合物全体としての分子運動性が高まり、トランス体とシス体との混在状態により速く到達する。これらの結果、この規則構造の崩れのトナー粒子全体への伝搬がより速く生じ、トナー粒子全体へより速く波及することとなるため、トナー粒子の軟化速度が向上し、定着性が向上する。
また、記録媒体上のトナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行うことで、当該トナー像において、光を吸収したトナー層の表面層のトナー粒子が定着中に即時に変形し、トナー層の内側のトナー粒子と接着する。これにより、トナー粒子同士の接着性が高まると同時に、トナー粒子界面での光散乱が少なくなることでトナー層深部に到達する光量が増加して、トナー粒子全体の軟化が促進される。これらの作用によっても、定着性が向上する。
そして、記録媒体上のトナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行うことで、トナー粒子全体が均一にならされ、溶融むらが小さくなるため、濃度ムラが抑制される。
なお、光相転移化合物では、光照射後にはシス体からトランス体への異性化が生じることから、トナー粒子は、たとえ光照射時に軟化が生じていても、光照射後には硬くなる。このため、光照射と同時に加圧をせずに、光照射後に加圧をすると、トナーの変形が十分に生じない場合がある。一方、本発明の定着方法は、記録媒体上のトナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行うことを含むことから、変形が十分に生じるため、定着性の向上と、濃度ムラの抑制との効果を十分に得ることができる。
また、本発明は、転写と、定着とを同時に行うものではない。転写と、定着とを同時に行おうとすると、光照射によって転写時のトナー粒子が軟化することで転写性が低下し、画像品質が低下する。また、十分な時間、十分な大きさの圧力にて加圧することが難しくなり、定着性に劣る。本発明では、転写後に記録媒体上に転写されたトナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行うことを含む方法によって定着を行うものである。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影
響を及ぼすものではない。
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成方法および本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法および画像形成装置は、それぞれ、電子写真方式の公知の種々の画像形成方法および画像形成装置に適用することができる。例えば、モノクロの画像形成方法および画像形成装置やフルカラーの画像形成方法および画像形成装置に用いることができる。フルカラーの画像形成方法および画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、1つの感光体とにより構成される4サイクル方式の画像形成方法および画像形成装置や、各色に係るカラー現像装置および感光体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成方法および画像形成装置など、いずれの画像形成方法および画像形成方法にも適用することができる。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法は、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、トナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、転写工程の後に、記録媒体上に転写されたトナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行い、トナー像を記録媒体上に定着する定着工程と、を含む。
また、本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部と、トナー像を記録媒体上に転写する転写部と、転写部にて記録媒体上に転写された後のトナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行い、トナー像を記録媒体上に定着させる定着部と、を含む。
上記定着部および定着工程では、加圧および光の照射を同時に行うことを含む方法によって、トナー像は、記録媒体上に定着されることとなる。なお、本明細書において、「加圧および光の照射を同時に行う」とは、加圧および光の照射を行う際に、光照射を行う時間と、加圧を行う時間とは、少なくとも一部が重複するものであればよい。これらの中でも、光照射を行う時間が加圧を行う時間に含まれること、すなわち、光照射をしている間、常に加圧を行うことが好ましい。かような光照射および加圧を行うことで、トナーの軟化、変形がより生じ易く、定着性がより向上し、濃度ムラがより抑制される。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程において照射する光、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において照射する光は、特に制限されないが、280nm以上の波長領域の少なくとも一部を含む光であることが好ましい。ここで、これらの光は、300nm以上の波長領域の少なくとも一部を含む光であることがより好ましい。また、これらの光は、特に制限されないが、480nm以下の波長領域の少なくとも一部を含む光であることが好ましく、400nm以下の波長領域の少なくとも一部を含む光であることがより好ましい。上記範囲であると、定着性がより向上する。この理由は、トナーが上記範囲の波長の光を吸収する際には、規則構造がより崩れ易く、したがって、トナーがより軟化、変形し易くなるからであると推測される。また、短波長領域の光は一般的に散乱しやすく、上記範囲の波長の光を照射するのみでは十分な定着性が得られない場合もある。しかしながら、加圧および光の照射を同時に行うことで、上記範囲の波長の光を照射する場合であっても、トナー粒子同士の接着が進みトナー粒子界面での光散乱が少なくなる効果が顕著に高まり、定着強度がより向上するからであると推測される。本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程において照射する光、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において照射する光の一例としては、280nm以上480nm以下の波長領域の少なくとも一部を含む光が挙げられる。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程において照射する光、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において照射する光は、特に制限されないが、280nm以上に最大発光波長を有する単色放射光であることが好ましい。ここで、これらの光は、300nm以上に最大発光波長を有する単色放射光であることがより好ましい。また、これらの光は、特に制限されないが、480nm以下に最大発光波長を有する単色放射光であることが好ましく、400nm以下に最大発光波長を有する単色放射光であることがより好ましい。上記範囲の最大発光波長の単色放射光を用いると、光照射時のエネルギーをより少なくできるとともに、定着性がより向上する。この理由は、光相転移化合物の吸収波長領域内の光を効率よく照射することができるからであると推測される。なお、本明細書において、単色放射光とは、発光の最大強度を示す最大発光波長(nm)±20(nm)の波長領域を主として放射する光を表すものとする。ここで、使用する単色放射光は、波長(nm)−最大発光波長の放射強度を1とする相対放射強度のグラフから算出されるスペクトル面積全体に対する、発光の最大強度を示す最大発光波長(nm)±20(nm)の波長領域のスペクトル面積が90%以上である光であることが好ましい。また、使用する単色放射光は、発光の最大強度を示す最大発光波長(nm)±20(nm)の波長領域のみを放射する光であってもよい。本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程において照射する光、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において照射する光の一例としては、280nm以上480nm以下の範囲内に最大発光波長を有する単色放射光が挙げられる。
なお、照射する光の波長は、光パワーメータ(例えば、紫外光積算光量計C9536−02/H9958−02、UVパワーメータC6080−385、測光量評価分光計測システム14595−02、いずれも、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて確認することができる。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程において照射する光の積算光量、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において照射する光の積算光量は、特に制限されないが、0.01J/cm以上であることが好ましく、0.05J/cm以上であることがより好ましく、0.1J/cm以上であることがさらに好ましい。また、これらの光の積算光量は、特に制限されないが、100J/cm以下であることが好ましく、50J/cm以下であることがより好ましく、30J/cm以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、定着性がより向上する。この理由は、トナーの溶融がより十分に生じることで、トナーがより軟化、変形し易くなるからであると推測される。本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程において照射する光の積算光量、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において照射する光の積算光量の一例としては、0.01J/cm以上100J/cm以下である。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において、記録媒体上に転写されたトナー像を加圧する圧力は、特に制限されないが、1.0kPa以上であることが好ましく、10kPa以上であることがより好ましい。また、これらの圧力は、特に制限されないが、1,000kPa以下であることが好ましく、500kPa以下であることがより好ましい。上記範囲であると、定着性がより向上し、濃度ムラがより抑制される。本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において、記録媒体上に転写されたトナー像を加圧する圧力の一例としては、1.0kPa以上1,000kPa以下が挙げられる。なお、定着時の圧力は、市販の圧力分布測定装置(例えば、ニッタ株式会社製PINCH)を用いて確認することができる。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法において、定着工程は、記録媒体上に転写されたトナー像に対して、加圧、光の照射および加熱を同時に行うことを含む工程であることが好ましい。また、本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、定着部は、加圧部材(例えば、後述する一実施形態に係る加圧部材Aまたは加圧部材B)を加熱する加熱部をさらに含むことが好ましい。ここで、加圧部材Aが加熱部をさらに含むことが好ましい。かような加熱部を備える場合、定着部では、加圧、光照射および加熱が同時に行われることとなる。加圧、光照射および加熱を同時に行うことで、定着性がより向上し、濃度ムラがより抑制される。この理由は、加熱を同時に行うことで、トナーの溶融がより十分に生じ、トナーがより軟化、変形し易くなるからであると推測される。また、トナー粒子全体がより均一にならされ、溶融むらがより小さくなるからであると推測される。
加熱を行う際の加熱温度(加熱部により加熱される加圧部材Aの温度(制御温度))としては、特に制限されないが、30℃以上100℃以下であることが好ましく、40℃以上100℃以下であることがより好ましい。なお、加熱温度は、非接触温度測定器(例えば、FT−H10、キーエンス社製)を用いて確認することができる。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法は、定着工程の後、トナー像を冷却する工程をさらに含むことが好ましい。また、本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、定着部を通過した記録媒体上のトナー像を冷却する冷却部をさらに含むことが好ましい。定着後に冷却を行うことで、定着性がより向上する。この理由は、トナーがより早く固化され、他の部材等への付着がより抑制されるからであると推測される。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成方法で用いられる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。なお、図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図であるとも言える。ただし、本発明に用いられる画像形成装置としては、下記の形態および図示例に限定されるものではない。図1には、モノクロの画像形成装置100の例を示すが、カラーの画像形成装置にも本発明を適用することができる。
画像形成装置100は、記録媒体としての記録用紙Sに画像を形成する装置であって、画像読取装置71および自動原稿送り装置72を備え、用紙搬送系7により搬送される記録用紙Sに対し画像形成部10、および定着部9により画像形成を行う。
また、記録媒体として、画像形成装置100では記録用紙Sを用いているが、画像形成を行う対象とされる媒体は、用紙以外でもよい。
自動原稿送り装置72の原稿台上に載置された原稿dは、画像読取装置71の走査露光装置の光学系により走査露光されてイメージセンサーCCDに読み込まれる。イメージセンサーCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部20において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、画像形成部10の露光器3に入力される。
用紙搬送系7は、複数のトレイ16、複数の給紙部11、搬送ローラー12、搬送ベルト13等を備えている。トレイ16は、決められたサイズの記録用紙Sをそれぞれ収容しており、制御部(図示せず)からの指示に応じて定められたトレイ16の給紙部11を作動させ、記録用紙Sを供給する。搬送ローラー12は、給紙部11によってトレイ16から送り出された記録用紙Sまたは手差し給紙部15から搬入された記録用紙Sを画像形成部10へ搬送する。
画像形成部10は、感光体1の周りに、感光体1の回転方向に沿って、帯電器2、露光器3、現像部4、転写部(転写ローラー)5、除電部(図示せず)およびクリーニング部8がこの順番に配置されて構成されている。
像担持体である感光体1は、表面に光導電層の形成された像担持体であり、図示しない駆動装置により図1中の矢印方向に回転可能に構成されている。感光体1の近傍には、画像形成装置100内の温度や湿度を検知する温湿度計17が設けられている。
帯電器2は、感光体1の表面に均一に電荷を与え、感光体1の表面を一様に帯電させる。露光器3は、レーザーダイオード等のビーム発光源を備え、帯電された感光体1の表面にビーム光を照射することで照射部分の電荷を消失させ、感光体1上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像部4は、内部に収容されるトナーを感光体1に供給して、感光体1表面上に静電潜像に基づくトナー像を作像する。このように、本発明の一実施形態に係る画像形成方法は、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程を含む。また、本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部を含む。
転写部5は、記録用紙Sを介して感光体1と対向し、トナー像を記録用紙Sに転写する。このように、本発明の一実施形態に係る画像形成方法は、トナー像を記録媒体上に転写する転写工程を含む。また、本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、トナー像を記録媒体上に転写する転写部を含む。除電部は、トナー像を転写した後の感光体1上の除電を行う。クリーニング部8は、ブレード85を備える。ブレード85により、感光体1表面をクリーニングして感光体1の表面に残留した現像剤を除去する。
トナー像が転写された記録用紙Sは、搬送ベルト13により定着部9へ搬送される。定着部9は、加圧部材91、92、光照射部40、加熱部93等を備える(後述の図2等参照)。加圧部材91、および加圧部材92は互いに対向して配置され、所定の圧力で圧接する。加圧部材91、および加圧部材92との間には、ニップ領域800(本明細書において、加圧領域、または同時に加熱も行う場合は加熱加圧領域とも称する。後述する図2〜図4に図示する)が形成される。トナー像が転写された記録用紙Sはニップ領域800に搬送され、加圧部材91、92によって圧力が加えられる。また、ニップ領域800の記録用紙Sは、光照射部40により光が照射される。また、さらに、加熱部93により加圧部材91を加熱することで、記録用紙Sに熱を加えるようにしてもよい。これらの部材による加圧、光の照射、および加熱により、ニップ領域800に搬送された記録用紙Sに対して、加圧および光の照射を同時に行うことで定着処理を施し、これにより記録用紙S上にトナー像(画像)を定着させる。すなわち、トナー像が保持された記録用紙Sが搬送ベルト13により定着部9のニップ領域800に至ると、少なくとも、加圧部材91および92がトナー像を記録用紙Sの第1面に加圧し、同時に光照射部40が記録用紙S上のトナー像に入射するよう光を照射することによって、定着が行われる。
このように、本発明の一実施形態に係る画像形成方法は、転写工程の後に、記録媒体上に転写されたトナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行い、トナー像を記録媒体上に定着する定着工程を含む。また、本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、転写部にて記録媒体上に転写された後のトナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行い、トナー像を記録媒体上に定着する定着部を含む。
定着後、記録用紙S上のトナー像は、自然環境下で(室温で放置して)固化されてもよい。この場合、加圧部材91および92の間を通過した記録用紙Sが、排紙部14に至るまで、自然環境下(室温で放置する状態)におくことで、記録用紙S上のトナー像をより確実に凝固させることができ、トナー像の記録用紙Sに対する定着性をより向上させることができる。
また、定着後、記録用紙S上のトナー像は、冷却されることで固化されてもよい。画像形成装置100では、定着部9の搬送方向下流側には、冷却部60が配置されている。冷却部60により、記録用紙Sを搬送させながら冷却することが好ましい。冷却部60は、意図的に冷却を行うものであれば特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、冷却部60としては、ファンとダクトで構成され、搬送された記録用紙Sの表面に風を吹き付けて、記録用紙Sの表面を冷却するものや、冷却装置を備えた冷却ローラーで構成され、搬送中の記録用紙Sの表面を冷却するもの等が挙げられる。冷却部60によって冷却することで、記録用紙S上のトナー像をより早く、より確実に凝固させることができる。
画像が定着された記録用紙Sは、搬送ローラーによって排紙部14に搬送され、排紙部14から機外へ排出される。
また、画像形成装置100は用紙反転部24を備えており、定着処理がなされた記録用紙Sを排紙部14の手前で用紙反転部24に搬送し、表裏を反転して排出するか、または表裏を反転した記録用紙Sを再度画像形成部10に搬送し記録用紙Sの両面に画像形成を行うことを可能としている。
本発明の一実施形態に係る画像形成方法の定着工程では、加圧は、記録媒体を、加圧部材Aと、加圧部材Bとの間に挟み込み、加圧部材Aと、加圧部材Bとの間に形成される加圧領域に存在させることで行うことが好ましい。また、加圧部材Aの少なくとも一部は、定着工程において照射する光を透過する光透過性部分であることが好ましい。そして、光の照射は、加圧領域に対して加圧部材Bとは反対側であって、かつ、加圧部材A側から記録媒体上のトナー像に向けて、定着工程において照射する光が加圧部材Aの光透過性部分を透過してトナー像に入射するように行うことが好ましい。ここで、本発明の一実施形態に係る画像形成方法の定着工程では、加圧は、記録媒体を、加圧部材Aと、加圧部材Bとの間に挟み込んで搬送し、加圧部材Aと、加圧部材Bとの間に形成される加圧領域を通過させることで行う。加圧部材Aは、無端状のベルトと、押し圧部材と、を含み、加圧部材Bは、無端状のベルトおよび押し圧部材と対向して配置され、かつ無端状のベルトと接触しつつ回転し、ベルトとの間に前記記録媒体を挟み込んで搬送する加圧ローラーを含む。押し圧部材は、無端状のベルトを挟んで加圧ローラーに対向して配置され、無端状のベルトを加圧ローラーに押し付けることによって、無端状のベルトと、加圧ローラーとの間に加圧領域を形成することがより好ましい。この際、無端状のべルトおよび押し圧部材は、定着工程において照射する光を透過する材料で構成される部分を有することがより好ましい。また、この際、光の照射は、加圧領域に対して加圧ローラーとは反対側であって、かつ、押し圧部材の背面側から記録媒体上のトナー像に向けて、定着工程において照射する光がベルトおよび押し圧部材を透過してトナー像に入射するように行うことがより好ましい。
また、本発明の一実施形態に係る画像形成装置では、定着部は、光照射部と、加圧部材Aと、加圧部材Bと、を含み、加圧部材Aと、加圧部材Bとは、互いに対向して配置され、その間に加圧領域を形成し、かつ、その間に記録媒体を挟み込むことが好ましい。この際、加圧部材Aの少なくとも一部は、定着部において照射する光を透過する材料で構成されることが好ましい。また、この際、光照射部は、加圧領域に対して加圧部材Bとは反対側であって、かつ、加圧部材A側に配置され、加圧領域に向けて光の照射を行うことが好ましい。ここで、本発明の一実施形態に係る画像形成装置では、定着部は、光照射部と、加圧部材Aと、加圧部材Bと、を含み、加圧部材Aは、無端状のベルトと、押し圧部材と、を含む。加圧部材Bは、無端状のベルトおよび押し圧部材と対向して配置され、かつ無端状のベルトと接触しつつ回転し、無端状のベルトとの間に記録媒体を挟み込んで搬送する加圧ローラーを含み、押し圧部材は、無端状のベルトを挟んで加圧ローラーに対向して配置され、無端状のベルトを加圧ローラー側に押し付けることによって、無端状のベルトと、加圧ローラーとの間に加圧領域を形成することがより好ましい。この際、無端状のベルトおよび押し圧部材は、定着部において照射する光を透過する材料で構成される部分を有することがより好ましい。また、この際、光照射部は、加圧領域に対して加圧ローラーとは反対側であって、かつ、押し圧部材の背面側に配置され、加圧領域に向けて光の照射を行うことがより好ましい。
本明細書において、光の透過率が80%以上であるとき、光が透過する、光透過性があるとする。光の透過率は、例えば、光の透過率は、測光量評価分光計測システムC14595−02(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて評価することができる。
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成方法で用いられる画像形成装置に含まれる定着部の一例を示す概略構成図である。なお、図2は、本発明の他の一実施形態に係る画像形成装置に含まれる定着部の一例を示す概略構成図であるとも言える。
本発明の一実施形態による画像形成装置100の定着部9は、上述したように光照射部40、および加熱部93を備える。定着部9の加圧部材91、または加圧部材92の一方が加圧部材A、他方が加圧部材Bとして機能する。図2に示す実施形態においては、加圧部材91が加圧部材Aとして機能し、少なくとも一部は、光照射部40からの照射される波長の光を透過する光透過性のある材料で構成される。光透過性のある材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリカーボネイト、アクリル、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、光透過性や、例えば、後述する図2〜図4中のベルト911、押し圧部材912、加圧ローラー914、加圧ローラー916等、加圧部材Aを構成する各種部材の機能の観点から、フッ素樹脂が好ましく、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(FPA樹脂)がより好ましい。これらの材料は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光透過性のある材料は、合成品を用いても、市販品を用いてもよく、市販品としては、特に制限されないが、例えば、三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製のPFA樹脂 950HPplus等が挙げられる。なお、後述する図2〜図4中のベルト911、押し圧部材912、加圧ローラー914、加圧ローラー916等の加圧部材Aを構成する各種部材は、光透過性のある材料を用いて、公知の方法で製造することができる。
図2の例では、加圧部材91は、無端状のベルト911、および押し圧部材912を含む。ベルト911、および押し圧部材912は、前述のような光透過性のある材料で構成される部分を有する。ベルト911、および押し圧部材912は、光透過性のある材料のみから構成されることが好ましい。押し圧部材912は、特に制限されないが、パッド、ローラー等であることが好ましく、パッドであることがより好ましい。図2の例では、押し圧部材912がパッドである場合を示す。ベルト911は、内周面側に配置した複数のローラーに巻き掛けられている。これらの内の少なくとも1つのローラーが駆動ローラーとして機能し、駆動モーターにより回転する。ベルト911の内周面側には、押し圧部材912が固定配置、または加圧部材92に向けて所定圧力で付勢されて配置される。押し圧部材912と、加圧部材92とは、ベルト911を介して互いに対抗して配置される。押し圧部材912は、ベルト911を加圧部材92(加圧ローラー)側に押し付けることによって、ベルト911と、加圧部材92との間にニップ領域800(加圧領域)を形成する。
光照射部40を構成する光源の例としては、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、レーザー光源などが挙げられる。また、光照射部40は、フィルター、レンズ、ミラー等の光学部品をさらに含んでもよい。
光照射部40は、現像剤のトナーに含まれる光吸収により相転移する化合物を溶融、流動化させるものである。照射する光の波長は、十分に流動化させうる程度であればよい。好ましい波長及び波長分布は、本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程において照射する光、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において照射する光の好ましい態様として前述した通りである。光照射部40における光の照射量も、十分に流動化させうる程度であればよい。好ましい照射量は、本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程において照射する光、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において照射する光の好ましい態様として前述した通りである。
光照射部40は、押し圧部材912の背面側から、ニップ領域800に向けて光を照射する。トナー像が転写された記録用紙Sが、ニップ領域800に搬送される。このニップ領域800では、光照射部40は、記録用紙S上に転写されたトナー像に対して、ベルト911、および押し圧部材912を透過して、トナー像に到達(入射)するよう、光を照射する。光照射部40、ベルト911および押し圧部材912により、記録用紙Sの第1面上のトナー像に向かって加圧および光の照射を同時に行うことにより、トナー像をより確実に溶融させることができ、トナー像の記録用紙Sに対する定着性を顕著に向上させることができる。
ニップ領域800において、記録用紙S上のトナー像を加圧する際の好ましい圧力は、本発明の一実施形態に係る画像形成方法における定着工程、および本発明の一実施形態に係る画像形成装置における定着部において、記録媒体上に転写されたトナー像を加圧する圧力の好ましい態様として前述した通りである。
また、定着部9では、軟化したトナー像をさらに加熱することが好ましい。加熱することで、より軟化させることができるからである。そして、定着部9は、加圧、加熱および光照射を同時に行うものであることが好ましい。すなわち、定着部は、加圧部材(例えば、加圧部材91または加圧部材92)を加熱する加熱部93をさらに含むことが好ましい、また、加圧部材91を加熱する加熱部93をさらに含むことが特に好ましい。この際、加圧部材91が加熱部93をさらに含むことが好ましい。加熱の方法は、特に制限されないが、トナー像の記録用紙Sへの定着性がより一層向上するとの観点から、加圧部材91、92により圧力及び熱を加える方法が好ましい。記録用紙Sが加圧部材91および92の間を通過する際に、光照射によって軟化したトナー像は、加熱によりさらに軟化された状態で加圧され、トナー像の記録用紙Sへの定着性がより一層向上する。加熱部93は、ヒーターh1を含む。ヒーターh1としては、公知の加熱手段によるものを使用することができ、特に制限されないが、例えば、温風の吹き付けや赤外線照射、誘導加熱コイルによるもの等を用いることができる。加熱部93による加熱方法としては、特に制限されないが、加圧部93によって所定温度に制御されたベルト911で、ニップ領域800に搬送された記録媒体S上のトナー像を加熱する方法であることが好ましい。この際、ベルト911の表面温度は、温度センサー(図示せず)により検知され、加熱部93のヒーターh1への電力供給は、この温度センサーの検知温度により制御され、ベルト911が所定温度に保たれる。
加熱を行う際の加熱温度(図2の実施態様においては加熱部93により加熱されるベルト911の温度(制御温度))の好ましい態様は、前述した通りである。
加圧、加熱および光照射を同時に行う際に、光照射および加圧を行う時間と、加熱を行う時間とは、少なくとも一部が重複するものであればよい。光照射および加圧を行う時間が加熱を行う時間に含まれること、すなわち、光照射および加圧をしている間、常に加熱を行うことが好ましい。かような加圧、加熱および光照射を行うことで、トナーの軟化、変形がより生じ易く、定着性がより向上し、濃度ムラがより抑制される。
なお、図2に示す例では、光照射部40をベルト911の外側(図2で上方)に配置したが、光照射部40をベルト911の内側で、押し圧部912の背面側の近く(真上)に配置するようにしてもよい。
このような一例に係る定着部9では、記録媒体上に転写された後のトナー像に対して、加圧および光の照射が同時に行われ、トナー像が記録媒体上に定着される。
図3は、本発明の一実施形態に係る画像形成方法で用いられる画像形成装置に含まれる定着部の他の一例を示す概略構成図である。なお、図3は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置に含まれる定着部の他の一例を示す概略構成図であるとも言える。
図3に示す他の一例においては、図2に示す一例とは異なり、押し圧部材911の代わりに加圧ローラー914を用いるものである。これは、押し圧部材911がローラー状である場合に相当するとも考えられる。なお、図3においては、図2と共通する機能部材については、同じ付番を付すことにより説明を省略する(以下の図4でも同じ)。
図3に示す他の一例に係る定着部9の加圧部材91は、ベルト911、および加圧ローラー914、ローラー915を備える。少なくとも加圧ローラー914、およびベルト911は、前述のような光透過性のある材料で構成される部分を有する。加圧ローラー914、およびベルト911は、光透過性のある材料のみから構成されることが好ましい。ローラー915は中空であり、内周面に加熱部93が配置される。光照射部40から照射された光は、ベルト911、および加圧ローラー914を透過して、ニップ領域800に到達(入射)する。
このような他の一例に係る定着部9においても、記録媒体上に転写された後のトナー像に対して、加圧および光の照射が同時に行われ、トナー像が記録媒体上に定着される。これにより、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成方法で用いられる画像形成装置に含まれる定着部のその他の一例を示す概略構成図である。なお、図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置に含まれる定着部のその他の一例を示す概略構成図であるとも言える。
図2、図3に示した各例では、ベルト911を用いる例を示したが、図4では、ベルト911を用いずにローラーのみを用いる。
図4に示すようにその他の一例に係る定着部9の加圧部材91は、加圧ローラー916を含む。少なくとも加圧ローラー916は、前述のような光透過性のある材料で構成される部分を有する。加圧ローラー916は、光透過性のある材料のみから構成されることが好ましい。加圧ローラー916の外周面には、ローラー状の加熱部93が従動可能な状態で当接する。なお加熱部93は加圧ローラー916に対して非接触で配置してもよい。加圧ローラー916は、加熱部93により所定温度に加熱される。光照射部40から照射された光は、加圧ローラー916を透過して、ニップ領域800に到達する。
このようなその他の一例に係る定着部9においても、記録媒体上に転写された後のトナー像に対して、加圧および光の照射が同時に行われ、トナー像が記録媒体上に定着される。これにより、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
[トナー]
本明細書において、トナーとは、トナー母体粒子またはトナー粒子の集合体をいう。トナー粒子とは、トナー母体粒子に外添剤を添加したものであることが好ましいが、トナー母体粒子をそのままトナー粒子として用いることもできる。なお、本発明において、トナー母体粒子、トナー粒子およびトナーを特に区別する必要がない場合、単に「トナー」ともいう。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置、または本発明の他の一実施形態に係る画像形成方法にて用いられるトナーは、光を吸収することで固液相転移する化合物(光相転移化合物)を含む。
(光相転移化合物)
光相転移化合物は、光を吸収することで固体から液体へ相転移するものであれば、特に制限されない。光相転移化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。これらの中でも、定着性および濃度ムラがより低減されるとの観点から、アゾベンゼン誘導体またはアゾメチン誘導体であることが好ましい。
≪アゾベンゼン誘導体≫
アゾベンゼン誘導体は、下記化学式(1)で表されるアゾベンゼン誘導体であることが好ましい。
Figure 2021128253
上記化学式(1)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群より選択される基であり、R〜R10の少なくとも3つは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群より選択される基であり、この際、R〜Rの少なくとも1つは、炭素数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基であり、かつ、R〜R10の少なくとも1つは、炭素数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基である。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソアミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、1−メチルデシル基、1−ヘキシルヘプチル基などの分枝状のアルキル基;が挙げられる。
アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基などの直鎖状のアルコキシ基:イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、4−メチル−2−ペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、2,2−ジメチルヘプチルオキシ基、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、1−ヘキシルヘプチルオキシ基などの分枝状のアルコキシ基;が挙げられる。
ハロゲン基は、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)またはヨード基(−I)を指す。
上記化学式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。中でも、画像の定着性のさらなる向上の観点から、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルコキシ基であることが好ましい。このように、2個のベンゼン環のパラ位に炭素数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基を有することで、分子の熱運動性が増加し、上記のように系全体で連鎖的に等方的な融解が生じやすくなる。この際、RおよびRで用いられる炭素数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよいが、光相転移が生じやすい棒状分子の構造を構成する観点から、直鎖状であることが好ましい。
中でも、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数6〜12のアルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。RおよびRが上記炭素数範囲内のアルキル基またはアルコキシ基であれば、高い熱運動性を有しながらも、分子間に働くアルキル−アルキル相互作用が比較的弱い。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、光照射による軟化速度および画像の定着性がさらに向上する。これらの基としては、例えば、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基である。
なお、RおよびRは、同一であっても異なってもよいが、合成の容易さから、同一であることが好ましい。
上記化学式(1)中、R〜RおよびR〜R10のうち少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群より選択される基(以下、単に置換基とも称する)である。かような構造を有することで、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π−π相互作用の低減が生じる。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、光照射による軟化速度および画像の定着性がさらに向上する。中でも、シス−トランス異性化に必要な自由体積の確保の観点から、R〜RおよびR〜R10のうち少なくとも1つは分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基またはハロゲン基であることが好ましく、画像の定着性のさらなる向上の観点から、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらにより好ましい。
上記化学式(1)中、R〜RおよびR〜R10における置換基の数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜6である。中でも、アゾベンゼン誘導体の融点を下げすぎず、トナーの耐熱保管性をさらに高める観点から、よりさらに好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜3であり、例えば、3である。
〜RおよびR〜R10において置換基が存在する位置は、特に制限されないが、上記化学式(1)のR、R、RおよびR(言い換えれば、Rのオルト位およびRのオルト位)のいずれかに置換基が少なくとも存在することが好ましく、上記化学式(1)のR、R、RおよびRのいずれかにメチル基が少なくとも存在することがより好ましい。かような構造を有するアゾベンゼン誘導体は、光照射による軟化速度がより向上するため画像の定着性が向上し、また融点が適度に高くなることから、トナーの耐熱保管性も向上する。例えば、上記化学式(1)のRにメチル基が存在する化合物が挙げられる。
アゾベンゼン誘導体は、例えば、4,4’−ジヘキシルアゾベンゼン、4,4’−ジオクチルアゾベンゼン、4,4’−ジデシルアゾベンゼン、4,4’−ジドデシルアゾベンゼン、4,4’−ジヘキサデシルアゾベンゼン等の化学式(1)のRおよびRが同一の炭素数1〜18のアルキル基である4,4’−ジアルキルアゾベンゼン;または4,4’−ビス(ヘキシルオキシ)アゾベンゼン、4,4’−ビス(オクチルオキシ)アゾベンゼン、4,4’−ビス(ドデシルオキシ)アゾベンゼン、4,4’−ビス(ヘキサデシルオキシ)アゾベンゼン等の化学式(1)のRおよびRが同一の炭素数1〜18のアルコキシ基である4,4’−ビス(アルコキシ)アゾベンゼンにおいて、ベンゼン環に付加する水素原子がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群より選択される基で一置換、二置換または三置換されている化合物であることが好ましい。より具体的には、下記の化合物(A1)〜(A12)が挙げられる。
Figure 2021128253
Figure 2021128253
アゾベンゼン誘導体は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
アゾベンゼン誘導体の合成方法は、特に制限されず、従来公知の合成方法を適用することができる。例えば、特開2018−124387号公報の段落「0039」〜「0048」に記載の合成方法等を適用することができる。
≪アゾメチン誘導体≫
アゾメチン誘導体は、下記化学式(2)で表されるアゾメチン誘導体であることが好ましい。
Figure 2021128253
上記化学式(2)中、Xは、NR20、OまたはSである。ここで、R20は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基またはヒドロキシ基である。
21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基である。
23およびR24は、それぞれ独立して、下記化学式(3)で表される基、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基である。この際、R23およびR24のいずれか一方は、下記化学式(3)で表される基である。
Figure 2021128253
上記化学式(3)中、ZおよびZは、それぞれ独立して、NまたはCHであり、かつZ≠Zである。
上記化学式(3)中、R25〜R29は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基である。この際、R25〜R29の少なくとも1つは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜19のアシル基または炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基である。
このように、本発明のアゾメチン部位を有する化合物は、上記化学式(3)のベンゼン環の置換基の少なくとも1つが、アルキル基、アルコキシ基、アシル基またはアルコキシカルボニル基である。アルキル基やアルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基は、熱運動性を有することから、本発明のアゾメチン部位を有する化合物は、π−π相互作用が支配的な周期構造中に、これらの熱運動によって等方的に乱れた構造が共存する特異的な結晶構造を形成する。そのため、局所的にシス−トランス異性化反応が進行しアゾメチン部位のπ−π相互作用が低減すると、系全体で連鎖的に等方的な融解を生じるという効果を奏し得るものである。
上記化学式(2)において、R21〜R24の少なくとも1つが、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜19のアシル基または炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基である、および/またはR20が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基であることが好ましい。特に、上記化学式(3)で表される基に隣接しないR21〜R22およびR20の少なくとも1つが上記に記載する置換基のいずれかであるのが好ましい。複素環の上記置換基を導入することで結晶が崩れやすく、光溶融性がよくなり、定着性がよくなる。上記置換基のうち、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜19のアシル基または炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基が好ましい。炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜13のアシル基または炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜9のアシル基または炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。例えば、R21は、メチル基である。このような構造とすることで、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、π−π相互作用の低減等が生じる。ゆえに、シス−トランス異性化がより進行しやすくなり、流動化が発現しやすくなる点で好ましい。また、上記化学式(2)の複素環の置換基であるR21〜R24およびR20のうち上記化学式(3)で表される基以外の全てが、水素原子である場合も、上記と同様の流動化が発現しやすくなる点で好ましい。これは、ベンゼン環(上記化学式(3)で表される基)に長鎖の置換基が入っているため、5員環(上記化学式(2)の複素環)の置換基が全て水素原子でも、流動化が発現しやすくなるからである。
前記R27は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜19のアシル基または炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基が好ましい。炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜13のアシル基または炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基がより好ましく、炭素数4〜12のアルキル基、炭素数4〜12のアルコキシ基、炭素数5〜13のアシル基または炭素数5〜13のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。例えば、R27は、n−へキシルオキシ基である。このように、ベンゼン環のパラ位に長鎖置換基を導入することで結晶が崩れやすく、光溶融性がよくなり、定着性がよくなる。
さらに、熱運動を効率的に誘起するという観点から、上記化学式(2)の複素環(五員環)側のR20または上記化学式(3)で表される基に隣接しないR21〜R24の少なくとも1つと、上記化学式(3)の六員環のR27とは、少なくとも一方が炭素数4〜12のアルキル基、炭素数4〜12のアルコキシ基、炭素数5〜13のアシル基または炭素数5〜13のアルコキシカルボニル基であることが好ましい。例えば、R27は、n−へキシルオキシ基である。
25、R26、R28およびR29のうち少なくとも1つは、シス−トランス異性化に有利に作用する格子欠陥の生成や自由体積の発現、分子間π−π相互作用の低減等を誘起するために、分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子であることが好ましい。
本発明では、前記Xのヘテロ原子については、SまたはNが、定着性がよくなることから好ましい。例えば、Xは、Sである。
20〜R29で用いられる炭素数1〜18のアルキル基の例としては、特に制限されるものではなく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、t−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、1−メチルデシル基、1−ヘキシルヘプチル基などの分枝状のアルキル基が挙げられる。
20〜R29で用いられる炭素数1〜18のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基などの直鎖状のアルコキシ基:1−メチルペンチルオキシ基、4−メチル−2−ペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、t−オクチルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、2,2−ジメチルヘプチルオキシ基、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、1−ヘキシルヘプチルオキシ基などの分枝状のアルコキシ基が挙げられる。
20〜R29で用いられる炭素数2〜19のアシル基の例としては、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のアシル基であり、例えば、アセチル基、プロパノイル基(プロピオニル基)、ブタノイル基(ブチリル基)、イソブタノイル基(イソブチリル基)、ペンタノイル基(バレリル基)、イソペンタノイル基(イソバレリル基)、sec−ペンタノイル基(2−メチルブチリル基)、tert−ペンタノイル基(ピバロイル基)、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、tert−オクタノイル基(2,2−ジメチルヘキサノイル基)、2−エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、イソノナノイル基、デカノイル基、イソデカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、ウンデシレノイル基およびオレオイル基等が挙げられる。
20〜R29で用いられる炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基の例としては、直鎖状若しくは分岐状であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、n−ウンデシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基、n−トリデシルオキシカルボニル基、n−テトラデシルオキシカルボニル基、n−ペンタデシルオキシカルボニル基、n−ヘキサデシルオキシカルボニル基などの直鎖状のアルコキシカルボニル基:1−メチルペンチルオキシカルボニル基、4−メチル−2−ペンチルオキシカルボニル基、3,3−ジメチルブチルオキシカルボニル基、2−エチルブチルオキシカルボニル基、1−メチルヘキシルオキシカルボニル基、t−オクチルオキシカルボニル基、1−メチルヘプチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、2−プロピルペンチルオキシカルボニル基、2,2−ジメチルヘプチルオキシカルボニル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシカルボニル基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシカルボニル基、1−メチルデシルオキシカルボニル基、1−ヘキシルヘプチルオキシカルボニル基などの分枝状のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
上記化学式(2)で表されるアゾメチン誘導体としては、下記表1−1〜1−3に示すX、Z、Z、R20〜R29が適宜選択されてなる化合物などが挙げられる。
Figure 2021128253
Figure 2021128253
Figure 2021128253
なお、表1−1〜1−3のR23及びR24中の「式(3)の基」は、「化学式(3)で表される基」を指す。
上記したようにR20〜R29で用いられる炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜19のアシル基または炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよい。例えば、これらの基は直鎖状である。
アゾメチン誘導体は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
アゾメチン誘導体の合成方法は、特に制限されず、従来公知の合成方法を適用することができる。例えば、上記化学式(2)の複素環がチオフェン環である上記表1に記載の化合物21を例にとれば、下記スキーム1〜3により合成できる。上記表1−1〜1−2の化合物1〜20、22〜49のチオフェン化合物についても、下記に示す化合物21の合成と同様の方法で合成することができる。
ジメチルホルムアミド(DMF)中、原料の4−ニトロフェノールと1−ヨードヘキサン(C13I)とを炭酸カリウム(KCO)を用いて加熱還流して反応させ、反応液を水洗後、濃縮し、精製すれば、4−ヘキシルオキシニトロベンゼンを得ることができる(下記スキーム(Scheme)1参照)。
エタノール(EtOH)とテトラヒドロフラン(THF)の混合溶媒中、パラジウム炭素(Pd/C触媒)下、スキーム1で得られた4−ヘキシルオキシニトロベンゼンに対して水素ガス(H)を封入しながら攪拌して反応させ、反応液から触媒を除去し、溶液を濃縮後、エタノールで再結晶することで、4−(ヘキシルオキシ)アニリンを得ることができる(下記スキーム2参照)。
エタノール(EtOH)中、スキーム2で得られた4−(ヘキシルオキシ)アニリンと5−ブロモチオフェン−2−カルボキシアルデヒドとを加熱攪拌して反応させ、反応液をろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄し、メタノール/エタノールで再結晶すれば、目的物である化合物21を得ることができる(下記スキーム3参照)。スキーム3の加熱攪拌の際の温度は、好ましくは0℃以上100℃以下の範囲内、より好ましくは30℃以上70℃以下の範囲内、さらに好ましくは、40℃以上60℃以下の範囲内である。
Figure 2021128253
また、例えば、上記化学式(2)の複素環がチオフェン環である上記表1−2の化合物50を例にとれば、下記スキーム4〜5により合成できる。上記表1−2の化合物51のチオフェン化合物についても、下記に示す化合物50の合成と同様の方法で合成することができる。
ジメチルホルムアミド(DMF)中、原料の4−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒドとヨードヘキサン(C13I)とを炭酸カリウム(KCO)を用いて加熱還流して反応させ、反応液を水洗後、濃縮し、精製すれば、4−ヘキシルオキシ−3−メチルベンズアルデヒドを得ることができる(下記スキーム4参照)。
エタノール(EtOH)中、スキーム4で得られた4−ヘキシルオキシ−3−メチルベンズアルデヒドと5−ヘキシルチオフェン−2−アミンとを加熱攪拌して反応させ、反応液をろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄し、メタノール/エタノールで再結晶すれば、目的物である化合物50を得ることができる(下記スキーム5参照)。スキーム5の加熱攪拌の際の温度は、好ましくは0℃以上100℃以下の範囲内、より好ましくは30℃以上70℃以下の範囲内、さらに好ましくは、40℃以上60℃以下の範囲内である。
Figure 2021128253
また、例えば、上記化学式(2)の複素環がフラン環である上記表1−3の化合物55を例にとれば、下記スキーム6〜8により合成できる。上記表1−3の化合物52〜54、56〜58のフラン化合物についても、化合物55の合成と同様の方法で合成することができる。また、例えば、化合物52〜58のZとZを入れ替えたフラン環については、上記表1−1〜1−3に例示していないが、上記スキーム4〜5及び下記スキーム6〜8を参照して合成できる。
ジメチルホルムアミド(DMF)中、原料の2−メチル−4−ニトロフェノールと1−ヨードヘキサン(C13I)とを炭酸カリウム(KCO)を用いて加熱還流して反応させ、反応液を水洗後、濃縮し、精製すれば、3−メチル−4−ヘキシルオキシニトロベンゼンを得ることができる(下記スキーム6参照)。
エタノール(EtOH)とテトラヒドロフラン(THF)の混合溶媒中、パラジウム炭素(Pd/C触媒)下、前記スキーム6で得られた3−メチル−4−(ヘキシルオキシ)ニトロベンゼンに対して水素ガス(H)を封入しながら攪拌して反応させ、反応液から触媒を除去し、溶液を濃縮後、エタノールで再結晶することで、3−メチル−4−(ヘキシルオキシ)アニリンを得ることができる(下記スキーム7参照)。
エタノール(EtOH)中、スキーム7で得られた3−メチル−4−(ヘキシルオキシ)アニリンと5−ブロモ−2−フルアルデヒドとを加熱攪拌して反応させ、反応液をろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄し、メタノール/エタノールで再結晶すれば、目的物である化合物55を得ることができる(下記スキーム8参照)。スキーム8の加熱攪拌の際の温度は、好ましくは0℃以上100℃以下の範囲内、より好ましくは30℃以上70℃以下の範囲内、さらに好ましくは、40℃以上60℃以下の範囲内である。
Figure 2021128253
また、例えば、上記化学式(2)の複素環がピロール環である上記表1−3の化合物70を例にとれば、下記スキーム9〜11により合成できる。上記表1−3の化合物59〜69、71〜74のピロール化合物についても、化合物70の合成と同様の方法で合成することができる。また、例えば、化合物59〜74のZとZを入れ替えたピロール環については、上記表1−1〜1−3に例示していないが、上記スキーム4〜5及び下記スキーム9〜11を参照して合成できる。
ジメチルホルムアミド(DMF)中、原料の2−メチル−4−ニトロフェノールと(C13I)とを炭酸カリウム(KCO)を用いて加熱還流して反応させ、反応液を水洗後、濃縮し、精製すれば、4−ヘキシルオキシ−3−メチルニトロベンゼンを得ることができる(下記スキーム9参照)。
エタノール(EtOH)とテトラヒドロフラン(THF)の混合溶媒中、パラジウム炭素(Pd/C触媒)下、前記スキーム9で得られた4−ヘキシルオキシ−3−メチルニトロベンゼンに対して水素ガス(H)を封入しながら攪拌して反応させ、反応液から触媒を除去し、溶液を濃縮後、エタノールで再結晶することで、3−メチル−4−(ヘキシルオキシ)アニリンを得ることができる(下記スキーム10参照)。
エタノール(EtOH)中、スキーム10で得られた3−メチル−4−(ヘキシルオキシ)アニリンとピロール−2−カルボキシアルデヒドとを加熱攪拌して反応させ、反応液をろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄し、メタノール/エタノールで再結晶すれば、目的物である化合物70を得ることができる(下記スキーム11参照)。スキーム11の加熱攪拌の際の温度は、好ましくは0℃以上100℃以下の範囲内、より好ましくは30℃以上70℃以下の範囲内、さらに好ましくは、40℃以上60℃以下の範囲内である。
Figure 2021128253
(結着樹脂)
本発明の一実施形態に係る画像形成装置、または本発明の一実施形態に係る画像形成方法にて用いられるトナーは、結着樹脂をさらに含むことが好ましい。
トナーの製造方法として後述の乳化凝集法を利用することにより、略均一な粒子径および形状を有するトナー粒子を作製できることが一般的に知られている。結着樹脂を用いずに、光相転移化合物単独または他の添加剤である着色剤や離型剤を加えるだけでもトナーの製造は可能である。しかしながら、光相転移化合物と結着樹脂とを併用することにより、乳化凝集法における塩析を用いて略均一な粒子径および形状を有するトナー粒子の作製を行うことができる。よって、光相転移化合物および結着樹脂を含むトナーは、電子写真用トナーにより容易に適用することができる。
このような結着樹脂は、一般にトナーを構成する結着樹脂として用いられている樹脂を制限なく用いることができる。具体的には、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、アミド樹脂、およびエポキシ樹脂などが挙げられる。これら結着樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
これらの中でも、溶融すると低粘度になり、かつ高いシャープメルト性を有するという観点から、結着樹脂は、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、スチレンアクリル樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、スチレンアクリル樹脂を含むことがさらに好ましい。
以下では、結着樹脂であるスチレンアクリル樹脂について説明する。
≪スチレンアクリル樹脂≫
本明細書において、スチレンアクリル樹脂とは、少なくともスチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを用いて、重合を行うことにより形成されるものである。ここで、スチレン単量体とは、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものも含まれる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、エステル結合を有する官能基を側鎖に有するものである。具体的には、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル単量体の他、CH=C(CH)COOR(Rはアルキル基)で表されるメタクリル酸エステル単量体などのビニル系エステル化合物が含まれる。
以下に、スチレンアクリル樹脂を形成することが可能なスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例を示すが、以下に示すものに限定されるものではない。
スチレン単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、以下に示すアクリル酸エステル単量体およびメタクリル酸エステル単量体が代表的なものとして挙げられる。アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェニルアクリレートフェニルなどが挙げられる。また、メタクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
これらのスチレン単量体、アクリル酸エステル単量体、またはメタクリル酸エステル単量体は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。
また、スチレンアクリル共重合体には、上述したスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体のみで形成された共重合体の他に、これらスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体に加えて、一般のビニル単量体を併用して形成されるものもある。以下に、本発明でいうスチレンアクリル共重合体を形成する際に併用可能なビニル単量体を例示するが、併用可能なビニル単量体は以下に示すものに限定されるものではない。
(1)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(2)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(3)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(4)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(5)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(6)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
また、多官能性ビニル単量体を使用して、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。さらに、側鎖にイオン性解離基を有するビニル単量体を使用することも可能である。イオン性解離基の具体例としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。以下に、これらイオン性解離基を有するビニル単量体の具体例を示す。
カルボキシル基を有するビニル単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。
スチレンアクリル樹脂の形成方法は、特に制限されず、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。必要に応じて、例えば、n−オクチルメルカプタンなどの公知の連鎖移動剤を使用してもよい。
スチレンアクリル樹脂を形成する場合、スチレン単量体およびアクリル酸エステル単量体の含有量は特に限定されるものではなく、結着樹脂の軟化温度やガラス転移温度を制御する観点から適宜調整することが可能である。具体的には、スチレン単量体の含有量は、単量体全体に対し40〜95質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。また、アクリル酸エステル単量体の含有量は、単量体全体に対し5〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
スチレンアクリル樹脂の形成方法は、特に制限されず、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。
アゾ系またはジアゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
過酸化物系重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンなどが挙げられる。
また、乳化重合法でスチレンアクリル樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素などが挙げられる。
重合温度は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、50〜100℃であることが好ましく、55〜90℃であることがより好ましい。また、重合時間は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、例えば2〜12時間であることが好ましい。
乳化重合法により形成されるスチレンアクリル樹脂粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成とすることもできる。この場合の製造方法としては、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する多段重合法を採用することができる。
トナーが結着樹脂を含む場合、光相転移化合物の含有量は、化合物種や樹脂種によるが、定着性と色再現性の観点から、光相転移化合物:結着樹脂=5:95〜95:5(質量比)の範囲であることが好ましく、10:90〜90:10(質量比)の範囲が好ましく、10:90〜80:20(質量比)の範囲がより好ましく、10:90〜70:30(質量比)の範囲がさらに好ましい。この範囲であれば、光相転移化合物の光相転移が生じやすく、トナーの光照射による軟化速度が十分なものとなる。なお、2種類以上の光相転移化合物を用いる場合はその合計量が上記範囲となることが好ましい。2種類以上の結着樹脂を用いる場合はその合計量が上記範囲となることが好ましい。
なお、光相転移化合物および結着樹脂を含むトナーは、単層構造であってもよいしコアシェル構造であってもよい。コアシェル構造のコア粒子およびシェル部に用いられる結着樹脂の種類は、特に制限されない。
(着色剤)
本発明の一実施形態に係る画像形成装置、または本発明の一実施形態に係る画像形成方法にて用いられるトナーは、着色剤をさらに含むことが好ましい。着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、例えば、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラックなどが挙げられ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。また、磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
イエローのトナーを得るための着色剤としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162などの染料;C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などの顔料が挙げられる。
マゼンタのトナーを得るための着色剤としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122などの染料;C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などの顔料が挙げられる。
シアンのトナーを得るための着色剤としては、例えば、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などの染料;C.I.ピグメントブルー1、同7、同15、同15:3、同60、同62、同66、同76などの顔料が挙げられる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有割合は、トナー母体粒子中0.5〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。
(離型剤)
本発明の一実施形態に係る画像形成装置、または本発明の一実施形態に係る画像形成方法にて用いられるトナーは、離型剤をさらに含むことが好ましい。光相転移化合物と共に離型剤をトナーに導入することで、より定着性に優れたトナーを得ることができる。
使用される離型剤は、特に限定されるものではなく、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、例えば、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、または酸化型の低分子量ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、パラフィン、合成エステルワックスなどが挙げられる。これらの中でも、低融点および低粘度であることから、合成エステルワックスを用いることが好ましい。また、合成エステルワックスの中でも、ベヘン酸ベヘニル、グリセリントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネートなどを用いることが特に好ましい。
離型剤の含有割合は、トナー母体粒子中1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、3〜15質量%の範囲内であることがより好ましい。
(荷電制御剤)
本発明の一実施形態に係る画像形成装置、または本発明の他の一実施形態に係る画像形成方法にて用いられるトナーは、荷電制御剤をさらに含有してもよい。使用される荷電制御剤は、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ無色のものであれば特に限定されず、公知の種々の正帯電性の荷電制御剤および負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有割合は、トナー母体粒子中0.01〜30質量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。
(外添剤)
本発明の一実施形態に係る画像形成装置、または本発明の一実施形態に係る画像形成方法にて用いられるトナーは、トナー母体粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤が添加されることで構成されることが好ましい。すなわち、当該トナーは、外添剤をさらに含むことが好ましい。外添剤を添加することで、流動性、帯電性、クリーニング性等が改良されたトナーを得ることができる。
外添剤としては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子などの無機酸化物粒子、ステアリン酸アルミニウム粒子、ステアリン酸亜鉛粒子などの無機ステアリン酸化合物粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、チタン酸亜鉛粒子などの無機チタン酸化合物粒子などの無機粒子が挙げられる。必要に応じてこれらの無機粒子は疎水化処理されていてもよい。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
これらの中でも、外添剤としては、例えば、ゾルゲルシリカ粒子や、表面を疎水化処理したシリカ粒子(疎水性シリカ粒子)または酸化チタン粒子(疎水性酸化チタン粒子)が好ましく、これらのうち少なくとも2種以上の外添剤を使用することがより好ましい。
外添剤の数平均一次粒径は、1〜200nmの範囲内であることが好ましく、10〜180nmであることがより好ましい。
これら外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量%に対して、0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。
(トナーの平均粒径)
トナーの平均粒径は、体積基準のメジアン径(D50)で4〜10μmであることが好ましく、6〜9μmであることがより好ましい。体積基準のメジアン径(D50)が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなりハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
本明細書において、トナーの体積基準のメジアン径(D50)は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター株式会社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター株式会社製)を接続した測定装置を用いて測定、算出されるものである。
具体的には、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター株式会社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。
ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径(D50)とされる。
(トナーの製造方法)
本発明の一実施形態に係る画像形成装置、または本発明の一実施形態に係る画像形成方法にて用いられるトナーの製造方法は特に制限されない。例えば、光相転移化合物のみでトナーとする場合は、光相転移化合物を、ハンマーミル、フェザーミル、カウンタージェットミルなどの装置を用いて粉砕した後、スピンエアーシーブ、クラッシール、マイクロンクラッシファイアーなどの乾式分級機を用いて所望の粒径になるように分級することを含む製造方法が好ましい。
光相転移化合物および着色剤等の添加剤を含み、結着樹脂を含まないトナーを製造する場合は、光相転移化合物および着色剤等の添加剤がともに溶解する溶媒を用いて、光相転移化合物および着色剤等の添加剤を溶解させ溶液とした後、脱溶媒し、その後、上記した方法と同様の方法で、粉砕、分級することを含む製造方法が好ましい。
光相転移化合物、結着樹脂および着色剤等の添加剤を含むトナーを製造する場合は、粒子径および形状の制御が容易な乳化凝集法を利用した製造方法であることが好ましい。
かような製造方法は、
(1A)結着樹脂粒子の分散液を調製する結着樹脂粒子分散液調製工程
(1B)着色剤粒子の分散液を調製する着色剤粒子分散液調製工程
(1C)光相転移化合物粒子の分散液を調製する光相転移化合物粒子分散液調製工程
(2)結着樹脂粒子、着色剤粒子および光相転移化合物粒子が存在している水系媒体中に、凝集剤を添加し、塩析を進行させると同時に凝集、融着を行い、会合粒子を形成する会合工程
(3)会合粒子の形状制御をすることによりトナー母体粒子を形成する熟成工程
(4)水系媒体からトナー母体粒子を濾別し、当該トナー母体粒子から界面活性剤等を除去する濾過、洗浄工程
(5)洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程
(6)乾燥処理されたトナー母体粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
の各工程を含むことが好ましい。以下、(1A)〜(1C)の工程について説明する。
(1A)結着樹脂粒子分散液調製工程
本工程では、従来公知の乳化重合などにより樹脂粒子を形成し、この樹脂粒子を凝集、融着させて結着樹脂粒子を形成する。一例として、結着樹脂を構成する重合性単量体を水系媒体中へ投入、分散させ、重合開始剤によりこれら重合性単量体を重合させることにより、結着樹脂粒子の分散液を作製する。
また、結着樹脂粒子分散液を得る方法として、上記の水系媒体中で重合開始剤により重合性単量体を重合させる方法の他に、例えば、溶媒を用いることなく、水性媒体中において分散処理を行う方法、あるいは結着樹脂(結晶性樹脂等)を酢酸エチルなどの溶媒に溶解させて溶液とし、分散機を用いて当該溶液を水性媒体中に乳化分散させた後、脱溶媒処理を行う方法などが挙げられる。
この際、必要に応じ、結着樹脂には離型剤(ワックス)を予め含有させておいてもよい。また、分散のために、適宜公知の界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸などのアニオン系界面活性剤)の存在下で重合させることも好ましい。なお、結着樹脂粒子分散液とは別に離型剤粒子分散液を、着色剤粒子分散液調製工程と同様にして調製し、上記(2)の会合工程の水系媒体中に存在させるようにしてもよい。
分散液中の結着樹脂粒子の体積基準のメジアン径は、50〜300nmが好ましい。(実施例:120nm)分散液中の結着樹脂粒子の体積基準のメジアン径は、「マイクロトラックUPA−150」(日機装株式会社製)を用いて動的光散乱法によって測定することができる。
(1B)着色剤粒子分散液調製工程
この着色剤粒子分散液調製工程は、着色剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて着色剤粒子の分散液を調製する工程である。
着色剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができる。例えば、エム・テクニック株式会社製の「クレアミックス(登録商標)WモーションCLM−0.8」を使用することができる。この際、分散性の向上を目的として、適宜公知の界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸などのアニオン系界面活性剤)の存在下で着色剤の分散処理を行うことも好ましい。
分散液中の着色剤粒子の個数基準のメジアン径は、10〜300nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。着色剤粒子の個数基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定することができる。
(1C)光相転移化合物粒子分散液調製工程
この工程は、光相転移化合物を水系媒体中に微粒子状に分散させて光相転移化合物粒子の分散液を調製する工程である。光相転移化合物粒子分散液を調製するにあたり、まず、光相転移化合物の乳化液を調製する。光相転移化合物の乳化液の調製方法としては、例えば、有機溶媒に光相転移化合物を溶解させた光相転移化合物液を得た後、該光相転移化合物液を水系媒体中で乳化させる方法が挙げられる。
光相転移化合物を有機溶媒に溶解する方法は、特に制限されず、例えば、光相転移化合物を有機溶媒に添加して、光相転移化合物が溶解するように攪拌混合する方法がある。光相転移化合物の添加割合は、有機溶媒100質量部に対して、好ましくは5質量部以上100質量部以下、より好ましくは10質量部以上50質量部以下である。
次に、光相転移化合物液と水系媒体とを混合し、ホモジナイザーなどの公知の分散機を用いて攪拌する。これにより、光相転移化合物が液滴となって、水系媒体中に乳化され、光相転移化合物の乳化液が調製される。
光相転移化合物液の添加割合は、水系媒体100質量部に対して、好ましくは10質量部以上110質量部以下である。
また、光相転移化合物液と水系媒体との混合時における、光相転移化合物液および水系媒体のそれぞれの温度は、有機溶媒の沸点未満となる温度範囲であって、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは30℃以上75℃以下である。光相転移化合物液と水系媒体との混合時における、光相転移化合物液の温度と水系媒体の温度とは、互いに同一であっても異なっていてもよく、好ましくは互いに同一である。
分散機の攪拌条件は、例えば、容量が1〜3Lの場合、その回転数が7000rpm以上20000rpm以下であることが好ましく、また、その攪拌時間が10分以上30分以下であることが好ましい。
光相転移化合物粒子分散液は、光相転移化合物の乳化液から有機溶媒を除去することにより調製される。光相転移化合物の乳化液から有機溶媒を除去する方法としては、例えば、送風、加熱、減圧、またはこれらの併用など、公知の方法が挙げられる。
一例として、光相転移化合物の乳化液は、例えば、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、好ましくは25℃以上90℃以下、より好ましくは30℃以上80℃以下で、初期の有機溶媒量の80質量%以上95質量%以下程度が除去されるまで加熱されることにより、有機溶媒が除去される。これにより、水系媒体から有機溶媒が除去されて、光相転移化合物粒子が水系媒体中に分散された光相転移化合物粒子分散液が調製される。
光相転移化合物粒子分散液中の光相転移化合物粒子の質量平均粒径は、90nm以上1200nm以下が好ましい。光相転移化合物粒子の質量平均粒径は、光相転移化合物を有機溶媒に配合したときの粘度、光相転移化合物液と水との配合割合、光相転移化合物の乳化液を調製するときの分散機の攪拌速度などを適宜調節することにより、上記範囲内に設定することができる。光相転移化合物粒子分散液中の光相転移化合物粒子の質量平均粒径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定することができる。
≪有機溶媒≫
本工程で用いられる有機溶媒は、光相転移化合物を溶解させることができれば特に制限されず使用することができる。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ヘキサン、ヘプタンなどの飽和炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。
このような有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。これら有機溶媒の中でも、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類が好ましく、メチルエチルケトン、ジクロロメタンがより好ましい。
≪水系媒体≫
本工程で用いられる水系媒体は、水、または水を主成分として、アルコール類、グリコール類などの水溶性溶媒や、界面活性剤、分散剤などの任意成分が配合されている水系媒体などが挙げられる。水系媒体は、好ましくは水と界面活性剤とを混合したものが用いられる。
界面活性剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウムなどの脂肪酸石けん、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖などが挙げられる。
このような界面活性剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。界面活性剤の中では、好ましくはアニオン性界面活性剤、より好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが使用される。
界面活性剤の添加量は、水系媒体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.04質量部以上1質量部以下である。
(2)会合工程から(6)外添剤添加工程までの工程については、従来公知の種々の方法に従って行うことができる。
なお、(2)会合工程において使用される凝集剤は、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩等の一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
[現像剤]
トナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
上記磁性体としては、例えばマグネタイト、γ−ヘマタイト、または各種フェライトなどを使用することができる。
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、鋼、ニッケル、コバルト、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。
キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体粉末を分散してなるいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることが好ましい。被覆用の樹脂としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂またはフッ素樹脂などが用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂など使用することができる。
キャリアの体積基準のメジアン径は、20〜100μmであることが好ましく、25〜80μmであることがより好ましい。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパテック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
トナーのキャリアに対する混合量は、トナーとキャリアとの合計質量を100質量%として、2〜10質量%であることが好ましい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<光相転移化合物の合成>
[合成例1:化合物(A1)の合成]
4−アミノフェノール(6.54g、60mmol)に2.4N塩酸75mLを加えた後、0℃で冷却攪拌しながら、亜硝酸ナトリウム(4.98g、72mmol)を蒸留水6mLに溶解した溶液を加え、0℃で60分間攪拌を続けた。この溶液に、o−クレゾール(6.48g、60mmol)と、20質量%水酸化ナトリウム水溶液24mLとの混合溶液を加え20時間攪拌した。析出した沈殿を濾過し、固形物を水で洗浄した。得られた固体を、酢酸エチルとヘキサンの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、アセトンとヘキサンの混合溶媒により再結晶することにより中間体を得た(第1段階)。
この中間体(2.28g、10mmol)にDMF100mL、1−ブロモヘキサン(C13Br、9.9g、60mmol)、炭酸カリウム(6.9g、50mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した後、室温で20時間攪拌を続けた。溶媒を減圧留去後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物を酢酸エチルとヘキサンの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、アゾベンゼン誘導体である化合物(A1)を得た(第2段階)。
Figure 2021128253
[合成例2:化合物(A2)の合成]
前記合成例1において、前記反応式の1−ブロモヘキサン(C13Br)を1−ブロモオクタン(C17Br)に変更した以外は同様にして、化合物(A2)を得た。
Figure 2021128253
[合成例3:化合物20の合成]
冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mlの4頭フラスコに、4−ニトロフェノール(4.2g、30.2mmol)、1−ヨードヘキサン(19.2g、90.6mmol)、炭酸カリウム(10.4g、75.5mmol)、およびジメチルホルムアミド50mlを投入し、加熱還流した。反応液を水洗した後、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:9(体積比))で精製して4−(ヘキシルオキシ)ニトロベンゼンを5.8g(収率86%)得た(第1段階)。
500mlの三角フラスコに、4−(ヘキシルオキシ)ニトロベンゼン(5.8g、26.1mmol)とパラジウム炭素(0.12g、258mmol)とを入れ、エタノールとテトラヒドロフランをそれぞれ60ml入れ、水素(H)を封入しながら攪拌した。反応液からパラジウム炭素を除去し、得られた溶液を濃縮した後、エタノールで再結晶を行い、4−(ヘキシルオキシ)アニリンを3.8g(収率75%)得た(第2段階)。
冷却管、窒素導入管、温度計を備えた100mlの4頭フラスコに、4−(ヘキシルオキシ)アニリン(1.1g、5.7mmol)と5−メチルチオフェン−2−カルボキシアルデヒド(0.7g、5.7mmol)とエタノール20mlを投入し、50℃で加熱攪拌した。反応液を吸引ろ過し、得られた粉末を冷却エタノールで洗浄した。さらに、メタノール/エタノールで再結晶を行い、目的物のアゾメチン誘導体である化合物20を0.75g(収率45%)得た(第3段階)。
Figure 2021128253
<トナーの調製>
[光相転移化合物粒子分散液の調製]
(化合物(A1)粒子分散液1の調製)
ジクロロメタン80質量部と、化合物(A1)20質量部とを50℃で加熱しながら混合攪拌し、化合物(A1)を含む液を得た。この液100質量部に、50℃に温めた蒸留水99.5質量部と、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.5質量部との混合液を添加した。その後、シャフトジェネレーター18Fを備えるホモジナイザー(ハイドルフ社製)により16000rpmで20分間攪拌して乳化させ、化合物(A1)粒子を含む乳化液を得た。その後、減圧下で溶媒除去を行い、化合物(A1)粒子分散液1を得た。化合物(A1)分散液中の化合物(A1)の体積基準のメジアン径は145nmであった。
(化合物(A2)粒子分散液2の調製)
前記化合物(A1)粒子分散液1の調製において、化合物(A1)を化合物(A2)に変更した以外は同様にして、化合物(A2)粒子分散液を得た。化合物(A2)分散液中の化合物(A2)の体積基準のメジアン径は195nmであった。
(化合物20粒子分散液3の調製)
前記化合物(A1)粒子分散液1の調製において、化合物(A1)を化合物20に変更した以外は同様にして、化合物20粒子分散液を得た。化合物20分散液中の化合物20の体積基準のメジアン径は220nmであった。
[結着樹脂の合成および結着樹脂粒子分散液の調製]
(スチレンアクリル樹脂1を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液1の調製)
(第1段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温80℃とし、スチレン480質量部、n−ブチルアクリレート250質量部、メタクリル酸68.0質量部およびn−オクチルメルカプタン5.0質量部よりなる重合性モノマー溶液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、攪拌することにより重合を行い、スチレンアクリル樹脂粒子(1b)を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1B)を調製した。
(第2段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、70℃に加熱後、上記のスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1B)260質量部と、スチレン201質量部、n−ブチルアクリレート(BA)93質量部、メタクリル酸(MAA)20質量部、n−オクチルメルカプタン4.2質量部にパラフィンワックス「HNP−11」(日本精蝋株式会社製)50質量部を70℃にて溶解させた重合性モノマー溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CREARMIX」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて1時間にわたって加熱攪拌することにより重合を行い、スチレンアクリル樹脂粒子(2b)を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液(2B)を調製した。
(第3段重合)
上記のスチレンアクリル樹脂粒子分散液(2B)に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン435質量部、n−ブチルアクリレート130質量部、メタクリル酸33質量部およびn−オクチルメルカプタン8.4質量部からなる重合性モノマー溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱攪拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却しスチレンアクリル樹脂1を含有するスチレンアクリル樹脂粒子分散液1を得た。
上記スチレンアクリル樹脂粒子分散液1中のスチレンアクリル樹脂粒子の粒径を「マイクロトラックUPA−150」(日機装株式会社製)を用いて動的光散乱法によって測定したところ、体積基準のメジアン径で120nmであった。また、このスチレンアクリル樹脂1のガラス転移点Tgを測定したところ、42℃であった。
[カーボンブラック分散液の調製]
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部を純水1600質量部に溶解し、カーボンブラック「モーガルL(キャボット社製)」125質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックス(登録商標)WモーションCLM−0.8(エム・テクニック株式会社製)」を用い、カーボンブラック分散液を調製した。
[トナー1の調製]
上記で作製したスチレンアクリル樹脂粒子分散液1を固形分換算で450質量部と、イオン交換水900質量部と、カーボンブラック分散液を固形分換算で40質量部とを、攪拌装置、温度センサー、および冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。その後、化合物(A1)粒子分散液1を固形分換算で150質量部を投入し、再度pHを10に調整した。次に、塩化マグネシウム・6水和物50質量部がイオン交換水50質量部に溶解してなる水溶液を攪拌下、10分間かけて滴下した後、昇温を開始し、この系を60分間かけて70℃まで昇温し、70℃を保持したま粒子成長反応を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター株式会社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメジアン径(D50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム150質量部がイオン交換水600質量部に溶解してなる水溶液を添加して粒子成長を停止させた。70℃で1時間攪拌した後、さらに昇温を行い、75℃の状態で加熱攪拌することにより、粒子の融着を進行させた。その後、30℃まで冷却することにより、トナー母体粒子の分散液を得た。
次いで、得られたトナー母体粒子の分散液を固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄した後、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー母体粒子を得た。
得られたトナー母体粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒径:12nm)1質量%、及び疎水性チタニア(数平均一次粒径:20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(登録商標)を用いて混合することにより、トナー粒子1からなるトナー1を得た。
[トナー2の調製]
前記トナー1の調製において、化合物(A1)粒子分散液1を化合物(A2)粒子分散液2に変更した以外は同様にして、トナー粒子2からなるトナー2を得た。
[トナー3の調製]
前記トナー1の調製において、化合物(A1)粒子分散液1を化合物20粒子分散液3に変更した以外は同様にして、トナー粒子3からなるトナー3を得た。
[トナー4の調製]
前記トナー1の調製において、化合物(A1)粒子分散液1を添加しなかったこと以外は同様にして、トナー粒子4からなるトナー4を得た。
<現像剤の調製>
前記トナー1〜4に対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径35μmのフェライトキャリアを、トナー粒子濃度が7質量%となるように添加して混合することによって、現像剤(1)〜(4)をそれぞれ作製した。ここで、各トナーと各現像剤との対応としては、現像剤(1)はトナー1を含み、現像剤(2)はトナー2を含み、現像剤(3)はトナー3を含み、現像剤(4)はトナー4を含む。
<画像形成装置の製造および評価>
[画像形成装置の製造]
上記で得られた各現像剤および後述する各装置(各定着部およびその周辺部に係る装置)を、下記表2に示す組み合わせとしてフルカラー印刷機(「bizhub PRESS(登録商標)C1070」、コニカミノルタ株式会社製)に実装して、各電子写真画像形成装置を準備した。そして、これらの各電子写真画像形成装置を用いて、常温常湿環境下(温度20℃、湿度50%RH)で評価を行った。光の照射は、後述する装置No.1−1、1−2、1−3、2、3および4については、それぞれ、下記表2に記載の最大発光波長を有する単色放射光を照射するLED光源を使用して、積算光量が3.0J/cmとなるように照射を行った。また、後述する装置No.5については、下記表2に記載の最大発光波長を有し、250nm以上800nm以下の波長領域内の波長分布を有する光を照射する光源を使用して、積算光量が3.0J/cmとなるように照射を行った。そして、記録媒体へのトナー像の定着の条件は、下記表2に記載の通りである。
定着部およびその周辺部に係る装置としては、フルカラー印刷機(「bizhub PRESS(登録商標)C1070」、コニカミノルタ株式会社製)の定着部およびその周辺部に係る装置を改造し、光照射装置を導入したものを用いた。具体的には、図2に示す定着部9およびその周辺部を適宜改変して構成された装置、ならびに図5に示す定着部9およびその周辺部に係る装置を用いた。
No.1−1:図2に示す定着部9およびその周辺部において、光照射部40(最大発光波長365nmの単色放射光を照射するLED光源)、無端状のベルト911、押し圧部材912および加圧ローラー92等を備え、加熱部93を備えない構成の定着部を有し、かつ、定着部9よりも下流側に冷却部60を備えない装置によって、ニップ領域800(加圧領域)にて加圧および光の照射を同時に行い、定着を行うものである;
No.1−2:光照射部40を、最大発光波長365nmの単色放射光を照射するLED光源から、最大発光波長480nmの単色放射光を照射するLED光源へと変更した以外は装置No.1−1と同様の構成の装置によって、ニップ領域800(加圧領域)にて加圧および光の照射を同時に行い、定着を行うものである;
No.1−3:光照射部40を、最大発光波長365nmの単色放射光を照射するLED光源から、最大発光波長520nmの単色放射光を照射するLED光源へと変更した以外は装置No.1−1と同様の構成の装置によって、ニップ領域800(加圧領域)にて加圧および光の照射を同時に行い、定着を行うものである;
No.2:図2に示す定着部9およびその周辺部において、光照射部40(最大発光波長365nmの単色放射光を照射するLED光源)、無端状のベルト911、押し圧部材912、加圧ローラー92および加熱部93等を備える構成の定着部を有し、かつ、定着部9よりも下流側に冷却部60を備えない装置によって、加熱部93によりベルト911が50℃に加熱された状態で、ニップ領域800(加熱加圧領域)にて加圧、光の照射および加熱を同時に行い、定着を行うものである。ここで、加熱部93は、ヒーターh1によって加熱を行うものである;
No.3:図2に示す定着部9およびその周辺部において、光照射部40(最大発光波長365nmの単色放射光を照射するLED光源)、無端状のベルト911、押し圧部材912、加圧ローラー92、加熱部93等を備える構成の定着部を有し、かつ、定着部9よりも下流側に冷却部60を備える装置によって、加熱部93によりベルトが50℃に加熱された状態で、ニップ領域800(加熱加圧領域)にて加圧、光の照射および加熱を同時に行い、その後、冷却部60により冷却して定着を行うものである。ここで、加熱部93は、ヒーターh1によって加熱を行うものである。また、冷却部60としては、冷却ファンによって冷却を行うものである;
No.4:図5に示す、2つの加圧ローラー91および92、ならびに光照射部40(最大発光波長365nmの単色放射光を照射するLED光源)を備え、無端状のベルト911、押し圧部材912、加熱部93を備えない構成の定着部を有し、かつ、定着部9よりも下流側に冷却部60を備えない装置によって、まずは加圧なしで光照射のみを行い、その後、光照射なしで200kPaで加圧のみをすることで定着を行うものである。なお、図5における各符号は、上記の図1〜図4で説明したものと同様である。
No.5:光照射部40を、最大発光波長365nmの単色放射光を照射するLED光源から、光源としてのハロゲンランプと、800nmを超える波長をカットするフィルターを備え、当該フィルターを通して光照射を行う光照射部へと変更した以外は装置No.1−1と同様の構成の装置によって、ニップ領域800(加圧領域)にて加圧および光の照射を同時に行い、定着を行うものである。
[定着ベルトの製造および光透過性評価]
上記装置No.1−1、1−2、1−3、2、3および5で使用する無端状ベルト911は、以下のように製造した。ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA樹脂、950HPplus、三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製)を二軸押出機(株式会社東洋精機製作所)に投入し、長さ400mm、厚み200μmのPFA樹脂製のベルトを得た。次いで、得られた定着ベルトについて、端部を接合して無端状のベルト状とした。
得られたベルト911について、測光量評価分光計測システムC14595−02(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、入射光の光量、および測定対象(ベルト911)を介して透過した光量を測定し、入射光の光量に対する透過光の光量の比率を算出し、この値を透過率(%)とした。装置No.1−1、1−2、1−3、2、3および5において、それぞれの光源からの照射光の波長分布における各波長の光に対する、ベルト911の透過率は、全て80%以上であった。
[押し圧部材の製造および光透過性評価]
上記装置No.1−1、1−2、1−3、2、3および5で使用する押し圧部材912は、以下のように製造した。ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA樹脂、950HPplus、三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社製)を二軸押出機(株式会社東洋精機製作所)に投入し、ニップ部方向の長さ12mmのサイズで、直方体状の形状を有するパッド状のPFA樹脂製の押し圧部材を得た。
得られた押し圧部材912について、測光量評価分光計測システムC14595−02(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、入射光の光量、および測定対象(押し圧部材912)を介して透過した光量を測定し、入射光の光量に対する透過光の光量の比率を算出し、この値を透過率(%)とした。装置No.1−1、1−2、1−3、2、3および5において、それぞれの光源からの照射光の波長分布における各波長の光に対する、押し圧部材912の透過率は、全て80%以上であった。
[定着条件の確認]
各装置において、照射部材からの照射光の波長は、光パワーメータ(測光量評価分光計測システム14595−02、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて確認した。また、加圧圧力は、圧力分布測定装置(PINCH、ニッタ株式会社製)を用いて確認し、熱温度は、非接触温度測定器(FT−H10、キーエンス社製)を用いて確認した。
<評価>
[定着性]
上記得られた画像形成装置(上記得られた現像剤が装填されたもの)を用いて、常温常湿環境下(温度20℃、湿度50%RH)で定着性評価を行った。まず、A4サイズの「npi上質紙(128g/m);日本製紙社製)上に付着量4.0g/m、10mm×10mmサイズの画像を出力した。記録媒体へのトナー像の定着の条件は、下記表2に記載の通りである。また、照射する光は、下記表2に記載の最大発光波長を有する単色放射光を照射するLED光源、または下記表2に記載の最大発光波長を有する光を照射する光照射部を使用し、3.0J/cmとなるように照射した。次いで、この印刷物の10mm角の画像を、「JKワイパー(登録商標)」(日本製紙クレシア株式会社製)で10kPaの圧力をかけて10回こすり、下記基準に従い、画像の定着率で評価した。本評価では、定着率80%以上を合格とした。なお、画像の定着率とは、プリント後の画像及びこすった後の画像の濃度を蛍光分光濃度計「FD−7」(コニカミノルタ株式会社製)で測定し、こすった後のベタ画像の反射濃度を、プリント後のベタ画像の反射濃度で除した値を百分率で表した数値である。
≪評価基準≫
◎:定着率90%以上、
〇:定着率80%以上90%未満、
×:定着率80%未満。
[濃度ムラ]
上記得られた画像形成装置(上記得られた現像剤が装填されたもの)を用いて、常温常湿環境下(温度20℃、湿度50%RH)で濃度ムラ評価を行った。まず、A4サイズの「npi上質紙(128g/m);日本製紙社製)上に付着量4.0g/m、10mm×10mmサイズの画像を出力した。記録媒体へのトナー像の定着の条件は、下記表2に記載の通りである。また、照射する光は、下記表2に記載の最大発光波長を有する単色放射光を照射するLED光源、または下記表2に記載の最大発光波長を有する光を照射する光照射部を使用し、3.0J/cmとなるように照射した。次いで、この印刷物の10mm角の画像の濃度を、蛍光分光濃度計「FD−7」(コニカミノルタ(株)製)にて5点測定し、ベタ画像の反射濃度差(最大値と最小値の差)を求め、下記基準に従い評価した。本評価では、反射濃度差が0.10以下のものを合格とした:
≪評価基準≫
◎:反射濃度差が0.05以下である、
〇:反射濃度差が0.05を超えて0.10以下である、
×:反射濃度差が0.10越えている。
これらの評価結果を下記表2に示す。
Figure 2021128253
上記表2の結果から、光相転移化合物を含むトナーを用いて形成されたトナー像の記録媒体への定着の際に、加圧および光の照射を同時に行うことを含む方法で定着を行う、本発明の実施例1〜12に係る画像形成装置1〜12は、定着性が高く、濃度ムラも小さく、高品質の画像形成が可能であることが確認された。
一方、光相転移化合物を含むトナーを用いて形成されたトナー像の記録媒体への定着の際に、まずは光照射をし、その後加圧することで定着を行う、比較例1に係る画像形成装置13は、定着性が低く、濃度ムラが大きいことが確認された。また、光相転移化合物を含まないトナーを用いて形成されたトナー像の記録媒体への定着の際に、加圧しながら光を照射することで定着を行う、比較例2に係る画像形成装置14は、定着性が低く、濃度ムラが大きいことが確認された。
ここで、実施例1〜3に係る画像形成装置1〜3の比較から、照射する光が280nm以上480nm以下の波長領域の少なくとも一部を含む、画像形成装置1または2がより優れた結果を示し、照射する光が300nm以上400nm以下の波長領域の少なくとも一部を含む、画像形成装置1がさらに優れた結果を示すことが確認された。また、これらの比較から、照射する光が280nm以上480nm以下の範囲内に最大発光波長を有する単色放射光である、画像形成装置1または2がより優れた結果を示し、照射する光が300nm以上400nm以下の範囲内に最大発光波長を有する単色放射光である、画像形成装置1がさらに優れた結果を示すことが確認された。
また、実施例10および12に係る画像形成装置10および12の比較から、照射する光が単色放射光である、画像形成装置10がより優れた結果を示すことが確認された。
そして、実施例1、4〜6および11の比較から、加圧圧力が1〜1000kPaの範囲内である画像形成装置1、5および6がより優れた結果を示し、加圧圧力が10〜500kPaの範囲内である画像形成装置1がさらに優れた結果を示すことが確認された。
そして、実施例1および7に係る画像形成装置1および7の比較から、加熱部を有し、光の照射および加熱を同時に行うことを含む方法で定着を行う、画像形成装置7がより優れた結果を示すことが確認された。
さらに、実施例7および8の結果から、冷却部を有する画像形成装置8がより優れた結果を示すことが確認された。
1 感光体、
2 帯電器、
3 露光器、
4 現像部、
5 転写部(転写ローラー)、
7 用紙搬送系、
8 クリーニング部、
9 定着部、
10 画像形成部、
11 給紙部、
12 搬送ローラー、
13 搬送ベルト、
14 排紙部、
15 手差し給紙部、
16 トレイ、
17 温湿度計、
20 画像処理部、
24 用紙反転部、
40 光照射部、
60 冷却部、
71 画像読取装置、
72 自動原稿送り装置、
85 ブレード、
91 加圧部材(加圧部材A)、
92 加圧部材(加圧部材B)(加圧ローラー)、
93 加熱部、
100 画像形成装置、
800 ニップ領域(加圧領域)、
911 ベルト、
912 押し圧部材、
914、916 加圧ローラー、
915 ローラー、
h1 ヒーター、
d 原稿、
S 記録用紙(記録媒体)。

Claims (18)

  1. 静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像部と、
    前記トナー像を記録媒体上に転写する転写部と、
    前記転写部にて前記記録媒体上に転写された後の前記トナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行い、前記トナー像を前記記録媒体上に定着させる定着部と、
    を含み、
    前記トナーは、光を吸収することで固液相転移する化合物を含む、画像形成装置。
  2. 前記定着部において照射する前記光は、280nm以上480nm以下の波長領域の少なくとも一部を含む光である、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記定着部において照射する前記光は、280nm以上480nm以下の範囲内に最大発光波長を有する単色放射光である、請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記定着部において、前記記録媒体上に転写された前記トナー像を1.0kPa以上1,000kPa以下の範囲内の圧力で加圧する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記定着部は、
    光照射部と、加圧部材Aと、加圧部材Bと、を含み、
    前記加圧部材Aと、前記加圧部材Bとは、互いに対向して配置され、その間に加圧領域を形成し、かつ、その間に前記記録媒体を挟み込み、
    前記加圧部材Aの少なくとも一部は、前記定着部において照射する前記光を透過する材料で構成され、
    前記光照射部は、前記加圧領域に対して前記加圧部材Bとは反対側であって、かつ、前記加圧部材A側に配置され、前記加圧領域に向けて前記光の照射を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記定着部は、
    前記光照射部と、前記加圧部材Aと、前記加圧部材Bと、を含み、
    前記加圧部材Aは、無端状のベルトと、押し圧部材と、を含み、
    前記加圧部材Bは、前記ベルトおよび前記押し圧部材と対向して配置され、かつ前記ベルトと接触しつつ回転し、前記ベルトとの間に前記記録媒体を挟み込んで搬送する加圧ローラーを含み、
    前記押し圧部材は、前記ベルトを挟んで前記加圧ローラーに対向して配置され、前記ベルトを前記加圧ローラー側に押し付けることによって、前記ベルトと、前記加圧ローラーとの間に前記加圧領域を形成し、
    前記ベルトおよび前記押し圧部材は、前記定着部において照射する前記光を透過する材料で構成される部分を有し、
    前記光照射部は、前記加圧領域に対して前記加圧ローラーとは反対側であって、かつ、前記押し圧部材の背面側に配置され、前記加圧領域に向けて前記光の照射を行う、請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記定着部は、前記加圧部材Aまたは前記加圧部材Bを加熱する加熱部をさらに含む、請求項5または6に記載の画像形成装置。
  8. 前記定着部を通過した前記記録媒体上の前記トナー像を冷却する冷却部をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記固液相転移する化合物が、アゾベンゼン誘導体またはアゾメチン誘導体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、
    前記トナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、
    前記転写工程の後に、前記記録媒体上に転写された前記トナー像に対して、加圧および光の照射を同時に行い、前記トナー像を前記記録媒体上に定着させる定着工程と、
    を含み、
    前記トナーは、光を吸収することで固液相転移する化合物を含む、画像形成方法。
  11. 前記定着工程において照射する前記光は、280nm以上480nm以下の波長領域の少なくとも一部を含む光である、請求項10に記載の画像形成方法。
  12. 前記定着工程において照射する前記光は、280nm以上480nm以下の範囲内に最大発光波長を有する単色放射光である、請求項10または11に記載の画像形成方法。
  13. 前記定着工程において、前記記録媒体上に転写された前記トナー像を1.0kPa以上1,000kPa以下の範囲内の圧力で加圧する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  14. 前記定着工程において、
    前記加圧は、前記記録媒体を、加圧部材Aと、加圧部材Bとの間に挟み込み、前記加圧部材Aと、前記加圧部材Bとの間に形成される加圧領域に存在させることで行い、
    前記加圧部材Aの少なくとも一部は、前記定着工程において照射する前記光を透過する光透過性部分であり、
    前記光の照射は、前記加圧領域に対して前記加圧部材Bとは反対側であって、かつ、前記加圧部材A側から前記記録媒体上の前記トナー像に向けて、前記定着工程において照射する前記光が前記加圧部材Aの前記光透過性部分を透過して前記トナー像に入射するように行う、請求項10〜13のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  15. 前記定着工程において、
    前記加圧は、前記記録媒体を、前記加圧部材Aと、前記加圧部材Bとの間に挟み込んで搬送し、前記加圧部材Aと、前記加圧部材Bとの間に形成される前記加圧領域を通過させることで行い、
    前記加圧部材Aは、無端状のベルトと、押し圧部材と、を含み、
    前記加圧部材Bは、前記ベルトおよび前記押し圧部材と対向して配置され、かつ前記ベルトと接触しつつ回転し、前記ベルトとの間に前記記録媒体を挟み込んで搬送する加圧ローラーを含み、
    前記押し圧部材は、前記ベルトを挟んで前記加圧ローラーに対向して配置され、前記ベルトを前記加圧ローラーに押し付けることによって、前記ベルトと、前記加圧ローラーとの間に前記加圧領域を形成し、
    前記ベルトおよび前記押し圧部材は、前記定着工程において照射する前記光を透過する材料で構成される部分を有し、
    前記光の照射は、前記加圧領域に対して前記加圧ローラーとは反対側であって、かつ、前記押し圧部材の背面側から前記記録媒体上の前記トナー像に向けて、前記定着工程において照射する前記光が前記ベルトおよび前記押し圧部材を透過して前記トナー像に入射するように行う、請求項14に記載の画像形成方法。
  16. 前記定着工程は、前記記録媒体上に転写された前記トナー像に対して、加圧、光の照射および加熱を同時に行うことを含む工程である、請求項10〜15のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  17. 前記定着工程の後、前記トナー像を冷却する工程をさらに含む、請求項16に記載の画像形成方法。
  18. 前記固液相転移する化合物が、アゾベンゼン誘導体またはアゾメチン誘導体である、請求項10〜17のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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